(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(54)【発明の名称】1,8-ナフチリジジノン化合物およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20220418BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220418BHJP
A61K 31/4375 20060101ALI20220418BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220418BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
C07D471/04 114A
A61P35/00
A61K31/4375
A61P43/00 111
A61K31/4709
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541439
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 US2020014208
(87)【国際公開番号】W WO2020150676
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520018440
【氏名又は名称】ニューベイション・バイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NUVATION BIO INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221578
【氏名又は名称】林 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】ファム,ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】カンカナラ,ジャヤカント
(72)【発明者】
【氏名】ジャダヴァル,プラディープ エス
(72)【発明者】
【氏名】ムリク,ババン モハン
(72)【発明者】
【氏名】カーン,ファルハ
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン,スリーカント エイ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH06
4C065HH10
4C065JJ01
4C065JJ04
4C065KK04
4C065PP12
4C065PP17
4C065PP18
4C065PP19
4C065QQ05
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC42
(57)【要約】
アデノシン受容体のモジュレーターとしての1,8-ナフチリジジノン化合物が提供される。化合物は、Gタンパク質結合受容体シグナル伝達経路を介する疾患の処置のための治療剤としての使用が見出され得て、腫瘍学における特定の使用が見出され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
〔式中、
R
2およびR
4はそれぞれ、独立して、H、R
bまたはオキソであり;
R
3は、独立して、HまたはR
cであり;
各R
bおよびR
cは、独立してC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-NO
2、-C=NH(OR
8)、-C(O)R
8、-OC(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
9R
10、-OC(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)OR
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-C(O)NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-C(O)NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、-P(O)(OR
9)(OR
10)、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリール、C
6-C
14アリール、-(C
1-C
3アルキレン)CN、-(C
1-C
3アルキレン)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)SR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)CF
3、-(C
1-C
3アルキレン)NO
2、-C=NH(OR
8)、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)OR
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-C(O)(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
9)(OR
10)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~12員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~10員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)であり、ここで、各R
bおよびR
cは、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
11、-NR
11R
12、-C(O)R
11、-OC(O)R
11、-C(O)OR
11、-C(O)NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)R
12、-NR
11C(O)OR
12、-S(O)R
11、-S(O)
2R
11、-NR
11S(O)R
12、-C(O)NR
11S(O)R
12、-NR
11S(O)
2R
12、-C(O)NR
11S(O)
2R
12、-S(O)NR
11R
12、-S(O)
2NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)OR
11、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
11、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11C(O)R
12、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11S(O)
2R
12、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
11R
12、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよいC
3-C
8シクロアルキル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい-(C
1-C
3アルキレン)3~6員ヘテロシクリル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい-(C
1-C
3アルキレン)C
3-C
8シクロアルキルまたは場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
【化2】
は単結合または二重結合であり、
【化3】
が二重結合であるとき、R
2はオキソであり;
【化4】
は単結合または二重結合であり、
【化5】
が二重結合であるとき、R
4はオキソであり;
【化6】
および
【化7】
の一方が二重結合であるとき、他方は単結合であり;
Aは
【化8】
であり、
【化9】
は単結合または二重結合であり;
X
1はNまたはCR’であり、ここで、R’は-NR
8S(O)
2R
9またはオキソであり;
X
2はN、NR”またはCR”であり、ここで、R”はR
7であり、
またはR’およびR”は、それらが結合している原子と一体となって、1個、2個、3個または4個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成し;
Bはフェニル、5~6員ヘテロアリール、5~6員炭素環または9~10員ヘテロアリールであり、ここで、Bのフェニル、5~6員ヘテロアリールまたは9~10員ヘテロアリールは場合によりR
7でさらに置換されていてよく、
但し、Aが場合により置換されていてよいキノリニル、場合により置換されていてよいイソキノリニル、場合により置換されていてよいキノキサリニル、場合により置換されていてよいシンノリニル、場合により置換されていてよいキナゾリニルまたは場合により置換されていてよいベンゾイミダゾリルであるならば、Bは1個、2個、3個または4個のR
7で置換され、少なくとも1個のR
7は-CNであり、そして
X
1がNであり、X
2がCR”であるならば、Bは1個、2個、3個または4個のR
7で置換され、少なくとも1個のR
7は-CNであり;
R
6はHまたはR
7であり;
各R
7は、独立してオキソ、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-NO
2、-C=NH(OR
8)、-C(O)R
8、-OC(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
9R
10、-OC(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)OR
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-C(O)NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-C(O)NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、-P(O)(OR
9)(OR
10)、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリール、C
6-C
14アリール、-(C
1-C
3アルキレン)CN、-(C
1-C
3アルキレン)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)SR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)CF
3、-(C
1-C
3アルキレン)NO
2、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)OR
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-C(O)(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
9)(OR
10)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~12員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~10員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)であり、ここで、各R
6およびR
7は、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-OR
11、-NR
11R
12、-C(O)R
11、-CN、-S(O)R
11、-S(O)
2R
11、-P(O)(OR
11)(OR
12)、-(C
1-C
3アルキレン)OR
11、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
11、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
11)(OR
12)、C
3-C
8シクロアルキルまたは場合によりオキソ、-OHもしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
各R
8は、独立して水素、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)であり、R
8のC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)および-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)は、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
13、-NR
13R
14、-P(O)(OR
13)(OR
14)、場合によりハロゲンで置換されていてよいフェニルまたは場合によりハロゲン、-OHもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
R
9およびR
10はそれぞれ、独立して水素、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6アリール)であり、ここで、R
9およびR
10のC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)および-(C
1-C
3アルキレン)(C
6アリール)は場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
13、-NR
13R
14または場合によりハロゲン、-OHもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
またはR
9およびR
10は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソ、-OR
13、-NR
3R
14または場合によりハロゲン、オキソもしくは-OHで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成し;
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、水素、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキル、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルケニルまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルキニルであり;
またはR
11およびR
12は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成し;そして
R
13およびR
14はそれぞれ、独立して、水素、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキル、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルケニルまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルキニルであり;
またはR
13およびR
14は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソまたは場合によりオキソもしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成する〕
の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
2がH、オキソ、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-C(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC
6-C
14アリールである、請求項1に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
2がH、オキソ、ハロゲン、-OR
8、-C(O)NR
9R
10、-C(O)OR
8または-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10である、請求項1または2に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
2がH、オキソ、ブロモ、メトキシ、およびからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
2がHである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項6】
式(II):
【化10】
の化合物である、請求項1に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
4がH、オキソ、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-C(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC
6-C
14アリールである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。式(I)、(II)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、R
4がC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-C(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC
6-C
14アリールである。
【請求項8】
R
4がHである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項9】
化合物が式(III):
【化11】
のものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R
3がH、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC
6-C
14アリールである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
3がH、-CN、-C(O)NR
9R
10または-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項12】
R
3がH、-CN、
【化12】
からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項13】
X
1がCR’である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項14】
X
1がNである、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項15】
X
2がNである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項16】
X
2がNR”である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項17】
X
2がCR”である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項18】
X
1がCR’であり、X
2がCR”およびR’およびR”は、それらが結合している原子と一体となって、1個、2個、3個または4個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成しである、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項19】
次の式のものから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【表1】
【表2】
【請求項20】
Bが場合によりR
7で置換されていてよいフェニルである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項21】
Bが場合によりさらにR
7で置換されていてよい5~6員ヘテロアリール、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項22】
Bがピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルまたはテトラジニルであり、それぞれ、場合によりR
7で置換されていてよい、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項23】
Bがフラニル、ピリジニル、オキサゾイルまたはオキサジアゾイルであり、それぞれ、場合によりR
7で置換されていてよい、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項24】
Bが場合によりR
7でさらに置換されていてよい9~10員ヘテロアリールである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項25】
Bがピリジル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾイル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、フロピリジニル、オキサゾロピリジニル、イソキサゾロピリジニル、オキサジアゾロピリジニル、チエノピリジニル、チアゾロピリジニル、イソチアゾロピリジニル、チアジアゾロピリジニル、チエノピリジニル、フタラジニル、ピラゾロチアゾリル、ピラゾロチアゾリルおよびイミダゾチアゾリルから成る群から選択され、それぞれ、場合によりR
7で置換されていてよい、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項26】
Bが
【化13】
からなる群から選択され、その各々は場合によりR
7で置換されていてよい、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項27】
R
7が独立してハロゲン、-CNまたは場合によりハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルである、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項28】
Bが
【化14】
からなる群から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項29】
表1の化合物から選択される化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項31】
処置を必要とする個体に治療有効量の請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、個体におけるアデノシンシグナル伝達経路介在性疾患を処置する方法。
【請求項32】
処置を必要とする個体に請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、個体における癌を処置する方法。
【請求項33】
細胞に請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩を投与することを含む、細胞におけるサブタイプA
2a、A
2bまたはA
3のアデノシン受容体を阻害する方法。
【請求項34】
アデノシン受容体がサブタイプA
2aである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アデノシンシグナル伝達経路介在性疾患の処置のための医薬の製造における、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物の使用。
【請求項36】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年1月18日に出願された米国特許出願第62/794,526号の優先権を主張するものであり、その内容は全体を参照することにより包含される。
【0002】
本発明の分野
本発明は一般に、Gタンパク質共役受容体(GPCR)シグナル伝達経路を介する処置のための治療剤に関し、より具体的には、アデノシン受容体を阻害する化合物(例えば、A2Aアンタゴニスト)に関する。本発明はまた、このような化合物を含む薬学的に許容される組成物およびGPCRシグナル伝達経路に関連する疾患の処置における化合物または組成物の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
アデノシン受容体(AR)は全身に分布し、多くの生物学的機能を担うものである。7回膜貫通Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、4つの異なるサブタイプA1、A2A、A2BおよびA3に分けられる。A2AおよびA2BARは、cAMPレベルの増加を含むアデニリルシクラーゼの活性を刺激する。A2AARは、別個の組織局在化、異なる生化学経路および特定の薬理学的プロファイルを有する。
【0004】
アデノシンはヒト身体の中枢神経系および末梢神経系の両方における最も重要な神経モジュレーターの一つである。アデノシンは腫瘍細胞から放出され、腫瘍の細胞外液中のその濃度は免疫抑制レベルに達し得る(Blay et al. (1997), Cancer Res., 57(13), pp. 2602-5)。固形癌の細胞外液は、免疫抑制濃度のアデノシンを含む。同上。このアデノシン濃度の増大は、ATPのアデノシンへの直接的な分解を担うCD73(エクト-5’-ヌクレオチダーゼ)およびCD39(ヌクレオシドトリホスフェートデホスホリラーゼ)酵素における増大の結果である。これらの上方調節は低酸素症およびHIF-1αの発生により引き起こされる。腫瘍細胞周辺の高レベルのアデノシンは、複数のアデノシン受容体サブタイプ、特にA2A受容体の活性化により複数の免疫細胞(例えば、CD4+T細胞および細胞毒性CD8+T細胞)を調節するように作用し、炎症誘発活性ならびに抗炎症性分子および免疫調節細胞の上方調節の抑制をもたらす(Kumar et al. (2013), Adenosine as an endogenous immunoregulator in cancer pathogenesis: where to go? Purinergic Signal., 9(2), pp 145-65 and Sitkowsky et al., Hostile, hypoxia-A2-adenosinergic tumor biology as the next barrier to overcome for tumor immunologists. Cancer Immunol. Res. 2(7), pp 598-605; Ohta (2016), A Metabolic Immune Checkpoint: Adenosine in Tumor Microenvironment. Frontiers in Immunology., 7 article# 109, pp 1-11)。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、インビトロおよびインビボで抗原特異的刺激によりA2ARを上方調節することが示された(Beavls (2017), Targeting the Adenosine 2A Receptor Enhances Chimeric Antigen Receptor T Cell Efficacy. J of Clin Invest. 127 (3): pp 929-941)。
【0005】
