(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(54)【発明の名称】ダイヤフラムポンプ用の弁ユニット
(51)【国際特許分類】
F04B 43/02 20060101AFI20220418BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
F04B43/02 D
F04B53/10 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552682
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2020056574
(87)【国際公開番号】W WO2020182921
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】102019106370.1
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517408070
【氏名又は名称】ペー・エス・ゲー ジャーマニー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】PSG Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チャランクマール コダンダラマイアー
(72)【発明者】
【氏名】パラヴィーン チャンドラシェカライアー
(72)【発明者】
【氏名】ジモン ネッテスハイム
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ギスベアツ
【テーマコード(参考)】
3H071
3H077
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071CC31
3H071CC33
3H071CC34
3H071CC37
3H071DD04
3H071DD12
3H071DD13
3H077AA01
3H077CC02
3H077CC09
3H077CC17
3H077DD14
3H077EE34
3H077EE36
3H077EE37
3H077FF04
3H077FF12
3H077FF14
(57)【要約】
ダイヤフラムポンプ用の弁ユニットであって、弁ユニットは、吸込側と吐出側とを有している。第1の吐出通路(23)が、吸込側に配置された入口開口(24)から、吐出側に配置された出口開口(25)に通じており、第2の吐出通路(26)が、吸込側に配置された入口開口(27)から、吐出側に配置された出口開口(28)に通じている。吸込通路(30)が、第1の部分(31)と第2の部分(32)とを有しており、第2の部分(32)は、吸込側に配置された出口開口(33)を有しており、第1の部分(31)は、第2の部分(32)に対して所定の角度で延在している。吸込通路(30)の第2の部分(32)の出口開口(33)には吸込弁体(40)が設けられており、第1の吐出通路(23)の出口開口(25)には第1の吐出弁体(41)が設けられている。第2の吐出通路(26)の出口開口(28)は、第2の吐出弁体によって又は第1の吐出弁体(41)によっても開閉されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムポンプ用の弁ユニットであって、前記弁ユニットは、吸込側と吐出側とを有しており、
-第1の吐出通路が、前記吸込側に配置された、前記第1の吐出通路に対応する入口開口から、前記吐出側に配置された、前記第1の吐出通路に対応する出口開口に通じており、第2の吐出通路が、前記吸込側に配置された、前記第2の吐出通路に対応する入口開口から、前記吐出側に配置された、前記第2の吐出通路に対応する出口開口に通じており、
-第1の部分と、前記第1の部分に続く第2の部分とを有する吸込通路が設けられており、前記第2の部分は、前記吸込側に配置された出口開口を有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分に対して所定の角度で延在しており、
-前記吸込通路の前記第2の部分の前記出口開口には吸込弁体が設けられており、前記吸込弁体は、閉鎖位置において前記出口開口を閉じ、開放位置において前記出口開口を開くようになっており、
-前記第1の吐出通路の前記出口開口には吐出弁体が設けられており、前記吐出弁体は、閉鎖位置において前記出口開口を閉じ、開放位置において前記出口開口を開くようになっており、
-前記第2の吐出通路の前記出口開口に、閉鎖位置において前記出口開口を閉じかつ開放位置において前記出口開口を開く専用の吐出弁体が設けられており、又は、前記第1の吐出通路の前記出口開口を閉鎖位置において閉じかつ前記第1の吐出通路の前記出口開口を開放位置において開く前記吐出弁体は、前記第1の吐出通路の前記出口開口を閉じる前記閉鎖位置において、前記第2の吐出通路の前記出口開口をも閉じ、かつ、前記第1の吐出通路の前記出口開口を開く前記開放位置において、前記第2の吐出通路の前記出口開口をも開くように形成されている、
ダイヤフラムポンプ用の弁ユニット。
【請求項2】
-前記第1の吐出通路は、長手方向軸線に沿って延在しており、
-前記第2の吐出通路は、長手方向軸線に沿って延在しており、
-前記吸込通路の前記第2の部分は、その延在長さの少なくとも一部が長手方向軸線に沿って延在しており、
-前記第1の吐出通路の前記長手方向軸線と、前記第2の吐出通路の前記長手方向軸線との間の角度は、90°未満であり、及び/又は、
-前記第1の吐出通路の前記長手方向軸線と、前記吸込通路の前記第2の部分の前記長手方向軸線との間の角度は、90°未満であり、及び/又は、
-前記第2の吐出通路の前記長手方向軸線と、前記吸込通路の前記第2の部分の前記長手方向軸線との間の角度は、90°未満である、
請求項1に記載の弁ユニット。
【請求項3】
前記吸込通路の前記第1の部分は、その延在長さの少なくとも一部が長手方向軸線に沿って延在しており、
-前記吸込通路の前記第1の部分の前記長手方向軸線と、前記吸込通路の前記第2の部分の前記長手方向軸線との間の角度は、90°未満であり、及び/又は、
-前記第1の吐出通路の前記長手方向軸線と、前記吸込通路の前記第1の部分の前記長手方向軸線との間の角度は、90°未満であり、及び/又は、
-前記第2の吐出通路の前記長手方向軸線と、前記吸込通路の前記第1の部分の前記長手方向軸線との間の角度は、90°未満である、
請求項2に記載の弁ユニット。
【請求項4】
前記第1の吐出通路は、前記第2の吐出通路の上側に配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の弁ユニット。
【請求項5】
前記吸込通路の前記第2の部分は、前記第1の吐出通路と前記第2の吐出通路との間に配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の弁ユニット。
【請求項6】
前記吸込弁体と、閉鎖位置において前記第1の吐出通路の前記出口開口を閉じかつ開放位置において前記第1の吐出通路の前記出口開口を開く吐出弁体とは連結されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の弁ユニット。
【請求項7】
前記吸込弁体及び/又は前記吐出弁体は、遮断弁の弁体である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の弁ユニット。
【請求項8】
ダイヤフラムポンプの弁の弁体であって、前記弁体は、遮断部として形成されており、前記遮断部は、少なくとも1つの円部分が除去された円の形状を有しており、又は、前記遮断部は、少なくとも1つの楕円部分が除去された楕円の形状を有していることを特徴とする、弁体。
【請求項9】
前記吸込弁体は、請求項8に記載の弁体である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の弁ユニット。
【請求項10】
ダイヤフラムポンプの弁板であって、前記弁板に、請求項1乃至7又は請求項9のいずれか1項に記載の弁ユニットが組み込まれていること、又は、請求項8に記載の弁体が設けられていることを特徴とする、弁板。
【請求項11】
請求項1乃至7又は請求項9のいずれか1項に記載の弁ユニット又は請求項10に記載の弁板又は請求項8に記載の弁体を備えたダイヤフラムポンプ。
【請求項12】
請求項1乃至7又は請求項9のいずれか1項に記載の複数の弁ユニット又は複数の弁ユニットを備えた弁板又は請求項8に記載の複数の弁体が設けられている、請求項11に記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項13】
吸込弁体と吐出弁体とが連結されることにより、前記吸込弁体の移動が前記吐出弁体の移動を生ぜしめることになる、ダイヤフラムポンプに対する、吐出弁体に連結された吸込弁体の使用。
【請求項14】
