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特表2022-523352過圧補正を有する液圧アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】過圧補正を有する液圧アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/324 20200101AFI20220415BHJP
【FI】
F04B1/324
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549131
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2020054895
(87)【国際公開番号】W WO2020173933
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】1901923
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511133761
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ヴェルサイユ・サン-クァンタン-アン-イヴェリーヌ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE VERSAILLES SAINT-QUENTIN-EN-YVELINES
【住所又は居所原語表記】55 avnue de Paris, 78000 Versailles, France
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルファイド,サメール
(72)【発明者】
【氏名】カルドファキ,モハマド
(72)【発明者】
【氏名】スレイマン,マヤ
【テーマコード(参考)】
3H070
【Fターム(参考)】
3H070AA01
3H070AA03
3H070BB06
3H070CC07
3H070CC19
3H070DD45
(57)【要約】
本発明は、可変吐出容積式ポンプ(12)と、ポンプ(12)の送達を連続的に変化させることができる部材(20)とを備える液圧アクチュエータに関し、部材(20)は、アクチュエータ(10)移動指令に基づいて命じられる第1の方向制御弁(48)によって供給されるラム(40)によって駆動される。本発明によると、アクチュエータ(10)は、ポンプ(12)の出力圧力(P)に基づいて命じられる第2の方向制御弁(60)を備え、第2の方向制御弁(60)は2つの位置を備え、2つの位置のうちの一方(60a)は、休止位置として知られており、ポンプ(12)の出力圧力(P)が所定圧力より低い限り得られ、第1の方向制御弁(48)からの出力を複動式ラム(40)に伝達し、他方(60b)は、動作位置と呼ばれ、第1の方向制御弁(48)を介することなく、ポンプ(12)の出力圧力(P)を低下させるようにポンプ(12)の出力圧力(P)をラム(40)に伝達する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧アクチュエータ(10)であって、
可変吐出容積式ポンプ(12)と、
アクチュエータ(10)移動指令に基づいて命じられる第1の方向制御弁(48)と、
前記第1の方向制御弁(48)によって供給されるラム(40)と
を備え、
前記ポンプが可動部材(20)を備え、
前記可動部材(20)の移動により、前記ポンプ(12)の送達を連続的に変化させることが可能になり、
前記部材(20)を前記ラム(40)で移動させることができ、
前記第1の方向制御弁(48)が、前記部材が移動したときに前記部材(20)の位置を介した前記ポンプの送達に対する前記移動指令に関連付けられる連続関数を適用することができる
液圧アクチュエータ(10)において、
前記アクチュエータ(10)が、前記ポンプ(12)の出力圧力(P)に基づいて命じられる第2の方向制御弁(60)を備え、
前記第2の方向制御弁(60)が2つの位置を備え、
前記2つの位置のうちの一方(60a)が、休止位置として知られており、前記ポンプ(12)の前記出力圧力(P)が所定圧力より低い限り得られ、前記第1の方向制御弁(48)からの出力を直接、前記複動式ラム(40)に伝達し、それによって、前記ポンプ(12)が前記連続関数に従うことを可能にし、
他方(60b)が、動作位置と呼ばれ、前記ポンプ(12)の前記出力圧力(P)が前記所定圧力以上であるときに得られ、前記第1の方向制御弁(48)を介することなく、且つ、前記連続関数に従うことなく、前記ポンプ(12)の前記出力圧力(P)を低下させるように前記ポンプ(12)の前記出力圧力(P)を前記ラム(40)に伝達する
ことを特徴とする、
液圧アクチュエータ(10)。
【請求項2】
前記所定圧力が調整可能である
ことを特徴とする、
請求項1に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項3】
前記部材(20)が、前記ポンプ(12)がその送達の方向を逆転させることができるように構成される
ことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項4】
前記ラム(40)が2つのチャンバ(42、44)を備えること、及び、
