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特表2022-524011化合物結晶形、その製造方法、医薬組成物及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】化合物結晶形、その製造方法、医薬組成物及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/233 20060101AFI20220420BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20220420BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220420BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
C07D215/233
A61K31/47
A61P35/02
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552731
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 CN2020085695
(87)【国際公開番号】W WO2020216188
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】201910324939.6
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519141265
【氏名又は名称】ベイジン コンルンス ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】スン シャオファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンチェン
(72)【発明者】
【氏名】フー ファイジォン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC28
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は、プロテインキナーゼAXL及び/又はVEGFR2関連疾患を治療するための化合物である6-[[4-[2-フルオロ-4-[[1-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]シクロプロパンカルボニル]アミノ]フェノキシ]-6-メトキシ-7-キノリニル]オキシ]カプロン酸の、結晶形AB、結晶形M、及び結晶形Fの3種類の結晶形を提供する。本発明は、この3種類の結晶形の製造方法及びこの3種類の結晶形を含む医薬組成物をさらに提供する。本発明の結晶形AB、結晶形M、及び結晶形Fは、すべて良好な化学的安定性を有し、本発明の3種類の結晶形の製造方法は、簡単であり、生成物の収率も純度も高く、安定的な量産が可能であり、普及及び適用に有利である。本発明の結晶形AB、結晶形M、結晶形Fは、高温度、高湿度、酸化条件下でも安定的であるため、保管や輸送、工業的生産に有利である。さらに、本発明の結晶形AB、結晶形M、及び結晶形Fは、バイオアベイラビリティが高く、臨床薬の要求を満たす。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、4.6±0.1°、6.7±0.1°、10.7±0.1°、16.2±0.1°、17.0±0.1°、17.4±0.1°、19.5±0.1°、20.7±0.1°、21.9±0.1°、22.5±0.1°、23.8±0.1°、25.1±0.1°に回折ピークを有し、
さらに、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、4.6±0.1°、6.7±0.1°、9.3±0.1°、9.7±0.1°、10.7±0.1°、11.6±0.1°、13.4±0.1°、13.8±0.1°、15.3±0.1°、16.2±0.1°、17.0±0.1°、17.4±0.1°、18.6±0.1°、19.5±0.1°、20.7±0.1°、21.9±0.1°、22.3±0.1°、22.5±0.1°、23.4±0.1°、23.8±0.1°、24.4±0.1°、25.1±0.1°、26.0±0.1°、26.8±0.1°、27.7±0.1°、29.7±0.1°、32.8±0.1°、33.1±0.1°に回折ピークを有し、
さらに、2θ角度で示される粉末X線回折パターンは、図3に示されるとおりであり、
さらに、TGA曲線及びDSC曲線は、図4に示されるとおりである、式(I)で表される化合物1の結晶形AB。
【化1】
【請求項2】
