(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】標的人工衛星を制御するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B64G 4/00 20060101AFI20220420BHJP
B64G 1/10 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B64G4/00 105
B64G1/10 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021550696
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 IB2020051730
(87)【国際公開番号】W WO2020174453
(87)【国際公開日】2020-09-03
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521382001
【氏名又は名称】オカブ ディートリヒ インダクション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】オカブ ハルーン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ディートリヒ ジョージ ビー.
(57)【要約】
標的人工衛星を制御するための例示的なシステムは、人工衛星制御用の宇宙船であって、その標的人工衛星に近接してこの宇宙船を推進及びナビゲートするように構成されている推進サブシステム、並びに上記標的人工衛星を捕獲し、制御媒体を上記標的人工衛星に適用し、上記標的人工衛星を解放するするように構成されている人工衛星捕獲サブシステムであって、上記制御媒体は導電性材料及び/又は磁性材料を含む人工衛星捕獲サブシステムを含む人工衛星制御用の宇宙船と、上記標的人工衛星を制御、推進及びナビゲートするためのエネルギーを放出するために、上記制御媒体にエネルギー供給するように構成されているエネルギー供給アセンブリとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的人工衛星を制御するシステムであって、
人工衛星制御用の宇宙船であって、
前記標的人工衛星に近接して前記宇宙船を推進及びナビゲートするように構成されている推進サブシステム、並びに
前記標的人工衛星を捕獲し、制御媒体を前記標的人工衛星に適用し、前記標的人工衛星を解放するように構成されている人工衛星捕獲サブシステムであって、前記制御媒体は導電性材料及び/又は磁性材料を含む人工衛星捕獲サブシステム
を含む人工衛星制御用の宇宙船と、
前記標的人工衛星を制御するためのエネルギーを放出するために、前記制御媒体にエネルギー供給するように構成されているエネルギー供給アセンブリと
を含むシステム。
【請求項2】
前記制御媒体が、前記標的人工衛星に付着するように構成されている補助モジュールを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記補助モジュールが、前記標的人工衛星に適合するような形状に形成されている請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記人工衛星捕獲サブシステムが、前記補助モジュールを製造するように構成されている基板プリンタをさらに含む請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記エネルギー供給アセンブリが、前記補助モジュール内に配置されている請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御媒体が、前記標的人工衛星に噴霧されるように構成されている粒子状物質を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記エネルギー供給アセンブリが、前記宇宙船に配置されている請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー供給アセンブリが、前記制御媒体の前記導電性材料及び/又は磁性材料に隣接して配向されるように構成されているコイルと、前記標的人工衛星を制御するために前記制御媒体を誘導加熱するための磁場を生成するために前記コイルに電流を流すように前記コイルに結合された電力供給回路とを含む誘導加熱アセンブリを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記エネルギー供給アセンブリが、前記制御媒体に遠隔でエネルギー供給するように構成されている電力送信装置を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電力送信装置が、レーザ、マイクロ波エミッタ、電磁放射線エミッタ、及び反射体のうちの1つ以上を含む請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記導電性材料及び/又は磁性材料が、固体状態又は液体状態の反応性金属化合物、気体状態の反応性金属化合物、ポリマー、熱可塑性樹脂、メタマテリアルを有するマルチコート金属、及びナノエネルギー材料のうちの1つ以上を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記導電性材料及び/又は磁性材料の特定の成分が、前記材料のキュリー温度以下の反応発火点を持つように選択されている請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記エネルギー供給アセンブリが、前記制御媒体の前記導電性材料及び/又は磁性材料を燃焼させるために、前記導電性材料及び/又は磁性材料を前記反応発火点までエネルギー供給する構成されている請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
