(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】整合ネットワーク内の損傷の検出
(51)【国際特許分類】
H03H 7/40 20060101AFI20220419BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H03H7/40
H05H1/46 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552588
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(85)【翻訳文提出日】2021-10-27
(86)【国際出願番号】 US2020020750
(87)【国際公開番号】W WO2020180848
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519027693
【氏名又は名称】エーイーエス グローバル ホールディングス, プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン グルーネン, コーネルイス エラスムス
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正博
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084DD55
2G084HH08
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH24
2G084HH28
2G084HH29
2G084HH37
(57)【要約】
整合ネットワークを動作させるためのシステムおよび方法が、開示される。方法は、整合ネットワークの第1の側における少なくとも1つの測定ベースの属性と、整合ネットワークの第2の側における少なくとも1つの測定ベースの属性とを取得することを含む。整合ネットワークの現在のリアクタンス設定が、取得され、整合ネットワークの現在のリアクタンス設定に基づいて、整合ネットワークの第1の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を整合ネットワークの第2の側における少なくとも1つの期待属性と関連付ける整合ネットワークのモデルが、アクセスされる。整合ネットワークの第2の側における少なくとも1つの測定ベースの属性は、少なくとも1つの期待出力属性と対比され、整合ネットワークが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整合ネットワークを動作させるための方法であって、前記方法は、
前記整合ネットワークを通して発生器からの電力をプラズマ負荷に結合することと、
前記整合ネットワークの第1の側において1つ以上のパラメータを測定し、前記整合ネットワークの前記第1の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を取得することと、
前記整合ネットワークの第2の側において1つ以上のパラメータを測定し、前記整合ネットワークの第2の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を取得することであって、前記整合ネットワークの前記第1の側および第2の側は、前記整合ネットワークの電気的に反対側にある、ことと、
前記整合ネットワークの現在のリアクタンス設定を取得することと、
前記整合ネットワークの前記現在のリアクタンス設定に基づいて、前記整合ネットワークの前記第1の側における前記少なくとも1つの測定ベースの属性を前記整合ネットワークの前記第2の側における少なくとも1つの期待属性と関連付ける前記整合ネットワークのモデルにアクセスすることと、
前記整合ネットワークの前記第2の側における前記少なくとも1つの測定ベースの属性を、前記少なくとも1つの期待属性と対比し、前記整合ネットワークが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記整合ネットワークの前記第2の側において1つ以上のパラメータを測定することは、前記整合ネットワークの前記第2の側において電圧または電流のうちの少なくとも1つを取得することを含み、
前記整合ネットワークの前記第1の側において1つ以上のパラメータを測定することは、前記整合ネットワークの前記第1の側において電圧または電流のうちの少なくとも1つを取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの測定ベースの属性は、測定電圧値を含み、前記少なくとも1つの期待属性は、期待電圧値を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの測定ベースの属性は、測定電流値を含み、前記少なくとも1つの期待属性は、期待電流値を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの測定ベースの属性は、測定電圧値および測定電流値の両方を含み、前記少なくとも1つの期待属性は、期待電圧値および期待電流値の両方を含み、前記対比することは、
前記測定電圧値と前記期待電圧値との間の差異を判定することと、
前記測定電流値と前記期待電流値との間の差異を判定することと
を含み、
前記測定電圧値と前記期待電圧値との間の差異、または、前記測定電流値と前記期待電流値との間の差異のうちの少なくとも1つが、対応する閾値を超過する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記整合ネットワークの前記第2の側における前記測定ベースの属性は、前記整合ネットワークの出力において測定される前記電圧および電流に基づいて計算される出力インピーダンスを含み、
前記整合ネットワークの前記第1の側における前記測定ベースの属性は、1つ以上の測定入力パラメータ値に基づいて計算される入力インピーダンスを含み、
前記期待属性は、前記整合ネットワークの前記入力インピーダンスおよび前記現在のリアクタンス設定を使用して前記モデルにアクセスすることによって取得される前記整合ネットワークの前記出力における期待インピーダンスを含み、
前記対比することは、前記整合ネットワークの前記出力における前記出力インピーダンスを前記整合ネットワークの前記出力における前記期待インピーダンスと対比し、前記整合ネットワークが損傷を受けているかどうかを査定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の側は、前記整合ネットワークの入力または出力のうちの1つであり、前記第2の側は、前記整合ネットワークの電気的に反対側である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
整合システムであって、
可変リアクタンスセクションであって、前記可変リアクタンスセクションは、前記可変リアクタンスセクションの出力におけるインピーダンスを、前記可変リアクタンスセクションの入力において提示される入力インピーダンスに変換するためのものである、可変リアクタンスセクションと、
前記可変リアクタンスセクションの入力において1つ以上の入力パラメータを測定するための少なくとも1つの入力センサと、
前記可変リアクタンスセクションの出力において1つ以上の出力パラメータを測定するための少なくとも1つの出力センサと、
少なくとも前記可変リアクタンスセクションのモデルを定義するデータを含む不揮発性メモリと、
