(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の医薬組成物およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/44 20060101AFI20220419BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20220419BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220419BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220419BHJP
【FI】
A61K31/44
A61P7/06
A61P43/00 111
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550296
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 CN2020077560
(87)【国際公開番号】W WO2020177681
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】201910160454.8
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】510166892
【氏名又は名称】ジエンス ヘンルイ メデイシンカンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI MEDICINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】519126343
【氏名又は名称】スゥジョウ サンカディア バイオファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU SUNCADIA BIOPHARMACEUTICALS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ツィリアン
(72)【発明者】
【氏名】シー レイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ルイン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA44
4C076AA53
4C076BB04
4C076CC14
4C076CC29
4C076DD05C
4C076DD28C
4C076DD28H
4C076DD29C
4C076DD29H
4C076DD38
4C076DD41C
4C076DD46C
4C076DD47C
4C076DD57C
4C076DD67
4C076EE16B
4C076EE23H
4C076EE31
4C076EE32B
4C076EE32H
4C076EE38B
4C076EE38C
4C076EE47B
4C076EE54C
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF24
4C076GG12
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA03
4C086ZA55
4C086ZC20
(57)【要約】
本出願は、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の医薬組成物およびその調製方法を提供する。特に、本出願は、式(I)によって表される化合物またはその薬理学的に許容される塩および少なくとも1つの水溶性フィラーを含む組成物を提供する。本出願によって提供される組成物は、迅速な溶解速度および良好な安定性を有する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬理学的に許容される塩および少なくとも1つの水溶性フィラーを含む医薬組成物
【化1】
【請求項2】
前記水溶性フィラーが糖アルコール、好ましくはラクトース、グルコース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールのうちの1つまたは複数、最も好ましくはラクトースまたはマンニトールである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物の総重量に対して、前記水溶性フィラーが15重量%から95重量%、好ましくは30重量%から80重量%、より好ましくは40重量%から75重量%の量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの追加のフィラーをさらに含み、該追加のフィラーが、デンプン、アルファ化デンプン、デキストリン、微結晶性セルロースおよびリン酸水素カルシウムからなる群より選択され、好ましくは微結晶性セルロースである、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記追加のフィラーが、前記組成物の総重量に対して1重量%から80重量%、好ましくは10重量%から50重量%、最も好ましくは15重量%から30重量%の量で存在する、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
