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特表2022-524009ステータのための相互接続装置、温度センサデバイス、および温度を検出するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】ステータのための相互接続装置、温度センサデバイス、および温度を検出するシステム
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/25 20160101AFI20220420BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H02K11/25
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552725
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2020055571
(87)【国際公開番号】W WO2020178290
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102019202912.4
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】カーチャ ウィラッカー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ブルックナー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シュミット
【テーマコード(参考)】
5H604
5H611
【Fターム(参考)】
5H604AA10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604DB01
5H604QA08
5H604QB03
5H604QB14
5H611AA01
5H611PP02
5H611QQ04
5H611TT01
5H611UA01
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】本発明は、電気機械のステータ(100)のための相互接続装置(10)に関する。
【解決手段】相互接続装置(10)は、バスバー(14)を備える。バスバー(14)は、外部端子(16)および巻線端子(18)を有するコネクタリングのコネクタリングセグメントを構成する。外部端子要素および巻線端子要素は、相互接続領域(22)に配置されている。相互接続装置(10)は、さらに、受容要素(12)を備える。受容要素(12)は、少なくとも熱的に、バスバー(14)と結合されている。受容要素(12)は、相互接続領域(22)の外側に配置されている。本発明は、さらに、相互接続装置(10)の受容要素(12)に差し込む温度センサデバイス(50)と、ステータ(100)における温度を検出するシステム(74)と、に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械のステータ(100)のための相互接続装置(10)であって、前記相互接続装置(10)は、
少なくとも1つのバスバー(14)を備え、前記バスバー(14)は、外部端子(16)および巻線端子(16)を有するコネクタリングの少なくとも1つのコネクタリングセグメントを構成し、
前記外部端子(16)および前記巻線端子(18)の接続要素は、前記コネクタリングセグメントの周方向に構成されている相互接続領域(22)に配置され、前記相互接続装置(10)の電流経路は、前記外部端子(16)から前記巻線端子(18)へと、前記相互接続領域(22)を通って延在し、
前記相互接続装置(10)は、温度センサのための受容要素(12)を備え、前記受容要素(12)は、前記コネクタリングセグメントにおいて前記相互接続領域(22)の外側に配置され、
前記受容要素(12)は、少なくとも熱的に、前記コネクタリングセグメントと結合されている、相互接続装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の相互接続装置(10)であって、
前記受容要素(12)は、前記コネクタリングセグメントの周方向に延在する、相互接続装置(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の相互接続装置(10)であって、
前記受容要素(12)は、前記コネクタリングセグメントの軸方向および/または径方向に延在する、相互接続装置(10)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の相互接続装置(10)であって、
