(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(54)【発明の名称】4-ヒドロキシメチルフルフラールおよびその誘導体のインビボ合成のための方法
(51)【国際特許分類】
C12P 17/04 20060101AFI20220418BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220418BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220418BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220418BHJP
C07D 307/68 20060101ALI20220418BHJP
C08G 63/672 20060101ALI20220418BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20220418BHJP
C12N 9/04 20060101ALN20220418BHJP
C12N 15/53 20060101ALN20220418BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20220418BHJP
C07D 307/46 20060101ALN20220418BHJP
【FI】
C12P17/04 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C07D307/68
C08G63/672
C12N9/16 B
C12N9/04
C12N15/53
C12N15/55
C07D307/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551764
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(85)【翻訳文提出日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 BR2020050064
(87)【国際公開番号】W WO2020176958
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319007767
【氏名又は名称】ブラスケム エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ラドワーン アレクサンドリノ パウロ モイゼス
(72)【発明者】
【氏名】エストラーダ ゴウヴェイア イウリ
(72)【発明者】
【氏名】レイテ ケイロス ヴェロニカ
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4B065
4C037
4J029
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050DD02
4B050DD04
4B050KK06
4B050LL05
4B064AD09
4B064CC24
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4B065AA01X
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4B065BB17
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4B065CA10
4C037HA20
4C037MA01
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB07
4J029CF19
4J029HB01
4J029KE17
(57)【要約】
本開示は、炭素源からの4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および/または2,4-FDCAの産生のための組換え微生物および方法を提供する。本方法は、炭素源の、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および/もしくは2,4-FDCAへの変換を触媒する内因性ならびに/または外因性核酸分子を発現する操作された微生物を提供する。本開示はさらに、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および/または2,4-FDCAから誘導されるポリマーを産生する方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)を2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)に酵素的に変換することによって2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生する方法であって、前記方法が、
(a)G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒するメチルホスフェートシンターゼの存在下で、G3Pを提供することと、
(b)(a)からの前記(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートに、前記(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼを提供することと、
(c)(b)からの4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体であるフラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒するデヒドロゲナーゼおよび/またはオキシダーゼに、(b)からの前記4-HMFを提供することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記2,4-FDCAが、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または-(ヒドロキシメチル)フロン酸中間体から産生され、
(a)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、前記4-HMFの、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への前記変換を触媒する、ならびに/あるいは
(b)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの前記フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、ならびに/あるいは
(c)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの前記4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、ならびに/あるいは
(d)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの前記フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、ならびに/あるいは
(e)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(b)および/もしくは(c)からの前記4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの、または(d)からの前記2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの前記変換を触媒する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)からの前記メチルホスフェートシンターゼが、EC番号4.2.3.153として分類される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記メチルホスフェートシンターゼが、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼが、MfnB1、MfnB7、およびMfnB14から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼが、配列番号1、配列番号7、または配列番号14を含むアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(b)からの前記ホスファターゼが、EC番号3.1.3として分類される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ホスファターゼが、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ホスファターゼが、宿主内因性である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記宿主内因性の前記ホスファターゼ酵素が、過剰発現される、請求項11に記載の方法。
【請求項11】
前記ホスファターゼが、4-HMFホスファターゼである、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記4-HMFホスファターゼが、ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、またはエシェリキア・コリ(Escherichia coli)に由来する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記4-HMFホスファターゼが、配列番号28、配列番号40~52のうちのいずれか1つ、または配列番号53~68のうちのいずれか1つ、を含むアミノ酸配列によってコードされている、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
(c)からの前記デヒドロゲナーゼが、EC番号1.1.1.またはEC番号1.2.1として分類される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記デヒドロゲナーゼが、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(c)からの前記オキシダーゼが、EC番号1.1.3として分類される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記オキシダーゼが、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記デヒドロゲナーゼが、EC番号1.2.1.またはEC番号1.1.1として分類される、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記デヒドロゲナーゼが、アルデヒドデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記オキシダーゼが、EC番号1.1.3として分類される、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記オキシダーゼが、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記オキシダーゼが、4-HMFオキシダーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記4-HMFオキシダーゼが、HmfH6およびHmfH7から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記4-HMFオキシダーゼが、配列番号85または配列番号86を含むアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記デヒドロゲナーゼが、EC番号1.2.1として分類される、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記デヒドロゲナーゼが、アルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
炭素源を含む原料から2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生することができる組換え微生物であって、前記組換え微生物が、以下の:
(a)炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、
(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、
(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、
(d)(c)からの4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体であるフラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒するペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼまたはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
を発現する、組換え微生物。
【請求項28】
前記炭素源が、ヘキソース、ペントース、グリセロール、C02、スクロース、および/またはこれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の組換え微生物。
【請求項29】
(a)からの前記メチルホスフェートシンターゼが、EC番号4.2.3.153として分類される、請求項27に記載の組換え微生物。
【請求項30】
前記シンターゼが、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである、請求項29に記載の組換え微生物。
【請求項31】
(c)からの前記ホスファターゼが、EC番号3.1.3として分類される、請求項27に記載の組換え微生物。
【請求項32】
前記ホスファターゼが、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される、請求項31に記載の組換え微生物。
【請求項33】
前記ホスファターゼが、宿主内因性である、請求項31に記載の組換え微生物。
【請求項34】
前記宿主内因性のホスファターゼ酵素が過剰発現される、請求項33に記載の組換え微生物。
【請求項35】
(d)からの前記オキシダーゼが、EC番号1.1.3として分類される、請求項27に記載の組換え微生物。
【請求項36】
(d)からの前記オキシダーゼが、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである、請求項35に記載の組換え微生物。
【請求項37】
(d)からの前記デヒドロゲナーゼが、EC番号1.1.1またはEC番号1.2.1として分類される、請求項36に記載の組換え微生物。
【請求項38】
前記デヒドロゲナーゼが、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項37に記載の組換え微生物。
【請求項39】
前記2,4-FDCAが、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または-(ヒドロキシメチル)フロン酸中間体から産生され、
(a)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(c)からの前記4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドへの、および/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への前記変換を触媒する、ならびに/あるいは
(b)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの前記フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、ならびに/あるいは
(c)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(b)からの前記4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、ならびに/あるいは
(d)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(c)からの前記フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、ならびにあるいは
(e)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(b)および/もしくは(c)からの前記4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの、または(d)からの前記2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの前記変換を触媒する、請求項27に記載の組換え微生物。
【請求項40】
(a)、(b)、(c)、(d)、および/または(e)からの前記デヒドロゲナーゼが、EC番号1.2.1.またはEC番号1.1.1として分類される、請求項39に記載の組換え微生物。
【請求項41】
前記デヒドロゲナーゼが、アルデヒドデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼである、請求項40に記載の組換え微生物。
【請求項42】
(a)、(b)、(c)、(d)および/または(e)からの前記オキシダーゼが、EC番号1.1.3として分類される、請求項39に記載の組換え微生物。
【請求項43】
前記オキシダーゼが、5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである、請求項42に記載の組換え微生物。
【請求項44】
前記1つ以上の組換え微生物が、クロストリジウム属の種(Clostridium sp.)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)、ユーバクテリウム・リノサム(Eubacterium limosum)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、アセトバクテリウム・ウッディイ(Acetobacterium woodii)、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchii)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・カルボキシジボランス(Clostridium carboxidivorans)、クロストリジウム・フォルミコアセティカム(Clostridium formicoaceticum)、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、モーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、アセトネマ・ロンガム(Acetonema longum)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、クロストリジウム・グリコリカム(Clostridium glycolicum)、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、カンジダ・クルゼイ(Candida krusei)、クロストリジウム・マヨムベイ(Clostridium mayombei)、クロストリジウム・メソオキシベンゾボランス(Clostridium methoxybenzovorans)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベイジェリンキイ(Clostridium beijerinckii)、オキソバクター・フェニジイ(Oxobacter pfennigii)、サーモアナエロバクター・キブイ(Thermoanaerobacter kivui)、スポロミュサ・オバータ(Sporomusa ovata)、サーモアセトゲニウム・フェウム(Thermoacetogenium phaeum)、アセトバクテリウム・カービノリカム(Acetobacterium carbinolicum)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、スポロミュサ・ターミティダ(Sporomusa termitida)、モーレラ・グリセリニ(Moorella glycerini)、ユーバクテリウム・アグレガンス(Eubacterium aggregans)、トレポネーマ・アゾトニュートリシウム(Treponema azotonutricium)、ピキア・クドリアヴゼヴィイ(Pichia kudriavzevii)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、バチルス属の種(Bacillus sp.)、コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シェフェルソマイセス・スティピティス(Scheffersomyces stipitis)、およびテリスポロバクター・グリコリカス(Terrisporobacter glycolicus)からなる群から選択される親微生物に由来する、請求項27に記載の組換え微生物。
【請求項45】
前記1つ以上の組換え微生物が、Clostridium sp.、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ragsdalei、Eubacterium limosum、Butyribacterium methylotrophicum、Moorella thermoacetica、Corynebacterium glutamicum、Clostridium aceticum、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Clostridium drakei、Clostridium carboxidivorans、Clostridium formicoaceticum、Clostridium scatologenes、Moorella thermoautotrophica、Acetonema longum、Blautia producta、Clostridium glycolicum、Clostridium magnum、Candida krusei、Clostridium mayombei、Clostridium methoxybenzovorans、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Oxobacter pfennigii、Thermoanaerobacter kivui、Sporomusa ovata、Thermoacetogenium phaeum、Acetobacterium carbinolicum、Issatchenkia orientalis、Sporomusa termitida、Moorella glycerini、Eubacterium aggregans、Treponema azotonutricium、Pichia kudriavzevii、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、Pseudomonas putida、Bacillus sp、Corynebacterium sp.、Yarrowia lipolytica、Scheffersomyces stipitis、およびTerrisporobacter glycolicusからなる群から選択される親微生物に由来する、請求項44に記載の組換え微生物。
【請求項46】
請求項27に記載の組換え微生物を使用して2,4-FDCAを産生する方法であって、前記方法が、前記2,4-FDCAが産生されるまで、炭素源を提供する原料を含有する培養培地で前記組換え微生物を培養することを含む、方法。
【請求項47】
炭素源を含む原料から2,4-FDCAを産生することができる組換え微生物を産生する方法であって、前記方法が、前記組換え微生物に、以下の:
(a)グリセロールまたは単糖をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、
(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの前記変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、
(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への前記変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、
(d)(c)からの4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒する、ペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
を導入することおよび/あるいは過剰発現させることを含む、方法。
【請求項48】
前記炭素源が、ヘキソース、ペントース、グリセロール、C02、スクロース、および/またはこれらの組み合わせを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(a)からの前記メチルホスフェートシンターゼが、EC番号4.2.3.153として分類される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記シンターゼが、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
(c)からの前記ホスファターゼが、EC番号3.1.3として分類される、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記ホスファターゼが、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ホスファターゼが、宿主内因性である、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記宿主内因性のホスファターゼ酵素が、過剰発現される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
(d)からの前記デヒドロゲナーゼが、EC番号1.1.1.またはEC番号1.2.1として分類される、請求項39に記載の方法。
【請求項56】
前記デヒドロゲナーゼが、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
(d)からの前記オキシダーゼが、EC番号1.1.3として分類される、請求項39に記載の方法。
【請求項58】
前記オキシダーゼが、(5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである、請求項49に記載の方法。
【請求項59】
前記2,4-FDCAが、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または-(ヒドロキシメチル)フロン酸中間体から産生され、
(a)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、前記4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への前記変換を触媒する、および/あるいは
(b)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの前記フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、および/あるいは
(c)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの前記4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、および/あるいは
(d)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの前記フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの前記変換を触媒する、およびあるいは
(e)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(b)および/もしくは(c)からの前記4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの、または(d)からの前記2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの前記変換を触媒する、請求項39に記載の方法。
【請求項60】
(a)、(b)、(c)、(d)および/または(e)からの前記デヒドロゲナーゼが、EC番号1.2.1.またはEC番号1.1.1として分類される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記デヒドロゲナーゼが、アルデヒドデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
(a)、(b)、(c)、(d)および/または
からの前記オキシダーゼが、EC番号1.1.3として分類される、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記オキシダーゼが、5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
請求項1~26または46~63のいずれか一項に記載の方法に従って産生された、2,4-FDCA。
【請求項65】
請求項27~45または66~73のいずれか一項に記載の組換え微生物に従って産生された、2,4-FDCA。
【請求項66】
請求項64または65に記載の2,4-FDCAから産生された、ポリマー。
【請求項67】
2,4-FDCAからの前記ポリマーが、非生物学的プロセスで形成される、請求項66に記載のポリマー。
【請求項68】
外因性炭素源を含む原料から4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)を産生することができる組換え微生物であって、前記組換え微生物が、以下の:
(a)前記炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子と、
(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子と、
(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子と
を発現する、組換え微生物。
【請求項69】
(a)からの前記メチルホスフェートシンターゼが、EC番号4.2.3.153として分類される、請求項68に記載の組換え微生物。
【請求項70】
前記シンターゼが、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである、請求項69に記載の組換え微生物。
【請求項71】
(c)からの前記ホスファターゼが、EC番号3.1.3として分類される、請求項68に記載の組換え微生物。
【請求項72】
前記ホスファターゼが、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される、請求項71に記載の組換え微生物。
【請求項73】
前記ホスファターゼが、宿主内因性である、請求項68に記載の組換え微生物。
【請求項74】
前記宿主内因性の前記ホスファターゼ酵素が、過剰発現される、請求項73に記載の組換え微生物。
【請求項75】
炭素源を含む原料から2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生することができる組換え微生物であって、前記組換え微生物が、以下の:
(a)グリセロールまたは単糖をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、
(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、
(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、
(d)(b)からの4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒する、デヒドロゲナーゼおよび/またはオキシダーゼをコードする、少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子
のうちの1つ以上を発現させる、組換え微生物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月1日に出願された「4-ヒドロキシメチルフルフラールおよびその誘導体のインビボ合成のための方法」と題する米国仮特許出願第62/812,904号の優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本出願は、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAのうちの1つ以上の生合成のための組換え微生物、ならびに組換え微生物を産生する方法に関する。本出願はまた、微生物の非存在下、または微生物が実質的に存在しない状態で、酵素触媒を用いて2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAのうちの1つ以上を産生する方法に関する。本出願はさらに、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAのうちの1つ以上からポリマーおよび可塑剤を産生する方法に関する。本出願はさらに、これらの化合物および/または組換え微生物のうちの1つ以上を含む組成物に関する。
【0003】
配列表に関する記述
本出願に関連する配列表は、紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名前は、BRSK-019_01WO_ST25.txtである。テキストファイルは約240KBで、2020年2月27日に作成され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0004】
