(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(54)【発明の名称】疼痛管理のための製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20220419BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220419BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220419BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220419BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220419BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220419BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220419BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220419BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220419BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220419BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220419BHJP
A61K 31/12 20060101ALI20220419BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
A61K31/352
A61P25/04
A61P17/00
A61P29/00
A61P19/02
A61P31/00
A61P1/00
A61P3/10
A61P25/00
A61P25/28
A61P37/06
A61K31/12
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576431
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 CA2020050588
(87)【国際公開番号】W WO2020223800
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521480802
【氏名又は名称】ジュス・ライフ・サイエンシーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブレントン・ハロルド・ゼットル
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA01
4C086ZA08
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB32
4C086ZC35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB15
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA43
4C206MA54
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZA01
4C206ZA08
4C206ZA66
4C206ZA89
4C206ZA96
4C206ZB08
4C206ZB11
4C206ZB26
4C206ZB32
4C206ZC35
4C206ZC75
(57)【要約】
疼痛を経験している個体によって使用するための、疼痛管理のための製剤が記載されている。本製剤は、疼痛を管理するために最適化された量の複数のカンナビノイドを含む。1種又は複数の賦形剤、希釈剤又は担体が本製剤に含まれる。製剤を用いて管理されることになる疼痛のタイプは、以下に限定されないが、がん、傷害、事故、手術、神経障害性疼痛又は組織損傷に起因する疼痛の処置を含む。主要カンナビノイドは、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で製剤中に存在する。5:5:5mg以上のCBD:CBC:THCを有することができる、製剤、用量及び剤形の使用方法が記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象による疼痛管理の方法に使用するための製剤であって、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含み、
主要カンナビノイドが、質量%基準で、
30%~45%のTHC、
9%~35%のCBC、及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる、製剤。
【請求項2】
疼痛管理が、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛の処置を含む、請求項1に記載の疼痛管理の方法に使用するための製剤。
【請求項3】
主要カンナビノイドが、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で存在する、請求項1又は2に記載の疼痛管理の方法に使用するための製剤。
【請求項4】
丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤及び液状油の形態からなる群から選択される剤形で調製される、請求項1から3のいずれか一項に記載の疼痛管理の方法に使用するための製剤。
【請求項5】
用量あたり、約1mg~約25mg、好ましくは約5mg~約20mgの総量の主要カンナビノイドをもたらす、請求項1から4のいずれか一項に記載の疼痛管理の方法に使用するための製剤。
【請求項6】
用量あたり20:20:20mgまでの量の、好ましくは用量あたり5:5:5~10:10:10mgの範囲のTHC:CBC:CBDを対象にもたらす、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
それを必要とする対象における疼痛管理のための方法であって、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含む有効量の製剤を前記対象に投与する工程を含み、主要カンナビノイドが、質量%基準で、
30%~45%のTHC、
9%~35%のCBC、及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる、方法。
【請求項8】
疼痛管理が、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛を緩和する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
主要カンナビノイドが、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で製剤中に存在する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
製剤が、丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤及び液状油の形態からなる群から選択される剤形で投与される、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
製剤が、用量あたり、約1mg~約25mg、好ましくは用量あたり約5mg~約20mgの総量の主要カンナビノイドを対象にもたらす、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
製剤が、用量あたり20:20:20mgまでの量の、好ましくは用量あたり5:5:5~10:10:10mgの範囲のTHC:CBC:CBDを対象にもたらす、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
それを必要とする対象における、疼痛管理のため、又は疼痛管理のための医薬の調製のための、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含む製剤の使用であって、主要カンナビノイドが、質量%基準で、
30%~45%のTHC
9%~35%のCBC、及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる、使用。
【請求項14】
疼痛管理が、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛の処置を含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
主要カンナビノイドが、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で製剤中に存在する、請求項13又は14に記載の使用。
【請求項16】
製剤が、丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤及び液状油の形態からなる群から選択される剤形で調製される、請求項13から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
製剤が、用量あたり、約1mg~約25mg、好ましくは約5mg~約20mgの総量の主要カンナビノイドをもたらす、請求項13から16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
製剤が、用量あたり20:20:20mgまでの量の、好ましくは用量あたり5:5:5~10:10:10mgの範囲のTHC:CBC:CBDを対象にもたらす、請求項13から16のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が両方とも参照により本明細書に組み込まれている、2019年5月3日出願の米国仮特許出願第62/842,696号及び2020年4月17日出願の米国仮特許出願第63/011,508号の利益及び優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、医薬的使用のための製剤に関する。より詳細には、本開示は、疼痛管理に使用するためのカンナビノイド製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
疼痛を管理する個体は、多くの場合、疼痛緩和をもたらす医薬的選択肢に目を向けるが、胃の不調、便秘及び中毒のリスク等の意図されない副作用を伴う。オピエート薬の代替物が、緊急に必要とされている。
【0004】
カンナビノイドは、大麻植物から分離された構造上類似した化合物の群であり、これらは、細胞におけるカンナビノイド受容体及びイオンチャネルを活性化する。カンナビノイドは合成することができるか、又は大麻植物若しくは植物抽出物から単離することができる(本明細書において、カンナビノイド含有植物の抽出物)。カンナビノイドは、他のカンナビノイド又はテルペン等の植物由来分子等の他の天然に存在する化合物を有意な量で含まない、ほぼ純粋な形態又は本質的に純粋な形態で得られる程度に植物又は抽出物から単離することができる。既知のカンナビノイドには、以下に限定されないが、テトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール(CBD)、カンナビクロメン(CBC);テトラヒドロカンナビジバリン(THCV);テトラヒドロカンナビノール酸(THCA);カンナビゲロール(CBG);カンナビジバリン(CBDV)、カンナビノール(CBN)及びカンナビジオール酸(CBDA)が含まれる。大麻植物は、様々な目的にとって望ましいものとなり得る、ある種のカンナビノイドを様々な量で有するよう育成され得る。THC及びCBDが、現在、主要な関心の高いカンナビノイドと考えられてきた。
【0005】
CBDは、医薬的効果が幅広く検討されてきた。CBDは、5HT1A受容体媒介性神経伝達、並びにアナンダミド代謝、及びCB1及びCB2媒介性応答を促進するTRPV1受容体チャネルの活性化に対して効果を有すると見なされている(Crippa JS 2018年)。
【0006】
Δ9-THCは、CB1受容体と高い結合親和性で、CB1及びCB2受容体に対する部分アゴニスト活性を発揮して、その向精神活性をもたらす。
【0007】
カンナビクロメン(CBC)は、アサ(Cannabis sativa)植物に天然に見出される、主な非向精神性カンナビノイドである(Elsohly M 2014年)。
【0008】
しかし、大麻植物中のこのようなカンナビノイドの各々の割合は、環境面での成長条件、地理的位置、遺伝学及びケモタイプに依存する(Lewis M A 2017年)。
【0009】
CBCは、CB2受容体に中程度の親和性(Kiは、約100ナノモル)しか有しておらず、1マイクロモルより高い濃度でしかCB1受容体に結合しない(Shinjyo N 2013年)。脳内の主要なCBC活性は、アナンダミドの細胞取込みの阻害によるCB1受容体の間接的な活性化(De Petrocellis L 2011年)、及びTRPA1(一過性受容体電位A1)チャネルの活性化(Izzo及びCapasso R 2012年)に部分的に依存することが示唆されている。実際に、CBCは、TRPA1チャネルにおけるすべてのフィトカンナビノイドの最も強力なアゴニストであることが見出されている(Maione S 2011年)。CBCはまた、抗炎症作用を示す(Izzo及びCapasso R 2012年)。
【0010】
CBDは、Δ9-THCと相乗的に作用し、医薬ベースの大麻抽出物の鎮痛作用に寄与することができることが実証されている(Russo 2011年)。
【0011】
CB1受容体及びCB2受容体によるCBCのアゴニスト活性は、CB1受容体及びCB2受容体の結合及び活性化により、その活性を発揮する、他のカンナビノイドの作用を強化する有望な手法をもたらすことができる。
【0012】
