(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】加工品を製品にする方法と装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20220415BHJP
B23K 26/146 20140101ALI20220415BHJP
A44C 27/00 20060101ALI20220415BHJP
C30B 33/04 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
B23K26/38 Z
B23K26/146
A44C27/00
C30B33/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552140
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2020054970
(87)【国際公開番号】W WO2020178090
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506387498
【氏名又は名称】シノヴァ エスアー
【氏名又は名称原語表記】SYNOVA SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル クレコ、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】パウシュ、ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】リヘルツハーゲン、ベルナルド
【テーマコード(参考)】
3B114
4E168
4G077
【Fターム(参考)】
3B114AA21
3B114JA00
4E168AD07
4E168CA05
4E168CB07
4E168DA42
4E168DA43
4E168EA08
4E168GA05
4E168JA11
4G077AA02
4G077BA03
4G077FG11
4G077FG16
4G077FH08
(57)【要約】
本発明は、加工品、具体的にはダイヤモンド原石を製品、具体的にはブリリアントに加工する方法および装置に関するものである。この方法は、加圧された流体ジェットに結合されるレーザービームを提供する装置によって実行される。この方法は、所定のカット順序に従って、レーザービームで加工品を多数回カットし、完了したカットごとに加工品材料を除去することを含む。また、この方法は、所定の回転順序に従って、加工品を同じ回転軸の周りに多回転させることを含む。これにより、回転が実行されるのは完了したカットの後であり、カットを実行するためにレーザービームは二次元の経路に沿って移動される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された流体ジェット(104)に結合されるレーザービーム(103)を提供する装置(300)によって実行されて加工品(101)を製品(102)に加工する方法であって、前記方法は、
所定のカット順序(105)に従って前記レーザービーム(103)で前記加工品(101)を多数回カットし、完了したカットごとに加工品材料を除去するステップ(110)と、
所定の回転順序(107)に従って前記加工品(101)を同じ回転軸(106)の周りに多回転させるステップ(120)と、を含み、
回転が実行される(120)のは、完了したカットの後であり、
カットを実行する(110)ために前記レーザービーム(103)は二次元の経路(108)に沿って移動される
ことを特徴とする方法(100)。
【請求項2】
各々の完了したカットの後に、前記所定の回転順序(107)で決定された角度だけ一回の回転が実行され(120)、
カットを実行する(110)ため、前記所定のカット順序(105)で決定された二次元経路(108)に沿って前記レーザービーム(103)を一回移動させる
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記方法(100)は、
前記装置(300)の光学センサ(301)を用いて、各々の実行されたカットの後に、当該カットが完了したか否かを判断するステップをさらに含む
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記方法(100)は、
前記加工品(101)を回転させるステップ、具体的には、カットが完了したと判断した場合には、前記加工品を180°回転させてから再び同じカットを実行する(110)ステップと、
前記加工品(101)を回転させた後に実行された同じカットも完了したとさらに判断した場合には、前記所定のカット順序(105)に従って次のカットを実行する(110)ステップと、をさらに含む
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記方法(100)は、
カットが完了したと判断した場合、前記流体ジェット(104)を前記加工品(101)から遠ざけて、カットが完了したので前記加工品から材料を取り除くべきであった所定位置に移動させるステップと、
前記所定の位置で前記レーザービームを作動させるステップと、
前記所定の位置に加工品材料があるかどうかを前記光学センサで判断するステップと、をさらに含む
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記方法(100)は、
カットが完了しなかったと判断した場合、カットが完了したと判断するまで、前記加工品(101)を回転させずに同じカットを一回以上再実行する(110)ステップをさらに含む
ことを特徴とする、請求項4または5に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記加工品(101)はダイヤモンド原石(800)であり、
前記製品(102)は複数のファセット(701)からなるブリリアント(700)であって、
前記複数のファセット(701)のうち特定のファセット(701)は、各々、カットが完了するまで一回以上カットを実行する(110)ことによって加工される
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項8】
特定の前記ファセット(701)を形成するに際しては、
前記レーザービーム(103)は前記ファセット(701)の長さに沿って常に移動させてカットを実行する(110)
ことを特徴とする、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記回転軸(106)は加圧された前記流体ジェット(104)および前記レーザービーム(103)に垂直である
ことを特徴とする、請求項7または8に記載の方法(100)。
【請求項10】
特定の前記ファセットを形成するに際しては、前記レーザービーム(103)を前記ファセット(701)の幅に沿って常に移動させてカットを実行する(110)
ことを特徴とする、請求項7に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記回転軸(106)は、加圧された前記流体ジェット(104)および前記レーザービーム(103)に対して非垂直である
ことを特徴とする、請求項7または10に記載の方法(100)。
【請求項12】
特定の前記ファセット(701)を形成するに際しては、
前記レーザービーム(103)を前記二次元経路(108)に沿って前後に移動させて、カットを多数回実行する(110)
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項13】
特定の前記ファセット(701)を形成するに際しては、
前記レーザービーム(103)を前記二次元経路(108)に沿って常に同じ方向に移動させ、カットを多数回実行する(110)
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項14】
特定の前記ファセット(701)を形成するに際しては、
前記レーザービーム(103)を前記ファセット(701)の頂点(1000)に向けて常に移動させてカットを実行するか(110)、または、
