(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】プレフィラブルシリンジを備えたシステム、及びプレフィラブルシリンジのためのパッケージ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/00 20060101AFI20220415BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20220415BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20220415BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220415BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20220415BHJP
A61P 25/36 20060101ALN20220415BHJP
【FI】
A61M5/00 518
A61M5/00 516
A61M5/31 502
A61K31/485
A61K9/08
A61K9/107
A61P25/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552171
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2020056480
(87)【国際公開番号】W WO2020187660
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591095465
【氏名又は名称】キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】プフラング,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ゴルスヘーファー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ロンバルディーニ,マルタ
【テーマコード(参考)】
4C066
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066FF05
4C066LL23
4C066NN04
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB32
4C076CC01
4C076DD21
4C076DD43
4C076EE32
4C076FF68
4C086CB23
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA55
4C086NA10
4C086ZA08
(57)【要約】
シリンジバレルとシリンジ先端部を備えたプレフィラブルシリンジと、プレフィラブルシリンジを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図したパッケージとを含むシステムであって、シリンジ先端部が先端キャップを備え、システムがプレフィラブルシリンジ用の交換用キャップを備え、パッケージが交換用キャップを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図したものであるシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジバレル(101)及びシリンジ先端部(102)を備えたプレフィル可能なシリンジ(100)と、プレフィル可能なシリンジ(100)を受け入れるのに適したパッケージ(1)とを備え、
シリンジ先端部(102)は先端キャップ(103)を備え、
前記プレフィラブルシリンジ(100)の交換用キャップ(300)を備え、前記パッケージ(1)は、前記交換用キャップ(300)を受け入れるのに適している、システム(200)。
【請求項2】
前記パッケージ(1)は、側壁(5)及び底壁(6)によって画定される第1キャビティ(4)を形成するパッケージ本体(3)を備え、前記第1キャビティ(4)にプレフィラブルシリンジ(100)が配置され、パッケージ本体(3)の第1キャビティ(4)に少なくとも1つの第2受入要素(7、7a、7b)が設けられ、内部にシリンジバレル(100)が受入され、シリンジバレル(101)の遠位端(101a)が第2受入要素(7)の第1部分(7a)によって支持され、シリンジバレル(101)の近位端(101b)が第2受入要素(7)の第2部分(7b)によって支持される、請求項1に記載のシステム(200)。
【請求項3】
交換用キャップ(300)は、開口(309)がパッケージ本体(3)の垂直軸(Z)に沿って配置され、交換用キャップ(300)の開口部領域(309a)がパッケージ本体(3)の底壁(6)と平行に配置されるように、パッケージ(1)内に配置される、請求項1又は2に記載のシステム(200)。
【請求項4】
パッケージ本体(3)の第1キャビティ(4)に、少なくとも1つの第3受入要素(8)が設けられ、内部にプレフィラブルシリンジ(100)のロッド(104)が受入され、第2受入要素(7)の第2部分(7b)と第3受入要素(8)との間に隙間(29)が設けられ、プレフィラブルシリンジ(100)のフィンガーフランジ(105)が、第2受入要素(7)の第2部分(7b)と第3受入要素(8)との間に挟持されるように、前記隙間(29)を介して突出する、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム(200)。
【請求項5】
交換用キャップ(300)は、シリンジ先端部(102)と係合するためのインナーキャップ(301)と、交換用キャップ(300)をシリンジバレル(101)に取り付けるためにシリンジバレル(101)と係合する外側カラー(302)と、脚部(303)とを備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム(200)。
【請求項6】
第1受入要素(2)は、パッケージ本体(4)の第1キャビティ(4)が設けられ、交換用キャップ(300)が第1受入要素(2)に受け入れられ、交換用キャップ(300)の脚部(303)が第1受入要素(2)に受け入れられる、請求項2から4のいずれか1項に記載のシステム(200)。
【請求項7】
前記脚部(303)は、交換用キャップ(300)を備えたプレフィラブルシリンジ(100)を支持面(400)上に安定して直立させるのに適し、脚部(303)は、支持面(400)に接触する支持領域(311)を備え、支持領域(311)は、エッジ距離(308)で交換キャップ(300)の中心軸(307)を取り囲むエッジ(313)を備え、エッジ距離(308)がシリンジバレル(101)の半径(112)の少なくとも2倍であり、脚部(303)が円盤状である、請求項4に記載のシステム(200)。
【請求項8】
パッケージ本体(3)の側壁(5)は、その上端にフランジ(31)を備えており、パッケージ(1)は、パッケージ本体(3)を少なくとも部分的に覆う閉鎖要素を備えており、閉鎖要素はフランジ(31)上に配置されていることを特徴とするシステム(200)。
【請求項9】
シリンジバレル(101)とシリンジ先端部(102)からなるプレフィル可能なシリンジ(100)を受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図するパッケージ(1)であって、
前記シリンジ先端部(102)は先端キャップ(103)を備え、
前記パッケージ(1)は、プレフィラブルシリンジ(100)の交換用キャップ(300)を受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図される、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム(200)。
【請求項10】
パッケージ(1)は、側壁(5)及び底壁(6)によって画定される第1キャビティ(4)を形成するパッケージ本体(3)を備え、前記第1キャビティ(4)にプレフィラブルシリンジ(100)が配置され、パッケージ本体(3)の第1キャビティ(4)には、シリンジバレル(100)が受け入れられる少なくとも1つの第2受入要素(7、7a、7b)が設けられている、請求項9に記載のパッケージ(1)。
【請求項11】
第1受入要素(2)は、パッケージ本体(3)の第1キャビティ(4)に設けられ、交換用キャップ(300)が、パッケージ本体(3)の垂直軸(Z)に沿って方向付けされ、交換用キャップ(300)の開口領域(309a)がパッケージ本体(3)の底壁(6)と平行に方向付け7yされるように、交換用キャップ(300)が第1受入要素(2)に受け入れられ、交換用キャップ(300)の脚部(303)が第1受入要素(2)に受け入れられる、請求項10に記載のパッケージ(1)。
【請求項12】
パッケージ本体(3)の第1キャビティ(4)に、少なくとも1つの第3受入要素(8)が設けられ、内部にプレフィラブルシリンジ(100)のロッド(104)を受入可能であり、第2受入要素(7)の第2部分(7b)と第3受入要素(8)との間に隙間(29)が設けられ、プレフィル可能なシリンジ(100)のフィンガーフランジ(105)が、第2受入要素(7)の第2部分(7b)と第3受入要素(8)との間に挟持されるように、前記隙間(29)を介して突出することができる、請求項10又は11に記載のパッケージ(1)。
