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特表2022-523323対象物の相対位置および相対運動を決定するシステムならびに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】対象物の相対位置および相対運動を決定するシステムならびに方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20220415BHJP
   G08G 3/00 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
B66C13/46 D
G08G3/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544543
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 US2020016527
(87)【国際公開番号】W WO2020163288
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/801,305
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/830,228
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519311226
【氏名又は名称】ジェイ. レイ マクダーモット, エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガイモン, デーヴィッド リー
(72)【発明者】
【氏名】マクリーン, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ウェルティ, ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン, マケナ
(72)【発明者】
【氏名】ミデル, マイケル
【テーマコード(参考)】
3F204
5H181
【Fターム(参考)】
3F204AA04
3F204BA02
3F204DB02
3F204DB03
3F204DC06
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181MA41
(57)【要約】
対象物(103、602、604)の間の相対位置および/または相対運動を決定するシステム。開示するシステムは、第1の対象物(602)上の標的追跡デバイス(110、620、622)と、第2の対象物(604)上の光学標的とを含む。標的追跡デバイスは、光学標的を追跡するように構成された、光学標的の画像を撮影するカメラを備える。システムは、陸上クレーン(601)、船舶システム(700)、飛行システム(800)、または海上クレーン(100)を備える。コントローラ(115、615、715、815)は、追跡デバイスからのデータを使用して、クレーン、船舶(701)、またはヘリコプター(801)を制御する。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の対象物上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、
前記1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、前記1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを備える、陸上クレーン上に配設するための標的追跡デバイスと、
前記標的追跡デバイスからデータを受信し、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して前記陸上クレーンを制御するように構成された、コントローラとを備える、陸上クレーンシステム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対距離を計算するように構成され、前記データが、前記カメラによって撮影された前記1つまたは複数の画像内における前記1つまたは複数の光学標的の位置を含む、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項3】
前記相対距離が、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対垂直距離と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第1の相対水平距離と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第2の水平相対距離とを含む、請求項2に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項4】
前記データが、前記1つまたは複数の光学標的それぞれに関する、
垂直位置、第1の水平位置、第2の水平位置、相対垂直位置、第1の相対水平位置、第2の相対水平位置、前記標的追跡デバイスと前記1つまたは複数の光学標的の1つとの間の距離、または軸線と前記標的追跡デバイスから前記1つまたは複数の光学標的の1つまでの見通し線との間で測定した相対角度のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項5】
前記コントローラまたは前記標的追跡デバイスの1つもしくは複数と通信するRFID読取り機と、前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つの上のRFIDタグとを更に備える、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記陸上クレーンのフックを前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つにガイドするように構成され、前記陸上クレーンシステムが、前記陸上クレーン上に配設するための1つまたは複数の基準標的を備える、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項7】
前記標的追跡デバイスが、第1の角度位置と第2の角度位置との間をスキャンして、前記1つまたは複数の光学標的を前記標的追跡デバイスの前記カメラの視野内に位置決めするように構成され、前記1つまたは複数の光学標的のうちの1つもしくは複数が前記視野外にある場合、前記陸上クレーンシステムがメッセージを出力するように構成された、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数の対象物が、第1の対象物と第2の対象物とを含み、前記1つまたは複数の光学標的が、前記第1の対象物上の第1の光学標的と前記第2の対象物上の第2の光学標的とを含み、前記第1の光学標的が第1のタグパターンを備え、前記第2の光学標的が前記第1のタグパターンとは異なる第2のタグパターンを備える、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項9】
対象物上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、
前記1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、前記1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを備える、船舶上に配設するための標的追跡デバイスと、
前記標的追跡デバイスからデータを受信し、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記標的追跡デバイスと前記1つまたは複数の光学標的との間の相対運動を計算し、前記相対運動を使用して前記船舶を制御するように構成された、コントローラとを備える、船舶システム。
【請求項10】
前記データが、前記カメラによって撮影された前記1つまたは複数の画像内における前記1つまたは複数の光学標的の位置を含む、請求項9に記載の船舶システム。
【請求項11】
前記対象物が、第2の船舶、海上プラットフォーム、またはドックであり、前記船舶システムが、前記船舶上に配設するための1つまたは複数の基準標的を備える、請求項9に記載の船舶システム。
【請求項12】
前記コントローラまたは前記標的追跡デバイスの1つもしくは複数と通信するRFID読取り機と、前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つの上のRFIDタグとを更に備える、請求項9に記載の船舶システム。
【請求項13】
前記相対運動が、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対垂直運動と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第1の相対水平運動と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第2の水平相対運動とを含む、請求項9に記載の船舶システム。
【請求項14】
前記標的追跡デバイスが、第1の角度位置と第2の角度位置との間をスキャンして、前記1つまたは複数の光学標的を前記標的追跡デバイスの前記カメラの視野内に位置決めするように構成され、前記1つまたは複数の光学標的のうちの1つもしくは複数が前記視野外にある場合、前記船舶システムがメッセージを出力するように構成された、請求項9に記載の船舶システム。
【請求項15】
前記1つまたは複数の光学標的が、前記対象物上の第1の光学標的と前記対象物上の第2の光学標的とを含み、前記第1の光学標的が第1のタグパターンを備え、前記第2の光学標的が前記第1のタグパターンとは異なる第2のタグパターンを備える、請求項9に記載の船舶システム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記船舶を前記1つまたは複数の光学標的に向かってガイドするように構成された、請求項9に記載の船舶システム。
【請求項17】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記1つまたは複数の光学標的からのオフセット距離およびオフセット角度で前記船舶を維持するように構成された、請求項9に記載の船舶システム。
【請求項18】
対象物上に配設するための光学標的と、
前記光学標的を追跡するように構成され、前記1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを備える、ヘリコプター上に配設するための標的追跡デバイスと、
前記標的追跡デバイスからデータを受信し、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記標的追跡デバイスと前記光学標的との間の相対運動を計算し、前記相対運動を使用して前記ヘリコプターを制御するように構成された、コントローラとを備える、飛行システム。
【請求項19】
前記対象物が船舶である、請求項18に記載の飛行システム。
【請求項20】
前記ヘリコプターが、ウィンチとホイストフックとを更に備える、請求項18に記載の飛行システム。
【請求項21】
前記データが、前記カメラによって撮影された前記1つまたは複数の画像内における前記1つまたは複数の光学標的の位置を含む、請求項18に記載の飛行システム。
【請求項22】
前記コントローラまたは前記標的追跡デバイスの1つもしくは複数と通信するRFID読取り機と、前記光学標的上のRFIDタグとを更に備える、請求項18に記載の飛行システム。
【請求項23】
前記相対運動が、
前記光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対垂直運動と、
前記光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第1の相対水平運動と、
前記光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第2の水平相対運動とを含む、請求項18に記載の飛行システム。
【請求項24】
前記標的追跡デバイスが、第1の角度位置と第2の角度位置との間をスキャンして、前記光学標的を前記標的追跡デバイスの前記カメラの視野内に位置決めするように構成され、前記1つまたは複数の光学標的のうちの1つもしくは複数が前記視野外にある場合、前記飛行システムがメッセージを出力するように構成された、請求項18に記載の飛行システム。
【請求項25】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記ヘリコプターを前記光学標的に向かってガイドするように構成された、請求項18に記載の飛行システム。
【請求項26】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記ヘリコプターを前記光学標的からのオフセット距離で維持するように構成され、前記船舶システムが、前記船舶上に配設するための1つまたは複数の基準標的を備える、請求項19に記載の飛行システム。
【請求項27】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記ホイストフックを前記光学標的に向かってガイドするように構成された、請求項20に記載の飛行システム。
【請求項28】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記ホイストフックを前記光学標的からのオフセット距離で維持するように構成された、請求項20に記載の飛行システム。
【請求項29】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記ウィンチをペイインまたはペイアウトするように構成された、請求項20に記載の飛行システム。
【請求項30】
前記対象物上に配設するための第2の光学標的を更に備え、前記光学標的が第1のタグパターンを備え、前記第2の光学標的が前記第1のタグパターンとは異なる第2のタグパターンを備える、請求項18に記載の飛行システム。
【請求項31】
第1の船舶上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、
前記1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、前記1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを備える、第2の船舶上に配設されたクレーン上に配設するための標的追跡デバイスと、
前記標的追跡デバイスからデータを受信し、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記クレーンを制御するように構成された、コントローラとを備える、海上クレーンシステム。
【請求項32】
前記コントローラが、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対運動を計算するように構成され、前記データが、前記カメラによって撮影された前記1つまたは複数の画像内における前記1つまたは複数の光学標的の位置を含む、請求項31に記載の海上クレーンシステム。