カンナビノイドの医薬的使用は公知であり、疼痛を特異的に処置する製剤が記載されている。WO2007/083098 A1(GW Pharma Ltd社)は、神経変性を処置するためのカンナビノイド含有植物抽出物を記載している。米国特許公開第2016/0106705号(United Cannabis Corp.社)は、不安症、疼痛及び関連障害の緩和に使用するための、少なくとも4種のカンナビノイド、及びテルペン又はフラボノイドを有する、大麻抽出物を記載している。WO2016/044370 A1(India Globalization Capital Inc.社)は、THC、CBD及びコバラミンの組合せを含む、局所疼痛緩和製剤を教示している。WO2013/165251 A1(ECHO Pharmaceuticals BV社)は、CBN又はCBDを極めてわずかな量しか有し得ない、THC含有単離物を得るための薄膜蒸発法を記載している。WO2012/144892 A1(Fytagoras BV社)において、疾患に対する動物の天然の細胞抵抗性を増強するための、THC、CBD及び他のカンナビノイド等の酸性カンナビノイドの使用が記載されている。更に、WO2012/160358 A1(GW Pharma Ltd.社)において、神経障害性疼痛の処置として、CBG、CBC、CBDV及びTHCVのうちの少なくとも1つの使用が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO2007/083098 A1
【特許文献2】米国特許公開第2016/0106705号
【特許文献3】WO2016/044370 A1
【特許文献4】WO2013/165251 A1
【特許文献5】WO2012/144892 A1
【特許文献6】WO2012/160358 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
医薬的使用のためのカンナビノイドの組合せの可能性は、完全には探索されていない。疼痛の管理において使用するための有益な特性を有するカンナビノイド製剤を提供することが望ましい。
【0015】
本開示の目的は、疼痛の管理及び処置のための以前の製剤の少なくとも1つの欠点を未然に防ぐこと又は軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本製剤は、カンナビジオール(CBD)、(-)-trans-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(本明細書では、Δ9-THC又は「THC」)及びカンナビクロメン(CBC)を、それを必要とする個体における疼痛を管理又は処置する目的の量で含む。本製剤は、主要カンナビノイドとして、THC、CBC及びCBDを、1種又は複数の賦形剤、希釈剤又は担体と一緒に含む。主要カンナビノイドは、全主要カンナビノイドの質量%基準で、30%~45%のTHC;9%~35%のCBC;及び30%~45%のCBDを含む、又はこれらからなる。製剤を用いて管理される疼痛のタイプは、以下に限定されないが、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛の処置を含む。主要カンナビノイドの例示的な比は、例えば、5:1:5又は5:5:5のTHC:CBC:CBDとすることができる。
【0017】
本開示の他の態様及び特徴は、特定の実施形態の以下の記載を鑑みると、当業者に明白となろう。
【0018】
本開示の実施形態を、これより、添付の図を参照しながら単なる例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例4に記載されている行動相に関する検討概略図を示す図である。
【
図2】実施例4における動物の足底に対するvon Frey式検査に使用する検査部位を示す図である。
【
図3A】MotoRaterでの観察に関する動きに関連する動物の身体部分の写真である。
【
図3B】ラットにおける、神経障害性疼痛のモデルとして、脊髄神経結紮(SNL)手術後の動物の運動パラメータにおけるベースラインからの変化を示す棒グラフである。
【
図4】シャム対SNLラットモデルに関する、ベースラインからの総合歩行スコア変化の比較を示すグラフである。
【
図5】SNLの手術が行われたSDラットの体重に及ぼす1~3種のカンナビノイドの個別の用量の効果を例示する、経時的な体重変化を示すグラフである。
【
図6】肢逃避閾値(PWT)を使用して、ラットにおけるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼす様々なカンナビノイド製剤の効果を示すグラフである。
【
図7】様々なカンナビノイドを5mg/Kg服用した動物のサブセットにおける、
図6の曲線下面積(AUC)、及び電子式von Frey式検査に関する処置群対ビヒクルの統計学的有意性を示すグラフである。
【
図8】evF変化によって測定されるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの複数の個別の用量の効果を示す図である。パネルAは、共通期間における異なる処置群を比較している一方、パネルBは、経時的な処置群内での比較を示す。
【
図9】SNLラットにおける処置後の7日目~9日目における総合歩行スコアを図示するグラフである。パネルAは、共通期間における異なる処置群を比較している一方、パネルBは、経時的な処置群内での比較を示す。
【
図10A】すべての検討群におけるベースライン(BL)及びD7の差異の主成分分析(PCA)に基づく、SNL誘導性運動表現型を表す判別ベクトル棒グラフである。
【
図10C】微細運動の運動学的歩行分析プロトコル及びパラメータのフローチャート図である。
【
図11】10mg/kgの様々なカンナビノイド製剤を服用した動物のサブセットに関する曲線下面積(AUC)を示すグラフである。上側のパネルは、経時的な処置群内のベースラインからの百分率を例示している。
【
図12】evFによって測定されるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの複数の個別の用量の効果を示す図である。パネルAは、各時間点における様々な処置の比較を図示する。パネルBは、経時的な処置群内の比較を図示する。
【
図13】経時的に比較した、evFを使用する機械的過敏症に及ぼすカンナビノイド製剤の複数の個別の用量の効果を示すグラフである。パネルAは、処置群間の比較を図示する一方、パネルBは、経時的な処置群内の比較を図示する。
【
図14】evFによって測定されるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの複数の個別の用量の効果を示す図である。
【
図15】SNLを有する動物からの総合歩行スコアを図示するグラフである。パネルAは、処置群間の比較である一方、パネルBは、経時的な処置群内での比較である。
【
図16】運動学的歩行パラメータの代表例が、ベースライン、投与後のD7、D8-5時間、D8-9時間及びD9における、CBCをCBD+THCに追加する影響を例示したグラフである。
【
図17】3000μMのマスタードオイルの適用によって生じる代表的な電流のトレースを示すグラフである。
【
図18】イオンチャネル検討設計のある種の態様の概略図を提示する図である。
【
図19A】パネルA~Fにおける、アゴニスト作用のCBD+THC濃度応答曲線を示す、TRPA1受容体における化合物の活性のプロット表示及び数値情報を提示する図である。
【
図19B】パネルG~Lにおける、アゴニスト作用のCBD+THC濃度応答曲線を示す、TRPA1受容体における化合物の活性のプロット表示及び数値情報を提示する図である。
【
図20A】パネルA~Fにおける、アゴニスト作用のCBC応答曲線に関する、TRPA1受容体における化合物の活性のプロット及び数値情報を示す図である。
【
図20B】パネルG~Lにおける、アゴニスト作用のCBC応答曲線に関する、TRPA1受容体における化合物の活性のプロット及び数値情報を提示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般に、本開示は、疼痛管理のための製剤及び疼痛を管理するための方法を提供する。
【0021】
本製剤は、3種の主要カンナビノイド成分を含有するが、他のカンナビノイドも同様に存在してもよい。3種の主要カンナビノイド成分に関すると、3種のものの互いに対する比は、互いに対して最適化されている。以下の主要カンナビノイド成分:本明細書において「THC」と称される(-)-trans-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)が製剤中に存在する。製剤中に存在するTHC:CBC:CBDの量(質量/質量百分率基準)であって、これらの主要カンナビノイド成分の百分率として互いに対して表される量は、30%~45%のTHC;9%~35%のCBC及び30%~45%のCBDとすることができる。
【0022】
このような範囲が比として表される場合、例示的な比が使用されてもよい。約5:1:5~5:5:5の範囲の比のTHC、CBC及びCBD。
【0023】
これらの比の範囲内の投与量は、mg量で、用量あたり、例えば:5mgのTHC、1~5mgのCBC及び5mgのCBDとすることができる。類似の比であるが、用量あたり一層多い量は、用量あたり、8mgのTHC、1.6~8mgのCBC及び8mgのCBDとなる量とすることができる。類似の比であるが、用量あたり一層少ない量は、3mgのTHC、2mgのCBC及び3mgのCBDとすることができる。幅広い他の比が可能である。
【0024】
この製剤で主に変動するのは、カンナビクロメン(CBC)含有量であるが、THC及びCBD含有量は、一般にCBCの量以上となる類似した量で提供される。したがって、例えば、CBCは、THC及びCBDの量未満(それらの約5分の1という少なさ)の量で存在することができ、代替的に、3種すべての主要カンナビノイド成分が、ほぼ類似した量で存在することができる。
【0025】
したがって、それを必要とする対象による疼痛管理の方法に使用するための製剤であって、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含み、主要カンナビノイドが、質量%基準で、
30%~45%のTHC;
9%~35%のCBC;及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる、製剤が本明細書において提供される。
【0026】
そのように使用される製剤は、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛の管理のために用いることができる。
【0027】
主要カンナビノイドは、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で製剤中に存在することができる。
【0028】
本製剤は、丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤及び液状油の形態からなる群から選択される剤形で調製され得る。
【0029】
本製剤は、用量あたり、約1mg~約25mg、好ましくは約5mg~約20mgの総量の主要カンナビノイドをもたらすことができる。例えば、本製剤は、用量あたり20:20:20mgまでの量の、好ましくは用量あたり5:5:5~10:10:10mgの範囲のTHC:CBC:CBDを対象にもたらすことができる。
【0030】
それを必要とする対象における疼痛管理のための方法であって、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含む有効量の製剤を対象に投与する工程を含み、主要カンナビノイドが、質量%基準で、
30%~45%のTHC;
9%~35%のCBC;及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる、方法が提供される。
【0031】
本方法によれば、管理される疼痛は、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛であり得る。
【0032】
本方法に使用される製剤は、主要カンナビノイドが、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で存在するものとすることができる。本方法において、本製剤は、丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤又は液状油の形態からなる群から選択される剤形で投与されてもよい。本方法は、用量あたり、約1mg~約25mg、好ましくは用量あたり約5mg~約20mgの総量の主要カンナビノイドの投与を含むことができる。本製剤は、用量あたり20:20:20mgまでの量の、好ましくは用量あたり5:5:5~10:10:10mgの範囲のTHC:CBC:CBDを対象に提供する量で投与されてもよい。
【0033】
製剤の使用が本明細書に記載されており、該製剤は、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含む。使用は、それを必要とする対象における、疼痛管理のためであるか又は疼痛管理を意図する医薬の調製のためであり、本製剤に使用される主要カンナビノイドは、質量%基準で:
30%~45%のTHC;
9%~35%のCBC;及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる。
【0034】
本使用は、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛の管理のためであり得る。
【0035】
主要カンナビノイドは、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で製剤中で使用することができる。
【0036】
本製剤は、丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤及び液状油の形態からなる群から選択される剤形中で使用され得る。
【0037】
本製剤は、本明細書に記載されている通りに使用すると、用量あたり、約1mg~約25mg、好ましくは約5mg~約20mgの総量の主要カンナビノイドをもたらすことができる。更に、本製剤は、用量あたり20:20:20mgまでの量の、好ましくは用量あたり5:5:5~10:10:10mgの範囲のTHC:CBC:CBDを対象に提供するよう使用され得る。
【0038】
主要カンナビノイド。用語「主要」は、本明細書に記載されている、疼痛管理の意図される効果を主に担う、カンナビノイドを示すことを意味する。THC、CBC及びCBDが、本文脈における主要カンナビノイドである。別のカンナビノイドが、製剤中に、一層少ない量、ほぼ類似の量、又は一層多くなることさえある量で存在する場合、その存在する量は、カンナビノイドが製剤の「主要な」成分であることを意味するわけでないが、このような更なるカンナビノイドが存在してもよい。
【0039】
