(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】CD38に特異的に結合する抗体、レナリドミド、及びデキサメタゾンの組み合わせを用いて、新たに診断された多発性骨髄腫を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220415BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220415BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220415BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220415BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220415BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220415BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20220415BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220415BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/02
A61K31/454
A61P43/00 121
A61K31/573
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549416
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 IB2020051484
(87)【国際公開番号】W WO2020170211
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】キ,ミン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB01
4C076BB13
4C076CC27
4C076DD09F
4C076DD23D
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4C076FF70
4C085AA14
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4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC22
4C086DA10
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
(57)【要約】
本明細書において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせてCD38に特異的に結合する抗体を使用して、多発性骨髄腫を治療する方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法を前記対象に投与することを含み、前記方法が、前記対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成する、前記方法。
【請求項2】
高用量化学療法(HDC)及び自家幹細胞移植(ASCT)に対して不適格である、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、ダラツムマブを前記対象に投与すること又はその投与を提供することを含み、ダラツムマブが、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用療法として投与され、前記方法が、前記対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成する、前記方法。
【請求項3】
前記改善された臨床有効性エンドポイントが、完全奏効(CR)又はそれ以上を達成する可能性の増加、非常に良好な部分奏効(VGPR)又はそれ以上を達成する可能性の増加、微小残存病変(MRD)に対する陰性状態を達成する可能性の増加、多発性骨髄腫の進行若しくは死亡のリスクの低減、無増悪生存(PFS)の延長、又は30か月無増悪生存率を達成する可能性の増加である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記CR又はそれ以上を達成する前記可能性が、約47%又はそれ以上である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記VGPR又はそれ以上を達成する前記可能性が、約79%又はそれ以上である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
MRDに対する前記陰性状態を達成する前記可能性が、約24%又はそれ以上である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクが、約44%低減される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、多発性骨髄腫を有する対象においてVGPR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、前記対象に投与することを含み、前記併用療法が、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む、前記方法。
【請求項9】
前記VGPR又はそれ以上を達成する前記可能性が、約79%又はそれ以上である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象においてMRDに対する陰性状態を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、前記対象に投与することを含み、前記併用療法が、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む、前記方法。
【請求項11】
MRDに対する前記陰性状態を達成する前記可能性が、約24%又はそれ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象においてCR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、前記対象に投与することを含み、前記併用療法が、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む、前記方法。
【請求項13】
前記CR又はそれ以上を達成する前記可能性が、約47%又はそれ以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクを低減することが実証された併用療法を、前記対象に投与することを含み、前記併用療法が、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む、前記方法。
【請求項15】
多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクが、約44%低減される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する前記対象が、HDC及びASCTに不適格である、請求項8~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記併用療法が、約16mg/kgのダラツムマブ、約25mgのレナリドミド、及び約20mg~約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記併用療法が、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回、約16mg/kgのダラツムマブの投与、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり約25mgのレナリドミドの投与、及び1週間当たり約20mg~約40mgのデキサメタゾンの投与を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
デキサメタゾンが、ダラツムマブ投与日に前投薬として投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ダラツムマブが静脈内投与され、レナリドミドが経口投与され、デキサメタゾンが静脈内又は経口投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
レナリドミド、デキサメタゾン、又はレナリドミド及びデキサメタゾンの両方が、自己投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ダラツムマブが、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む単回投与バイアル内で、又は20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む単回投与バイアル内で、ダラツムマブの製造業者によって投与のために提供される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアル、及び20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルが、氷酢酸、マンニトール、ポリソルベート20、酢酸ナトリウム三水和物、及び塩化ナトリウムを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルが、0.9mgの氷酢酸、127.5mgのマンニトール、2mgのポリソルベート20、14.8mgの酢酸ナトリウム三水和物、17.5mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有し、20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルが、400mgのダラツムマブ、3.7mgの氷酢酸、510mgのマンニトール、8mgのポリソルベート20、59.3mgの酢酸ナトリウム三水和物、70.1mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ダラツムマブが、投与前に0.9%塩化ナトリウムに希釈される、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法が前記改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報が、ダラツムマブ含有薬物製品ラベル上で提供される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ダラツムマブの推奨用量が静脈内注射として投与される16mg/kgであるという情報を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、レナリドミドと組み合わせたダラツムマブの推奨投与スケジュールが、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回であるという情報を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、レナリドミドの前記推奨投与スケジュールが、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり25mgであるという情報を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、デキサメタゾンの前記推奨投与スケジュールが、1週間当たり約20mg又は約40mgであるという情報を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンが、前記推奨投与スケジュールに従って投与される、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、HDC及びASCTに不適格である、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含む、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクの約44%の低減をもたらしたというデータを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、VGPR若しくはそれ以上を達成する対象の約79.3%、MRDに対する陰性状態を達成する対象の約24%、又はCR若しくはそれ以上を達成する対象の約47.6%、あるいはこれらの任意の組み合わせをもたらしたというデータを含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(D-VMP)による治療を、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾン(DVd)による治療を、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価が、ダラツムマブと、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンとの間で臨床的に関連する薬物間相互作用を示さなかったということを報告する、薬物相互作用データを含む、請求項32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ダラツムマブの副作用が、脱力感、食欲低下、気管支炎、及び肺感染を含むという情報を含む、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ダラツムマブの承認された適応症、投与量及び投与、有害反応、薬物製品相互作用、特定の集団での使用、臨床薬理学、非臨床毒物学、臨床研究、並びに保管及び取り扱い、又はこれらの任意の組み合わせに関する情報を含む、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ダラツムマブが、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ダラツムマブが、配列番号7の重鎖可変領域(VH)及び配列番号8の軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ダラツムマブが、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
ダラツムマブが、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
ダラツムマブが、哺乳類細胞株内で産生される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記哺乳類細胞株が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ダラツムマブの分子量が、約148kDaである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
デキサメタゾンが、デキサメタゾン同等物の代わりになり得、前記デキサメタゾン同等物が、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、若しくはベタメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせである、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法であって、
a)医療従事者(HCP)にダラツムマブを提供することと、
b)ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で前記対象を治療することが、前記対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、前記HCPに提供することとを含み、
前記工程a)及びb)を実施することにより、新たに診断された多発性骨髄腫を有する前記対象が、前記HCPによって、又は前記HCPによって指示されたとおりの自己投与によって、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法を受けることにつながり、これにより、前記新たに診断された多発性骨髄腫を有する前記対象を治療する、
前記方法。
【請求項51】
HCPがダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療するために、前記HCPにダラツムマブを提供する方法であって、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法による前記治療が、前記対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成し、
a)ダラツムマブを製造することと、
b)ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法による治療が、前記改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、前記HCPに提供することと、
c)前記HCPがダラツムマブを購入するために、ダラツムマブを前記HCP又はダラツムマブの正規販売店に輸送することとを含み、これにより、前記HCPにダラツムマブを提供する、
前記方法。
【請求項52】
HCPがダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療するための、治療選択肢を提供する方法であって、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法による前記治療が、前記対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成し、
a)ダラツムマブを製造することと、
b)ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法が、前記改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、前記HCPに提供することと、
c)前記HCPがダラツムマブを購入するために、ダラツムマブを前記HCP又はダラツムマブの正規販売店に輸送することとを含み、これにより、前記HCPのための前記治療選択肢を提供する、
前記方法。
【請求項53】
前記対象が、HDC及びASCTに不適格である、請求項50~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法が、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、VGPR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証される、請求項50~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記VGPR又はそれ以上を達成する前記可能性が、約79%又はそれ以上である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法が、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、MRDに対する陰性状態を達成する可能性を増加させることが実証される、請求項50~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
MRDに対する前記陰性状態を達成する前記可能性が、約24%又はそれ以上である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法が、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、CR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証される、請求項50~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記CR又はそれ以上を達成する前記可能性が、約47%又はそれ以上である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法が、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクを低減することが実証される、請求項50~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクが、約44%低減される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記併用療法が、約16mg/kgのダラツムマブ、約25mgのレナリドミド、及び約20mg~約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項50~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記併用療法が、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回、約16mg/kgのダラツムマブの投与、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり約25mgのレナリドミドの投与、及び1週間当たり約20mg~約40mgのデキサメタゾンの投与を含む、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記併用療法が、デキサメタゾンをダラツムマブ投与日に前投薬として投与することを含む、請求項50~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記併用療法が、ダラツムマブを静脈内で、レナリドミドを経口で、及びデキサメタゾンを静脈内又は経口で投与することを含む、請求項50~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
ダラツムマブが、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む単回投与バイアル内で、又は20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む単回投与バイアル内で、ダラツムマブの製造業者によって輸送又は提供される、請求項50~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアル、及び20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルが、氷酢酸、マンニトール、ポリソルベート20、酢酸ナトリウム三水和物、及び塩化ナトリウムを更に含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルが、0.9mgの氷酢酸、127.5mgのマンニトール、2mgのポリソルベート20、14.8mgの酢酸ナトリウム三水和物、17.5mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有し、20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルが、400mgのダラツムマブ、3.7mgの氷酢酸、510mgのマンニトール、8mgのポリソルベート20、59.3mgの酢酸ナトリウム三水和物、70.1mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
ダラツムマブが、投与前に0.9%塩化ナトリウムに希釈される、請求項66~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む前記併用療法が前記改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報が、ダラツムマブ含有薬物製品ラベル上で提供される、請求項50~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ダラツムマブの推奨用量が静脈内注射として投与される16mg/kgであるという情報を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、レナリドミドと組み合わせたダラツムマブの前記推奨投与スケジュールが、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回であるという情報を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、レナリドミドの前記推奨投与スケジュールが、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり1回25mgであるという情報を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、デキサメタゾンの前記推奨投与スケジュールが、1週間当たり約20mg又は約40mgであるという情報を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンが、前記推奨投与スケジュールに従って投与される、請求項70~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ASCTに不適格である、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含む、請求項70~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクの約44%の低減をもたらしたというデータを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、VGPR若しくはそれ以上を達成する対象の約79.3%、MRDに対する陰性状態を達成する対象の約24%、又はCR若しくはそれ以上を達成する対象の約47.6%、あるいはこれらの任意の組み合わせをもたらしたというデータを含む、請求項76又は77に記載の方法。
【請求項79】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を含む、請求項76~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(D-VMP)による治療を、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項70~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項70~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾン(DVd)による治療を、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項70~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価が、ダラツムマブと、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンとの間で臨床的に関連する薬物間相互作用を示さなかったということを報告する、薬物相互作用データを含む、請求項70~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ダラツムマブの副作用が、脱力感、食欲低下、気管支炎、及び肺感染を含むという情報を含む、請求項70~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ダラツムマブの承認された適応症、投与量及び投与、有害反応、薬物相互作用、特定の集団での使用、臨床薬理学、非臨床毒物学、臨床研究、並びに保管及び取り扱い、又はこれらの任意の組み合わせに関する情報を含む、請求項70~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
ダラツムマブが、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、請求項50~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
ダラツムマブが、配列番号7のVH及び配列番号8のVLを含む、請求項50~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
ダラツムマブが、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である、請求項50~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
ダラツムマブが、配列番号9のHC及び配列番号10のLCを含む、請求項50~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
ダラツムマブが、哺乳類細胞株内で産生される、請求項50~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記哺乳類細胞株が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
ダラツムマブの分子量が、約148kDaである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
デキサメタゾンが、デキサメタゾン同等物の代わりになり得、前記デキサメタゾン同等物が、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、若しくはベタメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせである、請求項50~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象の治療を提供するための、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法であって、
前記治療が、前記対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成する、
前記併用療法。
【請求項95】
約16mg/kgのダラツムマブ、約25mgのレナリドミド、及び約20mg~約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項94に記載の併用療法。
【請求項96】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する前記対象の前記治療が、1週間に1回、2週間に1回、又は4週間に1回、約16mg/kgのダラツムマブ、1日当たり約25mgのレナリドミド、及び1週間当たり約20mg~約40mgのデキサメタゾンを前記対象に投与することを含む、請求項94又は95に記載の併用療法。
【請求項97】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する前記対象の前記治療が、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回、約16mg/kgのダラツムマブ、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり1回、約25mgのレナリドミド、及び1週間当たり約20mg又は約40mgのデキサメタゾンを前記対象に投与することを含む、請求項96に記載の併用療法。
【請求項98】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、VGPR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証される、請求項97に記載の併用療法。
【請求項99】
前記VGPR又はそれ以上を達成する前記可能性が、約79%又はそれ以上である、請求項98に記載の併用療法。
【請求項100】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、MRDに対する陰性状態を達成する可能性を増加させることが実証される、請求項97に記載の併用療法。
【請求項101】
MRDに対する前記陰性状態を達成する前記可能性が、約24%又はそれ以上である、請求項100に記載の併用療法。
【請求項102】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、CR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証される、請求項97に記載の併用療法。
【請求項103】
前記CR又はそれ以上を達成する前記可能性が、約47%又はそれ以上である、請求項102に記載の併用療法。
【請求項104】
新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクを低減することが実証される、請求項97に記載の併用療法。
【請求項105】
多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクが、約44%低減される、請求項104に記載の併用療法。
【請求項106】
多発性骨髄腫を有する前記対象が、HDC及びASCTに不適格である、請求項94~105のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項107】
前記併用療法が、ダラツムマブ含有薬物製品ラベル上で、新たに診断された多発性骨髄腫の治療のためのダラツムマブの製造業者によって促進される、請求項94~106のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項108】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含む、請求項107に記載の併用療法。