前記受容要素(12)は、2つの受容バー(12a、12b)を備える、相互接続装置(10)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の相互接続装置(10)であって、
前記受容要素(12)は、前記相互接続領域(22)から離れた前記受容要素(12)の端部に、少なくとも1つの保持突起部(24a)を備える、相互接続装置(10)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の相互接続装置(10)であって、
前記相互接続領域(12)から離れた端部で前記受容要素(12)を限定する前記相互接続装置(12)のハウジング(20)は、差し込み可能な温度センサデバイス(50)のためのストッパ(26)を構成し、前記温度センサデバイス(50)の前記相互接続装置(10)への取り付けを簡易化する、相互接続装置(10)。
【請求項7】
相互接続装置(10)の受容要素(12)に差し込む温度センサデバイス(50)であって、
前記温度センサデバイス(50)の温度センサ(54)は、硬質コンポーネントおよび/または軟質コンポーネントを含むセンサハウジング(52、60)内に配置され、
前記センサハウジング(52、60)は、前記受容要素(12)を受容する開口部(62)を備え、前記温度センサ(54)は、前記開口部(62)の内部の表面に配置される、温度センサデバイス(50)。
【請求項8】
請求項7に記載の温度センサデバイス(50)であって、
前記ハウジング(52)は、少なくとも部分的に硬質コンポーネントから構成され、前記ハウジング(52)を前記受容要素(12)に固定するばね要素(53)を備える、温度センサデバイス(50)。
【請求項9】
ステータ(100)における温度を検出するシステム(74)であって、
相互接続装置(10)の相互接続領域(22)の外側に配置されている受容要素(12)を有する相互接続装置(10)と、
温度センサ(54)と、を備えるシステム(74)において、前記温度センサ(54)は、前記受容要素(12)と接触して配置されている、システム(74)。
【請求項10】
請求項9に記載のシステム(74)であって、
前記温度センサ(54)は、前記受容要素(12)から取り外し可能なプラスチックハウジング(52、60)を用いて、またはシュリンクチューブ(70a)を用いて、前記受容要素(12)に固定されている、システム(74)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機械のステータのための相互接続装置、および相互接続装置のための温度センサデバイスに関する。本発明の一態様は、ステータにおける温度を検出するシステムと、温度センサが配置されている相互接続装置を備える電気機械のステータと、に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のコンセプトによれば、電気回路またはパワーエレクトロニクスを用いて巻線の個々の相に対してそれぞれの電圧を印加するために、相互接続装置を用いて、電気機械のステータコイルまたはステータ巻線を外部端子または電力端子と接触させることできる。
【0003】
既知の相互接続装置は、例えば、キャリアの内部に受容されるコネクタリングを備える。キャリアは、リングの位置決めと、コネクタリングの相互の電気絶縁とを、同時に行うことができる。コネクタリングは、キャリア内に堅固に固定されている。
【0004】
コネクタリングは、例えば、巻線端子を備える。巻線端子は、相互接続装置をステータ巻線および外部端子に接続する。個々のステータ巻線は、それぞれ、外部端子を介して、例えばパワーエレクトロニクスの電力ケーブルである外部端子と接触する。
【0005】
電気機械の作動中に、ステータの加熱が発生することがある。例えば、作動中に、ステータまたは相互接続装置における実際の温度値を検出する必要がある。温度センサは、例えば、ステータ巻線のコイル導体上、または相互接続装置の接続導体上に、直接に配置することができる。
【0006】
日本特許出願公開JP2012057980A号公報は、温度センサを備える温度検出器を開示する。温度センサは線状導体の温度を検出するために、電気機械のコイルを形成する線状導体上に配置されている。
【0007】
ドイツ実用新案第DE202016103030U1号公報からは、電流接点上に固定されている温度センサが既知である。温度センサは、シュリンクチューブで固定されている。装置は、プラグハウジング内に配置されている。
【0008】
米国特許出願公開第US2013270973A1号公報は、回転電気機械を開示する。電気機械は、巻線導体と、巻線と接触する中性線と、を備える。中性線は、温度センサの周りに巻かれており、中性線の温度を検出する。中性線と温度センサは、鋳鉄製のハウジングで囲まれている。