前記レーザービーム(103)を前記ファセット(701)の頂点(1000)から遠ざかるように常に移動させてカットを実行する(110)
ことを特徴とする、請求項13に記載されていて、かつ、請求項8または9に記載の方法(100)。
【請求項15】
特定の前記ファセット(701)を形成するに際しては、
前記レーザービーム(103)を以前に形成したファセット(1100)に位置決めしてカットを実行する(110)
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項14のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項16】
特定の前記ファセット(701)を形成するに際しては、
前記レーザービーム(103)を前記ダイヤモンド原石(800)の未カット面(1101)に位置決めしてカットを実行する(110)
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項14のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項17】
複数の前記ファセット(701)は、目に付いた順序に従って形成される
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項14のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項18】
ロワーガードルファセット(703)の前に、パビリオンファセット(702)を形成し、好ましくは
ガードルファセット(703)、次にベゼルファセット(706)、次にアッパーガードルファセット(705)、次にスターファセット(707)をさらに形成する
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項17のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項19】
第一グループの不連続なガードルファセット(703)、具体的には左ロワーガードルファセット(703)または右ロワーガードルファセット(703)は、第二グループの不連続なロワーガードルファセット(703)、具体的には右ロワーガードルファセット(703)または左ロワーガードルファセット(703)がそれぞれ形成される前に、形成される
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項18のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項20】
ロアガードルファセット(703)および/またはアッパーガードルファセット(705)を形成する前に、前記ダイヤモンド原石(800)を回転して、比較的大きなカット角度を与える辺からカットが実行される(110)ようにする
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項19のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項21】
前記装置(300)の流体ジェットに誘導される前記レーザービーム(103,104)および前記光学センサ(301)を用いて、前記カット順序(105)および前記回転順序(107)に従って前記ダイヤモンド原石(800)を自動的にカットすることによって、前記ブリリアント(700)の57個のファセット(701)を形成する
ことを特徴とする、請求項7乃至請求項20のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項22】
加工品(101)を製品(102)に加工する装置(300)であって、前記装置(300)は、
加圧された流体ジェット(104)に結合されるレーザービーム(103)を提供するように構成された加工部(302)と、
前記加工部(302)を制御して、
●所定のカット順序(105)に従って前記レーザービーム(103)で前記加 工品(101)を多数回カットし、完了したカットごとに加工品材料を除去 することと、
●所定の回転順序(107)に従って前記加工品(101)を同じ回転軸(10 6)の周りに多回転させることと、を実行する
ように構成された制御部(303)と、
少なくとも、実行されたカットが完了したか、実行されたカットが完了しなかったか、という各状態の各々を判断するように構成された光学センサ(301)と、を備え、
完了したカットの後には回転が実行され、
前記レーザービーム(103)は、カットを実行するために二次元経路(108)に沿って移動される
ことを特徴とする装置(300)
【請求項23】
コンピュータで実行されたときに、請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載の方法を実行するための、および/または、請求項22に記載の前記装置を制御するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工品、具体的にはダイヤモンド原石または他の超硬質材料を、製品、具体的にはブリリアントや他のファセットの宝石に、加工する方法および装置に関する。本方法は本装置を使用し、本装置は、加圧された流体ジェットに結合されるレーザービームを提供するように構成される。レーザービームを使用して加工品を多数回カットし、製品に仕上げる。製品は、加工品から全自動で加工することができる。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンド(天然)や人工ダイヤモンドのような超硬質材料から成る加工品を、所望の複雑な形状の製品に成形することは非常に困難である。特に、高い成形精度が求められる場合はそうである。例えば、ダイヤモンド(原石)は通常、「ラウンド」「ブリリアント」「エメラルド」「ペア」「プリンセス」などの複雑な形状に加工される。これらの複雑な形状には複数のファセットがあり、これらのファセットを非常に高い精度でカットする必要がある。
【0003】
例えば、ダイヤモンド原石をブリリアント(またはその他のファセットの宝石)に加工する従来の方法には、カット工程(例えば、クリービング、ソーイング、および/またはブルーティング)および研磨工程が含まれる。特に、カット工程と研磨工程は手作業で行われることが多い。そのため、典型的には、最初に一連の第一次ファセットを加工し、続いてファセットを確認しながら最初の計画と比較する。その後、一連の第一次ファセットを修正することもあり、計画を練り直す必要がある場合もある。次に、一連の第二次ファセットの加工として、加工したファセットの確認が同様に行われ、オプションとして修正することもできる。このように、例えばダイヤモンド原石をブリリアントとして全ファセットを備えたものに成形するという完結した加工工程は、非常に時間がかかるものであることが容易に理解できる。さらに、各ファセットの品質を頻繁に確認する必要がある。
【0004】
もちろん、従来のカット・研磨加工技術を用いて上述の工程を支援することの検討も行われてきた。例えば、ダイヤモンドを成形してファセットにするために、特殊なソーやレーザー工具が提案されてきた。しかし、このような加工技術を用いても、人間の介入なしに、そして製品の中間確認や場合によっては計画の練り直しを行わずに、ダイヤモンドを完全に宝石に成形することはできない。したがって、このような加工技術を採用する場合であっても、全体の手順数は依然としてはるかに高すぎる。
【0005】
したがって、本発明の各実施形態は、加工品、特にダイヤモンドのような超硬質の加工品を製品に、特にブリリアントのようなファセットの宝石に加工する従来の方法を改善することを目的とする。特に、人手を介さずに加工品から全自動で製品に加工することができる方法および装置を提供することを目的とする。製品を完成させるための全体の手順数を大幅に短縮する必要がある。また、製品は非常に高い精度で加工する必要がある。成形工程の最中に、製品の中間確認や計画の練り直しは不要である必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目標は、特に、あらゆる種類の材料、具体的には新しい合金材料に対して、そして硬いおよび/または脆い材料に対しても達成可能である必要がある。しかしながら、本発明の各実施形態の主な焦点は、ダイヤモンドをブリリアントまたは他のファセットの宝石に自動的に成形することである。この点に関して、全自動処理を行う解決策は今のところ存在しない。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の目的は、本願の独立請求項に示される実施形態によって達成される。これらの実施形態の有利な実施例は、従属請求項に定義されている。