【請求項33】
前記相対運動が、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対垂直運動と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第1の相対水平運動と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第2の水平相対運動とを含む、請求項32に記載の海上クレーンシステム。
【請求項34】
前記データが、前記1つまたは複数の光学標的それぞれに関する、
垂直位置、第1の水平位置、第2の水平位置、相対垂直位置、第1の相対水平位置、第2の相対水平位置、前記標的追跡デバイスと前記1つまたは複数の光学標的の1つとの間の距離、または軸線と前記標的追跡デバイスから前記1つまたは複数の光学標的の1つまでの見通し線との間で測定した相対角度のうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の海上クレーンシステム。
【請求項35】
前記コントローラまたは前記標的追跡デバイスの1つもしくは複数と通信するRFID読取り機と、前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つの上のRFIDタグとを更に備える、請求項31に記載の海上クレーンシステム。
【請求項36】
前記コントローラが、前記クレーンのフックを前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つにガイドするように構成され、前記陸上クレーンシステムが、前記第2の船舶上に配設するための1つまたは複数の基準標的を備える、請求項31に記載の海上クレーンシステム。
【請求項37】
前記標的追跡デバイスが、第1の角度位置と第2の角度位置との間をスキャンして、前記1つまたは複数の光学標的を前記標的追跡デバイスの前記カメラの視野内に位置決めするように構成され、前記1つまたは複数の光学標的のうちの1つもしくは複数が前記視野外にある場合、前記海上クレーンシステムがメッセージを出力するように構成された、請求項31に記載の海上クレーンシステム。
【請求項38】
前記1つまたは複数の光学標的が、前記第1の船舶上の第1の光学標的と前記第2の船舶上の第2の光学標的とを含み、前記第1の光学標的が第1のタグパターンを備え、前記第2の光学標的が前記第1のタグパターンとは異なる第2のタグパターンを備える、請求項31に記載の海上クレーンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月5日付けの米国仮特許出願第62/830,228号、および2019年2月5日付けの米国仮特許出願第62/801,305号の利益を主張し、それらそれぞれを参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示の態様は、全体として、対象物および/または物体の間の相対位置ならびに相対運動を決定する、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの産業活動には、対象物の変動する位置および移動が関与する。かかる活動には、海上輸送、海上石油およびガス活動、積荷移載、ならびに飛行活動が関与する場合がある。例えば、2つの浮遊船舶が存在する場合があり、それらの相対位置および運動は、海洋による上下揺れ、前後揺れ、左右揺れ、縦揺れ、横揺れ、および船首揺れなどの変化する海の条件によって変動する。変動する相対位置および運動によって、2つの浮遊船舶が流されて互いに近付いたり離れたりする場合がある。他の構造体、船舶、または浮体に近接して作業する船舶の場合、船舶と対象物との間の相対オフセットまたは空間が慎重に制御され、安定して維持されることが関心事であり得る。例えば、船舶がクレーンを使用して対象物を別の浮体に載せるには、2つの物体を互いに結合させるか、またはそれぞれ安定した位置を維持する必要がある。一般的には、大型の浮揚施設は適所でチェーンまたはロープに係留され、浮揚施設に近付いてくる船舶は、気象条件によって移動することがある係留された施設から固定のオフセットで維持される。
【0004】
対象物の相対位置および/または移動は、決定するのが困難でありコストがかかる場合がある。例えば、対象物の相対位置または移動を手動で決定する試みは、誤差、相当の時間、および言葉の壁を招いてきた。また、対象物の相対位置または移動を決定する試みには、物体に対する1つまたは2つの自由度しか考慮されないという制限があった。かかる制限は、より多くの基準が必要になり、不具合の機会が増加することにつながる。
【0005】
したがって、対象物間の相対位置および運動を適時にコスト効率が良い方式で決定する、正確なシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実現例は、全体として、対象物および/または物体の間の相対位置ならびに相対運動を決定する、システムおよび方法に関する。
【0007】
一実現例では、陸上クレーンシステムは、1つまたは複数の対象物上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、陸上クレーン上に配設するための標的追跡デバイスとを含む。標的追跡デバイスは、1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、標的追跡デバイスは、1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを含む。陸上クレーンシステムは、標的追跡デバイスからデータを受信し、標的追跡デバイスから受信したデータを使用して陸上クレーンを制御するように構成された、コントローラを含む。
【0008】
一実現例では、船舶システムは、対象物上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、船舶上に配設するための標的追跡デバイスとを含む。標的追跡デバイスは、1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、標的追跡デバイスは、1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを含む。船舶システムは、標的追跡デバイスからデータを受信し、標的追跡デバイスから受信したデータを使用して、標的追跡デバイスと1つまたは複数の光学標的との間の相対運動を計算し、相対運動を使用して船舶を制御するように構成された、コントローラを含む。
【0009】
一実現例では、飛行システムは、対象物上に配設するための光学標的と、ヘリコプター上に配設するための標的追跡デバイスとを含む。標的追跡デバイスは、光学標的を追跡するように構成され、標的追跡デバイスは、1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを含む。飛行システムは、標的追跡デバイスからデータを受信し、標的追跡デバイスから受信したデータを使用して、標的追跡デバイスと光学標的との間の相対運動を計算し、相対運動を使用してヘリコプターを制御するように構成された、コントローラを含む。
【0010】
一実現例では、海上クレーンシステムは、第1の船舶上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、第2の船舶上に配設されたクレーン上に配設するための標的追跡デバイスとを含む。標的追跡デバイスは、1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、標的追跡デバイスは、1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを含む。海上クレーンシステムは、標的追跡デバイスからデータを受信し、標的追跡デバイスから受信したデータを使用してクレーンを制御するように構成された、コントローラを含む。
【0011】
本開示の上記に列挙した特徴を詳細に理解することができるような形で、上記に概説した本開示が、実現例を参照して更に詳細に説明されることがあり、その一部が添付図面に例証される。しかしながら、添付図面は本開示の一般的な実現例を例証しているにすぎず、したがって、本開示は他の等しく有効な実現例を許容することができるので、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことに注目すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本開示の一実現例による、海上クレーンシステムを示す部分概略図である。
図1B図1Aの部分拡大図である。
図1C図1Aの部分拡大図である。
図2A】本開示の一実現例による、標的追跡デバイスを示す部分概略図である。
図2B】本開示の一実現例による、光学標的を示す部分概略図である。
図2C】本開示の一実現例による、光学標的および第2の光学標的の図1Aに示される標的追跡デバイスによって撮影された画像を示す部分概略図である。
図2D】本開示の一実現例による、図2Cに示される光学標的および第2の光学標的の図1Aに示される標的追跡デバイスによって撮影された画像を示す部分概略図である。
図3A】本開示の一実現例による、ヘッドアップディスプレイ(HUD)上に示されるデータを示す部分概略図である。
図3B】本開示の一実現例による、ヘッドアップディスプレイ(HUD)上に示されるデータを示す部分概略図である。
図4A】本開示の実現例による、表示情報を示す部分概略図である。
図4B】本開示の実現例による、表示情報を示す部分概略図である。
図5】クレーンが載せられた船舶を示す部分概略上面図である。
図6A】本開示の一実現例による、陸上クレーンシステムを示す部分概略図である。
図6B】本開示の一実現例による、図6Aに示される陸上クレーンシステムを示す部分概略上面図である。
図7A】本開示の一実現例による、第1の位置にある船舶システムを示す部分概略図である。
図7B】本開示の一実現例による、第2の位置にある船舶システムを示す部分概略図である。
図7C】本開示の一実現例による、船舶システムを示す部分概略図である。
図8A】本開示の一実現例による、飛行システムを示す部分概略図である。
図8B】本開示の一実現例による、図8Aに示される飛行システムを示す部分概略図である。
図9】本開示の一実現例による、飛行システムを示す部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするため、可能な場合、図面に共通である同一の要素を指定するのに、同一の参照番号を使用している。ある実現例に開示される要素は、具体的に言及することなく、他の実現例で有益に利用されてもよいことが想到される。
【0014】
本開示は、対象物および/または物体の間の相対位置ならびに相対運動を決定する、システムおよび方法に関する。
【0015】
本開示の態様は、対象物の相対位置を決定するシステムおよび方法を含む。開示するシステムは、第1の場所で第1の対象物上またはその付近に搭載された標的追跡デバイスと、第2の対象物上またはその付近の第2の場所に配置された標的とを含む。標的追跡デバイスおよび標的は、2つの場所間の相対運動のリアルタイム決定を容易にする。このシステムを使用する方法も開示される。
【0016】
図1Aは、本開示の一実現例による、海上クレーンシステム198を概略的かつ部分的に示している。図1Bおよび図1Cは、図1Aの部分拡大図である。図示されるように、クレーン100は、水域116に配置された第1の船舶102の甲板101上に位置決めされる。クレーン100は、第1の船舶102に隣接して配置された第2の船舶104上に対象物103を位置決めするか、またはそこから対象物103を除去するように構成される。対象物103は、あるいは、本明細書では貨物と呼ばれる。クレーン100は、少なくとも、運転室105と、ブーム106と、ジブ107と、ホイストライン108と、フック109とを含む。クレーン100は、クレーン100の回転移動を容易にするため、または第1の船舶102の甲板101との結合を容易にするため、架台上に搭載されてもよい。任意のキャリッジ120が、ブーム106およびジブ107に沿って進んで、ホイストライン108およびそれに結合されたフック109を横方向に移動させる。
【0017】
第1の船舶102(およびしたがって、クレーン100)と第2の船舶104との間の相対運動を考慮することによって、対象物103の移載を容易にするため、標的追跡デバイス110が利用される。標的追跡デバイス110は、対象物103などの対象物上にまたはそれに隣接して位置決めされることがある、光学標的111の位置を正確に測定する機器である。標的追跡デバイス110は、クレーン100の運転室105上に、または運転室105に隣接して搭載される。甲板101上など、運転室105以外の搭載場所が使用されてもよい。標的追跡デバイス110は、第1の船舶102またはその付近の任意の場所に配設されてもよい。光学標的111は、対象物103の付近(または対象物103が位置決めされるべき場所の付近)で第2の船舶104上に搭載される。このように、標的追跡デバイス110が光学標的111を追跡する際に、標的追跡デバイス110(またそれに対応して、クレーン100および第1の船舶102)に対する第2の船舶104の追跡が行われる。一例では、標的追跡デバイス110はレーザーを含む。一例では、標的追跡デバイス110はカメラを含む。1つまたは複数の基準標的119は、標的追跡デバイス110が、第1の船舶102の向きおよび/またはクレーン100の向きに対する標的追跡デバイス110の位置を決定するため、第1の船舶102上に、例えばクレーン100上に配設されてもよい。基準標的119は、光学標的111に類似しており、それと同じ特徴、向き、構成要素、および/または性質の1つもしくは複数を含んでもよい。標的追跡デバイス110は、光学標的111を追跡する前に標的追跡デバイス110の位置を決定するため、基準標的119をスキャンしてその相対位置を検出し決定してもよい。基準標的119は、光学標的111に対して分かっている相対位置および/または分かっている距離に配設されてもよい。
【0018】
本開示は、標的追跡デバイス110および基準標的119が第2の船舶104上に配設され、光学標的111が第1の船舶102上に配設されるように、標的追跡デバイス110および光学標的111の位置が置き換えられてもよいことを想到する。かかる例では、光学標的111は、標的追跡デバイス110が第2の船舶104に対するクレーン100の相対運動を追跡することができるように、クレーン100の先端付近または先端上など、クレーン100上に配置されてもよい。
【0019】
