(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】処置レジメンの順守をモニタリングするための治療剤を検出するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20220419BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20220419BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01N33/53 G
G01N27/62 V
G01N27/62 X
G01N33/50 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558649
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 US2020026042
(87)【国際公開番号】W WO2020205897
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502431489
【氏名又は名称】オラシュアテクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カードス、キース
(72)【発明者】
【氏名】ドートリッジ、ギフィン
【テーマコード(参考)】
2G041
2G045
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041EA04
2G041FA10
2G041FA12
2G041GA09
2G041HA01
2G041LA08
2G045AA40
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA17
2G045FB03
2G045FB07
(57)【要約】
本開示は、対象から得られた生物学的試料中のヌクレオチド逆転写酵素阻害剤から代謝される代謝産物を検出するための方法、キットおよびシステム、ならびに曝露前予防内服の順守をモニタリングすること、および曝露前予防内服に取り組むまたは曝露前予防内服を処方された対象をカウンセリングすることにおけるこれらの使用を提供する。本開示は、レジメンの順守をモニタリングし、それに応じてレジメンの投薬スケジュールを調整または修正することによって、感染症に罹患するリスクがある患者のHIV感染症を予防する方法も提供する。代謝産物は、抗体ベースの方法、例えばラテラルフローイムノアッセイまたは検査室ベースのアッセイ、例えば半定量的LC-MS/MSを含むがこれらに限定されないプロテオーム法を使用して検出され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体における曝露前予防内服の順守をモニタリングするための方法であって、前記個体の全血または血漿試料中のヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)化合物から代謝されるテノホビル(TFV)およびテノホビルジホスファート(TFV-DP)から選択される代謝産物の濃度を測定することと、順守を示すものとして、TFVの約100ng/mLもしくはそれを超える濃度またはTFV-DPの100ng/mLもしくはそれを超える濃度を同定することと、を含む方法。
【請求項2】
HIV感染症に罹患するリスクがある個体をカウンセリングするための方法であって、前記個体の全血または血漿試料中の、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)化合物から代謝されるテノホビル(TFV)およびテノホビルジホスファート(TFV-DP)から選択される代謝産物の濃度を測定することと、HIVに罹患するリスクを示すものとして、TFVの約100ng/mLもしくはそれ未満またはTFV-DPの175ng/mLもしくはそれ未満の濃度を同定することと、を含む方法。
【請求項3】
前記代謝産物がTFVである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記代謝産物がTFV-DPである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記NRTI化合物が、テノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)およびテノホビルアラフェナミド(TAF)を含む群の少なくとも1つである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
HIVに罹患するリスクがある個体におけるHIV感染症を予防するための方法であって、
テノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)およびテノホビルアラフェナミド(TAF)を含む群から選択されるNRTI化合物の服用を含む処置レジメンを前記個体に実施し、前記処置レジメンは、前記NRTI化合物の投薬スケジュールを含み、
前記個体の全血または血漿試料中の、TFVおよびTFV-DPから選択される代謝産物の濃度を測定し、
TFVの約100ng/mLもしくはそれ未満またはTFV-DPの175ng/mLもしくはそれ未満の濃度を同定し、
前記処置レジメンを修正すること、
を含む方法。
【請求項7】
前記処置レジメンを修正する工程が、前記NRTI化合物の前記投薬スケジュールを修正することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記投薬スケジュールを修正する工程が、事象主導型投薬(event-driven dosing)を開始することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記NRTI化合物が錠剤またはカプセルに製剤化される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記レジメンを修正する工程が、前記個体による前記NRTI化合物の消費に関するデータを記録する錠剤またはカプセルディスペンサを前記個体に投与することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記錠剤またはカプセルディスペンサが、前記個体による前記NRTI化合物の消費に関するデータをさらに送信する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記処置レジメンを修正する工程が、NNRTI化合物またはINSTI化合物を投与することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
対象から得られた生物学的試料中の代謝産物を同定する方法であって、前記生物学的試料をシステムに適用することを含み、前記システムは、前記代謝産物を検出するための少なくとも1つの方法と前記代謝産物に特異的に結合する少なくとも1つの分子とを含み、さらに前記代謝産物はNRTI化合物から代謝される、方法。
【請求項14】
前記システムがイムノアッセイを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記システムが、検査室ベースの方法を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記検査室ベースの方法がLC-MS/MSである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記生物学的試料が、尿試料、唾液試料、粘液試料、全血試料、血漿試料および乳試料を含む群から選択される少なくとも1つの試料である、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
NRTI化合物が検出されるまたは検出されない場合に、HIVに罹患するリスクが診断される、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記NRTI化合物が、TDFおよびTAFを含む群から選択される、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
対象から得られた生物学的試料中の代謝産物を検出するためのシステムを含むキットであって、前記代謝産物が、テノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)およびテノホビルアラフェナミド(TAF)の少なくとも1つから選択されるNRTI化合物から代謝される、キット。
【請求項21】
前記生物学的試料が、尿試料、唾液試料、粘液試料、全血試料、血漿試料および乳試料を含む群から選択される少なくとも1つの試料である、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
代謝産物を検出するための前記システムがイムノアッセイを含む、請求項20または21に記載のキット。
【請求項23】
代謝産物を検出するための前記システムがポイントオブケア装置を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項24】
対象における前記NRTI化合物の存在をモニタリングするための、請求項20~23のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項25】
対象における処置レジメンの順守をモニタリングするための、請求項20~23のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項26】
対象における予防レジメンの順守をモニタリングするための、請求項20~23のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項27】
対象における曝露前予防内服の順守をモニタリングするための、請求項20~23のいずれか一項に記載のキットの使用。
【請求項28】
対象をカウンセリングするための請求項24~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記対象がHIVに罹患するリスクがある、請求項28に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年4月1日に出願された米国仮特許出願第62/827,342号および2019年10月24日に出願された米国仮特許出願第62/925,543号の利益を主張し、その各々の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、毎年数百万人に感染し、膨大な罹患率および死亡率ならびに医療費につながる。これは致命的で感染性の疾患であるが、既に感染した患者においてウイルスを制御することができるところまで、薬物介入が進化している。この目的のために最も広く使用されている薬物の2つは、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)であるテノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)およびエムトリシタビン(FTC)であり、これらは錠剤Truvada(商標)でしばしば組み合わされる。別の製剤、テノホビルアラフェナミド(TAF)もNRTIとして広く使用されている。TAFは、2019年にFDAによって承認された錠剤Descovy(商標)においてFTCと組み合わせられている。
【0003】
2011年には、曝露前予防内服(PrEP)として毎日摂取した場合、Truvada(商標)は、HIV陰性患者におけるHIVの予防にも99%有効であることが発見された。PrEPは、米国ではCDCによって、世界的には世界保健機関によって、HIVのリスクがある何百万人もの人々のための強力なツールとして推奨されている。しかしながら、PrEPを毎日順守することは難題である。PrEPの順守は、新たな感染の予防のために極めて重要であるが、患者による自己申告および錠剤の計数は、順守をモニタリングするための信頼性の低い方法である。
【0004】
最適に満たない順守を正確に特定し、これらの集団におけるPrEPの有効性のために必要な順守レベルを維持するための戦略的な介入をどのように開発するかは、順守の問題を除けば極めて効果的なこの予防療法を実施する上での中心的な障害である。治療薬物モニタリングは、他の分野における順守、具体的には精神疾患の薬物療法の順守、薬物乱用障害の処置、および抵抗性高血圧患者における改善された血圧制御の評価に有用であった。さらに、修正を必要とする行動に密接したフィードバックが利用可能になると、行動の変化は最大化される。PrEPを受けている患者における投薬レベルを測定する他の手段(乾燥した血液スポット、毛髪分析)は、臨床試験外の患者にとって許容され得ない侵襲的収集手順を必要とし、適時の効果的な介入の実施を妨げる報告の遅延を伴い、最近のPrEPの使用を適切に反映していないことがあり得る順守情報を提供する。
【0005】
PrEPの順守の現在の測定は不十分である。自己申告された順守および薬局による補充データは単独では、PREP試験における実際の順守と十分に相関しない(Amico,K.R.2014)。都市環境においてHIVに罹患するリスクがある個体では、自己申告された服薬順守の水準は高いにもかかわらず、検出可能な血漿テノホビルのレベルの割合は、PrEPの開始後4週目での63.2%から24週目での20%までの範囲にわたった(Hosek 2012)。Fem-PrEP試験などの女性を対象とした試験でも同じことが当てはまり、女性の95%が製品を「常に」または「通常」使用したと報告しているにもかかわらず、研究対象の代表的標本の40%未満が血漿中に検出可能な薬物を有し、錠剤の計数は、試験薬物が日々の88%に摂取されたことを示唆していた(Amico 2013;Van 2012)。したがって、患者の体内のこれらの薬物のレベルの正確で、容易な一貫したモニタリングを可能にするシステムおよび装置が当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、順守をモニタリングし、曝露前予防内服レジメンを実行している個体のカウンセリングを行うための方法、使用およびキットを提供する。本開示は、レジメンの順守をモニタリングし、それに応じてレジメンの投薬スケジュールを調整または修正することによって、感染症に罹患するリスクがある患者のHIV感染症を予防する方法も提供する。
【0007】
本開示は、PrEPの順守を改善するためには、患者とPrEPレジメンの処方および/または投与を担当する医療提供者の両方が患者の体内の薬物のレベルをモニタリングできるようにすることが重要であるという発見に少なくとも部分的に基づいている。モニタリングされている患者は、薬剤療法の順守がより高いことを実証しており、この情報は、目標を定めた順守カウンセリングを提供するためにも極めて重要である。今日まで、テノホビルおよびエムトリシタビンのモニタリング方法は、侵襲的であり、痛みを伴い、高価であることが判明しており、リアルタイムデータを与えない。結果として、これらの方法は患者に受け入れられず、提供者にとっても特に有用ではなかった。その結果、モニタリングは、薬物順守を改善するために広く採用されている方法ではなかった。
【0008】
PrEPの順守は、HIV感染症の予防における有効性と密接に相関する。iPrEX試験は、TDF/FTCを服用したHIVに罹患するリスクがある2499人の個体が、プラセボを服用した個体と比較して、全体的にHIV獲得が44%減少したのに対して、PrEPを毎日服用した個体では99%減少したことを実証した(Grant 2010;Prejean 2011)。100万個の末梢血単核球(PBMC)あたり16fmolの細胞内テノホビルジホスファート濃度は、プラセボ群と比較してHIV獲得の90%の減少と関連していた(Anderson 2012)。STRAND研究で直接観察された投薬は、週に2回の投与で76%、週に4回の投与で96%、週に7回の投与で99%のHIV-1リスク低下に相当する細胞内テノホビル濃度をもたらした(Prejean 2011)。TDF/FTCの有効性が全体で63%、常用者で78%であった異性愛者の男性および女性のTDF2試験(Thigpen 2012)、ならびに有効性が全体で73%、常用者で90%であったPartners PrEP試験(Baeten 2012)においても、順守の重要性は実証された。対照的に、Fem-PrEP(Van 2012)およびVOICE試験において、TDF/FTCは、HIV感染症の予防に効果がないことが明らかにされ、これらの試験では順守が極めて悪いことが実証された。
【0009】
ポイントオブケア検査(POCT)キットおよび装置は、血糖値、感染症に対する尿検査、尿妊娠検査、便潜血、および迅速なHIV検査を含む多くの一般的に指示される検査の迅速な結果を臨床医に提供する。これらの検査は、典型的には、意思疎通および共有された意思決定を強化することによって、患者のケアに関する決定を知らせ、臨床医と患者の関係を向上させるのに役立ち得る情報を患者とのやりとりの間に提供するために、診療所環境内で行われる(Jones,C.H.2013)。POCTは、いくつかの環境、すなわち、病院の病床、外来診療環境(診療所または医師の職場)、代替ケア(高度看護施設)、および在宅環境で使用される。POCキットまたは装置が合法的に市場に出され、販売できるようになる前に、その表示は米国食品医薬品局(FDA)によって承認されなければならない。POCTは、輸送可能な、携帯用の手持ち式器具(例えば、血糖計)および検査キット(例えば、CRP、HbA1c、ホモシステイン、HIV唾液アッセイなど)の使用によって達成される。手持ち式装置が利用できない場合には、小型の移動可能な卓上型分析器または固定機器も使用することができる。現在利用可能なPOC検査の数は、1995年に利用可能であった10未満の検査から今日利用可能な約110の検査まで指数関数的に増加している。いくつか例を挙げると、真性糖尿病患者の糖血症のモニタリング、違法薬物の使用および乱用のモニタリング、経口抗凝固のモニタリングならびに妊娠の診断など、POCTの使用は、臨床医学の多くの側面を変化させてきた。検討中または開発中のPOCT用途には、発展途上国におけるHIV疾患のモニタリング、AIDSと診断されたHIV陽性患者におけるラクタート、CD4、HIV mRNAウイルス量、および薬剤耐性結核株のモニタリングが含まれる(Stevens,2010)。特にHIVの分野では、特に医療インフラが劣悪であり、医療への適時のアクセスが困難であり得るリソースが限られた状況において、HIVを診断するためのPOCTは、患者を迅速に治療につなげる能力を完全に変貌させた(Arora,D.R.2013)。さらに、データは、HIV状態を認識している個体はそうでない個体よりもリスク低減行動をとる可能性がより高いことを示唆している。
【0010】
治療薬物モニタリング(TDM)は、医師が他の臨床環境において治療濃度域内の薬物レベルをモニタリングおよび維持するのを補助するために効果的に使用されてきた。TDMは、様々な分野で不十分な処置応答の原因として不適切な順守を特定するのに有用であることが明らかとなっている(Brunen 2011;Brunen 2011;Hiemke 2008;Brinker 2014)。特に、TDMは、併存症の薬物乱用障害を有する精神科外来患者における精神疾患の薬物療法の順守の評価(Brunen 2011)、ブプロピオン、ブプレノルフィン、ジスルフィラム、メタドンおよびナルトレキソンを含む特定の参照薬物に対する薬物乱用障害の処置(Brunen 2011)、ならびに抵抗性高血圧症と診断された患者における血圧制御の改善(Brinker 2014)のための適切なツールであることが明らかとなっている。文献で言及されているTDMに対するさらなる制限には、TDMの結果を完全に信頼することを制限し得る「白衣服薬順守」(診療所訪問の前に順守が改善すること)(Podsadecki 2008)、および現在の形態では、TDMはすべての臨床環境に適しているわけではないことがあり得るという懸念が含まれる。したがって、臨床環境および臨床環境外の両方で使用することができ、良好な患者とのコミュニケーションと連動して強力なツールとして機能することができるTDM用のPOCTキット、システムおよび装置も当技術分野で必要とされている。
【0011】
本開示は、処置レジメンの順守をモニタリングするために治療剤を検出するための方法、使用およびキットを提供することによってこれらの必要性に対処する。いくつかの態様において、本開示は、対象から得られた生物学的試料中の代謝産物を検出するためのシステムを提供する。いくつかの実施形態において、開示されるシステムは、処置レジメンの順守をモニタリングするために治療剤を検出するのに有用である。いくつかの実施形態において、開示されるシステムは、POCTシステムおよびキットを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、生物学的試料は、対象から得られた尿試料、唾液試料、粘液試料、全血試料、血漿試料および乳試料を含む群から選択される少なくとも1つの試料である。いくつかの実施形態において、代謝産物は治療剤から代謝される。いくつかの実施形態において、代謝産物は予防剤から代謝される。いくつかの実施形態において、代謝産物は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)化合物から代謝され、取得され、または誘導される化合物である。いくつかの実施形態において、代謝産物はNRTI化合物から代謝される。いくつかの実施形態において、NRTIは、テノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)またはテノホビルアラフェナミド(TAF)を含む群のうちの少なくとも1つである。