崩壊剤をさらに含み、該崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびクロスポビドンからなる群より選択される1つまたは複数、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記崩壊剤が、前記組成物の総重量に対して、0.1重量%から20重量%、好ましくは1重量%から10重量%、より好ましくは2重量%から5重量%の量で存在する、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
潤滑剤をさらに含み、該潤滑剤が、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、および水添植物油からなる群より選択される1つまたは複数であり、組成物の総重量に対して、0.1重量%から5重量%、好ましくは1重量%から3重量%の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記式(I)の化合物または前記その薬理学的に許容される塩は、前記組成物の総重量に対して、0.1重量%から70重量%、好ましくは5重量%から50重量%、最も好ましくは15重量%から35重量%の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
滑剤をさらに含み、該滑剤が、二酸化ケイ素、コーンスターチ、シリシイドキシダムおよびタルクからなる群より選択された1つまたは複数、好ましくはシリシイドキシダムであり、前記組成物の総重量に対して、0.1%から10%、好ましくは0.5%から5%、最も好ましくは0.5%から2.0%の量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記式(I)の化合物または前記その薬理学的に許容される塩の量は、1回の投与分で、1から1000mg、好ましくは5から500mg、最も好ましくは25mg、50mg、100mg、125mg、150mg、175mg、または200mgである、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記式(I)の化合物または前記その薬理学的に許容される塩の粒径d0.9は、レーザ粒子分析装置による測定で、200μm未満、好ましくは150μm未満である、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物であって、以下の化合物、すなわち:
粒径分布d0.9が150μm未満である、15%から35%の式(I)の化合物またはその薬理学的に許容される塩;
40%から75%の糖アルコールフィラー、好ましくはラクトースまたはマンニトール;
任意選択で10%から50%の微結晶性セルロース;
0.1%から20%の崩壊剤;
0.1%から5%の潤滑剤;および
0.1%から10%の滑剤
を含み、
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびクロスポビドンからなる群より選択される1つまたは複数であり、
前記潤滑剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウムおよび水添植物油からなる群より選択される1つまたは複数であり、
前記滑剤は、二酸化ケイ素、コーンスターチ、シリシイドキシダムおよびタルクからなる群より選択される1つまたは複数である、医薬組成物。
【請求項14】
錠剤またはカプセルである、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
コーティング層をさらに含み、コーティング剤は胃溶性コーティング剤であり、具体的には、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、オイドラギットEシリーズ、ヒドロキシプロピルジブチルセルロースアセテートエーテル、メチルビニルピリジン、メタクリレートおよびメタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセスロースならびにオパドライ(Opadry) (登録商標)85G68918からなる群より選択される1つまたは複数、好ましくはオパドライ(Opadry) (登録商標)85G68918であり、前記コーティング層の重量増加は、錠剤コアの総重量の1%から10%、好ましくは2%から5%である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物の溶解速度は、中国薬局方2015年版第4巻の総則0931、第2法に従い、溶解媒体としてリン酸緩衝液を使用し、75rpmの速度で測定して、45分で75%以上、好ましくは45分で80%以上、最も好ましくは45分で90%以上である、請求項1から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
式(I)の化合物またはその薬理学的に許容される塩を水溶性フィラーと混合して混合物を得る工程と、該混合物を湿式造粒、乾式造粒または粉末直接圧縮、好ましくは乾式造粒または粉末直接圧縮にかける工程とを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の医薬組成物を調製する方法。
【請求項18】
胃溶性コーティング剤によるコーティング工程を任意選択で含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