化合物1をアルコール系溶媒に加え、75~80℃の温度で加熱して溶解するステップ(1)と、
-5℃未満の温度で結晶を析出させた後、-10~-15℃の温度で撹拌して結晶をさらに析出させるステップ(2)と、
結晶をろ過して乾燥させ、結晶形ABを得るステップ(3)とを含み、
好ましくは、前記アルコール系溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、n-アミルアルコール、t-アミルアルコール、及びエタノールを含有する混合溶媒から選ばれ、
好ましくは、前記エタノールを含有する混合溶媒は、テトラヒドロフラン/水/エタノール、テトラヒドロフラン/エタノール、DMF/エタノールから選ばれる、化合物1の結晶形ABの製造方法。
【請求項3】
2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、9.5±0.1°、10.2±0.1°、10.6±0.1°、11.4±0.1°、13.2±0.1°、14.3±0.1°、18.2±0.1°、18.9±0.1°、19.3±0.1°、19.7±0.1°、20.4±0.1°、23.3±0.1°、26.7±0.1°、29.6±0.1°に回折ピークを有し、
さらに、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、9.5±0.1°、10.2±0.1°、10.6±0.1°、11.4±0.1°、13.2±0.1°、14.3±0.1°、15.2±0.1°、15.7±0.1°、16.4±0.1°、17.4±0.1°、18.2±0.1°、18.9±0.1°、19.3±0.1°、19.7±0.1°、20.4±0.1°、22.1±0.1°、23.3±0.1°、24.2±0.1°、25.3±0.1°、25.7±0.1°、26.7±0.1°、27.2±0.1°、27.7±0.1°、28.8±0.1°、29.6±0.1°に回折ピークを有し、
さらに、2θ角度で示される粉末X線回折パターンは、図5に示されるとおりであり、
さらに、TGA曲線及びDSC曲線は、図6に示されるとおりである、式(I)で表される化合物1の結晶形M。
【化2】
【請求項4】
化合物1をアルコール系溶媒に加え、加熱して溶解するステップ(1)と、
10~30℃の温度で撹拌して結晶を析出させるステップ(2)と、
結晶をろ過して乾燥させ、結晶形Mを得るステップ(3)と、を含み、
好ましくは、前記アルコール系溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、n-アミルアルコール、t-アミルアルコール、及びエタノールを含有する混合溶媒から選ばれ、
好ましくは、前記エタノールを含有する混合溶媒はテトラヒドロフラン/水/エタノール、テトラヒドロフラン/エタノール、DMF/エタノールから選ばれる、化合物1の結晶形Mの製造方法。
【請求項5】
2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、7.1±0.1°、8.0±0.1°、10.0±0.1°、10.9±0.1°、14.0±0.1°、15.4±0.1°、16.0±0.1°、16.5±0.1°、17.1±0.1°、19.5±0.1°、22.0±0.1°、25.0±0.1°、28.1±0.1°に回折ピークを有し、
さらに、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、7.1±0.1°、8.0±0.1°、9.0±0.1°、10.0±0.1°、10.9±0.1°、11.3±0.1°、14.0±0.1°、15.4±0.1°、16.0±0.1°、16.5±0.1°、17.1±0.1°、18.0±0.1°、19.5±0.1°、19.8±0.1°、20.4±0.1°、21.4±0.1°、22.0±0.1°、22.8±0.1°、24.4±0.1°、25.0±0.1°、26.2±0.1°、27.7±0.1°、28.1±0.1°、29.6±0.1°、33.5±0.1°に回折ピークを有し、
さらに、2θ角度で示される粉末X線回折パターンは、図7に示されるとおりであり、
さらに、TGA曲線及びDSC曲線は、図8に示されるとおりである、式(I)で表される化合物1の結晶形F。
【化3】
【請求項6】
請求項1に記載の結晶形ABをジメチルアセトアミドに加えて澄明になるまで溶解させた後、撹拌しながら貧溶媒である水を加え、撹拌して結晶を析出させるステップ(1)と、
結晶を分離し、22~30℃の温度で真空乾燥させた後、45~60℃の温度で真空乾燥させるステップ(2)と、を含む、化合物1の結晶形Fの製造方法。
【請求項7】
化合物1を有機溶媒に加え、20~60℃の温度で撹拌し、溶解するか、又は懸濁液に調製するステップ(1)と、