標的追跡デバイス110は、クレーン100と、第3の船舶上の第2のクレーンおよび/または他の船舶上の追加のクレーンとの間で追跡を切り替えるように構成されてもよい。標的追跡デバイス110はまた、クレーン100と、第3の船舶上の第2のクレーンおよび/または他の船舶上の追加のクレーンとを同時に追跡するように構成されてもよい。一例では、クレーン100は第1のクレーンであり、海上クレーンシステム198は、第1の船舶102上に配設された第2のクレーンおよび第3のクレーンを含む。標的追跡デバイス110は、単一のカメラを含み、第1のクレーン100、第2のクレーン、および第3のクレーンの運転室からオフセットされた場所で、第1の船舶102上に搭載される。標的追跡デバイス110の単一のカメラは、第1のクレーン100、第2のクレーン、および第3のクレーンの間で追跡を切り替えるように構成されてもよい。標的追跡デバイス110の単一のカメラはまた、第1のクレーン100、第2のクレーン、および第3のクレーンを同時に追跡するように構成されてもよい。一例では、光学標的111は、鏡面が表面に形成された玉軸受を模倣した、球面マウント再帰反射器(spherically mounted retroreflector)(SMR)である。別の例では、光学標的111は、標的追跡デバイス110によって認識可能な正方形が交互に配置された光学グリッドである。標的追跡デバイス110によって区別可能な三角形または円などの他の形状が、光学グリッドに利用されてもよいことが注目されるべきである。更に、光学標的111はまた、標的追跡デバイス110によって認識可能な異なるタイプのマーカーであってもよい。
【0020】
標的追跡デバイス110は、例えば、光学標的111の撮影された1つまたは複数の画像を介して、標的追跡デバイス110と光学標的111との間の距離Lの決定を容易にするように構成される。それに加えて、標的追跡デバイス110は、また同時に、運転室105の垂直軸Zまたは他の基準軸に対する見通し線(例えば、標的追跡デバイス110と光学標的111との間の直線196)の角度Aの決定を容易にしてもよい。三次元軸系を含む、追加の軸および/または他の座標系が利用されてもよいことが想到される。
【0021】
一例では、標的追跡デバイス110内のサーボモータは、標的追跡デバイス110を光学標的111に向かって、それらの間の相対移動に応答して連続的に配向する。光学標的111の上にある対象物103の高さおよびそれらの間の距離を計算するのに、三角関数計算が実施される。標的追跡デバイス110と光学標的111との間の距離、対象物103と光学標的111との間の距離、および運転室105の軸線Zなどの軸線に対する、光学標的111までの標的追跡デバイス110の見通し線196の角度Aの決定は、第1の船舶102と第2の船舶104との間の相対運動を決定するのに使用される。
【0022】
一例では、標的追跡デバイス110は、光学標的111として使用される光学グリッドの形状間の距離を決定するのを容易にする。形状は標的追跡デバイス110によって区別可能である。形状の間の距離、またはそれらのサイズは、光学標的111と標的追跡デバイス110との間の距離を決定するのを容易にするため、標的追跡デバイス110によって使用される。例えば、形状の間の距離は分かっていてもよい。標的追跡デバイス110は、形状間の距離を測定すること、および測定された形状間の距離を形状間の分かっている距離に関連付けて、標的追跡デバイス110からの光学標的111の距離を決定することを容易にするように構成される。
【0023】
標的追跡デバイス110はまた、光学標的111の回転運動の決定を容易にしてもよい。一例では、標的追跡デバイス110は、光学標的111の光学グリッドを形成するのに使用される対象物間の距離の決定、および/または分かっている相対回転の光学グリッドの画像に対する前記光学グリッドの画像の画像照合を容易にすることによって、光学標的111の相対回転の決定を容易にする。光学標的111の決定された回転運動は、対象物103または船舶の甲板上の着地エリアなど、そこからオフセットされた対象物の回転を決定するのに使用することができる。
【0024】
計算の実施を含むデータの処理は、コントローラ115または他のコンピューティングデバイスによって実施される。一例では、コントローラ115は、運転室105内に配置され、情報をオペレータに対してディスプレイ上に表示する。コントローラ115は、第1の船舶102の場所、第1の船舶102の甲板101、第1の船舶102のブリッジ、または第1の船舶102のヘリパッド上もしくはその下など、海上クレーンシステム198の他の場所に配置されてもよい。コントローラ115は標的追跡デバイス110に隣接して配設される。コントローラ115は、中央処理装置(CPU)、補助回路類、および関連付けられた制御ソフトウェアを収容したメモリを含むことができる。コントローラ115は、産業設備で使用することができる、汎用コンピュータプロセッサの任意の形態のものであってもよい。CPUは、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、ハードディスク、またはローカルもしくは遠隔の他の任意の形態のデジタル記憶装置など、任意の好適なメモリを使用してもよい。海上クレーンシステム198を支援するのに、様々な補助回路がCPUに結合されてもよい。コントローラ115は、個々のチャンバ構成要素に隣接して配置される、別のコントローラに結合されてもよい。コントローラ115と海上クレーンシステム198の他の様々な構成要素との間の双方向通信は、信号バスと総称される多数の信号ケーブルを通して扱われる。ディスプレイは、任意に、オペレータがディスプレイ、コントローラ115、および標的追跡デバイスと相互作用するのを可能にする、タッチスクリーンパネルであってもよい。一例では、ディスプレイはヘッドアップディスプレイ(HUD)であってもよい。
【0025】
本開示は、海上クレーンシステム198の態様が、クレーン100の位置決めおよび移動を制御する態様など、クレーン100の制御システムの態様の一部であるか、それに連動するか、またはそれと直接通信してもよいことを想到する。一例として、コントローラ115は、決定された相対運動に基づいて、クレーン100を指定位置に指定速度で移動させるようにクレーン100に指令する指令を送ってもよい。そのため、海上クレーンシステム198は、クレーン100の位置決めおよび移動を自動的に制御することができ、オペレータは、ジョイスティックの手動操作などの手動運転を使用して、自動位置決めを中断することができる。
【0026】
標的追跡デバイス110および光学標的111は、第1の船舶102と第2の船舶104との間の相対速度(例えば、ある期間にわたる測定された相対位置の変化)を決定することを可能にする。ある期間にわたる相対位置の変化を測定することによって、第1の船舶102と第2の船舶104との間の相対加速を決定することも可能になる。相対速度および/または相対加速の決定によって、第1の船舶102と第2の船舶104との間の運動が、その所与の貨物およびサイズなど、特定の吊上げに対応する指定の動作範囲内にあるか否かを評価することが可能になる。それに加えて、第1の船舶102と第2の船舶104との間の相対速度、相対加速、および/または相対運動を使用して、相対運動に基づいた、クレーンのディレーティング係数およびその吊上げ荷重を決定することができる。相対速度および/または相対加速の決定によって、ディレーティング係数、吊上げ荷重、および/または好天期など、吊上げ作業および陸揚げ作業の作業パラメータを正確かつ迅速に決定することが容易になる。相対速度および/または相対加速の決定によって、クレーン100、第1の船舶102、および/または第2の船舶104を操作して吊上げ作業または陸揚げ作業を遂行する前に、作業パラメータを決定することが容易になる。作業パラメータは、吊上げ作業または陸揚げ作業を遂行するのに、第1の船舶102、クレーン100、および/または第2の船舶104を定位置に配置する前に決定されてもよい。一例では、作業パラメータは、第2の船舶104が、クレーン100が吊上げ作業または陸揚げ作業を遂行するにはまだ遠すぎる距離にあるときに決定される。相対速度および/または相対加速の決定によって、波高および/または天気予報に依存して作業パラメータを評価もしくは予測するのに比べて、作業パラメータを正確かつ迅速に決定することが容易になる。
【0027】
従来、上下揺れ補償装置(heave compensator)および関連システムは、ホイストライン108をリーブする際にホイストまたはシリンダに対して作用する。図1Cを参照すると、クレーン100は、代表してブーム106に結合された、例示のアクティブな上下揺れ補償装置112を含む。ブーム106は、それと統合されたアクティブな上下揺れ補償装置112を含んでもよいこと、またはブームは、図示されるように、アクティブな上下揺れ補償装置112によって改良されてもよいことが想到される。アクティブな上下揺れ補償装置112はまた、アクティブな上下揺れ補償装置112がホイストライン108と接触している限り、クレーン架台内または更には第1の船舶102内など、任意の場所に設置されてもよい。アクティブな上下揺れ補償装置112は、吊上げ作業中のアクティブな上下揺れ補償を容易にするため、1つまたは複数のモータ、油圧ポンプ、アキュムレータ、および/またはガス系統を含む。アクティブな上下揺れ補償装置112はコントローラ115から信号を受信する。コントローラ115は、標的追跡デバイス110によって決定および/または提供されたデータ、あるいはコントローラ115によって受信または計算されたデータに応答して、吊上げ作業中の対象物103と第2の船舶104との間の相対移動を低減するため、調節動作を実施するようにアクティブな上下揺れ補償装置112に指令する。アクティブな上下揺れ補償装置112によって実施される動作によって、特に光学標的111の場所において、対象物103と第2の船舶104の甲板との間の実質的に同期の移動がもたらされ、それによって貨物の衝撃が低減または排除され、作業を実施するために利用可能な作業ウィンドウが増大する。例えば、従来、吊り上げられる貨物サイズは、第1の船舶102と第2の船舶104との間の相対運動の原因となる、水域116の波高によって限定される。しかしながら、本明細書の方法およびシステムは、従来技術と比較して、より高い波高での貨物の吊上げ(即ち、2つの船舶間の相対運動の増大)を可能にすることによって、作業ウィンドウの増大を可能にする。アクティブな上下揺れ補償は、コントローラ115から受信される信号に応答して、クレーン100のホイストライン108に結合されたホイスト(即ち、ウィンチ)の上下揺れ補償動作によって遂行されてもよいことが想到される。
【0028】
標的追跡デバイス110は、アクティブな上下揺れ補償を適用することなく、第1の船舶102と第2の船舶104との間の相対運動の決定を容易にしてもよい。例えば、標的追跡デバイス110は、船舶間の相対運動の決定を容易にして、オペレータが、決定された相対運動に関連してクレーン100の吊上げ荷重のディレーティング係数を決定するのを支援することができる。ディレーティング係数は、制御システムによって自動的に決定されてもよく、または相対速度、相対加速、および/または相対運動に基づいて、ディレーティングチャートを使用して、オペレータによって決定されてもよい。それに加えて、クレーン100および第1の船舶102は固定の海上構造体上に配置されるものとして示されているが、あるいは、クレーン100が陸上または固定の海上構造体上に配置されてもよいことが想到される。かかる例では、クレーン100は、トラックもしくは岸壁などの移動プラットフォーム上に搭載されてもよく、または定位置で固定されてもよい。クレーン100はまた、ジャッキアップクレーン船、ジャッキアップ海上プラットフォーム、または浮揚海上プラットフォームに搭載されてもよい。
【0029】
本開示の実現例に従って、光学標的111以外の標的が利用されてもよいことが想到される。光学標的111は、他の反射性材料を含んでもよく、またはサイズ、量、および形状が変動してもよい。
【0030】
1つを超える光学標的111が利用されてもよいことが想到される。一例では、レーザーまたは光学グリッドなどの第2の光学標的を、標的追跡デバイス110によって識別可能な、波長またはグリッドパターンなどの署名とともに、追加のソースから出力することができる。かかる構成は、光学標的111が、吊り下げられた貨物の下(例えば、陸揚げもしくはリフトオフ中の対象物103の直下)のエリアなど、危険な環境に配置されることになるときに有用であり得る。第2の船舶104の甲板など、作業甲板上にいる人員は、レーザーポインタなどの光学標的ソースを使用して、標的追跡デバイス110を第2の光学標的上に方向付けることができる(例えば、オペレータは、標的追跡デバイス110によって認識されるべき標的を「ペイント」することができる)。標的追跡デバイス110が第2の光学標的を認識すると、第2の光学標的の位置が、標的追跡デバイス110による後の追跡のため、また運転室105のディスプレイで見るために登録される。第2の光学標的はまた、標的追跡デバイス110によって認識可能な、システムに入力された一連の座標点であってもよい。
【0031】
標的が登録されると、標的は、海上クレーンシステム198のメモリ(コントローラ115のメモリなど)によって格納することができ、したがって、オペレータのレーザーポインタで継続して照明する必要はない。例えば、標的は、コントローラによって画像照合される画像として格納されてもよい。このように、標的は、当座のリフトオフまたは陸揚げ作業以降の作業のために格納することができる。その際、格納された対象物(HUDなど、クレーンオペレータのディスプレイ上で見られる)は、クレーンオペレータがフック109またはそこから吊り下げられた対象物103をそこまで操縦することができる、視覚的ランドマークを提供してもよい。このように、フック109を、通常は操縦不能な、または少なくともフック109と周囲の物品とが意図せず衝突する可能性なしに操縦不能である、位置へと案内することができる。フック109は、手動、半手動(即ち、コンピュータ支援)、または自動で所望の位置に案内されてもよい。
【0032】
かかる機能性は、海上作業、ならびにクレーン100、第1の船舶102、第2の船舶104、および/または対象物103の1つもしくは複数が固定されているかまたは移動する、および/または陸上もしくは海上にある作業の両方に、有益であり適用可能であることが想到される。方法およびシステムは、本明細書では海上作業の文脈で記載されるが、陸上作業も想到され記載される。それに加えて、クレーン以外の、またはクレーンに追加される機器に関する作業も想到され記載される。
【0033】
図2Aは、本開示の一実現例による、標的追跡デバイス110の部分概略図を示している。標的追跡デバイス110は、光学標的111が映像追跡および/または画像追跡を使用して光学標的を追跡するなど、光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成された、四軸カメラを含む。四軸カメラは4つの移動軸を含む。一軸もしくは二軸カメラなど、従来のカメラを上回る追加の移動軸によって、カメラが搭載される対象物、例えばヘリコプターまたは海上船舶の移動を補償することが容易になる。本明細書で利用されてもよい例示のカメラは、米国フロリダ州ブレーデントン(USA, Bradenton, FL)のトラッカシステムズ(Trakka Systems)から入手可能なSWE-300LEである。一例では、カメラは高解像度カメラである。一例では、カメラは1280ピクセル×920ピクセルの解像度を含む。他のカメラおよび他の標的追跡デバイスが利用されてもよい。本開示は、四軸カメラが海上システムおよび飛行システム上で使用されてもよく、二軸カメラまたは一軸カメラなどの異なるカメラが、後述する陸上クレーンシステム600などの陸上システムに使用されてもよいことを想到する。
