(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】光検出器
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0264 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
H01L31/08 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544338
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2020051975
(87)【国際公開番号】W WO2020157029
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クライン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,ヴィルフリート
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
【テーマコード(参考)】
5F849
【Fターム(参考)】
5F849AA17
5F849AB01
5F849AB07
5F849AB09
5F849BA18
5F849BB07
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5F849JA03
5F849LA01
5F849XB17
5F849XB18
(57)【要約】
本発明は、光学的検出のための検出器(110)に関し、該検出器(110)は、少なくとも1つの層を担持するように設計された回路キャリア(130)であって、プリント回路基板(132)であるか、それを含む回路キャリア(130)と;回路キャリア(130)のパーティション上に配置された吸収層(138)であって、入射光ビーム(120)を少なくとも部分的に吸収するように設計され、赤外線吸収顔料(144)を組み込んだ吸収層(138)と;吸収層(138)に直接又は間接的に隣接する基板層(114)であって、入射光ビーム(120)に対して少なくとも部分的に透明である基板層(114)と;基板層(114)上にそれぞれ配置された少なくとも1つのセンサ領域(122、122’)であって、入射光ビーム(120)によるセンサ領域(122、122’)の照射に依存する方式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されたセンサ領域(122、122’)と;少なくとも1つのセンサ信号を評価することによって、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置(150)と、を有する。
検出器(110)は、特に赤外スペクトル範囲内で、特に透過、吸収、放射、反射の少なくとも1つを感知することに関して光放射を検出する検出器を構成し、センサ領域(122)特に隣接するセンサ領域(122)の間の交差検出を回避又は低減することができ、したがって、少なくとも1つのセンサ信号に基づく測定の劣化を回避又は低減することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光ビーム(120)の光学的検出のための検出器(110)であって、
- 少なくとも1つの層を担持するように設計された回路キャリア(130)と;
- 前記回路キャリア(130)のパーティション上に配置された少なくとも1つの吸収層(138)であって、前記入射光ビーム(120)を少なくとも部分的に吸収するように設計され、赤外線吸収顔料(144)を組み込んでいる吸収層(138)と;
- 前記吸収層(138)に直接的又は間接的に隣接する基板層(114)であって、前記入射光ビーム(120)に対して少なくとも部分的に透明である基板層(114)と;
- 前記基板層(114)上にそれぞれ配置された少なくとも1つのセンサ領域(122、122’)であって、前記入射光ビーム(120)による前記センサ領域(122、122’)の照射に依存する方式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されたセンサ領域(122、122’)と;
- 前記少なくとも1つのセンサ信号を評価することによって、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置(150)と、
を含む、検出器。
【請求項2】
前記吸収層(138)は、赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの帯域において少なくとも1つの波長を吸収するように設計され、前記赤外スペクトル範囲は760nmから1000μmの範囲である、請求項1に記載の検出器(110)。
【請求項3】
前記赤外線吸収顔料(144)は、カーボンブラック(146)、グラファイト、炭素、ベンタブラック、LaB
6、銅粉、銅クロマイトブラック、コバルトクロマイトブラック、及びマンガンフェライトブラックからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の検出器(110)。
【請求項4】
前記吸収層(138)内の前記顔料の濃度は、0.1質量%~10質量%である、請求項2又は3に記載の検出器(110)。
【請求項5】
前記吸収層(138)は、樹脂層又は接着層(142)の少なくとも1つであるか、又は樹脂層又は接着層(142)の少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の検出器(110)。
【請求項6】
少なくとも2つの個別の吸収層(138)を含み、前記少なくとも2つの吸収層(138)は積層状に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の検出器(110)。
【請求項7】
前記吸収層(138)は、前記吸収層(138)と前記基板層(114)との間の界面での後方反射を制限するように設計された屈折率を示す、請求項1~6のいずれか1項に記載の検出器(110)。
【請求項8】
少なくとも2つの個別のセンサ領域(122)を含み、隣接するセンサ領域(122)は隙間(126)によって互いに分離されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の検出器(110)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサ領域(122、122’)は、感光性材料(128)を含み、前記感光性材料(128)は、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素又は化合物、第3族-第5族化合物、第2族-第6族化合物、カルコゲニド、プニクトゲニド、ハロゲン化物、及びそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種の1つ以上を含む無機光伝導性材料である、請求項1~8のいずれか1項に記載の検出器(110)。
【請求項10】
前記感光性材料(128)であるカルコゲニドは、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化インジウム(InAs)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種からなる群から選択される、請求項9に記載の検出器(110)。
【請求項11】
前記センサ領域(122、122’)に接触する少なくとも2つの個別の電気接点(148、148’)をさらに備え、前記電気接点(148、148’)は、前記回路キャリア(130)を介して前記センサ信号を前記評価装置(150)に伝送するように設計されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の検出器(110)。
【請求項12】
入射光ビーム(120)の光学的検出のための光検出器(110)の製造方法であって、以下のステップ:
a)前記入射光ビーム(120)を少なくとも部分的に吸収するように設計されている少なくとも1つの吸収層(138)を回路キャリア(130)のパーティション上に堆積させるステップであって、前記吸収層(138)は、赤外線吸収顔料(144)を組み込んでいるステップと;
b)少なくとも部分的に透明な基板層(114)上に感光性材料(128)を堆積することによって少なくとも1つのセンサ領域(122、122’)を生成するステップであって、前記各センサ領域(122、122’)は、前記入射光ビーム(120)による前記センサ領域(122、122’)の照射に依存する方式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されているステップと;
c)前記少なくとも1つのセンサ領域(122、122’)を担持する前記基板層(114)を前記吸収層(138)上に配置するステップと;
d)前記少なくとも1つのセンサ信号を評価することにより少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている評価装置(150)を提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記吸収層(138)は、前記ステップa)の前に、前記赤外線吸収顔料(144)を樹脂層又は接着層(142)の少なくとも1つに添加することによって得られる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記赤外線吸収顔料(144)は、カーボンブラック(146)、グラファイト、炭素、ベンタブラック、LaB
6、銅粉、銅クロマイトブラック、コバルトクロマイトブラック、及びマンガンフェライトブラックからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
検出器(110)を参照する請求項1~11のいずれか1項に記載の光検出器(110)の使用であって、使用目的が:ガス感知、火災検出、火炎検出、熱検出、煙検出、燃焼監視、分光法、温度感知、動き感知、工業監視、化学感知、排気ガス監視、セキュリティ用途からなる群から選択される、検出器(110)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に赤外スペクトル範囲内における放射の光学的検出のための検出器に関し、具体的には、物体の少なくとも1つの光学的に考えられる特性を感知することに関する。より具体的には、該検出器は、少なくとも1つの物体の透過率、吸収率、放出率、反射率、及び/又は位置を決定するために使用され得る。さらに、本発明は、光検出器を製造する方法、及び光検出器の様々な使用に関する。このような装置、方法及び使用は、例えば、センシング及びセキュリティ技術の様々な分野で採用されることができる。しかし、さらなる適用も可能である。
【背景技術】
【0002】
特に赤外スペクトル範囲において感知するように設計された光検出器(IR検出器)は、特に基板層上に配置される薄いセンサ層、好ましくは硫化鉛(PbS)又はセレン化鉛(PbSe)の光導電体を有する。ここでは、高性能を達成するために、少なくとも2つのセンサ領域、好ましくはセンサ領域のアレイが提供されることができ、隣接するセンサ領域は、好ましくは隙間によって分離されてよい。IRスペクトル範囲は760nmから1000μmの波長を有するため、測定の適用において入射光の大きな帯域が失われる可能性がある。
【0003】
したがって、IR検出器で測定中にこの入射光の損失を低減するために、基板の裏面に反射性の金コーティングを施すことが知られている。いずれのセンサ領域でも吸収も反射もされない入射光、又は隙間によって分離され得る2つの隣接するセンサ領域の間の基板層に到達し得る光ビームは、基板層を通過することができる。基板層を通過した後、光ビームは、基板層の反対側で、基板層を担持する回路キャリアで、又は基板層と回路キャリアを接合する接着層で、反射されて戻る可能性がある。その結果、後方反射された光ビームは、センサ領域の1つによって吸収され得る。このように、後方反射された光ビームは、具体的には、割り当てられセンサ領域とは異なり、したがって異なるセンサ信号に寄与する可能性があるセンサ領域に到達することによって一般に測定結果を悪化させる可能性がある。
【0004】
WO2016/120392A1は、センサ領域の照射に依存して少なくとも1つのセンサ信号を生成するよう設計された縦方向光センサを開示している。FiP効果によれば、センサ信号は、照射の総出力が同じであれば、照射の幾何学的形状、特にセンサ領域上の照射のビーム断面積に依存する。さらに、センサ信号から少なくとも1つの幾何学的情報項目、特に照射及び/又は物体に関する少なくとも1つの幾何学的情報項目を生成するように設計された少なくとも1つの評価装置を有する光検出器が開示されている。ここでは、縦方向光センサのセンサ領域は光導電性材料を備え、該光導電性材料内の電気伝導度は、照射の総出力が同じであれば、センサ領域の光ビームのビーム断面積に依存する。したがって、縦方向センサ信号は光導電性材料の電気伝導度に依存する。好ましくは、上記光導電性材料は、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、又は硫化銅亜鉛スズ(CZTS)から選択される。さらに、それらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種も可能である。
【0005】
US2014/124782A1は、例えばSi、Ge、又はSi/Geなどの半導体材料を含むように構成された基板、ならびに読み出し集積回路、吸収層と変換層の両方として機能することができるカルコゲニド材料を含むセンサ層、該センサ層に電気的に接続され、入射赤外線又はそれから発生する熱によって引き起こされ得るセンサ層の抵抗の変化を検出するように構成された検出部、前記基板と前記センサ層の間に配置された介在層を含み、前記介在層が前記基板上に順次積層された反射層並びに分離層を含む光検出器を開示している。
【0006】
US2012/146028A1は、基板、特に低アルカリガラス基板、又は石英基板などの半透明ガラス基板、基板層としてのベース層、センサ層としての少なくともn型領域及びp型領域を有する半導体層、及び反射層としての金属酸化物層を含み、そこでは前記半導体層を通過した入射光の一部は、続いてベース層を通過し、最終的には金属酸化物層の上面に到達する光検出器をさらに開示している。金属酸化物層の上面には、ランダムな凹凸が設けられているため、入射光は金属酸化物層を通過できず、むしろ、このように金属酸化物層は入射光を拡散反射する。
【0007】
US2007/145420A1は、半導体基板の裏面に形成された配線パターンの出力画像への反映の問題を解決する半導体装置を開示している。第1の実施形態では、反射層が、受光素子と配線層の間に形成され、それは入射したIR放射を配線層に通すことなく受光素子に向けて反射する。代替の実施形態では、反射防止層、例えば、スパッタリング法により形成された窒化チタン層や、黒色顔料などの顔料を添加した層や、有機樹脂層が、入射赤外放射の透過を防止するために入射赤外放射を吸収するように設計されている。
【0008】
WO2018/193045A1は、少なくとも1つの層を担持するように設計された回路キャリアあって、プリント回路ボートであるか又はそれを含む回路キャリアと;反射層であって、前記回路キャリアのパーティション上に配置され、入射光ビームを反射するように設計され、それによって少なくとも1つの反射光ビームを生成する反射層と;基板層であって、前記反射層に直接又は間接的に隣接しており、入射光ビームに対して少なくとも部分的に透明である基板層と;センサ層であって、基板層上に配置され、入射光ビーム及び反射光ビームによる該センサ層の照射に依存する方法で、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されているセンサ層と;前記センサ信号を評価することによって少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている評価装置と;少なくとも2つの個別の電気接点であって、前記センサ層に接触し、前記回路キャリアを介して前記評価装置にセンサ信号を伝送するように設計された電気接点と、を含む光学検出用の検知器を開示している。さらに、検出器システム、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システム、及びカメラが提示されており、これらの各々は、そこに開示されているような光学検出用の検出器を含んでいる。
【0009】
少なくとも1つの層、特に少なくとも1つのセンサ層を担持するように設計された回路キャリアは、好ましくは、通常「PCB」と略されるプリント回路基板であるか、又はそれを含むことができ、該プリント回路基板は、非導電性の平面基板又はボードであって、少なくとも1枚の導電性材料がその上に適用され、具体的には該基板上に積層された非導電性の平面基板又はボードを指す。特に、下の電子トレースを湿気や埃から保護する目的及び溶融したはんだの流れを制御する目的で、プリント回路基板は、通常、用語「ソルダーマスク」又は「ソルダーレジスト」で通常示される樹脂層でコーティングされ得る。具体的には、樹脂層は、シルクスクリーン法を用いてプリント回路基板の基板に適用され得る硬化樹脂又はラッカーであってもよく、それを含んでいてもよい。この目的のために、ソルダーマスクオイルの大きな塊が、下方のプリント回路基板の上に配置されたスクリーンメッシュを横切って引かれ得る。
【0010】
ここでは、ソルダーマスクは、好ましくは着色顔料を含んでよく、緑は特に好ましい色である。現在のところ、0.10mm以上のソルダーマスクダムを確実に製造できる唯一の色は緑で、次いで赤、黄、青が0.12mm以上のソルダーマスクダムを製造できるが、黒と白では0.15mm以上のソルダーマスクダムしか得ることができない。小さいソルダーマスクダムは、ソルダーブリッジの形成を防ぐために、集積回路やファインピッチの部品に不可欠である。さらに、ソルダーマスクオイルには、電気絶縁体として、基板へ均一に密着するように、よく硬化するように、視覚的に魅力的に見えるように機能する必要がある。その結果、黒は、特にコントラストが低いため、トレースの目視検査には最悪の色となってしまう。自動光学検査においても、黒のソルダーマスクは故障率が高いため、避けられる。
