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特表2022-524024希少糖および味修飾化合物を含む混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】希少糖および味修飾化合物を含む混合物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220420BHJP
【FI】
A23L27/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552774
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2020050770
(87)【国際公開番号】W WO2020177936
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】19160796.9
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521397201
【氏名又は名称】シムライズ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・リース
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト・クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ・ペーター・ライ
(72)【発明者】
【氏名】カタリーナ・ライヒェルト
(72)【発明者】
【氏名】スザンネ・ペツ
(72)【発明者】
【氏名】トム・ソマーズ
【テーマコード(参考)】
4B047
【Fターム(参考)】
4B047LB09
4B047LF05
4B047LF07
4B047LF10
4B047LG06
4B047LG15
4B047LG18
4B047LG20
4B047LG21
4B047LG22
4B047LG23
4B047LG25
4B047LG26
4B047LG31
4B047LG32
4B047LG33
4B047LG38
4B047LG43
(57)【要約】
本発明は、主として、成分a)、b)およびc)、ならびに任意選択として成分d)を含むかまたはからなる混合物であって、成分a)は、少なくとも1種類の希少糖であり、成分b)は、少なくとも1種類の味修飾化合物であり、成分c)は、少なくとも1種類の天然甘味化合物であり、成分d)は、少なくとも1種類の天然カロリー型甘味炭水化物および/または少なくとも1種類の非カロリー型甘味糖アルコールである混合物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分a)、b)およびc)、および任意選択として成分d)を含むかまたはからなる混合物であって、
-成分a)は、好ましくはD-(+)-アルロース、L-(+)-ラムノース、L-フコース、L-(+)-アラビノース、D-(-)-タガトース、D-(+)-トレハロース、D-(+)-キシロース、D-(+)-アロース、D-(+)-アルトロース、D-(-)-グロース、D-(+)-マンノース、D-(-)-イドース、D-(+)-タロース、D-(-)-リキソース、(D)-キシルロース、(D)-リブロース、D-(-)-エリトロース、D-(-)-トレオース、D-(+)-メレジチオース、D-(+)-ラフィノースおよびそれらの混合物、好ましくはD-(+)-アルロース、L-(+)-ラムノース、L-(+)-アラビノース、D-(-)-タガトース、D-(+)-トレハロース、D-(+)-アロースおよびそれらの混合物、からなる群から選ばれた少なくとも1種類の希少糖であり、
-成分b)は、ヒドロキシフラボノイド、ジヒドロカルコン、ジヒドロイソクマリン、ヒドロキシリグナン、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の味修飾化合物であり、
-成分c)は、好ましくはステビオールグリコシド、ステビオールモノシド、ステビオールビオシドA、ステビオールビオシドB、ステビオシドB、ステビオシドC、レバウジオシドA、レバウジオシドAM、レバウジオシドB、レバウジオシドC(ズルコシドB)、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドE2、レバウジオシドE3、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドKA、レバウジオシドJ、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドM、レバウジオシドX、ズルコシドA、ルブソシド、グリコシル化ルブソシド、スアボソシド、テンヨウケンコウシ葉抽出物、ステビア葉抽出物、ステビオシド、グリコシル化ステビオールグリコシド、グリコシル化ステビオシド、モグロシドV、イソモグロシド、モグロシドIV、ルオ・ハン・グオ果実抽出物、シアメノシド、モナチンおよびその塩(モナチンSS、RR、RS、SR)、クルクリン、グリチルリチン酸およびその塩、タウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルチン、メキシカンスイートハーブ抽出物、グリシフィリン、スミラックス・グリシフィラ(Smilax glycyphylla)抽出物、フロリジン、リンゴ属(Malus)由来抽出物、トリロバチン、レバノン野生リンゴ(Malus trilobata)由来抽出物、バイユーノシド、オスラジン、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシドA、シクロカリオシドI、バランシンA、バランシンB、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた少なくとも1種類の天然甘味化合物であり、
-成分d)は、少なくとも1種類の天然カロリー型甘味炭水化物および/または少なくとも1種類の非カロリー型甘味糖アルコールである、
混合物。
【請求項2】
成分b)は、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、ナリンゲニン、フロレチン、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオール、およびそれらの混合物を含むかまたはからなる、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
成分b)は、
-ヘスペレチンもしくはヘスペレチンジヒドロカルコンもしくはフロレチンもしくはフィロズルチン、または
-ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン、または
-ヘスペレチンおよびフロレチン、または
-ヘスペレチンおよびフィロズルチン、または
-ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフロレチン、または
-ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフィロズルチン、または
-フロレチンおよびフィロズルチン、
-ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフロレチン、または
-ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフィロズルチン、または
-ヘスペレチンおよびフロレチンおよびフィロズルチン、または
-ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフロレチンおよびフィロズルチン、または
-ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフロレチンおよびフィロズルチン、
を含むかまたはからなる、請求項1または2に記載の混合物。
【請求項4】
成分c)は、少なくとも1種類のステビオールグリコシド、好ましくは、レバウジオシドA、グルコシル化ステビオシド、ルブソシド、グリコシル化ルブソシド、ステビア葉抽出物、テンヨウケンコウシ(Rubus suavissimus)抽出物、モグロシド、ルオ・ハン・グオまたはそれらの混合物を含むかまたはからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項5】
成分d)は、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、デキストロース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、イソモルト、ラクチトール、マルチトソルビトール、エリトリトール、マンニトール、ガラクチトール、およびそれらの混合物、好ましくはスクロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、D-ラクトース、D-マルトース、ソルビトール、キシリトール、イソモルト、ラクチトール、マルチトソルビトール、エリトリトール、マンニトール、ガラクチトール、およびそれらの混合物、からなる群から選ばれた少なくとも1種類の糖を含むかまたはからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項6】
成分b)に対する成分a)の重量比は、100,000:1~10:1、好ましくは20,000:1~100:1、より好ましくは10,000:1~500:1の範囲にあり、
および/または
成分c)に対する成分a)の重量比は、20,000:1~2:1、好ましくは5,000:1~20:1、より好ましくは2,000:1~50:1の範囲にあり、
および/または
存在する場合、成分d)に対する成分a)の重量比は、10:1~1:200、好ましくは10:1~1:20、より好ましくは5:1~1:10の範囲にあり、
および/または
成分c)に対する成分b)の重量比は、100:1~1:100、好ましくは10:1~1:40、より好ましくは2:1~1:15の範囲にある、
請求項1~5のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項7】
成分e)をさらに含み、成分e)は、成分a)~d)の定義のうちの1つの範囲に属する化合物以外の香味料および/または芳香物質からなる群から選ばれた少なくとも1種類の物質である、請求項1~6のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の混合物を含むかまたはからなる、食品または飲料製品のための香味料組成物、濃縮物および/または中間物。
【請求項9】
