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特表2022-523986中間体化合物2-クロロ-5-メチル-4-ピリジナミンを使用した、2-クロロ-5-メチル-4-ニトロ-ピリジン-1-オキシドからの4-アミノ-5-メチル-1H-ピリジン-2(1H)-オン(MRアンタゴニストフィネレノンを合成するための中間体化合物)の合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】中間体化合物2-クロロ-5-メチル-4-ピリジナミンを使用した、2-クロロ-5-メチル-4-ニトロ-ピリジン-1-オキシドからの4-アミノ-5-メチル-1H-ピリジン-2(1H)-オン(MRアンタゴニストフィネレノンを合成するための中間体化合物)の合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/73 20060101AFI20220420BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220420BHJP
【FI】
C07D213/73
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552653
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 EP2020055292
(87)【国際公開番号】W WO2020178175
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】19160904.9
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(71)【出願人】
【識別番号】514298139
【氏名又は名称】バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・プラツェク
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ロヴィス
【テーマコード(参考)】
4C055
4H039
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA42
4C055CA02
4C055CA06
4C055DA27
4C055FA11
4C055FA31
4C055FA34
4C055FA37
4H039CA71
(57)【要約】
本発明は、MRアンタゴニストフィネレノンの調製における中間体である、式(I)の4-アミノ-5-メチルピリドン
を調製する新規な改良された方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のプロセス中間体4-アミノ-5-メチルピリドン
【化1】
を調製する方法であって、クロロ-メチル-アミノピリジン(2)
【化2】
をオートクレーブ中で、メタノール中KOHと反応させる、方法。
【請求項2】
前記反応を160℃~200℃の範囲内の温度で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応を180℃の温度で行う、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
プロセス中間体クロロ-メチル-アミノピリジン(2)
【化3】
を調製する方法であって、式(3)のニトロ-N-オキシド
【化4】
の水素化が白金触媒上で行われる、方法。
【請求項5】
炭素粉末上0.8%白金および0.6%モリブデンが前記白金触媒として使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
炭素粉末上1%白金および2%バナジウムが前記白金触媒として使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
炭素粉末上0.5%白金および0.3%モリブデンが前記白金触媒として使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
式(I)のプロセス中間体4-アミノ-5-メチルピリドンを調製する方法であって、
以下のステップa)およびb):
a)式(3)のニトロ-N-オキシドを請求項4から7のいずれか一項に記載の白金触媒上で水素化して、式(2)のクロロ-メチル-アミノピリジンを得るステップ、および
b)請求項1から3のいずれか一項に記載の得られた式(2)の中間体クロロ-メチル-アミノピリジンを、オートクレーブ中でメタノール中KOHとその後反応させるステップ
を含む方法。
【請求項9】
炭素粉末上0.8%白金および0.6%モリブデンがステップa)の前記白金触媒として使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
炭素粉末上1%白金および2%バナジウムがステップa)の前記白金触媒として使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