背景
2,5-フランジカルボン酸(2,5-FDCA)は、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)の合成においてテレフタル酸を置換する能力のために、多くの注目を集めている(Sousa,Andreia F.,et al.“Biobased polyesters and other polymers from 2,5-furandicarboxylic acid:a tribute to furan excellency.”Polymer chemistry 6.33(2015):5961-5983(非特許文献1))。PETにおいて、テレフタル酸をそのフラン類似体である2,5-FDCAに置換すると、2,5-フランジカルボキシレート(2,5-PEF)につながり得、このポリマーは、PETと比較していくつかの利点を有する。一態様では、2,5-PEFは、その対応するものと比較して、熱特性、バリア特性、および機械的特性が優れている(PEP Report 294)。さらに、エチレングリコールは再生可能資源から生産され得ることが知られているため、2.5-PEFは、半再生可能PETとは対照的に100%再生可能であり得る。
【0005】
テレフタル酸と比較した2,5-FDCAのすべての前述の利点にもかかわらず、2,5-FDCA製造コストは、依然としてモノマー使用の拡大における現在の制限である。既存の技術は、テレフタル酸と比較してコスト競争力がない。この考えられる理由の1つは、いくつかの連続した工業的ステップが必要になることに関連している。2,5-FDCA生産コストの低減に役立つ可能性のある1つの問題は、糖から所望の分子への直接的な発酵経路を見つけることであるが、そのような経路は報告されていない。
【0006】
本開示は、2,5-FDCAの異性体である、2,4-FDCAに対する直接発酵経路である。我々の知る限りでは、本開示以外に、FDCA異性体のいずれについても、記載された直接的な発酵経路はない。
【0007】
重要なことには、開示された2,4-FDCA分子は、十分に研究された2,5-FDCAと比較して、固有の特性を有する。ジオールで2,4-FDCAを触媒的に重合すると、貴重な特性を有する2,4-FDCAで構成されるポリマーが得られる。ある研究では、Thiyagarajanとその共同研究者(2014)は、2,4-FDCA、3,4-FDCA、2,5-FDCA、およびテレフタル酸から作られたポリエステルを比較し、2,4-FDCAおよび3,4-FDCAポリエステルは、産業的に適用可能な方法によって十分な分子量で作製できると結論付けた(Thiyagarajan,Shanmugam,et al.“Biobased furandicarboxylic acids(FDCAs):effects of isomeric substitution on polyester synthesis and properties.”Green Chemistry 16.4(2014):1957-1966(非特許文献2))。別の研究では、Thiyagarajanとその共同著者は、2,4-FDCAと2,5-FDCAの構造解析により、2,4-FDCAが、2,5-FDCAよりも、よりテレフタル酸に類似する線形特性を有することを明らかにした。これらの特徴により、2,4-FDCAは合成ポリエステルの興味深いモノマーとなる(Thiyagarajan et al.“Concurrent formation of furan-2,5- and furan-2,4-dicarboxylic acid:unexpected aspects of the Henkel reaction”RSC Advances 3(2013):15678-15686(非特許文献3))。さらに、これらの材料は、2,5-FDCAポリエステルとは異なる特性を有する(Bourdet et al.“Molecular Mobility in Amorphous Biobased Poly(ethylene 2,5-furandicarboxylate)and Poly(ethylene 2,4-furandicarboxylate).”Macromolecules 51.5(2018):1937-1945(非特許文献4))。
【0008】
場合によっては、2,4-FDCAポリマーは、2,5-FDCAポリマーが有する特性よりも優れた特性を有すると報告されている。Cuiおよびその共同研究者(2016)は、中央の環と連結する二重のカルボキシル基間の結合角が、LCDテレビ、ノートパソコン、および他の表示素子に使用されるような、ネマチック液晶分子の安定に影響を与える重要な要因であることを報告している(Cui,Min-Shu,et al.“Production of 4-hydroxymethylfurfural from derivatives of biomass-derived glycerol for chemicals and polymers.”ACS Sustainable Chemistry & Engineering 4.3(2016):1707-1714(非特許文献5))。初めて発見された液晶、テレフタル酸ジエステル分子は、2つのカルボキシル基間に180°の結合角を有する。比較すると、2,5-フランジカルボン酸は、2つのカルボキシル基の間に137°の結合角度を有する。重要なことに、2,4-フランジカルボン酸は、2つのカルボキシル基の間に160°の結合角を有し、ネマチック液晶分子の合成により適している。
【0009】
2,4-FDCAポリマーのこれらの潜在的用途にもかかわらず、2,4-FDCAの製造コストはまた、このモノマー用途を拡大する上での現在の障壁になっている(Cui MS,et al.(2016)Production of 4-Hydroxymethylfurfural from Derivatives of Biomass-Derived Glycerol for Chemicals and Polymers.ACS Sustainable Chem.Eng.4(3):1707-1714(非特許文献5)およびWO2011003300A1(特許文献1))。2,4-FDCAを含む2,4-置換フランの以前の合成には、複数の合成ステップが必要であり、したがって2,4-FDCA由来のポリマーは、現在利用可能な方法論および工業技術によって桁違いのコストがかかる。
【0010】
本開示は、初めて、組換え微生物における2,4-FDCAへの直接発酵経路を提供する。グルコース、キシロース、グリセロールなどの炭素原料由来のグリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P)からの、または任意のCO2由来/回収技術からの、2,4-FDCAの新規直接発酵により、工業規模での商業的に適用可能な新規ポリマーおよび材料の産生が可能となる。本開示はさらに、初めて、組換え微生物における4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、および4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートのうちの1つ以上を産生するための直接発酵経路を提供する。本開示はまた、初めて、酵母およびE.コリ(E.coli)由来の内因性ホスファターゼが、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを4-HMFに脱リン酸化することができ、酵素(オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼおよび/またはペルオキシゲナーゼ)が4-HMFを2,4 FDCAに酸化することができる(直接的にまたは中間体の産生を介して)ことを実証する。ここで展開される酵素候補のいくつかは、5-HMF異性体基質、および中間体に対し活性を有すると特徴付けられてきたが、4-HMF(およびその中間体)に対するそれらの活性は、特徴付けられていない。これらの新規の直接発酵経路は、商業的に適用可能な2,4-置換フランの産生を可能にする。バイオ燃料の前駆体としての4-HMFの例示的な用途については、Deng et al.(2013.Linked Strategy for the Production of Fuels via Formose Reaction.Scientific Reports,3:1244(非特許文献6))を参照されたい。高度な特性を持つポリマーでの2,4-フランジメタノールの例示的な用途については、Zeng et al.(2013.Bio-based Furan Polymers with Self-Healing Ability.Macromolecules,46.5:1794-1802(非特許文献7))を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Sousa,Andreia F.,et al.“Biobased polyesters and other polymers from 2,5-furandicarboxylic acid:a tribute to furan excellency.”Polymer chemistry 6.33(2015):5961-5983
【非特許文献2】Thiyagarajan,Shanmugam,et al.“Biobased furandicarboxylic acids(FDCAs):effects of isomeric substitution on polyester synthesis and properties.”Green Chemistry 16.4(2014):1957-1966
【非特許文献3】Thiyagarajan et al.“Concurrent formation of furan-2,5- and furan-2,4-dicarboxylic acid:unexpected aspects of the Henkel reaction”RSC Advances 3(2013):15678-15686
【非特許文献4】Bourdet et al.“Molecular Mobility in Amorphous Biobased Poly(ethylene 2,5-furandicarboxylate)and Poly(ethylene 2,4-furandicarboxylate).”Macromolecules 51.5(2018):1937-1945
【非特許文献5】Cui MS,et al.(2016)Production of 4-Hydroxymethylfurfural from Derivatives of Biomass-Derived Glycerol for Chemicals and Polymers.ACS Sustainable Chem.Eng.4(3):1707-1714
【非特許文献6】Deng et al.(2013.Linked Strategy for the Production of Fuels via Formose Reaction.Scientific Reports,3:1244)
【非特許文献7】Zeng et al.(2013.Bio-based Furan Polymers with Self-Healing Ability.Macromolecules,46.5:1794-1802)
【発明の概要】
【0013】
開示の概要
場合によっては、2,4-FDCAポリマーは、2,5-FDCAポリマーが有する特性よりも優れた特性を有すると報告されている。Cuiおよびその共同研究者(2016)は、中央の環と連結する二重のカルボキシル基間の結合角が、LCDテレビ、ノートパソコン、および他の表示素子に使用されるような、ネマチック液晶分子の安定に影響を与える重要な要因であることを報告している(Cui,Min-Shu,et al.“Production of 4-hydroxymethylfurfural from derivatives of biomass-derived glycerol for chemicals and polymers.”ACS Sustainable Chemistry & Engineering 4.3(2016):1707-1714)。初めて発見された液晶、テレフタル酸ジエステル分子は、2つのカルボキシル基間に180°の結合角を有する。比較すると、2,5-フランジカルボン酸は、2つのカルボキシル基の間に137°の結合角度を有する。重要なことに、2,4-フランジカルボン酸は、2つのカルボキシル基の間に160°の結合角を有し、ネマチック液晶分子の合成により適している。
【0014】
本開示は、グリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)を2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)に酵素的に変換することによって、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生する方法を提供し、方法は、(a)G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒するメチルホスフェートシンターゼの存在下で、G3Pを提供することと、(b)(a)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートに、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼを提供することと、(c)(b)からの4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体であるフラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒する、デヒドロゲナーゼおよび/またはオキシダーゼに、(b)からの4-HMFを提供することと、を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、2,4-FDCAは、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または-(ヒドロキシメチル)フロン酸中間体から産生され、(a)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、4-HMFの、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒する、ならびに/あるいは(b)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびに/あるいは(c)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびに/あるいは(d)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびにあるいは(e)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(b)および/もしくは(c)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの、または(d)からの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの、2,4-FDCAへの変換を触媒する。
【0016】
いくつかの実施形態では、(a)からのメチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの実施形態では、メチルホスフェートシンターゼは、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである。いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、MfnB1、MfnB7、およびMfnB14から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、配列番号1、配列番号7、または配列番号14を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、(b)からのホスファターゼは、EC番号3.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、宿主内因性である。
【0018】
いくつかの実施形態では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は、過剰発現される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、4-HMFホスファターゼである。
【0019】
いくつかの実施形態では、4-HMFホスファターゼは、ストレプトミセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、サッカロミセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)、またはエシェリキア・コリ(Escherichia coli)に由来する。
【0020】
いくつかの実施形態では、4-HMFホスファターゼは、配列番号28、配列番号40~52のうちのいずれか1つ、または配列番号53~68のうちのいずれか1つ、を含むアミノ酸配列によってコードされる。
【0021】
いくつかの実施形態では、(c)からのデヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1またはEC番号1.2.1として分類される。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの実施形態では、(c)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、オキシダーゼは、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1.またはEC番号1.1.1として分類される。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、アルデヒドデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼである。
【0022】
いくつかの実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、オキシダーゼは、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである。いくつかの実施形態では、オキシダーゼは、4-HMFオキシダーゼである。いくつかの実施形態では、4-HMFオキシダーゼは、HmfH6およびHmfH7から選択される。いくつかの実施形態では、4-HMFオキシダーゼは、配列番号85または配列番号86を含むアミノ酸配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、アルデヒドデヒドロゲナーゼである。
【0024】
本開示は、炭素源を含む原料から2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生することができる組換え微生物を提供し、組換え微生物は、以下の、(a)炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(d)(c)からの4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体であるフラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒するペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼまたはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、を発現させる。
【0025】
いくつかの実施形態では、炭素源は、ヘキソース、ペントース、グリセロール、C02、スクロース、および/またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、(a)からのメチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの実施形態では、シンターゼは、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである。
【0026】
いくつかの実施形態では、(c)からのホスファターゼは、EC番号3.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、宿主内因性である。いくつかの実施形態では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は、過剰発現される。
【0027】
いくつかの実施形態では、(d)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、(d)からの酸化酵素は、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである。
【0028】
いくつかの実施形態では、(d)からのデヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1またはEC番号1.2.1として分類される。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである。
【0029】
いくつかの実施形態では、2,4-FDCAは、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または-(ヒドロキシメチル)フロン酸中間体から産生され、(a)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(c)からの4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒する、ならびに/あるいは(b)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびに/あるいは(c)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(b)からの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびに/あるいは(d)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(c)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびに/あるいは(e)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(b)および/もしくは(c)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの、または(d)からの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2 4-FDCAへの変換を触媒する。
【0030】
いくつかの実施形態では、(a)、(b)、(c)、(d)、および/または(e)からのデヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1またはEC番号1.1.1として分類される。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、アルデヒドデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼである。いくつかの実施形態では、(a)、(b)、(c)、(d)および/または(e)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、オキシダーゼは、5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つ以上の組換え微生物は、クロストリジウム属の種(Clostridium sp.)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)、ユーバクテリウム・リノサム(Eubacterium limosum)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、アセトバクテリウム・ウッディイ(Acetobacterium woodii)、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchii)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・カルボキシジボランス(Clostridium carboxidivorans)、クロストリジウム・フォルミコアセティカム(Clostridium formicoaceticum)、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、モーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、アセトネマ・ロンガム(Acetonema longum)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、クロストリジウム・グリコリカム(Clostridium glycolicum)、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、カンジダ・クルゼイ(Candida krusei)、クロストリジウム・マヨムベイ(Clostridium mayombei)、クロストリジウム・メソオキシベンゾボランス(Clostridium methoxybenzovorans)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベイジェリンキイ(Clostridium beijerinckii)、オキソバクター・フェニジイ(Oxobacter pfennigii)、サーモアナエロバクター・キブイ(Thermoanaerobacter kivui)、スポロミュサ・オバータ(Sporomusa ovata)、サーモアセトゲニウム・フェウム(Thermoacetogenium phaeum)、アセトバクテリウム・カービノリカム(Acetobacterium carbinolicum)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、スポロミュサ・ターミティダ(Sporomusa termitida)、モーレラ・グリセリニ(Moorella glycerini)、ユーバクテリウム・アグレガンス(Eubacterium aggregans)、トレポネーマ・アゾトニュートリシウム(Treponema azotonutricium)、ピキア・クドリアヴゼヴィイ(Pichia kudriavzevii)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、バチルス属の種(Bacillus sp.)、コリネバクテリウム属の種(Corynebacterium sp.)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、シェフェルソマイセス・スティピティス(Scheffersomyces stipitis)、およびテリスポロバクター・グリコリカス(Terrisporobacter glycolicus)からなる群から選択される親微生物に由来する。
【0032】
いくつかの実施形態では、1つ以上の組換え微生物は、Clostridium sp.、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ragsdalei、Eubacterium limosum、Butyribacterium methylotrophicum、Moorella thermoacetica、Corynebacterium glutamicum、Clostridium aceticum、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Clostridium drakei、Clostridium carboxidivorans、Clostridium formicoaceticum、Clostridium scatologenes、Moorella thermoautotrophica、Acetonema longum、Blautia producta、Clostridium glycolicum、Clostridium magnum、Candida krusei、Clostridium mayombei、Clostridium methoxybenzovorans、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Oxobacter pfennigii、Thermoanaerobacter kivui、Sporomusa ovata、Thermoacetogenium phaeum、Acetobacterium carbinolicum、Issatchenkia orientalis、Sporomusa termitida、Moorella glycerini、Eubacterium aggregans、Treponema azotonutricium、Pichia kudriavzevii、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、Pseudomonas putida、Bacillus sp、Corynebacterium sp.、Yarrowia lipolytica、Scheffersomyces stipitis、およびTerrisporobacter glycolicusからなる群から選択される親微生物に由来する。
【0033】
本開示は、請求項27に記載の組換え微生物を使用して2,4-FDCAを産生する方法を提供し、方法は、2,4-FDCAが産生されるまで、炭素源を提供する原料を含有する培養培地で組換え微生物を培養することを含む。
【0034】
本開示は、炭素源を含む原料から2,4-FDCAを産生することができる組換え微生物を産生する方法を提供し、方法は、組換え微生物に、以下の、(a)グリセロールまたは単糖をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(d)(c)からの4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒する、ペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、を導入すること、ならびに/あるいは過剰発現させることを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、炭素源は、ヘキソース、ペントース、グリセロール、C02、スクロース、および/またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、(a)からのメチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの実施形態では、シンターゼは、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである。いくつかの実施形態では、(c)からのホスファターゼは、EC番号3.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、宿主内因性である。いくつかの実施形態では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は、過剰発現される。
【0036】
いくつかの実施形態では、(d)からのデヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1またはEC番号1.2.1として分類される。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの実施形態では、(d)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、オキシダーゼは、(5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである。
【0037】
いくつかの実施形態では、2,4-FDCAは、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または-(ヒドロキシメチル)フロン酸中間体から産生され、(a)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒する、ならびに/あるいは(b)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびに/あるいは(c)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびに/あるいは(d)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(a)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒する、ならびに/あるいは(e)デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼが、(b)および/もしくは(c)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの、または(d)からの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換を触媒する。
【0038】
いくつかの実施形態では、(a)、(b)、(c)、(d)、および/または(e)からのデヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1またはEC番号1.1.1として分類される。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼが、アルデヒドデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼである。いくつかの実施形態では、(a)、(b)、(c)、(d)および/または(e)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、オキシダーゼは、5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである。