プロリルヒドロキシラーゼ媒介性疾患、好ましくは貧血を治療する薬剤の調製における、請求項1から15のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は医薬の分野に属し、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
貧血とは、一般的に、ヘモグロビンや赤血球に異常があり、血液中の酸素レベルが低下することを指す。貧血はまた、慢性感染症、腫瘍性疾患、結果として生じる骨髄の炎症抑制の障害を含む慢性炎症などの慢性疾患に関連して発症することもある。慢性疾患の貧血、例えば慢性腎臓病の貧血は、医学的に最も一般的な症候群の1つである。慢性腎臓病における貧血の主な原因は、エリスロポエチン(EPO)の分泌不足である(非特許文献1(Nephrol Dial Transplant 17 (2002)2-7))。EPOの分泌が不十分な場合、赤血球の生成が妨げられ、貧血が発生する可能性がある。EPOの発現と分泌は、転写因子低酸素誘導因子(HIF)によって制御される。完全な転写機能を持つHIFタンパク質は、HIF-αおよびHIF-βの2つのサブユニットで構成されており、このうちHIF-αは、HIF-αをヒドロキシル化して分解を促すことができるプロリルヒドロキシラーゼ(PHD)によって調節される。人体内では、プロリルヒドロキシラーゼ2(PHD2)が、HIFレベルを調節する最も支配的なサブタイプである(非特許文献2(Journal of Medicinal Chemistry 56(2013)9369-9402))。生体内においてプロリルヒドロキシラーゼ(PHD)の活性が阻害されると、HIF-αサブユニットは生体内で安定化され、核に入り、核内のHIF-βサブユニットと結合して安定したHIF二量体を形成することができる。二量体はさらに下流遺伝子の発現を引き起こし、それによってEPOの発現と分泌が促進される。従って、プロリルヒドロキシラーゼの活性の阻害はHIF-αレベルを増加させ、EPOの産生を促進し、それによって赤血球の成熟が促進され、血液の酸素供給能力が高まり、貧血または虚血症状が改善される。
【0003】
特許文献1(国際公開第2017059623 A1号パンフレット)は、新しいクラスのアルキルピリジンプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤を開示している。その中で、化学名が2-(3-ヒドロキシ-5-(3-p-クロロフェノキシプロピン-1-イル))ピコリンアミド酢酸である式(I)の化合物は、プロリルヒドロキシラーゼに対して優れた阻害効果を示し、慢性貧血を治療するための潜在的な新薬である。
【化1】
【0004】
患者の医薬品ニーズを満たすために、式(I)の化合物を適切な製剤に調製する必要がある。固形製剤に関しては、良好な溶解性と安定性が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017059623 A1号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nephrol Dial Transplant 17 (2002)2-7
【非特許文献2】Journal of Medicinal Chemistry 56(2013)9369-9402
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、良好な安定性および迅速な溶解性を有する医薬組成物を提供する。医薬組成物を調製するプロセスは単純で、大量生産に適している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願は、式(I)の化合物またはその薬理学的に許容される塩および少なくとも1つの水溶性フィラーを含む医薬組成物を提供する。
【化2】
【0009】
本出願に記載する水溶性フィラーは、糖アルコールであってもよく、好ましくは、ラクトース、グルコース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールのうちの1つまたは複数であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、本出願の水溶性フィラーはラクトースまたはマンニトールであり、好ましくはラクトースである。
【0011】
本出願における水溶性フィラーは、組成物の総重量に対して、15重量%から95重量%、好ましくは30重量%から80重量%、より好ましくは40重量%から75重量%の量で存在する。
【0012】
本出願で提供される医薬組成物は、デンプン、アルファ化デンプン、デキストリン、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム、好ましくは微結晶性セルロースなどの少なくとも1つの追加のフィラーを含むことができる。
【0013】
本出願で提供される医薬組成物中の追加のフィラーは、組成物の総重量に対して、1重量%から80重量%、好ましくは10重量%から50重量%、最も好ましくは15重量%から30重量%の量で存在する。
【0014】
いくつかの実施形態において、組成物中の水溶性フィラーはラクトースであり、追加のフィラーは微結晶性セルロースである。
【0015】
本出願で提供される医薬組成物は崩壊剤をさらに含み、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびクロスポビドンからなる群より選択される1つまたは複数であり、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。