標的人工衛星の制御方法であって、
人工衛星制御用の宇宙船によって、前記標的人工衛星を捕獲する工程と、
前記人工衛星制御用の宇宙船によって、制御媒体を前記標的人工衛星に適用する工程であって、前記制御媒体は導電性材料及び/又は磁性材料を含む工程と、
前記人工衛星制御用の宇宙船によって、前記標的人工衛星を解放する工程と、
前記標的人工衛星を制御するためのエネルギーを放出するために、エネルギー供給アセンブリによって、前記制御媒体にエネルギー供給する工程と
を含む方法。
【請求項15】
前記制御媒体にエネルギー供給する工程が、前記標的人工衛星を軌道から離脱させるためのエネルギーを放出するために前記制御媒体にエネルギー供給することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記制御媒体にエネルギー供給する工程が、前記標的人工衛星を予め指定された領域に移動させるためのエネルギーを放出するために前記制御媒体にエネルギー供給することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記制御媒体にエネルギー供給する工程が、前記標的人工衛星の寿命を延ばすために、前記標的人工衛星を新しい軌道に推進するためのエネルギーを放出するために前記制御媒体にエネルギー供給することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記制御媒体を適用する工程が、補助モジュールを前記標的人工衛星に付着させることを含む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記標的人工衛星を捕獲する前に、前記標的人工衛星に適合するように前記補助モジュールを予め製作する工程をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記制御媒体を適用する工程が、分散された粒子状物質を前記標的人工衛星に噴霧することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記制御媒体にエネルギー供給する工程が、
前記制御媒体の前記導電性材料及び/又は磁性材料に隣接して前記エネルギー供給アセンブリのコイルを配向させることと、
前記標的人工衛星を制御するために前記制御媒体にエネルギー供給するために、前記制御媒体を誘導加熱するための磁場を発生させるために、前記コイルに電流を流すことと
を含む請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記制御媒体にエネルギー供給する工程が、電力送信装置によって、前記制御媒体に遠隔でエネルギー供給することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記制御媒体に遠隔でエネルギー供給することが、前記制御媒体に遠隔でエネルギー供給するためにレーザビームを放出すること、前記制御媒体に遠隔でエネルギー供給するためにマイクロ波ビームを放出すること、前記制御媒体に遠隔でエネルギー供給するために他の電磁放射線を放出すること、及び前記制御媒体に遠隔でエネルギー供給するために太陽光を反射するための反射体を制御することのうちの1つ以上を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記導電性材料及び/又は磁性材料が、固体状態又は液体状態の反応性金属化合物、気体状態の反応性金属化合物、ポリマー、熱可塑性樹脂、メタマテリアルを有するマルチコート金属、及びナノエネルギー材料のうちの1つ以上を含む請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記導電性材料及び/又は磁性材料の特定の成分が、前記材料のキュリー温度以下の反応発火点を持つように選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記制御媒体にエネルギー供給する工程が、前記制御媒体の前記導電性材料及び/若しくは磁性材料を燃焼並びに/又は焼結させるために、前記導電性材料及び/又は磁性材料を前記反応発火点までエネルギー供給することを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
標的人工衛星の制御方法であって、
制御媒体を前記標的人工衛星に事前に適用する工程と、
前記標的人工衛星を打ち上げる工程と、
