(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】生理学的マーカーに基づいた療法送達の管理
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542324
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2020014565
(87)【国際公開番号】W WO2020154370
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ブリンク,タデウス・エス
(72)【発明者】
【氏名】アダムスキ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スタンスラスキ,スコット・アール
(72)【発明者】
【氏名】ザーペル,ランス
(72)【発明者】
【氏名】ヘロン,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ01
4C053JJ18
4C053JJ25
(57)【要約】
患者に電気刺激を提供するための適合システムであって、システムが、1つ以上のプログラムを記憶するように構成されたメモリと、メモリに結合され、1つ以上のプログラムを実行するように構成されたプロセッサ回路と、を備え、プロセッサ回路が、センサ信号を監視し、センサ信号に基づいて患者の生理学的マーカーを分類することであって、生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、患者の分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、制御信号が、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、患者内の標的部位において電気刺激を提供するための植え込み型刺激装置を制御して、括約筋を開いて排尿事象を可能にすること、又は括約筋を収縮させて排尿事象を抑制することのうちのもう1つを行う、発生させることと、プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、電気刺激の送達のタイミング若しくは電気刺激の刺激パラメータのうちの1つ以上を自動的に調節するように適合させることと、を行うように構成されている、適合システム。植え込み型医療用装置を制御する対応する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に電気刺激を提供するための適合システムであって、前記システムが、
1つ以上のプログラムを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリに結合され、前記1つ以上のプログラムを実行するように構成されたプロセッサ回路と、を備え、前記プロセッサ回路が、
センサ信号を監視し、前記センサ信号に基づいて前記患者の生理学的マーカーを分類することであって、前記生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、
前記患者の前記分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、前記制御信号が、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、前記患者内の標的部位において、前記電気刺激を提供するための植え込み型刺激装置を制御して、括約筋(sphincter)を開いて排尿事象を可能にすること、又は前記括約筋を収縮させて前記排尿事象を抑制することのうちのもう1つを行う、発生させることと、
前記プロセッサ回路が前記生理学的マーカーを分類し、前記制御信号を発生させる方式、又は前記刺激プログラムの前記1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、前記分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、前記電気刺激の送達のタイミング若しくは前記電気刺激の前記刺激パラメータのうちの1つ以上を自動的に調節するように適合させることと、を行うように構成されている、適合システム。
【請求項2】
前記1つ以上のプログラムが、分類器プログラムを含み、前記プロセッサ回路が、前記分類器プログラムを実行して、前記センサ信号を監視することと、前記患者の前記生理学的マーカーを分類することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のプログラムが、制御ポリシーを含み、前記プロセッサ回路が、前記制御ポリシーを実行して、前記制御信号を発生させるように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御ポリシーが、適合可能なベースライン制御ポリシーを含み、前記適合可能なベースライン制御ポリシーが、最初に、前記植え込み型刺激装置を制御して、前記電気刺激を継続的に提供するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のプログラムが、機械学習アルゴリズムを含み、前記プロセッサ回路が、前記機械学習アルゴリズムを実行して、前記プロセッサ回路が前記生理学的マーカーを分類し、前記制御信号を発生させる前記方式、又は前記刺激プログラムの前記1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を適合させるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサ回路が、
前記電気刺激信号のタイミングに基づいて、前記生理学的周期の第1の位相中に電気刺激を保留することと、
前記電気刺激信号のタイミングに基づいて、前記生理学的周期の第2の位相中に前記電気刺激を提供するように、前記制御信号を発生させることと、を行うように更に構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサ回路が、
前記生理学的マーカーに少なくとも部分的に基づいて、前記生理学的周期の前記第1の位相及び前記生理学的周期の前記第2の位相を決定することと、
前記電気刺激信号の前記タイミングを、前記生理学的周期の前記第1の位相中に電気刺激を保留し、前記生理学的周期の前記第2の位相中に前記電気刺激を提供するように、自動的に調節することと、を行うように更に構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサ回路が、
前記生理学的マーカー及び1つ以上の以前の生理学的周期の持続時間に少なくとも部分的に基づいて、前記生理学的周期の前記第1の位相及び前記生理学的周期の前記第2の位相を決定することと、
前記電気刺激信号の前記タイミングを、前記生理学的周期の前記第1の位相中に電気刺激を保留し、前記生理学的周期の前記第2の位相中に前記電気刺激を提供するように、自動的に調節することと、を行うように更に構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記生理学的マーカーが、膀胱の排尿に関連付けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記センサ信号が、圧力、収縮、体積、圧力の変化量、圧力の変化の持続時間、又は圧力の変化率のうちの少なくとも1つを示す、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
センサ信号を監視し、前記センサ信号に基づいて前記患者の生理学的マーカーを分類することであって、前記生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、
前記患者の前記分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、前記制御信号が、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、前記患者内の標的部位において前記電気刺激を提供するための植え込み型刺激装置を制御して、括約筋を開いて排尿事象を可能にすること、又は前記括約筋を収縮させて前記排尿事象を抑制することのうちのもう1つを行う、発生させることと、
プロセッサ回路が前記生理学的マーカーを分類し、前記制御信号を発生させる方式、又は前記刺激プログラムの前記1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、前記分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、前記電気刺激の送達のタイミング若しくは前記電気刺激の前記刺激パラメータのうちの1つ以上を自動的に調節するように適合させることと、を含む、方法。
【請求項12】
前記センサ信号を前記監視し、前記生理学的マーカーを前記分類することが、分類器プログラムを実行するプロセッサ回路によって実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記制御信号を前記発生させることが、制御ポリシーを実行するプロセッサ回路によって実施される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサ回路が前記生理学的マーカーを分類し、前記制御信号を発生させる前記方式、又は前記刺激プログラムの前記1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を前記適合させることが、機械学習アルゴリズムを実行するプロセッサ回路によって実施される、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電気刺激信号のタイミングに基づいて、前記生理学的周期の第1の位相中に電気刺激を保留することと、
前記電気刺激信号のタイミングに基づいて、前記生理学的周期の第2の位相中に前記電気刺激を提供するように、前記制御信号を発生させることと、を更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記生理学的マーカーに少なくとも部分的に基づいて、前記生理学的周期の前記第1の位相及び前記生理学的周期の前記第2の位相を決定することと、
前記電気刺激信号の前記タイミングを、前記生理学的周期の前記第1の位相中に電気刺激を保留し、前記生理学的周期の前記第2の位相中に前記電気刺激を提供するように、自動的に調節することと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記生理学的周期の前記第1の位相及び前記生理学的周期の前記第2の位相を前記決定することが、1つ以上の以前の生理学的周期の持続時間、並びに
前記電気刺激信号の前記タイミングを、前記生理学的周期の前記第1の位相中に電気刺激を保留し、前記生理学的周期の前記第2の位相中に前記電気刺激を提供するように、自動的に調節すること、に更に基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記生理学的マーカーが、膀胱の排尿に関連付けられている、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記センサ信号が、圧力、収縮、体積、圧力の変化量、圧力の変化の持続時間、又は圧力の変化率のうちの少なくとも1つを示す、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
命令を含む非一時的な記憶媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、請求項11~19のいずれか一項に記載の方法を実施させる、非一時的な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
(関連出願)
本出願は、2020年1月16日に出願された米国特許出願第16/744,784号、2019年1月23日に出願された米国特許仮出願第62/795,624号、及び2019年10月25日に出願された米国特許仮出願第62/926,012号の利益を主張するものであり、これらの全ての全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]
(発明の分野)
本開示は、医療用装置に関し、より具体的には、患者に療法を送達する医療用装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]
疾患、年齢、及び傷害は、患者の生理学的機能を損なう場合がある。一部の状況では、生理学的機能は完全に損なわれる。他の例では、生理学的機能は、ある時間において又はある条件下で十分に動作し得、他の時間又は他の条件では十分に動作しない場合がある。一例では、過活動膀胱、急な尿意、又は尿失禁などの膀胱機能障害は、全ての年齢、性別、及び人種の人々を悩まし得る問題である。骨盤底内の様々な筋肉、神経、器官、及び導管は、協働して尿を収集し、貯蔵し、放出する。様々な障害は、尿路の性能を損なう場合があり、正常な生理学的機能に干渉する過活動膀胱、急な尿意、又は尿失禁に寄与し得る。障害の多くは、老化、傷害、又は病気と関連付けられ得る。
【0004】
[0004]
尿失禁は、切迫性尿失禁及び腹圧性尿失禁を含み得る。いくつかの例では、切迫性失禁は、膀胱反射性排尿を制御する末梢神経系又は中枢神経系の障害によって引き起こされ得る。一部の患者はまた、膀胱、括約筋の適切なトリガ及び動作を防止する神経障害、又は過活動膀胱活動又は尿失禁をもたらす神経障害にも罹患し得る。場合によっては、尿失禁は、内尿道括約筋又は外尿道括約筋のいずれかの不適切な括約筋機能に起因し得る。
【0005】
[0005]
電気的神経刺激は、尿失禁の治療を含むいくつかの治療及び診断目的のために使用され得る。電気的神経刺激は、制限された電源(例えば、電池を使用する植え込み型装置)を有する装置によって送達され得る。電力消費は、そのような装置の有効性及び生存能力における制限因子であり得る。加えて、身体は、連続的な刺激に適合し得る。したがって、刺激を非連続的に送達することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]
概して、本開示は、生理学的マーカーに基づいて治療送達を管理するための装置、システム、及び技術を対象とする。システムは、1つ以上の検出可能な生理学的マーカーに基づいて、患者への神経刺激療法の送達を制御し、これらの生理学的マーカーに対して時間送達し得る。したがって、システムは、1つ以上の生理学的マーカーを検出した後に、標的神経刺激療法を時間送達し得る。いくつかの例では、システムは、神経刺激が送達されるべきであるとシステムが決定するまで、生理学的周期の一定の時間又は位相中に、患者に神経刺激療法送達を保留し得る。代替的に、システムは、検出された生理学的マーカーと、標的神経刺激が生理学的周期において後に送達されるときの間の期間中に異なる神経刺激を送達し得、例えば、システムは、生理学的マーカーが検出された後の時間に神経刺激を定義する1つ以上のパラメータを修正又は変化させ得る。このようにして、システムは、生理学的マーカーを検出することに応答して、又は生理学的マーカーからの時間的に後の位相中に神経刺激の送達を制御し得る。いくつかの例では、システムは、経時的に収集されたデータに基づいて、神経刺激の送達のタイミング及び/又は神経刺激を定義するパラメータのうちの1つ以上を動的に適合させ得る。
【0007】
[0007]
例えば、システムは、患者の膀胱充填周期を監視し、充填周期の特定の位相中に発生する神経刺激の送達時間を制御し得る。排尿事象(例えば、あるタイプの生理学的マーカー)が検出された後、システムは、充填周期の第1の位相中の神経刺激を保留し、神経刺激が尿失禁などの膀胱の機能不全状態の低減又は排除においてより効果的であり得る、充填周期の後の第2の位相に対して神経刺激の送達を開始し得る。このようにして、システムは、神経刺激が送達されるべき充填周期の位相を予測し、この位相中に神経刺激を送達し得る。
【0008】
[0008]
一例では、本開示は、患者に電気刺激を提供するための適合システムであって、システムが、1つ以上のプログラムを記憶するように構成されたメモリと、メモリに結合され、1つ以上のプログラムを実行するように構成されたプロセッサ回路と、を備え、プロセッサ回路が、センサ信号を監視し、センサ信号に基づいて患者の生理学的マーカーを分類することであって、生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、患者の分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、制御信号が、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、患者内の標的部位において電気刺激を提供するための植え込み型刺激装置を制御して、括約筋を開いて排尿事象を可能にすること、又は括約筋を収縮させて排尿事象を抑制することのうちのもう1つを行う、発生させることと、プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、電気刺激の送達のタイミング若しくは電気刺激の刺激パラメータのうちの1つ以上を自動的に調節するように適合させることと、行うように構成されている、システムを対象とする。
【0009】
[0009]
別の例では、本開示は、センサ信号を監視し、センサ信号に基づいて患者の生理学的マーカーを分類することであって、生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、患者の分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、制御信号が、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、患者内の標的部位において電気刺激を提供する植え込み型刺激装置を制御して、括約筋を開いて排尿事象を可能にすること、又は括約筋を収縮させて排尿事象を抑制することのうちのもう1つを行う、発生させることと、プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、電気刺激の送達のタイミング若しくは電気刺激の刺激パラメータのうちの1つ以上を調節するように適合させることと、を含む方法を対象とする。
【0010】
[0010]
更なる態様では、本開示は、命令を含む非一時的な記憶媒体であって、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、センサ信号を監視し、センサ信号に基づいて患者の生理学的マーカーを分類することであって、生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、患者の分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、制御信号が、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、患者内の標的部位において電気刺激を提供するための植え込み型刺激装置を制御して、括約筋を開いて排尿事象を可能にすること、又は括約筋を収縮させて排尿事象を抑制することのうちのもう1つを行う、発生させることと、プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、電気刺激の送達のタイミング若しくは電気刺激の刺激パラメータのうちの1つ以上を調節するように適合させることと、を行わせる、非一時的な記憶媒体を対象とする。
【0011】
[0011]
1つ以上の例の詳細は、付随する図面及び以下の説明において記載される。本開示の他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0012】
[0012]
