(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】荷電粒子装置用のビームスプリッタ
(51)【国際特許分類】
H01J 37/09 20060101AFI20220420BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20220420BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20220420BHJP
H01J 37/153 20060101ALI20220420BHJP
H01J 37/10 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
H01J37/09 A
H01J37/28 B
H01J37/147 B
H01J37/153 B
H01J37/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552922
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2020056689
(87)【国際公開番号】W WO2020187696
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501493587
【氏名又は名称】アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィンクラー ディーター
(72)【発明者】
【氏名】クック ベンジャミン ジョン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101EE03
5C101EE08
5C101EE19
5C101EE22
5C101EE33
5C101EE67
(57)【要約】
荷電粒子源から複数の荷電粒子ビームレットを生成するためのビームスプリッタが開示される。ビームスプリッタは、それぞれが光軸に沿ってビームレットを通過させる複数のビームレット偏向器を含む。各ビームレット偏向器は、低次素子および対応する高次素子を含む。各低次素子は、対応する各高次素子よりも少ない電極を有し、各低次素子は、複数の低次素子のうちの1つであり、対応する各高次素子は、複数の高次素子のうちの1つである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源から複数の荷電粒子ビームレットを生成するためのビームスプリッタであって、
それぞれが光軸に沿ってビームレットを通過させる複数のビームレット偏向器であり、第1のビームレットを通過させるための第1の偏向器および第2のビームレットを通過させるための第2の偏向器を含む、複数のビームレット偏向器を備え、
各ビームレット偏向器が、低次素子および対応する高次素子を含み、
各低次素子が、対応する各高次素子よりも少ない電極を有し、各低次素子が複数の低次素子のうちの1つであり、対応する各高次素子が複数の高次素子のうちの1つである、
ビームスプリッタ。
【請求項2】
各低次素子が高電圧素子であり、対応する各高次素子が低電圧素子である、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項3】
前記複数の低次素子が基板上に配置され、前記基板が、前記光軸に垂直な平面内に、各ビームレット偏向器の中心と整列した複数の開孔を有し、
前記複数の高次素子が、対応する基板上または前記基板の反対側に配置されている、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項4】
各低次素子が、対応する各高次素子の対応する開孔に整列した開孔を有する、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項5】
各低次素子および各高次素子が静電素子である、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項6】
前記第1の偏向器が第1の高次偏向器素子と整列した第1の低次素子を含み、
前記第2の偏向器が第2の高次素子と整列した第2の低次素子を含む、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項7】
各低次素子がそれぞれのビームレットに大きな偏向を加えるように構成され、
各高次素子がそれぞれのビームレットの収差を補正するように構成されている、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項8】
各低次素子が双極子素子であり、
各高次素子が双極子よりも大きい多極子を生成するように構成されている、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項9】
各低次素子にそれぞれ接続された複数の高電圧導電線と、
各高次素子にそれぞれ接続された複数の低電圧導電線と、
をさらに備える、請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項10】
前記高電圧導電線が前記低電圧導電線よりも大きな断面を有する、
請求項9に記載のビームスプリッタ。
【請求項11】
前記光軸に垂直な平面内の各ビームレット偏向器の設置面積が4mm
2未満である、
請求項10に記載のビームスプリッタ。
【請求項12】
各低次素子が、対応する各高次素子よりも前記光軸に沿って長い、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項13】
前記光軸に沿って各低次素子の長さが100μm超であり、
対応する各高次素子の前記長さが200μm未満である、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項14】
前記光軸に垂直な方向の前記ビームレット偏向器間の中心-中心間隔が2mm未満である、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項15】
各低次素子が双極子素子であり、各低次素子の前記電極のうちの1つが接地されており、前記電極が間に前記開孔を挟んで互いに向かい合い、または
前記低次素子が間に開孔を挟んで互いに向かい合う2つの接地電極を含む、4つの電極を有する、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項16】
各低次電極が一対の双極子電極のうちの一方であり、高次収差を最小限に抑えるために成形されている、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項17】
