(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】表示パネルとその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220420BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
G09F9/30 310
G09F9/30 308D
G09F9/00 338
G09F9/00 366Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552633
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 CN2020081524
(87)【国際公開番号】W WO2021017501
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】201911120612.3
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910703770.5
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520032974
【氏名又は名称】云谷(固安)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙成雨
(72)【発明者】
【氏名】米磊
(72)【発明者】
【氏名】顔志敏
(72)【発明者】
【氏名】徐品全
【テーマコード(参考)】
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
5C094DA05
5C094EB01
5C094FA02
5G435EE49
5G435KK05
(57)【要約】
本願は、表示パネル、その製造方法及び表示装置を提供する。当該表示パネルは、仕切り溝を設けることにより、有機材料層を仕切り、第1仕切り溝の溝底部の材料と前記仕切り溝内に覆われ且つ前記溝の底部に接触するパッケージ層の材料を同種材料にすることにより、膜層の付着力を高め、パッケージ層の無機膜層とアレイ構造層の無機膜層を緊密に結合させ、その結果、パッケージ効果を向上させ、外部の水や酸素が開孔領域から表示領域内の有機材料層内に入ることを回避し、表示パネルのパッケージ効果、耐用年数及び表示効果を向上させることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルであって、基板を備え、
前記基板は、表示領域と、前記表示領域内に位置する開孔領域と、前記開孔領域を取り囲む仕切り領域とを備え、前記仕切り領域には少なくとも前記開孔領域の周りに設けられた1つの仕切りリングが設けられ、前記仕切りリングの少なくとも片側には仕切り溝が設けられ、
前記仕切り溝は、前記基板から離れる側に設けられた第3仕切り溝、第1仕切り溝及び第2仕切り溝を備え、前記第3仕切り溝、第1仕切り溝及び第2仕切り溝は互いに連通し、前記第1仕切り溝は、前記第2仕切り溝及び前記第3仕切り溝の側壁における有機材料層を仕切る、表示パネル。
【請求項2】
前記表示パネルに垂直する積層方向において、前記第3仕切り溝、前記第1仕切り溝及び第2仕切り溝は、前記基板の表面から離れる側に沿って設けられ、
前記第1仕切り溝の前記基板から離れる側の切欠の寸法は、前記第2仕切り溝の前記基板に近い側の切欠の寸法より大きく、前記第1仕切り溝の前記基板に近い側の切欠の寸法は、前記第3仕切り溝の前記基板から離れる側の切欠の寸法より大きいである、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記表示パネルに垂直する積層方向において、前記第1仕切り溝の断面形状は、逆台形又は六角形であり、前記第1仕切り溝、第2仕切り溝及び第3仕切り溝のうちの各仕切り溝の側壁とそれぞれの底部が位置する平面との夾角は>90°である、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記開孔領域内には、前記表示パネルを貫通する取付孔が設けられ、前記取付孔は、機能素子を取り付けるためのものであり、前記仕切り溝は、前記取付孔の周りに設けられ、前記仕切りリングは、有機材料層を仕切るように前記仕切り溝と前記取付孔との間に設けられる、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項5】
有機材料層を仕切るように、前記取付孔の周りに少なくとも2つの前記仕切りリングが設けられる、請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記表示パネルは、更に、前記基板に設けられるアレイ構造層を備え、前記仕切り溝の少なくとも一部が前記アレイ構造層内に設けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記基板と前記アレイ構造層との間に緩衝層が設けられ、前記仕切り溝の少なくとも一部が前記緩衝層を貫通し、前記仕切り溝の溝底部に接触するパッケージ層材料と前記緩衝層の材料は同種材料である、請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記緩衝層は、前記基板に近い第1無機層及び前記基板から離れる第2無機層を備え、前記仕切り溝は、前記第2無機層を貫通し、前記仕切り溝の溝底部に接触するパッケージ層材料と前記第1無機層の材料は同種材料である、請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記パッケージ層は薄膜パッケージ層であり、前記薄膜パッケージ層は、順次に積層して設けられる第3無機層、有機層及び第4無機層を備え、前記第4無機層は、前記有機材料層に近く且つ前記有機材料層を覆い、前記第4無機層と前記仕切り溝の溝底部の材料は同種材料である、請求項8に記載の表示パネル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の表示パネルを備える表示装置。
