(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(54)【発明の名称】制御された印刷表面および制御された印刷表面上にトポグラフィー特徴を形成する方法
(51)【国際特許分類】
B41M 3/06 20060101AFI20220418BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20220418BHJP
B41F 15/00 20060101ALI20220418BHJP
B41N 1/24 20060101ALI20220418BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B41M3/06 C
B41M1/12
B41F15/00 B
B41N1/24
C08L101/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544205
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 US2020015325
(87)【国際公開番号】W WO2020159930
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】イッゾ、 マイケル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、 イヴァン グスタフ
【テーマコード(参考)】
2C035
2H113
2H114
4J002
【Fターム(参考)】
2C035AA02
2H113AA04
2H113AA05
2H113BA03
2H113BA10
2H113BA27
2H113BB22
2H113CA46
2H113FA42
2H113FA43
2H114AB11
2H114DA04
2H114DA56
4J002AA001
4J002BB001
4J002BB181
4J002BG021
4J002BG081
4J002BG131
4J002CD001
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4J002CD051
4J002CD061
4J002CD131
4J002CK021
4J002CL001
4J002GH00
4J002GK02
4J002GP00
(57)【要約】
本明細書では、表面上において、硬化した特徴を形成し、最適化する方法であって、硬化した特徴がその上に付与される表面を制御することを含む、方法が提供される。さらに、特定のシステムステーションの機械的特徴と共に、膜上においてトポグラフィー特徴を形成し、処理するためのシステムも記載される。より具体的には、本明細書では、膜表面を制御し、膜(基板)に適用される圧力の方向および大きさを制御し、最初にトポグラフィー特徴を部分的に硬化させ、続いてトポグラフィー特徴を完全に硬化させて、膜の上に形成されたトポグラフィーのスペーシング特徴を有する膜を形成することによって、膜表面に付与されたトポグラフィー特徴を形成し、最適化する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜表面上にトポグラフィー特徴を形成する方法であって、
a.膜の第1の表面の上にステンシルを提供するステップであって、ステンシルが、硬化性組成物を受け取る前記第1の表面を露出させる開口を有する、ステップと、
b.膜の第2の対向表面に陽圧を適用して、前記第1の表面をステンシルと接触させるステップと、
c.硬化性組成物の1つまたは複数の層を、前記ステンシル開口内および前記第1の表面上に堆積して、トポグラフィー特徴を形成するステップであって、前記開口がトポグラフィー特徴のおおよその形状およびサイズを画定する、ステップと、
d.前記硬化性組成物を、そのトポグラフィー特徴を保持するには十分であるが、前記ステンシルとの接着を引き起こすには不十分な状態に部分的に硬化させるための条件に曝露するステップと、
e.前記第2の表面に陰圧を適用して、部分的に硬化したトポグラフィー特徴を乱すことなく、前記膜と前記ステンシルを分離するステップと
を含み、陽圧が、トポグラフィー特徴の周囲のハロー面積を少なくとも約25%低減するのに十分である、
方法。
【請求項2】
硬化性組成物を部分的に硬化させるための条件が、膜を光源に曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光源からの光が、第2の表面に照射される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
f.部分的に硬化したトポグラフィー特徴を、硬化性組成物を固体状態に硬化させるための条件に曝露するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
硬化性組成物を固体状態に硬化させるための条件が、膜を光源に曝露することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
堆積するステップが、硬化性組成物の2つまたはそれよりも多い層を、ステンシル開口内および第1の表面上に堆積することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
陽圧が、トポグラフィー特徴の周囲のハロー面積を少なくとも約40%低減するのに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
膜表面上にトポグラフィー特徴を形成する方法であって、
a.第1の表面および第2の対向表面を有する膜を支持し、接触する膜の表面上に陽圧および陰圧を生じることができる支持体を備える装置を提供するステップと、
b.前記膜の第2の表面を支持体と接触させるステップと、
c.前記膜の第1の表面上にステンシルを提供するステップであって、前記ステンシルが、硬化性組成物を受け取る第1の表面を露出させる開口を有する、ステップと、
d.前記第2の表面に陽圧を適用して、前記第1の表面をステンシルと接触させるステップと、
e.硬化性組成物の1つまたは複数の層を、前記ステンシル開口内および前記第1の表面上に堆積して、トポグラフィー特徴を形成するステップであって、開口がトポグラフィー特徴のおおよその形状およびサイズを画定する、ステップと、
f.前記硬化性組成物を、そのトポグラフィー特徴を保持するには十分であるが、前記ステンシルとの接着を引き起こすには不十分な状態に部分的に硬化させるための条件に曝露するステップと、
g.前記第2の表面に陰圧を適用して、部分的に硬化したトポグラフィー特徴を乱すことなく、膜とステンシルを分離するステップと
を含み、陽圧が、トポグラフィー特徴の周囲のハロー面積を少なくとも約25%低減するのに十分である、
方法。
【請求項9】
硬化性組成物を部分的に硬化させるための条件が、膜を光源に曝露することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
光源からの光が、第2の表面に照射される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
h.部分的に硬化したトポグラフィー特徴を、硬化性組成物を固体状態に硬化させるための条件に曝露するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
硬化性組成物を固体状態に硬化させるための条件が、膜を光源に曝露することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
支持体から膜を除去するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
支持体から膜を除去する間に、陽圧が第2の表面に適用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップh.が、支持体から膜を除去する前、その間、または後に行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
膜の第2の表面を支持体と接触させるステップの間に、陽圧が第2の表面に適用される、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
膜を支持体上に置くステップの後、およびステンシルを第1の表面にわたって提供するステップの間に、陰圧が第2の表面に適用される、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
堆積するステップが、硬化性組成物の2つまたはそれよりも多い層を、ステンシル開口内および第1の表面上に堆積することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
陽圧が、トポグラフィー特徴の周囲のハロー面積を少なくとも約25%低減するのに十分である、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
基板の表面上に特徴のパターンを形成するためのシステムであって、
A.
i.2つの対向表面を有する基板を支持するための第1の支持体、
ii.基板の少なくとも一方の表面上に硬化性組成物のパターンを堆積する堆積デバイス、および
iii.前記硬化性組成物のパターンを部分的に硬化させて、前記基板の少なくとも一方の表面上に硬化性組成物の部分的に硬化したパターンを形成する部分硬化デバイス
を含む、事前硬化ステーションと、
B.前記基板を、前記事前硬化ステーションから完全硬化ステーションに運搬する第1の運搬デバイスと、
C.