前記荷電粒子源に面する前記ビームスプリッタの側面にコーティングされた金属膜
をさらに含む、請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項18】
各ビームレット偏向器が、
複数の第3の偏向素子をさらに備え、
各高次素子が八極子である、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項19】
前記ビームスプリッタがシリコンまたはSOIの単一の基板から形成され、各低次素子および対応する各高次素子が前記基板を貫通する対応する開孔を共有する、
請求項3に記載のビームスプリッタ。
【請求項20】
複数の荷電粒子ビームレットを用いてサンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子源と、それに続く
請求項1に記載のコリメートレンズおよびビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタによって生成された前記ビームレットを偏向させるための偏向器であり、前記ビームレットを第2のビームスプリッタ、スキャナ、および対物レンズをこの順に通るように導く、偏向器と、を備え、
前記対物レンズが、
前記荷電粒子ビーム装置の可動ステージ上に配置されたサンプルに前記ビームレットを集束させ、
信号荷電粒子を収集するように構成され、
前記第2のビームスプリッタが、前記収集された信号荷電粒子を検出器に導く、
荷電粒子ビーム装置であり、
前記スキャナ、偏向器、検出器、およびビームスプリッタに通信可能に結合されたコントローラをさらに備える、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項21】
複数の荷電粒子ビームレットを生成する方法であって、
請求項1に記載のビームスプリッタに荷電粒子の単一ビームを導くステップと、
低次素子を用いて前記荷電粒子に低次電場を印加して前記荷電粒子を偏向させるステップと、
高次素子を用いて前記荷電粒子に高次電場を印加して収差を補正するステップと、
前記荷電粒子が各ビームレット偏向器の中心と整列した複数の開孔を通過するときに、複数の荷電粒子ビームレットを生成するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、例えばパターン欠陥を検出するために、ウエハまたは他の基板などの試料を検査するように構成された走査型電子顕微鏡などの荷電粒子ビーム装置に関する。本明細書に記載の実施形態は、特に、検査システム用途、試験システム用途、欠陥レビューまたは限界寸法測定用途、表面イメージング用途などのための、複数の荷電粒子ビーム、例えば、複数の電子ビームレットを利用するように構成された荷電粒子ビーム装置に関する。実施形態は、さらに、複数のビームレットを生成するためのビームスプリッタに関する。
【背景技術】
【0002】
特にエレクトロニクス業界では、ナノメートル、さらにはサブナノメートルスケールでの試料の構造化およびプロービングに対する需要が高い。マイクロメートルおよびナノメートルスケールのプロセス制御、検査、または構造化は、しばしば、電子顕微鏡などの荷電粒子ビーム装置において生成、成形、偏向、集束された荷電粒子ビーム、例えば、電子ビームを用いて行われる。電子の波長は、光ビームの波長よりも大幅に短くすることができるため、検査目的の場合、荷電粒子ビームは、多くの光学的方法と比較して高い空間分解能を提供する。
【0003】
走査型電子顕微鏡(SEM)などの、荷電粒子ビームを用いた検査装置は、電子回路の検査、リソグラフィ用の露光システム、検出装置、欠陥検査ツール、および集積回路用の試験システムを含むがこれらに限定されない産業分野において多くの機能を有する。荷電粒子ビームシステムでは、高い電流密度を有する微細なプローブを使用することができる。
【0004】
荷電粒子装置において複数のビーム(本明細書ではビームレットと呼ばれる)を使用して、例えば、集積回路などの大規模なサンプル検査のスループットを向上させることができるのは魅力的である。ビームレットの生成、誘導、走査、偏向、成形、補正、および/または集束は、特にサンプル構造をナノスケールの分解能で、高スループットで迅速に走査および検査する場合は、技術的に困難な場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、荷電粒子源から複数の荷電粒子ビームレットを生成するためのビームスプリッタが開示される。ビームスプリッタは、それぞれがビームレットを通過させる複数のビームレット偏向器を含む。第1のビームレットを通過させるための第1の偏向器と、第2のビームレットを通過させるための第2の偏向器とが存在する。各ビームレット偏向器は、低次素子および対応する高次素子を含む。各低次素子は、対応する各高次素子よりも少ない電極を有する。各低次素子は、複数の低次素子のうちの1つである。対応する各高次素子は、複数の高次素子のうちの1つである。
【0006】
本明細書では、荷電粒子源から荷電粒子ビームレットを生成するビームスプリッタを含む荷電粒子ビーム装置が開示される。ビームスプリッタは、それぞれがビームレットを通過させる複数のビームレット偏向器を含む。第1のビームレットを通過させるための第1の偏向器と、第2のビームレットを通過させるための第2の偏向器とが存在する。各ビームレット偏向器は、低次素子および対応する高次素子を含む。各低次素子は、対応する各高次素子よりも少ない電極を有する。各低次素子は、複数の低次素子のうちの1つである。対応する各高次素子は、複数の高次素子のうちの1つである。荷電粒子ビーム装置は、複数の荷電粒子ビームレットを用いてサンプルを検査するように構成されている。本装置は、荷電粒子源と、それに続くコリメートレンズと、上記のビームスプリッタと、を含む。本装置はまた、ビームスプリッタによって生成されたビームレットを偏向させるための偏向器であって、ビームレットを第2のビームスプリッタ、スキャナ、および対物レンズをこの順に通るように導く、偏向器を含む。対物レンズは、荷電粒子ビーム装置の可動ステージ上に配置されたサンプルにビームレットを集束させ、信号荷電粒子を収集するように構成されている。第2のビームスプリッタは、収集された信号荷電粒子を検出器に導く。荷電粒子ビーム装置は、スキャナ、偏向器、検出器、およびビームスプリッタに通信可能に結合されたコントローラをさらに含む。
【0007】