【請求項109】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクの約44%の低減をもたらしたというデータを含む、請求項108に記載の併用療法。
【請求項110】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、VGPR若しくはそれ以上を達成する対象の約79.3%、MRDに対する陰性状態を達成する対象の約24%、又はCR若しくはそれ以上を達成する対象の約47.6%、あるいはこれらの任意の組み合わせをもたらしたというデータを含む、請求項108又は109に記載の併用療法。
【請求項111】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を含む、請求項107~110のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項112】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象におけるダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(D-VMP)による治療を、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象におけるボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項107~111のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項113】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項107~112のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項114】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾン(DVd)による治療を、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項107~113のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項115】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価が、ダラツムマブと、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンとの間で臨床的に関連する薬物間相互作用を示さなかったということを報告する、薬物製品相互作用データを含む、請求項107~114のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項116】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ダラツムマブの副作用が、脱力感、食欲低下、気管支炎、及び肺感染を含むという情報を含む、請求項107~115のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項117】
前記ダラツムマブ含有薬物製品ラベルが、ダラツムマブの承認された適応症、投与量及び投与、有害反応、薬物相互作用、特定の集団での使用、臨床薬理学、非臨床毒物学、臨床研究、並びに保管及び取り扱い、又はこれらの任意の組み合わせに関する情報を含む、請求項107~116のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項118】
ダラツムマブが、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、請求項94~117のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項119】
ダラツムマブが、配列番号7のVH及び配列番号8のVLを含む、請求項94~118のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項120】
ダラツムマブが、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である、請求項94~119のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項121】
ダラツムマブが、配列番号9のHC及び配列番号10のLCを含む、請求項94~120のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項122】
ダラツムマブが、哺乳類細胞株内で産生される、請求項94~121のいずれか一項に記載の併用療法。
【請求項123】
前記哺乳類細胞株が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である、請求項122に記載の併用療法。
【請求項124】
ダラツムマブの分子量が、約148kDaである、請求項123に記載の併用療法。
【請求項125】
デキサメタゾンが、デキサメタゾン同等物の代わりになり得、前記デキサメタゾン同等物が、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、若しくはベタメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせである、請求項124に記載の併用療法。
【請求項126】
ダラツムマブを含む1つ又は2つ以上の単回投与バイアルを含むパッケージ内で提供されるダラツムマブと、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法による、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象の治療が、前記対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を含む薬物製品ラベルとを含む、薬物製品。
【請求項127】
前記1つ又は2つ以上の単回投与バイアルが、5mLの溶液中100mgのダラツムマブ、又は20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む、請求項126に記載の薬物製品。
【請求項128】
5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む前記1つ又は2つ以上の単回投与バイアル、及び20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む前記1つ又は2つ以上の単回投与バイアルが、氷酢酸、マンニトール、ポリソルベート20、酢酸ナトリウム三水和物、及び塩化ナトリウムを更に含む、請求項127に記載の薬物製品。
【請求項129】
5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む前記1つ又は2つ以上の単回投与バイアルが、0.9mgの氷酢酸、127.5mgのマンニトール、2mgのポリソルベート20、14.8mgの酢酸ナトリウム三水和物、17.5mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有し、20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む前記1つ又は2つ以上の単回投与バイアルが、400mgのダラツムマブ、3.7mgの氷酢酸、510mgのマンニトール、8mgのポリソルベート20、59.3mgの酢酸ナトリウム三水和物、70.1mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有する、請求項128に記載の薬物製品。
【請求項130】
前記薬物製品ラベルが、デキサメタゾンの推奨投与スケジュールが、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回約16mg/kgであり、レナリドミドの前記推奨投与スケジュールが、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり約25mgであり、デキサメタゾンの前記推奨投与スケジュールが、1週間当たり約20mg又は1週間当たり約40mgであるという情報を含む、請求項126~129のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項131】
前記薬物製品ラベルが、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含む、請求項126~130のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項132】
前記薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクの約44%の低減をもたらしたというデータを含む、請求項131に記載の薬物製品。
【請求項133】
前記薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、VGPR若しくはそれ以上を達成する対象の約79.3%、MRDに対する陰性状態を達成する対象の約24%、又はCR若しくはそれ以上を達成する対象の約47.6%、あるいはこれらの任意の組み合わせをもたらしたというデータを含む、請求項131又は132に記載の薬物製品。
【請求項134】
前記薬物製品ラベルが、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を含む、請求項131~133のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項135】
前記薬物製品ラベルが、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(D-VMP)による治療を、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項131~134のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項136】
前記薬物製品ラベルが、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項131~135のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項137】
前記薬物製品ラベルが、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DVd)による治療を、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む、請求項131~136のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項138】
前記薬物製品ラベルが、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価が、ダラツムマブと、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンとの間で臨床的に関連する薬物間相互作用を示さなかったということを報告する、薬物相互作用データを含む、請求項131~137のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項139】
前記薬物製品ラベルが、ダラツムマブの副作用が、脱力感、食欲低下、気管支炎、及び肺感染を含むという情報を含む、請求項131~183のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項140】
前記薬物製品ラベルが、ダラツムマブの承認された適応症、投与量及び投与、有害反応、薬物相互作用、特定の集団での使用、臨床薬理学、非臨床毒物学、臨床研究、並びに保管及び取り扱い、又はこれらの任意の組み合わせに関する情報を含む、請求項131~139のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項141】
ダラツムマブが、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、請求項126~140のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項142】
ダラツムマブが、配列番号7のVH及び配列番号8のVLを含む、請求項126~141のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項143】
ダラツムマブが、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である、請求項126~142のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項144】
ダラツムマブが、配列番号9のHC及び配列番号10のLCを含む、請求項126~143のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項145】
ダラツムマブが、哺乳類細胞株内で産生される、請求項126~144のいずれか一項に記載の薬物製品。
【請求項146】
前記哺乳類細胞株が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である、請求項145に記載の薬物製品。
【請求項147】
ダラツムマブの分子量が、約148kDaである、請求項146に記載の薬物製品。
【請求項148】
ダラツムマブを含む薬物製品を販売する方法であって、
a)ダラツムマブを製造することと、
b)ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法が、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象に投与された場合に、前記対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成することを促進することとを含み、
前記工程a)及びb)を実施することにより、HCPが前記薬物製品を購入することにつながり、これにより、薬物製品を販売する、
前記方法。
【請求項149】
促進が、前記薬物製品ラベル上に、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含むことを含む、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記薬物製品ラベルが、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡の前記リスクの約44%の低減をもたらしたというデータを更に含む、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記薬物製品ラベルが、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を更に含む、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
ダラツムマブを含む薬物製品を販売する方法であって、
i)ダラツムマブを製造することと、
ii)前記薬物製品を販売することであって、薬物製品ラベルが、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンの組み合わせで、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療するための指示を含む、販売することとを含む、
前記方法。
【請求項153】
ダラツムマブが、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む、請求項148~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
ダラツムマブが、配列番号7のVH及び配列番号8のVLを含む、請求項148~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
ダラツムマブが、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である、請求項148~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
ダラツムマブが、配列番号9のHC及び配列番号10のLCを含む、請求項148~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
ダラツムマブが、哺乳類細胞株内で産生される、請求項148~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記哺乳類細胞株が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である、請求項71に記載の方法。
【請求項159】
ダラツムマブの分子量が、約148kDaである、請求項72に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせてCD38に特異的に結合する抗体を使用して、多発性骨髄腫を治療する方法が開示される。
【0002】
(配列表)
本願は、EFS-Webを介して提出された配列表を含み、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。2020年2月20日に作成されたASCIIテキストファイルは、ファイル名がJBI6048WOPCT1ST25.txtであり、サイズは13キロバイトである。
【背景技術】
【0003】
多発性骨髄腫は、形質細胞クローンのコントロール不良の,かつ進行性の増殖を特徴とする、形質細胞の悪性疾患である。この疾患は、感染に対する抵抗性を低下させ、有意な骨格破壊(骨痛、病理学的骨折、及び高カルシウム血症を伴う)、貧血、腎不全、神経学的合併症、並びに高粘度症候群を引き起こすことによって、漸進的な罹患率及び最終的な死亡率につながる。
【0004】
多剤療法の利用可能性にもかかわらず、多発性骨髄腫は、標準的な化学療法では治癒不可能なままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
疾患をより良好に制御し、健康関連の生活の質の維持を含む、より深い、より持続的な奏効及びより良好な長期転帰を提供することができる最先端の環境の新たな治療選択肢が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法を対象に投与することを含む、新たに多発性骨髄腫と診断された対象を治療する方法を提供し、方法は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成する。
【0007】
本開示はまた、ダラツムマブを対象に投与すること又はその投与を提供することを含む、高用量化学療法(high dose chemotherapy、HDC)及び自家幹細胞移植(autologous stem cell transplant、ASCT)に不適格である、新たに多発性骨髄腫と診断された対象を治療する方法を提供し、ダラツムマブは、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用療法として投与され、方法は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成する。
【0008】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供し、多発性骨髄腫を有する対象において、非常に良好な部分奏効(very good partial response、VGPR)又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、対象に投与することを含み、併用療法は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む。
【0009】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供し、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、微小残存病変(minimal residual disease、MRD)に対する陰性状態を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、対象に投与することを含み、併用療法は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む。
【0010】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供し、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、完全奏効(complete response、CR)又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、対象に投与することを含み、併用療法は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む。
【0011】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供し、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクを低減することが実証された併用療法を、対象に投与することを含み、併用療法は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む。
【0012】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を含み、
医療従事者(healthcare professional、HCP)にダラツムマブを提供することと、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で対象を治療することが、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、HCPに提供することと、を含み、工程a)及びb)を実施することにより、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象が、HCPによって、又はHCPによって指示されたとおりの自己投与によって、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法を受けることにつながり、これにより、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する。
【0013】
本開示はまた、HCPがダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療するために、HCPにダラツムマブを提供する方法を提供し、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法による治療は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成し、
ダラツムマブを製造することと、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法による治療が、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、HCPに提供することと、HCPがダラツムマブを購入するために、ダラツムマブをHCP又はダラツムマブの正規販売店に輸送することと、を含み、これにより、HCPにダラツムマブを提供する。
【0014】
本開示はまた、HCPがダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療するための、治療選択肢を提供する方法を提供し、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法による治療は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成し、
ダラツムマブを製造することと、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法が、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、HCPに提供することと、HCPがダラツムマブを購入するために、ダラツムマブをHCP又はダラツムマブの正規販売店に輸送することとを含み、これにより、HCPのための治療選択肢を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
発明の概要、並びに以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むことで、更に理解される。開示の方法を図示する目的で、図面には、本方法の例示的な実施形態が示されている。ただし、本方法は、ここに開示されている特定の実施形態に限定されるものではない。図面は、以下のとおりである。
【
図1】治療意図集団内の患者間の無増悪生存のカプラン・マイヤー推定の結果を示す。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))、レナリドミド、及びデキサメタゾンによる治療を受けた。対照群は、レナリドミド及びデキサメタゾンによる治療を受けた。疾患進行又は死亡の240件の事象が生じた後に、無増悪生存の中間分析を実施した(最終分析のために計画された390件の事象の62%)。
【
図2】治療意図集団内の予め指定されたサブグループにおける無増悪生存の分析の結果を示す。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))、レナリドミド、及びデキサメタゾンによる治療を受けた。対照群は、レナリドミド及びデキサメタゾンによる治療を受けた。国際病期分類(International Staging System、ISS)病期は、血清β2-ミクログロブリンレベル及びアルブミンレベルの組み合わせに基づいて得られ、より高いステージは、より進行した疾患を示す。ベースライン肝機能障害には、軽度の障害(正常範囲の上限(upper limit of the normal range、ULN)以下の総ビリルビンレベル及びULNを超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベル、又はULNを超え、かつULNの1.5倍以下の総ビリルビンレベル)、中等度の障害(ULNの1.5倍を超え、かつ3倍以下の総ビリルビンレベル)、並びに重度の障害(ULNの3倍を超える総ビリルビンレベル)が含まれた。血清又は尿中で測定可能な疾患を有していた患者からのデータに対して、骨髄腫のタイプについてのサブグループ分析を実施した。高リスクの細胞遺伝学的プロファイルを、原位置ハイブリダイゼーション試験における蛍光又は核型上でのdel17p、t(14;16)、及び/又はt(4;14)細胞遺伝学的異常の検出によって定義した。Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスは、0~5の段階でスコア化されたものであり、0は症状なしを示し、より高いスコアは、悪化する身体障害を示す。NEは、推定不能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に引用されている特許及び特許出願を含む(ただしそれらに限定されない)全ての刊行物は、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に援用される。
【0017】
別個の実施形態との関連において明確性のために本明細書に記載される、本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよいことが理解される。すなわち、明白に不適合であるか又は具体的に除外されない限り、各個々の実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ可能とみなされ、このような組み合わせは、別の実施形態であるとみなされる。逆に、説明を簡単にするために単一の実施形態との関連において述べられる本発明の異なる特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供される場合もある。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより全般的な構造の一部として記載され得るが、その各工程をそれ自体が独立する実施形態であると考えてもよく、他と組み合わせ可能である。
【0018】
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
【0019】
「約」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は5%までの範囲のいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【0020】
「週約1回」は、およその数を指し、7日±2日毎、すなわち、5日毎~9日毎を含むことができる。したがって、「週1回」の投与頻度は、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎、又は9日毎であり得る。
【0021】
「2週間に約1回」は、およその数を指し、14日±2日毎、すなわち、12日毎~16日毎を含むことができる。
【0022】
「3週間に約1回」は、およその数を指し、21日±2日毎、すなわち、19日毎~23日毎を含むことができる。
【0023】
「4週間に約1回」は、およその数を指し、28日±2日毎、すなわち、26日毎~30日毎を含むことができる。
【0024】
「5週間に約1回」は、およその数を指し、35日±2日毎、すなわち、33日毎~37日毎を含むことができる。
【0025】
「6週間に約1回」は、およその数を指し、42日±2日毎、すなわち、40日毎~38日毎を含むことができる。
【0026】
「週約2回」は、およその数を指し、週に2回、例えば、週の1日目に1回目の投与、及び2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、又は7日目に2回目の投与、週の2日目に1回目の投与、及び3日目、4日目、5日目、6日目、又は7日目に2回目の投与、週の3日目に1回目の投与、及び4日目、5日目、6日目、又は7日目に2回目の投与、週の4日目に1回目の投与、及び5日目、6日目、又は7日目に2回目の投与、週の5日目に1回目の投与、及び6日目又は7日目に2回目の投与、週の6日目に1回目の投与及び7日目に2回目の投与を含むことができる。
【0027】
「有害事象」(adverse event、AE)とは、ダラツムマブなどのCD38に特異的に結合する抗体が投与された臨床研究対象における、任意の有害な医療上の出来事を指す。AEは、必ずしも治療と因果関係を有するわけではない。したがって、AEとは、ダラツムマブなどのCD38に特異的に結合する抗体に関連していようといまいと、(治験用又は非治験用)医薬品の使用と時間的に関連する、あらゆる好ましくなくかつ意図しない徴候(異常な所見を含む)、症状、又は疾患であり得る。
【0028】
複数の列挙された要素間の接続的な用語「及び/又は」は、個々の選択肢及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。
【0029】
「抗体」は、任意のクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、又はサブクラスIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4に属し、カッパ(κ)及びラムダ(λ)軽鎖のいずれかを含む免疫グロブリン分子を含む。抗体としては、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含む、モノクローナル抗体が挙げられる。完全長抗体分子とは、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)から構成される。各重鎖は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)、並びに重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)が散在している、相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼ばれる超可変領域に更に細分され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。
【0030】
(承認済み基準製品/生物学的製剤の)「バイオ後続品」とは、臨床的に不活性な成分に軽微な差はあるものの、以下の(a)~(c)から得られたデータに基づいて、安全性、純度、及び効力の点でバイオ後続品と基準製品との間に臨床的に意味のある差がない、基準製品に極めて類似した生物学的製剤を指す:(a)臨床的に不活性な成分に軽微な差はあるものの、生物学的製品が基準製品に極めて類似していることを実証する分析的研究、(b)動物実験(毒性の評価を含む)、並びに/あるいは(c)標準製剤が認可される使用条件及び標準製剤の使用が意図される条件、並びにバイオ後続品に対する認可付与のための条件などの1つ又は2つ以上の適切な使用条件の下での安全性、純度、及び作用強度を証明するのに十分である臨床研究(複数可)(免疫原性及び薬物動態学又は薬力学の評価を含む)。バイオ後続品は、処方する医療従事者の介入なしに薬局で標準製剤の代替品となり得る、互換可能な製品であり得る。「互換性」の更なる基準を遵守すべく、バイオ後続品は、いずれの所与の患者においても標準製剤と同じ臨床結果を生じさせることが求められ、バイオ後続品が個体に複数回投与される場合には、バイオ後続品の使用と標準製剤の使用を交互にする又は切り替えることによる安全性又は効果の低下に関するリスクは、そのように使用を交互にする又は切り替えることなく標準製剤を使用した場合のリスクを上回らない。標準製剤の機序が既知である範囲で、バイオ後続品は、提案された使用条件に関して同じ作用機序を利用する。バイオ後続品に関して提案されるラベル表示において定められた、推奨された、又は提示された使用条件(複数可)は、標準製剤に関して既に認可されている。バイオ後続品の投与経路、剤形、及び/又は強度は、標準製剤のものと同じであり、バイオ後続品は、バイオ後続品が安全性、純度及び強度を確実に維持し続けるように設計された基準を満たす設備で製造、加工、包装又は保持される。バイオ後続品は、標準製剤と比較した場合に、バイオ後続品の性能を変化させないと予想されるアミノ酸配列の若干の改変(例えば、N末端又はC末端短縮)を含んでもよい。
