(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】生体電気回路、それを製造および使用するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20220419BHJP
C12Q 1/37 20060101ALI20220419BHJP
C12Q 1/48 20060101ALI20220419BHJP
C12Q 1/44 20060101ALI20220419BHJP
C07K 7/08 20060101ALN20220419BHJP
C07K 7/52 20060101ALN20220419BHJP
C07K 16/10 20060101ALN20220419BHJP
C07K 16/44 20060101ALN20220419BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20220419BHJP
C07K 14/36 20060101ALN20220419BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220419BHJP
【FI】
C12M1/34 E
C12Q1/37 ZNA
C12Q1/48 Z
C12Q1/44
C07K7/08
C07K7/52
C07K16/10
C07K16/44
C07K14/705
C07K14/36
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543394
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 US2020015931
(87)【国際公開番号】W WO2020160300
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507243142
【氏名又は名称】アリゾナ・ボード・オブ・リージェンツ・オン・ビハーフ・オブ・アリゾナ・ステイト・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Arizona Board of Regents on behalf of Arizona State University
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】リンジィ,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ビンテン
(72)【発明者】
【氏名】デン,ハンチン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB15
4B029BB16
4B029BB17
4B029CC02
4B029FA13
4B063QA20
4B063QQ26
4B063QQ34
4B063QQ36
4B063QR32
4B063QR42
4B063QR48
4B063QS36
4B063QX04
4H045AA20
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA13
4H045BA16
4H045BA17
4H045CA11
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA89
4H045EA50
4H045EA55
(57)【要約】
リガンド-レセプター相互作用の電気的特性およびタンパク質内部の準金属的特性を利用して、タンパク質を集合させ、電気的に接続して、生体電気検出器および論理回路を作製するための汎用接続装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、前記第1のリガンドは前記第1の電極に付着し、前記第2のリガンドは前記第2の電極に付着するように、前記リガンドは改変されている、前記第1のリガンドおよび前記第2のリガンドと、
(c)前記第1のリガンドおよび前記第2のリガンドに結合するように改変されているタンパク質であって、第1のリガンドおよび第2のリガンドへの前記タンパク質の結合は、前記電極と前記タンパク質との間に電気的接続を形成する、前記タンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【請求項2】
前記電極は、パラジウム、白金または金からなる群より選択される金属を含む、請求項1に記載の生体電気回路。
【請求項3】
前記リガンドは、HSCH
2CH
2-ジニトロフェノール、CALDRWEKIRLR(配列番号1)、CHNTPVYKLDISEATQV(配列番号2)、環状RGDfC、チオール化ストレプトアビジン、およびHSCH
2CH
2-ビオチンからなる群より選択される、請求項1または2に記載の生体電気回路。
【請求項4】
前記タンパク質は、IgE抗DNP、IgG抗HIV、IgG抗エボラ、Fab抗エボラ、α
Vβ
3インテグリン、およびストレプトアビジンからなる群より選択される、請求項1または2に記載の生体電気回路。
【請求項5】
前記タンパク質がポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼ、ヘリカーゼまたはプロテオソームであることをさらに含む、請求項1または2に記載の生体電気回路。
【請求項6】
少なくとも1つの前記リガンドは、チオール、アミン、ジスルフィドまたはシアニド部分を含むように改変されている、請求項1に記載の生体電気回路。
【請求項7】
前記リガンドは、チオール化ストレプトアビジンである、請求項1に記載の生体電気回路。
【請求項8】
前記タンパク質は、ビオチンを含有するように改変されている、請求項1または7に記載の生体電気回路。
【請求項9】
前記タンパク質は、ビスビオチン化ポリメラーゼである、請求項1または2に記載の生体電気回路。
【請求項10】
(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)タンパク質特異的な第1のリガンドであって、前記第1のリガンドは前記第1の電極に付着するように改変されている、前記第1のリガンドと、
(c)前記第1のリガンドに結合するタンパク質であって、第2のリガンドに結合するように改変されている、前記タンパク質と、
(d)前記タンパク質に結合する第2のリガンドであって、前記第2の電極に付着することによって、前記第1の電極と前記第2の電極と前記タンパク質との間に電気的接続を形成するように改変されている、前記第2のリガンドと、
を含む、生体電気回路。
【請求項11】
前記第1のリガンドへの前記タンパク質の結合部位は、フレキシブルリンカー配列に近接している、請求項10に記載の生体電気回路。
【請求項12】
前記第2のリガンドへの前記タンパク質の第2の結合部位は、フレキシブルリンカー配列に近接している、請求項10に記載の生体電気回路。
【請求項13】
前記フレキシブルリンカー配列は、GNSTNGTSNGSS(配列番号3)を含む、請求項11または12に記載の生体電気回路。
【請求項14】
(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)第1のタンパク質であって、前記第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、前記第1の電極に付着している、前記第1のタンパク質と、
(c)第2のタンパク質であって、前記第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、前記第1のタンパク質に付着しており、前記第2のタンパク質はリガンドに結合するように改変されている、前記第2のタンパク質と、
(d)前記第2のタンパク質に結合するリガンドであって、前記第2の電極に付着することによって、前記第1の電極と前記第2の電極と前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質との間に電気的接続を形成するように改変されている、前記リガンドと、
を含む、生体電気回路。
【請求項15】
前記第1のタンパク質は、2つのビオチンを含む、請求項14に記載の生体電気回路。
【請求項16】
前記第2のタンパク質は、2つのビオチン化Aviタグ配列を含む、請求項15に記載の生体電気回路。
【請求項17】
(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)第1のタンパク質および第2のタンパク質であって、前記第1のタンパク質および前記第2のタンパク質のうち1つまたは両方は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を通して、前記第1の電極および前記第2の電極に付着していることによって、前記第1の電極と前記第2の電極と、前記第1のタンパク質および前記第2のタンパク質のうち1つまたは両方との間に電気的接続を形成する、前記第1のタンパク質および前記第2のタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【請求項18】
第1の結合部位は、ビオチン化することができる1つ以上の残基を含む、請求項17に記載の生体電気回路。
【請求項19】
(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)第1のタンパク質であって、前記第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、前記第1の電極に付着している、前記第1のタンパク質と、
(c)第2のタンパク質であって、前記第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、前記第1のタンパク質に付着しており、前記第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、前記第2の電極に付着している、前記第2のタンパク質と、
(d)第3のタンパク質であって、前記第3のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、前記第1のタンパク質および前記第2のタンパク質に付着していることにより、前記第1の電極と前記第2の電極と前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質と前記第3のタンパク質との間に電気的接続を形成する、前記第3のタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【請求項20】
(a)第1の電極と、
(b)第1のタンパク質であって、前記第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、前記第1の電極に付着している、前記第1のタンパク質と、
(c)第2のタンパク質であって、前記第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、前記第1のタンパク質に付着しており、前記第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第2の電極に付着している、前記第2のタンパク質と、
(d)電解質と接続しており、前記第1の電極に接続された、第2の電極と、
(e)電圧バイアスを印加するための手段と、
(f)電流を感知することにより、前記第1の電極と前記第2の電極と前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質との間に電気的接続を形成するための手段と、
を含む、生体電気回路。
【請求項21】
生体電気回路の製造方法であって、前記方法は、
(a)少なくとも1つのストレプトアビジン分子を少なくとも1つの電極に付着させる工程と、
(b)ビオチン化タンパク質を、工程(a)由来のストレプトアビジン-電極に対して導入し、前記少なくとも1つの電極、前記少なくとも1つのストレプトアビジン分子、および前記ビオチン化タンパク質を含む複合体を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項22】
ポリメラーゼの活性の検出方法であって、前記方法は、
DNA鋳型およびヌクレオ三リン酸の溶液を、請求項1に記載の生体電気回路に対して導入する工程を含み、
重合産物が、前記ポリメラーゼが活性であることを示す、方法。
【請求項23】
タンパク質の活性の検出方法であって、前記方法は、
前記タンパク質の基質を、請求項1に記載の生体電気回路に対して導入する工程と、
電位変化を検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項24】
タンパク質活性の電気的測定のためのシステムであって、前記システムは、
(a)請求項1に記載の生体電気回路と、
(b)第1の電極と第2の電極との間にバイアスを印加するための手段と、
(c)前記生体電気回路を通る電流を検出するための手段と、
を含む、システム。
【請求項25】
(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、前記第1のリガンドは前記第1の電極に付着し、前記第2のリガンドは前記第2の電極に付着するように、前記リガンドは改変されている、前記第1のリガンドおよび前記第2のリガンドと、
(c)前記第1のリガンドおよび前記第2のリガンドに結合する、第1のタンパク質および第2のタンパク質と、
