(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】ロボット支援軟部組織評価のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220419BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20220419BHJP
【FI】
A61B5/00
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552835
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 US2020022386
(87)【国際公開番号】W WO2020186054
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507280594
【氏名又は名称】マコ サージカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モクテズマ デ ラ バレラ ホゼ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒョシグ
(72)【発明者】
【氏名】ハロウ マット
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA04
4C117XB09
4C117XD11
4C117XD31
4C117XE20
4C117XE26
4C117XE44
4C117XE45
4C117XE46
4C117XJ03
4C117XQ13
4C117XR07
4C117XR08
4C117XR09
(57)【要約】
関節の軟部組織特性をロボットで評価する方法は、ロボット装置によって、関節の制御された可動域操作中に関節に関する情報を測定することと、関節の制御された可動域操作中に測定された関節に関する情報を使用して、関節の運動制限を決定することであって、この運動制限は関節の変位制限又は力制限のうちの少なくとも1つである、決定することと、ロボット装置によって制御される関節ポジショナを使用して、関節に摂動を導入しながら関節の制御された可動域操作を再現することであって、再現された可動域操作は少なくとも部分的に運動制限に基づいて制御される、再現することとを含む。この方法は、摂動による可動域操作中にコンピュータ支援外科手術システムによって取得されるデータを使用して、関節の軟部組織エンベロープの制約を特徴付けることをさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節の軟部組織特性を評価する方法であって、
関節の制御された可動域操作中に前記関節に関する情報をロボット装置によって測定することと、
前記関節の前記制御された可動域操作中に測定される前記関節に関する前記情報を使用して、前記関節の運動制限を決定することであって、前記運動制限は前記関節の変位制限又は力制限のうちの少なくとも1つである、前記決定することと、
前記ロボット装置によって制御される関節ポジショナを使用して、前記関節に摂動を導入しながら前記関節の前記制御された可動域操作を再現することであって、前記再現された可動域操作は少なくとも部分的に前記運動制限に基づいて制御される、前記再現することと、
摂動による前記可動域操作中にコンピュータ支援外科手術システムによって取得されるデータを使用して、前記関節の軟部組織エンベロープの制約を特徴付けることと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記関節ポジショナは、
第一骨、及び前記第一骨に関連する解剖学的形態を含む、患者の解剖学的形態の第一部分を支持するように構成される第一装具と、
第二骨、及び前記第二骨に関連する解剖学的形態を支持するように構成される第二装具と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御された可動域操作は、前記ロボット装置によって制御される前記関節ポジショナによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
手動可動域操作中に関節運動を追跡することをさらに含み、前記制御された可動域操作は前記手動可動域操作のロボットによって制御された再現である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記関節の前記制御された可動域操作は、前記関節に挿入されるロボット支援靭帯バランサを用いて実施され、前記ロボット支援靭帯バランサは、前記ロボット装置によって制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記関節に関する前記情報を測定することは、
前記関節にかけられる電流トルク、及び前記関節によって与えられる電流抵抗を監視することと、
前記関節によって与えられる前記抵抗が所定のレベルに達するまで、前記関節にかけられる前記トルクを増加させることと、
を含み、
前記関節の前記運動制限を決定することは、そのレベルでかけられる前記トルクを、その方向内の前記関節の関節接合についてのゼロベースライン基準負荷として設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記関節に関する前記情報を測定することは、力-トルクセンサを使用して、前記制御された可動域を通して前記関節をガイドするために加えられる力及びトルクの量を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記摂動は、空間摂動、力摂動、又はトルク摂動のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記軟部組織エンベロープの前記制約は、力-変位関係又はばね-ダンパー関係で特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップは術中に実施され、前記方法は、前記関節についての負荷及び変位制限を術前に決定することと、前記負荷及び変位制限を前記コンピュータ支援外科手術システムに提供することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
可動域操作を実施し、ロボットによって制御された関節ポジショナ、及びコンピュータ支援外科手術システムを使用して関節の軟部組織エンベロープの制約を特徴付けることと、
前記軟部組織エンベロープの前記制約に基づいて手術計画を決定することと、
を含む、手術計画方法。
【請求項12】
前記手術計画を決定することは、前記関節に埋め込まれる補綴コンポーネントの配置を決定すること、前記関節の2つの骨の間の好ましい距離を決定すること、又は前記関節の2つの骨の間の好ましいアライメントを規定することのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記手術計画を決定することは、
前記可動域操作中に前記関節を表す力-変位曲線を生成することと、
前記力-変位曲線上の少なくとも1つの遷移点を特定することであって、前記少なくとも1つの遷移点は前記膝関節のたるみから高いこわばりへの遷移を表す、前記特定することと、
前記少なくとも1つの遷移点に基づいて前記関節に埋め込まれる補綴コンポーネントの配置を決定することにより、前記手術計画を決定することと、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1回の軟部組織リリースを実施し、前記関節の前記力-変位曲線上の前記少なくとも1つの遷移点の前記位置を修正し、前記関節の好ましいバランスを達成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記関節内で少なくとも1回の軟部組織リリースを実施することをさらに含み、前記少なくとも1回の軟部組織リリースを実施することが、
ロボット装置を使用して、前記関節に加えられる負荷を制御することと、
前記負荷が制御されており、少なくとも1回の軟部組織リリースが実施されている間に、前記関節の第一骨と第二骨との間の相対変位を決定することと、
所望の変位が前記軟部組織リリースによって達成されると、前記手術計画を最終決定することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記関節内で少なくとも1回の軟部組織リリースを実施することをさらに含み、前記少なくとも1回の軟部組織リリースを実施することが、
ロボット装置を使用して、前記関節の第一骨及び第二骨の位置を制御することと、
前記位置が制御されており、少なくとも1回の軟部組織リリースが実施されている間に、前記関節が受ける負荷を決定することと、
所望の負荷が前記軟部組織リリースによって達成されると、前記手術計画を最終決定することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ロボット装置及び関節ポジショナを含むロボット支援靭帯評価システムであって、
前記関節ポジショナが、
第一骨、及び前記第一骨に関連する解剖学的形態を含む、患者の解剖学的形態の第一部分を支持するように構成される第一装具、及び
第二骨、及び前記第二骨に関連する解剖学的形態を支持するように構成される第二装具、
を含み、
前記関節ポジショナが前記ロボット装置によって制御される、前記ロボット支援靭帯評価システムと、
前記ロボット支援靭帯評価システムに関連するコンピュータ支援外科手術システムであって、
可動域操作が前記ロボットによって制御された関節ポジショナを使用して実施されている間に、前記関節の軟部組織エンベロープの制約を特徴付け、
前記軟部組織エンベロープの前記制約に基づいて手術計画を決定する、
ように構成される、前記コンピュータ支援外科手術システムと、
を含む、外科手術システム。
【請求項18】
