IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツドの特許一覧

特表2022-523941長期間色性能のために明澄化されたポリプロピレン
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】長期間色性能のために明澄化されたポリプロピレン
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20220420BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20220420BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20220420BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
C08L23/00
C08L23/12
C08K5/20
C08K5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551517
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2020020024
(87)【国際公開番号】W WO2020176702
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/812,000
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391024559
【氏名又は名称】フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクレオド,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アシュボー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】メイホール,マルク
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB001
4J002BB121
4J002EG010
4J002EH048
4J002EK000
4J002EP036
4J002EU077
4J002EW069
4J002FD047
4J002FD079
4J002FD108
4J002FD170
4J002FD200
4J002FD206
4J002GT00
(57)【要約】
色安定レオロジー制御ポリオレフィン組成物及び調製方法が記載されている。色安定レオロジー制御ポリオレフィン組成物はレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン及び組成物に色安定性を与える有効量のトリスアミドに基づく化合物を含むことができる。色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物は93℃で50日間保存される場合に<0.03/日のFlunter b値変色(Ab)率を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)レオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン;及び
(b)組成物に色安定性を与える有効量のトリスアミドに基づく化合物
を含む色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物であって、ここで色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物は93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率を有する、色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項2】
レオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィンがポリプロピレンである請求項1に記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項3】
トリスアミドに基づく化合物がトリスアミドベンゼン化合物又はトリスアミドプロパン化合物である、請求項1ないし2のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項4】
トリスアミドに基づく化合物が以下の構造Aを有するトリスアミドベンゼン化合物又は以下の構造Bを有するトリスアミドプロパン化合物である、請求項3に記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【化1】
【請求項5】
色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が93℃で50日間保存される場合に0.02/日又は0.015/日のAb率を有する、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項6】
色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が93℃で100日間保存される場合に0.035/日又は0.03/日又は0.025/日のAb率を有する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項7】
少なくとも95重量%又は少なくとも98重量%又は少なくとも99重量%のレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン;及び
0.001重量%ないし1重量%又は0.005重量%ないし0.1重量%又は0.01重量%ないし0.03重量%又は0.01重量%ないし0.02重量%のトリスアミドに基づく化合物
を含む、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項8】
組成物がフェノール類に基づく酸化防止剤を含まない、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項9】
色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が93℃で50日間保存される場合に0.02/日又は0.01/日のAb率を有する、請求項8に記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項10】
色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が93℃で100日間保存される、場合に0.02/日又は0.015/日又は0.01/日のAb率を有する、請求項8ないし9のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項11】
組成物がソルビトールに基づく明澄化剤を含まない、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項12】
組成物が透明である、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項13】
組成物が多数のペレットの形にある、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項14】
組成物が:
少なくとも95重量%又は少なくとも98重量%又は少なくとも99重量%のレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン;及び
光安定剤、帯電防止剤、レオロジー修正剤、滑沢剤、酸化防止剤又は明澄化剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤あるいはそれらの組み合わせ又はすべて
を含む、請求項1ないし13のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項15】
0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%の光安定剤;
0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%の帯電防止剤;
0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%のレオロジー修正剤;
0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%の滑沢剤;及び/又は
0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%の酸化防止剤