本明細書では、複数の荷電粒子ビームレットを生成する方法が開示される。本方法は、ビームスプリッタを通して荷電粒子の単一ビームを導くことを含む。ビームスプリッタは、それぞれがビームレットを通過させる複数のビームレット偏向器を含む。第1のビームレットを通過させるための第1の偏向器と、第2のビームレットを通過させるための第2の偏向器とが存在する。各ビームレット偏向器は、低次素子および対応する高次素子を含む。各低次素子は、対応する各高次素子よりも少ない電極を有する。各低次素子は、複数の低次素子のうちの1つである。対応する各高次素子は、複数の高次素子のうちの1つである。低次静電素子を用いて、荷電粒子に低次電場を印加し、これにより荷電粒子を偏向させる。高次静電素子を用いて荷電粒子に高次電場を印加して、収差を補正する。荷電粒子が各ビームレット偏向器の中心と整列した開孔を通過するときに、荷電粒子ビームレットが生成される。
【0008】
上述の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上で簡単に要約されたより具体的な説明を得ることができる。添付の図面は、実施形態に関し、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に記載の実施形態による荷電粒子ビーム装置を示す図である。
【
図2】本明細書に記載の実施形態によるビームスプリッタを示す図である。
【
図3】本明細書に記載の実施形態によるビームスプリッタを示す図である。
【
図4】本明細書に記載の実施形態によるビームスプリッタを示す図である。
【
図5】本明細書に記載の実施形態によるビームスプリッタを示す図である。
【
図6】本明細書に記載の実施形態による、低次素子および導電線を示す図である。
【
図7】本明細書に記載の実施形態による、低次素子および導電線を示す図である。
【
図8】本明細書に記載の実施形態による、高次素子および導電線を示す図である。
【
図9】本明細書に記載の実施形態による、複数の荷電粒子ビームレットを生成する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、例えば、特にビームまたはビームレットの形態の荷電粒子の形状および/または軌道に影響を与えるために使用されるビーム偏向素子の多極子次数を指すなど、低および高などの相対的な用語が使用される。相対的な用語「高」および「低」の使用は、低次素子が、対応する高次素子よりも低次の多極子を提供するように構成されているという意味で、比較の意味を伝えることが意図されている。これは、低次または高次の素子の電極数に現れることがある。
【0011】
本明細書に開示されるすべての実施形態と組み合わせることができる実施形態では、低次素子は、高次素子よりも少ない電極を有し、その結果、低次素子は、高次素子よりも低次の多極場を生成する。一例として、低次素子は、双極子を生成する一対の電極で作ることができ、高次素子は、八極子を生成する8つの電極で作ることができる。同様に、高い大きさおよび低い大きさという相対的な用語は、比較の意味を伝えることが意図された相対的な用語である。例えば、高い大きさの低次多極子は、低い大きさの高次多極子よりも高い大きさの、少ない多極子を有することができる。
【0012】
本明細書では、「光軸に沿って」という用語は、荷電粒子ビームレットのビーム経路を伝えるためなどに使用される。本用語における「に沿って」の使用は、経路が光軸に実質的に平行であることを伝えることが意図されているが、多少の発散または収束は可能である。ビームレットのそれぞれの経路は、ビームレットが本明細書に開示されるビームスプリッタを通過するとき(またはその直後)などに、荷電粒子装置の光軸から完全に平行であることから逸脱することがある。
【0013】
本明細書では、多極子ビーム偏向器について説明するが、その意図は、双極子ビーム偏向器は、より高い多極子の小さな摂動などが存在することがあるが、双極子場として非常によく説明される電場を生成することを意味する。同様に、四極子は、より高い多極子の小さな摂動などが存在することがあるが、多くとも四極子場によって非常によく説明される電場を生成することができる。本概念をさらに拡張すると、八極子は、多くとも八極子場で非常によく説明される場を生成し、以下同様である。
【0014】
本明細書では、サンプルおよび試料という用語は区別なく使用される。本明細書では、ある基板と別の基板との張り付けは、シリコン系の接着剤などの接着剤の使用によるものであってもよい。本明細書に記載されるように、基板を互いに張り付けることは、基板上のそれぞれの構造物、特に開孔、電極、および/またはビームレット偏向器の素子を整列させるステップを含むことができる。
【0015】
図1は、本明細書に記載の実施形態による荷電粒子ビーム装置を示す。荷電粒子ビーム装置100は、走査型電子顕微鏡であってもよい。荷電粒子ビーム装置100は、荷電粒子源5を含む。コリメートレンズ40は、荷電粒子のビームをビームスプリッタ50に導くことができる。あるいは、コリメートレンズ40は、ビームスプリッタ50のビーム源とは反対側に配置することができる。ビームスプリッタ50は、複数のビームレットを通過させる。
図1では、第1のビームレット10および第2のビームレット20にラベルが付されている。3つ以上のビームレットが存在することができる。ビームレットは、光軸0に沿って伝搬することができる。ビームレットは、アレイ状に配置することができる。
【0016】
光軸を中心とするリングに沿って配置された複数のビームレットが特に企図される。単一の荷電粒子源5から複数のビームレットを形成することは、有利であるが、技術的なハードルが存在する可能性がある。例えば、単一のカラムおよび単一の荷電粒子源を使用する荷電粒子ビーム装置100は、複数のカラムおよび複数の荷電粒子源を使用する場合よりもコンパクトにすることができる。
【0017】
荷電粒子源5は、電子ビームを生成するように構成された電子源であってもよい。あるいは、ビーム源は、イオンビームを生成するように構成されたイオン源であってもよい。一部の実施形態では、ビーム源105は、スループットを向上させるために、冷電界エミッタ(CFE)、ショットキーエミッタ、熱電界エミッタ(TFE)、または別の高電流電子ビーム源のうちの少なくとも1つを含むことができる。高電流とは、100mradで10μA以上、例えば最大5mA、例えば100mradで30μA~100mradで1mAであると考えられる。典型的な実施態様によると、電流は、本質的に均一に、例えば±10%の偏差で分布する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一部の実施形態によると、ビーム源は、約5mrad以上、例えば、50mrad~200mradの放射半角を有することができる。一部の実施形態では、ビーム源は、2nm以上および/または40nm以下の仮想源サイズを有することができる。例えば、ビーム源がショットキーエミッタである場合、ビーム源は、10nm~40nmの仮想源サイズを有することができる。例えば、ビーム源が冷電界エミッタ(CFE)である場合、ビーム源は、2nm~20nmの仮想光源サイズを有することができる。
