IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピコディア テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

特表2022-523382マトリックス液滴押出機、サンプルホルダおよびサンプル分析システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】マトリックス液滴押出機、サンプルホルダおよびサンプル分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20220415BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
G01N35/10 C
G01N37/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549896
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 IL2020050288
(87)【国際公開番号】W WO2020183466
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】16/299,234
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375162
【氏名又は名称】ピコディア テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ヤヴェツ-チェン イェフダ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA05
2G058CC08
2G058CC19
2G058EA11
2G058EB12
2G058EB15
2G058ED11
2G058ED20
2G058GA01
(57)【要約】
マトリックス液滴押出機は、ケーシングと、1つ以上の試薬容器と、前記ケーシング上の複数の空気圧コネクタであって、それぞれが空気圧アクチュエータに接続されて、制御された空気圧を前記複数の空気圧コネクタのうちの1つ以上に提供するように構成された、複数の空気圧コネクタと、1つ以上の印刷ゾーンを有する液滴マトリックス押出表面であって、各印刷ゾーンが穿孔のアレイを備える、液滴マトリックス押出表面と、前記1つ以上の試薬容器から前記1つ以上の印刷ゾーンの穿孔のアレイを通して、1つ以上の試薬を分配し、前記1つ以上の試薬に空気圧を加えるときに、液滴のマトリックスを繰り返し生成するための液体管理チップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス液滴押出機であって、
ケーシングと、
1つ以上の試薬容器と、
前記ケーシング上の複数の空気圧コネクタであって、それぞれが空気圧アクチュエータに接続されて、制御された空気圧を前記複数の空気圧コネクタのうちの1つ以上に提供するように構成された、複数の空気圧コネクタと、
1つ以上の印刷ゾーンを有する液滴マトリックス押出表面であって、各印刷ゾーンが穿孔のアレイを備える、液滴マトリックス押出表面と、
前記1つ以上の試薬容器から前記1つ以上の印刷ゾーンの穿孔のアレイを通して、1つ以上の試薬を分配し、前記1つ以上の試薬に空気圧を加えるときに、液滴のマトリックスを繰り返し生成するための液体管理チップと、
を備える、マトリックス液滴押出機。
【請求項2】
前記液滴マトリックス押出表面は、2つ以上の液滴の混合を可能にするためのパターンを備える、請求項1に記載のマトリックス液滴押出機。
【請求項3】
前記1つ以上の印刷ゾーンを洗浄するための洗浄機をさらに備える、請求項1に記載のマトリックス液滴押出機。
【請求項4】
前記洗浄機は、前記1つ以上の印刷ゾーンから離れたアイドル待機位置と、前記1つ以上の印刷ゾーン上の洗浄位置との間を移動するように構成される、請求項3に記載のマトリックス液滴押出機。
【請求項5】
前記洗浄機が、前記1つ以上の印刷ゾーンに洗浄剤を導入し、そこから前記洗浄剤を排出するための入口ポートを備える、請求項4に記載のマトリックス液滴押出機。
【請求項6】
空気圧アクチュエータと、
前記空気圧アクチュエータを制御するコントローラと、
前記空気圧アクチュエータに接続された複数の空気圧ドッキングステーションコネクタを有するドッキングステーションと、
を備える、請求項1に記載のマトリックス液滴押出機。
【請求項7】
前記コントローラが、前記空気圧アクチュエータによって前記複数の空気圧コネクタのうちの1つの空気圧コネクタに圧力が印加される期間を制御するように構成される、請求項6に記載のマトリックス液滴押出機。
【請求項8】
前記コントローラが、前記空気圧アクチュエータによって前記複数の空気圧コネクタのうちの1つの空気圧コネクタに印加される圧力を制御するように構成される、請求項6に記載のマトリックス液滴押出機。
【請求項9】
サンプルホルダであって、
ポケットを有するケーシングと、
前記ポケットに挿入されるように、あるいは前記ポケットから取り外せるように構成された1つ以上の基板パッチを有する取り外し可能なサンプルスライドと、(9)
前記サンプルスライドと前記ケーシングのセクションとの間の1つ以上の密閉空間に液体サンプルを導入して、前記サンプル液体を前記1つ以上の基板パッチに吸収させるためのサンプルチャネルと、
を備える、サンプルホルダ。
【請求項10】
前記基板パッチは、膜を備える、請求項9に記載のサンプルホルダ。
【請求項11】
前記膜は、ニトロセルロース、ガラス繊維、ナノメッシュ、プラスチックおよびガラスからなる材料の群から選択される材料を備える、請求項10に記載のサンプルホルダ。
【請求項12】
前記ケーシング上に複数の空気圧コネクタをさらに備えるサンプルホルダであって、前記複数の空気圧コネクタのそれぞれは、空気圧または真空アクチュエータに接続され、前記複数の空気圧コネクタのうちの1つ以上に制御された空気圧または真空を提供し、前記1つ以上の密閉空間内への前記サンプルまたは他の液体の層流を得るように構成される、請求項9に記載のサンプルホルダ。
【請求項13】
1種以上の前記他の液体を含む1つ以上の液体容器をさらに備える、請求項12に記載のサンプルホルダ。
【請求項14】
前記ポケット内に完全に挿入されたときに前記サンプルスライドをロックするためのロックをさらに備える、請求項9に記載のサンプルホルダ。
【請求項15】
サンプル分析システムであって、
空気圧アクチュエータと、
1つ以上のサンプルホルダであって、
ポケットを有するケーシングと、
液体容器と、
前記ポケットに挿入されるように、あるいは前記ポケットから取り外せるように構成された1つ以上の基板パッチを備える基板を有する取り外し可能なサンプルスライドと、
前記サンプルスライドと前記ケーシングのセクションとの間の1つ以上の密閉空間に液体サンプルを導入して、前記サンプル液体を前記1つ以上の基板パッチに吸収させるためのサンプルチャネルと、
を備える、1つ以上のサンプルホルダと、
前記液体容器のうちの1つ以上から1つ以上の液体を、そのサンプルホルダ内の前記サンプルスライドに順次流れるように、または前記サンプルスライドから順次離れて流れるように前記空気圧アクチュエータを制御するように構成されたコントローラと、
前記基板上に印刷された1つ以上の試薬の複数のドットと前記サンプルが接触した後に、前記サンプルスライドを検査するための分析モジュールと、
を備える、サンプル分析システム。
【請求項16】
搬送機構をさらに備える、サンプル分析システムであって、前記搬送機構は前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれを、前記搬送機構に沿った複数のステーションのうちの1つのステーションに順次搬送し、前記コントローラは、前記搬送機構を制御して、前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれが、前記複数のステーションの現在のステーションから前記複数のステーションの次のステーションに順次移動するように、前記搬送機構に前記1つ以上のサンプルホルダを移動させるようにさらに構成される、請求項15に記載のサンプル分析システム。
【請求項17】
前記搬送機構は、回転可能なカルーセルを備え、前記複数の空気圧コネクタは、前記カルーセルの周囲上の位置で前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれの接続を可能にするように配置される、請求項16に記載のサンプル分析システム。
【請求項18】
前記複数の空気圧コネクタは、前記カルーセルの周囲に沿って等間隔に配置された位置で、前記1つ以上のサンプルホルダの接続を可能にするように配置される、請求項17に記載のサンプル分析システム。
【請求項19】
前記複数のステーションは、マトリックス液滴押出機が取り付け可能である少なくとも1つのドッキングステーションを備え、前記ドッキングステーションは、前記マトリックス液滴押出機の複数のドッキング空気圧コネクタに接続するための複数のドッキングステーションコネクタを備え、前記ドッキングステーションは、前記ドッキングステーションコネクタのそれぞれに選択的に圧力を印加して、前記マトリックス液滴押出機の1つ以上の試薬容器から前記マトリックス液滴押出機の液滴マトリックス押出表面上への液滴の押出を制御し、前記複数の試薬液滴を形成するように、前記コントローラによって制御可能である、請求項16に記載のサンプル分析システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのドッキングステーションが、試薬キャニスタを空にして、前記1つ以上の試薬容器のうちの1つの試薬容器内に入れるための機構を備える、請求項19に記載のサンプル分析システム。
【請求項21】
前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれの前記基板を操作して、前記基板を前記液滴マトリックス押出表面と接触させて配置し、前記複数の試薬ドットを前記基板上に押し出すことを可能にし、前記基板を前記分析モジュールに曝露するように、前記コントローラによって制御される機械システムをさらに備える、請求項19に記載のサンプル分析システム。
【請求項22】
前記機械システムは、空気圧によって制御される、請求項21に記載のサンプル分析システム。
【請求項23】
前記機械システムは、前記液滴マトリックス押出表面の洗浄を可能にするために、前記液滴マトリックス押出表面に対して配置されるように構成されたリンスチャンバを備える、請求項21に記載のサンプル分析システム。
【請求項24】
前記分析モジュールは、前記基板の画像を取得するための光学システム、または前記基板の電気的特性を測定するための電子システムを備える、請求項15に記載のサンプル分析システム。
【請求項25】
前記基板は、前記基板上に予め押し出された1つ以上の試薬の前記ドットを含む、請求項15に記載のサンプル分析システム。
【請求項26】
前記1つ以上の試薬の複数のドットを印刷するためのマトリックス液滴押出機をさらに含む、サンプル分析システムであって、前記マトリックス液滴押出機は、
ケーシングと、
1つ以上の試薬容器と、
前記ケーシング上の第二の複数の空気圧コネクタであって、前記第二の複数の空気圧コネクタのそれぞれが、前記空気圧アクチュエータに接続され、前記第二の複数の空気圧コネクタのうちの1つ以上に制御された空気圧を提供するように構成された、第二の複数の空気圧コネクタと、
1つ以上の印刷ゾーンを有する液滴マトリックス押出表面であって、各印刷ゾーンが穿孔のアレイを備える、液滴マトリックス押出表面と、
前記1つ以上の試薬容器から前記1つ以上の印刷ゾーンの穿孔のアレイを通して、1つ以上の試薬を分配し、前記1つ以上の試薬に空気圧を加えるときに、液滴のマトリックスを繰り返し生成するための液体管理チップと、
を含む、請求項15に記載のサンプル分析システム。
【請求項27】
前記1つ以上の印刷ゾーンは、2つの印刷ゾーンを備える、請求項26に記載のサンプル分析システム。
【請求項28】
前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれを、前記マトリックス液滴押出機に面する位置へ、およびそこから移送し、前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれのサンプルスライドを、前記1つ以上の印刷ゾーンのいずれかの上に配置するための移送機構をさらに備える、請求項26に記載のサンプル分析システム。
【請求項29】
前記1つ以上のサンプルホルダの使用済みサンプルホルダを廃棄するための廃棄容器をさらに備える、請求項15に記載のサンプル分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルを分析するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、迅速に検査結果を受け取ることが、タイムリーな医学的診断のために重要である。タイムリーに結果を出すことを促進するために、様々なアプローチが使用されてきた。大規模で自動化された実験所では、多数のサンプルを迅速に検査することが可能になる。しかしながら、検査サンプル(例えば、血液、唾液、または他の検査材料)は、地域の診療所または他の施設から実験所に搬送されなければならない。ポイントオブケア(POC)検査とは、一般に、中央実験所以外で、例えば、患者がいる医療診療所または他の施設で実施される診断検査を意味する。長年の間に、可搬型機器、携帯型機器、および場合によってはハンドヘルド機器の利用可能性が増加したことで、病院環境から、職場、家庭、災害ケア施設、および地域の診療所を含む様々な医療環境へのPOC検査が移行するようになってきた。
【0003】
POC検査の使用は、感染症、自己免疫状態、アレルギー、癌、心疾患、腸疾患など、多くの種類の診断に影響を及ぼしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的なPOC検査装置は、単一のサンプルに対して単一の診断検査を提供する。しかしながら、多くのシナリオでは、診断テストのパネルが必要とされている。したがって、そのような単一試験の典型的なPOC検査装置の使用では、診療所が、多種多様な異なるPOC装置を取得し、維持することを必要とし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の実施形態およびその態様は、システム、ツール、および方法に関連して説明および図示されるが、これらは、例示的で事例となることを意図しており、範囲を限定するものではない。
