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特表2022-524030ポリオールブレンド及びPUR-PIRフォーム形成組成物の製造におけるそれらの使用
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  • 特表-ポリオールブレンド及びPUR-PIRフォーム形成組成物の製造におけるそれらの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】ポリオールブレンド及びPUR-PIRフォーム形成組成物の製造におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/40 20060101AFI20220420BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220420BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20220420BHJP
   C08G 18/20 20060101ALI20220420BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20220420BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20220420BHJP
【FI】
C08G18/40 018
C08G18/00 F
C08G18/00 H
C08G18/66 007
C08G18/20
C08G18/18
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552801
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020020763
(87)【国際公開番号】W WO2020185445
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】16/296,937
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516284183
【氏名又は名称】コベストロ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パークス ブランドン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】アドキンズ リック エル.
(72)【発明者】
【氏名】ラブデイ アンソニー アール.
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034BA08
4J034CA04
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC12
4J034DC25
4J034DC35
4J034DC43
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF21
4J034DF22
4J034DG02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG08
4J034DG09
4J034DG14
4J034DG23
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HA09
4J034HB05
4J034HB06
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034KA01
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4J034KB05
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4J034KD07
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4J034QA01
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB16
4J034QC01
4J034RA05
4J034RA10
4J034RA15
(57)【要約】
糖開始ポリエーテルポリオールと、芳香族ポリエステルポリオールと、ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールとを含むポリオールブレンドが開示されている。そのようなポリオールブレンドを含むフォーム形成組成物、そのようなポリウレタンフォーム形成組成物を使用して作られた硬質フォーム、及びそのようなフォームのパネル断熱材としての使用を含む、そのようなフォームを製造する方法も開示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)200mgKOH/g~600mgKOH/gのOH価及び4~6の官能価を有する糖開始ポリエーテルポリオールと、
(b)150mgKOH/g~410mgKOH/gのOH価及び1.5~3の官能価を有する芳香族ポリエステルポリオールと、
(c)3~8の官能価及び少なくとも150mgKOH/gのOH価を有するポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールと、
を含む、ポリオールブレンド。
【請求項2】
前記糖開始ポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドを含むアルキレンオキシドと、スクロースを含む糖開始剤との反応生成物である、請求項1に記載のポリオールブレンド。
【請求項3】
前記糖開始ポリエーテルポリオールは、300~1600、例えば440~1000の分子量を有する、請求項1又は2に記載のポリオールブレンド。
【請求項4】
前記糖開始ポリエーテルポリオールは、300mgKOH/g~550mgKOH/g、400mgKOH/g~500mgKOH/g、又は450mgKOH/g~500mgKOH/gのOH価を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項5】
前記糖開始ポリエーテルポリオールは、5~6、5.2~5.8、又は5.4~5.6の官能価を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項6】
前記糖開始ポリエーテルポリオールは、前記ポリオールブレンドの総重量に対して10重量%~45重量%、10重量%~30重量%、又は15重量%~25重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項7】
前記芳香族ポリエステルポリオールは、150mgKOH/g~360mgKOH/g又は200mgKOH/g~335mgKOH/gのOH価を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項8】
前記芳香族ポリエステルポリオールは、1.9~2.5の官能価を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項9】
前記芳香族ポリエステルポリオールは、前記ポリオールブレンドの総重量に対して50重量%~85重量%又は60重量%~80重量%の量で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項10】
前記芳香族ポリエステルポリオール及び前記糖開始ポリエーテルポリオールは、前記ポリオールブレンド中に、2:1~8:1、2:1~6:1、又は3:1~4:1の重量比で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項11】
前記ポリアルキレンポリアミンは、一般式:
【化1】
(式中、各Rは、独立して水素又はC~Cアルキルであり、かつ各nは、独立して0、1、2、3又は4であり、かつyは、少なくとも1の値を有する整数である)のポリアルキレンポリアミンである、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項12】
前記ポリアルキレンポリアミンは、トリエチレンテトラミン、N-メチルジプロピレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、又はそれらの任意の2種以上の混合物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項13】
前記ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、150mgKOH/g~600mgKOH/g、150mgKOH/g~400mgKOH/g、又は200mgKOH/g~250mgKOH/gのOH価を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項14】
ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、3.5~7.5又は4~6の官能価を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項15】
前記ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、前記ポリオールブレンドの総重量に対して5重量%~40重量%、5重量%~20重量%、又は5重量%~15重量%の量で存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項16】