i.前記基板の少なくとも一方の表面上に前記硬化性組成物の部分的に硬化したパターンを有する基板を支持するための第2の支持体、
ii.前記硬化性組成物の部分的に硬化したパターンを完全に硬化させて、前記基板の少なくとも一方の表面上に特徴のパターンを形成する完全硬化デバイス
を含む完全硬化ステーションと
を含む、システム。
【請求項21】
第1の支持体が、真空および/または圧力テーブルを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
真空および/または圧力テーブルが、所望のパターンを超えて接着剤が漏出するのを防止するために、ステンシルに対して基板をシールする背圧を提供する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
真空および/または圧力テーブルが、事前硬化した特徴をステンシルから除去するための除去力が加えられるように基板を下方に保持する真空を提供する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
堆積デバイスが、
A.硬化性組成物を受け取る開口を有するステンシルと、
B.特徴のパターンがその上に位置決めされる基板の少なくとも一方の表面上にそれと接触してステンシルを位置決めし、また、特徴のパターンがその上に位置決めされる基板の少なくとも一方の表面からステンシルを除去する、位置決めデバイスと、
C.ステンシル開口内、および特徴のパターンがその上に位置決めされる基板の少なくとも一方の表面上に硬化性組成物を分配する、分配デバイスと
を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
分配デバイスが、分配弁およびスキージを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
ステンシルが、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、ポリマーコーティングされた金属、セラミックコーティングされた金属、金属織物、複合材料、ポリエステルまたはフルオロポリマーなどのポリマー、ポリマー織物、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
部分硬化デバイスが、光源を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
第2の支持体が、膜の張力の調整を許容するテーブルおよび/またはローラーシステムを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項29】
完全硬化デバイスが、光源を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項30】
基板が、膜である、請求項20に記載のシステム。
【請求項31】
膜が、逆浸透膜、正浸透膜、マイクロ濾過膜、限外濾過膜、およびナノ濾過膜からなる群から選択される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
パターンが、ランダムパターンである、請求項20に記載のシステム。
【請求項33】
パターンが、規則的パターンである、請求項20に記載のシステム。
【請求項34】
パターンが、円形、楕円形、弧形、正方形、長方形、菱形、五角形、六角形、星形、山形、およびそれらの組合せからなる群から選択される複数の形状を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項35】
D.基板供給ステーション
をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項36】
基板供給ステーションが、
i.基板を保存するためのユニットと、
ii.基板を、事前硬化ステーションに張力の下で整列させながら供給する供給デバイスと
を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項37】
D.基板を、完全硬化ステーションから基板サイズ分類ステーションに運搬する第2の運搬デバイスと、
E.基板シートを、基板シートを受け取り保存する、基板受取りステーションに運搬する第3の運搬デバイスと
をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項38】
基板サイズ分類ステーションが、
i.所定のサイズの基板を分配する分配デバイスと、
ii.基板を所定のサイズに切断して、基板シートを形成する切断デバイスと
を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項39】
部分硬化デバイスおよび完全硬化デバイスが、およそ同じ波長のエネルギーを放出する光源を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項40】
部分硬化デバイスおよび完全硬化デバイスが、異なる波長のエネルギーを放出する光源を含む、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化した特徴がその上に付与(塗布、形成)される表面を制御することを含む、硬化した特徴を表面上に形成・最適化する方法に関する。より具体的には、本発明は、膜に適用される圧力の方向および大きさを制御することにより膜表面を制御することによって、膜表面に付与されたトポグラフィー特徴を形成し、最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
濾過デバイス上のスペーサー特徴およびこのようなデバイスにおいて使用される逆浸透膜の形成は、公知である。膜表面上に印刷された硬化性組成物のパターンの使用は、水などの液体が流れるようにし、またスペーシング機能を提供することによって濾過膜を離しておくことができる、より従来型のメッシュ層の代替として働く。膜上のこのようなパターンの形成は、特に、そのパターンが流れを閉塞しにくく、フィルターデブリ(一般に汚染と呼ばれる)を蓄積しにくいので、メッシュ層を上回る利点を有すると思われる。さらに、膜の表面上に直接置かれたスペーサーは、従来型の(convention)メッシュスペーサーと比較して50%低い高さを有することができる。従前のメッシュにおけるスペーサーの高さをより低くすることは、供給圧力およびエレメントにわたる圧力降下を劇的に増大させるので不可能と思われていた。印刷されたスペーサーの高さがより低くなっても、供給圧力が著しく低減されるとは思われない。印刷されたスペーサー特徴のオープン設計は、クローズ設計または有窓設計を有するメッシュスペーサーよりも低い高さにおいて、類似の圧力降下を生じる。印刷されたスペーサーの高さがより低いことの利益は、より多くの膜を巻いてエレメントを形成でき、より高いスペーサーの高さにおける従前のメッシュと同じ特定直径を生じることが可能であるということである。例えば、場合によっては、印刷されたスペーサーは、従前の28枚のリーフではなく合計35枚のリーフになるよう、同じ8インチ直径のエレメントでさらに7枚のリーフ(すなわち、膜のシート)を利用することができる(すなわち、25%増)。他の場合には、通常7枚のリーフではなく、4インチ直径のエレメントでさらに3枚のリーフを追加して、リーフを合計10枚にすることができる(すなわち、40%増)。
【0003】
印刷された硬化性組成物パターン、すなわち本明細書においてトポグラフィー特徴と呼ばれるパターンを有する膜を商業的に製作するには、多くの困難がある。トポグラフィー特徴は、最大の流体流を可能にするように最小限の膜表面の被覆率とバランスが取られた、隣接層から十分なスペーシングを提供するサイズおよび形状を有していなければならない。
【0004】
膜表面上への印刷においては、ステンシルと膜表面の直接接触が問題となる。このような膜は、繊細であり、ステンシルおよび印刷装置の他の部分との物理的接触中に容易に損傷する。ステンシル開口内に硬化性組成物を含有し、ステンシルと膜表面の間の硬化性組成物のブリーディング(浸みだし)を最適化するためには、ステンシルと膜表面の平坦で均一かつ十分な接触が必要である。しかし、ステンシルと膜表面の強力過ぎるまたは不均一な接触は、しばしば膜を損傷する。
【0005】
さらに、膜の取扱いまたは移動が求められる印刷プロセスの数々のステップの間に膜が損傷するおそれがある。例えば膜は、印刷表面上へ、またその表面から移動しなければならず、印刷表面にわたって膜が引きずられると、膜が断裂するおそれがある。正確な印刷を可能にするには、膜は印刷表面上で平坦でなければならない。膜が実質的に平坦であることを確実にするには、膜のさらなる操作が求められ、それが再び損傷をもたらす潜在的な可能性がある。さらに、ステンシルを膜表面と接触させ、膜表面からステンシルを除去する動作も、膜を損傷させる機会を提供する。
【0006】
さらに、多くの硬化性組成物は、これらの用途において使用されるクリーニングサイクルによって導入される侵食環境に耐えるための耐化学性および耐温度性の要件を満たすことができない。さらに、硬化性組成物は、膜に対して高い結合強度を有することが求められる一方、巻き操作中に膜を損傷するほどもろ過ぎず、または使用時の圧力下で圧縮されて求められる特定のスペーシングを喪失するほど軟らか過ぎず、可撓性があり過ぎないことが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
印刷方法には、トポグラフィー特徴を最適化する表面、例えば膜上のトポグラフィー特徴の印刷と同時に、ステンシルおよび他の印刷装置部品との接触によって引き起こされる表面(例えば膜)への損傷を最小限に抑えることを可能にする硬化性組成物の印刷方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の必要に応じた手段を提供する。本発明は、硬化した特徴がその上に付与(塗布、形成)される表面を制御することを含み、硬化した特徴を表面上に形成し、最適化する方法を提供する。より具体的には、本発明は、膜に適用される圧力の方向および大きさを制御することにより膜表面を制御することによって、膜表面に付与されたトポグラフィー特徴(幾何的形状物)を形成し、最適化する方法に関する。
【0009】
本発明の一態様では、膜表面上にトポグラフィー特徴を形成する方法であって、膜の第1の表面にわたってステンシルを提供するステップであり、ステンシルが硬化性組成物を受け取るための第1の表面を曝露する開口を有する、ステップと、膜の第2の対向表面に陽圧を適用して、第1の表面をステンシルと接触させるステップと、硬化性組成物の1つまたは複数の層を、ステンシル開口内および第1の表面上に堆積して、トポグラフィー特徴を形成するステップであり、開口がトポグラフィー特徴のおおよその形状およびサイズを画定する、ステップと、硬化性組成物を、そのトポグラフィー特徴を保持するには十分であるが、ステンシルとの接着を引き起こすには不十分な状態に部分的に硬化させるための条件に曝露するステップと、第2の表面に陰圧を適用して、部分的に硬化したトポグラフィー特徴を乱すことなく、膜とステンシルを分離するステップとを含み、陽圧が、トポグラフィー特徴の周囲のハロー面積を少なくとも10%低減するのに十分である、方法が提供される。
【0010】
本発明の一態様では、膜表面上にトポグラフィー特徴を形成する方法であって、第1の表面および第2の対向表面を有する膜を支持し、接触する膜の表面上に陽圧および陰圧を生じることができる支持体を備える装置を提供するステップと、膜の第2の表面を支持体と接触させるステップと、膜の第1の表面上にステンシルを提供するステップであって、ステンシルが、硬化性組成物を受け取る第1の表面を露出させる開口を有する、ステップと、第2の表面に陽圧を適用して、第1の表面をステンシルと接触させるステップと、硬化性組成物の1つまたは複数の層を、ステンシル開口内および第1の表面上に堆積して、トポグラフィー特徴を形成するステップであって、開口がトポグラフィー特徴のおおよその形状およびサイズを画定する、ステップと、硬化性組成物を、そのトポグラフィー特徴を保持するには十分であるが、ステンシルとの接着を引き起こすには不十分な状態に部分的に硬化させるための条件に曝露するステップと、第2の表面に陰圧を適用して、部分的に硬化したトポグラフィー特徴を乱すことなく、膜とステンシルを分離するステップとを含み、陽圧が、トポグラフィー特徴の周囲のハロー面積を少なくとも10%低減するのに十分である、方法が提供される。
【0011】
本発明の別の態様では、基板の表面上に特徴のパターンを形成するためのシステムであって、
A.
