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特表2022-523340ガラス-プラスチック接続の形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】ガラス-プラスチック接続の形成方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/10 20060101AFI20220415BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20220415BHJP
   B29C 65/40 20060101ALI20220415BHJP
   B29C 65/64 20060101ALI20220415BHJP
   B29C 65/70 20060101ALI20220415BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20220415BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
B29C39/10
B29C45/14
B29C65/40
B29C65/64
B29C65/70
C03C23/00 D
C03C15/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544917
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2020052198
(87)【国際公開番号】W WO2020157155
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】102019201350.3
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505469573
【氏名又は名称】エルペーカーエフ レーザー ウント エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】オクタヴィア・オスターマン
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・レーゼナー
(72)【発明者】
【氏名】マルテ・シュルツ-ルーテンベルク
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・オスホルト
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ヤウス
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・コロゾフスキ-
【テーマコード(参考)】
4F204
4F206
4F211
4G059
【Fターム(参考)】
4F204AD04
4F204AD24
4F204EA05
4F204EB01
4F204EB11
4F204EF05
4F204EK17
4F206AD04
4F206AD24
4F206AD33
4F206AE10
4F206AG01
4F206AG23
4F206AG26
4F206AH63
4F206JA07
4F206JB12
4F206JL02
4F206JM04
4F206JN11
4F211AD04
4F211AD24
4F211AH42
4F211TA06
4F211TA08
4F211TA14
4F211TD02
4F211TH20
4F211TN22
4F211TN27
4F211TN75
4F211TN82
4F211TN85
4G059AA01
4G059AB05
4G059AC01
4G059BB04
(57)【要約】
本発明は、形状接続であるガラス-プラスチック接続の形成方法、及び、当該方法によって得られる、ガラスとプラスチックとの形状接続による複合材料に関する。当該方法及び当該ガラス-プラスチック複合材料は、ガラス、特に平面状のガラスが、当該方法の間にも、ガラス-プラスチック複合材料においても、例えば微小クラック等の亀裂をもたらし得る機械的負荷を加えられていないことを特徴としている。対応して、ガラスは、複合材料において、応力を有さずにプラスチックに接続されている。ガラスとプラスチックとの複合材料は、特に気密及び/又は液密である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス-プラスチック複合材料を形成するための方法であって、
1.ガラス担体を供給するステップであって、前記ガラス担体は、少なくとも1つのアンダーカットを備えた、離間し、前記ガラス担体を貫通するリセスを有しており、前記アンダーカットは、前記ガラス担体の内部において前記リセスが拡張することによって形成されているステップと、
2.少なくとも1つの硬化するプラスチックを、前記リセスの領域において前記ガラス担体に塗布し、プラスチックを前記リセスに導入するステップと、
3.前記プラスチックを硬化させるステップと、
を有するか、又は、前記ステップから構成されている方法。
【請求項2】
前記リセスが、前記ガラス担体の内部で先細になった後、拡張していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リセスが、前記ガラス担体の内部において、前記ガラス担体の、硬化するプラスチックが塗布される表面とは反対側に位置する表面への方向において拡張していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記リセスを有するガラス担体が、リセスが形成されるべき箇所において前記ガラス担体がレーザーパルスで処理された後、エッチングされることによって供給されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス担体を貫通するリセスが、互いに対して傾斜していること、及び、異なるプラスチックが、前記ガラス担体の向かい合う表面に塗布されており、それぞれ前記リセスに導入されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラス担体を貫通するリセスが、前記リセスの一方の部分が、前記ガラス担体の第1の表面から、前記ガラス担体の向かい側の第2の表面に向かって延在し、前記リセスの他方の部分が、前記ガラス担体の第2の表面から、前記ガラス担体の第1の表面に向かって延在するように配置されていること、及び、異なるプラスチックが、前記ガラス担体の向かい合う表面に塗布されており、それぞれ前記リセスに導入されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記リセスが、互いに対して間隔を有して配置されており、前記間隔は、前記ガラス担体の表面の平面で測定して、前記リセスの直径の少なくとも10%であり、20倍までであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