【0039】
本開示は、本開示の方法に従って産生された2,4-FDCAを提供する。
【0040】
本開示は、本開示の微生物に従って産生された2,4-FDCAを提供する。
【0041】
本開示は、本開示の実施形態の2,4-FDCAから産生されたポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、2,4-FDCAからのポリマーが、非生物学的プロセスで形成される。
【0042】
本開示は、外因性炭素源を含む原料から4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)を産生することができる組換え微生物を提供し、組換え微生物は、以下の、(a)炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子と、(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子と、(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子と、を発現させる。
【0043】
いくつかの実施形態では、(a)からのメチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの実施形態では、シンターゼは、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである。いくつかの実施形態では、(c)からのホスファターゼは、EC番号3.1.3として分類される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、宿主内因性である。いくつかの実施形態では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は、過剰発現される。
【0044】
本開示は、炭素源を含む原料から2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生することができる組換え微生物を提供し、組換え微生物は、以下の、(a)グリセロールまたは単糖をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(d)(b)からの4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒する、デヒドロゲナーゼおよび/またはオキシダーゼをコードする、少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、のうちの1つ以上を発現させる。
【0045】
いくつかの態様では、本開示は、概して、組換え微生物において、グリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)を2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)に酵素的に変換することによって、微生物不在下では酵素触媒によって、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生する方法に関心が寄せられ、方法は、(a)メチルホスフェートシンターゼまたはG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒することができる任意の酵素の存在下で、G3Pを提供することと、(b)ホスファターゼまたは(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒することができる任意の酵素に、(a)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを提供することと、(c)4-HMFの2,4 FDCAへの酸化を、直接的にもしくは中間体フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、独立してもしくは相乗的に触媒することができる、オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼまたはペルオキシゲナーゼに、(b)からの4-HMFを提供することと、を含む。
【0046】
この意味では、ステップCは、デヒドロゲナーゼもしくはオキシダーゼまたは4-HMFの、(i)フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/もしくは(ii)4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するものに、(b)からの4-HMFを提供することによって、(d)(i)フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、もしくはペルオキシゲナーゼに(c)(i)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドを提供する、(ii)4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、もしくはペルオキシゲナーゼに(c)(ii)からの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を提供する、および/または(iii)フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、もしくはペルオキシゲナーゼにI(i)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドを提供することによって、(e)(d)(i)および/もしくは(d)(ii)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの、または(d)(iii)からの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼまたはオキシダーゼに、(d)(i)および/もしくは(d)(ii)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートまたは(d)(iii)からの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを提供することによって、実行することができる。
【0047】
いくつかの態様では、(a)からのメチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの態様では、シンターゼは、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである。
【0048】
いくつかの態様では、(b)からのホスファターゼは、EC番号3.1.3として分類されるリン酸モノエステルヒドロラーゼである。いくつかの態様では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される(Koonin et al.J.Mol.Biol.244(1).1994)。いくつかの態様では、反応bのホスファターゼは、宿主内因性である(Offley et al.Curr.Gen.65.2019)。いくつかの態様では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は、過剰発現される。一部の事例では、所望の反応を実施することができる異種ホスファターゼが使用され、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、フルクトース-ビスホスファターゼ、糖-ホスファターゼ、または糖-末端-ホスファターゼから選択される。
【0049】
いくつかの態様では、(c)からのデヒドロゲナーゼは、アルコールをカルボニルに酸化する場合、EC番号1.1.1として分類され、またはカルボニルを酸に酸化する場合、EC番号1.2.1として分類される。いくつかの態様では、デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである。
【0050】
いくつかの態様では、(c)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの態様では、オキシダーゼは、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである。いくつかの態様では、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼは、4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)を、3ステップ反応で2,4 FDCAに変換する。
【0051】
いくつかの態様では、本開示は一般に、炭素源を含む原料から2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生することができる組換え微生物に関心が寄せられ、組換え微生物は、以下の、(a)炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(d)(c)からの4-HMFの2,4 FDCAへの変換を、直接的にもしくは中間体フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して触媒する、ペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼおよび/またはオキシダーゼをコードする、少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、を発現させる。
【0052】
いくつかの態様では、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)は、4-HMFの(i)フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/または(ii)4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するデヒドロゲナーゼまたはオキシダーゼまたはペルオキシダーゼに、(c)からの4-HMFを提供することによって、(d)(i)フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼに、(c)(i)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドを提供する、(ii)4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼに、(c)(ii)からの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を提供する、および/または(iii)フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒するオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼに、I(i)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドを提供することによって、(e)(d)(i)および/もしくは(d)(ii)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、または(d)(iii)からの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼまたはオキシダーゼに、(d)(i)および/もしくは(d)(ii)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートまたは(d)(iii)からの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを提供することによって、産生され得る。
【0053】
いくつかの態様では、宿主微生物は、G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼに対するG3Pの利用能を改善するために遺伝子改変される。転写の調節(Alper et al.PNAS 102(36).2005)、mRNA安定性および翻訳(Ferreira et al.PNAS 110(28).2013)(Salis et al.Nat.Biotech.27.2009)、タンパク質安定性(Cameron et al.Nat.Biotech.32.2014)、またはより効率の低いもしくはより効率的な相同分子種の遺伝子置換を介して、様々なレベルの遺伝子発現を達成するために、異なる代謝工学戦略を実施することができる。
【0054】
いくつかの態様では、炭素源は、ヘキソース、ペントース、グリセロール、C02、スクロース、および/またはこれらの組み合わせを含む。
【0055】
いくつかの態様では、(b)からのメチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの態様では、シンターゼは、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである(表1)。
【0056】
いくつかの態様では、(c)からのホスファターゼは、EC番号3.1.3として分類されるリン酸モノエステルヒドロラーゼである。いくつかの態様では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される(Koonin et al.J.Mol.Biol.244(1).1994)。いくつかの態様では、反応cのホスファターゼは、宿主内因性である(Offley et al.Curr.Gen.65.2019)。いくつかの態様では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は、過剰発現される。一部の事例では、所望の反応を実施することができる異種ホスファターゼが使用され、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、フルクトース-ビスホスファターゼ、糖-ホスファターゼ、または糖末端ホスファターゼから選択される。
【0057】
いくつかの態様では、(d)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの態様では、オキシダーゼは、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである。いくつかの態様では、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼは、4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)を、3ステップ反応で2,4 FDCAに変換する。
【0058】
いくつかの態様では、(d)からのデヒドロゲナーゼは、アルコールをカルボニルに酸化する場合、EC番号1.1.1として分類され、またはカルボニルを酸に酸化する場合、EC番号1.2.1として分類される。いくつかの態様では、デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである。
【0059】
いくつかの態様では、(e)からのデヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1.またはEC番号1.1.1として分類される。いくつかの態様では、デヒドロゲナーゼは、アルデヒドデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様では、(e)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの態様では、オキシダーゼは、(5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである。いくつかの態様では、(f)からのデヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。いくつかの態様では、デヒドロゲナーゼは、アルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様では、(f)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの態様では、オキシダーゼは、(5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである。
【0060】
いくつかの態様では、1つ以上の組換え微生物は、Clostridium sp.、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ragsdalei、Eubacterium limosum、Butyribacterium methylotrophicum、Moorella thermoacetica、Clostridium aceticum、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Clostridium drakei、Clostridium carboxidivorans、Clostridium formicoaceticum、Clostridium scatologenes、Moorella thermoautotrophica、Acetonema longum、Blautia producta、Clostridium glycolicum、Clostridium magnum、Clostridium mayombei、Clostridium methoxybenzovorans、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Oxobacter pfennigii、Thermoanaerobacter kivui、Sporomusa ovata、Thermoacetogenium phaeum、Acetobacterium carbinolicum、Sporomusa termitida、Moorella glycerini、Eubacterium aggregans、Treponema azotonutricium、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、Pseudomonas putida、Bacillus sp.、Corynebacterium sp.、Yarrowia lipolytica、Scheffersomyces stipitis、およびTerrisporobacter glycolicusからなる群から選択される親微生物に由来する。
【0061】
いくつかの態様では、本開示は一般に、本開示の組換え微生物を使用して2,4-FDCAを産生する方法に関心が寄せられ、方法は、2,4-FDCAが産生されるまで、炭素源を提供する原料を含有する培養培地において組換え微生物を培養することを含む。
【0062】
いくつかの態様では、本開示は一般に、炭素源を含む原料からの2,4-FDCAを産生することができる組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられ、方法は、組換え微生物に、以下の、(a)グリセロールまたは単糖をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(d)(c)からの4-HMFの、(i)フラン-2,4-ジカルボアルデヒドおよび/または(ii)4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(e)(i)(d)(i)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換、および/または(ii)(d)(ii)からの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換、および/または(iii)(c)(i)からのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒するペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(f)(e)(i)および(e)(ii)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの、または(e)(iii)からの2-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換を触媒するペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を導入することおよび/または過剰発現させることを含む。
【0063】
いくつかの態様では、炭素源は、ヘキソース、ペントース、グリセロール、および/またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、(b)からのメチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの態様では、シンターゼは、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼである。いくつかの態様では、(c)からのホスファターゼは、EC番号3.1.3として分類されるリン酸モノエステルヒドロラーゼである。いくつかの態様では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される(Koonin et al.J.Mol.Biol.244(1).1994)。いくつかの態様では、反応cのホスファターゼは、宿主内因性である(Offley et al.Curr.Gen.65.2019)。いくつかの実施形態では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は、過剰発現される。一部の事例では、所望の反応を実施することができる異種ホスファターゼが使用され、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、フルクトース-ビスホスファターゼ、糖-ホスファターゼ、または糖末端ホスファターゼから選択される。
【0064】
いくつかの態様では、(d)からのデヒドロゲナーゼは、アルコールをカルボニルに酸化する場合、EC番号1.1.1として分類され、またはカルボニルを酸に酸化する場合、EC番号1.2.1として分類される。いくつかの態様では、デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである。
【0065】
いくつかの態様では、(d)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの態様では、オキシダーゼは、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである。いくつかの態様では、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼは、4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)を、3ステップ反応で2,4 FDCAに変換する。
【0066】
いくつかの態様では、(e)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの態様では、オキシダーゼは、(5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである。いくつかの態様では、(f)からのデヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。いくつかの態様では、デヒドロゲナーゼは、アルデヒドデヒドロゲナーゼである。いくつかの態様では、(f)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの態様では、オキシダーゼは、(5-(ヒドロキシメチル)フルフラールオキシダーゼである。
【0067】
いくつかの態様では、本開示は、微生物によって産生される2,4-FDCAからポリマーを産生する方法に関心が寄せられ、2,4-FDCAおよびジオールは非生物学的プロセスで触媒的に重合される。いくつかの態様では、2,4-FDCAは、可塑剤組成物の一部であり、可塑剤は、可塑化ポリマー組成物の一部である。
【0068】
いくつかの態様では、本開示は、概して、外因性炭素源を含む原料から4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)を産生することができる組換え微生物に関心が寄せられ、組換え微生物は、以下の、(a)炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子と、(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子と、(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子と、を発現させる。
【0069】
いくつかの態様では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼとして分類される(Koonin et al.J.Mol.Biol.244(1).1994)。いくつかの態様では、反応bのホスファターゼは、宿主内因性である(Offley et al.Curr.Gen.65.2019)。いくつかの態様では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は、過剰発現される。一部の事例では、所望の反応を実施することができる異種ホスファターゼが使用され、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、フルクトース-ビスホスファターゼ、糖-ホスファターゼ、または糖末端ホスファターゼから選択される。
【0070】
いくつかの態様では、本開示は一般に、炭素源を含む原料から2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生することができる組換え微生物に関心が寄せられ、組換え微生物は、以下の、(a)グリセロールまたは単糖をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、(b)(a)からのG3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子;(c)(b)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)チルホスフェートの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(d)(c)からの4-HMFの2,4 FDCAへの変換を直接的にもしくは中間体フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して触媒するもの、のうちの1つ以上を発現させる。
【0071】
いくつかの態様では、2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)は、(c)からの4-HMFを、(c)からの4-HMFの(i)フラン-2,4-ジカルボアルデヒドおよび/または(ii)4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子に、(e)(i)(d)(i)からのフラン-2,4-ジカルバルアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換、および/または(ii)(d)(ii)からの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子に、(f)(e)からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換を触媒するペルオキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子に、提供することによって産生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】G3Pの4-HMFへの新規な変換のための本開示の組換え微生物によって利用される生合成経路の図式概要である。酵素反応の列の下の数字は、対応する酵素の3桁のEC番号を示す。
【
図2】4-HMFを基質として使用する、意図される産生物の生合成産生の図式概要である。産生物としては、以下に限定されないが、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAが挙げられる。酵素反応の列の近くの数字は、対応する酵素の3桁のEC番号を示す。
【
図3】炭素源(この場合はグルコースまたはグリセロール)のG3Pへの変換のための、可能性のある生合成経路の図式概要である。
【
図4】発現および精製された5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼ候補、MfnB1の、例示的SDS-PAGE画像である。
【
図5】陰性対照試料(灰色)、およびG3Pから産生された(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを示すメチルホスフェートシンターゼ反応(黒色)を示す、代表的なUVスペクトルである。
【
図6】t
0(上パネル)およびt
2h(下パネル)での、メチルホスフェートシンターゼによるG3Pからの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェート産生を示す代表的なUVスペクトルである。
【
図7】ホスファターゼ(上パネル)、E.coli溶解物(中パネル)、および酵母溶解物(下パネル)による、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートからの4-HMF産生を示す代表的なUVスペクトルである。
【
図8】発現させた4-HMFオキシダーゼ候補であるHmfH1の、精製形態(PE)、精製前の可溶性相(SP)、不溶性相(IP)、および精製後のフロースルー(FT)での、例示的SDS-PAGE画像である。
【
図9】16時間のインキュベーション後の、4-HMFオキシダーゼ候補であるHmfH1(上パネル)、HmfH6(中パネル)、およびHmfH7(下パネル)による、4-HMFからの2,4 FDCA産生を示す代表的なUVスペクトルである。反応中間体4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート(2,4-FFCA)およびフラン-2,4-ジカルボアルデヒド(2,4-DFF)も同定し、定量した。クロマトグラフィー分離を、HPLC-DADにより行った。
【
図10】hMFh7により4-HMFから産生された2,4-FDCAの同定を示す、代表的なGC-MSクロマトグラム(上パネル)および質量スペクトル(下パネル)である。
【
図12】4-HMFデヒドロゲナーゼ候補DH1、DH2、またはDH6による2,4-HMFの2,4-フランジメタノールへの還元中の、酸化によるNAD(P)Hの枯渇を示す代表的なプロットである。
【
図13】補助因子の還元および2,4-HMF基質のフラン-2,4-ジカルアルデヒドへの酸化によるNAD(P)H形成を示す代表的なプロットである。
【
図14】アルデヒドデヒドロゲナーゼ候補、DH8、DH9、DH10、およびDH11による、補助因子の還元および2,4-HMF基質の4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への酸化によるNAD(P)H形成を示す代表的なプロットである。
【
図15】アルデヒドデヒドロゲナーゼ(DH8)とアルコールデヒドロゲナーゼ(DH6)との組合せによる、4-HMFからの2,4-FDCA産生を示す代表的なクロマトグラムである。4-HMF基質なしで行った陰性対照反応物(上パネル)。DH8、DH6、および4-HMF基質を有する反応物(中パネル)。DH6およびDH8酵素なしで行われた陰性対照反応物(下パネル)。
【
図16】t
0(上パネル)およびt
48h(下パネル)での、グルコース発酵からのインビボでの2,4-FDCA産生を示す代表的なクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0073】
詳細な説明
定義
以下の定義および略語は、本開示の解釈に使用されるべきである。
【0074】
本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「酵素」への言及は、複数のそのような酵素を含み、また「微生物」への言及は、1つ以上の微生物への言及などを含む。
【0075】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含める(include)」、「含めている(including)」、「有する(have)」、「有している(having)」、「含有する(contain)」、「含有している(containing)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することが意図される。要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、そのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に明示的に列挙されていない、または固有ではない他の要素を含み得る。さらに、反対に明示的に述べられていない限り、「または」は、包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指すものではない。
【0076】
本明細書において数値を変更するために使用される場合、「約」および「おおよそ」という用語は、その明示的な値をとり囲む近い範囲を示す。「X」が値である場合、「約X」または「おおよそX」は、0.9X~1.1Xの値、またはいくつかの実施形態では、0.95X~1.05Xの値を示す。「約X」または「おおよそX」への任意の言及は、少なくともX、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、および1.05Xの値を具体的に示す。したがって、「約X」および「おおよそX」は、例えば、「0.98X」の請求の範囲での限定に対し、明細書による裏付けを教示し、提供することを意図している。
【0077】