【0008】
特に、本発明の各実施形態は、一般に、方法を実施するための装置の使用に基づいており、この装置は、内部反射によって流体ジェットに誘導されるレーザービームを提供する。この流体ジェットに誘導されるレーザービームは、たとえダイヤモンドのような超硬質の加工品材料であっても、加工品を非常に高い精度で効率的にカットすることができる。さらに、この方法は、レーザービームで加工品から連続的に断片をカットし、つまり加工品から多量の材料を削ぎ落とし、加工品を回転させることで、所望の複雑な形状の製品を作るという構想に基づくものである。加工品の総体積は、例えば、1mm3から20000mm3の間とすることができる。
【0009】
本発明の実施形態に係るこのような方法、すなわち流体ジェットに誘導されるレーザービームを提供する装置を使用する場合に特に課題となるのは、人間の介入なしに当該装置が迅速かつ完全自動で動作するように保証することである。そのためには、非常に正確なカットを行い、さらに、カットが完了した場合には迅速かつ正確に判断する必要がある。さらに課題となるのは、例えば、ブリリアントにする際にどのファセットをどの順番でどの角度でカットするのかを決定するカット戦略を見つけて、各カットの高い表面品質と効率的な処理時間と常に安定したカット作業と、を同時に保証することである。特に、流体ジェットの存在も考慮に入れる必要がある。
【0010】
本発明の第一の態様は、加圧された流体ジェットに結合されるレーザービームを提供する装置によって実行されて加工品を製品に加工する方法を提供し、前記方法は、所定のカット順序に従って前記レーザービームで前記加工品を多数回カットし、完了したカットごとに加工品材料を除去するステップと、所定の回転順序に従って前記加工品を同じ回転軸の周りに多回転させるステップと、を含み、回転が実行されるのは、完了したカットの後であり、カットを実行するために前記レーザービームは二次元の経路に沿って移動される。
【0011】
前記製品は、従来の計画用の用具および/またはソフトウェアで計画してもよく、最終製品の形状に関連するデータは、抽出されて装置によって読取可能な機械コードに変換されてもよい。この事前計画が、結果的にそれぞれ前記所定のカット順序および前記所定の回転順序となってもよく、各順序は前記第一の態様の方法で入力として使用され、具体的に前記装置に供給される。
【0012】
前記第一の態様の方法では、前記カット順序および前記回転順序に従ってカットおよび回転を人手を介さずに実行することによって、前記加工品から前記製品を完全に成形することができる。回転軸が一つしかないという事実と、前記レーザービームは各カットを実行するのに二次元の経路に沿ってしか移動しないという理由と、によって、前記方法は非常に高速かつ正確に実行することができる。つまり、前記製品は、非常に時間を節約して高品質に成形することができる。途中で品質確認をしたり計画を練り直す必要がないので、人手を介す必要はない。
【0013】
とりわけ、カットとは、前記カット順序における命令に関するもので、前記レーザービームを二次元経路に沿って移動させることによって、前記加工品から削ぎ落とされる材料の断片を決定するものである。カットが完了する(「完了したカット」)のは、前記材料の断片が完全に削ぎ落とされたとき、すなわち、前記加工品の残りの部分から分離されたときである。カットが完了するまで、そのカットを一回以上実行することができる(「実行されたカット」)、すなわち、このカットのために二次元経路に沿って前記レーザービームを移動させるのを繰り返すことができる。
【0014】
高いカット精度は、特に、流体に誘導された前記レーザービームによって達成され、その結果、前記加工品は、計画通り、事実上は完全に製品に成形することができる。また、この方法によれば、除去される材料に関して最適化が可能になる。例に挙げれば、除去される材料は、例えば、ダイヤモンド原石からブリリアント(Aストーン)を成形する場合にはBストーンやCストーンなどの追加の製品を成形するために使用することができる。
【0015】
前記方法の実施例の形態では、加工された前記製品は、所望の製品よりも大きく、例えば、20μm~100μm大きくすることができる。こうすれば、例えば、前記製品をさらに研磨したり修正したりすることができる。例えば、前記レーザービームは、加工品材料の一部を黒鉛化することがあるが、当該部は、例えば、ショットブラスター、サンディング、従来の研磨などで除去することができる。
【0016】
前記方法の実施例の形態では、各々の完了したカットの後に、前記所定の回転順序で決定された角度だけ一回の回転が実行され、カットを実行するため、前記所定のカット順序で決定された二次元経路に沿って前記レーザービームを一回移動させる。
【0017】
前記方法は、このようにして非常に迅速かつ正確に実行することができる。流体ジェットに誘導される前記レーザービームは、まさにこのようにして効率的なカットを可能にする。
【0018】
前記方法の実施例の形態では、二次元形状は、直線および/または円弧を含む。
【0019】
すなわち、流体ジェットに誘導される前記レーザービームは、一次元または二次元に移動される。流体ジェットに誘導される前記レーザービームの二次元的な移動は、前記装置によって、例えばコンピュータによる数値制御(CNC)を用いて、迅速かつ正確に行うことができる。
【0020】
一実施例の形態では、前記方法は、前記装置の光学センサを用いて、各々の実行されたカットの後に、当該カットが完了したか否かを判断することをさらに含む。
【0021】
前記センサの使用、特に完了したカットを判断する能力によって、前記製品を完全に自動化された迅速なやり方で加工することができる。例を挙げれば、これによって、前記センサがカットが完了したという信号を送るまで、一回以上のカットを実行することが可能になる。前記センサは、例えば前記装置の制御部などの、処理回路によって支援される。前記制御部は、例えば、カットが完了したか完了していないかを示したパターンに関して、前記センサの信号を評価することができる。
【0022】
一実施例の形態では、前記方法は、前記加工品を回転させるステップ、具体的には、カットが完了したと判断した場合には、前記加工品を180°回転させてから再び同じカットを実行するステップと、前記加工品を回転させた後に実行された同じカットも完了したとさらに判断した場合には、前記所定のカット順序に従って次のカットを実行するステップと、をさらに含む。
【0023】
この補正動作(以下では「180°補正動作」と呼ぶが、180°以外の角度でも可能)によって、前記センサがそうであると判断した場合には、実際にカットが完了したことが保証される。これによって、前記方法の信頼性と安定性が大幅に向上する。
【0024】
前記センサは、例えば、前記加工品の表面からの電磁放射(発光)を測定するように構成されたセンサであってもよく、この電磁放射は、例を挙げれば、前記加工品をカットする際に導出される(二次発光)ものであってもよいし、前記加工品から反射されるレーザー光であってもよい。この放射における発光パターンに基づいて、前記センサ信号から、例えば、前記センサ自体または処理回路を含む制御部によって、カットが実際に完了したか否かを判断することができる。実際に、前記光学センサおよび/または制御部は、実行されたカットが完了した、実行されたカットが完了しなかった、カットを実行しても加工品材料が全く除去されなかった、という各条件の各々を判断するように構成することができる。これらの条件を判断することができるので、前記製品を自動的かつ迅速に成形することができる。
【0025】
前記加工品がダイヤモンド原石の場合、カットが完了したと誤認して、(包含物、空隙、不純物などにより)カット処理が停止してしまうことがあり得る。したがって、確認機構として180°補正動作を実装することは、ダイヤモンド原石をカットする際に特に有効である。