硬化するプラスチックが、前記プラスチックの軟化温度若しくは融解温度より高い温度において熱可塑性プラスチックであるか、又は、硬化して熱硬化性プラスチックを形成可能である混合物であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記プラスチックが経路を形成し、前記経路の横断面は、前記ガラス担体によって覆われ、前記プラスチックは、前記ガラス担体の領域の周囲を囲んでおり、前記ガラス担体は、前記プラスチックによって囲まれた前記ガラス担体の領域において、貫通する貫通孔を有していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プラスチックを、前記経路を形成する前記プラスチックによって周囲を包囲された前記ガラス担体の領域に塗布する前に、レーザー光線の照射と後続のエッチングとによって、前記ガラス担体を貫通するリセスが形成されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも2つの前記ガラス担体が、前記ガラス担体のリセスで、互いに適合しており、前記ガラス担体の間には、前記プラスチックが配置され、前記プラスチックは、互いに対して適合するように配置された前記リセスに導入されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記プラスチックが、互いに対して適合するように配置された前記リセスに導入される場合、少なくとも2つの前記ガラス担体が、互いに直接当接して配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2つの前記ガラス担体が、互いに間隔を有して配置され、互いに対して動かされ、この際、前記プラスチックが、互いに対して適合するように配置された前記リセスに導入されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記プラスチックを前記リセスに導入する前に、前記ガラス担体よりも低い軟化温度又は融解温度を有するガラスフリットが、少なくとも1つの前記リセスに、又は、全ての前記リセスに導入され、前記ガラス担体は、少なくとも1つの前記リセス又は全ての前記リセスに導入された前記ガラスフリットと共に、前記ガラスフリットの軟化温度又は融解温度よりも高く、かつ、前記ガラス担体の軟化温度又は融解温度よりも低い温度にまで加熱されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記プラスチックが、熱を加えること、前記プラスチック上で前記ガラス担体に向けられた圧力を加えること、前記プラスチックが塗布される前記ガラス担体の表面とは反対側の表面に陰圧を加えること、及び/又は、前記プラスチックに超音波を印加することによって、前記リセスに導入されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
特に、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法に基づいて得られるガラス-プラスチック複合材料において、プラスチックがリセス内に硬化して配置されており、前記リセスは、ガラス担体を貫通するように配置されており、前記ガラス担体内部で拡張して、少なくとも1つのアンダーカットを形成していることを特徴とするガラス-プラスチック複合材料。
【請求項17】
前記ガラス担体の向かい合う表面に、異なるプラスチックが配置されており、前記プラスチックは、前記ガラス担体のリセス内に配置されており、前記ガラス担体を貫通する前記リセスは、前記リセスの一方の部分が、前記ガラス担体の第1の表面から、前記ガラス担体の向かい側の第2の表面に向かって延在し、前記リセスの他方の部分が、前記ガラス担体の第2の表面から、前記ガラス担体の第1の表面に向かって延在するように配置されていることを特徴とする、請求項16に記載のガラス-プラスチック複合材料。
【請求項18】
少なくとも2つの前記ガラス担体が、前記ガラス担体のリセスで、互いに対して適合するように配置されており、互いに対して適合するように配置された前記リセスに、プラスチックが導入されており、前記ガラス担体を互いに接続していることを特徴とする、請求項16又は17に記載のガラス-プラスチック複合材料。
【請求項19】
前記ガラス担体が、前記ガラス担体の周に沿って、前記プラスチックによって囲まれ、前記ガラス担体は、前記プラスチックによって囲まれた、前記プラスチックが含まれない領域を有していることを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載のガラス-プラスチック複合材料。
【請求項20】
前記プラスチックが、経路又は開口部を有する内壁を形成し、前記開口部の横断面は前記ガラス担体によって覆われ、前記ガラス担体は、前記ガラス担体のガラス-プラスチック複合材料の外側の領域で、前記経路又は前記開口部の内法の横断面を覆っており、当該領域において、貫通する貫通孔を有していることを特徴とする、請求項16から19のいずれか一項に記載のガラス-プラスチック複合材料。
【請求項21】
前記ガラス-プラスチック複合材料の領域内に配置された、前記ガラス担体の貫通する貫通孔には、有機残基を有する少なくとも1つの有機コーティングが結合していることを特徴とする、請求項20に記載のガラス-プラスチック複合材料。
【請求項22】
検体を含み得る流体が、ガラス担体と接触し、前記ガラス担体は、ガラス-プラスチック複合材料の領域の外側において、前記ガラス担体を貫通するリセスを有する、分析するための方法における、請求項16から21のいずれか一項に記載のガラス-プラスチック複合材料の使用。