【請求項11】
表示パネルの製造方法であって、
表示領域、前記表示領域内に位置する開孔領域、及び前記開孔領域を取り囲む仕切り領域を備える基板を提供するステップと、
前記基板にアレイ構造層を形成し、前記仕切り領域内には、前記基板に平行な方向に沿って間隔をおいて設けられた少なくとも2つの金属犠牲層を予め設け、金属犠牲層を前記第2仕切り孔の側壁に露出させるように、隣接する前記金属犠牲層の間に第2仕切り孔を形成するステップと、
前記金属犠牲層を除去し、少なくとも一部が前記アレイ構造層内に位置する少なくとも1つの仕切り溝を形成するステップと、
前記アレイ構造層及び前記仕切り溝内に有機材料層を形成し、前記有機材料層は、除去された前記金属犠牲層において切断されているステップと、を含む、表示パネルの製造方法。
【請求項12】
金属犠牲層を形成するステップは、
少なくとも1つの第1仕切り孔を形成するように、前記仕切り領域内のアレイ構造層中に穿孔し、前記第1仕切り孔内に金属材料が充填されて金属犠牲層を形成することを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
金属犠牲層を露出させるステップは、
前記アレイ構造層に平坦化層を形成すること、
前記金属犠牲層の一部を露出させて、第2仕切り孔を形成するように、前記平坦化層及び前記金属犠牲層材料の一部をエッチングすることを含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第2仕切り孔を形成する前に、更に、
前記仕切り領域内に位置する前記平坦化層にピクセル定義層を形成すること、
前記金属犠牲層の一部を露出させて、第2仕切り孔を形成するように、前記ピクセル定義層、前記平坦化層及び前記金属犠牲層材料の一部をエッチングすることを含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
隣接する仕切り溝の間に仕切りリングを形成する、請求項11に記載の製造方法。
【請求項16】
前記金属犠牲層の材料は、チタン及び/又はアルミニウムを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項17】
前記金属犠牲層と前記アレイ構造層の金属リード層は、同じプロセスステップで形成される、請求項12に記載の製造方法。
【請求項18】
前記製造方法は、更に、
前記基板に緩衝層を形成し、少なくとも一部の前記仕切り溝が前記緩衝層を貫通することを含む、請求項11~17のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記緩衝層は、前記基板に近い第1無機層及び前記基板から離れる第2無機層を備え、前記仕切り溝は、前記第2無機層を貫通する、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記表示パネルの製造方法は、更に、パッケージ層を製造した後に、前記表示パネルの開孔領域に前記表示パネルを貫通する、機能素子を取り付けるための取付孔を設けることを含む、請求項18に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示装置の技術分野に関し、特に表示パネル、その製造方法及び表示装置
に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の急速な発展に伴い、ユーザはディスプレイに対してより高い画面占有率を求めている。ディスプレイの上部にはカメラ、センサー又はイヤホンなどの機能素子を取り付ける必要があるため、関連技術では、スクリーンの上部には、通常は一部の領域、例えばアップルのiphoneXの「ノッチ」領域が上記の機能素子を取り付けるために予約されているため、ディスプレイの全体的な整合性に影響を与える。現在、フルスクリーンディスプレイは、高い画面占有率と狭いベゼルにより、ユーザの視覚体験を大幅に向上させることができ、そのため、業界での注目度が高まっている。
【0003】
現在、フルスクリーンを実現するために、通常は表示装置(例えば携帯電話)の表示領域内に取付孔を設け、取付孔内にカメラ、センサー又はイヤホンなどの機能素子を配置するが、表示領域内に取付孔を設けると、パッケージ不良のリスクがあり、表示パネルの表示効果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本願が解決しようとする技術的問題は、表示パネルの表示領域内に取付孔を設けると、パッケージ不良のリスクがあり、表示パネルの表示効果に影響を与えるという問題を解決するように、表示パネル、その製造方法及び表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の表示パネルは、基板を備え、前記基板は、表示領域と、前記表示領域内に位置する開孔領域と、前記開孔領域を取り囲む仕切り領域とを備え、前記仕切り領域には少なくとも前記開孔領域の周りに設けられた1つの仕切りリングが設けられ、前記仕切りリングの少なくとも片側には仕切り溝が設けられ、
前記仕切り溝は、前記基板から離れる側に設けられた第3仕切り溝、第1仕切り溝及び第2仕切り溝を備え、前記第3仕切り溝、第1仕切り溝及び第2仕切り溝は互いに連通し、前記第1仕切り溝は、前記第2仕切り溝及び前記第3仕切り溝の側壁における有機材料層を仕切る。
【0006】
表示装置は、前記表示パネルを備える。
【0007】
表示パネルの製造方法は、
表示領域、前記表示領域内に位置する開孔領域、及び前記開孔領域を取り囲む仕切り領域を備える基板を提供するステップと、
