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特表2022-523881限局放射線の時間的測定を使用して体内の放射性物質の大きさ、位置、および体積を推定するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】限局放射線の時間的測定を使用して体内の放射性物質の大きさ、位置、および体積を推定するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/166 20060101AFI20220419BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20220419BHJP
   G01T 1/29 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
G01T1/166 Z
G01T1/161 D
G01T1/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560415
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020026347
(87)【国際公開番号】W WO2020206092
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/828,033
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/837,187
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441641
【氏名又は名称】ルサーノ・ダイナミクス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ペリン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・ジー・ノーランド
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB05
2G188BB06
2G188BB07
2G188BB15
2G188BB18
2G188CC20
2G188DD03
2G188DD06
2G188DD07
2G188EE25
2G188EE39
4C188EE03
4C188EE15
4C188FF04
4C188FF18
4C188GG17
4C188KK24
(57)【要約】
たとえば、人体から放出された放射線を測定するためのシステムおよび方法が提示される。一例では、放射線センサー(たとえば、ガンマ線センサー)を使用して注入部位に近接する放射線を時間関数として測定してもよい。そのデータによって、注入部位に近接する組織内の放射性物質の量を時間の関数として表す関数が推定されてもよく、時間tにおける組織内の放射性物質の量は既知である。センサーのアレイを使用すると、注入部位に近接する組織内の放射性物質の量が、システムによって直接判定されてもよい。時間の関数としての、注入部位に近接する放射性物質の推定される関数が既知である場合、推定される動脈入力関数が判定されてもよく、それによって、核医学画像の間臨床医によって適用されてもよい補正係数を算出することが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内で崩壊する放射性分析種を投与してから被験者によって放出される放射線を、ある期間にわたり生体外リアルタイム検出するための方法であって、
(i)前記被験者上の前記放射性分析種の投与点に近接して1つまたは複数の生体外放射線測定センサーを取り付けるステップと、
(ii)所望の期間にわたって放射線を検出し、前記所望の期間に関連する信号データを生成するステップであって、前記測定センサーが、そのような信号データについての少なくとも1つのセンサー出力を有する、ステップと、前記信号データを出力するステップと、
(iv)非一時的メモリおよび前記測定センサーの出力と動作可能に通信しているコンピュータプロセッサを使用して、前記信号データを、
(a)前記所望の期間に関連する前記信号データを受信するステップ、
(b)時間tにおける前記投与点に近接する放射性物質の測定値を使用して、前記所望の期間に関連する前記信号データに基づいて投与時間から前記時間tまでの前記投与点に近接する放射性物質の関数を推定するステップ、
(c)前記投与点に近接する放射性物質の前記推定された関数に基づいて、前記投与時間から前記時間tまでの前記注入点に近接する人体組織内に配設された放射性物質の量を判定するステップ
を実行することによって処理するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記放射線センサーと動作可能に通信している信号増幅器を使用して前記信号データを増幅するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記推定された関数に、典型的なボーラス注入からの既知のインパルス応答を畳み込み、放射性映像デバイスを使用して行われる1回または複数回の測定に適用すべき補正係数を算出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2つ以上の生体外放射線測定センサーのアレイを使用して、時間tにおける前記投与点に近接する放射性物質の前記測定値が測定され、前記アレイは、既知の形状を有し、センサー同士の間の相対距離は既知であり、前記アレイから前記放射性物質の放射測定中心までの距離を判定して、ある期間にわたる人体内における前記放射性物質の前記放射測定中心の位置を推定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アレイを使用して、前記ある期間にわたる前記放射性物質に関連する体積を判定するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
患部組織の面積に対する放射線量を推定するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
生体内で崩壊する放射性分析種を投与してから被験者によって放出される放射線を、ある期間にわたり生体外リアルタイム検出するためのシステムであって、
所望の期間にわたって放射線を検出し、前記所望の期間に関連する信号データを生成する少なくとも1つの生体外放射線測定センサーであって、前記被験者上の前記放射性分析種の投与点に近接する放射線を検知するようになっている生体外放射線測定センサーと、
前記ガンマ放射線センサーと動作可能に通信している信号増幅器であって、前記信号データを増幅するようになっており、前記測定センサーが、そのような増幅された信号データについての少なくとも1つのセンサー出力を有する信号増幅器と、
少なくとも1つのコンピュータプロセッサおよび非一時的メモリであって、前記コンピュータプロセッサが、前記非一時的メモリおよび前記測定センサーの出力ポートと動作可能に通信しているコンピュータプロセッサおよび非一時的メモリとを備え、
前記非一時的メモリは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムコードを含み、前記コンピュータプログラムコードは、前記所望の期間に前記増幅された信号データを受信するステップと、時間tにおいて前記投与点に近接する放射性物質の測定された量にアクセスするステップと、前記増幅された信号データを使用して、前記注入点に近接する放射性物質の関数を注入時間から時間tまでの時間の関数として推定するステップとを実行するように構成されるシステム。
【請求項8】
前記推定された関数に、典型的なボーラス注入からの既知のインパルス応答を畳み込み、放射性映像デバイスを使用して行われる1回または複数回の測定に適用すべき補正係数を算出するステップをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
2つ以上の生体外放射線測定センサーのアレイを使用して、時間tにおける前記投与点に近接する放射性物質の測定値が測定され、前記アレイは、既知の形状を有し、センサー同士の間の相対距離は既知であり、それによって、前記アレイから測定中の前記放射性物質の放射測定中心までの距離を判定することができ、さらに、測定中の前記放射性物質の体積を判定することができる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
被験者によって放出された、生体内で崩壊する放射線を測定することにより、人体内の放射性物質の大きさ、位置、および体積のうちの1つまたは複数をある期間にわたり生体外リアルタイム判定するための方法であって、
(i)患者上の関心領域に近接して1つまたは複数の生体外放射線測定センサーを取り付けるステップと、
(ii)所望の期間にわたって放射線を検出し、前記所望の期間に関連する信号データを生成するステップと、
(iii)前記放射線センサーと動作可能に通信している信号増幅器を使用して前記信号データを増幅するステップであって、前記測定センサーが、そのような増幅された信号データについての少なくとも1つのセンサー出力を有する、ステップと、前記増幅された信号データを出力するステップと、
(iv)非一時的メモリおよび前記測定センサーの出力と動作可能に通信しているコンピュータプロセッサを使用して、前記増幅された信号データを、
(a)前記所望の期間に関連する前記増幅された信号データを受信するステップ、
(b)様々な大きさ、位置、および体積の放射性ソースについての予期される信号データのセットと前記増幅された信号データを比較するステップ、
(c)予期される信号データの最も尤度の高いセットに前記増幅された信号データをあてはめることによって、前記所望の期間にわたる前記人体内の前記放射性ソースの大きさ、位置、および体積のうちの1つまたは複数を判定するステップ
を実行することによって処理するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記人体内の前記放射性ソースの最も尤度の高い大きさ、位置、および体積をあてはめるために最尤推定期待値最大化(Maximum Likelifood Expectation Maximization)法が使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射性ソースの前記位置に近接する組織の面積に対する放射線の線量を判定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記人体内の放射性ソースの大きさ、位置、および体積のうちの前記判定された1つまたは複数を使用して臨床決定または診断のうちの1つまたは複数を下すステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記生体外放射線測定センサーのうちの2つ以上のセンサーを備えるアレイが利用される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
