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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】圧着電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/52 20110101AFI20220420BHJP
   H01R 31/06 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H01R12/52
H01R31/06 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552761
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 CN2020073615
(87)【国際公開番号】W WO2021103310
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911181567.2
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521395931
【氏名又は名称】蘇州▲ユン▼塚電子科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU GYZ ELECTRONIC TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.269,Songjiagang Road,Zhoushi Town,Kunshan City,Suzhou,Jiangsu 215300,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】莫 湊全
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA11
5E223AB45
5E223AC12
5E223BA07
5E223BB21
5E223CB02
5E223CB07
5E223CD01
5E223DA05
(57)【要約】
本願は、絶縁弾性体及び導電性金属シートを含む圧接電気コネクタに関し、導電性金属シートは絶縁弾性体に嵌め込まれ、且つ絶縁弾性体の一組で対向する対角領域から突出する第1延出部と第2延出部を有し、第1延出部と第2延出部は、折り曲げられた後に絶縁弾性体の対向する表面に固定される。弾性反発変形は、導電性金属シート自体によるものではなく絶縁弾性体によるものであるため、複数回の圧着操作後に導電性金属シートの電気的な接触性能は依然としてよく、電気的な接触が良好である。一方、第1延出部及び第2延出部が絶縁弾性体の表面に固定されるため、第1延出部及び第2延出部の接続端子としての表面が平面となり、接触面積が顕著に向上するので、圧着電気コネクタの電気的な接続性能がよく、電気的な接触が良好であり、且つ、第1延出部を溶接等の方式で第1基板に固定することは容易になり、基板との接続の信頼性を保証できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁弾性体及び導電性金属シートを含み、
前記導電性金属シートは前記絶縁弾性体に嵌め込まれ、且つ前記絶縁弾性体の一組で対向する対角領域から突出する第1延出部と第2延出部を有し、
前記第1延出部と前記第2延出部は、折り曲げられた後に前記絶縁弾性体の対向する表面に固定される
ことを特徴とする圧接電気コネクタ。
【請求項2】
前記絶縁性弾性体は、互いに平行な第1表面と第2表面と、前記第1表面と前記第2表面とをそれぞれ接続する第3表面と第4表面とを有し、
前記導電性金属シートは、前記第1表面に垂直な横断面に沿ってZ字型となり、
前記第1の延出部は、前記第1表面に固定され、前記第1表面における投影が前記第1表面を覆い、
前記第2の延出部は、前記第2表面に固定され、前記第2表面における投影が前記第2表面を覆う
ことを特徴とする請求項1に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1延出部および前記第2延出部は、前記絶縁性弾性体の対角方向に沿って前記絶縁性弾性体から突出し、
好ましくは、前記絶縁性弾性体は、対向して配置される第5表面及び第6表面を含み、
前記第5表面は、前記第1表面と前記第3表面とを接続し、且つ前記第2表面に向かう方向に傾斜し、前記第1延出部は前記第5表面から突出し、
前記第6表面は、前記第2表面と前記第4表面とを接続し、且つ前記第1表面に向かう方向に傾斜し、前記第2延出部は前記第6表面から突出する
ことを特徴とする請求項2に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1延出部は前記第3表面から突出し、前記第2延出部は前記第4表面から突出している
ことを特徴とする請求項2に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項5】
前記絶縁弾性体に2組の貫通孔が設けられ、
前記2組の貫通孔は、前記絶縁弾性体内に埋設された一部の前記導電性金属シートの両側に位置し、且つ前記貫通孔の軸方向が第1表面及び第3表面に平行である
ことを特徴とする請求項2に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項6】
各組の貫通孔は溝穴を含み、
前記溝穴は、前記絶縁弾性体の他の組で対向する対角領域の縁に開口し、
好ましくは、前記第1延出部の前記第3表面から離れる端部に第1係止爪が設けられ、前記第1係止爪はそれに近い前記溝穴に係止されて接続され、
前記第2延出部の前記第4表面から離れる端部に第2係止爪が設けられ、前記第2係止爪はそれに近い前記溝穴に係止されて接続される
ことを特徴とする請求項5に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項7】
前記第1延出部及び前記第2延出部は、前記絶縁性弾性体の対向する表面に接着剤層を介して固定され、
好ましくは、前記接着剤層は、液状のシリカゲルを熱硬化させることにより形成される
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項8】
前記導電性金属シートは、前記絶縁弾性体と一体に射出成形される
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の圧接電気コネクタ。
【請求項9】
前記第1延出部及び第2延出部の前記絶縁性弾性体から離れる側には、前記導電性金属シートよりも導電性の高い金属塗布層が設けられ、
好ましくは、前記導電性金属シートは、銅シート、鉄シート、又はステンレスシートである