炭素粉末上0.5%白金および0.3%モリブデンがステップa)の前記白金触媒として使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)で、前記反応を160℃~200℃の範囲内の温度で行う、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)で、前記反応を180℃の温度で行う、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
4-アミノ-5-メチルピリドンを調製する新規な方法
本発明は、式(I)の4-アミノ-5-メチルピリドン
【化1】
を調製する新規な改良された方法に関する。
【0002】
式(I)の4-アミノ-5-メチルピリドンは、高温のオートクレーブ中で、クロロ-メチル-アミノピリジン(2)をメタノール中KOHと反応させることによって調製される。
【化2】
【0003】
本発明はまた、クロロ-メチル-アミノピリジン(2)
【化3】
を調製する方法に関する。
【0004】
この方法では、式(3)のニトロ-N-オキシド
【化4】
を白金触媒上で水素化して、クロロ-メチル-アミノピリジン(2)を得る。本発明の方法では、ニトロ-N-オキシド(3)から出発して、2つの化学ステップを介して、標的化合物(I)を高純度(99%超)で84%の全体収率で調製することが可能である。
【化5】
【背景技術】
【0005】
式(I)の化合物は、フィネレノン(II):
【化6】
を調製するための重要な中間体である。
【0006】
フィネレノン(II)は、ミネラルコルチコイド受容体の非ステロイドアンタゴニストとして作用し、心不全および糖尿病性腎症などの心血管および腎障害を予防および/または治療するための薬剤として使用することができる。
【0007】
式(II)の化合物およびその調製方法は、国際公開第2008/104306号パンフレットおよびChemMedChem 2012、7、1385、およびまた国際公開第2016/016287号パンフレット(Bayer Pharma AG)に記載されており、両公報は研究合成の詳細な議論を開示している。その中に記載されている合成の欠点は、多くのステップが非常に高い希釈度で、非常に多過剰の試薬を用いて、したがって、比較的低い全体収率で進行するので、この合成がさらなる工業規模プロセスに適していないという事実である。
【0008】
したがって、工業規模で実行することができ、低い製造コストおよび高い純度で式(I)のプロセス中間体を高い全体収率で再現可能に与え、活性物質を用いた臨床試験を提供し、その後の承認申請に使用するために、全ての規制要件を満たす合成が必要であった。
【0009】
化合物(I)の調製は、Synthesis、765頁(1984)(実施例3c)に記載されている。塩化マロニルおよびプロピオニトリルから出発して、クロロピリジン塩酸塩を理論値の40%の収率で得て、次いで、これをPd/Cで直接水素化する:理論値の86%。2つのステップにわたる全体収率は理論値の34.4%である。
【化7】
【0010】
Synthesisの刊行物の実施例1cに記載されているヒドロキシピリドン(III)から出発し、沸騰ベンジルアミン(IV)中での反応により化合物(V)が得られる。次いで、化合物(V)中のベンジル基が、パラジウム/炭素上での接触水素化によって加水分解的に切断される。2つのステップにわたる全体収率は理論値の62.4%である。
【化8】
【0011】
この方法の欠点は、極めて大過剰のベンジルアミンの使用である:30 mmolの式(III)の化合物について、化合物(III)に基づいて9.17倍過剰である30ml(275.2mmol)が使用される。過剰なベンジルアミンのリサイクルは面倒であり、かなりのコストを伴う。反応は沸騰ベンジルアミン(185℃)中で行われ、反応時間は36時間である。このような高温は、標準的な撹拌装置では実用的ではなく、特別な技術装置を必要とする。この手順を繰り返すと、副産物(VI)が特に観察され、これは(III)の前駆体からの微量のパラジウムに起因する:
【化9】
【0012】
過酷な反応条件下では、ベンジルイミンへの脱水素化が起こり、次いで、これがベンズアルデヒドに分解され(反応中に水が形成される)、ベンズアルデヒドが式(III)の化合物と縮合して式(VI)の化合物を形成する。この副産物は、特にバッチのスケールアップ時に形成され(最大10%超)、式(I)の化合物まで持ち越される。室温に冷却し、沈殿した結晶をメチルエチルケトンおよびo-ジクロロベンゼンで洗浄し、次いで、o-ジクロロベンゼンから再結晶することによって反応溶液を後処理する。ここでもまた、塩素系溶媒を省き、より環境に優しい変種を追求することが有利であろう。
【0013】
