(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】セラミック複合酸化物
(51)【国際特許分類】
C01G 51/00 20060101AFI20220415BHJP
C01G 53/00 20060101ALI20220415BHJP
C01G 45/00 20060101ALI20220415BHJP
C01G 23/00 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
C01G51/00 B
C01G53/00 A
C01G45/00
C01G23/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543334
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 GB2020050176
(87)【国際公開番号】W WO2020152482
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325846
【氏名又は名称】セラミック パウダー テクノロジー エーエス
【氏名又は名称原語表記】CERAMIC POWDER TECHNOLOGY AS
【住所又は居所原語表記】Kvenildmyra 6, 7093 Tiller Norway
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】シーベルトセン-ウィーグ, グットルム
(72)【発明者】
【氏名】ラボンノート-ウェーバー, ソフィー ベアトリス
(72)【発明者】
【氏名】グランデ, トール
(72)【発明者】
【氏名】ウィーク, チェル
(72)【発明者】
【氏名】ライン, ヒルデ リー
(72)【発明者】
【氏名】アイナルスラッド, マリ-アン
【テーマコード(参考)】
4G047
4G048
【Fターム(参考)】
4G047CA07
4G047CB05
4G047CB08
4G047CC03
4G047CD04
4G048AA03
4G048AA05
4G048AB02
4G048AB03
4G048AC06
4G048AC08
4G048AD04
4G048AE07
(57)【要約】
本発明は、式(I)のセラミック複合酸化物であって、
(1-x)AaBbOy+xCcDdOz (I)
(式中、A、B、C及びDは、Li、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、In、Sn、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Er、Tm、Yb、Lu、Ta、W、Bi及びそれらの混合物からなる群から各々独立に選択され、xは0.05~0.95であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされ、0≦a、b、c、d≦1である。)前記セラミック複合酸化物は、10~700nmの平均粒径を有する、セラミック複合酸化物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のセラミック複合酸化物であって、
(1-x)A
aB
bO
y+xC
cD
dO
z (I)
(式中、
A、B、C及びDは、Li、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、In、Sn、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Er、Tm、Yb、Lu、Ta、W、Bi及びそれらの混合物からなる群から各々独立に選択され、
xは0.05~0.95であり、
yとzはカチオンの電荷によってバランスされ、
0≦a、b、c、d≦1である。)
前記セラミック複合酸化物は、10~700nmの平均粒径を有する、
セラミック複合酸化物。
【請求項2】
CがNiであり、dが0である、請求項1に記載のセラミック複合酸化物。
【請求項3】
AがZrであり、BがCe、Sm、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のセラミック複合酸化物。
【請求項4】
AがCeであり、BがLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のセラミック複合酸化物。
【請求項5】
AがCa、Sr、Ba、La、Pr、Nd、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択され、BがMg、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Yb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のセラミック複合酸化物。
【請求項6】
AがLi、Na、K、Sr、Ba、Bu及びそれらの混合物からなる群から選択され、BがTi、Nb、Ta、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、xが0.2~0.8である、請求項1又は2に記載のセラミック酸化物複合材料。
【請求項7】
前記酸化物が式(Ia)である、請求項1に記載のセラミック複合酸化物。
(1-x)Ba
(1-m)Sr
m(Zr
(1-n)Ce
n)
(1-p)E
pO
y+xNiO (Ia)
(式中、
Eは、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択され、
xは0.2~0.8であり、
yはカチオンの電荷によってバランスされ、
mは0~1であり、
nは0~1であり、
pは0~0.4である。)
【請求項8】
前記酸化物が式(Ib)である、請求項1に記載のセラミック複合酸化物。
(1-x)A
aB
bO
y+xCe
1-dD
dO (Ib)
(式中、
Aは、Ca、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、
Bは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、
Dは、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Znからなる群から選択され、
xは0.2~0.8であり、
yはカチオンの電荷によってバランスされ、
aは0.95~1であり、
bは1であり、
dは0~1である。)
【請求項9】
DがGdである、請求項8に記載のセラミック複合酸化物。
【請求項10】
AがSrとLaの混合物である、請求項8又は9に記載のセラミック複合酸化物。
【請求項11】
BがFeとCoの混合物である、請求項8から11のいずれかに記載のセラミック複合酸化物。
【請求項12】
前記複合酸化物全体の総重量に対して、(1-x)A
aB
bO
yで表される第1の成分が10~90重量%の量で存在し、xC
cD
dO
zで表される第2の成分が90~10重量%の量で存在する、請求項1から11のいずれかに記載のセラミック複合酸化物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のセラミック複合酸化物の調製方法であって、存在する場合にはAとBの一方又は両方及び存在する場合にはCとDの両方の一方の金属イオンを含む溶液の噴霧熱分解を含み、噴霧熱分解が、前記溶液を炉内に少なくとも500℃の温度で二相ノズルを使用して霧化することによって行われ、前記酸化物がノズルごとに0.5~10kg/hの速度で生成される、方法。
【請求項14】
前記溶液が水溶液である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記水溶液が、少なくとも1種の金属硝酸塩を含む水溶性前駆体から調製される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
噴霧熱分解微粉生成物をサイクロンによって回収し、400~1200℃の範囲の温度でか焼することを更に含む、請求項12から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記か焼が550~800℃の温度で行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
か焼され、噴霧熱分解された粒子を未焼結体に成形し、前記未焼結体を好ましくは酸素富化雰囲気中で焼結することを更に含む、請求項12から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記粉体をか焼後に粉砕することを更に含む、請求項16から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項12から19のいずれかに記載の方法によって調製される式(I)のセラミック複合酸化物。