【0018】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によると、大きなビーム電流を提供することができるTFEまたは別の高輝度低減光源は、最大10μA~100μAを提供するために放出角を増加させたときに、輝度が最大値の20%を超えて低下しない光源である。
【0019】
ビームレット10、20は、光軸0に沿ってカラムを通ってサンプル8に向かって伝搬することができる。ビームレットは、1つまたは複数の偏向器、ビーム補正器、レンズ装置、開孔、ビームベンダ、および/またはビーム分離器などの素子によって操作することができる。
図1は、各ビームレット10、20のビーム経路を偏向させるために使用することができる偏向器6を示す。偏向器6は、各ビームレットの経路を変更して、各ビームレット10、20が異なるビーム源から発生しているように見せることができる。スキャナ12は、イメージングおよび/または信号取得中などに、サンプル8を照射しながら、各ビームレット10、20を走査することができる。ビームレット10、20は、対物レンズ80によってサンプル8に集束することができる。各ビームレット10、20は、アレイを形成するなど、異なるスポットに集束することができる。サンプル8は、ステージ7、例えば、並進可能なステージの移動などによって移動可能とすることができる。多数のビームレットを有することができること、特に多くの高強度ビームレットを有することができることが有利である。
【0020】
対物レンズシステム109は、磁気レンズ部分および静電レンズ部分を含む磁気-静電複合対物レンズを含んでもよい。一部の実施形態では、試料上の荷電粒子のランディングエネルギーを低減するように構成された減速電界型装置が設けられてもよい。例えば、減速電界型電極が試料の上流に配置されてもよい。対物レンズ80はまた、信号電荷粒子を収集し、それらを第2のビームスプリッタ33に導くことができる。第2のビームスプリッタ33は、信号電荷粒子を検出器17の方に導くことができる。信号電荷粒子は、二次電子および/または後方散乱電子であってもよい。
【0021】
コントローラは、ビームスプリッタ50、検出器17、ステージ7、およびスキャナ12などの構成要素に通信可能に結合することができる。コントローラは、静電レンズの電極などのレンズ素子などに電力を供給することができる。
【0022】
検出器17は、測定信号、例えば、検出された信号電子に対応する電子信号を生成するように構成することができる検出器素子を含むことができる。コントローラは、検出器などの装置によって生成されたデータを受信することができる。
【0023】
複数のビームレットの生成および制御に関連付けられた多くの技術的課題がある。本明細書では、荷電粒子源および/または単一の荷電粒子ビームから複数のビームレットを生成するために使用することができるビームスプリッタ50について説明する。ビームスプリッタ50、特に本明細書に記載されているものは、単一片のシリコンまたはSOIウエハ(シリコンオンインシュレータ)などのモノリシック片から作ることができる。ビームスプリッタ50を形成するために、電極、導電線、貫通孔などの様々な構造物を、モノリス、シリコンウエハ、またはSOIウエハなどの基板上および/または基板内に形成することができる。
【0024】
図2は、本明細書に記載の実施形態によるビームスプリッタ50を示す。ビームスプリッタ50は、複数のビームレット偏向器70を含む。各ビームレット偏向器は、ビームレットを通過させる。ビームレット偏向器は、1つの基板上または2つ以上の基板上に配置することができる。単一片のシリコン、および/または絶縁層を内蔵したシリコン、例えば、SOIウエハ(例えば、ケイ素と酸化ケイ素)などの別の市販の構造物を基板とすることができる。SOIは、約100μmのSi層と、それに続く2μmの絶縁酸化物層と、次いで100μmを超えるシリコン層と、を有するウエハとすることができる。ビームスプリッタ50は、同じ基板上にすべてのビームレット偏向器70を有することができる。
【0025】
ビームスプリッタ50は、ビームスプリッタ50の平面、特に少なくとも1つの基板350に対して実質的に垂直になり得る光軸0を有する。
図2は、第1の偏向器1および第2の偏向器2を示すが、3つ以上の偏向器が存在することができる。
【0026】
図3は、本明細書に記載の実施形態によるビームスプリッタ50を示す。複数のビームレット偏向器70(
図2参照)のうちの第1および第2の偏向器1、2が
図3に示されている。各偏向器1、2は、低次素子110、120および高次素子210、220を含む。言い換えれば、第1の偏向器1は、第1の低次素子110および第1の高次素子210を含み、第2の偏向器2は、第2の低次素子120および第2の高次素子220を含む。第1の偏向器1は、第1の高次素子210と整列した第1の低次素子110を含み、第2の偏向器2は、第2の高次素子220と整列した第2の低次素子120を含む。
【0027】
図3および
図4では、複数の低次素子150は、複数の高次素子250とは基板350の反対側の表面上にあるように示されている。あるいは、低次素子および高次素子は、互いに張り付けられた異なる基板上にあってもよい。基板は、低次素子および高次素子が光軸0と平行に整列するように互いに張り付けられてもよい。あるいは、低次素子と高次素子は、同じ基板の両側にあってもよい。
【0028】
低次素子は、高電圧素子とすることができ、高次素子は、低電圧素子とすることができる。低次素子は、例えば、強い(例えば、比較的高い大きさの)低次多極子を適用することによって、ビームレットに大きな偏向を加えるように構成することができる。高次は、例えば、弱い(例えば、比較的低い大きさの)高次多極子を適用することによって、収差補正を施すように構成することができる。
【0029】
例えば、各低次素子は、双極子素子とすることができる。各高次素子は、対応する低次素子よりも高い多極子を生成するように構成されている。例えば、高次素子はそれぞれ、それぞれのビームレットに対して八極子、例えば静電八極子を生成し、低次素子は、双極子または四極子などの低次多極子場を生成する。
【0030】
図4は、本明細書に記載の実施形態によるビームスプリッタ50を示す。
図4では、複数の低次素子150および複数の高次素子250にラベルが付されている。例えば、第1の偏向器1は、複数の低次素子150のうちの1つと、複数の高次素子250のうちの対応する1つとを含む。