前記標的人工衛星を制御するためのエネルギーを放出するために、エネルギー供給アセンブリによって、前記制御媒体にエネルギー供給する工程と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、全体として、宇宙空間でのオペレーションのためのシステムに関し、より詳細には、宇宙空間で標的人工衛星を制御し、標的人工衛星に運動性を提供するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星は、一般に、規則的に繰り返す軌道で地球を周回する。軌道に入ると、人工衛星はその飛行経路を維持する傾向がある。人工衛星が目的を終えたり、燃料がなくなったりすると、そのような人工衛星は、より高い軌道に退役させられることが多く、使えないゴミやデブリとして軌道上に残されることになる。このようなデブリが蓄積すると、他の人工衛星や使用済みロケット、人工衛星の破片等と衝突する可能性が高くなり、大量に発生すると活動中の人工衛星の機能に支障をきたす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書の一態様によれば、標的人工衛星を制御するためのシステムが提供される。当該システムは、人工衛星制御用の宇宙船であって、その標的人工衛星に近接してこの宇宙船を推進及びナビゲートするように構成されている推進サブシステム、並びに上記標的人工衛星を捕獲し、制御媒体を上記標的人工衛星に適用し、上記標的人工衛星を解放するするように構成されている人工衛星捕獲サブシステムであって、上記制御媒体は導電性材料及び/又は磁性材料を含む人工衛星捕獲サブシステムを含む人工衛星制御用の宇宙船と、上記標的人工衛星を制御するためのエネルギーを放出するために、上記制御媒体にエネルギー供給するように構成されているエネルギー供給アセンブリとを含む。
【0004】
本明細書の別の態様によれば、標的人工衛星の制御方法が提供される。この方法は、人工衛星制御用の宇宙船によって、その標的人工衛星を捕獲する工程と、上記人工衛星制御用の宇宙船によって、制御媒体を上記標的人工衛星に適用する工程であって、上記制御媒体は導電性材料及び/又は磁性材料を含む工程と、上記人工衛星制御用の宇宙船によって、上記標的人工衛星を解放する工程と、上記標的人工衛星を制御するためのエネルギーを放出するために、エネルギー供給アセンブリによって、上記制御媒体にエネルギー供給する工程とを含む。
【0005】
本明細書の別の態様によれば、標的人工衛星の別の制御方法が提供される。この方法は、制御媒体をその標的人工衛星に事前に適用する工程と、上記標的人工衛星を打ち上げる工程と、上記標的人工衛星を制御するためのエネルギーを放出するために、エネルギー供給アセンブリによって、上記制御媒体にエネルギー供給する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
実施態様を、以下の図を参照して説明する。
【0007】
【
図1】
図1は、宇宙空間で標的人工衛星を制御し、標的人工衛星に運動性を提供するための人工衛星制御用の宇宙船の模式図を示す。
【
図2】
図2は、
図1のシステムにおける人工衛星捕獲サブシステムが標的人工衛星を捕獲した状態の模式図を示す。
【
図3】
図3は、人工衛星捕獲サブシステムが補助モジュールを標的人工衛星に付着させた状態の模式図を示す。
【
図4】
図4は、人工衛星制御用の宇宙船のエネルギー供給アセンブリが、補助モジュールの導電性材料及び/又は磁性材料にエネルギー供給している状態の模式図を示す。
【
図5】
図5は、補助モジュールのエネルギー供給アセンブリが導電性材料及び/又は磁性材料にエネルギー供給している状態の模式図を示す。
【
図6】
図6は、人工衛星捕獲システムが分散した粒子状物質を標的人工衛星に適用する状態の模式図を示す。
【
図7】
図7は、導電性材料及び/又は磁性材料に遠隔でエネルギー供給するための遠隔エネルギー供給アセンブリの模式図を示す。
【
図8】
図8は、標的人工衛星の制御経路の模式図を示す。
【
図9】
図9は、宇宙空間で標的人工衛星を制御し、その標的人工衛星に運動性を提供する方法を示す。
【
図10】
図10は、標的人工衛星に制御媒体を適用する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、宇宙空間で標的人工衛星(ターゲットとする人工衛星)を制御し、その標的人工衛星に運動性を提供するためのシステム及び方法を提供する。特に、本明細書に開示されるシステム及び方法は、デブリの除去、軌道操縦、制御されていない物体の制御を得ること、人工衛星及び/又は人工衛星の断片を一緒に貼り付けること、並びに宇宙船の姿勢を制御することを含む、軌道上の他の人工衛星に対する任務及び/又は位置決めを可能にする。具体的には、異なる組み合わせ及び空間構成の反応性金属化合物等の導電性材料及び/又は磁性材料を、制御媒体の形態で、標的人工衛星に適用(印加)してもよい。その後、この導電性材料及び/又は磁性材料は、例えば誘導によって、又は太陽光、レーザ、マイクロ波エネルギー、その他の電磁放射線を介して遠隔操作で燃焼及び/又は焼結されてもよい。制御媒体の点火プロファイルは、点火時に標的人工衛星が特定の方法で制御されるように、例えば、標的人工衛星を軌道から離脱させたり、標的人工衛星を予め指定された領域に移動させたり、他の人工衛星及び/若しくは物体に結合させたり、又は標的人工衛星の軌道を変更したりするように具体的に選択されてもよい。
【0009】
