(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】電気機械要素、アクチュエータ、駆動装置、及びモータの動作方法
(51)【国際特許分類】
H02N 2/06 20060101AFI20220420BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H02N2/06
H01L41/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552702
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020055668
(87)【国際公開番号】W WO2020178320
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102019001579.7
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】コチ、ブルハネッティン
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681BB02
5H681BB13
5H681DD23
5H681DD39
5H681FF25
5H681FF37
(57)【要約】
本発明は、電圧により変形可能な第一の制御セクション(A1)を第一の電圧信号(S10)により制御することによって、電気機械要素上に配置され、かつ被駆動要素(90)と摩擦接触するように設けられた摩擦要素の調整運動を発生させるステップと、電圧により変形可能な第二の制御セクション(A2)を、第一の電圧信号(S10)と比較して周波数が高い信号区間(S21)を含む第二の電圧信号(S20)により制御するステップとを含む電気機械要素の動作方法、アクチュエータ、アクチュエータを備える駆動装置、及び駆動装置と被駆動要素とを備えるモータに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械要素の動作方法であって、
電圧により変形可能な第一の制御セクション(A1)を、第一の電圧信号(S10)により制御することによって、前記電気機械要素上に配置され、かつ被駆動要素(90)と摩擦接触するように設けられた摩擦要素の調整運動を発生させるステップであって、前記第一の電圧信号(S10)は、経時的に絶対量に従って立ち上がる複数の信号エッジ(S11)と、絶対量に従って立ち下がる複数の信号エッジ(S12)とを含み、立ち上がり信号エッジと立ち下がり信号エッジは時間的に相互に交互であり、立ち上がり信号エッジの後、及び後続の立ち下がり信号エッジの前に、又はその逆に、経時的に信号エッジの形状とは異なり、好ましくは、時間依存勾配を含む、非ゼロの時間間隔(t
z)を有する中間信号区間(S13)が存在する、前記調整運動を発生させるステップと、
電圧により変形可能な第二の制御セクション(A2)を第二の電圧信号(S20)により制御するステップであって、第二の電圧信号は、周波数が前記第一の電圧信号(S10)と比較して少なくとも10倍高い信号区間(S21)を含み、かつ時間的に、前記第一の電圧信号(S10)の信号中間区間(S13)の前記時間間隔(t
z)内で始まり、少なくとも一部が、時間的に前記信号中間区間に続く信号エッジ上に延びる、前記制御するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記信号中間区間(S13)は、最大10度である時間依存勾配を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の電圧信号(S20)の前記信号区間(S21)は、前記信号中間区間(S13)の前記時間間隔t
zの10%以上及び90%以下が経過した後か、又は前記時間間隔が終了する前50%で始まる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の電圧信号(S20)の前記信号区間(S21)は、隣接する及び時間的に後続する信号中間区間(S13)の中、その時間間隔t
z内で延びるか、又は時間間隔t
zの終了までに終了する、請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の電圧信号(S20)の前記信号区間(S21)は正弦波である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第二の電圧信号(S20)の前記信号区間(S21)の最大振幅は、前記第一の電圧信号(S10)の最大振幅の50%以下である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第一の制御セクション(A1)の前記制御は、前記第一の電圧信号(S10)による複数の第一の制御サブセクションの同時制御であり、前記複数の第一の制御サブセクションは前記第一の制御セクション(A1)を形成し、かつ長手方向(L)において相互に前後に位置付けられ、
前記第二の制御セクション(A2)の前記制御は、前記第二の電圧信号(S20)による幾つかの第二の制御サブセクションの同時制御であり、前記幾つかの第二の制御サブセクションは前記第二の制御セクション(A2)を形成し、かつ前記長手方向(L)において相互に前後に位置付けられる、請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の制御セクション(A1)の前記制御と同時に、電圧により変形可能な第三の制御セクション(A3)が前記第一の電圧信号(S10)により制御され、前記第三の制御セクションは、前記第二の制御セクション(A2)が前記第一及び第三の制御セクション(A3)間に位置付けられるように配置される、請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
第三の制御セクション(A3)の制御は、前記第一の電圧信号(S10)による複数の第三の制御サブセクションの同時制御であり、前記複数の第三の制御サブセクションは前記第三の制御セクション(A3)を形成し、かつ長手方向において相互に前後に配置される、請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の前記方法を使用するのに適したアクチュエータ(1)であって、
長手方向(L)に延び、かつ電圧により変形可能な第一の制御セクション(A1)であって、第一の外面と、2つの端面(11、12)とによって画定される第一の変形体(D1)であって、前記2つの端面(11、12)が相互に反対側にあり、前記2つの端面(11、12)の間に前記第一の外面(10)が前記長手方向に沿って延びる、前記第一の変形体(D1)と、前記長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極(E1、E2)であって、一方の作動電極は励起電極(E1)として動作し、かつ第一の端面(11)に配置され、他の作動電極は共通電極(E2)として動作し、かつ第二の端面(12)に配置される、前記2つの作動電極と、を含む前記第一の制御セクション(A1)と、
長手方向(L)に延び、かつ電圧により変形可能な第二の制御セクション(A2)であって、前記第一の変形体(A1)上に前記長手方向(L)に配置される第二の変形体(D2)であって、第二の外面(20)と、2つの端面(21、22)とによって画定され、前記2つの端面(21、22)が相互に反対側にあり、前記2つの端面(21、22)の間に前記第二の外面(20)が前記長手方向に沿って延びる、前記第二の変形体(D2)と、前記長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極(E1、E2)であって、一方の作動電極は励起電極(E1)として動作し、かつ前記第一の端面(21)に配置され、他方の作動電極は共通電極(E2)として動作し、かつ前記第二の端面(22)に配置される、前記2つの作動電極(E1、E2)と、を含む前記第二の制御セクション(A2)と、
前記第一の外面(10)の第一の接続区間(16)に配置され、前記第一の制御セクション(A1)の前記励起電極(E1)に電気的に接続される第一の制御電極(15)と、
前記第一の制御電極(15)から電気的に分離され、前記第二の外面(20)の第二の接続区間(26)に配置され、前記第二の制御セクション(A2)の前記励起電極(E1)に電気的に接続される第二の制御電極(25)と、
前記第一の外面(10)及び前記第二の外面(20)に配置され、前記第一の制御電極(15)から分離され、前記第二の制御電極(25)から分離され、前記第一及び前記第二の変形体(D1、D2)の前記共通電極(E2)に電気的に接続される基準電極(5)と、を備えるアクチュエータ(1)。
【請求項11】
長手方向(L)に延び、かつ電圧により変形可能な第三の制御セクション(A3)であって、前記第二の制御セクションの(A2)片側に位置付けられており、この側は、前記長手方向(L)に関して前記第一の制御セクション(A1)の側とは反対側に位置付けられている、前記第三の制御セクション(A3)をさらに備え、前記第三の制御セクション(A3)が、
第三の外面(30)と、2つの端面(31、32)とによって画定される第三の変形体(D3)であって、前記2つの端面(31、32)が相互に反対側にあり、前記2つの端面(31、32)の間に前記第三の外面(30)が前記長手方向に沿って延びる、前記第三の変形体(D3)と、前記長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極(E1、E2)であって、一方の作動電極は励起電極(E1)として動作し、かつ前記第一の端面(31)に配置され、他方の作動電極は共通電極(E2)として動作し、かつ前記第二の端面(32)に配置される、前記2つの作動電極(E1、E2)と、
前記第三の外面(30)の第三の接続区間(36)に配置され、前記第三の制御セクション(A3)の前記励起電極(E1)に電気的に接続される第三の制御電極(35)と、
を含み、
前記基準電極は前記第三の変形体(D3)の前記第三の外面(30)に追加的に配置され、前記第三の制御電極(35)から分離され、前記第二の制御電極(25)から分離され、及び前記第三の変形体(D3)の前記共通電極(E2)に電気的に接続される、
請求項10に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項12】
前記第三の制御電極(35)は、前記第一の制御電極(15)と一体の部品に形成される、請求項11に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項13】
前記制御セクション(A1、A2、A3)の少なくとも1つは、幾つかの制御サブセクション(A11、A12、A13、A21、A22、A23、A24、A31、A32、A33)の連続で形成され、前記制御サブセクションの各々は、前記長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極(E1)と、前記長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極(E2)と、前記板状励起電極(E1)と前記板状共通電極(E2)との間に前記長手方向に位置付けられ、かつ電気機械的、特に圧電材料で製作された層(P)とから形成され、前記層(P)は、個々に前記励起電極(E1)と前記共通電極(E2)との間に位置付けられる、請求項10又は12に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項14】
変形体(D1、D2、D3)の少なくとも1つは均質の、電気的に変形可能な材料から形成される、請求項10乃至13の何れか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項15】
摩擦要素(F)は、前記長手方向(L)に向く前記第一の制御セクション(A1)または前記第二の制御セクション(A2)の端区間に配置される、請求項10乃至14の何れか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項16】
駆動装置(K)であって、請求項10乃至15の何れか1項に記載のアクチュエータ(1)と、少なくとも一部が弾性を有するように形成される保持装置(40)とを備え、前記アクチュエータ(1)は、前記保持装置(40)内に保持され、好ましくはその中に締結される、駆動装置(K)。
【請求項17】
前記保持装置(40)は、前記アクチュエータ(1)を少なくとも部分的に取り囲む締め付けフレーム(41)として実現される、請求項16に記載の駆動装置(K)。
【請求項18】
モータ(M)であって、請求項16又は17に記載の駆動装置(K)と、前記駆動装置(K)に関して移動可能に支持され、かつ前記アクチュエータ(1)に配置された摩擦要素(F)と摩擦接触する被駆動要素(90)とを備えるモータ(M)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械要素、アクチュエータ、アクチュエータを備える駆動装置、並びに駆動装置及び被駆動要素を備えるモータの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、静止状態に取り付けられた第一のアクチュエータと、第一のアクチュエータの上に位置付けられ、被駆動要素と接触するように提供された第二のアクチュエータを有する駆動装置を開示している。2つの方向は相互に対して垂直である。第一のアクチュエータは、対称性の三角波電圧を受ける。立ち上がり又は立ち下がり範囲内で、第二のアクチュエータは高周波数電圧を受け、それによりこの時間範囲内に第二のアクチュエータ内又は第二のアクチュエータと被駆動要素との間の界面において生成される振動により、第二のアクチュエータと被駆動要素との間の摩擦係数を低減させることができ、それによって第二のアクチュエータと被駆動要素との間の摺動相対運動を関連する時間範囲内に実現することができる(滑動状態)一方、高周波数電圧が第二のアクチュエータに印加されない、三角波電圧の他のそれぞれの時間範囲では、第二のアクチュエータと被駆動要素との間の摩擦係数は低減されず、被駆動要素が優勢な摩擦(すなわち、静止摩擦)によって第一のアクチュエータにより起こされる第二のアクチュエータの運動に追従する(吸着状態)ように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電気機械要素、アクチュエータ、このようなアクチュエータを備える駆動装置、及びこのような駆動装置を備えるモータの、それらによって被駆動要素を所定の正確さで位置決めすることができる動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立特許請求項の特徴により達成される。他の実施形態は、それぞれの場合に独立項を引用する従属項に明記されている。
本発明によれば、方法が提供され、方法は、
電圧により変形可能な第一の制御セクションを、第一の電圧信号により制御することによる、電気機械要素上に配置され、かつ被駆動要素と摩擦接触するように設けられた摩擦要素の調整運動を発生させるステップであって、第一の電圧信号は、経時的に絶対量に従って立ち上がる複数の信号エッジと、絶対量に従って立ち下がる複数の信号エッジとを含み、立ち上がり信号エッジと立ち下がり信号エッジは時間的に相互に交互であり、立ち上がり信号エッジの後、及び後続の立ち下がり信号エッジの前に、又はその逆に、経時的に信号エッジの形状とは異なり、好ましくは、時間依存勾配を含む、非ゼロの時間間隔を有する中間信号区間が存在する、調整運動を発生させるステップと、
電圧により変形可能な第二の制御セクションを第二の電圧信号により制御するステップであって、第二の電圧信号は、周波数が第一の電圧信号と比較して少なくとも10倍高い信号区間を含み、かつ時間的に、第一の電圧信号の信号中間区間の時間間隔tz内で始まり、少なくとも一部が、時間的に信号中間区間に続く信号エッジ上に延びる、制御するステップと、を含む。
【0006】
特に、本発明は電気機械要素又はアクチュエータの動作方法に関する。
本発明による方法の実施形態において、信号中間区間は、最大10度である時間依存勾配を含むことができる。
【0007】
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号の信号区間が、信号中間区間の時間間隔tzの10%以上及び90%以下が経過した後か、又はその時間間隔が終了する前50%で始まることができる。
【0008】
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号の信号区間は、隣接する及び時間的に後続する中間区間の中、その時間間隔tz内で延びるか、又は時間間隔tzの終了までに終了することができる。
【0009】
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号の信号区間は正弦波とすることができる。
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号の信号区間の最大振幅は、第一の電圧信号の最大振幅の50%以下とすることかできる。
【0010】
本発明による方法の実施形態において、
第一の制御セクションの制御は、第一の電圧信号による複数の第一の制御サブセクションの同時制御であり、複数の第一の制御サブセクションは第一の制御セクションを形成し、かつ長手方向において相互に前後に位置付けられ、
第二の制御セクションの制御は、第二の電圧信号による幾つかの第二の制御サブセクションの同時制御であり、複数の第二の制御サブセクションは第二の制御セクションを形成し、かつ長手方向において相互に前後に位置付けられることができる。
【0011】
本発明による方法の実施形態において、第一の制御セクションの制御と同時に、電圧により変形可能な第三の制御セクションが第一の電圧信号により制御され、第三の制御セクションは、第二の制御セクションが第一及び第三の制御セクション間に位置付けられるように配置されることができる。
【0012】
本発明による方法の実施形態において、第三の制御セクションの制御は、第一の電圧信号による複数の第三の制御サブセクションの同時制御であり、複数の第三の制御サブセクションは第三の制御セクションを形成し、かつ長手方向において相互に前後に位置付けられることができる。
【0013】
本発明によれば、アクチュエータが提供され、アクチュエータは、
長手方向に延び、かつ電圧により変形可能な第一の制御セクションであって、第一の外面と、2つの端面とによって画定される第一の変形体であって、2つの端面が相互に反対側にあり、2つの端面の間に第一の外面が長手方向に沿って延びる、第一の変形体と、長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極であって、一方の作動電極は励起電極として動作し、かつ第一の端面に配置され、他の作動電極は共通電極として動作し、かつ第二の端面に配置される、2つの作動電極と、を含む第一の制御セクションと、
長手方向に延び、かつ電圧により変形可能な第二の制御セクションであって、第一の変形体上に長手方向に配置される第二の変形体であって、第二の外面と、2つの端面とによって画定され、2つの端面が相互に反対側にあり、2つの端面の間に第二の外面が長手方向に沿って延びる、第二の変形体と、長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極であって、一方の作動電極は励起電極として動作し、かつ第一の端面に配置され、他方の作動電極は共通電極として動作し、かつ第二の端面に配置される、2つの作動電極と、を含む第二の制御セクションと、
第一の外面の第一の接続区間に配置され、第一の制御セクションの励起電極に電気的に接続される第一の制御電極と、
第一の制御電極から電気的に分離され、第二の外面の第二の接続区間に配置され、第二の制御セクションの励起電極に電気的に接続される第二の制御電極と、
第一の外面及び第二の外面に配置され、第一の制御電極から分離され、第二の制御電極から分離され、第一及び第二の変形体の共通電極に電気的に接続される基準電極と、を含む。
【0014】
本発明によるアクチュエータは、本発明による方法の実施形態を使用するのに特に適している。また、アクチュエータが本発明による方法を実行するように実現されるようになすこともできる。
【0015】
本発明によるアクチュエータの実施形態において、アクチュエータは、
長手方向に延び、電圧により変形可能である第三の制御セクションであって、第二の制御セクションの片側に位置付けられており、この側は、長手方向に関して第一の制御セクションの側とは反対側に位置付けられている、第三の制御セクションをさらに備え、第三の制御セクションが、
第三の外面と、2つの端面とによって画定される第三の変形体であって、2つの端面が相互に反対側にあり、2つの端面の間に第三の外面が長手方向に沿って延びる、第三の変形体と、長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極であって、一方の作動電極は励起電極として動作し、かつ第一の端面に配置され、他方の作動電極は共通電極として動作し、かつ第二の端面に配置される、2つの作動電極と、
第三の外面の第三の接続区間に配置され、第三の制御セクションの励起電極に電気的に接続される第三の制御電極と、を含み、
基準電極は第三の変形体の第三の外面に追加的に配置され、第三の制御電極から分離され、第二の制御電極から分離され、及び第三の変形体の共通電極に電気的に接続される。
【0016】
本発明によるアクチュエータの実施形態において、第三の制御電極は、第一の制御電極と一体の部品に形成することができる。
本発明によるアクチュエータの実施形態において、制御セクションの少なくとも1つは幾つかの制御サブセクションの連続で形成されることができ、制御サブセクションの各々は、長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極と、長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極と、板状励起電極と板状共通電極との間に長手方向に位置付けられ、電気機械的、特に圧電材料で製作される層とから形成され、層(P)は、個々に励起電極と共通電極との間に位置付けられる。
【0017】
本発明によるアクチュエータの実施形態において、変形体の少なくとも1つは均質の、電気的に変形可能な材料から形成できる。
本発明によるアクチュエータの実施形態において、摩擦要素は、長手方向に向く第一の制御セクションまたは第二の制御セクションの端区間に配置することができる。
【0018】
本発明によれば、本発明によるアクチュエータの実施形態を備え、且つ保持装置を備える駆動装置が提供され、保持装置は、少なくとも一部が弾性を有するように形成され、アクチュエータは保持装置内に保持され、好ましくはその中に締結される。
【0019】
本発明による駆動装置の実施形態において、保持装置は、アクチュエータを少なくとも部分的に取り囲む締め付けフレームとして実現できる。
本発明によれば、本発明の実施形態による駆動装置を備え、且つ被駆動要素を備えるモータが提供され、被駆動要素は、駆動装置に関して移動可能に支持され、かつアクチュエータに配置された摩擦要素と摩擦接触する。
【0020】
下記のような添付の図面を参照しながら本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】各々が変形体を有する2つの制御セクションの群を含み、2つの制御電極と1つの基準電極を含み、2つの制御電極が図中に示される、本発明によるアクチュエータの実施形態の斜視図を示す。
【
図2】
図1の見る方向とは反対の見る方向に基づく
図1のアクチュエータの実施形態の別の斜視図を示し、基準電極は
図2に示される。
【
図3】
図1の2つの変形体に関する、非動作状態での均一変形ブロックとして示されるFEMモデルを示す。
【
図4】
図3による変形ブロックの収縮状態の、収縮状態がその長手方向に関するFEMシミュレーションを示す。
【
図5】
図3による変形ブロックの膨張状態の、膨張状態がその長手方向に関するFEMシミュレーションを示す。
【
図6】各々が変形体を有する3つの制御セクションの群を含み、2つの制御電極と1つの基準電極を含み、
図6では2つの制御電極が示される、本発明によるアクチュエータの実施形態の斜視図を示す。
【
図7】
図1の見る方向とは反対の見る方向に基づく
図6のアクチュエータの実施形態の別の斜視図を示し、
図7では基準電極が示される。
