(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】付加製造に好適なポリマー
(51)【国際特許分類】
D01F 6/00 20060101AFI20220419BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20220419BHJP
A61L 17/12 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
D01F6/00 A
C08L67/04
A61L17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552827
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 US2020021499
(87)【国際公開番号】W WO2020181236
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516228958
【氏名又は名称】ポリ-メッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】テイラー マイケル スコット
(72)【発明者】
【氏名】ゲアーク ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン マイケル アーロン
【テーマコード(参考)】
4C081
4J002
4L035
【Fターム(参考)】
4C081AC02
4C081BA16
4C081CA171
4C081CA201
4C081CC01
4C081DA04
4C081DB01
4J002CF19W
4J002CF19X
4J002GK01
4L035AA05
4L035BB31
4L035DD14
4L035FF01
(57)【要約】
ポリマー及び配合組成物は、付加製造工程において、特に、先に堆積させた溶融モノフィラメントポリマーの行の上に溶融モノフィラメントポリマーが置かれた物品を作成するために効果的に使用できる特性を有するよう設計されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポーチに入った組立品を含むキットであって、前記組立品が、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含み、前記モノフィラメント繊維が式M(B)
2又はM(B)
3の多軸ポリマーを含み、
a)Mが、複数の反復単位を含むコポリマーであり、Mにおける前記反復単位の少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり;並びに
b)Bが、複数の反復単位を含むホモポリマー又はコポリマーであり、Bにおける前記反復単位の少なくとも70モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である
キット。
【請求項2】
前記スプールが少なくとも90℃の温度まで安定している、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記ポーチの水蒸気透過率(MVTR)が水0.002g/100in
2/24hである、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
前記ポーチが密閉ポーチである、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記ポーチが複数の層を含み、前記複数の層のうち少なくとも1つが金属箔を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
前記モノフィラメント繊維のモノマー含有量が2質量%未満である、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記モノフィラメント繊維が未延伸である、請求項1に記載のキット。
【請求項8】
前記モノフィラメント繊維の配向係数が50%未満である、請求項1に記載のキット。
【請求項9】
前記モノフィラメント繊維が基本的に円形断面であり、且つ前記断面の直径が1.6~3.1mmである、請求項1に記載のキット。
【請求項10】
前記モノフィラメント繊維の質量が50~1,500gである、請求項1に記載のキット。
【請求項11】
前記モノフィラメント繊維が周囲温度では固体であるが高温では流体であり、前記流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である、請求項1に記載のキット。
【請求項12】
前記多軸ポリマーがUSPクラスVI生体適合性である、請求項1に記載のキット。
【請求項13】
前記多軸ポリマーが式M(B)
3を有する、請求項1に記載のキット。
【請求項14】
前記多軸ポリマーが式M(B)
2を有する、請求項1に記載のキット。
【請求項15】
Mが前記ポリマーの質量の少なくとも10質量%を占める、請求項1に記載のキット。
【請求項16】
Bが前記ポリマーの質量の少なくとも50質量%を占める、請求項1に記載のキット。
【請求項17】
Mにおける前記反復単位の1~20モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である、請求項1に記載のキット。
【請求項18】
Bにおける前記反復単位の1~20モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物である、請求項1に記載のキット。
【請求項19】
Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの反復単位を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項20】
付加製造の方法における前記組立品の使用説明書を更に含む、請求項1に記載のキット。
【請求項21】
スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品であって、前記モノフィラメント繊維が式M(B)
2又はM(B)
3の多軸ポリマーを含み、Mが、複数の反復単位を含むコポリマーであり、Mにおける前記反復単位の少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bがホモポリマー又はコポリマーであり、且つ複数の反復単位を含み、Bにおける前記反復単位の少なくとも70モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である組立品。
【請求項22】
式M(B)
2又はM(B)
3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維であって、Mが、複数の反復単位を含むコポリマーであり、Mにおける前記反復単位の少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bがホモポリマー又はコポリマーであり、且つ複数の反復単位を含み、Bにおける前記反復単位の少なくとも70モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物であるモノフィラメント繊維。
【請求項23】
付加製造の方法であって、
a)請求項22に記載のモノフィラメント繊維を溶融させて前記繊維の溶融形態を得るステップ;
b)前記溶融形態を堆積させて最初の物品を得るステップ;並びに
c)前記最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
【請求項24】
ポリマーを含むモノフィラメントであって、前記ポリマーが式M(B)
2の線状ポリマー及び式M(B)
3の三軸ポリマーから選択され、Mが、複数の反復単位を含み、任意で25℃未満のTgを有するプレポリマーであり、Mが前記ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、且つBが、複数の反復単位を含む末端グラフトポリマーであるモノフィラメント。
【請求項25】
ポリマーを含むモノフィラメントであって、前記ポリマーが式M(B)
2の線状ポリマー及び式M(B)
3の三軸ポリマーから選択され、Bが、複数の反復単位を含み、任意で25℃未満のTgを有する末端グラフトポリマーであり、Bが前記ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、且つMが、複数の反復単位を含むプレポリマーであるモノフィラメント。
【請求項26】
Mが、複数の反復単位を含むプレポリマーであり、前記反復単位が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの重合生成物を含む、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項27】
Mが複数の反復単位を含み、前記反復単位が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物を含み、追加的に、δ-バレロラクトン及びε-デカラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物を含む、請求項26に記載のモノフィラメント。
【請求項28】
Mが複数の反復単位を含み、前記反復単位が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びグリコリドのそれぞれの重合生成物を含む、請求項26に記載のモノフィラメント。
【請求項29】
Mが複数の反復単位を含み、前記反復単位が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びラクチドのそれぞれの重合生成物を含む、請求項26に記載のモノフィラメント。
【請求項30】
Bが、複数の反復単位を含む末端グラフトポリマーであり、前記反復単位がモノマーの重合生成物を含み、前記モノマーが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンからなる群から選択される、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項31】
Bが、複数の反復単位を含む末端グラフトポリマーであり、前記反復単位が、トリメチレンカーボネート及びグリコリドのそれぞれの重合生成物を含む、請求項30に記載のモノフィラメント。
【請求項32】
Bが、複数の反復単位を含む末端グラフトポリマーであり、前記反復単位が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びラクチドのそれぞれの重合生成物を含む、請求項30に記載のモノフィラメント。
【請求項33】
Bが複数の反復単位を含み、且つBにおける全前記反復単位の少なくとも50モル%が、グリコリド及びラクチドから選択されるモノマーの重合から選択される、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項34】
Bが複数の反復単位を含み、且つBにおける全前記反復単位の100モル%未満が、グリコリド及びラクチドから選択されるモノマーの重合から選択される、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項35】
前記式M(B)
2の二軸ポリマーを含む、請求項24又は25に記載のモノフィラメントであって、Mが、複数の反復単位を含むプレポリマーであり、前記反復単位がトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの重合生成物を含み、Bが末端グラフトポリマーであり、Bにおける全反復単位の少なくとも50モル%がグリコリド及びラクチドから選択されるモノマーの重合から選択され、且つBにおける全反復単位の50モル%未満がトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの重合から選択されるモノフィラメント。
【請求項36】
前記式M(B)
3の三軸ポリマーを含む、請求項24又は25に記載のモノフィラメントであって、Mが、複数の反復単位を含むプレポリマーであり、前記反復単位が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの重合生成物を含み、Bが末端グラフトポリマーであり、Bにおける全反復単位の少なくとも50モル%が、グリコリド及びラクチドから選択されるモノマーの重合から選択され、且つBにおける全反復単位の50モル%未満が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの重合から選択されるモノフィラメント。
【請求項37】
前記ポリマーがUSPクラスVI生体適合性である、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項38】
前記ポリマーのモノマー含有量が2質量%未満である、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項39】
Mがトリメチレンカーボネートの重合によるホモポリマーである、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項40】
Mがε-カプロラクトンの重合によるホモポリマーである、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項41】
Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの重合生成物を含むコポリマーである、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項42】
Bがグリコリド及びトリメチレンカーボネートの重合生成物を含み、任意で、ラクチド及び/又はε-カプロラクトンの重合生成物も含む、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項43】
Bがラクチド及びトリメチレンカーボネートの重合生成物を含み、任意で、グリコリド及び/又はε-カプロラクトンの重合生成物も含む、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項44】
Mが、反復単位を有するポリマーを含み、前記反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項45】
前記低結晶性又は非結晶性反復単位が、ε-カプロラクトン及びトリメチレンカーボネートから選択されるモノマーの重合生成物である、請求項32に記載のモノフィラメント。
【請求項46】
請求項24又は25に記載のモノフィラメントであって、
a)Mが複数の反復単位を含み、Mにおける前記反復単位の少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、並びに
b)Bが複数の反復単位を含み、Bにおける前記反復単位の少なくとも70モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である
モノフィラメント。
【請求項47】
Mが前記ポリマーの質量の少なくとも10質量%を占める、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項48】
Bが前記ポリマーの質量の少なくとも50質量%を占める、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項49】
Mにおける前記反復単位の1~20モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項50】
Bにおける前記反復単位の1~20モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物である、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項51】
Mがトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの反復単位を含む、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項52】
前記多軸ポリマーのTgが25℃未満である、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項53】
未延伸である、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項54】
50%未満の配向係数を有する、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項55】
1.6~3.1mm±0.1mmの範囲内で一定の直径を有する、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項56】
50~1,500gの質量を有する、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項57】
周囲温度では固体であるが高温では流体であり、前記流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項58】
長柱座屈抵抗が少なくとも1Nである、請求項24又は25に記載のモノフィラメント。
【請求項59】
スプールに巻かれている、請求項24~58のうちいずれか一項に記載のモノフィラメントを含む組立品。
【請求項60】
請求項24~58のうちいずれか一項に記載のモノフィラメントであって、スプールに巻かれ、且つポーチに、任意で、付加製造の方法における前記モノフィラメントの使用説明書と共に包含されたモノフィラメントを含むキット。
【請求項61】
付加製造の方法であって、
a)請求項24~58のうちいずれか一項に記載の前記モノフィラメント繊維を溶融させて前記繊維の溶融形態を得るステップ;
b)前記溶融形態を堆積させて最初の物品を得るステップ;並びに
c)前記最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
【請求項62】
請求項61の方法で作成した印刷物品。
【請求項63】
ポーチに入った組立品を含むキットであって、前記組立品が、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含み、前記モノフィラメント繊維が式M(B)
2又はM(B)
3の多軸ポリマーを含み、
a)Mが複数の反復単位を含み、Mにおける前記反復単位の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり;並びに
b)Bが複数の反復単位を含み、Bにおける前記反復単位の少なくとも50モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である
キット。
【請求項64】
スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品であって、前記モノフィラメント繊維が式M(B)
2又はM(B)
3の多軸ポリマーを含み、Mが複数の反復単位を含み、Mにおける前記反復単位の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bが複数の反復単位を含み、Bにおける前記反復単位の少なくとも50モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である組立品。
【請求項65】
式M(B)
2又はM(B)
3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維であって、Mが複数の反復単位を含み、Mにおける前記反復単位の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bが複数の反復単位を含み、Bにおける前記反復単位の少なくとも50モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物であるモノフィラメント繊維。
【請求項66】
付加製造の方法であって、
a)請求項65に記載のモノフィラメント繊維を溶融させて前記繊維の溶融形態を得るステップ;
b)前記溶融形態を堆積させて最初の物品を得るステップ;並びに
c)前記最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
【請求項67】
請求項23又は66の方法で作成した3次元の物品。
【請求項68】
X、Y、及びZ方向を有する、請求項67に記載の物品であって、前記Zが構築方向であり、前記X及びY方向が、前記Z方向に垂直であり、前記Z方向で測定される前記物品の極限応力が、前記X又はY方向のいずれかで測定される前記物品の極限応力の20%以内である物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づいて、2019年3月6日に出願された米国仮特許出願第62/814,777号の利益を主張するものであり、一切の目的のために、その全体が参照により本明細書に援用される。
本開示は、概して、付加印刷、これに使用するポリマー組成物、これによって製造される、医療用生体吸収性ポリマーを含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
3D印刷としても知られる付加製造は、この20年で、主に機器とコンピュータソフトウェアの進歩により、好奇心から産業工程へと発展してきた。高度な構造物を作成する能力が向上する中で、この成長技術を支える多機能材料の改良が必要とされている。
普及している付加製造方法の1つに熱溶解フィラメント製法(FFF)がある。FFFによる付加製造の大半は、単相の熱可塑性ポリマーモノフィラメントを利用して、溶融押出により印刷行を生成する。印刷行は、XY方向の平面とも呼ばれる水平面にあり、そのXY平面には、物品の所望のデザインに応じて、独立した複数の印刷行が存在し得る。複数の物品を同時に印刷することもあり、その場合、複数の第1の印刷行を、単一の(第1の)XY平面に置く。3次元の物品を作成するには、即ち、Z方向を有する物品を作成するには、1つ又は複数の第2の印刷行を、第1の印刷行の位置によって画定された第1のXY平面の上に位置する第2のXY平面に置く。印刷の高さ、即ちZ方向の長さは、重ね合わせて印刷されるXY平面の数によって画定される。
物品を印刷した後、その強度がどのくらいか、即ち、印刷した物品を破壊又は破断するのにどの程度の力が必要かを試験することがある。このような試験を行うと、大抵、XY方向の強度がZ方向の強度よりも大きいことに気づく。つまり、特定のXY平面を破壊するのに必要な力と比べて、第1の平面と第2の平面の間の結合ははるかに容易に破壊できる。即ち、印刷した物品は強度が非対称であり、これは一般に望ましくない。
従って当技術分野では、付加製造、特に強度の非対称性が小さい物品の製造に使用し得る改良材がなおも必要とされている。本発明はこの必要性に応えることを目的としている。
「背景技術」の項で検討するすべての主題は必ずしも先行技術ではなく、また「背景技術」の項における検討のみを受けて先行技術とみなされるべきではない。これに伴い、「背景技術」の項で検討する、又は当該主題に関連する先行技術の課題の認識は、先行技術であると明示されていない限り、先行技術として扱うべきでない。むしろ、「背景技術」の項における主題の検討は、それ自体にも発明性があり得る特定の問題に対する発明者のアプローチの一部として扱うべきである。
【発明の概要】
【0003】
つまり本開示は、付加製造に有用な組成物、本開示の組成物を使用する付加製造の実施方法、及び付加製造工程によって製造した製品、並びに関連する主題を提供する。ポリマー及び配合組成物は、付加製造工程において、特に、先に堆積させた溶融モノフィラメントポリマーの行の上に溶融モノフィラメントポリマーを置いた物品を作成するために効果的に使用できる特性を有するよう設計されている。
【0004】
一実施形態では、本開示は、式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維を提供し、Mが反復単位を含み、Bも反復単位を含む。多軸ポリマーでは、Mにおける反復単位の大多数がTMC及び/又はCAPの重合残基であり、Mにおける反復単位の少数がLAC及び/又はGLYの重合残基であるのに対し、Bにおける反復単位の大多数がGLY及び/又はLACの重合残基であり、Bにおける反復単位の少数がTMC及び/又はCAPの重合残基である。このように、中間ブロックMは、主にTMC及び/又はCAPの残基の存在に起因し、少量のLAC及び/又はGLYの残基の影響を受ける特性を有するのに対し、末端グラフトBは、主にLAC及び/又はGLYの残基の存在に起因し、少量のTMC及び/又はCAPの残基の影響を受ける特性を有する。任意で、MはTMCとCAPの両方の反復単位を含むことから、Mは、反復単位としてCAP及びTMCの残基の混合物が大部分を占め、更に反復単位のわずかな割合としてGLY及び/又はLAC由来の反復単位を含むコポリマーである。
【0005】