【請求項23】
前記リセスが、前記ガラス-プラスチック複合材料の外側の領域において、前記リセスの内側表面に、有機残基を有する有機コーティングを備えており、前記有機コーティングは、検体と結合し得ることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状接続であるガラス-プラスチック接続の形成方法、及び、特に当該方法によって得られる、ガラスとプラスチックとの形状接続による複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
当該方法及び当該方法によって得られるガラス-プラスチック複合材料は、ガラス、特に平面状のガラスが、当該方法の間にも、ガラス-プラスチック複合材料においても、例えば微小クラック等の亀裂をもたらし得る機械的負荷を加えられていないことを特徴としている。対応して、ガラスは、複合材料において、応力を有さずにプラスチックに接続されている。ガラスとプラスチックとの複合材料は、流体に対して密閉されており、特に気密及び/又は液密であり、例えば水性の組成物に対して密閉されている。
【0003】
当該方法及びガラス-プラスチック複合材料は、任意で付加的な材料を複合材料に導入しないこと、例えばガラス-プラスチック複合材料には、接着剤及びシーリング材が含まれていないことも特徴としている。
【0004】
ガラス-プラスチック複合材料の実施形態は、プラスチック層及びガラスの平面的な接続と、例えばプラスチック内のリセス又は貫通孔等のプラスチック内の開口部を覆うガラス、特にプラスチックから成る経路の横断面を例えば端部において覆い、プラスチックと接続されたガラスと、を含んでいる。ガラス-プラスチック複合材料は、全面的又は部分的に、ガラスとプラスチックとの間で、例えば直線状に、又は、湾曲して、線状に連続して、又は、部分的に若しくは中断して、任意で周方向において閉じられて、又は、部分的にのみ例えばプラスチック内のリセスの周に沿って、延在可能である。
【0005】
ガラス-プラスチック複合材料の領域の外側では、ガラス及び/又はプラスチックは、流体、特に液体又は気体の通過を許容するリセス及び貫通孔を有する可能性がある。
【0006】
特許文献1は、2つの平行に配置されたワークピースの接続のために、重なり合うリセスに硬化可能なプラスチックを充填することを記載しており、リセスは、U字形に、若しくは、一方のワークピースの表面のみから止まり穴へのアンダーカットを有する止まり穴として延在可能であるか、又は、プラスチックは、他方のワークピースに背向する表面に、端部を有している。ガラスは、ワークピースの材料としては挙げられていない。
【0007】
特許文献2は、金属表面とガラス表面との、当該表面の間のプラスチックを通じた接続について記載しており、当該プラスチックは、表面の孔に進入することになっている。
【0008】
特許文献3は、ハウジングの部材をハウジングと接続するために、ハウジングを射出成形によって形成し、その際に部材のインサート成形を行うことを記載している。
【0009】
特許文献4は、射出成形鋳型内部で、ガラスをプラスチックでインサート成形することによって、ガラスを囲むことを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第10155312号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0221254号明細書
【特許文献3】欧州特許第2977004号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1543935号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、ガラス及びプラスチックの間の接続を形成するための代替的な方法と、ガラス-プラスチック複合材料とを提供することにあり、当該複合材料は、好ましくは流体に対して密閉されており、さらに好ましくは、ガラスとプラスチックとが、温度が変化した際に、異なる膨張性状を有する場合に、流体に対して密閉されている。当該ガラス-プラスチック複合材料は、好ましくは付加的な材料、例えば接着剤又はシーリング材を有さないべきである。好ましくは、当該ガラス-プラスチック複合材料は、形状接続であり、ガラスとプラスチックとからのみ構成されているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、本課題を、請求項の特徴で解決し、特に以下のステップを有する、又は、以下のステップから構成される方法を提供する。
1.ガラス担体を供給するステップであって、当該ガラス担体は、少なくとも1つのアンダーカットを備えた、離間し、ガラス担体を貫通するリセスを有しており、当該アンダーカットは、ガラス担体の内部に形成されているステップ。
2.少なくとも1つの硬化するプラスチックを、リセスの領域においてガラス担体に塗布し、プラスチックをリセスに導入するステップ。
3.プラスチックを硬化させるステップ。
【0013】
アンダーカットは、ガラス担体を貫通するように形成され、かつ、ガラス担体内部で拡張するリセスによって形成されている。付加的に、リセスは、ガラス担体内部で先細になっていてよく、従ってリセスは、先細になった後、拡張し、ガラス担体内部にアンダーカットを形成している。
【0014】
ガラス担体を貫通するリセスは、表面からガラス担体を通って、反対側の表面に向かって延在する。一般的に、好ましくは、リセスはそれぞれ長手軸を有しており、当該長手軸は、垂直に、又は、ガラス担体の1つ又は両方の向かい合う表面に対して90°異なる角度において延在しており、ガラス担体の表面は、互いに対して平行である。
【0015】
リセスを有するガラス担体は、好ましくは、ガラス担体の、リセスが形成されるべき箇所が、レーザーパルスで処理され、次にガラス担体がエッチングされることによって供給される。なぜなら、レーザーパルスは、ガラス担体に変更、例えば構造的変化を生じさせ、当該構造的変化は、続いて行われるエッチングの際に、レーザーが照射されていない領域よりも速く融解するからである。ガラス担体には、ガラス担体が高い透過率を有する波長、例えば1064nmの波長を有し、例えば最大で100ps又は最大で50ps、好ましくは最大で10psのパルス長を有するレーザーパルスが適している。レーザー光源は、パルス状に動作し、レーザー光線は、部分的に又は中断を有して、ガラス担体の上方を移動する。パルス周波数と、ガラス担体上方におけるレーザー光線の移動速度とを通じて、ガラス担体に照射されるパルスの間隔が調整される。
