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特表2022-523657医療用電極のための装置、システム、方法及びアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】医療用電極のための装置、システム、方法及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/33 20210101AFI20220419BHJP
   A61B 5/257 20210101ALI20220419BHJP
   A61B 5/369 20210101ALI20220419BHJP
【FI】
A61B5/33 300
A61B5/257
A61B5/369
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542222
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 AU2020050045
(87)【国際公開番号】W WO2020150784
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】2019900236
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2019900237
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521319823
【氏名又は名称】ベイマトブ ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】230121430
【弁護士】
【氏名又は名称】安井 友章
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド サラ キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナン リシ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127AA03
4C127HH06
4C127HH18
4C127JJ03
4C127LL02
4C127LL04
(57)【要約】
【解決手段】 少なくとも1つの医療用電極と、少なくとも1つの医療用電極を識別する識別子(ID)を有する無線周波数(RF)タグと、少なくとも1つの医療用電極をRFタグに取り付けている少なくとも1つの基板と、を備える装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医療用電極と、
少なくとも1つの医療用電極を識別する識別子(ID)を有する無線周波数(RF)タグと、
少なくとも1つの医療用電極をRFタグに取り付ける少なくとも1つの基板と、
を備える装置。
【請求項2】
少なくとも1つの基板は、医療用電極及びRFタグから手動で取り外し可能に配置されている取り外し可能な基板である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの基板は、
医療用電極の一方側及びRFタグの一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の基板層と、
医療用電極の反対側及びRFタグの反対側に取り外し可能に取り付けられている第2の基板層と、
を備える、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの基板は、使用時に少なくとも1つの医療用電極をRFタグと一緒に維持するように配置されている一体型基板である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
複数の医療用電極と、複数の医療用電極とRFタグとを一緒に保持する共用基板と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
医療用電極に取り付けられたRFタグを読み取って、医療用電極を識別するタグ識別子(ID)を決定する無線周波数(RF)リーダと、
医療用電極と共に作動するRFリーダを備え、医療装置を識別する装置識別子(ID)を有する医療装置と、
を備えるシステム。
【請求項7】
医療装置、サーバ又は端末演算装置は、装置IDに関連付けられているタグIDを示すデータを記憶するデータ記憶装置を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
データ記憶装置は、医療用電極を用いる医療装置によって記録されている信号に関連付けられているタグID及び装置IDを示すデータを記憶する、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
タグIDと装置IDとの組み合わせから決定される制御信号に基づいて、医療装置との医療用電極の使用が制御される、請求項6乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
制御システムを備え、制御システムは、
タグID及び装置IDを受信し、
データ記憶装置に記憶されている複数の記憶されている装置IDと記憶されているタグIDとの間の予め決定されている互換性を示すデータにアクセスし、
予め決定されている互換性に従い、タグIDと装置IDとが互換性を有するか否かを決定することによって制御信号を生成する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
医療用電極に取り付けられているRFタグを読み取って医療用電極を識別するタグ識別子(ID)を決定することと、
医療用電極と共に作動する医療装置を識別する装置識別子(ID)にアクセスすることと、
のステップを備える方法。
【請求項12】
装置IDに関連付けられているタグIDを示すデータを記憶することを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
医療用電極を用いる医療装置によって記録されている信号に関連付けられているタグID及び装置IDを示すデータを記憶することを備える、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
タグIDと装置IDとの組み合わせから決定される制御信号に基づいて、医療装置との医療用電極の使用を制御することを備える、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
タグID及び装置IDを受信することと、
データ記憶装置に記憶されている複数の記憶されている装置IDと記録されているタグIDとの間の予め決定されている互換性を示すデータにアクセスすることと、
予め決定されている互換性に従って、タグIDと装置IDとが互換性を有するか否かを決定することによって制御信号を生成することと、
のステップを更に備える、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
医療用電極に取り付けられているRFタグから、RFリーダを介して、タグ識別子(ID)を示すタグ識別データを受信することと、
少なくとも1つの医療用電極を使用して作動可能な医療装置に関連している装置識別子(ID)を示す装置識別データにアクセスすることと、
タグIDと装置IDとの組み合わせに対応する制御信号を決定することと、
制御信号に基づいて医療装置との医療用電極の使用を制御することと、
のステップを備える、コンピュータにより実行される方法。
【請求項17】
制御信号は、
タグIDと装置IDとの組み合わせを外部機器に送信することと、
外部機器から制御信号を受信することと、
によって決定される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
医療装置との医療用電極の使用を制御することは、医療用電極の使用が禁止又は制限されている場合に警告を出力することを更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの医療用電極を使用して作動可能な医療装置から、タグ識別子(ID)を示し、医療用電極に取り付けられているRFタグから取得されるタグ識別データを受信することと、
医療装置に関連している装置識別子(ID)を示す装置識別データを取得することと、
タグIDと装置IDとの組み合わせに対応する制御信号を決定することと、
医療装置との医療用電極の使用を制御する制御信号を出力することと、
のステップを備える、コンピュータにより実行される方法。
【請求項20】
制御信号を出力することは、医療装置に制御信号を送信することを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
電気信号をモニタ又は生成する医療装置と、
医療用電極に接続するための医療装置内又は医療装置上の導電性コネクタと、
医療用電極に取り付けられているRFタグを読み取るための医療装置内又は医療装置上の無線周波数(RF)リーダと、
を備えるアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、オーストラリア仮特許出願第2019900236号及び第2019900237号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照によりここに組み込まれている。
【0002】
本願開示は、医療用電極、並びに、医療用電極の使用をモニタリング及び/又は制御する装置、システム、方法及びアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