前記基板にアレイ構造層を形成し、前記仕切り領域内には、前記基板に平行な方向に沿って間隔をおいて設けられた少なくとも2つの金属犠牲層を予め設け、金属犠牲層を前記第2仕切り孔の側壁に露出させるように、隣接する前記金属犠牲層の間に第2仕切り孔を形成するステップと、
前記金属犠牲層を除去し、少なくとも一部が前記アレイ構造層内に位置する少なくとも1つの仕切り溝を形成するステップと、
前記アレイ構造層及び前記仕切り溝内に有機材料層を形成し、前記有機材料層は、除去された前記金属犠牲層において切断されているステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本願の技術的解決手段により、以下のような利点を有する。当該表示パネルは、基板を備え、基板は、表示領域、表示領域内に位置する開孔領域、及び開孔領域を取り囲む仕切り領域を含み、仕切り領域には少なくとも1つの仕切りリングが設けられ、仕切りリングの少なくとも片側には仕切り溝が設けられ、仕切り溝は基板に近接する第1仕切り溝及び基板から離れる第2仕切り溝を備え、第1仕切り溝は、有機材料層を仕切り、第1仕切り溝の溝底部の材料と仕切り溝内に覆われ且つ溝底部に接触するパッケージ層の材料は同種材料である。上記の表示パネルにおいて、仕切り溝を設けることにより、有機材料層を仕切り、第1仕切り溝の溝底部の材料と仕切り溝内に覆われ且つ溝底部に接触するパッケージ層の材料を同種材料にすることにより、一方では、有機材料層を仕切り、パッケージ効果を向上させ、他方では、膜層の付着力を高め、パッケージ層の無機膜層とアレイ構造層の無機膜層を緊密に結合させ、パッケージ効果を更に向上させ、外部の水や酸素が開孔領域から表示領域内の有機材料層内に入ることを回避し、表示パネルのパッケージ効果、耐用年数及び表示効果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本願の実施形態または従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施形態または従来技術の記述において使用される必要のある図面を簡単に説明するが、当然ながら、以下に記載する図面は本願の実施形態であり、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図2】本願の開孔されていない表示パネルの構造模式図である。
【
図3】
図2における開孔されている表示パネルの構造模式図である。
【
図4】本願の開孔されていない表示パネルの構造模式図である。
【
図5】
図4における開孔されている表示パネルの構造模式図である。
【
図6】本願の開孔されている表示パネルの構造模式図である。
【
図7】本願の開孔されている表示パネルの構造模式図である。
【
図8】本願の表示パネルの製造方法のフローチャートである。
【
図9a】本願の表示パネルの製造過程の構造模式図である。
【
図9b】本願の表示パネルの製造過程の構造模式図である。
【
図9c】本願の表示パネルの製造過程の構造模式図である。
【
図9d】本願の表示パネルの製造過程の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
現在、フルスクリーンを実現するために、通常は表示装置(例えば携帯電話)の表示領域内に取付孔を設け、取付孔内にカメラ、センサー又はイヤホンなどの機能素子を配置するが、表示領域内に取付孔を設けると、パッケージ不良のリスクがあり、表示パネルの表示効果に影響を与える。出願人の研究の結果、主に表示領域内に取付孔を設けた後、取付孔の側壁の有機材料層が露出され、露出される有機材料層の部分に水や酸素が侵入するリスクが高くなるため、平坦化層、絶縁層、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層又は陰極層等の有機材料層が、水や酸素が表示領域に入る通路を形成するようにし、表示領域のパッケージ不良をもたらし、表示パネルの表示効果に影響を与えることを発見した。
【0011】
上記の技術的問題について、本願は、表示パネル、その製造方法及び表示装置を提供し、発明者は、取付孔の周りの有機材料層を仕切ることにより、水や酸素の侵入通路を仕切ることができ、上記の技術的問題を解決し、表示領域のパッケージ不良を防止し、表示パネルの表示効果を保証することができる。
【0012】
本願は表示パネルを提供する。
図1に示すように、本願により提供される表示パネル100は、表示領域101、表示領域101内に位置する開孔領域102、及び開孔領域102を取り囲む仕切り領域103を備え、開孔領域102内には取付孔が設けられ、前記取付孔は、カメラ、センサー又はイヤホンなどの機能素子を取り付けるために用いられ、それにより、画面占有率を向上させ、ユーザの視覚体験を向上させる。
【0013】
任意選択で、
図2又は
図3に示すように、表示パネル100は基板1を備え、前記表示パネルは表示領域101、表示領域101内に位置する開孔領域102、及び開孔領域102を取り囲む仕切り領域103を備え、仕切り領域103には少なくとも1つの仕切りリング113が設けられ、仕切りリング113の少なくとも片側には仕切り溝123が設けられ、前記仕切り溝は、基板の表面から離れる側に設けられる互いに連通する第3仕切り溝1233、第1仕切り溝1231及び第2仕切り溝1232を備え、
図3に示すように、第3仕切り溝1233、第1仕切り溝1231及び第2仕切り溝1232は、前記基板から離れる側の表面に沿って順次に設けられ、前記第3仕切り溝1233は前記基板に近接して設けられ、前記第1仕切り溝1231は前記第3仕切り溝1233の前記基板から離れる側に設けられ、第2仕切り溝1232は前記第1仕切り溝1231の前記第3仕切り溝1233から離れる側に設けられ、且つ最上の位置に設けられ、前記第1仕切り溝1231は、前記第2仕切り溝1232と前記第3仕切り溝1233の側壁の有機材料層10を仕切るために用いられる。前記第1仕切り溝1231に位置する溝底部の材料、仕切り溝123内に覆われる材料、及び第3仕切り溝の底部に接触するパッケージ層11の材料は同種材料である。