を含む、請求項14に記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項16】
光安定剤がヒンダードアミン光安定剤であり;
帯電防止剤がグリセロールモノステアレートであり;
レオロジー修正剤が有機過酸化物であり;
滑沢剤が金属ステアレートであり;及び/又は
酸化防止剤がホスファイトに基づく酸化防止剤である、
請求項15に記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項17】
少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%のレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン又はレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィンのブレンドを含む、請求項1ないし16のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項18】
固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率を有するように、有効量のトリスアミドに基づく化合物をレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン組成物に加えることを含む、固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物の色の安定化方法。
【請求項19】
レオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン組成物が、レオロジー制御等級ポリプロピレン組成物であり、トリスアミドに基づく化合物が、トリスアミドベンゼン化合物であるか又は以下の構造Aを有するか、あるいはトリスアミドプロパン化合物であるか又は以下の構造Bを有する、請求項18に記載の方法。
【化2】
【請求項20】
固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が請求項1ないし17のいずれか1つに記載の組成物である、請求項18ないし19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率を有するように、有効量のトリスアミドに基づく化合物をレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン組成物に加えることを含む、請求項1ないし17のいずれか1つに記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物の調製方法。
【請求項22】
レオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン組成物が、レオロジー制御等級ポリプロピレン組成物であり、トリスアミドに基づく化合物が、トリスアミドベンゼン化合物であるか又は以下の構造Aを有するか、あるいはトリスアミドプロパン化合物であるか又は以下の構造Bを有する、請求項21に記載の方法。
【化3】
【請求項23】
組成物がASTM D1238により測定される5から150dg/分まで又は10から100dg/まで又は20から80dg/分までの範囲のメルトフローレート(MFR);ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される15,000から75,000ダルトンまで又は17,500から65,000ダルトンまで又は20,000から55,000ダルトンまでの範囲の数平均分子量(Mn);GPCにより測定される100,000から300,000ダルトンまで又は125,000から255,000ダルトンまで又は135,000から235,000ダルトンまでの範囲の重量平均分子量(Mw);及び3.0から9.0まで又は3.5から7.0まで又は4.0から6.0までの
範囲の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有する、請求項1に記載の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は2019年2月28日に出願された米国仮出願第62/812,000号明細書の利益を主張し、その記載事項全体は引用することによりすべての目的のために本明細書の内容となる。
【0002】
発明の背景
A.発明の分野
本発明は一般的に色安定レオロジー制御(rheology controlled)ポリオレフィン組成物及び前記組成物の調製方法に関する。特に本発明はレオロジー制御等級(controlled rheology grade)熱可塑性ポリオレフィン及び組成物に持続的な色安定性を与える有効量のトリスアミドに基づく化合物を含む色安定レオロジー制御ポリオレフィン組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
B.関連技術の説明
合成高分子材料、特にプラスチック樹脂は医療用装置から食品容器までに及ぶ多様な末端用途製品の製造において広く用いられる。販売の点での商業的に重要な問題は、透明性のような末端用途製品の最終的な外観である。高い明澄度(clarity)及び透明度(transparency)を有する製品の製造のために、明澄化剤のような添加剤をポリオレフィン混合物に加え、核形成及び明澄性を助長することができる。非特許文献1は、ポリマー工業において通常用いられる核形成剤及び明澄化剤の総説を与えている。明澄化剤は核形成及び明澄度の向上の両方を与えるポリプロピレン核形成剤のサブクラスである。明澄度の向上は明澄化剤を用いて形成される微細な結晶寸法に帰せられる。結晶の寸法は光の透過率の向上を許すのに十分に小さい。例えばソルビトール誘導体を核形成剤及び明澄化剤として用いることができる。しかしながらソルビトールは高い加工温度にされる場合に熱分解に悩まされる。高温はソルビトールに基づく明澄化剤を分解させ、それらを無効にし得る。いくつかの場合には、ソルビトールに基づく明澄化剤は加工の間に分解して不快な臭いを生じ、及び/又は装置の壁上に堆積する。さらに、ポリマー溶液中におけるソルビトール明澄化剤の分散は、最終的な製品において白い斑点として目に見える可視の欠陥を引き起こし得る。
【0004】
明澄化剤の別の例にはトリスアミドに基づく化合物が含まれる。トリスアミドに基づく化合物はソルビトールに基づく化合物より熱的及び化学的に安定であり得るが、しかしながらそれらはそれらの欠点を有する。決定的な欠点は、トリスアミドに基づく化合物が比較的厚い部分において、特に約40ミルより厚い厚さにおいて有意に有効性が低い傾向があることである。多くの成形業者が多様な厚さを有する部品を製造し得る。それらの製品系列全体の一部でしか機能しない製品を持つことは非効率的であり、多くの場合にそのような製品を考慮するための乗り越えられない障壁である。
【0005】
明澄度の向上に加え、明澄化された等級のポリマーは多くの場合に厳しい色の要件を有する。多くの用途において黄色さは望ましくない。さらに、長期間色性能は重要であり得る。製品が老化と共に急速に黄変する場合、それは劣った製品と捉えられ得る。黄変は、それが顧客の在庫において色の差を生ずるので商業的な問題であり得る。例えば成形されたビンはいかにして製品が老化するかに基づいて多様な色合いを示し得る。顧客は最も黄色くない製品を選ぶ傾向があり、より古い在庫の管理及び販売における問題を引き起こす。色の管理の1つの手段は、染料又は蛍光増白剤を加えることである。そのような製品は
多くの場合に不完全な解決である。蛍光増白剤は異なる光源下で異なって機能し得、それらが機能する能力は成形された製品にいかに十分に光が透過するかに影響される。従って成形された容器のような積み重ねられた製品において、それらは青い色合いを与えるが、積み重ねを通じて一貫せず様々である色合いである。染料は同様に他の添加剤との拮抗的な相互作用を有し得、色合わせにおける問題を生じ、且つ色及び/又は製品の間の移行においてパージングの問題を生ずる。
【0006】