2つ以上のセンサーの前記アレイが、前記人体内の前記放射性ソースの周りに実質的に対称形状に配設される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記2つ以上のセンサーは、1つまたは複数の所望の測定位置に近接して配設され、さらに、各々の所望の測定位置は、前記放射性ソースに対して第2のセンサーよりも比較的近くに配設された第1のセンサーを少なくとも備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記人体内の2つ以上の放射性ソースについて大きさ、位置、または体積のうちの1つまたは複数が判定される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記2つ以上の放射性ソースの前記1つまたは複数の判定された大きさ、位置、または体積を比較し、前記比較に基づいて臨床決定または診断を下すステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記臨床決定または診断は、前記対象患者の1つまたは複数の前の判定または比較にも基づく、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記臨床決定または診断はさらに、他の患者の母集団からのデータを含むテーブルとの比較に基づく、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2019年4月2日に出願された米国仮特許出願第62/828,033号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、体内の放射性物質の大きさ、位置、および/または体積を測定し定量化するシステム、デバイス、および方法に関する。より詳細には、本開示は、体内の関心領域における放射性物質の量、放射性物質を湿潤注入を介して導入するかどうか、腫瘍における取り込み量、器官における取り込み量、あるいは人体のすべてもしくは一部への放射性物質の任意の他の導入量、または一般的な任意の場所への放射性物質の任意の他の導入量を判定しならびに/または定量化するシステム、デバイス、および方法を教示する。
【背景技術】
【0003】
今日の多数の医療診断および治療は、放射性映像技法の強化、腫瘍の攻撃、またはその他の目的のために、体内への放射性医薬品の導入を伴う。たとえば、がん専門医は、結果を改善し、副作用を最小限に抑え、不要なコストを回避するために所定のがん治療が所期の効果を有するかどうかを知ることに関心を抱く場合がある。たとえば、細胞傷害性療法は腫瘍細胞を殺す。細胞増殖抑制療法は、たとえば、細胞の成長を抑制して腫瘍のサイズを同じままにし、一方、疾患の広がりを防止する。別の例として、免疫療法は、人体の免疫系を使用してがんを攻撃し、最初は腫瘍領域において炎症反応が生じ、その後、人体が効果的に腫瘍を攻撃していることが明らかになる。従来、腫瘍のサイズの測定は、がん専門医が治療効果を評価するための主要な方法であるが、現在、腫瘍の物理的なサイズは、治療効果の最良指標でも最早期指標でもない場合が多いことがわかっている。たとえば、細胞傷害性療法では、腫瘍の縮小が生じるのは、がん細胞が死滅し、人体の自然過程が死滅細胞を除去した後に限られ、この過程には数週間かかることが多い。細胞増殖抑制療法では、がん細胞が成長を停止し、臨床医には原発がんの状態がわからない。免疫療法では、人体の炎症反応が腫瘍を適正に評価するのを妨げることが多い。これらは、今日臨床医が直面している多くの問題のうちの一部に過ぎない。
【0004】
腫瘍の治療に対する反応を評価するために現在がん専門医および研究者が利用できる手段は理想的なものではない。腫瘍を触診することは容易でありコストもかからないが、表面に近い腫瘍に限定され、医師の記憶および記録に依存し、主としてサイズを測定する。従来の理由と相まって、この触診プロセスには再現性がないことに起因して、初期には、腫瘍サイズの顕著な変化が治療評価指標として受け入れられていた。Wolfgang A. Weberら、“Use of PET for Monitoring Cancer Therapy and for Predicting Outcome”、46 J. Nucl. Med. (No. 6) 983~995頁(2005年6月)。撮像手段(CT、MRI、x線)は、表面に近い腫瘍と深い組織中の腫瘍の両方をより厳密に測定するのを可能にするが、この場合も主にサイズが測定され、理想的な指標とは言えない。分子像(たとえば、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)またはPET/CTスキャン)は、生がん細胞によって捕捉される注入された放射線標識トレーサーからのガンマ粒子放出をとらえることがあり、日常的に、がんの治療前病期分類に使用されている。転位性疾患を視覚的に特定することは、がんの病期分類の主要な手段であるが、半定量測定、たとえば、SUV (Standardized Uptake Value)が、がんおよびその他の状態の病期分類に使用されることもある。たとえば、半定量測定は、肺結節が悪性であるかどうか、または脳機能が低下しているかどうかを判定するのを助けるために使用されることがある。一般に、半定量測定は、関心領域(たとえば、腫瘍)内の放射線標識トレーサーの量と基準領域内、たとえば、人体の残りの部分内のレベルとの比を含むことがある。たとえば、分子像は、患者のがんを病期分類する治療前要件用の主要な手段であるが、急速に、がん専門医および研究者が腫瘍反応を評価するための最も高度な手段にもなりつつある。その理由は、分子像ががんの代謝もしくは増殖状態および/または腫瘍のサイズをとらえることができるからである。病期分類代謝画像スキャンから得られた測定値を使用し、次いで、これらの値をフォローアップ画像スキャンと比較することが現在、治療効果についての最良の利用可能な指標の1つである。
【0005】
I-イオフルパン(DaTSCANまたは[123I]FP-CIT)を使用するSPECT撮影は、別の高感度撮影技法である。いくつかの臨床および/または研究環境では、パーキンソン病などの脳の病気を含む、いくつかの病気を検出または分類するためにSPECT撮影が使用されることがある。単なる一例として、ある神経変性パーキンソン病を他の非変性パーキンソン病および他の振戦障害と区別することが望ましいことがある。脳のいくつかの領域における放射性トレーサーの取り込み量を測定することによって、SPECT画像を使用してそのような区別を行ってもよい。たとえば、スキャンは、変性条件を示すことがある非対称的測定とは異なり、脳の両半球上の尾状核および果核における強力で対称的なDAT結合を特徴とし得る。たとえば、R. Prashanth、S. Dutta Roy、P. Mandal、およびS. Ghosh、“High Accuracy Classification of Parkinson’s Disease through Shape Analysis and Surface Fitting in <123>I-Ioflupane SPECT Imaging”、IEEE-JBHI Journal (2016)を参照されたい。1つまたは複数の位置におけるこれらの測定値を定量化するか、または他の方法で人体または器官の各領域同士の比較(脳の半部同士の比較)を可能にすると、有用な診断情報またはその他の情報(たとえば、SBR (Striatal Binding Ratio)の推定値)が得られることがある。たとえば、そのような情報を使用し、そのような技法を使用して変性脳条件を診断する(ならびに/またはそのような診断をなくす)ことが可能になることがある。
【0006】
臨床的な証拠が増大し続けているのでより多くの条件における反応を評価するうえで比較分子像スキャンを使用する傾向が高まっているにもかかわらず、この評価手段には依然として制限がある。たとえば、分子像スキャンはコストがかかり、分子像スキャンの使用はコストに基づいて対処されることが多い。さらに、SUVなどの半定量測定にはいくつかの問題がある。Dominique Delbeke医師によれば、「SUV測定の再現性は、臨床プロトコル、たとえば、照射湿潤、18F-FDG投与後の撮影時間、再構成アルゴリズムの種類、減弱マップの種類、関心領域のサイズ、腫瘍以外の器官による取り込みの変化、および解析方法(たとえば、最大および平均)の再現性に依存する」。Dominique Delbekeら、“Procedure Guideline for Tumor Imaging with 18F-FDG PET/CT 1.0”、47 J. Nucl. Med. (No. 5)、885~895頁、(2006年5月)。放射線標識トレーサーの湿潤注入(溢出)は、臨床医が気付かないことが多い例示的な合併症である。Medhat Osman、“FDG Dose Extravasations in PET/CT: Frequency and Impact on SUV Measurements”、Frontiers in Oncology (Vol. 1 :41) 1 (2011)。湿潤は、放射線標識トレーサーが静脈穿刺部位の近くの組織に注入されるときに生じる一般的な問題であり、カテーテルの先端が静脈から外れるかまたは静脈を通過することによって生じることがある。さらに、血管壁が、トレーサーの一部が周囲の組織に注入されるのを可能にすることがある。その結果、照射する放射性標識線量は不正確になり、したがって、SUVの計算も不正確になり、そのことが患者の治療および研究結果に顕著な影響を与えることがある。そればかりでなく、このような湿潤は、臨床的な意思決定のためのSUVしきい値を特徴付けるための研究者による努力にばらつきを生じさせることがある。ある研究では、「マルチセンターマルチオブザーバー非QA環境における代謝反応についてのしきい値は、-34%および52%であり、集中QAでは-26%~39%の範囲である」ことがわかった。Linda M. Velasquezら、“Repeatability of 18F-FDG PET in a Multicenter Phase I Study of Patients with Advanced Gastrointestinal Malignancies”、50 J. Nucl. Med. (No. 10)、1646~1654頁(2009年10月)。現地の開業医では、場合によっては、品質保証検査を使用する開業医および研究センターでも、SUV計算に関するこれらの問題によって、がん専門医および研究者は、治療上の妥当な決定を下しているかまたは研究における適正な結論に達しているといくらか確信を持てるようにSUV値の顕著な変化を確認する必要が残されている。
【0007】