(d)前記第1のタンパク質および前記第2のタンパク質に結合するように改変されている第3のタンパク質であって、第1のタンパク質および第2のタンパク質への前記第3のタンパク質の結合は、前記電極と前記タンパク質との間に電気的接続を形成する、前記第3のタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【請求項26】
前記第1のタンパク質および前記第2のタンパク質は、ストレプトアビジンである、請求項25に記載の生体電気回路。
【請求項27】
前記第1のリガンドおよび前記第2のリガンドは、ビオチンである、請求項25に記載の生体電気回路。
【請求項28】
前記第3のタンパク質は、ビオチン化されている、請求項25に記載の生体電気回路。
【請求項29】
(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、前記第1のリガンドは前記第1の電極に付着し、前記第2のリガンドは前記第2の電極に付着するように、前記リガンドは改変されている、前記第1のリガンドおよび前記第2のリガンドと、
(c)少なくとも第1のタンパク質と、第2のタンパク質とであって、前記第1のタンパク質および前記第2のタンパク質は、前記第1のリガンドおよび前記第2のリガンドに結合し、リガンドを介してさらなるタンパク質に結合していてもよく、コンダクションが得られる範囲で延在している、前記第1のタンパク質および前記第2のタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔連邦政府による資金提供を受けた研究または開発〕
本発明は、国立衛生研究所より授与されたR01 HG009180の下での政府の支援によりなされたものである。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0002】
〔背景〕
市販されている多くの試薬を用いて、分子集合体を構築するためにストレプトアビジン-ビオチン結合を使用することは、当技術分野で公知である。電極へのタンパク質の化学的カップリングが、金属電極とタンパク質との間の電子伝達を増強することもまた、公知である。これにより、特異的共有結合が形成され得1、あるいは、電極に親水性を付与し、したがってタンパク質と水素結合を形成する能力を付与する小分子(アミノ酸など)による電極の官能化がなされ得る2。
【0003】
いくつかのタンパク質は非常に長い距離にわたって導電性であることが知られている2~4一方、電極とタンパク質との間に特異的な化学的接続が形成された場合にのみ、特に、リガンドと相互作用するように進化したタンパク質の疎水性内部と相互作用する同系のリガンドの相互作用に基づく接続がなされた場合にのみ、このコンダクティビティがはっきりとすることが、近年明らかになった5。さらに、高い電子コンダクティビティ(長距離、2~20nm、でnS)は、電子伝達機能を実行するように進化したタンパク質だけでなく、タンパク質共通の特性であるらしいことを、この最近の研究は示した。このような挙動は、本明細書では準金属的コンダクションと呼ばれる。最後に、タンパク質の表面チオール改変を介した電極へのタンパク質自体の直接的な付着よりも、タンパク質への特異的なリガンド分子(それ自体がチオール結合によって電極に結合している)の結合が、タンパク質への良好な接続を生じたこともまた、この研究は示した。したがって、弱い可逆的結合を介して結合することができるが、そうすることでタンパク質の疎水性内部と接続するリガンドは、タンパク質の親水性外部上の残基への強い不可逆的共有結合よりも、より良好な電気的コネクタである。タンパク質と電極との間、または1つのタンパク質と別のタンパク質との間の電気的接続を形成するための最も堅牢な方法は、進化したタンパク質が形成する特異的な化学的接続、すなわちリガンド-レセプター相互作用を使用することである。さらに、タンパク質の内部は電子輸送材料として準金属的特性を示す、と確信する理論的な根拠がある6。これは、電子伝達タンパク質ではない一連のタンパク質において測定するには高すぎるコンダクタンス(すなわち、接続が制限される)のZhangらによる研究結果と一致する5。同じ性質が電子伝達タンパク質に存在する(それらは、生物学的必要性に基づいて予想され得る)。興味深いことに、試験された機能性タンパク質はすべて、電子輸送機能を実行しないタンパク質において、現在、それについての既知の進化的役割が存在しないにもかかわらず、この準金属的特性を有する。
【0004】
〔発明の概要〕
本開示は、生体電気回路、それを製造および使用するためのシステムおよび方法を提供する。
【0005】
一実施形態において、生体電気回路が提供される。この実施形態の一態様において、生体電気回路は、(a)少なくとも1つの電極と、(b)タンパク質特異的な少なくとも1つのリガンドであって、当該リガンドは少なくとも1つの電極に付着するように改変されている、少なくとも1つのリガンドと、(c)少なくとも1つのタンパク質であって、リガンドに結合することによって、電極と当該タンパク質との間に電気的接続を形成する、少なくとも1つのタンパク質と、を含む。
【0006】
第2の態様において、生体電気回路は、(a)第1の電極および第2の電極と、(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、第1のリガンドは第1の電極に付着し、第2のリガンドは第2の電極に付着するように、リガンドは改変されている、第1のリガンドおよび第2のリガンドと、(c)第1のリガンドおよび第2のリガンドに結合するように改変されているタンパク質であって、第1のリガンドおよび第2のリガンドへのタンパク質の結合は、電極と当該タンパク質との間に電気的接続を形成する、タンパク質と、を含む。
【0007】
第3の態様において、生体電気回路は、(a)第1の電極および第2の電極と、(b)タンパク質特異的な第1のリガンドであって、第1のリガンドは第1の電極に付着するように改変されている、第1のリガンドと、(c)第1のリガンドに結合するタンパク質であって、第2のリガンドに結合するように改変されている、タンパク質と、(d)タンパク質に結合する第2のリガンドであって、第2の電極に付着することによって、第1の電極と第2の電極とタンパク質との間に電気的接続を形成するように改変されている、第2のリガンドと、を含む。
【0008】
第4の態様において、生体電気回路は、(a)第1の電極および第2の電極と、(b)第1のタンパク質であって、第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1の電極に付着している、第1のタンパク質と、(c)第2のタンパク質であって、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1のタンパク質に付着しており、第2のタンパク質はリガンドに結合するように改変されている、第2のタンパク質と、(d)第2のタンパク質に結合するリガンドであって、第2の電極に付着することによって、第1の電極と第2の電極と第1のタンパク質と第2のタンパク質との間に電気的接続を形成するように改変されている、リガンドと、を含む。
【0009】
第5の態様において、生体電気回路は、(a)第1の電極および第2の電極と、(b)第1のタンパク質および第2のタンパク質であって、第1のタンパク質および第2のタンパク質のうち1つまたは両方は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を通して、第1の電極および第2の電極に付着していることによって、第1の電極と第2の電極と、第1のタンパク質および第2のタンパク質のうち1つまたは両方との間に電気的接続を形成する、第1のタンパク質および第2のタンパク質と、を含む。
【0010】
第6の態様において、生体電気回路は、(a)第1の電極および第2の電極と、(b)第1のタンパク質であって、第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1の電極に付着している、第1のタンパク質と、(c)第2のタンパク質であって、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1のタンパク質に付着しており、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第2の電極に付着している、第2のタンパク質と、(d)第3のタンパク質であって、第3のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1のタンパク質および第2のタンパク質に付着していることにより、第1の電極と第2の電極と第1のタンパク質と第2のタンパク質と第3のタンパク質との間に電気的接続を形成する、第3のタンパク質と、を含む。
【0011】
第7の態様において、生体電気回路は、(a)第1の電極と、(b)第1のタンパク質であって、第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1の電極に付着している、第1のタンパク質と、(c)第2のタンパク質であって、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1のタンパク質に付着しており、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第2の電極に付着している、第2のタンパク質と、(d)電解質と接続しており、第1の電極に接続された、第2の電極と、(e)電圧バイアスを印加するための手段と、(f)電流を感知することにより、第1の電極と第2の電極と第1のタンパク質と第2のタンパク質との間に電気的接続を形成するための手段と、を含む。
【0012】
第8の態様において、生体電子回路は、本明細書に記載のものであり、タンパク質は、タンパク質の表面に配置された2つ以上のAviタグ配列と、タンパク質内にチロシン、トリプトファンまたはヒスチジンからの10以下のアミノ酸残基と、を含む。
【0013】
第9の態様において、生体電気回路は、(a)第1の電極および第2の電極と、(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、第1のリガンドは第1の電極に付着し、第2のリガンドは第2の電極に付着するように、リガンドは改変されている、第1のリガンドおよび第2のリガンドと、(c)第1のリガンドおよび第2のリガンドに結合する、第1のタンパク質および第2のタンパク質と、(d)第1のタンパク質および第2のタンパク質に結合するように改変されている第3のタンパク質であって、第1のタンパク質および第2のタンパク質への第3のタンパク質の結合は、電極とタンパク質との間に電気的接続を形成する、第3のタンパク質と、を含む。
【0014】
第10の態様において、生体電子回路は、(a)第1の電極および第2の電極と、(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、第1のリガンドは第1の電極に付着し、第2のリガンドは第2の電極に付着するように、リガンドは改変されている、第1のリガンドおよび第2のリガンドと、(c)少なくとも第1のタンパク質と、第2のタンパク質とであって、第1のタンパク質および第2のタンパク質は、第1のリガンドおよび第2のリガンドに結合し、リガンドを介してさらなるタンパク質に結合していてもよく、コンダクションが得られる範囲で延在している、第1のタンパク質および第2のタンパク質と、を含む。
【0015】
別の実施形態において、タンパク質活性の電気的測定のためのシステムが提供される。当該システムは、(a)本明細書に記載の生体電気回路と、(b)第1の電極と第2の電極との間にバイアスを印加するための手段と、(c)生体電気回路を通る電流を検出するための手段と、を含む。
【0016】
別の実施形態において、生体電気回路の製造方法が提供される。一態様において、当該方法は、(a)少なくとも1つのストレプトアビジン分子を少なくとも1つの電極に付着させる工程と、(b)ビオチン化タンパク質を、工程(a)由来のストレプトアビジン-電極に対して導入し、少なくとも1つの電極、少なくとも1つのストレプトアビジン分子、およびビオチン化タンパク質を含む複合体を形成する工程と、を含む。
【0017】
別の実施形態において、ポリメラーゼの活性の検出方法であって、当該方法は、DNA鋳型およびヌクレオ三リン酸の溶液を、本明細書中に記載の生体電気回路のいずれかに対して導入する工程を含み、重合産物が、ポリメラーゼが活性であることを示す。
【0018】
別の実施形態において、タンパク質の活性の検出方法。当該方法は、タンパク質の基質を、本明細書に記載の生体電気回路のいずれかに対して導入する工程と、電位変化を検出する工程と、を含む。
【0019】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、ビスビオチンシスタミン分子の化学構造を示す。
【0020】
【0021】
図3は、ビオチン改変ポリメラーゼを回路に配線するためにストレプトアビジンワイヤを使用する生体電気回路の概略図を示す。
【0022】
図4は、2つのストレプトアビジン分子に結合したビオチン化ポリメラーゼが活性であり、効率的な酵素作用が可能であることを実証するゲルアッセイを示す。
【0023】
図5Aおよび
図5Bは、モノビオチン化ポリメラーゼおよびビスビオチン化ポリメラーゼについて測定されたコンダクタンス分布の比較を示す。
【0024】
図6Aおよび
図6Bは、ストレプトアビジンを有する生体電気回路に配線されたポリメラーゼ分子についての電流対時間の記録を示す。