前記アクチュエータ(10)が、前記ポンプ(12)の送達の方向に従って前記2つのチャンバ(42、44)の一方又は他方のいずれかに前記ポンプ(12)の前記出力圧力(P)を伝達するように構成された第3の方向制御弁(68)を備えること
を特徴とする、
請求項3に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項5】
前記液圧アクチュエータが、
前記ポンプ(12)の最高出力圧力によって前記第2の方向制御弁(60)に命じるように構成される弁の組(52)
をさらに備える
ことを特徴とする、
請求項3又は4に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項6】
前記ラム(40)が、前記第1の方向制御弁(48)の本体(80)に接続された可動棒(46)を備える
ことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項7】
前記可動棒(46)が、はめ込み式接続によって、前記第1の方向制御弁(48)の前記本体(80)に接続される
ことを特徴とする、
請求項6に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項8】
前記ポンプ(12)が、アキシアルピストン(24)によるピストンポンプであり、
前記送達の変化を可能とする部材が、前記ピストン(24)が押圧する、可変傾斜(α)を有する斜板(20)であり、
前記斜板(20)の傾斜(α)を変えることにより、前記ピストン(24)のストロークを変えることができ、
前記斜板(20)の前記傾斜(α)が、前記ポンプ(12)の前記出力圧力(P)が所定圧力より低い限り、前記第1の方向制御弁(48)を通して前記アクチュエータ(10)指令を定義するマイクロアクチュエータ(83)によって駆動される前記ラム(40)により調整される
ことを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項9】
前記液圧アクチュエータが、
前記ポンプ(12)と、
前記ポンプ(12)の作動を可能にするモータ(100)と、
前記ポンプ(12)の前記送達を連続的に変化させることを可能にする前記部材(20)と、
前記部材(20)を作動させる前記ラム(40)と、
前記ラム(40)に供給する前記第1の方向制御弁(48)と、
前記第1の方向制御弁(48)及び前記第2の方向制御弁(60)を動かすマイクロアクチュエータ(83)と
を内部に配置するケーシング(84)を備えること、並びに、
前記液圧アクチュエータが、
前記ケーシング(84)を通過し、前記アクチュエータ(10)が、前記モータ(100)を動かす電気エネルギ及び前記マイクロアクチュエータ(83)を駆動する電気信号を受けることを可能とする少なくとも1つの電気コネクタ(106)と
前記ケーシング(84)を通過し、前記アクチュエータ(10)が液圧エネルギを送ることを可能とする液圧コネクタ(108)と
をさらに備えること
を特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項10】
前記液圧アクチュエータが、
前記ポンプ(12)と、
前記ポンプ(12)の作動を可能にするモータ(100)と、
前記ポンプ(12)の前記送達を連続的に変化させることを可能にする前記部材(20)と、
前記部材(20)を作動させる前記ラム(40)と、
前記ラム(40)に供給する前記第1の方向制御弁(48)と、
前記第1の方向制御弁(48)及び前記第2の方向制御弁(60)を動かすマイクロアクチュエータ(83)と
を内部に配置するケーシング(84)を備えること、並びに、
前記液圧アクチュエータが、
前記ケーシング(84)を通過し、前記アクチュエータ(10)が、前記モータ(100)を動かす電気エネルギ及び前記マイクロアクチュエータ(83)を駆動する電気信号を受けることを可能とする少なくとも1つの電気コネクタ(106)と、
前記ケーシング(84)を通過し、前記アクチュエータ(10)が機械エネルギを送ることを可能とする機械的出力(110)と
をさらに備えること
を特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電気コネクタ(106)が、前記所定圧力の調整装置を駆動するために、前記アクチュエータ(10)が第2の電気信号を受けることを可能にする
ことを特徴とする、
請求項2に従属する請求項9又は10に記載の液圧アクチュエータ。
【請求項12】
前記第1の方向制御弁(48)が、
前記部材(20)が静止しており、前記ポンプ(12)の前記送達を変化させない中立位置(48a)と、
前記部材(20)が移動し、前記ポンプ(12)の前記送達を変化させる2つの動作位置(48b、48c)と
を備えること、並びに、
前記第1の方向制御弁(48)が、前記中立位置(48a)と前記動作位置(48b、48c)のうちの1つとの間の移行が連続的に起こるように構成されること
を特徴とする、
請求項1~11のいずれか一項に記載の液圧アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧アクチュエータに関する。このタイプのアクチュエータは、移動要素を動かすために広く使用されている。液圧エネルギの使用は、供給電力とアクチュエータの質量との間のその非常に良好な比率のために、電気エネルギに勝る利点を提供する。別の利点が、供給電力とアクチュエータの容積との間の非常に良好な比率に同様に存在する。