請求項8に記載の香味料組成物、濃縮物および/または中間物、あるいは請求項1~7のいずれか一項に記載の混合物、を含む食品または飲料製品。
【請求項10】
前記混合物の量は、前記食品または飲料製品の総重量を基準として、0.05~25重量%、好ましくは0.1~20重量%、より好ましくは0.5~15.0重量%の範囲にある、請求項9に記載の食品または飲料製品。
【請求項11】
成分a)の量は、前記食品または飲料製品の総重量を基準として、0.1~10重量%、好ましくは0.2~8重量%、より好ましくは0.5~5.0重量%の範囲にあり、
および/または
成分b)の量は、前記食品または飲料製品の総重量を基準として、1~100重量ppm、好ましくは2~90重量ppm、より好ましくは4~80重量ppmの範囲にあり、
および/または
成分c)の量は、前記食品または飲料製品の総重量を基準として、5~500重量ppm、好ましくは10~200重量ppm、より好ましくは20~100重量ppmの範囲にあり、
および/または
存在する場合、成分d)の量は、前記食品または飲料製品の総重量を基準として、1.0~30重量%、好ましくは1.5~15重量%、より好ましくは1.5~10重量%、さらに好ましくは1.5~5重量%、最も好ましくは1.5~4重量%の範囲にある、
請求項9または10に記載の食品または飲料製品。
【請求項12】
-成分a)は、L-アラビノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アロース、L-ラムノース、D-トレハロースまたはそれらの組み合わせを含むかまたはからなり、
-成分b)は、フロレチン、ヘスペレチンまたはそれらの組み合わせを含むかまたはからなり、
-成分c)は、レバウジオシドA、グリコシル化ルブソシド、グルコシル化ステビオシド、ルオ・ハン・グオ抽出物またはそれらの組み合わせを含むかまたはからなり、
任意選択として、
-成分d)は、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトースまたはそれらの組み合わせを含むかまたはからなる、
請求項9~11のいずれか一項に記載の食品または飲料製品。
【請求項13】
成分f)をさらに含み、成分f)は、好ましくは、スクラロース、アセスルファムカリウムまたはその他の塩、アスパルテーム、アリテーム、サッカリンのナトリウムまたはカルシウム塩、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラミン酸ナトリウム、ネオテーム、スーパーアスパルテーム、アドバンテーム、タウマチン、およびそれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類の人工甘味化合物である、請求項9~12のいずれか一項に記載の食品または飲料製品。
【請求項14】
請求項1~7のいずれか一項に記載の混合物、あるいは請求項8に記載の食品または飲料製品のための香味料組成物、濃縮物および/または中間物の、甘味感を付与し、および/または甘味感を強化するための使用。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか一項に記載の混合物、あるいは請求項8に記載の食品または飲料製品のための香味料組成物、濃縮物、および/または中間体、および/または請求項9~13のいずれか一項に記載の食品または飲料製品の、初発甘さ強度、総合甘さ強度および/または濃厚さ(full body)を増強するための希少糖の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、成分a)、b)およびc)、ならびに任意選択として成分d)を含むかまたはからなる混合物であって、成分a)は、少なくとも1種類の希少糖であり、成分b)は、少なくとも1種類の味修飾化合物であり、成分c)は、少なくとも1種類の天然甘味化合物であり、成分d)は、少なくとも1種類の天然カロリー型甘味炭水化物および/または少なくとも1種類の非カロリー型甘味糖アルコールである、混合物に関する。本発明のさらなる側面は、本発明による混合物を含むかまたはからなる、食品または飲料製品のための香味料組成物、濃縮物および/または中間物に関する。本発明による混合物を含むかまたはからなる、食品または飲料製品のための香味料組成物、濃縮物および/または中間物が本発明の別の側面である。さらに別の側面は、本発明による香味料組成物、濃縮物および/または中間物を含む食品または飲料製品に関する。甘味感を付与しおよび/または甘味感を強化する、本発明による混合物の使用、あるいは本発明による食品または飲料製品のための香味料組成物、濃縮物および/または中間物の使用が本発明のさらなる側面である。最後の側面は、本発明による混合物、あるいは本発明による食品または飲料製品のための香味料組成物、濃縮物、および/または中間物、ならびに/あるいは本発明による食品または飲料製品の初発(onset)甘さ強度、総合(overall)甘さ強度および/または濃厚さ(full body)を増強するための希少糖の使用に関する。本発明のこれらおよびさらなる側面ならびにそれらの好ましい実施形態は、以下の記載および添付の請求項から明らかになる。
【背景技術】
【0002】
消費者は、一般的に、快い甘さおよびそれと関連する甘さプロファイルに起因して、大量の高カロリー糖、特にスクロース(サッカロース)、グルコース、フルクトースまたはそれらの混合物を有する食料または耽溺食品への強い嗜好を有する。他方、すぐに代謝可能な炭水化物の大きな含有量は、血糖値の急な上昇を招き、脂肪沈着の形成に至り、最終的には体重超過、肥満、インスリン抵抗性、年齢発症糖尿病およびそれらの合併症などの健康問題という結果となり得ることが一般に知られている。別の特有の悪化要因は、上述の炭水化物の多くが、口腔中の特定のタイプの細菌によって例えば乳酸に分解され、乳歯または成人の歯のエナメルを攻撃(う蝕)することができるので、歯の健康に悪影響も有し得ることである。
【0003】
従って、食品または飲料製品の高カロリー糖含有量を低減し、甘味を付与する他の物質で部分的にまたは全体的に置き換えることは、長い間の目的であった。
【0004】
甘味料は、甘い味を提供するが炭水化物のカロリーあるいはう蝕作用または血糖作用を有しない、エネルギー値がないかまたは低い物質である。甘味料は、多くの甘味製品中で高カロリー糖の代替物として用いられてきた。甘味料は、例えば、非特許文献1に概説されている。
【0005】
ソルビトール、マンニトールまたは他の糖アルコールなどのいわゆるバルク甘味料は、ある程度優れた甘味料であり、高カロリー糖のその他の食品特性をある程度置き換えることもできるが、ポピュレーションのある割合によってあまり頻繁に摂取されると、浸透圧状態の影響によって消化不良を招く。
【0006】
非栄養性、高強度甘味料は、低い施用濃度に起因して、食品に甘さを導入するために適しているが、多くの場合、高カロリー糖、特にスクロース、グルコース、およびフルクトースと比較して同じでない時間-強度プロファイル(すなわち甘さプロファイル)(例えばスクラロース、ステビオシド、シクラメート)、苦いおよび/または渋い後味(例えばアセスルファム-K、サッカリンまたはその塩、ステビオシド、レバウジオシド)および/または「カンゾウ」などのはっきりした追加の香味感覚(例えばグリチルリチン酸アンモニウム塩)に起因して味覚の点で問題を示す。甘味料のあるものは、特に熱安定というわけではなく(例えばタウマチン、ブラゼイン、モネリン)、すべての用途において安定というわけではなく(例えばアスパルテーム)、あるものは、非常に長く持続する甘さ効果(強い甘さ後味、例えばサッカリン、スクラロース、レバウジオシド)を有する。
【0007】
1つの可能性-非栄養性甘味料を用いない-は、例えば特許文献1に記載されているように、食品または飲料製品の高カロリー糖含有量を減らし、知覚的に微かに検出可能であるかまたは検知不可能であり、甘さを間接的にまたは直接的に増強する物質を加えることである。しかし、特許文献1に記載されている物質は、明示的に非天然起源であり、従って、毒物学的な観点から天然起源の物質より評価するのが難しく、特に、後者が食品または耽溺食品中にあるか、あるいは食品または飲料製品の製造のための原料に由来する場合、特に難しい。特許文献2は、天然起源のそのような物質(ピリジニウムベタイン)を記載している。しかし、これらの物質は、甘味に選択的に影響を及ぼすだけでなく、旨味または塩味などの他の風味にも影響を及ぼす。さらに、開示されている物質は、非常に努力しなければ精製することができない。
【0008】
食品または飲料製品の高カロリー糖含有量を減らす別の手法は、高カロリー糖をより低カロリーの炭水化物で置き換えることである。例として、アルロース(プシコースと同義語)は、カロリー型内容物をほとんど含まず、同等量のスクロースの約5%未満のカロリーを生み出すがスクロースの約70%の甘さ強度を示す。しかし、アルロースは、天然糖であり、アルロースの味および甘さプロファイルはスクロースのものに非常に近いが、顕著な差異がある。アルロースの甘さの始まりは、スクロースより遅い。さらに、アルロースが(ほとんどの場合、好ましくない)異味(off-tastes)、典型的には苦い、皮相な(rindy)、濃い(zesty)、渋い、または望ましくない持続する甘さを食品または飲料製品に付与することがあり得る。さらに、高カロリー糖の置き換えとしてのアルロースの使用は、コストおよび消化寛容性に起因してより高い濃度で用途によっていくつかの限界値を有する。
【0009】
別の例は、タガトースであり、これもフルクトースと比較して38%のカロリーしか生み出さず、甘味剤として用いることができる(特許文献3参照)。それでも、スクロースと比較したタガトースの固有甘さは、はるかに低く、従って、単独の高カロリー糖置き換え材として実際に用いることはできない。
【0010】
シムライズの特許文献4は、糖含有量を減少させるための別の手法を開示している。この手法によれば、甘味物質によって付与される甘味感は、ヘスペレチンによって、糖含有量を減らすことができるように増強される。甘味物質の中でスクロース、トレハロースおよびステビア属抽出物が言及されている。さらに、とりわけスクロース、0.01%ヘスペレチンおよび0.1%D-タガトースを含有するプリンが例示されている。このプリンは、0.01%ヘスペレチンと0.1%D-タガトースとの代りに0.02%ヘスペレチンを含有する似たプリンと比較され、同程度の甘さと改善された初期甘さとを有することが見いだされた。しかし、この文献は、観測された甘味感にD-タガトースが貢献したかどうか、および貢献したならどのようにしてかについて触れていない。さらに、希少糖と、味修飾化合物と、天然甘味化合物と、任意選択として、トレハロースおよびステビア属抽出物の両方ならびに任意選択としてスクロースと組み合わされた天然カロリー型甘味炭水化物、例えばヘスペレチンと、のすべてを含有する混合物は、開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2005/041684号
