(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(54)【発明の名称】癌免疫療法に関連する毒性を低減させるための線維芽細胞およびそのマイクロベシクル
(51)【国際特許分類】
A61K 35/33 20150101AFI20220418BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220418BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220418BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220418BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220418BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220418BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61K35/33
A61P35/00
A61P37/02
A61P31/00
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541227
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020014018
(87)【国際公開番号】W WO2020150567
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516071686
【氏名又は名称】フィジーン、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FIGENE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オヒーロン、ピート
(72)【発明者】
【氏名】イチム、トーマス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA06
4C084NA07
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4C087MA16
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4C087NA07
4C087ZB07
4C087ZB11
4C087ZB26
4C087ZB32
(57)【要約】
【課題】 サイトカイン放出症候群および特にサイトカインストームを管理するための新規ストラテジーを提供する。
【解決手段】 本開示の実施形態は、線維芽細胞または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを用いた個体における過剰なサイトカインの処置および予防に関する方法および組成物を含む。特定の実施形態において、サイトカイン放出症候群の結果であり得る個体における毒性を処置および予防するための方法および組成物が存在する。具体的な場合において、個体は、1つ以上の特異的マーカーを有する線維芽細胞によってサイトカイン放出症候群が処置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体に対する治療の毒性を低減する方法であって、有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを、前記治療とともに、および/または前記治療の前に、および/または前記治療を前記個体に施した後に、前記個体に提供する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記治療が、免疫療法、放射線照射、薬物毒性、酸素療法、内分泌療法、遺伝子療法およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療が、癌、感染症および/または自己免疫に対する治療である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫療法が、抗体またはその機能的フラグメントを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記機能的抗体フラグメントが、scFvを含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記治療が、細胞を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫療法が、1つ以上の操作されたT細胞レセプター(TCR)または1つ以上のキメラ抗原レセプター(CAR)またはその両方を発現する細胞を含む、請求項2、4、5、6または7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記TCRまたはCARが、癌抗原を標的化する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記CARが、2つ以上の共刺激ドメインを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記線維芽細胞が、脱分化した線維芽細胞である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記線維芽細胞を脱分化させる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
線維芽細胞が、十分量の1つ以上の脱分化剤に曝露されたときに、脱分化するかまたは脱分化した、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記脱分化剤が、1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、1つ以上のDNMT阻害剤、低酸素、幹細胞またはその画分への曝露、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記HDAC阻害剤が、バルプロ酸である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記バルプロ酸が、1~100マイクログラム/ミリリットルの濃度で1~72時間、前記線維芽細胞に曝露される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記線維芽細胞が、再生特性を含む組織に由来する、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記組織が、臍帯、胎盤またはそれらの混合物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記線維芽細胞が、CD105、CD117および/またはCD34のうちの1つ以上を発現する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記線維芽細胞が、ローダミン123排出活性の発現を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記マイクロベシクルが、エキソソーム、アポトーシス小体、エキソソーム様粒子またはそれらの混合物を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記マイクロベシクルが、陰イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはその両方を用いて、脱分化した線維芽細胞の培養物から生成される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記マイクロベシクルが、a)CD63;b)CD9;c)MHC I;d)CD56;およびe)それらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを発現する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルが、マクロファージの活性化を低減するように改変されている、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルが、ポリマーで強化されたリポソームに含められる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記個体には、有効量の活性化プロテインCが提供される、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
治療を必要とする個体および/または治療を受けた個体のサイトカイン放出症候群を処置または予防する方法であって、有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを、前記治療とともに、および/または前記治療の前に、および/または前記治療を前記個体に施した後に、前記個体に提供する工程を含む、方法。
【請求項28】
前記サイトカイン放出症候群が、治療、感染症または非感染症によるものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記非感染症が、移植片対宿主病(GVHD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、敗血症、膵炎、熱傷、外傷または血球貪食性リンパ組織球症である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記感染症が、エボラ、インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群、マラリアまたは痘瘡である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記インフルエンザが、トリインフルエンザである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記インフルエンザが、A型、B型またはC型インフルエンザである、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記治療が、免疫療法である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記治療が、抗体を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記サイトカイン放出症候群が、全身性炎症反応症候群、サイトカインストーム、サイトカインカスケードまたは高サイトカイン血症とさらに定義される、請求項27~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記個体には、1つ以上のコルチコステロイド、1つ以上の生物学的治療および/または1つ以上の抗炎症剤がさらに提供される、請求項27~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記生物学的治療が、1つ以上の抗IL6治療を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗IL6治療が、抗IL6抗体を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
個体における1つ以上のサイトカインのサイトカインレベルを低下させる方法であって、有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを、1つ以上のサイトカインの減少を必要とする個体に提供する工程を含む、方法。
【請求項40】
前記個体が、サイトカイン放出症候群を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記サイトカイン放出症候群が、全身性炎症反応症候群、サイトカインストーム、サイトカインカスケードまたは高サイトカイン血症とさらに定義される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
個体の悪液質を処置する方法であって、個体に有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを前記個体に提供する工程を含む、方法。
【請求項43】
個体における治療の有効性を高める方法であって、個体に有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを前記個体に提供する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年1月17日出願の米国仮特許出願第62/793,545号に対する優先権を主張する。この仮出願は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、癌を含む、細胞生物学、分子生物学、細胞治療および医学の分野を少なくとも含む。
【背景技術】
【0003】