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項10】
前記絶縁性弾性体は、弾性を有する熱硬化性樹脂部材及び/又は熱可塑性弾性部材であり、
好ましくは、前記熱硬化性樹脂部材は、シリコーン樹脂部材であり、
好ましくは、前記熱可塑性弾性部材は、スチレン系、オレフィン系、ポリエーテルエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系または塩化ビニル系の弾性部材であり、
好ましくは、前記第1延出部または前記第2延出部の前記絶縁弾性体から離れる側に導電性両面テープが設けられ、及び/又は
前記絶縁弾性体は、熱可塑性弾性部材である内芯部と、前記内芯部を囲んで熱硬化性樹脂部材とする外環部と有する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の圧着電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電気コネクタの技術分野に関し、特に圧着電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、タブレットパソコン等の携帯式移動端末装置の小型化及び高機能化の発展に伴い、電子部品の体積が徐々に減少し、限られた空間内における基板の実装密度が徐々に増大し、それに対応して、導電端子がますます小さくなり、電気コネクタに対する要求もますます高くなる。
【0003】
現在の電気コネクタは主として圧着電気コネクタであり、圧着の方式によって移動端末装置に内蔵された複数の基板は互いに電気的に接続されている。従来の圧着電気コネクタは、一方の基板に固定的に設けられて電気的に接続され、他方の基板における導電端子に対応する弾性接続端子を有する。弾性接続端子は圧力の作用により導電端子と電気的に接触して2つの基板の電気的な接続を実現し、そして圧力がなくなった後に反発して復位する。現在の弾性接続端子は二つの形態を有する。形態一は金属弾性シートである。しかし、金属弾性シートの往復弾性変形は主に金属体材料自体に由来するものであるため、金属弾性シートのサイズが小さい場合、複数回の圧着操作の後、金属材質自体の圧縮性及び弾性性能が非常に悪くなり、電気的な接触の不良を引き起こすことになる。一方、螺旋状の金属弾性シートを採用することで弾性を向上させる場合、金属弾性シートの溶接面積が制限されるため、溶接の信頼性は低くなる。形態二は、導電性金属を絶縁弾性体の外側に接着したものである。しかし、このような電気コネクタでは絶縁弾性体の弾性変形が制限され、且つ製造時に絶縁弾性体、導電性金属をそれぞれ生産、接着、及び切断する必要があるため、自動で連続的な生産とすることができず、生産効率が低い。
【発明の概要】
【0004】
これに基づき、溶接の不確実、及び複数回の圧着操作後に弾性性能が劣化して電気的な接触不良が生じるという課題に対応できる圧着電気コネクタを提供する必要がある。
【0005】
絶縁弾性体及び導電性金属シートを含み、前記導電性金属シートは前記絶縁弾性体に嵌め込まれ、且つ前記絶縁弾性体の一組で対向する対角領域から突出する第1延出部と第2延出部を有し、前記第1延出部と前記第2延出部は、折り曲げられた後に前記絶縁弾性体の対向する表面に固定される圧接電気コネクタ。
【0006】
上記圧着電気コネクタでは、導電性金属シートが弾性部材に嵌め込まれ、そして第1延出部及び第2延出部が折り曲げられた後に絶縁弾性体の表面に固定されることにより、導電性金属シートと弾性部材とが一体に固定される。第1延出部は、一方の接続端子として一方の基板に固定され且つ該基板に電気的に接続される。第2延出部は、圧力の作用で他方の接続端子として他方の基板と圧着される。これにより、2つの基板に対する電気的な接続が実現される。且つ、弾性部材はこのとき圧縮され、圧力がなくなった後に反発して第2延出部を復位させる。上記圧着電気コネクタにおける弾性反発変形は、導電性金属シート自体によるものではなく絶縁弾性体によるものであるため、複数回の圧着操作後に導電性金属シートの電気的な接触性能は依然としてよく、電気的な接触が良好である。一方、第1延出部及び第2延出部が絶縁弾性体の表面に固定されるため、第1延出部及び第2延出部の接続端子としての表面が平面となり、接触面積が顕著に向上するので、圧着電気コネクタの電気的な接続性能がよく、電気的な接触が良好であり、且つ、第1延出部を溶接等の方式で第1基板に固定することは容易になり、基板との接続の信頼性を保証できる。
【0007】
1つの実施例では、前記絶縁性弾性体は、互いに平行な第1表面と第2表面と、前記第1表面と前記第2表面とをそれぞれ接続する第3表面と第4表面とを有し、前記導電性金属シートは、前記第1表面に垂直な横断面に沿ってZ字型となり、
前記第1の延出部は、前記第1表面に固定され、前記第1表面における投影が前記第1表面を覆い、
前記第2の延出部は、前記第2表面に固定され、前記第2表面における投影が前記第2表面を覆う。
【0008】
上記圧着電気コネクタでは、第1延出部の第1表面における投影が第1表面を覆うこと、及び第2延出部の第2表面における投影が第2表面を覆うと限定することにより、第1延出部及び第2延出部と基板との接触面積が比較的大きくなり、電気的な接続性能がよりよくなり、電気的な接触がより良好になる。
【0009】
1つの実施例では、前記第1延出部および前記第2延出部は、前記絶縁性弾性体の対角方向に沿って前記絶縁性弾性体から突出している。
【0010】
上記圧着電気コネクタでは、第1延出部及び第2延出部が絶縁弾性体の対角方向に沿って突出すると限定することにより、第1延出部の第1表面における投影が第1表面を覆い、第2延出部の第2表面における投影が第2表面を覆うことがさらに保証され、電気的な接触が良好になる。
【0011】
1つの実施例では、前記絶縁性弾性体は、対向して配置される第5表面及び第6表面を含み、前記第5表面は、前記第1表面と前記第3表面とを接続し、且つ前記第2表面に向かう方向に傾斜し、前記第1延出部は前記第5表面から突出し、前記第6表面は、前記第2表面と前記第4表面とを接続し、且つ前記第1表面に向かう方向に傾斜し、前記第2延出部は前記第6表面から突出する。
【0012】
上記圧着電気コネクタでは、第1表面と第3表面との間に第5表面を設け、第2表面と第4表面との間に第6表面を設けることにより、第1延出部と第2延出部の折り曲げが容易になるとともに、折り曲げられた後の第1延出部と第1表面と、第2延出部と第2表面との隙間が小さくなるため、第1延出部と第1表面との固定、第2延出部と第2表面との固定が容易になる。
【0013】
1つの実施例では、前記第1延出部は前記第3表面から突出し、前記第2延出部は前記第4表面から突出する。
【0014】