【0013】
いくつかの態様において、本開示は、個体における代謝産物の存在をモニタリングするための方法を提供する。ある特定の実施形態において、開示されるモニタリング方法は、個体の全血または血漿試料中のヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)化合物から代謝されるテノホビル(TFV)およびテノホビルジホスファート(TFV-DP)などの代謝産物の濃度を測定することと、順守を示すものとして、TFVの約100ng/mLもしくはそれを超える濃度またはTFV-DPの100ng/mLもしくはそれを超える濃度を同定することと、を含み得る。患者から得られた全血または血漿試料中のNRTI化合物から代謝される代謝産物TFVの100ng/mLまたはそれを超える濃度は、その患者を順守しているとして特定するために使用され得るのに対して、患者からの全血または血漿試料中のNRTI化合物からのTFVの100ng/mL未満の濃度は、その患者を順守していないとして特定するために使用され得る。
【0014】
いくつかの態様において、本開示は、HIV感染症に罹患するリスクがある個体をカウンセリングするための方法を提供する。これらの方法は、個体の全血または血漿試料中のNRTI化合物から代謝されるTFVおよびTFV-DPなどの代謝産物の濃度を測定することと、HIVに罹患するリスクを示すものとして、TFVの約100ng/mLもしくはそれ未満またはTFV-DPの175ng/mLもしくはそれ未満の濃度を同定することと、を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、開示される方法は、患者から得られた全血または血漿試料中のNRTIからのTFV-DPの20ng/mLまたはそれを超える濃度を測定および決定することと、その患者を少なくとも部分的に順守していると同定することと、を含む。いくつかの実施形態において、開示される方法は、患者からの全血または血漿試料中のNRTIからのTFV-DPの175ng/mL未満の濃度を測定および決定すること、その患者を順守していないとして同定することとを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本開示は、HIVに罹患するリスクがある個体をカウンセリングする方法であって、患者から得られた全血または血漿試料中のNRTIからの代謝産物TFV-DPの約175ng/mLまたはそれ未満の濃度が、HIVに罹患するリスクとして同定される方法を提供する。
【0017】
他の態様において、本開示は、HIVに罹患するリスクがある個体におけるHIV感染症を予防する方法を提供する。開示されるHIV感染症を予防する方法は、テノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)およびテノホビルアラフェナミド(TAF)から選択されるNRTI化合物の開始用量を個体に投与することと、前記個体の試料中のTFVおよびTFV-DPから選択される代謝産物の濃度を測定することと、TFVの約100ng/mLもしくはそれ未満またはTFV-DPの175ng/mLもしくはそれ未満の濃度を同定することと、を含み得る。いくつかの実施形態において、これらの方法は、NRTI化合物投与の処置レジメンを修正する工程をさらに含む。他の実施形態において、これらの方法は、処方された投薬スケジュールを修正することをさらに含む。いくつかの実施形態において、処方された投薬スケジュールを修正する工程は、NRTI投与のタイミングを変更すること、例えば、投薬スケジュールを1日1回の投薬から事象主導型投薬に変更することを含む。いくつかの実施形態において、これらの方法は、第2のNRTI化合物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、これらの方法は、NNRTI化合物またはINSTI化合物などのNRTI化合物を含まない治療化合物を投与することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、NRTI化合物は、錠剤またはカプセルに製剤化される。いくつかの実施形態において、投薬スケジュールを修正する工程は、NRTI化合物を含む錠剤またはカプセルの個体の消費に関するデータを記録する錠剤またはカプセルディスペンサを個体に投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、ディスペンサは、錠剤またはカプセルの個体の消費に関するデータをさらに送信する。
【0019】
本開示は、対象から得られた生物学的試料中の代謝産物を同定する方法も提供する。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、対象から得られた尿試料、唾液試料、粘液試料、全血試料、血漿試料および乳試料を含む群から選択される少なくとも1つの試料である。いくつかの実施形態において、本開示は、試料中の代謝産物を同定する方法であって、対象から得られた生物学的試料をシステムに適用することを含み、システムは代謝産物の検出のための少なくとも1つの方法を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、システムは、少なくとも1つの代謝産物を特異的に結合する少なくとも1つの分子を含む。いくつかの実施形態において、システムは、少なくとも1つの代謝産物を検出するためのイムノアッセイを含む。いくつかの実施形態において、システムは検査室ベースの方法を含む。いくつかの実施形態において、検査室ベースの方法はLC-MS/MSである。
【0020】
いくつかの実施形態において、本開示は、試料中のNRTIからの代謝産物を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、NRTIは、TDF、FTCおよびこれらの任意の組み合わせを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、NRTIは、TAFを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、HIVに罹患するリスクは、NRTIが検出されるかまたは検出されない場合に診断される。
【0021】
一態様において、本開示は、対象から得られた生物学的試料中の代謝産物を検出するためのシステムを含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、対象から得られた尿試料、唾液試料、粘液試料、全血試料、血漿試料および乳試料を含む群から選択される少なくとも1つの試料である。
【0022】
いくつかの実施形態において、本開示は、対象から得られた生物学的試料中の代謝産物を検出するためのシステムを含むキットであって、前記代謝産物は治療剤に由来する、キットを提供する。いくつかの実施形態において、本開示のキットによる検出のための代謝産物はNRTIに由来する。いくつかの実施形態において、NRTIは、テノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)またはテノホビルアラフェナミド(TAF)を含む群のうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態において、代謝産物を検出するためのシステムはイムノアッセイを含む。いくつかの実施形態において、代謝産物を検出するためのシステムは、ポイントオブケア装置を含む。
【0023】
一態様において、本開示は、個体中のNRTIをモニタリングするために、対象から得られた生物学的試料中の代謝産物を検出するためのシステムを含むキットの使用を提供する。いくつかの実施形態において、キットの使用は、個体における処置レジメンの順守をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態において、キットの使用は、個体における予防レジメンの順守をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態において、キットの使用は、個体における曝露前予防内服の順守をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態において、キットの使用は、個体をカウンセリングすることを含む。いくつかの実施形態において、個体は、HIVに罹患するリスクがある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本開示の生物学的試料中の薬物物質の濃度を測定するための方法およびキットとともに使用され得る例示的なラテラルフロー装置の内部構造を示す。装置のラテラルフローストリップは、緩衝材と試料処理材料とを含有する試料パッドを含む。試料パッドは、薬物物質の誘導体に連結された標識を含有するコンジュゲートパッドと接触している。コンジュゲートパッドは、固体支持体として機能する移動膜と接触しており、移動膜は、その上に抗体が縞状に配置されており(「検査ライン」)、標的薬物の存在下および非存在下の両方でコンジュゲートを結合する抗体または結合パートナーを有する対照ラインを有する。例示的な装置は、装置を通る流れを促進するために、検査ゾーンの下流に吸収性パッドを有し得る。装置は、ストリップを収容し、装置に試料を添加するための開口部を設けるための筐体を有し得る。
【
図2】
図2は、本開示の方法およびキットとともに使用され得る例示的なラテラルフロー装置の筐体の側面図を示す。装置に試料を添加するための開口部が示されている。例示的な尿試料は、滴下具の使用によって添加されることが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、試料中の治療剤の存在または非存在を便利に検出するための、および治療剤の可変レベルを決定するためのシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態において、治療剤は予防剤である。
【0026】
本開示は、1つまたはそれより多くのNRTIが、NRTIを服用した患者の全血または血漿中に存在するという発見に関する。患者の全血または血漿中でのNRTIの発生は、患者が処方されたNRTIを服用したことの指標である。NRTIの量は、その後のNRTIの投与が存在しないと時間とともに減少する。したがって、本開示は、NRTIを処方された患者に対して、処方された処置計画への順守のレベルを評価するために使用することができる。いくつかの実施形態において、本開示は、発症前に、NRTIを以前に服用したことがある個体のNRTIレベルを評価するために使用することができ、前記個体はHIVに罹患するリスクがある。したがって、本開示の方法は、特定の処置の順守および特定の処置への応答をモニタリングするための新しい便利なプラットフォームを提供する。
【0027】
NRTIは、抗レトロウイルス療法(ART)のクラスに属する治療薬のサブクラスである。抗レトロウイルス療法には、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)およびインテグラーゼ鎖転移阻害剤(INSTI)も含まれるが、これらに限定されない。NNRTIの例としては、リルピビリン、エトラビリンおよびエファビレンツが挙げられる。INSTIの例としては、ラルテグラビルおよびドルテグラビルが挙げられる。
【0028】
いくつかの態様において、本開示は、患者試料中の治療剤の存在または非存在を便利に検出する方法を提供する。患者試料は、尿試料、唾液試料、血液試料および血漿試料の1つまたはそれより多くであり得る。いくつかの実施形態において、試料は、処置レジメンの一部として治療剤を処方されたことがある患者に由来する。
【0029】
いくつかの実施形態において、試料はHIVと診断された患者に由来する。いくつかの例において、試料はHIV感染のリスクがある患者に由来する。いくつかの実施形態において、試料は、処置レジメンの一部としてNRTIを処方されたことがある患者に由来する。いくつかの実施形態において、処置レジメンは予防的である。ある特定の実施形態において、試料は、HIVの処置のためにTruvada(商標)を服用している患者に由来する。ある特定の実施形態において、試料は、200mgのエムトリシタビンと300mgのテノホビルジソプロキシルフマラートとの組み合わせを服用している患者に由来する。いくつかの実施形態において、試料は、167mgのエムトリシタビンと250mgのテノホビルジソプロキシルフマラートとの組み合わせを服用している患者に由来する。いくつかの実施形態において、試料は、PrEPとしてTruvada(商標)を服用している患者に由来する。
【0030】
ある特定の実施形態において、試料は、HIVの処置のためにDescovy(商標)を服用している患者に由来する。いくつかの実施形態において、試料は、200mgのエムトリシタビンと25mgのテノホビルアラフェナミドとの組み合わせを服用している患者に由来する。いくつかの実施形態において、試料は、PrEPとしてDescovy(商標)を服用している患者に由来する。
【0031】
いくつかの実施形態において、試料は、NRTIを服用している患者に由来する。いくつかの実施形態において、NRTIはTDFである。いくつかの実施形態において、NRTIはFTCである。いくつかの実施形態において、NRTIはTAFである。いくつかの実施形態において、NRTIはTDFとFTCの両方である。いくつかの実施形態において、NRTIはTAFおよびFTCの両方である。いくつかの実施形態において、NRTIはTruvada(商標)である。いくつかの実施形態において、NRTIはDescovy(商標)である。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示は、検体中のNRTIを検出するために使用することができる装置に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、POCTの形態の、NRTIを検出するためのシステムを提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、手持ち式装置の形態の、NRTIを検出するためのシステムを提供する。いくつかの実施形態において、手持ち式装置は、検査ストリップなどのPOCTと相互作用し得る。いくつかの実施形態において、手持ち式装置は、コンピュータソフトウェア、アプリケーション(アプリ)、またはウェブベースの評価ツールと連動し得る。いくつかの実施形態において、コンピュータソフトウェア、アプリ、またはウェブベースの評価ツールは、予防的処置レジメンの順守をモニタリングするために医師に結果を提供することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータソフトウェアと連動する手持ち式装置は、個体による自己モニタリングに有用である。
【0033】
他の実施形態において、本開示の方法は、試料中のNRTIを効果的に検出するための当技術分野で公知の任意の方法を含み得る。適切な方法には、イムノアッセイ、酵素アッセイ、質量分析、バイオセンサおよびクロマトグラフィーが含まれるが、これらに限定されない。したがって、本開示の方法は、NRTIを検出するための任意の種類の手段の使用を含む。
【0034】
本開示は、PrEPレジメンの順守をモニタリングするためのキットおよびシステムを提供する。本開示のキットは、試料適用領域とNRTIの存在もしくは非存在またはNRTIの可変レベルを示すためのおよび読み取り可能な検出領域とを有する、利用者にとって使いやすいポイントオブユースまたはポイントオブケアプラットフォーム、例えばラテラルフロー装置の形態を取り得る。いくつかの実施形態において、読み取り可能な検出領域は、検査ラインおよび対照ラインを含み、検査ラインはNRTIを検出し、対照ラインは、試験されている流体中に存在するマーカーの存在または非存在を検出する。好ましくは、試験されている流体は全血または血漿であり、マーカーにはIgG、IgDまたはIgAが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
いくつかの実施形態において、検査ラインとの対照ラインの比較が検査結果を与える。いくつかの例において、対照ラインが検査ラインより高い強度レベルで検出されたときに妥当な結果が生じる。例えば、対照ラインが検査ラインより濃い場合に妥当な結果が生じる。すなわち、対照ラインは、評価されている試料が全血または血漿であることを確認するための本開示の診断システム用の内部対照に相当する。
【0036】
いくつかの実施形態において、対照ラインは、検査が正しく実行されたことを保証する参照ラインである。対照ラインは、結果が陽性であるかまたは陰性であるかを読み取り装置が決定するときの参照としても使用される。例えば、本開示のシステムは、対照ラインが検査ラインより高い強度で検出される場合に、試料中のNRTIを検出するのに有用である。いくつかの例において、検査ラインが対照ラインより濃い場合、検査は無効な結果を有すると言われる。検査ラインが対照ラインより明るい場合、検査は妥当な結果を有すると言われる。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示のシステムは、抗体およびその他の試薬がその上に塗布されるセルロース膜のストリップを利用するラテラルフローイムノアッセイによってNRTIを検出する。例えば、検査試料は、毛細管作用によりストリップに沿って移動し、ストリップに沿った異なる点で試薬と反応する。最終結果は、検出可能な線またはスポットの出現または非存在である。いくつかの実施形態において、ラテラルフロー装置は、機械によって読み取ることができるカートリッジの形態であり得る。好ましくは、機械は自動化されている。
【0038】
いくつかの実施形態において、本開示のNRTIは、臨床検査の形態をとるシステム、例えばある種の付番されたウェルプレート(例えば、96ウェルプレート)中で検出することができる。
【0039】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を本開示の検査の実施に使用することができるが、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。本開示の説明および特許請求において、以下の用語が使用される。
【0040】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0041】
冠詞「a」および「an」は、本明細書では、その冠詞の文法的対象の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多くの要素を意味する。
【0042】
以下のような変動は開示された方法を実行するのに適しているので、量、持続時間などの測定可能な値を指すときに本明細書で使用される「約」は、指定された値から±20%またはいくつかの例においては±10%、またはいくつかの例においては±5%、またはいくつかの例においては±1%、またはいくつかの例においては±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0043】
「異常な」という用語は、生物、組織、細胞またはこれらの成分の文脈で使用される場合、「正常な」(予想される)それぞれの特徴を示す生物、組織、細胞またはこれらの成分と少なくとも1つの観察可能または検出可能な特徴(例えば、年齢、処置、時刻など)が異なる生物、組織、細胞またはこれらの成分を指す。ある細胞または組織型について正常であるまたは予想される特徴は、異なる細胞または組織型について異常であり得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「親和性部分」は、分析物、代謝産物または検査試料中の検出されるべきその他の標的とされる分子などの特定の標的分子に特異的に結合する抗体、アプタマー、ペプチドまたは核酸などの結合分子を指す。
【0045】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然源または組換え源に由来する完全な状態の免疫グロブリンであり得、完全な状態の免疫グロブリンの免疫反応性部分であり得る。抗体は、典型的には、免疫グロブリン分子の四量体である。本開示における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、ならびに一本鎖抗体およびヒト化抗体を含む様々な形態で存在し得る(Harlowら、1999,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlowら、1989,In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houstonら、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;Birdら、1988,Science 242:423-426)。
【0046】
本明細書で使用される「抗体重鎖」は、天然に存在する立体構造にあるすべての抗体分子中に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちの大きい方を指す。
