(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(54)【発明の名称】巻きタバコ加熱ユニット及び電気加熱式の喫煙具
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20220418BHJP
H05B 3/40 20060101ALI20220418BHJP
H05B 3/16 20060101ALI20220418BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20220418BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20220418BHJP
【FI】
A24F40/46
H05B3/40 Z
H05B3/16
H05B3/20 356
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542566
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 CN2020072817
(87)【国際公開番号】W WO2020151597
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】201920135544.7
(32)【優先日】2019-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】雷宝霊
(72)【発明者】
【氏名】袁軍
(72)【発明者】
【氏名】李鄭発
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【テーマコード(参考)】
3K034
3K092
4B162
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA12
3K034AA34
3K034BB06
3K034BB13
3K034DA05
3K092PP20
3K092QA02
3K092QB02
3K092QB26
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3K092QB74
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3K092RF02
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3K092SS13
3K092SS39
3K092UA06
3K092VV22
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC22
4B162AD06
4B162AD08
(57)【要約】
【要約】本願は巻きタバコ加熱ユニットであって、縦長の伝熱管と、下地層と、下地層上に形成された抵抗発熱部とを含み、この伝熱管は径方向に対向する内面と外面を有し、下地層が伝熱管の外面に硬化され、抵抗発熱部が下地層と伝熱管との間に位置しながらこの伝熱管の長手方向に伸び、伝熱管材料が下地層材料よりも熱伝導率が大きく、内面により巻きタバコを収容するための加熱室が形成される巻きタバコ加熱ユニットを提案する。本願による巻きタバコ加熱ユニットでは、抵抗発熱部に対して、製造中の印刷用下地となる下地層と、印刷の後に焼結結合を行う結合用下地及び熱伝導・分散用基材となる伝熱管との二重の下地基材を持たせることで、抵抗発熱部の抵抗値を安定させながら加熱ユニットの優れた伝熱性を維持する一方、抵抗発熱部の二つの表面を保護するようになり、高温での使用や物理的摩擦により摩耗されることは回避されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長の伝熱管と、下地層と、前記下地層上に形成された抵抗発熱部とを含み、前記伝熱管は径方向に対向する内面と外面を有し、前記下地層が前記伝熱管の外面に硬化され、前記抵抗発熱部が前記下地層と前記伝熱管との間に位置され、且つ前記伝熱管の長手方向に沿って延伸し、前記伝熱管材料が前記下地層材料よりも熱伝導率が大きく、
前記内面により巻きタバコを収容するための加熱室が形成されることを特徴とする巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項2】
前記下地層は厚さが0.05~0.2mmであるセラミック下地層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項3】