【背景技術】
【0002】
さらに、電動モータを採用するアクチュエータは、高速及び低トルクに対してのみ非常に好適である。特定の用途、特に、ロボット工学では、逆の状況、つまり、低速及び高トルクの状況が、往々にしてみられる。したがって、低速のための電動モータの使用は、固定及び制限された減速比で実現するには複雑である大きな減速比を必要とする。
【0003】
さらにまた、液圧式又は電気式である任意のアクチュエータの使用において、多くの場合、アクチュエータによって及ぼされる負荷又は速度を制限することに備える必要がある。制限は、負荷又は速度を測定するセンサを備えるアクチュエータ制御ループによって実現されてもよく、センサは、センサからの出力信号及び超えてはならない負荷又は速度の設定点に従ってアクチュエータの指令を調整することを可能とするコントローラと関連付けられる。
【0004】
このタイプの制限は、多くの場合、アクチュエータの作動安全性と結びつけられ、特に、アクチュエータの周囲を保護するために、望ましくない事象と関連付けられる。このタイプの制限により、アクチュエータを外的攻撃から保護することも可能となる。
【0005】
このタイプの制限を作動制御ループに組み込むことが可能である。たとえば、アクチュエータの作動が、アクチュエータのロータの角度位置に対するフィードバック制御を必要とするとき、たとえば、アクチュエータによって提供される力を制限するために、その中に安全性の制限を組み込む作動フィードバック制御ループの存在から利益を得ることが可能である。しかしながら、応答時間、安定性などに関する異なる要求により、多くの場合、作動パラメータ及び安全パラメータは異なり、その場合、2つのセンサ(パラメータのそれぞれのための1つ)を提供することが必要である。
【0006】
さらにまた、開ループ作動の場合、安全パラメータを制御するために制御ループを単独で提供することが必要であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、作動及び/又は安全性制御ループは、多数の欠点を有する。第一に、測定される量及びアクチュエータの指令を接続するシーケンスは長く、これにより、応答時間が増加する傾向がある。これは、衝撃などの予期しない瞬間的な負荷への応答において問題があることがある。さらに、制御ループの作成に必要とされる複数の構成要素は、多くの場合、アクチュエータの信頼性の低下につながる。さらに、衝撃に対して保護するために設計された安全性ループの場合、衝撃を受けやすい領域のできるだけ近くに衝撃センサを位置させることが必要である。この領域は、多くの場合、アクチュエータから離れており、それによって、センサとアクチュエータとの間の情報がとる経路は長くなる。このように長くなると、衝撃にもかかわらずアクチュエータの反応は減少する。さらに、経路の長さは、安全性ループの信頼性を低下させる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、生じる過圧の影響を防ぐために、制御ループを省くことができる液圧アクチュエータを提案することによって、上述の問題の全部又は一部を解決することに努め、その過圧は一般に、あまりに高い力、たとえば、衝撃と関連付けられる。
【0009】
本発明は、異常な作動が生じた場合に、その信頼性を損なうことなく、アクチュエータの応答時間を短縮させることを可能にする。
【0010】
このために、本発明の主題は、可変吐出容積式ポンプと、アクチュエータ移動指令に基づいて命じられる第1の方向制御弁と、第1の方向制御弁によって供給されるラムとを備え、ポンプが可動部材を備え、可動部材の移動により、ポンプの送達を連続的に変化させることが可能となり、部材をラムで移動させることができ、第1の方向制御弁が、部材が移動したときに部材の位置を介したポンプの送達に対する移動指令に関連付けられる連続関数を適用することができる、液圧アクチュエータである。本発明によると、アクチュエータは、ポンプの出力圧力に基づいて命じられる第2の方向制御弁を備え、第2の方向制御弁は2つの位置を備え、2つの位置のうちの一方は、休止位置として知られており、ポンプの出力圧力が所定圧力より低い限り得られ、第1の方向制御弁からの出力を直接、複動式ラムに伝達し、それによって、ポンプが連続関数に従うことを可能にし、他方は、動作位置と呼ばれ、ポンプの出力圧力が所定圧力以上であるときに得られ、第1の方向制御弁を介することなく、且つ、連続関数に従うことなく、ポンプの出力圧力を低下させるようにポンプの出力圧力をラムに伝達する。
【0011】
有利なことには、所定圧力は調整可能である。
【0012】
部材は、ポンプがその送達の方向を逆転させることができるように構成されてもよい。
【0013】
有利なことには、ラムは2つのチャンバを備える。その場合、アクチュエータは、ポンプの送達の方向に従って2つのチャンバの一方又は他方のいずれかにポンプの出力圧力を伝達するように構成された第3の方向制御弁を備える。
【0014】
液圧アクチュエータは、有利なことには、ポンプの最高出力圧力によって第2の方向制御弁に命じるように構成される弁の組をさらに備える。
【0015】
ラムは有利なことには、第1の方向制御弁の本体に接続された可動棒を備える。