【0034】
標的追跡デバイス110は、基部220と、回転マウント221と、光学ユニット222とを含む。基部220は、クレーン100の運転室105の外表面などの表面に搭載されるように構成される。基部220は、甲板101上など、運転室105以外の場所に搭載されてもよい。回転マウント221は、基部220上に搭載され、垂直軸Zを中心にして回転する。光学ユニット222は、回転マウント221内に位置決めされ、その中で軸Xを中心にして回転する。一例では、標的追跡デバイス110は慣性補償ジンバルを含む。一例では、標的追跡デバイス110は四軸ジャイロ安定化ジンバルを含む。光学ユニット222は、レーザー223を光学標的111に向かって投射する、レーザー発生源を中に含んでもよい。本開示は、レーザー発生源およびレーザー223が省略されてもよいことを想到する。かかる例では、相対的な距離、位置、および/または配向は、カメラを使用して、カメラ画像の多数のピクセルを、エイプリルタグなどの標的上の分かっている寸法に対して等置することによって決定されてもよい。光学ユニット222は、カメラレンズを有するカメラを含む。標的追跡デバイス110は、標的追跡デバイス110の見通し線196および/またはレーザー223を光学標的111に、それらの間の移動に応答して継続的に方向付けるように、回転マウント221および光学ユニット222の相対位置を調節する。レーザー223は、標的追跡デバイス110と光学標的111との間の距離の決定を容易にするため、球面マウント再帰反射器(SMR)などの光学標的111から反射され、光学ユニット222によって受信されてもよい。光学ユニット222はまた、見通し線196および/またはレーザー223と垂直軸Z(もしくは別の軸)との間の相対角度を決定するのを容易にするため、加速度計、運動基準ユニット(MRU)、慣性測定ユニット(IMU)、および/またはエンコーダなど、1つまたは複数の機器を中に収容してもよい。光学標的111に対する相対的な角度および距離などの情報が、コントローラ115などのコントローラに提供されて、アクティブな上下揺れ補償、1つもしくは複数の対象物の相対移動、または他の動作の計算が実施される。
【0035】
他の実施形態と組み合わせることができる、一実施形態では、標的追跡デバイス110は、レーザーに加えてまたはその代わりにカメラを含む。対象物の相対運動を提供することに加えて、カメラは、カメラが見た相対運動の動画像および/または写真画像を提供する。一例では、標的追跡デバイス110の光学ユニット222は、光学標的111を認識するように構成された、カメラシステムなどの光学ビュワーと置き換えられてもよい。標的追跡デバイス110は、レーザー追跡およびカメラシステムの組合せを使用してもよい。
【0036】
一例では、標的追跡デバイス110は視野が規定された光学ビュワーを有する。光学標的111は標的追跡デバイス110の視野内に維持される。標的追跡デバイス110の視野内における光学標的111の相対位置、およびある期間にわたる光学標的111の相対位置の変化が、標的追跡デバイス110によって使用されて、第1の船舶102と第2の船舶104との間の相対運動、および/または標的追跡デバイス110からの光学標的111の距離を決定することが容易になる。一例では、光学ビュワーを有する2つの標的追跡デバイス110が使用される。各標的追跡デバイス110は光学標的111に向かって方向付けられる。標的追跡デバイス110の船上コントローラ、および/またはコントローラ115などのコントローラは、各標的追跡デバイス110からの検出画像を比較して、標的追跡デバイスからの光学標的111の距離、および/または光学標的111の相対運動を決定する。
【0037】
少なくとも2つの軸を中心にした回転などによって、移動できることにより、標的追跡デバイス110は、品質追跡測定値および画像を正確に描写することができ、単一の標的追跡デバイス110を使用してそれを行うことができる。標的追跡デバイスはまた、標的追跡デバイスが配設された、クレーン100の運転室105など、対象物の移動および振動を考慮することができる。
【0038】
図2Bは、本開示の一実現例による、光学標的111の部分概略図である。光学標的111は、上述したまたは後述する態様、特徴、および/または構成要素の1つもしくは複数を含んでもよい。光学標的111は、標的追跡デバイス110が1つまたは複数の画像内を認識して、画像内の光学標的111を識別するように構成された、第1のタグパターン292を有する第1のタグ291を含む。第1のタグパターン292は、白い背景に所定の構成の黒いボックスなどの黒い形状のパターンを含む、エイプリルタグを含む。第1のタグパターン292は、第2のセットの形状と認識可能なコントラストをなす第1のセットの形状を含む。一例では、第1のタグパターン292は白い紙に印刷された黒い形状を含む。かかる例では、黒い形状は第1のセットの形状の一部であり、第2のセットの形状は白である。第1のタグパターン292は、他の材料、形状、および/または色を含んでもよい。一例では、第1のタグパターン292は対象物の表面にペイントされた形状を含む。
【0039】
一例では、光学標的111は無線認証(RFID)タグ210を含む。RFIDタグ210は、無線アンテナ(例えば、RFタグ読取り機)に、光学標的111がその上に配設された対象物など、光学標的111と関連付けられた対象物に関する情報を送信するように構成される。情報としては、対象物の垂直位置、対象物の水平位置、対象物の最終重量、対象物の寸法、対象物の綱具装置認証情報、および/またはRFIDタグ210と対象物との間の位置オフセットのうちの1つもしくは複数が挙げられる。一例では、RFIDタグ210は、図2Aに示される標的追跡デバイス110の視野外である、光学標的111の水平位置情報および/または垂直位置情報を提供する。RFIDタグ210は、標的追跡デバイス110を調節して、標的追跡デバイス110の視野外にある光学標的111の位置を見つけるのを容易にする。一例では、標的追跡デバイス110および/またはコントローラ115と関連付けられた無線アンテナは、RFIDタグ210によって送信された無線信号を受信する。無線アンテナによって受信された無線信号の強度および/または方向に基づいて、コントローラ115は、RFIDタグの、またしたがってそれに結合された光学標的111の近似位置を決定することができる。次に、標的追跡デバイス110に、コントローラ115によって、受信した無線信号に基づいて特定された近似位置のスキャンを始めるように指令することができる。それにより、スキャン領域を近似位置に絞ることによって、光学標的の獲得時間が大幅に低減される。かかる実施形態では、1つまたは複数のRFアンテナが利用されてもよいことが想到される。それに加えてまたはその代わりに、1つまたは複数のRFアンテナは、RFIDタグ210の配置を容易にするため、移動または回転するように構成されてもよい。
【0040】
図2Cは、本開示の一実現例による、光学標的111および第2の光学標的293の、図1Aに示される標的追跡デバイス110によって撮影された画像296の部分概略図である。画像296は、標的追跡デバイス110のカメラの視野内である。光学標的111は第1の光学標的である。第2の光学標的293は、標的追跡デバイス110が1つまたは複数の画像内を認識して、画像296内の第2の光学標的293を識別し、第2の光学標的と第1の光学標的111とを区別するように構成された、第2のタグパターン295を有する第2のタグ294を含む。第2のタグパターン295は、白い背景に黒いボックスなどの黒い形状のパターンを含む、エイプリルタグを含む。一例では、第2のタグパターン295は白い紙に印刷された黒い形状を含む。第2のタグパターン295は、例えば、各タグ291、294の白い背景に沿った異なる場所に異なる黒い対象物を有することによって、第1のタグパターン292と異なる。
【0041】
標的追跡デバイス110は、画像296内の特徴を使用して、第1の船舶102に対する第2の船舶104および/または対象物103の相対運動を決定するのを容易にする。一例では、画像296内の第1の光学標的111および第2の光学標的293の位置は、第1の光学標的111および第2の光学標的293の相対運動を決定するのに使用される。画像296内の特徴が占めるピクセル、例えば第1の光学標的111の特徴が占めるピクセルは、画像296内の特徴の相対運動を決定するのに使用されてもよい。例えば、コントローラは、獲得画像におけるタグのピクセル変位を決定することができる。エイプリルタグなどの既知のタグを使用する場合、タグの寸法が分かっており、したがって、タグを占める(もしくはその一部分が分かっている)ピクセルが分かっていて、画像のピクセル間の縮尺および物理的測定値が確立されて、タグ(およびタグが付着された対象物)が進む相対距離が決定される。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、単一のカメラを使用して、第1の光学標的111および第2の光学標的293が追跡される。第1の光学標的111および/または第2の光学標的293の画像獲得に基づいて、標的追跡デバイス110が、標的追跡デバイス110に対する基準点297を追跡するように、基準点297など、追跡のための基準点が設定されてもよい。基準点297は、第1および第2の光学標的111、293の間など、第1および第2の光学標的111、293からオフセットされ、ならびに/あるいは第1および第2の光学標的111、293から分かっている距離に設定される。一例では、基準点は、第1の光学標的111および第2の光学標的293によって規定される面とは異なる面内にあってもよい。一例では、基準点297は、視覚的に隠れた場所にあってもよいが、第1の光学標的11および第2の光学標的293を使用して一貫して正確に追跡されてもよい。かかる一例は、視覚的に隠れた場所での作業を容易にする。第1の光学標的111に対する第2の光学標的293の分かっている相対位置、および/または第1および第2の光学標的111、293の間の分かっている距離など、分かっているデータを使用して、標的追跡デバイス110に対する基準点297の相対運動が追跡されてもよい。
【0042】
本開示は、第1および第2の光学標的111、293に加えて、複数の光学標的が使用されてもよいことが想到される。標的追跡デバイス110は、標的を個々に追跡するため、異なる光学標的111、293の間で切り替えるように構成されてもよい。標的追跡デバイス110はまた、対象物を同時に追跡するように構成されてもよく、それによって、複数の標的が取り付けられた対象物の配向の決定、および/または三次元追跡/描写/処理が容易になる。一例では、複数の光学標的のうちの8つの光学標的の一部として、6つの追加の光学標的が第2の船舶上に配設される。複数の光学標的は、光学標的の間のギャップおよび距離にまたがるタグアレイを作成するのに使用されてもよい。各光学標的が別の光学標的からある距離に配設される、組み合わされた光学標的を含むタグアレイは、各光学標的が別の光学標的に接するように光学標的がともに配置された場合、光学標的のサイズよりも大きいサイズを有する単一の標的として作用してもよい。より大きいサイズを有するタグアレイは、最大六自由度の正確で迅速な三次元追跡を容易にする。各光学標的が別の光学標的からある距離にあるような、複数の光学標的の間隔によって、相対運動決定などの決定を行う際にコントローラ(コントローラ115など)のノイズをフィルタ除去してより少なくする、正確で迅速な測定が容易になる。一例では、コントローラ(コントローラ115など)は、エラーチェックに光学標的の対を使用するようにプログラムされる。コントローラはまた、光学標的の1つまたは複数の一部分が隠れている場合、タグアレイの光学標的を横断するリダンダンシーを使用してもよい。一例では、光学標的を横断するリダンダンシーは、第1のタグパターン292の白い形状を影が部分的に隠して、白い形状と黒い形状との間のコントラストを隠している場合に使用される。
【0043】
一例では、標的の閾値数は海上クレーンシステム198に対して設定されてもよい。海上クレーンシステム198は、1つまたは複数の光学標的がカメラの視野外にあって、画像296内で検出される光学標的の数が標的の閾値数を下回る場合、運転室105内のオペレータなどのオペレータに対して、エラーメッセージおよび/または警告メッセージを出力する。オペレータは、画像内で検出される光学標的の数が標的の閾値数以上であるように、カメラを移動して視野を移動させるのを容易にしてもよく、またはカメラは、カメラ画像が閾値数未満の標的を含む場合、コントローラによって自律的にスキャンするように指令されてもよい。一例では、8つの光学標的が第2の船舶104上に配設され、標的の閾値数は6つの光学標的に設定されるが、1つまたは2つなど他の閾値が想到される。かかる例では、画像296内で検出される光学標的の数が5つ以下の場合、警告メッセージおよび/またはエラーメッセージが出力される。一例では、警告メッセージおよび/またはエラーメッセージは、警告メッセージおよび/またはエラーメッセージをヘッドアップディスプレイ(HUD)上に表示することによって、オペレータに対して出力される。
【0044】
記載される標的追跡デバイス110は、単一のカメラを使用して、カメラからの距離を決定するのに必要なレーザー測定なしで、複数の光学標的を追跡することを容易にする。海上クレーンシステム198の態様は、カメラに対する光学標的の相対運動の、より迅速、より正確、およびより低コストの追跡を容易にする。一例では、相対運動を決定するのに画像内の特徴の位置を使用することで、距離測定のためにレーザーに依存するシステムよりも高速の、30ミリ秒以下で行われる測定などの測定が容易になる。一例では、1つを超える光学標的を使用することで、最大六自由度以内で対象物の相対運動を決定することが容易になる。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1および第2の光学標的111、293は、第2の船舶104の回転移動を測定し、回転移動を横移動と区別することを容易にする。一例では、第1および第2の光学標的111、293は、垂直軸287を中心にした第2の船舶104の船首揺れを測定し、船首揺れを水平軸に沿った第2の船舶104の横移動と区別することを容易にする。
【0045】
一例では、単一のカメラを使用して複数の光学標的を追跡することで、LiDARセンサ、MRU、または複数のカメラを使用するシステムと比較して、相対運動のより正確で低コストの追跡が容易になる。
【0046】
図2Dは、本開示の一実現例による、図2Cに示される光学標的111および第2の光学標的293の、図1Aに示される標的追跡デバイス110によって撮影された画像289の部分概略図である。図2Dの画像289では、第2の船舶104は、図2Cに示される画像296に対して移動(例えば、横揺れもしくは縦揺れ)しているので、基準点297が視覚的に隠れた場所にあって、基準点297(図2Dにゴーストで示される)は図2Dの画像289では見えていない。標的追跡デバイス110は依然として、画像289内の第1および第2の光学標的111、293を使用して、視覚的に隠れた基準点297の位置決めおよび相対運動を追跡してもよい。