【0016】
ガラス担体を貫通するリセスの内、例えば少なくとも一部は互いに対して傾斜しているか、もしくは、互いに対して平行ではなく、及び/又は、当該リセスは、ガラス担体の向かい合う平行な表面の間に延在する垂線に対して傾斜しているが、これらのリセスは、ガラス担体をレーザーパルスで、表面に対して90°よりも小さい角度において処理した後、エッチングすることによって形成され得る。互いに対して傾斜し、平行ではない、ガラス担体を貫通するリセスは、ガラス-プラスチック複合材料を形成するのに適しており、当該複合材料においては、それぞれ2つの異なるプラスチックの内の一方が、ガラス担体の向かい合う表面の内の一方に塗布され、リセス内に延在する。この際、異なるプラスチックは、それぞれガラス担体のリセスの一部で固定され、これによって、ガラス担体を用いて形状接続的に接続されている。
【0017】
エッチングは、例えば1重量%から20重量%までのフッ化水素酸、及び/又は、硫酸、及び/又は、塩酸、及び/又は、リン酸を用いて、例えば5℃から40℃の温度において行われ得る。好ましくはガラス担体を貫通するリセスを、ガラス担体にレーザーパルスを照射した後にエッチングを行うことによって形成することは、ガラス担体が、これらの方法ステップによって形成される亀裂又は応力を有さないという利点を有している。
【0018】
ガラス担体は、平面であってよく、特にレーザーパルスの照射前、及び、エッチングの前には、例えば800μmまで、好ましくは100μmから800μm、例えば300μmから500μmまでの厚さを有し、エッチングの後では、例えば50μmから700μm又は200μmまで減少した厚さと、レーザーが照射された領域に、貫通するリセスとを有している。レーザーパルスと後続のエッチングとを用いたリセスの形成の際、このような貫通するリセスは、概ねシリンダ形であってよく、例えば3°から15°のわずかな角度で、ガラス担体の表面からガラス体積内に円錐形を成している。当該リセスは、ガラス担体の厚さによって、砂時計形状の横断面を有することが可能であり、当該横断面においては、直径は、ガラス担体の厚さに沿って、中央に向かって減少し、例えば漏斗形になっており、中央から、反対側の表面までは、漏斗形に拡大している。これによって、リセスの横断面が最小になる領域が、ガラス担体の厚さの内部に形成される。この横断面が最小になる領域は、好ましくはアンダーカットを形成している。この際、漏斗形の傾斜は、略直線的であり得る。
【0019】
リセスは、例えばガラス担体の表面の平面で測定して、10μmから1mm、例えば20μm又は50μmから800μmまで、又は、700μmまで、600μmまで、500μmまで、400μmまで、又は、300μmまで、又は、200μmまで、又は、100μmまでの範囲で、それぞれ+50μm及び/又は-50μmの範囲の横断面を有し得る。一般的に、好ましくは、リセスを有するガラス担体は、複数のリセスを有しており、例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも100又は少なくとも200のリセスを、例えば少なくとも1cm又は少なくとも2cmの区間にわたって、例えば2cmから20cmまで、又は、10cmまでの区間にわたって有している。一般的に、リセスは、0.2mmから2mmの間隔で、例えば少なくとも1cm又は少なくとも2cmの区間にわたって、例えば2cmから20cmまで、又は、10cmまでの区間にわたって配置されていてよい。
【0020】
リセスは、少なくとも1つのアンダーカットを有している。任意で、付加的なアンダーカットは、ガラス担体を貫通するリセスであってよく、従って、一方の表面は、反対側の表面からガラス担体に塗布されるプラスチックのための付加的なアンダーカットを形成する。
【0021】
アンダーカットは、リセスがガラス担体の内部で拡張することによって、特にガラス担体の、硬化するプラスチックが塗布される表面とは反対側の表面への方向において拡張することによって、形成される。代替的又は付加的に、アンダーカットは、リセスが先細になった後、例えばそれぞれ円錐形に拡張することによって形成されていてもよい。表面からガラス担体内に延在する円錐形のリセスは、ガラス担体のレーザーパルスが照射された箇所に沿ったエッチングによって形成される。なぜなら、エッチング反応は、ガラス表面から、照射された箇所に沿って、ガラス体積内に進行し、従って、ガラス表面の近くで、比較的長い作用時間を有するからである。エッチング反応は、ガラス担体の全ての、又は、両方の向かい合う表面に作用するので、例えば最小の横断面までの、ガラス担体の表面から延在する横断面が生じ、当該横断面は、ガラス担体の表面の間に位置し、反対側の表面に対して拡張している。
【0022】
リセスは、例えば互いに対して間隔を有して配置されており、当該間隔は、ガラス担体の表面の平面で測定して、リセスの直径の少なくとも10%、少なくとも20%又は少なくとも50%又は少なくとも200%である。当該間隔は、ガラス担体の表面の平面で測定して、例えばリセスの直径の20倍まで、又は、15倍まで、又は、10倍まで、例えば200%まで、又は、100%まで、又は、50%までである。
【0023】
硬化するプラスチックは、例えば熱可塑性プラスチックであってよく、そのガラス転移温度より高い温度、又は、その融解温度より高い温度まで加熱されている。加熱は、例えばプラスチックのレーザー照射によって、及び/又は、例えば超音波溶接等の、超音波の印加によって行われ、例えば任意で、プラスチックのガラス担体への押し付けと同時に、又は、その前に行われ得る。代替的に、熱可塑性プラスチックが、射出成形によって、3D印刷又はその他の印刷方法によって、液体の状態で塗布され得る。代替的に、プラスチックは、その硬化の前又は硬化の間に塗布される熱硬化性プラスチックであってよい。任意で、熱硬化性プラスチックの硬化は、照射によって、例えば任意でレーザー光線である紫外線放射によって開始し得る。
【0024】
この際、硬化するプラスチックには、ステップ2において、プラスチックをリセス内に押し込む圧力が加えられ、及び/又は、プラスチックは、毛細管力によって、リセス内に引き込まれる。任意で、付加的な超音波振動が、ガラス担体及び/又は硬化するプラスチックに加えられ得る。