本明細書で使用される場合、「微生物の」、「微生物生物」、および「微生物」というは、古細菌、細菌、または真核生物のドメイン内に含まれる顕微鏡サイズの細胞として存在する任意の生物を含み、後者は、酵母および糸状菌、原虫、藻類、または高等原生生物を含む。したがって、この用語は、顕微鏡サイズを有する原核細胞もしくは真核細胞または生物を包含することを意図しており、すべての種の細菌、古細菌、および真正細菌、ならびに酵母および真菌などの真核微生物を含む。また、化学物質の産生のために培養され得る任意の種の細胞培養も含まれる。
【0078】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、組換え微生物は原核微生物である。いくつかの実施形態では、原核微生物は細菌である。「細菌」、または「真正細菌」は、原核生物のドメインを指す。細菌は、以下のように少なくとも11の別個の群を含む:(1)グラム陽性(グラム+)細菌、このうち、2つの主要な下位区分があり、(1)高G+C群(アクチノミセス(Actinomycetes)、マイコバクテリア(Mycobacteria)、ミクロコッカス(Micrococcus)、その他)(2)低G+C群(Bacillus、Clostridia、Lactobacillus、Staphylococci、Streptococci、マイコプラズマ(Mycoplasmas))、(2)プロテオバクテリア(Proteobacteria)、例えば、紅色光合成+非光合成グラム陰性細菌(最も「一般的な」グラム陰性細菌を含む)、(3)シアノバクテリア(Cyanobacteria)、例えば、酸素発生型光合成生物、(4)スピロヘータおよび関連種、(5)プランクトマイセス(Planctomyces)、(6)バクテロイデス(Bacteroides)、フラボバクテリア(Flavobacteria)、(7)Chlamydia、(8)緑色硫黄細菌(9)緑色非硫黄細菌(嫌気性光栄養生物も)(10)放射線耐性ミクロコッカス(micrococci)および近縁種(11)サーモトガ(Thermotoga)およびサーモシフォ・サーモフィルス(Thermosipho thermophiles)。
【0079】
「グラム陰性細菌」には、球菌、非腸内桿菌(nonenteric rod)、および腸内桿菌(enteric rod)が含まれる。グラム陰性細菌の属には、例えば、ナイセリア(Neisseria)、スピリラム(Spirillum)、パスツレラ(Pasteurella)、ブルセラ(Brucella)、エルシニア(Yersinia)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ボルデテラ(Bordetella)、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、ビブリオ(Vibrio)、シュードモナス(Pseudomonas)、バクテロイデス(Bacteroides)、アセトバクター(Acetobacter)、アエロバクター(Aerobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アゾトバクター(Azotobacter)、スピリラ(Spirilla)、セラチア(Serratia)、ビブリオ(Vibrio)、リゾビウム(Rhizobium)、クラミジア(Chlamydia)、リケッチア(Rickettsia)、トレポネーマ(Treponema)、およびフゾバクテリウム(Fusobacterium)が含まれる。
【0080】
「グラム陽性細菌」には、球菌、非胞子形成桿菌、および胞子形成桿菌が含まれる。グラム陽性細菌の属には、例えば、アクチノマイセス(Actinomyces)、バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エリシペロスリクス(Erysipelothrix)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、リステリア(Listeria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ミクソコッカス(Myxococcus)、ノカルジア(Nocardia)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、およびストレプトマイセス(Streptomyces)が含まれる。
【0081】
「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書において互換的に使用され、組み込み構築物において、内因性酵素を発現もしくは過剰発現させるために、ベクターに含まれる異種酵素などの異種酵素を発現するために遺伝子改変された微生物、または内因性遺伝子の発現に変化を有する微生物を指す。「変化(alteration)」とは、遺伝子の発現、1つ以上のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットをコードするRNA分子もしくは同等のRNA分子のレベル、または1つ以上のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットの活性が、上方制御または下方制御され、それにより発現、レベル、または活性が、変化の非存在下で観察されたものよりも多いか、またはそれ以下であることを意味する。「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」という用語は、特定の組換え微生物だけでなく、そのような微生物の子孫または潜在的な子孫を指すことが理解される。
【0082】
遺伝子配列に関する「発現」という用語は、遺伝子の転写、および適宜、結果として生じるmRNA転写物のタンパク質への翻訳を指す。したがって、文脈から明らかになるように、タンパク質の発現は、オープンリーディングフレーム配列の転写および翻訳から生じる。宿主細胞中の所望の産物の発現レベルは、細胞中に存在する対応するmRNAの量、または選択された配列によってコードされる所望の産物の量のいずれかに基づいて決定され得る。例えば、選択された配列から転写されたmRNAは、qRT-PCRによって、またはノーザンハイブリダイゼーションによって定量化され得る(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)を参照されたい)。選択配列によってコードされるタンパク質は、様々な方法によって、例えば、ELISAによって、タンパク質の生物学的活性をアッセイすることによって、またはそのような活性に依存しないアッセイ、例えばウェスタンブロッティングまたは放射性イムノアッセイなどを用いて、タンパク質を認識し結合する抗体を用いて、定量化することができる。上記Sambrook et al.,1989を参照されたい。
【0083】
遺伝子または酵素活性の発現レベルを「減少する」または「低減する」という用語は、遺伝子または酵素活性の発現を部分的または完全に抑制することを指す。発現または活性のこの抑制は、遺伝子の発現の阻害、遺伝子発現に必要なプロモーター領域のすべてもしくは一部の欠失、遺伝子のコード領域の欠失、または弱い天然プロモーターもしくは合成プロモーターによる野生型プロモーターの置換のいずれかであり得る。例えば、遺伝子は完全に欠失されてもよく、本開示による株の同定、単離および精製を促進する選択マーカー遺伝子によって置換されてもよい。あるいは、内因性遺伝子をノックアウトまたは欠失させて、新しい代謝経路を優先してもよい。さらに別の実施形態では、遺伝子の発現は、弱いプロモーターを使用することによって、または特定の変異を導入することによって減少または低減され得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、本開示の微生物または酵素活性に関連して使用される場合、「非天然の」という用語は、微生物または酵素が、参照される種の野生型系統を含む、参照される種の天然に存在する系統において通常見出されない少なくとも1つの遺伝的変化を有することを意味することが意図される。遺伝子変化としては、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を導入する改変、他の核酸付加、核酸欠失、および/または微生物の遺伝物質の他の機能的破壊が挙げられる。かかる改変には、例えば、参照種に対する異種ポリペプチド、相同ポリペプチド、または異種ポリペプチドと相同ポリペプチドの両方に対するコード領域およびその機能的断片が含まれる。追加の改変としては、例えば、改変が遺伝子またはオペロンの発現を変化させる非コード調節領域が含まれる。例示的な非天然の微生物または酵素活性は、上述のヒドロキシル化活性を含む。
【0085】
様々な分子、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素などに関して本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、自然界の所与の酵母、細菌、生物、微生物、または細胞に通常または自然に見つからない、かつ/または産生されない分子を指す。
【0086】
一方で、様々な分子、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素などに関して本明細書で使用される場合、「内因性」または「生来性」という用語は、自然界の所与の酵母、細菌、生物、微生物、または細胞に通常、または自然に見出され、かつ/またはそれらによって産生される分子を指す。
【0087】
改変宿主細胞に関連して本明細書で使用される場合、「異種」という用語は、様々な分子を指し、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、酵素、など、以下のうちの少なくとも1つがあてはまる:(a)分子が、宿主細胞に対し、外来性(「外因性」)(すなわち、そこに自然には見られない)、(b)分子が、所与の宿主微生物または宿主細胞に自然に見出される(例えば、それに「内因性」である)が、細胞の不自然な位置で、または不自然な量で産生される、および/または(c)分子が、内因性ヌクレオチドまたはアミノ酸配列とはヌクレオチドまたはアミノ酸配列が異なり、その結果、内因的に見出されるような内因性ヌクレオチドまたはアミノ酸とヌクレオチドまたはアミノ酸配列が異なる分子は、細胞内で不自然な量で(例えば、自然に見出されるよりも多い)産生される。
【0088】
第1のファミリーまたは種の原酵素または遺伝子に関して本明細書で使用される場合、「相同体」という用語は、第2のファミリーまたは種の別個の酵素または遺伝子を指し、これらは機能解析、構造解析、またはゲノム解析によって、第1のファミリーまたは種の原酵素または遺伝子に対応する第2のファミリーまたは種の酵素または遺伝子であると決定される。相同体は、機能的、構造的、またはゲノム的な類似性を有することが多い。酵素または遺伝子の相同体を、遺伝的プローブおよびPCRを使用して容易にクローン化し得る技術が公知である。相同体としてのクローン配列の同一性は、機能的アッセイおよび/または遺伝子のゲノムマッピングによって確認することができる。
【0089】
遺伝子によってコードされるアミノ酸配列が第2の遺伝子のアミノ酸配列と類似のアミノ酸配列を有する場合に、あるタンパク質は、第2のタンパク質に対して「相同性」を有しているか、または「相同」である。あるいは、2つのタンパク質が「類似の」アミノ酸配列を有する場合、タンパク質は、第2のタンパク質と相同性を有する。したがって、「相同タンパク質」という用語は、2つのタンパク質が類似のアミノ酸配列を有することを意味することが意図される。ある特定の例では、2つのタンパク質間の相同性は、進化に関連付けられた、その共有された祖先を示す。「相同配列」または「相同体」という用語は、機能的に関連すると考えられ、信じられ、または知られている。機能的関係は、(a)配列同一性の程度、および/または(b)同一もしくは類似の生物学的機能を含むがこれに限定されない、いくつかの方法のうちのいずれか1つで示され得る。好ましくは、(a)および(b)の両方が示されている。配列同一性の程度は変化してもよく、しかし一実施形態では、少なくとも50%(当該技術分野で公知の標準的な配列アライメントプログラムを使用する場合)、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも98.5%、または少なくとも約99%、または少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%である。相同性は、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987)Supplement 30,section 7.718,Table 7.71で論じたような、当技術分野で容易に入手可能なソフトウェアプログラムを使用して決定することができる。一部のアラインメント・プログラムは、MacVector(Oxford Molecular Ltd,Oxford,U.K.)およびALIGN Plus(Scientific and Educational Software,Pennsylvania)である。他の非限定的なアライメントプログラムには、Sequencher(Gene Codes,Ann Arbor,Michigan)、AlignX、およびVector NTI(Invitrogen,Carlsbad,CA)が含まれる。類似の生物学的機能には、限定されるものではないが、以下が含まれ得る:同じまたは類似の酵素反応を触媒すること、基質または補助因子に対して同じまたは類似の選択性を有すること、同じまたは類似の安定性を有すること、様々な発酵条件(温度、pHなど)に対して同じまたは類似の耐性を有すること、および/または様々な代謝基質、産生物、副産物、中間体などに対する同じまたは類似の耐性を有すること。生物学的機能の類似性の程度は変動し得るが、一実施形態では、所与の生物学的機能を決定するための、当業者に公知の1つ以上のアッセイによれば、少なくとも1%、少なくとも2%であり、少なくとも3%であり、少なくとも4%であり、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%であり、少なくとも8%、少なくとも9%であり、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%であり、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%であり、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約91%であり、少なくとも約92%であり、少なくとも約93%であり、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%であり、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも98.5%、または少なくとも約99%であり、または少なくとも99.5%、または少なくとも99.8%、または少なくとも99.9%である。
【0090】
「バリアント」という用語は、本明細書に記載される任意のポリペプチドまたは酵素を指す。バリアントはまた、多量体、個々の成分を含む多量体、個々の成分の倍数を含む多量体(例えば、参照分子の多量体)、化学分解産物、および生物学的分解産物の1つ以上の成分を包含する。特に、非限定的な実施形態では、酵素は、参照酵素をコードするポリペプチド配列の任意の部分における変化により、参照酵素に対する「バリアント」であり得る。参照酵素のバリアントは、参照酵素の調製物の酵素活性を測定するために使用される標準アッセイにおいて、少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%またはそれ以上の酵素活性を有し得る。いくつかの実施形態では、バリアントはまた、本開示の全長酵素または未処理酵素に対して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを指し得る。いくつかの実施形態では、バリアントはまた、本開示の成熟酵素、または処理された酵素に対し、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドを指し得る。
【0091】
本明細書において使用される場合、「生産力」という用語は、生合成経路からの産生物の収率を指す。一実施形態では、生産力は、出発化合物の重量当たりの最終産生物の重量パーセントとして表すことができる。
【0092】
本明細書で使用される場合、「熱力学的最大収率」という用語は、原料と比較した産生物のエネルギー値に基づく、グルコースなどの所与の原料の発酵から得られた産生物の最大収率を指す。通常の発酵では、例えば、光、水素ガス、またはメタンまたは電気などの追加のエネルギー源を使用しない場合、産生物は、原料よりも多くのエネルギーを含有しない。熱力学的最大収率は、原料からのすべてのエネルギーおよび質量が産生物に変換される産生物の収率を意味する。この収率は計算することができ、特定の経路に依存しない。産生物への特定の経路が、熱力学的最大収率よりも低い収率を有する場合、産生物は質量を失い、産生物へのより効率的な経路に改善されるか、または置き換られ得る可能性が最も高い。
【0093】
「酸化還元バランス」という用語は、所与の一連の反応における酸化還元補助因子の総量を指す。酸化還元補助因子が不足している場合、酸化還元バランスは負であり、補助因子の需要を満たすために原料を燃焼させる必要があるため、このような経路の収率は現実的ではない。酸化還元補助因子が余剰である場合、酸化還元バランスは正であると言われ、そのような経路の収率は最大収率よりも低くなる(Dugar et al.“Relative potential of biosynthetic pathways for biofuels and bio-based products”Nature biotechnology 29.12(2011):1074)。さらに、経路が消費するのと同じ量の酸化還元補助因子を産生する場合、酸化還元バランスはゼロであり、この経路を「酸化還元バランス」と呼んでもよい。代謝経路を設計し、酸化還元補助因子がバランスが取れているか、またはバランスがとれている状態に近いように生物を操作することにより、通常、バランスの取れていない経路と比較して、所望の化合物のより効率的で高収率の産生が得られる。酸化還元反応は、2つの半反応が同時に起こるので常に一緒に起こり、1つは酸化反応であり、もう一つは還元反応である。酸化還元プロセスでは、還元剤は電子を酸化剤に伝達する。したがって、反応において、還元体または還元剤が電子を失って酸化され、酸化体または酸化剤が電子を得て還元される。一実施形態では、酸化還元反応は、生物学的システムで起こる。酸化還元状態という用語は、微生物細胞などの生物学的システムにおける天然または非天然の代謝経路のNAD+/NADHとNADP+/NADPHのバランスを記述するためにしばしば使用される。酸化還元状態は、いくつかの代謝物のセット(例えば、乳酸およびピルビン酸、ベータ-ヒドロキシ酪酸、およびアセト酢酸)のバランスに反映され、その相互変換はこれらの比に依存する。一実施形態では、水素をNAD(P)Hに変換することができるヒドロゲナーゼ酵素の使用と組み合わせた、または使用しない水素または電子の外部供給源は、負の酸化還元バランスを有する代謝経路における産生物の収率を増加させるために、すなわち、NAD(P)Hなどの酸化還元補助因子に不足がある場合に有益であり得る。
【0094】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。これらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはその類似体のいずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有してもよく、既知または未知の任意の機能を実施することができる。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である。遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖解析から定義される遺伝子座、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、1つ以上の改変ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含んでもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、ポリマーのアセンブリの前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば標識成分とのコンジュゲーションなどにより、重合後にさらに改変されてもよい。
【0095】
「相補性」は、従来のワトソンクリックまたは他の非従来型のいずれかによる、別の核酸配列との水素結合を形成する核酸の能力を指す。相補性のパーセントは、第2の核酸配列との水素結合(例えば、ワトソン-クリック塩基対合)を形成することができる核酸分子中の残基のパーセンテージを示す(例えば、10個のうちの5、6、7、8、9、10は、それぞれ50%、60%、70%、80%、90%、および100%の相補性である)。「完全相補的」とは、核酸配列の全ての連続残基が、第二の核酸配列中の同じ数の連続残基と水素結合することを意味する。本明細書で使用される場合、「実質的に相補的」とは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、またはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%である相補性の程度を指し、またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2つの核酸を指す。例えば、相補性パーセントを評価する目的などでの配列同一性は、任意の適切なアライメントアルゴリズムによって測定されてもよく、Needleman-Wunschアルゴリズム(例えば、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlで入手可能なEMBOSS Needle alignerを参照されたい、任意選択でデフォルト設定あり)、BLASTアルゴリズム(例えば、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで入手可能なBLAST alignment toolを参照されたい、任意選択でデフォルト設定あり)、またはSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/nucleotide.htmlで入手可能なEMBOSS Water alignerを参照されたい、任意でデフォルト設定あり)を含むが、これらに限定されない。最適なアライメントは、デフォルトパラメータを含む、選択されたアルゴリズムの任意の適切なパラメータを使用して評価され得る。
【0096】
「生物学的に純粋な培養物」または「実質的に純粋な培養物」という用語は、培養物の複製を妨げるか、または通常の細菌学的技術によって検出されるのに十分な量で他の細菌種を含まない、本明細書に記載の細菌種の培養物を指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、「制御配列」は、オペレーター、プロモーター、サイレンサー、またはターミネーターを指す。
【0098】
本明細書で使用される場合、「導入される」とは、自然に発生する導入ではなく、現代のバイオテクノロジーによる導入を指す。
【0099】
本明細書で使用される場合、「構成的プロモーター」は、ほとんどの条件下でおよび/またはほとんどの開発段階の間に活性であるプロモーターである。バイオテクノロジーで使用される発現ベクターに構成的プロモーターを使用することにはいくつかの利点があり、例えば、トランスジェニック細胞または生物を選択するために使用されるタンパク質の高レベルの産生、容易な検出および定量を可能にするレポータータンパク質またはスコア化可能な(scorable)マーカーの高レベルの発現、調節転写システムの一部である転写因子の高レベルの産生、生物体において偏在する活性を必要とする化合物の産生、および開発のすべての段階に必要な化合物の製造である。
【0100】
本明細書で使用される場合、「非構成的プロモーター」は、特定の条件下で、特定のタイプの細胞で、および/または特定の発達段階の間に活性であるプロモーターである。例えば、誘導性プロモーター、および開発制御下にあるプロモーターは、非構成的プロモーターである。
【0101】
本明細書で使用される場合、「誘導性」プロモーターまたは「抑制性」プロモーターは、化学的または環境的要因の制御下にあるプロモーターである。誘導性プロモーターによる転写に影響を与え得る環境条件の例としては、嫌気性条件、特定の化学物質、光の存在、酸性または塩基性条件などが挙げられる。
【0102】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、一方の機能が他方によって制御されるように、単一の核酸断片上の核酸配列の会合を指す。例えば、プロモーターは、そのコード配列の発現を制御できる(すなわち、コード配列がプロモーターの転写制御下にある)場合、コード配列と作動可能に連結される。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で調節配列に作動可能に連結され得る。別の実施例では、本開示の相補的RNA領域は、直接的または間接的に、標的mRNAに5’で、または標的mRNAに3’で、または標的mRNA内に連結されてもよく、または標的mRNAに対して第1の相補的領域は5’であり、その補体は3’である。
【0103】
本明細書で使用される場合、「触媒的に重合された」という用語は、本開示のモノマーが非生物学的または非インビボの状況で重合される重合プロセスを指す。
【0104】
本明細書で使用される場合、「シグナル配列」という用語は、ペプチドおよびポリペプチドを細胞の位置または細胞外環境に向けて標的指向させるアミノ酸配列を指す。シグナル配列は、典型的にはポリペプチドのN末端部分にあり、典型的には酵素的に除去される。それらのシグナル配列を有するポリペプチドは、全長および/または未処理と呼称される。それらのシグナル配列が除去されたポリペプチドは、成熟および/または処理されていると称される。
【0105】
本明細書で使用される場合、「微生物組成物」は、本開示の1つ以上の微生物を含む組成物を指す。
【0106】
本明細書で使用される場合、「担体」、「許容可能な担体」、「商業的に許容可能な担体」、または「工業的に許容可能な担体」は、微生物が投与、保存、または移動され得る希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指し、微生物に有害な影響を与えない。
【0107】
本明細書で使用される場合、「生産性」という用語は、1時間当たりの、産生される(2,4-FDCA)などの生物学的産物の総量を指す。
【0108】
本明細書で使用される場合、「生合成産物」という用語は、本明細書で企図される以下の産物の任意の一つ以上を指す:4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCA。
【0109】
組換え微生物
一実施形態では、本開示は、本明細書で企図される生合成産物の任意の一つ以上を産生することができる組換え微生物を提供する。一実施形態では、組換え微生物は4-HMFを産生する。一実施形態では、組換え微生物は、2,4,フランジメタノールを産生する。一実施形態では、組換え微生物は、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを産生する。一実施形態では、組換え微生物は、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を産生する。一実施形態では、組換え微生物は、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを産生する。一実施形態では、組換え微生物は、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを産生する。一実施形態では、組換え微生物は、2,4-FDCAを産生する。
【0110】
一実施形態では、組換え微生物は、生合成産物のうちのいずれか6つを産生する。一実施形態では、組換え微生物は、生合成産物のうちのいずれか5つを産生する。一実施形態では、組換え微生物は、生合成産物のうちのいずれか4つを産生する。一実施形態では、組換え微生物は、生合成産物のうちのいずれか3つを産生する。
【0111】
一実施形態では、炭素源は、グリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換される。G3Pは、共通の天然中間代謝物である。いくつかの実施形態では、それは、グルコースから解糖経路を介して、またはキシロース(ペントースリン酸経路からであるが限定されない)から、またはグリセロールから産生することができる。いくつかの実施形態では、G3Pは、CO2捕捉技術から誘導され得る。一実施形態では、組換え微生物は、ヘキソース、ペントース、グリセロール、またはCO2捕捉技術を含む炭素源を利用して、生合成産物の任意の1つ以上を産生することができる。特定の実施形態では、炭素源はグリセロールである。
【0112】
一実施形態では、組換え微生物は、いくつかの酵素的に触媒された連続するステップを介して、G3Pを任意の1つ以上の生合成産物に変換する新規の能力を含む。
【0113】
一実施形態では、宿主微生物は、G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼに対するG3Pの利用可能性を改善するために遺伝子改変される。
【0114】
一実施形態では、前記組換え微生物は、Clostridium sp.、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ragsdalei、Eubacterium limosum、Butyribacterium methylotrophicum、Moorella thermoacetica、Clostridium aceticum、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Clostridium drakei、Clostridium carboxidivorans、Clostridium formicoaceticum、Clostridium scatologenes、Moorella thermoautotrophica、Acetonema longum、Blautia producta、Clostridium glycolicum、Clostridium magnum、Clostridium mayombei、Clostridium methoxybenzovorans、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Oxobacter pfennigii、Thermoanaerobacter kivui、Sporomusa ovata、Thermoacetogenium phaeum、Acetobacterium carbinolicum、Sporomusa termitida、Moorella glycerini、Eubacterium aggregans、Treponema azotonutricium、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、Pseudomonas putida、Bacillus sp.、Corynebacterium sp.、Yarrowia lipolytica、Scheffersomyces stipitis、メチロボラス属の種(Methylovorus sp.)、キュープリアビダス属の種(Cupriavidus sp.)、メタノカルドコックス属の種(Methanocaldococcus sp.)およびTerrisporobacter glycolicusからなる群から選択される親微生物に由来する。
【0115】
4-HMF
一実施形態では、本開示は、1つ以上の炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換すること、G3Pを(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェート(ステップA)に変換すること、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)に変換すること(ステップB)を含む。
【0116】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、グリセロールは、グリセロールキナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってグリセロール-3-リン酸に変換される。一実施形態では、グリセロール-3-リン酸は、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)に変換される。一実施形態では、グリセロールは、グリセロールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってジヒドロキシアセトンに変換される。一実施形態では、ジヒドロキシアセトンは、ジヒドロキシアセトンキナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によって、ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)に変換される。一実施形態では、DHAPは、トリオースリン酸イソメラーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってG3Pに変換される。本明細書で企図される例示的であるが非限定的なグリセロール同化経路については、Zhang et al.(2010.Applied and Environmental Microbiology,76.8:2397-2401)を参照されたい。
【0117】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの実施形態では、EC 4.2.3.153(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、遺伝子mfnBから誘導することができる。いくつかの実施形態では、mfnBは、メタノカルドコックス・ヤンナスキイ(Methanocaldococcus jannaschii)に由来し得る。いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、表1に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、表1に列挙されたアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、表1に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼ酵素は、その触媒効率、著しいkcatを改善するために進化(evolve)または操作される。
