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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】鉄道線路
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20220420BHJP
   E01B 35/12 20060101ALI20220420BHJP
   B61L 25/00 20060101ALI20220420BHJP
   B61L 23/04 20060101ALI20220420BHJP
   G01L 1/26 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
E01B35/12
B61L25/00
B61L23/04
G01L5/00 101Z
G01L1/26 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541687
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 AT2020000005
(87)【国際公開番号】W WO2020191418
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】A109/2019
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510225214
【氏名又は名称】ゲツナー ヴェルクストッフェ ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ゼーナー
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド ロイ
【テーマコード(参考)】
2D057
2F051
【Fターム(参考)】
2D057BA00
2F051AA02
2F051AB06
2F051BA08
(57)【要約】
鉄道線路(1)は、少なくとも2つのレール(2)と、垂直面圧を測定するために少なくとも1つのレール(2)の下に配置された少なくとも1つの測定装置(3)と、を備えている。測定装置(3)は、各測定位置で垂直面圧を測定するために相互に離間して配置された複数の測定センサ(5)を有する少なくとも1つのマット形状またはプレート形状の支持部材(4)を備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのレール(2)と、少なくとも1つの前記レール(2)の下に垂直面圧を測定するために配置された少なくとも1つの測定装置(3)と、を備えている鉄道線路(1)であって、
前記測定装置(3)が、垂直面圧を測定するために相互に離間して配置された複数の測定センサ(5)を有するマット形状またはプレート形状の少なくとも1つの支持部材(4)を備えている
鉄道線路(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道線路(1)において、
前記支持部材(4)および前記測定センサ(5)の真上および真下のうち少なくとも一方に、垂直面圧の測定に際して力の水平方向成分を分離するために、前記測定装置(3)の少なくとも1つのスライド層(6)が配置され、前記測定センサ(5)のそれぞれと前記スライド層(6)との間の摩擦係数が0.5以下または0.1以下である
鉄道線路(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の鉄道線路(1)において、
前記測定装置(3)が、前記支持部材(4)の少なくとも片側または反対する両側において、前記測定装置(3)の外縁が一層または多層の保護プレート(7)(8)により画定されている
鉄道線路(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の鉄道線路(1)において、
前記多層の保護プレート(8)において鋼(27)が前記測定装置(3)に垂直面圧が作用する側に面し、前記保護プレート(8)が前記支持部材(4)に面しているより柔らかい展延性金属(26)からなる層を有している
鉄道線路(1)。
【請求項5】
請求項2、または、請求項2を引用する請求項3もしくは4に記載の鉄道線路(1)において、
前記スライド層(6)が、前記測定センサ(5)を有する前記支持部材(4)と前記保護プレート(5)との間に配置されている
鉄道線路(1)。
【請求項6】
請求項3~5のうちいずれか1項に記載の鉄道線路(1)において、