【請求項13】
交換用キャップ(300)は、シリンジ先端部(102)と係合するためのインナーキャップ(301)と、交換用キャップ(300)をシリンジバレル(101)に取り付けるためにシリンジバレル(101)と係合する外側カラー(302)と、支持面(400)上で交換用キャップ(300)を備えたプレフィラブルシリンジ(100)の安定した直立位置を提供するのに適した脚部(30)とを備える、プレフィラブルシリンジの交換用キャップ(300)。
【請求項14】
前記脚部(303)は、支持面(400)に接触する支持領域(311)を有し、支持領域(311)は、エッジ距離(308)で交換用キャップ(300)の中心軸(307)を取り囲むエッジ(313)を有し、エッジ距離(308)は、シリンジバレル(101)の半径(112)の少なくとも2倍であり、脚部(303)はディスク状である、請求項13に記載の交換用キャップ(300)。
【請求項15】
a)パッケージ(1)からプレフィラブルシリンジ(100)を取り出すステップと、
b)シリンジ先端部(102)から先端キャップ(103)を取り外すステップと、
c)前記パッケージ(1)内に配置された交換用キャップ(300)にシリンジ先端部(102)を配置するステップと、
d)前記交換用キャップ(300)が取り付けられたプレフィラブルシリンジ(100)をパッケージ(1)から取り出すステップと、
を備える、請求項1から8のいずれかに記載のシステム(200)の使用方法。
【請求項16】
前記シリンジには、すぐに使用できる医薬製剤が予め充填されている、請求項1から8のいずれかに記載のシステム(200)。
【請求項17】
医薬製剤は溶液又はエマルジョンの形態であり、経口、筋肉内、又は静脈内投与に適した1又は複数の活性成分を含む、請求項16に記載のシステム(200)。
【請求項18】
前記医薬製剤は水溶液又はヒドロアルコール溶液である、請求項16又は17に記載のシステム(200)。
【請求項19】
前記医薬製剤がブプレノルフィンを有効成分とする舌下投与及び/又は頬側投与用の水溶液又は水アルコール溶液である、請求項16から18のいずれか1項に記載のシステム(200)。
【請求項20】
請求項1から8及び16から19のいずれか1項に記載のシステムを、すぐに使用できる水溶液又は適切なビヒクルで再構成される粉末のいずれかの形態の医薬製剤、及び前記医薬製剤を投与するための指示書とともに構成したキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジバレルと、先端キャップを有するシリンジ先端部とを備えるプレフィラブルシリンジを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図したパッケージに関する。また本発明は、シリンジバレル、及び先端キャップを有するシリンジ先端部を備えたプレフィラブルシリンジと、プレフィラブルシリンジを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図したパッケージと、を含むシステム及びその使用方法に関する。さらに、本発明は、プレフィラブルシリンジのための交換用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
プレフィラブルシリンジは、ユーザに投与又は引き渡す媒体と共にキットとして使用することができる。キットのプレフィラブルシリンジには媒体が充填されている。
【0003】
特に今日では、プレフィラブルシリンジは、単位量の投薬のために最も成長している選択肢の一つとして浮上している。このようなシリンジは、使用前に投与する媒体をシリンジに移す必要がないため、取り扱いが容易である。プレフィラブルシリンジを使用することで、薬剤の廃棄を最小限に抑え、製品の寿命を延ばすことができる。
【0004】
注射以外で患者に薬剤を投与する方法は、新薬の開発により普及している。投与方法としては、特に、経口、鼻腔内、局所、皮膚、さらに外部適用が考えられる。このような用途には、プレフィラブルシリンジが、薬剤の保管、輸送、投与に最適な方法であると考えられる。
【0005】
また、体内に注入される媒体や薬剤についても、プレフィラブルシリンジが都合のよい選択肢である。特に、最近のワクチンは、外界の影響因子に対して非常に敏感に反応するため、プレフィラブルシリンジに安全に保管されている。
【0006】
プレフィラブルシリンジ本体は、シリンジバレル、シリンジ先端部、及び任意のフィンガーフランジからなる。場合によっては、シリンジ先端部には既に穿刺手段が設けられる。穿刺手段は、針、カニューレ、又は同様な要素であればよい。
【0007】
シリンジ本体は、一次包装業者がクリーンルーム内で製造する。滅菌後、シリンジ本体には先端キャップが取り付けられ、いわゆるシリンジネストに収容される。先端キャップは、通常、シリンジ先端部に配置され、シリンジ先端部に設けた針を封入してもよい。
【0008】
プレフィラブルシリンジは、製薬会社に引き渡され、製薬会社は、投与する媒体と一緒にキットを提供するが、シリンジには媒体を充填しておくのが好ましい。
【0009】
後者の場合、充填工程の後、プランジャ又はピストンがシリンジのバレルに導入され、バレルはその近位側で閉鎖される。充填されたシリンジは二次包装される。
【0010】
先端キャップは、先端部と、任意の針とを密閉することができる。通常、先端キャップは、少なくとも一部が弾性材料で形成されている。シリンジネスト内のシリンジのためのスペースが限られているため、先端キャップは通常、可能な限り小さく設計される。しかしながら、そのような小さなサイズの先端キャップは、ユーザには取扱いにくい場合がある。
【0011】
場合によっては、実際に媒体を投与する前に、ユーザが投与量を設定する必要があり、それは後に行うこともある。この目的のために、先端キャップを一時的に取り外す必要があるかもしれない。先端キャップを用いたシリンジの再閉鎖は、シリンジバレル内に空気の一部を不必要に導入する結果となる可能性がある。このような空気の一部は、患者に刺激を与える可能性がある。シリンジバレル内の媒体がより粘度の高い媒体である場合、封入された空気の一部を除去することは難しいかもしれない。
【0012】
国際公開第2018/038078号明細書は、プレフィラブルシリンジシステムを含む複数のシリンジ包装体と、包装本体と、複数のシリンジ包装体を収容する外箱とを備えた医療機器パッケージを開示する。プレフィラブルシリンジシステムの針ユニットは、針ユニットケースの内面に係合する針ハブの先端側に設けた最大外径部が、針ユニットケースに支持されている。外箱には、複数のシリンジ包装体が、針体の軸方向が外箱の上下方向となるように配置されている。プレフィラブルシリンジは、封止キャップで封止されているが、交換用キャップは設けられていない。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、上述の欠点を克服した、プレフィラブルシリンジ、プレフィラブルシリンジを受け入れるためのパッケージ、及びプレフィラブルシリンジとパッケージを備えたシステムを提供することである。
【0014】
また本発明は、シリンジがすぐに使用できる医薬製剤で予め充填されたシステムに関する。
【0015】
さらに、本発明は、すぐに使用できる水溶液又は適切な媒体中で再構成される粉末のいずれかの形態の医薬製剤と、前記医薬製剤を投与するための指示書と一緒のシステムを備えたキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】先端キャップのないプレフィラブルシリンジを示す。
【
図2A】先端キャップを備えたプレフィラブルシリンジを示す。
【
図3】交換用キャップを備えたプレフィラブルシリンジを示す。
【
図4】支持面上に配置された交換用キャップ付きプレフィラブルシリンジを示す。
【
図5A】
図2aと同様に、先端キャップを備えたプレフィラブルシリンジを示す。
【
図5B】脚部が相違する
図2bと同様な交換用キャップを示す。
【
図6】プレフィラブルシリンジのない一実施形態に係るパッケージ本体を示す。
【
図7】プレフィラブルシリンジと交換用キャップを備えた一実施形態に係るパッケージ本体を示す。
【
図8】交換用キャップの中にプレフィラブルシリンジを収容した一実施形態に係るパッケージ本体を示す。
【
図9】1又は複数の実施形態に係るプランジャの底面斜視図を示す。
【発明の実施の形態】
【0017】
課題は、シリンジバレルと、シリンジ先端部を有するプレフィラブルシリンジと、プレフィラブルシリンジを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図したパッケージとを備え、シリンジ先端部が先端キャップを備え、システムがプレフィラブルシリンジのための交換用キャップを備え、パッケージが交換用キャップを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図したものであるシステムによって解決される。
【0018】