静止画像からのSUV比較を使用することは現在、腫瘍の治療に対する反応を評価するうえで臨床慣習において最も高度な方法であるが、動的分子像(すなわち、放射線標識トレーサーの取り込みの間、様々な時間で撮られた画像)を使用すると、放射線標識トレーサーの取り込みに関する動的情報が研究者に与えられる。学会では、この動的情報は、治療を評価し、患者の結果を予測するうえで、SUVなどの静的半定量測定を使用するよりもはるかに優れた方法であることが証明されつつある。(Lisa K. Dunnwald、“PET Tumor Metabolusm in Locally Advanced Breast Cancer Patients Undergoing Neoadjuvant Chemotherapy: Value of Static versus Kinetic Measures of Fluorodeoxyglucose Uptake”、Clin. Cancer Res.2011;17:2400~2409頁(2011年3月1日にオンライン初公開)を参照されたい)。残念なことに、この動的手法は、静的スキャンの約3倍長い時間がかかり、したがって、各病院において数個多いスキャナーが必要であり、広く採用し臨床的に使用するのは臨床的および経済的に非現実的である。したがって、過去数十年の間に、がん治療の選択肢が顕著に向上しているが、今日の臨床医および研究者は依然として、臨床医および研究者が行っている治療または研究の効果を適切な時間にかつ迅速に評価する費用効率の高い方法を有していない。
【0008】
現行の測定および予測システムに伴う問題を考慮して、組織の取り込みおよびSUV結果に悪影響を与える、不適正に投与された放射線標識トレーサー注入(浸潤または溢出)を特定するためのシステムおよび方法、ならびにそのような生物学的プロセスにおいて状況および/または変化を測定し予測するためのより容易でよりコストがかからずより効率的なシステムおよび方法も開発されている。たとえば、所望の期間にわたって人体内の放射性物質を検出するための方法およびシステムは、たとえば、2018年1月31日に出願された米国特許出願第15/885,112号で開示されている。米国特許出願第15/885,112号は、現在の米国特許第9,939,533号である2015年4月3日に出願された米国特許出願第14/678,550号の分割出願であり、米国特許出願第14/678,550号は、米国特許出願第13/840,925号の一部継続出願であり、米国特許出願第13/840,925号は、2013年3月15日に出願され、現在の米国特許第9,002,438号であり、米国特許出願第13/840,925号は、2012年5月30日に出願された米国仮特許出願第61/653,014号の優先権の利益を主張する。これらの開示の各々が参照により本明細書に完全に組み込まれている。
【0009】
上記で識別された文献において開示されたシステムおよび方法のいくつかの態様は、特に、放射線標識放射性トレーサーを注入する間(すなわち、非ボーラス注入)の湿潤の検出および定量化に関する。核医学治療において、放射性医薬品は一般に、静脈注射される。これらの治療のうちの多くでは、注入はボーラスとして行われ、それによって、放射性医薬品の完全で迅速な体系的分散をもたらすべきである。溢出または湿潤は、注入した物質が、所期の脈管構造内に残るのではなく周囲の組織内に漏れるときに生じる。溢出は、静脈アクセス(IV)の不適正な配置、血管壁のびらんまたは劣化、または血管完全性の障害によって生じることがある。任意の放射性医薬品が溢出すると、放射線の一部が、患者の体全体にわたって循環するのではなく注入部位に残る。溢出によって、取り込まれる利用可能な正味放射線が低減し、以後の撮影において取り込み運動を変化させる。溢出は、溢出部の周囲の組織を受け入れられない放射線量に曝露させることもあり、これは望ましくない。
【0010】
湿潤または非ボーラス注入の一般的な検出のみが臨床医には極めて有用であるが、湿潤が生じたことだけでなく、湿潤が、たとえば最終的に血流に到達する放射性トレーサーの総量、そのように血流に投与されるタイミングにどのように影響したか、ならびに最終的に、たとえば関心領域における測定されたSUVを、放射性トレーサーの血流への投与のそのような低減および/または遅延に基づいてどのように調整することが必要になり得るかも理解すると有利である。湿潤部位の近くの組織への放射線量を定量化すると有利である場合もある。
【0011】
詳細には、注入薬剤が湿潤した場合、放射性トレーサーの一部が直接血流に到達し、一方、一部が注入部位の周りの組織に埋め込まれたまま残る。組織に埋め込まれた放射性トレーサーがそれにもかかわらず、最終的に、初期注入よりも遅い時間ではあるが血流に到達することがあり、それによって、臨床医による線量および投与量におけるある想定が影響を受ける。したがって、非ボーラス注入が、たとえばPETスキャンによってある期間にわたって動的に測定される計量法(たとえば、動態解析、Patlakなど)を変更することがあり、この動的変動が湿潤自体の特性に依存する(すなわち、湿潤ごとに変わる)ので、湿潤した注入薬剤から血流への放射性トレーサーの投与量を時間の関数として測定するシステムおよび方法は、臨床医に重要な情報を提供することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願第15/885,112号
【特許文献2】米国特許第9,939,533号
【特許文献3】米国特許出願第14/678,550号
【特許文献4】米国特許出願第13/840,925号
【特許文献5】米国特許第9,002,438号
【特許文献6】米国仮特許出願第61/653,014号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Wolfgang A. Weberら、“Use of PET for Monitoring Cancer Therapy and for Predicting Outcome”、46 J. Nucl. Med. (No. 6) 983~995頁(2005年6月)
【非特許文献2】R. Prashanth、S. Dutta Roy、P. Mandal、およびS. Ghosh、“High Accuracy Classification of Parkinson’s Disease through Shape Analysis and Surface Fitting in <123>I-Ioflupane SPECT Imaging”、IEEE-JBHI Journal (2016)
【非特許文献3】Dominique Delbekeら、“Procedure Guideline for Tumor Imaging with 18F-FDG PET/CT 1.0”、47 J. Nucl. Med. (No. 5)、885~895頁、(2006年5月)
【非特許文献4】Medhat Osman、“FDG Dose Extravasations in PET/CT: Frequency and Impact on SUV Measurements”、Frontiers in Oncology (Vol. 1 :41) 1 (2011)
【非特許文献5】Linda M. Velasquezら、“Repeatability of 18F-FDG PET in a Multicenter Phase I Study of Patients with Advanced Gastrointestinal Malignancies”、50 J. Nucl. Med. (No. 10)、1646~1654頁(2009年10月)
【非特許文献6】Lisa K. Dunnwald、“PET Tumor Metabolusm in Locally Advanced Breast Cancer Patients Undergoing Neoadjuvant Chemotherapy: Value of Static versus Kinetic Measures of Fluorodeoxy glucose Uptake”、Clin. Cancer Res.2011;17:2400~2409頁(2011年3月1日にオンライン初公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本開示の一目的は、湿潤した注入薬剤の初期大きさを推定するための方法およびシステムを提供し、重要な期間にわたる湿潤した部分の一部またはすべての血流への投与率を測定することである。たとえば、いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるシステムおよび方法は、特に、測定されたSUVに適用されてもよい補正係数を最終的に与えるために利用されてもよい。
【0015】
さらに、放射性医薬品が溢出すると、組織を顕著な線量にさらす高強度の放射線が注入部位の近くに残ることがある。既存の線量測定技法は、溢出した放射線または体積の経時的な変化を正確に説明するものとは限らないので溢出物に適切ではない場合がある。本明細書におけるいくつかの例示的な実施形態で説明するように、注入部位の近くの放射線の時間放射能曲線(TAC)を記録するシンチレーション検出器が、この情報を収集するための実際的な方法であってもよい。たとえば、溢出物の生体クリアランス率がTACデータを用いて決定されてもよい。たとえば、所与の時点における湿潤物の大きさ、位置、および/または体積の放射性映像または直接測定を使用して決定されてもよい総溢出放射線強度とともに、上記の率を使用することにより、注入時間を外挿することによって初期溢出放射線強度が推定されてもよい。
【0016】
説明する方法およびシステムの一態様は、たとえば、放射性トレーサー注入物の湿潤部分の大きさ/振幅、位置、および/または体積を時間の関数として理解することである。現在、そのような情報は、たとえば、核医学画像技法(たとえば、PETスキャン)を使用することによって決定されてもよい。しかし、核医学画像またはスキャナー自体に依存せずにこの情報を決定すると有利である場合がある多数の状況が存在する。たとえば、対象となる放射性ソースが撮像デバイスの視野外に位置する場合も、または放射性ソースが消散もしくは移動した後まで決定できない場合などもある。コストのかかる核医学画像システム(たとえば、PETスキャンなど)に依存せずにこの情報を決定すると有利である場合がある。たとえば、そのようなシステム、デバイス、および方法を使用して経時的な腫瘍における放射性物質の取り込み、放射性医薬品の厳密な器官線量測定、体内の他の関心領域(たとえば、脳(大脳基底核)、他の器官、他の組織など)内および他の状況における放射性医薬品の取り込みを定量化し他の方法で理解してもよい。
【0017】