前記1つ以上の入力パラメータ測定値、前記1つ以上の出力パラメータ測定値、前記可変リアクタンスセクションのリアクタンス設定、および前記整合ネットワークの前記モデルを使用して、前記可変リアクタンスセクションが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定するための手段と、
を備える、整合システム。
【請求項9】
前記査定するための手段は、
前記可変リアクタンスセクションの第1の側における前記1つ以上のパラメータ測定値に前記モデルを適用し、前記可変リアクタンスセクションの第2の側における1つ以上の期待パラメータ値を取得するための手段であって、前記可変リアクタンスセクションの前記第1の側および第2の側は、前記可変リアクタンスセクションの電気的に反対側にある、手段と、
前記1つ以上の期待パラメータ値を前記1つ以上のパラメータ測定値と対比し、前記可変リアクタンスセクションが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定するための手段と、
を含む、請求項8に記載の整合システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの入力センサは、前記可変リアクタンスセクションの前記入力における電圧センサまたは電流センサのうちの少なくとも1つを含み、
前記少なくとも1つの出力センサは、前記可変リアクタンスセクションの前記出力における電圧センサまたは電流センサのうちの少なくとも1つを含み、
前記査定するための手段は、前記可変リアクタンスセクションの前記第1の側における電圧測定値または電流測定値のうちの1つ以上のものに前記モデルを適用し、1つ以上の期待電圧値または期待電流値を取得するための手段を含み、
前記対比するための手段は、前記1つ以上の期待電圧値もしくは期待電流値を、前記可変リアクタンスセクションの前記第2の側における1つ以上の対応する電圧測定値または電流測定値と対比するための手段を含む、請求項9に記載の整合システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの入力センサは、前記可変リアクタンスセクションの第1の側における電圧センサと電流センサとを含み、
前記少なくとも1つの出力センサは、前記可変リアクタンスセクションの第2の側における電圧センサと電流センサとを含み、
前記査定するための手段は、
前記可変リアクタンスセクションの前記第2の側において測定される電圧および電流に基づいて、前記第2の側におけるインピーダンスを計算するための手段と、
前記可変リアクタンスセクションの前記第1の側において測定される電圧および電流に基づいて、前記可変リアクタンスセクションの前記第1の側におけるインピーダンスを計算するための手段と、
前記可変リアクタンスセクションの前記第2の側における期待インピーダンスを取得し、前記可変リアクタンスセクションの前記第2の側における前記期待インピーダンスを前記計算されたインピーダンスと対比し、前記整合ネットワークが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定するための手段と
を含む、請求項8に記載の整合システム。
【請求項12】
前記可変リアクタンスセクションは、可変コンデンサまたは固定コンデンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の整合システム。
【請求項13】
前記可変リアクタンスセクション、前記少なくとも1つの入力センサ、前記少なくとも1つの出力センサ、および前記査定するための手段は、共通筐体と統合されるかまたは2つ以上の別個のコンポーネント間に分散されるかのうちの1つである、請求項8に記載の整合システム。
【請求項14】
整合システムであって、
可変リアクタンスセクションであって、前記可変リアクタンスセクションは、前記可変リアクタンスセクションの出力におけるインピーダンスを、前記可変リアクタンスセクションの入力において提示される入力インピーダンスに変換するためのものである、可変リアクタンスセクションと、
前記可変リアクタンスセクションの入力において1つ以上の入力パラメータを測定するための少なくとも1つの入力センサと、
前記可変リアクタンスセクションの出力において1つ以上の出力パラメータを測定するための少なくとも1つの出力センサと、
非一過性コンピュータ可読媒体であって、
それに記憶されるデータであって、前記データは、少なくとも前記可変リアクタンスセクションのモデルを定義する、データと、
それに記憶される命令であって、前記命令は、プロセッサによる実行のためまたはフィールドプログラマブルゲートアレイを構成するためのものであり、前記命令は、
前記可変リアクタンスセクションの第1の側において1つ以上のパラメータを測定し、前記可変リアクタンスセクションの前記第1の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を取得することと、
前記可変リアクタンスセクションの第2の側において1つ以上のパラメータを測定し、前記可変リアクタンスセクションの前記第2の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を取得することであって、前記可変リアクタンスセクションの前記第1の側および第2の側は、前記可変リアクタンスセクションの電気的に反対側にある、ことと、
前記可変リアクタンスセクションの現在のリアクタンス設定を取得することと、
前記整合ネットワークの前記現在のリアクタンス設定に基づいて、前記整合ネットワークの前記第1の側における前記少なくとも1つの測定ベースの属性を使用して、前記可変リアクタンスセクションのモデルにアクセスし、前記整合ネットワークの前記第2の側における少なくとも1つの期待属性を取得することと、
前記少なくとも1つの測定ベースの属性を前記少なくとも1つの期待属性と対比し、前記整合ネットワークが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定することと
を行うための命令を含む、命令と
を備える、非一過性コンピュータ可読媒体と
を備える、整合システム。
【請求項15】
前記1つ以上の出力パラメータを測定するための命令は、前記整合ネットワークの前記出力における電圧または電流のうちの少なくとも1つを取得するための命令を含み、
前記1つ以上の入力パラメータを測定するための命令は、前記整合ネットワークの前記入力における電圧または電流のうちの少なくとも1つを取得するための命令を含む、請求項14に記載の整合システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの測定ベースの出力属性は、測定電圧値を含み、前記少なくとも1つの期待属性は、期待電圧値を含む、請求項15に記載の整合システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの測定ベースの出力属性は、測定電流値を含み、前記少なくとも1つの期待出力属性は、期待電流値を含む、請求項15に記載の整合システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの測定ベースの出力属性は、測定電圧値および測定電流値の両方を含み、前記少なくとも1つの期待出力属性は、期待電圧値および期待電流値の両方を含み、前記対比するための命令は、
前記測定電圧値と前記期待電圧値との間の差異を判定することと、
前記測定電流値と前記期待電流値との間の差異を判定することと
を行うための命令を含み、
前記測定電圧値と前記期待電圧値との間の差異、または、前記測定電流値と前記期待電流値との間の差異のうちの少なくとも1つが、対応する閾値を超過する、請求項15に記載の整合システム。