ダイヤフラムポンプを運転する方法であって、前記ダイヤフラムポンプはポンプ室を有しており、前記ポンプ室には可動のダイヤフラムが接しており、前記ダイヤフラムが、吸込方向と呼ばれる第1の方向に動くと前記ポンプ室の容積が増加し、前記ダイヤフラムが、吐出方向と呼ばれる反対方向に動くと前記ポンプ室の容積が減少するようになっており、前記ダイヤフラムポンプは、請求項1乃至7又は請求項9のいずれか1項に記載の弁ユニットを有しており、前記弁ユニットの吸込側は、前記ポンプ室に接しており、前記ダイヤフラムが前記吸込方向に動くとき、吸込弁体は、その開放位置の方向に引っ張られ、前記ダイヤフラムが前記吐出方向に動くとき、前記吸込弁体は、その閉鎖位置の方向に押圧される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラムポンプ用の弁ユニットに関する。さらに、本発明は、ダイヤフラムポンプの弁の弁体に関する。さらに、本発明は、ダイヤフラムポンプの弁板に関する。さらに、本発明は、ダイヤフラムポンプに関する。さらに、本発明は、ダイヤフラムポンプ用に特別に装備された吸込弁体に関する。さらに、本発明は、ダイヤフラムポンプを運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第10117531号明細書及び独国実用新案第202006020237号明細書から公知のダイヤフラムポンプは、駆動装置に結合されたポンプヘッドを有している。このポンプヘッドは複数の、例えば4つのポンプ室を有しており、これらのポンプ室はそれぞれ駆動室に対してポンプダイヤフラムによりシールされている。この場合、各ポンプダイヤフラムは、対応するポンプエレメントを介して、駆動室内に配置された回転斜板に結合されている。この場合は回転斜板の揺動により、ポンプダイヤフラムが軸方向に揺動するようにして周期的にポンプ運動させられる。回転斜板は、駆動装置に結合された駆動軸の駆動ピンに嵌合されている。この場合、駆動ピンは、駆動軸の長手方向軸線に対して傾いており、玉軸受を介して回転斜板に結合されている。独国特許出願公開第10117531号明細書及び独国実用新案第202006020237号明細書に基づくダイヤフラムポンプの場合、吐出室が中心に配置されており、吸込室は吐出室に対して同心的に、吐出室を取り囲むように配置されている。
【0003】
独国特許発明第102008035592号明細書から公知のダイヤフラムポンプの場合には、吸込室が中心に配置されており、吐出室は吸込室に対して同心的に配置されている。吐出室は、その鉛直方向下側の領域に吐出通路を有しており、この場合、室を有する中間板部分と、ポンプダイヤフラムを支持するダイヤフラム支持体部分との間に、ポンプ室と弁とを有する弁板が配置されており、弁板の段部に設けられた中間板部分の吸込室の前方には、吸込弁を有する吸込弁板がポンプ室に向かって支持されている。
【0004】
このようなポンプは、特に、圧送しようとする媒体が極めて高価な場合がある化学、薬学及びバイオテクノロジーの分野において使用されるため、ポンプ動作後には可能な限り、ダイヤフラムポンプ内に被圧送媒体の残留体積が全く又は極僅かにしか残存しないということが望ましい。さらに、このようなダイヤフラムポンプに流体を、空気を閉じ込めることなく完全に充填することは、圧送能力に関して有利である。
【0005】
欧州特許出願公開第3327287号明細書から、少なくとも1つのポンプ室を備えたダイヤフラムポンプが公知であり、この場合、ポンプ室は、吸込弁を介して吸込室に接続されていると共に吐出弁を介して吐出室に接続されており、この場合、吸込弁は、吸込弁体により閉鎖可能な入口開口を有しており、吐出弁は、吐出弁体により閉鎖可能な出口開口を有している。欧州特許出願公開第3327287号明細書から公知のダイヤフラムポンプは、出口開口を、入口開口を取り囲むように形成すること、又は、入口開口を、出口開口を取り囲むように形成することを提案している。この場合、欧州特許出願公開第3327287号明細書は、1つの好適な実施形態において、吐出弁の出口開口を、入口開口を取り囲む、互いに隔離された少なくとも2つの出口開口部分により形成することを想定している。欧州特許出願公開第3327287号明細書の
図4に示された実施形態においては、多数の個別孔から成る入口開口を取り囲む、合計6つの出口開口部分が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10117531号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202006020237号明細書
【特許文献3】独国特許発明第102008035592号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3327287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この背景に鑑みて、本発明の根底を成す課題は、ダイヤフラムポンプの吸込部の配置若しくはダイヤフラムポンプの吸込室の配置、又は、ダイヤフラムポンプの吐出部の配置若しくは吐出室の配置をより自由に構成し得る手段を提案することにある。補足的又は選択的に、本発明の課題は、低流量のポンプを有意に形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、請求項1に記載の弁ユニット、請求項8に記載の弁体、請求項10に記載の弁板、請求項11に記載のダイヤフラムポンプ、請求項13に記載の使用及び請求項14に記載の方法により解決される。有利な実施形態は、下位請求項及び以下の説明に記載されている。
【0009】
本発明は、従来技術から周知の、ただし、ダイヤフラムポンプの長手方向軸線の方向において弁ユニットの前方に支持された吸込室と吐出室とが設けられていることが多いダイヤフラムポンプの連続的な構造から離れる、という基本思想を起点とする。
【0010】
この構造はしばしば、吐出弁に通じていて例えばポンプ室を、吐出弁を介して吐出室に接続する吐出通路、又は、吸込弁により閉じられ、吸込弁を介して吸込室をポンプ室に接続する吸込通路が、ダイヤフラムポンプの長手方向軸線に対して平行に又は小さい角度(45°未満の角度)で案内される、ということにつながる。この配置に基づき、吸込室と吐出室とは弁板の前方に配置されることになる。このことは、ポンプの構成長さの増加を招く。そこで、本発明は、吸込通路の幾何学形状の変更により、即ち、吸込通路が第1の部分と、第1の部分に続く第2の部分とを有しており、第2の部分は、吸込側に配置された出口開口を有しており、第1の部分は、第2の部分に対して所定の角度で延在するように吸込通路が形成されると、複数の利点が達成され得ることに気づいた。このような実施形態は、例えばダイヤフラムの長手方向軸線の方向に見て、吸込室をポンプ室の方にさらに近づけて突出させることを可能にする。それどころか、吸込室又は吸込室の部分を弁板内に、例えば弁板の中心を放射状に取り囲んで配置された複数の弁ユニットの間の中心に突入させることが可能である。本発明に基づき吸込通路の第2の部分に対して所定の角度で延在する、吸込通路の第1の部分は、ポンピングされるべき流体を吸込室からまずダイヤフラムポンプの長手方向軸線に対して明確な角度で、例えばダイヤフラムポンプの長手方向軸線に対して45°超の角度で案内することを可能にし、次いで、流体流は、吸込通路の第1の部分に続く第2の部分を介して、ダイヤフラムポンプの長手方向軸線に対して平行に延在するものとしてよく、又は、ダイヤフラムポンプに対して小さい角度で延在する流れ方向にもたらされるものとしてよい。
【0011】
本発明は、核心においてはダイヤフラムポンプ用の弁ユニットに関する。弁ユニットとは、吸込側と、吐出側と、第1の吐出通路と、第2の吐出通路と、吸込通路と、吸込弁体と、1つ又は複数の吐出弁体とを有する構成群を意味する。弁ユニットは、1つ又は複数の本体を有するものとしてよく、本体は、吸込側と称することができる共通の一方の側と、吐出側と称することができる共通の他方の側とを有している。弁ユニットに属するこの1つ又は複数の本体には、第1の吐出通路と、第2の吐出通路と、吸込通路とが形成されるものとしてよい。さらに、弁ユニットの1つ又は複数の本体には、吸込弁体が閉鎖位置と開放位置との間で可動であるように結合されるものとしてよい。さらに、1つ又は複数の吐出弁体は、本体に、又は、弁ユニットを形成する複数の本体に、吐出弁体が閉鎖位置と開放位置との間で可動であってその他の点では1つ又は複数の本体により支持されるように、結合されるものとしてよい。吸込通路が専用の本体に形成されている実施形態が考えられる。それどころかさらに、第1の吐出通路と第2の吐出通路とは、1つの共通の本体に形成されている、ということが考えられる。同様に、第1の吐出通路は専用の本体に形成されており、かつ、第2の吐出通路も専用の本体に形成されている、ということが考えられる。1つの好適な実施形態において、弁ユニットが複数の本体から構成されている場合、弁ユニットの個々の本体は、好適には互いに固く結合されており、これにより、弁ユニットは互いにつながり合った構造体を形成している。しかし、1つの好適な実施形態においては、弁ユニットは、内部に第1の吐出通路と、第2の吐出通路と、吸込通路とが形成された、単一の本体を有している。1つの好適な実施形態においては、この単一の本体は、上位構成部材と一体の構成部材である。よって、本発明は、例えば少なくとも1つの本発明に係る弁ユニットを有する弁板をも提案する。このような実施形態においては、弁板は、好適には一体の基体を有しており、この場合、第1の吐出通路と、第2の吐出通路と、吸込通路とが案内される本体は、前記一体の基体の下部領域である。
【0012】
本発明は、核心において、このように規定された弁ユニットを目指している。それというのも、弁ユニットが、ダイヤフラムポンプのポンプ室に対して大幅に離間されて及び/又はダイヤフラムポンプの吸込室若しくはダイヤフラムポンプの吸込部に対して大幅に離間されて配置されており、及び/又は、ダイヤフラムポンプの吐出室若しくはダイヤフラムポンプの出口開口に対して大幅に離間されて配置されている複数の構成が考えられるからである。即ち、例えば、吸込側が通路の終端部を形成しており、この場合、通路は吸込側から引き続きポンプ室に開口する実施形態が考えられる。同様に、吐出側が通路の終端部を形成しており、通路は吐出側から引き続き、場合によりダイヤフラムポンプの吐出室に開口し又はダイヤフラムポンプの出口開口に通じる実施形態も考えられる。本発明の利点は既に、請求項1に記載するような弁ユニットの特別な特徴により、弁ユニットの、ポンプ室、吸込室、ダイヤフラムポンプの入口開口、吐出室又はダイヤフラムポンプの出口開口に対する具体的な相対位置が問題になること無しに実現され得るため、本発明が核心において目指すのは、このように形成された弁ユニットである。この場合、並列請求項には、ダイヤフラムポンプの具体的な構成部材、例えばダイヤフラムポンプの弁板内への弁ユニットの考えられる埋設、又は、このような弁ユニットのダイヤフラムポンプ内への具体的な埋設が記載されている。