【0047】
本明細書で使用される「抗体軽鎖」は、天然に存在する立体構造にあるすべての抗体分子中に存在する2種類のポリペプチド鎖のうち小さい方を指し、κおよびλ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
【0048】
本明細書で使用される「合成抗体」という用語は、例えば本明細書に記載されるバクテリオファージによって発現される抗体などの、組換えDNA技術を使用して生成される抗体を意味する。この用語はまた、当該抗体をコードし、抗体タンパク質を発現するDNA分子または当該抗体を規定するアミノ酸配列の合成によって生成された抗体であって、前記DNAまたはアミノ酸配列は、当技術分野において利用可能な周知の合成DNAまたはアミノ酸配列技術を使用して取得された、抗体を意味すると解釈すべきである。
【0049】
抗体に関して本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、特定の抗原を認識するが、試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種からの抗原に特異的に結合する抗体は、1つまたはそれより多くの種からのその抗原にも結合し得る。しかし、そのような交差種反応性は、それ自体、特異的という抗体の分類を変更しない。別の例では、抗原に特異的に結合する抗体は、抗原の異なる対立遺伝子型にも結合し得る。しかしながら、そのような交差反応性は、それ自体、特異的という抗体の分類を変更しない。いくつかの例において、「特異的な結合」または「特異的に結合する」という用語は、相互作用が化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを意味するために、抗体、タンパク質またはペプチドの第2の化学種との相互作用に関して使用することができ、例えば、抗体は、一般にタンパク質ではなく特定のタンパク質構造を認識して、特定のタンパク質構造に結合する。抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、標識された「A」および抗体を含有する反応における、エピトープAを含有する分子(または遊離の標識されていないA)の存在は、抗体に結合された標識されたAの量を減少させる。
【0050】
本明細書で使用される「アプリケータ」という用語は、本開示の組成物を対象に投与するための、皮下注射器、ピペット、イオン導入装置、パッチなどを含むがこれらに限定されない任意の装置を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、本開示の文脈における「代謝産物」または「マーカー」は、分解産物、タンパク質-リガンド複合体、要素、関連代謝産物、および他の分析物または試料由来の指標とともに、分析物および代謝産物を包含するが、これらに限定されない。「マーカー」は、数学的に作成された任意の計算された指数、または時間的傾向および差を含む前述の測定値の任意の1つまたはそれより多くの組み合わせも含む。
【0052】
「NRTIから代謝される代謝産物」および「NRTIから得られる代謝産物」という用語は、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤化合物から特異的に代謝されるまたは代謝された代謝産物、例えば前記化合物を対象に投与した後に対象の体内で代謝される代謝産物を指す。非限定的な例として、テノホビル(TFV)は、NRTIであるテノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)およびテノホビルアラフェナミド(TAF)から代謝される活性代謝産物である。本用語は、NRTI化合物のプロドラッグから代謝される活性NRTI化合物を包含する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「バイオセンサ」は、試料中の分析物を検出するための分析装置である。バイオセンサは、特定の分析物を認識または捕捉することができる認識要素と、分析物の存在または非存在を検出可能なシグナルに伝達する変換器とを含むことができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、1つまたはそれより多くの代謝産物に関する「データ」という用語、または「代謝産物データ」という用語は、一般に、試料中の代謝産物の生成物の絶対および/または相対存在量(レベル)を反映したデータを指す。本明細書で使用される場合、1つまたはそれより多くの代謝産物に関する「データセット」という用語は、対象の参照集団における代謝産物のパネルの1つまたはそれより多くの代謝産物生成物のそれぞれのレベルを表すデータのセットを指す。データセットは、本開示の式/分類指標を生成するために使用することができる。いくつかの実施形態によれば、データセットは、参照集団の各個体について、パネルの各代謝産物生成物についてのデータを含む必要はない。例えば、「データセット」は、式に対して適用されるべきデータセットの文脈で使用される場合、1つまたはそれより多くの集団中の各個体について各代謝産物のレベルを表すデータを指すことができるが、理解されるように、前記1つまたはそれより多くの集団の各々中の個体の99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%またはそれ未満についての各代謝産物のレベルを表すデータを指すこともでき、式に対して適用するという目的に関してなお有用であり得る。
【0055】
「対照」または「参照標準」という用語は、対照または参照標準が、これに対して試料を比較することができる比較基準として機能し得るように、本開示のマーカー(または代謝産物)の1つもしくはそれより多くを含まない、または正常な、低いもしくは高いレベルの本開示のマーカー(または代謝産物)の1つもしくはそれより多くを含む材料を記載する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「検出試薬」という用語は、試料中の検出されるべき分析物、代謝産物またはその他の標的とされる分子に特異的に結合する親和性部分を含む薬剤を指す。検出試薬は、例えば、放射性同位体、蛍光標識、磁気標識および酵素などの検出可能な部分、またはビオチンもしくはジゴキシゲニンなどの化学的部分を含み得る。検出可能な部分は、検出可能な部分の標識された特異的結合パートナーの使用によって直接的または間接的に検出されることができる。あるいは、検出可能な部分の特異的結合パートナーは、検出可能な生成物を生成する酵素系に共役されることができる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「検出用分子(detector molecule)」は、関心対象の化合物を検出するために使用され得る分子である。検出用分子の非限定的な例は、限定されないが、抗体、同族受容体および小分子などの関心対象の化合物に特異的に結合する分子である。
【0058】
「マーカー(または代謝産物)濃度のレベルを決定する」という語句は、任意のマーカー生成物の十分な部分を検出するために当業者に利用可能な技術を使用して、試料中のマーカーの量を評価することを意味する。
【0059】
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができず、その疾患が改善されない場合、その動物の健康が悪化し続ける動物の健康状態である。
【0060】
本明細書で使用される場合、「イムノアッセイ」は、その同族抗原への抗体の反応、例えばタンパク質への抗体の特異的結合を使用して、生物学的試料などの試料中の物質の存在または濃度を測定する生化学的試験を指す。抗原の存在または存在する抗原の量の両方を測定することもできる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「説明資料」は、本明細書に開示される代謝産物を検出するためのキットにおける本開示の構成要素の有用性を伝えるために使用することができる刊行物、記録、図または任意のその他の表現媒体を含む。本開示のキットの説明資料は、例えば、本開示の構成要素を含有する容器に貼付することができ、または構成要素を含有する容器と一緒に出荷することができる。あるいは、受領者によって説明資料および構成要素が連携して使用されることを意図して、説明資料は、容器とは別個に出荷することができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「標識」という用語は、「標識された」プローブを生成するために、プローブに直接的にまたは間接的にコンジュゲートされる検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、単独で検出可能であり得(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)、または酵素標識の場合、検出可能な基質化合物または組成物の化学的変化を触媒し得る(例えば、アビジン-ビオチン)。いくつかの例において、PCR産物を検出するために、プライマーを標識することができる。
【0063】
1つまたはそれより多くの代謝産物の「レベル」は、試料中の代謝産物の絶対的または相対的な量または濃度を意味する。
【0064】
「マーカー」は、本用語が本明細書で使用される場合、検出することが可能な分子を指す。したがって、本開示によるマーカーには、核酸、ポリペプチド、炭水化物、脂質、無機分子、有機分子、分析物、代謝産物または放射性標識が含まれるが、これらに限定されず、これらの各々は、サイズおよび特性が大きく異なり得る。「マーカー」は、当技術分野で公知の任意の手段を使用して、または当業者がマーカーを考慮した場合にのみ明らかになるこれまで知られていない手段によって検出することができる。マーカーは、直接的な手段を使用して、または中間処理および/もしくは検出の複数の工程を含む方法によって検出され得る。「タグ」という用語も、「マーカー」という用語と互換的に使用されるが、「タグ」という用語は、特定の態様においては、1つまたはそれより多くの他の分子と結合されたマーカーを含めるためにも使用され得る。
【0065】
「測定すること」または「測定」、あるいは「検出すること」または「検出」は、臨床試料または対象由来の試料内の所定の物質の存在、非存在、量(quantity)もしくは量(amount)(有効量であり得る)を評価すること(このような物質の定性的または定量的濃度レベルの導出を含む)、またはその他対象の臨床パラメータの値またはカテゴリー化を評価することを意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「順守をモニタリングする」という用語は、患者が処置の定められた過程を順守していることを判定することを指す。順守は、処置の定められた過程の投薬量および頻度を含む側面を順守することを包含する。
【0067】
「患者」、「対象」、「個体」などの用語は、本明細書では互換的に使用され、インビトロまたはインサイチューにかかわらず、本明細書に記載の方法に適した任意の動物またはその細胞を指す。ある特定の非限定的な実施形態において、患者、対象または個体はヒトである。
【0068】
本明細書で使用される「ポリペプチド」は、モノマーがアミド結合によって互いに結合されたアミノ酸残基であるポリマーを指す。アミノ酸がα-アミノ酸である場合、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれかを使用することができ、L-異性体が好ましい。本明細書で使用される「ポリペプチド」または「タンパク質」または「ペプチド」という用語は、任意のアミノ酸配列を包含することを意図し、糖タンパク質などの修飾された配列を含む。「ポリペプチド」または「タンパク質」または「ペプチド」という用語は、天然に存在するタンパク質のみならず、組換えまたは合成的に産生されるタンパク質を包含することを特に意図している。「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、グリコシル化された形態などの、タンパク質の天然に存在する修飾形態を含むことに留意されたい。
【0069】
本明細書で使用される場合、「予後を提供する」という用語は、重症度、持続期間、回復の可能性などの予測を含む、疾患、障害または症状の推定される経過および転帰の予測を提供することを指す。前記方法は、例えば、症状が未だ初期段階にあるか否か、または積極的治療が無効になる段階まで症状が進行しているかどうかを示すことによって、適切な治療計画を考案するために使用することもできる。
【0070】
代謝産物の「参照レベル」は、薬物の治療レベルを示す代謝産物のレベルを意味する。
【0071】
本開示による「リスク」という用語は、現在HIVと診断されていない特定の患者が、現在HIVと診断されている個体からの体液に曝露され得るか、またはその他HIVに曝露され得ることを発見することを含む。
【0072】
本明細書で使用される「試料」、「検体」または「生物学的試料」は、個体から単離された生物学的材料を意味する。生物学的試料は、所望の代謝産物を検出するのに適した任意の生物学的材料を含有し得、個体から得られた細胞性および/または非細胞性材料を含み得る。
【0073】
本明細書で使用される「固体支持体」、「支持体」および「基板」という用語は互換的に使用され、剛性または半剛性の1つまたは複数の表面を有する材料または材料群を指す。いくつかの実施形態において、固体支持体の少なくとも1つの表面は実質的に平坦であるが、いくつかの実施形態において、例えばウェル、隆起領域、ピン、エッチングされた溝などによって、異なる化合物のための合成領域を物理的に隔てることが望ましい場合がある。他の実施形態によれば、固体支持体は、ビーズ、樹脂、ゲル、マイクロスフェアまたは他の幾何学的構造の形態をとる。例示的な基板については、米国特許第5,744,305号明細書を参照されたい。
【0074】
「治療濃度」または「治療レベル」は、治療上の利益が得られる物質の濃度である。
【0075】
本明細書で使用される「処置レジメン」または「医療レジメン」という用語は、疾患または症状を処置または予防するために個体によって服用されている任意の医薬品の少なくとも頻度および投与量に関する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「投薬スケジュール」は、医薬品または薬学的組成物などの治療薬の投与のタイミングを指す。本明細書で使用される場合、「事象主導型投薬」は、性交渉を行うなどの事象の発生前および/または後に主としてまたは専ら治療薬を投与することを指す。治療薬の投与は、事象の発生もしくは発生が予測される直前、事象の発生の直後、および/または発生の数時間もしくは数日後に行い得る。事象主導型投薬のいくつかの実施形態において、投与は、性交渉が予想される1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、10時間前、12時間前、18時間前または24時間前に行われる。いくつかの実施形態において、投与は、何らかの発生後1時間以内、2時間以内、5時間以内、10時間以内、24時間以内、2日以内、3日以内、1週間以内または2週間以内に行われる。いくつかの実施形態において、投与は事象の発生前と発生後の両方で行われる。
【0077】
記述
本開示は、試料中のNRTIの存在または非存在を便利にモニタリングするためのシステムおよび方法に関する。好ましくは、試料は尿である。患者の全血または血漿中でのNRTIの発生は、患者が処方されたNRTIを服用したことの指標である。いくつかの実施形態において、本開示は、NRTIを処方された患者に対する処方された処置計画の非順守のレベルを評価するために使用することができる。いくつかの実施形態において、本開示は、発症前に、NRTIを以前に服用したことがある個体のNRTIレベルを評価するために使用することができ、前記個体はHIVに罹患するリスクがある。
【0078】
本開示は、全血または血漿中のNRTIを検出するための方法およびシステムを提供し、前記システムは、検査試料が実際に尿であることを確実にするために対照も含む。全血または血漿に対するNRTIおよび対照は、任意の適切なアッセイによって同定され得る。適切なアッセイは、酵素アッセイ、イムノアッセイ、質量分析、クロマトグラフィー、電気泳動、バイオセンサ、抗体マイクロアレイまたはこれらの任意の組み合わせの1つまたはそれより多くを含み得る。イムノアッセイが使用される場合、イムノアッセイは、酵素結合免疫吸着イムノアッセイ(ELISA)、サンドイッチアッセイ、競合的アッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラテラルフローイムノアッセイ、ウエスタンブロット、バイオセンサを使用するイムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、凝集アッセイ、濁度アッセイまたは比濁分析アッセイであり得る。好ましい方法は、ラテラルフローなどの迅速なイムノアッセイプラットフォームを利用するイムノアッセイである。
【0079】
したがって、本開示は、全血または血漿などの生物学的試料中のNRTIを検出するためのシステム(プラットフォームなど)を提供する。いくつかの実施形態において、システムは、在宅または臨床環境でNRTIの存在または非存在を迅速に検出することができる便利なポイントオブケア装置を提供する。ポイントオブケア装置の1つの非限定的な例は、ラテラルフローイムノアッセイである。ラテラルフローイムノアッセイは、イムノアッセイのための固体支持体として、その上に試薬(例えば、標的分析物に対して特異的な抗体または抗原)のラインを適用することができる膜、好ましくはニトロセルロースなどのセルロース膜のストリップを利用する。複数の分析物は、試薬の適用領域の位置を空間的に分離することによってアッセイすることができる。他の重要な試薬および試料調整材料のための検査ラインの下には、追加の試薬パッドを使用することができる。試料が検査装置に添加されると、溶液は検査ラインの下のパッドを横切って流れ、試料調整化合物およびアッセイのための極めて重要な試薬を再水和し、次いで特定の検査ラインを通過し、視覚的指標(コロイド金、着色されたラテックスまたは当業者に公知の他の標識)またはシグナルを測定するために機器を必要とする標識(蛍光、化学発光)であり得る検出標識を堆積させる。検査ライン付近を通過する流体を吸収するために、検査ラインの上に追加の材料を追加することができる。
【0080】
最終結果は、色が付いた線またはスポットの出現または非存在であり、これを対照ラインと比較することができる。いくつかの例においては、対照ラインは、検査される試料が実際に全血または血漿であることを確実にするために、全血または血漿のマーカーの検出に有用である。好ましくは、全血または血漿のマーカーは、検査される試料が全血または血漿であることを確認するために、他の一般的なマトリックス(すなわち、尿)中の量と比較して全血または血漿中に有意に異なる濃度で存在する。
【0081】
いくつかの実施形態において、システムは、ベースまたは支持層と、液体試料が力によってまたは毛細管作用によって流路に沿って流れることができる少なくとも1つの吸収層を含む吸収性マトリックスとを含み得る。ベース層も吸収性であり得、液体試料の流路が吸収性マトリックスとベース層の両方を通過するように、吸収性マトリックスと流体連通し得る。流路は少なくとも2つの領域を含み、第1の領域は試料適用領域であり、第2の領域は検出領域である。
【0082】
いくつかの実施形態において、イムノアッセイは、関心対象の分析物を固定および検出するために1つの分子に対して特異的な2つの抗体または結合パートナーを利用することができるサンドイッチフォーマットとすることができる。より小さい分子は、関心対象の薬物を検出するために1つの抗体または結合パートナーのみが利用される競合的フォーマットを使用して検出することができる。アッセイは、薬物が存在する場合に線が現れる正の読み取り、または薬物が存在する場合に線が消失する負の読み取りを提供する方法での形式とすることができる。
【0083】
本開示のいくつかの実施形態は、イムノアッセイにおける利用のために、関心対象の薬物または薬物代謝産物に対して高い特異性を有する抗体または結合パートナーの産生を伴う。抗体は、薬物投与の順守のモニタリングを可能にするイムノアッセイの設計を可能にするために、標的薬物または薬物代謝産物に対して高い特異性を有するべきである。抗体の産生は、動物を免疫するために利用することができる誘導体の合成を必要とする。誘導体は、試料中に存在し得る他の物質に対する交差反応性を最小限に抑えながら標的分子の認識を最大化するように設計される。誘導体は、免疫認識を増強し、抗体の産生を可能にするために担体タンパク質に連結される。抗体は、ポリクローナル抗体またはより好ましくはモノクローナル抗体であり得る。抗体の設計および産生は当技術分野で周知である。
【0084】
