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特表2022-523751階調密度フィルタを使用して光波の表面を検査するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】階調密度フィルタを使用して光波の表面を検査するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01J 9/00 20060101AFI20220419BHJP
   G01M 11/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01J9/00
G01M11/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544911
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2020051326
(87)【国際公開番号】W WO2020156867
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】1900896
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311016455
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】521338949
【氏名又は名称】オブセルバトワール・ドゥ・ラ・コート・ダジュール
(71)【出願人】
【識別番号】520100435
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・コート・ダジュール
【氏名又は名称原語表記】Universite Cote d’Azur
(71)【出願人】
【識別番号】501354026
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルペス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エノー,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】スパング,アラン
【テーマコード(参考)】
2G086
【Fターム(参考)】
2G086HH07
(57)【要約】
本発明の技術分野は、光学素子(1)から生じる光波の表面を検査するためのシステムの分野であり、前記光学素子は、射出瞳(3)を含み、前記検査システムは、光学測定ヘッド(10)と、前記光学測定ヘッドからの画像を処理するためのコンピュータ(20)とを含む。光学測定ヘッドは、
密度勾配フィルタ(11)であって、密度は、空間の2つの方向に周期的に変化する、密度勾配フィルタ(11)、
正方形であり、同じ焦点距離であり、且つ対称に配置された少なくとも4つの同一レンズを含むマトリクスフレーム、
光検出器アレイ(13)であって、4つのレンズの各々は、このアレイの平面内において瞳の画像を形成する、光検出器アレイ(13)
を含む。画像処理コンピュータは、射出瞳の平面内における波面Δ(x,y)の偏導関数
を計算するための計算手段を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子(1)から生じる光波の表面を検査するためのシステムであって、前記光学素子は、射出瞳(3)を含み、前記検査システムは、光学測定ヘッド(10)と、前記光学測定ヘッドからの画像を処理するためのコンピュータ(20)とを含む、システムにおいて、
- 前記光学測定ヘッドは、
○前記光学測定ヘッドの光軸に垂直な基準平面(x’,y’)内における密度勾配フィルタ(11)であって、前記フィルタの伝達関数T(x’,y’)は、式:
【数1】
に従い、p及びpは、それぞれ(x’-y’)及び(x’+y’)に依存する2つの正弦関数の周期を表す、密度勾配フィルタ(11)、
○正方形であり、且つ同じ焦点距離の同一レンズ(12)のマトリクスフレームであって、少なくとも4つのレンズを含み、前記4つのレンズの1つのそれぞれの中心は、前記射出瞳の中心と、前記密度勾配フィルタの点O’M’(i,j)とを通る軸上に配置され、それにより、前記基準平面(x’,y’)内において、
【数2】
であり、i及びjは、値-1及び+1を取ることができ、m及びnは、正の整数である、マトリクスフレーム、
○光検出器アレイ(13)であって、前記4つのレンズの各々は、前記アレイの平面内において前記瞳の画像を形成し、前記画像は、I’’(x,y)として参照され、kは、1~4で変化する、光検出器アレイ(13)
を含み、
- 前記画像処理コンピュータ(20)は、前記射出瞳の平面(x,y)内における波面Δ(x,y)の偏導関数
【数3】
を計算するための計算手段を含み、前記偏導関数は、
【数4】