前記測定装置(3)が、一または複数の前記保護プレート(7)(8)および前記支持部材(4)の周囲を取り囲み、前記保護フレーム(9)の一または複数の前記保護プレート(7)(8)および前記支持部材(4)の端面(10)を外側から覆う保護フレーム(9)を備えている
鉄道線路(1)。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の鉄道線路(1)において、
前記測定装置(3)が、前記測定センサ(5)から測定された垂直面圧を記録するため、前記測定センサ(5)を測定機器(17)に接続する少なくとも1つの接続インターフェース(11)を備えている
鉄道線路(1)。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか1項に記載の鉄道線路(1)において、
前記測定センサ(5)が、0.01[N/mm2]~200[N/mm2]の範囲の少なくとも一部で垂直面圧を測定するように構成されている
鉄道線路(1)。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか1項に記載の鉄道線路(1)において、
前記測定装置(3)の水平解像度が1[mm]~1[cm]の範囲に含まれている
鉄道線路(1)。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか1項に記載の鉄道線路(1)において、
前記レール(2)が枕木(12)に配置され、
前記測定装置(3)が少なくとも1つの前記レール(2)と前記枕木(12)との間と、前記レール(2)の反対側にある前記枕木(12)の下部(13)と、のうち一方または両方に配置されている
鉄道線路(1)。
【請求項11】
請求項1~9のうちいずれか1項に記載の鉄道線路(1)において、
前記レール(2)が枕木(12)に配置され、前記枕木(12)がバラストベット(14)に配置され、前記測定装置(3)がバラストベット(14)の下に配置されている
鉄道線路(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのレールと、少なくとも1つの前記レールの下に垂直面圧を測定するために配置された少なくとも1つの測定装置と、を備えている鉄道線路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、鉄道線路の下の垂直面圧を測定するための測定装置を提供することが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、レールの下に配置された枕木にロードセルが設けられている。従来技術で知られているこのようなトラックスケールは、鉄道列車が計量セクションを移動している間にそれらを計量するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報 WO00/23770A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、鉄道線路のレールの下の状態を高精度で測定できるように、上記のタイプの鉄道線路をさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため、本発明は、測定装置が、それぞれの測定位置において垂直面圧を測定するために相互に離間して配置された複数の測定センサを有する少なくとも1つのマット形状またはプレート形状の支持部材を備えている鉄道線路を提供する。
【0006】
測定装置が垂直面圧の単一の測定値を提供する前記従来技術とは異なり、本発明に係る測定装置の支持部材の内側または外側に配置された多数の測定センサによれば、空間的に分布した多数の測定値が、各測定位置で垂直面圧を測定する各測定センサによって同時に利用可能になる。
【0007】
このように、表面における垂直面圧の分布、およびそれらの時間変化態様などの変化態様が測定されてもよい。これは、例えば、接触点の分布、サイズおよび位置を測定するため、および/または、荷重および/または時間経過に伴う沈下によって引き起こされるレールの下における鉄道線路の変化態様を推定および/または監視するために用いられる。
【0008】
さらに、本発明に係る鉄道線路によれば、例えば、枕木パッド、中間層、中間プレートおよび/またはサブバラストベットなどのエラストマー中間層の導入の効果が、測定技術を使用して検証および記録される。
【0009】
