(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】蒸気供給システムおよびそれに対応する方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20220420BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20220420BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552926
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 GB2020050549
(87)【国際公開番号】W WO2020183138
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シーシャン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA07
4B162AA22
4B162AB01
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4B162AD16
4B162AD18
4B162AD23
4B162AD32
(57)【要約】
蒸気供給システムは、蒸気前駆体材料から蒸気を生成する加熱エレメント(48)と、加熱操作を行うために加熱エレメント(48)に電力を提供し蒸気を生成し、かつ加熱操作に関連する加熱エレメント(48)の抵抗値の測定値を、故障状態の検出に使用される加熱エレメントの所定の閾抵抗値と比較するように構成された制御回路(20)とを含む。制御回路(20)はさらに、加熱エレメント(48)の少なくとも1回の加熱操作中に加熱エレメント48の抵抗を監視して、期間(302)にわたって複数の監視抵抗値を決定し、複数の監視抵抗値のそれぞれを、所定の閾抵抗値(304)と比較し、かつ複数の監視抵抗値と所定の閾抵抗値(306)との比較に基づいて、加熱エレメント(48)の故障状態を検出するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための加熱エレメントと、
加熱操作を実行するために前記加熱エレメントに電力を提供して蒸気を生成し、かつこの加熱操作に関連する前記加熱エレメントの抵抗値の測定値を、故障状態の検出に使用される前記加熱エレメントのための所定の閾抵抗値と比較するように構成された制御回路とを含み、前記制御回路は、さらに、
前記加熱エレメントの少なくとも1回の加熱操作中に前記加熱エレメントの抵抗を監視して、一定期間にわたって複数の監視抵抗値を決定し、
前記複数の監視抵抗値のそれぞれを、前記所定の閾抵抗値と比較し、かつ
前記複数の監視抵抗値と前記所定の閾抵抗値との比較に基づいて、前記加熱エレメントの故障状態を検出するように構成されている蒸気供給システム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記期間中に前記複数の監視抵抗値が前記所定の閾抵抗値を超えた場合に、前記加熱エレメントの故障状態を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の蒸気供給システム。
【請求項3】
前記所定の閾抵抗値を超える前記複数の監視抵抗値が連続していることを特徴とする請求項2記載の蒸気供給システム。
【請求項4】
前記所定の閾抵抗値を超える前記複数の監視抵抗値が、前記所定の閾抵抗値を超える少なくとも2つの監視抵抗値を含むことを特徴とする請求項2または3記載の蒸気供給システム。
【請求項5】
前記所定の閾抵抗値を超える前記複数の監視抵抗値が、前記所定の閾抵抗値を超える少なくとも3つの監視抵抗値を含むことを特徴とする請求項4記載の蒸気供給システム。
【請求項6】
前記期間は、前記加熱エレメントの加熱操作の持続時間であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項7】
前記期間は、前記加熱エレメントの所定の連続した数の加熱操作の持続時間であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の記載の蒸気供給システム。
【請求項8】
前記加熱エレメントの前記所定の連続した加熱操作の数が、前記加熱エレメントの10個の連続する加熱操作であることを特徴とする請求項7記載の蒸気供給システム。
【請求項9】
前記期間が10秒、30秒、60秒、または120秒のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項10】
前記制御回路は、各監視抵抗値に対して、決定された監視抵抗値および所与の監視抵抗値が決定される前の期間内に発生する少なくとも1つの先行する決定された監視抵抗値が前記所定の閾抵抗値を超える場合に、故障状態を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項11】
前記制御回路は、前記加熱エレメントの第1の抵抗値を測定して前記加熱エレメントの基底線抵抗値を決定し、前記閾抵抗値は前記基底線抵抗値に基づいて決定されるようにさらに構成されることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項12】
前記閾抵抗値は、前記基底線抵抗値の所定の倍数であることを特徴とする請求項11記載の蒸気供給システム。