【0009】
既知のコンセプトでは、温度センサの固定部が、例えば、隣接するコイル導体との電気的接触を形成するために使用されるコイル導体の領域に設けられている。これによって、(例えば、センサの故障時の)センサの交換性が電気接点のダメージにつながる可能性がある、という欠点が生じる場合がある。
【0010】
温度センサは、例えば、耐久性を有して温度センサを固定可能とするために、射出成形で固定することができる。しかしながら、射出成形で固定された温度センサの場合、温度センサを取り外すことが、例えば、温度センサがその上に取り付けられたステータ部分にダメージを与えるリスクを増大させる。同様に、はんだ付けによるステータと温度センサとの間の接合部は、特に温度センサを取り外す際に、よりダメージを受けやすい、または不所望な短絡を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】日本特許出願公開JP2012057980A号公報
【特許文献2】ドイツ実用新案第DE202016103030U1号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第US2013270973A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、ステータのための相互接続装置における温度検出を可能とし、また温度センサを簡単に交換可能にするコンセプトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立請求項の主題によって達成される。追加的な利点をもたらすことができる本発明の更なる態様および更なる発展形態は、従属請求項、以下の記載、および添付の図面に関連して記載されている。
【0014】
このために、本発明によれば、電気機械のステータのための相互接続装置が提供される。相互接続装置は、少なくとも1つのバスバーを備える。バスバーは、外部端子および巻線端子を有するコネクタリングの少なくとも1つのコネクタリングセグメントを構成する。ステータの巻線は、巻線端子に接続できる。例えば、パワーエレクトロニクスは、ステータ巻線を制御する、または駆動するために、外部端子に接続できる。この場合、外部端子および巻線端子の接続要素は、コネクタリングセグメントの周方向に構成されている相互接続領域に配置されている。相互接続装置の電流経路は、外部端子から巻線端子へと、相互接続領域を通って延在する。
【0015】
さらに、相互接続装置は、センサのための受容要素を備える。受容要素は、コネクタリングセグメントにおいて相互接続領域の外側に配置されている。この場合、受容要素は、少なくとも熱的に、コネクタリングセグメントまたは相互接続領域の内部のバスバーと結合されている。特に、本発明によれば、受容要素とコネクタリングセグメントとが、一体に構成されている。受容要素の相互接続領域の外側の配置は、相互接続領域の外側の周方向、軸方向、または径方向の配置にすることができる。
【0016】
受容要素は、バスバーの、または相互接続装置の接続導体の延長部とすることができる。延長部は、相互接続領域を超えて、および/または相互接続領域を囲むハウジングから突出する、または分岐の形態で相互接続領域から突出する。例えば、受容要素は、バーによって構成されている。センサ、特に温度センサは、このバーに差し込む、またはこのバー上を移動することができる。受容要素の温度を、熱的な結合によって、相互接続装置の電流経路における温度に、近似させる、またはこの温度に実質的に対応させることができる。したがって、相互接続装置を備えるステータの温度を、受容要素において測定または検出することができる。受容要素は、例えば、相互接続領域に直接接続されてよく、または相互接続領域の近傍に配置されてもよい。
【0017】
この場合、例えば、有利なことに、受容素子が電流経路の外側にある。したがって、例えば、電流経路の接点に対するダメージのリスクなしに、温度センサを取り付ける、または交換することができる。さらに、特に、少なくとも一方の側から自由にアクセス可能である受容要素が、突出する形状であることによって、温度センサを簡単に受容要素に取り付け可能であり、したがって、温度センサの交換も簡単に可能である。
【0018】
