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特表2022-523521ウイルス感染を阻害するための方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(54)【発明の名称】ウイルス感染を阻害するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/07 20060101AFI20220418BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20220418BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20220418BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20220418BHJP
   A61K 31/36 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A61K36/07
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/20
A61P31/22
A61P31/18
A61P31/16
A61K31/575
A61K31/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549892
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020019583
(87)【国際公開番号】W WO2020176436
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/809,919
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521007665
【氏名又は名称】アージル・バイオテック・ホールディング・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Arjil Biotech Holding Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ウー,イェー ビー
(72)【発明者】
【氏名】ロ,ジャー-メン
(72)【発明者】
【氏名】リアン,ホイ ジュー
(72)【発明者】
【氏名】リン,ペイ-シン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,チェン
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA13
4C086DA11
4C088AA02
4C088BA08
4C088BA32
4C088NA14
4C088ZB33
(57)【要約】
本発明は、ウイルス感染、特に、B型肝炎ウイルス感染および/または単純ヘルペスウイルスを予防および/または処置するための医薬を調製するための組成物、及びその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染を阻害するための医薬を製造するための、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の調製物、およびベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)から分離される一つまたはそれ以上の活性化合物の使用。
【請求項2】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の調製物が、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の抽出物、皿で培養されているベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の抽出物、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体の抽出物、および上記の抽出物から分離される活性化合物、ならびにこれらの誘導体から選択される一つまたはそれ以上である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)から分離される活性化合物が、
【化1】
【化2】
[式中、R1は、O、α-OHまたはβ-Hであり;R2は、HまたはOHであり;R3は、O、α-H、β-OAcまたはH2であり;R4は、HまたはOHであり;R5は、HまたはOHであり;R6は、COOHまたはCOO(CH2)n-CH3であり;R7は、H、OH、またはOAcであり;R8は、CH3またはCOOHであり;点線は、単結合または二重結合を示し;nは、0~3の整数である];および
【化3】
[式中、R21は、CH3、COOH、またはCOO(CH2)n-CH3であり;nは、0~3の整数であり;R22、R23、R24はそれぞれ、OCH3であるか、またはR22およびR23は一緒になってO-CH2-Oを形成し;またはR23およびR24は一緒になってO-CH2-Oを形成する]からなる群から選択される一つまたはそれ以上である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)から分離される活性化合物が、
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
からなる群から選択される一つまたはそれ以上である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
ウイルス感染が、肝炎ウイルス感染、インフルエンザウイルス感染、単純ヘルペスウイルス感染、エンテロウイルス感染、ロタウイルス感染、デングウイルス感染、ポックスウイルス感染、ヒト免疫不全ウイルス感染、アデノウイルス感染、コロナウイルス感染、アレナウイルス感染、麻疹ウイルス感染、レトロウイルス感染およびノロウイルス感染からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
ウイルス感染が、肝炎ウイルス感染である、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
ウイルス感染が、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、またはD型肝炎ウイルス感染である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
ウイルス感染が、B型肝炎ウイルス感染である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
ウイルス感染が、単純ヘルペスウイルス感染である、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の調製物が、ウイルス複製複製、ウイルス粒子の組み立てまたは放出の阻害に効果がある、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の調製物が、ウイルスの侵入の阻害に効果がある、請求項1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年2月25日出願の米国仮特許出願62/809,919の利益および優先権を主張し、その全内容は引用により本明細書に包含される。
(発明の分野)
本発明では、ウイルス感染を阻害するための方法および組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスは、タンパク質コーティング内が遺伝物質でできたものであり、正常な生細胞に侵入し、それらの細胞を用いて自身と同じような他のウイルスを複製し生成し、インフルエンザや疣贅などの身近な感染性疾患を引き起こし、あるいは天然痘や後天性免疫不全症候群(AIDS)などの重篤な病気を引き起こすことがある。
【0003】
例えば、五つの異なる型の肝炎ウイルス、すなわち、A型、B型、C型、D型およびE型ならびにX型およびG型がある。A型およびE型肝炎ウイルスは、有害な水や食品を摂取することで誘発される。しかし、B型、C型およびD型肝炎ウイルスは、感染した体液を伴う非経腸的感染によって引き起こされる。また、C型およびD型肝炎ウイルスの感染も増加しており、有効な処置が求められている。