に等しく、A、B及びCは、前記光学測定ヘッドの幾何学的パラメータに依存する定数であることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記光学素子が対物レンズである場合、その焦点面は、前記レンズの前記マトリクスフレームの平面内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記光学素子が無限焦点系である場合、前記光学測定ヘッドは、前記射出瞳に配置された追加的な光学要素を含み、それにより、前記追加的な光学要素の焦点面は、前記レンズの前記マトリクスフレームの平面内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記マトリクスフレームは、少なくともレンズの第2の四つ組を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項5】
前記2つの周期p及びpは、等しいこと特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、光波の表面の測定及び検査の分野である。多くの技術分野は、波面の検査を必要としている。光学面又は光学系の品質管理及び天文学から眼科学にわたる分野で使用される補償光学の検査についてより具体的に、但し非網羅的に言及される。
【背景技術】
【0002】
光学面の品質管理は、個々の光学部品の測定法、複雑な光学系の配置又はレーザービームの質の評価を含む極めて幅広い分野である。光学面の品質管理は、可視、赤外又は紫外スペクトル領域を包含する。現在使用されている測定装置は、取り扱いが難しいシステム、すなわちより小型であるが、精度及び解像度が低い波面センサの開発を要する干渉計である。これに関する追加的な情報は、D.Malacaraによる“Optical Shop Testing”,Third Edition,Wiley,2007という名称の文献に見ることができる。
【0003】
天文学で用いられる巨大な望遠鏡は、波面センサを必要とする補償光学系を有する。これらの系は、必ずしも銀河系又は球状星団等の広大な対象の観測に良好に適しているわけではない。更に、これらの系は、レーザービームから得られる仮想天体を含む場合がある。この場合、補償光学系は、必然的に、仮想天体と同数の波面センサを含む点で複雑である。この主題に関する更なる情報は、以下の刊行物に見ることができる。
- J.W.Hardy,J.E.Lefebvre,C.L.Kolioupoulos、名称“Real-time atmospheric compensation”,J.Opt.Soc.Am.Vol.67,p.360-369(1977)
- R.V.Shack,B.C.Platt、名称“Production and use of a lenticular Hartmann screen”,J.Opt.Soc.Am.Vol.61,p.656(1971)
- Applied Optics vol.39,p.5715-5720(2000)において公開されたJ.Primot,N.Guerineau,名称“Extended Hartmann test based on the pseudoguiding property of a Hartmann mask completed by a phase chessboard”
【0004】
眼科学では、点光源レーザーの使用に基づく補償光学系も使用するため、使用に関して他の問題が生じ得る。J.Opt.Soc.Am.A,vol.11,p.1949-2685(1994)において公開されたJ.Lang,B.Grimm,S.Goelz,J.F.Billeによる“Objective measurement of wave aberrations of the human eye with the use of a Hartmann-Shack wave-front sensor”という名称の刊行物は、この主題に関する更なる情報を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】D.Malacara,“Optical Shop Testing”,Third Edition,Wiley,2007
【非特許文献2】J.W.Hardy,J.E.Lefebvre,C.L.Kolioupoulos,“Real-time atmospheric compensation”,J.Opt.Soc.Am.Vol.67,p.360-369(1977)
【非特許文献3】R.V.Shack,B.C.Platt,“Production and use of a lenticular Hartmann screen”,J.Opt.Soc.Am.Vol.61,p.656(1971)
【非特許文献4】J.Primot,N.Guerineau,“Extended Hartmann test based on the pseudoguiding property of a Hartmann mask completed by a phase chessboard”,Applied Optics vol.39,p.5715-5720(2000)