結晶形Fを種結晶として、20~60℃の温度で撹拌して結晶を析出させるステップ(2)と、
結晶をろ過して乾燥させ、結晶形Fを得るステップ(3)と、を含み、
前記有機溶媒はDMSO、酢酸エチル、メタノール、エタノール、又はDMSO/酢酸エチルの混合溶媒、DMSO/水の混合溶媒から選ばれる、化合物1の結晶形Fの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の結晶形ABを酢酸エチルに加え、50±3℃に加熱して、固液懸濁系を調製するステップ(1)と、
結晶形Fを種結晶として、50±3℃の温度で1~2日間撹拌して反応させ、結晶を析出させた後、結晶をろ過して、ろ過ケーキを乾燥させ、結晶形Fを得るステップ(2)とを含む、化合物1の結晶形Fの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の結晶形ABを有する化合物1、請求項3に記載の結晶形Mを有する化合物1又は請求項5に記載の結晶形Fを有する化合物1のうちの少なくとも1種と、薬学的に許容可能な担体とを含み、
好ましくは、錠剤又はカプセル剤である、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の結晶形AB、請求項3又は4に記載の結晶形M、請求項5又は6に記載の結晶形F及び請求項9に記載の医薬組成物の、プロテインキナーゼAXL及び/又はVEGFR2の活性異常に起因する疾患を治療する医薬品の製造における使用であって、
さらに、前記プロテインキナーゼAXL及び/又はVEGFR2の活性異常に起因する疾患は、甲状腺癌、胃癌、食道癌、腎臓癌、肝臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、大腸癌、小腸癌、脳癌、白血病、肺癌、骨癌、前立腺癌、膵臓癌、皮膚癌、リンパ腫、固形腫瘍、ホジキンリン病、非ホジキンリンリンパ腫から選ばれ、
前記甲状腺癌は、甲状腺髄様癌を含み、
前記腎臓癌は、腎細胞癌を含み、
前記肝臓癌は、肝細胞癌を含み、
前記脳癌は、星状細胞腫を含み、星状細胞腫は、悪性神経膠腫、巨細胞性悪性神経膠腫、神経膠肉腫、及び希突起神経膠成分を有する悪性神経膠腫を含み、
前記肺癌は、非小細胞肺癌を含み、
前記前立腺癌は、去勢抵抗性前立腺癌を含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年4月22日に中国特許庁に提出された、出願番号が201910324939.6、発明の名称が「化合物結晶形、その製造方法、医薬組成物及び使用」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用により本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、製薬の技術分野に関し、具体的には、化合物6-[[4-[2-フルオロ-4-[[1-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]シクロプロパンカルボニル]アミノ]フェノキシ]-6-メトキシ-7-キノリニル]オキシ]カプロン酸の3種類の結晶形、結晶形の製造方法、この3種類の結晶形を含む医薬組成物、及びこの3種類の結晶形の、プロテインキナーゼAXL及び/又はVEGFR2の活性異常に起因する疾患の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
6-[[4-[2-フルオロ-4-[[1-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]シクロプロパンカルボニル]アミノ]フェノキシ]-6-メトキシ-7-キノリニル]オキシ]カプロン酸は、抗腫瘍薬であり、主にAXL及び血管内皮増殖因子2(vascular endothelial growth factor receptor、VEGFR2又はKDR)に作用し、新規なマルチターゲット型受容体チロシンキナーゼ阻害剤であり、急性骨髄性白血病、結腸癌、胃癌、肺癌、甲状腺癌、前立腺癌、肝細胞癌、腎臓癌など、複数の臨床適応症に適用できる。6-[[4-[2-フルオロ-4-[[1-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]シクロプロパンカルボニル]アミノ]フェノキシ]-6-メトキシ-7-キノリニル]オキシ]カプロン酸の化学構造は下記式(I)で表される化合物に示される。
【化1】
【0004】
国際出願WO2018/072614A1は、プロテインキナーゼAXL及び/又はVEGFR2の阻害剤である化合物を開示し、該化合物は、この2種のキナーゼの活性異常に起因する疾患(例えば、腫瘍等)を治療することができる。化合物の製造方法は特許出願WO2018/072614 A1に記載されている。