【0026】
一実施例の形態では、前記方法は、カットが完了したと判断した場合、前記流体ジェットを前記加工品から遠ざけて、カットが完了したので前記加工品から材料を取り除くべきであった所定位置に移動させるステップと、前記所定の位置で前記レーザービームを作動させるステップと、前記所定の位置に加工品材料があるかどうかを前記光学センサで判断するステップと、をさらに含む。
【0027】
これによって、180°補正動作に代わる確認機構が提供されることになり、カットが完了したという前記光学センサによる判断やそのように動作する前記光学センサの正しさを確認するためにも使用できる。具体的には、前記流体ジェットを(できればレーザービームを止めて)材料の断片が落ちたはずの場所に移動させ、前記レーザービームを動作させて、その位置に材料があるか何もないかを前記光学センサで確認する。
【0028】
一実施例の形態では、前記方法は、カットが完了しなかったと判断した場合、カットが完了したと判断するまで、前記加工品を回転させずに同じカットを一回以上再実行するステップをさらに含む。
【0029】
このようにして、カットは、完了するまで多数回(必ずしも同じ方向である必要はないが、同じ二次元の経路を辿って)迅速に繰り返すことができる。
【0030】
前記方法の一実施例の形態では、前記加工品はダイヤモンド原石であり、前記製品は複数のファセットからなるブリリアントであって、前記複数のファセットのうち特定のファセットは、各々、カットが完了するまで一回以上カットを実行することによって加工される。
【0031】
「ブリリアント」という用語には、「ラウンド」「エメラルド」「ペア」「プリンセス」のようなファセットの宝石が含まれる。前記光センサの支援がある、前記流体ジェットに誘導されるレーザービームによるカットは、ダイヤモンドのすべてのファセットを短い処理時間で自動的に加工するのに特に有利である。以下では、有利な各カット戦略、特に流体ジェットに誘導されるレーザービームでダイヤモンド原石をブリリアントに成形するために設計されたものを提案する。
【0032】
前記方法の一実施例の形態では、特定の前記ファセットを形成するに際しては、前記レーザービームは前記ファセットの長さに沿って常に移動してカットを実行する。
【0033】
これを本明細書では「サイド・オン」カット戦略と呼ぶ。「ファセットの長さに沿って」移動するとは、ファセットの長い方に沿って移動することを意味する。つまり、ファセットの頂点に向かって、または頂点から遠ざかって、特に典型的な三角形のファセットの頂点と底辺を結ぶ方向に移動することを意味する。この「サイド・オン」カット戦略では、上述の180°修正動作が可能になる。さらに、このカット戦略では、ファセットをカットする際に、ダイヤモンド材料の大きな部分を回収することが可能である。これらの大きな部分を使用して、ダイヤモンド原石の材料からファセットのある別の複数の宝石を加工できる可能性がある。また、このカット戦略によれば、非常に短い処理時間が実現できる。
【0034】
前記方法の一実施例の形態では、前記回転軸は加圧された前記流体ジェットおよび前記レーザービームに垂直である。
【0035】
この実施例の形態では、前記回転軸の周りに回転させることと、前記レーザービームを二つの方向(例えば、x-y-z座標系におけるx-y方向で、z方向は前記流体ジェットに平行)に沿って移動させることと、を組み合わせれば、ブリリアントのすべてのファセットを形成するのに十分である。
【0036】
前記方法の一実施例の形態では、前記ダイヤモンド原石は、テーブルが前記装置の回転可能部に取り付けられ、前記回転軸は前記テーブルの表面に垂直である。
【0037】
こうして、ダイヤモンド原石を前記装置に正確に取り付けることができ、正確にカットされたファセットを実現することができる。前記装置の回転可能部は、いわゆる「ドップ」であってもよい。前記回転可能部は、ダイヤモンド原石の石板よりも少なくとも10%、具体的には(直径/幅で)少なくとも20%小さくてもよい。こうすれば、ブリリアントのベゼルファセットやスターファセットにするのに最高のカット性能を発揮することができる。
【0038】
前記テーブルは、ダイヤモンド原石として事前にカットされていてもよい。前記テーブルは、前記装置に固定する前に研磨するのが好ましい。しかし、前記テーブルは特定の許容量を残してカットしただけでもよい。前記テーブルを固定することで、ブリリアントの品質が向上する。なぜなら、ダイヤモンドをカットするときの角度的なミスが減るからであり、角度的なミスは、面加工されたブリリアントに狂いが生じるからである。前記回転軸から前記テーブルの表面までの角度のずれは、1°以下、好ましくは0.5°以下、より具体的には0.1°以下である。
【0039】
前記方法の一実施例の形態では、特定のファセットを形成するに際しては、前記レーザービームをファセットの幅に沿って常に移動させてカットを実行する。
【0040】
これを本明細書では「エンド・オン」カット戦略と呼ぶ。「ファセットの幅に沿って」移動するとは、ファセットの短辺に沿って移動することを意味する。つまり、ファセットの頂点に向かってでもなく、頂点から遠ざかる方向でもなく、ブリリアントの典型的な三角形のファセットを横切ることである。
【0041】
ダイヤモンドは、キューレットが上を向くように、つまり、前記キューレットが流体ジェットに結合される前記レーザービームを供給する前記装置の方向に向くように配置することができる。本明細書では、これを「キューレット・アップ」カット戦略と呼び、ダイヤモンドをテーブルを介して前記装置に取り付けることに有利に対応している。ダイヤモンドは、そのテーブルが上向きになるように、つまり、前記テーブルが流体ジェットに結合される前記レーザービームを供給する前記装置の方向に向くように配置することもできる。本明細書では、これを「テーブル・アップ」カット戦略と呼び、ファセットをその厚い部分から取り組むことができ、および/または20°を超えるカット角度で取り組むことができるという利点がある。こうすれば、カットの信頼性が向上する。
【0042】
前記方法の一実施例の形態では、前記回転軸は、加圧された前記流体ジェットおよび前記レーザービームに対して非垂直である。
【0043】
すなわち、ダイヤモンドは、前記回転軸が前記流体ジェットおよび前記レーザービームに対して、それぞれ一定の角度で配置されるように取り付けることができる。例えば、前記回転軸と前記レーザービームの方向が成す角度は、前記回転軸と現在カットされているファセットが成す角度と同一にできる。したがって、この角度は、ブリリアントの形状によって決まる(通常、パビリオンファセットは42.25°、クラウンファセットは34.5°)。この場合、ブリリアントのすべてのファセットを加工するには、前記回転軸の周りに回転して前記レーザーを一方向(例えば、x-y-z座標系のx方向またはy方向、ここでz方向は前記流体ジェットと平行)に移動させるだけで十分である。
【0044】
前記方法の一実施例の形態では、特定の前記ファセットを形成するに際しては、前記レーザービームを前記二次元経路に沿って前後に移動させて、カットを多数回実行する。
【0045】
本明細書では、これを「バック・アンド・フォース」カット戦略と呼ぶ。このカット戦略によれば、カット時間を短縮することができる。
【0046】
前記方法の一実施例の形態では、特定のファセットを形成するに際しては、前記レーザービームを前記二次元経路に沿って常に同じ方向に移動させ、カットを多数回実行する。
【0047】
これは、通常、本明細書では「ワン・ディレクション」カット戦略と呼ぶ。このカット戦略では、上述した180°回転補正動作が有利に可能である。
【0048】
前記方法の一実施例の形態では、特定の前記ファセットを形成するに際しては、前記レーザービームをファセットの頂点に向けて常に移動させてカットを実行するか、または、前記レーザービームを前記ファセットの頂点から遠ざかるように常に移動させてカットを実行する。
【0049】
これらは「ワン・ディレクション」カット戦略の仕様であり、本明細書ではそれぞれ「ダウンヒル」カット戦略、「アップヒル」カット戦略と呼ぶ。前者のカット戦略は、より効率的なカット処理を提供する。さらに、このカット処理は、前記流体ジェットの不安定さの影響を受けにくい。後者のカット戦略では、ファセットの厚い方から取り組むことができるので、カットの信頼性が高くなる。