【0013】
弁ユニットは、吸込側を有している。以下に詳細に説明するように、弁ユニットは、吸込通路と、第1の吐出通路と、第2の吐出通路とを有している。即ち、弁ユニットは、吸込通路を介して所定の場所に流体を案内するために用いられる。この所定の場所を、吸込側と称する。さらに、弁ユニットは、吸込側に位置する流体を、第1の吐出通路と第2の吐出通路とを介して他の場所に供給するために用いられる。この他の場所が吐出側である。この場合、本発明の成果を上げるために、吸込側の正確な幾何学形状及び吐出側の正確な幾何学形状は重要ではない。ただし、1つの好適な実施形態においては、吸込側は面である。1つの好適な実施形態においては、吸込側は、円形又は楕円形の面である。1つの好適な実施形態においては、吐出側は、円形又は楕円形の面である。さらに、吸込側及び/又は吐出側が、矩形の、特に好適には正方形の面、三角形の面、台形の面、平行四辺形の面、多角形の、特に好適には正五角形、正六角形、正八角形又は正多角形の面である実施形態が考えられる。1つの好適な実施形態においては、吸込側の面中心点と、吐出側の面中心点とは一線上、特に好適には1つの水平線上に位置している。
【0014】
1つの好適な実施形態においては、吸込側は、吐出側に対して平行に延在している。吸込側又は吐出側が平坦に形成されていない場合には、特に、吸込側若しくは吐出側がドーム状に形成されている、又は、吸込側若しくは吐出側が段部を介して吸込側若しくは吐出側の他方の領域に結合されている引っ込められた領域を有している実施形態も考えられるため、吸込側若しくは吐出側の、その他の物体に対して相対的な向きに関する幾何学的な記述は、特に吸込側若しくは吐出側の代理面の向きに関係する。代理面とは、吸込側の面の重心を通る面の垂線に対して垂直に延在しており、かつ、吸込側のあらゆる点の、代理面の1点までの最短距離総ての和が最小になるように配置された平坦な面を意味する。
【0015】
本発明に係る弁ユニットは、第1の吐出通路を有している。第1の吐出通路は、吸込側に配置された入口開口から、吐出側に配置された出口開口まで延在している。さらに、本発明に係る弁ユニットは、第2の吐出通路を有しており、第2の吐出通路は、吸込側に配置された入口開口から、吐出側に配置された出口開口まで延在している。弁ユニットがさらに他の、例えば第3及び/又は第4の、しかし又は場合により第5の又はさらに他の吐出通路を有しており、これらの吐出通路はそれぞれ、吸込側の入口開口から吐出側の出口開口まで延在している実施形態が考えられる。
【0016】
1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路及び/又は第2の吐出通路は、それぞれ長手方向軸線に沿って延在している。第1の吐出通路及び/又は第2の吐出通路は、全体的には又はそれどころか場合により全く長手方向軸線に沿って延在してはいない実施形態も考えられる。即ち、第1の吐出通路又は第2の吐出通路の蛇行状の構成も考えられる。ただし、好適となるのは、各吐出通路が長手方向軸線に沿って延在している実施形態である。このような吐出通路は、特に簡単に製造もされ得る。
【0017】
本発明に係る弁ユニットは、さらに吸込通路を有している。吸込通路は、複数の部分から形成されている。吸込通路は、少なくとも1つの第1の部分と、第1の部分に続く第2の部分とを有している。よって、吸込通路を通流する流体は、まず第1の部分を通流し、次いで第1の部分に続く第2の部分を通流する。吸込通路が他の部分を有している実施形態が考えられる。これは特に、第1の部分の上流側に支持された部分であり得る。よって、このような実施形態においては、流体はまず、吸込通路の他の部分を通流し、次いで吸込通路の第1の部分に流入し、第1の部分を通流した後に、第1の部分に続く第2の部分に流入することになる。吸込通路の第2の部分は、吸込側に配置された出口開口を有している。即ち、吸込側に関して、吸込通路の第2の部分は、吸込通路の最後の部分を成している。本発明においては、第1の部分は、第2の部分に対して所定の角度で延在している、ということが想定されている。1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分は、その延在長さの少なくとも一部が長手方向軸線に沿って延在しており、吸込通路の第2の部分は、その延在長さの少なくとも一部が長手方向軸線に沿って延在している。この場合、本発明に基づき設けられる、第1の部分と第2の部分との間の角度は、特に好適には、前記2つの長手方向軸線の間の角度である。1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分は、全体が長手方向軸線に沿って延在している。吸込通路の第2の部分は、その延在長さの一部が長手方向軸線に沿って延在していないものとしてよい。1つの好適な実施形態においては、少なくとも、吸込通路の第2の部分の、吐出通路の第2の部分の出口開口に接する部分が、長手方向軸線に沿って延在するように形成されている。吸込通路の第2の部分の、吸込通路の第1の部分に直接的に接する部分が室状に形成されている実施形態が考えられる。このような実施形態は特に、例えば長手方向軸線に沿って延在する吸込通路の第1の部分が、その長手方向軸線と、全体が第2の長手方向軸線に沿って延在する、吸込通路の第2の部分の長手方向軸線とが交差するようには案内され得ない場合に考えられる。即ち、吸込通路の第1の部分は長手方向軸線に沿って延在しており、吸込通路の第2の部分の、出口開口に接する部分は長手方向軸線に沿って延在しており、ただし、吸込通路の第2の部分の他の部分として、任意の幾何学形状を有することができ、かつ、吸込通路の第1の部分と、吸込通路の第2の部分の、長手方向軸線に沿って延在する部分との間に介在する室が必要な実施形態が考えられる。吸込通路の第1の部分又は吸込通路の第2の部分が、各部分のいずれの部分についても長手方向軸線に沿って延在していない場合には、第1の部分と第2の部分との間の角度を求めるために、吸込通路の各部分の始点開口の面中心点と、終点開口の幾何学的な中心点との間に線を形成し、これらの線の間の角度を求めることができる。
【0018】
1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分には、吸込通路の単一の第2の部分が続いている。しかしまた、吸込通路の複数の第2の部分が設けられている実施形態も考えられる。このような実施形態においては、吸込通路は、それぞれ第1の部分に続く複数の第2の部分に分岐する第1の部分を有している。吸込通路の複数の第2の部分が設けられている場合、吸込通路の各第2の部分は、吸込側に配置された各1つの出口開口を有している。このように分岐する実施形態は、弁ユニットの吸込側において吸込通路を通流する流体の流出を、吸込側にわたって分散させるために用いられるものとしてよい。吸込通路の第2の部分がただ1つしか設けられていない場合には、出口開口もただ1つしか設けられておらず、これにより、流体は、吸込側の1箇所だけに流出する。分岐する実施形態が選択されると、複数の出口開口を吸込側にわたり分散して設けることができ、これにより、流体は、吸込側の複数箇所に流出可能である。
【0019】
本発明に係る弁ユニットは、吸込通路の第2の部分の出口開口に吸込弁体が設けられており、吸込弁体は、閉鎖位置において出口開口を閉じ、開放位置において出口開口を開く、ということを想定している。吸込弁体の閉鎖位置から開放位置への動きが回動である実施形態が考えられ、例えばこれらの実施形態においては、吸込弁体は、貫通孔が貫通している球である。特に好適なのは、閉鎖位置から開放位置への動きが旋回動作又は折畳み動作であり、弁の一部が弁の他の部分に対して旋回させられ又は折り畳まれる実施形態である。特に、吸込弁体が遮断弁の弁体である特に好適な実施形態においては、閉鎖位置から開放位置への動きは、遮断弁の縁部において、遮断弁の中心部に対する旋回又は折畳みを行う。この動きは、閉じられた弁体に加えられる流体圧により規則的に生ぜしめられる一方で、相応に高い流体圧が不足すると、遮断弁の弾性的な戻し力が、遮断弁の縁部の、閉鎖位置への戻り旋回又は戻り折畳みを生ぜしめる。1つの他の実施形態においては、吸込弁体は、閉鎖位置から開放位置へ、直線運動を行う。1つの好適な実施形態においては、吸込通路の、出口開口に接した第2の部分は、長手方向軸線に沿って延在しており、この場合、吸込弁体の、閉鎖位置から開放位置への移動は、長手方向軸線に相当する、又は、この長手方向軸線に対して平行に延在している、又は、この長手方向軸線に対して45°未満の、特に好適には30°未満の、特に好適には20°未満の小さい角度で延在している線に沿って行われる。1つの好適な実施形態においては、吸込弁体は、弁ユニットにより保持される。特に好適には、吸込弁体は、ピン状の部分を有しており、ピン状の部分は、弁ユニットの管状の凹部内に配置されている。1つの好適な実施形態においては、ピンの一方の端部に、吸込弁体の、その閉鎖位置において出口開口を閉じる部分が配置されている。これは例えば、遮断弁の遮断部であるものとしてよい。1つの好適な実施形態においては、ピンの反対側に、吸込弁体の位置を閉鎖位置に拘束することができる封鎖部材が設けられている。吸込弁体の、遮断弁としての1つの実施形態においては、前記封鎖部材は、例えば中心部の位置を拘束することができ、中心部に対して、縁部がその旋回動作又は折畳み動作を実行し、弁を開く。吸込弁体が直線運動を行う実施形態においては、封鎖部材は、一方では確かに管内におけるピンの移動による、吸込弁体の閉鎖位置から開放位置への移動を可能にすることができるが、しかし、他方では、管に沿ったピンのさらなる移動を封鎖することにより、吸込弁体のさらなる移動を阻止しひいては吸込弁体を開放位置に拘束することができる。