したがって、本開示の追加の目的は、PETスキャナーなどの核医学画像デバイスに依存せずに体内の放射性ソースの振幅、位置、および/または体積を測定または推定する方法およびシステムを提供することである。核医学画像デバイス(たとえば、SPECTまたはPETスキャナー)自体を使用して必要な測定を行うのではなく、1つまたは複数のセンサーを使用して、たとえば、ある期間にわたる放射線強度を測定してもよい。たとえば、米国特許第9,002,438号および米国特許第9,939,533号において教示されたようなセンサーが使用されてもよい。ただし、放射線強度を測定するための他のセンサーが利用されてもよい。次いで、本開示のシステムおよび方法を使用することによって、それらのセンサーによって得られた情報を使用して、放射性ソースの位置および/または体積に加えて、関心期間にわたる体内の放射性ソースの振幅を測定、判定または推定してもよい。そのような情報を使用して周囲の組織に対する放射線量を推定してもよい。そのような情報を使用して、腫瘍または器官における放射性医薬品の取り込みまたは投与を定量化し、経時的な(単一の治療単位にわたる、または数時間、数日、数週間、数か月、もしくは数年にわたる複数の期間の比較による)取り込みまたは投与の変化を定量化し、人体の2つ以上の部分内のそのような取り込みまたは投与を定量化して有用な比較測定値(たとえば、脳の半球間の比較など)を判定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
いくつかの実施形態では、生体内で崩壊する放射性分析種を投与してから被験者によって放出される放射線を、ある期間にわたり生体外リアルタイム検出するための方法であって、被験者上の放射性分析種の投与点に近接して(proximate)1つまたは複数の生体外放射線測定センサーを取り付けるステップと、所望の期間にわたって放射線を検出し、所望の期間に関連する信号データを生成するステップとを含む方法が提示される。測定センサーは、そのような信号データについての少なくとも1つのセンサー出力を有してもよく、信号データが出力される。信号データは、非一時的メモリおよび測定センサー出力と動作可能に通信している(in operative communication with)コンピュータプロセッサを使用して処理されてもよく、より詳細には、所望の期間に関連する信号データを受信し、時間tにおける投与点に近接する放射性物質の測定値を使用して、所望の期間に関連する信号データに基づいて投与時間から時間tまでの投与点に近接する放射性物質の関数を推定し、投与点に近接する放射性物質の推定された関数に基づいて、投与時間から時間tまでの注入点に近接する人体組織内に配設された放射性物質の量を判定してもよい。いくつかの実施形態では、この方法は、放射線センサーと動作可能に通信している信号増幅器を使用して信号データを増幅するステップを含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、時間tにおける投与点に近接する放射性物質の測定値は、2つ以上の生体外放射線測定センサーのアレイを使用して測定されてもよい。いくつかの実施形態では、アレイは、既知の形状を有してもよく、センサー間の相対距離は、既知であってもよい。いくつかの実施形態によれば、アレイ(および/またはアレイの各センサー)から放射性物質の放射測定中心までの距離を判定して、ある期間にわたる人体内における放射性物質の放射測定中心の位置を推定することが可能であってもよい。いくつかの実施形態では、アレイを使用してある期間にわたって放射性物質に関連する体積を判定してもよい。いくつかの実施形態では、放射性ソースに近接する組織の面積に対する放射線量(すなわち、影響を受ける組織の面積または体積に対する線量)を推定することが可能であってもよい。
【0020】
代替実施形態では、生体内で崩壊する放射性分析種を投与してから被験者によって放出される放射線を、ある期間にわたり生体外リアルタイム検出するためのシステムが提示される。システムは、所望の期間にわたって放射線を検出し、所望の期間に関連する信号データを生成する少なくとも1つの生体外放射線測定センサーを含んでもよく、生体外測定センサーは、被験者上の放射性分析種の投与点に近接する放射線を検知するようになっていてもよい。システムは、ガンマ放射線センサーと動作可能に通信してもよい信号増幅器を含んでもよい。信号増幅器は、信号データを増幅するようになっていてもよく、測定センサーは、そのような増幅された信号データについての少なくとも1つのセンサー出力を有してもよい。システムは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサと非一時的メモリとを含んでもよく、コンピュータプロセッサは、非一時的メモリおよび測定センサー出力ポートと動作可能に通信してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、非一時的メモリは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムコードを含んでもよく、コンピュータプログラムコードは、所望の期間に増幅された信号データを受信するステップと、時間tにおいて投与点に近接する測定された量の放射性物質にアクセスするステップと、増幅された信号データを使用して、注入点に近接する放射性物質の関数を注入時間から時間tまでの時間の関数として推定するステップとを実行するように構成されてもよい。システムはまた、いくつかの実施形態では、推定された関数に、典型的なボーラス注入からの既知のインパルス応答を畳み込むステップを含んでもよい。システムは、放射性映像デバイスを使用して行われる1回または複数回の測定に適用すべき補正係数を算出してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、システムは、2つ以上の生体外放射線測定センサーのアレイを使用することによって時間tにおける投与点に近接する放射性物質の値を測定してもよい。そのような実施形態では、アレイは、既知の形状を有し、アレイから測定中の放射性物質の放射測定中心までの距離が判定され得るようにセンサー同士の間に既知の相対距離を有してもよい。システムは、測定中の放射性物質の体積を判定してもよい。
【0023】
いくつかの他の実施形態では、被験者によって放出された、生体内で崩壊する放射線を測定することにより、人体内の放射性物質の大きさ、位置、および体積のうちの1つまたは複数をある期間にわたり生体外リアルタイム判定するための方法が提示される。この方法は、患者上の関心領域にまたは関心領域に近接して1つまたは複数の生体外放射線測定センサーを取り付けるステップと、所望の期間にわたって放射線を検出し、所望の期間に関連する信号データを生成するステップとを含んでもよい。この方法は、たとえば、放射線センサーと動作可能に通信してもよい信号増幅器を使用して信号データを増幅するステップを含んでもよい。測定センサーは、そのような増幅された信号データについての少なくとも1つのセンサー出力を含んでもよく、増幅された信号データを出力してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、増幅された信号データは、たとえば、非一時的メモリおよび測定センサー出力と動作可能に通信しているコンピュータプロセッサを使用して処理されてもよく、プロセッサは、所望の期間に関連する増幅された信号データを受信するステップと、様々な大きさ、位置、および体積の放射性ソースについての予期される信号データのセットと増幅された信号データを比較するステップとを実行してもよい。この方法は、いくつかの実施形態では、予期される信号データの最も尤度の高いセットに増幅された信号データをあてはめることによって、所望の期間にわたる人体内の放射性ソースの大きさ、位置、および体積のうちの1つまたは複数を判定するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、人体内の放射性ソースの最も尤度の高い大きさ、位置、および体積をあてはめるために使用される方法は、最尤推定期待値最大化法であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、この方法は、放射性ソースの位置に近接する組織の面積に対する放射線の線量を判定するステップを含んでもよい。この方法は、人体内の放射性ソースの大きさ、位置、および体積のうちの判定された1つまたは複数を使用して臨床決定または診断のうちの1つまたは複数を下すステップを含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、この方法は、2つ以上の生体外放射線測定センサーを含んでもよいアレイの使用を含んでもよく、また、センサーが人体内の放射性ソースの周りに実質的に対称形状に配設されてもよい。センサーは、1つまたは複数の所望の測定位置に近接して配設されてもよく、いくつかの実施形態では、各々の所望の測定位置は、放射性ソースに対して第2のセンサーよりも比較的近くに配設された第1のセンサーを少なくとも含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、この方法は、人体内の2つ以上の放射性ソースについての大きさ、位置、または体積のうちの1つまたは複数を判定するために使用されてもよい。必要に応じて、この方法は、2つ以上の放射性ソースの1つまたは複数の判定された大きさ、位置、または体積を比較し、比較に基づいて臨床決定または診断を下すステップを含んでもよい。この方法では、対象患者の1つまたは複数の前の判定または比較に基づき、ならびに/または他の患者の母集団からのデータを含むテーブルもしくはその他の情報源との比較を使用して臨床決定または診断を下してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】濃度対時間を示す例示的な注入血中濃度を示すチャートである。
図2】循環系に進入する例示的な放射線を単位時間当たりの放射能対時間として示すチャートである。
図3】50%のAUC低減をもたらす溢出についてのAIFの例を示すチャートである。
図4】本開示のいくつかの実施形態による測定センサーの例示的な概略図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による測定センサーの例示的な図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による測定センサーの例示的な図である。
図7】クリアランス率を推定するための指数関数あてはめを含む時間放射能曲線(TAC)を示す例示的なチャートである。
図8】本開示のいくつかの実施形態によるセンサー構成の例示的な図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態によるセンサー構成の例示的な図である。
図10】本開示のいくつかの実施形態によるセンサー構成の例示的な図である。
図11】本開示のいくつかの実施形態による例示的なセンサー構成である。
図12】本開示のいくつかの実施形態による例示的なセンサー構成である。
図13】本開示のいくつかの実施形態による画素およびセンサーの簡略図である。
図14】本開示のいくつかの実施形態による例示的なセンサー構成である。
図15A】本開示のいくつかの実施形態による例示的なセンサー構成である。
図15B】長手方向軸に沿って見たときの、図15Aに提示された例示的なセンサー構成の別の図である。
図15C】側面から見たときの、図15Aに提示された例示的なセンサー構成の別の図である。
図16】本開示のいくつかの実施形態による例示的なセンサー構成である。