【0011】
上述のシルクスクリーン法は、ソルダーマスクの上にレジェンドを適用するのにさらに使用され得、該レジェンドは、ソルダーマスクの色と比較して異なる色を有するのが好ましい。ここで、レジェンドは、テストポイント、部品番号、バーコード、警告シンボル、企業ロゴ、製造者マーク、又はその他の種類の情報を示すことができる。別の方法として、レジェンドは、液体フォトイメージング、又はいわゆる「レジェンドインク」を使用するインクジェット法を使用することによって、ソルダーマスクの上に印刷されることができる。ここで使用される一般的な色は、黒、白、及び黄である。ここで、「液体フォトイメージング」とは、プリント回路基板上へのエポキシ樹脂のコーティングとUV現像を含む印刷プロセスを指し、好ましくは、ソルダーマスクの通常の緑色に替えて白色の材料を使用することができる。
【0012】
プリント回路基板に関するさらなる情報については、ここで参照によって取り込む、https://www.7pcb.com/Upload_file/DFM_Guidelines.pdfで入手可能なパンフレット「製造可能性ガイドのためのリジッドPCB設計」(Bittele Electronics Inc.、2017年)を参照されたい。特に40頁7.2.1項で、黒は光沢のある色で、見た目は良いが、トレース、平面、空きスペースと間のコントラストがほとんどなく、また、敏感な構成部品が過熱する危険性が高まる熱の吸収をすることが強調されている。
【0013】
上述の装置が含む利点にかかわらず、簡単で、費用効率がよく、信頼性の高い測定を提供することができる光検出器に対する改良要求が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明によって対処される問題は、この種の既知の装置及び方法の欠点を少なくとも実質的に回避する、光学的検出のための装置及び方法を特定することである。
【0015】
改良された、単純で、コスト効率が良く、なおかつ信頼性の高い、特に赤外スペクトル範囲内で、特に、透過、吸収、放射、反射のうちの少なくとも1つの感知に関する光放射を検出するための検出器を提供することが望ましい。これにより、光検出器は、センサ領域の少なくとも1つによって吸収され得る後方反射を可能な限り避けることができるように好ましくは配置され得る。さらに、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、それらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種から選択される光導電性材料を含む光検出器の生産プロセスは特に変化に敏感であるため、光検出器の生産プロセスにできるだけ影響を与えないように、後方反射の除去又は少なくとも低減を好ましくは達成すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実現されることができる本発明の有利な展開は、従属請求項及び/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0017】
本明細書で使用される場合、「有する」、「備える」、及び「含む」という用語、ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現、ならびに「AはBを備える」、又は「AはBを含む」という表現は、B以外に、Aは1つ以上のさらなる成分及び/又は構成要素を含むという事実、及びB以外に、他の成分及び/又は構成要素がAに存在しない場合の双方を指し得る。
【0018】
本発明の第1の態様では、入射光ビームの光検出のための光検出器が開示されている。ここで、本発明による光検出器は:
- 少なくとも1つの層を担持するように設計された回路キャリアと;
- 前記回路キャリアのパーティションに配置された少なくとも1つの吸収層であって、入射光ビームを少なくとも部分的に吸収するように設計され、赤外線吸収顔料を組み込んでいる吸収層と;
- 直接的又は間接的に前記吸収層に隣接する基板層であって、前記入射光ビームに対して少なくとも部分的に透明である基板層と;
- 少なくとも1つのセンサ領域であって、各センサ領域は、前記基板層上に配置され、前記入射光ビームによる前記センサ領域の照射に依存するように少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されているセンサ領域と;
- 前記少なくとも1つのセンサ信号を評価することによって、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている評価装置と、
を含む。
【0019】
ここで、列挙した構成要素は、別個の構成要素であってよい。代替的に、2つ以上の構成要素が1つの構成要素に統合されていてもよい。好ましくは、評価装置は、他の光学構成要素から独立した別個の評価装置として形成されてもよいが、好ましくは、センサ信号を受信するために、回路キャリアに接続されてよい。ただし他の種類の配置も実現可能である。
【0020】
一般的に使用されるように、「光検出器」という用語は、特に、スペクトル範囲の少なくとも1つの帯域の少なくとも1つの波長を検出するために設計されてよく、該スペクトル範囲の所望の帯域は、紫外(UV)スペクトル範囲、可視(VIS)スペクトル範囲及び/又は赤外(IR)スペクトル範囲から選択されてよい。本発明による光検出器、又は単に本発明による検出器の場合、IR範囲、すなわち、760nmから1000μmのスペクトル範囲が特に好ましい場合がある。
【0021】
本発明によれば、検出器は、少なくとも1つの要素を担持するように設計された回路キャリアを備えている。本明細書で使用する場合、「回路キャリア」という用語は、少なくとも1つの電子的、電気的、及び/又は光学的要素、特に複数のこのような要素、特に、複数の要素を含む配置を担持し、具体的には少なくとも1つの吸収層、基板層、及び以下に詳細に説明するように少なくとも1つのセンサ領域を含むように提供されたキャリアを指し、該キャリアは、これらの電子的、電気的、及び/又は光学的要素を機械的に支持し、電気的に接続するように設計されている。好ましい実施形態では、回路キャリアは平面回路キャリアであってよい。一般的に使用されるように、「平面」という用語は、通常平面体の「表面」と呼ばれ、通常平面体の「厚さ」と呼ばれる3次元拡張の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1000倍の2次元拡張を含む本体を指す。代替の実施形態では、非平面回路キャリア、特にフレックスプリント回路(FPC)又はメカトロニクス集積デバイス(MID)のうちの1つを適用することも可能である。
【0022】
特に好ましい実施形態では、回路キャリアは、通常「PCB」と略されるプリント回路基板であるか、又はそれを含むことができ、該プリント回路基板は、電気的に非導電性の「板」とも表される平面基板を指し、その上に少なくとも1枚の導電性材料、特に銅層が適用され、具体的にはボート上に積層される。1つ以上の電子的、電気的、及び/又は光学的要素をさらに含むこのタイプの回路キャリアを指す他の用語は、プリント回路アセンブリ、短く「PCA」、プリント回路ボートアセンブリ、短く「PCBアセンブリ」又は「PCBA」、回路カードアセンブリ、短く「CCA」又は単に「カード」と示されることもある。PCBでは、絶縁基板は、ガラスエポキシを含むことができ、そこでは、フェノール樹脂を含浸させた綿紙(典型的には黄褐色又は茶色)も基板材料として使用されることができる。シートの数に応じて、プリント回路ボートは、片面PCB、2層もしくは両面PCB、又は多層PCBであり得、そこでは、異なるシートは、いわゆる「ビア(vias)」を使用することによって互いに接続される。本発明の目的のためには、片面PCBの適用で十分かもしれないが、他の種類のプリント回路ボートも適用可能であり得る。両面PCBは両面に金属を有することができ、一方、多層PCBは、追加の金属層を絶縁材料のさらなる層の間に挟むことにより設計され得る。さらに、2つの両面PCBを使用することにより、4層PCBが生成され得、そこでは、2つの第1層は電源及び接地面として使用され、一方、2つの第2層は電気構成要素間の信号配線として使用され得る。多層PCBにおいては、層は、金属、基板、金属、基板、金属などの順序で、交互に積層され得、各金属層は個々にエッチングされ、内部ビアは複数層が一緒に積層される前にめっきされ得る。さらに、ビアは、絶縁ボートを通る導電トンネルとして好ましくは設計され得る銅めっき穴であってもよく、又はそれを含んでいてもよい。この目的のために、スルーホール構成要素も使用されることができ、該スルーホール構成要素は通常基板を通過するワイヤリードによって取り付けられ、反対側のトラック又はトレースにはんだ付けされる。
【0023】
導電性のパターン又は構造、例えばトラック、トレース、パッド、隣接シート間の接続を生成するためのビア、又は固体導電性エリアなどの機能は、シートの選択された領域において、好ましくはシートのパーティションを取り除くことにより、具体的には、エッチング、シルクスクリーン印刷、写真製版、PCBミリング、又はレーザーレジストアブレーションにより、1つ以上のシートに導入することができ、それによって、所望の構造が作成される。エッチングは、好ましくは、PCB上にコーティングされているフォトレジスト材料を使用することにより実行され得、該フォトレジスト材料は続いて露光され、それにより、所望のパターンが生成され得る。本明細書では、フォトレジスト材料は、エッチング溶液への溶解から金属を保護するように適合させることができる。エッチング後、PCBは最終的に洗浄され得る。この方法を使用することにより、特定のPCBパターンが大量に複製され得る。ただし、他の種類の分離方法又は接続方法も適用可能である。例として、PCBに導入されたトラックは、選択された位置に固定されるワイヤとして機能でき、隣接するトラックは、一方では、基板材料によって、他方ではPCBが使用される条件下で電気的に絶縁する流体、具体的には隣接するトラック間の隙間に存在する可能性のある空気又は保護ガスによって、互いに絶縁され得る。さらに、PCBの表面には、ソルダーレジストとも呼ばれるコーティングであって、少なくとも1つのシート内の金属、特に銅を、腐食などの有害な環境影響から保護するように設計されたコーティングが施されている場合があり、このため、はんだ又は剥き出しの裸線によって生成され得る望ましくない短絡が発生する可能性が低くなる。多層PCBでは、内側の金属層が隣接する基板層によって保護されているため、外側の金属層のみがこの方法でコーティングされる。
【0024】
さらに、電子的、電気的、及び/又は光学的要素又は構成要素は、はんだ付け、溶接、もしくは堆積などによって、基板上に配置されてもよく、又は、追加的又は代替として、例えば、この目的のために基板に指定されたシートにそれらを配置することにより、及び/又は回路キャリアのパーティションを意図的に取り除くことにより回路キャリアに埋め込まれてもよい。好ましくは、表面実装部品、特にトランジスタ、ダイオード、ICチップ、抵抗器とコンデンサが、このように、それぞれの構成要素を金属トラック、トレース、又は基板の同じ側のエリアに接続する導電性リードを使用して、PCBに取り付けられる。別の方法として、スルーホール実装は特に電解コンデンサやコネクタなどの拡張された又は体積の大きい構成要素に使用され得る。さらなる代替として、構成要素は基板内に埋め込まれてもよい。さらに、PCBはさらに通常「シルクスクリーン」という用語で示されるPCB上のエリアを含むことができ、その上に構成要素又はテストポイントを識別するレジェンドなどの識別文字を印刷することができる。プリント回路基板のさらなる実施形態については、https://en.wikipedia.org/wiki/Printed_circuit_boardを参照することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。ただし、他の種類の回路キャリアも適用可能である。
【0025】
さらに、本発明によれば、検出器は吸収層を備えており、該吸収層は、回路キャリアのパーティションの上、特に回路キャリアの表面のパーティションの上、より具体的には、プリント回路基板の表面のパーティションの上に配置されることができる。一般に使用されるように、「吸収層(absorptive layer)」又は「吸収層(absorbing layer)」という用語は、入射光ビームを少なくとも部分的に吸収するように設計された層であって、好ましくは、少なくとも部分的に少なくとも1つのセンサ領域を透過した後の入射光ビームが、吸収層によっても、回路キャリアによっても、少なくとも1つのセンサ領域に後方反射されないように設計された層を指す。本明細書で使用される場合、「少なくとも部分的に吸収する」という用語は、50%~100%、好ましくは80%~100%、より好ましくは95%~100%、特に99%~100%の吸収層による入射光ビームの、「吸光度」という用語でも示される吸収の等級を指す。あるいは、吸光度aを使用する代わりに、入射光ビームの透過率tを考慮してもよく、透過率はt=1-aとして定義され得る。したがって、本発明に用いられる吸収層の透過率は、0%~50%、好ましくは0%~20%、より好ましくは0%~5%、特に0%~1%とすることができる。
【0026】
一般的に使用されるように、「光ビーム」という用語は、特定の方向へ放出される、光の量を指す。したがって、光ビームは、光ビームの伝播方向に対して垂直な方向に所定の広がりを有する光線の束であり得る。好ましくは、光ビームは1つ以上のガウス光ビームであるか、又はそれを含んでいてよく、該ガウス光ビームは、ビームウエスト、レイリー長、又は任意のその他ビームパラメータ、又はビーム径の広がり及び/又は空間でのビーム伝播を特徴付けるのに適したビームパラメータの組合せのうちの1つ以上など、1つ以上のガウスビームパラメータによって特徴付けられてよい。
【0027】
本発明によれば、吸収層は、760nm~1000μmの波長の赤外スペクトル範囲の少なくとも一帯域にわたって、好ましくは760nm~1.4μmの近赤外(NIR)スペクトル範囲、又は15μm~1000μmの遠赤外(FIR)スペクトル範囲にわたって、しかし、より好ましくは、少なくとも1.5μm~15μmの中赤外(MIR)にわたって、この吸収等級を示すように設計されることができる。特に、吸収層は、以下に詳述するように、少なくとも1つのセンサ領域の感度範囲の少なくとも一帯域にわたって、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%の範囲にわたって、この吸収等級を示すように設計されることができる。したがって、この構成は、後方反射された光ビームがセンサ領域の1つによって吸収される得ることを回避するか又は少なくとも低減することができる。結果として、具体的には、割り当てられた可能性のあるセンサ領域とは異なるセンサ領域に到達することによって、したがって、この種の検出器での測定中に異なるセンサ信号に寄与することによって、測定結果を悪化させ得る後方反射光線がないか、又は少なくとも減少する。
【0028】
吸収層は、隣接して配置された層、特に基板層と回路キャリアとの間に密接で安定した接続を提供するように選択される厚さを示すことができる。特に、吸収層のために選択される材料に応じて、吸収層の厚さは、100nm~350μm、より好ましくは250nm~120μm、最も好ましくは1μm~65μmとすることができる。本明細書では、吸収層は、好ましくは、基板層及び回路キャリアの両方に隣接して配置され得る正確に1つの連続層であってよい。
【0029】
基板層と回路キャリアの間の固定構造を提供することに加えて、吸収層は接着層とすることができ、したがって少なくとも1つの接着物質を含むことができ、該接着層は、隣接層を接着剤で結合することと比較して、増加した力の適用によってのみ分離し得るように、2つの隣接する層、具体的には基板層と回路キャリアを、分離に対して抵抗性を有するように組み立てるように設計され得る。ここで、接着層は、特に、一方では基板層と吸収層との間に、他方では吸収層と回路キャリアとの間に、隙間が生じないように塗布されることができる。この目的のために、吸収層は、特に、好ましくは、エポキシ、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリル変性ポリマー、ポリエステル、シリコーン、ポリオール、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアセテート、シアノアクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、アクリロニトリル、ゴムセメント、レゾルシノール接着剤、ポリアミドの1つ以上から選択されるのが好ましい有機接着剤又は接着剤を特に含むことができる。
【0030】
代替的又は追加的に、少なくとも1つの吸収層は、樹脂層であることができ、したがって、回路キャリア、特にプリント回路基板の表面上に適用されるように設計され得る少なくとも1つの硬化樹脂を含み得る。ここで、樹脂は、特に、エポキシ、ラッカー、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリシロキサン、又はアルキド樹脂のうちの1つ又は複数から選択されてよい。すでに上に示したように、樹脂層は、好ましくは、シルクスクリーン法を用いて回路キャリアの表面に塗布されることができる。この目的のために、ソルダーマスクオイルの大きな塊を、下方の回路キャリアの上に置かれたスクリーンメッシュを横切って引くことができる。
【0031】
したがって、本発明による光検出器は単一の個別の吸収層、又は代替として、少なくとも2つの個別の吸収層の配置を含んでもよく、該少なくとも2つの吸収層は、好ましくは、積層状に配置されてよいことを強調することができる。一般に、少なくとも1つの吸収層は、樹脂層、接着層、又は同時に接着性を示し得る硬化樹脂を含み得る複合層から選択され得る。例えば、樹脂層は回路キャリア上に直接配置されることができ、該樹脂層の上に接着層が直接配置されることができ、該接着層の上に基板層が直接配置されることができる。しかし、上記の層だけでなく、さらなる層を含むことができる他の種類の層の配置も可能である。