悪性腫瘍は、ヒトの健康および生存を脅かす主な疾患の1つとなった。外科手術、放射線療法および化学療法などの従来の癌治療は、腫瘍を直接切除すること、腫瘍細胞を放射線照射または化学療法薬によって死滅させることを含む、外力を必要とする。化学療法および放射線療法は通常、腫瘍の転移および再発などの問題を解決できない。さらに、これらの処置は常に、重度の有毒作用をもたらし、正常細胞を損傷する。特に、従来の放射線療法および化学療法は、免疫系、特に、身体の抗腫瘍防御において重要な役割を果たすNK細胞およびT細胞媒介性免疫にダメージを与える。興味深いことに、いくつかの場合において、従来の癌治療に関連するうつおよび疲労は、心理的抗うつ薬の投与後に免疫スコアを回復させる患者によって証明されるように、免疫の抑制において神経性の役割を果たしている可能性がある。免疫療法に基づく生物学的処置に対してますます関心が集まった。このアプローチには、非悪性細胞を温存しつつ腫瘍細胞を特異的に殺滅するがゆえに、通常、従来の癌治療と関連する恐ろしい副作用を引き起こさないという利点がある。残念なことに、最近、免疫療法が成功してきているにもかかわらず、チェックポイント阻害剤であっても、キメラ抗原レセプター(CAR)-T細胞アプローチなどの細胞アプローチであっても、免疫療法に対する新しいタイプの有害作用が観察された。有糸分裂が活発な細胞の殺滅を理由に生じる化学療法または放射線療法の副作用とは対照的に、免疫療法の副作用は、「サイトカイン放出症候群」という臨床名を有する過度のサイトカイン産生に関係する。
【0004】
サイトカイン放出症候群は、様々な免疫療法の有害作用であり、ある特定の場合において危険であり、時折生命を脅かす。サイトカイン放出症候群の一例は、キメラ抗原レセプター(CAR)-T細胞などのT細胞免疫療法を受けた一部の患者において生じるものである。これらの細胞が活性化されると、それらは、全身性の炎症反応をもたらし、血流中にサイトカインが急速かつ大量に放出され、例えば、深刻なほどの低血圧、高熱および震えを招く。サイトカイン放出症候群のより重症な症例では、サイトカインと白血球との間に正のフィードバックループが生じ、サイトカインのレベルが非常に高い状態になるサイトカインストーム(サイトカインカスケードまたは高サイトカイン血症としても知られる)を患者は経験する。これは、例えば、心機能不全、成人呼吸窮迫症候群、神経毒性、腎不全および/または肝不全、肺水腫ならびに播種性血管内凝固などの、生命を脅かす可能性がある合併症を招くことがある。
【0005】
サイトカインストームの壊滅的な一例が、T細胞上のCD28レセプターに結合する抗体であるTGN1412の第I相試験において観察された。この薬物を1回静脈内投与した90分後に、6人の志願者全員が、頭痛、筋肉痛、悪心、下痢、紅斑、血管拡張および低血圧を伴った、炎症促進性サイトカインの急速な誘導を特徴とする全身性の炎症反応を起こした。注入後12~16時間以内に、それらの志願者は、肺浸潤および肺損傷、腎不全ならびに播種性血管内凝固を伴う危篤状態となった。リンパ球および単球の重度かつ予想外の枯渇が、注入後24時間以内に起きた。6人の患者は全員、公立病院の集中治療室での治療に移され、そこで集中的な心肺補助(透析を含む)、高用量メチルプレドニゾロンの投与および抗インターロイキン-2レセプターアンタゴニスト抗体の投与を受けた。2人の患者は、心血管ショックおよび急性呼吸窮迫症候群が長引き、8および16日間にわたって集中的な臓器補助が必要であった。複数のサイトカイン放出症候群のエビデンスがあったにもかかわらず、6人の患者全員が、生命の危機を乗り切った。
【0006】
サイトカイン放出症候群の通常の処置は、コルチコステロイド、抗IL6治療などの生物学的治療、および抗炎症剤からなる。しかしながら、ステロイドは、CAR T細胞の活性および/または増殖に影響する恐れがあり、患者を敗血症および日和見感染の危険にさらす恐れがある。サイトカインストームは、非常に多数のサイトカインを含むが、患者に抗炎症薬を注入する能力は限られているので、抗炎症薬は、サイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの管理において有効でない可能性がある。少なくともCAR T細胞治療および他の免疫療法を含むある特定の治療を安全に使用するために、サイトカイン放出症候群および特にサイトカインストームを管理するための新規ストラテジーが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
特定の実施形態において、本開示は、個体における治療の毒性の阻害または予防に関係する方法および組成物に関する。任意の治療の毒性が、処置または予防され得るが、特定の場合において、それらの方法は、免疫療法の毒性の阻害に関する。免疫療法は、モノクローナル抗体またはその機能的フラグメントを含む抗体またはその機能的フラグメントを免疫療法の一部(または全部)として使用し得る。いくつかの実施形態において、方法は、個体における毒性の処置または予防に関する。任意の種類の治療毒性が、本開示の方法および組成物によって少なくとも部分的に改善され得る。それらの毒性は、免疫療法、放射線照射、薬物毒性、酸素療法、内分泌療法、遺伝子療法などであり得る。
【0008】
本開示は、ある特定の実施形態において、例えば全身性炎症反応症候群、サイトカインストーム、サイトカインカスケードまたは高サイトカイン血症などのサイトカイン放出症候群またはその任意の形態の処置または予防を含む。
【0009】
本開示の実施形態は、例えば全身性炎症反応症候群、サイトカインストーム、サイトカインカスケードまたは高サイトカイン血症などのサイトカイン放出症候群またはその任意の形態を有する個体を含むある個体における、有害なレベルを含むサイトカインレベルを低下させる方法を含む。有害なレベルは、個体由来のサンプルの定量的測定によって判断され得、かつ/または1つ以上の症状から推定され得る。それらのレベルは、経時的にモニタリングされ得る。個体は、サイトカイン放出症候群を直接または間接的にもたらした治療を受けたことがある場合もあるし、受けたことがない場合もある。個体は、サイトカイン放出症候群を直接または間接的にもたらした感染症または非感染症の病状に罹患している場合もあるし、罹患していない場合もある。
【0010】
本開示の具体的な実施形態において、個体には、有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルが任意の目的で提供され、特定の場合において、その線維芽細胞は、脱分化した線維芽細胞である。線維芽細胞は、任意の様式で脱分化され得るが、具体的な実施形態において、一例として、1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤に曝露される。
【0011】
本開示の実施形態は、有効量の、脱分化した線維芽細胞を含む線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを個体に提供することによって、その個体における1つ以上の炎症性サイトカイン(例えば、TNFなど)を減少させる方法を含む。
【0012】
具体的な実施形態において、本開示の方法は、有効量の、脱分化した線維芽細胞を含む線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを個体に提供することによって、その個体の悪液質を抑制または排除する。個体の悪液質は、例として癌、化学療法、慢性腎不全、HIVおよび多発性硬化症などの任意の理由によって引き起こされ得る。
【0013】
特定の実施形態は、有効量の、脱分化した線維芽細胞を含む線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを個体に投与することによって、その個体において1つ以上の治療に対する応答を高める工程を含む。その治療は、例えばレシピエント個体における過剰なサイトカイン産生に関連する毒性などの、個体に対して毒性を有する傾向がある治療をはじめとした任意の種類の治療であり得る。
【0014】
本開示の実施形態は、個体に対する治療の毒性を低減する方法を含み、その方法は、有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを、その治療とともに、および/またはその治療の前に、および/またはその治療を個体に施した後に、個体に提供する工程を含む。その治療は、免疫療法、放射線照射、薬物毒性、酸素療法、内分泌療法または遺伝子療法のうちの1つ以上であり得る。その治療は、例えば、癌、感染症および/または自己免疫に対する治療であり得る。治療が免疫療法である場合、その免疫療法は、抗体またはその機能的フラグメントを含み得る。例えばモノクローナル抗体などの任意の抗体が使用され得る。機能的抗体フラグメントは、一例としてscFvを含み得る。いくつかの場合において、治療(免疫療法をはじめとした任意の種類の治療)は、細胞を含み得る。免疫療法の細胞は、幹細胞、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、B細胞、リンフォカイン活性化細胞、腫瘍浸潤リンパ球およびそれらの混合物であり得;そのような細胞は、合成タンパク質および/または外来性タンパク質(例えば、レセプター、サイトカインまたはその両方など)を発現するように操作されてもよいし、操作されなくてもよい。具体的な実施形態において、免疫療法は、1つ以上の操作されたT細胞レセプター(TCR)もしくは1つ以上のキメラ抗原レセプター(CAR)またはその両方を発現する細胞を含む。TCRまたはCARは、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の癌抗原を標的化し得る。細胞が1つ以上のCARを発現する場合、そのCARは、2つ以上の共刺激ドメインを含むこともあるし、含まないこともある。
【0015】
具体的な実施形態において、本開示の方法および組成物において使用される線維芽細胞は、脱分化した線維芽細胞である。本開示の方法は、線維芽細胞を脱分化させる工程をさらに含み得る。具体的な場合において、線維芽細胞は、十分量の1つ以上の脱分化剤に曝露されたときに、脱分化されるか、または脱分化された。脱分化剤は、いくつかの場合において、1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤(例えば、バルプロ酸)、1つ以上のDNMT阻害剤、低酸素、および/または幹細胞もしくはその画分への曝露であり得る。バルプロ酸が使用されるとき、そのバルプロ酸は、1~100マイクログラム/ミリリットルの濃度で1~72時間、線維芽細胞に曝露され得る。具体的な実施形態において、線維芽細胞は、再生特性を含む組織に由来する。組織の例としては、臍帯、胎盤またはそれらの混合物が挙げられる。
【0016】
具体的な実施形態において、使用される任意の種類の線維芽細胞は、CD105、CD117および/またはCD34のうちの1つ以上を発現し得る。いくつかの場合において、線維芽細胞は、ローダミン123排出活性の発現をさらにまたは代わりに含む。そのようなマーカーおよび活性は、脱分化の前および/または後の線維芽細胞に存在し得る。
【0017】
マイクロベシクルを使用する場合、マイクロベシクルは、エキソソーム、アポトーシス小体、エキソソーム様粒子またはそれらの混合物を含み得る。マイクロベシクルは、陰イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはその両方を用いて、脱分化した線維芽細胞の培養物から生成され得る。具体的な実施形態において、マイクロベシクルは、a)CD63;b)CD9;c)MHC I;d)CD56;およびe)それらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを発現する。具体的な実施形態において、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルは、マクロファージの活性化を低減するように改変されている。線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルは、ポリマーで強化されたリポソームに含められ得る。
【0018】
任意の実施形態において、個体には、有効量の活性化プロテインCが提供され得る。
【0019】
本開示の実施形態は、治療を必要とする個体または治療を受けた個体のサイトカイン放出症候群を処置または予防する方法を含み、その方法は、有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを、その治療とともに、および/または治療の前に、および/または治療を個体に施した後に、その個体に提供する工程を含む。サイトカイン放出症候群は、例として、治療、感染症または非感染症によるものであり得る。具体的な場合において、非感染症は、移植片対宿主病(GVHD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、敗血症、膵炎、熱傷、外傷または血球貪食性リンパ組織球症である。感染症は、エボラ、インフルエンザ(例えば、トリインフルエンザ)、重症急性呼吸器症候群、マラリアまたは痘瘡であり得る。インフルエンザの場合、それは、A型、B型またはC型インフルエンザであり得る。サイトカイン放出症候群が治療によるものである場合、その治療は、抗体またはその機能的フラグメントなどの免疫療法であり得る。具体的な実施形態において、サイトカイン放出症候群は、全身性炎症反応症候群、サイトカインストーム、サイトカインカスケードまたは高サイトカイン血症とさらに定義される。個体には、1つ以上のコルチコステロイド、1つ以上の生物学的治療および/または1つ以上の抗炎症剤がさらに提供され得る。具体的な実施形態において、生物学的治療は、1つ以上の抗IL6治療を含み、その抗IL6治療は、1つ以上の抗IL6抗体を含み得る。
【0020】