【非特許文献5】J.Lang,B.Grimm,S.Goelz,J.F.Bille,“Objective measurement of wave aberrations of the human eye with the use of a Hartmann-Shack wave-front sensor”,J.Opt.Soc.Am.A,vol.11,p.1949-2685(1994)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による光波面を検査するためのシステムは、上述の短所を呈しない。本システムは、製造が容易な光学部品のみを含む光学ヘッドと、画像処理システムとを含む。より具体的には、本発明の主題は、光学素子から生じる光波の表面を検査するためのシステムであって、前記光学素子は、射出瞳を含み、前記検査システムは、光学測定ヘッドと、前記光学測定ヘッドからの画像を処理するためのコンピュータとを含む、システムにおいて、
- 光学測定ヘッドは、
○光学測定ヘッドの光軸に垂直な基準平面(x’,y’)内における密度勾配フィルタであって、前記フィルタの伝達関数T(x’,y’)は、式:
【数1】
に従い、p及びpは、それぞれ(x’-y’)及び(x’+y’)に依存する2つの正弦関数の周期を表す、密度勾配フィルタ、
○正方形であり、且つ同じ焦点距離の同一レンズのマトリクスフレームであって、少なくとも4つのレンズを含み、4つのレンズの1つのそれぞれの中心は、射出瞳の中心と、密度勾配フィルタの点O’M’(i,j)とを通る軸上に配置され、それにより、基準平面(x’,y’)内において、
【数2】
であり、i及びjは、値-1及び+1を取ることができ、m及びnは、正の整数である、マトリクスフレーム、
○光検出器アレイであって、4つのレンズの各々は、このアレイの平面内において瞳の画像を形成し、これらの画像は、I’’(x,y)として参照され、kは、1~4で変化する、光検出器アレイ
を含み、
- 画像処理コンピュータは、射出瞳の平面内における波面Δ(x,y)の偏導関数
【数3】
を計算するための計算手段を含み、偏導関数は、
【数4】
に等しく、A、B及びCは、光学測定ヘッドの幾何学的パラメータに依存する定数であることを特徴とするシステムである。
【0007】
有利には、光学素子が対物レンズである場合、その焦点面は、レンズのマトリクスフレームの平面内に配置される。
【0008】
有利には、光学素子が無限焦点系である場合、光学測定ヘッドは、射出瞳に配置された追加的な光学要素を含み、それにより、前記追加的な光学要素の焦点面は、レンズのマトリクスフレームの平面内に配置される。
【0009】
有利には、マトリクスフレームは、少なくともレンズの第2の四つ組を含む。
【0010】
有利には、2つの周期p及びpは、等しい。
【0011】
非限定的な例として与えられる以下の記述を精査し、且つ添付の図面を参照することにより、本発明がよりよく理解され、他の利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による検査システムの概略図を示す。
図2】本発明による検査システムの光学測定ヘッドを示す。
図3】本発明による密度勾配フィルタの最大値及び最小値を示す。
図4】本発明によるフィルタの中心部のレベル曲線を示す。
図5】本発明によるマトリクスフレームのレンズの第1の分布を示す。
図6】本発明によるマトリクスフレームのレンズの第2の分布を示す。
図7】本発明によるマトリクスフレームのレンズの第3の分布を示す。
図8】本発明によるマトリクスフレームのレンズの第4の分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による光波面検査システムの全体的な概略を図1に示す。システムは、本質的に光学ヘッド10及び画像処理コンピュータ20を含む。光学ヘッドは、光検出器アレイ13を含む。このヘッドは、光検出器アレイからの画像を表示する第1の表示装置21に接続される。同様に、画像処理コンピュータは、特に処理された画像及び処理に必要な情報を表示する第2の表示装置22を含む。
【0014】
本システムは、光学素子1の検査を意図している。本システムは、発光物体2又は光源から発光画像を形成する。光学素子が対物レンズである場合、この画像は、実像である。素子が無限焦点系である場合、画像は、無限遠にある。本明細書の後半で述べるように、本発明による検査システムは、これらの2種類の光学素子を検査することができる。図1の場合、光学素子は、対物レンズである。
【0015】
光学素子1は、瞳3を含む。検査システムの目的は、光学素子により瞳で得られた発光画像の波面を測定することである。瞳は、略円形である。瞳は、適用可能な場合、中心シャッタ及びその支持部を含み得る。
【0016】
本発明による光学ヘッドを図2に示す。光学ヘッドは、本来、上に示すように密度勾配フィルタ11、レンズ12のマトリクスフレーム及び光検出器アレイ13を含む。