【請求項21】
請求項1から10又は20のいずれかに記載のセラミック複合酸化物を含む、固体酸化物セル。
【請求項22】
固体酸化物セルにおける電極又は電解質としての、請求項1から12又は20のいずれかに記載のセラミック複合酸化物の使用。
【請求項23】
高密度ガス分離膜における、請求項1から12又は20のいずれかに記載のセラミック複合酸化物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック複合酸化物材料の新しい製造方法に関する。該方法のセラミック複合酸化物生成物も本発明に包含され、固体酸化物燃料又は電解槽セル、ガス分離膜、電池、断熱コーティングなどのそれらに限定されない装置に適用するための電極の製造におけるそれらの使用も包含される。
【背景技術】
【0002】
セラミック複合酸化物材料は、電子機器、触媒及びエネルギー生成における機能性材料として多数の重要な用途がある。複合材料は、その改良された機械的強度、修正された熱膨張係数、イオン伝導率と電気伝導率の組合せ、並びに電極触媒及び触媒効果を含めた種々の理由で好ましいことが多い。複合材料の潜在的影響を最大にするためには、2つ以上の相を均一に混合し、粒子レベルで微細に分布させる必要があり、多くの場合、小粒子が有益である。相間溶解性は、熱処理時の熱力学的相分離を確実にするために低くなければならず、したがって、単相材料ではなく、微細に分布した複合粉体が形成される。
【0003】
従来のセラミック複合酸化物は、2種の酸化物を混合することによって調製され、時間とエネルギーを要する。したがって、これらの材料を調製するための代替となる方法が求められている。
【0004】
幾つかの研究は、セラミック複合酸化物を調製するための超音波噴霧熱分解の使用について調べた。これらは、例えば、Shimada et al、Journal of Power Sources、2017、341、280-284、及びHagiwara et al、Solid State Ionics、2007、178、1123-1134に記述されている。超音波噴霧法では、超音波を使用して、ガス流によって炉内に捕捉される微小液滴を生成する。液体は蒸発し、沈殿塩が残り、沈殿塩は酸化物に分解される。
【0005】
火炎噴霧熱分解も、例えば、Platinum Metals Rev.、2011、55、(2)、149で研究された。火炎噴霧熱分解は、有機金属液体前駆体の噴霧の発熱燃焼に基づく気相燃焼合成法である。適切なノズルを備えたバーナーによって、有機金属化合物と溶媒を含む液相混合物を炎中に分散させ、生成した混合物液滴を燃焼させて小さなクラスターを生成する。追加の酸素流は、溶媒及び金属有機化合物を水及びCO2中で完全燃焼させる。
【0006】
超音波噴霧熱分解法と火炎噴霧熱分解法の両方の重要な欠点の1つは、それらの商業的使用を制限する低生成速度である。これらの方法の複合酸化物の生成速度は、典型的な超音波又は火炎装備では、毎時グラムの桁である。さらに、超音波霧化は、スケールアップ及び粒径制御の点で制限を受ける。超音波霧化は実験室では許容されるかもしれないが、数グラムを超える材料の製造に使用するには実用的でない。したがって、大規模生産に適合するセラミック酸化物複合材料の調製方法の開発が必要とされている。
【0007】
本発明の合成経路は、カチオンの安定な溶液から出発して材料を構築する。水溶液から小粒径を得るために、噴霧熱分解を使用して酸化物粉体を直接調製する。噴霧熱分解を使用することによって、高品質粉体の大規模調製が可能である。本発明の方法を適用して、広範囲のセラミック複合酸化物を形成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、式(I)のセラミック複合酸化物であって、
(1-x)AaBbOy+xCcDdOz (I)
(式中、
A、B、C及びDは、Li、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、In、Sn、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Er、Tm、Yb、Lu、Ta、W、Bi及びそれらの混合物からなる群から各々独立に選択され、
xは0.05~0.95であり、
yとzはカチオンの電荷によってバランスされ(are balanced)、
0≦a、b、c、d≦1である。)
前記セラミック複合酸化物は、10~700nmの平均粒径を有する、セラミック複合酸化物を提供する。
【0009】
好ましい一態様においては、複合セラミック酸化物は式(Ia)である。
(1-x)Ba(1-m)Srm(Zr(1-n)Cen)(1-p)EpOy+xNiO (Ia)
(式中、
Eは、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択され、
xは0.2~0.8であり、
mは0~1であり、
nは0~1であり、
pは0~0.4であり、
yはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0010】
別の好ましい一態様においては、セラミック複合酸化物は、式(Ib)である。
(1-x)AaBbOy+xCe1-dDdOz (Ib)
(式中、
Aは、Ca、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、
Bは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、
Dは、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Znからなる群から選択され、
xは0.2~0.8であり、
yとzはカチオンの電荷によってバランスされ、
aは0.95~1であり、
bは1であり、
dは0~1である。)
【0011】
別の一態様においては、本発明は、上で定義したセラミック複合酸化物の調製方法であって、金属イオン又は存在する場合にはAとBの一方若しくは両方及び存在する場合にはCとDの両方の一方を含む溶液の噴霧熱分解を含み、噴霧熱分解が、溶液を炉内に少なくとも500℃の温度で二相ノズルを使用して霧化することによって行われ、前記酸化物がノズルごとに0.5~10kg/hの速度で生成される、方法を提供する。
【0012】
更なる一態様においては、本発明は、上で定義した方法によって調製される式(I)のセラミック複合酸化物を提供する。
【0013】
別の一態様においては、本発明は、上で定義したセラミック複合酸化物を含む固体酸化物セルを提供する。
【0014】
別の一態様においては、本発明は、固体酸化物セルにおける、好ましくは電極又は電解質としての、上で定義したセラミック複合酸化物の使用を提供する。
【0015】
別の一態様においては、本発明は、高密度ガス分離膜における上で定義したセラミック複合酸化物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本発明は、特定の一般式のセラミック複合酸化物及びその調製方法に関する。本発明の文脈における「セラミック複合酸化物」という用語は、組み合わせたときに個々の材料又は相とは異なる特性を有する材料を生成する、異なる物理的又は化学的特性を有する2つ以上の構成セラミック材料又は相からなる材料であるセラミック材料を意味すると理解される。個々の材料又は相は、完成構造内で分離し、別個のままであり、複合材料を単相固溶体とは異なるものにしている。
【0017】
複合酸化物
本発明のセラミック複合酸化物は、下記式(I)で表される。
(1-x)AaBbOy+xCcDdOz (I)
(式中、
A、B、C及びDは、Li、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Sc、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、In、Sn、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Er、Tm、Yb、Lu、Ta、W、Bi及びそれらの混合物からなる群から各々独立に選択され、
xは0.05~0.95であり、
yとzはカチオンの電荷によってバランスされ、
0≦a、b、c、d≦1である。)
【0018】
本発明の複合材料は、したがって、式(I)中の(1-x)AaBbOyで示される第1の成分と式(I)中のxCcDdOzで示される第2の成分の2種の構成材料を含む、ということを理解されたい。
【0019】
一般式(I)は、化学量論化合物と非化学量論化合物の両方を包含する。
【0020】
一実施形態では、CをNiとすることができ、dを0とすることができ、すなわち、第2の成分は酸化ニッケルである。