【請求項19】
前記測定ベースの出力属性は、前記整合ネットワークの前記出力において測定される前記電圧および電流に基づいて計算される出力インピーダンスを含み、
前記測定ベースの属性は、前記1つ以上の測定入力パラメータ値に基づいて計算される入力インピーダンスを含み、
前記期待属性は、前記整合ネットワークの前記入力インピーダンスおよび前記現在のリアクタンス設定を使用して前記モデルにアクセスすることによって取得される前記整合ネットワークの前記出力における期待インピーダンスを含み、
前記対比するための命令は、前記整合の前記出力における前記出力インピーダンスを、前記整合の前記出力における前記期待インピーダンスと対比し、前記整合ネットワークが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定するための命令を含む、請求項15に記載の整合システム。
【請求項20】
前記可変リアクタンスセクションは、固体スイッチとの組み合わせにおける可変コンデンサまたは固定コンデンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の整合システム。
【請求項21】
前記可変リアクタンスセクション、前記少なくとも1つの入力センサ、前記少なくとも1つの出力センサ、および前記非一過性コンピュータ可読媒体は、共通筐体と統合されるかまたは2つ以上の別個のコンポーネント間に分散されるかのうちの1つである、請求項14に記載の整合システム。
【請求項22】
前記1つ以上の出力パラメータを測定するための命令は、前記整合ネットワークの前記出力における順方向電力または反射電力のうちの少なくとも1つを取得するための命令を含み、
前記1つ以上の入力パラメータを測定するための命令は、前記整合ネットワークの前記入力における順方向電力または反射電力のうちの少なくとも1つを取得するための命令を含む、請求項14に記載の整合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、プラズマ処理に関する。特に、限界ではないが、本発明は、無線周波数発生器から半導体処理チャンバ内のプラズマ負荷に伝送される無線周波数電力をインピーダンス整合するためのシステム、方法、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の世界では、製造業者は、無線周波数(RF)電力を利用してプラズマを発生させるプラズマ処理チャンバを生産する。RF発生器(「発生器」)とプラズマ負荷との間の効率的な電力伝達を達成するために、インピーダンス整合ネットワーク(「整合ネットワーク」)が、多くの場合、負荷インピーダンスを所望の入力インピーダンス(典型的には、50オーム)に整合させるために使用される。プラズマ負荷インピーダンスは、発生器周波数、電力、チャンバ圧力、ガス組成、およびプラズマ点火等の変数に応じて変動し得る。整合ネットワークは、リアクタンス要素(例えば、可変コンデンサ)を変動させ、所望の入力インピーダンスを維持することによって、負荷インピーダンスのこれらの変動を考慮する。
【0003】
多くの整合ネットワークが、整合ネットワークへのある損傷が存在するとき、および/または、整合ネットワークが、整合ネットワークのための設計仕様から外れて動作しているときに、動作可能である。損傷を受けた整合ネットワークは、RF電力損失を引き起こし得、これは、より少ないRF電力がプロセスチャンバに印加されることをもたらし得、RF電力のより少ない印加が、プロセス遷移をもたらし得る。最悪の場合のシナリオでは、プロセス遷移が、損傷が気付かれることなく、処理チャンバ内で処理されているワークピース(例えば、ウエハ)への損傷をもたらし得る。結果として、整合ネットワークへの損傷および/または動作変化を検出することが、望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある側面によると、方法は、整合ネットワークを通して発電機からの電力をプラズマ負荷に結合することと、整合ネットワークの第1の側において1つ以上のパラメータを測定し、整合ネットワークの第1の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を取得することと、整合ネットワークの第2の側において1つ以上のパラメータを測定し、整合ネットワークの第2の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を取得することとを含む。本方法はまた、整合ネットワークの現在のリアクタンス設定を取得することと、整合ネットワークの現在のリアクタンス設定に基づいて、整合ネットワークの第1の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を整合ネットワークの第2の側における少なくとも1つの期待属性と関連付ける整合ネットワークのモデルにアクセスすることとを含む。整合ネットワークの第2の側における少なくとも1つの測定ベースの属性が、少なくとも1つの期待属性と対比され、整合ネットワークが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定する。
【0005】
別の側面は、整合システムとして特徴付けられ得、整合システムは、可変リアクタンスセクションの出力におけるインピーダンスを入力インピーダンスに変換するための可変リアクタンスセクションと、可変リアクタンスセクションの入力において1つ以上の入力パラメータを測定するための少なくとも1つの入力センサと、可変リアクタンスセクションの出力において1つ以上の出力パラメータを測定するための少なくとも1つの出力センサとを含む。整合システムはまた、少なくとも可変リアクタンスセクションのモデルを定義するデータを含む不揮発性メモリと、1つ以上の入力パラメータ測定値、1つ以上の出力パラメータ測定値、可変リアクタンスセクションのリアクタンス設定、および整合ネットワークのモデルを使用して、可変リアクタンスセクションが損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定するための手段とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の側面が実装され得る環境を描写するブロック図である。
【0007】
【
図2】
図2は、
図1に描写される損傷検出コンポーネントの例示的実装である。
【0008】
【
図3】
図3は、本明細書に開示される実施形態によって詳説され得る例示的方法を描写するフローチャートである。
【0009】
【
図4】
図4は、
図1に描写される整合ネットワークの一部の例示的実装である。
【0010】
【
図5】
図5は、
図4に描写される整合ネットワークのリアクタンスセクションの例示的実装の略図である。
【0011】
【
図6】
図6は、整合ネットワークのモデルを発生させるために利用され得るコンポーネントを描写するブロック図である。
【0012】
【
図7】
図7は、整合ネットワークのモデルの発生の間に取得され得るパラメータとパラメータ間の関係とを描写する。
【0013】
【
図8】
図8は、整合ネットワークのモデルと関連付けられるsパラメータ値を参照するために使用され得る行列フォーマットを描写する。
【0014】
【
図9】
図9は、本明細書に説明される機能性コンポーネントを実現するために使用され得るコンポーネントを描写するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例としてのみ与えられる以下のモード、特徴、または側面は、いくつかの実施形態の主題のより綿密な理解を提供するために説明される。