医療用電極は、人間若しくは動物の身体から又は人間若しくは動物の身体への電気信号のモニタリング又は供給において使用されている。典型的には、医療用電極は、患者の皮膚上に配置されて、患者の皮膚に電気的に接続される導電性部材を備え、導電性部材は、電気信号をモニタ又は出力する外部医療装置にも接続される。
【0004】
様々な種類の医療用電極が開発されている。例えば、図12(A)及び図12(B)は、異なる医療用電極の正面図及び背面図を図示しており、各々の医療用電極は、以下の構成要素を備える:
a)電極を医療装置に連結するコネクタ1210、コネクタ1210は、導電性材料、例えば金属によって製造されている;
b)コネクタ1210を支持するための1以上の可撓性シート又はフィルム1220、これは、コネクタ1210を患者の身体に機械的に支持するために、例えば、布、プラスチック、フォーム又は他の任意の適切な材料によって製造されてもよい;
c)コネクタ1210を患者の皮膚に電気的に接続する導電性領域1230、例えば、導電性ゲル;及び
d)可撓性シート又はフィルム1220を患者の身体に固定する接着剤1240。
【0005】
しかしながら、これら構成要素の配置は異なる医療用電極においては異なっている可能性があり、また、各構成要素については、形状、寸法及び使用される材料が異なっている可能性がある。このため、異なる種類の医療用電極は、異なる信号品質を提供し、異なる性能を提供する可能性がある。
【0006】
例えば、異なる種類の医療用電極は、異なる信号対雑音比、異なる取付期間、異なる品質保持期間を備える可能性がある。更に、幾つかの医療用電極は、特定の種類の医療装置用に設計されている可能性があり、これらの電極を他の医療装置と使用することにより、劣悪な信号品質を招来し、又は、電極又は医療装置への損傷すら発生させる可能性がある。
【0007】
幾つかの医療機関(例えば、政府機関、病院又は診療所)は、医療用電極の使用に関する基準又は方針を定めているが、実際には、そのような基準又は方針を実施することは難しく、それらの効果を検証することが困難な可能性がある。更に、幾つかの場合には、2つの異なる電極の種類について、両方とも要求される基準又は規則に適合していても、以下の各々の使用上の相違によって、依然として差異を有する可能性がある:
a)信号品質、ノイズ、患者の動きに起因する人為構造に直接影響を与え得るコネクタ材料又は導電性ゲル;
b)入力信号を変化させ得る導電性表面の面積、及び、他の筋肉又は身体機能に起因する望まれないクロストークのリスク;又は
c)どのくらい長く及びどの状況下で電極が最良に使用されるかに影響を与え得る非導電性接着剤領域及び電極材料。
【0008】
幾つかの電極製造者は、文書を提供し、電極のパッケージにラベリングをして、電極の意図されている用途又は適用についてユーザに知らせている。例えば、幾つかの電極製造者は、電極をカラーコード化して、所定の適用への適合性を示している。しかしながら、標準的な臨床ユーザにとって、これらの方法は、これらの電極を特定の医療装置と使用することによる電気信号への潜在的な影響を明確に示すものではない。
【0009】
現在、異なる種類の電極の使用をモニタリングし、使用された電極が実際に医療装置との互換性を有するか否かを識別する技術は、少なくとも幾つかの適用では、充分には有効ではない。
【0010】
更に、医療装置及び電極製造者は、使用されている特定の装置と電極との組み合わせを追跡し、又は、推奨された用途以外での電極の使用を制御する能力が限られていることが多い。このため、電極製品の性能モニタリング及び品質管理並びに適切な製品改良の実施には更なる課題が存在する。
【0011】
従来技術に関連する1以上の欠点又は制限に対応し若しくはこれらを改良し、又は、少なくとも有用な代替案を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の側面では、少なくとも1つの医療用電極と、少なくとも1つの医療用電極を識別する識別子(ID)を有する無線周波数(RF)タグと、少なくとも1つの医療用電極をRFタグに取り付ける少なくとも1つの基板と、
を備える装置が提供される。
【0013】
非限定的な一実施形態では、少なくとも1つの基板は、医療用電極及びRFタグから手動で取り外し可能に配置されている取り外し可能な基板である。
【0014】
別の一実施形態では、少なくとも1つの基板は、医療用電極の一方側及びRFタグの一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の基板層と、医療用電極の反対側及びRFタグの反対側に取り外し可能に取り付けられている第2の基板層と、を備える。
【0015】
更に別の非限定的な実施形態では、少なくとも1つの基板は、使用時に少なくとも1つの医療用電極をRFタグと一緒に維持するように配置されている一体型基板である。
【0016】
一実施形態では、装置は、複数の医療用電極と、複数の医療用電極とRFタグとを一緒に保持する共用基板と、を備える。
【0017】
一例では、RFタグは、電極部材に取り付けられ、電極部材の電極コネクタに隣接して位置される。
【0018】
更に別の一例では、RFタグは、医療用電極の電極コネクタの周囲にアンテナを備える。
【0019】
第2の側面では、電気信号をモニタ又は生成する医療装置のための少なくとも1つの導電性ケーブルと、導電性ケーブルの一端部の、医療用電極に接続するための導電性コネクタと、導電性ケーブルの同一の端部に直接接続されている、医療用電極に取り付けられているRFタグを読み取るための無線周波数(RF)リーダと、を備える装置が提供される。
【0020】
限定されない一例では、少なくとも1つの導電性ケーブルは、医療装置への及び/又は医療装置からの信号を送信する信号線と、RFリーダに電力を供給する、並びに/又は、RFリーダへの及び/若しくはRFリーダからの信号を送信する電力線と、を備える。
【0021】
第3の側面では、医療用電極に取り付けられているRFタグを読み取って、医療用電極を識別するタグ識別子(ID)を決定する無線周波数(RF)リーダと、医療用電極と共に作動するRFリーダを備え、医療装置を識別する装置識別子(ID)を有する医療装置と、を備えるシステムが提供される。
【0022】
非限定的な一実施形態では、医療装置、サーバ又は端末演算装置は、装置IDに関連付けられているタグIDを示すデータを記憶するデータ記憶装置を備える。
【0023】
別の一実施形態では、データ記憶装置は、医療用電極を用いる医療装置によって記録されている信号に関連付けられているタグID及び装置IDを示すデータを記憶する。
【0024】
更に別の非限定的な一実施形態では、タグIDと装置IDとの組み合わせから決定される制御信号に基づいて、医療装置との医療用電極の使用が制御される。
【0025】
一例として、第3の側面は、タグID及び装置IDを受信し、データ記憶装置に記憶されている複数の記憶されている装置IDと記憶されているタグIDとの間の予め決定されている互換性を示すデータにアクセスし、予め決定されている互換性に従い、タグIDと装置IDとが互換性を有するか否かを決定することによって制御信号を生成する、制御システムを備える。
【0026】
第4の側面では、医療用電極に取り付けられているRFタグを読み取って医療用電極を識別するタグ識別子(ID)を決定することと、医療用電極と共に作動する医療装置を識別する装置識別子(ID)にアクセスすることと、タグIDと装置IDとの組み合わせから決定される制御信号に基づいて、医療装置との医療用電極の使用を制御することと、のステップを備える方法が提供される。
【0027】
一例として、方法は、装置IDに関連付けられているタグIDを示すデータを記憶するステップを備える。
【0028】
別の一例では、方法は、医療用電極を用いる医療装置によって記録されている信号に関連付けられているタグID及び装置IDを示すデータを記憶するステップを備える。
【0029】
更に別の一例では、方法は、タグID及び装置IDを受信することと、データ記憶装置に記憶されている複数の記憶されている装置IDと記憶されているタグIDとの間の予め決定されている互換性を示すデータにアクセスすることと、予め決定されている互換性に従って、タグIDと装置IDとが互換性を有するか否かを決定することによって制御信号を生成することと、のステップを更に備える。
【0030】
第5の側面では、医療用電極に取り付けられているRFタグから、RFリーダを介して、タグ識別子(ID)を示すタグ識別データを受信することと、少なくとも1つの医療用電極を使用して作動可能な医療装置に関連している装置識別子(ID)を示す装置識別データにアクセスすることと、タグIDと装置IDとの組み合わせに対応する制御信号を決定することと、制御信号に基づいて医療装置との医療用電極の使用を制御することと、のステップを備える、コンピュータにより実行される方法が提供される。
【0031】
一例では、タグIDと装置IDとの組み合わせを外部機器に送信することと、外部機器から制御信号を受信することと、によって制御信号が決定される。
【0032】
更に別の非限定的な一例では、医療装置との医療用電極の使用を制御することは、医療用電極の使用が禁止又は制限されている場合に警告を出力することを更に備える。
【0033】
第6の側面では、少なくとも1つの医療用電極を使用して作動可能な医療装置から、タグ識別子(ID)を示し、医療用電極に取り付けられているRFタグから取得されるタグ識別データを受信することと、医療装置に関連している装置識別子(ID)を示す装置識別データを取得することと、タグIDと装置IDとの組み合わせに対応する制御信号を決定することと、医療装置との医療用電極の使用を制御する制御信号を出力することと、のステップを備える、コンピュータにより実行される方法が提供される。