癌細胞の生存は、免疫系による攻撃を回避するそれらの能力に依存する。さらに、腫瘍細胞は免疫系を上回り、腫瘍生存および転移を促進し得る。固形腫瘍の低酸素領域内で濃度が増加するアデノシンは、免疫系の細胞溶解性エフェクター細胞による腫瘍細胞の認識を妨げることができるとして認識されている(Tuite and Riss (2013). Recent developments in the pharmacological treatment of Parkinson's disease. Expert Opin. Investig. Drugs, 12(8) pp 1335-52, Popoli et al. (2002). Blockade of striatal adenosine A2A receptor reduces, through a presynaptic mechanism, quinolinic acid-induced excitotoxicity: possible relevance to neuroprotective interventions in neurodegenerative diseases of the striatum, J. Neurosci, 22(5) pp. 1967-75, Gessi et al. (2011). Adenosine receptors and cancer. Biochim Biophys Acta, 1808(5), pp. 1400-12)。
【0006】
全てのアデノシン受容体は、腫瘍において認識される生物学的役割が現在増え続けているが、A2AおよびA3サブタイプは、治療開発のための有望な標的であると考えられる。特に、A2A受容体の活性化は抗腫瘍免疫を低下させ、それにより腫瘍増殖を促進させる免疫抑制性効果をもたらす。
【0007】
A2B受容体は、治療開発のためのもう一つの可能性のある標的である。腫瘍細胞において発現したA2Bの自己分泌/傍分泌刺激は転移可能性を増加させると考えられ、A2B遮断は免疫非依存的方法で腫瘍転移を減少させ得る(Beavis et al. (2013). Blockade of A2A receptors potently suppresses the metabolism of CD73+ Tumors. Proc. Natl. Acad. Sci., 110(36) pp. 14711-6)。A2B発現はまた、この経路が臨床的に関連し得ることを示すトリプルネガティブ乳癌における無再発生存期間(RFS)と相関する。A2B遮断はまた、樹状細胞および骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を含む腫瘍関連免疫細胞の免疫抑制特性を調節する可能性を有する(Cekic et al. (2011). Adenosine A2B receptor blockade slows growth of bladder and breast tumors. J. Immunol. 188(1), pp. 198-205; Sorrentino et al. (2015). Myeloid-derived suppressor cells contribute to A2B adenosine receptor-induced VEGF production and angiogenesis in a mouse melanoma model. Oncotarget 6(29), pp. 27478-89; Iannone et al. (2013). Blockade of A2B adenosine receptor reduces tumor growth and immune suppression mediated by myeloid-derived suppressor cells in a mouse model of melanoma. Neoplasia, 15(12), pp. 1400-9)。
【0008】
アデノシンシグナル伝達経路に関連する疾患および障害の処置のための新たな治療剤についての継続的な需要が存在する。
【発明の概要】
【0009】
ある態様において、式(I):
【化1】
〔式中、A、BおよびR
2~R
4は本明細書で定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩が提供される。
【0010】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩は、本明細書に記載する式(II)または(III)のものである。いくつかの実施態様において、式(II)の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩が提供される。いくつかの実施態様において、式(III)の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩が提供される。
【0011】
別の態様において、(a)処置を必要とする個体における増殖性疾患のような疾患の処置;(b)処置を必要とする個体における免疫応答の強化;(c)処置を必要とする個体における腫瘍転移の阻害;(d)処置を必要とする個体におけるGタンパク質共役受容体シグナル伝達経路の調節;(e)処置を必要とする個体におけるA2A受容体のようなアデノシン受容体の活性の調節;および(f)処置を必要とする個体におけるナチュラルキラー細胞の活性の増大のいずれか1以上のための方法であって、有効量の式(I)の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩を前記個体に投与することを含む方法が、提供される。いくつかの実施態様において、(a)処置を必要とする個体における増殖性疾患のような疾患の処置;(b)処置を必要とする個体における免疫応答の強化;(c)処置を必要とする個体における腫瘍転移の阻害;(d)処置を必要とする個体におけるGタンパク質共役受容体シグナル伝達経路の調節;(e)処置を必要とする個体におけるA2A受容体のようなアデノシン受容体の活性の調節;および(f)処置を必要とする個体におけるナチュラルキラー細胞の活性の増大のいずれか1以上のための方法であって、有効量の式(I)またはいずれかの関連する式、例えば式(II)または(III)またはその互変異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩を前記個体に投与することを含む方法が、提供される。ある態様において、式(I)またはいずれかの関連する式、例えば式(II)または(III)またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩は、別の治療剤と組み合わせて個体に投与される。いくつかの実施態様において、式(I)またはいずれかの関連する式、例えば式(II)または(III)またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩は、別の治療剤と組み合わせて個体に投与される。
【0012】
(A)式(I)またはいずれかの関連する式、例えば式(II)または(III)またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩のような本明細書に記載の化合物および(B)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物もまた、提供される。いくつかの実施態様において、(A)式(I)またはいずれかの関連する式、例えば式(II)または(III)またはその互変異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩または式(II)の化合物またはその互変異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩または式(III)の化合物またはその互変異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩のような本明細書に記載の化合物および(B)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物が提供される。本明細書に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩および使用のための指示書を含むキットもまた、提供される。本明細書に記載の化合物またはその塩および使用のための指示書を含むキットもまた、提供される。本明細書に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩はまた、癌の処置のための薬剤の製造のために提供される。本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩はまた、癌の処置のための薬剤の製造のために提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】活性化ヒトPBMCにおけるTNF-α産生に対する化合物1の効果を示す。
【0014】
【
図2】活性化ヒトPBMCにおけるIFN-γ産生に対する化合物1の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細な説明
定義
本明細書における使用について、明確に示されない限り、用語「ある」などの使用は、1以上をいう。
【0016】
本明細書で使用される「アルケニル」は、少なくとも1つのオレフィン不飽和部位を有し(すなわち、少なくとも1つの式C=C部分を有し)、かつ指定された数の炭素原子(すなわち、C2-C10は2~10個の炭素原子を意味する)を有する不飽和直鎖または分枝鎖の一価炭化水素鎖またはそれらの組合せをいう。アルケニル基は、「cis」または「trans」配置または代替的に、「E」または「Z」配置であり得る。特定のアルケニル基は、2~20個の炭素原子(「C2-C20アルケニル」)、2~8個の炭素原子(「C2-C8アルケニル」)、2~6個の炭素原子(「C2-C6アルケニル」)または2~4個の炭素原子(「C2-C4アルケニル」)を有するアルケニル基である。アルケニルの例は、限定されないが、エテニル(またはビニル)、プロプ-1-エニル、プロプ-2-エニル(またはアリル)、2-メチルプロプ-1-エニル、ブト-1-エニル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニル、ブタ-1,3-ジエニル、2-メチルブタ-1,3-ジエニル、そのホモログおよび異性体などのような基を含む。
【0017】
用語「アルキル」は、指定された数の炭素原子(すなわち、C2-C10は2~10個の炭素原子を意味する)を有する飽和直鎖および分枝鎖の一価炭化水素構造ならびにそれらの組合せをいい、かつそれらを含む。特定のアルキル基は、1~20個の炭素原子(「C1-C20アルキル」)を有する、2~8個の炭素原子(「C2-C8アルケニル」)を有する、2~6炭素原子(「C2-C6アルケニル」)を有するまたは2~4個の炭素原子(「C2-C4アルケニル」)を有するアルキル基である。より具体的なアルキル基は、1~8個の炭素原子(「C1-C8アルキル」)を有する、3~8個の炭素原子(「C3-C8アルキル」)を有する、1~6個の炭素原子(「C1-C6アルキル」)を有する、1~5個の炭素原子(「C1-C5アルキル」)を有するまたは1~4個の炭素原子(「C1-C4アルキル」)を有するアルキル基である。アルキルの例は、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、そのホモログおよび異性体、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどのような基を含む。
【0018】
本明細書で使用される「アルキレン」は、二価である以外、アルキルと同一の残基をいう。特定のアルキレン基は、1~6個の炭素原子(「C1-C6アルキレン」)を有する、1~5個の炭素原子(「C1-C5個のアルキレン」)を有する、1~4個の炭素原子(「C1-C4アルキレン」)を有するまたは1~3個の炭素原子(「C1-C3アルキレン」)を有するアルキレン基である。アルキレンの例は、限定されないが、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、ブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)、イソプロピレン(-CH2-C(H)(CH3)-CH2-)などのような基を含む。
【0019】
本明細書で使用される「アルキニル」は、少なくとも1つのアセチレン不飽和部位を有し(すなわち、少なくとも1つの式C≡C部分を有し)、指定された数の炭素原子(すなわち、C2-C10は2~10個の炭素原子を意味する)を有する不飽和直鎖または分枝鎖の一価炭化水素鎖またはそれらの組合せをいう。特定のアルキニル基は、2~20個の炭素原子(「C2-C20アルキニル」)を有する、2~8個の炭素原子(「C2-C8アルキニル」)を有する、2~6個の炭素原子(「C2-C6アルキニル」)を有するまたは2~4個の炭素原子(「C2-C4アルキニル」)を有するアルキニル基である。アルキニルの例は、限定されないが、エチニル(またはアセチレニル)、プロプ-1-イニル、プロプ-2-イニル(またはプロパルギル)、ブト-1-イニル、ブト-2-イニル、ブト-3-イニル、そのホモログおよび異性体などのような基を含む。
【0020】
用語「アリール」は多不飽和芳香族炭化水素基をいい、かつこれらを含む。アリールはさらに縮合したアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび/またはヘテロシクリル環を含むさらなる縮合環(例えば、1~3個の環)を含み得る。一例において、アリール基は6~14個の環炭素原子を含む。アリール基の例は、限定されないが、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどを含む。
【0021】
用語「シクロアルキル」または「炭素環」は相互交換可能に使用され、指定された数の炭素原子(例えば、C1-C10は1~10個の炭素を意味する)を有する、全飽和、単または多不飽和であり得るが、非芳香族である環状の一価炭化水素をいい、かつこれらを含む。シクロアルキルまたは炭素環基はシクロヘキシルのような1つの環またはアダマンチルのような複数の環から構成され得るが、アリール基を含まない。1を超える環を含むシクロアルキルまたは炭素環は縮合していても、スピロでももしくは架橋していてもまたはそれらの組合せであってもよい。好ましいシクロアルキルまたは炭素環は3~13個の環炭素原子を有する環状炭化水素である。より好ましいシクロアルキルまたは炭素環は、3~8個の環炭素原子を有する環状炭化水素(「C3-C8シクロアルキル」)である。シクロアルキルまたは炭素環基の例は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチル、ノルボロニルなどを含む。
【0022】
「ハロ」または「ハロゲン」は、原子番号9~85を有する17族の元素をいう。好ましいハロ基は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。残基が1個を超えるハロゲンで置換されている場合、それは結合したハロゲン部分の数に対応する接頭語を用いることにより称され得る。例えば、ジハロアリール、ジハロアルキル、トリハロアリールなどは同一であり得るが必ずしも同一ではない2個(「ジ」)または3個(「トリ」)のハロ基で置換されたアリールおよびアルキルを示し;従って、4-クロロ-3-フルオロフェニルはジハロアリールの範囲内である。各水素がハロ基で置換されたアルキル基は「ペルハロアルキル」と称される。好ましいペルハロアルキル基はトリフルオロアルキル(-CF3)である。同様に、「ペルハロアルコキシ」は、アルコキシ基のアルキル部分を構成する炭化水素中の各水素原子がハロゲンに置き換わったアルコキシ基をいう。ペルハロアルコキシ基の例は、トリフルオロメトキシ(-OCF3)である。
【0023】
用語「ヘテロアリール」は、1~10個の環炭素原子および、限定されないが、少なくとも1個の窒素、酸素および硫黄のようなヘテロ原子を含む環ヘテロ原子を有する不飽和芳香族環式基であって、窒素および硫黄原子が場合により酸化されていてよく、窒素原子が場合により四級化されていてよいものをいい、かつこれらを含む。ヘテロアリール基は環炭素または環ヘテロ原子で分子の残りに結合し得る。ヘテロアリールは、さらなる縮合したアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび/またはヘテロシクリル環を含むさらなる縮合環(例えば、1~3個の環)を含み得る。ヘテロアリール基の例は、限定されないが、ピリジル、ピリミジル、チオフェニル、フラニル、チアゾリルなどを含む。ヘテロアリール基の例はまた、限定されないが、ピリジル、ピリミジル、チオフェニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ピラゾロピリジニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾイミダゾリルなどを含む。
【0024】
一例において、非芳香族(例えば、シクロアルキルまたはヘテロシクリル)である少なくとも1個のさらなる縮合環を含むヘテロアリールは、さらなる環の環原子で親構造に結合する。別の一例において、非芳香族(例えば、シクロアルキルまたはヘテロシクリル)である少なくとも1個のさらなる縮合環を含むヘテロアリールは、芳香環の環原子で親構造に結合する。
【0025】
用語「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」は、1~10個の環炭素原子および、1~4個の窒素、酸素および硫黄のようなヘテロ原子を含む環ヘテロ原子を有する不飽和非芳香族基であって、窒素および硫黄原子が場合により酸化されていてよく、窒素原子が場合により四級化されていてよいものをいい、かつこれらを含む。ヘテロシクリル基は単環または複数の縮合環を有し得るが、ヘテロアリール基を含まない。1を超える環を含むヘテロ環は縮合していても、スピロであってももしくは架橋していてもまたはそれらの任意の組合せであってもよい。縮合環系において、1以上の縮合環はアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基の例は、限定されないが、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、2,3-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン-2-イル、4-アミノ-2-オキソピリミジン-1(2H)-イルなどを含む。
【0026】
一例において、少なくとも1つのヘテロ原子を含まないさらなる環を含むヘテロシクリル(例えば、縮合したさらなる環)は、さらなる環の環原子で親構造と結合する。別の一例において、少なくとも1つのヘテロ原子を含まないさらなる環を含むヘテロシクリル(例えば、縮合したさらなる環)は、ヘテロ原子を含む環の環原子で親構造と結合する。
【0027】
「オキソ」は部分=Oをいう。
【0028】
「場合により置換されていてよい」は、特に断らない限り、基が非置換であり得るまたはその基について挙げられる同一でも異なってもよい1以上(例えば、1、2、3、4または5)の置換基で置換され得ることを意味する。ある実施態様において、場合により置換されていてよい基は1個の置換基を有する。別の実施態様において、場合により置換されていてよい基は2個の置換基を有する。別の実施態様において、場合により置換されていてよい基は3個の置換基を有する。別の実施態様において、場合により置換されていてよい基は4個の置換基を有する。いくつかの実施態様において、場合により置換されていてよい基は1~2個、2~5個、3~5個、2~3個、2~4個、3~4個、1~3個、1~4個または1~5個の置換基を有する。
【0029】
「薬学的に許容される担体」は、対象に対して非毒性である、有効成分以外の医薬製剤中の成分をいう。薬学的に許容される担体は、限定されないが、緩衝液、賦形剤、安定化剤または防腐剤を含む。
【0030】
本明細書で使用される「処置」または「処置する」は、臨床的結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。例えば、有益なまたは所望の結果は、限定されないが、次のもの:疾患に由来する症状の低減、疾患に苦しむ患者のクオリティ・オブ・ライフの向上、疾患を処置するために必要な他の薬の用量の低減、疾患の進行の遅延および/または個体の生存の延長の1以上を含む。癌または他の望ましくない細胞増殖について、有益なまたは所望の結果は、腫瘍の縮小(腫瘍サイズの減少);腫瘍の増殖速度の低下(例えば腫瘍増殖の抑制まで);癌細胞の数の減少;末梢器官への癌細胞浸潤のある程度までの阻害、阻止または遅延および好ましくは停止;腫瘍転移の阻害(ある程度までの遅延および好ましくは停止);腫瘍増殖の阻害;腫瘍の発生および/または再発の予防または遅延;および/または1以上の癌に関連する症状のある程度までの回復を含む。いくつかの実施態様において、有益なまたは所望の結果は、例えば望ましくない腫瘍の発生および/または再発の予防または遅延を含む。
【0031】
本明細書で使用される「疾患の進行の遅延」は、疾患(例えば、癌)の進行を遅らせる、妨害する、減速させる、遅延させる、安定化するおよび/または遅くすることを意味する。この遅延は、病歴および/または処置される個体により、種々の長さであり得る。当業者に明らかなように、十分なまたは顕著な遅延は、事実上、個体が疾患を発症しないという点において、予防を包含し得る。例えば、転移発症のような進行期癌が、遅延され得る。
【0032】
本明細書で使用される化合物またはその塩または医薬組成物の「有効投与量」または「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。予防使用について、有益なまたは所望の結果は、リスクの排除または低減、疾患、その合併症および疾患の進行中に表れる中間病理学的表現型の生化学的、組織学的および/または行動学的症状を含む疾患の重篤度の低減または疾患の開始の遅延を含む。治療的使用について、有益なまたは所望の結果は、疾患に由来する1以上の症状の改善、緩和、低下、遅延または低減、疾患に苦しむ患者のクオリティ・オブ・ライフの向上、疾患を処置するために必要な他の薬の用量の低減、標的化によるなどの別の薬の効果の増強、疾患の進行の遅延ならびに/または生存の延長を含む。癌または他の望ましくない細胞増殖について、有効量は腫瘍を縮小させるおよび/または腫瘍の増殖速度を低下させる(腫瘍増殖を抑制できるように)または望ましくない細胞増殖を予防もしくは遅延させるのに十分な量を含む。いくつかの実施態様において、有効量は、進行を遅延させるのに十分な量である。いくつかの実施態様において、有効量は、発症および/または再発を予防するまたは遅延させるのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与され得て、癌の場合、有効量の薬物または組成物は、(i)癌細胞の数を減少させる;(ii)腫瘍サイズを減少させる;(iii)末梢器官への癌細胞浸潤を阻害、阻止またはある程度まで遅延させるおよび好ましくは停止させる;(iv)腫瘍転移を阻害しる(ある程度までの遅延および好ましくは停止);(v)腫瘍増殖を阻害しる;(vi)腫瘍の発生および/または再発を予防または遅延させる;および/または(vii)1以上の癌に関連する症状をある程度まで回復させることができる。有効用量は、1回以上の投与で投与される。本発明の目的のために、化合物もしくはその塩または医薬組成物の有効用量は、予防または治療的処置を直接的もしくは間接的に達成するのに十分な量である。化合物もしくはその塩または医薬組成物の有効用量は、他の薬物、化合物または医薬組成物と組み合わせて達成されてもされなくてもよいことが意図され、かつ理解される。従って、「有効用量」は1以上の治療剤を投与するという状況で考慮されることがあり、1以上の他の薬剤と組み合わせて、所望の結果が達成され得るまたは達成されるならば、単一の薬剤が有効量で与えられると見なされ得る。
【0033】
本明細書で使用される用語「個体」は、ヒトを含む哺乳動物である。個体は、限定されないが、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、齧歯類または霊長類を含む。いくつかの実施態様において、個体はヒトである。個体(例えば、ヒト)は進行疾患または低腫瘍負荷のようなより程度の軽い疾患を有するかもしれない。いくつかの実施態様において、個体は増殖性疾患(例えば、癌)の初期段階である。いくつかの実施態様において、個体は増殖性疾患の進行期(例えば、進行期癌)である。
【0034】
「約」について、本明細書に記載の値またはパラメーターは、その値またはパラメーター自体に関する実施態様を含む(または記載する)。例えば、「約X」についての記載は、「X」という記載を含む。
【0035】
本明細書に記載の態様および例はまた、「から成る(consisting of)」および/または「本質的にから成る(consisting essentially of)」態様および例を含むと理解される。
【0036】
化合物
ある態様において、式(I):
【化2】
〔式中、
R
2およびR
4はそれぞれ、独立して、H、R
bまたはオキソであり;
R
3は、独立して、HまたはR
cであり;
各R
bおよびR
cは、独立してC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-NO
2、-C=NH(OR
8)、-C(O)R
8、-OC(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
9R
10、-OC(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)OR
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-C(O)NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-C(O)NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、-P(O)(OR
9)(OR
10)、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリール、C
6-C
14アリール、-(C
1-C
3アルキレン)CN、-(C
1-C
3アルキレン)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)SR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)CF
3、-(C
1-C
3アルキレン)NO
2、-C=NH(OR
8)、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)OR
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-C(O)(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
9)(OR
10)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~12員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~10員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)であり、ここで、各R
bおよびR
cは、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
11、-NR
11R
12、-C(O)R
11、-OC(O)R
11、-C(O)OR
11、-C(O)NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)R
12、-NR
11C(O)OR
12、-S(O)R
11、-S(O)
2R
11、-NR
11S(O)R
12、-C(O)NR
11S(O)R
12、-NR
11S(O)
2R
12、-C(O)NR
11S(O)
2R
12、-S(O)NR
11R
12、-S(O)
2NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)OR
11、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