【0031】
「癌」は、コントロール不良で増殖し、場合によっては、患者の身体の他の領域に転移する(広がる)傾向がある、細胞の異常な成長を指す。
【0032】
「CD38」とは、形質細胞、ナチュラルキラー細胞、並びにB細胞及びT細胞の亜集団を含む免疫細胞上で発現する糖タンパク質である、ヒト分化抗原群38タンパク質を指す。
【0033】
「臨床有効性エンドポイント」又は「臨床エンドポイント」は、無増悪生存(progression-free survival、PFS)、無増悪期間(time to disease progression、TTP)、次治療開始までの期間、全奏効率(overall response rate、ORR)、部分奏効(partial response、PR)を達成する対象の割合、非常に良好な部分奏効(VGPR)を達成する対象の割合、完全奏効(CR)を達成する対象の割合、厳密な完全奏効(stringent complete response、sCR)を達成する対象の割合、微小残存病変(MRD)を達成する対象の割合、又はsCR及びMRDに対する陰性状態の両方を達成する対象の割合などの、臨床的有用性を表す結果を指す。
【0034】
「臨床的に証明された」とは、U.S.Food and Drug Administration(FDA)、European Medicines Agency(EMA)、又は対応する国家規制機関の承認基準を満たすのに十分な臨床的有効性結果を指す。例えば、臨床研究は、薬物の効果を臨床的に証明するために使用される、適切なサイズのランダム化二重盲検対照試験であってもよい。
【0035】
「同時投与」、「との投与」、「と組み合わせた投与」、「と組み合わせて」などは、選択された治療薬又は薬物の単一の患者への投与を包含し、治療薬又は薬物が同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同じ若しくは異なる時間に投与される、治療レジメンを含むことが意図される。
【0036】
「併用」は、一緒又は別々のいずれかで投与され得る2つ又は3つ以上の治療薬又は薬物の組み合わせを指す。
【0037】
「相補性決定領域(CDR)」は、抗体における「抗原結合部位」である。CDRは、配列変動性(Wu and Kabat,J Exp Med 132:211-250,1970;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、又は代替的描写(Lefranc et al.,Dev Comparat Immunol 27:55-77,2003を参照)に基づいて定義され得る。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http_//www_imgt_org)は、抗原結合部位の標準化された番号付け及び定義を提供する。
【0038】
「完全奏効率又はそれ以上」(CR率又はそれ以上)は、治療中又は治療後にCR又は厳密な完全奏効(sCR)を達成する対象の割合を指す。
【0039】
「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」は、特許専門用語において一般的に受け入れられている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外し、並びに(iii)「から本質的になる」は、特定される材料又は工程であり、かつ、特許請求される発明の「基本的かつ新しい特徴(複数可)に実質的に影響しないもの」に、特許請求の範囲の範囲を制限する。句「備える/含む(comprising)」(又はその同等語)に関して記載される実施形態はまた、実施形態として、「からなる」及び「から本質的になる」に関して独立して記載されるものを提供する。
【0040】
「コルチコステロイド」とは、副腎皮質で産生されるか又は合成的に産生されるステロイドホルモンのクラスを指し、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、及びプレドニゾンを指す。デキサメタゾンは、商品名DECARON(登録商標)として市販されている。
【0041】
「サイクル」は、1つ又は2つ以上の治療薬又は薬物の投与スケジュールを指し、1つ又は2つ以上の治療薬又は薬物が対象に投与される期間を指す。サイクルは、薬物が投与される日数、及び薬物が投与されない休止期間を含んでもよい。サイクルの長さは様々であってもよく、例えば、2週間、3週間、28日間(若しくは4週間)、5週間、又は6週間であり得る。
【0042】
投与の文脈における「1日当たり(daily)」とは、1日に対象に投与されるレナリドミドなどの薬物の総用量を指す。用量は、その日の間に2回若しくは3回以上の投与に分割されてもよく、又は1日当たり1回の投与として与えられてもよい。例えば、総用量は、単回投与として投与される1日当たり25mgであってもよい。
【0043】
「ダラツムマブ」は、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、配列番号6のLCDR3、配列番号7の重鎖可変領域(VH)、配列番号8の軽鎖可変領域(VL)、配列番号9の重鎖(HC)、及び配列番号10の軽鎖(LC)を含む、CD38に特異的に結合する抗体を指す。ダラツムマブは、商品名DARZALEX(登録商標)で市販されている。「ダラツムマブ」は、DARZALEX(登録商標)のバイオ後続品を含む、有効成分としてダラツムマブを含む任意の薬物を指す。
【0044】
「ダラツムマブ含有薬物製品」は、ダラツムマブが有効成分である任意の薬物製品を指す。
【0045】
「デキサメタゾン」は、9-フルオロ-11β,17,21-トリヒドロキシ-16α-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンとして化学的に指定される。デキサメタゾンの構造を式1に示す。
【0046】
【0047】
「用量」とは、各回に摂取される治療薬又は薬物の量又は分量を指す。
【0048】
「投与量」とは、対象によって摂取される治療薬又は薬物の量、及び対象によって摂取される治療薬の回数の頻度に関する情報を指す。
【0049】
「薬物製品」(drug product、DP)とは、必ずではないが、一般的に、不活性成分を伴って活性医薬成分(例えば、薬物物質)を含有する最終剤形、例えば、錠剤、カプセル、又は溶液を指す。
【0050】
「原薬」(drug substance、DS)とは、薬物(医薬)製品の製造において使用されることを意図し、薬物の生産に使用されるとき、その薬物製品の有効成分となる任意の物質又は物質の混合物を指す。このような物質は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、又は予防において薬理学的活性又は他の直接効果を提供するか、あるいは身体の構造又は身体機能に影響を与えることを意図する。
【0051】
「奏効期間」とは、奏効(部分奏効(PR)又はそれ以上)が最初に確認された日と、進行性疾患の兆候が最初に確認された日との間の時間を指す。
【0052】
「有効」とは、治療薬若しくは薬物又は治療薬若しくは薬物の組み合わせを投与されているか又は投与された対象において、所与の条件及び投与レジメンに対して治療効果を提供する、治療薬若しくは薬物(ダラツムマブなどのCD38に特異的に結合する抗体など)、又は治療薬若しくは薬物の組み合わせの用量又は投与量を指す。「有効」は、対象の活動、機能、及び応答における臨床的に有意な障害を低減及び/若しくは予防するのに、又は対象における臨床的に有意な状態の改善を引き起こすのに十分な量を意味することを意図する。
【0053】
「フロントライン」又は「第一選択」療法は、対象に投与される多発性骨髄腫などの疾患の第1の治療を指す。
【0054】
「グルタミン酸誘導体」は、レナリドミド、サリドマイド、及びポマリドミドなどのグルタミン酸の誘導体である免疫調節薬を指す。レナリノミドは、商品名REVLIMID(登録商標)で市販されている。サリドマイドは、商品名THALOMID(登録商標)で市販されている。ポマリドミドは、商品名POMALYST(登録商標)で市販されている。
【0055】
「医療従事者」(HCP)とは、医師、看護師、看護助手、又は医師若しくは看護師による直接的な指示下で働く人、又は病院若しくは治療が対象に提供され得る場所で働く人を指す。
【0056】
「高用量化学療法」(HDC)及び「自家幹細胞移植」(ASCT)とは、適切であると考えられる、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象の治療を指す。HDC及びASCTの忍容性に悪影響を及ぼす可能性が高い1つ若しくは2つ以上の併存疾患を有する65歳未満の対象、又は65歳以上の対象は、死亡及び移植に関連する合併症のリスクを増加させる虚弱な身体状態により、通常、HDC及びASCTに適格ではないと考えられる(例えば、対象は、「不適格」である)。例示的な併存疾患は、腎機能不全である。例示的なHDCレジメンは、200mg/m2の用量のメルファラン(年齢及び腎機能に基づく用量の低減を伴う)、シクロホスファミド及びメルファラン、カルムスチン、エトポシド、シタラビン、及びメルファラン(BEAM)、高用量イダルビシン、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、及びシクロホスファミド、ブスルファン及びメルファラン、並びに高用量レナリドミドである(Mahajan et al.,Ther Adv Hematol 9:123-133,2018)。
【0057】
「高リスク多発性骨髄腫」とは、1つ又は2つ以上の細胞遺伝学的異常、del17p、t(4;14)、t(14;20)、t(14;16)、若しくはdel13、又はこれらの任意の組み合わせを特徴とする多発性骨髄腫を指す。
【0058】
「情報」は、臨床試験からの報告された結果を指し、書面若しくは電子形態で、又は口頭で提供され得るか、あるいはインターネット上で入手可能であり得る。
【0059】
「注入に関連する反応」(infusion related reaction、IRR)とは、薬物若しくは治療薬の投与中に対象が経験する任意の徴候若しくは症状、又は投与の24時間以内に生じる任意の事象を指す。IRRは、典型的には、グレード1、2、3、又は4に分類される。
【0060】
「ラベル」及び「ラベリング」は、本明細書において互換的に使用され、ダラツムマブなどの薬物を収容する容器若しくはパッケージの上、中、若しくは添付されている、又はそうでなければ電子的に若しくはインターネットで利用可能な、書面、印刷、又はグラフィック情報の全てのラベル及び表示を指す。「ラベル」及び「ラベリング」は、添付文書及び処方情報を含む。
【0061】
サリドマイド類似体である「レナリドミド」は、抗血管新生及び抗腫瘍特性を有する免疫調節薬である。化学名は、3-(4-アミノ-1-オキソ1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオンであり、式2に示す構造を有する。レナリノミドは、商品名REVLIMID(登録商標)で市販されている。
【0062】
【0063】
「微小残存病変」(MRD)とは、治療後及び/又は寛解中に患者に残存する少数のクローン性多発性骨髄腫細胞を指す。
【0064】
「MRD陰性」又は「MRDに対する陰性状態」とは、対象から得られた骨髄穿刺液試料中の、1:10×105又はそれ以下のクローン多発性骨髄腫細胞の比率を指す。
【0065】
「MRD陰性率」とは、無作為化日の後の任意の時点で、MRD陰性として評価された対象の割合を指す。
【0066】
「多発性骨髄腫」とは、1つ又は2つ以上の悪性形質細胞のコントロール不良の,かつ進行性の増殖を特徴とする、形質細胞の悪性疾患を指す。形質(骨髄腫)細胞の異常な増殖は、正常骨髄の変位を引き起こし、造血組織の機能不全及び骨髄構造の破壊をもたらし、漸進的な罹患率及び最終的な死亡率につながる。
【0067】
「新たに診断された」とは、多発性骨髄腫と診断されているが、その治療を未だ受けていないヒト対象を指す。
【0068】
「全奏効率」(ORR)とは、治療中又は処置後に、部分奏効(PR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)、完全奏効(CR)、又は厳密な完全奏効(sCR)を達成する対象の割合を指す。
【0069】
「全生存」(overall survival、OS)は、治療開始から任意の原因による死亡日までの時間として定義される。本実施例に記載される臨床試験の目的のために、OSは、試験集団の無作為化から患者の死亡日までの時間として定義される。
【0070】
「w/vパーセント」(w/v%)は、100m当たりのグラムでの重量を指す。
【0071】
「1週間当たり」とは、1週間に対象に投与されるデキサメタゾンなどの薬物の総用量を指す。用量は、同じ日又は異なる日の間に2回又は3回以上の投与に分割されてもよい。例えば、総用量は、週の1日目に20mg及び3日目に20mg投与される40mgであってもよい。
【0072】
「医薬的に許容される担体」又は「賦形剤」は、対象に対して毒性のない有効成分以外の医薬組成物中の成分を指す。医薬的に許容される担体は、緩衝液、安定剤、又は防腐剤を含むが、これらに限定されない。
【0073】
「無増悪生存」(PFS)とは、治療開始から任意の原因による疾患の進行又は死亡の最初(いずれか最初に生じる方)の証拠までの時間を意味する。本実施例に記載される臨床試験の目的のために、PFSは、試験集団の無作為化日から、任意の原因により進行性疾患又は死亡(いずれか最初に生じる方)が最初に確認されるまでの期間として定義される。
【0074】
「最初の後続治療による無増悪生存」(progression-free survival with the first subsequent therapy、PFS2)は、治療開始から次治療中の進行又は死亡(いずれか最初に生じる方)までの時間として定義される。
【0075】
「進行性疾患」(progressive disease、PD)、「安定した疾患」(stable disease、SD)、「部分奏効」(PR)、「非常に良好な部分奏効」(VGPR)、「完全奏効」(CR)、及び「厳密な完全奏効」(sCR)とは、治療に対する応答を指し、臨床試験を設計、実施、又は審査する当業者には理解されるような慣習的な意味を有する。治療に対する応答は、表1に示すように、International Myeloma Working Group(IMWG)の統一応答基準推奨(International Uniform Response Criteria Consensus Recommendations)を使用して評価され得る。
【0076】
「難治性」とは、治療に応答しない疾患を指す。難治性疾患は、治療前又は治療開始時に治療に抵抗性であり得るか、又は難治性疾患は、治療中に耐性疾患となり得る。
【0077】
「再発性」とは、治療薬による以前の治療後の改善期間後の疾患又は疾患の徴候及び症状の再開を指す。
【0078】
「基準製品」とは、バイオ後続品と比較される、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドなどの承認されている生物学的製品を指す。基準製品は、とりわけ、安全性及び有効性のデータの完全な補完物(complement)に基づいて米国で承認されている。
【0079】
「安全」とは、治療薬又は薬物(CD38に特異的に結合する抗体、例えば、ダラツムマブなど)を用いた組成物、用量、投与レジメン、治療、又は方法に関する場合、標準治療(例えば、レナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせなど)又は別の比較薬と比較した、有害事象(adverse event、AE)及び/又は治療中に発生した有害反応(treatment-emergent adverse event、TEAE)の許容可能な頻度及び/又は許容可能な重症度による効果:リスク比を指す。
【0080】
「安全及び有効」とは、改正版のFederal Food,Drug,and Cosmetic Act(secs.201-902,52 Stat.1040 et seq.改正版;21 U.S.C.§§ 321-392)に従って、そのような応答の効果をリスクが上回ることなく、対象の生体系における所望の生物学的応答若しくは薬物応答を引き出す薬物(CD38に特異的に結合する抗体、例えば、ダラツムマブなど)又は薬剤の組み合わせの量及び/又は投与量を指す。安全性は、所望の効果を達成するのに必要な薬物又は薬物の組み合わせの最大認容用量又は最適用量を決定するために、実験室、動物、及びヒト臨床試験において評価される。有効性は、ヒト臨床試験において評価され、薬物又は薬物の組み合わせがプラセボ又は他の介入に対して健康効果を実証するかどうかを判定する。安全かつ有効な薬物又は薬物の組み合わせは、その示された使用についてFDAによって販売承認が与えられる。
【0081】
「CD38に特異的に結合する」抗体とは、他の抗原よりも高い親和性でCD38に結合する抗体を指す。典型的には、抗体は、約1×10-8M以下、例えば、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の平衡解離定数(KD)で、典型的には、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合についてのKDより少なくとも100倍低いKDでCD38に結合する。KDは、標準的な手順を使用して測定することができる。しかしながら、CD38に特異的に結合する抗体は、他の関連抗原、例えば、サル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル(cynomolgus、cyno))、Pan troglodytes(チンパンジー(chimpanzee、chimp))、又はCallithrix jacchus(コモンマーモセット(common marmoset、marmoset))などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。
【0082】
「対象」とは、ヒト患者を指す。用語「対象」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0083】
「治療的に有効な量」とは、必要とされる用量及び期間において、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。治療的に有効な量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を引き出す治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々であってよい。有効な治療薬又は治療薬の組み合わせを示す指標の例としては、例えば、患者の健康状態の改善、腫瘍量の減少、腫瘍の増殖の停止若しくは鈍化、及び/又は体内の他の場所への癌細胞の転移の不在が挙げられる。
【0084】
「無増悪期間」(TTP)とは、無作為化日から進行性疾患の兆候が最初に確認された日までの時間を意味する。
【0085】
「次治療開始までの期間」とは、無作為化から次治療の開始までの時間を指す。
【0086】
「奏効までの期間」とは、無作為化と、対象がPR又はそれ以上についての全ての基準を満たしたという最初の有効性評価との間の時間を指す。
【0087】
「後続の抗骨髄腫治療までの期間」とは、治療開始から対象への新たな抗骨髄腫療法の投与の確認までの時間を指す。
【0088】
「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、治療的処置を指す。治療を必要としている個体としては、障害又は障害の兆候を有するとして診断された対象が挙げられる。治療され得る対象としては、障害を有する傾向があるか若しくは障害に対して感受性を有するもの、又はその障害が予防され得るものも挙げることができる。有益な又は所望の臨床結果としては、症状の軽減、疾患の程度の低下、安定化した(すなわち、悪化しない)疾患状態、疾患の進行の遅延又は鈍化、疾患状態の改善又は緩和、疾患の寛解(部分的であるか完全であるかにかかわらず)、並びに対象が治療を受けなかったか又は別の治療を受けた場合の予想生存と比較した生存の延長が挙げられる。
【0089】
「治療中に発生した有害事象」(TEAE)とは、本明細書で使用するとき、臨床試験を設計、実施、又は審査する当業者には理解されるような慣習的な意味を有し、帰属が可能であるか、恐らく帰属するか、又は帰属する可能性が高い場合に、CD38に特異的に結合する抗体、例えば、ダラツムマブの使用に関連すると考えられるAEを指す。
【0090】
「許容不可能な有害事象」及び「許容不可能な有害反応」とは、医薬組成物又は治療薬の投与に関連する又は当該投与によって引き起こされる全ての有害な又は望ましくない転帰を指し、当該有害な又は望ましくない転帰は、提案された使用について許容不可能な医薬組成物又は治療薬であると規制当局がみなすような重篤度のレベルに達している。
【0091】
「非常に良好な部分奏効又はそれ以上」(VGPR率又はそれ以上)は、治療中又は治療後にVGPR、完全奏効(CR)、又は厳密な完全奏効(sCR)を達成する対象の割合を指す。
【0092】
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫は、有意な罹患率及び死亡率を引き起こす。これは、世界の全ての悪性腫瘍の約1%及び13%の血液癌を占めている。1年当たり約50,000人の患者が、EU及びUSにおいて多発性骨髄腫と診断され、1年当たり30,000人の患者が多発性骨髄腫により死亡している。
【0093】
多発性骨髄腫を有する患者の大部分は、その機能を失った免疫グロブリン(Ig)又はその断片である、モノクローナル蛋白(異常蛋白、M-蛋白、若しくはM-成分)を産生する(Kyle and Rajkumar,Leukemia 23:3-9,2009;Palumbo and Anderson,N Engl J Med 364:1046-1060,2011)。正常な免疫グロブリンレベルが患者において損なわれ、感染の感受性をもたらす。増殖する多発性骨髄腫細胞は、正常な骨髄を変位させ、正常な造血組織の機能不全及び正常な骨髄構造の破壊をもたらし、これは、貧血、血清又は尿中の異常蛋白、及びX線写真に示されるびまん性骨粗しょう症又は溶解性病変として見られる骨吸収などの臨床所見によって反映される(Kyle et al.,Mayo Clin Proc 78:21-33,2003)。更に、高カルシウム血症、腎機能低下又は腎不全、及び神経学的合併症が見られることが多い。多発性骨髄腫を有するごく少数の患者は、非分泌性である。
【0094】
多発性骨髄腫の治療選択肢は、年齢、併存疾患、疾患の攻撃性、及び関連する予後因子によって異なる(Palumbo and Anderson,N Engl J Med 364:1046-1060,2011)。多発性骨髄腫と新たに診断された患者は、典型的には、治療に対する後続のアプローチについて、年齢及び適合性によって通常定義される2つの亜集団に分類される。若年患者は、典型的には、誘導レジメン、続いて、高用量化学療法(HDC)及び自家幹細胞移植(ASCT)による地固め療法を受ける。HDC及びASCTに好適であるとみなされない患者については、アルキル化薬、高用量ステロイド、及び新規薬剤を含む多剤併用によるより長期の治療が、現在、標準治療と考えられている。一般に、65歳以上の患者又は有意な併存疾患を有する患者は、通常、HDC及びASCTに適格であるとみなされない。長年にわたって、経口併用メルファラン-プレドニゾン(MP)は、ASCTに適格ではない多発性骨髄腫を有する患者のための標準治療であると考えられた(Gay and Palumbo,Blood Reviews 25:65-73,2011)。免疫調節薬(immunomodulatory agent、IMiD)及びプロテアソーム阻害剤(proteasome inhibitor、PI)の出現は、移植に基づく療法に適していない新たに診断された患者のための多数の新たな治療選択肢をもたらした。
【0095】
多発性骨髄腫の診断
多発性骨髄腫に罹患した対象は、CRAB(calcium elevation,renal insufficiency,anemia and bone abnormalities)(カルシウム上昇、腎機能低下、貧血、及び骨異常)基準を満たし、10%以上のクローン骨髄形質細胞、又は生検診断での骨若しくは髄外性形質細胞腫、及び測定可能な疾患を有する。測定可能な疾患は、以下のうちのいずれかによって定義される:
-IgG骨髄腫:1.0g/dL以上の血清モノクローナル異常(M-蛋白)レベル、若しくは200mg/24時間以上の尿M-蛋白レベル、又は
-IgA、IgM、IgD、若しくはIgE多発性骨髄腫:0.5g/dL以上の血清M-蛋白レベル、若しくは200mg/24時間以上の尿M-蛋白レベル、又は
-血清又は尿中で測定可能な疾患を有しない軽鎖多発性骨髄腫:10mg/dL以上の血清免疫グロブリン遊離軽鎖、及び異常な血清免疫グロブリンカッパラムダ遊離軽鎖比。
【0096】
CRAB基準
・高カルシウム血症:正常範囲の上限[ULN]よりも0.25mM/L超(1mg/dL超)高いか、又は2.75mM/L超(11mg/dL超)の血清カルシウム
・腎機能低下:40mL/分未満のクレアチニンクリアランス、又は177μM/L超(2mg/dL超)の血清クレアチニン
・貧血:正常下限を2g/dL超下回るヘモグロビン、10g/dL未満のヘモグロビン
・骨病変:骨X線撮影、CT、又はPET-CT上の1つ又は2つ以上の溶骨性病変
【0097】
治療に対する応答は、表1に示すように、International Myeloma Working Group(IMWG)の統一応答基準推奨(International Uniform Response Criteria Consensus Recommendations)を使用して評価され得る。
【0098】
【0099】
本開示の方法
本開示は、ダラツムマブ及び1つ又は2つ以上の免疫調節薬又はボルテゾミブを含む併用療法を対象に投与することを含む、多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供する。
【0100】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の免疫調節薬は、グルタミン酸誘導体である。
【0101】
いくつかの実施形態では、グルタミン酸誘導体は、レナリドミド又はポマリドミドである。
【0102】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性多発性骨髄腫である。
【0103】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、難治性多発性骨髄腫である。
【0104】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、新たに診断された多発性骨髄腫である。
【0105】
本開示はまた、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法を対象に投与することを含む、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供する。
【0106】
本開示はまた、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法を対象に投与することを含む、新たに多発性骨髄腫と診断された対象を治療する方法を提供し、方法は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成する。
【0107】
本開示はまた、ダラツムマブを対象に投与すること又はその投与を提供することを含む、高用量化学療法(HDC)及び自家幹細胞移植(ASCT)に不適格である、新たに多発性骨髄腫と診断された対象を治療する方法を提供し、ダラツムマブは、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用療法として投与され、方法は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成する。
【0108】
いくつかの実施形態では、改善された臨床有効性エンドポイントは、完全奏効(CR)若しくはそれ以上を達成する可能性の増加、非常に良好な部分奏効(VGPR)若しくはそれ以上を達成する可能性の増加、微小残存病変(MRD)に対する陰性状態を達成する可能性の増加、多発性骨髄腫の進行若しくは死亡のリスクの低減、無増悪生存(PFS)の延長、又は30か月無増悪生存率を達成する可能性の増加である。
【0109】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供し、多発性骨髄腫を有する対象において、VGPR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、対象に投与することを含み、併用療法は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、VGPR又はそれ以上を達成する可能性は、約79%又はそれ以上である。
【0111】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供し、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、MRDに対する陰性状態を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、対象に投与することを含み、併用療法は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、MRDに対する陰性状態を達成する可能性は、約24%又はそれ以上である。
【0113】
MRD状態は、例えば、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の次世代シーケンシング(next generation sequencing、NGS)を使用して、骨髄穿刺液試料から評価され得る。Adaptive BiotechnologiesによるclonoSEQ(登録商標)アッセイの更新され、分析的に検証されたバージョン(バージョン2)は、MRDの検出、定量化、及び分析に使用され得る。
【0114】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供し、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、CR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証された併用療法を、対象に投与することを含み、併用療法は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、CR又はそれ以上を達成する可能性は、約47%又はそれ以上である。
【0116】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を提供し、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクを低減することが実証された併用療法を、対象に投与することを含み、併用療法は、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクは、約44%低減される。
【0118】
いくつかの実施形態では、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象は、自家幹細胞移植(ASCT)に不適格である。
【0119】
適格な対象において、ASCTは、本明細書に記載される高用量化学療法(HDC)と併せて提供される。
【0120】
いくつかの実施形態では、併用療法は、約16mg/kgのダラツムマブ、約25mgのレナリドミド、及び約20mg~約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、併用療法は、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回、約16mg/kgのダラツムマブの投与、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり約25mgのレナリドミドの投与、及び1週間当たり約20mg~約40mgのデキサメタゾンの投与を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、ダラツムマブ投与日に前投薬として投与される。
【0123】
デキサメタゾンは、ダラツムマブ投与の日に約20mg、及びダラツムマブ投与の1日後に20mg投与され得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは静脈内投与され、レナリドミドは経口投与され、デキサメタゾンは静脈内又は経口投与される。
【0125】
いくつかの実施形態では、レナリドミド、デキサメタゾン、又はレナリドミド及びデキサメタゾンの両方は、自己投与される。
【0126】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む単回投与バイアル内で、又は20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む単回投与バイアル内で、ダラツムマブの製造業者によって投与のために提供される。
【0127】