上記の概要は、本開示の各図示された例、又は全ての実施を説明することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013] 過活動膀胱、急な尿意、又は尿失禁などの膀胱機能不全を管理するために、患者への神経刺激の送達を管理する例示のシステムを図示する概念図である。
【
図2A】[0014]
図1のシステムで利用され得る植え込み型医療用装置(implantable medical device、IMD)の例示の構成を図示するブロック図である。
【
図2B】
図1のシステムで利用され得る植え込み型医療用装置(implantable medical device、IMD)の例示の構成を図示するブロック図である。
【
図2C】
図1のシステムで利用され得る植え込み型医療用装置(implantable medical device、IMD)の例示の構成を図示するブロック図である。
【
図3】[0015]
図1のシステムで利用され得る外部プログラマの例示の構成を図示するブロック図である。
【
図4】[0016] 生理学的マーカーに基づいて治療送達のタイミングを判定するための例示の技術を図示するフロー図である。
【
図5】[0017] 膀胱機能不全を管理するために神経刺激を保留及び送達する位相を判定するための例示の技術を図示するフロー図である。
【
図6】[0018] 膀胱排尿をセンサ信号における生理学的マーカーと自動的に関連付けるために装置を訓練するための例示の技術を図示するフロー図である。
【
図7】[0019] 治療のパラメータ又はタイミングを自動的に適合させるための例示の技術を図示するフロー図である。
【
図8】[0020] 膀胱充填周期と、膀胱充填周期の位相に対して時間が決められた神経刺激の送達の例示のタイミング図である。
【
図9A】[0021] 膀胱充填周期の異なる位相中に送達される神経刺激の例示の膀胱体積を示すグラフである。
【
図9B】膀胱充填周期の異なる位相中に送達される神経刺激の例示の膀胱体積を示すグラフである。
【
図10A】[0022]
図9A及び
図9Bに示される神経刺激送達前の例示の膀胱体積を示すグラフである。
【
図11A】[0023] 膀胱充填周期の異なる位相中に送達される神経刺激に対する例示の膀胱体積を示すグラフである。
【
図11B】膀胱充填周期の異なる位相中に送達される神経刺激に対する例示の膀胱体積を示すグラフである。
【
図12A】[0024]
図9A及び
図9Bに示される神経刺激送達前の例示の膀胱体積を示すグラフである。
【
図13】[0025] 実験的な汎用神経調節システムの概念図である。
【
図14】[0026] 膀胱充填周期の異なる位相中に送達される神経刺激に基づく、例示の膀胱体積変化を示すグラフである。
【
図15A】[0027] 生理学的周期中の例示の生理学的事象を示すグラフと、生理学的周期の機能不全状態を回避するための神経刺激の予測的送達を示すグラフである。
【
図15B】生理学的周期中の例示の生理学的事象を示すグラフと、生理学的周期の機能不全状態を回避するための神経刺激の予測的送達を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0028]
本開示は、1つ以上の生理学的マーカーに基づく神経刺激の選択的送達が機能不全状態を低減又は排除し得るように、患者への電気刺激の送達を管理するための装置、システム、及び技術を対象とする。この技術は、様々な機能不全、疾患、又は障害に治療を提供するために使用され得る。例示を目的として、限定するものではないが、膀胱機能不全に関して、技術の使用について以下に説明する。膀胱機能不全は、一般に、膀胱又は尿路の不適切な機能の状態を指し、例えば、過活動膀胱、急な尿意、又は尿失禁を含み得る。過活動膀胱(overactive bladder、OAB)は、尿失禁を伴うか又は伴わない急な尿意などの症状を含み得る患者の状態である。急な尿意は、排尿への突然の、耐え難い切迫感であり、常にという訳ではないが、しばしば、尿失禁に関連付けられ得る。尿失禁は、尿の不随意喪失の状態を指し、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、又は混合性尿失禁と称され得る切迫性及び腹圧性尿失禁の両方を含み得る。本開示で使用するとき、「尿失禁」という用語は、切迫性又は腹圧性尿失禁など、所望されないときに排尿が生じる障害を含む。他の膀胱機能不全は、非閉塞性尿閉などの障害を含み得る。
【0015】
[0029]
膀胱機能不全を治療するための1つのタイプの治療は、電気刺激の送達中に治療効果を引き起こすために、患者内の標的組織部位への連続的な電気刺激の送達を含む。例えば、植え込み型医療用装置(IMD)から標的治療部位、例えば、脊髄神経(例えば、仙骨神経)、外陰神経、背側生殖器神経、脛骨神経、下直腸神経、会陰神経、又は前述の神経のいずれかの枝状部分の活動を調整するために刺激を送達する組織部位への電気刺激の送達は、膀胱収縮の頻度の所望の低減などの膀胱機能不全に対する即時治療効果を提供し得る。場合によっては、仙骨神経の電気刺激は、電気刺激中に尿機能を回復させるために求心性神経活動を調節し得る。しかしながら、連続的な電気刺激又は他のタイプの神経刺激(例えば、薬物送達療法)は、望ましくない副作用、調節、集中的な治療の低下、及び治療を送達する医療用装置によるエネルギー使用量の増加を引き起こし得る生理学的周期の不必要な位相中の神経刺激を提供する場合がある。
【0016】
[0030]
このタイプの連続的な神経刺激療法とは対照的に、本開示で説明される例示の装置、システム、及び技術は、神経刺激が1つ以上の生理学的マーカーに基づいて送達及び保留されるように、1つ以上の生理学的マーカーとのタイミングに基づいて神経刺激療法の送達を管理することを対象とする。例えば、生理学的マーカーは、生理学的周期内の1つ以上の点を示し得る。システムは、生理学的マーカーを生理学的周期内の1つ以上の点と関連付けるように機械学習し得る。システムは、自動的に、神経刺激療法の送達を停止するか、神経刺激療法を開始するか、又は生理学的周期内の後の時点で開始する神経刺激の送達の時間を決めるためのトリガとして、生理学的マーカー又は複数のマーカーの発生について患者を監視し得る。例えば、システムは、患者が朝にコーヒーを典型的に摂取すると、より短い充填周期をもたらすと学習し得、調整しなければ朝になるタイミングよりも早く神経刺激を開始するようにタイミングを調節し得る。
【0017】
[0031]
送達の時間を決めることは、1つ以上の以前の生理学的周期に基づいて、神経刺激の送達のための生理学的周期内の適切な位相を予測することを伴う場合がある。例えば、システムは、生理学的周期中に機能不全状態が典型的に発生する機能不全位相より前に開始する位相中に神経刺激を送達し得、その機能不全位相より前に終了し得る。このようにして、システムは、神経刺激を事前に送達し、神経刺激が不要であるか、又は機能不全状態を治療するには有害にさえなる生理学的周期の1つ以上の位相中に神経刺激を保留することによって、機能不全位相を効果的に低減又は排除し得る。患者の生理学的周期を示す1つ以上の生理学的マーカーに基づいて神経刺激を送達及び保留することにより、システムは、神経刺激及び/若しくは長期間の神経刺激送達から利益を得ない周期の位相中に送達される神経刺激からの望ましくない副作用を低減し、神経刺激療法の有効性を増加させ、治療の耐久性を増加させ、治療に対する組織調節を低減し、エネルギー使用量を低減し(例えば、電気刺激療法中)、並びに/又は材料使用量を低減し得る(例えば、薬物送達療法)。
【0018】
[0032]
一例では、システムは、圧力センサなどのセンサを通じて、患者に対する膀胱充填周期(例えば、あるタイプの生理学的周期)を監視し、充填周期の特定の位相(例えば、複数の位相のうちの1つ)中に発生する神経刺激の送達の時間を決め得る。排尿事象(例えば、あるタイプの生理学的マーカー)が検出された後、システムは、充填周期の第1の位相中の神経刺激を保留し、神経刺激が尿失禁などの膀胱の機能不全状態の低減又は排除においてより効果的であり得る、充填周期の後の第2の位相に対して神経刺激の送達を開始し得る。このようにして、システムは、神経刺激が送達されるべき充填周期の位相を予測し、この位相中に神経刺激を送達し得る。
【0019】
[0033]
本開示は、様々な例、態様、及び特徴の考察を含む。特に明記しない限り、様々な例、態様、及び特徴は、異なる組み合わせで一緒に使用されるものとして企図される。考察を容易にし、現実問題として、特徴の各可能な組み合わせは明示的に列挙されていない。例えば、本開示は、センサ(例えば、圧力センサ)に関連して使用される刺激装置に関する態様を指す。システムは、異なるタイプのセンサ(例えば、温度センサ又は電気センサ)を有し得、これらのセンサの異なる組み合わせを有し得ると理解される。
【0020】
[0034]
本開示の様々な例は、閉ループ神経調節ソリューションを提供するシステムを対象とする。例えば、システムは、電気刺激(仙骨神経調節(sacral neuromodulation、SNM))を使用して仙骨神経を標的とするように構成され得る。仙骨神経の刺激は、様々な骨盤機能不全、特に骨盤底機能の障害の治療を提供し得る。骨盤機能不全の例としては、必ずしも限定されないが、過活動膀胱、非閉塞性尿閉、便失禁、便秘、骨盤痛、及び性的機能不全が挙げられる。
【0021】
[0035]
上述したように、一定の治療が失禁に対処するために送達されるいくつかの技術では、医療用装置の電力消費に悪影響がある場合がある。例えば、SNMが患者に能動的に送達される時間の量は、送達装置の電力消費と相関している。本開示の様々な例は、連続電力が送達される必要がないように、任意の所与の瞬間に患者の必要性に応じた方式でSNMを提供するように構成されているシステムを対象とする。システムは、適切なバイオマーカー又は生理学的マーカーを監視するセンサからの入力に応答して、適合的刺激を提供するように構成され得る。例えば、システムは、生理学的位相に関連付けられた患者の生理学的マーカーを監視し、生理学的マーカーに基づいて電気刺激のタイミング又は電気刺激のパラメータを自動的に調節し得る。このようにして、システムは、閉ループSNMシステムと見なされ得る。理論に束縛されるものではないが、このような閉ループシステムは、電力使用、患者適合に対して有用であり得、患者の状態における瞬間ごとの変動に対してより堅牢であり得る。
【0022】
[0036]
いくつかの例では、システムは、罹患している末端器官から離れた部位に位置する神経標的において刺激を提供するように構成され得る。例えば、仙骨刺激部位は、膀胱又は腸から比較的大きな距離に位置し得る。システムは、感知又は治療刺激を提供し得る、装置間での情報の無線通信を可能にする無線通信回路を有する複数の装置(例えば、植え込み型センサ及び植え込み型刺激装置)を含み得る。例えば、無線回路は、近距離無線通信、Bluetooth(登録商標)、又は他の無線プロトコルを使用して通信するように設計され得る。
【0023】
[0037]
考察を容易にするために、膀胱機能に関連して様々な例が考察される。膀胱機能があるが、1つの可能な用途であると認識されたい。本開示の様々な態様はまた、尿、腸、及び一般的な骨盤底機能不全に関連して使用され得る。簡潔にするために、機能不全の各タイプは、本明細書で考察される各特徴又は例については繰り返さない。
【0024】
[0038]
上で考察されたように、一定の刺激は、望ましくない副作用、調節、より集中的でない治療、及び治療を送達する医療用装置によるエネルギー使用の増加をもたらし得る。
【0025】
一定の例では、刺激オン時間の低減は、より少ない電力消費をもたらし、これは、より長い再充電間隔、より長い交換間隔、より小さい装置、又はそれらの組み合わせに変換し得る。
【0026】
[0039]
一定の例は、無線通信を使用した分散プラットフォーム(以下を参照)に関連して考察されるが、他の例は、膀胱圧などの生理学的マーカーを感知し、空隙を分類し、それに応じて刺激を調節し得る単一の(一体型)装置を可能にする。
【0027】
[0040]
以下で更に考察されるように、膀胱充填周期中の一定の時間に送達される神経刺激は、増加した膀胱容量及び尿閉に関与する。したがって、システムは、膀胱充填周期の一部分中に膀胱収縮を低減するように構成された治療などの神経刺激療法、及び膀胱充填周期の後半又は第3若しくは第4の4分の1などの神経刺激療法に対する受容性が高い膀胱充填の位相中の標的送達を保留し得る。システムは、検出された排尿事象を使用して、いつこれらの位相が充填周期中に発生するかを予測し、それに従って神経刺激送達の時間を決めるか、又は1つ以上のセンサを使用して、充填周期の位相を直接検出し得る。神経刺激療法は一般的に電気刺激療法を含むものとして考察されるが、神経刺激療法は、代替的に又は追加的に薬物送達療法を含み得る。
【0028】
[0041]
植え込み型医療用装置(IMD)などの医療用装置は、本開示で説明される技術を実施して、少なくとも1つの神経(例えば、脊髄神経又は骨盤底神経)に刺激治療を送達して、IMDに電気的に接続された少なくとも1つの電極を介して神経の活動を調整し得る。電気刺激は、膀胱収縮の頻度の低減(失禁を低減するため)又は膀胱収縮の頻度の増加(排尿を促進するため)を引き起こすために、患者の排尿筋の収縮を調整するように設定され得る。膀胱収縮の頻度の低減は、排尿の急な尿意を低減し得、急な尿意及び/又は尿失禁を低減し得、それによって膀胱機能不全を少なくとも部分的に緩和し得る。
【0029】
[0042]
本明細書で説明される神経刺激は、過活動膀胱、急な尿意、尿失禁、又は更には非閉塞性尿閉などの膀胱機能不全を管理するように標的にし得る。例えば、刺激は、これらのタイプの機能不全を緩和するために通常使用される標的組織部位に送達され得る。本技術は、膀胱機能不全を管理するために本開示に主に説明されているが、本技術はまた、患者の他の器官、組織、又は神経に関連する他の骨盤底疾患又は障害を管理するために適用され得る。例えば、本開示で説明される装置、システム、及び技術は、代替的に又は追加的に、性的機能不全、骨盤痛、急な便意、又は便失禁を管理するために利用され得る。治療のために標的にされ得る神経の例としては、仙骨神経、外陰神経、ペニス又はクリトリスの背側神経、脛骨神経、腓腹神経、坐骨神経、下直腸神経、及び腓骨神経又は会陰神経が挙げられる。機能不全のために治療され得る例示の器官系としては、大腸及び小腸、胃及び/若しくは腸、肝臓、並びに脾臓を挙げられ得、これらは、直接器官に、器官を刺激する1つ以上の神経に、及び/又は器官に到達する血液供給物に、神経刺激を送達することによって調整され得る。
【0030】
[0043]
便失禁の例では、IMDは、便失禁の発生の可能性の増加(例えば、患者活動レベルの増加)又は腸充填レベル若しくは活動レベルの増加を示す生理学的マーカーの検出に対して時間が決められた神経刺激療法を送達し得る。生理学的マーカーは、例えば、肛門括約筋の収縮の大きさ、患者の活動レベル、又は患者の姿勢状態を含み得る。
【0031】
[0044]
様々な例が、1つ以上の刺激装置に関して考察される。刺激装置は、電気刺激に加えて特徴及び機能を含み得ることが認識される。これらの追加の特徴の多くは、本明細書で明示的に考察される。いくつかの例示の特徴としては、これらに限定されないが、異なるタイプの感知能力及び異なるタイプの無線通信能力が挙げられる。考察を容易にするために、本開示は、刺激装置の異なる例及び使用が考察されるたびに全ての特徴を繰り返して述べることなどによって、追加の特徴の全ての考えられる組み合わせを明示的に列挙しない。
【0032】
[0045]
図1は、過活動膀胱、急な尿意、又は尿失禁などの膀胱機能不全を管理するために、患者14への神経刺激の送達を管理する例示のシステム10を図示する概念図である。上述のように、システム10は、1つ以上の生理学的マーカーの検出に基づいて、生理学的周期中に合わせて神経刺激を患者に送達するように構成され得る。システム10は、治療の送達を終了し、治療の送達を開始し、及び/又は1つ以上の検出された生理学的マーカーに基づいて治療の送達を保留し得る。例えば、システム10は、患者内に再発する生理学的周期の異なる位相を追跡及び/又は予測するために、1つ以上の生理学的マーカーを監視し得る。次いで、システム10は、生理学的周期の適切な位相中に神経刺激の送達が発生するように制御して、生理学的周期に関する1つ以上の機能不全状態を低減又は排除し得る。
【0033】
[0046]
図1の例に示すように、治療システム10は、リード18、20、及び28及びセンサ22に結合された植え込み型医療用装置(IMD)16(例えば、例示的な医療用装置)を含む。システム10はまた、無線通信を介してIMD16と通信するように構成されている外部プログラマ24を含む。IMD16は一般に、神経刺激(例えば、
図1の例における電気刺激)を、例えば、脊髄神経、仙骨神経、外陰神経、背側生殖器神経、脛骨神経、下直腸神経、会陰神経、若しくは他の骨盤神経、又は前述の神経のいずれかの枝状部分に近接する標的組織部位に送達する治療装置として動作する。IMD16は、リード線28の遠位端に近接して配設された、リード線28付近、より具体的には、電極29A~29D(「電極29」と総称)付近の治療部位を標的にするためにプログラム可能な電気刺激信号を(例えば、電気パルス又は電気波形)生成及び送達することによって、患者14に電気刺激を提供する。
【0034】
[0047]
IMD16は、骨盤付近など患者14内の任意の好適な位置で、患者14に外科的に植え込まれ得る。いくつかの例では、IMD16は、下腹部の側、又は腰部若しくは上部臀部の側の皮下位置に植え込まれ得る。IMD16は、チタン、ステンレス鋼、液晶ポリマーなどから形成され得る生体適合性ハウジングを有する。リード18、20、及び28の近位端は、例えば、それぞれのリード延長部を介して直接的又は間接的にIMD16に電気的及び機械的の両方で結合される。リード18、20、及び28のリードボディ内に配設された導電体は、感知電極(例えば、電極19A、19B、21A、及び21B)と、電極29などの刺激電極とを、IMD16内の感知回路及び刺激送達回路(例えば刺激発生器)に電気的に接続する。
図1の例では、リード18及び20は、電極19A、19B(「電極19」と総称)及び電極21A、21B(「電極21」と総称)をそれぞれ担持する。以下で更に詳細に説明されるように、電極19及び21は、膀胱12内の尿の体積が増加するにつれて増加し得る膀胱12のインピーダンスを感知するために位置決めされ得る。いくつかの例では、システム10は、電極(電極19及び21など)、ひずみゲージ、1つ以上の加速度計、超音波センサ、光センサ、又は膀胱12の収縮、膀胱12の圧力若しくは体積、又は膀胱12の充填周期の他の表示、及び/又は可能性のある膀胱機能不全状態を検出することができる任意の他のセンサを含み得る。
【0035】
[0048]
他の例では、システム10は、膀胱体積を感知するために電極19及び21以外のセンサを使用し得るか、又はいずれのセンサも使用しなくてもよい。例えば、外部プログラマ24は、排尿事象、知覚される充填度レベル、又は生理学的周期の位相に関連付けられた生理学的マーカーの任意の他の表示を識別するユーザ入力を受信し得る。ユーザ入力は、外部プログラマ24若しくはIMD16によって分析された排尿日誌の形態、又はそれぞれの排尿事象、尿漏れ、若しくは生理学的周期の位相に関する任意の他の事象に関連付けられた個々のユーザ入力の形態であり得る。外部プログラマ24及び/又はIMD16は、このユーザ入力を使用して推定充填周期を生成し、充填周期の位相を決定して、神経刺激を送達し、刺激を保留し得る。換言すれば、1つ以上の生理学的マーカーは、ユーザ入力から識別され得る。ユーザ入力は、生理学的マーカーを検出するための電極19A及び21Aなどのセンサに加えて、又はその代わりに行われ得る。
【0036】
[0049]
1つ以上の医療リード線、例えば、リード18、20、及び28は、IMD16に接続され、所望の神経又は筋肉部位、例えば、脊髄(例えば仙骨)又は外陰神経に近接する組織部位などの以前に列挙された標的治療部位のうちの1つにおいて、それぞれのリードの遠位端によって担持される1つ以上の電極を配置するために、外科的又は経皮的にトンネル化され得る。例えば、リード線28は、電極29が脊髄、仙骨、又は外陰神経に電気刺激を送達して、膀胱12の収縮の頻度及び/又は大きさを低減するように位置決めされ得る。リード線28の追加の電極及び/又は別のリード線は、同様に他の神経又は組織に追加的な刺激療法を提供し得る。