本開示の実施形態は、個体における1つ以上のサイトカインのサイトカインレベルを低下させる方法を含み、その方法は、有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを、1つ以上のサイトカインの減少を必要とする個体に提供する工程を含む。その個体は、全身性炎症反応症候群、サイトカインストーム、サイトカインカスケードまたは高サイトカイン血症とさらに定義され得るサイトカイン放出症候群を有し得る。
【0021】
本開示の実施形態は、個体の悪液質を処置する方法を含み、その方法は、個体に有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルをその個体に提供する工程を含む。
【0022】
本開示の実施形態は、個体における治療の有効性を高める方法を含み、その方法は、個体に有効量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルをその個体に提供する工程を含む。
【0023】
前述では、以下に続く詳細な説明をよりよく理解できるように、本開示の特徴および技術的利点をかなり広く概説した。本明細書の請求項の主題を成すさらなる特徴および利点を本明細書の以後で説明する。開示される概念および具体的な実施形態は、本構想の同じ目的を果たすために、他の構造を改変または設計するための基礎として容易に利用され得ることが当業者に認識されるだろう。そのような等価な構成は、添付の請求項に示されているような趣旨および範囲から逸脱しないことも、当業者に理解されるだろう。さらなる目的および利点とともに、構成と実施方法の両方に関して本明細書中に開示される構想に特有であると考えられる新規の特徴は、添付の図面と関連して考慮すると、以下の説明からよりよく理解されるだろう。しかしながら、それらの各図面は、例示目的および説明目的で提供されているに過ぎず、本開示の限度の定義として意図されていないことが明確に理解されるべきである。
【0024】
本開示の理解をより完全なものにするために、添付の図面と併せて解釈される以下の説明について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、PD-1抗体の後のバルプロ酸処置線維芽細胞による全身のTNF-アルファの減少を示している。食塩水(コントロール)、PD-1に対する抗体(PD-1)、または5マイクログラム/ミリリットルのバルプロ酸において24時間培養したBalb/c線維芽細胞(100,000個の細胞を腹腔内に)とともにPD-1に対する抗体をBalb/cマウスに投与した。細胞および抗体は、1日おきに注射した。血清中TNFアルファをELISAによって測定した。
【0026】
【
図2】
図2は、線維芽細胞の投与によるリンフォカイン活性化細胞(LAK)の致死性の低下を示している。左のバーは、コントロールであり、左から2つ目のバーは、LAKであり、右から2つ目のバーは、LAK+MSCであり、右のバーは、LAK+線維芽細胞である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
I.定義の例
【0028】
長年の特許法の慣習に沿って、語「a」および「an」は、~を含むという語と合わせて本明細書(請求項を含む)において使用されるとき、「1つ以上の」を表す。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つ以上のエレメント、方法工程および/または方法からなり得るか、または本質的になり得る。本明細書中に記載される任意の方法または組成物が、本明細書中に記載される他の任意の方法または組成物に対して実行され得ることおよび異なる実施形態が組み合わされ得ることが企図される。本明細書全体にわたって、文脈が他のことを要求しない限り、語「~を含む(comprise)」、「~を含む(comprises)」および「~を含む(comprising)」は、記載の工程もしくはエレメントまたは工程群もしくはエレメント群を包含するが、他の任意の工程もしくはエレメントまたは工程群もしくはエレメント群を排除しないことを暗に示すと理解される。「~からなる」は、句「~からなる」の前に何が置かれたとしても、「~を含み、それらに限定される」ことを意味する。したがって、句「~からなる」は、列挙されたエレメントが、不可欠または必須であること、および他のエレメントが存在しない可能性があることを示す。「~から本質的になる」は、この句の前に列挙される任意のエレメント、および列挙されたエレメントについて本開示に明示される活性または作用を干渉しないまたはそれらに寄与しない他のエレメントに限定されるエレメントを含むことを意味する。したがって、句「~から本質的になる」は、列挙されたエレメントが、不可欠または必須であるが、他のエレメントは自由選択ではなく、それらが列挙されたエレメントの活性または作用に影響するか否かに応じて、存在してもよいか、または存在してはならないことを示す。本明細書全体にわたる「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある特定の実施形態」、「追加の実施形態」もしくは「さらなる実施形態」またはそれらの組み合わせに対する言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含められることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所における前述の句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性が、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされ得る。
【0029】
本明細書中で使用される用語「同種異系」とは、宿主の細胞とは遺伝的に異なる同じ種の細胞のことを指す。
【0030】
本明細書中で使用される用語「自家」とは、同じ個体に由来する細胞のことを指す。本明細書中で使用される用語「生着する」とは、幹細胞が、目的の組織の既存の細胞との接触を介してインビボでその組織に組み込まれるプロセスのことを指す。
【0031】
本明細書中で使用されるとき、用語「約」または「およそ」とは、参照の量(quantity)、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量(amount)、重量または長さに対して30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%ほども変動する、量(quantity)、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量(amount)、重量または長さのことを指す。特定の実施形態において、用語「約」または「およそ」は、数値の前につくとき、その値プラスまたはマイナス15%、10%、5%または1%の範囲を示す。生体系または生物学的プロセスに関して、この用語は、ある値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。別段述べられない限り、用語「約」は、特定の値に対する許容され得る誤差範囲内を意味する。
【0032】
本明細書中で使用されるとき、用語「活性化線維芽細胞」とは、その細胞において1つ以上の変化:代謝因子、免疫学的因子、成長因子の分泌、表面マーカーの発現、および/またはマイクロベシクルの生成を誘導することができる1つ以上の刺激で処置された線維芽細胞のことを指す。
【0033】
本明細書中で使用されるとき、用語「活性化免疫細胞」とは、その細胞において1つ以上の変化:代謝因子、免疫学的因子、成長因子の分泌、表面マーカーの発現、およびマイクロベシクルの生成を誘導することができる1つ以上の刺激で処置された免疫細胞のことを指す。
【0034】
用語「投与される」または「投与する」は、本明細書中で使用されるとき、組成物が、患者に対して意図した効果を及ぼすように、その組成物を個体に提供する任意の方法のことを指す。例えば、投与方法の1つは、医療デバイス(例えば、カテーテル、アプリケーターガン、シリンジなどであるがこれらに限定されない)を用いた間接的な機構による方法である。第2の例示的な投与方法は、局所組織投与、経口摂取、経皮パッチ、外用、吸入、坐剤などのような直接的な機構による方法である。
【0035】
「細胞培養」は、静止状態であるか、老化しているか、(活発に)分裂しているかを問わず、生細胞を含む人工的なインビトロ系である。細胞培養において、細胞は、適切な温度、典型的には37℃の温度ならびに典型的には酸素およびCO2を含む雰囲気下において生育、維持される。培養条件は、細胞型ごとに大きく異なり得るが、特定の細胞型に対する条件が異なると、異なる表現型が発現される可能性がある。培養系において最もよく変動する因子は、成長培地である。成長培地は、栄養分、成長因子の濃度および他の成分の存在が異なり得る。培地に補充するために使用される成長因子は、動物血液由来であることが多く、例えば、子ウシ血清である。培地は、定期的に交換され得る。
【0036】
本明細書中で使用される用語「脱分化した」とは、ある特定の条件に曝露した後に高い多能性および可塑性のマーカーを有する細胞のことを指す。例えば、誘導性多能性細胞は、線維芽細胞の脱分化型である。
【0037】
本明細書中で使用されるとき、用語「単離された」とは、身体外にある(例えば、身体から単離されたまたは身体由来の生物学的サンプル)、天然に存在しない状態での幹細胞または娘幹細胞の集団のことを指す。生物学的サンプルには、滑液、血液(例えば、末梢血)または組織が含まれ得る。
【0038】
本明細書中で使用される用語「マイクロベシクル」とは、膜によって囲われた細胞内粒子のことを指す。マイクロベシクルとしては、エキソソーム、アポトーシス小体、および細胞から脱落したが膜に被包されている細胞部分が挙げられる。
【0039】
用語「薬学的に」または「薬理学的に許容され得る」は、本明細書中で使用されるとき、動物またはヒトに投与されたとき、副作用、アレルギー反応または他の有害反応をもたらさない分子実体および組成物のことを指す。
【0040】
用語「薬学的に許容され得るキャリア」は、本明細書中で使用されるとき、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、ならびに植物油、コーティング、等張剤および吸収遅延剤、リポソーム、商業的に入手可能な洗剤などを含むがこれらに限定されない任意のあらゆる溶媒または分散媒を含む。補充性の生理活性成分も、そのようなキャリアに組み込まれ得る。
【0041】
「細胞の集団」とは、少なくとも10個の細胞の集合のことを意味する。好ましくは、その集団は、少なくとも20個の細胞、より好ましくは、少なくとも100個の細胞、最も好ましくは、少なくとも1000個、またはさらには100万個の細胞からなる。本発明の幹細胞は、自己複製能力を示すので、それらを培養液中で拡大して、数十億個の細胞の集団を生成することができる。
【0042】
本明細書中で使用されるとき、「精製された細胞」におけるような用語「精製された」とは、被験体の身体から分離されたが、その被験体の身体から得られた他の細胞型の存在下のままである細胞のことを指す。「実質的に精製された」とは、所望の細胞が、少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも50%、さらにより好ましくは、少なくとも75%、最も好ましくは、少なくとも90%、またはさらには95%濃縮されていることを意味する。
【0043】
用語「低減する」、「阻害する」、「減少する」、「抑制する」、「低下させる」、「予防する」および文法上の等価物(「より低い」、「より小さい」などを含む)は、処置された被験体と比べた未処置の被験体における任意の症状の表現に関して、処置された被験体における症状の量および/または規模が、未処置の被験体よりも、医学の訓練を受けた任意の人材によって臨床的に妥当であると認識される任意の量だけ少ない/小さいことを意味する。1つの実施形態において、処置された被験体における症状の量および/または規模は、未処置の被験体における症状の量および/または規模よりも少なくとも10%少ない/小さい、少なくとも25%少ない/小さい、少なくとも50%少ない/小さい、少なくとも75%少ない/小さい、かつ/または少なくとも90%少ない/小さい。
【0044】
用語「被験体」または「個体」は、本明細書中で使用されるとき、医療施設に収容されていてもよいし収容されていなくてもよく、医療施設の外来患者として処置されてもよい、ヒトまたは動物のことを指す。個体は、インターネットを介して1つ以上の医学的組成物を受け取っていてもよい。個体には、任意の齢のヒトまたは非ヒト動物が含まれ得るので、個体は、成体および若年者(すなわち、小児)および乳児を含む。用語「個体」は、医学的処置の必要性を暗示すると意図されないので、個体は、臨床的であるか基礎科学研究の支援であるかを問わず、自発的または非自発的に実験の一部となる場合がある。用語「被験体」または「個体」は、方法または材料の対象である任意の生物または動物被験体のことを指し、それらとしては、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウおよびニワトリ)、家庭のペット(例えば、イヌ、ネコおよびげっ歯類)、ウマおよびトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。
【0045】