例えば本開示は、式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維を提供し、Mはホモポリマー又はコポリマーであり得、且つ複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも50モル%、例えば70モル%は、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bはホモポリマー又はコポリマーであり得、且つ複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも50モル%、例えば70モル%は、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物であり、任意で、グリコリドとラクチドの両方である。一実施形態では、Mはコポリマーである。また本開示は、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品も提供し、モノフィラメント繊維は式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含み、Mはホモポリマー又はコポリマーであり、且つ第1のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも50モル%、例えば70モル%は、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、即ち、モノマーMを提供するために、第1のモノマーはTMC及び/又はCAPであり、任意で、少なくとも2つのモノマー、例えばTMC及びCAP、又はTMC及びCAP及びLAC、又はTMC及びCAP及びGLYを含み、並びにBはホモポリマー又はコポリマーであり、且つ第2のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも50モル%、例えば70モル%は、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である(即ち、第2のモノマーはLAC及びGLYから選択され、任意で、LAC及びGLYの重合残基の混合物、任意で、これらの混合物であり得る)。本開示はキットも提供し、キットは、ポーチの内部に組立品を含み、組立品はスプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含み、モノフィラメント繊維は式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含み、Mはホモポリマー又はコポリマーであり、且つ複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも50モル%、例えば70モル%は、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bはホモポリマー又はコポリマーであり、且つ複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも50モル%、例えば70モル%は、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である。
【0006】
従って一実施形態では、本開示は、ポーチに入った組立品を含むキットを提供し、組立品はスプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含み、モノフィラメント繊維は式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含み、Mは複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも50モル%は、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bは複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも50モル%は、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である。本開示は、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品も提供し、モノフィラメント繊維は式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含み、Mは第1のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも50モル%は、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bは第2のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも50モル%は、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である。本開示は、式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維も提供し、Mは第1のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも50モル%は、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bは第2のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも50モル%は、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物であり、更に本開示は、付加製造の方法を提供し、方法は、モノフィラメントを溶融させて繊維の溶融形態を得るステップ、溶融形態を堆積させて最初の物品を得るステップ、並びに最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップを含み、加えて本開示は、この方法で作成された3次元の物品を提供する。
【0007】
以下に、本開示の追加の例示的な実施形態の一部を簡潔に示す。
1)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。
2)Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態1に記載のモノフィラメント。
3)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。
4)Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態3に記載のモノフィラメント。
5)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。
6)Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態5に記載のモノフィラメント。
7)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。
8)Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態7に記載のモノフィラメント。
9)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。
10)Mが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態9に記載のモノフィラメント。
11)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。
12)Bが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態11に記載のモノフィラメント。
13)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。
14)Mが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態13に記載のモノフィラメント。
15)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。
16)Bが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態15に記載のモノフィラメント。
17)Mが、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド)、及びポリ(トリメチレンカーボネート-co-ラクチド)からなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
18)Mが、ポリエーテル、例えばポリ(エチレンオキシド)、又はポリエステル、例えばポリエチレンサクシネート、又はポリプロピレンサクシネートを含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
19)低結晶性又は非結晶性反復単位の少なくとも20モル%が、CAP及びTMCから選択されるモノマーの重合残基である、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
20)前記少なくとも20モル%が100モル%未満である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
21)前記少なくとも20モル%が90モル%未満、即ち20~90モル%である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
22)前記少なくとも20モル%が80モル%未満、即ち20~80モル%である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
23)低結晶性又は非結晶性反復単位が、ラクチド、グリコリド、及びポリジオキサノンから選択されるモノマーの重合残基である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
24)Bが、グリコリド、ラクチド、TMC、CAP、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される残基を含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
25)Bにおける残基の少なくとも50%が、TMC、CAP、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される、実施形態24に記載のモノフィラメント。
26)グリコリド及びラクチドの重合から選択される残基が、Bにおける残基の100%未満を占める、実施形態24に記載のモノフィラメント。
27)周囲温度では固体であるが、付加製造工程の動作温度である高温では約2.5~30g/10分のMFI値を有する流体である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
28)配向係数が50%未満で未延伸である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
29)直径が1~5mmの範囲内である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
30)長柱座屈抵抗が少なくとも1ニュートン(N)である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
31)付加製造の方法であって、
a.実施形態1~30のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントを溶融させて溶融モノフィラメントを得るステップ、及び
b.溶融モノフィラメントを室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
32)実施形態1~30のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントと、付加製造の方法における前記モノフィラメントの使用説明書とを含むキット。
33)本明細書に記載する組立品、例えば、スプールに巻かれたモノフィラメントと、付加製造の方法における前記組立品の使用説明書とを含むキット。
【0008】
本明細書に言及する本発明の特徴及び追加的な特徴、並びにこれらを得る方法が明らかになり、また本発明は、以下のより詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書に開示するすべての参考文献は、それぞれが個別に援用されているかのように、その全体が参照により援用される。
本「発明の概要」は、以下の「発明を実施するための形態」で更に詳しく説明する特定の概念を簡略化して紹介するために提供されている。別途明示する場合を除き、本「発明の概要」は、クレームする主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、クレームする主題の範囲を限定することを意図するものでもない。
1つ又は複数の実施形態の詳細を以下の説明に記載する。例示的な一実施形態に関連して図示又は説明する特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせ得る。従って、本明細書に説明する様々な実施形態のいずれかを組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。実施形態の態様を改変し、必要に応じて、本明細書に特定する様々な特許、出願、及び出版物の概念を用いて、更に別の実施形態を提供することができる。他の特徴、目的、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本開示の例示的な特徴、その性質及び様々な利点は、添付図面及び次の様々な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。非限定的且つ非網羅的な実施形態を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】印刷性能を評価するのに用いた被験印刷物品の形状を示す。
【
図2】3D印刷部品の層接着の極限応力を示すグラフである。
【
図6】3D印刷部品の層接着の極限応力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、以下に示す本開示の実施形態の詳細な説明及び本明細書に記載する「実施例」を参照することによって、より容易に理解され得る。
簡潔に述べると、本開示は、付加印刷の方法、これらに使用するポリマー組成物、及びこれらによって製造した製品を提供する。従って本開示は、付加製造に有用な組成物、本開示の組成物を使用する付加製造の実施方法、及び付加製造工程によって製造した製品、並びに関連する主題を提供する。
一態様では、本開示は、付加製造において有用なモノフィラメントを提供する。本明細書で詳細に検討するように、それらのモノフィラメントは、部分的には、融点、メルトフローインデックス、及び固有粘度を含むそれらの特性によって説明し得る。
【0011】
モノフィラメント組成物
本開示は、モノフィラメント、具体的には、二軸(式M(B)2と略す)又は三軸(式M(B)3と略す)コポリマーのいずれかから形成されるモノフィラメントを提供し、M及びBは、本明細書に記載する異なる組成物を有する別個のポリマーブロックである。
【0012】
以下に、本開示の例示的なモノフィラメントの一部を簡潔に示す。
1)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。任意で、Tgは、24℃、又は23℃、又は22℃、又は21℃、又は20℃、又は19℃、又は18℃、又は17℃、又は16℃、又は15℃、又は14℃、又は13℃、又は12℃、又は11℃、又は10℃、又は9℃、又は8℃、又は7℃、又は6℃、又は5℃、又は4℃、又は3℃、又は2℃、又は1℃、又は0℃のうちいずれか未満である。独立的に、ポリマーは、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも6質量%、又は7質量%、又は8質量%、又は9質量%、又は10質量%、又は11質量%、又は12質量%、又は13質量%、又は14質量%、又は15質量%、又は16質量%、又は17質量%、又は18質量%、又は19質量%、又は20質量%、又は21質量%、又は22質量%、又は23質量%、又は24質量%、又は25質量%、又は26質量%、又は27質量%、又は28質量%、又は29質量%、又は30質量%、又は31質量%、又は32質量%、又は33質量%、又は34質量%、又は35質量%、又は36質量%、又は37質量%、又は38質量%、又は39質量%、又は40質量%のうちいずれかを占めるMによって説明し得る。
2)Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態1に記載のモノフィラメント。任意で、反復単位の少なくとも25モル%、又は30モル%、又は35モル%、又は40モル%、又は45モル%、又は50モル%、又は55モル%、又は60モル%、又は65モル%、又は70モル%、又は75モル%、又は80モル%のうちいずれかが低結晶性又は非結晶性であるが、任意で、反復単位のすべてが低結晶性又は非結晶性であるわけではない、即ち反復単位の100モル%未満、例えば98モル%、又は96モル%、又は94モル%、又は92モル%、又は90モル%、又は88モル%、又は86モル%、又は84モル%、又は82モル%、又は80モル%のうちいずれか未満が低結晶性又は非結晶性であると指定し得る。
3)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。任意で、Tgは、24℃、又は23℃、又は22℃、又は21℃、又は20℃、又は19℃、又は18℃、又は17℃、又は16℃、又は15℃、又は14℃、又は13℃、又は12℃、又は11℃、又は10℃、又は9℃、又は8℃、又は7℃、又は6℃、又は5℃、又は4℃、又は3℃、又は2℃、又は1℃、又は0℃のうちいずれか未満である。独立的に、ポリマーは、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも6質量%、又は7質量%、又は8質量%、又は9質量%、又は10質量%、又は11質量%、又は12質量%、又は13質量%、又は14質量%、又は15質量%、又は16質量%、又は17質量%、又は18質量%、又は19質量%、又は20質量%、又は21質量%、又は22質量%、又は23質量%、又は24質量%、又は25質量%、又は26質量%、又は27質量%、又は28質量%、又は29質量%、又は30質量%、又は31質量%、又は32質量%、又は33質量%、又は34質量%、又は35質量%、又は36質量%、又は37質量%、又は38質量%、又は39質量%、又は40質量%のうちいずれかを占めるMによって説明し得る。
4)Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態3に記載のモノフィラメント。任意で、反復単位の少なくとも25モル%、又は30モル%、又は35モル%、又は40モル%、又は45モル%、又は50モル%、又は55モル%、又は60モル%、又は65モル%、又は70モル%、又は75モル%、又は80モル%のうちいずれかが低結晶性又は非結晶性であるが、任意で、反復単位のすべてが低結晶性又は非結晶性であるわけではない、即ち反復単位の100モル%未満、例えば98モル%、又は96モル%、又は94モル%、又は92モル%、又は90モル%、又は88モル%、又は86モル%、又は84モル%、又は82モル%、又は80モル%のうちいずれか未満が低結晶性又は非結晶性であると指定し得る。
5)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。任意で、Tgは、24℃、又は23℃、又は22℃、又は21℃、又は20℃、又は19℃、又は18℃、又は17℃、又は16℃、又は15℃、又は14℃、又は13℃、又は12℃、又は11℃、又は10℃、又は9℃、又は8℃、又は7℃、又は6℃、又は5℃、又は4℃、又は3℃、又は2℃、又は1℃、又は0℃のうちいずれか未満である。独立的に、ポリマーは、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも6質量%、又は7質量%、又は8質量%、又は9質量%、又は10質量%、又は11質量%、又は12質量%、又は13質量%、又は14質量%、又は15質量%、又は16質量%、又は17質量%、又は18質量%、又は19質量%、又は20質量%、又は21質量%、又は22質量%、又は23質量%、又は24質量%、又は25質量%、又は26質量%、又は27質量%、又は28質量%、又は29質量%、又は30質量%、又は31質量%、又は32質量%、又は33質量%、又は34質量%、又は35質量%、又は36質量%、又は37質量%、又は38質量%、又は39質量%、又は40質量%のうちいずれかを占めるMによって説明し得る。
6)Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態5に記載のモノフィラメント。任意で、反復単位の少なくとも25モル%、又は30モル%、又は35モル%、又は40モル%、又は45モル%、又は50モル%、又は55モル%、又は60モル%、又は65モル%、又は70モル%、又は75モル%、又は80モル%のうちいずれかが低結晶性又は非結晶性であるが、任意で、反復単位のすべてが低結晶性又は非結晶性であるわけではない、即ち反復単位の100モル%未満、例えば98モル%、又は96モル%、又は94モル%、又は92モル%、又は90モル%、又は88モル%、又は86モル%、又は84モル%、又は82モル%、又は80モル%のうちいずれか未満が低結晶性又は非結晶性であると指定し得る。
7)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。任意で、Tgは、24℃、又は23℃、又は22℃、又は21℃、又は20℃、又は19℃、又は18℃、又は17℃、又は16℃、又は15℃、又は14℃、又は13℃、又は12℃、又は11℃、又は10℃、又は9℃、又は8℃、又は7℃、又は6℃、又は5℃、又は4℃、又は3℃、又は2℃、又は1℃、又は0℃のうちいずれか未満である。独立的に、ポリマーは、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも6質量%、又は7質量%、又は8質量%、又は9質量%、又は10質量%、又は11質量%、又は12質量%、又は13質量%、又は14質量%、又は15質量%、又は16質量%、又は17質量%、又は18質量%、又は19質量%、又は20質量%、又は21質量%、又は22質量%、又は23質量%、又は24質量%、又は25質量%、又は26質量%、又は27質量%、又は28質量%、又は29質量%、又は30質量%、又は31質量%、又は32質量%、又は33質量%、又は34質量%、又は35質量%、又は36質量%、又は37質量%、又は38質量%、又は39質量%、又は40質量%のうちいずれかを占めるMによって説明し得る。
8)Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態7に記載のモノフィラメント。任意で、反復単位の少なくとも25モル%、又は30モル%、又は35モル%、又は40モル%、又は45モル%、又は50モル%、又は55モル%、又は60モル%、又は65モル%、又は70モル%、又は75モル%、又は80モル%のうちいずれかが低結晶性又は非結晶性であるが、任意で、反復単位のすべてが低結晶性又は非結晶性であるわけではない、即ち反復単位の100モル%未満、例えば98モル%、又は96モル%、又は94モル%、又は92モル%、又は90モル%、又は88モル%、又は86モル%、又は84モル%、又は82モル%、又は80モル%のうちいずれか未満が低結晶性又は非結晶性であると指定し得る。
9)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。任意で、反復単位の少なくとも25モル%、又は30モル%、又は35モル%、又は40モル%、又は45モル%、又は50モル%、又は55モル%、又は60モル%、又は65モル%、又は70モル%、又は75モル%、又は80モル%のうちいずれかが低結晶性又は非結晶性であるが、任意で、反復単位のすべてが低結晶性又は非結晶性であるわけではない、即ち反復単位の100モル%未満、例えば98モル%、又は96モル%、又は94モル%、又は92モル%、又は90モル%、又は88モル%、又は86モル%、又は84モル%、又は82モル%、又は80モル%のうちいずれか未満が低結晶性又は非結晶性であると指定し得る。
10)Mが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態9に記載のモノフィラメント。任意で、Tgは、24℃、又は23℃、又は22℃、又は21℃、又は20℃、又は19℃、又は18℃、又は17℃、又は16℃、又は15℃、又は14℃、又は13℃、又は12℃、又は11℃、又は10℃、又は9℃、又は8℃、又は7℃、又は6℃、又は5℃、又は4℃、又は3℃、又は2℃、又は1℃、又は0℃のうちいずれか未満である。独立的に、ポリマーは、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも6質量%、又は7質量%、又は8質量%、又は9質量%、又は10質量%、又は11質量%、又は12質量%、又は13質量%、又は14質量%、又は15質量%、又は16質量%、又は17質量%、又は18質量%、又は19質量%、又は20質量%、又は21質量%、又は22質量%、又は23質量%、又は24質量%、又は25質量%、又は26質量%、又は27質量%、又は28質量%、又は29質量%、又は30質量%、又は31質量%、又は32質量%、又は33質量%、又は34質量%、又は35質量%、又は36質量%、又は37質量%、又は38質量%、又は39質量%、又は40質量%のうちいずれかを占めるMによって説明し得る。
11)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。任意で、反復単位の少なくとも25モル%、又は30モル%、又は35モル%、又は40モル%、又は45モル%、又は50モル%、又は55モル%、又は60モル%、又は65モル%、又は70モル%、又は75モル%、又は80モル%のうちいずれかが低結晶性又は非結晶性であるが、任意で、反復単位のすべてが低結晶性又は非結晶性であるわけではない、即ち反復単位の100モル%未満、例えば98モル%、又は96モル%、又は94モル%、又は92モル%、又は90モル%、又は88モル%、又は86モル%、又は84モル%、又は82モル%、又は80モル%のうちいずれか未満が低結晶性又は非結晶性であると指定し得る。
12)Bが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態11に記載のモノフィラメント。任意で、Tgは、24℃、又は23℃、又は22℃、又は21℃、又は20℃、又は19℃、又は18℃、又は17℃、又は16℃、又は15℃、又は14℃、又は13℃、又は12℃、又は11℃、又は10℃、又は9℃、又は8℃、又は7℃、又は6℃、又は5℃、又は4℃、又は3℃、又は2℃、又は1℃、又は0℃のうちいずれか未満である。独立的に、ポリマーは、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも6質量%、又は7質量%、又は8質量%、又は9質量%、又は10質量%、又は11質量%、又は12質量%、又は13質量%、又は14質量%、又は15質量%、又は16質量%、又は17質量%、又は18質量%、又は19質量%、又は20質量%、又は21質量%、又は22質量%、又は23質量%、又は24質量%、又は25質量%、又は26質量%、又は27質量%、又は28質量%、又は29質量%、又は30質量%、又は31質量%、又は32質量%、又は33質量%、又は34質量%、又は35質量%、又は36質量%、又は37質量%、又は38質量%、又は39質量%、又は40質量%のうちいずれかを占めるMによって説明し得る。