上記圧着電気コネクタでは、第1延出部が第3表面から突出し、第2延出部が第4表面から延出すると限定することにより、第1延出部と第2延出部の折り曲げが容易になるとともに、折り曲げられた後の第1延出部と第1表面、第2延出部と第2表面との間の隙間が小さくなり、第1延出部と第1表面との固定、第2延出部と第2表面との固定が容易になる。
【0015】
1つの実施例では、前記絶縁弾性体に2組の貫通孔が設けられ、前記2組の貫通孔は、前記絶縁弾性体内に埋設された一部の前記導電性金属シートの両側に位置し、且つ前記貫通孔の軸方向が第1表面及び第3表面に平行である。
【0016】
上記圧着電気コネクタでは、絶縁弾性体に貫通孔を設けて絶縁弾性体の変形空間を拡張することにより、その弾性性能を向上させ、さらに圧着電気コネクタの全体の往復する弾性性能を向上させる。
【0017】
1つの実施例では、各組の貫通孔は溝穴を含み、前記溝穴は、前記絶縁弾性体の他の組で対向する対角領域の縁に開口する。
【0018】
上記圧着電気コネクタでは、貫通孔の孔径は絶縁弾性体の弾性及び機械的特性に応じて決定されることができ、絶縁弾性体の弾性性能をさらに向上させるために、孔径は絶縁弾性体の他の組で対向する対角領域の縁まで延びることができる。
【0019】
1つの実施例では、前記第1延出部の前記第3表面から離れる端部に第1係止爪が設けられ、前記第1係止爪はそれに近い前記溝穴に係止されて接続され、前記第2延出部の前記第4表面から離れる端部に第2係止爪が設けられ、前記第2係止爪はそれに近い前記溝穴に係止されて接続される。
【0020】
上記圧着電気コネクタでは、第1係止爪とそれに近い溝穴との係止接続によって第1延出部と第1表面との固定接続を実現し、第2係止爪とそれに近い溝穴との係止接続によって第2延出部と第2表面との固定接続を実現することにより、使用中に第1接続部と第2接続部が絶縁弾性体から脱落することを防止できる。
【0021】
1つの実施例では、前記第1延出部及び前記第2延出部は、前記絶縁性弾性体の対向する表面に接着剤層を介して固定される。
【0022】
上記圧着電気コネクタでは、接着剤層によって第1延出部と第1表面との固定接続を実現し、接着剤層によって第2延出部と第2表面との固定接続を実現することにより、使用中に第1接続部と第2接続部が絶縁弾性体から脱落することを防止できる。
【0023】
1つの実施例では、前記接着剤層は、液状のシリカゲルを熱硬化させることにより形成される。
【0024】
上記圧着電気コネクタでは、液状のシリカゲルの熱硬化により形成される接着剤層は、比較的高い弾性を有し且つ接続安定性に優れる。
【0025】
1つの実施例では、前記導電性金属シートは、前記絶縁弾性体と一体に射出成形される。
【0026】
上記圧着電気コネクタでは、射出成形により導電性金属シートと絶縁弾性体を嵌めあい、一体構造を形成する。
【0027】
1つの実施例では、前記第1延出部及び第2延出部の前記絶縁性弾性体から離れる側には、前記導電性金属シートよりも導電性の高い金属塗布層が設けられる。
【0028】
上記圧着電気コネクタでは、第1延出部及び第2延出部の絶縁弾性体から離れる側に金属塗布層を設け、且つ金属塗布層の導電性が導電性金属シートの導電性より高いと限定することにより、第1延出部と一方の基板、第2延出部と他方の基板との電気的な接続性がよく、電気的な接触が良好である。
【0029】
1つの実施例では、前記導電性金属シートは銅シート、鉄シート、又はステンレスシートである。
【0030】
上記圧着電気コネクタでは、導電性金属シートを導電性に優れた銅シート、鉄シート、又はステンレスシートに限定することにより、電気接続性能を向上させることができる。
【0031】
1つの実施例では、前記絶縁性弾性体は、弾性を有する熱硬化性樹脂部材及び/又は熱可塑性弾性部材である。
【0032】
上記圧接電気コネクタでは、絶縁弾性体が弾性を有する熱硬化性樹脂部材、熱可塑性弾性部材、又は、熱硬化性樹脂部材と熱可塑性弾性部材との組み合わせ部材に限定されることにより、絶縁弾性体の弾性性能が向上する。
【0033】
1つの実施例では、前記熱硬化性樹脂部材は、シリコーン樹脂部材である。
【0034】
上記圧着電気コネクタでは、絶縁弾性体をシリコーン樹脂部材に限定することにより、絶縁弾性体が弾性性能と耐熱性能を兼ねて備え、圧着電気コネクタを基板に溶接固定する時の絶縁弾性体の熱安定性を保証できる。
【0035】
1つの実施例では、前記絶縁弾性体は、スチレン系、オレフィン系、ポリエーテルエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系または塩化ビニル系の弾性部材である。
【0036】
上記圧着電気コネクタでは、絶縁弾性体をスチレン系、オレフィン系、ポリエーテルエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系または塩化ビニル系の弾性部材に限定することにより、絶縁弾性体が弾性性能と安定した構造性能を兼ねて備え、絶縁弾性体の構造安定性を保証できる。
【0037】
1つの実施例では、前記第1延出部又は前記第2延出部の前記絶縁弾性体から離れる側に導電性両面テープが設けられる。
【0038】
上記圧着電気コネクタでは、第1延出部又は第2延出部の絶縁弾性体から離れる側に導電性両面テープを設けることにより、溶接作業を行わずに絶縁弾性体を基板に直接接着することができ、製造プロセスを簡略化し且つ絶縁弾性体の製造材料の選択範囲を拡大できる。
【0039】
1つの実施例では、前記絶縁弾性体は、熱可塑性弾性部材である内芯部と、熱硬化性樹脂部材であって、前記内芯部を囲む外環部と有する。
【0040】
上記圧着電気コネクタでは、内芯部が熱可塑性弾性部材であると限定することにより、絶縁弾性体全体の構造安定性を向上させ、外環部が熱硬化性樹脂部材であると限定することにより、絶縁弾性体全体の熱安定性を向上させるので、絶縁弾性体が構造弾性性能、安定性、及び熱安定性を兼ねて備え、構造性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施例における圧着電気コネクタの構造概略図である。
図2】本発明のもう一つの実施例における圧着電気コネクタの構造概略図である。
図3】本発明の一実施例における圧着電気コネクタの組立概略図である。
図4】本発明の一実施例における圧着電気コネクタの動作シーン概略図である。