図4に示すように、複数の低次素子と複数の対応する高次素子は、同じ基板350の両側にあってもよい。あるいは、複数の低次素子と複数の対応する高次素子は、互いに張り付けることができる異なる基板上にあってもよい。
【0031】
図5は、本明細書に記載の実施形態によるビームスプリッタ50を示す。複数の低次素子150はそれぞれ、基板350上にあってもよく、複数の対応する高次素子250はそれぞれ、別の基板などの対応する基板351上にあってもよい。基板は、互いに固定されるなど、互いに接続されてもよい。
【0032】
ビームレット偏向器70は、帯電効果を低減するために、金属膜などの導電性材料でコーティングすることができる荷電粒子源に面する表面を有することができる。荷電粒子源に面する表面を有する基板350は、反対側の表面に低次素子150または高次素子250を有することができる。
【0033】
図5に見られるように、低次素子110および対応する高次素子210は、光軸0と平行に配向されている(各低次素子および高次素子110、120のうちの1つは、光軸と直接整列していてもよい)。各ビームレットの伝搬方向330は、光軸0にほぼ沿っている(すなわち、ほぼ平行である)。各低次素子およびその対応する高次素子、ならびにそれらのそれぞれの開孔は、それぞれがビームレットを通過させるように、光軸0と平行に配向されていてもよい。基板350は、各ビームレット偏向器70の中心と整列した複数の開孔を有することができる。
図5では、高次素子210は、低次素子1210の対応する開孔(
図5では見えない)と整列することができる開孔215を有するように示されている。高次素子および低次素子110、120が基板を共有する(例えば、素子110、120が同じ基板の両側にある)場合、各低次素子およびそれに対応する高次素子は、同様に開孔も共有することができる。
【0034】
図5に示す第1の低次素子110を含む各低次素子は、対応する高次素子210よりも少ない電極を有することができる。各低次素子150は、静電素子とすることができ、各高次素子250は、静電素子とすることができる。低次素子150は、(高い大きさの低次多極子の適用などによって)ビームレットに大きな偏向を加えるように構成することができ、高次素子250は、(低い大きさの高次多極子の適用などによって)収差を補正するように構成することができる。各低次素子は、高電圧素子とすることができ、対応する各高次素子は、低電圧素子とすることができる。
【0035】
光軸に垂直な平面における各ビームレット偏向器70の設置面積は、4mm2、3mm2、2.25mm2、2mm2、1mm2、900μm2、800μm2、または700μm2、または約625μm2未満とすることができる。小さな設置面積は、同じビームスプリッタ50から高密度のビームレット偏向器70を可能にするために望ましい可能性がある。各ビームレット偏向器70の設置面積は、25μm×25μm~2mm×2mm、または30μm×30μm~1.5mm×1.5mmとすることができる。高密度のビームレット偏向器70は、高密度のビームレットをもたらすことができ、これは、例えば、多数の高電流荷電粒子ビームレットのためにソースエネルギーを効率的に使用するために望ましい可能性がある。隣り合うビームレット間の相互作用がほとんどない、離散的で十分に分離されたビームレットを有することが望ましい場合もある。管理可能な(例えば、無視できる)ビームレット-ビームレット相互作用を有するという意味で、十分に分離されている高い空間密度のビームレットを生成することは技術的に困難である可能性がある。ビームレット偏向器70の電極の設置面積は、10μm2、8μm2、5μm2、4μm2、または2μm2未満とすることができる。
【0036】
図5に示すように、低次素子150は、光軸0に沿って高次素子250よりも長くすることができる。(特に高次素子250と比較して)光軸方向の第1の低次素子110を含む低次素子150の広がりが比較的大きいことで、各ビームレット10、20に対してより大きな偏向を生成することが可能になる可能性がある。各低次素子110、120の低次電極190が光軸0方向に大きな長さを有する場合などでは、低次素子150で高電圧を使用して、ビームレット偏向の大きさをさらに増加させることが可能になる。
【0037】
光軸に沿って、低次素子の長さが約10μm~約2mmであり、高次素子の長さが200μm未満である実施形態を有することが特に企図される。
【0038】
他の任意の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、光軸に垂直な方向のビームレット偏向器70間の中心-中心間隔は、5mm、2mm、1mm、0.5mm、または0.25mm未満とすることができる。
【0039】
本明細書に開示されるように、荷電粒子源5から複数のビームレット10、20を生成するビームスプリッタ50の機能を、ビームレットの偏向に大きく関与する低次構成要素と、ビームレットの収差補正に大きく関与する高次構成要素とに分離することによって、各ビームレット偏向器1、2の小さな設置面積を維持することが可能である。本明細書に開示されるように、複数の低次素子は、偏向のための高電圧素子とすることができ、複数の対応する高次素子は、収差補正のための低電圧素子とすることができる。
【0040】
微調整、収差補正、および/または非点収差補正などのために、複数の第3の偏向素子が存在してもよい。各低次素子150および対応する高次素子250に追加するためのそれぞれの第3の偏向素子は、例えば、四極子、十極子、または十四極子とすることができる。そのような複数の第3の偏向器素子は、双極子低次素子との組合せにおいて特に想定され、さらに、このような実施形態では、高次素子はそれぞれ、八極子とすることができる。各第3の偏向素子はまた、低次および高次素子のそれぞれの開孔に整列した開孔を有することができる。複数の第3の偏向素子を別の基板上に配置することができ、この別の基板は、低次素子および高次素子の基板に張り付けられてもよく、例えば、それらの基板と整列して固定されてもよい。
【0041】
図6は、本明細書に記載の実施形態による低次素子110、120を示す。低次素子110は、基板の表面上にあってもよい。低次素子110は、開孔115を通過することができるビームレットに少なくとも双極子場を印加するための少なくとも2つの低次電極190を有する。低次電極190は、間に開孔115を挟んで互いに向き合うことができる。一実施形態では、各低次素子110、120は、双極子素子であり、各低次素子の電極のうちの1つは、接地されている。
【0042】
低次素子110は、双極子場を生成するためのもの、例えば、実質的に双極子電場を生成するためのものとすることができ、双極子場と比較して、比較的小さい、例えば無視できる高次場成分を有する。低次電極190はそれぞれ、リングセグメントの形状を有することができる。