前記関節ポジショナが運動制限に少なくとも部分的に基づいて前記可動域操作中に前記ロボット装置によって制御されるように、前記コンピュータ支援外科手術システムは、前記関節の前記運動制限を前記ロボット支援靭帯評価システムに提供するようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ロボット支援靭帯評価システムは、前記関節が固定位置に保持される第一モードと、前記関節ポジショナが前記関節を能動的に位置決めする第二モードと、ユーザが前記関節を手動で操作することを可能にするように前記関節ポジショナが受動的である第三モードと、のうちの少なくとも1つの中で動作するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記コンピュータ支援外科手術システムは、前記関節ポジショナの前記第一装具及び前記第二装具の少なくとも前記位置を追跡するために追跡システムを含む、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月12日に出願された米国仮特許出願第62/817,355号の利益、及びそれに対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、外科手術用ロボット装置の分野に関し、より詳細には、膝関節の部分置換手技、又は全置換手技における膝靭帯張力の評価を支援するように構成される外科手術用ロボット装置の分野に関する。
【0003】
関節の部分置換術又は全置換術を受ける一部の患者は、後に関節置換術に関連する合併症を起こす。これらの合併症は、患者に不快感を引き起こすことがあり、関節の可動域又はバランスに制限を生じることがあり、さらには再置換術を必要とする場合もある。軟部組織のバランス調整は、関節の部分置換術又は全置換術の結果がバランス調整された関節になることを確実にすることに役立ち、置換関節のパフォーマンスを向上させ、患者の不快感を軽減させ、その後の合併症の尤度を低下させる。例えば、膝関節の部分置換術又は全置換術に関して、靭帯のバランス調整(例えば、膝の靭帯を切開する、又は締め付けることによってなされる)の結果、膝のバランス調整になることができる。加えて、関節置換補綴物(複数可)の術前計画は、手術の結果がバランス調整された関節になることを保証するのに役立つことができる。
【0004】
従来、外科医は、バランス調整された関節を達成するために、関節の部分置換術又は全置換術を受ける関節の軟部組織を手動で評価してきた。例えば、外科医は、トライアルインプラントを膝関節に埋め込み、膝関節の屈曲及び伸展を手動でテストして、どの靭帯を切断し、どの程度まで関節の締め付けを緩和させるかを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】例示的な一実施形態による、ロボット支援靭帯評価器を含むコンピュータ支援外科手術システムである。
【
図2】例示的な一実施形態による、
図1のロボット支援靭帯評価器の側面図である。
【
図3】例示的な一実施形態による、
図1のロボット支援靭帯評価器の上面図である。
【
図4】例示的な一実施形態による、
図1のロボット支援靭帯評価器によって実施される靭帯評価の上面図である。
【
図5】例示的な一実施形態による、関節についての負荷及び変位制限を決定する術前プロセスのフローチャートである。
【
図6】例示的な一実施形態による、関節についての負荷及び変位制限を決定する別の術前プロセスのフローチャートである。
【
図7】例示的な一実施形態による、関節についての負荷及び変位制限を決定する別の術前プロセスのフローチャートである。
【
図8】例示的な一実施形態による、関節の軟部組織特性を決定する術中プロセスのフローチャートである。
【
図9】例示的な一実施形態による、関節の軟部組織特性を決定する別の術中プロセスのフローチャートである。
【
図10】例示的な一実施形態による、関節の軟部組織特性を決定する別の術中プロセスのフローチャートである。
【
図11】例示的な一実施形態による、軟部組織エンベロープ特性を使用して手術方針を最適化する術中手術計画プロセスのフローチャートである。
【
図12】関節についてのこわばり遷移点を決定するために使用される関節の力-変位曲線を描写する。
【
図13】例示的な一実施形態による、軟部組織エンベロープ特性を使用して手術方針を最適化する別の術中手術計画プロセスのフローチャートである。
【
図14】例示的な一実施形態による、
図13のプロセスの任意選択のサブプロセスのフローチャートである。
【
図15】例示的な一実施形態による、軟部組織エンベロープ特性を使用して手術方針を最適化する別の術中手術計画プロセスのフローチャートである。
【
図16】例示的な一実施形態による、軟部組織エンベロープ特性を使用して手術方針を最適化する別の術中手術計画プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的な実施形態を詳細に説明する図面を参照する前に、本出願が説明に記載された、又は図面に示されたこれらの詳細、又は方法論に限定されないことを理解されたい。また、術語が説明のみの目的のためのものであり、限定的なものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【0007】
本明細書に記載のコンピュータ支援外科手術システム及びロボット支援靭帯評価システムは、関節を位置決めし、評価するために任意のコンテキストで使用されることができる。例えば、外科医は、膝関節の全置換術又は部分置換術中にロボット支援靭帯評価システムを使用して、術中に膝靭帯への調整を評価し、これを行うことができる。ただし、本開示の実施形態は、膝の評価又は靭帯の評価に限定されない。したがって、本明細書に記載のロボット支援靭帯評価システムを使用して、股関節、足関節、肘関節、肩関節、又は手首関節を含むがこれらに限定されない、さまざまな他の関節の軟部組織を位置決めし、評価することもできる。
【0008】
さらに、本明細書に記載のコンピュータ支援外科手術システム及びロボット支援靭帯評価システムは、患者の治療中の任意の段階で使用されることができる。例えば、外科医は、外科手技を実施する前に、ロボット支援靭帯評価システムを使用することができる。別の例として、外科医は、外科手技中にロボット支援靭帯評価システムを使用することができる。第三例として、外科医は、関節の状態を評価し、手術の成功を推測するために、術前又は術後の検査中にシステムを使用することができる。第四例では、関節を撮像しながら、システムを使用することができる。
【0009】
ここでは、本開示によるロボット支援靭帯評価システム及び方法のさまざまな特徴をより詳細に説明する。
【0010】
例示的なロボット支援靭帯評価システム
図1~4を参照して、例示的な一実施形態によるロボット支援靭帯評価システム200は、ロボット装置202、ならびに近位装具及び遠位装具を備える関節ポジショナを含む。この例示的な実施形態では、ロボット支援靭帯評価システム200は、患者の大腿骨104及び脛骨106によって形成される膝関節108上で使用されるように構成される。したがって、
図1では、近位装具は大腿装具208として示され、遠位装具は足部装具210として示される。大腿装具208及び足部装具210は、患者の一部分を把持する、保持する、支持する、又はその他の方法で関連付けるための任意の適切な構造体であることができる。
図1~4に示される実施形態では、装具208及び210はカフである。患者の脚上部(すなわち、大腿骨104を含み、それを囲む解剖学的形態)は大腿装具208内にあり、患者の脚下部(すなわち、脛骨106を含み、それを囲む解剖学的形態)は足部装具210内にある。装具208及び210は、患者を装具208及び210に固定するための1つ以上のストラップ、バックル、カバーなどをさらに含むことができる。
【0011】
さまざまな実施形態では、ロボット装置202は、力-トルク感知機能を有し、基部206に結合されるロボットアーム204を含む。ロボットアーム204は、エンコーダなどのアクチュエータによって駆動される。さらに、ロボットアーム204は、ロボットアーム204を足部装具210に結合する(例えば、
図2に示されるロボットアームインタフェース230によって)ように構成されるインタフェースツール212を含む。大腿装具208は、クランプ228として示される固定機構に結合される。クランプ228は、表面に取り外し可能に結合するように構成される。
図1~4では、クランプ228は、手術台102に結合されて示される。このようにして、クランプ228は、大腿装具208を適所に添着し、医療手技中に大腿装具208を静止させる。したがって、近位大腿骨は本明細書に記載の靭帯評価プロセス中に静止骨であり、遠位脛骨は可動骨である。他の実施形態では、大腿骨は静止しておらず、股関節を中心に回旋することができる。それらのような実施形態では、大腿装具208もまた、ロボットで制御され、必要に応じて、静止モード、自由運動モード、又はロボットによる位置決めモードで機能することができる。
【0012】
上記のように、ロボットアーム204は、1つ以上のエンコーダを含むことができる。ロボットアーム204のエンコーダは、任意の市販のエンコーダであることができ、回転アクチュエータ又はリニアアクチュエータであることができる。これらのエンコーダは、ロボットアーム204の力制御及び高精度位置制御を可能にするように構成される。複数のエンコーダをリンクして、複数の自由度内で位置制御を提供することができる。例えば、ロボットアーム204は、2の自由度(DOF)について2つの関節、又は6のDOFについて6つの関節を含むことができる。各関節を対応するエンコーダが制御することができ、所望の数の関節(及びこれらの関節を制御するために対応するエンコーダ)をリンクして、DOFを有するロボットアームを形成することができる。ロボットアーム204のコンパクトな設計を得るように、回転エンコーダ又はリニアエンコーダを選択することができる。
【0013】
具体的には
図1を参照して、ロボット支援靭帯評価システム200は、コンピュータ支援外科手術(CAS)システム100に接続して使用されることができる。CASシステム100は、他のコンポーネントの中でも、ロボット装置202を含むロボット支援靭帯評価システム200、コンピュータシステム(図では、処理回路/コンピュータ302、入力デバイス304、及びディスプレイ306を含むコンピュータシステム300として表される)、及び二次追跡システム400を含むことができる。ロボット装置202は、外科手技中に外科医によって使用されるインタラクティブデバイスであり、例えば、ロボット装置は、全体が本明細書に参照により援用されている「Haptic Guidance System and Method」と題された米国特許第8,010,180号に記載されるものなどである。
【0014】