その後の脱ベンジル化は、200ml中2.14gの化合物(V)である200ml中、10mmolの氷酢酸中で行われる。これは、93.45倍過剰に相当し、これは、1 kgの(V)に対して93.45 Lの酢酸が必要となることを意味する。これらは、工業プロセスにとって問題外の莫大に大過剰である。さらに、10mmolの(V)の転化には、600mgの炭素Pd触媒(10%および30%)が使用される。これは、1kgの化合物(V)を脱ベンジル化するために、280gの触媒が必要となることを意味する。これもまた、工業的および経済的観点から非実用的である。後処理のために、触媒を濾別し、濾液を蒸発乾固させ、トルエンとの共沸によって微量の酢酸を除去し、残渣をアセトンまたはメチルエチルケトンに溶解し、濾過する。撹拌装置は蒸発乾固しないため、アップスケーリングする場合、このプロセスは技術的に実行不可能である。さらに、単離には3種の異なる溶媒が必要である。次いで、強く着色した反応生成物をクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH 1:1)によってさらに精製するが、これは可能であれば工業規模プロセスで回避する必要がある他のものである。塩化マロニルから出発する、4つの化学ステップにわたる全体収率は、理論値の21.4%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2008/104306号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/016287号パンフレット
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】ChemMedChem 2012、7、1385
【非特許文献2】Synthesis、765頁(1984)
【発明の概要】
【0016】
本発明によって対処される課題は、式(II)の化合物、フィネレノンを調製するための中間体としてのプロセス中間体4-アミノ-5-メチルピリドンの代替合成、特に工業規模で容易に実行可能であり、費用対効果が高く、大過剰の溶媒を回避し、より環境に優しい試薬を使用する方法を開発することであった。
【0017】
本発明により、上記の欠点を回避することを可能にする、非常に効率的な合成が見出された。文献で公知のクロロ-メチル-アミノピリジン(2)から出発して、
【化10】
酸性または塩基性のいずれかの条件下で、高温のオートクレーブ中で化合物(2)を反応させることによって標的化合物(I)が得られる。メタノール中NaOHとの同様の反応は、Tetrahedron 55(1999)、11 985頁に記載されている。生成物をクロマトグラフィーによって精製する。残念ながら、これらの条件下での化合物2の反応によって、標的化合物(I)と2-メチルエーテル(7):
【化11】
の混合物が得られた。
【0018】
この混合物はクロマトグラフィーによってのみ分離することができた。
【0019】
驚くべきことに、水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウム(KOH)を使用すると、標的化合物への転化が非常に円滑に進行する。次いで、反応はまた、メチルエーテル(7)が副産物として得られることなく、溶媒としてのメタノール中で進行する。純粋なメタノールを溶媒として使用することが好ましいが、水性メタノールを使用することも可能である。反応は、160~200℃の温度、好ましくは180℃のオートクレーブ中で行われる。反応時間は、選択された温度に応じて15~48時間である、すなわち、とりわけ、より高温では、反応時間がより短くなる傾向がある。後処理のために、反応混合物を鉱酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸、好ましくは塩酸で中和し(およそpH7まで)、次いで、少量に濃縮し、エタノールに添加することによって水を共沸的に除去する。最後に、これをメタノール中で再蒸留し、塩を濾別する。これを少量に濃縮し、水で再蒸留する。再結晶のために、これを(出発材料2に基づいて)体積量の約3倍に濃縮する。0℃に冷却した後、生成物を、例えば濾過によって単離し、必要に応じて少量の冷水で洗浄し、減圧下、高温(30~70℃)で乾燥させる。
【0020】
したがって、本発明は、式(I)のプロセス中間体4-アミノ-5-メチルピリドンを調製する方法であって、オートクレーブ中で、クロロ-メチル-アミノピリジン(2)をメタノール中KOHと反応させることを特徴とする、方法を提供する。
【0021】
好ましい実施形態では、本方法が、160℃~200℃の温度、特に180℃で実行される。
【0022】
本発明のさらなる態様は、クロロ-メチル-アミノピリジン(2)を調製する新規な方法である:
【化12】
【0023】
この方法では、Pt触媒を使用することにより、ニトロ基とニトロ-N-オキシドが同時に還元される。この種の置換パターンを有するピリジンにおける、この種の接触水素化反応は、文献にはまだ記載されていない。
【0024】
化合物2の調製は文献(国際公開第2005/100342号パンフレット)から公知であり、2のデスメチル化合物も同様に公知であり、同様の方法(Tetrahedron 55(1999)、1195頁)によって調製されるが、そこに記載されている方法の工業規模への移行(アップスケーリング)は、酸性条件下、好ましくは酢酸下で元素亜鉛または鉄を用いて作業することを含むため困難である。水素化触媒としてのラネーニッケルの使用も同様に可能であるが、ラネーニッケル廃棄物は極めて自然発火性であるため、アップスケーリングは問題である。さらに、強い発熱性は反応を制御するのが容易ではないことを意味するため、工業的実施も安全上の課題である。さらに、後処理は非常に困難で面倒になり、その上、処理しなければならない大量の金属塩廃棄物を生成し、これは、このような生成物をトンスケールで製造する場合には重大である。
