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▶ イ・エメ・ア,インドゥストリア・マキーネ・オートマティーク・ソシエタ・ペル・アチオニの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(54)【発明の名称】紙ストロー
(51)【国際特許分類】
   A47G 21/18 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
A47G21/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552574
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 IT2020050053
(87)【国際公開番号】W WO2020178873
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102019000003245
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102019000006310
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500361593
【氏名又は名称】イ・エメ・ア,インドゥストリア・マキーネ・オートマティーク・ソシエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ドラゲッティ フィオレンツォ
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115BA18
3B115DA17
(57)【要約】
ストロー(10)の2つの隣接する部分(14,15)の一方が他方の上に折り曲げられることを可能にするように構成された可撓形状部分(13)を備える、長手方向軸(Z)に沿って展開する紙製の折り曲げ可能な飲用ストロー(10)。可撓形状部分(13)は、長手方向軸(Z)に沿って連続して配置されるとともに各々がストロー(10)の円形断面における限定的な周方向部分上に形成された複数の窪み(16)によって画定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形断面を有するとともに長手方向軸(Z)に沿って展開される紙製の折り曲げ可能な飲用ストロー(10)において、
前記ストロー(10)の2つの隣接する部分(14,15)の一方が他方の上に折り曲げられることを可能にするように構成された可撓形状部分(13)を備え、
前記長手方向軸(Z)に沿って連続して配置され、各々が前記ストロー(10)の円形断面における限定的な周方向部分上に形成された複数の窪み(16)によって、前記可撓形状部分(13)が画定され、
前記複数の窪み(16)が、前記可撓形状部分(13)の前記長手方向の展開に沿って配置されかつ互いに角度オフセットされている窪み(16)の集まりを備える、ストロー(10)。
【請求項2】
前記可撓形状部分(13)は、前記ストロー(10)の限定的な周方向部分上に形成され前記長手方向軸(Z)に平行な方向に互いに整列された第1の一対の窪み(16c)と、前記第1の一対の窪み(16c)の前記2つの窪みの間に介在するよう設けられこれらに対して角度オフセットされた第2の一対の窪み(16d)と、から構成される窪み(16)の集まりを少なくとも1つ備える、請求項1に記載のストロー(10)。
【請求項3】
前記第1の一対の窪み(16c)の前記2つの窪みは、前記長手方向軸(Z)に対して前記ストロー(10)の同じ側に配置される、請求項2に記載のストロー(10)。
【請求項4】
前記第2の一対の窪み(16d)の前記2つの窪みは、前記長手方向軸(Z)にほぼ直交する方向に対向して整列している、請求項2又は3に記載のストロー(10)。
【請求項5】
前記第2の一対の窪み(16d)の前記2つの窪みは、前記第1の一対の窪み(16c)に対してほぼ90°オフセットされている、請求項2~4の何れか一項に記載のストロー(10)。
【請求項6】
長手方向に隣接する一対の窪み(16)に対して約90°角度オフセットされた対向する一対の窪み(16)を備える、請求項1に記載のストロー(10)。
【請求項7】
前記ストロー(10)の前記周方向に沿って約120°の角度間隔で配置された3つの窪み(16)からなる集まりを備え、当該3つの窪み(16)からなる集まりは、長手方向に隣接する3つの窪み(16)からなる集まりに対して約60°角度オフセットされている、請求項1に記載のストロー(10)。
【請求項8】
前記ストロー(10)の前記周方向に沿って約90°の角度間隔で配置された4つの窪み(16)からなる集まりを備え、当該4つの窪み(16)からなる集まりは、長手方向に隣接する4つの窪み(16)からなる集まりに対して約45°角度オフセットされている、請求項1に記載のストロー(10)。
【請求項9】
各前記窪み(16)は、前記長手方向軸(Z)に対して垂直なほぼ直線状の展開を有する、請求項1~8の何れか一項に記載のストロー(10)。