種々の方法がプラスチック製品における光学的性質を向上させるために試されてきたが、長期間の色的性質及び他の光学的性質を有する製品が必要性である。非特許文献2は、汎用ポリプロピレンの光学的性質(すなわち明澄度及び曇り度)へのトリスアミドに基づく化合物の効果を記載している。しかしながらAbrahamは老化すると特に色の変色し易い粘性破壊された(vis-broken)ポリオレフィン製品におけるトリスアミドに基づく化合物の使用について記載していない。粘性破壊されたポリオレフィンは比較的低い分子量、比較的狭い分子量分布及び比較的高いメルトフローレートを有し、それらは加工特性を向上させる。しかしながら粘性破壊されたポリオレフィンは粘性破壊方法の間に用いられるフリーラジカル開始剤の存在の故に老化すると有意な変色を示す。ポリオレフィンの物理的性質が保持されることを保証するために粘性破壊方法の間にポリオレフィンに加えられる他の添加剤も変色に寄与し得る(attribute to)。例えばフェノール性化合物の使用はアミン化合物、例えばヒンダードアミン光安定剤との相互作用を介してより高い製品の初期着色及び/又は退色を引き起こし得る。さらにAbraham et al.は商業的な実施において典型的なものを反映していないポリオレフィン組成物の調製方法を用いた。Abraham et al.はポリプロピレンペレットを用いて開始した。ペレットを極低温で微粉砕し、次いでトリスアミドに基づく化合物、酸化防止剤及び滑沢剤と24時間混合する。最後に混合物を実験室押出し機中で4分間溶融する。ニートの(neat)ポリプロピレンと一緒に連続的に押出すことにより、種々の濃度のトリスアミド化合物を有する組成物を調製した。最後に、押出し後にポリマーをクエンチングし、ペレット化するために用いられる方法は特定されなかった。対照的に、標準的な商業的実施は工業的規模の反応器から集められる熱可塑性ポリオレフィン粉末を用いる。添加剤の配合は押出し法の間に行われる場合がある。商業的実施からのAbraham etaVの工程における逸脱の故に、条件は厳しすぎる場合があり、酸化防止安定剤の損失を生じ、それは有意にポリオレフィンの分子量を減少させ、且つ組成物の色安定性に負に影響してきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gahleitner et al.著,International Polymer Processing,March,2011,Vol.26,pp.2-20
【非特許文献2】Abraham et al.著,Macromolecular Chemistry and Physics,January,2010,vol.211,pp.171-181
【発明の概要】
【0008】
発明の概略
ポリオレフィン製品の光学的性質、特に色と関連する問題のいくつかを扱う発見がなされた。解決は有効量のトリスアミドに基づく化合物をレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィンに加え、色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物を調製することにある。トリスアミドに基づく化合物は組成物に色安定性を与える。トリスアミドに基づく化合物は低い初期着色を生ずることができ、時間を経て遅い変色を示すことができる。特に色安
定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物は、93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率(Hunter b value color change(Ab)rate)を有する。それにより樹脂製造者、樹脂加工者及び同様に顧客のための高い品質の一貫した製品を与える。実施例において限定されないやり方で示す通り、本発明は老化した時のポリオレフィン製品の色の安定化におけるトリスアミドに基づく化合物の有効性を示す。特に、本発明は粘性破壊されたポリプロピレン製品のために有効である。驚くべきことに、実施例に示す通り粘性破壊されたポリオレフィン製品はフェノール類に基づく酸化防止剤の不在下でそれらの色を保持することが見いだされた。さらに、本発明はヒンダードアミン光安定剤の存在下でさえ老化した時の粘性破壊されたポリオレフィンの色の安定化において有効である。
【0009】
本発明の1つの側面において、色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物を記載する。色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物は(a)レオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン及び(b)組成物に色安定性を与える有効量のトリスアミドに基づく化合物を含むことができる。そのような色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物は93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率或いは0.02/日又は0.015/日のAb率或いは0.035/日又は0.03/日又は0.025/日のAb率を有することができる。93℃で100日間保存される場合、Ab率は0.02/日又は0.015/日又は0.01/日であることができる。好ましい態様において、レオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィンはポリプロピレンである。いくつかの態様において、組成物はフェノール類に基づく酸化防止剤を含まない。そのような組成物は93℃で50日間保存される場合に0.02/日又は0.01/日のAb率を有することができる。組成物はソルビトールに基づく明澄化剤及び/又はフェノール性酸化防止剤も含まないことができる。いくつかの態様において、明澄化剤としてトリスアミドに基づく化合物のみが存在する。組成物は透明であることができ、及び/又は多数のペレットの形にあることができる。トリスアミドに基づく化合物は商品名IRGACLEAR(登録商標)XT386(BASF Corporation,USA)の下に入手可能な構造Aを有するN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)(CAS No.745070-61-5)であることができる。トリスアミドに基づく化合物は商品名RIKACLEAR(登録商標)PCIの下に入手可能な構造Bを有する1-N,2-N,3-N-トリス(2-メチルシクロヘキシル)プロパン-1,2,3-トリカルボキシアミド(CAS No.160535-46-6)であることができる。
【化1】
【0010】
色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィンは少なくとも95重量%又は少なくとも98重量%又は少なくとも99重量%のレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン及び0.001重量%ないし1重量%又は0.005重量%ないし0.1重量%又は0.01重量%ないし0.03重量%又は0.01重量%ないし0.02重量%のトリスアミドに基づく化合物を有することができる。いくつかの態様において、色安定固体状態熱可塑性ポリオ
レフィン組成物は少なくとも95重量%又は少なくとも98重量%又は少なくとも99重量%のレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン及び光安定剤(例えばヒンダードアミン光安定剤)、帯電防止剤(例えばグリセロールモノステアレート)、レオロジー修正剤(例えば有機過酸化物)、滑沢剤(例えば金属ステアレート)、酸化防止剤(例えばホスファイトに基づく酸化防止剤)又は明澄化剤(例えばトリスアミドに基づく化合物)から選ばれる少なくとも1種の添加剤あるいはそれらのいずれかの組み合わせ又はすべてを含むことができる。そのような組成物は0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%の光安定剤、0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%の帯電防止剤、0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%のレオロジー修正剤、0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%の滑沢剤及び/又は0.01重量%ないし1重量%又は0.01重量%ないし0.1重量%の酸化防止剤を含むことができる。いくつかの態様において、組成物は少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%のレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン又はレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィンのブレンドを含む。組成物は5から150dg/分まで又は10から100dg/まで又は20から80dg/分までの範囲のメルトフローレート(MFR)を有することができる。組成物は15,000から75,000ダルトンまで又は17,500から65,000ダルトンまで又は20,000から55,000ダルトンまでの範囲の数平均分子量(Mn)を有することができる。組成物は100,000から300,000ダルトンまで又は125,000から255,000ダルトンまで又は135,000から235,000ダルトンまでの範囲の重量平均分子量(Mw)を有することができる。組成物は3.0から9.0まで又は3.5から7.0まで又は4.0から6.0までの範囲の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有することができる。本発明の別の側面において、固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物の色の安定化方法は、固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率を有するように有効量のトリスアミドに基づく化合物をレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン組成物に加えることを含むことができる。好ましい態様において、組成物はレオロジー制御等級ポリプロピレン組成物であり、トリスアミドに基づく化合物はトリスアミドベンゼン化合物であるか又は上記で示した構造Aを有する。別の好ましい態様において、組成物はレオロジー制御等級ポリプロピレン組成物であり、トリスアミドに基づく化合物はトリスアミドプロパン化合物であるか又は上記で示した構造Bを有する。