「治療薬」は、血管新生および/または創傷治癒の調節において「治療効果」を有することを意味し、その治療薬の量は、その量の治療薬の投与が、血管新生の調節を必要としている被験体(例えば、動物モデルまたはヒト患者)に投与されたとき、血管新生活性の有意な調節(すなわち、増加または減少)を引き起こすのに十分である場合、「血管新生調節量」であると言われる。
【0046】
本明細書中で使用されるとき、用語「治療有効量」は、「有効量」、「治療的に有効な用量」および/または「有効な用量」と同義であり、それを必要とする個体において医師が求める生物学的、美容的または臨床的反応を誘発する化合物の量のことを指す。
【0047】
本明細書中で使用される用語「毒性」とは、健康の病的な変化、例えば、臓器の生理学的活性の低下または細胞もしくは組織に対する損傷のことを指す。
【0048】
II.本開示の方法実施形態の例
【0049】
本開示は、治療を哺乳動物での使用にとって安全にすることに関する方法および組成物に少なくとも部分的に関する。特定の場合において、その方法および組成物は、レシピエント個体において有害作用を引き起こし得る治療による毒性を阻害する。いくつかの場合において、その治療は、新規細胞アプローチを用いた免疫療法の毒性の阻害を含む、腫瘍免疫療法などの癌免疫療法を含み得る。
【0050】
1つの態様では、十分量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを、毒性を有するかまたは毒性を有しやすいもしくは獲得しやすい個体に提供することによって、個体に対する治療による毒性の発生を阻害するまたは毒性の発生率を低下させる方法が、本明細書中に開示される。
【0051】
抗癌免疫療法を含む免疫療法に関連する毒性の低減に有用な方法、手段および組成物(例えば、免疫療法の治療効果を実質的に損なわないもの)が開示される。1つの実施形態において、免疫療法を受けている個体には、1つ以上の免疫療法による処置の前および/または処置と同時および/または処置の後に、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルが投与される。いくつかの実施形態において、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルは、サイトカイン環境に応答して可塑性が可能な未熟な表現型を有する同種異系細胞から作製される。可塑性は、腫瘍特異的免疫療法の活性を保ちつつ、全身性の抗原非特異的な炎症活性を阻害する能力を含み得る。具体的な実施形態において、保たれる腫瘍特異的免疫療法の活性には、例として、T細胞、NKT細胞および/またはNK細胞の活性が含まれる。
【0052】
特定の実施形態において、1つ以上の免疫療法の毒性は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを使用すると、全体的にまたは部分的に阻害される。いくつかの場合において、毒性の強度が低下し得る。いくつかの態様において、例えば、毒性または別の理由のために十分量の他の1つ以上の治療を個体に提供できるほど十分長く、毒性の発生が遅れる。上記方法は、個体に対して予防的に使用されてもよいし、そうでなくてもよい。具体的な実施形態において、1つ以上の免疫療法を必要とする個体には、十分量の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルが提供され得る。これの前、これの最中、および/またはこれの後に、その個体には、1つ以上の免疫療法が提供される。
【0053】
線維芽細胞または線維芽細胞由来のマイクロベシクルは、免疫療法に対する毒性を含む任意の種類の治療毒性に対して個体に提供され得る。具体的な実施形態において、免疫療法の毒性は、サイトカイン放出症候群であり、いくつかの場合において、個体は、サイトカインストーム(サイトカインカスケードまたは高サイトカイン血症とも称されることがある)を含むサイトカイン放出症候群の重症例を有するか、または有しやすい。サイトカイン放出症候群を有する個体は、血圧低下および/または発熱を有し得る。特定の実施形態において、サイトカイン放出症候群は、1つ以上のサイトカインの産生増加を特徴とする。具体的な実施形態において、サイトカインは、a)TNF-アルファ;b)IL-1ベータ;c)IL-6;d)IL-33;e)CRP;f)IL-17;g)IL-2;h)IL12;i)IL-18;j)HMGB-1;k)インターフェロンガンマ;l)インターフェロンアルファ;およびm)それらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0054】
ある特定の実施形態において、個体は、1つ以上の癌免疫療法薬の投与によって引き起こされるサイトカイン放出症候群を有するか、またはそれになりやすい。癌免疫療法薬の投与は、個体が初めて受けるものであってもよいし、そうでなくてもよい。具体的な実施形態において、癌免疫療法薬は、キメラ抗原レセプター(CAR)特異的免疫細胞を含み、そのようなCAR特異的免疫細胞は、CAR特異的NK、NKTまたはT細胞であり得る。CARは、任意の腫瘍抗原などの任意の癌抗原を含む任意の抗原を対象とし得る。CARは、第1世代のタイプ、第2世代のタイプもしくは第3世代のタイプまたはそれ以降の世代のタイプであってもよいし、そうでなくてもよい。具体的な実施形態において、CARは、少なくともCD28、4-1BBなどを含む、1つ、2つまたはそれ以上の共刺激ドメインを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、個体は、1種以上の感染物質によって引き起こされるサイトカイン放出症候群を有するか、または有しやすい。感染物質は、a)インフルエンザ;b)鳥インフルエンザ;c)重症急性呼吸器症候群(SARS);d)エプスタイン・バーウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(HLH);e)細菌性敗血症;f)グラム陰性敗血症;g)デングウイルス;h)マラリア;i)エボラウイルス;j)痘瘡ウイルス;k)全身型グラム陰性菌感染症;およびl)それらの組み合わせからなる群より選択されてもよいし、そうでなくてもよい。
【0056】
ある特定の実施形態において、個体は、1つ以上の非感染性の原因によって誘導されるサイトカイン放出症候群を有するかまたは有しやすい。非限定的な例としては、a)血球貪食性リンパ組織球症(HLH);b)散発性HLHであるマクロファージ活性化症候群(MAS)、c)慢性関節炎;d)全身型若年性特発性関節炎(sJIA);e)スチル病;f)クリオピリン関連周期性症候群(CAPS);g)家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS);h)家族性寒冷蕁麻疹(FCU);i)マックル・ウェルズ症候群(MWS);j)慢性乳児神経皮膚関節炎(CINCA)症候群;k)NLRP3遺伝子に遺伝性または新規の機能獲得変異を含むクライオピリノパチー(cryopyrinopathy);l)遺伝性自己炎症性障害;m)急性膵炎;n)重度の熱傷損傷;o)急性放射線症候群;p)外傷;q)急性呼吸窮迫症候群;r)全身性炎症反応症候群;およびs)それらの組み合わせからなる群より選択される非感染性の原因が挙げられる。
【0057】
特定の実施形態において、個体は、サイトカイン放出症候群またはサイトカインストームを有するかまたは発症し得る。個体は、1つ以上の免疫調節性の癌治療、例えば、CARを発現している免疫細胞(少なくともNK、NKTまたはT細胞を含む)を含む治療を受けていてもよいし、そうでなくてもよい(かつ/または受けたことがある、かつ/または受ける予定である)。特定の実施形態において、上記方法は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを含む1つ以上の組成物を投与する工程を含み、その投与は、個体におけるサイトカイン放出症候群またはサイトカインストームの発生を阻害するか、またはその発生率を低下させるか、またはその発生を遅延させるか、またはその発生を予防する。線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを含む組成物の投与は、CAR T細胞治療などの免疫調節性治療の前、その治療と同時、および/またはその治療の後に行われ得る。本開示のいくつかの実施形態において、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルは、米国特許出願公報US2002/0086027(その全体が参照により本明細書中に援用される)に記載されているようにT細胞の記憶応答を高めるのと同時を含む、サイトカイン放出シグナルを減少させる免疫療法と同時に、投与される。
【0058】
線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルによる処置は、サイトカイン放出症候群の重症所見であるサイトカインストームをはじめとした、治療に関連する任意の種類の毒性を処置するために、本開示の文脈内で用いられ得る。サイトカインストームは、感染性または非感染性の刺激の後の懸念でもある。サイトカインストームでは、数多くの炎症促進性サイトカイン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-6、IL-8、γ-インターフェロン(γ-IFN)、マクロファージ炎症性タンパク質-1α(MIP-1α)、腫瘍壊死因子-アルファ(TNFα)またはそれらの組み合わせ)が放出され、その結果、低血圧、出血、最終的には多臓器不全が生じる。1918年のH1N1インフルエンザパンデミックおよびより最近の鳥インフルエンザH5N1感染での、おそらく健康な免疫系を有する若年者における比較的高い死亡率は、サイトカインストームに起因する。この症候群は、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エプスタイン・バーウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症、グラム陰性敗血症、マラリアおよび数多くの他の感染症(エボラ感染を含む)の進行例または末期例においても生じると知られている。サイトカインストームは、急性膵炎、重度の熱傷もしくは外傷または急性呼吸窮迫症候群などの非感染性の原因からも生じ得る。ゆえに、サイトカイン放出症候群、特に、サイトカインストームを管理するための新規のストラテジーが必要とされている。
【0059】
本開示の1つの態様において、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルは、サイトカイン放出症候群に関連する免疫学的カスケードにおいて重要な役割を果たすマクロファージの活性化を低減するために使用される。したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルをマクロファージおよび/または細網内皮系の他の細胞に選択的に標的化することを提供する。1つの実施形態において、線維芽細胞は、線維芽細胞を細網内皮系に送達する能力が高いリポソーム調製物の形態で投与される。例えば、1つの実施形態において、ポリマーで強化されたリポソームの使用が提供される。ポリマーで強化されたリポソームの作製に有用なポリマーの例としては、ポリ-l-リジン、ポリアミドアミンデンドリマーおよびポリエテレネイミンが挙げられる。ポリマーで強化されたリポソームの説明は、文献に記載されている。
【0060】
特定の実施形態において、本開示は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルの投与による、全身性炎症反応症候群(SIRS)を少なくとも含む任意の形態のサイトカイン放出症候群の少なくとも1つの症状の予防または回復を提供する。本開示の文脈において、SIRSは、感染性の原因、外傷性の原因または他の原因によって引き起こされる炎症性症候群を特徴付ける用語であり、ここで、患者は、以下の基準のうちの少なくとも2つを示す:1)36℃未満または38℃超の体温;2)拍動が90回/分を超える心拍数;3)呼吸が20回/分を超える頻呼吸;または4.3kPa(32mmHg未満の二酸化炭素の動脈分圧:4)4000細胞/mm3(4×109細胞/L)未満もしくは12,000細胞/mm3(12×109細胞/L)超の白血球数;または10%超の未熟な好中球(杆状)の存在。敗血症では活動性感染が見られる点で、SIRSは、敗血症とは異なる。これらの患者は、急性腎不全;肺不全、ショックおよび/または多臓器不全症候群に進行し得る。用語「敗血症性ショック」とは、患者が十分な輸液蘇生および昇圧剤/変力物質の投与を受けているにもかかわらず90mmHg未満の収縮期血圧を有する状態のことを指す。
【0061】
サイトカイン放出症候群とともに生じ得る主な事象であって、SIRSへの進行およびその後の多臓器不全への進行などにおける主な事象は、本開示の文脈の範囲内において、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルによって阻害される。そのような事象としては、ある特定の場合において、以下が挙げられる:a)炎症反応の全身性の活性化;b)抗凝固薬および線維素溶解性因子の消費に関連する、内皮の活性化および凝固カスケードの開始;c)補体の活性化;ならびにd)臓器不全および死亡。これらの病理学的な事象は、互いに関係するとみられ、例えば、補体の活性化は、凝血促進性状態を刺激すると知られている。癌患者において、SIRSは、いくつかの因子によって惹起され得る。数多くの患者は、日和見感染を助長する免疫抑制性の化学療法/放射線療法を受ける。さらに、患者のおよそ40~70%が悪液質であることを考えると、悪液質を引き起こしている低悪性度の炎症が、さらなる細菌/損傷誘発性の炎症カスケードの作用を増強し得る。最後に、腫瘍は、それ自体がおよび宿主の因子との相互作用を介して、SIRSに罹患しやすくし得るIL-1、IL-6およびTNF-アルファなどの全身に作用する炎症性メディエーターを産生すると実証されている。理論に拘束されるものではないが、線維芽細胞の作用機序の1つは、悪液質を抑制するための、および治療への応答の可能性を高めるための、TNFなどの炎症性サイトカインの減少であり得る。