【0016】
可動棒は、はめ込み式接続によって、第1の方向制御弁の本体に接続されてもよい。
【0017】
ポンプは、アキシアルピストンによるピストンポンプであってもよく、送達の変化を可能とする部材は、ピストンが押圧する、可変傾斜を有する斜板であり、斜板の傾斜を変えることにより、ピストンのストロークを変えることができ、斜板の傾斜は、ポンプの出力圧力が所定圧力より低い限り、第1の方向制御弁を通してアクチュエータ指令を定義するマイクロアクチュエータによって駆動されるラムにより調整される。
【0018】
液圧アクチュエータは有利なことには、ポンプと、ポンプの作動を可能にするモータと、ポンプの送達を連続的に変化させることを可能にする部材と、部材を作動させるラムと、ラムに供給する第1の方向制御弁と、第1の方向制御弁及び第2の方向制御弁を動かすマイクロアクチュエータとを内部に配置するケーシングを備える。アクチュエータは、ケーシングを通過し、アクチュエータが、モータを動かす電気エネルギ及びマイクロアクチュエータを駆動する電気信号を受けることを可能とする少なくとも1つの電気コネクタと、ケーシングを通過し、アクチュエータが液圧エネルギを送ることを可能とする液圧コネクタとをさらに備える。
【0019】
或いは、液圧アクチュエータは有利なことには、ポンプと、ポンプの作動を可能にするモータと、ポンプの送達を連続的に変化させることを可能にする部材と、部材を作動させるラムと、ラムに供給する第1の方向制御弁と、第1の方向制御弁及び第2の方向制御弁を動かすマイクロアクチュエータとを内部に配置するケーシングを備える。アクチュエータは、ケーシングを通過し、アクチュエータが、モータを動かす電気エネルギ及びマイクロアクチュエータを駆動する電気信号を受けることを可能とする少なくとも1つの電気コネクタと、ケーシングを通過し、アクチュエータが機械エネルギを送ることを可能とする機械的出力とをさらに備える。
【0020】
電気コネクタは有利なことには、所定圧力の調整装置を駆動するために、アクチュエータが第2の電気信号を受けることを可能にする。
【0021】
第1の方向制御弁は、部材が静止しており、ポンプの送達を変化させない中立位置と、部材が移動し、ポンプの送達を変化させる2つの動作位置とを備えてもよい。方向制御弁は有利なことには、中立位置と動作位置のうちの1つとの間の移行が連続的に起こるように構成される。
【0022】
単に一例として与えられる1つの実施形態の、添付図面で示される詳細説明を読み取ることから、本発明はよりよく理解され、さらなる利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によるアクチュエータの1つの例を液圧図の形態で示す。
図2図1のアクチュエータを、方向制御弁の詳細を見ることができるように示す。
図3】アクチュエータの主要素を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
明瞭さのために、同じ要素には、さまざまな図で同じ参照番号が付いている。
【0025】
本発明によるアクチュエータに採用できるさまざまなタイプの可変吐出容積式ポンプがある。
【0026】
ラジアルピストンポンプと呼ばれる、第1のタイプのポンプは、軸を中心に回転駆動されるシャフトと、円筒穴を有するハブと、シャフトに作られるラジアルシリンダで移動できるピストンとを備える。ピストンは穴の内面を摺動する。シャフトの軸と穴の軸との偏心により、ピストンがそれらのシリンダ内で移動することが可能になる。このタイプのポンプでは、それは、流体を駆動するそれらのシリンダ内のピストンの移動である。ポンプの送達は、偏心を調整することによって修正することができる。
【0027】
ベーンポンプと呼ばれる、第2のタイプのポンプは、同様に、ハブの穴で回転する偏心シャフトを採用している。ピストンは、穴の内面上で摺動するすべるベーンでとって代わられる。シャフトと穴との偏心は、2つのベーンの間に位置する容積を、増加させて、流体を2つのベーンの間に流入させる、又は、減少させて、流体を排出させる。ここでも、ポンプ送達は、偏心を調整することによって修正することができる。
【0028】
アキシアルピストンポンプと呼ばれる、第3のタイプのポンプも、流体送達を連続的に変化させることができる。このタイプのポンプは、軸を中心に回転駆動されるシャフトを同様に備える。軸と平行なシリンダがシャフト内に作られる。ピストンはシリンダ内で移動する。ポンプは、シャフトの回転軸に対して垂直な平面に対して傾斜する斜板も備える。ピストンは斜板を押圧する。斜板の傾斜により、ピストンがそれらのシリンダ内で移動することが可能となる。ポンプ送達は、斜板の傾斜を調整することによって修正することができる。
【0029】
一般に、ポンプの可動部材の移動は、その送達を修正する。ラジアルピストンポンプ又はベーンポンプの例では、可動部材はシャフトに固定され、部材の移動は、ポンプの偏心を修正するように、穴の軸に対して垂直な並進移動である。アキシアルピストンポンプの例では、斜板が可動部材を形成し、部材の移動は、シャフトの回転軸に対して垂直な平面に対する斜板の角移動である。さまざまな可変吐出容積式ポンプにおいて、ポンプ送達は、部材の位置に依存し、部材の移動が、ポンプの送達の連続的な修正を提供する。したがって、部材が移動するとき、部材の位置を介してアクチュエータ移動指令又は設定点をポンプの送達に関連付ける連続関数を定義することが可能である。この連続関数は、線形関数、すなわち、比例係数によって定義されるものであってもよい。或いは、関数が連続的なままである、つまり段階的変化を含まない場合、関数は、非線形曲線に従ってもよい。