この目的のため、測定センサは、マット形状またはプレート形状の支持部材の広いエリアに分散して配置されている。個々の測定センサは、測定装置のマット形状またはプレート形状の支持部材において、水平方向に相互に離間して配置されていることが特に好ましい。一般的に、本発明に係る鉄道線路を用いて、表面の垂直面圧の分布、言い換えると、鉄道線路の下における垂直面圧の空間分布を、特に時間の関数として測定する方法が実現可能である。これは、それらの変化態様を測定または記録できることを意味する。
【0010】
本発明に係る鉄道線路は、トラックシステムまたはトラックとも呼ばれる。本発明に係る鉄道線路は、交差領域またはスイッチとして設計され、あるいはそれらを備えていてもよい。本発明に係る鉄道線路の最も単純な構成としては、2つのレールのみを有する直線部分または曲線に沿って延在する部分である。
【0011】
一般的に、垂直面圧は、表面に対して垂直に作用する力、すなわち表面あたりの力として定義され、例えば、単位は[N/mm2]である。
【0012】
測定装置の支持部材は、個々の測定センサを相互に接続する。マット形状の支持部材は基本的に軟質または柔軟性がある。例えば、支持フィルムが、マット形状の支持部材として使用されていてもよい。プレート形状の支持部材は基本的に硬質または堅固なプレートとして設計されている。いずれの場合も、支持部材は、当該支持部材に配置されたまたは固定された測定センサのそれぞれが、各測定位置で垂直面圧を測定できるように設計されている。
【0013】
本発明の好ましい変形例では、垂直面圧を測定する際に力の水平方向成分を分離するための測定装置の少なくとも1つのスライド層が、支持部材および測定センサの上および/または下に配置されている。スライド層は、支持部材および測定センサの真下および/または真上に配置されている。スライド層は、力の水平方向成分が測定中に分離されることを保証する。すなわち、当該力の水平方向成分は測定センサによって測定されず、当該測定センサの測定精度に影響を与えない。スライド層により、測定センサは垂直方向の面圧のみを測定し、水平方向の力は測定しない。各測定センサとスライド層との間の摩擦係数が0.5以下であることが好ましい。当該摩擦係数は、0.1以下であることがさらに好ましい。したがって、スライド層は、剪断力、すなわち水平方向に作用する力または力成分から測定センサを保護する。スライド層は、特に、支持部材および測定センサの上および下に配置されるカバーとして設計されていてもよい。支持部材および測定センサは、シェルとして設計されたスライド層により完全に包囲されていてもよい。スライド層は、予想される垂直面圧がスライド層に損傷を与えないように設計される必要がある。スライド層は、例えば、フィルムとして設計されていてもよい。5[N/mm2]以上の垂直面圧が予想される場合、例えば、スライド層が繊維強化フィルムにより構成されていてもよい。スライド層は、特に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により構成されていてもよく、または当該材料を含んでいてもよい。ポリテトラフルオロエチレンは、テフロン(「テフロン」は登録商標)という商品名でも知られている。スライド層は、密閉形態で設計されている場合、支持部材および測定センサの封止部材として用いられてもよく、外部からの水分の侵入に対する保護のために用いられてもよい。スライド層の厚さは、好ましくは0.1[mm]~10[mm]の範囲に含まれ、特に好ましくは0.15[mm]~0.3[mm]の範囲に含まれている。スライド層は、外側、すなわち支持部材とは反対側で、測定装置のさらなる層に接着によって固定され、その反対側に緩く嵌められている。
【0014】
測定装置は、測定装置を外部から遮断または隔離する保護プレートによって、支持部材の少なくとも片側で画定されていることが好ましい。保護プレートは、支持部材の反対する両側のそれぞれに配置されることが好ましい。この意味で、測定装置は、外部から測定装置を遮断する保護プレートによって、支持部材の2つの相互に反対する側で画定されている。一の保護プレートまたは複数の保護プレートのそれぞれが一または複数の層を有していてもよい。
【0015】
保護プレートは、例えば、垂直面圧を測定するためのベースを形成していてもよい。この場合、垂直面圧は、通常、ベースとなるこの保護プレートの反対側の測定装置に伝達される。ただし、測定装置が配置されている部材の底面が十分に平坦であり、そちら側に機械的損傷または湿気に対する保護が必要ではない場合、ベースとして機能するこの保護プレートが省略されていてもよい。ベースとなる保護プレートは、鋼などの板金から作製されていてもよい。例えば、それは中実の硬質鋼であってもよい。保護プレートの厚さは0.1[mm]~20[mm]の範囲、好ましくは2[mm]~3[mm]の範囲に含まれている。