13)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。任意で、反復単位の少なくとも25モル%、又は30モル%、又は35モル%、又は40モル%、又は45モル%、又は50モル%、又は55モル%、又は60モル%、又は65モル%、又は70モル%、又は75モル%、又は80モル%のうちいずれかが低結晶性又は非結晶性であるが、任意で、反復単位のすべてが低結晶性又は非結晶性であるわけではない、即ち反復単位の100モル%未満、例えば98モル%、又は96モル%、又は94モル%、又は92モル%、又は90モル%、又は88モル%、又は86モル%、又は84モル%、又は82モル%、又は80モル%のうちいずれか未満が低結晶性又は非結晶性であると指定し得る。
14)Mが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態13に記載のモノフィラメント。任意で、Tgは、24℃、又は23℃、又は22℃、又は21℃、又は20℃、又は19℃、又は18℃、又は17℃、又は16℃、又は15℃、又は14℃、又は13℃、又は12℃、又は11℃、又は10℃、又は9℃、又は8℃、又は7℃、又は6℃、又は5℃、又は4℃、又は3℃、又は2℃、又は1℃、又は0℃のうちいずれか未満である。独立的に、ポリマーは、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも6質量%、又は7質量%、又は8質量%、又は9質量%、又は10質量%、又は11質量%、又は12質量%、又は13質量%、又は14質量%、又は15質量%、又は16質量%、又は17質量%、又は18質量%、又は19質量%、又は20質量%、又は21質量%、又は22質量%、又は23質量%、又は24質量%、又は25質量%、又は26質量%、又は27質量%、又は28質量%、又は29質量%、又は30質量%、又は31質量%、又は32質量%、又は33質量%、又は34質量%、又は35質量%、又は36質量%、又は37質量%、又は38質量%、又は39質量%、又は40質量%のうちいずれかを占めるMによって説明し得る。
15)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。任意で、反復単位の少なくとも25モル%、又は30モル%、又は35モル%、又は40モル%、又は45モル%、又は50モル%、又は55モル%、又は60モル%、又は65モル%、又は70モル%、又は75モル%、又は80モル%のうちいずれかが低結晶性又は非結晶性であるが、任意で、反復単位のすべてが低結晶性又は非結晶性であるわけではない、即ち反復単位の100モル%未満、例えば98モル%、又は96モル%、又は94モル%、又は92モル%、又は90モル%、又は88モル%、又は86モル%、又は84モル%、又は82モル%、又は80モル%のうちいずれか未満が低結晶性又は非結晶性であると指定し得る。
16)Bが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態15に記載のモノフィラメント。任意で、Tgは、24℃、又は23℃、又は22℃、又は21℃、又は20℃、又は19℃、又は18℃、又は17℃、又は16℃、又は15℃、又は14℃、又は13℃、又は12℃、又は11℃、又は10℃、又は9℃、又は8℃、又は7℃、又は6℃、又は5℃、又は4℃、又は3℃、又は2℃、又は1℃、又は0℃のうちいずれか未満である。独立的に、ポリマーは、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも6質量%、又は7質量%、又は8質量%、又は9質量%、又は10質量%、又は11質量%、又は12質量%、又は13質量%、又は14質量%、又は15質量%、又は16質量%、又は17質量%、又は18質量%、又は19質量%、又は20質量%、又は21質量%、又は22質量%、又は23質量%、又は24質量%、又は25質量%、又は26質量%、又は27質量%、又は28質量%、又は29質量%、又は30質量%、又は31質量%、又は32質量%、又は33質量%、又は34質量%、又は35質量%、又は36質量%、又は37質量%、又は38質量%、又は39質量%、又は40質量%のうちいずれかを占めるMによって説明し得る。
17)Mが、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド)、及びポリ(トリメチレンカーボネート-co-ラクチド)からなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
18)Mが、ポリエーテル、例えばポリ(エチレンオキシド)、又はポリエステル、例えばポリエチレンサクシネート、又はポリプロピレンサクシネートを含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
19)低結晶性又は非結晶性反復単位の少なくとも20モル%が、CAP及びTMCから選択されるモノマーの重合残基である、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
20)前記少なくとも20モル%が100モル%未満である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
21)前記少なくとも20モル%が90モル%未満、即ち20~90モル%である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
22)前記少なくとも20モル%が80モル%未満、即ち20~80モル%である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
23)低結晶性又は非結晶性反復単位が、ラクチド、グリコリド、及びポリジオキサノンから選択されるモノマーの重合残基である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
24)Bが、グリコリド、ラクチド、TMC、CAP、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される残基を含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
25)Bにおける残基の少なくとも50%が、TMC、CAP、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される、実施形態24に記載のモノフィラメント。
26)グリコリド及びラクチドの重合から選択される残基が、Bにおける残基の100%未満を占める、実施形態24に記載のモノフィラメント。
27)周囲温度では固体であるが、付加製造工程の動作温度である高温では約2.5~30g/10分のMFI値を有する流体である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
28)配向係数が50%未満で未延伸である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
29)直径が1~5mmの範囲内である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
30)長柱座屈抵抗が少なくとも1Nである、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
【0013】
以下に説明するように、モノフィラメントはコポリマーを含み得る。コポリマーは、2つ以上の異なる反復単位からなるポリマーを指す。
Mブロックを形成するために、モノマーは開始剤と反応させ得る。一実施形態では、開始剤は、モノマーが開始剤の2つの部位から伸びる反復単位を形成してM(B)2コポリマーのM部分を形成するような二官能性である。例示的な二官能性開始剤に、ジオール及びジアミン、例えばエチレングリコール及びエチレンジアミンがある。別の実施形態では、開始剤は、モノマーが開始剤の3つの部位から反復単位を形成してM(B)3コポリマーのM部分を形成するような三官能性である。例示的な三官能性開始剤に、トリオール及びトリアミン、例えばグリセロールがある。一実施形態では、開始剤は、モノマーが開始剤の4つの部位から伸びる反復単位を形成するような四官能性である。例示的な四官能性開始剤に、テトラオール及びテトラアミン、例えばペンタエリスリトールがある。四官能性開始剤は、M(B)4コポリマーにおける四官能性M基を形成するのに用い得る。
開始剤から伸びるポリマー鎖はセグメント化されていてよく、つまり、開始剤から直接伸びる各ポリマー鎖は、それ自体が第2のポリマー鎖の伸長のための開始部位となり得る。この状態は(I2)(A-A’)2で表すことができ、本明細書においてI2-AはMとも表し得、開始剤(I2)は2つの開始部位を有し、ポリマーセグメントAはIから直接伸びて(Mを形成し)、更にポリマーセグメントA’はポリマーセグメントAの末端から直接伸びてA-A’ポリマー鎖を形成し、このような鎖のうち2つは二官能性開始剤から伸びている。同様の状態は(I3)(A-B)3で表すこともでき、本明細書においてI3-AはMとも表し得、開始剤(I3)は3つの開始部位を有し、ポリマーセグメントAはIから直接伸びて(Mを形成し)、更にポリマーセグメントA’はポリマーセグメントAの末端から直接伸びてA-A’ポリマー鎖を形成し、このような鎖のうち3つは開始剤から伸びている。
開始剤が二官能性のとき、得られるコポリマーは線状又は二軸と記述し得、開始剤が三官能性のとき、得られるコポリマーは三軸と記述し得、開始剤が四官能性のとき、得られるコポリマーは四軸と記述し得る。このようなコポリマーはセグメント化コポリマーと総称し得、ポリマー鎖Aは中央ブロック又は中央セグメントと呼び、ポリマー鎖A’は末端ブロック又は末端セグメント又は末端グラフトと呼ぶ。本明細書において、二軸及び三軸及び四軸ポリマーのうち任意の1つ又は複数を多軸ポリマーと呼び得る。
【0014】
ラクチド(LAC)含有コポリマー
一態様では、コポリマーは乳酸又はラクチド(総称してLAC)モノマー及び1つ又は複数の追加のモノマーの反復単位を含む。1つ又は複数の追加のモノマーは、グリコール酸又はグリコリド(GLY)、ε-カプロラクトン(CAP)、及びトリメチレンカーボネート(TMC)から選択し得る。
例えば、コポリマーはLAC及びGLYの反復単位を含み、且つ任意で他のモノマーを含まなくてもよい。別の実施形態では、コポリマーはLAC及びTMCの反復単位を含み、且つ任意で他のモノマーを含まなくてもよい。更なる実施形態として、コポリマーはLAC及びCAPの反復単位を含み、且つ任意で他のモノマーを含まなくてもよい。
別の例として、一実施形態では、コポリマーは、LAC、TMC、及びCAPの反復単位を含む線状コポリマーである。一実施形態では、線状コポリマーは70~80質量%のLAC、10~20質量%のTMC、及び10~20質量%のCAPを含み、各質量%はコポリマー中のLAC、TMC、及びCAPの総質量に基づき、例えば70~75%のLAC、10~15%のTMC、及び10~15%のCAPを含む。別の例では、コポリマーはLAC、TMC、及びCAPの反復単位を含む三軸コポリマーである。一実施形態では、三軸コポリマーは70~80質量%のLAC、10~20質量%のTMC、及び10~20質量%のCAPを含み、各質量%はコポリマー中のLAC、TMC、及びCAPの総質量に基づき、例えば70~75質量%のLAC、10~15質量%のTMC、及び10~15質量%のCAPを含む。
別の例として、一実施形態では、コポリマーは組成的に30~50/20~40/20~30/1~10のLAC/CAP/TMC/GLY、例えば40/30/26/4のLAC/CAP/TMC/GLYと記述される線状コポリマーである。
【0015】
グリコリド(GLY)含有コポリマー
一態様では、コポリマーはグリコール酸又はグリコリドモノマー及び1つ又は複数の追加のモノマーの反復単位を含む。1つ又は複数の追加のモノマーは、乳酸又はラクチド(LAC)、ε-カプロラクトン(CAP)、及びトリメチレンカーボネート(TMC)から選択し得る。
例えば、コポリマーはGLY及びLACの反復単位を含み、且つ任意で他のモノマーを含まなくてもよい。
別の例として、コポリマーはGLY及びTMCの反復単位を含み、且つ任意で他のモノマーを含まなくてもよい。別の例として、コポリマーはGLY及びCAPの反復単位を含み、且つ任意で他のモノマーを含まなくてもよい。例えば、コポリマーは線状コポリマーであり得、モノマーとして、70~99質量%のGLY及び30~1質量%のCAPのみを含んでよく、例示的なコポリマーは、90~97質量%のGLY及び10~3質量%のCAP、又は70~80質量%のGLY及び30~20質量%のCAPを有する。別の実施形態では、コポリマーは三軸コポリマーであり得、モノマーとして、70~99質量%のGLY及び30~1質量%のCAPのみを含んでよく、例示的なコポリマーは、90~97質量%のGLY及び10~3質量%のCAP、又は70~80質量%のGLY及び30~20質量%のCAPを有する。一実施形態では、開始剤はポリエチレンサクシネートであり、また別の実施形態では、開始剤はトリメチレンカーボネートである。
別の例として、コポリマーは、GLY、TMC、及びCAPの反復単位を含む線状コポリマーである。一実施形態では、線状コポリマーは50~60質量%のGLY、20~30質量%のTMC、及び15~25質量%のCAPを含み、各質量%はコポリマー中のGLY、TMC、及びCAPの総質量に基づき、例えば50~55%のGLY、20~25%のTMC、及び20~25%のCAPを含む。別の例では、コポリマーはGLY、TMC、及びCAPの反復単位を含む三軸コポリマーである。一実施形態では、三軸コポリマーは50~60質量%のGLY、20~30質量%のTMC、及び15~25質量%のCAPを含み、各質量%はコポリマー中のGLY、TMC、及びCAPの総質量に基づき、例えば50~55%のGLY、20~25%のTMC、及び20~25%のCAPを含む。
【0016】
ε-カプロラクトン(CAP)含有コポリマー
一態様では、コポリマーはε-カプロラクトンモノマー及び1つ又は複数の追加のモノマーの反復単位を含む。1つ又は複数の追加のモノマーは、乳酸/ラクチド(LAC)、グリコール酸/グリコリド(GLY)、及びトリメチレンカーボネート(TMC)から選択し得る。
【0017】
トリメチレンカーボネート(TMC)含有コポリマー
一態様では、コポリマーはトリメチレンカーボネート(TMC)モノマー及び1つ又は複数の追加のモノマーの反復単位を含む。1つ又は複数の追加のモノマーは、乳酸/ラクチド(LAC)、グリコール酸/グリコリド(GLY)、及びε-カプロラクトン(CAP)から選択し得る。
【0018】
ジオキサノン含有コポリマー
一態様では、コポリマーはジオキサノンモノマーの反復単位を含む。
【0019】
ラクトン
一態様では、コポリマーはδ-バレロラクトンモノマーの反復単位を含む。一態様では、コポリマーはε-デカラクトンモノマーの反復単位を含む。一態様では、コポリマーはδ-バレロラクトン及びε-デカラクトンモノマーから選択される反復単位を含む。
【0020】
線状コポリマー
一実施形態では、ポリマーは線状ポリマーであり、線状ポリマーは、骨格に分岐がないポリマーを指す。本明細書に説明するように、線状ポリマーはM(B)2又は(I2)(A-A’)2という名称で記述し得、A及びA’が様々なポリマー(コポリマーを含む)、例えばポリエステルを指す。ポリマーが(I2)(A-A’)2構造を有する場合、Aは中央ブロックと呼び得、A’は末端グラフトと呼び得、併せてA-A’は線状ポリマーのアームとなる。しかしながら、線状ポリマーは、代わりに(I2)(A)2という名称で記述し得、Aがポリエステルを指す。
線状コポリマーのアームの組成物を記述する際、アームの便宜的な名称は、質量%1/質量%2 モノマー1/モノマー2という残基記述となる。例えば、65/35 GLY/TMCという残基記述で表される線状ポリマーは、2つのアームのそれぞれが、65質量%のGLY及び35質量%のTMC残基で形成されるコポリマーであることを示し、質量%値はポリマー中のGLY及びTMCの総質量に基づく。類推により、93/5/2 GLY/CAP/TMCという残基記述は、2つのアームのそれぞれが、93質量%のGLY、5質量%のCAP、及び2質量%のTMC残基で形成されるコポリマーであることを示し、質量%値はポリマー中のGLY、CAP、及びTMCの総質量に基づく。
線状ポリマーが中央ブロックと末端グラフトの両方を有する場合、そのようなポリマーは、中央ブロック 質量% 残基記述;末端グラフト 残基記述と表記し得る。この場合、質量%値は、ポリマー中に存在する残基の総質量に対する、中央ブロック中に存在する総残基質量の割合を示す。例えば、中央ブロック 10% 85/15 CAP/LAC;末端グラフト 94/9 LAC/GLYと表される線状ポリマーは、総残基質量の10%が中央ブロック中に存在し、従って総残基質量の90%が末端ブロック中に存在することを示す。中央ブロックは、ポリマーの中央ブロック中に存在する残基の総質量に基づいて、85質量%のCAP残基及び15質量%のLAC残基を含む。末端グラフトは、ポリマーのアームに存在する残基の総質量に基づいて、94質量%のLAC残基及び6質量%のGLY残基を含む。
【0021】
以下に、本開示のモノフィラメントを作成し得る追加の例示的な線状ポリマーを示す。
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
70~80/10~20/5~15 LAC/TMC/CAP;又は
71~79/11~19/6~14 LAC/TMC/CAP;又は
72~78/12~18/7~13 LAC/TMC/CAP;又は
72~76/13~17/9~13 LAC/TMC/CAP。
【0022】
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 5~15% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/CAP;又は
中央ブロック 5~7% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/CAP;又は
中央ブロック 6~8% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/CAP;又は
中央ブロック 7~9% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/CAP;又は
中央ブロック 8~10% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/CAP;又は
中央ブロック 9~11% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/CAP;又は
中央ブロック 10~12% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/CAP;又は
中央ブロック 11~13% TMC;末端グラフト 80~90/10~20 CAP/LAC;又は
中央ブロック 12~14% TMC;末端グラフト 80~90/10~20 CAP/LAC;又は
中央ブロック 13~15% TMC;末端グラフト 80~90/10~20 CAP/LAC;
上記のいずれにおいても、末端グラフト 90~99/1~10 LAC/CAPは、任意で、末端グラフト 90~95/5~10 LAC/CAPで置き換え得る。
【0023】
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 5~15% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 5~7% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 6~8% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 7~9% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 8~10% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 9~11% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 10~12% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 11~13% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 12~14% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;又は
中央ブロック 13~15% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 LAC/GLY;
上記のいずれにおいても、PEGはポリエチレングリコールを指し、独立的に、85~95/5~15 LAC/GLYは、任意で、88~92/8~12 LAC/GLYで置き換え得る。
【0024】
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 1~10% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;又は
中央ブロック 1~3% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;又は
中央ブロック 2~4% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;又は
中央ブロック 3~5% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;又は
中央ブロック 4~6% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;又は
中央ブロック 5~7% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;又は
中央ブロック 6~8% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;又は
中央ブロック 7~9% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;又は
中央ブロック 8~10% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99% PDO;
上記のいずれにおいても、PEGはポリエチレングリコールを指し、独立的に、グラフト1 1~5% TMCはグラフト1 1% TMCを指し;独立的に、末端グラフト 90~99% PDOは末端グラフト 92~94% PDOを指す。
【0025】
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 1~10% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 1~3% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 2~4% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 3~5% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 4~6% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 5~7% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 6~8% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 7~9% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 8~10% PEG;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;
上記のいずれにおいても、PEGはポリエチレングリコールを指し、独立的に、末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMCは88~92/8~12 GLY/TMCを指す。
【0026】
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
85~95/5~15 LAC/TMC;又は
86~94/6~14 LAC/TMC;又は
87~93/7~13 LAC/TMC;又は
88~92/8~12 LAC/TMC;又は
89~91/9~11 LAC/TMC。
【0027】
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
60~70/20~30/1~10 GLY/PPG/PEG;又は
61~69/22~30/2~8 GLY/PPG/PEG;又は
62~68/24~30/3~7 GLY/PPG/PEG;
上記で、独立的に、各存在において、PPGはポリプロピレングリコールを指し、PEGはポリエチレングリコールを指す。
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
70~90/10~30 PDO/PEG;又は
72~88/12~28 PDO/PEG;又は
74~86/14~26 PDO/PEG;又は
76~84/16~24 PDO/PEG;又は
78~82/18~22 PDO/PEG;
上記で、PEGはポリエチレングリコールを指す。
【0028】
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
65~75/15~25/5~15/1~10 LAC/PEG/TMC/CAP;又は
66~74/16~24/6~14/1~8 LAC/PEG/TMC/CAP;又は
67~73/17~23/7~13/1~6 LAC/PEG/TMC/CAP;又は
68~72/18~22/8~12/1~4 LAC/PEG/TMC/CAP;
上記で、PEGはポリエチレングリコールを指す。
【0029】
一実施形態では、線状ポリマーは次のように記述し得る。
85~95/5~15/1~10 LAC/GLY/PEG;又は
86~94/6~14/2~9 LAC/GLY/PEG;又は
87~93/7~13/3~8 LAC/GLY/PEG;又は
85~91/5~10/2~6 LAC/GLY/PEG;
上記で、PEGはポリエチレングリコールを指す。
【0030】
三軸コポリマー