【0025】
熱可塑性プラスチック、又は、反応して熱硬化性プラスチックを形成する硬化可能な混合物は、好ましくはガラス担体を貫通するリセス内に、例えば5μmから100μmまで、例えば10μmから20μmまでの直径を有するリセス内に、毛細管力によって引き込まれるために十分に低い粘性を有し得ることが明らかになっている。圧力は、硬化するプラスチックをガラス担体に対して押し付ける陽圧であるか、又は、ガラス担体のプラスチックに向かい合う表面から、貫通するリセスを通って、プラスチックをリセス内に引き込む陰圧であってよい。好ましくは、プラスチックがリセスの少なくとも1つのアンダーカットを含むまで、プラスチックはリセスに導入される。
【0026】
プラスチックの硬化は、プラスチックが熱可塑性プラスチックの場合、例えば凝固によって、特に冷却によって行われ、又は、プラスチックが熱硬化性プラスチックの場合、反応性硬化によって行われ得る。
【0027】
ガラス-プラスチック複合材料は、形状接続的による複合材料であり、当該複合材料では、プラスチックは、表面上に、かつ、ガラス担体のリセス内の配置されていることが明らかになっている。プラスチック及びガラス担体の重なり合う表面は、小さい寸法においてさえも、流体に対して密閉されているために十分な面積を有する。ガラス担体を貫通するリセスは、リセス内に形成されたアンダーカットが、形状接続的かつ流体に対して密閉された接続を、アンダーカット内に導入されたプラスチックと形成するという利点を有する。この際、一般的に、プラスチックは、温度変化が生じた場合に、ガラス担体とは異なる膨張性状を有し得る。プラスチックがガラス担体よりも小さい程度で膨張する場合、プラスチックは、好ましくはより強く、例えば円錐形のリセスに引き込まれ、プラスチックがガラス担体よりも大きい程度で膨張する場合、プラスチックは、好ましくはより強く、例えば円錐形のリセスの内壁に対して垂直に押し付けられる。
【0028】
任意で、ガラス担体は、ガラス-プラスチック複合材料の外側の領域において、閉じられた表面を有するか、又は、流体に対して密閉されていてよい。さらに任意で、ガラス担体は、ガラス-プラスチック複合材料の外側の領域において、リセスを有することが可能であり、当該リセスは、好ましくは貫通しており、例えば液体及び/又は気体の通過のための流路を形成する。ガラス-プラスチック複合材料の外側の領域におけるガラス担体のリセスは、好ましくは、周囲をガラス-プラスチック複合材料によって囲まれており、プラスチックは、例えば経路を形成し、当該経路の一方の端部がガラス担体によって覆われるか、又は、プラスチックは、例えば容器の内壁を形成しており、当該内壁において、開口部はガラス担体によって覆われる。この際、ガラス-プラスチック複合材料の外側の領域は、プラスチック又はガラス-プラスチック複合材料によって囲まれ、内法の内側横断面を覆う領域であってよい。一般的に、ガラス担体のこのようなリセス、特にガラス-プラスチック複合材料の外側の領域における貫通したリセスは、その表面にコーティングを、好ましくは専らリセスの表面にコーティングを有し得るので、リセスの外側におけるガラス担体の表面は、コーティングを有さないか、又は、例えば不活性である別のコーティングを有している。
【0029】
コーティングは、例えばC1~C12脂肪族基等の有機残基を有する有機コーティングであってよく、任意で例えば有機シラン化合物(APTES)との反応によって生成されるアミノ基、カルボン酸基を含んでいる。リセスのコーティングには、さらなる反応性物質、例えばプロテイン、特に抗体、又は、試料の検体と反応する核酸が吸着していてよい
【0030】
本発明は、特に分析するための方法にも関しており、当該方法においては、ガラス-プラスチック複合材料に固定されたガラス担体は、好ましくはガラス担体を貫通するリセスであるリセスを、ガラス-プラスチック複合材料の外側の領域において有しており、当該ガラス担体は、流体と接触する。この際、ガラス担体は、流体のための篩を形成し、流体のサイズ分離を行うための方法において用いられ得る。好ましくは、分析方法において、流体に含まれ得る検体と、ガラス-プラスチック複合材料の外側に配置された貫通するリセス内に設けられたコーティングとの相互作用が検出される。検出は、例えば光放射の際の光吸収又は発光の測定を通じて行われ得る。
【0031】
一実施形態では、ガラスフリットが、ガラス担体の少なくとも1つのリセスに、好ましくはガラス担体の全てのリセスに導入される。ガラスフリットは、好ましくは、ガラス担体よりも低い軟化温度又は融解温度を有しており、ガラス担体は、少なくとも1つのリセス又は全てのリセスに導入されたガラスフリットと共に、例えばガラスフリットの軟化温度又は融解温度よりも高く、かつ、ガラス担体の軟化温度又は融解温度よりも低い温度にまで加熱される。
【0032】
この際、ガラスフリットは、ガラス-プラスチック複合材料においてプラスチックによって覆われるリセスにのみ、及び/又は、ガラス-プラスチック複合材料の外側の領域に位置するリセスにのみ導入され得る。
【0033】
ガラスフリットは、異なる融解温度を有する様々な種類のガラスのガラスフリットから構成されていてよい。ガラスフリットの少なくとも1つの種類のガラス、好ましくは全ての種類のガラスの融解温度は、ガラス担体の軟化温度よりも低く、好ましくは融解温度よりも低い。好ましくはペーストの形状で存在するガラスフリットは、印刷方法によって、ガラス担体のリセスに導入され得る。ガラスフリット又はガラスフリットペーストは、好ましくは次に、ガラス担体を、ガラスフリットの少なくとも1つの種類のガラス又は全ての種類のガラスの融解温度よりも高く、かつ、ガラス担体の軟化温度よりも低い、好ましくはガラス担体の融解温度よりも低い温度にまで加熱することによって、少なくとも部分的に融解する。冷却の後、ガラスフリットは、多孔質のガラス構造、例えば多孔質層を、リセス内に形成することが可能であり、当該ガラス構造は、好ましくはリセスに付着し、特に形状接続的に、リセスのアンダーカットに接続されている。
【0034】
ガラスフリットからリセス内に形成されている多孔質のガラス構造又は多孔質層は、複数のアンダーカットを有しており、プラスチックとの接続を強化することが可能であり、好ましくは、摩擦接続及び/又は形状接続によるガラス-プラスチック複合材料を形成する。