【0004】
B型肝炎ウイルス(HBV)は、ヒトに急性および慢性のウイルス肝炎を引き起こす。HBV感染は、硬変および肝細胞癌(HCC)を含む重度肝臓疾患伴うことが多い[1]。世界におけるHBV感染の罹患率は非常に高い。25年を超える時間効果的なワクチンが入手可能であるにもかかわらず、約3億5000万人が慢性的に感染している。HBV保因者間のHCCの相対リスクは、非保因者と比較して約100倍増加する[2]。
【0005】
現在承認されているインターフェロンアルファまたはウイルスの逆転写酵素を阻害するヌクレオシド(ヌクレオチド)アナログを含む抗HBV薬は、副作用や薬剤耐性の出現のため、使用できないHBV感染患者が増えている[3]。
【0006】
そのため、処置結果を改善させるためには、ウイルスのライフサイクルにおける他の段階を妨害することを目的とする、有効かつ安全であり、価格が許容できる抗HBV剤の探索が必要である。
【0007】
HBVは、3.2kbのウイルスゲノムを保護するヌクレオカプシドからなる小型DNAウイルスである[4]。HBVのヌクレオカプシドは、B型肝炎表面抗原(HBsAg)からなるエンベロープに包まれている。HBsAgは、三つの同相開示コドン(in-phase start codon)を有する読み取り枠にコードされる。MHBsAgは55アミノ酸(aa)を有し、それはSドメインから拡張され、pre-S2ドメインと称される。LHBsAgは108-aa領域をさらに含み、それはpre-S2ドメインから拡張されてpre-S1ドメインを構成する。最近、タウロコール酸ナトリウム共輸送ポリペプチド(NTCP)が、HBV受容体として同定された[5, 6]。感染していない肝細胞へのHBVの侵入は、長い間、抗ウイルス介入の潜在的な標的として提案されてきた[7]。他方で、HepG2.2.15細胞は、HBVの全ゲノムを包含しており、それはHBVの複製、組み立ておよび分泌の研究に広く用いられていた。
【0008】
感染期間中のHBVの肝細胞への付着は、長い間、抗ウイルス介入の潜在的な標的として提案されてきた。HBV粒子に特異的に結合する分子は、ウイルスの付着を妨害し、その結果、その後の感染を減少または阻止すると考えられている[8]。
【0009】
ヒトHBVの初期感染事情については、完全な複製周期をサポートする細胞培養システムがないため、その知見は限られている。現在までに、2種類の細胞がHBVに感染しやすいことが示されている。1つはヒト肝細胞株HepaRGで、ジメチルスルホキシド(DMSO)によって誘導される分化後に感染可能となり[7,9]、もう1つの細胞型は正常ヒト初代肝細胞であり、これは、HBVに容易に感染するが[10,11]、インビトロでの細胞の寿命が限られていることや、安定した供給源がないことから、今後の応用には大きな制限があると考えられる。
【0010】
また、単純ヘルペスウイルス(HSV)は、タンパク質のコーティングに包まれているDNAゲノムからなる。1型および2型単純ヘルペスウイルス (HSV-1およびHSV-2)は、歯肉口内炎、咽頭炎、口唇ヘルペス、脳炎、眼や性器の感染など、ヒトの疾患の原因となっている[12]。ヘルペスウイルス感染は、一般的に、軽度または無症状の初期段階、その後、ウイルスが非複製の潜伏状態または臨床的に検出不可能なレベルでの持続を含む[13]。HSV-1の初感染は、口および/または喉に最も関連しており、歯肉口内炎および咽頭炎を引き起こす。口腔咽頭の初感染から回復した後も、三叉神経節にHSVのDNAを生涯にわたって保持し、口唇ヘルペスの発作を繰り返すことがある。また、ヘルペスウイルスファミリーのいくつかのメンバーと歯周病との間に関連性がある可能性も明らかにされている[14]。ヒトヘルペスウイルスは、歯周炎の病巣に比較的高い確率で存在する可能性がある[15]。HSVは、臨床的付着喪失の観点から、歯周病の重症度と関連している[16]。ウイルス性歯肉感染は、宿主の防御機構を損ない、それによって病原性口腔内細菌の過剰増殖を引き起こす可能性がある[15、17]。
【0011】
HSVは、一般的に粘膜、皮膚、眼および神経系を攻撃し、幅広い種類の細胞に感染することができる[18]。ヒト歯肉粘膜の器官培養物は、HSV-1およびHSV-2に感染することがでる[19]。さらに、インビトロで培養されたヒト歯肉ケラチン生成細胞や歯肉線維芽細胞はHSVの増殖をサポートする[20,21]。HSV-1はウイルスチミジンキナーゼをコードしており、これは、アシクロビルをHSV DNAポリメラーゼの鎖状ターミネーター基質であるアシクロビルトリホスフェートに間接的に代謝し、イルスのDNA複製を停止させる[22]。しかし、5~30%の症例でアシクロビルに対するHSVの耐性が報告されている[23])。アシクロビル耐性のHSV-1株は、免疫不全の患者で頻繁に発生し、重篤な合併症を引き起こすことがある[24]。ワクチンがないため、局所殺菌剤はHSVの伝染を予防するための重要な戦略であると考えられる。
【0012】
それでも、新しい抗ウイルス療法または医薬品の開発が望まれている。
【発明の概要】
【0013】
本発明では、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の調製物、およびベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の活性成分がウイルス感染、特に、肝炎Bウイルス(HBV)感染および/または単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の阻害に有効であることを予想外に見出した。
【0014】
実施例において、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の調製物がウイルス複製、ウイルス粒子の組み立てまたは放出;およびウイルスの侵入を阻害できたことを確定した。
【0015】
本発明の目的は、ウイルス感染を予防および/または処置する方法であって、それを必要とする対象に、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の調製物および/またはベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の活性成分を投与することを含む方法を提供することである。
【0016】
一実施例において、本発明において予防および/または処置されるウイルス感染は、肝炎ウイルス感染、インフルエンザウイルス感染、単純ヘルペスウイルス感染、エンテロウイルス感染、ロタウイルス感染、デングウイルス感染、ポックスウイルス感染、ヒト免疫不全ウイルス感染、アデノウイルス感染、コロナウイルス感染、アレナウイルス感染、麻疹ウイルス感染、レトロウイルス感染およびノロウイルス感染からなる群から選択される。
【0017】
一実施例において、本発明は、HBV感染を予防および/または処置する方法であって、それを必要とする対象に、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の調製物を投与することを含む方法を提供する。
【0018】
別の実施例において、本発明は、HSV感染を予防および/または処置する方法であって、それを必要とする対象に、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の調製物を投与することを含む方法を提供する。
【0019】
実際には、ウイルス複製、ウイルス粒子の組み立て、放出、およびウイルスの侵入を阻害することによって肝炎ウイルス感染は阻害され、ウイルスの進展が阻害される知見から、広域抗ウイルス剤が開発されていることが導かれるものと思われる。
【0020】