カンナビノイド源。主要カンナビノイドTHC、CBC及びCBDは、1つ又は複数の大麻植物、特にその抽出物に由来する等の、天然源に由来する製剤中に存在することができる。又は、カンナビノイドは、1つ又は複数の単離源から、又は所望のカンナビノイドの1種又は複数が合成される合成源から得ることができる。天然及び合成カンナビノイドのブレンドを使用することができ、その結果、(育成条件又は他の理由に起因して)含有量が様々である天然源は、合成源又は単離源を用いる調節を使用して、所定量まで標準化することができる。
【0040】
抽出物は、存在する主要カンナビノイドのいずれかの量を劇的に改変又は補給する必要なしに、特に所望の主要カンナビノイドの比に適したカンナビノイド比の生成につながる条件下で特に改変又は育成された植物から得ることができる。
【0041】
カンナビノイドの精製が望ましい場合、エタノール抽出又はCO2をベースとする抽出等の抽出方法が使用されてもよい。
【0042】
植物は、育成されてもよく、又は培養されてもよく、又は成長条件は、必要な比のTHC:CBC:CBDを反映するように最適化することができる。更に、意図される比とは異なる比を有する2種以上の植物又は抽出物を、所望の所定の比をもたらす量で組み合わせてもよい。
【0043】
他のカンナビノイドは、製剤中に偶然に存在してもよく、存在する場合、このような追加のカンナビノイド成分の量は、製剤の疼痛管理特徴を低下しないと思われる。
【0044】
疼痛管理。疼痛管理のためのこの製剤の意図される使用は、がん関連疼痛、並びに傷害、事故、手術、炎症、又は関節炎及び関節痛等の組織損傷状態による急性疼痛、感染、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害、多発性硬化症、若しくは他の疼痛源による疼痛等の非がん関連疼痛を含むことができる。末梢侵害受容感覚線維の興奮性の増大に起因し得る、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、又は炎症が一因となる根本的な原因である疼痛は、本製剤によって対処することができる。疼痛を引き起こす、感覚ニューロンにおけるイオンチャネルの改変された活性が低下し得る。これは、慢性炎症に関連するいくつかの状態に対処することができる。
【0045】
対象及び集団。本製剤は、ヒトによって、又はペット(イヌ又はネコ等のコンパニオン動物)によって、及びウマ等の作業動物のために使用されてもよい。
【0046】
意図される適応症における疼痛管理のための治療効果を必要とする対象は、医療的事象又は必要性が生じる前、その最中又はその後に本製剤を使用することができる。がん疼痛は、いくつかの理由のために弱まることもあり、がん処置はまた、痛みを伴うエピソードをもたらすこともある。本明細書に記載されている製剤を用いる管理は、便秘及び中毒等の、オピエートの使用に固有の問題を回避することができる。追加は、組成物中の予想不可能な製剤の過剰使用、及び最終的に違法な調達をもたらす可能性があり、これは、過剰摂取をもたらす可能性がある。
【0047】
非がん疼痛に関すると、例えば、疼痛が一般に予期される可能性がある手術を受ける前に、本製剤が、予期される疼痛を減らすために予防的に使用されてもよい。事故による傷害又は予測しない損傷の疼痛の場合、本製剤は、オピオイド又はNSAID痛み止め等の一層強力な又は一層障害性の鎮痛薬の代わりに、急性的に又は継続的に使用されてもよい。
【0048】
送達様式及び形態。本製剤は、丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤又は液状油の形態等で経口送達するのに適している。経口形態は、食物中で、又は一層口あたりがよいか又は対象によって容易に消費されるよう食物に添加されてもよい栄養補助食品として提供されてもよい。局所又は鼻腔吸収が可能である。脂肪可溶性担体、又はナノ粒子若しくはマイクロ粒子、又はエマルションが使用されてもよく、その結果、脂肪可溶性の高いカンナビノイドは、一層容易に吸収され得る。本製剤は、静脈内、筋肉内又は眼内送達するための注射剤として調製されてもよい。本製剤は、蒸発によって、気化器又はパッファー(puffer)中等の蒸気で送達されてもよく、又は「喫煙」と見なすことができる揮発及び吸入を引き起こすよう加熱されてもよい。
【0049】
投与量。本製剤は、THC、CBCのCBDに対する質量基準で、約5:1:5~5:5:5(すなわち、1:1:1)の範囲の相対量で送達され得る。他のカンナビノイドは、これらの製剤中に存在してもよい。投与量基準あたりに基づくと、主要カンナビノイドの総量は、用量あたり、0.1mg~50mg、例えば1mg~25mg又は5mg~20mgの範囲とすることができる。油等の液体で送達される場合、mg/mL基準で、用量あたり0.1mg/mL~50mg/mL、例えば用量あたり1mg/mL~25mg/mL又は5mg/mL~20mg/mL等の量で表してもよい。投与量は、経験した疼痛の重症度に応じて必要な場合に使用されてもよいが、個体は、必要な場合、1日1回(又は、必要ない場合、それ未満)から、4時間毎の頻度で1日あたり6用量を服用する等の一層頻度高い範囲の本製剤を使用することが望まれることがある。
【0050】
例示的な製剤は、丸剤、錠剤又は粒剤含有カプセル剤等の固形剤形であってもよい。代替的に、本製剤は、液体をベースとしてもよく、単離した又は合成の主要カンナビノイドを含有してもよいか、又は油、及び油をベースとするスプレー剤又は液体含有ゲルカプセル剤(軟質ゲルカプセル剤)等の液状形態の、約5mg/mLのΔ9-THC、約1~5mg/mLのCBC及び約5mg/mLのCBDを含む、油をベースとする大麻の抽出物とすることができる。液体含有カプセル剤又はゲル含有カプセル剤が使用される場合、これらは、体積に、例えばおよそ200μLの体積に限定されてもよい。投与量範囲として上記のミリグラム量が、このようなカプセル剤の各々に含まれてもよく、又はカプセル剤は、mg/mLの単位でのより低い濃度となるよう製剤化されてもよい。濃度がより低いカプセル剤を使用する場合、適切な投与量は、用量あたりに消費されるカプセル剤の数を増量することによって送達される。
【0051】
賦形剤及び製剤成分。本製剤は、薬物又はカンナビノイドを配合する際に公知の任意の許容される賦形剤を取り込むことができる。このような成分は、デンプン、セルロース、アルギネート、コロイド状ケイ素、ステアリン酸塩等の滑沢剤、塩、水性成分及び非水性(脂肪可溶)成分を含むことができる。当業者が理解している通り、通常の製剤の検討がなされると思われる。
(実施例1)
【0052】
がん疼痛管理に使用するための製剤
がんに伴う疼痛は、がんのタイプ、含まれる処置、及び腫瘍それ自体が対象の不調を引き起こすかどうかに応じて、大きく変わり得る。
【0053】
ステージ4の癌腫の疼痛を経験している個体は、この疼痛を管理するために製剤を使用してもよい。次に、個体は、6時間毎等定期的に、以下の油をベースとするカンナビノイド製剤の用量を経口により消費することができる。
【0054】
この製剤は、油をベースとする液体中に、5mg/mLのTHC、1mg/mLのCBC及び5mg/mLのCBDを含む。個体は、適切な間隔で、1mLを経口服用することができる。
【0055】
最初に、個体は、1日2回の頻度で、1mLの製剤を消費することによって開始することができる。1日あたり4~6回服用される1~2mLの用量が到達されるまで、個体が製剤に慣れるにつれて、用量は、経時的により多い量に滴定されてもよい。
(実施例2)
【0056】
手術の結果としての疼痛管理
手術からの回復の疼痛は、時として、外科手術に前もって予期することができる。
【0057】
手術前に、個体は、有効な疼痛緩和が利用可能であることを知ることによって、ストレス又は心配を軽減したいと思うことがある。手術後、又は手術が一般的な麻酔剤又は口腔内手術(充填術又は歯根管手技)等の広範囲の絶食を必要としない場合、個体は、可能な場合、前もって、又は術後に、以下の丸剤をベースとするカンナビノイド製剤のある用量を経口により消費することができる。
【0058】
この製剤は、丸剤、錠剤又は軟質ゲルカプセル剤の形態で、5mgのTHC、3mgのCBC及び5mgのCBDを含む。個体は、このような丸剤、錠剤又はカプセル剤の1個又は2個を経口で服用してもよい。場合により、腸吸収の効力を支援するために、高脂肪食が同時に消費されてもよいが、食物消費が手術レジメに従って許される時だけである。
(実施例3)
【0059】
傷害後の疼痛管理に使用するための製剤
急性で予測しない事故又は傷害を伴う疼痛は、個体の回復及び治癒が進むにつれて、個体を衰弱させる可能性がある。
【0060】
このような予測しない事象によってもたらされる急性疼痛を経験している個体は、この疼痛を管理するために本製剤を使用してもよい。次に、個体は、疼痛が耐容可能なレベルに低下するまで、ある用量の以下のカプセル封入した油をベースとするカンナビノイド製剤を定期的に又は必要な場合、経口により消費することができる。
【0061】
本製剤は、カプセル剤あたり、およそ200μLの体積を有する軟質ゲルカプセル剤中に存在する。各カプセル剤は、油をベースとする液体中に、5mgのTHC、2mgのCBC及び5mgのCBDを含む。軟質ゲルカプセル剤は、嚥下の容易さを可能にするよう、グリセリン又はソルビトール等の他の一般に公知のゲルカプセル剤成分を取り込むことができる、ゼラチンをベースとするシェルを用いて油をベースとする液体をカプセル封入する。個体は、適切な間隔で、1個のカプセル剤を経口服用することができる。
【0062】
最初に、個体は、1日2回の頻度で、1個のカプセル剤を消費することによって開始することができる。初期用量が十分に耐容された場合、及び個体が製剤に慣れると、用量をより多い量まで増量してもよい。1日あたり4~6回、服用される1~2個のカプセル剤の用量は、疼痛が最も急性となる場合に使用されてもよい。経時的に、個体が回復して治癒すると、使用の頻度は、1日2回、1個のカプセル剤となる用量まで滴定して減量してもよく、又は一層少ない頻度が、必要な場合に使用される。
(実施例4)
【0063】
疼痛管理のための製剤
導入。全体的に、集団の最大で10%が、化学療法による共存症、糖尿病、炎症及び感染性障害として神経障害性疼痛(Bouhassira D、2008年;Colloca L、2017年)によって影響を受ける(Colloca L、2017年)。しかし、有効かつ安全な処置は、未だ見出されていない状態である。いくつかのカンナビノイドは、抗侵害受容性として有効性を有することが示されている。この例において、慢性疼痛の処置のために、特有の製剤が記載されている。神経障害性疼痛は、灼熱感及び電気的生活感覚、痛みを伴わない刺激剤によって引き起こされる疼痛を特徴とし、症状が持続すると、睡眠障害、不安症及び鬱病、並びにクオリティオブライフの障害につながる(Colloca L、2017年)。本検討は、神経障害性疼痛の表現型プロファイルに着目し、臨床的解釈のための課題に対処するように設計した。
【0064】
この検討は、慢性神経障害性疼痛に及ぼすカンナビノイド処置の影響の包括的な行動表現型評価を提供する。機械的閾値試験の2つの異なる尺度を使用し、1:1:1の比のカンナビジオール(CBD)、デルタ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)、カンナビクロメン(CBC)による処置時に、歩行分析、機械的痛覚過敏の有意な低下及び結紮した神経に同側のアロディニアによる電子式von Freyアッセイ及び運動学的アッセイを観察した。5:5:5mg/kg又は10:10:10mg/kgの比のCBD:THC:CBCは、機械的過敏症の確かな低下及び触覚アロディニアの強力な逆戻りを示し、SNL誘導性神経障害性疼痛の運動学的能力を効果的に改善した。顕著なことに、この製剤は、神経障害性疼痛に対するファーストラインの処置選択肢の1つである、プレガバリン、GABAアナログ(ガンマアミノ酪酸)に比べると、優れた鎮痛作用に起因した。この鎮痛作用は、製剤中に存在するカンナビクロメンによって大きく媒介されるように思われる。
【0065】
これらの結果は、本製剤(1:1:1の比のCBD:THC:CBC)は、神経障害性疼痛を強力に低減し、痛み止めとしてオピオイドの新規な置き換えをもたらすことを例示している。更に、カンナビクロメンの更なる追加は、CBD及びΔ9-THCの鎮痛作用を強固に軽減する。この知見は、CBCの追加は、慢性疼痛を有する患者では、1日あたりの用量、並びにCBD及びΔ9-THCの総服用量の有意な減量の見込みを可能にすることを示している。重要なことに、1:1:1の比のCBD:THC:CBCは、新規な解決策を提示し、患者のクオリティオブライフは、オピオイドの乏しい転帰、オピオイド依存症のリスク、薬物服用量の増加及び医療従事者への数度の訪問が理由で損なわれる。
【0066】
検討の目的。本検討の目的は、慢性神経障害性疼痛の検証済みモデルとして、SNL誘導性機械的過敏症及び改変された運動学的能力の強度に及ぼす3種のカンナビノイドの個別の用量の効果を評価することである。検討したカンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)、カンナビクロメン(CBC)及びデルタ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)である。脊髄神経結紮手術は、末梢(坐骨)神経内の部分的な脱神経を引き起こし、それにより、坐骨神経の神経支配領域内の触覚過敏症(アロディニア)を引き起こす。SNLラットモデルは、1992年(Kim SH、1992年)に元々説明された。カンナビノイドは、エンドカンナビノイドシステムによる、それらの反応によるいくつかの機能を保持する。それらは、様々な疼痛のタイプを検討するための最も有力な候補の1つである。
【0067】
生活での検討は以下の工程により行った:
群あたり、N=7~10匹のラット。
7日目(又は、手術から-1日目)。
- 電子式von Frey式検査(evF)を使用するベースライン触覚アロディニア(ナイーブなラットの機械的感受性)の評価;
- ベースラインの微細運動の運動学の記録
D0:SNL-手術;
D0~D6:術後ケア期間
D7:- 傷害ベースラインのアロディニアを規定し、投与前試験結果を得るためのevF;
- 傷害ベースラインの運動障害を規定し、投与前試験結果を得るための運動学的アッセイ
D8:- D8におけるCBD、CBC及びTHCの投与
- 投与後2時間、4時間及び8時間でのevF
- 投与後(PD)5時間及び9時間での運動学的アッセイ
D9:- PD24時間でのevF
- evF試験後の運動学的アッセイ
- 9匹のラット/群の安楽死
【0068】
物質及び方法:
動物
すべての動物実験は、フィンランド国内動物実験委員会(animal Experiment Board of Finland)によって承認を受けた許諾書に指定されている通り、並びに実験室用動物のケア及び使用に関する米国国立衛生研究所(Bethesda、MD、米国)のガイドラインに準拠して行った。