ロボット支援靭帯評価システム200は、患者の関節を位置決めするように制御されることができる(例えば、コンピュータシステム300によって、又はユーザによる手動によって)。例えば、患者の膝は、屈曲位から完全伸展位に動かされ得る。コンピュータシステム300は、膝関節108に関するデータを収集するために、足部装具210(したがって、装具210によって保持されている患者の部分も)に結合されているロボット支援靭帯評価システム200が所望の位置まで移動する、及び/又は所望の位置を維持するように制御することができる。コンピュータシステム300は、外科手技前、外科手技中、又は外科手技後、ロボット支援靭帯評価システム200が膝関節の軟部組織のバランスを評価するように制御することができる。さらに、外科手技中、コンピュータシステム300は、ロボット支援靭帯評価システム200が手術計画の異なる段階に対応する位置まで足部装具210を動かすように制御することができる。例えば、膝関節置換術のある特定の段階が大腿骨104及び脛骨106を互いに引き離す必要がある場合、コンピュータシステム300は、この位置決めを達成するために電動ロボット支援靭帯評価システム200を制御するようにプログラムされることができる。
【0015】
これらのエンコーダの力制御機能により、ロボット支援靭帯評価システム200は、システム200によって保持されている患者の四肢又は他の身体部位の重量を完全に補償することができる。一実施形態では、ロボット支援靭帯評価システム200は、大腿装具208及び足部装具210に力を加えて、ロボット支援靭帯評価システム200によって保持される患者の解剖学的形態の一部分(例えば、患者の脚)の重量に反作用する。この重力補償機能は、ユーザが評価システム200を手動で再位置決めしている(例えば、解剖学的形態の一部分がその中に保持された状態で装具210を動かしている)ときに、この部分に重力を感じさせない。その結果、ユーザは、患者の解剖学的形態の一部分の重量を持ち上げる、又は動かす追加の試みを用いる必要なしに、評価システム200を手動で再位置決めすることができる。エンコーダのバックドライバビリティは、ユーザが評価システム200を手動で調整する(すなわち、大腿装具208及び足部装具210の位置を手動で調整する)ことができるという容易さにさらに寄与する。
【0016】
一実施形態では、ロボット支援靱帯評価システム200は、3つのモードで動作することができる。第一モードでは、評価システム200は、関節を固定位置に保持するように動作する。この第一モードは、例えば、外科医がロボット装置202を使用して患者の関節をスカルプトしている、又はその他の方法で修正している間、有用であり得る。例えば、一実施形態では、CASシステム100は、第二外科手術装置(図示せず)が切断モードにある間、評価システム200を固定位置に保持するようにプログラムされ、関節上で動作するように構成されることができる。第二モード及び第三モードでは、評価システム200は、関節を再位置決めするように動作する。これらのモードは、手術計画中に、外科手技のあるステップから別のステップに移るときに、又は軟部組織のバランス調整(靭帯評価など)手技を実施するときに、有用であることができる。第二モード(例えば、「能動」モード)では、評価システム200は関節を再位置決めすることができる。第三モード(例えば、「受動」モード)では、評価システム200はユーザが関節を再位置決めすることを可能にし、ユーザが関節を再位置決めするのを支援してもよい。例えば、ロボットアーム204内のエンコーダは、ユーザが大腿装具208及び足部装具210の位置を手動で操作することを可能にする、バックドライバブルシステムを提供する。CASシステム100は、患者の脚の重量を補償するために必要な力の量を決定し、ユーザが評価システム200及び膝関節108の位置を操作するにつれて、力の増分変化を感知することができる。
【0017】
上記のように、ロボットアーム204はインタフェースツール212(例えば、足部装具210のロボットアームインタフェース230に結合する)を介して足部装具210に結合する。さまざまな実施形態では、インタフェースツール212は、ロボットアーム204と連動するように適合される、多くの互換的な手術器具のうちの1つであり得る。他のツールの例は、バリ、ドリル、プローブ、のこぎり、顕微鏡、レーザー距離計、カメラ、ライト、内視鏡、超音波プローブ、洗浄装置、吸引装置、及び放射線治療装置を含んでもよい。インタフェースツール212をロボットアーム204と取り外し可能に係合することを可能にする、ねじ、ピン、もしくはクランプなどの従来のハードウェア、しゃち接合、戻り止め、ねじ付きコネクタ、締まりばめ、又はいずれかの他の方法を用いて、インタフェースツール212をロボットアームに固定することができる。
【0018】
CASシステム100の処理回路を利用して、ロボット支援靭帯評価システム200のコンピュータ制御のような、本明細書に記載のさまざまな機能(例えば、計算、制御メカニズム、プロセス)を実施する。処理回路は、プロセッサ及びメモリ(例えば、コンピュータ302に備えられる)を含む。プロセッサは、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理コンポーネントのグループ、又は他の適切な電子処理コンポーネントとして実装され得る。メモリ(例えば、メモリ、メモリユニット、ストレージデバイスなど)は、本出願に記載のさまざまなプロセス及び機能を完了する、又は容易にするために、データ及び/又はコンピュータコードを格納する1つ以上のデバイス(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクストレージなど)である。メモリは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってもよい、又はそれらを含んでもよい。さらに、メモリは非一時的なメモリであってもよい。メモリは、本出願に記載のさまざまなアクティビティ及び情報構造体をサポートするために、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、又はいずれかの他のタイプの情報構造体を含んでもよい。例示的な一実施形態によれば、メモリデバイスは、プロセッサに通信可能に接続され、本明細書に記載の1つ以上のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含む。
【0019】
ロボット支援靭帯評価システム200は、通信インタフェースを介してコンピューティングシステム300と通信することができる。通信インタフェースは、直接接続又はネットワーク接続(例えば、インターネット接続、LAN、WAN、又はWLAN接続)を介して外部ソースとデータ通信するために、有線もしくは無線インタフェースであり得る、又はそれらを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、通信インタフェースは、イーサネットネットワークを介してデータを送受信するために、イーサネットカード及びポートを含む。他の実施形態では、通信インタフェースは、無線ネットワークを介した通信のためにWiFiトランシーバを含む。さらに、ユーザは、入力デバイス304及び/又はディスプレイ306を使用して、ロボット支援靭帯評価システム200と通信することができる。例えば、ディスプレイ306は、ユーザが入力デバイス304を使用して選択する評価システム200のためのコマンドを表示することができる。さらに、ディスプレイは、例えば、評価システム200によって収集されたデータ又は他の情報を表示することなどによって、評価システム200がユーザと通信することを可能にしてもよい。
【0020】
一実施形態では、ロボット支援靱帯評価システム200は、評価システム200に対して患者の解剖学的形態(例えば、評価システム200によって保持される部分)の一部分を追跡するローカル追跡システムを含む。追跡システムは、磁気、撮像(X線、CT、MRI、超音波)、ビデオ、光ファイバ、光学又は機械など、いずれかの一般に知られている追跡方法であり得る。
図2では、追跡システムは、大腿部検出装置214及び足部検出装置216を含む光学追跡システムである。検出装置214及び216は、それぞれ大腿装具208及び足部装具210に固定される。加えて、
図2では、追跡システムは、大腿部追跡可能マーカー218及び足部追跡可能マーカー220をさらに含み、これらのマーカーは、評価システム200によって保持される患者の解剖学的形態の一部分(すなわち、患者の大腿骨104及び脛骨106)に固定され、大腿部検出装置214及び足部検出装置216によって検出可能である。一実施形態では、検出装置214及び216は、追跡可能なマーカー218及び220上でパターン(例えば、チェッカーボードパターン)を検出するMicronTracker(Claron Technology Inc.,Toronto,Canada)などの可視光ベースの検出器を含む。知られているように、追跡可能なマーカー218及び220は、能動的(例えば、発光ダイオード、又はLED)又は受動的(例えば、反射球、チェッカーボードパターンなど)であることができ、特有の幾何学的形状(例えば、マーカーの特有の幾何学的配置)、又は能動的な有線マーカーの場合には特有の発火パターンを有することができる。
【0021】
追跡可能なマーカー218及び220は、追跡されたオブジェクト(例えば、それぞれ、患者の骨の大腿骨104及び脛骨106)に安全かつ安定した方法で添着される。
図1~4の実施形態では、追跡可能なマーカー218及び220は、それぞれ、大腿骨ボーンピン222及び脛骨ボーンピン224を用いて、患者の骨(すなわち、それぞれ、患者の大腿骨104及び脛骨106)に固定される。追加のトラッカーは、例えば、大腿装具208、クランプ228、及び/又は足部装具210に取り付けられることができる。動作中、検出装置214及び216は、追跡可能なマーカー218及び220の位置を検出する。次に、検出装置(複数可)214及び216に対して追跡されたオブジェクト(例えば、患者の大腿骨104及び脛骨106)の姿勢は、追跡可能な要素の位置、特有の幾何学的形状、及び追跡されたオブジェクトとの既知の幾何学的関係に基づいて計算され得る。このように、追跡されたオブジェクトの姿勢は、ロボット支援靭帯評価システム200に対して計算され得る。
【0022】
別の実施形態では、遠位装具(例えば、足部装具210)は、Leap Motion,Inc.(San Francisco,CA)によって開発された三次元(3D)追跡センサのような3D追跡センサ236を含む。三次元追跡センサ236は、2015年11月24日に発行された「Registration and Navigation Using a Three-Dimensional Tracking Sensor」と題された特許第9,192,445号に記載されており、その全体が本明細書に参照により援用されているように、追跡可能なマーカー218及び220の姿勢を追跡することができる。