11、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11C(O)R
12、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11S(O)
2R
12、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
11R
12、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよいC
3-C
8シクロアルキル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい-(C
1-C
3アルキレン)3~6員ヘテロシクリル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい-(C
1-C
3アルキレン)C
3-C
8シクロアルキルまたは場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
【化3】
は単結合または二重結合であり、
【化4】
が二重結合であるとき、R
2はオキソであり;
【化5】
は単結合または二重結合であり、
【化6】
が二重結合であるとき、R
4はオキソであり;
【化7】
および
【化8】
の一方が二重結合であるとき、他方は単結合であり;
AはC
6-C
12アリール、5~10員ヘテロアリール、9~10員炭素環または9~10員ヘテロ環であり、ここで、AのC
6-C
12アリール、5~10員ヘテロアリール、9~10員炭素環または9~10員ヘテロ環は場合によりさらにR
6で置換されていてよく;
Bはフェニル、5~6員ヘテロアリール、5~6員炭素環または9~10員ヘテロアリールであり、ここで、Bのフェニル、5~6員ヘテロアリールまたは9~10員ヘテロアリールは場合によりさらにR
7で置換されていてよく;
R
6はHまたはR
7であり;
各R
7は、独立してオキソ、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-NO
2、-C=NH(OR
8)、-C(O)R
8、-OC(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
9R
10、-OC(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)OR
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-C(O)NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-C(O)NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、-P(O)(OR
9)(OR
10)、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリール、C
6-C
14アリール、-(C
1-C
3アルキレン)CN、-(C
1-C
3アルキレン)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)SR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)CF
3、-(C
1-C
3アルキレン)NO
2、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)OR
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-C(O)(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
9)(OR
10)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~12員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~10員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)であり、ここで、各R
6およびR
7は、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-OR
11、-NR
11R
12、-C(O)R
11、-CN、-S(O)R
11、-S(O)
2R
11、-P(O)(OR
11)(OR
12)、-(C
1-C
3アルキレン)OR
11、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
11、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
11)(OR
12)、C
3-C
8シクロアルキルまたは場合によりオキソ、-OHもしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
各R
8は、独立して水素、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)であり、R
8のC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)および-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)は、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
13、-NR
13R
14、-P(O)(OR
13)(OR
14)、場合によりハロゲンで置換されていてよいフェニルまたは場合によりハロゲン、-OHもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
R
9およびR
10はそれぞれ、独立して水素、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6アリール)であり、ここで、R
9およびR
10のC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)および-(C
1-C
3アルキレン)(C
6アリール)は場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
13、-NR
13R
14または場合によりハロゲン、-OHもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
またはR
9およびR
10は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソ、-OR
13、-NR
3R
14または場合によりハロゲン、オキソもしくは-OHで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成し;
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、水素、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキル、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルケニルまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルキニルであり;
またはR
11およびR
12は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成し;そして
R
13およびR
14はそれぞれ、独立して、水素、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキル、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルケニルまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルキニルであり;
またはR
13およびR
14は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソまたは場合によりオキソもしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成する〕
の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩が提供される。
【0037】
いくつかの実施態様において、式(I):
【化9】
〔式中、
R
2およびR
4はそれぞれ、独立して、H、R
bまたはオキソであり;
R
3は、独立して、HまたはR
cであり;
各R
bおよびR
cは、独立してC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-NO
2、-C=NH(OR
8)、-C(O)R
8、-OC(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
9R
10、-OC(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)OR
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-C(O)NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-C(O)NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、-P(O)(OR
9)(OR
10)、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリール、C
6-C
14アリール、-(C
1-C
3アルキレン)CN、-(C
1-C
3アルキレン)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)SR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)CF
3、-(C
1-C
3アルキレン)NO
2、-C=NH(OR
8)、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)OR
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-C(O)(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
9)(OR
10)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~12員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~10員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)であり、ここで、各R
bおよびR
cは、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
11、-NR
11R
12、-C(O)R
11、-OC(O)R
11、-C(O)OR
11、-C(O)NR
11R
12、-OC(O)NR
11R
12、-NR
11C(O)R
12、-NR
11C(O)OR
12、-S(O)R
11、-S(O)
2R
11、-NR
11S(O)R
12、-C(O)NR
11S(O)R
12、-NR
11S(O)
2R
12、-C(O)NR
11S(O)
2R
12、-S(O)NR
11R
12、-S(O)
2NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)OR
11、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
11、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11C(O)R
12、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11S(O)
2R
12、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
11R
12、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよいC
3-C
8シクロアルキル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい-(C
1-C
3アルキレン)3~6員ヘテロシクリル、場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよい-(C
1-C
3アルキレン)C
3-C
8シクロアルキルまたは場合によりオキソ、-OH、NH
2もしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
【化10】
は単結合または二重結合であり、
【化11】
が二重結合であるとき、R
2はオキソであり;
は単結合または二重結合であり、
【化12】
が二重結合であるとき、R
4はオキソであり;
【化13】
および
【化14】
の一方が二重結合であるとき、他方は単結合であり;
Aは
【化15】
であり、ここで、
【化16】
は単結合または二重結合であり;
X
1はNまたはCR’であり、ここで、R’は-NR
8S(O)
2R
9またはオキソであり;
X
2はN、NR”またはCR”であり、ここで、R”はR
7であり、
またはR’およびR”は、それらが結合している原子と一体となって、1個、2個、3個または4個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成し;
Bはフェニル、5~6員ヘテロアリール、5~6員炭素環または9~10員ヘテロアリールであり、ここで、Bのフェニル、5~6員ヘテロアリールまたは9~10員ヘテロアリールは場合によりR
7でさらに置換されていてよく、
但し、Aが場合により置換されていてよいキノリニル、場合により置換されていてよいイソキノリニル、場合により置換されていてよいキノキサリニル、場合により置換されていてよいシンノリニル、場合により置換されていてよいキナゾリニルまたは場合により置換されていてよいベンゾイミダゾリルであるならば、Bは1個、2個、3個または4個のR
7で置換され、少なくとも1個のR
7は-CNであり、そして
X
1がNであり、X
2がCR”であるならば、Bは1個、2個、3個または4個のR
7で置換され、少なくとも1個のR
7は-CNであり;
R
6はHまたはR
7であり;
各R
7は、独立してオキソ、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-NO
2、-C=NH(OR
8)、-C(O)R
8、-OC(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
9R
10、-OC(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)OR
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-C(O)NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-C(O)NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、-P(O)(OR
9)(OR
10)、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリール、C
6-C
14アリール、-(C
1-C
3アルキレン)CN、-(C
1-C
3アルキレン)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)SR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)CF
3、-(C
1-C
3アルキレン)NO
2、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)OC(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)OR
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
8、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-C(O)(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)R
9、-(C
1-C
3アルキレン)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)NR
8S(O)
2R
9、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
9)(OR
10)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~12員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~10員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)であり、ここで、各R
6およびR
7は、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-OR
11、-NR
11R
12、-C(O)R
11、-CN、-S(O)R
11、-S(O)
2R
11、-P(O)(OR
11)(OR
12)、-(C
1-C
3アルキレン)OR
11、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)C(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)R
11、-(C
1-C
3アルキレン)S(O)
2R
11、-(C
1-C
3アルキレン)P(O)(OR
11)(OR
12)、C
3-C
8シクロアルキルまたは場合によりオキソ、-OHもしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
各R
8は、独立して水素、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)であり、R
8のC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(C
6-C
14アリール)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)および-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)は、独立して、場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
13、-NR
13R
14、-P(O)(OR
13)(OR
14)、場合によりハロゲンで置換されていてよいフェニルまたは場合によりハロゲン、-OHもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
R
9およびR
10はそれぞれ、独立して水素、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)NR
11R
12、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)または-(C
1-C
3アルキレン)(C
6アリール)であり、ここで、R
9およびR
10のC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
6シクロアルキル、C
6-C
14アリール、5~6員ヘテロアリール、3~6員ヘテロシクリル、-(C
1-C
3アルキレン)(C
3-C
6シクロアルキル)、-(C
1-C
3アルキレン)(3~6員ヘテロシクリル)、-(C
1-C
3アルキレン)(5~6員ヘテロアリール)および-(C
1-C
3アルキレン)(C
6アリール)は場合によりハロゲン、オキソ、-CN、-OR
13、-NR
13R
14または場合によりハロゲン、-OHもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよく;
またはR
9およびR
10は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソ、-OR
13、-NR
3R
14または場合によりハロゲン、オキソもしくは-OHで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成し;
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、水素、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキル、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルケニルまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルキニルであり;
またはR
11およびR
12は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成し;そして
R
13およびR
14はそれぞれ、独立して、水素、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
1-C
6アルキル、場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルケニルまたは場合によりハロゲンもしくはオキソで置換されていてよいC
2-C
6アルキニルであり;
またはR
13およびR
14は、それらが結合している原子と一体となって、場合によりハロゲン、オキソまたは場合によりオキソもしくはハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルで置換されていてよい3~6員ヘテロシクリルを形成する〕
の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩が提供される。
【0038】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R’およびR”は両者がオキソではない。
【0039】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、X1がCR’であり、X2がNR”であるとき、Bは非置換である。
【0040】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R’およびR”が、それらが結合している原子と一体となって、1個、2個、3個または4個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成するならば、Bは1個、2個、3個または4個のR7で置換され、少なくとも1個のR7は-CNである。いくつかの実施態様において、R’およびR”が、それらが結合している原子と一体となって、1個、2個または3個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成するならば、Bは1個、2個、3個または4個のR7で置換され、少なくとも1個のR7は-CNである。いくつかの実施態様において、R’およびR”が、それらが結合している原子と一体となって、1個または2個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成するならば、Bは1個、2個、3個または4個のR7で置換され、少なくとも1個のR7は-CNである。
【0041】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、化合物は、表1Xの化合物以外の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの塩である。
【表1】
【0042】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Ra、RbおよびRcは、独立してC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-C(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、-NR8C(O)NR9R10、-S(O)R8、-S(O)2R8、-NR8S(O)R9、-NR8S(O)2R9、-S(O)NR9R10、-S(O)2NR9R10、C3-C6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC6-C14アリールである。
【0043】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、Ra、RbおよびRcは、独立してC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-C(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、C3-C6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC6-C14アリールである。
【0044】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、RbおよびRcは、独立してC1-C6アルキル、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8または-NR9R10である。
【0045】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、RbおよびRcは、独立して-CH3、ハロゲン、-CNまたは-OCH3である。
【0046】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R2はH、オキソ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-C(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、-C(O)OR8、-(C1-C3アルキレン)NR9R10、-NR8C(O)NR9R10、-S(O)R8、-S(O)2R8、-NR8S(O)R9、-NR8S(O)2R9、-S(O)NR9R10、-S(O)2NR9R10、C3-C6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC6-C14アリールである。いくつかの実施態様において、R2はH、C1-C6アルキル、ハロゲン、-CNまたは-OR8である。いくつかの実施態様において、R2はH、オキソ、ハロゲン、-OR8、-C(O)NR9R10、-C(O)OR8または-(C1-C3アルキレン)NR9R10である。いくつかの実施態様において、R2はH、オキソ、ハロゲン、-CN、C1-C6アルキル、-OR8、-C(O)NR9R10、-C(O)OR8または-(C1-C3アルキレン)NR9R10である。いくつかの実施態様において、R2はHである。いくつかの実施態様において、R2はオキソである。いくつかの実施態様において、R2はハロゲンである。いくつかの実施態様において、R2は-OR8である。いくつかの実施態様において、R2は-C(O)NR9R10である。いくつかの実施態様において、R2は-C(O)OR8である。いくつかの実施態様において、R2は-(C1-C3アルキレン)NR9R10である。
【0047】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R
2はH、オキソ、ブロモ、メトキシ、-CN、
【化17】
からなる群から選択される。