システムは、ユーザに提示されるパッケージが、使用するプレフィラブルシリンジと、適切な交換用キャップとを備えているという利点を有する。ユーザは、パッケージからプレフィラブルシリンジを取り出し、先端キャップを取り外し、任意にプレフィラブルシリンジの投与量を設定することができる。交換用キャップは、ユーザが既に利用可能であり、他に入手する必要はない。さらに、交換用キャップは、追加のパッケージから取得する必要はない。そのような追加のパッケージからの交換キャップの取得のために、ユーザは、おそらく既に開封したシリンジを置く必要がある。プレフィラブルシリンジを置くと、シリンジの先端を汚染する可能性があり、不必要に取扱いが複雑になってしまう。
【0019】
一方、本発明に係るシステムでは,プレフィラブルシリンジと交換用キャップを1つのパッケージに収容してユーザに提供する。したがって、交換用キャップは、常にプレフィラブルシリンジと一緒に利用でき、先端キャップが既に取り外されている可能性がある場合、同時に入手する必要はない。このため、交換用キャップの取付けは簡単に行うことができる。
【0020】
また、比較的小さな先端キャップを掴んで取り外すのが困難な場合があるため、交換用キャップを使用すれば、使用者にとってシリンジの取扱いが容易になるという利点もある。
【0021】
以下では、「遠位」及び「近位」という表現は、シリンジの遠位端が近位端よりも適用部位に近いというように理解される。「遠位方向」及び「近位方向」という表現も同様に理解される。
【0022】
以下では、長軸(X)、水平軸(Y)、及び垂直軸(Z)は、パッケージ本体との関係で使用する。長軸(X’)、水平軸(Y’)、及び垂直軸(Z’)は、プレフィラブルシリンジとの関係で使用する。長軸(X’’)、水平軸(Y’’)、垂直軸(Z’’)は、交換用キャップとの関係で使用する。
【0023】
好ましい実施形態によれば、パッケージは、側壁と底壁によって定義される第1キャビティを形成するパッケージ本体を備える。プレフィラブルシリンジは、前記第1キャビティ内に配置できるのが好ましい。パッケージ本体は、互いに直交する長軸(X)、水平軸(Y)及び垂直軸(Z)に沿って延びているのが好ましい。
【0024】
好ましい実施形態によれば、パッケージ本体の第1キャビティには、少なくとも1つの第2受入要素が設けられ、内部にはシリンジバレルが受け入れられている。パッケージ本体の第1キャビティに2つの第2受入要素を設けるのが好ましい。少なくとも1つの第2受入要素は底壁に配置するのが好ましい。さらに、少なくとも1つの第2受入要素は、底部に配置した半円形の頂部を備えるのが都合がよい。半円状の頂部は、水平軸(Y)及び長軸(X)に沿って延び、垂直軸(Z)方向に開口するのが好ましい。さらに、半円形の頂部は、シリンジバレルを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図している。半円形の頂部は、シリンジバレルを少なくとも部分的に包囲する2つのアームを備える。
【0025】
さらに好ましい実施形態によれば、シリンジバレルの遠位端は、第2受入要素の第1部分によって支持され、シリンジバレルの近位端は、第2受入要素の第2部分によって支持される。第2受入要素の第1部分は、シリンジバレルがシリンジ先端部に合流する領域又はその近傍にあるのが好都合である。さらに、第2受入要素の第2部分は、パッケージ本体に配置されたシリンジのフィンガーフランジの近傍に配置されているのが好ましい。第2受入要素の第1部分と第2部分は、プレフィラブルシリンジの長軸(X’)に沿って分離されているのが好ましい。したがって、プレフィラブルシリンジがパッケージ本体に配置され、シリンジバレルが好ましくは2つの第2受入要素によって受入されている状態では、プレフィラブルシリンジの中心軸は、パッケージ本体の底壁に平行に延びるのが好ましい。中心軸は、底壁上に高さL2で延びているのが都合がよい。この高さL2は、プレフィラブルシリンジを容易に把持できるような寸法である。
【0026】
さらに好ましい実施形態によれば、パッケージ本体の第1キャビティには、少なくとも1つの第3受入要素が設けられ、そこにはプレフィラブルシリンジのロッドが受け入れられている。第3受入要素は、垂直軸(Z)に沿って延びる2つの壁からなり、ロッドが受け入れられるキャビティを形成するのが好ましい。前記壁は、長軸(X)に沿って延びているのが好ましい。少なくとも1つの第3受入要素は、半円状に形成され、前記壁を互いに接続する底壁を有するのが都合がよい。
【0027】
さらに、第2受入要素と第3受入要素の間には隙間が設けられているのが都合がよい。プレフィラブルシリンジのフィンガーフランジが、第2受入要素の第2受入要素と第3受入要素の間に挟持されるように、前記隙間を介して突出するのが好ましい。この隙間を介して、プレフィラブルシリンジのフィンガーフランジを、好ましくはシリンジがパッケージ本体内に配置されたときに突出させることができる。フィンガーフランジは、好ましくは第2受入要素と第3受入要素の間に挟持されるので、フィンガーフランジが第2受入要素と第3受入要素に係合することにより、プレフィラブルシリンジはパッケージ本体に固定される。前記壁の長さは、基本的に、第2受入要素と前記第3受入要素の隙間でのロッドの長さではなく、前記シリンジバレルから突出するロッドの一部分の長さによって決定される。
【0028】
好ましい実施形態によれば、プレフィラブルシリンジは、シリンジバレルから突出したロッドに接続されたプランジャ又はピストンをさらに備える。プレフィラブルシリンジは、フィンガーフランジも備えるのが好都合である。フィンガーフランジは、シリンジバレルに形成されていてもよい。また、別個のフィンガーフランジ要素がシリンジバレルに接続され、より大きな把持面を提供することも考えられる。シリンジの先端は、円錐形に形成されているのが好ましい。シリンジ先端部はルアーコーンを有しているのが好ましい。現在、ISO80369がルアーの規格を規定している。シリンジの先端は、針、カニューレ、又は同様の手段である穿刺手段を備えるのが好ましい。
【0029】
しかしながら、新生児への舌下投与を目的としているため、口内への偶発的な危険を避けるために、シリンジの先端に穿刺手段を設けずに使用できるのが好ましい。
【0030】
プレフィラブルシリンジは、シリンジの先端に先端キャップを備えているのが都合がよい。先端キャップは、少なくとも一部がエラストマー材料で構成されていてもよい。プレフィラブルシリンジは、ガラス又はプラスチックで構成されているのが都合がよい。
【0031】
好ましい実施形態によれば、交換用キャップは、交換用キャップ又は交換用キャップの開口部がパッケージ本体の垂直軸(Z)に沿って方向付けされるように、パッケージ内に配置される。交換用キャップの開口部はパッケージ本体の底壁と平行になるように配置されるのが好ましい。このような配置により、交換用キャップをプレフィラブルシリンジに容易に取り付けることができる。交換用キャップは、取付工程のためにパッケージから取り外す必要はない。交換用キャップをパッケージに入れたまま、プレフィラブルシリンジを交換用キャップに挿入することができる。交換用キャップをプレフィラブルシリンジに装着した後、交換用キャップをプレフィラブルシリンジと一緒にパッケージから取り外す。これにより、片手だけでシリンジを操作することができる。別個の交換用キャップを入手するのであれば、交換用キャップを別個のパッケージから取り出す必要があり、取付けできるようにプレフィラブルシリンジに対して向きを合わせる必要があるため、両手で操作する必要がある。
【0032】
好ましい実施形態によれば、交換用キャップは、シリンジの先端と係合するためのインナーキャップで構成されている。交換用キャップは、シリンジバレルに取り付けるために、シリンジバレルと係合する外側カラーを備えているのが都合がよい。交換用キャップは、脚部を備えているのがさらに都合がよい。
【0033】
インナーキャップは、交換用キャップの脚部に配置されるのが好ましい。インナーキャップは、シリンジ先端部との密封接続が可能なように、少なくとも一部がエラストマー材料で構成されているのが都合がよい。シリンジ先端部は、インナーキャップの開口部を介してインナーキャップ内に導入できるのが好ましい。
【0034】
外側カラーは、インナーキャップの開口部の上に長軸(X’’)に沿って配置されたリングとして形成されているのが都合がよい。リングは、脚部に配置され、インナーキャップを半径方向に囲む支柱によって支持されているのが好ましい。3つの支柱は、リングの円周に沿って、互いに等間隔で配置されるのが好ましい。支柱は、交換用キャップがプレフィラブルシリンジに配置されたときに、リングから半径方向内側に突出し、シリンジバレルに接触する。
【0035】
交換用キャップの開口部は、リングと、リングの開口部の下に長軸(X’’)に沿って配置されたインナーキャップの開口部とによって画定されるのが好ましい。リングの開口部と交換用キャップの開口部は、有利には互いに平行であり、同じ中心軸を共有する。交換用キャップの開口部領域は、リングによって画定されるのが好ましい。リングによって画定される交換用キャップの開口部領域と、インナーキャップの開口部領域とは、パッケージ本体の底壁と平行に方向付けされるのが好ましい。
【0036】