【0016】
単語「例示的な」は、本明細書において、「ある実施例、事例、または例証としての役割を果たす」を意味するために使用される。「例示的」であるものとして本明細書に説明されるいかなる実施形態も、必ずしも、他の実施形態より好ましいものまたは有利であるものとして解釈されるべきではない。
【0017】
最初に
図1を参照すると、示されるものは、発生器102、整合ネットワーク104、プラズマ処理チャンバ105、プラズマ負荷106、および外部コントローラ107である。動作時、発生器102は、電力(例えば、RF電力)を、伝送ライン108(例えば、同軸ケーブル)を介して整合ネットワーク104に、次いで、電気接続110を介してプラズマ負荷106上に印加する。発生器102は、種々の異なる電力レベルおよび周波数において動作し得る種々の異なるタイプの発生器によって実現され得る。
【0018】
整合ネットワーク104は、伝送ライン108を介して発生器102に結合するための電気コネクタ(図示せず)を含む入力112と、電気接続110を介してプラズマ負荷106に結合するための電気コネクタ(図示せず)を含む出力114とを含む。示されるように、整合ネットワーク104はまた、入力センサ116および出力センサ118を含み、両方とも内部コントローラ119に結合され、内部コントローラ119は、測定セクション124と、リアクタンスコントローラ122と、可変リアクタンスセクション120とを含む。
【0019】
プラズマ負荷106は、プラズマ処理チャンバ105内で形成されるプラズマであってもよく、これは、基板のエッチングまたは基板上での薄い層の堆積等の処置を実施することで公知である。プラズマ負荷106は、典型的には、低圧ガス内でのプラズマの形成によって達成される。プラズマは、発生器102(および、潜在的に、付加的な発生器)によって開始および持続され、整合ネットワーク104が、発生器の出力において、発生器102に所望のインピーダンス(典型的には、常時ではないが、50オーム)を見せることを確実にするために採用される。
【0020】
発生器102は、従来の13.56MHz信号によって、RF電力をプラズマ負荷106に印加し得るが、他の周波数もまた、利用され得る。発生器102は、50オームの電源インピーダンスと、発生器102の電源インピーダンスを、(50オーム同軸ケーブル等の)典型的伝送ラインであり得る伝送ライン108のインピーダンスに整合させるための出力ステージとを有し得る。
【0021】
外部コントローラ107は、ハードウェア、またはソフトウェアに接続するハードウェアによって実現されてもよく、外部コントローラ107は、発生器102、整合ネットワーク104、プラズマチャンバ105に結合される機器、他の発生器、質量流量コントローラ等を含む、プラズマ処理システムのいくつかのコンポーネントに結合されてもよい。
【0022】
一般に、整合ネットワーク104は、整合ネットワーク104の出力114におけるインピーダンスを、整合ネットワーク104の入力112における伝送ライン108に提示されるインピーダンスZpに変換するように機能する。より具体的には、整合ネットワーク104では、可変リアクタンスセクション120は、整合ネットワーク104の出力114におけるインピーダンスを、整合ネットワーク104の入力における伝送ライン108に提示される入力インピーダンスに変換するように機能する。より具体的には、当業者が容易に理解するように、測定セクション124は、入力センサ116から、整合ネットワークの入力112における電気パラメータ値を示す信号を受信してもよい。次に、測定セクション124は、整合ネットワーク104の入力インピーダンスが所望の入力インピーダンスに近接する(例えば、50オームに近接する)ように、1つ以上の処理された信号を、可変リアクタンスセクション120の設定、故に、内部電気要素(例えば、可変リアクタンス要素)を制御するリアクタンスコントローラ122に提供してもよい。
【0023】
リアクタンスコントローラ122は、反射RF電力を最小化するために可変リアクタンスセクション120を制御するための従来のフィードバックループを実装してもよいが、反射電力は、最小限化される必要はなく、いくつかの事例では、別のパラメータ(例えば、反射係数)に基づいて可変リアクタンスセクション120を制御すること、および/または不安定性を最小化させることが、望ましい。
【0024】
入力センサ116および/または出力センサ118は、整合ネットワーク104の入力における順方向電力および反射電力を示す出力を提供する感知回路網を含む(当業者に公知の)従来の二重指向性結合器によって実現され得る。入力センサ116および/または出力センサ118はまた、電圧、電流、および電圧と電流との間の位相を示す出力を提供する感知回路網を含む(当業者に公知の)従来の電圧電流(V/I)センサによっても実現され得る。実施例として、指向性結合器が、入力センサ116を実現させるために使用されてもよく、V/Iセンサが、出力センサ118を実現させるために使用されてもよい。また、入力センサ116および出力センサ118はそれぞれ、1つを上回る別個のセンサ(例えば、別個の電圧センサおよび別個の電流トランスデューサ)によって実現されてもよい。言い換えると、単一のブロックが、入力センサ116および出力センサ118のそれぞれに関して描写されるが、単一のブロックはそれぞれ、1つ以上のセンサを表す。
【0025】
測定セクション124は、リアクタンスコントローラ120による利用のために、入力センサ116の出力をサンプリング、フィルタリング、およびデジタル化するための処理コンポーネントを含んでもよい。出力センサ118からの信号が、可変リアクタンスセクション120を制御するために利用され得ることもまた、考えられる。いずれにしても、リアクタンスコントローラ122は、整合ネットワークの出力114におけるインピーダンスを整合ネットワークの入力112における所望のインピーダンス(例えば、50オーム)に変換するように可変リアクタンスコンポーネント120を調節してもよい。プラズマ負荷106のインピーダンスは、ワークピース(例えば、基板)の処理の間に変動する傾向にあるため、リアクタンスコントローラ122は、プラズマ負荷のインピーダンスの増減を補償するためにそのインピーダンスを変化させるために可変リアクタンスセクション120を調節するように動作してもよい。
【0026】
整合ネットワーク104(および整合ネットワーク104の多くの変形例)は、整合ネットワークへのある損傷が存在するとき、および/または、整合ネットワークが設計仕様から外れて動作しているとき、動作可能であり得る。上記で議論されるように、損傷を受けているまたは動作可能に欠損のある整合ネットワーク104は、プラズマ負荷106に印加される電力の変動を引き起こし得、これは、損傷が気付かれることなく、処理チャンバ内で処理されているワークピース(例えば、ウエハ)への損傷をもたらし得る。結果として、本明細書に開示される側面は、整合ネットワーク104への損傷および/または仕様から外れた動作を示す整合ネットワーク104の変化を検出することによって、この問題に対処する。
【0027】
より具体的には、整合ネットワーク104は、測定セクション124に結合される損傷検出コンポーネント126を含んでもよい。一般に、損傷検出コンポーネント126は、(例えば、入力センサ116からの)1つ以上の入力パラメータ測定値、(例えば、出力センサ118からの)1つ以上の出力パラメータ測定値、可変リアクタンスセクション120のリアクタンス設定、および整合ネットワーク104のモデルを使用して、可変リアクタンスセクション120が、損傷を受けているかまたは仕様から外れて動作しているかのうちの少なくとも1つであるかどうかを査定することが可能である。