【0047】
本開示はまた、視覚的に隠れた基準点が、第1の光学標的111および第2の光学標的293から分かっている距離(X軸に沿った分かっている距離またはY軸に沿った分かっている距離など)で、視覚的に隠れた場所に設定されてもよいことを想到する。標的追跡デバイス110は、視覚的に隠れた基準点が標的追跡デバイス110のカメラの視野に決して入らず、または標的追跡デバイス110のカメラによって撮影される画像のいずれでも見えない場合であっても、第1および第2の光学標的111、293と分かっている距離とを使用して、視覚的に隠れた基準点を追跡することを容易にする。視覚的に隠れた基準点は、運転室105のオペレータなどのオペレータに対して見えないように、視覚的に隠されてもよい。
【0048】
図3Aおよび図3Bは、本開示の一実現例による、ヘッドアップディスプレイ(HUD)上に示されるデータの部分概略図である。図3Aは、リフトオフ作業中のHUD 330aを示しており、図3Bは、陸揚げ作業中のHUD 330bを示している。
【0049】
一例では、標的追跡デバイス110によって得られたデータはコンパイルされ、クレーン計測からの他の情報と組み合わされる。一例では、標的追跡デバイス110によって得られたデータはコンパイルされ、ロープのペイアウト、ブーム角度、キャリッジの相対場所、および/または他のデータと組み合わされる。HUDはまた、第2の船舶104上で対象物103の吊上げまたは陸揚げ作業を開始する理想時間を視覚的に示すか、またはオペレータに入力制御を指示するか、またはアクティブな上下揺れ補償装置によって生じる運動を示すように構成される。HUDはまた、所与の場所で利用可能なフック高さを表示してもよい。本開示は、他のデータおよび/または視像がHUD上に表示されてもよいことを想到する。例えば、HUDは、プロット内のデータ変数、テキスト値の読出し、三次元モデル図、および/または映像ウィンドウを表示してもよい。複数の視像がHUD上に同時に表示されてもよい。オペレータなどのユーザは、HUD上の複数の視像を通してトグルしてもよい。
【0050】
図3Aおよび図3Bを参照すると、HUD 330aおよびHUD 330bは、フック停止位置(例えば、フックの最大上方位置)を線331に、現在のフック位置を線332に、対象物103の下方接触点(図1Aに図示)を線333に示している。陸揚げまたは吊上げ表面の相対場所は、上下に揺れる線335によって示されるように、船舶間の相対運動によって上下する。陸揚げまたは吊上げ表面の最大上方検出運動が線334に示され、陸揚げまたは吊上げ表面の最大下方検出運動が線336に示されている。所与の時間間隔にわたる線335、336の間の相対距離は、貨物と陸揚げまたは吊上げ表面との間の相対速度を決定するのに、システムによって使用される。一例では、線332~336は、HUD 330aおよび330bにおいてリアルタイムで更新される。HUD 330aおよび330bに提供される情報は、オペレータが、船舶甲板とその上に載せられているかまたはそこから吊り上げられている対象物との間の不用意な接触を緩和しながら、陸揚げおよびリフトオフ作業を実施するのを支援する。それに加えて、オペレータは、船舶甲板とその上に載せられているかまたはそこから吊り上げられている対象物との相対位置を、より簡単に視覚化することができる。一例では、貨物と陸揚げまたは吊上げ表面との間の相対速度、あるいはそれらの間の相対距離は、貨物の陸揚げまたは吊上げに関連する損傷を与える衝撃を防ぐ、貨物の吊上げまたは陸揚げの最適時間を決定するのに、システムによって使用される。相対速度または相対場所はまた、一定の張力を制御するのに、またはアクティブな上下揺れ補償装置112が貨物の衝撃を防ぐのに使用されてもよい。したがって、従来の方法に対して、作業が実施されてもよい作業ウィンドウを更に拡張することが可能である。
【0051】
例えば、本明細書に記載する態様を使用して、両方の船舶102、104の相対速度を正確に導き出すことができ、それにより、従来の方法で使用される波高または相対運動の不正確な視覚的推定を排除することによって、過度のディレーティングが緩和される。更に、本明細書に記載する態様を使用して、相対運動がリアルタイムベースで更新され、周囲条件の変化によって作業ウィンドウを超過せず、一方で依然として作業ウィンドウの上限で作業を実施するのを可能にすることが更に担保される。
【0052】
図4Aおよび図4Bは、本開示の実現例による、表示情報を概略的かつ部分的に示している。図1に関して上述したように、本開示の標的追跡デバイスによって複数のナビゲーション点が認識され記録されてもよい。かかるナビゲーション点は、ディスプレイ上でクレーンオペレータに見えてもよい。図4Aは、ディスプレイ440aの表現である。ディスプレイ440aは、クレーン100および船舶102の上面図を概略的に示している。進路441は複数の印付けられた場所442(5つが図示される)によって規定される。このように、クレーンオペレータは、フック109(図1Bに図示)の所望の経路を簡単に視覚化し、かかる進路441をディスプレイ440a上で辿っているのを確認することができる。コントローラは、オペレータがフック109を進路441に沿って方向付けるのを支援するため、提案されるブームおよびスルー制御をオペレータに提供してもよいことが想到される。進路441は、対象物の周りに適正な遊びを提供するように選択されてもよく、そのため、クレーンオペレータがフックを操縦して、従来の技術を使用して可能であろうよりも近いクォーターまで持っていくことを可能にしてもよい。
【0053】
図4Bは、ディスプレイ440bの表現である。ディスプレイ440bは、クレーン100および船舶102の上面図を概略的に示している。ディスプレイ440bは、対象物が吊り上げられていることを示す、印付けられた場所445を概略的に示している。場所445は、レーザーを使用して、または別の好適な方法で、オペレータによって印付けられてもよい。それに加えて、ディスプレイ440bは、クレーン100から印付けられた場所445までの径方向距離、径方向距離におけるクレーンの吊上げ荷重、クレーンフックの現在の場所におけるクレーン100の吊上げ荷重、および利用可能なフック高さを示している。この情報および他の情報は、本明細書に記載する態様を使用して決定され、オペレータが使用するためにディスプレイ440bなどのディスプレイ上に表示されてもよいことが想到される。このように、オペレータは、クレーン100のブーム/フックを移動させる必要なしに、任意の所与の場所におけるクレーン範囲および荷重を正確に決定することができる。
【0054】
図5は、クレーン100が載せられた船舶102の部分概略上面図である。本明細書に記載する態様を使用して、標的追跡デバイス110(図1Bに図示)は、クレーン100と船舶102の甲板101上の1つまたは複数の指定場所560との間の距離の決定を容易にすることができる。図示される場所560は例であり、他の多くの場所560が、標的追跡デバイス110を使用した距離決定に適していることが注目されるべきである。場所560は、例えば、貨物を陸揚げする場所、または貨物が吊り上げられる場所である。コントローラ115などのコントローラは、特定の吊上げに対する作業ウィンドウを予め定めるため、貨物の吊上げまたは陸揚げの前にこれらの場所を認識することができる。一例では、コントローラは、貨物を船舶102の甲板に移載する前に、貨物を陸揚げする場所を予め定めてもよい。コントローラは、例えば、所与のセットの貨物に対する甲板上の空間利用を最適化することができる。更にまた、オペレータは、貨物を場所560の間に陸揚げする前にそれらを示すことができる。次に、示された場所560を使用して、貨物を固定するための任意の必要な甲板の修正を決定して、修正時間およびコストを削減することができる。更にまた、場所は、貨物の吊上げ中に人員が進入するのを防ぐため、安全にバリケードで塞がれてもよく、それによって安全性が大幅に改善される。
【0055】
一例では、標的追跡デバイス110はレーザー指示器に結合される。標的追跡デバイス110は、人員が場所560などの位置に印を付けるため、貨物の陸揚げ場所などの位置をレーザー指示器で照射してもよい。場所560は、上述したようなシステム、またはオペレータによってシステムに入力された座標点によって決定されてもよい。かかる位置を指示することで、貨物の陸揚げ場所を決定するためなど、人員が従来の手段を使用して手動で場所を測定するのに必要な時間が減少する。
【0056】
それに加えて、上述したように、クレーン100から場所560までの距離を確認するとき、図4Bに示されるHUD 440bなどのディスプレイは、クレーンオペレータに、場所560における最大クレーン吊上げ荷重および最大フック高さを提供する。場所560における最大クレーン吊上げ荷重およびフック高さを表示するのを容易にするため、かかる情報を収容したメモリに格納されたインデックスまたはテーブルが参照されてもよい。
【0057】
図6Aは、本開示の一実現例による、陸上クレーンシステム600の部分概略図を示している。陸上クレーンシステム600は、陸上クレーン601と、第1の対象物602と、第2の対象物604とを含む。第1の対象物602および第2の対象物604は、積荷または他の物品を含んでもよい。陸上クレーン601は、陸上表面611上に配設され、陸上表面611上で固定されるかまたは移動可能に構成される。陸上表面611は、埠頭上、荷積みドック、荷降ろしドック、陸上、またはそれらの陸上構造体上であってもよい。陸上クレーン601は、ブーム606と、ジブ607と、第1のホイストライン616と、第2のホイストライン618とを含む。陸上クレーン601はまた、運転室605と、第1のフック609と、第2のフック630とを含む。陸上クレーン601は、上述したクレーン100の1つもしくは複数の態様または構成要素を含んでもよい。
【0058】
陸上クレーンシステム600は、陸上クレーン601の運転室605上にまたはそれに隣接して搭載された、標的追跡デバイス110を含む。標的追跡デバイス110は、標的追跡デバイス110に関して上述した特徴、態様、または構成要素の1つもしくは複数を含むことができる。一例では、標的追跡デバイス110は、レーザー発生器を含み、レーザー光線を1つまたは複数の光学標的に向かって方向付けるように構成される。一例では、標的追跡デバイス110は、カメラを含み、1つもしくは複数の光学標的の動画像および/または写真画像を獲得するように構成される。陸上クレーンシステム600はコントローラ615も含む。コントローラ615は、上述のコントローラ115に類似し、その特徴、態様、および構成要素の1つもしくは複数を含むことができる。第1の光学標的620は第1の対象物602の上または中に配設され、第2の光学標的622は第2の対象物604の上または中に配設される。第1および第2の光学標的620、622は、上述の光学標的111に類似し、その特徴、態様、および構成要素の1つもしくは複数を含んでもよい。一例では、第1の光学標的620および第2の光学標的622の一方または両方はタグを含む。
【0059】
標的追跡デバイス110は、第1の角度位置631と第2の角度位置633との間をスキャンして、第1の光学標的620および/または第2の光学標的622の一方もしくは両方を認識し、その位置を見つけ、ならびに追跡するように構成される。標的追跡デバイス110は、第1の角度位置631と第2の角度位置633との間をスキャンして、標的追跡デバイス110の視野内で第1の光学標的620および/または第2の光学標的622の一方もしくは両方を位置決めする。第1の角度位置631および第2の角度位置633は垂直面内に配設される。第1の角度位置631および第2の角度位置633は、オペレータによってなど、予め選択することができる。例えば、オペレータは、第1の角度位置631と第2の角度位置633との間の角度範囲を規定することができる。角度範囲の例としては、360度、270度、180度、90度、または他の角度範囲を挙げることができる。標的追跡デバイス110は、第1の対象物602の第1の光学標的620および第2の対象物604の第2の光学標的622の、垂直位置および/または相対垂直距離の決定を容易にするように構成される。一例として、標的追跡デバイス110は、垂直方向Z-Zにおける垂直位置および/または相対垂直距離の決定を容易にするように構成される。光学標的620、622の相対垂直距離は、標的追跡デバイス110の垂直位置、または陸上表面611など、陸上クレーンシステム600の他の任意の場所もしくは構成要素に対するものであることができる。標的追跡デバイス110はまた、標的追跡デバイス110と第1の対象物602の第1の光学標的620との間の見通し線635の角度Aの決定を容易にするように構成される。角度Aは陸上クレーン601の垂直軸Zに対するものである。角度Aは別の基準軸に対するものであることができる。標的追跡デバイス110はまた、陸上クレーン601の垂直軸Zまたは別の基準軸に対する、標的追跡デバイス110と第2の対象物604の第2の光学標的622との間における、見通し線の角度の決定を容易にすることができる。標的追跡デバイス110は更に、標的追跡デバイス110と第1の光学標的620との間の、直接距離Lおよび水平距離Lの決定を容易にするように構成される。
【0060】
陸上クレーンシステム600は、コントローラ615および/または標的追跡デバイス110と通信するRFID読取り機612を含む。第1の光学標的620はRFIDタグ210を含む。RFIDタグ210は、図2Bを参照して上述した態様、特徴、および/または構成要素の1つもしくは複数を含んでもよい。RFIDタグ210は、第1の対象物602に関連する情報を送信するように構成される。情報は、最終重量、寸法、綱具装置認証情報、垂直位置、水平位置、RFIDタグ210からの垂直オフセット、および/またはRFIDタグ210からの水平オフセットを含んでもよいがそれらに限定されない。RFIDタグ210は、第1の対象物602が標的追跡デバイス110の視野外に配置されるべきである場合に、標的追跡デバイス110が第1の対象物602を配置するのを容易にするように構成される。例えば、RFIDタグ210は、標的追跡デバイス110が第1の対象物602の第1の光学標的620をスキャンし、配置するのを容易にするように構成される。一例では、第1の対象物602は、標的追跡デバイス110の第1の角度位置631および第2の角度位置633の外にある。RFIDタグ210は、第1の角度位置631および第2の角度位置633の外にある第1の対象物602をスキャンし配置するように、標的追跡デバイス110を調節するのを容易にする。一例では、コントローラ615は、第1の光学標的620を包含するように、標的追跡デバイス110の第1の角度位置631および第2の角度位置633を調節するのを容易にする。
【0061】
RFID読取り機612は、RFIDタグ210を検出し、RFIDタグ210から情報を受信するように構成される。RFID読取り機612は、コントローラ615に情報を送信するように構成される。コントローラ615は、第1の光学標的620をスキャンし配置するように、標的追跡デバイス110の視野を調節するのを容易にする。一例では、情報は、第1の対象物602の垂直位置、第1の対象物602の水平位置、第1の対象物602の最終重量、第1の対象物602の寸法、第1の対象物602の綱具装置認証情報、および/またはRFIDタグ210と第1の対象物602との間の位置オフセットのうちの1つもしくは複数を含む。