【0034】
一例では、制御信号を出力することは、制御信号を医療装置に送信することを備える。
【0035】
第7の側面では、複数の医療用電極と、各々が複数の医療用電極の対応する1つを識別する識別子(ID)を有する対応する複数の無線周波数(RF)タグと、複数の医療用電極及び複数のRFタグに取り外し可能に取り付けられている少なくとも1つの基板と、を備える装置が提供される。
【0036】
第8の側面では、電気信号をモニタ又は生成する医療装置と、医療用電極に接続するための医療装置内又は医療装置上の導電性コネクタと、医療用電極に取り付けられているRFタグを読み取るための医療装置内又は医療装置上の無線周波数(RF)リーダと、を備えるアセンブリが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下、添付図面を参照し、本願発明の幾つかの実施形態が例示としてのみ説明される。
【0038】
図1図1(A)及び図1(B)は、追跡可能な電極装置の一例を図示する。
【0039】
図2図2は、追跡可能な電極装置の電極部材の一例を示す。
【0040】
図3図3は、追跡可能な電極装置のRFタグの一例を図示する。
【0041】
図4図4(A)乃至図4(E)は、図1(A)の追跡可能な電極装置の幾つかの例のx’-x’線に沿う断面図を示す。
【0042】
図5A図5(A)は、追跡可能な電極装置の他の一例を示す。
【0043】
図5B図5(B)は、追跡可能な電極装置の更なる一例を示す。
【0044】
図6図6(A)乃至図6(D)は、追跡可能な電極装置の幾つかの他の例を示す。
【0045】
図7A図7(A)は、追跡可能な電極装置の使用を制御及び/又はモニタリングするためのシステムの一例を示す。
【0046】
図7B図7(B)は、追跡可能な電極装置の使用を制御及び/又はモニタリングするためのシステムの一例を示す。
【0047】
図8図8は、追跡可能な電極装置の使用を制御及び/又はモニタリングするためのシステムの他の一例を示す。
【0048】
図9図9は、追跡可能な電極装置の使用を制御及び/又はモニタリングするためのワークフローの例を示す。
【0049】
図10図10は、追跡可能な電極装置の使用を制御及び/又はモニタリングするためのシステムの更なる例を示す。
【0050】
図11図11は、追跡可能な電極装置の使用を制御及び/又はモニタリングするためのワークフローの一例を図示する。
【0051】
図12図12A及び図12Bは、夫々、異なる種類の医療用電極の正面図及び背面図を示す。
【0052】
図13図13は、追跡可能な電極装置の更なる一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここでは、医療用電極の使用をモニタリングするためのシステム及び方法が提供される。提供されるシステム及び方法は、電極が特定の医療装置と実際に互換性があるかどうかの識別を可能にする。この結果は、医療装置との電極の使用の制御に利用され得る。従って、推奨されている用途以外での電極の使用が防止又は減少され得る。
【0054】
少なくとも幾つかの実施形態に従えば、提供されるシステム及び方法は、医療装置との電極の使用を追跡すること、及び、異なる医療装置で使用される場合の電極の性能を追跡することを更に可能にする。従って、異なる医療装置との異なる電極の互換性が更に経時的に評価及び分析され得、それらの以前の性能に基づいて、電極の将来の使用が最適化又は改良され得る。
【0055】
少なくとも幾つかの実施形態に従えば、提供されるシステム及び方法は、更に、医療用電極の使用中に発生した異常をモニタリングすることを可能にする。モニタリングの結果及び検出された異常は、その後、電極の製造業者に報告され得る。これにより、電極製品のより効果的かつ効率的な性能のモニタリング及び品質管理の方法を提供し、製品の改良をタイムリーに実施することが可能である。
【0056】
図面中では、複数の図にわたって、同様の部分を示すために同様の参照数字が用いられていることに留意されたい。図1(A)を参照し、追跡可能な電極装置100の一例が提供される。追跡可能な電極装置100は、少なくとも1つの電極部材110(「医療用電極」又は「従来の電極」とも称される。)と、無線周波数(RF)タグ120と、を備える。電極部材110及びRFタグ120は、基板130内又は基板130上で互いに近接して取り付けられ又は嵌め込まれている。基板130は、電極部材110をRFタグ120に取り付けており、即ち、電極部材110とRFタグ120を一緒に保持している。
【0057】
基板130は、1以上の可撓性の材料、例えば、布、紙、プラスチック又はフォームから製造され得る。基板130は、電極部材110及びRFタグ120から分離可能であってもよく、即ち、基板130は、人による使用中に電極部材110及びRFタグ120から取り外されてもよい。例えば、基板130は、電極部材110の患者への適用若しくは医療装置への接続の前又は後に、臨床医又はオペレータによって取り外される取り外し可能なシート又はカバーの形態であってもよい。この形態の基板130は、「取り外し可能な基板」と称されることがあり、以下で更に詳細に説明される。保管及び最初に手で取り扱う間、この取り外し可能な基板は、電極部材110及びRFタグ120を予め選択された配置で保持し、その後、取り外し可能な基板は、対象者の皮膚に適用する(さらに、一般的には接着する)ために又は外部医療装置に適用するために、電極部材110及び/又はRFタグ120から取り外される。RFタグ120は、電極部材110とは独立したそれ自身の接着剤/裏当て(backing)を備えていてもよく、取り外し可能な基板が取り外されると、電極部材110及び/又はRFタグ120は、もはや基板130に取り付けられておらず、基板130によって保持されていない。
【0058】
代わって、基板130は、使用中に電極部材110及びRFタグ120と一体化されたままであってもよく、即ち、使用中に基板130が電極部材110及びRFタグ120から取り外されない。例えば、基板130は、電極部材110と一体化した可撓性のパッド又はシートの形態であってもよい。この形態の基板130は、「一体型基板」と称されることがある。これについては、以下で更に詳細に説明される。
【0059】
幾つかの実施形態では、追跡可能な電極装置100は、医療装置を患者の身体及び/又は医療用電極部材に固定することを容易にするための非電極接着パッドを更に備える。RFタグ120は、非電極接着パッドに埋め込まれてもよいし、収容されてもよい。非電極接着パッドは、追跡可能な電極装置100の中心に若しくは中心に近接して配置されてもよく、又は、RFタグ120が外部のRF読み取り装置と通信することを可能にする追跡可能な電極装置100の他のいかなる場所に配置されてもよい。更なる実施形態では、電極部材110は、公知の医療用電極装置と同じ構造を有していてもよい。
【0060】
ここで図2を参照し、電極部材110の一例が提供されている。この一例では、電極部材110は、患者の皮膚の外形に適応可能な可撓性シート210を備える。可撓性シート210は、絶縁材料、例えば、布、プラスチック、クローズドセルフォーム又は他の任意の適切な絶縁材料によって製造される。
【0061】
電極部材110は、可撓性シート210を患者の皮膚に固定するために、可撓性シート210の一方側に固着物質を含む接着剤層220を更に備える。固着物質は、接着剤と称され、アクリル系、シリコン系及びポリウレタン系の接着剤を含み得るがこれらに限定されない。電極部材110は、取り外し可能なカバー222を更に備え、取り外し可能なカバー222は、(取り外し可能な)基板130を形成してもよく、保管中は接着剤層220を覆い、接着剤層220を患者の皮膚に適用する直前に臨床医によって取り外される。
【0062】
また、可撓性シート210のその側には、導電性領域230が設けられている。導電性領域230は、患者の皮膚と電極コネクタ240(ここでは、「電極側コネクタ」とも称される)とを電気的に接続可能な導電性物質で形成されており、導電性物質は、例えば、導電性親水性ゲルである。電極側コネクタ240は、導電性物質(例えば、金属)によって製造されており、ファスナであってもよく、幾つかの実施形態では、雄型/雌型のスナップファスナと類似する形状を有し、又は、タブ、ワイヤ若しくはカスタムコネクタの形態を有し、電気信号をモニタ又は生成する外部医療装置に、可撓性の導電性ケーブル(「リード」とも称される)を介して又は直接、電気的に接続可能である。図2は電極部材110の一例を図示しているが、電極部材110は、代わって、当業者に公知の任意の他の適切な構造及び構成要素を有してもよい。
【0063】
ここで図3を参照し、RFタグ120の例示的な構造が提供され、RFタグ120は、アンテナ310及び集積回路320を備える。RFタグ120は、例えば、無線周波数識別(RFID)タグ又は近距離無線通信(NFC)タグを含んでいてもよく、これらは、外部電子装置のRFIDリーダ又はNFCリーダによって読み取り可能である。代わって、RFタグ120は、任意の他の適切な種類の小型RF通信装置であってもよい。図3には示されていないが、RFタグ120は、医療装置200の協同するタグホルダ、例えば協同するプレススタッド部品及び/又は接着剤に接続するタグコネクタを更に備えることが可能である。
【0064】