【0023】
図2に示されるような、ローカル追跡システムを含むことで、患者の解剖学的形態の一部分を追跡する、非ローカル(すなわち、グローバル)追跡システムの使用に勝る利点が提供されることができる。いくつかのタイプのグローバル追跡システムは、手術室に対して固定された検出装置を利用する。手術室は、患者の骨及び手術器具など、さまざまな追跡オブジェクトを含む場合がある。グローバル追跡システムが光学追跡システムである場合、追跡可能な要素及び検出装置からの照準線が必要となる場合がある。オブジェクト又は人が追跡可能な要素から検出装置への経路を遮断する場合、追跡プロセスでは干渉が発生する可能性がある。
図2に示されるようなローカル追跡システムを使用して、検出装置214及び216を追跡可能な要素218及び220のすぐ近くに配置することにより、照準線の問題が最小になる。このように、ローカル追跡システムは、患者の骨の位置を連続して追跡することができ、これらの患者の骨は、ボーンピン222及び224を介して追跡可能な要素218及び220に結合されてもよい。
【0024】
図1に示されている一実施形態では、CASシステム100は、ローカル追跡システム及び二次的なグローバル追跡システム400の両方を含む。二次追跡システム400は、CASシステム100内の追加のオブジェクトを追跡するために使用されることができ、二次検出装置402及び追加の追跡可能なマーカーを含んでもよい。追加の追跡可能なマーカーは、ロボットアーム204上に配置されるロボットアーム追跡可能マーカー232と、ロボット装置202の基部206上に配置されるロボット装置追跡可能マーカー234とを含んでもよい。
【0025】
ローカル追跡システムは、CASシステム100内のすべての追跡されたオブジェクトの位置が単一の座標基準枠(すなわち、「グローバル基準系」又は「グローバル座標系」)に対して計算されることができるように、グローバル追跡システム400と通信していてもよい。一実施形態では、追加の追跡可能なマーカーは、ロボット支援靭帯評価システム200の静止部分(例えば、クランプ228、大腿装具208)上に配置される。この追加の追跡可能なマーカーは、二次追跡システム400によって追跡される。次に、CASシステム100は、追加の追跡可能なマーカーの姿勢を使用して、ローカル追跡システム及び二次追跡システム400の座標系を相関させることができる。別の実施形態では、機械追跡システムは、評価システム200(例えば、検出装置216及び218、又は評価システム200の別の部分)に結合される。機械追跡システムを使用して、評価システム200を追跡する。次に、CASシステム100は、機械追跡システムからの情報を使用して、ローカル追跡システム及び二次追跡システム400の座標系を相関させることができる。
【0026】
代替に、又は追加で、二次追跡システム400及びローカル追跡システムは独立して動作してもよい。一実施形態では、二次追跡システム400は、装具208及び210によって保持される患者の解剖学的形態の一部分の位置を独立して追跡し、解剖学的形態の一部分の位置をグローバル座標系にレジストレーションするように構成される。場合によっては、可動域及び他の関節運動学を理解するために患者の解剖学的形態を追跡することは、手術室の外で実施されることができる。例えば、トラッカーは、患者に直接に(例えば、皮膚に)、又は患者の衣服に取り付けられ得る。それらのような場合には、追跡は、例えば、診療所で、又は理学療法に関連して行われてもよい。例えば、二次追跡システム400は、ボーンピン222及び224を介して本特許に伴う追跡可能なマーカー218及び220の位置を追跡してもよい。次に、追跡可能なマーカー218及び220と患者の解剖学的形態との間の所定の関係を使用して、二次追跡システム400は、追跡可能なマーカー218及び220の追跡された位置を使用するグローバル座標系上での患者の解剖学的形態の位置をレジストレーションすることができる。
【0027】
一実施形態では、ロボット支援靱帯評価システム200は、患者の解剖学的形態の一部分の三次元表現への患者の解剖学的形態(例えば、近位装具及び遠位装具によって保持される患者の解剖学的形態の一部分)のレジストレーションに有用な機能を含む。患者の解剖学的形態の一部分をレジストレーションすることにより、ローカル追跡システム(又は二次追跡システム400)は、医療手技中に患者の解剖学的形態の一部分の位置を正確に監視することができる。三次元表現は、任意の既知の撮像技法(例えば、CT又はMRI)によって取得されてもよい。あるいは、三次元表現は、イメージレスシステムを使用して取得されることができる。イメージレスシステムは、統計的形状モデルを利用するシステム、及び骨モーフィング方法など、当該技術で知られているテクノロジーを含む。
【0028】
一実施形態では、評価システム200は、
図2に示され、全体が参照により本明細書に援用されている2012年12月11日に出願された「Registration Using Phased Array Ultrasound」と題された米国特許出願第13/710,955号に記載されているような、超音波トランスデューサ226のXYアレイを含む。超音波トランスデューサ226は、患者の解剖学的形態を三次元表現にレジストレーションするために使用される。超音波トランスデューサ226は、トランスデューサ226が患者の骨構造及び/又は軟部組織をスキャンすることができるように、装具208及び210の一方又は両方の内部の上に配置されることができる。さらに、超音波トランスデューサ226は、トランスデューサ226の動作を制御するために、そして患者の解剖学的形態の一部分を患者の解剖学的形態の一部分の三次元表現にレジストレーションするために、処理回路(すなわち、コンピュータシステム300)に通信可能に結合される。ロボット支援靭帯評価システム200を使用するレジストレーションの1つの方法では、大腿装具208及び足部装具210の位置が知られている。装具208及び210の位置は、装具の一部分を固定する(例えば、クランプ228と同様に手術台102に)ことか、追跡システムを用いて(例えば、二次追跡システム400を用いて)評価システム200を追跡することかいずれかによって知られている。超音波トランスデューサ226が装具208及び210に固定されている場合、トランスデューサ226の位置もまた決定され得る。トランスデューサ226は、レジストレーションに適している患者の解剖学的形態の一部分(例えば、骨の三次元表現とアライメントされることができる特徴を含む骨又は軟部組織の一部分)に指向される音波を生成するように制御される。トランスデューサ226の位置が既知であるため、トランスデューサ226によってスキャンされた骨(例えば、大腿骨104、脛骨106)の位置を計算することができる。この情報を使用して、患者の解剖学的形態の一部分を三次元表現にレジストレーションすることができる。
【0029】
有利には、ロボット支援靱帯評価システム200内に超音波トランスデューサのアレイを含むことにより、外科手技中に患者の解剖学的形態の一部分の連続レジストレーションができる。対照的に、ある特定の他のレジストレーション方法は、通常、外科手技前に、又は外科手技中に断続的に実施される。これらの他の方法は、外科医がプローブを使用して患者の骨に物理的に接触するなどのステップを実施する必要がある場合がある。さらに、患者の追跡中での中断が原因で、レジストレーションにエラーが発生し、外科医は患者を再レジストレーションするために手技を停止する必要がある場合がある。追跡中の中断は、追跡可能なマーカーのオクルージョン、又は追跡されたオブジェクトの突発的な動きによって引き起こされる可能性がある。
図1に示されるCASシステム100では、評価システム200のトランスデューサ226を利用して、患者の解剖学的形態の一部分を連続的にスキャンすることができる。トランスデューサ226によって得られた情報を使用して、処理回路は、患者の解剖学的形態の一部分を連続的にレジストレーションすることができる。この連続的なレジストレーションによって、グローバル追跡システムの中断が原因でレジストレーションエラーが発生した後、外科医が患者を再レジストレーションするために外科手技を停止する必要がなくなる。
【0030】
一実施形態では、処理回路は、外科手技前の患者の関節の三次元表現、及び外科手技中の、又は後の患者の関節の三次元表現を作成する、又は取得することができる。さらに、処理回路は、患者の解剖学的形態をいずれか一方の、又は両方の三次元表現にレジストレーションすることができる。次に、CASシステム100は、関節の軟部組織バランスを決定する際、又はインプラントの位置を決定する際などの手術計画中に、及び/又は術後の関節が適切にバランス調整されているかどうかを決定する際などの手術評価中に、三次元表現を使用することができる。
【0031】
以下でより詳細に記載されている初期可動域評価の前に骨のレジストレーションが完了する必要がないことに留意する。プロセスのこの段階では、事前レジストレーションなしで、トラッカーを骨に取り付けて運動を記録することができる。手術計画中に、また切断前にレジストレーションを必要とする。ピンレス追跡を用いて、可動域の測定が可能であり得る。さらに、切断されていない軟部組織の強度を最もよく評価するために、主な外科的切開の前に運動を記録することができる。
【0032】
例示的な軟部組織バランス調整プロセス
上記のように、ロボット支援靭帯評価システム200は、いくつかのモードで動作することができ、これらのモードの一部は、四肢の再位置決めモードである。これらのモードは、対象となる関節の軟部組織バランスを評価する際に有用である場合がある。例えば、多くの外科的な膝関節の置換手技では、適切な術後靭帯バランスを達成するために、膝の靭帯を評価する。適切な靭帯バランスによって、四肢のアライメントが良くなり、インプラントの非対称摩耗が防止され、補綴物の緩み率が低くなり、患者の痛みが軽減され、その後の合併症の尤度が低くなるため、これは重要である。従来、靭帯バランス調整は、適切な膝のバランスを提供するために、外科医が四肢を手動で操作して、切開する靭帯、及び頻度は少ないが締め付ける靭帯を決定することによって達成されてきた。
【0033】
図5~16は、CASシステム100を使用して靭帯張力評価を実行することの一部であるさまざまなプロセスを示す。プロセスを説明する際に、参照されるのは、