【0028】
(リアクタンスコントローラ122、測定セクション124、および損傷検出コンポーネント126が、内部コントローラ119内に存在する)
図1の整合ネットワーク104の具体的な実施形態は、1つ以上の理由のために有益であり得る。例えば、整合ネットワーク104の内部コントローラ119は、外部コントローラ107(または他の外部コントローラ)がアクセスを有していない整合ネットワーク104の内部パラメータへのアクセスを有し得る。別の実施例として、内部コントローラ119は、センサ116、118により近接し、したがって、センサからのデータが、比較的に迅速に受信され、処理され得る。加えて、内部コントローラ119のコンポーネントは、(システムオンチップとして)同一のプリント回路基板またはさらに同一のチップ上に実現されてもよく、したがって、(ローカルエリアネットワークプロトコル等の別の通信プロトコルに翻訳する必要のない)非常に高速なバス通信が、内部コントローラ119のいくつかの実施形態のコンポーネント間で行われ得る。
【0029】
図1に描写される実施形態の変形例では、整合ネットワーク104のコンポーネントのうちの1つ以上のものを分散することが、有益であり得、そのため、他の構成も、確実に考えられる。例えば、入力センサ116および出力センサ118の一方または両方が、整合ネットワーク104の外側に位置してもよい。別の実施例として、入力センサ116は、発生器102内に常駐してもよく、発生器102は、発生器102の出力における電気パラメータを示す信号を、測定セクション124に提供してもよい。また、内部コントローラ119のコンポーネントのうちの1つ以上のもの(例えば、リアクタンスコントローラ122、測定セクション124、または損傷検出コンポーネント126のうちの1つ以上のもの)が、整合ネットワーク104から離れて位置してもよい。
【0030】
例えば、損傷検出コンポーネント126の1つ以上のコンポーネントが、整合ネットワーク104から遠隔に位置し得、ネットワーク接続によって、整合ネットワーク104、発生器102、または外部コントローラ107に結合され得ることが、考えられる。多くの事例では、(
図1に描写されるシステム等の)プラズマ処理システムのオペレータは、オペレータが、内部コントローラ119の損傷検出コンポーネント126または他のコンポーネントにおいて利用される論理およびアルゴリズムの制御を有することを好み得るため、便宜上、(外部コントローラ107等の)一元型コントローラを利用することを好む場合がある。
【0031】
さらなる実施例として、整合ネットワーク104のコンポーネントが、論理コンポーネントとして描写されること、および、描写されるコンポーネントが、緊密に統合されている共通構築物(例えば、共通の中央処理ユニットおよび不揮発性メモリ)によって実現され得ること、または、描写されるコンポーネントが、さらに分散され得ることもまた、認識されたい。例えば、測定セクション124の機能性は、入力センサ116および/または出力センサ118から出力される信号が、センサ116、118と密接に接続して処理されてデジタル化されているデジタル信号であるように、入力センサ116と出力センサ118との間で分散されてもよく、これは、リアクタンスコントローラ122が、センサ116、118から処理された信号を直接受信することを可能にする。描写される機能の分散の具体的な実施例は、選択されるハードウェアのタイプおよびソフトウェア(例えば、組込ソフトウェア)が利用される程度に応じて種々の代替物が利用され得ることが確実に考えられるため、限定するように意図されない。
【0032】
次に
図2を参照すると、示されるものは、
図1に描写される損傷検出コンポーネント126を実装するために利用され得る損傷検出コンポーネント226の例示的コンポーネントを描写するブロック図である。示されるように、損傷検出コンポーネント226は、第1の測定ベースの属性コンポーネント230と、第2の測定ベースの属性コンポーネント232を含む。第1の測定ベースの属性コンポーネント230は、整合ネットワーク104の第1の側における1つ以上のパラメータの測定値を受信するように配置され、次に、第1の測定ベースの属性コンポーネント230は、(整合ネットワーク104の第1の側における属性を示す)少なくとも1つの測定ベースの属性を期待属性コンポーネント234に提供するように配置される。期待属性コンポーネント234は、整合モデル236および査定コンポーネント238と通信する。第2の測定ベースの属性コンポーネント232は、整合ネットワーク104の第2の側における1つ以上のパラメータの測定値を受信するように配置され、次に、第2の測定ベースの属性コンポーネント232は、(整合ネットワーク104の第2の側における属性を示す)少なくとも1つの測定ベースの属性を査定コンポーネント238に提供するように配置される。
【0033】
図2を参照しながら、本明細書の実施形態に関連して詳説され得る方法を描写するフローチャートである
図3を同時に参照する。
図1および
図2は、
図3に関連して参照されるが、
図3に描写される方法が、
図1および
図2の描写される実装に限定されないことを認識されたい。
【0034】
図3に示されるように、発生器102からの電力が、整合ネットワーク104を通してプラズマ負荷106に結合される(ブロック302)。整合ネットワーク104の第1の側における1つ以上のパラメータが、測定され、整合ネットワークの第1の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を取得し(ブロック304)、整合ネットワークの第2の側における1つ以上のパラメータが、測定され、整合ネットワーク104の第2の側における少なくとも1つの測定ベースの属性を取得する(ブロック306)。上記で議論されるように、(ブロック304および306における)測定は、入力センサ116および出力センサ118と接続する測定コンポーネント124によって行われてもよい。
【0035】
整合ネットワーク104の第1の側は、整合ネットワーク104の入力112であってもよく、第1の側が、入力112である場合、第2の側は、出力114である。第1の側はまた、整合ネットワーク104の出力114であってもよく、第1の側が、整合ネットワーク104の出力114である場合、第2の側は、整合ネットワーク104の入力112である。言い換えると、第1の側は、整合ネットワーク104の入力112または出力114のいずれかの1つであり、第2の側は、整合ネットワーク104の、第1の側の反対側である。ここで、用語「反対」は、入力112および出力114が整合ネットワーク104の電気的に対向する側にある、電気的に反対側を指す。
【0036】