【
図8】
図6のアクチュエータの実施形態の変形型である、3つの制御電極と1つの基準電極の群を含む本発明によるアクチュエータの別の実施形態の斜視図を示す。
【
図9】3つの制御セクションを有するアクチュエータの実施形態のための制御装置の概略的機能図を示し、アクチュエータが分解図で示され、機能図は2つの電圧信号による制御を示す。
【
図10】
図6又は
図8によるアクチュエータの別の実施形態のための制御装置及びこのアクチュエータの概略機能図を示し、アクチュエータは分解図で示され、機能図は2つの電圧信号による制御を示す。
【
図11】
図6又は
図8の実施形態によるアクチュエータがそれによって本発明の方法に従って動作する第一及び第二の電圧信号の例示のための2つの電圧-時間の図を示す。
【
図12】
図11の第一及び第二の電圧信号の重畳から得られる電圧信号の和が示される電圧-時間の図である。
【
図13-14】
図13は、
図11の第一の電圧信号が時間セグメントと共に示される電圧-時間の図を示し、
図14は、
図12の電圧信号の和が時間セグメントと共に示される電圧-時間の図を示す。
【
図15】
図11の電圧信号とは異なる第一及び第二の電圧信号の例示のための2つの電圧-時間の図を示す。
【
図16】
図15の第一及び第二の電圧信号の重畳から得られる電圧信号の和が示される電圧-時間の図を示す。
【
図17】本発明によるアクチュエータ、保持装置、摩擦要素、及び被駆動要素を備える本発明によるモータの実施形態の斜視図を示す。
【
図20】
図8によるアクチュエータを備える本発明によるモータの実施形態の斜視図を示す。
【
図22】
図20のモータの実施形態の、保持装置の方向から下から見た斜視図を示す。
【
図23】
図20~22に示される駆動装置の実施形態の、被駆動要素が追加的に示される斜視図を示す。
【
図24】
図20~23に示される駆動装置の実施形態の側面図を示す。
【
図25】
図20~23に示される駆動装置の実施形態の平面図を示す。
【
図26】
図20~23に示される駆動装置の実施形態の斜視図を示す。
【
図27】アクチュエータと、アクチュエータが組み込まれた保持装置を備える本発明による駆動装置の別の実施形態の、駆動装置が中立変形状態にあるときの側面図を示す。
【
図28】駆動装置が中立変形状態にあるときの、
図27の駆動装置の別の側面図を示す。
【
図30】
図8によるアクチュエータと
図27による保持装置を備える駆動装置の、駆動装置が中立変形状態にあるときの斜視図を示す。
【
図31】本発明による駆動装置の、駆動装置が
図8によるアクチュエータを有する別の実施形態の斜視図を示す。
【
図32】
図31の駆動装置の、駆動装置が中立変形状態にあるときの側面図を示す。
【
図35】
図31~34による駆動装置の第一の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図36】
図31~34による駆動装置の、
図35による第一の変形状態と反対又は逆である第二の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図37】駆動装置が相互に横並びの
図8による2つのアクチュエータを含む駆動装置の別の実施形態の、アクチュエータが中立変形状態にあるときの斜視図を示す。
【
図40】
図37の駆動装置の実施形態を備える本発明によるモータの実施形態の斜視図を示す。
【
図42】第一の動作モードに関する
図39による駆動装置の第一の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図43】第一の動作モードに関する
図39による駆動装置の、
図31の変形状態の反対又は逆である第二の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図44】第二の動作モードに関する
図39による駆動装置の第一の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図45】第二の動作モードに関する
図39の駆動装置の、第二の変形状態の反対又は逆である第二の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明によるアクチュエータ1は、少なくとも2つの制御セクションA1及びA2の群から形成され、これらは各々、アクチュエータ1の長手方向Lに延び、長手方向Lに見たときに、相互に前後に配置される。アクチュエータ1は、電気機械的、及び好ましくは圧電要素として実現される。アクチュエータ1は、外部アクチュエータ外面FAと、2つのアクチュエータ端面FE1、FE2とにより画定され、2つのアクチュエータ端面FE1、FE2は、長手方向Lに関して相互に反対向きであり、2つのアクチュエータ端面FE1、FE2の間にアクチュエータ外面FAが長手方向Lに沿って延びる。
【0023】
図1及び2は、本発明によるアクチュエータ1の実施形態を示しており、これは2つのみの制御セクションA1、A2の群を含み、その各々がアクチュエータ1の長手方向Lに延び、長手方向Lに見たときに、相互に前後に配置される。
【0024】
第一の制御セクションA1は、第一の外面10と、2つの端面11、12とによって画定される第一の変形体D1であって、2つの端面11、12が長手方向Lに関して相互に反対向きであり、2つの端面11、12の間に第一の外面10が長手方向Lに沿って延びる、第一の変形体D1と、長手方向Lに対して横断方向に延びる少なくとも2つの作動電極E1、E2と、を含む。長手方向Lに形成される端面11、12は、アクチュエータ端面FE1としての第一の端面11と第二の端面12を含む。ある機能面において、本発明による制御機能に基づいて、作動電極E1、E2の第一の作動電極は、励起電極E1として第一の端面11に配置され、少なくとも1つの共通電極E2は、第二の端面12に配置される。第一の変形体D1の中に、長手方向に対して横断方向に延びる別の作動電極E1、Eであって、別の作動電極E1、Eは相互に離間されて配置され、別の作動電極E1、Eの間に電気機械的材料が位置付けられる、別の作動電極E1、Eを配置して、多層構造を実現することができる。この場合、本発明により提供される制御に応じて、励起電極E1と共通電極E2は、第一の端面11から第二の端面12へと長手方向Lに見たときに、少なくとも部分的に交互に配置することができる。第一の端面11を有する本明細書に記載の実施形態においては、これを第一のアクチュエータ端面FE1として実現できる。
【0025】
第二の制御セクションA2は、第二の外面20と、2つの端面21、22によって画定される第二の変形体D2であって、2つの端面21、22が長手方向Lに関して相互に反対向きであり、2つの端面21、22の間に第二の外面20が長手方向Lに沿って延びる、第二の変形体D2と、長手方向Lに対して横断方向に延びる少なくとも2つの作動電極E1、E2と、を含む。端面21、22は第一の端面21と、アクチュエータ端面FE2としての第二の端面22を含む。第一の制御セクションA1と同様に、ある機能面において、本発明による制御機能に基づいて、作動電極E1、E2の群から、励起電極としての機能を有する第一の電極E1は第一の端面21に配置され、少なくとも1つの共通電極E2は、第二の端面22に配置される。第二の変形体D2の中に、長手方向に対して横断方向に延び、かつ相互に離間される別の作動電極E1、E2と、それぞれの場合に、各々が別の作動電極E1、E2の間に配置される電気機械的材料の複数の介在層とが配置されて、多層構造が実現されてもよい。この場合、本発明により提供される制御に応じて、励起電極E1と共通電極E2は、第一の端面11から第二の端面12へと長手方向に見たときに、少なくとも部分的に交互に配置することができる。2つの制御セクションA1、A2を有するアクチュエータ1は長手方向Lに、それぞれアクチュエータ端面FE1及びFE1を形成する端面11、22間に延びる。
【0026】
図1及び2のアクチュエータ1は、第一の制御電極15と第二の制御電極25をさらに含み、これらはどちらもそれぞれ制御セクションA1及びA1に関して外部電極である。第一の駆動電極15は第一の外面10に配置され、第二の制御電極25は第二の外面20に配置される。制御電極15、25は、アクチュエータ1の外面上に、相互に電気的に分離されて位置付けられる。第一の制御電極15は、第一の外面10の第一の接続区間16に配置され、第一の制御セクションA1の少なくとも1つの励起電極E1に電気的に接続される。第二の制御電極25は、第二の外面20の第二の接続区間26に配置され、第二の制御セクションA2の少なくとも1つの励起電極E1に電気的に接続される。接続区間16及び26は相互に離間して配置される。
【0027】
アクチュエータ1は、基準電極5をさらに含み、これは第一の変形体D1の第一の外面10及び第二の変形体D2の第二の外面20上に配置され、かつ少なくとも一部が外面10、20の両方に、又は基本的に外面10、20の両方の上に延びる。基準電極5はしたがって、制御セクションA1、A2に関して外部電極である。基準電極5は、第一の制御電極15及び第二の制御電極25から電気的に分離され、第一及び第二の変形体D1及びD2の少なくとも1つの共通電極E2に電気的に接続される。
【0028】
本発明の実施形態は摩擦要素Fを含んでいてよく、摩擦要素Fは、長手方向Lを向いた作動表面1aに配置され、作動表面1aは、アクチュエータ1の第一の端面11の変形動作を引き継いで摩擦要素Fへと伝える。
【0029】
図17~26から分かるアクチュエータ1の実施形態に関して、摩擦要素Fは第一の制御セクションA1の第一の端面11に位置付けられ、これは作動表面1aである。摩擦要素Fは、直接又は間接に第一の端面11と接触していてよい。これに関して、「間接」とは、第一の端面11と摩擦要素Fとの間に作動表面1aとしての外面を有する中間層又は構造的コンポーネントが位置付けられてよく、中間層又は構造的コンポーネントは、第一の端面11の配向方向に沿って、又は長手方向Lに沿って配向され、アクチュエータ1の第一の端面11の変形を受けて、摩擦要素Fの位置及び場所を変化させる、ということを意味する。
【0030】
図17~26の実施形態において、長手方向Lにおいて見たとき、作動表面1aの反対側には、支持板42が第二のアクチュエータ端面FE2に配置されており、支持板42はアクチュエータ端面FE2に沿って配向された支持表面1bを含む。本発明の他の実施形態において、支持表面1bは、第二のアクチュエータ端面FE2とすることができるか、又は、例えば端面22若しくは32自体とすることができるか、又は第二の端面22若しくは32の上に若しくは第二の端面22または32に位置付けられた層若しくは第二の端面22または32上に位置付けられた構造的コンポーネントの外面とすることができ、支持表面1bは、第一の端面11の配向方向に沿って、又は長手方向Lに沿って配向される。
【0031】
図17~26による実施形態において、摩擦要素Fは長手方向LFに延びる。摩擦要素Fは、硬い耐摩耗性材料で製作されるか、又はそれからなることができる。材料は特に、セラミック材料、金属、若しくはプラスチック、又はこれらの材料の組合せから製作され、又はそれからなることができる。材料は、材料によってそれぞれの被駆動要素との摩擦接触を実現できるような方法で提供される。
【0032】
図3は、作動させることができ、均一な方法で形成される変形ブロックとしての
図1及び2による制御セクションA1、A2の組合せのFEMモデルを示し、
図4及び5はこのような変形ブロックの異なる変形状態を例示する。変形ブロックのこれらの変形状態は、摩擦要素Fを作動させるため、又はそれを所定の移動経路若しくは軌道に沿って移動させるために基準電極5に印加される基準電圧に関する電圧信号によって制御電極15及び25を適切に制御することにより、動的シーケンスで実現できる。摩擦要素Fは、相互作用するように被駆動要素90の摩擦表面と相互作用するために提供され、
図4及び5による各種の変形状態の動的シーケンスを生成するとき、被駆動要素90をアクチュエータ1に関して移動させることができる。
【0033】
図6及び7は、本発明によるアクチュエータ1の別の実施形態を示しており、これは3つの制御セクションA1、A2、A3の群を含み、制御セクションの各々はアクチュエータ1の長手方向Lに延び、制御セクションは長手方向Lに見たときに、相互に前後に配置される。
【0034】
この実施形態において、アクチュエータ1は、長手方向に延び、かつ電圧により変形可能な第三の制御セクションA3を追加的に含み、第二の制御セクションA2は第一の制御セクションA1と第三の制御セクションA3との間に位置付けられ、制御セクションA1、A2、及びA3は長手方向Lに見たときに相互に前後に位置付けられる。第三の制御セクションA3は第三の変形体D3を含み、第三の変形体D3は第三の外面30により、及び第一の端面31により、及び長手方向Lに関して第一の端面31の反対にある第二のアクチュエータ端面FE2としての第二の端面32により、並びに長手方向に対して横断方向に延びる少なくとも2つの作動電極E1、E2により画定される。第三の外面30は端面31、32間に長手方向Lに沿って延びる。作動電極E1、E2は、本発明により提供される制御によって、第一の端面31に配置された少なくとも1つの励起電極E1と、第二の端面32に配置された少なくとも1つの共通電極E2によって実現される。第三の変形体D3の中に、長手方向に対して横断方向に延びる別の作動電極E1、E2であって、別の作動電極E1、E2が相互に離間され、それぞれの場合に、別の作動電極E1、E2の間に位置付けられた電気機械的材料で製作された層を有する、別の作動電極E1、E2を配置して、多層構造を実現できる。この場合、本発明により提供される制御に応じて、励起電極E1及び共通電極E2は、第一の端面11から第二の端面12へと長手方向Lに見たときに少なくとも部分的に交互に配置することができる。
【0035】
図6及び7によるアクチュエータ1の実施形態は第三の制御電極35を含み、第三の制御電極35は第三の外面30の第三の接続区間36に配置され、第三の制御セクションA3の少なくとも1つの励起電極E1と電気的に接続される。それゆえ、接続区間16、26、及び36は相互に離間させることができる。
【0036】
第三の駆動電極35は、第一の制御電極15と電気的に接続できる。この目的のために、この電気的接続は外部配線により実現できる。代替案として、又は追加的に、
図6及び7によるアクチュエータ1の実施形態において提供されているように、第一の制御電極15と第三の制御電極35は、1つの部品として一緒に形成し、又は1つの部品として一緒に製作することができる。
【0037】
基準電極5は、第一、第二、及び第三の制御電極15、25、35から電気的に分離されて配置され、第一の変形体D1の、及び第二の変形体D2の、及び第三の変形体D3の少なくとも1つの共通電極E2に電気的に接続される。
図8によるアクチュエータ1の実施形態において、第一の制御電極15と第三の制御電極35は、別の部品として形成され、すなわち各々が1つの部品として形成され、したがって相互に離間して位置付けられる。或いは、
図8によるアクチュエータ1の実施形態は、
図6及び7によるアクチュエータ1の実施形態として形成される。
【0038】
特に、第一の制御電極15、第二の制御電極25、第三の制御電極35、及び基準電極5又は、これらの電極のうちの1つ若しくは複数は、それぞれの外面に堆積される層若しくはそれぞれの外面として、又は柔軟な板として実現されるか、若しくは柔軟性を有していない板として実現されてもよい。
【0039】
3つの制御セクションA1、A2、A3を有するアクチュエータ1は、それぞれアクチュエータ端面FE1及びFE1を形成する端面11、32との間に長手方向Lに延びる。
アクチュエータ1の1つの実施形態によれば、第一の変形体D1、第二の変形体D2、及び第三の変形体D3又はこれらの変形体のうちの1つ若しくは複数は各々、均質な電気的に変形可能な材料で製作され、すなわちバルクとして形成され、多層構造を含まずに形成される。バルクとして形成されるこのような変形体を有する制御セクションは少なくとも2つの作動電極E1、E2を含み、これらは特にそれぞれ、それぞれの変形体の、長手方向Lに相互に反対側に位置付けられた2つの端面のうちの1つに形成される。電極の一方又は両方はまた、バルク内に長手方向Lに相互に離して配置することもできる。
【0040】
アクチュエータ1の3つの変形体D1、D2、及びD3の各々がバルクとして実現される実施形態の一例が
図9に示されている。制御セクションA1、A2、A3の各々は2つの作動電極E1、E2を含み、そのうちの1つ目が、それぞれ変形体D1、D2、D2の、第一の端面に配置され、そのうちの2つ目が第二の端面に配置され、それによって信号発生装置Vにより対応する電圧信号が関連する作動電極E1、E2に印加されたときに、
それぞれの変形体を所定の方法で変形させる。
【0041】
その代替案として、又は追加的に、本発明によるアクチュエータ1において、制御セクションのうちの1つ、又はその制御セクションのうちの幾つかは、幾つかの制御サブセクションから形成することができ、制御サブセクションの各々は長手方向Lに対して横断方向に延び、長手方向Lにおいて次々に上の層の中に位置付けられる。各制御セクションは、長手方向に対して横断方向に延び、励起電極としての機能を有する板状作動電極から、長手方向に対して横断方向に延び、共通電極の機能を有する板状作動電極から、及びこれらの作動電極間に長手方向に位置付けられる圧電層から形成され、圧電層は電気機械的に変形可能である。
図10は、一例として、3つの制御セクションA1、A2、A3を含む実施形態を示しており、制御セクションの各々が幾つかの制御サブセクションから形成され、
第一の制御セクションA1は圧電層P11、P12、P13を有する制御サブセクションA11、A12、A13を含み、
第二の制御セクションA2は圧電層P21、P22、P23、P24を有する制御サブセクションA21、A22、A23、A24を含み、
第三の制御セクションA3は圧電層P31、P32、P33、P34を有する制御サブセクションA31、A32、A33、A34を含む。
【0042】
制御サブセクションA1、A2、A3の各圧電層は、サブセクション端面F1、F2を含み、これらは相互に反対側に位置付けられ、長手方向Lに対して横断方向に延び、長手方向Lに関して相互に反対向きである。作動電極E1、E2は、各サブセクション端面F1、F2上に位置付けられる。作動電極E1、E2は板若しくは層の形状を有していてよく、又は他の形状を有していてよく、例えばワイヤ区間として形成されてよい。制御サブセクションA1、A2、A3のうちの2つの制御セクション間には、電気機械的に変形可能ではない材料層も位置付けることができる。
【0043】
図10の参照番号を有する例として、アクチュエータ1の以下の代替案(a)、(b)、(c)のうちの1つ又は複数は一般に、信号発生装置Vが制御セクションに電気的に接続されている場合に実現できる。
【0044】
(a)第一の制御セクションA1は、幾つかの第一の制御サブセクションA11、A12、A13のシーケンスから形成され、その各々は、長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極、長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極、及びそれぞれ2つの内部電極間に長手方向に位置付けられる圧電層を有する。
【0045】
(b)第二の制御セクションA2は、幾つかの第二の制御サブセクションA21、A22、A23、A24のシーケンスから形成され、その各々は、長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極、長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極、及びそれぞれ2つの内部電極間に長手方向に位置付けられる圧電層を有する。
【0046】
(c)第三の制御セクションA3は、幾つかの第三の制御サブセクションA31、A32、A33のシーケンスから形成され、その各々は、長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極、長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極、及びそれぞれ2つの内部電極間に長手方向に位置付けられる圧電層を有する。
【0047】
この場合、(a)、(b)、又は(c)によって形成されない1つ又は複数の制御セクションは、バルク構成で形成されてよい。
本発明によるアクチュエータ1はまた、
図10に関して説明した特徴又は実施形態を有する代替案(a)、(b)、(c)の組合せによっても実現できる。
【0048】
アクチュエータ1は、その外側において部分的又は完全にコーティングされてよい。本発明により実現される、例えば少なくとも2つの制御セクションA1及びA2を有するアクチュエータ1において、信号発生装置Vにより生成され、それぞれ長手方向Lに隣接して存在する作動電極E1、E2間で作用する電圧信号による対応する制御によって、
図4及び5に示される変形状態を交互に発生させることができる。
【0049】
作動電極E1、E2は、本明細書に記載のアクチュエータ1の実施形態において、またその制御セクションにおいて様々な方法で実現できる。例えば、作動電極E1、E2は、板としての形状、層としての形状、直線区間としての形状、又は材料パッチとしての形状とすることができる。
【0050】
本発明によれば、アクチュエータ1は保持装置40内に保持されてよく、好ましくは、その中に構造的に一体化されてよく、アクチュエータ1は保持装置40と共に駆動装置Kを形成する。保持装置40は締め付けフレーム41として実現されてもよく、これは、少なくとも部分的に、弾性材料で製作されて形成され、その中でそれぞれのアクチュエータ1の制御セクションは弾力的に締結される。保持装置40がアクチュエータ1に付与する締結力又は圧縮力は、アクチュエータ1の長手方向Lに作用して、アクチュエータ1にこの方向への前負荷を付与する。このようにして、アクチュエータは圧縮応力を受けており、それゆえ膨張状態から収縮状態へとより素早く戻る。保持装置40は、好ましくは、アクチュエータ1の少なくとも片側において、アクチュエータ1の第一のアクチュエータ端面FEからその第二のアクチュエータ端面FE2までの距離に延在し、かつアクチュエータ1を少なくとも部分的に長手方向Lに取り囲むか、取り巻くか、又は把持するように実現される。
【0051】
本発明によれば、アクチュエータ1及び好ましくは、アクチュエータ1の長手方向Lにおいて相互に前後に配置される少なくとも2つの制御セクションA1、A2を有する前述の説明によるアクチュエータの動作方法が提供される。さらに、本発明によれば、本発明によるアクチュエータ1と、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fを含む駆動装置Kの動作方法が提供される。摩擦要素Fは、アクチュエータ1の第一の端面11上に直接、又は例えばそれらの間に存在する中間層若しくは構造的コンポーネントを介して間接的に配置でき、アクチュエータ1の変形動作は摩擦要素Fの位置及び向きにおいて対応する変化を引き起こす。アクチュエータ1の変形動作は、摩擦要素Fの位置における作動領域1aの位置の変化を引き起こし、これは例えば
図12、14、及び16において時間の関数として示されている。
図17~26の駆動装置Kの実施形態において、外側作動領域1aはその端面11、12上に位置付けられ、これはアクチュエータ1の長手方向Lに形成される。この端面は、アクチュエータ1の第一の制御セクションA1の端面11とすることができ、
図17~26において、この端面は参照記号「1a」により示される作動領域である。
図27~45では、作動表面は端面11上に配置される構造的コンポーネントの外面であり、構造的コンポーネントは保持装置として実現される。代替的又は追加的に、摩擦要素Fはまた、第一の端面11と反対向きの第二の端面若しくは第三の端面上に、又はその上に配置された層若しくは構造的コンポーネントの外面上に配置することもできる。
【0052】
特に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによるアクチュエータは少なくとも、電圧により変形可能であり、かつ第一の端面11を有する第一の制御セクションと、電圧により変形可能であり、かつ別の端面を有する第二の制御セクションで形成される。本発明によれば、駆動装置Kを形成するための摩擦要素Fは、第一の端面11又は他の端面上に位置付けられてよい。
【0053】