前記芳香族ポリエステルポリオール及び前記ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、少なくとも2:1、2:1~8:1、3:1~6:1、又は4:1~5:1の重量比で前記ポリオールブレンド中に存在し、かつ前記糖開始ポリエーテルポリオール及び前記ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、少なくとも0.5:1、0.5:1~4:1、1:1~2:1、又は1:1~1.5の重量比で前記ポリオールブレンド中に存在する、請求項1~15のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項17】
連鎖延長剤及び/又は架橋剤を更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項18】
前記ポリオールブレンドは、2~4、2~3、又は2.5~3.0の加重平均官能価を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項19】
前記ポリオールブレンドは、300mgKOH/g~500mgKOH/g、又は300mgKOH/g~400mgKOH/gの加重平均OH価を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項20】
(1)請求項1~19のいずれか一項に記載のポリオールブレンドと、(2)発泡剤組成物とを含む、イソシアネート反応性組成物。
【請求項21】
前記発泡剤組成物は、(i)物理的発泡剤と、(ii)水等の二酸化炭素発生化学的発泡剤とを含む、請求項20に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項22】
前記物理的発泡剤は、ハロゲン化オレフィン(「HFO」)、例えばヒドロクロロフルオロオレフィン(「HCFO」)、例えば1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd、E異性体及び/又はZ異性体)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、HCFO1223、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエテン(E異性体及び/又はZ異性体)、3,3-ジクロロ-3-フルオロプロペン、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン-2(E異性体及び/又はZ異性体)、2-クロロ-1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロブテン-2(E異性体及び/又はZ異性体)を含む、請求項21に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項23】
前記HFO、例えばHCFOは、前記イソシアネート反応性組成物の総重量に対して少なくとも10重量%、10重量%~30重量%、又は10重量%~20重量%の量で利用される、請求項22に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項24】
CFC、HCFC、HFC、及び/又はブタン、n-ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン及び/又はイソペンタン等の炭化水素発泡剤を更に含む、請求項22又は23に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項25】
前記イソシアネート反応性組成物は、CFC、HCFC、HFC、及び/又は炭化水素発泡剤を実質的に含まない又は完全に含まない、請求項22又は23に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項26】
前記二酸化炭素発生化学的発泡剤は、前記イソシアネート反応性組成物の総重量に対して1重量%~4重量%の量で存在する、請求項21~25のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項27】
前記HCFO及び二酸化炭素発生化学的発泡剤は、前記発泡剤組成物中に少なくとも2:1、少なくとも4:1、4:1~10:1、又は4:1~6:1の重量比で存在する、請求項22~26のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項28】
前記イソシアネート反応性組成物の総重量に対して0.2重量%~5.0重量%又は1重量%~3重量%の量で存在する界面活性剤を更に含む、請求項20~27のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項29】
触媒組成物を更に含み、例えば、前記触媒組成物は、第三級アミン、例えばモルホリン及び/又はイミダゾール、例えばジモルホリノジエチルエーテル、ジモルホリノジメチルエーテル、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、n-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、又はそれらの任意の2種以上の混合物を含む、請求項20~28のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項30】
前記第三級アミン、例えば前記モルホリン及び/又は前記イミダゾールは、前記イソシアネート反応性組成物の総重量に対して2重量%未満、0.1重量%~1.9重量%又は0.5重量%~1.5重量%の量で存在する、請求項29に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項31】
前記イソシアネート反応性組成物は、有機金属触媒を実質的に含まない又は完全に含まない、請求項29又は30に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項32】
前記触媒組成物は、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム2-エチルヘキサノエート及び/又は(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムホルメート等の第四級アンモニウム塩を含む三量体化触媒を更に含む、請求項29~31のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項33】
前記三量体化触媒は、前記イソシアネート反応性組成物中に、前記イソシアネート反応性組成物の総重量に対して0.25重量%~3.0重量%又は0.25重量%~1重量%の量で存在する、請求項32に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項34】
顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、並びにトリ(2-クロロエチル)ホスフェート(TECP)、トリ(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリ(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)及びジメチルプロピルホスフェート(DMPP)等の難燃剤の少なくとも1つを更に含む、請求項20~33のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項35】
硬質フォームを製造する方法であって、有機イソシアネートと請求項20~34のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物とを90~150又は120~150のイソシアネート指数で混合して、反応混合物を形成することを含む、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法によって形成される硬質フォーム。
【請求項37】
前記硬質フォームは、ASTM D6226-15に従って測定される80%超、85%超、又は88%超の独立気泡含有量を有する、請求項36に記載の硬質フォーム。
【請求項38】
前記硬質フォームは、ASTM C518-15に従って測定されて2インチの厚さのパネルのコアからのフォームついて35゜F(2℃)で測定された0.126BTU・in/h・ft・゜F未満の熱伝導率及び75゜F(24℃)で測定された0.142BTU・in/h・ft・゜F未満の熱伝導率を有する、請求項36又は37に記載の硬質フォーム。
【請求項39】
前記反応混合物は、所望の部品の型のキャビティに注入され、ここで、前記キャビティは、金属シート、パーティクルボード、石膏ボード、ファイバーセメント、又はプラスチック等の表面材で裏張りされている、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は概して、ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールを含むポリオールブレンド、そのようなポリオールブレンドを含むイソシアネート反応性組成物、そのようなフォーム形成組成物を使用して作られた硬質フォーム、及びそのようなフォームのパネル断熱材としての使用を含む、そのようなフォームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