本開示のいくつかの実施形態において、検査装置は、単一の薬物物質を測定する負の読み取りを伴うラテラルフローフォーマットを利用する競合的イムノアッセイである。ラテラルフローストリップは、緩衝材と試料処理材料とを含有する試料パッドを有する。試料パッドは、薬物物質の誘導体に連結された標識を含有するコンジュゲートパッドと接触している。コンジュゲートパッドは、ニトロセルロースなどの固体支持体と接触しており、固体支持体は、その上に抗体が縞状に配置されており、標的薬物の存在下および非存在下の両方でコンジュゲートを結合する抗体または結合パートナーを有する対照ラインも有する。検査装置は、装置を通る流れを促進するために、検査ゾーンの下流に吸収性パッドを有し得る。装置は、ストリップを収容し、装置に試料を添加するための開口部を設けるための装置筐体を任意に有してもよい。検査ゾーンおよび対照ゾーンに線が存在することは、対象が標的薬物を日常的に服用していなかったことを示し、線が存在しないことは、対象が薬物を服用していたことを示す。
【0085】
本開示のいくつかの実施形態において、検査装置は、単一の薬物物質を測定する負の読み取りを伴うラテラルフローフォーマットを利用する競合的イムノアッセイである。ラテラルフローストリップは、緩衝材と試料処理材料とを含有する試料パッドを有する。試料パッドは、薬物物質に対して作られた抗体に連結された標識を含有するコンジュゲートパッドと接触している。コンジュゲートパッドは、ニトロセルロースなどの固体支持体と接触しており、固体支持体は、その上に標的薬物の誘導体が縞状に配置されており、標的薬物の存在下および非存在下の両方でコンジュゲートを結合する抗体または結合パートナーを有する対照ラインも有する。検査装置は、装置を通る流れを促進するために、検査ゾーンの下流に吸収性パッドを有し得る。装置は、ストリップを収容し、装置に試料を添加するための開口部を設けるための装置筐体を任意に有してもよい。検査ゾーンおよび対照ゾーンに線が存在することは、対象が標的薬物を日常的に服用していなかったことを示し、線が存在しないことは、対象が薬物を服用していたことを示す。
【0086】
本開示のいくつかの実施形態において、検査装置は、単一の薬物物質を測定する正の読み取りを伴うラテラルフローフォーマットを利用する競合的イムノアッセイである。ラテラルフローストリップは、緩衝材と試料処理材料とを含有する試料パッドを有する。試料パッドは、薬物物質に対して作られた抗体に連結されている標識を含有するコンジュゲートパッドと接触している。コンジュゲートパッドは、ニトロセルロースなどの固体支持体と接触しており、固体支持体には、使用者に見えない位置に標的薬物の誘導体が縞状に配置されており、薬物に関連していないコンジュゲートに対する結合パートナー(例えば、アビジン/ビオチン)が検査ラインに配置されている。固体支持体は、装置が実行されたことを示すために、二次コンジュゲートを結合する抗体または結合パートナーを有する対照ラインも有する。検査装置は、装置を通る流れを促進するために、検査ゾーンの下流に吸収性パッドを有し得る。装置は、ストリップを収容し、装置に試料を添加するための開口部を設けるための装置筐体を任意に有してもよい。検査ゾーンおよび対照ゾーンに線が存在することは、対象が標的薬物を日常的に服用していたことを示し、線が存在しないことは、対象が薬物を服用していなかったことを示す。
【0087】
本開示のいくつかの実施形態において、検査装置は、薬物物質の組み合わせを測定する負の読み取りを伴うラテラルフローフォーマットを利用する競合的イムノアッセイである。ラテラルフローストリップは、緩衝材と試料処理材料とを含有する試料パッドを有する。試料パッドは、薬物物質の2つまたはそれより多くの誘導体に連結された標識を含有するコンジュゲートパッドと接触している。コンジュゲートパッドは、ニトロセルロースなどの固体支持体と接触しており、固体支持体は、2つまたはそれより多くの検査位置においてその上に抗体が縞状に配置されており、標的薬物の存在下および非存在下の両方でコンジュゲートを結合する抗体または結合パートナーを有する対照ラインも有する。検査装置は、装置を通る流れを促進するために、検査ゾーンの下流に吸収性パッドを有し得る。装置は、ストリップを収容し、装置に試料を添加するための開口部を設けるための装置筐体を任意に有してもよい。この実施形態においては、2つまたはそれより多くの薬物の反応性のパターンは、これらの薬物に対する推奨される投薬、例えば、定期的な投薬スケジュールまたは事象主導型投薬スケジュールの順守を示すことができる。1つの可能性のある結果においては、2つの陽性検査ラインまたはスポットというラテラルフロー検査の読み取りは、試料を提供している個体が処方された投薬スケジュールに従ってNRTIを服用していたことを示すことができるのに対して、1つの陽性検査ラインまたはスポットというラテラルフロー検査の読み取りは、試料を提供している個体がNRTIを服用していたが処方された投薬スケジュールに従って服用していなかったことを示すことができ、0個の陽性検査ラインまたはスポットというラテラルフロー検査の読み取りは、試料を提供する個体がNRTIを服用していなかったことを示すことができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、本開示のNRTIは、臨床検査の形態をとるシステム、例えばある種の付番されたウェルプレート(例えば、96ウェルプレート)中で検出することができる。いくつかの実施形態において、ラテラルフロー装置は、機械によって読み取ることができるカートリッジの形態であり得る。好ましくは、機械は自動化されている。
【0089】
いくつかの実施形態において、本開示のシステムは、(i)POCT装置および(ii)デジタル装置を含む。いくつかの実施形態において、デジタル装置はPOCT装置と相互作用する。いくつかの実施形態において、デジタル装置は、POCT装置からの結果を分析する。いくつかの実施形態において、デジタル装置は、POCT装置からの結果を記録する。いくつかの実施形態において、デジタル装置は、POCT装置からの結果を報告する。いくつかの実施形態において、デジタル装置は、複数のPOCT装置からの結果を分析、記録および/または報告する。
【0090】
開示されている本開示は、NRTI濃度を測定するために選択されるプラットフォームに限定されない。迅速な検査は周知であり、ラテラルフロー、フロースルー、キャピラリー、バイオセンサおよび多くの他のフォーマットの形式とすることができる。
【0091】
健康プロファイル
いくつかの実施形態において、本開示は、対象の健康プロファイルを生成するための、1つまたはそれより多くの医療レジメンの順守を含む因子の同定に関する。いくつかの実施形態において、医療レジメンは予防レジメンである。したがって、本開示は、因子の検出および本明細書に開示される健康プロファイルの評価によって、1つまたはそれより多くの予防的薬物療法がそのために処方されている症状を発症するリスクがある対象を同定するための方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、医療レジメンは処置レジメンである。これらの因子またはその他の健康プロファイルは、処置および治療を受けている対象をモニタリングするのに、ならびに許容され得る代替物が利用可能である場合に、低い順守率を有する対象において有効であると思われる代替物に治療および処置レジメンを選択しまたは修正するのにも有用である。
【0092】
HIVを発症するリスクは、本明細書に記載の因子の1つまたはそれより多くを測定し、因子の存在および値を参照値または指標値と比較することによって評価することができる。そのような比較は、複数の個々の因子およびその他のパラメータの結果からの情報を単一の測定値または指標に組み合わせるために、数学的アルゴリズムまたは式を用いて行うことができる。HIVのリスクが増大していると同定された対象は、任意に、カウンセリング、モニタリングの頻度の増加、または治療化合物の投与などの処置レジメンを受けるように選択することができる。治療化合物の投与には、抗レトロウイルス療法(ART)の投与が含まれる。ARTの投与には、NRTIの投与、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)またはインテグラーゼ鎖転移阻害剤(INSTI)の投与が含まれるが、これらに限定されない。HIVを有する対象は、個別の健康プロファイルと比較して、カウンセリングまたは増加した頻度のモニタリングを受けるように任意に選ばれることができる。
【0093】
したがって、本開示の因子は、(i)HIVを有しておらず、HIVを発症すると予想されていない対象および/または(ii)HIVを有しているもしくは発症すると予想される対象の健康プロファイルまたはシグネチャを生成するために使用することができる。対象の健康プロファイルは、HIVを発症するリスクがある対象を診断または同定するために、予防レジメンの順守をモニタリングするために、およびNRTIまたはその他の予防薬の有効性をモニタリングするために、所定のプロファイルまたは参照プロファイルと比較することができる。本開示の因子に関するデータは、臨床パラメータの測定値またはHIVのためのその他のアルゴリズムなどの、ただしこれらに限定されない他のデータまたは検査結果と組み合わせまたは相関させることもできる。
【0094】
本明細書中に記載される開示の方法から得られた情報は、単独で、または対象からのもしくは対象から得られた生物学的試料からの他の情報(例えば、年齢、人種、性的指向、バイタルサイン、血液化学など)と組み合わせて使用することができる。
【0095】
本開示の様々な実施形態は、複数の時点での個体における予防薬のレベルをモニタリングし、追跡し、報告するための方法およびシステムを記載する。いくつかの実施形態において、開示される方法およびシステムは、個体からの複数の試料から、予防的処置レジメンに関連する代謝産物の濃度についてのデータを収集することを可能にする。開示されたシステムは、予防薬に関連する代謝産物のレベルの変化(すなわち、増加または減少)が単一の個体からのその後の試料において検出されたときに、予防薬がそのために処方された障害または症状を発症するリスクの可能性について使用者/評価者に通知し得る。例えば、いくつかの実施において、システムは、予防薬の投与後1、2、3および4日目に使用者/評価者によってシステムに入力されたまたはシステムによって自動的に記録された代謝産物の存在を記録し、追加の予防薬の介在投与が存在しない場合に個体が障害に罹患するリスクが高い日を予測するパターンを認識するためのアルゴリズムを適用する。アルゴリズム分析は、例えば、中央(例えば、クラウドベースの)システムで行われ得る。クラウドにアップロードされたデータは、学習アルゴリズムがすべての患者の集合的データセットに基づいて分析を精緻化するように、保管し、収集することができる。いくつかの実施において、収集されたデータに基づいて客観的に、早期に、および少なくとも半自動的にリスクを診断するのを補助するために、システムは、定量化された臨床的特徴と生理学を組み合わせる。
【0096】
いくつかの実施形態において、システムは、個々の対象による個人的な使用および追跡のためのものである。いくつかの実施形態において、システムからのデータは中央システムにアップロードされ、提供者はデータを評価し、診断または推奨を行う。提供者は、いくつかの実施において、POCTシステムと遠隔評価計算システム間でのリアルタイムなデータフィードを介してライブ分析を実行し得る。
【0097】
開示されたシステムは、いくつかの利点を有する。システムは、便利さのために、電子式の手持ち式装置またはウェアラブルなデータ収集装置などの電子装置の状況において、キットまたはアプリケーションの形態であり得る。システムは、提供者にとっても有益である。提供者は、自宅から、通勤中に、またはその他職場から離れて処置レジメンの順守を評価することができる。さらに、提供者は、個体が処方されたレジメンを順守している限り、通院せずに予防薬の継続使用を承認することができる。提供者または個体自身はまた、個体のリスクが増加している可能性を示唆する処置の順守において一時的に逸脱するように、システムによって改められ得る。
【0098】
いくつかの実施において、システムは、個体の継続的な進行を追跡するために使用され得る。このような継続的な評価を可能にするために、いくつかの実施形態において、ネットワークアクセス可能なコンテンツストアその他のコンテンツリポジトリまたはその他のコンテンツコレクションを介して、ウェアラブルデータ収集装置へのダウンロードまたはウェアラブルデータ収集装置上でのストリーミングのために評価用アプリケーションを利用可能にし得る。コンテンツは、本質的に、単純な文字、画像または動画コンテンツなどから、完全に精巧に作られたソフトウェアアプリケーション(「アプリ」)またはアプリ一式に及ぶことできる。コンテンツは、自由に利用することができ、またはサブスクリプション方式とすることができる。コンテンツは、独立に動作することができ、コンテンツを再生するための既存の能力(文字、画像、動画、アプリなどを表示し、データを収集するための内蔵の機能など)に基づいてウェアラブルデータ収集装置上において再生可能とすることができ、またはコンテンツ提供者からコンテンツを取り込むように設計されているコンテンツが利用可能なフレームワークまたはプラットフォームアプリケーション内で再生もしくは配備されることができる。さらに、コンテンツ消費者には、HIVに罹患するリスクがある個体またはその家族、ならびにシステムモジュールを専門の業務に組み込むことを望む臨床医、医師および/または教育者が含まれ得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、本開示のHIVに罹患するリスクを評価するためのシステムは、携帯電話、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータなどに実装され得る。いくつかの実施において、評価に加えて、システムの1つまたはそれより多くのモジュールは、いくつかの例では、HIVを有する個体への応急処置を受けまたは提供するときに取るべき措置を補助するための訓練機構などの、HIVおよびその特徴への個体の対処を支援するための訓練機構を提供する。
【0100】
いくつかの実施形態において、データが警告を促すように指定された場合に通告が自動的に生じるように、本開示のシステムは、電子医療記録データベース/ソフトウェアにおいて背後で自動的に動作する媒体内に存在し得る。
【0101】
別の実施形態では、より多くの情報が入力され、新しい類似物が開発されるにつれて、過程および比較基準が更新および改善されるように、本開示のシステムは、「機械学習」を包含する媒体内に存在し得る。
【0102】
投与
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムは、予防を受けている患者に投与され得る。いくつかの実施形態において、開示されるシステムは、曝露前予防内服を受けている患者に投与され得る。いくつかの実施形態において、システムは、TDFおよび/またはFTCまたはTAFなどのNRTIを服用している患者に投与され得る。いくつかの実施形態において、システムは、Truvada(商標)を服用している患者に投与され得る。いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に記載されるシステムは、Descovy(商標)を服用している患者に投与され得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、本開示のシステムは、通院時に臨床環境において提供者によって患者に投与される。別の実施形態において、システムは、臨床環境外で患者によって使用される。いくつかの実施形態において、臨床環境外でシステムを使用する患者は、医師に結果を知らせることができる。いくつかの実施形態において、臨床環境外でシステムを使用する患者は、医師に結果を報告することとは無関係に、臨床環境外でシステムを使用することができる。
【0104】
生物学的試料
本開示を使用して分析される生物学的試料は、NRTIを含有する任意の生物学的組織または流体であり得る。しばしば、試料は、患者に由来する試料である「臨床試料」である。分析のための典型的な試料には、痰(すなわち、唾液)、血液、血漿、乳、精液および尿などの生物学的流体試料が含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
患者から生物学的流体を収集するための方法は、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態において、ラテラルフロー迅速視覚NRTI検査で使用するための生物学的流体の収集は、容器を用いる。いくつかの実施形態において、本開示のラテラルフロー装置は、生物学的流体検体を含有する容器中に挿入される。本開示とともに使用するための生物学的流体試料を収集する際に使用するのに適した容器は、必ずしも限定されず、当技術分野において周知である。いくつかの実施形態において、患者は、分析用の生物学的流体を収集するために、本開示のラテラルフロー装置の吸収性の芯を尿の流れの中に配置する。いくつかの実施形態において、本開示のラテラルフロー装置は、分析用の生物学的流体を収集するために、口腔内に挿入され、口腔粘膜に接触する。
【0106】
いくつかの実施形態において、生物学的試料または生物学的試料の分割量は、検査室ベースの検査を用いる分析のために検査室に送られる。いくつかの実施形態において、これらの生物学的試料は全血または尿である。いくつかの実施形態において、生物学的試料または生物学的試料の分割量は、検査室ベースの検査を用いる分析のために検査室に送るために凍結される。
【0107】
検査結果
いくつかの実施形態において、ラテラルフロー装置は、1~5分以内に生物学的試料の分析の結果を提供する。この実施形態において、結果は、患者または提供者によって読み取られ、解釈され得る。いくつかの実施形態において、患者試料は検査室ベースの検査を使用して分析され、結果は、機密の電子記録によってまたは機密のファックスによって患者または提供者に返送される。提供者および患者に結果を提供するその他の方法は周知である。
【0108】
いくつかの実施形態において、生物学的試料の分析からの検査結果は、処方された投薬スケジュールまたはレジメンに対する患者の順守をモニタリングするために医療提供者によって使用される。ある特定の実施形態において、処方された投薬スケジュールは、Truvada(商標)またはDescovy(商標)などのNRTI化合物を含む治療薬の1つまたはそれより多くの用量の投与を含む。いくつかの実施形態において、開示される投薬スケジュールは、定期的な投薬を含む。Truvada(商標)の例示的な定期的な投薬スケジュールは、1日1回1錠である。同様に、Descovy(商標)の例示的な投薬スケジュールは、1日1回1錠である。他の例示的な投薬スケジュールには、1日おきに1回1錠および3日ごとに1錠が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、開示される投薬スケジュールは、事象主導型投薬を含む。事象主導型投薬の例は、性交渉を行うなどの、ただしこれに限定されない事象の発生の前および後の投薬である。事象主導型投薬のいくつかの実施形態において、NRTI化合物の投与は、事象の発生(または発生の予測)の直前および/または事象の発生の直後、および/または事象の発生の数時間後もしくは数日後に行い得る(または処方され得る)。事象主導型投薬のいくつかの実施形態において、投与は、性交渉が予想される1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、10時間前、12時間前、18時間前または24時間前に行われる。いくつかの実施形態において、投与は、何らかの発生後1時間以内、2時間以内、5時間以内、10時間以内、24時間以内、2日以内、3日以内、1週間以内または2週間以内に行われる。いくつかの実施形態において、投与は事象の発生前と発生後の両方で行われる。ある特定の実施形態において、2倍用量(例えば、2錠)のNRTI化合物が、事象の発生(または発生の予測)の2~24時間前に投与される。ある特定の実施形態において、第3の用量のNRTI化合物が、発生の24時間以内にさらに投与される。ある特定の実施形態において、第4の用量が、発生の48時間(2日)以内に投与される。ある特定の実施形態において、第3および第4の用量は、発生後にいかなる介在用量もなしに、発生の48時間(2日)以内に投与される。NRTI化合物の投与は、処置レジメンの期間中に、事象のすべての発生後に、または事象の一部の発生後にのみ行われ得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、検査結果は医療提供者によって解釈され、直接または電話、電子メール、テキストメッセージもしくはその他の通信媒体によって患者にカウンセリング戦略を知らせるために使用される。これには、患者との議論、ケア計画の策定、保険適用範囲の調整、服薬順守に対する障壁への対処、服薬順守の確認への個体の割り当て、順守を向上させるためのテキストメッセージングなどのデジタルソリューションまたは薬物の消費(例えば、錠剤またはカプセルの消費)に関するデータを記録し、および/もしくは患者による薬物消費に関するデータを(例えば、提供者に)伝達する錠剤またはカプセルディスペンサなどの機械的ソリューションの使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