【0048】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R4はH、オキソ、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-C(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、-NR8C(O)NR9R10、-S(O)R8、-S(O)2R8、-NR8S(O)R9、-NR8S(O)2R9、-S(O)NR9R10、-S(O)2NR9R10、C3-C6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC6-C14アリールである。いくつかの実施態様において、R4はC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-C(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、C3-C6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC6-C14アリールである。いくつかの実施態様において、R4はH、オキソ、C1-C6アルキル、ハロゲン、-CN、-OR8または-NR9R10である。いくつかの実施態様において、R4はHである。いくつかの実施態様において、R4はオキソである。いくつかの実施態様において、R4はC1-C6アルキルである。いくつかの実施態様において、R4はハロゲンである。いくつかの実施態様において、R4は-CNである。いくつかの実施態様において、R4は-OR8である。いくつかの実施態様において、R4は-NR9R10である。
【0049】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R
3はH、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-C(O)NR
9R
10、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC
6-C
14アリールである。いくつかの実施態様において、R
3はC
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-C(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC
6-C
14アリールである。いくつかの実施態様において、R
3はC
1-C
6アルキル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8または-NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
3は-CH
3、ハロゲン、-CNまたは-OCH
3である。いくつかの実施態様において、R
3はHまたはメチルである。いくつかの実施態様において、R
3はH、C
1-C
6アルキル、ハロゲン、-CNまたは-OR
8である。いくつかの実施態様において、R
3はH、ハロゲン、-CN、C
1-C
6アルキル、-OR
8、-C(O)NR
9R
10、-C(O)OR
8または-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
3はH、-CN、-C(O)NR
9R
10または-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
3はHである。いくつかの実施態様において、R
3は-CNである。いくつかの実施態様において、R
3は-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
3は-C(O)NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
3はH、-CN、
【化18】
からなる群から選択される。
【0050】
式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R2およびR3はそれぞれHであり、R4はオキソである。式(I)の化合物のいくつかの実施態様において、R3およびR4はそれぞれHであり、R2はオキソである。
【0051】
いくつかの実施態様において、式(II)
【化19】
〔式中、A、B、R
3およびR
4は式(I)について定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩が提供される。
【0052】
式(I)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、R4はH、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-C(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、-NR8C(O)NR9R10、-S(O)R8、-S(O)2R8、-NR8S(O)R9、-NR8S(O)2R9、-S(O)NR9R10、-S(O)2NR9R10、C3-C6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC6-C14アリールである。いくつかの実施態様において、R4はC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-C(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、C3-C6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC6-C14アリールである。いくつかの実施態様において、R4はH、C1-C6アルキル、ハロゲン、-CN、-OR8または-NR9R10である。いくつかの実施態様において、R4はHである。いくつかの実施態様において、R4はC1-C6アルキルである。いくつかの実施態様において、R4はハロゲンである。いくつかの実施態様において、R4は-CNである。いくつかの実施態様において、R4は-OR8である。いくつかの実施態様において、R4は-NR9R10である。
【0053】
式(II)の化合物のいくつかの実施態様において、R3およびR4の少なくとも一方はHではない。いくつかの実施態様において、R3およびR4の少なくとも一方はC1-C6アルキル、ハロゲン、C6-C14アリール、-CNまたは-OR8である。いくつかの実施態様において、R3およびR4はそれぞれHである。
【0054】
いくつかの実施態様において、式(III):
【化20】
〔式中、A、B、R
2およびR
3は式(I)について定義されるとおりである〕
の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩が提供される。
【0055】
式(I)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、R
2はH、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、ハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-C(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、-NR
8S(O)R
9、-NR
8S(O)
2R
9、-S(O)NR
9R
10、-S(O)
2NR
9R
10、C
3-C
6シクロアルキル、3~12員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールまたはC
6-C
14アリールである。いくつかの実施態様において、R
2はH、C
1-C
6アルキル、ハロゲン、-CNまたは-OR
8である。いくつかの実施態様において、R
2はH、オキソ、ハロゲン、-OR
8、-C(O)NR
9R
10、-C(O)OR
8または-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
2はH、ハロゲン、-CN、C
1-C
6アルキル、-OR
8、-C(O)NR
9R
10、-C(O)OR
8、-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
2はHである。いくつかの実施態様において、R
2はハロゲンである。いくつかの実施態様において、R
2は-OR
8である。いくつかの実施態様において、R
2は-C(O)NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
2は-C(O)OR
8である。いくつかの実施態様において、R
2は-(C
1-C
3アルキレン)NR
9R
10である。いくつかの実施態様において、R
2はH、ブロモ、メトキシ、-CN、
【化21】
からなる群から選択される。
【0056】
式(III)の化合物のいくつかの実施態様において、R2およびR3の少なくとも一方はHではない。いくつかの実施態様において、R2およびR3の少なくとも一方はC1-C6アルキル、ハロゲン、C6-C14アリール、-CNまたは-OR8。いくつかの実施態様において、R2およびR3はそれぞれHである。
【0057】
式(I)、(II)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、X1はNである。いくつかの実施態様において、X1はCR’である。いくつかの実施態様において、R’は-NR8S(O)2R9である。これらの実施態様のいくつかにおいて、R’はオキソである。いくつかの実施態様において、R’は-C(O)NR9R10または-NR8S(O)R9である。いくつかの実施態様において、R’は-C(O)NR9R10である。いくつかの実施態様において、R’は-C(O)NH2である。
【0058】
式(I)、(II)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、X2はNR”またはCR”である。いくつかの実施態様において、X2はNである。いくつかの実施態様において、X2はNR”である。いくつかの実施態様において、X2はCR”である。これらの実施態様のいくつかにおいて、R”はC1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキル、ハロゲンである。
【0059】
式(I)、(II)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、X1はNであり、X2はNR”である。いくつかの実施態様において、X1はNであり、X2はCR”。いくつかの実施態様において、X1はCR’であり、X2はCR”であるかまたはR’およびR”は、それらは結合している原子と一体となって、1個、2個、3個または4個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成し。いくつかの実施態様において、X1はCR’であり、X2はNR”である。いくつかの実施態様において、X1はCR’であり、X2はNである。いくつかの実施態様において、X1はCR’であり、X2はCR”である。いくつかの実施態様において、X1はCR’であり、X2はCR”およびR’およびR”は、それらは結合している原子と一体となって、1個、2個、3個または4個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成しである。いくつかの実施態様において、X1はCR’であり、X2はCR”であり、R’およびR”は、それらが結合している原子と一体となって、1個または2個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成するである。
【0060】
式(I)、(II)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、A
は
【化22】
であり、この各々は、場合によりR
6で置換されていてよい。
【0061】
式(I)、(II)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、R’およびR”は、それらが結合している原子と一体となって、1個、2個、3個または4個のN原子を含む5員または6員ヘテロアリール環を形成し;Bはフェニル、5~6員ヘテロアリール、5~6員炭素環または9~10員ヘテロアリールであり、ここで、Bのフェニル、5~6員ヘテロアリールまたは9~10員ヘテロアリールは場合によりR
7でさらに置換されていてよい。いくつかの実施態様において、Aは置換キノリニル、場合により置換されていてよいイソキノリニル、場合により置換されていてよいキノキサリニル、場合により置換されていてよいシンノリニル、場合により置換されていてよいキナゾリニルまたは場合により置換されていてよいベンゾイミダゾリルであり;Bはフェニル、5~6員ヘテロアリール、5~6員炭素環または9~10員ヘテロアリールであり、ここで、Bのフェニル、5~6員ヘテロアリールまたは9~10員ヘテロアリールは場合によりR
7でさらに置換されていてよい。いくつかの実施態様において、Aは
【化23】
であり;およびBはフェニル、5~6員ヘテロアリール、5~6員炭素環または9~10員ヘテロアリールであり、ここで、Bのフェニル、5~6員ヘテロアリールまたは9~10員ヘテロアリールは場合によりR
7でさらに置換されていてよい。いくつかの実施態様において、Aは
【化24】
であり;およびBはフェニル、5~6員ヘテロアリール、5~6員炭素環または9~10員ヘテロアリールであり、ここで、Bのフェニル、5~6員ヘテロアリールまたは9~10員ヘテロアリールは場合によりR
7でさらに置換されていてよい。
【0062】
いくつかの実施態様において、次の何れかの式の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩が提供される。
【表2】
【表3】
ここで、R
2、R
3、R
4、R
6およびBは式(I)について定義されるとおりであり、M
1、M
2、M
3およびM
4はそれぞれ、独立してN、NHまたはCHである。いくつかの実施態様において、M
1、M
2、M
3およびM
4はそれぞれ、独立してO、S、N、NHまたはCHである。
【0063】
いくつかの実施態様において、R6は、H、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-NO2、-C(O)R8、-C(O)OR8、-C(O)NR9R10、-C(O)NR8S(O)2R9、-OC(O)R8、-OC(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、-NR8C(O)NR9R10、-S(O)R8、-S(O)2R8、C3-C6シクロアルキルおよび場合によりハロゲンで置換されていてよいC1-C6アルキルから成る群から選択される。いくつかの実施態様において、R6は、H、C1-C6アルキル、ハロゲン、-CNおよび-OR8から成る群から選択される。いくつかの実施態様において、R6は、H、C1-C6アルキル、ハロゲン、-CNおよび-OR8から成る群から選択される。いくつかの実施態様において、R6は、H、C1-C6アルキル、-OR8およびハロゲンから成る群から選択される。いくつかの実施態様において、R6はHである。いくつかの実施態様において、R6はメチル、エチル、イソプロピルまたはn-プロピルなどのC1-C6アルキルである。いくつかの実施態様において、R6はハロゲンである。いくつかの実施態様において、R6は-OR8である。
【0064】
いくつかの実施態様において、R’は-NR8S(O)2R9である。いくつかの実施態様において、R’はオキソである。いくつかの実施態様において、R’は-NR8S(O)2R9であり、ここで、R8はHであり、R9はC1-C6アルキルである。
【0065】
いくつかの実施態様において、R”は、ハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-NO2、-C(O)R8、-C(O)OR8、-C(O)NR9R10、-C(O)NR8S(O)2R9、-OC(O)R8、-OC(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、-NR8C(O)NR9R10、-S(O)R8、-S(O)2R8、C3-C6シクロアルキル、場合によりハロゲンで置換されていてよいC1-C6アルキル、-(C1-C3アルキレン)(C3-C6シクロアルキル)、-(C1-C3アルキレン)(3~12員ヘテロシクリル)、-(C1-C3アルキレン)(5~10員ヘテロアリール)および-(C1-C3アルキレン)(C6-C14アリール)から成る群から選択される。いくつかの実施態様において、R”は、ハロゲン、C3-C6シクロアルキル、場合によりハロゲンで置換されていてよいC1-C6アルキルおよび-(C1-C3アルキレン)(C6-C14アリール)から成る群から選択される。
【0066】
式(I)、(II)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、Aは
【化25】
から成る群から選択される。
【0067】
各々のおよび全ての組合せが具体的にかつ個別に列挙されるのと同様に、R2~R4の各記載はAの各記載と組み合わせられ得ると理解される。各々のおよび全ての組合せが具体的にかつ個別に列挙されるのと同様に、Aの各記載はBの各記載(およびさらにR2~R4の各記載)と組み合わせられ得ると、同様に理解される。例えば、ある態様において、例えば、ある態様において、ある態様におけるAの各記載は、R3、R4がそれぞれ水素であり、R2およびR4の一方が水素であり、R2およびR4の一方がオキソである一例と組み合わせられ得ると理解される。このようなある一例において、ある態様におけるAの各記載は、R2、R3がそれぞれ水素であり、R4がオキソである一例と組み合わせられ得る。別のこのような一例において、ある態様におけるAの各記載は、R3、R4がそれぞれ水素であり、R2がオキソである一例と組み合わせられ得る。このような実施態様はBの各記載とさらに組み合され得る。
【0068】
いくつかの実施態様において、Bは、場合によりR7でさらに置換されていてよいフェニルである。いくつかの実施態様において、Bは、非置換フェニルである。いくつかの実施態様において、Bは、1以上のR7で置換されているフェニルである。いくつかの実施態様において、Bは、R7で置換されている5~6員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Bは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルまたはテトラジニルであり、それぞれ、場合によりR7で置換されていてよい。いくつかの実施態様において、Bは、フラニル、ピリジニル、オキサゾイルまたはオキサジアゾイルであり、それぞれ、場合によりR7で置換されていてよい。
【0069】
いくつかの実施態様において、Bは、場合によりR7でさらに置換されていてよい9~10員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Bは、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾイル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、トリアゾロピリジニル、フロピリジニル、オキサゾロピリジニル、イソキサゾロピリジニル、オキサジアゾロピリジニル、チエノピリジニル、チアゾロピリジニル、イソチアゾロピリジニル、チアジアゾロピリジニル、チエノピリジニル、フタラジニル、ピラゾロチアゾリル、ピラゾロチアゾリルおよびイミダゾチアゾリルからなる群から選択され、それぞれ、場合によりR7で置換されていてよい。これらの実施態様のいくつかにおいて、このような基は非置換である。これらの実施態様のいくつかにおいて、このような基は、同一でも異なっていてもよい1~3個のR7で置換される。いくつかの実施態様において、Bは、場合によりハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-NO2、-C(O)R8、-C(O)OR8、-C(O)NR9R10、-C(O)NR8S(O)2R9、-OC(O)R8、-OC(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、-NR8C(O)NR9R10、-S(O)R8、-S(O)2R8、C3-C6シクロアルキルおよび場合によりハロゲンで置換されていてよいC1-C6アルキルから成る群から選択される1以上の基で置換されていてよい9~10員ヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、Bは場合によりハロゲンで置換されていてよい9~10員ヘテロアリールである。
【0070】
いくつかの実施態様において、R7は、独立してハロゲン、-CN、-OR8、-SR8、-NR9R10、-NO2、-C(O)R8、-C(O)OR8、-C(O)NR9R10、-C(O)NR8S(O)2R9、-OC(O)R8、-OC(O)NR9R10、-NR8C(O)R9、-NR8C(O)NR9R10、-S(O)R8、-S(O)2R8、C3-C6シクロアルキルおよび場合によりハロゲンで置換されていてよいC1-C6アルキルから成る群から選択される。いくつかの実施態様において、R7は、独立してハロゲン、-CNまたは場合によりハロゲンで置換されていてよいC1-C6アルキルである。いくつかの実施態様において、R7はハロゲンである。いくつかの実施態様において、R7は場合によりハロゲンで置換されていてよいC1-C6アルキルである。いくつかの実施態様において、R7は-CNである。
【0071】
いくつかの実施態様において、Bは
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
からなる群から選択される。
【0072】
いくつかの実施態様において、Bは
【化30】
から成る群から選択され、その各々は場合によりR
7で置換されていてよい。いくつかの実施態様において、R
7は、独立してハロゲン、-CN、-OR
8、-SR
8、-NR
9R
10、-NO
2、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
9R
10、-C(O)NR
8S(O)
2R
9、-OC(O)R
8、-OC(O)NR
9R
10、-NR
8C(O)R
9、-NR
8C(O)NR
9R
10、-S(O)R
8、-S(O)
2R
8、C
3-C
6シクロアルキルおよび場合によりハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルから成る群から選択される。いくつかの実施態様において、R
7は、独立してハロゲン、-CNまたは場合によりハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルである。いくつかの実施態様において、R
7はハロゲンである。いくつかの実施態様において、R
7は場合によりハロゲンで置換されていてよいC
1-C
6アルキルである。いくつかの実施態様において、R
7は-CNである。いくつかの実施態様において、Bは1個、2個、3個または4個のR
7で置換され、少なくとも1個のR
7は-CNである。
【0073】
いくつかの実施態様において、Bは
【化31】
からなる群から選択される。式(I)、(II)または(III)の化合物のいくつかの実施態様において、Bは
【化32】
である。いくつかの実施態様において、Bは
【化33】
である。
【0074】
本明細書の記載において、部分の全ての記載、一例、実施態様または態様は、各々のおよび全ての組合せが具体的にかつ個別に列挙されるのと同様に、他の部分の全ての記載、一例、実施態様または態様と組み合わせられ得ると理解される。例えば、式(I)のBについて本明細書において提供される全ての記載、一例、実施態様または態様は、各々のおよび全ての組合せが具体的にかつ個別に列挙されるのと同様に、R2、R3、R4、Aの記載、一例、実施態様または態様と組み合わせられ得る。式(I)の全ての記載、一例、実施態様または態様は、適用可能な場合、各々のおよび全ての記載、一例、実施態様または態様が具体的にかつ個別に全ての式について列挙されるのと同様に、本明細書に記載の他の式を同等に適用し、同等に記載されることもまた、理解される。例えば、式(I)の全ての記載、一例、実施態様または態様は、適用可能な場合、各々のおよび全ての記載、一例、実施態様または態様が具体的にかつ個別に全ての式について列挙されるのと同様に、本明細書に記載の式(I-1)-(I-7)、II、(II-1)-(II-7)、(III)および(III-1)-(III-7)などの関連する式に適用される。
【0075】
本明細書で言及される化合物の塩、例えば薬学的に許容される塩もまた、提供される。本発明はまた、記載される化合物のあらゆるエナンチオマー形態またはジアステレオマー形態およびあらゆる互変異性体または他の形態を含む、任意のまたは全ての立体化学形態を含む。
【0076】
ある態様において、本明細書に記載の化合物は精製された形態であり得て、精製された形態の化合物を含む組成物が、本明細書に記載される。実質的に純粋な化合物の組成物のような本明細書に記載の化合物またはその塩を含む組成物が、提供される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の化合物またはその塩を含む組成物は、実質的に純粋な形態である。特に断らない限り、「実質的に純粋」とは、35%以下の不純物を含む組成物を意図し、ここで不純物とは、組成物の大部分を構成する化合物以外の化合物またはその塩を示す。いくつかの実施態様において、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供され、ここで前記組成物は25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下の不純物を含む。いくつかの実施態様において、実質的に純粋な化合物またはその塩の組成物が提供され、ここで前記組成物は組成物中に3%以下、2%以下、1%以下または0.5%以下の不純物を含む。
【0077】
代表的な化合物を表1に列挙する。示されていなければ、個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーが包含され、それらの対応する構造は、そこから容易に決定され得ると理解される。
【表4-1】
【表4-2】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
さらなる代表的化合物を表2に挙げる。記載されていなくても、個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーがここに包含され、その対応する構造はそこから容易に決定され得ることは理解される。
【表5-1】
【0099】
【0100】
【0101】
いくつかの実施態様において、表1に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩およびそれらの使用が、ここに提供される。いくつかの実施態様において、表2に記載の化合物またはその互変異性体または異性体または前記いずれかの薬学的に許容される塩およびそれらの使用が、ここに提供される。
【0102】
本明細書に記載の実施態様および例は、利用可能な場合、本明細書で説明されるあらゆる式の化合物について適切である。
【0103】
本発明による中間体および最終化合物を含む本明細書に記載の化合物の代表的な例が、ここに示される。いずれかの化合物は、利用可能な場合、単離され、かつ個体に投与され得る中間体化合物を含む、本明細書で説明される方法において使用され得ると理解される。
【0104】
本明細書に示される化合物は、示されていないとしても、塩として提示してよく、本発明は、当業者により十分に理解されるように、本明細書に示される化合物の全ての塩および溶媒和物ならびに化合物の非塩および非溶媒和物形態を包含すると理解される。いくつかの実施態様において、ここに提供される化合物の塩は、薬学的に許容される塩である。化合物中に1以上の三級アミン部分が存在する場合、N-オキシドもまた提供され、記載される。
【0105】