図1~4に示されるようなCASシステム100及び靭帯評価システム200、ならびに膝関節108である。ただし、当業者は、
図5~16のプロセスを股関節、足首関節、肘関節、肩関節、又は手首関節などの他の関節に適用することができることを理解するであろう。さらに、プロセスの一部又はすべては、術前、術中、及び術後に実施されてもよい。
【0034】
さまざまな実施形態では、以下にさらに詳細に記載されるように、患者についての初期可動域は、応力を加えることなく、四肢の関節接合をその可動域にわたって運動させることによって決定される。ロボット支援靭帯評価システム200は、決定された初期可動域からの情報を使用して、術前、術中、及び/又は術後に患者の関節(例えば、膝関節108)を動かし、患者の軟部組織バランスを表す1つ以上のデータセットを取得する。術前の初期可動域評価中に、関節についての許容可能な負荷及び変位を決定する。
【0035】
初期可動域評価では、関節は、その可動域にわたって応力を加えずに運動する。患者が可動域を作成してもよいし、外科医(又は他の医療提供者)が可動域を作成してもよい。上記のように、可動域は、手動で完了することができ、大腿装具208及び足部装具210のない解剖学的形態を用いて、又は受動モードでロボット装置202を使用することによって、行われ得る。次に、CASシステム100は、追跡可能なマーカー218及び220を追跡する追跡システム200もしくは400などの追跡システムを使用して、又は画像認識ソフトウェアに関連する1つ以上のビデオカメラを用いて、可動域を追跡し、記録する。一実施形態では、CASシステム100は、外科医が関節をその可動域にわたって運動させている間に実施する、空間軌道を規定する離散点として可動域を記録することができる。このように、CASシステム100は、関節の自然な可動域を決定し、その自然な可動域を初期可動域(「初期ROM」)として記録することができる。次いで、初期ROMは、靭帯張力評価手技の後の段階についての参考可動域として機能する。可動域にわたる骨の位置は、例えば、骨の運動角度、又は靭帯による引張方向に指向される測定値を提供することができる。
【0036】
このプロセスは、膝を参照して説明されることができる。例えば、屈曲及び伸展の可動域、内側及び外側の可動域(
図4に示される)、トルクの可動域などにわたって、外科医は膝関節108を移動させることができる。CASシステム100は、外科医が膝関節108をその可動域にわたって運動させるときに、膝関節108の骨(すなわち、大腿骨104及び脛骨106)の相対位置を追跡することによって、膝関節108の可動域を決定する。一実施形態では、外科医が膝関節108をその可動域にわたって運動させている間、大腿装具208及び足部装具210を患者に結合させない。したがって、CASシステム100は、二次追跡システム400が追跡可能なマーカーを追跡することを通じて可動域を追跡する。別の実施形態では、大腿装具208及び足部装具210を患者に結合させ、外科医が膝関節をその可動域にわたって運動させている間、ロボット支援靭帯評価システム200は受動モードで動作する。次に、CASシステム100は、ローカル追跡システムを介して(例えば、大腿部検出装置214、足部検出装置216、及び/又は三次元追跡センサ236によって)、及び/又は二次追跡システム400を介して、可動域を追跡する。CASシステム100は、大腿骨104及び脛骨106の追跡された位置を膝関節108の初期ROMとして記録する。
【0037】
初期ROMからの術前データセットは、例えば、膝関節108が中立位にある(
図3)ときの患者の膝内の間隙の距離、及び膝をその決定された可動域にわたって移動させながら既知の量のトルクを膝関節108にかける(
図4)ときの患者の膝内の間隙の距離を含むことができる。術前データは、患者の関節が可動域にわたって位置決めされている、又はガイドされている間に、動きに抵抗する力など、関節上に作用する力、又は関節にわたって作用する力をさらに含むことができる。
【0038】
ロボット支援靭帯バランス調整手技の前に、関節の負荷及び変位の最大値を術前に分析する必要はなく、それらのような場合には、制限は、別の方法でCASシステム200内に規定されることができる。
図5~7は、関節の負荷及び/又は変位制限を規定するために、この任意選択の術前手技の3つの実施形態を示す。実施形態のそれぞれでは、上記の追跡システムのいずれかのような追跡システムを使用して、関節が可動域にわたって動いている間、患者の解剖学的形態を追跡する。いくつかの実施形態では、追跡は、診療所又は治療室で行われてもよい。他の実施形態では、追跡は、手技直前に手術室で行われる。可動域の動作は、屈曲-伸展又は引き出しの引張運動などの所定の運動であっても、CASシステムに入力される、外科医が規定した運動であってもよい。
【0039】
図5は、関節についての負荷及び変位制限を決定する、例示的な第一プロセス500を示す。ステップ501では、関節が可動域にわたって動いているときに、骨(すなわち、大腿骨及び脛骨)の位置を追跡することによって、可動域を追跡する。外科医又は医療提供者は、受動圧を加えて関節を自然な可動域にわたって動かしても、応力を加えて応力誘起運動を評価してもよい。外科医は、負荷測定装置を使用して、関節を可動域にわたって動かしながら患者に加えられる圧力を測定することができる。ステップ502では、可動域操作からの測定値を外科医又は医療提供者が評価する。具体的には、テスト中に行われた測定値に基づいて可動域パラメータを決定する。これらの値は、靭帯弛緩性を評価するために、さまざまなテストについての運動角度、又は引張方向を示すことができる。ステップ503において、ステップ502での評価から決定された制限は、靭帯バランス調整手技中に使用されるCASシステム100に外科医又は医療提供者によって手動で入力されてもよいし、これらの値は、追跡システムから計画ソフトウェアに自動的にロードされてもよい。
【0040】
図6は、関節についての負荷及び変位制限を決定する、例示的な第二プロセス600を示す。ステップ601では、術前スキャンを使用して、関節の三次元モデル、又はいくつかの二次元モデルを作成する。プロセス600は、任意選択のステップ602に続くことができ、このステップ602の間、逆疾患進行モデルを使用して関節の骨(複数可)の非罹患状態を決定する。いくつかの実施形態では、軟骨及び骨の非罹患状態は、全体が本明細書に参照により援用されている「Image Processing Method」と題された国際公開番号WO2017/085478に記載されている方法を使用して決定されることができる。ステップ603では、術前スキャンの三次元モデル(ステップ601からの)又は非罹患骨モデル(ステップ602から利用可能である場合)を使用して、関節の可動域の運動学的シミュレーションを実行する。あるいは、術前スキャンの三次元モデルも非罹患骨モデルも利用できない実施形態では、その代替に、プロセス500のステップ501と同様のステップで追跡される運動学的な運動から骨モデルを作成することができる。いくつかのそれらのような実施形態では、骨の術前状態、及び記録された運動に基づいて、計算又はプリセットパラメータを運動学的シミュレーションの代替に使用する。ステップ604では、記録された運動に基づく運動学的シミュレーション又は計算からのデータ及び情報を、CASシステム100の計画及びガイダンスソフトウェアにインポートし、組織バランス調整手技について許容可能な変位及び/又は負荷を提供する。
【0041】
図7は、関節についての負荷及び変位制限を決定する、例示的な第三プロセス700を示す。ステップ701では、ステップ501と同様に、追跡システムを使用して可動域を追跡する。この実施形態では、ビデオ画像を使用して、関節の三次元モデルを作成する(ステップ702)。最初の一般モデル又は統計モデルを提供し、特定の患者のために修正してもよい。ステップ703では、関節の骨の追跡された運動に関連する情報に基づいて、三次元モデルを修正する。ステップ704では、三次元モデルを使用して、関節の可動域の運動学的シミュレーションを実行する。ステップ705では、運動学的シミュレーションからのデータ及び情報を、CASシステム100の計画及びガイダンスソフトウェアにインポートし、組織バランス調整手技について許容可能な変位及び/又は負荷を提供する。いくつかの実施形態では、ステップ701で追跡された可動域をステップ705についての許容可能な運動として使用してもよく、ステップ702、703、及び704を実行しない。さらに別の実施形態では、モデルを非罹患状態に復元するステップ603と同様の追加のステップを、ステップ703とステップ704との間に実行してもよい。
【0042】
プロセス500~700の結果、関節の1つ以上の運動について負荷及び/又は変位制限が規定され、ロボット支援靭帯バランス調整分析中に使用されることができる。
【0043】
術中のロボット支援靱帯バランス調整分析についてのさまざまな例示的なプロセス800~1000を
図8~10に示す。これらのプロセスでは、ロボットシステムを使用して、関節を操作し、軟部組織を評価する。ロボット支援靭帯バランス調整分析中に、軟部組織エンベロープを特徴付けるなど、軟部組織の特性を決定する。上記の術前の変位及び負荷評価(プロセス500~700)を完了した状態でも、完了していない状態でも、プロセス800~1000を実行することができる。示される実施形態は、関節の負荷及び変位制限を規定するステップを含むが、術前プロセス500~700を実行した場合、結果として得られたデータは、以下で説明されるような、早期の術中ステップのいくつかを実行する代わりに、プロセス800~1000に提供されることができる。
【0044】
図8は、関節の軟部組織特性を決定する、例示的な第一プロセス800を示す。プロセス800は、ほとんどの場合、負荷及び変位制限の追加の術前分析を実行せずに行われる。ただし、プロセス500、600、及び700で決定された許容可能な運動及び/又は負荷制限を使用して、下記のプロセス800、900、及び1000のいずれかに追加の安全制限を規定してもよい。いくつかの実施形態では、プロセス800は、関節に位置決めされる手動スペーサーの使用を含む。プロセス800では、外科医は手動で関節を操作し、ロボット支援靭帯評価システム200は追跡された動きを再現する。より詳細には、ステップ801では、外科医は、関節挙動の外科医の主観的観察に基づいて、患者に許容可能な制限まで関節に応力を加えながら、可動域にわたって関節を操作する。プロセス500、600、及び700に関して上記と同様の方法で、関節の骨の運動を追跡する。