好ましい実施形態によれば、パッケージ本体の第1キャビティに第1受入要素が設けられている。交換用キャップは、第1受入要素に受け入れられるのが好ましい。有利には、交換用キャップの脚部は第1受入要素に受け入れられている。したがって、交換用キャップは、パッケージ内に直立して配置される。このように、リングによって定義される交換用キャップの開口部領域と、インナーキャップの開口部領域は、パッケージ本体の底壁と平行に方向付けされるのが好ましい。
【0037】
好ましい実施形態によれば、脚部は、交換用キャップを備えたプレフィラブルシリンジを支持面に安定して直立させるのに適している。脚部は、支持面に接触する支持を備えるのが好ましい。支持は、交換用キャップの中心軸をエッジ距離で囲むエッジを備えるのが好ましい。
【0038】
ユーザにとって、パッケージから取り出したプレフィラブルシリンジを直立配置することは、非常に便利で実用的な方法である。直立配置とは、プレフィラブルシリンジの遠位端を支持面に配置することを意味する。このような配置は、近位端がフィンガーフランジを備え、ロッドを把持しやすいという利点がある。プレフィラブルシリンジは、通常、水平軸(Y’)よりも長軸(X’)に沿ってはるかに大きく延びている。
【0039】
重心が支持領域の傾斜したエッジによって定義された領域内にある限り、安定した位置決めが可能である。支持は、脚部の遠位端を構成する交換用キャップの遠位端面の一部を覆ってもよい。また、支持領域が、遠位端面全体を覆うことも考えられる。さらに、支持領域が遠位端面のエッジに沿って広がることも考えられる。
【0040】
重心が半径方向に変位しても、重心が傾斜端よりもさらに半径方向外側に配置されていない限り、起立の安定性に影響を与えることはない。プレフィラブルシリンジの近位端にフィンガーフランジが設けることにより、重心はシリンジの近位端に近くなる。これは、重心のわずかな変位により、直立したシリンジが倒れることを意味する。
【0041】
好ましくは、支持領域のエッジと中心軸との間のエッジ距離は、シリンジバレルの半径の少なくとも2倍であり、より好ましくは、エッジ距離は、シリンジバレルの半径の少なくとも3倍である。好ましくは,エッジ距離はシリンジバレルの半径の少なくとも4倍である。好ましくは、エッジ距離は、シリンジバレルの半径の少なくとも5倍である。このような実施形態により、傾いたエッジは中心軸からさらに離れる。したがって、直立したシリンジが倒れる前に、重心のより大きな変位が可能となる。したがって、直立安定性が向上する。
【0042】
脚部の遠位端面は、交換用キャップの中心軸を一定の距離で取り囲むエッジを備えるのが好ましい。このエッジは、傾いたエッジと考えられる支持領域のエッジと平行であるのが好ましい。遠位端面のエッジは、脚部の形状を規定しており、これは任意でよい。脚部は、円盤状であるのが都合がよい。脚部は略円形であるのが好ましい。脚部は長方形であってもよい。
【0043】
片手だけで行ってもよいが、交換用キャップをシリンジに装着した後、パッケージ内の交換用キャップの好ましい配置と向きのために、シリンジを直立させて配置することができ、必要なときにユーザが容易にアクセスすることができる。
【0044】
好ましい実施形態によれば、支持領域及び/又は支持面を囲むエッジは、少なくとも一部がゴム材料でコーティングされている。このような実施形態では、支持面での脚部の滑りが抑制又は最小化されるという利点がある。
【0045】
好ましい実施形態によれば、脚部は、吸盤として設計されている。吸盤は、空気の負の流体圧力を利用して非多孔性の表面に付着し、部分的な真空を作り出す装置又は物である。脚部の動作面は、弾性のある柔軟な素材でできており、曲面であるのが好ましい。脚部の中央部を平らな支持面に押し付けると、脚部と平らな面の間の空間の容積が減少する。このため、脚部と表面の間の空気や水は、カップのエッジを越えて排出されることになる。これにより、脚部と支持面との間に圧力の不足が生じる。脚部の外側の大気と、脚部と支持面の間の低圧との間の圧力差により、脚部は支持面に密着する。
【0046】
好ましくは、交換用キャップは射出成形により、好ましくは多成分射出成形により製造される。
【0047】
さらに好ましい実施形態によれば、パッケージ本体の側壁は、ほぼ垂直軸(Z)に沿って延びている。これは、側壁が垂直軸(Z)に対して比較的小さな角度(α)を有していてもよいことを意味する。このような角度は、0°~25°、好ましくは0°~10°、好ましくは0°~5°の範囲であり得る。
【0048】
パッケージ本体の側壁は、その上端にフランジを備えるのが都合がよい。このフランジは、ほぼ長軸(X)又は水平軸(Y)に沿って外側に延びている。フランジはパッケージ本体を囲んでいるのが好ましい。
【0049】
さらに好ましい実施形態によれば、パッケージは、パッケージ本体の少なくとも一部を覆う閉鎖要素を備える。閉鎖要素はパッケージ本体を完全に覆うのが好ましい。
【0050】
さらに好ましい実施形態によれば、閉鎖要素は、側壁に設けたフランジ上に配置されている。閉鎖要素は、箔又は寸法的に安定した要素である。閉鎖要素は、クランプ接続、スナップ接続、溶接接続、又は接着結合、又は同様の接続によってフランジに接続されるのが好ましい。使用前に、パッケージ本体内のプレフィラブルシリンジを露出させるために、そのような接続部を引き裂くのが好ましい。
【0051】
さらに好ましい実施形態によれば、閉鎖要素は、パッケージ本体に摺動可能に配置されている。閉鎖要素は、長軸(X)に沿う摺動方向に摺動可能であるのが好ましい。閉鎖要素は、摺動方向、特に長軸(X)に沿って、閉鎖要素の方向に延びる各エッジに、誘導要素を備えるのが都合がよい。摺動方向、特に長手方向に延びる2つの側壁の各フランジは誘導要素に受け入れられるのが好ましい。
【0052】
さらに好ましい実施形態によれば、パッケージはプラスチックで構成されていてもよい。パッケージは、射出成形工程、好ましくは多成分射出成形工程で製造される。
【0053】
この目的は、シリンジバレルとシリンジ先端部を備えるプレフィラブルシリンジを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図したパッケージであって、シリンジ先端部が先端キャップを備え、パッケージがプレフィラブルシリンジのための交換用キャップを受け入れるのに適すると共に受け入れるのを意図したパッケージによっても対処される。
【0054】
パッケージは、システムについて上述した単一の特徴又は特徴の組み合わせで構成されていてもよい。また、システムは、パッケージについて説明した単一の特徴又は特徴の組み合わせを含んでいてもよい。さらに、パッケージについても、システムについて上述したのと同様の利点が適用されてもよい。
【0055】
好ましい実施形態によれば、パッケージは、側壁及び底壁によって規定される第1キャビティを形成するパッケージ本体を備える。プレフィラブルシリンジは前記第1キャビティに配置されるのが好ましい。パッケージ本体の第1キャビティには、少なくとも1つの第2受入要素が設けられており、内部にシリンジバレルが受け入れられているのが都合がよい。
【0056】
さらに好ましい実施形態によれば、シリンジバレルの遠位端は、第2受入要素の第1部分によって支持され、シリンジバレルの近位端は、第2受入要素の第2部分によって支持されてもよい。第2受入要素の第1部分が、シリンジバレルがシリンジ先端部に合流する領域又はその近くに配置されるのが都合がよい。さらに、第2受入要素の第2部分が、パッケージ本体に配置されたシリンジのフィンガーフランジの近くに位置しているのが好ましい。第2受入要素の第1受入要素と第2受入要素は、プレフィラブルシリンジの長軸(X’)に沿って離間しているのが好ましい。したがって、プレフィラブルシリンジがパッケージ本体に配置され、シリンジバレルが2つの第2受入要素によって受け入れられている状態では、プレフィラブルシリンジの中心軸がパッケージ本体の底壁と平行に延びているのが好ましい。中心軸は、パッケージ本体の底壁の上の高さL2で延びているのが都合がよい。
【0057】
好ましい実施形態によれば、パッケージ本体の第1キャビティ内に第1受入要素が設けられている。交換用キャップは、交換用キャップがパッケージ本体の垂直軸(Z)に沿って方向付けされ、交換用キャップの開口部領域がパッケージ本体の底壁に対して平行に方向付けされるように、第1受入要素に受け入れられているのが好ましい。交換用キャップの脚部は第1受入要素に受け入れられているのが好ましい。交換用キャップの支持領域はパッケージ本体の底壁に接触しているのが好ましい。
【0058】
この目的は、プレフィラブルシリンジのための交換用キャップであって、シリンジ先端部と係合するためのインナーキャップと、交換用キャップをシリンジバレルに取り付けるためにシリンジバレルと係合する外側カラーと、脚部を有する交換用キャップとを備え、交換用キャップを装着したシリンジを表面に安定して直立配置するのに適している、プレフィラブルシリンジ用の交換用キャップによっても解決される。
【0059】
交換用キャップは、システムについて上述した特徴の単一の特徴又は組み合わせを含んでいてもよい。また、システムは、交換用キャップについて記載された単一の特徴又は特徴の組み合わせで構成されていてもよい。さらに、交換用キャップについても、システムについて上述したのと同様の利点が適用されてもよい。
【0060】