【0118】
(表1)(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼ酵素
【0119】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼまたはキナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼ(Koonin et al.J.Mol.Biol.244(1).1994)として分類される。いくつかの態様では、反応bのホスファターゼは、宿主内因性である(Offley et al.Curr.Gen.65.2019)。いくつかの態様では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は過剰発現される。一部の事例では、所望の反応を実施することができる異種ホスファターゼが使用され、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、フルクトース-ビスホスファターゼ、糖-ホスファターゼ、または糖末端ホスファターゼから選択される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、表2に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、表2に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、4-HMFホスファターゼ酵素は、表2に列挙されたアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、ホスファターゼ酵素は、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの(4-HMF)への変換のための触媒効率および/または特異性を改善するために進化または操作される。
【0120】
【0121】
したがって、一実施形態では、本明細書では、炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-HMFへの変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、を含む、組換え微生物が提供される。
【0122】
2,4-FDCA
一実施形態では、本開示は、炭素源から2,4-フランジカルボン酸(2,4-FDCA)を産生することができる組換え微生物を提供する。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の2,4-FDCAへの生合成変換を集合的に詳述する。
【0123】
一実施形態では、組換え微生物は、本明細書に記載されるいくつかの酵素的に触媒された連続的なステップを介して、G3Pを2,4-FDCAに変換する新規の能力を含む。一実施形態では、本開示は、4-HMFを2,4 FDCAに、直接的にまたは中間体フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの産生を介して、変換することを含む。
【0124】
一実施形態では、本開示は、4-HMFをフラン-2,4-ジカルボアルデヒド(ステップD)および/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸(ステップE)に変換すること、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート(ステップG)および/または2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート(ステップF)に変換することおよび/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートに変換すること(ステップH)、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを2,4-FDCAに変換すること(ステップJ)および/または2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを2,4-FDCAに変換すること(ステップI)、を含む。
【0125】
一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、アルコールをカルボニル基に酸化する場合、EC番号1.1.1として分類され、またはカルボニルを酸に酸化する場合、EC番号1.2.1として分類される。いくつかの態様では、デヒドロゲナーゼは、アルコールデヒドロゲナーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼである。
【0126】
いくつかの態様では、(c)からのオキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。いくつかの態様では、オキシダーゼは5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼである。いくつかの態様では、5-ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼは、4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)を、3ステップ反応で2,4 FDCAに変換する。
【0127】
さらなる実施形態では、1つ以上の炭素源は、グリセロールまたは単糖を含んでもよい。
【0128】
一実施形態では、微生物は、4-HMFの、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドおよび/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼ(peroxygenase)をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートおよび/または2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換および/または4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換および/または4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。
【0129】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、表3に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、表3に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、4-HMFデヒドロゲナーゼ酵素は、表3に列挙されたアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、その所望の基質に対する触媒効率を改善するために進化または操作される。
【0130】
【0131】
一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼは、hmfH遺伝子から誘導され得る。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼは、Methylovorus sp.MP688またはキュープリアビダス・バシレンシス(Cupriavidus basilensis)由来であり得る。Dijkman and Fraaije(2014.Applied Environmental Microbiology,80.3:1082-1090)およびKoopman et al.(2010.PNAS,107(11):4919-4924)を参照されたい。一実施形態では、HMFオキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼは、表4に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼは、表4に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、4-HMFオキシダーゼは、表4に列挙されたアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼ酵素は、その触媒効率を改善するために進化または操作される(Martin et al.Biotechnology for Biofuels.(2018)11,Article number:56を参照されたい)。
【0132】
【0133】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-HMFの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0134】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートおよび/または2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒する、デヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0135】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、である。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0136】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートおよび/または2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0137】
いくつかの態様では、2,4-FDCAは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、2,4-FDCAは、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、2,4-FDCAの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法に記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、2,4-FDCAの酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、2,4-FDCAを産生するために利用される中間体を段階的に産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで2,4-FDCAを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0138】
2,4-フランジメタノール
一実施形態では、本開示は、炭素源から2,4-フランジメタノールを産生することができる組換え微生物を提供する。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の2,4-フランジメタノールへの生合成変換を集合的に詳述する。
【0139】
一実施形態では、4-HMFからの2,4-フランジメタノールの生物学的生産は、微生物によってコードされるデヒドロゲナーゼにより触媒される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、D-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.90)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、表5に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、表5に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、4-HMFレダクターゼ酵素は、表5に列挙されたアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、2,4-フランジメタノールへの4-HMFの還元の触媒効率を改善するために進化または操作される。
【0140】
(表5)4-HMFレダクターゼ酵素(4-HMFの2,4-フランジメタノールへの還元)
【0141】
いくつかの態様では、2,4-フランジメタノールは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、2,4-フランジメタノールは、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、2,4-フランジメタノールの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法に記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、2,4-フランジメタノールの酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、2,4-フランジメタノールを産生するために利用される中間体を段階的産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで2,4-フランジメタノールを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0142】
フラン-2,4-ジカルボアルデヒド
一実施形態では、本開示は、炭素源からフラン-2,4-ジカルボアルデヒドを産生することができる組換え微生物を提供する。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料のフラン-2,4-ジカルボアルデヒドへの生合成変換を集合的に詳述する。
【0143】
一実施形態では、
図2のステップDは、4-HMFを基質として利用する単一ステップの反応である。一実施形態では、4-HMFからのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの生物学的生産は、EC番号1.1.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される1つ以上の酵素によって触媒される。
【0144】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。Dijkman and Fraaije(2014)およびKoopman et al.(2010)を参照されたい。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。
【0145】
いくつかの態様では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドは、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法において記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを産生するために利用される中間体を段階的に産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0146】
4-(ヒドロキシメチル)フロン酸
一実施形態では、本開示は、炭素源から4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を産生することができる組換え微生物を提供する。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への生合成変換を集合的に詳述する。
【0147】
一実施形態では、
図2のステップEは、4-HMFを基質として利用する単一ステップ反応である。一実施形態では、4-HMFからの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の生物学的生産は、EC番号1.1.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される1つ以上の酵素によって触媒される。
【0148】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-HMFから4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0149】
いくつかの態様では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸は、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸は、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法において記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を産生するために利用される中間体を段階的に産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を産生する方法の次のステップにおいて基質として利用される。
【0150】
2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート
一実施形態では、本開示は、炭素源から2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを産生することができる組換え微生物を提供する。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの生合成変換を集合的に詳述する。
【0151】
一実施形態では、
図2のステップFは、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを基質として利用する単一ステップの反応である。一実施形態では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドからの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの生物学的生産は、EC番号1.2.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される1つ以上の酵素により触媒される。
【0152】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0153】
いくつかの態様では、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートは、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法において記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、2-ホルミルフラン-4-カルボン酸の酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、2-ホルミルフラン-4-カルボン酸を産生するために利用される中間体を段階的産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0154】
4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート
一実施形態では、本開示は、炭素源から4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを産生することができる組換え微生物を提供する。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの生合成変換を集合的に詳細に示す。
【0155】
一実施形態では、
図2のステップGは、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを基質として利用する単一ステップ反応である。一実施形態では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドからの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの生物学的生産は、EC番号1.2.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される一つ以上の酵素により触媒される。
【0156】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、フラン-2,4-ジカルバルアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0157】
一実施形態では、
図2のステップHは、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を基質として利用する単一ステップ反応である。一実施形態では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの生物学的生産は、EC番号1.1.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される1つ以上の酵素により触媒される。
【0158】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。Dijkman and Fraaije(2014)およびKoopman et al.(2010)を参照されたい。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。
【0159】
いくつかの態様では、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートは、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法において記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを産生するために利用される中間体を段階的に産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0160】
微生物集団の産生
遺伝子改変
本開示の1つ以上の微生物に導入される遺伝子改変は、標的遺伝子の調節配列を変化または無効化しうる。いくつかの態様では、本開示の1つ以上の微生物に導入される遺伝子改変は、1つ以上の微生物に新たな形質または表現型を導入し得る。遺伝的変異が導入される微生物に対応する動物、植物、真菌、酵母、細菌、またはウイルスのゲノム内に存在する異種調節配列および調節配列を含む、1つ以上の調節配列も挿入されてもよい。さらに、調節配列は、微生物培養中の遺伝子の発現レベルに基づいて選択されてもよい。遺伝的変異(genetic variation)は、標的部位に特異的に導入される、予め決定された遺伝的変異であってもよい。いくつかの態様では、遺伝的変異は、1つ以上の微生物染色体に導入される核酸配列である。いくつかの態様では、遺伝的変異は、1つ以上の染色体外核酸配列に導入される核酸配列である。遺伝的変異は、標的部位内のランダムな変異(mutation)であってもよい。遺伝的変異は、1つ以上のヌクレオチドの挿入または欠失であってもよい。一部の事例では、複数の異なる遺伝的変異(例えば、2、3、4、5、10、またはそれ以上)が、単離された細菌のうちの1つ以上に導入される。複数の遺伝的変異は、上記タイプのいずれか、同じタイプまたは異なるタイプ、および任意の組み合わせであってもよい。一部の事例では、複数の異なる遺伝的変異が連続的に導入され、第一の単離ステップの後に第一の遺伝的変異、第二の単離ステップの後に第二の遺伝的変異が導入されるなど、微生物内に複数の所望の改変を蓄積するように、それらが繰り返される。
【0161】
いくつかの態様では、2,4-FDCAモノマーおよびポリマーの産生に記載される1つ以上の基質は、炭素原料(例えば、グルコースまたはグリセロール)から生合成される。
【0162】
概して、「遺伝的変異」という用語は、参照ゲノムもしくはその部分、または参照遺伝子もしくはその部分など、参照ポリヌクレオチドと比較してポリヌクレオチド配列に導入された任意の変更を指す。遺伝的変異は、「変異」と呼称されてもよく、遺伝的変異を含む配列または生物体は、「遺伝的バリアント」または「変異体」と呼称されてもよい。遺伝的変異は、遺伝子発現、代謝、および細胞シグナル伝達を含む、いくつかの生物学的活性の増加または減少など、いくつもの数の影響を与える可能性がある。
【0163】
遺伝的変異は、標的部位に特異的に導入され得るか、または無作為に導入され得る。遺伝的変異を導入するための様々な分子ツールおよび方法が利用可能である。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応変異誘発、オリゴヌクレオチド指定変異誘発、飽和変異誘発、断片シャフリング変異誘発、相同組換え、リコンビニアリング(recombineering)、ラムダレッド媒介組換え、CRISPR/Cas9システム、化学変異誘発、およびこれらの組み合わせを介して、遺伝的変異が導入され得る。遺伝的変異を導入する化学的方法には、化学変異原、例えば、メタンスルホン酸エチル(EMS)、メタンスルホン酸メチル(MMS)、N-ニトロソウレア(EN U)、N-メチル-N-ニトロ-N’-ニトロソグアニジン、4-ニトロキノリンN-オキシド、硫酸ジエチル、ベンゾピレン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、トリエチルメラミン、アクリルアミドモノマー、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジエポキシアルカン(例えば、ジエポキシブタン)、ICR-170、ホルムアルデヒド、プロカルバジン塩酸塩、エチレンオキシド、ジメチルニトロサミン、7,12ジメチルベンズ(a)アントラセン、クロラムブシル、ヘキサメチルホスホルアミド、ビスルファン(bisulfan)などへのDNAの曝露が含まれる。放射線変異誘発剤は、紫外線、γ線照射、X線、および高速中性子衝撃を含む。遺伝的変異はまた、例えば、トリメチルプソラレンを紫外線と使用して核酸に導入することも可能である。移動性DNA要素、例えば、転移因子のランダム挿入または標的挿入は、遺伝的変異を生成するための別の適切な方法である。
【0164】
遺伝的変異は、例えば、エラーが発生しやすいPCRなどのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、細胞を含まないインビトロシステムでの増幅中に核酸に導入することができる。遺伝的変異は、DNAシャッフリング技術(例えば、エクソンシャッフリング、ドメインスワッピングなど)を使用してインビトロで核酸に導入することができる。遺伝的変異はまた、細胞中のDNA修復酵素の欠損の結果として核酸に導入され得る。例えば、変異型DNA修復酵素をコードする変異型遺伝子の細胞中の存在は、細胞のゲノム中に高頻度の変異(すなわち、約1個の変異/100個の遺伝子~1個の変異/10,000個の遺伝子)を産生することが予想される。DNA修復酵素をコードする遺伝子の例としては、限定されるものではないが、Mut H、Mut S、Mut L、およびMut U、ならびに他の種におけるそれらの相同体(例えば、MSH 1 6、PMS 1 2、MLH 1、GTBP、ERCC-1など)が挙げられる。遺伝的変異を導入するための様々な方法の実施例の記述は、例えば、Stemple(2004)Nature 5:1-7;Chiang et al.(1993)PCR Methods Appl 2(3):210-217、Stemmer(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747-10751、および米国特許第6,033,861号、および第6,773,900号を参照されたい。
【0165】
微生物に導入される遺伝的変異は、トランスジェニック、シスジェニック、ゲノム内、属内、属間、合成、進化、再配列、またはSNPに分類され得る。
【0166】
CRISPR/Cas9(Clustered regularly interspaced short palindromic repeats、クラスター化された規則的な間隔の短いパリンドロームの反復)/CRISPR関連(Cas)システムを使用して、所望の変異を導入することができる。CRISPR/Cas9は、CRISPR RNA(crRNA)を使用して侵入核酸のサイレンシングを導くことによって、ウイルスおよびプラスミドに対する適応免疫を細菌および古細菌に提供する。Cas9タンパク質(またはその機能的に等価なタンパク質および/またはバリアント、すなわちCas9様タンパク質)は、タンパク質と、crRNAおよびtracrRNA(ガイドRNAとも呼ばれる)と呼ばれる2つの天然RNA分子または合成RNA分子との会合に依存するDNAエンドヌクレアーゼ活性を自然に有している。一部の事例では、2つの分子は共有結合して単一の分子(単一ガイドRNA(sgRNA)とも呼ばれる)を形成する。したがって、Cas9またはCas9様タンパク質は、Cas9またはCas9様タンパク質を活性化し、タンパク質を標的核酸配列に誘導する、DNA標的化RNA(この用語は、2分子ガイドRNA構成および単一分子ガイドRNA構成の両方を包含する)と会合する。Cas9またはCas9様タンパク質がその天然の酵素機能を保持する場合、標的DNAを切断して二本鎖切断を作製し、ゲノム変化(すなわち、編集:欠失、挿入(ドナーポリヌクレオチドが存在する場合)、置換など)をもたらし、それによって遺伝子発現を変化させることができる。Cas9のいくつかのバリアント(そのバリアントはCas9様という用語によって包含される)は、それらがDNA切断活性の減少を有するように改変されている(場合によっては、それらは標的DNAの両方の鎖ではなく単一の鎖を切断し、他の場合には、それらはDNA切断活性がない場合まで著しく低下させる)。遺伝的変異を導入するためのCRISPRシステムのさらなる例示的な説明は、例えば、US8795965に見出すことができる。
【0167】
部位特異的変異誘導とも呼ばれるオリゴヌクレオチド指定変異誘発は、典型的には合成DNAプライマーを利用する。この合成プライマーは、所望の変異を含有し、目的の遺伝子中のDNAとハイブリダイズできるように、変異部位周辺の鋳型DNAに対して相補的である。変異は、単一塩基変化(点変異)、複数の塩基変化、欠失、または挿入、またはこれらの組み合わせであってもよい。次いで、遺伝子の残りをコピーするDNAポリメラーゼを使用して一本鎖プライマーを伸長させる。このようにコピーされた遺伝子は、変異部位を含有し、その後、ベクターとして宿主細胞に導入され、クローン化されてもよい。最後に、変異体は、DNA配列決定によって選択され、所望の変異を含有することを確認することができる。
【0168】
遺伝的変異は、エラーが発生しやすいPCRを使用して導入することができる。この技術では、目的の遺伝子は、配列の複製の忠実性が不十分な条件下で、DNAポリメラーゼを使用して増幅される。結果として、増幅産物は、配列に少なくとも1つのエラーを含む。遺伝子が増幅され、結果として生じる反応産物が、鋳型分子と比較した場合に配列の1つ以上の変化を含有する場合、結果として生じる産物は、鋳型と比較して変異誘発される。ランダム変異を導入する別の手段は、ニトロソグアニジンまたはメタンスルホン酸エチルなどの化学変異原に細胞を曝露させることであり(Nestmann,Mutat Res 1975 June;28(3):323-30)、次いで遺伝子を含有するベクターを宿主から単離する。
【0169】
相同組換え変異誘発は、外因性DNA断片と標的ポリヌクレオチド配列との間の組換えを伴う。二本鎖の切断が生じた後、切断の5’末端周辺のDNA切片を切除(resection)と呼ばれるプロセスで切り取る。続く鎖の侵入ステップでは、破損したDNA分子の突出した3’末端が、その後、破損していない類似のまたは同一のDNA分子に「侵入」する。この方法は、遺伝子の削除、エクソンの除去、遺伝子の追加、および点変異の導入に使用することができる。相同組換え変異誘発は、永久的または条件付きであり得る。典型的には、組換え鋳型も提供される。組換え鋳型は、別のベクターの成分であってもよく、別個のベクターに含まれてもよく、または別個のポリヌクレオチドとして提供されてもよい。いくつかの態様では、組換え鋳型は、部位特異的ヌクレアーゼによってニック状または切断された標的配列内またはその近傍など、相同組換えの鋳型として機能するように設計される。鋳型ポリヌクレオチドは、約10、15、20、25、50、75、100、150、200、500、1000、またはそれ以上のヌクレオチドの長さなど、任意の適切な長さであってもよい。いくつかの態様では、鋳型ポリヌクレオチドは、標的配列を含むポリヌクレオチドの一部分に対して相補的である。最適に整列されている場合、鋳型ポリヌクレオチドは、標的配列の1つ以上のヌクレオチド(例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上のヌクレオチド)と重複し得る。いくつかの態様では、鋳型配列と標的配列を含むポリヌクレオチドとが最適に整列する場合、鋳型ポリヌクレオチドの最も近いヌクレオチドは、標的配列から約1、5、10、15、20、25、50、75、100、200、300、400、500、1000、5000、10000、またはそれ以上のヌクレオチド内にある。相同組換えの方法に有用な部位特異的ヌクレアーゼの非限定的な例としては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPRヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ、およびメガヌクレアーゼが挙げられる。このようなヌクレアーゼの使用のさらなる説明については、例えば、US8795965およびUS20140301990を参照されたい。
【0170】