【0030】
図1は、アキシアルピストンポンプを備えるアクチュエータ10の例を、液圧図の形態で示す。上記のように、任意のタイプの可変吐出容積式ポンプで本発明を実行することが可能である。
【0031】
アクチュエータ10は、図1に示されていないモータによって軸16を中心に回転駆動されるシャフト14を備えるアキシアルピストンポンプ12を備える。軸16と平行に延在するいくつかのシリンダ18は、シャフト14内に作られる。ポンプ12は、軸16に対して垂直な平面22に対して傾斜することができる斜板20を備える。斜板20の傾斜αは、軸16に対して垂直な軸23を中心に定義される。斜板20は、傾斜αを変化させることができるように、軸23を中心とした回転運動が可能である。斜板20のゼロ傾斜αは、この斜板が軸16に対して垂直であるとき、すなわち、斜板20が平面22内で延在するときとして定義される。ピストン24は、それぞれのシリンダ18内で移動してもよい。ピストン24は、斜板20を押圧する。斜板20は、平面22に対する斜板20の傾斜αを変えることによって、ポンプ12の送達を連続的に変化させることを可能とする部材を形成する。斜板20は、シャフト14とともに回転しない。斜板20が軸16に対して垂直であるとき、ピストン24はそれらのシリンダ18内で移動せず、ポンプ12の送達はゼロである。対照的に、斜板20の傾斜αがゼロ以外であるとき、ピストンは、それらのシリンダ18内で移動し、シャフト14の1回転にわたって、略正弦波状の往復サイクルを実行する。この移動のサイクルにより、ポンプ12が流体を移動させることが可能となる。
【0032】
ポンプ12は、シャフト14が当接する固定されたエンドプレート26を備える。エンドプレートは、シリンダ18の反対側でエンドプレート26を貫通する2つのオリフィス28及び30を備え、それぞれが略半月形状である。シャフト14が回転するときに、オリフィスの一方に面するピストン24が、エンドプレート26から離れると、このオリフィスは入口オリフィスを形成する。対照的に、シャフト14が回転するときに、他方のオリフィスに面するピストン24が、エンドプレート26に近づくと、このオリフィスは放出オリフィスを形成する。傾斜αの符号の変化は、ポンプ12の送達及び入口を切り替える。或いは、オリフィス28及び30を通過する流れを逆転させるために、傾斜αの同じ符号を維持するが、軸16を中心としたシャフト14の回転を逆転させることは可能である。
【0033】
アクチュエータ10は、アクチュエータ10の機械的出力を形成するラム32を備える。より詳細には、アクチュエータは、たとえば、電気の形態で、エネルギを受け取り、たとえば、電動モータを介して、シャフト14を回転させ、ラム32によって機械的エネルギを送る。図1において、ラム32は直線ラムである。当然、回転ラムがこれに代わる可能性がある。ラム32は、それぞれがオリフィスの1つに接続される2つのチャンバ34及び36を備え、それぞれ、オリフィス28及びオリフィス30に接続される。ゼロ以外の傾斜αによって得られる、2つのオリフィス28と30との間の圧力差により、ラム32の棒38を一方向に移動させることができる。傾斜αの符号の変化は、棒38の移動を逆転させる。傾斜αがゼロになると、2つのオリフィス28と30との間の圧力は等しくなり、棒38は固定される。
【0034】
ラム32は、示される例において複動式ラムである。単動式ラムを採用することも可能である。その場合、ポンプ12のオリフィスの1つをタンクに接続することによって、傾斜αが符号を変えるポンプ12を実装することは可能である。上記のように、シャフト14の回転方向を逆転させることも可能である。
【0035】
ラム32は、チャンバ34及び36のそれぞれの液圧流体がピストンの同じ表面積に作用する対称的なラムであってもよい。その棒38が、2つのチャンバから出て、図1に示されるように、同じ断面を維持するとき、ラム32は対称的である。或いは、たとえば、棒38が、ピストンの片側のラム32からのみ出るとき、非対称ラムを採用することも可能である。
【0036】
斜板20は、示される例では、複動式ラムであるラム40によって移動される。或いは、戻しばねが付けられた単動式ラムが採用されてもよい。回転ラムも使用されてもよい。ラム40は、それぞれ流体が供給される2つのチャンバ42及び44を備える。2つのチャンバ42と44との間の流体圧の差により、斜板傾斜αを修正するように、斜板20に接続されたラム40棒46を移動させることができる。
【0037】
ラム40に類似した、ポンプの偏心を変えることができるラムは、ラジアルピストン又はベーンポンプの場合にみられる。
【0038】
ラム40は、アクチュエータ10の移動指令に基づいて命じられる方向制御弁48によって供給される。より詳細には、方向制御弁48は、2つの流体圧源である、高圧源P及び低圧源Tに接続される。方向制御弁48は、3つの位置をとってもよい。中立位置48aでは、方向制御弁48は、チャンバ42及び44へのアクセスが閉じられ、斜板20は静止したままである。その向きαは不変である。1つの位置48bでは、高圧源Pはチャンバ44に接続され、低圧源Tはチャンバ42に接続される。図1に示されるように位置付けられた斜板20では、位置48bは、向きαの値を減少させる傾向を有する。逆に、1つの位置48cでは、高圧源Pはチャンバ42に接続され、低圧源Tはチャンバ44に接続され、図1で示された斜板20の位置では、位置48cは、向きαの値を増加させる傾向を有する。