【0050】
前記方法の一実施例の形態では、特定の前記ファセットを形成するに際しては、前記レーザービームを以前に形成したファセットに位置決めしてカットを実行する。
【0051】
これは、決定されたファセットグループが次々にカットされるので、本明細書では「グループト・フレッシュ」カット戦略と呼ぶ。有利な点は、上述の180°補正動作が可能であることである。さらに、各々の新しいカットは、常にダイヤモンド/ブリリアントの切りたての(直前にカットされた)表面/ファセットで始まるという利点があり、特に流体ジェットに誘導されるレーザービームの使用と組み合わせて、より高い品質をもたらす。
【0052】
前記方法の一実施例の形態では、特定のファセットを形成するに際しては、前記レーザービームを前記ダイヤモンド原石の未カット面に位置決めしてカットを実行する。
【0053】
これは、決定されたファセットグループが次々にカットされるので、本明細書では「グループト・ラフ」カット戦略と呼ぶ。有利な点は、上述の180°補正動作が可能なことである。さらに、ブリリアントの典型的な三角形のファセットを形成するために、除去される薄切りの鋭角の内側から(すなわち、除去される薄切りの厚い部分から)ダイヤモンド原石に取り組むことができるという利点がある。
【0054】
前記方法の一実施例の形態では、複数の前記ファセットは、目に付いた順序に従って形成される。
【0055】
有利な点として、最初に「最大の」各爪状体をダイヤモンド原石から取り除くことができるので、他の宝石をカットする目的で再利用できる。
【0056】
前記方法の一実施例の形態では、ロワーガードルファセットの前に、パビリオンファセットを形成し、好ましくはガードルファセット、次にベゼルファセット、次にアッパーガードルファセット、次にスターファセットをさらに形成する。
【0057】
このカット順序は、本発明の装置を使用する際のカット時間を最適化する。ベゼル・ファセットの前にパビリオンを形成することは、流体ジェットに誘導されるレーザービームを使用する場合に特に有益である。
【0058】
前記方法の一実施例の形態では、第一グループの不連続なガードルファセット、具体的には左ロワーガードルファセットまたは右ロワーガードルファセットは、第二グループの不連続なロワーガードルファセット、具体的には右ロワーガードルファセットまたは左ロワーガードルファセットがそれぞれ形成される前に、形成される。
【0059】
このグループ化は、上述の「グループト・フレッシュ」カット戦略および「グループト・ラフ」カット戦略に適している。これによれば、ロワーガードルファセットを形成するに際しては、最大のカット角度を前記レーザービームに与えるように、有益にダイヤモンド原石を配向させることができる。したがって、カットの信頼性を高めることができる。
【0060】
前記方法の一実施例の形態では、ロアガードルファセットおよび/またはアッパーガードルファセットを形成する前に、前記ダイヤモンド原石を回転して、比較的大きなカット角度を与える辺からカットが実行されるようにする。
【0061】
したがって、低角度でのカットを避けることができる。これは、流体ジェットに誘導されるレーザービームの使用と組み合わせて特に有効である。例えば、ブリリアントの下側・下部(パビリオン)には、二種類のファセット(パビリオンファセットおよびロワーガードルファセット)がある。これらは、互いに22.5°または11.25°の角度で配置されている。ファセットの加工は、11.25°カットよりも22.5°カットの方が有利になるように指示される。
【0062】
前記方法の一実施例の形態では、ブリリアントは、0.1ct~100ctのサイズを有し、具体的には0.2ct~5ctのサイズを有する。
【0063】
前記方法の一実施例の形態では、カットの実行と完了によってダイヤモンド原石から材料を除去する速度は、0.8ct~2.5ct/hである。
【0064】
これらは、一方では、機械的な制約や固定に関する制約を、他方では、材料の体積が大きくなって品質管理が難しくなりすぎるのを、避けるための最適なサイズと切断速度である。
【0065】
前記方法の一実施例の形態では、前記装置の流体ジェットに誘導される前記レーザービームおよび前記光学センサを用いて、前記カット順序および前記回転順序に従って前記ダイヤモンド原石を自動的にカットすることによって、前記ブリリアントの57個のファセットを形成する。
【0066】
したがって、前記光学センサーを利用して、宝石を全自動で素早く形成することができる。これは、本発明に記載のように、流体ジェットに誘導されるレーザービームと、光学センサおよび/または制御部と、カット戦略の選択と、を有利に組み合わせることによって可能になる。
【0067】
都合がよいことに、ダイヤモンド原石は、1ct~5ctのサイズであれば、8時間未満、具体的には5時間未満の時間でブリリアントに加工することができる。製品の形成プロセスは、わずか30分から4時間(小さいサイズの場合)で済むことさえある。第一の態様の方法を用いれば、最大1000個のファセットを人手を介さずに正確に形成することができる。
【0068】
注目すべきは、第一の態様の方法を実行した後、製品、特にブリリアントは、伝統的な方法で、さらに研磨や仕上げや平滑化などを行うことができる。
【0069】
本発明の第二の態様は、加工品を製品に加工する装置を提供し、前記装置は、加圧された流体ジェットに結合されるレーザービームを提供するように構成された加工部と、前記加工部を制御して、所定のカット順序に従って前記レーザービームで前記加工品を多数回カットし、完了したカットごとに加工品材料を除去することと、所定の回転順序に従って前記加工品を同じ回転軸の周りに多回転させることと、を実行するように構成された制御部と、少なくとも、実行されたカットが完了したか、実行されたカットが完了しなかったか、という各状態の各々を判断するように構成された光学センサーと、を備え、完了したカットの後には回転が実行され、前記レーザービームは、カットを実行するために二次元経路に沿って移動される。
【0070】
状態を判断するために、前記光学センサは前記制御部に信号を提供することができ、前記制御部はその信号を評価して判断結果を出力する。ただし、前記光学センサが既に前記判断結果を提供していてもよい。前記光学センサは、追加で、「カットを実行しても加工品材料が全く除去されなかった」という状態を判断するように構成することができる。
【0071】
都合がよいことに、第二の態様の前記装置は、流体ジェットに誘導される前記レーザービームと、前記光学センサと、前記加工品を取り付ける回転手段と、を組み合わせて、前記製品を全自動で製造することができるようになっている。前記装置は、特に、ダイヤモンド原石からブリリアントまたは他のファセットの宝石を加工するために設計されている。前記装置は、前記所定のカット順序および所定の回転順序に基づいて、上述したカット戦略のいずれでも実行することができる。
【0072】
第二の態様による前記装置は、第一の態様の前記方法に関して説明した実施例の各形態に従って実施することができる。例えば、前記装置は、様々なカット戦略に従うことができ、ダイヤモンドから完全なブリリアントを形成することができる。したがって、前記装置は、第一の態様に関して上述したすべての利点を享受することができる。
【0073】
本発明の第三の態様は、コンピュータプログラム(またはコンピュータプログラム製品)を提供し、前記コンピュータプログラムは、コンピュータで実行されたときに、第一の態様による前記方法またはそのいずれかの実施例を実行するための、および/または、第二の態様による前記装置を制御するためのプログラムコードを含む。
【0074】
本発明の第四の態様は、プロセッサによって実行されたときに、第一の態様による前記方法またはそのいずれかの実施例が実行される実行可能なプログラムコードを格納する非一過性の記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明による一般的な各実施形態を定義する上述の態様および実施例の各形態は、以下の具体的な実施形態の説明において、本願の下記図面に関連して説明される。