一実施形態では、ポリマーは三軸ポリマーであり、三軸ポリマーは、中心コアから放射状に伸びる3つのアームを有するポリマーを指し、本明細書において、M(B)3と表し得る。本明細書に説明するように、三軸ポリマーは(I3)(A-A’)3という名称で表記し得、A及びA’が様々なポリマー又はコポリマー、例えばポリエステルを指す。ポリマーが(I3)(A-A’)3構造を有する場合、Aは中央ブロックと呼び得、A’は末端グラフトと呼び得る。しかしながら、三軸ポリマーは、代わりに(I3)(A)3という名称で記述し得、Aがポリマー、例えばポリエステルを指す。
三軸コポリマーのアームの組成物を記述する際、アームの便宜的な名称は、質量%1/質量%2 モノマー1/モノマー2という残基記述となる。例えば、65/35 GLY/TMCという残基記述で表される三軸ポリマーは、3つのアームのそれぞれが、65質量%のGLY及び35質量%のTMC残基で形成されるコポリマーであることを示し、質量%値はポリマー中のGLY及びTMCの総質量に基づく。類推により、93/5/2 GLY/CAP/TMCという残基記述は、3つのアームのそれぞれが、93質量%のGLY、5質量%のCAP、及び2質量%のTMC残基で形成されるコポリマーであることを示し、質量%値はポリマー中のGLY、CAP、及びTMCの総質量に基づく。
三軸ポリマーが中央ブロックと末端グラフトの両方を有する場合、そのようなポリマーは、中央ブロック 質量% 残基記述;末端グラフト 残基記述と表記し得る。この場合、質量%値は、ポリマー中に存在する残基の総質量に対する、中央ブロック中に存在する総残基質量の割合を示す。例えば、中央ブロック 10% 85/15 CAP/LAC;末端グラフト 94/9 LAC/GLYと表される三軸ポリマーは、総残基質量の10%が中央ブロック中に存在し、従って総残基質量の90%が末端ブロック中に存在することを示す。中央ブロックは、ポリマーの中央ブロック中に存在する残基の総質量に基づいて、85質量%のCAP残基及び15質量%のLAC残基を含む。末端グラフトは、ポリマーのアームに存在する残基の総質量に基づいて、94質量%のLAC残基及び6質量%のGLY残基を含む。
【0031】
以下に、本明細書に記載するモノフィラメントを作成するのに使用し得る追加の例示的な三軸ポリマーを示す。
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
50~60/20~30/15~25 GLY/TMC/CAP;又は
51~59/21~29/16~24 GLY/TMC/CAP;又は
52~58/22~28/17~23 GLY/TMC/CAP;又は
53~57/23~27/18~22 GLY/TMC/CAP。
【0032】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 1~10% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 1~3% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 2~4% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 3~5% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 4~6% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 5~7% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 6~8% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 7~9% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 8~10% ポリエチレンサクシネート;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;
上記のいずれにおいても、70~80/20~30 GLY/CAPは、任意で、74~78/22~26 GLY/CAPで置き換え得る。
【0033】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 1~10% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;又は
中央ブロック 1~3% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;又は
中央ブロック 2~4% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;又は
中央ブロック 3~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;又は
中央ブロック 4~6% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;又は
中央ブロック 5~7% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;又は
中央ブロック 6~8% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;又は
中央ブロック 7~9% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;又は
中央ブロック 8~10% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 GLY/CAP;
上記のいずれにおいても、90~99/1~10 GLY/CAPは、任意で、93~97/3~7 GLY/CAP;又は 90~95/5~10 GLY/CAPで置き換え得る。
【0034】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 1~10% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 1~3% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 2~4% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 3~5% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 4~6% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 5~7% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 6~8% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 7~9% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;又は
中央ブロック 8~10% TMC;末端グラフト 70~80/20~30 GLY/CAP;
上記のいずれにおいても、70~80/20~30 GLY/CAPは、任意で、72/28 GLY/CAPで置き換え得る。
【0035】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 1~10% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;又は
中央ブロック 1~3% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;又は
中央ブロック 2~4% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;又は
中央ブロック 3~5% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;又は
中央ブロック 4~6% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;又は
中央ブロック 5~7% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;又は
中央ブロック 6~8% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;又は
中央ブロック 7~9% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;又は
中央ブロック 8~10% TMC;末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMC;
上記のいずれにおいても、末端グラフト 80~99/1~20 GLY/TMCは、任意で、末端グラフト 88~92/8~12 GLY/TMCで置き換え得る。
【0036】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 1~10% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 1~3% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 2~4% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 3~5% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 4~6% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 5~7% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 6~8% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 7~9% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;又は
中央ブロック 8~10% TMC;末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMC;
上記のいずれにおいても、末端グラフト 85~95/5~15 GLY/TMCは、任意で、末端グラフト 88~92/8~12 GLY/TMCで置き換え得る。
【0037】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
1~10/15~25/20~30/45~55 GLY/CAP/TMC/GLY;又は
2~9/16~24/21~29/46~54 GLY/CAP/TMC/GLY;又は
3~8/16~23/21~28/48~54 GLY/CAP/TMC/GLY;又は
3~7/17~21/22~26/50~54 GLY/CAP/TMC/GLY。
【0038】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 5~15% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 5~7% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 6~8% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 7~9% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 8~10% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 9~11% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 10~12% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 11~13% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 12~14% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 13~15% 80~90/10~20 CAP/LAC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;
上記のいずれにおいても、80~90/10~20 CAP/LACは、任意で、83~87/13~17 CAP/LACで置き換え得、独立的に、末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLYは、任意で、92~96/7~11 LAC/GLYで置き換え得る。
【0039】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
中央ブロック 15~25% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 15~17% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 16~18% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 17~19% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 18~20% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 19~21% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 20~22% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 21~23% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 22~24% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
中央ブロック 23~25% PEG;グラフト1 1~5% TMC;末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLY;又は
上記のいずれにおいても、PEGはポリエチレングリコールを指し、独立的に、グラフト1 1~5% TMCはグラフト1 1~2% TMCを指し、独立的に、末端グラフト 90~99/1~10 LAC/GLYは末端グラフト 90~94/6~10 LAC/GLYを指す。
【0040】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
65~75/25~35/1~10 GLY/CAP/TMC;又は
66~74/26~34/2~9 GLY/CAP/TMC;又は
67~73/27~33/3~8 GLY/CAP/TMC;又は
68~72/28~32/4~7 GLY/CAP/TMC;又は
69~71/29~31/5~6 GLY/CAP/TMC。
【0041】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
60~70/30~40 GLY/TMC;又は
61~69/31~39 GLY/TMC;又は
62~68/32~38 GLY/TMC;又は
63~67/33~37 GLY/TMC;又は
64~66/34~36 GLY/TMC。
【0042】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
90~99/1~10/1~10 GLY/CAP/TMC;又は
91~98/2~9/2~9 GLY/CAP/TMC;又は
92~97/3~8/3~8 GLY/CAP/TMC;又は
93~96/4~7/4~7 GLY/CAP/TMC。
【0043】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
80~90/1~10/1~10 GLY/TMC/CAP;又は
81~89/2~10/2~9 GLY/TMC/CAP;又は
82~88/3~10/3~8 GLY/TMC/CAP;又は
83~87/4~10/4~7 GLY/TMC/CAP。
【0044】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
65~75/25~35/1~10 GLY/TMC/ポリプロピレンサクシネート;又は
66~74/25~33/1~8 GLY/TMC/ポリプロピレンサクシネート;又は
67~73/25~30/1~5 GLY/TMC/ポリプロピレンサクシネート。
【0045】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
30~40/30~40/15~25/10~20 CAP/LAC/GLY/TMC;又は
31~39/31~39/15~23/11~19 CAP/LAC/GLY/TMC;又は
32~38/32~38/15~21/12~18 CAP/LAC/GLY/TMC;又は
32~37/32~37/15~19/12~16 CAP/LAC/GLY/TMC。
【0046】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
35~45/35~45/25~35 LAC/CAP/TMC;又は
36~44/36~44/25~34 LAC/CAP/TMC;又は
37~43/36~43/25~33 LAC/CAP/TMC;又は
37~42/36~42/25~32 LAC/CAP/TMC;又は
37~41/36~41/25~31 LAC/CAP/TMC。
【0047】
一実施形態では、三軸ポリマーは次のように記述し得る。
35~45/25~35/20~30/1~10 LAC/CAP/TMC/GLY;又は
36~44/26~34/21~29/1~9 LAC/CAP/TMC/GLY;又は
37~43/27~33/22~28/1~8 LAC/CAP/TMC/GLY;又は
38~42/28~32/24~27/1~6 LAC/CAP/TMC/GLY。
【0048】
一実施形態では、本開示は、式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維を提供する。任意で、多軸ポリマーは式M(B)2を有する。任意で、多軸ポリマーは式M(B)3を有する。多軸ポリマーのM部分は、プレポリマー又は中間ブロック又は中央ブロックと呼び得るのに対し、B部分はアーム又は末端グラフトと呼び得る。任意で、式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーは、最初に中間ブロックM、即ちプレポリマーを形成し、次いで、M上にモノマーを重合し、即ち末端グラフトしてM(B)2又はM(B)3をもたらす。M及びBの特性は、Mの調製に使用する1つ又は複数のモノマーの選択、及びBの調製に使用する1つ又は複数のモノマーの選択に基づいて独立的に選択し得るため、多軸ポリマーは、本開示のモノフィラメントの調製に好都合に使用される。一実施形態では、Mの調製に使用するモノマーの選択は、Bの調製に使用するモノマーの選択とは異なるため、Mの特性はBの特性とは異なる。
【0049】
式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーのプレポリマー部分とも呼ばれ得る多軸ポリマーのM部分は、トリメチレンカーボネート(TMC)及びε-カプロラクトン(CAP)のうち1つ又は両方の重合生成物である複数の反復単位を含む。つまり、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンは、重合によりMを形成するモノマーである。任意で、これら2つのモノマーは共重合されることにより、Mにおける反復単位が、トリメチレンカーボネートの重合生成物(残基とも呼ばれる)及びε-カプロラクトンの重合生成物又は残基となる。一実施形態では、モル基準で、Mにおける反復単位の大多数が、トリメチレンカーボネート及び/又はε-カプロラクトンの残基である。他の実施形態では、Mにおける反復単位の50モル%超、又は少なくとも50モル%、又は少なくとも55モル%、又は少なくとも60モル%、又は少なくとも65モル%、又は少なくとも70モル%、又は少なくとも75モル%、又は少なくとも80モル%、又は少なくとも85モル%、又は少なくとも90モル%、又は少なくとも95モル%が、トリメチレンカーボネート及び/又はε-カプロラクトンの残基である。本開示では、これらのモル%値のうちいずれか2つを組み合わせて範囲を形成し得る。例えば、80モル%と90モル%を組み合わせて、80~90モル%の範囲を形成し得る。前述の通り、一実施形態では、指定のモル%はCAP及びTMC残基の混合物から形成される。即ち、MはTMC及びCAPの残基のホモポリマーではなくコポリマーであり、例えば、Mにおける反復単位の80~90モル%は、TMCとCAPの両方の残基であり得る。
【0050】
上述するMにおいては、反復単位の大多数がTMC及び/又はCAPモノマーに由来し得、任意の実施形態では、Mにおける反復単位のすべてがTMC又はCAPに由来するわけではない。一実施形態では、反復単位の大多数がTMC及び/又はCAPに由来するが、反復単位の少なくとも3モル%はTMC又はCAPの重合生成物ではなく、また他の実施形態では、反復単位の少なくとも5モル%、又は少なくとも8モル%、又は少なくとも10モル%、又は少なくとも15モル%はTMC又はCAPに由来しないが、任意で、グリコリド(GLY)及びラクチド(LAC)のうち1つ又は複数に由来する。例えば一実施形態では、Mにおける反復単位の80~95モル%がTMC及び/又はCAPに由来し、残りの5~20モル%がLAC及び/又はGLYに由来する。一実施形態では、Mにおける反復単位の85~95モル%がTMC及び/又はCAPに由来し、残りの5~15モル%がLAC及び/又はGLYに由来する。一実施形態では、Mにおける反復単位の85~90モル%がTMC及び/又はCAPに由来し、残りの5~10モル%がLAC及び/又はGLYに由来する。一実施形態では、Mにおける反復単位の1~20モル%がグリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である。
一実施形態では、Mにおける反復単位の少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物である。別の実施形態では、Mにおける反復単位の少なくとも70モル%がトリメチレンカーボネートとε-カプロラクトンの両方の共重合生成物であることから、Mはコポリマーである。任意で、Mにおける残りの反復単位は、グリコリド及びラクチドのうち1つ又はその両方の重合による残基である。一実施形態では、Mは、TMC及び/又はCAPから選択されるモノマーの残基から形成され、且つLAC及びGLYのうち少なくとも1つを更に含むコポリマーである。例えば、Mは、TMC、CAP、及びLACに由来する反復単位のコポリマーであり得る。別の例として、Mは、TMC、CAP、及びGLYに由来する反復単位のコポリマーであり得る。別の例として、Mは、TMC及びLACに由来する反復単位のコポリマーであり得る。別の例として、Mは、TMC及びGLYに由来する反復単位のコポリマーであり得る。別の例として、Mは、CAP及びLACに由来する反復単位のコポリマーであり得る。別の例として、Mは、CAP及びGLYの反復単位のコポリマーであり得る。
【0051】
式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーのアーム又は末端グラフト部分とも呼ばれ得る多軸ポリマーのB部分は、グリコリド(GLY)及びラクチド(LAC)のうち1つ又は両方の重合生成物である複数の反復単位を含む。つまり、GLY及びLACは、重合によりBを形成するモノマーである。任意で、これら2つのモノマーは共重合されることにより、Bにおける反復単位が、GLYの重合生成物(残基とも呼ばれる)及びLACの重合生成物又は残基となる。一実施形態では、モル基準で、Bにおける反復単位の大多数が、LAC及び/又はGLYの残基である。他の実施形態では、Bにおける反復単位の少なくとも55モル%、又は少なくとも60モル%、又は少なくとも65モル%、又は少なくとも70モル%、又は少なくとも75モル%、又は少なくとも80モル%、又は少なくとも85モル%、又は少なくとも90モル%、又は少なくとも95モル%が、GLY及び/又はLACの残基である。本開示では、これらのモル%値のうちいずれか2つを組み合わせて範囲を形成し得る。例えば、80モル%と90モル%を組み合わせて、80~90モル%の範囲を形成し得る。前述の通り、一実施形態では、指定のモル%はLAC及びGLY残基の混合物から形成される。即ち、BはGLY及びLACの残基のホモポリマーではなくコポリマーであり、例えば、Bにおける反復単位の80~90モル%は、GLYとLACの両方の残基であり得る。しかしながら、一実施形態では、BにはLACの重合残基のみが存在し、また別の実施形態では、BにはGLYの重合残基のみが存在する。
【0052】
上述するBにおいては、反復単位の大多数がGLY及び/又はLACモノマーに由来し得、任意の実施形態では、Bにおける反復単位のすべてがGLY又はLACに由来するわけではない。一実施形態では、反復単位の大多数がLAC及び/又はGLYに由来するが、反復単位の少なくとも3モル%はGLY又はLACの重合生成物ではなく、また他の実施形態では、反復単位の少なくとも5モル%、又は少なくとも8モル%、又は少なくとも10モル%、又は少なくとも15モル%はLAC又はGLYに由来しないが、任意で、トリメチレンカーボネート(TMC)及びε-カプロラクトン(CAP)のうち1つ又は複数に由来する。例えば一実施形態では、Bにおける反復単位の80~95モル%がGLY及び/又はLACに由来し、残りの5~20モル%がTMC及び/又はCAPに由来する。一実施形態では、Bにおける反復単位の85~95モル%がGLY及び/又はLACに由来し、残りの5~15モル%がTMC及び/又はCAPに由来する。一実施形態では、Bにおける反復単位の85~90モル%がGLY及び/又はLACに由来し、残りの5~10モル%がTMC及び/又はCAPに由来する。一実施形態では、Bにおける反復単位の1~20モル%がトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物である。
一実施形態では、Bにおける反復単位の少なくとも70モル%が、ラクチド及びグリコリドのうち少なくとも1つの重合生成物である。任意で、LAC及びGLYのうち1つのみの重合生成物がBに存在する。別の実施形態では、Bにおける反復単位の少なくとも70モル%がGLYとLACの両方の共重合生成物であることから、Bはコポリマーである。任意で、Bにおける残りの反復単位は、TMC及びCAPのうち1つ又はその両方の重合による残基である。一実施形態では、Bは、TMC及びGLYの残基から形成されるコポリマーである。一実施形態では、Bは、TMC及びLACの残基から形成されるコポリマーである。一実施形態では、Bは、CAP及びGLYの残基から形成されるコポリマーである。一実施形態では、Bは、CAP及びLACの残基から形成されるコポリマーである。
