(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】スコープ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/227 20060101AFI20220415BHJP
A61F 11/06 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
A61B1/227
A61F11/00 350
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552879
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(85)【翻訳文提出日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2020055944
(87)【国際公開番号】W WO2020178407
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517393570
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティ オブ アイルランド ゴールウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キーオ,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】オキャラハン,ローリー
(72)【発明者】
【氏名】マクグロウリン,エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ギャラハー,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,クリスチティーナ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA11
4C161CC06
4C161CC09
4C161GG13
4C161HH56
4C161WW06
(57)【要約】
耳を検査または外科的に治療するためのスコープ(1)であって、少なくとも1つのカメラ(6)と、光源(7)と、スタビライザ(2)とを備え、スタビライザ(2)は、カメラ(7)をスタビライザ(2)内またはスタビライザ(2)上に支持するためのものであり、スタビライザ(2)は、カメラ(7)と一体であり、スコープ(1)を外耳道内で安定させるように構成されている、スコープ(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳を検査または外科的に治療するためのスコープであって、
少なくとも1つのカメラと、
スタビライザであって、前記スタビライザは、前記カメラを前記スタビライザ内または前記スタビライザ上に支持するためのものであり、前記スタビライザは、外耳道内で前記スコープを安定させるように構成されており、前記スコープは、その重心を、前記スタビライザ内に包含される体積内に維持するように構成されている、スタビライザと、を備える、スコープ。
【請求項2】
前記スコープは、光源をさらに備える、請求項1に記載のスコープ。
【請求項3】
前記光源は、直接光または導管内光である、請求項2に記載のスコープ。
【請求項4】
前記スタビライザは、前記カメラと一体である、請求項1~3のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項5】
前記カメラは、前記スタビライザ上のプローブ取り付け部に取り付け可能なプローブ上に設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項6】
前記スタビライザは、検鏡ホルダを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項7】
前記スタビライザは、着脱可能または一体化された検鏡を備える、請求項6に記載のスコープ。
【請求項8】
前記検鏡は、近位開放端、遠位挿入端、前記近位開放端と前記遠位挿入端との間に延在する実質的に円錐形の壁を備え、前記検鏡内に包含される体積が、前記近位開放端と前記遠位挿入端との間に画定される、請求項7に記載のスコープ。
【請求項9】
前記検鏡は、重量バランス化検鏡を含む、請求項8に記載のスコープ。
【請求項10】
前記重量バランス化検鏡は、その重心よりも下に、増加した重量を含む、請求項9に記載のスコープ。
【請求項11】
前記重量バランス化検鏡は、低密度材料および高密度材料の組み合わせを含む、請求項10に記載のスコープ。
【請求項12】
前記低密度材料は、ポリマーを含む、請求項11に記載のスコープ。
【請求項13】
前記低密度材料は、前記検鏡の前記近位端に向かって配置されている、請求項11または12に記載のスコープ。
【請求項14】
前記高密度材料は、前記検鏡の前記遠位端に向かって配置されている、請求項11~13のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項15】
前記高密度材料は、金属材料を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項16】
前記スコープの前記重心は、プローブの重量のバランスをとるためのバランスウェイトによって、前記検鏡内に包含される前記体積内に位置する、請求項7~15のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項17】
前記バランスウェイトは、前記検鏡および/もしくは前記プローブに着設されているか、またはそれらと一体である、請求項16に記載のスコープ。
【請求項18】
前記バランスウェイトは、前記検鏡ホルダ上に位置する、請求項17に記載のスコープ。
【請求項19】
前記スコープの前記重心は、前記スコープ上の少なくとも1つの横方向延在翼またはアームによって、前記検鏡内に包含される体積内に位置する、請求項7に記載のスコープ。
【請求項20】
前記プローブ取り付け部は、プローブ運動機構を備える、請求項5~19のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項21】
前記プローブ運動機構は、プローブスライド機構を含む、請求項20に記載のスコープ。
【請求項22】
前記プローブスライド機構は、前記プローブを近位側および遠位側に動かすように構成されている、請求項21に記載のスコープ。
【請求項23】
前記プローブ運動機構は、前記スタビライザと前記プローブとの間に画定された摩擦取り付け部を含む、請求項20に記載のスコープ。
【請求項24】
前記摩擦取り付け部は、低摩擦取り付け部を含む、請求項23に記載のスコープ。
【請求項25】
前記プローブ取り付け部は、ヒンジ式プローブ取り付け部を含む、請求項5~24のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項26】
前記プローブは、湾曲しているか、または前記検鏡の輪郭の少なくとも一部分に適合可能である、請求項7~25のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項27】
前記プローブは、前記カメラの画角を変更するために、前記プローブ取り付け部内に回転可能に取り付け可能である、請求項5~26のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項28】
前記スコープは、前記プローブを柔軟に支持するための可撓性セクションを含む、請求項5~27のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項29】
前記カメラからの画像をユーザに対して配向するための画像配向機構をさらに備える、請求項1~28のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項30】
前記画像配向機構は、少なくとも1つのジャイロスコープおよび/または少なくとも1つの傾斜スイッチを備える、請求項29に記載のスコープ。
【請求項31】
前記プローブは、前記スタビライザから着脱可能である、請求項5~30のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項32】
前記プローブは、前記スタビライザ内で横方向に可動である、請求項5~31のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項33】
前記プローブは、前記スタビライザ内で、内方向、外方向、および左右方向において横方向に可動である、請求項5~32のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項34】
前記プローブは、セルフロック式である、請求項5~33のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項35】
前記セルフロック式プローブは、前記プローブをロックするためにその長手方向軸の周りで回転式にロック可能である、請求項34に記載のスコープ。
【請求項36】
前記セルフロック式プローブは、非一様の断面を含む、請求項35に記載のスコープ。
【請求項37】
前記プローブは、深さ制御機構を備える、請求項5~36のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項38】
前記深さ制御機構は、前記プローブの挿入の深さを制御するためのロック可能深さ制御機構または停止特徴部を備える、請求項37に記載のスコープ。
【請求項39】
前記ロック可能深さ制御機構は、少なくとも1つの規定された挿入限度を含む、請求項38に記載のスコープ。
【請求項40】
前記深さ制御機構は、シャッタ解放可能型機構を備える、請求項37~39のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項41】
前記深さ制御機構は、オーバーライド機能を備える、請求項37~40のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項42】
前記深さ制御機構は、触覚フィードバックを含む、請求項37~41のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項43】
触覚フィードバックは、前記プローブと接触可能なホイール、歯車、またはつめを備える、請求項39に記載のスコープ。
【請求項44】
前記検鏡は、吸引のため、または必要に応じて空気もしくは流体を前記耳に向かって導くための、追加の管腔またはチャネル/ホースを備える、請求項7~43のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項45】
前記検鏡は、前記検鏡の側壁を貫く切り込みまたは切り欠き部分を備える、請求項7~44のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項46】
前記検鏡は、2つ以上の拡張可能かつ収縮可能な検鏡ブレードを画定するための、前記検鏡の側壁を貫く、反対側に配置された2つ以上の切り欠き部分または切り込みを備える、請求項7~45のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項47】
前記プローブは、前記検鏡ブレードのうちの少なくとも1つとともに可動である、請求項46に記載のスコープ。
【請求項48】
前記スコープは、前記ブレードの動きを制御するための拡張機構を備える、請求項46または47に記載のスコープ。
【請求項49】
前記拡張機構は、前記検鏡上に調整リングを備える、請求項48に記載のスコープ。
【請求項50】
前記調整リングは、目盛りを備え、各目盛りが検鏡サイズに対応する、請求項49に記載のスコープ。
【請求項51】
前記拡張機構は、前記検鏡上に弾性材料のバンドを備える、請求項49または50に記載のスコープ。
【請求項52】
前記スコープは、カメラモジュールを保持するための、反対側に配置された第1および第2の支持アームを備える、請求項1~51のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項53】
イヤークリップをさらに備える、請求項1~52のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項54】
前記イヤークリップは、前記耳を取り巻き、湾曲した可撓性アームを備える、請求項53に記載のスコープ。
【請求項55】
イヤーカップをさらに備える、請求項1~52のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項56】
前記イヤーカップは、前記耳を取り囲み、下向き凹形状を含む、請求項55に記載のスコープ。
【請求項57】
前記イヤーカップに継ぎ手をさらに備える、請求項56に記載のスコープ。
【請求項58】
前記継ぎ手は、玉継ぎ手を含み、それを通して前記スタビライザが前記イヤーカップに接続する、請求項57に記載のスコープ。
【請求項59】
組み込みカメラ洗浄ユニットをさらに備える、請求項1~58のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項60】
前記組み込みカメラ洗浄ユニットは、拭き取りブレード/パッドを備える、請求項59に記載のスコープ。
【請求項61】
前記組み込みカメラ洗浄ユニットは、灌注または吸引チャネルを備える、請求項59または60に記載のスコープ。
【請求項62】
前記組み込みカメラ洗浄ユニットは、手動でスライド可能なパッドまたはブラシを備える、請求項59~61のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項63】
自己洗浄ユニットは、方向性バッフルまたはチャネルを備える、請求項59~62のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項64】
前記スコープは、データケーブルをさらに備える、請求項1~63のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項65】
前記データケーブルは、前記スコープにかかる力を最小限にするためのアンカウェイトを備える、請求項64に記載のスコープ。
【請求項66】
前記データケーブルは、延長ケーブルを含む、請求項64または65に記載のスコープ。
【請求項67】
前記データケーブルは、コイル状ケーブルを含む、請求項64または65に記載のスコープ。
【請求項68】
前記データケーブルは、形状設定ケーブルを含む、請求項64または65に記載のスコープ。
【請求項69】
前記スコープは、内視鏡または耳鏡を備える、請求項1~68のいずれか一項に記載のスコープ。
【請求項70】
請求項7~69のいずれか一項に記載のスコープと、スコープホルダとを備えるスコープシステム。
【請求項71】