【0014】
具体的に、第1仕切り溝1231はピクセル定義層を製造する前に形成され、第1仕切り溝1231を形成した後にピクセル定義層を製造するため、ピクセル定義層が第1仕切り溝1231の溝底部に充填されてしまい、露光プロセスでは除去することができないので、後続の有機材料層の蒸着時に、有機材料層を仕切ることができず、表示パネルのパッケージ不良をもたらす。これに基づいて、仕切りリング113の形状を「ひょうたん状」にし、仕切りリング113の上層をピクセル定義層にすることにより、第1仕切り溝1231がピクセル定義層などの有機膜層によって充填されることを回避し、有機材料層を効果的に仕切り、パッケージ効果を向上させることができる。また、仕切りリングを設けることにより、クラックダム(Crack dam)を省略し、開孔領域のベゼルを減少させ、画面占有率を更に高めることができる。
【0015】
任意選択で、基板1は積層して設けられる第1フレキシブル層、第1バリア層及び第2フレキシブル層を備え、第2フレキシブル層の第1バリア層から離れる側にアレイ構造層が設けられ、第1フレキシブル層と第2フレキシブル層との間に、フレキシブル基板の水や酸素を遮断する能力を向上させることができる第1バリア層が設けられる。具体的には、第1フレキシブル層及び第2フレキシブル層の材料はポリイミド(polyimide、略称はPI)材料を含み、第1フレキシブル層の厚さは8~12μmであり、好ましくは10μmであり、第2フレキシブル層の厚さは8~12μmであり、好ましくは10μmである。第1バリア層は無機層であり、無機層の材料は酸化ケイ素(SiOx)又は窒化ケイ素(SiNx)等の材料を含み、第1バリア層の厚さは0.8~1.2μmであり、好ましくは1μmである。第1バリア層の厚さの設定により、外部の水蒸気を遮断する効果を最適化するとともに、表示パネルの厚さを薄くすることができて、軽量化と薄型化を実現する。
【0016】
上記の表示パネルにおいて、仕切り溝123又は仕切りリング113を設けることにより有機材料層10を仕切り、第1仕切り溝1231の溝底部の材料、仕切り溝123内に覆われる材料、及び溝底部に接触するパッケージ層11の材料は同種材料である。上記の設置により、一方では、有機発光層を仕切り、水や酸素の侵入通路を仕切ることで、表示パネルのパッケージ効果を向上させ、他方では、膜層の付着力を高め、パッケージ層11の無機膜層と仕切り溝123の溝底部の無機膜層とを緊密に結合させ、パッケージ効果を更に向上させることができ、それにより、外部の水や酸素が開孔領域102から表示領域101内の有機材料層内に入ることを回避し、表示パネルのパッケージ効果、耐用年数及び表示効果を向上させることができる。
【0017】
任意選択で、本発明の実施例の表示パネルにおいて、当該第3仕切り溝1233、第1仕切り溝1231、第2仕切り溝1232は、表示パネルと特定の夾角(例えば75°、80°、90°など)をなす積層方向に沿って順次に設けられる。
【0018】
任意選択で、
図3に示すように、本発明の実施例では、第3仕切り溝1233、第1仕切り溝1231、第2仕切り溝1232が表示パネルに垂直する積層方向に設けられる例を挙げて説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0019】
表示パネルに垂直する積層方向において、有機材料層10が第1仕切り溝1231において仕切られるように、第1仕切り溝1231の基板1から離れる側の切欠の寸法W2は第2仕切り溝1232の基板1に近い側の切欠の寸法W1より大きく、前記第1仕切り溝1231の前記基板に近い側の切欠の寸法は前記第3仕切り溝1233の前記基板から離れる側の切欠の寸法より大きい。
【0020】
任意選択で、
図3又は6に示すように、表示パネルに垂直する積層方向において、第1仕切り溝1231の断面形状は逆台形又は六角形であり、第1仕切り溝1231、第2仕切り溝1232及び第3仕切り溝1233の各側壁とそれに対応する底部の平面の夾角は>90°であり、具体的には、仕切り溝123の軸線に沿って仕切り溝を切断した場合、切断後の断面において、断面の側壁と断面の底壁との間の夾角は>90°である。このように設定することで、化学気相成長(chemical vapor deposition、略称はCVD)プロセスによりパッケージ層11の無機層を形成する時に、仕切り溝123の側壁に緊密に付着した膜層を形成することに役立ち、パッケージ効果を向上させる。
【0021】
任意選択で、仕切り溝123は環状の凹溝である。当該環状の仕切り溝は、開孔領域102の周りに設けられ、開孔領域102と表示領域101との間の有機材料層を仕切って水や酸素が表示領域に侵入する通路を仕切ることで、表示パネルの耐用年数及び表示効果を向上させる。
【0022】
図2~7に示すように、開孔領域102内には、表示パネル100を貫通する、機能素子を取り付けるための取付孔が設けられ、仕切り溝123は取付孔の周りに設けられ、仕切りリング113は仕切り溝123と取付孔との間に設けられて、有機材料層10を仕切る。具体的には、機能素子はカメラ、センサー、マイクロホン、イヤホン又は実体ボタンなどである。
【0023】
任意選択で、有機材料層10を仕切るように、取付孔の周りに少なくとも2つの仕切りリング113が設けられ、仕切りリング113は取付孔の周りに設けられる環状の仕切りリングであり、複数の仕切りリングを設けることにより、有機材料層10をより良くより完全に仕切ることができ、表示パネルのパッケージ効果を向上させる。
【0024】
更に、表示パネル100は、基板1に設けられるアレイ構造層を更に含み、前記仕切り溝123の少なくとも一部はアレイ構造層内に設けられる。
【0025】