RFタグ120は、例えば集積回路320に、電極部材110に関連付けられたタグ識別子(ID)を示すタグ識別データを記憶する。タグIDは、追跡可能な電極装置100の詳細情報、特に電極部材110の詳細情報を決定するために、外部装置によって使用可能であり、例えば、以下のいずれか1以上を備える:
a)電極部材110の種類;
b)電極部材110の構成要素及び構造(例えば、電極側コネクタの個数及び位置、可撓性シート、接着剤層、導電領域の寸法及び材料、電極側コネクタの種類);
c)電極部材110の製造者;
d)電極部材110の製造日;
e)電極部材110のバッチ番号;
f)電極部材110の有効期間又は品質保持期間;及び
g)電極部材110の最大又は推奨される取付期間。
【0065】
例えば、例示的なタグIDは、英数字列「ABCDEDZX」の形態であり、ここで、Aはコネクタの種類、Bは可撓性シートの種類、Cは追従可能な電極が使用される適用、Gは導電性ゲルの種類、Eは接着剤の種類、Dは製造日、Zはバッチ番号又はバッチ識別子(バッチID)、Xはバッチ内の製品識別子を示す。
【0066】
選択的に、タグ識別データは、追跡可能な電極装置100及び/又は電極部材110に関する追加情報、例えば、追跡可能な電極装置100又は電極部材110の製品シリアルナンバーを含んでいてもよい。また、タグ識別データは、その他の任意の適切な情報を含んでいてもよい。
【0067】
電極部材110の詳細情報は、追跡可能な電極装置100がどのように使用されるべきか、及び/又は、特定のモニタリング又は刺激用医療装置と共に使用されるべきかどうかを決定するために使用されてもよい。即ち、追跡可能な電極装置100と外部医療装置との間の互換性が、タグIDを用いて決定可能である。
【0068】
従って、外部医療装置は、決定された互換性に基づいて、追跡可能な電極装置100の使用を制御可能である。例えば、互換性のある追跡可能な電極装置100の使用を許可することにより、又は、互換性のない追跡可能な電極装置100の使用を禁止することにより、使用を制御する。幾つかの実施形態では、追跡可能な電極装置100は、医療装置と部分的に互換性があってもよく、即ち、電極部材110は、医療装置の一部の機能には適しているが、医療装置の他の機能には適していなくてもよい。従って、医療装置は、追跡可能な電極装置100をそれらの適した機能に使用することを許可し、他の機能に使用することを禁止してもよい。
【0069】
幾つかの実施形態では、外部医療装置は、ユーザが使用しようとしている追跡可能な電極装置100が医療装置と互換性がない又は完全には互換性がないことを、例えば、警報を起動する又は医療装置のディスプレイに警告メッセージを表示することによって、ユーザに通知可能である。
【0070】
再び図1(A)を参照し、基板130は、電極部材110に近接して、RFタグ120を嵌め込み、保持している。基板130は、可撓性の材料、例えば、布、紙、プラスチック又はフォームによって製造されているので、電極部材110が患者の皮膚に取り付けられる場合には、基板130は、電極部材110の可撓性シート210と同様に撓むことが可能である。これにより、追跡可能な電極装置100を患者の体又は医療装置に固定することが容易になる。
【0071】
図4(A)乃至図4(D)は、基板130内又は基板130上に固定されている電極部材110及びRFタグ120の幾つかの可能な配置を図示している。図4(A)及び図4(B)に示されるように、電極部材110は、基板130の一方側に取り付けられていてもよく、電極部材110は、基板130を通過しており、電極側コネクタ240の端部は、基板130の他方側に露出している。なお、RFタグ120は、基板130のどちら側に取り付けられていてもよい。図4(A)及び図4(B)の一実施形態では、基板130は、電極部材110と一体化されていてもよい。即ち、少なくとも1つの基板が一体型基板である場合、基板は、使用時に少なくとも1つの医療用電極をRFタグと一緒に維持するように配置され、電極部材110が患者及び/又は医療装置に取り付けられる場合に取り外されない。一実施形態では、可撓性シート210は、一体型基板130の少なくとも一部を形成してもよい。
【0072】
例えば、基板130が電極部材110に一体化されている場合、電極部材110の可撓性シート210は、接着剤又は他の適切な係合手段によって、基板130に永続的に接合されている。更に、RFタグ120及び電極部材110も、接着剤又は他の適切な係合手段によって、基板130に永続的に接合されていてもよい。
【0073】
図4(C)に示される別の一例では、基板130は電極部材110と一体化されている。この例では、電極部材110は、図4(A)及び図4(B)と同様にして基板130に取り付けられるが、RFタグ120は、例えば、RFタグ120を(一体型)基板130内に埋め込むことにより、又は、(一体型)基板130を製造するときにRFタグ120を備えるようにすることによって、基板130と一体的に形成される。
【0074】
代わって、図4(D)に示されるように別の一例が提供され、基板130が電極部材110と一体化されている。この一例では、電極部材110とRFタグ120の両方が、(一体型)基板130内に埋め込まれていてもよい。例えば、RFタグ120を(一体型)基板130内に埋め込み、又は、(一体型)基板130を製造するときにRFタグ120を備えるようにすることによる。
【0075】
代わって、図4(E)は、電極部材110及びRFタグ120の可能な配置を図示しており、基板は、
a)医療用電極110の一方側及びRFタグ120の一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の基板層132(例えば、フィルム又はライナ)と、
b)医療用電極110の反対側及びRFタグ120の反対側に一体的に取り付けられている第2の基板層134(例えば、フィルム又はライナ)と、
を備える。
【0076】
本実施形態では、第1の基板層132は取り外し可能であってもよく、第2の基板層134は一体化されていてもよい。第1の基板層132は、取り外し可能なカバー222と同様に機能し、接着面を露出させるために取り外し可能であるが、接着面を含まない。この一例では、第1の基板層132を取り外して、前述した医療用電極110の患者側の接着剤層220を露出させる。更に、第1の基板層132を除去して、RFタグの患者側表面に設けられている接着剤層220と同様のRFタグ接着剤層(図示せず)を露出させるようにしてもよい。医療用電極110の患者側の接着剤層220及び/又はRFタグ接着剤層は、追跡可能な電極装置100を患者に接着することを助けるように配置されている。
【0077】
基板130が電極部材110と一体的に形成されている上記いずれの実施形態においても、基板130の患者側(即ち、基板130の患者の皮膚に対面する側)に患者接着剤層(図示せず)が設けられていてもよく、これにより、追跡可能な電極装置100を患者の身体に固定することを更に容易してもよい。更なる選択的な実施形態では、第2の基板層134の装置側、即ち、医療装置200に対面する側に医療装置接着剤層を設け、ここで説明した任意の一体型基板130について、医療用電極110を医療装置に取り付けることを助けるようにしてもよい。
【0078】
代わりの実施形態では、基板130は、少なくとも1つの電極部材110及びRFタグ120から手動で取り外し可能であってもよい。例えば、図4(A)は代わりの一実施形態を示してもよく、一実施形態では、電極部材110の可撓性シート210は、可撓性シート210の装置側に設けられた分離を可能とする接着剤、又は、他の適切な係合手段によって、基板130に非永続的に接合されている。更に、RFタグ120及び電極部材110も、分離を可能とする接着剤、又は、他の適切な係合手段によって、基板130に非永続的に接合されていてもよい。
【0079】
取り外し可能な基板130を取り外すことにより、可撓性シート210の装置側に設けられている前述した接着剤を用いて、電極部材110を医療装置200に固定するようにしてもよい。このような一実施形態では、第2の基板層132は、取り外し可能なカバー222を形成していてもよく、又は、複数の電極部材110がある場合には共用の取り外し可能なカバーを形成していてもよい。この例では、取り外し可能なカバー222が取り外されて、前述した接着剤層220を露出させる。更に、電極部材110の患者側にも追加の取り外し可能なカバー(図示せず)が設けられていてもよく、これが取り外された場合には、RFタグ120の患者側表面に設けられた追加の接着剤層(図示せず)を露出させる。
【0080】
この例では、RFタグ120は、例えば医療装置200のファスナ(例えば、リード内、又は、医療装置200のハウジング内のファスナ)によって、電極部材110が医療装置200に固定された場合に、医療装置200に固定されるようにしてもよく、医療装置200のファスナは、「妊娠又は陣痛をモニタリングするための装置」という名称のオーストラリア仮特許出願第2016905046号及び/又は同名のPCT出願第PCT/AU2017/051346号に記載されているように、複数の電極部材110を固定可能であるOLI(TM)装置を備えていてもよい。
【0081】
代わって、図4(E)によっても代わりの実施形態が提供され、電極部材110及びRFタグ120は、2つの取り外し可能な基板に非永続的に取り付けられており、これは、
a)医療用電極130の一方側及びRFタグ120の一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の基板層132(例えば、フィルム又はライナ)と、
b)医療用電極130の反対側及びRFタグ120の反対側に取り外し可能に取り付けられている第2の基板層134(例えば、フィルム又はライナ)と、