【0053】
一実施形態では、モノフィラメントは、本明細書に記載する多軸ポリマーから製造されており、ポリマーは半結晶形である。有利には、ポリマーは、付加製造プリンターの印刷ヘッドで高温に曝露された時に、非晶性ポリマーを結晶性ポリマーに変換することで印刷ヘッドの熱が過度に消費されないように、いくらか結晶性である。つまり、ポリマーが印刷ヘッドに入る時にすでに半結晶形であれば、非晶性ポリマーを結晶性ポリマーに変換する際に消費される印刷ヘッドの熱が少なくなる。印刷ヘッドは通常、熱エネルギーが限られているため、非晶性ポリマーを結晶性ポリマーに変換するのに印刷ヘッドの熱が多量に必要となると、モノフィラメントを堆積させて印刷部品を形成するのに必要な溶融形態に変換するための熱が印刷ヘッド内に十分に残らなくなる。一実施形態では、モノフィラメント形態である本開示の多軸ポリマーM(B)2及びM(B)3は半結晶性である。
【0054】
任意で、多軸ポリマーの質量の大部分をBが占め、多軸ポリマーの質量のわずかな部分をMが占める。例えば一実施形態では、Mが多軸ポリマーの質量の50質量%未満を占め、Bが多軸ポリマーの質量の50質量%超を占める。一実施形態では、Mが多軸ポリマーの質量の少なくとも10質量%又は少なくとも15質量%、ただし50質量%未満を占める。一実施形態では、Bが多軸ポリマーの質量の90質量%以下又は85質量%以下、ただし50質量%超を占める。
従って一実施形態では、本開示は、式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維を提供し、Mが反復単位を含み、Bも反復単位を含み、Mにおける反復単位の大多数がTMC及び/又はCAPの重合残基であり、Mにおける反復単位の少数がCAP及び/又はGLYの重合残基であるのに対し、Bにおける反復単位の大多数がGLY及び/又はLACの重合残基であり、Bにおける反復単位の少数がTMC及び/又はCAPの重合残基である。このように、中間ブロックMは、主にTMC及び/又はCAPの残基の存在に起因し、少量のLAC及び/又はGLYの残基の影響を受ける特性を有するのに対し、末端グラフトBは、主にLAC及び/又はGLYの残基の存在に起因し、少量のTMC及び/又はCAPの残基の影響を受ける特性を有する。
【0055】
本開示は、これらの式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維、並びにモノフィラメント繊維を含む組立品及びキット、並びに付加印刷におけるこれらの使用を提供する。例えば本開示は、次の例示的な番号付き実施形態を提供する。
1)ポーチの内部に位置する組立品を含むキットであって、組立品が、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含み、モノフィラメント繊維が式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含み、
a.Mはホモポリマー又はコポリマーであり、且つ複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の大多数、例えば少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、任意で、Mは、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つと、ラクチド及びグリコリドのうち少なくとも1つとの共重合生成物であり、並びに
b.Bは複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の大多数、例えば少なくとも70モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である
キット。
2)スプールが少なくとも90℃の温度まで安定している、実施形態1に記載のキット。
3)ポーチの水蒸気透過率(MVTR)が水0.002g/100in2/24hである、実施形態1又は2に記載のキット。
4)ポーチが密閉ポーチである、実施形態1又は2に記載のキット。
5)ポーチが複数の層を含み、複数の層のうち少なくとも1つが金属箔を含む、実施形態1又は2に記載のキット。
6)モノフィラメント繊維のモノマー含有量が2質量%未満である、実施形態1~5のうちいずれか1つに記載のキット。
7)モノフィラメント繊維が未延伸である、実施形態1~6のうちいずれか1つに記載のキット。
8)モノフィラメント繊維の配向係数が50%未満である、実施形態1~7のうちいずれか1つに記載のキット。
9)モノフィラメント繊維が基本的に円形断面であり、断面の直径が1.6~3.1mmである、実施形態1~8のうちいずれか1つに記載のキット。
10)モノフィラメント繊維の質量が50~1,500gである、実施形態1~9のうちいずれか1つに記載のキット。
11)モノフィラメント繊維が周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である、実施形態1~10のうちいずれか1つに記載のキット。
12)多軸ポリマーがUSPクラスVI生体適合性である、実施形態1~11のうちいずれか1つに記載のキット。
13)多軸ポリマーが式M(B)3を有する、実施形態1~12のうちいずれか1つに記載のキット。
14)多軸ポリマーが式M(B)2を有する、実施形態1~12のうちいずれか1つに記載のキット。
15)Mがポリマーの質量の少なくとも10質量%を占める、実施形態1~14のうちいずれか1つに記載のキット。
16)Bがポリマーの質量の少なくとも50質量%を占める、実施形態1~15のうちいずれか1つに記載のキット。
17)Mにおける反復単位の1~20モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のキット。
18)Bにおける反復単位の1~20モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物である、実施形態1~17のうちいずれか1つに記載のキット。
19)Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの反復単位を含む、実施形態1~18のうちいずれか1つに記載のキット。
20)付加製造の方法における組立品の使用説明書を更に含む、実施形態1~19のうちいずれか1つに記載のキット。
21)スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品であって、モノフィラメント繊維が式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含み、Mが、第1のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bが、第2のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも70モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である組立品。
22)スプールが少なくとも90℃の温度まで安定している、実施形態21に記載の組立品。
23)モノフィラメント繊維のモノマー含有量が2質量%未満である、実施形態21又は22に記載の組立品。
24)モノフィラメント繊維が未延伸である、実施形態21~23のうちいずれか1つに記載の組立品。
25)モノフィラメント繊維の配向係数が50%未満である、実施形態21~24のうちいずれか1つに記載の組立品。
26)モノフィラメント繊維が基本的に円形断面であり、断面の直径が1.6~3.1mmである、実施形態21~25のうちいずれか1つに記載の組立品。
27)モノフィラメント繊維の質量が50~1,500gである、実施形態21~26のうちいずれか1つに記載の組立品。
28)モノフィラメント繊維が周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である、実施形態21~27のうちいずれか1つに記載の組立品。
29)多軸ポリマーがUSPクラスVI生体適合性である、実施形態21~28のうちいずれか1つに記載の組立品。
30)多軸ポリマーが式M(B)3を有する、実施形態21~29のうちいずれか1つに記載の組立品。
31)多軸ポリマーが式M(B)2を有する、実施形態21~29のうちいずれか1つに記載の組立品。
32)Mがポリマーの質量の少なくとも10質量%を占める、実施形態21~31のうちいずれか1つに記載の組立品。
33)Bがポリマーの質量の少なくとも50質量%を占める、実施形態21~32のうちいずれか1つに記載の組立品。
34)Mにおける反復単位の1~20モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である、実施形態21~33のうちいずれか1つに記載の組立品。
35)Bにおける反復単位の1~20モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物である、実施形態21~34のうちいずれか1つに記載の組立品。
36)Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの反復単位を含む、実施形態21~35のうちいずれか1つに記載の組立品。
37)式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを含むモノフィラメント繊維であって、Mが、第1のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、Bが、第2のモノマー重合による複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも70モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物であるモノフィラメント繊維。
38)モノマー含有量が2質量%未満である、実施形態37に記載のモノフィラメント繊維。
39)未延伸である、実施形態37又は38に記載のモノフィラメント繊維。
40)配向係数が50%未満である、実施形態37~39のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
41)基本的に円形断面であり、断面の直径が1.6~3.1mmである、実施形態37~40のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
42)周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である、実施形態37~40のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
43)多軸ポリマーがUSPクラスVI生体適合性である、実施形態37~42のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
44)多軸ポリマーが式M(B)3を有する、実施形態37~43のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
45)多軸ポリマーが式M(B)2を有する、実施形態37~43のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
46)Mがポリマーの質量の少なくとも10質量%を占める、実施形態37~45のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
47)Bがポリマーの質量の少なくとも40質量%を占める、実施形態37~46のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
48)Mにおける反復単位の1~20モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である、実施形態37~47のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
49)Bにおける反復単位の1~20モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物である、実施形態37~48のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
50)Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの反復単位を含む、実施形態37~49のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維。
51)付加製造の方法であって、
a.実施形態37~50のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維を溶融させて繊維の溶融形態を得るステップ;
b.溶融形態を堆積させて最初の物品を得るステップ;並びに
c.最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
52)付加製造の方法であって、
a.実施形態21~36のうちいずれか1つに記載の組立品を付加製造プリンターに設置するステップ;
b.プリンター内でモノフィラメント繊維を溶融させて繊維の溶融形態を得るステップ;
c.溶融形態を堆積させて最初の物品を得るステップ;並びに
d.最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
【0056】
融点
本開示のモノフィラメント組成物は、室温で固体であり、加熱により流動的な溶融状態になり得、冷却すると固体状態に戻る熱可塑性である。一実施形態では、本開示の組成物は、周囲温度、例えば、20~25℃では固体であるが、付加製造工程の動作温度である高温では流体である。付加製造工程によって用いられる動作温度は異なり、通常、50~450℃の範囲内である。様々な実施形態で、本開示の組成物は、組成物の融点と呼び得る温度で流体となり、この融点は、組成物に応じて、約50℃、又は約75℃、又は約100℃、又は約125℃、又は約150℃、又は約175℃、又は約200℃、又は約225℃、又は約250℃、又は約275℃、又は約300℃、又は約325℃、又は約350℃、又は約375℃、又は約400℃、又は約425℃、又は約450℃より高く、またこれらの範囲を含む。例えば一実施形態では、本開示の組成物の融点は約50℃より高く、例えば約50~100℃、又は約50~150℃、又は約50~200℃である。別の実施形態では、本開示の組成物の融点は約75℃より高く、例えば約75~125℃、又は約75~150℃、又は約75~175℃、又は約75~200℃、又は約75~225℃である。本明細書で使用する「約°X」の温度は(Xは指定の温度)、温度Xの指定の温度X±5℃、即ち、指定の温度の指定の温度±5℃を指す。
本開示の組成物の融点は、ASTM又はISO標準手順に従って測定し得る。例えば、ASTM D7138-16を使用して合成繊維の溶融温度を測定し得る。別の例として、ASTM D3418では、示差走査熱量測定(DSC)を使用する融点の測定について記載されている。
【0057】
メルトフローインデックス
モノフィラメント組成物は、溶融状態、例えば融点より高い状態にある時、そのメルトフロー特性、例えばそのメルトフローインデックス(MFI)又はメルトフローレート(MFR)に関して特徴づけられ得る。メルトフローインデックス(MFI)は、材料の流動性を測定する有用な試験である。この試験は、結晶、半結晶、又は非結晶熱可塑性材料を含む粘性流体に適用し、所定の温度及び圧力条件下での材料の流量を測定することができ、通常は、所定の大きさの開口部から特定の組成物が流出する時間(分)当たりの質量(g)として表される。この試験は、材料の流動性を非特異的に分析するもので、組成物に対する温度や圧力の影響を判断するのに有用である。FFF及びFDMでは、約2.5~30g/10分のMFI値を得るのに適した温度範囲を決定することが望ましく、これが、所定の組成物に好ましいFFF又はFDMの処理温度となる。
ASTM及びISOは、メルトフローを測定するための標準手順を公開している。一般的な方法として、例えばISO 1133、JIS K 7210、ASTM D1238を参照のこと。一実施形態では、メルトフローはISO 1122-1手順Aに従って測定する。別の実施形態では、メルトフローはASTM A1238手順Aに従って測定する。別の実施形態では、メルトフローはISO 1122-2に従って測定する。別の実施形態では、メルトフローはASTM D1238に従って測定する。Instron社(米国マサチューセッツ州ノーウッド)は、これらの手順に従ってメルトフローを測定するのに使用できる機器、例えば、CEASTメルトフローテスターMF10、MF20、及びMF30を販売している。他にも、Zwick Roell AG(ドイツ、ウルム)が、好適なメルトフローテスターを製造販売している。
従って、本開示の組成物は、任意で、そのMFIに関して特徴づけられ得る。MFIは一般に流体組成物の粘性に対応し、MFIが高いほど組成物の粘性が低い。付加製造では幅広い粘度の組成物を利用できるが、特定のMFI値が特に好適であり、これは本開示の組成物によって得られる。一実施形態では、本開示の組成物は、組成物の溶融温度より高い温度で、且つ付加製造工程、例えばFFFの動作温度内で、約2.5~30g/10分のMFI値を有する。様々な実施形態において、本開示の組成物は、10分間に測定されるグラム数で、約2.5~30、又は約2.5~25、又は約2.5~20、又は約2.5~15、又は約2.5~10、又は約5~30、又は約5~25、又は約5~20、又は約5~15、又は約10~30、又は約10~25、又は約10~15、又は約15~30、又は約15~25、又は約15~20、又は約20~30、又は約25~30のMFIによって特徴づけられる。本明細書で使用する約X~Ygは、X及びYそれぞれ±10%を指し、例えば、約2.5gは2.25~2.75gを指し、約30gは27~33gを指す。
一態様では、本開示は、付加製造において使用しやすい大きさと特性を有するフィラメントを提供する。本明細書で詳しく検討するように、それらのフィラメントは、複合性、直径、及び長さなどの大きさ、並びに/又は引張弾性率、結晶性、及び柔軟性などの特性によって特徴づけられ得る。
【0058】
複合性
一般に、フィラメントはモノフィラメント又はマルチフィラメントであり得る。モノフィラメントは、単一のフィラメントからなる糸であるのに対し、マルチフィラメントは、2つ以上のフィラメントをより合わせて作られた糸であり、マルチフィラメントを形成するのに用いるフィラメントの数に応じて、バイフィラメント、トリフィラメントなどが作られる。
本開示のフィラメントは、モノフィラメントであることを特徴とし得る。従って、フィラメントは、複数のフィラメントが一緒に巻かれたり編まれたりしてマルチフィラメントの形態を形成してはいるのではなく、単一のフィラメントであり、モノフィラメント(mono-filament又はmonofilament)とも呼ばれる。
【0059】
断面
一実施形態では、フィラメントは円形断面を有する。即ちフィラメントは円筒形である。そのため、フィラメントは直径を有すると記述し得る。一実施形態では、モノフィラメントの直径は1.5~3.5mmの範囲内である。一実施形態では、直径は1.75mmである。別の実施形態では、直径は3.0mmである。一実施形態では、直径はフィラメントの長さに応じて直径が大きく変化することはない。例えば、直径は1.5~3.5mmの範囲内の値から選択し得、直径のばらつきは、モノフィラメントの長さに応じて±0.1mm以下であることを特徴とする。一実施形態では、直径は0.1mmを超えて変化せず、例えば直径は3.0±0.1mmと記述し得る。別の実施形態では、直径は0.05mmを超えて変化せず、例えば直径は1.75±0.05mmと記述し得る。
【0060】
質量と長さ
一実施形態では、フィラメントは有用な長さで切断し、有用な長さは有用な質量に対応する。本開示のモノフィラメントの有用な質量は、付加製造では約50~1,500gである。付加製造によって印刷する部品は質量が様々であり得、モノフィラメントの長さは、部品全体を製造するのに十分な質量をもたらすが、モノフィラメントが完全に消費されるまでに印刷機内に長期間保持されるほど長くないと好都合である。印刷機内のモノフィラメントは、例えば酸化や加水分解によって劣化するため、安定性の観点から、モノフィラメントは、相当量の劣化が起こるほど長期間印刷機内に保持されないことが好ましい。こうした点を考慮の上、本開示では、質量が約50~1,500、又は200~1,500の単一の(切れていない)長さのモノフィラメントを提供し、また他の実施形態では、質量は約800~1,200g、又は約1,000g、即ち950~1050gである。本開示は、それぞれ質量が約1,000gとなる長さにモノフィラメントを切断することを含む、モノフィラメントを形成する方法を提供する。
本開示のモノフィラメントは、その長さによって特徴づけられ得る。一実施形態では、モノフィラメントの長さは500m未満である。一実施形態では、モノフィラメントの長さは400m未満である。一実施形態では、モノフィラメントの長さは10~500mの範囲内であり、別の実施形態では、モノフィラメントの長さは10~400mの範囲内である。一実施形態では、モノフィラメントの長さは250~350mである。
【0061】
引張弾性率
本開示のフィラメントは、その引張弾性率によって特徴づけられ得る。適切なヤング率は、少なくとも3MPa、最大で4GPa以上である。下限は、接触面や、組織に接触する構造の多くで望まれる、高い弾性とコンプライアンスを有する部品の製造に適したものである。弾性率が高い材料は、高強度用途での構造性能のために選択される。
【0062】
結晶性
本開示のフィラメントは、その結晶性によって特徴づけられ得る。材料の総結晶化度が多様であると、様々な製品において有用であり得、通常、エラストマーなど柔らかく伸展性の高い材料は結晶化度が低い。こうした材料の総結晶化度は5%未満であり得る。PLLA又はPEEKなどの結晶性が高い材料は、構造及び機械の強度が極めて重要な剛性の支持構造に役立ち得る。
結晶性のもう1つの特徴は、繊維軸に沿った結晶配向性の存在に関する。最も典型的には、構造及び繊維モノフィラメントは、特定のモノフィラメントの設計と有用性にとって重要な検討事項である引張強さを最大化するために配向糸として使用される。配向は、モノフィラメント押出後に、加熱工程に続いて、結晶子をフィラメント軸に沿って並べるための引き延ばし工程(「延伸」とも呼ばれる)によって形成される。これにより繊維の当該方向の強度と剛性が増すが、フィラメントの横方向の機械特性が低下するという付随効果が生じる。一実施形態では、本開示のモノフィラメントは、延伸工程を経ていないため、延伸工程によって生じる高い結晶性を有していないという点で、「延伸されていない」又は「未延伸である」ことを特徴とし得る。結晶配向性を測定する技術には、例えば広角X線回折、複屈折、線二色性、また繊維で特に有用な技術では、音響速度などがある。
音響速度は、延伸の程度を、フィラメント中を伝搬する音の相対速度と相関させたもので、配向係数(OF)で表される。OFは様々な形で表される。OFは「0」~「1」スケールで測定し得、「0」は配向性がないこと、「1」は完全な結晶配向性を有することを示す。OFは百分率で、即ち0~1ではなく0~100%で表されることもある。また、OFは未配向試料の倍数として、例えば未配向対照の速度の1.5倍のように表されることもある。しかしながら、一般にOFは、繊維又はフィラメント中のポリマー鎖の分子配向又は配列の程度の指標であり、数又は百分率が大きいほど、配列の程度が大きい。
【0063】
多くの繊維フィラメントでは、配向係数は0.75、0.85、0.90、場合によっては0.95を超えることができる、又は望ましくはこれを超える。逆に、本開示に従って付加製造工程で使用されるモノフィラメントは、同様の張力を必要とせず、代わりに、機械的等方性と併せて、未配向のフィラメントを溶融するのに通常必要なエネルギーが通常は少ないという利点がある。本開示のモノフィラメントでは、押出工程の結果として配向度が多少低いこともあるが、モノフィラメントは未延伸であるため、モノフィラメントの配向係数が比較的低く、例えば0.50、0.40、0.30、0.20、又は0.10未満である。
OFが比較的低いと、FFFなどの溶融押出工程に好適な本開示のフィラメントにとって有利である。なぜなら、配向性が低いと、一般的に結晶性が低く、これは、モノフィラメントを液体状態に変化させるのに必要な熱が少ないこと、更に、モノフィラメントに適用される熱が、固形フィラメントを、3D印刷に好適な液体状態に、より素早く効果的に変化させることを意味するからである。従って一実施形態では、本開示のモノフィラメントの配向係数は50%未満であり、また別の実施形態では、モノフィラメントの配向係数は40%未満であり、別の実施形態では、モノフィラメントの配向係数は30%未満であり、更に別の実施形態では、モノフィラメントの配向係数は20%未満であり、また更に別の実施形態では、モノフィラメントの配向係数は10%未満である。これらの実施形態のそれぞれにおいて、モノフィラメントは、未延伸モノフィラメントとして更に特徴づけられ得る。
【0064】
柔軟性
本開示のフィラメントは、その柔軟性によって特徴づけられ得る。モノフィラメントは、スプールに巻きつける際に破損又は破断するほど剛性であって(柔軟性に欠けていて)はならない。逆に、モノフィラメントは、モノフィラメントの後続部分を押し進める際に、前方に移動しないほど柔軟であってはならない。つまり、1本のモノフィラメントを平面上に真っすぐ平らに置き、モノフィラメントの近位端をモノフィラメントの遠位端の方向に押した時に、モノフィラメントの近位端を押し進めたのと同じ距離だけ遠位端が前方に移動する必要がある。固形モノフィラメントが柔軟すぎると、加熱室から溶融モノフィラメントを押し出す剛性がなくなる。
フィラメントがプリンター内を押し進む能力の指標として、長柱座屈試験を実施し得る。この試験では、軸方向の圧縮に対するフィラメントの座屈抵抗(ときに座屈強度とも呼ばれる)を測定する。