i.2つの対向表面を有する基板を支持するための第1の支持体、
ii.基板の少なくとも一方の表面上に硬化性組成物のパターンを堆積する堆積デバイス、および
iii.硬化性組成物のパターンを部分的に硬化させて、基板の少なくとも一方の表面上に硬化性組成物の部分的に硬化したパターンを形成する部分硬化デバイス
を含む、事前硬化ステーションと、
B.基板を、事前硬化ステーションから完全硬化ステーションに運搬する第1の運搬デバイスと、
C.
i.基板の少なくとも一方の表面上に硬化性組成物の部分的に硬化したパターンを有する基板を支持するための第2の支持体、
ii.硬化性組成物の部分的に硬化したパターンを完全に硬化させて、基板の少なくとも一方の表面上に特徴のパターンを形成する完全硬化デバイス
を含む完全硬化ステーションと
を含む、システムが提供される。
【0012】
さらに、システムは、
D.基板(膜)を、完全硬化ステーションから基板サイズ分類ステーションに運搬する第2の運搬デバイスと、
E.基板(膜)シートを、基板シートを受け取り保存する、基板受取りステーションに運搬する第3の運搬デバイスと
をさらに含むことができる。
【0013】
さらに、システムは、所定のサイズの基板(膜)を分配する膜分配デバイスを含むことができ、基板を所定のサイズに切断して、基板シートを形成する切断デバイス(図示せず)をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】水の脱塩または汽水の濾過のための、膜(1)上のトポグラフィー特徴(5)の通常のパターンを示す図である。
【
図2】他の膜表面と層状化した場合にスペーシング機能を果たすのに十分な、所望のサイズおよび形状を有するトポグラフィー特徴の形態(3-Dで示す)で硬化性組成物を膜表面上に堆積するための開口を示すステンシルおよび膜の配置を示す図である。特徴の縦横比(所望のスペーシング能を提供する)が示される。
図2aは、膜表面上にオーバーレイされたステンシルを示し、
図2bは、ステンシルおよびステンシルが除去されてトポグラフィー特徴が残った後の膜を示す。
【
図3】膜上に印刷されたトポグラフィー特徴およびトポグラフィー特徴の周囲のハローの写真を示す図である。
図3aのトポグラフィー特徴は、硬化性組成物の付与中に陽圧を使用せずに印刷したものである。
図3bのトポグラフィー特徴は、硬化性組成物の付与中に陽圧を使用して印刷したものである。
【
図4】堆積、部分硬化および完全硬化ステーション、ならびに保存または切断ステーション(図示せず)を含む、トポグラフィー特徴のパターンを有する膜を作成するための様々なワークステーションを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、硬化した特徴がその上に付与される表面を制御することによって、硬化した特徴を表面上に形成し、最適化する方法を対象とする。より具体的には、本発明は、膜に適用される圧力の方向および大きさを制御することにより膜表面を制御することによって、膜表面に付与されたトポグラフィー特徴を形成し、最適化する方法に関する。
【0016】
本発明に従って膜表面上にトポグラフィー特徴を形成する方法は、膜の第1の表面にわたってステンシルを提供するステップであり、ステンシルが、硬化性組成物を受け取る第1の表面を露出させる開口を有する、ステップと、膜の第2の対向表面に陽圧を適用して、第1の表面をステンシルと接触させるステップと、硬化性組成物の1つまたは複数の層を、ステンシル開口内および第1の表面上に堆積して、トポグラフィー特徴を形成するステップであって、開口がトポグラフィー特徴のおおよその形状およびサイズを画定する、ステップと、硬化性組成物を、そのトポグラフィー特徴を保持するには十分であるが、ステンシルとの接着を引き起こすには不十分な状態に部分的に硬化させるための条件に曝露するステップと、第2の表面に陰圧を適用して、部分的に硬化したトポグラフィー特徴を乱すことなく、膜とステンシルを分離するステップとを含み、陽圧は、トポグラフィー特徴の周囲のハロー面積を少なくとも10%低減するのに十分である。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「ハロー」は、ステンシルの開口によって画定されたトポグラフィー特徴のベースの面積を超えて延びる、膜表面上の硬化性組成物部分を意味する。本明細書で使用される場合、用語「ハロー面積」は、ステンシルの開口によって画定された膜表面上のトポグラフィー特徴の面積(すなわち、トポグラフィー特徴のフットプリント)と比較した、ハローの相対面積を意味する。ハロー面積(Ah)は、次式:
Ah=(Ac-Atf)/Atf
[式中、Atfは、ステンシルの開口によって画定されるトポグラフィー特徴によって被覆された膜表面の面積であり、Acは、トポグラフィー特徴(ステンシルの開口によって画定される)によって被覆された膜表面およびハローによって被覆された膜表面を組み合わせた面積である]
を使用して計算される。AcがAtfに等しい場合、ハローは存在しない。
【0018】
したがって、本発明のプロセスによって生じたハロー面積の低減パーセントは、
Ah低減%=((Ah(ni)-Ah(i))/Ah(ni))×100%
[式中、Ah(ni)は、本発明ではない通常のプロセスから生じたハロー面積であり、Ah(i)は、本発明のプロセスから生じたハロー面積であり、それぞれ同じサイズおよび形状のトポグラフィー特徴を使用する]
として表すことができる。
【0019】
本発明の一態様では、トポグラフィー特徴のパターンは、適切な膜スペーシングを維持し、膜の効率的な動作を確実にするのに十分な膜表面を曝露するための十分なサイズおよび形状を有することができる。特に、トポグラフィー特徴によって被覆された膜の全表面積(すなわち、トポグラフィー特徴(ステンシルの開口によって画定される)によって被覆された膜表面およびハローによって被覆された膜表面を組み合わせた面積として画定されるAc)に、膜表面の単位面積当たりのトポグラフィー特徴の数を掛けた値は、膜の表面の約20%以下である(すなわち、膜表面の少なくとも約80%は、曝露されたままである)。本発明の一態様では、トポグラフィー特徴によって被覆された膜の全表面積は、約15%以下、または約10%以下、または約6%以下、または約5%以下、または約3%以下、または約2%以下、または約1%以下である。
【0020】
本発明の態様では、ハロー面積のサイズは、適切な膜機能を可能にするのに十分な表面の面積を被覆せずに残しながら、適切な硬化性組成物を表面と接触させて、製造および使用を通じて接着を維持するように最適化することができる。本発明の別の態様では、本発明の方法は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%のハロー面積の低減パーセンテージをもたらす。本発明の一態様では、本発明の方法は、約5%~約95%の間、約15%~約85%の間、約25%~約75%の間、約35%~約65%の間、および約45%~約55%の間のハロー面積の低減パーセンテージをもたらす。
【0021】
本発明の方法は、当技術分野で公知の高速製造印刷方法を使用して行うことができる。好ましくは、本発明の方法は、ステンシル/スクリーンまたはグラビア印刷方法による直接印刷を用いる。
【0022】
図2aに示される通り、膜(10)には、膜の表面(図示せず)の一方上にステンシル(20)がオーバーレイされる。ステンシルの開口(30)が硬化性組成物で充填されると、トポグラフィー特徴(40)が形成される。
図2bに示される通り、ステンシル(20)が膜(10)から離されるとき、硬化性組成物から形成されたトポグラフィー特徴(40)は、膜表面(50)に結合したままにされる。
【0023】
本発明の方法によってその上にトポグラフィー特徴が形成される表面は、本明細書に開示される高速印刷方法に適したいかなる表面も含むことができる。本発明の一態様では、トポグラフィー特徴がその上に形成される表面は、基板表面とも呼ばれる膜表面である。本明細書で使用される場合、「膜」は、ある物質を通過させるが、他の物質の通過を防止する選択的バリアを意味する。本発明の一態様では、膜は、フィルター膜、すなわち、水などの液体担体から物質を濾過するための膜である。フィルター膜には、逆浸透膜、正浸透膜、マイクロ濾過膜、限外濾過膜、およびナノ濾過膜が含まれる。トポグラフィー特徴は、膜の活性表面上、もしくは膜の非活性表面上、またはその両方に印刷することができる。本発明に従って作成されたデバイスは、逆電気透析または浸透圧発電(pressure retarded osmosis)(例えば、塩分勾配発電または浸透性発電)などによってエネルギーが製造される用途において使用することもできる。
