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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】光学測定装置及びマルチミラー
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20220419BHJP
   G01B 9/02 20220101ALI20220419BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20220419BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20220419BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G02B5/08 A
G01B9/02
G01B11/24 D
G02B5/30
G02B5/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547584
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 DE2020100094
(87)【国際公開番号】W WO2020164667
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】102019103814.6
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358453
【氏名又は名称】ホーホシューレ トリアー
【氏名又は名称原語表記】HOCHSCHULE TRIER
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】シュス,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ペトリー,クリストファー
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
2H042
2H149
【Fターム(参考)】
2F064AA09
2F064BB05
2F064FF01
2F064GG12
2F064GG23
2F064GG33
2F064JJ01
2F065AA53
2F065DD02
2F065FF51
2F065GG04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL28
2F065LL33
2F065MM16
2F065PP22
2F065QQ21
2H042DE09
2H149AA22
2H149BA02
2H149BA04
2H149FC07
(57)【要約】
本発明は、電磁放射(11)の単一入射波面(12)を増倍して複数の出射波面(14)にするマルチミラー(10)に関し、マルチミラー(10)は、入射波面(12)が最初に当たる少なくとも1つの第1のミラー(16)と、波面が最後に反射される第2のミラー(18)と、を含み、これらのミラー面は、第1の波面(12)が動く方向に重なり合っている。第1のミラー(16)は電磁放射(11)に対して部分的に透明であり、第2のミラー(18)は完全に反射性である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射(11)の入射波面(12)を増倍して複数の出射波面(14)を形成するマルチミラーであって、前記入射波面(12)が最初に当たる少なくとも1つの第1のミラー(16)と、前記波面が最後に反射される第2のミラー(18)と、を含み、前記ミラー(16、18)は、前記第1の波面(12)が動く方向に重なり合っており、前記第1のミラー(16)は前記電磁放射(11)に対して部分的に透明であり、前記第2のミラー(18)は完全に反射性であることを特徴とするマルチミラー。
【請求項2】
前記ミラー(16、18)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの別のミラー(18、16)に対して傾くことが可能であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチミラー。
【請求項3】
前記ミラー(16、18)は、平坦であり、前記ミラー(16、18)が角度(19)を挟むように、互いに対して傾くことが可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマルチミラー。
【請求項4】
前記第1及び/又は第2のミラー(16、18)は回転軸(20)を中心に回転可能であり、前記回転軸(20)は特に、前記ミラー(16、18)のマウンティングフレームにマウントされていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチミラー。
【請求項5】