別の目的において、本発明は、ウイルス感染を予防および/または処置する医薬組成物であって、治療有効量のベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の調製物および/またはベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)活性成分、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明の一実施態様において、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の調製物には、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の抽出物、皿で培養されているベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の抽出物、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体の抽出物、および上記の抽出物から分離される活性化合物があるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の一実施例において、活性化合物は、
【化1】
【化2】
[式中、R1は、O、α-OHまたはβ-Hであり;R2は、HまたはOHであり;R3は、O、α-H、β-OAcまたはH2であり;R4は、HまたはOHであり;R5は、H、またはOHであり;R6は、COOHまたはCOO(CH2)n-CH3であり;nは、0~3の整数であり;R7は、H、OHまたはOAcであり;R8は、CH3またはCOOHであり;R21は、CH3、COOH、またはCOO(CH2)n-CH3であり;nは、0~3の整数であり; R22、R23、R24はそれぞれOCH3であるか、またはR22およびR23は一緒になってO-CH2-Oを形成し;またはR23およびR24は一緒になってO-CH2-Oを形成し;点線は、単結合または二重結合を示す]
からなる群から選択される一つまたはそれ以上であってもよい。
【0023】
本発明の特定の一実施例において、化合物は、デヒドロエブリコ酸:
【化3】
である。
【0024】
本発明の別の実施例において、化合物は、ベルシスポン酸D:
【化4】
である。
【0025】
本発明の別の実施例において、化合物は、デヒドロスルフュレン酸(dehydrosulphurenic acid)(デヒドロスルフレン酸(dehydrosulfurenic acid))
【化5】
である。
【0026】
本発明の特定の一実施例において、式(II)で示される化合物は、4,7-ジメトキシ-5-メチル-1,3-ベンゾジオキソール:
【化6】
である。
【0027】
本発明の一実施例において、化合物は、アントシンA:
【化7】
である。
【0028】
本発明の一実施例において、化合物は、アントシンB:
【化8】
である。
【0029】
本発明の一実施例において、化合物は、アントシンC:
【化9】
である。
【0030】
本発明の一実施例において、化合物は、アントシンH:
【化10】
である。
【0031】
本発明の一実施例において、化合物は、アントシンK:
【化11】
である。
【0032】
さらなる一態様において、本発明は、ウイルス感染を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に開示されている組成物/医薬組成物、および少なくとも一つの追加の抗ウイルス治療剤を投与することを含む方法を提供する。
【0033】
上述の一般的な説明と以下の詳細な説明は、いずれも例示的かつ説明的なものであり、本発明を制限するものではないと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
上述の概要、および以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことで、よりよく理解されるであろう。本発明を説明する目的のために、現在のところ好ましいとされる実施態様が図面に示されている。
【0035】
図面において:
【0036】
図1A図1Aは、細胞生存率に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を示す。HepG2.2.15細胞を、0~1000μg/mlのベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物で48時間処理し、その後、MTTアッセイを行って細胞生存率を検出した。*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
【0037】
図1B図1Bは、細胞生存率に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を示す。HuS-E/2細胞を、0~1000μg/mlのベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物で48h処理し、その後、MTTアッセイを行って細胞生存率を検出した。*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
【0038】
図2A図2Aは、HBVの複製に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を示す。HepG2.2.15細胞を、さまざまな濃度のベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物で48時間培養し、その後、培養培地を集めてELISAによってHBVのHBsAgを測定した。HBVを含有していないHepG2を陰性対照(NC)として使用した。結果は、薬物で処理しない陽性対照(NT)の百分率として表し、三つの独立した実験の平均値±SDで示す。*、P<0.05; **、P<0.01; ***、P<0.001。
【0039】
図2B図2Bは、HBVの組み立てに対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を示す。HepG2.2.15細胞を、さまざまな濃度のベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物で48時間培養し、その後、培養培地を集めてELISAによってHBVのHBeAgを測定した。HBVを含有しないHepG2を、陰性対照(NC)として使用した。結果は、薬物で処理しない陽性対照(NT)の百分率として表し、三つの独立した実験の平均値±SDで示す。*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
【0040】
図2C図2Cは、HBVの放出に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata) 子実体抽出物の効果を示す。HepG2.2.15細胞を、さまざまな濃度のベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物で48時間培養し、その後、培養培地を集めてリアルタイムPCRによってHBVのDNAを測定した。1.3倍のHBVゲノム(aywサブタイプ(Galibert et al.,1979))を含有するプラスミドp1.3HBclを並列PCR反応における基準として使用し、HBVを含有しないHepG2を陰性対照(NC)として使用した。結果は、薬物で処理しない陽性対照(NT)の百分率として表し、三つの独立した実験平均値±SDで示す。*、P<0.05;**、P<0.01;***、P<0.001。
【0041】
図3A図3Aは、HBVの侵入に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を示す。DMSO-分化HuS-E/2細胞を、指定の濃度のベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の存在下、MOI10のHBVに20時間曝露させ、その後、HBVおよび薬物を除去し、細胞を2日間インキュベートし、ELISAによって培養培地に分泌されたHBsAgを測定し、薬物を処理してない対照の値の百分率として表した。結果は、三つの独立した実験の平均値±SDである。*、P < 0.05; **、P < 0.01; ***、P < 0.001。
【0042】