【請求項10】
各前記窪み(16)は、前記長手方向軸(Z)に対して、特に約30°から約60°の傾斜角だけ傾斜した直線状の展開を有する、請求項1~8の何れか一項に記載のストロー(10)。
【請求項11】
円形断面を有するとともに長手方向軸(Z)に沿って展開される紙製の折り曲げ可能な飲用ストロー(10)を製造する方法において、
前記長手方向軸(Z)に沿って連続して配置されるよう、かつ、各々が紙製の円筒状筒状体の円形断面における限定的な周方向部分上において前記長手方向軸(Z)を横断するよう形成されるよう、複数の窪み(16)を前記紙製の円筒状筒状体に沿って形成して、前記ストロー(10)の2つの隣接する部分(14,15)の一方が他方の上に折り曲げられることを可能にするよう構成された可撓形状部分(13)を画定する工程を有し、
前記方法は、
前記可撓形状部分(13)の前記長手方向の展開に沿って配置されるとともに互いに対して角度オフセットされた窪み(16)の集まりを、前記紙製の円筒状筒状体に沿って形成する工程をさらに有する、方法。
【請求項12】
前記ストロー(10)の限定的な周方向部分上に形成され前記長手方向軸(Z)に平行な方向に互いに整列された第1の一対の窪み(16c)と、前記第1の一対の窪み(16c)の前記2つの窪みの間に介在するよう設けられこれらに対して角度オフセットされた第2の一対の窪み(16d)と、から構成される窪み(16)の集まりを、少なくとも1つ、前記紙製の円筒状筒状体に沿って形成する工程をさらに有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の一対の窪み(16c)の2つの窪みを、前記長手方向軸(Z)に対して前記ストロー(10)の同じ側に形成する工程をさらに有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の一対の窪み(16d)の2つの窪みを、前記長手方向軸(Z)にほぼ直交する方向に対向して整列するよう形成する工程をさらに有する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の一対の窪み(16d)の2つの窪みを、前記第1の一対の窪み(16c)に対してほぼ90°オフセットさせて形成する工程をさらに有する、請求項12~14の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、紙製の折り曲げ可能な飲用ストロー及び対応する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラス、ボトル、及び例えば「ブリック」としても知られている平行六面体の形状の厚紙パッケージなどの容器から一般的な飲み物又は飲料を吸い上げるための、食品分野で典型的に使用されるプラスチック製の飲用ストローが知られている。
【0003】
また、一部のタイプのストローは、ストローの端部をほぼ180°でそれ自体の上に折り曲げることを可能にするのに適した可撓形状部分を有する、折り曲げ可能なタイプであることも知られている。典型的には、この形状はベロー型の形状であり、これは、ストローの長手方向の展開(development)に対して同心及び同軸の環状のリッジ部及びのど部の連続によって画定され、例えばその折り曲げを可能にするのに適した溝、窪み、厚さのばらつきによって画定される。
【0004】
特にこれに関連して、問題のストローは、しばしば容器の表面上に包装されてつけられることが知られている。この場合、ストローが容器のバルクを越えて突出しないようにほぼ180°の大きな折り曲げ角度を得ることでストローのサイズを小さく保つ必要がある。
【0005】
また、問題のストローを製造するプラスチックは、プラスチック材料自体の固有の加工特性により、ストローによって、特にストローの可撓形状部分によって必要とされる構造的特性を比較的容易に得ることが可能であることも知られている。
【0006】
しかしながら、プラスチックストローには、とりわけ、プラスチックの汚染及び生分解性の悪さに関連する多くの欠点がある。
【0007】
このため、プラスチックストローに代わるよりエコサステナブルな代替品が紙ストローによって代表される。
【0008】
紙又は厚紙で作られた筒状体を1つ又は複数の紙ストリップ又はフィラメントのらせん巻き(フィラメント巻き)によって製造するための公知の方法がある。この製造技術を使用して、例えばマンドレルなどの回転要素の周りに張力下で紙フィラメントをらせん状に巻き、その際、構造的安定性のため及び少なくとも部分的な防水機能のために1つ又は複数の接着剤の中間層を設けること(ガム加工操作)によって、円筒状体を製造することができる。例えば、特許文献EP-B-1.631.425には、マンドレルの周りにらせん状に巻かれたストリップから筒状体を製造する装置が記載されている。
【0009】
使用し得るもう1つの技術は、2枚の紙を長手方向軸に巻き付け、それらを縁に沿って長手方向に重ね合わせてその縁で接着するというものである。
【0010】