【0045】
次に、ステップ802では、ロボット装置202は、可動(例えば、遠位)骨(複数可)、軟部組織、又は大腿装具208もしくは足部装具210に取り付けられる。この場合も、具体的には膝関節108を参照すると、大腿装具208及び足部装具210は、それぞれ患者の大腿部及び足部に結合され、それぞれ大腿骨及び脛骨の動きを制御する。同様に、クランプ228は、まだ結合されていない場合、大腿装具208に結合され、表面(例えば、手術台102)に固定され、大腿装具208を静止状態に保つ。次に、ロボット装置202のロボットアーム204は、ロボットアーム204のインタフェースツール212、及び足部装具210のロボットアームインタフェース230によって、足部装具210に結合される。いくつかの実施形態では、大腿骨は静止状態に保たれず、代わりに、大腿骨及び脛骨の両方はロボット装置202によって制御される。
【0046】
次に、任意選択のステップ803では、ロボット支援靭帯評価システム200は、ステップ801で外科医によって実施された可動域評価を再現する。ステップ804では、ロボット支援靭帯評価システム200は、可動域評価中に、関節に加えられた負荷などの関節に関する情報を測定する。この可動域評価は、ステップ801の追跡された可動域評価か、実施される場合、ステップ803の間にロボット装置202によって実施される再現された可動域かいずれかであってもよい。ステップ804の一実施形態では、CASシステム100は、開ループ力発生器を介して力を決定し、較正することができる。例えば、CASシステム100は、ロボット関節にかけられるロボット電流トルク、及びロボット関節によって与えられるモーター電流抵抗を監視することができ、この関節によって与えられる抵抗が、ある一定のレベルに達するまでロボット関節にかけられるトルクを増加させることができる。ステップ804の別の実施形態では、CASシステム100は、代わりに、力-トルクセンサ(例えば、ロボット支援靭帯評価システム200に含まれる)を介して力を決定し、較正することができる。例えば、評価システム200上に設けられる力-トルクセンサは、初期ROMの空間軌道の各点を通して関節をガイドするために加えられる力及びトルクの量を測定することができる。
【0047】
ステップ804の情報及び測定値から、ステップ805では、CASシステム100は、可動域についての関節の負荷又は変位制限を決定する。例えば、関節の外科医の関節接合中の動きに基づいて関節を関節接合している間に関節に安全に加えられることができる力又はトルクの量(例えば、関節を傷つけることなく関節に加えられることができる力の量)、及び/又は関節を関節接合する際に外科医によって使用される力又はトルクの量によって、関節についてのベースライン基準負荷を作成する。換言すれば、術中ステップ801~804の間、関節の運動及び変位制限は、術前プロセス500~700と同様の方法で、術中に決定される。関節の制限が例えば、プロセス500~700によって決定された場合、それらのような制限をCASシステムに提供することができ、軟部組織エンベロープを特徴付けるためのプロセス800は、術前プロセス500~700の結果として得られたデータを使用してステップ805で開始する。他の実施形態では、プロセス800は、外科医によって手動で入力された制限を用いて、又は関節の負荷もしくは変位制限を決定するためのいずれかの他のプロセスからのデータを使用して、ステップ805で開始してもよい。
【0048】
この場合も、これらの制限を規定することは、可動域、及び患者の可動域に対する制限を「感じる」ことができる外科医によってというよりもむしろ、ロボットシステムによって組織バランス調整が実施されているときに重要である。実際、1人の患者の関節をその可動域にわたってガイドするために必要な力/トルクは、別の患者の関節をガイドするために必要な力/トルクとは異なる場合がある。同様に、1人の患者の関節が耐えられる力/トルクは、別の患者の関節が耐えられる力/トルクとは異なる場合がある。さらに、決定された力又はトルクの量は、関節をその可動域にわたってガイドしながら提供される関節接合の方向及び/又はタイプに基づいて変わってもよい。例えば、CASシステム100は、評価システム200が関節を関節接合しているときに、外科医が内側方向に5ポンドの力を加えたが、外側方向に10ポンドの力を加えたと決定する場合がある。そうすることで、CASシステム100は、ステップ801で外科医が行ったことの再現に基づいて、関節をバランス調整するための参考基準を取得してもよい。このプロセスの結果、関節に安全に加えられることができるとCASシステム100が決定する、力及びトルクの範囲(例えば、関節に応力を加えることなく、又は関節を傷つけることなく、関節をその可動域にわたって首尾よくガイドするために使用されることができる力及びトルクの範囲)になることができる。関節接合の1つの方向での負荷がもう1つの方向での負荷よりも高い場合、より低い負荷をその特定のテストについての最大負荷として設定することができる。さまざまな靭帯テスト(プッシュ/プル引き出し、内反/外反屈曲、内反/外反伸展、関節回旋など)に対して、異なる最大負荷を規定することができる。その結果、ステップ805は、特定の患者の1つ以上のテストに適している可動域上でロボットシステムをトレーニングしている。ステップ805から、ロボットシステムは、プロセスが進行すると利用される、患者の可動域についての変位及び負荷制限を理解する。
【0049】
その後ステップ806では、ロボット支援靭帯評価システム200、又はより詳細には、ステップ805からのその制限をここでは理解するロボット装置によって制御される関節ポジショナは、摂動を可動域の空間軌道内に導入しながら、可動域評価を再現する。これらの摂動は、単一モード(例えば、1つのタイプの摂動のみが実施される)又はマルチモーダル(例えば、1つより多いタイプの摂動が実施される)で実施され得る。摂動のさまざまなモードは、力摂動(例えば、左右交互に関節を動かす)及びトルク摂動(例えば、関節をねじる)など、空間摂動又は「変位制御」(例えば、関節を屈曲させる、もしくは伸展させる)及び「負荷制御」を提供することを含む。さらに、摂動は、関節の瞬間回転軸に対して垂直方向及び/又は接線方向にあってもよい。ステップ806では、ロボット支援靭帯評価システム200によって与えられる摂動は、通常は外科医によって手動で実施されるが、ここではロボットによって実施されている動作を再現する。手動操作がロボット操作に置換されるので、ロボット支援靭帯評価システム200は、その「トレーニング」を使用して、可動域再現中に関節の以前に決定された負荷及び/又は変位制限に基づいて力制御を実施する、すなわち、ステップ805で決定されたゼロベースライン基準力を使用して、システム200が膝関節108に過大な力、又は過少な力を加えないことを確実にする。このプロセス全体を通して、CASシステム100は、摂動を通してガイドされるときに、関節に関するデータ(例えば、関節内の間隙に関するデータ、関節によって与えられる抵抗に関するデータなど)を収集する。
【0050】
膝関節108を参照して、ロボットハプティックデバイス202は、記録された初期ROMの空間軌道に追加の摂動を加えながら、初期ROMを再現する。例えば、ロボットハプティックデバイス202が初期ROMにわたって膝関節108をガイドすると、ロボットハプティックデバイス202は、膝関節108を屈曲させて伸展させること、膝関節108を左右交互から外側に動かすこと、及び/又は膝関節108をねじることができる。さらに、ロボットハプティックデバイス202は、患者の前十字靭帯(ACL)及び/又は後十字靱帯(PCL)の機能をテストすることが企図されている摂動を含むことができる。さらに、摂動は、関節に現れる問題のタイプに特異的であることができる。例えば、内反変形(すなわち、膝関節108は脛骨106を内向きに傾斜させる)を伴う膝関節108に対して実施される屈曲-伸展摂動は、外反変形(すなわち、膝関節108は脛骨106を外向きに傾斜させる)を伴う膝関節108に対して実施される屈曲-伸展摂動とは異なってもよい。
【0051】
次にステップ807では、CASシステム100は、これらの摂動からのデータを使用して、関節を囲む軟部組織エンベロープの制約を特徴付ける。そうすることで、CASシステム100は、手動組織バランス調整よりも進歩している、客観的で定量化可能な方法で軟部組織エンベロープの制約を特徴付ける。一実施形態では、CASシステム100は、制約を関節の可動域にわたる力-変位関係として特徴付ける。別の実施形態では、CASシステム100は、軟部組織エンベロープのばね-ダンパー表現を使用して制約を特徴付ける。例えば、膝関節108を参照して、CASシステム100は、ステップ806で実施された摂動からのデータを使用して、膝関節108の可動域にわたる力-変位関係において、又はばね-ダンパー関係として、膝関節108を囲む軟部組織(例えば、靭帯、腱、線維組織など)を特徴付けることができる。軟部組織エンベロープを表示して特徴付け、手術計画を更新することができる。
【0052】
図9は、関節の軟部組織特性を決定する、例示的な第二プロセス900を示す。プロセス900は、ステップ801のように、プロセス900が関節の手動関節接合を含まないことを除いて、プロセス800と同様である。代わりに、プロセス900は、ロボット装置202を患者の大腿部及び足部に取り付けて(ステップ901)、脛骨及び/又は大腿骨をロボットで制御することから始まる。ステップ902では、ロボット制御された可動域を実施する。プロセス800のステップ804~805と同様の方法でプロセス900のステップ903~904中に、又は上記の術前プロセス500~700のいずれかを実施することによって、又はいずれかの関節運動を実施することによって、可動域テストについての負荷及び/又は変位制限を術中に規定することができる。例えば、外科医は、バランス調整に使用する任意の運動を規定することができ、CASシステム100に入力を提供することによってシステムに運動を実施させることができる。いずれの場合も、ステップ904では、関節の負荷及び変位制限をロボットシステムに提供し、プロセス800のステップ806~807と同じ又は同様の方法でプロセス900のステップ905~906を実施する。
【0053】