【0025】
図7Aおよび
図7Bは、ビオチンと結合し、電極に直接的に結合したチオール化ストレプトアビジンについて測定されたコンダクタンス分布と、
図2に示すチオール化ビオチンと電極に結合した野生型ストレプトアビジンについてのコンダクタンス分布と、の比較を示す。ここで、ビオチンは、明確にするために大きさが誇張されて示されている。
【0026】
図8は、2つ以上の選択的リガンドを用いて生体分子ANDゲートを形成する配向回路素子の概略図を示す。
【0027】
図9Aおよび
図9Bは、タンパク質配列改変の選択に関するクローニングの制約を示す。
【0028】
図10Aおよび
図10Bは、2つのAviタグリンカーを含むように改変されたphi29ポリメラーゼについてのタンパク質配列の例を示し、荷電残基の組み込みがどのようにミスフォールディングを引き起こし得るかを示す。
【0029】
図11Aおよび
図11Bは、ビオチンストレプトアビジンリンカーを有する回路に配線された、フレキシブルリンカー配列を有する、および有しない2つのポリメラーゼについて測定されたコンダクタンス分布を示す。
【0030】
【0031】
図13は、生体分子スリーステートゲートの概略図を示す。
【0032】
図14は、電解質溶液に浸漬された酸化還元活性タンパク質によって第2の接続が形成される、単一電極回路の概略図を示す。
【0033】
図15は、改変されていないストレプトアビジンが
図2のチオビオチンによって電極に束縛されている、生体電気回路を示す。
【0034】
図16は、第2のストレプトアビジンおよび
図1のビスビオチン分子を組み込むことによって結合長が伸長されている、生体電気回路を示す。
【0035】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、以下を含む。
【0036】
1.図示および記載の生体電気回路。
【0037】
2.図示および記載のタンパク質活性の電気的測定のためのシステム。
【0038】
3.図示および記載のタンパク質活性の検出方法。
【0039】
4.(a)少なくとも1つの電極と、
(b)タンパク質特異的な少なくとも1つのリガンドであって、当該リガンドは少なくとも1つの電極に付着するように改変されている、少なくとも1つのリガンドと、
(c)少なくとも1つのタンパク質であって、リガンドに結合することによって、電極と当該タンパク質との間に電気的接続を形成する、少なくとも1つのタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【0040】
5.電極は、パラジウム、白金または金からなる群より選択される金属を含む、上記4に記載の生体電気回路。
【0041】
6.リガンドは、HSCH2CH2-ジニトロフェノール、CALDRWEKIRLR(配列番号1)、CHNTPVYKLDISEATQV(配列番号2)、環状RGDfC、チオール化ストレプトアビジン、およびHSCH2CH2-ビオチンからなる群より選択される、上記4または5に記載の生体電気回路。
【0042】
7.タンパク質は、IgE抗DNP、IgG抗HIV、IgG抗エボラ、Fab抗エボラ、αVβ3インテグリン、およびストレプトアビジンからなる群より選択される、上記4~6のいずれかに記載の生体電気回路。
【0043】
8.タンパク質がポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼ、ヘリカーゼまたはプロテオソームであることをさらに含む、上記4~6のいずれかに記載の生体電気回路。
【0044】
9.少なくとも1つのリガンドは、チオール、アミン、ジスルフィドまたはシアニド部分を含むように改変されている、上記4に記載の生体電気回路。
【0045】
10.(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、第1のリガンドは第1の電極に付着し、第2のリガンドは第2の電極に付着するように、リガンドは改変されている、第1のリガンドおよび第2のリガンドと、
(c)第1のリガンドおよび第2のリガンドに結合するように改変されているタンパク質であって、第1のリガンドおよび第2のリガンドへのタンパク質の結合は、電極とタンパク質との間に電気的接続を形成する、タンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【0046】
11.リガンドは、チオール化ストレプトアビジンである、上記10に記載の生体電気回路。
【0047】
12.タンパク質は、ビオチンを含有するように改変されている、上記10または11に記載の生体電気回路。
【0048】
13.タンパク質は、ビスビオチン化ポリメラーゼである、上記10~12のいずれかに記載の生体電気回路。
【0049】
14.(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)タンパク質特異的な第1のリガンドであって、第1のリガンドは第1の電極に付着するように改変されている、第1のリガンドと、
(c)第1のリガンドに結合するタンパク質であって、第2のリガンドに結合するように改変されている、タンパク質と、
(d)タンパク質に結合する第2のリガンドであって、第2の電極に付着することによって、第1の電極と第2の電極とタンパク質との間に電気的接続を形成するように改変されている、第2のリガンドと、
を含む、生体電気回路。
【0050】
15.第1のリガンドへのタンパク質の結合部位は、フレキシブルリンカー配列に近接している、上記14に記載の生体電気回路。
【0051】
16.第2のリガンドへのタンパク質の第2の結合部位は、フレキシブルリンカー配列に近接している、上記14に記載の生体電気回路。
【0052】
17.フレキシブルリンカー配列は、GNSTNGTSNGSS(配列番号3)を含む、上記15または16に記載の生体電気回路。
【0053】
18.(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)第1のタンパク質であって、第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1の電極に付着している、第1のタンパク質と、
(c)第2のタンパク質であって、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1のタンパク質に付着しており、第2のタンパク質はリガンドに結合するように改変されている、第2のタンパク質と、
(d)第2のタンパク質に結合するリガンドであって、第2の電極に付着することによって、第1の電極と第2の電極と第1のタンパク質と第2のタンパク質との間に電気的接続を形成するように改変されている、リガンドと、
を含む、生体電気回路。
【0054】
19.第1のタンパク質は、2つのビオチンを含む、上記18に記載の生体電気回路。
【0055】
20.第2のタンパク質は、2つのビオチン化Aviタグ配列を含む、上記19に記載の生体電気回路。
【0056】
21.(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)第1のタンパク質および第2のタンパク質であって、第1のタンパク質および第2のタンパク質のうち1つまたは両方は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を通して、第1の電極および第2の電極に付着していることによって、第1の電極と第2の電極と、第1のタンパク質および第2のタンパク質のうち1つまたは両方との間に電気的接続を形成する、第1のタンパク質および第2のタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【0057】
22.第1の結合部位は、ビオチン化することができる1つ以上の残基を含む、上記21に記載の生体電気回路。
【0058】
23.(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)第1のタンパク質であって、第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1の電極に付着している、第1のタンパク質と、
(c)第2のタンパク質であって、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1のタンパク質に付着しており、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第2の電極に付着している、第2のタンパク質と、
(d)第3のタンパク質であって、第3のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1のタンパク質および第2のタンパク質に付着していることにより、第1の電極と第2の電極と第1のタンパク質と第2のタンパク質と第3のタンパク質との間に電気的接続を形成する、第3のタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【0059】
24.(a)第1の電極と、
(b)第1のタンパク質であって、第1のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1の電極に付着している、第1のタンパク質と、
(c)第2のタンパク質であって、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第1のタンパク質に付着しており、第2のタンパク質は、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用を介して、第2の電極に付着している、第2のタンパク質と、
(d)電解質と接続しており、第1の電極に接続された、第2の電極と、
(e)電圧バイアスを印加するための手段と、
(f)電流を感知することにより、第1の電極と第2の電極と第1のタンパク質と第2のタンパク質との間に電気的接続を形成するための手段と、
を含む、生体電気回路。
【0060】
25.生体電気回路の製造方法であって、当該方法は、
(a)少なくとも1つのストレプトアビジン分子を少なくとも1つの電極に付着させる工程と、
(b)ビオチン化タンパク質を、工程(a)由来のストレプトアビジン-電極に対して導入し、少なくとも1つの電極、少なくとも1つのストレプトアビジン分子、およびビオチン化タンパク質を含む複合体を形成する工程と、
を含む。
【0061】
26.ポリメラーゼの活性の検出方法であって、当該方法は、
DNA鋳型およびヌクレオ三リン酸の溶液を、上記4に記載の生体電気回路に対して導入する工程を含み、
重合産物が、ポリメラーゼが活性であることを示す。
【0062】
27.タンパク質の活性の検出方法であって、当該方法は、
タンパク質の基質を、上記4に記載の生体電気回路に対して導入する工程と、
電位変化を検出する工程と、
を含む。
【0063】
28.タンパク質活性の電気的測定のためのシステムであって、当該システムは、
(a)本明細書に記載の生体電気回路と、
(b)第1の電極と第2の電極との間にバイアスを印加するための手段と、
(c)生体電気回路を通る電流を検出するための手段と、
を含む。
【0064】
29.本明細書に記載の生体電子回路であって、タンパク質は、タンパク質の表面に配置された2つ以上のAviタグ配列と、タンパク質内にチロシン、トリプトファンまたはヒスチジンからの10以下のアミノ酸残基と、を含む。
【0065】
30.(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、第1のリガンドは第1の電極に付着し、第2のリガンドは第2の電極に付着するように、リガンドは改変されている、第1のリガンドおよび第2のリガンドと、
(c)第1のリガンドおよび第2のリガンドに結合する、第1のタンパク質および第2のタンパク質と、
(d)第1のタンパク質および第2のタンパク質に結合するように改変されている第3のタンパク質であって、第1のタンパク質および第2のタンパク質への第3のタンパク質の結合は、電極とタンパク質との間に電気的接続を形成する、第3のタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【0066】
31.第1のタンパク質および第2のタンパク質は、ストレプトアビジンである、上記30に記載の生体電気回路。
【0067】
32.第1のリガンドおよび第2のリガンドは、ビオチンである、上記30に記載の生体電気回路。
【0068】
33.第3のタンパク質は、ビオチン化されている、上記30に記載の生体電気回路。
【0069】
34.(a)第1の電極および第2の電極と、
(b)タンパク質特異的な第1のリガンドおよび第2のリガンドであって、第1のリガンドは第1の電極に付着し、第2のリガンドは第2の電極に付着するように、リガンドは改変されている、第1のリガンドおよび第2のリガンドと、
(c)少なくとも第1のタンパク質と、第2のタンパク質とであって、第1のタンパク質および第2のタンパク質は、第1のリガンドおよび第2のリガンドに結合し、リガンドを介してさらなるタンパク質に結合していてもよく、コンダクションが得られる範囲で延在している、第1のタンパク質および第2のタンパク質と、
を含む、生体電気回路。
【0070】
〔定義〕