【特許文献2】欧州特許第1 291 342号
【特許文献3】国際公開第2004/073419号
【特許文献4】国際公開第2007/014879号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Journal of the American Dietetic Association、104巻2号255~275頁(2004年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の主目的は、高カロリー糖の量を減らすことができる混合物を提供することおよび改善された甘味感を付与することであった。特に、混合物または混合物を含有する製品の甘さインパクトおよび食感を改善し、同時に甘さ持続プロファイルおよび苦い後味などの異味を減らしながら、高い量の高カロリー糖、特にスクロースを有する混合物または製品と同じまたは似た甘味を示すことが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主目的は、成分a)、b)およびc)、ならびに任意選択として成分d)を含むかまたはからなる混合物であって、
-成分a)は、少なくとも1種類の希少糖であり、
-成分b)は、ヒドロキシフラボノイド、ジヒドロカルコン、ジヒドロイソクマリン、ヒドロキシリグナン、およびそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の味修飾化合物であり、
-成分c)は、少なくとも1種類の天然甘味化合物であり、
-存在する場合、成分d)は、少なくとも1種類の天然カロリー型甘味炭水化物および/または少なくとも1種類の非カロリー型甘味糖アルコールである、
混合物によって実現される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語「希少糖」は、普通の意味で、非常に少量であるため経済的な単離が可能ではないと普通に理解される量で天然に存在する糖を示すと理解されるべきである。従って、希少糖は、典型的には発酵によって、または前駆体などの希少糖以外の1種類以上の化合物からの酵素変換によって製造される。本明細書において理解される、希少糖それ自体(すなわち化合物単独)は、さらに、甘味を付与することができる。すなわち、希少糖は、好ましくは、希少糖それ自体の指定される風味が知覚可能である量(例えば濃度)で存在する。希少糖は、スクロースより甘さが少なく、例えばスクロースの少なくとも0.1倍、少なくとも0.2倍、少なくとも0.3倍または少なくとも0.4倍の甘さである。
【0016】
本発明の混合物のカロリー含有量を減らすために、好ましい希少糖は、特にスクロースなどの伝統的な糖より低いヒトにおけるカロリー値、例えばヒトにおけるスクロースのカロリー値の0.9倍以下、より好ましくは0.8倍以下、好ましくは0.7倍以下、さらに好ましくは0.6倍以下、最も好ましくは0.5倍以下を有する。ヒトにおける希少糖などの化合物のカロリー値は、摂取したとき人間がこの化合物から引き出すことができるエネルギー(カロリーで)を示す。通常、グルコースは、クエン酸回路内でさらに代謝され、エネルギー産生のために用いることができるので、良好に吸収され、容易にグルコースに代謝される糖が多くのエネルギーを提供する。吸収および/また代謝は低いが甘味感が良好である場合、身体に多くのエネルギーを提供することなく甘さ感覚を提供することができる。
【0017】
言い換えると、本明細書において理解されるカロリー値は、糖(または他の炭水化物)の、(ヒトの)身体の中でそれぞれの糖の代謝時に放出される、カロリー値として定義される生理的比(総)カロリー値を指す。糖の例として、それぞれの値を文献から推定し、次表に要約した。
【0018】
【表1】
【0019】
本明細書において用いられる「天然甘味化合物」は、それ自体として甘味を付与することができる天然化合物である。好ましい天然甘味物質は、スクロースより甘く、例えば、重量および2%スクロースレベルの甘さを基準として、スクロースより少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも50倍、最も好ましくは少なくとも100倍甘い。天然甘味化合物は、非サッカリド化合物のことがある。さらに、天然甘味化合物は、好ましくは、天然甘味化合物それ自体の指定された味が知覚可能である量(例えば濃度)で存在する。
【0020】
混合物が、天然甘味化合物を、その天然甘味化合物それ自体の甘味が知覚可能である量で含有するかどうかを検証するために、対象となる混合物中に含有されるその天然甘味化合物の濃度を決定し、甘味を付与することができるさらなる化合物をまったく含有しない似た混合物にその天然甘味化合物を加えることができるだろう。溶液の場合、水のブランク溶液が用いられることがある。天然カロリー型甘味炭水化物など甘味性であると特定される他の化合物については対応する方法論が適用されることがある。
【0021】
用語「天然カロリー型甘味炭水化物」は、甘味を付与することができる天然炭水化物を示す。存在する場合、天然カロリー型甘味炭水化物は、好ましくは、天然カロリー型甘味炭水化物それ自体の指定された風味が知覚可能である量(例えば濃度)で存在する。用語カロリー型は、特定の炭水化物の、(ヒトの)身体の中でそれぞれの炭水化物の代謝時に放出される生理的比総カロリー値を意味する。特定の実施形態において、天然カロリー型甘味炭水化物は、1.0以上、1.5以上、2.0以上、2.25以上、2.50以上、2.75以上、3.00以上、3.25以上、3.50以上、3.75以上、または4.0以上の生理的比総カロリー値(kcal/g)を有する。
【0022】
用語「非カロリー型甘味糖アルコール」は、自然から導くことができるかまたは合成もしくは発酵/バイオテクノロジー手法によって調製することができる還元された炭水化物を意味する。ソルビトール、キシリトール、イソモルト、ラクチトール、マルチットソルビート、エリトリトール、マンニトール、ガラクチトールが「非カロリー型甘味糖アルコール」として好ましい。
【0023】
驚くべきことに、本明細書において定義される、成分a)、成分b)および成分c)を含む混合物は、それら成分のうち1種類を欠く似た混合物に対してめざましい改善された甘さプロファイルと関連があることが見いだされた。特に、めざましく増加した初発甘さ強度、総合甘さ強度および食感(濃厚さ)を実現することができた。有益な効果は、濃厚さ効果に関して特に顕著であった。さらに、成分a)、成分b)および成分c)を含む混合物は、所望の効果の強調と望ましくない影響の抑制とを含む甘さプロファイルという点でさらに増強された有益な効果を実現する、4成分混合物さらなる成分d)のための有益な基材を提供するという利点も有する。従って、優れた甘味プロファイルが本発明の混合物に関連している。
【0024】
本発明の目的のために、成分a)は、好ましくは、D-(+)-アルロース、L-(+)-ラムノース、L-(-)-フコース、L-(+)-アラビノース、D-(-)-タガトース、D-(+)-トレハロース、D-(+)-キシロース、D-(+)-アロース、D-(+)-アルトロース、D-(-)-グロース、D-(+)-マンノース、D-(-)-イドース、D-(+)-タロース、D-(-)-リキソース、(D)-キシルロース、(D)-リブロース、D-(-)-エリトロース、D-(-)-トレオース、D-(+)-メレジチオース、D-(+)-ラフィノースおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。好ましくは、成分a)は、D-(+)-アルロース、L-(+)-ラムノース、L-(+)-アラビノース、D-(-)-タガトース、D-(+)-トレハロース、D-(+)-アロースおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0025】
成分c)は、好ましくは、ステビオールグリコシド、ステビオールモノシド、ステビオールビオシドA、ステビオールビオシドB、ステビオシドB、ステビオシドC、レバウジオシドA、レバウジオシドAM、レバウジオシドB、レバウジオシドC(ズルコシドB)、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドE2、レバウジオシドE3、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドKA、レバウジオシドJ、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドM、レバウジオシドX、ズルコシドA、ルブソシド、グリコシル化ルブソシド、スアボソシド、テンヨウケンコウシ(Rubus suavisumus)葉抽出物、ステビア葉抽出物、ステビオシド、グリコシル化ステビオールグリコシド、グリコシル化ステビオシド、モグロシドV、イソモグロシド、モグロシドIV、ルオ・ハン・グオ果実抽出物、シアメノシド、モナチンおよびその塩(モナチンSS、RR、RS、SR)、クルクリン、グリチルリチン酸およびその塩、タウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルチン、メキシカンスイートハーブ(Lippia dulcis)抽出物、グリシフィリン、Smilax glycyphylla抽出物、フロリジン、リンゴ属由来抽出物、トリロバチン、レバノン野生リンゴ(Malus triobata)由来抽出物、バイユーノシド、オスラジン、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシドA、シクロカリオシドI、バランシンA、バランシンB、およびそれらの組み合わせ物からなる群から選ばれる。
【0026】
あるいは、成分c)は、ステビオールモノシド、ステビオールモノシドA、ステビオールビオシド、ステビオールビオシドD、ルブソシド、ステビオールビオシドA、ステビオールビオシドB、レバウジオシドB、ステビオシド、レバウジオシドG、ステビオシドA、ステビオシドB、ステビオシドC、レバウジオシドA、レバウジオシドE、レバウジオシドE2、レバウジオシドE4、レバウジオシドE6、レバウジオシドE3、レバウジオシドD、レバウジオシド/、レバウジオシドAM、レバウジオシドD7、レバウジオシドM、レバウジオシドM4、レバウジオシドla、レバウジオシドlb、レバウジオシドlc、レバウジオシドld、レバウジオシドle、レバウジオシドlf、レバウジオシドlg、レバウジオシドlh、レバウジオシドli、レバウジオシドlj、レバウジオシドlk、レバウジオシド11、レバウジオシドlm、レバウジオシドln、レバウジオシドlo、レバウジオシドlp、レバウジオシドlq、レバウジオシドlr、レバウジオシドls、レバウジオシドlt、レバウジオシド2a、レバウジオシド2b、レバウジオシド2c、レバウジオシド2d、レバウジオシド2e、レバウジオシド2fレバウジオシド2g、レバウジオシド2h、レバウジオシド2i、レバウジオシド2j、レバウジオシド2k、レバウジオシド21、レバウジオシド2m、レバウジオシド2n、レバウジオシド2o、レバウジオシド2p、レバウジオシド2q、レバウジオシド2r、レバウジオシド2s、SvG7、およびそれらの組み合わせからなる群から選ぶことができる。