図3B図3Bは、HBVの侵入に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を示す。DMSO-分化HuS-E/2細胞を、指定濃度のベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の存在下、MOI10のHBVに20h曝露させ、その後、HBVおよび薬物を除去し、細胞を2日間インキュベートし、ELISAによって培養培地に分泌されたHBeAgを測定し、薬物で処理してない対照の値の百分率で表した。結果は、三つの独立した実験の平均値±SDである。*、P < 0.05; **、P < 0.01; ***、P < 0.001。
【0043】
図3C図3Cは、HBVの侵入に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を示す。DMSO-分化型HuS-E/2細胞を、指定濃度のベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の存在下、MOI10のHBVに20時間曝露させ、その後、HBVおよび薬物を除去し、細胞を2日間インキュベートした。次いで、細胞からRNAを抽出し、RT-PCRを行ってHBVのmRNAレベルを測定した。結果は、薬物で処理していない細胞の値の百分率として表した。内在性GAPDH mRNAをローディング対照として対照的PCRを行った。結果は、三つの独立した実験の平均値±SDである。*、P < 0.05; **、P < 0.01; ***、P < 0.001。
【0044】
図4図4は、HSV-1感染期の口腔上皮細胞に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を評価するための実験条件を提供する。非処理、前処理および後処理の三つの実験条件で行った。口腔上皮細胞(OC3)を、培地のみ、または各ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物を含有する培地で2時間、前処理した後、HSV-1を接種した。ウイルスの侵入が発生するように37℃で1時間、細胞に感染多重度(MOI)5のHSV-1ウイルスを感染させるか、模擬感染させた。ウイルス接種中の1時間はベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)を添加せず、ウイルスへの直接的効果を避けた。模擬細胞またはHSV-1感染細胞を、薬物の非存在下または存在下でさらに19時間インキュベートした。
【0045】
図5図5は、HSV-1感染後の口腔上皮細胞における細胞生存率およびウイルスの増殖に対するA4(アントシンK)の効果を示す。口腔上皮細胞(OC3)を、図1に例示されている実験条件下、さまざまな濃度のA4とインキュベートした。感染19時間後に、MTTアッセイを用いてミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性について細胞生存率をテストした。対照に対する細胞生存率の百分率を示す。模擬感染させた培養培地の対照における生存率を100%と見做した。さらに、プラークアッセイを用いて上清中のウイルス収量を測定した。培地で処理した対照群からのウイルス収量を100%と見做した。結果は、少なくとも三つの独立した実験から得られた平均値±平均値の標準誤差(SEM)で示している。統計的な違いは、異なる小文字で示している(分散分析、Tukey、α=0.05)。完全に異なる小文字で示された場合、二つのサンプルは統計的に異なっていた。
【0046】
図6図6は、HSV-1感染後の口腔上皮細胞における細胞生存率およびウイルス複製に対するA3(デヒドロスルフュレン酸(dehydrosulphurenic acid))の効果を示す。OC3細胞を、図4に例示されている実験条件下、さまざまな濃度のA3とインキュベートした。感染19時間後に、MTTアッセイを用いて細胞生存率をテストした。対照に対する細胞生存率の百分率を示す。模擬-感染させた培養培地の対照における生存率を100%と見做した。さらに、プラークアッセイを用いて上清中のウイルス収量を測定した。培地で処理した対照群からのウイルス収量を100%と見做した。結果は、少なくとも三つの独立した実験からの平均値±SEMで示している。統計的な違いは、異なる小文字で示している(分散分析、Tukey、α=0.05)。完全に異なる小文字で示された場合、二つのサンプルは統計的に異なっていた。
【0047】
図7図7は、HSV-1感染後の口腔上皮細胞における細胞生存率およびウイルス複製に対するA5(ベルシスポン酸)の効果を示す。OC3細胞を、図4に例示されている実験条件下、さまざまな濃度のA5とインキュベートした。感染19時間後、MTTアッセイを用いて細胞生存率をテストした。対照に対する細胞生存率の百分率を示す。模擬-感染させた培養培地の対照の生存率を100%と見做した。さらに、プラークアッセイを用いてウイルス収量を測定した。培地で処理した対照群からのウイルス収量を100%と見做した。結果は、少なくとも三つの独立した実験からの平均値±SEMで示している。統計的な違いは、異なる小文字で示している(分散分析、Tukey、α=0.05)。完全に異なる小文字で示された場合、二つのサンプルは統計的に異なっていた。
【0048】
図8図8は、HSV-1感染後の口腔上皮細胞における細胞生存率およびウイルス複製に対するA6(デヒドロエブリコ酸)の効果を示す。OC3細胞を、図1に例示されている実験条件下、さまざまな濃度のA6とインキュベートした。感染19時間後、MTTアッセイを用いて細胞生存率をテストした。対照に対する細胞生存率の百分率を示す。模擬-感染させた培養培地の対照の生存率を100%と見做した。さらに、プラークアッセイを用いてウイルス収量を測定した。培地で処理した対照群からのウイルス収量を100%と見做した。結果は、少なくとも三つの独立した実験からの平均値±SEMで示している。統計的な違いは、異なる小文字で示している(分散分析、Tukey、α=0.05)。完全に異なる小文字で示された場合、二つのサンプルは統計的に異なっていた。
【0049】
図9図9は、HSV-1感染後の口腔上皮細胞における細胞生存率およびウイルス複製に対するA2(ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物)の効果を示す。OC3細胞を、図4に例示されている実験条件下、さまざまな濃度のA2とインキュベートした。感染19時間後、MTTアッセイを用いて細胞生存率をテストした。対照に対する細胞生存率の百分率を示す。模擬-感染させた培養培地の対照の生存率を100%と見做した。さらに、プラークアッセイを用いてウイルス収量を測定した。培地で処理した対照群からのウイルス収率を100%と見做した。結果は、少なくとも三つの独立した実験からの平均値±SEMを示している。統計的な違いは、異なる小文字で示している(分散分析、Tukey、α=0.05)。完全に異なる小文字で示された場合、二つのサンプルは統計的に異なていた。
【0050】
図10図10は、HSV-1ビリオンに対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物の効果を示す。HSV-1を精製し、さまざまな濃度の各ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物を含有する培地と37℃で1時間インキュベートした。その後、プラークアッセイを用いて口腔上皮細胞においてウイルス力価(titer)を測定した。結果では、少なくとも三つの独立した実験からの平均値±SEMを示している。統計的な違いは、異なる小文字で示した(分散分析、Tukey、α=0.05)。完全に異なる小文字で示された場合、二つのサンプルは統計的に異なる。
【0051】
(本発明の詳細な説明)
上記の本発明の概要について、以下の実施例の実施態様を参照してさらに説明する。ただし、本発明の内容は以下の実施態様にのみ限定されるものと理解すべきではなく、上述した本発明の内容に基づくすべての発明は本発明の範囲に属する。
【0052】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0053】
本明細書で使用される時、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかに他の方法が指示されない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「a sample」