【0011】
本発明のさらに別の側面において、本発明の固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物の調製方法を記載する。前記方法は、固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物が93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率を有するように有効量のトリスアミドに基づく化合物をレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィン組成物に加えることを含むことができる。そのような組成物はレオロジー制御等級ポリプロピレン組成物を含むことができ、トリスアミドに基づく化合物は上記で示したトリスアミドベンゼン化合物Aである。あるいはまたそのような組成物はレオロジー制御等級ポリプロピレン組成物を含むことができ、トリスアミドに基づく化合物は上記で示したトリスアミドプロパン化合物Bである。
【0012】
以下は本明細書全体に及んで用いられる種々の用語及び句の定義を含む。
【0013】
「脂肪族」基は芳香族を除く非環状又は環状、飽和又は不飽和炭素基である。直線状脂肪族基は第3級又は第4級炭素を含まない。脂肪族基置換基(aliphatic group substituents)の限定されない例にはハロゲン、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、アシル、チオール及びチオエーテルが含まれる。分岐鎖状脂肪族基は少なくとも1個の第3級及び/又は第4級炭素を含む。分岐鎖状脂肪族基置換基の限定されない
例にはアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、アシル、チオール及びチオエーテルが含まれる。環状脂肪族基はその構造内に少なくとも1個の環を含む。多環式脂肪族基は縮合、例えばデカリン及び/又はスピロ、例えばスピロ[5.5]ウンデカン、多環式基を含む場合がある。環状脂肪族基置換基の限定されない例にはアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、アシル、チオール及びチオエーテルが含まれる。
【0014】
「アルキル」基は直線状又は分岐鎖状、置換又は置換、飽和炭化水素である。アルキル基置換基の限定されない例にはアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、アシル、チオール及びチオエーテルが含まれる。
【0015】
「アリール」基又は「芳香族」基は各環構造中に交互の単結合と二重結合を有する置換又は置換、単-又は多環式炭化水素である。アリール基置換基の限定されない例にはアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、アシル、チオール及びチオエーテルが含まれる。
【0016】
「ヘテロアリール」基又は「ヘテロ芳香族」基は各環構造中に交互の単結合と二重結合を有し、且つ少なくとも1個の環中の少なくとも1個の原子が炭素ではない単-又は多環式炭化水素である。ヘテロアリール基置換基の限定されない例にはアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、カルボン酸、エステル、アミン、アミド、ニトリル、アシル、チオール及びチオエーテルが含まれる。
【0017】
メルトフローレート(MFR)はASTM D1238 Test Methodを用いて測定され得る。Mn、Mw及びDPIはPolymer Char GCPCIR測定器(Polymer Char,SPAIN)を用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を介して決定され得る。試料をトリクロロベンゼン溶液中に溶解し、140℃で機器中に注入する。充填されたカラムを通過し、異なる寸法のポリマー鎖は分離し、異なる時間に溶離する。
【0018】
「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、当業者が理解する通りに近いと定義される。1つの限定されない態様において、前記用語は10%以内又は5%以内又は1%以内又は0.5%以内であると定義される。
【0019】
「重量%」、「容積%」又は「モル%」という用語は、成分を含む材料の合計重量、合計容積又は合計モル数に基づくそれぞれ成分の重量パーセンテージ、成分の容積パーセンテージ又は成分のモルパーセンテージを指す。限定されない例において、100グラムの材料中の10グラムの成分は10重量%の成分である。
【0020】
「実質的に」という用語及びその変形は10%以内、5%以内、1%以内又は0.5%以内の範囲を含むと定義される。
【0021】
「阻止する」又は「低下させる」又は「妨げる」又は「避ける」という用語あるいはこれらの用語の変形は、請求項及び/又は明細書中で用いられる場合、所望の結果を達成するための測定可能な低下又は完全な阻止を含む。
【0022】
「有効な」という用語は、その用語が明細書及び/又は請求項中で用いられる場合、所望の、期待される又は意図される結果を達成するために適切であることを意味する。
【0023】
“a”又は“an”という用語の使用は、請求項又は明細書中で「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」又は「有する」という用語のいずれかと一緒に用いられる場合、「1つ」を意味する場合があるが、それは「1つ以上(one or more)」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上(one or more than one)」の意味とも一致する。
【0024】
「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」のような含む(comprising)のいずれかの形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」のような有する(having)のいずれかの形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」のような含む(including)のいずれかの形態)又は「含む(containing)」(並びに「含む(contains)」及び含む(contain))のような含む(containing)のいずれかの形態)という用語は包括的又は非制限的であり、追加の挙げられていない要素又は方法段階を排除しない。
【0025】
本発明の組成物及び方法は、本明細書全体に及んで開示される特定の原料(ingredients)、成分(components)、組成物などを「含む」、「本質的にそれらからなる」又は「それらからなる」ことができる。移行句「本質的にそれらからなる」に関し、1つの限定されない側面において、本発明の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物の基本的且つ新規な特性は、93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率を有するそれらの能力である。
【0026】
本発明の他の目的、特徴及び利点は以下の図、詳細な記述及び実施例から明らかになるであろう。しかしながら図、詳細な記述及び実施例は、本発明の特定の態様を示しているが、例としてのみ示されており、制限を意味していないと理解されるべきである。さらに、本発明の精神及び範囲内の変更及び修正はこの詳細な記述から当業者に明らかになることが意図されている。さらなる態様において、特定の実施例からの特徴が他の態様からの特徴と組み合わされる場合がある。例えば1つの態様からの特徴が他の態様のいずれかからの特徴と組み合わされる場合がある。さらなる態様において、本明細書に記載される特定の態様に追加の特徴が加えられる場合がある。