図1は、宇宙空間で標的人工衛星102を制御するための例示的なシステム100を示す。標的人工衛星102は、例えば、(例えば、監視、データキャプチャ等のための)活動中の人工衛星、デブリ、又は軌道上の他の物体であってもよい。システム100は、人工衛星制御用の宇宙船110を含む。人工衛星制御用の宇宙船110(本明細書では、単に宇宙船110とも呼ばれる)は、全体として、標的人工衛星102を制御するための制御オペレーションを実行するように構成されている。例えば、制御オペレーションは、標的人工衛星102の軌道を変更すること、標的人工衛星102を軌道から離脱させること、又は標的人工衛星102を予め指定された領域に移動させることであってもよい。宇宙船110は、宇宙空間において宇宙船110の内部構成要素を収容して保護するのに適した金属、金属合金、複合材料等を含んでもよい。
【0010】
宇宙船110は、標的人工衛星102に近接して宇宙船を推進及びナビゲートするように構成されている推進サブシステム112を含む。例えば、推進サブシステム112は、宇宙船110を推進するための、エンジン、ロケット、モータ等(これらに限定されない)の推進コンポーネントを含むことができる。推進サブシステム112は、宇宙空間で宇宙船110をナビゲートするためのセンサ、ビーコン、ローカリゼーションモジュール(定位モジュール)等のナビゲーションコンポーネントも含むことができる。さらに、推進サブシステム112は、推進コンポーネント、ナビゲーションコンポーネント、及び推進サブシステム112の任意の他のコンポーネントを制御するコントローラを含んでもよい。
【0011】
推進サブシステム112は、全体として、標的人工衛星102を検出し、その標的人工衛星に近接して宇宙船を方向付けるように構成されている。例えば、ナビゲーションコンポーネントは、標的人工衛星102を(例えば、センサ等で)検出し、ナビゲーションデータを生成してもよい。推進コンポーネントは、例えば、コントローラによって制御されると、そのナビゲーションデータに従って、標的人工衛星102に近接して宇宙船110を推進し、ナビゲートしてもよい。
【0012】
宇宙船110は、標的人工衛星102を選択的に捕獲(捕捉)及び解放するように構成された人工衛星捕獲サブシステム114をさらに含む。人工衛星捕獲サブシステム114は、標的人工衛星102を捕獲するための1つ以上のロボットアーム、爪、テザー等(これらに限定されない)の1つ以上の捕獲コンポーネントを含む。他の例では、人工衛星捕獲サブシステム114は、標的人工衛星102を捕獲し、制御オペレーション中に標的人工衛星102を所定の位置に保持するように構成された1つ以上の磁気コンポーネントをさらに含むことができる。他の適切な捕獲コンポーネントも企図されている。
【0013】
人工衛星捕獲サブシステム114は、制御媒体116を標的人工衛星102に適用するように構成されている制御媒体アプリケータをさらに含む。制御媒体116は、導電性材料及び/又は磁性材料を含む。この導電性材料及び/又は磁性材料は、例えば、ナノテルミット又はマイクロテルミット等の反応性金属化合物であることができる。特に、ナノテルミット又はマイクロテルミットは、酸化剤及び還元剤(例えば、金属及び金属酸化物)を含む。ナノテルミット又はマイクロテルミットは、例えば、誘導によって点火され、及び/又は誘導によってエネルギー供給されて、ナノテルミット又はマイクロテルミットに渦電流及び/又はヒステリシスが誘導され、それによって互いに反応が誘導され、それによってエネルギーが放出されるように構成されている。他の例では、ナノテルミット又はマイクロテルミットは、レーザビーム、マイクロ波ビーム、太陽光、又は他の電磁放射線等、他のソースによって点火されてもよい。より一般的には、上記導電性材料及び/又は磁性材料は、導電性の粒子又は成分を含む固体及び/又は様々な種類の流体(液体、気体、組み合わせ等を含む)を含むことができる。
【0014】
上記導電性の粒子又は成分は、標的人工衛星102を制御するための制御媒体116にエネルギー供給(通電)及び/又は制御媒体116を加熱するために点火されることが可能である。従って、導電性材料及び/又は磁性材料の特定の成分は、その材料のキュリー温度以下で反応着火するように選択されてもよい。従って、この導電性材料及び/又は磁性材料は、その導電性材料及び/又は磁性材料を燃焼及び/又は焼結させるために、その反応発火点までエネルギー供給されてもよい。例えば、この導電性材料及び/又は磁性材料は、反応性金属化合物、気体状態の化合物、液体状態の化合物、固体状態の化合物、複数の相や状態を含む材料のスラリー、合成ポリマー及び非合成ポリマー等を含むことができる。この導電性材料及び/又は磁性材料は、さらに、材料の層の混合物、メタマテリアルを有するマルチコート金属、液体状態及び不活性状態の反応性金属化合物のハイブリッド混合物、又は材料の他の適切な組み合わせを含むことができる。
【0015】
図1に描かれているようないくつかの例では、制御媒体116は、導電性材料及び/又は磁性材料の層118を有する補助モジュール117を含むことができる。補助モジュール117は、標的人工衛星102に付着するように構成されてもよい。そのような例では、制御媒体アプリケータは、補助モジュール117を標的人工衛星102に適用するロボットアーム等であってもよい。
【0016】