図1では、リード線18及び20は、それぞれ、第1及び第2の位置において、膀胱12の壁の外面に近接して配置される。治療システム10の他の例では、IMD16は、例えば、異なる神経を標的にするために、患者14内の異なる刺激部位に電気刺激を送達するための電極を含む、2つ以上のリードに結合され得る。
【0037】
[0050]
図1に示す例では、リード線18、20、28は円筒形である。リード18、20、28の電極19、20、29は、それぞれ、リング電極、セグメント化電極、部分的なリング電極、又は任意の好適な電極構成であり得る。セグメント化電極及び部分的なリング電極は各々、それぞれのリード線18、20、28の外周の周りで360度未満(例えば、90~120度)の弧に沿って延在する。いくつかの例では、リード線28のセグメント化電極29は、異なる生理学的効果(例えば、治療効果)を生成するために、同じ又は異なる神経の異なる線維を標的にするのに有用であり得る。例では、リード18、20、28のうちの1つ以上は、少なくとも部分的にパドル形状(例えば、「パドル」リード)であり得、実質的に平坦であってもなくてもよい共通の表面上に電極のアレイを含み得る。
【0038】
[0051]
いくつかの例では、電極19、20、29のうちの1つ以上は、神経の周囲に少なくとも部分的に延在する(例えば、神経の外側表面の周囲に軸方向に延在する)ように構成されているカフ電極であり得る。1つ以上のカフ電極及び/又はセグメント化電極を介して電気刺激を送達することは、神経に対するより均一な電界又は活性化フィールド分布を達成するのに役立ち得、これは、電気刺激の送達からもたらされる患者14への不快感を最小限に抑えるのに役立ち得る。電界は、電極19、20、29が活性化されたときに影響を受ける組織の体積を画定し得る。活性化フィールドは、活性化された電極に近接する神経組織内の電界によって活性化されるニューロンを表す。
【0039】
[0052]
リード18、20、及び28並びにリード18、20、及び28によって担持される電極の図示された数及び構成は、単なる例示に過ぎない。他の構成、例えば、リード及び電極の数及び位置もまた企図される。例えば、他の実施形態では、IMD16は、脊髄に近接した異なる位置に、又は患者14の骨盤領域内に位置決めされた1つ以上の電極を有する追加のリード又はリードセグメントに結合され得る。追加のリードは、患者14内のそれぞれの刺激部位に異なる刺激療法又は他の電気刺激を送達するために、又は患者14の少なくとも1つの生理学的マーカーを監視するために使用され得る。
【0040】
[0053]
本開示のいくつかの例によれば、IMD16は、電気刺激を、脊髄神経(例えば、仙骨神経)、外陰神経、背側生殖器神経、脛骨神経、下直腸神経、又は会陰神経のうちの少なくとも1つに電気刺激を送達して、過活動膀胱などの機能不全状態を低減又は排除する治療効果を提供する。所望の治療効果は、所望のレベル又は程度(例えば、パーセンテージ)による膀胱収縮頻度の低減などの、患者14の排尿に関する阻害生理学的応答であり得る。具体的には、IMD16は、神経又は標的組織が刺激治療に有効に応答する膀胱充填周期の第2の位相中に、電極29のうちの少なくとも1つを介して刺激を送達し得る。IMD16は、前の排尿事象以降の膀胱充填レベル(例えば、体積若しくは圧力)、又は時間などの1つ以上の生理学的マーカーに基づいて、この第2の位相を決定し得る。IMD16は次いで、治療送達回路を制御して、排尿事象の後かつ刺激が送達される第2の位相の前の第1の位相などの他の位相中の刺激送達を保留し得る。IMD16は、1つ以上の生理学的マーカーを監視し、刺激の送達又は刺激のパラメータのタイミングを自動的に調整し得る。
【0041】
[0054]
刺激プログラムは、刺激波形及び電極構成の様々なパラメータを定義し得、その結果、所定の刺激強度が標的神経又は組織に送達される。いくつかの例では、刺激プログラムは、刺激信号の電流又は電圧振幅、刺激の頻度又はパルス速度、刺激波形の形状、刺激のデューティ周期、刺激のパルス幅、及び/又は電極29と刺激を送達するために使用される電極29のサブセットのそれぞれの極性との組み合わせのうちの少なくとも1つのパラメータを定義する。これらの刺激パラメータ値は、刺激強度を定義するために使用され得る(本明細書では、刺激強度レベルとも称される)。いくつかの例では、刺激パルスがバーストで送達される場合、バーストデューティ周期も刺激強度に寄与し得る。また、強度とは無関係に、特定のパルス幅及び/又はパルス速度は、刺激が終了され、任意選択的に刺激中に所望の治療効果を引き起こすのに好適な範囲から選択され得る。加えて、本明細書で説明されるように、刺激が送達される期間は、パルスが送達されないときの短いパルス間持続時間でさえも、刺激の送達の一部と見なされるオン及びオフ期間(例えば、デューティ周期又はパルスバースト)を含み得る。システム10が刺激送達を保留する期間は、IMD16に対して刺激プログラムが活性でない期間(例えば、IMD16は、電気刺激送達スキームの一部として発生するパルス持続時間又はパルス間持続時間を追跡しない)期間である。換言すれば、保留期間は、予め定義されたパルス周波数、バースト周波数、又は電気刺激信号又はパルスのセットのためのデューティ周期の代わりに、1つ以上の生理学的マーカーに基づく。典型的には、システム10が神経刺激を保留する期間は、数分又は数時間ほどであり、数10秒又は数秒ほどではない。
【0042】
[0055]
上記刺激パラメータに加えて、刺激は、刺激が送達される時間、刺激が終了される時間、及び刺激が保留される時間などの他の特性によって定義され得る。これらの時間は、絶対的又は生理学的周期及び/又は生理学的周期に関連付けられた1つ以上の生理学的マーカーにリンクし得る。いくつかの例では、IMD16は、生理学的周期中の異なる時間に異なるタイプの刺激療法を送達するように構成され得る。例えば、IMD16は、膀胱収縮を低減又は排除するように構成された刺激を送達して尿閉及び/又は膀胱容量の増加を促進し、ユーザ要求の排尿事象又は排尿事象が開始されたと検出されると、排尿を促進する(例えば、膀胱収縮の頻度及び大きさの増加)ように構成された刺激を送達し得る。
【0043】
[0056]
システム10はまた、
図1に示すような外部プログラマ24を含み得る。外部プログラマ24は、臨床医用プログラマ又は患者用プログラマであり得る。いくつかの例では、外部プログラマ24は、キーフォブ又は腕時計、ハンドヘルド計算装置、スマートフォン、コンピュータワークステーション、又はネットワーク化計算装置に統合された治療要求入力を有するウェアラブル通信装置であり得る。外部プログラマ24は、ユーザ(例えば、患者14、患者介護者又は臨床医)から入力を受信するに構成されているユーザインターフェースを含み得る。いくつかの例では、ユーザインターフェースは、例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)又は発光ダイオード(light emitting diode、LED)ディスプレイであり得るキーパッド及びディスプレイを含む。キーパッドは、英数字キーパッドの形態、又は特定の機能に関連付けられた縮小されたキーのセットを採り得る。外部プログラマ24は、ユーザがユーザインターフェースと対話し得るマウスなどの周辺ポインティング装置を追加的又は代替的に含み得る。いくつかの例では、外部プログラマ24のディスプレイは、タッチスクリーンディスプレイを含み得、ユーザは、ディスプレイを介して外部プログラマ24と対話し得る。ユーザはまた、ネットワーク化計算装置を介して、外部プログラマ24及び/又はICD16と遠隔で相互作用し得ることに留意されたい。
【0044】
[0057]
医師、技師、外科医、電気生理学医、又は他の臨床医などのユーザはまた、IMD16と通信するために、外部プログラマ24又は臨床医用プログラマなどの別の別個のプログラマ(図示せず)と相互作用して、IMD16と通信し得る。このようなユーザはプログラマと相互作用して、IMD16から生理学的又は診断情報を取得し得る。ユーザはまた、IMD16をプログラムするためにプログラマと対話する、例えば、IMD16が刺激を生成及び送達する刺激パラメータ値、刺激エネルギーの大きさ、刺激のため若しくは刺激を防止するためのユーザ要求期間、又は任意の他のそのようなユーザによる治療のカスタマイズなどのIMD16の他の動作パラメータについての値を選択し得る。本明細書で考察されるように、ユーザはまた、膀胱充填レベルの知覚及び排尿事象などの(生理学的マーカーのための)生理学的事象を示す外部プログラマ24への入力を提供し得る。
【0045】
[0058]
例えば、ユーザは、膀胱12の収縮頻度及び/又は排尿事象に関するIMD16からの情報を取得するためにプログラマを使用し得る。別の例として、ユーザは、IMD16の性能又は完全性、又はリード18、20、及び28又はIMD16の電源などのシステム10の他の構成要素に関する情報をIMD16から取得するためにプログラマを使用し得る。いくつかの例では、治療の有効性に影響を及ぼし得るシステム状態が検出された場合に、この情報は、警告としてユーザに提示され得る。
【0046】
[0059]
患者14は、例えば、外部プログラマ24のキーパッド又はタッチスクリーンを使用して、例えば、患者14が漏れのエピソードが差し迫っていることを感知するとき、又は来るべき排尿が尿閉を促進する治療を終了することから利益を得ることがあるときなどに、電気刺激を送達又は終了するようにIMD16に要求し得る。このようにして、患者14は、例えば、患者14が第2の刺激治療が望ましいと見なしたときに、「オンデマンド」で電気刺激の送達を制御するための治療要求を提供するために、外部プログラマ24を使用し得る。この要求は、電気刺激を終了するために使用される治療トリガ事象であり得る。患者14はまた、外部プログラマ24を使用して、排尿事象の発生などの生理学的周期の位相を示す情報などの他の情報をIMD16に提供し得る。
【0047】
[0060]
外部プログラマ24は、電気刺激が送達されているときに患者14に通知を提供し得るか、又は電気刺激の予想終了を患者14に通知し得る。加えて、終了の通知は、患者14が、排尿事象がより可能であり得ること、及び/又は充填周期の終了が、膀胱が空にされるべきである(例えば、患者がトイレに行くべきである)ように近づいていることを知るように役立ち得る。そのような例では、外部プログラマ24は、可視メッセージを表示し得るか、可聴警告信号を放出し得るか、又は(例えば、外部プログラマ24のハウジングを振動させることによって)体性感覚警告を提供し得る。他の例では、通知は、生理学的周期中に治療が利用可能であること(例えば、数分のカウントダウン、又は治療が準備されていることの表示)を示し得る。このようにして、外部プログラマ24は、膀胱収縮を低減するか、そうでなければ尿閉を促進する電気刺激を終了する前に、患者14からの入力を待機し得る。患者14は、治療が排尿の目的のために停止するように電気刺激の終了を確認するか、患者14が排尿し得るまで治療送達をシステムが維持するべきであることを確認するか、及び/又は患者14が排尿事象中の排尿を促進する別の異なる刺激療法の準備ができていることを確認するかの入力を行い得る。
【0048】
[0061]
排尿事象が予測されるときに、特定の時間範囲内に入力が受信されない場合、外部プログラマ24は、IMD16への患者入力がないことを示す信号を無線で送信し得る。IMD16は次いで、IMD16のプログラミングに基づいて、患者入力が受信されるまで刺激を継続するか、又は組織損傷を回避するために刺激を終了することを選択し得る。本明細書で説明されるように、電気刺激の終了又は継続は、他の生理学的マーカーに応答し得る。
【0049】
[0062]
IMD16及び外部プログラマ24は、当該技術分野において既知の任意の技術を使用して無線通信を介して通信し得る。通信技術の例としては、例えば、低周波又は高周波(radiofrequency、RF)テレメトリが挙げられるが、他の技術も企図される。いくつかの例では、外部プログラマ24は、IMD16と外部プログラマ24との間の通信の品質又はセキュリティを改善するために、IMD16インプラント部位付近の患者の身体に近接して配置され得るプログラミングリードを含み得る。
【0050】
[0063]
本明細書で説明される一例では、システム10は、患者14の膀胱12の充填周期を監視するように構成された外部プログラマ24及び/又はIMD16に含まれた1つ以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ又は制御回路)を含み、充填周期は、第1の排尿事象の完了後に開始し、第2の排尿事象の完了時に終了する。他の例では、充填周期は、排尿事象の開始時に開始し、次の充填周期の終了を検出すると終了するものとして説明され得る。プロセッサは、IMD16を制御して、充填周期の開始を含む第1の位相について、患者14への神経刺激療法の送達を保留し得、神経刺激療法は、膀胱12の収縮を阻害するように構成されている。
図9~
図14に関連して以下に考察されるように、膀胱12(又は関連付けられた排尿筋又は関連神経)は、充填周期の第1の位相中に神経刺激に対して応答的でなくてもよいため、IMD16は、この第1の位相中に刺激を保留し得る。次いで、プロセッサは、充填周期に関連付けられた1つ以上の生理学的マーカー(例えば、以前の排尿事象又は現在の膀胱充填レベルの表示)に基づいて、神経刺激療法が患者14に送達される充填周期の第2の位相を決定し得る。この判定は、第2の位相の持続時間を含み得、いつ第2の位相が充填周期内で開始するか(例えば、第2の位相のタイミングは、排尿事象後又は次の予測される排尿事象前)を含み得る。本明細書で説明されるように、神経刺激送達のための第2の位相は、IMD16が刺激を保留する第1の位相に直接続き得る。次いで、システム10のプロセッサは、IMD16を制御して、充填周期の第2の位相中に患者14に神経刺激療法を送達し得る。
【0051】
[0064]
システム10は、次の排尿事象の前に、充填周期の第2の位相を終了し得る。この終了は、患者14が排尿事象を完了し、膀胱12からの尿を空にするのに役立ち得る。しかしながら、いくつかの例においてさえも、第2の位相及び刺激送達は、排尿の終了まで継続し得る。第2の位相は、頻繁、調整、及び/又は強い排尿筋収縮などの、充填周期に関連する機能不全事象の予測される開始前に少なくとも開始するように判定され得る。このようにして、第2の位相中に送達される刺激は、失禁をもたらし得るこれらの機能不全事象を事前に低減又は更には排除し得る。システム10は、機能不全が発生すると予測されるときに、機能不全期中に重複する第2の位相を判定し得る。他の例では、システム10は、第2の位相中に刺激を送達し、刺激が膀胱活動を効果的に沈静化するときに、予測される機能不全の前に第2の位相を終了させ得る。
【0052】
[0065]
図9~
図14に関して以下で更に考察されるように、充填周期内の第2の位相の配置が、刺激の有効な送達のために行われ得る。一例では、充填周期の第3の4分の1は、第2の位相を含むか、又は備え得る。別の例では、充填周期の第4の4分の1は、第2の相を含むか、又は備え得る。したがって、第2の位相は、充填周期のこれらの4分の1内に少なくとも部分的に又は完全に位置し得る。他の例では、充填周期の前半は、システム10が刺激を保留する第1の位相を含み得、充填周期の後半は、システム10が患者14に刺激療法を送達する第2の位相を含み得る。システム10は、いくつかの例では、排尿事象中の膀胱収縮を促進するように構成された刺激など、第2の位相後に追加のタイプの神経刺激を送達し得る。
【0053】
[0066]
いくつかの例では、システム10は、排尿事象を検出し、検出に応答して、制御IMD16を制御して、神経刺激療法の送達を終了するように構成されている。したがって、充填周期の第1の位相は、患者14に送達される神経刺激を含まない。しかしながら、上で考察されたように、外部プログラマ24及び/又はIMD16は、第2の位相刺激が終了された後に、異なるタイプの神経刺激の送達を制御し得る。例えば、IMD16は、排尿筋収縮の促進など、排尿を促進する排尿事象中に治療を送達し得る。
【0054】
[0067]
システム10は、異なる要因に基づいて、かつ異なる例では異なる入力を使用して、生理学的周期(例えば、膀胱充填周期)の異なる位相を決定し得る。このようにして、システム10は、生理学的マーカーへの刺激療法の送達の時間を決め、保留するために、生理学的周期の持続時間及び時間、並びに将来の周期の異なる位相の持続時間及び時間を予測し得る。一例では、システム10は、1つ以上の以前の生理学的周期に基づいて生理学的周期の様々な位相を決定する。以前の生理学的周期からのこの履歴データにより、システムが、周期に関連付けられた1つ以上の機能不全事象を治療するためにいつ刺激の送達を保留するか、及びいつ刺激を送達するかを予測することを可能にし得る。例えば、システム10のプロセッサは、膀胱充填周期の第2の位相(例えば、刺激が送達されるとき)が、検出された最後の排尿事象からの期間を追跡することによっていつ開始するかを判定するように構成され得る。システム10は、期間を、第2の位相が開始する充填周期における閾値である充填時間閾値と比較する。充填時間閾値を超える時間に応答して、システム10は、充填周期の第2の位相を開始し得る。充填時間閾値は、充填周期の総充填時間のパーセンテージ若しくは割合、又は周期の開始から、又は充填周期の予測される終了までの絶対量であり得る。
【0055】
[0068]
いくつかの例では、システム10は、患者14の1つ以上の以前の充填周期のそれぞれの持続時間に基づいて充填時間閾値を推定するように構成されている。以前の充填周期を使用して、典型的な周期持続時間を確立し得、これから充填時間閾値が計算され得る。例えば、システム10は、複数の以前の充填周期のそれぞれの持続時間の平均を計算することと、平均に基づいて推定された第2の位相持続時間を判定することと、複数の以前の充填周期のそれぞれの持続時間の平均に基づいて、第2の位相の開始点として充填時間閾値を判定することによって、充填時間閾値を計算し得る。他の例では、充填周期の典型的な持続時間の中央値、転がり平均、加重平均、又は他の何らかの推定値が、システム10によって使用され得る。第2の位相の持続時間は、充填周期の推定された持続時間のパーセンテージとして計算され得、周期の開始、周期の終了、又は機能不全事象が発生すると予測される予測される機能不全位相からの時間のパーセンテージ又は絶対時間に基づいて将来の周期内に配置され得る。システム10はまた、以前に検出された機能不全事象に基づいて、生理学的周期内の1つ以上の機能不全位相の持続時間及びタイミングを推定し得る。
【0056】
[0069]
いくつかの例では、システム10は、患者の刺激治療充填周期時間が経時的に増加するキャリーオーバー効果が存在し得るため、推定充填時間を延長し得る。例えば、比較的短い時間、例えば、充填周期の90%ではなく、充填周期の50%を刺激するとき、患者は排尿間の時間がますます長くなることを経験することがある。このようにして、1回の充填周期中の刺激の治療効果は、次の充填周期にキャリーオーバーし得る。システム10は、例えば、以前の充填周期の長さに基づいて推定充填時間を延長し得る。
【0057】
[0070]
患者14の以前の周期に基づいて生理学的周期の将来の位相を予測する代替として、システム10は、生理学的マーカーとして(例えば、排尿事象の代わりに又はそれに加えて)膀胱12の充填レベルの直接検出を利用し得る。システム10は、充填レベルの大きさを検出し、充填レベルの大きさを閾値と比較し、充填レベルの大きさが閾値を超えることに応答して、充填周期の第2の位相を開始することによって、神経刺激送達のための膀胱充填周期の第2の位相を決定するように構成され得る。例えば、第2の位相が膀胱充填周期の中間点にあるときに開始する場合、システム10は、全充填周期中の充填周期の大きさ変化の半分となるように閾値を判定し得る。閾値は、膀胱体積、圧力、直径などの単一寸法のパーセンテージなどの総充填レベルのパーセンテージであり得る。閾値はまた、筋電図(electromyogram、EMG)を介した筋活動、神経活動、又は他の表示などの充填レベルを示す生理学的パラメータにリンクされ得る。