【0062】
1つの実施形態において、線維芽細胞は、サイトカイン放出症候群を抑制するためのXigris(活性化プロテインC(APC))と併用される。Xigrisは、アンジオポエチン/Tie-2軸を介したバリア機能の刺激である、アポトーシスからの保護を媒介する内皮細胞保護機構を活性化すること、および局所的な凝固を低減することによって、その効果を発揮すると知られている。Xigrisの承認の根拠は、一部の人から疑問視されており、さらに、腫瘍学に関連する敗血症(特に、出血が大きな懸念事項である白血病)において禁忌(counter-indicated)であることが多い。実際に、Xigrisの第III相試験では、造血移植患者が除外された。
【0063】
SIRSに関係する主な死因の1つは、最も進行した段階において播種性血管内凝固(DIC)を呈する微小循環系の機能不全である。SIRSに関連する炎症性メディエーターは、エンドトキシンであっても、TLRアゴニストまたはHMGB-1などの損傷関連シグナルであっても、すべてが内皮を全身的に活性化することができる。生理学的条件下では、そのようなメディエーターに対する内皮の応答は、局所的であり、感染を封じ込めるためおよび免疫の攻撃を可能にするための有用な機構を提供する。SIRSでは、その応答が全身性であるという事実が、臓器不全を含む悲惨な結果を引き起こす。この内皮の応答の特性としては、a)凝血促進性状態を引き起こす、組織因子(TF)のアップレギュレーション、ならびにプロテインCおよびアンチトロンビン系などの内皮の凝固阻害剤の抑制;b)好中球血管外遊出を誘発する接着分子の高発現;c)線維素溶解性能力の低下;およびd)血管拡張薬および血管収縮薬に対する血管透過性/非応答性の増大が挙げられる。SIRS誘発性の内皮機能不全に関連する分子シグナルのレビューは、公開されており、関係する重要因子の1つは、NF-kBである。NF-kBの核移行は、血栓形成促進性分子の内皮のアップレギュレーションおよび繊維素溶解の抑制に関連する。洗練された研究において、Songらは、外来性i-カッパーB(NF-kB阻害剤)を血管構造において特異的にトランスジェニック発現するトランスジェニックマウスの作出によって、NF-kBを内皮において選択的に阻害した。これらのトランスジェニックマウスの内皮細胞は、野生型動物と対照的に、エンドトキシン負荷を受けた後、内皮のプロテインCレセプターおよびトロンボモジュリンの発現を保ちつつ、組織因子の発現を実質的に低下させた。さらに、NF-Bの発現は、TACE活性の結果としてのTNF-アルファの産生に関連した。
【0064】
免疫療法
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書中に包含される方法および組成物によって、免疫療法の毒性が対処される。この毒性は、幹細胞、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、B細胞、リンフォカイン活性化細胞、腫瘍浸潤リンパ球およびそれらの混合物をはじめとした任意の種類の細胞治療に関連し得る。そのような細胞は、合成タンパク質および/または外来性タンパク質(例えば、レセプター、サイトカインまたはその両方など)を発現するように操作されている場合もあるし、そうでない場合もある。具体的な実施形態において、細胞治療を含む任意の免疫療法が、操作された抗原レセプター(例えば、CAR、TCR、キメラサイトカインレセプターなど)を有する細胞を含み得る。
【0066】
当該分野において、ペントキシフィリンまたは様々な製剤による、CAR-T細胞投与に関連する毒性の処置が、種々のCAR発現細胞に適用され得る。1つの実施形態において、CAR発現細胞は、ある抗原を対象とする抗体または抗体フラグメントを介してその抗原のエピトープに結合するCARを含む。別の実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。別の実施形態において、抗体は、ポリクローナル抗体である。別の実施形態において、抗体フラグメントは、一本鎖可変フラグメント(scFv)である。
【0067】
特定の実施形態において、本明細書中に開示されるような組成物のCAR発現細胞は、1つ以上の腫瘍関連抗原(TAA)に結合する。細胞は、複数のCAR分子または1つのCAR分子を含み得る。CAR分子は、1つの抗原を標的化し得るか、または2つ以上の抗原を標的化し得る。
【0068】
本明細書中のCAR発現細胞の例は、T細胞であるとして例示され得るが、少なくともNK細胞またはNKT細胞を含む任意の免疫細胞が、1つ以上のCARで改変され得る。ある実施形態において、腫瘍関連抗原は、細胞表面に会合したムチン1(MUC1)または多形上皮ムチン(PEM)、変異型初期腫瘍内アルギニンリッチ(Armet)、熱ショックタンパク質60(HSP60)、カルネキシン(CANX)、メチレンテトラヒドロ葉酸脱水素酵素(NADP+依存性)2、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ(MTHFD2)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、マトリックスメタロペプチダーゼ(MMP6)、Bメラノーマ抗原-1(BAGE-1)、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(GnTV)の異常な転写物、Q5H943、癌胎児抗原(CEA)、Pmel、カリクレイン-4、マンマグロビン-1、MART-1、GPR143-OA1、前立腺特異抗原(PSA)、TRP1、チロシナーゼ、FGP-5、NEU癌原遺伝子、Aft、MMP-2、前立腺特異膜抗原(PSMA)、テロメラーゼ関連タンパク質-2、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、ウロプラキンIIまたはプロテイナーゼ3である。他のタイプのCAR-T細胞も知られており、それらには、白血病におけるようなB細胞を破壊したい場合、B細胞を標的化するためにCD19またはCD20に結合するCARを有するT細胞が含まれる。別の実施形態において、CARは、ROR1、CD22またはGD2に結合する。別の実施形態において、CARは、NY-ESO-1に結合する。別の実施形態において、CARは、MAGEファミリータンパク質に結合する。別の実施形態において、CARは、メソテリンに結合する。別の実施形態において、CARは、c-erbB2に結合する。別の実施形態において、CARは、BRAFV600E変異およびBCR-ABL転座などの腫瘍特異的な変異性抗原に結合する。別の実施形態において、CARは、HDにおけるEBV、子宮頸癌におけるHPVおよびメルケル癌におけるポリオーマウイルスなどの腫瘍特異的なウイルス抗原に結合する。別の実施形態において、CAR T細胞は、Her2/neuに結合する。別の実施形態において、CAR T細胞は、EGFRvIIIに結合する。
【0069】
1つの実施形態において、キメラ抗原レセプター(CAR)T細胞は、CD19抗原に結合する。別の実施形態において、CARは、CD22抗原に結合する。別の実施形態において、CARは、アルファ葉酸レセプターに結合する。別の実施形態において、CARは、CAIXに結合する。別の実施形態において、CARは、CD20に結合する。別の実施形態において、CARは、CD23に結合する。別の実施形態において、CARは、CD24に結合する。別の実施形態において、CARは、CD30に結合する。別の実施形態において、CARは、CD33に結合する。別の実施形態において、CARは、CD38に結合する。別の実施形態において、CARは、CD44v6に結合する。別の実施形態において、CARは、CD44v7/8に結合する。別の実施形態において、CARは、CD123に結合する。別の実施形態において、CARは、CD171に結合する。別の実施形態において、CARは、癌胎児抗原(CEA)に結合する。別の実施形態において、CARは、EGFRvIIIに結合する。別の実施形態において、CARは、EGP-2に結合する。別の実施形態において、CARは、EGP-40に結合する。別の実施形態において、CARは、EphA2に結合する。別の実施形態において、CARは、Erb-B2に結合する。別の実施形態において、CARは、Erb-B2、3、4に結合する。別の実施形態において、CARは、Erb-B3/4に結合する。別の実施形態において、CARは、FBPに結合する。別の実施形態において、CARは、胎児アセチルコリンレセプターに結合する。別の実施形態において、CARは、G.sub.D2に結合する。別の実施形態において、CARは、G.sub.D3に結合する。別の実施形態において、CARは、HER2に結合する。別の実施形態において、CARは、HMW-MAAに結合する。別の実施形態において、CARは、IL-11Rアルファに結合する。別の実施形態において、CARは、IL-13Rアルファ1に結合する。別の実施形態において、CARは、KDRに結合する。別の実施形態において、CARは、カッパー-軽鎖に結合する。別の実施形態において、CARは、Lewis Yに結合する。別の実施形態において、CARは、L1-細胞接着分子に結合する。別の実施形態において、CARは、MAGE-A1に結合する。別の実施形態において、CARは、メソテリンに結合する。別の実施形態において、CARは、CMV感染細胞に結合する。別の実施形態において、CARは、MUC1に結合する。別の実施形態において、CARは、MUC16に結合する。別の実施形態において、CARは、NKG2Dリガンドに結合する。別の実施形態において、CARは、NY-ESO-1(アミノ酸157~165)に結合する。別の実施形態において、CARは、癌胎児抗原(h5T4)に結合する。別の実施形態において、CARは、PSCAに結合する。別の実施形態において、CARは、PSMAに結合する。別の実施形態において、CARは、ROR1に結合する。別の実施形態において、CARは、TAG-72に結合する。別の実施形態において、CARは、VEGF-R2または他のVEGFレセプターに結合する。別の実施形態において、CARは、B7-H6に結合する。別の実施形態において、CARは、CA9に結合する。別の実施形態において、CARは、.アルファ..sub.v.ベータ..sub.6インテグリンに結合する。別の実施形態において、CARは、8H9に結合する。別の実施形態において、CARは、NCAMに結合する。別の実施形態において、CARは、胎児アセチルコリンレセプターに結合する。別の実施形態において、キメラ抗原レセプター(CAR)T細胞は、CD19抗原を標的化し、B細胞悪性腫瘍、ALL、濾胞性リンパ腫、CLLおよびリンパ腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD22抗原を標的化し、B細胞悪性腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、アルファ葉酸レセプターまたは葉酸レセプターアルファを標的化し、卵巣癌または上皮癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CAIXまたはG250/CAIXを標的化し、腎細胞癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD20を標的化し、リンパ腫、B細胞悪性腫瘍、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫およびインドレントB細胞リンパ腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD23を標的化し、CLLを有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD24を標的化し、膵臓腺癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD30を標的化し、リンパ腫またはホジキンリンパ腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD33を標的化し、AMLを有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD38を標的化し、非ホジキンリンパ腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD44v6を標的化し、いくつかの悪性腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD44v7/8を標的化し、子宮頸癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD123を標的化し、骨髄性悪性腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CEAを標的化し、直腸結腸癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、EGFRvIIを標的化し、神経膠芽腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、EGP-2を標的化し、複数の悪性腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、EGP-40を標的化し、直腸結腸癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、EphA2を標的化し、神経膠芽腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、Erb-B2またはErbB3/4を標的化し、乳癌など、前立腺癌、結腸癌、様々な腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、Erb-B 