【0027】
成分b)がヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、ナリンゲニン、フロレチン、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオール、およびそれらの混合物を含むかまたはからなる本発明による混合物が好ましい。より好ましくは、成分b)は、
-ヘスペレチンもしくはヘスペレチンジヒドロカルコンもしくはフロレチンもしくはフィロズルチン、または
-ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン、または
-ヘスペレチンおよびフロレチン、または
-ヘスペレチンおよびフィロズルチン、または
-ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフロレチン、または
-ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフィロズルチン、または
-フロレチンおよびフィロズルチン、
-ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフロレチン、または
-ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフィロズルチン、または
-ヘスペレチンおよびフロレチンおよびフィロズルチン、または
-ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフロレチンおよびフィロズルチン、または
-ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフロレチンおよびフィロズルチン
を含むかまたはからなる。
【0028】
本発明による混合物中に用いられる、エナンチオマーおよび塩ならびにそれらの混合物を含むヘスペレチンは、当業者に公知であり、例えば、欧州特許第1 909 599 B1号に記載されている。
【0029】
本発明による混合物中に用いられる、塩およびそれらの混合物を含むヘスペレチンジヒドロカルコンは、当業者に公知であり、例えば、国際公開第2017/186299号に記載されている。
【0030】
本発明による混合物中に用いられる、塩およびそれらの混合物を含むフロレチンは、当業者に公知であり、例えば、欧州特許第1 998 636 B1号に記載されている。
【0031】
本発明による混合物中に用いられる、エナンチオマーおよび塩ならびにそれらの混合物を含むエリオジクチオール、ホモエリオジクチオールは、当業者に公知であり、例えば、欧州特許第1 258 200 B1号に記載されている。
【0032】
本発明による混合物中に用いられる、エナンチオマーおよび塩ならびにそれらの混合物を含むフィロズルチンは、当業者に公知であり、例えば、欧州特許第2 298 084 B1号に記載されている。
【0033】
成分c)は、少なくとも1種類のステビオールグリコシド、好ましくはレバウジオシドA、グルコシル化ステビオシド、ルブソシド、グリコシル化ルブソシド、ステビア葉抽出物、テンヨウケンコウシ抽出物、モグロシド、ルオ・ハン・グオまたはそれらの混合物を含むかまたはからなる、本発明による混合物が好ましい。
【0034】
レバウジオシドA(本明細書においてはReb Aとも称される)は、砂糖の200倍甘いステビオールグリコシドである。
【0035】
ステビオールグリコシドまたはステビオシドは、Stevia rebaudiana、Stevia phlebophyllaおよびRubus chingiiの葉の中に見いだすことができるステビオールのグリコシドである。
【0036】
ルブソシドは、中国甘茶植物(Rubus suavissimus)中に存在し、Stevia rebaudiana中に見いだされるグルコシドと近い関係にある。α-グリコシルルブソシドなどのグリコシル化ルブソシドは、当業者に公知であり、例えば、国際公開第2015/189346 A1号特許出願に記載されている。
【0037】
モグロシドは、特定の植物、例えばヒョウタンつる、ルオ・ハン・グオの果実中に見いだされるククルビタン誘導体のグリコシドである。
【0038】
存在する場合、成分d)は、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、デキストロース、マルトースおよびそれらの混合物、好ましくはスクロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、D-ラクトース、D-マルトースおよびそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の糖を含むかまたはからなる、本発明による混合物が好ましい。
【0039】
本発明による特定の混合物は、成分a)のために本明細書に開示される各化合物と、成分b)のために本明細書に開示される各化合物および成分c)のために本明細書に開示される各化合物、および任意選択として成分d)のために本明細書に開示される各化合物との順列によって得られる。
【0040】
本発明による好ましい特定の混合物は、成分a)としてのD-(+)-アルロース、L-(+)-ラムノース、L-(+)-アラビノース、D-(-)-タガトース、D-(+)-トレハロース、D-(+)-アロースのそれぞれと、成分b)としてのヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、ナリンゲニン、フロレチン、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオール、およびそれらの混合物(特に請求項3に挙げられている混合物)のそれぞれ、および成分c)としてのステビオールグリコシド、好ましくはレバウジオシドA、グルコシル化ステビオシド、ルブソシド、グリコシル化ルブソシド、ステビア葉抽出物、テンヨウケンコウシ抽出物、モグロシドおよびルオ・ハン・グオのそれぞれ、および任意選択として、成分d)としてのD-(+)-グルコース(デキストロース)、D-(-)-フルクトース、D-スクロース、D-ガラクトース、D-ラクトースおよびD-マルトースのそれぞれとの順列によって得られる。
【0041】
成分b)に対する成分a)の重量比は、100,000:1~10:1、好ましくは20,000:1~100:1、より好ましくは10,000:1~500:1の範囲にある本発明による混合物が好ましい。
【0042】
成分c)に対する成分a)の重量比は、20,000:1~2:1、好ましくは5,000:1~20:1、より好ましくは2,000:1~50:1の範囲にある本発明による混合物も好ましい。
【0043】
存在する場合、成分d)に対する成分a)の重量比は、10:1~1:200、好ましくは10:1~1:20、より好ましくは5:1~1:10の範囲にある本発明による混合物が好ましい。
【0044】
成分c)に対する成分b)の重量比は、100:1~1:100、好ましくは10:1~1:40、より好ましくは2:1~1:15の範囲にある本発明による混合物も好ましい。
【0045】
成分e)をさらに含み、成分e)は、成分a)~d)によって定義される化合物(すなわち定義の範囲内にある)以外の香味料および/または芳香物質からなる群から選ばれた少なくとも1種類の物質である本発明による混合物が好ましい。
【0046】
本発明の状況において、成分e)は、好ましくは、以下の群から選ばれた少なくとも1種類の物質を含むかまたはからなる。
【0047】
脂肪族香味物質、特に飽和脂肪族アルコール、例えばエタノール、イソプロナノール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2-ヘプタノール、オクタノール(1/2/3)、デカノール、不飽和脂肪族アルコール、例えばcis-2ペンテノール、cis-3ヘキセノール、trans-2ヘキセノール、trans-3ヘキセノール、cis-2オクテノール、1-オクテン-3-オール、cis-6ノネン-1-オール、trans-2,cis-6ノナジエノール、脂肪族アルデヒド、例えば飽和脂肪族アルデヒド(例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキサナール、3-メチルヘキサナール、オクタナール、ノナナール、または一価もしくは多価不飽和脂肪族アルデヒド、例えば2-メチルブタ-2-エナール、trans-2ヘキセナール、cis-3ヘキセナール、cis-4ヘキセナール、trans-2オクテナール、trans-2ノネナール、cis-6ノネナール、trans-2,cis-6ノナジエナール、trans2デセナール、trans-2,trans-デカジエナール、脂肪族ケトン、例えば飽和ケトン(例えば2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-メチルヘプタン-3-オン、2-デカノン、2-ウンデカノン)、不飽和ケトン(例えば1-ペンテン-3-オン、1-ヘキセン-3-オン、5-メチル-3-ヘキセノン、3-ヘプテン-2-オン、1-オクテン-3-オン、2-オクテン-4-オン、3-オクテン-2-オン、3-ノネ-2-オン)、脂肪族ジケトンおよび脂肪族ジケトール、例えばジアセチル、アセチルメチルカルビノール、2,3-ヘキサンジオン、脂肪酸、例えば直鎖飽和酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、分岐鎖飽和酸、例えば2-メチルヘプタン酸、4-エチルオクタン酸、および不飽和酸、例えば2-ブテン酸、2-ペンテン酸、4-ペンテン酸、2-メチルペンテン酸、trans-3ヘキセン酸、cis-3ヘキセン酸、3-オクテン酸、リノール酸)、脂肪族エステル、例えば飽和エステル、例えば酢酸メチル、メチルブチレート、メチル-2-メチルブチレート、ヘキサン酸メチル、エチルアセテート、エチルブチレート、エチル-2-メチルブチレート、エチル-3-メチルブチレート、ヘキサン酸エチル、デカン酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