の場合、当業者に知られている複数のそのような試料およびその等価物を含む。
【0054】
本発明は、ウイルス感染を予防および/または処置する方法であって、それを必要とする患者に、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の調製物および/またはベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の活性成分を投与することを含む方法を提供する。
【0055】
本発明はまた、ウイルス感染、特に、B型肝炎ウイルス(HBV)感染および/または単純ヘルペスウイルス(HSV)感染を予防するおよび/または処置ための組成物/医薬組成物であって、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の調製物および/またはベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の活性成分の治療有効量、および薬学的に許容できる担体を含む組成物/医薬組成物を提供する。
【0056】
本発明によれば、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の調製物は、includes anベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の抽出物、皿で培養されているベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)の抽出物、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体の抽出物、および上記の抽出物から分離される活性化合物、およびこれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0057】
より詳しくは、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)から分離される活性化合物は、
【化12】
【化13】
[式中、R1は、O、α-OHまたはβ-Hであり;R2は、HまたはOHであり;R3は、O、α-H、β-OAcまたはH2であり;R4は、HまたはOHであり;R5は、HまたはOHであり;R6は、COOHまたはCOO(CH2)n-CH3であり;R7は、H、OH、またはOAcであり;R8は、CH3またはCOOHであり;点線は、単結合または二重結合を示し;nは、0~3の整数である];または
【化14】
[式中、R21は、CH3もしくはCOOH、またはCOO(CH2)n-CH3であり;nは、0~3の整数であり;R22、R23、R24はそれぞれ、OCH3であるか、またはR22およびR23は一緒になってO-CH2-Oを形成し;またはR23およびR24は一緒になってO-CH2-Oを形成する]
からなる群から選択される一つまたはそれ以上である。
【0058】
本発明の実施例において、化合物は、
【化15】
【表1】
であり得る。
【0059】
本発明の別の実施例において、化合物は、
【化16】
【表2】
であり得る。
【0060】
本発明のさらに一実施例において、化合物は、
【化17】
【表3】
であり得る。
【0061】
本発明の更なる実施例において、化合物は、
【化18】
【表4】
であり得る。
【0062】
本発明の特定の実施例において、化合物は、ラノスタン:
【化19】
であり得る。
【0063】
さらに、式(II)で示される化合物は、
【化20】
【表5】
であり得る。
【0064】
したがって、化合物は、
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
からなる群から選択される。
【0065】
本発明によれば、化合物は、
【化25】
【化26】
からなる群から選択される。
【0066】
本発明の特定の一実施例において、式(II)で示される化合物は、
【化27】
である。
【0067】
本明細書で使用される用語「ウイルス」とは、生物の生細胞内でのみ複製する小さな感染病原体であるあらゆるウイルスを意味し、これは、動物や植物から細菌や古細菌を含む微生物まで、あらゆる種類の生命体に感染できる。例示的なウイルスには、肝炎ウイルス、インフルエンザ ウイルス、単純ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、デングウイルス、ポックスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、レトロウイルスまたはノロウイルスがあるが、これらに限定されない。
【0068】
本明細書で使用される用語「処置する」とは、疾患、疾患の症状もしくは状態、または疾患の進行に罹患している対象に対して、一つまたはそれ以上の活性物質を含む組成物を、疾患、疾患の症状もしくは状態、疾患によって引き起こされる障害、または疾患の進行を治療、治癒、軽減、緩和、改変、救済、回復、改善または影響することを目的として適用または投与することを意味する。
【0069】
本明細書で使用される用語「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物、例えば、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、または実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を含む。
【0070】
本明細書で使用される用語「治療有効量」とは、そのような量を受けていない対応する対照と比較して、疾患、障害または副作用の処置、治癒、予防もしくは改善、または疾患または障害の進行速度の減少という効果をもたらす薬剤の量を意味する。また、この用語はまたは、その範囲内に正常な生理機能を向上させるのに有効な量も含む。
【0071】
療法に使用するために、化合物の治療有効量を投与のための医薬組成物に製剤化される。したがって、本発明は、さらに、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の調製物またはベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)から分離される活性化合物の治療有効量、および一つまたはそれ以上の薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。
【0072】
送達および吸収の目的のために、本発明による活性成分の治療有効量を、薬学的に許容できる担体とともに適当な形態で医薬組成物に製剤化してもよい。投与経路に基づいて、本発明の医薬組成物は、好ましくは総重量の0.1重量%~100重量%の活性成分を含む。
【0073】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容できる担体」とは、製剤の他の成分に適合しており、その医薬組成物を投与される対象に有害ではないという意味で許容できる担体、希釈剤または賦形剤を意味する。当該分野で一般的に知られているか、使用されているあらゆる担体、希釈剤または賦形剤を、医薬製剤の要件に応じて本発明で使用することができる。
本発明によれば、医薬組成物は、経口、直腸、経鼻、局所、膣または非経腸経路を含むがこれらに限定されないいずれかの適切な経路による投与に適しているものであってもよい。本発明の特定の一実施例において、医薬組成物は経口投与のために製剤化される。このような製剤は、薬学の技術分野で知られているいずれかの方法によって調製することができる。
【0074】
本明細書で使用される「薬学的に許容できる」とは、担体が組成物中の活性成分に適合しており、好ましくは該活性成分を安定させることができ、処置を受ける個人にとって安全であることを意味する。該担体は、活性成分の希釈剤、ビヒクル、賦形剤、または基質(matrix)であってもよい。適切な賦形剤のいくつかの実施例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルボース、マンノース、デンプン、アラビア・ゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント・ゴム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースを含む。組成物はさらに滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;防腐剤、例えばヒドロキシ安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピル;甘味剤;および風味剤を含むことができる。本発明の組成物は、患者への投与後に活性成分を迅速に、継続して、または遅延して放出する効果を提供することができる。