2、3、4を標的化し、乳癌などを有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、FBPを標的化し、卵巣癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、胎児アセチルコリンレセプターを標的化し、横紋筋肉腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、G.sub.D2を標的化し、神経芽細胞腫、メラノーマまたはユーイング肉腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、GD3を標的化し、メラノーマを有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、HER2を標的化し、髄芽腫、膵臓腺癌、神経膠芽腫、骨肉腫または卵巣癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、HMW-MAAを標的化し、メラノーマを有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、IL-11Rアルファを標的化し、骨肉腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、IL-13Rアルファ1を標的化し、神経膠腫、神経膠芽腫または髄芽腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、IL-13レセプターアルファ2を標的化し、いくつかの悪性腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、KDRを標的化し、腫瘍の新生血管構造を標的化することによって、腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、カッパー-軽鎖を標的化し、B細胞悪性腫瘍(B-NHL、CLL)を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、Lewis Yを標的化し、様々な癌腫または上皮由来の腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、L1-細胞接着分子を標的化し、神経芽細胞腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、MAGE-A1またはHLA-A1 MAGE A1を標的化し、メラノーマを有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、メソテリンを標的化し、中皮腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CMV感染細胞を標的化し、CMVを有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、MUC1を標的化し、乳癌または卵巣癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、MUC16を標的化し、卵巣癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、NKG2Dリガンドを標的化し、ミエローマ、卵巣および他の腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、NY-ESO-1(157~165)またはHLA-A2 NY-ESO-1を標的化し、多発性骨髄腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、癌胎児抗原(h5T4)を標的化し、様々な腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、PSCAを標的化し、前立腺癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、PSMAを標的化し、前立腺癌/腫瘍の血管構造を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、ROR1を標的化し、B-CLLおよびマントル細胞リンパ腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、TAG-72を標的化し、腺癌または消化器癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、VEGF-R2または他のVEGFレセプターを標的化し、腫瘍の新生血管構造を標的化することによって、腫瘍を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CA9を標的化し、腎細胞癌を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、CD171を標的化し、腎臓神経芽細胞腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、NCAMを標的化し、神経芽細胞腫を有する被験体に対して治療効果を有する。別の実施形態において、CAR T細胞は、胎児アセチルコリンレセプターを標的化し、横紋筋肉腫を有する被験体に対して治療効果を有する。1つの実施形態において、CARは、血管新生因子に結合し、それによって、腫瘍の血管構造を標的化する。1つの実施形態において、血管新生因子は、VEGFR2である。別の実施形態において、血管新生因子は、エンドグリンである。別の実施形態において、本明細書中に開示される血管新生因子は、アンジオゲニン;アンジオポエチン-1;Del-1;線維芽細胞成長因子:酸性(aFGF)および塩基性(bFGF);フォリスタチン;顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);肝細胞成長因子(HGF)/細胞分散因子(scatter factor)(SF);インターロイキン-8(IL-8);レプチン;ミッドカイン;胎盤成長因子;血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF);血小板由来成長因
子-BB(PDGF-BB);プレイオトロフィン(PTN);プログラニュリン;プロリフェリン(Proliferin);トランスフォーミング成長因子-アルファ(TGF-アルファ);トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-ベータ);腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-アルファ);血管内皮成長因子(VEGF)/血管透過性因子(VPF)である。別の実施形態において、血管新生因子は、血管新生タンパク質である。1つの実施形態において、成長因子は、血管新生タンパク質である。1つの実施形態において、本明細書中に開示される組成物および方法において使用するための血管新生タンパク質は、線維芽細胞成長因子(FGF);VEGF;VEGFRおよびニューロピリン1(NRP-1);アンジオポエチン1(Ang1)およびTie2;血小板由来成長因子(PDGF;BB-ホモ二量体)およびPDGFR;トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-.ベータ.)、エンドグリンおよびTGF-ベータレセプター;単球走化性タンパク質-1(MCP-1);インテグリン.アルファ.V.ベータ.3、.アルファ.V.ベータ.5および.アルファ.5.ベータ.1;VE-カドヘリンおよびCD31;エフリン;プラスミノゲン活性化因子;プラスミノゲン活性化因子阻害剤-1;一酸化窒素シンターゼ(NOS)およびCOX-2;AC133;またはId1/Id3である。1つの実施形態において、本明細書中に開示される組成物および方法において使用するための血管新生タンパク質は、アンジオポエチンであり、そのアンジオポエチンは、1つの実施形態において、アンジオポエチン1、アンジオポエチン3、アンジオポエチン4またはアンジオポエチン6である。1つの実施形態において、エンドグリンは、CD105;EDG;HHT1;ORW;またはORW1としても知られる。1つの実施形態において、エンドグリンは、TGFベータコレセプターである。別の実施形態において、CAR T細胞は、感染物質に関連する抗原に結合する。1つの実施形態において、感染物質は、Mycobacterium tuberculosisである。1つの実施形態において、前記Mycobacterium tuberculosis関連抗原は、抗原85B、リポタンパク質IpqH、ATP依存性推定ヘリカーゼ、性質不明タンパク質Rv0476/MTO4941前駆体または性質不明タンパク質Rv1334/MT1376前駆体である。別の実施形態において、CARは、抗体に結合する。1つの実施形態において、CAR T細胞は、「抗体結合型T細胞レセプター」(ACTR)である。この実施形態によると、CAR T細胞は、ユニバーサルCAR T細胞である。別の実施形態において、抗体レセプターを有するCAR T細胞は、抗体が投与される前、抗体が投与された後、または抗体が投与されるのと同時に投与され、次いで、そのCAR T細胞が抗体に結合して、T細胞が腫瘍または癌に近接する。別の実施形態において、抗体は、腫瘍細胞抗原を対象とする抗体である。別の実施形態において、抗体は、CD20を対象とする抗体である。別の実施形態において、抗体は、リツキシマブである。
【0070】
別の実施形態において、線維芽細胞またはその製剤は、治療用抗体の投与に伴うサイトカイン放出症候群を低減するために使用される。その抗体は、任意のタイプであってよく、その抗体には、Fab’、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(一本鎖Fv)などのフラグメントが含まれる。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。1つの実施形態において、抗体は、ERBB2を対象とするヒト化IgG1であるトラスツズマブ(Herceptin;Genentech)である。別の実施形態において、抗体は、VEGFを対象とするヒト化IgG1であるベバシズマブ(Avastin;Genentech/Roche)である。別の実施形態において、抗体は、EGFRを対象とするキメラヒト-マウスIgG1であるセツキシマブ(Erbitux;Bristol-Myers Squibb)である。別の実施形態において、抗体は、EGFRを対象とするヒトIgG2であるパニツムマブ(Vectibix;Amgen)である。別の実施形態において、抗体は、CTLA4を対象とするIgG1であるイピリムマブ(Yervoy;Bristol-Myers Squibb)である。別の実施形態において、抗体は、CD52を対象とするヒト化IgG1であるアレムツズマブ(Campath;Genzyme)である。別の実施形態において、抗体は、CD20を対象とするヒトIgG1であるオファツムマブ(Arzerra;Genmab)である。別の実施形態において、抗体は、CD33を対象とするヒト化IgG4であるゲムツズマブオゾガミシン(Mylotarg;Wyeth)である。別の実施形態において、抗体は、CD30を対象とするキメラIgG1であるブレンツキシマブベドチン(Adcetris;Seattle Genetics)である。別の実施形態において、抗体は、CD20を対象とするマウスIgG1である90Y標識イブリツモマブチウキセタン(Zevalin;IDEC Pharmaceuticals)である。別の実施形態において、抗体は、CD20を対象とするマウスIgG2である131I標識トシツモマブ(Bexxar;GlaxoSmithKline)である。別の実施形態において、抗体は、血管内皮成長因子レセプター-2(VEGFR-2)を対象とするラムシルマブである。別の実施形態において、抗体は、ラムシルマブ(Cyramza注射剤,Eli Lilly and Company)、ブリナツモマブ(BLINCYTO,Amgen Inc.)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA,Merck Sharp&Dohme Corp.)、オビヌツズマブ(GAZYVA,Genentech,Inc.;以前はGA101として知られたもの)、ペルツズマブ注射剤(PERJETA,Genentech,Inc.)またはデノスマブ(Xgeva,Amgen Inc.)である。別の実施形態において、抗体は、バシリキシマブ(Simulect;Novartis)である。別の実施形態において、抗体は、ダクリズマブ(Zenapax;Roche)である。別の実施形態において、CAR T細胞に結合している抗体は、本明細書中に記載されるおよび/または当該分野で知られている、腫瘍または癌抗原またはそれらの一部を対象としている。別の実施形態において、CAR T細胞に結合している抗体は、腫瘍関連抗原を対象としている。別の実施形態において、CAR T細胞に結合している抗体は、血管新生因子である腫瘍関連抗原またはその一部を対象としている。