【0020】
本発明に係る弁ユニットは、第1の吐出弁の出口開口に吐出弁体が設けられており、吐出弁体は、閉鎖位置において出口開口を閉じ、開放位置において出口開口を開く、ということを想定している。吐出弁体の閉鎖位置から開放位置への動きが回動である実施形態が考えられ、例えばこれらの実施形態においては、吐出弁体は、貫通孔が貫通している球である。特に好適なのは、閉鎖位置から開放位置への動きが旋回動作又は折畳み動作であり、弁の一部が弁の他の部分に対して旋回させられ又は折り畳まれる実施形態である。特に、吐出弁体が遮断弁の弁体である特に好適な実施形態においては、閉鎖位置から開放位置への動きは、遮断弁の縁部において、遮断弁の中心部に対する旋回又は折畳みを行う。この動きは、閉じられた弁体に加えられる流体圧により規則的に生ぜしめられる一方で、相応に高い流体圧が不足すると、遮断弁の弾性的な戻し力が、遮断弁の縁部の、閉鎖位置への戻り旋回又は戻り折畳みを生ぜしめる。1つの他の実施形態においては、吐出弁体は、閉鎖位置から開放位置へ、直線運動を行う。1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路は、長手方向軸線に沿って延在しており、この場合、吐出弁体の、閉鎖位置から開放位置への移動は、長手方向軸線に相当する、又は、この長手方向軸線に対して平行に延在している、又は、この長手方向軸線に対して45°未満の、特に好適には30°未満の、特に好適には20°未満の小さい角度で延在している線に沿って行われる。1つの好適な実施形態においては、吐出弁体は、弁ユニットにより保持される。特に好適には、吐出弁体は、ピン状の部分を有しており、ピン状の部分は、弁ユニットの管状の凹部内に配置されている。1つの好適な実施形態においては、ピンの一方の端部に、吐出弁体の、その閉鎖位置において出口開口を閉じる部分が配置されている。これは例えば、遮断弁の遮断部であるものとしてよい。1つの好適な実施形態においては、ピンの反対側に、吐出弁体の位置を閉鎖位置に拘束することができる封鎖部材が設けられている。吐出弁体の、遮断弁としての1つの実施形態においては、前記封鎖部材は、例えば中心部の位置を拘束することができ、中心部に対して、縁部がその旋回動作又は折畳み動作を実行し、弁を開く。吐出弁体が直線運動を行う実施形態においては、封鎖部材は、一方では確かに管内におけるピンの移動による、吐出弁体の閉鎖位置から開放位置への移動を可能にすることができるが、しかし、他方では、管に沿ったピンのさらなる移動を封鎖することにより、吐出弁体のさらなる移動を阻止しひいては吐出弁体を開放位置に拘束することができる。
【0021】
本発明に係る弁ユニットにおいては、第2の吐出通路のための専用の吐出弁体(第2の吐出弁体)、即ち、閉鎖位置において第2の吐出通路の出口開口を閉じかつ開放位置において第2の吐出通路の出口開口を開く吐出弁体が設けられている、ということが想定されるものとしてよい。第2の吐出弁体の閉鎖位置から開放位置への動きが回動である実施形態が考えられ、例えばこれらの実施形態においては、第2の吐出弁体は、貫通孔が貫通している球である。特に好適なのは、閉鎖位置から開放位置への動きが旋回動作又は折畳み動作であり、弁の一部が弁の他の部分に対して旋回させられ又は折り畳まれる実施形態である。特に、第2の吐出弁体が遮断弁の弁体である特に好適な実施形態においては、閉鎖位置から開放位置への動きは、遮断弁の縁部において、遮断弁の中心部に対する旋回又は折畳みを行う。この動きは、閉じられた弁体に加えられる流体圧により規則的に生ぜしめられる一方で、相応に高い流体圧が不足すると、遮断弁の弾性的な戻し力が、遮断弁の縁部の、閉鎖位置への戻り旋回又は戻り折畳みを生ぜしめる。1つの他の実施形態においては、第2の吐出弁体は、閉鎖位置から開放位置へ、直線運動を行う。1つの好適な実施形態においては、第2の吐出通路は、長手方向軸線に沿って延在しており、この場合、第2の吐出弁体の、閉鎖位置から開放位置への移動は、長手方向軸線に相当する、又は、この長手方向軸線に対して平行に延在している、又は、この長手方向軸線に対して45°未満の、特に好適には30°未満の、特に好適には20°未満の小さい角度で延在している線に沿って行われる。1つの好適な実施形態においては、第2の吐出弁体は、弁ユニットにより保持される。特に好適には、第2の吐出弁体は、ピン状の部分を有しており、ピン状の部分は、弁ユニットの管状の凹部内に配置されている。1つの好適な実施形態においては、ピンの一方の端部に、第2の吐出弁体の、その閉鎖位置において出口開口を閉じる部分が配置されている。これは例えば、遮断弁の遮断部であるものとしてよい。1つの好適な実施形態においては、ピンの反対側に、第2の吐出弁体の位置を閉鎖位置に拘束することができる封鎖部材が設けられている。第2の吐出弁体の、遮断弁としての1つの実施形態においては、前記封鎖部材は、例えば中心部の位置を拘束することができ、中心部に対して、縁部がその旋回動作又は折畳み動作を実行し、弁を開く。第2の吐出弁体が直線運動を行う実施形態においては、封鎖部材は、一方では確かに管内におけるピンの移動による、第2の吐出弁体の閉鎖位置から開放位置への移動を可能にすることができるが、しかし、他方では、管に沿ったピンのさらなる移動を封鎖することにより、第2の吐出弁体のさらなる移動を阻止しひいては第2の吐出弁体を開放位置に拘束することができる。
【0022】
しかしまた、閉鎖位置において第1の吐出通路の出口開口を閉じかつ開放位置において第1の吐出通路の出口開口を開く吐出弁体が、第1の吐出通路の出口開口を閉じる閉鎖位置において、第2の吐出通路の出口開口をも閉じるように形成されている弁ユニットの実施形態も考えられ、この場合、吐出弁体は、第1の吐出通路の出口開口を開く開放位置において、第2の吐出通路の出口開口をも開く。このような実施形態は、例えば、遮断部の第1の部分、特に第1の縁部が、吐出弁体の閉鎖位置において吐出通路の出口開口を閉じることができ、かつ、遮断部の他の部分、特に他の縁部が、閉鎖位置において第2の吐出通路の出口開口を閉じることができるようになっている遮断弁の弁体により達成され得る。
【0023】
本発明に係る弁ユニットの1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路は長手方向軸線に沿って延在しており、第2の吐出通路も長手方向軸線に沿って延在している。1つの特に好適な実施形態においては、第1の吐出通路の長手方向軸線と、第2の吐出通路の長手方向軸線との間の角度は、90°未満、特に好適には45°未満、特に30°未満、特に20°未満、特に10°未満、特に5°未満である。特に好適には、両長手方向軸線は平行に延在している。
【0024】
1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路は長手方向軸線に沿って延在しており、吸込通路の第2の部分は、その延在長さの少なくとも一部が長手方向軸線に沿って延在している。1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路の長手方向軸線と、吸込通路の第2の部分の長手方向軸線との間の角度は、90°未満、特に好適には45°未満、特に30°未満、特に20°未満、特に10°未満、特に5°未満である。特に好適には、両長手方向軸線は平行に延在している。
【0025】
1つの好適な実施形態においては、第2の吐出通路は長手方向軸線に沿って延在しており、吸込通路の第2の部分は、その延在長さの少なくとも一部が長手方向軸線に沿って延在している。1つの好適な実施形態においては、第2の吐出通路の長手方向軸線と、吸込通路の第2の部分の長手方向軸線との間の角度は、90°未満、特に好適には45°未満、特に30°未満、特に20°未満、特に10°未満、特に5°未満である。特に好適には、両長手方向軸線は平行に延在している。
【0026】
本発明に係る弁ユニットの1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分は長手方向軸線に沿って延在しており、吸込通路の第2の部分は、その延在長さの少なくとも一部が長手方向軸線に沿って延在している。1つの特に好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分の長手方向軸線と、吸込通路の第2の部分の長手方向軸線との間の角度は、90°未満、特に好適には45°未満、特に30°未満、特に20°未満、特に10°未満、特に5°未満である。1つの特に好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分の長手方向軸線と、吸込通路の第2の部分の長手方向軸線との間の角度は、5°超、特に好適には10°超、特に20°超、特に30°超、特に45°超、特に90°超である。
【0027】
1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路は長手方向軸線に沿って延在しており、吸込通路の第1の部分も長手方向軸線に沿って延在している。1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路の長手方向軸線と、吸込通路の第1の部分の長手方向軸線との間の角度は、90°未満、特に好適には45°未満、特に30°未満、特に20°未満、特に10°未満、特に5°未満である。1つの特に好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分の長手方向軸線と、第1の吐出通路の長手方向軸線との間の角度は、5°超、特に好適には10°超、特に20°超、特に30°超、特に45°超、特に90°超である。