難燃性の硬質ポリウレタンフォームは多くの産業で使用されている。これらは、適切なポリイソシアネートとイソシアネート反応性化合物、通常はポリオールとを発泡剤及び触媒の存在下で反応させて、ポリイソシアヌレート含有かつポリウレタン含有のフォームを製造することによって製造される。そのようなフォームの1つの用途は、ガレージドアを含むドア等のパネル組立品の構築における断熱媒体としての用途である。独立気泡硬質フォームの断熱特性は、平均気泡サイズ及び気泡内容物の熱伝導率を含む多くの要因に依存する。
【0003】
断熱性硬質ポリウレタンフォームの製造に使用される配合物、特にパネル組立品の構築に使用される配合物は、水-ポリイソシアネート反応(ガス形成又は発泡反応)、ポリウレタン(「PUR」)を形成するポリオール-ポリイソシアネート(ゲル化)反応、及びポリイソシアヌレート(「PIR」)を形成するイソシアネート-イソシアネート三量体化反応の相対速度を制御するのに触媒を利用する。ゲル化反応では、イソシアネートがポリオールと反応して、ポリウレタンフォームマトリックスを形成する。三量体化反応では、イソシアネートが互いに反応して、イソシアヌレート構造を有する巨大分子(ポリイソシアヌレート)を形成する。発泡反応では、イソシアネートが配合物中の水と反応して、ポリ尿素及び二酸化炭素を形成する。これらの反応が異なる速度で起こる以上は、高品質のフォームを製造するのに、それらのバランスを適切にとる必要がある。難燃性の硬質ポリウレタンフォームでは、両者ともゲル化に影響するためウレタン及びイソシアネート三量体の形成の程度のバランスも注意深くとらねばならないが、許容可能な難燃特性を実現するには、イソシアネート三量体の形成が重要である。例えば、発泡反応がゲル化反応より急速に起こる場合に、反応によって発生したガスは、ポリウレタンマトリックスがそのガスを収容するのに十分な強度になる前に膨張する場合があり、フォームの崩壊が起こる可能性がある。さらに、反応混合物がまだ流動している間にゲル化反応が起こると、気泡の引き伸ばしが起こって、細長い気泡構造が生じ、その細長い気泡構造は概して、より不十分な圧縮強度、より不十分な寸法安定性(フォームの収縮及び膨脹)、より不十分な断熱特性、及びより不十分なフォーム品質(表面空隙及びその他の欠陥に起因する)等のより不十分な物理的特性を有するフォームをもたらす。最後に、ウレタン及びイソシアネート三量体の形成の速度のバランスが正しくとられていないと、不十分な量の三量体が形成され、フォームの難燃性能に悪影響が及ぼされることとなる。
【0004】
パネル組立品の製造に使用されるフォーム形成組成物、特に、断続的な開放式及び閉鎖式の注入方法で製造されるものは、厳格な特性組合せを示さなければならない。例えば、フォーム形成組成物は、良好な断熱特性並びに圧縮強度及び寸法安定性等の物理的特性を有するフォームを生ずることに加えて、望ましい反応性及び流動特性を示さなければならない。複数のフォーム特性に有害な気泡の引き伸ばしを最小限に抑えるように、フォームの流動プロファイルを最適化しなければならない。これは、フォームのゲル化(粘度上昇)に対してフォームの膨張(流動)を注意深く制御することによって達成され得る。さらに、製造機器は発泡圧力に耐えることができなければならず、高い発泡圧力はしばしば離型性能に悪影響を与えるため、発泡圧力は多くの成形される不連続な用途にとってはしばしば重要である。
【0005】
したがって、全てではないにしてもこれらの要件の殆どを満たすことができる組成物が非常に望ましいこととなる。
【発明の概要】
【0006】
或る特定の態様において、本開示は、(a)200mgKOH/g~600mgKOH/gのOH価及び4~6の官能価を有する糖開始ポリエーテルポリオールと、(b)150mgKOH/g~410mgKOH/gのOH価及び1.5~3の官能価を有する芳香族ポリエステルポリオールと、(c)3~8の官能価及び少なくとも150mgKOH/gのOH価を有するポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールとを含む、ポリオールブレンドに関する。
【0007】
本明細書はまた、そのようなポリオールブレンドを含むフォーム形成組成物、そのようなフォーム形成組成物から製造された硬質フォーム、そのような硬質フォームを作る方法、及びそのような硬質フォームを含む複合物品、並びにそのような硬質フォームを含むパネル断熱材に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例のフォームの発泡圧力プロファイルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示される発明の構造、機能、特性、及び使用の全体的な理解を提供するために、本明細書においては様々な実施態様が記載され、解説される。本明細書に記載及び解説されている様々な実施態様は、非限定的で非網羅的であることが理解される。したがって、本発明は、本明細書に開示される様々な非限定的で非網羅的な実施態様の記載によって限定されない。様々な実施態様に関連して記載される特徴及び特性を、他の実施態様の特徴及び特性と組み合わせることができる。かかる修飾及びバリエーションは、本明細書の範囲内に含まれることが意図されている。したがって、特許請求の範囲を、本明細書に明示的又は本質的に記載されている、或いは明示的又は本質的に支持されている任意の特徴又は特性を列挙するように補正することができる。さらに、本出願人(複数の場合もある)は、先行技術に存在する可能性のある特徴又は特性を積極的に放棄するために特許請求の範囲を補正する権利を留保する。したがって、任意のかかる補正は、米国特許法第112条及び同法第132条(a)の要件に準拠している。本明細書に開示及び説明される様々な実施態様は、本明細書に様々に記載されるような特徴及び特性を含むか、それからなるか、又は本質的にそれらからなり得る。
【0010】
本明細書において特定される任意の特許、刊行物又は他の開示資料は、特に明記しない限り、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすが、組み込まれる資料が既存の定義、記述、又は本明細書に明示的に記載される他の開示資料と矛盾しない場合に限られる。したがって、必要な範囲で、本明細書に記載されている明示的な開示は、引用することにより本明細書の一部をなす矛盾する任意の資料に優先する。引用することにより本明細書の一部をなすと言われているが、本明細書に記載の既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾する任意の資料又はその一部は、その組み込まれた資料及び既存の開示資料との間で矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。本出願人(複数の場合もある)は、引用することにより本明細書の一部をなす任意の主題又はその一部を明示的に列挙するために、本明細書を補正する権利を留保する。
【0011】
本明細書において、特に明記されていない限り、全ての数値パラメーターは、「約」という用語によって全ての場合に前置き及び修飾されていると理解されるものとし、数値パラメーターは、パラメーターの数値を決定するために使用される基礎となる測定技術の固有の変動特性を有する。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、本明細書に記載されている各数値パラメーターは、少なくとも報告された有効桁数に照らし、通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。
【0012】
また、本明細書に列挙されている任意の数値範囲は、列挙されている範囲内に包含される同じ数値精度の全ての部分範囲を含むことを意図している。例えば、「1.0~10.0」の範囲は、列挙されている最小値1.0と列挙されている最大値10.0との間の(及びそれを含む)全ての部分範囲、すなわち、1.0以上の最小値及び10.0以下の最大値を有する部分範囲、例えば、2.4~7.6等を含むことを意図している。本明細書に列挙されている任意の最大数値限定は、そこに包含される全てのより低い数値限定を含むことを意図し、本明細書に列挙されている任意の最小数値限定は、それに包含される全てのより高い数値限定を含むことを意図している。したがって、本出願人(複数の場合もある)は、本明細書に明示的に列挙される範囲内に包含される任意の部分範囲を明示的に列挙するために、特許請求の範囲を含めて本明細書を補正する権利を留保する。かかる範囲はいずれも、任意のかかる部分範囲を明示的に列挙するように補正することが米国特許法第112条及び同法第132条(a)の要件に準拠するように、本明細書に本質的に記載されることを意図している。
【0013】
本明細書において使用される数量を限定しない文法冠詞(grammatical articles "one", "a", "an", and "the")は、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含むことを意図している。そのため、冠詞は、本明細書において、冠詞の文法上の1つ又は2つ以上(すなわち、「少なくとも1つ」)の目的語を指すために使用される。例として、「成分(a component)」は、1つ以上の成分を意味し、したがって、おそらくは2以上の成分が企図され、記載される実施態様の実施において採用又は使用され得る。さらに、使用に関連して別段の定めがない限り、単数名詞の使用には複数形が含まれ、複数名詞の使用には単数形が含まれる。
【0014】