【0058】
[0071]
充填レベルの大きさは、膀胱充填周期の生理学的マーカーであり得る。一例では、システム10は、膀胱14の圧力レベルを検出することによって(例えば、センサ22を介して)充填レベルの大きさを検出し得る。例えば、1つ以上の圧力センサ又は伸張センサは、膀胱14の外部に取り付けられ得るか、又は膀胱内に植え込まれ得る。別の例として、システム10は、
図1の電極19と21との間のインピーダンスを監視することなどによって、膀胱14のインピーダンスレベルを検出することによって、充填レベルの大きさを検出し得る。
【0059】
[0072]
IMD16は、生理学的周期の生理学的マーカーであり得る、感知された生理学的パラメータに基づいて、任意の好適な技術を使用して膀胱12の収縮を検出し得る。一例では、生理学的マーカーは膀胱12のインピーダンスである。
図1に示される例では、IMD16は、4ワイヤ(又はケルビン)測定技術を使用して膀胱12のインピーダンスを判定し得る。他の例では、IMD16は、2ワイヤ検知構成を使用して膀胱インピーダンスを測定し得る。いずれの場合でも、IMD16は、リード18及び20を介して膀胱12を通して電流などの電気測定信号を送信し、送信された電気信号に基づいて膀胱12のインピーダンスを決定し得る。このようなインピーダンス測定を利用して、電気刺激中又は電気刺激の終了後の膀胱12の収縮の応答を決定して、膀胱12の充填度などを判定し得る。充填度は、所望の治療効果の必要性を示す生理学的マーカーであり得る、充填度はまた、膀胱収縮の頻度が膀胱12を空にすることを増加することを示し得る。
【0060】
[0073]
図1に示される例示的な4ワイヤ構成では、電極19A及び21A、並びに電極19B及び21Bは、膀胱12の中心に対して互いに実質的に反対に位置し得る。例えば、電極19A及び21Aは、前方及び後方又は左及び右のいずれかの膀胱12,の両側に配置され得る。
図1では、電極19及び21は、膀胱12の壁の外面に近接して配置されて示されている。いくつかの例では、電極19及び21は、膀胱壁に縫合されるか、そうでなければ固着され得る。他の例では、電極19及び21は、膀胱壁内に植え込まれ得る。膀胱12のインピーダンスを測定するために、IMD16は、リード18を介して電極19Aに電流などの電気信号を供給し得る一方で、リード20を介した電極21Aは電気信号を沈下させる。次いで、IMD16は、それぞれ、リード18及び20を介して、電極19Bと電極21Bとの間の電圧を判定し得る。IMD16は、判定された電圧を供給する電気信号の既知の値を使用して、膀胱12のインピーダンスを判定する。
【0061】
[0074]
他の例では、電極19及び21を使用して、排尿筋のEMGを検出し得る。このEMGは、膀胱収縮の頻度及び患者14の生理学的マーカーを判定するために使用され得る。EMGはまた、いくつかの例では、膀胱収縮の強度を検出するために使用され得る。代替又は追加として、EMGには、例えば、膀胱収縮を示す力を感知することにより、膀胱12の状態を検出するために、歪みゲージ又は他の装置が使用され得る。
【0062】
[0075]
図1の例では、IMD16はまた、膀胱12の収縮の変化を検出するためのセンサ22を含む。センサ22は、例えば、膀胱圧の変化を検出するための圧力センサ、外陰又は仙骨求心性神経信号を感知するための電極、尿道括約筋EMG信号(又は、システム10が急な便意又は便失禁を管理する治療を提供する例における肛門括約筋EMG信号)を検知するための電極、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。センサ22が圧力センサである例では、圧力センサは、IMD16に信号を無線で送信する遠隔センサであり得るか、又はリード18、20、若しくは28のうちの1つ若しくはIMD16に結合された追加のリードに担持され得る。いくつかの例では、IMD16は、センサ22によって生成された圧力信号に基づいて膀胱12の収縮頻度が発生したかどうかを判定し得る。
【0063】
[0076]
センサ22が求心性神経信号を感知するための1つ以上の電極を含む例では、感知電極は、リード18、20、若しくは28のうちの1つ又はIMD16に結合された追加のリードに担持され得る。センサ22が尿道括約筋EMGを生成するための1つ以上の感知電極を含む例では、感知電極は、リード18、20、若しくは28のうちの1つ又はIMD16に結合された追加のリードに担持され得る。いずれの場合も、いくつかの例では、IMD16は、センサ22から受信した入力に基づいて電気刺激の送達のタイミングを制御し得る。
【0064】
[0077]
センサ22は、患者活動レベル又は姿勢状態を示す信号を生成する患者運動センサを備え得る。いくつかの例では、IMD16は、運動センサからの信号に基づいて特定の閾値を超える患者活動レベルを検出すると、患者14への電気刺激の送達を終了し得る。閾値(IMD16のメモリに記憶され得る)以上の患者活動レベルは、不随意の排尿事象が発生する確率の増加が存在することを示し得、したがって、システム10が、いくつかの例において、第2の位相中に電気刺激を送達するか、又は更には第2の位相を早期に開始するべきであることを示し得る。他の例では、IMD16は、センサ22を使用して、所望の治療効果を必要とすることが知られている姿勢状態を識別し得る。例えば、患者14は、横たわった姿勢状態と比較して、患者14が直立姿勢状態にあるときに、不随意の排尿事象を生じやすくなり得る。いずれにしても、電極19及び21、並びにセンサ22は、排尿事象及び/又は充填周期中の膀胱12の充填レベルの大きさを検出するように構成され得る。患者14からのこれらの検出された特徴のいずれも、システム10によって使用される生理学的マーカーであり得、刺激治療をいつ送達及び保留するかを判定し得る。
【0065】
[0078]
上で考察されたように、システムは、経時的に後続の排尿事象を検出することによって、膀胱12の充填周期を監視し得る。いくつかの例では、システム10は、排尿事象の発生を表すユーザ入力の表示を(例えば、外部プログラマ24を介して)受信することによって、排尿事象を検出し得る。換言すれば、外部プログラマ24は、排尿事象の発生、排尿事象の開始、及び/又は排尿事象の終了を識別するユーザからの入力を受信し得る。他の例では、システム10は、外部プログラマ24を介してユーザ入力を受信することなく、排尿事象を自動的に検出し得る。システム10は代わりに、膀胱圧、膀胱からの尿の流れ、患者の外部の物品の湿り度、膀胱の体積、筋電図(EMG)信号、神経記録、姿勢変化、家若しくはケア施設などの構造物内の患者の物理的位置、又はトイレ使用事象のうちの少なくとも1つを検出することによって、排尿事象を検出し得る。患者14の外部のいくつかのセンサは、外部プログラマ24及び/又はIMD16と通信して、排尿事象を示す可能性が高いこの情報を提供し得る。例えば、湿り度は、患者によって着用された下着に埋め込まれた水分センサ(例えば、電気インピーダンス又は化学センサ)によって検出され、IMD16又は外部プログラマ24に送信され得る。同様に、トイレは、患者がトイレを使用しているときを検出し、患者の存在を示す信号をIMD16又は外部プログラマ24に送信する存在センサ(例えば、赤外線センサ、熱センサ、又は圧力センサ)を含み得る。このようにして、非侵襲的に得られたデータは、植え込まれたセンサなしの排尿事象を示す情報を提供し得る。
【0066】
[0079]
図1で説明される膀胱療法のこれらの例は、生理学的周期の機能不全状態を治療するための生理学的周期の位相に関連付けられた生理学的マーカーに基づいて送達される療法の例である。しかしながら、このようなプロセスはまた、患者14の他の機能不全及び状態を治療するためにシステム10によって使用され得る。一例では、システム10の1つ以上のプロセッサは、生理学的周期の機能不全位相よりも時間的に前に発生する生理学的マーカーを検出するように構成され得、生理学的周期の機能不全状態は、治療なしの機能不全位相中に発生する(例えば、刺激療法なしでは、機能不全状態は機能不全位相中に発生し得る)。生理学的マーカーを検出することに応答して、システム10は、持続時間を有する生理学的周期の第1の位相を決定し、第1の位相の持続時間に対して神経刺激療法の送達を保留し得る。第1の位相が経過することに応答して、システム10のプロセッサは、治療送達回路(例えば、IMD16の治療送達回路)を制御して、機能不全位相の前に開始する第2の位相中に神経刺激療法を送達し得る。このようにして、神経刺激療法は、機能不全状態を治療するように構成されている。
【0067】
[0080]
いくつかの例では、第2の位相は、機能不全位相と少なくとも部分的に重複する。他の例では、第2の位相は、機能不全位相の前に終了し、第2の位相終了に応答して、システム10は、神経刺激療法の送達を終了するように構成されている。一般に、生理学的周期の第2の位相中の神経刺激療法の送達は、生理学的周期の機能不全状態を1つ又は低減又は排除する。いくつかの例では、第1の生理学的周期中の神経刺激療法の送達は、第2の生理学的周期中の神経刺激療法を送達することなく、第1の生理学的周期に続く第2の生理学的周期の機能不全状態を更に低減又は排除し得る。換言すれば、第2の位相中など、生理学的周期における適切な時間中の神経刺激療法の送達は、器官及び/又は神経を再び回復させて再び機能させ得る。
【0068】
[0081]
上で考察されたように、機能不全状態は、膀胱機能不全を含み得る。膀胱機能不全の場合、生理学的マーカーは、膀胱の充填レベル、生理学的周期の第1の位相中の排尿筋収縮、及び/又は排尿事象を含み得る。他の例では、機能不全状態は、結腸機能不全を含み得る。本明細書で説明されるように、神経刺激療法は、電気刺激又は薬物療法のうちの少なくとも1つを含む。
【0069】
[0082]
図2A、
図2B、及び
図2Cは、
図1のシステムで利用され得る異なるタイプの植え込み型医療用装置(IMD)の例示の構成を図示するブロック図である。
図2Aに示すように、IMD16は、センサ22、プロセッサ回路53、治療送達回路52、インピーダンス回路54、メモリ56、テレメトリ回路58、及び電源60を含む。他の例では、IMD16は、より多い又は少ない数の構成要素を含み得る。例えば、IMD16が開ループ方式で電気刺激を送達する例などのいくつかの例では、IMD16はセンサ22(例えば、圧力センサ又は電気信号センサ)及び/又はインピーダンス回路54を含まなくてもよい。いくつかの例では、センサ(例えば、センサ22及び/又はインピーダンス回路54)がIMD16と共に含まれない場合、生理学的マーカーは外部プログラマ上の患者入力を介して提供され得る。
【0070】
[0083]
一定の例は、分類アルゴリズム34などの閉ループアルゴリズムを利用するプロセッサ回路53を有するシステムに向けられる。分類アルゴリズム34は、メモリ56に記憶され得る。分類アルゴリズム34は、プロセッサ回路53によって実行されるとき、センサ入力(センサ22及び/又はIMD16の外部のセンサ)に応答するように構成され得る。センサ入力は、患者の生理学的周期の位相にリンクする生理学的マーカーに関する情報を提供し得る。
【0071】
[0084]
いくつかの例によれば、プロセッサ回路53(例えば、分類アルゴリズム34を利用する)は、神経刺激の所望の変化に関連する(例えば、生理学的周期の異なる位相を示す)患者の生理学的状態に対する変化を識別する。例えば、膀胱の排尿は、刺激が一定の時間に必要とされないこと、又はセンサ入力がそうでないことを示し得る。システムは、関連する生理学的状態の変化を示すバイオマーカーを感知する1つ以上のセンサ、例えば、センサ22及び/又はIMD16の外部のセンサを含み得る。例えば、圧力センサは膀胱圧の量を検出し得る一方で、分類アルゴリズム34は、感知された圧力から膀胱の排尿(患者の状態変化)を識別するように構成されている。したがって、プロセッサ回路53は、排尿に対応するように膀胱圧力の一定の変化を分類するように構成され得る(例えば、感知された信号が1つ以上のパラメータのセットに一致するとき)。プロセッサ回路53はまた、膀胱の相対充填度を、続いて検出された圧力レベルから分類し得る。プロセッサ回路53は、プロセッサ回路53によって決定されるように分類された生理学的マーカーに基づいてどのアクションが取られるかを指示する制御ポリシー36を利用し得る。制御ポリシー36は、メモリ56に記憶され得る。アクションは、刺激を可能にするとき、及び刺激を無効にするとき、又は強度、頻度若しくはパルス幅などの刺激パラメータをどのように変化させるかを含み得る。
【0072】
[0085]
膀胱圧力信号の指定されたパラメータは、いつ排尿事象が発生したか識別するためにプロセッサ53に通知するために使用され得る。例えば、限定するものではないが、プロセッサ回路53は、膀胱圧、膀胱圧の変化量、膀胱圧の変化の持続時間、及び膀胱圧の変化率のうちの1つ以上を監視し得る。このデータは、排尿事象に対する療法の変化をトリガするための生理学的バイオマーカーとして機能し得る。脛骨神経、外陰神経、ペニスの背側神経、及びクリトリスの背側神経などの他の神経標的は、仙骨神経と同様の方式で、尿機能を変化させ得ることに留意されたい。システムは、閉ループ刺激ソリューションの一部としてこのような刺激標的において刺激を提供するように構成され得る。
【0073】
[0086]
様々な例によれば、システムは、感知されたデータの分類に基づく制御ポリシーを適用するように構成されている。制御ポリシー36は、システムがどのアクションを取るかを指定し得る。膀胱機能不全に関して、麻酔がかけられたげっ歯類(ラット)からの生理学的データは、膀胱充填周期の早期の位相ではない後期の位相中に適用されるSNMが、
図9A~
図12Bに関して、本開示において後に更に考察されるように、連続的な治療送達に相当する膀胱体積の増加をもたらすことを実証する。生理学的データは、排尿が膀胱容量にほとんど又は全く影響を及ぼさなかった直後の期間中に適用されるSNMが示唆される。いくつかの例では、プロセッサ回路53は、排尿後にSNMをオフにする(又は低減する)。次いで、プロセッサ回路53は、一定の期間後、又は感知された生理学的マーカーに応答して、又はこれらの組み合わせで治療をオンにする。期間は、例えば、連続的な治療送達ソリューションに対して効果的であると判定される排尿間間隔のパーセンテージ又は割合として設定され得る。期間は、例えば、機械学習アルゴリズム68を介して決定され得る。
【0074】
いくつかの例では、プロセッサ回路53は、センサからの入力及び排尿からの経過時間の量に基づいて、膀胱の相対的充填状態を判定するように構成され得る。
[0087]
刺激は、患者14に対して治療的であり得るため、排尿間の時間は、一般的に経時的に増加し得る。したがって、刺激の送達のタイミング及び刺激の送達の保留のタイミングを調節することによって、更なる省電力化が得られ得る。例えば、刺激は、患者14が経験し得る排尿に対する急な尿意の感覚を低減し得る。急な尿意の感覚の低減は、排尿間の長い時間をもたらし得る。したがって、排尿間の持続時間の増加は、IMD16の電力消費を更に低減し得る。したがって、IMD16は、機械学習アルゴリズム68を含み得る。機械学習アルゴリズム68は、センサ信号内の情報を患者14の生理学的状態と関連付けることを学習し得、刺激の送達のタイミング及び刺激の送達の保留のタイミングを変更するように、分類アルゴリズム34、制御ポリシー36、又は治療プログラム66のうちの1つ以上を適合させ得る。
【0075】
[0088]
本開示のいくつかの例は、機械学習アルゴリズム68などの適合アルゴリズムを使用するように構成されているシステムを対象とする。適合アルゴリズムは、経時的に収集されるデータに基づいて、治療オフ時間の調節(いつ刺激の送達を保留するか)を可能にし得る。例えば、IMD16は、適合アルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム68)を有し得、治療が特定の患者及び/又は患者の現在の状況に調整されるように、分類アルゴリズム34、制御ポリシー36、又は治療プログラム66のうちの1つ以上を適合させ得る。調整は、例えば、概日リズム、変化する環境、活動レベル、又は他の因子による、感知された生理学的状態の変動に基づいて治療が調整されることを可能にし得る。例えば、適合アルゴリズムは、患者が朝にコーヒーを典型的に摂取すると、より短い充填周期をもたらすことを学習し、調整しなければ朝になるタイミングよりも早く刺激を提供するように分類アルゴリズム34、制御ポリシー36、又は治療プログラム66のうちの1つ以上を調整し得る。
【0076】
[0089]
いくつかの例によれば、システムは、システムが患者によって最初に使用されるときに使用されるベースライン制御ポリシーを使用するように構成され得る。このベースライン制御ポリシーは、例えば、制御ポリシー36であり得る。機械学習アルゴリズム68は、例えば、特定の患者に関連する入力に基づいて、ベースライン制御ポリシーを適合させ得る。いくつかの例では、ベースライン制御ポリシーを調節するのではなく、機械学習アルゴリズム68は、刺激プログラム66又は分類アルゴリズム34のうちの1つ以上を適合させ得る。ベースライン制御ポリシーは、例えば、典型的又は平均的な患者(平均か、中央値か、又はモード)に対する制御ポリシー設定の最適なセットを表し得る。ベースライン制御ポリシーはまた、最悪ケースの状況(例えば、継続的刺激が所望される状況)を考慮するように設定され得る。次いで、機械学習アルゴリズム68は、(例えば、調節されたベースライン制御ポリシーがより正確になることに応答して、排尿状態の検出の閾値を徐々に増加させることによって)特定の患者にベースライン制御ポリシーを適合させ得る。機械学習アルゴリズム68はまた、ユーザ入力に基づいて、例えば、外部プログラマ24及び/又はセンサ信号内の情報に基づいて調整を行い得る。
【0077】
[0090]
一般に、IMD16は、IMD16並びにIMD16のプロセッサ回路53、治療送達回路52、インピーダンス回路54、及びテレメトリ回路58に起因する技術を実行するために、ハードウェアのみ、又はハードウェアとソフトウェア及び/若しくはファームウェアを組み合わせた任意の好適な構成を備え得る。様々な例では、IMD16は、1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、又は任意の他の同等の集積回路若しくは個別の論理回路、及びそのような構成要素の任意の組み合わせなどの1つ以上のプロセッサを含み得る。IMD16はまた、様々な例では、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read only memory、ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(programmable read only memory、PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read only memory、EPROM)、電子的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(electronically erasable programmable read only memory、EEPROM)、フラッシュメモリなどのメモリ56を含み得、メモリ56は、1つ以上のプロセッサに、それらに起因するアクションを実行させるための実行可能命令を備える。更に、プロセッサ回路53、治療送達回路52、インピーダンス回路54、及びテレメトリ回路58は、別個の回路として説明されているが、いくつかの例では、プロセッサ回路53、治療送達回路52、インピーダンス回路54、及びテレメトリ回路58は機能的に統合されている。いくつかの例では、プロセッサ回路53、治療送達回路52、インピーダンス回路54、及びテレメトリ回路58は、マイクロプロセッサ、ASIC、DSP、FPGA、又は他のハードウェアユニットなどの個々のハードウェアユニットに対応する。更なる例では、プロセッサ回路53、治療送達回路52、インピーダンス回路54、及びテレメトリ回路58のいずれも、マイクロプロセッサ、ASIC、DSP、FPGA、又は他のハードウェアユニットなどの複数の個々のハードウェアユニットに対応し得る。