いくつかの実施形態では、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアル、及び20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルは、氷酢酸、マンニトール、ポリソルベート20、酢酸ナトリウム三水和物、及び塩化ナトリウムを更に含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルは、0.9mgの氷酢酸、127.5mgのマンニトール、2mgのポリソルベート20、14.8mgの酢酸ナトリウム三水和物、17.5mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有し、20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルは、400mgのダラツムマブ、3.7mgの氷酢酸、510mgのマンニトール、8mgのポリソルベート20、59.3mgの酢酸ナトリウム三水和物、70.1mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有する。
【0129】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、投与前に0.9%塩化ナトリウムに希釈される。
【0130】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法が、安全かつ有効であるという情報が、ダラツムマブ含有薬物製品ラベル又は添付文書上で提供される。
【0131】
例示的な情報は、試験NCT02252172としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験MAIAからの臨床試験結果である。
【0132】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ダラツムマブの推奨用量が静脈内注射として投与される16mg/kgであるという情報を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、レナリドミドと組み合わせたダラツムマブの推奨投与スケジュールが、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回であるという情報を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、レナリドミドの推奨投与スケジュールが、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり25mgであるという情報を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、デキサメタゾンの推奨投与スケジュールが、1週間当たり約20mg又は約40mgであるという情報を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンは、推奨投与スケジュールに従って投与される。
【0137】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ASCTに不適格である、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験は、試験NCT02252172としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、MAIAとして知られている。
【0139】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクの約44%の低減をもたらしたというデータを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、VGPR若しくはそれ以上を達成する対象の約79.3%、MRDに対する陰性状態を達成する対象の約24%、又はCR若しくはそれ以上を達成する対象の約47.6%、あるいはこれらの任意の組み合わせをもたらしたというデータを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(D-VMP)による治療を、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02195479としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、ALCYONEとして知られている。
【0144】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02076009としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、POLLUXとして知られている。
【0146】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾン(DVd)による治療を、ボルテゾミド(bortezomid)及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02136134としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、CASTORとして知られている。
【0148】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価が、ダラツムマブと、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンとの間で臨床的に関連する薬物間相互作用を示さなかったということを報告する、薬物相互作用データを含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ダラツムマブの副作用が、脱力感、食欲低下、気管支炎、及び肺感染を含むという情報を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ダラツムマブの承認された適応症、投与量及び投与、有害反応、薬物相互作用、特定の集団での使用、臨床薬理学、非臨床毒物学、臨床研究、並びに保管及び取り扱い、又はこれらの任意の組み合わせに関する情報を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドである。
【0152】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドのバイオ後続品である。
【0153】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号1の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号7の重鎖可変領域(VH)及び配列番号8の軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である。
【0156】
例示的なIgG1定常ドメイン配列は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。IgG1定常ドメイン内には、214、356、358、422、431、435、又は436位(EU番号付けに従った残基の番号付け)における変異を含むいくつかの変異が存在する(例えば、周知のアロタイプ)(例えば、IMGT Webリソース;IMGTレパートリー(IG及びTR);タンパク質及び対立遺伝子;アロタイプを参照)。CD38に特異的に結合する抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、G1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、哺乳類細胞株内で産生される。
【0159】
いくつかの実施形態では、哺乳類細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(Chinese hamster ovary、CHO)細胞株である。いくつかの実施形態では、哺乳類細胞株は、Hek細胞株である。
【0160】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブの分子量は、約148kDaである。
【0161】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、デキサメタゾン同等物の代わりになり得、デキサメタゾン同等物は、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、若しくはベタメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0162】
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する方法を含み、
医療従事者(HCP)にダラツムマブを提供することと、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で対象を治療することが、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、HCPに提供することと、を含み、工程a)及びb)を実施することにより、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象が、HCPによって、又はHCPによって指示されたとおりの自己投与によって、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法を受けることにつながり、これにより、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療する。
【0163】
本開示はまた、HCPがダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療するために、HCPにダラツムマブを提供する方法を提供し、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法による治療は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成し、
ダラツムマブを製造することと、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法による治療が、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、HCPに提供することと、
HCPがダラツムマブを購入するために、ダラツムマブをHCP又はダラツムマブの正規販売店に輸送することと、を含み、これにより、HCPにダラツムマブを提供する。
【0164】
本開示はまた、HCPがダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法で、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療するための、治療選択肢を提供する方法を提供し、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法による治療は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成し、
ダラツムマブを製造することと、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法が、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を、HCPに提供することと、
HCPがダラツムマブを購入するために、ダラツムマブをHCP又はダラツムマブの正規販売店に輸送することとを含み、これにより、HCPのための治療選択肢を提供する。
【0165】
例示的な情報は、試験NCT02252172としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、MAIAとして既知の、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からの臨床試験結果である。
【0166】
いくつかの実施形態では、対象は、自家幹細胞移植(ASCT)に不適格である。
【0167】
適格な対象において、ASCTは、本明細書に記載される高用量化学療法(HDC)と併せて提供される。
【0168】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、VGPR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証される。
【0169】
いくつかの実施形態では、VGPR又はそれ以上を達成する可能性は、約79%又はそれ以上である。
【0170】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、MRDに対する陰性状態を達成する可能性を増加させることが実証される。
【0171】
いくつかの実施形態では、MRDに対する陰性状態を達成する可能性は、約24%又はそれ以上である。
【0172】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、CR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証される。
【0173】
いくつかの実施形態では、CR又はそれ以上を達成する可能性は、約47%又はそれ以上である。
【0174】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクを低減することが実証される。
【0175】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクは、約44%低減される。
【0176】
いくつかの実施形態では、併用療法は、約16mg/kgのダラツムマブ、約25mgのレナリドミド、及び約20mg~約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、併用療法は、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回、約16mg/kgのダラツムマブの投与、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり約25mgのレナリドミドの投与、及び1週間当たり約20mg~約40mgのデキサメタゾンの投与を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、併用療法は、ダラツムマブ投与日にデキサメタゾンを前投薬として投与することを含む。
【0179】
デキサメタゾンは、ダラツムマブ投与の日に約20mg、及びダラツムマブ投与の1日後に20mg投与され得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、併用療法は、ダラツムマブを静脈内投与し、レナリドミドを経口投与し、デキサメタゾンを静脈内又は経口投与することを含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む単回投与バイアル内で、又は20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む単回投与バイアル内で、ダラツムマブの製造業者によって輸送又は提供される。
【0182】
いくつかの実施形態では、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアル、及び20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルは、氷酢酸、マンニトール、ポリソルベート20、酢酸ナトリウム三水和物、及び塩化ナトリウムを更に含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルは、0.9mgの氷酢酸、127.5mgのマンニトール、2mgのポリソルベート20、14.8mgの酢酸ナトリウム三水和物、17.5mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有し、20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む各単回投与バイアルは、400mgのダラツムマブ、3.7mgの氷酢酸、510mgのマンニトール、8mgのポリソルベート20、59.3mgの酢酸ナトリウム三水和物、70.1mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有する。
【0184】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、投与前に0.9%塩化ナトリウムに希釈される。
【0185】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法が改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報が、ダラツムマブ含有薬物製品ラベル上で提供される。
【0186】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ダラツムマブの推奨用量が静脈内注入として投与される16mg/kgであるという情報を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、レナリドミドと組み合わせたダラツムマブの推奨投与スケジュールが、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回であるという情報を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、レナリドミドの推奨投与スケジュールが、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり1回25mgであるという情報を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、デキサメタゾンの推奨投与スケジュールが、1週間当たり約20mg又は約40mgであるという情報を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンは、推奨投与スケジュールに従って投与される。
【0191】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ASCTに不適格である、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験は、試験NCT02252172としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、MAIAとして知られている。
【0193】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクの約44%の低減をもたらしたというデータを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、VGPR若しくはそれ以上を達成する対象の約79.3%、MRDに対する陰性状態を達成する対象の約24%、又はCR若しくはそれ以上を達成する対象の約47.6%、あるいはこれらの任意の組み合わせをもたらしたというデータを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(D-VMP)による治療を、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02195479としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、ALCYONEとして知られている。
【0198】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02076009としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、POLLUXとして知られている。
【0200】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾン(DVd)による治療を、ボルテゾミド(bortezomid)及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02136134としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、CASTORとして知られている。
【0202】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価が、ダラツムマブと、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンとの間で臨床的に関連する薬物間相互作用を示さなかったということを報告する、薬物相互作用データを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ダラツムマブの副作用が、脱力感、食欲低下、気管支炎、及び肺感染を含むという情報を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ダラツムマブの承認された適応症、投与量及び投与、有害反応、薬物相互作用、特定の集団での使用、臨床薬理学、非臨床毒物学、臨床研究、並びに保管及び取り扱い、又はこれらの任意の組み合わせに関する情報を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドである。
【0206】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドのバイオ後続品である。
【0207】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号7のVH及び配列番号8のVLを含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である。
【0210】
例示的なIgG1定常ドメイン配列は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。IgG1定常ドメイン内には、214、356、358、422、431、435、又は436位(EU番号付けに従った残基の番号付け)における変異を含むいくつかの変異が存在する(例えば、周知のアロタイプ)(例えば、IMGT Webリソース;IMGTレパートリー(IG及びTR);タンパク質及び対立遺伝子;アロタイプを参照)。CD38に特異的に結合する抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、G1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってよい。
【0211】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号9のHC及び配列番号10のLCを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、哺乳類細胞株内で産生される。
【0213】
いくつかの実施形態では、哺乳類細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
【0214】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブの分子量は、約148kDaである。
【0215】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、デキサメタゾン同等物の代わりになり得、デキサメタゾン同等物は、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、若しくはベタメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0216】
本開示の併用療法及び薬物製品
本開示はまた、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象の治療を提供するための、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法を提供し、治療は、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせで治療された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成する。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法は、約16mg/kgのダラツムマブ、約25mgのレナリドミド、及び約20mg~約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象の治療は、1週間に1回、2週間に1回、又は4週間に1回、約16mg/kgのダラツムマブ、1日当たり約25mgのレナリドミド、及び1週間当たり約20mg~約40mgのデキサメタゾンを対象に投与することを含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象の治療は、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回、約16mg/kgのダラツムマブ、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり1回、約25mgのレナリドミド、及び1週間当たり約20mg又は約40mgのデキサメタゾンを対象に投与することを含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、VGPR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証される。
【0221】
いくつかの実施形態では、VGPR又はそれ以上を達成する可能性は、約79%又はそれ以上である。
【0222】
いくつかの実施形態では、併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、MRDに対する陰性状態を達成する可能性を増加させることが実証される。
【0223】
いくつかの実施形態では、MRDに対する陰性状態を達成する可能性は、約24%又はそれ以上である。
【0224】
いくつかの実施形態では、併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、CR又はそれ以上を達成する可能性を増加させることが実証される。
【0225】
いくつかの実施形態では、CR又はそれ以上を達成する可能性は、約47%又はそれ以上である。
【0226】
いくつかの実施形態では、併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクを低減することが実証される。
【0227】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクは、約44%低減される。
【0228】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫を有する対象は、自家幹細胞移植(ASCT)に不適格である。
【0229】
いくつかの実施形態では、併用療法は、新たに診断された多発性骨髄腫の治療のためのダラツムマブの製造業者によって促進される。促進は、印刷又は放送のいずれかの製品クレーム広告、消費者に郵送又は提供されるパンフレット及び資料を含む促進用のラベリング、並びに薬物製品ラベル及び処方情報を含むダラツムマブ含有薬物製品の製造業者によって配布される他の種類の資料など、治療が安全かつ有効であり、FDAによって承認されていることを実証する、任意の公開された記録の形態であってもよい。
【0230】
いくつかの実施形態では、併用療法は、ダラツムマブ含有薬物製品ラベル上で、新たに診断された多発性骨髄腫の治療のためのダラツムマブ含有薬物製品の製造業者によって促進される。
【0231】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験は、試験NCT02252172としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、MAIAとして知られている。
【0233】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクの約44%の低減をもたらしたというデータを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、VGPR若しくはそれ以上を達成する対象の約79.3%、MRDに対する陰性状態を達成する対象の約24%、又はCR若しくはそれ以上を達成する対象の約47.6%、あるいはこれらの任意の組み合わせをもたらしたというデータを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(D-VMP)による治療を、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02195479としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、ALCYONEとして知られている。
【0238】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02076009としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、POLLUXとして知られている。
【0240】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾン(DVd)による治療を、ボルテゾミド(bortezomid)及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02136134としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、CASTORとして知られている。
【0242】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価が、ダラツムマブと、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンとの間で臨床的に関連する薬物間相互作用を示さなかったということを報告する、薬物相互作用データを含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ダラツムマブの副作用が、脱力感、食欲低下、気管支炎、及び肺感染を含むという情報を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブ含有薬物製品ラベルは、ダラツムマブの承認された適応症、投与量及び投与、有害反応、薬物相互作用、特定の集団での使用、臨床薬理学、非臨床毒物学、臨床研究、並びに保管及び取り扱い、又はこれらの任意の組み合わせに関する情報を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドである。
【0246】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドのバイオ後続品である。
【0247】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号7のVH及び配列番号8のVLを含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である。
【0250】
例示的なIgG1定常ドメイン配列は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。IgG1定常ドメイン内には、214、356、358、422、431、435、又は436位(EU番号付けに従った残基の番号付け)における変異を含むいくつかの変異が存在する(例えば、周知のアロタイプ)(例えば、IMGT Webリソース;IMGTレパートリー(IG及びTR);タンパク質及び対立遺伝子;アロタイプを参照)。CD38に特異的に結合する抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、G1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってよい。
【0251】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号9のHC及び配列番号10のLCを含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、哺乳類細胞株内で産生される。
【0253】
いくつかの実施形態では、哺乳類細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
【0254】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブの分子量は、約148kDaである。
【0255】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、デキサメタゾン同等物の代わりになり得、デキサメタゾン同等物は、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、若しくはベタメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0256】
本開示はまた、ダラツムマブを含む1つ又は2つ以上の単回投与バイアルを含むパッケージ内で提供されるダラツムマブと、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法による、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象の治療が、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成するという情報を含む薬物製品ラベルとを含む、薬物製品を提供する。