を備える。
【0082】
使用時には、ユーザは、第1の基板層132を剥離して、電極部材110及びRFタグ120の患者側に設けられている下の接着剤を露出させて、第2の基板層134、電極部材110及びRFタグ120の残りのアセンブリを患者の皮膚上に適用するようにしてもよい。アセンブリは、以前は第1の基板層132によって覆われていた露出された接着剤によって、患者の皮膚に接着される。この点において、第1の基板層132は、取り外し可能なカバー222と同様に機能する。しかしながら、第1の基板層132は、電極部材110とRFタグ120との患者側の両方に設けられている接着剤を同時に覆っている。
【0083】
電極130及びRFタグ120が患者の皮膚に固定されると、次に、ユーザは、第2の基板層134を剥がして、下の接着剤を露出させるようにしてもよい。次に、ユーザは、医療装置200を電極部材110(及び選択的にRFタグ120)の露出された接着表面に取り付け、それによって、医療用電極110(及び選択的にRFタグ120)を医療装置200に固定可能である。モニタリングが完了した後、使用された電極部材110及びRFタグ120は、医療装置200及び患者の皮膚から取り外され、廃棄されるようにしてもよい。
【0084】
前述したように、電極部材110及びRFタグ120は、図1(A)に示されるものとは異なる任意の適切な形態を採ってもよい。例えば、図1(B)は、異なる種類の電極部材110及び異なる種類のRFタグ120を備える追跡可能な電極装置100の別の例を図示している。
【0085】
更に、図1(A)及び図1(B)に示される追跡可能な電極装置100は、単一の電極部材110を備えるが、追跡可能な電極装置100は、代わって、複数の電極部材110を備えてもよい。追跡可能な電極装置100は、複数の導電性領域230(複数の電極部材110の各々について1つ)に接続されている共用の可撓性シートを備えることが可能であり、追跡可能な電極装置100は、複数の接着剤層220(複数の電極部材110の各々について1つ)を覆っている共用の取り外し可能なカバーを備えることが可能である。RFタグ120は、追跡可能な電極装置100(その複数の電極部材110を備える)を示す1つのタグIDを備えることが可能であり、又は、RFタグ120は、追跡可能な電極装置100の各々の電極部材110についての複数のタグIDを備えることが可能である。
【0086】
図5(A)は、追跡可能な電極装置100の別の一例を示しており、2つの電極部材110A,110Bと、1つのRFタグ120と、を備えている。2つの電極部材110A,110Bは、同じ構造及び構成要素を有していてもよい。代わって、2つの電極部材110A,110Bの構造及び構成要素は、互いに異なっていてもよい。外部機器は、RFタグ120に記憶されているタグ識別データを使用して、2つの電極部材110A、110Bの各々に関連する詳細情報を決定するようにしてもよい。
【0087】
図5(B)は、追跡可能な電極装置100別の一例を示しており、4つの電極部材110A、110B、110C、110Dと、1つのRFタグ120と、を備える。外部機器は、RFタグ120に記憶されているタグ識別データを用いて、4つの電極部材110A、110B、110C、110Dの各々に関連する詳細情報を決定するようにしてもよい。
【0088】
更に、他の幾つかの実施形態では、追跡可能な電極装置100は、複数のRFタグ120を備えていてもよく(その一例が図13に示される)、各々が、1つ又は1つのグループの電極部材110に関連するタグ識別データを記憶している。
【0089】
前述したように、基板は、医療用電極及びRFタグに取り外し可能に取り付けられていてもよい。例えば、基板は、
a)医療用電極の一方側及びRFタグの一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の基板層と、
b)医療用電極の反対側及びRFタグの反対側に取り外し可能に取り付けられている第2の基板層と、
を備えていてもよい。
【0090】
従って、基板又は基板層が取り外されると、電極及びRFタグが互いに分離するようにしてもよい。幾つかの実施形態では、RFタグ120及び電極部材110は、互いに重なり合うように、互いに取り付けられている。これにより、患者の皮膚上の追跡可能な電極装置100の跡を最小化すること、及び/又は、RFリーダが電極部材110を医療装置と接続するためのケーブルと一体化されている場合に、RFリーダへの接近性を向上することを可能にするようにしてもよい。
【0091】
図6(A)乃至図6(D)は、一体的な形態の基板130を備える追跡可能な電極装置100の他の幾つかの例を図示している。これらの例では、RFタグ120が電極部材110と一体化されており、基板130は、可撓性シート210の少なくとも一部によって形成されている。例えば、図6(A)及び図6(B)は、追跡可能な電極装置100の例を示している。これらの例では、RFタグ120は、電極部材110上に取り付けられており、アンテナ310は、電極部材110の電極コネクタ240の周囲に位置されている。
【0092】
更に、図6(C)及び図6(D)は、追跡可能な電極装置100の更なる幾つかの例を示しており、RFタグ120は、電極部材110上に取り付けられ、電極部材110の電極コネクタ240に隣接して位置されている。代わって、RFタグ120は、他の任意の適切な方法で、電極部材110に近接して取り付けられていてもよい。
【0093】
図7は、医療装置200における追跡可能な電極装置100の使用を制御するためのシステム10の一例を示す。医療装置200は、追跡可能な電極装置100から受信した電気信号をモニタリング及び/又は記録するための電子機器、例えば、脳波(EEG)装置、心電図(ECG)装置、又は、前述したOLI(TM)であってもよい。
【0094】
代わって、医療装置200は、患者を刺激するために、追跡可能な電極装置100に供給される電気信号を生成する電子装置、例えば、電気痙攣療法(ECT)装置、除細動器、又は、経皮的電気神経刺激(TENS)装置であってもよい。別の代わった実施形態では、医療装置200は、作動中に電極を利用する他の適切な種類の医療装置であってもよい。
【0095】
図7に示されるように、幾つかの実施形態では、医療装置200は、RFリーダ270を備える。システム10のRFリーダ270は、追跡可能な電極装置100のRFタグ120を読み取るように形成されている。RFリーダ270は、RFタグ120を読み取り可能な任意の適切な種類のRF装置であってもよい。例えば、RFタグ120がNFCタグである場合には、RFリーダ270は、NFCリーダであってもよい。代わって、RFタグ120がRFIDタグである場合には、RFリーダ270は、RFIDリーダであってもよい。代わって、RFタグ120は、他の任意の適切な種類のRFタグであってもよく、RFリーダ270は、そのRFタグを読み取る装置であってもよい。
【0096】
RFリーダ270は、医療装置200に電気的に接続され、医療装置200から必要な電力を受け取る。RFリーダ270は、医療装置200に電気的に接続され、RFタグ120を示すデータを備える信号を医療装置200に送信する。
【0097】
実施形態では、RFリーダ270は、医療装置200に取り付けられ又は医療装置200内に一体化されており、即ち、医療装置200のハウジングに及び/又は医療装置200のプリント回路基板(PCB)に取り付けられており、RFリーダ270と医療装置200との間の電気的及び電子的接続は、直接接続、即ち、別個のケーブルなしのものである。RFリーダ270は、医療装置200のハウジングの外側に取り付けられていてもよく、例えば、既存の医療装置に後付けされてもよく、又は、医療装置200のハウジングにおいて内部に一体化されていてもよい(即ち、医療装置200自体の一体化された一部分とみなされる)。医療装置200のハウジングにおいて内部に一体化されている場合には、RFリーダ270は、組み立て又は製造プロセス中に、医療装置200の他の構成要素と組み合わされ、及び/又は、医療装置200のPCB上の電子構成要素と組み合わされてもよい。更に、ハウジングは、耐水性又は防水性の密閉ハウジングを備える密閉ハウジングであってもよく、RFリーダ270は、実施形態に応じて、密封ハウジングの内部又は外部にあってもよい。
【0098】
医療装置200は、医療装置200によって生成又は受信された電気信号を送信する電気信号インタフェース250を備える。追跡可能な電極装置100の電極部材110は、電気信号インタフェース250を介して、医療装置200に電気的に接続される。システム10は、ここでは装置側コネクタ262と称される装置上の導電性コネクタを備える。装置側導電性コネクタ262は、電極側導電性コネクタ240に接続し、協同する種類のコネクタである。装置側コネクタ262は、電極側コネクタ240と電気的に接続して、医療装置200と電極部材110との間で電気信号を送信する。装置側コネクタ262及び協同する電極側コネクタ240は、導電性材料(例えば、金属)によって製造されており、協同するファスナであることが可能であり、幾つかの実施形態では、雌型/雄型のスナップファスナに類似している形状を有し、又は、プレススタッドファスナを含む、タブ、ワイヤ又はカスタムコネクタ(前述した)の形態を有し、例えば、電極側コネクタ240は(図2に示されるように)雄型部品であり、装置側コネクタ262は協同する雌型部品である。
【0099】
図7(A)に示されるように、幾つかの実施形態では、システム10は、電気信号インタフェース250と装置側コネクタ262との間の導電性ケーブル260を備える。一実施形態では、装置側コネクタ262は、ケーブル260の端部へと一体化可能である。