前記スコープホルダは、取り付けプレートと、前記スコープを位置合わせするための位置決めプレートとを備える、請求項70に記載のスコープシステム。
【請求項72】
前記プレートは、前記検鏡が前記取り付けプレート内の中央に位置するように中心軸を規定する、請求項71に記載のスコープシステム。
【請求項73】
前記取り付けプレートは、前記スコープから延在する1つ以上のアームを介して前記プレートによって支持されている、請求項72に記載のスコープシステム。
【請求項74】
少なくとも1つのアームが、前記検鏡から前記取り付けプレートまで延在する、請求項73に記載のスコープシステム。
【請求項75】
前記スコープは、前記アームと前記取り付けプレートとの間に作用する留め具において前記取り付けプレートと位置合わせされている、請求項74に記載のスコープシステム。
【請求項76】
前記留め具は、磁性である、請求項75に記載のスコープシステム。
【請求項77】
前記留め具は、前記取り付けプレートおよび前記アームに沿ったスロットである、請求項76に記載のスコープシステム。
【請求項78】
前記取り付けプレートは、部分球形取り付けプレートを含む、請求項71~77のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項79】
前記スコープホルダは、変形可能である、請求項70~78のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項80】
前記変形可能なスコープホルダは、前記スコープホルダの可逆的変形を可能にする可塑性を有する、請求項79に記載のスコープシステム。
【請求項81】
前記スコープホルダは、前記スコープホルダを通って延在するデータケーブルと一体であって、手術中に前記スコープを所定の位置に保持することと、データを送信することとを同時に行うためのスコープホルダ兼データケーブルを形成する、請求項80に記載のスコープシステム。
【請求項82】
患者の頭を支持するためのヘッドレストデバイスをさらに備え、前記ヘッドレストデバイスは、患者の頭の動きに応答して自己調整する、請求項70~81のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項83】
前記ヘッドレストデバイスは、ヘッドレストと、スコープスタンドであって、前記ヘッドレストの動きに応答して動いて、前記スコープスタンド内に保持されたスコープを自動的に再配置するように前記ヘッドレストと協働可能なスコープスタンドとを備える、請求項82に記載のスコープシステム。
【請求項84】
前記ヘッドレストは、平坦な表面を有する上面を有する、請求項83に記載のスコープシステム。
【請求項85】
前記ヘッドレストは、前記ヘッドレストが患者の頭の動きに追従することを可能にする凸状下面を備える、請求項83または84に記載のスコープシステム。
【請求項86】
下方関節式アームが、前記ヘッドレストと前記スタンドとの間に延在する、請求項83~85のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項87】
前記下方関節式アームは、前記ヘッドレストとスタンド直立部との間に延在する、請求項86に記載のスコープシステム。
【請求項88】
前記スタンド直立部に、前記スタンド直立部から前記ヘッドレストに向かって突出する上方関節式アームが設けられている、請求項87に記載のスコープシステム。
【請求項89】
前記上方関節式アームは、ロック可能なスライドおよび傾斜セクションを含む、請求項88に記載のスコープシステム。
【請求項90】
手術中に外耳および中耳を検査する方法であって、外耳道内にスコープを配置することを含み、前記スコープは、少なくとも1つのカメラおよびスタビライザを備え、前記スタビライザは、前記カメラを前記スタビライザ内または前記スタビライザ上に支持するためのものであり、前記外耳道内で前記スコープを安定させるように構成されており、前記スコープは、その重心を、治療中に前記スタビライザ内に包含される体積内に維持するように構成されており、
前記方法は、動的な両手技術を使用することと、
前記スコープを前記外耳道内に保持しながら、前記スコープからのカメラフィードを見ることと、を含む方法。
【請求項91】
前記スコープは、前記スコープを使用する外科医が2つの外科用ツールを同時に保持する間に使用される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記外科用ツールは、吸引、切削ツール、灌注ツール、穿孔ツール、保持ツール、鉗子、ドリル、レーザー、および外科用キュレットのうちの少なくとも2つを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記スタビライザは、検鏡を備える、請求項90~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
最大動作スペースを可能にするために、前記スコープが置かれた後に、前記検鏡のサイズを調整するステップをさらに含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記プローブの両側にツールを置くため、または片側に複数のツールを置くために、最大動作スペースを可能にするような前記プローブの動きをさらに含む、請求項90~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記検鏡のサイズは、検鏡をあるサイズ範囲から選択して前記スコープに着設することによって調整される、請求項94または95に記載の方法。
【請求項97】
前記検鏡の前記サイズは、ユーザが前記外耳道内で前記検鏡を拡張することを可能にする調整可能な検鏡を使用することによって調整される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記検鏡の前記サイズは、患者の外耳道内で自動的に拡張する調整可能な検鏡を使用することによって調整される、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記スコープをホルダにさらに着設する、請求項90~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記スコープは、患者のヘッドバンドまたはメガネに着設される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記スコープは、患者の頭に着設される、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記スコープは、患者の枕に着設される、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
前記スコープは、手術台に着設される、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
前記ホルダは、クリップ、接着剤、縫合糸、ステッチ、テープまたはねじによって着設される、請求項99~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記耳内で平衡を維持するために、前記検鏡およびホルダに重り付けすることをさらに含む、請求項90~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記検鏡を曲げて成形することをさらに含む、請求項90~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記カメラフィードは、前記スコープ上のモニタ、プロジェクタ、またはビデオフィードを通して見られる、請求項90~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
深さ知覚を確認するために3Dメガネを使用することをさらに含む、請求項90~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
双眼カメラを使用することをさらに含む、請求項90~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記カメラは、前記スタビライザ上のプローブ取り付け部に取り付け可能なプローブ上に設けられている、請求項90~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記プローブを上下に押すことによって、前記プローブを操作することをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記プローブのハンドルを捻転させることによって、前記プローブを操作することをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
レバーを絞って前記プローブを位置決めすることによって、前記プローブを操作することをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項114】
前記プローブのねじ込みおよびねじ込み解除動作によって、前記プローブを操作することをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項115】
前記プローブは、深さ制御機構を備える、請求項90~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記深さ制御機構は、前記プローブの挿入の深さを制御するための停止特徴部を備える、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記停止特徴部は、前記プローブが動作し続けることを可能にするための特徴部を押し下げることによってオーバーライドされる、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記停止特徴部は、前記プローブを捻転させて安全点を通過することを可能にすることによってオーバーライドされる、請求項116に記載の方法。
【請求項119】
前記停止特徴部は、より大きな力を使用して前記プローブを安全点を超えて調整することによってオーバーライドされる、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
前記停止特徴部は、前記特徴部をクリックしてオフにして、前記プローブが動作し続けることを可能にすることによってオーバーライドされる、請求項116に記載の方法。
【請求項121】
前記プローブを左右にスライドさせることによって前記プローブを水平面に沿って調整することを含む、請求項90~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
停止特徴部を解放し、前記プローブを左右に動かすことによって前記プローブを水平面に沿って調整することを含む、請求項90~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記プローブをねじ込みおよびねじ込み解除することによって水平面に沿って動かすことにより、前記プローブを前記水平面に沿って調整することを含む、請求項90~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
所望の位置に調整するための前記プローブのボタンを電気的にクリックすることにより、前記プローブを水平面に沿って調整することを含む、請求項90~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記カメラからの画像を自動的に回転させるソフトウェアによって前記プローブの配向を調整することを含む、請求項90~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
画像の上部がどこにあって欲しいかをユーザが選択することを可能にする配向ハンドルを捻転させるかまたは引っ張ることによって、前記プローブの配向を調整することを含む、請求項90~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
ユーザが停止特徴部をクリックしてオフにし、次いで配向を調整することによって、前記プローブの前記配向を調整することを含む、請求項90~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記プローブを取り外し、前記スコープ内の洗浄ワイプでレンズを洗浄することによって、前記スコープを洗浄することを含む、請求項90~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記スコープを通して吸引または灌注してレンズを洗浄することによって、前記スコープを洗浄することを含む、請求項90~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記カメラを捻転させてレンズを洗浄することによって、前記スコープを洗浄することを含む、請求項90~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記スコープを取り外し、レンズを手で洗浄することによって、前記スコープを洗浄することを含む、請求項90~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
ユーザが、プロセスにおいてそれを洗浄する前記カメラに向かって方向転換するバッフルまたはチャネルに向かって流体を噴霧することによって、前記カメラを洗浄する、請求項90~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記流体は、前記スコープの一部である内部チャネルを通して噴霧される、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記流体は、灌注ツールから噴霧され、前記バッフルまたはチャネルを使用して前記カメラを洗浄するように方向転換される、請求項132または133に記載の方法。
【請求項135】
前記検鏡に対する前記プローブの深さを、肝臓フィードバックを通してまたは音を通して感じられる割送りによって提供されるフィードバックを介して決定することを含む、請求項90~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記検鏡に対する前記プローブの深さを、フィードバックを通したデジタルディスプレイを介して読み取ることと、結果を画面に表示することとを含む、請求項90~134のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序文
本発明はスコープに関し、より具体的には、耳を検査および外科的に治療するための耳鏡または内視鏡などの医療スコープに関する。
【背景技術】
【0002】
耳を検査し、手術を行うために、様々な種類の医療デバイスが使用されている。例えば、内視鏡および耳鏡(以下、総称してスコープと呼ぶ)は、対象を見るため、かつ拡大するために目に対して保持される機器である。これらの機器は、カメラの追加により進化し、対象は、コンピュータモニタまたはビデオディスプレイを使用して見られる。