【0032】
したがって、吸収層は、樹脂層又は接着層のうちの少なくとも1つを含むことができ、それらのそれぞれは、上記でより詳細に説明したような吸収等級を示す赤外線吸収顔料を組み込んでいる。一般的に使用されるように、「顔料」という用語は、入射光の色を変化させることができる物質を指す。理論に拘束されることを望まないが、入射光ビームの色は、特定のスペクトル範囲内で入射光ビームの一帯域を吸収されることによって変更されることができ、代替的又は追加的に、発光、具体的には入射光ビームに影響を与える蛍光又は燐光によって変更されることができる。さらに、「顔料」という用語は、通常、外的影響に対して特に安定している、すなわち、数ヶ月、数年、数十年、数百年、数世紀又は数千年といった長期間にわたって入射光の色を変化させることに関する顔料の特性を安定に維持する物質を指す。選択された少なくとも1つの顔料に依存して、吸収層内、具体的には硬化した樹脂又は硬化した有機接着剤を含む相のそれぞれに含まれる顔料の濃度は、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.3質量%~5質量%、特に0.5質量%~2質量%から選択されることができる。
【0033】
特に好ましい実施形態では、赤外線吸収顔料は、カーボンブラック、グラファイト、炭素、ベンタブラック、LaB6、銅粉(copper bronze)、銅クロマイトブラック、コバルトクロマイトブラック、及びマンガンフェライトブラックからなる群から選択されることができる。一般的に使用されるように、ベンタブラックは、垂直方向に整列されたカーボンナノチューブ配列(vertically aligned carbon nanotube arrays)に基づく頭文字をとったものである。ここで、カーボンブラックは、特に入手が容易で低コストの材料として好ましい。さらなる種類の赤外線吸収顔料については、C.E.Kennedyによる「中温から高温の選択性太陽光吸収材料のレビュー」2002年7月,Technical Report,NREL/TP-520-31267、及びGerhard Pfaffによる「無機顔料」126頁,De Gruyter,Berlin,2017を参照することができ、これらは参照によりここに組み込まれる。しかし、追加の種類の赤外線吸収顔料も実現可能である。
【0034】
さらなる実施形態では、吸収層は、代替的又は追加的に、光センサにとって有利であることが証明される得る1つ以上の化学的又は物理的特性を示すことができる。したがって、好ましい実施形態では、吸収層は、特に、基板層と吸収層の間の界面での後方反射を制限するように適合され得る屈折率を有してよい。その結果、より少ない光ビームが、測定結果を悪化させる可能性があるセンサ領域に後方反射され得る。吸収層のさらなる特性も考えられ得る。
【0035】
その結果、経済的な方法で後方反射を増加させるために、本発明による吸収層と同じ位置における反射層、具体的には反射金コーティングを開示したWO2018/193045A1と特に対照的に、本願は後方反射を可能な限り回避しようとしている。後方反射を増加させること、特にWO2018/193045A1における後方反射を増加させることは、光ビームをセンサ層に向け直すことにより、信号対ノイズ比を高めるため、特にシングルピクセルの適用、すなわち、単一のセンサ層を含む光検出器に対して有利であり得るのに対し、本発明により後方反射を減少させることは、特にセンサ領域間、具体的には隣接するセンサ領域間の交差検出を回避又は少なくとも減少させ、したがって、少なくとも1つのセンサ信号に基づく測定の悪化を回避するか、又は少なくとも減少させるため、特に、マルチピクセルの適用、すなわち、複数のセンサ領域を含む光検出器に対して有利であり得る。
【0036】
さらに本発明によれば、検出器は、少なくとも1つの感光性材料を含む少なくとも1つのセンサ領域を備え、該センサ領域のそれぞれは、検出器のセンサ領域として機能することができる。本明細書で使用される場合、「センサ領域」は、光ビームによる検出器の照射を受けるように設計された検出器の区画と考えられ、センサ領域によって受けられるような照射が少なくとも1つのセンサ信号の生成を引き起こし、該センサ信号の生成は、センサ信号とセンサ領域の照射の方法との間の定義された関係によって支配され得る。
【0037】
好ましくは、光検出器は、少なくとも2つの個別のセンサ領域、好ましくは個別のセンサ領域のアレイを含み得、それらの上面は、特にセンサ層の形態で構成され、隣接するセンサ領域は隙間によって互いに対して分離されてよい。結果として、マルチピクセルの適用が可能となり、それによれば、入射光ビームは、個々のセンサ領域の一部にのみ入射する可能性があり、各センサ領域は続いて対応するセンサ信号を生成する。このようにして、入射光ビームの少なくとも1つの特性に関して、具体的には、光ビームの入射位置に関して、又は、限定されないが色もしくは偏光を含む物理的な特性に関して、様々な入射光ビームを区別することができる。
【0038】
一般的には、交差検出は、複数のセンサ領域を有する光検出器において、センサ領域間で、特に隣接するセンサ領域間で容易に発生することができ、それは、したがってマルチピクセル適用を可能にするが、本発明は、少なくとも2つの単一センサ領域を有する光検出器において、センサ領域間、特に隣接するセンサ領域間での交差検出を回避し、少なくとも減少させることができる。しかし、US2007/145420A1の開示から出発する当業者は、この利点を達成するための動機をそこに見出すことができない。US2007/145420A1は反射防止層を開示しているが、反射層を
図5の反射防止層によって置き換えることの以下の全く異なる動機を示している:
- 反射防止層は、光透過性基板から半導体基板を介して配線層の方向に入射される赤外線を吸収し、透過を防止する機能を有する;
- さらに、このことは赤外線が配線層によって受光素子側に反射されることを効果的に防止する;
- 従って、半導体基板の裏面に形成された配線層のパターンや導電端子は出力画像に反射されることを効果的に防止され、
又は、
図8の反射防止層によって、それぞれ防止され、そこでは、該反射防止層は半導体基板の側面全体を被覆している:
- かかる構成は、光透過性基板を透過した赤外線が半導体基板の側面に沿って形成された配線層によって受光素子に反射されることを防止し、このことは、半導体基板の側面に沿って形成された配線層のパターンが出力画像に反射されることを防止する;
- 受光素子は正確に光透過性基板からの光のみを受光し、それによって受光素子の検知精度を向上させる。
【0039】
その結果、US2007/145420A1は、センサ領域間、特に隣接するセンサ領域間の混線については言及していないため、当業者に本開示を上記の目的に使用するための動機付けを提供することができない。むしろ、少なくとも2つの個別のセンサ領域を含む光検出器を使用するためのヒントを当業者に提供しないままである。
【0040】
さらに、US2007/145420A1とWO2018/193045A1の組み合わせも、当業者に何の動機も与えられない。むしろ、WO2018/193045A1は、単一のセンサ層(シングルピクセルの適用)における検出強度を高めるための反射層を提案している。明らかに、当業者は、US2007/145420A1の検出器の修正し、少なくとも2つの個別のセンサ領域を含む光検出器に到達するための動機をそこから引き出すことはできない。
【0041】
センサ信号は一般に、測定されるべき所望の光学特性、特に、入射光ビームの透過率、吸収率、放射率及び反射率、又は物体の位置を示す任意の信号であり得る。一例として、センサ信号は、デジタル信号及び/又はアナログ信号であってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。一例として、センサ信号は、電圧信号及び/又は電流信号であってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。追加的又は代替的に、センサ信号は、デジタルデータであってもよく、又はそれらを含んでいてもよい。センサ信号は、単一の信号値及び/又は一連の信号値を含んでよい。センサ信号は、さらに、例えば2つ以上の信号を平均すること、及び/又は2つ以上の信号の商を形成することによってなど、2つ以上の個別の信号を組み合わせることによって導出される任意の信号を含んでもよい。
【0042】
好ましい実施形態において、少なくとも1つのセンサ領域に含まれる少なくとも1つの感光性材料は、色素太陽電池、光導電性材料、及び量子ドットからなる群から選択されてもよく、光導電性材料が特に好ましい。色素太陽電池に関するさらなる詳細については、WO2012/110924A1及びWO2014/097181A1を参照することができる。
【0043】
特にWO2016/120392A1に基づいて、「光導電性材料」という用語は、本明細書で使用される場合、電流を維持することができ、したがって、特定の電気伝導度を示す材料を指し、電気伝導度は特に、材料の照射に依存する。電気抵抗率は、電気伝導度の逆数値として定義されるため、代替的に、「光抵抗性材料」という用語もまた同じ種類の材料を示すために使用され得る。光導電性材料は、好ましくは、無機光導電性材料、特に、薄膜半導体又はナノ粒子光導電性材料;有機光導電性材料、特に有機半導体;それらの組み合わせ、それらの固溶体、及び/又はそれらをドープした変種を含むことができる。本明細書で使用される場合、「固溶体」という用語は、少なくとも1種の溶質が溶媒中に含まれ、それによって均一相が形成され、そこでは溶媒の結晶構造が一般的に溶質の存在によって不変であり得る光導電性材料の状態を指す。例として、2成分のセレン化鉛(PbSe)は硫化鉛(PbS)中で溶解され、PbS1-xSexに至ることができ、そこではxの値は0から1の範囲で変動し得る。本明細書でさらに使用される場合、「ドープした変種」という用語は、材料自体の成分から離れた単一の原子が、非ドープ状態では固有原子によって占有される結晶内の部位に導入される光導電性材料の状態を指し得る。
【0044】
これに関して、無機光導電性材料は、特に、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素又は化合物、すなわち第4族に属する元素又は少なくとも1種の第4族元素を有する化合物、第3-第5族化合物、すなわち少なくとも1種の第3族元素と少なくとも1種の第5族元素とを有する化合物、第2-第6族化合物、すなわち、一方で、少なくとも1種の第2族元素又は少なくとも1種の第12族元素を有し、他方で、少なくとも1種の第6族元素を有する化合物、及び/又はカルコゲニドである。しかし、他の無機光導電材料も同様に適切である。
【0045】
上述のように、カルコゲニドは、硫化カルコゲニド、セレン化カルコゲニド、テルル化カルコゲニド、三元カルコゲニド、四元以上のカルコゲニドを含む群から選択されるのが好ましく、センサ領域に使用するのに適切となり得ることが好ましい。一般的に使用される場合「カルコゲニド」という用語は、酸化物以外に周期表の第16族元素を含み得る化合物、すなわち硫化物、セレン化物、及びテルル化物を指す。特に、光導電性材料は、硫化カルコゲニド好ましくは硫化鉛(PbS)、セレン化カルコゲニド好ましくはセレン化鉛(PbSe)、テルル化カルコゲニド好ましくはテルル化カドミウム(CdTe)、又は三元カルコゲニド好ましくはテルル化水銀亜鉛(HgZnTe;MZT)であるか、又はそれを含むことができる。少なくとも言及された好ましい光導電性材料は一般に赤外スペクトル範囲内で独特の吸収特性を示すことが知られているため、言及された光導電性材料の1つを含むセンサ領域は、好ましくは赤外線センサとして使用され得る。しかしながら、他の実施形態及び/又は他の光導電性材料、特に以下に記載される光導電性材料もまた実現可能であり得る。
【0046】
特に、硫化カルコゲニドは、硫化鉛(PbS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化水銀(HgS)、硫化銀(Ag2S)、硫化マンガン(MnS)、三硫化ビスマス(Bi2S3)、三硫化アンチモン(Sb2S3)、三硫化ヒ素(As2S3)、硫化スズ(II)(SnS)、二硫化スズ(IV)(SnS2)、硫化インジウム(In2S3)、硫化銅(CuS又はCu2S)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS)、二硫化モリブデン(MoS2)、二硫化鉄(FeS2)及び三硫化クロム(CrS3)を含む群から選択され得る。
【0047】
特に、セレン化カルコゲニドは、セレン化鉛(PbSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、三セレン化ビスマス(Bi2Se3)、セレン化水銀(HgSe)、三セレン化アンチモン(Sb2Se3)、三セレン化ヒ素(As2Se3)、セレン化ニッケル(NiSe)、セレン化タリウム(TlSe)、セレン化銅(CuSe又はCu2Se)、二セレン化モリブデン(MoSe2)、セレン化スズ(SnSe)及びセレン化コバルト(CoSe)及びセレン化インジウム(In2Se3)を含む群から選択され得る。さらに、言及された化合物又は他のこの種の化合物の固溶体及び/又はこれらをドープした変種もまた実現可能であり得る。
【0048】
特に、テルル化カルコゲニドは、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化水銀(HgTe)、三テルル化ビスマス(Bi2Te3)、三テルル化ヒ素(As2Te3)、三テルル化アンチモン(Sb2Te3)、テルル化ニッケル(NiTe)、テルル化タリウム(TlTe)、テルル化銅(CuTe)、二テルル化モリブデン(MoTe2)、テルル化スズ(SnTe)、及びテルル化コバルト(CoTe)、テルル化銀(Ag2Te)、及びテルル化インジウム(In2Te3)を含む群から選択され得る。さらに、言及された化合物又は他のこの種の化合物の固溶体及び/又はこれらをドープした変種もまた実現可能であり得る。
【0049】
特に、三元カルコゲニドは、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫化水銀カドミウム(HgCdS)、硫化鉛カドミウム(PbCdS)、硫化鉛水銀(PbHgS)、二硫化銅インジウム(CuInS2;CIS)、硫セレン化カドミウム(CdSSe)、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)、硫セレン化タリウム(TlSSe)、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS)、硫化カドミウムクロム(CdCr2S4)、硫化水銀クロム(HgCr2S4)、硫化銅クロム(CuCr2S4)、セレン化カドミウム鉛(CdPbSe)、二セレン化銅インジウム(CuInSe2)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、硫化一酸化鉛(Pb2OS)、セレン化一酸化鉛(Pb2OSe)、スルホセレン化鉛(PbSSe)、セレン化テルル化ヒ素(As2Se2Te)、亜セレンカドミウム(CdSeO3)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)及びセレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、上記の二元カルコゲニド及び/又は以下に列挙されている第3-5族二元化合物に属する化合物の適用によるさらなる組み合わせを含む群から選択され得る。さらに、言及された化合物又は他のこの種の化合物の固溶体及び/又はこれらをドープした変種もまた実現可能であり得る。
【0050】
四元以上のカルコゲニドに関して、この種の材料は適切な光導電特性を示すことが知られ得る四元以上のカルコゲニドから選択されてもよい。特に、Cu(In,Ga)S/Se2又はCu2ZnSn(S/Se)4の組成を有する化合物はこの目的に対し適している。
【0051】
第3族-第5族化合物に関して、この種の半導体材料は、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BA)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)及びアンチモン化ガリウム(GaSb)を含む群から選択され得る。さらに、言及された化合物又は他のこの種の化合物の固溶体及び/又はこれらをドープした変種もまた実現可能であり得る。
【0052】
第2族-第6族化合物に関して、この種の半導体材料は、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)及びセレン化水銀亜鉛(CdZnSe)を含む群から選択され得る。ただし、他の第2族-第6族化合物も使用できる場合がある。さらに、言及された化合物又は他のこの種の化合物の固溶体もまた実現可能であり得る。
【0053】
金属酸化物に関して、この種の半導体材料は、光導電性を示し得る既知の金属酸化物、特に、酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(CuO2)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銀(Ag2O)、酸化マンガン(MnO)、二酸化チタン(TiO2)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(PbO)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化カドミウム(CdO)、フェライト(Fe3O4)、及びペロブスカイト酸化物(ABO3、式中、Aは二価陽イオン、Bは四価陽イオン)を含む群から選択され得る。さらに、三元又は四元以上の金属酸化物も適用し得る。さらに、言及された化合物又は他のこの種の化合物の固溶体及び/又はこれらをドープした変種であって、化学量論的化合物又は非化学量論的化合物であり得るものも適し得る。後でより詳細に説明するとおり、透明性又は半透明性をも同時に示し得る金属酸化物を選択することが好ましい可能性がある。
【0054】