【0006】
したがって、本発明の一実施形態によれば、マトリックス液滴押出機が提供される。マトリックス液滴押出機は、ケーシングと、1つ以上の試薬容器と、ケーシング上の複数の空気圧コネクタであって、それぞれが空気圧アクチュエータに接続されて、制御された空気圧を前記複数の空気圧コネクタのうちの1つ以上に提供するように構成された複数の空気圧コネクタと、を含むことができる。マトリックス液滴押出機は、また、1つ以上の印刷ゾーンを有する液滴マトリックス押出表面であって、各印刷ゾーンが穿孔のアレイを備える、液滴マトリックス押出表面と、前記1つ以上の試薬容器から前記1つ以上の印刷ゾーンの穿孔のアレイを通して、1つ以上の試薬を分配し、前記1つ以上の試薬に空気圧を加えるときに、液滴のマトリックスを繰り返し生成するための液体管理チップとを含む。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態では、液滴マトリックス押出表面は、2つ以上の液滴の混合を可能にするためのパターンを備える。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態では、マトリックス液滴押出機は、前記1つ以上の印刷ゾーンを洗浄するための洗浄機をさらに含むことができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、洗浄機は、前記1つ以上の印刷ゾーンから離れたアイドル待機位置と、前記1つ以上の印刷ゾーン上の洗浄位置との間を移動するように構成される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、洗浄機は、前記1つ以上の印刷ゾーンに洗浄剤を導入し、そこから洗浄剤を排出するための入口ポートを備える。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、マトリックス液滴押出機は、空気圧アクチュエータと、空気圧アクチュエータを制御するコントローラと、空気圧アクチュエータに接続された複数の空気圧ドッキングステーションコネクタを有するドッキングステーションと、をさらに含むことができる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、コントローラは、空気圧アクチュエータによって複数の空気圧コネクタのうちの1つの空気圧コネクタに圧力が印加される期間を制御するように構成される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、コントローラは、空気圧アクチュエータによって複数の空気圧コネクタのうちの1つの空気圧コネクタに印加される圧力を制御するように構成される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、サンプルホルダは、ポケットを有するケーシングと、ポケットに挿入されるように、あるいはポケットから取り外せるように構成された1つ以上の基板パッチを有する取り外し可能なサンプルスライドと、サンプルスライドとケーシングのセクションとの間の1つ以上の密閉空間に液体サンプルを導入して、サンプル液体を前記1つ以上の基板パッチに吸収させるためのサンプルチャネルと、含むことができる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、基板パッチは、膜を備える。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、膜は、ニトロセルロース、ガラス繊維、ナノメッシュ、プラスチックおよびガラスからなる材料の群から選択される材料を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、サンプルホルダは、ケーシング上に複数の空気圧コネクタを含み、複数の空気圧コネクタのそれぞれは、前記1つ以上の密閉空間内へのサンプルまたは他の液体の層流を得るために、前記複数の空気圧コネクタのうちの1つ以上に制御された空気圧または真空を提供するために、空気圧または真空アクチュエータに接続されるように構成される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、サンプルホルダは、1種以上の他の液体を含む1つ以上の液体容器を含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、サンプルホルダは、ポケット内に完全に挿入されたときにサンプルスライドをロックするためのロックを含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、サンプル分析システムが提供され、サンプル分析システムは、空気圧アクチュエータと、1つ以上のサンプルホルダであって、ポケットを有するケーシングと、液体容器と、ポケットに挿入されるように、あるいはポケットから取り外せるように構成された1つ以上の基板パッチを備える基板を有する取り外し可能なサンプルスライドと、サンプルスライドとケーシングのセクションとの間の1つ以上の密閉空間に液体サンプルを導入して、サンプル液体を前記1つ以上の基板パッチに吸収させるためのサンプルチャネルと、を備える、1つ以上のサンプルホルダと、液体容器のうちの1つ以上から1つ以上の液体を、そのサンプルホルダ内のサンプルスライドに順次流れるように、またはサンプルスライドから順次離れて流れるように空気圧アクチュエータを制御するように構成されたコントローラと、基板上に印刷された1つ以上の試薬の複数のドットとサンプルが接触した後に、サンプルスライドを検査するための分析モジュールと、を含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、分析システムはまた搬送機構も含み、搬送機構は、前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれを、その搬送機構に沿った複数のステーションのうちの1つのステーションに順次搬送し、コントローラは、搬送機構を制御して、1つ以上のサンプルホルダのそれぞれが、複数のステーションの現在のステーションから複数のステーションの次のステーションに順次移動するように、搬送機構に前記1つ以上のサンプルホルダを移動させるようにさらに構成される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、搬送機構は、回転可能なカルーセルを備え、複数の空気圧コネクタは、カルーセルの周囲上の位置で前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれの接続を可能にするように配置される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、複数の空気圧コネクタは、カルーセルの周囲に沿って等間隔に配置された位置で、前記1つ以上のサンプルホルダの接続を可能にするように配置される。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、複数のステーションは、マトリックス液滴押出機が取り付け可能である少なくとも1つのドッキングステーションを備え、ドッキングステーションは、マトリックス液滴押出機の複数のドッキング空気圧コネクタに接続するための複数のドッキングステーションコネクタを備え、ドッキングステーションは、ドッキングステーションコネクタのそれぞれに選択的に圧力を印加して、マトリックス液滴押出機の1つ以上の試薬容器からマトリックス液滴押出機の液滴マトリックス押出表面上への液滴の押出を制御し、複数の試薬液滴を形成するように、コントローラによって制御可能である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのドッキングステーションは、試薬キャニスタを空にして、前記1つ以上の試薬容器のうちの1つ試薬容器に入れるための機構を備える。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、分析システムは、1つ以上のサンプルホルダのそれぞれの基板を操作して、基板を液滴マトリックス押出表面と接触させて配置し、複数の試薬ドットを基板上に押し出すことを可能にし、基板を分析モジュールに曝露するように、コントローラによって制御される機械システムを含む。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、機械システムは、空気圧によって制御される。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、機械システムは、液滴マトリックス押出表面の洗浄を可能にするために、液滴マトリックス押出表面に対して配置されるように構成されたリンスチャンバを備える。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、分析モジュールは、基板の画像を取得するための光学システム、または基板の電気的特性を測定するための電子システムを備える。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、基板は、基板上に予め押し出された1つ以上の試薬の前記ドットを含む。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、分析システムは、1つ以上の試薬の複数のドットを印刷するためのマトリックス液滴押出機をさらに含む。マトリックス液滴押出機は、ケーシングと、1つ以上の試薬容器と、ケーシング上の第二の複数の空気圧コネクタであって、第二の複数の空気圧コネクタのそれぞれが、空気圧アクチュエータに接続され、前記第二の複数の空気圧コネクタのうちの1つ以上に制御された空気圧を提供するように構成された、第二の複数の空気圧コネクタと、1つ以上の印刷ゾーンを有する液滴マトリックス押出表面であって、各印刷ゾーンが穿孔のアレイを備える、液滴マトリックス押出表面と、前記1つ以上の試薬容器から前記1つ以上の印刷ゾーンの穿孔のアレイを通して、1つ以上の試薬を分配し、前記1つ以上の試薬に空気圧を加えるときに、液滴のマトリックスを繰り返し生成するための液体管理チップと、を含む。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、前記1つ以上の印刷ゾーンは、2つの印刷ゾーンを備える。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、分析システムは、前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれを、前記マトリックス液滴押出機に面する位置へ、およびそこから移送し、前記1つ以上のサンプルホルダのそれぞれのサンプルスライドを、前記1つ以上の印刷ゾーンのいずれかの上に配置するための移送機構をさらに含む。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、分析システムは、前記1つ以上のサンプルホルダの使用済みサンプルホルダを廃棄するための廃棄容器をさらに含む。
【0035】
本発明をより良く理解し、その実際の適用を理解するために、以下の図面が提供され、参照される。図面は、例としてのみ与えられ、決して本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。同様の構成要素には、同様の参照番号が付される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の可能な実施形態によるマルチサンプル分析装置を概略的に示す。
図2図1に示すのと概ね同様のマルチサンプル分析装置のブロック図である。
図3A】おそらく図2に示すのと同様であるマルチサンプル分析装置の搬送分析システムの一例を概略的に示す。
図3B図3Aに示す搬送分析システムの概略分解図である。
図4図3Aに示す搬送分析システムの概略上面図である。
図5図3に示す搬送分析システムのカルーセルの一例を概略的に示す。
図6A図3に示すようなマルチサンプル分析装置のサンプルホルダの一例を概略的に示す。
図6B図6Aに示すサンプルホルダ内のスライドに吸引を加えるためのチャンバを概略的に示す。
図7A】ドッキングステーションの一例に挿入されたマトリックス液滴押出機の一例を概略的に示しており、おそらく、図3Aに示すような搬送分析システムで使用するのに適している。
図7B図7Aに示すドッキングステーションを概略的に示す。
図7C図7Aに示すもののようなマトリックス液滴押出機の後側を概略的に示す。
図7D図7Cに示すようなマトリックス液滴押出機の一例の概略断面である。
図7E】おそらく図7Aに示すようなマトリックス液滴押出機によって試薬ドットがその上に押し出されたスライドの一例を概略的に示す。
図8図3Aに示すような搬送分析システムの一例のサンプルホルダのための可能なステーションを概略的に示す。
図9】本発明の一実施形態に従って、マルチサンプル分析装置の可能な動作方法を示すフローチャートである。
図10】試薬ドット印刷システムの一例を概略的に示す。
図11】独立型サンプル処理システムの一例を概略的に示す。
図12A】本発明のいくつかの実施形態によるマルチサンプル分析装置のサンプルホルダ1200の正面図であり、サンプルスライドが内部に挿入されている。
図12B】本発明のいくつかの実施形態によるマルチサンプル分析装置のサンプルホルダ1200の正面図であり、サンプルスライドが引き出されている。
図13A】本出願のいくつかの実施形態に従って、二重印刷アッセイを実施するように構成されたマトリックス液滴押出機で、サンプルスライドが第一の印刷位置にあるのを示す。
図13B】本出願のいくつかの実施形態に従って、二重印刷アッセイを実施するように構成されたマトリックス液滴押出機で、サンプルスライドが第二の印刷位置にあるのを示す。
図13C】本発明のいくつかの実施形態によるマトリックス液滴押出機の背面を示す。
図13D図13Aおよび図13Bに示すマトリックス液滴押出機の洗浄機の正面図である。
図14】本発明のいくつかの実施形態に従って、二重印刷アッセイ能力を有するサンプル分析システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
説明を簡潔で明確にするために、図面に示される要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解される。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために、他の要素に対して誇張されることもある。さらに、適切であると考えられる場合、参照番号は、同様の要素を示すために、図面の中で繰り返し使用されることもある。