図5】本発明の一実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図6】本発明のもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図7】本発明のさらにもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図8】本発明のさらにもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図9】本発明のもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図10】本発明のさらにもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図11】本発明のさらにもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図12】本発明のもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図13】本発明のさらにもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図14】本発明のさらにもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
図15】本発明のさらにもう一つの実施例における圧接電気コネクタの第1表面に垂直な方向における断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本願の上記目的、特徴、及び利点をより明らかに分かりやすくするために、以下図面を参照して本願の具体的な実施形態について詳細に説明する。本願の十分な理解を容易にするために、多くの具体的な詳細が以下の説明に記載される。しかしながら、本願は、本明細書に記載されたものとは異なる多くの他の形態で実施することができ、当業者は、本願の趣旨に反しない限り類似な改良を加えることができ、したがって、本願は、以下に開示される具体的な実施例によって限定されるものではない。
【0043】
なお、要素は、別の要素に「固定されている」と呼ばれる場合、別の要素に直接固定されてもよいし、中央にある要素を介して固定されてもよい。一方の要素が他方の要素に「接続されている」と考えられる場合、他方の要素に直接接続されていてもよいし、中央にある要素を介して接続されてもよい。
【0044】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本願の技術分野に属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものであって、本願を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連する列挙された項の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0045】
図1図2図3、及び図4に示すように、本願の実施例は、絶縁弾性体100及び導電性金属シート200を含む圧着電気コネクタ10を提供する。そのうち、絶縁弾性体100は圧着電気コネクタ10に弾性作用を提供し、導電性金属シート200は圧着電気コネクタ10に電気的な接続の作用を提供する。具体的に配置を行う時には、導電性金属シート200は嵌入部211と、前記嵌入部211の両側に位置する第1延出部212及び第2延出部213を有する。該嵌入部211は絶縁弾性体100に埋設され、且つ全て絶縁弾性体100の内部に含まれる。該第1延出部212及び第2延出部213は、絶縁弾性体100の一組で対向する二つの第1対角領域AAから突出し、そして折り曲げられた後に絶縁弾性体100の対向する表面に固定される。図3に示すように、第1延出部212は方向Cに沿って折り曲げられ、第2延出部213は方向Dに沿って折り曲げられ、折り曲げられた後に第1延出部212と第2延出部213の延出方向は相反である。
【0046】
上記の圧着電気コネクタ10では、導電性金属シート200が弾性部材に嵌め込まれ、そして第1延出部212及び第2延出部213が折り曲げられた後に絶縁弾性体100の表面に固定されることにより、導電性金属シート200と弾性部材とが一体に固定される。説明を容易にするために、図4に示すように、第1延出部212は固定端であって、一方の接続端子として第1基板300に固定されて該第1基板300と電気的に接続される。第2延出部213は圧着端であって、第2基板400に近接して設けられ、圧力の作用で他方の接続端子として第2基板400と圧着される。これにより、第1基板300と第2基板400に対する電気的な接続が実現される。且つ、弾性部材はこのとき圧縮され、圧力がなくなった後に反発して第2延出部213を復位させる。上記圧着電気コネクタ10における弾性反発変形は、導電性金属シート200自体によるものではなく絶縁弾性体100によるものであるため、複数回の圧着操作後に導電性金属シート200の電気的な接触性能は依然としてよく、電気的な接触が良好である。一方、第1延出部212及び第2延出部213が絶縁弾性体100の表面に固定されるため、第1延出部212及び第2延出部213の接続端子としての表面が平面となり、接触面積が顕著に向上するので、圧着電気コネクタ10の電気的な接続性能がよく、電気的な接触が良好であり、且つ、第1延出部212を溶接等の方式で第1基板300に固定することは容易になり、第1延出部212と第1基板300との接続の信頼性を保証できる。
【0047】
上記圧着電気コネクタ10を基礎として、第1延出部212および第2延出部213の面積を向上させることによって電気的な接続性能を向上させることができる。図5図6及び図7を併せて参照し、好ましい実施形態では、絶縁弾性体100は第1表面111、第2表面112、第3表面113、及び第4表面114を有し、そのうち、第1表面111と第2表面112は互いに平行であり、第3表面113は第1表面111と第2表面112を接続し、第4表面114は同様に第1表面111と第2表面112を接続し、導電性金属シート200は第1表面111に垂直な横断面に沿ってZ字型となっている。このような導電性金属シート200では、導電性金属材料を節約し、金属抵抗を低減させることができる。導電性金属シート200の第1表面111に垂直な方向における横断面は規則的なZ字型であってもよく、ほぼZ字型であってもよく、もちろんこれに限定されず、他の構造の形態であってもよい。例えば、導電性金属シート200の嵌入部211の第1表面111に垂直な方向における横断面はS型であってもよい。
【0048】
第1延出部212は第1表面111に固定され、且つ該第1延出部212の第1表面111における投影は第1表面111を覆う。第2延出部213は第2表面112に固定され、且つ該第2延出部213の第2表面112における投影は第2表面112を覆う。具体的に配置を行う時には、第1延出部212の第1表面111における投影は第1表面111をちょうど覆ってもよく、第1延出部212の第1表面111における投影輪郭は第1表面111の外側に位置してもよい。同様に、第2延出部213の第2表面112における投影は第2表面112をちょうど覆ってもよく、第2延出部213の第2表面112における投影輪郭は第2表面112の外側に位置してもよい。
【0049】