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または等価の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、以下では好適な方法および材料が記載される。材料、方法および実施例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許および他の文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0071】
本明細書を通して、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のような変形は、記載された整数または整数のグループを包含ことを意味するが、他の整数または整数のグループを排除するものではないことが理解されるのであろう。
【0072】
用語「a」または「an」は、1つより多い項目を意味することがある。
【0073】
用語「および」および「または」は、連結または分離のいずれかを指し、「および/または」を意味することがある。
【0074】
用語「約」は、記載された数値の±10%以内を意味する。例えば「約100」とは、90~110の任意の数値を指す。
【0075】
〔生体電気回路〕
本開示は、生体電気回路を提供する。生体電気回路は、(a)少なくとも1つの電極と、(b)タンパク質特異的な少なくとも1つのリガンドであって、前記リガンドは少なくとも1つの電極に付着するように改変されている、少なくとも1つのリガンドと、(c)少なくとも1つのタンパク質であって、少なくとも1つのリガンドに結合することによって、電極と当該タンパク質との間に電気的接続を形成する、少なくとも1つのタンパク質と、を含む。
【0076】
用途に応じて、生体電気回路は、タンパク質と直接接続する1つまたは2つの電極を含む。1つの電極のみがタンパク質と接続している場合には、酸化還元活性タンパク質と遠隔電極との間を流れるイオン電流によって、回路が完成する。一実施形態において、生体電気回路は、1つの電極を含む。別の実施形態において、生体電気回路は、2つの電極を含む。この実施形態のいくつかの態様において、第2の電極は、電解質によって第1の電極から分離されてはいない。
【0077】
少なくとも1つの電極は、貴金属を含む。一実施形態において、少なくとも1つの電極は、パラジウム、金、および白金からなる群から選択される貴金属を含む。別の実施形態において、少なくとも1つの電極は、パラジウムである。別の実施形態において、少なくとも1つの電極は、金である。別の実施形態において、少なくとも1つの電極は、白金である。少なくとも1つの電極に加えて、生体電気回路は、タンパク質特異的な、少なくとも1つの電極に付着するように改変されたリガンドを含む。
【0078】
リガンドは、Zhangら5によって記載されているように、金属にカップリングするためのチオール末端を一方の末端に含有するように改変されていてもよい。リガンドの例は、システイン残基を一方の末端に含む抗体のためのペプチドエピトープ、認識ペプチド(システインを含むインテグリンに結合するためのRGDペプチドなど)、および、タンパク質が結合するように選択された小分子(ジニトロフェニルに結合し、チオールを含むIgE分子など)である。
【0079】
タンパク質特異的であり、電極に付着するように改変された例示的なリガンドとしては、HSCH2CH2-ジニトロフェノール(標的タンパク質:IgE抗DNP)、CALDRWEKIRLR(標的タンパク質:IgG抗HIV)(配列番号1)、CHNTPVYKLDISEATQV(標的タンパク質:IgG抗エボラ)(配列番号2)、CHNTPVYKLDISEATQV(標的タンパク質:Fab抗エボラ)(配列番号2)、環状RGDfC(標的タンパク質:αVβ3インテグリン)、チオール化ストレプトアビジン(標的:ビオチン)、およびHSCH2CH2-ビオチン(標的:ストレプトアビジン)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの種々の結合配置の概要を、Zhangら5から適合させて、以下の表1に示す。
【0080】
【0081】
本研究で使用したタンパク質およびリガンド。電極付着のために使用されるシステインまたはチオールは太字である。長さ寸法は、RSCB PDBからのものであり、短径を横切るか、または抗体については、結合頭部から結合頭部までのいずれかである:1IgE構造4GRG、2IgG、構造4NHH、Fabフラグメント構造1YUH、4インテグリン構造1L5G、5ストレプトアビジン構造1VWA。
【0082】
生体電気回路はまた、少なくとも1つのリガンドに結合する少なくとも1つのタンパク質を含む。当該タンパク質は、天然のタンパク質配列の改変を可能にする培地中で発現され得る任意のタンパク質であり得る。したがって、任意のタンパク質機能が電気回路に組み込まれ得、その結果、リガンドもしくは基質結合、または酵素活性によって誘導される変化は次いで、電気的に測定され得る。
【0083】
一実施形態において、生体電気回路は、(a)2つのパラジウム電極と、(b)パラジウム電極に付着したチオール化ストレプトアビジンと、(c)ビオチン化ポリメラーゼと、を含み、それによって電極とポリメラーゼとの間に電気的接続を形成する。以下に記載の生体電気回路はパラジウム電極とチオール化ストレプトアビジンとビオチン化ポリメラーゼを含むが、この実施形態は本開示の例示であり、本開示の範囲はこの1つの実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0084】
この実施形態の一態様において、テトラマー当たり平均2.5チオールを有するチオール化ストレプトアビジンは、ProteinMods(Madison, Wisconsin)から入手した。一対の貴金属(パラジウム)電極(この一対は、約5ナノメートルギャップのナノスケール接合を形成する。
図3における32、33)と共に、ストレプトアビジン(
図3における31)を1μM水溶液中でインキュベートした。一晩インキュベートすると、表面チオール(34)によって金属電極に付着したストレプトアビジンの緻密な被覆が生じた。
【0085】
生体電気回路を完成させるために、ビスビオチン化φ29ポリメラーゼを構築した(
図3における35)。Aviタグペプチド配列、GLNDIFEAQKIEWHE(配列番号4)を残基G111とK112との間に挿入し、第2のAviタグペプチド配列をφ29ポリメラーゼ配列中のE279とD280との間に挿入した(そのエキソヌクレアーゼ活性は、D12およびE14をアラニンに変異させることによって欠失された)。これにより、約5nm離れた2つのAviタグを有するポリメラーゼを生成した。Aviタグは、当技術分野で公知のように、BirA酵素を用いてビオチン化した。このようにして得られた分子(35)は、2つのビオチン分子(
図3における36)を含有していた。ビオチン化ポリメラーゼをストレプトアビジン官能化接合部と共に2時間インキュベートした(φ29ポリメラーゼの1μM水溶液中)。生体電気回路の電気特性は、それを横切るように電圧バイアスV(37)を印加し、回路を通る電流(38)を記録することによって、測定した。Zhangら
5によって指摘されるように、このバイアスは、接続発生ノイズを回避するために100mV未満でなければならず、50mVのバイアスを使用して、ここに示されるデータを収集した。
【0086】
改変ポリメラーゼが依然として活性であることを確認するために、2つのストレプトアビジン分子によって結合された分子35を用いて、DNA鋳型のローリングサークル増幅を行った。ポリメラーゼ産物(
図4における42)のDNAゲルによってモニターすると、ポリメラーゼ活性は、エキソヌクレアーゼ活性が欠失した天然酵素のそれ(
図4における41)に匹敵する。
【0087】
ビスビオチン化分子35が接合部を架橋したことを確認するために、モノビオチン化φ29ポリメラーゼを調製した。これを行うために、以下の配列をWT(ただしエキソヌクレアーゼ不活性化)酵素のN末端に付加した:MGSSHHHHHHSSGLVPRGSGLNDIFEAQKIEWHEGASS(配列番号5)、ここで、5つのヒスチジンはタンパク質精製のためのhisタグであり、GLNDIFEAQKIEWHE(配列番号4)はAviタグである。
【0088】
あり得るすべての結合ジオメトリーにおける分子回路のコンダクタンスを特性付けるために、種々の分子接合部について繰り返し測定を行い、コンダクタンスの特定の値が記録される周波数を対数コンダクタンススケールでプロットした(Zhangら
5に記載されている通り)。
図5は、モノビオチン化ポリメラーゼ(51)およびビスビオチン化ポリメラーゼ(52)について、当該分布を示す。ビスビオチン化分子は、モノ-ビオチン化分子について測定された分布には存在しない、新規で高いコンダクタンス特性(53)を示す。この特性は、約4nSのコンダクタンスに相当し、モノビオチン化分子について観察された最高のコンダクタンス特性(約0.7nS)を超える大幅な増加である。これは、Zhangら
5に記載されているような、1つまたは2つの特異的接続によって接続された、抗体などの分子について観察されたものと同様の増加である。これらの非常に高いコンダクティビティは、回路の一部を形成するストレプトアビジン分子を用いて得られ、いくつかのタンパク質の集合体が適切に接続されていれば、いくつかのタンパク質の順序通りの集合体がそれらの準金属的特性を維持することを示していることに留意されたい。
【0089】
図6は、静止状態61、およびdNTPおよびMgの存在下でDNA鋳型を活発に重合しているその活性状態62において、ビスビオチン化ポリメラーゼ分子から得られた電気的シグナルを示す。それぞれの場合において、電極を複合体と接続するように移動させた後、約90秒間、電流データを記録した。ストレプトアビジン-φ29ポリメラーゼ接続の形成には約20秒かかり、その後、電流(50mVバイアスにて)は0から約60pAまでジャンプする。コントロール分子61の場合、電流は、実験の残りの間、かなり静かで一定のままである。活性な分子62については、ノイズのバースト63が観察され、それぞれは数秒間持続する。これらのバーストのうちの1つの50ミリ秒部分(64)も示されている。バースト自体はサブバースト(65)からなり、その持続時間および間隔は、(φ29ポリメラーゼの既知の動態を考慮すれば)それぞれのサブバースト(65)が単一のヌクレオチドの取り込みを示唆する、という解釈と一致する。これは、酵素活性を電気的にモニターすることができる回路を構築することにおける本発明の用途を示す。
【0090】
タンパク質の疎水性内部にできるだけ近接するように接続させることの重要性を認識しながら、それでもなお接続点自身はタンパク質表面上に現れるように、Aviタグの挿入部位はできるだけ近い芳香族残基に配置されるべきであるが、それでもなおタンパク質の外側にビオチン化部位を露出させるべきである。したがって、Aviタグは、タンパク質表面近くにあるチロシン、トリプトファンまたはヒスチジンにできるだけ近接して配置されるべきである。
【0091】
第2の実施形態において、生体電気回路は、(a)2つのパラジウム電極と、(b)パラジウム電極に付着したチオール化ビオチンと、(c)ストレプトアビジンと、を含む。この実施形態は、電極上での小分子の均一なコーティングを可能にする。
【0092】
この実施形態の一態様において、チオール化ビオチンとして、ビオチン化シスタミンを使用した。実施例に記載したようにして、N,N’-ビスビオチニル-シスタミン11(
図1に示す化学構造)を合成した。S-S結合(
図1における12)のために、11は(大気のような)酸化的環境中で安定である。11は、強力な還元剤の存在下でモノチオール20(
図2に示す化学物質)に還元することができる。還元剤は、当技術分野で公知であり、任意のものを使用することができる。いくつかの実施形態において、還元剤は、Thermo Scientificが提供している、固定化TCEP(Tris[2-カルボキシエチル]ホスフィンヒドロクロリド)ジスルフィド還元ゲル(カタログ番号77712)である。
【0093】
この第2の実施形態において、電極をチオビオチンで官能化し、次いで接合部を野生型(すなわち、表面チオールを欠く)ストレプトアビジンに曝露する。その結果、強い導電性架橋が得られる。これは、
図7に図示されている。コントロール実験(71)では、ビオチンとインキュベートしたチオール化ストレプトアビジン分子によってギャップを架橋する(これは、Zhangら
5に記載されているように、ビオチン結合がストレプトアビジンのコンダクタンスを変化させるためであり、したがって、ビオチン結合ストレプトアビジン分子を比較して、これらの実験における固有の接続の差を見なければならないためである)。第2の測定(72)において、電極は、最初にモノチオール化ビオチン(20)で官能化し、次いで野生型ストレプトアビジンを導入して、回路を結合させ完成させる。電極に直接付着したチオール化ストレプトアビジン(ビオチン結合として)についての電流分布を73に示す。ビオチン化電極の間に捕捉された野生型ストレプトアビジンについての分布を74に示す。チオビオチン分子(20)を用いてストレプトアビジンを電極に付着させる場合、約7nSに新規で高いコンダクタンス特性(75)が観察される。注目すべきことに、特異的に結合するリガンド(ビオチン)、すなわち、それ自体がチオールを介して電極に付着する、を介した結合は、タンパク質上の表面チオールを介したタンパク質自体の直接的な付着よりも良好な接続を形成することができる。
【0094】
上記の実施形態において、タンパク質は、リガンドに対して1つの接続を含む。以下の段落に記載される実施形態において、タンパク質は、リガンドに対して第2の接続を含む。
【0095】