【0025】
2-クロロ置換ピリジン誘導体の還元において一般的に起こる副反応は、塩素原子の水素への付随する還元である(化合物4)。
【化13】
【0026】
この副反応は、この新規な本発明の方法には存在しないか、またはごくわずかな程度(1%未満)しか観察されず、したがって当業者には驚くべきことであり、予想外である。反応は、好ましくはプロトン性溶媒、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、n-プロパノールおよびn-ブタノールなどのアルコール中で行われる。しかしながら、THF、ジオキサンおよび2-メチル-THFなどの溶媒を使用することも可能である。場合によっては、水の添加が有利となり得る。
【0027】
使用される触媒は、好ましくは白金含有触媒である。以下の白金触媒が使用され得る:
【0028】
【表1】
【0029】
炭素粉末上0.8% Pt+0.6% Mo(BASF製)を使用することが特に好ましい。水素化中の水素圧力は、2~7バール、好ましくは2~5バールの間、より好ましくは3バールであるべきである。温度は20~50℃の間であるべきであるが、好ましくは25~30℃の間、より好ましくは30℃であるべきである。反応時間は10~30時間、好ましくは18~22時間である。
【0030】
単離のために、触媒を濾別し、溶液を少量に濃縮し、次の反応の溶媒、好ましくはメタノールで再蒸留する。粗生成物を次の反応に直接使用することが有利である。反応は定量的に進行する。
【0031】
ニトロ-N-オキシド(3)の調製は、例えば、Heterocycles、第78巻、第11号、2009、2811頁または国際公開第2005/100342号パンフレットに記載されているように、文献から公知である。
【0032】
Heterocycles、第78巻、第11号、2009では、化合物3の調製についての以下の収率が記載されている;2ステップにわたる理論値の全体収率64%。
【化14】
【0033】
本発明はさらに、ニトロ-N-オキシド(3)を白金触媒上で水素化することによってプロセス中間体クロロ-メチル-アミノピリジン(2)を調製する方法を提供する。
【0034】
好ましい実施形態では、炭素粉末上0.8%白金(Pt)+0.6%モリブデン(Mo)が触媒として使用される。
【0035】
さらに好ましい実施形態では、炭素粉末上1%白金(Pt)+2%バナジウム(V)が触媒として使用される。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、炭素粉末上0.5%白金(Pt)+0.3%モリブデン(Mo)が触媒として使用される。
【0037】
新規な本発明の方法では、ニトロ-N-オキシド(3)から出発して、2つの化学ステップ
【化15】
を介して、標的化合物(I)を高純度(99%超)で84%の全体収率で調製することが可能である。この方法のさらなる利点は、化合物(2)をさらに精製することなく、化合物(I)に直接転化することができることである。
【0038】
新規な方法の収率を文献から公知のものと組み合わせると、安価で商業的に非常に容易に入手可能な2-クロロメチルピリジン(5)から出発して、理論値の54%の全体収率が達成され、これはSynthesisに記載される先行技術の方法と比較して収率がおよそ2.5倍改善されている。
【0039】
本発明はさらに、式(I)のプロセス中間体4-アミノ-5-メチルピリドンを調製する方法であって、中間体ニトロ-N-オキシド(3)を最初に白金触媒上で水素化し、次いで、オートクレーブ中で、得られた中間体クロロ-メチル-アミノピリジン(2)をメタノール中水酸化カリウム(KOH)と反応させることを特徴とする、方法を提供する。
【0040】
以下の段落は、本発明の実施形態に関する:
1.式(I)のプロセス中間体4-アミノ-5-メチルピリドン
【化16】
を調製する方法であって、オートクレーブ中で、クロロ-メチル-アミノピリジン(2)
【化17】
をメタノール中KOHと反応させることを特徴とする、方法。
【0041】
2.160℃~200℃の温度で実行されることを特徴とする、段落1に記載の方法。
【0042】
3.プロセス中間体クロロ-メチル-アミノピリジン(2)
【化18】
を調製する方法であって、ニトロ-N-オキシド(3)
【化19】
を白金触媒上で水素化することを特徴とする、方法。
【0043】
4.炭素粉末上0.8%白金+0.6%モリブデンが触媒として使用されることを特徴とする、段落3に記載の方法。
【0044】
5.炭素粉末上1%白金+2%バナジウムが触媒として使用されることを特徴とする、段落3に記載の方法。
【0045】
6.炭素粉末上0.5%白金+0.3%モリブデンが触媒として使用されることを特徴とする、段落3に記載の方法。
【0046】
7.式(I)のプロセス中間体4-アミノ-5-メチルピリドンを調製する方法であって、ニトロ-N-オキシド(3)中間体を最初に白金触媒上で水素化し、次いで、オートクレーブ中で、得られたクロロ-メチル-アミノピリジン(2)中間体をメタノール中KOHと反応させることを特徴とする、方法。