【0100】
幾つかの実施形態では、RFリーダ270は、導電性ケーブル260と一体化されていてもよい。導電性ケーブル260は、電極部材110に接続するための装置側コネクタ262を一端部に備え、電極部材110に取り付けられているRFタグ120を読み取るためのRFリーダ270を同じ端部に又は同じ端部の近傍に備える。導電性ケーブルの他端部は、例えば既存のプラグを用いて、医療装置200に接続するように形成されている。これらの実施形態では、RFリーダ270と装置側コネクタ262とが互いに近接して設けられており、RFリーダ270による読み取りと装置側コネクタ262の電極部材110への接続とを単一の接続動作によって実行することが可能である。加えて、RFリーダ270を装置側コネクタ262に隣接させることにより、近くにある可能性のある他の電極部材に取り付けられている他のRFタグからの干渉を緩和して、より良い信号品質及びより正確な結果を提供する。一実施形態では、導電性ケーブル260は、追加の構成要素、例えば、データを記憶するメモリを備えてもよい。
【0101】
図7(B)を参照し、代わった実施形態が提供され、システム10は導電性ケーブル260を含まない。代わって、装置側コネクタ262は、医療装置200上又は医療装置200内に取り付けられており、医療装置200自身に一体化されている部分とみなされてもよい。本実施形態では、装置側コネクタ262は、一体型装置側導電性コネクタと称されてもよい。装置側コネクタ262は、医療装置200のハウジング及び/又は電子回路基板(例えば、PCB)の少なくとも一部内に又は上に、介在するケーブルなしで、可撓性なし又は可撓性ありに取り付けられてもよい(例えば、OLI(TM)装置内のように)。
【0102】
また、前述したように、RFリーダ270及び電気信号インタフェース250も、一体型装置側導電性コネクタ262に接続する追跡可能な電極装置100のRFタグ120を読み取るために、医療装置200のハウジング内で一体化されてもよい。更に、RFリーダ270は、RFタグ120からの信号の受信を向上するために、医療装置200上又は医療装置内の装置側コネクタ262に近接して配置されていてもよい。追跡可能な電極装置100は、同一の基板130上に複数の電極部材110を備えていてもよい。例えば、図7(B)に示されるように、システム10は、単一の基板に設けられている4つの電極部材110及び単一のRFタグ120を備える追跡可能な電極装置100を備える。4つの電極部材110は、医療装置200のハウジングに設けられている装置側コネクタ262と整列して接続するように、基板上に配置されている。
【0103】
医療装置200は、通信ネットワーク400を介して、サーバ300とデータ通信を実行してもよい。サーバ300は、任意の適切な形態をとってもよく、例えば、クラウドサーバ又は専用サーバである。サーバ300は、病院内のローカルサーバ、又は、安全なインターネット接続によってアクセスされるクラウドベースのサーバであってもよい。
【0104】
また、医療装置200は、通信ネットワーク400を介して、又は、Bluetooth Low Energy technologyのような、しかしこれに限定されない別の無線通信方法を介して、端末演算装置500とデータ通信を実行してもよい。端末演算装置500は、RFタグ120に記憶されているデータ又は情報、及び/又は、電極部材110によって又は電極部材110から受信された信号に関連する情報を、受信、記憶及び/又は表示するように配置されてもよい。端末演算装置500は、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、モバイル装置又は同様の任意の装置を含んでいてもよい。更に、医療装置200は、任意の時間に任意の台数の端末演算装置500又はサーバ300と通信を実行してもよい。
【0105】
通信ネットワーク400は、任意の適切な形態、例えば、インターネット及び/又は1若しくは幾つかのローカルエリアネットワーク(LAN)を採ってもよい。実際には、医療装置200とサーバ300とは、Wi-Fi又はブルートゥース(登録商標)のような直接接続又はポイントツーポイント接続を介するのに加えて、モバイルネットワーク、802.11ネットワークのようなプライベートネットワーク、インターネット、LAN、WANを含むがこれらに限定されない有線及び/又は無線接続を介するような、任意の適切な機構を介して通信可能である。
【0106】
図8は一例を図示しており、RFリーダ270は、導電性ケーブル260と一体化されている。図8に示されるように、医療装置200からRFリーダ270に電力を供給するために、及び/又は、RFリーダ270と医療装置200との間で信号を送信するために、電力線264が使用される。導電性ケーブル260は、更に、電極側コネクタ240と医療装置200との間で信号を送信するための信号線を備える。
【0107】
図9は、追跡可能な電極装置100の使用を制御するために、図7又は図8に示す医療装置200によって実行される例示的なワークフローを示す。追跡可能な電極装置100の電極部材110が医療装置200の電気信号インタフェース250に接続される前又は後に、医療装置200は、RFリーダ270を使用して、追跡可能な電極装置100のRFタグ120から、タグIDを示すタグ識別データを受信する(ステップ910)。このタグIDは、電極部材110に関連付けられている。
【0108】
次に、医療装置200は、医療装置200に関連する装置識別子(ID)を示す装置識別データを取得する(ステップ920)。装置識別データは、医療装置200のメモリ、又は、医療装置200と共に使用するように形成されている1以上の導電性ケーブルのメモリに記憶されてもよい。導電性ケーブルに装置IDを記憶することは、導電性ケーブルがRFリーダ270を備える場合に有用であり得る。
【0109】
受信したタグIDと取得した装置IDとに基づいて、ステップ930において、医療装置200は、例えばサーバ300に問い合わせることにより、タグIDと装置IDとの組み合わせに対応する制御信号を取得する。医療装置200は、タグIDと装置IDの両方を、通信ネットワーク400を介して、サーバ300に送信してもよい。タグIDと装置IDとの組み合わせに基づいて、サーバ300は、医療装置200と追跡可能な電極装置100との間の互換性を示す制御信号を決定し、医療装置200に制御信号を返信する。サーバ300は、装置IDとタグIDとの間の互換性を示すデータ、例えば互換性テーブルを用いて、互換性制御信号を決定する。
【0110】
代わって、幾つかの実施形態では、医療装置200はオフラインであってもよく、即ち、医療装置200はサーバ300に接続されていなくてもよい。それらの場合、医療装置200は、例えば、予め定められているアルゴリズムに基づいて、例えば、医療装置200に予め記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、また、医療装置200に予め記憶されているデータに基づいて、制御信号を決定するように形成されていてもよい。予め記憶されているデータは、装置IDとタグIDとの間の互換性を、例えば互換性テーブルとして示している。オフラインの医療装置200は、予め記憶されているタグIDを有し、これは、散発的に、例えばソフトウェアの更新において、更新可能である。従って、タグIDと装置IDとの組み合わせに基づいて、医療装置200は、装置IDとタグIDとの互換性を、例えば互換性テーブルにおいて決定する。
【0111】
サーバ300から制御信号を受信し、又は、医療装置200に予め記憶されているコンピュータプログラムを実行し、予め記憶されているデータにアクセスすることによって制御信号を決定すると、医療装置200は、次に、制御信号に従って、例えば、互換性のある追跡可能な電極装置100の使用を許可し、又は、互換性のない追跡可能な電極装置100の使用を禁止することによって、追跡可能な電極装置100の使用を制御する(ステップ940)。
【0112】
代わって、幾つかの実施形態では、医療装置200は、通信ネットワーク400に直接接続されていなくてもよい。代わって、医療装置200は、端末演算装置500に通信可能に接続されており、後者は、通信ネットワーク400に接続されており、サーバ300と通信可能である。端末演算装置500は、任意の適切な端末演算装置、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、又は、スマートウェアラブルデバイスであってもよい。
【0113】
医療装置200と端末演算装置500との間のデータ通信は、任意の適切な形態、例えば、有線及び/又は無線接続を介する形態を採ることが可能である。幾つかの実施形態では、医療装置200と端末演算装置500は、Wi-Fi、NFC又はブルートゥース接続を介して互いに接続されてもよい。従って、追跡可能な電極装置100の使用を制御するために、医療装置200は、RFリーダ270を使用して、追跡可能な電極装置100のRFタグ120から、タグIDを示すタグ識別データを受信する。タグIDは、電極部材110に関連付けられている。
【0114】