上記圧着電気コネクタ10では、第1延出部212の第1表面111における投影が第1表面111を覆うと限定することにより、第1延出部212と第1基板300との接触面積が比較的に大きく、第1延出部212と第1基板300との溶接操作が容易になり、且つ溶接面積が比較的に大きいため、溶接安定性が向上し、第1延出部212と第1基板300との電気的な接続が比較的良好になる。第2延出部213の第2表面112における投影が第2表面112を覆うと限定することにより、第2延出部213と第2基板400との接触面積が比較的大きく、電気的な接続性能がよりよくなり、電気的な接触がより良好になる。具体的に配置を行う時には、第1表面111と第2表面112の面積が同じであり、第3表面113と第4表面114が互いに平行であり、このとき、絶縁弾性体100は規則的な柱体構造であり、加工製造及び第1延出部212と第2延出部213との折り曲げ固定に有利である。もちろん、第1表面111と第2表面112の面積は異なってもよく、第1表面111の面積を第2表面112の面積より大きく設定することができ、これにより、第1基板300に溶接される第1延出部212の面積が大きくなり、第1延出部212と第1基板300の溶接操作が容易になり、且つ溶接面積がより大きくなって、溶接安定性が向上する。
【0050】
第1延出部212及び第2延出部213が絶縁弾性体100の一組で対向する二つの第1対角領域AAから突出する方式は様々あり、図5に示すように、具体的には、第1延出部212及び第2延出部213は絶縁弾性体100の対角方向Xに沿って絶縁弾性体100から突出し、この時第1延出部は第1表面111と第3表面113との交差部位から突出し、第2延出部は第2表面112と第4表面114との交差部位から突出する。
【0051】
上記圧着電気コネクタ10では、第1延出部212及び第2延出部213が絶縁弾性体100の対角方向Xに沿って突出すると限定することにより、第1延出部212が折り曲げられる時の折り曲げ半径が第1表面111の外側に位置し、第2延出部213が折り曲げられる時の折り曲げ半径が第2表面112の外側に位置することになり、これで第1延出部212の第1表面111における投影が第1表面111を覆い、第1延出部212の面積が比較的大きくなり、第1基板300によりよく固定されることがさらに保証され、第2延出部213の第2表面112における投影が第2表面112を覆い、第2延出部213の面積が比較的大きくなり、圧着操作が容易になり、圧着電気コネクタ10全体の電気的な接触が良好になることがさらに保証される。
【0052】
第1延出部212及び第2延出部213の折り曲げを容易にするために、図6に示すように、より具体的には、絶縁弾性体100は、対向して配置される第5表面115及び第6表面116を含み、第5表面115は第1表面111と第3表面113とを接続し、且つ該第5表面115は第2表面112に向かう方向に傾斜し、第1延出部212は該第5表面115から突出する。第6表面116は第2表面112と第4表面114とを接続し、且つ該第6表面116は第1表面111に向かう方向に傾斜し、第2延出部213は該第6表面116から突出する。具体的に配置を行う時には、第5表面115が第2表面112に向かう方向に傾斜する角度と、第6表面116が第1表面111に向かう方向に傾斜する角度とは同じであっても異なってもよく、具体的な角度の数値は、第1延出部212及び第2延出部213の折り曲げ半径に応じて決定することができる。
【0053】
上記圧着電気コネクタ10では、第1表面111と第3表面113との間に第5表面115を設けることにより、第1延出部212が該第5表面115から突出し、これにより、第1延出部212の折り曲げ時の折り曲げ中心が第1表面111の第2表面112から離れる側から第1表面111の第2表面112に向かう側に下向きに移動して、第1延出部212の折り曲げが容易になり、且つ、この時、折り曲げられた後の第1延出部212と第1表面111との間の隙間が小さくなるため、第1延出部212と第1表面111との固定が容易になる。同様に、第2表面112と第4表面114との間に第6表面116を設けることにより、第2延出部213が該第6表面116から突出し、これにより、第2延出部213の折り曲げ時の折り曲げ中心が第2表面112の第1表面111から離れる側から第2表面112の第1表面111に向かう側に上向きに移動して、第2延出部213の折り曲げが容易になり、且つ、このとき、折り曲げられた後の第2延出部213と第2表面112との間の隙間が小さいため、第2延出部213と第2表面112との固定が容易になる。上記圧着電気コネクタ10は、絶縁弾性体100の外部空間を効果的に利用したので、全体の寸法が小さく、小型化を実現することに有利である。
【0054】
第1延出部212及び第2延出部213が絶縁弾性体100の一組で対向する二つの第1対角領域AAから突出する形態は複数あり、図7に示すように、具体的には、第1延出部212は第3表面113から突出し、第2延出部213は第4表面114から突出し、このとき第1延出部212の突出端の第1表面111からの距離と、第2延出部213の突出端の第2表面112からの距離とは同じであってもよく、異なってもよく、具体的な距離の数値は第1延出部212及び第2延出部213の折り曲げ半径に応じて決定することができる。
【0055】
上記圧着電気コネクタ10では、第1延出部212が第3表面113から突出すると限定することにより、第1延出部212の折り曲げ時の折り曲げ中心が第1表面111の第2表面112から離れる側から第1表面111の第2表面112に向かう側に下向きに移動して、第1延出部212の折り曲げが容易になり、且つこのとき、折り曲げられた後の第1延出部212と第1表面111との間の隙間が小さいため、第1延出部212と第1表面111との固定が容易になる。同様に、第2延出部213が第4表面114から突出すると限定することにより、第2延出部213の折り曲げ時の折り曲げ中心が第2表面112の第1表面111から離れる側から第2表面112の第1表面111に向かう側に上向きに移動して、第2延出部213の折り曲げが容易になり、且つこのとき、折り曲げられ後の第2延出部213と第2表面112との間の隙間が小さいため、第2延出部213と第2表面112との固定が容易になる。上記圧接電気コネクタ10は、絶縁弾性体100の外部空間を有効に利用したので、第1表面111と第2表面112の積層方向における寸法が小さく、小型化に有利である。
【0056】
絶縁弾性体100の弾性性能を向上させるために、図7図8図9、及び図10を併せて参照し、好ましい実施形態では、絶縁弾性体100に2組の貫通孔117が設けられ、この2組の貫通孔117は嵌入部211の両側に位置し、各貫通孔117は絶縁弾性体100を貫通し且つその軸方向が第1表面111及び第2表面112と平行である。
【0057】