【0005】
医薬品加工、製造、保管安定性及び/又は有用性に関連する良好な特性は、医薬品の結晶形に関連しており、結晶形の研究は医薬品の開発にとって極めて重要なことである。したがって、化合物の結晶形を研究する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に鑑み、本発明は、増殖性疾患、例えば、癌を治療するための化合物である6-[[4-[2-フルオロ-4-[[1-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]シクロプロパンカルボニル]アミノ]フェノキシ]-6-メトキシ-7-キノリニル]オキシ]カプロン酸の結晶形を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、6-[[4-[2-フルオロ-4-[[1-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]シクロプロパンカルボニル]アミノ]フェノキシ]-6-メトキシ-7-キノリニル]オキシ]カプロン酸の、結晶形AB、結晶形M、及び結晶形Fの3種類の結晶形を提供する。
【0008】
本発明において、前記結晶形ABは、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、4.6±0.1°、6.7±0.1°、10.7±0.1°、16.2±0.1°、17.0±0.1°、17.4±0.1°、19.5±0.1°、20.7±0.1°、21.9±0.1°、22.5±0.1°、23.8±0.1°、25.1±0.1°に回折ピークを有する。
【0009】
さらに、前記結晶形ABは、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、4.6±0.1°、6.7±0.1°、9.3±0.1°、9.7±0.1°、10.7±0.1°、11.6±0.1°、13.4±0.1°、13.8±0.1°、15.3±0.1°、16.2±0.1°、17.0±0.1°、17.4±0.1°、18.6±0.1°、19.5±0.1°、20.7±0.1°、21.9±0.1°、22.3±0.1°、22.5±0.1°、23.4±0.1°、23.8±0.1°、24.4±0.1°、25.1±0.1°、26.0±0.1°、26.8±0.1°、27.7±0.1°、29.7±0.1°、32.8±0.1°、33.1±0.1°に回折ピークを有する。
【0010】
さらに、前記結晶形ABの2θ角度で示される粉末X線回折パターンを図3に示す。
【0011】
さらに、前記結晶形ABのTGA曲線及びDSC曲線を図4に示す。
【0012】
本発明は、結晶形ABの化合物の製造方法をさらに提供し、該製造方法は、
化合物をアルコール系溶媒に加え、75~80℃の温度で加熱して溶解するステップ(1)と、
-5℃未満の温度で結晶を析出させた後、-10~-15℃の温度で撹拌して結晶をさらに析出させるステップ(2)と、
結晶をろ過して乾燥させ、略白色固体として結晶形ABを得るステップ(3)と、を含み、
好ましくは、前記アルコール系溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、n-アミルアルコール、t-アミルアルコール又はエタノールを含有する混合溶媒から選ばれ、好ましくは、前記エタノールを含有する混合溶媒はテトラヒドロフラン/水/エタノール、テトラヒドロフラン/エタノール、DMF/エタノールから選ばれる。
【0013】
本発明において、前記結晶形Mは、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、9.5±0.1°、10.2±0.1°、10.6±0.1°、11.4±0.1°、13.2±0.1°、14.3±0.1°、18.2±0.1°、18.9±0.1°、19.3±0.1°、19.7±0.1°、20.4±0.1°、23.3±0.1°、26.7±0.1°、29.6±0.1°に回折ピークを有する。
【0014】
さらに、前記結晶形Mは、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、9.5±0.1°、10.2±0.1°、10.6±0.1°、11.4±0.1°、13.2±0.1°、14.3±0.1°、15.2±0.1°、15.7±0.1°、16.4±0.1°、17.4±0.1°、18.2±0.1°、18.9±0.1°、19.3±0.1°、19.7±0.1°、20.4±0.1°、22.1±0.1°、23.3±0.1°、24.2±0.1°、25.3±0.1°、25.7±0.1°、26.7±0.1°、27.2±0.1°、27.7±0.1°、28.8±0.1°、29.6±0.1°に回折ピークを有する。