そして、医療装置200は、医療装置200に関連する装置IDを示す装置識別データを取得する。装置識別データは、医療装置200のメモリに記憶されていてもよい。次に、医療装置200は、タグIDと装置IDとを端末演算装置500に送信する。端末演算装置500は、サーバ300に問い合わせることにより、タグIDと装置IDとの組み合わせに対応する制御信号を決定する。サーバ300は、タグIDと装置IDとの組み合わせに基づいて、医療装置200と電極部材110との互換性を判断し、互換性を示すデータを端末演算装置500に返信する。サーバ300から受信したデータに基づいて、端末演算装置500は、制御信号を決定し、制御信号を医療装置200に送信する。代わって、幾つかの実施形態では、医療装置200は、サーバ300又は端末演算装置500に接続されていなくてもよい。それらの場合には、医療装置200は、予め定められているアルゴリズムに基づいて、例えば、医療装置200に予め記憶されているコンピュータプログラムを実行することによって、制御信号を決定するように形成されていてもよい。
【0115】
端末演算装置500から制御信号を受信し、又は、医療装置200に予め記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより制御信号を決定すると、医療装置200は、次に、制御信号に応じて電極部材110の使用を制御する。
【0116】
図10は、医療装置200における追跡可能な電極装置100の使用を制御するシステム10の更なる一例を示す。この一例では、医療装置200は、RFリーダ270を備えない。端末演算装置500は、代わって、RFタグ120を読み取り可能なRFリーダ(例えば、NFCリーダ、又は、RFIDリーダ)を備える。
【0117】
従って、追跡可能な電極装置100の使用を制御するために、端末演算装置500は、そのRFリーダを使用して、RFタグ120から、電極部材110に関連するタグIDを示すタグ識別データを受信する。端末演算装置500は、次に、医療装置200に関連する装置IDを示す装置識別データを取得する。装置識別データは、端末演算装置500によってデータ通信により医療装置200から取得されてもよい。代わって、端末演算装置500は、他の任意の適切な方法で、例えば、ユーザが医療装置200の装置IDを端末演算装置500に入力することによって、又は、端末演算装置500が医療装置200に付与されているバーコード、クイックレスポンス(QR)コード、又は、その他の任意の種類の機械可読コードをスキャンすることによって、装置識別データを取得してもよい。
【0118】
端末演算装置500は、次に、タグIDと装置IDとの組み合わせに対応する制御信号を、例えばサーバ300に問い合わせることにより取得する。サーバ300は、タグIDと装置IDとの組み合わせに基づいて、医療装置200と電極部材110との互換性を判断し、互換性を示すデータを端末演算装置500に送信する。端末演算装置500は、サーバ300から受信したデータに基づいて、制御信号を決定して出力する。
【0119】
例えば、端末演算装置500は、制御信号を医療装置200に送信して、制御信号に従って電極部材110を使用する又は使用しないことを医療装置200に指示してもよい。代わって、端末演算装置500は、他の任意の適切な方法で、制御信号を出力してもよい。例えば、端末演算装置500は、端末演算装置500の画面に制御メッセージを表示して、医療装置200のユーザに通知してもよく、制御メッセージは、電極部材110を医療装置200で使用すべきか否か及び/又はどのように使用すべきかを示す。代わって又は加えて、端末演算装置500は、電極部材110が医療装置200と互換性がないと判断した場合には、警報を起動してもよい。
【0120】
幾つかの実施形態では、追跡可能な電極装置100(又は電極部材110)の製造者又は関連する規制当局は、電極部材110の品質保持期間又は有効期間を設定してもよい。サーバ300は、タグIDに基づいて電極部材110の品質保持期間又は有効期間を決定し、例えば制御信号の一部としてそれを医療装置200に送信して、それに応じて追跡可能な電極装置100の使用を制御してもよい。例えば、電極部材110の品質保持期間が終了した場合には、医療装置200は、ユーザに通知し、追跡可能な電極装置100の交換を要求してもよい。
【0121】
幾つかの実施形態では、追跡可能な電極装置100(又は電極部材110)の製造者又は関連する規制当局は、電極部材110が患者の身体に取付可能な最大取付期間又は理想的な取付期間を設定してもよい。サーバ300は、タグIDに基づいて電極部材110の最大取付期間を決定し、例えば制御信号の一部としてそれを医療装置200に送信して、追跡可能な電極装置100の使用を制御してもよい。例えば、電極部材110が最大取付期間を超えて使用された場合、医療装置200は、ユーザに通知し、追跡可能な電極装置100の交換を要求してもよい。
【0122】
幾つかの実施形態では、医療装置200は、追跡可能な電極装置100の使用状態をモニタし、使用状態をサーバ300に報告する。これは、医療装置200がサーバ300に追跡可能な電極装置100の使用中に発生した異常を報告することを含んでもよい。例えば、追跡可能な電極装置100の製造者又は関連する規制当局は、電極部材110を患者の身体に取付可能である推奨取付期間を設定してもよい。推奨取付期間は、サーバ300がタグIDに基づいて決定し、例えば制御信号の一部としてそれを医療装置200に送信してもよい。追跡可能な電極装置100の使用中に、推奨取付期間よりも短い期間で、電極部材110と患者の身体との間の接続が失われ又は不安定になった場合には、医療装置200は、この不具合をサーバ300に報告してもよい。これにより、サーバ300は、追跡可能な電極装置を使用する複数の医療装置から使用データを収集し、医療装置及び追跡可能な電極装置の製造者及び/又は将来のユーザに有用な情報を提供することが可能である。例えば、推奨取付期間及び/又は最大取付期間は、収集された使用データに基づいてサーバ300によって更新されてもよく、これにより、より正確な推奨取付期間及び/又は最大取付期間を決定し、従って追跡可能な電極装置100の使用を最適化することが可能である。
【0123】
別の一例として、医療装置200は、追跡可能な電極装置100から受信した電気信号の信号性能を更にモニタしてもよい。医療装置200は、例えばデータベースに、医療装置200に関連する装置IDに関連付けられている追跡可能な電極装置100に関連するタグIDを示すデータを記憶するデータ記憶装置を含んでもよい。更に、医療装置200は、データ記憶装置、例えばデータベースに、追跡可能な電極装置100を用いる医療装置200によって記録された信号に関連付けられているタグID及び装置IDを記憶してもよい。
【0124】
例えば、許容可能な信号対雑音比(SNR)は、医療装置200の製造者又は規制機関によって予め定められ、医療装置200によって取得されてもよい。追跡可能な電極装置100から受信した電気信号のSNRが許容可能な信号対雑音比よりも低下したことを医療装置200が検出した場合には、医療装置200は、警報を起動してユーザに通知し、ユーザが電極部材110の患者への取付及び電極部材110と医療装置200との間の接続を手動で確認することを可能とするようにしてもよい。医療装置200は、結果をサーバ300に報告するようにしてもよい。この情報は、サーバ300によって収集され、追跡可能な電極装置100又は電極部材110の製造者へフィードバックを提供するために使用されてもよい。例えば、製造者は、この情報を利用して、ユーザへの製品トレーニングを改良し、又は、追跡可能な電極装置100に品質上の問題があり、リコールすべきかどうかを決定するようにしてもよい。
【0125】
品質上の問題を有する追跡可能な電極装置100が、サーバ300によって記録され又はサーバ300に登録されて、これらの装置の将来の使用が禁止され又は警告されるようにしてもよい。タグIDが、品質上の問題を有し又はリコールされるべき追跡可能な電極装置100に関連することをサーバ300が検出した場合には、サーバ300は、この情報を医療装置200に送信してもよく、医療装置200は、次に、製品のリコールに関してユーザへ通知し、並びに/又は、例えば、ユーザインタフェースに通知を表示し、及び/若しくは、医療装置200を制御して作動を停止又は一時停止させることにより、追跡可能な電極装置100の使用を禁止することが可能である。これにより、製品が異なる販売者を経由して販売された場合でも、より効果的かつ効率的な品質管理の方法、より徹底的かつタイムリーな医療用電極製品の製品リコール又は潜在的な欠陥への対応の方法を提供することが可能である。また、これにより、電極のユーザ(例えば、医療スタッフ)に追跡可能な電極装置100の潜在的な欠陥を知らせることが可能であり、ユーザが追跡可能な電極装置100の使用を最適化し、潜在的に信頼性のない使用を回避することを支援することが可能である。
【0126】
図11は、追跡可能な電極装置100の使用を制御する図7図8又は図10に示す医療装置200によって実行される例示的なワークフローを図示する。この一例では、医療装置200は、モニタリング装置、例えば、脳波(EEG)装置又は心電図(ECG)装置である。
【0127】
最初に、ステップ1102では、例えば、電極部材110を医療装置200の電気信号インタフェース250に接続することにより、追跡可能な電極装置100が医療装置200に電気的に接続される。ステップ1104において、医療装置200は、RFリーダ270を用いて、追跡可能な電極装置100のRFタグ120から、電極部材110に関連するタグIDを示すタグ識別データを受信する。
【0128】
ステップ1106において、医療装置200は、例えば医療装置200のメモリから装置IDを検索することにより、医療装置200に関連する装置識別子(ID)を示す装置識別データを取得する。ステップ1108では、医療装置200は、それが通信ネットワーク400に接続されているか否かを決定する。医療装置200が通信ネットワーク400に接続されている場合には、ステップ1110において、医療装置200は、タグIDと装置IDとの組み合わせをサーバ300に送信する。好ましくは、サーバ300はクラウドサーバである。幾つかの実施形態では、サーバ300は、代わって専用サーバであってもよい。