【0039】
高圧源P及び低圧源Tは、ポンプ12と独立して生成されてもよい。しかしながら、それにより、外部圧力源から供給されなければならないアクチュエータ40の複雑さが増加する。これらの外部源を避けるために、2つの圧力源P及びTを作成するためにポンプ12を使用することは有利である。傾斜αが常に同じ符号を維持するポンプ12を選択することによって、オリフィス28及び30は常に同じ方向の圧力差を維持する。したがって、オリフィス28及び30のそれぞれから直接、高圧源P及び低圧源Tを生成することが可能である。高圧源Pにおける最小圧力を維持するために、放出オリフィスと、高圧源Pのためにアキュムレータを形成するマイクロタンクとの間に逆止め弁を提供することが可能である。逆止め弁は、高圧源Pに所望される圧力に従って評価される。よって、放出オリフィスの圧力が十分であるときだけ、アキュムレータには流体が供給される。この圧力は、最小限傾斜αと結びつけられる。
【0040】
対照的に、傾斜αが正負の値をとりやすいとき、2つのオリフィス28と30との間の圧力差は、正又は負であってもよい。それにもかかわらず、2つのオリフィス28及び30から圧力源P及びTを生成することが望ましい。そのために、アクチュエータ10は、より高い圧力が優勢であるオリフィス28又は30から高圧源Pに供給し、より低い圧力が優勢であるオリフィス28又は30から低圧源Tに供給するように構成される弁の組52を備える。そのために、弁の組は4つの弁を備え、1つの弁52aはオリフィス28と源Pとの間に位置付けられ、1つの弁52bはオリフィス30と源Pとの間に位置付けられ、1つの弁52cはオリフィス28と源Tとの間に位置付けられ、1つの弁52dはオリフィス30と源Tとの間に位置付けられる。4つの弁の向きは、弁の組が、交流電圧がオリフィス28と30との間で形成され、直流電圧が源PとTとの間で形成される完全整流器ブリッジを形成する電気回路との類推によってよく理解されてもよい。弁52a~52dの向きは、整流器ブリッジのダイオードの向きと類似している。
【0041】
アクチュエータ10は、ポンプ12の出口における過圧の影響を制限するための手段を備える。そのような過圧は、アクチュエータの内部の動作不良、又は、ラム32の棒38に加えられた影響などの外部事象のためであることがある。過圧の他の原因は、当然、制限する必要がある悪影響を発生させることがある。そのために、アクチュエータ10は、ポンプ12の出口圧力に基づいて命じられる第2の方向制御弁60を備える。方向制御弁60は2つの位置を有し、2つの位置のうちの一方は、休止位置60aと呼ばれ、ポンプ12の出口圧力が所定圧力より低い限り得られ、他方は、動作位置60bと呼ばれ、ポンプ12の出口圧力が所定圧力以上であるときに得られる。この所定圧力は、アクチュエータ10が通常は作動するよりも低い圧力制限を形成する。休止位置60aにおいて、方向制御弁60は、方向制御弁48からラム40のチャンバまで直接、出口圧力を伝達する。ポンプ12の出口圧力が所定圧力に到達したとき、又は、上回る傾向があるとき、動作位置60bでは、方向制御弁60は、ポンプ12の出口圧力を低下させるために斜板20の傾斜αを減少させるように、ラム40のチャンバ42又は44のうちの1つに、ポンプ12の高い出口圧力を伝達する。実際には、それは、方向制御弁48を通ることなく2つのチャンバのうちの1つに接続される高圧源Pである。他のチャンバは、図1に示されるように、低圧源T又はサンプ61に接続されてもよい。サンプ61は大気圧である。実際には、低圧Tは大気圧と略等しい。
【0042】
ポンプ12の出力圧力が所定圧力値未満に低下すると、方向制御弁60は休止位置60aに戻り、方向制御弁48は再度、ラム40を直接指揮する。その2つの位置60aと60bとの間の方向制御弁60の移行は、ポンプ12の出力圧力によって命じられる。
【0043】
過圧が生じた場合、方向制御弁60は方向制御弁48を迂回する。換言すれば、高圧Pは、ポンプ12の出力圧力Pが所定圧力以上であるときに高圧Pを低下させるように、ラム40に接続される。方向制御弁48を介したポンプの送達に対するアクチュエータ10の移動指令に関係する連続関数は無効にされる。この連続関数は、アクチュエータ10の公称作動を表す。関数の無効化は、アクチュエータ10の異常な作動と関係する過圧の場合に発生する。本発明を実装することによって、方向制御弁48を迂回することによる連続関数の無効化により、過圧を検出するために、ポンプ12の出力圧力を測定する圧力センサを取り付ける必要性はなくなる。そのような圧力センサは、方向制御弁48の指令に影響を及ぼす可能性がある。本発明は、方向制御弁48を迂回することによって、ポンプ12がはるかに迅速に反応することを可能とする。
【0044】
方向制御弁60を直接指揮する圧力源Pを使用することは有利である。圧力センサを使わずに、過圧に対するアクチュエータ10の応答は迅速である。この応答における唯一の媒介物は、方向制御弁60の位置の変化である。
【0045】