したがって、いくつかの態様において、本開示は、NRTI化合物の用量を対象に投与することと、個体の全血または血漿試料中のNRTI化合物の代謝産物の濃度を測定することと、TFVの約100ng/mLもしくはそれ未満またはTFV-DPの175ng/mLもしくはそれ未満の濃度を同定することと、処置レジメンを修正することとを含む、対象におけるHIV感染症を予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、代謝産物はTFVである。他の実施形態において、代謝産物はTFV-DPである。処置レジメンを修正する工程は、NRTI化合物投与の投薬スケジュールを修正することを含み得る。他の実施形態において、処置レジメンを修正することは、NRTI化合物以外の治療薬の用量を対象に投与することを含み得る。いくつかの実施形態において、処置レジメンを修正することは、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)化合物の1つもしくはそれより多くの用量を投与すること、またはインテグラーゼ鎖転移阻害剤(INSTI)化合物の1つもしくはそれより多くの用量を投与することを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リルピビリン、エトラビリンおよび/またはエファビレンツなどのNNRTI化合物が投与される。他の実施形態において、ラルテグラビルおよびドルテグラビルなどのINSTI化合物が投与される。
【0111】
NRTI化合物投与の投薬スケジュールを修正する工程は、事象主導型投薬を処方すること、または定期的な投薬を事象主導型投薬に置き換えることを含み得る。例えば、Truvada(商標)の投薬スケジュールは、1日1回1錠から性交渉の発生後1錠に修正され得る。例示的な事象主導型投薬スケジュールでは、個体は、性交渉の2~24時間前に2倍用量(2錠)のTruvada(商標)を服用し、その後、2倍用量の24時間後に第3の錠剤を服用し、24時間後に第4の錠剤を服用する。性交渉が数日連続して行われる場合、最後の発生の48時間後まで、毎日一錠を服用すべきである。
【0112】
いくつかの実施形態において、これらの方法は、第2のNRTI化合物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、これらの方法は、NRTI化合物を含まない治療化合物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、NRTI化合物は、錠剤、例えば、Truvada(商標)錠剤に製剤化される。いくつかの実施形態において、レジメンを修正する工程は、NRTI化合物を含む錠剤の個体による消費に関するデータを記録するデジタル読み取り装置を備える錠剤ディスペンサを個体に投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、錠剤ディスペンサは、NRTI化合物を含む錠剤の個体による消費に関するデータを送信するデジタル送信機を備える。
【0113】
さらに、提供者は、最新の尿TFVレベルに基づいて、尿検査が、HIV獲得から保護されていない(例えば、LC-MS/MSベースのアッセイを使用する場合、TAF投薬については10ng/mL未満の血漿TFV濃度)または不完全に保護されている(例えば、LC-MS/MSベースのアッセイを使用する場合、TAF投薬については10~100ng/mLの血漿TFV濃度)ことを示した患者に警告を与えるために、この情報を使用することができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、患者は臨床環境外でシステムを使用することができる。いくつかの実施形態において、患者は、提供者の指示でシステムを使用することができる。いくつかの実施形態において、患者は、その結果を提供者に知らせることができる。これは、電話、通信(messaging)もしくはデジタルアプリを介してそれぞれの個々の検査後に提供者に知らせること、または複数の検査を実行し、断続的な訪問時に結果を提供者に提供することを含み得るが、これらに限定されない。
【0115】
他の実施形態において、患者は、提供者の監督とは無関係にシステムを使用することができる。この実施形態において、結果は、患者がHIVに罹患するリスクがある遭遇の前に、NRTIの存在を確認するために患者によって使用され得る。
【0116】
いくつかの実施形態において、検査は毎日実施され得る。いくつかの実施形態において、検査は、患者がHIVに感染するリスクがある高リスクの遭遇の前に実施され得る。いくつかの実施形態において、検査は、提供者または研究指導者によって決定された頻度で実行され得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、本開示のPOCTシステムは、手持ち式装置とともに使用することができる。いくつかの実施形態において、本開示のPOCTシステムとともに使用するための手持ち式装置は、POCTの結果を分析する。いくつかの実施形態において、分析は、手持ち式装置中に組み込まれた電子検出方法を使用して実行される。いくつかの実施形態において、本開示の手持ち式装置は、コンピュータプログラムと連動する。いくつかの実施形態において、コンピュータプログラムは、アプリケーションまたはウェブベースの評価ツールである。いくつかの実施形態において、使用者は、検査結果を分析し、追跡し、または視覚化するためにコンピュータプログラムにアクセスする。いくつかの実施形態において、POCTシステムからの検査結果を分析し、追跡し、または視覚化するためのコンピュータプログラムは、医師または他の関係者に検査結果を報告するのにも役立つ。
【0118】
代謝産物
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステムは、検査試料から得られた生物学的流体を、医薬品に関連する1つまたはそれより多くの代謝産物を検出するためのシステムに適用することを含む。いくつかの実施形態において、医薬品は、疾患を処置するために使用される。いくつかの実施形態において、医薬品は予防手段として使用される。このような代謝産物としては、小分子、代謝産物、分解産物または1つもしくはそれより多くのNRTIの関連代謝産物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
いくつかの実施形態において、医薬品は、1つまたはそれより多くのNRTIから構成される。いくつかの実施形態において、医薬品はHIV感染症を処置するために使用される。いくつかの実施形態において、医薬品はHIV感染症を予防するために使用される。このような代謝産物としては、小分子、代謝産物、分解産物または1つもしくはそれより多くのNRTIの関連代謝産物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
いくつかの実施形態において、本開示は、検査試料中の関心対象の少なくとも1つのNRTIを評価する(例えば、検出するまたは定量化する)ためのイムノアッセイに関する。いくつかの実施形態において、本開示は、TFVを検出するためのイムノアッセイに関する。いくつかの実施形態において、本開示は、TFV-DPを検出するためのイムノアッセイに関する。いくつかの実施形態において、本開示は、TFVおよびTFV-DPの両方を検出するためのイムノアッセイに関する。
【0121】
NRTIの存在もしくは非存在またはNRTIの濃度に関する対照は、検査されるべき試料中に豊富な代謝産物に対するものであり得る。いくつかの実施形態において、対照は、尿、唾液、全血または血漿の少なくとも1つにおいて豊富なマーカーに対するものであり得る。本明細書の他の箇所に記載されているように、検査されるべきNRTIの検査パターンと対照の検査パターンとの比較は、NRTIの存在を同定するために使用することができる。これに関連して、対照または対照群は、本開示のシステムおよびアッセイの適切な使用および機能を確立する目的で使用される。したがって、対照群との比較を必要としない本開示のNRTIの単なる検出は、NRTIの存在を同定するために使用することができる。このように、本開示によるシステムは、定性的(はい/いいえの答え)、半定量的(-/+/++/+++/++++)または定量的な回答のために使用される。
【0122】
血漿または全血中のNRTIの濃度レベルは、NRTIによってもたらされる、曝露時にHIVに罹患するリスクの増加または減少の指標として役立つ。例えば、LC-MS/MSベースのアッセイを使用すると、10ng/mL未満の血漿TFV濃度は、TDF投薬の場合、曝露発生時に患者がHIVに罹患するリスクが高いことを示し得るのに対して、100ng/mLを超える血漿TFV濃度は、曝露発生時に患者がHIVに感染するリスクが低いことを示し得る。
【0123】
TFVカットオフ
非順守
いくつかの実施形態において、本開示は、個体における代謝産物の存在をモニタリングすることに関する。いくつかの実施形態において、本開示は、個体における予防の順守をモニタリングすることに関し、患者からの全血または血漿試料中の、NRTI TDF由来の代謝産物であるTFVの100ng/mLまたはそれ未満の濃度が非順守として同定される。いくつかの実施形態において、本開示は、個体における予防の順守をモニタリングすることに関し、患者からの全血または血漿試料中の、NRTI TAF由来の代謝産物であるTFVの10ng/mLまたはそれ未満の濃度が非順守として同定される。
【0124】
保護効果
いくつかの実施形態において、全血または血漿中の、TDFから代謝されるTFVの500ng/mLを超える数の濃度が、NRTI TDFの保護レベルを示す。いくつかの実施形態において、全血または血漿中の、TAFから代謝されるTFVの50ng/mLを超える数の濃度が、NRTI TAFの保護レベルを示す。
【0125】
TFV-DPカットオフ
いくつかの実施形態において、本開示は、個体における代謝産物の存在をモニタリングすることに関する。いくつかの実施形態において、本開示は、個体における予防の順守をモニタリングすることに関する。
【0126】
非順守
いくつかの実施形態において、代謝産物は、TDFから代謝されるTFV-DPである。いくつかの実施形態において、16~27ng/mL未満のTFV-DPの濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり1用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、33~53ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり2用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、48~78ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり3用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、64~104ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり4用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、80~130ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり5用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、95~155ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり6用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、111~181ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり7用量未満の摂取を示す。
【0127】
いくつかの実施形態において、34~56ng/mL未満のTFV-DPの濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり1用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、67~112ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり2用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、100~163ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり3用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、134~219ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり4用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、165~272ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり5用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、199~324ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり6用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、233~380ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり7用量未満の摂取を示す。
【0128】
いくつかの実施形態において、45~71ng/mL未満のTFV-DPの濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり2用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、92~151ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり4用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、170~225未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり7用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、9~13ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり3用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、17~29ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり5用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、32~43未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり7用量未満の摂取を示す。
【0129】
保護効果
いくつかの実施形態において、16~27ng/mL超のTFV-DPの濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり1用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、33~53ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり2用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、48~78ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり3用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、64~104ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり4用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、80~130ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり5用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、95~155ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり6用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、111~181ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり少なくとも7用量の摂取を示す。
【0130】
いくつかの実施形態において、34~56ng/mL超のTFV-DPの濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり1用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、67~112ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり2用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、100~163ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり3用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、134~219ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり4用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、165~272ng/mL未満の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり5用量未満の摂取を示す。いくつかの実施形態において、199~324ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり6用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、233~380ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり少なくとも7用量の摂取を示す。
【0131】
いくつかの実施形態において、45~71ng/mL超のTFV-DPの濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり2用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、92~151ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり4用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、170~225超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり少なくとも7用量の摂取を示す。いくつかの実施形態において、9~13ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり3用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、17~29ng/mL超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり5用量超の摂取を示す。いくつかの実施形態において、32~43超の濃度は、先行する6週間にわたる1週間当たり少なくとも7用量の摂取を示す。
【0132】
疾患
いくつかの実施形態において、HIVと診断された人は、HIVの処置のために、1つまたはそれより多くのNRTIを含む医薬品を処方され得る。いくつかの実施形態において、HIVに罹患するリスクがある個体は、曝露発生からHIVに罹患するリスクを低下させるための予防措置として毎日服用されるべき1つまたはそれより多くのNRTIを含む医薬品を処方され得る。このような個体は、HIVと診断された個体の親族であり得る。このような個体は、HIVと診断された個体に対する長期ケア提供者であり得る。このような個体は、HIVと診断された個体に対する短期ケア提供者であり得る。このような個体は、HIVと診断された個体の居住パートナーまたは非居住パートナーであり得る。ある事例において、このような個体は、HIVまたはHIVの処置もしくは予防のための医薬品を含む研究に参加し得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、本開示は、個体が最近(例えば1週間以内に)NRTIを服用したかどうかを迅速に判定するためのシステムを提供する。いくつかの実施形態において、個体が提供者または調査研究管理者によって処方された1つまたはそれより多くのNRTIを含む医薬品を服用したかどうかを判定するために、検査結果を使用することができる。いくつかの実施形態において、検査結果は、個体が曝露発生時にHIVに罹患するリスクが高いかどうかを判定するために使用することができる。
【0134】