【0078】
[0091]
メモリ56は、IMD16によって提供される電気刺激の刺激パラメータ値を指定する治療プログラム66を記憶する。治療プログラム66はまた、生理学的マーカーの判定及び使用に関する情報、生理学的周期及び/若しくは機能不全状態に関する情報、又は1つ以上の生理学的マーカーに基づいて刺激療法を送達するためにIMD16によって必要とされる任意の他の情報を記憶し得る。いくつかの例では、メモリ56はまた、プロセッサ回路53が電気刺激の送達のタイミングを制御するために使用し得る膀胱データ69(例えば、いつ刺激を送達及び保留するかを定義する生理学的周期の位相)を記憶する。例えば、膀胱データ69は、膀胱インピーダンス、膀胱圧、仙骨又は外陰求心神経信号、膀胱収縮頻度、又は関連付けられる生理学的周期の生理学的マーカーとして使用するための外部尿道括約筋EMGテンプレートのうちの少なくとも1つの閾値又はベースライン値を含み得る。膀胱データ69はまた、排尿事象などの生理学的事象に関連付けられたタイミング情報及び生理学的マーカーを含み得る。
【0079】
[0092]
メモリ56はまた、機械学習アルゴリズム68を記憶し得る。例えば、機械学習アルゴリズム68は、患者が指示した排尿(例えば、外部プログラマ24を介して)及び指示された排尿に同時期に存在する感知された生理学的マーカーに基づいて訓練され得る。例えば、機械学習アルゴリズム68は、膀胱圧の一定の量の変化、膀胱圧の変化率、又は一定の患者の膀胱圧の変化の持続時間が排尿を示すと判定し得る。
【0080】
[0093]
検知された膀胱収縮、膀胱インピーダンス、及び/又は患者14の姿勢に関する情報は、ユーザによる長期保存及び回収のために記録され得、及び/又は刺激パラメータ(例えば、振幅、パルス幅、及びパルス速度)の調節のため、又は生理学的マーカーとして使用するためにプロセッサ回路53によって使用され得る。いくつかの例では、メモリ56は、命令、電気信号情報、刺激プログラム66、機械学習アルゴリズム68、膀胱データ69、分類アルゴリズム34及び制御ポリシー36を記憶するための別個のメモリを含む。
【0081】
いくつかの例では、プロセッサ回路53は、刺激プログラム66の新しい刺激パラメータ及び刺激プログラム66から新しい刺激プログラムを選択して、電気刺激の終了後に患者入力及び/又は監視された生理学的マーカーに基づいて電気刺激の送達に使用する。
【0082】
[0094]
一般に、治療送達回路52は、プロセッサ回路53の制御下で電気刺激を生成及び送達する。本明細書で使用するとき、電気刺激の送達を制御することはまた、生理学的周期の異なる刺激及び非刺激位相を達成するために刺激の終了を制御することを含み得る。いくつかの例では、プロセッサ回路53は、メモリ56にアクセスすることにより治療送達回路52を制御して、治療送達回路52に対する刺激プログラム66のうちの少なくとも1つを選択的にアクセス及びロードする。例えば、動作中、プロセッサ回路53は、メモリ56にアクセスして、治療送達回路52に対する刺激プログラム66のうちの1つをロードし得る。他の例では、治療送達回路52は、メモリ56にアクセスし、刺激プログラム66のうちの1つをロードし得る。
【0083】
[0095]
例として、プロセッサ回路53は、メモリ56にアクセスして、患者14に電気刺激を送達するために、治療送達回路52に対する刺激プログラム66のうちの1つをロードし得る。臨床医又は患者14は、外部プログラマ24又は臨床医用プログラマなどのプログラミング装置を使用して、リストから刺激プログラム66の特定の1つを選択し得る。プロセッサ回路53は、テレメトリ回路58を介して選択を受信し得る。治療送達回路52は、数分、数時間、数日間、数週間などの延長された期間にわたって、又は患者14若しくは臨床医がプログラムを手動で停止又は変更するまで、選択されたプログラムに従って、患者14に電気刺激を送達する。
【0084】
[0096]
治療送達回路52は、刺激パラメータに従って電気刺激を送達する。いくつかの例では、治療送達回路52は、電気パルスの形態で電気刺激を送達する。このような例では、関連する刺激パラメータは、電圧振幅、電流振幅、パルス速度、パルス幅、デューティ周期、又は治療送達回路52が刺激信号を送達するために使用する電極29の組み合わせを含み得る。他の例では、治療送達回路52は、連続波形の形態で電気刺激を送達する。このような例では、関連する刺激パラメータは、電圧若しくは電流振幅、み得る周波数、刺激信号の形状、刺激信号のデューティ周期、又は治療送達回路52が刺激信号を送達するために使用する電極29の組み合わせを含。
【0085】
[0097]
いくつかの例では、刺激プログラム66の刺激パラメータは、例えば、電気刺激の終了後の膀胱12の収縮頻度を低減するために、膀胱12を弛緩させるように選択され得る。例えば、脊髄、仙骨、外陰、脛骨、背側生殖器、下直腸、又は会陰神経への適用時に、膀胱機能不全の治療に効果的である可能性が高い電気刺激の刺激パラメータの例示の範囲は、以下のとおりである。
【0086】
1.周波数又はパルス速度:約0.5Hz~約500Hz、例えば、約1Hz~約250Hz、約1Hz~約20Hz、又は約10Hz。
2.振幅:約0.1ボルト~約50ボルト、例えば、約0.5ボルト~約20ボルト、又は約1ボルト~約10ボルト。代替的に、振幅は、約0.1ミリアンペア(mA)~約50mA、例えば、約0.5mA~約20mA、又は約1mA~約10mAであり得る。
【0087】
3.パルス幅:約10マイクロ秒(μs)~約5000μs、例えば、約100μs~約1000μs、又は約100μs~約200μs。
[0098]
IMD16が膀胱の充填レベルを監視して、膀胱充填周期の状態を判定しているとき、プロセッサ回路53は、所定の持続時間、膀胱12のインピーダンスを監視して、膀胱12の収縮を検出し、所定の持続時間における膀胱12の収縮の数を判定することによって、膀胱12のベースラインの収縮頻度を判定し得る。他の例では、電極19又は21は、膀胱収縮頻度を識別するために、排尿筋のEMGを検出するために使用され得る。代替的に、膀胱12の生理学的マーカーを検出するために、ひずみゲージセンサ信号出力又は膀胱収縮変化の他の測定値が使用され得る。膀胱12の充填レベル及び/又は排尿事象を監視するこれらの代替的方法の各々が、いくつかの例で使用され得る。
【0088】
[0099]
図2Aに図示する例では、インピーダンス回路54は、電圧測定回路62及び電流源64を含み、交流信号を生成するための発振器(図示せず)などを含み得る。いくつかの例では、
図1に関して上述したように、インピーダンス回路54は、4ワイヤ又はケルビン構成を使用し得る。一例として、プロセッサ回路53は、電流源64を周期的に制御して、例えば、電極19Aを介して電流信号を供給し、電極21Aを介して電流信号を沈下させ得る。いくつかの例では、インピーダンス測定の収集のために、電流源64は、例えば、このような信号の振幅若しくは幅、及び/又はこのような信号の送達のタイミングにより、例えば、サブ閾値信号のような、膀胱12に刺激治療を送達しない電流信号を送達し得る。インピーダンス回路54はまた、電極19A、19B、21A、及び21Bを電流源64及び電圧測定回路62に選択的に結合するためのスイッチング回路(図示せず)を含み得る。電圧測定回路62は、電極19Bと21Bとの間の電圧を測定し得る。電圧測定回路62は、電圧振幅を測定するためのサンプルアンドホールド回路又は他の好適な回路を含み得る。プロセッサ回路53は、電圧測定回路52から受信した測定電圧値からインピーダンス値を判定する。
【0089】
[0100]
他の例では、プロセッサ回路53は、センサ22から受信した信号を監視して膀胱12の収縮を検出し、ベースライン収縮頻度を判定し得る。いくつかの例では、センサ22は、膀胱12の圧力変化を検出するための圧力センサであり得、この圧力変換をプロセッサ回路53は膀胱12の収縮に相関させ得る。プロセッサ回路53は、センサ22から受信した信号に基づいて圧力値を判定し、判定された圧力値を膀胱データ69に記憶された閾値と比較して、信号が膀胱12の収縮を示すかどうかを判定し得る。いくつかの実施態様では、プロセッサ回路53は、膀胱12の圧力を監視して所定の期間にわたって膀胱12の収縮を検出し、を所定の期間における膀胱12の収縮の数を計算することによって膀胱12の収縮頻度を判定する。
【0090】
[0101]
いくつかの例では、プロセッサ回路53は、収縮頻度情報を、メモリ56内の膀胱データ69として記憶させ得、収縮頻度に対する変化を利用して、膀胱充填周期の充填レベルを追跡するか、そうでなければ充填周期の位相を追跡し得る。いくつかの実施態様では、プロセッサ回路53は、自動的に又はユーザの制御下で、充填周期にわたって収縮頻度を判定し得る。プロセッサ回路53は、収縮頻度の増加が、充填周期の後の位相を示すと判定し得る。いくつかの例では、プロセッサ回路53は、患者14のEMG信号を使用して膀胱収縮を追跡し得る。いくつかの実施態様では、センサ22はEMGセンサを含み得、プロセッサ回路53は、センサ22によって生成された受信信号からEMGを生成し得る。センサ22は、膀胱12が収縮しているときに活性である筋肉、例えば排尿筋に近接して植え込まれ得る。プロセッサ回路53は、膀胱データ69として記憶されたEMGテンプレート(例えば、短期間の平均)と、第2の期間中に収集されたEMGを比較して、膀胱12の収縮が膀胱充填周期の特定の位相を示すかどうかを判定し得る。
【0091】
[0102]
他の例では、センサ22は、圧力センサであり得、プロセッサ回路53は、第2の期間の少なくとも一部分中にセンサ22から受信した信号を監視して、膀胱12の収縮を検出し得る。いくつかの例では、プロセッサ回路53は、少なくとも第2の期間中に膀胱12の圧力を実質的に連続的に監視して、膀胱12の収縮を検出し、特定の期間における膀胱12の収縮の数を判定することによって、膀胱12の収縮頻度を判定する。センサ22はまた、膀胱充填ステータスを追跡するために、より長期間の圧力変化を提供し得る(例えば、膀胱体積の増加は膀胱圧の増加に対応し得る)。
【0092】
[0103]
図2Aの例では、治療送達回路52は、単一のリード28上の電極を駆動する。具体的には、治療送達回路52は、リード28によって担持された選択された電極29A~29Dを介して患者14の組織に電気刺激を送達する。リード28の近位端は、IMD16のハウジングから延在し、リード28の遠位端は、脊髄神経(例えば、S3神経)などの標的治療部位、又は仙骨神経、外陰神経、脛骨神経、背側生殖器神経、下直腸神経、会陰神経、次胃神経、尿道括約筋、又はこれらの任意の組み合わせに近接する組織部位などの骨盤底内の治療部位まで延在する。他の例では、治療送達回路52は、2つ以上のリード上の電極を用いて電気刺激を送達し得、リードの各々は1つ以上の電極を担持し得る。リードは、リング電極又はセグメント化電極を有する軸方向リード及び/又は2次元アレイに配置された電極パッドを有するパドルリードをとして構成され得る。電極は、他の電極を有する双極若しくは多極構成で動作し得るか、又は装置ハウジングによって担持される電極又はIMD16の「can」を参照した単極構成で動作し得る。
【0093】
[0104]
前述したように、センサ22は、膀胱圧の変化を検出するように構成された圧力センサ、外陰若しくは仙骨求心性神経信号を感知するための電極、若しくは外部尿道括約筋EMG信号を感知するための電極(若しくはIMD16が急な便意若しくは便失禁治療を提供する例における肛門括約筋信号)、又はこれらの任意の組み合わせを備え得る。追加的又は代替的に、センサ22は、2軸加速度計、3軸加速度計、1つ以上のジャイロスコープ、圧力トランスデューサ、圧電結晶、又は患者活動レベル又は姿勢状態の変化として変化する信号を生成する他のセンサを備え得る。プロセッサ回路53は、膀胱充填周期中の点を示す生理学的マーカーを検出し得る。センサ22はまた、IMD16よりも上の皮膚上の(例えば、患者14によって)タッピングに応答する運動センサであり得る。プロセッサ回路53は、このタッピング方法を使用して患者入力をログするように構成され得る(例えば、タッピングは、排尿事象が発生していることを示し得る)。代替的又は追加的に、プロセッサ回路53は、治療回路52を制御して、タッピング又は一定のタッピングのパターンに応答して電気刺激送達を送達又は終了し得る。
【0094】
[0105]
センサ22が運動センサを含む例では、プロセッサ回路53は、センサ22によって生成された信号に基づいて患者活動レベル又は姿勢状態を判定し得る。この患者活動レベルは、例えば、座ること、運動すること、作業すること、走ること、歩くこと、又は患者14の任意の他の活動であり得る。例えば、プロセッサ回路53は、センサ22からの信号をサンプリングし、サンプル期間中の活動カウントの数を判定することによって患者活動レベルを決定し得、複数の活動レベルの各活動レベルは、それぞれの活動カウントに関連付けられる。一例では、プロセッサ回路53は、センサ22によって生成された信号をメモリ56内に記憶された1つ以上の振幅閾値と比較し、各閾値交差を活動カウントとして識別する。物理的活動は、充填レベル、排尿事象、又は膀胱充填周期に関連する任意の他の生理学的マーカーを示し得る。
【0095】
[0106]
いくつかの例では、プロセッサ回路53は、治療送達回路52を制御して、テレメトリ回路58を介して受信された患者入力に基づいて電気刺激を送達又は終了し得る。テレメトリ回路58は、外部プログラマ24(
図1)などの別の装置と通信するための任意の好適なハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせを含む。プロセッサ回路53の制御下で、テレメトリ回路58は、内部及び/又は外部にあり得るアンテナの助けを借りて、外部プログラマ24から下りリンクテレメトリ、例えば、患者入力を受信し、また、外部プログラマ24から上りリンクテレメトリ、例えば、警告を送信し得る。プロセッサ回路53は、外部プログラマ24に上りリンクされるデータ及びテレメトリ回路58内のテレメトリ回路のための制御信号を提供し、テレメトリ回路58からデータを受信し得る。
【0096】
[0107]
一般に、プロセッサ回路53は、テレメトリ回路58を制御して、外部プログラマ24及び/又はIMD16の外部の別の装置と情報を交換し得る。プロセッサ回路53は、テレメトリ回路58を介して動作情報を送信し、刺激プログラム又は刺激パラメータ調節を受信し得る。また、いくつかの例では、IMD16は、テレメトリ回路58を介して、刺激装置、制御装置、又はセンサなどの他の植え込まれた装置と通信し得る。
【0097】
[0108]
電源60は、IMD16の構成要素に動作電力を送達する。電源60は、電池、及び動作電力を生成するための発電回路を含み得る。いくつかの例では、電池は、延長された動作を可能にするために再充電可能であり得る。再充電は、外部充電器とIMD16内の誘導充電コイルとの間の近位誘導的相互作用によって達成され得る。他の例では、外部誘導的電力供給は、電気刺激が発生するたびにIMD16に経皮的に電力供給し得る。
【0098】
[0109]
図2Bに示すように、IMD70は
図2AのIMD16と同様であるが、IMD70は、電気刺激の代わりに薬物の形態で患者14に神経刺激を送達する。IMD70は、プロセッサ回路73(例えば、プロセッサ回路53と同様)、カテーテル75に結合された治療送達モジュール74、センサ76(例えば、
図2Aのセンサ22と同様の圧力センサ)、テレメトリ回路78(例えば、テレメトリ回路58と同様)、メモリ80(例えば、メモリ56と同様)、及び電源86(例えば、電源60と同様)を含む。IMD70はインピーダンス回路54を含まないが、いくつかの例では、この回路又は他の回路が提供され得る。
【0099】
[0110]
治療送達モジュール74は、リザーバからカテーテル75を介して患者14へと薬物を移動させる薬物リザーバ及び薬物ポンプを含み得る。いくつかの例では、IMD70は、薬物ポンプ及び電気刺激発生器の両方を含み得る。メモリ80は、治療プログラム82、機械学習アルゴリズム83、膀胱データ84、分類アルゴリズム85を含み得る。治療プログラム82は、膀胱データ84として記憶された1つ以上の生理学的マーカーに基づき得る薬物送達のための命令を含み得る。プロセッサ回路73は、例えば、刺激の送達に関して
図2Aのプロセッサ回路53と同様の方式で、膀胱充填周期などの生理学的周期の位相に基づいて、患者14に薬物のボーラスを送達するときを予測し得る。
【0100】
[0111]
図2Cは、
図2AのIMD16と同様のIMD59を図示するブロック図である。この例では、分類装置35は、
図2Aの分類アルゴリズム34を実行するプロセッサ回路53と同様の様式で機能し得る。例えば、分類装置35は、センサ22からセンサ信号を受信し、センサ信号に基づいて患者14の膀胱排尿などの生理学的マーカーを分類し得る。制御ポリシー装置37は、
図2Aの制御ポリシー53を実行するプロセッサ回路53と同様の様式で機能し得る。分類装置35は、生理学的マーカーの分類を用いて制御ポリシー装置37にシグナリングし得、制御ポリシー装置37は、その分類に基づいて治療送達回路52を制御し得る。例えば、制御ポリシー装置37は、治療送達回路52を制御して、排尿事象後に刺激をオフにし得る。
図2Cの例では、プロセッサ回路57は機械学習アルゴリズム68を実行し得る。機械学習アルゴリズムは、センサ信号内の情報を患者14の生理学的状態と関連付けることを学習し得、刺激の送達のタイミング及び刺激の送達の保留のタイミングを変更するように、分類装置35、制御ポリシー装置37、又は治療プログラム66のうちの1つ以上を適合させ得る。いくつかの例では、分類装置35及び制御ポリシー装置37は、単一の装置であり得る。いくつかの例では、
図2A、
図2B、及び
図2Cの要素は、様々な方式で組み合わされ得る。例えば、IMDは、分類アルゴリズムを実行し、分類を制御ポリシー装置にシグナリングするように構成され得る処理回路を含み得る。
【0101】
[0112]
図3は、外部プログラマ24の例示の構成を図示するブロック図である。外部プログラマ24は、一般に、ハンドヘルド計算装置として説明され得るが、外部プログラマ24は、例えばノートブックコンピュータ、スマートフォン、又はワークステーションであり得る。
図3に示すように、外部プログラマ24は、プロセッサ回路90、メモリ92、ユーザインターフェース94、テレメトリ回路96、及び電源98を含み得る。メモリ92は、プロセッサ回路90によって実行されるときに、プロセッサ回路90及び外部プログラマ24に、本開示を通して外部プログラマ24に起因する機能を提供させるプログラム命令を記憶し得る。
【0102】
[0113]
一般に、外部プログラマ24は、外部プログラマ24、及び外部プログラマ24のプロセッサ回路90、ユーザインターフェース94、及びテレメトリ回路96に起因する技術を実行するために、ハードウェアのみ、又はハードウェアとソフトウェア及び/又はファームウェアを組み合わせた任意の好適な構成を備える。様々な例では、外部プログラマ24は、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、又は任意の他の同等の集積若しくは個別の論理回路、並びにこのような構成要素の任意の組み合わせなどの1つ以上のプロセッサを含み得る。外部プログラマ24はまた、様々な例において、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、CD-ROMなどのメモリ92を含み得、メモリ92は、1つ以上のプロセッサに、それらに起因するアクションを実行させるための実行可能命令を備える。更に、プロセッサ回路90及びテレメトリ回路96は、別個の回路として説明されているが、いくつかの例では、プロセッサ回路90及びテレメトリ回路96は機能的に統合されている。いくつかの例では、プロセッサ回路90並びにテレメトリ回路96及びテレメトリ回路58は、マイクロプロセッサ、ASIC、DSP、FPGA、又は他のハードウェアユニットなどの個々のハードウェアユニットに対応する。他の例では、プロセッサ回路90並びにテレメトリ回路96及びテレメトリ回路58のいずれも、マイクロプロセッサ、ASIC、DSP、FPGA、又は他のハードウェアユニットなどの、複数の個々のハードウェアユニットに対応し得る。