方向制御弁60が位置を変える所定圧力の値は、アクチュエータ10の設計中に、固定及び決定することができる。そのために、方向制御弁60は、ばね62で押される可動スライドを備える。圧力Pが所定圧力より低い限り、ばね62は、休止位置60aに方向制御弁60を維持するように、スライドを押すように評価される。圧力Pが所定圧力に到達又は超過すると、圧力Pを通して実行される方向制御弁60の指令は、ばね62を圧縮することができ、動作位置60bに到達するためにスライドを移動する傾向がある。ばね62の定数は、アクチュエータ10の設計中に設定されてもよい。
【0046】
ばね62の定数を修正する可能性を提供することによって、所定圧力の調整を提供することが可能である。ばね定数は、手動で、たとえば、ばね62の長さの修正を可能とするねじによって、調整されてもよい。ねじは有利なことには、操作者が調整することができるように、アクチュエータ10の外側からアクセス可能である。所定圧力を調整するために、指令、たとえば、電気的命令を使用するように、調整を電動化することも可能である。そのために、ねじを回すステップモータ64を提供することが可能である。リニアモータが直接、ばね62に作用してもよい。ばね62に加えて、過圧の発生時の方向制御弁60の応答に時定数を導入するために、他の機械的構成要素、特に、ダンパを加えることが可能である。したがって、あまりに短いと判定される特定の過圧を無視することが可能である。
【0047】
たとえば、傾斜αが正であると考えられる、図1に示されるような斜板20の位置において、過圧が生じた場合、方向制御弁60は、斜板20を平面22に近づけるために、傾斜αを減少させるように、チャンバ44に源Pから供給することが可能である。換言すれば、ラム40の棒46は、図1の描写において、左へ移動する。逆に、傾斜αが負であるときに、過圧が生じた場合、棒46を右へ移動するように、源Pからチャンバ42に供給することが必要である。より一般的には、過圧が生じた場合、ピストン24のストロークを減少させることが必要である。換言すれば、過圧が生じた場合、傾斜αの値を絶対値で減少させることが必要である。一方の方向又は他方の方向に斜板20を移動するために、チャンバ42又は44のどちらに供給するかの選択は、傾斜αによって命じられる第3の方向制御弁68を使用して自動的に得られてもよい。方向制御弁68は、チャンバ44に高圧源Pから供給する且つチャンバ42をサンプ61に接続すること、又は、傾斜αの符号に従って2つのチャンバの供給を逆転させることのいずれかを可能にする。方向制御弁68は、少なくとも2つの位置、反転のない68a及び反転を有する68bを備える。方向制御弁68は、両チャンバ42及び44のための供給回路が開いている中間の第3の位置68cを備えてもよい。この位置は、傾斜αのゼロ値に対応する。方向制御弁68は、傾斜αの値によって命じられる。そのために、方向制御弁68の指令は、斜板20を接続するリンケージ70及び方向制御弁68の可動スライドを使用して実行されてもよい。
【0048】
図2は、3つの方向制御弁48、60、及び68をより詳細に示す。3つの方向制御弁のそれぞれについて、それらが作ることができる接続を定義するさまざまな位置は、本体の内部の移動することが可能なスライドによって実現される。スライドの移動は、必要に応じて特定の液圧回路を開閉する。
【0049】
方向制御弁48は、本体80と、マイクロアクチュエータ83の作用の下で、本体80内で移動可能なスライド82とを備える。マイクロアクチュエータ83は、スライド82をアクチュエータ10のケーシング84に対して移動させることを可能とする。図2では、スライド82は、本体80に対する中央位置において示されている。この位置は方向制御弁48の中立位置48aを形成し、スライド82は、ラム40のチャンバ42及び44に供給する方向制御弁48の液圧出口ダクトを塞ぐ。換言すれば、通常作動において、すなわち、高圧Pが圧力制限に到達しない限り、斜板20の傾斜αは変化しないままである。スライド82が右に押されるとき、方向制御弁48は、通常作動において、チャンバ44に高圧Pが供給される位置48bに到達する。逆に、スライド82が左に押されるとき、方向制御弁48は、通常作動において、チャンバ42に高圧Pが供給される位置48cに到達する。スライド弁82の位置は、離散的な位置であってもよい。しかしながら、有利なことには、スライド82は、その3つの位置の間で連続的に移動する。より詳細には、マイクロアクチュエータ83によって、中立位置48aと位置48b又は48cの一方との間のどこかの中間位置にスライド82を位置付けることが可能である。位置48b又は48cでは、方向制御弁48は、チャンバ42及び44に供給する液圧回路を完全に開ける。したがって、中間位置では、方向制御弁は、液圧回路を部分的にのみ開け、チャンバ42及び44の供給に対する制限を形成する。したがって、斜板20の傾斜αが変化する速度を制御することが可能である。
【0050】
さらにまた、ラム40は、2つのチャンバ42及び44を分離するピストン88が移動する本体86を備える。棒46は、ピストン88に固定される。本体86は、ケーシング84に固定される。
【0051】
方向制御弁48の本体80は、ケーシング84に固定されてもよい。通常の使用では、ポンプ12の出力圧力が所定圧力制限より下のままである限り、傾斜αの2つの値の間で斜板20を移動させるために、マイクロアクチュエータ83の指令において2つのステップを提供することが必要である。それは、位置48aから、たとえば、位置48bに移行する第1のステップ、及び、位置48aに戻る第2のステップである。