本明細書に記載のいずれかの化合物について互変異性形態が存在し得る場合、1個またはいくつかの互変異性形態のみが明確に示されていても、各々および全ての変異性形態が意図される。具体的に示された互変異性形態は、溶液中でまたは本明細書に記載の方法により使用されるとき、優占形態であってもよく、優占形態でなくてもよい。
【0106】
本発明はまた、記載される化合物のいずれかのエナンチオマーまたはジアステレオマー形態を含む、任意のまたは全ての立体化学形態を含む。構造または名称は、示された化合物の全ての可能性のある異性体を包含することを意図する。
【0107】
さらに、構造または名称は、本明細書に記載の化合物の互変異性形態を包含することを意図する。例えば、R
1が水素であるとき、式(II)の互変異性体は、式(IIa):
【化34】
である。同様に、R
1が水素であるとき、式(III)の互変異性体は、式(IIIa):
【化35】
である。
【0108】
化合物の結晶または非結晶形態のような化合物の全ての形態もまた、本発明により包含される。特定の立体化学形態を含む実質的に純粋な化合物の組成物、またはラセミまたは非ラセミ混合物のような2以上の立体化学形態を含む本発明の化合物の混合物を任意の割合で含む組成物のような、本発明の化合物を含む組成物もまた、意図される。
【0109】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物の同位体標識形態および/または同位体富化形態を意図する。本明細書の化合物は、このような化合物を構築する原子の1以上に非天然割合の原子同位体を含み得る。いくつかの実施態様において、化合物は、1以上の原子の一部が同一原子の同位体により置換されている、同位体標識した本明細書に記載の式(I)の化合物またはその一例体のように同位体標識される。本発明の化合物に包含され得る典型的な同位体は、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15O、17O、32P、35S、18F、36Clのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、塩素の同位体を含む。特定の同位体標識化合物(例えば3Hおよび14C)は、化合物または基質組織分布試験に有用である。重水素(2H)のようなより重い同位体の取り込みは、より高い代謝安定性、例えばインビボ半減期の増加または必要用量の低減に由来する特定の治療的利点を提供でき、従って、いくつかの場合において好ましいことがある。
【0110】
同位体標識した本発明の化合物は、一般に、当業者に知られる方法および技術または対応する標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬に置き換えた添付の実施例に記載されるものと類似の手順により製造され得る。
【0111】
本発明は、記載の化合物のいずれかの何らかのまたは全ての代謝物を含む。代謝物は、ヒトへの投与後にインビボで生じ得るような、化合物の中間体および代謝産生物のような、記載の化合物のいずれかの生体内変化により生じる任意の化学種を含み得る。
【0112】
本明細書に記載の化合物またはその塩または溶媒和物を適切な容器に含む製品が提供される。容器はバイアル、広口瓶、アンプル、プレロードシリンジ、i.v.バッグなどであり得る。
【0113】
好ましくは、本明細書で説明される化合物は、経口的に生体利用可能である。しかしながら、化合物はまた、非経腸(例えば、静脈内)投与のために製剤され得る。
【0114】
本明細書に記載される1個またはいくつかの化合物は、化合物または有効成分としての化合物を当分野において既知の薬理学的に許容される担体と組み合わせることによる医薬の製造に使用され得る。薬物療法の治療形態により、担体は異なる形態で存在し得る。ある一例において、医薬の製造は、本明細書に記載の方法のいずれかに使用するため、例えば、癌の処置のためのものである。
【0115】
一般的合成法
本発明の化合物は、以下に一般的に記載され、下記の実施例(例えば、以下の実施例で提供されるスキーム)により具体的に記載されるように、多くの工程により製造され得る。以下の工程の記載において、示された式中で使用される記号は本明細書の式に関する上記のそれらの基を表すと理解されるべきである。
【0116】
化合物の特定のエナンチオマーを得ることが必要な場合、これはエナンチオマーを分離または分割するための任意の適切な従来法を用いて対応するエナンチオマーの混合物から達成され得る。従って、例えばジアステレオマー誘導体はエナンチオマー混合物、例えばラセミ体と適切なキラル化合物の反応により製造され得る。ジアステレオマーは、その後任意の適した手法、例えば結晶化により分離され得て、所望のエナンチオマーが回収され得る。別の分割プロセスにおいて、ラセミ体はキラル高速液体クロマトグラフィーを用いて分割され得る。あるいは、所望ならば、特定のエナンチオマーは、記載されるプロセスの1つにおいて、適切なキラル中間体を用いて得られ得る。
【0117】
化合物の特定の異性体を得ることまたは別の方法で反応生成物を精製することを望む場合、クロマトグラフィー、再結晶および他の従来の分離法はまた、中間体または最終生成物とともに使用され得る。
【0118】
ここに提供される化合物の溶媒和物および/もしくは多形またはその薬学的に許容される塩もまた、企図される。溶媒和物は化学量論または非化学量論量の溶媒を含み、結晶化のプロセス中にしばしば形成される。溶媒が水であるとき、水和物が形成される、または溶媒がアルコールであるとき、アルコラートが形成される。多形は、化合物の同一の元素組成物の異なる結晶充填配置を含む。多形は通常、種々のX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学的および電気的性質、安定性ならびに/または溶解度を有する。再結晶溶媒、結晶化速度および保存温度のような多様な因子が、単結晶形態を支配し得る。
【0119】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は、スキーム1、2、3、4または5に従って合成され得る。
スキーム1
【化36】
式中、AおよびBは、本明細書に記載される式(I)について定義されるとおりであるか、そのいずれかの一例である。スキーム1の変更、例えば示された構造のさらなる置換が実施され得ると理解される。具体的な例が、下の実施例の項に提供される。
【0120】
スキーム2
【化37】
式中、AおよびBは、本明細書に記載される式(I)について定義されるとおりであるか、そのいずれかの一例である。スキーム2の変更、例えば示された構造のさらなる置換が実施され得ると理解される。具体的な例が、下の実施例の項に提供される。
【0121】
スキーム3
【化38】
式中、A、BおよびR
3は、本明細書に記載される式(I)について定義されるとおりであるか、そのいずれかの一例である。スキーム3の変更、例えば示された構造のさらなる置換が実施され得ると理解される。具体的な例が、下の実施例の項に提供される。
【0122】
スキーム4
【化39】
式中、A、B、R
2およびR
3は、本明細書に記載される式(I)について定義されるとおりであるか、そのいずれかの一例である。スキーム4の変更、例えば示された構造のさらなる置換が実施され得ると理解される。具体的な例が、下の実施例の項に提供される。
【0123】
スキーム5
【化40】
式中、A、BおよびR
2は、本明細書に記載される式(I)について定義されるとおりであるか、そのいずれかの一例である。スキーム4の変更、例えば示された構造のさらなる置換が実施され得ると理解される。具体的な例が、下の実施例の項に提供される。
【0124】
一般合成スキーム1、スキーム2、スキーム3、スキーム4、スキーム5は、当業者に明確に知られている工程を含む合成経路を示し、ここに記載の式(I)の化合物中に記載される置換基は、示された工程で使用される適切な出発物質および試薬の選択とともに変化し得ると理解される。
【0125】
医薬組成物および製剤
本明細書で説明されるいずれかの化合物の医薬組成物は、本発明により包含される。従って、本発明は、本明細書で説明される化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を含む。ある態様において、薬学的に許容される塩は、無機酸または有機酸と形成される塩のような酸付加塩である。医薬組成物は、経口、舌下、非経腸、経鼻、局所または直腸投与に適切な形態または吸入による投与に適切な形態をとり得る。
【0126】
本明細書で説明される化合物は、ある態様において、精製された形態で存在し得て、精製された形態の化合物を含む組成物が、本明細書で説明される。実質的に純粋な化合物の組成物のような、本明細書で説明される化合物またはその塩を含む組成物が提供される。いくつかの実施態様において、本明細書で説明される化合物またはその塩を含む組成物は、実質的に純粋な形態である。
【0127】
ある一例において、本明細書に記載の化合物は、個体への投与のために製造された合成化合物である。別の一例において、実質的に純粋な形態の化合物を組成物が提供される。別の一例において、本発明は、本明細書に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を包含する。別の一例において、化合物を投与する方法が提供される。精製された形態、医薬組成物および化合物を投与する方法は、本明細書に記載のあらゆる化合物またはその形態に適切である。
【0128】
本明細書に記載の化合物またはその塩は、経口、粘膜(例えば、経鼻、舌下、膣、舌下または直腸)、非経腸(例えば、筋肉内、皮下または静脈内)、局所または経皮送達形態を含む任意の利用可能な送達経路のために製剤され得る。化合物またはその塩は、限定されないが、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(硬ゼラチンカプセル剤または軟ゼラチンカプセル剤)、カシェー剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、ガム剤、分散剤、坐剤、軟膏剤、パップ剤(湿布剤)、ペースト剤、粉末剤、包帯剤、クリーム剤、溶液剤、パッチ剤、エアロゾル剤(例えば、経鼻スプレーまたは吸入器)、ゲル、懸濁剤(例えば、水性または非水性液体懸濁剤、水中油型エマルジョン剤または油中水型液体エマルジョン剤)、溶液剤およびエリキシル剤を含む送達形態を提供する。
【0129】
本明細書に記載の1個もしくは数個の化合物またはその塩は、有効成分としての化合物または複数の化合物またはその塩を上記の薬学的に許容される担体と組み合わせることにより、医薬製剤のような製剤の製造に使用され得る。系の治療形態(例えば、経皮パッチと経口錠剤)により、担体は多様な形態であり得る。さらに、医薬製剤は防腐剤、可溶化剤、安定化剤、再湿潤剤、乳化剤、甘味剤、染色剤、調整剤および浸透圧調整のための塩、緩衝液、コーティング剤または抗酸化剤を含み得る。化合物を含む製剤はまた、貴重な治療的特性を有する他の物質を含み得る。医薬製剤は既知の医薬的手法により製造され得る。適切な製剤は、例えば、参照により本明細書に包含させるRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, PA, 20th ed. (2000)において見ることができる。
【0130】
本明細書に記載の化合物は、錠剤、コーティング錠剤および硬殻または軟殻ゲルカプセル剤、エマルジョン剤または懸濁剤のような一般的に許容される経口組成物の形態で個体に投与され得る。このような組成物の製造に使用され得る担体の例は、ラクトース、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などである。軟殻ゲルカプセルについて許容される担体は、例えば、植物油、ワックス、脂質、半固体および液体ポリオールなどである。さらに、医薬製剤はまた、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、再湿潤剤、乳化剤、甘味剤、染色剤、調整剤および浸透圧調整のための塩、緩衝液、コーティング剤または抗酸化剤を含み得る。
【0131】
本明細書に記載の化合物の何れも、記載される任意の用量形態で錠剤に製剤され得る。例えば、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩は、10mg錠剤として製剤され得る。
【0132】
本明細書に記載の化合物を含む組成物もまた、記載される。ある一例において、組成物は化合物またはその塩および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。別の一例において、実質的に純粋な化合物の組成物が提供される。
【0133】
使用方法
ここに提供される任意の式の化合物またはその塩および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物のような本明細書で説明される化合物および組成物が、ここに提供される、投与方法および処置方法で使用され得る。化合物および組成物はまた、スクリーニング目的のためにおよび/または品質制御アッセイを行うために化合物または組成物を細胞に投与するインビトロの方法のような、インビトロの方法で使用される。
【0134】
有効量の式(I)の化合物またはその任意の実施態様、例もしくは態様(まとめて、式(I)の化合物または本発明の化合物または本明細書で説明または記載される化合物)またはその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、個体における疾患の処置方法が、ここに提供される。いくつかの実施態様において、有効量の式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路により介在される疾患の処置方法が、ここに提供される。いくつかの実施態様において、疾患はクラスA Gタンパク質共役受容体により介在される。いくつかの実施態様において、疾患はクラスB Gタンパク質共役受容体により介在される。いくつかの実施態様において、疾患はクラスC Gタンパク質共役受容体により介在される。いくつかの実施態様において、Gタンパク質共役受容体はプリン作動性タンパク質受容体である。いくつかの実施態様において、Gタンパク質共役受容体は、A1、A2A、A2BおよびA3受容体のようなアデノシン受容体である。
【0135】
本発明の化合物またはその塩は、多様な疾患および障害の処置に有効であると考えられる。例えば、いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、癌のような増殖性疾患を処置するために使用され得る。いくつかの実施態様において、癌は固形腫瘍である。いくつかの実施態様において、癌は、成人および小児腫瘍、粘液型円形細胞癌、局所進行腫瘍、転移癌、ユーイング肉腫を含むヒト軟組織肉腫、リンパ性転移を含む癌転移、扁平上皮細胞癌、特に頭頸癌、食道扁平上皮細胞癌、口腔癌、多発性骨髄腫を含む赤血球悪性腫瘍、急性リンパ性白血病、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病および有毛細胞白血病を含む白血病、滲出性リンパ腫(体腔性リンパ腫)、小細胞癌を含む胸腺リンパ腫肺癌、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、副腎皮質含、ACTH産生腫瘍、非小細胞癌、小細胞癌および腺管癌を含む乳癌、胃癌、結腸癌、結腸直腸癌、結腸直腸腫瘍に関連するポリープ、膵臓癌、肝臓癌を含む消化器癌、原発性表在性膀胱腫瘍を含む膀胱癌を含む尿路癌、膀胱の侵襲性移行細胞癌、および筋層浸潤性膀胱癌、前立腺癌、卵巣癌を含む女性生殖管悪性腫瘍、原発性腹膜上皮性腫瘍、子宮頸癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰癌、子宮癌および卵胞内固形腫瘍、精巣癌および陰茎癌を含む男性生殖管悪性腫瘍、腎細胞癌を含む腎臓癌、内因性脳腫瘍を含む脳癌、神経芽腫、星状脳腫瘍、神経膠腫、中枢神経系における転移腫瘍細胞侵襲、骨腫および骨肉腫を含む骨癌、黒色腫を含む皮膚癌、ヒト皮膚ケラチン生成細胞の腫瘍悪化、扁平上皮細胞癌、甲状腺癌、網膜芽細胞腫、神経芽腫、腹膜滲出液、悪性胸水、中皮腫、ウィルムス腫瘍、胆嚢癌、絨毛性腫瘍、血管外皮腫ならびにカポジ肉腫のいずれかである。
【0136】
いくつかの実施態様において、本発明の化合物またはその塩は、高レベルのATPおよび/またはアデノシンを産生する腫瘍の処置において使用される。例えば、いくつかの実施態様において、アデノシンの細胞外濃度は隣接組織と比較して、腫瘍中で10~20倍高い。いくつかの実施態様において、本発明の化合物またはその塩は、高レベルのエクトヌクレオチダーゼを発現する腫瘍の処置に使用される。いくつかの実施態様において、エクトヌクレオチダーゼはCD39である。いくつかの実施態様において、エクトヌクレオチダーゼはCD73である。
【0137】
処置を必要とする個体に有効量の式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、個体における免疫応答を強化する方法もまた、ここに提供される。アデノシン受容体は、免疫抑制の役割を果たすことが癌生物学において知られている。腫瘍微小環境中に存在する高レベルのアデノシンは、免疫細胞上のアデノシン受容体に結合して免疫抑制性微小環境を提供する。具体的に、A2A受容体へのアデノシンの結合は、T細胞増殖、サイトカイン産生および細胞毒性を阻害する免疫抑制シグナルを提供する。A2A受容体シグナル伝達は、NK細胞毒性、NKT細胞サイトカイン産生およびCD40L上方調節のアデノシン介在性阻害と関連付けられた。従って、ここに提供されるようなA2A受容体アンタゴニストの使用は、アデノシンの免疫細胞に対する効果を逆転させ得る。いくつかの実施態様において、免疫応答は、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性を強化する式(I)または本明細書に記載するその何らかの例の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩により強化される。いくつかの実施態様において、本発明の化合物またはその塩は、NK細胞介在細胞毒性を増加させる。いくつかの実施態様において、免疫応答はCD8+T細胞の活性を強化することにより、強化される。いくつかの実施態様において、本発明の化合物またはその塩は、腫瘍微小環境おいて炎症性応答を引き起こす。
【0138】
本発明はさらに、有効量の式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、個体におけるナチュラルキラー細胞の活性を増加させる方法を提供する。これらの実施態様のいくつかにおいて、本発明の化合物またはその塩はNK細胞介在細胞毒性を増加させる。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩はNK細胞数を増加させる。
【0139】
式(I)の化合物またはその塩は、Gタンパク質受容体結合性シグナル伝達経路タンパク質の活性を調節する。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、Gタンパク質受容体結合性シグナル伝達経路タンパク質を活性化させる(すなわち、Gタンパク質受容体のアゴニストである)。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、Gタンパク質受容体結合性シグナル伝達経路タンパク質を阻害する(すなわち、Gタンパク質受容体アンタゴニストである)。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩はアデノシン受容体アンタゴニストである。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A1、A2A、A2BおよびA3受容体のいずれかのアンタゴニストである。
【0140】
従って、有効量の式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、個体におけるA2A受容体の活性化を調節する方法もまた、ここに提供される。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A2A受容体アンタゴニストである。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A2A受容体シグナル伝達を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%低減する。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物またはその塩はA2A受容体シグナル伝達を40~99%、50~99%、60~99%、70~99%、80~99%、90~99%または95~99%低減する。これらの実施態様のいくつかにおいて、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、10nM、1nM未満または100pM未満のIC50でA2A受容体と結合する。いくつかの実施態様において、[化合物x]は500nM~100pM、400nM~100pM、300nM~100pM、200nM~100pMまたは100nM~100pMのIC50でA2A受容体と結合する。
【0141】
有効量の式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、個体におけるA2B受容体の活性化を調節する方法もまた、ここに提供される。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A2B受容体アンタゴニストである。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A2B受容体シグナル伝達を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%低減する。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A2B受容体シグナル伝達受容体シグナル伝達を、40~99%、50~99%、60~99%、70~99%、80~99%、90~99%または95~99%低減する。これらの実施態様のいくつかにおいて、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、10nM、1nM未満または100pM未満のIC50でA2B受容体と結合する。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、500nM~100pM、400nM~100pM、300nM~100pM、200nM~100pMまたは100nM~100pMのIC50でA2B受容体と結合する。
【0142】
有効量の式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、個体におけるA3受容体の活性化を調節する方法もまた、ここに提供される。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A3受容体アンタゴニストである。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A3受容体シグナル伝達を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%低減する。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、A3受容体シグナル伝達を、40~99%、50~99%、60~99%、70~99%、80~99%、90~99%または95~99%低減する。これらの実施態様のいくつかにおいて、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、1μM未満、900nM未満、800nM未満、700nM未満、600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満、10nM、1nM未満または100pM未満のIC50でA3受容体と結合する。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、500nM~100pM、400nM~100pM、300nM~100pM、200nM~100pMまたは100nM~100pMのIC50でA3受容体と結合する。
【0143】
いくつかの実施態様において、本発明は、処置を必要とする個体に式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む個体における腫瘍転移を阻害する方法を含む。いくつかの実施態様において、転移は、肺、肝臓、リンパ節、骨、副腎、脳、腹膜、筋肉または膣へのものである。いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、黒色腫細胞の転移を阻害する。いくつかの実施態様において、本発明は式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む腫瘍転移を遅延させる方法を含む。これらの実施態様のいくつかにおいて、本発明の化合物を用いた処置により、転移までの期間は1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、12か月またはそれ以上遅延される。
【0144】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、本明細書に記載の癌のような増殖性疾患を有する個体を処置するために使用される。いくつかの実施態様において、個体は癌のような増殖性疾患を発症するリスクを有する。これらの実施態様のいくつかにおいて、個体は1以上のリスク因子に基づく癌を発症するリスクを有すると決定される。これらの実施態様のいくつかにおいて、リスク因子は、癌に関連する家族の病歴および/または遺伝子である。いくつかの実施態様において、個体は高レベルのヌクレオチド代謝酵素を発現する癌を有する。いくつかの実施態様において、ヌクレオチド代謝酵素は、CD73(エクト-5’-ヌクレオチダーゼ、エクト5’NTアーゼ)のようなヌクレオチダーゼである。これらの実施態様のいくつかにおいて、個体は高レベルのヌクレオチダーゼ、例えばCD73を発現する癌を有する。いずれかのこれらの実施態様において、ヌクレオチド代謝酵素はエクト-ヌクレオチダーゼである。いくつかの実施態様において、エクト-ヌクレオチダーゼはアデノシンモノホスフェートを分解する。いくつかの実施態様において、ヌクレオチド代謝酵素はCD39(エクト-ヌクレオシドトリホスフェートジホスホヒドロラーゼ1、E-NTPDアーゼ1)である。これらの実施態様のいくつかにおいて、個体は高レベルのCD39を発現する癌を有する。いくつかの実施態様において、個体は、高レベルのアデノシン受容体、例えばA2A受容体を発現する癌を有する。
【0145】
併用療法
ここに記載されるように、本発明の化合物またはその塩はGタンパク質共役受容体シグナル伝達経路の活性を調節することにより、例えば、顕著な抗腫瘍効果をもたらすA2A受容体アンタゴニストを作動させることにより、免疫系を活性化し得る。従って、本発明の化合物またはその塩は、腫瘍免疫療法を強化するために、他の抗癌剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施態様において、有効量の式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその薬学的に許容される塩およびさらなる治療剤を個体に投与することを含む、個体における疾患介在性Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路を処置する方法が、ここに提供される。いくつかの実施態様において、疾患介在性Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路は、癌のような増殖性疾患である。
【0146】
いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は癌免疫療法である。いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は免疫賦活剤である。いくつかの実施態様において、さらなる治療剤はチェックポイントタンパク質を標的化する。いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は腫瘍に対する免疫応答を刺激、強化または改善するために有効である。