例えば、表1に列挙したインテグリン分子は、優れた電気的接続を形成する小リガンド(表1に列挙したシステインを組み込んだ環状RGDペプチド)に対する1つの結合部位を有する。しかしながら、このインテグリンは1つのRGD結合部位しか有していないので、別のリガンドを介した第2の点への接続は形成することはできない。しかし、インテグリンのN末端付近の領域にAviタグ配列を組み込むことによって、明確な回路を完成させることができ、ゆえに、ここでは、当該回路は2つの特異的結合部位:(1)RGDペプチド結合部位、および(2)ビオチン結合部位;を有する。このような不均一な接続(1つの部位ではペプチド結合、別の部位ではビオチン化)には、ここでタンパク質に組み込まれた選択的付着を利用することによって、タンパク質を集合体に配向させることができる、という利点がある。例えば、一方の電極はストレプトアビジンで官能化され、もう一方はペプチド(すなわち、環状RGD)で官能化されていてもよく、その結果、改変タンパク質は、両方の電極に対して明確な配向性をもって常に結合され得る。同じ技術は、タンパク質回路の連続的な集合体を可能にする。これは、
図8に示されるタンパク質「AND」ゲートで説明される。
【0096】
より具体的には、リガンドAの結合がコンダクティビティの増加を引き起こすように設計または選択されたタンパク質A(81)と、リガンドBの結合がコンダクティビティの増加を引き起こすように設計または選択されたタンパク質B(82)とが、直列に配線され、電極間に接続され、このペアは、リガンドAおよびリガンドBの両方が存在する場合にのみ高コンダクタンス状態が得られるため、化学的ANDゲートを含む。明らかに、タンパク質が所望の順序で配線されることを保証する方法の1つは、選択的接続を使用することである。したがって、第1の電極84は、ストレプトアビジン分子87に結合するチオビオチン分子86で改変される。これは、次に、2つのビオチン化Aviタグ配列83を組み込むように改変されているタンパク質A81に結合する。ストレプトアビジンとのさらなるインキュベーションは、タンパク質A上に第2のストレプトアビジン84を配置する。この位置で、タンパク質B82は、ビオチン化Aviタグ配列83を使用して、結合され得る。同じビオチンストレプトアビジン結合を用いて第2の電極85への回路接続を完成させる場合、タンパク質Bが所望される第2の位置にタンパク質Aが組み込まれ得る、という望ましくない可能性が生じる。この可能性を克服するために、異種の結合が用いられ、この場合、タンパク質B上のペプチド結合部位88を利用する。第2の電極85に結合した対応するペプチドリガンド89は、タンパク質B上のその同系部位に結合することによって、回路を完成させる。1つのリガンドを別のリガンドに結合させることによって、追加の有用な構築単位を作り出すことができることが認識されるのであろう。例えば、ペプチドリガンド(表1に示されるもののうちの1つなど)をビオチン分子に連結することによって、ペプチドに対する特異的結合部位を有する第1のタンパク質がストレプトアビジンに連結することができ、例えば、続いて、ストレプトアビジン上の残りの占有されていないビオチン結合部位を介して回路に組み込むことができる。
【0097】
機能性タンパク質を2つの接続点で回路に接続する際に生じる別の考慮事項は、機能の破壊があり得ることである。これは、タンパク質を2つの点で束縛することによって課される機械的制約によって、引き起こされる。1つの点での接続は、タンパク質が溶液中にあるかのように動く余地をタンパク質に残すが、第2の付着点、特に(タンパク質の動きを感知するために)第1の付着点から離れて選択された1つの付着点は、明らかにタンパク質機能を破壊し得る。したがって、第2の接続部位が組み込まれる領域にフレキシブルリンカーが組み込まれることが非常に望ましい。これは、もちろん、2つの接続部位のいずれか1つであってもよい。
【0098】
フレキシブルリンカーを形成するアミノ酸配列は当技術分野で公知であり、例は、ワールドワイドウェブ上の、bmrb.wisc.edu/referenc/choufas.shtmlに列挙されている。特定のフレキシブルリンカーを選択する場合、3つの重要な設計考慮事項がある。
【0099】
第1の考慮事項は、取り込まれた配列が短い反復配列からなるべきではない、ということである。これは、クローニングを複雑にするためである。これを説明するために、公知のフレキシブルリンカーアミノ酸配列:GGSGGSGGSGGS(配列番号6)を考える。対応するDNA鋳型を
図9Aに示す。
図9Aはまた、プライマー配列間に形成され得るダイマーも示す。発現ベクターにクローニングした場合の結果を
図9Bに示す。
図9Bは、標識された望ましくないプライマーダイマーの産物を含む、得られたプラスミド配列を示す。
【0100】
第2の考慮事項は、新しいタンパク質の等電点を大きくは変化させてはならず、そのため、挿入されたリンカー中の残基は中性またはほぼ中性であるように選択されなければならない、ということである。これは、回路への配線のための2つのAviタグを含有するphi29ポリメラーゼの合成によって、説明される。この場合、フレキシブルリンカーを、N末端付近に位置するAviタグ配列の隣に配置した。第1の場合(
図10の配列101)において、フレキシブルリンカー(丸、103)は配列GDSTDGTSDGSS(配列番号7)を有し、その結果、タンパク質産物は7.25の予測されたpIを有する。天然タンパク質(約8のpIである)のpIからのこの小さなシフトはミスフォールディングを引き起こすのに十分であるため、タンパク質は、ゲル106中でより短い産物105として現れる。リンカー配列中のアスパラギン酸(D)がアスパラギン(N)に交換されると(現在、GNSTNGTSNGSS(配列番号3)、配列102中の104)、天然のpIが復元され(pI=8.13)、産物は、今度は正しくフォールディングされた天然タンパク質の位置に移動する(ゲル108中の107)。
【0101】
第3の考慮事項は、2つの同一の配列(すなわち、2つのAviタグ配列)が、対応する反復DNA配列がプライマー-ダイマーを生じるので、同一のクローニング発現系に挿入される場合に生じる。これを克服するために、クローニングは2段階で進行する。1つのAviタグ配列を有するクローンを最初に作製し、次いで、第2のAviタグ配列を挿入したこの第1のクローニングから第2のクローンを作製する。
【0102】
GNSTNGTSNGSS(配列番号3)リンカーの柔軟性、およびタンパク質内部のこの準金属的状態を支持するために特定のタンパク質フォールディングが必要とされ得るという懸念を考慮すると、重要な問題は、リンカーが挿入される場合にタンパク質のコンダクタンス特性が維持されるかどうか、ということである。
図11は、
図5における52として既に示した2つのAviタグポリメラーゼ(フレキシブルリンカー配列を欠く)についての、参照となるコンダクタンス分布1101を示す。ここで、2つのビオチン化部位に結合したことによる高いコンダクタンス特性が1103とラベルされている。1102は、フレキシブルリンカーを組み込んだphi29(
図10のタンパク質配列102)のコンダクタンス分布を示す。高いコンダクタンス特性は保存されており(1104)、タンパク質の準金属的状態が維持されながら、フレキシブルペプチドリンカーが組み込まれ得ることを示す。
【0103】
ストレプトアビジンは4価であり(4つまでのビオチンに結合する)、したがって、カップリングスキームおよびタンパク質自体の両方の、これらの顕著かつ予想外の電気的特性を総合すれば、生体電気回路を構築するための全く新規な手段が利用可能になる。
【0104】
図12は、同じ集合体原理に基づく「OR」ゲートを示す(符号付けされた構成要素は
図8について説明されたものと同様である)。これは、リガンドAまたはリガンドBのいずれかが存在する場合、高コンダクタンス状態に入る。
【0105】
ストレプトアビジンの4価の性質は、はるかにより複雑な回路を組み立てることを可能にする。この可能性の1つのバージョンが
図13に示されている。ここでも、符号付けは
図8と同様である。ここで、第3のタンパク質「C」(1300)は、結合するストレプトアビジン87の占有されていない部位でタンパク質Aおよびタンパク質Bの結合部に付着している。例えば、タンパク質Cが酸化分子の存在下で酸化状態を変化させる電気化学的に活性なタンパク質である場合、例えば、タンパク質Cの電荷の変化がA-B鎖を介した電子伝達を調節する。そのため、「A」および「B」の機能は、「C」の電子状態に依存する第3の状態を生じることができる。
【0106】
これまでに説明した実施形態はすべて、第1の電極および第2の電極の両方を利用した。しかしながら、本明細書に記載されたリガンドベースの結合と組み合わされたタンパク質内部の準金属的コンダクタンスは、センサータンパク質(例えば、グルコースセンサー
1)中に酸化還元活性を生成する分子を含む溶液中に浸漬されたセンサー電極の表面での非常に効率的な電子伝達を可能にする。したがって、関係するタンパク質は、
図14に図示されるように、1つの電極に直接連結されるのみでもよい。ここで、タンパク質D1400は、酸化還元対1402、1403(例えば、酸化グルコースおよび還元グルコース)を含む電解質1401に浸漬された酸化還元活性タンパク質(例えば、グルコースオキシダーゼ)である。電解質1401は、第2(遠隔の)電極1404とも電解質1401と接している。タンパク質D1400は、電圧バイアスを印加するための手段1405と、第1の電極84と第2の電極1404との間を流れる電流を感知するための手段1406を用いて、第1の電極84に接続されている。これは、現在存在する電気化学センサー技術を改善するために適用される、本発明の結合の用途の一例である。
【0107】
図3の生体電気回路は、改変された結合タンパク質が電極へ直接的に付着することを必要とする。しかしながら、Zhangらに示されるように、改変されていない結合タンパク質を用いて電極に付着した小リガンドを介して結合が行われる場合、結合はより効率的である。これは、均一な被覆を得ることがより容易である小リガンドを用いて電極を官能化することができる、という利点を有する。したがって、
図15は、
図2のチオビオチン1534、および結合性の改変されていないストレプトアビジン1531で改変された第1の電極1532を示す。ストレプトアビジン1531は、次に、牽引(tow)部位1536でビオチン化されているタンパク質1535に結合する。同様の官能化により、第2の電極1533への結合が完成する。
【0108】
タンパク質コンダクションがモニターされるギャップのサイズは、
図16に示されるように、各電極と結合したタンパク質の連結鎖を形成することによって、コンダクティビティにおける非常にわずかなコストで、実質的に増加され得る。ここで、第2の結合タンパク質1602が回路に添加され、
図1に示されるビスビオチンのような2価リンカー1601よって、第1の結合タンパク質1531に結合される。
【0109】
〔実施例〕
以下の実施例は、例示の目的で提示されており、開示された主題の範囲を限定することに役立つべきではない。
【0110】
〔材料の供給源〕
RGDペプチド(環状(Arg-Gly-Asp-D-Phe-Cys))は、Peptides International(Louisville, Kentucky)から購入した。抗HIV抗体および抗エボラ抗体のためのペプチドリガンドは、純度>95%で、CPC Scientific(Sunnyvale, California)によって、合成された。DNPおよびビオチンジスルフィドは、我々の研究室で合成され(補足情報付録
図S10およびS13)、Thermo Scientific(カタログ番号77712)が提供している、固定化TCEP(Tris[2-カルボキシエチル]ホスフィンヒドロクロリド)ジスルフィド還元ゲルによって、製造者の指示に従って、使用前に2時間還元された。本明細書で使用される溶液の調製は、補足情報付録に記載されている。抗DNP抗体(マウスモノクローナルIgE抗体)、野生型ストレプトアビジン、およびすべての他の化学物質は、Sigma Aldrich(Saint Louis, Missouri)から購入した。抗HIV抗体(抗HIV1p17抗体[32/1.24.89])およびすべてのアイソタイプコントロールは、Abcam(Cambridge, MA)から入手した。抗エボラ抗体は、以下に記載されるようにして、植物から培養した。3つの抗体すべての結合親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって、測定した。テトラマー当たり平均2.5チオールを有するチオール化ストレプトアビジンは、ProteinMods(Madison, Wisconsin)からのものであった。3MのKClまたは10mMのKClによって塩架橋されたAg/AgCl参照電極は、既に記載したようにして調製した(B. Zhang et al., Nano Futures 1 (2017))。サイクリックボルタンメトリーの詳細は、補足情報付録に記載されている。抗エボラ抗体および対応するモノマーのFabフラグメントは、実施例7に記載されているようにして、調製および精製した。
【0111】
〔実施例1.N,N’-ビス-ビオチニル-シスタミン11の合成(
図1に示す化学構造)〕
シスタミンジヒドロクロリド(60mg、0.27mmol)をDMF(2mL)に添加し、続いてトリエチルアミン(0.44mL、3.19mmol)を添加した。混合物を30分間撹拌し、ビオチンNHSエステル(0.27g、0.80mmol)を添加し、室温で16時間撹拌した。シスタミンが消費され、生成された生成物がDCM中の20%メタノールで0.63のR