本明細書において使用される場合に、「官能価」という用語は、記載されている-OH官能性材料1分子当たりに存在する反応性ヒドロキシル基-OHの平均数を指す。ポリウレタンフォームの製造において、ヒドロキシル基は、イソシアネート化合物に付属しているイソシアネート基-NCOと反応する。「ヒドロキシル価」という用語は、反応に利用可能な反応性ヒドロキシル基の数を指し、1グラムのポリオールのヒドロキシル含有量に相当する水酸化カリウムのミリグラム数として表現される(ASTM D4274-16)。「当量」という用語は、化合物の重量をその原子価で割ったものを指す。ポリオールの場合に、当量はイソシアネート基と化合するポリオールの重量であり、ポリオールの分子量をその官能価で割ることによって計算することができる。ポリオールの当量は、56100をポリオールのヒドロキシル価で割ることによって計算することもできる。当量(g/eq)=(56.1×1000)/OH価。
【0015】
示されるように、本明細書の或る特定の実施態様は、硬質フォームの製造に有用なイソシアネート反応性組成物に関する。硬質フォームは、"Polyurethanes: Chemistry and Technology, Part II Technology," J. H. Saunders & K. C. Frisch, Interscience Publishers, 1964, page 239に記載されるように、少なくとも0.5:1の圧縮強度対引張強度の比、10%未満の伸び、並びに歪みからの低い回復率及び低い弾性限界を有することを特徴としている。
【0016】
硬質フォームは、(a)ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、(b)イソシアネート反応性組成物とを含むフォーム形成組成物の反応性生物である。
【0017】
既知の有機イソシアネート、変性イソシアネート、又は既知の有機イソシアネートのいずれかから作られたイソシアネート末端プレポリマーのいずれかを使用することができる。適切な有機イソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及び環状脂肪族ポリイソシアネート、並びにそれらの組合せが挙げられる。有用なイソシアネートとしては、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネートの異性体、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート及び3,3’-ジメチルジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート等のジイソシアネート、2,4,6-トルエントリイソシアネート等のトリイソシアネート、並びに4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート及びポリメチレンポリフェニル-ポリイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。
【0018】
未蒸留ポリイソシアネート又は粗製ポリイソシアネートを使用することもできる。トルエンジアミンの混合物をホスゲン化することによって得られる粗製トルエンジイソシアネート及び粗製ジフェニルメタンジアミンをホスゲン化することによって得られる粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(ポリマーMDI)が適切な粗製ポリイソシアネートの例である。適切な未蒸留ポリイソシアネート又は粗製ポリイソシアネートは米国特許第3,215,652号に開示されている。
【0019】
変性イソシアネートは、ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートの化学反応によって得られる。有用な変性イソシアネートとしては、限定されるものではないが、エステル基、尿素基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基及び/又はウレタン基を含むイソシアネートが挙げられる。変性イソシアネートの例としては、NCO基を含み、かつ25重量%~35重量%、例えば29重量%~34重量%のNCO含有量を有するプレポリマー、例えばポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオール及びジフェニルメタンジイソシアネートを基礎とするものが挙げられる。
【0020】
或る特定の実施態様において、ポリイソシアネートは、ポリウレタンを架橋させる能力のため、1分子当たり1.8個~3.5個、例えば2.0個~3.1個のイソシアネート部の平均官能価及び25重量%~32重量%のNCO含有量を有するメチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネート及び/又はメチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートのプレポリマーを含む。
【0021】
先に示されるように、本明細書に記載されるポリオールブレンドは糖開始ポリエーテルポリオールを含む。本明細書において使用される場合に、「糖開始ポリエーテルポリオール」は、少なくとも1種のアルキレンオキシドと1種以上の糖開始剤を含む1種以上の適切な出発化合物とを適切な触媒の存在下で反応させることによって作製されるポリエーテルポリオールを指す。適切なアルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びエピクロロヒドリン、並びにそれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。適切な糖開始剤の幾つかの例は、スクロース、ソルビトール、及びマルチトール、並びにその他の単糖類、二糖類、三糖類、及び多糖類である。糖開始ポリエーテルポリオールを作製するのに、糖開始剤と組み合わせて他の開始剤化合物がしばしば使用される。糖類を、例えば、水、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エタノールアミン、及びジエチレングリコール等の化合物、並びにそれらの任意の2種以上の混合物とともに共開始させることができる。理解されるように、広範な様々な個々の開始剤化合物を互いに組み合わせて使用することが可能であり、その際、個々の開始剤化合物の官能価は本明細書に示される官能価の範囲内にないが、但し、開始剤化合物の混合物の平均官能価は、本明細書に開示される官能価の範囲全体を満たしている。
【0022】
使用され得る適切な触媒の幾つかの例としては、塩基性触媒(例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム又はメチルイミダゾール等の第三級アミン)及び二重金属シアン化物(DMC)触媒が挙げられる。
【0023】
幾つかの実施態様において、スクロース等の糖を、最初にエチレンオキシドと反応させ、次にプロピレンオキシドと反応させる。幾つかの場合に、エチレンオキシドは、使用されるアルキレンオキシド全体の10重量%~50重量%、例えば20重量%~40重量%の量で使用され、プロピレンオキシドは、使用されるアルキレンオキシド全体の50重量%~90重量%、例えば60重量%~80重量%の量で使用される。幾つかの実施態様において、使用されるアルキレンオキシドの総量は、生成物が300~1600、例えば440~1000の平均分子量を有するように選択される。
【0024】
幾つかの実施態様において、糖開始ポリエーテルポリオールは、200mgKOH/g~600mgKOH/g、例えば300mgKOH/g~550mgKOH/g、例えば400mgKOH/g~500mgKOH/g、又は幾つかの場合には450mgKOH/g~500mgKOH/gのOH価、及び4~6、例えば5~6、5.2~5.8、又は5.4~5.6の官能価を有する。
【0025】
幾つかの実施態様において、糖開始ポリエーテルポリオールは、ポリオールブレンドの総重量に対して10重量%~45重量%、10重量%~30重量%、例えば15重量%~25重量%の量で利用される。
【0026】
本明細書のポリオールブレンドは、芳香族ポリエステルポリオールを更に含む。適切な芳香族ポリエステルポリオールとしては、例えば、芳香族二酸又は芳香族無水物と適切なグリコール又はトリオールとの反応生成物が挙げられる。例えば、ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,3-ジメチロールシクロヘキサン及び1,4-ジメチロールシクロヘキサン等のグリコール及び/又はトリオール、又はそれらの任意の2種以上の混合物と、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、又は無水フタル酸等の芳香族二酸又は芳香族無水物との反応生成物であり得る。適切な芳香族ポリエステルポリオールの幾つかの例としては、例えば、Stepanpol(商標)PS 3024及びStepanpol PS 2502A等のStepanpolの商品名でStepan Chemicalから入手可能な化合物、又はTerate(商標)HT-5100及びHT-5500等のTerateの商品名でInvistaから入手可能な化合物、又はIsoexter(商標)TB-265等のIsoexterの商品名でCoimから入手可能な化合物が挙げられる。
【0027】
或る特定の実施態様において、芳香族ポリエステルポリオールは、150mgKOH/g~410mgKOH/g、例えば150mgKOH/g~360mgKOH/g、例えば200mgKOH/g~335mgKOH/g、又は幾つかの場合には200mgKOH/g~250mgKOH/gのOH価、及び1.5~3、例えば1.9~2.5の官能価を有する。
【0028】