第4族の元素又は化合物に関して、この種の半導体材料は、ドープダイヤモンド(C)、ドープシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)及びシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む群から選択され、そこでは半導体材料は、結晶材料、微結晶材料、又は好ましくは、アモルファス材料から選択され得る。
【0055】
一般的に使用される場合「アモルファス」という用語は、半導体材料の非結晶性の同素体相を指す。特に、光導電性材料は、少なくとも1つの水素化アモルファス半導体材料を含むことができ、そこではアモルファス材料はさらに材料に水素を適用することにより不動態化されており、それによって、理論に拘束されることを望まないが、材料内のダングリングボンドの数が数桁規模で減少しているように思われる。特に、水素化アモルファス半導体材料は、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)、水素化アモルファスシリコンカーボン合金(a-SiC:H)、又は水素化アモルファスゲルマニウムシリコン合金(a-GeSi:H)からなる群から選択され得る。しかし、他の種類の材料、例えば水素化微結晶シリコン(μc-Si:H)などもまたこの目的に使用され得る。
【0056】
あるいは又はさらに、有機光導電性材料は、特に有機化合物であるか又はそれを含んでいてもよく、特に適切な光導電特性を有することで知られている有機化合物、好ましくはゼログラフィにおいて一般に使用される化合物であるポリビニルカルバゾールであってもよい。しかしながら、WO2016/120392A1にさらに詳細に記載されている多数の他の有機分子もまた実現可能であり得る。
【0057】
さらに好ましい実施形態では、光導電性材料は量子ドットを含み得るコロイド膜の形態で提供され得る。同じ材料の均一層に関して少し又は大幅に変更された化学的及び/又は物理的特性を示し得る光導電性材料のこの特定の状態は、したがって、コロイド量子ドット(CQD)と表わされ得る。本明細書で使用される場合、「量子ドット」という用語は、光導電性材料の状態であって、光導電性材料が、例えば3つの空間次元すべてにおいて通常「ドット」と呼ばれる小さい容積に閉じ込められる電子又は正孔のような導電性粒子を含み得る状態を指す。
【0058】
ここで、量子ドットは、簡単に言えば、言及した粒子の容積と近似し得る球の直径と捉えることができるサイズを示し得る。この好ましい実施形態では、光導電性材料の量子ドットは特に、1nmから100nm、好ましくは2nmから100nm、より好ましくは2nmから15nmの範囲のサイズを示すことができ、ただし、特定の薄膜に実際に含まれる量子ドットは該特定の薄膜の厚さよりも小さいサイズを示し得る。実際、量子ドットは、界面活性剤分子にキャップされ、コロイド膜を形成するように溶液中で分散させることができるナノメートル規模の半導体結晶を含み得る。ここで、界面活性剤分子は、特に選択された界面活性剤分子の近似の空間的拡張の結果として、コロイド膜内の個々の量子ドット間の平均距離を決定することを可能にするように選択され得る。さらに、配位子の合成に応じて、量子ドットは親水性又は疎水性の特性を示し得る。CQDは気相、液相、又は固相のアプローチを適用することによって生成され得る。これにより、特に溶射、コロイド合成、又はプラズマ合成など既知の方法を採用することによってCQDの合成のための様々な方法が可能である。ただし、他の生産方法も実現可能である。
【0059】
さらにこの好ましい実施形態では、量子ドットに使用される光導電性材料は、好ましくは、上述の光導電性材料のうちの1つから、より具体的には、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ペロブスカイト構造材料ABC3(式中、Aはアルカリ金属又は有機陽イオンを示し、BはPb、Sn又はCuを示し、Cはハロゲン化物及び硫化銅亜鉛スズ(CZTS)を示す)を含む群から選択され得る。さらに、言及された化合物又は他のこの種の化合物の固溶体及び/又はこれらをドープした変種もまた実現可能であり得る。この種の材料のコアシェル構造も実現可能であり得る。しかし、他の光導電性材料もまた実現可能であり得る。
【0060】
本明細書では、特に少なくとも1つの感光性材料を含む各センサ領域は、基板層の表面にセンサ層の形で上面に少なくとも1つのセンサ領域を堆積する少なくとも1つの堆積方法を適用することにより製造されることができ、該堆積方法は、好ましくは、化学浴堆積、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬成長、逐次イオン吸着及び反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、及び、溶液-ガス界面技法、からなる群から選択される。結果として、各センサ領域は、10nm、好ましくは100nm、特に300nmから100μmまで、好ましくは10μmまで、特に5μmまでの範囲の厚さを示すことができ、しかしそれでも、例えばIRスペクトル範囲、すなわち760nmから1000μmまで、特にMidIRスペクトル範囲、すなわち1.5μmから15μmまでの波長の1/2又は1/4のような、入射ビーム又はその一部の波長を下回る厚さを示す可能性がある。
【0061】
特に好ましい実施形態では、各センサ領域は、特に、各センサ領域と基板層との間に隙間が残らないように、又は生成されないように、基板層に直接的又は間接的に適用されてもよい。吸収層への入射光ビームの高い透過を可能にするために、基板層は両方の入射光ビームに対して少なくとも部分的に透明であってよい。この目的のために、基板層は、好ましくは、ガラス、石英、シリコン(Si)、透明導電性酸化物(TCO)、又は透明有機ポリマーから選択される基板材料を含み得る。特に、透明導電性酸化物(TCO)は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、インジウム酸化スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO2:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、又はペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択される。しかしながら、所望の波長範囲に応じて、他の種類の基板材料も基板層として採用され得る。
【0062】
本発明の特に好ましい実施形態では、検出器は、回路キャリアを介して少なくとも1つのセンサ信号を評価装置に伝送するように設計された少なくとも2つの個別の電気接点を各センサについてさらに有することができる。本明細書で使用される場合、「センサ領域に接触する」という用語は、それぞれの接点と対応するセンサ領域との間の導電接続を指し、各電気接点が対応するセンサ領域の表面のある位置に配置されるように構成された導電接続を指す。この目的のために、少なくとも2つの個々の電気接点は、特に、個別の電気接点のうち少なくとも2つが互いに対して電気的に絶縁されるように、各センサ領域に含まれる光導電性材料の異なる位置に適用されてよい。ここでは、少なくとも2つの電気接点のそれぞれは、たとえば各センサ領域と評価装置との間の搬送経路における追加の抵抗によるものなど、特に可能な限り少ない損失でセンサ信号を取得するために、好ましくは、各電極と各センサ領域の直接的な電気接触が実現されるように構成され得る。代替の実施形態では、センサ領域の少なくとも1つは、センサ信号を評価装置に非接触で伝送することを可能にすることができる構成で配置することができる。
【0063】
結果として、光ビームによるセンサ領域の入射時に、少なくとも2つの電気接点は、少なくとも1つのセンサ領域の照射に依存するセンサ信号を評価装置に提供することができる。本明細書において、電気接点は、既知の蒸着技術によって容易に提供され得る蒸着金属層を含むことができる。特に、蒸着金属層は、金、銀、アルミニウム、白金、マグネシウム、クロム、又はチタンのうちの1つ以上を含むことができる。あるいは、電気接点は高導電性グラフェン層を含み得る。
【0064】
この種の材料において、電流は、少なくとも1つの第1電気接点を介し、材料を通って、少なくとも1つの第2電気接点に導かれ、該第1電気接点は該第2電気接点から絶縁され、一方、該第1電気接点及び該第2電気接点の両方が材料と直接接続されている。この目的のために、該直接接続は、技術水準から知られる任意の既知の手段、例えば、ワイヤボンディング、メッキ、溶接、はんだ付け、超音波熱圧着、ステッチボンディング、ボールボンディング、ウェッジボンディング、コンプライアントボンディング、熱圧着、陽極接合、直接ボンディング、プラズマ活性化接合、共晶接合、ガラスフリットボンディング、接着結合、過渡液相拡散接合、表面活性化接合、テープ自動接合、又は、高導電性物質、特に金、ベリリウムドープ金、銅、アルミニウム、銀、白金、又はパラジウム、ならびに上述の金属のうちの少なくとも1つを含む合金のような金属を接触領域で堆積させることによって提供されることができる。
【0065】
特に好ましい実施形態では、ワイヤボンドは、センサ領域に接触する各電気接点と、好ましくは回路キャリア上、特にプリント回路基板(PCB)上にさらに配置され得る接触パッドなどの対応する受信接点との間の直接接続を提供するために使用されてよい。この種の構成は、少なくとも1つのセンサ領域と評価装置の容易な接触を可能にすることができ、該電気接触は、センサ信号を回路キャリアに伝送し、その後、評価装置に伝送するように設計されてよい。
【0066】
本発明のさらなる、特に好ましい実施形態では、検出器は、さらに、カバー層を含んでよい。ここで、カバー層は、少なくとも1つのセンサ領域上に、好ましくは、センサ領域に直接接触するように、堆積され得る。好ましい実施形態では、カバー層は、センサ領域のアクセス可能な表面を完全に覆うことができるように堆積されてよい。好ましくは、カバー層は、少なくとも1つの金属含有化合物を含む非晶質層であってよい。しかし、他の種類のカバー層も実現可能である。好ましくは、カバー層を堆積させるために、少なくとも1つの堆積方法が使用され得る。
【0067】
特に好ましい実施形態では、カバー層は、少なくとも1つのセンサ領域を封入するように適合させるために、各センサ領域のアクセス可能な表面を完全に覆うことができる。本明細書で使用される場合、「封入」という用語は、特に、例えば周囲雰囲気に含まれる湿度及び/又は酸素のような外的影響による、センサ領域又はその区画の部分的又は完全な劣化を可能な限り回避するためのパッケージ、好ましくは気密パッケージを指し得る。ここで、パッケージは、好ましくは、各センサ領域のすべてのアクセス可能な表面を覆うように適合されることができ、ここで、該各センサ領域は、センサ領域の表面のパーティションを保護するように既に適合された基板層上に堆積され得るということは考慮されてよい。言い換えれば、基板層とカバー層は、センサ領域の改良されたパッケージング、好ましくは改良された気密パッケージングを完成させるように協働するように適合され得る。
【0068】
特に好ましい実施形態では、カバー層は、10nm~600nm、好ましくは20nm~200nm、より好ましくは40nm~100nm、最も好ましくは50~75nmの厚さを示し得る。この厚さは、特に、各センサ領域の封入を提供する機能を達成するのに有利であり得るカバー層内の金属含有化合物の量を反映し得る。本明細書では、カバー層は、各センサ領域の隣接表面に関して共形(conformal)であり得る。一般的に使用されるように、共形カバーの厚さは、したがって、±50nm、好ましくは±20nm、最も好ましくは±10nmの偏差内で少なくとも1つのセンサ領域の対応する表面に追従してよく、該偏差は、カバー層の表面の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%で生じ、これによってカバー層の表面に存在し得る如何なる汚染又は不完全性を除外することができる。
【0069】
さらに、カバー層は、封入を提供する機能に加えて、少なくとも1つのさらなる機能、特に高屈折率、第2の光フィルタ、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、及び導電層の機能を示すように適合されてよい。他の機能もまた可能であり得る。
【0070】
特定の実施形態では、特に、カバー層に所望のさらなる機能を提供することが適切ではない場合、又は選択されたカバー層によって提供されるさらなる機能の程度が十分ではない場合、カバー層は、カバー層上に少なくとも部分的に堆積される少なくとも1つの追加の層によって少なくとも部分的にさらに覆われてもよい。好ましくは、追加の層はさらなる機能であるか又はそれを示すことができ、したがって、反射防止層、第2の光フィルタ、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、又は導電層のうちの少なくとも1つを含むことができる。ここで、当業者は、少なくとも1つの追加の層を容易に選択し提供することができる。しかしながら、他の実施形態もまた可能であり得る。
【0071】
好ましい実施形態では、カバー層は電気接点を部分的に又は完全に覆うことができ、特に、外部回路への1つ以上のリード線などに接合可能であるように構成されてよい。ここで、電気接点は、金又はアルミニウムワイヤなどのワイヤを使用することによって接合可能であり得、ここで該電気接点は、好ましくは、カバー層を通して接合可能であり得る。特定の実施形態では、さらなる接着層が電気接点に設けられてよく、さらなる接着層は特に接合に適合され得る。この目的のために、前記さらなる接着層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0072】
本発明によれば、検出器は、この文献の他の部分に記載されているような光センサのうちの少なくとも1つを含んでいる。したがって、検出器は、好ましくは、赤外(IR)スペクトル範囲が特に好ましい場合があるかなり広いスペクトル範囲で、電磁放射を検出するように設計されてよい。ここで、センサ領域内で高感度を達成するために、2.6μmまでの波長においては、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、3.1μmまでの波長においてはヒ化インジウム(InAs)、3.5μmまでの波長においては硫化鉛(PbS)、5μmまでの波長においてはセレン化鉛(PbSe)、5.5μmまでの波長においてはアンチモン化インジウム(InSb)、16μmまでの波長においてはテルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)が特に選択され得る。
【0073】
さらに、本発明によれば、検出器は、センサ信号を評価することにより、入射光ビームによって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置を含む。本明細書で使用される場合「評価装置」という用語は、一般的に、情報項目を生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価装置は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などの1つ以上の集積回路、及び/又は1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は1つ以上のコンピュータ、好ましくは1つ以上のマイクロコンピュータ及び/又はマイクロコントローラなどの1つ以上のデータ処理装置であるか、又はこれらを備え得る。追加の構成要素は、例えば1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタなどのセンサ信号を受信及び/又は前処理するための1つ以上の装置などの1つ以上の前処理装置、及び/又はデータ取得装置などを含み得る。さらに、評価装置は、1つ以上のデータ保存装置を含み得る。さらに、上記で概説したとおり、評価装置は、1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースなどの1つ以上のインターフェースを含み得る。
【0074】
既に言及したように、検出器は、入射光ビームに関する少なくとも1つの情報項目、例えば、透過率、吸収率、放射率、反射率、及び/又は、光ビームを放出又は反射する少なくとも1つの物体の位置を提供するように適合された装置である。検出器は、固定式装置、又は移動式装置であってよい。さらに、検出器は独立型装置であってもよく、あるいはコンピュータ、車両又は如何なる他の装置のような別の装置の一部を形成していてもよい。さらに、検出器は携帯型装置であってよい。検出器の他の実施形態も実現可能である。
【0075】
光学的検出のための検出器又はその任意の構成要素に関するさらなる情報については、WO2014/097181A1及びWO2018/019921A1を参照することができる。
【0076】
本発明のさらなる態様では、入射光ビームの光学的検出のための光検出器を製造する方法を開示している。該方法は、好ましくは、本発明による少なくとも1つの検出器、例えば以下でさらに詳しく説明するこの文献の他の部分に開示されている1つ以上の実施形態による少なくとも1つの検出器などを製造又は生産するために使用され得る。したがって、該方法の任意の実施形態については、検出器の様々な実施形態の説明を参照することができる。
【0077】
この方法は、与えられた順序で又は異なった順序で実行されることができる以下のステップを含む。さらに、記載されていない追加の方法ステップが提供されてもよい。特に明記されない限り、方法ステップのうちの2つ以上、又はすべてさえも、少なくとも部分的に同時に実行されてよい。さらに、方法ステップの2つ以上又はすべてさえも、2回以上繰り返し実行されてよい。
【0078】
本発明による光検出器の製造方法は、以下のステップ:
a)回路キャリアのパーティション上に、少なくとも1つの吸収層を堆積させるステップであって、前記吸収層は入射光ビームを少なくとも部分的に吸収するように設計され、前記吸収層は赤外線吸収顔料を組み込んでいるステップと;
b)少なくとも部分的に透明な基板層上に感光性材料を堆積することにより、少なくとも1つのセンサ領域を生成するステップであって、前記各センサ領域は、入射光ビームによるセンサ領域の照射に依存する方式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されているステップと;