【0038】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記される。しかしながら、これらの特定の詳細なしでも、本発明を実施し得ることを当業者は理解しよう。他の場合では、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニットおよび/または回路は、本発明を曖昧にしないように、詳細に説明しなかった。
【0039】
本発明の実施形態はこの点において限定されないが、例えば、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「確立する」、「解析する」、「チェックする」等の用語を利用する考察は、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内の物理的(例えば、電子)数量として表されるデータを操作および/または変換し、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内、または演算および/またはプロセスを実行する命令を記憶し得る他の情報記憶媒体(例えば、メモリ)内の物理的数量として同様に表される他のデータにする、コンピュータ、計算プラットフォーム、計算システム、または他の電子計算装置の操作および/またはプロセスを指し得る。本発明の実施形態はこの点において限定されないが、「複数」および「複数の」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、「多数」または「2つ以上」を含み得る。「複数」または「複数の」という用語は、本明細書の全体を通して、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために使用され得る。明示的に述べられない限り、本明細書において記載される方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに拘束されない。さらに、記載される方法の実施形態またはその要素のいくつかは、同時に、同時点に、一緒に、発生または実行されることができる。特に明記されていない限り、本明細書で使用される接続詞「または」は、包括的である(記載された選択肢のいずれかまたは全て)と理解されるべきである。
【0040】
本明細書のいくつかの実施形態は、コンピュータもしくはプロセッサ可読媒体などの物品、または、例えば、メモリ、ディスクドライブ、USBフラッシュメモリなどの、コンピュータもしくはプロセッサ持続性記憶媒体を含むことができ、これらの媒体は、プロセッサまたはコントローラによって実行される場合に、本明細書で開示する方法を実行する命令、例えば、コンピュータ実行可能命令を符号化しているか、含んでいるか、または格納している。
【0041】
本発明の少なくとも特定の実施形態によれば、分析または診断システム(例えば、ポイントオブケアシステム)は、1つ以上の(例えば、複数の)サンプルの非自動化または自動化された逐次的、化学的、生化学的、および/または他の分析および/または検査を可能にするように構成されてもよい。例えば、サンプルは、ヒトまたは動物の患者に由来する物質(例えば、ヒトもしくは動物の患者から抽出、排出または分泌された血液、唾液、尿、糞便、または他の種類の物質)、環境に由来する物質(例えば、水または他の液体、降雨、泥または土壌、植物から抽出または分泌された物質、または環境中に見出される他の材料)、工業製品に由来する物質(食品、燃料、潤滑剤、医薬品、洗浄および保守製品、美容製品、工業製品のために製造された物質、または他の工業製品)、および/または他の種類の物質または精製液体に由来する物質を含んでもよい。
【0042】
本明細書では、POCアプリケーション、システム、装置、および方法が、単なる例として参照されることに留意されたい。本明細書で説明されるシステム、装置、または方法は、医療診療所または同様の設定以外における設定で、使用または適用されてもよい。例えば、本明細書に記載される装置、システム、および方法は、中央実験所、工場(例えば、工業または製造用途)、現場(例えば、環境、地質、生物学、資源探査、または他の用途)、警察研究所(例えば、法医学用途)、または他の場所で使用されてもよい。したがって、本明細書におけるポイントオブケアへの言及は、任意の他の設定または用途に等しく適用可能であるものとして理解されるべきである。
【0043】
検査システムがポイントオブケア診断システムとして効果的に機能し得るために、システムは承認された標準分析プロトコルに従うことができ、例えば、臨床検査室改善法(CLIA)標準、酵素免疫吸着測定(ELISA)プロトコル、DNA/RNA検査プロトコル、または別の承認されたプロトコルを満たすとともに、異なる患者由来のサンプルの混合防止のための標準を満たしている。
【0044】
さらに、システムは、ユーザによる誤用(例えば、サンプルの不適切な挿入、またはサンプルへの検査の不適切な適用)を防止するように構成され得る。システムによって実行され得る検査は、過剰な時間(例えば、10分~20分以下)を必ずしも必要としない場合がある。多くの場合、定性的(例えば、イエス/ノー、陽性/陰性、存在/不存在、または同様)応答が十分なこともあり、場合によっては、定量的応答よりも好ましいこともある。
【0045】
各サンプルは、別個のサンプルホルダの可能なスライド上の、膜のような基板上に広げることができる。サンプルホルダは、サンプルに検査プロトコルを適用した後に、処分または廃棄することができる単一回使用装置であってもよい。
【0046】
例えば、サンプルホルダは、液体サンプルをサンプルホルダ内に導入することのできる1つ以上の開口部を含むことができる。例えば、各開口部は、液体サンプル、例えば、一滴の血液、または別の液体サンプルをサンプルホルダ内に引き込むために、内部毛細管内に開口してもよい。ユーザ、例えば、医療専門家または実験所技師、自己検査のために訓練された患者、または他のユーザは、例えば、バーコード、無線周波数識別(RFID)タグ、または他の方法を走査することによって、サンプルホルダを識別することができ、挿入されたサンプル(例えば、患者識別子)と一致させることができる。また、ユーザは、識別されたサンプルホルダ内の特定のサンプルに適用するために、検査プロトコルをシステムに入力するか、または他の方法でそれを指定することができる。
【0047】
サンプルホルダは、1つ以上のステップの処理プロトコルをサンプルに適用するように構成されてもよい。典型的には、プロトコルは、サンプルをマトリックス液滴押出機の液滴マトリックス押出表面と接触させることを含んでもよい。例えば、スライドは、サンプルホルダから機械的に取り外され、液滴マトリックス押出表面に押し付けられてもよい。
【0048】
液滴マトリックス押出表面がサンプルと接触しているとき、または接触する前に、マトリックス液滴押出機は、液滴マトリックス押出表面でマトリックス液滴押出機から開いている対応する穿孔のアレイを介して、試薬ドットのマトリックスを液滴マトリックス押出表面上に押し出す。押し出される試薬液滴の各マトリックス中の試薬の選択は、特定の検査プロトコルに固有であり得る。マトリックス液滴押出機は、複数の液体リザーバを含むように構成されてもよい。
【0049】
マトリックス液滴押出機は、1つ以上の液体リザーバから、液滴マトリックス押出表面におけるマイクロ開口部または穿孔のアレイの特定の開口部に液体を導くように制御可能であり得るマイクロ流体チャネリングシステムを含み得る。導かれた液体は、開口部を介して液滴マトリックス押出表面上の所定の位置に押し出されて、サンプルホルダのスライド基材上のサンプルと接触させられる試薬ドットを形成し得る。
【0050】
処理プロトコルは、典型的には、分析プロトコルのアプリケーションの結果(例えば、サンプル中の抗原などの特定の物質の存在)を示す光学的または電子的に検出可能な結果をもたらすように構成することができる。例えば、分析プロトコルは、1つ以上の試薬ドットと接触するサンプルスライドの領域の色または蛍光を変化させるように構成され得、この色は、サンプルの組成を示す。代替または追加として、試薬ドットの1つ以上と接触するサンプルスライドの領域は、サンプルの組成を示す特定の色で蛍光を発し得る。
【0051】
代替または追加として、試薬ドットの1つ以上と接触するサンプルスライドの領域は、サンプルの組成を示す電気的特性の1つ以上の変化によって特徴付けられ得る。例えば、処理プロトコルは、サンプル中の1つ以上の抗原の存在を検出するために、サンプルが1つ以上の抗体または酵素に曝露される、免疫測定プロトコル(例えば、酵素免疫吸着測定(ELISA)プロトコル)を含み得る。
【0052】
少なくともいくつかの例では、複数のサンプルホルダをそれぞれ複数のステーションのうちの1つ以上に搬送するために統合された搬送制御機構を含み得るマルチサンプル診断システムを提供することができる。搬送制御機構は、サンプルホルダの全てを1つのステーションから次のステーションに連続して同時に移送するように構成されてもよい。例えば、搬送機構は、直線状または円形のコンベヤまたはカルーセルを含むことができる。円形カルーセルの場合、サンプルホルダは、カルーセルの周囲に沿って配置されてもよい。場合によっては、そのようなカルーセルは、最大で8つのサンプルホルダ(例えば、典型的なELISAプロトコルにおける最大数の処理ステップに対応する)、または別の数のサンプルホルダを同時に搬送するように構成されてもよい。
【0053】
各サンプルホルダは、サンプルホルダが搬送機構内に挿入されるときに、搬送機構上の対応するコネクタと接続するように配置され得る複数の空気圧コネクタを含んでもよい。コネクタは、典型的には、空気圧チャネルおよび弁の配置を介して、加圧空気圧源または真空ポンプまたは他の吸引源に接続されてもよい。各サンプルホルダはまた、1つ以上のフィルタ、1つ以上の材料、典型的には、液体のリザーバ、および/または他の構造のうちの1つを含み得る。
【0054】
サンプルホルダがいくつかのステーションに配置される場合、弁は、サンプルホルダ内の一定量の液体の移動を引き起こすように作動されてもよい。例えば、検査に適した血漿または血清を得るために、血液のサンプルを、フィルタ装置を通して抜き取ることができる。液体は、プロトコルの湿式法手順(例えば、洗浄、ブロッキング、または他のステップ)を実行するために、1つ以上のリザーバからスライドの基板上のサンプルまで引き出され得る。
【0055】
搬送機構は、各サンプルホルダが、各サンプル上の処理プロトコルのステップの完了を可能にするのに十分な期間、各ステーションに留まるように構成されてもよい。例えば、多くの場合、典型的な分析プロトコルの最長のステップを実行するためには、1分の期間で十分であり得る。
【0056】
診断システムは、1つ以上(例えば、2つ)のドッキングステーションを含んでもよく、そのドッキングステーションのそれぞれに、マトリックス液滴押出機が(例えば、作業日の開始時に、または他の方法で)接続されてもよい。いくつかのプロトコルの操作中に、サンプルホルダが、マトリックス液滴押出機を含む処理ステーションに導かれる場合、そのサンプルホルダのサンプル基板は、そのマトリックス液滴押出機の液滴マトリックス押出表面に対して(例えば、サンプルスライドをサンプルホルダから可能な取り外した後に)押されてもよい。したがって、サンプルは、試薬が既知の位置でサンプル上に印刷されるように、試薬のアレイと接触させることができる。
【0057】
分析プロトコルの全てのステップがサンプルホルダ中のサンプルについて完了したときに、プロトコルを適用すると、1つ以上の光学的に評価可能が得られる場合がある。例えば、マトリックス液滴押出機上の既知の位置で試薬のドットと接触させたサンプルの領域の色を変更すること、またはサンプルの蛍光を変更することができる。場合によっては、サンプルの電気的特性、例えば、サンプルの抵抗または導電率、誘電率、または別の電気的特性を変更することができる。
【0058】
このように、各試薬ドットの組成は、その位置によって既知であることに留意されたい。したがって、試薬が互いに空間的に分離されておらず、および/または液滴マトリックス押出表面でマトリックス液滴押出機から開放する所定の穿孔のアレイによっておそらく決定される所定のスキームで形成されていないシステムにおいて必要とされるように、各タイプの試薬が、明確に検出可能な効果によって(例えば、異なる検出可能な色または電気的特性によって)他のものと区別される必要はない。
【0059】
サンプルホルダ内のサンプルに対する分析プロトコルの全てのステップが完了した後、搬送機構は、そのサンプルホルダを、分析モジュールを含むステーションに運ぶことができる。例えば、分析モジュールは、撮像装置(例えば、カメラ)と、照明源と、サンプルホルダ中のサンプルに対する処理プロトコルの任意の光学的効果、例えば、着色または蛍光を検出するための適切な光学系とを含み得る。
【0060】
サンプルの画像を取得することができ、(例えば、サンプルホルダからサンプルスライドを取り出した後に、分析モジュールの表示領域に)、画像、または画像の分析結果を表示するか、さもなければ出力するか、またはユーザに伝達することができる。場合によっては、画像または結果は、後のレビュー、分析、または比較のために、格納されるか、または別の装置に送信され得る。分析モジュールは、処理されたサンプルの電気的特性を測定するために、電子構成要素を含むことができる。
【0061】
分析モジュールによる撮像または分析の後、排出機構は、搬送機構からサンプルホルダを取り外すことができる。例えば、排出機構は、サンプルホルダを搬送機構から切り離すように構成されてもよい。傾斜したスライドまたは他の構造は、排出されたサンプルホルダが搬送機構または診断システムの他の構成要素の機能と干渉しないようにするのに十分な距離だけ離れて、排出されたサンプルホルダを取り外すことができるように構成され得る。
【0062】
搬送機構は、サンプルホルダを搬送機構上に装填するための装填機構と協働してもよい。場合によっては、装填機構は、搬送機構上で空きが利用可能になるまで、1つ以上のサンプルホルダを保持するように構成されてもよい。例えば、装填機構は、回転可能なターンテーブル、または、1つ以上のサンプルホルダを保持することができ(例えば、3つのサンプルホルダ、または別の数のサンプルホルダを保持することができ)、搬送機構上の空の位置上にサンプルホルダを連続的に配置して、そのような空の位置が利用可能になるように構成された別の機械的構造を含むことができる。
【0063】