【0024】
本発明の一態様では、膜は、第1の表面および第2の対向表面を有する。本発明の一態様では、硬化性組成物は、硬化性組成物の単層を堆積することによって、ステンシルまたはスクリーン開口内および第1の膜表面上に堆積されて、トポグラフィー特徴を形成する。本発明の別の態様では、硬化性組成物は、硬化性組成物の多層を堆積することによってステンシルまたはスクリーン開口内および第1の膜表面上に堆積されて、トポグラフィー特徴を形成する。本発明の態様では、トポグラフィー特徴は、第1の表面(供給側または透過側のいずれか)上、または第1の表面および第2の対向表面の両方の上に堆積することができる。
【0025】
本発明の態様では、硬化性組成物は、ステンシルによって被覆された表面の一部上にブリーディングする。ブリーディングした硬化性組成物部分が硬化すると、それがトポグラフィー特徴の周囲にハローを形成する(先に論じた通り)。したがって、ハロー面積は、硬化性組成物の特質(例えば、硬化性組成物がどれ程容易に流れるかなど)、膜およびステンシルの組成物、ならびに膜表面とステンシルの接触の性質(例えば、膜およびステンシルが共に平坦で、互いに均一に接触しているか、ならびに膜表面およびステンシルを接触させるのにどれ程の圧力が適用されるか)の関数である。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「陽圧」は、表面に対して圧力源から離れる方向を有するように適用(印加)される圧力を意味する。したがって、陽圧は、それが適用(印加)される表面に対して押す力と考えることができる。本明細書で使用される場合、用語「陰圧」は、表面に対して圧力源の方に向かう方向を有するように適用される圧力を意味する。したがって、陰圧は、吸引または真空などの、それが適用(印加)される表面上の引く力と考えることができる。
【0027】
本発明の一態様では、ステンシルが第1の膜表面上に置かれた後、第1の表面を強制的にステンシルに接触させるように、膜の第2の対向表面に陽圧が適用される。それによってこの陽圧は、ステンシル開口内への硬化性組成物の堆積中に、第1の表面とステンシルのより強力な接触を生じさせ、それによって硬化性組成物のブリーディングを低減する。しかし、陽圧は、膜を損傷させるほど高くてはならない。本発明の態様では、陽圧は、約5psi~約50psiの間、約10psi~約40psiの間、または約20psi~30psiの間の大きさを有する。
【0028】
ステンシルまたはスクリーンは、ステンシルによって被覆された表面部分上への硬化性組成物のブリーディングの最適化を助けるために、表面を損傷することも堆積された硬化性組成物を乱すこともなく、表面からステンシルを除去することも可能にするように、表面にステンシルを適切にシールすることを可能にする、任意の有用な材料から構成され得る。本発明の態様では、ステンシルまたはスクリーンは、金属、例えば鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、ポリマーコーティングされた金属、セラミックコーティングされた金属、金属織物、複合材料、ポリエステルもしくはフルオロポリマーなどのポリマー、またはポリマー織物から作成される。
【0029】
ステンシル印刷方法は、パターンが切り込まれる単一シートの材料から作成されたステンシルを使用する。ステンシルは、フレーム内に載せられ、また、気密性、平坦性および弾力性を提供するために、メッシュを有するフレームに載せることもできる。メッシュは、任意の適切な材料、例えばステンレス鋼、ナイロン、プラスチック、炭素繊維などから構成され得る。ステンシルの厚さは、印刷される特徴から、重力および印刷中の特定の因子によって高さを低減する(通常、約20%)物理特性の効果を引いた高さになる。パターンおよび開口サイズ(開孔)も、どのくらいの製品が、最大の厚さのステンシルから放出され得るかを決定する。低表面エネルギーの上面を有するステンシルは、ステンシルからより高い放出を提供する。湿式印刷方法は、ステンシルの厚さよりも約20%低い高さに制限される。さらに、湿式印刷方法では、ステンシルの厚さは、約0.010インチに制限される。約0.010インチを超えるステンシルの厚さについては、硬化性組成物は、ステンシルから放出されない。しかし、ステンシルを型として使用する事前硬化方法では、製品は、ステンシルの厚さに事前硬化し、ステンシルは、湿式印刷方法で使用されるよりも高い厚さを有するかもしれない。例えば、事前硬化方法では、ステンシルは、高さが0.050インチの厚さを有することができる。したがって、硬化性組成物は完全には硬化されておらず、ステンシルの低表面エネルギーコーティングに起因して、特徴(幾何学形状)はステンシルの空隙から放出され得る。硬化性組成物が完全に硬化した後、特徴の高さは、ステンシルの高さとほぼ同じになる。
【0030】
スクリーン印刷方法では、ステンレス鋼メッシュ、またはポリエステルもしくはNylonスクリーンが使用され、その上に、スクリーンまたはメッシュの一部を被覆するように形成されたエマルジョンを有し、硬化性組成物がその中に堆積されるパターンを露出する。印刷の厚さは、メッシュの厚さ、メッシュの開口面積、およびエマルジョンの蓄積の厚さに依存している。厚さは、例えばスキージ圧力および硬度計などのプリンター変数、迎角、速度、ならびにスナップオフ距離によっても影響を受ける。印刷材料の粘度は、用途の要求に応じて低粘度から高粘度まで変わり得る。
【0031】
本発明のステンシルまたはスクリーンパターンにおける開口または空隙は、トポグラフィー特徴に所望の形状を製造するのに求められる任意の形状または形状の組合せを取ることができる。例えば、開口は、円形、楕円形、弧形、正方形、長方形、菱形、五角形、六角形、星形、山形、またはそれらの任意の組合せとして形成され得る。このような開口形状は、開口の形状に対応する横断面を有し、本明細書に記載される高さおよび縦横比を有する3次元トポグラフィー特徴を製造する。例えば円形開口は、
図1に示される、水の脱塩または汽水の濾過のためのトポグラフィー特徴パターンなどの円筒形トポグラフィー特徴を製造する。ステンシルの深さは、トポグラフィー特徴の高さを決定し、所望の縦横比に従って所望の高さに合わせて選択される。例えば、高さは、約0.005~約0.04インチ、望ましくは約0.010~約0.025インチ、より好ましくは約0.012~約0.015インチであり得る。
【0032】
本発明の一態様では、トポグラフィー特徴は、ステンシルの形成および除去の後に、鋭い端部を実質的に含まない。例えば、ステンシルの開口の端部は、堆積された硬化性組成物が鋭い端部を有することがないように、鋭い端部を全く含まなくてよい。さらに、ステンシルまたはスクリーンが除去されるとき、硬化性組成物は、ステンシルまたはスクリーンと共に、トポグラフィー特徴上に鋭い端部を引き起こすように引っ張り上げられることがない。本質的に、硬化性組成物は、曲線的なまたは平坦な表面を維持するのに十分沈下するが、硬化性組成物は、縦横比を喪失するほどには沈下しない。さらに、ステンシルコーティングは、ステンシルまたはスクリーンが除去されるときに硬化性組成物が引っ張られるのを回避するのに十分低い表面エネルギーを有するように選択される。したがって、トポグラフィー特徴は、動作中に膜の接合層を損傷するおそれがある鋭い端部がなく、通常、滑らかまたは平坦である。
【0033】
一般に、本発明の硬化性組成物は、ステンシル開口内および膜表面上に堆積されることができ、堆積され、静置されたら、ステンシルの除去中および硬化中、その形状を維持することができる。本発明の態様では、硬化性組成物は、約5秒以下の硬化速度を有する。本発明の態様では、硬化性組成物は、約4秒以下、約3秒以下、約2秒以下、約1秒以下の硬化速度を有する。
【0034】
本発明の一態様では、硬化性組成物は、10s-1の速度において10,000~500,000の粘度(センチポアズ)を有する。粘度は、公知の方法、例えばコーンおよびプレートレオメーター、平行板レオメーター、またはブルックフィールド粘度計などの回転粘度計、を使用して決定することができる。
【0035】
本発明の態様では、硬化性組成物は、光硬化性のまたは光による硬化性の、すなわち可視光または紫外光(UV)などの光を使用する硬化性の組成物である。本発明の態様では、硬化性組成物は、可視光またはUV光を生じる電球またはLEDなどの光源を使用して硬化することができる。本発明の一態様では、硬化性組成物は、トポグラフィー特徴がない膜の側を、光源、通常、可視光源に曝露することによって、少なくとも部分的に硬化される。
【0036】
本発明の別の態様では、前述の特徴の一部またはすべてに加えて、