【0003】
再発性急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性分泌性/化膿性中耳炎は、世界中の何百万人もの患者の生活の質に影響を与え続けている。難聴、炎症の合併症、および治療の合併症は日常的な課題であり、その結果、これらの症状を有する患者(小児および成人)はしばしば侵襲的な耳の手術を必要とする。耳は緻密な骨に包まれているので、安全な耳の手術には、外科的アクセスと可視化とが不可欠である。
【0004】
従来の耳の手術では、顕微鏡による可視化が動的な両手手術技術で使用されている。しかしながら、このアプローチの主な欠点は、外耳道内を見下ろす視野が狭いことであり、これにより、副鼻腔や顔面のくぼみなど、中耳内のエリアへのアクセスが困難で、疾患の可視化が乏しくなる可能性がある。
【0005】
視野を改善するために、乳突削開術を行うことによって中耳および上鼓室エリアを露出させることがしばしば必要である。しかしながら、乳突削開術には、手術時間の増加、より深刻な合併症、より長い入院期間、および患者の回復の長期化が伴う。
【0006】
さらに、経道手術は、顕微鏡を通して見ることや、特殊な機器を使用することによって、一般的に、検鏡を通して行われ、結果として視野が狭くなる。顕微鏡手術で使用される動的な両手アプローチでは、外科医は、外科用ツールの使用に両手を使用する能力を依然として維持しながら、患者の外耳道内で検鏡のバランスを取り、かつ少なくとも1本の指で検鏡を所定の位置に維持する。このアプローチは、外科医が、第2のツールおよび検鏡の位置を維持しながら、ツールを変更できることを意味する。
【0007】
さらに、耳の手術で使用される顕微鏡装置のサイズが大きい故に、マイナスの人間工学的な課題が発生する、つまり、外科医は、手術用顕微鏡のサイズの故に、手を伸ばした姿勢を強いられ、それは、外科的処置中に外科医に必要とされる器用さを損なう可能性がある。
【0008】
より最近では、片手内視鏡支援技術が、顕微鏡法の代替として人気を得ている。しかしながら、内視鏡で達成されるビューははるかに優れているが、片手で中耳手術を行うことは困難であり、片手技術を行うには、外科医のスキル再向上が必要になる場合がある。
【0009】
さらに、内視鏡などのスコープにカメラが存在する故に、ユニットの重心は近位端に向かってシフトし、一方、重心が近位端に向かってシフトすることは、耳の手術に使用されるタイプの長い剛性の内視鏡において特に顕著である。
【0010】
重心の近位側シフトは、両手技術を維持することを同時に試みながら、耳の手術で内視鏡を配備するときに、マイナスの意味合いを有する。重心のシフトに対処するために、内視鏡スタンドを使用するか、または内視鏡を検鏡に接続し、次いで検鏡をベッドなどの堅固な構造に固定された検鏡スタンドに着設する必要があることが知られている。しかしながら、そのようなデバイスは扱いにくく、重心のシフトに関連する問題に依然として対処できない場合がある。さらに、重心のシフトを避けるために内視鏡の長さを短くすると、ビデオカメラのヘッドがアクセスを妨げる可能性があり、一方、より長い内視鏡はこの問題を軽減できるが、より長い内視鏡は、重心をスタンドからより遠ざける結果となり、検鏡とスコープとを所定の位置に保つ、ロック機構および摩擦グリップの強度を圧倒し得てこの力を増加させる。
【0011】
最後に、従来のアナログ耳鏡または内視鏡を使用する場合、ヒトの目は、事実上、耳鏡/内視鏡光学系によって提供される拡大を利用する画像センサである。したがって、耳鏡/内視鏡を外耳道内で再配向または回転させると、観察される画像は(耳鏡/内視鏡とは無関係に)ユーザに対して配向されたままになる。しかしながら、ビデオ耳鏡または内視鏡では、画像センサはスコープ上に位置する。したがって、(おそらく患者の快適さのために)スコープを再配向または回転させると、観察された画像もまた再配向または回転し、ユーザは方向感覚を失うことになる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、先行技術の問題のうちの少なくともいくつかを克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、耳を検査または外科的に治療するためのスコープであって、
少なくとも1つのカメラと、
スタビライザであって、スタビライザは、カメラをスタビライザ内またはスタビライザ上に支持するためのものであり、スタビライザは、外耳道内でスコープを安定させるように構成されており、スコープは、その重心を、スタビライザ内に包含される体積内に維持するように構成されている、スタビライザと、を備える、スコープが提供される。
【0014】
好ましくは、スコープは、光源をさらに備える。好適には、光源は、直接光または導管内光である。
【0015】
1つの実施形態では、スタビライザは、カメラと一体である。好ましくは、カメラは、スタビライザ上のプローブ取り付け部に取り付け可能なプローブ上に設けられている。より好ましくは、スタビライザは、検鏡ホルダを備える。最も好ましくは、スタビライザは、着脱可能または一体化された検鏡を備える。
【0016】
好適には、検鏡は、近位開放端、遠位挿入端、近位開放端と遠位端との間に延在する実質的に円錐形の壁を備え、検鏡内に包含される体積が、開放端と遠位挿入端との間に画定される。
【0017】
好ましい実施形態では、検鏡は、重量バランス化検鏡を含む。
【0018】
好ましくは、重量バランス化検鏡は、その重心よりも下に、増加した重量を含む。好適には、重量バランス化検鏡は、低密度材料および高密度材料の組み合わせを含む。
【0019】
好ましくは、低密度材料は、ポリマーを含む。より好ましくは、低密度材料は、検鏡の近位端に向かって配置されている。
【0020】
好適には、高密度材料は、検鏡の遠位端に向かって配置されている。好ましくは、高密度材料は、金属材料を含む。
【0021】
好適には、スコープの重心は、プローブの重量のバランスをとるためのバランスウェイトによって、検鏡内に包含される体積内に位置する。
【0022】
好ましくは、バランスウェイトは、検鏡および/もしくはプローブに着設されているか、またはそれらと一体である。
【0023】
任意選択的には、バランスウェイトは、検鏡ホルダ上に位置する。
【0024】
好ましくは、スコープの重心は、スコープ上の少なくとも1つの横方向延在翼またはアームによって、検鏡内に包含される体積内に位置する。
【0025】
好適には、プローブ取り付け部は、プローブ運動機構を備える。好ましくは、プローブ運動機構は、プローブスライド機構を含む。より好ましくは、プローブスライド機構は、プローブを近位側および遠位側に動かすように構成されている。
【0026】
好適には、プローブ運動機構は、スタビライザとプローブとの間に画定された摩擦取り付け部を含む。好ましくは、摩擦取り付け部は、低摩擦取り付け部を含む。
【0027】
1つの実施形態では、プローブ取り付け部は、ヒンジ式プローブ取り付け部を含む。
【0028】
好適には、プローブは、湾曲しているか、または検鏡の輪郭の少なくとも一部分に適合可能である。
【0029】
任意選択的には、プローブは、カメラの画角を変更するために、プローブ取り付け部内に回転可能に取り付け可能である。
【0030】
好ましくは、スコープは、プローブを柔軟に支持するための可撓性セクションを含む。
【0031】
1つの実施形態では、スコープは、カメラからの画像をユーザに対して配向するための画像配向機構をさらに備える。
【0032】
好ましくは、画像配向機構は、少なくとも1つのジャイロスコープおよび/または少なくとも1つの傾斜スイッチを備える。
【0033】
1つの実施形態では、プローブは、スタビライザから着脱可能である。
【0034】
好ましくは、プローブは、スタビライザ内で横方向に可動である。より好ましくは、プローブは、スタビライザ内で、内方向、外方向、および左右方向において横方向に可動である。
【0035】
好適には、プローブは、セルフロック式である。より好ましくは、セルフロック式プローブは、プローブをロックするためにその長手方向軸の周りで回転式にロック可能である。
【0036】
1つの実施形態では、セルフロック式プローブは、非一様の断面を含む。
【0037】
好ましい実施形態では、プローブは、深さ制御機構を備える。好ましくは、深さ制御機構は、プローブの挿入の深さを制御するためのロック可能深さ制御機構または停止特徴部を備える。より好ましくは、ロック可能深さ制御機構は、少なくとも1つの規定された挿入限度を含む。任意選択的には、深さ制御機構は、シャッタ解放可能型機構を備える。
【0038】
有利には、深さ制御機構は、オーバーライド機能を備える。
【0039】
任意選択的には、深さ制御機構は、触覚フィードバックを含む。好ましくは、触覚フィードバックは、プローブと接触可能なホイール、歯車、またはつめを備える。
【0040】
1つの実施形態では、検鏡は、吸引のため、または必要に応じて空気もしくは流体を耳に向かって導くための、追加の管腔またはチャネル/ホースを備える。
【0041】
好ましい実施形態では、検鏡は、検鏡の側壁を貫く切り込みまたは切り欠き部分を備える。好ましくは、検鏡は、2つ以上の拡張可能かつ収縮可能な検鏡ブレードを画定するための、検鏡の側壁を貫く、反対側に配置された2つ以上の切り欠き部分または切り込みを備える。
【0042】
任意選択的には、プローブは、検鏡ブレードのうちの少なくとも1つとともに可動である。好ましくは、スコープは、ブレードの動きを制御するための拡張機構を備える。
【0043】
1つの実施形態では、拡張機構は、検鏡上の調整リングを備える。好ましくは、調整リングは、目盛りを備え、各目盛りが検鏡サイズに対応する。
【0044】
別の実施形態では、拡張機構は、検鏡上に弾性材料のバンドを備える。
【0045】
任意選択的には、スコープは、カメラモジュールを保持するための、反対側に配置された第1および第2の支持アームを備える。
【0046】
本発明はまた、イヤークリップをさらに備える、上で定義されたスコープにも及ぶ。好ましくは、イヤークリップは、耳を取り巻き、湾曲した可撓性アームを備える。
【0047】
別の実施形態では、本発明はまた、イヤーカップをさらに備える、上で定義されたスコープにも及ぶ。好ましくは、イヤーカップは、耳を取り囲み、下向き凹形状を含む。好適には、スコープは、イヤーカップに継ぎ手をさらに備える。好ましくは、継ぎ手は、それを通してスタビライザがイヤーカップに接続する玉継ぎ手を含む。
【0048】
本発明はまた、組み込みカメラ洗浄ユニットを備える、上で定義されたスコープにも及ぶ。好ましくは、カメラ洗浄ユニットは、拭き取りブレード/パッドを備える。任意選択的には、カメラ洗浄ユニットは、灌注または吸引チャネルを備える。
【0049】
あるいは、カメラ洗浄ユニットは、手動でスライド可能なパッドまたはブラシを備える。
【0050】
好ましい実施形態では、自己洗浄ユニットは、方向性バッフルまたはチャネルを備える。
【0051】
本発明の別の実施形態では、スコープは、データケーブルをさらに備える。
【0052】
好ましくは、データケーブルは、スコープにかかる力を最小限にするためのアンカウェイトを備える。
【0053】
1つの実施形態では、データケーブルは、延長ケーブルを含む。あるいは、データケーブルは、コイル状ケーブルを含む。あるいは、データケーブルは、形状設定ケーブルを含む。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、スコープは、内視鏡または耳鏡を備える。
【0055】
本発明はまた、上で定義されたスコープと、スコープホルダとを備える、スコープシステムにも及ぶ。
【0056】
好ましくは、スコープホルダは、取り付けプレートと、スコープを位置合わせするための位置決めプレートとを備える。好適には、プレートは、検鏡が取り付けプレート内の中央に位置するように中心軸を規定する。
【0057】
好ましくは、取り付けプレートは、スコープから延在する1つ以上のアームを介して位置決めプレートによって支持されている。
【0058】
より好ましくは、少なくとも1つのアームが、検鏡から取り付けプレートまで延在する。
【0059】
好適には、スコープは、アームと取り付けプレートとの間に作用する留め具において取り付けプレートと位置合わせされている。
【0060】
任意選択的には、留め具は磁性である。あるいは、留め具は、取り付けプレートおよびアームに沿ったスロットである。
【0061】
有利には、取り付けプレートは、部分球形取り付けプレートを含む。
【0062】
1つの実施形態では、スコープホルダは変形可能である。好ましくは、変形可能なスコープホルダは、スコープホルダの可逆的変形を可能にする可塑性を有する。
【0063】
1つの実施形態では、変形可能なスコープホルダは、スコープホルダを通って延在するデータケーブルと一体であって、手術中にスコープを所定の位置に保持することと、データを送信することとを同時に行うためのスコープホルダ兼データケーブルを形成する。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、患者の頭を支持するためのヘッドレストデバイスをさらに備える、上で定義されたスコープシステムであって、ヘッドレストデバイスは、患者の頭の動きに応答して自己調整する、スコープシステムにも及ぶ。
【0065】
好ましくは、ヘッドレストデバイスは、ヘッドレストと、スコープスタンドであって、ヘッドレストの動きに応答して動いて、スコープスタンド内に保持されたスコープを自動的に再配置するようにヘッドレストと協働可能なスコープスタンドと、を備える。より好ましくは、ヘッドレストは、平坦な表面を有する上面を有する。
【0066】
より好ましくは、ヘッドレストは、ヘッドレストが患者の頭の動きに追従することを可能にする凸状下面を備える。
【0067】
有利には、下方関節式アームが、ヘッドレストとスタンドとの間に延在する。
【0068】
好ましくは、下方関節式アームは、ヘッドレストとスタンド直立部との間に延在する。
【0069】
任意選択的には、スタンド直立部に、スタンド直立部からヘッドレストに向かって突出する上方関節式アームが設けられる。好ましくは、上方関節式アームは、ロック可能なスライドおよび傾斜セクションを含む。
【0070】
本発明はまた、手術中に外耳および中耳を検査する方法であって、外耳道にスコープを配置することを含み、スコープは、少なくとも1つのカメラおよびスタビライザを備え、スタビライザは、カメラをスタビライザ内またはスタビライザ上に支持するためのものであり、外耳道内でスコープを安定させるように構成されており、スコープは、その重心を、治療中にスタビライザ内に包含される体積内に維持するように構成されており、
前記方法は、動的な両手技術を使用することと、
スコープを外耳道内に保持しながら、スコープからのカメラフィードを見ることと、を含む方法にも及ぶ。
【0071】