【0071】
本開示の実施形態は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルとともに使用される免疫療法の準備を含む。つまり、いくつかの場合において、免疫療法を実行および/または使用する団体は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを作製および/または使用する団体でもある。しかしながら、いくつかの場合では、免疫療法は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを調製しないおよび/または使用しない団体から入手される。いくつかの方法では、免疫療法が有効であり得る病状の1つ以上の症状を有することに基づいて、および/または個体がその病状の正式な診断を有することに基づいて、個体を、免疫療法を必要とすると認識する。免疫療法と線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルによる治療は、同時におよび/または異なる時点において、準備され、個体に提供される。一例として、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルによる治療は、免疫療法を開始する前に十分な長さの時間にわたって個体に提供され得る。別の例として、免疫療法は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルによる治療を開始する前に十分な長さの時間にわたって個体に提供され得る。いずれの場合においても、免疫療法の送達経路は、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルによる治療の送達経路と同じであってもよいし、そうでなくてもよい。いくつかの場合において、免疫療法ならびに/または線維芽細胞および/もしくは線維芽細胞由来のマイクロベシクルによる治療は、1回、または2回以上、個体に提供される。免疫療法が2回以上提供される場合、2回目以降の免疫療法の投与は、異なるタイプおよび/または量の免疫療法を含み得る。例えば、免疫療法は、異なる抗体を含み得るか、またはCAR治療の場合は、そのCARは、第1のCAR治療と異なる抗原を対象とし得る。線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルによる治療が、2回以上提供される場合、2回目以降の線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルによる治療の投与は、異なる線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルを含み得る。例えば、1つ以上の異なるマーカーを含み得る、異なる組織起源に由来し得る、異なるマイクロベシクルを含み得る、異なる個体に由来し得る、それらの組み合わせなど。
【0072】
III.線維芽細胞およびその作製または操作
【0073】
具体的な実施形態において、線維芽細胞は、個体に送達される前に、任意の目的のために操作される。例えば、線維芽細胞は、線維芽細胞の脱分化を誘導することができる1つ以上の作用物質で前処置され得る。例えば、線維芽細胞は、本開示の治療方法において使用される前に、1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(例えば、バルプロ酸);1つ以上のDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤;幹細胞への曝露;低酸素;それらの組み合わせなどで処置され得る。線維芽細胞に対する特定の処置は、ある特定の時間(一例として、1~72(または1~48または1~36または1~24または1~18または1~12または1~6または6~72または6~48または6~36または6~24または6~18または6~12または12~72または12~48または12~36または12~24または12~18または18~72または18~48または18~36または18~24または24~72または24~48または24~36または36~72または36~48)時間)にわたる、1~100(または例えば1~75または1~50または1~25または10~100または10~75または10~50または10~25または25~100または50~100または75~100または25~100または25~75または25~50または50~100または50~75または75~100)マイクログラム/ミリリットルの濃度での、例示的なヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるバルプロ酸による処置など、脱分化を誘導するために用いられ得る。
【0074】
特定の実施形態において、線維芽細胞は、線維芽細胞を含む任意の組織ではなく、ある特定の組織に由来し得る。具体的な実施形態において、線維芽細胞は、再生特性を有する1つ以上の組織に由来する。一例として、線維芽細胞は、胎盤組織または臍帯組織に由来する。いずれの方法においても、線維芽細胞は、本開示の方法に向けた操作の前に新たに抽出され得る。
【0075】
いくつかの場合において、線維芽細胞は、特定の組織に由来するか否かにかかわらず、1つ以上の特異的マーカーを含むことについて選択され得る。例としては、CD105、CD117および/またはCD34の発現について選択された線維芽細胞が挙げられる。いくつかの場合において、線維芽細胞は、CD105、CD117および/またはCD34を発現することに代わってまたはそれに加えて、ローダミン123排出活性の発現について選択される。
【0076】
1つの実施形態では、同種異系線維芽細胞が、操作されない様式で(例えば、インターフェロンガンマなどの1つ以上の特定の作用物質への事前の曝露なしに)個体に投与されるが、免疫調節活性を天然に特徴とする起源から選択される(例えば、胎盤線維芽細胞または脂肪組織関連線維芽細胞など)。本開示の他の実施形態では、任意の線維芽細胞が、未熟な表現型を線維芽細胞に付与するように逆分化を誘導することができる条件下で培養され、その未熟な表現型は、高い抗炎症および/または免疫調節の潜在能力と相関する。例えば、線維芽細胞は、1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、例えば、バルプロ酸(Moon et al.,2008;Huang et al.,2011)の存在下において培養され得る。HDAC阻害剤に加えて、線維芽細胞の脱分化を誘導する他の手段(例えば、8-Br-cAMP(Wang et al.,2011);M-CSF処置(Li et al.,2016);レベレシンへの曝露(Li et al.,2016);および/または幹細胞抽出物への曝露(Xiong et al.,2014))も、本開示の文脈において用いられ得る。線維芽細胞の脱分化の特徴付けは、細胞外マーカー(例えば、例えば、CXCR4、VEGFR-2、CD34および/またはCD133)ならびに細胞内マーカー(例えば、SOX-2、NANOGおよび/またはOCT-4)の評価によって行われ得る。
【0077】
方法および組成物、または特定の方法および組成物の生成において使用される線維芽細胞は、唾液腺粘液細胞、唾液腺漿液細胞、フォンエブネル腺細胞、乳腺細胞、涙腺細胞、耳道腺細胞、エクリン汗腺暗細胞、エクリン汗腺明細胞、アポクリン汗腺細胞、モル腺細胞、皮脂腺細胞.ボーマン腺細胞、ブルンネル腺細胞、精嚢細胞、前立腺細胞、尿道球腺細胞、バルトリン腺細胞、リトル腺細胞、子宮内膜細胞、孤立した杯細胞、胃壁の粘膜細胞、胃腺酵素原細胞、胃腺酸分泌細胞、膵腺房細胞、パネート細胞、II型肺胞細胞、クララ細胞、成長ホルモン産生細胞、乳腺刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、脳下垂体中葉細胞、大細胞神経分泌細胞、腸細胞、気道細胞、甲状腺上皮細胞、傍濾胞細胞、副甲状腺細胞、上皮小体主細胞、好酸性細胞、副腎細胞、クロム親和細胞、ライディッヒ細胞、内卵胞膜細胞、黄体細胞、顆粒膜黄体細胞、卵胞膜黄体細胞、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、周血管極細胞、メサンギウム細胞、血管内皮有窓細胞およびリンパ管内皮有窓細胞、血管内皮連続細胞およびリンパ管内皮連続細胞、血管内皮脾細胞およびリンパ管内皮脾細胞、滑膜細胞、漿膜細胞(腹膜腔、胸膜腔および囲心腔の内壁)、扁平上皮細胞、円柱細胞、暗細胞、前庭膜細胞(耳の内リンパ腔の内壁)、血管条基底細胞、血管条周辺細胞(耳の内リンパ腔の内壁)、クラウディウス細胞、ベッチャー細胞、脈絡叢細胞、軟膜クモ膜扁平上皮細胞、色素性毛様体上皮細胞、非色素性毛様体上皮細胞、角膜内皮細胞、ペグ細胞、気道線毛細胞、卵管繊毛細胞、子宮内膜繊毛細胞、精巣網繊毛細胞、精巣輸出管繊毛細胞、繊毛性上衣細胞、表皮角化細胞、表皮基底細胞、手指爪および足指爪のケラチノサイト、爪床基底細胞、髄様毛幹細胞、皮質毛幹細胞、クチクラ毛幹細胞、クチクラ毛根鞘細胞、ハクスリー層の毛根鞘細胞、ヘンレ層の毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞、毛母細胞、重層扁平上皮の表面上皮細胞、上皮の基底細胞、泌尿器上皮細胞、耳のコルチ器の内有毛細胞、耳のコルチ器の外有毛細胞、嗅上皮の基底細胞、低温感受性一次感覚ニューロン、感熱性一次感覚ニューロン、表皮のメルケル細胞、嗅覚受容神経、疼痛感受性一次感覚ニューロン、光受容体桿体細胞、光受容体青色感受性錐体細胞、光受容体緑色感受性錐体細胞、光受容体赤色感受性錐体細胞、固有受容性一次感覚ニューロン、触覚感受性一次感覚ニューロン、I型頚動脈小体細胞、II型頚動脈小体細胞(血液pHセンサー)、耳の前庭器のI型有毛細胞(加速および重力)、耳の前庭器のII型有毛細胞、I型味蕾細胞 コリン作動性神経細胞、アドレナリン作動性神経細胞、ペプチド作動性神経細胞、コルチ器の内柱細胞、コルチ器の外柱細胞、コルチ器の内支持細胞、コルチ器の外支持細胞、コルチ器の境界細胞、コルチ器のヘンゼン細胞、前庭器支持細胞、味蕾支持細胞、嗅上皮支持細胞、シュワン細胞、衛星細胞、腸グリア細胞、アストロサイト、ニューロン、乏突起膠細胞、紡錘状ニューロン、前水晶体上皮細胞、クリスタリン含有水晶体線維細胞、肝細胞、脂肪細胞、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞、肝臓脂質細胞、腎糸球体壁細胞、腎糸球体ポドサイト、腎近位尿細管刷子縁細胞、ヘンレ係蹄の細い部分の細胞、腎遠位尿細管細胞、腎集合管細胞、I型肺細胞、膵管細胞、平滑筋導管細胞、導管細胞、腸刷子縁細胞、外分泌腺線条導管細胞、胆嚢上皮細胞、精巣輸出管非線毛細胞、精巣上体主細胞、精巣上体基底細胞、エナメル芽細胞上皮細胞、半月面上皮細胞、コルチ器歯間上皮細胞、疎性結合組織線維芽細胞、角膜実質細胞、腱線維芽細胞、骨髄細網組織線維芽細胞、非上皮線維芽細胞、周皮細胞、髄核細胞、セメント芽細胞(cementoblast)/セメント細胞(cementocytes)、象牙芽細胞、オドントサイト(odontocytes)、硝子軟骨の軟骨細胞、線維軟骨の軟骨細胞、弾性軟骨の軟骨細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、骨細胞前駆細胞、硝子体細胞、星細胞(耳)、肝星細胞(伊東細胞)、膵星細胞、赤筋骨格筋細胞、白筋骨格筋細胞、中間骨格筋細胞、筋紡錘の核袋細胞、筋紡錘の核鎖細胞、衛星細胞、通常の心筋細胞、結節心筋細胞、プルキンエ線維細胞、平滑筋細胞、虹彩の筋上皮細胞、外分泌腺の筋上皮細胞、網状赤血球、巨核球、単球、結合組織マクロファージ.上皮ランゲルハンス細胞、樹状細胞、ミクログリア細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、メラノサイト、網膜色素上皮細胞、卵原細胞/卵母細胞、精子細胞、精母細胞、精原細胞、精子、卵胞細胞、セルトリ細胞、胸腺上皮細胞、間質腎臓細胞、またはそれらの混合物からなる群より選択される細胞に隣接する組織またはそれらの細胞の中の組織に由来する線維芽細胞であり得る。
【0078】
本開示の文脈内で使用する場合、線維芽細胞および/または線維芽細胞由来のマイクロベシクルは、投与用の活性成分に加えて1つ以上の薬学的に許容され得るキャリアを含めることによって製剤化され得る。本発明の抗癌アジュバントに含められ得るキャリア、賦形剤または希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、デンプン、アラビアゴム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムまたは鉱油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