【0069】
合計で、180匹の雄のSprague-Dawley雄ラットは、Charles River(ドイツ)から購入し、検討手順を施した。ラットの体重は、SNL手術の当日は、200~300gであった。SNL手術前の、取り扱い時及びベースライン試験時に、まれではあるが、動物の交換を必要とする状況となる可能性(例えば、生まれつき神経過敏動物)を予期する目的で、動物の数を約5~10%多くした。動物を標準温度(22±1℃)で、食物及び水の自由摂取を伴う照明の管理環境(7am~8pmに照明)に収容した。
【0070】
動物はすべて、脊髄神経結紮による手術を受けた。すべての群が、n=15を含んだ。本処置群は、以下の試験物品の投与を受けた:
群1:D8にビヒクルによる処置(0.9%生理食塩水)。
群2:D8及びD9にプレガバリン(50mg/kg)による処置
群3:D8にCBD(5mg/kg)及びTHC(5mg/kg)による処置
群4:D8にCBD(5mg/kg)及びCBC(1mg/kg)及びTHC(5mg/kg)による処置
群5:D8にCBD(5mg/kg)及びCBC(5mg/kg)及びTHC(5mg/kg)による処置
群6:D8にCBD(10mg/kg)及びCBC(10mg/kg)による処置
群7:D8にCBC(10mg/kg)及びTHC(10mg/kg)による処置
群8:D8にCBD(10mg/kg)及びTHC(10mg/kg)による処置
群9:D8にCBD(10mg/kg)及びCBC(10mg/kg)及びTHC(10mg/kg)による処置
群10:D8にCBD(10mg/kg)及びCBC(2mg/kg)及びTHC(10mg/kg)による処置
【0071】
ラットはすべて、D9の行動試験の完了まで、同じ検討設計に従わせた。
【0072】
Table 1(表1)は、処置の詳細を示す。
【0073】
これらの結果は、5mg/kgの処置サブセットに関して示されている。10mg/kgの処置サブセットの結果が、以下に示されている。
【0074】
【0075】
図1は、検討実例の図式的概要を提示している。この概要は、D9の試験まで、すべての検討動物に行った、検討の行動相を表す概略図の形態にある。2種の試験ラウンドは、最初に4時間でのevFを完了した後、及び2回目に8時間でのevFの完了後に行ったので、D8の時間点でのMotoRater試験は表示されていない。
【0076】
試験物品及び製剤。本試験物品は、標準操作手順下で取り扱い、保管した。この用量の製剤は、供給業者によって提示されている詳細な指示書に準拠して調製した。
【0077】
薬物投与。試験物品、それらのビヒクル又はプレガバリン(陽性対照薬物)は、すべての検討動物に対して、検討の8日目にTable 1(表1)に準拠して投与した。カンナビノイド又はビヒクルの投与経路は、胃内(p.o.)とした一方、プレガバリンは、腹腔内(i.p.)投与した。プレガバリンは、D8に加えて、D9のevF試験の2時間前に投与した。
【0078】
脊髄神経結紮(SNL)手術。動物は、n=6の毎日のコホートでSNL手術に登録した。ラットは、神経障害に無関係の手術による疼痛及び術後疼痛を緩和するため、最初に、手術の最低30分前に0.03mg/kgのブプレノルフィン(Temgesic)の腹腔内用量の投与を受けた。脊髄神経結紮(SNL)手順の前に、70%N2O及び30%O2中のイソフルランを用い、300ml/分の流速でラットに麻酔をかけた。5%イソフルランを含むチャンバー中で2~3分間、麻酔を誘導し、これ以降、1~2%のイソフルランを鼻マスクから維持した。恒温ブランケットシステムを使用して、直腸温度をモニタリングし、操作中、37.0℃±1.5℃に維持した。
【0079】
無菌技法を使用して、ラットの内側背領域に、L3からS2までに延びる背側切開を行った。鈍い及び鋭利な切開を組み合わせて使用して、L6/S1後方関節間突起物を露出させた。脊柱のL6横突起物を見えるようにし、神経を操作せずに部分的に除去した後、椎間孔からのその発生部から遠位のL4及びL5脊髄神経を露出させた。
【0080】
L5神経は、6-0の絹縫合糸によりしっかりと結紮した。次に、L6神経を仙腸関節の尾部側及び内側に配置し、L5と同様に、6-0絹縫合糸でしっかりと結紮した。どちらの結紮も二重結びとして行った。
【0081】
結紮を行った後、筋肉層、結合組織及び皮膚を閉じて、動物を恒温ケージ中で麻酔から回復させた。ラットは、完全に覚醒して、ケージ内で動くまでモニタリングした。
【0082】
術後のケア期間は、手術後の更に7日間の間、1日2回行い、以下の手順を含んだ。手術した動物の足及び歩行のモニタリングを伴う、一般状態及び快適性の注意深い観察。手術による創傷及び縫合を確認し、創傷が適切に閉じるまで、必要な場合、すなわち1日2回、適切に消毒した。0.03mg/kgのブプレノルフィンをs.c.で、ほぼ12時間毎に、術後の最初の2日間に投与した。手術後、4mlの滅菌生理食塩水をi.p.で直接、水分補給し、更に7日間、1日2回、又は更なる体重減少が起こらなくなるまで継続した。モデル及び手術に関連するものを超えた痛み、運動障害又は健康問題の何らかの明らかな兆候が記録され、麻痺又は他のモデルに関連しない運動障害を有する動物は、更なる試験から除外した。
【0083】
触覚アロディニア試験(evF)及び事前取り扱い及びベースラインevF。この検討では、接触刺激に対する機械的感受性は、取り付けた分析ソフトウェア(Somedic(登録商標)、スウェーデン)と共に、電子式von Frey(evF)装置を使用することによって、4つの時間点で定義した。
【0084】
ラットにベースラインevFを受けさせる前に、試験における過敏性を低減する目的で、2日間連続して、2~3分間、ラットを事前に取り扱った。事前取り扱いは、ベースライン試験の最大で3日前に行った。ベースラインevFは、CR動物施設に到着後、最低で5日後、及び手術当日(d0)の最大で5日前に行った。
【0085】
先天性過敏症を示すラットは本検討から失格とした。過敏症は、1mmのプローブを用いる<20gのベースライン肢逃避閾値(PWT)として定義した。ベースラインevF試験後、ラットを秤量して、番号を付与し、ベースラインPWT及び体重に関して、処置群に均等に分配した。
【0086】
何らかの手順(取り扱い又は試験)の前に、手順を行う部屋で、動物を60分間、馴化させた。
【0087】
evF試験を行うために、ラットを高い位置にあるスチールメッシュ上に置かれている個々のvon Frey式検査用チャンバーに入れた。次に、チャンバー中でラットを適応させて、ラットが落ち着き、次いでチャンバーを調べて毛繕いを行った後(約15分間)、試験自体を着手した。試験は、動物が毛繕い、排尿、排便又は睡眠の間に行った。試験手順の更なる説明は、これ以降に提示する。
【0088】
evF試験の実施。機械的アロディニアは、SNL手術の前(ベースライン)のevF試験によって評価し、検討動物の個々の感受性レベルを規定した。次に、evFをSNL後のD7に行い、SNL手術によって引き起こされた過敏症を評価し、比較のための投与前感受性値を得た。D8に、投与後(PD)2時間、PD4時間及びPD8時間で、動物に試験を施した。続いて、この試験をPD24時間で、すなわちD9に行った。D9で、試験2時間前に、群2はプレガバリン(i.p.)の投与を受けた。
【0089】
いずれの試験日においても、ラットは、試験前の約1時間、試験室中で順応させた。試験のストレスを低減して試験を容易にするため、この時間の一部を試験チャンバーへの順応に使用した。この試験は、動物が、周囲を調べて、毛繕いをして落ち着くと開始してもよい。ラットが排尿、排便又は睡眠をした場合、試験を行わない。
【0090】
evF装置は、製造業者の指示書に準拠して使用した。手短に述べると、各測定時に、直線的な増加率で、後足の足底面の中央部に力をかける。
【0091】
使用したevFプローブの直径は1mmとし、選択した力の上昇速度は、10g/sとした。力の適用の線形性は、即時にモニタリングした。肢逃避を引き起こした適用した力(グラム)を、試験の結果として装置によって記録した。
【0092】
書き留めは試験中にとり、試験物品の考えられる鎮静作用を感覚作用と区別した。
【0093】
全体として、各時間点において、各後足に5回の繰り返し測定を適用し、これらの反復測定間に最低で3分間の間隔をおいた。5回の測定の繰り返しの中央値は、任意の所与の時間点における各足から求めた。同側及び対側の両方の足も、各試験日に試験した。
【0094】
【0095】
微細運動の運動学的歩行分析。evF試験後の最低で30分時に、ベースライン時、検討の8、9、11、14及び17日目に、ラットに歩行分析を施した。このアッセイは、MotoRater(TSE Systems社、Homburg、ドイツ)によって、歩行モードで行われた。試験を始める前に、必須の身体点(例えば、関節、四肢、鼻、尾部)を追跡するために印を付けた。歩行能力の情報は、下側及び両側から高速カメラ(300フレーム/秒)を使用してキャプチャした。次に、キャプチャしたビデオ画像をSimiMotion(商標)ソフトウェアに変換した。未加工データは、3次元すべてから記録したビデオ画像からの身体の印を付けた点を追跡することによって得た。したがって、この未加工データは、地面と各3次元に関連する座標での様々な身体点の動きの相関関係を含んだ。
【0096】
様々な歩行パターン及び動きは、注文仕様の自動化分析システムを使用して解析した。全部で100を超える運動学的パラメータに関する情報が得られた。これらは、例えば以下を含む:
- 歩幅時間、及び歩幅速度、ステップ幅、大股歩行中の立脚時間及び遊脚時間、並びに肢間協調等の一般的な歩行パターンパラメータ。
- トウクリアランス、腸骨稜と腰部高さ、後肢の突き出し及び引き戻し、尾部位置、並びに動き等の体の姿勢及びバランスのパラメータ。
- 例えば、大股歩行中の遊脚速度、遊脚期中の単収縮メトリック(jerk metric)、異なる関節の角度範囲及び偏差、並びに垂直及び水平の頭部の動きを含む、微細運動技能。
【0097】
Motoraterデータはすべて、主成分分析(PCA)を使用して、個別のパラメータに関して、及びすべてを組み合わせたパラメータに関して解析した。得られた結果は、歩行分析におけるモデル表現型、すなわち、個々のパラメータとPCAの両方に関するビヒクルとカンナビノイド処置動物との間の差異から生じた。
【0098】
ベースライン試験に加えて、行動検討期の経過にわたり、motorater試験を一緒に4回、行った:
- D7に、投与前のモデル特異的な運動障害を評価するため
- D8に、4時間でのevFを完了した後
- D8に、8時間でのevFを完了した後
- D9に、24時間でのevFを完了した後。
【0099】
この運動学的アッセイは、evF試験の後、最低30分前には動物に行わなかった。
【0100】
図3A及び
図3Bは、すべての検討群における、BLのPCA及びD7の差異に基づいたSNL誘導性運動表現型を示している。
【0101】
図3Aは、動作追跡及び運動学的モデルを例示している。動作追跡は、MotoRaterを利用して、動物を3つの側面(腹側、左、右)から同時に観察し、動作に関連するすべての身体部分、すなわち足、足首、関節、尾部、頭部、腰部、腸骨稜等の詳細な読取り値を得ることを含み、これにより、微妙な逸脱、早期症状の発症及び処置効果の信頼性高い検出が可能となる。
【0102】
図3Bは、ベースラインからの距離に関する判別方向を例示している。棒グラフは、どのパラメータがSNL後に変化したかを例示している(ゼロ=BL又はベースライン)。棒の長さ及び方向は、各パラメータが総合スコアにどの程度寄与しているかの重みを示す。
【0103】
SNLモデルの運動表現型は、歩行特徴の変化の以下の組合せとして特徴付けて、解釈することができる:
- 一層長い歩幅距離が主に理由による、総合的な速度が増大する(ステップ長さの増大)
- 後肢の左右交互リズムの非対称性が増大することを除き、肢間協調が劇的に変化しない(L/R連携H)
- 全体的な腰部高さ及び腰部の動きの垂直方向範囲が増大する(尾基底部の平均値/最大値/範囲、腰部高さ、腰部高さ範囲、腸骨稜高さ)
- 尾先端部の位置が更に低い(尾先端部の最小値/平均値/最大値)
- 腰部角度範囲が増大する
- 後肢のトウクリアランスが増大する。
【0104】
以下の3つのスライドに示されている総合歩行スコアは、これらすべての変化を一緒に反映しており(判別方向ベクトルを「基準」として使用)、ベースラインでの平均スコアがゼロに等しくなるように示している。D7でのすべての検討群の平均スコアは、3.107(zスコア)に等しい。総合スコアの低下は、歩行能力がSNL前の状況(BL)に向かって変化したことを意味する。
【0105】
図4は、総合歩行スコア(ベースラインからの距離)を示し、シャム(一対の組の左側の明るい方の棒)対SNLラットモデル(一対の組の右側の暗い方の棒)に示される判別ベクトルで強調されている、個々の歩行パラメータの例を提示している。総合歩行スコアは、SNLモデルに一緒にリンクされているすべてのそれらの歩行パラメータによってもたらされる。
【0106】
体重モニタリング。動物の体重は、手術の当日(D0)、及びこれ以降の毎日に、ベースラインevF試験時に記録した。
【0107】
エンドポイント、血液試料及び組織処理。D9に、最後のmotorater試験の後、PK期に継続するため、群あたり6匹のラットを選択することによって、行動検討期を完了した。動物の残りは、CO2の過剰摂取及び断頭術によって安楽死させた。
【0108】
D11におけるPK期のエンドポイントの日に、ペントバルビタール(60mg/kg Mebunat)を用いて、ラットに最終的に麻酔をかけた。血液試料を心穿刺により収集し、血漿を10分間、2000×gで遠心分離することによって単離した。分離した血漿試料を清浄な管に移して、輸送するまで-80℃に保管した。
【0109】
次に、動物を最初に経心によりPBSで灌流した。脳を頭蓋骨から分離して、液体N2中で急速冷凍した。これ以降、この脳試料は、輸送するまで-80℃で保管した。
【0110】
腰椎DRGが見えるように整え、両側から採取した。両側の腰椎DRG L4~L6を事前にラベルを付けた2mlの管にプールし(同側DRGを1つの管に、対側DRGを別の管に)、10%市販ホルマリン中で24時間(+4℃)の後固定を行った。最後に、手短に述べると、DRG試料に0.1M PBSを勢いよく流し、輸送するまで及び輸送中、+4℃の緩衝液中に保管した。
【0111】
一般的な健康状態及びヒトエンドポイント。動物は、実験室員によって毎日、モニタリングした。動物の一般的な健康状態が著しく悪化した場合、CO2の過剰摂取により犠牲にして、頭部切除した。許容されるエンドポイントの定義には、24時間の観察期間中に自発的な動きがなく、飲食不能であること、大量の出血、自発的炎症、解剖学的構造の欠如、20mmを超える腫れ又は腫瘍、及び30秒の期間、自身を正しい位置にできないことが含まれる。