図4に表される通り、いくつかの処理ステーションをさらに含むシステムが提供される。
図4に示される通り、膜材料170(その上に特徴(幾何的形状)が提供されておらず、本明細書では基板とも呼ばれる)の供給は、一連のローラー171によって付与(塗布)ステーション172に供給され、そこで、トポグラフィー特徴がディスペンサー180を介して付与(塗布)される。膜は、逆浸透膜、正浸透膜、マイクロ濾過膜、限外濾過膜、およびナノ濾過膜から選択され得る。膜は、テンプレート190の下を移動し、ローラー171によって位置決めされ、テーブル192に整列(アライン)され、それによって、硬化性組成物は、膜上に形成されるトポグラフィー特徴の位置決めを制御するテンプレートを使用して、膜上に堆積することができる。テーブルおよびローラーシステムは、硬化性組成物の付与をより良好に制御し、それによってトポグラフィー特徴を形成するための膜上の張力の調整も可能にする。テンプレート(ステンシル)は、テンプレートにおける開口のパターンによって決まる膜の企図された面積に、接着剤が届くようにする。トポグラフィー特徴は、テンプレート(ステンシル)と共に(の上方に)示されている硬化性組成物ディスペンサー180を介して膜に付与され、そうすることにより、所望の量の硬化性組成物が指定のテンプレート開口(下にある膜部分を露出している開口)に付与され、膜上に企図されたトポグラフィー特徴パターンが作り出される。したがって、特徴のパターンは、テンプレートによって制御される。特徴のサイズおよび形状は、本開示の様々なセクションに論じられる通り変わることができ、企図された製品および製品の付与をもたらすように調整することができる。分配デバイス180は、高さの一貫性を提供し且つテンプレート(ステンシル)面積から望ましくない硬化性組成物を除去するための弁およびスキージ拭取りデバイス(図示せず)を含むことができる。形成された特徴のパターンは、特定の製品および/または付与に適合するように所望に応じてランダムまたは規則的であってもよく、円形、楕円形、弧形、正方形、長方形、菱形、五角形、六角形、星形、山形、およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない複数の形状を含んでいてもよい。
【0037】
テンプレート190は、本明細書ではステンシルとも呼ばれ、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、ポリマーコーティングされた金属、セラミックコーティングされた金属、金属織物、複合材料、ポリエステルまたはフルオロポリマーなどのポリマー、ポリマー織物、およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない様々な材料から作成することができる。
【0038】
図4のステーション172は、真空または圧力テーブル192をさらに含み、そのテーブルは、膜のための第1の支持体として機能し、その支持体は、位置決めデバイスであり、膜を固定して保持すると同時に膜に特徴を付与するように働く。真空および/または圧力テーブルは、所望のパターンを超えて接着剤が漏出するのを防止するために、ステンシルに対して基板をシールする背圧を提供する。この真空および/または圧力テーブルは、事前硬化した特徴をステンシルから除去するための除去力が加えられるように基板を下方に保持する真空を提供する。
【0039】
またステーション172には、実質的な変形または寸法の変化を防止し、それによって、企図されたトポグラフィー、サイズまたは形状を喪失することなくさらなる処理を可能にするように、硬化性組成物を部分的に硬化または凝結させ、例えば硬化性組成物によって形成されたトポグラフィー特徴を十分に固定するための光源200が含まれる。本開示において本明細書に記載される通り、様々な光源を、部分硬化のために用いることができ、その選択は、硬化性組成物に存在する硬化系のタイプに依存する。例えば、硬化性組成物がUV光に応答する硬化系を含む場合には、UV光源が用いられる。硬化系が複数のタイプの光源に応答する場合には、部分硬化は、1つまたは複数の異なる光源を単独でまたは組み合わせて使用して達成することができる。
【0040】
部分硬化のための照射時間は、光強度、硬化性組成物からの光の距離、および温度条件を含むいくつかの因子に応じて変わることができる。一般に、硬化性組成物を付与するプロセスは、室温(RT)で実施されるが、一般に、温度のわずかな変動は、接着性組成物から形成されたトポグラフィー特徴の付与および部分硬化に対して実質的な効果を及ぼさない。
【0041】
部分硬化デバイス200および完全硬化デバイス212は、本明細書に開示される通り、同じまたは異なる波長の光エネルギーを放出することができる。
【0042】
硬化性組成物の部分的硬化を可能にするために、支持テーブル192は、本明細書に記載される通り、光が硬化性組成物に到達し、組成物を十分に固定することができるように、望ましくはそれを通して光を十分に通過させることができることである。テーブル192は、それを通して光を容易に透過させるために、半透明または透明であってもよい。
【0043】
図4のシステムは、完全硬化ステーション210をさらに含み、ここで付与された硬化性組成物は、1つまたは複数のさらなる光源212によって膜上で完全に硬化する。ステーション上で形成された、完全硬化したトポグラフィー特徴を有する膜(すなわち、トポグラフィー的に特徴づけられた膜)は、例えば、膜を切断ステーション214において所望の長さまたは幅に切断することによってさらに処理することができ、次に、例えば220に示される通り収集することができる。次に、こうして形成されたトポグラフィー的に特徴付けられた膜は、所望の濾過デバイスにおける将来的な使用のためにさらに保存することができる。または本明細書に記載されるシステムは、連続プロセスに統合することができ、それによって特定の濾過デバイスが形成される。例えば、水の濾過デバイスは、このような製品のために当技術分野で従来からあるものと同じように、コア管状部材の周囲にトポグラフィー的に特性付けられた膜をらせん状に巻き付けることによって形成することができる。
【0044】
本発明の別の態様では、硬化性組成物は、ステンシルまたはスクリーンの除去の後に、固体状態に硬化することができる。本発明の別の態様では、硬化性組成物は、ステンシルまたはスクリーンの除去の前に、固体状態に硬化する(例えば、完全に硬化する)ことができる。
【0045】
本発明のさらに別の態様では、硬化性組成物は、ステンシルの除去より前に、部分的に硬化することができる。本明細書で使用される場合、「部分的に硬化する」は、硬化性組成物を、そのトポグラフィー特徴の形状を保持するのに十分であるが、ステンシルまたはスクリーンとの接着を引き起こすには不十分な状態に硬化することを意味する。本発明の一態様では、硬化性組成物は、硬化性組成物を部分的に硬化させるための条件に曝露することができる。本発明の態様では、この部分硬化は、トポグラフィー特徴がない膜の側を可視光源に曝露することによって生じさせることができる。本発明の別の態様では、この部分硬化は、トポグラフィー特徴がない膜の側を、約50mJ/cm2~約350mJ/cm2、約510mJ/cm2~約300mJ/cm2、または約125mJ/cm2~約250mJ/cm2のエネルギー線量の光に曝露することによって生じさせることができる。本発明の別の態様では、この部分硬化を生じさせるために使用される光は、約405nmの波長を有する。
【0046】
本発明の別の態様では、部分的に硬化した硬化性組成物は、硬化性組成物を固体状態に硬化させるための条件にさらに曝露される。本発明のさらなる態様では、ステンシルまたはスクリーンの除去の後に、部分的に硬化した硬化性組成物は、先に記載され、
図4に関してさらに論じられる通り、組成物をUV光または可視光源に曝露することによって、固体状態に、望ましくは完全に硬化した状態に硬化させることができる。本発明の他の態様では、この完全硬化は、硬化性組成物を、約5J/cm
2~約11J/cm
2、約6J/cm
2~約10J/cm
2、または約7J/cm
2~約9J/cm
2のエネルギー線量の光に曝露することによって生じさせることができる。本発明の別の態様では、この完全硬化を生じさせるために使用される光は、約405nmの波長を有する。
【0047】
本発明のこの態様では、硬化性組成物の粘度を、ステンシルまたはスクリーンの除去の前に増大させて、ステンシルの除去中にトポグラフィー特徴の形状を維持するのを助けることができる。ある場合には、この部分硬化は、硬化性組成物をゲル状にし、または硬化性組成物を半固体状態に部分的に硬化させる。先に論じた通り、ステンシルまたはスクリーンは、事前硬化中に膜に生じた限定的な接着により、ステンシルからの硬化性組成物の放出(解放)を可能にする低表面エネルギーを提供するコーティングされた金属から作成することができる。