【
図1】加工品から製品を加工する、本発明の一実施形態に係る方法を模式的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る装置の光学センサによって検出された状態を模式的に示す図である。
【
図7】ブリリアントとそのファセットの一例を示す図である。
【
図8】ダイヤモンド原石からブリリアントを加工するための本発明の一実施形態に係る方法を模式的に示す図である。
【
図9】ダイヤモンド原石からブリリアントを加工するための本発明の各実施形態に係る方法を模式的に示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る方法で実施される「サイド・オン」カット戦略を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る方法で実施されるカット戦略を示しており、(a)および(b)は「ワン・ディレクション」カット戦略、(c)は「グループト・フレッシュ」カット戦略、(d)は「グループト・ラフ」カット戦略を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る方法で実施される「エンド・オン」カット戦略を(a)および(b)に示している。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1は、本発明の一実施形態に係る方法100を模式的に示した図である。方法100の各ステップは、
図2のフローチャートに示してある。方法100は、加工品101から材料の断片を連続的に切り離すことによって、加工品101を製品102に加工するのに適している。加工品101は、具体的にはダイヤモンド原石(例えば
図8参照)であってもよく、製品102は、具体的にはブリリアント(例えば
図7参照)または他のファセットの宝石であってもよい。製品102は、方法100を実行する前に計画することができ、その計画は、加工品101の形状および体積に基づいていてもよい。製品102を加工するために、方法100は、所望の複雑な製品102の形状に到達するまで、加工品101から材料の断片を連続的に切り離す。カットを実行するために、方法100は、加圧された流体ジェット104に結合されるレーザービーム103を提供する装置300(
図3参照)を利用する。
【0077】
具体的には、方法100は、所定のカット順序105に従って、レーザービーム103で加工品101のカットを多数回実行し、完了したカットごとに加工品材料を除去するステップ110を含む。所定のカット順序105は、方法100のための入力および/または装置300への入力として使用することができる。方法100は、所定の回転順序107に従って、加工品101を同じ回転軸106の周りに多回転させるステップ120をさらに含む。所定の回転順序107は、方法100のための入力および/または装置300への入力として使用することができる。所定のカット順序105および所定の回転順序107は、加工品101に基づいて製品102を計画するときに生成することができる。
【0078】
具体的には、ステップ120で、各回転は完了したカットの後に実行される。また、ステップ110のカットを実行するために、レーザービーム103は、二次元経路108に沿って(加工品101に対して相対的に)移動される。レーザービーム103を移動させるためには、装置300を移動させてもよいし加工品101を移動させてもよい。カットが完了するのは、このカットで除去することが予定されていた薄切りが、実際に加工品101から完全に切り離されるときである。カットを完了するために、カット(すなわち、それに関連する二次元経路108に沿ったレーザービーム103の移動)を一回以上実行することができる。例を挙げると、カットを一回実行すると、加工品101に狭い溝を形成することができるだけであり、その溝は一定の深さを有する。カットを再度実行すると溝を深くすることができ、カットを再度(さらに再度)実行すると加工品を完全に貫通して横切るように溝を拡張することができて、薄切りが落ちる。
【0079】
図3は、本発明の一実施形態に係る装置300である。装置300は、加工品101を製品102に加工するように構成されており、方法100で使用される装置300であってもよい。装置300は、少なくとも加工部302と、制御部303と、光学センサ301と、を備える。
【0080】
加工部302は、加圧流体ジェット104に結合されるレーザービーム103を提供するように構成される。制御部303は、加工部302を制御するように構成される。具体的には、加工部302を制御して、所定のカット順序105に従ってレーザービーム103で加工品101を多数回カットし、完了したカットごとに加工品材料を除去することと、所定の回転順序107に従って加工品101を同じ回転軸106の周りに多回転させることと、を実行することができる。これによって、完了したカットの後に回転が実行され、レーザービーム103は、カットを実行するために二次元経路108に沿って移動される。これらの動作をすれば、
図1および
図2の方法100を実施することができる。光学センサ301は、少なくとも、実行されたカットが完了か、実行されたカットが完了しなかったか、という各状態の各々を判断するように構成されている。オプションとして、「カットを実行しても加工品材料が全く除去されなかった」という状態も判断できてもよい。
【0081】
加工部302は、例えば、オプションとして装置300の一部であり得るレーザー源305から、または、例えば多数のレーザー源から受けたレーザービーム103を流体ジェット104に結合することができる。この結合は、加工部302で行われることが好ましい。製品102の加工中に、加工品101は、装置300の一部であってもなくてもよい加工面上に配置することができる。いずれにせよ、装置300は、加工面上に配置された加工品101を加工できるように配置することができる。それによって、装置300は、最大で三次元において(例えば、
図3に示したx-y-z方向において:ここで、z方向は流体ジェット104に平行であり、x方向およびy方向はz方向および互いに垂直である)加工面の動きを制御することができる。具体的には、装置300は、流体ジェットに誘導されるレーザービーム103を、カット経路、具体的には、直線および/または円弧のような二次元経路108に沿って、加工品101の上方を移動させることによって、加工品101をカットすることができる。それに関して、移動は連続的でも段階的でもよく、移動速度は選択/変更が可能である。
【0082】
具体的には、加工部302は、レーザービーム103を流体ジェット104に結合するために、少なくとも一つのレンズ307のような光学要素を備えてもよい。レーザービーム103は、加工部302の外部で生成され、加工部302に注入されるのが好ましい。加工部302では、ミラーやビームスプリッタ308や他の光学素子が、レーザービーム103を少なくとも一つのレンズ307に向かって誘導することができる。また、ビームスプリッタ308を使用して、レーザー光の一部、または加工品101から来る電磁放射を光学センサ301に結合することもできる。また、加工部302は、光学配置、ここでは例示的に光学素子308を、流体回路から、および流体ジェット104が生成される加工部302の領域から分離するために、光学的に透明な保護窓310を備えてもよい。
【0083】
加工部302は、流体ジェット104を生成するために、開口部を有する流体ジェット生成ノズル309を備えていてもよい。流体ジェット生成ノズルは、保護された環境で流体ジェット104を生成するために、加工部302内に配置されるのが好ましい。開口部は、流体ジェット104の幅を規定する。開口部は、例えば、10~200μmの直径を有していてもよく、流体ジェット104は、例えば、開口部の約0.6~1倍の直径を有していてもよい。加圧された流体ジェット104のための圧力は、典型的には装置300の一部ではない(しかし、そうすることもできる)外部流体供給部304を介して提供されるのが好ましい。圧力は50~800バールの間であるのが好ましい。加工部302は、装置300から流体ジェット104を出力するために、出口開口部を有する出口ノズルを備えていてもよい。出口開口部は、流体ノズル開口部よりも広いのが好ましい。