相互接続装置のバスバーは、例えば、導電性材料、特に金属から構成されている。バスバーは、例えば、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含むことができる。これによって、例えば、有利にも、相互接続領域と受容要素との間に高い熱的な結合または熱伝導性を達成することができる。および/または、これによって、同時に、受容要素を、簡単かつ費用対効果に優れて提供できる。したがって、例えば、受容要素を、相互接続領域と電気的に結合することもできる。しかしながら、受容要素の端部が電気的に開放されているため、受容要素を、(例えば、相互接続装置の作動中に、電流経路の内部の電流密度を10%未満として)実質的に無通電状態とすることができる。
【0019】
したがって、このコンセプトによって、例えば、相互接続装置において、相互接続のために設けられていない領域へ温度センサを固定することが提案される。これは、温度センサを、特に接続のために突出する延長部に固定することによって、達成することができる。
【0020】
受容要素は、例えば、コネクタリングセグメントの周方向に延在する。代替的に、または追加的に、受容要素は、コネクタリングセグメントの軸方向および/または径方向に延在することができる。これによって、特に相互接続装置を取り付けた状態において、受容要素へのアクセスが与えられ、温度センサを受容要素に簡単に取り付けることができるように、受容要素を構成することができる。例えば、その結果、例えばバスバーのような接続導体の1つは、周方向、径方向および/または軸方向に延在する、および/または既定の角度で相互接続領域から離れて延在する、少なくとも1つの延長部を備える。延長部の断面は、コイル導体の実勢温度をより良好にマッピングするために、(例えば、ステータ巻線の)コイル導体の断面に対応させることができる。
【0021】
例えば、受容要素は、2つの受容バーを備える。さらに、例えば、複数の温度センサを温度測定のために使用できるように、接続導体またはバスバーに、複数の受容要素または延長部を設けることが可能である。例えば、2つの受容バーのそれぞれに温度センサを取り付けて、冗長な温度検出を可能することができる。
【0022】
延長部または受容バーの幅は、温度センサを最適な状態で配向し、それによって温度センサを熱的に再現可能に受容要素と接続させるために、備えられる温度センサの幅に対応させることができる。これによって、温度センサを特に簡単に取り付けることができる。
【0023】
受容要素は、例えば、相互接続領域から離れたその端部に、少なくとも1つの保持突起部を備える。保持突起部は、例えば、径方向または軸方向に延在することができる。保持突起部によって、より良好に温度センサを位置決めし、および/または温度センサの固定の安定性を高めることができる。例えば、受容要素の輪郭は、その開放端に延長部を備える。延長部は、温度センサの装備された結合のバリエーションに応じて、例えばセンサハウジングのような固定要素を軸方向に固定する、および/または配向するために機能する。受容要素は、例えば、少なくとも1つのノッチをさらに備えることができる。このノッチに、例えば、温度センサのクリップハウジングを固定することができる。
【0024】
例えば、相互接続領域から離れた端部で受容要素を限定する相互接続装置のハウジングは、差し込み可能な温度センサデバイスのためのストッパを構成する。これによって、温度センサデバイスの相互接続装置への取り付けを簡易化することができる。意図の通りに位置決めするために、温度センサをストッパまで差し込むことができるからである。相互接続装置の接続導体(例えば、各コネクタリングセグメントを構成するバスバー)は、例えば、ポッティングコンパウンドを用いて相互に絶縁することが可能であり、例えば、部分的または完全にプラスチックでオーバーモールドすることができる。しかしながら、相互接続装置の外側の延長部は、例えば、ポッティングコンパウンドまたはオーバーモールドのない領域である。そのため、センサヘッドを延長部の表面に直接に取り付けることができる。したがって、ポッティングコンパウンドによって、温度センサを簡単に調整する受容ストッパを提供することができる。
【0025】
本発明の一態様は、例えば上述したように、相互接続装置の受容要素に差し込む温度センサデバイスに関する。この場合、温度センサデバイスの温度センサは、硬質コンポーネントおよび/または軟質コンポーネントを含むセンサハウジング内に配置されている。さらに、センサハウジングは、受容要素を受容する開口部を備える。温度センサは、開口部の内部の表面に配置される。これによって、例えば、温度センサデバイスが差し込まれた状態で、温度センサは、受容要素との、既定であり再現可能な、および/または標準化された接触状態に、自動的に位置決めされる。
【0026】
例えば、ハウジングは、少なくとも部分的に、例えば熱可塑性プラスチック等の硬質コンポーネントから構成されている。ハウジングは、ハウジングを受容要素に固定するばね要素を備えることができる。ばね要素は、例えば、受容要素の前述のノッチに固定することができる。