好ましくは、スコープは、スコープを使用する外科医が2つの外科用ツールを同時に保持する間に使用される。
【0072】
好適には、ツールは、吸引、切削ツール、灌注ツール、穿孔ツール、保持ツール、鉗子、ドリル、レーザー、および外科用キュレットのうちの少なくとも2つを含む。
【0073】
1つの実施形態では、スタビライザは、検鏡を備える。
【0074】
好適には、方法は、最大動作スペースを可能にするために、スコープが置かれた後に、検鏡のサイズを調整することをさらに含む。
【0075】
方法は、好適には、プローブの両側にツールを配置するため、または片側に複数のツールを置くために、最大動作スペースを可能にするようなプローブの動きをさらに含む。
【0076】
好ましくは、検鏡のサイズは、検鏡をあるサイズ範囲から選択してスコープに着設することによって調整される。
【0077】
任意選択的には、検鏡のサイズは、ユーザが外耳道内で検鏡を拡張することを可能にする調整可能な検鏡を使用することによって調整される。
【0078】
好ましくは、検鏡のサイズは、患者の外耳道内で自動的に拡張する調整可能な検鏡を使用することによって調整される。
【0079】
任意選択的には、方法は、スコープをホルダに着設することをさらに含む。
【0080】
好適には、スコープは、患者のヘッドバンドまたはメガネに着設される。
【0081】
任意選択的には、スコープは、患者の頭に着設される。あるいは、スコープは、患者の枕に着設される。あるいは、スコープは、手術台に着設される。
【0082】
好ましくは、ホルダは、クリップ、接着剤、縫合糸、ステッチ、テープ、またはねじによって着設される。
【0083】
1つの実施形態では、方法は、耳内での平衡を維持するために検鏡およびホルダに重り付けすることを含む。
【0084】
別の実施形態では、方法は、検鏡を曲げて成形することを含む。
【0085】
好ましくは、カメラフィードは、スコープ上のモニタ、プロジェクタ、またはビデオフィードを通して見られる。
【0086】
別の実施形態では、方法は、深さ知覚を確認するために3Dメガネを使用することを含む。
【0087】
好適には、方法は、双眼カメラを使用することを含む。
【0088】
好ましくは、カメラは、スタビライザ上のプローブ取り付け部に取り付け可能なプローブ上に設けられている。
【0089】
1つの実施形態では、方法は、プローブを上下に押すことによって、プローブを操作することを含む。あるいは、方法は、プローブのハンドルを捻転させることによって、プローブを操作することをさらに含む。あるいは、方法は、レバーを絞ってプローブを位置決めすることによって、プローブを操作することをさらに含む。あるいは、方法は、プローブのねじ込みおよびねじ込み解除動作によって、プローブを操作することを含む。
【0090】
好適には、プローブは、深さ制御機構を備える。
【0091】
好ましくは、深さ制御機構は、プローブの挿入の深さを制御するための停止特徴部を備える。より好ましくは、停止特徴部は、プローブが動作し続けることを可能にするために特徴部を押し下げることによってオーバーライドされる。
【0092】
任意選択的には、停止特徴部は、プローブを捻転させて安全点を通過することを可能にすることによってオーバーライドされる。あるいは、停止特徴部は、より大きな力を使用してプローブが安全点を超えるように調整することによってオーバーライドされる。あるいは、停止特徴部は、特徴部をクリックしてオフにして、プローブが動作し続けることを可能にすることによってオーバーライドされる。
【0093】
好適には、方法は、プローブを左右にスライドさせることによって、プローブを水平面に沿って調整することを含む。好ましくは、方法は、停止特徴部を解放して、プローブを左右に動かすことによって、プローブを水平面に沿って調整することを含む。
【0094】
あるいは、方法は、プローブをねじ込みおよびねじ込み解除して水平面に沿って動かすことによって、プローブを水平面に沿って調整することを含む。あるいは、方法は、所望の位置に調整するためにプローブのボタンを電気的にクリックすることによって、プローブを水平面に沿って調整することを含む。あるいは、方法は、カメラからの画像を自動的に回転させるソフトウェアによってプローブの配向を調整することを含む。あるいは、方法は、画像の上部がどこにあって欲しいかをユーザが選択することを可能にする配向ハンドルを捻転させるかまたは引っ張ることによって、プローブの配向を調整することを含む。あるいは、方法は、ユーザが停止特徴部をクリックしてオフにし、次いで配向を調整することによる、プローブの配向を含む。
【0095】
本発明はまた、プローブを取り外し、スコープ内の洗浄ワイプを用いてレンズを洗浄することによって、スコープを洗浄することを含む方法にも及ぶ。あるいは、方法は、スコープを通して吸引または灌注してレンズを洗浄することによって、スコープを洗浄することを含む。あるいは、方法は、カメラを捻転させてレンズを洗浄することによって、スコープを洗浄することを含む。あるいは、方法は、スコープを取り外し、レンズを手で洗浄することによって、スコープを洗浄することを含む。
【0096】
1つの実施形態では、ユーザが、プロセスにおいてそれを洗浄するカメラに向けて方向転換するバッフルまたはチャネルに向かって流体を噴霧することによって、カメラを洗浄する。任意選択的には、流体は、スコープの一部である内部チャネルを通して噴霧される。好ましくは、流体は、灌注ツールから噴霧され、バッフルまたはチャネルを使用してカメラを洗浄するように方向転換される。
【0097】
本発明はまた、検鏡に対するプローブの深さを、肝臓フィードバックを通してまたは音を通して感じられる割送りによって提供されるフィードバックを介して決定することを含む方法にも及ぶ。
【0098】
任意選択的には、方法は、検鏡に対するプローブの深さを、フィードバック通したデジタルディスプレイを介して読み取ることと、結果を画面に表示することとを含む。
【0099】
したがって、本発明は、耳を検査または外科的に治療するためのスコープであって、
少なくとも1つのカメラと、光源と、
スタビライザであって、スタビライザは、カメラをスタビライザ内またはスタビライザ上に支持するためのものであり、スタビライザは、カメラと一体であり、外耳道内でスコープを安定させるように構成されている、スタビライザと、を備える、スコープを提供する。
【0100】
好適には、カメラは、スタビライザ上のプローブ取り付け部に取り付け可能なプローブ上に設けられる。あるいは、カメラおよび光源は、スタビライザと一体である。
【0101】
好ましくは、スタビライザは、検鏡ホルダを備える。より好ましくは、スタビライザは、着脱可能または一体化された検鏡を備える。
【0102】
有利には、スコープは、その重心を検鏡内に包含される体積内に維持するように構成される。1つの実施形態では、スコープの重心は、プローブの重量のバランスをとるためのバランスウェイトによって検鏡内に位置する。好ましくは、バランスウェイトは、検鏡上に位置する。あるいはまたはさらに、バランスウェイトは、検鏡ホルダ上に位置する。
【0103】
任意選択的には、スコープの重心は、スコープ上の少なくとも1つの横方向延在翼またはアームによって、検鏡内に包含される体積内に位置し、検鏡内に包含される体積は、開放端と遠位挿入端との間に画定される。
【0104】
好ましくは、プローブ取り付け部は、プローブスライド機構を含む。
【0105】
好適には、プローブは、湾曲しているか、または検鏡の輪郭の少なくとも一部分に適合可能であり、カメラの画角を変更するためにプローブ取り付け部内に回転可能に取り付け可能である。
【0106】
好ましくは、スコープは、プローブを柔軟に支持するための可撓性セクションをスコープ上に備える。
【0107】
有利には、スコープは、カメラからの画像をユーザに対して配向するための画像配向機構をさらに備える。1つの実施形態では、画像配向機構は、ジャイロスコープおよび/または傾斜スイッチを備える。好適には、画像配向機構は、複数のジャイロスコープおよび/または傾斜スイッチを備える。
【0108】
1つの実施形態では、プローブは、スタビライザから着脱可能である。
【0109】
好ましくは、検鏡は、吸引のため、または必要に応じて空気もしくは流体を耳に向かって導くための、1つ以上の管腔またはチャネルを備える。あるいは、チャネルは、吸引、灌注、または洗浄を使用したレンズの洗浄に使用することができる。
【0110】
好適には、検鏡は、2つ以上の拡張可能かつ収縮可能な検鏡ブレードを画定するための、反対側に配置された2つ以上の切り欠き部分を備え、プローブは、任意選択的には、検鏡ブレードのうちの少なくとも1つとともに可動である。別の実施形態では、検鏡は、単一の切り欠き部分を有する壁を備える。
【0111】
本発明の好ましい実施形態では、スコープは、内視鏡または耳鏡を備える。
【0112】
本発明はまた、上で定義されたスコープと、スコープホルダとを備える、スコープシステムにも及ぶ。好ましくは、スコープホルダは、スコープを位置合わせするための取り付けおよび位置決めプレート、好ましくは半球形または部分球形の取り付けプレートを備える。
【0113】
好ましくは、スコープは、半球形取り付けプレートによって規定される概念上の円内の中心に置かれ、したがって、検鏡は、半球形取り付けプレート内の中央に位置する。有利には、取り付けプレートによって規定される概念上の半球の中心点、および任意選択的には、取り付けプレートによって規定される概念上の半球は、検鏡の遠位挿入端と位置合わせされている。
【0114】
1つの実施形態では、半球形取り付けプレートは、1つ以上の翼状アームを介してスコープに着設される。好適には、少なくとも1つのアームが、周縁の半球形取り付けプレートと検鏡との間に延在する。
【0115】
好ましくは、スコープは、アームと取り付けプレートとの間に画定された着設アクチュエータにおいて、半球形取り付けプレートと位置合わせされている。1つの実施形態では、着設アクチュエータは、磁性である。代替実施形態では、着設アクチュエータは、取り付けプレートおよびアームに沿ったスロットとすることができる。
【0116】
さらなる実施形態では、本発明はまた、患者の頭を支持するためのヘッドレストデバイスであって、患者の頭の動きに応答して自己調整するヘッドレストデバイスにも及ぶ。ヘッドレストデバイスは、従来の外科用スコープおよび検鏡とともに、または上で定義されたスコープとともに使用されて、スコープおよびヘッドレストを備えるシステムを提供することができる。
【0117】
好ましくは、ヘッドレストデバイスは、ヘッドレストと、スコープスタンドであって、ヘッドレストの動きに応答して動いて、スコープスタンド内に保持されたスコープを自動的に再配置するようにヘッドレストと協働可能なスコープスタンドとを備える。
【0118】
好適には、ヘッドレストデバイスは、上で定義されたスコープホルダとともに使用するように適合される。
【0119】
有利には、ヘッドレストの上面は、平坦な表面を有する。好ましくは、ヘッドレストは、ヘッドレストが患者の頭の動きに追従することを可能にする凸状下面を備える。
【0120】
1つの実施形態では、下方関節式アームが、ヘッドレストとスタンドとの間に延在する。好ましくは、下方関節式アームは、ヘッドレストとスタンド直立部との間に延在する。より好ましくは、スタンド直立部に、スタンド直立部からヘッドレストに向かって突出する上方関節式アームが設けられる。
【0121】
1つの実施形態では、上方関節アームは、ロック可能なスライドおよび傾斜セクションを備える。
【0122】
好ましくは、上方関節式アームには、スコープまたはスコープホルダに着設するために可撓性アームを取り付けることができるスコープ取り付けプレートが設けられている。
【0123】
本発明は、低侵襲性中耳手術を行い、入院期間を短縮し、潜在的に合併症率を低減し、転帰を改善するための、重量バランスがとれて安定した自立型プラットフォームを提供する。本発明のデバイスは、従来の両手技術を維持しながら内視鏡による可視化を促進し、鼓室形成術(鼓膜の修復)、中耳探索、真珠腫性中耳炎切除、耳小骨連鎖再建、あぶみ骨手術などの通常の複雑な耳の手術での使用に特に好適である。
【0124】
本発明の重量バランスのとれたデバイスはまた、従来の検鏡が占める空間内にあって、常に保持される必要なしに(たとえ瞬間的にでも)スコープが耳内でバランスをとることを可能にし、したがって、動的な両手手術を可能にする、低い重心を維持する。
【0125】
本発明のスコープホルダは、スコープの容易な位置決めおよび再配置を促進し、一方で、本発明の自己調整ヘッドレストデバイスは、患者の動きに従って手術中に検鏡およびスコープを自動的に再配置して、外科的処置を改善し、または容易にし、したがって、外科医が装置を再配置する必要性をなくす。
【図面の簡単な説明】
【0126】
ここで、添付の図面を参照して、本発明を実施例としてのみ説明する。
【0127】
【
図1】カメラプローブと、両手手術技術を可能にする単位検鏡プローブ内視鏡を規定するための、カメラプローブと一体の検鏡を含むスタビライザとからなる内視鏡の形態の、本発明のスコープの第1の実施形態の側面図である。
【
図2】
図1の内視鏡の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図3】スタビライザのプローブおよび内視鏡ハンドルが検鏡から取り外された、内視鏡の上方かつ片側からの部分分解図である。
【
図4】プローブが、検鏡にスライド機構を介してスライド可能に取り付けられ、プローブのスライド運動が、スライド制御ノブを介して制御可能である、内視鏡の第2の実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図5】プローブのスライド運動が、制御ホイールを介して制御可能である、
図4の内視鏡の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図6】制御ホイールが扁平構成を有する、
図5の内視鏡の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図7】プローブが、検鏡に適合するように湾曲し、外科医に自由アクセス空間を提供し、プローブが、プローブの深さを調整するためにスライド可能である、内視鏡の第3の実施形態の側面図である。
【
図8】プローブカメラの深さがスライダを介して調整可能である、
図7の内視鏡の側面図である。
【
図9】スコープに、検鏡の両側に位置する、反対側に配置された一対のプローブ支持アームが設けられている、本発明の第4の実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図10】スコープに、プローブと、外科用ツールのためのツールレストおよびガイドとの柔軟な配向を可能にするための可撓性セクションが設けられている、本発明の第5の実施形態の側面図および上面図である。
【
図11】
図7の内視鏡と同様であるが、湾曲プローブを、
図7に示すように検鏡壁にもたせかけて、もしくは隣接させて配置するか、または検鏡壁から離間させて、斜めのカメラビューを提供するために回転式に再配向することができる、本発明の第6の実施形態の側面図である。