【0147】
別の態様において、化合物が免疫応答を刺激し、それにより対象における免疫応答を強化、刺激または上方調節するのに効果的な1以上のさらなる薬剤とともに共投与(別々にまたは同時であり得る)される組合せ療法が、ここに提供される。例えば、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩および1以上の免疫賦活抗体、例えば抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体および/または抗CTLA-4抗体を、例えば腫瘍増殖を阻害するために、免疫応答が対象において刺激されるように対象に投与することを含む、対象における免疫応答を刺激する方法が提供される。別の例として、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩およびキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法;抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体および/または抗CTLA-4抗体のような免疫賦活抗体のような1以上の免疫賦活抗体または免疫療法を、例えば腫瘍増殖を阻害するために、免疫応答が対象において刺激されるように対象に投与することを含む、対象における免疫応答を刺激する方法が提供される。ある実施態様において、対象は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩および抗PD-1抗体を投与される。別の実施態様において、対象は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例その塩および抗PD-L1抗体を投与される。さらに別の実施態様において、対象は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩および抗CTLA-4抗体を投与される。別の実施態様において、免疫賦活抗体(例えば、抗PD-1、抗PD-L1および/または抗CTLA-4抗体)は、ヒト抗体である。あるいは、免疫賦活抗体は、例えば、キメラまたはヒト化抗体(例えば、マウス抗PD-1、抗PD-L1および/または抗CTLA-4抗体から製造される)であり得る。別の実施態様において、対象は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩およびCART細胞(遺伝子的に修飾されたT細胞)を投与される。
【0148】
ある実施態様において、本発明は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩および抗PD-1抗体を対象に投与することを含む、増殖性疾患(例えば、癌)の処置方法を提供する。さらなる実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は治療量以下の用量で投与される、抗PD-1抗体は治療量以下の用量で投与される、または両者は治療量以下の用量で投与される。別の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩および治療量以下の用量の抗PD-1抗体を対象に投与することを含む、免疫賦活剤を用いた過増殖性疾患の処置に関連する有害事象を変化させる方法を提供する。特定の実施態様において、対象はヒトである。特定の実施態様において、抗PD-1抗体はヒト配列モノクローナル抗体である。
【0149】
ある実施態様において、本発明は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩および抗PD-L1抗体を対象に投与することを含む、増殖性疾患(例えば、癌)の処置方法を提供する。さらなる実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は治療量以下の用量で投与される、抗PD-L1抗体は治療量以下の用量で投与される、または両者は治療量以下の用量で投与される。別の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩および治療量以下の用量の抗PD-L1抗体を対象に投与することを含む、免疫賦活剤を用いた過増殖性疾患の処置に関連する有害事象を変化させる方法を提供する。特定の実施態様において、対象はヒトである。特定の実施態様において、抗PD-L1抗体はヒト配列モノクローナル抗体である。
【0150】
特定の実施態様において、本明細書において検討される治療剤の組合せは、薬学的に許容される担体中の単一の組成物として同時に、または各々薬学的に許容される担体中の別個の組成物として同時に投与され得る。別の実施態様において、治療剤の組合せは、逐次的に投与され得る。例えば、抗CTLA-4抗体および式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、初めに抗CTLA-4抗体が投与され、次に式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩が投与される、または初めに式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩が投与され、次に抗CTLA-4抗体が投与されるように、逐次的に投与され得る。さらにまたはあるいは、抗PD-1抗体および式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、初めに抗PD-1抗体が投与され、次に式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩が投与される、または初めに式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩が投与され、次に抗PD-1抗体が投与されるように、逐次的に投与され得る。さらにまたはあるいは、抗PD-1抗体および式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、初めに抗PD-L1抗体が投与され、次に式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩が投与される、または初めに式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩が投与され、次に抗PD-L1抗体が投与されるように、逐次的に投与され得る。
【0151】
さらに、一用量を超える組合せ療法が逐次的に投与されるならば、逐次投与の順は各投与の時点で逆になっても、同じ順序を維持してもよく、逐次投与を同時投与またはその任意の組合せと組み合わせてよい。
【0152】
場合により、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩の組合せはさらに、癌細胞、精製された腫瘍抗原(組み換えタンパク質、ペプチドおよび炭水化物分子を含む)、細胞および免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子を形質導入された細胞のような免疫原と組み合わせられ得る。
【0153】
式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩はまた、標準的な癌処置とさらに組み合わせられ得る。例えば、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、化学療法レジメンと効果的に組み合わせられ得る。これらの例において、本開示の組合せ剤と共に投与される他の化学療法薬の用量を低減できる(Mokyr et al. (1998) Cancer Research 58: 5301-5304)。式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩との他の組合せ療法は、放射線、外科手術またはホルモン遮断を含む。血管形成阻害剤もまた、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩と組み合わせられ得る。血管形成阻害は、宿主抗原提示経路に供給される腫瘍抗原の供給源であり得る、腫瘍細胞の死滅をもたらす。
【0154】
別の例において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、抗新生物抗体と組み合わせて使用され得る。例として、理論に縛られることを望まないが、抗癌抗体または毒素にコンジュゲートした抗癌抗体を用いた処置は、CTLA-4、PD-1、PD-L1または式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例もしくはその塩が介在する免疫応答を強化し得る癌細胞(例えば、腫瘍細胞)の死滅を導き得る。典型的な実施態様において、過増殖性疾患(例えば、癌腫瘍)の処置は、抗癌抗体と、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例もしくはその塩および抗CTLA-4および/または抗PD-1および/または抗PD-L1抗体を同時に、または逐次的に、またはその任意の組合せで組み合わせることを含み得て、これは宿主による抗腫瘍免疫応答を増強し得る。宿主免疫応答性を活性化するために使用され得る他の抗体は、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩と組み合わせてさらに使用され得る。
【0155】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、抗CD73抗体のような抗CD73療法と組み合わせられ得る。
【0156】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、抗CD39抗体のような抗CD39療法と組み合わせられ得る。
【0157】
さらなる実施態様において、式(I)の化合物または本明細書に記載するその何らかの例またはその塩は、別のGタンパク質受容体アンタゴニスト、例えばアデノシンA1および/またはA3アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0158】
投与および投与方法
個体(例えば、ヒト)に投与される化合物の用量は、特定の化合物もしくはその塩、投与方法および処置される特定の疾患、例えば癌のタイプおよびステージとともに変化し得る。いくつかの実施態様において、化合物またはその塩の量は治療有効量である。
【0159】
化合物の有効量は、ある態様において、約0.01~約100mg/kgの用量であり得る。本発明の化合物の有効量または用量は、通常の因子、例えば、投与または薬物送達の方法もしくは経路、薬剤の薬物動態、処置される疾患の重篤度および経過、対象の健康状態、状態および体重を考慮して、モデリング、用量漸増または臨床治験のような通常の方法により確認され得る。典型的な用量は、1日に約0.7mg~7g、または1日に約7mg~350mg、または1日に約350mg~1.75g、または1日に約1.75~7gの範囲である。
【0160】
ここに提供される方法の何れも、ある態様において、ここに提供される有効量の化合物またはその塩および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を個体に投与することを含み得る。
【0161】
本発明の化合物または組成物は、所望の期間または継続期間、例えば、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約6か月または少なくとも約12か月またはそれ以上の間、有効な投与レジメンにより個体に投与され、これはある例では個体の余命の期間であり得る。一例において、化合物は連日または間欠的スケジュールで投与される。化合物は、期間中継続的に(例えば、少なくとも1日1回)個体に投与される。投与頻度はまた、1日1回未満、例えば、約週1回投与であり得る。投与頻度は、1日1回を超える、例えば、1日2回または3回であり得る。投与頻度はまた、「休薬」を含む間欠的(例えば、7日間の1日1回投与の後、7日間投与がなく、ある14日の期間を、例えば約2か月、約4か月、約6か月またはそれ以上の間反復する)であり得る。投与頻度の何れも、本明細書に記載の任意の投与量と共に本明細書に記載の任意の化合物を使用し得る。
【0162】
ここに提供される化合物またはその塩は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、経口および経皮を含む多様な経路により個体に投与され得る。ここに提供される化合物は、「メトロノミック療法」として知られる低用量を高頻度でまたは該化合物を単独でもしくは1以上のさらなる薬物と組み合わせて用いる維持療法の一部として投与し得る。メトロノミック療法または維持療法は、ここに記載の化合物の周期的な投与を含み得る。メトロノミック療法または維持療法は、ここに提供される化合物の腫瘍内投与を含み得る。
【0163】
ある態様において、本発明は、有効量の化合物またはその塩を非経腸的に個体(例えば、ヒト)に投与することにより、個体における癌を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、投与経路は静脈内、動脈内、筋肉内または皮下である。いくつかの実施態様において、投与経路は経口である。さらに他の実施態様において、投与経路は経皮である。
【0164】
本発明はまた、癌の処置、発症および/または進展の予防および/または遅延に使用するための本明細書に記載の組成物(医薬組成物を含む)、ならびに本明細書に記載の他の方法を提供する。特定の実施態様において、組成物は、単位投与形態で存在する医薬製剤を含む。
【0165】
本発明の化合物またはその塩、組成物を含む製品および本明細書に記載の方法における使用に適切な包装の単位投与量もまた、提供される。適切な包装は当分野において既知であり、例えば、バイアル、容器、アンプル、ボトル、瓶、柔軟包装などを含む。製品は滅菌および/または密封され得る。
【0166】
キット
本発明はさらに、本発明の方法を実施するためのキットを提供し、これは1以上の本明細書に記載の化合物または1以上の本明細書に記載の化合物を含む組成物を含む。キットは本明細書に開示される化合物をいずれも使用し得る。一例において、キットは本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を使用する。キットは、本明細書に記載の任意の1以上の使用のために使用され得て、従って、癌の処置のための指示を含み得る。
【0167】
キットは一般に、適切な包装を含む。キットは、任意の本明細書に記載の化合物を含む1以上の容器を含む。各成分は(2以上の成分があるならば)、別個の容器に包装されてよく、またはいくつかの成分は、交差反応性および貯蔵寿命から可能であるならば、1つの容器で組み合わせられ得る。
【0168】
キットは、単位剤型、大量包装(例えば、複数回用量容器)または単位未満の用量であり得る。例えば、キットは、十分な投与量の本明細書に記載の化合物および/または本明細書で説明される疾患(例えば、高血圧)に有用な第二の薬学的に活性な化合物を含み、例えば1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3か月、4か月、5か月、7か月、8か月、9か月またはそれ以上の長期間、個体の有効な処置を提供するキットが提供され得る。キットはまた、キットは複数回用量の化合物および使用のための指示を含んでよく、薬局(例えば、病院薬局および調剤薬局)での保存および使用に十分な量で包装され得る。
【0169】
キットは場合により、本発明の方法における成分の使用に関する、一組の指示、指示を含む電子保存媒体(例えば、磁気ディスクまたは光学ディスク)もまた許容されるが、一般には指示書を含んでよい。キットに含まれる指示は、一般に、成分およびそれらの個体への投与についての情報を含む。
【0170】
本発明は、次の実施例を参照することによりさらに理解することができ、これらは説明として提供されるものであり、限定することを意味するものではない。
【実施例】
【0171】
合成例
実施例S-1:6-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(化合物番号1)の合成
【化41】
工程-1:(E)-3-(ジメチルアミノ)-1-フェニルプロプ-2-エン-1-オンの合成:DMF・DMA(21.9g、300mmol、3.6当量)およびアセトフェノン(10.0g、1.0当量、83mmol)の混合物を100℃で16時間加熱した。次いで、反応混合物をRTに冷却し、冷水で希釈した。黄色沈殿を減圧下ろ過し、過剰の水、次いでヘキサンで洗浄した。黄色固体(6g)をさらに精製することなく次工程で使用した。LCMS:176[M+1]
+
【0172】
工程-2:エチル 2-シアノアセトイミデートの合成:マロノニトリル(10g、151.52mmol)のジエチルエーテル(60mL)を0℃に冷却した。この反応混合物に、エタノール(7.0g、151.52mmol、1当量)および2M HClのジエチルエーテル(40mL)を添加し、反応混合物を、10℃で16時間撹拌した。形成した沈殿をろ過し、固体をエーテルで洗浄し、乾燥させて、所望の生成物を得た(6g、36%)。
【0173】
工程-3:2-アミノ-6-フェニルニコチノニトリルの合成:(E)-3-(ジメチルアミノ)-1-フェニル-プロプ-2-エン-1-オン(3.0g、18.18mmol)のエタノール(100mL)溶液に、エチル 2-シアノエタンイミデート塩酸塩(3.2g、1.2当量、21.82mmol)および酢酸アンモニウム(14g、181.8mmol、10当量)を添加し、反応混合物を、85℃で16時間撹拌した。反応の進行を1H NMRでモニターした。反応混合物をRTに冷却し、冷水(250mL)で希釈し、固体をろ過した。固体をヘキサンで洗浄し、減圧下乾燥させて、2.9g(78%)の所望の生成物を得た。LCMS:196[M+1]+
【0174】
工程-4:2-アミノ-5-ブロモ-6-フェニルニコチノニトリルの合成:撹拌中の2-アミノ-6-フェニル-ピリジン-3-カルボニトリル(2.80g、14.36mmol、1.0当量)のDMF(40mL)溶液に、NBSを少しずつ添加した(2.56g、14.36mmol、1.0当量)。得られた溶液を沈殿ができるまで氷に注加し、それを真空下ろ過し、過剰の水で洗浄し、真空乾燥させて所望の生成物(3g)を得て、それをさらに精製することなく次工程で使用した。LCMS:274[M+1]+
【0175】
工程-5:1-(2-アミノ-5-ブロモ-6-フェニル-3-ピリジル)エタノンの合成:撹拌中の2-アミノ-5-ブロモ-6-フェニル-ピリジン-3-カルボニトリル(2.0g、7.30mmol、1.0当量)のTHF(60mL)溶液に、3M MeMgBrのジエチルエーテル(11.0g、146.9mmol、20.0当量)溶液を0℃で添加した。得られた反応混合物を、50℃で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、希HClの添加によりクエンチした。酸性反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液を使用して中和し、酢酸エチル(2×75mL)で抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下濃縮して、薄緑色固体(2.0g、94%)を得て、それをさらに精製することなく次工程で使用した。LCMS:291[M+1]+
【0176】
工程-6:6-ブロモ-7-フェニル-1H-1,8-ナフチリジン-4-オンの合成:1-(2-アミノ-5-ブロモ-6-フェニル-3-ピリジル)エタノン(2.0g、6.89mmol、1.0当量)のDMF(10mL)溶液に、DMF・DMA(1.5g、20.68mmol、3.0当量)を添加した。反応混合物を100℃に温めた。3時間撹拌後、Cs2CO3(4.5g、13.78mmol、2.0当量)を添加し、反応物を16時間、100℃で撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、冷水で希釈した。得られた沈殿をろ過し、過剰の水で洗浄し、減圧乾燥させた。得られた固体を順相シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、黄色固体(0.250g、12%)を得た。LCMS:301[M+1]+
【0177】
工程-7:6-(1-イソプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オンの合成:撹拌中の6-ブロモ-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(0.110g、0.36mmol、1.0当量)および1-イソプロピル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(0.105g、0.40mmol、1.1当量)のジオキサン(4mL)溶液に、Na2CO3(0.08g、0.73mmol、2.0当量)および2mL水を加えた。反応物にN2を5分間通気した。この反応混合物に、Pd(dppf)Cl2・DCM錯体(0.015g、5mol%)を加え、N2をさらに5分間再び通気した。反応混合物を100℃で24時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、酢酸エチル(3×25mL)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下濃縮して、固体残渣を得て、それを逆相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を灰白色固体(0.01g、8%)として得た。LCMS:358[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 12.33(s、1H)、8.40(s、1H)、7.97(d、J=7.83Hz、1H)、7.33-7.50(m、6H)、7.27(dd、J=2.45、9.29Hz、1H)、6.31(d、J=9.29Hz、1H)、6.14(d、J=7.83Hz、1H)、4.98-4.92(m、1H)、1.07(d、J=6.85Hz、6H)。
【0178】
実施例S-2:6-(5-クロロ-1-イソプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(化合物番号7)の合成
【化42】
工程-1:5-ブロモ-3-クロロピリジン-2(1H)-オンの合成:撹拌中の5-ブロモピリジン-2(1H)-オン(2.0g、0.011mol、1.0当量)のACN(40mL)溶液にNCS(1.69g、0.013mol、1.1当量)を添加し、反応混合物を、60℃で3時間撹拌した。TLCおよびLCMSにより反応の進行をモニターした。完了後、反応物に冷水を添加し、酢酸エチル(100mL×3)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na
2SO
4)、減圧下濃縮して、固体残渣を得て、それを順相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(1.10g、48%)。LCMS:208[M+1]
+;
【0179】
工程-2:5-ブロモ-3-クロロ-1-イソプロピルピリジン-2(1H)-オンの合成:撹拌中の5-ブロモ-3-クロロピリジン-2(1H)-オン(0.90g、0.0043mol、1.0当量)のDMF(15mL)溶液に、K2CO3(1.79g、0.013mol、3.0当量)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、臭化イソプロピル(0.53g、0.0043mol、1.0)を、窒素下滴下した。反応物をRTで4時間撹拌し、この後冷水を反応混合物に添加し、酢酸エチル(50mL×3)を使用して、抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下濃縮して、粗生成物を得て、それを順相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(220mg、23%)を得た。LCMS:250[M+1]+;
【0180】
工程-3:3-クロロ-1-イソプロピル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オンの合成:撹拌中の5-ブロモ-3-クロロ-1-イソプロピルピリジン-2(1H)-オン(0.250g、1.0mmol、1.0当量)のジオキサン(5mL)溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.38g、0.0015mol、1.5当量)およびKOAc(0.29g、0.003mol、3.0当量)を添加した。反応物にN2を5分間通気した。この反応混合物に、Pd(dppf)Cl2・DCM(0.040g、5mol%)を添加し、N2を再びさらに5分間通気した。反応混合物を16時間、100℃で撹拌した。TLCおよびLCMSにより反応の進行をモニターした。完了後、反応物を酢酸エチル(25mL×3)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下濃縮して、粗生成物を得て、それを順相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(160mg、54%)。LCMS:298[M+1]+;
【0181】
工程-4:6-(5-クロロ-1-イソプロピル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オンの合成:撹拌中の6-ブロモ-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(0.08g、0.26mmol、1.0当量)および3-クロロ-1-イソプロピル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(0.09g、0.29mmol、1.1当量)のジオキサン(4mL)溶液に、Na2CO3(0.06g、0.54mmol、2.0当量)および2mL水を添加した。反応物にN2を5分間通気した。この反応混合物に、Pd(dppf)Cl2・DCM錯体(0.011g、5mol%)を添加し、N2をさらに5分間再び通気した。反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、酢酸エチル(3×25mL)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下濃縮して、固体残渣を得て、それを順相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(5mg、5%)。LCMS:392[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 12.33(br.s.、1H)、8.45(s、1H)、7.98(br.s.、1H)、7.65(br.s.、1H)、7.51(br.s.、1H)、7.32-7.48(m、5H)、6.15(d、J=7.89Hz、1H)、4.89-5.05(m、1H)、1.09(d、J=6.58Hz、6H)。
【0182】
実施例S-3:N-(2-クロロ-6-メチル-4-(5-オキソ-2-フェニル-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)フェニル)メタンスルホンアミド(化合物番号45)の合成
【化43】
工程-1:N-(4-ブロモ-2-クロロ-6-メチルフェニル)メタンスルホンアミドの合成:撹拌中の4-ブロモ-2-クロロ-6-メチルアニリン(0.50g、2.26mmol、1.0当量)のピリジン(10mL)溶液に、メタンスルホニルクロライド(0.21mL、2.72mmol、1.2当量)を0℃で滴下し、反応混合物を、RTで16時間撹拌した。TLCおよびLCMSにより反応の進行をモニターした。完了後、反応物に冷水を添加し、酢酸エチル(100mL×3)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(1N HCl、続いて塩水)、乾燥させ(無水Na