図6に示すように、リングセグメントの小さい方の円弧を開孔に隣接させることができる。
図6および
図7に示すように、低次電極190は、約90°のリングセグメントとすることができる。低次電極190および/または高次電極290は、高次収差を最小化するように成形および/または配置することができる。電極は、一般に、それぞれがリングのセグメントのように成形されてもよい。
図6に示すものと同様の二重電極配置では、約120°のリングセグメントである電極が可能である。
【0043】
図6はまた、本明細書に記載の実施形態による、低次素子の各低次電極190に接続する高電圧導電線301を示す。複数の高電圧導電線301は、各低次素子110、120にそれぞれ接続することができる。
【0044】
図7は、本明細書に記載の実施形態による低次素子110、120を示す。低次素子110は、開孔115を通過することができるビームレットに少なくとも双極子場を印加するための4つの低次電極190を有することができる。低次電極190は、ビームレットが通過することができる開孔115を取り囲むことができる。低次素子110は、例えば、ほぼ双極子電場のみを生成するための双極子を生成するためのものとすることができる。
【0045】
一実施形態では、各低次素子110、120は、間に開孔を挟んで互いに向かい合う2つの接地電極を含む4つの電極190を有する。接地電極を接地に接続する導電線が存在してもよい(
図7には図示せず)。
【0046】
図8は、本明細書に記載の実施形態による高次素子210を示す。高次素子210は、開孔215を通過することができるビームレットに多極子場を印加するための複数の高次電極290を有することができる。高次電極290は、ビームレットが通過することができる開孔215を取り囲むことができる。高次素子210は、四極子、八極子(図示のような)、またはより高いN極子を生成するためのものとすることができる。
【0047】
図8はまた、本明細書に記載の実施形態による、高次素子210の各高次電極290に接続する低電圧導電線302を示す。複数の低電圧導電線302は、各高次素子210、220にそれぞれ接続することができる。
【0048】
図6~
図8はそれぞれ、それぞれの基板の表面に存在してもよい導電線を示す。
【0049】
コントローラは、低電圧および高電圧の導電線に接続することができる。
【0050】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、各高電圧導電線301の断面は、各低電圧導電線302の断面よりも大きい。低電圧導電線302の断面が比較的小さいことで、基板表面上の導電線の密度をより高くすることが可能になる。導電線の密度が高いほど、より多くの電極をアドレスおよび/または制御することが可能になる。導電線の密度が高いほど、主に収差補正に使用することができる低次素子のためのより高次の多極子が可能になり、および/または高次素子自体の密度をより高くすることができ、これは、荷電粒子ビームレットの面密度がより高くなることを意味する。
【0051】
ビームスプリッタ50の機能を、i)高電圧導電線301の面積数密度を制限する可能性がある比較的高い電圧を必要とすることがある低次偏向(低次素子150による)と、ii)より低い電圧を使用できるため低電圧導電線302のより高い面積数密度を利用することができる高次収差補正(高次素子250による)と、に分離することによって、生成された荷電粒子ビームレットの面積数密度を増加させることが可能である。言い換えれば、隣り合うビームレット偏向器70間の間隔を減少させることができる。
【0052】
図6、
図7および
図8に見られるように、各低次および高次素子のそれぞれの開孔は、各素子のそれぞれの複数の電極内の中心に置くことができる。隣接する低次電極190間の間隔は、隣接する高次電極290間の間隔よりも大きくてもよいことも理解されたい。
【0053】
図9には、本明細書に記載の実施形態による、複数の荷電粒子ビームレットを生成する方法が示されている。方法500は、荷電粒子の単一ビームをビームスプリッタ510に導くステップを含むことができる。低次素子を用いて荷電粒子に低次電場を印加して、荷電粒子520を偏向させることができる。高次素子を用いて荷電粒子に高次電場を印加して、収差530を補正することができる。荷電粒子が各ビームレット偏向器540の中心と整列した複数の開孔を通過するときに、複数の荷電粒子ビームレットを生成することができる。
【0054】
本開示は、以下の列挙された実施形態を含むことが意図されており、参照番号および/または図への参照は、理解を助けるために言及されているが、参照番号または図が限定的であることを意図するものではない。
列挙された実施形態1。
荷電粒子源(5)から複数の荷電粒子ビームレット(10、20)を生成するためのビームスプリッタ(50)であって、
それぞれが光軸に沿ってビームレット(10、20)を通過させる複数のビームレット偏向器(70)であり、第1のビームレット(10)を通過させるための第1の偏向器(1)および第2のビームレット(20)を通過させるための第2の偏向器(2)を含む、複数のビームレット偏向器(70)を備え、
各ビームレット偏向器(1、2)が、低次素子(150;110、120)および対応する高次素子(250;210、220)を含み、
各低次素子が、対応する各高次素子よりも少ない電極を有し、各低次素子(150)が複数の低次素子のうちの1つであり、対応する各高次素子(210、220)が複数の高次素子のうちの1つである、
ビームスプリッタ(50)。
列挙された実施形態2。
各低次素子が高電圧素子であり、対応する各高次素子が低電圧素子である、
実施形態1に記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態3。
複数の低次素子が基板(350)上に配置され、基板が、光軸に垂直な平面内に、各ビームレット偏向器の中心と整列した複数の開孔を有し、
複数の高次素子が、対応する基板上または基板の反対側(平面内)に配置され、
ビームスプリッタがシリコンまたはSOIなどの単一の基板から形成されていてもよい(例えば、各低次/高次素子のペアが開孔を共有することができる)、
列挙された実施形態1または2に記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態4。
各低次素子が、対応する各高次素子の対応する開孔に整列した開孔を有する(開孔および対応する開孔が光軸に沿って延在する)、
列挙された実施形態1~3のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態5。