【
図12】
図11の実施形態と同様であるが、プローブが、検鏡に対して
図4に示されたようにスライド可能でもある、本発明の第7の実施形態の側面図である。
【
図13】スコープに、必要に応じてカメラからの画像をユーザに対して配向するための画像配向機構がさらに設けられている、本発明の第8の実施形態の側面図である。
【
図14】検鏡に、吸引のため、または必要に応じて空気もしくは流体を耳内に導くための、管腔またはチャネルが設けられている、本発明の第9の実施形態の側面図である。
【
図15】プローブが、レバー制御を介してスライド可能かつ配向可能である、本発明の第10の実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図16(a)】検鏡の壁が連続(完全検鏡)であって、機器の容易な取り外しと上耳道へのアクセスとを促進することができる、本発明のスコープでの使用に好適な様々な検鏡タイプの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図16(b)】検鏡の壁が切り欠き(ストレートカット検鏡)であって、機器の容易な取り外しと上耳道へのアクセスとを促進することができる、本発明のスコープでの使用に好適な様々な検鏡タイプの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図16(c)】検鏡の壁がプロファイル(プロファイル検鏡)であって、機器の容易な取り外しと上耳道へのアクセスとを促進することができる、本発明のスコープでの使用に好適な様々な検鏡タイプの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図17】
図16(b)のスコープの検鏡に、好ましくはガイドピン上を走る拡張機構を介して、切り欠き部で拡張および収縮することができる、反対側に配置された2つの検鏡ブレードを画定するための、反対側に配置された2つの切り欠き部分が設けられている、本発明の第11の実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図18】
図17のスコープと同様であるが、プローブが、拡張および収縮中に検鏡の1つのブレードとともに動く、スコープの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図19】ユーザの必要に応じて、プローブを持ち上げて検鏡内に位置決めすることができる、
図18のスコープの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図20】ユーザの必要に応じて、プローブを持ち上げて検鏡内に位置決めすることができる、
図18のスコープの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図21】
図16のスコープと同様であるが、カメラおよび光源が検鏡の壁に組み込まれているか、またはそれと一体であり、スコープが、患者の耳のところでユーザの掌中に保持されている、本発明のスコープのさらなる実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図22】スコープの重心が検鏡内に包含される体積内にあることを保証するために、スコープがバランスウェイトでバランスをとられている、本発明のさらなる実施形態の側面図である。
【
図23】バランスウェイトが、バランス翼の形態である、
図22のスコープの代替実施形態の側面図である。
【
図24】プローブが検鏡から着脱可能かつ取り外し可能である、本発明の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図25】プローブが従来の検鏡に後付けすることができるように、プローブに検鏡取り付け部が設けられている、本発明の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図26】検鏡に、拡張機構アクチュエータを有する拡張機構を介して制御可能な切り欠き部分が設けられている、本発明のスコープの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図27(a)】スコープと、使用中にスコープを位置合わせするための部分球形(例えば、半球形)取り付けプレートが設けられたスコープホルダとからなる本発明のスコープシステムの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図27(b)】スコープシステムが部分球形取り付けプレートのスロットで調整可能であるスコープシステムの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図28】スコープと代替スコープホルダとからなり、スコープホルダは、スコープホルダの可逆的変形を可能にする可塑性を有する変形可能スコープホルダである、本発明のさらなるスコープシステムの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図29】データケーブルが変形可能スコープホルダ内に一体化された、
図28のスコープホルダの断面図である。
【
図30】データケーブルが、変形可能スコープホルダから分離されている、
図28および
図29のスコープホルダの変形態様の断面図である。
【
図31】患者の頭を支持するためのヘッドレストがスコープスタンドと協働可能であり、したがって、スコープスタンドのスコープホルダが患者の耳から離れた位置にある状態で、スタンドが患者の頭の動きに従って自己調整する、本発明の代替スコープシステムの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図32】スコープホルダが患者の耳に隣接して位置決めされている、
図31のシステムの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図33】
図28~
図30のスコープと同様であるが、明確にするためにホルダが省略され、検鏡に、検鏡の重量バランスをとるための高密度先端部が設けられている、本発明のスコープの上方かつ片側からの斜視図である。
【
図34】検鏡に、4つのブレードと、異なる検鏡サイズに対応する段階的ステップでブレードを開閉するための調整リングとが設けられている、本発明の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図36】
図34のスコープの検鏡の検鏡の一部分の代替側面図である。
【
図38】
図34~
図37と同様であるが、拡張機構が、検鏡ブレード上のエラストマーなどの弾性材料の形態であって、ブレードが収縮または閉位置にある、代替実施形態の側面図である。
【
図39】ブレードが開位置に拡張されている、
図38のスコープの代替側面図である。
【
図40】プローブが引っ込み位置にある状態で、プローブ深さ制御アクチュエータ機構が、ユーザに触覚フィードバックを与える、本発明のさらなる実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図41】プローブが拡張操作位置にある、
図40のスコープの代替斜視図である。
【
図42】プローブ深さ制御アクチュエータ機構が、プローブと接触している歯車を介してユーザに触覚フィードバックを与える、
図40のスコープの側面図である。
【
図43】プローブ深さ制御アクチュエータ機構が、任意選択的にばねの力の下でプローブと連絡するホイールを介してユーザに触覚フィードバックを与え、任意選択的に、ホイールは、つめで割送りされる内部歯車の歯を有し、したがって、歯車の歯がつめを乗り越えると、フィードバックが感触および/またはクリック音の形態で与えられる、
図40のスコープの変形態様の側面図である。
【
図44】プローブ深さ制御アクチュエータ機構が、プローブを保持するかまたはそれと接触しているつめおよびラチェットを介してユーザに触覚フィードバックを与える、
図40のスコープのさらなる変形態様の側面図である。
【
図45】スコープに、ロック可能ピンの形態のロック可能深さ制御アクチュエータ機構が設けられている、本発明のさらなる実施形態の側面図である。
【
図46】機械的シャッタ解放ケーブルの形態のロック可能深さ制御アクチュエータ機構を有する、本発明のさらなる実施形態の側面図である。
【
図47(a)】プローブが、外科用ツールを収容し、解剖学的観察を強化するために、検鏡内で横方向に可動(つまり、左右に可動)であるように構成されている、本発明のさらなる実施形態の上面図である。
【
図47(b)】プローブが、外科用ツールを収容し、解剖学的観察を強化するために、検鏡内で横方向に可動(つまり、左右に可動)であるように構成されている、本発明のさらなる実施形態の上面図である。
【
図47(c)】プローブが、外科用ツールを収容し、解剖学的観察を強化するために、検鏡内で横方向に可動(つまり、左右に可動)であるように構成されている、本発明のさらなる実施形態の上面図である。
【
図48】プローブが、その長手方向軸の周りで回転すると所定の位置にロックされるように構成されているセルフロック式プローブである、本発明のさらなる実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図49】プローブ取り付け部がヒンジ式であって、プローブが、垂直方向位置にあって、矢印で示された方向に検鏡からスライド式に取り外し可能である、検鏡からの、プローブのヒンジ式取り外しを可能にする、本発明のさらなる実施形態の側面図である。
【
図50】プローブが、ヒンジによって着設された検鏡から、矢印で示された方向で取り外されている、
図49のスコープの側面図である。
【
図51】スコープにイヤークリップまたはこめかみサポートが設けられ、したがって、スコープは、補聴器のように耳に支持されるか、または患者のこめかみ上に支持され得る、本発明の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図52】スコープに、矢印で示された方向のスコープの動きを可能にする玉継ぎ手を有する、耳上にスコープを支持するためのイヤーカップが設けられている、本発明の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図である。
【
図53】カメラ表面を洗浄するための組み込みカメラ洗浄ユニットが設けられている、本発明のさらなる実施形態の側面図である。
【
図54】プローブとカメラ表面とが検鏡の近位端に向かって配置されている、
図53の組み込みカメラ洗浄ユニットの拡大側面図である。
【
図55】プローブとカメラ表面とが洗浄ユニットを通って検鏡の遠位端に向かって動く、
図53の組み込みカメラ洗浄ユニットの拡大側面図である。
【
図56】プローブとカメラ表面とが、洗浄された検鏡の近位端に向かって配置されている、
図53の組み込みカメラ洗浄ユニットの拡大側面図である。
【
図57】吸引または灌注チャネルを有するチャネルまたはバッフルなどの代替の組み込みカメラ洗浄ユニットを有する、本発明のスコープの側面図である。
【
図58】組み込みカメラ洗浄ユニットが、カメラ面を横切ってスライド可能である手動操作可能な洗浄パッドである、本発明の代替実施形態の側面図である。
【
図59】スコープにかかる力を最小限にするために、データケーブルにアンカウェイトまたはポイントと延長ケーブルとが設けられている、本発明のさらなる実施形態の側面図である。
【
図60】データケーブルが、スコープにかかる力を最小限にするためのコイル状可撓性ケーブルも含む、
図59と同様のアンカウェイトまたはポイントを含む、本発明のさらなる実施形態の側面図である。
【
図61】データケーブルが、スコープにかかる力を最小限にするために、アンカウェイトまたはポイントと形状設定ケーブルとを含む、
図59のさらなる実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0128】
本明細書に記載のすべての公開物、特許、特許出願、および他の参考文献は、個々の公開物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示され、その内容が完全に列挙されているかのように、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
定義と一般的選好
本明細書で使用される場合、特に別段の指示がない限り、以下の用語は、その用語が当技術分野で享受し得るよりも広い(またはよりも狭い)意味に加えて、以下の意味を有することを意図する。
文脈上別段の要求がない限り、本明細書における単数形の使用は、複数形を含むように解釈されるべきであり、その逆も同様である。エンティティに関連して使用される「a」または「an」という用語は、1つ以上のそのエンティティを指すと解釈されるべきである。したがって、「a」(または「an」)、「1つ以上」、および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0130】
本明細書で使用される場合、「備える(comprise)」という用語、または「備える(comprises)」または「備える(comprising)」などのその変形は、任意の挙げられた整数(例えば、1つの特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップもしくは制限)または整数群(例えば、複数の特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップもしくは制限)の包含を示すと解釈されるべきであり、任意の他の整数または整数群の除外を示すと解釈されるべきではない。したがって、本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」という用語は、包括的または無制限であり、追加の、挙げられていない整数または方法/プロセスステップを除外しない。
【0131】
本明細書で使用される場合、「疾患」という用語は、生理学的機能を損ない、特定の症状に関連する異常な状態を定義するために使用される。この用語は、病因の性質(または実際に疾患の病因的根拠が確立されているかどうか)に関係なく、生理学的機能が損なわれている障害、病気、異常、病理、病気、状態、または症候群を含むために広く使用される。したがって、感染、外傷、傷害、手術、放射線アブレーション、中毒、または栄養不足から生じる状態を含む。
【0132】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療する」という用語は、疾患の症状を治癒、改善、もしくは軽減するか、またはその原因を取り除く(もしくはその影響を軽減する)介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は、「療法」という用語と同義に使用される。
【0133】