任意選択で、基板1とアレイ構造層との間に緩衝層が設けられ、仕切り溝123の少なくとも一部は緩衝層を貫通し、仕切り溝123の溝底部に接触するパッケージ層の材料と緩衝層の材料は同種材料であり、即ち、仕切り溝123の溝底部において露出される緩衝層の材料とパッケージ層11の基板1に近い側のパッケージ層の材料は同種材料であり、例えばいずれも無機材料であり、無機材料は窒化ケイ素又は酸化ケイ素を含むことができる。このように構成することで、有機材料層を仕切ることができるとともに、膜層の付着力を高めることができ、パッケージ層11の無機膜層及び緩衝層の無機膜層を緊密に結合させ、パッケージ効果を向上させ、外部の水や酸素が開孔領域102から表示領域101内の有機材料層10内に入ることを回避し、表示パネルのパッケージ効果、耐用年数及び表示効果を向上させることができる。
【0026】
更に、
図3に示すように、緩衝層は、基板1に近い第1無機層2及び基板1から離れる第2無機層3を含み、仕切り溝123は第2無機層3を貫通し、仕切り溝123の溝底部に接触するパッケージ層11の材料と第1無機層2の材料は同種材料である。具体的には、第1無機層2の材料は窒化ケイ素(SiNx)を含み、第2無機層3の材料は酸化ケイ素(SiOx)を含み、両層の無機緩衝層を設けることによって、パッケージ効果を向上させるとともに、断熱効果を果たすことができる。また、窒化ケイ素(SiNx)層を設けることによって、ガラス基板からの汚染物質、特にナトリウムイオンをよくブロックすることができ、汚染物質による電流漏れ現象を回避する。二酸化ケイ素(SiOx)層を設けることによって、エキシマレーザアニール(Excimer laser anneal、略称はELA)プロセスでの熱伝達損失を防止することもでき、大きな結晶粒の形成に有益であり、ポリシリコンの界面欠陥を低減することができる。
【0027】
任意選択で、パッケージ層11は薄膜パッケージ層であり、薄膜パッケージ層は、順次に積層して設けられる第3無機層、有機層及び第4無機層を備え、第4無機層は、有機材料層10に近く、かつ有機材料層10上に覆われ、第4無機層と仕切り溝123の溝底部の材料は同種材料である。第3無機層の厚さは0.8~1.2μm、例えば1μmであり、有機層の厚さは8~12μm、例えば10μmであり、第4無機層の厚さは0.8~1.2μm、例えば1μmである。
【0028】
好ましくは、第1無機層、第2無機層、第3無機層及び第4無機層の材料はいずれも酸化ケイ素又は窒化ケイ素である。無機層は膜層の付着力を高めるとともに、パッケージ効果を向上させることができる。
【0029】
任意選択で、有機材料層10は積層して設けられる正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層及び電子注入層を備え、正孔注入層はアレイ構造層上に設けられる。
【0030】
任意選択で、
図3に示すように、アレイ構造層は、ピクセル回路層、平坦化層及びピクセル定義層を含み、ピクセル回路層には、薄膜トランジスタの各膜層を形成し、例えば緩衝層の第2無機層3上に形成される半導体層(P-Si)、半導体層上に形成されるゲート絶縁層4、ゲート絶縁層4の上方に位置するキャパシタ絶縁層5、キャパシタ絶縁層5の上方に位置する層間誘電体層6、層間誘電体層6の上方に位置する平坦化層8、平坦化層8上に位置するピクセル定義層9である。ピクセル回路層は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、略称はTFT)のソース(S)、ドレイン(D)及びゲート(M1)を備え、ゲート(M1)はゲート絶縁層4とキャパシタ絶縁層5との間に位置し、ソース(S)及びドレイン(D)は半導体層(P-Si)に接触する。ピクセル回路層のキャパシタは第1極板(M1)及び第2極板(M2)を備え、第1極板(M1)はキャパシタ絶縁層5と層間誘電体層6との間に位置し、第2極板(M2)はゲート絶縁層4とキャパシタ絶縁層5との間に位置する。
【0031】
表示パネルは、第1電極及び第2電極を更に含み、第1電極は陽極であり、第1電極の材料は、銀をドープした酸化インジウムスズ、又は銀をドープした酸化インジウム亜鉛、又は酸化インジウム亜鉛または酸化インジウムスズを含む。第1電極は、前記第1の電極の抵抗を低減するために、銀をドープした酸化インジウムスズ又は銀をドープした酸化インジウム亜鉛を用いる。任意選択で、第1電極は酸化インジウムスズと銀の複合膜層である。例えば、第1電極は、酸化インジウムスズ、銀及び酸化インジウムスズの三層複合膜層を含み、中間層を銀層にすることで、第1電極の導電性を高めることができる。第2電極は陰極であり、第2電極の材料はマグネシウム又は銀である。
【0032】
本願は、上記のいずれかに記載の表示パネルを備える表示装置をさらに提供する。例えば、表示装置は携帯電話、テレビ、タブレット、コンピュータ又はカメラであってもよい。
【0033】
本願は表示パネルの製造方法をさらに提供し、
図9a~9eに示すように、
表示領域、表示領域内に位置する開孔領域、及び開孔領域を取り囲む仕切り領域を備える基板を提供するステップS10と、
基板にアレイ構造層を形成するステップS20と、
仕切り領域内に少なくとも一部がアレイ構造層内に位置する少なくとも1つの仕切り溝を形成するステップS30と、
アレイ構造層上及び仕切り溝内に、仕切り溝において切断されている有機材料層を形成するステップS40と、
有機材料層の基板から離れる側にパッケージ層を形成し、パッケージ層は仕切り溝の内壁を覆い、仕切り溝の溝底部の材料、仕切り溝内に覆われる材料、及び溝底部に接触するパッケージ層の材料は同種材料であるステップS50とを含む。
【0034】