【0021】
好ましい一実施形態においては、AはZrであり、BはCe、Sm、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
別の好ましい一態様においては、AはCeであり、BはLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
あるいは、Aは、Ca、Sr、Ba、La、Pr、Nd、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択することができ、Bは、Mg、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Yb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
更なる好ましい一実施形態においては、AはLi、Na、K、Sr、Ba、Bi及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Nb、Ta、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、xは0.2~0.8である。
【0025】
第2の成分が酸化ニッケルである態様においては、複合酸化物の好ましい亜群は以下で表される。
(1-x)Zr(1-b)BbOy+xNiO(式中、BはCe、Sm、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択され、0≦b≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Zr(1-b)BbOy+xNiO(式中、BはCe、Sm、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択され、0≦b≦0.1であり、0.3≦x≦0.7であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Zr(1-b)BbOy+xNiO(式中、BはCe、Sm、Y及びそれらの混合物からなる群から選択され、0≦b≦0.1であり、0.3≦x≦0.7であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0026】
(1-x)Ce(1-b)BbOy+xNiO(式中、BはLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、0≦b≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Ce(1-b)BbOy+xNiO(式中、BはLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、0≦b≦0.3であり、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Ce(1-b)GdbOy+xNiO(式中、0≦b≦0.2であり、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Ce(1-b)SmbOy+xNiO(式中、0≦b≦0.2であり、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Ce(1-b)YbOy+xNiO(式中、0≦b≦0.2であり、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Ce(1-b)PrbOy+xNiO(式中、0≦b≦0.2であり、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0027】
(1-x)ABOy+xNiO(式中、AはCa、Sr、Ba、La、Pr、Nd、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはMg、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Yb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)ABOy+xNiO(AはSr、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはMg、Ga及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0028】
(1-x)ABOy+xNiO(式中、AはLi、Na、K、Sr、Ba、Bi及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Nb、Ta、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)ABOy+xNiO、(式中、AはNa、Bi及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Nb、Ta、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)ATiOy+xNiO、(式中、AはNa、Bi又はそれらの混合物からなる群から選択され、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0029】
特に好ましい一実施形態においては、セラミック複合酸化物は、式(Ia)の酸化物である。
(1-x)Ba(1-m)Srm(Zr(1-n)Cen)(1-p)EpOy+xNiO (Ia)
(式中、
Eは、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択され、
xは0.2~0.8であり、
yはカチオンの電荷によってバランスされ、
mは0~1であり、
nは0~1であり、
pは0~0.4である)、又は
(1-x)Ba(Zr(1-n)Cen)(1-p)EpOy+xNiO、(式中、EはY、Yb及びそれらの混合物からなる群から選択され、0≦n≦1であり、0≦p≦0.3であり、0.2≦x≦0.8であり、yはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0030】
複合酸化物の別の好ましい亜群としては、以下が挙げられる。
式(Ib)の酸化物
(1-x)AaBbOy+xCe1-dDdOz (Ib)
(式中、
Aは、Ca、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、
Bは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、
Dは、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Znからなる群から選択され、
xは0.2~0.8であり、
yとzはカチオンの電荷によってバランスされ、
aは0.95~1であり、
bは1であり、
dは0~1である。)
【0031】
式(Ib)においては、DがGdであることが好ましい。
【0032】
一実施形態においては、式(Ib)では、AはSrとLaの混合物とすることができる。
【0033】
式(Ib)の別の一実施形態においては、BはFeとCoの混合物とすることができる。
【0034】
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)DdOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはPr、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.3<x<0.7であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)GddOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.3<x<0.7であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)SmdOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)PrdOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)YdOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0035】