【0112】
更に、モデル特有のエンドポイントの判断基準を適用する:
- 創傷縫合部を3回、開く(最初に、新しい縫いを行い、2回目に、組織接着剤を追加で使用してもよい)。
- 48時間の処置があるにもかかわらず、悪化した創傷の炎症。
- 後肢の一方の任意の程度の麻痺。
- 時として、神経障害性疼痛モデルに関係する自傷。
【0113】
装置及び試薬。以下の材料及び物質を本検討に使用した:
- 鋼製メッシュ試験板:Ugo Basile社、ドイツ
- プレキシガラス製試験チャンバー:Ugo Basile社、ドイツ
- 電子式von Frey式検査のハードウェア及びソフトウェア:Somedic社、スウェーデン。
- MotoRater:TSE Systems社、Homburg、ドイツ
- ガス麻酔装置:Harvard Apparatus社
- イソフルラン液:Attane Vet社
- 光学顕微鏡:Zeiss Stereomicroscope社、Stemi DV4
- 恒温手術用ブランケット温度自動調節器及びプローブ:Harvard Apparatus社
- 結紮用絹製縫合糸:6-0 Ethicon社
- ポリアミド縫合糸(5-0):Ethicon社
- ブプレノルフィン Temgesic(登録商標):Oriola社、フィンランド
- 0.9%のNaCl(生理食塩水):Braun社。
【0114】
統計学的解析。値はすべて、平均値±平均値の標準誤差として表す。統計学的解析はすべて、GraphPad Prism(バージョン8、GraphPad Software, Inc.社、San Diego、CA)を使用して、α=0.05の有意性レベルで行った。データの特徴に応じて、統計学的試験は、以下のパラメータから選択した。
【0115】
2つの群間の単純な比較は、対応のないスチューデントt検定、又は正規性の仮定がD'Agostino-Pearson又はShapiro-Wilk検定によって却下された場合、Mann-Whitney U検定のどちらか一方によって行った。Welchのt検定は、データが正規分布していると想定される場合、一対比較に使用し、そうでない場合、不等分散を用いた。同じ組の対象に対して行った2つの測定値間を比較するため、対応のあるスチューデントt検定又はウィルコクソンの符号付き順位検定のいずれかを適切に使用した。
【0116】
3つより多い独立した群を含む比較は、一元配置分散分析(ANOVA)によって、又はデータが正規分布していない場合、クラスカルーウォリス検定によって行った。群/処置因子が有意な場合、事後多重比較を行った。すべての平均値と他のすべての平均値とを比較するため、Tukey又はHolm-Sidak検定の一方を使用した。対照群の平均値との比較は、Dunnettの検定によって行った。クラスカルーウォリス検定の場合、事後多重比較は、Dunnの検定を使用して行った。
【0117】
同じ群に繰り返した観察に関して、一致した値が、反復測定ANOVA(正規分布データの場合)又はFriedman検定(正規性の仮定が却下された群の場合)によって解析した。異なる時点で行われた2つ以上の群間の比較は、「群間」因子として群/処置による、及び「群内」因子として時間による、二元配置反復測定ANOVAによって解析した。群と時間の主な効果を最初に決定し、それらに有意な相互作用がある場合、関連事後多重比較を行った。
【0118】
結果
本検討全体を通して、Snlラットの様々な群の体重に有意な差異はなかった。異なる処置群とビヒクル処置動物とを比較すると、統計学的有意性は観察されなかった。
【0119】
図5は、SNLの手術が行われたSDラットの体重に及ぼす1~3種のカンナビノイドの個別の用量の効果を示している。データは、平均値+SEMとして表す。群サイズ:ビヒクル、n=12;プレガバリン、n=12;CBD+CBC 10mg/kg、n=9;CBC+THC 10mg/kg、n=9;CBD+THC 10mg/kg、n=9;CBD+THC 5mg/kg、n=7;CBD+CBC+THC 5mg/kg、n=9;CBD+THC 5mg/kg+CBC 1mg/kg、n=9;CBC 10mg/kg、n=9。二元配置ANOVA、Tukeyの事後。
【0120】
5:5:5mg/kgにおけるCBD:THC:CBCは、慢性疼痛による機械的過敏症を低減することが見出された。これは重要な知見であった。
【0121】
機械的過敏症を評価するために、本検討は、術後8日間の電子式von Frey(evF)を使用し、各処置群において、投与後24時間以内に肢逃避閾値を求めた。これらの結果をグラフにし、ベースライン(時間0)と比較した。
【0122】
図6は、ラットにおけるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの効果を示す。ベースラインPWTからの百分率は、異なる処置に関して、様々な時間点後に評価した。SNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイド(cannbinoid)の効果を、7日目、次に、処置の2時間、4時間、8時間及び24時間後に測定した。データは、SNL後の時間点における、ベースラインからの百分率の値に対する平均値+SEMとして表されている。グラフ中の曲線は、AUCを分析するために使用した。以下の略称は、D7:7日目;D8:8日目;D9:9日目、CBD:カンナビジオール;CBC:カンナビクロメン;THC:Δ-9テトラヒドロカンナビノール、AUC:曲線下面積、CBD+THC+CBC 5mg/kg:CBD 5mg/kg及びTHC 5mg/kg及びCBC 5mg/kgによる処置と定義する。
【0123】
図7は、電子式von Frey式検査による処置群対ビヒクル尺度の統計学的有意性を表す、曲線下面積(AUC)を例示する。SNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの効果は、2時間、4時間、8時間及び24時間で測定し、曲線を使用して曲線下面積を測定した;データは、平均値+SEMとして表し、対応のないWelch t検定を用いて検定した;
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001
****、p<0.0001。
【0124】
5:5:5mg/kgのCBD+THC+CBCによるラットの処置により、evF試験において、ビヒクル群と比較すると、SNL誘導性機械的過敏症が有意に低減された(p<0.01)。興味深いことに、5:5:5mg/kgのCBD+THC+CBCによる処置によって、
図6及び
図7、並びに以下のTable 2(表2)に示されているデータにおいて立証される通り、プレガバリン陽性対照(p=0.0186)に比べると、機械的過敏症のかなり一層大きな低減が引き起こされた。
【0125】
【0126】
【0127】
曲線下面積(AUC)の分析は、5:5:1mg/kgのCBD:THC:CBCにより処置されたラットに比べて、5:5:5mg/kgのCBD+THC+CBCにより処置されたラットでは、AUCの顕著な増加があることを例示した(
図6及び
図7)(p=0.0019)。したがって、カンナビクロメン1~5mg/kgを増量すると、24時間の時間枠にわたり、機械的逃避閾値が顕著に変化した。
【0128】
Table 2(表2)は、電子式von Frey曲線下面積(AUC)における、処置群の多重/一対比較を示している。明るい灰色の背景:Tukeyの多重比較によるp<0.05;暗い灰色の背景:一対比較に関するFisherのLSDによるp<0.05。Diff:差異。Cl:信頼区間。SE:標準誤差。
【0129】
5:5mg/kgの比となるCBD:THCによるラットの処置は、evF試験において、ビヒクル(p<0.05)に比べて、機械的過敏症の強度の低減に有効であることが示されたが、化合物に5mg/kgのカンナビクロメンを追加すると、CBD及びTHCの効果を増強するように思われた(p<0.01)。この見解を支持するため、5:5:5mg/kgのCBD+THC+CBCはまた、プレガバリン(p=0.0186)よりもかなり大きな有効性を示した一方、5:5mg/kgのCBD+THC(CBCを含まない)は、機械的過敏症(p=0.6414)の低減ではプレガバリンと同等であった(Table 2(表2))。各行動試験の時間点における追加の群比較により、カンナビクロメンを追加する影響が浮き彫りになった。
【0130】
図8は、evFによって測定されるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの複数の個別の用量の効果を示す。データは、各群に関するベースライン+SEMからの百分率として示す(群サイズ:ビヒクル、n=12;プレガバリン、n=12;CBD+THC 5mg/kg、n=8;[CBD+CBC+THC 5mg/kg]、n=9;[CBD+THC 5mg/kg+CBC 1mg/kg]、n=9)。パネルA)p<0.1;
*p<0.05対ビヒクル([CBD+CBC+THC 5mg/kg]及び[CBD+THC 5mg/kg+CBC 1mg/kg]対ビヒクル間の単なる一対の事後比較);パネルB)p<0.1;
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対D7(二元配置ANOVA、Dunnettの事後)。
【0131】
群毎の差異を試験し、一対の事後比較を絞り込んだ。5:5:5mg/KgのCBD+THC+CBCの効果を評価するため、群間比較(
図8、パネルA)及び群内比較を行った(
図8、パネルB)。
【0132】
投与後2時間における、CBD+THC+CBCの5:5:5mg/kg処置をビヒクルと比較すると、群間比較により、有意な差異があることが明らかになった(p=0.0494、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図8、パネルA)。このデータは、ラットにおける機械的過敏症の低減によって示される、CBD+THC+CBC 5:5:5mg/kgによって引き起こされた効果を示している。
【0133】
更に、5:5:5mg/kgのCBD+THC+CBCにより処置されたSNLラットは、投与後(post-doing) 2時間で、ベースラインから肢逃避閾値の33%向上(%PWT)を示した(p<0.05)。投与後4時間では、有意性レベルには全く到達しなかった(p=0.086;二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図8、パネルA)。この観察は、ラットの数(n=9)が少ないことによる可能性がある。
【0134】
二元配置ANOVAによって行われた群内比較は、投与に対する動的応答、投与後2時間でピークとなり、徐々に投与前レベルに戻ることを特徴とする、非常に有意な期限付き効果が存在することを示した。
【0135】
投与前から投与後2時間までの有意な変化が、このサブセットのすべてのカンナビノイド群において、及びプレガバリン群において見出された(p<0.05、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図8、パネルB)。明らかに、5:5:5mg/kgのCBD+THC+CBCは、投与前レベルと比較すると、非常に有意な差異を示した(p<0.0001)(
図8、パネルB)。投与後4時間には、5:5mg/kgのCBD+THC及び5:5:5mg/kgのCBD+THC+CBCは、依然として、投与前時点よりもかなり高いレベルにあった(それぞれ、p<0.05及びp<0.01、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図8、パネルB)。この試験は、時として有意な変化ではないが、大部分が動物の周囲の変動に組み合わされた試験の感受性のために、明らかな変化を生じたので、有意ではないが、わずかな上昇傾向がビヒクル群にも観察された。
【0136】
eVFアッセイ結果に基づくと、CBCを1mg/kg~5mg/kgに増量すると、CBD+THCの効果を延長するように思われる。投与後24時間には、最高CBC濃度による群の結果の値は、投与前レベルより依然として高いことは注目すべきである。しかし、この時間点における投与前レベルとの差異は、依然として有意ではない。更に、ここで注目に値することは、投与後2時間にピークに到達し、徐々に逆戻りし、SNL傷害レベルに近づく、投与に対する動的応答の形状である。時間に伴う応答強度の変化は、低CBC用量群に比べて、高CBC用量群において明確に異なる。
【0137】
カンナビクロメンをCBD及びTHCに追加する効果はまた、CBD:THCが10:10mg/Kgのサブセットにより処置されたSNLラットで評価し、その結果を以下に報告する。
【0138】
総合的に、電子式von Frey式検査からの結果により、SNL誘導性機械的過敏症の低減における5:5:5mg/kgの比のCBD:THC:CBCの有効性が確認され、慢性疼痛の管理に本製剤が有効であることが示される。慢性疼痛の更なる評価、及び以下の運動学的歩行分析による運動制御により、CBCと組み合わせると、CBD+THCの有効性が増大されることが説明される。
【0139】
カンナビクロメンは、CBD及びΔ9-THCの効果を延長し、神経障害性疼痛の動物モデルにおいて、総合的な運動活動性を顕著に改善する。
【0140】
包括的な運動学的解析を、SNLモデルにおいて、何らかのわずかな歩行変化から大きな歩行変化を検出することが可能な高感度MotoRaterによって行った。速度や加速度等のそれぞれの特性を有する結合位置と角度の軌道に基づいた動きを評価するために、腹側、横方向の左右から3次元観察及び解析を行った。総合スコアは、ビヒクルと比較した各処置群の場合のベースラインからの距離、又は各処置群内での距離に基づいて報告した。記録された97種全部の個別のパラメータの運動学的な運動解析を使用して、動物の微細運動能及び歩行を、ベースライン時、及びSNL手術後に4回、すなわち投与後2時間、5時間、9時間及び24時間で評価した。
【0141】
図9は、SNLラットにおける処置後の7日目~9日目における総合歩行スコアを示す。二元配置混合ANOVA:固定効果(タイプIII):時間p<0.0001、群p=0.0003;時間x群p=0.0064;パネルA。統計学的に有意な差異対ビヒクル;Dunnettの検定(5ファミリー、ファミリーあたり4つの比較)。パネルB。D7までの群内比較;Dunnettの検定(5ファミリー、ファミリーあたり4つの比較)。
【0142】
図10Aは、すべての検討群におけるBLとD7の差異のPCAに基づく、SNL誘導性運動表現型を表す判別ベクトル棒グラフを示す。元のベクトルグラフは、矢印、及び異なる陰影の付いた棒を用いて、矢印によって強調表示されている、SNL運動表現型を最良に表す特徴的な歩行特徴を強調している。