フィラメント状材料で実施する座屈試験では、材料を垂直方向に設置し、座屈強度について試験するフィラメントの上下領域をクランプで固定する。本開示のモノフィラメントは、共有する単一の縦軸に沿って延びる2本のボーデンチューブを用いて適切な位置に保持し得、この時、1本のボーデンチューブの端部ともう1本のボーデンチューブの端部の間に1cmの隙間が存在する。1本のモノフィラメントを2本のボーデンチューブの中に入れて侵入型(interstitial)モノフィラメントを作成し、2本のチューブの間にある1cm分の侵入型モノフィラメントが、支持されずに環境条件に曝露されるようにする。ボーデンチューブは多くのFFF印刷装置で用いられており、内径が約2.0mmの円筒形である。幅が約1.75mmのモノフィラメントは、印刷工程中にボーデンチューブを通り抜ける必要がある。機械試験機を使用して2本のボーデンチューブを互いに近づけることで、試験中の荷重及び変位の情報を取得しながら、軸方向の圧縮が侵入型フィラメントに与える影響を観察し得る。
様々なフィラメントを用いて実施する座屈試験では、抵抗(荷重)が繊維方向に増し、ピークに達した時点で座屈が起こることによりモノフィラメントが曲がってヒンジのように挙動し、この時点で荷重が減少し始める。抵抗から座屈までのこの変化は、通常、軸方向の圧縮が5mmに達する前に生じる。このピーク抵抗に達すると、フィラメントは加えられた圧縮力に抗するよりも、ねじれたり曲がったりしやすくなる。
【0065】
3D印刷での印刷性に優れたモノフィラメントと、印刷性に劣る試料材料、又はボーデンチューブを用いた既存のプリンター若しくはダイレクトドライブ式プリンターでは印刷できない試料材料とを用いて長柱座屈試験で検討を行った。この試験で、「印刷可能な」モノフィラメントと相関する好ましい最小荷重を特定した。この値は少なくとも1Nである。ボーデンチューブの2つの端部が一緒に移動することに対する抵抗が殆ど又は全くない、即ちこの長柱座屈試験で約1N未満であったモノフィラメントは、ボーデンチューブを用いるプリンターでもダイレクトドライブ式プリンターでも使用が困難であった。このように適切に動作しないのは、フィラメントの剛性の低さが原因であり、これにより長柱の座屈及びフィラメントの供給不備が発生する。
従って一実施形態では、本開示のモノフィラメントは、長柱座屈試験を行った時に、少なくとも1Nの抵抗を示す。本開示のモノフィラメントは、少なくとも1Nの座屈強度を有すると特徴づけられ得る。別の実施形態では、本開示のモノフィラメントは、モノフィラメントの長さ1cmの縦軸に沿って力を加えた時に、少なくとも1Nの抵抗を示す。一実施形態では、幅又は直径が1.5~3.0mm、例えば1.75±0.05mmである本開示のモノフィラメントの長さ1cmは、この長柱座屈試験を行った時に、少なくとも1Nの抵抗を示す。別の実施形態では、幅又は直径が1.5~3.0mm、例えば1.75±0.05mmである本開示のモノフィラメントの長さ1cmは、モノフィラメントの長さ3cm以上の縦軸に沿って力を加えた時に、少なくとも1Nの抵抗を示し、この長さ1cmは拘束されておらず、拘束されていない1cmのモノフィラメントの両端に少なくとも1cmのモノフィラメントが存在し、拘束されていない1cmのモノフィラメントは、その縦軸に沿った圧縮に抵抗する。
【0066】
含水量
一態様では、式M(B)2又はM(B)3の多軸ポリマーを脱水し、低水分ポリマーを得た後にモノフィラメント形態に形成する。様々な実施形態において、脱水工程により、水分量が100ppm未満、又は200ppm未満、又は300ppm未満、又は400ppm未満、又は500ppm未満、又は600ppm未満、又は700ppm未満、又は800ppm未満、又は900ppm未満の多軸ポリマーを得る。脱水状態のポリマーを得るには、ポリマーを粉末状に粉砕した後に、所望の時間と温度と真空度で真空オーブンに設置し得る。水分が存在すると、モノフィラメント形成工程中にポリマーの分解が生じる可能性があるため、水分量の低い多軸ポリマーは、本開示のモノフィラメントを形成するのに有利である。
【0067】
モノマー含有量
本開示の多軸ポリマーは、好都合には開始剤及びモノマーから調製し、この時、モノマーは重合して多軸ポリマーのM及びB部分の反復単位を形成する。M(B)2又はM(B)3ポリマーの作成後、通常、所望の多軸ポリマーを含む混合物中に未反応(非重合)モノマーがいくらか存在する。本開示の一実施形態では、未反応モノマーを多軸ポリマーとの接触から除去する。例えば、未反応モノマーと多軸ポリマーとを含む生成物混合物又はその一部を、好適な温度と真空度で、好適な時間にわたって真空オーブンに設置し、モノマーを蒸発させて多軸ポリマーから除去し得る。別法として、残留モノマーは溶媒抽出工程を用いて除去し得る。いくつかの実施形態では、本開示のモノフィラメント中で多軸ポリマーと接触する残留モノマーは5質量%未満、又は4質量%未満、又は3質量%未満、又は2質量%未満、又は1質量%未満である。例えば一実施形態では、本開示は、モノマー含有量が2質量%未満のモノフィラメント繊維を提供する。そのようなモノフィラメント繊維は、本明細書に開示する、モノマー含有量が2質量%未満の多軸ポリマーから調製し得る。多軸ポリマーと接触する残留モノマーが存在すると、加熱工程中に多軸ポリマーの分解が生じる可能性があり、それにより多軸ポリマーがモノフィラメント繊維体に入り込んでしまうため、残留モノマーは、有利には、モノフィラメント形成の前に多軸ポリマーから除去する。
【0068】
配合物
一態様では、本開示は、モノフィラメントの作成に使用する配合組成物を提供する。配合組成物は、1つ又は複数の添加物との混合物中に、本明細書に記載するポリマーを含有する。添加物は望ましい特性を組成物に付与する。例示的な添加物に、酸化防止剤、安定剤、粘度調整剤、押出助剤、潤滑剤、可塑剤、着色剤及び顔料、並びに医薬品有効成分などがある。場合によっては、添加物は上述の機能のうち1つ以上に役立つ可能性がある。様々な実施形態において、添加物の合計は、ポリマーと添加物からなる組成物の総質量に対する質量百分率で、10質量%未満、又は9質量%未満、又は8質量%未満、又は7質量%未満、又は6質量%未満、又は5質量%未満、又は4質量%未満、又は3質量%未満、又は2質量%未満、又は1質量%未満である。
工程及び熱誘導酸化を最小限に抑えるのに使用し得る例示的な酸化防止剤に、例えばヒンダードフェノールなどの一次酸化防止剤、及びチオエーテルなどの二次酸化防止剤がある。好適な酸化防止剤は、組成物に使用される量において生体適合性である。医療用途では、生体適合性酸化防止剤は、例えばビタミンEが好ましい。
製造した部品に色を付与する例示的な着色剤は、任意で、組成物で使用する量において生体適合性である。医療用途では、生体適合性着色剤が好ましい。例示的な生体適合性着色剤には、D&C Violet#2、D&C Blue#6、D&C Green#6(フタロシアニナト(2~))銅の他、FDA 21 CFR Part 73及び74に記載されている着色剤がある。着色剤は、所望の外観を得るのに効果的な量で使用するものとする。例えば、約0.05質量%のD&C Violet#2を使用するとスミレ色の器具を製造できる。一実施形態では、着色剤は、組成物中に0.01~0.5質量%の濃度で存在するFDA承認着色剤であり、他の実施形態では、着色剤の濃度は0.1~0.5質量%、又は0.2~0.5質量%、又は0.3~0.5質量%、又は0.4~0.5質量%である。一実施形態では、着色剤の濃度は約0.5質量%を超えない。
【0069】
一般的に溶融形態の組成物の粘度を低下させる例示的な粘度調整剤に、油、低分子ポリマー及びオリゴマー、モノマー、並びに溶剤がある。粘度調整剤を使用すると、組成物を溶融させるためのエネルギー必要量が低下し、印刷工程中の流動及び層接着が改善する。一実施形態では、分子量が約1,000のPEGは、0.5質量%で連続相に含まれる。連続相の主成分がポリ(ラクチド)である場合、分子量が1,000のPEGを0.5質量%添加すると、粘度調整剤を含まない対応するモノフィラメントよりも15℃低い温度でFFF法で処理できる組成物が得られる。一実施形態では、本開示の組成物は、分子量が5,000未満のポリエチレングリコールである粘度調整剤を含有し、粘度調整剤は組成物中に組成物の1質量%未満の濃度で存在する。
油のような可塑剤、界面活性剤、有機溶剤、例えば水、モノマー、低分子ポリマー、及びオリゴマーなど様々な成分を、組成物の粘性流を高めるのに用いることができる。最後の3つについては、任意で、未反応の残留物としてポリマー中に残り、その存在が押出成形又はFFF印刷のような下流工程で役立ち得る。
任意で、添加物は微粒子の形態であり得る。例えば、一部の仕様では、微粒子は規則的で滑らかな壁面を有する微小球として同定される。これらの微小球は、例えば、乳化工程によって、又は微小球の作成に用いられる他の様々な技術によって作成され得る。別法として、微粒子は、不規則な形状の微粒子の集合体を含む可能性がある。不規則な形状の微粒子は、滑らかな表面、粗い表面、又はこれらの組み合わせを有する粒子を含むことができる。微粒子は、縁部がギザギザである粒子を含み得る。不規則な形状の微粒子は、微粒子のサイズを用途に適した直径にまで小さくするジェットミリング、クライオミリング、又はボールミリングなどのミリング技術によって作成し得る。
【0070】
組立品
本開示は、商業的に販売し得る物品であって、付加製造工程に有用に使用できる組成物が簡便に購入できるような物品を提供する。これらの物品は組立品と呼ぶこともある。
本明細書に記載するモノフィラメントは、スプールに巻かれていて、付加製造で使用し得る。モノフィラメントは長さ約300~400mで約1kgの質量となる。一実施形態では、本開示の組成物、即ちモノフィラメントは、密度が約1.4g/cm3であり、従って、長さ約250~350mのモノフィラメントが、スプールに設置するのに有益であり、且つ本開示の一実施形態に従って提供される。
一実施形態では、本開示のモノフィラメントは、例示的な組立品を提供するためにスプールに巻きつけられる。スプールは、モノフィラメントを支持する芯と、共に芯上にモノフィラメントを保持する機能を持つ2つのフランジとを含む種類であり得る。一態様では、スプールは少なくとも90℃の温度まで安定している。一態様では、本開示のスプールは付加製造工程で使用され、印刷工程中に高温に曝露される。付加製造工程中に寸法安定性を維持するために、本開示のスプールは、少なくとも90℃、又は少なくとも100℃、又は少なくとも110℃、又は少なくとも120℃、又は少なくとも130℃、又は少なくとも140℃、又は少なくとも150℃の温度まで安定し得る。スプールが熱的に十分に安定していない場合、温度が上がるとスプールが変形し、変形したスプールが印刷工程を妨げ、場合によっては印刷工程を完全に停止させてしまうことがある。また、スプールは、モノフィラメントを汚染する可能性のある可塑剤などの蒸気の放出に対して安定している必要があり、例えば、スプールは高温で有機蒸気を放出してはならない。従って、本開示のキット及び組立品において、スプールは少なくとも90℃の温度まで熱的に安定し得る。本開示のキット及び組立品用のスプールを作成するのに好適な材料に、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)コポリマー、ポリカーボネート、及びこれらの混合物がある。
本明細書に言及するように、本開示のモノフィラメントは約1kgとなる長さに切断されていてよく、本開示はこの量のモノフィラメントを含むスプールを提供する。他の実施形態では、スプールは、本明細書で検討する他の切断量のモノフィラメントのいずれかを含む。
【0071】
一実施形態では、本開示は、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品であって、モノフィラメント繊維が式M(B)3の三軸ポリマーを含み、Mが第1のモノマーの重合生成物であり、第1のモノマーが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択される少なくとも1つのモノマーを含み、且つBが第2のモノマーの重合生成物であり、第2のモノマーが、グリコリド、ラクチド、及びカプロラクトンから選択される少なくとも1つのモノマーを含む組立品を提供する。任意で、以下の基準のうち1つ又は複数を用いて、組立品を更に記述し得る:スプールが少なくとも90℃の温度まで安定している;三軸ポリマーがUSPクラスVI生体適合性である;三軸ポリマーのモノマー含有量が2質量%未満である;三軸ポリマーのMがM(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占める;Bがグリコリド、ラクチド、及びカプロラクトンの重合生成物を含む;三軸ポリマーのTgが25℃未満である;モノフィラメント繊維が未延伸である;モノフィラメント繊維の配向係数が50%未満である;モノフィラメント繊維が基本的に円形断面であり、断面の直径が1.7~2.9mmである;モノフィラメント繊維の質量が50~1,500gである;並びにモノフィラメント繊維が周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である。例えば本開示は、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品であって、モノフィラメント繊維が式M(B)3の三軸ポリマーを含み、Mが第1のモノマーの重合生成物であり、第1のモノマーが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択される少なくとも1つのモノマーを含み、且つBが第2のモノマーの重合生成物であり、第2のモノマーが、グリコリド、ラクチド、及びカプロラクトンから選択される少なくとも1つのモノマーを含み、スプールが少なくとも90℃の温度まで安定しており、三軸ポリマーがUSPクラスVI生体適合性であり、三軸ポリマーのモノマー含有量が2質量%未満であり、三軸ポリマーのMがM(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、Bがグリコリド、ラクチド、及びカプロラクトンの重合生成物を含み、モノフィラメント繊維が未延伸であり、モノフィラメント繊維の配向係数が50%未満であり、モノフィラメント繊維が基本的に円形断面であり、断面の直径が1.7~2.9mmである組立品を提供する。
【0072】
一実施形態では、本開示は、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品であって、モノフィラメント繊維がポリマーを含み、ポリマーが、式M(B)2の線状ポリマー及び式M(B)3の三軸ポリマーから選択され、任意で、Mが、25℃未満のTgを有するプレポリマーであり、Mがポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占める組立品を提供する。別の実施形態では、本開示はスプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む組立品であって、モノフィラメント繊維がポリマーを含み、ポリマーが、式M(B)2の線状ポリマー及び式M(B)3の三軸ポリマーから選択され、任意で、Bが、25℃未満のTgを有する末端グラフトポリマーであり、Bがポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占める組立品を提供する。任意で、以下の基準のうち1つ又は複数を用いて、これら2つの実施形態のいずれかを更に記述し得る:Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーである;Bがモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、モノマーが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンからなる群から選択される;Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される;Bにおける全残基の100モル%未満が、グリコリド及びラクチドから選択されるモノマーの重合から選択される。任意で、モノフィラメントは式M(B)2の線状ポリマーを含み、Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーであり、Bが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される。任意で、モノフィラメントは式M(B)3の多軸ポリマーを含み、Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーであり、Bが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される。これらの実施形態では、任意で、Mはトリメチレンカーボネートの重合生成物を含むホモポリマーである;又は任意で、Mはε-カプロラクトンの重合生成物を含むホモポリマーである;又は任意で、Mはトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの重合生成物を含むコポリマーである。これらの実施形態では、任意で、Bはグリコリド、ラクチド、及びカプロラクトンの重合生成物を含む。任意で、Mは反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の20モル%が低結晶性又は非結晶性であり、例えば、低結晶性又は非結晶性反復単位が、ε-カプロラクトン及びトリメチレンカーボネートから選択されるモノマーの重合生成物である。組立品では、モノフィラメントのポリマーがUSPクラスVI生体適合性ポリマーであり得る;及び/又はポリマーのモノマー含有量が2質量%未満(又は本明細書に開示する別の値)である;及び/又はモノフィラメント繊維が未延伸である;及び/又はモノフィラメント繊維の配向係数が50%未満である;及び/又はモノフィラメント繊維が、1.6~3.1mm±0.1mmの範囲内で一定の直径を有する;及び/又はスプール上のモノフィラメント繊維の質量が50~1,500gである。任意で、2つの実施形態では、モノフィラメントが周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である。任意で、2つの実施形態では、モノフィラメントの長柱座屈抵抗が少なくとも1Nである。
【0073】
キット
一実施形態では、本開示はポーチに入った組立品及び任意で使用説明書を含むキット提供する。組立品は、本明細書で検討するスプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含む。使用説明書は、存在する場合、付加製造工程における組立品の使用を開示し得る。任意で、ポーチはいくらかの乾燥剤も含み得る。
一実施形態では、本開示のモノフィラメントは包装され、非分解環境で保管される。これは、空気又は水分誘発分解を起こしやすい成分を含有するモノフィラメントにとって特に重要である。そのようなモノフィラメントには、生体吸収性モノフィラメント、即ち本開示のM(B)2及びM(B)3多軸ポリマーなどの生体吸収性材料から作られたモノフィラメントがあり、これらは特に水分誘発分解を起こしやすい。モノフィラメントが生体吸収性であるか否かに関わらず、不活性雰囲気中で保管すると有益である。従って、非分解環境は、水分量及び酸素含有量のいずれか又は両方が制御された状態であり得る。一実施形態では、保管条件は、水分量が制御された乾燥した環境を含み、様々な実施形態において、水分量は1,000ppm未満、又は800ppm未満、又は700ppm未満、又は600ppm未満、又は400ppm未満に制御されている。不活性環境は、周囲空気を窒素富化雰囲気と置き換えることによって実現し得る。他の選択肢として、不活性環境は、モノフィラメントを酸素不透過性包装材の中に入れた後に、減圧下で包装を密閉することによって実現し得る。また、この方法により、モノフィラメントが保管中に曝露される水分の量も減少する。任意で、シリカの袋などの乾燥剤をモノフィラメントと一緒に包装の中に入れてよい。
【0074】
本キットのポーチは、0.02g/100in2/24h以下の低水蒸気透過率(MVTR)を有すると特徴づけられ得る。水蒸気透過率(moisture vapor transmission rate(MVTR)又はwater vapor transmission rate(WVTR))は、物質中の水蒸気の通過性を示す指標であり、実質的に、水蒸気バリア材の透過性を示す指標である。MVTRはASTM F1249又はASTM E96に従って測定し得る。いくつかの実施形態では、本開示のキットのポーチのMVTRは、0.02g/100in2/24h以下、又は0.002g/100in2/24h以下、又は0.001g/100in2/24h以下、又は0.0006g/100in2/24h以下のいずれかである。この測定は約37.8℃(100°F)及び相対湿度90%で実施する。モノフィラメント繊維が、本開示のM(B)2及びM(B)3ポリマーなどの感湿ポリマーから形成されている場合、本開示のキットにおいて、MVTRが低いポーチの使用は有益である。一実施形態では、ポーチは多層ポーチである。一実施形態では、多層ポーチは、金属を含む層、例えば金属を融着させたポリマー(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))フィルム又はアルミホイルなどの金属箔を含む。
一実施形態では、キットは、少なくとも100℃の温度まで安定しているスプール、及び少なくとも以下の1つであるポーチを含む:水蒸気透過率(MVTR)が0.002g/100in2/24h未満に至るまでの耐湿性である;密閉されている;金属箔を含む。
一実施形態では、本開示は包装されたモノフィラメントを提供する。包装されたモノフィラメントはスプールに巻かれており、モノフィラメントを備えるスプールがホイルポーチに入れられている。ホイルポーチは、減圧下で、又は周囲雰囲気を不活性雰囲気(例えば、窒素又は乾燥空気)に置き換えた後に密封する。従って本開示は、スプールに巻かれたモノフィラメントを包含するホイルポーチなどの密閉した包装を提供し、ホイルポーチは、環境条件と比べて少ない量の水分及び/又は酸素を有する。任意で、ポーチは単一のスプールを包含する。任意で、約1kgの1本のモノフィラメントが単一のスプールに巻かれている。
【0075】
また、一実施形態では、本開示は組立品及びキットを作成する方法であって、以下を含む方法を提供する:本明細書に記載する組成物、例えば本明細書に記載するモノフィラメント組成物を提供するステップであって、組成物を溶融形態で得るステップ;溶融形態の組成物を押し出してモノフィラメントを形成するステップであって、形成されるモノフィラメントがモノフィラメントに対する顕著な配向を示さない、即ち未延伸モノフィラメントであるステップ;未延伸モノフィラメントをスプールに巻いて組立品を形成するステップ;並びに、モノフィラメントが巻かれたスプールを、例えばホイルポーチに包装してキットを提供するステップ。包装は、モノフィラメントが周囲雰囲気の水分又は酸化条件に曝露されないほどに非常に気密であり得る。包装は、例えばホイルポーチであり得、この場合、包装には、モノフィラメントをホイルポーチに入れることを伴う。モノフィラメントは、本明細書に記載する特性、例えば、組成、直径、長さ、色、配向係数、座屈強度などのうちいずれかを有し得る。例えば、モノフィラメントは、スプールに装着されている場合、400m未満の長さに切断されていてよい。別の例として、モノフィラメントは、PEG(ポリエチレングリコール、添加剤)などの水溶性成分と、PDOなどの生体吸収性ポリマー相とを含む組成物であって、部品形成後、添加物が水に溶解している間は本質的に水に不溶である組成物から形成し得る。
例えば、一態様では、本開示はポーチに入った組立品及び任意で使用説明書を含むキット提供する。組立品は、スプールに巻かれた、本明細書に記載するモノフィラメント繊維を含む。存在する場合、説明書は付加製造工程における組立品の使用を開示し得る。任意の実施形態では、キットは、以下のうち1つ又は複数によって説明し得る:スプールが少なくとも90℃の温度まで安定している(例えば、溶解若しくは変形しない、又はガスを発生しない、又は可塑剤などの有機化合物を浸出させない);ポーチの水蒸気透過率(MVTR)が0.002g/100in2/24h未満である;ポーチが密閉ポーチである;ポーチが金属箔を含む。
【0076】
一実施形態では、本開示はキットを提供し、スプールに巻かれたモノフィラメント繊維が式M(B)3の三軸ポリマーを含み、Mが第1のモノマーの重合生成物であり、第1のモノマーがトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つから選択され、且つBが第2のモノマーの重合生成物であり、第2のモノマーがグリコリド、ラクチド、及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つから選択される。任意で、以下の基準のうち1つ又は複数(例えば、任意の2つ、又は任意の3つ、又は任意の4つ、又は任意の5つなど)を用いてキットを記述し得る:三軸ポリマーがUSPクラスVI生体適合性である;三軸ポリマーのモノマー含有量が2質量%未満、又は1.5質量%未満、又は1質量%未満、又は0.5質量%未満である;三軸ポリマーのMがM(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占める;Bがグリコリド、ラクチド、及びカプロラクトンの重合生成物を含む;三軸ポリマーのTgが25℃未満である;モノフィラメント繊維が未延伸である;モノフィラメント繊維の配向係数が50%未満である;モノフィラメント繊維が基本的に円形断面であり、断面の直径が1.7~2.9mmである;モノフィラメント繊維の質量が50~1,500gである;モノフィラメント繊維が周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である。
【0077】