【0103】
[0114]
メモリ92は、プロセッサ回路90によって実行されるときに、プロセッサ回路90及び外部プログラマ24に、本開示を通して外部プログラマ24に起因する機能を提供させるプログラム命令を記憶し得る。いくつかの例では、メモリ92は、IMD16のメモリ56に記憶されたものと同様のプログラム情報、例えば神経刺激を定義する刺激プログラムを更に含み得る。メモリ92に記憶された刺激プログラムは、IMD16のメモリ56にダウンロードされ得る。
【0104】
[0115]
一定の例では、システムは、患者が入力を提供することを可能にするユーザインターフェース94を含む。IMD16は、治療を変更することによって、ユーザインターフェースから患者が供給したデータに応答し得る。例えば、患者は、(ボタンを押すことによって)対象の生理学的事象を記録するために、外部プログラマ24(例えば、ハンドヘルド装置)を使用し得る。IMD16のプロセッサ回路53は、治療をオン若しくはオフにすることによって、治療(例えば、刺激強度)を調節することによって、又は治療プログラムを変更することによって応答し得る。本明細書で考察される泌尿器用途を参照すると、患者は、膀胱が空にされるときに、外部プログラマ24(例えば、スマートフォン)上のボタンを押し得る。これは、患者の排尿特性に基づいて予めプログラムされたか、又は患者が「排尿」信号を送信する頻度を解釈するアルゴリズム、機械学習アルゴリズム68などによって(ヒューリスティックに)決定される、ある期間にわたってオフになるようにIMD16に信号を送信する。そのような例では、患者入力は、治療によって影響を受ける対象の生理学的事象についてのデータ源として分散型「閉ループ」システムによって使用される。
【0105】
[0116]
様々な例と一致して、分類アルゴリズム34などの分類アルゴリズムを設定するために、患者が供給したデータが使用され得る。例えば、機械学習アルゴリズム68は、患者が指示した排尿、及び指示された排尿に同時期に存在する感知生理学的マーカーに基づいて訓練され得る。例えば、機械学習アルゴリズム68は、膀胱圧の一定の量の変化、膀胱圧の変化率、又は特定の患者の膀胱圧の変化の持続時間が排尿を示すと判定し得る。
【0106】
[0117]
ユーザインターフェース94は、ボタン又はキーパッド、ライト、音声コマンド用のスピーカ、液晶(liquid crystal、LCD)、発光ダイオード(LED)、又は陰極線管(cathode ray tube、CRT)などのディスプレイを含み得る。いくつかの例では、ディスプレイは、タッチスクリーンであり得る。本開示で考察されるように、プロセッサ回路90は、電気刺激に関する情報及びユーザインターフェース94を介して得られた治療効果を提示及び受信し得る。例えば、プロセッサ回路90は、ユーザインターフェース94を介して患者入力を受信し得る。入力は、例えば、キーパッド上のボタンを押すか、又はタッチスクリーンからアイコンを選択する形態であり得る。
【0107】
[0118]
プロセッサ回路90はまた、以下でより詳細に説明するように、ユーザインターフェース94を介して、患者14又は介護者への電気刺激の送達に関連する警告の形態で患者に情報を提示し得る。図示されていないが、外部プログラマ24は、追加的又は代替的に、他の装置との通信を容易にするために、別の計算装置へのデータ又はネットワークインターフェース、及び他の装置を介した電気刺激の終了後の電気刺激及び治療効果に関する情報の提示を含み得る。
【0108】
[0119]
テレメトリ回路96は、プロセッサ回路90の制御下でIMD16と外部プログラマ24との間の無線通信をサポートする。テレメトリ回路96はまた、無線通信技術を介して別の計算装置と通信するように、又は有線接続を介して直接通信するように構成され得る。いくつかの例では、テレメトリ回路96は、RF又は近位誘導性媒体を介して無線通信を提供する、上述のIMD16のテレメトリ回路58と実質的に同様であり得る。いくつかの例では、テレメトリ回路96は、内部又は外部アンテナなどの様々な形態を採り得るアンテナを含み得る。
【0109】
[0120]
外部プログラマ24と別の計算装置との間の通信を容易にするために使用され得るローカル無線通信技術の例としては、802.11又はBluetooth仕様セットに従ったRF通信、例えば、IrDA標準に従った赤外線通信、又は他の標準若しくはプロプリエタリテレメトリプロトコルが挙げられる。このように、他の外部装置は、セキュアな無線接続を確立することを必要とせずに、プログラマ24と通信することが可能であり得る。
【0110】
[0121]
電源98は、プログラマ24の構成要素に動作電力を送達する。電源98は、電池、及び動作電力を生成するための発電回路を含み得る。いくつかの例では、電池は、延長された動作を可能にするために再充電可能であり得る。
【0111】
[0122]
図4は、生理学的マーカーに基づいて治療送達のタイミングを判定するための例示の技術を図示するフロー図である。
図4の技術は、説明を目的として、IMD16のプロセッサ回路53に関して説明される。しかしながら、他の例では、IMD70のプロセッサ回路73又は外部プログラマ24のプロセッサ回路90は、同様の機能を実行し得るか、又は他の装置と分散機能を使用し得る(例えば、機能が、外部プログラマ24とIMD16との間で分割される)。
【0112】
[0123]
図4に示すように、プロセッサ回路53は、生理学的マーカーについて患者14を監視し得る(100)。生理学的マーカーは、患者14の機能不全状態に関連付けられ得る。プロセッサ回路53が生理学的マーカーを検出しない場合(ブロック102の「いいえ」の分岐)、プロセッサ回路53は、生理学的マーカーについて監視を継続し得る(100)。プロセッサ回路53が生理学的マーカーを検出する場合(ブロック102の「はい」の分岐)、プロセッサ回路53は、生理学的マーカーの後の治療の送達のタイミングを判定し得る(104)。例えば、プロセッサ回路53は、生理学的マーカーと神経刺激の送達との間の持続時間、及び/又は神経刺激が送達される位相の持続時間を判定し得る。本明細書で考察されるように、プロセッサ回路53は、以前に検出された又は記録された機能不全状態に基づいて治療送達のタイミング、及び神経刺激は、機能不全状態の前及び/又はその間に送達されるべきかどうかを判定し得る。
【0113】
[0124]
次いで、プロセッサ回路53は、判定されたタイミングに従って神経刺激療法を送達し得る(106)。プロセッサ回路53が、別の予測された機能不全状態を治療するための治療を継続すべきである場合(ブロック108の「はい」の分岐)、プロセッサ回路53は、生理学的マーカーについて患者14の監視を継続し得る(100)。プロセッサ回路53が、治療の送達を停止すべきである場合(ブロック108の「いいえ」の分岐)、プロセッサ回路53は、治療送達プログラムを終了する(110)。
図4のプロセスは、失禁に罹患している患者14の膀胱充填周期などの機能不全状態を含む生理学的周期に適用可能であり得る。しかしながら、プロセッサ回路53は、今後の機能不全状態を治療するために神経刺激を送達するときを予測するために、他の生理学的周期又は反復事象を追跡し得る。
図4のプロセスは、
図5のプロセスと同様に、いくつかの例として、大腸及び小腸、胃及び/又は腸、肝臓、又は脾臓などの膀胱以外の器官に関連付けられた機能不全を治療するのに好適であり得る。
【0114】
[0125]
いくつかの例では、プロセッサ回路53は、生理学的マーカーの検出後に、第1の位相中に神経刺激送達を保留し得る。他の例では、プロセッサ回路53は、医療用装置を制御して、生理学的マーカーと生理学的マーカーに対して時間が決められた新規刺激との間に第1の神経刺激療法(又は複数の異なる療法)を送達し得る。プロセッサ回路53は、第1の神経刺激療法から、第2の神経刺激療法のパラメータに従って第1の神経刺激療法の1つ以上のパラメータを変更することによって、生理学的マーカーに対して時間が決められた第2の神経刺激に移行し得る。プロセッサ回路53は、電圧振幅、電流振幅、パルス周波数、刺激波形周波数、パルス幅、又は電極の組み合わせのうちの少なくとも1つなどのパラメータを変更し得る。このようにして、生理学的マーカーは、神経刺激に対する修正のタイミングをシグナル伝達し得る。
【0115】
[0126]
図5は、膀胱機能不全を管理するために神経刺激を保留及び送達する位相を判定するための例示の技術を図示するフロー図である。
図5の技術は、説明のために、IMD16のプロセッサ回路53に関して説明される。しかしながら、他の例では、IMD70のプロセッサ回路73又は外部プログラマ24のプロセッサ回路90は、同様の機能を実行し得るか、又は他の装置と分散機能を使用し得る(例えば、機能が外部プログラマ24とIMD16との間で分割される)。
【0116】
[0127]
図5に示すように、プロセッサ回路53は、患者14の膀胱12の膀胱充填周期を監視し得る(120)。充填周期は、排尿事象の終了直後に開始し、次の排尿事象の終了時に終了することによって定義され得る。しかしながら、充填周期は、他の例では、周期の開始時の排尿事象を含み得る。プロセッサ回路53が、充填周期の終了をシグナリングする排尿事象シグナリングを検出しない場合(ブロック122の「いいえ」分岐)、プロセッサ回路53は、膀胱の充填周期の監視を継続し得る(120)。プロセッサ回路53が充填周期の終了を検出する場合(ブロック122の「はい」分岐)、プロセッサ回路53は、充填周期の第1の位相中に神経刺激療法の送達を保留することを判定し得る(124)。いくつかの例では、神経刺激は、排尿事象の前又はその間に終了し得、そのため、プロセッサ回路53は単純に刺激の送達を継続しなくてもよい。しかしながら、IMD16が、依然として、排尿事象の終了時に刺激を送達している場合、プロセッサ回路53は、神経刺激の送達を終了し、次いで、第1の位相中の神経刺激の更なる送達を保留し得る。
【0117】
[0128]
充填周期の位相を示す生理学的マーカーに基づいて、プロセッサ回路53は、充填周期の第2の位相を判定し得る(126)。第2の位相は、膀胱14の予測される機能不全状態(例えば、過活動膀胱収縮)の前の適切な時間に神経刺激を送達するために定義される。第2の位相は、機能不全を低減又は排除するために、組織が治療に対して受容性があるときに治療を提供すると判定された持続時間、及び機能不全の前の開始点を有し得る。第2の位相がまだ開始されていない場合(ブロック128の「いいえ」の分岐)、プロセッサ回路53は、第1の位相が終了するまで待機を継続し得る。プロセッサ回路53が、第2の相が開始すべきであると判定する場合(ブロック128の「はい」の分岐)、プロセッサ回路53は、第2の位相を開始し、第2の位相中の膀胱12の収縮を抑制又は低減するために、治療送達回路52を制御して、患者14に神経刺激療法を送達する(130)。
【0118】
[0129]
充填周期の第2の位相中に送達される神経刺激療法は、膀胱12の収縮を低減又は排除するように構成され得る(例えば、膀胱を弛緩させ、失禁の可能性を低減する)ように構成され得る。刺激のための1つの位相のみが説明されているが、プロセッサ回路53は、神経刺激が送達される充填周期の2つ以上の位相を判定し得る。一般に、第2の位相、及び対応する神経刺激は、少なくとも、膀胱充填周期中に発生し得る機能不全状態の前に開始する。しかしながら、プロセッサ回路53は、治療送達回路52を制御して、以下の排尿事象まで神経刺激を送達し得る。プロセッサ回路53は、治療送達回路52を制御して、例えば、第2の位相中に送達される刺激とは異なる刺激パラメータで、排尿を促進するために次の排尿事象の直前及び/又はその間に、異なる刺激パラメータで送達し得る。また、排尿事象は、この排尿促進刺激のための生理学的マーカーとしても機能し得る。
【0119】
[0130]
他の例では、プロセッサ回路53は、全ての神経刺激送達を保留する代わりに、
図5のプロセスの第1の位相中に神経刺激を送達し得る。例えば、プロセッサ回路53は、治療送達回路52を制御して、第1の位相中及び第2の位相の前に、第1の神経刺激療法(又は複数の異なる治療)を送達し得る。プロセッサ回路53は、第1の神経刺激療法を定義する1つ以上の刺激パラメータを変化させて、第2の位相に対する第2の神経刺激療法のパラメータを達成するために、第1の位相の第1の神経刺激療法から第2の位相の第2の神経刺激に移行し得る。プロセッサ回路53は、電圧振幅、電流振幅、パルス周波数、刺激波形周波数、パルス幅、又は電極の組み合わせのうちの少なくとも1つなどのパラメータを変更し得るか、又は治療プログラムを変更し得る。このようにして、生理学的マーカーは、神経刺激を開始するときだけではなく、神経刺激に対する修正のタイミングをシグナル伝達し得る。
【0120】
[0131]
図6は、膀胱排尿をセンサ信号における生理学的マーカーと自動的に関連付けるために装置を訓練するための例示の技術を図示するフロー図である。IMD16のプロセッサ回路53は、センサ信号、例えば、センサ22又はIMD16の外部のセンサからの信号における生理学的マーカーを監視し得る(600)。いくつかの例では、生理学的マーカーは、膀胱圧、膀胱圧の変化率、膀胱圧の変化量、及び/又は膀胱圧の変化の持続時間を含み得る。患者14は、患者14が膀胱をちょうど空にしたことを、IMD16に(例えば、外部プログラマ24のテレメトリ回路96及びIMD16のテレメトリ回路58を介して警告し得る(602)。IMD16は次いで、メモリ56の膀胱データ69内の生理学的マーカーを記録し、それらを排尿事象と関連付け得る(604)。IMD16のプロセッサ回路53及び機械学習アルゴリズム68は、生理学的マーカーのいずれかが排尿事象を示すかどうか(606)を判定するために、膀胱データ69内の生理学的マーカーと、排尿事象に関連付けられた膀胱データ69内の以前に記憶された生理学的マーカーとを比較し得る。例えば、膀胱圧力の一定の変化率が排尿事象と頻繁に関連付けられている場合、変化率は、排尿事象を示し得る。生理学的マーカーのいずれも、排尿事象を示さない場合、IMD16のプロセッサ回路53は、生理学的マーカーの監視を継続し得る(600)。生理学的マーカーのいずれかが、排尿事象を示す場合、プロセッサ回路53及び機械学習アルゴリズム68は、例えば、プロセッサ回路53が、患者入力がなくても、センサ信号、例えば、センサ22又はセンサIMD16の外部のセンサからの信号の排尿事象を示す生理学的マーカーを受信するときに、排尿として患者14の生理学的状態を分類するために、分類アルゴリズム34を変更し得る(608)。
【0121】
[0132]
いくつかの例では、
図6の例は、排尿以外の生理学的状態に使用され得る。例えば、
図6の例は、どの生理学的マーカーが膀胱漏れを示し得るかを学習するために使用され得る。この例では、患者14は、IMD16にちょうど膀胱漏れを経験したことを警告し得、機械学習アルゴリズム68が、生理学的マーカーのいずれかが膀胱漏れを示すかどうかを判定し得、プロセッサ回路53が膀胱漏れ事象を示す生理学的マーカーを受信するときに、患者14の生理学的状態を膀胱漏れ事象として分類するために分類アルゴリズム34を変更し得る。他の例では、
図6の例は、どの生理学的マーカーが次の排尿事象を示し得るかを学習するために使用され得る。
【0122】
[0133]
図7は、治療のパラメータ又はタイミングを自動的に適合させるための例示の技術を図示するフロー図である。IMD16のプロセッサ回路53は、センサ信号、例えば、センサ22からの信号又はIMD16の外部のセンサからの信号における生理学的マーカーを監視し得る(700)。いくつかの例では、生理学的マーカーは、膀胱圧、膀胱圧の変化率、膀胱圧の変化量、及び/又は膀胱圧の変化の持続時間を含み得る。IMD16は、膀胱充填周期の終了であるかどうか、例えば、排尿事象が発生したかどうかを判定し得る(702)。例えば、プロセッサ回路53は、センサ信号における生理学的マーカーに基づいて、排尿事象が発生したと判定し得る。代替的に、IMD16は、患者14が膀胱をちょうど空にしたことの指示を患者14から(例えば、外部プログラマ24のテレメトリ回路96及びIMD16のテレメトリ回路58を介して)受信し得る。IMD16が膀胱充填周期の終了であると判定しない場合、IMD16のプロセッサ回路53は、生理学的マーカーの監視を継続し得る(700)。
【0123】
[0134]
IMD16が膀胱充填周期の終了であると判定する場合、IMD16は、膀胱充填周期の持続時間(例えば、最後の排尿から現在の空隙までの時間)を記録し得る(704)。IMD16のプロセッサ回路53及び機械学習アルゴリズム68は、膀胱充填周期の持続時間を、例えば、メモリ56内の膀胱データ69に記憶された過去の膀胱充填周期の持続時間と比較し得る。次いで、プロセッサ回路53及び機械学習アルゴリズム68は、治療のパラメータ又はタイミングが変化するべきかどうかを判定し得る(708)。治療のパラメータは、刺激のパルス幅、頻度、及び強度(電圧又は電流)を含み得、治療のタイミングは、治療を送達するとき、及び治療の送達を保留するときを含み得る。
【0124】
[0135]
例えば、プロセッサ回路53及び機械学習アルゴリズム68は、膀胱充填周期持続時間などの膀胱充填周期の持続時間の傾向、例えば、膀胱充填周期が概して一週間でX分間増加していると判定し得る。刺激の送達を保留する期間を増加させることによって追加の電力節約が得られ、プロセッサ回路53及び機械学習アルゴリズム68は、刺激の送達を保留する期間を、例えばX/2分だけ増加すべきであると判定し得る。次いで、プロセッサ回路53及び機械学習アルゴリズム68は、治療のタイミングを変更し得る(710)。
【0125】
[0136]
図8は、膀胱充填周期の例示的なタイミング
図140であり、膀胱充填周期の位相に時間が決められた神経刺激の送達である。
図8に示すように、タイミング
図140は、膀胱充填周期中に経時的に増加する充填レベル142(例えば、全膀胱体積のパーセンテージ)を伴う膀胱充填周期を示す。部分146は、尿による膀胱充填を示し、フルレベル142の部分148は、膀胱12が排尿事象中に空になっていることを示す。刺激レベル144は、刺激が送達されているかどうかを示す。
【0126】
[0137]
位相T1は、時間150で開始する膀胱充填周期の第1の位相であり、位相T2は、時間152で開始し、時間154まで実行する膀胱充填周期の第2の位相である。位相T1中、システム10は刺激送達を保留し得る。第1の位相T1が時間152で完了するときに、システム10は第2の位相T2を開始し、この第2の位相中に神経刺激を送達し得る。充填周期中の第2の位相のタイミングは、充填レベル142が増加するにつれて、膀胱の機能不全状態を低減又は排除するように選択され得る。位相T2の終了時に、患者は、時間154において空隙を必要とし得る。期間T3中の排尿事象の開始は時間154にあり、排尿事象の終了は時間156にある。システム10は、時間154で神経刺激の送達を停止したが、他の例では、神経刺激は、排尿事象中に継続し得る。
【0127】
[0138]
第2の位相T2は、膀胱充填周期のほぼ後半全体を占めるものとして示されているが、他の例では、第2の位相は他の時間及び他の充填周期の持続時間で発生し得る。例えば、T2の持続時間は、充填周期の4分の1の間のみであり得、T2は、膀胱充填周期の第3の4分の1又は第4の4分の1の間にのみ発生し得る。いずれの場合も、第1の位相及び第2の位相のタイミングは、生理学的周期(例えば、充填周期)中の機能不全状態(例えば、過活動膀胱)を低減又は排除するために、神経刺激を送達するときを予測するために、排尿事象(例えば、生理学的マーカー)及び履歴充填周期に基づき得る。