前記ミラー(16、18)のうちの少なくとも1つが前記電磁放射を偏光させ、前記第1のミラー(16)は、好ましくは、特定の偏光の放射を反射し、別の(好ましくは前記特定の偏光と直交する)偏光の放射を透過させることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のマルチミラー。
【請求項6】
表面の、干渉法による光学測定を行う装置であって、電磁ビーム(11)を放射するコヒーレント光源と、少なくとも1つのビームスプリッタ(102)とを含み、請求項1~5のいずれか一項に記載の、少なくとも2つの、互いに間隔を空けて配置されたミラー面を含む、少なくとも1つのマルチミラー(10)が、前記電磁ビーム(12)の伝搬方向の、前記ビームスプリッタ(102)の前方及び/又は後方に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
少なくとも1つのダイヤフラム(104)を備え、前記少なくとも1つのダイヤフラム(104)は、前記マルチミラー(10)と前記ビームスプリッタ(102)との間に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つのビームスプリッタ(102)と、少なくとも2つのダイヤフラム(104)と、少なくとも1つのマルチミラー(10)と、を含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記マルチミラー(10)は少なくとも1つのミラー(16、18)を含み、前記少なくとも1つのミラー(16、18)は、ミラー面を備え、前記電磁放射に対して部分的に透明であることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記マルチミラー(10)の少なくとも1つにおいて、ミラー(16、18)が別のミラー(18、16)に対して傾くことが可能であり、それによって、前記マルチミラー(10)に当たった波面(12)が、互いに対して位相シフトしている2つの出射波面(14)に分割されることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つのダイヤフラム(104)が、偏光フィルタを含むアパーチャ(106)を有することを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つのダイヤフラム(104)が少なくとも2つのアパーチャを有し、前記少なくとも2つのアパーチャのそれぞれが偏光フィルタを有し、前記偏光フィルタは、好ましくは、互いに直交して配置されることを特徴とする、請求項6~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つのダイヤフラム(104)が、周波数フィルタを有するアパーチャ(106)を有し、それによって、特定の波長だけが前記ダイヤフラム(104)を通り抜けられることを特徴とする、請求項6~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記ダイヤフラム(104)は、グレーティングダイヤフラムとして設計され、好ましくは、前記アパーチャ(106)の特定のスリット幅を2つの寸法で有し、前記スリット幅は特に、寸法が同じであることを特徴とする、請求項6~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのマルチミラー(10)を通り抜けた前記電磁放射(11)を記録するカメラが特にカラーカメラとして設計されていることを特徴とする、請求項6~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
ビームスプリッタ(102)によって分割された前記ビーム(11)の第1の伝搬方向(1)に可動ミラー(6)が配置されており、第2の伝搬方向(2)に固定位置ミラー(5)が配置されており、前記ビームスプリッタ(102)と前記ミラー(5、6)のそれぞれとの間にダイヤフラム(104)がそれぞれ配置されており、前記ビーム(11)は各ダイヤフラム(104)を少なくとも2回通り抜け、前記ビーム(11)は前記ビームスプリッタ(102)において再度マージされ、カメラの方向からは仮想ダブルスリット(4)が見えることを特徴とする、請求項6~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
2つのビームスプリッタ(102)を備えており、前記ビームスプリッタ(102)は互いの対角線上に並ぶように配置されており、前記対角線配置の2つの側の一方に固定ミラー(5)が配置されており、前記ビームスプリッタ(102)の前記対角線配置の2つの側の他方に可動ミラー(6)が配置されており、少なくとも1つのビームスプリッタ(102)と前記ミラー(5、6)のそれぞれとの間にシャッタ(104)が配置されていることを特徴とする、請求項6~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