上記の製造方法により製造される表示パネルは、一方では、開孔領域と表示領域との間に仕切り溝及び仕切りリングを形成でき、開孔領域と表示領域との間の有機発光層に対する仕切りを実現することで、水や酸素の侵入通路を仕切り、パッケージ効果を向上させ、他方では、仕切り溝の溝底部の材料、仕切り溝内に覆われる材料、溝底部に接触するパッケージ層の材料は同種材料であり、例えば仕切り溝の溝底部の材料は無機材料であり、仕切り溝内に覆われ且つ溝底部に接触するパッケージ層の材料も無機材料であり、且つ両者の材料がいずれも窒化ケイ素(SiNx)又は酸化ケイ素(SiOx)のような同種材料であることで、膜層の付着力を高め、凹溝の底部とパッケージ層の結合がより緊密になり、パッケージの効果を更に向上させ、無機材料は水や酸素を効果的に仕切り、表示パネルの耐用年数及び表示効果を保証することができる。
【0035】
上記の解決手段で説明したように、発明者は、表示領域に取付孔を設ける時に、開孔領域内の有機材料層の効果的な切断を実現できない理由が、主に、製造過程においてピクセル定義層などのような有機材料層が第1の仕切り溝に充填されて、露光プロセスでは除去されにくく、後続の有機材料層の蒸着時に、有機材料層を仕切ることができないことであることを発見し、これは表示パネルの実際のパッケージ効果及び表示効果に影響を与える。そのため、発明者は先ず、基板上にアレイ構造層を積層して形成し、次にアレイ構造層を貫通する仕切り溝を形成し、表示パネルに垂直する積層方向において、仕切り溝は基板の表面から離れる側に設けられる第3仕切り溝1233、第1仕切り溝1231及び第2仕切り溝1232を備え、且つ前記第3仕切り溝1233、第1仕切り溝1231及び第2仕切り溝1232は互いに連通する。具体的には、第3仕切り溝1233、第1仕切り溝1231及び第2仕切り溝1232は前記基板から離れる側の表面に沿って順次に設けられ、前記第3仕切り溝1233は前記基板に近接して設けられ、前記第1仕切り溝1231は前記第3仕切り溝1233の前記基板から離れる側に設けられ、第2仕切り溝1232は前記第1仕切り溝1231の前記第3仕切り溝1233から離れる側に設けられ、且つ最上の位置に設けられる。第1仕切り溝1231の基板から離れる側の切欠の寸法は第2仕切り溝の基板に近い側の切欠の寸法より大きく、即ち有機材料層が第1仕切り溝1231において仕切られるように、第1仕切り溝1231の溝壁は内向きに凹んでいる。任意選択で、本願では第1仕切り溝1231はピクセル定義層が形成された後に形成されることで、ピクセル定義層が第1仕切り溝1231内に入ることを回避し、これによって取付孔を設ける時に、開孔領域内の有機材料層の切断を効果的に実現でき、水や酸素が開孔領域から表示領域に入ることを回避し、表示パネルのパッケージ効果、耐用年数及び表示効果を向上させることができる。
【0036】
更に、仕切り領域内に少なくとも一部がアレイ構造層内に位置する少なくとも1つの仕切り溝を形成するステップは、以下のステップを含む。
【0037】
少なくとも1つの第1仕切り孔を形成するように、仕切り領域内に位置するアレイ構造層に穿孔し、金属犠牲層13を形成するように第1仕切り孔内に金属材料を充填し、アレイ構造層上に平坦化層8を形成する。
図9a及び9bに示すように、金属犠牲層13の一部を露出させて、第2仕切り孔を形成するように、平坦化層8及び一部の金属犠牲層13の材料をエッチングする。更に、
図9cに示すように、当該第2仕切り孔において、有機材料層10を仕切るための仕切り溝123を形成するように残りの金属犠牲層13材料を除去することで、当該有機材料層10は、除去された金属犠牲層13において切断されている。上記のプロセスにより仕切り溝123の製造を実現し、プロセスを簡略化し、表示パネルへの影響を低減させることができる。
【0038】
任意選択で、仕切り溝123を形成するように、残りの金属犠牲層13材料を除去し、ウェットサイドエッチングプロセスにより実現可能であり、残りの金属犠牲層を除去すると同時に、その他の膜層に影響を与えることなく、表示パネルの信頼性を保証する。
【0039】
更に、表示パネル100に垂直する積層方向において、仕切り溝123は基板1に近い第1仕切り溝1231及び基板1から離れる第2仕切り溝1232を備え、第1仕切り溝1231の基板1から離れる側の切欠の寸法W2は第2仕切り溝1232の基板1に近い側の切欠の寸法W1より大きく、即ち有機材料層が第1仕切り溝1231において仕切られるように、第1仕切り溝1231と第2仕切り溝1232との間に段差を形成する。
【0040】
任意選択で、
図9dに示すように、基板からパッケージ層までの積層方向において、第1仕切り溝1231の断面形状は逆台形である。第1仕切り溝1231の側壁と仕切り溝の底部の夾角を90°より大きくすることができ、その結果、パッケージ層は仕切り溝の溝壁に緊密に接触でき、これにより、膜層の付着力を高め、パッケージ効果を向上させる。
【0041】
任意選択で、第2仕切り孔を形成する前に、以下のステップを更に含む。
【0042】
仕切り領域内に位置する平坦化層8上にピクセル定義層9が形成され、金属犠牲層13の一部を露出させて、第2仕切り孔を形成するように、ピクセル定義層9、平坦化層8及び一部の金属犠牲層13の材料をエッチングする。これは、ピクセル定義層の材料が仕切り溝内に堆積されるため、有機材料層を効果的に仕切ることができないことを防止する。
【0043】
任意選択で、有機材料層10を仕切るように、隣接する仕切り溝123の間に仕切りリング113を形成する。
【0044】
好ましくは、金属犠牲層の材料は、チタン及び/又はアルミニウムを含む。
【0045】
任意選択で、金属犠牲層は独自のプロセスにより形成されてもよく、アレイ構造層における金属層と同じプロセスステップにより形成されてもよく、アレイ構造層における金属層は、ピクセル回路層における電極層(キャパシタの第1電極又は第2電極、又はゲート電極など)又は配線層(データライン又はスキャンライン)を含んでもよい。
【0046】
任意選択で、仕切り領域内に少なくとも一部がアレイ構造層内に位置する少なくとも1つの仕切り溝を形成するステップは、以下のステップを含む。
【0047】