【0015】
さらに、前記結晶形Mの2θ角度で示される粉末X線回折パターンを図6に示す。
【0016】
さらに、前記結晶形MのTGA曲線及びDSC曲線を図6に示す。
【0017】
本発明は、化合物の結晶形Mの製造方法をさらに提供し、該方法は、
化合物をアルコール系溶媒に加え、75~80℃の温度で化合物を加熱して溶解するステップ(1)と、
10~30℃の温度で撹拌して結晶を析出させるステップ(2)と、
結晶をろ過して乾燥させ、略白色固体として結晶形Mを得るステップ(3)とを含み、
好ましくは、前記アルコール系溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、n-アミルアルコール、t-アミルアルコール又はエタノールを含有する混合溶媒から選ばれ、好ましくは、前記エタノールを含有する混合溶媒はテトラヒドロフラン/水/エタノール、テトラヒドロフラン/エタノール、DMF/エタノールから選ばれる。
【0018】
本発明において、前記結晶形Fは、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、7.1±0.1°、8.0±0.1°、10.0±0.1°、10.9±0.1°、14.0±0.1°、15.4±0.1°、16.0±0.1°、16.5±0.1°、17.1±0.1°、19.5±0.1°、22.0±0.1°、25.0±0.1°、28.1±0.1°に回折ピークを有する。
【0019】
さらに、前記結晶形Fは、2θ角度で示される粉末X線回折パターンにおいて、7.1±0.1°、8.0±0.1°、9.0±0.1°、10.0±0.1°、10.9±0.1°、11.3±0.1°、14.0±0.1°、15.4±0.1°、16.0±0.1°、16.5±0.1°、17.1±0.1°、18.0±0.1°、19.5±0.1°、19.8±0.1°、20.4±0.1°、21.4±0.1°、22.0±0.1°、22.8±0.1°、24.4±0.1°、25.0±0.1°、26.2±0.1°、27.7±0.1°、28.1±0.1°、29.6±0.1°、33.5±0.1°に回折ピークを有する。
【0020】
さらに、前記結晶形Fの2θ角度で示される粉末X線回折パターンを図7に示す。
【0021】
さらに、前記結晶形FのTGA曲線及びDSC曲線を図8に示す。
【0022】
本発明は、化合物の結晶形Fの製造方法をさらに提供し、該方法は、
結晶形ABをジメチルアセトアミドに加えて、澄明になるまで溶解させた後、撹拌しながら貧溶媒である水を加え、撹拌して結晶を析出させるステップ(1)と、
結晶を分離し、22~30℃の温度で1日間真空乾燥させた後、45~60℃の温度で1日間真空乾燥させたステップ(2)とを含む。
【0023】
本発明は、化合物の結晶形Fの別の製造方法をさらに提供し、該方法は、
化合物を有機溶媒に加え、20~60℃の温度で撹拌し、化合物を溶解するか、又は懸濁液を調製するステップ(1)と、
化合物の結晶形Fを種結晶として、20~60℃の温度で撹拌して結晶を析出させるステップ(2)と、
析出させた結晶をろ過して乾燥させ、略白色固体として結晶形Fを得るステップ(3)と、を含み、
前記有機溶媒は、DMSO、酢酸エチル、メタノール、エタノール又はDMSO/酢酸エチルの混合溶媒、DMSO/水の混合溶媒から選ばれる。
【0024】
本発明は、化合物の結晶形Fの製造方法をさらに提供し、該方法は、
結晶形ABを酢酸エチルに加え、50±3℃に加熱して、固液懸濁系を調製するステップ(1)と、
結晶形Fを種結晶として、50±3℃の温度で1~2日間撹拌しながら反応させ、結晶を析出させた後、結晶をろ過し、ろ過ケーキを乾燥させ、結晶形Fを得るステップ(2)と、を含む。
【0025】
本発明の一態様は、本発明の結晶形ABを有する化合物、結晶形Mを有する化合物、及び結晶形Fを有する化合物のうちの少なくとも1種と、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0026】
本発明は、化合物の結晶形AB、結晶形M及び結晶形F、及びこの3種類の結晶形を含む医薬組成物の、プロテインキナーゼAXL及び/又はVEGFR2の活性異常に起因する疾患(例えば、腫瘍又は癌症)を治療する医薬品の製造における使用をさらに提供する。具体的に、該医薬組成物は、甲状腺癌(甲状腺髄様癌を含む)、胃癌、食道癌、腎臓癌(腎細胞癌を含む)、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、卵巣癌、子宮頸癌、大腸癌、小腸癌、脳癌(悪性神経膠腫、巨細胞性悪性神経膠腫、神経膠肉腫、及び希突起神経膠成分を有する悪性神経膠腫を含む星状細胞腫のを含む)、白血病、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、骨癌、前立腺癌(去勢抵抗性前立腺癌を含む)、膵臓癌、皮膚癌、リンパ腫、固形腫瘍、ホジキンリン病又は非ホジキンリンリンパ腫の治療に有用である。したがって、本発明は、また、プロテインキナーゼAXL及び/又はVEGFR2の活性異常に起因する疾患の治療方法に関し、前記治療方法は、受験者に上述医薬組成物を投与することを含む。