【0143】
調節後のp値の統計学的有意性:*p<0.05;**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【0144】
パラメータデータに関する主成分分析(PCA)を行い、変数の数を低下させて、個別のパラメータ間の相関関係を明らかにした。PCAは、すべてのパラメータデータと一緒になって、それらの間の相関関係を明らかにし、SNL手術を受けたラットの微細運動及び歩行特徴の全体図を提示する。すべての検討群におけるベースラインBL及びD7の差異が、棒グラフ(
図10A)に示されて、どのパラメータがSNL後に変化したかを例示している(ゼロ=BL)。棒の長さ及び方向は、各パラメータが総合スコアに寄与している重みを示す。SNLモデルの運動表現型は、歩行特徴の変化の以下の組合せとして特徴付けて、解釈することができる(
図10A):
- 一層長い歩幅距離が主に理由による、総合的な速度が増大する(ステップ長さの増大)
- 後肢の左右交互リズムの非対称性が増大することを除き、肢間協調が劇的に変化しない(L/R連携H)
- 全体的な腰部高さ及び腰部の動きの垂直方向範囲が増大する(尾基底部の平均値/最大値/範囲、腰部高さ、腰部高さ範囲、腸骨稜高さ)
- 尾先端部の位置が更に低い(尾先端部の最小値/平均値/最大値)
- 腰部角度範囲が増大する
- 後肢のトウクリアランスが増大する。
【0145】
本検討は、PCAに基づくSNL誘導性運動表現型を報告しており、0~5mgのカンナビクロメンと共にCBD:THC 5:5mg/kgにより処置したラットに関する群間比較及び群内比較に基づいた総合歩行スコアを表す。これらの群を、ビヒクル(陰性対照)及びプレガバリン(陽性対照)と比較した。CBD:THC 10:10mg/kgサブセットにより処置したSNLラットの更なる運動表現型の評価を以下に報告する。
【0146】
5:5:5mg/kgの比のCBD:THC:CBCによる処置群と他のカンナビノイド又はプレガバリン処置群との間の顕著な差異の1つは、投与後5時間及び9時間で総合歩行スコアがかなり改善されたことであった(それぞれ、p<0.05及びp<0.0001、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図9、パネルA)。この知見は、カンナビクロメンの2つの機能的寄与に関する強力な証拠を提示する。
【0147】
図9、パネルAに表示されている通り、5:5mg/kgのCBD:THCは、ラットにおいて、ビヒクルと比較して総合歩行スコアを改善しなかった。一方、1:1:1比でカンナビクロメンをCBD及びΔ9-THCに追加すると、CBD及びTHCの効果が顕著に強化され、処置後9時間までで、触覚が強力に逆戻りした。とりわけ、これらの知見は、触覚アロディニアが依然として、カンナビノイドによって処置された他のすべての群で存在したことを示している。したがって、5:5:5mg/kgのCBD:THC:CBCにより処置したSNLラットにおける可動性の増大及び触覚アロディニアの逆戻りは、CBCの追加が理由であり、Δ9-THCの精神活性作用を隠したことによるものではない。神経障害性疼痛の管理において、CBD及びTHCへのカンナビクロメンの追加により、5:5:5mg/kgの比のCBD:THC:CBCの有効性を証明する、SNLラットの総合的な可動性が効果的に改善された。
【0148】
微細運動の運動学的解析の別の主要な知見は、5:5:5mg/kgのCBD:THC:CBCにより処置したラットの総合歩行スコアに示される著しく有意性な期限付き効果であった。これらのデータは、すべてのカンナビノイド群において、投与に応答することを示した。スコアは、総合スコアの増加を示し続けたビヒクル群及びプレガバリン群とは対照的に、ベースライン近くまで減少したか、又は増加が止まったことを示したかのどちらかであり、この場合、ベースラインスコアから離れたことを指す(
図9、パネルB)。明らかに、投与後2時間及び4時間で、5:5:5mg/kgのCBD+THC+CBCにより処置した動物は、投与前試験に比べて、歩行能力の改善、及び触覚の逆戻りを示した(
図9、パネルB)。ラットの数を増やすと、統計学的解析及び試験結果が改善されることがある。
【0149】
したがって、5:5:5mg/kgのCBD:THC:CBCによる処置は、投与後24時間の期間にわたり、触覚の逆戻りにおいて、最も強力な化合物となることを証明するという証拠が本明細書において提示される。この製剤は、投与後9時間まで、ラットにおいて可動障害を効果的に低減した(p<0.0001)。この長期の効果は、プレガバリン又は他のカンナビノイド群で処置されたSNLラットでは観察されなかった。
【0150】
まとめると、この検討により、慢性神経障害性疼痛に及ぼすカンナビノイド処置の影響の包括的な行動表現型評価が得られる。5:5:5mg/kgの比又は1:1:1の比のCBD:THC:CBCは、単一処置後、9時間にわたり、機械的過敏症の確かな低下、及びアロディニアの強力な逆戻り、及びSNL誘導性神経障害性疼痛モデルの運動学的能力の大きな改善を示した。
【0151】
この知見は、カンナビジオールとΔ9-THCに適切な投与量のカンナビクロメンを追加すると、疼痛患者における1日あたりの用量が著しく減量され、患者による痛み止めとしてのCBDとΔ9-THCの総服用量も低下することができることを示している。
【0152】
【0153】
図10Cは、微細運動の運動学的歩行分析の概略図を示す。一般的な時空-一時的パラメータ(速度、距離、時間)、肢間協調;遊脚期及び肢の軌道;姿勢及び関節角度、及び合計で100を超えるパラメータを決定するよう、動作追跡及び運動学的モデルの運動学的パラメータを評価する。
【0154】
運動学的パラメータを1つの単一スコアに組み合わせた総合歩行スコアを決定する。このスコアは、健常な対照に対する疾患モデルを最良に特徴付けるそれらの運動学的パラメータに基づく。この手法は、疾患モデルの特異的処置効果を判定するのに非常に感度が高い。
【0155】
10:10mg/kgのCBD:THCの結果。10:10mg/kgのCBD:THC-サブセット比較。このサブセットでは、投与後24時間の期間にわたる、触覚の逆戻りに最も強力な化合物は、[CBD+THC 10:10mg/kg]であった。しかし、[CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg]及び[CBD+THC 10mg/kg+CBC 2mg/kg又は10:2:10mg/kg]のどちらもまた、ビヒクルに比べると、AUCの非常に有意な上昇を示した。曲線点:投与前、投与後2時間、4時間、8時間及び24時間(
図11)。
【0156】
図11は、10mg/kgのTHCによる群のサブセットに関するAUCを示す。データは、各群に関するベースラインPWT+SEMからの百分率(上側のパネル)として、及び対応する曲線のAUCとして表されている(群サイズ[CBD+THC 10mg/kg]、n=9;[CBD+CBC+THC 10mg/kg]、n=9;[CBD+THC 10mg/kg+CBC 2mg/kg]、n=7)。統計学的有意性は、
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対ビヒクル(Welchの対応のないt検定)である。
【0157】
図12は、evFによって測定されるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの複数の個別の用量の効果を示す。データは、各群に関するベースライン+SEMからの百分率として示す。(群サイズ:ビヒクル、n=12;プレガバリン、n=12;[CBD+CBC 10mg/kg]、n=9;[CBC+THC 10mg/kg]、n=9;[CBD+THC 10mg/kg]、n=9;[CBD+CBC+THC 10mg/kg]、n=9;[CBD+THC 10mg/kg+CBC 2mg/kg]、n=7)。統計学的有意性:A)
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対ビヒクル;B)
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対D7(二元配置ANOVA、Dunnettの事後)。
【0158】
10mg/kgのTHCの投与量を共有する様々なカンナビノイドの組合せを比較するために、群のサブセットを形成し、比較を行い、それに応じて示した(
図12)。
【0159】
このサブセットでは、以前に示された5mg/kgのTHCサブセットと同様に、類似した効果が見られた。しかし、これらの用量混合物を用いると、行われた二元配置ANOVAは、事前選択した群に基づくと、かなり有意な処置-時間相互作用の効果を生じた。これらの差異を更に試験するため、ビヒクルと[CBD+THC 10:10mg/kg]及び[CBD+THC 10:10mg/kg+CBC 2mg/kg]の両方の間の適切な一対の事後比較を行った。これらの群のどちらも、投与後2時間で、ビヒクル群に対して有意な差異を示した。投与後4時間における、[CBD+THC 10:10mg/kg+CBC 2mg/kg]の結果は、ビヒクル結果よりも依然としてかなり高かった一方、この時間点における[CBD+THC 10:10mg/kg]は、依然として一層低いままであり、ビヒクルの二元配置ANOVA、Dunnettの事後に比べると、過敏症が有意に反する傾向(p<0.1)はわずかであることを示した(
図12)。
【0160】
群内比較は、10mg/kgのTHCサブセットによる感受性レベルの非常に有意な期限付き効果を示し、5mg/kgのTHCサブセットにおいて先に見られた投与に対する類似の動的応答を示し、投与後2時間でピークとなり、これ以降、徐々に投与前レベルに逆戻りした。投与前から投与後2時間までの感知可能な統計学的有意性が、このサブセットのすべてのカンナビノイド群において、及びプレガバリン群において見出された(p<0.05、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図12)。投与前レベルに対する有意な差異又はほぼ有意な差異が、[CBC+THC 10:10mg/kg]、[CBD+THC 10:10mg/kg]、[CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg]及び[CBD+THC 10mg/kg+CBC 2mg/kg又は10:10:2mg/kg]の場合に、投与後4時間でも見出された。投与後8時間でさえ、過敏症の逆戻りは、[CBD+THC 10:10mg/kg]及び[CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg]の場合、依然として有意であった(p<0.05、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図12)。
【0161】
5mg/kgのTHCサブセット比較においてほぼ有意であることが見出された、わずかに上昇する傾向は、10mg/kg THCサブセットの場合、有意性がないことが分かった(p=0.1588、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図12)。
【0162】
これらの解析間の差異は、統計学的モデリングの性質を示しているに過ぎず、したがって、信頼区間及びp値は、この解析に含まれるすべての群において見出されている全体的な分散に基づいており、この解析に含まれる群の組合せに応じて、最終的なp値のわずかな変化をもたらすことに注目すべきである。
【0163】
CBC用量の増量効果。CBC投与量を増量する効果を検討するため、以下の群のサブセットを形成した。CBD+THC 5mg/kg、CBD+THC 5:5mg/kg+CBC 1mg/kg及びCBD+THC+CBC 5:5:5mg/kg(
図13)。CBD+THC:10mg/kg、CBD+THC+CBC 10:10:2mg/kg及びCBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg(
図14)。
【0164】
図13は、evFによって測定されるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの複数の個別の用量の効果を例示する。データは、各群に関するベースライン+SEMからの百分率として示されている(群サイズ:[CBD+THC 5mg/kg]、n=8;[CBD+THC 5mg/kg+CBC 1mg/kg]、n=9;[CBD+THC+CBC 5mg/kg]、n=9)。統計学的有意性:パネルA)
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対ビヒクル;パネルB)
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対D7(二元配置ANOVA、Dunnettの事後)。
【0165】
第1のサブセット(5mg/kgのTHC群)では、CBC用量の増量は、0又は1mg/kgのCBCによる群に比べると、過敏症の逆戻りのわずかな改善を示すように思われる。依然として、このサブセットの群では、有意な処置効果又は処置-時間相互作用の効果が存在しなかった(p>0.05、二元配置ANOVA)(
図13)。しかし、PD24時間で、CBCを使用しない群、すなわち[CBD+THC 5:5mg/kg]に対する一対の事後比較により、[CBD+CBC 5mg/kg]と[CBD+THC+CBC 5:5:5mg/kg]との間に「有意な差異への傾向の確立」(p<0.1)(p=0.0904、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図13)が存在する。
【0166】
更に、非常に有意な期限付き効果が、同様にこのサブセットにおいて見出された。投与前と投与後2時間の値との間の統計学的に有意な差異が、このサブセットのすべての群において見出された(p<0.05、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図13)。[CBD+THC 5:5mg/kg]及び[CBD+THC+CBC 5:5:5mg/kg]群(p<0.05、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)の場合、投与前レベルへの有意な差異が、PD4時間でも見出された(
図13)。
【0167】
PD24時間では、最高CBC濃度による群の結果の値は、投与前レベルより依然として高いことは注目すべきである。しかし、この時間点における投与前レベルとの差異は、依然として有意ではない。