【0052】
マイクロアクチュエータ83のエネルギ消費を制限するために、方向制御弁48の本体80をラム40の棒46に接続することによって、マイクロアクチュエータ83の指令における第2のステップを避けることが望ましい。よって、たとえば、スライド82が位置48bに置かれるとき、2つのチャンバ42及び44は供給され、ピストン88は移動する。ピストン88の移動は、方向制御弁48がその位置48aに帰り着くまで、棒46を介して方向制御弁48の本体を順番に移動させ、それによって、2つのチャンバ42及び44への供給を塞ぐ。この場合、その3つの位置の間のスライド82の連続移動は、特に有利になる。特に、中立位置48aから開始し、スライド82を移動させることができるマイクロアクチュエータ83の駆動後、チャンバ42及び44の一方には高圧Pが供給され、他方には低圧Tが供給される。斜板20の向きαは変化し、スライド82が中立位置48aに戻るまで、棒46は本体80を移動させる。中立位置48aへのこの戻りは連続的に発生し、次第に停止する。
【0053】
ラム40の棒46と方向制御弁48の本体80との間の接続は、はめ込み式接続であってもよい。棒46と本体80との間に、ピストン88から本体80への移動の伝達を一時的に修正することを可能にする1つ又は複数の要素を挿入することも可能である。よって、棒46と本体80との間にばね及び/又はダンパを挿入することが可能である。
【0054】
ラム40の棒46と方向制御弁48の本体80との間の接続は、方向制御弁60の取付けとは独立して実行されてもよい。
【0055】
方向制御弁60は、本体90と、圧力Pの作用の下で本体90内で移動することができるスライド92とを備える。スライド92の移動は、2つの位置60aと60bと間の方向制御弁60の移行を可能とするように、方向制御弁60内部の液圧ダクトが、連通して置かれる、又は、塞がれることを可能にする。圧力Pが所定圧力より低い限り、スライド92は、ばね62によって位置60aに保持される。逆に、圧力Pが所定圧力に到達又は超過すると、ばね62は圧縮され、スライド92は、位置60bに到達するために、本体90内で移動する。本体90は、ケーシング84に固定される。モータ64は、本体90に対するばね62の圧縮を調整するために使用することができる。
【0056】
図3は、アクチュエータ10の主要素を示す。それは、ポンプ12と、斜板20と、その傾斜αを命じるための要素である、ラム40、方向制御弁48、及びそのマイクロアクチュエータ83とを再び示している。それは、方向制御弁60及びばね62を備える過圧制限装置、さらに、モータ64を備える、過圧の値を調整するための装置も再び示している。ポンプ12のシャフト14を回すために使用することができるモータは、ここでは参照番号100で示されている。最後に、図3は、アクチュエータ10の液圧動力部を再び示し、その部分は、ポンプ12の出口オリフィス28及び30のうちの1つからそれぞれくる液圧ダクト102及び104で形成される。
【0057】
アクチュエータ10は電気エネルギを受けて、液圧エネルギを送ってもよい。そのために、ケーシング84の内部に、少なくとも、モータ100、ポンプ12、斜板20、ラム40、方向制御弁48、マイクロアクチュエータ83、及び方向制御弁60がある。ケーシング84を通過する少なくとも1つの電気コネクタ106により、ポンプ12を回転させるために必要な電気エネルギと、斜板20の傾斜αを駆動するための指令信号とのアクチュエータ10への伝達が可能となる。所定位置の調整が予定されているとき、電気コネクタ106は、アクチュエータ10が、所定圧力を調整するための指令信号を受けることを可能にする。実際には、コネクタ106は、単一のコネクタであってもよく、又は、2つのコネクタ、電力のための一方と指令信号のための他方とに分けられてもよい。アクチュエータ10は、液圧形態で、より正確には、流体の送達の形態で、エネルギを送ってもよい。そのために、ケーシング84を通過するように配置された液圧コネクタ108は、液圧形態のエネルギをアクチュエータ10の外側に伝えることを可能にする。
【0058】
或いは、アクチュエータ10は、コネクタ106を通して電気エネルギを受け取り、ケーシング84の内部の位置付けられたラム32を通して機械的エネルギを送る。換言すれば、アクチュエータ10は、ケーシング84を通過し、アクチュエータ10が機械的エネルギを送ることを可能にする機械的出力110を備える。機械的出力は、たとえば、直線ラムの場合はラム32の棒、回転ラムの場合は回転シャフトの端部などのさまざまな形態を採用してもよい。液圧ダクト102及び104は、ラム32に供給する。液圧コネクタ108を省くことが可能である。ダクト102及び104は、アクチュエータ10の外側に通じていない。よって、アクチュエータ10は、電気的入力及び機械的出力を有する。液圧流体は、ケーシング84の内部に限定されたままである。したがって、電動モータに基づくアクチュエータを本発明によるアクチュエータに置き換えることは可能であり、容積及び質量の点で節約が行われる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】