f値を有することを、TLCは示した。DMFおよびTEAの大部分が除去されるまで、混合物をジクロロメタンと共蒸発させた。残渣を、カラム上で分離した。勾配は120分間でDCM中の0~20%メタノールであり、流速は3mL/分であり、自動フラッシュクロマトグラフィー装置は、Teledyne Iscoであった。生成物を白色固体として得た(0.11gおよび67.1%)。
1HNMR(400MHz,DMSO-d
6):δ1.20-1.60(m,12H),2.07(t,7.6Hz,4H),2.57(d,12.4Hz,2H),2.77(t,6.6Hz,4H),2.83(dd,5.1および12.6,2H),3.07-3.12(m,2H),3.31(t,6.4Hz,4H),4.11-4.15(m,2H),4.31(t,5.2Hz,2H);
13CNMR(100MHz,DMSO-d
6):δ25.70,28.50,28.65,35.62,37.83,38.37,40.32,55.92,59.68,61.52,163.18,172.69。
【0112】
〔実施例2.化合物20の合成〕
化合物20は、製造者の指示に従って、Thermo Scientificからの固定化TCEP(Tris[2-カルボキシエチル]ホスフィンヒドロクロリド)ジスルフィド還元ゲル(カタログ番号77712)に、N,N’-ビス-ビオチニル-シスタミン11を(装置で使用する直前に)2時間曝露することによって、製造した。生成物(
図2に示す化学構造)をDCM中の20%メタノールに溶解し、この溶液を続いて電極を改変するために使用した。
【0113】
〔実施例3.基板およびSTMプローブの官能化〕
STM測定のためのパラジウム基板は、電子ビーム蒸着器(Lesker PVD 75)を使用して、10nmのチタン接着層を有するシリコンウェハ上に200nmのパラジウム膜を蒸着させることによって、調製した。官能化の直前に、基板を水素炎で処理し、次いでチオール化DNP、ビオチン、ストレプトアビジンまたはシステイン残基含有ペプチドの溶液に一晩浸漬した。小リガンドによる基板官能化は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法(
図S9)および偏光解析法によって、特性付けた。基板の被覆率は、STMおよびAFM画像化によって、モニターした。
【0114】
交流電気化学法によって、0.25mmのPdワイヤ(California Fine Wires)からSTMプローブをエッチングした。漏電電流を避けるために、金プローブについて以前に記載されている方法に従って、高密度ポリエチレンでプローブを絶縁した。M. Tuchband et al., Rev Sci Instrum 83, 015102 (2012)。+0.5Vバイアスで1mMのPB緩衝液中のSTMによって各プローブを試験し、漏電電流が<1pAであることを確認した。官能化のために、プローブをリガンド溶液中に、4時間または一晩、浸漬した。その後、プローブを取り出し、水洗し、窒素ガスを穏やかに吹き付けて乾燥し、直ちに使用した。STM測定のさらなる詳細は、実施例4に示す。
【0115】
〔実施例4.STM測定〕
STM測定は、データ取得用のDAQカード(PCI-6821またはPCIE-7842R、National Instruments)と結合したPicoSPM走査プローブ顕微鏡(Agilent Technologies)を用いて行った。緩衝溶液および検体を添加したテフロンセルをピラニア溶液で洗浄し、次いでMilli-Q水中で3回、超音波処理し、残留物を除去した(ピラニア溶液は腐食性が高く、極めて慎重に扱わなければならないことに留意されたい)。表面電位をより良好に制御するために、10mMのKCl塩架橋を有するAg/AgCl参照電極を基板上に接続した。プローブはまず、-0.2Vのバイアスで4pAの設定点電流に係合し、その後、測定前に2時間、静置して安定させた。STM IV掃引測定では、最初にサーボシステムをオフにし、プローブを1nm/sの速度でΔZnmだけ後退させた。その後、プローブをその高さで1分間吊り下げ、その間、カスタムLabviewプログラムを使用して、電流変化を監視した。電流が50pAの閾値を超えると、それを結合イベントとしてみなし、1V/sの掃引速度で-0.2Vから+0.2VまでのIV掃引を開始し、次いで逆走し、続いて0.2s休止した。その後、電流を再度チェックした。電流が依然としてノイズレベルの2倍(6pA)を超える場合、結合したタンパク質分子が抜けるまで、IV曲線を連続的に記録した。1分間の測定後、サーボシステムをオンにして、プローブを再び係合し、その後、プロセス全体を反復した。各測定において、少なくとも1000個のIV曲線を収集し、そこから上り掃引と下り掃引とが重なった曲線(全体の80%)を選択し、コンダクタンス分布ヒストグラムを構築した。プローブ保持プロセスの間、バイアスを一定に保持したことを除いて、同様の手順を用いる別のLabviewプログラムによって、電流対時間のトレースを記録した。アナログ/デジタルのサンプリングレートは50KHzである。すべての検体について、コンダクタンス測定手順は同一であったが、結合親和性および官能化効率の差のために、異なる効率であった(表S1)。
【0116】
【0117】
新たに官能化された基板およびプローブを用いて、各検体について反復測定を行った(表S4)。参照電極に対する電位は、基板と参照電極との間に接続されたバッテリ駆動電圧源を用いて設定した。
【0118】
【0119】
〔実施例5.溶液の作製〕
チオール化DNPおよびビオチンは、新たに脱気した純粋なエタノール中で、最終濃度0.1mMで調製した。ペプチドは、受け取ったら、脱気水中に最初に溶解し、次いで、アリコートし、-80℃で凍結した。使用前毎に、1つのアリコートを取り出し、所望の濃度に、通常は基板およびプローブ官能化のために0.1mMに、脱気水を用いて希釈した。基板上のDNPおよびペプチドの官能化密度を低下させるために、2-メルカプトエタノール(MCE)を2mMの濃度で添加した。抗体およびアイソタイプコントロールをアリコートし、-80℃で保存し、次いで使用前に1mMのPB緩衝液(pH=7.4)で希釈した。STMおよびソリッドステートチップ測定のために、1mMのリン酸緩衝液(PB)中の100nMの抗体またはアイソタイプコントロールを使用した。1mMのPB緩衝液中の1μMのチオール化ストレプトアビジンを、基板官能化のために調製した。1mMのPB緩衝液中の1mMの遊離ビオチンおよび100nMの野生型ストレプトアビジンを、STMによるコンダクタンス測定のために使用した。すべての緩衝液および溶液は、18.2MΩのコンダクティビティを有するMilli-Q水中で調製した。すべての測定について、1mMのPB緩衝液(pH7.4)は、アルゴンで脱気して、酸素からの干渉を回避した。
【0120】
〔実施例6.サイクリックボルタンメトリー〕
Pd基板は、0.5cm×4.0cmのサイズに切断し、約0.5cm×1.0cmの活性セル面積を有する作用電極として使用された。基板は、官能化の前に水素炎で処理された。ポテンシオスタット(モデルAFCBP1、Pine Instruments)上で、対電極としてPtワイヤ、参照電極としてAg/AgCl(3MのKCl)を用いて、サイクリックボルタンメトリーを実施した。掃引範囲は-0.5V~+0.5Vであり、特に指定がない限り、掃引速度は10mV/sである。
【0121】
〔実施例7.ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)植物からの抗エボラ(EBOV)mAb 6D8の発現および精製〕
6D8の重鎖および軽鎖のコード配列(Lai, H., et al., Plant Biotechnol J 10, 95-104, doi:10.1111/j.1467-7652.2011.00649.x (2012))を、MagnICONベースの発現ベクターにクローニングした。Lai, H. et al. Proc Natl Acad Sci U S A 107, 2419-2424, doi:10.1073/pnas.0914503107 (2010)。次いで、N.ベンサミアナ(N. benthamiana)植物において、既に記載されたように、6D8を一時的に発現させた。Yang, M., et al., Plant Biotechnol J 16, 572-580, doi:10.1111/pbi.12796 (2018)。N.ベンサミアナの葉から、タンパク質Aアフィニティークロマトグラフィーにより、95%を超える均一性にまで6D8 mAbを単離および精製した。Fulton, A. et al., J Chromatogr A 1389, 128-132, doi:10.1016/j.chroma.2015.02.013 (2015)。
【0122】
〔実施例8.6D8のモノマーのFabの生成〕
モノマーのFabフラグメントは、Pierce Fab Preparation Kit(Thermo Scientific)を用いて、製造者の指示(Thermos Scientific Pub. No. MAN0011651)に従って、6D8から調製した。簡単に述べると、精製した6D8を、最初に、アガロースビーズに固定化したパパインと共に、37℃で6~12時間、インキュベートした。次いで、消化されたmAb混合物を、1分間で5000xgの遠心分離によって回収し、タンパク質Aクロマトグラフィーカラムで分離した。Fabフラグメントはフロースルー画分中に回収した一方、Fcフラグメントおよび未消化mAbはタンパク質Aカラム中に捕捉した。モノマーのFabの製造が成功したことは、還元条件および非還元条件下でのSDS-PAGE分析によって、確認された。
【0123】
〔1分子コンダクタンス測定〕
分子のコンダクタンスの再現可能な2点測定は、再現可能な接続を必要とし、(7)したがって、単一インテグリン分子(それらの同系リガンドによって2つの電極のうち1つだけに結合している)における、大きな(nSスケール)コンダクタンス変動の再現可能な観察は、驚くべき発見であった。(8)この先行研究は、タンパク質を通る任意の直流電流を不明瞭にする漏電電流が原因で、低バイアス領域(変動が存在しない)を精査しなかった。ここでは、走査型トンネル顕微鏡(STM)を使用して、溶液中で1分子測定を行い、特異的接続および非特異的接続の両方の役割を系統的に探索した。適切に絶縁されたSTMプローブ、(9)および電極の電位制御により、バックグラウンドの漏電電流は、全バイアス範囲にわたって1pA以下にまで減少した。十分な安定化により、STMギャップは1分間にわたって一定に保たれるので、ギャップ制御サーボを無効にし、チップを後退させ、電流-電圧(IV)曲線を記録することができた。このような曲線(上りおよび下りの両方を掃引する)を60個まで記録してから、サーボを再係合し、基板の別の領域で工程を繰り返した。2つの特異的な接続を作るために、2価抗体(1つのIgEと2つのIgG)を用いた。最大4つのビオチン分子を結合するストレプトアビジンと同様に、それぞれが2つの結合部位を示すため、エピトープまたはビオチン官能化電極を特異的な結合で架橋することができた。むき出しの金属電極を使用した場合、1分子あたり平均2.5個の表面チオールで改変されたストレプトアビジン上の表面チオールに接続させた。さらに、2つのペプチド官能化電極のうち1つのみと特異的な結合を形成することができるインテグリンを用いて、測定を繰り返した。タンパク質およびリガンドを表1に列挙する。
【0124】
〔測定されるコンダクタンスは接続に依存する〕
2つの電極のうちの少なくとも1つにタンパク質が特異的に結合した場合にのみ電流が観察された。典型的には、交代後の数秒間は、電流は記録されず、その後、結合タンパク質の存在下で電流は大きな(かつ可変の)値にジャンプした。電流は分の時間スケールでは変動するが、通常は、数秒間は安定しているため、上り掃引で記録された曲線の80%が下り掃引で再現される(データ不図示)。コントロール(緩衝液単独、または溶液中に非同系タンパク質)は、シグナルを出さなかった。インテグリンについて報告された(8)急速に変動する(ms時間スケール)テレグラフノイズ(TN)もまた、抗DNPについて観察され(データ不図示)、すべての他のタンパク質は、0.1Vを超えて研究された。これは、タンパク質捕捉の遍在的なシグナルであり、すべての場合において同じ2レベルのスイッチを示す。これらの変動は元々、固定接合チップに捕捉されたタンパク質について観察されたものであり(8)、本研究ではSTMを使用しているが、TNの測定は、ここで研究されたタンパク質の1つ(抗DNP)について、STMと同様にチップにおいても反復されており、これらが測定法の何らかのアーチファクトではないことを示した(データ不図示)。TNに対する電圧閾値は、接続がほぼ破断するまでギャップに依存しておらず(データ不図示)、これは、既に提案され(8)、以下により詳細に議論されるように、大部分が接続で生じる電位降下によって駆動される接続の変動に関連することを意味する。
【0125】