場合によっては、試薬ドット印刷システムは、POC診断装置の一部としてではなく、独立型システムとして動作することができる。例えば、このような試薬ドット印刷システムは、ドッキングステーションと、関連するコントローラと、1つ以上の空気圧源(例えば、圧力アクチュエータまたは圧力源)とを含むことができる。マトリックス液滴押出機は、試薬ドット印刷システムのドッキングステーションに接続され得る。試薬ドット印刷システムは、マトリックス液滴押出機の液体管理チップを動作して、マトリックス液滴押出機の液滴マトリックス押出表面上にドットのアレイを制御可能に押し出すように構成されてもよく、マトリックス押出表面は、マトリックス液滴押出機から外向きに面する。本発明のいくつかの実施形態では、マトリックス液滴押出機は、マトリックス液滴押出機の液滴マトリックス押出表面上にドットの1つより多くのアレイ(例えば、2つ以上のアレイ)を制御可能に押し出すように構成されてもよく、マトリックス押出表面は、マトリックス液滴押出機から外向きに面する。
【0064】
試薬ドット印刷システムは、試薬ドットをサンプルホルダに組み込む前に、スライド上に試薬ドットを印刷するように動作されてもよい。例えば、試薬ドット印刷システムは、中央実験所によって、あるいは独立型サンプル分析システムのためのスライドの製造業者によって動作されてもよい。試薬ドット印刷システムは、液滴マトリックス押出表面に対してスライドを自動的に配置するための機械システムを含んでもよく、あるいは液滴マトリックス押出表面に対するスライドの手動操作を可能にしてもよい。
【0065】
試薬ドットのアレイが印刷されたスライドは、使用されるまでドットの試薬特性を保存する条件下で保管されてもよい。例えば、保管条件は、制御された温度、制御された湿度、光への限定された露出、または他の制御された条件のうちの1つ以上を含み得る。
【0066】
使用前に、スライドは、サンプルホルダに挿入され得る。予め印刷されたスライドを有するこのようなサンプルホルダは、独立型サンプル分析システムにおいて利用され得る。例えば、サンプル分析システムは、1つ以上のサンプルホルダを保持するように構成されたサンプルホルダ装置を含み得る。サンプルホルダ装置は、コントローラと、1つ以上の空気圧源(例えば、吸引ポンプ)とを含んでもよい。
【0067】
コントローラは、サンプルを濾過するために、スライド上にサンプルを広げるために、サンプルを1つ以上の液体物質に曝露するために(例えば、湿式法)、またはそうでなければサンプルホルダ内に液体の流れを引き起こすために、1つ以上のサンプルまたは他の液体物質の流れを引き起こしてもよい。サンプルホルダ装置は、任意の所与の時間に単一サンプルホルダ内の液体流を制御するように構成されてもよく、あるいは2つ以上のサンプルホルダ内の液体流を同時に制御するように構成されてもよい。
【0068】
例えば、サンプルホルダ装置は、POC診断システムよりも小さく、単純で、安価であり得る。この場合、医師、現場作業者、または他のユーザは、POC診断システムを備えた診療所または他の施設から離れた場所で、試薬ドット印刷システムを使用して、簡単で効率的な方法で(スループットレートでは低いが)、予め印刷されたスライドを有するサンプルホルダとともに、そのようなサンプルホルダ装置を使用することができる。
【0069】
図1は、本発明の可能な実施形態によるマルチサンプル分析診断装置を概略的に示す。
【0070】
マルチサンプル分析装置10は、複数のサンプルを同時に分析するように構成されてもよい。各サンプルは、サンプルホルダ18内に収容されること、および/またはそれに取り付けられることもある。マルチサンプル分析装置10の構成要素は、ハウジング11内に封入することができる。マルチサンプル分析装置10は、POC装置として利用されてもよい。
【0071】
複数のサンプルホルダ18は、サンプルホルダ開口部16を介して、マルチサンプル分析装置10に連続的に挿入または嵌合されてもよい。サンプルホルダ18内のサンプル分析が完了すると、そのサンプルホルダ18は、排出開口部20を介してマルチサンプル分析装置10から排出されてもよい。
【0072】
サンプルホルダ18内のサンプルの分析の前に、1つ以上(例えば、1つまたは2つ)のマトリックス液滴押出機14が、マルチサンプル分析装置10に挿入または適合されてもよい。例えば、マトリックス液滴押出機14の挿入または結合を可能にするために、1つ以上のマトリックス液滴押出機開口部12が提供され得る。代替または追加として、ハウジング11のカバーは、1つ以上のマトリックス液滴押出機14の挿入または結合を可能にするために開放可能であってもよい。
【0073】
マトリックス液滴押出機14は、サンプルホルダ18に装填されたサンプルと接触させることができる、押出機14の外側に面する表面に、またはその表面の上に、試薬の液滴のアレイを生成するように操作することができる。例えば、単一の押し出された液滴は、100pL~2nLの体積、20pm~500pmの直径、および100pm~300pmのドット間の間隔(例えば、単一タイプの試薬のドット間で200pm、また異なる試薬間で300pm)、または他の値を有し得る。
【0074】
マルチサンプル分析装置10は、マルチサンプル分析装置10の操作を制御するように操作可能であり得る1つ以上のユーザコントローラ22を含み得る。マルチサンプル分析装置10は、状態(例えば、現在挿入されているサンプルホルダ18の数、別のサンプルホルダ18が挿入され得るか否か、エラーメッセージ、および/または他の状態)、分析結果、および/または他の情報をマルチサンプル分析装置10のユーザに伝達するための1つ以上の出力装置24を含み得る。例えば、出力装置は、1つ以上のディスプレイスクリーン、インジケータライト、スピーカおよび/または他の可聴信号発生器、および/または他の出力装置を含み得る。
【0075】
マルチサンプル分析装置10は、外部装置28との有線または無線接続を介して通信するように構成され得る。例えば、外部装置28は、命令もしくはデータ(例えば、サンプルホルダ18内のサンプルに関連する患者もしくは他の識別データ、特定のサンプルホルダ18内のサンプルに対して行われる分析もしくは検査手順もしくはプロトコル、または他の命令)の入力、またはデータもしくはメッセージ(例えば、分析もしくは検査の結果)の出力を可能にし得る、コンピュータ、端末、または他の装置を含み得る。
【0076】
マルチサンプル分析装置10を動作するための電力は、電力コネクタ26を介して供給されてもよい。典型的には、電力は、直流(DC)電源によって供給されてもよい。DC電源は、交流電源(例えば、主電源)、バッテリまたはバッテリパック、太陽電池、または他のDC電源(例えば、24Vの電圧、または別の電圧を有する)に接続されるアダプタを含み得る。
【0077】
図2は、図1に示すマルチサンプル分析装置のブロック図である。
【0078】
搬送分析システム40は、搬送分析システム40内の複数の所定のステーションにサンプルホルダ18を搬送するように構成することができる。各ステーションにおいて、分析プロセスの1つ以上のステップを実行することができる。分析プロセスの完了後、マトリックス液滴押出機14は、マルチサンプル分析装置10から排出され得る。
【0079】
搬送分析システム40の動作は、コントローラ36によって制御することができる。コントローラ36は、プロセッサ34によって生成される命令に従って、搬送分析システム40の1つ以上の構成要素を動作させるように構成することができる。プロセッサ34は、入力/出力(I/O)ユニット32を介して、他のユニットまたは装置と通信することができる。例えば、プロセッサ34は、I/Oユニット34を介して、ユーザコントローラ22、出力装置24、および外部装置28のうちの1つ以上と通信することができる。
【0080】
搬送分析システム40は、搬送機構70、分析モジュール54、および機械システム50を含むことができ、それらのそれぞれはコントローラ36によって制御することができる。
【0081】
搬送分析システム40およびマルチサンプル分析装置10の異なる構成要素を動作させるための電力は、DC/DCコンバータ回路38を介して供給されてもよい。DC/DCコンバータ回路38は、電力コネクタ26からの入力電圧を、搬送分析システム40またはマルチサンプル分析装置10の各構成要素に適した動作電圧に変換することができる。
【0082】
図3Aは、原理的には図2に示すものと概ね同様のマルチサンプル分析装置の搬送分析システムの一例を概略的に示す。図3Bは、図3Aに示す搬送分析システムの概略分解図である。図4は、図3Aに示す搬送分析システムの概略上面図である。図5は、図3に示す搬送分析システムのカルーセルを概略的に示す。
【0083】
マルチサンプル分析装置10の搬送分析システム40の構成要素は、この任意の例では、システムベース41に取り付けられてもよい。システムベース41への取り付けによって、搬送分析システム40の構成要素を互いに対して所定の位置および向きに配置することを可能にすることができる。搬送分析システム40は、コントローラ36に接続されてもよく、次いで、コントローラ36は、搬送分析システム40の構成要素の動作を制御するように構成されてもよい。
【0084】
図示の例では、搬送機構70は、カルーセル42を含む。カルーセルモータ74は、その軸を中心として、カルーセル42を回転させるように作動することができる。カルーセル42は、カルーセル42の周囲に配置された複数のサンプルホルダ18を搬送するように構成されてもよく、図示の例では、最大で、8か所にある8つのサンプルホルダを搬送するように構成されている。各サンプルホルダ18は、サンプルホルダ保持構造19によって保持することができる。カルーセル42を連続的に回転させると、各サンプルホルダ18を、カルーセル42の周囲に分配された同数のステーション(例えば、図示の例では8つ)のそれぞれに導くことができる。カルーセル42は、各サンプルホルダ18が所定の期間(例えば、1分間、または別の期間)各ステーションに留まるように動作され得る。したがって、図示の例では、カルーセル42を45°の回転角度で回転させると、各サンプルホルダ18を、ステーションのうちの1つから次のステーションに導くことができる。
【0085】
装填機構47は、1つ以上のサンプルホルダ18をカルーセル42上に装填するように構成され得る。装填機構47は、1つ以上のサンプルホルダスロット48を含み得る。図示の例では、装填機構47は、3つのサンプルホルダスロット48を含む。例えば、(図1または図5に示すように)サンプルホルダ開口部16に挿入または嵌合または結合され得るサンプルホルダ18は、サンプルホルダ挿入開口部16と一致するように整列または付勢され得るサンプルホルダスロット48に配置され得る。
【0086】
装填機構47が1つ以上の空のサンプルホルダスロット48を含む場合、装填機構47は、別のサンプルホルダ18をサンプルホルダ開口部16に挿入または結合できるようにするために、サンプルホルダスロット48の1つをサンプルホルダ開口部16と整列させるように回転することができる。サンプルホルダ18がカルーセル42から取り外され、空のサンプルホルダ保持構造19が装填機構47を含むステーションに回転されると、サンプルホルダ18がサンプルホルダスロット48の1つからカルーセル42上のサンプルホルダ保持構造19に装填され得る。したがって、装填機構47は、マルチサンプル分析装置10内へのサンプルホルダ18の効率的な装填を可能にする緩衝機構として機能することができる。
【0087】
サンプルホルダ18をホルダプラットフォーム45上のサンプルホルダ保持構造19に装填して、ホルダプラットフォーム空気圧コネクタセット43に接続することができる。
ホルダプラットフォーム45上のホルダプラットフォーム空気圧コネクタ43のセットの数は、いくつかの例では、カルーセル42上に一度に装填することができるサンプルホルダ18の最大個数(図示の例では8つ)を画定することができる。
【0088】
サンプルホルダ18がカルーセル42上に装填されると、サンプルホルダ18上の1つ以上の識別マーキングが識別リーダ62によって読み取られ得る。例えば、識別リーダ62は、バーコードスキャナ、RFIDリーダ、またはサンプルホルダ18上の識別マーキングを読み取ることができる他のセンサまたは装置を含むことができる。プロセッサ34は、識別されたサンプルホルダ18を、サンプルホルダ18内のサンプルの供給源(例えば、患者または他の供給源)と、サンプル上で、またはサンプルに対して実行され得る可能な分析手順と関連付けるように構成され得る。
【0089】
各サンプルホルダ18は、分析のために液体のサンプルを保持するように構成されてもよい。各サンプルホルダは、カルーセル42上の各サンプルホルダ位置において、ホルダ上のコネクタのグループと同数の空気圧コネクタを含むことができる空気圧コネクタセット43に接続する(例えば、嵌合する)ように構成することができる空気圧コネクタのグループ(例えば、9つ、または別の数)を含むことができる。
【0090】
カルーセル42は、1つ以上の空気圧アクチュエータシステム44(例えば、図示の例では、2つまでのサンプルホルダ18を作動させるための1つの空気圧アクチュエータシステム44)を含んでもよい。各空気圧アクチュエータシステム44は、真空ポンプと、導管および弁の配置とを含んでもよい。1つの可能な例における弁の数は、カルーセル42上のサンプルホルダ位置の数に、各サンプルホルダ位置における空気圧コネクタの数を乗じた数(例えば、8つのサンプルホルダ位置および9つの空気圧コネクタの配置の場合、72)と等しくてもよい。
【0091】
弁は、例えば、コントローラ36によって選択的に作動されて、サンプルホルダ18を通る1つ以上の液体(例えば、サンプル液体またはサンプルホルダ18の液体リザーバからの液体)の流れを引き起こし得る。ホルダプラットフォーム空気圧コネクタ43を有する空気圧アクチュエータシステム44を接続する導管は、ホルダプラットフォーム43に組み込むことができる。
【0092】
搬送分析システム40は、1つ以上(図示の例では2つ)のドッキングステーション56を含むことができる。マトリックス液滴押出機14は、ドッキングステーション56の1つ以上に接続されてもよい。ドッキングステーション56は、そのドッキングステーション56に接続されたマトリックス液滴押出機14へのインターフェースのセットを含むことができる。インターフェースは、マトリックス液滴押出機14内のマイクロ流体チャネリングアセンブリを空気圧アクチュエータアセンブリ58に接続するための空気圧コネクタのセットを含んでもよい。
【0093】