インナーキャップは、交換用キャップの脚部に配置されるのが好ましい。インナーキャップは、シリンジ先端部との密封接続が可能であるように、少なくとも部分的にエラストマー材料から構成されているのが都合がよい。シリンジ先端部は、インナーキャップの開口部を介してインナーキャップ内に導入されるのが好ましい。
【0061】
外側カラーは、インナーキャップの開口部に垂直軸(Z’)に沿って配置されたリングとして形成されるのが都合がよい。このリングは、脚部に配置され、インナーキャップを半径方向に囲む支柱によって支持されているのが好ましい。3つの支柱は、リングの円周に沿って、互いに等しい距離を置いて配置されているのが好ましい。支柱は、交換用キャップがプレフィラブルシリンジに配置されたときに、リングから半径方向内側に突出し、シリンジバレルで接触する。
【0062】
交換用キャップの開口部領域は、リングと、リングの開口部の下方に垂直軸(Z)に沿って配置されたインナーキャップの開口部とによって画定されるのが好ましい。リングの開口部と前記開口部は、互いに平行であるのが好ましく、同じ中心軸を共有する。交換用キャップの開口部領域は、リングによって画定されるのが好ましい。リングによって画定される交換用キャップの開口部領域と、インナーキャップの開口部領域とは、パッケージ本体の底壁と平行に方向付けされるのが好ましい。
【0063】
好ましい実施形態によれば、脚部は、交換用キャップを備えたプレフィラブルシリンジを表面上に安定して直立配置するのに適している。ユーザにとって、直立配置は、シリンジを配置するために非常に便利で実用的な方法を意味する。直立位置とは、フィンガーフランジとロッドを備えた近位端が掴みやすいように、遠位端を支持面に配置することを意味する。
【0064】
脚部は、交換用キャップの中心軸を囲む縁部を備えるのが好ましい。エッジは、上述の傾いたエッジと考えることができる。エッジは、脚部の形状を規定するものであり、任意の形状とすることができる。脚部は、円盤状の形状を有するのが好ましい。脚部は、円盤状の形状を有しているのが好ましい。脚部は、ほぼ円形のベース領域を有するのが好ましい。脚部は、ほぼ長方形であるベース領域を有するのが好ましい。好ましくは、エッジと中心軸との間の距離は、シリンジバレルの半径の少なくとも2倍であり、より好ましくは、エッジと中心軸との間の距離は、シリンジバレルの半径の少なくとも3倍である。好ましくは、エッジと中心軸の間の距離は、シリンジバレルの半径の少なくとも4倍である。好ましくは、端部と中心軸との間の距離は、シリンジバレルの半径の少なくとも5倍である。このような実施形態により、傾いたエッジは中心軸からさらに離れる。このように、直立したシリンジが倒れる前に、重心のより大きな変位が可能となる。したがって、起立安定性が向上する。
【0065】
パッケージ内の交換用キャップの好ましい配置と向きにより、交換用キャップを、場合によっては片手のみでシリンジに装着した後、シリンジを直立配置し、必要なときにユーザが容易にアクセスできるようにすることが可能となる。
【0066】
好ましい実施形態によれば、支持領域及び/又は支持面を囲むエッジは、少なくとも一部がゴム材料でコーティングされている。このような実施形態では、支持面上での脚部の滑りが抑制されるという利点がある。
【0067】
好ましい実施形態によれば、脚部は吸盤として設計されている。吸盤とは、空気の負の流体圧力を利用して非多孔性の表面に付着し、部分的な真空状態を作り出す装置又は物である。脚部の動作面は、弾性のある柔軟な素材でできており、曲面であるのが好ましい。脚部の中央部を平らな支持面に押し付けると、脚部と平らな面の間の空間の容積が減少する。そのため、脚部と表面の間の空気や水は、カップのエッジを越えて排出される。これにより、脚部と支持面の間に圧力不足が発生する。脚部の外側の大気と、脚部と支持面の間の低圧との間の圧力差によって、脚部は支持面に密着する。
【0068】
交換用キャップは、プラスチック材料で構成されているのが好ましい。好ましくは、交換用キャップは、射出成形により、好ましくは多成分射出成形により製造される。
【0069】
この目的は、
a)パッケージからプレフィラブルシリンジを取り出すステップと、
b)シリンジ先端部から先端キャップを取り外すステップと、
c)パッケージ内に配置されている交換用キャップにシリンジ先端部を配置するステップと、
d)交換用キャップが装着されたプレフィラブルシリンジをパッケージから取り出すステップと、
を含む、上述した実施形態のいずれかに係るシステムの使用によっても対処される。
【0070】
システムの使用は、システム又はパッケージについて上述した単一の特徴又は特徴の組み合わせで構成されていてもよい。また、システム又はパッケージは、使用について上述した単一の特徴又は特徴の組み合わせを含んでいてもよい。さらに、システムの使用についても、システム又はパッケージについて上述したのと同様の利点が適用されてもよい。
【0071】
好ましい実施形態によれば、使用は、プレフィラブルシリンジの投与量を設定するステップを含む。
【0072】
好ましい実施形態によれば、使用は、閉鎖要素を取り外すステップを含んでいてもよい。
【0073】
好ましい実施形態によれば、パッケージの交換用キャップを備えたシリンジを回収した後に、シリンジを支持面上に直立した状態で配置することができる。交換キャップの脚部は、交換キャップを備えたプレフィラブルシリンジの支持面上での安定した直立位置を提供するのに適しているのが好ましい。交換用キャップの脚部の支持領域は支持面に接触しているのが好ましい。
【0074】
以下では、長軸(X)、水平軸(Y)、及び垂直軸(Z)は、パッケージ本体(3)との関係で使用される。長軸(X’)、水平軸(Y’)、及び垂直軸(Z’)は、プレフィラブルシリンジ(100)との関係で使用される。長軸(X’’)、水平軸(Y’’)、及び垂直軸(Z’’)は、交換用キャップ(300)との関係で使用される。
【0075】
図1、
図2A、
図3、
図4及び
図5Aには、プレフィラブルシリンジが図示されている。プレフィラブルシリンジ(100)は、シリンジバレル(101)とシリンジ先端部(102)とからなる。シリンジバレル(101)は、円筒状に形成され、近位端で開口する。遠位端では、シリンジバレル(101)は、遠位方向(X’1)に沿ってシリンジ先端部(102)に合流する。シリンジ先端部(102)は、円錐形状であってもよい。シリンジ先端部(102)は、ルアーコーンであるのが都合がよい。必ずしも好ましいものではないが、シリンジ先端部(102)には、穿刺手段、特に針、カニューレ、又は同様な手段を配置することも考えられる。シリンジバレル(101)には、投与すべき媒体が収納されている。シリンジバレル(101)は、その近位端において、シリンジバレル(101)内を移動可能なプランジャ又は
図9から
図13に示すようなピストン500で閉鎖されている。
【0076】
好ましい実施形態では、
図9から
図13に示すように、プランジャ500は、標準的なプランジャのような円錐形の断面ではなく、その底面502を平坦面とすることができる。プランジャ500の底部の平坦面502は、より良い用量調整を可能にする。プランジャの側壁は、シリンジバレル101内での密封摺動のための環状の隆起部501を有する。
【0077】
より好ましくは、プランジャは、シリコーン、テフロン(登録商標)などで完全に被覆することができ、さらに好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のフィルムで被覆することができる。
【0078】
標準的なプランジャストッパーとシリコンコーティングされたバレルでは、プランジャストッパーのブレイク・ルーズ・フォース(BLF)は、充填されたシリンジの保存期間を長くすることができる。グライドフォース(GF)は保存中にこの増加が見られないかもしれない。したがって、2つの力の差(ΔF)は保管期間中に増加する可能性がある。これにより、保管後のユーザの体験として、「プランジャストッパーが動くまでプランジャロッドへの押圧力を強める」というものがある。このように、ブレイク・ルーズ・フォースとグライドフォースの差が比較的大きい場合、ユーザは力を直ぐには止めることができず、僅かな量の差しか設定できないことがある。
【0079】
さらに、本発明によれば、コーティングは、本発明の装置の動作を容易にし、目に見えない微粒子のレベルを低くするのに有効である。
【0080】
(例えば、
図9から
図13のような)プランジャ又はピストンは、ロッド(104)に取り付けることができる。ロッドは、シリンジバレル(101)から近位方向(X’2)に突出する。また、ロッド(104)の近位端には、フィンガーサポート(109)が設けられている。さらに、シリンジバレル(101)には、フィンガーフランジ(105)が設けられている。本実施形態では、フィンガーフランジ(105)は、クリップオンフィンガーフランジであり、シリンジバレル(101)に設けたフィンガーフランジに係止することができる。このようなクリップ・オン・フィンガー・フランジは、ユーザが把持する面積を大きくするという利点がある。
【0081】
プレフィラブルシリンジ(100)は、シリンジ先端部(102)上に配置される先端キャップ(103)を備える。先端キャップ(103)は、少なくとも一部をエラストマー材料で構成してもよい。