幾つかの実施態様において、芳香族ポリエステルポリオールは、ポリオールブレンドの総重量に対して50重量%~85重量%、例えば60重量%~80重量%の量で利用される。
【0029】
或る特定の実施態様において、芳香族ポリエステルポリオール及び糖開始ポリエーテルポリオールは、ポリオールブレンド中に、少なくとも2:1、例えば2:1~8:1、又は幾つかの場合には2:1~6:1、又は3:1~4:1の重量比で存在する。
【0030】
本明細書のポリオールブレンドは、ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールを更に含む。本明細書において使用される場合に、「ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオール」は、少なくとも1種のアルキレンオキシドと1種以上のポリアルキレンポリアミンを含む1種以上の適切な出発化合物とを適切な触媒の存在下で反応させることによって作製されるポリエーテルポリオールを指す。適切な触媒としては、塩基性触媒(例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム又はメチルイミダゾール等の第三級アミン)及び二重金属シアン化物(DMC)触媒が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合に、「ポリアルキレンポリアミン」という用語は、2つ以上の二価飽和脂肪族基(例えばエチレン)と、少なくとも2つの第一級アミン基と、少なくとも1つの第二級アミン基又は第三級アミン基とを含む化合物を指す。幾つかの実施態様において、ポリアルキレンポリアミンは、一般式:
【化1】
(式中、各Rは、独立して水素又はC~Cアルキルであり、各nは、独立して0、1、2、3又は4であり、かつyは、少なくとも1の値を有する整数である)のポリアルキレンポリアミンである。適切なポリアルキレンポリアミンの特定の例としては、N-メチルジプロピレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサエチレンヘプタミン、及びそれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。
【0032】
ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールを作製するのに、ポリアルキレンポリアミンとアルキレンオキシドとが反応される。適切なアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びエピクロロヒドリン、並びにそれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。ポリアルキレンポリアミンを、例えば、水、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エタノールアミン、及びジエチレングリコール等の化合物を含む他のアミン官能性又はヒドロキシル官能性の開始剤、並びにそれらの任意の2種以上の混合物とともに共開始させることができる。理解されるように、広範な様々な個々の開始剤化合物を互いに組み合わせて使用することが可能であり、その際、個々の開始剤化合物の官能価は本明細書に示される官能価の範囲内にないが、但し、開始剤化合物の混合物の平均官能価は、本明細書に開示される官能価の範囲全体を満たしている。
【0033】
本明細書に記載されるポリオールブレンドに含めるのに適したポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールを製造する1つの適切な技術は実施例に示されている。
【0034】
幾つかの実施態様において、ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、少なくとも150mgKOH/g、例えば150mgKOH/g~600mgKOH/g、150mgKOH/g~400mgKOH/g、又は幾つかの場合には200mgKOH/g~250mgKOH/gのOH価を有する。幾つかの実施態様において、ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、3~8、例えば3.5~7.5又は4~6の官能価を有する。
【0035】
幾つかの実施態様において、ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、ポリオールブレンドの総重量に対して5重量%~40重量%、例えば5重量%~20重量%、又は5重量%~15重量%の量で利用される。
【0036】
或る特定の実施態様において、芳香族ポリエステルポリオール及びポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、ポリオールブレンド中に、少なくとも2:1、例えば2:1~8:1、又は幾つかの場合には3:1~6:1、又は4:1~5:1の重量比で存在する。或る特定の実施態様において、糖開始ポリエーテルポリオール及びポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、ポリオールブレンド中に、少なくとも0.5:1、例えば0.5:1~4:1、又は幾つかの場合には1:1~2:1、又は1:1~1.5:1の重量比で存在する。
【0037】
必要に応じて、ポリオールブレンドは、連鎖延長剤及び/又は架橋剤等のイソシアネート反応性基を含む追加の化合物、並びに上記されていない他のポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールを含み得る。連鎖延長剤及び/又は架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、及びジエチルトルエンジアミン、並びにそれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールは、例えば、炭素数2~12の有機ジカルボン酸、例えば炭素数4~6の脂肪族ジカルボン酸と、多価アルコール、例えば炭素数2~12のジオール又はトリオールとから作製され得る。ジカルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸である。遊離ジカルボン酸の代わりに、炭素数1~4のアルコールとのエステル化によって作製されるジカルボン酸モノエステル若しくはジカルボン酸ジエステル又はジカルボン酸無水物等の対応するジカルボン酸誘導体を使用することができる。
【0038】
或る特定の実施態様において、ポリオールブレンドは、2~4、例えば2~3若しくは2.5~3.0の加重平均官能価、及び/又は300mgKOH/g~500mgKOH/g、例えば300mgKOH/g~400mgKOH/gの加重平均ヒドロキシル価を有する。
【0039】
或る特定の実施態様において、ポリオールブレンドは、ポリオールブレンド中の糖開始ポリエーテルポリオール及びアルカノールアミン開始ポリエーテルポリオールの総重量に対して20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、又は幾つかの場合には1重量%未満のエチレンオキシドを含む。
【0040】
本明細書の幾つかの実施態様は、上記のタイプのポリオールブレンドを含むイソシアネート反応性組成物に関する。これらのイソシアネート反応性組成物は、発泡剤組成物を更に含み得る。幾つかの実施態様において、発泡剤組成物は、(1)物理的発泡剤と、(2)二酸化炭素発生化学的発泡剤とを含む。
【0041】
或る特定の実施態様において、物理的発泡剤は、ハロゲン化オレフィン(「HFO」)を含む。これらの実施態様の幾つかでは、HFOは、ヒドロクロロフルオロオレフィン(「HCFO」)を含む。好適なHCFOとしては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd、E異性体及び/又はZ異性体)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、HCFO1223、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエテン(E異性体及び/又はZ異性体)、3,3-ジクロロ-3-フルオロプロペン、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン-2(E異性体及び/又はZ異性体)、2-クロロ-1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロブテン-2(E異性体及び/又はZ異性体)が挙げられる。幾つかの実施態様において、HCFOの大気圧での沸点は、少なくとも-25℃、少なくとも-20℃、又は幾つかの場合には少なくとも-19℃で、かつ40℃以下、例えば35℃以下、又は幾つかの場合には33℃以下である。HCFOは、大気圧で、例えば-25℃~40℃、又は-20℃~35℃、又は-19℃~33℃の沸点を有し得る。
【0042】
驚くべきことに、本明細書に記載されるポリオールブレンド中にアルカノールアミン開始ポリエーテルポリオールを含めることによって、使用されるHCFO及び第三級アミン発泡触媒の量を抑えつつも、良好な物理的特性の組合せを有する硬質PUR-PIRフォームの製造が可能となり、それにより、それらのコストへの悪影響が抑えられる一方で、長い貯蔵寿命を有するそのようなフォームの製造において使用されるイソシアネート反応性組成物が提供されることが分かった。
【0043】
幾つかの実施態様において、HFO、例えばHCFOは、イソシアネート反応性組成物の総重量に対して少なくとも10重量%、例えば10重量%~30重量%、又は10重量%~20重量%の量で利用される。