TNを除いて、応答は線形であるため、各IVトレースは単一のコンダクタンス値Gによって特性付けることができる。測定されたGの分布は、1分子測定において通常観察される対数正規分布に従う(データ不図示)(10)。その分布は、固定されたギャップおよびバイアスで電流対時間を記録して得られた電流値の分布に類似しているので(データ不図示)、その分布は、電極と分子との間の異種接続だとされた。インテグリン(ギャップ=4.5nm)およびチオストレプトアビジン(ギャップ=2.5nm)についての分布は、約0.3nSに単一のピークを有する(データ不図示)。むき出しの金属電極を使用して、チオール化ストレプトアビジンを捕捉し、ここで、チオール媒介接続は電極表面上の汚染物質に取って代わり(11)、直接的な金属-分子接続を形成する。インテグリンは、2つの電極のうち1つのみで環状RGDペプチドによって捕捉され、両方の電極が官能化されていない限り、シグナルは観察されなかった。ペプチドによる官能化は、特異的に結合されていない電極におけるタンパク質上の親水性部位との非特異的接続を可能にする。3つの抗体は、2つのコンダクタンスピーク(約0.3nSおよび約2nS)を生じ、2つの結合様式を示唆した:インテグリンについてはNS-S、および;両方の抗原結合部位が特異的に結合する場合には所望のS-S(データ不図示)。この解釈は、1つの電極上のペプチドをメルカプトエタノールで置換し、それを親水性にし、NS-S架橋を形成可能にすることによって、試験された。単一のピークのみが観察された(データ不図示)。さらなる試験として、抗エボラIgG由来のFabフラグメントを、1価の結合ヘッドのみを用いて調製した。このフラグメントは、4.5nmのギャップを架橋するためには小さすぎたため、データは2.5nmのギャップにて記録された。コンダクタンス分布には単一のピークのみが存在し、単一のNS-S接続を反映している(データ不図示)。したがって、より高いコンダクタンスピークは、2つの抗原結合部位を介するコンダクションに対応しなければならない。この効果を見るために、データセットは、1分子接続が支配的でなければならない。2.5nmのギャップを横切る単一のFabフラグメントのコンダクタンスが、4.5nmのギャップを横切る抗体のコンダクタンスよりもはるかに小さいこと(データ不図示)は、注目に値する。これは、タンパク質の固有内部コンダクタンスが、測定された(接続制限された)値よりもはるかに高いことを示唆する。この発見は、非常に異なるサイズのタンパク質について測定された類似のコンダクタンスに関する先の報告(12、13)の原因を説明するものである。
【0126】
〔ギャップサイズに依存しないコンダクタンス〕
高いコンダクタンスの内部(分子を貫通する(14))経路の存在は、上述の技術を使用するが、初期チップ後退量を増加させた、異なるギャップサイズにて行われた一連の測定によって説明される(データ不図示)。驚くべきことに、データが蓄積される頻度は低下するにもかかわらず、ピークコンダクタンス値はギャップサイズと共には変化しない(データ不図示)。この効果は、所定の高さにおける接続のために利用可能なプローブの面積を反映する。ギャップがタンパク質の高さに匹敵する場合(タンパク質データベースに見出される類似の構造について表1に列挙される)、利用可能な部位は非常に少ない。アズリン(Ruizら(15)の補足情報参照)およびプローブと基板との間に捕捉される棒状分子について、ギャップに依存しないコンダクタンスが以前に報告されている(14)。上記で指摘したように、接続点は、測定の間(およそ分)変化し、STMプローブの位置におけるオングストロームスケールの変化の反映である。コンダクタンス分布の全体的な形状を生成するのは、これらの様々な接続形状である(データ不図示)。分布は、異なるギャップサイズで同じピーク位置および形状を保持するので、データは、より小さいギャップサイズでタンパク質が「圧迫」されていることを示すものではない。
【0127】
ギャップサイズの関数としてのTNが起こるための電圧閾値のプロットは、電圧閾値がギャップサイズによって大きく変化しないことを示す。したがって、TN変動は、金属-分子界面における局所場によって駆動されなければならず、タンパク質の内部を横切って低下する電位は相対的に少ない。これはまた、TNの寿命がピーク電流値に指数関数的に関係しているという我々の知見とも一致し、観測結果は、コンダクタンスを支配する回路内の単一の「弱リンク」トンネル接合によって、説明することができる(8)。
【0128】
〔コンダクタンスはタンパク質構造の変化に感応性である〕
コンダクタンス経路は、内部か、または表面輪郭に沿うかのいずれかで、タンパク質の幾何学的形状をたどるので、タンパク質の幾何学的形状の変更、および、それによるコンダクタンス経路の変更は、どの接続点がコンダクタンスを制御するかに影響を及ぼす可能性がある。これにより、タンパク質の構造変化の直接的な電気的感知が可能になる。この効果は、
図7Aに図示される。チオール化ストレプトアビジン試料中のビオチン錯化は、コンダクタンス分布を有意に変化させる(
図7A)。ストレプトアビジン分子は4つのビオチン結合部位を有するため(16)、非チオール化アポタンパク質は2つのビオチンによって架橋され得る。チオール化ビオチンを合成し、それを用いてプローブおよび基板の両方を官能化し(
図7B)、続いてアポストレプトアビジンを試料セルに流した。その結果、G分布は3つのピークを有し、最高値はほぼ7nSであった。したがって、測定されたコンダクタンスは、タンパク質構造の局所的変化および接続の化学的性質の両方に感応性であり、接続がタンパク質の構造的変化によってどのように影響されるかを示す。チオール化ストレプトアビジンを基質に付着させ、ビオチン化プローブを用いて精査すると、同様の結果(データ不図示)であり、単一のビオチン媒介接続が約7nSの高いコンダクタンス状態を生成するために十分であることを実証した。
【0129】
〔考えられるメカニズム〕
電子トンネル効果は、長距離輸送を説明するにはあまりにも速く減衰する。トンネルコンダクタンスは、G≒G0exp(-βx)から推定できる。ここで、G0は77μSであり、βは約1Å-1である(24)。xが約4nmである小さいタンパク質については、G<10-21Sが得られ、観察されたものより12桁小さい。距離10nmにわたるnSコンダクタンスの観測を説明するためには、β<0.1Å-1が必要であろう。よく研究されたDNAの場合、熱活性化ホッピング(17)は、容易にイオン化されるグアニン間の距離が3ヌクレオチドを超える場合、ほぼ距離に依存しない輸送をもたらす(18)。同様の輸送(容易に酸化されるアミノ酸を介する)が、ペプチドにおいて観察されている(19)。これらの場合、輸送は電荷注入によって制限され、電荷注入に対する約1.5eVの障壁は630nm(約2eV)光で励起される発色団を用いて克服された。電極からの電荷注入において同様の輸送メカニズムが作用する場合、Pdのフェルミエネルギー(仕事関数5.2eV)と、容易に酸化される残基であるチロシンおよびトリプトファンの絶対酸化還元電位と、の間のエネルギーギャップによって障壁が決定される。これらのポテンシャルは約+1~約+1.2V対NHEであるから(20)(21)、NHE(22)の仕事関数について4.4eVを用いると、真空下で5.4~5.6eV付近の絶対電位を与えるか、またはPdのフェルミエネルギーに対して+0.2~0.4eVの障壁を与える。したがって、この大きさの障壁は、電極へのタンパク質の結合に関連する結合性分極によって、克服されなければならない。これは、チオール結合によって貴金属表面に付着した小分子について観察される仕事関数の変化の十分に範囲内である(23)。有意な電流は、3つの状況において得られた:(a)両方の電極への接続が直接的なチオール媒介結合を介する場合;(b)1つの結合が、エピトープまたはリガンドへの特異的結合によって形成され、もう1つの結合が、電極に付着した親水性分子とタンパク質の親水性外部との間の非特異的相互作用によって形成される場合、および;(c)最大の電流が観察されるのは、タンパク質が両方の電極において認識リガンドによって結合される場合(すべての場合において、リガンドはチオールを介して電極に連結される)。弱い非特異的結合は、有意な電流の流れをもたらさない:少なくとも1つの付着が共有結合またはリガンド媒介結合を介するものでなければならない。したがって、電極に直接結合するようにタンパク質自体が共有結合的に改変されていない場合には、少なくとも1つの特異的リガンドの結合によって、電荷注入に対する障壁が克服される。
【0130】
接続における界面電荷の小さな変化は、輸送に強く影響することが示されており(24)、これは、ファラデー電流を避けるためには、小さな範囲にわたってのみではあるが、電位制御を用いて変化させることができる変数である。おそらく、小さな変化は、界面における結合性分極のために、はるかに大きな場によって支配される。アミノ酸残基の酸化還元電位に加えて、タンパク質の三次元フォールディングが重要な役割を果たさなければならない。これは、ブレークジャンクションで伸長した小ペプチドは伝導しないが(25)、電極表面上でフォールディングした類似の小ペプチドは伝導するからである(26)。これは、いくつかの特別な幾何学的形状の結果(27)、または水素結合の配置の結果であり得る(28)。
【0131】
我々は、最終的に、±100mVを超えた印加バイアスに設定した変動を調べる。ギャップサイズへのこの閾値電圧の小さな依存性(データ不図示)は、タンパク質の内部コンダクタンスが接点におけるコンダクタンスよりもはるかに高い、という仮説と一致しており、これらのシグナルが接点自体の電圧駆動変動から生じることを意味している。インテグリンに関する我々の先の研究(8)でこのようなメカニズムを我々は提案したが、ここでは、「オン」状態の寿命τはピーク電流ipに関係することを示した。ここで、ピーク電流ipは、テレグラフノイズピークのものであり、τ∝ln(ip)という電流および結合強度の両方を決定する単一の障壁によって説明できる関係を介する。オンになると電流は電圧とともに線形に増大し、新しいオームコンダクタンスチャネルが開くことを示している(データ不図示)。オンになるプロセスは、
【0132】
【0133】
の形式の指数関数によって記述される。ここで、Vcは活性化電位である。フィッティングすると、Vcが約0.25Vという水中の水素結合強度に特徴的な値となり(29)、水素結合が回路中の「弱結合」であり得ることを示唆している。
【0134】
この0.25Vの障壁は、上述のように、アミノ酸の酸化還元電位から推定される電荷注入の障壁に類似していることに注目することは、興味深い。もし電荷注入比率が0.22~0.47Vの障壁にわたる熱活性化ホッピングによって制限され、コンダクタンスを決定するのがこの比率であるならば、
【0135】
【0136】
のコンダクタンスを観測することが期待されるのであろう。ここで、0.22<V<0.47ボルトであり、これは、報告される値を包含する範囲である12nS~0.5pSからのものである。
【0137】
〔電子コンダクタンスにおける特異的結合の役割〕
特異的なリガンド-レセプター相互作用がタンパク質への良好な電気的接続を形成する、と我々は結論付けた。これは、
図7Aおよび
図7Bに図示されるデータによって、示される。金属電極に直接結合した表面リシンの共有結合的(チオール)改変を介してなされた接続は、チオール末端エタン結合を介して電極に結合した非共有結合的ストレプトアビジン-ビオチン結合(6.8nS)よりも低い最大コンダクタンス(0.56nS)を生じる。このコンダクタンスは、1つのビオチン化リンカーのみが使用される場合、ほとんど変化しない(データ不図示)。したがって、タンパク質の疎水性内部へのより弱い結合は、たとえそのような結合がなされたのが1つのみだとしても、親水性外部へのより強い結合よりも、より効果的である。一旦注入され、タンパク質内部を電子が容易に移動する場合、第2の(非特異的である)接続は、タンパク質の親水性表面において障壁としてのみ作用する。このようなメカニズムは、1つの部位のみでリガンドによって結合された場合のインテグリンの高いコンダクタンス、および、両方の接続が非共有結合的および非特異的である場合のコンダクタンスの完全な欠如を説明する。
【0138】
〔参照〕
以下の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0139】
米国特許出願62/673,080(2018年5月17日出願)。
【0140】
米国特許出願62/682,991(2018年6月10日出願)。
【0141】
1.Wilner, I., E. Katz, A. Riklin, and R. Kasher, Mediated electron transfer in glutathione reductase organized in self-assembled monolayers on Au electrodes. J. Am. Chem. Soc., 1992. 114: p. 10965-10966。
【0142】
2.Bostick, C.D., S. Mukhopadhyay, I. Pecht, M. Sheves, D. Cahen, and D. Lederman, Protein bioelectronics: a review of what we do and do not know. Reports on Progress in Physics, 2018. 81: p. 026601。
【0143】
3.Adhikari, R.Y., N.S. Malvankar, M.T. Tuominen, and D.R. Lovley, Conductivity of individual Geobacter pili. RSC Advances, 2016. 6: p. 8354-8357。
【0144】