【0062】
図6Bは、本開示の一実現例による、図6Aに示される陸上クレーンシステム600の部分概略上面図を示している。標的追跡デバイス110は、第1の角度位置637と第2の角度位置641との間をスキャンして、第1の光学標的620および/または第2の光学標的622の一方もしくは両方を認識し、その位置を見つけ、ならびに追跡するように構成される。角度位置は、図6Bでは、第1の角度位置637および第2の角度位置641に関して示されているが、他の角度位置が本開示によって想到される。第1の角度位置637および第2の角度位置641は水平面内に配設される。第1の角度位置637および第2の角度位置641は、オペレータによってなど、予め選択することができる。例えば、オペレータは、第1の角度位置637と第2の角度位置641との間の角度範囲を規定することができる。角度範囲の例としては、360度、270度、180度、90度、または他の角度範囲を挙げることができる。標的追跡デバイス110は、第1の対象物602の第1の光学標的620および第2の対象物604の第2の光学標的622の、水平位置および/または相対水平距離の決定を容易にするように構成される。一例として、標的追跡デバイス110は、第1の水平方向X-Xにおける、標的追跡デバイス110に対する第1の光学標的620のおよび/または第2の光学標的622の、第1の水平位置および/または第1の水平距離の決定を容易にするように構成される。標的追跡デバイス110はまた、第2の水平方向Y-Yにおける、標的追跡デバイス110に対する第1の光学標的620および/または第2の光学標的622の、第2の水平位置および/または第2の水平距離の決定を容易にするように構成される。光学標的620、622の第1の相対水平距離および第2の相対水平距離は、標的追跡デバイス110の第1の水平位置および第2の水平位置に対するものであることができる。
【0063】
標的追跡デバイス110はまた、標的追跡デバイス110と第1の対象物602の第1の光学標的620との間の見通し線635の角度Aの決定を容易にするように構成される。角度Aは陸上クレーン601の水平軸Xに対するものである。角度Aは別の基準軸に対するものであることができる。標的追跡デバイス110はまた、陸上クレーン601の水平軸Xまたは別の基準軸に対する、標的追跡デバイス110と第2の対象物604の第2の光学標的622との間における、見通し線の角度の決定を容易にすることができる。標的追跡デバイス110は更に、標的追跡デバイス110と第1の光学標的620との間の、直接距離Lの決定を容易にするように構成される。
【0064】
コントローラ615は、垂直位置、相対垂直位置、相対垂直距離、第1の水平位置、標的追跡デバイス110に対する第1の水平距離、第2の水平位置、標的追跡デバイス110に対する第2の水平距離、直接距離L、直接距離L、水平距離L、角度A、および/または角度Aのうちの1つもしくは複数など、標的追跡デバイス110からデータを受信するように構成される。標的追跡デバイス110からのデータを使用して、コントローラは、陸上クレーン601の作業パラメータを決定するように構成される。コントローラ615は、第1の光学標的620および第2の光学標的622の場所における、陸上クレーン601に関する積載荷重、垂直フック高さ、水平フック位置、および/または吊上げ半径のうちの1つもしくは複数を決定するように構成される。コントローラ615はまた、第1の光学標的620および/または第2の光学標的622のスルー角度および到達半径を決定するように構成される。コントローラ615はまた、第1の光学標的620からオフセットされた第1のオフセット621、および第2の光学標的622からオフセットされた第2のオフセット623の場所に対して、かかる作業パラメータを決定するように構成される。
【0065】
垂直位置、水平位置、直接距離L、直接距離L、水平距離L、角度A、および/または水平角度Aなどのパラメータを決定することによって、クレーンを吊上げ構成へと最初に移動する必要なしに、対象物の吊上げおよび移動の作業荷重を決定することができる。オペレータはまた、1つまたは複数の光学標的(もしくはそこからのオフセット)にクレーンの1つまたは複数のフックを正確に配置して、1つまたは複数の対象物を効率的に吊り上げることができる。これは、フックを試行錯誤して配置する必要性を低減または排除することによって、時間を節約する。
【0066】
コントローラ615は、陸上クレーン601の動作を制御するように構成される。一例として、コントローラ615は、陸上クレーン601の構成要素の位置、移動、および/または荷重容量を制御するように構成される。このように、コントローラ615は、陸上クレーン601の動作を自動化することができる。一例として、コントローラ615は、第1のフック609および/または第2のフック630を、第1の光学標的620、第2の光学標的622、第1のオフセット621、および/または第2のオフセット623の1つもしくは複数に向かってガイドする、指令を陸上クレーン601に送るように構成される。コントローラ615はまた、陸上クレーン601の吊上げ荷重以内の第1の対象物602および/または第2の対象物604の1つもしくは複数を、陸上クレーン601に吊り上げさせる指令を送ることができる。
【0067】
コントローラを使用して、クレーンの構成要素の位置、移動、および/または荷重容量を制御することで、人的エラーを低減または排除し、クレーンの動作を自動化することによって、作業が効率的かつ正確に実施される。
【0068】
陸上クレーンシステム600は、第1の水平方向X-X、第2の水平方向Y-Y、および垂直方向Z-Zで、第1の光学標的620および/または第2の光学標的622の位置および/または距離を追跡することができる。これにより、陸上クレーンシステム600が、少なくとも三次元(もしくは少なくとも三自由度)で、第1の対象物602および/または第2の対象物604の場所または移動を追跡することが可能にある。
【0069】
カメラが標的追跡デバイス110の一部として含まれる実施形態では、陸上クレーンシステム600は、第1の対象物602および/または第2の対象物604に対して最大六自由度を追跡することができる。例えば、カメラによって生成される写真画像または動画像によって、第1の対象物602および/または第2の対象物604の前後揺れ、上下揺れ、左右揺れ、横揺れ、縦揺れ、および/または船首揺れの追跡が可能になる。
【0070】
一例として、標的追跡デバイス110は、第1の水平方向X-Xにおける、第1の光学標的620および/または第2の光学標的622の、第1の水平位置および/または第1の相対水平距離の決定を容易にするように構成される。標的追跡デバイス110はまた、第2の水平方向Y-Yにおける、第1の光学標的620および/または第2の光学標的622の、第2の水平位置および/または第2の相対水平距離の決定を容易にするように構成される。
【0071】
オペレータは、第1の対象物603および/または第2の対象物604の1つもしくは複数に対する陸揚げ場所650を設定してもよい。標的追跡デバイス110は、第1および第2のフック609、630が第1の対象物602および/または第2の対象物604を持ち上げる前に、標的追跡デバイス110に対する陸揚げ場所650の垂直位置、第1の水平位置、および/または第2の水平位置の決定を容易にする。標的追跡デバイス110は、陸上クレーン601が第1の対象物602および/または第2の対象物604を持ち上げ、陸揚げ場所650に移動する際に従うべきパラメータの決定を容易にする。標的追跡デバイス110などの陸上クレーンシステム600の態様は、陸上クレーンシステム600が複数の対象物を連続してまたは同時に移動するように構成される際の、作業効率および作業精度を促進し、陸上クレーンシステム600は、フック609、630を対象物へとガイドして、対象物を吊り上げ、対象物を移動し、対象物を陸揚げすることができる。陸上クレーンシステム600は、標的追跡デバイス110を使用して、フック609、630を対象物に向かって移動させ始める前に、次のことを決定することもできる。(1)複数の対象物(第1および第2の対象物602、604など)を、同時にまたは連続して、1つまたは複数の陸揚げ場所(陸揚げ場所650など)に移動させることが可能か否か。また、(2)対象物を吊り上げ、移動させ、1つまたは複数の陸揚げ場所に陸揚げするのに、どのパラメータに従うべきか。
【0072】
陸上クレーン601が第1の対象物602および/または第2の対象物604を吊り上げる際、コントローラ615は、第1の対象物602および/または第2の対象物604に対する吊上げ半径、フック高さ、吊上げ荷重、スルー角度、到達半径、および対象物の場所などの作業パラメータを使用して、陸上クレーン601を制御することができる。
【0073】
図7Aは、本開示の一実現例による、船舶システム700の部分概略図である。船舶システム700は、船舶701と対象物703とを含む。対象物703は、例えば、別の船舶、海岸のドッキング構造体、または海上プラットフォームであることができる。船舶701は標的追跡デバイス710を含む。標的追跡デバイス110は、標的追跡デバイス110に関して上述した特徴、態様、または構成要素の1つもしくは複数を含むことができる。
【0074】
対象物703は、その上に配設された光学標的711を含む。光学標的711は、光学標的111、第1の光学標的620、および第2の光学標的622の1つまたは複数に類似し、その態様、特徴、および構成要素の1つまたは複数を含んでもよい。
【0075】
標的追跡デバイス110は、第1の角度位置731と第2の角度位置733との間をスキャンして、光学標的711を認識し、その位置を見つけ、ならびに追跡するように構成される。第1の角度位置731および第2の角度位置733は、オペレータによってなど、予め選択することができる。例えば、オペレータは、第1の角度位置731と第2の角度位置733との間の角度範囲を規定することができる。角度範囲の例としては、360度、270度、180度、90度、または他の角度範囲を挙げることができる。標的追跡デバイス110は、光学標的711の垂直位置および/または相対垂直位置の決定を容易にするように構成される。光学標的711の相対垂直位置は、標的追跡デバイス110または船舶システム700の他の任意の場所もしくは構成要素の、垂直位置に対するものであることができる。標的追跡デバイスはまた、光学標的711の第1の水平位置および/または第1の相対水平位置の決定を容易にするように構成される。標的追跡デバイス110は更に、光学標的711の第2の水平位置および/または第2の相対水平位置の決定を容易にするように構成される。光学標的711の第1の相対水平位置および第2の相対水平位置は、標的追跡デバイス110または船舶システム700の他の任意の場所もしくは構成要素の、第1の水平位置および第2の水平位置に対するものであることができる。
【0076】
標的追跡デバイス110は、標的追跡デバイス110と光学標的711との間の見通し線735の角度Aの決定を容易にするように構成される。角度Aは船舶701の水平軸Xに対するものである。角度Aは別の基準軸に対するものであることができる。標的追跡デバイス110は更に、標的追跡デバイス110と光学標的711との間の、直接距離Lおよび水平距離Lの決定を容易にするように構成される。
【0077】
船舶システム700はまた、船舶701に結合されたコントローラ715を含む。コントローラ715は、船舶701の船舶位置制御システムの一部であることができる。コントローラ715は、上述のコントローラ115およびコントローラ615に類似し、その特徴、態様、および構成要素の1つもしくは複数を含むことができる。コントローラ715は、船舶701の移動を制御するように構成される。コントローラ715はまた、標的追跡デバイス110からデータを受信し、標的追跡デバイス110と併せて測定値の決定を容易にするように構成される。データは、標的追跡デバイス110のカメラによって撮影された1つまたは複数の画像内の光学標的711の位置、光学標的711の垂直位置、光学標的711の相対垂直位置、光学標的711の第1の水平位置、光学標的711の第1の相対水平位置、光学標的711の第2の水平位置、光学標的711の第2の相対水平位置、角度A、直接距離L、および/または水平距離Lのうちの1つもしくは複数を含む。コントローラ715は、標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、光学標的711の相対垂直運動、第1の相対水平運動、および第2の水平相対運動を決定する。光学標的711の相対垂直運動、第1の相対水平運動、および第2の水平相対運動は、標的追跡デバイス110または船舶システム700の他の任意の場所もしくは構成要素の、垂直運動、第1の水平運動、および第2の水平運動に対するものであることができる。
【0078】
コントローラ715は、標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、船舶701の位置、方向、および/または速度を制御するように構成される。コントローラ715は、データを使用して、対象物703の光学標的711から指定のオフセット距離および/または指定のオフセット角度で、船舶701を維持することができる。コントローラ715はまた、データを使用して、船舶701を光学標的711に向かって移動し、ならびに/あるいは船舶701を対象物703に対してドックに入れることができる。一例として、コントローラ715は、標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、光学標的711に対する指定の場所で標的追跡デバイス110を維持することができる。コントローラ715は、標的追跡デバイス110から得られたデータに基づいて、対象物703に対する船舶701の位置決めを容易にする。
【0079】
図7Bは、本開示の一実現例による、船舶システム700Bの部分概略図である。図7Bに示される船舶システム700Bは、図7Aに示される船舶システム700に類似し、対象物703上または内に配設された第2の光学標的721を含む。図7Aは、第1の位置にある船舶システム700を示し、図4Bは、第2の位置にある船舶システム700Bを示している。第2の光学標的721は、光学標的111、第1の光学標的620、および光学標的711の1つまたは複数に類似し、その特徴、構成要素、および態様の1つまたは複数を含んでもよい。
【0080】