【0082】
図2B及び
図5Bには、交換用キャップ(300)が図示されている。
図3、
図4及び
図8には、交換用キャップ(300)を備えたプレフィラブルシリンジ(100)が図示されている。
図7、
図8及び
図10には、交換用キャップ(300)が配置されたパッケージ(1)が示されている。
【0083】
交換用キャップ(300)は、シリンジ先端部(102)と係合するためのインナーキャップ(301)を備える。インナーキャップ(301)は、交換用キャップの脚部(303)に設けられている。インナーキャップ(301)は、シリンジ先端部(102)との密封接続が可能となるように、少なくとも一部がエラストマー材料で構成されているのが好ましい。シリンジ先端部(102)は、インナーキャップ(301)の開口部(304)からインナーキャップ(301)内に導いてもよい。
【0084】
さらに、交換用キャップ(300)は、交換用キャップ(300)を取り付けるためにシリンジバレル(101)に係合する外側カラー(302)と、脚部(303)とを備える。
【0085】
外側カラー(302)は、インナーキャップ(301)の開口部(304)の上方に長軸(X’’)に沿って配置されるリング(305)を備える。リング(305)は、支柱(306)によって支持されている。好ましくは、3つの支柱(306)が、リング(305)の円周に沿って、互いの半径方向距離が等しくなるように配置されている。支柱(306)は、脚部(303)に配置され、インナーキャップ(301)を半径方向に囲んでいる。さらに、支柱(306)は、交換用キャップ(300)がプレフィラブルシリンジ(100)に装着されたときに、リング(305)から半径方向内側に突出し、シリンジバレル(101)に接触する。
【0086】
交換用キャップ(300)は、開口(309)と、リング(305)によって画定される開口領域(309a)とを備える。インナーキャップ(301)の開口部(304)は、長軸(X’’)に沿ってリングの開口(309)の下方に位置している。したがって、開口領域(309a)は、インナーキャップ(301)の開口部(304)の開口領域と平行に方向付けされている。プレフィラブルシリンジ(100)は、まず、開口(309)から案内され、次に、インナーキャップ(301)の開口部(304)へと案内される。開口(309)と開口部(304)は同じ中心軸(307)を共有する。
図7及び
図8には、交換用キャップ(300)が配置されたパッケージ(1)が示されている。開口領域(309a)は、パッケージ本体(3)の底壁(6)と平行に方向付けされている。
【0087】
脚部(303)は、支持面(400)上でのプレフィラブルシリンジ(100)の安定した直立位置を提供するのに適している。これは、
図4に図示されている。直立位置では、フィンガーフランジ(105)及びロッド(104)を備えるプレフィラブルシリンジ(100)の近位端を把持しやすいように、支持面(400)でプレフィラブルシリンジ(100)の遠位端が位置決めされていることが分かる。脚部(303)は、支持面(400)に接触する支持領域(311)を構成する。支持領域(311)は、脚部の遠位端を構成する交換用キャップ(300)の遠位端面(312)の一部に張り出していてもよい。また、支持領域(311)が遠位端面(312)の全体を覆うことも考えられる。さらに、支持領域(311)が、遠位端面(312)のエッジに沿って延びることも考えられる。
【0088】
プレフィラブルシリンジ(100)は、長軸(X’)に沿って、水平軸(Y’)に沿うよりもはるかに大きく延びている。重心が支持領域(311)のエッジによって区画される領域にある限り、安定した位置決めが可能である。重心が半径方向(水平軸(Y’)又は垂直軸(Z’)方向)に変位しても、重心が傾いたエッジよりも半径方向外側に配置されない限り、起立の安定性には影響がない。プレフィラブルシリンジ(100)の近位端にフィンガーフランジ(105)を設けることにより、重心はプレフィラブルシリンジ(100)の近位端に近づく。これは、重心の小さな変位によって、直立するシリンジが倒れることを意味する。
【0089】
支持領域(311)は、交換用キャップ(300)の中心軸(307)をエッジ距離(308)で囲むエッジ(313)で構成されている。エッジ距離(308)は、シリンジバレル(101)の半径(112)の少なくとも2倍であり、より好ましくは、エッジ距離(308)は、シリンジバレル(101)の半径(112)の少なくとも3倍である。好ましくは、エッジ距離(308)は、シリンジバレル(101)の半径(112)の少なくとも4倍である。好ましくは、エッジ距離(308)は、シリンジバレル(101)の半径(112)の少なくとも5倍である。このような実施形態により、傾いたエッジは中心軸からさらに離れる。このため、プレフィラブルシリンジ(100)を転倒させるために必要な変位が大きくなる。
【0090】
脚部(303)の遠位端面(312)は、エッジを構成している。遠位端面(312)のエッジと、支持(311)のエッジ(313)とは、互いに平行であり、隣接している。
【0091】
図2B、
図3、
図4、
図7及び
図8で、交換用キャップ(300)は、カット部(314)を除いて、実質的に円形をした円盤状である。したがって、前記エッジ距離(308)は、実質的に円盤状の脚部(313)の半径である。カット部(314)は、割線ライン(直径の2点で円形交換キャップと交差する直線を意味する)に沿って延びており、割線は円形交換キャップの中心を通らない。カット部(314)は、長軸(X)に沿って延びる側壁(5)に隣接する。
【0092】
図5Bの実施形態に係る脚部(303)は長方形である。したがって、エッジ距離(308)は、中心軸(307)に最も近いエッジまでの距離となる。
【0093】
脚部(303)は、その寸法により、ユーザが交換用キャップ(300)を把持するのに適したグリップ部でもある。また、脚部(303)は、空気の負の流体圧力を利用して非多孔質の表面に付着し、部分的な真空状態を作り出す装置又は物体である吸盤として設計することもできる。
【0094】
図6から
図8には、パッケージ(1)及び/又はシステム(200)が図示されている。
【0095】
システム(200)は、シリンジバレル(101)及びシリンジ先端部(102)を備えたプレフィラブルシリンジ(100)と、プレフィラブルシリンジ(100)を受け入れるのに適すると共に受け入れることを意図したパッケージ(1)とを備え、シリンジ先端部(102)は先端キャップ(103)を備え、システム(200)は、プレフィラブルシリンジ(100)のための交換用キャップ(300)を備え、パッケージ(1)は、交換用キャップ(300)を受け入れるのに適すると共に受け入れることを意図したものとなっている。
【0096】
パッケージ(1)は、プレフィラブルシリンジ(100)を受け入れるのに適すると共に受け入れることを意図したものであり、シリンジバレル(101)とシリンジ先端部(102)とを備え、シリンジ先端部(102)は先端キャップ(103)を備え、パッケージ(1)は、プレフィラブルシリンジ(100)の交換用キャップ(300)を受け入れるのに適すると共に受け入れることを意図したものなっている。
【0097】
パッケージ(1)は、側壁(5)及び底壁(6)によって画定される第1キャビティ(4)を形成するパッケージ本体(3)を備え、プレフィラブルシリンジ(100)は、前記第1キャビティ(4)に配置可能又は配置される。パッケージ本体(3)は、互いに直交する長軸(X)、水平軸(Y)、及び垂直軸(Z)に沿って延びている。さらに、パッケージ本体(3)は長方形の形状を有する。
【0098】
パッケージ本体(3)の第1キャビティ(4)には、少なくとも1つの第2受入要素(7、7a、7b)が設けられ、シリンジバレル(101)を受入可能となっている。図示する実施形態は、パッケージ本体(3)の底壁(6)に配置された2つの第2受入要素(7、7a、7b)を有する。
【0099】
第2受入要素(7)の第1部分(7a)は、底部(27)上に配置された半円形の頂部(26)を備える。半円状の頂部(26)は、シリンジバレル(101)を受け入れるように寸法を設定されている。
図6から
図8の実施形態によれば、第2受入要素(7)の第2部分(7b)も、底部(27)に配置された半円形の頂部(26)を備える。
【0100】
シリンジバレル(101)の遠位端(101a)は、第2受入要素(7)の第1部分(7a)によって支持され、シリンジバレル(101)の近位端(101b)は、第2受入要素(7)の第2部分(7b)によって支持されている。
【0101】
プレフィラブルシリンジ(100)がパッケージ(1)内に配置されている場合、第2受入要素(7)の第1部分(7a)は、シリンジバレル(101)がシリンジ先端部(102)に合流する領域(110)又はその近傍に設けられる。さらに、第2受入要素(7)の第2部分(7b)は、パッケージ本体(3)に配置されたプレフィラブルシリンジ(100)のフィンガーフランジ(105)の近傍に設けられる。
【0102】