この場合、電圧により変形可能な第一の制御セクションA1は第一の電圧信号S10により制御され、時間セグメントにおいて重畳して、電圧により変形可能な第二の制御セクションA2は第二の電圧信号S20により制御される。
【0054】
第一の電圧信号S10は、絶対量に従って立ち上がる複数の信号区間又は信号エッジS11、絶対量に従って立ち下がる複数の信号区間又は信号エッジS12、及び各々が絶対量に従って立ち上がる1つの信号エッジS11と絶対量に従って立ち下がる1つの信号エッジS12との間に位置付けられる複数の中間信号区間S13で形成される。信号中間区間S13はゼロ以外の時間間隔tzにわたり延長する、すなわち換言すれば、時間間隔tzはゼロと等しくない量を含む期間にわたり延長する。
【0055】
第一の電圧信号S10は、絶対量に従って立ち上がる信号エッジと、絶対量に従って立ち下がる信号エッジを含む。「絶対量に従って立ち上がる」という表現は、これに関して、問題の信号が時間軸Tの方向の少なくとも一部において立ち上がること、すなわち電圧信号S10が正の勾配の信号エッジS11を有する第一の信号区間SA1を含むことを意味する。「絶対量に従って立ち下がる」という表現は、これに関して、問題の信号が時間軸Tの方向の少なくとも一部において立ち下がること、すなわち電圧信号S10が負の勾配の信号エッジS12を有する第二の信号区間SA2を含むことを意味する。第一の信号区間SA1と第二の信号区間SA2は、一般に、時間の経過において連続する、すなわち時間的に中断されない信号区間であるか、又は、時間的に不連続の、すなわち時間の経過において中断される信号区間であってよい。
【0056】
第一の信号区間SA1は必ずしも立ち上がり信号エッジS11からなるとはかぎらず、すなわちこれらは絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11のみから形成される必要はない。第一の信号区間SA1はまた、勾配を持たないサブセクション又は負の勾配を有するサブセクションも含んでいてよい。同様に、第二の信号区間SA2は必ずしも立ち下がり信号エッジS12からなるとは限らず、すなわちこれは絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12のみから形成される必要はない。第二の信号区間SA2はまた、勾配を持たないサブセクション又は負の勾配を有するサブセクションを有していてよい。
【0057】
しかしながら、本発明による第一の電圧信号S1の実施形態の第一の信号区間SA1は、特に、これらが本発明による定義に基づく立ち上がり信号エッジS11から形成され、又はそれのみからなるように定義されてもよい。代替的又は追加的に、本発明による第一の電圧信号S1の実施形態の第二の信号区間SA2は、これらが本発明による定義に基づく立ち下がり信号エッジS12から形成される、又はそれのみからなるように定義できる。
【0058】
本発明により定義される中間区間S13は、極大を形成するとともに、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11及び絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12の両方と、本発明による中間区間S13の信号波形が時間の経過により、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の信号波形及び絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12の信号波形のどちらとも異なるという点で、異なる。
【0059】
それに加えて、信号中間区間S13は、最大10度の値を有する時間依存勾配を有するという点で定義できる。追加的に、又はこれとは別に、時間の経過により信号中間区間S13の直前にある、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11は、10度より大きい値、及び好ましくは20度より大きい値を有すると定義することができる。また、追加的に、又はこれとは別に、信号中間区間S13の直後にある立ち下がり信号エッジS12の絶対値は、10度を超える値及び好ましくは20度を超える値を有すると定義することもできる。これらの変形型の場合、特に、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の時間的長さは信号中間区間S13の時間的長さより長いと定義することができる。これらの変形型において、特に、絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12の時間的長さは、信号中間区間S13の長さより長いと定義することもできる。
【0060】
本発明による方法において使用される第一の電圧信号S10の実施形態は、絶対量に従って立ち上がる複数の信号エッジS11を含み、その各々の時間的に直後に中間区間S13が続き、この中間区間S13の時間的に直後に、絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12が続く。この実施形態の一例が
図11に示されている。本発明によれば、第一の電圧信号S10が幾つかの信号区間群G1を含み、その各々が立ち上がり信号エッジS11、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く立ち下がり信号エッジS12の連続を含むことが重要である。本発明によれば、立ち上がり信号エッジS11、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く立ち下がり信号エッジS12の連続を含む、そのような信号区間群G1と、この信号区間の後に、時間的に次の立ち上がり信号エッジの順で発生するが、必ずしも同じような群の発生が必ずしも続くわけではない。第一の電圧信号S10の場合、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の後に、本発明により定義される中間区間S13を含まない他の信号エッジも続いてよい。さらに、第一の電圧信号S1では、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の時間的に直後に、立ち下がり信号エッジが続いてもよい。しかしながら、本発明による方法の実施形態によれば、第一の電圧信号S10はまた、相互に時間的に続く複数の信号区間群G1を含んでいてもよい。
【0061】
本発明による方法で使用される第一の電圧信号S10の実施形態は、信号区間群G1の時間的連続から形成されてよく、その各々は立ち上がり信号エッジS11、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く立ち下がり信号エッジS12からなり、各信号区間群G1は特に、のこぎり歯形状若しくは台形形状、又は基本的にこれらの形状の1つを有していてよく、これは、信号エッジS11、中間区間S13、及び信号エッジS12の各々が直線で形成されることを意味する。
【0062】
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号S20は少なくとも1つの比較的高周波数の信号区間S21を含む。この場合、第二の電圧信号S20は少なくとも1つの接続信号区間S22を含んでいてよく、これはそれぞれ2つの比較的高周波数の信号区間S21を接続する。
図11及び15に示されるように、接続信号区間S22は、時間が経っても一定であり、特に値ゼロを有する値を有していてよい。接続信号区間S22は代替的に、比較的低周波数の信号からなっても、又はこれから形成されてもよい。
【0063】
3つの制御セクションA1、A2、A3を含むアクチュエータ1の制御が、台形の波形の第一の電圧信号S10及び第二の電圧信号S20によって行われる、方法の実施形態の一例が
図11に示されている。第二の電圧信号S20の比較的高周波数の信号区間S21は中間区間S13で始まり、それぞれ隣接する立ち下がり信号エッジS12にわたって、及びまた、それぞれそれに隣接する中間区間S13の一部にわたって延びる。この制御の結果としての、時間の経過による第一の端面11又は作動領域1a上の基準位置の位置変化Uが
図12に示されている。
【0064】
図11の実施形態において、第一の電圧信号S10は追加的に、信号区間群G1の直接的に連続する連続から形成されるか、又は第一の電圧信号S10の開始点の異なる選択を伴う特別な場合には、信号区間群G2の直接的に連続する連続から形成される。
【0065】
図11に示される第一の電圧信号S10又はその信号区間群G1の場合、立ち上がり信号エッジS11は、立ち下がり信号エッジS12よりも小さい、絶対量に従う勾配を含む。このことから、時間が経過すると、信号区間群G1の中で、立ち上がり信号エッジS11中では立ち下がり信号エッジS12中より、アクチュエータ1の形状の状態の変化又は変形が時間的にゆっくりとなる。この場合、立ち上がり信号エッジS11の勾配の量は、これによって引き起こされるアクチュエータ1の形状の状態の変化の速度により、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に静止摩擦が生じるように設定される。この期間中に、アクチュエータ1の形状の状態の変化によって、被駆動要素90の摩擦表面90aに当たる摩擦要素Fの接触表面FKの位置(
図19)及び、それゆえ被駆動要素90の位置は、第一の駆動方向に変化し、これは、被駆動要素90が、存在する静止摩擦によって、摩擦要素Fの接触表面により引きずられるからである。このようにして、被駆動要素90の推進が第一の駆動方向に実現される。
【0066】
さらに、立ち下がり信号エッジS12の勾配の量は、それによって引き起こされるアクチュエータ1の形状の状態の変化の速度が比較的速いことにより、摩擦要素Fと摩擦表面90aとの間に静止摩擦が発生せず、摺動摩擦が得られるように設定される。立ち下がり信号エッジS12の時間区間中、被駆動要素90の摩擦表面90aと接触する摩擦要素Fの接触表面FKと摩擦表面90aとの間に発生する摩擦力に関する被駆動要素90の慣性が大きいため、アクチュエータ1の形状の状態及び摩擦要素Fの接触表面FKの位置の比較的急速な変化によって、接触表面FKと被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の相対運動及び、それゆえ摺動摩擦が得られる。この期間中、被駆動要素90は前進させられず、被駆動要素90の摩擦表面90aに関して摩擦要素Fの接触表面FKが戻る動作が発生する。信号エッジS12の時間的終了に到達した後、別の信号区間群G1の立ち上がり信号エッジS11が次に続いて、被駆動要素90をさらに前進させることができる。
【0067】
一般に、電圧信号S10が第一の駆動方向を実現する場合、信号区間群G1は以下のように実現される。
(a)第一の信号区間SA1は、作動表面1aの上に配置された摩擦要素Fと摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に静止摩擦状態が生じるような摩擦要素Fの移動速度が結果として得られる勾配を有する少なくとも1つの区間を含み、
(b)第二の信号区間SA2は、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に摺動摩擦状態が生じるような摩擦要素Fの移動速度が結果として得られる、各位置における絶対量に従う勾配を含む。
【0068】
摩擦要素Fが、アクチュエータ1が中立状態にあるときにその形状若しくはその向き又はその両方の点に関して中立状態を取るとする。第一の信号区間SA1及び第二の信号区間SA2のどちらにおいても、摩擦要素Fはその向き又はその形状の状態において、中立状態とは反対の運動状態にある。本発明による方法の実施形態において、第一の信号区間SA1及び第二の信号区間SA2との間に位置する中間区間S13は、アクチュエータ1の形状の状態の変化が生じないか、又は、生じるアクチュエータ1の形状の状態の変化が第一及び第二の信号区間SA1、SA2と比較して、有意に小さい信号区間である。中間区間S13の信号強度が印加されているとき、アクチュエータ1が第一の信号区間SA1又は第二の信号区間SA2で制御された後すぐに摩擦要素Fが再び運動状態とされる前に、摩擦要素Fの、及び任意選択的に摩擦要素Fと、アクチュエータ1がその中に受けられる保持装置とのそれぞれの瞬間的運動状態から中立状態への復帰が起こり得る。
【0069】
本発明による方法で使用される、被駆動要素90の第一の駆動方向を発生させるための第一の電圧信号S10の特別な実施形態は、第一の電圧信号S10の対応する開始点によって、複数の信号区間群G2を含み、各々が絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11からなり、立ち上がり信号エッジS11は、立ち下がり信号エッジS12より小さい、絶対量による勾配を有する。第一の電圧信号S10のこの実施形態において、このような信号区間群G2と、時間的にこの信号区間群の次の立ち下がり信号エッジが発生したとき、このような群の発生が必ずしも続くとは限らない。したがって、第一の電圧信号S10の場合、立ち下がり信号エッジS12の後に、本発明により定義される中間区間S13を有していない他の信号区間も時間的に続き得る。さらに、第一の電圧信号S1の場合、絶対量に従う立ち下がり信号エッジS12の時間的に直後に、立ち上がり信号エッジS11が続く可能性もある。しかしながら、本発明による方法の実施形態によれば、第一の電圧信号S10はまた、相互に時間的に続く複数のこのような群を有する可能性もある。信号区間群G2は特に、のこぎり歯形状又は台形形状を有することができる。
【0070】
図13及び14は、本発明による方法の実施形態に関して、例として、第二の電圧信号S20が、比較的高周波数の信号区間S21がアクチュエータ1に印加された電圧信号S10の時間的な中間区間S13の中ですでに発生し、その中の時間区間TVにわたって印加されるように切り替えられることを示している。さらに、電圧信号S20の信号区間S21は、次の中間区間でも、且つその中の期間TNにおいてのみ発生する。
図15において、3つの制御セクションA1、A2、A3を含み、第一の電圧信号S10と第二の電圧信号S20によりアクチュエータ1を制御する、本発明による方法の別の実施形態が示されている。
図15に示される第一の電圧信号S10又はその信号区間群G1の立ち上がり信号エッジS11は、絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12より大きい勾配を有する。それによって、時間の経過により、信号区間群G1内では、立ち上がり信号エッジS11中に、アクチュエータ1の形状状態又は変形は、立ち下がり信号エッジS12中より素早く変化する。この場合、立ち上がり信号エッジS11の勾配の量は、これによって引き起こされるアクチュエータ1の形状状態の変化の速度によって、作動表面1aの上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが接触する被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に静止摩擦が発生しないが、摺動摩擦状態が得られるように設定される。立ち上がり信号エッジS11の時間セグメントにおいて、被駆動要素90の摩擦表面90aと接触する摩擦要素Fの接触表面FKと摩擦表面90aとの間に発生する摩擦力に関する被駆動要素90の慣性は非常に大きく、アクチュエータ1の形状状態及び摩擦要素Fの接触表面FKの位置の比較的急速な変化により、接触表面FKと被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の相対運動が生じる。したがって、この時間セグメントでは、被駆動要素90の前進は起こらず、摩擦要素Fの接触表面FKと被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の相対運動が得られ、相対運動は駆動方向と反対向きであり、及び前進を発生させない。
【0071】
一般に、第二の駆動方向を実現するために、電圧信号S10の信号区間群G1は、以下のように実現される。
(a)第一の信号区間SA1は、少なくとも部分的に及び特に各位置において、作動表面1aの上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に摺動摩擦状態が発生するような摩擦要素Fの運動速度が得られる勾配を有し、
(b)第二の信号区間SA2は、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に静止摩擦状態が発生するような摩擦要素Fの運動速度が得られる勾配を有する少なくとも1つの区間を含む。
【0072】
この点で被駆動要素90の第二の駆動方向を発生させるために使用される第一の電圧信号S10の特別な変形型は、第一の電圧信号S10の対応する開始点を有して、複数の信号区間群G2を含み、その各々は絶対量に従う立ち下がり信号エッジS12、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く絶対量に従う立ち上がり信号エッジS11の連続からなり、絶対量に従う立ち上がり信号エッジS11は立ち下がり信号エッジS12より大きい勾配を有する。
【0073】
さらに、立ち下がり信号エッジS12の勾配の量は、これによって引き起こされるアクチュエータ1の形状状態の変化の速度がより低速であることにより、摩擦要素Fと摩擦表面90aとの間の静止摩擦が優勢となるように設定される。この時間区間において、アクチュエータ1の形状状態が変化すると、被駆動要素90の摩擦表面90aと当たる摩擦要素Fの接触表面FK(
図19)の位置及び、第一の駆動方向の反対の第二の駆動方向への被駆動要素90の位置が変化するが、これは、被駆動要素90が既存の静止摩擦によって摩擦要素Fの接触表面によって引きずられるからである。このようにして、立ち下がり信号エッジS12が印加されている間、被駆動要素90は、第一の駆動方向と反対向きの第二の駆動方向に前進し、これは
図11及び12において生成される信号により生じる。
【0074】
信号エッジS12の時間的終了に到達した後、今度は別の信号区間群G1の立ち上がり信号エッジS11が隣接してよく、それによって被駆動要素90はさらに前進する。
図13の実施形態において、第一の電圧信号S10は追加的に、直後に続く信号区間群G1の連続から形成される。
【0075】
第二の電圧信号S20の高周波数信号区間S21は、本発明による方法の実施形態においては、中間区間S13の時間間隔t
z内で始まり、その後の立ち上がり信号エッジS11に沿って、またそれぞれのその後の中間区間S13の一部に沿って延びる。第一の端面11上の基準点の、又は特に摩擦要素Fがその上に配置される作動表面1aの、この制御から得られる位置の変化Uが、
図16において時間に関して示されている。第一の電圧信号S10の中間区間S13中に第二の電圧信号S20を活性化することによって、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと、その上に摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の摩擦が低減化される。第二の電圧信号S20を、時間的に、それによって摩擦要素Fと摩擦表面90aとの間に静止摩擦及びしたがって摺動摩擦が発生しない勾配量の信号エッジを有する信号区間SA1、SA2の前の時点で起こる中間区間S13内で活性化することによって、このそれぞれの信号区間SA1、SA2の印加の前にすでに、摩擦要素Fと摩擦表面90aとの間の摩擦の低減化が引き起こされる。摩擦は、それぞれの信号区間SA1、SA2の時間的開始の時点ですでにこのように低減化されているため、最適化された方法で、摩擦要素Fが静止から摺動摩擦フェーズへの変化中に摩擦表面90aと共に移動しないことが確実となる。その結果、摩擦要素Fにより生成される被駆動要素90の運動の正確さが最適化される。
【0076】
本発明による方法の全ての実施形態において、第一の電圧信号S10の、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11は、線形に変化し、それゆえ正の、時間的に一定の勾配を有することができる。この場合、幾つかの群G1及びG2と、特に群G1の、及び群G2の、又は交互にG1及びG2の直接的連続は、線形に変化し、それゆえ正の、時間的に一定の勾配を有する立ち上がり信号エッジS11を有していてよい。立ち上がり信号エッジS11は各々が同じ勾配を有していてよい。
【0077】
この代替案として、又はそれに加えて、本発明による方法で使用される第一の電圧信号S10の実施形態は、絶対量に従って減少し、線形に変化し、それゆえ負の、時間が経過しても一定の勾配を有する信号エッジS12を含んでいてよい。幾つかの群G1及びG2と、特に群G1の、群G2の、又は交互に群G1及びG2の直接的連続は、線形に変化し、それゆえ負の、時間的に一定の勾配を有する立ち下がり信号エッジS12を含んでいてよい。この場合、立ち下がり信号エッジS12は各々、同じ勾配を有することができる。
【0078】
本発明による方法で使用される第一の電圧信号S10の実施形態は、線形に変化する中間区間S13を含んでいてよい。この場合、複数の群G1及びG2と、特に群G1の、群G2の、又は交互に群G1及びG2の直接的連続は、線形に変化する中間区間S13を含んでいてよい。それぞれの場合に、中間区間S13は、部分的にゼロの値を有するか、又は
図11~13の例に示されるように全体を通じてゼロの値の勾配を有する区間である。
【0079】
第二の電圧信号S20による第二の制御セクションA2の制御は、本発明によれば、時間的に第一の電圧信号S10の信号中間区間S13の時間間隔tz内で始まり、これは特に作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の相対運動を引き起こす信号エッジの前の時間区間TZによって位置付けられる。
【0080】
特に、第一の電圧信号S10の周波数が2つの信号中間区間S13の時間的連続から定義される場合、それぞれの場合に立ち上がり信号エッジS11の後、又はそれぞれの場合に立ち下がり信号エッジS12の後に、第二の電圧信号S20の周波数は、少なくともこれらの信号中間区間S13において、このように定義された第一の電圧信号S10の周波数と比較して少なくとも10倍高くてよい。
【0081】
一般に、第二の電圧信号S20の高周波数信号区間S21は正弦波であってよい。
本発明による方法の実施形態、特に方法の実施形態の前述の特徴の1つとの組合せによれば、第二の電圧信号S20は、信号中間区間S13の時間間隔tzの少なくとも10%及び最大で90%が経過した後に生じる時点で始まる。代替的又は追加的に、第二の電圧信号S20の開始は、信号中間区間S13の時間間隔の、その終了前50%にある時点で行われる。
【0082】
本発明による方法の実施形態、特に方法の実施形態の前述の特徴の1つとの組合せによれば、第二の電圧信号S20は、立ち上がり信号エッジS11を有する時間的に直後の、又は時間的に隣接する信号区間SA1にわたり、時間的に続く信号中間区間13まで中断せずに延び、特に、この信号中間区間13の時間間隔tz内の時間区間TNの満了又はその終了と共に終了する。さらに、本発明による方法の1つ実施形態、特に方法実施形態の前述の特徴のうちの1つに関連して、第二の電圧信号S20は、立ち下がり信号エッジS12を有する時間的に直後の、又は時間的に隣接する信号区間SA2にわたり、時間的に後続の中間信号区間13まで中断せずに続いてよく、この信号中間区間13の時間間隔tz内で、又はその終了と共に終了してよい。
【0083】
本発明による方法の実施形態、特に方法の実施形態の前述の特徴の1つとの組合せによれば、第二の電圧信号S20の最大振幅は第一の電圧信号S10の最大振幅の50%以下である。
【0084】
本発明による方法の別の実施形態、特に方法の前述の特徴の1つとの組合せによれば、以下が行われる。
(a)第一の制御セクションA1の活性化中、第一の制御セクションA1を形成し、かつ長手方向Lに相互に前後に位置付けられる複数の第一の制御サブセクションの、第一の電圧信号S10での同時活性化、
(b)第二の制御セクションA2の活性化中、第二の制御セクションA2を形成し、かつ長手方向Lに相互に前後に位置付けられる複数の第二の制御サブセクションの、第二の電圧信号S20での同時活性化。
【0085】