【0084】
制御部303は、少なくとも一つのレーザー光源305をさらに制御してもよい(例えば、レーザー光源305のレーザーコントローラに命令してもよい)。すなわち、制御部303は、レーザー光源305のレーザーコントローラに、指示に従ったレーザー発光の出力を指示することができる。これによって、レーザー光源305のレーザーコントローラは、制御部の指示に従って、一定のレーザービームまたはパルス状のレーザービームを設定することができ、後者の場合は具体的には、パルス出力、パルス幅、パルス補充速度、パルスバースト率、またはパルス間の休止を設定することができる。また、制御部303は、流体供給部304を制御してもよい。
【0085】
加工品101は、装置300の回転可能部306、例えば、モータまたはCNCによって駆動される回転可能部と結合するかまたはそれに取り付けてもよい。例を挙げれば、装置300の回転可能部306は、ロッドまたはいわゆる「ドップ」であってもよい。回転可能部306は、加工品101の直径よりも少なくとも10%小さく、具体的には(直径/幅で)少なくとも20%小さくてもよい。回転可能部306は、回転軸106の周りに回転する。回転可能部306の回転は、具体的には光学センサ301からの入力に基づいて、制御部303によって制御することができる。
【0086】
光学センサ301は、(加工品101をカットしている最中に)加工品101から離し、流体ジェット104を介し、少なくとも一つの光学素子307、308を介してセンサ301に向かって伝搬するレーザー誘起電磁放射を受けるように配置できる。センサ301は、具体的には、流体ジェット104を介して、および、レーザービーム103を流体ジェット104に結合するように構成された少なくとも一つの光学素子307を介して、レーザー誘起電磁放射を受けるように配置できる。レーザー誘起電磁放射は、レーザービーム103でカットされた加工品101の一部から放出される二次放射を含んでいてもよい。例を挙げれば、レーザー誘起電磁放射は、加工品のファセット領域がプラズマに変化するので誘起され得る。このプラズマは、センサ301上で、またはセンサ301によって容易に分離することができる特徴的な放射線を放出し得る。また、レーザー誘起電磁放射は、加工品101から反射される一次レーザー放射を含み得る。また、レーザー誘起電磁放射は、流体ジェット104におけるレーザービーム103の散乱、好ましくはラマン散乱によって発生する二次放射も含み得る。
【0087】
光学センサ301は、加工部302に配置してもよい。ただし、レーザー光源305に配置してもよい。この場合、レーザー誘起放射線は、加工品101から逆伝播し、加工部302を介してレーザー光源305に導くことができ、センサ301で受ける。加工部302は、例えば光ファイバによって、レーザー光源305と光学的に接続されていてもよい。
【0088】
また、センサ301は、受けた放射線を信号に変換するように構成されていてもよい。制御部303は、当該信号に基づいて、加工品の加工状態を判断するように構成された処理回路を含んでもよい。加工品101の加工状態とは、レーザー光103が加工品101を突き破ったかどうかであってもよい。制御部303は、具体的には、実行されたカットが完了したか、実行されたカットが完了しなかったか、および/または、カットを実行しても加工品材料が全く除去されなかったかを判断するように構成されている。
【0089】
装置300、具体的には制御部303は、本開示で説明した装置300の様々な動作を実行、実施または開始するように、具体的には方法100を実行するように構成されたプロセッサまたは処理回路(図示せず)を備えることができる。この処理回路は、ハードウェアで構成されてもよいし、および/または、この処理回路はソフトウェアで制御されてもよい。このハードウェアは、アナログ回路またはデジタル回路、またはアナログ回路とデジタル回路の両方を備えていてもよい。デジタル回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、または多目的プロセッサなどの構成要素を備えていてもよい。
【0090】
装置300は、メモリ回路をさらに備えてもよく、このメモリ回路は、具体的にはソフトウェアの制御下で、プロセッサまたは処理回路によって実行可能な一つ以上の命令を格納する。例を挙げれば、このメモリ回路は、実行可能なソフトウェアコードまたはプログラムコードを格納する非一時的な記憶媒体から成っていてもよく、このコードは、プロセッサまたは処理回路によって実行されると、本開示で説明した装置の様々な動作を引き起こし、具体的には方法100を実行させる。
【0091】
図4は、本発明の一実施形態に係る方法100のフローチャートであって、
図1および
図2に示した方法100を基に構築されており、装置300によって実行され得る。図中の同じ要素には、同じ参照符号が付され、同様に機能する。
【0092】
図4の方法100では、第一ステップ400において、実行すべき次のカットが、所定のカット順序105から選択される。そして、ステップ110のカットが一度だけ実行される。ステップ110のカットの実行が停止したとステップ401で判断された場合、ステップ402のカット検証が行われる。すなわち、実行されたカットの後に、そのカットが完了したか否かが検証される。これは、光学センサ301および/または制御部303を使用して行われる。
【0093】
検証は、カットが正常に完了したことを判断することができ、これは
図5(b)に示されており、二次元経路108に沿ったカットが計画通りに加工品材料を削ぎ落とす結果となった。この場合、加工品101はその後に所定の角度だけ、具体的には180°の角度だけ、さらに回転させてから、再びステップ110の同じカットを実行することができる。さらに、加工品101を回転させた後に実行したステップ110の同じカットも完了したと判断した場合、方法100を続行することができる。これが上述した180°補正動作である。
【0094】
あるいは、
図5(a)に示すように、流体ジェット104を加工品101から遠ざけて、カットの完了によって加工品101から材料を取り除くべき(
図5(a)では実際に削ぎ落とされている)位置(例えば、長方形で示したような所定の検証領域内)に移動させることができる。レーザービーム103をその位置で点灯させ、前述の所定位置に加工品材料がまだあるかどうかを(例えば、ダミー経路500に沿ってカットを実行することによって)判断することができる。
【0095】
また、検証では、
図5(c)に示すように、経路108に沿ったカットがまだ加工品材料を削ぎ落としていない場合に、カットが正常に完了していないと判断することもできる。この場合、方法100は、カットを継続する。すなわち、カットが完了しなかったと判断した場合には、その間に加工品101を回転させずに、一回以上、再度ステップ110の同じカット実行する。これは、カットが完了したと判断するまで続けてもよい。
【0096】
カットが完了し、オプションとして検証された後、方法100は、所定のカット順序105全体が完了したかどうか、すなわち、カット順序105のすべてのカットが実行されて完了したと判断されたかどうかを判定することができる。イエスの場合、方法100は終了する。そうでない場合、方法100は、カット順序105の次のカットに進む。次のカットの前に、所定の回転順序107に従ってステップ120の回転が実行される。
【0097】
図6は、制御部303によって分析され得る、センサ信号の一例を示す。制御部303は、センサ信号に基づいて、実行されたカットが成功した(完了した)か否かを識別することができる。例えば、レーザーカットによって誘起された、加工品101からの電磁放射が、所定の閾値より下に、特に一定時間低下した場合、カットが成功したと判断することができる。所定の閾より上であれば、カットが成功していないと判断してもよい。センサ信号が所定の閾値より下のままに留まり、制御部303が「成功した」と判断すれば、180°補正動作または代わりとして検証領域のカットを実行することができる。この場合、(
図6の点線の矢印で示したように)信号が所定の閾値を超えて再び上昇すれば、カットが「成功した」という最初の決定が誤っていたことになる。しかし、信号が所定の閾値より下に留まっていれば、カットが「成功した」という最初の決定が確認される。