【0044】
或る特定の実施態様において、イソシアネート反応性組成物は、1種以上の他の物理的発泡剤、例えばCFC、HCFC及び/又はHFC等の他のハロゲン化発泡剤、及び/又はブタン、n-ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン及び/又はイソペンタン(すなわち、2-メチルブタン)等の炭化水素発泡剤を含む。他の実施形態において、イソシアネート反応性組成物は、かかる他の物理的発泡剤(例えばCFC、HCFC及び/又はHFC等の他のハロゲン化発泡剤、及び/又はブタン、n-ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン及び/又はイソペンタン等の炭化水素発泡剤)を実質的に又は幾つかの場合には完全に含まない。本明細書において使用される場合に、これらの発泡剤に関して使用される場合の「実質的に含まない」という用語は、発泡剤が、存在するにしても発泡剤組成物の総重量に対して10重量%未満、例えば1重量%未満の量で存在することを意味する。
【0045】
幾つかの実施態様において、上記のように、イソシアネート反応性組成物は、水及び/又はギ酸ブロックアミン(formate-blocked amines)等の二酸化炭素発生化学的発泡剤を含む。これらの実施態様の幾つかにおいて、水等の二酸化炭素発生化学的発泡剤は、イソシアネート反応性組成物の総重量に対して0.5重量%~5.0重量%、例えば1重量%~4重量%、又は1.0重量%~3.0重量%、又は2.0重量%~3.0重量%の量で利用される。
【0046】
或る特定の実施態様において、発泡剤組成物は、HCFOと、水等の二酸化炭素発生化学的発泡剤とを含み、HCFO及び二酸化炭素発生化学的発泡剤は、発泡剤組成物の総重量に対して少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、又は幾つかの場合には少なくとも99重量%の量で存在する。或る特定の実施態様において、HCFO及び二酸化炭素発生化学的発泡剤は、少なくとも2:1、例えば少なくとも4:1、例えば4:1~10:1又は4:1~6:1の重量比で発泡剤組成物中に存在する。
【0047】
必要に応じて、発泡剤組成物は、他の物理的発泡剤、例えば(a)ペンタフルオロプロパン、テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、テトラフルオロブテン、ペンタフルオロブテン、ヘキサフルオロブテン、ヘプタフルオロブテン、ヘプタフルオロペンテン、オクタフルオロペンテン、及びノナフルオロペンテン等の他のHFO、(b)ヒドロフルオロカーボン、(c)ペンタン異性体及びブタン異性体のいずれか等の炭化水素、(d)ヒドロフルオロエーテル(HFE)、(e)C~Cアルコール、C~Cアルデヒド、C~Cケトン、C~Cエーテル及びジエーテル並びに二酸化炭素を含み得る。そのような発泡剤の特定の例は、米国特許出願公開第2014/0371338号の[0051]及び[0053]に記載されており、その引用部分は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0048】
幾つかの実施態様において、イソシアネート反応性組成物はまた、界面活性剤を含む。有機ケイ素化合物、例えばポリシロキサン-ポリアルキレン-ブロックコポリマー、例えばポリエーテル変性ポリシロキサンを含むあらゆる適切な界面活性剤を使用することができる。他の有用な界面活性剤としては、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル又はアルキルアリールスルホン酸の第三級アミン塩又はアルカノールアミン塩が挙げられる。そのような界面活性剤は、発泡反応混合物を崩壊及び大きくて不均一な気泡の形成から安定化するのに十分な量で使用される。幾つかの実施態様において、界面活性剤は、イソシアネート反応性組成物の総重量に対して0.2重量%~5.0重量%、例えば1重量%~3重量%の量で利用される。
【0049】
幾つかの実施態様において、イソシアネート反応性組成物は、触媒組成物も含む。幾つかの実施態様において、触媒組成物は、第三級アミンを含む。理解されるように、第三級アミン触媒は、水-ポリイソシアネート発泡反応に対してより大きな効果を有することから、「発泡触媒」として知られている。幾つかの実施態様において、第三級アミン触媒は、モルホリン及び/又はイミダゾールを含む。適切なモルホリン触媒としては、例えば、ジモルホリノジエチルエーテル、ジモルホリノジメチルエーテル、N-エチルモルホリン、及びN-メチルモルホリンが挙げられる。適切なイミダゾール触媒としては、例えば、イミダゾール、n-メチルイミダゾール、及び1,2-ジメチルイミダゾールが挙げられる。
【0050】
しかしながら、本明細書のイソシアネート反応性組成物の幾つかの実施態様において、第三級アミン触媒は比較的少量で使用され得るが、依然として水-ポリイソシアネート発泡反応の所望のレベルの反応性が達成される。例えば、幾つかの実施態様において、モルホリン及び/又はイミダゾール等の第三級アミン触媒は、イソシアネート反応性組成物の総重量に対して2重量%未満、例えば0.1重量%~1.9重量%、又は0.5重量%~1.5重量%の量で存在する。
【0051】
さらに、幾つかの実施態様において、イソシアネート反応性組成物は、ポリオールとポリイソシアネートとの間の反応を触媒する有機金属触媒(例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、オクタン酸カリウム、酢酸カリウム、及び乳酸カリウム)等のゲル化触媒を実質的に又は幾つかの場合には完全に含まない場合がある。本明細書において使用される場合に、触媒の不存在に関して使用される場合の「実質的に含まない」という用語は、触媒が、イソシアネート反応性組成物の総重量に対して0.1重量%以下の量で存在することを意味する。
【0052】
或る特定の実施態様において、イソシアネート反応性組成物は、アミン触媒ではない三量体化触媒を更に含む。理解されるように、三量体化触媒は、ポリイソシアネートからのイソシアヌレート基の形成を触媒する材料である。すなわち、イソシアネートが互いに反応して、イソシアヌレート構造を有する巨大分子(ポリイソシアヌレート)を形成することができる。ウレタンを形成するイソシアネートとポリオールとの反応、及びイソシアヌレートを形成するイソシアネートとイソシアネートとの反応(単独重合)を同時に又は交互に行うことで、ウレタン及びイソシアヌレートを有する巨大分子を形成することができる。
【0053】
様々な三量体化触媒が適切であり得る。しかしながら、幾つかの実施態様において、三量体化触媒は、第四級アンモニウムカルボキシレート等の第四級アンモニウム塩を含む。有用な第四級アンモニウムカルボキシレートとしては、例えば、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム2-エチルヘキサノエート(Evonik Industries製のDabco(商標)TMR)及び(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムホルメート(Evonik Industries製のDabco(商標)TMR-2)が挙げられる。幾つかの実施態様において、三量体化触媒は、イソシアネート反応性組成物中に、イソシアネート反応性組成物の総重量に対して0.25重量%~3.0重量%、例えば0.25重量%~1重量%の量で存在する。
【0054】
本明細書のイソシアネート反応性組成物中に任意に含まれ得る追加の材料としては、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、及び安定剤が挙げられる。イソシアネート反応性組成物において有用な例示的な難燃剤としては、限定されるものではないが、ポリウレタン化学で使用されることが知られている反応性臭素系化合物、並びに限定されるものではないが、トリ(2-クロロエチル)ホスフェート(TECP)、トリ(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリ(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)及びジメチルプロピルホスフェート(DMPP)を含む塩素化リン酸エステルが挙げられる。
【0055】
本明細書はまた、硬質ポリウレタン-ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関する。このような方法では、有機イソシアネートと上記の種類のイソシアネート反応性組成物とが反応される。幾つかの実施態様において、イソシアネート官能性成分及びイソシアネート反応性組成物は、90~150、例えば120~150のイソシアネート指数で混合される。
【0056】
或る特定の実施態様において、イソシアネート反応性組成物のポリオールブレンドと有機ポリイソシアネートとが発泡剤組成物、触媒組成物、界面活性剤、及び任意の他の成分の存在下で反応される。硬質フォームは、イソシアネート反応性組成物の全ての成分を相安定混合物中で一緒にブレンドした後に、これを適切な比率で有機ポリイソシアネートと混合することによって作製され得る。代替的には、界面活性剤等の1種以上の成分を有機ポリイソシアネートと合わせた後に、それをイソシアネート反応性成分と混合することができる。他の可能な実施態様は、イソシアネート反応性成分及び有機ポリイソシアネートと一緒に、別個の流れとして1種以上の成分を添加することを含むこととなる。本明細書において使用される場合に、相安定という用語は、イソシアネート反応性組成物が約70゜F(すなわち21℃)で7日間貯蔵したときに分離しないことを意味する。