さらに、「治療」または「治療する」という用語は、疾患の発症または進行を予防もしくは遅延させるか、または治療された集団内でのその発生率を低減(もしくは根絶)させる介入(例えば、対象への薬剤の投与)を指す。この場合、治療という用語は、「予防」という用語と同義に使用される。
【0134】
上で定義された治療および有効量の文脈において、(文脈が許す限り、「個体」、「動物」、「患者」、または「哺乳動物」を含むと解釈されるべきである)対象という用語は、治療が指示される任意の対象、特に哺乳類動物の対象を定義する。哺乳類動物の対象には、これらに限定されないが、ヒト、家畜、農耕用動物、動物園の動物、競技用動物、イヌ、ネコなどのペット動物、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、ウシ、大型サル、小型サル、オランウータン、およびチンパンジーなどの霊長類、イヌおよびオオカミなどのイヌ科動物、ネコ、ライオン、およびトラなどのネコ科動物、ウマ、ロバ、およびシマウマなどのウマ科動物、ウシ、ブタ、およびヒツジなどの食用動物、シカおよびキリンなどの有蹄動物、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットなどのげっ歯類が含まれる。好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。
【0135】
例示
添付の図面の
図1~
図3に示されるように、本発明のスコープの第1の実施形態は、概して、参照番号1によって示され、検鏡ホルダ50と、検鏡ホルダ50に着設された検鏡51とからなるスタビライザ2を有する。検鏡ホルダ50は、検鏡51を受容して保持するためのカラー4を画定する検鏡ハンドル3の形態とすることができる。スコープ1はまた、カラー4に着設され、かつ検鏡51内に位置する、一体化された可撓性または剛性の細長いプローブ5を有する。プローブ5は、耳を可視化するための少なくとも1つのカメラ6および光源7を備え、好ましくは、プローブ5が低質量を有することを可能にする材料から形成されている。データケーブル8が、プローブ5からカラー4を介してディスプレイ(図示せず)まで延在し、カメラ6からの画像を表示する。
【0136】
スタビライザ2は、使用中、外耳道内でデバイスを安定させるように構成されている。より具体的には、プローブ5がスコープおよびスタビライザの単位構造においてスタビライザ2と一体化されると、組み合わされたまたは統合された検鏡/プローブスコープアセンブリが、使用中、スタビライザ2がプローブ5をスタビライザ2内または上に支持し、両手手術技術を可能にすることになる。1つの実施形態では、プローブ5および/またはカメラ6ならびにスタビライザ2は、別個のエンティティとすることができ、つまり、プローブ5および/またはカメラ6は、スタビライザ2上に取り付け可能とすることができる。しかしながら、この実施形態では、スタビライザ2に取り付けられると、プローブ5および/またはスタビライザ2は、一体的または統合されたスタビライザ2-プローブ5/カメラ6構成を画定する。アセンブリは、耳の内視鏡による可視化に関連する利点を享受しながら、両手による診断および手術技術を可能にする、耳を検査するための耳鏡または外科用内視鏡の形態とすることができる。
【0137】
以下の説明の目的で、スコープ1は、特に明記しない限り、主に外科用内視鏡としてのその使用に関連して説明される。
【0138】
検鏡51は、外科医が外科的処置中にそこを通して耳にアクセスすることができる近位開放端9と、耳に挿入可能な遠位挿入端10とからなる。外科的用途では、検鏡51は、円錐形に近い作業チャネルの役割を果たし、プローブ5ならびに作業チャネル内に置かれる外科用ツールを収容する役割も果たす。実質的に円錐形の検鏡壁11は、近位端9と遠位端10との間に延在し、使用中、プローブ5および外科用機器を受容するための内部チャンバ12を画定する。円錐形検鏡壁11は、近位端9の周縁14にある比較的大きな外科的アクセス開口部13と、外科医が外科的処置中にそれを通して耳にアクセスできる、遠位端にある比較的狭い挿入開口部15とをさらに画定する。
【0139】
ハンドル3のカラー4は、検鏡の周縁14を受容して、ハンドル3を検鏡51の周縁14に取り付けて固定するための内腔17を画定するリング16の形態の検鏡取り付け部を有する。カラー4には、プローブ5をハンドルに取り付けるためのプローブ取り付け部18がさらに設けられ、したがって、細長いプローブ5は、検鏡51を通って近位端9から遠位端10まで延在し、必要に応じて挿入開口部15を通って遠位端10から出ることができる。
【0140】
スコープ1は、その重心を、スタビライザ2および検鏡51内に包含される体積内に維持するように、つまり、使用中、低い安定化重心を維持するように構成されるか、または重量バランスがとられている。これは、例えば検鏡51の重心よりも下、つまりその遠位端10に向かって重量が増加するスコープ1の構築において低密度材料および高密度材料の組み合わせを使用することにより、重量バランスのとれたスコープを提供するように、スタビライザ2または検鏡51を構成するかまたは重量バランスをとることによって、いくつかの方法で達成することができる。例えば、本発明のスコープ1は、検鏡51の近位端9に向かう部分では低密度材料(例えば、ポリマー)から作製することができ、検鏡51の遠位端10に向かう部分は、金属材料などの高密度材料から作製することができる。したがって、耳を上に向けて手術台の上に横たわる患者の耳内に置かれたとき、重心は低くなる。さらに、遠位端10に向かって、および挿入開口部15において、検鏡51に金属を使用することはまた、レーザーが溶融することなく使用されることを可能にするので有利である。
【0141】
検鏡51はまた、
図22および
図23に関連して以下でさらに検討されるように、ウェイトまたはバランスアームを使用することによって低い重心を維持するように構成されるか、または重量バランスをとることができる。
【0142】
図4は、
図1~
図3のスコープ1と同様であるが、細長いプローブ5が検鏡51にスライド可能に取り付けられている、スコープ1の第2の実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。同様の数字は、同様の部品を示す。より具体的には、細長いプローブ5は、プローブ運動機構19においてカラー4にスライド可能に取り付けられている。プローブ運動機構19は、プローブ5の動き、例えば、プローブ5の近位側または遠位側への動きを可能にする任意の好適な運動形態を含む。本実施形態では、プローブ運動機構19は、プローブのスライドまたは並進機構19であり、したがって、細長いプローブ5は、必要に応じて、検鏡2を通してスライド式に挿入され、検鏡2からスライド式に取り出すことができる。したがって、細長いプローブ5は、使用中に必要に応じて、狭い挿入開口部15からスライド式に突出して、図面に示されたように耳の増強された可視化を促進することができる。本実施形態では、スライド機構19は、細長いプローブ5をスライド可能に受容するためのプローブ取り付け部18に画定された摩擦嵌合/取り付けスロット20の形態である。スライド機構19内のプローブ5のスライド運動は、プローブ5の挿入の深さを制御するために細長いプローブ5に着設されたスライド制御ノブ21の形態の手動操作可能なプローブ深さ制御アクチュエータ機構21を介して制御可能である。機構21には、過剰挿入を防止するための停止部を設けることができ、それは、いくつかの実施形態では、所望であれば、オーバーライドボタン、例えばクリック可能ボタンでオーバーライドすることができる。
【0143】
プローブスライド機構19は、典型的には、スタビライザ2、特に検鏡ホルダ50のカラー4とプローブ5との間に画定される摩擦嵌合/取り付け部、好ましくは低摩擦嵌合/取り付け部の形態である。プローブ5が低質量を有する場合、低摩擦篏合/取り付け部が可能であり、したがって、ユーザは、機構自体をロック、ロック解除、または作動させる必要なしに、プローブ5を動的に調整することができる、つまり、低摩擦は、プローブ5のスライド運動を可能にしながらも、プローブ5を所定の位置に保持する。したがって、プローブは、摩擦に打ち勝つための直接相互作用によって可動であり、解放されると、再び静止位置を取り戻す。この実施形態では、スライド機構19は、プローブ5の厳密な動きとは対照的に、プローブ5の摩擦保持を効果的に可能にする。
【0144】
図5は、スライド機構19に、細長いプローブ5をプローブ取り付け部18に結合するための機械的結合部22と、機械的結合部22を介して細長いプローブ5のスライド運動をもたらすための、手動で回転可能な制御ホイール23とが設けられている、
図4のスコープ1の上方かつ片側からの斜視図を示す。
【0145】
図6は、制御ホイール23が扁平な人間工学的構成を有する、
図5のスコープ1の上方かつ片側からの斜視図を示す。
【0146】
図7は、細長いプローブ5がスライド可能であることに加えて、細長いプローブ5が、検鏡51の壁11の輪郭の少なくとも一部分に適合するように湾曲して、使用中、外科医のために検鏡チャンバ12内に追加スペースを作り出す、スコープ1の第3の実施形態の側面図である。スコープ1には、ホイール28の形態の深さ制御アクチュエータ21が設けられている。
【0147】
図8は、深さ制御アクチュエータ21が、グリップ25上のスライダ29の形態である、
図7の内視鏡の側面図である。
【0148】
図9は、スコープ1に、検鏡2の両側にそれぞれ位置し、検鏡壁11と平行であって、遠位挿入端10でカメラモジュール30を保持する、反対側に配置された第1および第2の支持アーム43、44が設けられている、前述の実施形態と同様の本発明のスコープ1の第4の実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。カメラモジュール30は、支持アーム43、44が合わされたとき、垂直位置に配置される。
【0149】
図10は、検鏡51の壁11に、細長いプローブ5の柔軟な配向および位置決めを可能にするための可撓性セクション45が遠位挿入端10に向かって設けられている、本発明の第5の実施形態の側面図および上面図を示す。可撓性セクション45は、細長いプローブ5を所定の位置に弾性的に保持するための細長い可撓性チューブ46からなる。検鏡カラー4にはまた、外科用機器のための機器レスト47およびガイド48が設けられている。
【0150】
図11は、
図7の内視鏡と同様であるが、湾曲プローブ5が着脱可能であり、したがって、細長いプローブ5を、
図7に示されたよう検鏡壁11にもたせかけて、もしくは隣接させて配置するか、または検鏡壁11から離間して、斜めのカメラビューを提供するために再配向することができる、本発明の第6の実施形態の側面図を示す。より具体的には、湾曲プローブ5は、必要に応じてカメラ6の画角を変更するために、プローブ取り付け部18内に回転可能に取り付けられている。
【0151】
図12は、
図11の本発明の第6の実施形態の側面図であるが、ここでは、プローブ5は、検鏡51に対して前述したようにスライド可能でもある。
【0152】
図13は、前述のスコープ1と同様であるが、デバイス1に、必要に応じてカメラ6からの画像をユーザに対して配向するための画像配向機構49がさらに設けられている、スコープ1の第8の実施形態の側面図を示す。同様の数字は、同様の部品を示す。本実施形態では、画像配向機構49は、検鏡51およびカメラ6に対して手動で回転可能であるように検鏡51上に回転可能に取り付けられた周縁回転可能リングまたはダイヤル54の形態の、スタビライザ2上、より具体的には検鏡51の近位端9上の回転可能または回転性制御部53からなる。画像配向機構49は、ソフトウェアと組み合わせて、カメラ6からの画像のデジタル回転および配向を促進する、つまり、カメラ6からの画像を、プローブ5の位置とは無関係に、必要に応じて配向することができる。本実施形態では、ダイヤル54には、画像の配向を参照するため、例えば、垂直上方向を参照するための方向ガイドまたはマーカ55が設けられている。ダイヤル54は、画面上の画像をデジタル回転させるためのソフトウェアを制御するように構成可能であり、他の実施形態では、本発明のデバイスに組み込まれたジャイロスコープまたは傾斜スイッチなどの、画像を回転させる自動方法を設けることができる。
【0153】
別の実施形態は、ソフトウェアによって画像のスナップショットを撮るためのボタンを内視鏡上に含むであろう。このボタンの別の実施形態は、ソフトウェアによってカメラフィードのビデオを撮るための長時間保持オプションを可能にするであろう。
【0154】
図14は、検鏡51に、吸引のため、または必要に応じて空気もしくは流体を耳内にもしくは耳に向けて導くための、任意選択的管腔またはチャネル66がさらに設けられている、本発明のスコープ1の第9の実施形態の側面図を示す。チャネル66はまた、必要に応じてレンズをきれいにするのに役立つことができる。所望であれば、検鏡51に、2つ以上の管腔またはチャネル66を設けることができる。
【0155】
図15は、プローブ5が、前述のように、レバー状深さ制御アクチュエータ21を介してスライド可能である、本発明の第10の実施形態を示す。
【0156】
図16(a)~
図16(c)は、本発明のスコープ1での使用に好適な様々な検鏡51のタイプの上方かつ片側からの斜視図を示し、検鏡壁11は、
図16(a)に示されたように連続であるか、
図16(b)に示されたような単純な切り込みもしくは切り欠き部分68が設けられるか、または
図16(c)に示されたようなプロファイルされた切り込みもしくは切り欠き部分68が設けられ得る。切り欠き部分68は、機器の容易な取り外し、および必要に応じて、上耳道へのアクセスを促進する。
【0157】
図17は、
図16(b)のスコープ1の検鏡51に、プローブ取り付け部18に隣接して配置された拡張機構70を介して、切り欠き部分68において拡張および収縮することができる、反対側に配置された2つの検鏡ブレード69を画定するための、反対側に配置された2つの切り欠き部分68が設けられている、本発明の第11の実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。いくつかの実施形態では、2つ以上の切り欠き部分68を設けることができる。拡張機構70は、ブレード69の拡張および収縮をもたらすためのノブ状拡張機構アクチュエータ71を介して制御可能である。拡張機構70は、一方のブレード69に作用する右巻きねじ山と、反対側のブレード69に作用する左巻きねじ山とを有し、したがって、2つのブレードは、使用中、プローブ5、したがってカメラ6から等距離だけ拡張する。検鏡ブレード69は、少なくとも1つのガイドピン94と拡張機構70との関係によって、互いに並ぶように保たれる。
【0158】
図18は、
図17のデバイスと同様であるが、プローブ5が拡張および収縮中に検鏡51の1つのブレード69とともに動く、スコープ1の上方かつ片側からの斜視図を示す。
【0159】
図19および
図20は、拡張機構70に加えて、スコープ1に、前述のようにユーザの要求に応じて、検鏡51内で持ち上げられ、位置決めすることができるプローブ5が設けられている、