マトリックス液滴押出機14は、押出機14から外側に向く外部液滴マトリックス押出表面571を有する、多孔液滴マトリックス押出層57(図3B参照)を含んでもよい。典型的には、液滴マトリックス押出層57は、ステンレス鋼、または実質的に非吸収性で洗浄可能であり得る別の材料の平坦なスラブから形成され得る。各マトリックス液滴押出機14は、試薬液滴のマトリックスを、穿孔のアレイを介して液滴マトリックス押出層57の液滴マトリックス押出表面571上に押し出すように構成され得る。
【0094】
マトリックス液滴押出機14は、(例えば、マトリックス液滴押出機14の調製のための施設において、または搬送分析システム40のユーザによって)、マトリックス液滴押出機14に別々に挿入可能な複数の試薬容器を保持するように構成されてもよい。特定の試薬は、試薬容器(または試薬容器の中身が空にされた試薬リザーバ)のうちの1つから、マイクロ流体チャネリングアセンブリによって、液滴マトリックス押出表面571上の特定の穿孔まで導かれ得る。次に、マイクロ流体チャネリングアセンブリの構成は、例えば、特定のサンプルホルダ18内のサンプルに対して実行される特定の分析の現在のステップに従って、ドッキングステーション56を介してコントローラ36によって制御され得る。
【0095】
例えば、搬送分析システム40は、液滴マトリックス押出表面571への試薬の流れを(マイクロ流体チャネリングアセンブリを介して)もたらし、制御するための空気圧を生成するように構成された圧力アクチュエータ60を含み得る。例えば、圧力アクチュエータ60は、1つ以上の圧力ポンプと、1つ以上の圧力調整弁または構造とを含むことができる。
【0096】
機械システム50は、サンプルホルダ18、および搬送分析システム40の他の操作可能な構成要素を操作するように構成され得る。例えば、機械システム50は、サンプルホルダ18を把持し、操作し得る1つ以上の機械アーム51を含み得る。機械システム50の構成要素は、空気圧で作動させることができる。例えば、機械システム50は、圧力ポンプ66を含んでもよい。複数の内部弁は、機械アーム51または機械システム50の他の構成要素の移動を制御するように操作され得る。
【0097】
カルーセル42の回転は、マトリックス液滴押出機14が配置されているステーションにサンプルホルダ18を導くことができる。そのサンプルホルダ18のサンプルがマトリックス液滴押出機14の液滴マトリックス押出表面571と接触して配置される場合、コントローラ36は、機械アーム51を動作して、そのサンプルホルダ18のサンプルスライドをサンプルホルダ18から持ち上げて、サンプルスライドを液滴マトリックス押出表面571に対して押し付ける。例えば、機械アーム51の把持構造72は、例えば、サンプルスライド80の構造79(図6A)を使用して、スライドを把持し、操作するように構成され得る。
【0098】
典型的には、試薬は、サンプルホルダ18のスライドが液滴マトリックス押出表面571と接触している場合に、液滴マトリックス押出表面571の穿孔を介して押し出され得る。このようにして、サンプルとの接触前の試薬液滴の蒸発を防止することができる。
【0099】
サンプルを液滴マトリックス押出表面571と接触させた後、別のサンプルを液滴マトリックス押出表面571と接触させる前に、液滴マトリックス押出表面571を洗浄してサンプルの痕跡を除去することができる。例えば、機械アーム51は、リンスチャンバ68を含むことができる。リンスチャンバ68は、リムがガスケット(例えば、Oリングまたは他のガスケット)を含む浅い(例えば、約100pmの深さを有する)窪みを含んでもよい。
【0100】
液滴マトリックス押出表面571からスライドを取り外した後、機械アーム51は、リンスチャンバ68を液滴マトリックス押出表面571に押し付けることができる。例えば、リンスチャンバ68のガスケットは、リンスチャンバ68と液滴マトリックス押出表面571との間にシールを形成することができる。次に、マトリックス液滴押出機14を動作させて、液滴マトリックス押出表面571のリンス入口開口部を介して、リンスチャンバ68をリンス液で満たすことができる。リンスチャンバ68が満たされた後、マトリックス液滴押出機14は、リンスチャンバ68からリンス液を、例えば、液滴マトリックス押出表面571のリンス出口開口部を介して、除去するように動作されてもよい。
【0101】
リンスチャンバ68の代替または追加として、機械システム50または機械アーム51は、液滴マトリックス押出表面571の洗浄を容易にするために、1つ以上のブラシ、パッド、ワイパ、または他の構造を備えてもよい。
【0102】
典型的には、分析プロトコルの全てのステップをサンプルホルダ18内のサンプルに適用した後、そのサンプルホルダ18は、分析モジュール54を含むステーションまで回転させることができる。例えば、分析モジュール54は、1つ以上の撮像装置、光センサ、例えば、カメラ54a、照明源、例えば、光源54b、または、例えば液滴マトリックス押出表面571で試薬のアレイと接触した後に、サンプルホルダ18内のサンプルの光学的評価を可能にする他の構成要素を含んでもよい。分析モジュール54は、1つ以上の電気接点、電圧源または電流源、電圧計または電流計、電子回路、集積回路、または、例えば、液滴マトリックス押出表面571で試薬のアレイと接触した後に、サンプルホルダ18内のサンプルの電子評価のための他の構成要素を含んでもよい。
【0103】
例えば、サンプルホルダ18が分析モジュール54を含むステーションに配置されると、機械アーム51を操作して、サンプルスライドをサンプルホルダ18から持ち上げ、分析モジュール54に対する観察位置に配置することができる。例えば、分析モジュール54は、周囲光と干渉することなく、サンプルによって反射する光または蛍光を発する光の画像を可能にすることができる遮光チャンバを含むことができる。スライドの取得された画像、または他のデータは、プロセッサ34、外部装置28、その両方、または別の宛先に通信され得る。
【0104】
典型的には、そのサンプルが分析モジュール54によって検査された後、サンプルホルダ18は、カルーセル42から取り外される。例えば、排出機構は、サンプルホルダ18が排出開口部20を介してマルチサンプル分析装置10を出るように、サンプルホルダ18をカルーセル42から取り外すことができる。例えば、排出機構は、カルーセル42から取り外されたサンプルホルダ18がカルーセル42から離れて排出開口部20を通って外にスライドすることができる傾斜面を含むことができ、または傾斜面と協働することができる。典型的には、排出されたサンプルホルダ18は、廃棄されてもよい。場合によっては、排出されたサンプルホルダ18は、さらなる分析のために保存されてもよい。
【0105】
図6Aは、図1に示すマルチサンプル分析装置のサンプルホルダを概略的に示す。図6Bは、図6Aに示すサンプルホルダ内のスライドに吸引を加えるためのチャンバを概略的に示す。
【0106】
サンプルホルダ18の構成要素は、ホルダケーシング76に封入することができる。ホルダケーシング76は、カルーセル42のホルダプラットフォーム45に接続するように構成することができる。サンプルホルダ18の空気圧コネクタ78は、ホルダプラットフォーム45上のホルダプラットフォーム空気圧コネクタ43に、従って、空気圧アクチュエータシステム44に接続することができる。
【0107】
サンプルホルダ18内のサンプルに分析プロセスのいくつかのステップを適用する間、空気圧アクチュエータシステム44は、1つ以上の空気圧コネクタ78に吸引を加えることができ、一方、1つ以上の他の空気圧コネクタ78は、ブリーザベント(breather vent)を介して大気圧に接続することができる。空気圧コネクタ78は、導管システム88を介して、サンプルホルダ18内の種々の構造に接続することができる。空気圧コネクタ78に吸引および/または大気圧を選択的に適用すると、1つ以上の液体物質がサンプルホルダ18の様々な構成要素の間を流れる可能性がある。
【0108】
サンプルは、サンプルチャネル82への1つ以上(例えば、2つ以上または別の数)の開口部を介して、サンプルホルダ18の中に導入され得る。図示の例では、サンプルチャネル82は、毛細管の形態であってもよい。例えば、毛細管の形態のサンプルチャンバ82は、血液を含むサンプルに適してもよい。他のタイプのサンプルについては、他の形態のサンプルチャネルが提供されてもよい。例えば、他のタイプのサンプルチャネルまたはホルダは、吸着剤または接着性材料のストリップまたは質量、広がったチャンバ内への直接的な開口部、または他のタイプのチャネルまたは開口部を含むことができる。
【0109】
ホルダカバー87を取り外した後、サンプルをサンプルチャネル82に導入することができる。例えば、サンプルは、穿刺された指からの血液の液滴(典型的には、例えば、サンプルの汚染を回避するために、以前の液滴が拭き取られた後の第三または第四の液滴)、または生物学的もしくは他の由来の別の液体を含み得る。サンプルがサンプルチャネル82に装填されると、ホルダカバー87を交換することができる。典型的には、サンプルをサンプルチャネル82に装填した後(または場合によっては装填する前)に、バーコード、RFIDタグ、またはサンプルホルダ18の他の識別子を走査し、サンプルの由来(例えば、特定の患者)と、マルチサンプル分析装置10によってサンプルに対して実行される分析手順とに関連付けることができる。
【0110】
いくつかの場合、例えば、サンプルが血液サンプルである場合、分離が必要とされ得る。例えば、血液分析は、血漿を得るために、サンプルチャネル82中の血液から血液細胞を分離することを必要とし得る。例えば、空気圧アクチュエータシステム44によって、空気圧コネクタ78、プラズマチャンバ83、および血液分離器89を介して吸引をサンプルチャネル82に適用して、血液をサンプルチャネル82から血液分離器89を介してプラズマチャンバ83に引き込むことができる。例えば、血液分離器89は、フィルタ、マイクロチャネル、または他の技術を含むことができる。
【0111】
ホルダカバー87内の構造は、血液分離器89を介してプラズマチャンバ83内へ血液が流れることを可能にするブリーザベントとして機能することができる。適用される吸引(負圧)は、溶血(血液細胞の破裂)を回避するために、十分に弱くてもよい。サンプルが、血液分離器89によって除去され得る生物学的細胞または他のタイプの懸濁粒子を含まない液体または溶液を含む場合、サンプルは、サンプルに実質的に影響を及ぼさずに、血液分離器89を通して吸引され得る。場合によっては、サンプルホルダ18は、このような他のタイプのサンプルのために、例えば、血液分離器89なしで設計されてもよい。
【0112】
サンプルホルダ18は、サンプルスライド80を含むことができる。サンプルは、サンプルスライド80の基板81に適用されてもよい。例えば、基板81は、膜を含むことができ、膜は、ニトロセルロース、ガラス繊維、ナノメッシュ、プラスチック、ガラス、または基板81に適用され得るサンプルおよび他の物質を吸収するための別の適切な材料から構成されるか、またはそれらを含み得る。基板81が吸着剤である場合、サンプルまたは適用された試薬は、その表面に直交して基板81に吸収され得るので、単位面積当たりの吸収されたサンプルまたは試薬の濃度は、非吸着剤表面について可能であるよりも高くなり得る。膜は、親水性/疎水性メッシュのウェブ上に置かれてもよく、そこで、メッシュの疎水性側が膜に面し、メッシュの親水性側が膜から離れて面する。ワックス、または他の疎水性材料は、膜の上側をコーティングするために、使用することができる。
【0113】
基板81に適用される物質、例えば、サンプルチャネル82、プラズマチャンバ83内のサンプル、または1つ以上の液体容器84内に保持される液体物質は、シーリングガスケット86によって境界付けられるホルダケーシング76のセクションと、基板81を含むサンプルスライド80のセクションとの間の密閉空間861内に引き込むことができる。密閉空間861の寸法は、サンプルまたは他の液体の層流を促進するように(例えば、基板81への液体の均一な適用を容易にするように)設計され得る。
【0114】
場合によっては、吸引は、密閉空間861に適用され、一方、適用された物質の供給源は、両方とも空気圧コネクタ78を介して、ブリーザベントに開かれている。密閉空間861が物質によって満たされると、チャンバ77(図6B参照)を介して、密閉空間861に露出される側とは反対側の基板81の側に吸引を適用することができ、一方、密閉空間861は、空気圧コネクタ78を介してブリーザベントに開かれている。これにより、密閉空間861を満たす物質は、基板81内に引き込まれ、基板81内への物質の吸収を促進することができる。
【0115】
場合によっては、図7Eに概略的に示すように、基板81の表面は、2つ以上の基板セクション8Gに分割されてもよい。例えば、各基板セクション8Gは、別個のシーリングガスケットを設けてもよい。代替または追加として、基板81自体は、1つ以上の仕切り75を含むことができる。例えば、仕切り75は、ある基板セクション8Gから別の基板セクションへの液体の拡散を抑止または防止する材料で作られてもよい。例えば、2つ以上の異なる基板セクション8Gに、異なる湿式法ステップを適用することができる。場合によっては、1つ以上の基板セクション8Gは、例えば、1つ以上のプロセスステップが適用されない、またはサンプルが適用されない、基準または制御セクションとして機能することができる。
【0116】
種々の液体物質をサンプルホルダ18内に保持することができる。典型的には、サンプルホルダ18は、4~7個の液体容器84を含むことができる。空気圧コネクタ78の数は、液体容器84から基板81への液体の移送を可能にするように選択することができ、追加の空気圧コネクタ78はブリーザベントに接続される。非結合例では、7つの液体容器84を有するサンプルホルダ18は、9つの空気圧コネクタ78を含むことができる。同様に、4つの液体容器84を有するサンプルホルダ18は、6つの空気圧コネクタ78を含むことができる。
【0117】
特定のサンプルホルダ18は、特定の分析手順または類似の分析手順のファミリーを、例えば、特定のタイプのサンプルに、適用するために構成され得る。例えば、サンプルホルダ18の一部または全部は、(例えば、サンプルホルダ18の製造業者またはユーザによって)ブリスターパック85内にそれぞれ密閉される液体物質の選択を提供され得る(サンプルホルダ18内に挿入可能な任意のタイプの密閉パッケージを含むと理解されるべきである)。ブリスターパック85内の液体物質のシールによって、長期間にわたって、例えば、数ヶ月または数年にわたって、液体物質を貯蔵することが可能になる。
【0118】