【0028】
1つの好適な実施形態においては、第2の吐出通路は長手方向軸線に沿って延在しており、吸込通路の第1の部分も長手方向軸線に沿って延在している。1つの好適な実施形態においては、第2の吐出通路の長手方向軸線と、吸込通路の第1の部分の長手方向軸線との間の角度は、90°未満、特に好適には45°未満、特に30°未満、特に20°未満、特に10°未満、特に5°未満である。1つの特に好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分の長手方向軸線と、第2の吐出通路の長手方向軸線との間の角度は、5°超、特に好適には10°超、特に20°超、特に30°超、特に45°超、特に90°超である。
【0029】
1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路は、第2の吐出通路の上側に配置されている。弁ユニットのこの構成形式は、このような弁ユニットのダイヤフラムポンプへの組込みにおいて、ダイヤフラムポンプのポンプ室の特別な空気抜き及び/又は特別な空疎化を可能にするために利用され得る。この実施形態の弁ユニットが使用されるダイヤフラムポンプのポンプ室の形状が弁ユニットに合わせられると、これにより、第1の吐出通路の入口開口はポンプ室の最上点を形成し及び/又は第2の吐出通路の入口開口はポンプ室の最下点を形成することになり、これにより、如何なる空気も、大幅に上方に配置された第1の吐出通路を通ってポンプ室から流出することができるため、一方ではポンプ室の完全な空気抜きを生ぜしめることができ、又は、如何なる残留液体も、特に低く配置された第2の吐出通路を通ってポンプ室から流出することができるため、ポンプ室を完全に空にすることができる。
【0030】
1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第2の部分は、第1の吐出通路と第2の吐出通路との間に配置されている。1つの特に好適な実施形態においては、第1の吐出通路は、吸込通路の第2の部分の上側に配置されており、及び/又は、吸込通路の第2の部分は、第2の吐出通路の上側に配置されている。このような実施形態は、吸込側において吸込通路の出口開口を吸込側の中心領域に形成することを可能にする一方で、第1の吐出通路の入口開口と第2の吐出通路の入口開口とは、吸込側においてむしろ吸込側の縁部領域に配置される。このような実施形態は、吸込弁体の設計の自由度を高める。それというのも、吸込弁体は、吸込通路の出口開口の閉鎖に関して、第1の吐出通路の入口開口と第2の吐出通路の入口開口とをあまり考慮せずに設計され得るからである。このような実施形態においては、吸込弁体が、第1の吐出通路の入口開口又は第2の吐出通路の入口開口を覆うリスクを低下させることができる。
【0031】
1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分は、2つの吐出通路のうち、両吐出通路(第1の吐出通路及び第2の吐出通路)の最下部に配置された吐出通路の最下点と交差するように配置された水平面の下側の場所から、この水平面の上側に位置する場所まで通じている。
【0032】
1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分は、2つの吐出通路のうち、両吐出通路(第1の吐出通路及び第2の吐出通路)の最高部に配置された吐出通路の最高点と交差するように配置された水平面の上側の場所から、この水平面の下側に位置する場所まで通じている。
【0033】
1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分は、想定領域外の場所から想定領域内に通じており、この場合、特に好適には、吸込通路の第1の部分から吸込通路の第2の部分への移行部が前記領域に配置されており、想定領域は、一方の側の吸込側と、他方の側の吐出側と、吸込側の縁部及び吐出側の縁部の包囲部とにより画定される。吸込側が例えば円形に形成されておりかつ吐出側も円形に形成されている場合、包囲部は、(吸込側と吐出側の大きさが等しい場合)円筒の側面の形状又は(吸込側と吐出側の大きさが等しくない場合)円錐台の側面の形状を有している。
【0034】
1つの好適な実施形態においては、吸込弁体と、閉鎖位置において第1の吐出通路の出口開口を閉じかつ開放位置において第1の吐出通路の出口開口を開く吐出弁体との連結が想定されている。
【0035】
連結は、特に好適には剛性的な連結であるものとしてよい。特に好適には、連結は、吸込弁体が剛性的な構成部材を介して吐出弁体に結合されている、ということにより生ぜしめられる。1つの好適な実施形態で吸込弁体が遮断弁の遮断部として形成されると、これにより、遮断部のピンを、このような連結に用いることができる。「二重の遮断弁」が形成される、ということが考えられ、「二重の遮断弁」においては、吸込弁体が、遮断部とピンとにより遮断弁の形式に形成され、かつ、吐出弁体も、反対側の端部に他の遮断部を設けることにより同様のピンを利用してやはり遮断弁の形式に形成される。
【0036】
しかしまた、連結が弾性的な連結である実施形態も考えられる。特に好適には、連結は、吸込弁体が弾性的な構成部材を介して吐出弁体に結合されている、ということにより生ぜしめられる。1つの好適な実施形態で吸込弁体が遮断弁の遮断部として形成されると、これにより、例えばピンがエラストマから製造されている場合には、遮断部のピンを、このような連結に用いることができる。「二重の遮断弁」が形成される、ということが考えられ、「二重の遮断弁」においては、吸込弁体が、遮断部とピンとにより遮断弁の形式に形成され、かつ、吐出弁体も、反対側の端部に他の遮断部を設けることにより同様のピンを利用してやはり遮断弁の形式に形成される。ピン用にエラストマを使用することにより、遮断弁の遮断部を、遮断部によりシールされるべき面に押し付ける予荷重を調整することができる。
【0037】
連結は、閉鎖位置において第1の吐出通路の出口開口を閉じかつ開放位置において第1の吐出通路の出口開口を開く吐出弁体が開放位置にあるとき、吸込弁体は閉鎖位置にある、ということを生ぜしめることができる。補足的又は選択的に、連結は、閉鎖位置において第1の吐出通路の出口開口を閉じかつ開放位置において第1の吐出通路の出口開口を開く吐出弁体が閉鎖位置にあるとき、吸込弁体は開放位置にある、ということを生ぜしめることができる。このような連結は、ダイヤフラムポンプの制御において複数の利点をもたらす。それというのも、この連結により、閉鎖位置において第1の吐出通路の出口開口を閉じかつ開放位置において第1の吐出通路の出口開口を開く吐出弁体が開放位置にあるとき、吸込弁体は閉鎖位置にある、ということが保証され得るからである。このような連結は、ダイヤフラムポンプの制御において複数の利点をもたらす。それというのも、この連結により、閉鎖位置において第1の吐出通路の出口開口を閉じかつ開放位置において第1の吐出通路の出口開口を開く吐出弁体が閉鎖位置にあるとき、吸込弁体は開放位置にある、ということが保証され得るからである。2つの吐出弁体が設けられている場合には、吸込弁体と2つの吐出弁体との間における連結も考えられ、この連結は、吸込弁体の動きと2つの吐出弁体の動きとを同期させる。
【0038】
1つの好適な実施形態においては、吸込弁体及び/又は吐出弁体は、遮断弁の弁体である。1つの好適な実施形態においては、弁体は、エラストマから、好適にはエチレン・プロピレン・ジエン・ゴムから製造される。
【0039】
本発明においては、さらに、ダイヤフラムポンプ用の弁の本発明に係る弁体は、弁体が遮断部として形成されていると、複数の利点をもたらすことができる、ということが認識され、この場合、遮断部は、少なくとも1つの円部分が除去された円の形状を有しており、又は、遮断部は、少なくとも1つの楕円部分が除去された楕円の形状を有している。このような弁体は、閉鎖位置において吸込通路の出口開口を閉じるために適している。ただし、本発明に基づき除去された円部分又は本発明に基づき除去された楕円部分により、吐出通路用の入口開口が位置し得るスペースが生ぜしめられる。即ち、このような弁体は、吸込通路の出口開口を、吐出通路の入口開口により近づけて配置することを可能にする。1つの好適な実施形態においては、遮断部は円の形状に形成されており、この場合、互いに反対の側に位置する2つの円部分が除去された。これにより、相上下して配置された第1の吐出通路の入口開口と第2の吐出通路の入口開口とを、これらの入口開口の間に吸込通路の出口開口が配置されている場合に、吐出通路の入口開口を吸込通路の出口開口のより近くに接近させる可能性が生ぜしめられる。1つの好適な実施形態においては、遮断部は楕円の形状に形成されており、この場合、互いに反対の側に位置する2つの楕円部分が除去された。これにより、相上下して配置された第1の吐出通路の入口開口と第2の吐出通路の入口開口とを、これらの入口開口の間に吸込通路の出口開口が配置されている場合に、吐出通路の入口開口を吸込通路の出口開口のより近くに接近させる可能性が生ぜしめられる。1つの好適な実施形態においては、遮断部は正方形の形状に形成されており、この場合、互いに反対の側に位置する2つの矩形部分が除去されたため、遮断部は、矩形の形状を有している。これにより、相上下して配置された第1の吐出通路の入口開口と第2の吐出開口の入口開口とを、これらの入口開口の間に吸込通路の出口開口が配置されている場合に、吐出通路の入口開口を吸込通路の出口開口のより近くに接近させる可能性が生ぜしめられる。
【0040】
1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁ユニットの吸込弁体は、本発明に係る弁体の形式で形成されている。
【0041】