【0016】
本出願で提供される医薬組成物中の崩壊剤は、組成物の総重量に対して、0.1重量%から20重量%、好ましくは1重量%から10重量%、より好ましくは2重量%から5重量%の量で存在する。
【0017】
本出願で提供される医薬組成物は潤滑剤をさらに含み、潤滑剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウムおよび水添植物油からなる群より選択される1つまたは複数であり、組成物の総重量に対して、0.1重量%から5重量%、好ましくは0.1重量%から3重量%、最も好ましくは1重量%から2重量%の量で存在する。具体的には、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%であり得る。
【0018】
本出願で提供される医薬組成物は滑剤をさらに含むことができ、滑剤は、二酸化ケイ素、コーンスターチ、シリシイドキシダム(siliciidoxydum)およびタルクからなる群より選択され、好ましくはシリシイドキシダムであり、組成物の総重量に対して、0.1%重量から10%重量、好ましくは0.5重量%から5重量%、最も好ましくは0.5重量%から2.0重量%で存在する。
【0019】
本出願で提供される医薬組成物における、式(I)の化合物である有効成分またはその薬理学的に許容される塩は、組成物の総重量に対して、0.1%重量から70%重量、好ましくは5重量%から50重量%、最も好ましくは15重量%から35重量%の量で存在する。
【0020】
本出願で提供される医薬組成物において、式(I)の化合物またはその薬理学的に許容される塩は、1回の投与分で、1から1000mg、好ましくは5から500mgである。具体的に、量は、10mg, 15mg, 20mg, 25mg, 30mg, 35mg, 40mg, 45mg, 50mg, 55mg, 60mg, 65mg, 70mg, 75mg, 80mg, 85mg, 90mg, 95mg, 100mg, 105mg, 110mg, 115mg, 120mg, 125mg, 130mg, 135mg, 140mg, 145mg, 150mg, 155mg, 160mg, 165mg, 170mg, 175mg, 180mg, 185mg, 190mg, 195mg, 200mg, 205mg, 210mg, 215mg, 220mg, 225mg, 230mg, 235mg, 240mg, 245mg, 250mg, 255mg, 260mg, 265mg, 270mg, 275mg, 280mg, 285mg, 290mg, 295mg, 300mg, 305mg, 310mg, 315mg, 320mg, 325mg, 330mg, 335mg, 340mg, 345mg, 350mg, 355mg, 360mg, 365mg, 370mg, 375mg, 380mg, 385mg, 390mg, 395mg, 400mg, 405mg, 410mg, 415mg, 420mg, 425mg, 430mg, 435mg, 440mg, 445mg, 450mg, 455mg, 460mg, 465mg, 470mg, 475mg, 480mg, 485mg, 490mg, 495mg, 500mg,そして好ましくは25mg, 50mg, 75mg, 100mg, 125mg, 150mg, 175mg, 200mg, 225mg, 250mg, 275mg, 300mg, 325mg, 350mg, 375mg, 400mg, 425mg, 450mg, 475mgまたは500mgであり得る。
【0021】
本出願で提供される医薬組成物において、式(I)の化合物またはその薬理学的に許容される塩の粒径d0.9は、200μm未満、好ましくは150μm未満である。
【0022】
本出願は、以下の成分、すなわち:
粒径分布d0.9が150μm未満である、15%から35%の式(I)の化合物またはその薬理学的に許容される塩;
40%から75%の糖アルコールフィラー、好ましくはラクトースまたはマンニトール;
任意選択で10%から50%の微結晶性セルロース;
0.1%から20%の崩壊剤;
0.1%から5%の潤滑剤;および
0.1%から10%の滑剤
を含む医薬組成物を提供し、
崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびクロスポビドンからなる群より選択される1つまたは複数であり、
潤滑剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウムおよび水添植物油からなる群より選択される1つまたは複数であり、
滑剤は、二酸化ケイ素、コーンスターチ、シリシイドキシダムおよびタルクからなる群より選択される1つまたは複数である。
【0023】
本出願で提供される医薬組成物は、錠剤またはカプセルであり得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、本出願で提供される組成物は、コーティング層を含み、コーティング剤は胃溶性コーティング剤であり、具体的には、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、オイドラギット(Eudragit)Eシリーズ、ヒドロキシプロピルジブチルセルロースアセテートエーテル、メチルビニルピリジン、メタクリレートおよびメタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセスロースならびにオパドライ(Opadry) (登録商標)85G68918からなる群より選択される1つまたは複数とすることができる。コーティング層の重量増加は、錠剤コアの総重量の1%から10%、好ましくは2%から5%である。