一実施形態では、本開示はキットを提供し、キットが、スプールに巻かれ(即ち組立品)、且つポーチに包含されたモノフィラメント、及び任意で、付加製造の方法における前記モノフィラメントの使用説明書を含む。キット内の組立品において、モノフィラメント繊維がポリマーを含み、ポリマーが、式M(B)2の線状ポリマー及び式M(B)3の三軸ポリマーから選択され、任意で、Mが、25℃未満のTgを有するプレポリマーであり、Mがポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占める。別の実施形態では、キット中の組立品はスプールに巻かれたモノフィラメント繊維を含み、モノフィラメント繊維がポリマーを含み、ポリマーが、式M(B)2の線状ポリマー及び式M(B)3の三軸ポリマーから選択され、任意で、Bが、25℃未満のTgを有する末端グラフトポリマーであり、Bがポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占める。任意で、以下の基準のうち1つ又は複数を用いて、これら2つのキットの実施形態を更に記述し得る:Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーである;Bがモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、モノマーが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンからなる群から選択される;Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される;Bにおける全残基の100モル%未満が、グリコリド及びラクチドから選択されるモノマーの重合から選択される。任意で、モノフィラメントは式M(B)2の線状ポリマーを含み、Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーであり、Bが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される。任意で、モノフィラメントは式M(B)3の線状ポリマーを含み、Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーであり、Bが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される。これらの実施形態では、任意で、Mが、トリメチレンカーボネートの重合生成物を含むホモポリマーである;又は任意で、Mが、ε-カプロラクトンの重合生成物を含むホモポリマーであり;又は任意で、Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの重合生成物を含むコポリマーである。これらの実施形態では、任意で、Bがグリコリド、ラクチド、及びカプロラクトンの重合生成物を含む。任意で、Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の20モル%が低結晶性又は非結晶性であり、例えば、低結晶性又は非結晶性反復単位が、ε-カプロラクトン及びトリメチレンカーボネートから選択されるモノマーの重合生成物である。組立品において、モノフィラメントのポリマーがUSPクラスVI生体適合性ポリマーであり得る;及び/又はポリマーのモノマー含有量が2質量%未満(又は本明細書に開示する別の値)である;及び/又はモノフィラメント繊維が未延伸である;及び/又はモノフィラメント繊維の配向係数が50%未満である;及び/又はモノフィラメント繊維が、1.7~2.9mm±0.1mmの範囲内で一定の直径を有する;及び/又はスプール上のモノフィラメント繊維の質量が50~1,500gである。任意で、この2つの実施形態において、モノフィラメントが周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である。任意で、この2つの実施形態において、モノフィラメントの長柱座屈抵抗が少なくとも1Nである。
【0078】
本開示は、本開示の以下の追加の例示的な実施形態を、番号付きで提供する。
1)ポリマーを含むモノフィラメントであって、ポリマーが式M(B)2の二軸ポリマー及び式M(B)3の三軸ポリマーから選択され、Mが、複数の反復単位を含み、任意で25℃未満のTgを有するプレポリマーであり、Mがポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占めるモノフィラメント。
2)ポリマーを含むモノフィラメントであって、ポリマーが式M(B)2の二軸ポリマー及び式M(B)3の三軸ポリマーから選択され、Bが複数の反復単位を含み、任意で25℃未満のTgを有する末端グラフトポリマーであり、Bがポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占めるモノフィラメント。
3)Mが、複数の反復単位を含むプレポリマーであり、反復単位が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの重合生成物を含む、実施形態1又は2に記載のモノフィラメント。
4)Mが複数の反復単位を含み、反復単位が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物を含み、反復単位が、δ-バレロラクトン及びε-デカラクトンのうち1つ又は両方の重合生成物を追加的に含む、実施形態3に記載のモノフィラメント。
5)Mが複数の反復単位を含み、反復単位が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びグリコリドのそれぞれの重合生成物を含む、実施形態3に記載のモノフィラメント。
6)Mが複数の反復単位を含み、反復単位が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びラクチドのそれぞれの重合生成物を含む、実施形態3に記載のモノフィラメント。
7)Bが、複数の反復単位を含む末端グラフトポリマーであり、反復単位がモノマーの重合生成物を含み、モノマーが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンからなる群から選択される、実施形態1~6のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
8)Bが、複数の反復単位を含む末端グラフトポリマーであり、反復単位が、トリメチレンカーボネート及びグリコリドのそれぞれの重合生成物を含む、実施形態7に記載のモノフィラメント。
9)Bが、複数の反復単位を含む末端グラフトポリマーであり、反復単位が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びラクチドのそれぞれの重合生成物を含む、実施形態7に記載のモノフィラメント。
10)Bが複数の反復単位を含み、且つBにおける全反復単位の少なくとも50モル%がグリコリド及び/又はラクチドの重合から選択される、実施形態1~9のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
11)Bが複数の反復単位を含み、且つBにおける全反復単位の少なくとも100モル%がグリコリド及び/又はラクチドの重合から選択される、実施形態1~10のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
12)式M(B)2の二軸ポリマーを含む、実施形態1~11のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントであって、Mが、複数の反復単位を含むプレポリマーであり、反復単位がトリメチレンカーボネート及び/又はε-カプロラクトンの重合生成物を含み、Bが末端グラフトポリマーであり、Bにおける全反復単位の少なくとも50モル%がグリコリド及び/又はラクチドの重合生成物から選択され、且つBにおける全反復単位の50モル%未満がトリメチレンカーボネート及び/又はε-カプロラクトンの重合生成物から選択されるモノフィラメント。
13)式M(B)3の三軸ポリマーを含む、実施形態1~11のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントであって、Mが、複数の反復単位を含むプレポリマーであり、反復単位が、トリメチレンカーボネート及び/又はε-カプロラクトンから選択されるモノマーの重合生成物を含み、Bが末端グラフトポリマーであり、Bにおける全反復単位の少なくとも50モル%が、グリコリド及びラクチドから選択されるモノマーの重合から選択され、且つBにおける全反復単位の50モル%未満が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの重合から選択されるモノフィラメント。
14)Mがトリメチレンカーボネートの重合によるホモポリマーである、実施形態1~13のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
15)Mがε-カプロラクトンの重合によるホモポリマーである、実施形態1~13のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
16)Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの重合生成物を含むコポリマーである、実施形態1~13のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
17)Bがグリコリド及びトリメチレンカーボネートの重合生成物を含み、任意で、ラクチド及び/又はε-カプロラクトンの重合生成物も含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
18)Bがラクチド及びトリメチレンカーボネートの重合生成物を含み、任意で、グリコリド及び/又はε-カプロラクトンの重合生成物も含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
19)ポリマーがUSPクラスVI生体適合性である、実施形態1~18のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
20)ポリマーのモノマー含有量が2質量%未満である、実施形態1~19のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
21)Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態1又は2に記載のモノフィラメント。
22)低結晶性又は非結晶性反復単位が、ε-カプロラクトン及びトリメチレンカーボネートから選択されるモノマーの重合生成物である、実施形態21に記載のモノフィラメント。
23)実施形態1~22のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントであって、
a.Mが複数の反復単位を含み、Mにおける反復単位の少なくとも70モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物であり、並びに
b.Bが複数の反復単位を含み、Bにおける反復単位の少なくとも70モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である
モノフィラメント。
24)Mがポリマーの質量の少なくとも10質量%を占める、実施形態1~23のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
25)Bがポリマーの質量の少なくとも40質量%を占める、実施形態1~24のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
26)Mにおける反復単位の1~20モル%が、グリコリド及びラクチドのうち少なくとも1つの重合生成物である、実施形態1~25のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
27)Bにおける反復単位の1~20モル%が、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのうち少なくとも1つの重合生成物である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
28)Mがトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの反復単位を含む、実施形態1~27のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
29)多軸ポリマーのTgが25℃未満である、実施形態1~28のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
30)未延伸である、実施形態21~29のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
31)50%未満の配向係数を有する、実施形態1~30のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
32)1.6~3.1mm±0.1mmの範囲内で一定の直径を有する、実施形態1~31のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
33)50~1,500gの質量を有する、実施形態1~33のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
34)周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である、実施形態1~34のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
35)長柱座屈抵抗が少なくとも1Nである、実施形態1~35のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
36)スプールに巻かれている、実施形態1~35のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントを含む組立品。
37)実施形態1~35のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントであって、スプールに巻かれ、且つポーチに、任意で、付加製造の方法における前記モノフィラメント又は組立品の使用説明書と共に包含されたモノフィラメントを含むキット。
38)付加製造の方法であって、
a.実施形態1~35のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント繊維を溶融させて繊維の溶融形態を得るステップ;
b.溶融形態を堆積させて最初の物品を得るステップ;並びに
c.最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
39)実施形態38の方法で作成した印刷物品。
40)付加製造の方法であって、
a.実施形態36の組立品を付加製造プリンターに設置してプリンターにモノフィラメント繊維を供給するステップ;
b.モノフィラメント繊維をプリンター内で溶融させて繊維の溶融形態を得るステップ;
c.溶融形態を堆積させて最初の物品を得るステップ;並びに
d.最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
41)実施形態40の方法で作成した印刷物品。
【0079】
付加製造
本明細書に記載するモノフィラメント、並びに本明細書に記載する組立品及びキットは、付加製造の方法で使用し得る。例えば一実施形態では、本開示は、付加製造の方法であって、本明細書に記載するモノフィラメントを溶融させて溶融モノフィラメントを得るステップ、溶融モノフィラメントの複数の層を1層ずつ積み重ねて、付加製造に従った所望の形状を得るステップ、更にその後に、所望の形状の溶融モノフィラメントを室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップを含む方法を提供する。方法は、本開示のキットを使用するとも記述し得、キットは、例えば本明細書に記載するモノフィラメントと、付加製造の方法における前記モノフィラメントの使用説明書とを含み得る。別法として、キットは、例えば本明細書に記載する組立品と、付加製造の方法における前記組立品の使用説明書とを含み得る。
一実施形態では、本開示は、付加製造の方法であって、本明細書に記載するモノフィラメント繊維を溶融させて繊維の溶融形態を得るステップ;溶融形態を堆積させて所望の形状を有する最初の物品を得るステップ;並びに、最初の物品を室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップを含む方法を提供する。
【0080】
付加製造の方法において、モノフィラメント繊維はポリマーを含み、ポリマーは式M(B)2の線状ポリマー及び式M(B)3の三軸ポリマーから選択される。任意で、Mが、25℃未満のTgを有するプレポリマーであり、Mがポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占める、及び/又は任意で、Bが、25℃未満のTgを有する末端グラフトポリマーであり、Bがポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占める。任意で、以下の基準のうち1つ又は複数を用いて、付加製造の方法を更に記述し得る:Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーである;Bがモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、モノマーが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンからなる群から選択される;Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される;Bにおける全残基の100モル%未満が、グリコリド及びラクチドから選択されるモノマーの重合から選択される。任意で、モノフィラメントは式M(B)2の線状ポリマーを含み、Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーであり、Bが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される。任意で、モノフィラメントは式M(B)3の多軸ポリマーを含み、Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンから選択されるモノマーの反応生成物を含むプレポリマーであり、Bが、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの反応生成物を含む末端グラフトポリマーであり、Bにおける全残基の少なくとも50モル%が、トリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される。これらの実施形態では、任意で、Mが、トリメチレンカーボネートの重合生成物を含むホモポリマーである;又は任意で、Mが、ε-カプロラクトンの重合生成物を含むホモポリマーである;又は任意で、Mが、トリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの重合生成物を含むコポリマーである。これらの実施形態では、任意で、Bがグリコリド、ラクチド、及びカプロラクトンの重合生成物を含む。任意で、Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の20モル%が低結晶性又は非結晶性であり、例えば、低結晶性又は非結晶性反復単位が、ε-カプロラクトン及びトリメチレンカーボネートから選択されるモノマーの重合生成物である。組立品において、モノフィラメントのポリマーがUSPクラスVI生体適合性ポリマーであり得る;及び/又はポリマーのモノマー含有量が2質量%未満(又は本明細書に開示する別の値)である;及び/又はモノフィラメント繊維が未延伸である;及び/又はモノフィラメント繊維の配向係数が50%未満である;及び/又はモノフィラメント繊維が、1.7~2.9mm±0.1mmの範囲内で一定の直径を有する;及び/又はスプール上のモノフィラメント繊維の質量が50~1,500gである。任意で、この2つの実施形態において、モノフィラメントが周囲温度では固体であるが高温では流体であり、流体のMFI値が約2.5~30g/10分であり、前記高温が付加製造工程の動作温度である。任意で、この2つの実施形態において、モノフィラメントの長柱座屈抵抗が少なくとも1Nである。
【0081】
一実施形態では、本開示のモノフィラメント繊維(本明細書では単にモノフィラメントとも呼ぶ)は、付加製造工程において有用であり得、印刷は、複数の層を1層ずつ積み重ねて作成することによって、即ち、溶融ポリマーの1つの層を置き、次いで、溶融ポリマーの別の層を、前に置いた層の一部又はすべての上に置くことによって実施する(前の層は次の層が置かれる前に完全に又は部分的に固化している)。各層は完成品のXY平面を形成するものとみなし得、複数の層が合わさって完成品のZ平面を形成する。本明細書の別の場所で言及するように、付加印刷においては、Z方向の物品の強度がXY方向の物品の強度よりも小さい場合、また往々にして著しく小さい場合がある。つまり、Z方向の複数の層は、XY方向の層ほどしっかり結びついていない。この問題は、XY平面が比較的大量のポリマーで形成されているために、XY方向に層を完全に印刷するのに長い時間がかかる場合に特に顕著になる。この場合、XY平面の最初に印刷した部分が、XY平面の最後に印刷した部分が完了するまでに完全に固化してしまっている可能性がある。そのため、次の層を置く(前に置いた層の上に堆積させる)時、溶融ポリマーは冷えて完全に固化したポリマーの上に置かれ、前に置いた層にうまく接着しない。本開示は、下層のXY平面の最初に形成した部分が作られてから、その下層のXY平面の最初に形成した部分の上に溶融ポリマーを置くまでに比較的長い時間(本明細書では休止時間と呼ぶ)がかかった場合でも、有利には、隣接する層が互いに強固に接着できるような(例えば、極限応力試験によって測定する)(M及びBにおける反復単位の選択に基づいて)熱的及び結晶化特性を有するモノフィラメント繊維を提供することによってこの問題に取り組む。一実施形態では、本開示に従った付加製造による印刷で、(モノフィラメントの)溶融ポリマーを、直前に置いた層の未結晶化表面に堆積させる。
【0082】
一実施形態では、本開示は、XY層間の極限応力が、少なくとも最大1分の休止時間にわたって、休止時間の長さに実質的に影響されない印刷物品を提供する。従って、印刷部品(本明細書では物品とも呼ぶ)が広いXY平面を有するために、隣接するXY平面を置く前に、XY平面の少なくとも一部分の完全又は著しい冷却が生じる場合でも、本開示のモノフィラメントは、付加製造工程に使用した場合、隣接するXY平面間の一貫した接着をもたらす。一実施形態では、Z方向における印刷部品の強度は、60秒の休止時間にわたって±10%以下であり、例えば、わずか数秒の休止時間と比べて10%より大きく変化(例えば低下)しない。例えば、PLA(ポリラクチド)若しくはポリグリコリドモノフィラメント、又はラクチド及びグリコリド(PLGA)のコポリマーと比べて、本明細書に記載する多軸ポリマーから作られた、本開示の一実施形態のモノフィラメントは、付加製造印刷工程中に利用できる作業時間が増加するため、作業時間の変化が、印刷部品の強度に最小限の影響しか及ぼさない。一実施形態では、少なくとも印刷部品の形成において休止時間が0秒であった場合、Z方向における印刷部品の極限応力は、XY方向の極限応力と基本的に同じ(10%以内)である。従って、大幅な休止時間がない場合でも、多軸ポリマーで作られた本開示のモノフィラメントは、Z方向において、XY平面における(極限応力で測定する)強度と基本的に同じ強度を有する印刷部品を形成する。
一実施形態では、本開示は、Z方向(高さ構築方向とも呼ぶ)の印刷部品の極限応力が、XY方向で測定した印刷部品の極限応力の20%以内、又は15%以内、又は10%以内、又は5%以内である印刷部品を提供する。付加製造印刷工程は本質的に各XY層の追加に時間のずれを伴い、一度に1つの層を用いて大きな品目又は複数の部品を印刷すると、層の追加時間が増加することから、これは大きな利点である。印刷部品の強度の一貫性を向上させ、機械的等方性を高めるために、層間の作業時間の余裕を増やすことが決定的に必要であり、これは本開示によって提供される。
【0083】
以下に、本開示の例示的な実施形態の一部を簡潔に示す。
1)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含み、且つBが、複数の反復単位を含む末端グラフトポリマーであるモノフィラメント。
2)Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態1に記載のモノフィラメント。
3)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含み、且つMが、複数の反復単位を含むプレポリマーであるモノフィラメント。
4)Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態3に記載のモノフィラメント。
5)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。
6)Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態5に記載のモノフィラメント。
7)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含むモノフィラメント。
8)Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性である、実施形態7に記載のモノフィラメント。
9)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。
10)Mが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態9に記載のモノフィラメント。
11)式M(B)2の線状ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。
12)Bが、M(B)2ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態11に記載のモノフィラメント。
13)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Bが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。
14)Mが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態13に記載のモノフィラメント。
15)式M(B)3の三軸ポリマーを含むモノフィラメントであって、Mが、反復単位を有するポリマーを含み、反復単位の少なくとも20モル%が低結晶性又は非結晶性であるモノフィラメント。
16)Bが、M(B)3ポリマーの総質量の少なくとも5質量%を占め、25℃未満のTgを有するポリマーを含む、実施形態15に記載のモノフィラメント。
17)Mが、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド)、及びポリ(トリメチレンカーボネート-co-ラクチド)からなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