1つの好適な実施形態においては、吸込通路の出口開口は、円形又は楕円形又は円弧セグメント形に形成されている。吸込通路の出口開口が、複数の出口開口部分により形成される実施形態が考えられる。出口開口部分自体もやはり、例えば円形、楕円形又は円弧セグメント形に形成されるものとしてよい。例えば、吸込通路の出口開口は、例えば吸込通路の第2の部分が形成された本体に被せ嵌められるプレートに形成されている、ということが考えられる。このプレートには、ここで例として挙げた、本体に形成された吸込通路の第2の部分が有する横断面にわたって分散させられた複数の開口が形成されるものとしてよく、これらの開口は共に、吸込通路の出口開口を形成している。吸込通路の第2の部分は、終端部としてフィルタ又は穴あき板を有している。この実施形態は代替案として、分岐した吸込通路に適しており、分岐した吸込通路では、吸込通路の第1の部分の下流側で、吸込通路の複数の、並行して延在する第2の部分への分岐が行われ、この場合、各第2の部分は、弁ユニットの吸込側に専用の出口開口を備えて形成されている。
【0042】
1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路の入口開口及び/又は第1の吐出通路の出口開口は、円形又は楕円形又は円弧セグメント形に形成されている。第1の吐出通路の出口開口が、複数の出口開口部分により形成される実施形態が考えられる。出口開口部分自体もやはり、例えば円形、楕円形又は円弧セグメント形に形成されるものとしてよい。この実施形態は、弁ユニットの吸込側から吐出側に並行して延在する複数の細い吐出通路が設けられた、やはり可能な実施形態に対する代替案として適している。1つの実施形態においては、第1の吐出通路は、吐出側においてフィルタ又は穴あき板で終わる通路である。他の実施形態においては、吸込側から吐出側まで通じる、並行して延在する複数の通路が設けられている。特に好適なのは、弁ユニットの吸込側から吐出側に並行して延在する複数の細い吐出通路が設けられた実施形態である。
【0043】
1つの好適な実施形態においては、第2の吐出通路の入口開口及び/又は第2の吐出通路の出口開口は、円形又は楕円形又は円弧セグメント形に形成されている。第2の吐出通路の出口開口が、複数の出口開口部分により形成される実施形態が考えられる。出口開口部分自体もやはり、例えば円形、楕円形又は円弧セグメント形に形成されるものとしてよい。この実施形態は、弁ユニットの吸込側から吐出側に並行して延在する複数の細い吐出通路が設けられた、やはり可能な実施形態に対する代替案として適している。1つの実施形態においては、第1の吐出通路は、吐出側においてフィルタ又は穴あき板で終わる通路である。他の実施形態においては、吸込側から吐出側まで通じる、並行して延在する複数の通路が設けられている。
【0044】
1つの好適な実施形態においては、第1の吐出通路は少なくとも部分的に、ただし、好適にはその長手方向延在長さ全体にわたり、同一の横断面形状を有している。好適には、この横断面形状は、円又は楕円の形状である。1つの好適な実施形態においては、第2の吐出通路は少なくとも部分的に、ただし、好適にはその長手方向延在長さ全体にわたり、同一の横断面形状を有している。好適には、この横断面形状は、円又は楕円の形状である。1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分は少なくとも部分的に、ただし、好適にはその長手方向延在長さ全体にわたり、同一の横断面形状を有している。好適には、この横断面形状は、円又は楕円の形状である。1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第2の部分は少なくとも部分的に、ただし、好適にはその長手方向延在長さ全体にわたり、同一の横断面形状を有している。好適には、この横断面形状は、円又は楕円の形状である。
【0045】
ダイヤフラムポンプの本発明に係る弁板は、弁板に組み込まれた本発明に係る弁ユニット及び/又は本発明に係る弁体を有している。
【0046】
従来技術、例えば独国特許発明第102008035592号明細書又は欧州特許出願公開第3327287号明細書から公知のようなダイヤフラムポンプは、複数の板を相接して並べることにより構成されることが多い。欧州特許出願公開第3327287号明細書の
図1に示されたダイヤフラムポンプは、例えば正面板と、室ケーシングとも呼ばれる中間板と、弁板と、ポンプダイヤフラムを備えた、ダイヤフラム支持体とも呼ばれる終端板とを有しており、ポンプダイヤフラムは、ポンプエレメントを介して回転斜板(欧州特許出願公開第3327287号明細書の
図1には図示せず)に結合されている。本発明は、このようなダイヤフラムポンプ構造において、弁板に、本発明に係る弁ユニットを装備することにより、本発明の利点が既に得られる、ということに気づいた。弁板を交換することで既に、既存の従来技術のダイヤフラムポンプにおいて、これらのダイヤフラムポンプにおいても、本発明の利点が得られるようにすることができる。よって、弁板は、例えば既存のダイヤフラムポンプに後付けするために販売され得る、独立して流通可能な商品である。
【0047】
1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁板は、一体の基体を有しており、基体には、第1の吐出通路と、第2の吐出通路と、吸込通路とが導入される。このことは例えば切削法又はエッチングにより行われるものとしてもよい。弁板の基体を鋳造法により製造することも考えられ、この場合、第1の吐出通路と第2の吐出通路と吸込通路とは、例えば切削法により後から基体に導入され得るものであり、又は、鋳型の幾何学形状に基づき、既に鋳造時に形成され得るものである。弁板を、付加製造により、特に好適には3D印刷により製造することも考えられる。
【0048】
1つの好適な実施形態においては、弁板は、室側を有している。室側は、ポンプ室が弁板に接する別個の板に形成されている場合は、ポンプ室に面した側であり、又は、ポンプ室の一部若しくは全体が形成されている側である。1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁ユニットの吸込側は、本発明に係る弁板の室側の一部を形成している。1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁ユニットの吸込側は、本発明に係る弁板の室側に導入された凹部の底部を形成している、ということが考えられる。即ち、ポンプ室の一部又はそれどころかポンプ室全体が、弁板自体に形成されるものとしてよい。ポンプ室を形成する、本発明に係る弁板の室側に導入された凹部は、弁板の室側に当接するダイヤフラムにより閉じられるものとしてよく、ダイヤフラムは、その動きによりポンプ行程を生ぜしめることができる。
【0049】
1つの好適な実施形態においては、弁板は、吸込/吐出側を有している。吸込/吐出側は、吸込容積及び吐出容積が弁板に接する別個の板に形成されている場合は、吸込容積及び吐出容積に面した側であり、又は、吐出容積の一部若しくは全体又は吸込容積の一部若しくは全体が形成されている側である。1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁ユニットの吐出側は、本発明に係る弁板の吸込/吐出側の一部を形成している。1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁ユニットの吐出側は、本発明に係る弁板の吸込/吐出側に導入された凹部の底部を形成している、ということが考えられる。
【0050】
1つの好適な実施形態においては、弁板は、弁板に組み込まれた複数の本発明に係る弁ユニット又は複数の本発明に係る弁体を有している。1つの好適な実施形態においては、弁板は、弁板に組み込まれた2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれどころか7つ以上の本発明に係る弁ユニット又は本発明に係る弁体を有している。1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁板に設けられた複数の本発明に係る弁ユニットにおいて、これらの弁ユニットは、1点、好適には弁板の中心点を取り囲む輪の上に均等に配置されている。1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁板に組み込まれた複数の本発明に係る弁ユニットにおいて、第1の吐出通路の、第2の吐出通路に対して相対的な位置、及び/又は、第1の吐出通路の、吸込通路の第2の部分に対して相対的な位置は、総ての弁ユニットに関して同様である。特に好適には、本発明に係る弁板に組み込まれた総ての本発明に係る弁ユニットにおいて、第1の吐出通路は、吸込通路の第2の部分の上側に配置されており、及び/又は、吸込通路の第2の部分は、第2の吐出通路の上側に配置されている。1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁板の総ての本発明に係る弁ユニットにおいて、第1の吐出通路は、鉛直方向において第2の吐出通路の直上に配置されている。しかしまた、各弁ユニットの第1の吐出通路の入口開口と第2の吐出通路の入口開口とが一線上に位置しており、これら総ての線が、弁板の1点で交差し合う(半径方向の配置)実施形態も考えられる。
【0051】
1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁板は、複数の貫通孔を有している。これらの貫通孔には、例えばダイヤフラムポンプの個々の板を互いに結合することができるねじが貫通案内されるものとしてよい。
【0052】