【0025】
本出願の医薬組成物は、当技術分野における従来の方法によって調製することができる。有効成分である式(I)の化合物またはその薬理学的に許容される塩を、水溶性フィラーと混合して混合物を得、その混合物をさらに湿式造粒、乾式造粒または粉末直接圧縮、好ましくは乾式造粒または粉末直接圧縮にかける。
【0026】
いくつかの実施形態において、本出願で提供される医薬組成物は錠剤であり、その調製方法はさらにコーティング工程を含み、コーティング工程におけるコーティング剤は胃溶性コーティング剤である。
【0027】
本出願で提供される医薬組成物は、プロリルヒドロキシラーゼ媒介性疾患、好ましくは貧血を治療するための薬剤の調製に使用することができる。
【0028】
本出願で提供される医薬組成物は、水溶性フィラーの存在により、良好な薬物溶解速度を有する。医薬組成物の溶解速度は、中国薬局方2015年版第4巻の総則0931、第2法に従って、溶解媒体として900mlのリン酸緩衝液(pH5.8)(0.5%Tween80)を使用し、75rpmの速度で測定して、45分で75%以上、好ましくは45分で80%以上、最も好ましくは45分で90%以上である。
【0029】
別の態様において、本出願で提供される医薬組成物は良好な安定性を有する。医薬組成物を開放状態において、温度60℃または40℃および相対湿度75%で14日間または30日間放置した後の総不純物は2%未満である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施例1~3および比較例1、2の溶解プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を、以下の実施例および実験例によってさらに詳細に説明する。これらの実施例および実験例は例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0032】
実施例1~3および比較例1、2
材料を正確に計量した。最初に、少量のラクトース(またはマンニトール、微結晶性セルロースもしくは無水リン酸水素カルシウム)を40メッシュのふるいにかけた。次いで、式(I)の化合物(有効成分)および残りのラクトース(またはマンニトール、微結晶性セルロースもしくは無水リン酸水素カルシウム)を混合し、一緒にふるいにかけた。次に、微結晶性セルロース、無水リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素などをふるいにかけた。混合物を適切な混合ボトルに入れ、15分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに5分間混合した。混合物を計量し、φ6mmの浅い凹状円形パンチを備えたシングルパンチ打錠機で圧縮し、目標錠剤重量は100mg(95から105mg)であり、目標硬度は60N(40から80N)だった。上記の調製方法に従って、実施例1~3およびに比較例1、2の錠剤を調製した。
【0033】
【0034】
実施例4~6および比較例3、4
実施例1の処方および調製方法に従い、表2の実施例4~6および比較例3、4の錠剤を、有効成分の粒径を制御することによって得た。APIの種々の粒径の製品の溶解への影響を調査した。
【0035】
【0036】
実験例1. 種々の処方の製品の溶解への影響
試験液:溶解・放出試験(中国薬局方2015年版第4巻の総則0931、第2法)に従い、溶解媒体として3錠を900mlのリン酸緩衝液(pH 5.8)(0.5%Tween 80)に加え、75rpmの速度で撹拌した。10、15、30、45、60および90分で2mlの溶液を収集し、0.45μmのフィルタ膜で濾過し、試験液を得た。
【0037】
標準液: 基準となる適量の有効成分を溶解媒体に溶解し、定量的に希釈して標準液を得た。試験液および標準液を液体クロマトグラフに注入して、それぞれクロマトグラムを記録し、ピーク面積を測定した。各時間における各錠剤の溶解量を計算した。
【0038】
実施例1~3および比較例1、2の溶解速度を表3に示す。
【0039】
【0040】
結果は、処方にマンニトールまたはラクトースを含む実施例では、有効成分の溶解が早いのに対し、マンニトールまたはラクトースを含まない比較例では、溶解が遅くて不完全であることを示している。溶解プロファイルを
図1に示す。
【0041】
実施例4~6および比較例3、4の溶解速度を表4に示す。
【0042】
【0043】
実験結果は、処方中の有効成分の粒径分布d0.9が200μmを超える場合、有効成分の溶解は遅く、不完全であることを示し、有効成分の粒径分布d0.9が200μm未満の場合、粒径が小さくなるにつれて溶解速度が徐々に速くなる傾向があることを示している。
【0044】
実験例2: 安定性調査
実施例1~3および比較例1、2の錠剤を、開放状態において、温度60℃または40℃および相対湿度75%で14日間または30日間放置した。総不純物の形成は、HPLC法によって測定した。結果は、全ての処方が高温多湿条件下で安定しており、明らかな違いがないことを示している。実験結果を表5に示す。
【0045】
【国際調査報告】