【0017】
これらの各種の部品の各位置を決定するために、以下の表記規約を採用する。
【0018】
OXYZは、光学素子の瞳に取り付けられた基準フレームを表す。点Oは、瞳の中心に対応し、OZは、光学素子の光軸である。軸Xは、図2の平面に垂直である。平面OXYに配置される瞳の点Pを各々の直交座標(x,y)で表す。この基準フレームにおいて、測定される波面をΔ(x,y)で表す。
【0019】
fは、瞳の平面と光学素子の焦点面との間の距離を表し、Fは、焦点面と光軸との交点を表す。
【0020】
O’X’Y’Zは、密度勾配フィルタの平面に取り付けられた基準フレームを表す。軸X’は、図2の平面に垂直である。点O’は、焦点面からFO’に等しい距離z’において光軸上に配置される。平面O’X’Y’に配置されるフィルタの点Mを各々の直交座標(x’,y’)で表す。
【0021】
FXZは、光学素子の焦点面に取り付けられた基準系を表す。軸Xは、図2の平面に垂直である。平面FXに配置される点Iを各々の直交座標(x,y)で表す。レンズのマトリクスフレームは、この平面内に配置される。
【0022】
最後に、O’’X’’Y’’Zは、光検出器アレイに取り付けられた基準フレームを表す。軸X’’は、図2の平面に垂直である。マトリクスフレームのレンズにより形成された瞳の画像は、平面O’’X’’Y’’に配置される。点O’’は、平面FXから距離z’’において光軸上に配置される。この平面O’’X’’Y’’に配置される点P’’を各々の直交座標(x’’,y’’)で表す。
【0023】
密度勾配フィルタは、平面O’X’Y’に配置される。このフィルタの伝達関数T(x’,y’)は、光軸の周りで45度回転された2つの正弦関数の積に等しい。より具体的には、フィルタの伝達関数は、
【数5】
に等しい。
【0024】
及びpは、2つの正弦関数の空間周期を表す。これらの周期は、異なり得る。本明細書の以下の記述において、これらの周期は、互いに同一であり、pに等しいと考えられる。
【0025】
関数T(x’,y’)の最小値は、0に等しく、最大値は、1に等しい。図3は、2つの軸上で周期が同一である場合における密度勾配フィルタの平面O’X’Y’内でのこれらの最小値及び最大値の分布を示す。この図3において、最大値を白丸で、最小値を黒丸で表す。
【0026】
図4は、平面O’X’Y’で2つの軸上において、
【数6】
間の値に制限された同じ値を取る伝達曲線を示す。最も太い線は、最も低い伝達関数値に対応する。
【0027】
フィルタは、円形開口を有する不透明マスクも含み得る。各開口の位置は、マトリクスフレームのレンズの位置に対応し、その直径は、このレンズの寸法に適合される。より一般的には、マスクの形状は、レンズの瞳の形状に対応する。
【0028】
このフィルタは、各種の技術を用いて製造することができ、これらは、特に光又は電子リソグラフィ、ナノ印刷、ホログラフィックプレートの記録又は液晶モジュレータを用いるものである。
【0029】
ミニレンズ12のマトリクスフレームは、平面FX内に配置される。このフレームを形成するレンズは、全て同一であり、且つ正方形の横断面を有する。レンズの寸法は、数ミリメートル~数センチメートルである。これらのレンズの設計及び製造に関する公差は、解析される波面に干渉しないものでなければならない。これらのレンズの開口が小さいとしても、これは、当業者にとって何らの特定の障壁とならない。
【0030】
ミニレンズの焦点距離fは、それぞれ光検出器アレイの平面O’’X’’Y’’内に瞳の画像を形成するように調整される。
【0031】
このフレームは、4k個のレンズを含み、kは、1以上の整数である。このフレームは、従って、4つのレンズ、8つのレンズ、12つのレンズ等を含み得る。これらのレンズは、光軸の周りに対称に配置された四つ組に編成される。このグループの4つのレンズの1つのそれぞれの中心は、射出瞳中心Oと、密度勾配フィルタの点O’M’(i,j)とを通る軸上に配置され、それにより、基準平面(x’,y)内において、
【数7】
であり、i及びjは、値-1、+1を取ることができ、m及びnは、正の整数である。
【0032】
平面FX内の各グループのレンズの4つの中心Ii,jの座標は、関係:
【数8】
から推論される。
【0033】
図5、6、7及び8は、前記レンズ12の可能な分布の4つの例を示す。これらの分布を平面FXに示す。これらの図において、周期pは、両方の軸で同じである。これらの図は、密度勾配フィルタも含む。
【0034】
図5において、フレームは、4つのレンズの単一のグループを含む。本例では、整数m及びnは、ゼロであり、
【数9】
を与える。
【0035】
この構成は、最小数のレンズを含む点で実装が最も簡単なものであり、更に、これらは、互いに接着結合される。
【0036】
図6において、このフレームも4つのレンズの単一のグループを含む。本例では、m及びnは、1に等しく、
【数10】
を与える。
【0037】
図7において、フレームは、図5及び6における4つのレンズの2つのグループを含む。