【0027】
温度センサを受容要素に固定する更なる可能性は、例えばエラストマーを含む軟質コンポーネントのハウジングの使用である。これによって、可撓性のハウジングを提供することができる。可撓性のハウジングによって、温度センサの安定した固定が可能となる。ハウジング材料は、特に、高温耐性および/または所定の弾性率を有することができる。代替的または追加的に、シュリンクチューブを使用して、温度センサを受容要素に固定することができる。この場合、自由端を備える受容要素をレール状に構成することによって、電気接点を取り外す必要なしに、シュリンクチューブを用いて、温度センサを簡単に交換し、新たに固定することができる。
【0028】
本発明の一態様は、ステータにおける温度を検出するシステムに関する。システムは、相互接続装置の相互接続領域の外側に配置されている受容要素を有する相互接続装置を備える。さらに、システムは、温度センサを備える。温度センサは、受容要素と接触して配置されている。換言すると、温度センサと受容要素とは、熱的に結合されている。例えば、システムは、上述の相互接続装置と、上述の温度センサデバイスと、を備える。例えば、温度センサは、受容要素から取り外し可能なプラスチックハウジングを用いて、またはシュリンクチューブを用いて、受容要素に固定されている。
【0029】
例えば、相互接続装置は、3つの接続導体またはコネクタリングセグメントを備えることができる。これらは、ステータコイルと接続されるように、ステータコイルに対して軸方向に、または径方向にも配置することができる。各接続導体は接点を備える。接点を介して、コイル導体を接続導体に溶接することができる。相互接続装置の全ての接点は、例えば、相互接続領域を画定する。例えば、3つの接続導体のうちの厳密に1つは、温度センサのための受容要素を備える。
【0030】
本発明の一態様は、電気機械のためのステータに関する。ステータは、ステータの巻線(ステータ巻線)を、スイッチング装置またはステータ巻線に電力を供給するパワーエレクトロニクスと接触させるために、上述の、または以下に記載の相互接続装置を備える。さらに、本発明は、例えば電力端子に接触する対応する相互接続装置を有するステータを備える電気機械に関する。
【0031】
例えば、ステータにおける多様な位置で温度を測定することができる。温度を測定するために、温度センサは、例えば、ホルダによって、および/または2つのコイルまたは巻線コイルの間の開口部において、巻線(例えば、集中巻線または引き込み巻線)の軸方向端面に固定することができる。
【0032】
システム、ステータおよび電気機械の更なる発展形態は、相互接続装置または差し込み可能な温度センサに関して既述の発展形態の特徴に関連する。したがって、説明は繰り返されず、対応する特徴は、システム、ステータおよび電気機械に関連しても開示されていると見なされる。本発明の更なる態様も、以下の実施例に関連して開示される。
【0033】
添付の図を参照して、装置の複数の例を、例示的に以下に詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】温度センサのための受容要素を備える相互接続装置の例示的な実施形態の図である。
図2】受容要素を備える相互接続装置の平面図である。
図3】温度センサを調整する限定された受容要素を備える相互接続装置の例示的な実施形態の図である。
図4】限定された受容要素を備える相互接続装置の平面図である。
図5】差し込み可能で硬質コンポーネント製のハウジングにおける温度センサの例示的な実施形態の図である。
図6】差し込み可能で軟質コンポーネント製のハウジングにおける温度センサの例示的な実施形態の図である。
図7】差し込み可能で軟質コンポーネント製のハウジングにおける温度センサの断面図である。
図8】温度センサのためのハウジングの背面の概略図である。
図9】受容要素を備えて温度センサに取り付けられた相互接続装置の例示的な実施形態の図である。
図10】受容要素を備えて温度センサに取り付けられた相互接続装置の平面図である。
図11】温度センサが取り付けられた受容要素の断面図である。