関節の制限を決定する術前プロセス500~700を実施する場合など、プロセス900のいくつかの実施形態では、全可動域は、ロボット装置202によって実施されず、代わりに、ステップ901でロボット装置を取り付けた後、プロセスは、ステップ905に直接移行し、ステップ905では、ロボットが小さい摂動を関節に適用する。プロセスは、上記のようにステップ906に続く。いくつかの実施形態では、プロセス900は、関節内に位置決めされる手動スペーサーの使用を含む。
【0054】
前述のプロセス800及び900では、最初に捕捉されたROMもまた、関節の生理学上の運動学的エンベロープについてのベースラインを提供する。1つの骨のもう1つの骨に対するその自然変位エンベロープ(例えば、屈曲の関数としての大腿骨に対する脛骨の運動)にわたる位置を取得するだけでなく、いずれかの所与の配置での静的負荷(例えば、脛骨を大腿骨に対していずれかの特定の位置に保持するために必要な力及びモーメント)も取得する。患者が運動を実施する能動的な状況では、そのうえ、運動捕捉解決策を使用する当該技術で確立された方法、及び地面反力を捕捉する力センサを使用して関連する動的情報を捕捉するだけでなく、筋電図検査を使用して筋肉の活動、運動及び力を同期させることができる。
【0055】
上記の情報の取得は、本開示による軟部組織評価を実施するために有用である。屈曲関数としての大腿骨に対する脛骨の運動は、関節についての安全なエンベロープを表し、この安全なエンベロープは、ロボットによる自動操作のための入力として、そしてより具体的には、ロボット対応操作のための安全境界として使用されることができる。静的負荷は、上記でさらに説明されたように、所与の位置で実体を吊すために必要な補償力及びトルクによる可動な実体の無重力操作を可能にするだけでなく、初期参考靭帯力状態を確立するゼロベースラインとしても使用され得る。この初期状態の摂動は、運動エンベロープ内のいずれかの所与の位置での靭帯エンベロープ特性を決定するために有用であり得る。動的情報を相対的な骨運動及び静的負荷と組み合わせて使用し、能動的な運動で経験されるような、張力を力及びトルクとして関節の靭帯エンベロープに的確に与えることができる。
【0056】
図10は、関節の軟部組織特性を決定する、例示的な第三プロセス1000を示す。プロセス1000は、ステップ1001では靭帯に張力を与える装置が関節内に位置決めされることを除いて、プロセス900と同様である。この装置は、スペーサー、トライアルインプラント、鉗子、又は他の装置であってもよい。
図10に示される実施形態では、この装置は、ロボット装置を患者の足部及び大腿部に取り付ける(ステップ901のように)代わりに、又はそれらに取り付けることに加えて、関節に挿入されるロボット支援靭帯バランサである。ロボット支援靭帯バランサは、ロボット装置が関節を伸延させることによって制御される。いくつかの実施形態では、この装置は、関節に加えられる負荷を測定する。いくつかの実施形態では、脛骨及び/又は大腿骨のロボット制御も使用される。ステップ1002では、制御された可動域を実施する。可動域は、ロボットシステムによって、又は外科医によって制御されてもよい。プロセス800のステップ804~805と同様の方法でプロセス1000のステップ1003~1004中に、又は上記の術前プロセス500~700のいずれかを実施することによって、又は外科医からの入力によって、可動域テストについての負荷及び/又は変位制限を術中に規定することができる。これらの場合のいずれかにおいて、ステップ1004では関節の負荷及び変位制限をロボットシステムに提供し、プロセス800のステップ806~807と同じ又は同様の方法でプロセス1000のステップ1005~1006を実施する。
【0057】
プロセス800~1000によって決定された、関節の可動域に沿った軟部組織エンベロープ特性を分析して、手術方針を最適化する。手術方針の結果、バランス調整された安定した関節になる。この分析は、外科医による手動によって、CASシステム100によって、又はCASシステム100と連係して作業する外科医によって行われてもよい。いくつかの実施形態では、手術方針は、ある特定の軟部組織の特徴的なパターンを関節の可動域にわたって達成するための補綴コンポーネントの配置を含む。例えば、手術方針は、ある特定の関節空間、又はある特定の靭帯負荷を達成するために最適化される補綴物配置を含んでもよい。補綴物配置(自動計画アルゴリズムなどによる)を計画ソフトウェアにプログラムして、規定された軟部組織エンベロープに基づいて補綴コンポーネントを自動的に位置決めしてもよい。他の実施形態では、手術方針は、関節の2つの骨の間の好ましい距離を決定すること、及び/又は関節の2つの骨の間の好ましいアライメントを規定することを含む。さらなる実施形態では、代替に、又は追加で、手術方針は、ある特定の運動学的特性を関節の可動域にわたって達成するための組織操作(例えば、靭帯の切開、靭帯の締め付け、骨棘の除去など)を含むことができる。例えば、手術方針は、関節骨の位置に対して可動域にわたる関節ラインの、ある特定の空間位置を達成するための組織操作を含んでもよい。
【0058】
膝関節108をもう一度具体的に参照すると、一実施形態では、ステップ807、906、及び/又は1006で特徴付けられる軟部組織エンベロープに基づく手術方針は、膝関節108内のある特定の空間を、及び/又はACL又はPCLのある特定の負荷を達成するために最適化される1つ以上の膝関節置換補綴物の配置を含むことができる。別の実施形態では、手術方針は、膝関節108内の締まった靭帯を切開することで伸長し、膝関節108の可動域にわたる膝関節108のラインの、ある特定の空間位置を達成することを含んでもよい。第三実施形態では、手術方針は、膝関節108内の1つ以上の膝補綴物の配置と、膝関節108を囲む軟部組織の操作との両方を含んでもよい。
【0059】
図11~15は、軟部組織エンベロープ特性を使用して手術方針を最適化する術中手術計画についてのさまざまな例示的なプロセスを示す。
図11では、プロセス1100は、プロセス800~1000の軟部組織分析中に収集されたデータに基づいて、手術方針を最終決定する(ステップ1101)。この例では、手術方針は、ある特定の関節空間、又はある特定の靭帯負荷を達成するために最適化される補綴物配置を含んでもよい。このプロセスは、所望のバランスを達成するために、いかなる組織操作も必要としない場合があり、代わりに、術中分析中に得られた関節のデータに基づいて決定された、特異的な補綴物配置によって達成され得る。
【0060】
関節の可動域にわたる軟部組織エンベロープ特性を、靭帯のこわばりの第一遷移点の関数として決定することができる。こわばりの遷移点の以下の議論が具体的には膝関節、ならびに脛骨及び大腿骨に言及しているが、同じ又は類似の概念が任意の関節の軟部組織の評価に適用可能であることが理解される。
図12は、一例として、膝関節の靭帯の典型的な力変位曲線を示す。この曲線は、靭帯が伸展するときの4つの特徴的な靭帯挙動を示す。第一ゾーンは、第一遷移点1201の前のたるみから高いこわばりへの遷移を示し、そこでは靭帯のすべての繊維が応力共有に関与している。第一遷移点1201と第二遷移点1202との間の第二ゾーンは、繊維が機能障害し始めるため、そのこわばりが低減する第三ゾーンに遷移するまで(第二遷移点1202で)、広範囲の力にわたって靭帯のこわばりの線形挙動を示す。これに続いて、その断裂と完全機能障害が曲線の最後の第四ゾーンに示される。
【0061】
2つのこわばり遷移点1201、1202の間の領域は、線形靭帯こわばりの高い領域である。典型的な軟部組織アセスメント方法は、この文節では任意の負荷を用いて、軟部組織の安定性を評価する。膝関節内の軟部組織のこわばりを客観的に特徴付けるための多くの課題の1つは、そのこわばりが患者に依存し、膝の可動域全体で変化し、膝蓋骨が適所にない場合、又はそれにもまして裏返されている場合、大きく偏っていることである。固定された任意の負荷を利用すると、2つの初期こわばりセグメントのいずれかで応答が得られる場合がある。それらの関係を識別できなかった結果、軟部組織のバランスが不適切になることがあることで、配置が緩すぎてそれ自体が不安定になる、又は配置が締まりすぎてそれ自体に痛みとして現れることがある。
【0062】
膝の軟部組織エンベロープの第一こわばり遷移点1201をその可動域全体(又はその一部)にわたって確立することにより、脛骨と大腿骨との間の適切な空間配置が関節形成術の構築物の適切な張力を達成し、以前に決定されたこわばり遷移点を再確立することができる。
【0063】
本明細書に説明されるロボット対応摂動運動を使用して、軟部組織エンベロープの第一こわばり遷移点を、その可動域全体にわたって自動的に確立することができる。この手術の結果は、膝の可動域全体にわたる大腿骨に対する脛骨の位置である。この情報を使用して、膝の関節ラインに対する補綴コンポーネントの位置を最適化すること、又は代替に、大腿骨に対する脛骨の確立された空間関係に影響するように軟部組織エンベロープ特性を操作すること、又は両方の組み合わせを可能にすることができる。
【0064】
図13は、こわばり遷移点を利用して手術方針を最適化する例示的なプロセス1300を示す。各靭帯テスト評価中に、こわばり遷移点を特定することができる(ステップ1301)。低いこわばりから高いこわばりへのこの変化の点に基づいて、手術計画を最終決定する(ステップ1302)。例えば、外科医は、こわばり遷移点を利用して収集された靭帯バランス情報に基づいて、所望のインプラント配置を規定することができる。プロセス1300は、
図14に示される任意選択のプロセスBも含む。特定されると、こわばり遷移点が可動域の動きの間に所期の点/所望の点で発生するかどうかが判定される。こわばり遷移点が所期の点、又は所望の点ではない場合、組織リリースなどの組織操作を実施して、靭帯の所望のこわばり遷移点(複数可)(したがって、適切な関節バランス)を達成することができる。より具体的には、ステップ1401では、靭帯(複数可)のこわばり遷移点(複数可)に基づいて、組織リリースを実施するための領域を特定する。ステップ1402では、靭帯を手動でリリースする。ステップ1403では、ロボット制御された可動域を繰り返し、靭帯リリースが起こったので、こわばり遷移点を決定する。好ましいバランスが達成されていない場合、プロセスはステップ1401に戻り、好ましいバランスが達成されるまで繰り返す。達成されると、手術計画を最終決定する(ステップ1302)。
【0065】