4.Malvankar, N.S., M. Vargas, K.P. Nevin, A.E. Franks, C. Leang, B.C. Kim, K. Inoue, T. Mester, S.F. Covalla, J.P. Johnson, V.M. Rotello, M.T. Tuominen, and D.R. Lovley, Tunable metallic-like conductivity in microbial nanowire networks. Nat Nanotechnol, 2011. 6(9): p. 573-9。
【0145】
5.Zhang, B., W. Song, P. Pang, H. Lai, Q. Chen, P. Zhang, and S. Lindsay, The Role of Contacts in Long-Range Protein Conductance. Proc Natl Acad Sci U S A, 2019. submitted。
【0146】
6.Vattay, G.a., D. Salahub, I.a. Csabai, A. Nassimi, and S.A. Kaufmann, Quantum Criticality at the Origin of Life. Journal of Physics: Conference Series 2015. 626: p. 012023。
【0147】
7.Cui XD, et al. (2001) Reproducible measurement of single-molecule conductivity. Science (New York, N.Y.) 294(5542):571-574。
【0148】
8.Nitzan A (2006) Chemical dynamics in condensed phases ( Oxford University Press., Oxford)。
【0149】
9.Tuchband M, He J, Huang S, & Lindsay S (2012) Insulated gold scanning tunneling microscopy probes for recognition tunneling in an aqueous environment. Rev Sci Instrum 83(1):015102。
【0150】
10.Chang S, et al. (2012) Chemical recognition and binding kinetics in a functionalized tunnel junction. Nanotechnology 23(23):235101。
【0151】
11.Smith T (1980) The hydrophilic nature of a clean gold surface. J. Colloid Interface Science 75:51-55。
【0152】
12.Bostick CD, et al. (2018) Protein bioelectronics: a review of what we do and do not know. Reports on Progress in Physics 81:026601。
【0153】
13.Nadav Amdursky, et al. (2014) Electronic Transport via Proteins. Advanced Materials 26:7142-7161。
【0154】
14.Leary E, et al. (2011) Unambiguous one-molecule conductance measurements under ambient conditions. Nano letters 11(6):2236-2241。
【0155】
15.Ruiz MP, et al. (2017) Bioengineering a Single-Protein Junction. Journal of the American Chemical Society 139(43):15337-15346。
【0156】
16.Sano T & Cantor CR (1990) Cooperative biotin binding by streptavidin. Journal of Biological Chemistry 25:3369-3373。
【0157】
17.Giese B & Spichty M (2000) Long distance charge transport through DNA: quantification and extension of the hopping model. Chemphyschem 1(4):195-198。
【0158】
18.Giese B, Amaudrut J, Kohler AK, Spormann M, & Wessely S (2001) Direct observation of hole transfer through DNA by hopping between adenine bases and by tunnelling. Nature 412(6844):318-320。
【0159】
19.Aubert C, Vos MH, Mathis P, Eker AP, & Brettel K (2000) Intraprotein radical transfer during photoactivation of DNA photolyase. Nature 405(6786):586-590。
【0160】
20.Harriman A (1987) Further comments on the redox potentials of tryptophan and tyrosine. Journal of Physical Chemistry 91:6102-6104。
【0161】
21.Odella E, et al. (2018) Controlling Proton-Coupled Electron Transfer in Bioinspired Artificial Photosynthetic Relays. Journal of the American Chemical Society 140(45):15450-15460。
【0162】
22.Tripkovic V, Bjorketun ME, Skulason E, & Rossmeisl J (2011) Standard hydrogen electrode and potential of zero charge in density functional calculations. Phys. Rev. B 84:115452。
【0163】
23.Alloway DM, et al. (2003) Interface Dipoles Arising from Self-Assembled Monolayers on Gold: UV-Photoemission Studies of Alkanethiols and Partially Fluorinated Alkanethiols. J. Phys. Chem. B 107:11690-11699。
【0164】
24.Garg K, et al. (2018) Interface Electrostatics Dictates the Electron Transport via Bioelectronic Junctions. ACS Appl Mater Interfaces。
【0165】
25.Xiao X, Xu B, & Tao N (2004) Conductance titration of single-peptide molecules. Journal of the American Chemical Society 126(17):5370-5371。
【0166】
26.Guo C, et al. (2016) Tuning electronic transport via hepta-alanine peptides junction by tryptophan doping. Proc Natl Acad Sci U S A 113(39):10785-10790。
【0167】
27.Vattay Ga, Salahub D, Csabai Ia, Nassimi A, & Kaufmann SA (2015) Quantum Criticality at the Origin of Life. Journal of Physics: Conference Series 626:012023。
【0168】
28.Lagunas A, et al. (2018) Long distance electron transfer through the aqueous solution between redox partner proteins. Nat Commun. 9:5157。
【0169】
29.Jeffrey GA (1997) An Introduction to Hydrogen Bonding (Oxford University Press New York)。
【0170】
本開示の特定の実施形態が、任意の組み合わせで、上記および下記に示される実施形態のうちの1つ以上を対象とし得ることは、当業者には明らかであろう。
【0171】
特定の材料、製剤、操作順序、プロセスパラメータ、および最終生成物が、本発明を説明および例示するために記載されているが、それらは限定することを意図するものではない。むしろ、記載の開示は例示的なものにすぎず、様々な他の代替、適応および改変が本開示の範囲内で行われ得ることが、当業者によって留意されるべきである。したがって、本開示は、本明細書に示される特定の実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【
図1】
図1は、ビスビオチンシスタミン分子の化学構造を示す。
【
図3】
図3は、ビオチン改変ポリメラーゼを回路に配線するためにストレプトアビジンワイヤを使用する生体電気回路の概略図を示す。
【
図4】
図4は、2つのストレプトアビジン分子に結合したビオチン化ポリメラーゼが活性であり、効率的な酵素作用が可能であることを実証するゲルアッセイを示す。
【
図5A】
図5Aおよび
図5Bは、モノビオチン化ポリメラーゼおよびビスビオチン化ポリメラーゼについて測定されたコンダクタンス分布の比較を示す。
【
図5B】
図5Aおよび
図5Bは、モノビオチン化ポリメラーゼおよびビスビオチン化ポリメラーゼについて測定されたコンダクタンス分布の比較を示す。
【
図6A】
図6Aおよび
図6Bは、ストレプトアビジンを有する生体電気回路に配線されたポリメラーゼ分子についての電流対時間の記録を示す。
【
図6B】
図6Aおよび
図6Bは、ストレプトアビジンを有する生体電気回路に配線されたポリメラーゼ分子についての電流対時間の記録を示す。
【
図7A】
図7Aおよび
図7Bは、ビオチンと結合し、電極に直接的に結合したチオール化ストレプトアビジンについて測定されたコンダクタンス分布と、
図2に示すチオール化ビオチンと電極に結合した野生型ストレプトアビジンについてのコンダクタンス分布と、の比較を示す。ここで、ビオチンは、明確にするために大きさが誇張されて示されている。
【
図7B】
図7Aおよび
図7Bは、ビオチンと結合し、電極に直接的に結合したチオール化ストレプトアビジンについて測定されたコンダクタンス分布と、
図2に示すチオール化ビオチンと電極に結合した野生型ストレプトアビジンについてのコンダクタンス分布と、の比較を示す。ここで、ビオチンは、明確にするために大きさが誇張されて示されている。
【
図8】
図8は、2つ以上の選択的リガンドを用いて生体分子ANDゲートを形成する配向回路素子の概略図を示す。
【
図9A】
図9Aおよび
図9Bは、タンパク質配列改変の選択に関するクローニングの制約を示す。
【
図9B】
図9Aおよび
図9Bは、タンパク質配列改変の選択に関するクローニングの制約を示す。
【
図10A】
図10Aおよび
図10Bは、2つのAviタグリンカーを含むように改変されたphi29ポリメラーゼについてのタンパク質配列の例を示し、荷電残基の組み込みがどのようにミスフォールディングを引き起こし得るかを示す。
【
図10B】
図10Aおよび
図10Bは、2つのAviタグリンカーを含むように改変されたphi29ポリメラーゼについてのタンパク質配列の例を示し、荷電残基の組み込みがどのようにミスフォールディングを引き起こし得るかを示す。
【
図11A】
図11Aおよび
図11Bは、ビオチンストレプトアビジンリンカーを有する回路に配線された、フレキシブルリンカー配列を有する、および有しない2つのポリメラーゼについて測定されたコンダクタンス分布を示す。
【
図11B】
図11Aおよび
図11Bは、ビオチンストレプトアビジンリンカーを有する回路に配線された、フレキシブルリンカー配列を有する、および有しない2つのポリメラーゼについて測定されたコンダクタンス分布を示す。
【
図13】
図13は、生体分子スリーステートゲートの概略図を示す。
【
図14】
図14は、電解質溶液に浸漬された酸化還元活性タンパク質によって第2の接続が形成される、単一電極回路の概略図を示す。
【
図15】
図15は、改変されていないストレプトアビジンが
図2のチオビオチンによって電極に束縛されている、生体電気回路を示す。
【
図16】
図16は、第2のストレプトアビジンおよび
図1のビスビオチン分子を組み込むことによって結合長が伸長されている、生体電気回路を示す。
【配列表】
【国際調査報告】