【0027】
本発明の前記医薬組成物は、各種の製剤にしてもよく、さまざまな経口製剤を含むが、これらに制限されず、好ましくは、前記医薬組成物は、錠剤又はカプセル剤である。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、下記有利な効果を有する。
【0029】
1、本発明の化合物の結晶形AB、結晶形M、及び結晶形Fは、すべて良好な化学的安定性を有し、且つ収率も純度も高い。
【0030】
2、本発明の結晶形の製造方法は、簡単であり、安定的な量産が可能であり、普及に有利である。
【0031】
3、結晶形AB、結晶形M、及び結晶形Fは、高温、高湿度、酸化条件下でも安定的であるので、保管や輸送、工業的生産に有利である。
【0032】
4、本発明の結晶形AB、結晶形M、及び結晶形F(特に結晶形AB)は、バイオアベイラビリティが高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】化合物の核磁気共鳴水素スペクトルのパターン(重水素化DMSOを溶媒とする)である。
図2】従来技術における方法によって製造された化合物のXRPDパターンである。
図3】化合物の結晶形ABのXRPDパターンである。
図4】化合物の結晶形ABのTGA及びDSC曲線である。
図5】化合物の結晶形MのXRPDパターンである。
図6】化合物の結晶形MのTGA及びDSC曲線である。
図7】化合物の結晶形FのXRPDパターンである。
図8】化合物の結晶形FのTGA及びDSC曲線である。
図9】化合物の結晶形ABの、安定性加速実験前及び安定性加速1カ月のXRPDオーバーレイパータンの比較(上部から下部へ順次:0カ月、1カ月密閉、1カ月開放)を示す。
図10】化合物の結晶形ABの安定性加速実験前及び安定性加速7カ月のXRPDオーバーレイパータンの比較(上部から下部へ順次:0カ月、1カ月密閉、1カ月開放)を示す。
図11】化合物の結晶形ABの安定性加速実験7カ月のXRPDパターン(小角度で密閉する)を示す。
図12】化合物の結晶形ABの安定性加速実験7カ月のXRPDパターン(小角度で開放する)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに説明する。
【0035】
実施例1
化合物の製造方法は、化合物の特許WO2018/072614A1の実施例9を参照する。具体的には、化合物の製造方法は以下のとおりである。


6-[[4-[2-フルオロ-4-[[1-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]シクロプロパンカルボニル]アミノ]フェノキシ]-6-メトキシ-7-キノリニル]オキシ]カプロン酸メチル(IV-1、35.0g、55.2mmol、WO2013/040801A1に記載の方法によって製造された)のエタノール(350mL)溶液を撹拌しながら、それにNaOH(4.4g、110mmol)を滴下し、滴下完了後、水(50mL)を加えた。得られた混合物を20~25℃の温度で18時間撹拌し、反応液を水(100mL)で希釈して、20分間撹拌し、1NのHClでpH3~4に調整した。反応混合物を減圧濃縮し、約300mLエタノールを留出した。ろ過して固体生成物を収集し、粗製品28.4gを得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル:メタノール=1:1、v/v)により精製して、6-[[4-[2-フルオロ-4-[[1-[(4-フルオロフェニル)カルバモイル]シクロプロパンカルボニル]アミノ]フェノキシ]-6-メトキシ-7-キノリニル]オキシ]カプロン酸(化合物)を9.6g(収率:28.1%)得た。
化合物の分析データ:分子量619.61;核磁気共鳴水素スペクトルを図1に示し、核磁気共鳴水素スペクトルデータを以下に示す。
1H-NMR(δ,DMSO-d6,400MHz):12.03(s,1H,OH),10.40(s,1H,NH),10.02(s,1H,NH),8.47~8.46(d,J=4,1H,CH),7.89-7.92(d,J=12,1H,CH),7.63-7.67(d,J=16,2H,2CH),7.51-7.52(d,J=4,2H2CH),7.39-7.43(t,2H,2CH),7.13-7.17(t,2H,2CH),6.41-6.42(d,J=4,1H,CH),4.12-4.15(t,2H,CH2),3.95(s,3H,CH3),2.24-2.28(t,2H,CH2),1.78-1.85(m,2H,CH2),1.57-1.64(m,2H,CH2),1.43-1.51(m,6H,3CH2)。