システム100は、制御媒体116にエネルギー供給するように構成されたエネルギー供給アセンブリ120をさらに含む。特に、このエネルギー供給アセンブリは、標的人工衛星102を制御するためのエネルギーを放出するために、上記導電性材料及び/又は磁性材料にエネルギー供給するように構成されている。いくつかの例では、エネルギー供給アセンブリ120は、宇宙船110内に配置されてもよい。他の例では、エネルギー供給アセンブリ120は、制御媒体116自体に配置されてもよい。さらなる例では、エネルギー供給アセンブリ120は、別の宇宙船上や地球上等、システム100から離れた場所にあってもよい。
【0017】
オペレーションにおいて、推進サブシステム112は、標的人工衛星102に近接して宇宙船110を操縦するように構成されている。例えば、推進サブシステム112は、1つ以上のセンサ又は検出器を利用して、標的人工衛星102を定位してもよく、そのエンジンを利用して、標的人工衛星に向かって宇宙船110を推進してもよい。推進サブシステム112はさらに、人工衛星捕獲サブシステム114が標的人工衛星102に向かって方向付けられるように、宇宙船110を操縦してもよい。
【0018】
宇宙船110が所定の位置にあるとき、人工衛星捕獲サブシステム114は、標的人工衛星102を捕獲するように構成されている。例えば、
図2を参照すると、宇宙船110は、人工衛星捕獲サブシステム114が標的人工衛星102を捕獲した状態で描かれている。人工衛星捕獲サブシステム114は、標的人工衛星102を捕獲するために、ロボットアーム、磁気コンポーネント、テザーシステム、メッシュ等のうちの1つ以上を使用してもよい。
【0019】
標的人工衛星102を捕獲した後、人工衛星捕獲サブシステム114は、標的人工衛星102に制御媒体116を適用するように構成されている。例えば、
図3を参照すると、補助モジュール117が、標的人工衛星102に付着される。例えば、人工衛星捕獲サブシステム114は、1つ以上の追加のロボットアームを使用して、補助モジュール117を標的人工衛星102に付着させてもよい。補助モジュール117は、例えば、制御媒体116を標的人工衛星102に適用する間に人工衛星捕獲サブシステム114によって適用されるような、1つ以上の接着剤によって標的人工衛星102に付着されてもよい。他の例では、接着剤は、補助モジュール117に予め適用(塗布)されてもよく、例えば、標的人工衛星102との接触を介して、又は制御媒体を標的人工衛星102に適用する間に人工衛星捕獲サブシステム114によって、活性化されてもよい。さらなる例では、補助モジュール117は、留め具又は他の機械的手段を介して標的人工衛星102に付着されてもよい。
【0020】
いくつかの例では、人工衛星捕獲サブシステム114は、補助モジュール117を印刷又は他の方法で製造するように構成された補助モジュール生成装置(図示せず)を含んでもよい。補助モジュール生成装置は、標的人工衛星102の形状、又は補助モジュール117が適用されるべき標的人工衛星102の対象領域の形状を決定するために、撮像装置(例えば、カラーカメラ、IRカメラ等)、深度センサ、スキャナ、又は他の適切な装置等の1つ以上の検出装置を含んでもよい。補助モジュール生成装置は、標的人工衛星又は対象領域のモデル、及び標的人工衛星又は対象領域に適合する補助モジュールのモデルを生成してもよい。また、補助モジュール生成装置は、モデルに応じて補助モジュール117を印刷するための、3Dプリンタ等のプリンタを含む。従って、補助モジュール117は、標的人工衛星102に適合するような形状に形成されてもよい。
【0021】
他の例では、標的人工衛星又は人工衛星の対象領域の形状は既知であってもよく、補助モジュール117は(例えば、宇宙船100の打ち上げ前に)予め製作されていてもよい。
【0022】
制御媒体116が標的人工衛星102に適用されたとき、人工衛星捕獲サブシステム114は、制御媒体116とともに標的人工衛星102を解放するように構成されている。次に、エネルギー供給アセンブリ120は、標的人工衛星102を制御するためのエネルギーを放出するために、制御媒体116、特に導電性材料及び/又は磁性材料にエネルギー供給するように構成されている。例えば、
図4を参照すると、エネルギー供給アセンブリ120は、宇宙船110内に配置されてもよく、誘導加熱アセンブリ400を含んでもよい。
【0023】
誘導加熱アセンブリ400は、コイル402と、電力供給回路404とを含む。特に、コイル402は、制御媒体116の導電性材料及び/又は磁性材料に隣接して配向されるように構成されている。例えば、コイル402は、補助モジュール117の導電性材料及び/又は磁性材料の層118に隣接して配向される。特に、推進サブシステム112は、エネルギー供給アセンブリ120が補助モジュール117の層118と整列するように、宇宙船110を移動させるように構成されてもよい。電力供給回路404は、コイル402に電流を流すように構成されている。例えば、電力供給回路404は、高周波の交流電流をコイル402に通すための発振回路又は他の適切な回路であってもよい。アンペールの法則に従えば、コイル402を通って流れる電流は、コイル402の周りに磁場406を誘導する。いくつかの実施態様では、電力供給回路404は、コイル402を通過する電流を変化させ、これによって磁場406を変化させるように構成されている。