カルーセル42のサンプルホルダ保持構造19、またはカルーセル42の周囲に沿ったステーションは、1つ以上のピンまたは突起(例えば、以下に記載されるように、ドッキングステーション56の突起61に類似する)を含み得、これらのピンまたは突起は、(例えば、機械システム50によって)押し付けられ、ブリスターパック85を穿孔し、そしてサンプルホルダ18中のサンプルを分析する間に、その中身を空にして、基板81に適用するための液体容器84に入れるように(「湿式法」)構成される。
【0119】
サンプルスライド80は、例えば、機械システム50の機械アーム51または別の構成要素によって、ホルダケーシング76から取り外され得る。例えば、サンプルスライド80の基板81は、マトリックス液滴押出機14の液滴マトリックス押出表面571に対して配置され得るか、あるいは分析モジュール54の中に配置され得る。サンプルスライド80(図6Aおよび6Bを参照のこと)は、液滴マトリックス押出表面571または分析モジュール54との正確な位置合わせを容易にするために、位置合わせ構造79を含み得る。
【0120】
例えば、位置合わせ構造79は、機械的構造(例えば、穴、窪み、ピン、突起、または他の機械的構造)、光学的構造(例えば、反射鏡、着色線、バー、ドット、パターン、または他の光学的構造)、電磁的構造、または他の構造を含み得、サンプルスライド80を、例えば、液滴マトリックス押出表面571、マトリックス液滴押出機14、分析モジュール54、または他の場所における協働構造との正確な位置合わせを可能にする。
【0121】
図7Aは、図3Aに示す搬送分析システムにおいて使用され得るドッキングステーションに挿入されたマトリックス液滴押出機を概略的に示す。図7Bは、図7Aに示すドッキングステーションの概略対向図である。図7Cは、図7Aおよび7Bにおいて部分的に見られるマトリックス液滴押出機の後側を概略的に示す。図7Dは、図7Cに示すマトリックス液滴押出機の概略断面である。
【0122】
この例におけるドッキングステーション56は、マトリックス液滴押出機14が挿入され得る挿入空間67を含む。例えば、マトリックス液滴押出機14は、パックハンドル15を使用して(例えば、液滴マトリックス押出表面571を汚染することなく)取り扱われ得る。
【0123】
マトリックス液滴押出機14のケーシング91(図7C参照)は、ドッキングステーション56の挿入空間67内のドッキングステーションコネクタ65(図7B参照)に接続可能であり得る複数のドッキング空気圧コネクタ92を含んでもよい。マトリックス液滴押出機14の内部構造は、例えば、ケーシング91内で、ドッキング空気圧コネクタ92を介して空気圧アクチュエータアセンブリ58によって制御することができる。
【0124】
マトリックス液滴押出機14は、複数の試薬容器93(図7Dを参照のこと)を含み得、そのそれぞれは、液体試薬または他の液体(例えば、洗浄液、油圧液、または他の液体、これらの全ては、便宜上、明確にするために、本明細書中で試薬と呼ばれる)を保持するためのものである。試薬液体は、試薬キャニスタ94内に供給することができる。例えば、試薬キャニスタ94は、試薬容器93内に空にされ得るブリスターパックまたは他の密閉容器を含み得る。
【0125】
ドッキングステーション56に取り付ける前に、試薬キャニスタ94は、例えば、マトリックス液滴押出機14の製造者、販売業者、またはユーザによって、試薬容器93の一部または全部のそれぞれに配置され得る。試薬容器93に挿入するための試薬キャニスタ94(例えば、それぞれが特定の液体試薬を収容する)の選択は、特定の施設または施設のタイプ(例えば、診療所、モバイル施設、病院、または他のタイプの施設)のために、または特定の目的(例えば、血液検査または他の臨床検査、物質の化学評価、または他の目的)のために、またはその他のために構成されてもよい。
【0126】
液体試薬は、長期間(例えば、数ヶ月または数年)、にわたって試薬キャニスタ94に保存され得る(本明細書中での試薬容器、キャニスタ、導管、または他の試薬構成要素もしくは構造への言及は、マトリックス液滴押出機14の動作中に利用される任意の液体を保持するか、またはその流れを方向付けるための構成要素もしくは構造を意味するものと理解されるべきであることが理解されるべきである)。
【0127】
マトリックス液滴押出機14を挿入空間67に挿入した後、ドッキングステーション56の活性化プレート59を操作して、例えば、作業期間(例えば、作業日)の開始時に、またはそうでなければ、マトリックス液滴押出機14の挿入後であって、マトリックス液滴押出機14の操作前に、操作のためにマトリックス液滴押出機14を調製することができる。機構は、マトリックス液滴押出機14の後側(例えば、液滴マトリックス押出表面571を含む側とは反対側)に向かって、前方に活性化プレート59を押してもよい。
図示の例では、活性化プレート59は、空気圧をプレート移動空気圧コネクタ63に加えることによって、前方に押し進めることができる。
【0128】
活性化プレート59は、複数の突起61、例えば、円筒形ピンまたは他の突起を含んでもよい。活性化プレート59をマトリックス液滴押出機14に押すと、突起61を試薬キャニスタ94に挿入することができる。突起61を挿入すると、各試薬キャニスタ94の一部が破裂するか、さもなければ、その試薬キャニスタ94の中身を、その試薬キャニスタ94が挿入されていた試薬容器93内に押し込むことができる。
【0129】
典型的には、液体試薬は、典型的な作業期間(例えば、1日)の間、試薬容器93内に保管され得る。場合によっては、マルチサンプル分析装置10は、液体試薬の使用可能な寿命を延ばすために(例えば、1日当たりのサンプル処理量が少ない施設での使用のために)、内部冷凍(例えば、ハウジング11内に封入された冷凍構造)または外部冷凍(例えば、マルチサンプル分析装置10またはマトリックス液滴押出機14が挿入され得る冷凍ケース)のいずれかを提供され得る。
【0130】
場合によっては、ドッキングステーション56は、突起61のサブセットを試薬キャニスタ94のサブセットに別々に挿入するように構成されてもよい。例えば、ドッキングステーション56は、複数の別個に動作可能な活性化プレート59を含むことも、あるいは個々の突起61または突起61のグループを選択的に延伸、後退、または他の方法で動作させるための機構を含むこともできる。
【0131】
試薬キャニスタ94の中身を空にすることに加えて、活性化プレート59をマトリックス液滴押出機14に押し込むことによって、また、ドッキングステーションコネクタ65のそれぞれを、マトリックス液滴押出機14上の対応するドッキング空気圧コネクタ92(図7Cを参照)に接続させることもできる。したがって、空気圧アクチュエータアセンブリ58は、ドッキング空気圧コネクタ92を介して、マトリックス液滴押出機14に空気圧を供給するように作動されてもよい。
【0132】
マトリックス液滴押出機14が、液滴押出表面571を介して、試薬ドットのパターンを、印刷する場合、空気圧アクチュエータアセンブリ58を動作して、液体試薬を試薬容器93から、チャネル配置96の試薬チャネル(図7D参照)を介して、液体管理チップ98に、またはそれに向かって押し出すことができる。液体管理チップ98は、1つ以上のドッキング空気圧コネクタ92のそれぞれを液体管理チップ98の1つ以上の空気圧で動作可能なゲート95に接続するチャネル配置96の複数の空気圧制御チャネル97を介して制御可能であってもよい。
【0133】
液体管理チップ98は、試薬容器93からの液体試薬の流れを制御して、チャネル配置96を介して、液滴マトリックス押出表面571の特定の穿孔69に導くように、制御導管および分配チャネル99の内部配置を含み得る。例えば、チャネル配置96および分配チャネル99は、特定の試薬容器93を、液滴マトリックス押出表面571の1つの穿孔に、より典型的には複数の特定の穿孔69に接続するように配置され得る。試薬は、例えば、試薬容器93において、空気圧が試薬に適用される場合に、分配され得る。空気圧で動作可能なゲート95を閉じることにより、特定の穿孔69を通る押し出しを防止することができる。
【0134】
場合によっては、2つ以上の試薬容器93が、単一の穿孔69に接続され得る。例えば、2つ以上の試薬容器93のうちの1つが最初に充填されてもよく、その一方で、別の試薬容器が充填されるのは、第一の試薬容器が空になったとき、または開いてから所定の期間が経過したときである。場合によっては、洗浄流体は、異なる試薬容器93から試薬を連続的に押し出す間に、穿孔69を介して押し出されてもよい。
【0135】
場合によっては、単一の穿孔69を介した2つ以上の異なる試薬の押出は、両方の試薬の混合物または他の組合せを含む液滴の形成を可能にし得る。例えば、穿孔69は、2つ以上の分配チャネル99への接続を可能にするために、細長くされ得る。別の例として、液滴マトリックス押出表面571は、溝または他の構造を含むことができ、溝または他の構造は、2つ以上の別個であるが隣接する穿孔69によって押し出される異なる試薬間の混合を(例えば、1つ以上のチャネリング効果を介して)可能にするか、または容易にする。
【0136】
液体管理チップ98は、空気圧アクチュエータアセンブリ58(図3および図4に示される)によって制御され、選択された試薬容器93から特定の液体試薬を、液滴マトリックス押出表面571上の1つ以上の選択された穿孔69に導くことができる。液体試薬は、その穿孔69を介して押し出されて、例えば、サンプルスライド80の基板81上のサンプル上に、その試薬を印刷することができる。
【0137】
図7Eは、試薬ドットが押し出されたスライドの一例を概略的に示す。
【0138】
図示の例では、試薬ドット71が基板81上に印刷されている。図示の例では、基板81は、仕切り75によって複数の基板セクション8Gに分割されているが、基板81は、単一の分割されていない表面(例えば、膜)であってもよい。図示の例では、試薬ドット71は、ドット行73に編成され、ここでは、隣接するドット行73間の分離は、任意選択的で、単一のドット行73内の隣接する試薬ドット71間の分離よりも大きい。例えば、各ドット行73は、単一の試薬の試薬ドット71を含むものとすることができ(例えば、隣接する試薬ドット71間の任意の混合が結果に影響を及ぼす可能性が低い場合)、異なるドット行73は、混合を回避すべき異なる試薬のものとすることができる。
【0139】
別個のドット行73への試薬ドット71の編成の代替または追加として、試薬ドット71のグループは、別個の列、クラスタ、または別の方法で編成されてもよく、またはグループ間の分離なしに編成されてもよい。他の例では、基板81の部分に、撥液剤をコーティングまたは注入して(例えば、ソリッドインクプリンタを使用して)、基板81の所定の領域への吸収を制限することができる(例えば、基板81上に別個のアッセイ領域を作成するために)。
【0140】
図8は、図3に示す搬送分析システムのステーションへのサンプルホルダの搬送を概略的に示す。
【0141】
ステーションA~Hは、カルーセル42の周囲に分配されている。搬送機構70は、矢印で示す方向に回転して、それぞれの装填されたサンプルホルダ18を、ステーションA~Hのうちの1つから後続のステーションB~Aに搬送するように構成され得る。サンプルホルダ18が次のステーションに搬送された後、カルーセル42は、所定の期間にわたって、静止したままである(例えば、回転しない)。
【0142】
図9は、本発明の一実施形態に従って、マルチサンプル分析装置の可能な動作方法を示すフローチャートである。
【0143】
本明細書で参照される任意のフローチャートに関して、フローチャートのブロックによって表される個別の動作への例示された方法の分割は、便宜上、明確にするためにのみ選択されていることを理解されたい。図示された方法を別個の動作に分割することも可能であり、同等の結果が得られる。図示された方法の個別の動作へのそのような代替の分割は、図示された方法の他の実施形態を表すものとして理解されるべきである。
【0144】
同様に、特に断らない限り、本明細書で参照される任意のフローチャートのブロックによって表される動作の実行の図示された順序は、便宜上、明確にするためにのみ選択されていることを理解されたい。図示された方法の動作は、代替の順序で、または同時に実行されてもよく、同等の結果が得られる。図示された方法の動作のこのような新たな順序付けは、図示された方法の他の実施形態を表すものとして理解されるべきである。
【0145】
POCサンプル分析方法100は、マルチサンプル分析装置10のプロセッサ36などのプロセッサによって、またはプロセッサ36またはマルチサンプル分析装置10と通信する別のプロセッサによって実行されてもよい。
【0146】
サンプルホルダ18を受け入れることができる(ブロック110)。例えば、サンプルホルダ18は、サンプルホルダ挿入開口部16を介してマルチサンプル分析装置10に装填されてもよく、また搬送機構70、例えば、カルーセル42に装填されてもよい。図8に示す例では、サンプルホルダ18は、例えば、装填機構47を介してステーションDのカルーセル42上に装填される。
【0147】
各サンプルホルダ18は、搬送機構70によって次のステーションに搬送され(ブロック120)、そこで、サンプルホルダ18は、所定の期間(例えば、1分間、または別の適切な期間)にわたって、留まる。例えば、ステーションDでカルーセル42上に装填されたサンプルホルダ18は、ステーションEに搬送される。カルーセル42上の他のサンプルホルダ18も、同様に次のステーションに搬送される。
【0148】
所定の期間にわたって、各ステーションに残っているサンプルホルダ18に対してアクションを実行することができる(ブロック130)。実行されるアクションは、各サンプルホルダ18に保持されたサンプルに対して実行されている分析プロセスの現在のステップに依存し得る。
【0149】
例えば、ELISAプロトコルのステップは、サンプルホルダ18がステーションAにあるときに、サンプルホルダ18内のサンプルに適用され始めることができる。ELISAプロトコルの後続のステップは、各後続のステーションB~Gで実行されることができる(タイプまたはELISAプロトコル、例えば、間接またはサンドイッチElisaプロトコルに依存する)。この場合、サンプルが血液サンプルである場合、ステーションDでのサンプルホルダ18の装填とステーションAでのELISAプロトコルの第一のステップの適用との間に、ステーションE~Hのそれぞれで、サンプルチャネル82から血液分離器89を通って血液を流すことができる。
【0150】
場合によっては、実行されるアクションには、サンプルホルダ18に保持されたサンプルを処理することなく、ステーションで待機することも含むことができる。場合によっては、ステーションでの待機は、ELISAプロトコルのインキュベーションステップを提供し得る。
【0151】