固定ミラー(5)及び可動ミラー(6)が、少なくとも2つのビームスプリッタ(102)を通る仮想対角線にほぼ平行に位置合わせされていることを特徴とする、請求項6~17のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに従って入射波面を増倍させるマルチミラーに関する。本発明は更に、請求項6のプリアンブルに従って表面を光学的に測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射(特に光放射)の位相を測定する方法、及び放射(特に光放射)の位相を測定する装置については、独国特許出願公告第198 56 400(B4)号及び独国特許出願公告第010 30 059(B1)号から知られている。この知られている装置の場合は、ボディに所定周波数のコヒーレント放射が照射される。ボディは、拡散反射面を有してよい。ボディで反射された放射、又は、ボディ又は透明媒体を通り抜けた放射は、画像化光学系によって、センサが位置する像面に投射される。センサは、表面センサであることが好ましい。表面センサは、対応するレンズ光学系を備えたフレーミングカメラの一部であってよい。
【0003】
知られている構造は、複数の部分で構成され、場所を取る。この構造は大きく、多数の部品及びレンズを含む。その為、知られている構造は高価であり複雑である。更に、知られている構造では、ダイヤグラムの影が濃い、狭い領域しか測定できない。更に、画質は測定方向に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある一目的は、構造サイズを低減し、同時に、結果の品質を測定方向と無関係にすることを可能にする装置を作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によれば、独立請求項の特徴によって達成される。従属請求項では、発明の詳細化及び代替形態について述べている。
【0006】
マルチミラーを提案する。これによって電磁放射の入射波面が増倍されて、放射の反射後にマルチミラーから複数の波面が発する。電磁放射は波の形態で伝搬し、各波の波面は伝搬方向を向いている。波面同士は互いに対して位相シフトしている。そこで、マルチミラーは、入射波面が最初に当たる少なくとも1つの第1のミラーと、波面が最後に反射される第2のミラーと、を備える。これらのミラーは、第1の波面が動く方向に重なり合っている。入射放射の伝搬方向に重なり合った状況にかかわらず波面が確実に第2のミラーに到達できるように、第1のミラーは電磁放射に対して部分的に透明であり、一方、第2のミラーは完全に反射性である。このように、入射電磁放射の一部分が第1のミラーで反射され、入射電磁放射の残りの部分が第2のミラーまで伝搬する。そこでは残りの放射も反射されるが、第1の反射に対して時間遅延して反射される。この時間遅延により、反射された放射の2つの部分の間に位相シフトが発生する。例えば、複数のマルチミラーを互いに組み合わせた場合には、それらの位相シフトを足し合わせて、干渉法の用途で使用することが可能である。マルチミラー同士をサンドイッチ状に配列した構造であれば、非常にコンパクトな設計が可能になり、マルチミラーは(特に試験室の外での)ポータブル測定装置での使用に理想的に適合することになる。マルチミラーは、好ましくは、シェアログラフィ用の装置で使用されてよい。
【0007】
測定対象物体の輪郭の特に効率的な検出を可能にする為に、ミラーのうちの少なくとも1つが、電磁放射を偏光させることが可能であってよい。その為には、第1及び第2のミラーが放射を別々の方向に偏光させうることが好ましく、この別々の方向は、好ましくは、互いに直交するように位置合わせされてよい。例えば、混ざり合った偏光を有するビームがマルチミラーに当たると、放射のうちの、均一な一偏光方向を有する部分が第1のミラーで偏光されることが可能であり、一方、別の偏光を有する第2の部分が通り抜けて第2のミラーに達することが可能である。第2の部分は、第2のミラーで反射されることが可能である。第2のミラーは、シンプルな非偏光ミラーであってよい。或いは、第2のミラーは、偏光作用を有してもよく、特に、第1のミラーと直交する方向に有してよい。最後に、いずれの場合も、マルチミラーからは、異なる偏光の2つのビームが出現する。1つのマルチミラー又は複数のマルチミラーが使用されると、出射ビームは互いに重なり合うことが可能であり、同じ偏光を有するビーム同士は互いに干渉する。1つのマルチミラーが使用される場合には、2つの偏光した波面の(マルチミラーで反射された)一方が、シンプルなミラーで反射されたシンプルな波面のうちの同様に偏光した部分と干渉する。結果として得られた像が、測定対象物体の組成に関して評価されてよい。
【0008】