図17】本開示のいくつかの実施形態による例示的なセンサー構成である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、特に、限局放射線の測定を使用して人体内の放射性ソース物質の大きさ、位置、および/または体積を推定するためのシステムおよび方法を教示する。いくつかの実施形態では、そのような測定が様々な時点で繰り返され、人体内の放射性物質の大きさ、位置、および/または体積の経時変化が判定されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような情報を使用して放射性医薬品の非ボーラス注入が補正されてもよい。そのようなシステムおよび方法は、医師が、たとえば、がん治療の効果をよりうまく測定するのを可能にし得る。他の実施形態では、このシステム、デバイス、および方法を使用して器官線量測定の妥当性を検査するか、または腫瘍、器官、もしくは他の関心領域における放射性医薬品の取り込み量を直接測定してもよい。
【0030】
実施形態の第1のセットによれば、上記で紹介したように、腫瘍のSUV、たとえば、関心領域における放射線標識トレーサーの量と人体の残りの部分におけるレベルとの比を、特に分子像データを使用して算出してもよい。一般に、SUVは、血流中の放射性トレーサーの濃度の積分値に定数Kを掛け、分布容積因子(V)の変動を加えた値として近似されてもよい。以下の例示的な数式では、C(t)は、腫瘍における放射性トレーサーの濃度を表し、C(t)は、血中の放射性トレーサーの濃度を表し、Kは定数であり、Vは、1mLの組織と同じ放射線を含む血液の体積と同等の分布の無次元体積である。
【0031】
【数1】
【0032】
患者への放射性トレーサーの注入が計画通りに進んだときは(すなわち、注入時に湿潤または溢出がなく、放射性トレーサーの全線量が患者の血流中に迅速に進入する)ときは、血中の放射性トレーサーの濃度を動脈入力関数として想定することができる。動脈入力関数または「AIF」は、典型的なボーラス注入についてのインパルス応答と呼ばれることがあり、そのようなインパルス応答は十分に研究され測定されている。血中の放射性トレーサーの濃度が、既知の線量の典型的なボーラス注入であると想定することができないが、その代わり線量の湿潤した部分が比較的低速に血流中を進行するにつれて経時的に変動するとき、腫瘍における放射性トレーサーの測定された濃度は、初期(部分的)ボーラス注入からの血流における放射性トレーサーと、湿潤部分からの後で追加される放射性トレーサーの両方の関数になる。さらに、湿潤の大きさ(すなわち、放射線強度)は湿潤自体の特性に依存する(すなわち、たとえば、湿潤のサイズ、湿潤の位置、局所組織血管新生などに基づいて湿潤ごとに変わる)ので、ボーラス部分から血流中への有効線量が既知の量だけ減少することがある。したがって、関心領域(たとえば、腫瘍)のSUVは、典型的な注入からのボーラス注入積分値と非ボーラス注入積分値との比に比例する量だけ変化し、いくつかの実施形態では、以下のように表されてもよい(SUVは、典型的なボーラス注入の場合のSUVであり、SUVは、湿潤した注入の場合のSUVである)。
【0033】
【数2】
【0034】
一般に、放射性トレーサー取り込みの動力学的特性は、時不変線形システムと見なすことができる。この例示的な場合、ボーラス注入はインパルスとすることができ、その場合、正常なAIF曲線(すなわち、時間の関数としての血中の放射性トレーサーの濃度)をインパルス応答とすることができる。典型的なボーラス注入についてのAIFは十分に研究され測定されており、それによって、文献において結果および適用可能な測定値を容易に利用することができる。次に、図1を参照するとわかるように、理想的な注入についての例示的なAIF曲線100が提示され、y軸上の血中の放射性医薬品の濃度対x軸上の時間が示されている。
【0035】
しかし、溢出または湿潤した注入の場合、AIFは、低減した初期インパルス(ボーラス)とそれに続く長時間の崩壊指数関数的再吸収とを含む変更された入力信号による正常なインパルス応答の畳み込みとしてモデル化されてもよい。低減したボーラス部分は、直ちに循環系に進入する放射性トレーサーの量を表してもよい。注入部分の広がりは、隔離されるかまたは湿潤した放射性トレーサーが、たとえば静脈系またはリンパ系を通して循環系に再吸収されることによって生じることがある。次に図2を参照するとわかるように、非典型的な注入200(たとえば、湿潤を有する注入)の例示的なグラフ表現が提示されており、単位時間当たりに測定された放射線強度(y軸)が時間(x軸)の関数として表されている。図示のように、ボーラス部分に相当する初期「スパイク」201があり、それに続いて、徐々に崩壊する指数関数再吸収部分202がある。
【0036】
湿潤/溢出の場合、注入はボーラスではなく、したがって、線形システムへの入力はインパルスではない。溢出または湿潤した注入から線形システムへの真の入力が既知であるかまたは判定することができる場合、変更された注入形状が、たとえば(たとえば、PETスキャンによる)SUVなどのスキャン計量法にどのように影響を与え得るかを算出することが可能であってもよい。たとえば、注入が湿潤または溢出した後に、変更された線形システム入力を取り込み、線形システム入力に、典型的なボーラス注入からの既知のインパルス応答を畳み込むことが可能であり、それによって、湿潤(すなわち、溢出)した注入についての経時的な予期される血中濃度が得られる。関数の畳み込みは、湿潤または溢出の任意の場合について血中の放射性トレーサーの濃度についての関数を時間の関数(すなわち、動脈入力関数すなわちAIF)として生成することができる。次に図3を参照するとわかるように、50%SUV(曲線の下の領域すなわちAUC)低減をもたらす溢出についてのAIFと一緒に理想的なボーラス注入AIF(点線)を示す例示的なグラフ表現が提示されている。
【0037】
上記で概略的に説明した方法を実施するには、ユーザは、湿潤の振幅(すなわち、放射線強度)を知るとともに(経時的に循環系に進入する放射性トレーサーの関数を生成するように)湿潤物の再吸収率を知る必要がある。特定の領域(たとえば、湿潤部位)における放射線の振幅を判定する1つの方法は、撮像期間の間に得られる核医学画像データを使用し、それによって、時間=tにおけるある領域内の振幅が生成されてもよい。しかし、これだけでは、注入時(t=0)に湿潤した量、または放射性トレーサーが血流中に再吸収されたと考えられる率を外挿するのを可能にすることはできない。
【0038】
いくつかの実施形態では、米国特許第9,939,533号および米国特許第9,002,438号で開示されたような限局放射線検出器を使用して、注入部位における放射線強度を時間の関数(すなわち、時間放射能曲線、すなわちTAC)として測定してもよい。次に図4図6を参照するとわかるように、たとえば、シンチレーション材料20と、光検出器21と、関連する非一時的センサーメモリ30を有するセンサープロセッサ22と、論理またはセンサーソフトウェア26と、場合によってはプリント回路板23P(図6)と動作可能に通信しているこれらの構成要素をサポートする他の回路とを含んでもよい測定センサー11が利用されてもよい。そのようなセンサーはまた、増幅器回路33および/または温度センサー36を含んでもよい。測定センサー11は、シンチレーション材料20を利用して陽電子放出崩壊からのガンマ放射線を受け、放射線を光のパルスなどの光子に転換し、次いで、光子が光検出器21によって検出されてもよい。センサープロセッサ22は、所与の時間にわたって検出される光パルスの数など、光子の測定および収集を可能にしてもよい。場合によっては、そのようなパルスの高さまたは振幅に基づいて、増幅された信号データをフィルタ処理するためのフィルタを構成してもよいノイズ除去部37を含めてもよい。たとえば、ノイズ除去部37は、デジタル出力を基準レベルと比較するための、コンピュータプログラムコードを有する電圧比較器またはアナログデジタル変換器を含んでもよい。
【0039】
考えられるシンチレーション材料20には、限定はしないが、ゲルマニウム酸ビスマス(BOO)、ガドリニウムオキシオルトシリケート(GSO)、セリウムドープルテチウムオキシオルトシリケート(LSO)、セリウムドープルテチウムイットリウムオキシオルトシリケート(LYSO)、タリウムドープヨウ化ナトリウム(Nal(Tl))、プラスチックシンチレータ(ポリビニルトルエン)、またはテルル化カドミウム亜鉛(CZT)が含まれる。測定センサー11の例示的な実施形態では、それぞれに異なる放射性同位体を測定するようになっている複数のシンチレーション材料20が使用されてもよい。測定センサー11の別の実施形態では、光検出器21を使用する必要のないシンチレーション材料20が使用されてもよい。測定センサーの別の実施形態では、2次元または3次元アレイの測定を可能にするために各々がそれ自体の検出回路を有する複数のシンチレーション材料20が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、センサーは、アルファ粒子、ベータ粒子、x線、ガンマ光線、および/または放射性物質を示す他の粒子/エネルギーを検出することができる。
【0040】
もちろん、必要に応じて、当技術分野で公知の他の放射線センサーが利用されてもよい。たとえば、所望の用途に応じて、アルファ粒子、ベータ粒子、x線、ガンマ光線、または他の種類の放射性崩壊粒子/エネルギーを検出することができる放射線センサーが利用されてもよい。たとえば、ベータ粒子の測定は、薬剤が時々、ベータ粒子を放出するような人体のある領域への放射線治療薬の投与を評価する際に有利であることがある。同様に、薬剤または他の物質を放出するあるベータ粒子(または他の粒子)が人体のある部分に到達しないようにすると有利であることがある。したがって、センサーを使用してそのような物質がないことを確認することができる。いくつかの実施形態において、一般にセンサーに必要なことは、センサーが放射性物質からの放出を検出することができ、さらにそのような放出に関する情報を処理のためにシステムに送信するかまたは場合によってはシステムと共有することができることだけである。いくつかの実施形態では、センサーおよび/またはシステムは一般に、検出された放出に関連するエネルギーレベル、またはフィルタが受けたエネルギーがあるしきい値よりも大きいかそれとも小さいかを測定できることが望ましい場合もある。
【0041】
測定データを利用することにより、検出器における放射線強度を時間の関数(すなわち、放射線が湿潤部位から離れる速度)として観測することによって血流への再吸収率が算出されてもよい。時間tにおける放射性物質の量、および放射性物質が湿潤部位を離れる速度をTACから知ることによって、湿潤した放射性物質の初期量の予測値が判定されてもよい。この情報を知ることによって、変更された注入曲線および初期ボーラスの低減がプロットされてもよく、血中の放射性トレーサーの濃度の関数が時間の関数として判定されてもよい。その関数が既知となることによって、SUVに対する補正係数などが適用されてもよく、臨床医は、診断治療効果などを向上させてもよい。次に図7を参照するとわかるように、指数関数あてはめ曲線を有する例示的なTACが提示されている。