上記圧着電気コネクタ10では、貫通孔117を設けることにより、絶縁弾性体100はその外部輪郭の外側に向かって弾性変形することができるだけでなく、内部で変形することもできる。したがって、絶縁弾性体100に貫通孔117を設けることにより絶縁弾性体100の変形空間を拡張することができ、それによりその弾性性能を向上させ、さらに圧着電気コネクタ10の全体の往復する弾性性能を向上させる。具体的に配置を行う時には、各組の貫通孔117の数は1つ、 2つ、 3つ又は3つ以上であってもよく、複数の貫通孔117は絶縁弾性体100に均一に配置されることが可能であり、2組の貫通孔117は嵌入部211の両側に位置してもよく、これにより弾性変形の均一が保証される。且つ、2組の貫通孔117の数は同じであっても異なってもよい。貫通孔117の絶縁弾性体100における具体的な配置形態は、圧着電気コネクタ10の実際状況に基づいて決定され、絶縁弾性体100の弾性性能をさらに向上させるために、絶縁弾性体100に複数の止まり穴を均一に配置することもできる。
【0058】
貫通孔117の絶縁弾性体100における具体的な配置形態は複数あり、図8に示すように、貫通孔117の配置を容易にするために、複数の貫通孔117は全て絶縁弾性体100の外郭内に配置される。もちろん貫通孔117は絶縁弾性体100の外郭内に配置されることに限定されず、具体的には、図7図9及び図10を併せて参照し、各組の貫通孔117に溝穴118が含まれ、溝穴118は絶縁弾性体100の他の組で対向する第2対角領域BBの縁に開口し、各組の貫通孔117の数が一つである場合、該貫通孔117は溝穴118となり、各組の貫通孔117の数が複数である場合、少なくとも一つの溝穴118及び少なくとも一つの絶縁弾性体100の外郭内に配置される貫通孔117を含んでもよく、さらに各組の複数の貫通孔117は全て溝穴118であってもよい。
【0059】
上記圧着電気コネクタ10では、貫通孔117の孔径は絶縁弾性体100の弾性的性能及び機械的性能に基づいて決定されることが可能であり、貫通孔117を絶縁弾性体100の他の組で対向する第2対角領域BBの縁に開口させて溝穴118を形成することにより、絶縁弾性体100の変形空間をより大きくすることができ、それにより絶縁弾性体100の弾性性能をさらに向上させることができる。具体的に配置を行う時には、溝穴118は1つ、2つ又は複数であってもよく、溝穴118の配置位置は、第3表面113の第2表面112に近い領域、第2表面112の第3表面113に近い領域、第3表面113と第2表面112との交差部位、第4表面114、第1表面111の第4表面114に近い領域、第4表面114の第1表面111に近い領域、及び第1表面111と第2表面112との交差部位に開口することが可能であり、溝穴118の数及び配置位置は圧着電気コネクタ10の実際状況に基づいて決定される。
【0060】
第1延出部212と第1表面111、第2延出部213と第2表面112の固定接続を容易にするために、図9図11及び図12を併せて参照し、具体的には、第1延出部212の第3表面113から離れた端部に第1係止爪214が設けられ、第1係止爪214と前記第1延出部212とは一体式構造で折り曲げによって形成されてもよく、第1係止爪214はそれに近い溝穴118に係止されて接続される。第2延出部213の第4表面114から離れた端部に第2係止爪215が設けられ、第2係止爪215と前記第2延出部213とは一体式構造で折り曲げによって形成されてもよく、第2係止爪215はそれに近い溝穴118に係止されて接続される。
【0061】
上記圧着電気コネクタ10では、各組の貫通孔117が少なくとも一つの溝穴118を含む場合、第1係止爪214とそれに近い溝穴118との係止接続によって第1延出部212と第1表面111との固定接続を実現し、第2係止爪215とそれに近い溝穴118との係止接続によって第2延出部213と第2表面112との固定接続を実現し、係止接続では、使用中に第1延出部212と第2延出部213が絶縁弾性体100から脱落することを防止するように、第1延出部212と第1表面111、及び第2延出部213と第2表面112を良好に固定することができる。
【0062】
上記各実施例に基づき、第1延出部212と第1表面111、及び第2延出部213と第2表面112の固定接続は上記の係止接続に限定されず、他の構造形態であってもよい。図4図8図10図13図14、及び図15に示すように、好ましい実施形態では、第1延出部212と第2延出部213は接着剤層500を介して絶縁弾性体100の対向する表面に固定される。
【0063】
上記圧着電気コネクタ10では、接着剤層500によって第1延出部212と第1表面111との固定接続を実現し、接着剤層500によって第2延出部213と第2表面112との固定接続を実現する。接着剤層500の接着作用では、使用中に第1延出部212と第2延出部213が絶縁弾性体100から脱落することを防止するように、第1延出部212と第1表面111、第2延出部213と第2表面112を良好に固定することができる。注目すべきこととしては、第1延出部212と第1表面111、第2延出部213と第2表面112との固定接続方式は、全部が係止接続され、又は全部接着剤層500によって接着されることに限定されず、一部が係止接続され、残る部分が接着剤層500によって接着されてもよく、例えば、第1延出部212と第1表面111は係止接続によって固定され、第2延出部213と第2表面112との固定は接着剤層500によって接着固定される。
【0064】
具体的には、接着剤層500は、液状のシリカゲルを熱硬化させることにより形成されることができるが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0065】
上記圧着電気コネクタ10では、接着剤層500が液状のシリカゲルの熱硬化により形成されることが可能であり、硬化後に形成された接着剤層500が優れた弾性及び絶縁性を有する。且つ、液状のシリカゲルは、硬化時に第1延出部212及び第2延出部213と接着し、硬化後に固形状の接着剤層500を形成し、該接着剤層500が弾性を維持して、再加熱されても溶融することなく接着力を維持でき、そして溶接の時においても接着力を維持できるので、液状のシリカゲルの熱硬化により形成された接着剤層500は優れた弾性を有し、接続安定性に優れている。
【0066】
上記各実施例に加えて、嵌入部211の絶縁弾性体100における埋設を実現するために、具体的には、導電性金属シート200と絶縁弾性体100は一体に射出成形される。もちろんこれに限定されるものではなく、モールディング、押出等の製造プロセスであってもよい。
【0067】