図17および
図18のデバイスの上方かつ片側からの斜視図である。
【0160】
図21は、
図16のスコープと同様であるが、カメラ6および光源7がプローブ5自体の形態ではなくて、スタビライザ2、特に検鏡51の壁11に組み込まれている、本発明のスコープ1のさらなる実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。より具体的には、カメラ6および光源は、スコープ1の遠位挿入端10に向かって検鏡51の壁11と一体であるか、その中または上に位置し、したがって、検鏡1、カメラ6、および光源7は、単位構造の形態である。したがって、別個のプローブ5を省くことができる。
【0161】
図16~
図21に示された切り欠き部分68は、切り欠き部分68によって画定された開口部を通して、外科用ツールおよび器具を検鏡51、したがってスコープ1から取り出すことを可能にするための開口部を検鏡51の壁11に画定し、例えば、さもなければ挿入開口部15に適合しない鉗子などの外科用ツールを用いて、大きな異物を切り欠き部分を通して除去することができる。
【0162】
図22は、
図1~
図21のデバイスにほぼ類似した本発明のスコープ1のさらなる実施形態の側面図であり、同様の数字は同様の部品を示す。本実施形態では、スタビライザ2は、その重心52を検鏡51内に包含される体積内に維持することによって、外耳道内でデバイスを安定させ、バランスをとるように構成されている。より具体的には、スタビライザは、スコープ1の重心が検鏡2内に包含される体積内にあることを保証するためのバランスウェイト72を用いてバランスがとられ、デバイスが外耳道内でバランスをとることを可能にしている。バランスウェイト72は、スコープ1の重心を下げて中心に置くために検鏡壁11の外側に位置決めされたバランスウェイト取り付け部73上に位置する。
【0163】
代替実施形態では、バランスウェイト72は、プローブ5に着設され、かつ/またはプローブ5と一体とすることができる。
【0164】
図23は、バランスウェイト72が、スコープ1から横方向外向きに延在する、反対側に配置された2つのバランス翼またはアーム74の形態である、
図22のスコープ1の代替実施形態の側面図である。本実施形態では、第1のバランス翼74が、カラー4から横方向外向きに延在し、第2のバランス翼74は、検鏡壁11から横方向外向きに延在する。
【0165】
図24は、プローブ5が検鏡51から着脱可能および取り外し可能であるが、ワイヤ75を介して検鏡ハンドル3のカラー4に着設されている、本発明のスコープ1の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。したがって、プローブ5は、必要に応じて斜めのビューを与える双曲線レンズとして使用することができる。
【0166】
図25は、検鏡51が省略され、プローブ5が、検鏡ホルダ3を既存の検鏡51に着設することにより、従来の既存の検鏡51に後付けすることができる検鏡ホルダ3の形態の、後付け可能な検鏡ハンドル状スタビライザ2上に設けられている、本発明のスコープ1の後付け可能な代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。ハンドル状検鏡ホルダ3は、前述の検鏡ハンドル3と同様であり、カラー4と、カラー4に着設され、検鏡ホルダ3が後付けされた従来の周知の検鏡2内に配置可能な、可撓性または剛性の一体型の細長いプローブ5とが設けられている。検鏡ホルダ3には、検鏡51を受容するための前述のようなリング16と、使用中に細長いプローブ5を検鏡ホルダ3および検鏡51内に支持するためのプローブ取り付け部18とが設けられている。
【0167】
図26は、検鏡51に、拡張機構70を介して制御可能な切り込みまたは切り欠き部分68が設けられている、前述のスコープと同様の本発明のスコープ1の上方かつ片側からの斜視図を示す。同様の数字は、同様の部品を示す。拡張機構70は、拡張機構アクチュエータ71を介して作動されて、切り欠き部分68によって画定される開口部の開閉をもたらすことができる。図面に示されたように、データケーブル8が、プローブ5から、プローブ5上のカメラ6からの画像を表示するためのディスプレイ(図示せず)まで延在する。
【0168】
使用中、ユーザは、検鏡51を外耳道内に置き、検鏡51のサイズを調整する(または必要に応じて正しい検鏡サイズを選択する)。ユーザは、(以下でさらに検討される)スコープホルダを患者の頭/耳、または患者のベッド、または患者の枕、または患者のカバーにクリップ留め/ねじ留め/接着/配置/テープ留めすることができる。ホルダ76が変形可能である場合、ユーザは、検鏡ホルダを曲げて成形することができ、ホルダ76は、再び曲げられるまでその形状を維持する。
【0169】
したがって、ユーザは、道内の検鏡51のバランスを取り、手術を行うためのツール、例えば、吸引およびキュレットのために両手を使用する能力を有する。ユーザは画面を見てカメラフィードを確認し、必要に応じてカメラ画像をズームインおよびズームアウトしながら、カメラフィードの写真やビデオを撮ることができる。所望であれば、ユーザは、カメラの深さ知覚を可能にするための3Dメガネを着用することできる。
【0170】
上に示したように、ユーザは、必要に応じてプローブを上下にスライドさせて焦点を調整でき、また、外科医が手術を行っているときに、プローブを動かないように停止させる、事前設定されていてもよいし、または設定するように調整可能とすることができる、深さ制御機構を設定することもできる。ユーザがこれを通過させたい場合は、ロックを解除してプローブをさらに伸ばす。
【0171】
ユーザは、必要に応じて水平面に沿ってプローブを動かして、両方の手術ツールをカメラの片側に移動させることができ、かつ必要に応じて、機械的動きによって画像の配向を変更することができる。
【0172】
ユーザはまた、検鏡がまだ所定の位置にある間に、プローブを引き上げることによって、管腔26を通して吸引を適用することによって、カメラに灌注しかつ/またはカメラを捻転させることによって、プローブ内に組み込まれたワイプでレンズを拭くことによって、カメラレンズを洗浄することができる。
【0173】
ユーザはまた、検鏡51を取り外し、スコープを洗浄し、検鏡51を再配置し、必要に応じて処置を続行することができる。
【0174】
より具体的には、使用中、本発明のスコープ1が、既存の従来の検鏡51にスコープ1が後付けされている、単位スタビライザ2および細長いプローブ5、または組み込みカメラ6および光源7を有するスタビライザ/検鏡2からなる、
図1~
図26に記載の本発明のスコープ1は、手術のために患者の耳内に位置決めされ、任意選択的には、(以下でさらに検討される)スコープホルダを用いて所定の位置に支持される。
【0175】
上に示したように、スコープ1は、その重心を検鏡51内に包含される体積内に維持するように、つまり、使用中に低い安定化重心を維持するように重量バランスがとられている。より具体的には、検鏡51は、その重心よりも下、つまり、その遠位端に向かって、増加した重量を有する。したがって、スコープ1は、使用中に外耳道内で安定化され、耳の内視鏡による可視化に関連する利点を享受しながら、両手による診断および手術技術を可能にする。さらに、切り欠き部分68は、手術中に外科用ツールおよび器具を検鏡51から取り出すことを可能にする。
【0176】
手術中、検鏡51は、耳に対して必要に応じて位置決めすることができ、ひいては、プローブ5は、スコープホルダの有無にかかわらず、検鏡51に対して必要に応じて動かすことができる。特に、スコープホルダがない場合、外科医の1本以上の指またはツールもまた重量バランスがとれて安定したスコープを支持している状態で、2つの外科用ツール、例えば、吸引およびキュレットを同時に保持しながら、動的な両手技術を外科医が使用することができる。上に示したように、これは、バランスをとり易くするスコープ1の低い重心によって可能になる。これは、スコープ1の低質量よってさらに強化される。
【0177】
上に示したように、低摩擦スライド機構の形態のスライド機構19は、プローブ5の容易な位置決めを促進し、したがって、プローブ5を、使用中に容易に動的に再配置することができる。スライド機構19はまた、検鏡51の一方または他方の側に沿ってツールを置くことを可能にするためのスペースが提供されるように、プローブ5の傾斜を可能にすることができる。
【0178】
1つの実施形態では、スコープホルダを、本発明のスコープ1とともに使用することができる。例えば、スコープ1に、スコープ1から突出して、スコープホルダとインターフェースする独自のスピゴットを設けることができる。スコープホルダは、オートクレーブ処理を支援するために、スピゴットを介してデバイスから取り外すことができる。本発明のスコープ内の好適なスコープホルダを、
図27、特に
図28において、以下にさらに説明する。
【0179】
手術中、典型的には、スコープホルダには、外科用ドレープ上で耳の前に載置され、外科用鉗子、またはスコープホルダに設けることができる組み込みクリップを使用して、ドレープにクリップ留めされるプレートが設けられている。このクリップは、単純なねじ締め、ラチェット、ばね、または伸縮性のある締め付け機構など、任意の好適な締め付け機構を有することができる。
【0180】
上に示したように、本発明のスコープ1は、所望であればスコープホルダとともに使用することができる。
図27(a)および
図27(b)は、スコープ1と、使用中にスコープ1を位置合わせするための部分球形取り付けおよび位置決めプレート77が設けられたスコープホルダ76とからなる本発明のスコープシステムの上方かつ片側からの斜視図を示す。より具体的には、部分球形取り付けプレート77は、検鏡51が部分球形取り付けプレート77によって画定される概念的円内で中央に配置されるように、スコープ1に対して位置決めされ、つまり、検鏡51が部分球形取り付けプレート77内で中央に位置し、したがって、取り付けプレート77によって画定される部分球形球の中心点は、51の検鏡の遠位挿入端10と位置合わせされている。部分球形取り付けプレート77内の検鏡の中央配置により、外科医は、関節式アームなどでは不可能であろう方法で、本発明のデバイスを1つの動きで容易に再位置合わせすることができる。本実施形態では、光もまた、スコープ1の構造を通して、例えば検鏡51を通してプローブカメラ6に伝達することができる。
【0181】
部分球形取り付けプレート77は、1つ以上の翼状アーム78を介して検鏡51に着設されている。本実施形態では、1つのアーム78が、周縁の部分球形取り付けプレート77と検鏡51との間に延在している。アーム78は、部分球形取り付けプレート77の球形および輪郭に一致するように成形および輪郭付けされている。スコープ1は、アーム78と取り付けプレート77との間に画定された留め具79において取り付けプレートと位置合わせされている。スコープ1を取り付けプレート77に位置合わせして保つには、79の単一の留め具で十分である。
図27(b)に示された1つの実施形態では、79の留め具は磁性であり、好ましくは二極磁性留め具129であり、この実施形態では、制御部130を作動させて磁石を係合または解放する。別の実施形態では、79の留め具は、取り付けプレート77に沿った第1のスロット131と、第1のスロット131と重なるアーム78上の第2のスロット132とを含むことができる。接続ピン133が、両スロット131、132を通して位置決めされて、スコープ1の遠位挿入端10を所定の位置に維持しながら、スコープ1と取り付けプレート77との間の全範囲の動きを可能にする。ピン133は、取り付けプレートおよびアームを一緒にクランプするように作用され、ハンドナットまたはカム134を使用して締められる。
【0182】
1つの実施形態では、部分球形取り付けプレートは、半球形とすることができる。
【0183】
1つの実施形態では、スコープホルダ76は、接着剤で患者に固定するか、または患者にストラップで固定することができる。
【0184】
取り付けプレート77は、前述の外科用ドレープに、または以下でより詳細に説明するヘッドレストマウントに着設することができる。
【0185】
図28および
図29は、使用中のスコープ1を保持するための代替スコープホルダ76の上方かつ片側からの斜視図を示す。同様の数字は、同様の部品を示す。本実施形態では、スコープホルダ76は、スコープホルダ76の可逆的変形を可能にする可塑性を有する変形可能スコープホルダ76である。図面に示されたように、本実施形態では、スコープホルダ76は、スコープホルダ76を通して延在するデータケーブル8と一体であるかまたは組み合わされて、手術中にスコープ1を所定の位置に保持することと、プローブ5からデータを送信することとを同時に行うためのスコープホルダ兼データケーブル92を形成する。スコープホルダ兼データケーブル92は、スコープ1の動的位置決めおよび再配置を可能にするのに十分に変形可能である任意の好適な材料から形成することができ、したがって、スコープホルダ兼データケーブル92は、事実上、動的スコープホルダ76である。低い重心と組み合わされたスコープ1の低質量は、スコープホルダ76とデータケーブル8との一体化を可能にし、好適な可塑性を有する任意の材料、例えば、十分小さい力で容易に変形させられる(曲げられる)が、スコープ1の重量に耐えるのに十分な強度を有する、変形可能な可塑性を有する材料(例えば、図面に示されたように、細長い鋼線93または同様のもの)をスコープホルダ兼データケーブル92に使用することができる。
【0186】
本実施形態のスコープ1にはまた、検鏡ブレードを互いに位置合わせされた状態に維持するガイドレール135が設けられている。
【0187】
したがって、図面に示されたように、スコープホルダ兼データケーブル92を患者の頭81に着設し、手術中にスコープ1を所定の位置に保持することができる。
【0188】
図30に示された代替実施形態では、
図28および
図29の変形可能スコープホルダ76は、データケーブル8から分離され、独立することができる。この実施形態では、変形可能スコープホルダ76は、データケーブル8の上に、それに隣接させて、またはそれから離して、スコープ1、例えば、検鏡51に接続することができる。
【0189】
本発明のスコープホルダ76の利点は、プローブ5またはスコープ1はスコープホルダ76上で必要に応じて自由に動かすことができるので、それらのいずれかに調整を行うために手術を中断する必要がないことである。さらに、処置が4時間にまで及ぶ場合、外科医を疲れさせる可能性のある、保持する重い内視鏡は存在しない。
【0190】
図31および
図32は、患者の頭81を支持するためのヘッドレストデバイス80が患者の頭の動きに従って自己調整する、本発明の代替スコープシステムの上方かつ片側からの斜視図を示す。ヘッドレストデバイス80は、ヘッドレスト82と、スコープスタンド83であって、ヘッドレスト82の動きに応答して動いて、スコープスタンド83内に保持されたスコープ1を自動的に再配置するようにヘッドレスト82と協働可能なスコープスタンド83とからなる。図面には示されていないが、スコープスタンド83は、