前記セラミック下地層は湾曲可能な平板状のセラミックシートを前記伝熱管の外面に巻き付けて焼結を行うことで硬化されたものであり、前記抵抗発熱部はこの平板状のセラミックシートの少なくとも一つの平面に印刷された金属発熱配線であることを特徴とする、請求項2に記載の巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項4】
前記伝熱管は厚さが0.1~0.2mmである金属管を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項5】
前記金属管の外面には金属管と抵抗発熱部との間を絶縁させるための絶縁層が存在することを特徴とする、請求項4に記載の巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項6】
前記抵抗発熱部は間隔をおいて分布される一つ又は複数の発熱配線を含み、この発熱配線は特定の抵抗温度係数を有することで、抵抗加熱素子になるとともに、巻きタバコ加熱ユニットの温度をセンシングするための温度センサにもなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項7】
前記抵抗発熱部は異なる抵抗温度係数を有する発熱配線と測温配線とを少なくとも含み、
前記発熱配線の抵抗温度係数が抵抗加熱素子上の用途を満たし、前記測温配線の抵抗温度係数が巻きタバコ加熱ユニットの温度をセンシングする温度センサ上の用途を満たすことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項8】
前記抵抗発熱部は、伝熱管を介して径方向に熱を伝導して前記加熱室の長手方向の異なる領域を加熱するために、前記伝熱管の長手方向に間隔をおいて分布される第一の発熱パターンと第二の発熱パターンとを少なくとも含むことを特徴とする、請求項1に記載の巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項9】
前記第一の発熱パターンと第二の発熱パターンのいずれにも、発熱を個別に制御するために、回路に組み込まれるための電極ピンが別々に接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の巻きタバコ加熱ユニット。
【請求項10】
巻きタバコ加熱器と、巻きタバコ加熱器に電力を供給するための電源とを備える電気加熱式の喫煙具であって、前記巻きタバコ加熱器は請求項1から請求項9のいずれかに記載の巻きタバコ加熱ユニットであることを特徴とする電気加熱式の喫煙具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は電子タバコの分野に関し、特に、巻きタバコ加熱ユニット及び電気加熱式の喫煙具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の加熱・非燃焼型の電子タバコにおいては、周りから加熱する管状の加熱ユニットで巻きタバコを加熱するものがあり、このような管状の加熱ユニットは、セラミックやステンレス鋼という基材に発熱配線を印刷することにより製造されたものが一般的である。
【0003】
セラミック基材による加熱ユニットとして、平面状のセラミック白地に発熱回路を印刷した上で、円管状の形状に巻いて焼結することにより、巻きタバコを収容し加熱できるセラミック発熱管が得られる。ステンレス鋼基材による加熱ユニットとして、表面絶縁処理を行ったステンレス鋼管に発熱配線を印刷してから焼結を行う。
【0004】
セラミック基材による加熱ユニットは平面状のセラミック白地に配線を印刷するので、得られる印刷配線は厚さの均一性や抵抗値の安定性が良好であるが、セラミックは比較的伝熱性に乏しいから、巻きタバコを加熱する場合には昇温速度が低く、また、低い伝熱速度に起因して熱が印刷配線パターンの近所に集中し、セラミック管に収容される巻きタバコを均一に加熱できなくなってしまう。一方、ステンレス鋼基材による加熱ユニットは熱伝導係数が高くてより肉厚の薄いものであるため、昇温速度が高く、管内に収容される巻きタバコの全体を均一に加熱しているが、製造の場合では円管に発熱配線を印刷するので、印刷された配線は厚さの均一性が十分にならず、抵抗値の安定性に劣り、製品の発熱温度制御に不利であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術による様々な巻きタバコ加熱ユニットのそれぞれにおいて発生する抵抗値の安定性や伝熱性の問題を解決するために、本願の実施例は抵抗値の安定性と伝熱性を兼ね備える巻きタバコ加熱ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は巻きタバコ加熱ユニットであって、縦長の伝熱管と、下地層と、前記下地層上に形成された抵抗発熱部とを含み、この伝熱管は径方向に対向する内面と外面を有し、前記下地層が前記伝熱管の外面に硬化され、前記抵抗発熱部が前記下地層と前記伝熱管との間に位置しながらこの伝熱管の長手方向に伸び、前記伝熱管材料が前記下地層材料よりも熱伝導率が大きく、