c)前記吸収層上に前記センサ領域を担持する前記基板層を配置するステップと;
d)評価装置を提供するステップであって、該評価装置は前記少なくとも1つのセンサ信号を評価することによって少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されているステップと、
を含む。
【0079】
したがって、ステップa)によれば、赤外線吸収顔料を組み込んでいる1つ以上の吸収層は、最初に、回路キャリアのパーティション上、特にプリント回路基板(PCB)上に堆積され得る。結果として、吸収層は、好ましくは、この文献の他の部分でより詳細に説明されている樹脂層又は接着層の少なくとも1つであるか、又はそれを含むことができる。独立して、少なくとも1つのセンサ領域は、基板層上に感光性材料を堆積させることにより、ステップb)にしたがって生成される。続いて、少なくとも1つのセンサ領域を担持する基板層は、ステップb)にしたがって、1つ以上の吸収層上に配置され、それによって、吸収層は、入射光ビームを少なくとも部分的に吸収することができる所望の位置に配置され得る。したがって、後方反射光ビームは、センサ領域の1つによって少なくとも部分的に吸収され得る。その結果、上で詳しく説明したように、測定結果を悪化させるような後方反射光ビームがないか、少なくとも少ない。
【0080】
その後、センサ層に接触するために、少なくとも2つの個別の電気接点が設けられてよく、該電気接点は、回路キャリアを介してセンサ信号を評価装置へ伝送するように設計されている。したがって、各センサ領域と評価装置との間に電気接続を提供するために少なくとも2つの個別の電気接点が適用されてよく、該電気接続は、好ましくは、個々の電気接点と、対応する受信接点、例えば好ましくは、PCBなどの回路キャリア上にさらに配置され得る接触パッドなどの受信接点との間にワイヤボンドを適用することによって得られる。
【0081】
特に好ましい実施形態では、吸収層は、ステップa)の前に、撹拌又は混合の少なくとも一方などによって、赤外線吸収顔料を樹脂層又は接着層の少なくとも一方に、添加することによって得られてよい。ここで、赤外線吸収顔料は、好ましくは、この文献の他の部分で言及されているような顔料の少なくとも1つから選択されてよい。
【0082】
さらに好ましい実施形態では、各センサ領域は、好ましくは基板層と各センサ領域との間に間隙が残らないよう又は隙間が生じないようにして、基板層に直接的又は間接的に適用されてよい。この目的のために、少なくとも1つのセンサ領域は、堆積方法を使用することによって適用され得、該堆積方法は、好ましくは、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学浴堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬成長、逐次イオン吸着及び反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、及び、溶液-ガス界面技法、からなる群から選択される。
【0083】
上述のように、所望の検出器は、一般に、入射光ビームによるセンサ領域の少なくとも1つの照射に応じて、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。この目的のために、少なくとも1つのセンサ領域に電気的に接触するように適合された少なくとも2つの電気接点がさらに設けられてよい。一般に、電気接点は、方法ステップa)又はb)のいずれか1つの前又はその間に、設けられることができる。特に好ましい実施形態では、電気接点は、公知の蒸着技術などによって蒸着金属層を使用することによって設けられることができ、ここで、金属層は特に銀、アルミニウム、白金、マグネシウム、クロム、チタン、金、又は高導電性グラフェンのうちの1つ以上を含むことができる。あるいは、電気接点は、無電解Ni、無電解Au、ガルバニックNi、又はガルバニックAuなどの、ガルバニック又は化学堆積プロセスによって設けられることができる。
【0084】
さらに、カバー層は、電気接点を完全に又は部分的に覆う方式で少なくとも1つのセンサ領域上に堆積されてよい。この特定の実施形態では、電気接点は、カバー層によって少なくとも部分的に好ましくは完全に覆われ、したがって、導電性リード線を使用することにより、好ましくはワイヤの形態で、特に金(Au)、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)のワイヤを使用することにより、少なくとも1つの外部接続に接合されることができ、該導電性リード線は、特に、カバー層を通して電気接点に接合されることができる。例として、カバー層によって覆われた金(Au)接点は、続いて、ワイヤボンディングによって接続されることができる。
【0085】
すでに上述したように、少なくとも1つの追加の層がさらにカバー層又はその区画上に堆積されることができる。本明細書において、追加の層は、追加の光学フィルタ層、反射防止層、接着層、封入層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、又は導電層の少なくとも1つであるか又はこれらを含むことができるように選択され得る。
【0086】
加えて、光検出器の製造プロセスに関するさらなる詳細は、この文献の他の部分に記載されている。
【0087】
本発明による装置は、バンプチップキャリア、セラミックリードレスチップキャリア、リードレスチップキャリア、リードチップキャリア、リードセラミックチップキャリア、デュアルリードレスチップキャリア、プラスチックリードチップキャリア、パッケージオンパッケージチップキャリアなどの、表面実装テクノロジーパッケージと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、標準スルーホール又はソースマウント技術の半導体パッケージ、例えばDO-204、DO-213、金属電極リーフレス面、DO-214、SMA、SMB、SMC、GF1、SOD、SOT、TSOT、TO-3、TO-5、TO-8、TO-18、TO-39、TO-46、TO-66、TO-92、TO-99、TO-100、TO-126、TO-220、TO-226、TO-247、TO252、TO-263、TO-263、THIN、SIP、SIPP、DFN、DIP、DIL、Flat Pack、SO、SOIC、SOP、SSOP、TSOP、TSSOP、ZIP、LCC、PLCC、QFN、QFP、QUIP、QUIL、BGA、eWLB、LGA、PGA、COB、COF、COG、CSP、Flip Chip、PoP、QP、UICC、WL-CSP、WLP、MDIP、PDIP、SDIP、CCGA、CGA、CERPACK、CQGP、LLP、LGA、LTCC、MCM、MICRO SMDXTなどと組み合せされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、OPGA、FCPGA、PAC、PGA、CPGAなどのピングリッドアレイ(PGA)と組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、CFP、CQFP、BQFP、DFN、ETQFP、PQFN、PQFP、LQFP、QFN、QFP、MQFP、HVQFP、SIDEBRAZE、TQFP、TQFN、VQFP、ODFNなどのフラットパッケージと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、SOP、CSOP MSOP、PSOP、PSON、PSON、QSOP、SOIC、SSOP、TSOP、TSSOP、TVSOP、μMAX、WSONなどの小型アウトラインパッケージと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、CSP、TCSP、TDSP、MICRO SMD、COB、COF、COGなどのチップスケールパッケージと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、FBGA、LBGA、TEPBGA、CBGA、OBGA、TFBGA、PBGA、MAP-BGA、UCSP、μBGA、LFBGA、TBGA、SBGA、UFBGAなどのボールグリッドアレイと組み合わされて使用されることができる。さらに、本発明による装置は、SiP、PoP、3D-SiC、WSI、近接通信などの、チップインマルチチップパッケージなどのさらなる電子装置と組み合わされることができる。集積回路パッキングに関するさらなる情報については、以下の出典を参照することができる。
- https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_integrated_circuit_packaging_types 又は、
- https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_integrated_circuit_package_dimensions
本発明のさらなる態様では、本発明による検出器の使用が開示される。一般的に、検出器は、検出器システム、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システム、及びカメラに使用されてもよい。さらなる詳細については、WO2018/193045A1を参照することができる。
【0088】
特に、検出器の使用の目的は、ガス検知用途、火災検出用途、火炎検出用途、熱検出用途、煙検出用途、燃焼監視用途、分光法用途、温度感知用途、動き感知用途、工業監視用途、化学感知用途、排気ガス監視用途、セキュリティ用途からなる群から選択される。特に、検出器は、赤外線検出用途、熱検出用途、温度計用途、熱追求用途、火炎検出用途、火災検出用途、煙検出用途、温度感知用途、分光法用途などに使用されることができる。さらに、検出器は、排気ガスの監視、燃焼プロセスの監視、工業プロセスの監視、化学プロセスの監視、食品処理プロセスの監視などに使用されることができる。さらに、検出器は、温度制御、動き制御、排気制御、ガス感知、ガス分析、動き感知、化学感知などに使用されてよい。本明細書に開示される光センサ及び検出器のさらなる使用については、WO2016/120392A1及びWO2018/019921A1を参照することができ、参照により本明細書に組み込まれる。しかし、さらなる応用分野がなおも考えられ得る。
【0089】
上述の光検出器、方法、及び提案された使用は、先行技術に比べてかなりの利点がある。したがって、一般的に、少なくとも1つの物体の透過、吸収、放射、反射のうちの少なくとも1つを感知するための、簡単で、なおかつ効率的な検出器が提供されることができる。さらに、本発明による検出器は、IRスペクトル範囲の少なくとも1つの帯域にわたって、具体的には、中赤外(MidIR)スペクトル範囲、つまり1.5μmから15μmのスペクトル範囲で特に感度を有することができ、したがって赤外線のための効率的で信頼性が高い大面積の位置感知装置を提供する。
【0090】
当該技術の公知の装置と比較して、本明細書で提案される検出器は、好ましくは、センサ領域間、特に隣接するセンサ領域間の交差検出を効果的に回避又は低減できるように配置され、したがって、少なくとも1つのセンサ信号に基づく測定、特に、赤外スペクトル範囲における測定の劣化を可能な限り回避又は少なくとも低減することができ、ここで、該光検出器は、容易な製造プロセスを適用することによって製造されることができる。ここで、検出器は、容易にパッケージに統合され得る。さらに、ここで提案される検出器は、好ましくはかさばらない密閉パッケージとして供給されることができ、それは、かさばらないにもかかわらず、温度及び/又は湿度が高い場合でも湿度及び/又は酸素などの外的影響により起こり得る劣化に対して高度な保護を提供する。さらに、電気接点の接合性は、カバー層及び少なくとも1つのセンサ領域のかさばらない気密パッケージを通してでさえ、プリント回路基板(PCB)などの回路キャリアへの容易な一体化を可能にする。ここで、赤外線吸収顔料を含む検出器に使用される材料は、少なくとも1つのセンサ領域が所望のスペクトル範囲、特にIRスペクトル範囲、特に中赤外(MidIR)スペクトル範囲の一帯域内にわたって、適切な吸収特性を示し得ることを確実にするために選択されてよい。
【0091】
要約すると、本発明の文脈において、以下の実施形態が特に好ましいと考えられる:
実施形態1:入射光ビームの光学的検出のための検出器であって、
- 少なくとも1つの層を担持するように設計された回路キャリアと;
- 前記回路キャリアのパーティション上に配置された少なくとも1つの吸収層であって、前記入射光ビームを少なくとも部分的に吸収するように設計され、赤外線吸収顔料を組み込んでいる吸収層と;
- 前記吸収層に直接的又は間接的に隣接する基板層であって、前記入射光ビームに対して少なくとも部分的に透明である基板層と;
- 前記基板層上に配置された少なくとも1つのセンサ領域であって、前記入射光ビームによる前記センサ領域の照射に依存して少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されたセンサ領域と;
- 前記少なくとも1つのセンサ信号を評価することによって、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置と、
を含む、検出器。
【0092】
実施形態2:前記吸収層は、赤外スペクトル範囲の少なくとも一帯域において、少なくとも1つの波長を吸収するように設計されており、前記赤外スペクトル範囲は、760nmから1000μmの範囲である、先行する実施形態による検出器。
【0093】
実施形態3:前記吸収層は、中赤外スペクトル範囲の少なくとも一帯域において、少なくとも1つの波長を吸収するように設計されており、前記中赤外スペクトル範囲は、1.5μmから15μmの範囲である、先行する実施形態による検出器。
【0094】
実施形態4:前記回路キャリアは、前記検出器を機械的に支持し、検出器を電気的に接続するように設計されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0095】
実施形態5:前記回路キャリアは、プリント回路ボート(PCB)、好ましくは、片面PCBであるか、又はそれを含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0096】
実施形態6:前記プリント回路基板は、非導電性の平面基板であり、導電性構造がシート内にエッチングされるように、前記基板上に導電性材料の少なくとも1つのシートを積層させている、先行する実施形態による検出器。
【0097】
実施形態7:前記吸収層は、前記回路キャリアの表面のパーティション上に配置されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0098】
実施形態8:前記吸収層は、前記プリント回路基板(PCB)、好ましくは、片面PCBの表面のパーティション上に配置されている、先行する実施形態による検出器。
【0099】
実施形態9:前記吸収層は、光が前記センサ領域の少なくとも1つを少なくとも部分的に透過した後に、光を少なくとも部分的に吸収するように設計されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0100】
実施形態10:前記吸収層は、前記入射光ビームの少なくとも50%~100%、好ましくは80%~100%、より好ましくは95%~100%、特に99%~100%を吸収するように設計されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0101】
実施形態11:前記吸収層は、前記少なくとも1つのセンサ領域の感度範囲の、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%にわたって前記入射光ビームを吸収するように設計されている、先行する実施形態による検出器。
【0102】
実施形態12:前記吸収層は、前記入射光ビームの50%を超えない範囲、好ましくは20%を超えない範囲、より好ましくは5%を超えない範囲、特に1%を超えない範囲を透過させるように設計されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0103】
実施形態13:前記吸収層は、前記少なくとも1つのセンサ領域の感度範囲の、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%にわたって、前記入射光ビームを50%を超えない範囲で透過させるように設計されている、先行する実施形態による検出器。
【0104】
実施形態14:前記吸収層は、100nm~350μm、より好ましくは250nm~120μm、最も好ましくは1μm~65μmの厚さを示す、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0105】
実施形態15:前記吸収層は、樹脂層又は接着層の少なくとも1つであるか、又はそれを含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0106】
実施形態16:前記接着層は、前記基板層と前記回路キャリアを組み立てるように設計されている、先行する実施形態による検出器。
【0107】
実施形態17:前記接着層は、有機接着剤から選択される接着物質を含む、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0108】
実施形態18:前記有機接着剤は、エポキシ、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリル変性ポリマー、ポリエステル、シリコーン、ポリオール、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアセテート、シアノアクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、アクリロニトリル、ゴムセメント、レコルシノール接着剤又はポリアミドから選択される、先行する実施形態による検出器。
【0109】