図12】受容要素を有する相互接続装置を備えるステータの例示的な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、温度センサを固定する受容要素12を備える相互接続装置10の例示的な実施形態を示す。相互接続装置10は、3つのバスバー14、14a、14bを備える。3つのバスバー14、14a、14bは、それぞれ、外部端子16、16a、16bおよび巻線端子18、18a、18bを備えるコネクタリングセグメントを構成する。巻線端子18、18a、18bは、それぞれ、4つの相互に分離された接続ラグを備える。この接続ラグのそれぞれに、ステータ巻線の1ターンを接触させて配置することができる。それぞれのコネクタリングセグメントは、ハウジング20内に受容されている。ハウジング20は、コネクタリングセグメントを固定し、それらを互いに電気的に絶縁する。外部端子16、16a、16bおよび巻線端子18、18a、18bは、相互接続装置10の相互接続領域22に配置されている。相互接続領域22は、周方向に限定されている。バスバー14、14a、14bは、例えば、相互接続領域22の内部でハウジング20によって囲まれている。
【0036】
受容要素12は、相互接続領域22の外側でバスバー14、14a、14bのうちの1つに配置されている。例えば、ハウジング20は、受容要素12を囲まない。この例に示されている受容要素12は、バスバー14bの延長部である。したがって、受容要素12は、バスバー14bと一体に構成されており、それによって導電性でもある。この場合、電流経路は、バスバー14bの外部端子16bから相互接続領域22を通って、コイル端子または巻線端子18bまで延在する。しかしながら、受容要素12の内部には、電流経路は構成されていない。相互接続装置10の受容要素12とバスバー14bとが一体に構成されているため、受容要素12とバスバー14bとの間に、良好な熱的接続が存在する。例えば、バスバー14bは、導電性であるのみならず良好な熱伝導性を提供する銅またはアルミニウムを含む。これによって、バスバー14bの受容要素12における温度が、相互接続領域22の内部のバスバー14bのコネクタリングセグメントの温度に、実質的に対応することが可能になる。したがって、受容要素12に取り付けられた温度センサは、外部端子とステータ巻線との間の接触領域における温度を、高い精度で検出することができる。
【0037】
例示的な実施形態の受容要素12は、2つの部分を備えて構成されている。すなわち、周方向に延在する第1バー12aおよび第2バー12bが設けられている。これによって、例えば、2つの別個の温度センサを受容要素12に取り付けることが可能である。さらに、受容要素12には、ハウジング20の側に、マークポイント13が設けられている。マークポイント13は、例えば温度センサの最適な位置決めを達成するために、例えば組み立ての際に、受容要素12に取り付けられる温度センサのハウジングが、相互接続装置のハウジング20の方向に、どの程度移動されるべきかを示すことができる。
【0038】
外部端子16、16a、16bは固定手段を備える。例えば、パワーエレクトロニクスのバスバー、またはステータ巻線用電源を、ねじによる接続またはプラグイン接続で、この固定手段に固定することができる。ステータ巻線のワインディング端部は、例えば、巻線端子の接続ラグに(例えば溶接による接続で)離脱不能に固定することができる。
【0039】
図2は、受容要素12を備える相互接続装置10の平面図である。ここでは、受容要素12において、各バー12a、12bの、径方向に構成されたレッジ部または突起部24a、24bを、それぞれ確認することができる。突起部24a、24bはスライド式温度センサを固定するために、またはスライド式温度センサを位置合わせするために設けることができる。
【0040】
図3は、相互接続装置10のハウジング20から別々に突出する2本のバー12a、12bを有する受容要素12を備える相互接続装置10の一例を示す。図3およびに図4に示す例によれば、相互接続装置のハウジング20は、受容要素12に対して周方向に拡幅されている。拡幅された部分によって、ハウジングストッパ26が提供されている。ハウジングストッパ26の位置は、前出の例のマークポイント13の位置に対応させることができる。ハウジングストッパ26を設けることによって、受容要素12への温度センサの取り付けを簡易化することができる。例えば、温度センサのハウジングがストッパ26に当接するまで、温度センサを、受容要素12に対して(または各バー12a、12bに対して)移動させることができる。
【0041】
図5は、硬質コンポーネント製のハウジング52内の温度センサデバイス50の例示的な実施形態を示す。図5に示す温度センサデバイス50は、相互接続装置10(例えば図1乃至図4を参照)の受容要素12に押し付けられている。この場合、温度センサデバイス50のハウジング52は、相互接続装置10のハウジング20のハウジングストッパ26に当接する。温度センサデバイス50のハウジング52の内部には、センサヘッドまたはセンサ要素56を備える温度センサ54が配置されている。例えば、図示の温度センサ54はNTC(負温度係数)センサである。
【0042】