【0035】
一実施形態において、それぞれリセスを有する少なくとも2つのガラス担体の間にガラス-プラスチック複合材料が形成される(図3を参照)。この際、ガラス担体は、好ましくは、ガラス担体がそれぞれ、そのリセス内に、プラスチックによって包囲されるそれぞれ1つのアンダーカットを有するように配置され、例えば、ガラス担体は、それぞれ円錐形に貫通するリセスを有することが可能であり、そのより小さい直径が、他方のガラス担体のリセスのより小さい直径に対向しているように、又は、リセスが、そのより大きい直径で、他方のガラス担体に背向しているように配置されていてよい。この際、これらの少なくとも2つのガラス担体は、例えば温度センサとして用いるために、異なる熱膨張係数を有していてよい。この際、少なくとも2つのガラス担体は、そのリセスで、互いに対して適合しており、当該ガラス担体の間にはプラスチックが配置され、当該プラスチックは、互いに対して適合するように配置されたリセス内に導入され得る。この際、少なくとも2つのガラス担体は、プラスチックが、互いに対して適合するように配置されたリセス内に導入される場合、互いに直接当接するように配置され得る。代替的に、少なくとも2つのガラス担体は、互いに対して間隔を有して配置可能であり、プラスチックは、一方又は両方のガラス担体の上に配置されており、ガラス担体は、互いに対して動かされ得るので、この際、プラスチックは、互いに適合するように配置されたリセス内に導入される。
【0036】
任意で、ガラス担体とプラスチックとから成るガラス-プラスチック複合材料、及び/又は、2つのガラス担体の間におけるガラス-プラスチック複合材料は、例えば、電子機器のための表示面として、及び/又は、タッチセンサ式の表示面として用いるために、ガラスインサート成形を形成し得る。
【0037】
任意で、プラスチックは、例えばガラス-プラスチック複合材料をセンサ面として利用するために、導電性を有していてよく、例えば導電性シリコーンであってよい。一般的に、本発明では、ガラスの代わりに、少なくとも部分的に、レーザーパルスを透過させ、特に無機材料である他の材料を用いることが可能である。ガラスの代わりに用いることができる材料は、例えばケイ素又はサファイアである。対応して、ガラス担体の代わりに、例えば、リセスを有するケイ素担体又はサファイア担体が、プラスチック複合材料を形成し得る。ケイ素から成る担体には、リセスが、エッチングレジストのコーティング、フォトリソグラフィを用いたエッチングレジスト内への穴の形成、エッチング、及び、後続のエッチングレジストの除去、によって形成され得る。
【0038】
さらなる実施形態では、ガラス-プラスチック複合材料が、ガラス担体の向かい合う表面に塗布され、それぞれガラス担体のリセスに導入されている2つの異なるプラスチックの間に形成される。これらの異なるプラスチックは、好ましくは、例えば溶接又は接着によっては接続できないものである。一般的に、特に当該実施形態では、リセスは、ガラス担体を貫通するように形成されており、それぞれアンダーカットを有し、及び/又は、互いに対して傾斜して、好ましくは少なくとも一部が互いに対して傾斜し、平行にではなく、ガラス担体を通って延在する。これは、図14に概略的に示されている。この際、ガラス担体を通って延在するリセスの長手軸が互いに対して傾斜している場合、リセスは互いに対して傾斜している。
【0039】
この際、2つの異なるプラスチックの間にガラス-プラスチック複合材料が形成される実施形態を、ガラス-プラスチック複合材料が、少なくとも2つのガラス担体の間に形成される実施形態と組み合わせることが可能である。この際、少なくとも1つのガラス担体上で、その向かい合う表面にそれぞれ異なるプラスチックが塗布され、ガラス担体のリセスに導入されていると共に、少なくとも1つのさらなるガラス担体が、ガラス-プラスチック複合材料によって、プラスチックの内の1つに接続されている。好ましくは、ガラス担体は、互いに対して平行に配置されている。
【0040】
任意で、プラスチックは、ガラス担体のリセスが設けられた縁部に沿ってのみ配置されていてよく、これによって、ガラス担体の周囲に配置され得るプラスチック縁部が形成される。このようなプラスチック縁部は、ガラス担体の2つの向かい合う表面を接続するガラス担体の表面を含むことが可能であり、ガラス担体の一方の表面又は両方の向かい合う表面上に延在可能である。この際、ガラス担体の向かい合う表面の内一方又は両方の表面の、プラスチックに包囲されたガラス担体の領域に隣接する領域は、プラスチック又はプラスチック縁部によって包囲された領域よりも大きい厚さを有している。このために、当該方法では、より大きい厚さを有するべき領域は、レジストとも呼ばれる、エッチング浴に耐性を有するコーティングでコーティングされていてよく、これによって、エッチングの際、レジストの外側のガラス担体の領域のみがより薄くなり、当該領域においてレーザーが照射された箇所のみが、エッチングされてリセスを形成する。
【0041】
ガラス-プラスチック複合材料は、例えば、ガラスの縁部に縁部保護を形成し、シールを形成し、マイクロ流体流路の一部を形成し、又は、プリント基板、特にインターポーザーを、例えば回路の担体として形成し得る。対応して、ガラス担体は、その縁部領域に沿って形成されたガラス-プラスチック複合材料で、マイクロ流体流路として、プリント基板として、特にインターポーザーとして用いられ得る。
【0042】
一般的に、本発明は、ガラス担体の厚さを貫通するリセスを有し、リセス内部にアンダーカットを有する、例えば円錐形又はV字形の横断面を有するガラス担体を形成するための方法に関する。リセスは、円錐形又は回転対称又は線状であってよい。この際、リセスは、リセスの一方の部分が、ガラス担体の第1の表面から、その向かい側の第2の表面に向かって延在し、リセスの他方の部分が、ガラス担体の第2の表面から、その第1の表面に向かって延在するように配置されていてよい。当該実施形態では、当該方法は、そのリセス内に位置するアンダーカットが、一方ではガラス担体の第1の表面の近くに、他方ではガラス担体の第1の表面の反対側の第2の表面の近くに配置されているガラス担体を形成する。エッチングの際に取り残される、リセスの間に配置されたガラス担体の領域の横断面は、ガラス担体の第1の表面から、反対側の第2の表面に向かって逆に延在しているが、当該領域は、部分的に、又は、線状に形成されたリセスの場合、ガラス担体の第1の表面から反対側の第2の表面まで、平行四辺形の横断面を有することが可能であり、ガラス担体の表面に対して、例えば90°より小さい、又は、85°より小さい、80°より小さい、又は、75°より小さい、又は、70°より小さい角度で傾斜していてよい。当該実施形態は、特に、ガラス担体の向かい合う表面に塗布され、向かい合う表面からリセスに導入される2つの異なるプラスチックの接続に適している。このようなガラス-プラスチック複合材料は、異なるプラスチックを、間に位置するガラス担体を用いて、互いに固定するので、これらのプラスチックは、任意で、互いに、及び/又は、ガラス担体と、材料接続され得ない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を示す図である。