実施形態19:前記樹脂層は、エポキシ、ラッカー、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリシロキサン、又はアルキド樹脂の少なくとも1つから選択される、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0110】
実施形態20:前記赤外線吸収顔料は、カーボンブラック、グラファイト、炭素、ベンタブラック、LaB6、銅粉、銅クロマイトブラック、コバルトクロマイトブラック、及びマンガンフェライトブラックからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0111】
実施形態21:前記吸収層内の前記顔料の濃度は、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.3質量%~5質量%、特に0.5質量%~2質量%である、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0112】
実施形態22:前記吸収層は、前記吸収層と前記基板層との間の界面での後方反射を制限するように設計された屈折率を示す、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0113】
実施形態23:少なくとも2つの個別の吸収層を含み、少なくとも2つの吸収層は、積層状に配置されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0114】
実施形態24:前記積層状に配置されている少なくとも2つの吸収層は、樹脂層又は接着層の少なくとも1つから選択される、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0115】
実施形態25:前記基板層の材料が、ガラス、石英、シリコン(Si)、透明導電性酸化物(TCO)、又は透明有機ポリマーから選択される、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0116】
実施形態26:前記透明導電性酸化物(TCO)は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、インジウム酸化スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO2:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、又はペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択される、先行する実施形態による検出器。
【0117】
実施形態27:個別のセンサ領域のアレイを含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0118】
実施形態28:隣接するセンサ領域は隙間によって分離されている、先行する実施形態による検出器。
【0119】
実施形態29:前記少なくとも1つのセンサ領域は、直接又は間接的に前記基板層に適用されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0120】
実施形態30:前記基板層と前記各センサ領域との間に隙間が残らないか、又は生成されていない、先行する実施形態による検出器。
【0121】
実施形態31:前記少なくとも1つのセンサ領域は、堆積方法を用いて適用される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0122】
実施形態32:前記堆積方法は、化学浴堆積、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、陽極酸化、電着、電気変換、無電解浸漬成長、逐次イオン吸着及び反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、及び、溶液-ガス界面技法、からなる群から選択される、先行する実施形態による検出器。
【0123】
実施形態33:前記少なくとも1つのセンサ領域は、色素太陽電池、光導電性材料、及び量子ドットからなる群から選択される感光性材料を含み、前記光導電性材料が特に好ましい、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0124】
実施形態34:前記光導電性材料は、無機光導電性材料、有機光導電性材料、又はそれらの組み合わせを含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0125】
実施形態35:前記無機光導電性材料が、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素又は化合物、第3族-第5族化合物、第2族-第6族化合物、カルコゲニド、プニクトゲニド、ハロゲン化物、及びそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種のうちの1つ以上を含む、先行する実施形態による検出器。
【0126】
実施形態36:前記カルコゲニドは、硫化カルコゲニド、セレン化カルコゲニド、テルル化カルコゲニド、三元カルコゲニド、四元カルコゲニド及びそれ以上の次元のカルコゲニドを含む群から選択される、先行する実施形態による検出器。
【0127】
実施形態37:前記硫化カルコゲニドは、硫化鉛(PbS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化水銀(HgS)、硫化銀(Ag2S)、硫化マンガン(MnS)、三硫化ビスマス(Bi2S3)、三硫化アンチモン(Sb2S3)、三硫化ヒ素(As2S3)、硫化スズ(II)(SnS)、二硫化スズ(IV)(SnS2)、硫化インジウム(In2S3)、硫化銅(CuS)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS)、二硫化モリブデン(MoS2)、二硫化鉄(FeS2)、三硫化クロム(CrS3)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種を含む群から選択される、先行する実施形態による検出器。
【0128】
実施形態38:前記セレン化カルコゲニドは、セレン化鉛(PbSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、三セレン化ビスマス(Bi2Se3)、セレン化水銀(HgSe)、三セレン化アンチモン(Sb2Se3)、三セレン化ヒ素(As2Se3)、セレン化ニッケル(NiSe)、セレン化タリウム(TlSe)、セレン化銅(CuSe)、二セレン化モリブデン(MoSe2)、セレン化スズ(SnSe)、セレン化コバルト(CoSe)、セレン化インジウム(In2Se3)、セレン化銅亜鉛スズ(CZTSe)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種を含む群から選択される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0129】
実施形態39:前記テルル化カルコゲニドは、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化水銀(HgTe)、三テルル化ビスマス(Bi2Te3)、三テルル化ヒ素(As2Te3)、三テルル化アンチモン(Sb2Te3)、テルル化ニッケル(NiTe)、テルル化タリウム(TlTe)、テルル化銅(CuTe)、二テルル化モリブデン(MoTe2)、テルル化スズ(SnTe)、及びテルル化コバルト(CoTe)、テルル化銀(Ag2Te)、テルル化インジウム(In2Te3)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種を含む群から選択される、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0130】
実施形態40:前記三元カルコゲニドは、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫化水銀カドミウム(HgCdS)、硫化鉛カドミウム(PbCdS)、硫化鉛水銀(PbHgS)、二硫化銅インジウム(CuInS2)、硫セレン化カドミウム(CdSSe)、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)、硫セレン化タリウム(TlSSe)、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS)、硫化カドミウムクロム(CdCr2S4)、硫化水銀クロム(HgCr2S4)、硫化銅クロム(CuCr2S4)、セレン化カドミウム鉛(CdPbSe)、二セレン化銅インジウム(CuInSe2)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、硫化一酸化鉛(Pb2OS)、セレン化一酸化鉛(Pb2OSe)、スルホセレン化鉛(PbSSe)、セレン化テルル化ヒ素(As2Se2Te)、リン化インジウムガリウム(InGaP)、リン化ガリウムヒ素(GaAsP)、リン化アルミニウムガリウム(AlGaP)、亜セレンカドミウム(CdSeO3)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、セレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、銅-亜鉛-硫化スズ-セレンカルコゲニド(CZTSSe)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種を含む群から選択される、先行する4つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0131】
実施形態41:前記第2族-第6族化合物は、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)及びセレン化水銀亜鉛(CdZnSe)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種を含む群から選択される、先行する6つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0132】
実施形態42:前記第3族-第5族化合物は、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)及びアンチモン化ガリウム(GaSb)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種を含む群から選択される、先行する7つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0133】
実施形態43:前記金属酸化物が、酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(CuO2)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銀(Ag2O)、酸化マンガン(MnO)、二酸化チタン(TiO2)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(PbO)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化カドミウム(CdO)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種を含む群から選択される、先行する8つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0134】
実施形態44:前記第4族の元素又は化合物は、ドープダイヤモンド(C)、ドープシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)及びシリコンゲルマニウム(SiGe)、ならびにそれらの固溶体及び/又はそれらをドープした変種を含む群から選択される、先行する9つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0135】
実施形態45:前記少なくとも1つのセンサ領域は、10nm~100μm、好ましくは100nm~10μm、より好ましくは100nm~5μmの厚さを示す、先行する実施形態による検出器。
【0136】
実施形態46:前記少なくとも1つのセンサ領域に接触する少なくとも2つの個別の電気接点をさらに備え、前記電気接点は、前記回路キャリアを介して前記センサ信号を前記評価装置に伝送するように設計されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0137】
実施形態47:ワイヤボンドは、前記少なくとも1つのセンサ領域に接触する前記各電気接点と、対応する受信接点との間に直接接続を提供する、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0138】
実施形態48:前記受信接点は、前記回路キャリア上、特に好ましくは前記プリント回路基板(PCB)上にさらに配置される、先行する実施形態による検出器。
【0139】
実施形態49:前記受信接点が、接触パッドである、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0140】
実施形態50:前記少なくとも1つのセンサ領域上に堆積されたカバー層をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0141】
実施形態51:前記カバー層は、少なくとも1つの金属含有化合物を含む非晶質層である、先行する実施形態による検出器。
【0142】
実施形態52:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、金属又は半金属を含み、前記金属は、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)及びビスマス(Bi)からなる群から選択され、前記半金属は、ホウ素(B)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)及びテルル(Te)からなる群から選択される、先行する実施形態による検出器。
【0143】
実施形態53:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、及びタングステン(W)からなる群から選択される金属を含む、先行する実施形態による検出器。
【0144】
実施形態54:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクトゲニド、カーバイド、又はそれらの組合せを含む群から選択される、先行する3つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0145】
実施形態55:前記少なくとも1つの金属含有化合物は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)もしくはハフニウム(Hf)の少なくとも1つの酸化物、少なくとも1つの水酸化物、又はそれらの組合せを含む、先行する実施形態による検出器。
【0146】
実施形態56:前記カバー層は、10nm~600nm、好ましくは20nm~200nm、より好ましくは40nm~100nm、最も好ましくは50~75nmの厚さを有する、先行する6つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0147】
実施形態57:前記カバー層は、化学浴堆積、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、陽極酸化、電着、電気変換、無電解浸漬成長、逐次イオン吸着及び反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、浸漬コーティング及び、溶液-ガス界面技法であるか、又はそれらを含む、先行する7つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0148】
実施形態58:前記カバー層は、光フィルタ、反射防止層、封入層、接着層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、又は導電層のうち少なくとも1つの特性をさらに含む、先行する8つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0149】
実施形態59:前記カバー層は、前記少なくとも1つのセンサ領域に直接接触する、先行する9つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0150】
実施形態60:前記カバー層は、前記少なくとも1つのセンサ領域のアクセス可能な表面を完全に覆う、先行する実施形態による検出器。
【0151】
実施形態61:前記カバー層が、前記電気接点を少なくとも部分的に覆う、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0152】
実施形態62:前記電気接点が、前記カバー層を通して接合可能である、先行する実施形態による検出器。
【0153】
実施形態63:前記電気接点は、好ましくはワイヤボンド、特に金(Au)、アルミニウム(Al)、又は銅(Cu)ワイヤを使用することにより接合可能である、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0154】
実施形態64:前記少なくとも2つの個別の電気接点が、前記各センサ領域の異なる位置に設けられている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0155】
実施形態65:前記電気接点は、銀(Ag)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、及び高導電性グラフェンからなる群から選択される少なくとも1つの電極材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0156】