少なくとも1つの第1仕切り孔を形成するように、仕切り領域内に位置するアレイ構造層に穿孔し、金属犠牲層13を形成するように第1仕切り孔内に金属材料を充填し、アレイ構造層上に平坦化層8を形成し、金属犠牲層13の一部を露出させて、第2仕切り孔を形成するように、平坦化層8及び一部の金属犠牲層13の材料をエッチングし、有機材料層を仕切るための仕切り溝123を形成するように、一部の金属犠牲層13の材料を除去する。当該プロセスにより仕切り溝を形成することもできて、有機材料層の仕切りを実現し、パッケージ効果を向上させる。同時に、仕切り溝を形成するように、一部の金属犠牲層の材料を除去し、具体的には、
図6又は7に示すように、表示パネル100に垂直する積層方向において、仕切り溝123は、基板1に近い第1仕切り溝1231及び基板1から離れる第2仕切り溝1232を備え、有機材料層10が第1仕切り溝1231において仕切られるように、第1仕切り溝1231の最大寸法は第2仕切り溝1232の基板1に近い側の切欠の寸法より大きく、具体的には、基板1からパッケージ層11までの積層方向において、第1仕切り溝1231の断面形状は六角形であり、且つ仕切り溝123の底部に接続される仕切り溝123の側壁と仕切り溝123の底部の平面の夾角は>90°である。この時、金属犠牲層は三層構造を備え、例えば当該三層構造の材料はチタン/アルミニウム/チタン(Ti/Al/Ti)であり、異なるエッチング選択比により、アルミニウム金属層のエッチング速度がチタン金属層のエッチング速度よりも大きいことを実現し、即ち第1仕切り溝1231の断面形状が六角形であり、且つ仕切り溝123の底部に接続される仕切り溝123の側壁と仕切り溝123の底部の平面の夾角が>90°であることを実現することができ、パッケージ効果を効果的に向上させ、水や酸素の侵入を防止することができる。
【0048】
任意選択で、第2仕切り孔を形成する前に、以下のステップを更に含む。
【0049】
仕切り領域内に位置する平坦化層8上にピクセル定義層9が形成され、金属犠牲層13の一部を露出させて、第2仕切り孔を形成するように、ピクセル定義層9、平坦化層8及び一部の金属犠牲層13の材料をエッチングする。これは、ピクセル定義層の材料が仕切り溝内に堆積されるため、有機材料層を効果的に仕切ることができないことを防止する。
【0050】
更に、有機材料層10を仕切るように、隣接する仕切り溝123の間に仕切りリング113を形成し、亀裂をブロックする効果も得られる。
【0051】
任意選択で、金属犠牲層13の材料は、チタン及び/又はアルミニウムを含む。好ましくは、チタン層、アルミニウム層及びチタン層の三層構造の金属犠牲層を形成するように、第1仕切り溝内にチタン、アルミニウム及びチタンを順次に充填する。
【0052】
更に、金属犠牲層とアレイ構造層の金属リード層は同じプロセスステップでは形成される。当該金属リードは、スキャンライン及びデータラインを含む。
【0053】
更に、
図2に示すように、製造方法は、以下のステップを更に含む。
【0054】
基板上に緩衝層を形成し、仕切り溝123の少なくとも一部は緩衝層を貫通する。
【0055】
好ましくは、緩衝層は、基板1に近い第1無機層2及び基板1から離れる第2無機層3を備え、仕切り溝123は第2無機層3を貫通する。即ち、仕切り溝の底部が第1無機層2を露出させ、パッケージ層11が第1無機層2に直接接触することにより、膜層の付着力を高めることができる。
【0056】
好ましくは、表示パネル100の製造方法は、以下のステップを更に含む。
図9eに示すように、パッケージ層11を製造した後に、表示パネル100の開孔領域102に、表示パネルを貫通する、カメラ又はイヤホンなどの機能素子を取り付けるための取付孔を設ける。
【0057】
図3に示すように、アレイ構造層は、積層して設けられる、緩衝層の第2無機層3上に位置する半導体層(P-Si)、半導体層上に位置するゲート絶縁層4、ゲート絶縁層4上に位置するキャパシタ絶縁層5、キャパシタ絶縁層5上に位置する層間誘電体層6、層間誘電体層6上に位置する平坦化層8、平坦化層上8上に位置するピクセル定義層9を備える。ピクセル回路層は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、略称はTFT)のソース(S)、ドレイン(D)及びゲート(M1)を含み、ゲート(M1)は、ゲート絶縁層4とキャパシタ絶縁層5との間に位置し、ソース(S)及びドレイン(D)は半導体層(P-Si)層と接触する。ピクセル回路層のキャパシタは、第1極板(M1)及び第2極板(M2)を含み、第1極板(M1)は、キャパシタ絶縁層5と層間誘電体層6との間に位置し、第2極板(M2)は、ゲート絶縁層4とキャパシタ絶縁層5との間に位置する。半導体層の材質はP-Si又はα-Siであり、半導体層の厚さは45~55nmであり、ゲート絶縁層4の厚さは95~105nmであり、材質は酸化ケイ素又はジルコニアであり、ゲート(M1)の厚さは245~255nmであり、キャパシタ絶縁層5の厚さは95~105nmである。ピクセル回路は、有機発光部材を駆動して発光させるために用いられる。
【0058】
平坦化層8に陽極12を形成し、表示領域に位置する平坦化層8及び陽極12にピクセル定義層9を形成し、少なくとも陽極12の一部を露出させてピクセル開口を形成するようにピクセル定義層9をエッチングし、ピクセル開口内に有機材料層が製造され、有機材料層に陰極を形成する。任意選択で、仕切り領域内に位置する平坦化層上にピクセル定義層9を形成してもよく、ピクセル定義層を形成しなくてもよく、表示パネルは、ピクセル定義層9に設けられるスペーサー(spacer、略称はSPC)を更に含み、スペーサーの高さは1400~1600nmであり、好ましくは1500nmであり、有機発光材料を蒸着する時にマスク板を支持するために用いられる。
【0059】