【請求項13】
前記システムが吸入センサを含み、使用者が蒸気供給システムで吸入していることを示す前記吸入センサからの信号に応答して、前記制御回路が前記加熱操作のために前記加熱エレメントに電力を供給するように構成されることを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載の蒸気供給システム。
【請求項14】
請求項1または13のいずれかに記載の蒸気供給システムで使用するための加熱エレメントを含むカートリッジ。
【請求項15】
蒸気前駆体材料から蒸気を生成する蒸気供給システムで使用するための制御回路であって、この制御回路は前記蒸気供給システムで加熱操作を行うのに使用される電力を提供するように操作可能であり、かつこの加熱操作に関連する抵抗値の測定値を、故障状態の検出に使用するための所定の閾抵抗値と比較するように操作可能であり、制御回路は、さらに、
前記加熱エレメントの少なくとも1回の加熱操作中に前記加熱エレメントの抵抗を監視して、一定期間にわたって複数の監視抵抗値を決定し、
前記複数の監視抵抗値のそれぞれを前記所定の閾抵抗値と比較し、かつ
前記複数の監視抵抗値と前記所定の閾抵抗値との比較に基づいて、前記加熱エレメントの故障状態を検出するように構成されている制御回路。
【請求項16】
蒸気供給システム中の制御回路を操作する方法であって、この蒸気供給システムは、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための加熱エレメントを含み、前記制御回路は、加熱操作を行うのに使用する電力を加熱エレメントに供給して前記蒸気を生成し、かつ加熱操作に関連する前記加熱エレメントの抵抗値の測定値を、前記加熱操作中の故障状態の検出に使用するための前記加熱エレメントの所定の閾抵抗値と比較するように構成され、該方法は、
前記加熱エレメントの少なくとも1回の加熱操作中に加熱エレメントの抵抗を監視して、ある期間にわたって複数の監視抵抗値を決定することと、
前記複数の監視抵抗値のそれぞれを前記所定の閾抵抗値と比較することと、
前記複数の監視抵抗値と前記所定の閾抵抗値との比較に基づいて、前記加熱エレメントの故障状態を検出することとを含む、制御回路を操作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、限定されないが、ニコチン送達システム(例えば、電子タバコなど)などの蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコなどの電子蒸気供給システムは、一般に、通常はニコチン(必ずしも必須ではない)を含む製剤の原液の貯液容器などの蒸気前駆体材料、またはタバコ系製品などの固体材料(この材料から、ユーザーの吸入目的で、たとえば熱気化によって蒸気が生成される)を含む。したがって、蒸気供給システムは、典型的には、気化器、例えば、前駆体材料の一部を気化させて蒸気発生チェンバー内で蒸気を発生させるように配置された加熱エレメントを含む蒸気発生チェンバーを含む。ユーザーがデバイスを吸入し、電力が気化器に供給されると、空気は入口穴を通ってデバイスに引き込まれ、気化した前駆体材料と混ざって凝縮エアロゾルを形成する蒸気発生チェンバーに引き込まれる。蒸気発生チェンバーとマウスピースの開口部との間に流路があり、蒸気発生チェンバーに引き込まれた流入空気は、流路に沿ってマウスピースの開口部まで続き、蒸気・凝縮エアロゾルの一部を運び、ユーザーが吸入するマウスピースの開口部に出る。電子タバコの中には、デバイスを通る流路内に香味部材を含み、追加の香味を与えるものがある。そのようなデバイスをハイブリッド装置と呼ぶこともあり、香味部材は、例えば、蒸気発生チェンバーとマウスピースとの間の空気経路に配置されたタバコの一部を含み、その結果、デバイス内から引き出された蒸気・凝縮エアロゾルは、タバコの部分を通過して、ユーザー吸入のためにマウスピースから出る。
【0003】
加熱エレメントが乾燥した場合、そのような蒸気供給システムで問題が生じる可能性がある。これは、たとえば、前駆体材料の供給が不足しているために発生する可能性がある。その場合、加熱エレメント内およびその周辺で急速な過熱が発生する可能性がある。一般的な操作条件を考慮すると、過熱した部分は500~900°Cの範囲の温度に速やかに到達すると予想される。この急速な加熱は、蒸気供給システム内の各部品に損傷を与える可能性があるだけでなく、残留前駆体材料の蒸発過程にも悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、過剰な熱は、例えば熱分解によって残留前駆体材料を分解する可能性があり、これは、不快な味の物質を空気流に放出して、ユーザーが吸入する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載のいくつかの実施態様では蒸気供給システムが提供され、このシステムは、
蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための加熱エレメントと、
加熱操作を実行するための加熱エレメントに電力を提供して蒸気を生成し、かつこの加熱操作に関連する加熱エレメントの抵抗値の測定値を、故障状態の検出に使用される加熱エレメントのための所定の閾抵抗値と比較するように構成された制御回路と、を含み、前記制御回路は、さらに、
前記加熱エレメントの少なくとも1回の加熱操作中に前記加熱エレメントの抵抗を監視して、一定期間にわたって複数の監視抵抗値を決定し、