実施形態66:さらなる接着層が前記電気接点に設けられており、前記さらなる接着層が接合に適合されている、先行する実施形態による検出器。
【0157】
実施形態67:前記さらなる接着層が、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つを含む、先行する実施形態による検出器。
【0158】
実施形態68:前記検出器が、前記少なくとも1つのセンサ領域の電気抵抗又は導電率の1つ以上の測定によって前記センサ信号を生成するように適合されている、先行する実施形態のいずれか1つによる検出器。
【0159】
実施形態69:前記検出器が、少なくとも1つの電流-電圧測定及び/又は少なくとも1つの電圧-電流測定を実行することによって前記センサ信号を生成するように適合されている、先行する実施形態による検出器。
【0160】
実施形態70:入射光ビームの光学的検出のための光検出器の製造方法であって、前記方法は、以下のステップ:
a)前記入射光ビームを少なくとも部分的に吸収するように設計されている少なくとも1つの吸収層を回路キャリアのパーティション上に堆積させるステップであって、前記吸収層は、赤外線吸収顔料を組み込んでいるステップと;
b)少なくとも部分的に透明な基板層上に感光性材料を堆積することによって少なくとも1つのセンサ領域を生成するステップであって、前記各センサ領域は、前記入射光ビームによる前記センサ領域の照射に依存する方式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されているステップと;
c)前記少なくとも1つのセンサ領域を担持する前記基板層を前記吸収層上に配置するステップと;
d)前記少なくとも1つのセンサ信号を評価することにより少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている評価装置を提供するステップと、
を含む、方法。
【0161】
実施形態71:前記吸収層が、前記回路キャリアのパーティション上、特にプリント回路基板(PCB)上に堆積される、先行する実施形態による方法。
【0162】
実施形態72:前記少なくとも1つのセンサ領域を担持する前記基板層が、前記基板層を前記吸収層に直接又は間接的に適用することによって、前記吸収層上に配置される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0163】
実施形態73:前記吸収層は、ステップa)の前に、前記赤外線吸収顔料を樹脂層又は接着層の少なくとも1つに添加することによって得られる、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0164】
実施形態74:前記赤外線吸収顔料は、カーボンブラック、グラファイト、炭素、ベンタブラック、LaB6、銅粉、銅クロマイトブラック、コバルトクロマイトブラック、及びマンガンフェライトブラックからなる群から選択される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0165】
実施形態75:前記吸収層は、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.3質量%~5質量%、特に0.5質量%~2質量%の赤外線吸収顔料を前記樹脂層又は前記接着層の少なくとも1つに添加することによって得られる、先行する実施形態による方法。
【0166】
実施形態76:前記少なくとも1つのセンサ領域を前記基板層に直接又は間接的に適用することをさらに含む、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0167】
実施形態77:前記基板層と前記少なくとも1つのセンサ領域との間に隙間が残らないか、又は生成されない、先行する実施形態による方法。
【0168】
実施形態78:前記少なくとも1つのセンサ領域は、堆積方法を使用して適用され、前記堆積方法は、化学浴堆積、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、噴霧熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬成長、逐次イオン吸着及び反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、及び、溶液-ガス界面技法、からなる群から選択される、先行する2つの実施形態のいずれか1つによる方法。
【0169】
実施形態79:前記感光性材料は、色素太陽電池、光導電性材料、及び量子ドットからなる群から選択され、前記光導電性材料が特に好ましい、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0170】
実施形態80:前記少なくとも1つのセンサ領域に接触するための少なくとも2つの個別の電気接点が設けられ、前記電気接点は、前記回路キャリアを介して前記評価装置に前記センサ信号を伝送するように設計されている、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0171】
実施形態81:前記電気接点は、導電性リードを使用することにより、好ましくはワイヤボンド、特に金(Au)、アルミニウム(Al)、又は銅(Cu)ワイヤの形態で少なくとも1つの外部接続に接合される、先行する実施形態による方法。
【0172】
実施形態82:前記電気接続は、前記個別の電気接点と対応する受信接点の間に前記ワイヤボンドを適用することにより得られる、先行する実施形態による方法。
【0173】
実施形態83:前記受信接点は、好ましくは、前記回路キャリア上、特に前記プリント回路基板(PCB)上にさらに配置される接触パッドである、先行する実施形態による方法。
【0174】
実施形態84:カバー層が生成され、前記カバー層が少なくとも部分的に、好ましくは完全に前記少なくとも1つのセンサ領域を覆う、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
【0175】
実施形態85:前記導電性リードが前記カバー層を介して前記電気接点に接合される、先行する実施形態による方法。
【0176】
実施形態86:検出器を参照する先行する実施形態のいずれか1つによる検出器の使用であって、使用目的が:ガス感知、火災検出、火炎検出、熱検出、煙検出、燃焼監視、分光法、温度感知、動き感知、工業監視、化学感知、排気ガス監視、セキュリティ用途からなる群から選択される、検出器の使用。
【図面の簡単な説明】
【0177】
本発明のさらなる任意の詳細及び特徴は、従属請求項と関連して続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈では、特定の特徴は、単独で、又は他の特徴と組み合わせて実施されてよい。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に模式的に示されている。個々の図における同一の符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素、又はその機能に関して互いに対応する要素を指している。
【0178】
具体的には、以下の図においては:
【
図1】本発明による光検出器の例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】
図1による光検出器の例示的な実施形態を用いた透過率測定の結果を示す図である。
【
図3】
図1による光検出器の例示的な実施形態を用いた応答性測定の結果を示す図である。
【
図4】
図1による光検出器の例示的な実施形態を含む検出器システムの例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0179】
図1は、本発明による光検出器110の例示的実施形態を、極めて概略的に示す図である。本明細書では、検出器110は、光学的検出、特に、スペクトル範囲の少なくとも1つの帯域内の少なくとも1つの波長を検出するために適合され、該スペクトル範囲の所望の帯域は、赤外(IR)スペクトル範囲、すなわち、760nmから1000μmのスペクトル範囲から選択されるのが好ましい。
【0180】
具体的には、検出器は、少なくとも1つの物体112の少なくとも1つの光学的に考えられる特性を感知するように設計され得る。特に、検出器110によって決定可能な光学的に考えられる特性は、物体112の光学特性及び/又は幾何学的特性の少なくとも一方から選択されてもよい。例として、光学特性は、好ましくは、物体112の透過、吸収、放射及び/又は反射、から選択されてもよく、一方、幾何学的特性は、特に、検出器110に対する物体112の位置を指し得る。簡単にするために、物体112は
図4に概略的にのみ示されるが、物体112は、
図1による実施形態に存在することも想定され得る。
【0181】
検出器110は、少なくとも第1表面116及び第2表面118を有する少なくとも1つの基板層114を含み、第2表面118は、第1表面116に対して反対側に位置する。本明細書では、基板層114の第1表面116及び/又は第2表面118は、
図1に示されるように、好ましくは平坦表面であり得る。しかしながら、代替の実施形態(ここでは図示せず)では、基板層114の第1表面116又は第2表面118の少なくとも一方は、湾曲表面を呈してもよく、湾曲表面は、平坦面から逸脱する可能性のあるエリアを指す。本明細書では、湾曲表面は、特に、入射光ビーム120が検出器110を通るその経路上で生じる可能性のある収差を補正するように設計され得る。特に、湾曲表面は、凸面又は凹面から選択されてもよい。しかし、他の種類の湾曲した表面も考えられる。
【0182】
本発明の目的のために、入射光ビーム120は、優先的には基板層114とセンサ層との間に隙間を残さずに基板層114の第2表面118に間接的又は好ましくは直接的に適用され得るセンサ層に入射し得る。ここで、センサ層は、(ここでは図示せず)正確に単一の連続するセンサ層であってよい。しかしながら、好ましくは、光検出器は、少なくとも2つの個別のセンサ領域122、122’、好ましくは個別のセンサ領域のアレイを含み得、それらの上面124、124’は、特に、センサ層の形態で配置されていてよく、隣接するセンサ領域124、124’は、隙間126によって互いに対して分離されていてよい。結果として、マルチピクセルの適用が可能となり、それによれば、入射光ビーム120は、単一の個別のセンサ領域122にのみ入射し、このセンサ領域122は、入射光ビーム120によるセンサ領域122の照射にのみ依存して、対応するセンサ信号を生成する。このようにして、入射光ビームの少なくとも1つの特性に関して、具体的には、光ビーム120の入射位置に関して、又は、色もしくは偏光を含むがこれらに限定されない物理的な特性に関して、様々な入射光ビーム120を区別することができる。
【0183】
本発明によれば、センサ領域122、122’のそれぞれは、少なくとも1つの感光性材料128を含んでいる。特に好ましい実施形態では、感光性材料128は、光導電性材料、好ましくは、特に、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、又はリン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)及び硫化銅亜鉛スズ(CZTS)からなる群から選択される少なくとも1つのカルコゲニド材料を含み得る。ただし、他のカルコゲニド又は他の種類の光導電材料も採用されることができる。ここで、センサ領域内で高感度を達成するために、2.6μmまでの波長においては、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、3.1μmまでの波長においてはヒ化インジウム(InAs)、3.5μmまでの波長においては硫化鉛(PbS)、5μmまでの波長においてはセレン化鉛(PbSe)、5.5μmまでの波長においてはアンチモン化インジウム(InSb)、16μmまでの波長においてはテルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)が特に選択されることができる。
【0184】
好ましくは、センサ領域122、122’は、1nm~100μm、好ましくは10nm~10μm、より好ましくは100nm~1μmの厚さを容易に生成することができる堆積方法を用いて、有利には化学浴堆積を用いて、基板層114上に堆積されてよい。しかし、センサ領域122、122’の代替的な構成、又はセンサ領域122、122’を生成するための他の堆積方法も実現可能である。
【0185】
さらに、検出器110は、回路キャリア130を含む。一般的に使用されるように、回路キャリア130は、検出器110又はそのパーティションなどの電子的、電気的、及び/又は光学的要素を機械的に支持し、電気的に接続するように設計されたプラットフォームを指す。本発明の特に好ましい実施形態では、回路キャリア130は、プリント回路基板(PCB)132であるか、又はそれを含んでもよい。
図1に概略的に示すように、プリント回路基板132は単一のシートのみを含んでおり、このため、片面PCB134と呼ばれる場合がある。ただし、両面PCBや多層PCBなど、1枚以上のシートを含み、いわゆる「ビア」を使用することにより、異なるシートが互いに接続されるプリント回路基板も適用可能であってよい。しかしながら、他の種類の回路キャリア130も適用可能であり得る。一般に、電子的、電気的、及び/又は光学的要素は、はんだ付け、溶接、堆積などによって、又は、追加的又は代替として、この目的のために回路キャリア130内の指定されたシート座中に配置することにより、及び/又は回路キャリア130のパーティションを取り除くことによるなど、回路キャリア130中に埋め込むことによって、プリント回路基板132の表面136に配置されてもよい。
【0186】
さらに、本発明による検出器110は、吸収層138を備え、該吸収層138は回路キャリア130のパーティション上、特に、プリント回路基板132の表面136のパーティション上に配置される。本明細書において、吸収層138は、特に、入射光ビーム120がセンサ領域122、122’を少なくとも部分的に好ましくは完全に透過した後に、入射光ビームがセンサ領域122、122’に後方反射されないように、入射光ビーム120を少なくとも部分的に好ましくは完全に吸収するように設計されている。上に示したように、「少なくとも部分的に吸収する」という用語は、
図2においてより詳細に図示されているように、0%~50%、好ましくは0%~20%、より好ましくは0%~5%、特に0%~1%の吸収層138の低等級の透過によって表現されてよい。本発明によれば、吸収層138は、760nm~1000μmの波長の赤外スペクトル範囲の少なくとも1つの帯域にわたって、好ましくは少なくとも760nm~1.4μmの近赤外(NIR)スペクトル範囲にわたって、又は15μm~1000μmの遠赤外(FIR)スペクトル範囲にわたって、しかし、より好ましくは、少なくとも1.5μm~15μmの中赤外(MIR)にわたって、この低等級の透過を示すように設計されることができる。特に、吸収層138は、以下に詳述するように、少なくとも1つのセンサ領域の感度範囲の少なくとも1つの帯域にわたって、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%の範囲にわたって、この低等級の透過を示すように設計されることができる。その結果、吸収層138は、したがって、後方反射された光ビームがセンサ領域122、122’の1つによって吸収される得ることを低減するか、又は、好ましくは、回避することができる。その結果、以前に入射光ビーム120によって入射されたセンサ領域122とは異なるセンサ領域122’に到達することによって測定結果を悪化させる可能性がある後方反射光ビームが、少なくなるか、又は、好ましくは、発生しないようにすることができる。その結果、各入射光ビーム120は、したがって、対応するセンサ領域122に正しく割り当てられ、したがって、所望のように正しいセンサ信号にのみ寄与することができる。
【0187】
選択される材料に応じて、吸収層138は、基板層114と回路キャリア130の両方との間に密接で安定した接続を提供するために、100nm~350μm、より好ましくは250nm~120μm、最も好ましくは1μm~65μmの厚さを示し得る。特に、吸収層138は、具体的には、エポキシ、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリル変性ポリマー、ポリエステル、シリコーン、ポリオール、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアセテート、シアノアクリレート、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、アクリロニトリル、ゴムセメント、レゾルシノール接着剤、ポリアミド、又は、好ましくは、エポキシ、ラッカー、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリシロキサン、又はアルキド樹脂などを含み得る樹脂層(ここでは図示せず)から特に選択される有機接着剤の少なくとも1つ含む、接着層142を含むことができる。
【0188】
本発明によれば、吸収層138は、上述したように所望の吸収等級に寄与するように設計された赤外線吸収顔料144を組み込んでいる。特に好ましくは、赤外線吸収顔料144は、カーボンブラック146、グラファイト、炭素、ベンタブラック、LaB6、銅粉、銅クロマイトブラック、コバルトクロマイトブラック、及びマンガンフェライトブラックからなる群から選択されることができる。ここで、カーボンブラック146は、入手が容易で低コストの材料であるため、特に好ましい。しかし、さらなる種類の赤外線吸収顔料を使用することもできる。吸収層138のために選択された赤外線吸収顔料144に応じて、吸収層138内、すなわち吸収層138によってそれぞれ含まれる有機接着剤及び/又は樹脂中の顔料の濃度は、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.3質量%~5質量%、特に0.5質量%~2質量%から好ましくは選択されてよい。
【0189】