図28~
図30のスコープホルダ76とともに使用するように適合させることができる。
【0191】
図面に示されたように、ヘッドレスト82は、患者の頭81の下に配備される。ヘッドレスト82の上面は、平坦な表面を有し、患者の頭81のために緩衝材85で覆われている。ヘッドレスト82の下面は、ヘッドレスト82が患者の頭の動きに追従することを可能にする凸形状表面86を有する。関節式アーム87が、ヘッドレスト82からスタンド83まで延在する。より具体的には、関節式アーム87は、ヘッドレスト82とスタンド直立部88との間に延在し、スタンド直立部88には、次いで、直立部からヘッドレスト82および患者の頭81に向かって耳の前の位置まで突出する上方関節式アーム89が設けられている。上方関節アーム89は、所定の位置にしっかりとロックすることができるスライドおよび傾斜セクション90からなる。その自由端において、上方関節アーム89には、ドレープを破ることなく、磁性または機械的固定などを使用してドレープを通して可撓性アームを取り付けることができるスコープ取り付けプレート91が設けられている。可撓性アームは、本発明のスコープ1または
図33のスコープホルダに直接着設することができる。
【0192】
したがって、ヘッドレストデバイス80は、デバイスが患者の頭および外耳道に対して動くことを可能にしながら、外科用ドレープが手術中に滑ったり動いたりする可能性を取り除く。
【0193】
図33は、
図28~
図30のスコープと同様であるが、ホルダ76が省略された、本発明のスコープ1の上方かつ片側からの斜視図を示し、同様の数字は、同様の部品を示す。しかしながら、本実施形態では、検鏡51の遠位端10には、検鏡51の重量バランスをとるための高密度先端部96が設けられている。
【0194】
図34~
図37は、検鏡51に、近位開放端9に向かう検鏡51上の調整リング70の形態の拡張機構70を介して、切り込み部分68において拡張および収縮することができる4つの検鏡ブレード69が設けられている、本発明のスコープ1の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。同様の数字は、同様の部品を示す。調整リング97は、ユーザの経験に従って選択することができる、耳の手術で伝統的に使用される異なる検鏡サイズに対応する調整ステップなどの可変目盛り98を規定するように構成され、つまり、検鏡ブレード69は、外耳道を拡大するために広げることができ、段階的ステップ98をブレード69と接触させ、それによってそれらを押し出すように、回転可能な調整97によってサイズ制御することができる。
【0195】
本発明の代替実施形態では、拡張機構70は、チューブをブレード69と接触させ、したがって、ブレードの開閉の完全なアナログ制御を与えるためにねじ山の形態とすることができる。
【0196】
当業者には理解されるように、ブレード69は、1つの部品に成形されてもよいし、または別個の構成部品でもよい。
【0197】
図38および
図39は、
図34~
図37の実施形態と同様であるが、拡張機構70が、検鏡ブレード69上のエラストマーなどの弾性材料99のバンドの形態であって、ブレード69がそれぞれ収縮または閉位置および開位置にある、代替実施形態を示す。同様の数字は、同様の部品を示す。弾性バンド99は、検鏡51の開放遠位端10に向かって配置され、検鏡51上に位置決めされて、ブレード69間の切り込み68を覆い、必要に応じてそれらを閉位置に引き戻すようにブレード69に作用する。
【0198】
図40~
図44は、前述の実施形態と同様であるが、低摩擦プローブスライド機構19のプローブ深さ制御アクチュエータ機構21がユーザに触覚フィードバックを与えるように構成された、本発明のさらなる実施形態を示す。触覚フィードバックは、
図42に示すように、プローブ5と接触しているホイールまたは歯車100によって提供することができる。
図43に示されるように、ホイール100は、ばね101の力の下でプローブ5と連絡しており、任意選択的には、ホイール100は、つめ136で割送りされる内側歯車の歯102を有し、したがって、歯車の歯102がつめ136を乗り越えたとき、フィードバックが、感触および/またはクリック音の形態で与えられる、つまり、つめ132が、内側歯車102に作用して、上記のように触覚フィードバックを提供する。任意選択的には、プローブ5は、ラックギアを有し得、ばね101を使用して接触力を維持してもよい。したがって、使用中、外科医は、例えば、クリックの形態の触覚フィードバックを用いて、プローブ5がどれだけ深く押されているかを感じることができる。
図44に示されるように、プローブスライド機構19は、プローブ5と直接接触しているつめおよびラチェット137を介してユーザに触覚フィードバックを与える。
【0199】
別の実施形態では、センサ(図示せず)を、プローブ5上に、または歯車100もしくはホイール103上に直接配備することができる。このセンサからのデータは、プローブ5と遠位挿入端10との間の相対的な動きに関する情報を提供するであろう。この情報は、ディスプレイモニタに表示され得る。
【0200】
図45は、スコープ1に、ロック可能な深さ制御アクチュエータ機構21、つまり、プローブ5と係合可能なロック可能ピン105の形態の安全ロック104が設けられている、本発明のスコープ1のさらなる実施形態の側面図である。ピン105は、プローブ5に画定されたスロット108内に形成された下方および上方端点106、107によって規定される限界(つまり、プローブ5の挿入の上限および下限)によって決定されるように、プローブ5の上下の動きを制限するように係合することができる。挿入の上限および下限は、所定の位置に設定することができるか、または限界調整器110を用いて変更することができる。所望であれば、ばねを使用して、ロック可能ピン105を常時係合位置に設定してもよい。
【0201】
安全ロック104は、鼓膜または中耳へ向かう偶発的な動きを防ぐことができ、使用中、解剖学的構造(外耳道の長さ幅)に応じて必要に応じて調整することができる。
【0202】
図46は、機械的シャッタ解放ケーブル111の形態のロック可能深さ制御アクチュエータ機構21または安全ロック104を有する、本発明のさらなる実施形態の側面図である。
【0203】
図47(a)および
図47(b)は、プローブ5が、外科用ツールを収容し、解剖学的観察を強化するために、検鏡51内で横方向に可動である(つまり、112で垂直軸を通して円弧を左右に揺らす)ように構成されている、本発明のさらなる実施形態の上面図を示す。この動きは、手締めナット112を使用して、所定の位置にロックすることができる。より具体的には、
図47(c)に示すように、プローブ5は、矢印で示された方向において、検鏡51内で内に、外に、および左右に、平面運動を享受することができ、プローブ5に着設された平面的アームロック115によって、検鏡内の平面に沿った特定の位置にロックすることができる。平面的アームロック115は、それが平面的スロット内に圧縮されることを可能にする切り込み140を有し、したがって、無負荷のプローブを所定の位置に保持する。したがって、プローブ5は、検鏡51内で円弧を描いて揺れるように適合されるか、または検鏡51内(平面内)で内に、外に、または左右に、任意の位置まで可動である。図示されていない別の実施形態では、プローブは、水平軸を通して円弧を描いて揺れることができ、したがって、検鏡内で左右に傾斜することができる。
【0204】
図48は、プローブ5が、その長手方向軸の周りで回転すると所定の位置にロックされるように構成された回転可能なセルフロック式プローブ5である、本発明のスコープ1のさらなる実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。図面に示されたように、プローブ5は、その長手方向軸の周りで、矢印で示された方向に回転可能であり、所定の位置にロックする。ロック作用は、挿入開口部15における検鏡51の遠位開放端10に向かってロック関係を規定する非一様の断面を有する細長いシャフト113をプローブ5に設けることによって達成することができる。
【0205】
代替実施形態では、セルフロックは、検鏡51との摩擦係合を介して、またはプローブ5のシャフト113に沿って配置された歯車の歯によって達成することができる。
【0206】
図49および
図50は、プローブ取り付け部18が、検鏡51からのプローブ5のヒンジ式取り外しを可能にするためのヒンジ式プローブ取り付け部18であり、また、スコープ1に着設されたままで、矢印で示された方向において検鏡51からスライド式に取り外し可能である、本発明のさらなる実施形態を示す。検鏡からのプローブ5のヒンジ式取り外しは、鼓膜移グラフト材などの大きなアイテムを検鏡51内に置くことを可能にする。
【0207】
図51は、スコープ1に、検鏡51に着設されたイヤークリップ114が設けられ、したがって、スコープ1は、補聴器のように耳上に支持され得る、本発明の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。代替実施形態では、イヤークリップ114は、こめかみサポートで置き換えることができ、したがって、スコープ1は、患者のこめかみ上に支持され得る。イヤークリップ114またはこめかみサポートは、塑性変形可能な材料から形成することができる。
【0208】
図52は、スコープ1に、患者の耳上にスコープを支持するためのイヤーカップ114が設けられている、本発明の代替実施形態の上方かつ片側からの斜視図を示す。玉継ぎ手116とすることができる継ぎ手が、イヤーカップ114と検鏡51との間に設けられて、矢印で示された方向における検鏡51およびプローブ5の玉継ぎ手の動きを可能にする。
【0209】
図53~
図56は、スコープ1に、カメラ6の表面118を洗浄するための組み込みカメラ洗浄ユニット117が設けられている、本発明のさらなる実施形態を示す。図面に示されたように、カメラ洗浄ユニット117は、プローブ5が検鏡51の近位位置から近位端9に向かって(
図54)、遠位端10に向かってそこまで(
図55および
図56)動くときに、カメラ表面118を拭く/洗浄するブレードまたはパッド119からなる。ブレードまたはパッド119は、カメラ表面118を通過して洗浄するように可動とすることができ、カメラ表面118と接触して視認性を回復することを保証するように成形および形成することができる。
【0210】
図57は、流体をカメラ表面118に導くか、または吸引によりカメラ表面118から破片を除去するための吸引または灌注チャネル120を有する代替の組み込みカメラ洗浄ユニット117を有する、本発明のスコープ1の側面図を示す。所望により、洗浄液(例えば、生理食塩水)を、好適にはカメラ表面118に斜めに隣接した方向性バッフルまたはチャネル121を介して、カメラ表面118に導くことができる。灌注チャネル120は、スコープ1と一体にすることができ、またはカメラ6を噴霧するためにスコープ1に置かれる別個のツールから構成することができる。
【0211】
図58は、組み込みカメラ洗浄ユニット117が、カメラ面118を横切ってスライド可能である手動で操作可能な洗浄パッドまたはブラシからなる、本発明の代替実施形態の側面図を示す。より具体的には、組み込みカメラ洗浄ユニットは、横方向にスライド可能であり、洗浄パッドまたはブラシ123が受容される、検鏡51内に画定されたパッド受容凹部122からなる。洗浄パッドまたはブラシ123は、任意選択には、手で引っ張り、捻転させることで、パッド123を操作し、カメラ表面118を洗浄することによって操作することができる手動操作可能洗浄制御部124に機械的に結合されている。
【0212】
データケーブル8は、曲がると、スコープ1に力をかける可能性があり、ケーブル8のねじり剛性は、それを真っ直ぐにさせ得るが、実際には、データケーブル8は、使用中に真っ直ぐであることはめったにない。これらの力を無視すると、スコープが耳内で不安定になり、外科医が制御するのが困難になる可能性がある。さらに、データケーブル8は、スコープ1の重心にも影響を与える可能性があり、簡単に言うと、データケーブル8のサポートされていない質量は、重心を検鏡の体積で51内に維持するように(前述したように)スコープ1内でオフセットされる必要がある。
【0213】
ケーブルが低い剛性を有する(したがって自重を支えることができない)場合、スコープへの影響は無視できる(コイル状ケーブルはこれらの特性を示すことができる)。しかしながら、そうでない場合は、これらの力を低減するための戦略をケーブル管理に適用する必要がある。
【0214】
図59は、スコープ1にかかる上記の力を最小限にするために、データケーブル8に、アンカウェイトまたはポイント125と、参照番号126によって示された延長ケーブルとが設けられている、本発明のさらなる実施形態の側面図を示す。ケーブル8上のアンカウェイト125は、アンカウェイト125とスタック/モニタとの間のケーブル8の剛性がスコープ1に不安定化力を加えることを防ぐ。所望であれば、アンカウェイト125は、患者の頭の上または横に、定置されるかまたは着設することができる。別の実施形態では、アンカウェイト125は、可動であり得る。
【0215】
アンカウェイト125とスコープ1との間のデータケーブル8は依然としてスコープ1に力をかけ得るので、これは、このケーブルを126で示されたように延長し、したがって、剛性がより小さな力をかけるようにすることによって、さらに減らすことができる。あるいは、
図60に示されるように、延長ケーブル126は、スコープ1にかかる力を最小限にするために、コイル状可撓性ケーブル127で置き換えることができる。あるいは、コイル状可撓性ケーブル127は、スコープ1にかかる力を最小限にするために、
図61に示されるように、形状設定ケーブル128で置き換えることができる。
【0216】
しかしながら、当業者には理解されるように、データがモニタ/スタックに無線で配信される場合、ケーブルは必要とされない。
【0217】
本発明の別の実施形態では、本発明のスコープ1を、異なるサイズの検鏡51との使用に適合させることができる一方で、スコープに、レンズを洗浄するための組み込みゴム製ワイプを設けることができる。
【0218】
本発明のスコープはまた、必要に応じて2つ以上のプローブ5、または単一のプローブ5上に実際に2つ以上のカメラ6を使用することができる。カメラ6は、異なる深さに位置決めされ、したがって、近位側カメラが機器の進入を監視することができ、遠位側カメラが手術の近接観察を促進することができる。
【0219】
本発明のスコープ1およびシステムは、任意の好適な材料、例えば、生分解性材料から形成することができる。
【0220】
等価物
前述の説明は、本発明の現在好ましい実施形態を詳述している。これらの説明を熟慮すると、その実践における多数の変更および変形が、当業者には思い付くことが予期される。これらの変更および変形は、本明細書に添付された特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】