【0042】
上記で紹介したように、利用可能性、コスト、動作リソースなどの放射性映像装置(たとえば、PETスキャナー)に対する多数の制約によって、そのような装置を使用した人体内の放射性ソースのサイズおよび/または大きさの判定は、常に可能であるとは限らない。たとえば、場合によっては視野外に位置し、ならびに/または場合によってはスキャン時に関心領域ではない湿潤領域の測定値を得ることは常に実現可能であるとは限らない。また、患者をスキャナーまで移動させるまで待つのではなく、以後の注入の時間からの任意の湿潤の大きさおよび範囲を理解すると有利である。放射性映像スキャナーを使用せずに湿潤の大きさを判定できることも望ましい。その理由は、それによって、湿潤の範囲がスキャンを無効にするほど大きいと見なされる場合にはそのようなスキャナーをまったく不要にし、それによって、患者が追加的な不要な放射線被ばく(たとえば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンなどによる被ばく)を受けるのを防ぐことができるからである。
【0043】
より複雑で高価な放射性映像装置の利用可能性に依存する必要なしに関心領域における放射性物質取り込みの面積および/または大きさを概略的に測定すると有利である場合もある。医師は、腫瘍を除去する治療の効果を判定するために、たとえば、腫瘍がある期間(たとえば、数日、数週間、数か月など)にわたって縮小しているかどうかを知ることを望む場合がある。患者に連続的な放射性映像スキャンを受けさせ、必ず複数回にわたって放射線を曝露させることは、それほど理想的なものではなく、場合によっては、禁止すべきである。
【0044】
上記で概略的に説明した難点を解消する1つの方法は、たとえば、既知の形状に配置されてもよい複数の検出器を利用することである。各センサーは、物質の所与のソースからの放射線を測定してもよく、各センサーは、既知の感度を有してもよく、それによって、イベントごとに測定される強度に関する情報を与えることが可能になる。そのような強度は、たとえば、センサーのソースからの距離、ソースとセンサーとの間の物質固有の減衰、ならびにソース自体の強度に依存してもよい。上記で指摘したように、各センサーのソースからの距離の判定は、任意の所与の距離において測定される強度がソースにおける未知の強度に依存するのでセンサーごとに判定可能でない場合がある。しかし、センサーのアレイからのデータを利用し、それぞれに異なるが既知の相対距離の同じ領域の強度を測定することによって、ソースの大きさ、位置、および/またはサイズに関する情報は最終的に各時間単位において判定されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、一例に過ぎないが、三辺測量と呼ばれる方法を本開示と組み合わせて使用して各センサーの放射測定中心からの距離を判定してもよい。三辺測量は、いくつかの点で三角測量に類似しているが、角度ではなく距離を利用する。いくつかの実施形態では、各センサーは、各カウントの測定された強度に基づいてソースまでの推定距離Rを算出することができる。しかし、ソースの方向は未知である。したがって、判定された距離は、ソースがセンサーを中心とする半径Rの球上のどこかに位置していなければならないことを示すに過ぎない。しかし、複数のセンサー(たとえば、4つ)用のそのような球3-D空間に位置させると、4つの球が交差する点は、ソース物質の放射測定中心を特定することができ、システムがソース物質の放射測定中心とセンサーの間の距離を知るのを可能にする。
【0046】
次に図8を参照するとわかるように、いくつかの実施形態による、1つの三辺測量モデルの例示的な表現が提示されている。この例示的な実施形態では、さらに図9を参照するとわかるように、センサー910のセットが既知の3次元構成に配設されてもよい。距離とソース強度の両方が未知であるので、反復プロセスを利用してシステムの所与の制約を満たす値を判定してもよい。たとえば、様々なパラメータを使用して、最大数の球が最もうまく交差する値を判定することができる。予期される放射線強度についての推定値、ソースと各センサーとの間の物質固有の減衰に関する想定、および反復プロセスを助けるための距離範囲近似を含むいくつかの想定が使用されてもよい。測定ノイズが、正確な交差点を見つけるのを困難にすることがあるが、最良あてはめを使用して最終的に十分に厳密な距離推定値を見つけて、放射測定中心(たとえば、点805)についての推定値を判定してもよい。システムは、この距離を知ると、任意の所与の時間における(時間T2におけるソースが初期時間T1に対してずれた状況を含む)測定強度に基づいて存在する放射性物質の量を算出することができる。
【0047】
当技術分野では、放射性物質の存在下でカウントを測定することができる様々な異なるセンサーが利用可能であり、かつ公知である。これらには、限定はしないが、特に、上記で図4図6を参照して開示したセンサー、TLD-熱ルミネセンスデバイス、OSL-光刺激ルミネセンスデバイス、放射線感応膜、RADFET-放射線感応電界効果トランジスタ、PINダイオード-放射線感応ダイオード、電離箱、ガイガーカウンター、およびシンチレーション結晶が含まれる。本明細書で説明するセンサーのアレイは、必要に応じて、1つのタイプであってもよく、またはそれぞれに異なるタイプの組合せであってもよいことが諒解されよう。システムは、各センサーの相対感度を知って測定を適切に較正するだけでよい。
【0048】
上記で指摘したように、センサーアレイの相対形状を知る必要があるが、その形状は他の点では、空間と時間の両方において概して無制限である。いくつかの実施形態では、センサーの相対形状が各時間tにおいて知られている限り、各センサーの放射測定中心までの相対距離を判定することができる。しかし、いくつかの実施形態では、センサーを、たとえば、すべてを同様の2次元平面上または1次元の線内に存在させるのではなく、3次元アレイとして配設することが必要になる場合があることに留意されたい。
【0049】
次に図9を参照するとわかるように、いくつかの実施形態による例示的な4センサーアレイが提示されている。図示のように、様々なセンサー910が3次元構成に配置されてもよい。いくつかの他の実施形態では、図10を参照するとわかるように、様々なセンサー1010を3次元L字型ブラケット構成に配設することができる。図9および図10は、利用されてもよい多数の異なる潜在的なセンサー構成および形状のうちの2つのみを示す。
【0050】
いくつかの実施形態では、放射性ソースの放射測定中心を判定するためにアレイとして配置されてもよい本明細書で説明する様々なセンサーは、上述の時間放射能曲線(TAC)を測定する同じセンサーであってもよい。したがって、本明細書で説明するように、各センサーは、湿潤を検出し、注入/湿潤部位において時間放射能曲線を測定し、場合によっては、湿潤の大きさを測定して、たとえば、最終的に放射性映像デバイス(たとえば、PETスキャン)によって測定される関心領域(たとえば、腫瘍)のSUVに関する情報、およびたとえば、放射性トレーサーの不完全な注入を考慮して適用することが必要になることがある任意の補正係数を生成するために利用されてもよい。
【0051】
本開示のいくつかの他の実施形態では、システムは、センサーのアレイを他の推定技法と組み合わせて利用して、たとえば、放射性関心領域の大きさおよび/または位置/サイズを定量化しならびに/または測定してもよい。いくつかの実施形態では、次に例示的な図11を参照するとわかるように、ある体積の放射性ソース物質1103を含んでもよい関心領域1101は、センサーアレイを形成する1つのアレイまたは複数のアレイ1110によって囲まれてもよい。関心領域1101は、たとえば、患者1160内に位置してもよい(たとえば、湿潤した放射性医薬品注入物、放射性医薬品によって治療中の腫瘍、厳密な量の放射性医薬品を投与することが望ましい器官など)が、より汎用的には、人体内に位置するか、何らかの他の容器内に位置するか、それとも独立して存在するかにかかわらず、放射性物質を含んでもよい任意の体積の領域であってもよい。この例示的な実施形態では、センサー1110は、関心領域1101に対して様々な形状において患者1260の体の外側に配置されてもよい。
【0052】
センサー1110のアレイは、いくつかの実施形態では、1つもしくは2つの少ない数、または4つ、8つ、10個、20個、30個、50個、100個、もしくはそれよりも多い数、もしくはこれらの数の間の任意の数を含む任意の数のセンサーを含んでもよい。さらに、アレイを構成する複数のセンサー1110の各々が互いに同一のセンサーであってもよく、または1つまたは複数のセンサーが、1つまたは複数の他のセンサー1110に対して一意の特性を有してもよい。そのような顕著な特性には、限定はしないが、それぞれに異なる遮蔽構成、検出のためのそれぞれに異なるエネルギーしきい値設定、所与の位置または用途のためのそれぞれに異なるサイズ/形状などが含まれてもよい。他の様々な特性が利用されてもよく、そのうちのいくつかについては本開示の他の部分で詳しく説明する。
【0053】
いくつかの実施形態では、各センサー1110は、放射性関心領域1103から放出された粒子/エネルギーを検出してもよい。いくつかの実施形態では、センサー1110は、 (たとえば、単位時間当たり「ヒット」の数を数えることのできるセンサーおよび回路において放射性粒子(たとえば、アルファ粒子、ベータ粒子など)が衝突したときに光を放出するシンチレーション材料を使用することによって) 上記で説明した放出された粒子を検出してもよい。しかし、上記で指摘したように、他のセンサー構成および検出方法が使用されてもよい。
【0054】
一般に、センサー1110のアレイは、互いに対してかつ関心領域1101に対して任意の所望の形状に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、センサーの既知の形状を利用すると有利であることがあり、各センサー1110の位置がアレイ内の他のセンサー1110の各々に対して既知の位置になり得るようにセンサー1110を配置するとさらに有利であることがある。
【0055】
当業者に既知の技法を使用すると、たとえば、空間における既知の点を中心とする既知の量の放射性物質を含むある情報が与えられた場合、所与の位置(たとえば、特定のセンサー1110の位置)で予期される放射線強度を推定することが可能である。たとえば、放射測定中心、および放射性物質の量およびタイプが既知である場合、放出された粒子がセンサー1110に到達するために通過する物質(たとえば、水、組織、骨など)の密度および組成に関する情報が与えられた場合には、放射線ソースから放出された粒子が空間内の所与の点で検出される尤度を判定してもよい。これらの技法を使用して、様々な大きさ、位置、および体積の放射性ソースについて予期される測定値のセットを生成することができる。
【0056】