遺伝的変異の導入は、不完全なプロセスであってもよく、その結果、処理された細菌集団の一部の細菌は所望の変異を担持し、他の細菌は担持しない。一部の事例では、所望の遺伝的変異を担持する細菌を富化するために、選択圧を適用することが望ましい。従来、成功した遺伝的バリアントに対する選択は、例えば、抗生物質耐性遺伝子を挿入する場合、または非致死性化合物を致死性代謝物へと変換することができる代謝活性を止める場合など、遺伝的変異によって付与または止められるいくつかの機能の、付与するかしないかに対する選択が含まれていた。ポリヌクレオチド配列自体に基づいて選択圧を適用することも可能であり、それにより、所望の遺伝的変異のみを導入する必要がある(例えば、選択可能なマーカーも必要としない)。この場合、選択圧は、標的部位に導入される遺伝的変異を欠く切断ゲノムを含んでもよく、その結果、選択は、遺伝的変異が導入されることが求められている参照配列に対して効果的に向けられる。典型的には、切断は、標的部位の100ヌクレオチド以内(例えば、標的部位からの75、50、25、10、またはより少ないヌクレオチド以内での、標的部位でのまたは標的部位内の切断を含む)で発生する。切断は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPRヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼからなる群から選択される部位特異的ヌクレアーゼによって指示されうる。このようなプロセスは、相同組換えの鋳型が提供されないことを除いて、標的部位で相同組換えを強化するためのプロセスに類似する。結果として、所望の遺伝的変異を欠く細菌は、修復せずに放置すると細胞死をもたらす切断を受ける可能性がより高い。次いで、選択に耐えた細菌を単離して、改善された形質付与の評価をしてもよい。
【0171】
CRISPRヌクレアーゼを部位特異的ヌクレアーゼとして使用して、切断を標的部位に方向付けることができる。Cas9を使用して非変異細胞を殺すことによって、変異した微生物の改善された選択を取得することができる。その後、微生物を組織から再単離することができる。非バリアントに対する選択のために用いられるCRISPRヌクレアーゼシステムは、相同組換えの鋳型が提供されていないことを除いて、遺伝的変異の導入に関して上述したものと類似した要素を用いることができる。標的部位に向けられた切断により、影響を受けた細胞の死を促進する。
【0172】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ(TALEN)システム、およびメガヌクレアーゼなどの標的部位での切断を特異的に誘導するための他の選択肢が利用可能である。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって生成される人工DNAエンドヌクレアーゼである。ZFNは、所望のDNA配列を標的にするように操作することができ、これにより、ジンクフィンガーヌクレアーゼは、固有の標的配列を切断することができる。細胞内に導入された場合、ZFNは、二本鎖切断を誘導することによって、細胞内の標的DNA(例えば、細胞のゲノム)を編集するために使用され得る。転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、TAL(転写活性化因子様)エフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって生成される人工DNAエンドヌクレアーゼである。TALENは、実質的に任意の所望のDNA配列を結合するように迅速に操作することができ、TALENを細胞内に導入すると、二本鎖切断を誘導することによって細胞中の標的DNA(例えば、細胞のゲノム)を編集するために使用することができる。メガヌクレアーゼ(ホーミングエンドヌクレアーゼ)は、大きな認識部位(12~40塩基対の二本鎖DNA配列)によって特徴付けられるエンドデオキシリボヌクレアーゼである。メガヌクレアーゼは、高度に標的化された方法で配列を置換、除去、または改変するために使用することができる。タンパク質工学を介してそれらの認識配列を改変することによって、標的配列を変更することができる。メガヌクレアーゼは、細菌、植物、または動物にかかわらず、すべてのゲノムタイプを改変するために使用でき、一般的に、LAGLIDADGファミリー、GIY-YIGファミリー、His-Cystボックスファミリー、およびHNHファミリーの4つのファミリーにグループ化される。例示的なホーミングエンドヌクレアーゼとしては、I-SceI、I-CeuI、PI-PspI、PI-Sce、I-SceIV、I-CsmI、I-PanI、I-SceII、I-PpoI、I-SceIII、I-CreI、I-TevI、I-TevIIおよびI-TevIIIが挙げられる。
【0173】
微生物
本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、組換え微生物は、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、または2,4-FDCA、およびそれらの任意の組み合わせを産生することができる。
【0174】
本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、組換え微生物は原核微生物である。いくつかの態様では、原核微生物は細菌である。「細菌」、または「真正細菌」は、原核生物のドメインを指す。細菌は、以下のように少なくとも11の別個の群を含む:(1)グラム陽性(グラム+)細菌、このうち、2つの主要な下位区分があり、(1)高G+C群(Actinomycetes、Mycobacteria、Micrococcus、その他)(2)低G+C群(Bacillus、Clostridia、Lactobacillus、Staphylococci、Streptococci、Mycoplasmas)、(2)Proteobacteria、例えば、紅色光合成+非光合成グラム陰性細菌(最も「一般的な」グラム陰性細菌を含む)、(3)Cyanobacteria、例えば、酸素発生型光合成生物、(4)スピロヘータおよび関連種、(5)Planctomyces、(6)Bacteroides、Flavobacteria、(7)Chlamydia、(8)緑色硫黄細菌(9)緑色非硫黄細菌(嫌気性光栄養生物も)(10)放射線耐性micrococciおよび近縁種(11)ThermotogaおよびThermosipho thermophiles。
【0175】
「グラム陰性細菌」には、球菌、非腸内桿菌、および腸内桿菌が含まれる。グラム陰性細菌の属には、例えば、Neisseria、Spirillum、Pasteurella、Brucella、Yersinia、Francisella、Haemophilus、Bordetella、Escherichia、Salmonella、Shigella、Klebsiella、Proteus、Vibrio、Pseudomonas、Bacteroides、Acetobacter、Aerobacter、Agrobacterium、Azotobacter、Spirilla、Serratia、Vibrio、Rhizobium、Chlamydia、Rickettsia、Treponema、およびFusobacteriumが含まれる。
【0176】
「グラム陽性細菌」には、球菌、非胞子形成桿菌、および胞子形成桿菌が含まれる。グラム陽性細菌の属には、例えば、Actinomyces、Bacillus、Clostridium、Corynebacterium、Erysipelothrix、Lactobacillus、Listeria、Mycobacterium、Myxococcus、Nocardia、Staphylococcus、Streptococcus、およびStreptomycesが含まれる。
【0177】
いくつかの態様では、本開示の微生物は真菌である。
【0178】
いくつかの態様では、組換え微生物は真核微生物である。いくつかの態様では、真核微生物は酵母である。例示的な態様では、酵母は、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia)、ハンゼニュラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、イサチェンキア(Issatchenkia)、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、デバリオミセス(Debaryomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、パチソレン(Pachysolen)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、ロドトルラ(Rhodotorula)、およびミクソジマ(Myxozyma)からなる群から選択される属のメンバーである。
【0179】
いくつかの態様では、組換え微生物は原核微生物である。例示的な態様では、原核微生物は、エシェリキア(Escherichia)、クロストリジウム(Clostridium)、ザイモモナス(Zymomonas)、サルモネラ(Salmonella)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、バチルス(Bacillus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、エンテロコッカス(Enterococcus)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、クレブシエラ(Klebsiella)、パエニバチルス(Paenibacillus)、アルスロバクター(Arthrobacter)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、およびブレビバクテリウム(Brevibacterium)からなる群から選択される属のメンバーである。
【0180】
いくつかの態様では、本開示の方法における使用のための微生物は、Yarrowia、Candida、Saccharomyces、Pichia、Hansenula、Kluyveromyces、Issatchenkia、Zygosaccharomyces、Debaryomyces、Schizosaccharomyces、Pachysolen、Cryptococcus、Trichosporon、Rhodotorula、Myxozyma、Escherichia、Clostridium、Zymomonas、Salmonella、Rhodococcus、Pseudomonas、Bacillus、Lactobacillus、Enterococcus、Alcaligenes、Klebsiella、Paenibacillus、Arthrobacter、Corynebacterium、およびBrevibacteriumからなる群から選択され得る。
【0181】
いくつかの態様では、本明細書に記載される方法から生じる微生物は、以下の属のいずれかから選択される種であってもよい。Neisseria、Spirillum、Pasteurella、Brucella、Yersinia、Francisella、Haemophilus、Bordetella、Candida、Escherichia、Salmonella、Shigella、Klebsiella、Proteus、Vibrio、Pseudomonas、Bacteroides、Acetobacter、Aerobacter、Agrobacterium、Azotobacter、Spirilla、Serratia、Vibrio、Rhizobium、Chlamydia、Rickettsia、Treponema、Fusobacterium、Actinomyces、Bacillus、Clostridium、Corynebacterium、Erysipelothrix、Lactobacillus、Listeria、Mycobacterium、Myxococcus、Nocardia、Issatchenkia、Staphylococcus、Streptococcus、Streptomyces、Saccharomyces、Pichia、およびアスペルギルス(Aspergillus)。
【0182】
いくつかの態様では、本開示の方法で使用するための微生物としては、Clostridium sp.、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ragsdalei、Eubacterium limosum、Butyribacterium methylotrophicum、Moorella thermoacetica、Corynebacterium glutamicum、Clostridium aceticum、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Clostridium drakei、Clostridium carboxidivorans、Clostridium formicoaceticum、Clostridium scatologenes、Moorella thermoautotrophica、Acetonema longum、Blautia producta、Clostridium glycolicum、Clostridium magnum、Candida krusei、Clostridium mayombei、Clostridium methoxybenzovorans、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Oxobacter pfennigii、Thermoanaerobacter kivui、Sporomusa ovata、Thermoacetogenium phaeum、Acetobacterium carbinolicum、Issatchenkia orientalis、Sporomusa termitida、Moorella glycerini、Eubacterium aggregans、Treponema azotonutricium、Pichia kudriavzevii、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、Pseudomonas putida、Bacillus sp、Corynebacterium sp.、Yarrowia lipolytica、Scheffersomyces stipitis、およびTerrisporobacter glycolicusを含む。
【0183】
「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書において互換的に使用され、組み込み構築物において、内因性酵素を発現もしくは過剰発現させるために、ベクターに含まれる異種酵素などの異種酵素を発現するために遺伝子改変された微生物、または内因性遺伝子の発現に変化を有する微生物を指す。「変化」とは、遺伝子の発現、1つ以上のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットをコードするRNA分子もしくは同等のRNA分子のレベル、または1つ以上のポリペプチドもしくはポリペプチドサブユニットの活性が、上方制御または下方制御され、それにより発現、レベル、または活性が、変化の非存在下で観察されたものよりも多いか、またはそれ以下であることを意味する。例えば、「変化する(alter)」という用語は、「阻害する(inhibit)」を意味することができるが、「変化」という用語の使用は、この定義に限定されるものではない。「組換え微生物」および「組換え宿主細胞」という用語は、特定の組換え微生物だけでなく、そのような微生物の子孫または潜在的な子孫を指すことが理解される。変異または環境の影響のいずれかのために、特定の改変が後続する世代において起こり得るため、このような子孫は、実際には親細胞と同一ではないが、本明細書で使用される用語の範囲内に含まれる場合がある。
【0184】
本開示の方法で使用される微生物の培養は、本開示の微生物を使用して基質を培養および発酵させるために、当技術分野で公知の任意の数のプロセスを使用して実施することができる。
【0185】
発酵は、連続撹拌タンクバイオリアクター、バブルカラムバイオリアクター、エアリフトバイオリアクター、流動化床バイオリアクター、充填床バイオリアクター、光バイオリアクター、固定化細胞反応器、トリクルベッド反応器、移動床バイオフィルムリアクター、気泡塔、ガスリフト発酵槽、中空糸膜型バイオリアクターなどの膜リアクタなどの、任意の適切なバイオリアクターで行われてもよい。いくつかの態様では、バイオリアクターは、微生物が培養される第1の成長反応器と、成長反応器からの発酵ブロスが供給され、発酵産生物の大部分が産生される第2の発酵反応器とを含む。いくつかの態様では、バイオリアクターは、微生物の培養、および提供される基質および/または原料などの炭素源からの発酵産生物の産生を同時に達成する。
【0186】
いくつかの態様では、本開示は、2,4-FDCAモノマーを回収/単離する方法に関心が寄せられる。いくつかの態様では、本開示は、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、または2,4-FDCA、およびそれらの任意の組み合わせを回収/単離する方法に関心が寄せられる。いくつかの態様では、本開示は、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、および/または4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートモノマーまたはポリマーを回収/単離する方法に関心が寄せられる。いくつかの態様では、本開示は、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、または2,4-FDCA、およびそれらの任意の組み合わせを回収/単離する方法に関心が寄せられる。回収/収集/単離は、蒸留、膜ベースの分離ガスストリッピング(membrane-based separation gas stripping)、沈殿、溶媒抽出、および拡張床吸着などの当技術分野で公知の方法によって行うことができる。
【0187】
原料
いくつかの態様では、原料は炭素源を含む。いくつかの態様では、炭素源は、糖、グリセロール、アルコール、有機酸、アルカン、脂肪酸、リグノセルロース、タンパク質、二酸化炭素、および一酸化炭素から選択されてもよい。一態様では、炭素源は糖である。一態様では、糖は単糖である。一態様では、糖は多糖類である。一態様では、糖はグルコースまたはそのグルコースのオリゴマーである。一態様では、グルコースのオリゴマーは、フルクトース、スクロース、デンプン、セロビオース、マルトース、ラクトース、およびセルロースから選択される。一態様では、糖は五炭糖である。一態様では、糖は六炭糖である。いくつかの態様では、原料は、1つ以上の五炭糖および/または1つ以上の六炭糖を含む。いくつかの態様では、原料は、キシロース、グルコース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、フルクトース、マンノース、スクロース、および/またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。いくつかの態様では、原料は、キシロースおよび/またはグルコースのうちの1つ以上を含む。いくつかの態様では、原料は、アラビノース、ガラクトース、マルトース、フルクトース、マンノース、スクロース、および/またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0188】
いくつかの態様では、微生物は、1つ以上の五炭糖(ペントース)および/または1つ以上の六炭糖(ヘキソース)を利用する。いくつかの態様では、微生物は、キシロースおよび/またはグルコースのうちの1つ以上を利用する。いくつかの態様では、微生物は、アラビノース、ガラクトース、マルトース、フルクトース、マンノース、スクロース、および/またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上を利用する。いくつかの態様では、微生物は、キシロース、グルコース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、フルクトース、マンノース、スクロース、および/またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上を利用する
【0189】
いくつかの態様では、ヘキソースは、D-アロース、D-アルトロース、D-グルコース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-ガラクトース、D-タロース、D-タグトース(tagtose)、D-ソルボース、D-フルクトース、D-プシコース、および当技術分野で公知の他のヘキソースから選択され得る。いくつかの態様では、ペントースは、D-キシロース、D-リボース、D-アラビノース、D-リキソース、D-キシルロース、D-リブロース、および当技術分野で公知の他のペントースから選択されてもよい。いくつかの態様では、ヘキソースおよびペントースは、本明細書に開示されるヘキソースおよびペントースのいずれかの左旋性または右旋性エナンチオマーから選択され得る。
【0190】
微生物組成物
いくつかの態様では、本開示の微生物は微生物組成物に組み合わされる。
【0191】
いくつかの態様では、本開示の微生物組成物は固体である。固体組成物が使用される場合、以下を含むがこれらに限定されない1つ以上の担体材料を含むことが望まれ得る:シリカ、タルク、カオリン、石灰岩、チョーク、粘土、ドロマイト、珪藻土などの鉱物土類(mineral earth)、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、トレハロース、キトサン、シェラック、アルブミン、デンプン、脱脂粉乳、スイートホエー粉末、マルトデキストリン、ラクトース、イヌリン、デキストロース、ならびにシリアルミール、樹皮ミール、木粉、およびナッツシェルミールなどの野菜由来の製品である。
【0192】
いくつかの態様では、本開示の微生物組成物は液体である。さらなる態様では、液体は、水またはアルコールまたは生理食塩水または炭水化物溶液を含み得る溶媒を含む。いくつかの態様では、本開示の微生物組成物は、ポリマー、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリビニルアルコールなどの結合剤を含む。
【0193】
いくつかの態様では、本開示の微生物組成物は、糖類(例えば、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類、オリゴ糖類など)、高分子糖類、脂質、高分子脂質、リポ多糖類、タンパク質、高分子タンパク質、リポタンパク質、核酸、核酸ポリマー、シリカ、無機塩、およびこれらの組み合わせを含む。さらなる態様では、微生物組成物は、寒天、アガロース、ゲルライト(gelrite)、ゲランガムなどのポリマーを含む。いくつかの態様では、微生物組成物は、プラスチックカプセル、エマルション(例えば、水および油)、膜、および人工膜を含む。いくつかの態様では、エマルションまたは連結ポリマー(linked polymer)溶液は、本開示の微生物組成物を含む。Harel and Bennett(米国特許第8,460,726 B2号)を参照されたい。
【0194】
いくつかの態様では、本開示の微生物組成物は、固体形態(例えば、分散凍結乾燥胞子)または液体形態(保存媒体中に散在する微生物)で生じる。いくつかの態様では、本開示の微生物組成物は、使用直前に乾燥形態で液体に添加されて懸濁液を形成する。
【0195】
生合成産物を産生する方法
本開示は、組換え微生物を使用して1つ以上の生合成産物を産生する方法を提供する。生合成産物には、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAが含まれる。一実施形態では、方法は、培養培地中で組換え微生物を培養することを含む。一実施形態では、培養培地は、組換え微生物が1つ以上の生合成産物を産生するために利用することができる炭素源を含む原料を含有する。一実施形態では、培養培地中の炭素源は、ヘキソース、ペントース、またはグリセロールを含む群から選択される。特定の実施形態では、炭素源はグリセロールである。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、炭素原料の1つ以上の生合成産物への生合成変換を集合的に詳細に示す。
【0196】
本開示は、外因性炭素源を含む原料から、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAを産生する組換え微生物を産生する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、炭素源を4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAに変換することができる、内因性および/または外因性核酸分子を組換え微生物に導入および/または過剰発現させることを含む。一実施形態では、炭素源は、グリセロールおよび/または単糖を含んでもよい。
【0197】
一実施形態では、内因性および/または外因性核酸分子は、グリセロールまたは単糖をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換する。G3Pは、共通の天然中間代謝物である。いくつかの実施形態では、それはグルコースから解糖経路を介して、またはキシロースからペントースリン酸経路を介して、またはグリセロールから産生することができる。一実施形態では、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAを産生することができる組換え微生物は、ヘキソース、ペントース、またはグリセロールを含む炭素源を利用する。特定の実施形態では、炭素源はグリセロールである。
【0198】
一実施形態では、本開示は、2,4-FDCAを産生する方法、および2,4-FDCAを産生するための複数のステップおよびプロセスを企図する。いくつかの実施形態では、本開示は、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、および4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートのうちの1つ以上を産生するための個々の方法を企図しており、これらは2,4-FDCAの作製プロセスに記載されている。
【0199】
一実施形態では、方法の組換え微生物は、Clostridium sp.、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ragsdalei、Eubacterium limosum、Butyribacterium methylotrophicum、Moorella thermoacetica、Corynebacterium glutamicum、Clostridium aceticum、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Clostridium drakei、Clostridium carboxidivorans、Clostridium formicoaceticum、Clostridium scatologenes、Moorella thermoautotrophica、Acetonema longum、Blautia producta、Clostridium glycolicum、Clostridium magnum、Candida krusei、Clostridium mayombei、Clostridium methoxybenzovorans、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Oxobacter pfennigii、Thermoanaerobacter kivui、Sporomusa ovata、Thermoacetogenium phaeum、Acetobacterium carbinolicum、Issatchenkia orientalis、Sporomusa termitida、Moorella glycerini、Eubacterium aggregans、Treponema azotonutricium、Pichia kudriavzevii、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、Pseudomonas putida、Bacillus sp、Corynebacterium sp.、Yarrowia lipolytica、Scheffersomyces stipitis、およびTerrisporobacter glycolicusからなる群から選択される親微生物由来である。
【0200】
4-HMF
一実施形態では、本開示は、1つ以上の炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換すること、G3Pを(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェート(ステップA)に変換すること、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)に変換すること(ステップB)を含む。
【0201】
一実施形態では、本開示は、炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。一実施形態では、グリセロールは、グリセロールキナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってグリセロール-3-リン酸に変換される。一実施形態では、グリセロール-3-リン酸は、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)に変換される。一実施形態では、グリセロールは、グリセロールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってジヒドロキシアセトンに変換される。一実施形態では、ジヒドロキシアセトンは、ジヒドロキシアセトンキナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によって、ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)に変換される。一実施形態では、DHAPは、トリオースリン酸イソメラーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってG3Pに変換される。Zhang et al.(2010)を参照されたい。
【0202】
一実施形態では、本開示は、G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載の組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。一実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの実施形態では、EC 4.2.3.153(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、遺伝子mfnBから誘導することができる。いくつかの実施形態では、mfnBは、Methanocaldococcus jannaschiiに由来し得る。いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、表1に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、表1に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼ酵素は、その触媒効率、著しくkcatを改善するために進化または操作される。
【0203】
一実施形態では、本開示は、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。一実施形態では、ホスファターゼは、ハロ酸デハロゲナーゼ(Koonin et al.J.Mol.Biol.244(1).1994)として分類される。いくつかの態様では、反応bのホスファターゼは、宿主内因性である(Offley et al.Curr.Gen.65.2019)。いくつかの態様では、宿主内因性のホスファターゼ酵素は過剰発現される。一部の事例では、所望の反応を実施することができる異種ホスファターゼが使用され、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、フルクトース-ビスホスファターゼ、糖-ホスファターゼ、または糖末端ホスファターゼから選択される。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、表2に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは、表2に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、ホスファターゼ酵素は、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの(4-HMF)への変換のための触媒効率および/または特異性を改善するために進化または操作される。
【0204】
したがって、一実施形態において、本開示は、炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-HMFへの変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、を含む組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。
【0205】
2,4-FDCA
一実施形態では、本開示の方法は、いくつかの酵素的に触媒された連続的なステップを介して、G3Pを2,4-FDCAに変換する。一実施形態では、本開示は、1つ以上の炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することと、G3Pを(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートに変換することと(ステップA)、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)に変換することと(ステップB)、4-HMFを2,4 FDCAに、直接的に(ステップC)変換するか、または以下の中間体の産生であって、4-HMFをフラン-2,4-ジカルボアルデヒド(ステップD)および/もしくは4-(ヒドロキシメチル)フロン酸(ステップE)に変換し、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート(ステップG)および/もしくは2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート(ステップF)に変換し、および/もしくは4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート(ステップH)に変換し、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを2 4-FDCA(ステップJ)に変換する、および/もしくは2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを2 4-FDCA(ステップI)に変換する、中間体の産生を介して変換することと、を含む。さらなる実施形態では、1つ以上の炭素源は、グリセロールまたは単糖を含んでもよい。