【0048】
この部分硬化方法は、必要な高さに到達するための多層の堆積を必要とする代わりに、1つの段に所望の任意の高さ(すなわち、0.005~0.040インチ)を達成することができるので、湿式印刷を上回る劇的に改善された縦横比を可能にする。
【0049】
本発明のさらなる態様では、(メタ)アクリレート、エポキシ、ポリイソブチレン(PIB)、ポリウレタン(PU)、ポリオレフィン(PO)、エチルビニルアセテート(EVA)、ポリアミド(PA)およびそれらの組合せ由来の残基を有する骨格を含む光硬化性構成成分;ならびに光硬化部分;硬化系;ならびに全硬化性組成物の約2%~約50重量%の量で存在するレオロジー変性構成成分を含む光硬化性組成物が提供され、硬化性組成物は、10s-1において10,000~500,000センチポアズ(cP)の粘度を有し、硬化性組成物は、約2~約15の間のチキソトロピー指数(TI)(1s-1における粘度/10s-1における粘度)である。
【0050】
例えば、このようなポリマー骨格を作成するために使用される材料には、(メタ)アクリルモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸-エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチル-2-ペルフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロメチル-2-ペルフルオロエチメチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート等;スチレンモノマー、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩;フッ素含有ビニルモノマー、例えばペルフルオロエチレン、ペルフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等;ケイ素含有ビニルモノマー、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;フマル酸、ならびにフマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;マレイミドモノマー、例えばマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等;ニトリル含有ビニルモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等;アミド含有ビニルモノマー、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド等;ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニル等;アルケン、例えばエチレン、プロピレン等;コンジュゲートジエン、例えばブタジエン、イソプレン等;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリルおよびアリルアルコールが含まれる。これらのモノマーは、それぞれ単独で使用することができ、またはそれらの複数を共重合化することができる。
【0051】
このような骨格を作成するのに有用なエポキシの適切な例として、それに限定されるものではないが、ビスフェノールAエポキシ、ビスフェノールFエポキシ、ノボラックエポキシ、脂肪族エポキシ、グリシジルアミンエポキシ、および脂環式エポキシが挙げられる。
【0052】
このような骨格を作成するのに有用なポリイソブチレン(PIB)の適切な例として、それに限定されるものではないが、米国特許出願第2014/0243444A1に記載されているポリイソブチレンジアクリレートが挙げられる。
【0053】
このような骨格を作成するのに有用なポリウレタン(PU)の適切な例として、それに限定されるものではないが、ポリエステルウレタンアクリレートおよびポリエーテルウレタンアクリレートが挙げられる。
【0054】
このような骨格を作成するのに有用なポリオレフィン(PO)の適切な例として、それに限定されるものではないが、Kuraray製のUC-102MおよびUC-203M、米国特許第7,781,494号および第6,720,395号に記載されているポリエチルアクリレートおよびポリブチルアクリレートが挙げられる。
【0055】
光硬化部分は、ポリマー骨格、望ましくは必ずしも必要ではないが、ポリマー骨格の末端に結合しており、LED、可視光またはUV光などの化学線に曝露されると架橋反応を介して硬化する、任意の化学的部分または基、例えば、ビニル基、(メタ)アクリレート、およびエポキシ基であり得る。
【0056】
本発明の一態様では、光硬化性構成成分には、ウレタン(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートからなる群から選択される材料が含まれる。
【0057】
硬化系は、少なくとも1つの硬化開始剤、ならびに必要に応じて約300~1000nmの適切な範囲の放射線を吸収することができる増感化合物および/または電子供与体を含む。硬化開始剤(または光開始剤)は、UV開始剤、可視開始剤、またはUV開始剤と可視開始剤の組合せであってもよい。
【0058】
様々なUV開始剤を用いることができる。UV開始剤は、一般に200~400nmの範囲において、特に、不可視光に隣接するスペクトル部分およびこれをわずかに超える可視部分、例えば>200nm~約390nmにおいて有効である。
【0059】
UV放射線に応答して(メタ)アクリル官能化硬化性構成成分の硬化を惹起し誘導する、本発明において有用な開始剤には、それに限定されるものではないが、ベンゾフェノンおよび置換ベンゾフェノン、アセトフェノンおよび置換アセトフェノン、ベンゾインおよびそのアルキルエステル、キサントンおよび置換キサントン、ホスフィンオキシド、ジエトキシ-アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロ-チオ-キサントン、N-メチルジエタノール-アミン-ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0060】
このような開始剤の例として、IGM Resinsから商標「IRGACURE」および「DAROCUR」で商業的に入手可能な開始剤、具体的には「IRGACURE」184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン)、369(2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン)、500(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびベンゾフェノンの組合せ)、651(2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの組合せ)および819[ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド]、ならびに「DAROCUR」1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン)および4265(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-ホスフィンオキシドおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの組合せ)、ならびに2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF Corp.からLUCIRIN TPOとして商業的に入手可能)が挙げられる。当然のことながら、これらの材料の組合せも、本明細書において用いることができる。当然のことながら、本明細書においてUV光開始剤と分類されるこれらの光開始剤の一部は、可視域のテーリング吸収を有し、したがって、UV光および可視光硬化開始剤の間の線にまたがるが、それにもかかわらず本明細書においては本発明の一部として含まれると理解される。
【0061】