さらなる実施形態では、吸収層138は、代替的又は追加的に、光センサ110にとって有利であることが証明される得る1つ以上の化学的又は物理的特性を示すことができる。したがって、好ましい実施形態では、吸収層138は、特に、吸収層138の表面140での後方反射を制限するように適合されることができる屈折率を有してよく、該表面140は、基板層114との界面を構成している。その結果、測定結果を悪化させる可能性のあるセンサ領域122、122’への光ビーム120の後方反射が少なくなるか、好ましくは全くなくなる。吸収層138のさらなる特性も考えられ得る。
【0190】
したがって、すでに上で示したように、経済的な方法で後方反射を増加させるために、本発明による吸収層と同じ位置における反射層、具体的には反射金コーティングを開示したWO2018/193045A1とは特に対照的に、本願は後方反射を可能な限り回避しようとしている。後方反射を増加させるWO2018/193045A1に開示されている実施形態は、光ビーム120をセンサ層に向け直すことによって信号対ノイズ比を高めるため、特に、単一のセンサ層(シングルピクセルの適用)を有する光検出器に対して有利であり得るが、本発明による後方反射を減少させることは、特に、センサ領域122、122’間の交差検出を減少させ、又は好ましくは回避させるため、少なくとも2つの個別のセンサ領域122、122’(マルチピクセルの適用)を有する光検出器110に対して有利であり得る。
【0191】
好ましくは、基板層114は、入射光ビーム120に関して少なくとも部分的に透明である。この目的のために、基板層114は、好ましくは、ガラス、石英、シリコン(Si)、透明有機ポリマー、又は透明導電性酸化物(TCO)から選択される材料を含み、特に、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO2:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、又はペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択される。しかしながら、検出器110の所望の波長範囲に応じて、他の種類の材料も実現可能であり得る。
【0192】
さらに、センサ領域122、122’のそれぞれは、好ましくは、対応するセンサ領域122、122’で生成される少なくとも1つのセンサ信号を直接的又は間接的に評価装置150(ここでは図示せず)に伝送するように設計された電気接点148、148’を含み得る。好ましくは電気接点148、148’は、銀(Ag)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、及び高導電性グラフェンからなる群から選択される少なくとも1つの電極材料を含むことができる。
図1に示すように、電気接点148、148’はさらにボンドワイヤ又はボンディングワイヤ152、152’を使用して接合されてもよく、そこではボンディングワイヤ152、152’は、特に金(Au)、アルミニウム(Al)、又は銅(Cu)ワイヤであるか、それを含んでもよい。特に、ボンディングワイヤ152、152’と電気接点148、148’の電極材料の間の接合を支持するために、追加の接着層(ここでは図示せず)が、電気接点148、148’に追加的に設けられてもよく、追加の接着層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つを含むことができる。しかしながら、他の種類のボンディングワイヤ及び/又は追加の接着層も実現可能である。
図1にさらに示されるように、センサ信号を担持するボンディングワイヤ152、152’は、回路キャリア130の表面136に配置された、導電性材料を含む接触パッド154、154’に導かれてよく、そこからセンサ信号がさらに直接的又は間接的な方法で評価装置150に導かれてよい。この配置により、好ましくは、センサ層122、122’及び電気接点148、148’を担持する基板層114を自動的に取り上げて回路キャリア130上の選択された位置に配置し、続いてボンディングワイヤ152、152’を設けることにより、検出器110の容易な取扱い及び接触が可能になり得る。
【0193】
したがって、電気接点148、148’は、センサ領域122、122’の少なくとも1つによって生成されたセンサ信号を評価装置150に伝送するように設計されてもよい。あるいは、センサ信号は、センサ領域122、122’のうちの少なくとも1つから評価装置150に無線で伝送されてもよい。その結果、入射光ビーム120による入射時にセンサ領域122、122’の少なくとも1つによって提供される結果として生じるセンサ信号は、センサ領域122、122’によって含まれる感光性材料128の特性に依存する。評価装置150は、一般に、センサ信号を評価することによって、少なくとも1つの物体112の光学的に考えられる1つ以上の特性について、入射光ビーム120の両方から提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている。この目的のために、評価装置150は、センサ信号を評価するために、1つ以上の電子装置及び/又は1つ以上のソフトウェア構成要素を備えてよい。したがって、評価装置150は、センサ領域122、122’のうちの少なくとも1つによって取得される2つ以上のセンサ信号を比較することによって、少なくとも1つの情報項目を決定するように適合され得る。
【0194】
一般に、評価装置150は、データ処理装置の一部であってよく、及び/又は、1つ以上のデータ処理装置を含んでよい。評価装置150は、完全に又は部分的に回路キャリア130に統合されてよく、及び/又は完全に又は部分的に、センサ領域122、122’に無線又は有線方式で電気的に接続された別個の装置として具体化されてよい。評価装置150は、1つ以上の測定ユニット及び/又は1つ以上の評価ユニット及び/又は1つ以上の制御ユニット(ここでは図示せず)などの1つ以上の電子ハードウェア構成要素及び/又は1つ以上のソフトウェア構成要素など、1つ以上のさらなる追加の構成要素をさらに含み得る。
【0195】
検出器110のさらなる例示的な実施形態(ここでは図示せず)によれば、検出器110は、さらに、好ましくはセンサ領域122、122’上に直接堆積され得る任意のカバー層を含んでよい。ここで、カバー層は、特に、少なくとも1つの金属含有化合物を含む非晶質層であってもよく、該金属含有化合物は、有利には、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、又はタングステン(W)の酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクトゲニド、又はカーバイド、又はそれらの組み合わせから選択されてよい。ここで、特に10nm~600nm、好ましくは20nm~200nmの厚さを示すカバー層は、原子堆積層であってもよく、又はそれを含んでいてもよい。あるいは、カバー層は、プラズマ化学気相堆積方法(PECVD)などの化学気相堆積方法(CVD)を採用して生成されてよい。さらに、スピンコートやインクジェット印刷などの他の堆積方法も適用されてよい。カバー層は、特に、湿度及び/又は周囲雰囲気に含まれる酸素などによる、外的影響によるセンサ領域122、122’の劣化を可能な限り回避するために用いられてよい。したがって、カバー層は、センサ領域122、122’の封入、好ましくは、特にセンサ領域122、122’のいかなるアクセス可能な表面をも完全に覆うことによって密封パッケージを提供することができる。ここで、カバー層は、さらに、電気接点148、148’を覆ってもよい。さらに、電気接点148、148’は、カバー層を介して接合されることができ、それにより、好ましくは、ボンディングワイヤ152、152’が使用されることができる。
【0196】
図2は、光検出器に入射した光ビーム120の透過率に関する実験結果を示す。ここで、第1曲線160は、入射光ビーム120の波長に対する、基板層114として機能するガラス層のみを含む光センサにおける透過率の依存性を示している。同様に、第2曲線162は、赤外線吸収顔料を含まず有機接着剤のみを有する接着層をさらに含む光検出器における透過率の波長依存性を示している。さらに、第3曲線164は、具体的には選択された赤外線吸収顔料144を有機接着剤を含む相に混合し、その後、対応する混合物を撹拌することによって吸収層138の有機接着剤に赤外線吸収顔料144として添加された、カーボンブラック146の第1種類を有する光検出器110における透過率の波長依存性を示している。同様に、第4曲線166は、代わりに、吸収層138の有機接着剤に赤外線吸収顔料144として添加された、カーボンブラック146の異なる種類有する光検出器110における透過率の波長依存性を示している。第1及び第2の曲線160、162と比較して、第3及び第4の曲線164、166は、吸収層138の有機接着剤内に赤外線吸収顔料144としてカーボンブラック146を含む本発明による光検出器110において、透過率が著しく低いことを示している。
【0197】
さらに、
図3は、特定の波長を有する入射光ビーム120に対する光検出器の応答性に関する実験結果を示している。ここで、第1曲線170は、感光性材料128としてPbSを含む単一のセンサ領域122の応答性の依存性を示している。さらに、第2曲線172は、単一センサ領域122が基板層114としてのガラス層上に配置された光センサにおける応答性の波長依存性を示している。さらに、第3曲線174は、赤外線吸収顔料144を含まず有機接着剤のみを有する接着層をさらに含む光センサにおける応答性の波長依存性を示している。さらに、第4曲線176は、吸収層138の有機接着剤に添加された赤外線吸収顔料144としてのカーボンブラック146の第1種類を含む光センサ110における応答性の波長依存性を示す。同様に、第5曲線178は、代わりに吸収層138の有機接着剤に赤外線吸収顔料144として添加されたカーボンブラック146の異なる種類を含んでいる光センサ110における応答性の波長依存性を示している。第1、第2及び第3の曲線170、172、174と比較して、第4及び第5の曲線176、178は、吸収層138の有機接着剤内に赤外線吸収顔料144としてカーボンブラック146を含む本発明による光検出器110において、応答性が著しく低いことを示している。
【0198】
さらなる例として、
図4は、上述したように、回路キャリア130上、特にプリント基板(PCB)132上、より具体的には、片面PCB134上に配置された少なくとも1つの検出器110を含む検出器システム200の例示的な実施形態を示している。特に、
図1に示されるような検出器110は、この目的のために実現可能であり得る。したがって、検出器110は、少なくとも第1表面116と第2表面118とを有する基板層114を備え、第2表面118は第1表面116に対して対向して配置されている。
図1の実施形態とは対照的に、基板層114は、基板層114の第2表面118上に堆積される感光性材料128を含む単一のセンサ領域122のみを担持している。本発明の目的のために、センサ領域122は、入射光ビーム120によるセンサ領域122の照射に依存する方式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。
【0199】
さらに、検出器110は、上述したように、入射光ビーム120を少なくとも部分的に吸収するために、回路キャリア130、特にプリント回路基板132、より具体的には片面PCB134の間に配置され、赤外線吸収顔料144を組み込んでいる少なくとも1つの吸収層138を備える。特に、検出器110は、物体112の透過率、吸収率、放射率、及び/又は反射率から選択されるような物体112の少なくとも1つの光学特性を決定するために採用されてよい。さらに、センサ領域122は、上述したように、カバー層(ここでは図示せず)によって保護されてよい。
【0200】
検出器110は、デジタルビデオクリップなどの画像及び/又は画像シーケンスを取得するために作られ得るカメラ202、特に3Dイメージング用のカメラ202として採用されてよい。さらに、
図4は、少なくとも1つの検出器110及び/又は少なくとも1つの検出器システム200を備えるヒューマンマシンインターフェース204の例示的な実施形態と、さらに、ヒューマンマシンインターフェース204を備える娯楽装置206の例示的な実施形態とを示している。
図4は、さらに、検出器110及び/又は検出器システム200を備える、少なくとも1つの物体112の位置を追跡するために適合された追跡システム208の実施形態を示している。
【0201】
さらに、センサ領域122によって生成されたセンサ信号は、センサ信号を評価することにより両方の入射光ビーム120によって提供される物体112に関する情報の少なくとも1つの項目を生成するために、評価装置150に提供される。この目的のために、センサ信号は、電極148、148’、ワイヤボンド152、152’、回路キャリア130上にある接触パッド154、154’、及び信号リード210、210’を介して評価装置150に導かれる。ここで、信号リード210、210’は、無線インターフェース及び/又は有線インターフェースであり得る。さらに、信号リード210、210’は、センサ信号を修正するための1つ以上のドライバ及び/又は1つ以上の測定装置を備えてよい。評価装置150は、検出器110の1つ以上の構成要素に完全に又は部分的に組み込まれてもよい。評価装置150は、検出器110を含むハウジング及び/又は別個のハウジングに内蔵され得る。評価装置150は、例えば縦方向評価ユニット212(「z」で示される)及び/又は横方向評価ユニット212’(「xy」で示される)などのセンサ信号を評価するために、1つ以上の電子装置及び/又は1つ以上のソフトウェアコンポーネントを含むことができる。これらの評価ユニット212、212’より導出された結果を組み合わせることにより、位置情報214、好ましくは3次元位置情報が生成され得る(「x、y、z」で示される)。しかしながら、上述のように、物体112の少なくとも1つの光学特性、例えば物体112の透過、吸収、放射及び/又は反射から選択される光学特性が、好ましくは、評価装置150を使用することにより決定され得る。
【0202】
図4に示す例示的な実施形態では、検出される物体112は例えばスポーツ用品として設計されてもよく、及び/又は制御要素216を形成してもよく、その位置及び/又は方向はユーザ218によって操作され得る。したがって、一般に、
図4に示される実施形態又は検出器システム200の任意の他の実施形態において、ヒューマンマシンインターフェース204、娯楽装置206又は追跡システム208、物体112自体は、指定された装置の一部であってよく、具体的には、少なくとも1つの制御要素216を含むことができ、具体的には、該少なくとも1つの制御要素216は、1つ以上のビーコン装置220を有し、該制御要素216の位置及び/又は方向付けは、好ましくは、ユーザ218によって操作されてもよい。一例として、物体112は、バット、ラケット、クラブ又は任意の他のスポーツ用品及び/又は模擬のスポーツ用品の1つ以上であり得るか、又はそれらを含み得る。他の種類の物体112が可能である。さらに、ユーザ218はその位置が検出される物体112と考えられることができる。一例として、ユーザ218は、自分の体に直接又は間接的に取り付けられたビーコン装置220の1つ以上を携行することができる。
【0203】
検出器110及び/又は検出器システム200を使用することによる物体112及び/又はその一部の位置の決定は、少なくとも1つの情報項目をマシン222に提供するために、ヒューマンマシンインターフェース204を提供するために使用され得る。
図4に概略的に示される実施形態では、マシン222は、少なくとも1つのコンピュータ及び/又はデータ処理装置を含むコンピュータシステムであり得るか、又はそれらを含み得る。他の実施形態も可能である。評価装置150はコンピュータであってもよく、及び/又はコンピュータを含んでもよく、及び/又は完全に又は部分的に別個の装置として具現化されてもよく、及び/又はマシン222、特にコンピュータに完全に又は部分的に組み込まれてもよい。同じことが、評価装置150及び/又はマシン222の一部を完全に又は部分的に形成し得る、追跡システム208の追跡コントローラ224にも当てはまる。
【0204】
同様に、上記で概説したように、ヒューマンマシンインターフェース204は、娯楽装置206の一部を形成してもよい。したがって、物体112として機能するユーザ218により、及び/又は物体112を操作するユーザ218により、及び/又は物体112として機能する制御要素216により、ユーザ218は例えば少なくとも1つの制御コマンドのような少なくとも1つの情報項目を、マシン222、特にコンピュータに入力することができ、それによって、コンピュータゲームのコースを制御するなど、娯楽機能を変化させることができる。
【0205】
上記で概説したように、検出器110は、直線ビーム経路又は傾斜ビーム経路、角度付きビーム経路、分岐ビーム経路、偏向又は分割ビーム経路又は他の種類のビーム経路を有することができる。さらに、入射光ビーム120は、各ビーム経路又は部分ビーム経路に沿って1回又は反復して、一方向に又は双方向に伝播することができる。
【符号の説明】
【0206】
110 検出器
112 物体
114 基板層
116 第1表面
118 第2表面
120 入射光ビーム
122、122’ センサ領域
124 表面
126 隙間
128 感光性材料
130 回路キャリア
132 プリント回路基板(PCB)
134 片面PCB
136 表面
138 吸収層
140 表面
142 接着層
144 赤外線吸収顔料
146 カーボンブラック
148、148’ 電気接点
150 評価装置
152、152’ ボンディングワイヤ
154、154’ 接触パッド
160 第1曲線
162 第2曲線
164 第3曲線
166 第4曲線
170 第1曲線
172 第2曲線
174 第3曲線
176 第4曲線
178 第5曲線
200 検出器システム
202 カメラ
204 ヒューマンマシンインターフェース
206 娯楽装置
208 追跡システム
210、210’ 信号リード
212、212’ 縦方向評価ユニット、横方向評価ユニット
214 位置情報
216 制御要素
218 ユーザ
220 ビーコン装置
222 マシン
224 追跡コントローラ
【国際調査報告】