(ブロック304および306において)整合ネットワーク104の第1の側および第2の側において測定される1つ以上のパラメータは、限定ではないが、電圧、電流、電圧と電流との間の位相、順方向電力、反射電力、順方向電力と反射電力との間の位相、送達される電力、およびインピーダンスのうちの1つ以上のものを含んでもよく、(ブロック304および306において)整合ネットワーク104の第1の側および第2の側において取得される測定ベースの属性は、電圧、電流、電圧と電流との間の位相、順方向電力、反射電力、順方向電力と反射電力との間の位相、送達される電力、位相、およびインピーダンスのうちの1つ以上のものを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実装では、少なくとも1つの測定ベースの属性は、1つ以上の測定されるパラメータから導出される。例えば、測定されるパラメータは、第1の測定ベースの属性コンポーネント230および/または第2の測定ベースの属性コンポーネント232において受容される順方向電力および反射電力であってもよく、少なくとも1つの測定ベースの属性は、電流および電圧のうちの一方または両方であってもよい。これらの実装では、電流および電圧は、第1の測定ベースの属性コンポーネント230および/または第2の測定ベースの属性コンポーネント232によって、測定された順方向電力および反射電力から導出(例えば、計算)されてもよい。別の実施例として、測定されるパラメータは、電圧、電流、および位相であってもよく、測定ベースの属性は、インピーダンスであってもよい。これらの実装では、第1の測定ベースの属性コンポーネント230および/または第2の測定ベースの属性コンポーネント232は、(例えば、ハードウェア、またはハードウェアに接続されるソフトウェアによって実装される)論理を含み、測定されるパラメータに基づいて測定ベースの属性を計算してもよい。
【0038】
他の実装では、少なくとも1つの測定ベースの属性は、1つ以上の測定されるパラメータと同一である。例えば、1つ以上の測定されるパラメータは、電圧および電流のうちの少なくとも1つであってもよく、少なくとも1つの測定ベースの属性も、電圧および電流のうちの少なくとも1つであってもよい。これらの実装では、第1の測定ベースの属性コンポーネント230および/または第2の測定ベースの属性コンポーネント232は、1つのパラメータを別のパラメータに転換するための論理を含む必要はない。測定ベースの属性が、(例えば、計算によって)導出されるかまたはより直接測定されるかどうかにかかわらず、第1の測定ベースの属性コンポーネント230は、(整合ネットワーク104の第1の側における属性を示す)少なくとも1つの測定ベースの属性を期待属性コンポーネント234に提供し、第2の測定ベースの属性コンポーネント232は、(整合ネットワーク104の第2の側における属性を示す)少なくとも1つの測定ベースの属性を査定コンポーネント238に提供する。
【0039】
再び
図3を参照すると、整合ネットワーク104の現在のリアクタンス設定が、(例えば、リアクタンスコントローラ122または可変リアクタンスセクション120から)取得され(ブロック308)、現在のリアクタンス設定は、期待属性コンポーネント234によって、整合モデル236にアクセスするために使用される。本明細書においてさらに議論されるように、整合モデル236は、測定ベースの属性および現在のリアクタンス設定に基づいて、少なくとも1つの測定ベースの属性を少なくとも1つの期待属性と関連付ける(ブロック310)。整合ネットワーク104が特性評価され得る種々の異なる方法が、存在するが、一般に、整合モデル236は、1つ以上の測定ベースの属性(例えば、電圧、電流、インピーダンス、反射電力、順方向電力、および送達される電力)が、整合ネットワーク104の一方の側から、整合ネットワークの他方の側における1つ以上の期待属性(例えば、電圧、電流、インピーダンス、反射電力、順方向電力、および送達される電力)を取得するために使用されるために、取得されることを可能にする。本明細書に使用される電圧、電流、インピーダンス、順方向電力、反射電力、および送達される電力パラメータが、概して、複素数であることを認識されたい。
【0040】
当業者が理解するように、整合モデル236は、入力センサ116および出力センサ118ならびに可変リアクタンスセクション120の側面に基づいて発生されるデータを含んでもよい。例えば、整合モデル236は、(入力センサ116および出力センサ118を較正することによって取得される)較正データと、可変リアクタンスセクション104を特性評価する特性評価データとの両方を含んでもよい。いくつかの実装では、整合モデル236内のデータは、(整合ネットワーク104のいくつかのコンポーネントのそれぞれに関して較正データとして識別可能であるように)容易に脱集約されず、代わりに、データは、整合ネットワーク104の電気的側面を全体として特性評価する。
【0041】
整合ネットワーク104の第2の側における1つ以上の期待属性を取得することは、査定コンポーネント238が、(整合ネットワーク104の第2の側における属性を示す)測定ベースの属性を整合ネットワーク104の第2の側における期待属性と対比し、整合ネットワーク104内の損傷および/または仕様から外れている整合ネットワークの動作のインジケーションを取得することを可能にする(ブロック312)。一般に、期待属性は、1)(可変リアクタンスセクション120の現在の設定における)整合ネットワーク104の特徴および2)整合ネットワーク104の第1の側における測定ベースの属性の両方に基づいて期待される(整合ネットワーク104の第2の側における)期待される状態のインジケータである。整合ネットワーク104の第2の側における測定ベースの属性は、(整合ネットワーク104の第2の側において取得される測定値に基づく)実際の状態のインジケーションである。上記で議論されるように、測定ベースの属性および期待属性は、複素数であってもよい。但し、多くの実装では、測定ベースの属性と期待属性とを対比するとき、複素数の測定ベースの属性およびの複素数の期待属性のそれぞれの絶対値が、取得され、次いで、対比されてもよい。本明細書で使用されるように、「対比する」は、(例えば、値間または品質間の)1つ以上の差異を評価する査定を伝達するように意図され、対比することが、(例えば、2つの比較される値または2つの比較される品質間の)差異を明示的または暗示的に伝達する任意の「比較」を含むことを認識されたい。
【0042】
整合ネットワーク104が、損傷を受けておりかつ/または仕様から外れて動作している場合、査定コンポーネント238は、整合ネットワーク104のディスプレイおよび/またはオーディオトランスデューサを介してオペレータに警報を提供するように、報告部分240にプロンプトしてもよい。いくつかの実装では、報告部分240は、外部コントローラ107に信号を送信してもよく、外部コントローラ107は、システムのオペレータに警報を提供してもよい。報告部分240からの信号は、自動的に送信されてもよい、または、外部コントローラ107からのクエリに応答して送信されてもよい。いくつかの実装では、測定ベースの属性を期待属性と対比することは、測定ベースの属性と期待属性との間の差異を取得することを含んでもよく、差異は、1つ以上の閾値に適用されてもよい。例えば、差異が、第1の閾値を超過する場合、報告部分240は、オペレータに低レベルの警告を提供してもよい。また、差異が、第2の閾値を超過する場合、より高いレベルの警告が、報告され、処理サイクルを中断するようにオペレータにプロンプトしてもよい。
【0043】
1つを上回る測定ベースの属性が、1つを上回る期待属性と対比され得ることもまた、考えられる。例えば、測定ベースの属性および期待属性は、電圧および電流の両方を含んでもよい。この実施例では、測定ベースの電圧値と期待電圧値との間の差異が、取得されてもよく、測定ベースの電流値と期待電流値との間の差異が、取得されてもよい。さらなる実施例として、電圧差および電流差が両方とも、それぞれ、対応する1つ以上の閾値を超過する場合に限り、警報が、ユーザに報告される。測定ベースの電圧および測定ベースの電流の積が、取得され得ること、および、期待電圧値および期待電流値の積が、取得され得ることの両方もまた、考えられる。次いで、積間の差異が、1つ以上の閾値に適用されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つ以上の閾値が、取得される測定値の不確実性に起因する(例えば、入力センサ116および/または出力センサ118からの測定値の不確実性に起因する)可変リアクタンスセクション120の設定、および/または、整合モデル236から取得されるデータに起因する(例えば、整合モデルの不完全性に起因する)不確実性を横断して特性評価される。例えば、可変リアクタンスセクション120の各設定は、不確実性に基づいて潜在的に異なる閾値と関連付けられてもよい。別の実施例として、可変リアクタンスセクション120の設定のある範囲が、対応する閾値と関連付けられてもよい。当業者は、その不確実性、故に、使用される閾値が、整合ネットワーク104および整合モデル236のコンポーネントの(潜在的に多くの)異なる側面の機能であり得ることを理解する。当業者は、特定の整合ネットワークに関連して取得される経験的データが、測定値の不確実性に起因して閾値を調節するために使用され得ること、および、特定の整合モデルに関連して取得される経験的データが、特定の整合モデル内の不完全性に起因して閾値を調節するために使用され得ることをさらに理解する。