他の実施態様では、コイル402は、磁場406を変化させるために(例えば、位置決め機構又は他の機械的手段を介して)動くように構成されてもよい。ファラデーの誘導の法則に従えば、変化する磁場406は、近傍の導体、特に、導電性材料及び/又は磁性材料の層118に渦電流及び/又はヒステリシスを誘導する。この渦電流及び/又はヒステリシスは、今度は、導電性材料及び/又は磁性材料にエネルギー供給し、点火し、それによって、標的人工衛星102を制御するためのエネルギーを放出する。従って、層118は、標的人工衛星102の特定の制御を可能にするために、(例えば、異なる導電性材料及び/若しくは磁性材料を異なる組み合わせ又は空間構成で使用することによって)特定の点火プロファイルを有するように構成されてもよい。
【0024】
さらなる実施態様では、エネルギー供給アセンブリは、宇宙船内に配置される必要はない。例えば、
図5を参照すると、補助モジュール517が付着した例示的な標的人工衛星502が描かれている。補助モジュール517は、導電性材料及び/又は磁性材料の層518を含む。さらに、エネルギー供給アセンブリが補助モジュール517に配置されている。エネルギー供給アセンブリは、誘導加熱アセンブリ400と同様である誘導加熱アセンブリ520を含む。エネルギー供給アセンブリは、誘導加熱アセンブリ520の動作、ひいては導電性材料及び/又は磁性材料のエネルギー供給を制御するプロセッサ又はコントローラ(図示せず)をさらに含んでもよい。誘導加熱アセンブリ520は、導電性材料及び/又は磁性材料の層518に隣接して配向されたコイル522と、電力供給回路524とを含む。電力供給回路524は、コイル522に電流を流し、これによって磁場526を誘導するように構成されている。いくつかの実施態様では、電力供給回路524は、コイル522を通過する電流を変化させてもよく、他の実施態様では、コイル522は、磁場526を変化させるために(例えば、層518の面に平行に)移動してもよい。変化する磁場526は、導電性材料及び/又は磁性材料の層518に渦電流を誘導し、導電性材料及び/又は磁性材料を点火し、それにより、標的人工衛星502を制御するためのエネルギーを放出する。層518は、同様に、標的人工衛星502の特定の制御を可能にするために、(例えば、異なる導電性材料及び/若しくは磁性材料を異なる組み合わせ又は空間構成で使用することによって)特定の点火プロファイルを有するように構成されてもよい。
【0025】
次に
図6を参照すると、標的人工衛星を制御するための例示的なシステム600が描かれている。システム600は、システム100に類似しており、宇宙船610を推進及びナビゲートするように構成されている推進サブシステム612を含む人工衛星制御用の宇宙船610と、標的人工衛星602を選択的に捕獲及び解放し、かつ標的人工衛星602に制御媒体を適用するように構成された人工衛星捕獲サブシステム614とを含み、上記制御媒体は、導電性材料及び/又は磁性材料を含む。特に、本実施例では、制御媒体は、標的人工衛星602に噴霧されるように構成された分散された粒子状物質618を含む。それゆえ、人工衛星捕獲サブシステム614は、制御媒体アプリケータとしてのノズル616を含んでもよい。ノズル616は、粒子状物質618を標的人工衛星上に噴霧するように構成されている。ノズル616は、粒子状物質618を含む宇宙船610に収容された容器(図示せず)と相互に接続されてもよい。粒子状物質618は、ナノエネルギー複合体、反応性金属化合物、若しくは他の導電性材料及び/若しくは磁性材料、又は粒子状物質として噴霧されるのに適した材料の組み合わせを含むことができる。粒子状物質618は、例えば、宇宙船610に収容されたエネルギー供給アセンブリ620によってエネルギー供給されてもよい。特に、粒子状物質618は、標的人工衛星602を制御するためのエネルギーを放出する。
【0026】
他の例では、制御媒体アプリケータは、補助モジュールを適用し、補助モジュール上に粒子状物質618を噴霧するように構成されてもよい。例えば、導電性材料及び/又は磁性材料の層を含む補助モジュールに代えて、又はそれに加えて、粒子状物質618が補助モジュール上に噴霧されてもよい。いくつかの例では、制御媒体アプリケータは、補助モジュールを標的人工衛星602上に適用し、次いで、ノズル616を使用して、分散された粒子状物質618を補助モジュール上に噴霧してもよい。
【0027】
他の例では、人工衛星捕獲サブシステム614は、標的人工衛星602に付着して粒子状物質618を統合するための補助モジュールを印刷又はその他の方法で製造するように構成された、上述のような補助モジュール生成装置(図示せず)を含んでもよい。すなわち、上記補助モジュールは、補助モジュール生成装置によって製造されてもよい。その後、補助モジュール生成装置は、補助モジュールに粒子状物質618を適用(塗工)し、統合された粒子状物質618を有する補助モジュールを標的人工衛星602に付着させてもよい。
【0028】
他の実施態様では、エネルギー供給アセンブリは、標的人工衛星から離れていてもよく、制御媒体に遠隔からエネルギー供給(通電)してもよい。例えば、