各低次素子(150)および各高次素子が静電素子である、
列挙された実施形態1~4のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態6。
第1の偏向器(1)が第1の高次偏向器素子と整列した第1の低次素子を含み、
第2の偏向器(2)が第2の高次素子と整列した第2の低次素子を含む、
列挙された実施形態1~5のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態7。
各低次素子が(強い低次多極子の適用によって)それぞれのビームレットに大きな偏向を加えるように構成され、
各高次素子が(弱い高次多極子の適用によって)それぞれのビームレットの収差を補正するように構成されている、
列挙された実施形態1~6のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態8。
各低次素子が双極子素子であり、
各高次素子が双極子よりも大きい(例えば、八極子以上の)多極子を生成するように構成されている、
列挙された実施形態1~7のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態9。
各低次素子にそれぞれ接続された複数の高電圧導電線(302)と、
各高次素子にそれぞれ接続された複数の低電圧導電線(301)と、
をさらに備える、列挙された実施形態1~8のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態10。
高電圧導電線が低電圧導電線よりも大きな断面を有する、
列挙された実施形態9に記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態11。
光軸に垂直な平面内の各ビームレット偏向器(70)の設置面積が4mm2未満である、
列挙された実施形態10に記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態12。
各低次素子(150)が、対応する各高次素子(250)よりも光軸に沿って長い、
列挙された実施形態1~11のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態13。
光軸に沿って各低次素子の長さが100μm超であり、
対応する各高次素子の長さが200μm未満である、
列挙された実施形態1~12のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態14。
光軸に垂直な方向のビームレット偏向器間の中心-中心間隔が2mm未満である(例えば、0.25mmまで)である、
列挙された実施形態1~13のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態15。
各低次素子が双極子素子であり、各低次素子の電極のうちの1つが接地されており、電極が間に開孔を挟んで互いに向かい合い、または
低次素子が間に開孔を挟んで互いに向かい合う2つの接地電極を含む、4つの電極を有する、
列挙された実施形態1~14のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態16。
各低次電極が一対の双極子電極のうちの一方であり、高次収差を最小限に抑えるために成形されている、
列挙された実施形態1~15のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態17。
荷電粒子源に面するビームスプリッタの側面にコーティングされた金属膜
をさらに含む、
列挙された実施形態1~16のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態18。
各ビームレット偏向器(70)が、
複数の第3の偏向素子(例えば、四極子[例えば、微調整、非点収差補正]または十極子または十四極子など)をさらに備え、各高次素子が八極子である、
列挙された実施形態1~17のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態19。
ビームスプリッタがシリコンまたはSOIなどの単一の基板から形成され、各低次素子および対応する各高次素子が基板を貫通する対応する開孔を共有する、
列挙された実施形態1~18のいずれか1つに記載のビームスプリッタ。
列挙された実施形態20。
複数の荷電粒子ビームレットを用いてサンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子源と、それに続く
列挙された実施形態1に記載のコリメートレンズおよびビームスプリッタと、
ビームスプリッタによって生成されたビームレットを偏向させるための偏向器であり、ビームレットを第2のビームスプリッタ、スキャナ、および対物レンズをこの順に通るように導く、偏向器と、を備え、
対物レンズが、
荷電粒子ビーム装置の可動ステージ上に配置されたサンプルにビームレットを集束させ、
信号荷電粒子を収集するように構成され、
第2のビームスプリッタが、収集された信号荷電粒子を検出器に導く、
荷電粒子ビーム装置であり、
スキャナ、偏向器、検出器、およびビームスプリッタに通信可能に結合されたコントローラをさらに備える、
荷電粒子ビーム装置。
列挙された実施形態21。
複数の荷電粒子ビームレットを生成する方法であって、
列挙された実施形態1に記載のビームスプリッタに荷電粒子の単一ビームを導くステップと、
低次素子を用いて荷電粒子に低次電場を印加して荷電粒子を偏向させるステップと、
高次素子を用いて荷電粒子に高次電場を印加して収差を補正するステップと、
荷電粒子が各ビームレット偏向器の中心と整列した複数の開孔を通過するときに、複数の荷電粒子ビームレットを生成するステップと、
を含む、方法。
【0055】
以上、本発明の様々な実施形態について説明した。これらは、限定ではなく、例示および実施例としてのみ提示されていることを理解されたい。当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更を行うことができることが明らかであろう。したがって、本発明の広さおよび範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。本明細書で論じられる各実施形態の各特徴は、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせて使用できることも理解されよう。さらに、前述の技術分野、背景、概要または詳細な説明で提示された、いかなる明示的もしくは暗示的な理論によっても拘束される意図はない。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源から複数の荷電粒子ビームレットを生成するためのビームスプリッタであって、