これに関連して、折り曲げ可能な紙ストローの製造において、可撓形状部分を180°折り曲げることは使用される材料の特定の性質によって課題となりまた複雑となり、何故なら紙は考え得るプロセスに対してかなりの機械的抵抗を有するからである。
【0011】
例えば、特許文献US-A-2.985.077及びUS-B-9.974.403から紙製の折り曲げ可能な飲用ストローが知られており、このストローは、可撓形状部分が周方向環状のど部の連続によって画定され、各のど部は特定の間隔の角度偏位を可能にする。
【0012】
しかしながら、これらの公知の解決手段の1つの欠点は、高い曲率半径が規定されることによって、可撓形状部分がかなり長く設けられていない限り、ストローの末端部分をそれ自体の上に180°折り曲げることができず、よって、例えば「ブリック」タイプの容器用のストローなどの小型の飲用ストローにおける問題の実用的かつ工業的ニーズに適合しないということである。
【0013】
したがって、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服することができるストローを完成させる必要がある。
【0014】
特に、本発明の1つの目的は、可撓形状部分の長さを短く保ちながら、高い値の折り曲げ角度、好ましくは180°の折り曲げ角度を得ることができる折り曲げ可能な紙ストローを提供することである。
【0015】
また、本発明の目的は、そのような高い値の折り曲げ角度に到達することを可能にするとともに、それによってその構造的な機械的特性及び液体に対する密閉性を損なうことのない折り曲げ可能な紙ストローを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、公知の折り曲げ可能なプラスチックストローに完全に取って代わることができる折り曲げ可能な紙ストローを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、シンプルかつ効率的な方法で折り曲げ可能な紙ストローを製造することができる方法を提供することである。
【0018】
本出願人は、従来技術の欠点を克服するとともに上記の及び他の目的及び利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具現化した。
【発明の概要】
【0019】
本発明は独立請求項において記載され特徴付けられている。従属請求項には本発明の他の特徴又はメインの発明アイデアの変形が記載される。
【0020】
上記の目的に従い、本発明は、円形断面を有するとともに長手方向軸に沿って展開する紙製の折り曲げ可能な飲用ストローであって、可撓形状部分を備える飲用ストローに関する。
【0021】
可撓形状部分は、ストローの2つの隣接する部分の一方が他方の上に折り曲げられることを可能にするように構成されている。
【0022】
可撓形状部分は、長手方向軸に沿って連続するとともに角度オフセットされた複数の窪みであって、各々が、ストローの円形断面における限定的な周方向部分上に、長手方向軸を横断するよう形成された複数の窪みによって画定される。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数の窪みは、長手方向に隣接する複数の窪みに対して角度オフセットされている。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、可撓形状部分は、ストローの限定的な周方向部分上に形成され長手方向軸に平行な方向に互いに整列された第1の一対の窪みと、第1の一対の窪みの2つの窪みの間に介在しこれらに対して角度オフセットされた第2の一対の窪みと、から構成される窪みの集まりを少なくとも1つ備える。
【0025】
本発明の一態様では、複数の窪みは、可撓形状部分の長手方向の展開に沿って配置され互いに対して角度オフセットされた窪みの集まりを備える。
【0026】
有利には、窪みの形状配置、深さ及び数は、ストローにおける可撓形状部分に隣接するの部分間において到達することができる可能角度偏位最大値及び折り曲げ方向を決定することができる。
【0027】
したがって、有利には、ストローの2つの隣接する部分間の高い角度偏位値を得ることが可能であり、これにより、可撓形状部分の長手方向の展開を抑えることができる。
【0028】
ストローの円形断面の片側に限定される周方向部分上に形成された1つ又は複数の窪みを備える実施形態は、優先的な折り曲げ方向を有することができる。
【0029】
また本発明は、円形断面を有し、長手方向軸に沿って展開する紙製の折り曲げ可能な飲用ストローを製造する方法に関する。
【0030】
本方法は、長手方向軸に沿って連続して配置され角度オフセットされるよう、複数の窪みを紙製の円筒状筒状体に沿って形成する工程を有する。
【0031】
各窪みは、紙製の円筒状筒状体の円形断面における限定的な周方向部分上において長手方向軸を横断するよう形成され、これにより、ストローにおける2つの隣接する部分の一方が他方の上に折り曲げられることを可能にするよう構成された可撓形状部分が画定される。
【0032】