図7を参照すると、標的人工衛星702を制御するための例示的なシステム700が描かれている。システム700は、標的人工衛星702に結合された制御媒体704に遠隔でエネルギー供給するための遠隔エネルギー供給アセンブリ710及び720を含む。エネルギー供給アセンブリ710は、地球上に配置され、電力送信装置712を含む。電力送信装置712は、制御媒体704に遠隔でエネルギー供給するためにレーザビームを放出するように構成されたレーザを含むことができる。他の例では、電力送信装置712は、制御媒体704に遠隔でエネルギー供給するためにマイクロ波ビームを放出するように構成されたマイクロ波エミッタを含むことができる。さらなる例では、電力送信装置712は、制御媒体704に向かって太陽光を反射して制御媒体704に遠隔でエネルギー供給するように構成されている反射体を含むことができる。
【0029】
エネルギー供給アセンブリ720は、標的人工衛星702から離れた宇宙空間(例えば、別の人工衛星又は宇宙船上)に配置され、それぞれの電力送信装置722を含む。電力送信装置722は、制御媒体704に遠隔でエネルギー供給するためにレーザビームを放出するように構成されたレーザを含むことができる。他の例では、電力送信装置722は、制御媒体704に遠隔でエネルギー供給するためにマイクロ波ビームを放出するように構成されたマイクロ波エミッタを含むことができる。さらなる例では、電力送信装置722は、制御媒体704に向かって太陽光を反射して制御媒体704に遠隔でエネルギー供給するように構成されている反射体を含むことができる。
【0030】
ここで
図8を参照すると、制御媒体804を有する標的人工衛星802の異なる制御経路が描かれている。一例では、制御媒体804は、標的人工衛星802を軌道から離脱させるためのエネルギーを放出するためにエネルギー供給されてもよい。特に、標的人工衛星802は、人工衛星を地球に戻すための第1の経路810をたどり、それによって標的人工衛星802を軌道から離脱させる。別の例では、制御媒体804は、標的人工衛星802を予め指定された領域822に移動させるためのエネルギーを放出するためにエネルギー供給されてもよい。具体的には、標的人工衛星802は、予め指定された領域822へと第2の経路820をたどる。さらなる例では、制御媒体804は、標的人工衛星802の寿命を延ばすために、標的人工衛星802を新しい軌道832に推進するためのエネルギーを放出するためにエネルギー供給されてもよい。具体的には、標的人工衛星802は、新しい軌道832へと第3の経路830をたどる。
【0031】
次に
図9を参照すると、標的人工衛星を制御する例示的な方法900のフローチャートが描かれている。
【0032】
ブロック905において、人工衛星制御用の宇宙船は、標的人工衛星を捕獲する。特に、人工衛星制御用の宇宙船は、エンジンを含む推進システム、1つ以上のナビゲーションコンポーネント、及び標的人工衛星を検出する1つ以上の手段を採用して、人工衛星制御用の宇宙船を標的人工衛星に近接して移動させてもよい。人工衛星制御用の宇宙船は、標的人工衛星を捕獲するために、1つ以上のロボットアーム、爪、磁気コンポーネント、テザー、メッシュ等を含む人工衛星捕獲サブシステムをさらに採用してもよい。
【0033】
ブロック910において、人工衛星制御用の宇宙船は、制御媒体を標的人工衛星に適用する。特に、この制御媒体は、導電性材料及び/又は磁性材料を含む。例えば、この導電性材料及び/又は磁性材料は、固体状態又は液体状態の反応性金属化合物、気体状態の反応性金属化合物、ポリマー、熱可塑性樹脂、メタマテリアルを有するマルチコート金属、及びナノエネルギー材料のうちの1つ以上を含むことができる。人工衛星制御用の宇宙船は、制御媒体を標的人工衛星に適用するために、人工衛星捕獲サブシステムを採用してもよい。
【0034】
例えば、制御媒体は、標的人工衛星に付着した補助モジュールであってもよい。いくつかの例では、補助モジュールは、標的人工衛星に適合するように予め製作され、及び/又は成形されてもよい。いくつかの例では、人工衛星捕獲サブシステムは、標的人工衛星をスキャンし、スキャンデータに基づいて、標的人工衛星の形状に適合する補助モジュールを生成してもよい。いくつかの例では、制御媒体は、標的人工衛星に噴霧されるように構成された粒子状物質であってもよい。さらに別の例では、制御媒体は、上記のものの組み合わせ、又は他の適切な制御媒体を含んでもよい。
【0035】
ブロック915において、人工衛星制御用の宇宙船は、標的人工衛星と、標的人工衛星に結合された制御媒体とを解放する。より詳細には、人工衛星捕獲サブシステムは、標的人工衛星を解放してもよい。
【0036】
ブロック920において、エネルギー供給アセンブリは、標的人工衛星を制御するためのエネルギーを放出するために、制御媒体にエネルギー供給する。いくつかの例では、エネルギー供給アセンブリは、標的人工衛星を軌道から離脱させるためのエネルギーを放出するために、制御媒体にエネルギー供給してもよい。他の例では、エネルギー供給アセンブリは、標的人工衛星を予め指定された領域に移動させるためのエネルギーを放出するために、制御媒体にエネルギー供給してもよい。さらなる例では、エネルギー供給アセンブリは、標的人工衛星の寿命を延ばすために標的人工衛星を新しい軌道に推進するためのエネルギーを放出するために、制御媒体にエネルギー供給してもよい。さらなる例では、エネルギー供給アセンブリは、標的人工衛星を軌道から離脱させるために標的人工衛星を新しい軌道に推進するためのエネルギーを放出するために、制御媒体にエネルギー供給してもよい。