【0257】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の単回投与バイアルは、5mLの溶液中100mgのダラツムマブ、又は20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む1つ又は2つ以上の単回投与バイアル、及び20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む1つ又は2つ以上の単回投与バイアルは、氷酢酸、マンニトール、ポリソルベート20、酢酸ナトリウム三水和物、及び塩化ナトリウムを更に含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、5mLの溶液中100mgのダラツムマブを含む1つ又は2つ以上の単回投与バイアルは、0.9mgの氷酢酸、127.5mgのマンニトール、2mgのポリソルベート20、14.8mgの酢酸ナトリウム三水和物、17.5mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有し、20mLの溶液中400mgのダラツムマブを含む1つ又は2つ以上の単回投与バイアルは、400mgのダラツムマブ、3.7mgの氷酢酸、510mgのマンニトール、8mgのポリソルベート20、59.3mgの酢酸ナトリウム三水和物、70.1mgの塩化ナトリウム、及び注射用水を含有する。
【0260】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、デキサメタゾンの推奨投与スケジュールが、1~8週目に週1回、9~24週目に2週間に1回、その後4週間に1回約16mg/kgであり、レナリドミドの推奨投与スケジュールが、繰り返される4週間のサイクルの1~21日目に1日当たり約25mgであり、デキサメタゾンの推奨投与スケジュールが、1週間当たり約20mg又は1週間当たり約40mgであるという情報を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験は、試験NCT02252172としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、MAIAとして知られている。
【0263】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクの約44%の低減をもたらしたというデータを含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、VGPR若しくはそれ以上を達成する対象の約79.3%、MRDに対する陰性状態を達成する対象の約24%、又はCR若しくはそれ以上を達成する対象の約47.6%、あるいはこれらの任意の組み合わせをもたらしたというデータを含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療を、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0267】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02195479としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、ALCYONEとして知られている。
【0268】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02076009としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、POLLUXとして知られている。
【0270】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、再発性、難治性、又は再発難治性多発性骨髄腫において、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DVd)による治療を、ボルテゾミド(bortezomid)及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した、第3相実薬対照試験からのデータを含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、第3相実薬対照試験は、試験NCT02136134としてClinicalTrials_govデータベースに列挙されている、CASTORとして知られている。
【0272】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価が、ダラツムマブと、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンとの間で臨床的に関連する薬物間相互作用を示さなかったということを報告する、薬物製品相互作用データを含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、ダラツムマブの副作用が、脱力感、食欲低下、気管支炎、及び肺感染を含むという情報を含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、ダラツムマブの承認された適応症、投与量及び投与、有害反応、薬物相互作用、特定の集団での使用、臨床薬理学、非臨床毒物学、臨床研究、並びに保管及び取り扱い、又はこれらの任意の組み合わせに関する情報を含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドである。
【0276】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドのバイオ後続品である。
【0277】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4のLCDR1、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号7のVH及び配列番号8のVLを含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である。
【0280】
例示的なIgG1定常ドメイン配列は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。IgG1定常ドメイン内には、214、356、358、422、431、435、又は436位(EU番号付けに従った残基の番号付け)における変異を含むいくつかの変異が存在する(例えば、周知のアロタイプ)(例えば、IMGT Webリソース;IMGTレパートリー(IG及びTR);タンパク質及び対立遺伝子;アロタイプを参照)。CD38に特異的に結合する抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、G1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってよい。
【0281】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号9のHC及び配列番号10のLCを含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、哺乳類細胞株内で産生される。
【0283】
いくつかの実施形態では、哺乳類細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
【0284】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブの分子量は、約148kDaである。
【0285】
本開示はまた、ダラツムマブを含む薬物製品を販売する方法を提供し、
ダラツムマブを製造することと、
ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンを含む併用療法が、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象に投与された場合に、対象がレナリドミド及びデキサメタゾンの組み合わせを投与された場合に達成される臨床有効性エンドポイントと比較して、改善された臨床有効性エンドポイントを達成することを促進することとを含み、工程a)及びb)を実施することにより、HCPが薬物製品を購入することにつながり、これにより、薬物製品を販売する。
【0286】
促進は、印刷又は放送のいずれかの製品クレーム広告、消費者に郵送又は提供されるパンフレット及び資料を含む促進用のラベリング、並びに薬物製品ラベル及び処方情報を含むダラツムマブの製造業者によって配布される他の種類の資料など、治療が安全かつ有効であり、FDAによって承認されていることを実証する、任意の公開された記録の形態であってもよい。
【0287】
いくつかの実施形態では、促進は、薬物製品ラベル上に、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DRd)による治療を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)による治療と比較した、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験からのデータを含むことを含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、DRdによる治療が、Rdによる治療と比較して、多発性骨髄腫の進行又は死亡のリスクの約44%の低減をもたらしたというデータを更に含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、薬物製品ラベルは、DRdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を、Rdで治療された、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象と比較する、無増悪生存(PFS)のカプラン・マイヤー曲線を更に含む。
【0290】
本発明はまた、ダラツムマブを含む薬物製品を販売する方法を提供し、
ダラツムマブを製造することと、
薬物製品を販売することであって、薬物製品ラベルが、ダラツムマブ、レナリドミド、及びデキサメタゾンの組み合わせで、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象を治療するための指示を含む、販売することと、を含む。
【0291】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドである。
【0292】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドのバイオ後続品である。
【0293】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号1のHCDR1、配列番号2のHCDR2、配列番号3のHCDR3、配列番号4の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号5のLCDR2、及び配列番号6のLCDR3を含む。
【0294】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号7のVH及び配列番号8のVLを含む。
【0295】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、免疫グロブリンIgG1カッパ(IgG1κ)である。
【0296】
例示的なIgG1定常ドメイン配列は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。IgG1定常ドメイン内には、214、356、358、422、431、435、又は436位(EU番号付けに従った残基の番号付け)における変異を含むいくつかの変異が存在する(例えば、周知のアロタイプ)(例えば、IMGT Webリソース;IMGTレパートリー(IG及びTR);タンパク質及び対立遺伝子;アロタイプを参照)。CD38に特異的に結合する抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、G1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってよい。
【0297】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、配列番号9の重鎖(HC)及び配列番号10の軽鎖(LC)を含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、哺乳類細胞株内で産生される。
【0299】
いくつかの実施形態では、哺乳類細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
【0300】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブの分子量は、約148kDaである。
【0301】
抗体の産生方法
大規模で抗体を産生する方法は既知である。抗体は、例えば、既知の方法を使用して培養されたCHO細胞において産生され得る。抗体は、精製プロセスにおける第1の工程として遠心分離又は濾過によって固体を除去することにより、培養培地から単離及び/又は精製することができる。抗体は、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、親和性、サイズ排除、及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ)、ゲル濾過、遠心分離、又は溶解度差、エタノール沈殿、又は抗体の精製のための任意の他の利用可能な技術を含む標準的な方法によって更に精製することができる。精製プロセス中の抗体の分解を低減又は排除するために、フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチン、又はアプロチニンなどのプロテアーゼ阻害剤を任意の又は全ての段階で添加してよい。当業者であれば、精製されるポリペプチド又はタンパク質の特性、ポリペプチド又はタンパク質が発現される細胞の特性、及び細胞が成長した培地の組成に応じて、正確な精製技術が異なることを理解するであろう。
【0302】
精製された抗体は、1つ又は2つ以上の賦形剤を含む医薬組成物中に製剤化され、密閉ボトルなどの容器又はガラスバイアルなどの器に包装され、ラベルが容器に貼り付けられるか又はパッケージに含まれる。あるいは、精製された抗体は、凍結乾燥され、容器内の凍結乾燥粉末として提供されてもよい。
【0303】
本発明は一般論として記述されてきたが、本発明の実施形態は、特許請求の範囲の範囲を限定するように解釈されるべきではない以下の実施例で更に開示される。
【0304】
実施例1:高用量化学療法(HDC)及び自家幹細胞移植(ASCT)に不適格である、これまでに治療を受けていない多発性骨髄腫を有する対象において、DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)と、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)とを比較する、第3相試験
目的及び仮説
主目的
主目的は、高用量化学療法(HDC)及び自家幹細胞移植(ASCT)の候補ではない、新たに診断された骨髄腫を有する対象において、無増悪生存(PFS)の観点から、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせた場合のダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))(DRd)の有効性を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)の有効性と比較することである。
【0305】
副次的目的
副次的目的は以下のとおりである:
・以下を含む臨床転帰を評価すること:
-無増悪期間(TTP)
-CR率
-MRD陰性率
-PFS2(無作為化から次治療中の進行又は死亡(いずれか最初に生じる方)までの時間として定義される)
-全生存
-次治療開始までの期間
-厳密なCR(sCR)率
-全奏効率(部分奏効[PR]又はそれ以上)
-非常に良好な部分奏効(VGPR)又はそれ以上を達成する対象の割合
-奏効までの期間
-奏効期間
・Rdと組み合わせて投与したときの、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の安全性及び忍容性を評価すること
・Rdと組み合わせたダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の薬物動態を評価すること
・ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の免疫原性を評価すること
・患者の報告された転帰に対する治療効果及び医療経済/リソース活用を評価すること
・高リスク分子サブグループにおいて、Rdと組み合わせたダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の臨床的有効性を評価すること
【0306】
試験的目的
・療法に対する応答又は抵抗性を予測するバイオマーカーを調査すること
・MRD陰性の持続性を評価すること
【0307】
試験設計の概要
これは、HDC及びASCTの候補ではない、新たに診断された多発性骨髄腫を有する少なくとも18歳の対象における、無作為化、非盲検、実薬対照、並行群間、多施設試験である。約730人の対象がこの試験に登録され、365人の対象が治療群毎に計画される。
【0308】
対象の参加は、スクリーニング段階、治療段階、及びフォローアップ段階を含む。スクリーニング段階は、サイクル1、1日目の前の最大21日間である。治療段階は、サイクル1の1日目から全ての試験治療を中止するまで継続する。DRdに割り当てられた対象について、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))を、治療の最初の8週間にわたって毎週(サイクル1~2)、次いで、16週間にわたって2週間毎(サイクル3~6)、次いで、疾患の進行又は許容不可能な毒性があるまで4週間毎(サイクル7及びそれ以上)を投与する。これは、試験開始時の9週間連続の投与、及び最初の年の合計23回の投与に等しい。レナリドミドを、各28日サイクルの1日目~21日目に経口(orally、PO)で25mgの用量で投与し、デキサメタゾンを、1週間に1回、40mgの用量で投与する。両方の治療群の対象は、疾患の進行又は許容不可能な毒性があるまで、レナリドミド及びデキサメタゾンを継続する。DRd群の対象は、疾患の進行又は許容不可能な毒性があるまで、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))を継続する。無作為化を、1:1の等しい割り当て比を使用して、国際病期分類(I対II対III)、領域(北米対その他)、及び年齢(75歳未満対75歳以上)によって層別する。
【0309】
注入に関連する反応を予防するための手段は、各ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))注入の前の、デキサメタゾン、アセトアミノフェン(パラセタモール)、及び抗ヒスタミン薬を用いた注入前薬剤を含む。
【0310】
フォローアップ段階は、対象が全ての試験治療を中止すると開始する。疾患進行以外の理由で中止する対象は、時間及び事象スケジュールに従って疾患評価を受け続ける必要がある。フォローアップ段階は、死亡、フォローアップ不能、同意撤回、又は試験終了(いずれか最初に生じるもの)まで継続する。臨床的カットオフ後、データ収集が低減される。
【0311】
Independent Data Monitoring Committee(IDMC)が、計画された中間分析にいて有効性及び安全性の結果を審査するために、この試験に委託される。中間審査後、IDMCは、試験の継続について勧告を行う。
【0312】
腫瘍応答及び疾患進行の評価を、International Myeloma Working Group(IMWG)応答基準に従って行う。MRDの評価を、骨髄試料に対して行う。安全性評価は、有害事象モニタリング、身体検査、心電図(electrocardiogram、ECG)モニタリング、臨床実験室パラメータ(血液学及び化学)、バイタルサイン測定、並びにEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスを含む。血液試料を、薬物動態パラメータの評価のために採取する。
【0313】
対象集団
重要な適格性基準としては、次が挙げられる:≧18歳であり、症候性多発性骨髄腫及び測定可能な分泌性疾患の画定診断、0、1、又は2のECOGパフォーマンスステータススコアを有する対象は、新たに診断されなければならず、自己幹細胞移植(ASCT)を伴う高用量化学療法(HDC)の候補とみなされてはならない。
【0314】
投与量及び投与
ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))(16mg/kg)を、最初に8週間にわたって週1回、次いで、16週間にわたって2週間に1回、その後、確認された進行、許容不可能な毒性、又は試験終了まで4週間に1回、B群の対象にIV注入によって投与する。
【0315】
レナリドミドを、各28日サイクルの1日目~21日目に、25mg POの用量で自己投与する。
【0316】
デキサメタゾン(又は業会標準に従った同等物)を、週に40mgの総用量で投与する。
【0317】
有効性評価/エンドポイント
疾患評価を、最初の2年間にわたって28日毎、次いで、疾患進行まで8週間毎に行う必要がある。±7日間の時間窓が許容される。治療が何らかの理由で遅れた場合、投与レジメンに対するいかなる変更にも関係なく、疾患評価をスケジュールに従って実行する必要がある。
【0318】
主要エンドポイントはPFSであり、これは、無作為化日から進行性疾患又は死亡のいずれか(いずれか最初に生じる方)までの期間として定義される。疾患進行を、IMWG基準に従って決定する。
【0319】
副次的有効性エンドポイントとしては、以下が挙げられる。
・無増悪期間(TTP)は、IMWG基準で定義されるように、無作為化日からPDの兆候が最初に確認された日までの時間として定義される。進行していない対象については、データは、任意の後続の抗骨髄腫療法の開始前に、疾患評価日で打ち切られる。
・以下で定義されるように、CRを達成する対象の割合として定義されるCR率:
-血清及び尿の陰性免疫固定、並びに
-軟組織形質細胞腫の消失、並びに
-骨髄中の5%未満の形質細胞(PC)
-電気泳動(SPEP)による陰性血清M-蛋白定量化、及び免疫固定に対する疑わしいダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))干渉を有する対象については、抗イディオタイプ抗体を使用する反射アッセイを利用して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))干渉を確認し、偽陽性免疫固定を除外する。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))干渉を確認したが、CR又はsCRについての他の全ての臨床基準を満たす患者は、CR/sCRとみなされる。
・無作為化日の後の任意の時点で、MRD陰性として評価された対象の割合として定義される、MRD陰性率。
・無作為化から次治療中の進行又は死亡(いずれか最初に生じる方)までの時間として定義される、次治療中の無増悪生存(PFS2)。疾患進行は、治験責任医師の判断に基づく。次治療中にまだ生存しており、まだ進行していない対象者については、フォローアップの最終日に打ち切られる。
・無作為化日から対象者の死亡日まで測定した、全生存(OS)。対象者が生存しているか、又は生命状態が不明である場合、対象者のデータは、対象者の生存が最後に確認された日付で打ち切られる。
・無作為化から次治療の開始までの時間として定義される、次治療開始までの期間。
・正常な遊離軽鎖(FLC)比を有すること、及び免疫組織化学、免疫蛍光、2~4色フローサイトメトリによる骨髄中のクローン細胞の非存在に加えて、CRを達成する対象の割合として定義される、sCR率。
・試験治療中又は試験治療後の、IMWG基準に従ってPR又はそれ以上を達成する対象の割合として定義される、全奏効率(ORR)。
・データカットオフ時に、試験治療中又は試験治療後のIMWG基準に従ってVGPR及びCR(sCRを含む)を達成する対象の割合として定義される、VGPR又はそれ以上を達成する対象の割合。
・無作為化と、対象がPR又はそれ以上についての全ての基準を満たしたという最初の有効性評価との間の時間として定義される、奏効までの期間。奏効なしの対象については、データは、後続の抗骨髄腫療法の開始前の最後の疾患評価における、進行性疾患の日付又は進行性疾患の非存在下のいずれかで打ち切られる。
・IMWG基準で定義されるように、奏効(PR又はそれ以上)が最初に確認された日から進行性疾患の兆候が最初に確認された日まで計算した、奏効期間。進行していない対象については、データは、任意の後続の抗骨髄腫療法の開始前に、最後の疾患評価で打ち切られる。
・Rd単独と比較して、高リスク分子サブグループにおけるDRdの臨床的有効性を評価すること。
・患者が報告した全体的な健康の知覚に対する、Rdと比較したDRdの影響を評価すること。
【0320】
薬物動態及び免疫原性評価
B群の全ての対象について、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の血清濃度を決定するための薬物動態試料を得る。静脈血試料(1試料当たり5mL)を採取して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の血清濃度を決定し、血清を、3つのアリコート(薬物動態分析のために1つのアリコート、適切な場合、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))分析のために1つのアリコート、及び予備のために1つのアリコート)に分割する。
【0321】
バイオマーカー評価
骨髄穿刺液を、スクリーニング時及び治療後に採取する。対象を高リスク分子サブグループに分類し、MRDモニタリングのために骨髄腫クローンを確立するために、ベースライン骨髄穿刺液試料を、DNA及びRNAシーケンシングに供する。計画された骨髄穿刺液評価に加えて、血漿及びPBMCへの処理のために対象から全血試料を採取する。
【0322】
安全性の評価
安全性を、有害事象、実験室試験結果、ECG、バイタルサイン測定、身体検査所見、及びECOGパフォーマンスステータススコアの評価によって測定する。
【0323】
統計的方法
試料サイズの計算を、以下の仮定に基づいて行う。公開されたデータに基づいて、Rd群のPFS中央値を、約24か月であると仮定する。DRdが疾患進行又は死亡のリスクを25%低減することができると仮定すると、すなわち、0.75のハザード比(DRd対Rd)を仮定すると、このハザード比をログランク検定(両側アルファは0.05である)で検出するために80%の検出力を達成するために、合計390のPFS事象が必要とされる。21か月の登録期間及び更なる24か月のフォローアップを伴い、試験に必要な全試料サイズは、約730人(365人/群)の対象である。試料サイズの計算は、5%の年間の中断率を考慮している。
【0324】
長期生存フォローアップは、330人の死亡が観察されるまで、又は最後の対象が無作為化された7年後まで継続する。したがって、この試験は、ログランク検定(両側アルファ=0.05)を用いて、死亡のリスクの27%の低減(ハザード比=0.73)を検出するために、約80%の検出力を達成する。
【0325】
試験治療に対する応答及び進行性疾患を、コンピュータアルゴリズムによって評価する。PFSの主要エンドポイントについて、一次分析は、2つの治療群間のPFS分布の比較のための層別ログランク検定からなる。カプラン・マイヤー法を使用して、各治療のための全体的なPFSの分布を推定する。治療効果(ハザード比)及びその両側95%信頼区間を、唯一の説明変数として治療を伴う層別Cox回帰モデルを使用して推定する。
【0326】
DNA及びバイオマーカーの採取の論理的根拠
バイオマーカー試料を採取して、免疫グロブリン遺伝子のDNAシーケンシングを使用して、MRDの評価によりダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))に対する臨床的奏効の深さを評価し、多発性骨髄腫の特定の分子サブグループにおける奏効率を決定して、多発性骨髄腫細胞のDNA/RNAシーケンシングを使用して、高リスクゲノミクス、欠失17p、t(4;14)、t(14;20)、t(14;16)、欠失13、GEPシグネチャ、例えば、UAMS-70、及びp53、BRAF、FGFR、IGH、PI3K、又は疾患進行に関連する他の分子サブタイプにおける変異の評価を可能にする。他のバイオマーカー目標としては、抵抗性の潜在的機構の評価、臨床転帰における個体間変動、又は治療に対して異なって応答する集団サブグループの同定が挙げられる。
【0327】
組み入れ基準
各可能性のある対象は、この試験に登録されるために、下記の基準全てを満たす必要がある。
【0328】
1.対象は、少なくとも18歳(又は試験が行われている管轄での同意の法定年齢)である必要がある。
【0329】
2.2.1対象は、CRAB(カルシウム上昇、腎機能低下、貧血、及び骨異常)基準を満たす確認された多発性骨髄腫、10%以上のモノクローナル骨髄形質細胞、又は生検診断での形質細胞腫の存在、及び測定可能な疾患を有する必要がある。
・以下のいずれかによって定義される、中央実験室によって評価される、測定可能な疾患:
-IgG骨髄腫:1.0g/dL以上の血清モノクローナル異常(M-蛋白)レベル、若しくは200mg/24時間以上の尿M-蛋白レベル、又は
-IgA、IgM、IgD、若しくはIgE多発性骨髄腫:0.5g/dL以上の血清M-蛋白レベル、若しくは200mg/24時間以上の尿M-蛋白レベル、又は
-血清又は尿中で測定可能な疾患を有しない軽鎖多発性骨髄腫:10mg/dL以上の血清免疫グロブリン遊離軽鎖、及び異常な血清免疫グロブリンカッパラムダ遊離軽鎖比。
【0330】
3.新たに診断され、以下の理由により、SCTを伴う高用量化学療法の候補とみなされない:
・65歳以上である、又は
・65歳未満の対象において、重要な併存状態(複数可)の存在は、幹細胞移植を伴う高用量化学療法の忍容性に悪影響を及ぼす可能性が高い。無作為化の前に、65歳未満の対象の保証人の審査及び承認が必要とされる。
【0331】
4.対象は、0、1、又は2のECOGパフォーマンスステータススコアを有する必要がある。
【0332】
5.対象は、スクリーニング段階中に以下の基準を満たす、治療前臨床実験室値を有する必要がある:
a)≧7.5g/dLのヘモグロビン(5mM/L以上、従来の赤血球[red blood cell、RBC]輸血又は組換えヒトエリスロポエチン使用が許可される)、
b)1.0×109/L以上の好中球絶対数(顆粒球コロニー刺激因子[granulocyte colony stimulating factor、GCSF]使用が許可される)、
c)骨髄有核細胞の50%未満が形質細胞である対象について、≧70×109/Lの血小板数、そうでなければ、50×109/L超の血小板数(この最小血小板数を達成するために、輸血は許可されていない)、
d)正常上限(ULN)の2.5倍以下のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase、AST)、
e)ULNの2.5倍以下のアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase、ALT)、
f)ジルベール症候群などの先天性ビリルビン血症(ULNの2.0倍以下の直接ビリルビン)を有する対象を除いて、ULNの2.0倍以下の総ビリルビン、
g1)30mL/分以上のクレアチニンクリアランス(30~50mL/分のクレアチニンクリアランスを有する対象に対するレナリドミド用量調整のため)。クレアチニンクリアランスは、コッククロフト・ゴールト式を使用して計算され得るか、又は過体重若しくは低体重を有する対象については、クレアチニンクリアランスは、24時間蓄尿から測定され得る。
h1)14mg/dL以下(3.5mM/L以下)の補正血清カルシウム、又は6.5mg/dL以下(1.6mM/L以下)の遊離イオン化カルシウム
【0333】
6.男性又は女性による避妊具の使用は、臨床研究に参加している対象にとって避妊法の使用に関する現地条例と一致するべきである。
妊娠する可能性のある女性は、異性間性交を継続的に控えるか、又は信頼性のある2つのバースコントロールの方法を同時に使用するかのいずれかに同意する必要がある。これには、1つの非常に有効な形態の避妊(卵管結紮術、子宮内避妊器具(intrauterine device、IUD)、ホルモン(プロゲステロンのみのバースコントロールピル若しくは注射)、又はパートナーの精管切除術、及び1つの追加の有効な避妊法(男性用ラテックス若しくは合成コンドーム、ペッサリー、又は子宮頸部キャップ)が含まれる。避妊は、投与の4週間前に開始する必要があり、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の最後の投与後3か月間継続する必要がある。子宮摘出術又は両側卵巣摘出術に起因しない限り、不妊症の既往歴があった場合であっても、信頼性のある避妊が指示される。
【0334】
7.妊娠する可能性のある女性と性的に活発である男性は、精管切除術が成功している場合であっても、ラテックス又は合成コンドームを使用することに同意する必要がある。全ての男性はまた、試験中、レナリドミドの最後の投与後4週間、及びダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の最後の投与後3か月間、精子を提供する必要がある。
【0335】
8.妊娠する可能性のある女性は、スクリーニング時に2回の陰性血清又は尿妊娠試験を受ける必要があり、1回目は投与前の10~14日以内、2回目は投与前の24時間以内である。
【0336】