【0047】
実施例
実施例1 2-クロロ-5-メチルピリジン-4-アミン(化合物2)の調製
クロスビームスターラーを備えたガラス圧力反応器に、アルゴン下、2-クロロ-5-メチル-4-ニトロ-1-オキシドピリジン-1-イウム(化合物3、Heterocycles、第78巻、第11巻、2009、2811頁)29g(153.788 mmol)および水素化触媒(活性炭上0.8% Ptおよび0.6% Mo(D505A-105 炭素粉末上0.8% Pt+0.6% Mo、BASF))2.9gを装入し、エタノール320 mlを添加した。反応器を閉じ、それぞれ3バールのアルゴン過圧で3回不活性化した。次いで、水素化を、3バールの水素過圧下、30℃で20時間行った(転化率>98%)。反応器をアルゴンで不活性化し、反応溶液を、珪藻土10gを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮乾固した。
収量:23.0g(定量的、生成物はまだエタノールを含有していた)、純度:97.5%(HPLC)
MS(EIpos):m/z=143[M+H]+
1H-NMR(300 MHz、DMSO-d6):δ=1.96(s,3H)、6.16(br s,2H)、6.50(s,1H)、7.68(s,1H)
【0048】
同様に、活性炭上0.8% Ptおよび0.3% Moからなる触媒を用いておよそ98%の転化率が達成された。活性炭上1% Pt+2% Vの使用は、およそ87%の転化率を達成した。
【0049】
実施例2 4-アミノ-5-メチル-1H-ピリジン-2-オン(I)の調製
圧力反応器に、メタノール40 ml中実施例1の標記化合物(化合物2)4.0gを装入し、水酸化カリウム(KOH)12.5gを添加した。次いで、これを16時間180℃に加熱した(圧力は12.5バールまで上昇)。これを放冷した。
【0050】
反応を、それぞれ実施例1の標記化合物4.0 gを用いて5回行い、冷却後に反応溶液を合わせた。
【0051】
後処理:混合物を、冷却しながら、25%塩酸水溶液およそ100mlでpH 7.0に調整し、次いで、減圧下で蒸発乾固し、残渣をそれぞれエタノール50mlと5回共沸した(減圧下で蒸発乾固して、微量の水を除去した)。メタノール400mlを蒸発残渣に添加し、混合物を撹拌した。塩(KCl)を濾別し、メタノール25mlずつで2回洗浄した。濾液を減圧下で濃縮乾固した。蒸発残渣を水60mlから再結晶した。0℃に冷却した後、沈殿した結晶を濾別した。次いで、湿潤生成物を減圧下、30℃で乾燥させた。
収量:13.5g(理論値の77.53%);HPLCによる純度:99.1%
【0052】
さらに1.10g(理論値の6.32%)を母液から単離し、それによって、理論値のおよそ84%の全収収率を達成した。
MS(EIpos):m/z=125[M+H]+
1H-NMR(300MHz、DMSO-d6):δ=1.81(s,3H)、2.54(s,1H)、5.24(s,1H)、5.79(s,2H)、6.85(s,1H)、10.27(br s,1H)
【0053】
上に記載されていることから、これまでに利用可能な方法が、
(1)多段階合成が行われる、
(2)式(VI)(最大10%超)、式(4)および/または式(7)の副産物が形成され、これは式(I)の化合物中の調製中に不純物として生じ、面倒なクロマトグラフィープロセスによって除去する必要がある、
(3)ベンジルアミンが極めて大過剰で使用され、そのリサイクルが面倒であり、かなりのコストを伴う、
(4)このような高温は標準的な撹拌装置では実用的ではなく、特別な技術装置を必要とするので、反応を185℃で、36時間の反応時間で沸騰ベンジルアミン中で行う必要がある、
(5)環境に優しくない塩素系溶媒を使用する、および
(6)大量の炭素Pd触媒を使用する必要があり、その分離および処理は面倒であるだけでなく、工業規模合成ではほとんど実用的でない
という欠点を有することが明らかである。
【0054】
対照的に、本発明の方法は、これらの欠点を回避し、以下の効果および利点を達成する:
(1)方法/合成は、式(I)の化合物または式(2)の化合物を得るために必要なステップがより少ない、
(2)式(I)の化合物が、精製することなく直接高純度で得られる、
(3)式(VI)、(4)および/または(7)の化合物が不要な副産物として形成されない、
(4)先行技術に記載されているようなクロマトグラフィー分離は必要とされず、したがって、この新規な本発明の方法が大規模生産のためのアップスケーリングに関して非常に魅力的となる、
(5)溶媒、特に塩素系溶媒の繰り返し使用を部分的または全体的に排除することができ、本発明の方法がはるかに環境に優しくなる、ならびに
(6)必要とされる反応時間がはるかに短い、および/または必要とされる反応温度がはるかに低い。
【0055】
全体として、本発明の方法は、クロマトグラフィーを使用しない非常に効率的でより短い合成となり、アップスケーリングにも適している。本発明の方法では、ニトロ-N-オキシド(3)から出発して、2つの化学ステップを介して、標的化合物(I)を高純度(99%超)で84%の全体収率で調製することが可能であった。
【国際調査報告】