それぞれが光軸に沿ってビームレットを通過させる複数のビームレット偏向器であり、第1のビームレットを通過させるための第1の偏向器および第2のビームレットを通過させるための第2の偏向器を含む、複数のビームレット偏向器を備え、
各ビームレット偏向器が、低次素子および対応する高次素子を含み、
各低次素子が、対応する各高次素子よりも少ない電極を有し、各低次素子が複数の低次素子のうちの1つであり、対応する各高次素子が複数の高次素子のうちの1つである、
ビームスプリッタ。
【請求項2】
各低次素子が第1の電圧素子であり、対応する各高次素子が前記第1の電圧素子よりも低い電圧用に構成された第2の電圧素子である、
請求項1に記載のビームスプリッタ。
【請求項3】
前記複数の低次素子が第1の基板上に配置され、前記第1の基板が、前記光軸に垂直な平面内に、各ビームレット偏向器の中心と整列した複数の開孔を有し、
前記複数の高次素子が、第2の基板上または前記第1の基板の反対側に配置されている、
請求項1または2に記載のビームスプリッタ。
【請求項4】
各低次素子が、対応する各高次素子の対応する開孔に整列した開孔を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項5】
各低次素子および各高次素子が静電素子である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項6】
前記第1の偏向器が第1の高次素子と整列した第1の低次素子を含み、
前記第2の偏向器が第2の高次素子と整列した第2の低次素子を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項7】
各低次素子がそれぞれのビームレットに偏向を加えるように構成され、
各高次素子がそれぞれのビームレットの収差を補正するように構成されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項8】
各低次素子が双極子素子であり、
各高次素子が双極子よりも大きい多極子を生成するように構成されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項9】
各低次素子にそれぞれ接続された複数の第1の電圧導電線と、
各高次素子にそれぞれ接続された複数の第2の電圧導電線であって、前記第1の電圧導電線が前記第2の電圧導電線よりも大きな断面を有する、複数の第2の電圧導電線と、
をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項10】
前記複数の第1の電圧導電線が前記複数の第2の電圧導電線よりも高い電圧用に構成されている、
請求項9に記載のビームスプリッタ。
【請求項11】
前記光軸に垂直な平面内の各ビームレット偏向器の設置面積が4mm
2未満である、
請求項9または10に記載のビームスプリッタ。
【請求項12】
前記光軸に沿って各低次素子の長さが100μm超であり、
対応する各高次素子の前記長さが200μm未満である、
請求項1~11のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項13】
前記光軸に垂直な方向の前記ビームレット偏向器間の中心-中心間隔が2mm未満である、
請求項1~12のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項14】
各低次素子が双極子素子であり、各低次素子の前記電極のうちの1つが接地されており、前記電極が間に前記開孔を挟んで互いに向かい合い、または
前記低次素子が間に開孔を挟んで互いに向かい合う2つの接地電極を含む、4つの電極を有する、
請求項1~13のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項15】
各低次電極が一対の双極子電極のうちの一方であり、高次収差を最小限に抑えるためにリングのセグメントのように成形されている、
請求項1~14のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項16】
前記荷電粒子源に面する前記ビームスプリッタの側面にコーティングされた金属膜
をさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項17】
各ビームレット偏向器が、
複数の第3の偏向素子をさらに備え、
各高次素子が八極子である、
請求項1~16のいずれか1項に記載のビームスプリッタ。
【請求項18】
前記ビームスプリッタがシリコンまたはSOIの単一の基板から形成され、各低次素子および対応する各高次素子が前記基板を貫通する対応する開孔を共有する、
請求項3に記載のビームスプリッタ。
【請求項19】
複数の荷電粒子ビームレットを用いてサンプルを検査するための荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子源と、それに続く
請求項1~18のいずれか1項に記載のコリメートレンズおよびビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタによって生成された前記ビームレットを偏向させるための偏向器であり、前記ビームレットを第2のビームスプリッタ、スキャナ、および対物レンズをこの順に通るように導く、偏向器と、を備え、
前記対物レンズが、
前記荷電粒子ビーム装置の可動ステージ上に配置されたサンプルに前記ビームレットを集束させ、
信号荷電粒子を収集するように構成され、
前記第2のビームスプリッタが、前記収集された信号荷電粒子を検出器に導く、
荷電粒子ビーム装置であり、
前記スキャナ、偏向器、検出器、およびビームスプリッタに通信可能に結合されたコントローラをさらに備える、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項20】
複数の荷電粒子ビームレットを生成する方法であって、
請求項1~18のいずれか1項に記載のビームスプリッタに荷電粒子の単一ビームを導くステップと、
低次素子を用いて前記荷電粒子に低次電場を印加して前記荷電粒子を偏向させるステップと、
高次素子を用いて前記荷電粒子に高次電場を印加して収差を補正するステップと、
前記荷電粒子が各ビームレット偏向器の中心と整列した複数の開孔を通過するときに、複数の荷電粒子ビームレットを生成するステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】