【0129】
代わって、医療装置200が通信ネットワーク400に接続されていない場合には、医療装置200は、タグIDと装置IDとの組み合わせをネットワーク対応端末演算装置500に送信し、次に、ネットワーク対応端末演算装置500は、タグIDと装置IDをサーバ300に送信する(ステップ1112)。
【0130】
ステップ1114では、サーバ300は、タグIDと装置IDとの組み合わせを解析し、医療装置200と電極部材110との互換性を判断する。サーバ300は、更に、医療装置200との追跡可能な電極装置100の使用に、何らかの制限が適用されるか否かを決定してもよい。例えば、サーバ300は、追跡可能な電極装置100の期間切れである(例えば、追跡可能な電極装置100が品質保持期間を過ぎている、又は、追跡可能な電極装置100が欠陥のある製品であってリコールされる必要がある)かどうかを決定するようにしてもよい。ステップ1116では、分析に基づいて、サーバ300は、医療装置200に制御信号を返信する。医療装置200がネットワーク対応であれば、制御信号は医療装置200に直接送信されてもよい。代わって、制御信号は、ネットワーク対応端末演算装置500を介して医療装置200に送信されてもよい。
【0131】
医療装置200は、次に、追跡可能な電極装置100が医療装置200との使用に適しているか否かを決定する(ステップ1118)。例えば、サーバ300から受信した制御信号が、追跡可能な電極装置100が医療装置200との互換性がない又は使用に適さないと示している場合には、医療装置200は、追跡可能な電極装置100が使用されるべきではないと決定するようにしてもよい。
【0132】
幾つかの実施形態では、追跡可能な電極装置100が期間切れである(例えば、追跡可能な電極装置100の品質保持期間が過ぎている)場合、又は、追跡可能な電極装置100が欠陥のある製品である場合には、医療装置200又はサーバ300は、追跡可能な電極装置100が使用に適していないと判断するようにしてもよい。
【0133】
幾つかの実施形態では、電気信号インタフェース250を介して追跡可能な電極装置100から受信した電気信号が不正な信号である場合(例えば、信号強度が所定の閾値を超えており又は下回っている場合)には、医療装置200又はサーバ300は、追跡可能な電極装置100が使用されるべきではないと決定するようにしてもよい。
【0134】
医療装置200は、追跡可能な電極装置100が使用に適さないと判断されると、追跡可能な電極装置100の使用を禁止するように形成されていてもよい。医療装置200は、追跡可能な電極装置100を医療装置200とは使用不能であることをユーザに通知してもよい(ステップ1120)。
【0135】
医療装置200は、更に、ユーザが医療装置200から追跡可能な電極装置100の電極部材110の接続を分離するまで(ステップ1122)、電気信号インタフェース250を介した信号通信を不可能にしてもよい(ステップ1124)。その後、別の追跡可能な電極装置100が医療装置200に接続された場合には、医療装置200は、ステップ1102にループバックして処理を再開する。
【0136】
代わって、ステップ1118において、例えば追跡可能な電極装置100と医療装置200との間の互換性を示す制御信号に基づいて、追跡可能な電極装置100が医療装置200との使用に適していると医療装置200が決定した場合には、医療装置は、追跡可能な電極装置100が医療装置200と互換性があり、モニタリングを進めることをユーザに通知してもよい(ステップ1126)。医療装置200は、次に、ステップ1128に進み、完全な機能による追跡可能な電極装置100の使用を許可する。
【0137】
代わって、ステップ1118において、医療装置200が、追跡可能な電極装置100と医療装置200とが完全には互換性がないと判断した場合、又は、タグIDと装置IDとの組み合わせが、追跡可能な電極装置100と医療装置200とが互換性があるかどうかを判断するのに充分な情報を提供していない場合(例えば、制御信号が、タグIDと装置IDとの組み合わせが認識できないことを示している場合)には、医療装置200は、追跡可能な電極装置100が医療装置200とは適切に機能することを保証できないことをユーザに警告し(ステップ1130)、ユーザが追跡可能な電極装置100の使用に同意するかどうかを確認するためのユーザ入力を要求するようにしてもよい(ステップ1132)。
【0138】
追跡可能な電極装置100の使用を認めるユーザ入力を受信すると、医療装置200はステップ1134に進み、追跡可能な電極装置100を使用して電気信号をモニタリングする。好ましくは、医療装置200の限られた個数の機能のみの使用が許可される。使用される機能は、サーバ300から受信した制御信号に基づいて、医療装置200によって決定されるようにしてもよい。代わって、追跡可能な電極装置100の適用を追跡するために、電気信号は、医療装置200によって記録され、及び/又は、使用可能な端末演算装置500又はサーバ300に送信され、追跡可能な電極装置100の医療用電極の性能をモニタする。
【0139】
前述したように、幾つかの実施形態では、医療装置200は、サーバ300又は端末演算装置500に接続されていなくてもよい。それらの場合、医療装置200は、予め定められたアルゴリズムに基づいて、例えば医療装置200に予め記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、制御信号をそれ自身で決定するように形成されてもよい。予め記憶されているコンピュータプログラムは、装置IDとタグIDの組み合わせに基づいて、医療装置200と追跡可能な電極装置100との互換性を決定する。そして、予め記憶されているコンピュータプログラムを実行して制御信号を決定すると、医療装置200は、次に、制御信号に応じて電極部材110の使用を制御する。
【0140】
本願開示に記載されている方法及びシステムは、使用する電極が実際に医療装置との使用に適しているか否かの効果的かつ効率的な識別の方法を提供する。
【0141】
幾つかの実施形態に従い、方法及びシステムは、電極又は医療装置の製造者が医療用電極の適用を追跡し、医療用電極の性能をモニタするためのツールとして使用するようにしてもよい。これにより、性能に影響を与え得る電極の要素を明らかにし、製品の改良又はユーザの製品トレーニングのための価値ある情報を提供することが可能である。
【0142】
幾つかの実施形態に従い、方法及びシステムは、例えば意図された品質保持期間又は使用可能期間よりも長く電極を使用することを禁止することによって、電極の過剰使用を防止又は減少させるために使用されるようにしてもよい。これにより、使用時の電極が所望の信号品質を提供可能であること、電極の使用によるモニタリング又は治療の結果が正確であることを確保することが可能である。
【0143】
更に、図13に示されるように、ここでは、追跡可能な電極装置1300についても説明され、追跡可能な電極装置1300は、
a)複数の医療用電極(1310、1320、1330、1340)と、
b)各々が複数の医療用電極の内の対応する1つを識別する識別子(ID)を有する対応する複数の無線周波数(RF)タグ(1312、1322、1332、1342)と、
c)複数の医療用電極及び複数のRFタグに取り付けられている少なくとも1つの基板1350と、を備え、基板1350は、取り外し可能な基板130の形態であってもよいし、一体型基板130の形態であってもよい。
【0144】
更に、前で用いられている用語「患者」は、人間と動物との患者の両方及びユーザを含んでいる。従って、医療装置200は、人間用の医療装置、福祉設備、スポーツモニタリング設備、又は、動物用の獣医用装置を含んでもよい。
【0145】
本願明細書における先行刊行物(又はそれから得られる情報)又は公知事実の参照については、その先行刊行物(又はそれから得られる情報)又は公知事実が本願明細書に関連する努力の分野における共通の一般的な知識を形成していることのいかなる自認、承認又は示唆ともみなされず、またみなされるべきではない。
【0146】
本願発明の範囲を逸脱することのない多くの改良が当業者には明らかであろう。
【0147】
本願明細書及び続く特許請求の範囲において、文脈上他を要求されない限り、用語「comprise」、及び、「comprised」、「comprises」又は「comprising」のようなその変形は、述べられた総体若しくはステップ又は総体若しくはステップのグレープを包含することを示唆するが、他の総体若しくはステップ又は総体若しくはステップのグレープを除外することを示唆するものではないと理解されるであろう。
【0148】
ここで用いられているように、a、an、the、at least one及びone or moreは、互換的に使用され、1の又は1以上の(即ち、少なくとも1つの)文法的対象を示している。例えば、「an element」は、1つの要素、少なくとも1の要素又は1以上の要素を示している。
図1(A)】
図1(B)】
図2
図3
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図4(D)】
図4(E)】
図5(A)】
図5(B)】
図6(A)】
図6(B)】
図6(C)】
図6(D)】
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12(A)】
図12(B)】
図13
【国際調査報告】