パッケージ本体(3)の第1キャビティ(4)には、プレフィラブルシリンジ(100)のロッド(104)が受入可能又は受入される第3受入要素(8)が設けられている。第3受入要素(8)は、垂直軸(Z)に沿って延びる2つの壁(8a、8b)からなり、ロッド(105)が受入可能又は受け入れられるキャビティを形成している。さらに、第3受入要素(8)は、半円状に形成され、壁(8a、8b)を連結する底壁を有する。第3受入要素(8)は、その近位端で、ロッド(104)のフィンガーサポート(109)を受け入れる固定要素(30)で終端する。
【0103】
第2受入要素(7、7b)と第3受入要素(8)との間には、隙間(29)が形成されている。プレフィラブルシリンジ(100)がパッケージ本体(3)内に配置されたとき、この隙間(29)にプレフィラブルシリンジ(100)のフィンガーフランジ(105)を突出させることができる。このように、フィンガーフランジ(105)は、第2受入要素(7)の第2部分(7b)と第3受入要素(8)との間に挟まれ、プレフィラブルシリンジ(100)がパッケージ本体(3)内に固定される。
【0104】
第3受入要素(8)は、隙間(29)の後方で、シリンジバレル(101)から突出するロッド(104)に沿って長手方向に延びている。
【0105】
プレフィラブルシリンジ(100)がパッケージ本体(3)内に配置されると、第2受入要素(7)の第1部分(7a)、好ましくは第2受入要素(7)の第2部分(7b)、好ましくは第3受入要素(8)、特に固定要素(30)によって支持される。このように、プレフィラブルシリンジ(100)がパッケージ本体(3)に受け入れられている状態では、プレフィラブルシリンジ(100)の中心軸(111)がパッケージ本体(3)の底壁(6)と平行に延びる。中心軸(111)は、パッケージ本体(3)の底壁(6)の上の高さL2で延びている。高さL2により、プレフィラブルシリンジ(100)を容易に把持することが可能となっている。
【0106】
交換用キャップ(300)は、交換用キャップ(300)の開口(309)がパッケージ本体(3)の垂直軸(Z)に沿って方向付けされるように、パッケージ(1)内に配置されている。交換用キャップ(300)の開口領域(309a)は、パッケージ本体(3)の底壁(6)と平行に配置されている。交換用キャップ(300)の中心軸(307)は、パッケージ本体(3)の側壁(5)の高さ方向の延長線と平行であるのが好ましい。
【0107】
パッケージ本体(3)の側壁(5)は、長軸(X)及び水平軸(Y)に沿ってパッケージ本体(3)を取り囲んでいる。側壁(5)は、垂直軸(Z)に沿って高さL4で延びている。高さL4は、少なくとも、高さL2に、シリンジバレル(101)の半径(112)を加えたものである。側壁(5)の(垂直軸(Z)に沿った)上端には、フランジ(31)が設けられている。フランジ(31)は、外側に延びており、長軸(X)及び水平軸(Y)に沿ってパッケージ本体(3)を、好ましくは隙間なく囲んでいる。
【0108】
フランジ(31)上には、閉鎖要素(15)を配置してもよい。閉鎖要素は、フランジ(31)に適切な接続部で接続するのが好ましい。閉鎖要素(15)は、
図6に一部分のみが示され、箔又は摺動可能な安定要素であってもよい。
【0109】
図6から
図8の実施形態によれば、パッケージ本体(3)の第1キャビティ(4)は、第1受入要素(2)を備え、そこには交換用キャップ(300)が受け入れられている。特に、交換用キャップ(300)の脚部(303)は、第1受入要素(2)に受け入れられている。したがって、第1受入要素(2)は、実質的に脚部(303)の外周形状となっている。
図6から
図8の場合、この形状は、割線に沿って延びるカット部分を有する略円形となる。
【0110】
第1受入要素(2)は、パッケージ本体(3)の底壁(6)上に配置された側壁(12)を備えている。この側壁(12)及びパッケージ本体(3)の側壁(5)は、交換用キャップ(300)の脚部(303)の形状に適合するキャビティを区画している。
図6から
図8の本実施形態では、キャビティと交換用キャップ(300)の脚部(303)は、略円形に形成されている。交換用キャップ(300)の支持面(311)は、交換用キャップ(300)がパッケージ(1)内に配置されるように、パッケージ本体(3)の底壁(6)に設けられ、交換用キャップ(300)の開口(309)がパッケージ本体(3)の垂直軸(Z)に沿って方向付けられている。交換用キャップ(300)の開口部(309a)は、パッケージ本体(3)の底壁(6)と平行に方向付けされている。
【0111】
垂直軸(Z)に沿った側壁(12)の高さ(13)は、実質的にその外縁における交換用キャップ(300)の高さ(310)である。
【0112】
図1から
図8には、システム(200)の使用方法も示されている。この使用方法は、好ましくはパッケージ本体(3)から閉鎖要素を取り外すステップを備える。そして、プレフィラブルシリンジ(100)をパッケージ(1)から取り出す。続いて、先端キャップ(103)を取り外す。任意で、プレフィラブルシリンジの投与量を設定する。次に、交換用キャップ(300)をプレフィラブルシリンジ(100)に装着する。このために、パッケージ(1)内に配置した交換用キャップ(300)に、シリンジ先端部(102)を配置する。シリンジ先端部(102)は、交換用キャップ(300)の開口(309)とインナーキャップ(301)の開口(304)を連通する。最後に、インナーキャップ(301)を、シリンジ先端部(102)に取り付け、リング(305)又は支柱(306)をシリンジバレル(101)に接触させる。装着の際、交換用キャップ(300)はパッケージ(1)内である。交換用キャップ(300)の開口(309)は、パッケージ本体(3)の垂直軸(Z)に沿って配置されているので、シリンジ先端部(102)を交換用キャップ(300)内に容易に案内することができる。したがって、シリンジ(100)の取扱いは、片手だけで行うことができる。プレフィラブルシリンジ(100)を入手したり、プレフィラブルシリンジ(100)に対して交換用キャップ(300)を位置合わせしたりするために、プレフィラブルシリンジ(100)を置く必要はない。その後、交換用キャップ(300)が取り付けられたプレフィラブルシリンジ(100)をパッケージ(1)から取り出すことができる。
【0113】
プレフィラブルシリンジ(100)は、支持面(400)に直立配置するのが好ましい。交換用キャップ(300)の脚部(303)は、交換用キャップ(300)を備えたプレフィラブルシリンジ(100)の支持面(400)で安定した直立位置を提供するのに適している。交換用キャップ(300)の脚部(303)の支持領域(311)が支持面(400)に接触する。
【0114】
このようなシステム(200)は、使用するプレフィラブルシリンジ(100)と、適切な交換用キャップ(300)とからなるパッケージ(1)がユーザに提示されるという利点を有する。交換用キャップ(300)は、ユーザが既に利用でき、他に入手する必要はない。さらに、交換用キャップ(300)は、追加のパッケージから取り出す必要はない。
【0115】
本発明は、ここに開示されたシステムにも採用されており、シリンジには、すぐに使用できる医薬製剤が予め充填されている。
【0116】
医薬製剤は、溶液又はエマルジョンの形態であり、経口、筋肉内、又は静脈内投与に適した1つ又は複数の活性成分を含むのが都合がよい。
【0117】
製剤は水溶液又はアルコール溶液であるのがさらに都合がよい。
【0118】
医薬製剤は、ブプレノルフィンを含む水溶液又はアルコール溶液であるのが好ましく、アヘン離脱症候群(OWS)に罹患した患者、より好ましくは新生児OWSに罹患した新生児の舌下及び/又は頬下投与による効果的な治療のためのものである。
【0119】
より好ましくは、水溶液の形態のブプレノルフィン製剤は、
i)0.005から0.02% w/vのブプレノルフィン又はその薬学的に許容される塩を唯一の有効成分とするもの、
ii)0.5%から10% w/vの増粘剤、及び
iii)pHが5.0から7.0になるような量の緩衝剤
を備える。
【0120】
ブプレノルフィンは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキマレイン酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの無機酸又は有機酸で形成された薬学的に許容される塩の形で、塩基として利用されなければならない。
【0121】
ブプレノルフィンは塩酸塩として存在するのが好ましい。
【0122】
遊離塩基として表されるブプレノルフィンの濃度は、遊離塩基として表される0.005~0.02% w/v、好ましくは0.006~0.01% w/vで構成されるのが有効である。
【0123】
特定の実施形態では、塩酸ブプレノルフィンの濃度は、遊離塩基として表される0.0075% w/vである。
【0124】
増粘剤の濃度は、0.5%から10% w/vの間、好ましくは0.6%から8.0% w/vの間で構成されなければならない。増粘剤の種類と量は、消化管からの吸収を最小限にするために、患者の舌の下にできるだけ製剤を保持する適切な粘度を達成するように適切に選択されなければならない。
【0125】
同時に、活性成分のマトリックスからの放出、ひいては局所的な吸収を遅らせるために、粘度は高すぎてはならない。
【0126】
より好ましくは、増粘剤の濃度は、1.0~6.0% w/vであってよい。
【0127】