1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁板は、吸込室を有している。吸込室は、特に好適には吸込/吐出側から弁板の内部に延在する鉢状の凹部として形成されるものとしてよい。1つの好適な実施形態においては、吸込通路の第1の部分は、前記吸込室から吸込通路の第2の部分に通じている。1つの好適な実施形態において、本発明に係る弁板に複数の本発明に係る弁ユニットが設けられている場合、1つの好適な実施形態においては、各吸込通路の各第1の部分は、吸込室から各吸込通路の各第2の部分に通じている。1つの好適な実施形態においては、複数の吸込通路の各第1の部分は、吸込室から放射状に導出されるように形成されている。1つの好適な実施形態においては、吸込室は、弁板の中心点に配置されている。
【0053】
1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁板の吸込/吐出側は、シールを取り付けるための環状溝を有している。1つの好適な実施形態においては、互いに同心的に形成された2つの環状溝が、各1つのシールリングを取り付けるために設けられている。第1の環状溝は、この好適な実施形態において設けられた吸込室の周りに延在している。第2の環状溝は、本発明に係る弁板に設けられた本発明に係る弁ユニットの外周に延在している。
【0054】
1つの好適な実施形態においては、弁室のダイヤフラム側の側面に、シールを取り付けるための環状溝が設けられている。
【0055】
本発明に係るダイヤフラムポンプは、本発明に係る弁ユニット及び/又は本発明に係る弁板及び/又は本発明に係る弁体を有している。
【0056】
1つの好適な実施形態においては、ダイヤフラムは、正面板を有している。正面板には入口開口と出口開口とが、正面板の正面側又は正面板の周に設けられるものとしてよい。正面板の裏側には、吐出容積と吸込容積とが設けられるものとしてよい。正面板に形成された通路が、出口開口を吐出容積に接続している。正面板に設けられた通路が、入口開口を吸込容積に接続している。特に好適には、吸込容積は中心に形成されており、環状に形成された吐出容積により包囲される。
【0057】
1つの好適な実施形態においては、本発明に係る弁板は、正面板の裏側に当接している。本発明に係る弁板に設けられた本発明に係る弁ユニットの吐出側は、正面板の吐出容積に接している、又は、1つの好適な実施形態に基づき吐出側が弁板の鉢状の凹部の底部を形成している場合には、底部に弁ユニットの吐出側が配置された、弁板の鉢状の凹部は、吐出容積に対して開く。
【0058】
1つの好適な実施形態においては、各弁ユニットの吸込通路の各第1の部分は、吸込容積に接続されている。このことは、吸込通路の各第1の部分が、弁板の吸込/吐出側に直接的に開口しておりひいては弁板が正面板の裏側に当接すると正面板の裏側に設けられた吸込容積に開口することにより、行われるものとしてよい。1つの選択的な実施形態においては、弁板がその吸込み/吐出側に、弁板が正面板の裏側に当たると吸込容積に対して開く鉢状の凹部を有している、ということが想定されるものとしてよい。上述したように、このような鉢状の吸込室からは、複数の吸込通路の各第1の部分が導出されるものとしてよい。
【0059】
1つの好適な実施形態においては、弁板の、正面板とは反対の側(弁板のダイヤフラム側の側面)には、ポンプダイヤフラムを備えた、ダイヤフラム支持体とも呼ばれる終端板が続いている。1つの好適な実施形態においては、ポンプ室は、鉢状の凹部として弁板に形成されており、鉢状の凹部は、弁板のダイヤフラム側から弁板の内側に向かって延在しており、鉢状の凹部の底部には、各弁ユニットの吸込側が配置されている。これらの鉢状のポンプ室は、弁板のダイヤフラム側にダイヤフラムが当接することにより閉鎖され得る。この場合はポンプ室毎に1つのダイヤフラムが設けられる。各ポンプダイヤフラムは、各ポンプダイヤフラムに対応するポンプエレメントを介して、ダイヤフラムポンプの駆動室内に配置された回転斜板に接続されるものとしてよい。この場合は回転斜板の揺動により、ポンプダイヤフラムを軸方向に揺動させて周期的にポンプ運動させることができる。回転斜板は、駆動装置に結合された駆動軸の駆動ピンに嵌合されるものとしてよい。
【0060】
1つの好適な実施形態においては、本発明に係るダイヤフラムポンプは、複数の本発明に係る弁ユニット又は複数の本発明に係る弁体又は複数の本発明に係る弁板を有している。
【0061】
1つの好適な実施形態においては、吸い込み側の面中心点を吐出側の面中心点につなぐ線は、ダイヤフラムポンプの長手方向軸線に対して平行に位置しており、又は、ダイヤフラムポンプの長手方向軸線に対して小さい角度で、特に好適には45°未満の角度で、特に好適には30°未満の角度で、特に好適には25°未満の角度で位置している。1つの好適な実施形態においては、吸込側は、ダイヤフラムポンプにおいてポンプ室を画定する壁の一部を形成している。1つの好適な実施形態においては、吸込側は、ポンプ室を画定しており、かつ、同様にポンプ室を画定するダイヤフラムとは反対の側に位置するように配置されている。
【0062】
ダイヤフラムポンプの長手方向軸線は、特に好適には、ダイヤフラムがそのポンプ行程を行う方向に対して平行に延在する軸線である。ダイヤフラムポンプの長手方向軸線は、回転対称に形成された弁板の場合、弁板の回転対称を生ぜしめる軸線であるものとしてよい。
【0063】
本発明は、さらに、ダイヤフラムポンプにおいて吐出弁体に連結された吸込弁体の使用を提案するものであり、この場合、吸込弁体と吐出弁体とが連結されることにより、吸込弁体の移動が吐出弁体の移動を生ぜしめる。ダイヤフラムポンプの場合、このような連結は、吸込通路の出口開口と吐出通路の出口開口との確実な同時開閉を生ぜしめることができる。
【0064】
本発明は、さらに、ダイヤフラムポンプを運転する方法を提案するものであり、この場合、ダイヤフラムポンプはポンプ室を有しており、ポンプ室には可動のダイヤフラムが接しており、ダイヤフラムが、吸込方向と呼ばれる第1の方向に動くとポンプ室の容積が増加し、ダイヤフラムが、吐出方向と呼ばれる反対方向に動くとポンプ室の容積が減少するようになっており、ダイヤフラムポンプは、本発明に係る弁ユニットを有しており、弁ユニットの吸込側は、ポンプ室に接している。この方法においては、ダイヤフラムは、吸込方向に動かされ、ダイヤフラムが吸込方向に動くとき、吸込弁体は、その開放位置の方向に引っ張られる、ということを提案する。さらに、この方法は、ダイヤフラムは、吐出方向に動かされ、ダイヤフラムが吐出方向に動くとき、吸込弁体は、その閉鎖位置の方向に押圧される、ということを想定している。
【0065】
本発明に係るダイヤフラムポンプは、特に好適には、化学、薬学及びバイオテクノロジーの分野において使用され、圧送しようとする媒体が極めて高価な場合があるため、ポンプ動作後には可能な限り、ダイヤフラムポンプ内に被圧送媒体の残留体積が全く又は極僅かにしか残存しないということが望ましい。さらに、このようなダイヤフラムポンプに流体を、空気を閉じ込めることなく完全に充填することは、圧送能力に関して有利である。考えられる使用分野は、接線流濾過又はクロマトグラフィである。
【0066】
次に、本発明を、実施例を示すに過ぎない図面に基づき、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図2】
図1に示したダイヤフラムポンプの分解図である。
【
図3】
図1に示したダイヤフラムポンプの正面板を後ろから見た斜視図である。
【
図4】
図1に示したダイヤフラムポンプの弁板を前から見た斜視図である。
【
図5】
図1に示したダイヤフラムポンプの弁板の正面図である。
【
図6】
図1に示したダイヤフラムポンプの弁板を後ろから見た斜視図である。
【
図7】
図1に示したダイヤフラムポンプを後ろから見た図である。
【
図8】
図1に示したダイヤフラムポンプの、
図7に示した線A-Aに沿った断面図である。
【
図10】
図7に示した弁板の、
図9に示した線B-Bに沿った断面図である。
【
図11】
図9に示した弁板を部分的に透視した斜視図である。
【
図12】
図9に示した弁板の弁の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
特に
図1、
図2、
図8に示すダイヤフラムポンプ1は、正面板2と、弁板3と、ダイヤフラム板4とを有している。正面板2と弁板3とダイヤフラム板4とは、4つのねじ13により互いにねじ締結されている。
【0069】
正面板2の正面側には、吸込接続部材5がねじ締結されており、かつ、吐出接続部材6がねじ締結されている。ここに示す構成形式において、吸込接続部材5と吐出接続部材6とは、ホースの簡単かつ確実な被せ嵌めと保持とを可能にする。しかしまた、他の接続形式、例えばスマートカップリングも考えられる。Oリングシールが、吸込接続部材5と吐出接続部材6とを正面板2の基体に対してシールしている。
【0070】
正面板2の裏側(
図3参照)には、吸込容積7が形成されている。吸込容積7は、一部が弁板3内に延在している(
図2、
図4、
図5、
図8、
図9、
図10、
図11参照)。吸込容積7は、シール17により包囲されている。さらに、正面板2の裏側(
図3参照)には、吐出容積8が形成されている。吐出容積8は、シール18により包囲されている。
【0071】
ダイヤフラム板4は、3つの開口9を有している。各開口9内にはダイヤフラム10が配置されている。