図2】本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を形成するための方法を示す図である。
図3】A)およびB)は、本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を形成するための方法を示す図である。
図4】A)からC)は、本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を形成するための方法を示す図である。
図5】本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を示す図である。
図6】本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を示す図である。
図7A】本発明に係るガラス-プラスチック複合材料のカット面を示す図である。
図7B】本発明に係るガラス-プラスチック複合材料のカット面を示す図である。
図8】本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を示す図である。
図9】A)からC)は、本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を形成するための方法であって、リセスが、ガラス担体の向かい合う両方の表面からアンダーカットに向かって、ガラス担体の両方の表面から間隔を有して先細になっている方法を示す図である。
図10】A)からC)は、本発明に係るガラス-プラスチック複合材料を形成するための方法であって、リセスが、ガラス担体の一方の表面から、反対側の表面に向かって先細になっており、アンダーカットを形成している方法を示す図である。
図11】A)からC)は、当該方法の一実施形態を示す図である。
図12】A)からC)は、当該方法のさらなる実施形態を示す図である。
図13】A)からD)は、当該方法のさらなる実施形態を示す図である。
図14】A)およびB)は、当該方法の一実施形態を示す図である。
図15】A)からE)は、ガラス担体にリセスを形成するための好ましい方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
一般的に、当該方法と共に、当該方法で得られるガラス-プラスチック複合材料についても記載される。
【0045】
図1は、ガラス担体1の横断面を概略的に示しており、ガラス担体1の貫通している円錐形のリセスには、プラスチック2が導入されており、形状接続的な接続が形成されている。
【0046】
一般的に、任意で、プラスチック2は、例えばガラス担体1を、プラスチック2が塗布される表面の反対側の表面で、カバープレート3を用いて覆うことで陰圧が加えられることによって、及び、図2において概略的に示されたように、陰圧ΔPが加えられることによって、ガラス担体1の貫通しているリセスに導入され得る。
【0047】
図3A)は、それぞれ円錐形に拡張することによってアンダーカットを備えたリセスを有する2つのガラス担体1の接続を概略的に示しており、リセス4のより小さい横断面は、互いに対向しており、貫通しているリセス4のより大きい横断面は、ガラス担体1の互いに背向する表面に配置されている。熱及び圧力を用いることによって、又は、熱硬化性プラスチックの硬化によって、プラスチック2を通じて、両方のガラス担体1の間に形状接続的な接続が形成される(図3B)。
【0048】
図4は、ガラス担体1の1つの表面のみを覆うガラス-プラスチック複合材料の形成を概略的に示している。この際、ガラス担体1は(図4A)、例えばガラス担体1を、溶媒に溶解したプラスチック(例えばアセトンに溶解したABS)又は熱硬化性プラスチックのための硬化可能な出発混合物等の、プラスチックの液状組成物に浸すことによって(図4B)、硬化可能なプラスチックと表面上で接触する。
【0049】
図4Cに示されているように、プラスチック2は、形状接続によってガラス担体1に接続されたコーティングを形成しており、当該コーティングは、円錐形に拡張するリセス内に、かつ、リセスを通って延在している。
【0050】
図5は、プラスチック2から成り、ガラス担体1に取り付けられたプラスチック縁部の横断面を概略的に示しており、ガラス担体1は、アンダーカットを備えたリセスを、リセスがガラス担体1の厚さを貫通するように配置され、レーザーパルスの照射と、それに続く両方の表面のエッチングとを用いた好ましい形成方法に基づいて、ガラス担体1内部で最小の横断面を有する領域に向かって円錐形に先細になっていることによって有している。
【0051】
図6は、ガラス担体1を概略的に示しており、ガラス担体1は、貫通するリセスを有し、プラスチック2に接続され、内壁を形成し、ガラス担体1によって覆われた開口部を有している。この際、ガラス担体1は、ガラス-プラスチック複合材料を通じて、周縁領域においてプラスチック2に接続されており、プラスチック2によって囲まれたプラスチック2の外側の領域においても同じく、貫通するリセスを有している。
【0052】
図7Aは、ガラス担体1のカット面を示しており、当該カット面では、好ましい方法で、レーザーパルスと後続のエッチングとによって、ビアホール4が形成されており、ビアホール4は、ガラス担体1の両方の表面から、円錐形に連続して延在し、横断面が最小となる箇所にアンダーカットを形成する。ガラス担体1は、少ない圧力で、液化した熱可塑性プラスチック2に対して動かされており、プラスチック2は、ガラス担体1の貫通するリセスを通って延在し、ガラス担体1の反対側の表面に流出し、形状接続的な接続を形成する。図7Bは、2つの互いに接続されたガラス担体1のカット面を示しており、リセス4は、横断面が最小の領域を、アンダーカットとして、リセス4内部に有している。