本発明のこれらの及び他の態様、特徴及び利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられたいくつかの実施形態の以下の記載から明らかになるであろう。
【0033】
理解を容易にするために、図面において、可能な場合は同じ参照符号を使用して同一の共通構成要素を示している。一実施形態の構成要素及び特徴は、さらなる説明を必要とせずに他の実施形態に適宜組み込むことができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1a】本発明の実施形態によるストローを概略的に示す。
図1b】本発明の実施形態によるストローを概略的に示す。
図1c図1aの断面AA’に沿って本発明の実施形態によるストローを概略的に示す。
図1d図1bの断面AA’に沿って本発明の実施形態によるストローを概略的に示す。
図2】本発明の実施形態による、折り曲げられた配置のストローを示す。
図3】本発明の実施形態によるストローを概略的に示す。
図4】本発明の実施形態によるストローを概略的に示す。
図5】本発明の実施形態によるストローの概略断面図である。
図6】本発明の実施形態によるストローの概略断面図である。
図7a】本発明の実施形態によるストローを概略的に示す。
図7b】本発明の実施形態によるストローを概略的に示す。
図7c図7aの断面BB’に沿う本発明の実施形態によるストローの一部を概略的に示す。
図7d図7bの断面BB’に沿う本発明の実施形態によるストローの一部を概略的に示す。
図7e図7aの断面CC’に沿う本発明の実施形態によるストローの一部を概略的に示す。
図7f図7bの断面DD’に沿う本発明の実施形態によるストローの一部を概略的に示す。
図8】本発明の実施形態によるストローの一部を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の種々の実施形態を詳細に参照するが、そのうちの1つ又は複数の例を添付の図面に示す。各例は本発明を例示するために提供されており、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。例えば、1つの実施形態の一部である程度に示され又は記載された特徴は、別の実施形態を作り出すために他の実施形態に採用され得る又は他の実施形態と関連付けられる。本発明は全てのこのような変形及びバリエーションを含むことが理解される。
【0036】
これらの実施形態を説明する前に、本明細書の記載は、添付の図面を使用して以下の記載で説明される構成要素の構成及び配置の詳細にその適用が限定されないことも明らかにしなければならない。本明細書の記載は、他の実施形態を提供することができ、さまざまな他の方法で取得又は実行することができる。また、本明細書において使用される語法及び用語は、説明のみを目的としたものであり、限定的なものと見なすことはできないことを明確にしなければならない。
【0037】
添付の図面によって説明される実施形態は、円形断面を有し、長手方向軸Zに沿って展開する紙製の折り曲げ可能な飲用ストロー10に関する。
【0038】
ストロー10は可撓形状部分13を備え、可撓形状部分13は、ストロー10における2つの隣接する部分14,15の一方が他方の上に折り曲げられる、有利には約180°で折り曲げられることを可能にするように構成されている。
【0039】
可撓形状部分13は複数の窪み16によって画定されており、複数の窪み16は長手方向軸Zに沿って連続して配置されかつ角度オフセットされ、そして各々が、ストロー10の円形断面の限定的な周方向部分上で長手方向軸Zを横断するよう形成されている。
【0040】
例えば、図1a,図1b,図7a,図7bを参照すると、ストロー10は、長手方向軸Zの周りに巻かれた細長くほぼ円筒状の形状を有する単一の中空筒状体から構成することができる。
【0041】
したがって、純粋に説明のために、ストロー10は上端12及び下端11として示すことができる2つの端部を有する。
【0042】
特に、用語「上」及び「下」は、ストロー10の機能性及び/又は配置に関して限定的な意味で理解されてはならず、これらはこのタイプの製品について典型的でなじみのあるかたちで使用することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、ストロー10は紙材料から作ることができ、特に、複数の重なり合う紙層又はストリップとして、例えばらせん状に又は長手方向に作ることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、重なり合う紙層又はストリップのうちの少なくとも1つは接着剤と関連付けることができ、即ちのり付けすることができる。接着剤は、少なくとも所望の期間ストロー10に構造的及び機械的結合性を提供することができ、さらに有利には防水性も提供することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、ストロー10は外径が2mmから20mm、好ましくは4mmから10mmであってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、ストロー10は厚さが0.2mmから0.5mmであってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、ストロー10は長さが100mmから400mmであってもよい。