【0027】
発明の詳細な記述
熱可塑性ポリオレフィン組成物の光学的性質、特に明澄度、色及び曇り度の安定性と関連する問題への解決を与える発見がなされた。発見は、色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィンが93℃で50日間保存される場合に0.03/日のHunter b値変色(Ab)率を有するように、レオロジー制御熱可塑性ポリオレフィン中に有効量のトリスアミドに基づく明澄化剤を含むことに基づく。実施例の節に限定されないやり方で示される通り、この有効量のトリスアミドに基づく明澄化剤を用い、ソルビトールに基づく明澄化剤及び/又はフェノール類に基づく酸化防止剤の不在下で透明及び/又は明澄な製品を製造することができる。理論に縛られることは望まないが、この組成物の色安定性は様々なレベルの厚さ全体に及んで存在することができる。これは製品の寸法及び形にかかわらず、且つ製品が様々な程度の厚さを有するか否かにかかわらず一貫した光学的質を保持する能力を有する製品を生ずることができる。
【0028】
本発明のこれらの及び他の限定されない側面を以下の節においてさらに詳細に議論する。
【0029】
A.熱可塑性ポリオレフィン及び明澄化剤
「熱可塑性ポリオレフィン」という用語は、少なくとも1種のオレフィン性モノマー(例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン又はそれらのブレンド)から製造されるプラスチックを指し、それは溶融後に押し出されるか又は成形される場合がある。好ましい本発明の熱可塑性ポリオレフィンにはポリエチレン及びポリプロピレンならびにそれらのブレンドが含まれることができる。ポリプロピレンにはプロピレンのホモポリマー、プロピレンと他のオレフィンのコポリマーならびにプロピレン、エチレン及びジエンのターポリマーが含まれる。ポリエチレンにはエチレンのホモポリマー又はエチレンと少なくとも1種のアルファオレフィン(例えばブテン、ヘキセン、オクテンなど)のコポリマーが含まれることができる。ポリオレフィンは商業的に使用されている重合法のいずれかにより(例えば「高圧」法;スラリ法;溶液法及び/又は気相法)、且つ既知の触媒(例えばチーグラーナッタ触媒、クロム又はフィリップス触媒、シングルサイト触媒、メタロセン触媒など)のいずれかを使用して製造され得る。本発明の組成物は、組成物の合計重量に関して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98及び99重量%に等しいかそれらのいずれかの2つの間の熱可塑性ポリオレフィン又は熱可塑性ポリオレフィンのブレンドを含むことができる。レオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィンは、出発熱可塑性ポリオレフィンのメルトフローレートより高い目的とする最終的なメルトフローレート(MFR)、出発熱可塑性ポリオレフィンの分子量より低い目的とする最終的な分子量及び/又は出発熱可塑性ポリオレフィンの分子量分布より狭い目的とする最終的な分子量分布を有するポリオレフィン製品を製造するためにさらに加工された(例えば分解法を介して)熱可塑性ポリオレフィンである。
【0030】
明澄化剤はトリスアミドに基づく化合物であることができる。トリスアミドはベンゼンのアミド誘導体を含むことができ:
【化2】
の一般的な構造を有し、式中、R1、R2及びR3は独立して水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ヘテロアルキル基、置換ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、置換ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、ベンジル基、置換ベンジル基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アルコキシ基及びアルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアミノ基であることができる。いくつかの態様において、R1、R2及びR3はtert-ブチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、≪-ブチル基、3-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基であることができる。トリスアミドベンゼンに基づく化合物は下記に示す以下の構造を有することができる。
ある側面において、R1、R2及びR3の少なくとも1個はtert-ブチル基である。好ましい側面において、R1、R2及びR3のそれぞれはtert-ブチル基である。例えばトリスアミドベンゼン明澄化剤はN,N’,N”-ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(2,2-ジメチルプロパンアミド)(CAS No.745070-61-5)である。本発明の組成物は組成物の合計重量に基づいて0.01重量%、02重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%及び0.1重量%の合計明澄化剤を含むことができる。トリスアミドはプロパンのアミド誘導体を含むことができ:
【化3】
の一般的な構造を有し、式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立してアルキル基、環状アルキル基又は置換環状アルキル基であることができる。いくつかの態様において、R1、R2及びR3は置換シクロヘキシル基であるか又は1つの態様においてメチル置換シクロヘキシル基であることができる。トリスアミドプロパン明澄化剤の限定されない例は1-N,2-N,3-N-トリス(2-メチルシクロヘキシル)プロパン-1,2,3-トリカルボキシアミド(CAS No.160535-46-6)である。
【0031】
C.添加剤
本発明の色安定固体状態熱可塑性ポリオレフィン組成物はさらに少なくとも1種の添加剤を含むことができる。添加剤の限定されない例には光安定剤、帯電防止剤、レオロジー修正剤、滑沢剤、酸化防止剤又はそれらのいずれかの組み合わせが含まれる。添加剤は種々の商業的な供給者から入手可能である。商業的な添加剤供給者の限定されない例にはBASF(Germany)、Dover Chemical Corporation(U.S.A.)、AkzoNobel(The Netherlands)、Sigma-Aldrich(登録商標)(U.S.A.)、Atofina Chemicals,Inc.などが含まれる。
【0032】
1.光安定剤
ある側面において、組成物の少なくとも0.01重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%及び1重量%に等しいか又はそれらのいずれかの間は光安定剤である。光安定剤はヒンダードアミン光安定剤であることができる。「ヒンダードアミン光安定剤」という用語は、ある種の光安定化性を有する種類のアミン化合物を指す。ヒンダードアミン光安定剤(HALS)の限定されない例には1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-オクタデシルアミノピペリジン;ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-アシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート;2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミノ-s-トリアジン;ビス(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート;2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-ピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-クロロ-s-トリアジン;1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オクタデカノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;ビス(1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン
-4-イル)セバケート;ビス(1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート;2,4-ビス{N-[1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル]-N-ブチルアミノ}-6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-s-トリアジン;4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;ジ-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)p-メトキシベンジリデンマロネート;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルオクタデカノエート;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート;1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-アミノピペリジン;2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソ-スピロ[4,5]デカン;トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロトリアセテート;トリス(2-ヒドロキシ-3-(アミノ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)プロピル)ニトリロトリアセテート;テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタン-テトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタン-テトラカルボキシレート;1,1’-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン);3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン;3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン;N,N’-ビス-ホルミル-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン;2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-ピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-クロロ-s-トリアジンとN,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン)の反応生成物;1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合生成物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物;N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物;N,N’-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物;N,N’-ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの縮合生成物;2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合生成物;2-クロロ-4,6-ジ-(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5,-トリアジンと1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合生成物;7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ[4,5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物;ポリ[メチル,(3-オキシ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)プロピル)]シロキサン、CAS#182635-99-0;無水マレイン酸-C18-C22-a-オレフィン-コポリマーと2,2,6,6-テトラメチル-4-アミノピペリジンの反応生成物;2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-s-トリアジンでエンドキャッピングされた4,4’-ヘキサメチレンビス(アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-s-トリアジンのオリゴマー性縮合生成物;2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-s-トリアジンでエンドキャッピングされた4,4’-ヘキサメチレンビス(アミノ-1,2,2,6,6-ペンタメ
チルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-s-トリアジンのオリゴマー性縮合生成物;2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-s-トリアジンでエンドキャッピングされた4,4’-ヘキサメチレンビス(アミノ-1-プロポキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(1-プロポキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-s-トリアジンのオリゴマー性縮合生成物;2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-s-トリアジンでエンドキャッピングされた4,4’-ヘキサメチレンビス(アミノ-1-アシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(1-アシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-s-トリアジンのオリゴマー性縮合生成物及び;(a)を(b)と反応させることにより得られる生成物であって、ここで(a)は1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンをシアヌル酸クロリドと反応させることにより得られる生成物であり、(b)は(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミンである生成物が含まれる。上記で挙げた化合物のいずれかの立体的に妨げられたN-H、N-メチル、N-メトキシ、N-ヒドロキシ、N-プロポキシ、N-オクチルオキシ、N-シクロヘキシルオキシ、N-アシルオキシ及びN-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)類似物も含まれる。市販の光安定剤の限定されない例はBASFから商品名UNIVUL(登録商標)(BASF,Germany)4050H、4077H、4092H、5062H、5050H、4092H、4077H、3026、3027、3028、3029、3033P及び3034又はTINUVIN(登録商標)(BASF,Germany)622又はCHIMASSORB(登録商標)(BASF,Germany)199及び944の下に入手可能である。UNIVUL(登録商標)505Hはアルケン、C20-24 α、無水マレイン酸とのポリマー、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物である。TINUVIN(登録商標)622はブタン二酸、ジメチルエステル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとのポリマーである。CHIMASSORB(登録商標)199は1,5,8,12-テトラキス[4,6-ビス(N-ブチル-N-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカンである。CHIMASSORB(登録商標)944はポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]])である。
【0033】
2.帯電防止剤