9.それぞれの対象(又は対象の法的代理人)は、各自が研究の目的とそれに必要な手順を理解し、研究に参加する意思があることを示す、インフォームドコンセントフォーム(informed consent form、ICF)に署名する必要がある。対象は、ICFに参照されているように、このプロトコルに指定された禁止事項及び制限事項を守る意思があり、それが可能である必要がある。
【0337】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかを満たす任意の潜在的な対象は、この試験の参加から除外される。
【0338】
1.対象は、原発性アミロイドーシス、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症、又はくすぶり型多発性骨髄腫の診断を有する。意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症は、3g/dL未満の血清M-蛋白の存在;M-蛋白に関連する溶解性骨病変、貧血、高カルシウム血症、及び腎機能低下;並びに(決定される場合)10%又はそれ以下の骨髄中の形質細胞の割合によって定義される(Kyle et al.,Mayo Clin Proc 78:21-33,2003)。くすぶり型多発性骨髄腫は、関連器官又は組織の機能障害、末端器官障害
のない無症候性多発性骨髄腫として定義される(Kyle et al.,Mayo Clin Proc 78:21-33,2003、Kyle et al.,N Engl J Med 356:2582-2590,2007)
【0339】
2.対象は、ワルデンストレーム病、又は溶解性骨病変を伴う、クローン形質細胞浸潤の非存在下でIgM M-蛋白が存在する他の状態を有している。
【0340】
3.対象は、治療前の短期(4日間のデキサメタゾン40mg/日と同等のもの)の
コルチコステロイドの緊急時使用を除いて、多発性骨髄腫のための以前又は現在の全身療法又はSCTを有している。
【0341】
4.対象は、無作為化日前5年以内に、悪性腫瘍(多発性骨髄腫以外)の既往歴を有する(皮膚の扁平上皮癌及び基底細胞内癌、並びに子宮頸部の上皮内癌、又は治験責任医師の意見において、治験依頼者のメディカルモニターと一致して、5年以内の最小の再発リスクで治癒されたとみなされる悪性腫瘍は例外とする)。
【0342】
5.対象は、無作為化から14日以内に放射線療法を受けている。
【0343】
6.対象は、無作為化から28日以内に血漿交換を受けている。
【0344】
7.対象は、多発性骨髄腫の髄膜障害の臨床徴候を示している。
【0345】
8.8.1a)対象は、1秒努力呼気肺活量(Forced Expiratory Volume in 1 second、FEV1)が予想正常値の50%未満である、既知の慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)を有している。FEV1試験が、COPDを有する疑いのある患者に対して必要であり、FEV1が予測正常値の50%未満である場合、対象は除外されなければならないことに留意されたい
8.1b)対象は、過去2年以内に既知の中等度又は重度の持続性喘息を有しているか、又は現在、任意の分類のコントロール不良の喘息を有している。(現在、コントロールされた間欠性喘息又はコントロールされた軽度な持続性喘息を有している対象は、研究において許容されることに留意されたい)。
【0346】
9.対象は、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)、又はB型肝炎(B型肝炎表面抗原[hepatitis B surface antigen、HBsAg]、若しくはB型肝炎表面抗原及びコア抗原に対する抗体[それぞれ抗HBs及び抗HBc]の試験での陽性によって定義される)、又はC型肝炎(抗HCV抗体陽性、若しくはHCV-RNA定量陽性)に対して血清反応陽性であることが知られている。
【0347】
10.対象は、試験の手順若しくは結果を妨げる可能性がある、又は治験責任医師の意見において、この試験への参加について危険をもたらすであろう、何らかの同時の医学的又は精神医学的な状態又は疾患(例えば、活動性全身感染、コントロール不良の糖尿病、急性びまん性浸潤性肺疾患)を有している。
【0348】
11.対象は、以下を含む臨床的に有意な心疾患を有する:
・無作為化前の1年以内の心筋梗塞、又は心機能に関連する若しくは新機能に影響を及ぼす不安定な、若しくはコントロール不良の疾患/状態(例えば、不安定狭心症、鬱血性心不全、New York Heart AssociationクラスIII~IV)
・コントロール不良の不整脈(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events[NCI CTCAE]バージョン4、グレード3以上)、又は臨床的に有意なECG異常
・470ミリ秒超の、フリデリシア式(QTcF)によって補正されたベースラインQT間隔を示す、スクリーニング12誘導ECG
【0349】
12.対象は、コルチコステロイド、モノクローナル抗体若しくはヒトタンパク質、又はそれらの賦形剤(それぞれの添付文書又は治験薬概要書を参照のこと)に対する既知のアレルギー、過敏症、若しくは不耐性、あるいは哺乳動物由来の製品に対する既知の感受性を有している。
【0350】
13.対象は、形質細胞白血病(World Health Organization[WHO]基準に従って:2×109/L超の形質細胞絶対数を伴う、末梢血中の細胞の20%以上)、又はPOEMS(polyneuropathy,organomegaly,endocrinopathy,monoclonal protein,and skin changes)症候群(多発性神経炎、臓器腫大、内分泌障害、モノクローナル蛋白、及び皮膚の変化)を有している。
【0351】
14.対象は、試験プロトコルに準拠することができないことが知られているか、又は疑われている(例えば、アルコール依存症、薬物依存、又は精神障害のため)。対象は、治験責任医師の意見において、参加が対象の最善の利益にならない(例えば、幸福を危うくする)か、又はプロトコルで既定された評価を妨げる、制限する、若しくは混乱させる可能性がある何らかの状態を有している。対象は、何らかの禁止された薬剤を摂取している。
【0352】
15.対象は、この試験に登録している間、レナリドミドの最後の投与後4週間以内、又はダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の最後の投与後3か月以内に、妊娠している、又は母乳を与えている、又は妊娠する計画をしている女性である。あるいは、対象は、この試験に登録している間、レナリドミドの最後の投与後4週間以内、又はダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の最後の投与後3か月以内に、子供の父親になる計画をしている男性である。
【0353】
16.対象は、無作為化前の2週間以内に大手術を受けているか、又は手術から完全に回復していないか、又は対象がこの試験に参加することが予想される期間中に計画された手術がある。椎骨形成術又は椎体形成術は、大手術とはみなされない。
【0354】
17.対象は、治験薬(治験ワクチンを含む)を受けているか、又は無作為化前の4週間以内に侵襲的な治験医療デバイスを使用しているか、又は介入治験に現在登録されている。
【0355】
18.対象は、深部静脈血栓症及び肺塞栓症のために必要な予防の禁忌を有している。
【0356】
19.経口薬物の吸収を著しく変化させる可能性がある胃腸疾患の発生。
【0357】
注入反応の予防
ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))を受けている対象のための注入前薬剤を、以下のように投与する。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の注入日に、対象は、注入前に以下の薬剤を受ける:
・ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))注入前の約1時間以内に、アセトアミノフェン(パラセタモール)650~1000mg IV又は経口(PO)
・サイクル6後の注入前の約1時間以内に、抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン25~50mg IV若しくはPO、又は同等物であるが、プロメタジンのIV使用を回避する)。対象が注入に関連する反応を生じておらず、抗ヒスタミン薬に対して不耐性である場合、治験責任医師の裁量に従って修正が許容される。
・ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))注入前の約1時間以内に、デキサメタゾン40mg IV(好ましい)又はPO。75歳を超えるか又は低体重(18.5未満の体格指数[body mass index、BMI])の対象について、デキサメタゾン20mgを適宜投与してもよい。同等の中時間作用型又は長時間作用型コルチコステロイドを代用してもよい。対象が診療所でこの用量のデキサメタゾンを受ける日には、デキサメタゾンは、自宅で自己投与されない。試験中の有害事象により、週毎のデキサメタゾン投与量が10mg未満に低減された場合、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))注入前に、最小のデキサメタゾン10mg IVを投与し続けるべきである。
【0358】
必要に応じて、全てのPO注入前薬剤は、注入の日に診療所の外で投与されてもよく、ただし、それらは、注入前の3時間以内に投与されることを条件とする。
【0359】
注入前薬剤
呼吸合併症のリスクがより高い対象(すなわち、軽度の喘息を有する対象、又は80%未満のFEV1を有するCOPDを有する対象)について、以下の注入後薬剤を考慮すべきである:
・抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン又は同等物)
・短時間作用型β2アドレナリン受容体作動薬、例えば、サルブタモールエアロゾル
・肺疾患のための制御薬(例えば、喘息を有する対象のための吸入コルチコステロイド±長時間作用型β2アドレナリン受容体作動薬、COPDを有する対象のための長時間作用型気管支拡張薬、例えば、チオトロピウム又はサルメテロル±吸入コルチコステロイド)
【0360】
レナリドミド用量の低減
レナリドミドの用量調整は、以下のように承認されたラベリングに従う。
・開始用量:25mg
・用量レベル1:15mg
・用量レベル2:10mg
・用量レベル3:5mg
【0361】
用量調整は、レナリドミドに起因する最も高いグレードの毒性に基づくべきである。レナリドミドの開始後、後続のレナリドミド用量調整は、個々の対象の治療耐性に基づく。治験責任医師が、有害事象がレナリドミドに関連し得ると判断した場合、このプロトコルにおいて既定されていない場合であっても用量調整を行うことができる。
【0362】
奏効カテゴリー
疾患評価を、最初の2年間にわたって28日毎、次いで、疾患進行まで8週間毎に行う必要がある。±7日間の時間窓が許容される。治療が何らかの理由で遅れた場合、投与レジメンに対するいかなる変更にも関係なく、疾患評価をスケジュールに従って実行する必要がある。
【0363】
疾患評価は、中央実験室によって行われる(別段の指定がない限り)。この試験は、表1に提示される多発性骨髄腫治療応答基準のIMWGコンセンサス推奨(Durie et al.,Leukemia,20:1467-7143,2006,Rajkumar et al.,Blood,117:4691-4695,2011)を使用する。血清及び24時間尿中の定量的免疫グロブリン、M-蛋白、及び免疫固定測定に関して、治験責任医師は、中央実験室によって提供される結果を使用する。陽性血清IFEを有し、ダラツムマブ(DARZALEX)IFE干渉が確認され、完全奏効又は厳密な完全奏効についての全ての他の臨床基準を満たす対象は、CR/sCRとみなされる。
【0364】
疾患進行は、表1の基準を使用して、臨床研究施設にわたって一貫して確認されなければならない。ベースラインにおけるSPEP又はUPEPによる測定可能な疾患を有する患者については、血清遊離軽鎖(FLC)又はFLC比のみが、進行性疾患の基準を満たさない。
【0365】
実施例2:高用量化学療法(HDC)及び自家幹細胞移植(ASCT)に不適格である、これまでに治療を受けていない多発性骨髄腫を有する対象において、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))、レナリドミド、及びデキサメタゾン(DRd)を、レナリドミド及びデキサメタゾン(Rd)と比較する、第3相試験-28か月のフォローアップ中央値における中間分析
HDC及びASCTに不適格な、新たに診断された骨髄腫を有する737人の患者を、レナリドミド及びデキサメタゾンを、単独で(対照群)又はダラツムマブと(DARZALEX(登録商標))(ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標)群)のいずれかを受けるように無作為に割り当て、治療は、疾患進行又は許容不可能な毒性があるまで継続した。主要エンドポイントは、無増悪生存であった。試験プロトコルを実施例1に記載する。
【0366】
28か月のフォローアップ中央値の後、無増悪生存中央値は、対照群における31.9か月間と対比して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群では達成されなかった(ハザード比、0.56;95%信頼区間、0.43~0.73;P<0.0001)。完全奏効又はそれ以上の比率は、それぞれダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群及び対照群において、47.6%対24.9%であった(P<0.0001)。対照群の患者の7.3%と対比して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群では、患者の24.2%が微小残存病変陰性であった(105個の白血球当たり1個の腫瘍細胞の閾値)(P<0.0001)。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))対対照群における最も一般的な(10%超)グレード3/4の有害事象は、好中球減少症(50.0%対35.3%)、リンパ球減少症(15.1%対10.7%)、肺炎(13.7%対7.9%)、貧血(11.8%対19.7%)、及び白血球減少症(11.0%対4.9%)であった。
【0367】
ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))を加えたレナリドミド及びデキサメタゾンは、自家幹細胞移植に適格ではない、新たに診断された骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及びデキサメタゾン単独と対比して、疾患進行又は死亡のリスクを有意に減少させた。より高い比率の好中球減少症及び肺炎が、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で観察された。
【0368】
この無作為化、非盲検、実薬対照、多施設の第3相試験において、患者は、北米、ヨーロッパ、中東、及びアジア太平洋地域にわたって14か国に位置する施設で、2015年3月から2017年1月の間に登録された。各施設における独立倫理委員会又は治験審査委員会は、プロトコルを承認した。Declaration of Helsinki及びInternational Conference on Harmonisation-Good Clinical Practiceのガイドラインの原理に従って試験を実施した。全ての患者が書面によるインフォームドコンセントを提供した。Janssen Research&Development,LLCは、この試験の治験依頼者になり、データをコンパイル/維持した。
【0369】
患者
適格患者は、新たに診断された骨髄腫(Rajkumar et al.,Lancet Oncol 15:e538-e548,2014)Eastern Cooperative Oncology Groupパフォーマンスステータス2以下を確認しており、年齢(65歳以上)又は併存疾患により、幹細胞移植を伴う高用量化学療法に不適格であった。患者は、7.5g/dL以上のヘモグロビン、1.0×109/L以上の好中球絶対数、70×109/L以上の血小板数(骨髄有核細胞の50%未満が形質細胞であった場合は50×109/L超)、正常上限の2.5倍以下のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ、正常上限の2.0倍以下の総ビリルビン、30mL/分以上のクレアチニンクリアランス、及び14mg/dL以下の補正血清カルシウムを有した。
【0370】
試験治療
インタラクティブなウェブ応答システム(1:1の比)を使用して、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))(ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標)群)、又はレナリドミド及びデキサメタゾン単独(対照群)に、患者を無作為化した。患者を、国際病期分類(ISS;I対II対III)、領域(北米対その他)、及び年齢(75歳未満対75歳以上)によって層別した。
【0371】
各28日サイクルの間、全ての患者は、疾患進行又は許容不可能な毒性があるまで、経口レナリドミド(25mg、1~21日目)及び経口デキサメタゾン(40mg、1、8、15、及び22日目)を受けた。75歳を超えるか又は18.5kg/m2未満の体格指数を有する患者については、デキサメタゾンを、週1回20mgの用量で投与した。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の患者はまた、サイクル1~2に週1回、サイクル3~6に2週間毎、その後4週間毎に、静脈内ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))16mg/kgも受けた。注入前薬剤を投与して、注入反応を管理した。
【0372】
エンドポイント及び評価
主要エンドポイントは、無増悪生存(無作為化日から疾患進行又は死亡のいずれかまでの時間)であった。二次有効性エンドポイントは、無増悪期間、完全奏効率、厳密な完全奏効率、微小残存病変陰性率(105個の白血球当たり1個の腫瘍細胞の閾値で)、無作為化から次治療中の進行又は死亡(いずれか最初に生じる方)までの期間(無増悪生存2)、全生存、全奏効率、非常に良好な部分奏効又はそれ以上を達成する患者の割合、奏効までの期間及び奏効期間、高リスク分子サブグループにおける有効性、並びに安全性であった。進行性疾患を、International Myeloma Working Group基準(Rajkumar et al.,Blood 117:4691-4695,2011;Durie et al.,Leukemia 20:1467-1473,2006)に従って決定した。
【0373】
中央実験室は、疾患評価(血清及び24時間尿試料)を2年間にわたって28日毎、次いで疾患進行まで8週間毎に行った。陽性血清免疫固定及びダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))干渉を有する患者について、反射アッセイを使用して完全奏効を確認した(McCudden et al.,Clin Chem Lab Med 54:1095-1104,2016)。次世代シーケンシングアッセイ(clonoSEQ(登録商標))バージョン2.0;Adaptive Biotechnologies)によって、ベースライン、疑わしい完全奏効又は厳密な完全奏効の時点(2つの連続する血清及び尿電気泳動試験における検出不可能なM-蛋白)、及び完全奏効又はそれ以上を達成した患者における初回投与後12、18、24、及び30か月後に採取した骨髄穿刺液に対して、微小残存病変を評価した。
【0374】
安全分析には、NCI-CTCAEバージョン4、心電図、臨床実験室試験、身体検査、及びバイタルサインに応じて重症度を等級付けした有害事象評価を含んだ。
【0375】
統計分析
一次分析集団は、治療意図集団に無作為化された全ての患者を含んだ。安全性集団は、任意の用量の試験治療を受けた患者を含んだ。無増悪生存の主要エンドポイントについて、層別ログランク検定を使用した。治療効果及び95%信頼区間(CI)を、唯一の説明変数として治療を伴う層別Cox回帰モデルを使用して推定した。他の事象までの時間の有効性エンドポイントを同様に分析した。試験治療に対する応答及び進行性疾患を、前述の検証されたコンピュータアルゴリズムによって評価した(Dimopoulos et al.,N Engl J Med 375:1319-1331 2016、Palumbo et al.,N Engl J Med 375:754-766,2016)。連続型変数、カテゴリカル変数、及び事象までの時間の変数を、それぞれ記述統計、度数分布表、及びカプラン・マイヤー法を使用して要約した。層別Cochran-Mantel-Haenszel検定を使用して、2値エンドポイントを分析した。主要エンドポイントが統計的に有意であった場合、以下の二次エンドポイントを、ここで順序付けられるとおり、順次試験した(各々は、0.05の全体的な両側アルファを有した):完全奏効率又はそれ以上、非常に良好な部分奏効又はそれ以上、及び微小残存病変に対する陰性状態、全奏効率、及び全生存。
【0376】
2つの計画された中間分析を実施した。最初の中間分析は、100人の患者が少なくとも8週間の治療を受けた後、又は治療を中止した後の安全性を評価した。2つ目の中間分析は、ここで報告されるように、240件の無憎悪生存事象後の安全性及び有効性を評価した(一次分析のための390件の計画された無増悪生存事象のうちの62%)。試験は、330人の死亡が報告されたときに終了する。
【0377】
730人の患者の試料サイズを推定して、80%の検出力を提供して、0.05の両側アルファレベルでのログランク検定を用いて、対照群と対比して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群における進行又は死亡のリスクの25%の低減を検出した。
【0378】
結果
患者及び治療
737人の登録された患者のうち、368人及び369人を、それぞれダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群及び対照群に無作為化した。ベースラインの人口統計学的特性及び臨床特性は、良好にバランスがとれていた(表2)。年齢中央値は、73.0歳(範囲、45~90)であり、患者の14.3%は、リスクが高い細胞遺伝学的プロファイルを有していた。診断後の時間中央値は、0.9か月(範囲、0~14.5)であった。
【0379】
無作為化された患者の中で、729人の患者(ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の364人及び対照群の365人)が、少なくとも1回の試験治療を受けた(ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群及び365)が少なくとも試験治療の単回投与を受けた。臨床的カットオフの日(2018年9月24日)、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の118人の患者(32.4%)及び対照群の207人の患者(56.7%)は、最も一般的には進行性疾患(14.6%対23.8%)及び有害事象(7.4%対16.2%)に起因して治療を中止した。
【0380】
【0381】
治療期間中央値は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で25.3か月(範囲:0.1~40.4)、及び対照群で21.3か月(範囲:0.03~40.6)であり、受けたサイクルの中央値は、27(範囲:1~44)対22(範囲:1~43)であった。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の相対用量強度中央値(投与された用量対計画された用量の比)は、98.4%であった。レナリドミドの相対用量強度中央値は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で76.2%、及び対照群で91.4%であった。治療中に発生した有害事象による、より高い比率のレナリドミド用量の修正が、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群対対照群で報告され、投与中止(それぞれ20.9%対17.0%)、又は投与遅延、低減、再増量、又はスキップ(組み合わせて:それぞれ77.5%対64.7%)を含んだ。デキサメタゾンの相対用量強度中央値は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で84.2%、及び対照群で90.7%であった。
【0382】
有効性
28.0か月(範囲:0~41.4)のフォローアップ期間中央値において、疾患進行又は死亡の合計240件の事象が発生した(ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群での97人の患者[26.4%]に対して、対照群では143人[38.8%]において)。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群対対照群における疾患進行又は死亡についてのハザード比は、0.56(95%CI、0.43~0.73;P<0.0001)であった(
図1)。30か月無増悪生存率のカプラン・マイヤー推定値は、(DARZALEX(登録商標))群で70.6%(95%CI、65.0~75.4)、及び対照群で55.6%(95%CI、49.5~61.3)であった。無増悪生存中央値は、対照群での31.9か月(95%CI、28.9~推定不可)と対比して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群では達成されなかった(95%CI、推定不可)(P<0.0001)。疾患進行の時間-事象分析では、179件の事象(ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の66人の患者[17.9%]対対照群の113人[30.6%]の患者における)が観察され、無増悪期間中央値は、対照群での35.8か月(95%CI、31.4~推定不可)と比較して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群では達成されなかった(ハザード比、0.47;95%CI、0.35~0.64;P<0.0001)。
【0383】
無増悪生存の予め指定されたサブグループ分析は、肝障害を有する患者を除いて、全てのサブグループにわたって、対照群に対するダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の優位性を確認した(
図2)。無増悪生存効果は、75歳以上の患者において(ハザード比、0.63;95%CI、0.44~0.92)、かつ病歴的に不良な予後を有する患者(リスクが高い細胞遺伝学的プロファイル(ハザード比、0.85;95%CI、0.44~1.65)及びISS病期III(ハザード比、0.72;95%CI、0.48~1.09)を有するものを含む)の中で維持された。疾患進行又は死亡についてのハザード比は、リスクが高い細胞遺伝学的プロファイルを有する患者よりも標準的なリスクの細胞遺伝学的プロファイル(ハザード比、0.49)を有する患者に対して低下したが、結果は、両方の亜集団においてダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群に有利に働いた。リスクが高い細胞遺伝学的プロファイルを有する少数の患者は、これらの所見の解釈を制限する。
【0384】
治療意図集団(例えば、登録され、治療に無作為化に割り付けられた全ての対象)において、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の患者は、対照群と比較して有意に高い比率の完全奏効又はそれ以上(47.6%対24.9%、P<0.0001)、及び非常に良好な部分奏効又はそれ以上(79.3%対53.1%、P<0.0001)を達成した(表3)。全奏効率は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で92.9%、及び対照群で81.3%であった(p<0.0001)。
【0385】
ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群におけるより深い応答のより高い比率が、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群対対照群で3倍以上高かった(24.2%対7.3%、P<0.0001)、微小残存病変に対する陰性状態(105個の白血球当たり1個の腫瘍細胞の閾値で)によって明らかになった(表3)。微小残存病変に対する陰性状態を有する患者は、試験治療に関係なく、陽性状態を有する患者と比較して、より長い無憎悪生存を実証した。微小残存病変に対する陰性状態を達成した全ての患者は、完全奏効又はそれ以上を達成していた。
【0386】
合計138件の死亡が発生した(ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の62件対対照群の76件)。全生存中央値は、いずれの治療群でも達成されず(ハザード比、0.78;95%CI、0.56~1.10;P=0.1528)、長期フォローアップは進行中である。
【0387】
奏効期間中央値は、対照群での34.7か月(95%CI、30.8~推定不可)と対比して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群では達成されなかった(95%CI、推定不可)。レスポンダーの間での初回奏効までの期間の中央値は、両方の群で1.05か月であり、完全奏効又はそれ以上までの期間の中央値は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で10.4か月、及び対照群で11.2か月であった。微小残存病変陰性事象は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群でより速く蓄積した。
【0388】
ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))で観察された無増悪生存効果は、対照群よりもダラツムマブ(DARZALEX)(登録商標)群でのより長い無増悪生存期間2によって実証されるように、次治療で維持され(中央値は、いずれの治療群でも達成されなかった;ハザード比、0.70;95%CI、0.51~0.96;P=0.0278)、36か月無増悪生存率2は、(DARZALEX(登録商標))群で77.1%(95%CI、70.6~82.3)、及び対照群で65.2%(95%CI、54.2~74.1)であった。患者が次治療を受けている間に、合計155件の進行又は死亡の事象が観察された(ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の68人の患者、及び対照群の87人の患者)。
【0389】
【0390】
安全性
表4は、安全性集団について、治療中の任意のグレードの最も一般的な有害事象(いずれかの群の患者の30%超における)、又はグレード3若しくは4の有害事象(いずれかの群の患者の10%超における)を要約しており、グレード3又は4の最も一般的な有害事象は、好中球減少症(それぞれ50.0%対35.3%)、リンパ球減少症(それぞれ15.1%対10.7%)、肺炎(それぞれ13.7%対7.9%)、貧血(それぞれ11.8%対19.7%)、及び白血球減少症(それぞれ11.0%対4.9%)であった。任意のグレードの感染症率は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で86.3%、及び対照群で73.4%であり、グレード3又は4の感染症率は、それぞれ32.1%及び23.3%であった。
【0391】
重篤な有害事象は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の患者の62.9%、及び患者の62.7%において報告され、そのうち、肺炎が最も一般的であり、それぞれ患者の13.2%及び7.4%において発症した。試験治療の中止をもたらす有害事象を有する患者の割合は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で7.1%、及び対照群で15.9%であった。感染症による試験治療の中止は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群で0.5%、及び対照群で1.4%であり、対照群の1人(0.3%)の患者と比較して、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の患者は誰も、好中球減少症により治療を中止しなかった。
【0392】
死亡につながる有害事象は、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の25人の患者(6.9%)、及び対照群の23人の患者(6.3%)において確認され、最も一般的なものは、肺炎であり、それぞれ患者の0.5%及び0.8%で発症した。侵襲性の二次原発性悪性腫瘍が、ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))群の12(3.3%)人の患者(2.7%固形腫瘍;0.5%血液悪性腫瘍)、及び対照群における13人(3.6%)の患者(3.0%固形;0.5%血液)で報告された。
【0393】
ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))に関連する、注入に関連する反応が、患者の40.9%で報告され、2.7%は、グレード3又は4の事象であり(1人の患者がグレード4の高血圧を報告した)、グレード5の事象は報告されなかった。注入に関連する反応は通常、(注入反応を有する患者の98.0%において)初回投与中に生じ、1人の患者のみが、注入に関連する反応によりダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))治療を中止した(グレード4の高血圧)。
【0394】
【0395】