【0206】
したがって、一実施形態において、本明細書では、炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子、G3Pの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、4-HMFの2,4 FDCAへの変換であって、直接的にまたはフラン-2,4-ジカルボアルデヒド、および/もしくは4-(ヒドロキシメチル)フロン酸などの中間体の生産を介して、触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートおよび/もしくは2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換、および/もしくは4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換および/もしくは、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートから2,4-FDCAへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子、を含む組換え微生物を産生する方法が提供される。
【0207】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、炭素源をグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)に変換することができる内因性および/または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、グリセロールは、グリセロールキナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってグリセロール-3-リン酸に変換される。一実施形態では、グリセロール-3-リン酸は、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)に変換される。一実施形態では、グリセロールは、グリセロールデヒドロゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってジヒドロキシアセトンに変換される。一実施形態では、ジヒドロキシアセトンは、ジヒドロキシアセトンキナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によって、ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)に変換される。一実施形態では、DHAPは、トリオースリン酸イソメラーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子によってG3Pに変換される。
【0208】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、G3Pから(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートへの変換を触媒する(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、EC番号4.2.3.153として分類される。いくつかの実施形態では、EC 4.2.3.153(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼは、遺伝子mfnBから誘導することができる。いくつかの実施形態では、mfnBは、Methanocaldococcus jannaschiiに由来し得る。いくつかの実施形態では、EC 4.2.3.153は、mfnBの相同体から誘導され得る
【0209】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの(4-HMF)への変換を触媒するホスファターゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、ホスファターゼは、EC番号3.1.3として分類される。一実施形態では、ホスファターゼEC番号3.1.3ホスファターゼは、アルカリホスファターゼ(EC番号3.1.3.1)、酸性ホスファターゼ(EC番号3.1.3.2)、フルクトース-ビスホスファターゼ(EC番号3.1.3.11)、糖-ホスファターゼ(EC番号3.1.3.23)、または糖末端ホスファターゼ(EC番号3.1.3.58)から選択される。一実施形態では、キナーゼはEC番号2.7.1として分類される。一実施形態では、キナーゼEC番号2.7.1は、フルクトキナーゼ(EC番号2.7.1.4)、リボキナーゼ(EC番号2.7.1.15)、リブロキナーゼ(EC番号2.7.1.16)、キシルロキナーゼ(EC番号2.7.1.17)、またはD-リブロキナーゼ(EC番号2.7.1.47)から選択される。
【0210】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-HMFのフラン-2,4-ジカルバルアルデヒドへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0211】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-HMFから4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0212】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートおよび/または2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0213】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、である。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0214】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートおよび/または2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、表3に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、表3に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、その所望の基質に対する触媒効率を改善するために進化または操作される。
【0215】
一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。Dijkman and Fraaije(2014.Applied Environmental Microbiology,80.3:1082-1090)およびKoopman et al.(2010.PNAS,107(11):4919-4924)を参照されたい。一実施形態では、HMFオキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼは、表4に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼは、表4に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、HMFオキシダーゼ酵素は、その触媒効率を改善するために進化または操作される。
【0216】
2,4-フランジメタノール
一実施形態では、本開示は、炭素源から2,4-フランジメタノールを産生することができる組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の2,4-フランジメタノールへの生合成変換を集合的に詳述する。
【0217】
一実施形態では、4-HMFからの2,4-フランジメタノールの生物学的生産は、微生物によってコードされるデヒドロゲナーゼにより触媒される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、D-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.90)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、表5に列挙された酵素候補から誘導され得る。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、表5に列挙された酵素と相同であるか、または類似している。いくつかの実施形態では、デヒドロゲナーゼは、2,4-フランジメタノールへの4-HMFの還元の触媒効率を改善するために進化または操作される。
【0218】
いくつかの態様では、2,4-フランジメタノールは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、2,4-フランジメタノールは、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、2,4-フランジメタノールの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法に記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、2,4-フランジメタノールの酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、2,4-フランジメタノールを産生するために利用される中間体を段階的産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで2,4-フランジメタノールを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0219】
フラン-2,4-ジカルボアルデヒド
一実施形態では、本開示は、炭素源からフラン-2,4-ジカルボアルデヒドを産生することができる組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料のフラン-2,4-ジカルボアルデヒドへの生合成変換を集合的に詳述する。
【0220】
一実施形態では、
図2のステップDは、4-HMFを基質として利用する単一ステップの反応である。一実施形態では、4-HMFからのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの生物学的生産は、EC番号1.1.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される1つ以上の酵素によって触媒される。
【0221】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。Dijkman and Fraaije(2014)およびKoopman et al.(2010)を参照されたい。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。
【0222】
いくつかの態様では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドは、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法において記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを産生するために利用される中間体を段階的に産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0223】
4-(ヒドロキシメチル)フロン酸
一実施形態では、本開示は、炭素源から4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を産生することができる組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への生合成変換を集合的に詳述する。
【0224】
一実施形態では、
図2のステップEは、4-HMFを基質として利用する単一ステップ反応である。一実施形態では、4-HMFからの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の生物学的生産は、EC番号1.1.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される1つ以上の酵素によって触媒される。
【0225】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-HMFから4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0226】
いくつかの態様では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸は、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸は、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法において記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を産生するために利用される中間体を段階的に産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を産生する方法の次のステップにおいて基質として利用される。
【0227】
2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート
一実施形態では、本開示は、炭素源から2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを産生することができる組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの生合成変換を集合的に詳述する。
【0228】
一実施形態では、
図2のステップFは、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを基質として利用する単一ステップの反応である。一実施形態では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドからの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの生物学的生産は、EC番号1.2.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される1つ以上の酵素により触媒される。
【0229】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0230】
いくつかの態様では、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートは、1つ以上の容器内で酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法において記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、2-ホルミルフラン-4-カルボン酸の酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、2-ホルミルフラン-4-カルボン酸を産生するために利用される中間体を段階的産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として、所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0231】
4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート
一実施形態では、本開示は、炭素源から4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを産生することができる組換え微生物を産生する方法に関心が寄せられる。本開示のいくつかの実施形態を
図1、
図2、および
図3に提示し、これらは炭素原料の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの生合成変換を集合的に詳細に示す。
【0232】
一実施形態では、
図2のステップGは、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドを基質として利用する単一ステップ反応である。一実施形態では、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドからの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの生物学的生産は、EC番号1.2.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される一つ以上の酵素により触媒される。
【0233】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.2.1は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(NAD+)(EC番号1.2.1.3)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.2.1.4)またはアルデヒドデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+](EC番号1.2.1.5)または4-(γ-グルタミルアミノ)ブタナルデヒドロゲナーゼ(EC番号1.2.1.99)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。
【0234】
一実施形態では、
図2のステップHは、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸を基質として利用する単一ステップ反応である。一実施形態では、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸からの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの生物学的生産は、EC番号1.1.1.-、1.1.3.-、および1.11.2.-によって表される1つ以上の酵素により触媒される。
【0235】
一実施形態では、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つの組換え微生物は、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの変換を触媒するデヒドロゲナーゼ、またはオキシダーゼ、またはペルオキシゲナーゼをコードする少なくとも1つの内因性もしくは外因性核酸分子を含む。一実施形態では、デヒドロゲナーゼは、EC番号1.1.1として分類される。一実施形態では、デヒドロゲナーゼEC番号1.1.1は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.1)、またはアルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.2)、またはD-キシロースレダクターゼ(EC番号1.1.1.307)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(EC番号1.1.1.90)、またはアリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)(EC番号1.1.1.91)から選択される。一実施形態では、オキシダーゼは、EC番号1.1.3として分類される。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、5-(ヒドロキシメチルフルフラールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.47)である。いくつかの実施形態では、EC 1.1.3.47オキシダーゼは、遺伝子hmfHから誘導され得る。いくつかの実施形態では、hmfHは、Methylovorus sp.MP688またはCupriavidus basilensis由来であり得る。Dijkman and Fraaije(2014)およびKoopman et al.(2010)を参照されたい。一実施形態では、オキシダーゼEC番号1.1.3は、アリール-アルコールオキシダーゼ(EC番号1.1.3.7)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼは、EC番号1.11.2として分類される。一実施形態では、ペルオキシゲナーゼEC番号1.11.2は、非特異的ペルオキシゲナーゼ(EC番号1.11.2.1)である。Carro et al.(2015)を参照されたい。
【0236】
いくつかの態様では、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートは、微生物の非存在下で酵素的に産生される。いくつかの態様では、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートは、1つ以上の容器内において酵素的に産生される。いくつかの態様では、1つ以上の容器は微生物を実質的に含まない。いくつかの態様では、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの酵素的産生は、組換え微生物を利用する方法において記載されるのと同じ段階的様式で実行されるが、微生物は実質的に含まないか、または微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの酵素的産生に利用される酵素は、微生物、組換え体、またはその他から単離され、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを産生するために利用される中間体を段階的に産生するために、対応する基質に提供される。いくつかの態様では、方法のステップのうちの1つ以上は、同じ容器で実行される。いくつかの態様では、本明細書に記載の個々の方法ステップの結果として、所望の産生物が産生されると、産生物は単離および精製され、次いで4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートを産生する方法の次のステップで基質として利用される。
【0237】
本開示は、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAのうちの1つ以上を高収率で産生することができる方法および組換え微生物を提供する。一実施形態では、1分子のグルコースと2分子のATPは、正味の式1に従って、1分子の2,4-FDCAと3分子のNAD(P)Hに変換される。
式1:1グルコース+2ATP→1 2,4-FDCA+3NAD(P)H
【0238】
正味の反応により、グルコース1グラム当たり約0.87グラムの2,4-FDCAの質量収率が得られる。この収率は、グルコース1グラム当たり1.16グラムの2,4-FDCAの最大熱力学的収率の75%に相当する。いくつかの実施形態では、2,4-FDCAの収率は、グルコース1グラム当たり約0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.16グラムであり得る。
【0239】
一実施形態では、1分子のグルコース、2分子のATPおよび3分子の酸素は、正味の式2に従って、1分子の2,4-FDCAと3分子の過酸化水素(H2O2)とに変換される。
式2:1グルコース+2ATP+3O2→1 2,4-FDCA+3H2O2
【0240】
一実施形態では、2分子のグリセロールと2分子のATPは、正味の式3に従って、1分子の2,4-FDCAと5分子のNAD(P)Hとに変換される。
式3:2グリセロール+2ATP→1 2,4-FDCA+5 NAD(P)H
【0241】
正味の反応は、グリセロール1グラム当たり約0.85グラムの2,4-FDCAの質量収率をもたらす。この収率は、グリセロール1グラム当たり1.32グラムの2,4-FDCAの最大熱力学的収率の64%に相当する。いくつかの実施形態では、2,4-FDCAの収率は、グリセロール1グラム当たり約0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.3、1.32グラムであり得る。
【0242】
一実施形態では、2分子のグリセロール、2分子のATPの、および3分子の酸素は、正味方程式4に従って、1分子の2,4-FDCA、および3分子の過酸化水素に変換される。
式4:2グリセロール+2ATP+3O2→1 2,4-FDCA+3H2O2
【0243】
生合成産物モノマーおよび/またはポリマーを産生および単離する方法
いくつかの態様では、本開示の改変微生物は、微生物が4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAモノマーを産生するように改変される。いくつかの態様では、本開示の改変微生物は、微生物が、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAに由来するポリマーを産生するように改変される。いくつかの態様では、生合成産物モノマーおよび/またはポリマーを産生する方法は、生合成産物モノマーおよび/またはポリマーを産生するのに十分な条件下で、本開示の1つ以上の微生物を増殖/発酵させることと、得られた4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルバルアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミル-2-フラン-4-カルボキシレート、および2,4-FDCAおよび/またはそれらのポリマーを単離/収集することと、を含む。いくつかの態様では、生合成モノマーは、インビボでポリマーに重合する。いくつかの態様では、生合成モノマーおよびポリマーの産生は、微生物発酵プロセスにおいて利用される細菌の数に比例する。いくつかの態様では、細菌は、反応チャンバ内で増殖する。所望の数の細菌が達成されると、使用済みの培地は、生合成産物のモノマーおよび/またはポリマーを単離するためのプロセスに供される。いくつかの態様では、微生物は溶解され、細胞破片は、遠心分離器で溶液からペレット化される。いくつかの態様では、生合成産物モノマーおよび/またはポリマーは、溶媒抽出プロセスまたは勾配超遠心分離プロセスの助けを借りて、細胞ペレット画分または液体画分から収集される。いくつかの態様では、生合成産物ポリマーは、濾過によって単離することができる。
【0244】
いくつかの態様では、生合成産物モノマーは、モノマーが産生されるまで、炭素源を提供する原料を含有する培養培地中で組換え微生物を培養することによって産生される。いくつかの態様では、原料は、1つ以上のヘキソース、1つ以上のペントース、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、モノマーは、培養培地から抽出され、触媒の存在下で重合される。本開示は、本組換え型微生物によって産生される生合成産物からポリマーを産生する方法、および本開示の方法を提供する。一実施形態では、1つ以上の生合成産物は、ジオールと触媒的に重合されてポリマーを形成する。
【0245】
いくつかの態様では、生合成産物モノマーは、チタン系触媒、ゲルマニウム系触媒、マグネシウム系触媒、ケイ素系触媒、アルミニウム系触媒、またはアンチモン系触媒から選択される触媒の存在下で触媒される。いくつかの態様では、触媒は、酢酸アンチモン、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、チタン酸テトラ-イソプロピル、およびチタン酸テトラ-n-ブチルから選択される。
【0246】
いくつかの態様では、生合成産物由来ポリマーは、phaシンターゼによってインビボで重合される。いくつかの態様では、生合成産物由来モノマーは、phaシンターゼによってエクスビボで重合される。
【0247】
いくつかの態様では、生合成産物4-HMFは、培養培地から抽出され、触媒の存在下で、当技術分野で報告されているように他の生合成産物のうちの1つ以上に転換される。Van Putten et al.(2013.Hydroxymethylfurfural,a Versatile Platform Chemical Made from Renewable Resources.Chemical Reviews,113.3:1499-1597)を参照されたい。
【0248】
いくつかの態様では、生合成産物4-HMFは、培養培地から抽出され、触媒の存在下で2,4-ジメチルフランに転換される。Deng et al.(2013.Linked Strategy for the Production of Fuels via Formose Reaction.Scientific Reports,3:1244)を参照されたい。
【0249】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法および組成物によって産生される生合成産物の任意の1つ以上は、生合成される培養培地から抽出され、化学触媒または生物触媒の存在下で転換される。
【0250】
いくつかの態様では、化学触媒または生物学的触媒の存在下での生合成産物の転換は、微生物の非存在下で実行される。いくつかの態様では、生物学的触媒の存在下での生合成産物の転換は、微生物の非存在下で、1つ以上の微生物から単離され精製された1つ以上の酵素の存在下で実行される。
【0251】
いくつかの態様では、1つまたは複数の化学触媒は、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および/または2,4-FDCAの非生物合成に利用されることが知られている化学物質のうちのいずれか1つ以上である。
【0252】
いくつかの態様では、1つまたは複数の生物学的触媒は、
図2の反応ステップC、D、E、F、G、H、I、またはJについて本明細書に記載される酵素のうちのいずれか1つ以上である。
【0253】
いくつかの態様では、生合成4-HMFの2,4-フランジメタノールへの転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.1.1.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学触媒または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0254】
いくつかの態様では、生合成4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドへの転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.1.1.-、EC 1.1.3.-、および/またはEC 1.11.2.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学触媒または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0255】
いくつかの態様では、生合成4-HMFの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.1.1.-、EC 1.1.3.-、および/またはEC 1.11.2.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学触媒または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0256】
いくつかの態様では、生合成2,4-フランジメタノールの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.2.1.-、EC 1.1.3.-、および/またはEC 1.11.2.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学触媒または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0257】
いくつかの態様では、生合成フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートへの転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.2.1.-、EC 1.1.3.-、および/またはEC 1.11.2.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学触媒または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0258】
いくつかの態様では、生合成フラン-2,4-ジカルボアルデヒドの4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートへの転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.2.1.-、EC 1.1.3.-、および/またはEC 1.11.2.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学触媒または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0259】
いくつかの態様では、生合成4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の4-ホルミルフラン-3-カルボキシレートへの転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.2.1.-、EC 1.1.3.-、および/またはEC 1.11.2.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学的または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0260】