(1-x)AaBOy+xZr(1-d)DdOz(式中、AはCa、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはCe、Sm、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xZr(1-d)DdOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはCe、Sm、Y及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0036】
(1-x)AaBOy+xCDOz(式中、AはCa、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはCa、Sr、Ba、La、Pr、Nd、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはMg、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Yb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCDOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物から成る群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはSr、Ca、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはMg、Ga及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0037】
(1-x)AaBOy+xCDOz(式中、AはCa、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはLi、Na、K、Sr、Ba、Bi及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはTi、Nb、Ta、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCDOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物から成る群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはLi、Na、K、Sr、Ba、Bi及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはTi、Nb、Ta、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCDOz(式中、AはCa、Sr、La及びそれらの混合物から成る群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはNa、Ba、Bi及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはTi、Nb、Ta、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦a≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0038】
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)DdOz(式中、Aは、Sr、Ca、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)DdOz(式中、AはSr、Ca、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはLa、Pr、Nd、Sm、Gd、Y、Yb、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦a≦1であり、0≦d≦0.2であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)GddOz(式中、AはSr、Ca、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦a≦1であり、0≦d≦0.2であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)SmdOz(式中、AはSr、Ca、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦a≦1であり、0≦d≦0.2であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)PrdOz(式中、AはSr、Ca、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦a≦1であり、0≦d≦0.2であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xCe(1-d)YdOz(式中、AはSr、Ca、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦a≦1であり、0≦d≦0.2、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0039】
(1-x)AaBOy+xZr(1-d)DdOz(式中、Aは、Sr、Ca、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはCe、Sm、Y、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)AaBOy+xZr(1-d)DdOz(式中、AはSr、Ca、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはCe、Sm、Y及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦a≦1であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0040】
(1-x)ABOy+xCcDOz(式中、AはCa、Sr、Ba、La、Pr、Nd、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはMg、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Y、Nb、Mo、Yb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはSr、Ca、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦c≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)ABOy+xCcDOz(式中、AはSr、Ca、La及びそれらの混合物から成る群から選択され、BはMg、Ga及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはSr、Ca、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.75≦c≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0041】
(1-x)Ba(1-m)Srm(Zr(1-n)Cen)(1-p)EpOy+xCcDOz(式中、Aは、Ca、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはY、Yb、Zn、Nd及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦c≦1であり、0≦m≦1であり、0≦n≦1であり、0≦p≦0.4、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Ba(1-m)Srm(Zr(1-n)Cen)(1-p)EpOy+xCcDOz(式中、Aは、Ca、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはY、Yb及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦c≦1であり、0≦m≦1であり、0≦n≦1であり、0≦p≦0.4であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)、又は
(1-x)Ba(Zr(1-n)Cen)(1-p)EpOy+xCcDOz(式中、Aは、Ca、Sr、Ba、La及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはY、Yb及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.95≦c≦1であり、0≦n≦1であり、0≦p≦0.4であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0042】