【0045】
複数の閾値の別の実施例として、(整合ネットワーク104の)入力インピーダンスと関連付けられる閾値が、測定ベースの属性と期待属性との間の差異と対比される別の閾値と関連して使用されてもよい。例えば、測定される出力センサ電圧(測定ベースの属性)が、期待される整合出力電圧(期待属性)の5%超だけ異なる場合、および、整合ネットワークの入力インピーダンスが、50オームの所望の入力インピーダンスの1.05VSWR(電圧定在波比)内である場合、警報が、起動されてもよい。
【0046】
次に
図4を参照すると、示されるものは、
図1および
図2を参照して説明される整合ネットワーク104、204を実現するために使用され得る例示的整合ネットワーク404の側面である。示されるように、整合ネットワーク404は、可変コンデンサ402(C1)および405(C2)等の少なくとも2つの可変リアクタンス要素を含む可変リアクタンスセクション420を含む。可変コンデンサ402および405のそれぞれは、典型的な真空可変コンデンサまたは複数の交換コンデンサによって実現されることができる。示されるように、可変リアクタンスセクション420は、例えばコンデンサとインダクタとを備える固定リアクタンスセクション408とともに配列されることができる。
【0047】
当業者が理解するように、整合モデル236は、整合ネットワーク420の固定リアクタンスセクション408および他の固定コンポーネントによって影響を及ぼされ得るが、単純化のために、整合モデル236は、可変リアクタンスセクション420が、主として、整合ネットワーク404の入力におけるパラメータが整合ネットワーク404の出力におけるパラメータに対してどのように変動するかに影響を及ぼすため、少なくとも、可変リアクタンスセクション420を定義するまたは特徴付けるものとして説明される。
【0048】
図5を参照すると、示されるものは、
図4に描写される可変コンデンサ402、405を実現するために利用され得る2つのコンデンサC1およびC2の例示的実装である。示されるように、コンデンサC1およびC2のそれぞれは、利用の内外において切り替えられる複数の交換コンデンサを含んでもよい。使用の内外においてコンデンサの組み合わせを切り替えることによって、可変コンデンサC1およびC2の静電容量が、変動され得る。
【0049】
2つの可変コンデンサC1およびC2が、
図4に示されるが、他の実施形態では、1つの可変コンデンサまたは2つを上回る可変コンデンサが、使用されることができる。1つ以上のインダクタもまた、可変コンデンサの前または間に配列され得るが、図示される構成は、多くの実装のうちの1つにすぎない。また、本開示の側面は、交換コンデンサ実装物によって確かに限定されるものではないが、交換コンデンサ実装物は、ある損傷を伴ってもさらに動作し続ける傾向があり得、本開示に先立って、損傷を容易に検出するための公知の方法は、存在していなかった。前述に議論されるように、損傷は、電力損失を引き起こし、より低い電力がプロセスチャンバの中に印加されることをもたらし得、これは、プロセス遷移および処理されているワークピースへの損傷を引き起こし得る。
【0050】
次に
図6を参照すると、示されるものは、整合ネットワーク604のモデルを発生させるための例示的アプローチである。一般に、ネットワーク分析器660が、散乱パラメータ(「sパラメータ」)モデルの形態において整合ネットワーク604を特性評価するように構成される。示されるように、ネットワーク分析器660は、整合ネットワーク604の入力および出力に電力を印加し、応答して、電圧測定値を受信するように、結合されてもよい。
【0051】
より具体的には、特定の周波数および特定の整合設定における整合ネットワーク604を特性評価するために、ネットワーク分析器660は、整合ネットワーク604の2つのポートに印加される特定の周波数(例えば、13.56MHz)における信号を発生させる一方、整合ネットワーク604は、C1の設定とC2の設定との特定の組み合わせによって確立され得る複数の整合設定のうちの特定のものに設定される。この信号から、整合ネットワーク604の4つの具体的なsパラメータが、整合ネットワークの2つのポートにおいて測定され、したがって、4つのsパラメータが、特定の周波数におけるC1とC2との組み合わせ毎に取得される。これらのsパラメータは、整合ネットワーク604自体の側面を特徴付ける、単位のない複素数である。
【0052】
図7を参照すると、示されるものは、ネットワーク分析器660によって取得され得る電圧測定値の描写である。示されるように、a
1は、ポート1における順方向電圧(a
1=V
1
+)を表し、a
2は、ポート2における順方向電圧(a
2=V
2
+)を表し、b
1は、ポート1における反射電圧(b
1=V
1
-)を表し、b
2は、ポート2における反射電圧を表す。また、
図7に示されるものは、反射波と入射波との間の関係を描写するsパラメータ行列である。
【0053】
行列を方程式に拡張させると、以下が、得られる。
【0054】
b1=S11a1+S12a2
および
【0055】
b2=S21a1+S22a2
【0056】
各方程式は、整合の個々のsパラメータS11、S12、S21、およびS22の観点から、整合ポート1および2のそれぞれにおける反射電力波と入射電力波との間の関係を与える。特性評価の間、ポート2は、50オーム負荷において終端してもよく、b2が、完全に吸収され、a2をゼロに等しくしてもよい。したがって、入射電圧波をa1=V1
+およびa2=V2
+として定義し、反射波が、b1=V1
-およびb2=V2
-である場合、以下となる。
【0057】
【0058】
同様に、ポート1が、システムインピーダンスにおいて終端され、次いで、a1が、ゼロになる場合、以下となる。
【0059】
【0060】
図8に示されるように、sパラメータ特性評価データは、C1およびC2の設定の利用可能な組み合わせの少なくとも一部の組み合わせ毎に取得されるsパラメータ値を含んでもよい。結果として、動作の間、(C1およびC2設定の観点からの)整合ネットワーク604の整合設定が、整合設定と関連付けられるsパラメータにアクセスするために使用されてもよい。次に、sパラメータを使用して、整合ネットワークの第1の側における測定ベースの属性が、整合ネットワーク604の第2の側における期待属性を取得するために使用されてもよい。当業者は、本開示に照らして、電圧に対する、上記に説明されるsパラメータ特性評価が、入射および反射電流または入射および反射電力に対しても実施され得ることを容易に理解する。
【0061】