【0037】
エネルギー供給アセンブリは、誘導加熱を介して制御媒体にエネルギー供給するように構成された誘導加熱アセンブリを含んでもよい。従って、エネルギー供給アセンブリは、制御媒体の導電性材料及び/又は磁性材料に隣接して誘導加熱アセンブリのコイルを配向させ、制御媒体にエネルギー供給するために制御媒体を誘導加熱する磁場を生成するためにコイルに電流を流すことによって、制御媒体にエネルギー供給してもよい。いくつかの例では、上記導電性材料及び/又は磁性材料の特定の成分は、その材料のキュリー温度以下で反応発火するように選択されてもよい。従って、導電性材料及び/又は磁性材料は、その導電性材料及び/又は磁性材料を燃焼させるために、その反応発火点までエネルギー供給されてもよい。従って、制御媒体にエネルギー供給することは、制御媒体の導電性材料及び/又は磁性材料を燃焼させるために、その導電性材料及び/又は磁性材料を反応発火点までエネルギー供給することを含んでもよい。
【0038】
他の例では、エネルギー供給アセンブリは、電力送信装置を介して制御媒体に遠隔でエネルギー供給してもよい。例えば、制御媒体に遠隔でエネルギー供給することは、制御媒体に遠隔でエネルギー供給するためにレーザビームを放出することを含んでもよい。他の例では、制御媒体に遠隔でエネルギー供給することは、制御媒体に遠隔でエネルギー供給するためにマイクロ波ビームを放出することを含んでもよい。さらなる例では、制御媒体に遠隔でエネルギー供給することは、制御媒体に遠隔でエネルギー供給するために反射体を制御することを含んでもよい。他の例では、制御媒体に遠隔でエネルギー供給することは、制御媒体に遠隔でエネルギー供給するための他の電磁放射線(例えば、低周波、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線、テラヘルツ等)を含んでもよい。
【0039】
さらなる例では、制御媒体は、製造プロセス中に標的人工衛星に予め適用することができる。すなわち、標的人工衛星は、ある所定の期間が経過した後に、人工衛星制御用の宇宙船が標的人工衛星を制御するために制御媒体にエネルギー供給することができるように、制御媒体とともに打ち上げられてもよい。
【0040】
図10を参照すると、標的人工衛星を制御する例示的な方法1000が示されている。
【0041】
任意で、ブロック1005において、標的人工衛星がスキャンされ、標的人工衛星を表すモデルが生成されてもよい。いくつかの例では、標的人工衛星全体をスキャンするのではなく、対象領域(例えば、制御媒体の付着のための領域)がスキャンされてもよい。対象領域は、例えば、標的人工衛星のサイズに基づいて利用されてもよい。ブロック1005でのオペレーション(操作)は、例えば、標的人工衛星を軌道に打ち上げる前に、又は、標的人工衛星が軌道上にある間に、例えば、上述のような人工衛星制御用の宇宙船によって実行されてもよい。
【0042】
ブロック1010において、制御媒体が標的人工衛星に適用される。例えば、この制御媒体は、噴霧されてもよい。他の例では、標的人工衛星又は対象領域を表すモデルを利用して、標的人工衛星又は対象領域の形状に適合する制御媒体を含む補助モジュールが生成されてもよい。その後、この補助モジュールは、(例えば、補助モジュールを接着、締結、又はその他の方法で固定することによって)対象領域において標的人工衛星に適用(印加)されてもよい。
【0043】
任意で、ブロック1015において、標的人工衛星が宇宙空間に打ち上げられて軌道に乗せられてもよい。具体的には、ブロック1015は、打ち上げの前に制御媒体が標的人工衛星に適用されるときに実行されてもよい。
【0044】
ブロック1020において、制御媒体はエネルギー供給される。いくつかの例では、まず、所定の期間が経過したかどうかが判断されてもよい。例えば、補助モジュールは、時間の経過を追跡するための計時装置を含むコントローラを含んでもよい。所定の期間が経過した場合、補助モジュールは、制御媒体の誘導加熱を開始して、制御媒体にエネルギー供給して燃焼させてもよい。他の例では、時間の経過は、オペレータ(例えば、人間のオペレータ又は補助モジュールの外部の自動追跡装置)によって追跡されてもよい。
【0045】
そのような時間の追跡により、人工衛星を所定の期間軌道に乗せ、その後、制御媒体にエネルギー供給して標的人工衛星の軌道を変更してもよい。例えば、標的人工衛星は、所定の期間後に軌道から離脱して地球に戻ってきてもよいし、さらに一定の期間、異なる軌道に入るように制御されてもよい。
【0046】
さらに別の例では、標的人工衛星の動きを制御するために、異なる時間に活性化されるように、複数の制御媒体を標的人工衛星に適用してもよい。さらに、制御媒体の導電性材料及び/又は磁性材料は、特定の方法で標的人工衛星を制御するために、特定の点火プロファイルを有するように選択されてもよい。特に、導電性材料及び/又は磁性材料の特定の成分は、その特定の制御を可能にするためにその導電性材料及び/又は磁性材料が燃焼されてもよいように、キュリー温度以下の温度の反応発火点を有するように選択されてもよい。
【0047】
特許請求の範囲の射程は、上記の例に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
【国際調査報告】