【0053】
図8は、本発明に係るガラスインサート成形を示している。この際、ガラス担体1は、その周方向領域において、ガラス担体1を貫通するリセスと、ガラス担体1内部のリセス内に形成されたアンダーカットと、を有している。プラスチック2は、ガラス担体1を、その周方向領域に沿って包囲している。
【0054】
図9及び図10は、リセス4を有するガラス担体1を概略的に示しており(図9では、ガラス担体1の中央に、最小の内側横断面を有するビアホール4、図10では、漏斗形がアンダーカットを形成しているビアホール4)、当該ビアホールには、ガラス担体1上にもたらされたプラスチック2が、熱及び圧力Fを用いて押し込まれる。この際、ガラス担体1には(図9A図10A)、プラスチック2が、その表面の内の1つに塗布され(図9B図10B)、熱とガラス担体1に向けられた圧力とによって、リセス4に導入される(図9C図10C)。プラスチック2は、それぞれリセス4内に形成されたアンダーカットの後方まで、リセス4を充填する。
【0055】
図11図14は、本発明の実施形態を概略的に示している。貫通するリセス4が形成されている、図11A)又は図12A)に示したガラス担体1の表面には、プラスチック2が塗布され(図11B図12B)、プラスチック2は、超音波及びプラスチック上でガラス担体1に向けられた圧力を用いて、リセス4内に(図11C)、又は、放射10を用いた加熱、及び、プラスチック2への方向においてガラス担体1に向けられた圧力Fによって、リセス4に(図12C)導入される。この際、図12C)は、プラスチック2が、圧力Fと、例えばレーザー光線等の放射10による加熱との組み合わせを通じて、リセス4内に導入可能であり、その円錐形は、リセス4内部にアンダーカットを形成するということを概略的に示している。
【0056】
図13A)は、円錐形の横断面を備えた貫通するリセス4を有するガラス担体1を示している。プラスチック2は、ガラス担体1の表面に面して配置され(図13B)、熱と、プラスチック上でガラス担体に向けられた圧力と、付加的にガラス担体1のプラスチック2の反対側の表面に加えられる陰圧ΔPとを用いて、リセス4内に導入される(図13C)。この陰圧ΔPは、ガラス担体1に当接するプランジャ11を通じて加えられ得るものであり、プランジャ11は、各リセスを覆う(図13C)か、又は、プランジャ11によって、プラスチック2が導入される少なくとも2つ、好ましくは全てのリセス4が覆われる。この際、プランジャ11は、図13D)に概略的に示したように、プラスチック2が導入されるリセス4が間に配置されている領域よりも突出したガラス担体1の領域に載置され得る。
【0057】
図14は、2つの異なるプラスチック2A、2Bの接続を示しており、プラスチック2A及び2Bの間には、多数の貫通するリセス4を有するガラス担体1が配置されており、当該リセス4からは、ガラス担体1の第1の表面1aの一方の部分が、その向かい側の第2の表面1bに向かって延在しており、ガラス担体の第2の表面1bの他方の部分は、その第1の表面1aに向かって延在している。
【0058】
この際、貫通しており、互いに対して傾斜したリセス4は、円錐形であるか、又は、互いに対して傾斜し、V字形の横断面を有する長いリセスであってよい。
【0059】
図15A)は、当初のガラス担体1aのリセス4が形成されるべき箇所にレーザー光線Lを照射することによって、ガラス担体1にリセス4を形成するための方法を、断面図で示している。一般的に好ましくはレーザーパルスの連続であるレーザー光線Lは、焦点位置に依存するガラス担体1aの深さにまで進入し、変更Mを形成する。図15B)は、断面図で、後続のガラス担体1aのエッチングが、ガラス担体1内にリセス4を形成することを示している。この際、レーザー光線Lは、点状又は線状に、ガラス担体1に照射され得る。リセス4からは、ガラス担体1の第1の表面の一方の部分が、その向かい側の第2の表面に向かって延在しており、ガラス担体の第2の表面の他方の部分は、その第1の表面に向かって延在しているが、当該リセス4を形成するために、当初のガラス担体1は、第1の表面及び第2の表面それぞれに、例えばガラス担体の厚さの70%まで又は80%まで又は90%までの、厚さの割合にまでガラス担体に進入するレーザー光線Lを照射され得るので、後続のエッチングの際、リセスのより大きな横断面が、レーザー光線が照射された表面に形成され、リセスのより小さい横断面は、レーザー光線によって照射されていないガラス担体1の向かい側の表面に形成される。特に、レーザー光線Lを、ガラス担体1の向かい側の表面までわずかな間隔を有する位置にまで、又は、ガラス担体1の向かい側の表面を通るまで照射することによって、後続のエッチングの際に、貫通するリセスが形成される。この際、円錐形のリセスを形成するために、レーザー光線は、点状に照射され得る。
【0060】
図15C)~図15E)は、リセス4を形成するための代替的な方法を示しており、当該方法では、当初のガラス担体1aは、レーザー光線Lで、ガラス担体1aの横断面を貫かれ、ガラス担体1の横断面を通って延在する変更Mを形成する。ガラス担体1の表面は、例えばラッカー又はプラスチックフィルム等のエッチングレジストRでコーティングされる。後続のエッチングの際、ガラス担体1は、エッチングレジストRでコーティングされた表面においては腐食しないので、形成されたリセス4は、エッチングレジストRに向かい合う表面からガラス担体1に延在している。次に、エッチングレジストRが、好ましくは除去される。
【符号の説明】
【0061】
1、1a ガラス担体
1a 第1の表面
1b 第2の表面
2、2A、2B プラスチック
3 カバープレート
4 リセス、ビアホール
10 放射
11 プランジャ
F 圧力
L レーザー光線
M 変更
R エッチングレジスト
ΔP 陰圧
図1
図2
図3A)】
図3B)】
図4A)】
図4B)】
図4C)】
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A)】
図14B)】
図15A)】
図15B)】
図15C)】
図15D)】
図15E)】
【国際調査報告】