経口製剤または非経口製剤として使用する場合、線維芽細胞は、カプセル剤、錠剤、コーティング錠剤、緩徐放出型錠剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、エマルジョン、sap、エアロゾルおよび坐剤として投与され得、非経口調製物は、滅菌水溶液、非水溶媒、懸濁剤、エマルジョンおよび凍結乾燥調製物であり得る。非経口調製物は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、胸骨内、局所的、直腸または皮内経路を介した典型的な方法で投与され得る。
【0080】
経口投与用の線維芽細胞は、希釈剤、保存剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、膨張剤、充填剤、安定剤およびそれらの組み合わせを通常含み得るがこれらに限定されない薬学的に許容され得るキャリアを用いて製剤化され得る。キャリアには、可塑剤、着色剤、着色料、安定剤および流動化剤(flow agent)を含み得るコーティング組成物の構成要素のすべても含まれ得る。好適なコーティング材料の例としては、セルロースポリマー、例えば、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート;ポリビニルアセテートフタレート、アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、メタクリル樹脂、ゼイン、シェラックおよび多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、コーティング材料には、可塑剤、顔料、着色料、流動化剤、安定剤、ポア形成剤および界面活性剤などの典型的なキャリアが含まれ得る。自由選択の薬学的に許容され得る賦形剤としては、希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、着色料、安定剤または界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
当該分野で知られているように、錠剤の圧縮またはビーズおよび顆粒剤の形成にふさわしい粒径が提供されるように、固形剤形の体積を増加させるために希釈剤が通常必要である。好適な希釈剤としては、リン酸二カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、加水分解デンプン、アルファ化デンプン、シリコーンジオキシド、酸化チタン、ケイ酸アルミニウムマグネシウムまたは粉末状の糖が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤は、固形の投与製剤に粘着特性を付与するために使用されるので、錠剤またはビーズまたは顆粒剤が、剤形の組成後も未変化であることが確保される。好適な結合剤の材料としては、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトースおよびソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、ろう、天然ゴムおよび合成ゴム、例えば、アカシア、トラガントおよびアルギン酸ナトリウム、セルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースを含む)およびveegum、ならびに合成ポリマー、例えば、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリアクリル酸/ポリメタクリル酸およびポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、錠剤の調製を容易にするために、潤滑剤が使用される。好適な潤滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、タルクおよび鉱油が挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤は、投与後の剤形の崩壊または破壊を容易にするために使用され、それらとしては、通常、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドラキシプロピルセルロース、アルファ化デンプン、粘土、セルロース、アルギニン、ゴムまたは架橋ポリマー、例えば架橋PVPが挙げられるが、これらに限定されない。当該分野では、例えば酸化反応を含む薬物分解反応を阻害するためまたは遅延させるために安定剤が使用されることが知られている。好適な安定剤としては、酸化防止剤、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ならびにその塩およびエステル;ビタミンE、トコフェロールおよびその塩;メタ重亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩;システインおよびその誘導体;クエン酸;没食子酸プロピル;ならびにブチルヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
いくつかの実施形態において、経口投与剤形、例えば、カプセル剤、錠剤、液剤および懸濁剤は、制御放出のために製剤化され得る。例えば、1つ以上の化合物および自由選択の1つ以上のさらなる活性な構成要素が、ナノ粒子、微小粒子およびそれらの組み合わせに製剤化され得、軟ゼラチンもしくは硬ゼラチンもしくは非ゼラチンカプセルに被包され得るか、または分散媒中に分散されて経口懸濁剤もしくはシロップ剤を形成し得る。それらの粒子は、薬物および制御放出ポリマーまたは制御放出マトリックスから形成され得る。あるいは、薬物粒子は、完成した剤形に組み込まれる前に、1つ以上の制御放出コーティング剤でコーティングされ得る。
【0083】
本開示の方法の実施において、高い血漿中濃度をもたらすために、治療の開始時に高い初回量の線維芽細胞を投与する必要があり得る。これは、化合物の非経口投与によって達成され得る。非経口投与用の調製物は、当業者に公知の技術を用いて水性組成物として調製され得る。一般に、そのような組成物は、注射可能な製剤、例えば、液剤または懸濁剤;固体の形態、例えば、注射前に再構成用媒質を加えて液剤または懸濁剤を調製するための使用に適した微小粒子またはナノ粒子;エマルジョン、例えば、油中水型(w/o)エマルジョンまたは水中油型(o/w)エマルジョンおよびそれらのマイクロエマルジョン、リポソームまたはエマルソーム(emulsomes)として調製され得る。キャリアは、溶媒または分散媒であり得、それらとしては、例えば、水、エタノール、1つ以上のポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、油(例えば、植物油(例えば、落花生油、トウモロコシ油、ゴマ油など)およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な流動性は、レシチンなどのコーティング材料を使用すること、分散液の場合は必要な粒径を維持すること、または界面活性剤を使用することによって、維持され得る。さらに、等張剤である糖または塩(例えば、塩化ナトリウム)も含むことが可能であるが、等張剤は、これらに限定されない。遊離酸、遊離塩基または薬学的に許容され得る塩としての活性な化合物の液剤または分散液は、1つ以上の薬学的に許容され得る賦形剤と適切に混合された水または別の溶媒もしくは分散媒において調製され得る。賦形剤の例としては、界面活性剤、分散剤、乳化剤、pH改変剤およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性の表面活性剤であり得る。好適な陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸イオン、スルホン酸イオンおよび硫酸イオンを含む界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。陰イオン界面活性剤の例としては、長鎖アルキルスルホン酸ナトリウム、長鎖アルキルスルホン酸カリウムおよび長鎖アルキルスルホン酸アンモニウム、ならびにアルキルアリールスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールスルホン酸カリウムおよびアルキルアリールスルホン酸アンモニウム、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、例えば、ビス-(2-エチルチオキシル)-スルホコハク酸ナトリウム;および硫酸アルキル、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。陽イオン界面活性剤としては、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ポリオキシエチレンおよびココナッツアミンが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン界面活性剤の例としては、モノステアリン酸エチレングリコール、ミリスチン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸ポリグリセリル-4、ソルビタンアシレート、スクロースアシレート、ラウリン酸PEG-150、モノラウリン酸PEG-400、モノラウリン酸ポリオキシエチレン、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG-1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、ポロキサマー.RTM.401、ステアロイルモノイソプロパノールアミドおよびポリオキシエチレン水素化獣脂アミドが挙げられる。両性界面活性剤の例としては、ナトリウムN-ドデシル-アラニン、ナトリウムN-ラウリル-イミノジプロピオネート、ミリストアンホアセテート、ラウリルベタインおよびラウリルスルホベタインが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を実証するために含められる。以下の実施例に開示される手法は、本開示の実施において十分に機能すると本発明者が発見した手法であり、ゆえにその実施に対する好ましい形式であると考えることができることが当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に鑑みて、開示される具体的な実施形態において多くの変更を行うことができ、それらの変更は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、なおも同様または類似の結果をもたらすと認識するはずである。
実施例1:PD-1抗体の後のバルプロ酸処置線維芽細胞による全身のTNF-アルファの減少
【0085】
食塩水(コントロール)、PD-l1に対する抗体(PD-l1)、または5マイクログラム/ミリリットルのバルプロ酸において24時間培養したBalb/c線維芽細胞(100,000個の細胞を腹腔内に)とともにPD-l1に対する抗体をBalb/cマウスに投与した。細胞および抗体は、1日おきに注射した。血清中TNFアルファをELISAによって測定した(
図1)。
実施例2:線維芽細胞の投与によるリンフォカイン活性化細胞(LAK)の致死性の低下
【0086】
10,000個の抗CD3、抗CD28ビーズ/mlとともに100IU/mlのインターロイキン-2においてC57/BL6脾細胞を培養することによって、LAK細胞を作製した。低毒性食塩水による赤血球溶解によって脾細胞を単離した後、リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄した。10%ウシ胎仔血清を含むRPMI培地中、十分に加湿した雰囲気において細胞を培養した。培養時間は、96時間であり、培養の終わりに細胞生存度を評価した。クロム51放出アッセイを用いて、K562標的細胞に対する細胞傷害活性について細胞を評価した。マウス1匹あたり100万個の細胞を投与した。
【0087】
線維芽細胞または骨髄MSCは、それぞれSpinalCyte(CybroCell皮膚線維芽細胞)またはAllcellsから入手した。継代数3の細胞を使用し、マウスごとに静脈内投与した。
図2に見られるように、MSCと比べて線維芽細胞で処置されたマウスにおいて、死亡率の実質的な低下が観察された。線維芽細胞またはMSCは、LAK細胞の投与の4時間後に注射した。
【0088】
本開示およびその利点を詳細に記載してきたが、添付の請求項によって定義される構想の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換および改変が本明細書中で行われ得ることが理解されるべきである。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造品、組成物、手段、方法および工程の特定の実施形態に限定されると意図されていない。当業者は、本明細書中に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすまたは実質的に同じ結果を達成する、現在すでに存在しているまたは後に開発される、プロセス、機械、製造品、組成物、手段、方法または工程が本開示に従って利用され得ることを本開示からすぐに認識するだろう。したがって、添付の請求項は、そのようなプロセス、機械、製造品、組成物、手段、方法または工程をそれらの範囲内に含めるように意図されている。
【国際調査報告】