【0038】
図8において、フレームは、4つのレンズの2つのグループを含む。第1及び第2のグループの中心は、
【数11】
を満たす。
【0039】
光検出器アレイは、マトリクスフレームのレンズにより形成された瞳の画像を含む平面O’’X’’Y’’に配置される。光検出器アレイの感度は、検査される発光物体又は光源のスペクトル帯域に適合される。このアレイは、所望の空間解像度に適合されたいくつかの検出器を含む。例えば、波面上で最大空間解像度1000×1000を実現するには、2048×2048ピクセルのアレイで十分である。
【0040】
上記の記述において、光学素子は、対物レンズであり、その焦点面は、レンズのマトリクスフレームの平面内に配置される。光学素子が無限焦点系である場合、光学測定ヘッドは、射出瞳に配置された追加的な光学要素を含み、それにより、前記追加的な光学要素の焦点面は、レンズのマトリクスフレームの平面内に配置される。
【0041】
測定される光学素子の種類に関わらず、例えば瞳の特定の領域にズームインすることにより検査を最適化するために、可変焦点距離を有する光学要素を追加することも可能である。
【0042】
画像処理コンピュータは、以下の機能を実行する。その第1の機能は、光検出器アレイが受信した未処理画像を保存することである。その第2の機能は、これらの未処理画像を較正して、光検出器アレイのピクセルにおける非均一性誤差を訂正することである。この較正は、事前較正フェーズで記録された既知の画像に基づいて得られる。
【0043】
このように較正された画像は、マトリクスフレーム内のレンズと同じ数の2次画像に分割される。各々の2次画像は、特定のレンズにより得られた光学素子の瞳の画像である。これらの2次画像は、瞳の平面内で再結像される。各々の画像は、
【数12】
として表される強度分布を有し、kは、2次画像の指標である。
【0044】
画像の強度分布の解析的表現は、フレネル回折の解析に基づいて得られる。この方法に関する情報は、J.Opt.Soc.Am.Aに提出されたF.Henaultによる刊行物“Fresnel diffraction analysis of Ronchi and reverse Hartmann tests”に見ることができる。
【0045】
例えば、図5に示す4つのレンズを有する構成の場合、上述の分布は、以下の通りである。
【数13】
【0046】
これは、上述の表記を用いて、
【数14】
を与える。
【0047】
【数15】
は、瞳の各点Pにおける波面の導関数を表す。
【0048】
次いで、2次画像から波面のこれらの2つの導関数を計算することができる。これは、
【数16】
を与える。
【0049】
最後に、これらの2つの偏導関数の積分から波面Δ(x,y)を再構築することができる。これに関する更なる情報は、F.Roddier,C.Roddierによる刊行物“Wavefront reconstruction using iterative Fourier transforms”,Applied Optics vol.30,p1325-1327(1991)に見ることができる。
【0050】
密度勾配フィルタの空間周期の最適化は、2つの逆向きの制約を満たさなければならない。
【0051】
位相変化φ’x及びφ’yを与える式は、測定される値
【数17】
が、利得と呼ばれ、且つ値
【数18】
を有する係数gにより増幅されることを示す。
【0052】
高い利得を選択することにより、取得された画像内での強度の変化を最大化することができる。この感度基準の遵守することにより、パラメータpを最小化するための短い空間周期の促進につながる。
【0053】
更に、周期関数から構築されたフィルタを用いることにより、測定される光学素子の瞳の画像が反復される効果が得られる。この効果の結果、2次画像の相対的焦点ずれρが得られる。このパラメータが以下の値を有することが示される。
【数19】
Dは、瞳の直径である。
【0054】
このパラメータは、可能な限り小さく、典型的には長い空間周期の促進につながる1%未満でなければならない。
【0055】
以下の値を有する最小二乗法基準Cにより、これらの2つの逆向きの傾向間で妥協を成立させることができる。
【数20】
ここで、wは、10~10のスケーリング係数である。周期pが以下の値を有する場合、基準の最小値に達する。
【数21】
【0056】
この周期pは、シミュレーションを通して微調整することができる。
【0057】
例えば、100メートルの焦点距離を有し、10メートルの開口を有し、0.5ミクロン付近の波長の可視域で用いられる望遠鏡について、光学ヘッドがこの望遠鏡の焦点に配置される場合、フィルタの空間周期は、1ミリメートルである。
【0058】
得られる測定精度は、波長の100分の1のオーダーであり、測定時間は、100分の1秒未満である。この時間は、マイクロ振動及び大気乱流等の環境により生じる干渉を克服するために十分に短い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】