一態様において、処方された予防計画または処置計画に対する個体の順守レベルの決定はその個体に対する将来の処置計画について医師に伝えることができるので、本開示は有用である。一態様において、調査研究に対する個体の順守レベルの決定は新しいNRTI医薬品の有効性について収集されたデータの妥当性について研究者に伝えることができるので、本開示は有用である。例えば、新しいNRTIを検査する調査研究に参加している個体が本開示を使用し、検査結果が、処方されたとおりにその者がNRTIを服用したことを示せば、調査研究結果に対して信頼が与えられる。あるいは、検査結果が、処方されたとおりに個体がNRTIを服用していないことを示せば、研究者は、その個体を進行中の研究から除外すべきであると決定し得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、処方計画の順守を改善するためにインセンティブ方法が提供され得、個体はNRTIを含む医薬品を服用するように任意の方法でインセンティブが与えられ、本開示は処方計画の順守をモニタリングするために使用される。インセンティブ方法は当技術分野において周知であり、金銭的対価およびゲーム手法の活用を含むがこれらに限定されない。
【0136】
いくつかの実施形態において、本開示は、最終的に予防薬またはPrEP薬として使用される他の薬物を含む、他の薬物に対する尿アッセイに関する。いくつかの実施形態において、本開示は、最終的に予防薬またはPrEP薬として使用される他の薬物を含む、他の薬物に対するポイントオブケアアッセイに関する。
【0137】
分析物の検出
試料中の分析物または代謝産物の濃度は、任意の適切なアッセイによって決定され得る。適切なアッセイは、以下の方法、酵素アッセイ、イムノアッセイ、質量分析、クロマトグラフィー、電気泳動もしくは抗体マイクロアレイ、またはこれらの任意の組み合わせの1つまたはそれより多くを含み得る。したがって、当業者によって理解されるように、本開示のシステムおよび方法は、試料中の代謝産物を検出するための当技術分野で公知の任意の方法を含み得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、本開示の試料は生物学的試料である。生物学的試料は、固体または流体試料に由来することができる。好ましくは、試料は流体試料である。本開示の試料は、尿、全血、血清、血漿、汗、粘液、唾液、乳、精液などを含み得る。
【0139】
イムノアッセイ
いくつかの実施形態において、本開示のシステムおよび方法は、当技術分野で周知の様々なイムノアッセイ形式の形態で実施することができる。イムノアッセイは、その最も単純かつ直接的な意味で、抗体と抗原との間の結合を伴う結合アッセイである。多くの種類および形式のイムノアッセイが公知であり、すべて開示された代謝産物を検出するのに適している。イムノアッセイの例は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、酵素結合イムノスポットアッセイ(ELISPOT)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、放射性免疫沈降法(RIPA)、イムノビーズ捕捉アッセイ、ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング、ゲルシフトアッセイ、フローサイトメトリー、タンパク質アレイ、多重化ビーズアレイ、磁気捕捉、インビボイメージング、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、蛍光退色後回復/局在化測定(FRAP/FLAP)、サンドイッチアッセイ、競合的アッセイ、バイオセンサを用いたイムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、凝集アッセイ、濁度アッセイ、比濁分析(nephlelometric)アッセイなどである。
【0140】
一般に、イムノアッセイは、免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、場合に応じて、関心対象の分子(開示された代謝産物など)を含有すると疑われる試料を関心対象の分子に対する抗体と接触させること、または関心対象の分子に対する抗体(開示された代謝産物に対する抗体など)をその抗体によって結合されることができる分子と接触させることを含む。免疫複合体(一次免疫複合体)の形成を可能にするのに有効な条件下で、免疫複合体(一次免疫複合体)の形成を可能にするのに十分な期間、試料を関心対象の分子に対する抗体または関心対象の分子に対する抗体によって結合されることができる分子と接触させることは、一般に、単に分子または抗体と試料を接触させ、抗体が結合することができる存在するいずれかの分子(例えば、抗原)と、抗体が免疫複合体を形成する、すなわち結合するのに十分な長さの期間にわたって混合物をインキュベートすることである。多くの形態のイムノアッセイでは、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウエスタンブロットなどの試料-抗体組成物は、次いで、非特異的に結合した抗体種を除去し、一次免疫複合体内で特異的に結合した抗体のみを検出することができるようにするために洗浄することができる。
【0141】
イムノアッセイは、試料中の関心対象の分子(開示される代謝産物またはそれらの抗体など)の量を検出または定量するための方法を含むことができ、この方法は、一般に、結合過程中に形成される任意の免疫複合体の検出または定量を含む。一般に、免疫複合体形成の検出は当技術分野で周知であり、多数のアプローチの適用によって達成することができる。これらの方法は、一般に、任意の放射性、蛍光性、生物学的もしくは酵素的タグまたは任意の他の既知の標識などの標識またはマーカーの検出に基づく。例えば、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号および同第4,366,241号を参照されたい;これらの各々は、その全体が、特に免疫検出方法および標識に関する教示について、参照により本明細書に組み込まれる。
【0142】
本明細書で使用される場合、標識は、蛍光色素、ビオチン/ストレプトアビジンなどの結合対のメンバー、金属(例えば、金)、または有色の基質もしくは蛍光を生成することなどによって検出され得る分子と特異的に相互作用することができるエピトープタグを含むことができる。タンパク質を検出可能に標識するのに適した物質には、蛍光色素(本明細書ではフルオロクロムおよびフルオロフォアとも言う)および発色基質と反応する酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)が含まれる。極めて少量で検出することができるので、蛍光色素の使用は、本開示の実施において一般に好ましい。さらに、複数の抗原を単一のアレイと反応させる場合には、各抗原は、同時検出のために別個の蛍光化合物で標識することができる。アレイ上の標識されたスポットは、蛍光光度計を使用して検出され、シグナルの存在は特異的抗体に結合された抗原を示す。
【0143】
フルオロフォアは、発光する化合物または分子である。典型的には、フルオロフォアは、ある波長で電磁エネルギーを吸収し、別の波長で電磁エネルギーを放出する。
【0144】
均一系および不均一系という2つの主要な種類のイムノアッセイが存在する。均一系イムノアッセイでは、抗原と抗体間の免疫反応および検出がいずれも、均一系反応において行われる。不均一系イムノアッセイは、未反応試薬からの反応生成物の区別を可能にする少なくとも1つの分離工程を含む。本明細書に開示されているまたは参照により組み込まれるタンパク質の1つまたはそれより多くを検出するために、様々なイムノアッセイを使用することができる。
【0145】
ELISAは、不均一系イムノアッセイであり、本明細書に開示される方法において使用することができる。このアッセイは、様々な形式でタンパク質抗原を検出するために使用することができる。「サンドイッチ」形式では、アッセイされている抗原は2つの異なる抗体の間に保持される。この方法では、まず、固相表面を固相抗体で被覆する。次いで、抗原(例えば、診断タンパク質)を含有する検査試料、または関心対象の対象からの尿試料などの抗原を含有する組成物を添加し、抗原を結合された抗体と反応させる。結合していない抗原はすべて洗い流される。次いで、既知量の酵素標識された抗体を結合した抗原と反応させる。過剰な未結合の酵素結合された抗体は、反応後に洗い流される。次いで、アッセイにおいて使用される酵素の基質を添加し、基質と酵素の間の反応が色の変化を生じる。視覚的な色の変化の量は、特異的な酵素がコンジュゲートされた結合した抗体の直接的な測定であり、したがって検査される試料中に存在する抗原の直接的な測定である。
【0146】
ELISAは、競合的アッセイとして使用することもできる。競合的アッセイ形式では、決定されるべき抗原を含有する検査検体が正確な量の酵素標識された抗原と混合され、両者は固体表面に付着された抗抗原抗体への結合に関して競合する。酵素の基質を添加する前に、過剰な遊離の酵素標識された抗原は洗い流される。酵素-基質相互作用から生じる色強度の量は、検査される試料中の抗原の量の尺度である。ELISAなどの不均一系イムノアッセイは、開示されているまたは本明細書に参照により組み込まれるタンパク質のいずれかを検出するために使用することができる。
【0147】
均一系イムノアッセイとしては、例えば、酵素増幅イムノアッセイ技術(EMIT)が挙げられ、これは典型的には、測定されるべき代謝産物を含む生物学的試料と、測定されるべき代謝産物の酵素標識された分子と、測定されるべき代謝産物を結合する1つまたは複数の特異的抗体と、特異的な酵素発色性基質とを含む。典型的なEMITでは、過剰の特異的抗体が生物学的試料に添加される。生物学的試料が検出されるべきタンパク質を含有する場合、このようなタンパク質は抗体に結合する。次いで、測定された量の対応する酵素標識されたタンパク質を混合物に添加する。試料中のタンパク質の分子によって占有されていない抗体結合部位は、添加された酵素標識されたタンパク質の分子によって占有される。遊離の酵素標識されたタンパク質のみが基質に対して作用することができるので、その結果、酵素活性が低下する。無色から有色形態へと変換された基質の量は、混合物中に残存する遊離酵素の量を決定する。試料中の検出されるべきタンパク質の濃度が高いと、吸光度の読み取り値がより高くなる。試料中のタンパク質が少ないほど、酵素活性がより低くなり、その結果、吸光度読み取り値がより低くなる。抗原-酵素複合体が抗体に結合されていると酵素標識が不活性化されることによって、EMITは有用な系となり、その他のイムノアッセイ法を用いると必要になるような結合していない化合物からの結合した化合物の分離なしに検査を実施することが可能になる。本明細書に開示されているまたは参照により本明細書に組み込まれるタンパク質のいずれかを検出するために、EMITなどの均一系(homogenous)イムノアッセイを使用することができる。
【0148】
多くのイムノアッセイでは、本明細書の他の箇所に記載されているように、抗原の検出は、抗原特異的抗体を検出用分子として使用することによって行われる。しかしながら、本開示のイムノアッセイおよびシステムおよび方法は、検出用分子として抗体の使用に限定されない。所与の試料内の抗原を結合または捕捉することができる任意の物質が使用され得る。抗体の他に、同じく検出用分子として使用することができる適切な物質には、酵素、ペプチド、タンパク質および核酸が含まれるが、これらに限定されない。さらに、捕捉された抗原を検出し得る当技術分野で公知の多くの検出方法が存在する。いくつかのアッセイでは、酵素が結合された抗体が色の変化を生成する。他のアッセイでは、捕捉された抗原の検出は、蛍光シグナル、発光シグナル、化学発光シグナルまたは放射性シグナルを検出することによって行われる。本開示のシステムおよび方法は、イムノアッセイにおいて生成される特定の種類の検出可能なシグナルに限定されない。
【0149】
イムノアッセイキットも本開示に含まれる。これらのキットは、(a)炎症または炎症源の診断において使用されるポリペプチドに対して結合特異性を有するモノクローナル抗体と、(b)抗抗体免疫グロブリンとを別々の容器中に含む。このイムノアッセイキットは、本明細書で提供される様々な方法の実施のために利用され得る。モノクローナル抗体および抗抗体免疫グロブリンは、約0.001mg~100g、より好ましくは約0.01mg~1gの量で提供することができる。抗抗体免疫グロブリンは、ポリクローナル免疫グロブリン、プロテインAもしくはプロテインG、またはこれらの機能的断片であり得、これらは当技術分野で公知の方法によって使用前に標識され得る。いくつかの実施形態において、イムノアッセイキットは、本明細書に開示されているまたは組み込まれるタンパク質を特異的に結合する抗体のうちの2つ、3つまたは4つを含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、本開示のイムノアッセイキットは、(a)試料パッドと、(b)コンジュゲートされた標識パッドであって、前記コンジュゲートされた標識パッドは検出可能な標識を有し、前記コンジュゲートされた標識パッドの一部と前記試料パッドの一部とが第1の境界面を形成する、コンジュゲートされた標識パッドと、(c)膜を含むラテラルフローアッセイであって、前記膜の一部と前記コンジュゲートされた標識パッドの一部とが第2の境界面を形成する、膜を含むラテラルフローアッセイと、(d)前記膜に結合された少なくとも1つの抗体とを含むことができ、前記第1の境界面は、流体が前記試料パッドから前記コンジュゲートされた標識パッドに流れ、検出可能な標識に接触することを可能にし、試料中に存在する代謝産物は、代謝産物-コンジュゲートされた標識複合体を形成し、前記第2の境界面は、流体が前記コンジュゲートされた標識パッドから前記膜に流れ、少なくとも1つの膜結合された抗体に接触して代謝産物-抗体複合体を形成し、検出可能な標識に検出可能なシグナルを形成させることを可能にする。
【0151】
いくつかの実施形態において、本開示のイムノアッセイキットは、1つまたはそれより多くの説明資料および試料収集容器を含むがこれらに限定されない追加の構成要素を含む。いくつかの実施形態において、本開示のキットは単一のイムノアッセイ系を含む。いくつかの実施形態において、本開示のキットは1つより多くのイムノアッセイ系を含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、本開示のキットは手持ち式装置を含む。いくつかの実施形態において、キットは、本開示のPOCTの結果を分析し、記録し、モニタリングし、追跡し、および/または報告するためのコンピュータソフトウェア用のシステムまたはコンピュータソフトウェアへのアクセスを含む。
【0153】
質量分析およびクロマトグラフィー
いくつかの実施形態において、検出の方法は検査室ベースの検査である。いくつかの実施形態において、検査室ベースの検査は、半定量的液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)尿アッセイである。
【0154】
いくつかの実施形態において、本開示のシステムおよび方法は、当技術分野で周知の様々な質量分析(MS)またはクロマトグラフィー形式の形態で実施することができる。したがって、試料中に存在する代謝産物のレベルは、質量分析によって決定することができる。一般に、ペプチドの質量、好ましくは選択されたペプチドの断片化および/または(部分的な)アミノ酸配列に関する正確な情報を得ることができる任意の質量分析技術が、本明細書において有用である。適切なペプチドMS技術およびシステムは、それ自体周知であり(例えば、Methods in Molecular Biology,vol.146:’’Mass Spectrometry of Proteins and Peptides’’,by Chapman,ed.,Humana Press 2000,ISBN 089603609x;Biemann 1990.Methods Enzymol 193:455-79;またはMethods in Enzymology,vol.402:’’Biological Mass Spectrometry’’,by Burlingame,ed.,Academic Press 2005,ISBN 9780121828073を参照)、本明細書において使用され得る。
【0155】
本明細書で使用される「質量分析」または「MS」という用語は、イオンの質量対電荷比または「m/z」に基づいてイオンをフィルタリングし、検出し、測定する方法を指す。一般に、関心対象の1つまたはそれより多くの分子がイオン化され、イオンは続いて質量分析装置中に導入され、磁場と電場の組み合わせにより、イオンは質量(「m」)および電荷(「z」)に依存する空間内の経路をたどる。例えば、すべての表、図面および特許請求の範囲を含むその各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,204,500号、同第6,107,623号、同第6,268,144号、同第6,124,137号;Wrightら、1999,Prostate Cancer and Prostatic Diseases 2:264-76;Merchantら、2000,Electrophoresis 21:1164-67を参照されたい。質量分析法は当技術分野で周知であり、タンパク質およびホルモンなどの生体分子を定量および/または同定するために使用されてきた(Liら、2000,Tibtech.18:151-160;Starcevicら、2003,J.Chromatography B,792:197-204;Kushnirら、2006,Clin.Chem.52:120-128;Rowleyら、2000,Methods,20:383-397;Kusterら、1998,Curr.Opin.Structural Biol.8:393-400)。さらに、単離されたタンパク質の少なくとも部分的なデノボシーケンシングを可能にする質量分析技術が開発されている(Chaitら、1993,Science,262:89-92;Keoughら、1999,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.96:7131-6;Bergman,2000,EXS 88:133-44)。イオン化の様々な方法が当技術分野で知られている。例えば、大気圧化学イオン化(APCI)化学イオン化(CI)電子衝撃(EI)エレクトロスプレーイオン化(ESI)高速原子衝撃(FAB)電界脱離/電界イオン化(FD/FI)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)および熱スプレーイオン化(TSP)。
【0156】
試料中に存在する代謝産物のレベルは、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)MS;MALDI-TOFポストソース分解(PSD);MALDI-TOF/TOF;表面エンハンス型レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(SELDI-TOF)MS;タンデム質量分析(例えば、MS/MS、MS/MS/MSなど);エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS);ESI-MS/MS;ESI-MS/(MS)n(nはゼロより大きい整数);ESI 3Dまたはリニア(2D)イオントラップMS;ESIトリプル四重極MS;ESI四重極直交TOF(Q-TOF);ESIフーリエ変換MSシステム;シリコン上脱離/イオン化(DIOS);二次イオン質量分析(SIMS);大気圧化学イオン化質量分析(APCI-MS);APCI-MS/MS;APCI-(MS)n;大気圧光イオン化質量分析(APPI-MS);APPI-MS/MS;APPI-(MS)n;液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS);高速液体クロマトグラフィー-質量分析(HPLC-MS);キャピラリー電気泳動-質量分析;および核磁気共鳴分光法などのMSによって決定することができる。タンデムMS(MS/MS)配置におけるペプチドイオン断片化は、例えば、衝突誘起解離(CID)などの当技術分野で確立された方法を使用して達成され得る。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0199001号、同第2003/0134304号、同第2003/0077616号を参照されたい。このような技術は、相対的および絶対的な定量のために、また本開示による代謝産物と存在し得る他の代謝産物との比を評価するために使用され得る。これらの方法はまた、臨床スクリーニング、予後診断、治療の結果のモニタリング、特定の治療的処置に応答する可能性が最も高い患者の同定、薬物スクリーニングおよび開発、ならびに薬物処置のための新しい標的の同定にも適している。
【0157】