有利なことに、ミラーのうちの少なくとも1つが別の少なくとも1つのミラーに対して傾いてよい。これらのミラーのミラー面間の距離は変更されてよい。ミラー面間の距離は、位置及び/又は時間の観点で一定に保たされてよく、又は変更されてよい。放射は、ミラー面で直接反射される。この距離によって位相シフトが発生する為、そのようなマルチミラーを備えた装置を使用することで、精度の高い測定が実施可能である。1つのマルチミラー又は複数のマルチミラーを使用すると、干渉によって生成される像は、傾けることに影響されうる。1つのマルチミラーが使用される場合には、2つの偏光した波面の(マルチミラーで反射された)一方が、シンプルなミラーで反射されたシンプルな波面のうちの同様に偏光した部分と干渉する。これらも像面において互いに対してシフトしうる。
【0009】
ミラーは平坦に設計するのが好ましい。そのような面ミラー同士は互いに対して傾けられてよく、その結果、それらのミラーはある角度を挟む。従って、電磁放射の入射の角度及び反射の角度は、第1のミラー及び第2のミラーにおいて互いにずれてよい。これにより、反射された波面同士の位相シフトを調節することが可能になる。
【0010】
ミラー同士は、有利なことに、第1のミラーが回転軸を中心に回転可能であるというシンプルな様式で互いに対して調節可能であり、回転軸は、例えば、これらのミラーのミラーホルダのフレームに位置する。回転軸は、例えば、ミラー面を貫通して延びてよく、或いはミラー面の前方又は後方に位置してよい。ミラーは、好ましくは、第2のミラーに対して所望の角度をなすまで、第2のミラーに平行な位置から外れて回転する。そのようなタイプの別の回転軸が第2のミラーに実装されてよい。両方のミラーがそのような回転軸を有してよい。或いは、2つのミラーの一方だけがそのような回転軸を有してよい。例えば、第1又は第2のミラーが回転軸を備えてよい。
【0011】
電磁ビームを放射する、好ましくはコヒーレントな光源(例えば、レーザ)を有して、表面の光学測定を行う装置が、少なくとも1つのビームスプリッタを含んでよい。ビームスプリッタは、放射に対して透明な材料で作られた2部品構成の複合プリズムであってよい。具体的には、本装置は干渉計であり、これは表面を干渉法によって測定する。本装置のコンパクトな設計を達成し、同時に厳しい環境条件下であっても最大限の測定精度を実現する為に、少なくとも2つのミラー面が互いに距離を置いて配置されている、少なくとも1つのマルチミラーが、電磁ビームの伝搬方向の、ビームスプリッタの前方及び/又は後方に配置される。そのような装置は、振動に曝される環境での使用には理想的である。更に、そのような装置は、温度及び吸湿性の変動の影響をほとんど受けない。
【0012】
本装置の強化の為に、マルチミラーとビームスプリッタとの間に少なくとも1つのダイヤフラムが設けられてよい。これにより、測定精度が更に向上する。更に、ダイヤフラムは、有利なことに、空間的位相シフトを可能にすることに使用可能である。
【0013】
本装置が2つのビームスプリッタと2つのシャッタと2つのマルチミラーとを含むことにより、測定精度の向上を達成することが可能である。このように、測定対象物体の表面から反射された光をそのような装置に通すことにより、その光を干渉法によって解析することが可能である。
【0014】
それらのマルチミラーを使用する場合、電磁放射に対するミラー面は、部分的に透明であってよい。具体的には、それらのマルチミラーのうちの少なくとも1つのマルチミラーが、別のミラーに対して傾けることが可能なミラーを備える。マルチミラーに当たった波面は、その後、分割されて2つの出射波面になり、これらは互いに対して位相シフトしている。2つのマルチミラーが傾け可能なミラーを含むことが特に好ましい。
【0015】
有利な一開発形態は、偏光フィルタを有するアパーチャを有する少なくとも1つのダイヤフラムを含む。偏光フィルタは、反射されたビームをフィルタリングすること、及び破壊的な不正偏光を取り除くことに使用されてよい。
【0016】
そのような修正されたビームは、干渉法による測定に特に好適である。ここでは、少なくとも1つのダイヤフラムが2つのアパーチャを有し、そのそれぞれのアパーチャが偏光フィルタを有し、それらのフィルタが好ましくは互いに直交するように位置合わせされることで、最適な結果が得られる。このように、マルチミラーによって増倍された2つのビームが、それぞれ1つのアパーチャを通り抜けて、それぞれに対応したフィルタリングが行われてよい。各ビームは、互いに直交するように位置合わせされたフィルタを通り抜けた後に、それぞれのフィルタに対応する偏光を有する。
【0017】
偏光フィルタに対する追加又は代替として、少なくとも1つのダイヤフラムのアパーチャが周波数フィルタを含むことにより、特定波長だけがダイヤフラムを通り抜けることが可能である。
【0018】
試料の全ての空間的な広がりの方向で最適な測定が本装置によって保証されるように、ダイヤフラムはグレーティングダイヤフラムとして設計されてよい。グレーティングダイヤフラムは、好ましくは、アパーチャのスリット幅が2つの寸法で指定される。ダイヤフラムの面のスリット幅を制限することにより、ビームジオメトリによって測定放射の2つの寸法に影響を及ぼすことが可能である。