【0057】
多くの発泡機は、2種の成分のみを適切な比率で調整して混合するように設計されている。これらの発泡機を使用するために、ポリイソシアネートを除く全ての成分のプレミックスが有利に使用され得る。二成分法(成分A:ポリイソシアネート並びに成分B:典型的にはポリオールブレンド、発泡剤、水、触媒、及び界面活性剤を含むイソシアネート反応性組成物)によれば、これらの成分は、適切な比率で5℃~50℃、例えば15℃~35℃の温度で混合され、20℃~70℃、例えば35℃~60℃の範囲内に制御された温度を有する型内に射出又は注入され得る。その後に、混合物は膨張して、硬質ポリウレタンフォームが空洞を満たす。これはポリウレタンフォーム形成混合物を形成する反応成分の計量及び混合を単純化するが、イソシアネート反応性組成物が相安定である必要がある。
【0058】
代替的には、硬質ポリウレタンフォームはまた、いわゆる「擬プレポリマー」法によって作製され得る。この方法では、ポリオール成分の一部とポリイソシアネート成分とが、ウレタン形成触媒の不存在下で、反応生成物中にプレポリマーに対して10%~35%の遊離イソシアネート基がもたらされるような割合にて反応される。フォームを作製するために、ポリオールの残りの部分を添加し、これらの成分を発泡剤並びに触媒、界面活性剤及び水等の他の適切な添加剤の存在下で一緒に反応させる。他の添加剤をイソシアネートプレポリマー若しくは残りのポリオールのいずれか又はその両方に添加した後に、これらの成分を混合し、それにより反応の終わりに硬質ポリウレタンフォームが得られる。
【0059】
さらに、硬質ポリウレタンフォームは、任意のよく知られた発泡装置を使用するワンショット法又は擬プレポリマー法によって回分法又は連続法で作製され得る。硬質ポリウレタンフォームは、スラブ材、成形物、キャビティ充填物、吹き付けフォーム、気泡フォーム(frothed foam)、又は表面材基材としてハードボード、石膏ボード、プラスチック、紙若しくは金属等の他の材料を有するラミネートの形で製造され得る。
【0060】
独立気泡断熱フォームの場合は、発泡剤を気泡中に保持して、断熱材料、すなわち硬質ポリウレタンフォームの低い熱伝導率を維持することが目的である。したがって、フォーム中の高い独立気泡含有量が望まれる。本明細書の実施態様に従って製造されたフォームは、ASTM D6226-15に従って測定される80%超、典型的には85%超、又は88%超の独立気泡含有量を有する。さらに、本明細書の様々な実施態様に従って製造されたフォームの熱伝導率は、フォームが許容可能な断熱特性を有すること、すなわち、フォームが、ASTM C518-15に従って測定されて2インチの厚さのパネルのコアからのフォームついて35゜F(2℃)で測定された0.126BTU・in/h・ft・゜F未満の熱伝導率及び75゜F(24℃)で測定された0.142BTU・in/h・ft・゜F未満の熱伝導率を有することを示している。
【0061】
本明細書はまた、断熱のための本明細書に記載される硬質ポリウレタンフォームの使用に関する。すなわち、本明細書の硬質ポリウレタンフォームは、冷蔵装置での断熱材料として使用され得る。それというのも、本明細書に記載される良好な断熱性及び他の特性の組合せがこの場合に特に適切であるからである。本明細書による硬質フォームは、例えば、複合要素における中間層として、又は冷蔵庫及び冷凍庫又は冷蔵トレーラーの中空空間を充填するために使用され得る。本発明によるフォームはまた、建設産業において又は長距離加熱配管及びコンテナの断熱のために使用され得る。
【0062】
したがって、本明細書はまた、1つ以上の表面材基材の間に挟み込まれた本明細書に開示される硬質ポリウレタンフォームを含む複合物品を提供する。或る特定の実施態様において、表面材基材は、プラスチック(例えば、連続的双方向ガラス繊維で強化されたポリプロピレン樹脂又は繊維ガラス強化ポリエステルコポリマー)、紙、木材、又は金属であり得る。例えば、或る特定の実施態様において、複合物品は、外部の金属外板と内部のプラスチックライナーとを備えた冷蔵庫、冷凍庫、又は冷却器等の冷蔵装置であり得る。或る特定の実施態様において、冷蔵装置はトレーラーであり得て、複合物品は本明細書に従って製造されたポリウレタンフォームをトレーラー床用のサンドイッチ複合材に含み得る。
【0063】
驚くべきことに、本明細書に記載される特定のイソシアネート反応性組成物は、不連続なパネル又はガレージドア等のドアの製造にしばしば使用されるような断続的な開放式の注入用途で使用するのに適し得ることが判明した。理解されるように、そのような断続的な方法では、反応混合物(イソシアネート反応性成分とイソシアネート官能性成分との混合物)が所望の部品の型のキャビティに注入され、その型内でキャビティは、金属シート、パーティクルボード、石膏ボード、ファイバーセメント、又はプラスチックであり得る表面材で裏張りされている。フォームは、反応して硬化するときに表面材に接着する。次いで、得られる表面材付きのパネルをキャビティから取り外す。このような方法で効果的に使用するには、反応混合物は、発泡反応性とゲル化反応性との理想的なバランスに由来する適正なレベルの(混合物の適切な流れを可能にするのに十分な)反応性を示さなければならない。さらに、離型性能における任意の潜在的な改善に加えて、製造機器により与えられる制限のため、このプロセスにはより低い発泡圧力がしばしば望まれる。結果として、本明細書の或る特定の実施態様は、このような方法における本明細書に記載される反応混合物の使用に関する。
【0064】
本明細書に記載されるイソシアネート反応性成分、及び該イソシアネート反応性成分から製造される硬質フォームは、特に望ましい特性組合せを示し得ることが分かった。第一に、硬質フォームは、1.8lb/ft~2.0lb/ft(28.8kg/m~32.0kg/m)のコアのフォーム密度でASTM C518-15に従って測定されて、75゜F(24℃)で測定された0.149BTU・in/h・ft・゜F未満の熱伝導率を有し得る。第二に、そのような硬質フォームによって引き起こされる発泡圧力は、同様の硬質フォーム系と比較して36%も減少した。第三に、本明細書に記載されるイソシアネート反応性成分によって製造される硬質フォームは、流動特性の改善をもたらすことが判明した。
【0065】
以下の非限定的かつ非網羅的な実施例は、様々な非限定的かつ非網羅的な実施態様を更に説明することを意図しており、本明細書に記載される実施態様の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0066】
フォーム形成組成物を、表1に示される成分及び量(重量部)を使用して作製した。以下の材料を使用した:
【0067】
ポリオール1:InvistaからTerate(商標)HT 5500として市販されている、225mgKOH/g~245mgKOH/gのOH価及び2の官能価を有する芳香族ポリエステルポリオール
ポリオール2:スクロースと水との混合物をプロポキシル化することによって作製された、約470mgKOH/gのOH価及び約5.2の官能価を有するスクロース開始ポリエーテルポリオール
ポリオール3:ポリオール3は、表1に列記されている成分及び量を使用して作製された。ポリエーテルポリオール組成物を作製するために、20kgの反応器に周囲温度でトリエチレンテトラミン(「TETA」)を入れた。反応器の温度を107℃に上げ、TETA内に僅かな窒素スパージを行いながら真空蒸留を使用してTETAを脱水した。次いで、反応器を真空下で107℃にて密閉し、所望の第1の量のプロピレンオキシド(「PO1」)を、反応圧力を5psig未満に維持するのに十分な速度で反応器に投入した。所望の量のPO1を供給したら、あらゆる未反応のPOを完全に反応させるのに十分な時間にわたって反応器を107℃で保持した。次いで、反応器を80℃に冷却し、所望の量の水性水酸化カリウム(「KOH」)を添加した。反応器の温度を107℃に上げ、触媒された混合物内に僅かな窒素スパージを行いながら真空蒸留を使用して該混合物を脱水した。次いで、反応器を真空下で107℃にて密閉し、所望の第2の量のPO(「PO2」)を、反応圧力を20psig未満に維持するのに十分な速度で反応器に投入した。所望の量のPO2を供給したら、あらゆる未反応のPOを完全に反応させるのに十分な時間にわたって反応器を107℃で保持した。適切な有機酸で中和することによってKOHを除去し、得られた塩を最終的なポリオールから濾過した。600ppmのIrganox(商標)1076を防止剤として添加した後に、最終的なポリオールを収集した。
【0068】
【0069】
ポリオール4:エチレンジアミンをプロポキシル化することにより作製された、600~660のOH価、4の官能価、及び7.8重量%の窒素含有量を有するエチレンジアミン開始ポリエーテルポリオール
ポリオール5:トリエタノールアミンをプロポキシル化することにより作製された、140~160のOH価、3の官能基、及び1.3重量%の窒素含有量を有するトリエタノールアミン開始ポリエーテルポリオール
ポリオール6:モノエタノールアミンをプロポキシル化することにより作製された、685~715のOH価、3の官能価、及び5.8重量%の窒素含有量を有するモノエタノールアミン開始ポリエーテルポリオール
界面活性剤:Evonik IndustriesからTegostab(商標)B 8465の商品名で市販されている、非加水分解性ポリエーテルポリジメチルシロキサンコポリマー
触媒A:Evonik IndustriesからDabco(商標)TMR-2として市販されている、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムホルメート
触媒B:2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(HuntsmanのJEFFCAT(商標)DMDEE)
難燃剤A:Albemarle CorporationからSaytex(商標)RB-79として市販されている、テトラブロモフタル酸無水物の反応性含臭素ジエステル/エーテルジオール
難燃剤B:ICL Industrial ProductsからFyrol(商標)PCFとして市販されている、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェートを基礎とするアルキルホスフェート難燃剤
HCFO 1233zd(E):Honeywell International Inc.からSolstice(商標)LBAとして市販されている、19℃の沸点を有するヒドロクロロフルオロオレフィン発泡剤であるtrans-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロプロペン
イソシアネート:30.0%~31.4%のNCO含有量及び25℃で610センチポアズから790センチポアズの粘度を有する高官能性ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)
【0070】
それぞれの場合に、ポリオール、触媒、界面活性剤、水、及び発泡剤を表2に示される量で混合することによって、マスターバッチを作製した。マスターバッチを表2に示される量のイソシアネートと混合し、その混合物を83オンスの紙コップに注入することによって、フォームを作製した。クリームタイム、ゲルタイム、タックフリータイム、及びフリーライズ密度(「FRD」)を記録した。結果を表3に示す(報告された結果は、3回の反復実験の平均結果を表している)。米国特許第10,106,641号(第12欄、第22行~第61行、その引用部分は、引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されるように流動を評価し、結果を表4に示す。さらに、圧力トランスデューサーを、突き出ているシート金属ベースの縁部の10cm上方に配置し、これによりプロセスの間の発泡圧力を記録した。ライズレートを、フォーム高さのデータから時間の関数として導き出した。発泡圧力のプロファイルを図1に示す。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
ポリオール3(配合物1)は、追加の発泡触媒を使用せずに、ポリオール4~ポリオール6(配合物2~配合物4)よりも素早いクリームタイム(表2)をもたらしたが、(この実施例で「コントロール」として使用される)配合物4よりも僅かに素早いゲルタイムしか有しなかった。ゲルタイムのバランスをとることは、必要な難燃性を実現するために或る特定の量の三量体化触媒を組み込む必要があるため複雑になり、したがって、ポリオール3が、ゲルタイムへの影響を最小限に抑えながら発泡反応性を改善する能力は極めて有用である。流動データでも再び同様の傾向が観察され、ポリオール3は最高のライズレートに加えて、最高レベルの流動(最終高さ)を与えた(表3)。このデータは、ポリオール3が発泡反応及びゲル化反応の両方に対して触媒活性をもたらすが、該ポリオールは発泡反応の方に大きく偏っていることを示しているため、これは特に興味深いことである。予想外にも、ポリオール3はまた、同様の反応性及び流動特性をもたらすポリオール4(配合物2)よりも大幅な発泡圧力の低下(36%低い)をもたらした。さらに、ポリオール3は、より遅い圧力上昇(図1を参照)及び発泡過程が完了した後の僅かに素早い圧力低下を生ずることも判明した。ポリオール5(配合物3)の発泡圧力はより低かったが、これは、ポリオール5によってもたらされる許容することができないゲルタイムの大幅な増加に起因する結果であることに留意すべきである。したがって、ポリオール3によってもたらされる流動特性の改善及び予想外の発泡圧力により、利用者は、発泡圧力の影響を最小限に抑えつつも、フォームの流動プロファイルを最適化することが可能となる。
【0075】
本発明は、例示の目的で前述に詳細に記載されてきたが、かかる詳細は、その目的のためだけであり、それが特許請求の範囲によって制限され得る場合を除いて、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって変更が加えられ得ることを理解されたい。
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)200mgKOH/g~600mgKOH/gのOH価及び4~6の官能価を有する糖開始ポリエーテルポリオールと、
(b)150mgKOH/g~410mgKOH/gのOH価及び1.5~3の官能価を有する芳香族ポリエステルポリオールと、
(c)3~8の官能価及び少なくとも150mgKOH/gのOH価を有するポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールと、
を含む、ポリオールブレンド。
【請求項2】
前記糖開始ポリエーテルポリオールは、前記ポリオールブレンドの総重量に対して10重量%~45重量%、10重量%~30重量%、又は15重量%~25重量%の量で存在する、請求項1に記載のポリオールブレンド。
【請求項3】
前記芳香族ポリエステルポリオールは、前記ポリオールブレンドの総重量に対して50重量%~85重量%又は60重量%~80重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載のポリオールブレンド。
【請求項4】
前記芳香族ポリエステルポリオール及び前記糖開始ポリエーテルポリオールは、前記ポリオールブレンド中に、2:1~8:1、2:1~6:1、又は3:1~4:1の重量比で存在する、請求項1~のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項5】
前記ポリアルキレンポリアミンは、一般式:
【化1】
(式中、各Rは、独立して水素又はC~Cアルキルであり、かつ各nは、独立して0、1、2、3又は4であり、かつyは、少なくとも1の値を有する整数である)のポリアルキレンポリアミンである、請求項1~のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項6】
前記ポリアルキレンポリアミンは、トリエチレンテトラミンを含む、請求項1~のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項7】
前記ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、150mgKOH/g~600mgKOH/g、150mgKOH/g~400mgKOH/g、又は200mgKOH/g~250mgKOH/gのOH価を有し、3.5~7.5又は4~6の官能価を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項8】
前記ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、前記ポリオールブレンドの総重量に対して5重量%~40重量%、5重量%~20重量%、又は5重量%~15重量%の量で存在する、請求項1~のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項9】
前記芳香族ポリエステルポリオール及び前記ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、少なくとも2:1、2:1~8:1、3:1~6:1、又は4:1~5:1の重量比で前記ポリオールブレンド中に存在し、かつ前記糖開始ポリエーテルポリオール及び前記ポリアルキレンポリアミン開始ポリエーテルポリオールは、少なくとも0.5:1、0.5:1~4:1、1:1~2:1、又は1:1~1.5の重量比で前記ポリオールブレンド中に存在する、請求項1~のいずれか一項に記載のポリオールブレンド。
【請求項10】
(1)請求項1~のいずれか一項に記載のポリオールブレンドと、(2)発泡剤組成物とを含む、イソシアネート反応性組成物。
【請求項11】
前記発泡剤組成物は、(i)物理的発泡剤と、(ii)二酸化炭素発生化学的発泡剤とを含む、請求項10に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項12】
前記物理的発泡剤は、ヒドロクロロフルオロオレフィン(「HCFO」)を含む、請求項11に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項13】
前記HCFOは、前記イソシアネート反応性組成物の総重量に対して少なくとも10重量%、10重量%~30重量%、又は10重量%~20重量%の量で存在し、前記二酸化炭素発生化学的発泡剤は、前記イソシアネート反応性組成物の総重量に対して1重量%~4重量%の量で存在する、請求項12に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項14】
第三級アミンを含む触媒組成物を更に含む、請求項10~13のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物。
【請求項15】
硬質フォームを製造する方法であって、有機イソシアネートと請求項10~14のいずれか一項に記載のイソシアネート反応性組成物とを90~150又は120~150のイソシアネート指数で混合して、反応混合物を形成することを含む、方法。
【国際調査報告】