本発明による方法の別の実施形態、特に方法の別の実施形態の前述の特徴の1つとの組合せによれば、電圧により変形可能な第三の制御セクションA3の、第一の電圧信号S10での制御は、第一の制御セクションA1の第一の電圧信号による制御と同時に行われ、第三の制御セクションは、第二の制御セクションA2が第一及び第三の制御セクションA3間に位置付けられるように配置される。
【0086】
図17~19において、駆動装置Kの実施形態が示されており、これを以下、参照記号「K1」で呼ぶ。
図17の保持装置40の実施形態は、アクチュエータ1の第二のアクチュエータ端面FE2を受けるための受容部43、摩擦要素F又は第一の端面11を保持するための保持部44、及び相互に沿って延び、かつ受容部43と保持部44を接続する2つの接続部45、46を含む。保持装置40内のアクチュエータ1の位置により、駆動装置K1の中心軸Zが画定されてよく、これはアクチュエータ1の長手方向Lの方向に沿って、又は特にそれと平行に延びてよい。中心軸Zは取付装置40の対称軸又はその中央軸であってよい。
図17~26に関して説明する駆動装置Kの実施形態では、摩擦要素Fは第一のアクチュエータ端面FE1上に位置付けられ、これは外側作動表面1aである。作動表面1aはまた、第一のアクチュエータ端面FE1上に位置付けられる中間層又は構造的コンポーネントの外面とすることもできる。
図17~26の実施形態において、受容部43、保持部44、及び2つの接続部45、46は受容空間49を画定し、これはアクチュエータ1を摩擦要素Fと共に、又はアクチュエータ1のそれぞれの制御セクションを摩擦要素Fと共に保持する。アクチュエータ1は摩擦要素Fと共に長手方向Lに受容部43と保持部44との間に延びる。摩擦要素Fはそれゆえ、保持装置40の中又は受容空間47の中に配置される。
図17~26の実施形態において、摩擦要素Fはその長手方向LFに、第一のアクチュエータ端面FE1と保持部44との間の領域から、その長手方向LFがアクチュエータ1の長手方向Lに対して横断方向にあるように被駆動要素90の摩擦表面90aまで延び、摩擦表面90aは概して摩擦要素Fと対向する。
【0087】
駆動装置K1から分かるように、保持部44は外部から、長手方向Lに沿って延びる方向に摩擦要素Fを作動表面1aに押し付ける。
図4及び5に示される対応する電圧の印加によるアクチュエータ1の変形状態により引き起こされる作動表面1aの移動により、摩擦要素Fの対応する移動が得られ、それによって被駆動要素90を移動させることができる。
【0088】
本発明による、保持装置40を有するアクチュエータ1は、モータMの支持装置50の中に内蔵され、又はその中に組み込まれてよく、支持装置は空間的に固定されて配置され、すなわち空間参照系内で静止して配置される。アクチュエータ1が動的に変型し、その結果として作動表面1aが移動した場合、摩擦要素Fは支持装置50又は空間参照系に関して移動し、被駆動要素90の移動を引き起こし、これは摩擦要素Fと摩擦接触し、案内装置95によってあらかじめ決められた案内経路内で案内される。案内装置95は特に、参照系としての支持装置50に関して静止して配置される。
【0089】
図17による実施形態において、支持装置50は台板51を含み、これは特に支持板又は接続板の機能を有していてよい。
支持装置50はプレテンショニング装置60を含んでいてよく、これは駆動装置に、又は摩擦要素Fに、台板51から摩擦要素Fに向かう力を加え、摩擦要素Fを被駆動要素90に押し付ける。
図17の駆動装置Kの実施形態では、プレテンショニング装置60は板64又はばね板として実現され、第一の端部分65で台板61に取り付けられる。板64は支持装置50の台板51上に位置付けられ、駆動装置KがモータMに内蔵された場合、第一の端部分65の反対に位置する第二の端部分66が摩擦要素Fに当たり、圧縮力で摩擦要素Fを被駆動要素90に押し付ける。
図17に示されるように、アクチュエータ1は少なくとも一部を台板51の凹部57内に位置付けることができ、凹部はくぼみでも、又は被駆動要素90へと開放する貫通穴でもよく、板64は凹部57の縁部分から凹部57の中へと突出し、そこで第二の端区間66が摩擦要素Fに当たる。代替的又は追加的に、プレテンショニング装置60は圧縮ばねとして実現でき、これは台板51と摩擦要素Fとの間又は必要に応じて板64と摩擦要素Fとの間に位置付けられる。
【0090】
駆動装置K及び支持装置50を有するモータMが
図17~22に概略的に示されており、その各々の中にアクチュエータ1が概略的に示されている。支持装置50はまた、異なる方法でも、例えば取付装置としても実現できる。本明細書に記載のアクチュエータ1の実施形態は、本発明によれば、モータMに内蔵させ、又はその中に組み込むことができる。モータMは駆動装置K、被駆動要素90、及び台板51に構造的に静止して接続される案内装置95を含み、アクチュエータ1の変形と摩擦要素Fの移動により被駆動要素90を台板51に関して移動させることができる。
【0091】
図17~22は、アクチュエータ1が、長手方向Lに相互に前後に配置された3つの制御セクションA1、A2、A3に構造的に組み込まれたモータMの実施形態を示している。その中でこのようなアクチュエータ1と共に使用される駆動装置Kは、
図17~26の中で詳しく示されている。
図17~26に関して説明された実施形態では、摩擦要素Fは第一の制御セクションA1の、第一のアクチュエータ端面FE1としての第一の端面11に位置付けられ、これは、それゆえ外側作動領域1aである。
【0092】
別の実施形態において、摩擦要素Fは、作動表面1aとしての、保持装置40の保持部44の外面44a上に位置付けることができ、これは保持部44の、アクチュエータ1がその上に当たる内面44bと反対向きである。この点で、特に、摩擦要素Fが保持部44に締結されることができる。摩擦要素Fは、その長手方向LFが長手方向Lに対して横断方向に、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、被駆動要素90の摩擦表面90aへと延びる。
【0093】
これらの特徴を有する駆動装置Kの実施形態が
図27~30に示されている。これは以下、参照記号「K2」で呼ばれる。アクチュエータ1は、本明細書に記載の実施形態のうちの1つに従って実装できる。
【0094】
図27~30に示される駆動装置K2の実施形態は、保持装置240を含み、これは少なくとも部分的に長手方向Lに対して横断方向に延び、アクチュエータ1の支持表面1bとして第二のアクチュエータ端面FE2を受けるための受容部243と、少なくとも部分的に長手方向Lに対して横断方向に延び、摩擦要素Fを保持し、かつ第一のアクチュエータ端面FE1を受けるための保持部244と、長手方向Lに沿って延び、かつ受容部243と保持部244を接続する2つの接続部245、246を含む。受容部243、保持部244、及び接続部245、246は受容空間249を形成し、その中にアクチュエータ1が位置付けられる。摩擦要素Fは、作動表面1aとしての、保持装置240の保持部244の外面244aの上に位置付けられ、これはアクチュエータ1が当たる保持部244の内面244bと反対向きである。摩擦要素Fは、駆動装置K2がモータに内蔵されたときに、基準又は中立位置において、その長手方向LFが長手方向Lである状態で、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。
【0095】
摩擦要素Fの長手方向LFは、アクチュエータ1の長手方向Lに対して横断方向に、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びることも想定される。摩擦要素Fはまた、保持部244及び特に保持部244の内面244bとアクチュエータ1との間に配置されてもよい。
【0096】
アクチュエータ1の位置により、駆動装置K2の中心軸Zを画定でき、これはアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、又はその方向に延びることができる。中心軸Zは、取付装置240の対称軸又はその中心軸とすることができる。接続部245、246は中心軸Zに沿って延びる。接続部245、246は各々、外面245c及び246cを有し、これらはアクチュエータ1の長手方向L又は中心軸Zに沿って延び、相互に反対向きである。受容部243、保持部244、及び接続部245、246は、1つの部品として製造できる。代替的に、
図27~30に示されるように、保持部244は独自の第一の部分として使用でき、受容部243及び接続部245、246は独自の第二の部品として実現できる。保持装置240は、1つの接続部245又は246のみを含むように実現することもできる。受容部243と少なくとも1つの接続部245又は246は、独自の部品として実現できる。保持部244は板の形状で、又はウェブの形状で形成できる。受容部243及び少なくとも1つの接続部245又は246は全体として馬蹄形に形成できる。
【0097】
取付装置240は、締め付けフレーム241として実現でき、その中でそれぞれのアクチュエータ1の制御セクションが受容部243と保持部244との間に締結され、それによってアクチュエータ1に圧縮力の形態の締結力を加え、これはアクチュエータ1の長手方向Lに作用する。取付装置240のこの実施形態において、締結力により、アクチュエータ1は、例えば基準状態又は中立状態において、長手方向Lに関して所定の収縮状態に弾性的に付勢される。アクチュエータ1の弾性プレテンションは特に、保持部244が板の形状又はウェブの形状であることにより付与される。特に、保持部244は少なくとも部分的に弾性材料で形成できる。このプレテンションにより、アクチュエータ1は膨張状態から収縮状態へとより素早く復帰する。保持装置240は、作動表面1aから支持表面1bへと延び、アクチュエータ1を長手方向Lに取り囲むか、又は把持する距離にわたり、アクチュエータ1の少なくとも片側に延びるように実現される。
【0098】
第一の接続部245の第一の端区間245aと第二の接続部246の第二の端部分246aは、保持部244、又はアクチュエータ1の作動表面1aの上に位置付けられる。保持装置240の実施形態において、保持部244の両側の端区間247又は248の各々が少なくとも1つの接続部245又は246のそれぞれの端区間すなわち端区間245a、245bに、それぞれの場合に例えば接続要素245d又は246dによって取り付けられる。保持部244の受容部243又は接続部245若しくは246に関する、及び特に端区間245a又は245bに関する位置は、調整装置によって調整することができる。接続要素245d又は246dによって実現され得る調整装置を実装でき、それによってそれぞれの外側端区間245d又は246dとの間の距離を調整できる。少なくとも1つの接続部245又は246に関する保持部244の位置を調整することによって、アクチュエータ1に作用する締結力が調整されてよい。
【0099】
摩擦要素Fは中央に、中心軸Zの上に位置付けることができる。代替的又は追加的に、アクチュエータ1も中央に、中心軸Zの上に位置付けることができ、長手方向Lを中心軸Zと一致させることができる。一般に、長手方向Lは中心軸Zからある距離に位置付けられてよく、これは値ゼロ以外である。
図27に示される駆動装置K2の実施形態において、アクチュエータ1は全体として中心軸Zの片側に位置付けられ、摩擦要素Fは中央に、中心軸Zの上に位置付けられる。
図27~30に示される駆動装置K2の実施形態において、外面245c及び246cはアクチュエータ1の長手方向Lに対称に配置される。
【0100】
駆動装置K2の実施形態において、アクチュエータ1は本明細書に記載のその実施形態の1つに従って実現することができる。
図31において、アクチュエータ1は第一の制御セクションA1、第二の制御セクションA2、及び第三の制御セクションA3を含む。
【0101】
図31~34は、
図27~30による駆動装置の実施形態の変形型を示しており、駆動装置はここでは参照記号「K3」で呼ばれ、保持装置340を含み、これは長手方向Lに対して横断方向に延び、アクチュエータ1の支持面1bとして第二のアクチュエータ端面FE2を受けるために提供された受容部343と、少なくとも部分的に長手方向Lに対して横断方向に延び、摩擦要素Fを保持するため、及び第一のアクチュエータ端面FE1としての第一の端面11を有するアクチュエータ1の第一の制御セクションA1を受けるために提供される保持部344と、長手方向Lに沿って延び、かつ受容部343と保持部344を相互に接続する第一及び第二の接続部345、346を含む。摩擦要素Fは、作動表面1aとして保持装置340の保持部344の外面344a上に位置付けられ、外面344aはアクチュエータ1が当たる保持部344の内面344bと反対向きである。摩擦要素Fは、駆動装置K3がモータに内蔵されたときに、基準又は中立位置において、その長手方向LFが長手方向Lである状態で、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。アクチュエータ1の位置により、駆動装置K3の中心軸Zを画定でき、これはアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、特にその方向に延びることができる。中心軸Zは保持装置340又はその中心軸の対称軸とすることができる。以下は基本的に、駆動装置K3が駆動装置K2と異なる特徴を説明する。接続部345の第一の端区間345aと第二の接続部346の第二の端部分346aは、第一の保持部344又はアクチュエータ1の作動表面1a上に位置付けられる。受容部343、保持部344、及び接続部345、346は受容空間349を形成し、その中にアクチュエータ1が位置付けられる。接続部345、346の外面345c、346cは、相互に反対向きであり、アクチュエータ1の長手方向L又は中心軸Zに沿って延びる。
【0102】
駆動装置K3において、保持部344の第一の端区間347は第一の接続部345の第一の端区間345bの上方に位置付けられ、保持部344は長手方向Lに対して横断方向に、第一の接続部345の第一の端区間345bから第二の接続部346の第二の端部分346bへと延びる。ここで、保持部344の第一の端区間347は、長手方向Lに見たときに、第一の接続部345の第一の端部分345bの上に位置付けられ、保持部344の第二の端部分348は、第二の接続部346の第二の端部分346bと1つの部品として形成される。保持部344の第一の端区間347は、第一の接続部345の第一の端区間345bと1つの部品として形成されても、又は
図22に示されるように、接続要素345dを介してそれに接続されてもよい。特に、保持部344の位置と受容部343の位置は、それらがアクチュエータ1を長手方向Lに締結し、アクチュエータ1の長手方向Lに作用する圧縮力の形態の締結力をアクチュエータ1に付与するように提供できる。保持部344の第一の端区間347は、調整装置によって第一の接続部345の第一の端区間345bに接続できる。これは、保持部344の第一の端区間347と第一の接続部345の第一の端区間345bとの間の距離を調整できる接続要素により実現されてよく、それによって長手方向Lにアクチュエータ1へと作用する締結力又は圧迫力を調整することができる。
【0103】
摩擦要素Fは、保持部344の外側344aの隆起部344eに配置される。
図22~23に示される駆動装置K3の実施形態において、摩擦要素Fは中央に、中心軸Zの上に位置付けられる。駆動装置K3がモータMに取り付けられた場合に、摩擦要素Fの長手方向LFは、アクチュエータ1の長手方向Lに、又は長手方向Lに沿って、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。代替的に、摩擦要素Fがその長手方向LFがアクチュエータ1の長手方向Lに対して横断する状態で、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びることができる。摩擦要素Fはまた、保持部344、特に保持部344の内面344bとアクチュエータ1との間に配置されてもよい。
【0104】
駆動装置K3は、駆動装置K2の特徴を含んでいてもよく、その逆でもある。
アクチュエータ1が信号発生装置Vからの対応する電圧信号で電気的に制御される場合、
図27~34による駆動装置K2及びK3は、FEMシミュレーションを使って計算された
図35及び36の変形状態を取ることができ、これらの変形状態の1つからそれぞれの他の変形状態への周期的変化によって、摩擦要素Fの移動を実現でき、これは摩擦要素Fと摩擦接触する被駆動要素を駆動するために使用できる。
【0105】
図37~39は、本発明による駆動装置の別の実施形態を示し、これは本明細書において参照記号「K4」で呼ばれる。駆動装置K4は2つのアクチュエータ401及び402を含み、その各々は
図8によるアクチュエータ1のように実現され、それに関してその参照番号が使用される。アクチュエータ401、402の長手方向Lに関して、参照記号「L401」又は「L402」が具体的に使用されている。さらに、駆動装置K4は保持装置440を含み、これは、少なくとも部分的に長手方向L401、L402に対して横断方向に延びる、アクチュエータ401、402の支持表面1bとして第二のアクチュエータ端面FE2を受けるための受容部443と、少なくとも部分的に長手方向L401、L402に対して横断方向に延びる、摩擦要素Fを保持し、かつ第一の制御セクションA1又は、アクチュエータ401、402の第一のアクチュエータ端面FE1を受けるための保持部444と、長手方向Lへの範囲に沿って延び、かつ受容部443を保持部444に接続する第一及び第二の接続部445、446と、を含む。ここで、摩擦要素Fは作動表面1aとしての保持装置40の保持部444の外面444a上に位置付けられ、摩擦要素Fは、アクチュエータ1が当たる保持部444の内面444bと反対向きである。摩擦要素Fは、駆動装置K4がモータに内蔵されたときに、基準又は中立位置において、その長手方向LFが長手方向Lに、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿っている状態で、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。アクチュエータ401、402の位置により、駆動装置K4の中心軸Zを画定でき、これはアクチュエータ1の長手方向L401、L402に沿って、特にその方向に延びてよい。中心軸Zは保持装置40の対称軸又はその中間軸とすることができる。
【0106】
以下においては、基本的に駆動装置K4が駆動装置K2と異なる特徴が説明されている。保持部444又はアクチュエータ1の作動表面1aの上に、第一の接続部445の第一の端区間445aと第二の接続部446の第二の端部分446aが位置付けられる。受容部443、保持部444、及び接続部445、446は受容空間449を形成し、その中にアクチュエータ401、402が位置付けられる。アクチュエータ401、402の長手方向L401、L402は、相互に平行に延びる。一般に、長手方向L401は長手方向L402に沿って延びる。接続部445、446の外面445c、446cは、相互に反対向きであり、アクチュエータ401、402の長手方向L401、L402又は中心軸Zに沿って延びる。
【0107】
駆動装置K4の保持部444は何れの形状を有していてもよく、図の実施形態では、板又はウェブの形状を有する。保持部444の第一の端部分447は第一の端部分445bの上方に位置付けられ、保持部材444の第二の端部分448は第二の端部分446bの上方に位置付けられる。ここで、保持部444の第一の端部分447は、長手方向L401に見たときに、第一の接続部445の第一の端部分445bの上方に位置付けられ、保持部444の第二の端部分448は、長手方向L402に見たときに、第二の接続部446の第二の端部分446bの上方に位置付けられる。保持部444の端区間447、448の一方又は両方は、それぞれの端区間445b、446bと1つの部品として形成でき、又は
図37~39に示されているように、各々を接続要素445d、446dを介してそれぞれの端区間445b、446bに接続できる。特に、保持部444の位置と受容部443の位置は、これらがアクチュエータ401、402をそれらの長手方向L401、L402に締結し、アクチュエータ401、402の長手方向L401、L402に沿って作用する圧縮力の形態での締結力をアクチュエータ401、402に付与するような方法で提供できる。保持部444の第一の端区間447は、第一の接続部445の第一の端区間445bに調整装置によって接続できる。これは、保持部444の第一の端区間447と第一の接続部445の第一の端区間445bとの間の距離を調整できる接続要素により実現でき、長手方向L401、L402にアクチュエータ401、402に作用する締結力又は圧迫力が調整される。
【0108】
一般に、長手方向L401、L402は中心軸Zからある距離に位置付けることができ、これは値ゼロ以外である。アクチュエータ401、402は、全体として横断方向に、中心軸Zの両側に位置付けることができる。
図37~39に示される駆動装置K4の実施形態では、長手方向L401、L402はまた、中心軸Zに関して対称でもある。図の駆動装置K4の実施形態において、摩擦要素Fは中心軸Zの上に中心合わせされる。
【0109】
駆動装置K4は、駆動装置K2又は駆動装置K3の特徴を含んでいてもよく、またその逆である。また、駆動装置K2及びK3に関して行った定義は、本明細書に記載の他の駆動装置に、特に駆動装置K4に適用されてよい。
【0110】
図40及び41において、駆動装置K4がその中に組み込まれた、又は内蔵されたモータM4が示されている。モータは、駆動装置K4と、駆動装置K4を支持するための支持装置450と、被駆動要素90と、被駆動要素90の移動を案内するための案内装置と、を含む。駆動装置K1、駆動装置K2、若しくは駆動装置K3又は記載されているそれらの変形型は、支持装置450又は記載されているその変形型により支持され、又はそこに組み込まれてもよい。
【0111】
支持装置450は、特に収納盤又は接続板の機能を有する台板451として実現される。駆動装置K4は、支持装置450の、又は台板451の一区間の上に配置又は支持されてよく、この区間は摩擦要素Fからある距離に位置付けられる。この場合、摩擦要素Fは、その長手方向LFが長手方向Lにある、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿った状態で、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。その代替案として、摩擦要素Fは、その長手方向LFがアクチュエータ1の長手方向Lに対して横断方向にある状態で、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びることができる。摩擦要素Fはまた、保持部444とアクチュエータ1との間、特に保持部444の内面444bとアクチュエータ1との間に配置されることもできる。
【0112】
図40及び41に示される支持装置450はプレテンショニング装置460を含み、これは駆動装置K及びそれゆえ摩擦要素Fを所定の力で被駆動要素90に押し付ける。
プレテンショニング装置460は、台板451と駆動装置K4との間に配置され、駆動装置K4の摩擦要素Fを被駆動要素490に押し付けるような形状とされる。
図40のプレテンショニング装置460は第一のばね板461を含み、これは中央区間462でU字形又は溝の形状に実現される。少なくともある区画において、接続部445、446の外面445c、446c及び保持部444の外面444cは、中間区間462の第一の外面462aに当たる。中間区間462は弾性の、又は寸法的に安定した材料で形成されてよい。第一のばね板461は台板451上に保持され、
図40に示されるように、台板451のホルダ465、466上に湾曲端区間463、464で支持されてよく、湾曲端区間463、464は、好ましくは弾性材料で製作され、中央区間462と、相互に反対にある側で隣接し、ホルダ465、466は、中心軸Zに関して、駆動装置K4の異なる側に位置付けられる。端区間463、464は、少なくとも部分的に中心軸Zから、又は長手方向L401、L402から逸れた方向に延び、第一のばね板461を上述の柔軟性によって台板451上に保持する。特に、
図29に示されるように、端区間463、464は、少なくとも一部が、各々が保持機能を提供するために台板451から突出するそれぞれのホルダ465、466を把持することができる。
【0113】
さらに、
図40のプレテンショニング装置460は、駆動装置K4又は第一のばね板461、及び特に