標的追跡デバイス110は、第1の角度位置731と第2の角度位置733との間をスキャンして、第2の光学標的721を認識し、その位置を見つけ、ならびに追跡するように構成される。第1の角度位置731および第2の角度位置733は、オペレータによってなど、予め選択することができる。例えば、オペレータは、第1の角度位置731と第2の角度位置733との間の角度範囲を規定することができる。角度範囲の例としては、360度、270度、180度、90度、または他の角度範囲を挙げることができる。標的追跡デバイス110は、第2の光学標的721の垂直位置および/または相対垂直位置の決定を容易にするように構成される。第2の光学標的721の相対垂直位置は、標的追跡デバイス110または船舶システム700Bの他の任意の場所もしくは構成要素の、垂直位置に対するものであることができる。標的追跡デバイス110はまた、第2の光学標的721の第1の水平位置および/または第1の相対水平位置の決定を容易にするように構成される。標的追跡デバイス110は更に、第2の光学標的721の第2の水平位置および/または第2の相対水平位置の決定を容易にするように構成される。第2の光学標的721の第1の相対水平位置および第2の相対水平位置は、標的追跡デバイス110または船舶システム700Bの他の任意の場所もしくは構成要素の、第1の水平位置および第2の水平位置に対するものであることができる。このデータを用いて、標的追跡デバイス110に対する第2の光学標的721の相対場所を決定する計算が行われてもよい。これにより、船舶701に対する対象物703の特定の場所、および/または船舶701に対する対象物703の特定の配向を決定することが可能になる。
【0081】
標的追跡デバイス110は、標的追跡デバイス110と第2の光学標的721との間の見通し線739の角度Aの決定を容易にするように構成される。角度Aは船舶701の水平軸Xに対するものである。角度Aは別の基準軸に対するものであることができる。標的追跡デバイス110は更に、標的追跡デバイス110と第2の光学標的721との間の、直接距離Lおよび水平距離Lの決定を容易にするように構成される。
【0082】
コントローラ715が標的追跡デバイス110から受信するデータとしては、角度A、直接距離L、水平距離L、第2の光学標的721の垂直位置、第2の光学標的721の相対垂直位置、第2の光学標的721の第1の水平位置、第2の光学標的721の第1の相対水平位置、第2の光学標的721の第2の水平位置、および/または第2の光学標的721の第2の相対水平位置のうちの1つもしくは複数を挙げることができる。コントローラ715は、標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、第2の光学標的721の相対垂直運動、第1の相対水平運動、および第2の水平相対運動を決定する。第2の光学標的721の相対垂直運動、第1の相対水平運動、および第2の水平相対運動は、標的追跡デバイス110または船舶システム700Bの他の任意の場所もしくは構成要素の、垂直運動、第1の水平運動、および第2の水平運動に対するものであることができる。
【0083】
コントローラ715は、第2の光学標的721から受信したデータを、光学標的711から受信したデータと比較するように構成される。例えば、コントローラ715は、第2の光学標的721に関する角度Aを光学標的711に関する角度Aと比較することができる。コントローラ715は、かかる比較を使用して、船舶701の位置、方向、または速度を制御することができる。
【0084】
図7Cは、本開示の一実現例による、船舶システム700Cの部分概略図である。対象物706は海上プラットフォーム705である。海上プラットフォーム705は、固定であるかまたは浮揚していることができる。一例では、海上プラットフォーム705は、デリック709などの石油およびガス機器を含む。しかしながら、デリック709は、含まれてもよい機器の単なる一例である。対象物706は、それに加えてまたはその代わりに、他の機器を載せていてもよいことが想到される。
【0085】
コントローラ715は、海上プラットフォーム705に対する場所における船舶701の位置決め、またはその場所への船舶701の移動を容易にするように構成される。一例として、コントローラ715は、船舶701の移動を介して、海上プラットフォーム705上に配設された光学標的711に対する場所における標的追跡デバイス110の位置決め、またはその場所への標的追跡デバイス110の移動を容易にするように構成される。一例では、コントローラ715は、海上プラットフォーム705に対する船舶701のドッキングを容易にするように構成される。いくつかの例では、コントローラ715は、オートパイロット機能を使用することによって、船舶701を位置決めしてもよい。
【0086】
少なくとも1つの光学標的の位置および/または移動を追跡することによって、船舶システム700Cは、海洋波に応答した対象物706の上下揺れなど、対象物706に対する海洋の影響を考慮することができる。船舶システム700Cはまた、船舶のドッキング、または対象物に対する船舶の位置決めを支援もしくは自動化する。
【0087】
船舶システム700Cは、第1の水平方向、第2の水平方向、および垂直方向で、光学標的711および/または第2の光学標的721の位置を追跡することができる。これにより、船舶システム700Cが、少なくとも三次元(もしくは少なくとも三自由度)で、対象物706の場所または移動を追跡することが可能になる。他の構成とは異なり、船舶システムは、二自由度など、三次元未満での対象物の位置の追跡に限定されない。
【0088】
(船舶システム700Bなどにおける)2つ以上の光学標的が使用される実現例では、船舶システム700Bは、対象物703に関して最大六自由度を追跡することができる。例えば、船舶システム700Bは、対象物703の前後揺れ、上下揺れ、左右揺れ、横揺れ、縦揺れ、および/または船首揺れを追跡することができる。2つ以上の光学標的を使用することで、2つ以上の光学標的間を比較するデータ点を提供することによって、対象物703の場所を正確に測定することも可能になる。
【0089】
標的追跡デバイス110がカメラを含む実現例では、船舶システム700Cは、最大六自由度を追跡することができる。カメラはまた、対象物706の視覚画像を提供する。
【0090】
船舶システム700Cは、対象物706を追跡することによって、衝突のリスクなどの作業リスクを低減する。船舶システム700Cの追跡機構によって、他の操縦構成によって消費される時間も削減される。
【0091】
図8Aは、本開示の一実現例による、飛行システム800の部分概略図である。飛行システム800は、航空機801と対象物803とを含む。図示される実現例では、航空機801はヘリコプター804であり、対象物803は船舶805である。飛行システム800はコントローラ815も含む。コントローラ815は、上述のコントローラ115、コントローラ615、およびコントローラ715に類似し、その特徴、態様、および構成要素の1つもしくは複数を含むことができる。
【0092】
船舶805は、その上に配設されたプラットフォーム807を含む。光学標的811はプラットフォーム807上に配設される。光学標的811は、光学標的111、第1の光学標的620、第2の光学標的622、光学標的711、および第2の光学標的721に類似し、その態様、特徴、および構成要素の1つもしくは複数を含んでもよい。
【0093】
船舶805はまた、石油およびガス製造機器などの機器809を含んでもよい。ヘリコプター804は、ヘリコプター804の底面に配設された標的追跡デバイス110を含む。標的追跡デバイス110は、上述の標的追跡デバイス110に類似し、その特徴、構成要素、および態様の1つもしくは複数を含んでもよい。
【0094】
標的追跡デバイス110は、第1の角度位置831と第2の角度位置833との間をスキャンして、光学標的811を認識し、その位置を見つけ、ならびに追跡するように構成される。第1の角度位置831および第2の角度位置833は、オペレータによってなど、予め選択することができる。例えば、オペレータは、第1の角度位置831と第2の角度位置833との間の角度範囲を規定することができる。角度範囲の例としては、360度、270度、180度、90度、または他の角度範囲を挙げることができる。標的追跡デバイス110は、垂直方向における光学標的811の垂直位置および/または相対垂直位置の決定を容易にするように構成される。光学標的811の相対垂直位置は、標的追跡デバイス110または飛行システム800の他の任意の場所もしくは構成要素の、垂直位置に対するものであることができる。
【0095】
標的追跡デバイスはまた、光学標的811の第1の水平位置および/または第1の相対水平位置の決定を容易にするように構成される。標的追跡デバイス110は更に、光学標的811の第2の水平位置および/または第2の相対水平位置の決定を容易にするように構成される。光学標的811の第1の相対水平位置および第2の相対水平位置は、標的追跡デバイス110または飛行システム800の他の任意の場所もしくは構成要素の、第1の水平位置および第2の水平位置に対するものであることができる。
【0096】
標的追跡デバイス110は、標的追跡デバイス110と光学標的811との間の見通し線835の角度Aの決定を容易にするように構成される。角度Aはヘリコプター804の垂直軸Zに対するものである。角度Aは別の基準軸に対するものであることができる。標的追跡デバイス110は更に、標的追跡デバイス110と光学標的811との間の、直接距離Lおよび水平距離L10の決定を容易にするように構成される。
【0097】
コントローラ815は、航空機801の移動を制御するように構成される。コントローラ815は、航空機801の飛行制御システムの一部であってもよい。コントローラ815は標的追跡デバイス110からデータを受信する。データは、標的追跡デバイス110のカメラによって撮影された1つまたは複数の画像内の光学標的811の位置、光学標的811の垂直位置、光学標的811の相対垂直位置、光学標的811の第1の水平位置、光学標的811の第1の相対水平位置、光学標的811の第2の水平位置、光学標的811の第2の相対水平位置、角度A、直接距離L、および/または水平距離L10のうちの1つもしくは複数を含む。コントローラ815は、標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、光学標的811の相対垂直運動、第1の相対水平運動、および第2の水平相対運動を決定する。光学標的811の相対垂直運動、第1の相対水平運動、および第2の水平相対運動は、標的追跡デバイス110または飛行システム800の他の任意の場所もしくは構成要素の、垂直運動、第1の水平運動、および第2の水平運動に対するものであることができる。
【0098】
コントローラ815は、標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、航空機801の位置、方向、および/または速度を制御するように構成される。コントローラ815は、データを使用して、対象物803から指定のオフセットで航空機801を維持することができる。コントローラ815はまた、データを使用して、光学標的811からオフセットされたプラットフォーム807の陸揚げ位置837上など、対象物803上に航空機801を着地させることができる。一例として、コントローラ815は、標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、光学標的811に対する指定の場所で標的追跡デバイス110を維持することができる。コントローラ815は、特定の垂直位置、光学標的811に対する垂直位置、第1の水平位置、第2の水平位置、光学標的811に対する第1の水平位置、および/または光学標的811に対する第2の水平位置で、標的追跡デバイス110を維持するかもしくはそこに移動させることができる。コントローラ815は、例えば航空機801を移動することによって、標的追跡デバイス110を移動する。データはまた、航空機801を特定の方向に特定の速度で移動するため、コントローラ815によって使用されてもよい。コントローラ815はまた、データを使用して、船舶805の運動に応答して、ヘリコプター804のウィンチ847をペイインまたはペイアウトしてもよい。
【0099】
図8Bは、本開示の一実現例による、図8Aに示される飛行システム800の部分概略図である。標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、コントローラ815は、ヘリコプター804をホバリング位置で維持する。ヘリコプター804は、コントローラ815によって、光学標的811からの垂直オフセット820および光学標的811からの水平オフセット830で維持される。コントローラはまた、ヘリコプター804を、光学標的811からの第2の水平オフセットで維持してもよい。コントローラ815は、船舶805の移動の結果として光学標的811が移動した場合、水平オフセット830、垂直オフセット820、および/または第2の水平オフセットを維持するように構成される。船舶805は、例えば、海洋850の波によって生じる上下揺れによって移動することがある。
【0100】
飛行システム800は、ヘリコプター804が飛行動作中の船舶805の移動を考慮することを可能にする。これにより、ヘリコプター804が、海洋850の波に応答した船舶805の上下揺れなどの変動する条件下で、安全かつ正確に着地し、または自身を位置決めすることが可能になる。ヘリコプター804はまた、救助作業のためにウィンチを下降または上昇させるなどの作業を遂行するときに、変動する条件を考慮することができる。対象物の二次元の移動しか考慮することができない構成とは異なり、飛行システム800は、少なくとも三次元および少なくとも六自由度で、船舶805の移動を考慮することができる。飛行システム800はまた、ヘリコプター804の自動化された着地または位置決めを可能にし、それによって作業時間を削減し、作業を妨げる人的エラーの可能性を低減する。
【0101】
図9は、本開示の一実現例による、飛行システム900の部分概略図である。図9に示される飛行システム900は、図8Aおよび図8Bに示される飛行システム800に類似し、その態様、特徴、および/または構成要素の1つもしくは複数を含んでもよい。図9図8Aおよび図8Bとの間で、類似の構成要素、特徴、および/または態様を特定するのに、同一の番号が特定される。
【0102】
図9では、光学標的811は、図8Aおよび図8Bに示される船舶805上ではなく、海洋850を浮揚している対象物940上に配設される。ヘリコプター804のウィンチ847はホイストフック948を含む。ヘリコプター804を対象物940から指定のオフセットで維持することに加えて、コントローラ815は、ウィンチ847の制御を容易にするように構成される。一例として、コントローラ815は、対象物940に対するホイストフック948の位置の制御を容易にするように構成される。例えば、コントローラ815は、対象物940の光学標的811に向かって、または光学標的811からオフセットされた位置941に向かって、ウィンチ847をペイアウトするのを容易にする。コントローラ815は、ホイストフック948が対象物940のアタッチメントを引っ掛け、対象物940を吊り上げることができるように、ウィンチ848をペイアウトするのを容易にする。一例では、ヘリコプターのホイストフック948は、救助作業の一部として対象物940を吊り上げる。救助作業では、対象物940は、1つもしくは複数の構造体および/またはその上の一人または複数の人員を含む。一例では、対象物940は人員であり、ヘリコプター804は救助作業を遂行している。類似の態様が救助以外の作業に適用されてもよいことが想到される。
【0103】