帯電防止剤を用いてプラスチック製品上のほこりの堆積を阻止することができる。帯電防止剤はプラスチック組成物の電気伝導率を向上させ、かくして製造及び使用の間に現れる表面電荷を消散させることができる。かくしてプラスチック製品の表面に引き付けられるほこりの粒子はより少なくなり、結局ほこりの堆積は減少する。本発明のある側面において、帯電防止剤はグリセロールモノステアレート、エトキシル化脂肪酸アミン、ジエタノールアミド又はエトキシル化ソルビタンエステルであることができる。本発明の組成物は組成物の合計重量に基づいて0.01重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%及び1重量%の合計帯電防止剤を含むことができる。帯電防止剤は種々の商業的な供給者から入手可能である。市販のエトキシル化脂肪酸アミン帯電防止剤の限定されない例には、商品名HOSTASTAT(登録商標)FA 24(Clariant,Switzerland)の下に入手可能なN,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)ココ脂肪アミンが含まれる。HOSTASTAT(登録商標)FA 38及びHOSTASTAT(登録商標)FA 68は他の例である。市販のジエタノールアミド帯電防止剤の例は、商品名ARMOSTAT(登録商標)2000(Akzo Nobel)の下に入手可能なN,N-ビ
ス(2-ヒドロキシエチル)ドデカンアミドである。エトキシル化ソルビタンエステル帯電防止剤の市販の例は、SABOSTAT(登録商標)A 300(Sabo S.p.A.,Italy)の下に入手可能なオクタデカン酸2-[2-ヒドロキシエチル]オクタデシルアミノ]エチルエステルである。
【0034】
3.レオロジー修正剤
レオロジー修正剤は材料の流動性に影響を与える添加剤である。レオロジー修正剤には有機過酸化物が含まれ得る。本発明の状況で用いられ得る有機過酸化物にはジアルキル型及びペルオキシケタール型過酸化物が含まれ得る。商業的に入手可能な過酸化ジアルキル(dialkyl peroxide)の例は2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサンであり、Arkema,Inc.,(France)からLUPERSOL(登録商標) 101として入手可能である。商業的に入手可能なペルオキシケタール過酸化物には商品名LUPERSOL(登録商標) 233の下に入手可能なエチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチレートを含むt-ブチル型過酸化物及び商品名LUPERSOL(登録商標) 533(Arkema,Inc.,France)の下に入手可能なエチル3,3-ビス(tert-アミルペルオキシ)ブチレートを含むt-アミル型過酸化物及び商品名LUPEROX(登録商標)DTA(Arkema,Inc.,France)の下に入手可能なビス(1,1-ジメチルプロピル)ペルオキシドが含まれる。商業的に入手可能な環状過酸化物の例はTRIGONOX(登録商標)301(AkzoNobel)として入手可能な3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナンである。有機過酸化物の選択は特定の用途及び押出し機温度に依存して変わり得る。本発明の組成物は組成物の合計重量に基づいて少なくとも0.01重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%及び1重量%に等しいかそられのいずれか2つの間の合計レオロジー修正剤を含むことができる。
【0035】
4.滑沢剤
熱可塑性ポリマーに滑沢剤を加えて型取り特性(mold-making characteristics)を向上させることができる。滑沢剤は脂肪酸、脂肪酸エステル、ワックスエステル、脂肪アルコールエステル、アミドワックス、金属カルボキシレート、モンタン酸、モンタン酸エステルの群からの低分子量化合物或いはパラフィン又はポリエチレンワックスのような高分子量化合物であることができる。本発明のある側面において、滑沢剤は金属ステアレートである。金属ステアレートの限定されない例にはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム又はそれらの組み合わせが含まれる。1つの態様において、金属ステアレートはステアリン酸カルシウムである。本発明の組成物は組成物の合計重量に基づいて少なくとも0.01重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%及び1重量%に等しいかそられのいずれか2つの間の合計滑沢剤を含むことができる。
【0036】
5.酸化防止剤
酸化防止剤は加工の間のポリマー分解に対する保護を与えることができる。フェノール類、ホスファイト及びラクトンはポリマー及び他の有機材料のための既知の熱酸化安定剤である。酸化防止剤はフェノール類に基づく酸化防止剤であることができる。商業的に入手可能なフェノール性酸化防止剤の限定されない例は、商品名IRGANOX(登録商標)1010(BASF)の下に入手可能なペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である。酸化防止剤はホスファイトに基づく酸化防止剤であることができる。ある側面において、ホスファイト酸化防止剤にはトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フ
ェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイトが含まれるがこれらに限られない。商業的に入手可能なホスファイトに基づく酸化防止剤の限定されない例には商品名DOVERPHOS(登録商標)S9228T(Dover Chemical Company)の下に入手可能なビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、商品名DOVERPHOS(登録商標)LGP-11(Dover Chemical Company,USA)の下に入手可能な亜リン酸、トリフェニルエステル、a-ヒドロ-コ-ヒドロキシポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジイル)]、00-16 アルキルエステルとのポリマー、商品名IRGAFOS(登録商標)168(BASF)の下に入手可能なトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、商品名ULTRANOX(登録商標)626(Addivant,USA)の下に入手可能なビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、商品名HOSTANOX(登録商標)P-EPQ(Clariant)の下に入手可能なテトラキス(2,4-ジ-tertブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスファイト及び商品名WESTON(登録商標)619F(Addivant)の下に入手可能なジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトが含まれる。酸化防止剤はラクトンに基づく化合物であることができる。ある側面において、ラクトン酸化防止剤には商品名IRGANOX(登録商標)HP-136(BASF)の下に入手可能な5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-[2,3(又は3,4)-ジメチルフェニル]-2(3H)-ベンゾフラノンが含まれる場合があるがこれらに限られない。本発明の組成物は組成物の合計重量に基づいて少なくとも0.01重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%及び1重量%に等しいかそられのいずれか2つの間の合計酸化防止剤を含むことができる。
【0037】
D.色安定熱可塑性ポリオレフィン組成物の調製
本発明の色安定熱可塑性ポリオレフィン組成物は、工業的規模の反応器から集められる熱可塑性ポリオレフィン粉末から調製され得る。明澄化剤及び任意的な添加剤の添加の間、熱可塑性ポリオレフィン粉末の温度は0℃から100℃まで又は20℃から80℃まであるいは少なくとも0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100℃のいずれか1つ、いずれか1つに等しい又はそれらのいずれか2つの間の範囲の場合がある。ポリオレフィン組成物への明澄化剤及び任意的な添加剤の添加を通常の混合機において行うことができ、そこでレオロジー制御等級熱可塑性ポリオレフィンを溶融し、明澄化剤及び任意的な添加剤と混合する。あるいはまた、明澄化剤及び任意的な添加剤を加工段階の最後に加えてレオロジー等級熱可塑性ポリオレフィンを調製することができる。適した機械は当業者に既知である。限定されない例にはミキサー、混練機及び押出し機が含まれる。ある側面において、加工の間に添加剤を導入することにより押出し機において方法を行うことができる。押出し機の限定されない例には一軸スクリュー押出し機、逆回転及び共回転二軸スクリュー押出し機、遊星歯車押出し機、リング押出し機又は共混練機が含まれることができる。真空を適用することができる少なくとも1つの気体除去区画が供えられた加工機を用いることもできる。
【0038】