(1-x)LiBOy+xLiDdOz(式中、B及びDは、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.1≦x≦0.9であり、1<d≦2であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0043】
(1-x)LiBOy+xLiDPOz(式中、B及びDは、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.1≦x≦0.9であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0044】
(1-x)LiBbOy+xLiDPOz(式中、B及びDは、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.1≦x≦0.9であり、1<b≦2であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0045】
(1-x)LiBOy+xLicDdOz(式中、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはLi、Al、Mg、Ca、Sc、Ti、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Ba、La、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、1≦c≦7であり、4≦d≦6であり、0.1≦x≦0.9であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0046】
(1-x)LiBbOy+xLicDdOz(式中、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはLi、Al、Mg、Ca、Sc、Ti、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Ba、La、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.1≦x≦0.9であり、1<b≦2であり、1≦c≦7であり、4≦d≦6であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0047】
(1-x)LiCPOy+xLicDdOz(式中、CはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはLi、Al、Mg、Ca、Sc、Ti、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Ba、La、Ta、W及びそれらの混合物からなる群から選択され、1≦c≦7であり、4≦d≦6であり、0.1≦x≦0.9であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0048】
(1-x)LiBOy+xCDOz(式中、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはLi、La、Sr及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはTi、Sn、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、Nb、Ta及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.1≦x≦0.9であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0049】
(1-x)LiBbOy+xCDOz(式中、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはLi、La、Sr及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはTi、Sn、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、Nb、Ta及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.1≦x≦0.9であり、1<b≦2であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0050】
(1-x)LiBPOy+CDOz(式中、BはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びそれらの混合物からなる群から選択され、CはLi、La、Sr及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはTi、Sn、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、Nb、Ta及びそれらの混合物からなる群から選択され、0.1≦x≦0.9であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0051】
(1-x)ABOy+xZr(1-d)DdOz(式中、Aは、La、Gd、Sm、Nd、Eu、Yb及びそれらの混合物からなる群から選択され、BはZr、Ce、Hf及びそれらの混合物からなる群から選択され、DはCe、Mg、Sc、Y、In、Ca、Nd、Gd、Sm、Yb及びそれらの混合物からなる群から選択され、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0052】
(1-x)AaOy+xZr(1-d)DdOz(式中、AはAlであり、DはCe、Mg、Sc、Y、In、Ca、Nd、Gd、Sm、Yb及びそれらの混合物からなる群から選択され、a=2であり、0≦d≦1であり、0.2≦x≦0.8であり、yとzはカチオンの電荷によってバランスされる。)
【0053】
本発明のセラミック複合酸化物は、平均粒径が10~700nmの範囲である。好ましい実施形態においては、粒径は、15~600nm(20~500nmなど)である。ここに引用した粒径は、平均粒径である。粒径は、表面積又は電子顕微鏡観察によって測定することができる。
【0054】
本発明のセラミック複合酸化物の粒子の比表面積は、一般に0.5~100m2/g、特に1~50m2/g(例えば2~30m2/g)の範囲である。
【0055】
式(I)において(1-x)AaBbOyで示される第1の成分と式(I)においてxCcDdOzで示される第2の成分が、900℃未満の温度で熱力学的及び/又は動力学的に共に安定であることが好ましい。
【0056】
特に好ましい一実施形態においては、セラミック複合酸化物は、30重量%La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3-δ+70重量%Ce0.9Gd0.1O2-δではない。
【0057】
本明細書に定義されたセラミック複合酸化物は、好ましくは、複合酸化物全体の総重量に対して、(1-x)AaBbOyで表される第1の成分10~90重量%及びxCcDdOzで表される第2の成分90~10重量%を含む。第1の成分のより好ましい重量%範囲は、20~80重量%、特に30~70重量%(40~60重量%など、例えば50重量%)である。第2の成分のより好ましい重量%範囲は、80~20重量%、特に70~30重量%(60~40重量%など、例えば50重量%)である。
【0058】
方法
本発明は、上で定義したセラミック複合酸化物の調製方法にも関する。
【0059】
本発明の方法は、式(I)の所望の化合物を形成するのに必要なすべての金属イオンを含有する溶液の噴霧熱分解を含む。したがって、本発明は、式(I)のセラミック複合酸化物を形成するのに必要な金属イオンの溶液の形成に依拠する。したがって、各反応金属イオンの可溶性金属塩を提供する必要がある。
【0060】
いかなる金属イオンでも、任意の好都合な金属塩(それが可溶性であれば)を使用することができる。好ましい金属塩は、硝酸塩、アルコキシド、カルボン酸塩、ケトン酸塩、シュウ酸塩及び/又は二シュウ酸塩、並びに有機酸の塩、特に酢酸塩である。特に好ましいのは硝酸塩である。
【0061】
必要な溶液は、塩を溶媒に同時に若しくは順次溶解することによって調製することができ(can)、又は1種以上の反応金属イオンを含有する1種以上の前駆体溶液の調製を含み得る(could)。熟練者は必要な溶液を製造する方法を工夫することができる。
【0062】