本実施例で製造された固体に対してXRPD測定を行い、得られたXRPDパターンを図2に示す。
【0036】
実施例2
化合物の結晶形ABの製造
実施例1の方法で製造された化合物を200.0g秤量して、無水エタノール11Lに加え、機械的に撹拌し、75~80℃に加熱して化合物を澄明になるまで溶解させた後、-10℃まで降温し、固体を析出させ、-10±2℃の温度で4時間撹拌し、大量の固体を析出させた。減圧ろ過して、ろ過ケーキを55~60℃の温度で10時間真空乾燥させ、結晶170.0gを得て、その粉末X線回折(XRPD)パターンを図3に示し、該結晶形を結晶形ABと定義する。
【0037】
実施例3
化合物の結晶形ABの製造
2.0gの化合物を秤量して、テトラヒドロフラン/水(95v:5v)の混合溶媒12mLに加え、還流まで加熱し、固体がすべて澄明になるまで溶解させた後、溶液を40±2℃まで降温し、得られた溶液を溶液Aとする。エタノール80mLを反応フラスコに加え、-10±2℃まで降温し、次に、AB結晶形0.10gをエタノールに加えて撹拌し、固液懸濁体Bを調製した。温度を-10~-5℃の範囲まで制御しながら、溶液Aを固液懸濁体Bに滴下し、滴下終了後、-10~-5℃の温度で約4時間撹拌して結晶を析出させる。減圧ろ過して乾燥させ、結晶1.45gを得て、XRPD測定をした結果、その結晶形は結晶形ABである。
【0038】
実施例4
化合物の結晶形Mの製造
50.0gの化合物を秤量して無水エタノール2.5Lに加え、還流まで加熱し、固体がすべて澄明になるまで溶解させた後、0.5時間還流した。10~20℃に自然降温し、撹拌して結晶を析出させ、減圧ろ過し、ろ過ケーキをオーブンに入れて乾燥させ、化合物の結晶を得て、そのXRPDパターンを図5に示し、該結晶形を結晶形Mと定義する。
【0039】
実施例5
化合物の結晶形Mの製造
2.0gの化合物を秤量してn-ブタノール100mLに加え、加熱還流して撹拌し、固体がすべて澄明になるまで溶解させた後、熱いうちにろ過し、ろ液を20±5℃まで降温し、撹拌して結晶を析出させ、減圧ろ過して、ろ過ケーキをオーブンに入れて乾燥させ、得られた化合物の結晶に対して、XRPD測定を行った結果、その結晶形は結晶形Mである。
【0040】
実施例6
化合物の結晶形Mの製造
2.0gの化合物を秤量してイソプロパノール200mLに加え、加熱還流して撹拌し、固体がすべて澄明になるまで溶解させた後、熱いうちにろ過し、ろ液を20±5℃に自然降温し、撹拌して結晶を析出させ、減圧ろ過して、ろ過ケーキをオーブンに入れて乾燥させ、化合物の結晶を得て、XRPD測定を行った結果、その結晶形は結晶形Mである。
【0041】
実施例7
化合物の結晶形Fの製造
サンプル(結晶形AB)200.4mgを秤量して、DMAc(ジメチルアセトアミド)1.5mLに加えて、澄明になるまで溶解させた後、撹拌しながら貧溶媒である水を合計8mL、1滴ずつ滴下し、固体を遠心分離し(10000rpm、2分間)、室温で1日間真空乾燥させた後、50℃で1日間真空乾燥させ、結晶を得る。結晶のXRPDパターンを図7に示し、該結晶形を結晶形Fと定義する。
【0042】
実施例8
(1)3.27gの化合物を酢酸エチル2mLとDMSO(ジメチルスルホキシド)1mLとを配合した混合溶液に加え、30±3℃の温度で撹拌し、固液懸濁系を調製する。
(2)結晶形Fを種結晶として、30±3℃の温度で撹拌して結晶を析出させる。
(3)結晶をろ過して乾燥させ、結晶2.03gを得、XRPD測定を行った結果、その結晶形は結晶形Fである。
【0043】
実施例9
化合物の結晶形Fの製造
酢酸エチル2mLとジメチルスルホキシド1mLとを配合し、混合溶液に調製し、2.26gの結晶形ABを加えて飽和溶液とし、次に、飽和溶液に結晶形Fサンプル0.01gを種結晶として加え、30±3℃の温度で4~5日間磁気撹拌し、減圧ろ過して、50±2℃の温度で8.5時間真空乾燥させ、結晶0.32gを得た。XRPD測定を行った結果、その結晶形は結晶形Fである。
【0044】
実施例10
化合物の結晶形Fの製造
酢酸エチル40mlとAB結晶形2.00gとを反応フラスコに加え、50±3℃に加熱して固液懸濁系を調製し、次に、0.01gの結晶形Fを種結晶として加え、50±3℃の温度で1~2日間撹拌して反応させ、減圧ろ過して、ろ過ケーキを50±2℃、-0.1MPa条件下で3時間真空乾燥させ、結晶を得た。XRPD測定を行った結果、該結晶の結晶形は結晶形Fである。
【0045】
各結晶形の安定性試験
以下、本発明による化合物の結晶形AB、結晶形M、結晶形Fの安定性を検出した(試験結果はすべて各試験群の化合物の重量に準じ、算出する)。