図40に示される第二のばね板471を弾性により保持するための別の保持装置を含んでいてもよい。第二のばね板471の中間区間472はU字形又は溝の形状である。中間区間472は弾性の、又は寸法的に安定した材料で形成できる。中間区間472は外面472aを含み、その上に、少なくとも一区間において、第一のばね板461の中間区間462の、第一の外面462aと反対向きの第二の外面462bが位置付けられ、中間区間462は第二の中間区間472において、中心軸Zに沿った、又は長手方向L401、L402に沿った方向に移動可能である。それによって、第一のばね板461は第二のばね板471上に保持され、その間に第一のばね板461の上述の方向に沿った移動可能性を提供する。第二のばね板471は台板451上に保持され、
図40に示されるように、台板45のホルダ475、476上に湾曲端区間473、474で保持されてよく、ホルダ475、476はそれぞれの場合、中心軸Zにおいて見たときに、駆動装置K4の異なる側の、第一のばね板461dの中央部分462の外側に位置付けられる。端区間473、474は、少なくとも部分的に、中心軸Zから、又は長手方向L401、L402から逸れた方向に延び、第二のばね板471の、それゆえまた第一のばね板461の台板451上への、上述の移動可能な弾性保持が提供される。特に、
図40に示されるように、端区間473、474は、少なくとも一部が、保持機能を提供するために台板451から突出するそれぞれのホルダ475、476を把持することができる。
【0114】
プレテンショニング装置460はまた、その他の方法でも具現化できる。例えば、駆動装置K4は、台板461の凹部の中にポジティブロックし、その中に支持できる。この点で、凹部の形状によって駆動装置K4を台板461に関して移動できるようになすことができ、ばねは、追加的に凹部と駆動装置K4との間に作用し、駆動装置K4を被駆動要素90に押し付ける。
【0115】
支持装置450はまた、別の方法でも実現でき、例えば取付装置として実現して、モータがプレテンショニング装置を含まないようにすることができる。本発明による支持装置450の実施形態を有するモータMにおいて、本明細書に記載のアクチュエータ1の実施形態を内蔵させ、又はそこに組み込むことができる。
【0116】
案内装置は台板451の上に形成され、特に、中心軸Zを、又は長手方向L401、L402の少なくとも一方に対して横断方向に延びる案内トラックを提供し、それによって被駆動要素90は、アクチュエータ1の変形と摩擦要素Fの台板51に関する移動によって、中心軸Zに対して横断方向に、又は長手方向L401、L402の少なくとも一方に対して横断方向に移動可能となる。
【0117】
案内装置は特に、基準システムとしての支持装置450に関して静止して配置される。
図42~45は、FEシミュレーションを使って、
図37~39による駆動装置K4のアクチュエータの異なる電気的制御によって生成可能な駆動装置の変形状態を例示する。
【0118】
駆動装置K4又はその摩擦要素Fは、被駆動要素(これらの図では図示せず)を相互に反対の2つの方向に移動させることができ、特に2つのアクチュエータ401又は402の一方のみが交互に収縮及び膨張することが分かる。
図42ではアクチュエータ401が収縮し、
図43ではアクチュエータ401が膨張している。これらの作動を繰り返すと、被駆動要素は移動コンポーネントによりアクチュエータ401からアクチュエータ402の方向に移動する。
図44ではアクチュエータ402が収縮し、
図45ではアクチュエータ402が膨張している。これらの作動を交互に繰り返すことにより、被駆動要素は移動コンポーネントによりアクチュエータ402からアクチュエータ401の方向に移動される。
【符号の説明】
【0119】
1 アクチュエータ
1a 第一の制御セクションA1の外側作動領域
1b 支持表面
5 基準電極
10 第一の外面
11 長手方向Lに見たときの第一の端面
12 第二の端面
15 第一の制御電極
16 第一の外面10の第一の接続区間
20 第二の外面
21 第一の端面
22 第一の端面21の反対に位置する第二の端面
25 第二の制御電極
26 第二の外面20の第二の接続区間
30 第三の外面
31 第一の端面
32 第二の端面
35 第三の制御電極
40 保持装置
41 締め付けフレーム
43 受容部
44 保持部
45、46 接続部
47 受容空間
50 支持装置
51 台板
57 台板51の凹部
60 プレテンショニング装置
64 板
65 第一の端区間
66 第二の端区間
90 被駆動要素
90a 摩擦表面
95 案内装置
140 保持装置
141 締め付けフレーム
143 受容部
144 保持部
144a 保持部144の外面
144b 保持部144の内面
145、146 接続部
145a、145b 端区間
145c、146c 外面
145d、146d 接続要素
147 保持部144の第一の端区間
148 保持部144の第二の端区間
149 受容空間
240 保持装置
241 締め付けフレーム
243 受容部
244 保持部
244a 保持部244の外面
244b 保持部244の内面
245、246 接続部
245a、245b 端区間
245c、246c 外面
245d 接続要素
247 保持部144の第一の端区間
248 保持部144の第二の端区間
249 受容空間
401、402 アクチュエータ
440 保持装置
443 受容部
444 保持部
444c 保持部444の外面
445、446 接続部
445c、446c 外面
445a 第一の端区間
446a 第二の端区間
447 端区間
448 端区間
449 受容空間
450 支持装置
451 台板
460 プレテンショニング装置
461 第一のばね板
462 中間区間
462a 中間区間462の第一の外面
462b 中間区間462の第二の外面
463、463 端区間
465、466 台板451のホルダ
471 第二のばね板
472 中間区間
472a 中間区間472の外面
473、474 端区間
475、476 台板451のホルダ
A1、A2、A3 制御セクション
D1、D2、D3 変形体
E1 励起電極
E2 共通電極
F 摩擦要素
FE1、FE2 アクチュエータ端面
V、V1、V2 信号発生装置
G1、G2 信号区間群
K、K1、K2、K3、K4 駆動装置
L アクチュエータ1の長手方向
L401、L402 アクチュエータ401又は402の長手方向
LF 摩擦要素Fの長手方向
M、M1、M4 モータ
S10 第一の電圧信号
S11 立ち上がり信号エッジ
S12 信号エッジ
S13 中間区間
S20 第二の電圧信号
S21 信号区間
S22 信号区間
SA1 第一の信号区間
SA2 第二の信号区間
tz 時間間隔
Z 中心軸
【手続補正書】
【提出日】2021-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械要素、アクチュエータ、アクチュエータを備える駆動装置、並びに駆動装置及び被駆動要素を備えるモータの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、静止状態に取り付けられた第一のアクチュエータと、第一のアクチュエータの上に位置付けられ、被駆動要素と接触するように提供された第二のアクチュエータを有する駆動装置を開示している。2つの方向は相互に対して垂直である。第一のアクチュエータは、対称性の三角波電圧を受ける。立ち上がり又は立ち下がり範囲内で、第二のアクチュエータは高周波数電圧を受け、それによりこの時間範囲内に第二のアクチュエータ内又は第二のアクチュエータと被駆動要素との間の界面において生成される振動により、第二のアクチュエータと被駆動要素との間の摩擦係数を低減させることができ、それによって第二のアクチュエータと被駆動要素との間の摺動相対運動を関連する時間範囲内に実現することができる(滑動状態)一方、高周波数電圧が第二のアクチュエータに印加されない、三角波電圧の他のそれぞれの時間範囲では、第二のアクチュエータと被駆動要素との間の摩擦係数は低減されず、被駆動要素が優勢な摩擦(すなわち、静止摩擦)によって第一のアクチュエータにより起こされる第二のアクチュエータの運動に追従する(吸着状態)ように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電気機械要素、アクチュエータ、このようなアクチュエータを備える駆動装置、及びこのような駆動装置を備えるモータの、それらによって被駆動要素を所定の正確さで位置決めすることができる動作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立特許請求項の特徴により達成される。他の実施形態は、それぞれの場合に独立項を引用する従属項に明記されている。
本発明によれば、方法が提供され、方法は、
電圧により変形可能な第一の制御セクションを、第一の電圧信号により制御することによる、電気機械要素上に配置され、かつ被駆動要素と摩擦接触するように設けられた摩擦要素の調整運動を発生させるステップであって、第一の電圧信号は、経時的に絶対量に従って立ち上がる複数の信号エッジと、絶対量に従って立ち下がる複数の信号エッジとを含み、立ち上がり信号エッジと立ち下がり信号エッジは時間的に相互に交互であり、立ち上がり信号エッジの後、及び後続の立ち下がり信号エッジの前に、又はその逆に、経時的に信号エッジの形状とは異なり、好ましくは、時間依存勾配を含む、非ゼロの時間間隔を有する中間信号区間が存在する、調整運動を発生させるステップと、
電圧により変形可能な第二の制御セクションを第二の電圧信号により制御するステップであって、第二の電圧信号は、周波数が第一の電圧信号と比較して少なくとも10倍高い信号区間を含み、かつ時間的に、第一の電圧信号の信号中間区間の時間間隔tz内で始まり、少なくとも一部が、時間的に信号中間区間に続く信号エッジ上に延びる、制御するステップと、を含む。
【0006】
特に、本発明は電気機械要素又はアクチュエータの動作方法に関する。
本発明による方法の実施形態において、信号中間区間は、最大10度である時間依存勾配を含むことができる。
【0007】
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号の信号区間が、信号中間区間の時間間隔tzの10%以上及び90%以下が経過した後か、又はその時間間隔が終了する前50%で始まることができる。
【0008】
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号の信号区間は、隣接する及び時間的に後続する中間区間の中、その時間間隔tz内で延びるか、又は時間間隔tzの終了までに終了することができる。
【0009】
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号の信号区間は正弦波とすることができる。
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号の信号区間の最大振幅は、第一の電圧信号の最大振幅の50%以下とすることかできる。
【0010】
本発明による方法の実施形態において、
第一の制御セクションの制御は、第一の電圧信号による複数の第一の制御サブセクションの同時制御であり、複数の第一の制御サブセクションは第一の制御セクションを形成し、かつ長手方向において相互に前後に位置付けられ、
第二の制御セクションの制御は、第二の電圧信号による幾つかの第二の制御サブセクションの同時制御であり、複数の第二の制御サブセクションは第二の制御セクションを形成し、かつ長手方向において相互に前後に位置付けられることができる。
【0011】
本発明による方法の実施形態において、第一の制御セクションの制御と同時に、電圧により変形可能な第三の制御セクションが第一の電圧信号により制御され、第三の制御セクションは、第二の制御セクションが第一及び第三の制御セクション間に位置付けられるように配置されることができる。
【0012】
本発明による方法の実施形態において、第三の制御セクションの制御は、第一の電圧信号による複数の第三の制御サブセクションの同時制御であり、複数の第三の制御サブセクションは第三の制御セクションを形成し、かつ長手方向において相互に前後に位置付けられることができる。
【0013】
本発明によれば、アクチュエータが提供され、アクチュエータは、
長手方向に延び、かつ電圧により変形可能な第一の制御セクションであって、第一の外面と、2つの端面とによって画定される第一の変形体であって、2つの端面が相互に反対側にあり、2つの端面の間に第一の外面が長手方向に沿って延びる、第一の変形体と、長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極であって、一方の作動電極は励起電極として動作し、かつ第一の端面に配置され、他の作動電極は共通電極として動作し、かつ第二の端面に配置される、2つの作動電極と、を含む第一の制御セクションと、
長手方向に延び、かつ電圧により変形可能な第二の制御セクションであって、第一の変形体上に長手方向に配置される第二の変形体であって、第二の外面と、2つの端面とによって画定され、2つの端面が相互に反対側にあり、2つの端面の間に第二の外面が長手方向に沿って延びる、第二の変形体と、長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極であって、一方の作動電極は励起電極として動作し、かつ第一の端面に配置され、他方の作動電極は共通電極として動作し、かつ第二の端面に配置される、2つの作動電極と、を含む第二の制御セクションと、
第一の外面の第一の接続区間に配置され、第一の制御セクションの励起電極に電気的に接続される第一の制御電極と、
第一の制御電極から電気的に分離され、第二の外面の第二の接続区間に配置され、第二の制御セクションの励起電極に電気的に接続される第二の制御電極と、
第一の外面及び第二の外面に配置され、第一の制御電極から分離され、第二の制御電極から分離され、第一及び第二の変形体の共通電極に電気的に接続される基準電極と、を含む。
【0014】
本発明によるアクチュエータは、本発明による方法の実施形態を使用するのに特に適している。また、アクチュエータが本発明による方法を実行するように実現されるようになすこともできる。
【0015】
本発明によるアクチュエータの実施形態において、アクチュエータは、
長手方向に延び、電圧により変形可能である第三の制御セクションであって、第二の制御セクションの片側に位置付けられており、この側は、長手方向に関して第一の制御セクションの側とは反対側に位置付けられている、第三の制御セクションをさらに備え、第三の制御セクションが、
第三の外面と、2つの端面とによって画定される第三の変形体であって、2つの端面が相互に反対側にあり、2つの端面の間に第三の外面が長手方向に沿って延びる、第三の変形体と、長手方向に対して横断方向に延びる2つの作動電極であって、一方の作動電極は励起電極として動作し、かつ第一の端面に配置され、他方の作動電極は共通電極として動作し、かつ第二の端面に配置される、2つの作動電極と、
第三の外面の第三の接続区間に配置され、第三の制御セクションの励起電極に電気的に接続される第三の制御電極と、を含み、
基準電極は第三の変形体の第三の外面に追加的に配置され、第三の制御電極から分離され、第二の制御電極から分離され、及び第三の変形体の共通電極に電気的に接続される。
【0016】
本発明によるアクチュエータの実施形態において、第三の制御電極は、第一の制御電極と一体の部品に形成することができる。
本発明によるアクチュエータの実施形態において、制御セクションの少なくとも1つは幾つかの制御サブセクションの連続で形成されることができ、制御サブセクションの各々は、長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極と、長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極と、板状励起電極と板状共通電極との間に長手方向に位置付けられ、電気機械的、特に圧電材料で製作される層とから形成され、層(P)は、個々に励起電極と共通電極との間に位置付けられる。
【0017】
本発明によるアクチュエータの実施形態において、変形体の少なくとも1つは均質の、電気的に変形可能な材料から形成できる。
本発明によるアクチュエータの実施形態において、摩擦要素は、長手方向に向く第一の制御セクションまたは第二の制御セクションの端区間に配置することができる。
【0018】
本発明によれば、本発明によるアクチュエータの実施形態を備え、且つ保持装置を備える駆動装置が提供され、保持装置は、少なくとも一部が弾性を有するように形成され、アクチュエータは保持装置内に保持され、好ましくはその中に締結される。
【0019】
本発明による駆動装置の実施形態において、保持装置は、アクチュエータを少なくとも部分的に取り囲む締め付けフレームとして実現できる。
本発明によれば、本発明の実施形態による駆動装置を備え、且つ被駆動要素を備えるモータが提供され、被駆動要素は、駆動装置に関して移動可能に支持され、かつアクチュエータに配置された摩擦要素と摩擦接触する。
【0020】
下記のような添付の図面を参照しながら本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】各々が変形体を有する2つの制御セクションの群を含み、2つの制御電極と1つの基準電極を含み、2つの制御電極が図中に示される、本発明によるアクチュエータの実施形態の斜視図を示す。
【
図2】
図1の見る方向とは反対の見る方向に基づく
図1のアクチュエータの実施形態の別の斜視図を示し、基準電極は
図2に示される。
【
図3】
図1の2つの変形体に関する、非動作状態での均一変形ブロックとして示されるFEMモデルを示す。
【
図4】
図3による変形ブロックの収縮状態の、収縮状態がその長手方向に関するFEMシミュレーションを示す。
【
図5】
図3による変形ブロックの膨張状態の、膨張状態がその長手方向に関するFEMシミュレーションを示す。
【
図6】各々が変形体を有する3つの制御セクションの群を含み、2つの制御電極と1つの基準電極を含み、
図6では2つの制御電極が示される、本発明によるアクチュエータの実施形態の斜視図を示す。
【
図7】
図1の見る方向とは反対の見る方向に基づく
図6のアクチュエータの実施形態の別の斜視図を示し、
図7では基準電極が示される。
【
図8】
図6のアクチュエータの実施形態の変形型である、3つの制御電極と1つの基準電極の群を含む本発明によるアクチュエータの別の実施形態の斜視図を示す。
【
図9】3つの制御セクションを有するアクチュエータの実施形態のための制御装置の概略的機能図を示し、アクチュエータが分解図で示され、機能図は2つの電圧信号による制御を示す。
【
図10】
図6又は
図8によるアクチュエータの別の実施形態のための制御装置及びこのアクチュエータの概略機能図を示し、アクチュエータは分解図で示され、機能図は2つの電圧信号による制御を示す。
【
図11】
図6又は
図8の実施形態によるアクチュエータがそれによって本発明の方法に従って動作する第一及び第二の電圧信号の例示のための2つの電圧-時間の図を示す。
【
図12】
図11の第一及び第二の電圧信号の重畳から得られる電圧信号の和が示される電圧-時間の図である。
【
図13-14】
図13は、
図11の第一の電圧信号が時間セグメントと共に示される電圧-時間の図を示し、
図14は、
図12の電圧信号の和が時間セグメントと共に示される電圧-時間の図を示す。
【
図15】
図11の電圧信号とは異なる第一及び第二の電圧信号の例示のための2つの電圧-時間の図を示す。
【
図16】
図15の第一及び第二の電圧信号の重畳から得られる電圧信号の和が示される電圧-時間の図を示す。
【
図17】本発明によるアクチュエータ、保持装置、摩擦要素、及び被駆動要素を備える本発明によるモータの実施形態の斜視図を示す。
【
図20】
図8によるアクチュエータを備える本発明によるモータの実施形態の斜視図を示す。
【
図22】
図20のモータの実施形態の、保持装置の方向から下から見た斜視図を示す。
【
図23】
図20~22に示される駆動装置の実施形態の、被駆動要素が追加的に示される斜視図を示す。
【
図24】
図20~23に示される駆動装置の実施形態の側面図を示す。
【
図25】
図20~23に示される駆動装置の実施形態の平面図を示す。
【
図26】
図20~23に示される駆動装置の実施形態の斜視図を示す。
【
図27】アクチュエータと、アクチュエータが組み込まれた保持装置を備える本発明による駆動装置の別の実施形態の、駆動装置が中立変形状態にあるときの側面図を示す。
【
図28】駆動装置が中立変形状態にあるときの、
図27の駆動装置の別の側面図を示す。
【
図30】
図8によるアクチュエータと
図27による保持装置を備える駆動装置の、駆動装置が中立変形状態にあるときの斜視図を示す。
【
図31】本発明による駆動装置の、駆動装置が
図8によるアクチュエータを有する別の実施形態の斜視図を示す。
【
図32】
図31の駆動装置の、駆動装置が中立変形状態にあるときの側面図を示す。
【
図35】
図31~34による駆動装置の第一の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図36】
図31~34による駆動装置の、
図35による第一の変形状態と反対又は逆である第二の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図37】駆動装置が相互に横並びの
図8による2つのアクチュエータを含む駆動装置の別の実施形態の、アクチュエータが中立変形状態にあるときの斜視図を示す。
【
図40】
図37の駆動装置の実施形態を備える本発明によるモータの実施形態の斜視図を示す。
【
図42】第一の動作モードに関する
図39による駆動装置の第一の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図43】第一の動作モードに関する
図39による駆動装置の、
図31の変形状態の反対又は逆である第二の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図44】第二の動作モードに関する
図39による駆動装置の第一の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【
図45】第二の動作モードに関する
図39の駆動装置の、第二の変形状態の反対又は逆である第二の変形状態のFEMシミュレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明によるアクチュエータ1は、少なくとも2つの制御セクションA1及びA2の群から形成され、これらは各々、アクチュエータ1の長手方向Lに延び、長手方向Lに見たときに、相互に前後に配置される。アクチュエータ1は、電気機械的、及び好ましくは圧電要素として実現される。アクチュエータ1は、外部アクチュエータ外面FAと、2つのアクチュエータ端面FE1、FE2とにより画定され、2つのアクチュエータ端面FE1、FE2は、長手方向Lに関して相互に反対向きであり、2つのアクチュエータ端面FE1、FE2の間にアクチュエータ外面FAが長手方向Lに沿って延びる。
【0023】
図1及び2は、本発明によるアクチュエータ1の実施形態を示しており、これは2つのみの制御セクションA1、A2の群を含み、その各々がアクチュエータ1の長手方向Lに延び、長手方向Lに見たときに、相互に前後に配置される。
【0024】
第一の制御セクションA1は、第一の外面10と、2つの端面11、12とによって画定される第一の変形体D1であって、2つの端面11、12が長手方向Lに関して相互に反対向きであり、2つの端面11、12の間に第一の外面10が長手方向Lに沿って延びる、第一の変形体D1と、長手方向Lに対して横断方向に延びる少なくとも2つの作動電極E1、E2と、を含む。長手方向Lに形成される端面11、12は、アクチュエータ端面FE1としての第一の端面11と第二の端面12を含む。ある機能面において、本発明による制御機能に基づいて、作動電極E1、E2の第一の作動電極は、励起電極E1として第一の端面11に配置され、少なくとも1つの共通電極E2は、第二の端面12に配置される。第一の変形体D1の中に、長手方向に対して横断方向に延びる別の作動電極E1、Eであって、別の作動電極E1、Eは相互に離間されて配置され、別の作動電極E1、Eの間に電気機械的材料が位置付けられる、別の作動電極E1、Eを配置して、多層構造を実現することができる。この場合、本発明により提供される制御に応じて、励起電極E1と共通電極E2は、第一の端面11から第二の端面12へと長手方向Lに見たときに、少なくとも部分的に交互に配置することができる。第一の端面11を有する本明細書に記載の実施形態においては、これを第一のアクチュエータ端面FE1として実現できる。