【0019】
様々な波長の解析にはカラーカメラが特に有利である。カラーカメラは、少なくとも1つのマルチミラーを通り抜けた電磁放射を記録する。カラーカメラは、様々な波長を区別することが可能である。
【0020】
一実施形態では、本装置はビームスプリッタを含み、これは、電磁放射に最初に当たるように伝搬方向に配置されている。ビームは、本装置に入ると直ちにビームスプリッタに入る。その後、ビームはビームスプリッタ内で分割され、第1の伝搬方向にある可動ミラーに誘導される。分割されたビームの残りのビームは、第2の伝搬方向にある固定ミラーに誘導される。ビームスプリッタと2つのミラーのそれぞれとの間にダイヤフラムがそれぞれ配置されている。分割された各ビームは各ダイヤフラムを少なくとも2回通り抜け、ビームスプリッタにおいて再度マージされる。カメラの方向からは仮想ダブルスリットが見える。このシンプルな構成により、高度の可搬性を保証する、ロバストな、場所を取らない装置を作成することが可能である。
【0021】
別の開発形態によれば、本装置は、別の第2のビームスプリッタ、ミラー、及び可動ミラーを含み、2つのビームスプリッタは互いの対角線上に並ぶように配置されている。各ビームスプリッタの一部のコーナーを通る仮想対角線が引かれてよく、ビームスプリッタの対角線配置の2つの側のそれぞれに1つのミラーが配置される。ミラーは、ビームスプリッタを通る仮想対角線にほぼ平行に配置される。1つのダイヤフラムがそれぞれ、ビームが2番目に入るビームスプリッタ、即ち、第1のビームスプリッタからの部分ビームが入るビームスプリッタと、ミラーとの間に配置される。ダイヤフラムは、ミラーで反射されたビームが入るビームスプリッタの面にほぼ平行である。もちろん、ダイヤフラムは、ミラーの前方又は後方の、2つのビームスプリッタのビーム経路の任意の場所に配置されてもよい。
【0022】
当然のことながら、ここまで述べてきて、以下で更に説明することになる各特徴は、それぞれ明記された組み合わせの形で使用可能であるだけでなく、他の組み合わせの形でも使用可能である。本発明の範囲は、特許請求項によってのみ定義される。
【0023】
以下では、一例示的実施形態に基づいて、関連する図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】出射ビームが様々であるマルチミラーを示す。
図2】マルチミラーを用いて表面の光学測定を行う装置を示す。
図3】ビームスプリッタ、固定ミラー、及び可動ミラーを有する一実施形態を示す。
図4】2つのビームスプリッタ、固定ミラー、及び可動ミラーを有する一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1はマルチミラー10を示す。これは電磁放射11を反射する。放射11はコヒーレント波で構成されてよく、これは例えば、レーザと同様である。マルチミラー10は、放射11の入射波面12を増倍し、その結果として、反射後にマルチミラー10から複数の波面14が出現する。波面は2つのミラー16、18によって増倍され、ミラー16、18は、互いに平行に位置し、入射及び反射する放射11の伝搬方向に互いに重なり合うように位置合わせされている。ミラー16、18のミラー面上では反射が起こる。ミラー16、18は又、伝搬方向に互いに間隔を空けて配置されている。更に、放射11が伝搬方向で当たる1番目のミラー16は電磁放射11に対して部分的に透明であり、一方、2番目のミラー18は完全に反射性である。
【0026】
今、入射波面12が第1のミラー16に当たると、その一部分が反射されて送り返される。ここで、入射の角度は、ミラー面に対して、反射の角度と一致する。残りの部分は、第2のミラー18のミラー面で反射される。ミラー16、18は互いに間隔を空けて配置されている為、第1の反射と第2の反射との間で一定の時間が経過し、従って、第1のミラー16での反射は、第2のミラー18での反射より先に起こる。この結果、第1及び第2の反射からの2つの出射波面14の間に位相シフトが発生する。
【0027】
入射ビーム11は、様々な方向に偏光される。ミラー16、18は、反射された放射が一方向にのみ偏光されるように設計されてよい。2つのミラー16、18は、放射11を、互いに直交する2つの方向に偏光させることが可能である。ミラー16、18のそれぞれで反射された各放射11は、一方向にのみ偏光される。代替として、例えば、第1のミラー16だけが偏光作用を有してよく、放射11の反射された部分は均一な偏光を有する。放射11の残りの成分は、第2のミラー18まで進み、直交偏光を有する。この第2の成分は、第2のミラー18で反射されてよく、第2のミラー18には偏光特性がない。それにもかかわらず、第2の成分は、偏光された状態でマルチミラー10から出現する。
【0028】