【0128】
[0139]
図9A~
図12Bは、実験データに関連し、膀胱機能不全を低減するための神経刺激の概念タイミングを示す。実験データは、L6S1根の両側双極電極刺激でラットにおける新規の仙骨神経刺激(sacral neurostimulation、SCS)モデルを使用して得られた。この刺激により、いくつかの他の刺激パラメータと共に、膀胱反射消失(すなわち膀胱間反射の完全な遮断)を、多くの動物におけるソマトモーター閾値未満のSNS条件下で生成した。これらの刺激送達パラダイムを検査して、充填周期の充填部分中に一定の間隔で時間決めされた刺激の間欠適用(例えば、排尿直後、周期の真ん中に時間決め、又は排尿直前)が、充填周期全体にわたる連続的刺激によって示される膀胱容量を増加させる同様の効果を生じ得るかどうかを判定した。電池寿命は、増加され得、患者の副作用は、排尿事象及び/又は充填周期レベルに基づいた時間が決められたアプローチを使用して、間欠神経刺激のアプローチによって低減され得る。
【0129】
[0140]
電極は、エポキシコーティングを有する直径50マイクロメートルのステンレス鋼ワイヤから作られた。電極を極として対にし、刺激装置端子の結合ポストで接合した。吻極を神経上に吻側に配置し、次いでリードを組み合わせ、FHC Pulsar 6 bp刺激装置の出力末端結合ポストに挿入し、尾極を神経上に両側に尾側に配置し、リードを合わせ、接地末端結合ポストに挿入した。パラフィルムは、電極を電気的に絶縁するように作用した。雌Sprague-Dawleyラット(250~275gBW、n=13)をウレタン(1.2g/kg s.c.)で麻酔した。ジュグラー静脈カテーテルを水和のために片側に挿入し、膀胱ドームの頂点で経皮カテーテルをサイストトミーに挿入し、定位置に結紮し、L6-S1の胴体を腹壁から背部仙骨に通過させて分離した。小シートのParafilmを神経と坐骨、下腸静脈及び他の周囲組織との間に挿入し、その領域内で脊髄のL6-S1の胴体を電気的に分離した。次いで、2つのリードを、刺激装置の正極への共挿入のために結合し、脊髄の露出したL6-S1の胴体の吻側面に両側に配置した。刺激装置の負極に挿入するために、2つの追加のリードを結合し、正極に横方向に0.5~1.0cm尾側に配置した。胴体は、鉱油で覆われ、ワイヤは、組織接着剤を用いて正中線組織上の定位置に固定された。後側皮膚を創傷クリップで慎重に閉じた。膀胱カテーテルが充填及び排尿中に自由に移動することを確実にするために、動物をBallmanケージに載せた。加熱ランプを近くに配置し、体温を維持した。膀胱カテーテルを注入ポンプ及び圧力変換器に4ウェイストップコックで引っ掛け、0.1ml/分の流速で1時間の回復/調節期間にわたって注入を開始した。制御され連続した膀胱内圧測定に続いて、膀胱を空にし、安定したベースラインのTrue Bladder Capacityが確立されるまで、単一の膀胱内圧測定を実行した。
【0130】
[0141]
図9A及び
図9Bは、実験ラットの膀胱充填周期の異なる位相中に送達される神経刺激の例示の膀胱体積を示すグラフ160及び162である。
図9Aのグラフ160に示すように、仙骨神経刺激(SNS)(すなわち、仙骨神経に送達される神経刺激の形態)が、以前の制御膀胱充填周期持続時間(n=10)の25%、50%、75%、又は100%の膀胱充填の開始時に送達された。
図10A及び
図10Bのグラフ164及び166にそれぞれ示されるように、事前のSNSベースライン制御膀胱容量に有意な差はなかった。
図10A及び
図10Bのグラフ164及び166は、連続するSNS適用がベースライン状態への復帰を有意に変化させなかったこと、及びSNSで見られた効果は、ベースライン制御値の変更の反映ではなかったことを示す。換言すれば、膀胱容量の後続の変化は、それぞれの時間における刺激送達の結果であるべきである。
【0131】
[0142]
図9Aのグラフ160は、SNS持続時間を増加させる条件下で、刺激が充填周期の75~100%にわたって送達されたときに、膀胱容量に対するSNSの正の効果が最大であることを示す。グラフ160は、SNS刺激が充填時間の少なくとも75%持続時間にわたって送達されるべきであるか、又はSNSが充填周期の最後の50%中に最大限有効であることを示唆し得る。
図9Bのグラフ162は、充填周期が開始するとき(例えば、前の排尿事象の完了時)に開始する各刺激持続時間のサンプルの変動を示す。このようにして、制御充填時間の75%及び100%の両方のSNS持続時間は、制御よりも著しく大きな膀胱容量をもたらした。
【0132】
[0143]
図11A及び
図11Bは、膀胱充填周期の異なる位相中に送達される神経刺激に対する例示の膀胱体積を示すグラフである。グラフ168及び170は、充填周期の個別領域及び異なる領域に送達されたSNSが、膀胱容量に対する任意の効果について評価された実験の結果を示す。SNSは、第1の25%、第2の25%、第3の25%、第4の25%、並びに第1及び第2の50%の制御充填時間中にランダムに適用され(全ての周期は、用途の順でランダム化されている)るか、又は擬似ランダム順に適用された(全てのうちの25%が順にランダム化され、続いて50%が順にランダム化された)。ランダム化アプローチにおける差は見出されなかった。
【0133】
[0144]
グラフ168の結果は、刺激が充填周期の最後の半分又は最後の4分の1の間に刺激が適用されたときに、SNSの最大効果が達成されることを示す。グラフ168に示されるように、充填周期(バー25-4)の最後の75%の膀胱容量は、充填周期中に刺激を送達するのに最も効果的な時間であるように見える。充填周期の残りのより早期の期間は、システムが、充填周期の初期期間中に刺激を保留し、依然として失禁のために有効な治療を達成し得るように、刺激を受けない場合がある。同様に、充填周期(バー50-2)の最後の50%は、第1の50%が刺激されていないままの状態で、刺激を送達するのに適切な時間であり得る。グラフ170は、実験中の全てのサンプルについてのSNSによる膀胱容量の変動を示す。
【0134】
[0145]
図12A及び
図12Bに示されるように、グラフ172及び174は、各々連続するSNS適用の前のベースライン制御膀胱容量としての神経刺激送達前の例示の膀胱体積を示す。Friedman試験により統計的有意性は検出されなかった。したがって、連続するSNS適用は、ベースライン条件への復帰を有意に変化させなかったこと、及びSNSで見られた効果は、ベースライン制御値の変化の反映ではなかった。充填周期の終了時のより効果的な刺激位相は、充填周期中に時間が決められたものにおける刺激の結果であるように見える。
【0135】
[0146]
閉ループ仙神経調節を送達することによって、雌ヒツジで実験試験を実行した。実験システムの汎用神経調節システムを使用した。
図13は、実験的な汎用神経調節システムの概念図である。システム200の植え込み型構成要素は、最大で4つの刺激リード線を支持し、16チャネルにわたってプログラム可能な独立した電極制御を送達し得る再充電式刺激装置202であった。再充電式刺激装置202はまた、2つの異なる信号を身体から感知することができ、これには、植え込まれた電極からの電気的生体電位の最大4つのチャネルを(時間及び周波数領域の両方で)測定することと、身体内の装置の慣性移動をオンボード加速度計で測定することを含む。
【0136】
[0147]
実験試験では、感知されたデータを、システム内の外部器具の収集を使用して、距離テレメトリを介して外部PCにストリーミングした。システム200は、埋め込まれた装置(簡略化のために図示せず)を通信及び再充電するためのテレメトリベースの器具を含んだ。システム200は、カスタムアプリケーションの開発を可能にするアプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface、API)222を含んだ。API 222は、承認されたプロトコルに従った実験を研究者が設計することを可能にし得る。API 222はまた、アプリケーション開発者が、送達された治療を更に精緻化し、追加の試験データを提供するために試験中に使用され得るサードパーティセンサをそれらの実験に統合することを可能にし得る。
【0137】
[0148]
膀胱圧の感知部位が試験における刺激部位から離れたため、生理学的センサデータは、異なる位置に植え込まれた別個の生理学的センサ204から提供された。生理学的センサ204は、外部PC上の外部分類システムに膀胱圧データを無線で送信するように設計されており、外部PCは、排尿が発生したときを検出するために使用され得る構成可能な分類装置210(分類アルゴリズム34を実行するプロセッサ回路53と同様)を含んだ。分類装置210は、次いで、排尿が発生したことを制御ポリシー装置220(制御ポリシー36を実行するプロセッサ回路53と同様)に送信し得、制御ポリシー装置220は、次いで、事前定義された時間にわたって刺激をオフにする。試験では、所定の時間は膀胱充填周期の半分であった。予め定義された時間が経過した後、刺激を再度オンにした。全体的な結果は、生理学的センサからのデータを使用して、治療をオン及びオフにするか、又は刺激パラメータ(例えば、振幅、頻度、又はパルス幅)を調節することによって、再充電式刺激装置202を制御したことであった。
【0138】
[0149]
システム200は、データ処理のために外部通信リンクを使用するが、様々な例は、有線又は無線データ通信チャネルのいずれかを介して直接互いに直接通信する2つの植え込まれた装置(例えば、IMD16及びIMD16の外部のセンサであるが患者14に植え込まれているもの)を対象とする。これは、外部構成要素の必要性を低減又は排除し得、ヒューマントランスレーションにはより実用的であり得る。
【0139】
[0150]
様々な例は、複数のシステム及び治療ソリューションと共に使用するように構成されている感知インプラントを対象とする。例えば、感知インプラントは、いくつかの異なるシステムにわたって使用される標準化された通信プロトコルで設計され得る。
【0140】
[0151]
膀胱機能について実験試験を実行したが、関連する生理学的事象が感知され得る様々な尿、腸、又は骨盤底障害に同様のソリューション及びシステムを適用し得ることが認識される。生理学的信号のいくつかの例としては、圧力、体積、EMG、EKG、神経/電気活動、動き/運動、インピーダンス、体温、血圧、血流若しくは尿流、又は位置が挙げられる。システムは、適切なセンサから急性又は慢性のデータ収集を実行し得、センサは、次いで、分散された方法を使用して、例えばIMD16などの潜在的に様々な遠隔の神経調節標的で治療を提供する標準化された刺激装置に伝達する。
【0141】
[0152]
図14は、雌ヒツジを伴う実験における膀胱充填周期の異なる位相中に送達される神経刺激に基づく、例示の膀胱体積変化を示すグラフである。グラフ176は、膀胱充填周期の個別領域及び異なる領域に送達されたSNSが膀胱充填周期の任意の効果について評価したか、又は単一のバルダー充填周期中に膀胱によって貯蔵され得る尿の量について評価した実験の結果を示す。グラフ176の結果は、IMDが植え込まれた4つの完全な意識のある雌ヒツジを用いた11回の試験から得た。各試験では、動物が膀胱の内容物を排尿するまで、流体を15ミリリットル(mL)の速度で膀胱に追加した。排尿前に添加された流体の総量を、各条件について記録した。3つのベース膀胱充填周期を実施して、平均膀胱充填時間を確立し、その時点で、それぞれ、膀胱充填周期の前半、膀胱充填周期の後半、及び膀胱充填周期の全期間にわたって神経調節が送達された、後続の時間及び別個の膀胱充填周期が実行された。グラフ176の各バーは、それぞれの誤差部と共に示されている。
【0142】
[0153]
グラフ176に示すように、ベースライン膀胱充填周期は、膀胱周期中に神経刺激が送達されなかったときに、排尿前に保持された約40mLの体積をもたらした。膀胱充填周期の前半の間に神経刺激が送達された(すなわち、膀胱充填周期の後半の間に神経刺激が送達されなかった)とき、充填体積は約70mLまで増加した。しかしながら、この体積増加は、ベースラインと比較して統計的に有意ではなかった。膀胱充填周期の後半の間にのみ神経刺激が送達されたとき(すなわち、前半の間に神経刺激がされない)、総充填体積は、ベースライン体積にわたって統計的に有意な量を約100mLまで増加させた。ベースライン上の膀胱体積への同様の増加は、膀胱充填周期全体又は全膀胱充填周期中の神経刺激送達中に観察された。したがって、これらの結果は、膀胱充填周期の前半又は第1の位相の代わりに、膀胱充填周期の後半又は第2の位相中に神経刺激が送達され得ることを示す。連続的刺激送達を回避するために第1の位相中の刺激を保留することにより、長期有効性を増加させ、有効な治療を維持しながら、調節及び/又は筋疲労を防止し得る。
【0143】
[0154]
図15A及び
図15Bは、生理学的周期中の例示の生理学的事象を示すグラフと、生理学的周期の機能不全状態を回避するための神経刺激の予測的送達を示すグラフである。電気的及び薬学的ベースの神経調節療法が連続的に送達される代わりに、これらの療法は、機能不全状態の検出に応答して送達され得る。
図15Aに示すように、事象ライン190は、一例として、期間B1及びC1中に膀胱収縮が発生する2つの膀胱充填周期中の膀胱収縮を示し得る。膀胱収縮は、期間B1及びC1中の刺激から利益を得ることができる機能不全状態(例えば、失禁をもたらし得る過活動膀胱)に到達するための治療閾値を超える。しかしながら、この刺激は、機能不全状態を防止するには時間的に遅すぎる。
【0144】
[0155]
刺激を送達する前に機能不全の検出を待機する代わりに、機能不全の前の生理学的マーカーAの検出により、システムは、機能不全が発生する前に刺激が送達されるべきときを予測することを可能にし得る。マーカーAは、失禁の場合、排尿事象、膀胱充填レベル、又は小さい排尿収縮などの検出可能な生理学的事象であり得る。
図15Bに示されるように、事象線192はまた、生理学的マーカーAを有する。しかしながら、生理学的マーカーAを検出すると、システムは、刺激治療が患者から保留される第1の位相194Aを追跡し得る。第1の位相194Aが満了すると、システムは、機能不全状態の予測において、第2の位相相B2中に神経刺激を送達し得る。次の充填周期のC2中の神経刺激は、同様の効果を有し得る。このようにして、システムは、治療に不要であるときに刺激を送達することを控えることができ、おそらくは、器官又は関連する組織を前処理することによって機能不全状態が発生するのを防止し得る。追加的に、刺激を事前に送達することは、刺激が既に発生した機能不全を相殺する必要がないため、刺激送達に必要な時間を低減し得る。機能不全の検出を待機する代わりに、1つ以上の生理学的マーカーへの神経刺激のタイミング送達は、有効性を改善し、刺激持続時間の短縮による副作用を低減し、調節を低減し、電池寿命又は薬物充填間隔を改善し得る。
【0145】
[0156]
膀胱充填適用の例では、尿生理機能は、尿放出(例えば、排尿位相)に関連付けられた膀胱収縮の位相と結合された膀胱充填及び尿貯蔵(例えば、充填位相)の位相によって支配される。追加的に、これらの2つの広い位相はまた、排尿位相が、排尿開始位相、排尿維持相、及び排尿終了位相から構成されるため、少なくとも3つの個別のサブ位相に細分化され得る。今度は、充填が、充填開始、充填維持、及び充填終了を含む少なくとも3つのサブ位相から構成される。各サブ位相は、完全な機能的ネットワークを確立する特定の神経感覚入力及びモータ出力に関連付けられる。これらの機能の特定のサブ位相でのタイミング神経刺激により、システム及び方法は、これらのサブ位相内にあり、これらのサブ位相に関連付けられた相対的な生理学的及び時間的信号に従って、改善されたネットワーク機能を達成し得る。他の器官システムのための同様の機能はまた、生理学的マーカー、並びに活動又は状態の位相及びサブ位相とこれらのマーカーとの時間的関係に従って説明され得る。
【0146】
[0157]
いくつかの例では、膀胱充填及び非排尿膀胱収縮の位相に関連付けられた1つ以上の非排尿(例えば、排尿排出なし)膀胱収縮は、急な尿意の感覚を示す生理学的マーカーとして使用され得る。3タイプの非排尿膀胱収縮は、I型、II型、及びIII型収縮を含み得る。I型収縮は、典型的には、伝播中にベース-ドームで、小さい大きさの膀胱体積調節をもたらす収縮が挙げられる。I型収縮は、膀胱が尿で充填する際の膀胱の通常の充填及び調節(体積の増加)に関連付けられる。II型収縮は、伝播中にドーム-ベースで、より大きな大きさの逆収縮は、高い膀胱体積及び圧力の間、又は一定のタイプの膀胱刺激(例えば、疾患状態)中に観察される。II型収縮(又はこれらの機能不全)は、充填性(衝動)及び潜在的な膀胱又は骨盤痛に関連付けられる。より小さい膀胱体積でのII型収縮の存在は、様々な特発性の衝動頻度及び/又は腹圧性失禁条件に関連し得る。膀胱痛症候群は、II型収縮の増加を含み得る可能性もある。III型収縮は、ベース-ドームに由来する点でI型収縮と同様であるが、タイプIIIの収縮はドーム内に侵入し、ベースに向かって戻る。これらの収縮は、大きさが大きく、例えば、高齢のラットにおいて主に観察されている。これらの収縮(又はこれらの機能不全)は、高齢の患者において一般的な衝動及び頻度の症状の増加に関連付けられ得る。
【0147】
[0158]
これらのタイプの膀胱収縮は、慢性又は急性の測定技術のいずれかを使用して識別され得る。急性の収縮は、マルチチャネル圧力カテーテル、又は内視鏡ビデオ記録、超音波及び/又は機能的MRIからの様々な撮像技術を用いて、オフィス内で測定され得る。充填膀胱内圧測定は、診断目的のために患者に存在する異なるタイプの収縮、及びに個々の患者に対する治療選択迅速に識別することを助けるために使用され得る。慢性的に、非排尿収縮を記録するための技術は、袋内又は膀胱壁の外側のフォーカルEMG、又はローカル圧力若しくは機械的センサを含み得る。これらの長期記録方法は、治療が適用された後に、異なる収縮タイプ及び頻度又は振幅の変化を識別するのに役立ち得る。
【0148】
[0159]
これらの異なるタイプの膀胱収縮(特にTypes II&III)を様々な方法で区別することにより、これらの特定の機能不全に基づいて、差分診断及び後続の有効なそれぞれの治療を可能にし得る。例えば、II型及び/又はIII型収縮の検出はまた、特発性過活動膀胱の生理学的マーカーとしても機能し、膀胱特異的(例えば、膀胱筋又は神経入力)疾患を、尿道挙動に悪影響を及ぼし得る一般障害(例えば、不安、うつ病)から潜在的に区別する。このようにして、システムは、異なる収縮を、後続の治療のためのマーカーとして使用し、過活動膀胱などの機能不全事象を低減し得る。
【0149】
[0160]
特定の尿失禁特徴は、排尿の患者感覚、空である患者の感覚、及び/又は膀胱充填位相に関連する信号として疼痛又は膀胱充填度を使用することを含み得る。排尿の患者の報告(例えば、ユーザ入力)又は尿漏れの報告はまた、それぞれ、排尿位相又は異常な排尿を検出するために使用され得る。このユーザ入力は、生理学的マーカーが識別され得る1つ以上の信号を含む。このように、漏れ又は漏れ事象は、排尿事象とは異なる。膀胱の場合、漏れは、膀胱を完全に空にするよりも少ない膀胱から出る尿の量を指すが、完全に空にする(例えば、膀胱が空、又は尿がこれ以上膀胱から出ない実質的な空となるまで空にする)ことは、排尿事象と見なされる。例えば、漏れは、少量の尿が膀胱を出て、その後、残りの尿が依然として膀胱内に保持されるように停止することを指し得る。漏れ事象は、異常な排尿及び不安定又は異常な充填周期をもたらし得る。いくつかの例では、システムは、充填周期を停止及び開始する排尿事象を判定するときに、識別された漏れ事象を無視し得る。他の例では、システムは、漏れ事象を識別することに応答して、充填周期を不安定な充填周期として特徴付け得、通常であり、識別された漏れ事象を伴わない充填周期とは異なって充填周期を処理し得る。
【0150】
[0161]