【0048】
ストロー10の長手方向の展開における中間部は、要求に応じてさまざまな長さとすることができ、可撓形状部分13を有する。
【0049】
可撓形状部分13は2つの隣接する部分14,15を画定し、そのうち、例えば、実質的に硬い下側部分14は可撓形状部分13と下端11との間に延在し、実質的に硬い上側部分15は可撓形状部分13と上端12との間に延在する。
【0050】
いくつかの実施形態では、可撓形状部分13は、下側部分14及び上側部分15の一方が他方の上に好ましくは180°で折り曲げられるのを可能とするよう構成され、これによって回転の支点が可撓形状部分13に与えられるように構成することができる。
【0051】
したがって、ストロー10は、図1a,図1b,図3図4図7a,図7bに例示されるように、上側部分15と下側部分14が互いに整列している、即ちこれらが180°の角度を成すような伸長配置と、上側部分15と下側部分14がさまざまな角度を成すような角度付き配置とをとることができる。
【0052】
図2を用いて記載される実施形態では、例えば「ブリック」タイプの容器に使用されるストロー10の場合に有利なことに、下側部分14及び上側部分15は全方向において往復角度偏位で回転することができ、この往復角度偏位は180°にわたることもできる。
【0053】
この場合、ストロー10は、下側部分14と上側部分15が成す角度が概念的には0°である折り曲げ配置もとることができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態では、可撓形状部分13が下側部分14と上側部分15の間の往復回転の支点として作用することを可能にする特徴は、複数の窪み16の存在と関連している。
【0055】
いくつかの実施形態では、窪み16はストロー10の表面の変形として構成することができ、これにより周囲領域の表面の平均レベルに対してレベルが低くなっている。
【0056】
いくつかの実施形態では、窪み16は、例えばさまざまな形状及びサイズの先端、ブレード、歯、ウェッジなどの適切なコントラスト手段による圧力により得ることができる。
【0057】
窪み16の配置形状によってストロー10の下側部分14と上側部分15の間の折り曲げ方向を決定することができる。
【0058】
例えば、ストロー10の円形断面の片側に限定される周方向部分上に形成された窪み16は、窪み16が設けられた側によって規定される折り曲げ方向へのストロー10の折り曲げを促すことができる。
【0059】
別の実施例によれば、2つの対向する窪み16の存在によって、窪み16が設けられた側によって規定される2つの折り曲げ方向へのストロー10の折り曲げを促すことができる。
【0060】
更に、窪み16の深さ及び数は、ストロー10の下側部分14と上側部分15の間において到達することができる可能角度偏位最大値を決定することができる。
【0061】
特に、各窪み16に関連する角度偏位値は、窪み16の深さを深くすることで増大させることが可能である。
【0062】
さらに、窪み16が互いに対して角度オフセットされているという事実により、可撓形状部分13に対応して紙材料を弱めることが可能となり、これにより、ブレークポイント、縁又は過度の変形が生じることが防止されるとともに、可撓形状部分13の制御された折り曲げが可能となる。
【0063】
図7a,図7b,図7c,図7d,図7e及び図7fを用いて記載される実施形態では、可撓形状部分13は窪み16の集まりを少なくとも1つを含み、窪み16の集まりは、ストロー10における限定的な周方向部分上に形成されかつ長手方向軸Zに平行な方向に互いに整列された第1の一対の窪み16cと、第1の一対の窪み16cの2つの窪みの間に介在しこれらに対して角度オフセットされた第2の一対の窪み16dと、から構成される。
【0064】
第1の一対の窪み16cの2つの窪みは、長手方向軸Zに対してストロー10の同じ側に配置することができる。
【0065】
第2の一対の窪み16dの2つの窪みは、長手方向軸Zにほぼ直交する方向に対向して整列させることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、第2の一対の窪み16dの2つの窪みは、第1の一対の窪み16cに対して実質的に90°オフセットされる。
【0067】
図7a,図7b,図7e及び図7fを用いて記載される実施形態では、ストロー10の一方の側は長手方向軸Zに対する第1の一対の窪み16cの一方の窪みの位置によって規定されることから、第1の一対の窪み16cの他方の窪みは同じ側に配置される。
【0068】
さらに、長手方向軸Zに沿って第1の一対の窪み16cを通過する可撓形状部分13の長手方向断面を考慮すると、第1の一対の窪み16cの2つの窪みのセクションは長手方向断面の同じ側に配置されている。