上記圧着電気コネクタ10は、図3に示すように、具体的に製造を行う時には、まず導電性金属シート200を予備折り曲げ、続いて予備折り曲げられた導電性金属シート200を射出成形機で絶縁弾性体100と射出成形し、その後に導電性金属シート200と絶縁弾性体100が嵌め込まれて一体の構造になる。具体的に配置を行う時には、予備折り曲げは、第1延出部212及び第2延出部213が嵌入部211に対して一定の角度に折り曲げられることを含むことができ、さらに第1延出部212の第3表面113から離れる端部を第1係止爪214に折り曲げて、第2延出部213の第4表面114から離れる端部を第2係止爪215に折り曲げることを含むことができる。上記圧着電気コネクタ10は、射出成形、折り曲げ、及び固定だけで製造でき、製造プロセスが簡単で、自動連続生産を効果的に実現することができ、生産効率が向上する。
【0068】
上記各実施例に加えて、導電性金属シート200の材料を変更することにより電気的な接続性能を向上させることができる。図11図14に示すように、好ましい実施形態において、第1延出部212及び第2延出部213の絶縁弾性体100から離れる側に金属塗布層600が設けられ、該金属塗布層600の導電性は導電性金属シート200の導電性より高い。
【0069】
上記圧着電気コネクタ10では、第1延出部212及び第2延出部213の絶縁弾性体100から離れる側に金属塗布層600を設け、金属塗布層600の導電性が導電性金属シート200の導電性より高いと限定することにより、第1延出部212と第1基板300、第2延出部213と第2基板400との電気的な接続性がよく、電気的な接触が良好である。具体的に配置を行う時には、金属塗布層600は印刷、スプレー、スピンコート等の方式によって製造されることができ、金属塗布層600は、第1延出部212の第1表面111の上方にある領域を完全に覆ってもよく、第1延出部212の直上にある第1延出部212のみを塗布してもよい。同様に、金属塗布層600は、第2延出部213の第2表面112の上方にある領域を完全に覆ってもよく、第2延出部213の直上にある第2延出部213のみを塗布してもよい。
【0070】
具体的には、導電性金属シート200は、銅シート、鉄シート、又はステンレスシートであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0071】
上記圧着電気コネクタ10では、導電性金属シート200を導電性に優れた銅シート、鉄シート、又はステンレスシートに限定することにより、電気接続性能を向上させている。この場合、対応な金属塗布層600の材質は銀、亜鉛等であってもよい。具体的な導電性金属シート200の材質及び金属塗布層600の材質は、圧着電気コネクタ10の実際状況に基づいて決定することができる。
【0072】
上記各実施例に加えて、絶縁弾性体100の材料を変更することによって弾性性能を向上させることもでき、好ましい実施形態において、絶縁弾性体100は、弾性を有する熱硬化性樹脂部材及び/又は熱可塑性弾性部材であってもよい。
【0073】
上記圧着電気コネクタ10では、熱硬化性樹脂及び熱可塑性弾性材料の弾性性能がいずれも良好であるため、絶縁弾性体100を弾性を有する熱硬化性樹脂部材、熱可塑性弾性部材、又は熱硬化性樹脂部材と熱可塑性弾性部材の組み合わせに限定することにより、絶縁弾性体100の弾性性能を向上させることができる。もちろん、絶縁弾性体100の具体的な材料及び構造構成は、移動端末製品の加工温度、必要な弾性機能等のニーズに基づいて決定されることができる。
【0074】
絶縁弾性体100が熱硬化性樹脂部材である場合、具体的には、絶縁弾性体100はシリコーン樹脂部材であってもよい。
【0075】
上記圧着電気コネクタ10では、絶縁弾性体100をシリコーン樹脂部材に限定することにより、絶縁弾性体100に弾性性能と耐熱性能を兼ねて備えさせ、さらに圧着電気コネクタ10を基板に溶接固定する時の絶縁弾性体100の熱安定性を保証することができる。もちろん、絶縁弾性体100の材料はシリコーン樹脂に限定されず、他の熱硬化性樹脂であってもよく、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、フラン樹脂、ポリブタジエン樹脂、シリコーン樹脂の一種又は複数種の混合物であってもよく、これらの材料は耐熱性及び弾性に優れ、これらの材料を用いて絶縁弾性体100を製造する場合、これらの材料の弾性性能及び耐熱性能に応じてさらに複数の混合樹脂材料を採用し又は耐熱助剤及び弾性助剤を添加することで、絶縁弾性体100の耐熱性能又は弾性性能を向上させることができる。
【0076】
絶縁弾性体100が熱可塑性樹脂部材である場合、具体的には、絶縁弾性体100は、スチレン系、オレフィン系、ポリエーテルエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系または塩化ビニル系の弾性部材であってもよい。
【0077】
上記圧着電気コネクタ10では、絶縁弾性体100をスチレン系、オレフィン系、ポリエーテルエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系または塩化ビニル系弾性部材に限定することにより、絶縁弾性体100が弾性性能と安定した構造性能を兼ねて備え、絶縁弾性体100の構造安定性が保証される。もちろん、絶縁弾性体100の材料は、上記に限定されるものではなく、他の熱可塑性樹脂材料であってもよい。
【0078】
絶縁弾性体100が硬化性樹脂部材と熱可塑性弾性部材との組み合わせ部材である場合、図15に示すように、絶縁弾性体100は、熱可塑性弾性部材である内芯部119と、熱硬化性樹脂部材であって内芯部を囲む外環部120を有している。
【0079】
上記圧着電気コネクタ10では、内芯部119を熱可塑性弾性部材に限定することにより、絶縁弾性体100全体の構造安定性を向上させ、外環部120を熱硬化性樹脂部材に限定することにより、絶縁弾性体100全体の熱安定性を向上させるので、絶縁弾性体100は構造弾性性能、安定性、及び熱安定性を兼ねて備え、構造性能に優れる。具体的に配置を行う時には、内芯部119はシリコーン樹脂部材であってもよく、外環部120はスチレン系弾性部材であってもよく、内芯部119は立方体構造、円柱状構造等であってもよく、外環部120はキャビティ型構造であってもよい。内芯部119及び外環部120の具体的な材料、寸法、及び構造形式は、圧着電気コネクタ10の実際の柔軟性及び機械的強度に基づいて決定される。
【0080】
第1延出部212は溶接の方式によって第1基板300に固定されて接続されることができ、この場合の絶縁弾性体100の材料としては熱安定性が高いことが要求される。電気コネクタ10を移動端末製品に応用する場合の加工温度の要求に基づき、採用された絶縁弾性体100の材料の熱安定性が低い場合、図12及び図13に示すように、具体的には、第1延出部212の絶縁弾性体100から離れる側に導電性両面テープ700を設けることができる。
【0081】