【0016】
測定対象の垂直面圧が測定装置に伝達される測定装置の側に保護プレートが設けられていてもよい。この場合、保護プレートは、支持部材およびその上に配置された測定センサならびにスライド層を過大な力、ひいては過負荷または破壊から保護するための保護層として機能する。特に、保護プレートは、異なる特性を有する一または複数の材料からなる層から構成されていてもよい。したがって、保護プレートはサンドイッチ構造に設計されていてもよい。例えば、保護プレートにおいて垂直面圧が測定装置に伝達される側に硬質の鋼が配置され、保護プレートにおいて支持部材に面している側に銅などの軟質の展延性金属からなる層が配置されていてもよい。柔軟性がある展延性層は、荷重分散を可能にし、スライド層の穿孔または破損を防ぐ。垂直面圧が測定装置に伝達される側に面する多層保護プレートの鋼は、鋼の層とも呼ばれる。硬質の鋼と軟質の展延性金属という用語は関連して参照される。多層保護プレートにおける鋼または鋼の層が、展延性金属の比較的柔らかい層よりも強度が高いことを意味する。この場合、保護プレートは、例えば0.3[mm]~3[mm]の範囲、好ましくは0.3[mm]~1.5[mm]の範囲に含まれる厚さを有している。サンドイッチまたは多層構造を有する保護プレートを構成する個々の層は、0.1[mm]~3[mm]の範囲、好ましくは0.3[mm]~1[mm]の範囲に含まれる厚さを有している。保護プレートが単一層で構成されている場合、0.6[mm]~1.5[mm]の範囲に含まれる厚さを有していることが好ましい。このような単層構造プレートは、例えば、銅、ばね鋼、ステンレス鋼、または構造鋼から構成されていてもよい。鋼および銅からなる二層構造プレートの場合、銅層の厚さは少なくとも0.4[mm]であり、鋼の厚さは少なくとも0.3[mm]であることが好ましい。以下に詳細に示すように、バラストベットの下で用いられる場合、保護プレートの厚さは上記と比較して半分にされてもよいが、全体の厚さは通常0.3[mm]以上である。レールおよび枕木の間に測定装置が配置される用途では、保護プレートが0.15[mm]まで薄くされてもよい。銅に代えて、他の展延性があり、変形しやすく、機械加工しやすい材料、特に面心立方結晶構造の金属などの金属が採用されてもよい。
【0017】
スライド層および保護プレートの両方が存在する場合、スライド層は、測定センサを有する支持部材および保護プレートの間に配置されることが好ましい。
【0018】
測定装置が機械的に損傷する危険性がある鉄道線路において、測定装置が、一または複数の保護プレートと、当該保護プレートの周囲を取り囲み、当該一または複数の保護プレートの端面および支持部材を外側から覆う保護フレームと、を備えていることが好ましい。これは、測定装置が、例えばレールの下でバラストベッドの内部に配置される場合に特に有用である。保護フレームは、例えば、既知であるバラストベッドの減衰過程において測定装置が損傷することを防ぐ。保護フレームは、例えば鋼、または鋼の少なくとも1つの層から構成されていてもよい。断面視で、保護フレームは、例えば、略U字形状または略L字形状であってもよく、平板状の鋼であってもよい。保護フレームの肉厚は0.1[mm]~15[mm]の範囲に含まれ、好ましくは1[mm]~3[mm]の範囲に含まれている。
【0019】
好ましい実施形態では、測定装置は、測定センサによって測定された垂直面圧を記録するために、測定センサを測定機器に接続するための少なくとも1つの接続インターフェースを有している。これは、対応するマルチチャネルの測定機器であり、相応の期間にわたり各測定センサによって測定された垂直面圧力を個別に記録するのに適している。そのような測定機器は既知である。接続インターフェースは有線式または無線式に構成されていてもよい。接続インターフェースと、それに接続可能な測定機器を保護するため、測定装置は、適当な壁で囲まれたダクトを備えていてもよい。ダクトの内部において、接続インターフェース、場合によっては測定機器および接続ラインが、外部の機械的干渉から保護される。ダクトの壁は、有利には、鋼などの適当に堅固な金属からなる。ダクトの形状は、さまざまな設置環境に適応して変更されていてもよい。ダクトの肉厚は1[mm]~40[mm]の範囲、好ましくは5[mm]~15[mm]の範囲に含まれている。ダクトはカバーにより閉じられ、カバーが開いている状態では接続インターフェースまたはそれに接続されている測定機器にアクセスできる。接続インターフェースおよび場合によっては測定機器は、該当技術分野で既知の適当な手段を用いて読み取ることができ、パーソナルコンピュータなどの適切な読み取り機器に接続されていてもよい。
【0020】
本発明に係る測定装置の測定センサは、0.01[N/mm2]~200[N/mm2]範囲の少なくとも一部で垂直面圧を測定するように構成されていることが好ましい。測定センサの測定範囲は、当該数値範囲の全体またはその一部のみに及ぶ。測定装置の水平分解能は1[mm]~1[cm]の範囲に含まれている。測定装置の水平解像度は、2つの隣接する測定センサの間隔およびサイズに依拠する。各測定センサは面状に構成されていてもよく、点状に構成されていてもよい。測定センサの間隔およびサイズ、または測定センサにより垂直面圧が測定される面積、ひいては水平分解能がさまざまな用途または目的に適合するように変更または調整されてもよい。
【0021】
本発明に係る鉄道線路によれば、測定装置は、様々な課題を解決するために、鉄道線路の下の異なる位置、言い換えると異なる平面に配置されていてもよい。例えば、鉄道線路が枕木の上に配置され、測定装置が、少なくとも1つの鉄道線路および少なくとも1つの枕木の間に配置されていてもよい。測定装置が枕木においてレールとは反対側の下部に配置されていてもよい。この場合、例えば、枕木の下部およびバラストベットの間に測定装置が配置されていてもよい。枕木の代わりに、例えばコンクリート製のプレートがレールを支持するための構成として設けられていてもよい。本発明に係る鉄道線路の実施形態によれば、鉄道線路が枕木の上に配置され、枕木がバラストベットの上に配置され、測定装置がバラストベットの下に配置されている。すべての実施形態において、例えば枕木パッド、中間層、中間プレートまたはサブバラストマットの形態の弾性中間層が測定装置の下または上に設けられていてもよい。
【0022】
添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴および詳細を説明する。本発明に係る鉄道線路の様々な実施例が、以下の図を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】測定装置が枕木の下に配置されている、本発明に係る鉄道線路の第1実施形態に関する説明図。図1aは図1の領域Aの拡大図。
図2】マット形状またはプレート形状の支持部材の概略図。
図3図1の実施形態の代替変形例に関する説明図。
図4】測定機器を接続するためのダクトの設計例に関する説明図。
図5図1の枕木より下の部分図。
図6】測定装置がレールおよび枕木の間に配置されている本発明に係る鉄道線路の他の実施形態に関する説明図。
図7】測定装置がレールおよび枕木の間に配置されている本発明に係る鉄道線路の他の実施形態に関する説明図。
図8】測定装置がバラストベットの下に配置されている本発明の変形実施形態に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、本発明の第1実施形態としての鉄道線路1が垂直断面で概略的に示されている。一の枕木12に配置されている一のレール2が示されている。枕木12に対するレール2の固定方法は、それ自体が既知の方法であるため説明を省略する。
【0025】
枕木12は、既知のバラストベッド14の上に配置されており、ここでは枕木12の足を取り囲むバラスト粒子のみが示されている。
【0026】
図1に例示されている実施形態によれば、垂直面圧を測定するための測定装置3は、枕木12の真下に配置されている。本実施形態では測定装置3はバラストベット14の内部に配置されている。本発明によれば、測定装置3は、各測定センサ5の位置において垂直面圧を測定するため、相互に離間して配置された複数の測定センサ5を有するマット形状またはプレート形状の支持部材4を備えている。測定センサ5は、平面的に、水平面に沿って支持部材4の上に分散して配置され、垂直面圧はそれぞれの測定センサ5のそれぞれの位置で選択的に測定されうる。本実施形態では、垂直面圧を測定するときに作用する力の水平方向成分を分離するための測定装置3のスライド層6が、支持部材4および測定センサ5の真上および真下に設けられている。前述のように、スライド層6は、測定センサ5に対して0.5以下の摩擦係数を有する。これにより、力の水平方向成分が測定センサ5に伝達されないことが保証され、垂直方向の面圧の測定を妨げないことも保証される。本実施形態では、スライド層6は、支持部材4および測定センサ5を完全に取り囲むシェルとして設計されている。例えば、それは適当に成形または形成されたPTFEフィルムであってもよく、繊維で強化されていてもよい。