【0069】
さらに、ストロー10の他方の側は長手方向軸Zに対する第2の一対の窪み16dの一方の窪みの位置によって規定されることから、第2の一対の窪み16cの他方の窪みは長手方向軸Zに対して他方の側と対向する側に配置される。
【0070】
したがって、これらの実施形態では、長手方向軸Zに沿って第2の一対の窪み16dを通過する可撓形状部分13の長手方向断面を考慮すると、第2の一対の窪み16dの2つの窪みのセクションは長手方向断面の対向側に配置される。
【0071】
これらの実施形態では、ストロー10は、第1の一対の窪み16cが設けられた側によって規定される優先的な折り曲げ方向を有することができる。
【0072】
同様に、図4を用いて記載される実施形態では、ストロー10の各側に、長手方向軸Zに沿って連続して配置された2つの窪み16が設けられており、これらは互いに対して約180°角度オフセットされ、各々がストロー10の円形断面の片側に限定される周方向部分上に形成されている。
【0073】
これらの実施形態では、ストロー10は、窪み16が設けられた2つの側によって規定される2つの折り曲げ方向に折り曲げることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、図1a,図1b,図2図3図4に例示されるように、複数の窪み16は窪み16の集まりとして構成され、窪み16の集まりは可撓形状部分13の長手方向の展開に沿って配置される。
【0075】
いくつかの実施形態では、窪み16の集まりは、長手方向に隣接する窪み16の集まりに対して角度オフセットされている。
【0076】
図7a,図7b,図7e及び図7fに概略的に示すように、窪み16の集まりは、ストロー10の円形断面の片側に限定される周方向部分上に形成された窪み16と、一対の対向する窪み16と、の両方を含むことができることは明らかである。
【0077】
これらの実施形態は、片側に形成された窪み16によって決定される優先的な折り曲げ方向を有することができる。
【0078】
本出願人は、可撓形状部分13の長手方向の展開に沿って、窪みの集まりを最低2つ設けることで、好ましくは窪み16の集まりを3つ又は4つ設けることで、例えば180°の高い角度偏位値を得ることができることを検証した。
【0079】
有利には、窪み16は、厚さにおける空洞としてではなく表面の変形として形成されるので、ストロー10の表面の平均レベルに関して、ストロー10の直径と両立するようさまざまな深さを有することができ、そしてそれによって液体の漏れに対するストロー10自体の密閉性を損なうことがないよう構成することができる。
【0080】
したがって、本発明の1つの利点は、従来技術の折り曲げ可能な紙ストローと比較して、下側部分14と上側部分15の間の高い角度偏位値を得ることが可能であり、窪み16の深さが深くなり、窪み16の数が抑えられ、したがって可撓形状部分13の長手方向の展開が抑えられることである。
【0081】
この利点は、ストロー10が、例えば「ブリック」タイプの容器のためのストローの場合のように、形状、サイズ及び長さに関する所定のパラメータを考慮しなければならない場合、時に抑制しなければならない場合に、特に重要である。
【0082】
図1a,図1b,図1c,図1dを用いて記載される実施形態では、長手方向に隣接する一対の窪み16に対して90°角度オフセットされた一対の対向する窪み16が設けられている。
【0083】
特に、図1c,図1dに示す図では、長手方向に隣接する一対の窪み16bに対して90°角度オフセットされた一対の窪み16aを軸方向投影図で見ることができる。
【0084】
図5を用いて例示される他の実施形態では、窪み16の集まりは、例えばストロー10の周方向に沿って約120°の角度間隔で設けられた3つの窪み16からなる集まりである。
【0085】
これらの実施形態では、3つの窪み16aからなる集まりは、長手方向に隣接する3つの窪み16bからなる集まりに対して約60°角度オフセットされていてもよい。
【0086】
図6を用いて例示される他の実施形態も可能であり、この例では、窪み16の集まりは、例えばストロー10の周方向に沿って約90°の角度間隔で設けられた4つの窪みからなる集まりである。
【0087】
これらの実施形態では、4つの窪み16aからなる集まりは、長手方向に隣接する4つの窪み16bからなる集まりに対して約45°角度オフセットされていてもよい。
【0088】
窪み16はさまざまな形状及びサイズの展開を有することができ、折り曲げ工程において、長手方向軸Zに沿って連続して配置され角度オフセットされた窪み16の展開が共同して折り曲げ経路又はパターンを画定し、この折り曲げ経路又はパターンに沿って可撓形状部分13が曲がって下側部分14と上側部分15の折り曲げ及び/又は往復回転が可能となる。
【0089】
図1a,図1b,図2を用いて記載される実施形態では、各窪み16は、ストロー10の周方向部分上に形成された、長手方向軸Zに対して垂直な直線状の展開を有する。
【0090】
図3を用いて記載される他の実施形態では、各窪みはストロー10の周方向部分上に形成された直線状の展開を有し、各窪みは長手方向軸Zに対して例えば約30°から約60°の傾斜角だけ傾斜している。