前記内面により巻きタバコを収容するための加熱室が形成される巻きタバコ加熱ユニットを提案する。
【0007】
任意的には、前記下地層は厚さが0.05~0.2mmであるセラミック下地層を含む。
【0008】
任意的には、前記セラミック下地層は湾曲可能な平板状のセラミックシートを前記伝熱管の外面に巻き付けて焼結を行うことで硬化されたものであり、前記抵抗発熱部はこの平板状のセラミックシートの少なくとも一つの平面に印刷された金属発熱配線である。
【0009】
任意的には、前記伝熱管は厚さが0.1~0.2mmである金属管を含む。
【0010】
任意的には、前記金属管の外面には金属管と抵抗発熱部との間を絶縁させるための絶縁層が存在する。
【0011】
任意的には、前記抵抗発熱部は間隔をおいて分布される一つ又は複数の発熱配線を含み、この発熱配線は特定の抵抗温度係数を有することで、抵抗加熱素子になるとともに、巻きタバコ加熱ユニットの温度をセンシングするための温度センサにもなる。
【0012】
任意的には、前記抵抗発熱部は異なる抵抗温度係数を有する発熱配線と測温配線とを少なくとも含み、
前記発熱配線の抵抗温度係数が抵抗加熱素子上の用途を満たし、前記測温配線の抵抗温度係数が巻きタバコ加熱ユニットの温度をセンシングする温度センサ上の用途を満たす。
【0013】
任意的には、前記抵抗発熱部は、伝熱管を介して径方向に熱を伝導して前記加熱室の長手方向の異なる領域を加熱するために、前記伝熱管の長手方向に間隔をおいて分布される第一の発熱パターンと第二の発熱パターンとを少なくとも含む。
【0014】
任意的には、前記第一の発熱パターンと第二の発熱パターンのいずれにも、発熱を個別に制御するために、回路に組み込まれるための電極ピンが別々に接続されている。
【0015】
本願は巻きタバコ加熱器と、巻きタバコ加熱器に電力を供給するための電源とを備える電気加熱式の喫煙具であって、前記巻きタバコ加熱器に上記した巻きタバコ加熱ユニットが採用される電気加熱式の喫煙具をさらに提案する。
【0016】
本願は上記の巻きタバコ加熱ユニットの製造方法であって、
セラミック白地層を取得し、セラミック白地層の表面に発熱作動体層を形成することで、セラミック発熱作動体が得られることと、
前記セラミック発熱作動体を伝熱管の外面に巻き付けることで、発熱ユニット作動体が形成されることと、
前記発熱ユニット作動体に対して70~100℃の温度でベーキングを行って硬化させた後、800~1200℃の温度でさらに焼結することで、巻きタバコ加熱ユニットが得られることと、
を含む製造方法をさらに提案する。
【0017】
任意的には、前記セラミック白地層を取得することは、
質量分率として酸化アルミニウム45%~50%,シリカ35%~40%,酸化カルシウム5%~10%,酸化マグネシウム7%~9%を配合してセラミック粉末とすることと、
前記セラミック粉末を溶媒75~80%と結合剤10~15%と分散剤2.5~3.5%と可塑剤5~10%とを含む焼結助剤と均一に混合した後、プレス成形を行うことで、前記セラミック白地層が得られることと、
を含む。
【0018】
任意的には、前記結合剤はポリビニルアルコール、セルロース又はポリアクリル酸の少なくとも一つである。前記分散剤はポリアクリル酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム又はクエン酸ナトリウムの少なくとも一つであり、前記可塑剤はフタル酸ジブチル、グリセロール又はポリエチレングリコールの少なくとも一つである。
【発明の効果】
【0019】
本願による上記巻きタバコ加熱ユニットでは、抵抗発熱部に対して、製造中の印刷用下地となる下地層と、印刷の後に焼結結合を行う結合用下地及び加熱中の熱伝導・分散用基材となる伝熱管との二重の下地基材を持たせることで、製造や使用中において抵抗発熱部の抵抗値を安定させながら加熱ユニットの優れた伝熱性を維持できる一方、使用中において伝熱管と下地層により抵抗発熱部の二つの表面をそれぞれ保護できるようになり、高温での使用に起因して抵抗発熱部に歪みが生じ抵抗値が変わることや、巻きタバコの抜き差し等の物理的摩擦により抵抗発熱部が摩耗されることは回避されている。