、吉草酸イソブチル、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸イソアミル、酢酸ヘキシル、ヘキサン酸ヘキシル、酢酸3-オクチルおよび不飽和エステル、例えば2-ヘキセン酸メチル、ヘキサン酸アリル、酢酸cis-3ヘキセニル、酪酸cis-3ヘキセニル、脂肪族チオールおよびジチオール(例えばプロパンチオール、アリルメルカプタン、1-メトキシ-3-メチルブタン-3-チオール、ジメチルスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジアリルトリスルフィド、他の脂肪族硫黄化合物、例えば2-メルカプト-3-ブタノール、メチルチオプロパナール、3-メルカプト-ペンタノン、4-メトキシ-2-メチル-2-メルカプトブタノン、チオ酪酸メチル、チオ酪酸メチル、3-メチルチオプロピオン酸メチル、脂肪族窒素化合物、例えばブチルアミン、トリメチルアミン、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸イソプロピル、脂環式化合物、例えば脂環式ケトン、例えばcis-ジャスモン、イソホロン、4-ケトイソホロン、脂環式エステル、例えばジャスモン酸メチル、ヒディオン、テルペン、例えばテルペンアルコール、例えばリナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、αテルピネオール、メントール、8-p-メンテン-1,2-ジオール、フェンコール、ボルネオール、ネロリドール、ホトリエノール、テルペンアルデヒド、例えばゲラニアール、ネラール、シトロネラール、β-シネンサール、テルペンケトン、例えばα-イオノン、(D)-カルボン、(L)-カルボン、ノートカトン、ピペリトン、メントン、αダマスコン、βダマセン、ダマセノン、テルペンエステル、例えば酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、シトロネリルアクテテート、酢酸カルビル、酢酸フェンキル、テルペン硫黄化合物、4-メンタ-8-チオール-3-オン、チオゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-チオール、メルカプトp-メンタン-3-オン、テルペン炭化水素、例えばD-リモネン、L-リモネン、α-ピネン、β-ピネン、オシメン、α-テルピネン、γ-テルピネン、β-ビサボレン、バレンセン、テルペンオキシド、例えば1,8-シネオール、ローズオキシド、ミントラクトン、メントフラン、芳香族化合物、例えば芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール、シンナミルアルコール、2-フェニルアルコール、芳香族アルデヒド、例えばベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、5-メチル-2-フェニルヘキセナール、サリチルアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、2-フェニル-2-ブテナール、芳香族酸、例えば2-フェニル酢酸、ケイ皮酸、芳香族エステル、例えば酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、酢酸アニシル、メチルフェニルアセテート、安息香酸メチル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、芳香族フェノール、例えばフェノール、o-クレゾール、p-クレゾール、2,3-ジメチルフェニル,2-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、4-ビニルフェノール、グアヤコール、4-ビニルグアヤコール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、芳香族硫黄化合物、例えばチオフェノール、ジフェニルジスルフィド、芳香族窒素化合物、例えばアントラニル酸メチル、メチルN-メチルアントラニレート、芳香族エーテル、例えばバニリン、エチルバニリン、アネトール、芳香族オキシド、例えばヘリオトロピン、ジフェニルオキシド、芳香族ラクトン、例えばクマリン、ジヒドロクマリン、複素環化合物、例えば複素環ラクトン、例えばγブチロラクトン、γ-ノナラクトン、γデカラクトン、δデカラクトン、ジャスミンラクトン、δドデカラクトン、アンブレットリド、複素環フラン、例えばフルフリルアルコール、フルフラール、2-アセチルフラン、テアスピラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、フルフリルメルカプタン、2-メチル3-フランチオール、2-メチル3-テトラヒドロフランチオール、ジフルフリルスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、複素環ピラン、例えばマルトール、エチルマルトール、ローズオキシド、マルトールイソブチレート、複素環ピロール、例えばインドール、2-アセチルピロール、ピロリジン、複素環ピラジン、例えば2-メチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-メチル3-エチルピラジン、トリメチルピラジン、2-アセチルピラジン、2-メトキシ3-メチルピラジン、2-メトキシ3-エチルピラジン、2-メトキシ3-イソブチルピラジン、2-エチル3-メチルチオピラジン、複素環チアゾール、例えばチアゾール、2-メチルチアゾール、4-メチル5-ビニルチアゾール、2-イソブチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、
【0048】
香味料原料および香味料調製物、例えば、精油、濃厚花精油、アブソルート、柑橘類(例えばレモン、ライム、マンダリン、ベルガモット、グレープフルーツ、ビターオレンジ、ピールまたはエッセンスオイル)、ハーブ(ディル、パセリ、クミン、ローズマリー、セージ、クラリセージ、バジル、タラゴン、タイム、オレガノ、セイバリー、マジョラム、オールスパイス、メース、ナツメグ、丁子葉、丁子芽、キャラウェー、シナモム葉、シナモム樹皮、カッシア、カルダモン、ショウガ、ゲットウ、ターメリック、コリアンダー種子、コリアンダー葉、フェヌグリーク、ジュニパーベリー、ヨモギ、月桂樹葉、ユーカリ、ホワイトペッパー、ピーマン、ホワイトペッパー、ニンジン種子、セロリ種子、ラビッジ葉、アサフェティダ、タマネギ、リーキ、ニンニク、マスタード、セイヨウワサビ、トウガラシ、パプリカ、海藻、吉草油、モミ針葉、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、ブッコノキ葉、クロフサスグリ芽、ウイキョウ、スターアニス、ジャンブー、ロングペッパー、ダバナ、シロバナイリス、ミモザ、キンゴウカン、スミレ葉、ホーリーフ、ジャスミン、イランイラン、カナンガ、オスマンサス、アンゼリカ、クラリセージ、アンブレット種子、ホップ、カモミール、ラベンダー、ローズ、ゼラニウム、シトロネラ、パルマローザ、アオモジ、レモングラス、マンジュギク、ネロリ、プチグレン油、メイト、コニャック油、コーヒー、コーラナット、ココア、緑茶、紅茶、白茶、ゲンチアナ、トルーバーム、安息香レジン、ペルーバーム、カスカリラ、ガルバヌム、ベチバー、ラブダナム、パチョリ、ビャクダン、シーダーウッド、グアヤクウッド、オークウッド、マッソイ樹皮、バニラポッド、トンカビーン、ならびにそれらの濃縮画分のような原料からの抽出物またはチンキ、
【0049】
ジュース濃縮物、例えばオレンジジュース、レモンジュース、イチゴ、チェリージュース、またはパッションフルーツジュース濃縮物、柑橘類(レモン、ライム、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ)、リンゴ、セイヨウナシ、マルメロ、セイヨウカリン、レッドフルーツ(ラズベリー、イチゴ、ブルーベリー、ブラックベリー、アメランチア(ジューンプラム )、バラの実、クランベリー、プラム、プルーン、レッドアンドブラックカランツ、等)イエローフルーツ(桃、アプリコット、ネクタリン、バナナ、等)、トロピカルフルーツ(マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル、ライチ、等)、野菜(例えばキュウリ、トマト)およびスパイス(例えばショウガ)などの原料からの水相および回収物、
【0050】
アセトフェノン、カプロン酸アリル、α-イオノン、β-イオノン、アニスアルデヒド、酢酸アニシル、ギ酸アニシル、ベンズアルデヒド、ベンゾチアゾール、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、β-イオノン、酪酸ブチル、カプロン酸ブチル、ブチリデンフタリド、カルボン、カンフェン、カリオフィレン、シネオール、酢酸シンナミル、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、酢酸シトロネリル、酢酸シクロヘキシル、シメン、ダマスコン、デカラクトン、ジヒドロクマリン、アントラニル酸ジメチル、ドデカラクトン、酢酸エトキシエチル、エチル酪酸、酪酸エチル、カプリン酸エチル、カプロン酸エチル、クロトン酸エチル、エチルフラネオール、エチルグアヤコール、エチルイソブチレート、エチルイソバレレート、乳酸エチル、エチルメチルブチレート、プロピオン酸エチル、ユーカリプトール、オイゲノール、ヘプチル酸エチル、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、γ-デカラクトン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、酢酸ゲラニル、グレープフルーツアルデヒド、ジヒドロジャスモン酸メチル(例えばヒディオン(Hedion)(登録商標)、ヘリオトロピン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、trans-2-ヘプテナール、cis-4-ヘプテナール、trans-2-ヘキセナール、cis-3-ヘキセノール、trans-2-ヘキセン酸、trans-3-ヘキセン酸、酢酸cis-2-ヘキセニル、酢酸cis-3-ヘキセニル、カプロン酸cis-3-ヘキセニル、カプロン酸trans-2-ヘキセニル、ギ酸cis-3-ヘキセニル、酢酸cis-2-ヘキシル、酢酸cis-3-ヘキシル、酢酸trans-2-ヘキシル、ギ酸cis-3-ヘキシル、p-ヒドロキシベンジルアセトン、イソアミルアルコール、イソ吉草酸イソアミル、酪酸イソブチル、イソブチルアルデヒド、イソオイゲノールメチルエーテル、イソプロピルメチルチアゾール、ラウリン酸、レブリン酸、リナロール、リナロールオキシド、酢酸リナリル、メントール、メントフラン、アントラニル酸メチル、メチルブタノール、メチル酪酸、酢酸2-メチルブチル、カプロン酸メチル、ケイ皮酸メチル、5-メチルフルフラール、3,2,2-メチルシクロペンテノロン、6,5,2-メチルヘプテノン、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジャスモン酸メチル、酪酸2-メチルメチル、2-メチル-2-ペンテノール酸、メチルチオブチレート、3,1-メチルチオヘキサノール、酢酸3-メチルチオヘキシル、ネロール、酢酸ネロール、trans,trans-2,4-ノナジエナール、2,4-ノナジエノール、2,6-ノナジエノール、2,4-ノナジエノール、ノートカトン、δ-オクタラクトン、γ-オクタラクトン、2-オクタノール、3-オクタノール、1,3-オクテノール、酢酸1-オクチル、酢酸3-オクチル、パルミチン酸、パラアルデヒド、フェランドレン、ペンタンジオン、酢酸フェニルエチル、フェニルエチルアルコール、イソ吉草酸フェニルエチル、ピペロナール、プロピオンアルデヒド、酪酸プロピル、プレゴン、プレゴール、シネンサール、スルフロール、テルピネン、テルピネオール、テルピノレン、8,3-sチオメンタノン、4,4,2-チオメチルペンタノン、チモール、δ-ウンデカラクトン、γ-ウンデカラクトン、バレンセン、吉草酸、バニリン、アセトイン、エチルバニリン、イソ酪酸エチルバニリン(=3-エトキシ-4-イソブチリルオキシベンズアルデヒド)、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよびその誘導体(本明細書においては好ましくはホモフラネオール(=2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン)、ホモフロノール(=2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンおよび5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)、マルトールおよびマルトール誘導体(本明細書においては好ましくはエチルマルトール)、クマリンおよびクマリン誘導体、γ-ラクトン(本明細書においては好ましくはγ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン)、δ-ラクトン(本明細書においては好ましくは4-メチルデルタデカラクトン、マッソイラクトン、デルタデカラクトン、ツベロラクトン)、ソルビン酸メチル、ジバニリン、4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、酢酸イソアミルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸-n-ブチルエステル、酪酸イソアミルエステル、3-メチル-酪酸エチルエステル、n-ヘキサン酸エチルエステル、n-ヘキサン酸アリルエステル、n-ヘキサン酸-n-ブチルエステル、n-オクタン酸エチルエステル、エチル-3-メチル-3-フェニルグリシデート、エチル-2-trans-4-cis-デカジエノエート、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-2-アールおよびフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-3-(メチルチオ)フラン、2-メチル-3-フランチオール、ビス(2-メチル-3-フリル)ジスルフィド、フルフリルメルカプタン、メチオナール、2-アセチル-2-チアゾリン、3-メルカプト-2-ペンタノン、2,5-ジメチル-3-フランチオール、2,4,5-トリメチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、2,4-ジメチル-5-エチルチアゾール、2-アセチル-1-ピロリン、2-メチル-3-エチルピラジン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2-エチル-3,6-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、3-イソプロピル-2-メトキシピラジン、3-イソブチル-2-メトキシピラジン、2-アセチルピラジン、2-ペンチルピリジン、(E,E)-2,4-デカジエナール、(E,E)-2,4-ノナジエナール、(E)-2-オクテナール、(E)-2-ノネナール、2-ウンデセナール、12-メチルトリデカナール、1-ペンテン-3-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、グアヤコール、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、3-ヒドロキシ-4-メチル-5-エチル-2(5H)-フラノン、シンナムアルデヒド、シナモンアルコール、サリチル酸メチル、イソプレゴールおよびこれらの物質の(本明細書においては明示的に述べていない)立体異性体、エナンチオマー、位置異性体、ジアステレオマー、cis/trans異性体またはエピマー。
【0051】
いくつかの実施形態において、混合物は、タンニンまたはタンノイドを含まないかまたは実質的に含まない。
【0052】
上記の群からの物質が成分a)~d)の群の1つに入る場合、その物質は、定義により成分e)の群に属し、成分a)~d)の群のどれにも属さないものとする。
【0053】
一実施形態において、本発明による混合物は、液体、例えばシロップである。別の実施形態において、本発明による混合物は、固体であり、例えばスプレー乾燥される。本発明による混合物は、1種類以上のキャリアを含有することがあり、前記キャリアは、固体または液体(25℃および1013mbarで)であってよい。キャリアとして、個別の物質または物質混合物を用いることができる。
【0054】
本発明による好ましい(好ましくはスプレー乾燥した)混合物中の有利な固体キャリアは、二酸化ケイ素(ケイ酸、シリカゲル)、炭水化物(糖以外)および/または炭水化物重合体(多糖類)、シクロデキストリン、食品粉末、例えば米粉(国際公開第2018/219465号による)、デンプン、分解デンプン(加水分解デンプン)、化学または物理修飾デンプン、修飾セルロース、アラビアゴム、ガムガッチ、トラガカント、ガムカラヤ、カラギーナン、グアージャームミール、ローカストビーンガム、アルギン酸、ペクチン、イヌリンまたはキサンタンガムである。好ましい加水分解デンプン製品は、マルトデキストリンおよびデキストリンである。
【0055】
好ましい固体キャリアは、二酸化ケイ素、粉、アラビアゴムおよびマルトデキストリンであり、5~20の範囲のDE値を有するマルトデキストリンが好ましい。最初にどの植物がデンプン加水分解物を製造するためのデンプンを提供したかは重要でない。デンプンの分解の程度は、通常、長鎖グルコースポリマーについての限界値0と純グルコースについての限界値100との間で変化し得る特性値「デキストロース当量」(DE:Dextrose Equivalent)で示される。トウモロコシ系デンプンがタピオカ、米、小麦またはジャガイモからのデンプンと同様に適しており、容易に入手できる。キャリアは同時に、二酸化ケイ素の場合のように、固結防止剤として使用することもできる。これらのキャリアは、完全にまたは実質的に味がないという利点を有する。こうして、キャリアの添加は、本発明による混合物の成分a)~c)および任意選択としてd)および/またはe)によって付与される既存の官能プロファイル、特にアロマおよび味プロファイルに影響を及ぼさない。
【0056】
好ましい液体キャリアは、水、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジアセチン、トリアセチンおよびそれらの混合物である。他の適当な液体キャリアは、種々の天然炭水化物および/または(部分的に)加水分解したデンプンから人工的にまたは天然に誘導されたシロップ、例えば高フルクトースコーンシロップ、蜂蜜、竜舌蘭シロップ、高フルクトースリンゴシロップ、高フルクトースセイヨウナシシロップ、天然または加水分解されたテンサイシロップ、メープルシロップ、デートシロップに基づいてもよい。さらなる適当なキャリアは、トリグリセリド、好ましくは液体トリグリセリド、例えば植物油である。同じまたは異なるC6~C10-脂肪酸基を有するトリグリセリド(MCT、中鎖トリグリセリド(medium-chain triglycerides))も、基本的に味がないので好ましい。
【0057】
本発明による混合物は、食品または飲料製品中で、似た食品または飲料製品の高カロリー糖含量の一部を置き換えるために用いられることがある。この場合、成分d)を含まない本発明による混合物は、高カロリー糖含有量が減らされるべき食品または飲料製品のための一種の希釈剤として使用されることがある。本発明による混合物は、すべての甘さ付与成分および好ましくはすべてまたはほとんどの香味付与成分を既に含有する香味料組成物、濃縮物および/または中間物としても用いられることがある。この場合、本発明による混合物は、成分d)および/または成分e)を含むことがあり、最終的な食品または飲料製品を与えるために水またはミルクまたは類似物で増量されることがある。
【0058】
よって、本発明のさらなる側面は、本発明による混合物を含むかまたはからなる、食品または飲料製品のための香味料組成物、濃縮物および/または中間物に関する。別の側面は、本発明による香味料組成物、濃縮物および/または中間物、あるいは本発明による混合物を含む食品または飲料製品に関する。
【0059】