18)Mが、ポリエーテル、例えばポリ(エチレンオキシド)、又はポリエステル、例えばポリエチレンサクシネート、又はポリプロピレンサクシネートを含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
19)低結晶性又は非結晶性反復単位の少なくとも20モル%が、CAP及びTMCから選択されるモノマーの重合残基である、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
20)前記少なくとも20モル%が100モル%未満である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
21)前記少なくとも20モル%が90モル%未満、即ち20~90モル%である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
22)前記少なくとも20モル%が80モル%未満、即ち20~80モル%である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
23)低結晶性又は非結晶性反復単位が、ラクチド、グリコリド、及びポリジオキサノンから選択されるモノマーの重合残基である、実施形態19に記載のモノフィラメント。
24)Bが、グリコリド、ラクチド、TMC、CAP、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される残基を含む、実施形態1~16のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
25)Bにおける残基の少なくとも50%が、TMC、CAP、及びジオキサノンから選択されるモノマーの重合から選択される、実施形態24に記載のモノフィラメント。
26)グリコリド及びラクチドの重合から選択される残基が、Bにおける残基の100%未満を占める、実施形態24に記載のモノフィラメント。
27)周囲温度では固体であるが、付加製造工程の動作温度である高温では約2.5~30g/10分のMFI値を有する流体である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
28)配向係数が50%未満で未延伸である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
29)直径が1~5mmの範囲内である、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
30)長柱座屈抵抗が少なくとも1Nである、実施形態1~26のうちいずれか1つに記載のモノフィラメント。
31)付加製造の方法であって、
a.実施形態1~30のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントを溶融させて溶融モノフィラメントを得るステップ、及び
b.溶融モノフィラメントを室温に冷却して3次元の固体物品を形成するステップ
を含む方法。
32)実施形態1~30のうちいずれか1つに記載のモノフィラメントと、付加製造の方法における前記モノフィラメントの使用説明書とを含むキット。
33)本明細書に記載する組立品、例えば、スプールに巻かれたモノフィラメントと、付加製造の方法における前記組立品の使用説明書とを含むキット。
以下に、限定ではなく説明を目的として実施例を提示する。
【実施例1】
【0084】
ラクチドコポリマーの作業時間改善
付加製造用モノフィラメントをポリマーX1、X2、及びX3から調製した。X1は参照ポリマーであり、100%ポリラクチド、即ちラクチドのホモポリマーであり、全反復単位がラクチドの重合生成物である。X2(Poly-Med(米国サウスカロライナ州アンダーソン)から入手可能)も参照ポリマーで、式M(B)3の三軸ポリマーであり、Mがトリメチレンカーボネートのホモポリマーであり、即ち、Mにおける全反復単位がトリメチレンカーボネートモノマーの重合によって形成され、且つBがラクチド及びトリメチレンカーボネート末端グラフトの混合物の重合生成物である。X3(Poly-Med、米国サウスカロライナ州アンダーソン)は本開示のモノフィラメントの作成に用いられるポリマーであって、式M(B)2の二軸ポリマーであり、Mが複数の反復単位であり、Mにおけるこれらの反復単位の約88モル%がトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンのそれぞれの重合生成物であり、且つこれらの反復単位の約12モル%がラクチドの重合生成物であり、即ちプレポリマーMはトリメチレンカーボネート(TMC)、ε-カプロラクトン(CAP)、及びラクチドモノマーの混合物の重合により作成され、TMCとCAPの合計が反応物の約88モル%である。X3におけるB末端グラフトも同様に複数の反復単位であり、この場合、Bにおける反復単位の約90モル%がラクチドの重合生成物、約10モル%がトリメチレンカーボネート及びε-カプロラクトンの混合物の重合生成物であり、即ち末端グラフトはトリメチレンカーボネート、ε-カプロラクトン、及びラクチドモノマーの混合物の重合により作成され、ラクチドが反応物の90モル%を占める。
【0085】
モノフィラメントを調製する際は毎回、基本ポリマーを低水分量まで、通常はモノフィラメント中の水分量が700ppm未満になるまで乾燥させた。次いで、特製の約19mm(3/4インチ)単軸押出機を用いて乾燥ポリマーを押し出し、直径1.75mmのモノフィラメントを得た。フィラメントは、クロロホルム中濃度0.1質量%での希釈溶液の固有粘度(IV)によって、また20℃/分の加熱率でのDSCによって分子量を分析し、T
m(溶融温度)とΔH
f(融解熱データ)を得た。特性評価の結果を表1に示す。N/Aはデータが利用できないことを意味する。
【表1】
表1に記載するモノフィラメントを用いて、寸法が5mm(X方向)×5mm(Y方向)×7cm(Z方向)の三次元オルソトープ(orthotope)(正四角柱、直方体、又は直角平行六面体、又は本明細書では便宜上、カラムとも呼ぶ;
図1参照)形状の物品を形成した。物品の形成には、0.4mmノズル付きのボーデンチューブ印刷ヘッドを搭載したF306プリンター(Fusion3、米国ノースカロライナ州ローリー)を用いてFDM印刷を実施した。印刷条件は、Z方向の中央で、即ち、カラムのZ方向の計7cmのうち3.5cmを印刷した後で、層休止時間(秒で測定)を追加することによって調節した。部品は、インフィル100%で、アウトラインなし、直線インフィルパターンで印刷した。層休止は0~600秒の間で調節した。印刷物品において、印刷の各層(即ち、各XY平面)は0.2mm厚で印刷した。
【0086】
図1は、印刷した部品、特に試験カラムの形状を示し、これを用いて層接着を評価した。カラム試料はアニールして部品の結晶化を完了させ、即ち試験カラムを完全に結晶化させ、空気圧式グリップと5kNロードセルを装備した万能機械試験機を用いた引張試験で、印刷部品の機械的特性を評価し、極限応力(MPaで測定)と極限伸び(破壊に至るまでの伸長率(%)で測定)を測定した。試験結果の概要を表2に記載し、
図2にグラフで示した。Y軸は、休止時間=0(即ち、休止時間なし)からの保持率としてプロットしている。
【表2】
各材料の融点はノズル温度よりも低かった。この溶融材料が最上部の印刷層に熱を伝え、部分的に最上部の印刷層を溶融させるが、溶融の程度は、固化した基材の熱動力学に依存する。
図2は表2の極限応力データをプロットしたものである。
図2から、X1を用いて印刷した部品は、休止時間が30秒の時、休止時間なしで印刷した部品と比べて、破壊強度が当初よりも50%超減少したことがわかる。同様にX2の極限応力は、休止時間が30秒の時、休止時間なしで印刷した部品と比べて66%減少した。これに対し、X3を用いて印刷した部品の極限応力は、休止時間が30秒又は60秒のいずれでも実質的に安定しており、休止時間600秒(10分)の後でも大幅に減少しなかった。つまり、印刷部品のZ方向の強度は、60秒の休止時間にわたって10%より大きな変化は認められず(例えば、休止時間30秒の後、極限応力は1.7%(28.8-29.3)/28.8×100=1.7%しか変化せず、つまり10%未満である)、また600秒の休止時間にわたって20%より大きな変化を示さなかった。印刷工程は本質的に各層の追加に時間のずれを伴い、一度に1つの層を用いて大きな品目又は複数の部品を印刷すると、層の追加時間が増加することから、これは大きな成果である。印刷部品の強度の一貫性を向上させ、機械的等方性を高めるために、層間の作業時間の余裕を増やすことが決定的に必要である。
【0087】
【表3】
層接着の向上によってポリマーの等方性が向上するように設計することができ、これは予測可能で均一な部品性能を得るために望ましい。理想的には、3次元印刷によって処理した材料は、印刷構築方向(「Z高さ」)において横方向(「XY平面」)と同じ強度特性を示し、これはZ高さ保持率が100%であることによって表される。保持率が低いほど、層接着力が弱く強度が著しく低下していることを示す。従って、X3から形成されたモノフィラメントは、少なくとも休止時間なしで印刷部品を形成した時、印刷部品のZ方向における極限応力(28.8MPa)が、XY方向における極限応力(27.1MPa)と基本的に同じ(10%以内)であるような印刷部品をもたらした。
表1に示した材料の結晶化挙動をDSCによって測定した。DSCの加熱/冷却方式では、最初に各試料を200℃で溶融させ、次いで試料を試験温度、つまり80℃又は100℃に冷却した。試験温度は、材料が、動作温度を模した拡張等温点を示す温度を選択した。試験温度で結晶化挙動を調べることにより、溶融から等温結晶化に至る時間を確認できる。この試験では、X3は、80℃で等温保持して冷却開始33分後にピーク結晶化事象を示し(
図3参照)、100℃で等温保持して冷却開始13.5分後にピーク結晶化事象を示した(
図4参照)。比較すると、X1は、わずか6.5分後に100℃の等温保持からピーク結晶化事象を示し(
図5参照)、X3と比べて作業時間が著しく短いことが証明された。
図3~5において、試料を最初に20℃/分の速度で20℃から200℃に加熱し、次いで試験温度まで冷却した。試料は長時間にわたって等温保持で処理し、
図3~5に示すように結晶化事象を分析した。
【実施例2】
【0088】
グリコリドベースコポリマーを用いた層接着試験
付加製造用モノフィラメントをX4(Poly-Med、米国サウスカロライナ州アンダーソン)から調製した。これは、Bで末端グラフト化した可撓性のトリメチレンカーボネート(TMC)/カプロラクトン(CAP)/グリコリド(GLY)(Mにおける反復単位のうち42モル%のTMC;45モル%のCAP;13モル%のGLY)ターポリマー中央ブロック(M)を含む三軸ブロックコポリマーM(B)
3であり、Bはグリコリド(GLY)とトリメチレンカーボネート(TMC)の混合物(各Bにおいて約89モル%のGLYと11モル%のTMC)の重合生成物(コポリマー)である。比較のために、付加製造用フィラメントをX5(参照ポリマー)から調製した。X5は95%のグリコリドと5%のl-ラクチドを含むランダム線状コポリマーであり、X6(参照ポリマー;Poly-Med、米国サウスカロライナ州アンダーソン)は86.5%のグリコリドと13.5%のトリメチレンカーボネートを含む三軸ブロックコポリマー(コア(M)はトリメチレンカーボネートから形成されるホモポリマーであり、ポリマーの質量の13.5%を占める)であるが、末端グラフト(B
3、全体でポリマーの質量の86.5%を占める)は、グリコリドのみから作られているため非常に急速に結晶化する。またX7(Poly-Med、米国サウスカロライナ州アンダーソン)は三軸ブロックコポリマーであり、全体として、末端グラフトにおいて、末端グラフトがポリマーの質量の98%を占め(末端グラフトはM(B)
3ポリマーの総質量に基づいて93%のグリコリドと5%のカプロラクトンを含む)、トリメチレンカーボネートのホモポリマーであるコアが、MB
3ポリマーの質量の2%を占める。モノフィラメントは実施例1に記載する手順に従って調製した。得られたモノフィラメントの特性を、表1と同じように表4に示す。
【表4】
【0089】
FDM印刷は、0.4mmノズル付きモジュラーダイレクトドライブ式印刷ヘッドを搭載したHYDRA640プリンター(Hyrel 3D、米国ジョージア州アトランタ)を用いて実施した。
図1に示す形状を有するカラムを印刷し、印刷条件は、部品の中間層で休止時間を追加することによって調節し、印刷層間の時間が機械的性能に及ぼす影響を試験した。部品は、インフィル100%で、アウトラインなし、直線インフィルパターンで印刷した。層休止は0~600秒の間で調節した。各材料の融点はノズル温度よりも低かった。この溶融材料が最上部の印刷層に熱を伝え、部分的に最上部の印刷層を溶融させるが、溶融の程度は、固化した基材の熱動力学に依存する。印刷部品において、各層を0.2mm厚で印刷した。
カラム試料は80℃でアニールして完全に結晶化させ、空気圧式グリップと5kNロードセルを装備した万能機械試験機を用いた引張試験で、印刷部品の機械的特性を評価した。試験結果の概要を表5及び
図6に記載する。
【表5】
表5のデータ及び
図6のグラフから、X5の部品の平均極限応力が60秒後に23%減少したのに対し、X4の強度は4%しか減少しなかったことが示され、作業時間が大幅に延長しても強度特性への影響は最小限であることがわかる。
【0090】
表4の材料について追加で機械的試験を実施した結果を表6に示す。実施した層接着試験はASTM D1876(T字剥離試験としても知られる)の手順と似ているが、標準よりも長さが短い試料を用いて荷重を分析し、引張強さと比較して2方向の荷重と比較した。表6に、60mmにわたる平均剥離荷重と、5つの試料を試験して結果を平均化した値を示す。
【表6】
図2及び6のグラフに示したデータから、X4又はX3のいずれかで形成したモノフィラメント繊維は、付加製造での使用にとって優れた性能特性を示したのに対し、X1又はX7のいずれかで形成したモノフィラメント繊維は、そのような良好な性能特性を示さなかったことがわかる。表6において、この差異は、一番右のカラムに百分率で示した、極限引張応力(MPa)に対する平均剥離応力(MPa)の割合にも反映されている。本開示に従って、モノフィラメントは、剥離応力換算の割合が少なくとも10%であるポリマーの形態であると付加製造工程において有利である。
【0091】
印刷工程中の結晶化動力学を理解するために、X4もDSCで評価した。この評価を行うために、X4のモノフィラメントを3D印刷してDSC試料を作成し、様々な時間にわたって室温で静置した後、DSC評価を行い、結晶化の熱(ΔH
c)、融解熱(ΔH
f)、並びに結晶化及び溶融事象のピーク(それぞれT
c及びT
m)についてDSCトレースを分析した。データを下の表7に示す。
【表7】
X7試料を20℃/分の速度で20℃から240℃に加熱した後、同じ速度で室温に冷却することによって、DSCで分析し、結晶化時間を測定して、X4の結晶化率データと比較した。この評価においてX7材料は、ピーク温度168℃、溶融物のピーク面積と実質的に同じピーク面積で、DSCサイクル内で溶融物から再結晶化させた。これは、X7の全体のポリマー結晶化が、試料冷却時に非常に急速に起こったことを意味しており、付加製造工程において優れた性能を示さないことを示唆している。
【実施例3】
【0092】
座屈試験
モノフィラメント繊維が、繊維の端部にかかる力に応じて、プリンターから自らを押し出す能力、すなわちモノフィラメントがその長さに沿って力を十分に伝達できるかの指標として、長柱座屈試験を実施した。長柱座屈試験では、軸方向の圧縮に対するフィラメントの応答を評価する。
フィラメント状材料で実施する座屈試験では、材料を垂直方向に設置し、座屈強度について試験するフィラメントの上下領域をクランプで固定した。モノフィラメントは、共有する単一の縦軸に沿って延びる2本のボーデンチューブを用いて適切な位置に保持した。この時、1本のボーデンチューブの端部ともう1本のボーデンチューブの端部の間に1cmの隙間が存在する。1本のモノフィラメントを2本のボーデンチューブの中に入れて侵入型モノフィラメントを作成し、2本のチューブの間にある1cm分の侵入型モノフィラメントが、支持されずに環境条件に曝露されるようにした。機械試験機を使用して2本のボーデンチューブを互いに近づけることで、試験中の荷重及び変位の情報を取得しながら、軸方向の圧縮が侵入型フィラメントに与える影響を観察した。4種類のポリマー、すなわち本明細書の別の場所に定義するX4、X3、X1、及びX7から作成したモノフィラメントで実施したこの試験の結果を表8に示す。
【表8】
表8のデータから、X4は、長柱座屈荷重が少なくとも1Nであることから、付加製造に用いるダイレクトドライブ式プリンターにおいてモノフィラメント形態で使用可能な特性を有していることがわかる。しかしながら、X4の長柱座屈荷重(N)は約5N未満であるため、ボーデンチューブを用いるプリンターではうまく動作しない。これに対し、X3、X1、及びX7は長柱座屈荷重の値が比較的高く(いずれも5N超)、これらが軸方向の圧縮に対して十分な抵抗を有し、ダイレクトドライブ式プリンターとボーデンチューブ式プリンターの両方で有用なモノフィラメント繊維を形成するのに使用し得ることを表している。従って一実施形態では、本開示のモノフィラメントは、長柱座屈試験を行った時に、少なくとも1Nの抵抗を示す。本開示のモノフィラメントは、少なくとも1Nの座屈強度を有すると特徴づけられ得る。別の実施形態では、本開示のモノフィラメントは、モノフィラメントの長さ1cmの縦軸に沿って力を加えた時に、少なくとも1Nの抵抗を示す。一実施形態では、幅又は直径が1.5~3.0mm、例えば1.75±0.05mmである本開示のモノフィラメントの長さ1cmは、この長柱座屈試験を行った時に、少なくとも1Nの抵抗を示す。別の実施形態では、幅又は直径が1.5~3.0mm、例えば1.75±0.05mmである本開示のモノフィラメントの長さ1cmは、モノフィラメントの長さ3cm以上の縦軸に沿って力を加えた時に、少なくとも1Nの抵抗を示し、この長さ1cmは拘束されておらず、拘束されていない1cmのモノフィラメントの両端に少なくとも1cmのモノフィラメントが存在し、拘束されていない1cmのモノフィラメントは、その縦軸に沿った圧縮に抵抗する。
【0093】
本開示を、本明細書において広範且つ一般的に説明してきた。一般的な開示に含まれる狭い種及び亜属群のそれぞれも、本開示の一部を形成している。これは、切り取られた題材が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、類概念から主題を除外する但し書き又は否定的な制限を伴う本開示の一般的な説明を含む。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに他を指示していない限り、複数形の参照物を含み、「X及び/又はY」という用語は、「X」若しくは「Y」、又は「X」と「Y」の両方を意味し、名詞に続く文字「s」は、その名詞の複数形と単数形の両方を示すことも理解されたい。更に、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、本発明はそれによりマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーの任意の下位群に関しても記載されることが意図されており、当業者はこれを認識するであろう。また出願人は、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーの任意の下位群に具体的に言及するために、本出願又はクレームを修正する権利を留保する。
特許文献及び非特許文献を含む、本明細書に開示されているすべての文献は、それぞれが個別に組み込まれているかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態の説明のみを目的としており、限定を意図していないことを理解されたい。更に、本明細書で特に定義していない限り、本明細書で使用する用語は、関連する技術分野で知られている従来の意味が与えられることを理解されたい。
本明細書を通じて、「一実施形態」又は「実施形態」及びこれらの変形の参照は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書の様々な場所で登場する表現「一実施形態で」又は「実施形態で」は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせ得る。
【0094】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容及び文脈上明らかに他を指示していない限り、複数形の参照物、即ち、1つ又は複数を含む。また、「及び」及び「又は」という接続語は、内容及び文脈上明らかに包含性又は排他性を指示していない限り、一般的に「及び/又は」を含む広い意味で使用されていることにも留意されたい。従って、代替語(例えば「又は」)の使用は、代替語のいずれか一方、両方、又はこれらの組み合わせを意味すると理解されたい。加えて、本明細書で「及び/又は」として記述される場合の「及び」と「又は」の構成は、関連する項目又は構想のすべてを含む実施形態と、関連する項目又は構想のすべてよりも少ない数を含む1つ又は複数の他の代替的な実施形態とを包含することを意図している。
文脈上他の解釈が必要でない限り、本明細書及びこれに続く特許請求の範囲において、「含む」という語、「有する」及び「包含する」などの同義語及びその変形、並びに「含んでいる」などのこれらの変形は、開放的、包括的な意味で、例えば「~を含むが、これに限定されない」と解釈されるものとする。「~から本質的になる」という用語は、クレームの範囲を、指定した材料若しくはステップ、又はクレームされた発明の基本的で新規の特徴に著しい影響を与えないものに限定する。
【0095】
本書に使用する見出しは、読者の検討を円滑にするために使用しているにすぎず、いかなる形においても本発明又はクレームを限定するものと解釈されるべきではない。従って、本明細書に記載する本開示の見出し及び要約書は、便宜上のものにすぎず、実施形態の範囲又は意味を解釈するものではない。
本明細書で値の範囲を提示する場合、その範囲の上限と下限の間において、文脈上明らかに他を指示していない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値、及びその規定範囲における任意の他の規定値又は介在値が、本発明に包含されると理解される。この規定範囲で何らかの限界が特に除外されていない限り、より小さい範囲に独立的に含まれ得るこれらの小さい範囲の上限及び下限も本発明に包含される。規定範囲が上限及び下限の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方又は両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
例えば、本明細書に提示する任意の濃度範囲、百分率範囲、比率範囲、又は整数範囲は、別段の指示がない限り、記載されている範囲内の任意の整数の値、及び必要に応じてこれらの端数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。また、ポリマーのサブユニット、サイズ、又は厚さなどの物理的特徴に関連して本明細書に記載する任意の数の範囲は、別段の指示がない限り、記載されている範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。本明細書で使用する用語「約」は、別段の指示がない限り、指示した範囲、値、又は構造の±20%を意味する。
【0096】
本明細書中で言及する、及び/又は出願データシートに記載されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許文献のすべては、その全体が参照により本明細書に援用される。このような文書は、例えば、現在記載されている発明に関連して使用される可能性のある、出版物に記載された材料及び方法を説明及び開示する目的で、参照により援用され得る。本明細書及び本文中に記述する出版物は、本願の出願日以前に開示されたもののみを提示している。本明細書のいかなる部分も、先行発明によって参照された任意の出版物に先行する権利を本発明者が有していないことを認めるものではない。
本明細書で参照又は言及するすべての特許、出版物、科学論文、ウェブサイトなどの文書及び資料は、本発明が関係する当業者の技能のレベルを示し、またそのような参照される各文書及び資料は、これにより、その全体が参照により個別に援用されているか、又はその全体が本明細書に記載されているのと同程度に、参照により援用される。出願人は、任意のそのような特許、出版物、科学記事、ウェブサイト、電子的に入手可能な情報などの参照資料又は文書からのすべての資料及び情報を本明細書に物理的に援用する権利を留保する。
【0097】
一般的に、以下の特許請求の範囲において使用する用語は、特許請求の範囲を、明細書及び特許請求の範囲に開示する特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲と併せて、すべての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。従って、特許請求の範囲は本開示によって限定されない。
更に、本特許の明細書部分にはすべてのクレームが含まれる。更に、すべての原クレーム並びに一切の優先権書類からのすべてのクレームを含むすべてのクレームは、これにより、その全体が参照により本明細書の説明部分に援用され、出願人は、説明部分又は本願の他の部分に、そのような一切のクレームを物理的に援用する権利を留保する。従って、例えば、いかなる状況においても、クレームの正確な文言が本特許の説明部分にこのとおりの言葉で記載されていないという主張に基づいて、本特許がクレームに対する説明を提供していないと解釈され得ない。
クレームは法律に基づいて解釈される。しかしながら、任意のクレーム又はこれらの一部の解釈の容易さ又は困難さが主張又は認識されたとしても、いかなる状況においても、本特許につながる出願の遂行中又は出願中に、クレーム又はその任意一部を調整又は修正することは、先行技術の一部を形成していないこれらの一切の等価物に対する権利を放棄したと解釈され得ない。
他の非限定的な実施形態は、以下の請求項の範囲内にある。本特許は、本明細書に具体的及び/又は明示的に開示された特定の例又は非限定的な実施形態若しくは方法に限定されると解釈され得ない。いかなる状況においても、本特許は、任意の審査官又は特許商標庁のその他の職員によってなされた記述によって制限されると解釈され得ない。ただし、そのような記述が具体的且つ無条件に、出願人によって応答書に明示的に採用されている場合はこの限りではない。
【国際調査報告】