図2は、表面の光学測定を行う装置100を示しており、これは、2つのマルチミラー10と、2つのビームスプリッタ102と、2つのダイヤフラム104とを含む。入射ビーム11は、測定対象表面にコヒーレント光を照射することによって生成される。コヒーレント光は、例えば、レーザであってよい。1つのマルチミラー又は2つのマルチミラー10が使用される場合、個々のマルチミラー10から出射する、位相シフトした波面14同士が互いに足し合わされ、ミラー16、18で反射された放射11は互いに干渉しうる。1つのマルチミラーが使用される場合には、2つの偏光した波面のそれぞれのうちの(マルチミラーで反射された)一方が、シンプルなミラーで反射されたシンプルな波面のうちの同様に偏光した部分と干渉する。
【0029】
測定対象表面で反射された放射11は、まずビームスプリッタ102に入る。ビームスプリッタ102は断面が長方形であってよく、入射ビーム11はビームスプリッタ102の平坦面に当たり、この平坦面は特に、どのマルチミラー10にも面していない。ビーム11が第1のビームスプリッタ102に入って、2つの更なるビーム11に分割された後、それらの波面12はそれぞれがマルチミラー10に当たり、ビーム11は再度、マルチミラー10によって倍増される。それぞれのマルチミラー10から出現した波面14は、第2のビームスプリッタ102に向けられる。倍増され位相シフトしたそれぞれの波面14は、ダイヤフラム104を通り抜ける。ダイヤフラム104は、それぞれが第2のビームスプリッタ102の平坦面上に位置する。或いは、ダイヤフラム104は、第1のビームスプリッタ102と第2のビームスプリッタ102との間のそれぞれのビーム経路上の任意の場所に位置してよい。第2のビームスプリッタ102では、マルチミラー10から到来した、位相シフトした出射ビーム11が再度倍増されて、それぞれが同じ位相を有する2つの波面15がカメラに向けられる。2つのマルチミラー10からのビームはマージされ、2つの束に分割され、それぞれがビームスプリッタ102の一方の面から出る。ビーム11同士はマージ中に互いに干渉して干渉像を形成するが、これは、例えば、フーリエ解析によってスペクトル分解可能である。
【0030】
2つのビームスプリッタ102は、マルチミラー10に入って出るビーム経路に対して斜めに列をなして位置する。マルチミラー10は、ほぼビームスプリッタ102同士の間であってビームスプリッタ102の左方及び右方に位置する。2つのダイヤフラム104は、第2のビームスプリッタ102の平坦面上に位置し、第1のビームスプリッタ102に面している。或いは、ダイヤフラム104は、第1のビームスプリッタ102と第2のビームスプリッタ102との間のそれぞれのビーム経路上の任意の場所にあってよい。2つのダイヤフラム104は、互いに対してほぼ垂直である。又、これらのダイヤフラム104は、互いに対して垂直でない角度で位置してもよい。
【0031】
マルチミラー10は、それぞれが2つのミラー16、18を含み、ミラー16、18の一方がそれぞれ回転軸を有する。例えば、第1のミラー16及び/又は第2のミラー18は、回転軸を有してよい。一方のマルチミラー10が回転可能な第1のミラー16を有してもよく、他方のマルチミラー10が回転可能な第2のミラーを有してよい。回転軸同士は、互いに対して垂直に位置合わせされてよい。ミラー16、18の回転は、増倍されたビーム11の位相シフトを発生させる為に使用されてよい。位相シフトは、回転によって2つのミラー16、18の間に設定された角度19に依存する。ミラーの変位は、放射11のせん断を引き起こすこともある。2つのマルチミラー10の第1及び第2のミラー16、18からの偏光ビームの各干渉像は、回転によって互いに対してシフトしてよい。回転軸は、例えば、マルチミラー10のフレームに実装されてよい。
【0032】
第2のビームスプリッタ102を通り抜けると、シングルスリットダイヤフラム104は、第2のビームスプリッタ102の出射平坦面上では、仮想ダブルスリットダイヤフラムのように見える。これは、それぞれのマルチミラー10からの2つの位相シフトしたビームが、それぞれのダイヤフラム104を通り抜けた後に再度マージされる為である。このダブルスリットの間隔をとることは、空間における位相シフトに対応する空間キャリア周波数を必要とする。従って、キャリア周波数は、ミラー16、18の回転位置から切り離される。
【0033】