【0046】
結晶形ABの安定性試験
実験方法
加速試験:化合物をバイアル瓶に投入して、それぞれ密閉と開放の2種類の形態でバイアル瓶を、相対湿度75%±5%の密閉容器(乾燥器)に入れ、乾燥器をインキュベータに入れ、40℃±2℃の温度で7カ月放置し、それぞれ0、1、2、7月目に少量のサンプルを取り出して検出した。試験結果を図9図12及び表1に示す。
【表1】
上述実験結果から明らかように、本発明で得られた化合物の結晶形ABは、安定性に優れ、バイオアベイラビリティが高く、得られた結晶の外観、性状や粒度などが製薬に適している。結晶形ABは、製造のスケールアップが実現されやすく、且つ操作が容易であり、得られた結晶形AB自体も熱力学的に安定である結晶形である。したがって、工業的な製造方法及び品質に関しては、結晶形ABは、より好適な化合物結晶形態である。
【0047】
結晶形Mの安定性試験:
実験方法
加速試験:化合物の結晶形Mをシャーレに投入し、開放の状態でシャーレを相対湿度75%±5%の密閉容器(乾燥器)に入れ、乾燥器をインキュベータに入れて、40℃±2℃で3カ月放置し、それぞれ0、1、2、3月目に少量のサンプルを取り出して検出した。
【表2】
上述実験の検出データから明らかように、結晶形Mは、粉砕前、粉砕後、加速試験3カ月後、純度がほとんど変化せず、このため、安定性に優れている。
【0048】
結晶形Fの安定性試験
実験方法
加速試験:化合物の結晶形Fをシャーレに投入し、開放の状態でシャーレを相対湿度75%±5%の密閉容器(乾燥器)に入れ、乾燥器をインキュベータに入れて、40℃±2℃で3カ月放置し、それぞれ0、1、2、3月目に少量のサンプルを取り出して検出した。
【表3】
上述実験検出データから明らかように、F結晶形は、粉砕前、粉砕後、加速試験3カ月後、純度がほとんど変化せず、このため、安定性に優れている。
【0049】
結晶形ABの薬理作用
表4は、AXL及びVEGF-R2に対する化合物の結晶形ABのIC50を示す。
【表4】
表4からわかるように、化合物の結晶形ABは、スニチニブよりも低いIC50を有する。したがって、結晶形ABは、臨床薬の候補医薬品の結晶形として有用である。
表5は各腫瘍モデルにおいて腫瘍に対する化合物の結晶形ABの阻害作用を示す。
【表5】
マウスの皮下にMOLM-13細胞を接種して、ヒト急性骨髄性白血病皮下異種移植腫瘍モデルを作成する。結晶形ABを動物に胃内投与してから14日間後、腫瘍を摘出し、腫瘍体積データを収集した。各用量群の腫瘍阻害率結果は上記表に示され、KC1036の半数有効用量EC50は1.5mg/kgである。3mg/kgで投与された後、腫瘍成長が顕著に阻害され、6mg/kg又は6.25mg/kgでは、腫瘍成長が阻害され、14日間投与後、マウスの一部では腫瘍が消えた。
【0050】
マウスの皮下にNCIH-1703細胞を接種して、肺癌皮下異種移植腫瘍モデルを作成する。結晶形ABを動物に胃内投与してから28日間後、腫瘍を摘出し、腫瘍体積データを収集する。各用量群の腫瘍阻害率結果は上記表5に示され、KC1036 6.25mg/kg群は、腫瘍成長を顕著に阻害し、12.5mg/kg群は腫瘍成長を顕著に阻害し、一部のマウスでは腫瘍が消え始め、12.5mg/kg、25mg/kg、50mg/kgの用量は、いずれも腫瘍成長を顕著に阻害し、腫瘍退縮例の数が順に増加する。
【0051】
化合物の結晶形AB、結晶形M、及び結晶形Fのバイオアベイラビリティへの分析
化合物の各結晶形の医薬品サンプルを1%CMC-Na溶液に加え、懸濁液を調製し、マウスに胃内投与する。化合物の各結晶形の医薬品サンプルを、DMSO/PEG400/水に配合し、溶液を調製し、マウスに静脈内投与する。投与後、各時刻に足背静脈を介して採血し、ヘパリンナトリウムで抗凝固をした後、プラズマを遠心抽出し、LC-MS/MSを用いてプラズマサンプルを分析し、血漿中薬物濃度を得、WinNonlin(PhoenixTM)を用いて薬物動態パラメータの値を算出する。表6には、結晶形AB、結晶形M、及び結晶形Fのバイオアベイラビリティ分析結果が示されている。
【表6】
表6の結果から明らかように、結晶形ABは、プラズマ暴露量及びバイオアベイラビリティが結晶形M、結晶形Fより高いことを示した。この点では、結晶形ABは臨床的により将来性が期待できる。
【0052】
本出願は、以上のように好適な実施例が開示されているが、特許請求の範囲はこれらの実施例により限定されるものではなく、当業者であれば、本出願の発想を逸脱することなく、複数の可能な変化や修正をすることができ、このため、本出願の特許範囲は本出願の特許請求の範囲により定められる。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】