受容要素12は、ハウジング52において、受容要素12に対してジオメトリ的に適合された開口部内に受容されている。温度センサ54は開口部の内側表面を構成し、したがって温度センサ54が受容要素12と直接に接触する。ハウジング52は、相互接続装置10のハウジング20と反対側に、温度センサ54のケーブル58をガイドするケーブル開口部を備える。ケーブル58は、例えば、温度を評価する装置に接続することができる。図5に示す温度センサデバイス50によれば、この場合にはプラスチッククリップとして構成されたハウジング52が示されており、プラスチッククリップを用いて、温度センサ54が、再び取り外すことができるように固定されている。プラスチッククリップは、少なくとも部分的に、熱可塑性プラスチック製とすることができる。
【0043】
プラスチッククリップ52またはハウジング52は、図5の表示に対して垂直な平面でC字形状またはU字形状に構成されてよく、ベース領域52aと、そこから垂直に突出する2つの脚部52bと、を備える。2つの脚部のうちの1つのみが、図5の断面図で視認できる。2つの脚部52bの間には溝が設けられている。この溝を介して、温度センサ54を、ベース領域52とは反対側から導入することができる。開口部は、受容要素12に、または接続導体もしくは(例えば受容要素12における)バスバーの延長部に構成することができる。プラスチッククリップ52の脚部52bを、この開口部に挿入することができる。ばね舌53の形態のばね要素53が、ベース領域52aに構成されている。ばね要素53を介して、プラスチッククリップ52と、その中に受容される温度センサ54とが、受容要素12に固定される。
【0044】
図6は、温度センサ54を接続導体の受容要素12に接続する代替的な可能性を示す。この場合、温度センサ54を受容するハウジングとして、例えばエラストマーなどの可撓性のプラスチック要素(例えば軟質コンポーネント)を含むハウジング60が提供されている。ハウジング60は、例えば、シリコンから製造されている。
【0045】
軟質コンポーネント製のハウジング60は、例えば、基本的に直方体形状に構成され、開口部62を備える。開口部62の断面および/または長さは、相互接続装置の受容要素に対して適合されている。例えば、開口部62の断面は、受容要素12の断面よりも小さく、したがって延長部12を開口部62に押し込む際にエラストマーが張力を発生させる。この張力によって、ハウジング60および温度センサ54が受容要素12に固定される。例えば、受容要素12のバー12aを、開口部62に受容させることができる。例えば、ハウジング60は、ハウジング60の延長部への取り付け、または取り外しを簡易化できる成形部64を後部に備える。プラスチック要素は、代替的に、円筒形状であってもよい。
【0046】
図7は、延長部または受容要素12上に取り付けられた温度センサ54を備えるハウジング60の断面図である。プラスチック要素は、一方の端面(例えば後側)に、温度センサ54を導入する開口部を備える。開口部を通して、例えば、温度センサ54のケーブル58をガイドすることができる。プラスチック要素を、他方の対向する端面で、(例えば、開口部62によって)開放して構成し、中に既に受容されている温度センサ54と共に、プラスチック要素を受容要素12に対して押し付けることができる。弾性のプラスチック要素のサイズは、この場合、例えば、組み立てた状態で機械的なプレテンションが優勢となり、したがって温度センサ54が受容要素に対して押圧されるように選択されている。温度センサ54が載置されるプラスチック要素の脚部は、例えば、温度センサ54のケーブル58を支持する保持突起部を備える。
【0047】
図8は、受容要素12に対して押し付ける温度センサ54のための(例えば、熱可塑性プラスチックまたはエラストマーを含む)ハウジングの後側66の概略図を示す。ここでは、開口部68を視認可能である。開口部68を通して、温度センサ54を、例えばハウジング内に導入することがができる。さらに、開口部68によって、例えば温度センサ54のケーブル58を固定し、例えば機械的な引張力がケーブルに加えられても、温度センサ54が受容要素12に対して位置を変えないようにすることができる。
【0048】
図9は、温度センサ54a、54bが取り付けられた相互接続装置10の例示的な実施形態を示す。温度センサ54a、54bは、この場合、シュリンクチューブを用いて、相互接続装置10の受容要素12に固定されている。第1温度センサ54aは、第1シュリンクチューブ70aを用いて受容要素12の第1バーに固定されている。第2温度センサ54bは、第2シュリンクチューブ70bを用いて受容要素12の第2バーに固定されている。シュリンクチューブを使用することにより、各温度センサ54a、54bの、受容要素12の各バー上での接触を改善することができる。