図8の断面図が示すように、環状の隆起部11を備えた各ダイヤフラム10は、ダイヤフラム板4の正面側に形成された凹部12に位置しており、そこで、ダイヤフラム板4と弁板3とのねじ締結(ねじ13)により保持される。各ダイヤフラム10は、駆動ピン14を有している。各駆動ピン14は雄ねじ山を有しており、この雄ねじ山によって駆動ピン14は、支持リング16に設けられた開口15の雌ねじ山に螺入している。支持リング16は、駆動装置(図示せず)により揺動させられるものとしてよく、この揺動により、ダイヤフラム10の駆動ピン14は後方に向かって(=弁板3から離れる方向に)又は前方に向かって(=弁板3に向かう方向に)交互に動かされるものとしてよい。これにより、各ダイヤフラム10のポンプ行程が生ぜしめられる。揺動により、各ポンプ行程は時間的に互いにずらされているため、ダイヤフラムポンプは、より均一にポンピングすることになり、ポンピングされる流体中の脈動が回避され又は低減される。
【0072】
図示のダイヤフラムポンプ1は、3つのポンプ室を備えて形成されている。本発明に係るダイヤフラムポンプは、2つのポンプ室を備えて、しかしまた、特に好適には、3つよりも多くのポンプ室を備えて、例えば4つ、5つ、6つ、7つ又はそれどころかより多くのポンプ室を備えて形成されるということも考えられる。より多くのポンプ室が使用される程、構造的な構成高さと、取り付けられるべき部品の数とが大きくなるが、しかしまた、ポンピングされる流体中のより多くの脈動も、回避又は減少され得る。
【0073】
支持リング16にさらに設けられている3つの孔は、駆動する回転斜板に位置する、回転斜板の相対回動を防ぐピンの収容に使用され得る。
【0074】
弁板2は、3つの本発明に係る弁ユニット20を有している。各弁ユニット20は、ダイヤフラム板4の方を向いた吸込側21と、正面側2の方を向いた吐出側22とを有している。各弁ユニット20は、第1の吐出通路23を有しており、第1の吐出通路23は、吸込側21に配置された、第1の吐出通路23に対応する入口開口24から、吐出側22に配置された、第1の吐出通路23に対応する出口開口25に通じている。各弁ユニットは、第2の吐出通路26を有しており、第2の吐出通路26は、吸込側21に配置された、第2の吐出通路26に対応する入口開口27から、吐出側22に配置された、第2の吐出通路26に対応する出口開口28に通じている。各第1の吐出通路23は、第2の吐出通路26の上側に配置されている。
【0075】
各弁ユニット20は、吸込通路30を有している。各吸込通路30は、第1の部分31と、第1の部分31に続く第2の部分32とを有している。第2の部分32は、吸込側21に配置された出口開口33を有している。第1の部分31は、第2の部分32に対して所定の角度で延在している。吸込通路30の第2の部分32は、鉛直方向に見て第1の吐出通路23と第2の吐出通路26との間に配置されている。
【0076】
吸込通路30の第2の部分32の出口開口33には吸込弁体40が設けられており、吸込弁体40は、閉鎖位置(
図12参照)において出口開口33を閉じ、開放位置において出口開口33を開く。
【0077】
第1の吐出通路23の出口開口25には吐出弁体41が設けられており、吐出弁体41は、閉鎖位置において出口開口25を閉じ、開放位置において出口開口25を開く。閉鎖位置において第1の吐出通路23の出口開口25を閉じかつ開放位置において第1の吐出通路23の出口開口25を開く吐出弁体41は、吐出弁体41が第1の吐出通路23の出口開口25を閉じる閉鎖位置において、第2の吐出通路26の出口開口28をも閉じ、かつ、吐出弁体41が第1の吐出通路23の出口開口25を開く開放位置において、第2の吐出通路26の出口開口28をも開くように形成されている。
【0078】
第1の吐出通路23は、長手方向軸線に沿って延在している(
図8、
図10参照)。第2の吐出通路26は、長手方向軸線に沿って延在している(
図8、
図10参照)。第1の吐出通路23の長手方向軸線と第2の吐出通路26の長手方向軸線との間の角度は90°未満、即ち、約20°である(
図10参照)。
【0079】
吸い込み通路30の第2の部分32は、その延在長さの少なくとも一部が長手方向軸線に沿って延在している。第1の吐出通路23の長手方向軸線と、吸込通路30の第2の部分32の長手方向軸線との間の角度は90°未満、即ち、約10°である(吸込通路30の第2の部分32の長手方向軸線は、ここに示す実施形態においてはほぼ水平方向に延在しており(
図8参照)、第1の吐出通路23の長手方向軸線は、水平線に対して約10°で延在している)。第2の吐出通路26の長手方向軸線と、吸込通路30の第2の部分32の長手方向軸線との間の角度は90°未満、即ち、約10°である(吸込通路30の第2の部分32の長手方向軸線は、ここに示す実施形態においてはほぼ水平方向に延在しており(
図8参照)、第2の吐出通路26の長手方向軸線は、水平線に対して約10°で延在している)。吸込通路30の第1の部分31は、長手方向軸線に沿って延在している。吸込通路30の第1の部分31の長手方向軸線と、吸込通路30の第2の部分32の長手方向軸線との間の角度は、90°よりも大きくなっている(
図8参照)。第1の吐出通路23の長手方向軸線と、吸込通路30の第1の部分31の長手方向軸線との間の角度は、90°よりも大きくなっている(
図8参照)。第2の吐出通路26の長手方向軸線と、吸込通路30の第1の部分31の長手方向軸線との間の角度は、90°よりも大きくなっている(
図8参照)。
【0080】
各弁ユニット20の吸込弁体40と吐出弁体41との連結が生じている。この連結は、吐出弁体41が開放位置にあるとき、吸込弁体40は閉鎖位置にある、ということを生ぜしめる。連結は、ウェブ42により生ぜしめられる。吸込弁体40は、遮断部43とウェブ42とを有する遮断弁として形成されている。遮断部43は、円の形状で形成されており、この場合、上下の各円部分44が除去された。吐出弁体41は、円形の遮断部45とウェブ42とを備えた遮断弁として形成されている。即ち、ウェブ42は、吸込弁体40の部分と吐出弁体41の部分の両方を形成している。
【0081】
吸込通路30の第1の部分31は、入口開口34を有している。入口開口34は、弁板3に配置された吸込容積7の部分に設けられている。即ち、
図9及び
図11において看取されるように、弁板3に配置された吸込容積7の部分には3つの入口開口34が、即ち、合計3つの弁ユニット20の各吸込通路30の各第1の部分31に対して設けられている。
【0082】
より見やすくするために、
図11には1つの弁ユニット20だけが吸込弁体40と吐出弁体41とを備えて示されている。他の2つの弁ユニット20については、第1の吐出通路23、第2の吐出通路26及び吸込通路30の案内のより良い図示を可能にするために、各吸込弁体40及び各吐出弁体41の図示を省いた。より見やすくするために、
図9には2つの弁ユニット20だけが吸込弁体40を備えて示されている。第3の弁ユニット20については、第1の吐出通路23、第2の吐出通路26及び吸込通路30の案内のより良い図示を可能にするために、吸込弁体40の図示を省いた。
【0083】
ダイヤフラムポンプの運転時に、ダイヤフラム10が引っ込む(=弁板3から離れる方向へのダイヤフラム10の動き)と、吸込弁体40とダイヤフラム10との間に形成されたポンプ室内に負圧がもたらされる。負圧により、吸込弁体40はその開放位置(=正面板2から離れる方向)に引き込まれ、吐出弁体41はその閉鎖位置(=正面板2から離れる方向)に引き込まれる。これにより、吸込通路30の出口開口33が開かれる。負圧により、ポンピングされるべき流体が吸込容積7から入口開口34を通って吸込通路30の第1の部分31に圧送され、そこから吸込通路30の第2の部分32に圧送され、開かれた出口開口33を介して吸込通路30から流出する。ポンプサイクルのこの部分では、ポンピングされるべき流体がポンプ室から流出することはできない。それというのも、第1の吐出通路23の出口開口25と、第2の吐出通路26の出口開口28の両方が吐出弁体41により閉じられているからである。この流体動作は、
図10の下部に示した矢印と、
図5及び
図11に示した矢印とにより示唆されている。
【0084】
図5、
図10、
図11の、流体の吸込動作を示す矢印は、各弁ユニット20の各吸込動作における流体の流れ動作を明示するためだけに用いられる。上述したように、各弁ユニット20の吸込動作は時間的にずらされているため、各流れ動作も当然、時間をずらされて行われる。
図5、
図10、
図11用に選択された表現形式は、(例えば
図5及び
図11において矢印がそれぞれ総ての弁ユニットに対して示されているとしても)吸込動作が同時に行われることを表すものではない。矢印は、各吸込動作の最中の流れ動作を表すためだけに用いられるものであり、これらの吸込動作が同時に行われることを示唆しようとするものではない。吸込動作は当然、時間をずらされて行われる。
図10は、そこに示した矢印により、例えば下側の弁ユニット20が吸込動作を行っている(流体は吸込容積7からポンプ室に引き込まれる)一方で、上側の弁ユニット20は吐出動作を行っている(流体は、第1の吐出通路23と第2の吐出通路26とを介して吐出容積8内へポンピングされる)ことを示している。
【0085】
ダイヤフラムポンプの運転時に、ダイヤフラム10が押し出される(=弁板3に向かう方向へのダイヤフラム10の動き)と、吸込弁体40とダイヤフラム10との間に形成されたポンプ室内に過剰圧力がもたらされる。過剰圧力により、吸込弁体40はその閉鎖位置(=正面板2に向かう方向)に押しずらされ、吐出弁体41はその開放位置(=正面板2に向かう方向)に押しずらされる。これにより、吸込通路30の出口開口33が閉じられる。第1の吐出通路23の出口開口25と、第2の吐出通路26の出口開口28とが開かれる。ポンピングされるべき流体は、過剰圧力によりポンプ室から第1の吐出通路23の入口開口24を介して第1の吐出通路23内に圧送され、出口開口25を介して第1の吐出通路23から吐出容積8内に圧送され、かつ、第2の吐出通路26の入口開口27を介して第2の吐出通路26内に圧送され、出口開口28を介して第2の吐出通路26から吐出容積8内に圧送される。この流体動作は、
図10の上部に示した矢印により示唆されている。
【国際調査報告】