【0020】
一つ又は複数の実施例について対応する図面中のイメージにより例示的に説明するが、これらの例示的な説明は実施例を限定するものではなく、図面中の同一の参照符号が付された素子は類似する素子を示し、特に言明していない限り、図面中のイメージはそれらの比例に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願の一実施例による巻きタバコ加熱ユニットの模式図である。
【
図2】
図1中の巻きタバコ加熱ユニットの径方向の断面模式図である。
【
図3】
図1中の巻きタバコ加熱ユニットにおけるセラミック下地層と抵抗発熱部を伝熱管の円周方向に展開した模式図である。
【
図4】実施例による巻きタバコ加熱ユニットと従来のセラミック加熱管についての昇温テストの結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の理解を容易にするために、図面及び具体的な実施形態に合わせて本願を以下でより詳細に説明する。
【0023】
本願の実施例は抵抗値の安定性と伝熱性を持つ巻きタバコ加熱ユニットの製造方法を提案し、巻きタバコ加熱ユニットは
図1から
図3に示される構造をもとに製造されるものであり、伝熱管10、及び、伝熱管10の径方向に外へ順に積層して設けれる抵抗発熱部20とセラミック下地層30を含む。そして、セラミック下地層30は伝熱管10の外面に硬化され、抵抗発熱部20は伝熱管10とセラミック下地層30との間に位置しながら、伝熱管10の長手方向に伸びる。
【0024】
そのうち、セラミック下地層30には酸化アルミニウム系セラミック、酸化ジルコニウム系セラミック又は珪藻土系セラミック等が採用されてもよい。伝熱管10は伝熱性に優れた材料で製造され、金属又は合金材料及び非金属材料例えばステンレス鋼、アルミニウム合金、亜鉛合金、銅合金等、あるいは、伝熱性の高い金属酸化物、窒化物、炭化物材料例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ニッケル、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素等が採用されてもよい。機能的には、伝熱管10は伝熱のためのものであり、熱がセラミック下地層30を介して外へ伝達するのを防止するために、セラミック下地層30よりも伝熱管10の熱伝導率を大きくして熱を加熱に用いるようにする。
【0025】
上記構造の巻きタバコ加熱ユニットでは、抵抗発熱部20に対して、製造中の印刷用下地となるセラミック下地層30と、印刷の後に結合を行う伝熱基材となる伝熱管10との二重の下地基材を持たせることで、製造や使用中において巻きタバコ加熱ユニットの抵抗値を安定させながら優れた伝熱性を維持できる一方、伝熱管10とセラミック下地層30により抵抗発熱部20の二つの表面をそれぞれ保護できるようになり、高温での使用に起因して抵抗発熱部20に歪みが生じ抵抗値が変わることや、巻きタバコの抜き差し等の物理的摩擦により抵抗発熱部20が摩耗されることは回避されている。
【0026】
上記によれば、セラミック下地層30は未焼結の平板状セラミックシートに抵抗発熱部20を印刷した後、伝熱管10の外面に巻き付けて焼結することで硬化されたものである。セラミックシートは伝熱管10の外面に巻き付けられる前にはフレキシブルものであり、セラミック粉材と焼結助剤を混合してスラリーとしてから塗布することにより形成されてもよく、あるいは、従来の購入可能なフレキシブルセラミック紙が採用されてもよい。
【0027】
伝熱管10内に巻きタバコを収容し加熱する機能を達成するために、その内径を通常の巻きタバコの直径に適合させ、つまり、直径5~6mmのものを採用するのは好適であり、巻きタバコがスムーズに挿入できるとともに内壁と密接するようになり、加熱時の受熱効率が向上している。
【0028】
この構造では、抵抗発熱部20はスクリーン印刷と焼結により製造されることが好ましく、材料としての通常の純ニッケル、ニッケルクロム合金、ニッケル鉄合金、鉄クロム合金、鉄クロムアルミニウム合金、タングステン、白金、チタン合金又はステンレス鋼等の粉末をスラリーと混合してから設計されたパターンに従って印刷すればよい。下地と保護層になるセラミック下地層30の厚さは0.05~0.2mmが好ましく、伝熱管10の厚さは0.1~0.2mmが好ましい。
【0029】
図3に示される抵抗発熱部20とセラミック下地層を伝熱管10の円周方向に展開した模式図をさらに参照すると、抵抗発熱部20は伝熱管10の長手方向に間隔をおいて分布される第一の発熱パターン21と第二の発熱パターン22とを含み、第一の発熱パターン21と第二の発熱パターン22によれば、加熱室11の長手方向の異なる領域をそれぞれ加熱できるとともに、個別の加熱をも実現でき、巻きタバコを加熱して煙を発生する場合には個別に加熱することが可能になり、全体の煙発生量を均一かつ安定的にしている。あるいは、別の実施形態では、第一の発熱パターン21と第二の発熱パターン22は異なる発熱温度を有するものとされ、より多くの差別化制御への需要を満たすようにする。
【0030】
個別制御への需要を満たすために、上記第一の発熱パターン21と第二の発熱パターン22のそれぞれに対して回路と接続するための電極ピンを別々に設けることで、両者は個別に制御されて発熱することが可能にある。さらに
図1を参照すると、図から分かるように、図中の実施例が採用するピンは第一のピン121と第二のピン122と第三のピン123とを含み、その一つは共通ピンとされ、残りの二つはそれぞれ第一の発熱パターン21と第二の発熱パターン22に対応して接続するものとされ、例えば一実施形態では、第一のピン121は共通の負極ピンとして電源装置の負極に接続し、第二のピン122は第一の発熱パターン21の正極ピンとして電源装置の正極に接続し、第三のピン123は第二の発熱パターン22の正極ピンとして電源装置の正極に接続するようになり、そして実施の場合、第一のピン121と抵抗発熱部20の溶接接合部位は第一の発熱パターン21と第二の発熱パターン22の境界部位とされることで、両者はこの第一のピン121を共通に使用可能となる。
【0031】
さらに、別の実施形態では、抵抗発熱部20は間隔をおいて分布される一つ又は複数の発熱配線を含み、発熱配線の抵抗材料としては、特定の抵抗温度係数例えば正の温度係数又は負の温度係数を有する金属や合金材料から選定でき、それにより、発熱配線は抵抗加熱素子になるとともに、加熱ユニットのリアルタイムな動作温度をセンシングするための温度センサにもなる。別の実施例として、抵抗発熱部20は異なる抵抗温度係数を有する第一の発熱配線と第二の発熱配線とを少なくとも含み、第一の発熱配線の抵抗温度係数が巻きタバコの加熱上の用途を満たし、第二の発熱配線の温度係数が加熱ユニットの温度へのセンシング上の用途を満たしている。
【0032】
また、短絡防止のための導電上の要求を満たすために、伝熱管10に金属や合金材料が採用される場合、その抵抗発熱部20に対向する外面に対して絶縁処理例えば表面酸化、陽極酸化、絶縁層めっき又は施釉等を施すことにより、抵抗発熱部20との絶縁が実現される。
【0033】
本願による上記構造の巻きタバコ加熱ユニットの製造方法は、
セラミック白地層30aの表面にスクリーン印刷により発熱作動体層20aを形成することで、セラミック発熱作動体が得られるS10と、
ステップS10で得られたセラミック発熱作動体を伝熱管10aの外面に巻き付けることで、発熱ユニット作動体が形成されるS20と、
発熱ユニット作動体に対して70~100℃の温度でベーキングを行って硬化させた後、800~1200℃の温度でさらに焼結することで、巻きタバコ加熱ユニットが得られるS30と、
で行われる。
【0034】
上記製造方法では、セラミック白地層30aの表面に発熱作動体層20aを印刷してから伝熱管10aに巻き付けて焼結を行うことで加熱ユニットを製造した。発熱作動体層20aはセラミック白地の平らな表面にて印刷されるので、形成された発熱作動体層20aは厚さの均一性及びセラミック層との密着性が保証され、また、焼結に先立って伝熱管10aに巻き付けて結合させることで、伝熱管10aの基材により保持されながら焼結に付されるようになり、融蝕による歪みへの抑制に役立ち、抵抗値の安定性と伝熱・昇温効率を保持することに有利である。
【0035】
そのうち、ステップS10の実施では、セラミック白地層30aは原料となるセラミック粉材を一定の焼結助剤と均一に混合してからプレス成形を行うことで得られたものである。ただし、実施中の平坦性や緻密性などの品質上の要求を満たしながら、最外層となる断熱材としての効果をもたらすために、セラミック粉材には変性又は酸化アルミニウムのドープされたセラミック粉が採用されてもよく、好ましくは、酸化アルミニウム45%~50%,シリカ35%~40%,酸化カルシウム5%~10%,酸化マグネシウム7%~9%を用いて配合したものが採用されてもよい。
【0036】