したがって、そのような計算を反転することによって、放射性物質のソースに対する空間における様々な点で得られる放射線強度の測定値を使用して放射性物質ソース自体に関する特性、たとえば、大きさ、位置、体積などを推定してもよい。一例では、放射性ソースの周りの様々な位置における放射線強度を時間の関数として測定してもよい。次いで、様々な大きさおよび位置の放射性ソースに対して放射線強度が実際に測定される尤度を知ることによって、最小二乗再回帰分析を使用して実際の放射性物質ソースの大きさ、位置、および/または体積を推定してもよい。そのような技法を使用し、放射性物質の分布、たとえばガウス分布を想定すると、存在する放射性物質の量(すなわち、大きさ)を正確に判定することができ、放射性物質の放射測定中心(すなわち、位置)、および/または放射性物質の分布(すなわち、放射性物質ソースのサイズ)を判定してもよい。
【0057】
本明細書で開示するシステムを使用する例示的な一方法によれば、再び図11を参照するとわかるように、システム1100は、センサー1110で構成されたアレイに対して配置された放射性物質の「塊」(たとえば、放射性関心領域1103)の存在を想定してもよい。放射性物質の位置および大きさは未知である場合があるが、放射性物質は放射性エネルギー/粒子を放出し、および/または崩壊して、各センサー1110によって測定されてもよい他の粒子/エネルギー(たとえば、アルファ粒子、ベータ粒子、x線、ガンマ線、陽電子など)となる。具体的には、各センサー1110は、それを遮る粒子を検出してもよい。いくつかの実施形態では、システムは、粒子のエネルギーを測定することによって、不要な「ヒット」(たとえば、それた粒子)を無くし、粒子が通過した物質(すなわち、水、骨など)の知識を利用して、放射性ソースの(特に)大きさおよび/または体積に関する理解を得てもよい。
【0058】
既知の各位置における単位時間当たり直接「ヒット」の放射線強度を測定した後、最小二乗回帰分析を適用して放射性ソースの大きさ(A)、平均位置(μ)、および標準偏差(σ)を見つけることができ、それによって、放射性ソースの様々な可能性に関連する実際のカウント(c)と推定カウント
【0059】
【数3】
【0060】
との誤差が最小限に抑えられる。いくつかの実施形態では、システムまたは方法は、対象となる放射性物質のガウス分布を想定してもよいが、他の分布も可能である。そのような情報を知ることによって、いくつかの条件を診断し、放射性ソースに近接する人体内の組織に対する放射線量を判定し、所望の投与量の治療用放射性医薬品が関心領域に投与されたか(それとも関心領域に存在しないかまたは何らかの許容しきい値よりも少ないか)を解析することが可能であってもよく、そのような正確な測定値を取り込むことによって、1人の患者について複数回の測定による結果を比較して治療の効果を追跡することなどが可能であってもよい。
【0061】
【数4】
【0062】
この技法の1つの欠点は、分布の標準偏差を正確に判定するのが困難なときがあることであると考えられる。たとえば、センサー1110で構成されたアレイによって測定されたカウントまたは「ヒット」は、第1の体積にわたって分布する放射性物質の集合についてのカウントまたは「ヒット」が、第2の体積にわたって分布する同じ量の放射性物質の集合についてのカウントまたは「ヒット」と同じである場合がある。したがって、ソースの大きさ(すなわち、放射性物質がどの程度存在するか)およびソースの放射測定中心(すなわち、放射性ソースの中心となる位置)が判定されることがあるが、そのソースが占有する空間の体積をいくつかの技法に従って推定するのはより困難である場合がある。状況によっては、大きさおよび位置は、著しく有利な情報を提供することができる(たとえば、湿潤のサイズおよび位置を判定し、その情報を使用して、たとえば医用画像の解釈を助ける)が、たとえば、組織中の放射性物質の分布(すなわち、上述の標準偏差)が必要になったときに、周囲の組織に対する放射線量を判定することで十分であるとは限らない。
【0063】
したがって、上述の技法を修正しならびに/または補助して放射性関心領域(たとえば、1103)の大きさおよび位置を判定するだけでなく、物質の体積/分布も理解すると有利である。
【0064】
本開示の追加の実施形態によれば、上述のセンサーアレイとよく似たセンサーアレイを他の方法と組み合わせて使用して放射性関心領域の大きさ、位置、および/または体積のはるかにロバストな推定値を得てもよい。次に図12を参照するとわかるように、関心体積1201が定義され、(2次元画素と同様、以下の図13参照)複数の3次元ボクセルに分割される例示的なシステム1200が提示されている。いくつかの実施形態では、これらのボクセルは一様なサイズおよび形状を有してもよく、一方、他の実施形態は、様々なサイズ、形状、配置などのボクセルを含んでもよい。関心体積1201内に、大きさ、位置、および体積が未知の放射性関心領域1203が位置してもよい。関心体積1201を中心として、センサーアレイを形成する複数のセンサー1210が間隔を置いて配置されてもよい。
【0065】
上述のセンサーアレイと同様に、各センサー1210は、複数の他のセンサー1210に対して既知の位置に近接して配置してもよい。センサー1210は、関心体積1201を中心とする無作為の既知の位置に配置されてもよく、または好ましい実施形態では、特に、たとえば、関心体積1201を中心とする三角形、立方体状、半球状、または球状の配置を含む、関心体積1201を中心とする数学的に有利な形状に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、配置は対称であってもよい。図12に示す例示的な実施形態では、センサーは、関心領域1201を中心とする実質的に立方体状の形態に配置される。いくつかの実施形態では、空間内のセンサーの相対位置が経時的に変化することがあり、技法を使用して各時間tにおける複数のセンサー1210の相対位置を測定できるかまたは場合によっては判定できることも理解されたい。
【0066】
いくつかの実施形態では、関心体積内の放射性領域の大きさ、位置、および体積を推定するためのシステム、たとえば、図12に示すシステム1200は、最尤推定期待値最大化(MLEM)と呼ばれる推定方法を利用してもよい。次に、図13に示す簡略化された例示的な2次元構成を参照するとわかるように、MLEM法を使用して、所与の位置(すなわち、センサー1310のうちの1つの位置)で測定されたあるエネルギーを有する粒子1320が特定の各細胞1305から発生した細胞または画素1305ごとの確率を算出してもよい。言い換えれば、細胞1305ごとに、各細胞1305から発生した粒子1320がセンサー1310の位置に到達する確率が判定されてもよい。同じ方法を使用して、3次元空間内のボクセルごと(たとえば、関心体積1201)の確率を判定することができる。
【0067】
たとえば、再び図13を参照するとわかるように、複数の画素1305に分割された関心領域1301に対してある位置に配置されたセンサー(たとえば、センサー1310)を考える。センサー1310は、関心領域1301内に配置された放射性物質によって放出された粒子1320から「ヒット」を受けてもよい。具体的には、センサー1310によって測定される粒子1320は、画素1305のうちの任意の1つの画素から発生したと考えられる。
【0068】
放射性物質から放出された粒子は、そのソースから無作為の方向に移動し、したがって、任意の特定の粒子(たとえば、粒子1320)には、所与のセンサー(センサー1310)の方向に移動する可能性しかない。さらに、粒子1320のソースとセンサー1310との間の距離が遠いほど、粒子1320が何らかの介在する物質(たとえば、水分子、骨など)と衝突し、散乱して異なる軌跡を辿る尤度が高くなる。粒子は、散乱するとエネルギーを失い、したがって、散乱した粒子をカウントするとエラーが生じる場合があるので、必要に応じて、センサーを較正して、センサーにおいて受けることがある散乱した粒子を無視することが可能である。
【0069】
したがって、再び図13を参照するとわかるように、センサー1310に、細胞Bにおいて発生した粒子1320が到達する確率は、細胞Aにおいて発生した粒子1320が到達する確率よりも低くなる場合がある。これは、この例では、細胞Bとセンサー1310との間の物理的距離が細胞Aとセンサー1310との間の距離よりも遠く、それによって、センサーによって画素に対して形成される「立体角」が小さくなるだけでなく、介在する物質によって粒子がその元の軌跡から散乱する可能性もより高くなるからである。システムは、特に、センサー1310と各画素1305との間の距離、粒子がセンサー1310に到達するために通過しなければならない物質の密度およびその他の特性、ならびに対象となる放射性物質自体の特性を知ることによって、画素1305ごとに粒子がセンサー1310に「到達する」そのような確率のセットを判定してもよく、画素1305ごとに各センサー1310に対するそのようなセットを判定してもよい。
【0070】
同じことが、たとえば図12に示す構成などの3次元構成に当てはまる。一般に、センサー1210によってカウントされる粒子1220が、関心領域1201内の比較的近いボクセルから発生した確率は、粒子1220が関心領域1201内の比較的遠いボクセルから発生した確率よりも高い。上記のように、各ボクセルの確率のセットがセンサーごとに判定されてもよい。この情報を使用して様々な大きさ、位置、および/または体積の放射性ソースに関連する予期される信号データのセットを生成してもよく、またはこの情報自体をそのような信号データのセットとして特徴付けてもよい。
【0071】
これらの確率を知ることによって、システム1200を使用して、各センサー1210において観測される単位時間当たり「ヒット」の実際の測定値を得て、特に、放射性ソースの大きさ、位置、および/または体積を推定してもよい。いくつかの実施形態では、放射性物質が全方向に粒子を放出するので、各センサー1210は、関心体積1201内に十分な量の放射性物質が存在する場合にいくつかの「ヒット」を登録すべきである。各センサー1210における各「ヒット」は、特定のセンサー1210を遮る粒子(たとえば、1220)が各ボクセル1205において発生した尤度に相当する関心体積1201内の各ボクセル1205にわたる確率のセットに相当する。いくつかの実施形態では、システムは、各センサー1210における各「ヒット」の確率のセットを解析し、経時的に反復して、観測される「ヒット」を生成する関心体積1201内の放射性物質1203の最も尤度の高い分布を判定してもよい。システムは、様々なエネルギーレベルにわたって反復し、それによって、さらなる詳細情報を与えてもよい。
【0072】
一般的に言えば、放射性物質ソース(たとえば、1203)の周りに位置する利用可能なセンサー(たとえば、1210)の数を増やすと、システム1200がソースの大きさ、位置、および/または体積を推定できる精度が高くなることがある。同様に、計算において使用するボクセルの数を増やす(すなわち、各々の体積がより小さいより多くのボクセルを使用する)と、システムの精度が高くなることがある。しかし、センサーおよび/またはボクセルの数が増えると、一般に、システムの必要な計算および処理要件の数が著しく増加する。したがって、いくつかの実施形態では、たとえば、特に対称センサー構成を使用することを含め、計算を簡略化するか、または計算の反復収束を助けることがあるいくつかのセンサー配置構成を利用すると有利である場合がある。そのような構成は、受け入れられる反復収束を実現するのに必要な時間を短縮し、ならびに/または必要な計算の数を減らすことがある。ボクセルサイズの様々な分布が利用されてもよく、それによって、たとえば、より小さいボクセルが放射性ソース物質1203のより近くならびに放射性ソース物質1203内で利用され、より大きいボクセルが他の場所で利用される。