ミラー16、18は、放射11を、反射に応じて異なる方向に偏光させる。例えば、部分的に透明な第1のミラー16は、特定の偏光を有する放射11だけを反射することが可能であり、それによって、通り抜けが可能な放射11は第2のミラー18で反射される。この状況では、放射11は、2つの第1のミラー16によって同じ方向に偏光されうる。偏光方向が同じである反射されたビーム11同士は、互いに干渉することが可能である。同様に、第2のミラーからのビーム11も同じ方向に偏光されうる。従って、それらも互いに干渉することが可能である。これに対し、第1のミラーからのビーム11は、第2のミラーからのビーム14と干渉することができない。これは、それらの偏光の方向が異なる為である。ここで、一方のマルチミラー10の第1の偏光ミラー16が他方のマルチミラー10の第1の偏光ミラー16に対して傾いていると、反射されたビーム11同士の干渉像が生成される。この像は、せん断された像として理解されてよい。例えば、これは水平方向にせん断されてよく、これによってシェアログラフィ測定が可能になる。これとは別に、一方のマルチミラー10の第2のミラー18が他方のマルチミラー10の第2のミラー18のほうに傾いてよく、これにより、反射されたビーム11同士の干渉による別のせん断された像が生成される。せん断は、例えば、垂直方向に行われてよい。
【0034】
このように、水平方向にせん断された波面14及び関連付けられた基準波面、並びに垂直方向にせん断された波面及び関連付けられた基準波面が、2つのマルチミラー10によって生成される。従って、水平方向及び垂直方向のそれぞれにおいて干渉が可能なように偏光されたそれぞれの波面のキャリア周波数がダイヤフラム104の使用によって生成される。この結果として、フーリエ空間においてスペクトルが分離される。
【0035】
第1及び第2のミラー16、18から反射されたビーム11のペア間の干渉によって生成された両方の像が、カメラによってキャプチャされる。2つのせん断された像を別々に評価する為に、それらの偏光が分離の基準として使用されてよい。これは、例えば、偏光に応じて異なる空間キャリア周波数を使用することによって達成可能である。その為に、2つのダイヤフラム104は、偏光別のアパーチャ106を有してよい。ダイヤフラム104のアパーチャ106の幅によって、フーリエ解析において干渉法によって比例的に生成される像の周波数幅が決定される。アパーチャ106は、偏光フィルタを備えてよい。
【0036】
これに対する追加又は代替として、アパーチャ106は、特定波長の放射11だけが通り抜けることが可能な周波数フィルタを備えてよい。特定波長をフィルタリングすることにより、測定精度が向上する。これは、例えば、アパーチャサイズを1つの波長だけに合わせて調節できる為である。それによって像の誤差が避けられる。カラーカメラを使用すると、フィルタリングされた、様々な波長からの干渉像を解析することが可能になる。例えば、カラーフィルタによって周波数フィルタが生成可能である。
【0037】
図3は、ビームスプリッタ102を含む一装置100を示し、ビームスプリッタ102は電磁ビーム11の伝搬方向に配置され、ビーム11は最初にビームスプリッタ102に入る。ビーム11は、装置に入ると直ちにビームスプリッタ102内に進み、ビームスプリッタ102内で分割される。ビーム11の一部分は、第1の伝搬方向1にある可動ミラー6に誘導される。分割されたビーム11の残りのビームは、第2の伝搬方向2にある固定位置ミラー5に誘導される。ビームスプリッタ102と2つのミラー6、5のそれぞれとの間にダイヤフラム104がそれぞれ配置されている。ビームスプリッタ102を通って得られた各部分ビームは、各ダイヤフラム104を少なくとも2回通り抜ける。即ち、部分ビームは、各ミラー6、5で反射される前に1回、反射された後に1回、ダイヤフラム104を通り抜ける。これらの部分ビームはビームスプリッタ102において再度マージされ、カメラに向けられる。カメラの方向からは仮想ダブルスリット4が見える。
【0038】
図4は、更なる第2のビームスプリッタ102を含む更なる開発形態を開示する。ミラー5及び可動ミラー6も装置100の一部であり、2つのビームスプリッタ102は互いの対角線上に並ぶように配置されている。各ビームスプリッタの一部のコーナーを通る仮想対角線3が置かれてよく、それによって、各ビームスプリッタ102の幾つかのコーナーが互いに対して位置合わせされる。ビームスプリッタ102の対角線配置の2つの側のそれぞれにミラー6、5の一方が配置される。ミラー6、5は、ビームスプリッタ102を通る仮想対角線3にほぼ平行に配置される。可動ミラー6は、平行配置から調節角度だけそれてよいが、平行位置にリセット可能である。ダイヤフラム104が、ビーム11が2番目に入るビームスプリッタ102、即ち、第1のビームスプリッタ102からの部分ビームが入るビームスプリッタ102と、ミラー5、6のそれぞれとの間に配置される。ダイヤフラム104は、ミラー5、6で反射されたビーム11が入るビームスプリッタ102の面にほぼ平行である。
【0039】
参照符号リスト
1 第1の伝搬方向
2 第2の伝搬方向
3 対角線
4 仮想ダブルスリット
5 固定ミラー
6 可動ミラー
10 マルチミラー
11 電磁放射
12 入射波面
14 出射波面
15 カメラに向かう波面
16 第1のミラー
18 第2のミラー
19 角度
20 回転軸
100 装置
102 ビームスプリッタ
104 ダイヤフラム
106 アパーチャ
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】