図15及び16は、手術計画を最適化するために組織操作を組み込む追加の例示的なプロセス1500及び1600を示す。プロセス1500及び1600をステップ1402の手動組織リリースの代わりに使用することができるため、ステップ1402は、プロセス1500及び1600で説明されるように、ロボット支援組織リリースを使用して実施される。プロセス1500のステップ1501では、ロボット装置202は制御された負荷を関節にかけ、所望の変位を達成してついに、外科医は靭帯リリース(複数可)を完了する(ステップ1502)。所望の変位が達成されると、手術計画を最終決定する(ステップ1503)。代替に、プロセス1600のステップ1601では、ロボット装置202は制御された変位を関節に適用し、所望の負荷を達成してついに、外科医は靭帯リリース(複数可)を完了する(ステップ1602)。所望の負荷が達成されると、手術計画を最終決定する(ステップ1603)。どちらのプロセスでも、手術計画を最終決定する前に、可動域テストを繰り返し、適切なバランス調整を確認することができる。
【0066】
上記のように、
図5~11及び
図13~16に提示される方法を使用して、靭帯張力評価を実施することには、いくつかの利点がある。前述のように、従来、この評価は外科医によって手動で実施されていた。CASシステム100を用いて、この評価を実施することにより、靭帯張力評価を手動で実施している外科医による固有の主観的判断の一部が取り除かれる。さらに、CASシステム100は、外科医が外科手技を開始する前にデジタル術前計画を作成することを可能にし、このデジタル術前計画は、この手技が成功し、合併症をもたらさない尤度を高めることができる。さらに、これらの方法は、異なる患者の関節に加えられることができる力とトルクとの間の変動(例えば、小さい年配の女性に安全に加えられることができる力及びトルクの範囲とは対照的に、大きい若い男性の関節に安全に加えられることができる力及びトルクの範囲)を考慮する。
【0067】
CASシステム100を使用することで、将来の手技計画を改善することもできる。関節の術後可動域を評価することができる(ロボット支援靭帯評価システム200の使用の有無にかかわらず)。例えば、リハビリテーションプロセス中に関節の可動域を監視して、手術計画が達成されたことを確認することができる。理学療法中に、運動を適用する、及び/又は可動域を測定するマシンは、CASシステムと同様のデータを捕捉することができる。さらに、追跡システムを使用する術前の可動域評価を術後に繰り返し、術後の可動域を決定することができる。これらのアウトカムを、CASシステム100を使用する初期手技の軟部組織評価及び手術計画中に取得されるデータと組み合わせて使用し、計画プロセス及び手技を改善し、将来のアウトカムを改善することができる。
【0068】
本発明のさまざまな例示的な実施形態を本明細書に記載する。これらの例は、非限定的な意味で参照されている。それらは、本発明のより広く適用可能な態様を説明するために提供されている。本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、記載される本発明にはさまざまな変更が行われることができ、均等物が代用されることができる。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセス行為(複数可)又はステップ(複数可)を本発明の目的(複数可)、趣旨又は範囲に適合させるために、多くの修正が行われることができ、特に、上記のプロセスのステップのいずれかは、任意選択であることができる、又は異なる順序で完了することができる、又は他のプロセスに説明されるステップによって置き換えられることができる。さらに、当業者が理解するように、本明細書に記載され図示される個別の変形形態のそれぞれは、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、その他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離されること、又はそれらの特徴と組み合わされることができる別個の構成要素及び特徴を含む。すべてのそれらのような修正形態は、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0069】
方法ステップの特定の順序が説明されていることがあるが、これらのステップの順序は説明されているものとは異なってもよい。また、2つ以上のステップを同時に実行することも、部分的に同時に実行することもできる。このような変形形態は、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステム、ならびに設計者の選択に依存する。すべてのそれらのような変形形態は、本開示の範囲内にある。同様に、ソフトウェア実装は、いずれかの接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び決定を達成するために、ルールベースのロジック及び他のロジックを用いた標準的なプログラミング手法によって成し遂げられることができる。
【0070】
対象の診断又は介入方法を実施するために説明される装置のいずれかは、それらのような介入を実施する際に使用するためにパッケージ化された組み合わせで提供されてもよい。これらの供給「キット」は、取扱説明書をさらに含み、それらのような目的のために一般的に使用されるような、滅菌トレイ又は容器内にパッケージ化されてもよい。
【0071】
本発明は、対象の装置を使用して実施されることができる方法を含む。これらの方法は、そのような適切な装置を提供する行為を含んでよい。かかる提供は、エンドユーザによって実行されてよい。換言すれば、「提供する」行為は、対象の方法で必要な装置を提供するために、エンドユーザによる取得、アクセス、アプローチ、位置決め、セットアップ、アクティブ化、電源投入、又はその他の方法での行為を単に必要とする。本明細書に列挙されている方法は、論理的に可能な、列挙されている事象の任意の順序だけでなく、事象の列挙されている順序でも実行されてよい。
【0072】
材料の選択及び製造に関する詳細とともに、本発明の例示的な態様が上記に記載されている。本発明の他の詳細については、これらは、上記で参照した特許及び刊行物に関連して理解され得るだけでなく、一般的に当業者によって知られている、又は理解され得る。一般的又は論理的に使用される追加の行為の点から、本発明の方法に基づく態様に関しても同じことが当てはまることがある。
【0073】
また、記載された本発明の変形形態のいずれかの任意選択の特徴が独立して、又は本明細書に記載された特徴のいずれか1つ以上と組み合わせて説明され、請求されることができることが企図される。単一の物品への参照には、同じ物品が複数存在する可能性が含まれる。より具体的には、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、「said」、及び「the」は、別段に具体的に定められない限り、複数の指示対象を含む。換言すれば、これらの冠詞の使用は、上記の説明だけでなく、本開示に関連する特許請求の範囲における対象の物品のうちの「少なくとも1つ」を考慮する。そのような特許請求の範囲があらゆる任意選択の要素も除外するように作成されてもよいことにさらに留意する。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連した「単に」、「のみ」等の排他的な専門用語の使用のため、又は「否定的な」制限の使用のための先行記述となるよう意図される。
【0074】
本開示の目的のために、「結合された」という用語は、2つの部材が互いに直接的又は間接的に接合することを意味する。そのような接合は、本来、静止していても、可動であってもよい。そのような接合は、2つの部材、もしくは2つの部材及び任意の追加の中間部材が互いに単一の単体構造体として一体化して形成されている状態、又は2つの部材、もしくは2つの部材及び任意の追加の中間部材が互いに取り付けられている状態で達成されてもよい。そのような接合は、本質的に永続的である場合もあれば、本質的に取り外し可能である、又は解放可能である場合もある。
【0075】
そのような排他的な術語を使用せずに、本開示に関連する特許請求の範囲内の「含む」という用語は、所与の数の要素がそのような特許請求の範囲に列挙されているかどうか、又は特徴の追加がそのような特許請求の範囲に記載されている要素の本質を一変させるとみなされることができるかどうかに関係なく、いずれかの追加の要素を含めることを考慮するものとする。本明細書で具体的に定義されている場合を除き、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、請求項の妥当性を維持しながら、可能な限り広く一般的に理解されている意味を与えられるものとする。
【0076】
本開示は、さまざまな操作を達成するために任意の機械可読媒体上に方法、システム、及びプログラム製品を企図する。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを用いて、又はこの目的もしくは別の目的のために組み込まれた適切なシステムのための専用コンピュータプロセッサを用いて、又はハードワイヤードシステムを用いて、実装されてよい。本開示の範囲内の実施形態は、機械可読媒体を有するプログラム製品を含み、この機械可読媒体は、その上に格納される機械実行可能命令又はデータ構造体を搬送する、又は含む。そのような機械可読媒体は、汎用もしくは専用コンピュータによって、又はプロセッサを備えた他のマシンによって、アクセスされることができる任意の利用可能な媒体であることができる。例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、他の磁気ストレージデバイス、ソリッドステートストレージデバイス、又はいずれかの他の媒体を含むことができ、これらは、機械実行可能命令又はデータ構造体の形式で所望のプログラムコードを搬送する、又は格納するために使用されることができ、汎用もしくは専用コンピュータによって、又はプロセッサを備えた他のマシンによってアクセスされることができる。ネットワーク又は別の通信接続(ハードワイヤードか、ワイヤレスか、ハードワイヤード又はワイヤレスの組み合わせかいずれか)を介して情報をマシンに転送する、又は提供すると、このマシンは接続を機械可読媒体として適切に表示する。したがって、いずれかのそのような接続は、機械可読媒体と称されるのが妥当である。上記の組み合わせもまた、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理マシンに、ある特定の機能又は機能群を実行させる命令及びデータを含む。
【国際調査報告】