【0075】
本発明によれば、該組成物の形態は、錠剤、ピル、粉末、ロゼンジ、パケット、トローチ、エリクサー(elixer)、懸濁液、ローション、溶液、シロップ、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセル、坐薬、滅菌注射液、およびパッケージされた粉末であってもよい。
【0076】
本発明の組成物は、経口、非経腸(筋肉内、静脈内、皮下、および腹腔内)、経皮、坐薬、および鼻腔内方法などのいずれかの生理学的に許容できる経路によって送達することができる。非経腸投与に関しては、好ましくは無菌水溶液の形態で使用され、これは、該溶液を血液に対して等張にするのに十分な塩類やグルコースなどの他の物質を含んでいてもよい。水溶液は必要に応じて適切に緩衝されていてもよい(好ましくはpH値が3~9)。 無菌状態での適切な非経腸組成物の調製は、当業者によく知られている標準的な薬理学的技術を用いて達成することができる。
【0077】
本発明において、方法および組成物/医薬組成物は、ウイルス感染の処置に有効である。例示的な反応性ウイルスには、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、ロタウイルス、デングウイルス、ポックスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、またはアデノウイルス、コロナウイルス感染、アレナウイルス感染、麻疹ウイルス、またはノロウイルスがあるが、これらに限定されない。好ましくは、ウイルス感染は、肝炎ウイルス感染である。より好ましくは、ウイルス感染は、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、またはD型肝炎ウイルス感染。最も好ましくは、ウイルス感染は、B型肝炎ウイルス感染である。
【0078】
別の態様において、感染は、好ましくは単純ヘルペスウイルス感染である。
【0079】
本発明について、限定ではなく実証を目的として記載する以下の実施例によってさらに説明する。
【0080】
実施例
【0081】
実施例1 ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)の抽出物およびその活性画分の調製
【0082】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体100gをメタノールで6時間、熱再循環し、抽出物を集め、減圧下で乾燥させ、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorate)メタノール抽出物15gを得た。
【0083】
上記で得られたベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)メタノール抽出物15gを採取し、二酸化ケイ素で充填し、カラム分離(3×12cm)中、溶出液「ヘキサン/酢酸エチル/メタノール」による勾配溶出を行い、A2(ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物)、A3(デヒドロスルフュレン酸(dehydrosulphurenic acid))、A4(アントシンK)、A5(ベルシスポン酸)、およびA6(デヒドロエブリコ酸)を含む、活性画分を得た。
【0084】
実施例2 HBV感染に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物の効果
【0085】
2.1 材料および方法
【0086】
2.1.1 HepG2.2.15細胞
【0087】
adw2サブタイプのHBVゲノムを安定的にトランスフェクトしたHepG2.2.15細胞(RRID:CVCL_L855)では、HBVの連続的な増殖が可能である。HepG2.2.15細胞を使用する理由は、無制限に供給され、品質が一定であり、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS;Thermo社)ならびに100ユニットのペニシリンおよび1mlあたり100gのストレプトマイシン(いずれもInvitrogen社)を添加したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM;Invitrogen社)中で維持させたためである。
【0088】
2.1.2 HuS-E/2細胞
【0089】
HBV感染には、長期培養後も初代肝細胞の特徴を保持するHuS-E/2細胞を利用している。HBV感染の場合、HuS-E/2細胞を2%DMSOで7日間分化させ、以前の研究で説明したように、ウイルス粒子を集め、感染して、HuS-E/2細胞中で複製した[25]。これらの細胞は、HBV株の感染力をアッセイし、抗HBV剤をスクリーニングするのに役立つ。
【0090】
2.1.3 HBV粒子の集め
【0091】
薬物処理したHepG2.2.15細胞の培地を、4℃下で1,000Xgで10分間遠心分離することによって清澄化した後、上清を20%スクロースクッション(20%スクロース、20mM HEPES、pH7.4、0.1%ウシ血清アルブミン[BSA])の上に重ね、4℃下で197,000Xgで3時間遠心分離してHBV粒子をペレットにし、その後、100倍に濃縮してHBV DNAを検出する。
【0092】
2.1.4 DNAおよびRNAの分離、逆転写およびリアルタイムPCR
【0093】
ゲノムDNA分離キット(Nexttec Biotechnologie,Germany)で総DNAを抽出した。TRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen社)を用いて培養細胞から総RNAを分離する。RNA鋳型(template)、AMV逆転写酵素(Roche社)、およびオリゴ-dTプライマーを用いて逆転写を行う。生成物を、特定の遺伝子のプライマーセットとSYBR Green PCR Master Mix(Bio-Rad)を用いてリアルタイムPCRにかける。HBVコア、HBsAg、cccDNAおよびGAPDHに使用したプライマーセットは記載されている[25]。結果は、iCycler iQリアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad)で分析する。プラスミドp1.3HBclを10倍希釈(2*104-2*109複製数/ml)で調製し、パラレルPCR反応におけて標準曲線を作成する。
【0094】
2.1.5 酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)
【0095】
HBsAgおよびHBeAg ELISAキット(General Biologicals Corp.)を用いて、B型肝炎表面抗原(HBsAg)およびB型肝炎コア抗原(HBeAg)を提案されたプロトコールで検出する。
【0096】
2.1.6 統計分析
【0097】
全ての値は平均値±SEで示す。各値は、各薬物のインビトロ実験の少なくとも三つの実験の平均値である。統計比較にはStudent's t-testを使用。*は、その値が対照と有意に異なることを示す(*, p < 0.05; **, P < 0.01; ***, P < 0.001)。
【0098】
2.2 ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の細胞生存率
【0099】