【0073】
いくつかの実施形態では、関心体積の周りの各固定点に近接する2つ以上のセンサーを含むことが有利である場合がある。例示的なデュアルセンサー手法を示す例示的な構成を図14に示す。図14の例示的な構成に示すように、同心立方体構成が使用されてもよく、関心領域1401を囲む第1の内側立方体上の8つの点の各々に第1のセットのセンサー1410が位置してもよく、同じ関心領域1201を囲む第2の外側立方体上の8つの点の各々に第2のセットのセンサー1410が位置してもよい。関心体積1401の周りに位置する8つの既知の点1430の各々に近接して2つのセンサー1410が設けられ、システムには合計で16個のセンサーが存在する。もちろん、各固定位置1430は、必要に応じて2つよりも多くのセンサー(たとえば、より大きな寸法を有する第3の立方体)を含んでもよく、ならびに/または(たとえば、必要に応じて1つ、2つ、4つ、8つ、16個、24個、もしくはそれよりも多い数、またはそれらの数の間の任意の数を含む)任意の数の固定位置1430が利用されてもよい。各位置1430において2つ以上のセンサー1410を利用すると、特に反復収束を助けるうえで有利である場合がある。より詳細には、各位置1430において第1のセンサー1410に対して放射性物質のソース1403からわずかにより遠くに第2のセンサー1410を有することによって、システムはより効率的に反復収束に達することがある。
【0074】
いくつかの実施形態では、複数の放射性ソースからの粒子を検出すると有利であることがある。たとえば、識別可能な放射特性(たとえば、それぞれに異なるエネルギーレベル、それぞれに異なる取り込み率など)を有する2つ以上の放射性医薬品を導入することによって、追加の情報が検出されてもよい。そのようなシステムにおけるセンサーは、1つまたは複数の異なるエネルギーレベルの粒子を検出し、それによって追加の情報を与えるように調整されてもよい。たとえば、第1の放射性医薬品に関連するある薬剤の、第2の放射性医薬品に関連する第2の薬剤の取り込み量または取り込み率に対する取り込み量または取り込み率は、臨床医に有用な情報を与えることがある。
【0075】
次に図15A図15Cを参照するとわかるように、システム1500における例示的な一実施形態による本開示の応用例が提示されている。いくつかの実施形態では、複数のセンサー1510が、たとえば、カフ1550を形成するように実質的に円筒形のアレイに配置されてもよい。カフ1550は、たとえば、患者の体の一部、たとえば、患者の腕1560をぴったりと覆うようなサイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、カフ1550は、患者に放射性医薬品などが注入される位置または放射性医薬品などが注入された位置の周りに位置させてもよい。いくつかの実施形態では、カフ1550は、たとえば、空隙を実質的に無くすことなどのために、放射性ソース1503とセンサー1510との間に一定または既知の物質組成および/または密度を維持するために利用されてもよい変形可能な遷移層1555を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遷移層1555は、水、食塩水、および/または様々な他のゲルもしくは物質を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この物質は、ヒトの組織および/または骨と密度が実質的に同様であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、カフ1550のセンサー1510は、カフ1550上の様々な位置における実質的に「積層された」センサーを構成するように配置されてもよい。たとえば、上記で図14を参照して説明した例示的な立方体構成と同様に、複数のセンサー1510が、第1の、内側の実質的に円筒形の構成と第2の、外側の実質的に円筒形の構成を有し、それによって、複数の所望の位置に近接し、1つのセンサー1510が別のセンサー1510よりもソース1503から遠くに位置する、2つ以上のセンサー1510を構成するように配置されてもよい。
【0077】
湿潤の場合、たとえば、システム1500を上記で教示された方法のうちのいくつかまたはすべてに従って使用して、患者内の湿潤した放射性物質の大きさ、位置、および/または体積を推定することができる。有利なことに、システムは、いくつかの実施形態では、経時的な大きさ、位置、および体積の推定値を得て、それによって、特に、放射性物質が血流に導入される速度に関する重要な情報を医療サービス提供者に与え、したがって、たとえば、放射性映像に影響を与え、かつ注入部位またはその周辺における患者の組織の湿潤放射線への曝露を定量化してもよい。
【0078】
いくつかの他の実施形態では、人体の他の領域で使用される他の構成においてセンサー1の同様の配置を利用してもよい。たとえば、図16を参照するとわかるように、より大きいカフ状構成1650を利用して、たとえば、患者1260の胴または骨盤領域を囲んでもよい。このような配置は、ユーザが、たとえば人体内の腫瘍または器官における放射性医薬品取り込み量を推定する(たとえば、器官線量測定)のを可能にすることがある。上記で提示したように、センサーの任意の配置が使用されてもよく、したがって、必要に応じて、測定すべき領域の特性に適合するようにセンサーの他の構成が利用されてもよい。たとえば、馬蹄構成、可撓性シート構成、または任意の他の構成が利用されてもよい。
【0079】
次に図17を参照するとわかるように、本開示のシステム1700のさらに別の例示的な構成が提示される。いくつかの実施形態では、脳のすべてまたは一部における放射性物質の取り込み量を推定することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態によれば、複数のセンサー1710が、患者の頭部1760の周りに配置されるようにヘルメット状物品1750として配置されてもよい。センサー1710は、本明細書で説明するいくつかの構成を含む、ヘルメット1750の周りの任意の態様に配置されてもよい。図17に示す例示的な実施形態では、センサー1710は、概ね半球状の構成においてヘルメット1750の周りに配設されてもよく、いくつかの実施形態では、各測定位置1730に2つのセンサー1710を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ヘルメット1750は、第1の半球構成として配設されたセンサー1710の第1のセットと、第2の半球構成として配設されたセンサー1710の第2のセットとを含んでもよく、第2の半球状構成は、第1の半球状構成よりもわずかに大きい半径を有する。したがって、いくつかの実施形態では、複数の所望の位置の周りに2つ(または2つよりも多くの)センサー1710があってもよく、各位置1730における1つのセンサー1710は、第2のセンサー1710よりもソース1703からわずかに遠い。
【0080】
ヘルメット1750は、既知の組成および/または密度の物質(たとえば、必要に応じて、脳組織、他の組織、骨(たとえば、頭蓋骨)などの密度およびその他の特性と同様の密度およびその他の特性を有する水、食塩水、またはゲル)を含み、それによって、状況によっては、推定を困難にしならびに/または望ましくないエラーを生じさせることがある空隙を無くす、図15における層1555と同様の遷移層を含んでもよい。
【0081】
これらの様々な実施形態の各々では、提示された患者の様々なサイズおよび形状に適合するようにカフ1550、1650、またはヘルメット1750を修正する必要がある場合、センサー間の相対距離は最初未知であってもよい。使用前に様々なシステム1500、1600、および/または1700(ならびにその他)を較正するために、本明細書で教示されたシステムおよび方法を、既知の放射性要素を既知の位置に導入するように修正してもよい。たとえば、比較的少量のセシウムが、たとえば、既知の位置に導入されてもよく、その位置から、各センサーの相対位置がシステムによって判定されてもよい。
【0082】
別の例では、放射性医薬品から放出された粒子が通過することがある患者の体の比重を判定するために既知の量のセシウム(または何らかの他の放射性物質)が導入されてもよい。
【0083】
人体内の放射性ソース物質の大きさ、位置、および/または体積のうちの1つまたは複数の確実な推定値を判定することによって、特に、治療効果を評価し、臨床決定または診断を下し、病状を特定するかまたは無くし、人体のそれぞれに異なる領域(たとえば、脳のそれぞれに異なる半球)を比較して、そのような測定値に基づいて、ならびに/またはそのような測定値を患者の過去の測定値および/または一般集団の測定値と比較することによって、臨床決定および/または診断を下すことが可能であってもよい。本明細書で教示されたシステムおよび方法は、そのような推定値を提供するだけでなく、そのような推定値を使用して臨床医が診断および治療を行うのを助け、場合によっては、適切な臨床決定および/または診断を提案または決定することが期待される。
【0084】
本発明は、その趣旨または基本的な特徴から逸脱せずに他の特定の形態で実施されてもよい。したがって、本実施形態は、あらゆる点において制限的ではなく例示的であると見なされるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明ではなく本出願の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求の範囲の均等の意味および範囲内のすべての変更が本発明に包含されるものである。
【符号の説明】
【0085】
11 測定センサー
20 シンチレーション材料
21 光検出器
22 センサープロセッサ
26 論理またはセンサーソフトウェア
30 非一時的センサーメモリ
33 増幅器回路
36 温度センサー
37 ノイズ除去部
910、1110、1210、1310、1410、1510、1710 センサー
1101、1103、1203、1301 関心領域
1200、1500、1600、1700 システム
1201 関心体積
1260 患者
1305 細胞
1220、1320 粒子
1403 放射性物質
1430 固定位置
1503、1703 ソース
1550、1750 カフ
1555 遷移層
1560 患者の腕
1650 カフ状構成
1730 測定位置
1750 ヘルメット状物品
1760 患者の頭部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
【国際調査報告】