装置に記録された特定の感覚又は事象の患者の作動(例えば、ユーザ入力)を使用して、充填又は排尿中の特定の位相を示し得る。治療タイミングシステムは、治療送達が指示信号に対して適切に分配及び送達され得るように、患者の指示信号にリンクされ得る。追加的に、膀胱生理学的マーカーの自動及び客観的感知は、排尿事象を示す膀胱圧における圧力信号及び大きく急速な変化などを排尿事象にリンクするために利用されるか、又は衝動(すなわち、排尿を必要とする患者感覚)にリンクされ得る。膀胱運動(加速度計、圧電センサ、又は類似のセンサによって検出される)は、膀胱充填の排尿又は不安定性の生理学的マーカーとして使用され得る。膀胱の圧力スペクトルは、正常な充填の機能不全を識別するために使用され得る。システムは、膀胱又は尿道圧、パターン若しくは圧力スペクトル、又は膀胱付近で検出された外部膀胱圧を利用し得る。他の生理学的信号としては、内部又は外部尿道括約筋又は排尿筋からの神経活動、尿流、及びEMG活動が挙げられる。
【0151】
[0162]
様々な生理学的マーカーが本明細書で説明され、生理学的周期内の開始点、終了点、及び/又は進行点を判定するために使用され得る。生理学的マーカーは、排尿、漏れ、筋肉活性、又は尿若しくは便の排泄に関連する他の事象などの識別された事象によって示され得る。これらの事象は、植え込まれたセンサ又は外部センサによって自動的に検出され得る。例えば、湿り度センサは、患者の外部の排尿又は漏れを検出し得、圧力センサは、植え込まれた若しくは外部の位置を介して膀胱圧及び/若しくは括約筋圧を検出し得るか、又は電極が、骨盤底筋活動を示す電位図を生成し得る。いくつかの例では、外部及び/又は植え込まれた電極は、生理学的マーカーが生理学的周期の1つ以上の事象に関連する骨盤筋収縮を示す脳波図(electroencephalogram、EEG)を生成し得る。他の生理学的マーカーは、患者の行動、患者の活動、又は更には患者の位置の外部監視から導出され得る。例えば、膀胱充填周期(例えば、ペーシング、フィジティング、スウェイング、又は差し迫った排尿を示す他の活動)に関連する個々の事象又は活動を使用して、排尿又は差し迫った排尿を識別し得る。別の例として、事象又は活動のパターンを使用して、非運動期間中に排尿が発生しているペーシング又はフィジティングの直後の非運動期間などの、生理学的周期内の点を識別するか、又は膀胱充填周期が終了に近づいていることを示し得るペーシング中の脚の使用の増加、臀部の収縮又は他の筋肉活動の検出を示し得る。いくつかの例では、センサ(例えば、近接センサ及び/又は位置センサ)は、患者が、患者が典型的には排尿するトイレとして識別される領域内にいるときを示し、患者が排尿する際にこの領域内の存在を解釈し得る。プログラマ又はIMDは、これらの領域又は位置を(例えば、グローバル位置システム(global position system、GPS)センサ及び/又は1つ以上の近接センサを使用して)直接検出するか、又は別のセンサ若しくは装置から患者の位置の表示を受信し得る(例えば、トイレの座部上の圧力センサ、トイレ水洗機構上のトリガ、又は任意の他のそのようなセンサなどの、スマートフォン又は専用の存在感知センサからのものである)。他の例では、生理学的マーカーは、患者が排尿した、排尿を必要としている、又は排尿事象を防止するために追加若しくは代替の治療を要求している指示などの患者からの入力に基づいて検出され得る。
【0152】
[0163]
追加的に、単一の生理学的マーカーは、2つ以上の信号から識別され得る。これらの信号は、各同期化された信号の一態様が所定の値に一致するか、又は所定の閾値を超えたときに生理学的マーカーが識別されるように同期化し得る。例えば、排尿事象の生理学的マーカーは、膀胱収縮及び湿り度センサからの湿り度の検出であり得る。別の例として、患者がトイレ内にいることが検出され、患者が排尿したことを示す少なくとも一定の期間にわたって患者が移動していないときに、排尿事象が検出され得る。このようにして、システムは、2つ以上の信号を分析することによって生理学的マーカーを検出し得る。
【0153】
[0164]
膀胱機能の位相が検出され、治療送達がこれらの臨界位相にリンクし得る。正常な機能位相が存在しないか、又は機能不全事象が検出される場合、治療は所望の正常機能に対して送達され得る。タイミングは、主要な生理学的事象又は識別可能な膀胱ステージに対する刺激を適切に遅延させるために使用され得る。例えば、システムは、排尿又は不安定な排尿収縮を検出し、そのような事象を神経刺激送達又は保留にリンクさせ得る。患者の作動によって記録されるか、生理学的記録によって記録されるかによらず排尿は、この位相に続く位相の持続時間にわたって治療を中止するか、又は保留することを可能にするタイマを開始するためにシステムによって使用され得、次いで、この位相に続いて治療を再開し得る。したがって、治療の開始は、排尿事象にリンクしたより短い持続時間で適用され得、治療送達は、例えば、排尿事象後の早期位相の代わりに、充填の後半の位相で必要とされる。
【0154】
[0165]
本明細書で説明されるシステム10及び技術は、ヒト患者の治療又は監視に限定されない場合があることに留意されたい。代替例では、システム10は、非ヒト患者、例えば霊長類、イヌ科動物、ウマ、ブタ、及びネコ科動物に実施され得る。これらの他の動物は、本開示の主題から利益を得る臨床治療又は研究治療を受け得る。
【0155】
[0166]
本開示の技術は、多種多様な計算装置、医療用装置、又はこれらの任意の組み合わせで実施され得る。説明されたユニット、回路、又は構成要素のいずれも、個別であるが相互運用可能な論理装置として、一緒に又は別個に実施され得る。回路又はユニットとしての異なる特徴の描写は、異なる機能的態様を強調することを意図しており、そのような回路又はユニットが、別個のハードウェア又はソフトウェア構成要素によって実現されなければならないことを必ずしも意味するものではない。むしろ、1つ以上の回路又はユニットに関連付けられた機能は、別個のハードウェア若しくはソフトウェア構成要素によって実行され得、共通の若しくは別個のハードウェア若しくはソフトウェア構成要素内に統合され得る。
【0156】
[0167]
本開示は、プロセッサに、本明細書で説明される機能及び技術のいずれかを実行させる命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体を企図する。コンピュータ可読記憶媒体は、有形であるRAM、ROM、NVRAM、EEPROM、又はフラッシュメモリなどの、任意の揮発性、不揮発性、磁気、光学、又は電気媒体の例示的な形態を採り得る。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的と称され得る。サーバ、クライアント計算装置、又は任意の他の計算装置はまた、容易なデータ転送又はオフラインデータ分析を可能にするために、より携帯型の取り外し可能なメモリタイプを含み得る。
【0157】
[0168]
様々な回路及び様々な構成的構成要素に起因するものを含む、本開示で説明される技術は、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実施され得る。例えば、技術の様々な態様は、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、若しくは任意の他の同等の統合された個別の論理回路、若しくは他の処理回路、並びにそのような構成要素、リモートサーバ、遠隔クライアント装置、又は他の装置の任意の組み合わせを含む、1つ以上のプロセッサ内に実装され得る。「プロセッサ回路」又は「処理回路」という用語は、一般に、任意の前述の論理回路単独、若しくは他の論理回路と組み合わせた前述の論理回路、又は任意の他の同等の回路を指し得る。
【0158】
[0169]
そのようなハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアは、本開示で説明される様々な動作及び機能をサポートするために、同じ装置内又は別個の装置内で実施され得る。加えて、説明されたユニット、回路、又は構成要素のいずれも、個別であるが相互運用可能な論理装置として、一緒に又は別個に実施され得る。回路又はユニットとしての異なる特徴の描写は、異なる機能的態様を強調することを意図しており、そのような回路又はユニットが、別個のハードウェア又はソフトウェア構成要素によって実現されなければならないことを必ずしも意味するものではない。むしろ、1つ以上の回路又はユニットに関連付けられた機能は、別個のハードウェア若しくはソフトウェア構成要素によって実行され得、共通の若しくは別個のハードウェア若しくはソフトウェア構成要素内に統合され得る。例えば、本明細書で説明された任意の回路は、固定機能処理回路、プログラム可能処理回路、又はそれらの組み合わせなどの、その特定の回路に起因する特徴を実行するように構成された電気回路を含み得る。
【0159】
[0170]
本開示で説明される技術はまた、命令でコード化されたコンピュータ可読記憶媒体を含む製品に具現化又はコード化され得る。コード化されたコンピュータ可読記憶媒体を含む製品に埋め込まれた又はコード化された命令は、1つ以上のプログラム可能なプロセッサ、又は他のプロセッサに、コンピュータ可読記憶媒体に含まれるか又はコード化された命令が1つ以上のプロセッサによって実行されるときなどに、本明細書で説明された技術のうちの1つ以上を実施させ得る。例示的なコンピュータ可読記憶媒体としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電子的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、コンパクトディスクROM(compact disc ROM、CD-ROM)、フロッピーディスク、カセット、磁気媒体、光学媒体、又は任意の他のコンピュータ可読記憶装置若しくは有形コンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読記憶媒体はまた、記憶装置と称され得る。
【0160】
[0171]
いくつかの例では、コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的媒体を備える。「非一時的」という用語は、記憶媒体が搬送波又は伝播信号で具現化されていないことを示し得る。一定の例では、非一時的な記憶媒体は、経時的に(例えば、RAM又はキャッシュ内で)変化し得るデータを記憶し得る。
【0161】
[0172]
以下の実施例が開示される。
[0173]
実施例1.患者に電気刺激を提供するための適合システムであって、システムが、1つ以上のプログラムを記憶するように構成されたメモリと、メモリに結合され、1つ以上のプログラムを実行するように構成されたプロセッサ回路と、を備え、プロセッサ回路が、センサ信号を監視し、センサ信号に基づいて患者の生理学的マーカーを分類することであって、生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、患者の分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、制御信号が、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、患者内の標的部位において電気刺激を提供するための植え込み型刺激装置を制御して、括約筋を開いて排尿事象を可能にすること、又は括約筋を収縮させて排尿事象を抑制することのうちのもう1つを行う、発生させることと、プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、電気刺激の送達のタイミング若しくは電気刺激の刺激パラメータのうちの1つ以上を自動的に調節するように適合させることと、を行うように構成されている、システム。
【0162】
[0174]
実施例2.1つ以上のプログラムが、分類器プログラムを含み、プロセッサ回路が、分類器プログラムを実行して、センサ信号を監視することと、患者の生理学的マーカーを分類することと、を行うように構成されている、実施例1のシステム。
【0163】
[0175]
実施例3.1つ以上のプログラムが、制御ポリシーを含み、プロセッサ回路が、制御ポリシーを実行して、制御信号を発生させるように構成されている、実施例1又は2のいずれか1つのシステム。
【0164】
[0176]
実施例4.制御ポリシーが、適合可能なベースライン制御ポリシーを含み、適合可能なベースライン制御ポリシーが、最初に、植え込み型刺激装置を制御して、電気刺激を継続的に提供するように構成されている、実施例3のシステム。
【0165】
[0177]
実施例5.1つ以上のプログラムが、機械学習アルゴリズムを含み、プロセッサ回路が、機械学習アルゴリズムを実行して、プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を適合させるように構成されている、実施例1~4の任意の組み合わせのシステム。
【0166】
[0178]
実施例6.プロセッサ回路が、電気刺激信号のタイミングに基づいて、生理学的周期の第1の位相中に電気刺激を保留するように更に構成されている、実施例1~5の任意の組み合わせのシステム。
【0167】
[0179]
実施例7.プロセッサ回路が、電気刺激信号のタイミングに基づいて、生理学的周期の第2の位相中に電気刺激を提供するように、制御信号を発生させるようにさらい構成されている、実施例6のシステム。
【0168】
[0180]
実施例8.プロセッサ回路が、生理学的マーカーに少なくとも部分的に基づいて、生理学的周期の第1の位相及び生理学的周期の第2の位相を決定することと、電気刺激信号のタイミングを、生理学的周期の第1の位相中に電気刺激を保留し、生理学的周期の第2の位相中に電気刺激を提供するように、自動的に調節することと、を行うように更に構成されている、実施例7のシステム。
【0169】
[0181]
実施例9.プロセッサ回路が、生理学的マーカー及び1つ以上の以前の生理学的周期の持続時間に少なくとも部分的に基づいて、生理学的周期の第1の位相及び生理学的周期の第2の位相を決定することと、電気刺激信号のタイミングを、生理学的周期の第1の位相中に電気刺激を保留し、生理学的周期の第2の位相中に電気刺激を提供するように、自動的に調節することと、を行うように更に構成されている、実施例8のシステム。
【0170】
[0182]
実施例10.生理学的マーカーが、膀胱の排尿に関連付けられている、実施例1~9の任意の組み合わせのシステム。
【0171】
[0183]
実施例11.センサ信号が、圧力、収縮、及び体積のうちの少なくとも1つを示す、実施例1~10の任意の組み合わせのシステム。
【0172】
[0184]
実施例12.センサ信号が、圧力の変化量、圧力の変化の持続時間、又は圧力の変化率のうちの少なくとも1つを示す、実施例11のシステム。
【0173】
[0185]
実施例13.センサ信号を監視し、センサ信号に基づいて患者の生理学的マーカーを分類することであって、生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、患者の分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、制御信号が、患者内の標的部位において電気刺激を提供する植え込み型刺激装置を、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、括約筋を開いて排尿事象を可能にすること、又は括約筋を収縮させて排尿事象を抑制することのうちのもう1つを制御する、発生させることと、プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、電気刺激の送達のタイミング若しくは電気刺激の刺激パラメータのうちの1つ以上を自動的に調節するように適合させることと、を含む、方法。
【0174】
[0186]
実施例14.センサ信号を監視し、生理学的マーカーを分類することが、分類器プログラムを実行するプロセッサ回路によって実施される、実施例13の方法。
【0175】
[0187]
実施例15.制御信号を発生させることが、制御ポリシーを実行するプロセッサ回路によって実施される、実施例13又は14の方法。
【0176】
[0188]
実施例16.制御ポリシーが、適合可能なベースライン制御ポリシーを含み、適合可能なベースライン制御ポリシーが、最初に、植え込み型刺激装置を制御して、電気刺激を継続的に提供するように構成されている、実施例15の方法。
【0177】
[0189]
実施例17.プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を適合させることが、機械学習アルゴリズムを実行するプロセッサ回路によって実施される、実施例13~16の任意の組み合わせの方法。
【0178】
[0190]
実施例18.電気刺激信号のタイミングに基づいて、生理学的周期の第1の位相中に電気刺激を保留することを更に含む、実施例13~17の任意の組み合わせの方法。
【0179】
[0191]
実施例19.電気刺激信号のタイミングに基づいて、生理学的周期の第2の位相中に電気刺激を提供するように、制御信号を発生させることと、を更に含む、実施例18の方法。
【0180】
[0192]
実施例20.生理学的マーカーに少なくとも部分的に基づいて、生理学的周期の第1の位相及び生理学的周期の第2の位相を決定することと、電気刺激信号のタイミングを、生理学的周期の第1の位相中に電気刺激を保留し、生理学的周期の第2の位相中に電気刺激を提供するように、自動的に調節することと、を更に含む、実施例19の方法。
【0181】
[0193]
実施例21.生理学的周期の第1の位相及び生理学的周期の第2の位相を決定することが、更に、1つ以上の以前の生理学的周期の持続時間に基づき、電気刺激信号のタイミングを、生理学的周期の第1の位相中に電気刺激を保留し、生理学的周期の第2の位相中に電気刺激を提供するように、自動的に調節する、実施例20の方法。
【0182】
[0194]
実施例22.生理学的マーカーが、膀胱の排尿に関連付けられている、実施例13~21の任意の組み合わせの方法。
【0183】
[0195]
実施例23.センサ信号が、圧力、収縮、及び体積のうちの少なくとも1つを示す、実施例13~22の任意の組み合わせの方法。
【0184】
[0196]
実施例24.センサ信号が、圧力の変化量、圧力の変化の持続時間、又は圧力の変化率のうちの少なくとも1つを示す、実施例23の方法。
【0185】
[0197]
実施例25.命令を含む非一時的な記憶媒体であって、命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、センサ信号を監視し、センサ信号に基づいて患者の生理学的マーカーを分類することであって、生理学的マーカーが、生理学的周期の位相を示す、分類することと、患者の分類された生理学的マーカーに基づいて制御信号を発生させることであって、制御信号が、刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータに従って、患者内の標的部位において電気刺激を提供するための植え込み型刺激装置を制御して、括約筋を開いて排尿事象を可能にすること、又は括約筋を収縮させて排尿事象を抑制することのうちのもう1つを行う、発生させることと、プロセッサ回路が生理学的マーカーを分類し、制御信号を発生させる方式、又は刺激プログラムの1つ以上の刺激パラメータのうちの1つ以上を、分類された生理学的マーカー若しくは患者入力に基づいて、電気刺激の送達のタイミング若しくは電気刺激の刺激パラメータのうちの1つ以上を自動的に調節するように適合させることと、を行わせる、非一時的な記憶媒体。
【0186】
[0198]
本明細書では様々な例が説明されてきた。説明された動作又は機能の任意の組み合わせが企図される。これらの例及び他の例は、下記の特許請求の範囲の範囲内である。上記の考察及び図示に基づいて、本明細書に図示及び説明される例及び用途に厳格に固執する必要としない方式で、開示された例に様々な修正及び変更が行われ得ることが認識される。そのような修正は、特許請求の範囲に記載される態様を含む、本開示の様々な態様の真の趣旨及び範囲から逸脱するものではない。
【国際調査報告】