可視光に応答して硬化を惹起し誘導する、本発明において使用するのに適した開始剤には、それに限定されるものではないが、カンファーキノンペルオキシエステル開始剤、9-フルオレンカルボン酸ペルオキシエステル、可視光[青色]光開始剤、d1-カンファーキノン、「IRGACURE」784DC(置換チタノセンベースの光開始剤)、およびそれらの組合せが含まれる。
【0062】
他の適切な光開始剤系には、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の特許文書または刊行物のそれぞれに開示されているものが含まれる。参照により本明細書に組み込まれるTamotoらの米国特許第4,505,793号は、3-ケト置換クマリン化合物および活性ハロゲン化合物の組合せを含む光重合開始剤を開示している。いくつかの例示的な化合物が開示されている。このような光重合開始剤は、約180nm~600nmの間の範囲の波長を有する光に曝露されることによって硬化する。参照により本明細書に組み込まれるNagashimaらの米国特許第4,258,123号は、化学線の光を照射するとフリーラジカルを生じる開始剤構成成分を含む感光性樹脂組成物を開示している。このような構成成分には、その開示により完全に説明されている通り、様々なトリアジン化合物が含まれる。
【0063】
エポキシ硬化のためのカチオン性光開始剤には、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、およびフェナシルスルホニウム塩が含まれる。商業的に入手可能なカチオン性光開始剤には、Omnicat 432(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩)、Omnicat 440(4,4’-ジメチル-ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)、およびOmnicat 550(10-ビフェニル-4-イル-2-イソプロピル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-10-イウムヘキサフルオロホスフェート)が含まれる。
【0064】
さらなる有用な構成成分は、参照により本明細書に組み込まれる以下の文献に開示されている。欧州特許EP0 369 645A1は、トリハロメチル置換-s-トリアジン、約300~1000nmの範囲の放射線を吸収することができる増感化合物、および電子供与体を含む3つの部分の光開始剤系を開示している。ケトン、クマリン色素、キサンテン色素、3H-キサンテン-3-オン色素、アクリジン色素、チアゾール色素、チアジン色素、オキサジン色素、アジン色素、アミノケトン色素、メタンおよびポリメチン色素、ポルフィリン、芳香族多環式炭化水素、p置換アミノスチリルケトン化合物、アミノトリアリールメタン、メロシアニン、スクアリリウム色素、およびピリジニウム色素を含む例示的な増感化合物が開示されている。アミン、アミド、エーテル、尿素、フェロセン、スルフィン酸およびそれらの塩、フェロシアン化物の塩、アスコルビン酸およびその塩、ジチオカルバミド酸およびその塩、キサンテートの塩、エチレンジアミンテトラ酢酸の塩、ならびにテトラフェニルボロン酸の塩を含む例示的な供与体も開示されている。このような開始剤は、UV光および可視光の両方に対して感受性がある。
【0065】
さらなる有用な構成成分は、欧州特許EP0 563 925A1に開示されている。そこでは、約250~1000nmの範囲の放射線を吸収することができる増感化合物および2-アリール-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンを含む光重合開始剤が提供されている。開示されている例示的な増感化合物には、シアニン色素、メロシアニン色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、(チオ)キサンテン色素、アクリジン色素、チアゾール色素、チアジン色素、オキサジン色素、アジン色素、アミノケトン色素、スクアリリウム色素、ピリジニウム色素、(チア)ピリリウム色素、ポルフィリン色素、トリアリールメタン色素、(ポリ)メタン色素、アミノスチリル化合物および芳香族多環式炭化水素が含まれる。これらの光重合開始剤は、UV光および可視光に対して感受性がある。
【0066】
参照により本明細書に組み込まれるNeckersらの米国特許第5,395,862号は、可視光に対して感受性があるフルオロン光開始剤を開示している。このようなフルオロン開始剤系また、励起されたフルオロン種から電子を受容することができる共開始剤を含む。オニウム塩、ニトロハロメタンおよびジアゾスルホンを含む例示的な共開始剤が開示されている。参照により本明細書に組み込まれるNeckersらの米国特許第5,451,343号は、350nm超の波長の光を吸収する開始剤としてのフルオロンおよびピロニン-Y誘導体を開示している。参照により本明細書に組み込まれるPalazzottoらの米国特許第5,545,676号は、UV光または可視光の下で硬化する3つの部分の光開始剤系を開示している。3つの部分の系には、アリールヨードニウム塩、増感化合物および電子供与体を含む。例示的なヨードニウム塩には、ジフェニルヨードニウム塩が含まれる。3つの部分の系において使用するための例示的な増感剤および電子供与体も開示されている。さらに、増感剤は、約300~1000nmの範囲の光を吸収することができる。
【0067】
前述の開始剤は、単に例示目的のものであり、本発明において使用され得る開始剤を制限することを決して意味しない。
【0068】
開始剤は、全組成物の約0.1重量%~約10重量%の量で用いることができる。より望ましくは、開始剤は、全組成物の0.5重量%~約5重量%の量で存在する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「レオロジー変性構成成分」は、硬化性組成物のレオロジー特質、例えば粘度または流れを変化させる組成物または化合物を意味する。適切なレオロジー変性構成成分には、有機および無機のものが含まれる。無機のものには、シリカ、シリケート、アルミナ、アスベスト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、カーボンブラック、粘土、珪藻土、長石、強磁性体、フライアッシュ、ガラス繊維、石膏、ジュート繊維、カオリン、リグノセルロース(lingnocellulosic)、水酸化マグネシウム、雲母、微結晶性セルロース、粉末化金属、石英、デンプン(startch)、タルク、二酸化チタン、木粉、木質繊維、およびそれらの組合せが含まれる。有機レオロジー変性剤には、熱可塑性ポリマー(poymer)、例えばポリビニルアセテート、ポリオレフィン、ナイロン繊維が含まれる。本発明の一態様では、レオロジー変性構成成分は、硬化性組成物の総重量に対して約2重量%~約80重量%の量で存在する。本発明の別の態様では、レオロジー変性構成成分は、硬化性組成物の総重量に対して約4重量%~約50重量%の量で存在する。本発明の他の態様では、レオロジー変性構成成分は、硬化性組成物の総重量に対して約5重量%、または約10重量%、または約15重量%、または約20重量%または約25重量%、または約30重量%、または約35重量%、または約45重量%、または約55重量%、または約60重量%、または約65重量%、または約75重量%の量で存在する。
【0070】
必要に応じた添加剤、例えばそれに限定されるものではないが、安定剤、阻害剤、酸素捕捉剤、フィラー、色素、着色料、顔料、接着促進剤、可塑剤、強化剤、強化剤、蛍光剤、湿潤剤、抗酸化剤およびそれらの組合せも、本発明の組成物に含まれ得る。
【0071】
本発明の一態様では、硬化性組成物は、硬化後に、約25℃~約90℃の温度で約0.5~約13.5のpH範囲の水溶液に6週間以内の期間浸すと、約5重量%未満を喪失する。
【0072】
本発明の別の態様では、硬化性組成物は、硬化前に、約0.5超の縦横比(高さ/幅)を有するトポグラフィー表面特徴を形成し、維持することができる。
【0073】
本発明の方法によって膜表面上に形成されたトポグラフィー特徴は、そのトポグラフィー特徴を、膜のオーバーレイ層の間にスペーシングを提供するのに適したものにする物理的特性を有する。例えば、トポグラフィー特徴は、これらのトポグラフィー特徴を有する膜を用いる逆浸透膜エレメントの動作、クリーニング、および寿命を最適化するように、スパイラル型逆浸透濾過膜の層の間に適切なスペースシングを提供することができる。さらに、トポグラフィー特徴は、動作中に膜の接合層を損傷するおそれがある鋭い端部がなく、通常、滑らかまたは平坦である。
【0074】