【0168】
図14は、evFによって測定されるSNL誘導性機械的過敏症の強度に及ぼすカンナビノイドの複数の個別の用量の効果を示す。データは、各群に関するベースライン+SEMからの百分率として示す。(群サイズ[CBD+THC 10mg/kg]、n=9;[CBD+THC+CBC 10mg/kg]、n=9;[CBD+THC 10mg/kg+CBC 2mg/kg]、n=7)。統計学的有意性:パネルA)
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対ビヒクル。パネルB)
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対D7(二元配置ANOVA、Dunnettの事後)。
【0169】
群の第2のサブセット間の比較:[CBD+THC 10:10mg/kg]、[CBD+THC+CBC 10:10:2mg/kg]、[CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg]は、
図14に差異を示す。
【0170】
10mg/kgのTHCを用いると、CBC用量の増量は、THC+CBDの効果の反転のわずかな低下を引き起こしたように思われた。しかし、このサブセットの群間に、有意な処置効果又は処置-時間相互作用は示されなかった(p>0.05、二元配置ANOVA)(
図14)。しかし、PD2時間での[CBD+THC 10:10mg/kg]に対する一対の事後比較によって、かなり一層低い結果(=一層高い過敏症/アロディニア)になることが、[CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg](p<0.0264、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)において明らかになった(
図14)。
【0171】
やはり、非常に有意な期限付き効果が、群のこのサブセット内で示された。統計学的有意性が、すべての群で見出された。このサブセットは、投与後2時間で、統計学的に有意な、又はほぼ統計学的に有意なアロディニアの逆戻り(より高い値)となることを示した(p<0.05、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図14)。投与前の値に対する有意な差異は、投与後4時間ですべての群において、投与後8時間で[CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg]において、更に見出された(p<0.05、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図14)。
【0172】
先のサブセットと同様に、このサブセットの場合も、投与後24時間では、最高CBC濃度による群の結果の値は、投与前レベルより依然として高いことを注目すべきである。しかし、この時間点における投与前レベルとの差異は、依然として有意ではない。
【0173】
ここで注目に値することは、投与後2時間でピークに到達し、徐々に逆戻りし、SNL傷害レベルに近づく、投与に対するそのような動的応答の形状である。時間に伴う応答強度の変化は、低CBC用量群に比べて、高CBC用量群において明確に異なる。他の群の場合に観察される通り、類似した投与後2時間でのピークは、[CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg]から欠如しているが、段階的な増加(それほどの過敏症ではない)が、4時間及び8時間の時間点にわたり示されている。投与後24時間では、そのレベルは、依然として投与前の値よりも高いままである(有意性のない差異)。
【0174】
総合歩行スコアは、PCA分析に対して見出されたそのようなすべての変化を一緒に反映しており(判別方向ベクトルを「基準」として使用)、ベースラインでの平均スコアがゼロに等しくなるように示している。D7でのすべての検討群の平均スコアは、3.107(z-スコア)に等しい。総合スコアの低下は、歩行能力がSNL前の状況(BL)に向かって変化したことを意味する。
【0175】
以下に、総合歩行スコアを、既に記載したサブセットに示す。
【0176】
CBCは、CBD及びTHCの効果を強く延長し、SNL誘導性可動障害を顕著に改善した:THC 10mg/kg-サブセット比較。10mg/kgとしてTHCの投与量を共有する様々なカンナビノイドの組合せを比較するために、群の以下のサブセットを形成し、比較を行い、
図15に従って示した。ビヒクル、CBD+THC 10:10mg/kg、CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg及びCBD+THC+CBC 10:10:2mg/kg。
【0177】
図15は、THC 10mg/kg-サブセット群内の総合的な歩行能力(総合歩行スコア)を示している。データは、各群の平均スコア+SEMとして表す。統計学的有意性:パネルA)
*p<0.05、対ビヒクル;パネルB) p<0.1;
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001、対D7(二元配置ANOVA、Dunnettの事後)。
【0178】
有意な、及び非常に有意な処置効果(ベースラインに対して)が、ビヒクル群と比較すると、このサブセットの群内で生じた。更に一対の事後比較により、PDの5時間及び9時間の時間点の両方において、[CBD+THC 10:10mg/kg]及び[CBD+THC+CBC 10:10:10mg/kg]のどちらも、ビヒクル群に対して有意な差異を生じる能力がある(p<0.05、二元配置ANOVA、Dunnettの事後)(
図15、パネルA)ことが明らかになった。
【0179】
更に、各群内において、時間点間の総合歩行スコアを比較すると、非常に有意な期限付き効果が示された。すべてのカンナビノイド群において、5mg/kgのTHCサブセットと同様に、これらのスコアは、低下してベースラインに近づくか、又は増加の停止を示すかのどちらか一方であった。大きく異なるスコアパターンが、ビヒクル及びプレガバリン群によって示され、PDの9時間の時間点までスコアが増加し、次いで、PDの24時間の時間点までわずかに低下した(
図15、パネルB)。
【0180】
Table 3(表3)は、電子式von Frey曲線下面積(AUC)における、処置群の多重/一対比較を提示している。明るい方の陰影付き背景:Tukeyの多重比較によりp<0.05;暗い方の陰影付き背景:一対比較に関するFisherのLSDによりp<0.05。Diff:差異。Cl:信頼区間。SE:標準誤差。
【0181】
【0182】
これらのデータは、CBCを含まない製剤に対し、CBD、CBC及びTHCのすべてが存在する製剤の疼痛管理/疼痛緩和パラメータが改善されたことを示している。
【0183】
CBD、CBC及びTHCを等量で含有する製剤をCBD及びTHCしか含まない製剤、又はビヒクルに対して試験し、運動学的パラメータを評価した。これらのデータは、製剤中の第3の主要カンナビノイドとしてCBCを有することの利益を強調するものである。
【0184】
図16は、代表的な運動学的歩行パラメータを示しており、これは、製剤中でCBCをCBD+THCに追加する有益な影響を例示している。データは、ベースライン、D7、投与後D8-5時間、D8-9時間及びD9で示されている。統計学的有意性:p≦0.01は、調節後のp値に基づくと有意と見なされる。
【0185】
パネルA - 足首の動きの範囲(ROM)- D9 PD:CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)対CBD+THC(5:5mg/Kg):**p=0.009。パネルB - 足の軌道形状の百分率(前肢)- D9:CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)対CBD+THC(5:5mg/Kg):**p=0.003。パネルC - 総合的な%負荷サイクル- D8-5時間及びD8-9時間:CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)対ビヒクル:**p=0.003及び**p=0.004。パネルD - %後肢負荷サイクル- D8-5時間及びD8-9時間:CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)対ビヒクル:それぞれ、**p=0.005及び**p=0.003。パネルE - つま先持ち上げ角度 後肢[度]- D9 PD:CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)対ビヒクル:**p=0.000598。パネルF - 片脚支持:D8-5時間及びD8-9時間:CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)対ビヒクル:それぞれ、**p=0.003及び*p=0.014。N1/N2:群サイズ。
【0186】
Table 4(表4)は、投与前と投与後を比較した、特定の運動学的歩行パラメータの多重/一対比較を示す。有意な効果(p≦0.01)だけを示しており、Adj.sig(調節後の有意性(Adjusted Significance))=*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001とした。
【0187】
【0188】
【0189】
図16及びTable 4(表4)に示されたデータは、CBD+THC混合物(CBCは存在しない)と比較して、より長く続く疼痛管理によって示されるように、3種の主要カンナビノイドが製剤中に一緒に存在する場合、CBD+THCの影響を延ばすことにCBCに有意な効果があることを例示している。例えば、CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)で処置したラットは、PD24時間まで、関節角度及び足の軌道の顕著な改善を示した(
図16、パネルA、B、E)。更に、CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)による処置は、PD9時間までで、足の表面への接触の期間(%負荷サイクル)の有意な増強を示した一方、CBCが存在しないCBD+THCは、ビヒクルに比べると、効果の延長を示さなかった。CBD+THC+CBC(5:5:5mg/kg)によるSNLラットの処置は、ビヒクルに比べて、投与後9時間まで、%片脚支持によって示される通り、肢間協調を実質的に改善した一方(
図16、パネルF)、CBD+THCは、肢間協調及び疼痛管理をそれほど効果的に改善しなかった。
(実施例5)
【0190】
疼痛管理のための製剤:ヒトTRPA1チャネルに及ぼす影響
概要
疼痛管理のための製剤は、ScreenPatch(登録商標)アッセイ(lonWorks(商標)Barracudaをベースとするアッセイ):アゴニストモードを使用して、哺乳動物細胞において発現したヒトTRPA1チャネルに及ぼす影響を試験した。データは、イオンチャネルレベルにおいてカンナビノイド(CBD:THC:CBC)の相乗効果の裏付けを示した。
【0191】
物質及び方法:
試験物品。本明細書において試験製剤とも参照される試験物品は、8点の濃度-応答フォーマット(4つの複製ウェル/濃度、Table 4(表4))で評価した。試験物品をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、最初に段階的に希釈した。最終希釈は、細胞外溶液中で作製した。最終DMSO濃度は、0.6%(v/v)とした。
【0192】
陽性対照処置群。陽性対照物品の保存溶液を回分で調製し、個々の使用のために一定分量を採取した。陽性対照試験溶液は、実験の当日に新しく調製した。最終DMSO濃度は、0.6%(v/v)とした。この検討では、TRPA1アゴニストであるマスタードオイル(MO)は、陽性対照アゴニストとして使用した。基準アンタゴニストであるルテニウムレッド(0~10μM)を、両方のTRPA1に使用した。
【0193】
測定。
図17は、3000μMのマスタードオイルの適用によって発生した電流、及びピーク電流振幅における最大電流の測定値の代表的な例を示す。
【0194】
図17は、3000μMのマスタードオイルのTRPA1受容体を発現する細胞への適用によって生じる代表的な電流のトレースを示している。垂直線は、適用の開始を示す。垂直の2本の見出しの付いた矢印は、測定が行われた点を示す(約4nA)。
【0195】
TRPA1チャネル。
試験システム:CHO細胞において発現するTRPA1イオンチャネル型受容体。
試験プラットフォーム:lonworks Barracuda(商標)
【0196】
電気生理学的手順。細胞内溶液(mM):50mM CsCl、90mM CsF、2mM MgCl2、5mM EGTA、10mM HEPES。CsOHを用いてpH7.2に調節した。この溶液を回分で調製し、室温で保管した。記録セッションの調製では、細胞内溶液をPPC平面電極の細胞内コンパートメントにロードした。
【0197】
細胞外溶液、HB-PS(mMでの組成):NaCl、137;KCl、1.0;MgCl2、2;CaCl2、2;HEPES、10;グルコース、10;NaOHによりpHを7.4に調節(使用するまで冷蔵)。保持電位:-70mV、アゴニスト/アンタゴニスト適用中の電位:-70mV。
【0198】
記録手順。細胞外緩衝液をPPCプレートウェルにロードした(ウェルあたり、11μL)。PPC平面電極のウェル(ウェルあたり9μL)に細胞懸濁液をピペッティングして入れた。
【0199】
構成を記録する全細胞は、パッチの穿孔から確立し、膜電流は、オンボードパッチクランプ増幅器によって記録した。
【0200】
単一の適用(走査)プロトコルを使用した。
【0201】
試験物品の投与。この適用は、10μL/秒での2×濃縮試験物品溶液20μLの添加からなった(全適用時間は2秒)。
【0202】
TRPA1陽性対照 - アゴニスト。0~3000μMのマスタードオイル(8種の濃度用量-応答、4つの複製、半対数スケール)。
【0203】
陽性対照 - アンタゴニスト。0~10μMのルテニウムレッド(8種の濃度、4つの複製、半対数スケール)。
【0204】
対照物品。
TRPA1受容体アゴニスト:
名称:アリルイソチオシアネート(マスタードオイル)
供給源:Sigma-Aldrich社
M.W.99.15
【0205】
選択の根拠:アリルイソチオシアネートは、TRPA1受容体のアゴニストである。
【0206】
TRPA1受容体アンタゴニスト:
名称:ルテニウムレッド
供給源:Sigma-Aldrich社
M.W.786.35
【0207】