実施例3:移植不適格な新たに診断された多発性骨髄腫(newly diagnosed multiple myeloma、NDMM)を有する患者における、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))(DRd)の有効性及び安全性に対する年齢の影響:MAIA
DRdは、第3相MAIA試験の一次分析において、Rdと対比して、移植非適格なNDMM患者における進行又は死亡のリスクを44%有意に低減した(実施例2)。この患者集団におけるD-Rd対Rdの有効性及び安全性に対する年齢の影響を調べるために、75歳未満及び75歳以上の患者内でサブグループ分析を行った。
【0396】
方法:移植不適格なNDMM患者を、Rd±DARAに1:1で無作為化し、層別化は、年齢(75歳未満対75歳以上)、ISS(I、II、III)、及び領域(北米対その他)に基づいていた。標準的なRd投与では、患者は、1~21日目にレナリドミド25mg PO QD、並びに1、8、15、及び22日目にデキサメタゾン40mg POの28日サイクルを、進行するまで受けた。患者の一部分は、治療開始時に、10mgのレナリドミド及び20mgのデキサメタゾンを受けた。DRd群では、患者は、サイクル1~2にダラツムマブ(DARZALEX)16mg/kg IV QW、サイクル3~6にQ2W、及びその後進行するまでQ4Wを受けた。PFSは、主要エンドポイントであった。
【0397】
結果:737人の無作為化患者(D-Rd、n=368;Rd、n=369)のうち、321(44%)人が75歳以上であった。D-Rd群のより高い割合の患者が、Rd群と比較してより低い開始用量のレナリドミド(10mg)(30.8%対22.7%)、及びレナリドミドに対するより低い相対用量強度中央値(75歳未満:79%対93%;75歳以上:66%対89%)を受けた。28か月のフォローアップ中央値の後、D-Rd対Rdの有意なPFS効果は、75歳未満及び75歳以上の両方のサブグループで維持された(75歳未満:中央値は達成されず[not reached、NR]対33.7か月);HR 0.50;95%CI 0.35~0.71;75歳以上:中央値NR対31.9か月;HR 0.63;95%CI 0.44~0.92)。全奏効率(75歳未満:95%対82%;75歳以上:90%対81%)、完全奏効率又はそれ以上(75歳未満:52%対25%;75歳以上:41%対25%)、非常に良好な部分奏効率又はそれ以上(75歳未満:81%対53%;75歳以上:77%対53%)、及び微小残存病変陰性率(10-5閾値;75歳未満:28%対7%;75歳以上:19%対8%)は、両方の年齢のサブグループにおいて、D-Rd対Rdでより高いままであった。75歳未満の患者における最も一般的な(10%以上;D-Rd/Rd)グレード3/4のTEAEは、好中球減少症(43%/31%)、肺炎(13%/6%)、リンパ球減少症(12%/10%)、白血球減少症(10%/4%)、及び貧血(9%/18%)であった。75歳以上の患者における最も一般的な(10%以上;D-Rd/Rd)グレード3/4のTEAEは、好中球減少症(60%/41%)、リンパ球減少症(19%/12%)、貧血(16%/22%)、肺炎(15%/10%)、白血球減少症(12%/6%)、及び血小板減少症(8%/11%)であった。D-Rd対Rdを受けたより少ない患者が、TEAEにより治療を中止し(75歳未満:5%対12%;75歳以上:10%対21%)、D-Rd対Rdについて、感染症による中止率は、両方の年齢の群において低かった(75歳未満:1%対1%;75歳以上:0%対2%)。75歳未満の患者と比較して、より高い割合の75歳以上の患者が、TEAEによりレナリドミドを中止した(75歳以上:29%対22%;75歳未満:15%対13%)。
【0398】
結論:DRd患者は、年齢にかかわらず、Rd群よりも少ないレナリドミドを受けた。75歳未満及び75歳以上の患者におけるDRdの有効性は、ITT集団と一致し、DRdは、年齢にかかわらず許容可能な忍容性を実証した。第3相ALCYONE試験と併せて、これらの試験は、75歳以上の移植不適格なNDMM患者において、標準治療に加えたダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))の臨床的効果を確認する。
【0399】
【0400】
【0401】
【0402】
全処方情報
1 適応症及び用法
DARZALEXは、多発性骨髄腫を有する患者の治療に適応される:
・免疫調節薬又はボルテゾミブを含有するレジメンと組み合わせて[投与量及び投与(2)並びに臨床研究(14)を参照]1
・プロテアソーム阻害剤(PI)及び免疫調節薬を含む少なくとも3回の以前の治療を受けているか、又はPI及び免疫調節薬に対して二重難治性である患者において、単剤療法として
【0403】
2 投与量及び投与
2.1 推奨用量及びスケジュール
・投与前薬剤及び注入後薬剤を投与する[投与量及び投与(2.2)を参照]
・0.9%塩化ナトリウム注射液で希釈した後の静脈内注入としてのみ投与する[投与量及び投与(2.4、2.5)を参照]
・DARZALEXは、注入反応が生じた場合にそれを管理するための救急機器及び適切な医療支援にすぐにアクセスできる、医療従事者によって投与されるべきである[警告及び使用上の注意(5.1)を参照]
【0404】
表1のDARZALEX投与スケジュールは、併用療法(4週間サイクルレジメン)及び次のような単剤療法のためのものである:
-自家幹細胞移植(ASCT)に不適格な、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者のための、レナリドミド及び低用量与デキサメタゾンとの併用療法2
-再発性/難治性多発性骨髄腫を有する患者のための、レナリドミド又はポマリドミド及び低用量デキサメタゾンとの併用療法
-再発性/難治性多発性骨髄腫を有する患者のための、単剤療法。
【0405】
DARZALEXの推奨用量は、以下の投与スケジュールに従って静脈内注入として投与される、16mg/kg実際の体重である:
【0406】
【表7】
a2週間毎の投与スケジュールの初回投与は、9週目に与えられる。
b4週間毎の投与スケジュールの初回投与は、25週目に与えられる。
【0407】
DARZALEXと共に投与された組み合わせ薬剤の投与指示については、臨床研究(14)及び製造業者の処方情報を参照されたい。
【0408】
表2のDARZALEX投与スケジュールは、ASCTに不適格な、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者のための、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(6週間サイクルレジメン)との併用療法のためのものである。
【0409】
DARZALEXの推奨用量は、以下の投与スケジュールに従って静脈内注入として投与される、15mg/kg実際の体重である:
【0410】
【表8】
a3週間毎の投与スケジュールの初回投与は、7週目に与えられる。
b4週間毎の投与スケジュールの初回投与は、55週目に与えられる。
【0411】
DARZALEXと共に投与される組み合わせ薬剤の投与指示については、臨床研究(14.1)を参照されたい。
【0412】
表3のDARZALEX投与スケジュール、再発性/難治性多発性骨髄腫を有する患者のための、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン(3週間サイクルレジメン)との併用療法のためのものである。
【0413】
DARZALEXの推奨用量は、表3の以下の投与スケジュールに従って静脈内注入として投与される、16mg/kg実際の体重である:
【0414】
【表9】
a3週間毎の投与スケジュールの初回投与は、10週目に与えられる。
b4週間毎の投与スケジュールの初回投与は、25週目に与えられる。
【0415】
DARZALEXと共に投与される組み合わせ薬剤の投与指示については、臨床研究(14.2)及び製造業者の処方情報を参照されたい。
【0416】
逃したDARZALEX用量
計画されたDARZALEXの用量を逃した場合、その用量をできる限り早く投与し、それに応じて投与スケジュールを調整し、治療間隔を維持する。
【0417】
注入速度及び注入反応の管理
以下の表4に記載される注入速度で、DARZALEX注入を静脈内投与する。注入反応の非存在下でのみ、注入速度の段階的な上昇を考慮する。
【0418】
投与を容易にするために、最初に処方された1週目の16mg/kgの用量は、2日連続、すなわち、1日目及び2日目にそれぞれ8mg/kgに分割されてもよく、以下の表4を参照されたい。
【0419】
【表10】
a注入反応の非存在下でのみ、注入速度の段階的な上昇を考慮する。
b前の週に注入反応がなかった場合のみ、16mg/kg用量に対して500mLの希釈体積を使用する。そうでなければ、1000mLの希釈体積を使用する。
c前の注入中に注入反応がなかった場合のみ、後続の注入(すなわち、3週目以降)について、修正された初期速度(100mL/時間)を使用する。そうでなければ、2週目の注入速度について、表に示される指示を使用し続ける。
【0420】
いかなるグレード/重症度の注入反応についても、DARZALEX注入を直ちに中断し、症状を管理する。注入反応の管理は、以下に概説するように、注入速度の低減又はDARZALEXの治療中止を更に必要とする場合がある[警告及び使用上の注意(5.1)を参照]。
・グレード1~2(軽度~中等度):いったん反応症状が消散すると、反応が生じた速度の半分以下で注入を再開する。患者がいかなる更なる反応症状も経験しない場合、注入速度上昇は、200mL/時の最大速度までの臨床的に適切な増分及び間隔で再開し得る(表4)。
・グレード3(重度):いったん反応症状が消散すると、反応が生じた速度の半分以下で注入を再開することを考慮する。患者が更なる症状を経験しない場合、表4に概説される増分及び間隔で注入速度上昇を再開する。グレード3の症状の再発事象において、上記手順を繰り返す。グレード3又はそれ以上の注入反応の3回目の発生時に、DARZALEXを永続的に中止する。
・グレード4(命に関わる):DARZALEX治療を永続的に中止する。
【0421】
2.2 推奨併用薬
注入前薬剤
DARZALEXの各注入の1~3時間前に、全ての患者への注入反応のリスクを低減するために、以下の注入前薬剤を投与する:
・コルチコステロイド(長時間作用型又は中時間作用型)
単剤療法:
メチルプレドニゾロン100mg、又は静脈内投与される同等物。2回目の注入後、コルチコステロイドの用量は低減され得る(経口又は静脈内メチルプレドニゾロン60mg)。
併用療法:
各DARZALEX注入前に、20mgのデキサメタゾン(又は同等物)を投与する。デキサメタゾンがバックグラウンドレジメン指定のコルチコステロイドである場合、デキサメタゾン治療用量は、代わりに、DARZALEX注入日に前投薬としての役割を果たす[臨床研究(14)]。3
デキサメタゾンは、最初のDARZALEX注入前に静脈内に投与され、経口投与は、後続の注入前に考慮される。追加のバックグラウンドレジメン指定のコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)は、患者が前投薬としてデキサメタゾン(又は同等物)を受けるDARZALEX注入日に摂取されるべきではない。
・解熱薬(経口アセトアミノフェン650~1000mg)
・抗ヒスタミン薬(経口又は静脈内ジフェンヒドラミン25~50mg又は同等物)。
【0422】
注入後薬剤
以下のように、全ての患者に対して、遅延注入反応のリスクを低減するために注入後薬剤を投与する:
単剤療法:
全てのDARZALEX注入後2日間の各々(注入の次の日に開始)に、経口コルチコステロイド(20mgのメチルプレドニゾロン、又は地域基準に従った同等用量の中時間作用型若しくは長時間作用型コルチコステロイド)を投与する。
併用療法:
DARZALEX注入の次の日に、低用量の経口メチルプレドニゾロン(20mg未満)又は同等物を投与することを考慮する。
しかしながら、バックグラウンドレジメン指定のコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾン)が、DARZALEX注入の次の日に投与される場合、追加の注入後薬剤は必要とされない場合がある[臨床研究(14)を参照]。
【0423】
加えて、慢性閉塞性肺疾患の既往歴を有するいかなる患者についても、短時間及び長時間作用型気管支拡張薬、及び吸入コルチコステロイドなどの注入後薬剤を処方することを考慮する。最初の4回の注入後、患者が重大な注入反応を経験しない場合、これらの追加の注入後吸入薬剤は中止され得る。
【0424】
帯状疱疹再活性化の予防投与
DARZALEX開始後1週間以内に帯状疱疹再活性化を予防するために、抗ウイルス薬予防投与を開始し、治療後3か月間継続する[有害反応(6.1)を参照]。
【0425】
2.3 用量修正
DARZALEXの用量低減は推奨されない。血液毒性の事象における血球数の回復を可能にするために、投与遅延が必要とされる場合がある[警告及び使用上の注意(5.3、5.4)を参照]。DARZALEXと組み合わせて投与される薬物に関する情報については、製造業者の処方情報を参照されたい。
【0426】
2.4 投与の準備
DARZALEXは、単回使用のためだけのものである。
【0427】
以下のような無菌技術を使用して注入用溶液を調製する:
・用量(mg)、必要とされるDARZALEX溶液の総体積(mL)、及び患者の実際の体重に基づいて必要とされる.DARZALEXバイアルの数を計算する。
・DARZALEX溶液が無色から淡黄色であることを確認する。不透明な粒子、変色、又は他の異物が存在する場合には使用しない。
・注入バッグ/容器から、DARZALEX溶液の必要とされる体積に等しい0.9%塩化ナトリウム注入液、USPの体積を除去する。
・必要量のDARZALEX溶液を抜き取り、表4に指定されるように、0.9%塩化ナトリウム注射液、USPを含有する注入バッグ/容器に添加することによって、適切な体積まで希釈する[投与量及び投与量(2.1)を参照]。注入バッグ/容器は、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、又はポリオレフィンブレンド(PP+PE)のいずれかで作られる必要がある。適切な無菌条件下で希釈する。バイアル内に残ったいかなる未使用部分も廃棄する。
・バッグ/容器を静かに反転させて溶液を混合する。振盪しない。
・非経口薬物製品は、溶液及び容器が可能にする場合はいつでも、投与前に粒子状物質及び変色について視覚的に検査されるべきである。希釈溶液は、ダラツムマブがタンパク質であるため、非常に小さい、半透明から白色のタンパク質性粒子を生じさせ得る。視覚的に不透明な粒子、変色、又は異物が観察される場合には使用しない。
・DARZALEXは防腐剤を含有しないため、希釈溶液を、室温15℃~25℃(59°F~77°F)及び室内照明で直ちに投与する。希釈溶液は、室温で最大15時間保持され得る(注入時間を含む)。
・すぐに使用されない場合、希釈溶液は、冷蔵条件2℃~8℃(36°F~46°F)下で、かつ光から保護して、投与前に最大24時間保管され得る。凍結させない。
【0428】
2.5 投与
・冷蔵庫内に保管された場合、溶液を室温にさせる。流量調節器を取り付けた注入セットを使用して、かつインライン、滅菌、非発熱性、低タンパク質結合ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)フィルタ(孔径0.22又は0.2マイクロメートル)を用いて、静脈内注入によって希釈溶液を投与する。投与セットは、ポリウレタン(polyurethane、PU)、ポリブタジエン(polybutadiene、PBD)、PVC、PP、又はPEのいずれかで作られる必要がある。
・再使用のために注入溶液のいかなる未使用部分も保管しない。いかなる未使用の製品又は廃棄物材料も、地域の要件に従って廃棄されるべきである。
・DARZALEXを他の薬剤と同一の静脈ラインで同時に注入しない。
【0429】
3 剤形及び強度
DARZALEXは、以下のように利用可能な、無色から淡黄色の防腐剤の入っていない溶液である:
注射:
・単回投与バイアル内で100mg/5mL(20mg/mL)。
・単回投与バイアル内で400mg/20mL(20mg/mL)。
【0430】
4 禁忌
DARZALEXは、ダラツムマブ又は製剤の成分のいずれかに対する重度の過敏症(例えば、アナフィラキシー反応)の既往歴がある患者において禁忌である[警告及び使用上の注意(5.1)並びに有害反応(6,3)を参照されたい]。
【0431】
5 警告及び使用上の注意
5.1 注入反応
DARZALEXは、アナフィラキシー反応を含む重度の及び/又は重篤な注入反応を引き起こす可能性がある。臨床試験では、全ての患者の約半分が注入反応を経験した。最も多くの注入反応は、最初の注入中に生じ、グレード1~2であった[有害反応(6.1)を参照]。
【0432】
注入反応はまた、後続の注入でも生じる可能性がある。ほとんど全ての反応は、注入中、又はDARZALEXの完了から4時間以内に生じた。臨床試験において注入後薬剤を導入する前に、注入反応は、注入後48時間まで生じた。
【0433】
気管支痙攣、低酸素症、高血圧、喉頭浮腫、及び肺水腫を含む重度の反応が生じた。徴候及び症状としては、鼻詰まり、せき、咽喉刺激、並びに冷感、嘔吐、及び悪心などの呼吸器症状を挙げることができる。あまり一般的ではない症状は、喘鳴、アレルギー性鼻炎、発熱、胸部不快感、掻痒、及び低血圧であった[有害反応(6.1)を参照]。
【0434】
抗ヒスタミン薬、解熱薬、及びコルチコステロイドを患者に前投薬する。全注入の間に患者を頻繁にモニタリングする。いかなる重症度の反応に対してもDARZALEX注入を中断し、必要に応じて医療管理を開始する。アナフィラキシー反応又は命に関わる(グレード4)反応が生じる場合、DARZALEX療法を永続的に中止し、適切な救急治療を開始する。グレード1、2、又は3の反応を有する患者については、注入再開するときに注入速度を低減する[投与量及び投与量(2.1)を参照]。
【0435】
遅延注入反応のリスクを低減するために、DARZALEX注入後に全ての患者に経口コルチコステロイドを投与する[投与量及び投与量(2.2)を参照]。慢性閉塞性肺疾患の既往歴を有する患者は、呼吸合併症を管理するために、追加の注入後薬剤を必要とする場合がある。慢性閉塞性肺疾患を有する患者について、短時間及び長時間作用型気管支拡張薬及び吸入コルチコステロイドを処方することを考慮する。
【0436】
5.2 血清検査への干渉
ダラツムマブは、赤血球(RBC)上のCD38に結合し、間接抗グロブリン試験(間接クームス試験)陽性をもたらす。ダラツムマブを介した間接抗グロブリン試験陽性は、最後のダラツムマブ注入後6か月まで持続し得る。RBCに結合したダラツムマブは、患者の血清中の微量抗原に対する抗体の検出を分からなくする[参考文献(15)を参照]。患者のABO及びRhの血液型の決定は、影響を受けない[薬物相互作用(7.1)を参照]。
【0437】
血清検査へのこの干渉を輸血センターに知らせ、患者がDARZALEXを受けたことを血液バンクに通知する。DARZALEXの開始前に患者を分類及びスクリーニングする。
【0438】
5.3 好中球減少症
DARZALEXは、バックグラウンド療法によって誘発される好中球減少症を増加させ得る[有害反応(6.1)を参照]。
【0439】
バックグラウンド療法について、製造業者の処方情報に従って、治療中に全血球計算値を定期的にモニタリングする。感染症の徴候について、好中球減少症患者をモニタリングする。好中球の回復を可能にするために、DARZALEX投与遅延が必要とされる場合がある。DARZALEXの用量低減は推奨されない。成長因子を用いた支持療法を考慮する。
【0440】
5.4 血小板減少症
DARZALEXは、バックグラウンド療法によって誘発される血小板減少症を増加させ得る[有害反応(6.1)を参照]。
【0441】
バックグラウンド療法について、製造業者の処方情報に従って、治療中に全血球計算値を定期的にモニタリングする。血小板の回復を可能にするために、DARZALEX投与遅延が必要とされる場合がある。DARZALEXの用量低減は推奨されない。輸血を用いた支持療法を考慮する。
【0442】
5.5 完全奏効の決定への干渉
ダラツムマブは、内因性M-蛋白の臨床モニタリングに使用される血清蛋白電気泳動(serum protein electrophoresis、SPE)及び免疫固定(IFE)アッセイの両方で検出され得る、ヒトIgGカッパモノクローナル抗体である[薬物相互作用(7.1)を参照]。この干渉は、IgGカッパ骨髄腫タンパク質を有する一部の患者における、完全奏効及び疾患進行の決定に影響を及ぼし得る。
【0443】
6 有害反応
以下の臨床的に有意な有害反応も、ラベリングの他の箇所に記載されている:
・注入反応[警告及び使用上の注意(5.1)を参照]。
・好中球減少症[警告及び使用上の注意(5.3)を参照]。
・血小板減少症[警告及び使用上の注意(5.4)を参照]。
【0444】
6.1 臨床試験における有害反応
臨床試験は、広範に変化する条件下で実施されるため、薬物の臨床試験において観察される有害反応率は、別の薬物の臨床試験における比率と直接比較することができず、実際に観察された比率を反映していない場合がある。
【0445】
以下に記載される安全性データは、バックグラウンドレジメンと組み合わせてDARZALEXを受けた1374人の患者、及び単剤療法としてDARZALEXを受けた156人の患者を含む、多発性骨髄腫を有する1530人の患者におけるDARZALEX(16mg/kg)への曝露を反映する。4
【0446】
新たに診断された多発性骨髄腫
レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用治療(DRd)
以下の表に記載される有害反応は、第3相実薬対照試験MAIAにおける、ダラツムマブ-レナリドミド-デキサメタゾン(DRd)群に対する25.3か月(範囲:0.1~40.44か月)の治療期間中央値、及びレナリドミド-デキサメタゾン群(Rd)に対する213か月(範囲:0.03~40.64か月)の治療期間中央値の、DARZALEXへの曝露を反映する。5最も頻繁な(20%以上の)有害反応は、注入反応、下痢、便秘、悪心、末梢浮腫、疲労、背痛、無力症、発熱、上気道感染症、気管支炎、肺炎、食欲低下、筋痙攣、末梢感覚性ニューロパシー、呼吸困難、及びせきであった。Rd群と比較してDRd群における2%より高い発生率を有する重篤な有害反応は、脱水症(DRd 2%対Rd 1%未満)、気管支炎(DRd 4%対Rd 2%)、及び肺炎(DRd15%対Rd 8%)であった。6
【0447】
【表11】
略語一覧:D=ダラツムマブ、Rd=レナリドミド-デキサメタゾン。
a注入反応は、注入に関連すると治験責任医師によって決定される用語を含み、以下の注入反応のセクションを参照されたい。
b末梢浮腫、全身性浮腫、末梢腫脹
c急性副鼻腔炎、細菌性鼻炎、喉頭炎、メタニューモウイルス感染症、鼻咽頭炎、口腔咽頭カンジダ症、咽頭炎、呼吸器合胞体ウイルス感染、呼吸器感染症、ウイルス性呼吸器感染症、鼻炎、ライノウイルス感染症、副鼻腔炎、扁桃炎、気管炎、上気道感染症、ウイルス性咽頭炎、ウイルス性鼻炎、ウイルス性上気道感染症
d細気管支炎、気管支炎、ウイルス性気管支炎、呼吸器合胞体ウイルス細気管支炎、気管気管支炎
e非定型肺炎、気管支肺アスペルギルス症、肺感染症、ニューモシスチス・イロベチイ感染症、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎、肺炎、誤嚥性肺炎、肺炎球菌性肺炎、ウイルス性肺炎、肺真菌症
f呼吸困難、労作性呼吸困難
gせき、湿性せき
h血圧上昇、高血圧
【0448】
表6に列挙されるベースラインから治療中に悪化する実験室異常。
【0449】
【表12】
略語一覧:D=ダラツムマブ、Rd=レナリドミド-デキサメタゾン。
【0450】
ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾンとの併用治療
表7に記載される有害反応は、第3相実薬対照試験ALCYONEにおける、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(D-VMP)群に対する14.7か月(範囲:0~25.8か月)の治療期間中央値、並びにVMP群に対する12か月(範囲:0.1~14.9か月)の治療期間中央値の、DARZALEXへの曝露を反映する。最も頻繁な有害反応(D-VMP群において少なくとも5%より高い頻度で、20%以上)は、注入反応、上気道感染症、及び末梢浮腫であった。VMP群と比較してD-VMP群で少なくとも2%より高い発生率での重篤な有害反応は、肺炎(D-VMP 11%対VMP 4%)、上気道感染症(D-VMP 5%対VMP 1%)、及び肺水腫(D-VMP 2%対VMP 0%)であった。
【0451】
【表13】
略語一覧:D=ダラツムマブ、VMP=ボルテゾミブ-メルファラン-プレドニゾン
a注入反応は、注入に関連すると治験責任医師によって決定される用語を含み、以下の注入反応のセクションを参照されたい。
b末梢浮腫、全身性浮腫、末梢腫脹
c上気道感染症、気管支炎、細菌性気管支炎、喉頭蓋炎、喉頭炎、細菌性喉頭炎、メタニューモウイルス感染症、鼻咽頭炎、口腔咽頭カンジダ症、咽頭炎、連鎖球菌性咽頭炎、呼吸器合胞体ウイルス感染症、呼吸器感染症、ウイルス性呼吸器感染症、鼻炎、副鼻腔炎、扁桃炎、気管炎、気管気管支炎、ウイルス性鼻炎、ウイルス性上気道感染症。
d肺炎、肺感染症、誤嚥性肺炎、細菌性肺炎、肺炎球菌性肺炎、ブドウ球菌性肺炎、ウイルス性肺炎、及び敗血性肺炎
eせき、湿性せき
f呼吸困難、労作性呼吸困難
g高血圧、血圧上昇
【0452】
表8に列挙されるベースラインから治療中に悪化する実験室異常。
【0453】
【表14】
略語一覧:D=ダラツムマブ、VMP=ボルテゾミブ-メルファラン-プレドニゾン
【0454】
再発性/難治性多発性骨髄腫
レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用治療
表9に記載される有害反応は、第3相実薬対照試験POLLUXにおける、ダラツムマブ-レナリドミド-デキサメタゾン(DRd)群に対する13.1か月(範囲:0~20.7か月)の治療期間中央値、並びにレナリドミド-デキサメタゾン群(Rd)に対する12.3か月(範囲:0.2~20.1か月)の治療期間中央値の、DARZALEXへの曝露を反映する。最も頻繁な有害反応(20%以上)は、注入反応、下痢、悪心、疲労、発熱、上気道感染症、筋痙攣、せき、及び呼吸困難であった。重篤な有害反応の全発生率は、Rd群の42%と比較して、DRd群では49%であった。Rd群と比較して、DRd群における少なくとも2%より高い発生率を有する重篤な有害反応は、肺炎(DRd 12%対Rd 10%)、上気道感染症(DRd 7%対Rd 4%)、インフルエンザ及び発熱(各々についてDRd 3%対Rd 1%)であった。
【0455】
有害反応は、DRd群の患者の7%(n=19)対Rd群の8%(n=22)の中止につながった。
【0456】
【表15】
略語一覧:D=ダラツムマブ、Rd=レナリドミド-デキサメタゾン。
a注入反応は、注入に関連すると治験責任医師によって決定される用語を含み、以下の注入反応のセクションを参照されたい。
b上気道感染症、気管支炎、副鼻腔炎、ウイルス性呼吸器感染症、鼻炎、咽頭炎、呼吸器感染症、メタニューモウイルス感染症、気管気管支炎、ウイルス性上気道感染症、喉頭炎、呼吸器合胞性ウイルス感染症、ブドウ球菌性咽頭炎、扁桃炎、ウイルス性咽頭炎、急性副鼻腔炎、鼻咽頭炎、細気管支炎、ウイルス性気管支炎、連鎖球菌性咽頭炎、気管炎、細菌性上気道感染症、細菌性気管支炎、喉頭蓋炎、ウイルス性喉頭炎、口腔咽頭カンジダ症、肺モニリア症、ウイルス性鼻炎、急性扁桃炎、ライノウイルス感染症
cせき、湿性せき、アレルギー性せき
d呼吸困難、労作性呼吸困難
【0457】
表10に列挙されるベースラインから治療中に悪化する実験室異常。
【0458】
【表16】
略語一覧:D=ダラツムマブ、Rd=レナリドミド-デキサメタゾン。
【0459】
ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用治療
表11に記載される有害反応は、第3相実薬対照試験CASTORにおける、ダラツムマブ-ボルテゾミブ-デキサメタゾン(DVd)群に対する6.5か月(範囲:0~14.8か月)の治療期間中央値、並びにボルテゾミブ-デキサメタゾン群(Vd)に対する5.2か月(範囲:0.2~8.0か月)の治療期間中央値の、DARZALEXへの曝露を反映する。最も頻繁な有害反応(20%超)は、注入反応、下痢、末梢浮腫、上気道感染症、末梢性感覚性ニューロパシー、せき、及び呼吸困難であった。重篤な有害反応の全発生率は、Vd群の34%と比較して、DVd群では42%であった。Vd群と比較してDVd群における少なくとも2%より高い発生率を有する重篤な有害反応は、上気道感染症(DVd 5%対Vd 2%)、下痢及び心房細動(各々についてDVd 2%対Vd 0%)であった。
【0460】
有害反応は、DVd群の患者の7%(n=18)対Vd群の9%(n=22)の中止につながった。
【0461】
【表17】
略語一覧:D=ダラツムマブ、Vd=ボルテゾミブ-デキサメタゾン。
a注入反応は、注入に関連すると治験責任医師によって決定される用語を含み、以下の注入反応のセクションを参照されたい。
b末梢浮腫、浮腫、全身性浮腫、末梢腫脹
c上気道感染症、気管支炎、副鼻腔炎、ウイルス性呼吸器感染症、鼻炎、咽頭炎、呼吸器感染症、メタニューモウイルス感染症、気管気管支炎、ウイルス性上気道感染症、喉頭炎、呼吸器合胞性ウイルス感染症、ブドウ球菌性咽頭炎、扁桃炎、ウイルス性咽頭炎、急性副鼻腔炎、鼻咽頭炎、細気管支炎、ウイルス性気管支炎、連鎖球菌性咽頭炎、気管炎、細菌性上気道感染症、細菌性気管支炎、喉頭蓋炎、ウイルス性喉頭炎、口腔咽頭カンジダ症、肺モニリア症、ウイルス性鼻炎、急性扁桃炎、ライノウイルス感染症
dせき、湿性せき、アレルギー性せき
e呼吸困難、労作性呼吸困難
【0462】
治療中に悪化する実験室異常を表12に列挙する。
【0463】
【表18】
略語一覧:D=ダラツムマブ、Vd=ボルテゾミブ-デキサメタゾン。
【0464】
ポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用治療
表13に記載される有害反応は、EQUULEUSにおける、6か月(範囲:0.03~16.9か月)の治療期間中央値の、DARZALEX、ポマリドミド、及びデキサメタゾン(DPd)への曝露を反映する。最も頻繁な有害反応(20%超)は、注入反応、下痢、便秘、悪心、嘔吐、疲労、発熱、上気道感染症、筋痙攣、背痛、関節痛、めまい、不眠症、せき、及び呼吸困難であった。重篤な有害反応の全発生率は、49%であった。5%以上の患者で報告された重篤な有害反応は、肺炎(7%)を含んだ。有害反応は、患者の13%の中止につながった。
【0465】
【表19】
略語一覧:D=ダラツムマブ、Pd=ポマリドミド-デキサメタゾン。
a注入反応は、注入に関連すると治験責任医師によって決定される用語を含み、以下の注入反応のセクションを参照されたい。
b浮腫、末梢浮腫、末梢腫脹。
c急性扁桃炎、気管支炎、喉頭炎、鼻咽頭炎、咽頭炎、呼吸器合胞体ウイルス感染症、鼻炎、副鼻腔炎、扁桃炎、上気道感染症
d肺感染症、肺炎、誤嚥性肺炎
eせき、湿性せき、アレルギー性せき
f呼吸困難、労作性呼吸困難
【0466】
治療中に悪化する実験室異常を表14に列挙する。
【0467】
【表20】
略語一覧:D=ダラツムマブ、Pd=ポマリドミド-デキサメタゾン。
【0468】
単剤療法
安全性データは、3つの非盲検臨床試験において、16mg/kgのDARZALEXで治療された再発性及び難治性多発性骨髄腫を有する156人の成人患者における、DARZALEXへの曝露を反映する。治療期間中央値は、3.3か月(範囲:0.03~20.04か月)であった。重篤な有害反応は、51人(33%)の患者で報告された。最も頻繁な重篤な有害反応は、肺炎(6%)、全身健康状態低下(3%)、及び発熱(3%)であった。
【0469】
有害反応は、最も頻繁に感染症に対する、24人(15%)の患者の治療遅延につながった。有害反応は、6人(4%)の患者の中止につながった。
【0470】
患者の少なくとも10%で生じる有害反応を表15に示す。表16は、10%以上の比率で報告されたグレード3~4実験室異常を記載する。
【0471】
【表21】
a注入反応は、注入に関連すると治験責任医師によって決定される用語を含み、以下の注入反応のセクションを参照されたい。
b肺炎はまた、連鎖球菌性肺炎及び大葉性肺炎という用語も含む。
【0472】
【0473】
注入反応9
臨床試験(単剤療法及び併用療法、N=1530)において、任意のグレードの注入反応の発生率は、第1の(16mg/kg、1週目)のDARZALEXの注入で40%、2週目の注入で2%、及び後続の注入で累積的に4%であった。1%未満の患者が、2週目又は後続の注入でグレード3/4の注入反応を有した。
【0474】
反応開始までの期間の中央値は、1.5時間(範囲:0~72.8時間)であった。反応による注入修正の発生率は、37%であった。1週目、2週目、及び後続の注入についての16mg/kgの注入期間中央値は、それぞれ約7、4、及び3時間であった。
【0475】
重篤な注入反応には、気管支痙攣、呼吸困難、喉頭浮腫、肺水腫、低酸素症、及び高血圧が含まれた。他の有害な注入反応には、鼻詰まり、せき、冷感、咽喉刺激、嘔吐、及び悪心が含まれた。
【0476】
EQUULEUSにおいて、ダラツムマブ併用治療を受ける患者(n=97)に、2日に分割された1週目の最初の16mg/kgダラツムマブ用量、すなわち、それぞれ1日目及び2日目に8mg/kgを投与した。任意のグレードの注入に関連する反応の発生率は42%であり、患者の36%が1週目の1日目に、4%が1週目の2日目に、及び8%が後続の注入で注入反応を経験した。反応開始までの期間の中央値は、1.8時間(範囲:0.1~5.4時間)であった。反応による注入中断の発生率は、30%であった。注入期間中央値は、1週目1日目について4.2時間、1週目2日目について4.2時間、及び後続の注入について3.4時間であった。
【0477】
帯状疱疹ウイルス再活性化
帯状疱疹ウイルス再活性化の予防が、DARZALEXのいくつかの臨床試験において患者に推奨された。単剤療法試験において、患者の3%で帯状疱疹が報告された。単剤療法試験において、DARZALEXを受ける患者の2~5%で帯状疱疹が報告された。
【0478】