【0027】
図1には、支持部材4の反対する両側に配置され、測定装置3を外側から覆う保護プレート7および8が示されている。第1保護プレート7は、枕木12の下部13に直接的に当接している。これは、各測定位置で各測定センサ5により測定される垂直面圧に対するベースプレートまたはベースとして機能する。ベースまたはベースプレートとして機能する第1保護プレート7の変形構成としては、前述のようにさまざまな構成が採用可能である。その反対側、すなわち支持部材4およびスライド層6の下に配置された第2保護プレート8は、測定センサ5を有する支持部材4を過度に強い力、過負荷および特に破壊から保護する保護部材として機能する。第2保護プレート8は、各測定センサ5の各測定位置における垂直面圧の測定を可能にするように設計される必要がある。垂直面圧の位置選択的な測定が妨げられるほどに堅い第2保護プレート8の採用は回避する必要がある。測定装置3に垂直面圧が入力される側の保護層として機能するそのような保護プレート8の変形構成としては、前述のようにさまざまな構成が採用可能である。したがって、特に第2保護プレート8は、前述のように、鋼からなる層および銅またはその他の展延性のある金属または材料からなる層を有する多層構造を有していてもよい。図1aには、図1の領域Aが拡大して示されている。保護プレート8が、支持部材4に面する展延性金属26の層を有していることがわかる。垂直面圧、ここではバラストベット14のバラストの面圧が測定装置3に作用する側に面する鋼27または鋼27の層の存在もわかる。
【0028】
測定装置3、特に保護プレート7および8の端面10および支持部材4の損傷を防止するため、保護プレート7および8の縁部および支持部材4の周囲を取り囲む保護フレーム9が設けられている。図1では、その断面は略L字形状に形成されている。保護フレーム9は、バラストベッド14が突き固められる際、測定装置3の損傷を防止する。測定装置3および特にその保護プレート8の下には、図1に示されている既知の一層構造または多層構造のエラストマーにより構成されている枕木パッド15が設けられている。枕木パッド15の構成として、その他の既知の構成が採用されてもよい。枕木パッド15は、一方で振動を減衰させる弾性減衰特性を有してる。枕木パッド15は、他方でバラストベッド14を構成するバラストを枕木12の下の位置に可能な限り保持するために射適当な塑性特性も有してる。枕木パッド15は選択的構成であり、そこに設けられていてもよく、省略されてもよい。
【0029】
図1に示されている本発明の第1実施形態によれば、測定装置3を用いて、枕木12の下部13とバラストベット14を構成するバラスト粒子との間の接触面の位置の空間的および時間的測定は次のように実行される。各測定センサ5は、各測定センサ5の位置に固有の垂直面圧の測定値を提供する。これにより、バラストベット14を構成するバラスト粒子とその領域における枕木12の下側との間の接触面の位置および範囲は、測定により決定可能である。垂直面圧が各測定センサ5の個々の位置で長期間にわたって測定される場合、バラストベット14を構成するバラスト粒子の再配置および/または沈降プロセス、ひいては接触面の変位および変化が測定かつ監視される。さらに、枕木パッド15が存在する場合の測定値と枕木パッド15が省略された場合の測定値とが比較されることにより、枕木パッド15の効果が測定および定量化されうる。したがって、本発明に係る鉄道線路1では、異なるタイプの枕木パッド15の効果が測定により調査されうる。
【0030】
図2には、各測定位置において垂直面圧を測定するための、相互に離間した複数の測定センサ5を有する支持部材4の概略平面図が示されている。支持部材4における測定センサ5のサイズ、数および配置は、測定目的に基づいてさまざまに変更されてもよい。水平解像度は、測定センサ5のサイズ、間隔および数によって実現されてもよい。水平解像度は、前述のように1[mm]~1[cm]の範囲に含まれていることが好ましい。測定センサ5は、0.01[N/mm2]~200[N/mm2]の範囲の少なくとも一部で垂直面圧を測定するように構成されている。相応に配置された測定センサ5は、いずれの場合も、既知の方法で接続ライン16を用いて接続インターフェース11に接続されている。各測定位置において各測定センサ5により測定された垂直面圧を記録、受け渡しまたは他の方法で処理するため、適当な測定機器が接続インターフェース11に対して直接的または間接的に接続されうる。接続インターフェース11は、無線式または有線式に設計されている。接続インターフェース11に対応して接続可能な測定機器17は従来技術として知られている。支持部材4は、マットのように柔軟にまたはプレートのように堅固に設計されていてもよい。