選択の根拠:ルテニウムレッドは、TRPA1受容体のアンタゴニストである。
【0208】
平板載荷マップ
本検討に使用した例示的な平板載荷マップを、
図18に示されている概略図に例示する。
【0209】
アゴニスト及びアンタゴニスト基準対照:TRPA1 0~3000μMマスタードオイル及びルテニウム(Ruthenum)レッド0~10μMをそれぞれ、1×濃度で行った。
【0210】
結果
カンナビクロメン(CBC)、及びカンナビジオール(CBD)とΔ9-THCとの混合物のアゴニスト特性を、HTS電気生理学をベースとする手法であるIon Work Barracuda(IWB)を使用して試験した。単一適用プロトコルを使用した。
【0211】
TRPA1受容体における、CBC及びCBD+THC混合物のアゴニスト活性。
基準アゴニストであるマスタードオイルにより、EC50=479μMでTRPA1受容体の活性化が生じた。非選択的阻害剤であるルテニウムレッドは、IC50=1.79μMでTRPA1受容体を阻害した。EC50及びIC50の値のどちらも、過去のデータと一致した。
【0212】
図19A及び
図19B、並びに
図20A及び
図20Bに示されている通り、活性化率は、3000μMのマスタードオイルを適用することによって生じた電流と比較して計算した。
【0213】
図19Aは、TRPA1受容体における、化合物の活性のプロット表示及び数値情報を例示している。プロットは、CBD+THC濃度応答曲線(CRC)を表す。パネルA:マスタードオイルのCRC。パネルB:メタノールのCRC 0~10% 半対数スケール。パネルC:ルテニウムレッドのCRC 0~10μM、半対数スケール。パネルD:CBCのCRC 0~300μM。パネルE(+0.1μMのCBC)及びパネルF(+0.1μMのCBC)の場合:CBCの濃度向上の存在下での、CBD+THC混合物濃度応答曲線(0.1及び0.3μM)。E及びFに関するX軸は、CBD+THC(それぞれ、0.1~300uM)の濃度を示す。値はすべて、100%として設定した3000μMのマスタードオイルによって発生した電流への相対として算出した(対照の%)。
【0214】
図19Bは、TRPA1受容体における、化合物の活性のプロット表示及び数値情報を例示している。プロットは、CBD+THC濃度応答曲線(CRC)を表す。パネルG~パネルL:CBCの濃度向上の存在下での(1~300μM)、CBD+THC混合物濃度応答曲線。パネルG~パネルLに関するX軸は、CBD+THC(それぞれ、1~300μM)の濃度を示す。値はすべて、100%として設定した3000μMのマスタードオイルによって発生した電流への相対として算出した(対照の%)。
【0215】
図20Aは、TRPA1受容体における、化合物の活性のプロット表示及び数値情報を示す。プロットは、CBC濃度応答曲線(CRC)を表す。パネルA:マスタードオイルのCRC。パネルB:メタノールのCRC 0~10% 半対数スケール。パネルC:ルテニウムレッドのCRC 0~10μM、半対数スケール。パネルD:CBCのCRC 0~300μM。パネルE及びパネルF:CBD+THC混合物の濃度向上の存在下での(それぞれ、0.1及び0.3μM)、CBCのCRC。値はすべて、100%として設定した3000μMのマスタードオイルによって発生した電流への相対として算出した(対照の%)。
【0216】
図20Bは、TRPA1受容体における、化合物の活性のプロット表示及び数値情報を示す。プロットは、CBC濃度応答曲線(CRC)を表す。パネルG~パネルL:CBD+THC混合物の濃度向上の存在下での(それぞれ、1~300μM)、CBCのCRC。値はすべて、100%として設定した3000μMのマスタードオイルによって発生した電流への相対として算出した(対照の%)。
【0217】
CBCは、EC50約40μM及びEMAX約10%で、TRPA1受容体における弱い部分アゴニスト活性を示した。CBD+THC混合物は、3000μMのマスタードオイルによって発生した最大電流に比べて、2.94μM~5.4μM(CBCの様々な濃度)の範囲のEC50で、及び50%~60%に等しいEMAXで、一層強力かつ一層顕著な部分アゴニスト活性を示した。
【0218】
データ解析を2つの方法で行った:第1の方法:Table 5(表5)及び
図19A及び
図19Bは、CBCの濃度向上の存在下での(0~300μM)、CBD+THC混合物のCRCを示す。第2の方法:Table 6(表6)及び
図20A及び
図20Bは、CBD+THC混合物の濃度向上の存在下での(それぞれ、0~300μM)、CBCのCRCを示す。
【0219】
Table 5(表5)は、CBCの濃度向上の存在下での(0~300μM)、CBD+THC混合物(それぞれ、0~300μM)のアゴニスト活性の数値情報を示している。CBCは、CBD+THC混合物に対する濃度応答に対して有意な影響を及ぼさない弱い部分アゴニストとしての濃度応答を生じたが、3種すべてが一緒になったカンナビノイドのアゴニスト作用への傾向を示したことに留意されたい。
【0220】
【0221】
Table 6(表6)は、対照(0~300μM)における、及びCBD+THC混合物の濃度の向上の存在下での(0.1~300μM)、CBCのアゴニスト活性の数値情報を示している。≧3μMの濃度のCBD+THC混合物は、濃度自体の応答を生じ、これによって、CBCに対する濃度応答が閉塞されたことに留意されたい。CBD+THC混合物(1μM)によるTRPA1受容体の閾値活性化において、TRPA1受容体の濃度応答により、効力及び有効性(太字として示されている)が増大したこと留意されたい。
【0222】
【0223】
CBCのCRCは、CBD+THC混合物の濃度向上によって閉塞され、3μMのCBD+THC混合物から始めると、CBCのCRCが隠された。
【0224】
CBCは、CBD+THC混合物のCRCのEC50及びEMAXに影響を及ぼさない。試験したCBC最高濃度において、CBD+THC混合物のCRCの最初の部分は増大し、CBD+THC混合物のCRCの場合、EC50は右方向にわずかにシフトした。CBC及びCBD+THC混合物は、TRPA1受容体の同じ結合部位に作用することによって、様々な程度の部分アゴニズムで、受容体活性化を生じると結論付けることができる。
【0225】
CBCに対する濃度応答の陽性モジュレーション(相乗効果)が、CBD+THC混合物の閾値濃度近傍で観察され(1μM、Table 6(表6)及び
図20AのパネルD、及び
図20BのパネルG)、この陽性モジュレートは、(1)CBCに対する濃度応答曲線のEC
50=44.1μM(
図20A、パネルD)からEC
50=26.0μM(
図20B、パネルG)への左方向のシフト;及び(2)300μMのCBD+THC混合物における、10.3±1.9%(n=4)から16.2±1.3%(n=4)までの有効性の増大からなった。
【0226】
これらの2つの部分アゴニストの観察された相乗効果は、TRPA1受容体の2つの同一の結合部位の存在、及び受容体への2つのリガンド部分の結合における正の共同性(オルソステリック調節)に起因し得る。例えば、第1の結合部位への1つのリガンド部分の結合は、受容体をプライミングするか、又は第2の結合部位への結合の親和性を増大させる。代替的な説明は、陽性アロステリック調節部位の存在である。これらの相乗効果は、作用機序に限定されず、観察された。
【0227】
結論
これらのデータは、ヒトにおける侵害受容の重要なセンサーとして、TRPA1(一過性受容体電位アンキリン1)イオンチャネルに対してCBCを直接活性化することを裏付ける。
【0228】
TRPA1受容体におけるCBCとCBD+THC混合物との部分アゴニスト活性もまた裏付けられた。
【0229】
CBCとCBD+THCとのアゴニスト活性は、同じ結合部位を介して、恐らく媒介された。
【0230】
TRPA1受容体のCBD+THC混合物(それぞれ、1μM)によるほぼ閾値の活性化において、CBCは、一層高い有効性及び効力でTRPA1受容体を活性化した。カンナビクロメンE
MAX(有効性)は、10±2%から16±1%まで向上し、その効力は、EC
50=44μMからEC
50=26μMまで向上した(
図20A及び
図20B)。
【0231】
この検討により、CBCとCBD+THCとの間に相乗効果があることも裏付けられる。
【0232】
これらの2つの部分アゴニストの観察された相乗効果は、TRPA1受容体の2つの同一の結合部位の存在、及び受容体への2つのリガンド部分の結合における正の共同性(オルソステリック調節)によって理論的に説明することができる。例えば、第1の結合部位への1つのリガンド部分の結合は、受容体をプライミングするか、又は第2の結合部位の親和性を増大させる。代替的な説明は、特異的な陽性アロステリック調節部位の存在である。追加実験は、これらの相乗効果の正確な機構に対処するよう設計されなければならない。
【0233】
まとめると、TRPA1イオンチャネルの活性化に及ぼすカンナビクロメンの直接的な効果、及びCBD+THCによるカンナビクロメンの効力の増大により、CBCが疼痛管理特性を有することが更に裏付けられる。したがって、疼痛管理のため、CBCをCBD及びΔ9-THCに追加すると、患者におけるCBD及びTHCの服用量を低下させることができる。
【0234】
上述では、説明の目的のため、本実施形態の完全な理解をもたらすため、多数の詳細が説明されている。しかし、これらの具体的な詳細は必要ではないことが当業者に明白であろう。本明細書において引用された参照文献が、参照により組み込まれている。
【0235】
上記の実施形態は、単に例であることが意図されている。改変、修飾及び変形が、当業者によって特定の実施形態に行われ得る。特許請求の範囲は、本明細書において説明されている特定の実施形態によって限定されるべきではないが、全体として、本明細書と一致した方法で解釈されるべきである。
【0236】
参考文献
以下の文献は本明細書に参照して援用される。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象による疼痛管
理に使用するための製剤であって、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含み、
主要カンナビノイドが、質量%基準で、
30%~45%のTHC、
9%~35%のCBC、及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる、製剤。
【請求項2】
疼痛管理が、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛の処置を含む、請求項1に記載の疼痛管
理に使用するための製剤。
【請求項3】
主要カンナビノイドが、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で存在する、請求項1又は2に記載の疼痛管
理に使用するための製剤。
【請求項4】
丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤及び液状油の形態からなる群から選択される剤形で調製される、請求項1から3のいずれか一項に記載の疼痛管
理に使用するための製剤。
【請求項5】
用量あたり、約1mg~約25m
gの総量の主要カンナビノイドをもたらす、請求項1から4のいずれか一項に記載の疼痛管
理に使用するための製剤。
【請求項6】
用量あたり、約5mg~約20mgの総量の主要カンナビノイドをもたらす、請求項5に記載の疼痛管理に使用するための製剤。
【請求項7】
用量あたり20:20:20mgまでの量
のTHC:CBC:CBDを対象にもたらす、請求項1から6のいずれか一項に記載の
疼痛管理に使用するための製剤。
【請求項8】
用量あたり5:5:5~10:10:10mgの範囲の量のTHC:CBC:CBDを対象にもたらす、請求項7に記載の疼痛管理に使用するための製剤。
【請求項9】
それを必要とする対象における、疼痛管理のた
めの、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含む製剤の使用であって、主要カンナビノイドが、質量%基準で、
30%~45%のTHC
9%~35%のCBC、及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる、使用。
【請求項10】
それを必要とする対象における、疼痛管理のための医薬の調製のための、主要カンナビノイドとしてのテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビクロメン(CBC)及びカンナビジオール(CBD)、並びに賦形剤を含む製剤の使用であって、主要カンナビノイドが、質量%基準で、
30%~45%のTHC
9%~35%のCBC、及び
30%~45%のCBD
を含む、又はこれらからなる、使用。
【請求項11】
疼痛管理が、がん、傷害、事故、手術、炎症、組織損傷、関節炎、関節痛、感染による疼痛、胃腸管の疼痛、糖尿病、糖尿病神経障害、帯状疱疹後神経痛、神経障害性疼痛、末梢神経障害又は多発性硬化症に起因する疼痛の処置を含む、請求項
9又は10に記載の使用。
【請求項12】
主要カンナビノイドが、5:5:5~5:1:5の範囲となるTHC:CBC:CBDの比に従う量で製剤中に存在する、請求項
9~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
製剤が、丸剤、錠剤、ゲルカプセル剤、シロップ剤、油をベースとするスプレー剤及び液状油の形態からなる群から選択される剤形で調製される、請求項
9から1
2のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
製剤が、用量あたり、約1mg~約25m
gの総量の主要カンナビノイドをもたらす、請求項
9から1
3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
製剤が、用量あたり、約5mg~約20mgの総量の主要カンナビノイドをもたらす、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
製剤が、用量あたり20:20:20mgまでの量
のTHC:CBC:CBDを対象にもたらす、請求項
9から1
3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
製剤が、用量あたり5:5:5~10:10:10mgの範囲の量のTHC:CBC:CBDを対象にもたらす、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
請求項1~7のいずれか一項に記載の疼痛管理に使用するための製剤を、疼痛管理の使用にするための指示書ととともに含む、商業用のパッケージ。
【国際調査報告】