一例では、コントローラ815は、対象物940が移動したとき、光学標的811から指定のオフセットでホイストフック948を維持するように構成される。ホイストフック948は、対象物940が移動したとき、人員および/または構造体がホイストフック948に付着することができるように、指定のオフセットで維持される。かかる実施形態では、標的追跡情報は、ヘリコプター804および/またはウィンチ847を移動させて、フック948を所望の位置へとガイドするのに利用されてもよい。
【0104】
飛行システム900によって、ヘリコプター804が、救助またはペイロード取得などの他の作業の間、対象物940および/またはその上に配設された人員もしくは構造体の移動を考慮することが可能になる。これにより、飛行システム900が、ヘリコプター804および/またはウィンチ847のホイストフック948を対象物940に対して正確に位置決めすることが可能になって、対象物940が移動している間、ヘリコプター804が、対象物940および/またはその上に配設された構造体もしくは人員に付着することが可能になる。飛行システム900はまた、対象物940が移動している間、ヘリコプター804がホイストフック948を対象物940にガイドすることを可能にする。ホイストフック948は、対象物804および/またはその上に配設された構造体もしくは人員を、吊り上げるかまたは降下することができる。飛行システム900は、救助作業または他の作業の間、海洋850の波による対象物940の上下揺れなど、変動する条件を考慮することができる。
【0105】
本開示は、図示されるコントローラ815が、ヘリコプター804およびウィンチ847の両方、またはヘリコプター804もしくはウィンチ847の一方の制御を容易にするように、構成されてもよいことを想到する。一例として、コントローラ815は、別のコントローラ、ヘリコプター804の飛行制御システム、またはオペレータデバイスなどの別のデバイスが、ヘリコプター804の位置を制御する一方で、ウィンチ847およびホイストフック948の位置の制御を容易にするように構成されてもよい。他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、コントローラ815は、ウィンチ847の一部であり、標的追跡デバイス110から受信したデータを使用して、ウィンチ847およびホイストフック948の位置の制御を容易にするように構成される。かかる実施形態では、コントローラ815は、ヘリコプター804の位置を制御するデバイスとは独立して、および/またはそれとは別個に、ウィンチ847およびホイストフック948の位置を制御するのを容易にするように構成される。本開示はまた、コントローラ815が2つ以上のコントローラを含んでもよいことを想到する。一例では、コントローラ815は、ヘリコプター804の位置の制御を容易にするように構成された第1のコントローラと、ウィンチ847およびホイストフック948の位置の制御を容易にするように構成された第2のコントローラとを含む。
【0106】
対象物の二次元の移動しか考慮することができない構成とは異なり、飛行システム900は、少なくとも三次元および少なくとも六自由度で、対象物940の移動を考慮することができる。飛行システム900はまた、対象物940に対するヘリコプター804および/またはホイストフック948の自動位置決めを可能にし、それによって作業時間を削減し、救助作業を妨げる人的エラーの可能性を低減する。
【0107】
本開示の利益としては、作業効率および有効性の増加、相対運動の正確で迅速な追跡、三次元および六自由度での対象物の移動の追跡、クレーン作業、船舶作業、飛行作業、および救助作業の正確な実施、ならびに作業時間の低減が挙げられる。
【0108】
本開示の態様は、標的追跡デバイス、海上クレーンシステム、陸上クレーンシステム、船舶システム、飛行システム、および救助作業用の飛行システムを含む。本開示の態様はまた、1つまたは複数の光学標的、RFIDタグを有する光学標的、コントローラ、RFID読取り機、ならびに1つもしくは複数の光学標的それぞれの垂直運動、第1の水平運動、および第2の水平運動を追跡する標的追跡デバイスを含む。
【0109】
本開示の態様はまた、単一のカメラを使用して複数の光学標的を追跡すること、カメラによって撮影された画像内の光学標的の特徴の位置を使用して相対運動を決定すること、レーザーや四軸カメラによる距離測定値に依存することなく相対運動を決定すること、複数の光学標的からオフセットされた基準点を追跡すること、異なるタグパターンおよび/またはエイプリルタグを有する光学標的を追跡すること、1つまたは複数の光学標的がカメラの視野外にある場合にメッセージを出力すること、ならびに標的追跡デバイスとともに基準タグを使用することを含む。
【0110】
本明細書の海上クレーンシステム、陸上クレーンシステム、船舶システム、飛行システム、および/または救助作業のための飛行システムの1つもしくは複数の態様は、組み合わされてもよいことが想到される。更に、海上クレーンシステム、陸上クレーンシステム、船舶システム、飛行システム、および/または救助作業のための飛行システムの1つもしくは複数の態様は、上述の利益のいくつかまたは全てを含んでもよいことが想到される。
【0111】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態および更なる実施形態が考案されてもよい。本開示はまた、本明細書に記載される実施形態の1つまたは複数の態様が、記載される他の態様の1つまたは複数と置き換えられてもよいことを想到する。本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の対象物上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、
前記1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、前記1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを備える、陸上クレーン上に配設するための標的追跡デバイスと、
前記標的追跡デバイスからデータを受信し、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して前記陸上クレーンを制御するように構成された、コントローラとを備える、陸上クレーンシステム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対距離を計算するように構成され、
前記データが、前記カメラによって撮影された前記1つまたは複数の画像内における前記1つまたは複数の光学標的の位置と、前記1つまたは複数の光学標的それぞれに関して、軸線と前記標的追跡デバイスから前記1つまたは複数の光学標的の1つまでの見通し線との間で測定した相対角度とを含み、
前記相対距離が、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対垂直距離と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第1の相対水平距離と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第2の相対水平距離と、を含む、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項3】
前記コントローラまたは前記標的追跡デバイスの1つもしくは複数と通信するRFID読取り機と、前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つの上のRFIDタグとを更に備える、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記陸上クレーンのフックを前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つにガイドするように構成され、前記陸上クレーンシステムが、前記陸上クレーン上に配設するための1つまたは複数の基準標的を備える、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項5】
前記標的追跡デバイスが、第1の角度位置と第2の角度位置との間をスキャンして、前記1つまたは複数の光学標的を前記標的追跡デバイスの前記カメラの視野内に位置決めするように構成され、前記1つまたは複数の光学標的のうちの1つもしくは複数が前記視野外にある場合、前記陸上クレーンシステムがメッセージを出力するように構成された、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の対象物が、第1の対象物と第2の対象物とを含み、前記1つまたは複数の光学標的が、前記第1の対象物上の第1の光学標的と前記第2の対象物上の第2の光学標的とを含み、前記第1の光学標的が第1のタグパターンを備え、前記第2の光学標的が前記第1のタグパターンとは異なる第2のタグパターンを備える、請求項1に記載の陸上クレーンシステム。
【請求項7】
対象物上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、
前記1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、前記1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを備える、船舶上に配設するための標的追跡デバイスと、
前記標的追跡デバイスからデータを受信し、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記標的追跡デバイスと前記1つまたは複数の光学標的との間の相対運動を計算し、前記相対運動を使用して前記船舶を制御するように構成された、コントローラとを備える、船舶システム。
【請求項8】
前記対象物が、第2の船舶、海上プラットフォーム、またはドックであり、前記船舶システムが、前記船舶上に配設するための1つまたは複数の基準標的を備える、請求項に記載の船舶システム。
【請求項9】
前記コントローラまたは前記標的追跡デバイスの1つもしくは複数と通信するRFID読取り機と、前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つの上のRFIDタグとを更に備える、請求項に記載の船舶システム。
【請求項10】
前記データが、前記カメラによって撮影された前記1つまたは複数の画像内における前記1つまたは複数の光学標的の位置を含み、前記相対運動が、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対垂直運動と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第1の相対水平運動と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第2の相対平運動とを含む、請求項に記載の船舶システム。
【請求項11】
前記標的追跡デバイスが、第1の角度位置と第2の角度位置との間をスキャンして、前記1つまたは複数の光学標的を前記標的追跡デバイスの前記カメラの視野内に位置決めするように構成され、前記1つまたは複数の光学標的のうちの1つもしくは複数が前記視野外にある場合、前記船舶システムがメッセージを出力するように構成された、請求項に記載の船舶システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数の光学標的が、前記対象物上の第1の光学標的と前記対象物上の第2の光学標的とを含み、前記第1の光学標的が第1のタグパターンを備え、前記第2の光学標的が前記第1のタグパターンとは異なる第2のタグパターンを備える、請求項に記載の船舶システム。
【請求項13】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記船舶を前記1つまたは複数の光学標的に向かってガイドするように構成された、請求項に記載の船舶システム。
【請求項14】
前記コントローラが、前記相対運動を使用して、前記1つまたは複数の光学標的からのオフセット距離およびオフセット角度で前記船舶を維持するように構成された、請求項に記載の船舶システム。
【請求項15】
第1の船舶上に配設するための1つまたは複数の光学標的と、
前記1つまたは複数の光学標的を追跡するように構成され、前記1つまたは複数の光学標的の1つまたは複数の画像を撮影するように構成されたカメラを備える、第2の船舶上に配設されたクレーン上に配設するための標的追跡デバイスと、
前記標的追跡デバイスからデータを受信し、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記クレーンを制御するように構成された、コントローラとを備える、海上クレーンシステム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記標的追跡デバイスから受信した前記データを使用して、前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対運動を計算するように構成され、
前記データが、前記カメラによって撮影された前記1つまたは複数の画像内における前記1つまたは複数の光学標的の位置と、前記1つまたは複数の光学標的それぞれに関して、軸線と前記標的追跡デバイスから前記1つまたは複数の光学標的の1つまでの見通し線との間で測定した相対角度とを含み、前記相対運動が、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の相対垂直運動と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第1の相対水平運動と、
前記1つまたは複数の光学標的と前記標的追跡デバイスとの間の第2の相対水平運動と、を含む、請求項15に記載の海上クレーンシステム。
【請求項17】
前記コントローラまたは前記標的追跡デバイスの1つもしくは複数と通信するRFID読取り機と、前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つの上のRFIDタグとを更に備える、請求項15に記載の海上クレーンシステム。
【請求項18】
前記コントローラが、前記クレーンのフックを前記1つまたは複数の光学標的のうちの少なくとも1つにガイドするように構成され、前記海上クレーンシステムが、前記第2の船舶上に配設するための1つまたは複数の基準標的を備える、請求項15に記載の海上クレーンシステム。
【請求項19】
前記標的追跡デバイスが、第1の角度位置と第2の角度位置との間をスキャンして、前記1つまたは複数の光学標的を前記標的追跡デバイスの前記カメラの視野内に位置決めするように構成され、前記1つまたは複数の光学標的のうちの1つもしくは複数が前記視野外にある場合、前記海上クレーンシステムがメッセージを出力するように構成された、請求項15に記載の海上クレーンシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数の光学標的が、前記第1の船舶上の第1の光学標的と前記第2の船舶上の第2の光学標的とを含み、前記第1の光学標的が第1のタグパターンを備え、前記第2の光学標的が前記第1のタグパターンとは異なる第2のタグパターンを備える、請求項15に記載の海上クレーンシステム。
【国際調査報告】