【0025】
第二の制御セクションA2は、第二の外面20と、2つの端面21、22によって画定される第二の変形体D2であって、2つの端面21、22が長手方向Lに関して相互に反対向きであり、2つの端面21、22の間に第二の外面20が長手方向Lに沿って延びる、第二の変形体D2と、長手方向Lに対して横断方向に延びる少なくとも2つの作動電極E1、E2と、を含む。端面21、22は第一の端面21と、アクチュエータ端面FE2としての第二の端面22を含む。第一の制御セクションA1と同様に、ある機能面において、本発明による制御機能に基づいて、作動電極E1、E2の群から、励起電極としての機能を有する第一の電極E1は第一の端面21に配置され、少なくとも1つの共通電極E2は、第二の端面22に配置される。第二の変形体D2の中に、長手方向に対して横断方向に延び、かつ相互に離間される別の作動電極E1、E2と、それぞれの場合に、各々が別の作動電極E1、E2の間に配置される電気機械的材料の複数の介在層とが配置されて、多層構造が実現されてもよい。この場合、本発明により提供される制御に応じて、励起電極E1と共通電極E2は、第一の端面11から第二の端面12へと長手方向に見たときに、少なくとも部分的に交互に配置することができる。2つの制御セクションA1、A2を有するアクチュエータ1は長手方向Lに、それぞれアクチュエータ端面FE1及びFE1を形成する端面11、22間に延びる。
【0026】
図1及び2のアクチュエータ1は、第一の制御電極15と第二の制御電極25をさらに含み、これらはどちらもそれぞれ制御セクションA1及びA1に関して外部電極である。第一の駆動電極15は第一の外面10に配置され、第二の制御電極25は第二の外面20に配置される。制御電極15、25は、アクチュエータ1の外面上に、相互に電気的に分離されて位置付けられる。第一の制御電極15は、第一の外面10の第一の接続区間16に配置され、第一の制御セクションA1の少なくとも1つの励起電極E1に電気的に接続される。第二の制御電極25は、第二の外面20の第二の接続区間26に配置され、第二の制御セクションA2の少なくとも1つの励起電極E1に電気的に接続される。接続区間16及び26は相互に離間して配置される。
【0027】
アクチュエータ1は、基準電極5をさらに含み、これは第一の変形体D1の第一の外面10及び第二の変形体D2の第二の外面20上に配置され、かつ少なくとも一部が外面10、20の両方に、又は基本的に外面10、20の両方の上に延びる。基準電極5はしたがって、制御セクションA1、A2に関して外部電極である。基準電極5は、第一の制御電極15及び第二の制御電極25から電気的に分離され、第一及び第二の変形体D1及びD2の少なくとも1つの共通電極E2に電気的に接続される。
【0028】
本発明の実施形態は摩擦要素Fを含んでいてよく、摩擦要素Fは、長手方向Lを向いた作動表面1aに配置され、作動表面1aは、アクチュエータ1の第一の端面11の変形動作を引き継いで摩擦要素Fへと伝える。
【0029】
図17~26から分かるアクチュエータ1の実施形態に関して、摩擦要素Fは第一の制御セクションA1の第一の端面11に位置付けられ、これは作動表面1aである。摩擦要素Fは、直接又は間接に第一の端面11と接触していてよい。これに関して、「間接」とは、第一の端面11と摩擦要素Fとの間に作動表面1aとしての外面を有する中間層又は構造的コンポーネントが位置付けられてよく、中間層又は構造的コンポーネントは、第一の端面11の配向方向に沿って、又は長手方向Lに沿って配向され、アクチュエータ1の第一の端面11の変形を受けて、摩擦要素Fの位置及び場所を変化させる、ということを意味する。
【0030】
図17~26の実施形態において、長手方向Lにおいて見たとき、作動表面1aの反対側には、支持板42が第二のアクチュエータ端面FE2に配置されており、支持板42はアクチュエータ端面FE2に沿って配向された支持表面1bを含む。本発明の他の実施形態において、支持表面1bは、第二のアクチュエータ端面FE2とすることができるか、又は、例えば端面22若しくは32自体とすることができるか、又は第二の端面22若しくは32の上に若しくは第二の端面22または32に位置付けられた層若しくは第二の端面22または32上に位置付けられた構造的コンポーネントの外面とすることができ、支持表面1bは、第一の端面11の配向方向に沿って、又は長手方向Lに沿って配向される。
【0031】
図17~26による実施形態において、摩擦要素Fは長手方向LFに延びる。摩擦要素Fは、硬い耐摩耗性材料で製作されるか、又はそれからなることができる。材料は特に、セラミック材料、金属、若しくはプラスチック、又はこれらの材料の組合せから製作され、又はそれからなることができる。材料は、材料によってそれぞれの被駆動要素との摩擦接触を実現できるような方法で提供される。
【0032】
図3は、作動させることができ、均一な方法で形成される変形ブロックとしての
図1及び2による制御セクションA1、A2の組合せのFEMモデルを示し、
図4及び5はこのような変形ブロックの異なる変形状態を例示する。変形ブロックのこれらの変形状態は、摩擦要素Fを作動させるため、又はそれを所定の移動経路若しくは軌道に沿って移動させるために基準電極5に印加される基準電圧に関する電圧信号によって制御電極15及び25を適切に制御することにより、動的シーケンスで実現できる。摩擦要素Fは、相互作用するように被駆動要素90の摩擦表面と相互作用するために提供され、
図4及び5による各種の変形状態の動的シーケンスを生成するとき、被駆動要素90をアクチュエータ1に関して移動させることができる。
【0033】
図6及び7は、本発明によるアクチュエータ1の別の実施形態を示しており、これは3つの制御セクションA1、A2、A3の群を含み、制御セクションの各々はアクチュエータ1の長手方向Lに延び、制御セクションは長手方向Lに見たときに、相互に前後に配置される。
【0034】
この実施形態において、アクチュエータ1は、長手方向に延び、かつ電圧により変形可能な第三の制御セクションA3を追加的に含み、第二の制御セクションA2は第一の制御セクションA1と第三の制御セクションA3との間に位置付けられ、制御セクションA1、A2、及びA3は長手方向Lに見たときに相互に前後に位置付けられる。第三の制御セクションA3は第三の変形体D3を含み、第三の変形体D3は第三の外面30により、及び第一の端面31により、及び長手方向Lに関して第一の端面31の反対にある第二のアクチュエータ端面FE2としての第二の端面32により、並びに長手方向に対して横断方向に延びる少なくとも2つの作動電極E1、E2により画定される。第三の外面30は端面31、32間に長手方向Lに沿って延びる。作動電極E1、E2は、本発明により提供される制御によって、第一の端面31に配置された少なくとも1つの励起電極E1と、第二の端面32に配置された少なくとも1つの共通電極E2によって実現される。第三の変形体D3の中に、長手方向に対して横断方向に延びる別の作動電極E1、E2であって、別の作動電極E1、E2が相互に離間され、それぞれの場合に、別の作動電極E1、E2の間に位置付けられた電気機械的材料で製作された層を有する、別の作動電極E1、E2を配置して、多層構造を実現できる。この場合、本発明により提供される制御に応じて、励起電極E1及び共通電極E2は、第一の端面11から第二の端面12へと長手方向Lに見たときに少なくとも部分的に交互に配置することができる。
【0035】
図6及び7によるアクチュエータ1の実施形態は第三の制御電極35を含み、第三の制御電極35は第三の外面30の第三の接続区間36に配置され、第三の制御セクションA3の少なくとも1つの励起電極E1と電気的に接続される。それゆえ、接続区間16、26、及び36は相互に離間させることができる。
【0036】
第三の駆動電極35は、第一の制御電極15と電気的に接続できる。この目的のために、この電気的接続は外部配線により実現できる。代替案として、又は追加的に、
図6及び7によるアクチュエータ1の実施形態において提供されているように、第一の制御電極15と第三の制御電極35は、1つの部品として一緒に形成し、又は1つの部品として一緒に製作することができる。
【0037】
基準電極5は、第一、第二、及び第三の制御電極15、25、35から電気的に分離されて配置され、第一の変形体D1の、及び第二の変形体D2の、及び第三の変形体D3の少なくとも1つの共通電極E2に電気的に接続される。
図8によるアクチュエータ1の実施形態において、第一の制御電極15と第三の制御電極35は、別の部品として形成され、すなわち各々が1つの部品として形成され、したがって相互に離間して位置付けられる。或いは、
図8によるアクチュエータ1の実施形態は、
図6及び7によるアクチュエータ1の実施形態として形成される。
【0038】
特に、第一の制御電極15、第二の制御電極25、第三の制御電極35、及び基準電極5又は、これらの電極のうちの1つ若しくは複数は、それぞれの外面に堆積される層若しくはそれぞれの外面として、又は柔軟な板として実現されるか、若しくは柔軟性を有していない板として実現されてもよい。
【0039】
3つの制御セクションA1、A2、A3を有するアクチュエータ1は、それぞれアクチュエータ端面FE1及びFE1を形成する端面11、32との間に長手方向Lに延びる。
アクチュエータ1の1つの実施形態によれば、第一の変形体D1、第二の変形体D2、及び第三の変形体D3又はこれらの変形体のうちの1つ若しくは複数は各々、均質な電気的に変形可能な材料で製作され、すなわちバルクとして形成され、多層構造を含まずに形成される。バルクとして形成されるこのような変形体を有する制御セクションは少なくとも2つの作動電極E1、E2を含み、これらは特にそれぞれ、それぞれの変形体の、長手方向Lに相互に反対側に位置付けられた2つの端面のうちの1つに形成される。電極の一方又は両方はまた、バルク内に長手方向Lに相互に離して配置することもできる。
【0040】
アクチュエータ1の3つの変形体D1、D2、及びD3の各々がバルクとして実現される実施形態の一例が
図9に示されている。制御セクションA1、A2、A3の各々は2つの作動電極E1、E2を含み、そのうちの1つ目が、それぞれ変形体D1、D2、D2の、第一の端面に配置され、そのうちの2つ目が第二の端面に配置され、それによって信号発生装置Vにより対応する電圧信号が関連する作動電極E1、E2に印加されたときに、
それぞれの変形体を所定の方法で変形させる。
【0041】
その代替案として、又は追加的に、本発明によるアクチュエータ1において、制御セクションのうちの1つ、又はその制御セクションのうちの幾つかは、幾つかの制御サブセクションから形成することができ、制御サブセクションの各々は長手方向Lに対して横断方向に延び、長手方向Lにおいて次々に上の層の中に位置付けられる。各制御セクションは、長手方向に対して横断方向に延び、励起電極としての機能を有する板状作動電極から、長手方向に対して横断方向に延び、共通電極の機能を有する板状作動電極から、及びこれらの作動電極間に長手方向に位置付けられる圧電層から形成され、圧電層は電気機械的に変形可能である。
図10は、一例として、3つの制御セクションA1、A2、A3を含む実施形態を示しており、制御セクションの各々が幾つかの制御サブセクションから形成され、
第一の制御セクションA1は圧電層P11、P12、P13を有する制御サブセクションA11、A12、A13を含み、
第二の制御セクションA2は圧電層P21、P22、P23、P24を有する制御サブセクションA21、A22、A23、A24を含み、
第三の制御セクションA3は圧電層P31、P32、P33、P34を有する制御サブセクションA31、A32、A33、A34を含む。
【0042】
制御サブセクションA1、A2、A3の各圧電層は、サブセクション端面F1、F2を含み、これらは相互に反対側に位置付けられ、長手方向Lに対して横断方向に延び、長手方向Lに関して相互に反対向きである。作動電極E1、E2は、各サブセクション端面F1、F2上に位置付けられる。作動電極E1、E2は板若しくは層の形状を有していてよく、又は他の形状を有していてよく、例えばワイヤ区間として形成されてよい。制御サブセクションA1、A2、A3のうちの2つの制御セクション間には、電気機械的に変形可能ではない材料層も位置付けることができる。
【0043】
図10の参照番号を有する例として、アクチュエータ1の以下の代替案(a)、(b)、(c)のうちの1つ又は複数は一般に、信号発生装置Vが制御セクションに電気的に接続されている場合に実現できる。
【0044】
(a)第一の制御セクションA1は、幾つかの第一の制御サブセクションA11、A12、A13のシーケンスから形成され、その各々は、長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極、長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極、及びそれぞれ2つの内部電極間に長手方向に位置付けられる圧電層を有する。
【0045】
(b)第二の制御セクションA2は、幾つかの第二の制御サブセクションA21、A22、A23、A24のシーケンスから形成され、その各々は、長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極、長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極、及びそれぞれ2つの内部電極間に長手方向に位置付けられる圧電層を有する。
【0046】
(c)第三の制御セクションA3は、幾つかの第三の制御サブセクションA31、A32、A33のシーケンスから形成され、その各々は、長手方向に対して横断方向に延びる板状励起電極、長手方向に対して横断方向に延びる板状共通電極、及びそれぞれ2つの内部電極間に長手方向に位置付けられる圧電層を有する。
【0047】
この場合、(a)、(b)、又は(c)によって形成されない1つ又は複数の制御セクションは、バルク構成で形成されてよい。
本発明によるアクチュエータ1はまた、
図10に関して説明した特徴又は実施形態を有する代替案(a)、(b)、(c)の組合せによっても実現できる。
【0048】
アクチュエータ1は、その外側において部分的又は完全にコーティングされてよい。本発明により実現される、例えば少なくとも2つの制御セクションA1及びA2を有するアクチュエータ1において、信号発生装置Vにより生成され、それぞれ長手方向Lに隣接して存在する作動電極E1、E2間で作用する電圧信号による対応する制御によって、
図4及び5に示される変形状態を交互に発生させることができる。
【0049】
作動電極E1、E2は、本明細書に記載のアクチュエータ1の実施形態において、またその制御セクションにおいて様々な方法で実現できる。例えば、作動電極E1、E2は、板としての形状、層としての形状、直線区間としての形状、又は材料パッチとしての形状とすることができる。
【0050】
本発明によれば、アクチュエータ1は保持装置40内に保持されてよく、好ましくは、その中に構造的に一体化されてよく、アクチュエータ1は保持装置40と共に駆動装置Kを形成する。保持装置40は締め付けフレーム41として実現されてもよく、これは、少なくとも部分的に、弾性材料で製作されて形成され、その中でそれぞれのアクチュエータ1の制御セクションは弾力的に締結される。保持装置40がアクチュエータ1に付与する締結力又は圧縮力は、アクチュエータ1の長手方向Lに作用して、アクチュエータ1にこの方向への前負荷を付与する。このようにして、アクチュエータは圧縮応力を受けており、それゆえ膨張状態から収縮状態へとより素早く戻る。保持装置40は、好ましくは、アクチュエータ1の少なくとも片側において、アクチュエータ1の第一のアクチュエータ端面FEからその第二のアクチュエータ端面FE2までの距離に延在し、かつアクチュエータ1を少なくとも部分的に長手方向Lに取り囲むか、取り巻くか、又は把持するように実現される。
【0051】
本発明によれば、アクチュエータ1及び好ましくは、アクチュエータ1の長手方向Lにおいて相互に前後に配置される少なくとも2つの制御セクションA1、A2を有する前述の説明によるアクチュエータの動作方法が提供される。さらに、本発明によれば、本発明によるアクチュエータ1と、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fを含む駆動装置Kの動作方法が提供される。摩擦要素Fは、アクチュエータ1の第一の端面11上に直接、又は例えばそれらの間に存在する中間層若しくは構造的コンポーネントを介して間接的に配置でき、アクチュエータ1の変形動作は摩擦要素Fの位置及び向きにおいて対応する変化を引き起こす。アクチュエータ1の変形動作は、摩擦要素Fの位置における作動領域1aの位置の変化を引き起こし、これは例えば
図12、14、及び16において時間の関数として示されている。
図17~26の駆動装置Kの実施形態において、外側作動領域1aはその端面11、12上に位置付けられ、これはアクチュエータ1の長手方向Lに形成される。この端面は、アクチュエータ1の第一の制御セクションA1の端面11とすることができ、
図17~26において、この端面は参照記号「1a」により示される作動領域である。
図27~45では、作動表面は端面11上に配置される構造的コンポーネントの外面であり、構造的コンポーネントは保持装置として実現される。代替的又は追加的に、摩擦要素Fはまた、第一の端面11と反対向きの第二の端面若しくは第三の端面上に、又はその上に配置された層若しくは構造的コンポーネントの外面上に配置することもできる。
【0052】
特に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによるアクチュエータは少なくとも、電圧により変形可能であり、かつ第一の端面11を有する第一の制御セクションと、電圧により変形可能であり、かつ別の端面を有する第二の制御セクションで形成される。本発明によれば、駆動装置Kを形成するための摩擦要素Fは、第一の端面11又は他の端面上に位置付けられてよい。
【0053】
この場合、電圧により変形可能な第一の制御セクションA1は第一の電圧信号S10により制御され、時間セグメントにおいて重畳して、電圧により変形可能な第二の制御セクションA2は第二の電圧信号S20により制御される。
【0054】
第一の電圧信号S10は、絶対量に従って立ち上がる複数の信号区間又は信号エッジS11、絶対量に従って立ち下がる複数の信号区間又は信号エッジS12、及び各々が絶対量に従って立ち上がる1つの信号エッジS11と絶対量に従って立ち下がる1つの信号エッジS12との間に位置付けられる複数の中間信号区間S13で形成される。信号中間区間S13はゼロ以外の時間間隔tzにわたり延長する、すなわち換言すれば、時間間隔tzはゼロと等しくない量を含む期間にわたり延長する。
【0055】
第一の電圧信号S10は、絶対量に従って立ち上がる信号エッジと、絶対量に従って立ち下がる信号エッジを含む。「絶対量に従って立ち上がる」という表現は、これに関して、問題の信号が時間軸Tの方向の少なくとも一部において立ち上がること、すなわち電圧信号S10が正の勾配の信号エッジS11を有する第一の信号区間SA1を含むことを意味する。「絶対量に従って立ち下がる」という表現は、これに関して、問題の信号が時間軸Tの方向の少なくとも一部において立ち下がること、すなわち電圧信号S10が負の勾配の信号エッジS12を有する第二の信号区間SA2を含むことを意味する。第一の信号区間SA1と第二の信号区間SA2は、一般に、時間の経過において連続する、すなわち時間的に中断されない信号区間であるか、又は、時間的に不連続の、すなわち時間の経過において中断される信号区間であってよい。
【0056】
第一の信号区間SA1は必ずしも立ち上がり信号エッジS11からなるとはかぎらず、すなわちこれらは絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11のみから形成される必要はない。第一の信号区間SA1はまた、勾配を持たないサブセクション又は負の勾配を有するサブセクションも含んでいてよい。同様に、第二の信号区間SA2は必ずしも立ち下がり信号エッジS12からなるとは限らず、すなわちこれは絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12のみから形成される必要はない。第二の信号区間SA2はまた、勾配を持たないサブセクション又は負の勾配を有するサブセクションを有していてよい。
【0057】
しかしながら、本発明による第一の電圧信号S1の実施形態の第一の信号区間SA1は、特に、これらが本発明による定義に基づく立ち上がり信号エッジS11から形成され、又はそれのみからなるように定義されてもよい。代替的又は追加的に、本発明による第一の電圧信号S1の実施形態の第二の信号区間SA2は、これらが本発明による定義に基づく立ち下がり信号エッジS12から形成される、又はそれのみからなるように定義できる。
【0058】
本発明により定義される中間区間S13は、極大を形成するとともに、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11及び絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12の両方と、本発明による中間区間S13の信号波形が時間の経過により、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の信号波形及び絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12の信号波形のどちらとも異なるという点で、異なる。
【0059】
それに加えて、信号中間区間S13は、最大10度の値を有する時間依存勾配を有するという点で定義できる。追加的に、又はこれとは別に、時間の経過により信号中間区間S13の直前にある、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の勾配は、10度より大きい値、及び好ましくは20度より大きい値を有すると定義することができる。また、追加的に、又はこれとは別に、信号中間区間S13の直後にある立ち下がり信号エッジS12の勾配の絶対値は、10度を超える値及び好ましくは20度を超える値を有すると定義することもできる。これらの変形型の場合、特に、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の時間的長さは信号中間区間S13の時間的長さより長いと定義することができる。これらの変形型において、特に、絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12の時間的長さは、信号中間区間S13の長さより長いと定義することもできる。
【0060】
本発明による方法において使用される第一の電圧信号S10の実施形態は、絶対量に従って立ち上がる複数の信号エッジS11を含み、その各々の時間的に直後に中間区間S13が続き、この中間区間S13の時間的に直後に、絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12が続く。この実施形態の一例が
図11に示されている。本発明によれば、第一の電圧信号S10が幾つかの信号区間群G1を含み、その各々が立ち上がり信号エッジS11、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く立ち下がり信号エッジS12の連続を含むことが重要である。本発明によれば、立ち上がり信号エッジS11、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く立ち下がり信号エッジS12の連続を含む、そのような信号区間群G1と、この信号区間の後に、時間的に次の立ち上がり信号エッジの順で発生するが、必ずしも同じような群の発生が必ずしも続くわけではない。第一の電圧信号S10の場合、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の後に、本発明により定義される中間区間S13を含まない他の信号エッジも続いてよい。さらに、第一の電圧信号S1
0では、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11の時間的に直後に、立ち下がり信号エッジが続いてもよい。しかしながら、本発明による方法の実施形態によれば、第一の電圧信号S10はまた、相互に時間的に続く複数の信号区間群G1を含んでいてもよい。