可溶性金属塩は、任意の好都合な対イオン(例えば、硝酸塩、塩化物、硫酸塩など)を用いて、又は1種以上の錯化剤と適切な溶媒を用いて調製することができる。適切な錯化剤は、六座、五座、四座、三座又は二座配位子、特にアミノポリカルボン酸キレート剤とすることができる。適切なリガンドとしては、EDTA、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、DOTA、DTPA及びエチレンジアミンが挙げられる。
【0063】
好ましくは、溶液は水溶液であり、すなわち水(例えば、蒸留水)を含む。金属イオンと一緒に使用されるいずれの対イオン/錯化剤も、存在するいずれの他の金属イオンとも不溶性塩や他の沈殿を形成しないことが必須であるが、金属塩が一般に容易に可溶であり、したがって、あらゆる種類の塩をここで使用することができることを、熟練者は理解されたい。
【0064】
あるいは、1種以上の金属イオンの前駆体溶液を使用することができる。前駆体溶液は水を溶媒として使用する。好ましくは水のみ、特に蒸留水を使用する。
【0065】
本発明の方法に使用される任意の金属イオン溶液のモル濃度は、好ましくは0.01M~5Mの範囲である。撹拌、超音波処理又は他の混合技術を使用して、均一性を確保することができる。好ましくは、金属塩と水の混合を少なくとも6時間行う。この撹拌プロセス中に温度がわずかに上昇すること、例えば、容器が加圧されている場合には80℃以上まで上昇することも好ましい。
【0066】
次いで、金属イオンを(例えば、使用される各溶液のモル濃度及び最終生成物の所望の化学量論に応じて)適切な比で混合することができ、形成される溶液を噴霧熱分解することができる。撹拌、超音波処理又は他の混合技術を再度使用して、噴霧熱分解の前又は間に溶液の均一性を確保することができる。好ましくは、混合を少なくとも6時間行う。
【0067】
製造方法全体を通して使用される溶媒が水を含む(例えば、少なくとも80重量%(少なくとも90重量%など)の水を含む)場合が極めて好ましい。最も好ましくは、溶媒は水からなる。
【0068】
噴霧熱分解プロセスにおけるノズルでの圧力は、1~3バールの範囲とすることができる。これは、直径0.5~5mm、好ましくは1~2mmのノズルを用いて達成することができる。噴霧ガスは、空気を含めて、反応材料に対して不活性である任意のガスとすることができる。
【0069】
霧化は、少なくとも500℃の温度で炉内で起こる。理想的には、温度は700~1200℃、好ましくは800~1000℃の範囲である。
【0070】
特に好ましい一実施形態においては、本発明の方法は、ノズルにおける超音波の使用を含まない。
【0071】
(例えば、約400~550℃の温度で)炉から出る粉体は、フィルター又はサイクロンによって回収することができる。
【0072】
本発明の粒子は、堆積表面なしで形成することができる。本発明者らは、表面に噴霧熱分解して粒子形成を誘導する必要がなく、本発明者らの粒子は、好ましくは後述する二相ノズルによって形成される、噴霧液滴からの溶媒の蒸発によって形成される。堆積は、実際に潜在的問題であり、形成粒子を堆積表面からこすり取ることで汚染をもたらす可能性がある。表面への堆積は、材料の層を該表面に形成(すなわち膜の形成)する。本発明は、主に識別可能な粒子の形成に関し、基板上の薄膜に関するものではない。粒子をサイクロンで回収して、膜ではなく流動性粉体を生成することが好ましい。
【0073】
したがって、粒子が流動性粉体を形成することが好ましい。噴霧熱分解直後の流動性粉体の形成は、本発明の更なる好ましい特徴である。したがって、本発明の特徴は、噴霧熱分解直後に形成された粒子が好ましくはいかなる表面にも付着しないことである。
【0074】
特に、プロセスのこの段階で形成される軟質凝集体は、D(v、0.5)に適合する粒径分布が1~40μmであり、D(v、0.9)-D(v、0.1)とD(v、0.5)の比が3以下であることが好ましい。好ましくは、D(v、0.5)値が1~20μmである。これらの値は、噴霧熱分解直後及び後続の処理ステップの前に達成される。
【0075】
粒径の制御は本発明の重要な一態様である。最良の制御を達成するために、本発明の噴霧熱分解法は、好ましくは、霧化、狭い粒径分布及び高収率を確保するために二相ノズル配列を使用する。この配列においては、粒子前駆体材料は、乳濁液又は溶液の形態で提供され、乳濁液又は溶液は、二相ノズルで霧化され、炉などの高温域に流入する。高温域では、各液滴は粒子に転化され、溶媒/乳濁液成分などはガスに分解される。粒径は、例えば、液滴サイズを変えることによって制御することができる。液滴サイズは、ノズル出口の操作によって制御される。Langmuir 2009、25、3402-3406は、酸化イットリウム粒子の製造における火炎噴霧熱分解の使用の記述を含み、この公知の方法の詳細を熟練者に提供する。粒径を制御することができる他の因子としては、方法で使用される温度及び出発溶液の金属イオン濃度が挙げられる。
【0076】
特に、熱分解プロセスにおいては、溶液、例えば水溶液と空気との流動混合物を生成するための混合手段が噴霧ノズルと組み合わせられ、極めて微細な液滴のジェットを生成するノズルアセンブリが提供される。ノズルアセンブリは、炉などの高温域と併用される。混合手段は、溶液及び空気のための別個の離れた入口を有する高温域の外側のパイプを備える。空気を加速するために、入口間のパイプ穴に縮径ノズルが配置される。
【0077】
空気は溶液と接触し、パイプ穴を乱流下降して、「気泡流」混合物として知られるものを生成する。混合物は、高温域の内側にあるノズルに供給される。ノズルは、入口と、流れを、好ましくは超音速まで、加速し、それによって液滴のサイズを減少させるための、直径を減少させる第1の収縮部分と、混合物が減速して衝撃波を誘導することができる、直径を拡大させる拡散部分と、第1の収縮部分よりも混合物を加速するように作用する第2の収縮部分と、ジェット又は噴霧を生成するためのオリフィス出口とを有する。ノズルアセンブリは、1~10μmの領域の液滴を与えるように設計される。
【0078】
二相ノズル配列の使用は、熟練者にはよく知られている。
【0079】
噴霧熱分解ステップ後に形成される粉体は直接使用することができるが、噴霧熱分解反応の生成物は、通常、少量の未燃焼有機材料及び分解されない塩からの微量のアニオンを含み、これらはか焼によって除去することができる(例えば、400~1200℃、好ましくは550~1000℃、例えば、約600~800℃)。か焼中に粉体は通常1~24時間、好ましくは4~12時間、高温に暴露される。最終結晶子サイズはか焼を行う温度によって制御され得ることが見いだされ、温度が低いほど結晶子サイズは小さくなる。本発明の方法中、一次粒子又は結晶子は凝集して、軟質凝集体を形成し得る。か焼前に、これらの凝集体はしばしば20ミクロン未満のオーダーであり、したがって、依然として流動性粉体である。か焼後、凝集体は、好ましくは直径10~700nm、特に20~500nmの一次粒子のより小さな凝集体に分解してしまっている。
【0080】
か焼ステップは、形成粉体の結晶性も改善する。したがって、本発明の好ましい特徴は、調製した酸化物が結晶性固体であることである。
【0081】
また、か焼及び任意選択の粉砕の後に形成された生成物を直接使用することができる。別の一態様から見て、本発明は、上で定義した噴霧熱分解プロセスによって、か焼後に得られるセラミック複合酸化物を提供する。
【0082】
しかし、か焼後に形成された粉体を粉砕して、一般には湿式粉砕して、その体積を減少させることも可能である。これは必須ではないが、粉砕は、残存凝集体を一次粒子又は結晶子に分解することによって、より一貫した粒径分布を確保する。ジェットミル粉砕、ボールミル粉砕など、任意の適切なタイプの粉砕法を使用することができる。粉砕は、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン又は他の溶媒の存在下で行うこともできる。イットリア安定化ジルコニアは典型的な粉砕媒体である。粉砕は、圧縮空気又は任意の不活性ガスのジェットによって粒子を衝突させることによって行うこともできる。
【0083】
本発明の方法は、ノズル1個当たり0.5~10kg/h、好ましくは1~5kg/hの速度でセラミック複合酸化物を製造する。
【0084】
用途
本発明のセラミック複合酸化物は、こうした複合材料が適切な材料であることが知られている一連の用途に使用することができる。特に、本発明の複合材料は、燃料電池と電解槽セルの両方を含めた固体酸化物燃料又は電解槽セルに使用することができる。
【0085】
したがって、更なる一実施形態においては、本発明は、固体酸化物セルにおける電極又は電解質、好ましくは電極としての上で定義したセラミック複合酸化物の使用を提供する。
【0086】