【0091】
これらの実施形態では、角度オフセットして配置された窪み16の傾斜した展開が共同してらせん状の折り曲げ経路又はパターンを生成することができる。
【0092】
他の実施形態では、非直線状の展開、例えば弓形又は楔形の展開を有する窪み16を設けることもできる。
【0093】
窪み16の数、配置、サイズ及び展開は、必要に応じて、例えばストロー10のサイズ、所望の折り曲げ角度の値、及び/又はストロー10に必要なサイズに基づいて調整することができることは明らかである。
【0094】
特に、円周の長さがより長いストロー10は、より多くの数の窪み16及び/又はより大きいサイズの窪み16を有することができる。
【0095】
本発明はまた、円形断面を有し長手方向軸Zに沿って展開される紙製の折り曲げ可能な飲用ストロー10を製造する方法に関する。
【0096】
本発明の方法は、以下の工程を有する。
- 紙材料を層又はストリップで準備する工程。
- 例えばマンドレルの周りに紙材料の層又はストリップを巻き付けて、紙の円筒状筒状体を得る工程。
- 長手方向軸Zに沿って連続して配置され角度オフセットされた複数の窪み16を、紙の円筒状筒状体に沿って形成する工程。各窪みは、紙の円筒状筒状体の円形断面における限定的な周方向部分上において、長手方向軸Zを横断するよう形成される。したがって、この複数の窪みは、ストロー10の2つの隣接する部分14,15の一方が他方の上に折り曲げられることを可能にするように構成された可撓形状部分13を画定する。
- ストロー10を画定するように、即ち、上端12と、下端11と、実質的に硬い上側部分15と、実質的に硬い下側部分14と、上側部分15と下側部分14の間に設けられ窪み16の影響を受ける領域によって画定される可撓形状部分13と、を画定するように、中空筒状体を切断する工程。
【0097】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、ストロー10の限定的な周方向部分上に形成され長手方向軸Zに平行な方向に互いに整列された第1の一対の窪み16cと、第1の一対の窪み16cの2つの窪みの間に介在するよう設けられこれらに対して角度オフセットされた第2の一対の窪み16dと、から構成される窪み16の集まりを、少なくとも1つ、紙の円筒状筒状体に沿って形成することを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、第1の一対の窪み16cの2つの窪みを、長手方向軸Zに対してストロー10の同じ側に形成することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、第2の一対の窪み16dの2つの窪みを、長手方向軸Zにほぼ直交する方向に対向して整列するよう形成することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、第2の一対の窪み16dの2つの窪みを、第1の一対の窪み16aに対してほぼ90°オフセットさせて形成することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、紙材料の層又はストリップの巻き付けは、フィラメント巻き付け法及び装置によって行うことができる。
【0102】
他の実施形態では、紙のシート又は層を長手方向軸Zの周りに巻き付けて、縁同士を重ね合わせ接着することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、紙材料の3つの層又はストリップを供給することができ、そのうちの少なくとも1つ、例えば、中間層又は中間ストリップは、層又はストリップへの結合を保証しストロー10を密閉するのに適した接着剤に浸漬される。
【0104】
いくつかの実施形態では、紙材料の最内側層は、その外面のみを接着剤に浸すことができ、これによりストロー10を通過する液体と接着剤が接触することが防止される。
【0105】
本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、ストロー10又は上記の方法に対して、部品又は工程の変更及び/又は追加を行うことができることは明らかである。
【0106】
また、本発明についていくつかの特定の例を参照して記載したが、当業者は、特許請求の範囲に記載された特徴を有し、したがって、それによって定義された保護の範囲内にある多くの他の同等の形態のストローを確かに達成することができるであろうことも明らかである。
【0107】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、読みやすくすることを唯一の目的としており、それらは特定の特許請求の範囲で主張される保護のフィールドに関する制限的要因と見なされてはならない。
図1a-1b】
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7a-7b】
図7c
図7d
図7e-7f】
図8
【国際調査報告】