本発明の一態様では、トポグラフィー特徴の縦横比は、0.50超または約0.70超である。本発明の浸透デバイスにおける膜の層または他の表面の間に特定のスペーシングコンフィギュレーションを提供するためのパターンには、縦横比の組合せを使用することができる。本明細書で使用される場合、用語「縦横比」は、トポグラフィー特徴の幅に対するトポグラフィー特徴の高さの比を意味する。
【0075】
本発明の一態様では、トポグラフィー特徴の高さは、約0.001~約0.05インチである。本発明の別の態様では、トポグラフィー特徴の高さは、約0.01~約0.04インチである。トポグラフィー特徴の高さは、トポグラフィー特徴のベース(膜表面上)から、膜表面から垂直方向に最も遠くにあるトポグラフィー特徴上の点までの距離である。
【0076】
本発明の一態様では、トポグラフィー特徴の幅は、膜表面上のトポグラフィー特徴のフットプリントの最小寸法と定義され、ここでフットプリントは、基板表面上の被覆面積または被覆領域である。
【0077】
本発明の一態様では、トポグラフィー特徴のパターンは、約0.5m2/分またはそれよりも高速で膜表面上に形成される。本発明の他の態様では、トポグラフィー特徴のパターンは、約1m2/分もしくはそれよりも高速度で、または約2m2/分もしくはそれよりも高速度で膜表面上に形成される。
【0078】
本発明のトポグラフィー特徴の印刷速度は、縦横比および全体的な膜効率に対して有害な影響を及ぼさずに、硬化性組成物の単層だけを堆積しながら所望の高さを達成することができるので、最適化することもできる(例えば、UVインクの10~20層をコーティングし、硬化しなければならない場合とは対照的に)。さらに、この単層の堆積はまた、膜の全幅40インチにわたって同時に行われる。したがって、単一リーフを印刷するための時間は、リーフの長さ(やはり40インチ)を移動する線形速度である。したがって、複数の通過によりX方向およびY方向の両方を移動する必要がない。本質的に、硬化または事前硬化の前に膜上に所望の高さを達成するために、硬化性組成物の多層を堆積する必要がない。このことは、他の技術を上回る著しい速度の利点を付与する。例えば、UVインクは、1回の通過につき最大0.001インチの高さを堆積する。本発明の方法は、湿式印刷方法では、その10倍、すなわち1回の通過につき0.010インチまで堆積することができ、事前硬化方法は、その40倍、すなわち1回の通過につき0.040インチまで堆積することができる。本発明の方法また、トポグラフィー特徴設計における完全な柔軟性のために単回通過で最大の高さ未満を堆積することができる。
【0079】
本発明の他の態様では、膜表面上にトポグラフィー特徴を形成する全体的な方法の1つまたは複数の間に、陽圧または陰圧が適用される。本発明の態様では、膜表面上にトポグラフィー特徴を形成する全体的な方法は、
A)膜が、その第2の表面が下方に向き、支持体と接触するように、支持体、例えば支持テーブル192上に供給されるステップ、
B)膜が、ステンシルの下に整列させられるステップ、
C)膜が、支持体上で平坦にされるステップ、
D)ステンシルが、膜の第1の(上向き)表面上に下ろされるステップ、
E)硬化性組成物が、組成物ディスペンサー180から、ステンシル開口内および第1の表面上に堆積されて、トポグラフィー特徴を形成するステップ、
F)硬化性組成物が、光源180を使用して部分的に硬化されるステップ、
G)ステンシルが、膜の第1の表面から除去されるステップ、
H)硬化性組成物が、ステーション210において、光源(エネルギー供給源)220を使用して固体状態、望ましくは完全に硬化した状態に硬化されるステップ、
I)膜が、支持体から除去されるステップ
を含む。本発明の態様では、ステップH)は、ステップI)と同時に行うことができる。例えば、硬化は、静的光源を用いて生じることができ、膜は、除去中に光源を通過する。
【0080】
本発明の一態様では、第1の表面をステンシルと接触させるように、ステップE)およびF)中に陽圧が膜の第2の表面に適用される。先に論じた通り、それによりこの陽圧は、ステンシル開口内への硬化性組成物の堆積中に第1の表面とステンシルのより強力な接触を生じ、それによって硬化性組成物のブリーディングを低減する。しかし、陽圧は、膜を損傷するほど高くてはならない。本発明の態様では、ステップE)およびF)中の陽圧は、大きさ約5psi~約50psiの間、約10psi~約40psiの間、または約20psi~30psiの間の大きさを有する。
【0081】
本発明の一態様では、ステップA)およびB)の一方または両方の少なくとも一部の間に、陽圧を膜の第2の表面に適用することができる。本発明の別の態様では、ステップH)およびI)の一方または両方の少なくとも一部の間に、陽圧が膜の第2の表面に適用される。したがって、膜は、支持体からのその除去中に、気流デバイス(示されず)によって浮遊することができる。陽圧は、支持体の上に膜を浮遊させ、支持体上への膜の穏やかな供給および整列を可能にする。本明細書で使用される場合、用語「浮遊する」は、膜と支持体の接触を低減または排除するように膜を持ち上げることを意味する。本発明のさらなる態様では、膜を浮遊させるのに必要な陽圧の大きさは、約10psiまたはそれ未満、好ましくは5psiである。
【0082】
本発明の一態様では、ステップC)およびD)の一方または両方の少なくとも一部の間に、吸引または真空デバイス(示されず)によって、陰圧を膜の第2の表面に適用することができる。したがって、ステンシルを下ろす間に、膜の移動の物理的制約としばしば関連する損傷を回避しながら、膜は、その平坦性および位置を維持するように支持体に対して保持され得る。本発明の別の態様では、ステップG)の少なくとも一部の間に、陰圧が膜の第2の表面に適用される。したがって、ステンシルが、膜の第1の表面から持ち上げられ、除去される間、膜は、支持体に対して保持され得る。陰圧は、しばしば損傷に至る膜上の引っ張る力を必要とすることなく、ステンシルの除去を可能にする。本発明のさらなる態様では、支持体上の膜の位置を維持するのに必要な陰圧の大きさは、約100トールまたはそれ未満、好ましくは50トールである。
【0083】
本発明に従って膜表面上にトポグラフィー特徴を形成する別の方法は、第1の表面および第2の対向表面を有する膜を支持し、接触する膜の表面に陽圧および陰圧を生じることができる支持体を備えた装置を提供するステップと、膜の第2の表面を支持体と接触させるステップと、膜の第1の表面上にステンシルを提供するステップであって、ステンシルが、硬化性組成物を受け取る第1の表面を露出させる開口を有する、ステップと、第2の表面に陽圧を適用して、第1の表面をステンシルと接触させるステップと、硬化性組成物の1つまたは複数の層を、ステンシル開口内および第1の表面上に堆積して、トポグラフィー特徴を形成するステップであり、開口がトポグラフィー特徴のおおよその形状およびサイズを画定する、ステップと、硬化性組成物を、そのトポグラフィー特徴を保持するには十分であるが、ステンシルとの接着を引き起こすには不十分な状態に部分的に硬化させるための条件に曝露するステップと、第2の表面に陰圧を適用して、部分的に硬化したトポグラフィー特徴を乱すことなく、膜とステンシルを分離するステップとを含み、陽圧は、トポグラフィー特徴の周囲のハロー面積を少なくとも約10%低減するのに十分である。
【0084】
一般に、先の説明は、例示し、実例を示す目的で提供され、本発明は、必ずしもそれに限定されない。むしろ当業者は、特定の環境についてのさらなる修飾および適応は、本明細書で示され、記載される本発明および本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲内に含まれることを認識されよう。
【実施例】
【0085】
比較用のトポグラフィー特徴を、硬化性組成物の堆積および部分硬化中に陽圧を適用せずに、先のプロセスを使用して製造した。
図3aに示される通り、本発明ではないこの方法は、膜表面(110)上のトポグラフィー特徴(120)の周囲に顕著なハロー(130)を生じた。このハローは、トポグラフィーエリアの面積(A
tf)と比較して、約0.42のハロー面積(A
h)を有すると測定された。
【0086】
トポグラフィー特徴を、先の方法を使用し、硬化性組成物の堆積および部分硬化中に30psiの陽圧を適用し、本発明のプロセスを使用して製造した。
図3bに示される通り、本発明のこの方法は、膜表面(140)上のトポグラフィー特徴(150)の周囲にほぼ検出不可能なハロー(160)を生じた。このハローは、トポグラフィーエリアの面積(A
tf)と比較して、約0.25のハロー面積(A
h)を有すると測定された。
【0087】
前述のことを鑑みると、本発明の方法は、ハロー面積パーセンテージを約40.5%低減した。
【国際調査報告】