特定の実施形態では、前記濃度は、1.0% w/v、又は1.5% w/v、又は2.0% w/v、又は6.0% w/vである。
【0128】
有利には、増粘剤は、アルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン、セルロースの水溶性誘導体などの水溶性多糖類から選択することができる。アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどが挙げられる。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロースエステル及びヒドロキシアルキルセルロースエステル。カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロースエステル及びそれらのアルカリ金属塩 ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリクロトン酸などの水溶性合成ポリマー。また、フタル酸ゼラチン、コハク酸ゼラチン、架橋ゼラチン、シェラック、デンプンの水溶性化学誘導体、例えばジエチルアミノエチル基のような第3級又は第4級のアミノ基を有するカチオン変性アクリレート及びメタクリレートも適している。
【0129】
好ましくは、増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)又はカルボキシメチルセルロース(CMC)のアルカリ金属塩(ナトリウム塩など)からなるグループから選択された水溶性セルロース誘導体である。
【0130】
実際、前記クラスに属する増粘剤は、適切な粘度を提供することができるが、キサンタンガムのようなガムのクラスの他の剤では、製剤の粘度が高すぎることが判明した。
【0131】
有利には、25±2℃における製剤の粘度は、500から2300Pas(1mPasは1センチポイズに相当)、好ましくは700から2100mPaである。
【0132】
有利には、本発明の製剤のpHは、5.0から7.0、より有利には5.2から6.8、好ましくは5.5から6.5で構成してもよい。
【0133】
水溶性セルロース誘導体を使用する場合、好ましい製剤は、5.5から6.5のpHを有し、1.0%から2.0% w/v、さらに好ましくは1.5% w/vで構成される増粘剤である。このクラスの好ましい増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロースであってもよい。前記賦形剤は、Natrosol250HXTMとして市販されている。
【0134】
リン酸塩やクエン酸塩のナトリウム塩やカリウム塩などの緩衝剤を用いてpHを調整することができる。適切な量を決定するのは当業者である。
【0135】
好ましい実施形態では、無水クエン酸及び無水クエン酸ナトリウムが緩衝剤として使用される。
【0136】
前記製剤は、香味料及び/又は甘味料などの他の賦形剤を含んでいてもよい。
【0137】
香料は、天然及び合成の香味液から選択することができる。例えば、植物、葉、花、果実、茎などに由来する揮発性オイル、合成フレーバーオイル、香料アロマ、オイル、液体、オレオレジン、抽出物などが挙げられる。代表的な例としては、ミントオイル、ココア、レモン、オレンジ、グレープ、ライム、グレープフルーツなどの柑橘系オイル、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどのフルーツフレーバーを含むフルーツエッセンスなどが挙げられる。
【0138】
他の有用な香料としては、ベンズアルデヒド(チ領域モンド)、シトラールすなわちα-シトラール(レモン、ライム)、ネラールすなわち。β-シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、アルデヒドC-8(柑橘類)、アルデヒドC-9(柑橘類)、アルデヒドC-12(柑橘類)、トリルアルデヒド(チ領域モンド)、2,6-ジメチルオクタノール(グリーンフルーツ)、2-ドデセナール(柑橘類、マンダリン)などのアルデヒド類、それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0139】
甘味料は、以下の非限定的なリストから選択することができる。グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、及びそれらの組み合わせ、サッカリン及びそのナトリウム塩などの各種塩、アスパルテームなどのジペプチド甘味料、ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン、Stevia rebaudiana(Stevioside)、スクラロースなどのスクロースのクロロ誘導体、ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール、などである。また、水添デンプン加水分解物、合成甘味料の3,6-ジヒドロ-6-メチル-1-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシド、特にカリウム塩(アセスルファム-K)、ならびにそのナトリウム塩及びカルシウム塩も企図されている。また、他の甘味料を使用してもよい。
【0140】
一般的に、当業者は、新生児への投与に安全であると考えられる甘味料及び/又は香料を選択する。
【0141】
前記製剤は、プロピレングリコール、及びポリオキシル水素化ヒマシ油誘導体、例えばポリオキシル40水素化ヒマシ油(Kolliphor RH 40TMとして市販されている)などの浸透促進剤も含むことができる。
【0142】
好ましい実施形態では、製剤は、
0.05から0.01% w/vの塩基性塩酸ブプレノルフィン、1.5% w/vのヒドロキシエチルセルロース、0.12% w/vの無水クエン酸、1.13% w/vの無水クエン酸ナトリウム、注射用水であり、そのpHは6.0±0.3の組成を有する。
代替の実施形態では、製剤は、
0.05から0.01% w/v塩酸ブプレノルフィン、6.0% w/vカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.12% w/v無水クエン酸、1.13% w/v無水クエン酸ナトリウム、注射用水であり、pHは6.0±0.3の組成を有する。
【0143】
より詳細な情報は、国際特許出願PCT/EP2018/078447及び米国出願番号16/164,282に記載されており、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
医薬製剤は、既知の方法に従って調製することができる。
【0145】
好ましい実施形態では、医薬製剤は無菌であり、無菌条件下での予備充填は、当技術分野で公知の方法に従って実施される。
【0146】
好ましくはないが、医薬製剤は、使用前にすぐに溶解する乾燥粉末の形態であってもよい。
【0147】
したがって、本発明は、ここに開示されたシステムを、すぐに使用できる水溶液又は適切なビヒクルで再構成される粉末のいずれかの形態の医薬製剤、及び前記医薬製剤を投与するための指示書とともに含むキットにも関するものである。
【符号の説明】
【0148】
1 パッケージ
2 第1受入要素
3 パッケージ本体
4 パッケージ本体の第1キャビティ
5 パッケージ本体の側壁
6 パッケージ本体の底壁
7 第2受入要素
7a 第2受入要素の第1部分
7b 第2受入要素の第2部分
8 第3受入要素
8a、8b 第3受入要素の壁
12 第1受入要素の側壁
13 側壁の高さ
15 閉鎖要素
26 第2受入要素の半円形上部
27 第2受入要素の底部
30 固定要素
31 フランジ
100 プレフィラブルシリンジ
101 シリンジバレル
101a シリンジバレルの遠位端
101b シリンジバレルの近位端
102 シリンジ先端部
102a シリンジ先端部の外径部
103 先端キャップ
103a 先端キャップの外径部
103b 先端キャップの遠位端面
104 ロッド
105 フィンガーフランジ
106 プレフィラブルシリンジの長さ
107 フィンガーフランジの幅
108 シリンジバレルの幅
109 フィンガー支持部
110 シリンジバレルがシリンジ先端部に合流する領域
111 プレフィラブルシリンジの中心軸
112 シリンジバレルの半径
200 システム
300 交換用キャップ
301 インナーキャップ
302 外側カラー
303 脚部
304 インナーキャップの開口部
305 リング
306 支柱
307 交換用キャップの中心軸
308 エッジの距離
309 交換用キャップの開口部
309a 交換用キャップの開口部の面積
310 高さ
311 支持領域
312 脚部の遠位端面
313 支持の端部
314 カット部
400 支持面
500 プランジャ
501 プランジャの隆起部
502 プランジャの底面
X パッケージ本体の長軸
Y パッケージ本体の水平軸
Z パッケージ本体の垂直軸
X’ プレフィラブルシリンジの長軸
Y’ プレフィラブルシリンジの水平軸
Z’ プレフィラブルシリンジの垂直軸
X’’ 交換用キャップの長軸
Y’’ 交換用キャップの水平軸
Z’’ 交換用キャップの垂直軸
X’1 遠位方向
X’2 近位方向
L2 シリンジの中心軸の底壁からの高さ
L4 パッケージ本体の側壁の高さ
【国際調査報告】