上記圧着電気コネクタ10では、第1延出部212の絶縁弾性体100から離れる側に導電性両面テープ700を設けることにより、溶接作業を行わずに絶縁弾性体100を基板に直接接着することができ、製造プロセスを簡略化し且つ絶縁弾性体100の製造材料の選択範囲を拡大する。具体的に配置を行う時には、導電性両面テープ700の一側を第1延出部212に接着して、第1基板300との接着が必要である時に保護層を引き剥がして接着することができる。導電性両面テープ700の第1延出部212における投影は、第1延出部212の第1表面111の上方における面積を完全に覆ってもよく、部分的に覆ってもよい。導電性両面テープ700の具体的な構造形式、材質、及び寸法は、圧着電気コネクタ10の実際状況に基づいて決定される。
【0082】
以上述べた実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについて説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲にあると考えるべきである。
【0083】
以上に記載の実施例は本願のいくつかの実施形態を示し、その説明は比較的に具体的で詳細であるが、それにより発明の特許範囲を限定すると解釈されるべきではない。指摘すべきものとして、当業者であれば、本願の概念から逸脱しない前提で、さらにいくつかの変形及び改良を行うことができ、これらはいずれも本願の保護範囲に属する。したがって、本願の特許の保護範囲は添付の特許請求の範囲に準ずるべきである。
【符号の説明】
【0084】
10 圧接電気コネクタ
100 絶縁弾性体
111 第1表面
112 第2表面
113 第3表面
114 第4表面
115 第5表面
116 第6表面
117 貫通孔
118 溝穴
119 内芯部
120 外環部
200 導電性金属シート
211 嵌入部
212 第1延出部
213 第2延出部
214 第1係止爪
215 第2係止爪
300 第1基板
400 第2基板
500 接着剤層
600 金属塗布層
700 導電性両面テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2021-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁弾性体及び導電性金属シートを含み、
前記導電性金属シートは前記絶縁弾性体に嵌め込まれ、且つ前記絶縁弾性体の一組で対向する対角領域から突出する第1延出部と第2延出部を有し、
前記第1延出部と前記第2延出部は、折り曲げられた後に前記絶縁弾性体の対向する表面に固定される
ことを特徴とする圧接電気コネクタ。
【請求項2】
前記絶縁性弾性体は、互いに平行な第1表面と第2表面と、前記第1表面と前記第2表面とをそれぞれ接続する第3表面と第4表面とを有し、
前記導電性金属シートは、前記第1表面に垂直な横断面に沿ってZ字型となり、
前記第1の延出部は、前記第1表面に固定され、長手方向に沿って前記第1表面における投影が前記第1表面を覆い、
前記第2の延出部は、前記第2表面に固定され、長手方向に沿って前記第2表面における投影が前記第2表面を覆う
ことを特徴とする請求項1に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1延出部および前記第2延出部は、折り曲げられる前に前記絶縁性弾性体の対角方向に沿って前記絶縁性弾性体から突出し、
記絶縁性弾性体は、対向して配置される第5表面及び第6表面を含み、
前記第5表面は、前記第1表面と前記第3表面とを接続し、且つ前記第2表面に向かう方向に傾斜し、前記第1延出部は前記第5表面から突出し、
前記第6表面は、前記第2表面と前記第4表面とを接続し、且つ前記第1表面に向かう方向に傾斜し、前記第2延出部は前記第6表面から突出する
ことを特徴とする請求項2に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1延出部は前記第3表面から突出し、前記第2延出部は前記第4表面から突出している
ことを特徴とする請求項2に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項5】
前記絶縁弾性体に2組の貫通孔が設けられ、
前記2組の貫通孔は、前記絶縁弾性体内に埋設された一部の前記導電性金属シートの両側に位置し、且つ前記貫通孔の軸方向が第1表面及び第3表面に平行である
ことを特徴とする請求項2に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項6】
各組の貫通孔は溝穴を含み、
前記溝穴は、前記絶縁弾性体の他の組で対向する対角領域の縁に開口し、
記第1延出部の前記第3表面から離れる端部に第1係止爪が設けられ、前記第1係止爪はそれに近い前記溝穴に係止されて接続され、
前記第2延出部の前記第4表面から離れる端部に第2係止爪が設けられ、前記第2係止爪はそれに近い前記溝穴に係止されて接続される
ことを特徴とする請求項5に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項7】
前記第1延出部及び前記第2延出部は、前記絶縁性弾性体の対向する表面に接着剤層を介して固定され、
記接着剤層は、液状のシリカゲルを熱硬化させることにより形成される
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項8】
前記導電性金属シートは、前記絶縁弾性体と一体に射出成形され
前記導電性金属シートは、前記第1延出部と前記第2延出部を接続する嵌入部を備え、前記嵌入部は前記絶縁弾性体の内部に設置され、前記絶縁弾性体の対角方向に沿って前記対角領域に延出す
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の圧接電気コネクタ。
【請求項9】
前記第1延出部及び第2延出部の前記絶縁性弾性体から離れる側には、前記導電性金属シートよりも導電性の高い金属塗布層が設けられ、
記導電性金属シートは、銅シート、鉄シート、又はステンレスシートである
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の圧着電気コネクタ。
【請求項10】
前記絶縁性弾性体は、弾性を有する熱硬化性樹脂部材及び/又は熱可塑性弾性部材であり、
記熱硬化性樹脂部材は、シリコーン樹脂部材であり、
記熱可塑性弾性部材は、スチレン系、オレフィン系、ポリエーテルエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系または塩化ビニル系の弾性部材であり、
記第1延出部または前記第2延出部の前記絶縁弾性体から離れる側に導電性両面テープが設けられ、及び/又は
前記絶縁弾性体は、熱可塑性弾性部材である内芯部と、前記内芯部を囲んで熱硬化性樹脂部材とする外環部と有する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の圧着電気コネクタ。
【国際調査報告】