本発明は、上で定義したセラミック複合酸化物を含む固体酸化物セルにも関する。好ましくは、固体酸化物セルは、固体酸化物燃料電池又は固体酸化物電解槽セルである。好ましい一実施形態においては、固体酸化物セルは、電極又は電解質、より好ましくは電極としてセラミック複合酸化物を含む。
【0087】
本発明は、上で定義したセラミック複合酸化物を含む高密度ガス分離膜にも関する。好ましい一実施形態においては、膜はセラミック複合酸化物を含む。
【0088】
他の潜在的用途としては、無鉛エレクトロセラミックス、圧電セラミックスなどの電子機器、光触媒を含む触媒、断熱コーティング、ガス分離膜、固体電池及びリチウムイオン電池が挙げられる。
【0089】
以下の非限定的実施例及び図を参照して、本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図2】製造方法の様々な段階における粒子構造の略図
【
図3】30重量%La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3-δ+70重量%Ce
0.9Gd
0.1O
2-δ(CGO-LSCF)のX線回折図
【
図4】50体積%Sr
0.9La
0.1TiO
3-δ+50体積%Ce
0.9Gd
0.1O
2-δ(SLT-CGO)のX線回折図
【
図5】BaZr
0.85Y
0.15O
3-δ+NiO;40重量%NiO(BZY-NiO-1)のX線回折図
【
図6】40重量%BaCe
0.7Zr
0.2Y
0.1O
3-δ+60重量%NiO(BCZY-NiO)のX線回折図
【
図7】40重量%BaCe
0.7Zr
0.2Y
0.1O
3-δ+60重量%NiO(BCZY-NiO)の粒径分布
【
図8】30重量%La
0.6Sr
0.4Co
0.2Fe
0.8O
3-δ+70重量%Ce
0.9Gd
0.1O
2-δ(CGO-LSCF)の面積比抵抗。
【0091】
試料A950とA1050は同時噴霧されたcer-cer複合材料であり、B950とB1050は2種の酸化物を混合して調製した同じ相の複合材料である。LSCF950及びLSCF1050は比較のためのLSCFの単相カソードである。「950」及び「1050」は、試料がそれぞれ950℃及び1050℃で熱処理されたことを意味する。
【実施例】
【0092】
試験方法
X線回折
ステップサイズ0.0275度及び0.5秒の計数時間で、Lynxeye検出器並びにNi及びCuフィルターを備えたBruker D2Phaserを用い、40kV及び40mAで加速したCuKα放射線を用いて、15~70度の粉体X線回折図を得た。
【0093】
粒径分布
固形分に対して2重量%酸化物粉体及び5重量%エチルセルロースを含有するイソプロパノール溶液中に粉体を分散させた。使用した機器は、各波長に対して10,000点を測定する、屈折率2.15/0.4iの赤色レーザー(655nm)と青色レーザー(405nm)の両方を備えたHoriba LA-960Laser Particle Size Analyzerであった。
【0094】
面積比抵抗
円形試料用のProboStat試料ホルダーを備えた管状炉を用いて対称セル上で電気化学的インピーダンス分光法を実施した。Novocontrol製Alpha-A High Performance Frequency Analyzerを使用して、インピーダンス応答を分析した。測定を乾燥空気雰囲気中で行った。印加AC信号の振幅は最初の試料に対して50mVであった。
【0095】
後続の試料では、測定時のノイズのために振幅を700mVに調節した。調査周波数は1MHz~1mHzの範囲であった。
【0096】
92重量%エタノール及び3重量%dolacol中の5重量%粉体の分散液を、アルゴンガス出口に接続したエアブラシを用いて、過剰圧0.5バールで噴霧することによって、対称セルを調製した。セルを950℃又は1050℃で6時間、加熱及び冷却速度200℃/hで焼結した。
【0097】
<実施例1>
30重量%La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3-δ+70重量%Ce0.9Gd0.1O2-δ(CGO-LSCF-1)の調製
La(NO3)3・6H2O(2M)、Co(NO3)2・6H2O(2M)とEDTA、Fe(NO3)2・6H2O(2M)とEDTA、Ce(NO3)3・6H2O(4M)及びGd(NO3)3・6H2O(2M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従ってSr(NO3)2結晶と一緒に混合した。溶液を水冷ランスに100ml/minの速度で供給し、ノズル内で圧縮空気を利用して2バールで霧化した。液滴を炉管内の高温域を通って設定温度1000℃で圧縮気流によって輸送した。炉管内の飛行時間は1秒未満であった。気流をサイクロン内に導き、粉体を分離、回収した。回収した粉体は、前駆体溶液濃度、温度、供給速度、空気圧、空気速度及び有機添加剤に応じた直径1~20μmの中空球(凝集体)及び約100nmの一次粒子からなっていた。粉体を更に650℃で6時間熱処理して相純度を達成し、有機残渣を分解した。中空球を破壊するために、粉体を5mmイットリア安定化ジルコニア及びエタノールを用いた湿式ボールミル粉砕によって24時間粉砕し、続いて乾燥及び篩分けを行った。
【0098】
本発明に係る他のセラミック複合酸化物は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せを使用して、金属イオンのいずれかを可溶化する、この方法によって調製することができる。
【0099】
<実施例2>
50重量%La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3-δ+50重量%Ce0.9Gd0.1O2-δ(CGO-LSCF-2)の調製
La(NO3)3・6H2O(2M)、Co(NO3)2・6H2O(2M)、Fe(NO3)2・6H2O(2M)、Ce(NO3)3・6H2O(4M)及びGd(NO3)3・6H2O(2M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従ってSr(NO3)2結晶と一緒に混合した。溶液を水冷ランスに100ml/minの速度で供給し、ノズル内で圧縮空気を利用して2バールで霧化した。液滴を炉管内の高温域を通って設定温度1000℃で圧縮気流によって輸送した。炉管内の飛行時間は1秒未満であった。気流をサイクロン内に導き、粉体を分離、回収した。回収した粉体は、前駆体溶液濃度、温度、供給速度、空気圧、空気速度及び有機添加剤に応じた直径1~20μmの中空球(凝集体)及び約100nmの一次粒子からなっていた。粉体を更に800℃で6時間熱処理して相純度を達成し、有機残渣を分解した。中空球を破壊するために、粉体を5mmイットリア安定化ジルコニア及びイソプロパノールを用いた湿式ボールミル粉砕によって24時間粉砕し、続いて乾燥及び篩分けを行った。
【0100】
<実施例3>
50体積%Sr0.9La0.1TiO3-δ+50体積%Ce0.9Gd0.1O2-δ(SLT-CGO)の調製
La(NO3)3・6H2O(2M)、Ce(NO3)3・6H2O(4M)及びGd(NO3)3・6H2O(2M)を蒸留水にモル濃度約2~4Mで溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。チタンイソプロポキシドを水及びクエン酸と混合し、煮沸してイソプロポキシドを分解し、透明溶液を形成した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従ってSr(NO3)2結晶と一緒に混合した。溶液を水冷ランスに100ml/minの速度で供給し、ノズル内で圧縮空気を利用して2バールで霧化した。液滴を炉管内の高温域を通って設定温度1000℃で圧縮気流によって輸送した。炉管内の飛行時間は1秒未満であった。気流をサイクロン内に導き、粉体を分離、回収した。回収した粉体は、前駆体溶液濃度、温度、供給速度、空気圧、空気速度及び有機添加剤に応じた直径1~20μmの中空球(凝集体)及び約100nmの一次粒子からなっていた。粉体を更に600℃で6時間熱処理して相純度を達成し、有機残渣を分解した。中空球を破壊するために、粉体を10mmイットリア安定化ジルコニア及びイソプロパノールを用いた湿式ボールミル粉砕によって48時間粉砕し、続いて乾燥及び篩分けを行った。
【0101】
本発明に係る他のセラミック複合酸化物は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せを使用して、金属イオンのいずれかを可溶化する、この方法によって調製することができる。
【0102】
<実施例4>
BaZr0.85Y0.15O3-δ+NiO;40重量%NiO(BZY-NiO-1)の調製