成分を予備混合することができるか又は個別に加えることができる。例えば本発明のトリスアミドに基づく明澄化剤及び添加剤をポリオレフィン組成物に加える前にブレンドが形成されるように、それを予備混合することができる。あるいはまた、トリスアミドに基づく明澄化剤を個別にポリオレフィン組成物に加えることができる。トリスアミドに基づく明澄化剤を個別に加える場合、明澄化剤を組成物に同時に又は異なる順序で(例えばトリスアミドに基づく明澄化剤を最初に加え、続いて残りの添加剤を加えるか又はその逆)加えることができる。添加剤の導入の間の十分な時間、ポリオレフィンを高められた温度
に供することができる。温度は一般にポリマーの軟化点より高い。ある側面において、約400oF(204℃)から585oF(307℃)まであるいは少なくとも204℃、210℃、250℃、275℃、300℃及び307℃に等しいか又はそれらの間の温度で方法を行うことができる。そのような「溶融混合」又は「溶融配合(melt compounding)」はポリオレフィン中の本添加剤の均一な分散を生ずる。例えばプロセス技術(process technology)における通常の方法を用いて上記の成分を混合することにより、ポリオレフィン樹脂中への添加剤の導入を行うことができる。
【0039】
ポリオレフィン組成物は通常ペレットとして集められ、それはしばらく保存されるか又はすぐに成形法において用いられる場合がある。成形法には射出成形、押出しブロー成形、射出延伸ブロー成型、熱成形、圧縮成形又はシート押出しが含まれる。最終的な成形製品は例えば成形部品、シート、フィルム又は繊維である。例えば蓋、びん、容器、自動車部品、冷蔵庫部品、トレー、コンピューター部品など。
【0040】
組成物は低下した曇り度を示すことができる。光透過率、明澄度及び曇り度はASTM
D1003に従って測定される。本組成物は、ASTM D1003に従って40未満の曇り度の値を示すことができる。本発明の組成物は40、35、30、25、20、15、10、5及び2未満、それらに等しい、それらの間の曇り度%を有することができる。本組成物は0.05、0.1、0.5、1、2、3cm以上の厚さを有することができる。ある側面において、厚さは少なくとも0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.5、2.0、2.5及び3.0cmに等しいか又はそれらの間であることができる。好ましい態様において、厚さは0.1cm(40ミル)以上である。
【0041】
組成物はある期間に及んで安定な色であることができる(例えば50日、100日、1年、2年など)。色安定性はHunter Lab(U.S.A.)により開発されたHumber L,a,bカラースケールを用いて測定され得る。Hunter L,a,bは反対色説に基づき、それは人間の目の中の受容体が以下の反対の対として色を感知することを仮定している。
*Lスケール:明対暗であって、ここで小さい数(0-50)は暗を示し、大きい数(51-100)は明を示す。
*aスケール:赤対緑であって、ここで正の数は赤を示し、負の数は緑を示す。
*bスケール:黄色対青であって、ここで正の数は黄色を示し、負の数は青を示す。
L値は明又は暗のレベルを示し、a値は赤さ又は緑さのレベルを示し、h値は黄色さ又は青さのレベルを示す。物体の色を完全に記述するためには3つの値すべてが必要である。デルタ値(AL、Aa及びAb)は標準と試料がL、a及びbにおいてどれだけ互いに異なるかを示す。AL、Aa及びAb値は品質管理又は配合調整(formula adjustment)のために多くの場合に用いられる。デルタ値に許容範囲を設定することができる。許容範囲外のデルタ値は標準と試料の間に大きすぎる差があることを示すことができ、加工パラメーターへの調整を行うことができる。Hunter L,a,b測定器はHunter Lab(U.S.A.)から商業的に入手可能である。
【0042】
本発明の組成物は、93℃で50日間保存される場合に0.03/日、0.02/日又は0.01/日のHunter b値変色(Ab)率を有することができる。いくつかの態様において、組成物は93℃で100日間保存される場合に0.02/日又は0.015/日又は0.01/日のAb率を有する。変色は時間が経過した同じ組成物の色と比較される時の組成物の最初の色に基づく。
【発明を実施するための形態】
【0043】
実施例
本発明を特定の実施例によりさらに詳細に記述する。以下の実施例は例示目的のみのために与えられ、いかようにも本発明を制限することを意図していない。当業者は、変更又は改変されて本質的に同じ結果を与えることができる多様な重要でないパラメーターを容易に認識するであろう。
【0044】
材料
表1は本発明の組成物及び比較用試料の調製に用いられる明澄化剤及び添加剤の供給源及び機能を挙げている。
【表1】
【実施例1】
【0045】
(熱可塑性ポリオレフィン組成物の調製)
以下の方法により実施例1-7に記載される組成物を調製した:
【0046】
連続法の一部としてプラント規模の押出し装置を用いて本組成物を調製した。熱可塑性ポリオレフィン粉末を工業規模の反応器から集め、まだ50℃からおよび80℃の高められた温度でインラインブレンダーに移した。添加剤を熱可塑性ポリオレフィン粉末に加え、押出し機中に供給する前にインラインで混合した。押出し温度は、明澄化されたポリオレフィン組成物を工業的に加工するために典型的に用いられる広い温度範囲を包含するために240℃からおよび260℃の範囲であった。組成物を10000ないし15000kg/時で押出した。水中ペレタイザーを用いて押出し物をベレット化し、乾燥機に送って水を除去し、分級器(classifier)に送って寸法要件に適合しないペレットを除去した。最後にペレットを保存容器に移した。
【実施例2】
【0047】
(本発明の色安定レオロジー制御組成物)
表2は本発明の組成物の原料を挙げている。
【表2】
【実施例3】
【0048】
(本発明の色安定レオロジー制御組成物)
表3は本発明の組成物の原料を挙げている。
【表3】
【実施例4】
【0049】
(フェノール性酸化防止 剤を用いる比較用の組成物)
表4はフェノール性酸化防止剤を含む比較用の組成物を挙げている。
【表4】
【実施例5】
【0050】
(ソルビトールに基づく明澄化剤を用いる比較用組成物)
表5はソルビトールに基づく明澄化剤を含む比較用の組成物を挙げている。
【表5】
【実施例6】
【0051】
(ソルビトールに基づく明澄化剤を用いる比較用組成物)
表6はソルビトールに基づく明澄化剤及びフェノール性酸化防止剤を含む比較用の組成物を挙げている。
【表6】
【実施例7】
【0052】
(ソルビトールに基づく明澄化剤を用いる比較用組成物)
表7はソルビトールに基づく明澄化剤を含む比較用の組成物を挙げている。
【表7】
【実施例8】
【0053】
(ソルビトールに基づく明澄化剤を用いる比較用組成物)
表8はソルビトールに基づく明澄化剤を含む比較用の組成物を挙げている。
【表8】
【実施例9】
【0054】
(本発明の組成物及び比較用の組成物の特性化)
実施例2-8の組成物から作られたペレットを対流式オーブン中で、挙げられている時間93℃において老化させた。Colorflex EZ分光光度計(Hunter Associates Laboratory,Inc.,USA)を用いて各組成物に関してHunterカラーb値を決定した。表9は実施例番号、日におけるオーブン時間、ゼロ時点におけるb、49又は48日の時点におけるb及びHunter b変化を挙げている。いくつかの試料の調製物を複数回実験した。表10は試料2、5及び7の組成物から作られたフィルムに関する曇り度データを挙げている。試料5及び7は比較用の試料である。
【表9】
【0055】
【表10】
【0056】
データから、製品組成物(実施例1及び2)は時間を経て比較的少ない黄変(より低いAb値)を有することが決定された。フェノール性酸化防止剤試料は本発明の色安定レオロジー制御組成物と同じようなAb値を有するが、初期着色がそれより黄色い(より高いb値)(すなわち実施例3対実施例1及び2)ことも決定された。厚さが0.1cm以下のフィルムの曇り度はフェノール性酸化防止剤又はソルビトール明澄化剤を用いて作られるものと同等の曇り度の値を有した。
【0057】
本出願の態様及びそれらの利点を詳細に記載してきたが、種々の変更、置き換え及び改変が添付の請求項により定義される態様の精神及び範囲から逸脱することなく本明細書においてなされ得ることが理解されるべきである。さらに本出願の範囲は、明細書中に記載されている方法、機械、製造、組成物、手段、方法及び段階の特定の態様に制限されることを意図していない。当業者は上記の開示から容易に認識するので、本明細書に記載される対応する態様と実質的に同じ機能を行うか又は実質的に同じ結果を達成する現存するか又は後に開発されるべき方法、機械、製造、組成物、手段、方法又は段階が用いられ得る。従って添付の請求項はそのような方法、機械、製造、組成物、手段、方法又は段階をそれらの範囲内に含むものとする。
【国際調査報告】