【0061】
本発明による方法で使用される第一の電圧信号S10の実施形態は、信号区間群G1の時間的連続から形成されてよく、その各々は立ち上がり信号エッジS11、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く立ち下がり信号エッジS12からなり、各信号区間群G1は特に、のこぎり歯形状若しくは台形形状、又は基本的にこれらの形状の1つを有していてよく、これは、信号エッジS11、中間区間S13、及び信号エッジS12の各々が直線で形成されることを意味する。
【0062】
本発明による方法の実施形態において、第二の電圧信号S20は少なくとも1つの比較的高周波数の信号区間S21を含む。この場合、第二の電圧信号S20は少なくとも1つの接続信号区間S22を含んでいてよく、これはそれぞれ2つの比較的高周波数の信号区間S21を接続する。
図11及び15に示されるように、接続信号区間S22は、時間が経っても一定であり、特に値ゼロを有する値を有していてよい。接続信号区間S22は代替的に、比較的低周波数の信号からなっても、又はこれから形成されてもよい。
【0063】
3つの制御セクションA1、A2、A3を含むアクチュエータ1の制御が、台形の波形の第一の電圧信号S10及び第二の電圧信号S20によって行われる、方法の実施形態の一例が
図11に示されている。第二の電圧信号S20の比較的高周波数の信号区間S21は中間区間S13で始まり、それぞれ隣接する立ち下がり信号エッジS12にわたって、及びまた、それぞれそれに隣接する中間区間S13の一部にわたって延びる。この制御の結果としての、時間の経過による第一の端面11又は作動領域1a上の基準位置の位置変化Uが
図12に示されている。
【0064】
図11の実施形態において、第一の電圧信号S10は追加的に、信号区間群G1の直接的に連続する連続から形成されるか、又は第一の電圧信号S10の開始点の異なる選択を伴う特別な場合には、信号区間群G2の直接的に連続する連続から形成される。
【0065】
図11に示される第一の電圧信号S10又はその信号区間群G1の場合、立ち上がり信号エッジS11は、立ち下がり信号エッジS12よりも小さい、絶対量に従う勾配を含む。このことから、時間が経過すると、信号区間群G1の中で、立ち上がり信号エッジS11中では立ち下がり信号エッジS12中より、アクチュエータ1の形状の状態の変化又は変形が時間的にゆっくりとなる。この場合、立ち上がり信号エッジS11の勾配の量は、これによって引き起こされるアクチュエータ1の形状の状態の変化の速度により、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に静止摩擦が生じるように設定される。この期間中に、アクチュエータ1の形状の状態の変化によって、被駆動要素90の摩擦表面90aに当たる摩擦要素Fの接触表面FKの位置(
図19)及び、それゆえ被駆動要素90の位置は、第一の駆動方向に変化し、これは、被駆動要素90が、存在する静止摩擦によって、摩擦要素Fの接触表面により引きずられるからである。このようにして、被駆動要素90の推進が第一の駆動方向に実現される。
【0066】
さらに、立ち下がり信号エッジS12の勾配の量は、それによって引き起こされるアクチュエータ1の形状の状態の変化の速度が比較的速いことにより、摩擦要素Fと摩擦表面90aとの間に静止摩擦が発生せず、摺動摩擦が得られるように設定される。立ち下がり信号エッジS12の時間区間中、被駆動要素90の摩擦表面90aと接触する摩擦要素Fの接触表面FKと摩擦表面90aとの間に発生する摩擦力に関する被駆動要素90の慣性が大きいため、アクチュエータ1の形状の状態及び摩擦要素Fの接触表面FKの位置の比較的急速な変化によって、接触表面FKと被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の相対運動及び、それゆえ摺動摩擦が得られる。この期間中、被駆動要素90は前進させられず、被駆動要素90の摩擦表面90aに関して摩擦要素Fの接触表面FKが戻る動作が発生する。信号エッジS12の時間的終了に到達した後、別の信号区間群G1の立ち上がり信号エッジS11が次に続いて、被駆動要素90をさらに前進させることができる。
【0067】
一般に、電圧信号S10が第一の駆動方向を実現する場合、信号区間群G1は以下のように実現される。
(a)第一の信号区間SA1は、作動表面1aの上に配置された摩擦要素Fと摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に静止摩擦状態が生じるような摩擦要素Fの移動速度が結果として得られる勾配を有する少なくとも1つの区間を含み、
(b)第二の信号区間SA2は、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に摺動摩擦状態が生じるような摩擦要素Fの移動速度が結果として得られる、各位置における絶対量に従う勾配を含む。
【0068】
摩擦要素Fが、アクチュエータ1が中立状態にあるときにその形状若しくはその向き又はその両方の点に関して中立状態を取るとする。第一の信号区間SA1及び第二の信号区間SA2のどちらにおいても、摩擦要素Fはその向き又はその形状の状態において、中立状態とは反対の運動状態にある。本発明による方法の実施形態において、第一の信号区間SA1及び第二の信号区間SA2との間に位置する中間区間S13は、アクチュエータ1の形状の状態の変化が生じないか、又は、生じるアクチュエータ1の形状の状態の変化が第一及び第二の信号区間SA1、SA2と比較して、有意に小さい信号区間である。中間区間S13の信号強度が印加されているとき、アクチュエータ1が第一の信号区間SA1又は第二の信号区間SA2で制御された後すぐに摩擦要素Fが再び運動状態とされる前に、摩擦要素Fの、及び任意選択的に摩擦要素Fと、アクチュエータ1がその中に受けられる保持装置とのそれぞれの瞬間的運動状態から中立状態への復帰が起こり得る。
【0069】
本発明による方法で使用される、被駆動要素90の第一の駆動方向を発生させるための第一の電圧信号S10の特別な実施形態は、第一の電圧信号S10の対応する開始点によって、複数の信号区間群G2を含み、各々が絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11からなり、立ち上がり信号エッジS11は、立ち下がり信号エッジS12より小さい、絶対量による勾配を有する。第一の電圧信号S10のこの実施形態において、このような信号区間群G2と、時間的にこの信号区間群の次の立ち下がり信号エッジが発生したとき、このような群の発生が必ずしも続くとは限らない。したがって、第一の電圧信号S10の場合、立ち下がり信号エッジS12の後に、本発明により定義される中間区間S13を有していない他の信号区間も時間的に続き得る。さらに、第一の電圧信号S1の場合、絶対量に従う立ち下がり信号エッジS12の時間的に直後に、立ち上がり信号エッジS11が続く可能性もある。しかしながら、本発明による方法の実施形態によれば、第一の電圧信号S10はまた、相互に時間的に続く複数のこのような群を有する可能性もある。信号区間群G2は特に、のこぎり歯形状又は台形形状を有することができる。
【0070】
図13及び14は、本発明による方法の実施形態に関して、例として、第二の電圧信号S20が、比較的高周波数の信号区間S21がアクチュエータ1に印加された電圧信号S10の時間的な中間区間S13の中ですでに発生し、その中の時間区間TVにわたって印加されるように切り替えられることを示している。さらに、電圧信号S20の信号区間S21は、次の中間区間でも、且つその中の期間TNにおいてのみ発生する。
図15において、3つの制御セクションA1、A2、A3を含み、第一の電圧信号S10と第二の電圧信号S20によりアクチュエータ1を制御する、本発明による方法の別の実施形態が示されている。
図15に示される第一の電圧信号S10又はその信号区間群G1の立ち上がり信号エッジS11は、絶対量に従って立ち下がる信号エッジS12より大きい勾配を有する。それによって、時間の経過により、信号区間群G1内では、立ち上がり信号エッジS11中に、アクチュエータ1の形状状態又は変形は、立ち下がり信号エッジS12中より素早く変化する。この場合、立ち上がり信号エッジS11の勾配の量は、これによって引き起こされるアクチュエータ1の形状状態の変化の速度によって、作動表面1aの上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが接触する被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に静止摩擦が発生しないが、摺動摩擦状態が得られるように設定される。立ち上がり信号エッジS11の時間セグメントにおいて、被駆動要素90の摩擦表面90aと接触する摩擦要素Fの接触表面FKと摩擦表面90aとの間に発生する摩擦力に関する被駆動要素90の慣性は非常に大きく、アクチュエータ1の形状状態及び摩擦要素Fの接触表面FKの位置の比較的急速な変化により、接触表面FKと被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の相対運動が生じる。したがって、この時間セグメントでは、被駆動要素90の前進は起こらず、摩擦要素Fの接触表面FKと被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の相対運動が得られ、相対運動は駆動方向と反対向きであり、及び前進を発生させない。
【0071】
一般に、第二の駆動方向を実現するために、電圧信号S10の信号区間群G1は、以下のように実現される。
(a)第一の信号区間SA1は、少なくとも部分的に及び特に各位置において、作動表面1aの上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に摺動摩擦状態が発生するような摩擦要素Fの運動速度が得られる勾配を有し、
(b)第二の信号区間SA2は、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと、摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間に静止摩擦状態が発生するような摩擦要素Fの運動速度が得られる勾配を有する少なくとも1つの区間を含む。
【0072】
この点で被駆動要素90の第二の駆動方向を発生させるために使用される第一の電圧信号S10の特別な変形型は、第一の電圧信号S10の対応する開始点を有して、複数の信号区間群G2を含み、その各々は絶対量に従う立ち下がり信号エッジS12、時間的に直後に続く中間区間S13、及び時間的に直後に続く絶対量に従う立ち上がり信号エッジS11の連続からなり、絶対量に従う立ち上がり信号エッジS11は立ち下がり信号エッジS12より大きい勾配を有する。
【0073】
さらに、立ち下がり信号エッジS12の勾配の量は、これによって引き起こされるアクチュエータ1の形状状態の変化の速度がより低速であることにより、摩擦要素Fと摩擦表面90aとの間の静止摩擦が優勢となるように設定される。この時間区間において、アクチュエータ1の形状状態が変化すると、被駆動要素90の摩擦表面90aと当たる摩擦要素Fの接触表面FK(
図19)の位置及び、第一の駆動方向の反対の第二の駆動方向への被駆動要素90の位置が変化するが、これは、被駆動要素90が既存の静止摩擦によって摩擦要素Fの接触表面によって引きずられるからである。このようにして、立ち下がり信号エッジS12が印加されている間、被駆動要素90は、第一の駆動方向と反対向きの第二の駆動方向に前進し、これは
図11及び12において生成される信号により生じる。
【0074】
信号エッジS12の時間的終了に到達した後、今度は別の信号区間群G1の立ち上がり信号エッジS11が隣接してよく、それによって被駆動要素90はさらに前進する。
図13の実施形態において、第一の電圧信号S10は追加的に、直後に続く信号区間群G1の連続から形成される。
【0075】
第二の電圧信号S20の高周波数信号区間S21は、本発明による方法の実施形態においては、中間区間S13の時間間隔t
z内で始まり、その後の立ち
下がり信号エッジ
S12に沿って、またそれぞれのその後の中間区間S13の一部に沿って延びる。第一の端面11上の基準点の、又は特に摩擦要素Fがその上に配置される作動表面1aの、この制御から得られる位置の変化Uが、
図16において時間に関して示されている。第一の電圧信号S10の中間区間S13中に第二の電圧信号S20を活性化することによって、作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと、その上に摩擦要素Fが当たる被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の摩擦が低減化される。第二の電圧信号S20を、時間的に、それによって摩擦要素Fと摩擦表面90aとの間に静止摩擦及びしたがって摺動摩擦が発生しない勾配量の信号エッジを有する信号区間SA1、SA2の前の時点で起こる中間区間S13内で活性化することによって、このそれぞれの信号区間SA1、SA2の印加の前にすでに、摩擦要素Fと摩擦表面90aとの間の摩擦の低減化が引き起こされる。摩擦は、それぞれの信号区間SA1、SA2の時間的開始の時点ですでにこのように低減化されているため、最適化された方法で、摩擦要素Fが静止から摺動摩擦フェーズへの変化中に摩擦表面90aと共に移動しないことが確実となる。その結果、摩擦要素Fにより生成される被駆動要素90の運動の正確さが最適化される。
【0076】
本発明による方法の全ての実施形態において、第一の電圧信号S10の、絶対量に従って立ち上がる信号エッジS11は、線形に変化し、それゆえ正の、時間的に一定の勾配を有することができる。この場合、幾つかの群G1及びG2と、特に群G1の、及び群G2の、又は交互にG1及びG2の直接的連続は、線形に変化し、それゆえ正の、時間的に一定の勾配を有する立ち上がり信号エッジS11を有していてよい。立ち上がり信号エッジS11は各々が同じ勾配を有していてよい。
【0077】
この代替案として、又はそれに加えて、本発明による方法で使用される第一の電圧信号S10の実施形態は、絶対量に従って減少し、線形に変化し、それゆえ負の、時間が経過しても一定の勾配を有する信号エッジS12を含んでいてよい。幾つかの群G1及びG2と、特に群G1の、群G2の、又は交互に群G1及びG2の直接的連続は、線形に変化し、それゆえ負の、時間的に一定の勾配を有する立ち下がり信号エッジS12を含んでいてよい。この場合、立ち下がり信号エッジS12は各々、同じ勾配を有することができる。
【0078】
本発明による方法で使用される第一の電圧信号S10の実施形態は、線形に変化する中間区間S13を含んでいてよい。この場合、複数の群G1及びG2と、特に群G1の、群G2の、又は交互に群G1及びG2の直接的連続は、線形に変化する中間区間S13を含んでいてよい。それぞれの場合に、中間区間S13は、部分的にゼロの値を有するか、又は
図11~13の例に示されるように全体を通じてゼロの値の勾配を有する区間である。
【0079】
第二の電圧信号S20による第二の制御セクションA2の制御は、本発明によれば、時間的に第一の電圧信号S10の信号中間区間S13の時間間隔tz内で始まり、これは特に作動表面1a上に配置された摩擦要素Fと被駆動要素90の摩擦表面90aとの間の相対運動を引き起こす信号エッジの前の時間区間TZによって位置付けられる。
【0080】
特に、第一の電圧信号S10の周波数が2つの信号中間区間S13の時間的連続から定義される場合、それぞれの場合に立ち上がり信号エッジS11の後、又はそれぞれの場合に立ち下がり信号エッジS12の後に、第二の電圧信号S20の周波数は、少なくともこれらの信号中間区間S13において、このように定義された第一の電圧信号S10の周波数と比較して少なくとも10倍高くてよい。
【0081】
一般に、第二の電圧信号S20の高周波数信号区間S21は正弦波であってよい。
本発明による方法の実施形態、特に方法の実施形態の前述の特徴の1つとの組合せによれば、第二の電圧信号S20は、信号中間区間S13の時間間隔tzの少なくとも10%及び最大で90%が経過した後に生じる時点で始まる。代替的又は追加的に、第二の電圧信号S20の開始は、信号中間区間S13の時間間隔の、その終了前50%にある時点で行われる。
【0082】
本発明による方法の実施形態、特に方法の実施形態の前述の特徴の1つとの組合せによれば、第二の電圧信号S20は、立ち上がり信号エッジS11を有する時間的に直後の、又は時間的に隣接する信号区間SA1にわたり、時間的に続く信号中間区間13まで中断せずに延び、特に、この信号中間区間13の時間間隔tz内の時間区間TNの満了又はその終了と共に終了する。さらに、本発明による方法の1つ実施形態、特に方法実施形態の前述の特徴のうちの1つに関連して、第二の電圧信号S20は、立ち下がり信号エッジS12を有する時間的に直後の、又は時間的に隣接する信号区間SA2にわたり、時間的に後続の中間信号区間13まで中断せずに続いてよく、この信号中間区間13の時間間隔tz内で、又はその終了と共に終了してよい。
【0083】
本発明による方法の実施形態、特に方法の実施形態の前述の特徴の1つとの組合せによれば、第二の電圧信号S20の最大振幅は第一の電圧信号S10の最大振幅の50%以下である。
【0084】
本発明による方法の別の実施形態、特に方法の前述の特徴の1つとの組合せによれば、以下が行われる。
(a)第一の制御セクションA1の活性化中、第一の制御セクションA1を形成し、かつ長手方向Lに相互に前後に位置付けられる複数の第一の制御サブセクションの、第一の電圧信号S10での同時活性化、
(b)第二の制御セクションA2の活性化中、第二の制御セクションA2を形成し、かつ長手方向Lに相互に前後に位置付けられる複数の第二の制御サブセクションの、第二の電圧信号S20での同時活性化。
【0085】
本発明による方法の別の実施形態、特に方法の別の実施形態の前述の特徴の1つとの組合せによれば、電圧により変形可能な第三の制御セクションA3の、第一の電圧信号S10での制御は、第一の制御セクションA1の第一の電圧信号による制御と同時に行われ、第三の制御セクションは、第二の制御セクションA2が第一及び第三の制御セクションA3間に位置付けられるように配置される。
【0086】
図17~19において、駆動装置Kの実施形態が示されており、これを以下、参照記号「K1」で呼ぶ。
図17の保持装置40の実施形態は、アクチュエータ1の第二のアクチュエータ端面FE2を受けるための受容部43、摩擦要素F又は第一の端面11を保持するための保持部44、及び相互に沿って延び、かつ受容部43と保持部44を接続する2つの接続部45、46を含む。保持装置40内のアクチュエータ1の位置により、駆動装置K1の中心軸Zが画定されてよく、これはアクチュエータ1の長手方向Lの方向に沿って、又は特にそれと平行に延びてよい。中心軸Zは取付装置40の対称軸又はその中央軸であってよい。
図17~26に関して説明する駆動装置Kの実施形態では、摩擦要素Fは第一のアクチュエータ端面FE1上に位置付けられ、これは外側作動表面1aである。作動表面1aはまた、第一のアクチュエータ端面FE1上に位置付けられる中間層又は構造的コンポーネントの外面とすることもできる。
図17~26の実施形態において、受容部43、保持部44、及び2つの接続部45、46は受容空間49を画定し、これはアクチュエータ1を摩擦要素Fと共に、又はアクチュエータ1のそれぞれの制御セクションを摩擦要素Fと共に保持する。アクチュエータ1は摩擦要素Fと共に長手方向Lに受容部43と保持部44との間に延びる。摩擦要素Fはそれゆえ、保持装置40の中又は受容空間47の中に配置される。
図17~26の実施形態において、摩擦要素Fはその長手方向LFに、第一のアクチュエータ端面FE1と保持部44との間の領域から、その長手方向LFがアクチュエータ1の長手方向Lに対して横断方向にあるように被駆動要素90の摩擦表面90aまで延び、摩擦表面90aは概して摩擦要素Fと対向する。
【0087】
駆動装置K1から分かるように、保持部44は外部から、長手方向Lに沿って延びる方向に摩擦要素Fを作動表面1aに押し付ける。
図4及び5に示される対応する電圧の印加によるアクチュエータ1の変形状態により引き起こされる作動表面1aの移動により、摩擦要素Fの対応する移動が得られ、それによって被駆動要素90を移動させることができる。
【0088】
本発明による、保持装置40を有するアクチュエータ1は、モータMの支持装置50の中に内蔵され、又はその中に組み込まれてよく、支持装置は空間的に固定されて配置され、すなわち空間参照系内で静止して配置される。アクチュエータ1が動的に変型し、その結果として作動表面1aが移動した場合、摩擦要素Fは支持装置50又は空間参照系に関して移動し、被駆動要素90の移動を引き起こし、これは摩擦要素Fと摩擦接触し、案内装置95によってあらかじめ決められた案内経路内で案内される。案内装置95は特に、参照系としての支持装置50に関して静止して配置される。
【0089】
図17による実施形態において、支持装置50は台板51を含み、これは特に支持板又は接続板の機能を有していてよい。
支持装置50はプレテンショニング装置60を含んでいてよく、これは駆動装置に、又は摩擦要素Fに、台板51から摩擦要素Fに向かう力を加え、摩擦要素Fを被駆動要素90に押し付ける。
図17の駆動装置Kの実施形態では、プレテンショニング装置60は板64又はばね板として実現され、第一の端部分65で台板61に取り付けられる。板64は支持装置50の台板51上に位置付けられ、駆動装置KがモータMに内蔵された場合、第一の端部分65の反対に位置する第二の端部分66が摩擦要素Fに当たり、圧縮力で摩擦要素Fを被駆動要素90に押し付ける。
図17に示されるように、アクチュエータ1は少なくとも一部を台板51の凹部57内に位置付けることができ、凹部はくぼみでも、又は被駆動要素90へと開放する貫通穴でもよく、板64は凹部57の縁部分から凹部57の中へと突出し、そこで第二の端区間66が摩擦要素Fに当たる。代替的又は追加的に、プレテンショニング装置60は圧縮ばねとして実現でき、これは台板51と摩擦要素Fとの間又は必要に応じて板64と摩擦要素Fとの間に位置付けられる。
【0090】
駆動装置K及び支持装置50を有するモータMが
図17~22に概略的に示されており、その各々の中にアクチュエータ1が概略的に示されている。支持装置50はまた、異なる方法でも、例えば取付装置としても実現できる。本明細書に記載のアクチュエータ1の実施形態は、本発明によれば、モータMに内蔵させ、又はその中に組み込むことができる。モータMは駆動装置K、被駆動要素90、及び台板51に構造的に静止して接続される案内装置95を含み、アクチュエータ1の変形と摩擦要素Fの移動により被駆動要素90を台板51に関して移動させることができる。
【0091】
図17~22は、アクチュエータ1が、長手方向Lに相互に前後に配置された3つの制御セクションA1、A2、A3に構造的に組み込まれたモータMの実施形態を示している。その中でこのようなアクチュエータ1と共に使用される駆動装置Kは、
図17~26の中で詳しく示されている。
図17~26に関して説明された実施形態では、摩擦要素Fは第一の制御セクションA1の、第一のアクチュエータ端面FE1としての第一の端面11に位置付けられ、これは、それゆえ外側作動領域1aである。
【0092】
別の実施形態において、摩擦要素Fは、作動表面1aとしての、保持装置40の保持部44の外面44a上に位置付けることができ、これは保持部44の、アクチュエータ1がその上に当たる内面44bと反対向きである。この点で、特に、摩擦要素Fが保持部44に締結されることができる。摩擦要素Fは、その長手方向LFが長手方向Lに対して横断方向に、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、被駆動要素90の摩擦表面90aへと延びる。
【0093】
これらの特徴を有する駆動装置Kの実施形態が
図27~30に示されている。これは以下、参照記号「K2」で呼ばれる。アクチュエータ1は、本明細書に記載の実施形態のうちの1つに従って実装できる。
【0094】