2SO
4)、減圧下濃縮して、粗生成物を得て、それを順相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(0.320g、47%);
1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 9.29(br.s.、1H)、7.65(s、1H)、7.53(s、1H)、3.11(s、3H)、2.37(s、3H)。
【0183】
工程-2:N-(2-クロロ-6-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)メタンスルホンアミドの合成:撹拌中のN-(4-ブロモ-2-クロロ-6-メチルフェニル)メタンスルホンアミド(0.300g、1.0mmol、1.0当量)のジオキサン(10mL)溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.38g、1.5mmol、1.5当量)およびKOAc(0.29g、3.0mmol、3.0当量)を添加した。反応物にN2を5分間通気した。この反応混合物に、Pd(dppf)Cl2・DCM(0.040g、5mol%)を添加し、N2を再びさらに5分間通気した。反応混合物を16時間、100℃で撹拌した。TLCおよびLCMSにより反応の進行をモニターした。完了後、反応物を酢酸エチル(25mL×3)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下濃縮して、粗生成物を得て、それを順相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(250mg、72%);LCMS:346[M+1]+
【0184】
工程-3:N-(2-クロロ-6-メチル-4-(5-オキソ-2-フェニル-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-3-イル)フェニル)メタンスルホンアミドの合成:撹拌中の6-ブロモ-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(0.100g、0.33mmol、1.0当量)およびN-(2-クロロ-6-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)メタンスルホンアミド(0.137g、0.39mmol、1.3当量)のジオキサン(10mL)溶液に、K2CO3(0.9g、0.66mmol、2.0当量)および5mL水を添加した。反応物にN2を5分間通気した。この反応混合物に、Pd(dppf)Cl2・DCM錯体(0.014g、5mol%)を添加し、N2をさらに5分間再び通気した。反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、酢酸エチル(3×25mL)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na2SO4)、減圧下濃縮して、固体残渣を得て、それを順相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(30mg、20%)。LCMS:440[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 12.36(d、J=5.26Hz、2H)、9.22(s、1H)、8.39(s、1H)、7.95-8.03(m、1H)、7.29-7.47(m、5H)、7.21(s、1H)、7.13(d、J=1.75Hz、1H)、6.15(d、J=7.45Hz、1H)、3.09(s、3H)、2.31(s、3H)。
【0185】
実施例S-4:6-(1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(化合物番号75)の合成
【化44】
撹拌中の6-ブロモ-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(0.050g、0.16mmol、1.0当量)および3-クロロ-1-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(0.067g、0.25mmol、1.5当量)のジオキサン(4mL)溶液に、Na
2CO
3(0.034g、0.32mmol、2.0当量)および1mL水を添加した。反応物にN
2を5分間通気した。この反応混合物に、Pd(dppf)Cl
2・DCM錯体(0.008g、5mol%)を添加し、N
2をさらに5分間再び通気した。反応混合物を100℃で18時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、酢酸エチル(3×25mL)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na
2SO
4)、減圧下濃縮して、固体残渣を得て、これを逆相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(0.007g、13%)。LCMS:364[M+1]
+;
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 12.26(br.s.、1H)、8.45(s、1H)、7.92-8.05(m、2H)、7.34-7.59(m、5H)、7.19(d、J=2.19Hz、1H)、6.04-6.21(m、1H)、3.54(s、3H)。
【0186】
実施例S-5:6-(5-クロロ-1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(化合物番号76)の合成
【化45】
撹拌中の6-ブロモ-7-フェニル-1,8-ナフチリジン-4(1H)-オン(0.110g、0.36mmol、1.0当量)および1-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(0.09g、0.40mmol、1.1当量)の1,2-ジメトキシエタン(10mL)溶液に、Na
2CO
3(0.077g、0.73mmol、2.0当量)および3mL水を添加した。反応物にN
2を5分間通気した。この反応混合物に、Pd(dppf)Cl
2・DCM錯体(0.014g、5mol%)を添加し、N
2をさらに5分間再び通気した。反応混合物を110℃で16時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、酢酸エチル(3×25mL)を使用して抽出した。合わせた有機層を洗浄し(塩水)、乾燥させ(無水Na
2SO
4)、減圧下濃縮して、固体残渣を得て、これを逆相カラムクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物を灰白色固体として得た(0.013g、10%)。LCMS:330[M+1]
+;
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 8.41(s、1H)、7.87-8.04(m、2H)、7.50(dd、J=2.85、6.36Hz、2H)、7.28-7.45(m、3H)、6.89(dd、J=2.63、9.21Hz、1H)、6.07-6.21(m、2H)、3.45(s、3H)。
【0187】
実施例S-6:3-(5-オキソ-3-(キノリン-6-イル)-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリル(化合物番号77)の合成
【化46】
工程-1:3-(5-アセチル-6-アミノピリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:1-(2-アミノ-6-クロロピリジン-3-イル)エタノン(5.0g、29.41mmol、1.0当量)のジオキサン(100mL):水(10mL)溶液に、3-シアノフェニルボロン酸(6.48g、44.11mmol、1.5当量)、Na
2CO
3(6.24g、58.8mmol、2.0当量)およびPdCl
2(dppf)・DCM錯体(1.2g、1.47mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN
2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×500mL)を使用して抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相カラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(3.1g、45%)を得た。LCMS:238[M+1]
+
【0188】
工程-2:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(2.5g、10.54mmol、1当量)のDMF(50mL)溶液に、N-ブロモスクシンイミド(1.87g、10.54mmol、1当量)を0℃で添加した。反応混合物を、同じ温度で2時間撹拌した。反応をTLCでモニターした。反応物を氷冷水に添加し、沈殿固体を減圧下ろ過して表題化合物を得て、それをさらに何ら精製することなく、次工程でそのまま使用した(1.6g、48%)を得た。LCMS:316[M+1]+
【0189】
工程-3:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(キノリン-6-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(1.0g、3.17mmol、1当量)のジオキサン(60mL):水(10mL)溶液に、6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)キノリン(0.97g、3.80mmol、1.2当量)、Na2CO3(0.674g、6.34mmol、2.0当量)およびPdCl2(dppf)・DCM錯体(0.130g、0.158mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)を使用して抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相カラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.610g、53%)を得た。LCMS:365[M+1]+。
【0190】
工程-4:(E)-N’-(3-アセチル-6-(3-シアノフェニル)-5-(キノリン-6-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミドの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(キノリン-6-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(0.300g、0.824mmol、1.0当量)のキシレン(4mL)溶液に、DMF-DMA(0.275mL、2.06mmol、2.5当量)を添加した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を冷却し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄して、表題化合物(0.260g、53%)を得た。LCMS:420[M+1]+。
【0191】
工程-5:3-(5-オキソ-3-(キノリン-6-イル)-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:(E)-N’-(3-アセチル-6-(3-シアノフェニル)-5-(キノリン-6-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(0.260g、0.620mmol、1.0当量)のDMF(10mL)溶液に、Cs2CO3(0.302g、0.93mmol、1.5当量)を添加し、反応物を16時間、100℃で撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、冷水で希釈した。得られた沈殿をろ過し、過剰の水で洗浄し、減圧乾燥させた。得られた固体を逆相カラムクロマトグラフィーで洗浄して、表題化合物(0.150g、64%)を得た。LCMS:375[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ ppm 12.32(br.s.、1H)、8.92(dd、J=4.17、1.53Hz、1H)、8.56(s、1H)、8.37(d、J=8.33Hz、1H)、8.02-8.11(m、2H)、7.86-7.96(m、2H)、7.82(d、J=7.45Hz、1H)、7.54-7.63(m、2H)、7.41-7.50(m、2H)、6.19(d、J=7.45Hz、1H)。
【0192】
実施例S-7:3-(3-(1H-インダゾール-5-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリル(化合物番号78)の合成
【化47】
工程-1:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(1H-インダゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(1.0g、3.17mmol、1当量)のジオキサン(60mL):水(10mL)溶液に、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール(0.93g、3.80mmol、1.2当量)、Na
2CO
3(0.673g、6.34mmol、2.0当量)およびPdCl
2(dppf)・DCM錯体(0.130g、0.158mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN
2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)を使用して抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.610g、55%)を得た。LCMS:354[M+1]
+
【0193】
工程-2:(E)-N’-(3-アセチル-6-(3-シアノフェニル)-5-(1H-インダゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミドの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(1H-インダゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(0.600g、1.69mmol、1.0当量)のキシレン(6mL)溶液に、DMF-DMA(0.4mL、3.06mmol、1.8当量)を添加した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を冷却し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄して、表題化合物(0.540g、78%)を得た。LCMS:409[M+1]+。
【0194】
工程-3:3-(3-(1H-インダゾール-5-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:(E)-N’-(3-アセチル-6-(3-シアノフェニル)-5-(1H-インダゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(0.500g、1.22mmol、1.0当量)のDMF(10mL)溶液に、Cs2CO3(0.598g、1.84mmol、1.5当量)を添加し、反応物を16時間、100℃で撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、冷水で希釈した。得られた沈殿をろ過し、過剰の水で洗浄し、減圧乾燥させた。得られた固体をHPLC精製により精製した(24mg、6%)。LCMS:364[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ ppm 13.14(br.s.、1H)、8.44(s、1H)、8.00-8.09(m、2H)、7.88(s、1H)、7.80(d、J=7.89Hz、1H)、7.75(s、1H)、7.58(d、J=8.33Hz、1H)、7.42-7.50(m、2H)、7.10(d、J=7.02Hz、1H)、6.16(d、J=7.89Hz、1H)
【0195】
実施例S-8:3-(3-(2-クロロ-6-メチルピリジン-4-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリル(化合物番号6)の合成
【化48】
工程-1:3-(5-アセチル-6-アミノ-2’-クロロ-6’-メチル-3,4’-ビピリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(0.150g、0.47mmol、1当量)のジオキサン(10mL):水(2mL)溶液に、2-クロロ-6-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(0.144g、0.56mmol、1.2当量)、Na
2CO
3(0.050g、0.47mmol、2.0当量)およびPdCl
2.(dppf)・DCM錯体(0.02g、0.024mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN
2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)を使用して抽出した。分離した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.100g、58%)を得た。LCMS:363[M+1]
+
【0196】
工程-2:(E)-N’-(5-アセチル-2’-クロロ-2-(3-シアノフェニル)-6’-メチル-3,4’-ビピリジン-6-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミドの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-2’-クロロ-6’-メチル-3,4’-ビピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(0.100g、0.28mmol、1.0当量)のキシレン(6mL)溶液に、DMF-DMA(0.06mL、0.50mmol、1.8当量)を添加した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を冷却し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄して、表題化合物(0.100g、86%)を得た。LCMS:418[M+1]+。
【0197】
工程-3:3-(3-(2-クロロ-6-メチルピリジン-4-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:(E)-N’-(5-アセチル-2’-クロロ-2-(3-シアノフェニル)-6’-メチル-3,4’-ビピリジン-6-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(0.100g、0.29mmol、1.0当量)のDMF(5mL)溶液に、Cs2CO3(0.116g、0.36mmol、1.5当量)を添加し、反応物を16時間、100℃で撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、冷水で希釈した。得られた沈殿をろ過し、過剰の水で洗浄し、減圧乾燥させた。得られた固体をHPLC精製により精製して、表題化合物(0.010g、6%)を得た。LCMS:373[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ ppm 8.44-8.52(m、1H)、8.04(d、J=7.45Hz、1H)、7.85-7.98(m、2H)、7.52-7.66(m、2H)、7.24(s、1H)、7.14(s、1H)、6.19(d、J=7.45Hz、1H)、2.40(s、3H)
【0198】
実施例S-9:3-(3-(ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリル(化合物番号79)の合成
【化49】
工程-1:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(1.0g、3.17mmol、1当量)のジオキサン(50mL):水(5mL)溶液に、6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[d]チアゾール(0.994g、3.80mmol、1.5当量)、Na
2CO
3(0.675g、6.34mmol、2.0当量)およびPdCl
2(dppf)・DCM錯体(0.130g、0.158mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN
2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)を使用して抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(0.6g、51%)を得た。LCMS:371[M+1]
+。
【0199】
工程-2:(E)-N’-(3-アセチル-5-(ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-6-(3-シアノフェニル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミドの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(1.0g、2.7mmol、1.0当量)のジオキサン(30mL)溶液に、DMF;DMA(1.08mL、8.1mmol、3当量)を添加した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を冷却し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄して、表題化合物(1.0g、87%)を得た。LCMS:426[M+1]+
【0200】
工程-3:3-(3-(ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:(E)-N’-(3-アセチル-5-(ベンゾ[d]チアゾール-6-イル)-6-(3-シアノフェニル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(1.0g、2.35mmol、1.0当量)のDMF(10mL)溶液に、Cs2CO3(1.15g、3.53mmol、1.5当量)を添加し、反応物を16時間、100℃で撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、冷水で希釈した。得られた沈殿をろ過し、過剰の水で洗浄し、減圧乾燥させた。得られた固体をHPLC精製により精製した(60mg、7%)を得た。LCMS:381[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ ppm 12.40(br.s.、1H)、9.42(s、1H)、8.49(s、1H)、8.21(d、J=1.32Hz、1H)、7.98(d、J=8.33Hz、1H)、8.03(d、J=7.89Hz、1H)、7.87-7.94(m、1H)、7.79-7.84(m、1H)、7.54-7.60(m、1H)、7.44-7.50(m、1H)、7.29(dd、J=8.33、1.75Hz、1H)、6.18(d、J=7.89Hz、1H)。
【0201】
実施例S-10:3-(3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリル(化合物番号80)の合成
【化50】
工程-1:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(1g、3.17mmol,1当量)のジオキサン(30mL):水(3mL)溶液に、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール(0.93g、3.80mmol、1.2当量)、Na
2CO
3(0.673g、6.34mmol、2.0当量)およびPdCl
2(dppf)・DCM錯体(0.130g、0.158mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN
2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)を使用して抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(0.410g、36%)を得た。LCMS:354[M+1]
+
【0202】
工程-2:(E)-N’-(3-アセチル-5-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-6-(3-シアノフェニル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミドの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(1H-インダゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)ベンゾニトリル(1.0g、2.83mmol、1.0当量)のジオキサン(15mL)溶液に、DMF-DMA(1.2mL、8.49mmol、3当量)を添加した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を冷却し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄して、表題化合物(1.1g、95%)を得た。LCMS:409[M+1]+。
【0203】
工程-3:3-(3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:To a 溶液 of(E)-N’-(3-アセチル-6-(3-シアノフェニル)-5-(1H-インダゾール-5-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(1.0g、2.45mmol、1.0当量)のDMF(10mL)およびCs2CO3(1.2g、3.67mmol、1.5当量)を添加し、反応物を16時間、100℃で撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、冷水で希釈した。得られた沈殿をろ過し、過剰の水で洗浄し、減圧乾燥させた。得られた固体をHPLC精製により精製した(35mg、4%)を得た。LCMS:364[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ ppm 8.42(s、1H)、8.23(s、1H)、8.02(d、J=7.45Hz、1H)、7.89(br.s.、1H)、7.79(d、J=7.45Hz、1H)、7.58(d、J=7.45Hz、2H)、7.45(t、J=7.89Hz、2H)、7.02(br.s.、1H)、6.16(d、J=7.89Hz、1H)。
【0204】
実施例S-11:2-メチル-3-(5-オキソ-3-(キノリン-6-イル)-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリル(化合物番号55)の合成
【化51】
工程-1:3-(5-アセチル-6-アミノピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリルの合成:1-(2-アミノ-6-クロロピリジン-3-イル)エタノン(3g、17.6mmol、1当量)のジオキサン(50mL):水(5mL)溶液に、2-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾニトリル(6.4g、26.4mmol、1.5当量)、Na