ある特定の実施形態において、気相イオン分光光度計が使用される。他の実施形態において、試料を分析するために、レーザー脱離/イオン化質量分析が使用される。現代のレーザー脱離/イオン化質量分析(「LDI-MS」)は、2つの主な変形形態:マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(「MALDI」)質量分析および表面エンハンス型レーザー脱離/イオン化(「SELDI」)で実施することができる。MALDIでは、マトリックスを含有する溶液と分析物を混合し、液体の滴を基板の表面上に配置する。次いで、マトリックス溶液は、生物学的分子と共結晶化する。基板を質量分析装置中に挿入する。レーザーエネルギーが基板表面に誘導され、そこでレーザーエネルギーは生物学的分子を著しく断片化することなく生物学的分子を脱離させ、イオン化する。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,118,937号および米国特許5,045,694号を参照されたい。SELDIでは、基板表面は、脱離過程において基板表面が能動的に関与するものであるように修飾される。一変形形態において、表面は、関心対象の代謝産物を選択的に結合する吸着剤および/または捕捉試薬で誘導体化される。別の変形形態において、表面は、レーザーを当てられたときに脱離されないエネルギー吸収分子で誘導体化される。別の変形形態において、表面は、関心対象のタンパク質を結合し、レーザーを当てたときに切断される光分解性結合を含有する分子で誘導体化される。SELDIは、所与の状態、例えば薬物処置および疾患について、体液(body fluid)および組織中のタンパク質およびペプチドの特徴的な「フィンガープリント」を同定するための強力なツールである。この技術は、タンパク質/ペプチドを捕捉するためのタンパク質チップと、1,000Da未満の小分子およびペプチドから500kDaのタンパク質にまでわたる化合物の質量を定量および計算するための飛行時間型質量分析計(tof-MS)とを利用する。タンパク質/ペプチドパターンの定量可能な差は、生物流体スペクトルで測定された各タンパク質/ペプチドを多次元空間の座標として表す自動化されたコンピュータプログラムを使用して統計的に評価することができる。SELDIシステムは、単一の実験において数百の試料を実行する能力も有する。さらに、SELDI質量分析からのすべてのシグナルは、(プロテアーゼ消化を必要とするいくつかの他のプロテオミクス技術とは異なり)天然のタンパク質/ペプチドに由来し、したがって所与の状態の基礎となる生理学を直接反映する。
【0158】
MALDIおよびSELDIでは、誘導体化剤は、一般に、試料が適用される基板表面上の特定の位置に局在化されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許5,719,060号および国際公開第98/59361号を参照されたい。2つの方法は、例えば、分析物を捕捉するためにSELDI親和性表面を使用し、エネルギー吸収材料を与えるために、捕捉された分析物にマトリックス含有液体を添加することによって組み合わせることができる。質量分析計に関する追加情報については、例えば、Principles of Instrumental Analysis,3rd edition.,Skoog,Saunders College Publishing,Philadelphia,1985;およびKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,4th ed.Vol.15(John Wiley&Sons,New York 1995),pp.1071-1094を参照されたい。代謝産物の検出および定量は、典型的にはシグナル強度の検出に依存する。例えば、ある特定の実施形態において、特定の代謝産物の相対量を決定するために、第1の試料および第2の試料のスペクトルからのピーク値のシグナル強度を(例えば、視覚的に、コンピュータ解析などによって)比較することができる。質量スペクトルの分析を補助するために、Biomarker Wizardプログラム(Ciphergen Biosystems,Inc.,Fremont,Calif.)などのソフトウェアプログラムを使用することができる。質量分析計およびそれらの技術は当技術分野で周知である。
【0159】
いくつかの実施形態において、質量分析による代謝産物の検出および定量化は、とりわけKuhnら2004(Proteomics 4:1175-86)によって記載されているような、多重反応モニタリング(MRM)を含み得る。
【0160】
いくつかの実施形態において、MSペプチド分析方法は、上流のペプチドまたはタンパク質分離または分画方法と、例えば本明細書で以下に記載されているクロマトグラフィーおよびその他の方法などと有利に組み合わされ得る
【0161】
代謝産物を測定するためにクロマトグラフィーを使用することもできる。本明細書で使用される場合、「クロマトグラフィー」という用語は、そのように称される、当技術分野において広く利用可能な、化学物質を分離するための方法を包含する。好ましいアプローチにおいて、クロマトグラフィーは、液体または気体(「移動相」)の移動する流れによって運ばれる化学物質の混合物(分析物)が、固定液体または固体相(「固定相」)の周囲または上を流れるにつれて、前記移動相と前記固定相との間で、分析物の異なる分布の結果として成分へと分離される過程を指す。固定相は、通常、微細化された固体、フィルタ材料のシート、または固体の表面上の液体の薄膜などであり得る。クロマトグラフィーは、例えばアミノ酸、タンパク質、タンパク質の断片またはペプチドなどの生物学的起源の化学化合物の分離のためにも広く適用可能である。
【0162】
本明細書で使用されるクロマトグラフィーは、好ましくはカラム状(すなわち、固定相が、カラム内に堆積または充填されている)、好ましくは液体クロマトグラフィー、さらにより好ましくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)であり得る。クロマトグラフィーの詳細は当技術分野で周知であるが、さらなる指針については、例えば、Meyer M.,1998,ISBN:047198373Xおよび’’Practical HPLC Methodology and Applications’’,Bidlingmeyer,B.A.,John Wiley&Sons Inc.,1993を参照されたい。
【0163】
クロマトグラフィーの例示的な類型としては、限定されないが、HPLC、順相HPLC(NP-HPLC)、逆相HPLC(RP-HPLC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、例えば陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ゲル濾過クロマトグラフィーまたはゲル浸透クロマトグラフィーを含むサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、クロマトフォーカシング、イムノアフィニティー、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーなどのアフィニティークロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0164】
いくつかの実施形態において、さらなるペプチド分析方法と、例えば本明細書の他の箇所に記載されているような下流の質量分析などと組み合わせたペプチド分画方法として、一次元、二次元またはそれより多次元のクロマトグラフィーを含むクロマトグラフィーが使用され得る。
【0165】
本開示における代謝産物を測定するために、さらなるペプチドまたはポリペプチドの分離、同定または定量方法が、上記の分析方法のいずれかと任意に組み合わされて使用され得る。そのような方法としては、限定されないが、化学抽出分配、キャピラリー等電点電気泳動(CIEF)、キャピラリー等速電気泳動(CITP)、キャピラリー通電クロマトグラフィー(CEC)などを含む等電点電気泳動(IEF)、一次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D-PAGE)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、キャピラリゾーン電気泳動(CZE)、ミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)、フリーフロー電気泳動(FFE)などが挙げられる。
【0166】
ポイントオブユース装置
様々な生物学的試料(尿、血清、血漿、血液、唾液など)を使用して健康関連の状態(妊娠、癌、内分泌障害、感染性疾患または薬物乱用など)を日常的に同定またはモニタリングするためのポイントオブユース分析検査が開発されている。ポイントオブユースアッセイのいくつかは、抗原/抗体、ハプテン/抗体、レクチン/炭水化物、アポタンパク質/補因子およびビオチン/(ストレプト)アビジンなどの特異的結合対間の極めて特異的な相互作用に基づく。いくつかのポイントオブユース装置においては、特異的結合対要素が可動性材料(金属ゾルまたはラテックスもしくはガラス製のビーズなど)または不動性基板(ガラス繊維、セルロースストリップまたはニトロセルロース膜など)に取り付けられた検査ストリップを用いてアッセイが行われる。他のポイントオブユース装置は、光学バイオセンサ、測光バイオセンサ、電気化学バイオセンサまたはその他の種類のバイオセンサを含み得る。本開示の方法を実施するためのポイントオブユース装置における適切なバイオセンサには、光学的または音響的読み取り装置を備えた「カード」または「チップ」が含まれる。バイオセンサは、収集されたデータが解釈のために医師に電子的に送信されることを可能にするように構成されることができ、したがって電子医療の基礎を形成することが可能であり、患者が医師または診療所の近くに存在する必要なしに診断およびモニタリングを行うことができる。
【0167】
試料中の代謝産物の検出は、本明細書に記載されるものなどの1つまたはそれより多くの代謝産物の検出を可能にするラテラルフロー装置(例えば、ラテラルフロー検査ストリップ)などの試料捕捉装置を使用して行うことができる。
【0168】
本開示の検査ストリップは、上流の試料適用領域から検査部位までの流路を含む。例えば、流路は、試料適用領域から移動ゾーンを通って捕捉ゾーンまでであり得る。移動ゾーンは、分析物または分析物類似体と相互作用する移動可能なマーカーを含有し得、捕捉ゾーンは、試料中の分析物の存在を検出するために分析物または分析物類似体を結合する試薬を含有する。
【0169】
有色の標識に付着された試薬を通常その中に組み込み、それによってさらなる物質を添加することなくアッセイ結果の可視的検出を可能にする移動アッセイ装置の例は、例えば、米国特許第4,770,853号(参照により本明細書に組み込まれる)に見出される。分析物が検査ストリップ上の複数のゾーンを通って流れる際に、大きな分析物(1,000ダルトンを超える分子量)を検出するための方法を開示するいくつかの多くの市販のラテラルフロー型検査および特許が存在する。例は、米国特許第5,229,073号、同第5,591,645号;同第4,168,146号;同第4,366,241号;同第4,855,240;同第4,861,711号;同第5,120,643号(これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)に見出される。複数ゾーンのラテラルフロー検査ストリップは、米国特許第5,451,504号、同第5,451,507号、および同第5,798,273号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。米国特許第6,656,744号(参照により本明細書に組み込まれる)は、標識がストレプトアビジン-ビオチン相互作用を介して抗体に結合するラテラルフロー検査ストリップを開示している。
【0170】
1つには、ディップスティックアッセイに付随するするインキュベーションおよび洗浄工程の必要性を取り除くために、フロースルー型アッセイ装置が設計された。フロースルーイムノアッセイ装置は、液体試料が添加される多孔質膜またはフィルタに結合された捕捉試薬(1つまたはそれより多くの抗体など)を含む。液体が膜を通って流れるにつれて、標的分析物(タンパク質など)が捕捉試薬に結合する。試料の添加後に(または同時に)、標識された抗体(例えば、金がコンジュゲートされたまたは有色ラテックス粒子がコンジュゲートされたタンパク質)などの検出用試薬を添加する。あるいは、検出器が試料と混ざり合い、それによって分析物を標識することができるように、検出用試薬は膜上に配置され得る。検出用試薬の視覚的検出は、試料中に標的分析物が存在することの指標を与える。代表的なフロースルーアッセイ装置は、米国特許第4,246,339号;同第4,277,560号;同第4,632,901号;同第4,812,293号;同第4,920,046;および同第5,279,935号;米国特許出願公開第2003/0049857号および同第2004/0241876号;および国際公開第08/030546号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。移動アッセイ装置は、通常、有色の標識に付着された試薬をその中に組み込み、それによってさらなる物質を添加することなくアッセイ結果の可視的検出を可能にする。例えば、米国特許第4,770,853号;国際公開第88/08534号を参照されたい。
【0171】
大きな分析物(1,000ダルトンを超える分子量)を検出するための方法を開示する多くの市販のラテラルフロー型検査および特許が存在する。米国特許第5,229,073号には、血漿リポタンパク質レベルを測定するための半定量的競合的イムノアッセイラテラルフロー法が記載されている。標識されたリポタンパク質と遊離のリポタンパク質の両方を結合して半定量的な結果を与えるために、この方法は、固定化された抗体を含有する複数の捕捉ゾーンまたはラインを利用する。さらに、米国特許第5,591,645号は、少なくとも2つの部分を有するクロマトグラフィー検査ストリップを提供する。第1の部分は移動可能な追跡子を含み、第2の部分は分析物に結合することができる固定化された結合剤を含む。大きな分析物用のラテラルフロー検査のさらなる例は、以下の特許文献:米国特許第4,168,146号;同第4,366,241号;同第4,855,240号;同第4,861,711号;および同第5,120,643号;国際公開第97/06439号;国際公開第98/36278号;および国際公開第08/030,546号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0172】
本明細書に記載の装置は、一般に、吸収性材料(微孔質膜など)のストリップを含み、該ストリップは、いくつかの例においては、隣接され得るおよび/または重ね合わされ得る、ゾーン内で互いに接合された異なる物質で作ることができる。いくつかの例では、吸収性ストリップは、例えば、ストリップに増大した剛性を与えるために、非相互作用性の支持材料(不織ポリエステルなど)上に固定することができる。各ストリップ内のゾーンは、例えば、本明細書に開示される1つまたはそれより多くのタンパク質について検査されている特定の分析物の検出および/または定量のために必要とされる特異的結合パートナーおよび/またはその他の試薬を異なって含有し得る。したがって、これらのゾーンは、検査装置内の機能的区域または機能的領域として見ることができる。
【0173】
一般に、流体試料は、例えば浸漬またはスポッティングによって、ストリップの近位端においてストリップに導入される。試料は、当業者に周知の方法を用いて収集され、または取得される。検出されるべき特定のタンパク質を含有する試料は、任意の生物学的供給源から取得され得る。特定の例では、生物学的供給源は尿である。イムノアッセイ結果を最適化するために、試料は、アッセイの前に希釈され、精製され、濃縮され、濾過され、溶解され、懸濁され、またはその他操作され得る。流体は、ストリップのすべての機能的領域を通って遠位に移動する。個々の機能的領域中での流体の最終的な分布は、使用される材料の吸着能力および大きさに依存する。
【0174】
いくつかの実施形態において、本明細書の他の箇所に記載されているニトロセルロースなどの多孔質固体支持体は、好ましくはシートまたはストリップの形態である。このようなシートまたはストリップの厚さは、広い範囲内で、例えば、約0.01~0.5mm、約0.02~0.45mm、約0.05~0.3mm、約0.075~0.25mm、約0.1~0.2mm、または約0.11~0.15mmで変動し得る。このようなシートまたはストリップの孔径は、同様に、広い範囲内で、例えば約0.025~15ミクロン、またはより具体的には約0.1~3ミクロンで変動し得るが、孔径が、固体支持体の選択における制限要因であることは意図されていない。固体支持体の流速も、適用可能な場合、広い範囲内で、例えば、約12.5~90秒/cm(すなわち、50~300秒/4cm)、約22.5~62.5秒/cm(すなわち、90~250秒/4cm)、約25~62.5秒/cm(すなわち、100~250秒/4cm)、約37.5~62.5秒/cm(すなわち、150~250秒/4cm)、または約50~62.5秒cm(すなわち、200~250秒/4cm)で変動することができる。
【0175】
アッセイ装置の使用において考慮されるべき別の一般的な機能は、分析物(本明細書に記載の1つまたはそれより多くのタンパク質など)と捕捉試薬(1つまたはそれより多くの抗体など)との複合体の形成を検出するための手段である。検出器(検出用試薬とも呼ばれる)がこの目的を果たす。検出器は、アッセイ装置の中に組み込まれてもよく(例えば、コンジュゲートパッド中に含む)、または外部供給源から装置に適用されてもよい。
【0176】
検出器は、単一の試薬または検出目的を集合的に果たす一連の試薬であり得る。いくつかの例において、検出用試薬は、分析物に対して特異的な標識された結合パートナー(関心対象の特定のタンパク質に対する金がコンジュゲートされた抗体など)である。
【0177】
他の例において、検出用試薬は、分析物に対して特異的な標識されていない第1の結合パートナーおよび第1の結合パートナーに対して特異的な標識された第2の結合パートナーなどを集合的に含む。したがって、検出器は、本明細書に記載のタンパク質に対して特異的な標識された抗体であり得る。検出器はまた、関心対象のタンパク質に対して特異的な標識されていない第1の抗体、および標識されていない第1の抗体を特異的に結合する標識された第2の抗体であり得る。各例において、検出用試薬は、分析物-捕捉試薬複合体の結合された分析物を特異的に検出し、したがって、検出用試薬は、好ましくは、分析物捕捉領域中に局在する捕捉試薬またはその他の成分と実質的に結合せず、または反応しない。検出器のこのような非特異的結合または反応は、偽陽性結果をもたらし得る。任意に、検出用試薬は、二次捕捉領域中に存在する陽性対照分子(標識されたプロテインA検出器、または標識されたプロテインG検出器、または標識された抗ヒトAb(Fc)に対する非特異的ヒトIgGなど)を特異的に認識することができる。
【0178】
フロースルー装置の構築および設計
フロースルー装置は、固体支持体、典型的にはマイクロタイタープレートまたは膜(ニトロセルロース、ナイロンまたはPVDFなど)上に固定化された捕捉試薬(1つまたはそれより多くの抗体など)を含む。単純な代表的形式においては、フロースルー装置の膜は、膜を通して流体試料を引き込むためのリザーバとして作用する吸収性の層と機能的または物理的に接触して配置される。任意に、捕捉試薬の固定化後、非特異的相互作用を最小限に抑えるために、膜上の任意の残りのタンパク質結合部位を(試料投与前または試料投与と同時に)ブロックすることができる。
【0179】
フロースルー装置の動作中、流体試料は膜と接触して配置される。典型的には、フロースルー装置は、所望の体積の流体試料を受容して一時的に保持するための試料適用領域(またはリザーバ)も含む。試料は膜マトリックスを通過する。この過程において、試料中の分析物(1つまたはそれより多くのタンパク質、例えば、本明細書に記載の1つまたはそれより多くのタンパク質など)は、固定化された捕捉試薬(1つまたはそれより多くの抗体など)に特異的に結合することができる。分析物-捕捉試薬複合体の検出が望まれる場合には、検出用試薬(1つまたはそれより多くのタンパク質を特異的に結合する標識された抗体など)を試料とともに添加することができ、または検出用試薬を含有する溶液を試料の適用後に添加することができる。分析物が捕捉試薬によって特異的に結合されていれば、その特定の検出用試薬に起因する特性が膜の表面上に観察され得る。過程中の任意の時点で、例えば、試料の適用後に、および/または検出用試薬の適用後に、任意に洗浄工程を追加することができる。
【0180】
ラテラルフロー装置の構築および設計
ラテラルフロー装置は、当該技術分野において一般的に知られている。簡単に言えば、ラテラルフロー装置は、その本質として検査ストリップを有する分析装置であり、検査ストリップを通じて、関心対象の分析物を含有すると疑われる検査試料流体を流す。検査流体および任意の懸濁分析物は、ストリップに沿って検出ゾーンへと流れることができ、検出ゾーンにおいて、分析物(存在する場合)は捕捉剤および検出剤と相互作用して、分析物の存在、非存在および/または量を示す。
【0181】