【0031】
図3には、図1に例示されている実施形態の変形例が示されており、その下に配置された測定装置3を有する枕木12のみが示されている。図3の左側には、保護フレーム9が存在しない変形例が示されている。図3の右側には、保護プレート7および8ならびに支持部材4の端面10を覆う、垂直断面において略U字形状の保護フレーム9が設けられている。それ以外の構成に関しては、図1に関する説明が適用される。
【0032】
図4には、測定センサ5の接続ライン16、接続インターフェース11および接続された測定機器17を外部の影響から保護するため、枕木12の上に縦杭18が形成された異なる変形例が概略的に示されている。ラインダクトとも呼ばれるこれらのダクト18のさまざまな設計変更については前述した。図4には、枕木12の中心を通過するダクト18の変形例が示され、測定機器17がダクトの上端部において保護されている。他の変形例として、ここでは右側に配置されているダクト18が、枕木12上に横に配置されていてもよい。当該変形例においても、測定機器17はダクト18に収容される。これらの変形例において、ダクト18がその上端部においてカバー25により開閉自在に閉塞され、カバー25が取り外された状態で、この上部開口部を介して測定機器17が接続インターフェース11に対して接続され、また、再びそれから取り外される。測定機器17の接続方式および構造は、従来技術として知られている一般的な実施形態で実現されるので、ここでは説明を省略する。
【0033】
測定システムの機械的干渉または破壊に対する付加的保護を可能にするため、枕木12および一または複数のダクト18の対応するエリアに保護フード19が設けられていてもよい。これは、例えば、コンクリートアンカーを用いてレールに対して固定されうる。いずれの場合も、好ましい実施形態では、保護フード19が取り外し可能であるように設計されている。バラストベット14およびレール2も図4では省略されている。しかしながら、図4に示されている実施形態は、図1に例示されている実施形態の変形例であり、その他の構成に関するさらなる説明は省略する。
【0034】
ダクト18および保護フード19は、水密に設計されていることが好ましい。これらは、適当な金属部品を相互に溶接するまたは接着することによって製造されうる。個々の要素のねじ込み、リベット留め、シーリングコンパウンドの適用などによって必要な水密性が実現されていてもよい。当該構成はすべて、特定の用途に適合させてもよい。
【0035】
図5には、測定装置3が配置されたエリアにおける、図1における枕木12の下部13を下側から臨んだ際の概略図が示されている。枕木パッド15がその一部に配置された下部保護プレート8が保護フレーム9の一部のエリアに設けられている。枕木パッド15は、部分的、全体的または前述のように、測定装置3または枕木12の下に字配置されていなくてもよい。図5において枕木パッド15が部分的に配置されているので、保護プレート8の一部は露出したままである。当該構成は、例えば、枕木パッド15の効果を枕木パッド15がない場合と比較するために直接的に採用されてもよい。支持部材4の延在範囲は、図3に破線で示されている。測定装置3は、図5に例示されているように、枕木12の下部13の表面に全体的に延在していてもよく、あるいは、枕木12の下部13に部分的にのみ延在していてもよい。
【0036】
図6には、測定装置3がレール2および枕木12の間に配置されている変形例が示されている。図6の変形例によれば、測定装置3は、枕木12の上部20の上に直接的に載置されている。この実施形態では、レール2と測定装置3の上部保護プレート7との間に、エラストマー中間層21、硬質のリブプレート22およびエラストマー中間プレート23からなる保護層が設けられている。この実施形態では保護フレーム9が存在しないことを除き、測定装置3は第1実施形態と同様に設計されうるのでこれに関する説明を省略する。これは、支持部材4の上に配置された測定センサ5に対して接続インターフェース11および接続ライン16を介して接続された測定機器17を備えたダクト18についても同様である。
【0037】