2CO
3(3.74g、35.2mmol、2.0当量)およびPdCl
2(dppf)・DCM錯体(0.720g、0.88mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN
2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×200mL)を使用して抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(1.8g、40%)を得た。LCMS:252[M+1]
+
【0205】
工程-2:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリル(1.5g、5.97mmol、1当量)のDMF(15mL)溶液に、N-ブロモスクシンイミド(1.06g、5.97mmol、1当量)を0℃で添加した。反応混合物を、同じ温度で2時間撹拌した。反応をTLCでモニターした。反応物に冷水を添加し、沈殿固体を減圧下ろ過し、それを乾燥させて、それを何ら精製することなく次工程で使用した(1.2g、60%)。LCMS:331[M+1]+
【0206】
工程-3:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(キノリン-6-イル)ピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリル(1.0g、3.01mmol,1当量)のジオキサン(80mL):水(10mL)溶液に、6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)キノリン(1.15g、4.54mmol、1.5当量)、Na2CO3(0.640g、6.06mmol、2.0当量)およびPdCl2(dppf)・DCM錯体(0.124g、0.151mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)を使用して抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(0.500g、43%)を得た。LCMS:379[M+1]+。
【0207】
工程-4:(E)-N’-(3-アセチル-6-(3-シアノ-2-メチルフェニル)-5-(キノリン-6-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミドの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-(キノリン-6-イル)ピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリル(0.500g、0.824mol、1.0当量)のジオキサン(10mL)溶液に、DMF-DMA(0.528mL、3.96mmol、3.0当量)を添加した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を冷却し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄して、表題化合物(0.500g、87%)を得た。LCMS:433[M+1]+。
【0208】
工程-5:2-メチル-3-(5-オキソ-3-(キノリン-6-イル)-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)ベンゾニトリルの合成:(E)-N’-(3-アセチル-6-(3-シアノフェニル)-5-(キノリン-6-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(0.500g、1.15mmol、1.0当量)のDMF(10mL)溶液に、Cs2CO3(0.562g、1.74mmol、1.5当量)を添加し、反応物を16時間、100℃で撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、冷水で希釈した。得られた沈殿をろ過し、過剰の水で洗浄し、減圧乾燥させた。得られた固体をHPLC精製により精製して、表題化合物(0.060g、14%)を得た。LCMS:389[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ ppm 8.85-8.92(m、1H)、8.61(s、1H)、8.32(d、J=7.89Hz、1H)、8.05(d、J=7.45Hz、1H)、7.96(d、J=2.19Hz、1H)、7.73-7.87(m、2H)、7.50-7.58(m、2H)、7.32-7.44(m、2H)、6.20(d、J=7.45Hz、1H)、2.21(s、3H)。
【0209】
実施例S-12:3-(3-(2-クロロ-6-メチルピリジン-4-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリル(化合物番号3)の合成
【化52】
工程-1:3-(5-アセチル-6-アミノ-2’-クロロ-6’-メチル-3,4’-ビピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリルの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-3-ブロモピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリル(0.8g、2.42mmol、1.0当量)のジオキサン(40mL):水(4mL)溶液に、2-クロロ-6-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(1.28g、3.63mmol、1.5当量)、Na
2CO
3(0.513g、4.84mmol、2.0当量)およびPdCl
2(dppf)・DCM錯体(0.099g、0.12mmol、0.05当量)を添加した。反応混合物をN
2雰囲気を使用して脱酸素し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)を使用して抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。粗生成物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(0.500g、54%)を得た。LCMS:377[M+1]
+
【0210】
工程-2:(E)-N’-(5-アセチル-2’-クロロ-2-(3-シアノ-2-メチルフェニル)-6’-メチル-3,4’-ビピリジン-6-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミドの合成:3-(5-アセチル-6-アミノ-2’-クロロ-6’-メチル-3,4’-ビピリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリル(0.500g、1.32mmol、1.0当量)のジオキサン(10mL)溶液に、DMF-DMA(0.445mL、3.32mmol、2.5当量)を添加した。反応混合物を70℃で4時間加熱した。反応をTLCおよびLCMSでモニターした。反応混合物を冷却し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄して、表題化合物(0.490g、85%)を得た。LCMS:433[M+1]+。
【0211】
工程-3:3-(3-(2-クロロ-6-メチルピリジン-4-イル)-5-オキソ-5,8-ジヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)-2-メチルベンゾニトリルの合成:(E)-N’-(5-アセチル-2’-クロロ-2-(3-シアノ-2-メチルフェニル)-6’-メチル-3,4’-ビピリジン-6-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(0.510g、1.18mmol、1当量)のDMF(5mL)溶液に、Cs2CO3(0.578g、1.77mmol、1.5当量)を添加し、反応物を16時間、100℃で撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、冷水で希釈した。得られた沈殿をろ過し、過剰の水で洗浄し、減圧乾燥させた。得られた固体をHPLC精製により精製した(0.150g、32%)を得た。LCMS:387[M+1]+;1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ ppm 8.54(s、1H)、8.04(d、J=7.45Hz、1H)、7.87(d、J=7.02Hz、1H)、7.58(d、J=7.02Hz、1H)、7.44(t、J=7.89Hz、1H)、7.16(s、1H)、7.02(s、1H)、6.20(d、J=7.89Hz、1H)、2.37(s、3H) 2.18(s、3H)。
【0212】
表1(2、4-5、8-44、46-54、56-74、81-224)および表2(2-1~2-28)に由来する化合物は、一般合成スキーム1~5または上記例示的方法および当業者に明確に知られている合成経路に含まれる工程を使用して合成され得て、ここに記載の式(I)の化合物中に記載される置換基は、示された工程で使用される適切な出発物質および試薬の選択とともに変化し得ると理解される。
【0213】
実施例B1.放射性リガンド結合競合アッセイ
実施例B1(a)
結合競合アッセイを用いて、アデノシンA2A、A1、A2BおよびA3受容体への選択化合物の結合を試験する。
【0214】
放射性リガンド結合競合アッセイの一般的プロトコルは、次のとおりである。結合緩衝液(各受容体について最適化した)、膜抽出物(各受容体について最適化したタンパク質量/ウェル)、放射性トレーサー(各受容体について最適化した最終濃度)および試験化合物を含む96ウェルプレート(Master Block、Greiner、786201)で、競合結合を二連で実施する。200倍過剰量の非標識競合剤とのインキュベートにより、非特異的結合を決定する。サンプルを0.1mLの最終体積で、25℃で60分間インキュベートし、その後フィルタープレートでろ過する。フィルターを0.5mLの氷冷した洗浄緩衝液(各受容体について最適化した)で6回洗浄し、50μLのMicroscint 20 (Packard)を各フィルターに添加する。フィルタープレートを密封し、オービタルシェーカーで15分間インキュベートし、30秒/フィルターで、TopCountでシンチレーションをカウントする。
【0215】
A2Aアデノシン受容体放射性リガンド結合アッセイについて、一般的プロトコルに次の変更を実施する。0.01% Brijに室温で2時間予浸したGF/Cフィルター(Perkin Elmer、6005174)を使用する。フィルターを0.5mLの氷冷した洗浄緩衝液(50 mM Tris pH 7.4)で6回洗浄し、50μLのMicroscint 20 (Packard)を各フィルターに添加する。その後、プレートをオービタルシェーカーで15分間インキュベートし、TopCountTMで1分/ウェルでカウントする。
【0216】
アデノシンA2A受容体に対する結合親和性を評価するために別の放射性リガンド結合アッセイを実施し、アッセイは、384プレートのウェルで、二連で実施する。アッセイ緩衝液は、DPBS 500 mM、MgCl2 0.1 mMおよび1% DMSOを含む。膜-ビーズ懸濁液を25.98μLのヒトアデノシンA2A膜調製物(Perkin Elmer、RBHA2AM400UA)を33.4μg/mLで、28μLのADAを20μg/mLで、932μLのSPAビーズを3.33mg/mLで混合することにより調製し、混合物を室温で20分間インキュベートする。試験物を種々の濃度で含む各々のウェルに、20μLの放射性トレーサー(3H-SCH 58261)を15nMで混合し、1000rpmで1分間遠心分離する。30μLの膜-ビーズ懸濁液を各ウェルに添加する。プレートを密封し、プレートミキサーで激しく混合しながら室温で1時間インキュベートする。プレートをMicrobeta2(Perkin Elmer、2450-0010)で読み取る。
【0217】
アデノシンA1放射性リガンド結合競合アッセイについて、次の試薬を使用する以外、同様の方法を使用する:CHO-K1-A1細胞膜;HEPES 25mM pH 7.4、MgCl2 5 mM、CaCl2 1 mM、NaCl 100 mM、サポニン 10μg/mLを含む結合緩衝液;HEPES 25 mM pH 7.4、MgCl2 5 mM、CaCl2 1 mM、NaCl 100 mMを含む洗浄緩衝液;0.5% PEIで2時間処理したユニフィルターGF/B;およびトレーサーとして1.6nMの3H-DPCPX。
【0218】
同様に、次の試薬をアデノシンA2B放射性リガンド結合競合アッセイに用いた:HEK-293-A2B細胞膜、20μg/ウェル、25μg/mLアデノシンデアミナーゼを用いて室温で30分間前培養;HEPES 10mM pH 7.4、EDTA 1 mM、0.5% BSAを含む結合緩衝液;HEPES 10mM pH 7.4、EDTA 1 mM結合緩衝液;0.5% PEIで2時間処理したユニフィルターGF/B;およびトレーサーとして10nM 3H-DPCPX。
【0219】
アデノシンA3放射性リガンド結合競合アッセイについて、次の試薬を使用する。CHO-K1-A3細胞膜、1.5μg/ウェル;HEPES 25 mM pH 7.4、MgCl2 5 mM、CaCl2 1 mM、0.5% BSAを含む結合緩衝液;HEPES 25mM pH 7.4、MgCl2 5 mM、CaCl2 1 mMを含む洗浄緩衝液;0.5% BSで2時間処理したユニフィルターGF/B;およびトレーサーとして0.4 nMの125I-AB-MECA。結合アッセイの結果を所定の濃度でのパーセント残結合として示す。残結合のパーセントは、競合剤非存在下での結合量に対して標準化された競合剤存在下の化合物の結合を意味する。
【0220】
実施例B1(b)
第二のA2Aアデノシン受容体放射性リガンド結合アッセイプロトコルを使用した。プロトコルは、5μg/ウェル/100μlの濃度でアデノシンA2a(ヒト)膜(PerkinElmer RBHA2AM400UA)を使用し、6nMの最終濃度で放射性リガンド[3H]CGS-21680(カタログ番号PerkinElmer-NET1021250UC)を使用した。試験化合物をDMSOで希釈し、0.2mMから開始して8点4倍連続希釈をした。参照化合物はCGS-15943であった。プレートマップに従って、1μlの化合物/高コントロール/低コントロールをアッセイプレートに移し、その後100μlの膜保存液および100μlの放射性リガンドのアッセイ緩衝液(50mM Tris-HCl、10mM MgCl2、1mM EDTA、pH 7.4)の溶液を移した。プレートを密封し、室温で2時間インキュベートした。Unifilter-96GF/Cフィルタープレート(Perkin Elmerカタログ番号6005174)を1ウェルあたり50μlの0.3% PEIで、室温で少なくとも0.5時間浸漬した。結合アッセイが完了したとき、反応混合物をPerkin Elmer Filtermate Harvesterを用いてGF/Cでろ過し、各プレートを冷却した洗浄緩衝液(50mM Tris-HCl、154mM NaCl、pH 7.4)で4回洗浄した。フィルタープレートを50度で1時間乾燥させた。乾燥後、フィルタープレートウェルの底を密封し、50μlのPerkin Elmer Microscint 20カクテルを添加し、プレートの上部を密封した。Perkin Elmer MicroBeta2 Readerを用いてフィルター上に捕捉された3Hをカウントした。GraphPad Prism 5でデータを解析し、結合IC50値を得た。「阻害[%対照]」は、次の式:%Inh=(1-背景減算アッセイ値/背景減算HC値)*100(式中、HCは高対照である)で計算される。A2a結合IC50値を表B1に示す。
【0221】
第二のA
1アデノシン受容体放射性リガンド結合アッセイプロトコルを使用した。プロトコルは、アデノシンA1(ヒト)膜(PerkinElmer ES-010-M400UA)2.5μg/ウェル/100μlの濃度でアデノシンA1(ヒト)膜(PerkinElmer RBHA2AM400UA)を使用し、6nMの最終濃度で放射性リガンド[3H]DPCPX(カタログ番号PerkinElmer-NET974250UC)を使用した。試験化合物を200nMの最終濃度で試験した。参照化合物であるCGS-15943を、1μMの濃度から開始して8点4倍連続希釈で試験した。1μlの化合物/高コントロール/低コントロールをアッセイプレートに移し、その後100μlの膜保存液および100μlの放射性リガンドのアッセイ緩衝液(25mM HEPES、5mM MgCl
2、1mM CaCl
2、100mM NaCl、pH 7.4)を移す。プレートを密封し、室温で1時間インキュベートした。Unifilter-96 GF/Cフィルタープレート(Perkin Elmerカタログ番号6005174)を1ウェルあたり50μlの0.3% PEIで、室温で少なくとも0.5時間浸漬した。結合アッセイが完了したとき、反応混合物をPerkin Elmer Filtermate Harvesterを用いてGF/Cでろ過し、各プレートを冷却した洗浄緩衝液(25mM HEPES、5mM MgCl
2、1mM CaCl
2、100mM NaCl、pH 7.4)で洗浄した。フィルタープレートを50度で1時間乾燥させた。乾燥後、フィルタープレートウェルの底を密封し、50μlのPerkin Elmer Microscint 20カクテルを添加し、プレートの上部を密封した。Perkin Elmer MicroBeta2 Readerを用いてフィルター上に捕捉された
3Hをカウントした。GraphPad Prism 5でデータを解析し、参照化合物についての結合IC
50値を得た。「阻害[%対照]」は、次の式:%Inh=(1-背景減算アッセイ値/背景減算HC値)*100(式中、HCは高対照である)で計算される。A
1結合阻害値を表B1に示す。
【表6】
ND:決定せず
【0222】
実施例B2.cAMPアッセイ
下記のアッセイ2を用いて化合物の機能的活性を試験してcAMPの存在を検出した。アッセイ1はこの目的のための代替アッセイである。Gタンパク質共役受容体(例えば、A2A)の活性化は、ATPを下流シグナル伝達分子として使用されるcAMPに変換するアデニルシクラーゼの活性化をもたらす。それ故、GPCR(または特に、A2A受容体)アンタゴニストとして作用する分子は、細胞内cAMP濃度の低下をもたらす。
【0223】
アッセイ1:本アッセイは、抗生物質を含まない培地で試験前に増殖させたヒト組み換えアデノシンA2A受容体を発現するHEK-293細胞を使用する。細胞をPBS-EDTA(5mM EDTA)で穏やかに洗い流すことにより剥離し、遠心分離により回収し、アッセイ緩衝液(KRH:5mM KCl、1.25mM MgSO4、124mM NaCl、25mM HEPES、13.3mM グルコース、1.25mM KH2PO4、1.45mM CaCl2、0.5g/L BSA、ロリプラム添加)中で懸濁する。
【0224】
12μLの細胞を6μLの試験化合物と濃度を上昇させて混合し、その後10分間インキュベートする。その後、6μLの参照アゴニストを背景のEC80に対応する最終濃度で添加する。その後プレートを室温で30分間インキュベートする。溶解緩衝液の添加および1時間のインキュベート後、HTRF(登録商標)キットを用いて、製造者の仕様書によりcAMP濃度を測定する。
【0225】
アッセイ2(表B2):本アッセイは、抗生物質を含まない培地で試験前に増殖させたヒト組み換えアデノシンA
2A受容体(または代替的にA
1受容体)を発現するHEK-293細胞を使用した。100nLの試験物を100×の最終濃度でEchoによりアッセイに移した。細胞を5mLのPBSで2回洗浄し、10μLの細胞を5mLのPBSと混合した。PBSを吸引して1.5mLのベルシンを添加した後、細胞を37℃で2~5分間インキュベートした。遠心分離後、4mLの培地を添加し、刺激緩衝液を用いて細胞密度を5,000細胞/ウェルに調整した。10μLの細胞をアッセイプレートに分注し、1000rpmで1分間遠心分離し、室温で60分間インキュベートした。5μLの4×Eu-cAMPトレーサー溶液および5μLの4×UlightTM-抗cAMP溶液をアッセイプレートに添加し、遠心分離し、室温で60分間インキュベートした。プレートをEnVisionで読み取った。cAMPレベルを低減するための化合物1.5のIC
50を表B2に示す。表B2に示すとおり、ここに開示する一部化合物は、cAMPの細胞内レベルを強度に低減させた。例えば、化合物7は、アデノシンA
2A受容体アッセイでcAMPレベル低減について11.0nMのIC
50を有した。
【表7】
ND:決定せず
【0226】
実施例B3 A2A受容体についてのGTPγ35Sシンチレーション近接アッセイ
試験化合物のA2A受容体への結合の速度論的プロファイルを決定するために、シンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用する。
【0227】
アンタゴニスト試験について、膜抽出物を組み換えヒトA2A受容体を発現するHEK-293細胞から調製し、GDP(体積:体積)と混合し、20mM HEPES pH 7.4;100mM NaCl、10μg/mL サポニン、5mM MgCl2を含むアッセイ緩衝液中で、氷上で少なくとも15分間インキュベートする。並行して、反応直前にGTP[35S]をビーズ(体積:体積)と混合した。次の試薬をOptiplate(Perkin Elmer)のウェルに続けて添加する:25μLの試験化合物または参照リガンド、25μLの膜:GDPミックス、背景EC80での25μLの参照アゴニストおよび25μLのGTP[35S](PerkinElmer NEG030X)、アッセイ緩衝液で希釈して0.1nMとする。プレートを室温で1時間インキュベートする。その後、室温で20μLのIGEPALを30分間添加する。このインキュベートの後、20μLのビーズ(PVT-抗ウサギ(PerkinElmer、RPNQ0016))(アッセイ緩衝液で希釈して50mg/mL(0.5mg/10μL)とした)および20μLの抗GαS/olf抗体を室温で3時間の最終培養物に添加する。その後、プレートを2000rpmで10分間インキュベートし、PerkinElmer TopCount readerを用いて1分/ウェルでカウントする。
【0228】
実施例B4 機能的T細胞アッセイ
ヒトT細胞活性化アッセイ:新鮮なヒト血液を同体積のPBSで希釈し、末梢血液単核細胞(PBMC)を含むバフィーコートを調製し、2×10
6/mLの密度で培養培地に再懸濁した。2×10
5 PBMC(100μL中)を96ウェル平底プレートの各ウェルに蒔いた。25μLの8×最終濃度の10倍の段階希釈した化合物を指定のウェルに添加し、37℃/5% CO
2で30分間インキュベートした。25μLの8×最終濃度のNECA(1μLまたは5μL)を、選択したウェルに添加し、37℃/5% CO
2で30分間インキュベートした。50μL中のビーズと細胞が1:6の比であるT細胞活性化/増殖キット(Miltenyi biotecカタログ番号130-091-441)に含まれるビーズを最終濃度0.1%および最終体積200μLのDMSOと共に全てのウェルに添加した。TNF-α ELISA ready-set-goキット(eBioscience、カタログ番号88-7346-77)およびIFN-γ ELISA ready-set-goキット(eBioscience、カタログ番号88-7316-77)をそれぞれ用いたTNF-αおよびIFN-γ濃度評価のために、インキュベート24時間後および48時間後の上清60μLを回収した。
図1および
図2は、化合物1(cpd 1)がインビトロで活性化ヒトT細胞におけるTNF-αおよびIFN-γ分泌のNECA介在抑制を逆転したことを示す。
【0229】
実施例B5: cAMPアッセイ
CD8+Tリンパ球富化キットを用いて、CD8+T細胞を正常なドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)から単離する。
【0230】
抗CD3抗体でコーティングした96ウェルプレートで、CD8+T細胞(1×105)を単独で、3μMのNECAと共に、または3μMのNECAを含むもしくは含まない1μMの目的化合物の存在下で培養した。細胞を37℃および5% CO2で30分間インキュベートし、200μLの0.1M 塩酸を添加することで反応を停止させる。ELISAキットによりcAMPレベルを決定する。
【0231】
実施例B6:免疫腫瘍マウスモデルにおける抗腫瘍活性
試験物の抗腫瘍活性を、選択的マウスモデル(例えば、同系モデル、異種移植モデルまたはPDX)で単剤療法、併用療法として評価する。例としてMC-38同系モデルを使用する:腫瘍形成のために雌性C57BL/6マウスの右脇腹にC-38細胞を皮下接種した。腫瘍接種5日後、40~85mm3の範囲の腫瘍サイズを有するマウスを選択し、腫瘍体積に基づいてグループごとに10匹のマウスを用いた層別ランダム化を使用して、サブグループに割り当てる。マウスは、ビークル、種々の用量の試験物のみ、種々の用量の試験物と他の抗癌治療剤、および他の抗癌治療剤対照を含む、事前に決定された処置を受ける。処置の間、週に1回体重および腫瘍サイズを測定する。腫瘍体積は、式:V=0.5a×b2(式中、aおよびbはそれぞれ腫瘍の長径および短径である)を用いてmm3で表される。腫瘍サイズを腫瘍増殖阻害(TGI)およびT/C値の計算に使用する。個々の動物が終了エンドポイント(例えば、TV>1000mm3を有する)に到達したとき、マウスを屠殺する。接種から終了までの時間を、その生存時間とみなす。生存曲線はカプランマイヤー法によりプロットする。試験の最後に、血漿および腫瘍サンプルを回収してバイオマーカーを探索する。
【0232】
実施例B7 マウス脾臓細胞アッセイ
Balb/cマウスから単離したマウス脾臓細胞におけるmIFNγ放出のNECA抑制の逆転のための化合物のIC
50値を決定する。mIFNγ放出はCD3e/CD28誘発性放出である。マウス脾臓細胞(2×10
5細胞/ウェル)を抗マウスCD3e(2.5μg/ml、4℃で一晩コーティング;カタログ番号14-0032-82、eBioscience)で活性化し、その後化合物の連続希釈物(3倍、1μMで開始する8点用量応答)とNECA(0.1μM、3.0μMまたは6.0μMのような濃度;カタログ番号E2387、Sigma)の存在下、インキュベータ(細胞培養条件)内で37℃で30分間インキュベートし、その後それらを抗マウスCD28(0.1μg/ml 可溶性;カタログ番号16-0289-81、eBiosciences)で処理する。脾臓細胞を細胞培養条件下で72時間さらにインキュベートし;その後、上清を回収し、1:100に希釈し、製造者のプロトコル(mIFN-γキット;カタログ番号555138および550534、BD Biosciences)に従ってELISAを実施する。450nmで吸光度を測定することにより、プレートリーダーでプレートを読み取る。化合物によるNECA抑制mIFN-γ放出の逆転のための値は、次の式に従って計算される:
【数1】
式中、[mIFN-γ]
testは試験読み取りであり、[mIFN-γ]
blankはブランクのウェルから得られた平均の読み取りであり、[mIFN-γ]
NECAはNECA処理した活性化細胞から得られた平均の読み取りである。IC
50は、Graph Pad Prismを用いて、曲線を「4パラメーター可変勾配ロジスティックモデル」に一致させることにより計算される。
【0233】
前記発明は理解を明確化する目的で説明および例示の方法によりある程度詳細に記載されているが、上の教示についてある一定の小さな変更および修飾が実施されることは当業者に明らかである。したがって、本明細書および実施例は、本発明の範囲を限定するものであると理解されるべきではない。
【0234】
全体を通して、刊行物、特許および公開特許出願のような全ての引例は、それらの全体の参照により包含させる。
【国際調査報告】