本願は表示パネル、その製造方法及び表示装置を提供し、表示パネルは、カメラなどの機能素子を取り付けるための取付孔を有し、取付孔の周りに仕切りリング及び仕切り溝を設け、仕切りリング及び仕切り溝により、開孔領域と表示領域との間の有機材料層の仕切りを実現し、水や酸素が表示パネルの表示領域に侵入することを防止し、表示パネルの耐用年数及び表示効果を向上させ、また、仕切り溝を設けることにより亀裂をブロックする役割を果たすこともできる。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルであって、基板を備え、
前記基板は、表示領域と、前記表示領域内に位置する開孔領域と、前記開孔領域を取り囲む仕切り領域とを備え、前記仕切り領域には少なくとも前記開孔領域の周りに設けられた1つの仕切りリングが設けられ、前記仕切りリングの少なくとも片側には仕切り溝が設けられ、
前記仕切り溝は、前記基板から離れる側に設けられた第3仕切り溝、第1仕切り溝及び第2仕切り溝を備え、前記第3仕切り溝、第1仕切り溝及び第2仕切り溝は互いに連通し、前記第1仕切り溝は、前記第2仕切り溝及び前記第3仕切り溝の側壁における有機材料層を仕切る、表示パネル。
【請求項2】
前記表示パネルに垂直する積層方向において、前記第3仕切り溝、前記第1仕切り溝及び第2仕切り溝は、前記基板の表面から離れる側に沿って設けられ、
前記第1仕切り溝の前記基板から離れる側の切欠の寸法は、前記第2仕切り溝の前記基板に近い側の切欠の寸法より大きく、前記第1仕切り溝の前記基板に近い側の切欠の寸法は、前記第3仕切り溝の前記基板から離れる側の切欠の寸法より大きいである、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記表示パネルに垂直する積層方向において、前記第1仕切り溝の断面形状は、逆台形又は六角形であり、前記第1仕切り溝、第2仕切り溝及び第3仕切り溝のうちの各仕切り溝の側壁とそれぞれの底部が位置する平面との夾角は>90°である、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記開孔領域内には、前記表示パネルを貫通する取付孔が設けられ、前記取付孔は、機能素子を取り付けるためのものであり、前記仕切り溝は、前記取付孔の周りに設けられ、前記仕切りリングは、有機材料層を仕切るように前記仕切り溝と前記取付孔との間に設けられ
るか、又は有機材料層を仕切るように、前記取付孔の周りに少なくとも2つの前記仕切りリングが設けられる請求項1に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記表示パネルは、更に、前記基板に設けられるアレイ構造層を備え、前記仕切り溝の少なくとも一部が前記アレイ構造層内に設けられ
、
前記基板と前記アレイ構造層との間に緩衝層が設けられ、前記仕切り溝の少なくとも一部が前記緩衝層を貫通し、前記仕切り溝の溝底部に接触するパッケージ層材料と前記緩衝層の材料は同種材料である、請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記緩衝層は、前記基板に近い第1無機層及び前記基板から離れる第2無機層を備え、前記仕切り溝は、前記第2無機層を貫通し、前記仕切り溝の溝底部に接触するパッケージ層材料と前記第1無機層の材料は同種材料である、
請求項5に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記パッケージ層は薄膜パッケージ層であり、前記薄膜パッケージ層は、順次に積層して設けられる第3無機層、有機層及び第4無機層を備え、前記第4無機層は、前記有機材料層に近く且つ前記有機材料層を覆い、前記第4無機層と前記仕切り溝の溝底部の材料は同種材料である、
請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
表示パネルの製造方法であって、
表示領域、前記表示領域内に位置する開孔領域、及び前記開孔領域を取り囲む仕切り領域を備える基板を提供するステップと、
前記基板にアレイ構造層を形成し、前記仕切り領域内には、前記基板に平行な方向に沿って間隔をおいて設けられた少なくとも2つの金属犠牲層を予め設け、金属犠牲層を前記第2仕切り孔の側壁に露出させるように、隣接する前記金属犠牲層の間に第2仕切り孔を形成するステップと、
前記金属犠牲層を除去し、少なくとも一部が前記アレイ構造層内に位置する少なくとも1つの仕切り溝を形成するステップと、
前記アレイ構造層及び前記仕切り溝内に有機材料層を形成し、前記有機材料層は、除去された前記金属犠牲層において切断されているステップと、を含む、表示パネルの製造方法。
【請求項9】
金属犠牲層を形成するステップは、
少なくとも1つの第1仕切り孔を形成するように、前記仕切り領域内のアレイ構造層中に穿孔し、前記第1仕切り孔内に金属材料が充填されて金属犠牲層を形成することを含
み、
金属犠牲層を露出させるステップは、
前記アレイ構造層に平坦化層を形成すること、
前記金属犠牲層の一部を露出させて、第2仕切り孔を形成するように、前記平坦化層及び前記金属犠牲層材料の一部をエッチングすることを含み、
前記第2仕切り孔を形成する前に、更に、
前記仕切り領域内に位置する前記平坦化層にピクセル定義層を形成すること、
前記金属犠牲層の一部を露出させて、第2仕切り孔を形成するように、前記ピクセル定義層、前記平坦化層及び前記金属犠牲層材料の一部をエッチングすることを含み、
前記金属犠牲層と前記アレイ構造層の金属リード層は、同じプロセスステップで形成される、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記製造方法は、更に、
前記基板に緩衝層を形成し、少なくとも一部の前記仕切り溝が前記緩衝層を貫通することを含
み、
前記緩衝層は、前記基板に近い第1無機層及び前記基板から離れる第2無機層を備え、前記仕切り溝は、前記第2無機層を貫通する、請求項8又は9に記載の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本願は、表示装置の技術分野に関し、特に表示パネルとその製造方法に関する。
【国際調査報告】