【0098】
前述したように、方法100および装置300は、特に、ブリリアントまたは他のファセットになる宝石の加工に適している。典型的なブリリアント700を
図7に示してある。ブリリアント700には、複数のファセット701が含まれる。ブリリアント700には、上部700a(クラウン)と、下部700b(パビリオン)と、が含まれる。各部は、多数のガードルファセットを有し得るガードル704によって分離/接続されている。下部700bには、パビリオンファセット702およびロワーガードルファセット703が含まれる。上部700aには、アッパーガードルファセット705、ベゼルファセット706、およびスターファセット707が含まれる。また、ブリリアント700は、テーブル708を有する。
【0099】
図8は、
図1に示した方法100を基に構築された、本発明の一実施形態に係る方法100を模式的に示している。同じ要素には同じ参照符号が付され、同様に機能する。
図8では、加工品101はダイヤモンド原石800であり、製品102はブリリアント700である。レーザービーム103および流体ジェット104は、回転軸106に対して垂直に配向することができる。ブリリアント700のファセット701は、回転軸106の周りに回転し、レーザービーム103を二次元経路108に沿って移動させてカットする。所定のカット順序106に従ったカット動作110と、所定の回転順序107に従った回転動作120は、
図1および
図2の方法100について説明したように行われる。ダイヤモンド原石の比較的大きな断片を複数除去しこれらの断片から複数のBストーン802および複数のCストーン801を生成できるように、パビリオンファセット702を最初にカットしてもよい。すなわち、パビリオンファセット702は、ロアーガードルファセット703の前に加工するのが好ましい。さらに、ガードル704をカットし、次にベゼルファセット706をカットし、次にアッパーガードルファセット705をカットし、次にスターファセット707をカットすることができる。ブリリアント700のテーブル708は、予め形成しておくことが好ましく、そうすればダイヤモンド原石800は、テーブル708が装置の回転部306に取り付け可能となる。
図8の構成は、「サイド・オン」カット戦略に適している。
【0100】
図9は、回転軸106が、レーザービーム103および流体ジェット104のそれぞれに対して非垂直であることも可能である、すなわち、これらが互いに斜めに配置され得ることを示している。
図9(a)は、この場合はブリリアント700のテーブル708が装置300の方に向いていてもよいことを示し(レーザービーム103は、矢印で示したように上から来る)、
図9(b)は、ブリリアントのキューレットまたはチップも装置300の方に向いていてもよいことを示している。
図9の構成は、「エンド・オン」カット戦略、特に「キューレット・アップ」カット戦略または「テーブル・アップ」カット戦略に適している。
【0101】
本明細書で提案する様々なカット戦略は、それぞれ
図10、11、12に示してある。
図10は、「サイド・オン」カット戦略を示す。
図12は、「エンド・オン」カット戦略を示しており、特に
図12(a)の 「キューレット・アップ」と
図12(b)の「テーブル・アップ」を示している。
図11(a)および(b)は、特に「サイド・オン」カット戦略と組み合わせた「ワン・ディレクション」カット戦略、すなわち、
図11(a)の「アップヒル」および
図11(b)の「ダウンヒル」を示している。特筆すべきは、「ワン・ディレクション」カット戦略は「エンドオン」カット戦略と組み合わせることもできることである。
図11(c)および(d)は、特に「サイド・オン」カット戦略と組み合わせた、「グループト・フレッシュ」カット戦略および「グループト・ラフ」カット戦略をそれぞれ示している。特筆すべきは、「グループト」カット戦略は、「エンド・オン」カット戦略と組み合わせることもできるということである。
【0102】
ダイヤモンド原石800からブリリアント700をカットするための好ましいカット戦略の組み合わせは、「サイド・オン」と、「バック・アンド・フォース」と、「グループト・フレッシュ」と、を組み合わせたものである。
【0103】
具体的には、
図10から分かるように、「サイド・オン」とは、レーザービーム103を、加工すべきファセット701の長さLに沿って常に移動させてステップ110のカットを実行することを意味する。すなわちブリリアントのファセット701の頂点1000に向かって、および/または、頂点1000から遠ざかるように移動させる。
図10は、特に、「サイド・オン」を「バック・アンド・フォース」カット戦略と組み合わせたものを示しており、これによれば、レーザービーム103を二次元経路108に沿って前後に(すなわち、両方向に)移動させ、ステップ110のカットを多数回実行する。また、
図10は、ブリリアントのパビリオン700bの向きを示すことにより、「長さに沿って」とは、キューレットからテーブル708への方向、またはその逆の方向を意味することを示している。
【0104】
図11(a)および(b)は、「ワン・ディレクション」カット戦略を示しており、これによれば、レーザービーム103を二次元経路108に沿って常に同じ方向に移動させ、ステップ110のカットを多数回実行する。
図11(a)では、戦略は「アップヒル」であり、すなわち、レーザービーム103を常にファセット701の頂点1000から遠ざかる(その基部に向かう)ように移動させて、ステップ110のカットを実行し、一方、
図11(b)では、「ダウンヒル」、すなわち、レーザービーム103を、常にファセット701の頂点1000に向かって(その基部から遠ざかって)移動させて、ステップ110のカットを実行する。
【0105】
図11(c)および(d)は、「グループト」カット戦略を示しており、第一グループの不連続なロワーガードルファセット703、具体的には左ロワーガードルファセット703または右ロワーガードルファセット703が、第二グループの不連続なロワーガードルファセット703、具体的には右ロワーガードルファセット703または左ロワーガードルファセット703がそれぞれ形成される前に形成される。
図11(c)は、「グループト・フレッシュ」戦略を示しており、これによれば、レーザービーム103は、以前に生成された(フレッシュ)ファセット1100に配置されて、ステップ110のカットを実行する。
図11(d)は、「グループト・ラフ」戦略を示しており、これによれば、レーザービーム103は、ダイヤモンド原石700の未カット面1101に配置されて、ステップ110のカットを実行する。
【0106】
図12(a)および(b)は、「エンド・オン」戦略を示しており、これによれば、レーザービーム103をファセット701の幅Wに沿って常に移動させ、ステップ110のカットを実行する。幅は、
図10に示す長さLに対して垂直であってもよい。
図12(a)は、「キューレット・アップ」戦略を示しており、これによれば、キューレットが装置300(
図9b参照)に面する(に向けて配向している)。
図12(b)は、「テーブル・アップ」戦略を示しており、これによれば、テーブルが装置300(
図9a参照)に面する(に向けて配向している)。また、
図12は、ブリリアント700のパビリオン700bの向きを示すことによって、「幅に沿って」というのは、例えばガードル704に平行な方向に、という意味であることを示している。
【0107】
本発明は、実施例の各形態だけでなく、例として様々な実施形態と併せて説明してきた。しかし、請求項の発明を実施する当業者が、図面、説明、および各独立請求項の研究から、他の変形例を理解して達成することができる。各請求項および明細書において、「備える、含む」という言葉は、他の要素またはステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外するものではない。単一の要素または他の構成部は、各請求項に記載された複数の実体または項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項にそれぞれ記載されているからといって、これらの手段の組み合わせが有利な実施例で使用できないことを示すものではない。
【国際調査報告】