【0049】
温度センサ54a、54bの各接続ケーブル58a、58bは、シュリンクチューブ70a、70bから引き出され、共通のプラグ要素72と接続されている(例えば、他のセンサハウジングを備える実施形態においても可能である)。これによって、温度センサ54a、54bを、例えばプラグ接続によって、特に簡単に評価用電子機器に接続することができる。
【0050】
図10は、図9による例示的な実施形態を平面図で示す。温度センサ54a、54bが取り付けられた相互接続装置は、一方または両方の温度センサ54a、bを特に簡単に交換可能である温度を検出するシステム74を提供する。この場合、例えば、温度センサに不具合が生じた場合には、それぞれのシュリンクチューブ70aを分離することが可能であり、その温度センサを交換することができる。その際、特に、相互接続装置10の相互接続領域で作業を行う必要がなく、ステータ巻線に対して巻線接点が構成されている場合(図12参照)であっても、各接点に対するダメージのリスクが最小限に抑えられている。
【0051】
図11は、センサ要素56を備える温度センサ54aを、シュリンクチューブ70aを用いて受容要素12に固定した場合の断面図である。受容要素12は、相互接続装置10のハウジング20から突出している。この場合、収縮したシュリンクチューブ70aは、温度センサ54aを受容要素12に対して押し付けると同時に、温度センサ54のセンサケーブル58aを固定する。
【0052】
シュリンクチューブを使用して温度センサ54aを固定する際、温度センサ54aは、延長部または受容要素12上に取り付けられ、延長部12と共に、シュリンクチューブ70aによって包まれる。例えば、チューブは、高温のドライヤを使用して収縮させることが可能である。したがって、センサヘッドを、受容要素12上に最適な状態で固定することができる。さらに、シュリンクチューブ70aの内面を、自己粘着型として構成することができる。これによって、追加的な固定および/またはより簡単な取り付けが保証される。相互接続装置10(例えば、ハウジング20)を射出成形することで、シュリンクチューブを位置決めするための停止点を受容要素に画定することができる。
【0053】
図12において、相互接続装置10を備えるステータ100を示す。ステータは、ワインディング端部104を有するステータ巻線102を備える。これらワインディング端部104は、相互接続装置10の各バスバーの巻線端子18、18a、18bの各接続ラグで、電気的に接触している。この場合、特に、相互接続装置10とステータ巻線102との間の接触が、専ら相互接続領域22において実現されていることを認めることができる。一方、受容要素12の領域には、ステータ巻線102に対する接触はない。したがって、露出された延長部12において、相互接続装置10またはステータ100の温度を測定するために、簡単に、温度センサデバイス50を取り付け、また交換することができる。
【0054】
例えば、提案された温度センサの固定によって、温度センサの最初の取り付けを簡易化することもできる。この場合、温度センサの固定は、例えば、ステータの取り付けの際に、ステータの相互接続および含浸に続くステップとして行うことができる。温度センサを受容要素または延長部上に固定するためには、多様な可能性が提案されている。
【0055】
本発明は、温度センサを、相互接続領域の外側に設けられた延長部の上に、または接続導体の受容要素の上に固定するコンセプトを提案する。それによって、例えば、交換が必要な場合に、温度センサを延長部から簡単に分離することが可能である。例えば、これによって、相互接続装置全体を損なう、または特に電気接点を損なうリスクが最小化される。
【符号の説明】
【0056】
10 相互接続装置
12 受容要素
12a、12b 受容要素のバー
13 マークポイント
14、14a、14b バスバー
16、16a、16b 外部端子
18、18a、18b 巻線端子
20 相互接続装置のハウジング
22 相互接続領域
24a、24b 保持突起部
26 ハウジングストッパ
50 温度センサデバイス
52 温度センサデバイスのハウジング
52a ベース領域
52b 脚部
53 ばね要素
54 温度センサ
54a、54b 温度センサ
56 センサ要素
58 温度センサのケーブル
60 温度センサのハウジング
62 受容要素を受容する開口部
64 成形部
66 後側
68 ケーブルを固定する開口部
70a、70b シュリンクチューブ
72 プラグ要素
74 温度を検出するシステム
100 ステータ
102 ステータ巻線
104 ワインディング端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】