場合によっては、このアクションは、図示の例ではステーションBまたはFにおいて、マトリックス液滴押出機14の液滴マトリックス押出表面571上の試薬液滴のアレイと接触するようにサンプルを配置することを含むことができる。サンプルホルダ18がステーションBまたはFに搬送されると、機械アーム51は、サンプルスライド80をサンプルホルダ18から持ち上げ、基板81を液滴マトリックス押出表面571と接触させることができる。例えば、サンプルが1つ以上の特異的抗原を含むか、または含むことが疑われる場合、試薬液滴のアレイは、検出分子(例えば、蛍光またはホースラディッシュペルオキシダーゼのような他の染料)が結合された1つ以上の特異的検出抗体を含み得る。典型的には、各試薬液滴の特定の中身は、例えば、隣接する試薬液滴の行または列において複製される。
【0152】
液滴マトリックス押出表面571からスライド80を取り外した後、機械システム50は、リンスチャンバ68を液滴マトリックス押出表面571上に配置することができる。次いで、空気圧アクチュエータアセンブリ58を作動させて、洗浄流体をマトリックス液滴押出機14の洗浄流体リザーバから洗浄流体入口を介してリンスチャンバ68の中に流入させることができる。所定の期間の経過後、空気圧アクチュエータアセンブリ58を作動させて、洗浄流体をリンスチャンバ68から洗浄流体出口を介してマトリックス液滴押出機14の廃棄流体リザーバの中に排出してもよい。機械システム50は、液滴マトリックス押出表面571からリンスチャンバ68を取り外すことができる。
【0153】
少なくともいくつかのステーションでは、サンプルは、1つ以上の湿式法に供されてもよい。例えば、ELISAプロトコルが適用される基板81は、1つ以上のコーティング、洗浄、ブロッキング、または他のステップに供され得る。特に、コーティングするステップは、サンプルでコーティングすること、またはサンプルでコーティングする前に。捕捉抗体でコーティングすることを含むことができる。
【0154】
サンプルホルダ18が、分析モジュール54を含むステーション(図示の例ではステーションH)に搬送されるとき、例えば、一部のまたは全部の処理ステップがサンプルに適用された後、サンプルは、分析モジュール54によって検査されてもよい。例えば、機械システム50は、サンプルスライド80または少なくとも基板81が分析モジュール54、例えば、分析モジュール54の遮光チャンバに挿入されるように、サンプルスライド80をサンプルホルダ18から持ち上げるように制御されてもよい。
【0155】
次いで、分析モジュール54は、例えば、様々なタイプの照明下で、または基板81の蛍光下で、基板81の1つ以上の画像を取得するように動作されてもよい。代替または追加として、分析モジュール54は、基板81上の位置の1つ以上の電気的特性を測定するために、電子機器を適用し得る。分析は、基板81上の各位置における結果と、基板81がその位置で接触するように配置された試薬との対応関係を決定することを含み得る。
【0156】
分析は、試薬ドット(例えば、不規則な形状を有し得る)内の基板の測定された特性をマッピングすることを含み得る。分析は、統計的に有意な結果を計算するために、試薬ドットの異なる点、または同じ試薬の異なる試薬ドットにおける測定値を組み合わせることを含んでもよい。分析は、分析の結果を要約するレポートを準備することを含むことができる。
【0157】
サンプルホルダ18に対する全てのアクションが完了した場合(ブロック140)、機械システム50を動作して、そのサンプルホルダ18をカルーセル42から取り外し、それをマルチサンプル分析装置10から排出することができる(ブロック150)。典型的には、サンプルホルダ18に対して行われる最終的なアクションは、分析モジュール54によるサンプルスライド80の検査である。
【0158】
サンプルホルダ18に対して実行されるべき追加のアクションが残っている場合(ブロック140)、そのサンプルホルダ18は、次のステーションに搬送され(ブロック120)、追加のアクションが実行され得る(ブロック130)。
【0159】
マトリックス液滴押出機14は、サンプルスライド80上に試薬ドットを予め印刷するための独立型試薬ドット印刷システムに組み込むことができる。同様に、予め印刷されたスライドは、独立型サンプル分析システムとともに使用するために、サンプルホルダ18に組み込まれてもよい。
【0160】
図10は、試薬ドット印刷システムの一例を概略的に示す。
【0161】
試薬ドット印刷システム200を利用して、試薬ドット71のアレイを表面に印刷することができる。特に、試薬ドット印刷システム200を動作して、試薬ドット71のアレイをスライド上に印刷して、試薬ドット71が予め押し出される予め印刷されたサンプルスライド204を生成することができる。本明細書中で使用される場合、予め押し出すとは、基板81上にサンプルを導入する前に、その基板81上に試薬液滴を押し出すことを意味する
【0162】
例えば、ドット印刷装置202は、ドッキングステーション56を組み込むことができる。ドット印刷装置202は、ドッキングステーション56に接続されるマトリックス液滴押出機14の動作のための1つ以上の空気圧アクチュエータ203および導管を含んでもよい。ドット印刷装置202は、空気圧アクチュエータの動作を制御するために、コントローラ201を組み込んでもよく、またはそれと通信してもよい。例えば、コントローラ201は、空気圧アクチュエータ203の圧力アクチュエータ60(図10には図示せず)によって生成され、マトリックス液滴押出機14の1つ以上のドッキング空気圧コネクタ92に印加される圧力、または圧力アクチュエータ60の動作時間、または圧力が1つ以上のドッキング空気圧コネクタ92に印加される期間を制御するように構成することができる。
【0163】
場合によっては、ドット印刷装置202は、ドット印刷装置202の動作を制御するために、ユーザ操作可能なコントローラを備えることができる。場合によっては、ドット印刷装置202の操作は、有線または無線接続を介してドット印刷装置202と通信する外部装置28(例えば、コンピュータ、スマートフォン、または他の装置)を介して制御されてもよい。
【0164】
例えば、ドット印刷装置202を、(例えば、薬剤師、医師、または他の訓練されたユーザが)動作して、予め印刷されたサンプルスライド204を生成し得る。典型的には、ドット印刷装置202を動作して、特定のユーザ(人または施設)が特定の条件(例えば、特定のプロトコルの適用のために、または特定の生理学的障害、毒素、汚染物質、もしくは液体サンプルの他の成分の検出のために)の下で、地理的位置(例えば、特定の条件が普及している場合)の下で、または他の特定の用途の下で、使用するために設計された複数の予め印刷されたサンプルスライド204を生成することができる。
【0165】
予め印刷されたサンプルスライド204は、サンプルホルダ18に直ちに挿入すること、あるいはサンプルホルダ18に後で挿入するために、または他で使用するために、別々に保存することもできる。予め印刷されたサンプルスライド204、または予め印刷されたサンプルスライド204が挿入されたサンプルホルダ18の保管は、予め印刷されたサンプルスライド204上に印刷された試薬ドットの完全性を保つように設計された制御された条件下で行うことができる。
【0166】
図11は、独立型サンプル処理システムの一例を概略的に示す。
【0167】
サンプル処理システム210は、サンプルホルダ18に導入されるサンプルに対して、1つ以上の処理ステップ、特に湿式法ステップを実行するように構成される。例えば、サンプル処理装置212は、サンプル処理装置212に挿入されるサンプルホルダ18内の1つ以上のサンプルまたは他の液体の液体流を引き起こす空気圧アクチュエータを含むことができる。
【0168】
サンプルホルダ18が予め印刷されたサンプルスライド204を含む場合、処理されたサンプルは、予め印刷されたサンプルスライド204上の試薬ドットと相互作用して、光学的に評価可能な結果(例えば、色の変化または蛍光)を生成し得る。典型的には、サンプル処理装置212は、サンプル処理装置212に挿入されたサンプルホルダ18内で行われる処理の後に、予め印刷されたサンプルスライド204を光学的または電子的に検査するための分析モジュール54を含む。場合によっては、サンプル処理装置212は、予め印刷されたサンプルスライド204をサンプルホルダ18から取り外すための機械システム(例えば、上述のような機械システム50のいくつかの構成要素を有する)を含むことができる。他の場合には、ユーザは、分析モジュール54による分析のために、予め印刷されたサンプルスライド204をサンプルホルダ18から取り出すことができる。
【0169】
例えば、サンプル処理装置212は、プライベートユーザ(例えば、患者)または多数のサンプルを分析する必要のない他のユーザが利用してもよい。したがって、サンプル処理デバイス212のユーザは、特定の検査のために、または限られた数の検査のために、予め印刷されたサンプルスライド204を購入し、適切なサンプルホルダ18を利用して、サンプルに対して適切な湿式法ステップを実行し得る。
【0170】
本発明のいくつかの実施形態によれば、サンプル分析装置は、マトリックス液滴押出機の液滴マトリックス押出表面上にドットの2つ以上のアレイを制御可能に押し出すように構成されたサンプルホルダおよびマトリックス液滴押出機を含むことができ、マトリックス押出表面は、マトリックス液滴押出機から外向きに面する。このような実施形態におけるサンプルホルダは、2つ以上の隔離ゾーンを有するサンプルスライドを含み得、サンプル分析装置は、サンプルスライドを操作して、例えば、1つまたは複数の第一の抗体剤の前記2つ以上の隔離ゾーン上への液滴のアレイの一次印刷を実行し、続いて、サンプルスライド上で前記2つ以上の隔離ゾーン上への1つまたは複数の第二の抗体剤の二次印刷を実行するように構成され得る。本発明のいくつかの実施形態によれば、様々な準備ステップ、例えば、洗浄、ブロッキング、および他のステップを、2つの印刷の間に実行することができる。
【0171】
図12Aは、本発明のいくつかの実施形態によるマルチサンプル分析装置のサンプルホルダ1200の正面図であり、サンプルスライドが内部に挿入されている。図12Bは、本発明のいくつかの実施形態によるマルチサンプル分析装置のサンプルホルダ1200の正面図であり、サンプルスライドが引き出されている。
【0172】
サンプルホルダ1200の構成要素は、ホルダケーシング76a内に封入されてもよい。ホルダケーシング76aは、カルーセル42または別のプラットフォームのホルダプラットフォーム45に接続するように構成されてもよく、可動し得るか、あるいは所定の位置に固定され得る。サンプルホルダ1200の空気圧コネクタ78aは、ホルダプラットフォーム空気圧コネクタを介して、空気圧アクチュエータシステムに接続することができる。
【0173】
分析プロセスのいくつかのステップをサンプルホルダ1200内のサンプルに適用する間、空気圧アクチュエータシステムは、1つ以上の空気圧コネクタ78aに吸引を適用し得、一方、1つ以上の他の空気圧コネクタ78aは、ブリーザベントを介して大気圧に接続され得る。空気圧コネクタ78aは、導管システム88aを介して、サンプルホルダ1200内の種々の構造に接続されてもよい。空気圧コネクタ78aに吸引および/または大気圧の選択的適用すると、1つ以上の液体物質が、サンプルホルダ1200の様々な構成要素の間を流れる可能性がある。
【0174】
サンプルは、1つの(または複数の)サンプルチャネル82aへの1つ以上(例えば、2つまたは別の数)の開口部を介して、サンプルホルダ1200の中に導入され得る。サンプルチャネル82aは、毛細管の形態であってもよく、例えば、血液を含むサンプルに適した毛細管の形態であってもよい。他のタイプのサンプルについては、他の形態のサンプルチャネルが提供されてもよい。例えば、他のタイプのサンプルチャネルまたはホルダは、吸着剤または接着性材料のストリップまたは質量、広がったチャンバ内への直接的な開口部、または他のタイプのチャネルまたは開口部を含むことができる。
【0175】
サンプルは、サンプルチャネル82aに導入することができる。例えば、サンプルは、穿刺された指からの血液の液滴(典型的には、例えば、サンプルの汚染を回避するために、以前の液滴が拭き取られた後の第三または第四の液滴)、または生物学的もしくは他の由来の別の液体を含み得る。サンプルがサンプルチャネル82aに装填されると、ホルダカバー87aがサンプルチャネル82aの入口上に配置され、それを密閉することができる。典型的には、サンプルをサンプルチャネル82aに装填した後(または場合によっては装填する前)に、バーコード、RFIDタグ、またはサンプルホルダ1200の他の識別子を走査し、サンプルの由来(例えば、特定の患者の身元)、およびマルチサンプル分析装置によってサンプルに対して実行される分析手順と関連付けることができる。
【0176】
いくつかの場合、例えば、サンプルが血液サンプルである場合、分離が必要とされ得る。例えば、血液分析は、血漿を得るために、サンプルチャネル82a中の血液から血液細胞を分離することを必要とし得る。例えば、空気圧アクチュエータシステムによって、空気圧コネクタ78a、プラズマチャンバ83a、および血液分離器89aを介して吸引をサンプルチャネル82aに適用して、サンプルチャネル82aから血液分離器89aを介してプラズマチャンバ83aに血液を引き込むことができる。例えば、血液分離器89aは、フィルタ、マイクロチャネル、または他の分離技術を使用する別の装置を含むことができる。
【0177】
ホルダカバー87aは、血液分離器89aを介してプラズマチャンバ83a内に血液が流れることを可能にするブリーザベントを含むことができる。いくつかの他の実施形態では、サンプルホルダ1200は、そのような他のタイプのサンプルのために設計されてもよい。
【0178】
サンプルホルダ1200は、サンプルホルダ1200内のポケット1201に挿入されるように、あるいはそこから取り外されるように構成されたサンプルスライド80aを含むことができる。サンプルは、サンプルスライド80aの2つ以上の基板パッチ81aおよび81bに適用され得る。例えば、基板パッチ81aおよび81bは、それぞれ膜を含むことができ、膜は、ニトロセルロース、ガラス繊維、ナノメッシュ、プラスチック、ガラス、または基板パッチ81aおよび81bに適用され得るサンプルおよび他の物質を吸収するための別の適切な材料から構成されるか、またはそれらを含み得る。基板パッチ81aおよび81bが吸着剤である場合、サンプルまたは適用された試薬は、それらの表面に対して直角に基板パッチ81aおよび81bに吸収され得るので、単位面積あたりの吸収されたサンプルまたは試薬の濃度は、非吸着剤表面について可能であるよりも大きくなり得る。
【0179】