使用されたベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物は、A2(ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物)、A4(アントシンK)、A5(ベルシスポン酸)、およびA6(デヒドロエブリコ酸)であった。HBV感染に対する潜在的な抗ウイルス効果を検証する前に、まず20~1000μg/mlの濃度においてHepG2.2.15細胞およびHuS-E/2不死化ヒト初代肝細胞に対する毒性を検査した。図1にされているように、HepG2.2.15細胞、50μg/mlのA2、50μg/mlのA4、および20μg/mlのA5には毒性効果がほとんどなかったか、まったくなかった。A6の毒性は20μg/mlで見られた。HuS-E/2細胞において、A2の毒性は20μg/mlで見られた。50μg/mlのA4、20μg/mlのA5、20μg/mlのA6には毒性効果がなかった。したがって、その後の試験では、表1および表2に示した濃度を使用した。
【表6】


【表7】

【0100】
2.3 HepG2.2.15細胞におけるHBV感染に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の阻害性効果
【0101】
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物がHBVゲノムの複製、組み立て、分泌に効果があるかどうかをテストために、HBVゲノムを安定的にトランスフェクトしたHepG2.2.15細胞を用いて、4種類のベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物と48時間インキュベートした後、培地から採取したHBsAg、HBeAg、HBV DNAをELISAとリアルタイムPCRで測定した。興味深いことに、ELISAの結果では、分泌されたHBV粒子の量を反映する培養上清中のHBsAg(図2A)およびHBeAg(図2B)のレベルは、20μg/mlおよび50μg/mlのA4薬物の存在下で、約50~60%に著しく減少した。また、図2Cに示すように、A4薬物を50μg/mlで処理した場合、HBVのDNAも55%に阻害された。
【0102】
2.4 HuS-E/2細胞におけるHBV侵入に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の阻害性効果
【0103】
HBV感染性および複製に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を評価するために、HuS-E/2細胞にHepG2.2.15細胞由来のaywサブタイプのHBVを感染させた。HBVの感染中にさまざまなベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物を培地に18時間添加した後、感染細胞を洗浄して新鮮な培地で48時間インキュベートし、培養液中のHBsAgとHBeAgをELISAで検出し、HBVのmRNAをリアルタイムPCRで検出して、HBVの感染効率の指標とした。興味深いことに、A5およびA6の薬物を20g/mlで処理した細胞では、HBVのHBsAgとHBeAgのレベルが80%超低下したが、他の化合物では効果が低いか、効果がなかった(図3Aおよび図3B)。感染中にA5およびA6の薬物が存在すると、HBVのmRNAレベルが低下した(図3C)。
【0104】
本研究において、HBVゲノムが安定的に発現したHepG2.2.15細胞を使用して、HBV形態形成に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を検出した。これらの結果は、A4薬物がHBVの複製、ウイルス粒子の組み立てまたは放出を有意に阻害することを示した。A4の処理により、HBsAgタンパク質およびコアタンパク質のレベル(図2Aおよび2B)および粒子中のHBV DNAの顕著な用量依存的な減少が見られた(図2C)。
【0105】
一方、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物がHBV侵入に効果があるかどうかを測定するために、HuS-E/2細胞を用いてHBV感染に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果を検出した。HuS-E/2細胞がHBVに曝露された場合、A5およびA6は、HBVのHBsAg、HBeAg、およびHBV mRNA発現レベルの低下により、HuS-E/2細胞へのHBVの侵入をより有効に阻害した(図3A、3Bおよび3C)。総合すると、これらの結果では、HBV感染中のさまざまな段階で、A4、A5およびA6のいずれかの処理によってHBV感染が非常に減少されたことを示した。
【0106】
実施例3 HSV感染に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物の効果
【0107】
3.1 材料および方法
【0108】
3.1.1 実験設計
【0109】
口腔上皮細胞株(OC3)を用いて、HSV-1感染中の口腔上皮細胞に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物の可能な効果を確定した。細胞単層を図4に示すように処理した(材料および方法の部分の詳細も参照のこと)。無処理、前処理、後処理の三つの実験条件で行った。これらのベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物が、ウイルス感染の前後で効果があるかどうかを検査した。感染した口腔上皮細胞におけるウイルスの増殖(ウイルス収率)に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物の効果を検査した。感染19~20時間後、上清中のウイルス収量をプラークアッセイを用いて測定した。また、処理した細胞の生存率は、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性に対するMTTアッセイを用いて決定した。さらに、HSV-1ビリオンを精製し、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物で直接処理し、ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物がウイルス侵入前にウイルス粒子に抗HSV-1活性を直接に発揮するかどうかを検査した。
【0110】
3.1.2 口腔細胞の培養
【0111】
檳榔子(areca)を噛む/非喫煙患者から樹立した口腔癌3(OC3)細胞を[26]、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)および1:2の比率のKSFMを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。KSFMは、上皮性無血清培地(Gibco BRL Laboratories)に、組換え上皮細胞増殖因子(0.1~0.2ng/ml)およびウシ下垂体抽出物(20~30μg/ml)を追加したものである。アフリカン・グリーン・モンキー腎臓(Vero)細胞を、5%FBSを添加したDMEMで増殖させた。すべての増殖培地には、抗生物質・抗真菌剤の溶液、100単位/mlのペニシリンGナトリウム、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンフォテリシンB(Gibco BRL Laboratories, Grand Island, NY)を添加した。
【0112】
3.1.3 HSVウイルスの調製
【0113】
感染したVero細胞の細胞外液からのHSV-1ウイルス(KOS株)をスクロース-勾配で精製した。精製したウイルスは小分けして冷凍保存した。精製したウイルスを、プラークアッセイを用いて滴定した。
【0114】
3.1.4 感染条件
【0115】