図6に示されている変形例では、垂直面圧は、複数の測定センサ5のそれぞれの位置において測定される。これにより、レール2が枕木12に伝達する垂直荷重が平面にどのように分散されるかがマッピングされてもよい。長期間にわたる測定によって負荷分散の変化態様が監視かつ検証されうる。この構造は、ここでは中間層21および中間プレート23の形態であるエラストマー中間層の効果を検証するために採用されてもよい。異なるタイプの弾性を有する中間層21または中間プレート23が配置されることにより、荷重がレール2から枕木12に伝達された際のそれらの効果が検証され、平面に解像されて説明されうる。当該測定の水平解像度は、支持部材4の上の測定センサ5の適当なサイズおよび間隔によって、測定目的に適合するように調節されてもよい。
【0038】
図7には、図6と同様の変形例が示され、中間層21、リブプレート22および中間プレート23の積層構造に代えて、中間層21のみが測定装置3およびレール2の間に配置されている。中間層21および中間プレート23ならびにリブプレート22が完全に省略されていてもよい。枕木12に対するレール2の固定機構は、図6および図7には示されていない。当該固定機構は、従来技術として既知の方法で設計されていてもよい。
【0039】
図8には、レール2が枕木12の上に配置され、枕木12がバラストベット14の上に配置され、測定装置がバラストベット14の下に配置されている、本発明に係る鉄道線路1の他の実施形態が示されている。図8の変形例によれば、エラストマーサブバラストマット24がバラストベット14および測定装置3の間に配置されている。しかし、サブバラストマット24は省略されていてもよい。測定装置3は、基本的に、図1および図2による第1実施形態と同様に設計されている。図8では保護フレーム9は省略されている。測定装置3の支持部材4における測定センサ5の数、サイズおよび分布は、支持部材4のサイズ、ひいては測定装置3のサイズと同様に、測定目的に適合するように調整されてもよい。図8の変形例においても、各測定センサ5の各測定位置で垂直面圧が測定され、その結果、地中に作用する鉄道線路1の荷重が測定され、水平面または平面における分布が観測される。ここでも、長期間にわたる測定により、荷重が掛かる位置、数および/またはサイズの変化態様が測定かつ監視されもよい。さらに、異なる構成のサブバラストマット24の効果が、当該測定方法によって記録かつ定量化されてもよい。
【0040】
図示されている異なる変形例は、本発明に係る鉄道線路1がさまざまな形態で設計されうることを示している。これは、特に、測定装置3がレール2の下のどこに配置されているかという問題に当てはまる。したがって、本発明に係る鉄道線路1によれば、水平面または平面における垂直面圧の分布が測定され、当該測定によって時間の経過に伴う変化態様が記録されうる。さらに、本発明に係る鉄道線路1は、様々な実施形態において中間層21、中間プレート23、枕木パッド15およびサブバラストマット24などの種々のエラストマー中間層の効果を検証かつ定量化することを可能にする。枕木12の代わりに、本発明に係る鉄道線路1のレール2は、例えば、コンクリートまたは他の材料から作製されたプレートにより支持されていてもよい。そのような実施形態では、本発明に係る測定装置3を用いて、多種多様な測定目的を達成することもできる。
【0041】
最後に、相互に離間して配置された複数の測定センサ5を有する少なくとも1つのマット形状またはプレート形状の支持部材4を備えた対応する測定装置3を用いて、鉄道線路1だけでなく、それぞれの測定センサ5の位置における面圧を測定可能である。そのような測定装置3を用いて、建造物、特に建造物におけるエラストマー層の下で、垂直面圧およびこれらの垂直面圧の平面分布を測定することも可能である。このような測定は、例えば、壁、天井および基礎の間で、または個々のポイントまたは建築分野の様々な場面で実施されうる。当該測定装置3は、鉄道部門において、特にエラストマー層の下および/または上で、荷重スプリングシステムに適合された構成に採用されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1‥鉄道線路、2‥レール、3‥測定装置、4‥支持部材、5‥測定センサ、6‥スライド層、7‥保護プレート、8‥保護プレート、9‥保護フレーム、10‥端面、11‥接続インターフェース、12‥枕木、13‥下部、14‥バラストベット、15‥枕木パッド、16‥接続ライン、17‥測定機器、18‥ダクト、19‥保護フード、20‥上部、21‥中間位置、22‥リブプレート、23‥中間プレート、24‥サブバラストマット、25‥カバー、26‥展延性金属、27‥鋼。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】