サンプルスライド80aがサンプルホルダ1200のポケット1201の内側にあるとき、基板パッチ81aおよび81bに適用される物質、例えば、サンプルチャネル82a、プラズマチャンバ83a、内のサンプル、または1つ以上の液体容器84aに保持される液体物質は、シーリングガスケット86aによって境界付けられるホルダケーシング76aのセクションと、基板パッチ81aまたは基板パッチ81bを含むサンプルスライド80aのセクションのいずれかとの間の密閉空間861aおよび861bに引き込むことができる。密閉空間861aおよび861bの寸法は、サンプルまたは他の液体の層流を得るように(例えば、基板パッチ81aおよび/または81bへのサンプルまたは1つ以上の種類の他の液体の均一な適用を容易にするように)設計され得る。
【0180】
場合によっては、吸引は、密閉空間861aおよび861bに適用され得、一方、適用された物質の供給源は、両方とも空気圧コネクタ78aを介して、ブリーザベントに開かれている。密閉空間861aおよび/または861bが物質によって満たされると、チャンバ77(図6B参照)を介して、密閉空間861aおよび861bに露出される側とは反対側の基板81aの側に吸引を加えることができ、一方、密閉空間861aおよび861bは、空気圧コネクタ78aを介してブリーザベントに開かれている。密閉空間861aおよび861bを満たす物質は、それぞれ基板パッチ81aおよび81bに引き込まれ、こうして、基板パッチ81aおよび81bへの物質の吸収を促進することができる。
【0181】
様々な液体物質をサンプルホルダ1200内に保持することができる。典型的には、サンプルホルダ1200は、複数の液体容器84aを含むことができる。空気圧コネクタ78aの数は、液体容器84aから基板パッチ81aおよび81bへの液体の移送を可能にするように選択され得、追加の空気圧コネクタ78aはブリーザベントに接続される。
【0182】
特定のサンプルホルダ1200は、特定の分析手順または類似の分析手順のファミリーを、例えば、特定のタイプのサンプルに、適用するために構成され得る。例えば、サンプルホルダ1200の一部または全部に、(例えば、サンプルホルダ18の製造業者またはユーザによって)ブリスターパック85a内にそれぞれ密閉される液体物質の選択を提供することができる(サンプルホルダ1200内に挿入可能な任意のタイプの密閉パッケージを含むことができる)。
【0183】
サンプルスライド80aは、サンプルスライド80aがサンプルホルダ1200の内側に完全に挿入されたときに、サンプルスライド80aを所定の位置にロックするロック機構を含んでもよい。例えば、ロック1220を含むことができ、このロックは、サンプルスライド80aがサンプルホルダ1200の内側に完全に挿入されたときに、ロック1220が、例えば、機械アームによって操作され、サンプルスライド80aをその位置に固定し、サンプルスライド80aをサンプルホルダ1200から取り外すことが望まれるときに、ロック1220は、例えば、機械アームによって解放され、サンプルスライド80aを開放し、サンプルホルダ1200から取り外すことができる。
【0184】
図13Aは、本出願のいくつかの実施形態に従って、二重印刷アッセイを実施するように構成されたマトリックス液滴押出機で、サンプルスライドが第一の印刷位置にあるのを示す。
【0185】
図13Bは、本出願のいくつかの実施形態に従って、二重印刷アッセイを実施するように構成されたマトリックス液滴押出機で、サンプルスライドが第二の印刷位置にあるのを示す。
【0186】
マトリックス液滴押出機1300は、本発明のいくつかの実施形態によるサンプル分析システムにおいて使用されてもよい。
【0187】
図13Cは、本発明のいくつかの実施形態によるマトリックス液滴押出機1300の背面を示す。
【0188】
マトリックス液滴押出機1300のケーシング91aは、ドッキングステーション(例えば、ドッキングステーション56)のドッキングステーションコネクタ(例えば、ドッキングステーションコネクタ65、図7B参照)に接続可能であり得る複数のドッキング空気圧コネクタ92aを含んでもよい。例えば、ケーシング91a内のマトリックス液滴押出機1300の内部構造は、空気圧アクチュエータアセンブリ(例えば、ドッキング空気圧コネクタ92を介する空気圧アクチュエータアセンブリ58)によって制御されてもよい。
【0189】
マトリックス液滴押出機1300は、複数の試薬容器(例えば、容器93a)を含み得、そのそれぞれは、液体試薬または他の液体(例えば、洗浄液、油圧液、または他の液体、これらの全ては、便宜上、明確にするために、本明細書中で試薬と呼ばれる)を保持するためのものである。試薬液体は、様々なタイプの試薬容器、例えば、キャニスタの中に提供することができる。例えば、試薬キャニスタは、試薬容器に空にされ得るブリスターパックまたは他の密閉容器を含み得る。
【0190】
マトリックス液滴押出機1300は、試薬容器からの液体試薬の流れを制御して、チャネル配置を介して、液滴マトリックス押出表面571aの特定の穿孔69aに導くように、制御導管および分配チャネルの内部配置を有する液体管理チップを含んでもよく、チャネル配置および分配チャネルは、特定の試薬容器を、液滴マトリックス押出表面571aの1つの穿孔に、より典型的には複数の特定の穿孔69aに、接続するように配置されてもよい。試薬は、例えば、試薬容器において、空気圧が試薬に適用される場合に分配され得る。空気圧で動作可能なゲートを閉じることにより、特定の穿孔69aを通る押し出しを防止することができる。
【0191】
押出マトリックス押出装置1300の押出表面571aは、2つ(またはそれ以上)の別々の印刷ゾーン1302aと1302bを含むことができ、印刷ゾーンのそれぞれは、複数の穿孔69aを備えることができる。別個の印刷ゾーンは、サンプルスライド上のサンプル上に試薬を2回以上印刷することを必要とする分析プロセスに役立つことができる。
【0192】
マトリックス押出表面571a上の印刷ゾーン1302aおよび1302bを洗浄するために、洗浄機1304を設けることができる。洗浄機は、サンプルスライド80aが印刷ゾーンの上に配置されるとき、(図13Aおよび図13Bに示すように)待機(アイドル)位置に配置されてもよい。印刷ゾーンの洗浄が必要とされる場合、洗浄を行うために、洗浄機は、マトリックス押出表面571aの印刷ゾーン1302aおよび1302bの上の位置に(例えば、機械アームによって、または別の搬送機構によって)搬送され得る。
【0193】
洗浄機1304は、印刷ゾーン上に洗浄剤(例えば、洗浄流体)を導入し、印刷ゾーンから洗浄剤を排出するための入口ポート1306を含むことができる。
【0194】
サンプルスライド80aが印刷ゾーンの上にないとき、洗浄機1304を印刷ゾーンの上に配置して、乾燥した物質によって穿孔が閉塞することがないように、ガスケット1308aおよび1308bによって結合された湿ったエンクロージャを穿孔69aの上に維持することができる。
【0195】
図13Aおよび図13Bに示すようなマトリックス液滴押出機は、二重(またはそれ以上の)印刷を必要とするサンプル分析システムでの使用に適している。例えば、分析プロトコル(例えば、ELISA)は、サンプルに第一の抗体を導入し、その後、サンプルに二次抗体を導入することが必要とすることがある。このようなプロトコルステップには、サンプルスライド上に抗体の第一のセットを印刷するステップと、第一の抗体を結合するステップと、結合しなかった第一の抗体の残りを洗浄するステップと、二次抗体の第二のセットを印刷するステップとを含むことができる。
【0196】
本発明のいくつかの実施形態では、サンプル分析システムは、図13Aおよび図13Bに示すものなどの1つ以上のマトリックス液滴押出機を含むことができる。図13Aおよび図13Bに示されるような2つ以上のマトリックス液滴押出機を有することで、印刷オプションの組合せを必要とする様々な分析プロトコルの実行が容易になり得る。したがって、例えば、各患者のサンプルについて、2つ以上の重なり合う印刷アッセイ、または複数の異なる検査(例えば、複数のバイオマーカーについて検査するためで、バイオマーカー検査パネルAについて検査するための第一のマトリックス液滴押出機の上部印刷ゾーン、バイオマーカー検査パネルBについて検査するためのその第一のマトリックス液滴押出機の下部印刷ゾーン、二重印刷アッセイを必要とするバイオマーカー検査パネルCについて検査するための第二のマトリックス液滴押出機の上部印刷ゾーンおよび下部印刷ゾーンなど)を有する分析プロトコルを実施することが可能であり得る。
【0197】
本発明のいくつかの実施形態によるサンプル分析システムは、図13Aおよび図13Bに示すようなマトリックス液滴押出機を含むことができる。サンプルスライド80aを、サンプルホルダ1200から取り出し、第一の印刷ゾーン1302a上に配置することができ、第一の抗体の第一のアレイの印刷がサンプルスライド(例えば、サンプル膜)上で行われる。次に、サンプルスライド80aを第一の印刷位置から取り出し、サンプルホルダ1200に戻し、追加の処理(例えば、洗浄)を行ってから、再びサンプルホルダ1200から取り出し、第二の印刷ゾーン1302b上に配置することができ、二次抗体の第二のアレイの印刷は、第一の抗体の印刷された第一のアレイ上で行われる。印刷ゾーンの1つの上に配置されると、サンプルスライド80a(図12Bを参照)の穴1227を使用して、適合するピンと協働して、サンプルスライド80aを適切な印刷ゾーンの上に適切に整列(位置合わせ)することができる。
【0198】
本発明のいくつかの実施形態は、種々のアッセイ(例えば、直接アッセイ、間接アッセイ、サンドイッチアッセイなど)を実施する際に使用され得る。
【0199】
図13Dは、図13Aおよび図13Bに示すマトリックス液滴押出機の洗浄機1304の正面図である。
【0200】
洗浄機1304は、2つ(またはそれ以上)の絶縁された洗浄エンクロージャ1310aおよび1310bを含んでもよく、これらのエンクロージャは、例えば、それぞれ洗浄エンクロージャ1310aおよび1310bを絶縁的に囲むガスケット1308aおよび1308bによって互いに分離される。
【0201】
洗浄剤(例えば、液体)を洗浄エンクロージャ1310aおよび1310bに導入し、洗浄機をこれらの印刷ゾーンの上に置き、操作したときに、印刷ゾーン1302aおよび1302bを洗浄するために、1回または複数回のサイクルでこれらのエンクロージャから排出することができる。洗浄機は、洗浄液を収容するための第一の容器と、印刷ゾーンを洗浄するために使用された後の洗浄剤を収容するための第二の容器とに接続されてもよい。
【0202】
図14は、本発明のいくつかの実施形態に従うサンプル分析システム1400の概略図である。
【0203】
サンプル分析システム1400は、マトリックス液滴押出機1300を収容するハウジング1420と、可動ドッキングステーション1415上のサンプルホルダ1200を入力ポート1402からマトリックス液滴押出機1300に面する位置に移動させるための、またはサンプルホルダ1200をマトリックス液滴押出機1300に面するドッキングステーション1415に移動させるための直線変位機構1404と、サンプルスライド80aと係合し、それをマトリックス液滴押出機1300の押出表面上の少なくとも1つの印刷位置に持ち上げるための持上げ機構1406とを含むことができる搬送機構とを含むことができる。いくつかの実施形態では、持上げ機構1406は、サンプルスライド80aと係合し、それをマトリックス液滴押出機1300の押出表面上の第一の印刷位置および/または第二の印刷位置に持ち上げるように構成される。印刷が完了した後、持上げ機構および/または変位機構1404は、撮像装置でサンプルスライド80aの画像を取得するために、撮像装置1416(例えば、カメラ)の前にサンプルスライド80aを配置する。画像を取得した後、サンプルスライド80aを有するサンプルホルダ1200は、ポート1422を通って廃棄容器1424に廃棄され、そこに保持される。コントローラ1410が設けられ、変位機構1404、持上げ機構1406、ドッキングステーション1415、および撮像装置1416の動作を制御するように構成される。
【0204】
搬送機構(例えば、変位機構および/または昇降機構)は、1つまたは複数の軌道、モータおよびトランスミッション、チェーンおよび/またはベルト、および/または物体を変位および/または昇降させるための任意の他の既知の1つまたは複数の機構を備えることができる。
【0205】
サンプル分析システム1400は、本発明のいくつかの実施形態によれば、患者の生体サンプル(例えば、血液、尿、唾液など)に対する様々な検査を実施するために、ポイントオブケアで使用されてもよい。各患者には、その患者の検査対象のサンプルが装填される単一のサンプルホルダを割り当てることができる。各患者のサンプルスライドは、例えば、上述のような様々な検査段階を受け、検査が完了すると、その患者のサンプルスライドを有するサンプルホルダは、廃棄容器内に処分されてもよい。時々、または廃棄容器が充填されると、廃棄容器はポート1426を介して空にされてもよく、または廃棄容器全体が新しい空の廃棄容器と交換されてもよい。使用済みのサンプルスライドを有する使用済みのサンプルホルダは、適切な医療基準に従って、生物学的廃棄物のために処理され得ることが好ましい。
【0206】
様々な実施形態が、本明細書では開示されている。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができ、したがって、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組合せとすることができる。本発明に係る実施形態の上記の記載は、例示および説明の目的で提示されている。開示された正確な形態で、本発明を網羅することも、あるいは限定することも意図するものではない。上記の教示に照らして、多くの修正、変形、置換、変更、および均等物が可能であることを、当業者は理解すべきである。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にあるような全てのそのような修正および変更を網羅することを意図していることを理解されたい。
【0207】
本発明の特定の特徴を本明細書に例示し、説明してきたが、当業者には、多くの修正、置換、変化、および均等物が、今や思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にあるような全てのそのような修正および変更を網羅することを意図していることを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
【国際調査報告】