口腔上皮細胞(OC3細胞)に、感染効率(MOI)5のHSV-1を感染させるか、あるいは37℃で1時間模擬感染させ、ウイルス侵入を起こした。結合していないウイルスは除去した。その後、感染した細胞に適切な培地をかぶせ、37℃でインキュベートした。使用したベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物は、A2(ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物)、A3(デヒドロスルフュレン酸(dehydrosulphurenic acid))、A4(アントシンK)、A5 (ベルシスポン酸)、およびA6(デヒドロエブリコ酸)であった。ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果については、口腔細胞を三つの異なる実験条件で処理した(図1):(1)非処理、(2)感染前の各ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物での前処理、および(3)感染後の各ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物での後処理。また,精製したHSV-1ウイルスを、メディアのみ、あるいはベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物を含む培地で直接インキュベートした。その後、プラークアッセイを用いて処理したビリオンのウイルス感染力を検査した。
【0116】
ミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性に対するMTTアッセイ
【0117】
処理した細胞のミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性は、1mg/mlの3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)を含有する無FBS培地を用いて評価した。37℃で4時間インキュベートした後、培地を捨て、MTTおよび生細胞中のミトコンドリアデヒドロゲナーゼの反応によって形成したホルマザンブルーをDMSOで溶解した。光学密度(OD)は、570nmで測定した。各試料から得られた吸光度から、細胞が存在しないときのプレートに固有のバックグラウンドシグナルを差し引いた。
【0118】
3.1.6 ウイルス力価(titer)に対するプラークアッセイ
【0119】
感染後の上清中のウイルス力価は、プラークアッセイを用いて測定した。細胞をコンフルエントになるまで成長させ、それに10倍段階希釈の試料を感染させた。その後、3%カルボキシメチルセルロースを含有する培地で細胞をかぶせて、2次プラークの形成を防止した。細胞を、明確なプラークが形成されるまでインキュベートした。細胞を3.7%ホルムアルデヒドで固定し、クリスタルバイオレットで染色した。プラークを観察し、倒立顕微鏡で計数した。培地で前処理したHSV-1感染対照のウイルス収率を100%と見做した。
【0120】
3.1.7 統計分析
【0121】
各実験は少なくとも3回繰り返して、再現性を確保した。データは、平均値と平均値の標準誤差(SEM)を算出した。データについて、平均値とその平均値の標準誤差(SEM)を算出した。一元ANOVAを統計的に有意な差の確認に使用した。p<0.05のレベルを有意に異なるとみなした。
【0122】
3.2 HSV-1感染後の口腔上皮細胞における細胞生存率およびウイルス複製に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果
【0123】
細胞生存率およびウイルス複製に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物[(A2(ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)抽出物)、A3(デヒドロスルフュレン酸(dehydrosulphurenic acid))、A4(アントシンK)、A5(ベルシスポン酸)、およびA6(デヒドロエブリコ酸)]の効果を評価した。模擬感染させた細胞またはHSV-1感染細胞の生存率は、A4によって明らかな影響を受けなかった(図5)。OC3細胞をA4で前処理しても、ウイルスの収量にはほとんど効果がなかった。しかし、OC3細胞をA4で後処理することにより、上清中のウイルス収量が用量依存的に有意に減少した。感染細胞を100μg/mlのA4で後処理した場合、平均ウイルス収量は19%に減少した。
【0124】
模擬感染させた細胞またはHSV-1感染細胞の生存率は、A3によって明らかな影響を受けなかった(図6)。細胞をHSV-1感染前に10μg/mlのA3で2時間前処理した場合、ウイルス収率は57%に減少した(図6)。さらに、細胞をHSV-1感染後に2.5μg/mlのA3で後処理した場合、ウイルス収率は65%に減少した(図6)。しかし、この減少は統計的な差には達しなかった。
【0125】
模擬感染させた細胞またはHSV-1感染細胞の生存率は、A5によって明らかな影響を受けなかった(図7)。OC3細胞をA5で前処理および後処理することにより、上清中のウイルス収量が用量依存的に有意に減少した(図7)。細胞をHSV-1感染前に25μg/mlのA5で2時間前処理した場合、ウイルス収率は48%に減少した(図7)。また、感染細胞を12.5μg/mlのA5で後処理した場合、ウイルス収率は57%に減少した(図7)。
【0126】
細胞を10μg/mlのA6で19時間後処理した場合、模擬感染させた細胞の生存率は有意に低下した(図8)。この結果は、10μg/mlのA6が細胞生存率を部分的に低下させる可能性を示している。OC3細胞をA6で前処理および後処理することにより、上清中のウイルス収量が用量依存的に有意に減少した(図8)。細胞をHSV-1感染前に10μg/mlのA6で2時間前処理した場合、ウイルス収率が37%に減少した(図8)。感染細胞を2.5μg/mlのA6で後処理した場合、ウイルスの収量が63%に減少した(図8)。
【0127】
細胞を25μg/mlのA2で19時間後処理したところ、模擬感染させた細胞の生存率が低下した(図9)。OC3細胞をA2で前処理することにより、上清中のウイルス収量が用量依存的に有意に減少した。しかし、OC3細胞をA2で後処理しても、ウイルス収量にはほとんど効果がなかった。
【0128】
3.3 HSV-1ビリオンの感染性に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の直接的な効果
【0129】
HSV-1ウイルスを精製し、培地のみ、または各ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物をさまざまな濃度で含有する培地で直接的にインキュベートした。その後、処理したビリオンのウイルス感染性をプラークアッセイを用いて検査した。その結果、A4、A5、A6では、ウイルス感染性が用量依存的に統計的に有意に阻害され(図10)、これは、これらの薬物、ウイルスが侵入する前にウイルス粒子に抗HSV-1活性を直接的に発揮していることを示している。HSV-1ビリオンに対して最も有効な濃度を表4にまとめた。また、25μg/mlのA2を使用した場合、ウイルス感染性はそれぞれ30%または41%に減少した(図10)。
【0130】
総合すると、HSV-1感染に対するベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物の効果は様々であった。OC3細胞をベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)子実体抽出物で前処理または後処理することにより、上清中のウイルス収量が減少する可能性がある。ウイルス感染性は、A4、A5、A6によって用量依存的に統計的に有意に阻害された。
【0131】
上記の説明は、単に本発明の好ましい実施形態に関するものであり、当業者にとって、いくつかの改善および修正はまた、本発明の原理から逸脱しないという前提の下で行うことができることを指摘すべきである。本発明、およびこれらの改善および修正もまた、本発明の保護の範囲内であると見なされるべきである。
【0132】
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図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
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図4
図5
図6
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図9
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【国際調査報告】