いくつかの態様では、生合成2-ホルミルフラン-4-カルボキシレートの2,4-FDCAへの転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.2.1.-、EC 1.1.3.-、および/またはEC 1.11.2.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学触媒または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0261】
いくつかの態様では、生合成4-ホルミルフラン-2-カルボキシレートの2,4-FDCAへの転換は、微生物を実質的に含まない組成物中で、EC 1.2.1.-、EC 1.1.3.-、および/またはEC 1.11.2.-の生物学的触媒などの、本明細書に記載の化学触媒または生物学的触媒の存在下で起こる。
【0262】
いくつかの態様では、上述の任意の1つ以上の転換は、第1の転換の産生物が第2の転換の産生物の基質となるように、別の転換と組み合わせることができる。
【0263】
いくつかの態様では、上述の任意の1つ以上の転換は、第1の転換の産生物が第2の転換の産生物の基質となり、その産生物が第3の転換の産生物の基質となるように、別の変換と組み合わせることができる。
【0264】
生合成産物を産生するための生物学的プロセス
本開示は、本明細書に記載の生合成産物、4-HMF、2,4-フランジメタノール、フラン-2,4-ジカルボアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)フロン酸、2-ホルミルフラン-4-カルボキシレート、4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート、および2,4-FDCAのうちの1つ以上を産生するための生物学的プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、このプロセスは、少なくとも1つのバイオリアクターに、1つ以上の生合成経路からのグリセルアルデヒド3-リン酸(G3P)の生合成およびG3Pからの1つ以上の生合成産物に関与する1つ以上の酵素を発現するように操作された1つ以上の組換え微生物、外因性炭素源を含む原料を提供することと、原料を含む培養培地中で1つ以上の段階で1つ以上の組換え微生物を培養することと、得られた培養物を、好気性、微好気性および/または嫌気性条件下で1つ以上の段階で発酵させることと、発酵ステップ後、バイオリアクターから1つ以上の生合成産物を回収することと、を含む。
【0265】
生物学的プロセスのいくつかの実施形態では、1つ以上の生合成産物は、培養培地または原料が枯渇する前に連続的に回収される。いくつかの実施形態では、生合成産物は、培養培地または原料が枯渇する前にバッチで回収される。いくつかの実施形態では、前記1つ以上の組換え微生物は、Clostridium sp.、Clostridium ljungdahlii、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ragsdalei、Eubacterium limosum、Butyribacterium methylotrophicum、Moorella thermoacetica、Corynebacterium glutamicum、Clostridium aceticum、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Clostridium drakei、Clostridium carboxidivorans、Clostridium formicoaceticum、Clostridium scatologenes、Moorella thermoautotrophica、Acetonema longum、Blautia producta、Clostridium glycolicum、Clostridium magnum、Candida krusei、Clostridium mayombei、Clostridium methoxybenzovorans、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Oxobacter pfennigii、Thermoanaerobacter kivui、Sporomusa ovata、Thermoacetogenium phaeum、Acetobacterium carbinolicum、Issatchenkia orientalis、Sporomusa termitida、Moorella glycerini、Eubacterium aggregans、Treponema azotonutricium、Pichia kudriavzevii、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、Pseudomonas putida、Bacillus sp、Corynebacterium sp.、Yarrowia lipolytica、Scheffersomyces stipitis、およびTerrisporobacter glycolicusからなる群から選択される親微生物由来である。
【0266】
生物学的プロセスのいくつかの実施形態では、原料は、C6炭水化物および/またはC5炭水化物を含む。いくつかの実施形態では、原料は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、またはこれらの組み合わせを含む。
【0267】
生物学的プロセスのいくつかの実施形態では、培養および発酵ステップは、同じ段階で起こる。いくつかの実施形態では、培養および発酵ステップは、別個の段階で起こる。いくつかの実施形態では、培養および発酵ステップは、別個のバイオリアクターで起こる。いくつかの実施形態では、培養および発酵ステップは、同じバイオリアクターで起こる。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、好気性、微好気性、または嫌気性条件下で、またはこれらの組み合わせ下で作動する。
【0268】
いくつかの実施形態では、1つ以上の段階は、培養物および/または培養培地をバッチ、流加バッチ、または連続モードフィードとして受け取る。いくつかの実施形態では、培養段階は、培養物および/または培養培地をバッチ、流加バッチ、または連続モードフィードとして受け取り、任意の後続の段階では、バッチ、流加バッチ、または連続モードフィードとして作動する。
【0269】
いくつかの実施形態では、培養培地は、C5炭水化物、C6炭水化物、および/または二糖から提供される炭素(C)を含む。いくつかの実施形態では、培養培地は、窒素(N)、リン(P)、マグネシウム(Mg)、および鉄(Fe)を含む必須栄養素を含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、培養ステップにおけるC:Nの比は、少なくとも10:1である。いくつかの実施形態では、培養ステップにおけるC:Pの比は、少なくとも5:1である。いくつかの実施形態では、培養ステップにおけるC:Mgの比は、少なくとも50:1である。いくつかの実施形態では、培養ステップにおけるC:Feの比は、少なくとも300:1である。
【0271】
いくつかの実施形態では、培養ステップは、1つ以上の組換え微生物の細胞の培養のために5時間から100時間まで作動する。いくつかの実施形態では、発酵ステップにおける培養は、細胞質量の約1%~約30%を含み、これは、1つ以上の基質を有する培養培地中の培養ステップにから移される。いくつかの実施形態では、発酵ステップに提供される供給原料の総量は、約100kg/m3~約800kg/m3の範囲である。
【0272】
いくつかの実施形態では、発酵ステップにおけるC:Nの比は、少なくとも50:1である。いくつかの実施形態では、発酵ステップにおけるC:Pの比は、少なくとも20:1である。いくつかの実施形態では、発酵ステップにおけるC:Mgの比は、少なくとも200:1である。いくつかの実施形態では、発酵ステップにおけるC:Feの比は、少なくとも800:1である。いくつかの実施形態では、発酵ステップは、流加操作の場合は10時間から300時間まで、連続操作の場合は300時間まで作動する。
【実施例】
【0273】
実施例1:メチルホスフェートシンターゼの発現および精製
酵素アッセイで使用される酵素の発現および精製を、以下の条件下で行った:27個の(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼ候補をコードする遺伝子(表1)を、GenScriptにより合成し、NdeIおよびBamHI制限部位で発現ベクターpET28a中にクローニングした。発現ベクターでE.coli BL21(DE3)を形質転換し、酵素発現に使用するまで形質転換体を15%グリセロール中に保存した。
【0274】
保存された形質転換体を、カナマイシンを含有する50mLのTBブロスに接種し37℃で16時間撹拌して種培養物を調製した。種培養物を、カナマイシンを含有するTBブロス300mLに加えて初期OD(600nm)0.2とし、次いで培養物を、OD(600nm)が0.6~0.8に達するまで撹拌しながら37℃でインキュベートし、この時点で1mMのIPTGを添加して、撹拌しながら18℃で一晩発現を誘導した。
【0275】
一晩発現させた後、細胞を6000×rpmで30分間遠心分離し、ペレット細胞を冷溶解緩衝液(20mMのリン酸緩衝液および500mMのNaCl pH7.4)中に懸濁してから超音波破壊した。細胞溶解物を再び、8000rpmで4℃で30分間遠心分離し、濾過して、アフィニティクロマトグラフィーで精製した。利用したカラムは、hisタグ付きタンパク質精製用のHisTrap FF Crude(GE Healthcare)であった。精製タンパク質を、結合緩衝液A(20mMのリン酸緩衝液、20mMのイミダゾール、500mMのNaCl、1mMのPMSFおよびベータ-メルカプトエタノール、pH7.4)でカラムに結合させ、洗浄し、溶出緩衝液B(20mMのリン酸緩衝液、500mMのイミダゾール、500mMのNaCl、1mMのPMSFおよびベータ-メルカプトエタノール、pH7.4)の勾配で溶出させた。次にPD-10カラムを使用して、緩衝液を50mMのTris-HCl pH7.4に変更した。
図4に示すように、候補の発現および精製を電気泳動により12%ポリアクリルアミドゲル上で分析した。
【0276】
実施例2:G3Pからの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェート産生
表1に記載される酵素候補によるグリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P)からの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェート産生を、約450μgの精製候補を、20mMのTris-HCl、200mMのNaCl(pH7.4)緩衝液中に5mMのグリセルアルデヒド-3-リン酸(Sigma)を含有する1mLの溶液とインキュベートすることによってインビトロで実証した。反応物を、37℃で2時間インキュベートした。シンターゼまたは基質(G3P)を含まない反応容器を、陰性対照として使用した。反応を、5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの280nmモル吸光係数(ε)に基づいて、分光光度計(SpectraMax M5、Molecular Devices)を使用するUV-Visにより監視した。産生物の形成も、HPLC分析によって確認した。
【0277】
(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの産生のクロマトグラフィー定量的分析を、Aminex HPX-87H Bioradカラム(300×7.8mm)を備えたHPLC-DAD(Thermo Ultimate 3000)で実行した。カラムを50℃で維持し、使用した移動相は、流量0.75mL/分の5mMのH2SO4溶液であった(アイソクラティック勾配モード)。
【0278】
表6、
図5、および
図6に示すように、G3Pは、メチルホスフェートシンターゼによってメチルホスフェート(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルへと首尾よく変換された。
図5では、陰性対照試料(灰色の線)が280での低い吸光度を示し、メチルホスフェートシンターゼ(黒色の線)を含有する反応と比較して、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートがほとんどまたは全く存在しないことを示し、シンターゼがG3Pからの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの形成を触媒したことを示しており、これらの結果を表6に要約する。
図6は、シンターゼを含有する反応物における検出可能な(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを示す(下パネル)が、陰性対照反応物では示さない(上パネル)。表7は、G3Pからの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの産生について陽性として試験されたメチルホスフェートシンターゼ候補のリストを含む。
【0279】
(表6)G3Pからの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの、メチルホスフェートシンターゼによる産生について280nmで得られた吸光度
【0280】
(表7)G3Pからの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの産生の触媒反応について陽性として試験された(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼ候補
【0281】
実施例3:(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートからの4-ヒドロキシメチルフルフラール(4-HMF)の産生
ホスファターゼを使用した(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートからの4-HMFの産生を、市販のホスファターゼ、E.coli溶解物、および酵母溶解物を使用して実証し、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートから2,4-HMFを産生する能力を実証した。基質(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを、実施例2に記載されるように、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートシンターゼによって産生した。
【0282】
(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートおよび4-HMF産生のクロマトグラフィー定量的分析を、Aminex HPX-87H Bioradカラム(300×7.8mm)を備えたHPLC-DAD(Thermo Ultimate 3000)で実行した。カラムを50℃で維持し、使用した移動相は、流量0.75mL/分の5mMのH2SO4溶液であった(アイソクラティック勾配モード)。両方の化合物を280nmで検出した。
【0283】
市販のホスファターゼを使用した(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートからの4-HMFの産生を示す反応を実施するために、2μLのウシ腸粘膜(Sigma)由来のアルカリホスファターゼを、およそ1~2mMの(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートを含有する実施例2からの1mLの反応容器に加えた。反応物を37℃で1時間インキュベートし、最初と最終の試料をHPLC-DADにより分析した。
図7(上パネル)および表8に示すように、市販のホスファターゼは、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-HMFへの完全変換を行うことができた。
【0284】
(表8)メチルホスフェートシンターゼを使用して産生された(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートのピーク面積
【0285】
E.coli溶解物中のホスファターゼを使用した(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートからの4-HMFの産生を示す反応を実施するために、E.coliMG1655株を200mLのLBブロスに接種し、37℃で一晩撹拌した。培養物を4000rpmで15分間遠心分離し、ペレットを20mLの20mM HEPES緩衝液pH7.4に懸濁し、ODを70にした。溶解を超音波破壊によって行った。1mLのE.coli溶解物を、実施例2からの1mLの反応物と混合し、撹拌しながら37℃で一晩インキュベートした。試料を、4-HMFの産生について、280nmでHPLC-DADにより分析した。
【0286】
酵母溶解物中のホスファターゼを使用した(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートからの4-HMFの産生を示す反応を実施するために、Saccharomyces cerevisiaeの株を200mLのYPDブロスに接種し、30℃で一晩撹拌した。培養物を4000rpmで15分間遠心分離し、ペレットを20mLの20mM HEPES緩衝液pH7.4に懸濁し、ODを120にした。細胞溶解を超音波破壊によって行った。1mLの酵母溶解物を、実施例2からの1mLの反応物と混合し、撹拌しながら30℃で一晩インキュベートした。試料を、4-HMFの産生について、280nmでHPLC-DADにより分析した。
【0287】
図7(中パネル)および
図7(下パネル)ならびに表9に示すように、E.coliおよび酵母溶解物の両方は、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートの4-HMFへの変換を実行できる内因性ホスファターゼ活性を示した。
【0288】
(表9)1時間のインキュベーション後の市販のホスファターゼと、それぞれ37℃および30℃での一晩インキュベーション後のE.coli lおよび酵母溶解物による、(5-ホルミルフラン-3-イル)メチルホスフェートからの4-HMF産生
【0289】
実施例4:4-HMFオキシダーゼ酵素の発現
7個の4-HMFオキシダーゼ酵素候補をコードする遺伝子(表4)を、GenScriptにより合成し、NdeIおよびBamHI制限部位で発現ベクターpET28a中にクローニングした。発現ベクターでE.coli BL21(DE3)を形質転換し、酵素発現に使用するまで形質転換体を15%グリセロール中に保存した。
【0290】
保存された形質転換体を、カナマイシンを含有する50mLのTBブロスに接種し37℃で16時間撹拌して種培養物を調製した。種培養物を、カナマイシンを含有するTBブロス300mLに加えて初期OD(600nm)0.2とし、次いで培養物を、OD(600nm)が0.6~0.8に達するまで撹拌しながら37℃でインキュベートし、この時点で1mMのIPTGを添加して、撹拌しながら18℃で一晩発現を誘導した。
【0291】
一晩発現させた後、細胞を6000xrpmで30分間遠心分離し、細胞ペレットを、冷溶解緩衝液(20mMのリン酸緩衝液および500mMのNaCl pH7.4)中に懸濁してから超音波破壊した。細胞溶解物を再び、8000xrpmで4℃で30分間遠心分離し、濾過して、アフィニティクロマトグラフィーで精製した。利用したカラムは、hisタグ付きタンパク質精製用のHisTrap FF Crude(GE Healthcare)であった。精製タンパク質を、結合緩衝液A(20mMのリン酸緩衝液、20mMのイミダゾール、500mMのNaCl、1mMのPMSFおよびベータ-メルカプトエタノール、pH7.4)でカラムに結合させ、洗浄し、溶出緩衝液B(20mMのリン酸緩衝液、500mMのイミダゾール、500mMのNaCl、1mMのPMSFおよびベータ-メルカプトエタノール、pH7.4)の勾配で溶出させた。その後、PD-10カラムを使用して、緩衝液を50mMのTris-HCl pH7.4に変更した。
図8に示すように、候補の発現および精製を電気泳動により12%ポリアクリルアミドゲル上で分析した。
【0292】
実施例5:HmfHオキシダーゼによる2,4-HMFからの2,4-FDCAの産生
表4に記載される酵素候補物による2,4-HMFからの2,4-FDCA産生は、約100μgの精製されたHmfHオキシダーゼ候補物を、およそ1mMの4-HMFを含有する実施例3からの1mLの反応容器(市販のホスファターゼを使用)とインキュベートすることによってインビトロで実証した。反応物を、30℃で16時間インキュベートし、最初と最終試料との両方をHPLC-DADにより分析した。試料をHPLC-DADに注入し、2,4-FDCAおよびその中間体の産生をGC-MSによって確認した。
【0293】
2,4-FDCAの定量的分析を、Aminex HPX-87H Bioradカラム(300×7.8mm)を備えたHPLC-DAD(Thermo Ultimate 3000)を使用して実行した。カラムを50℃に維持した。使用した移動相は、アイソクラティック勾配モードを有する流量0.6mL/分の5mMのH2SO4溶液であった。分子を245nmで検出した。
【0294】
GC-MS同定については、pHを2~3に減少させるために6MのHClを加えることにより、最初と最終の試料を停止した。産生物を、酢酸エチルを使用して液液抽出し、Na2SO4で乾燥させて、微量の水を除去した。次に、抽出された物質を、スピードバック(speedvac)で蒸発させ、ビス-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドを用いて60℃で2時間誘導体化した。試料を、四重極質量検出器(ISQ、Thermo社)と連結されたHP-5MSカラム(Agilent社、30m×0.25mm ID、0.25um膜厚)を備えるガスクロマトグラフに注入した。オーブンプログラムは、110℃で2分間開始され、20℃/分のランプを300℃まで増加させて、そこで3分間保持した。ヘリウムを1.2mL/分の流量でキャリアガスとして使用した。2,4-FDCAは、それらの質量スペクトルを文献のものと比較することによって、同定した。(参考文献:Carro,Juan,et al.“5-hydroxymethylfurfural conversion by fungal aryl-alcohol oxidase and unspecific peroxygenase.”The FEBS journal 282.16(2015):3218-3229.)4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート(2,4-FFCA)およびフラン-2,4-ジカルボアルデヒド(2,4-DFF)もまた、それらの質量スペクトルによって同定された。
【0295】
表10および
図9、
図10、および
図11に示すように、4-HMFの2,4-FDCAへの変換は、4-HMFオキシダーゼ、特に2,4-HMFから2,4-FDCAへの完全変換が可能な酵素HmfH7を用いて首尾よく実証された。
【0296】
図9(上パネル)は、HmfH1のクロマトグラムを示し、
図9(中パネル)は、HmfH6のクロマトグラムを示し、
図9(下パネル)は、HmfH7のクロマトグラムを示す。
図10(上パネル)は、GC-MSで取得された産生物の相対存在量、およびシリル化2,4-FDCAの質量スペクトル(下パネル)を示す(
図11)。
【0297】
(表10)16時間のインキュベーション後の4-HMFオキシダーゼ候補による4-HMFからの2,4 FDCA産生。反応中間体4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート(2,4-FFCA)およびフラン-2,4-ジカルボアルデヒド(2,4-DFF)も特定され、定量された
a。
a陰性対照反応物は、同様のアッセイ条件下で実行されたが、HMF-オキシダーゼ酵素は存在しなかった。
【0298】
実施例6:4-HMFからの2,4-フランジメタノールの産生-反応C
精製酵素を、実施例1に記載されるように産生した。
【0299】
表5に記載される酵素候補による、4-HMFからの2,4-フランジメタノールの産生は、およそ20μgの精製酵素候補を、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7)中で0.5mMのNAD(P)HまたはNADHとともにインキュベートすることによってインビトロで実証した。実施例3に示されるように得られた0.5mMの4-HMFの添加によって反応を開始した。NAD(P)Hの減少を、UV-Vis分光光度計(SpectraMax M5、Molecular Devices)を用いて、37℃、40分間、340nmで監視した。産生物の形成はまた、HPLCおよびGC-MS分析によって確認された(データは示さず)。酵素または基質(4-HMF)を含まない反応容器を、陰性対照として使用した。
【0300】
図12に示されるように、酵素候補DH1、DH2、およびDH6は、NAD(P)HのNAD(P)+への酸化によって測定される2,4-HMFの2,4-フランジメタノールへの還元を促進した。
【0301】
実施例7:4-HMFからのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドの産生-反応D
精製酵素を、実施例1に記載されるように産生した。表3に記載される酵素候補による4-HMFからのフラン-2,4-ジカルボアルデヒド産生は、およそ20μgの精製酵素候補を100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7)中で0.5mMのNAD(P)+またはNAD+とともにインキュベートすることによってインビトロで実証した。実施例3に示されるように得られた0.5mMの4-HMFの添加によって反応を開始した。NAD(P)Hの増加を、UV-Vis分光光度計(SpectraMax M5、Molecular Devices)を用いて、37℃、40分間、340nmで監視した。産生物の形成はまた、HPLCおよびGC-MS分析によって確認された(データは示さず)。酵素または基質(4-HMF)を含まない反応容器を、陰性対照として使用した。
【0302】
酵素DH2ついて示されるように、選択されたデヒドロゲナーゼは、4-HMFをインビトロでフラン-2,4-ジカルボアルデヒドに酸化することができる。
図13に示すデータは、ベースラインシグナルの減算後にプロットされており、酵素DH2を使用した場合の吸光度の増加ならびにその結果としての、NAD(P)Hの還元および2,4-HMFのフラン-2,4-ジカルボアルデヒドへの酸化を強調している。
【0303】
実施例8:2,4-HMFからの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸の産生-反応E
精製アルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素を、実施例1に記載されるように産生した。表3に記載されるアルデヒドデヒドロゲナーゼ候補による4-HMFからの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸産生は、およそ20μgの精製酵素候補を100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7)中で0.5mMのNAD(P)+またはNAD+とともにインキュベートすることによってインビトロで実証した。実施例3に示されるように得られた0.5mMの4-HMFの添加によって反応を開始した。NAD(P)Hの増加を、UV-Vis分光光度計(SpectraMax M5、Molecular Devices)を用いて、37℃、40分間、340nmで監視した。産生物の形成はまた、HPLCおよびGC-MS分析によって確認された(データは示さず)。酵素または基質(4-HMF)を含まない反応容器を、陰性対照として使用した。
【0304】
酵素DH8、DH9、DH10、およびDH11について代表的に示されるように、選択されたアルデヒドデヒドロゲナーゼは、インビトロで4-HMFを4-(ヒドロキシメチル)フロン酸に酸化することができる(
図14)。
図14に示すデータは、ベースラインシグナルの減算後にプロットされおり、評価の高いアルデヒドデヒドロゲナーゼを使用した場合の吸光度の増加ならびにその結果としてのNAD(P)Hの還元および2,4-HMFの4-(ヒドロキシメチル)フロン酸への酸化を強調している。
【0305】
実施例9:4-HMFからの2,4-FDCAの産生のためのワンポット反応
精製アルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素およびアルコールデヒドロゲナーゼ酵素を、実施例1に記載されるように産生した。代表的なアルデヒドデヒドロゲナーゼとしてDH8、および代表的なアルコールデヒドロゲナーゼとしてDH6を使用して、4-HMFからの2,4-FDCA産生についてワンポット酸化反応を実行した。
【0306】
反応を実施するために、0.5mMの2,4-HMFおよび1mMのNAD(P)Hを含有する実施例3からの反応混合物2mLに、20uMの精製酵素候補DH8およびDH6を添加した。陽性対照反応物を、表11に示すように調製した。2つの陰性対照を1つは酵素なしで、もう1つは基質なしで調製した。反応物を、30℃で16時間インキュベートし、最初と最終試料の両方をHPLC-DADにより分析した。試料をHPLC-DADに注入し、以下の方法を使用してGC-MSで2,4-FDCAの産生を確認した。
【0307】
2,4-FDCAの定量的分析を、Aminex HPX-87H Bioradカラム(300×7.8mm)を備えたHPLC-DAD(Thermo Ultimate 3000)を使用して実行した。カラムを50℃に維持した。使用した移動相は、アイソクラティック勾配モードを有する流量0.6mL/分の5mMのH2SO4溶液であった。分子を245nmで検出した。
【0308】
GC-MS同定については、pHを2~3に減少させるために6MのHClを加えることにより、最初と最終の試料を停止した。産生物を、酢酸エチルを使用して液液抽出し、Na2SO4で乾燥させて、微量の水を除去した。次いで、抽出された物質を、スピードバックで蒸発させ、ビス-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドを用いて60℃で2時間誘導体化した。試料を、四重極質量検出器(ISQ、Thermo社)と連結されたHP-5MSカラム(Agilent社、30m×0.25mm ID、0.25um膜厚)を備えるガスクロマトグラフに注入した。オーブンプログラムは、110℃で2分間開始され、20℃/分のランプを300℃まで増加させて、そこで3分間保持した。ヘリウムを1.2mL/分の流量でキャリアガスとして使用した。2,4-FDCAは、それらの質量スペクトルを文献のものと比較することによって、同定した。(参考文献:Carro,Juan,et al.“5-hydroxymethylfurfural conversion by fungal aryl-alcohol oxidase and unspecific peroxygenase.”The FEBS journal 282.16(2015):3218-3229.)4-ホルミルフラン-2-カルボキシレート(2,4-FFCA)およびフラン-2,4-ジカルボアルデヒド(2,4-DFF)もまた、それらの質量スペクトルによって同定された。
【0309】
表11および
図15(中パネル)に示すように、4-HMFの2,4-FDCAへの変換は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(DH8)およびアルコールデヒドロゲナーゼ(DH6)の相乗作用/組み合わせを用いて首尾よく実証された。
【0310】
(表11)16時間のインキュベーション後のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(DH8)およびアルコールデヒドロゲナーゼ(DH6)の相乗作用/組み合わせによる、4-HMFからの2,4 FDCA産生(2,4 FDCAピーク面積)
【0311】
実施例10.グルコースからの2,4-FDCAのインビボ産生
OXB20プロモーターの制御下にあるMfnB1遺伝子(表1)を含有するプラスミドを、pET28a骨格内に構築した。OXB20プロモーターの制御下にある2つの4-HMFオキシダーゼ遺伝子(HmfH6およびHmfH7(表4))を含有する第2のプラスミドを、pZS*13骨格中に構築した。プラスミドは、インフュージョン市販キットを使用して構築され、配列決定によって確認された。E.coli K12株MG1655(F-、λ-、rph-1、ilvG-、rfb-50、ΔgapA::gapN(UniProtKB-Q59931)、ΔglcDEFGB、ΔaraFGH、ΔxylFGH、ΔfucO)を産生宿主として使用した。
【0312】
グルコースからの2,4-FDCAのインビボ産生は、以下によって構成される定義された培地を使用して、3回の振とうフラスコ発光で評価した。2.2g.L
-1 KH
2PO
4、9.4g.L
-1 K
2HPO
4、1.3g.L
-1(NH
4)
2SO
4、10mg.L
-1 チアミン、320mg.L
-1 EDTA-NaOH、2mg.L
-1 CoCl
2.6H
2O、10mg.L
-1 MnSO
4.H
2O、5mg.L
-1 CuSO
4.5H
2O、2mg.L
-1 H
3BO
3、2mg.L
-1 Na
2MoO
4.2H
2O、54mg.L
-1 ZnSO
4.7H
2O、1mg.L
-1 NiSO
4.6H
2O、100mg.L
-1 クエン酸Fe(III)、100mg.L
-1 CaCl
2.2H
2O、0.3g.L
-1 MgSO
4.H
2O。炭素源は10g/Lのグルコースによって提供され、窒素源として硫酸窒素を使用した。三角フラスコに組換え株を0.1の初期ODまで接種し、37℃、225rpmで48時間インキュベートした。HPLCによる48時間の上清の分析は、14±2mg/Lの2,4-FDCAの産生を示した(
図16)。
【配列表】
【国際調査報告】