感染症
DARZALEX併用療法を受ける患者において、グレード3又は4の感染症が以下のように報告された:
再発性/難治性患者の試験:DVd:21%、Vd:19%、DRd:27%、Rd:23%、DPd:28%新たに診断された患者の試験:D-VMP:23%、VMP:15%、DRd:32%、Rd:23%。10
肺炎は、試験にわたって最も一般的に報告された重度(グレード3又は4)の感染症であった。実薬対照試験において、感染症(1~4%)及び致死性感染症による治療の中止は、概して稀であり、DARZALEX含有レジメンと実薬対照群との間でバランスがとられた。致死性感染症は、主に肺炎及び敗血症に起因した。11
【0479】
6.2 免疫原性12
全ての治療用タンパク質と同様に、免疫原性の可能性がある。抗体形成の検出は、アッセイの感度及び特異性に非常に依存する。加えて、アッセイにおいて観察された抗体(中和抗体を含む)の陽性発生率は、アッセイ方法、試料取り扱い、試料採取のタイミング、併用薬、及び基礎疾患を含むいくつかの要因に影響され得る。これらの理由のために、以下に記載される試験におけるダラツムマブに対する抗体の発生率と、他の研究における又は他の産物に対する抗体の発生率との比較は、誤解を招く場合がある。単剤療法として、又は併用療法としてDARZALEXで治療された多発性骨髄腫患者の臨床試験において、111人の評価可能な単剤療法患者のうち0人、及び749人の併用療法患者のうち2人が、抗ダラツムマブ抗体の検査で陽性を示した。併用療法としてDARZALEXを投与された1人の患者が、ダラツムマブに対して一次的な中和抗体を発現した。しかしながら、このアッセイは、高濃度のダラツムマブの存在下で抗ダラツムマブ抗体を検出するのに限界がある。したがって、抗体発現の発生率は、確実に決定されていない可能性がある。
【0480】
6.3 市販後の経験
以下の有害反応は、DARZALEXの承認後の使用中に識別されたものである。
【0481】
免疫系障害:アナフィラキシー反応
7 薬物相互作用
7.1 実験室試験に対するダラツムマブの効果
間接抗グロブリン試験(間接クームス試験)への干渉
ダラツムマブは、RBC上のCD38に結合し、抗体スクリーニング及び交差試験を含む適合性試験に干渉する。ダラツムマブ干渉緩和方法は、ダラツムマブ結合を破壊するために試薬RBCをジチオトレイトール(dithiothreitol、DTT)で処理すること[参考文献(15)を参照]、又は遺伝子型決定することを含む。ケル式血液型は、DTT処理にも感受性があるため、DTT処理されたRBCを使用して同種抗体を除外又は同定した後に、K-陰性単位が供給されるべきである。
【0482】
緊急輸血が必要とされる場合、非交差ABO/RhD適合性RBCは、地域の血液バンクの慣行に従って与えられ得る。
【0483】
血清蛋白電気泳動及び免疫固定試験への干渉
ダラツムマブは、疾患モノクローナル免疫グロブリン(M-蛋白)をモニタリングするために使用される、血清蛋白電気泳動(SPE)及び免疫固定(IFE)アッセイで検出され得る。これは、IgGカッパ骨髄腫タンパク質を有する患者の偽陽性SPE及びIFEアッセイ結果をもたらし、International Myeloma Working Group(IMWG)基準による完全奏効の初期評価に影響を与える。持続的に非常に良好な部分奏効を有する患者において、ダラツムマブ干渉が疑われる場合、完全奏効の決定を容易にするために、患者の血清中のいかなる残りの内在性M-蛋白からもダラツムマブを区別するためのFDA承認ダラツムマブ特異的IFEアッセイを使用することを考慮する。
【0484】
8 特定の集団での使用
8.1 妊娠
リスクの概要
妊娠中のDARZALEXの使用に伴うリスクを知らせるヒトデータは存在しない。動物試験は実施されていない。しかしながら、臨床的考慮事項が存在する[臨床的考慮事項を参照]。示された集団の重大な出生異常及び流産の推定バックグラウンドリスクは不明である。全ての妊娠は、出生異常、死、又は他の有害転帰のバックグラウンドリスクを有する。米国一般集団では、臨床的に認識された妊娠における重大な出生異常及び流産の推定バックグラウンドリスクは、それぞれ2~4%及び15~20%である。
【0485】
臨床的考慮事項
胎児/新生児有害反応
免疫グロブリンG1(IgG1)モノクローナル抗体は、胎盤を介して移動する。その作用機序に基づいて、DARZALEXは、胎児の骨髄細胞又はリンパ球細胞の枯渇、及び骨密度の低下を引き起こす可能性がある。血液学的評価が完了するまで、子宮内でDARZALEXに曝露された新生児及び乳児に生ワクチンを投与することを延期する。
【0486】
データ
動物データ
全てのCD38発現を排除するために遺伝子修飾されたマウス(CD38ノックアウトマウス)は、生後5か月までに回復した出生時の骨密度を低減した。白血球集団に影響を及ぼす他のモノクローナル抗体に妊娠中に曝露されたカニクイザルでは、乳児サルは、白血球が可逆的に低減した。
【0487】
8.2 授乳
リスクの概要
ヒトの母乳におけるダラツムマブの存在、母乳で育てられている小児に対する影響、又は母乳の分泌に対する影響に関する情報は存在しない。ヒトIgGは、ヒトの母乳中に存在することが知られている。公開されたデータは、母乳中の抗体が、実質的な量で新生児及び乳児の血液循環に入らないことを示唆している。
【0488】
DARZALEXに対する母親の臨床的必要性、及びDARZALEX又は基礎となる母体の状態からの母乳で育てられている小児に対する任意の潜在的な有害作用と共に、母乳で育てることの発育上及び健康上の利益が考慮されるべきである。
【0489】
8.3 生殖能のある女性及び男性
避妊
胎児への曝露を回避するために、生殖能のある女性は、治療中及びDARZALEX治療の中止後3か月間、有効な避妊を使用するべきである。
【0490】
8.4 小児の使用
患者におけるDARZALEXの安全性及び有効性は、確率されていない。
【0491】
8.5 高齢者の使用
推奨用量でDARZALEXを受けた1530人の患者のうち、48%は65~75歳であり、22%は75歳以上であった。これらの患者とより若年の患者との間で、安全性又は有効性の全体的な差は観察されなかった[臨床研究(14)を参照]。13、14
【0492】
11 性状
ダラツムマブは、組換えDNA技術を使用して哺乳類細胞株(チャイニーズハムスター卵巣[CHO])で産生される、CD38抗原に対する免疫グロブリンG1カッパ(IgG1κ)ヒトモノクローナル抗体である。ダラツムマブの分子量は、約148kDaである。
【0493】
DARZALEXは、単回投与バイアル内で、静脈内注入用の無色から淡黄色の防腐剤の入っていない溶液として供給される。pHは5.5である。DARZALEXは、0.9%塩化ナトリウム注射液、USPで希釈される必要がある[投与量及び投与量(2.4)を参照]。
【0494】
各DARZALEX単回投与20mLバイアルには、400mgのダラツムマブ、氷酢酸(3.7mg)、マンニトール(510mg)、ポリソルベート20(8mg)、酢酸ナトリウム三水和物(59.3mg)、塩化ナトリウム(70.1mg)、及び注射用水を含有する。
【0495】
各DARZALEX単回投与5mLバイアルには、100mgのダラツムマブ、氷酢酸(0.9mg)、マンニトール(127.5mg)、ポリソルベート20(2mg)、酢酸ナトリウム三水和物(14.8mg)、塩化ナトリウム(17.5mg)、及び注射用水を含有する。
【0496】
12 臨床薬理学
12.1 作用機序
CD38は、多発性骨髄腫並びに他の細胞型及び組織を含む造血細胞の表面上に発現される膜貫通糖タンパク質(48kDa)であり、受容体媒介接着、シグナル伝達、並びにシクラーゼ及びヒドロラーゼ活性の調節などの複数の機能を有する。ダラツムマブは、CD38に結合し、Fc媒介性架橋を介して直接アポトーシスを誘発することによって、並びに補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity、CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody dependent cell mediated cytotoxicity、ADCC)、及び抗体依存性細胞貪食(antibody dependent cellular phagocytosis、ADCP)を介した免疫媒介性細胞溶解によって、CD38発現細胞の増殖を阻害する、IgG1κヒトモノクローナル抗体(mAb)である。骨髄由来抑制細胞(CD38+MDSC)、制御性T細胞(CD38+Treg)、及びB細胞(CD38+Bregs)のサブセットは、ダラツムマブによって減少する。
【0497】
12.2 薬力学
NK細胞は、CD38を発現し、ダラツムマブを介した細胞溶解を受けやすい。末梢全血及び骨髄中の全NK細胞(CD16+CD56+)及び活性化(CD16+CD56dim)NK細胞の絶対数及び割合の減少が、DARZALEX治療で観察された。
【0498】
心臓電気生理学
巨大タンパク質としてのDARZALEXは、直接的なイオンチャネル相互作用の可能性が低い。DARZALEXが心室再分極を遅延させる可能性を有することを示唆するための、非臨床データ又は臨床データからの証拠は存在しない。
【0499】
12.3 薬物動態
単剤療法として1~24mg/kg、又は他の治療と組み合わせて1~16mg/kgのDARZALEXの用量範囲にわたって、濃度-時間曲線下面積(area under the concentration-time curve、AUC)の増加は、用量比例を超えるものであった。
【0500】
DARZALEXを単剤療法として、又は併用療法として投与した場合の16mg/kgの推奨用量に続いて、週毎の投与の終了時の平均最大血清濃度(Cmax)値は、初回投与後の平均血清Cmaxと比較して約2.7~3倍高かった。週毎の投与の終了時の平均±標準偏差(SD)のトラフ血清濃度(Cmin)は、DARZALEXを単剤療法として投与した場合に573+332μg/mLであり、DARZALEXを併用療法として投与した場合に502±196~607±231μg/mLであった。第1の用量の分割投与は、単回投与と比較して、1日目に異なるPKプロファイルをもたらした。しかしながら、同様のCmax及びCmin濃度が、1週目の2日目の第2の分割用量の投与後に予測及び観察された。
【0501】
DARZALEXを単剤療法として投与した場合、ダラツムマブ定常状態は、4週間毎の投与期間に入り約5か月間達成され(21回目の注入まで)、定常状態のCmax対初回投与後のCmaxの平均±SD比は、1.6±0.5であった。
【0502】
分布
16mg/kgの推奨用量で、平均±SD中心分布容積は、DARZALEXを単剤療法として投与した場合に4.7±13Lであり、DARZALEXを併用療法として投与した場合に4.4±1.5Lであった。
【0503】
脱離
ダラツムマブクリアランスは、用量の増加及び複数回投与と共に減少した。単剤療法として16mg/kgのDARZALEXの推奨用量で、平均±SD線形クリアランスは、171.4±95.3mL/日であると推定された。線形クリアランスに関連する平均±SD推定消失半減期は、DARZALEXを単剤療法として投与した場合に18±9日であり、併用療法として投与した場合に平均15~23日であった。15
【0504】
特定の集団
以下の集団特性は、DARZALEXを単剤療法又は併用療法として投与された患者におけるダラツムマブの薬物動態に対する臨床的に有意な影響を有しない:性別、年齢(31~93歳)、軽度[正常上限(ULN)の1~1.5倍の総ビリルビン、若しくはULNを超えるアスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ(aspartate aminotransaminase、AST)]、並びに中等度(ULNの1.5~3倍の総ビリルビン及び任意のAST)の肝障害、又は腎障害[クレアチニンクリアランス(creatinine clearance、CLcr)15~89mL/分]。重度の(ULNの3倍を超える総ビリルビン及び任意のAST)の肝障害の影響は不明である。体重の増加は、中心分布容積及びダラツムマブのクリアランスを増加させ、体重ベースの投与レジメンを支持する。
【0505】
薬物相互作用
レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、及びデキサメタゾンと組み合わせたダラツムマブの臨床薬物動態評価は、ダラツムマブとこれらの小分子薬物との間の臨床的に関連する薬物-薬物相互作用を示さなかった。16
【0506】
13 非臨床的毒性
13.1 発癌、変異誘発、生殖障害
ダラツムマブを用いた発癌性又は遺伝毒性試験は行われていない。生殖又は発育に対するダラツムマブの潜在的な影響を評価するための、又は男性若しくは女性における生殖能力に対する潜在的な影響を決定するための動物試験は行われていない。
【0507】
14 臨床研究
14.1 新たに診断された多発性骨髄腫
自己幹細胞移植に不適格な患者におけるレナリドミド及びデキサメタゾンとの併用治療
MAIA(NCT02252172)、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及び低用量デキサメタゾンと組み合わせたDARZALEX 16mg/kg(DRd)による治療を、レナリドミド及び低用量デキサメタゾン(Rd)による治療と比較した。レナリドミド(繰り返される28日[4週間]サイクルの1~21日目に経口で1日1回25mg)を、低用量の経口又は静脈内デキサメタゾン40mg/週(又は75歳を超えるか、若しくは体格指数[BMI]が18.5未満の患者については20mg/週の低減された用量)と共に与えた。DARZALEX注入日に、デキサメタゾン用量を注入前薬剤として与えた。製造業者の処方情報に従って、レナリドミド及びデキサメタゾンの用量調整を適用した。疾患進行又は許容不可能な毒性があるまで、両方の群で治療を継続した。17
【0508】
合計737人の患者を無作為化した:368人をDRd群に、及び369人をRd群に。ベースラインの人口統計学的特性及び疾患特性は、2つの治療群間で類似していた。年齢中央値は73歳(範囲:45~90歳)であり、患者の44%が75歳以上であった。大部分は、白人(92%)、男性(52%)であり、34%は、0のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンススコアを有し、50%は、1のECOGパフォーマンススコアを有し、17%は、2以上のECOGパフォーマンススコアを有した。27%は、国際病期分類(ISS)ステージIを有し、43%はISSステージIIを有し、29%はISSステージIIIの疾患を有した。有効性を、International Myeloma Working Group(IMWG)基準に基づいて、無増悪生存(PFS)によって評価した。18、19
【0509】
MAIAは、Rd群と比較して、DRd群における無増悪生存(PFS)の改善を実証した。PFS中央値は、DRd群で達成されておらず、Rd群では31.9か月であり(ハザード比[HR]=0.56;95%CI:0.43、0.73;p<0.000l)、DRdで治療された患者における疾患進行又は死亡のリスクの44%の低減を表す。20
【0510】
【0511】
MAIAからの追加の有効性結果を以下の表17に示す。21、22
【0512】
【表23】
DRd=ダラツムマブ-レナリドミド-デキサメタゾン、Rd=レナリドミド-デキサメタゾン、MRD=微小残存病変、
CI=信頼区間
a治療意図集団に基づく
bCochran-Mantel-Haenszelカイ二乗検定からのP値。
c10
-5の閾値に基づく
d層化されていない表のオッズ比のMantel-Haenszel推定値を使用する。1を超えるオッズ比は、DRdの利点を示す。
eフィッシャーの正確確率検定からのp値。
【0513】
レスポンダーにおいて、奏効までの期間の中央値は、DRd群で1.05か月(範囲:0.2~12.1か月)、及びRd群で1.05か月(範囲:0.3~15.3か月)であった。23奏効期間中央値は、DRd群で達成されず、Rd群で34.7か月(95%CI:30.8、推定不可)であった。24
【0514】
自己幹細胞移植に不適格な患者におけるボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾン(VMP)との併用治療
ALCYONE(NCT02195479)、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験は、新たに診断された多発性骨髄腫を有する患者において、ボルテゾミブ、メルファラン、及びプレドニゾンと組み合わせたDARZALEX 16mg/kg(D-VMP)による治療を、VMPによる治療と比較した。ボルテゾミブを、1.3mg/m2体表面積の用量で皮下(subcutaneous、SC)注射によって、最初の6週間サイクルの1、2、4、及び5週目に週2回投与し(サイクル1;8回の投与)、続いて8回の6週間サイクルの1、2、4、及び5週目に週1回投与した(サイクル2~9;1サイクル当たり4回の投与)。9mg/m2のメルファラン及び60mg/m2のプレドニゾンを、9回の6週間サイクルの1~4日目に経口投与した(サイクル1~9)。DARZALEX治療は、疾患進行又は許容不可能な毒性があるまで継続した。
【0515】
合計706人の患者を無作為化した:350人をD-VMP群に、及び356人をVMP群に。ベースラインの人口統計学的特性及び疾患特性は、2つの治療群間で類似していた。年齢中央値は71歳(範囲:40~93歳)であり、患者の30%が75歳以上であった。大部分は、白人(85%)、女性(54%)であり、25%は、0のECOGパフォーマンススコアを有し、50%は、1のECOGパフォーマンススコアを有し、25%は、2のECOGパフォーマンススコアを有した。患者の19%はISSステージIを有し、42%はISSステージIIを有し、38%はISSステージIIIの疾患を有した。有効性を、IMWG基準に基づいてPFSによって評価した。
【0516】
ALCYONEは、VMP群と比較して、D-VMP群においてPFSの改善を実証した。PFS中央値は、D-VMP群では達成されず、VMP群では18.1か月(95%CI:16.53、19.91)であり(HR=0.5;95%CI:0.38、0.65;p<0.0001)、D-VMPで治療された患者における疾患進行又は死亡のリスクの50%の低減を表す。
【0517】
【0518】
ALCYONEからの追加の有効性結果を以下の表18に示す。
【0519】
【表24】
D-VMP=ダラツムマブ-ボルテゾミブ-メルファラン-プレドニゾン、VMP=ボルテゾミブ-メルファラン-プレドニゾン、MRD=微小残存病変、CI=信頼区間
a治療意図集団に基づく
bCochran-Mantel-Haenszelカイ二乗検定からのP値。
c10
-5の閾値に基づく
dフィッシャーの正確確率検定からのp値。
【0520】
レスポンダーにおいて、奏効までの期間の中央値は、D-VMP群で0.79か月(範囲:0.4~15.5か月)、及びVMP群で0.82か月(範囲:0.7~12.6か月)であった。奏効期間中央値は、D-VMP群では達成されず、VMP群では21.3か月(範囲:0.5+、23.7+)であった。
【0521】
14.2 再発性/難治性多発性骨髄腫
レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用治療
POLLUX(NCT02076009)、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験は、少なくとも1回の前治療を受けている、多発性骨髄腫を有する患者において、レナリドミド及び低用量デキサメタゾンと組み合わせたDARZALEX 16mg/kg(DRd)による治療を、レナリドミド及び低用量デキサメタゾン(Rd)による治療と比較した。レナリドミド(繰り返される28日[4週間]サイクルの1~21日目に経口で日1回25mg)を、低用量の経口又は静脈内デキサメタゾン40mg/週(又は75歳を超えるか、若しくはBMIが18.5未満の患者については20mg/週の低減された用量)と共に与えた。DARZALEX注入日に、20mgのデキサメタゾン用量を注入前薬剤として与え、残りを注入の次の日に与えた。デキサメタゾン用量が低減された患者の場合、20mgの全用量をDARZALEX注入前薬剤として与えた。製造業者の処方情報に従って、レナリドミド及びデキサメタゾンの用量調整を適用した。疾患進行又は許容不可能な毒性があるまで、両方の群で治療を継続した。
【0522】
合計569人の患者を無作為化した:286人をDRd群に、及び283人をRd群に。ベースラインの人口統計学的特性及び疾患特性は、DARZALEX群と対照群との間で類似していた。患者年齢中央値は、65歳(範囲34~89歳)であり、11%が75歳以上であり、59%が男性であり、69%が白人、18%がアジア人、及び3%がアフリカ系アメリカ人であった。患者は、中央値1の前治療を受けていた。患者の63パーセント(63%)が、以前の自家幹細胞移植(ASCT)を受けていた。患者の大部分(86%)が、以前のPIを受けており、患者の55%が、以前の免疫調節薬を受けており(以前のレナリドミドを受けていた患者の18%を含む)、患者の44%が、以前のPI及び免疫調節薬の両方を受けていた。ベースライン時に、患者の27%が、最後の治療に難治性であった。患者の18パーセント(18%)が、PIにのみ難治性であり、21%がボルテゾミブに難治性であった。有効性を、IMWG基準に基づいてPFSによって評価した。
【0523】
POLLUXは、Rd群と比較して、DRd群におけるPFSの改善を実証した。PFS中央値は、DRd群で達成されておらず、Rd群では18.4か月であり(ハザード比[HR]=037;95%CI:0.27、0.52;p<0.0001)、DRdで治療された患者における疾患進行又は死亡のリスクの63%の低減を表す。
【0524】
【0525】
POLLUXからの追加の有効性結果を以下の表19に示す。
【0526】
【表25】
DRd=ダラツムマブ-レナリドミド-デキサメタゾン、Rd=レナリドミド-デキサメタゾン
a治療意図集団に基づく
bCochran-Mantel-Haenszelカイ二乗検定からのP値。
【0527】
レスポンダーにおいて、奏効までの期間の中央値は、DRd群で1か月(範囲:0.9~13か月)、及びRd群で1.1か月(範囲:0.9~10か月)であった。奏効期間中央値は、D-VMP群では達成されず(範囲:1+~19.8+か月)、Rd群では17.4か月(範囲:1.4+~18.5+か月)であった。
【0528】
13.5か月のフォローアップ中央値で、75人の死亡が認められ、DRd群で30人、及びRd群で45人であった。
【0529】
ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用治療
CASTOR(NCT02136134)、非盲検、無作為化、実薬対照の第3相試験は、少なくとも1回の前治療を受けている、多発性骨髄腫を有する患者において、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンと組み合わせたDARZALEX 16mg/kg(DVd)による治療を、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン(Vd)による治療と比較した。ボルテゾミブを、合計8サイクルにわたって、繰り返される21日(3週間)治療サイクルの2週間(1、4、8、及び11日目)に週2回、1.3mg/m2体表面積の用量で、SC注射又はIV注入によって投与した。デキサメタゾンを、8ボルテゾミブサイクルの各々の1、2、4、5、8、9、11、及び12日目に20mgの用量(ボルテゾミブサイクルの3週間のうちの2週間に80mg/週)で、又は75歳を超えるか、18.5未満のBMI、コントロール不十分な糖尿病、若しくはステロイド療法に対する以前の不耐性を有する患者については、20mgの低減用量で経口投与した。DARZALEX注入日に、20mgのデキサメタゾン用量を注入前薬剤として投与した。デキサメタゾン用量が低減された患者の場合、20mgの全用量をDARZALEX注入前薬剤として与えた。DARZALEXを疾患進行まで与えた一方で、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンを、両方の治療群で8回の3週間サイクルにわたって与えた。しかしながら、DVd群では、デキサメタゾン20mgをDARZALEX注入前薬剤として継続した。製造業者の処方情報に従って、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの用量調整を適用した。
【0530】
合計498人の患者を無作為化した:251人をDVd群に、及び247人をVd群に。ベースラインの人口統計学的特性及び疾患特性は、DARZALEX群と対照群との間で類似していた。患者年齢中央値は64歳(範囲30~88歳)であり、12%が75歳以上であり、57%が男性であり、87%が白人、5%がアジア人、及び4%がアフリカ系アメリカ人であった。患者は、中央値2の前治療を受けており、患者の61%が、以前の自家幹細胞移植(ASCT)を受けていた。患者の69パーセント(69%)が、以前のPIを受けており(66%がボルテゾミブを受けていた)、患者の76%が、免疫調節薬を受けていた(42%がレナリドミドを受けていた)。ベースライン時に、患者の32%が、最後の治療に難治性であり、任意の特定の前治療に難治性の患者の割合は、概して、治療群間で良好にバランスがとれていた。患者の33パーセント(33%)が、免疫調節薬のみに難治性であり、DVd群の24%の患者及びVd群の患者の33%がそれぞれ、レナリドミドに難治性であった。有効性を、IMWG基準に基づいてPFSによって評価した。
【0531】
CASTORは、Vd群と比較して、DVd群におけるPFSの改善を実証した。PFS中央値は、DVd群で達成されておらず、Vd群では7.2か月であり(HR[95%CI]:0.39[0.28、0.53];p-値<0.0001)、DVd対Vdで治療された患者に対する疾患進行又は死亡のリスクの61%の低減を表す。
【0532】
【0533】
CASTORからの追加の有効性結果を以下の表20に示す。
【0534】
【表26】
DVd=ダラツムマブ-ボルテゾミブ-デキサメタゾン、Vd=ボルテゾミブ-デキサメタゾン
a治療意図集団に基づく
bCochran-Mantel-Haenszelカイ二乗検定からのP値。
【0535】
レスポンダーにおいて、奏効までの期間の中央値は、DVd群で0.8か月(範囲:0.7~4か月)、及びVd群で1.5か月(範囲:0.7~5か月)であった。奏効期間中央値は、DVd群では達成されず(範囲:1.4+~14.1+か月)、Vd群では7.9か月(1.4+~12+か月)であった。
【0536】
7.4か月のフォローアップ中央値で、65人の死亡が認められ、DVd群で29人、及びVdで36人が認められた。
【0537】
ポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用治療
EQUULEUS(NCT01998971)は、以前のPI及び免疫調節薬を受けていた、多発性骨髄腫を有する103人の患者は、疾患進行まで、ポマリドミド及び低用量デキサメタゾンと組み合わせて16mg/kgのDARZALEXを受けた。ポマリドミド(繰り返される28日[4週間]サイクルの1~21日目に経口で1日1回4mg)を、低用量の経口又は静脈内デキサメタゾン40mg/週(75歳を超えるか、又はBMIが18.5未満の患者については20mg/週の低減された用量)と共に与えた。DARZALEX注入日に、20mgのデキサメタゾン用量を注入前薬剤として与え、残りを注入の次の日に与えた。デキサメタゾン用量が低減された患者の場合、20mgの全用量をDARZALEX注入前薬剤として与えた。
【0538】
患者年齢中央値は64歳(範囲:35~86歳)であり、患者の8%が75歳以上であった。試験の患者は、中央値4の前治療を受けていた。患者の74パーセント(74%)が、以前のASCTを受けていた。患者の98パーセント(98%)が、以前のボルテゾミブ治療を受けており、患者の33%が、以前のカルフィルゾミブを受けていた。全ての患者が以前のレナリドミド治療を受けており、患者の98%が、ボルテゾミブ及びレナリドミドの組み合わせで以前に治療されていた。患者の89パーセント(89%)が、レナリドミドに難治性であり、71%がボルテゾミブに難治性であり、患者の64%が、ボルテゾミブ及びレナリドミドに難治性であった。
【0539】
有効性結果は、IMWG基準を使用してIndependent Review Committeeによって決定される全奏効率に基づいていた(表21を参照)。
【0540】
【表27】
ORR=sCR+CR+VGPR+PR
CI=信頼区間
【0541】
奏効までの期間の中央値は、1か月(範囲:0.9~2.8か月)であった。奏効期間中央値は、13.6か月(範囲:0.9+~14.6+か月)であった。
【0542】
単剤療法
SIRIUS(NCT01985126)は、プロテアソーム阻害剤及び免疫調節薬を含む少なくとも3回の前治療を受けていたか、又はプロテアソーム阻害剤及び免疫調節薬に二重難治性であった、再発性又は難治性多発性骨髄腫を有する患者において、DARZALEX単剤療法を評価する非盲検試験であった。106人の患者において、DARZALEX 16mg/kgを、注入前及び注入後薬剤と共に投与した。治療は、許容不可能な毒性又は疾患進行まで継続した。
【0543】
患者年齢中央値は63.5歳(範囲:31~84歳)であり、49%が男性であり、79%が白人であった。患者は、中央値5の前治療を受けていた。患者の80パーセントが、以前の自家幹細胞移植(ASCT)を受けていた。前治療には、ボルテゾミブ(99%)、レナリドミド(99%)、ポマリドミド(63%)、及びカルフィルゾミブ(50%)が含まれた。ベースライン時に、患者の97%が、最後の治療に難治性であり、95%が、プロテアソーム阻害剤(PI)及び免疫調節薬の両方に難治性であり、77%が、アルキル化剤に難治性であった。
【0544】
有効性結果は、IMWG基準を使用してIndependent Review Committeeの評価によって決定される全奏効率に基づいていた(表22を参照)。
【0545】
【表28】
ORR=sCR+CR+VGPR+PR
CI=信頼区間
【0546】
奏効までの期間の中央値は、1か月(範囲:0.9~5.6か月)であった。奏効期間中央値は、7.4か月(範囲:1.2+~13.1+か月)であった。
【0547】
試験GEN501(NCT00574288)は、少なくとも2つの異なる細胞減少療法を受けていた、再発性又は難治性多発性骨髄腫を有する患者において、DARZALEX単剤療法を評価する非盲検、用量漸増試験であった。42人の患者において、DARZALEX 16mg/kgを、注入前及び注入後薬剤と共に投与した。治療は、許容不可能な毒性又は疾患進行まで継続した。
【0548】
患者年齢中央値は64歳(範囲:44~76歳)であり、64%が男性であり、76%が白人であった。試験の患者は、中央値4の前治療を受けていた。患者の74パーセントが、以前のASCTを受けていた。前治療には、ボルテゾミブ(100%)、レナリドミド(95%)、ポマリドミド(36%)、及びカルフィルゾミブ(19%)が含まれた。ベースライン時に、患者の76%が、最後の治療に難治性であり、患者の64%が、PI及び免疫調節薬の両方に難治性であり、患者の60%が、アルキル化剤に難治性であった。
【0549】
全奏効率は、1つのCR及び3つのVGPRを伴い、36%(95%CI:21.6、52.0%)であった。奏効までの期間の中央値は、1か月(範囲:0.5~3.2か月)であった。奏効期間中央値は、推定不可であった(範囲:2.2+~13.1+か月)。
【0550】
15 参考文献
1.Chapuy,CI,RT Nicholson,MD Aguad,et al.,2015,Resolving the daratumumab interference with blood compatibility testing,Transfusion,55:1545-1554(http://onliselibrary.wiley.com/doi/10.1111/trf.13069/epdfでアクセス可能)。
【0551】
16 供給形態/保管及び取り扱い
16.1 供給形態
DARZALEXは、以下のように供給される、静脈内注入用の無色から淡黄色の、防腐剤の入っていない溶液である:
NDC 57894-502-05は、1つの100mg/5mLの単回投与バイアルを含有する
NDC 57894-502-20は、1つの400mg/20mLの単回投与バイアルを含有する。
【0552】
16.2 保存及び安定性
2℃~8℃(36°F~46°F)において冷蔵庫で保管する。
【0553】
凍結又は振盪させない。光から保護する。この製品は、防腐剤を含有しない。
【0554】
17 患者カウンセリング情報
患者に、FDA承認された添付文書(患者情報)を読むよう助言する。
【0555】
注入反応
注入反応の以下の徴候及び症状のいずれかに対して直ちに治療を求めるよう、患者に忠告する。
・鼻の痒み、鼻水、又は鼻閉;冷感、悪心、咽喉刺激、せき、頭痛、息切れ、又は呼吸困難[警告及び使用上の注意(5.1)並びに有害反応(6.1)を参照]。
【0556】
好中球減少症
・患者が熱を有する場合、医療従事者に連絡することを、患者に忠告する[警告及び使用上の注意(5.3)並びに有害反応(6.1)を参照]。
【0557】
血小板減少症
・患者があざ又は出血の徴候に気付いた場合、医療従事者に通知するよう、患者に忠告する[警告及び使用上の注意(5.4)並びに有害反応(6.1)を参照]。
【0558】
実験室試験への干渉
計画された輸血の事象において、患者がDARZALEXを投与されていることを、輸血センター/職員を含む医療提供者に通知するよう、患者に忠告する[警告及び使用上の注意(5.2)並びに有害反応(7.1)を参照]。
【0559】
DARZALEXが、一部の患者における完全奏効を決定するために使用されるいくつかの試験の結果に影響を及ぼし得ること、並びに奏効を評価するために追加の試験が必要とされ得ることを、患者に忠告する[警告及び使用上の注意(5.5)並びに有害反応(7.1)を参照]。
【0560】
製造元:
Janssen Biotech,Inc.
Horsham,PA 19044
U.S.ライセンス番号1864
(著作権)2015 Janssen Pharmaceutical Companies
【0561】
【配列表】
【国際調査報告】