sパラメータモデル636が発生されるとき、ネットワーク分析器660の動作の不完全性に起因して、ネットワーク分析器測定値の正確度に、ある不確実性が、存在し得ることを認識されたい。例えば、いくつかのネットワーク分析器が、50オームである負荷の中でより最適に動作するために設計される。したがって、ネットワーク分析器604によって見られるインピーダンスが、sパラメータモデル636を発生させる間に変化するとき、結果として生じるsパラメータモデル636自体が、(
図3を参照して上記で議論されるように)不完全性を有し得る。当業者は、本開示に照らして、sパラメータモデルが、ネットワーク分析器に内在し得る不完全性を考慮するために、sパラメータモデル636の潜在的不完全性を軽減させるように適合され得ることを理解する。
【0062】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される方法は、直接ハードウェアにおいて、非一過性コンピュータ可読媒体の中にエンコードされるプロセッサ実行可能命令において、または、2つのものの組み合わせにおいて、具現化され得る。例えば、
図9を参照すると、示されるものは、本明細書に開示される整合ネットワーク104、604および外部コントローラ107のコンポーネントを実現するために利用され得る物理的コンポーネントを描写するブロック図である。示されるように、この実施形態では、ディスプレイ部分912および不揮発性メモリ920が、バス922に結合され、バス922は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)924と、(N個の処理コンポーネントを含む)処理部分926と、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)927と、N個の送受信機を含む送受信機コンポーネント928とにも接続される。
図9に描写されるコンポーネントは、物理的コンポーネントを表すが、
図9は、詳細なハードウェア図であるように意図されておらず、したがって、
図9に描写されるコンポーネントのうちの多くが、共通の構築物によって実現され得る、または、付加的な物理的コンポーネント間に分散され得る。また、他の既存および未開発の物理的コンポーネントおよびアーキテクチャが、
図9を参照して説明される機能性コンポーネントを実装するために利用され得ることが、考えられる。
【0063】
このディスプレイ912は、概して、整合ネットワーク104、604のオペレータのためにユーザインターフェースを提供するように動作し、いくつかの実装では、ディスプレイ912は、タッチスクリーンディスプレイによって実現される。ディスプレイは、部分的に、報告セクション240を実現するために使用される。一般に、不揮発性メモリ920は、(本明細書に説明される方法を果たすことと関連付けられる実行可能コードを含む)データおよび機械可読(例えば、プロセッサ実行可能)コードを記憶する(例えば、持続的に記憶する)ように機能する非一過性メモリである。例えば、いくつかの実施形態では、不揮発性メモリ920は、ブートローダコード、オペレーティングシステムコード、ファイルシステムコード、および非一過性プロセッサ実行可能コードを含み、本明細書に説明される
図3を参照して説明される方法の実行を促進する。
【0064】
多くの実装では、不揮発性メモリ920は、フラッシュメモリ(例えば、NANDまたはONENANDメモリ)によって実現されるが、他のメモリタイプも同様に利用され得ることが、考えられる。不揮発性メモリ920からのコードを実行することが、可能性として考えられ得るが、不揮発性メモリ内の実行可能コードが、典型的には、RAM924の中にロードされ、処理部分926内のN個の処理コンポーネントのうちの1つ以上のものによって実行される。
【0065】
動作時、RAM924と接続するN個の処理コンポーネントは、概して、不揮発性メモリ920内に記憶される命令を実行し、損傷検出コンポーネント226を含む整合ネットワーク104、604の機能性を実現するように、動作してもよい。例えば、整合モデル236および非一過性プロセッサ実行可能命令が
図3を参照して説明される方法を果たすためのデータが、不揮発性メモリ920内に持続的に記憶され、RAM924と接続するN個の処理コンポーネントによって実行されてもよい。当業者が理解するように、処理部分926は、ビデオプロセッサと、デジタル信号プロセッサ(DSP)と、グラフィック処理ユニット(GPU)と、他の処理コンポーネントとを含んでもよい。
【0066】
加えて、または代替として、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)927は、本明細書に説明される方法論(例えば、
図3を参照して説明される方法)の1つ以上の側面を果たすように構成されてもよい。例えば、非一過性FPGA構成命令が、不揮発性メモリ920内に持続的に記憶され、(例えば、ブートアップの間に)FPGA927によってアクセスされ、FPGA927を構成し、整合ネットワーク104、604の1つ以上の機能を果たしてもよい。
【0067】
入力コンポーネントは、整合ネットワーク104、106の第1の側および第2の側における1つ以上のパラメータを示す(例えば、入力センサ116および/または出力センサ118からの)信号を受信するように動作してもよい。入力コンポーネントにおいて受信される信号は、例えば、電圧、電流、順方向電力、反射電力、およびインピーダンスを含んでもよい。出力コンポーネントは、概して、1つ以上のアナログ信号またはデジタル信号を提供し、本明細書に開示される動作側面を果たすように動作する。例えば、出力コンポーネントは、コンデンサC1およびC2に制御信号を提供し、整合ネットワーク104、604の設定を制御してもよい。
【0068】
描写される送受信機コンポーネント928は、無線または有線ネットワークを介して外部デバイスと通信するために使用され得るN個の送受信機チェーンを含む。N個の送受信機チェーンのそれぞれは、特定の通信スキーム(例えば、WiFi、イーサネット(登録商標)、Profibus等)と関連付けられる送受信機を表し得る。
図1を参照して本明細書に開示されるように、多くの機能性コンポーネントが、異なるネットワーク接続される場所を横断して分散されてもよく、そのため、
図9に描写される1つ以上のコンポーネントが、異なる場所において(例えば、外部コントローラ107において)複製されてもよく、送受信機コンポーネントは、異なる場所間での通信を可能にし得る。
【0069】
図9に描写されているもの以外の技術が、
図9に描写される技術の代わりに、または、
図9に描写される技術に加えて、利用され得ることを認識されたい。例えば、本明細書に開示される実施形態に関連して説明される種々の例証的な論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書に説明される機能を実施するように設計される特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェアコンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせを用いて、実装または実施されてもよい。
【0070】
開示される実施形態の上記の説明は、任意の当業者が本発明を作製または使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態への種々の修正は、当業者に容易に明白となり、本明細書に定義される一般的原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定するように意図されず、本明細書に開示される原理および新規の特徴と矛盾しない最も幅広い範囲と調和されるべきである。
【国際調査報告】