また、焼結助剤は溶媒や結合剤、分散剤及び可塑剤を含み、溶媒75~80%,結合剤10~15%,分散剤2.5~3.5%,可塑剤5~10%の重量比で混合し配合したものである。本願によるセラミック下地の白地を製造する場合、溶媒に水が採用されてもよく、結合剤はポリビニルアルコール(PVA)、セルロース(MC)又はポリアクリル酸(PAA)等とされ、分散剤はポリアクリル酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム又はクエン酸ナトリウム等とされ、可塑剤はフタル酸ジブチル(DBP)、グリセロール(グリセリン)、ポリエチレングリコール(PEG)等とされる。白地材として混合する場合、セラミック粉末と焼結助剤を質量比1~2.5:1で混合する。
【0037】
発熱作動体層20aに採用される材料は純ニッケル、ニッケルクロム合金、ニッケル鉄合金、鉄クロム合金、鉄クロムアルミニウム合金、チタン合金又はステンレス鋼等であってもよく、製造に際して、これらの材料の作動体粉末と焼結助剤とを均一に混合してスラリーとした後、所望の形状に従ってセラミック白地層30a表面において印刷すればよい。
【0038】
ステップS20では、ステップS10にて印刷されたセラミック発熱作動体を伝熱管10aの外面に巻き付けて結合させる。最終のステップS30では、巻き付けられて結合された発熱ユニット作動体に対してベーキング硬化と低温焼結を行い、つまり、最初にベーキングによりセラミック白地と印刷配線を硬化させることで、配線の抵抗値を安定させ、そして低温同時焼成によりセラミック層、印刷された抵抗発熱部及び伝熱管を一体に焼結して発熱ユニットとする。
【0039】
製造された発熱ユニットの昇温速度と抵抗値の安定性を一層明らかにするために、上記方法と構造をもとに具体的な実施例を例として以下で説明する。
【0040】
S00では、重量百分率として酸化アルミニウム48%,シリカ36%,酸化カルシウム8%,酸化マグネシウム8%を配合してセラミック粉末とし、そして、セラミック粉末と焼結助剤を重量比2:1で混合してからプレス成形を行うことで、厚さが0.15mmとなるセラミック白地層30aが形成され、ただし、焼結助剤には水80%,結合剤であるポリビニルアルコール12%,分散剤であるクエン酸ナトリウム2.5%,可塑剤であるグリセリン5.5%が含まれており、
S10では、純ニッケルの金属粉と購入された印刷・焼結助剤(90%程度がテルピネオール、5%程度がエチルセルロース、残部がメーカ自分で添加する機能助剤である)を混合して混合スラリーとし、スクリーン印刷によりステップS00によるセラミック白地層30aの表面において印刷することで発熱作動体層20aが形成され、セラミック発熱作動体が得られ、
S20では、ステップS10によるセラミック発熱作動体を表面酸化処理を行ったステンレス鋼管に巻き付けるように貼り付けることで、発熱ユニット作動体が形成され、ただし、ステンレス鋼管は肉厚が0.1mmであり、
S30では、発熱ユニット作動体を100℃で5min保温して硬化させ、さらに真空炉にて焼結し、つまり、10℃/minの速度で1000℃まで昇温した後、1時間保温して取り出すことで、実施例による巻きタバコ加熱ユニットが得られる。
【0041】
上記実施例では、抵抗発熱部20は抵抗値0.8オームのニッケル発熱配線として製造され、同一抵抗値を持つ従来のセラミック発熱管との昇温テストによる比較を行い、その結果を
図4に示しており、そのうち、
図4中のS1が実施例による巻きタバコ加熱ユニットの内壁の昇温曲線、S2が従来のセラミック発熱管の内壁の昇温曲線である。図から分かるように、同様に200度まで昇温する場合、セラミック発熱管の昇温時間が54s、実施例による巻きタバコ加熱ユニットの昇温時間が10sとなる。
【0042】
それぞれに通電して50回循環使用した場合の抵抗値変化をさらに検出し、比較結果を下表に示す
上記テストの結果から分かるように、本実施例では、セラミック白地に平らに印刷してから伝熱管に巻き付けて焼結することで協同保持構造が得られ、抵抗発熱部がより平坦かつ安定的になり、抵抗値の安定性と耐用年数がより高くなる。
【0043】
本願は巻きタバコ加熱器と、巻きタバコ加熱器に電力を供給するための電源とを備える電気加熱式の喫煙具であって、巻きタバコ加熱器に上記した巻きタバコ加熱ユニットが採用される電気加熱式の喫煙具をさらに提案し、組付けに際して、巻きタバコ加熱ユニットにおける抵抗発熱部の両端をそれぞれピンを介して電源の正負極に接続させれば動作可能になる。
【0044】
本願の明細書及び図面には本願の好適な実施例が開示されるが、本明細書に記述の実施例に限らず、さらに、当業者は上記説明をもとに改良や変更を行うことができ、これらの改良や変更はすべて本願に記述の請求項の保護範囲に含まれるはずであることは了解されたい。
【国際調査報告】