図27~30に示される駆動装置K2の実施形態は、保持装置240を含み、これは少なくとも部分的に長手方向Lに対して横断方向に延び、アクチュエータ1の支持表面1bとして第二のアクチュエータ端面FE2を受けるための受容部243と、少なくとも部分的に長手方向Lに対して横断方向に延び、摩擦要素Fを保持し、かつ第一のアクチュエータ端面FE1を受けるための保持部244と、長手方向Lに沿って延び、かつ受容部243と保持部244を接続する2つの接続部245、246を含む。受容部243、保持部244、及び接続部245、246は受容空間249を形成し、その中にアクチュエータ1が位置付けられる。摩擦要素Fは、作動表面1aとしての、保持装置240の保持部244の外面244aの上に位置付けられ、これはアクチュエータ1が当たる保持部244の内面244bと反対向きである。摩擦要素Fは、駆動装置K2がモータに内蔵されたときに、基準又は中立位置において、その長手方向LFが長手方向Lである状態で、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。
【0095】
摩擦要素Fの長手方向LFは、アクチュエータ1の長手方向Lに対して横断方向に、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びることも想定される。摩擦要素Fはまた、保持部244及び特に保持部244の内面244bとアクチュエータ1との間に配置されてもよい。
【0096】
アクチュエータ1の位置により、駆動装置K2の中心軸Zを画定でき、これはアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、又はその方向に延びることができる。中心軸Zは、取付装置240の対称軸又はその中心軸とすることができる。接続部245、246は中心軸Zに沿って延びる。接続部245、246は各々、外面245c及び246cを有し、これらはアクチュエータ1の長手方向L又は中心軸Zに沿って延び、相互に反対向きである。受容部243、保持部244、及び接続部245、246は、1つの部品として製造できる。代替的に、
図27~30に示されるように、保持部244は独自の第一の部分として使用でき、受容部243及び接続部245、246は独自の第二の部品として実現できる。保持装置240は、1つの接続部245又は246のみを含むように実現することもできる。受容部243と少なくとも1つの接続部245又は246は、独自の部品として実現できる。保持部244は板の形状で、又はウェブの形状で形成できる。受容部243及び少なくとも1つの接続部245又は246は全体として馬蹄形に形成できる。
【0097】
取付装置240は、締め付けフレーム241として実現でき、その中でそれぞれのアクチュエータ1の制御セクションが受容部243と保持部244との間に締結され、それによってアクチュエータ1に圧縮力の形態の締結力を加え、これはアクチュエータ1の長手方向Lに作用する。取付装置240のこの実施形態において、締結力により、アクチュエータ1は、例えば基準状態又は中立状態において、長手方向Lに関して所定の収縮状態に弾性的に付勢される。アクチュエータ1の弾性プレテンションは特に、保持部244が板の形状又はウェブの形状であることにより付与される。特に、保持部244は少なくとも部分的に弾性材料で形成できる。このプレテンションにより、アクチュエータ1は膨張状態から収縮状態へとより素早く復帰する。保持装置240は、作動表面1aから支持表面1bへと延び、アクチュエータ1を長手方向Lに取り囲むか、又は把持する距離にわたり、アクチュエータ1の少なくとも片側に延びるように実現される。
【0098】
第一の接続部245の第一の端区間245aと第二の接続部246の第二の端部分245bは、保持部244、又はアクチュエータ1の作動表面1aの上に位置付けられる。保持装置240の実施形態において、保持部244の両側の端区間247又は248の各々が少なくとも1つの接続部245又は246のそれぞれの端区間すなわち端区間245a、245bに、それぞれの場合に例えば接続要素245d又は246dによって取り付けられる。保持部244の受容部243又は接続部245若しくは246に関する、及び特に端区間245a又は245bに関する位置は、調整装置によって調整することができる。接続要素245d又は246dによって実現され得る調整装置を実装でき、それによってそれぞれの外側端区間245a又は245bとの間の距離を調整できる。少なくとも1つの接続部245又は246に関する保持部244の位置を調整することによって、アクチュエータ1に作用する締結力が調整されてよい。
【0099】
摩擦要素Fは中央に、中心軸Zの上に位置付けることができる。代替的又は追加的に、アクチュエータ1も中央に、中心軸Zの上に位置付けることができ、長手方向Lを中心軸Zと一致させることができる。一般に、長手方向Lは中心軸Zからある距離に位置付けられてよく、これは値ゼロ以外である。
図27に示される駆動装置K2の実施形態において、アクチュエータ1は全体として中心軸Zの片側に位置付けられ、摩擦要素Fは中央に、中心軸Zの上に位置付けられる。
図27~30に示される駆動装置K2の実施形態において、外面245c及び246cはアクチュエータ1の長手方向Lに対称に配置される。
【0100】
駆動装置K2の実施形態において、アクチュエータ1は本明細書に記載のその実施形態の1つに従って実現することができる。
図31において、アクチュエータ1は第一の制御セクションA1、第二の制御セクションA2、及び第三の制御セクションA3を含む。
【0101】
図31~34は、
図27~30による駆動装置の実施形態の変形型を示しており、駆動装置はここでは参照記号「K3」で呼ばれ、保持装置340を含み、これは長手方向Lに対して横断方向に延び、アクチュエータ1の支持面1bとして第二のアクチュエータ端面FE2を受けるために提供された受容部343と、少なくとも部分的に長手方向Lに対して横断方向に延び、摩擦要素Fを保持するため、及び第一のアクチュエータ端面FE1としての第一の端面11を有するアクチュエータ1の第一の制御セクションA1を受けるために提供される保持部344と、長手方向Lに沿って延び、かつ受容部343と保持部344を相互に接続する第一及び第二の接続部345、346を含む。摩擦要素Fは、作動表面1aとして保持装置340の保持部344の外面344a上に位置付けられ、外面344aはアクチュエータ1が当たる保持部344の内面344bと反対向きである。摩擦要素Fは、駆動装置K3がモータに内蔵されたときに、基準又は中立位置において、その長手方向LFが長手方向Lである状態で、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。アクチュエータ1の位置により、駆動装置K3の中心軸Zを画定でき、これはアクチュエータ1の長手方向Lに沿って、特にその方向に延びることができる。中心軸Zは保持装置340又はその中心軸の対称軸とすることができる。以下は基本的に、駆動装置K3が駆動装置K2と異なる特徴を説明する。接続部345の第一の端区間345aと第二の接続部346の第二の端部分346aは、第一の保持部344又はアクチュエータ1の作動表面1a上に位置付けられる。受容部343、保持部344、及び接続部345、346は受容空間349を形成し、その中にアクチュエータ1が位置付けられる。接続部345、346の外面345c、346cは、相互に反対向きであり、アクチュエータ1の長手方向L又は中心軸Zに沿って延びる。
【0102】
駆動装置K3において、保持部344の第一の端区間347は第一の接続部345の第一の端区間
345aの上方に位置付けられ、保持部344は長手方向Lに対して横断方向に、第一の接続部345の第一の端区間
345aから第二の接続部346の第二の端部分
346aへと延びる。ここで、保持部344の第一の端区間347は、長手方向Lに
対して横断方向に見たときに、第一の接続部345の第一の端部分
345aの上に位置付けられ、保持部344の第二の端部分348は、第二の接続部346の第二の端部分
346aと1つの部品として形成される。保持部344の第一の端区間347は、第一の接続部345の第一の端区間
345aと1つの部品として形成されても、又は
図22に示されるように、接続要素345dを介してそれに接続されてもよい。特に、保持部344の位置と受容部343の位置は、それらがアクチュエータ1を長手方向Lに締結し、アクチュエータ1の長手方向Lに作用する圧縮力の形態の締結力をアクチュエータ1に付与するように提供できる。保持部344の第一の端区間347は、調整装置によって第一の接続部345の第一の端区間
345aに接続できる。これは、保持部344の第一の端区間347と第一の接続部345の第一の端区間
345aとの間の距離を調整できる接続要素により実現されてよく、それによって長手方向Lにアクチュエータ1へと作用する締結力又は圧迫力を調整することができる。
【0103】
摩擦要素Fは、保持部344の外側344aの隆起部344eに配置される。
図22~23に示される駆動装置K3の実施形態において、摩擦要素Fは中央に、中心軸Zの上に位置付けられる。駆動装置K3がモータMに取り付けられた場合に、摩擦要素Fの長手方向LFは、アクチュエータ1の長手方向Lに、又は長手方向Lに沿って、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。代替的に、摩擦要素Fがその長手方向LFがアクチュエータ1の長手方向Lに対して横断する状態で、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びることができる。摩擦要素Fはまた、保持部344、特に保持部344の内面344bとアクチュエータ1との間に配置されてもよい。
【0104】
駆動装置K3は、駆動装置K2の特徴を含んでいてもよく、その逆でもある。
アクチュエータ1が信号発生装置Vからの対応する電圧信号で電気的に制御される場合、
図27~34による駆動装置K2及びK3は、FEMシミュレーションを使って計算された
図35及び36の変形状態を取ることができ、これらの変形状態の1つからそれぞれの他の変形状態への周期的変化によって、摩擦要素Fの移動を実現でき、これは摩擦要素Fと摩擦接触する被駆動要素を駆動するために使用できる。
【0105】
図37~39は、本発明による駆動装置の別の実施形態を示し、これは本明細書において参照記号「K4」で呼ばれる。駆動装置K4は2つのアクチュエータ401及び402を含み、その各々は
図8によるアクチュエータ1のように実現され、それに関してその参照番号が使用される。アクチュエータ401、402の長手方向Lに関して、参照記号「L401」又は「L402」が具体的に使用されている。さらに、駆動装置K4は保持装置440を含み、これは、少なくとも部分的に長手方向L401、L402に対して横断方向に延びる、アクチュエータ401、402の支持表面1bとして第二のアクチュエータ端面FE2を受けるための受容部443と、少なくとも部分的に長手方向L401、L402に対して横断方向に延びる、摩擦要素Fを保持し、かつ第一の制御セクションA1又は、アクチュエータ401、402の第一のアクチュエータ端面FE1を受けるための保持部444と、長手方向Lへの範囲に沿って延び、かつ受容部443を保持部444に接続する第一及び第二の接続部445、446と、を含む。ここで、摩擦要素Fは作動表面1aとしての保持装置40の保持部444の外面444a上に位置付けられ、摩擦要素Fは、アクチュエータ1が当たる保持部444の内面444bと反対向きである。摩擦要素Fは、駆動装置K4がモータに内蔵されたときに、基準又は中立位置において、その長手方向LFが長手方向Lに、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿っている状態で、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。アクチュエータ401、402の位置により、駆動装置K4の中心軸Zを画定でき、これはアクチュエータ1の長手方向L401、L402に沿って、特にその方向に延びてよい。中心軸Zは保持装置40の対称軸又はその中間軸とすることができる。
【0106】
以下においては、基本的に駆動装置K4が駆動装置K2と異なる特徴が説明されている。保持部444又はアクチュエータ1の作動表面1aの上に、第一の接続部445の第一の端区間445aと第二の接続部446の第二の端部分446aが位置付けられる。受容部443、保持部444、及び接続部445、446は受容空間449を形成し、その中にアクチュエータ401、402が位置付けられる。アクチュエータ401、402の長手方向L401、L402は、相互に平行に延びる。一般に、長手方向L401は長手方向L402に沿って延びる。接続部445、446の外面445c、446cは、相互に反対向きであり、アクチュエータ401、402の長手方向L401、L402又は中心軸Zに沿って延びる。
【0107】
駆動装置K4の保持部444は何れの形状を有していてもよく、図の実施形態では、板又はウェブの形状を有する。保持部444の第一の端部分447は第一の端部分445bの上方に位置付けられ、保持部材444の第二の端部分448は第二の端部分446bの上方に位置付けられる。ここで、保持部444の第一の端部分447は、長手方向L401に見たときに、第一の接続部445の第一の端部分445bの上方に位置付けられ、保持部444の第二の端部分448は、長手方向L402に見たときに、第二の接続部446の第二の端部分446bの上方に位置付けられる。保持部444の端区間447、448の一方又は両方は、それぞれの端区間445b、446bと1つの部品として形成でき、又は
図37~39に示されているように、各々を接続要素445d、446dを介してそれぞれの端区間445b、446bに接続できる。特に、保持部444の位置と受容部443の位置は、これらがアクチュエータ401、402をそれらの長手方向L401、L402に締結し、
それぞれの場合に、アクチュエータ401、402の長手方向L401、L402に沿って作用する圧縮力の形態での締結力をアクチュエータ401、402に付与するような方法で提供できる。保持部444の第一の端区間447は、第一の接続部445の第一の端区間445bに調整装置によって接続できる。これは、保持部444の第一の端区間447と第一の接続部445の第一の端区間445bとの間の距離を調整できる接続要素により実現でき、長手方向L401、L402にアクチュエータ401、402に作用する締結力又は圧迫力が調整される。
【0108】
一般に、長手方向L401、L402は中心軸Zからある距離に位置付けることができ、これは値ゼロ以外である。アクチュエータ401、402は、全体として横断方向に、中心軸Zの両側に位置付けることができる。
図37~39に示される駆動装置K4の実施形態では、長手方向L401、L402はまた、中心軸Zに関して対称でもある。図の駆動装置K4の実施形態において、摩擦要素Fは中心軸Zの上に中心合わせされる。
【0109】
駆動装置K4は、駆動装置K2又は駆動装置K3の特徴を含んでいてもよく、またその逆である。また、駆動装置K2及びK3に関して行った定義は、本明細書に記載の他の駆動装置に、特に駆動装置K4に適用されてよい。
【0110】
図40及び41において、駆動装置K4がその中に組み込まれた、又は内蔵されたモータM4が示されている。モータは、駆動装置K4と、駆動装置K4を支持するための支持装置450と、被駆動要素90と、被駆動要素90の移動を案内するための案内装置と、を含む。駆動装置K1、駆動装置K2、若しくは駆動装置K3又は記載されているそれらの変形型は、
それぞれの場合に、支持装置450又は記載されているその変形型により支持され、又はそこに組み込まれてもよい。
【0111】
支持装置450は、特に収納盤又は接続板の機能を有する台板451として実現される。駆動装置K4は、支持装置450の、又は台板451の一区間の上に配置又は支持されてよく、この区間は摩擦要素Fからある距離に位置付けられる。この場合、摩擦要素Fは、その長手方向LFが長手方向Lにある、又はアクチュエータ1の長手方向Lに沿った状態で、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びる。その代替案として、摩擦要素Fは、その長手方向LFがアクチュエータ1の長手方向Lに対して横断方向にある状態で、被駆動要素90の摩擦表面90aに向かって延びることができる。摩擦要素Fはまた、保持部444とアクチュエータ1との間、特に保持部444の内面444bとアクチュエータ1との間に配置されることもできる。
【0112】
図40及び41に示される支持装置450はプレテンショニング装置460を含み、これは駆動装置K及びそれゆえ摩擦要素Fを所定の力で被駆動要素90に押し付ける。
プレテンショニング装置460は、台板451と駆動装置K4との間に配置され、駆動装置K4の摩擦要素Fを被駆動要素490に押し付けるような形状とされる。
図40のプレテンショニング装置460は第一のばね板461を含み、これは中央区間462でU字形又は溝の形状に実現される。少なくともある区画において、接続部445、446の外面445c、446c及び保持部444の外面444cは、中間区間462の第一の外面462aに当たる。中間区間462は弾性の、又は寸法的に安定した材料で形成されてよい。第一のばね板461は台板451上に保持され、
図40に示されるように、台板451のホルダ465、466上に湾曲端区間463、464で支持されてよく、湾曲端区間463、464は、好ましくは弾性材料で製作され、中央区間462と、相互に反対にある側で隣接し、ホルダ465、466は、中心軸Zに関して、駆動装置K4の異なる側に位置付けられる。端区間463、464は、少なくとも部分的に中心軸Zから、又は長手方向L401、L402から逸れた方向に延び、第一のばね板461を上述の柔軟性によって台板451上に保持する。特に、
図29に示されるように、端区間463、464は、少なくとも一部が、各々が保持機能を提供するために台板451から突出するそれぞれのホルダ465、466を把持することができる。
【0113】
さらに、
図40のプレテンショニング装置460は、駆動装置K4又は第一のばね板461、及び特に
図40に示される第二のばね板471を弾性により保持するための別の保持装置を含んでいてもよい。第二のばね板471の中間区間472はU字形又は溝の形状である。中間区間472は弾性の、又は寸法的に安定した材料で形成できる。中間区間472は外面472aを含み、その上に、少なくとも一区間において、第一のばね板461の中間区間462の、第一の外面462aと反対向きの第二の外面462bが位置付けられ、中間区間462は第二の中間区間472において、中心軸Zに沿った、又は長手方向L401、L402に沿った方向に移動可能である。それによって、第一のばね板461は第二のばね板471上に保持され、その間に第一のばね板461の上述の方向に沿った移動可能性を提供する。第二のばね板471は台板451上に保持され、
図40に示されるように、台板45のホルダ475、476上に湾曲端区間473、474で保持されてよく、ホルダ475、476はそれぞれの場合、中心軸Zにおいて見たときに、駆動装置K4の異なる側の、第一のばね板461dの中央部分462の外側に位置付けられる。端区間473、474は、少なくとも部分的に、中心軸Zから、又は長手方向L401、L402から逸れた方向に延び、第二のばね板471の、それゆえまた第一のばね板461の台板451上への、上述の移動可能な弾性保持が提供される。特に、
図40に示されるように、端区間473、474は、少なくとも一部が、保持機能を提供するために台板451から突出するそれぞれのホルダ475、476を把持することができる。
【0114】
プレテンショニング装置460はまた、その他の方法でも具現化できる。例えば、駆動装置K4は、台板461の凹部の中にポジティブロックし、その中に支持できる。この点で、凹部の形状によって駆動装置K4を台板461に関して移動できるようになすことができ、ばねは、追加的に凹部と駆動装置K4との間に作用し、駆動装置K4を被駆動要素90に押し付ける。
【0115】
支持装置450はまた、別の方法でも実現でき、例えば取付装置として実現して、モータがプレテンショニング装置を含まないようにすることができる。本発明による支持装置450の実施形態を有するモータMにおいて、本明細書に記載のアクチュエータ1の実施形態を内蔵させ、又はそこに組み込むことができる。
【0116】
案内装置は台板451の上に形成され、特に、中心軸Zを、又は長手方向L401、L402の少なくとも一方に対して横断方向に延びる案内トラックを提供し、それによって被駆動要素90は、アクチュエータ1の変形と摩擦要素Fの台板51に関する移動によって、中心軸Zに対して横断方向に、又は長手方向L401、L402の少なくとも一方に対して横断方向に移動可能となる。
【0117】
案内装置は特に、基準システムとしての支持装置450に関して静止して配置される。
図42~45は、FEシミュレーションを使って、
図37~39による駆動装置K4のアクチュエータの異なる電気的制御によって生成可能な駆動装置の変形状態を例示する。
【0118】
駆動装置K4又はその摩擦要素Fは、被駆動要素(これらの図では図示せず)を相互に反対の2つの方向に移動させることができ、特に2つのアクチュエータ401又は402の一方のみが交互に収縮及び膨張することが分かる。
図42ではアクチュエータ401が収縮し、
図43ではアクチュエータ401が膨張している。これらの作動を繰り返すと、被駆動要素は移動コンポーネントによりアクチュエータ401からアクチュエータ402の方向に移動する。
図44ではアクチュエータ402が収縮し、
図45ではアクチュエータ402が膨張している。これらの作動を交互に繰り返すことにより、被駆動要素は移動コンポーネントによりアクチュエータ402からアクチュエータ401の方向に移動される。
【符号の説明】
【0119】
1 アクチュエータ
1a 第一の制御セクションA1の外側作動領域
1b 支持表面
5 基準電極
10 第一の外面
11 長手方向Lに見たときの第一の端面
12 第二の端面
15 第一の制御電極
16 第一の外面10の第一の接続区間
20 第二の外面
21 第一の端面
22 第一の端面21の反対に位置する第二の端面
25 第二の制御電極
26 第二の外面20の第二の接続区間
30 第三の外面
31 第一の端面
32 第二の端面
35 第三の制御電極
40 保持装置
41 締め付けフレーム
42 支持板
43 受容部
44 保持部
45、46 接続部
47 受容空間
50 支持装置
51 台板
57 台板51の凹部
60 プレテンショニング装置
64 板
65 第一の端区間
66 第二の端区間
90 被駆動要素
90a 摩擦表面
95 案内装置
140 保持装置
141 締め付けフレーム
143 受容部
144 保持部
144a 保持部144の外面
144b 保持部144の内面
145、146 接続部
145a、145b 端区間
145c、146c 外面
145d、146d 接続要素
147 保持部144の第一の端区間
148 保持部144の第二の端区間
149 受容空間
240 保持装置
241 締め付けフレーム
243 受容部
244 保持部
244a 保持部244の外面
244b 保持部244の内面
245、246 接続部
245a、245b 端区間
245c、246c 外面
245d 接続要素
247 保持部144の第一の端区間
248 保持部144の第二の端区間
249 受容空間
401、402 アクチュエータ
440 保持装置
443 受容部
444 保持部
444c 保持部444の外面
445、446 接続部
445c、446c 外面
445a 第一の端区間
446a 第二の端区間
447 端区間
448 端区間
449 受容空間
450 支持装置
451 台板
460 プレテンショニング装置
461 第一のばね板
462 中間区間
462a 中間区間462の第一の外面
462b 中間区間462の第二の外面
463、463 端区間
465、466 台板451のホルダ
471 第二のばね板
472 中間区間
472a 中間区間472の外面
473、474 端区間
475、476 台板451のホルダ
A1、A2、A3 制御セクション
D1、D2、D3 変形体
E1 励起電極
E2 共通電極
F 摩擦要素
FE1、FE2 アクチュエータ端面
V、V1、V2 信号発生装置
G1、G2 信号区間群
K、K1、K2、K3、K4 駆動装置
L アクチュエータ1の長手方向
L401、L402 アクチュエータ401又は402の長手方向
LF 摩擦要素Fの長手方向
M、M1、M4 モータ
S10 第一の電圧信号
S11 立ち上がり信号エッジ
S12 信号エッジ
S13 中間区間
S20 第二の電圧信号
S21 信号区間
S22 信号区間
SA1 第一の信号区間
SA2 第二の信号区間
tz 時間間隔
Z 中心軸
【国際調査報告】