本発明の状況における食品または飲料製品は、例えば、ベークした製品(例えばパン、ビスケット、ケーキ、その他のベークした商品)、菓子類(例えばチョコレート、チョコレートバー製品、その他のバー製品、フルーツガム、ハードおよびソフトキャンディー、チューインガム)、アルコール飲料または非アルコール飲料(例えばコーヒー、茶、ワイン、ワイン含有飲料、ビール、ビール含有飲料、リキュール、スピリッツ、ブランデー、果実含有レモネード、アイソトニック飲料、清涼飲料、ネクター、フルーツおよび野菜ジュース、フルーツまたは野菜ジュース調製物)、インスタント飲料(例えばインスタントココア飲料、インスタントティー飲料、インスタントコーヒー飲料)、肉製品(例えばハム、加工ソーセージまたは生ソーセージ調製物、スパイス添加またはマリネーした生鮮もしくは保存肉製品)、卵または卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄)、シリアル製品(例えば朝食用シリアル、ムースリバー、調理済み調製米製品)、ミルク製品(例えばミルク飲料、ミルクアイス、ヨーグルト、ケフィール、生鮮チーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乾燥ミルク粉体、ホエー、バター、バターミルク、部分または完全加水分解した乳タンパク含有製品)、ダイズタンパク質またはその他のダイズ画分からの製品(例えば、豆乳およびそれから調製した製品、ダイズレシチンを含有する調製物、豆腐もしくはテンペのような発酵製品またはそれらから調製した製品、醤油)、果実調製物(例えばゼリー、フルーツアイス、フルーツソース、フルーツフィリング)、野菜調製物(例えばケチャップ、ソース、乾燥野菜、冷凍野菜、調理済み野菜、酢に漬けた野菜、保存野菜)、スナック(例えば、ベークまたは揚げたポテトチップスまたはジャガイモ生地製品、パン生地製品、トウモロコシまたはピーナッツに基づく押し出し製品)、脂肪系および油系製品またはそれらの乳化物(例えばマヨネーズ、レムラード、ドレッシング、シーズニング調製物)、他の即座に食べられる食事およびスープ(例えば、乾燥スープ、インスタントスープ、調理済みスープ)、スパイス、シーズニング混合物および特に、例えば、スナックの作製に用いられるシーズニングである。
【0060】
特に、通常の食品または飲料製品において、高カロリー糖がバルク材料、調質剤、充填材および安定剤として用いられている場合、すなわちベークした製品(例えばパン、ビスケット、ケーキ、その他のベークした商品)、菓子類(例えばチョコレート、チョコレートバー製品、その他のバー製品、フルーツガム、ハードおよびソフトキャンディー、チューインガム)、シリアル製品(例えば、朝食用シリアル、ムースリバー、調理済み調製米製品)、果実調製物(例えば、ゼリー、フルーツアイス、フルーツソース、フルーツフィリング)、野菜調製物(例えば、ケチャップ、ソース、乾燥野菜、冷凍野菜、調理済み野菜、酢に漬けた野菜、保存野菜)において、高カロリー糖の量を本発明による混合物で部分的に置き換えることができる。これらの食品または飲料製品の好ましい実施形態において、高カロリー糖使用分を置き換えるさらなる技術は、本発明による混合物と国際出願PCT/EP2018/069323号のPCT出願による技術との組み合わせにおいて実現することができる。
【0061】
本発明の意味の範囲内の食品または飲料製品は、カプセル、錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば胃耐性コーティング)、糖衣ピル、顆粒、ペレット、固体混合物、液相中分散物の形の栄養補助食品として、乳化物として、粉末として、溶液として、ペーストとしてまたは呑み込むかもしくは噛むことができる他の調合物としても存在してよい。
【0062】
チューインガム(食品または飲料製品のさらなる例として)は、一般に、チューインガム基材、すなわち噛まれると可塑性になるチューイングマス、不快な味感のための他の味修正剤、一般に不快ではない味感のためのさらなる味調整剤、味調整物質(例えばイノシトールリン酸、グアノシン一リン酸、アデノシン一リン酸などのヌクレオチドまたはグルタミン酸ナトリウムもしくは2-フェノキシプロピオン酸などの他の物質)、湿潤剤、増粘剤、乳化剤、さらなる風味剤および安定剤または香り修正剤を含む。
【0063】
本発明の混合物の量が食品または飲料製品の総重量を基準として0.05~25重量%、好ましくは0.1~20重量%、より好ましくは0.5~15.0重量%の範囲にある本発明による食品または飲料製品が好ましい。
【0064】
さらに、成分a)の量が食品または飲料製品の総重量を基準として0.1~10重量%、好ましくは0.2~8重量%、より好ましくは0.5から5.0重量%の範囲にある、本発明による食品または飲料製品が好ましい。
【0065】
さらに、成分b)の量が食品または飲料製品の総重量を基準として1~100重量ppm、好ましくは2~90重量ppm、より好ましくは4~80重量ppmの範囲にある、本発明による食品または飲料製品が好ましい。
【0066】
さらに、成分c)の量が食品または飲料製品の総重量を基準として5~500重量ppm、好ましくは10~200重量ppm、より好ましくは20~100重量ppmの範囲にある、本発明による食品または飲料製品が好ましい。
【0067】
さらに、存在する場合、成分d)の量が食品または飲料製品の総重量を基準として1.0~30重量%、好ましくは1.5~15重量%、より好ましくは1.5~10重量%、さらに好ましくは1.5~5重量%、最も好ましくは1.5~4重量%の範囲にある、本発明による食品または飲料製品が好ましい。
【0068】
本発明による特定の食品または飲料製品は、成分a)のために本明細書に開示される各化合物と成分b)のために本明細書に開示される各化合物および成分c)のために本明細書に開示される各化合物、および、任意選択として、成分d)のために本明細書に開示される各化合物との順列によって得られる本発明による特定の混合物を含むかまたはからなる。
【0069】
本発明による好ましい特定の食品または飲料製品は、成分a)としてのD-(+)アルロース、L-(+)-ラムノース、L-(+)-アラビノース、D-(-)-タガトース、D-(+)-トレハロース、D-(+)-アロースのそれぞれと成分b)としてのヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、ナリンゲニン、フロレチン、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオールおよびそれらの混合物(特に請求項3に挙げられている混合物)のそれぞれ、および成分c)としてのステビオールグリコシド、好ましくはレバウジオシドA、グルコシル化ステビオシド、ルブソシド、グリコシル化ルブソシド、ステビア葉抽出物、テンヨウケンコウシ抽出物、モグロシドおよびルオ・ハン・グオのそれぞれ、および、任意選択として、成分d)としてのD-(+)-グルコース(デキストロース)、D-(-)-フルクトース、D-スクロース、D-ガラクトース、D-ラクトースおよびD-マルトースのそれぞれとの順列によって得られる、本発明による好ましい特定の混合物を含むかまたはからなる。
【0070】
-成分a)がL-アラビノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アロース、L-ラムノース、D-トレハロースまたはそれらの組み合わせを含むかまたはからなり、
-成分b)がフロレチン、ヘスペレチンまたはそれらの組合せを含むかまたはからなり、
-成分c)がレバウジオシドA、グリコシル化ルブソシド、グルコシル化ステビオシド、ルオ・ハン・グオ抽出物またはそれらの組合せを含むかまたはからなり、
任意選択として、
-成分d)がスクロース、グルコース、フルクトース、ラクトースまたはそれらの組み合わせを含むかまたはからなる、
食品または飲料製品が特に好ましい。
【0071】
成分f)をさらに含み、成分f)は、少なくとも1種類の人工甘味化合物(例えば高強度甘味料)である、本発明による食品または飲料製品が好ましい。少なくとも1種類の人工甘味化合物は、好ましくは、スクラロース、アセスルファムカリウムまたは他の塩、アスパルテーム、アリテーム、サッカリンのナトリウムまたはカルシウム塩、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラミン酸ナトリウム、ネオテーム、スーパーアスパルテーム、アドバンテーム、タウマチン、およびそれらの塩からなる群から選ばれる。
【0072】
本発明による食品または飲料製品、本発明による香味料組成物、濃縮物および/または中間物のための、あるいは本発明による混合物のためのさらなる構成成分として、食品および半奢侈食料製品のための通常の基材、補助材および添加剤、例えば、水、生鮮または加工植物または動物基材または原料(例えば生の、ローストした、乾燥した、発酵した、燻製にしたおよび/または茹でた肉、骨、軟骨、魚、野菜、果実、ハーブ、ナッツ、野菜またはフルーツジュースまたはペーストまたはそれらの混合物)、天然または硬化した油脂(例えば獣脂、ラード、パーム油、ヤシ油、硬化植物油脂)、油(例えばヒマワリ油、落花生油、コーン油、オリーブ油、魚油、ダイズ油、ゴマ油)、脂肪酸またはそれらの塩(例えばステアリン酸カリウム)、タンパク質構成アミノ酸または非タンパク質構成アミノ酸および関連化合物(例えばγ-アミノ酪酸、タウリン)、ペプチド(例えばグルタチオン)、天然または加工タンパク質(例えばゼラチン)、酵素(例えばペプチダーゼ)、核酸、ヌクレオチド、不快な味感への他の風味補正剤、さらなる、規則として不快でない、味覚感のための味調整剤、味調整物質(例えばイノシトールリン酸、ヌクレオチド、例えばグアノシン一リン酸、アデノシン一リン酸、または他の物質、例えばグルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸)、乳化剤(例えばレシチン、ジアシルグリセロール、アラビアゴム)、安定剤(例えばカラギーナン、アルギン酸)、防腐剤(例えば安息香酸、ソルビン酸)、酸化防止剤(例えばトコフェロール、アスコルビン酸)、キレート剤(例えばクエン酸)、有機または無機酸性化剤(例えばリンゴ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸)、苦味物質(例えばキニーネ、カフェイン、リモニン、アマロゲンチン、フモロン、ルポロン、カテキン、タンニン)、ミネラル塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム)、酵素的褐変を防止する物質(例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸)、精油、植物抽出物、天然もしくは合成染料または有色顔料(例えばカロチノイド、フラボノイド、アントシアン、クロロフィルおよびそれらの誘導体)、スパイス、三叉神経に効果のある物質または前記三叉神経に効果のある物質を含有する植物抽出物、合成、天然または天然と同一の芳香族物質または臭気物質および臭気補正剤の混合物を用いることが可能である。
【0073】
本発明のさらなる側面は、(食品または飲料製品において)甘味感を付与し、および/または甘味感を強化するための、本発明による混合物、あるいは本発明による香味料組成物、濃縮物および/または中間体の使用に関する。
【0074】
本発明のさらに別の側面は、本発明による混合物、または本発明による香味料組成物、濃縮物、および/または中間物、および/または本発明による食品または飲料製品の初発甘さ強度、総合甘さ強度および/または濃厚さを強化するための希少糖の使用に関する。
【0075】
さらなる利点は、以下の実施例を読めば明らかになる。
【実施例
【0076】