Ba(NO3)2(0.5M)と錯化剤、Y(NO3)3・6H2O(2.5M)及びNi(NO3)2・6H2O(1M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。ZrO(NO3)3・6H2Oを水及びクエン酸と混合し、加熱して透明溶液を形成した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従って混合した。溶液を水冷ランスに160ml/minの速度で供給し、ノズル内で圧縮空気を利用して2バールで霧化した。液滴を炉管内の高温域を通って設定温度1000℃で圧縮気流によって輸送した。炉管内の飛行時間は1秒未満であった。気流をサイクロン内に導き、粉体を分離、回収した。回収した粉体は、前駆体溶液濃度、温度、供給速度、空気圧、空気速度及び有機添加剤に応じた直径1~20μmの中空球(凝集体)及び約100nmの一次粒子からなっていた。粉体を更に950℃で6時間熱処理して相純度を達成し、有機残渣を分解した。中空球を破壊するために、粉体を10mmイットリア安定化ジルコニア及びイソプロパノールを用いた湿式ボールミル粉砕によって48時間粉砕し、続いて乾燥及び篩分けを行った。
【0103】
この実施例では、錯化剤は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せから選択することができる。
【0104】
<実施例5>
40体積%BaZr0.85Y0.15O3-δ+60体積%NiO(BZY-NiO-2)の調製
Ba(NO3)2(0.5M)と錯化剤、Y(NO3)3・6H2O(2.5M)及びNi(NO3)2・6H2O(1M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。ZrO(NO3)3・6H2Oを水及びクエン酸と混合し、加熱して透明溶液を形成した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従って混合した。溶液を水冷ランスに160ml/minの速度で供給し、ノズル内で圧縮空気を利用して2バールで霧化した。液滴を炉管内の高温域を通って設定温度1000℃で圧縮気流によって輸送した。炉管内の飛行時間は1秒未満であった。気流をサイクロン内に導き、粉体を分離、回収した。回収した粉体は、前駆体溶液濃度、温度、供給速度、空気圧、空気速度及び有機添加剤に応じた直径1~20μmの中空球(凝集体)及び約100nmの一次粒子からなっていた。粉体を更に900℃で6時間熱処理して相純度を達成し、有機残渣を分解した。中空球を破壊するために、粉体を10mmイットリア安定化ジルコニア及びイソプロパノールを用いた湿式ボールミル粉砕によって48時間粉砕し、続いて乾燥及び篩分けを行った。
【0105】
この実施例では、錯化剤は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せから選択することができる。
【0106】
<実施例6>
40重量%BaCe0.7Zr0.2Y0.1O3-δ+60重量%NiO(BCZY-NiO)の調製
Ba(NO3)2(0.5M)と錯化剤、Ce(NO3)3・6H2O(4M)、Y(NO3)3・6H2O(2.5M)及びNi(NO3)2・6H2O(1M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。ZrO(NO3)3・6H2Oを水及びクエン酸と混合し、加熱して透明溶液を形成した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従って混合した。溶液を水冷ランスに160ml/minの速度で供給し、ノズル内で圧縮空気を利用して2バールで霧化した。液滴を炉管内の高温域を通って設定温度1000℃で圧縮気流によって輸送した。炉管内の飛行時間は1秒未満であった。気流をサイクロン内に導き、粉体を分離、回収した。回収した粉体は、前駆体溶液濃度、温度、供給速度、空気圧、空気速度及び有機添加剤に応じた直径1~20μmの中空球(凝集体)及び約100nmの一次粒子からなっていた。粉体を更に1100℃で6時間熱処理して相純度を達成し、有機残渣を分解した。中空球を破壊するために、粉体を10mmイットリア安定化ジルコニア及びイソプロパノールを用いた湿式ボールミル粉砕によって48時間粉砕し、続いて乾燥及び篩分けを行った。
【0107】
この実施例では、錯化剤は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せから選択することができる。
【0108】
<実施例7>
50重量%Li6.25Al0.25La3Zr2O12+50重量%LiCoO2(LALZ-LCO)
La(NO3)3・6H2O(1M)、LiNO3(2.5M)、Co(NO3)2・6H2O(1M)、ZrO(NO3)3・6H2O及びAl(NO3)3・9H2O(1M)を蒸留水及び錯化剤に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従って混合した。Li溶液を0~30%Li過剰で添加した。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理してセラミック複合酸化物を製造した。錯化剤は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せから選択することができる。
【0109】
<実施例8>
85重量%La0.67Ca0.33MnO3+15重量%Sm2O3(LCM-SmO)
La(NO3)3・6H2O(0.5M)と錯化剤、Mn(NO3)2・4H2O(2.5M)、Ca(NO3)2・4H2O(0.5M)及びSm(NO3)3・6H2O(1M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従って混合した。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理してセラミック複合酸化物を製造した。錯化剤は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せから選択することができる。
【0110】
<実施例9>
80重量%La0.7Sr0.3MnO3+20重量%ZnO(LSM-ZnO)
La(NO3)3・6H2O(1M)と錯化剤、Mn(NO3)2・4H2O(2.5M)及びZn(NO3)2・6H2O(1M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従ってSr(NO3)2結晶と一緒に混合した。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理してセラミック複合酸化物を製造した。錯化剤は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せから選択することができる。
【0111】
<実施例10>
86重量%0.93Ba0.5Na0.5TiO3-0.07BaTiO3+14重量%ZnO(BNT-BT-ZnO)
Ba(NO3)2(0.25M)と錯化剤、チタンイソプロポキシド、C12H28O4Ti(1M)と錯化剤、クエン酸ビスマス、C6H5BiO7(0.5M)と錯化剤、NaNO3(2M)及びZn(NO3)2・6H2O(0.5M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従って混合した。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理してセラミック複合酸化物を製造した。錯化剤は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せから選択することができる。
【0112】
<実施例11>
50重量%Pr0.4Sr0.6(Co0.2Fe0.8)0.9Mo0.1O3-δ+50重量%Ce0.9Gd0.1O2-δ(PSCFM-CGO)
(NH4)6Mo7O24・4H2O(0.1M)と錯化剤、Co(NO3)2・6H2O(0.5M)と錯化剤、Fe(NO3)2・6H2O(0.5M)と錯化剤、Ce(NO3)3・6H2O(0.5M)と錯化剤、Pr(NO3)3・6H2O(0.5M)と錯化剤及びGd(NO3)3・6H2O(0.5M)を蒸留水に溶解して、カチオン前駆体溶液を調製した。各溶液を熱重量分析して正確な濃度を測定し、溶液を式中の化学量論比に従ってSr(NO3)2結晶と一緒に混合した。前駆体溶液を実施例1に記載したように噴霧熱分解し、生成した未焼結粉体を同様に処理してセラミック複合酸化物を製造した。錯化剤は、本明細書に記述したキレート剤のいずれか、又はこうしたキレート剤の任意の組合せから選択することができる。
【国際調査報告】