多数のラテラルフロー分析装置が開示されており、米国特許第4,313,734号;同第4,435,504号;同第4,775,636号;同第4,703,017号;同第4,740,468号;同第4,806,311号;同第4,806,312号;同第4,861,711号;同第4,855,240号;同第4,857,453号;同第4,943,522号;同第4,945,042号;同第4,496,654号;同第5,001,049号;同第5,075,078号;同第5,126,241号;同第5,451,504号;同第5,424,193号;同第5,712,172号;同第6,555,390号;同第6,258,548号;同第6,699,722号;同第6,368,876号および同第7,517,699号に示されているものが含まれ、これらのそれぞれは参照により組み込まれる。
【0182】
多くのラテラルフロー装置は、一段階ラテラルフローアッセイであり、一段階ラテラルフローアッセイでは、吸水性ストリップ(ただし、非吸水性材料を使用し、例えば、界面活性剤を材料に塗布することによって、吸水性にすることができる)上の試料領域中に生物学的流体を配置し、液体中の分析物(1つまたはそれより多くのタンパク質など)と相互作用する特異的結合パートナー(抗体など)と液体が接触するまでストリップに沿って移動させる。分析物が結合パートナーと相互作用すると、シグナル(蛍光色素またはその他の可視的色素など)が、相互作用が生じたことを示す。液体中の複数の分析物(2つまたはそれより多くのタンパク質など)を検出するために、複数の別個の結合パートナー(抗体など)をストリップ上に(例えば平行線で)配置することができる。検査ストリップは制御指示器を組み込むこともでき、制御指示器は、たとえ分析物の存在(または非存在)を示す陽性シグナルがストリップ上に見られなくても、検査が適切に行われたというシグナルを与える。
【0183】
ラテラルフロー装置は、当技術分野で同様に周知である多種多様な物理形式を有する。ラテラルフロー装置の基本的な構成要素を適切な機能的関係性で支持し、および/または収容する任意の物理形式が、本開示によって企図される。
【0184】
試料パッド、コンジュゲートパッド、移動膜および吸収性パッドを含む、ラテラルフロー装置の特定の実施形態の基本的な構成要素を
図1および
図2に示す。
【0185】
試料パッド(
図1および
図2に示されている試料パッドなど)は、最初に試料を受け取るラテラルフロー装置の構成要素であり、試料から微粒子を除去する役割を果たし得る。試料パッドを構築するために使用され得る様々な材料(ガラス繊維、織繊維、スクリーン、不織繊維、セルロース繊維または紙など)の中でも、大きなベッド体積が特定の用途における要因である場合には、セルロース試料パッドが有益であり得る。試料パッドは、緩衝剤、塩、タンパク質、洗剤および界面活性剤などの1つまたはそれより多くの剥離剤で処理され得る。このような剥離剤は、例えば、コンジュゲートパッド成分の再可溶化を促進し、ニトロセルロース膜などのラテラルフロー装置の他の構成要素中の非特異的結合部位をブロックするために有用であり得る。代表的な剥離剤としては、例えば、トレハロースまたはグルコース(1%~5%)、PVPまたはPVA(0.5%~2%)、Tween 20またはTriton X-100(0.1%~1%)、カゼイン(1%~2%)、SDS(0.02%~5%)およびPEG(0.02%~5%)が挙げられる。
【0186】
移動膜に関しては、ラテラルフロー装置において有用な膜の種類には、ニトロセルロース(純粋なニトロセルロースおよび修飾されたニトロセルロースを含む)およびポリエステル支持体上でのニトロセルロース直接成型(direct cast)、ポリフッ化ビニリデンまたはナイロンが含まれるが、これらに限定されない。
【0187】
コンジュゲートパッド(
図1および
図2に示されているコンジュゲートパッドなど)は、とりわけ、検出用試薬を保持する役割を果たす。コンジュゲートパッドに適した材料としては、ガラス繊維、ポリエステル、紙または表面改質ポリプロピレンが挙げられる。
【0188】
コンジュゲートパッド中に含有される検出用試薬は、典型的には、検査試料の適用時に溶液中に放出される。コンジュゲートパッドは、溶液中への検出用試薬の放出に影響を及ぼすために様々な物質で処理され得る。例えば、コンジュゲートパッドは、PVAまたはPVP(0.5%~2%)および/またはTriton X-100(0.5%)で処理され得る。他の剥離剤としては、限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、SDS、Brijおよびβ-ラクトースが挙げられる。任意の所与の用途において、2つまたはそれより多くの剥離剤の混合物が使用され得る。
【0189】
吸収性パッドは、装置に入る試料の総体積を増加させる役割を果たす。この増加された体積は、例えば、結合していない分析物を膜から洗い流すのに有用であり得る。様々な材料のいずれもが、吸収性パッド、例えばセルロースフィルタまたは紙を調製するのに有用である。いくつかの装置の実施形態において、吸収性パッドは紙(すなわち、セルロース繊維)であり得る。当業者は、例えば、その厚さ、圧縮性、製造性およびベッド体積の均一性に基づいて紙吸収性パッドを選択し得る。作製された吸収剤の体積取り込みは、吸収性パッドの寸法(通常は長さ)を変化させることによって調整され得る。
【0190】
ラテラルフロー装置の特定の実施形態の動作において、本明細書に記載されている1つまたはそれより多くのタンパク質などの関心対象の分析物を含有する流体試料が試料パッドに適用される。いくつかの例では、試料パッドを含有する装置の末端を試料(尿など)中に浸漬することによって、または試料を試料パッド上に直接適用することによって、試料を試料パッドに適用し得る。
【0191】
試料パッドから、試料は、例えば毛管作用によってコンジュゲートパッドに移動する。コンジュゲートパッドでは、関心対象のタンパク質などの関心対象の分析物は、抗体(本明細書に記載のタンパク質の1つまたはそれより多くを認識する抗体など)などの可動化されたまたは可動化可能な検出用試薬を結合し得る(または該検出用試薬によって結合され得る)。例えば、タンパク質分析物は、コンジュゲートパッド中に含有される標識された(例えば、金がコンジュゲートされたまたは有色ラテックス粒子がコンジュゲートされた)抗体に結合し得る。検出用試薬と複合体化した分析物は、続いて検査ラインに流れることができ、そこで、複合体は、近位検査ラインに固定化された分析物特異的結合パートナー(特定のタンパク質を結合する抗体、抗ハプテン抗体、またはストレプトアビジンなど)とさらに相互作用し得る。いくつかの例では、検出用試薬(金がコンジュゲートされた抗体など)と複合体化したタンパク質は、近位検査ラインに固定化された標識されていない酸化された抗体にさらに結合し得る。近位検査ラインの局所領域における標識(例えば、金または有色ラテックス)の蓄積から生じる複合体の形成が検出される。対照ラインは、分析物の存在下または非存在下で検出用試薬を結合することができる固定化された検出用試薬特異的結合パートナーを含有し得る。対照ラインでのこのような結合は、関心対象の分析物が存在しない場合においてさえ、検査の適切な実施を示す。
【0192】
いくつかの実施形態において、対照ラインは、IgG、IgD、IgAまたは尿の別の構成成分の1つの存在を検出する。いくつかの実施形態において、対照ラインは、糖タンパク質、分泌性IgA、ラクトフェリン、リゾチームおよびペルオキシダーゼまたは唾液の別の成分の1つの存在を検出する。
【0193】
検査結果は、直接視覚化され得る、または読み取り装置(スキャナなど)を使用して測定され得る。読み取り装置は、読み出し領域(例えば、検査ラインおよび/または対照ライン)からの標識された試薬に由来する色、蛍光、発光、放射能または任意の他の検出可能なマーカーを検出し得る。
【0194】
ラテラルフロー装置の別の実施形態では、検査結果における検査ラインに対して平行または垂直に(または任意の他の空間的関係で)配置された第2の(または第3の、第4の、もしくはそれより多くの)検査ラインが存在し得る。この特定の実施形態の動作は、本明細書の他の箇所に記載されたものと同様であり、(i)別の抗体などの、第2の分析物に対して特異的な第2の検出用試薬もコンジュゲートパッド中に含有され得ること、および(ii)第2の検査ラインが、試料中の第2のタンパク質などの第2の分析物に対して親和性を有する第2の特異的結合パートナーを含有することをさらに考慮する。同様に、第3の(またはそれより多くの)検査ラインが含まれる場合、検査ラインは、第3の(またはそれより多くの)分析物に対する親和性を有する第3の(またはそれより多くの)特異的結合パートナーを含有する。
【0195】
いくつかの実施形態において、対照ラインと検査ラインの比較は、本開示の診断システムからの検査結果を与える。いくつかの例において、対照ラインが検査ラインより高い強度レベルで検出されたときに妥当な結果が生じる。例えば対照ラインが検査ラインよりも少なくとも5%またはそれを超えて、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれを超えて濃い場合に妥当な結果が生じる。いくつかの例において、対照ラインが検査ラインより少なくとも0.5倍またはそれを超えて、例えば1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれを超えて濃い場合に妥当な結果が生じる。
【0196】
ポイントオブケア診断およびリスク評価システム
本開示のシステムは、ポイントオブケアシナリオに適用され得る。米国特許第6,267,722号、同第6,394,952号および同第6,867,051号は、ある特定の医学的リスクを診断および評価するためのシステムを開示および記載しており、これらの内容は本明細書に組み込まれる。システムは、患者が診察および検査されるケアの現場(point of care)においてその場で使用するためのみならず、現場から離れた操作のためにも設計される。システムは、生化学検査データ、物理検査データ、履歴データおよび他のこのようなデータを含むがこれらに限定されない患者データの形態で入力を受け入れ、医療診断または疾患リスク指標に関するデータなどの情報を処理および出力するように設計されている。医療記録もしくは病歴など、患者データはシステム内に含まれてもよく、または医療検査もしくは手順、例えば、イムノアッセイ検査データ、血圧測定値、超音波、X線もしくはMRIからのシグナルもしくは画像として入力されてもよく、または任意の他の形態で導入されてもよい。特定の検査データは、デジタル化され、処理され、医療診断エキスパートシステムに入力されることができ、そこで、他の患者情報と統合され得る。システムからの出力は、疾患リスク指標または医学的診断である。
【0197】
ポイントオブケア検査は、得られる検査がこのシステムを使用しない同等の検査よりも速く実行されるように、迅速な時間枠内で行うことができるリアルタイム診断検査を指す。例えば、本明細書に開示および記載される例示的なイムノアッセイは、対応するELISAアッセイよりも有意に短い時間で、例えば半時間未満で実施することができる。さらに、ポイントオブケア検査は、特に迅速かつ正確な結果が必要とされる場合に、診療所、病床、緊急検査室(stat laboratory)、緊急治療室または他のこのような場所などで、迅速にかつその場で行うことができる検査を指す。
【0198】
例示的な実施形態において、ポイントオブケア診断およびリスク評価システムは、患者データを読み取るための読み取り装置と、読み取り装置中で読み取られるように設計された検査装置と、データを分析するためのソフトウェアとを含む。プラスチック筐体内の検査ストリップ装置は、任意に英数字バーコードまたはその他の機械で読み取り可能なコードなどの記号体系を含んでもよい読み取り装置とともに使用するように設計されており、検査ストリップから生成されたデータを分析するように設計されたソフトウェアも提供される。
【0199】
いくつかの実施形態において、読み取り装置は、検査ストリップなどのデータを検出および/または定量するための機器を指す。データは肉眼で可視的であり得るが、可視的である必要はない。このような読み取り装置は、上記で組み込まれた米国特許第6,267,722号、同第6,394,952号および同第6,867,051号に開示および記載されている。反射率読み取り装置は、蛍光または任意の波長の電磁放射線を含む反射光を使用して検査ストリップを読み取るように適合された機器を指す。反射率は、光検出器または電荷結合ダイオード(CCD)などのその他の検出器を使用して検出することができる。例示的な反射率読み取り装置は、検査ストリップを受容するように適合されたカセットスロットと、発光ダイオードと、光ファイバと、検査ストリップに沿って感知ヘッドを配置するための手段を含む感知ヘッドと、光検出器の出力を読み取り、発光ダイオードのオンおよびオフ動作を制御するための制御回路と、生データおよび/または処理されたデータを保存するための記憶回路と、シリコンフォトダイオード検出器などの光検出器とを含む。色の変化は、色の強度もしくは色相の変化を指し、または色が存在しない場合には色の出現もしくは色の消失であり得ることが理解されよう。
【0200】
いくつかの実施形態において、試料は、診断用イムノアッセイ検査ストリップに適用され、有色のまたは濃いバンドが生成される。検査ストリップの検査領域(または検出ゾーン)内の有色の標識によって反射される色の強度は、関心対象の濃度範囲について、検査されている試料中に存在する分析物の量に正比例するか、またはそうでなければ相関する。生成された色強度は、本実施形態に従って、検査ストリップを読み取るように適合された読み取り装置、例えば反射率読み取り装置を使用して読み取られる。検査ストリップの検査領域(または検出ゾーン)内の有色の標識によって反射される色の強度は、検査されている試料中に存在する分析物の量に正比例する。換言すれば、検査領域中のより濃い色の線は分析物の量がより多いことを示すのに対して、検査領域中のより薄い色の線は分析物の量がより少ないことを示す。生成された色強度、すなわち有色の線の濃さまたは薄さは、検査ストリップを読み取るように適合された読み取り装置、例えば反射率読み取り装置を使用して読み取られる。
【0201】
読み取り装置によって得られた反射率測定値は、試料中に存在する分析物の存在および/または量と相関する。読み取り装置は、ストリップに沿って複数の読み取りを行い、試料中に存在する分析物の存在および/または量の指標である結果を生成するために使用されるデータを取得する。システムは、このようなデータを障害、症状またはこれらのリスクの存在と相関させ得る。
【0202】
本明細書の他の箇所で述べられているように、検査ストリップを読み取ることに加えて、読み取り装置は、検査ストリップまたは筐体上に存在し、検査ストリップ装置および/もしくは検査結果および/もしくは患者に関する情報、ならびに/または試薬もしくはその他の所望の情報を符号化するバーコードなどの記号体系を読み取るように(任意で)適合され得る。典型的には、関連情報はリモートコンピュータデータベース中に保存されるが、手作業で保存することもできる。さらに、記号体系は、装置が使用されるときに刻み込むことができ、情報はその中に符号化される。
【0203】
例
以下の実験例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例は、例示のみを目的として提供されており、特に明記しない限り、限定することを意図しない。したがって、本発明は、決して以下の例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるありとあらゆる変形例を包含すると解釈されるべきである。
【0204】
さらなる説明がなければ、当業者は、前述の説明および以下の例示的な例を使用して、本開示の化合物を作製および利用し、特許請求される方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を具体的に指摘しており、決して本開示の残りの部分を限定するものと解釈されるべきではない。
【0205】
例1:尿試料中のNRTIを検出するためのシステム
TDF/FTC(Truvada(商標))は、HIV感染症に対する曝露前予防内服(PrEP)に関して承認されている。順守はPrEPの成功にとって極めて重要であるが、現在の順守測定(自己報告)および血漿テノホビル(TFV)レベルは、リアルタイムな順守モニタリングとしては不適切なツールである。PrEPの順守を客観的にモニタリングするためにTDFレベルを測定するための全血または血漿アッセイを開発および検証するために、3つのコホート研究を実施して、プロドラッグNRTIであるテノホビルジソプロキシルフマラート(TDF)の活性代謝産物TFVの検出のためのシステムを評価した。コホート1は、TDFベースのレジメンを受けており、検出不能なHIVウイルス量を有する10人のHIV陽性対象の断面研究であった;コホート2は、7日間にわたる血漿および尿中のTFVクリアランスを評価するための10人の健康な対象におけるTruvadaの単回用量研究であった;コホート3は、血漿と尿の一致を経時的に評価するために毎日PrEPを受けている10人のHIV陰性対象の16週間の研究であった。
【0206】
例2.全血または血漿アッセイの開発
全血または血漿中の抗レトロウイルス薬濃度は、PrEPの順守をモニタリングするのに有用である可能性を秘める。テノホビルは、17時間の血漿半減期および150時間の細胞内半減期を有し(Hawkins 2005)、全血または血漿中で数日間検出することが可能であるので、順守をモニタリングするために使用される魅力的な薬物である。予備的データは、全血または血漿中でTFVレベルを確実に測定できること、および全血または血漿中のTFV検出が、経口TDFまたはTAF摂取後1日~少なくとも7日の範囲にわたって薬物使用を反映することを示す。
【0207】
HIV感染症を予防または処置するためにTDFまたはTAFを受けている患者における順守のリアルタイムな評価を提供する標準的な順守測定は存在しない。TDMのために使用される全血または血漿アッセイは、上記のように、標準的な臨床評価の補助として使用される場合、ほとんどマイナス面がなく、いくつかの異なる分野における順守を改善する上で明らかな利点を有することが示されている。実際、難治性高血圧症の患者において、大規模な研究により、検出不能な薬物レベルを患者に知らせ、追加のカウンセリングを与えると、処置強度を増加させることなく血圧制御が著しく改善されることが見出された(Brinker 2014)。全血または血漿TFV評価は、ある者がPrEPまたは抗レトロウイルス療法(ART)をそもそも受けているかどうか、およびある者が検査の時点でHIV感染症からその者を保護するのに十分なPrEPを受けているかどうかに関する情報を迅速に提供することができる。検査は、患者がHIV獲得から保護されていない(全血または血漿TFV濃度<10ng/mL)か、または直近の全血もしくは血漿TFVレベルに基づけば有効な処置を受けているかのいずれかを示した。
【0208】
他の薬物動態(PK)に基づく順守の評価尺度が進行中の試験において研究されており、順守に関する全血または血漿に基づくスクリーニングの最終的な有効性および臨床環境におけるその有用性は、このアッセイおよび研究設計の3つの革新的な側面に由来する。
【0209】
1.全血または血漿TFVアッセイの特異的なウィンドウ期間。全血または血漿TFV評価は、少なくとも1週間にわたる薬物療法順守に関する情報を提供することによって、血漿/細胞内および毛髪評価によって残された間隙を埋める。すなわち、単一の血漿濃度は、曝露の小さなウィンドウ(約2~3日)を反映するにすぎない(Nettles 2006;Clevenber 2002;Wertheimer 2006)のに対して、毛髪分析および細胞内濃度は、数週間から数ヶ月にわたる平均薬物曝露を反映する(Liu 2014;Hawkins 2005)。
【0210】
2.アッセイの非侵襲性。全血または血漿TFV濃度は、HIVに罹患するリスクがある個体に事前に高度に受容され得るので、理想的な順守マーカーであり得る。血液は現在、PrEPまたはARTレジメンを受けている人々に対する経過観察の予約のために、現在の臨床治療の流れの一環として採取されており、この技術は患者からの追加の試料採取を必要としない。
【0211】
3.全血または血漿アッセイは、ポイントオブケアアッセイの開発に非常に適している。本研究は、ポイントオブケア検査に変えるために行われている努力に影響を与えるために、順守を改善するために全血または血漿検査を使用することの概念実証を取得できることを表す。このアッセイは、TFVに対して感受性および特異的であり、特定の技能を必要とせず、低コストで利用可能であり、収集および処理が簡単である。このアッセイがこの集団に受容されれば、順守を高め、HIV予防努力をさらに改善するために、このアッセイは、HIV感染のリスクがある群(異性愛者の女性および男性、静脈内薬物使用者、HIV感染が不一致なカップルなど)において使用することができる。HIV陽性患者におけるウイルス量検査と同様に、全血または血漿モニタリングの結果は、危機意識およびPrEPの使用にまつわる差別的烙印というより大きな問題に患者を取り組ませるために使用できる可能性を秘めている。
【0212】
本明細書で引用される特許、特許出願、および刊行物のそれぞれおよびすべての開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示は特定の実施形態を参照して開示されているが、本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態および変形が当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような実施形態および均等な変形を含むと解釈されることを意図している。
【国際調査報告】