特に断らない限り、本明細書において示す百分率は、重量あたりの重量百分率、すなわち%(w/w)を指す。用語「x°Brix」は、×%スクロースを含む混合物を表す。すなわち、2°Brixは2%スクロースを含む混合物を意味し、5°Brixは5%スクロースを含む混合物を意味する。
【0077】
さらに、下表の最上段において以下の省略形を用いる。句「初発強度」は、<2秒の初発甘さ強度の短縮形である。句「総合強度」は、総合甘さ強度の短縮形である。句「残存人工」は、「残存する人工的な甘さ」の短縮形である。句「異味」は、異味(off-notes)(苦い、金属味、渋い)の短縮形である。
【0078】
さらに、以下において次の省略形を参照する。
アルロース D-(+)-アルロース、
アラビノース L-(+)-アラビノース、
ラムノース L-(+)-ラムノース、
タガトース D-(-)-タガトース、
トレハロース D-(+)-トレハロース
HC ヘスペレチンジヒドロカルコン、
HT ヘスペルチン、
PH フロレチン、
SG ステビオールグリコシド、
OR グリコシル化ルブソシド、
LHG ロ・ハン・グオ
【0079】
実施例1 天然甘味化合物および天然カロリー型甘味炭水化物をさらに含む混合物中の希少糖によって付与される甘さ増強効果
【0080】
この実施例において、2%スクロース(2°Brix)および30ppmレバウジオシドA(Reb A)を含む混合物を基材として用い、追加として希少糖をさらに含む似た混合物およびReb Aも希少糖も含まず、5%スクロース(5°Brix)を含む混合物と比較した。
【0081】
希少糖を2%の最終量で加えた。この実施例においてはアルロース、ラムノース、トレハロース、タガトースおよびアラビノースを含む種々の希少糖を評価した。
【0082】
得られた混合物を専門家パネルによって行われる官能検査に付した。2回の繰り返しを行った。以下の表1~3に結果を要約する(アラビノースに関する結果は示さない)。
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
ラムノースが糖減少用途においてアルロースより顕著に強力であることが分った。ステビオシド甘さ追加用途において、ラムノースおよびタガトースは、アルロースより優れていることが分る。
【0087】
実施例2 天然カロリー型甘味炭水化物を含まない本発明の混合物中で、任意選択として追加の天然甘味化合物と組み合わせた味修飾化合物によって付与される甘さ増強効果
【0088】
この実施例において、100ppm Reb A(天然甘味化合物として)および1%ラムノース(希少糖として)を含む甘味溶液を基材として用い、追加として1種類以上の味修飾化合物、任意選択として、少なくとも1種類の追加の天然甘味化合物を含む似た溶液と比較した。味修飾化合物として、ヘスペレチンジヒドロカルコン(HC)、ヘスペルチン(HT)および/またはフロレチン(PH)を用いた。追加の天然甘味化合物として、ステビオールグリコシド(SG)、グリコシル化ルブソシド(OR)またはロ・ハン・グオ(LHG)を用いた。
【0089】
下表4に官能検査の結果を要約する。特に強いことが見いだされた効果を太字でマークした値によって表中で強調する。
【0090】
【表5】
【0091】
甘さ強度(総合およびインパクト)は、すべての味修飾化合物とともに強く増加することを見いだした。同時に、望ましくないランジェリー効果が増加する。
【0092】
実施例3 本発明の混合物を含有する天然カロリー型甘味炭水化物中で、任意選択として追加の天然甘味化合物と組み合わせた味修飾化合物によって付与される甘さ増強効果
【0093】
この実施例において、2%スクロース(天然カロリー型甘味炭水化物として)、60ppm Reb A(天然甘味化合物として)および1%ラムノース(希少糖として)を含む甘味溶液を基材として調製し、追加として1種類以上の味修飾化合物、および任意選択として少なくとも1種類の追加の天然甘味化合物を含む似た溶液と比較した。味修飾化合物および追加の天然甘味化合物は、実施例2と同じであった。
【0094】
下表5に官能検査の結果を要約する。特に強いことが見いだされた効果を太字でマークした値によって表中で強調する。
【0095】
【表6】
【0096】
甘さ強度(総合およびインパクト)は、すべての味修飾化合物とともに強く増加することと、同時に、望ましくないランジェリー効果が増加することとを再び見いだした。表4に示した結果と比較すると、天然カロリー型甘味炭水化物(この実施例:スクロース)の存在が所望の効果の強調および望ましくない効果の抑制を含む、完全な甘さプロファイルへの有益な効果を有すると結論することができる。
【0097】
実施例4 天然カロリー甘味炭水化物を含まない本発明の混合物中の希少糖によって付与される甘さ増強効果
【0098】
この実施例において、100ppm Reb A(天然甘味化合物として)、56ppm SG(追加の天然甘味化合物として)および7ppm HT(味修飾化合物として)を含む甘味溶液を基材甘味溶液として用い、追加として希少糖を1%の量で含む似た溶液と比較した。試験した希少糖は、ラムノース、アルロース、トレハロース、タガトースおよびアラビノースを含んだ。
【0099】
下表6に官能検査の結果を要約する。特に強いことを見いだした効果を、太字でマークする値によって表中で強調する。
【0100】
【表7】
【0101】
試験した組み合わせの中で、ラムノースまたはトレハロースを含有するものがインパクトおよび強度に関して最も良い性能だった。
【0102】
実施例5 天然カロリー型甘味炭水化物を含まない本発明の混合物中の希少糖によって付与される甘さ増強効果
【0103】
この実施例において、2%スクロース(天然カロリー甘味炭水化物として)、60ppm Reb A(天然甘味化合物として)、20ppm PH(味修飾化合物として)および45 ppm OR(追加の天然甘味化合物として)を含む混合物を基材として用い、追加として希少糖を1%の量で含む似た混合物と比較した。試験した希少糖は、ラムノース、アルロース、トレハロース、タガトースおよびアラビノースを含んだ。
【0104】
下表7に官能評価の結果を要約する。特に強いことが見いだされた効果を太字でマークした値によって表中で強調する。
【0105】
【表8】
【0106】
表7から推測することができるように、希少糖、味修飾化合物および少なくとも1種類の天然甘味化合物を含む混合物は、希少糖を含有しない似た混合物と比較して優れた特性プロファイルを有することが見いだされた。すべての所望の効果は、試験したすべての希少糖で目立って増加したが、ラムノース、アルロース、タガトースおよびアラビノースの存在は、残存人工甘さの強い減少を招いた。基材へのラムノースまたはタガトースの追加は、インパクト甘さおよび食感(濃厚さ)の特定の改善を招くことが見いだされた。
【0107】
実施例6 天然カロリー型甘味炭水化物を含有する本発明の混合物中のタガトースによって付与される甘さ増強効果のさらなる評価
【0108】
この実施例において、2%スクロース(天然カロリー型甘味炭水化物として)および60ppm Reb A(天然甘味化合物として)を含む混合物を基材として用い、追加としてPH(味修飾化合物として)をOR(追加の天然甘味化合物として)および/またはタガトース(希少糖として)と組み合わせて1%の量で含む似た混合物と比較した。
【0109】
下表8に官能検査の結果を要約する。特に強いことを見いだした効果を太字でマークした値によって表中で強調する。
【0110】
【表9】
【0111】
驚くべきことに、希少糖、味修飾化合物、少なくとも1種類の天然甘味化合物、および天然カロリー型甘味炭水化物を含む組み合わせは、優れた性能を既に示してはいたが希少糖または味修飾化合物のどちらかを欠く似た組み合わせより優れていることが分った。これらの結果は、希少糖、味修飾化合物、少なくとも1種類の天然甘味化合物、および天然カロリー型甘味炭水化物を含む混合物は、目立って増加した初発甘さ強度、総合甘さ強度および濃厚さを含む有益な効果と関連することを示している。濃厚さ効果に関わる有益な効果が特にはっきりしていた。
【0112】
さらに、表7と8からの結果を比較すると、味修飾化合物および少なくとも1種類の天然甘味化合物をさらに含む混合物中の天然カロリー型甘味炭水化物(ここではスクロース)を希少糖で置き換えると、所望の効果が増大し、望ましくない効果が抑制される、目立って改善した特性プロファイルを生じると結論することができる。スクロースと関連して3.38(表7参照)から3.72に増加した残存人工甘さが、タガトースの追加によって完全に無効化され、3.15への低下さえできた(表8参照)という観測は、さらに驚くべきである。これらの結果は、本発明の混合物と関連する優れた甘味プロファイルを明確に示している。
【0113】
実施例7 天然カロリー型甘味炭水化物を含有する本発明の混合物を含有するアイスティー
【0114】
この実施例において、種々のアイスティー調製物を調製した。原料を、表9に挙げた順に瓶の中で混合し、次に殺菌した。
【0115】
【表10】
【0116】
実施例8 本発明の混合物を含有する炭酸入りソフトドリンク(風味指向:コーラ)
【0117】
この実施例において、炭酸入りソフトドリンクを調製する。表10に示す固体成分または原料を個々に水と混合し、一緒にし、水で100gにする。得られた濃縮物を次に周囲温度で一夜熟成させる。最後に、濃縮物1部を炭酸水5部と混合し、瓶に充填し密栓する。
【0118】
【表11A】
【表11B】
【0119】
実施例9 本発明の天然カロリー型甘味炭水化物含有混合物を含有する砂糖低減トマトケチャップ
【0120】
この実施例において、砂糖低減トマトケチャップ調製物を調製する。最初に香味料パートを混合し、記述される順番で混合される他の原料に加え、仕上げたケチャップを、撹拌機を用いてホモジナイズし、瓶に注入し、殺菌する。
【0121】
【表12A】
【表12B】
【0122】
実施例10 インスタントアイスティー タイプ ピーチ
【0123】
この実施例において、表12に挙げる原料を一緒に混合することによってインスタントアイスティー調製物を調製する。ピーチアイスティー飲料を調製するための標準水中用量は、インスタントを基準として7.5重量%である。
【0124】
【表13】
【0125】
実施例11 チョコレートドリンクインスタントパウダー
【0126】
【表14】
【0127】
実施例12 スクロース低減ヨーグルト(-50%添加スクロース)
【0128】
パートI ヨーグルト
【0129】
【表15】
【0130】
原料を混合し、22~30℃で6~12時間発酵させる。製品を、完成前に48℃で保管する。
【0131】
パートII 添加スクロースのないヨーグルト用果実調製物
【0132】
【表16】
【0133】
20%フルーツ調製物パートIIを80%ヨーグルトパートIと混合し、充填し、5~8℃で保管する。
【国際調査報告】