前記複数の監視抵抗値のそれぞれを、前記所定の閾抵抗値と比較し、かつ
前記複数の監視抵抗値と前記所定の閾抵抗値との比較に基づいて、前記加熱エレメントの故障状態を検出するように構成されている。
【0005】
本明細書に記載のいくつかの実施態様では上記の実施態様に記載される蒸気供給システムで使用するための加熱エレメントを含むカートリッジが提供される。
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施態様では蒸気前駆体材料から蒸気を生成する蒸気供給システムで使用するための制御回路が提供され、この制御回路は、前記蒸気供給システムで加熱操作を行うのに使用される電力を提供するように操作可能であり、かつ加熱操作に関連する抵抗値の測定値を、故障状態の検出に使用するための所定の閾抵抗値と比較するように操作可能であり、制御回路はさらに、
前記加熱エレメントの少なくとも1回の加熱操作中に前記加熱エレメントの抵抗を監視して、一定期間にわたって複数の監視抵抗値を決定し、
前記複数の監視抵抗値のそれぞれを前記所定の閾抵抗値と比較し、かつ
前記複数の監視抵抗値と前記所定の閾抵抗値との比較に基づいて、前記加熱エレメントの故障状態を検出するように構成されている。
【0007】
本明細書に記載のいくつかの実施態様では蒸気供給システム中の制御回路を操作する方法が提供され、この蒸気供給システムは、蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための加熱エレメントを含み、前記制御回路は、加熱操作を行うのに使用する電力を加熱エレメントに供給して蒸気を生成し、かつ加熱操作に関連する前記加熱エレメントの抵抗値の測定値を、加熱操作中の故障状態の検出に使用するための加熱エレメントの所定の閾抵抗値と比較するように構成され、該方法は、
前記加熱エレメントの少なくとも1回の加熱操作中に加熱エレメントの抵抗を監視して、ある期間にわたって複数の監視抵抗値を決定することと、
前記複数の監視抵抗値のそれぞれを所定の閾抵抗値と比較することと、
前記複数の監視抵抗値と前記所定の閾抵抗値との比較に基づいて、前記加熱エレメントの故障状態を検出することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
次に、本発明の実施態様を、例示目的で、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】本開示の特定の実施態様による蒸気供給システムをごく概略的な断面で表す。
【
図2】本開示の特定の実施態様による、
図1の蒸気供給システムのいくつかの操作工程を表す流れ図である。
【
図3】本開示の特定の実施態様による、
図1の蒸気供給システムの他の操作工程を表す流れ図である。
【
図4】本開示の特定の実施態様による、
図1の蒸気供給システムの操作工程のうちのいくつかに関連するタイムラインである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の例および実施態様の態様および特徴が、本明細書で考察、記載される。特定の例および実施態様の態様および特徴の中には、従来通りに実施することができるものがあり、簡潔を旨とすべく、これらは詳細に考察、記載されていない。したがって、当然のことだが、本明細書で詳細に説明されていない装置および方法の態様および特徴を、そのような態様および特徴を実施するための任意の従来技術に従って実施してもよい。
【0010】
本開示は、ハイブリッド装置を含む電子タバコなどのエアロゾル供給システムとも呼ばれる蒸気供給システムに関する。以下の説明を通して、「電子タバコ」という用語が時々使用されるが、この用語は、蒸気供給システム/デバイスおよび電子蒸気供給システム/デバイスと言い換え可能に使用される。さらに、当該技術分野で一般的であるように、「蒸気」および「エアロゾル」という用語、ならびに「気化」、「揮発」および「エアロゾル」などの関連用語は、一般に言い換え可能に使用できる。
【0011】
蒸気供給システム(電子タバコ)は、常にではないが、多くの場合、再利用可能な部品と交換可能な(使い捨ての)カートリッジ部品の両方を含むモジュール式組み立て品を含む。多くの場合、交換可能なカートリッジ部品は、蒸気前駆体材料と気化器を含み、再利用可能な部品は、電源(例えば、充電式電池)、作動機構(例えば、ボタンまたはパフセンサ)、および制御回路を含む。当然ながら、これらの異なる部品も、機能性に応じてさらなる要素も含む可能性がある。例えば、ハイブリッドデバイスの場合、カートリッジ部品はまた、追加の香味部材、例えば、インサート(「ポッド」)として提供されるタバコの一部を含んでもよい。そのような場合、香味部材インサート自体が使い捨てカートリッジ部品から取り外し可能であり、例えば香味を変更するために、または香味部材インサートの使用可能寿命がカートリッジの成分を生成する蒸気の使用可能寿命よりも短いために、カートリッジとは別に交換することができる。再利用可能なデバイス部分は、多くの場合、ユーザーによる入力を受信し、操作状況特性を表示するためのユーザー接合部などの追加部品も含む。
【0012】
実施態様によっては、蒸気/エアロゾル供給システムで送達される物質は、活性成分、担体成分、および必要に応じて1つ以上の他の機能成分を含むエアロゾル化可能な材料であってもよい。
【0013】
活性成分は、ユーザーに生理学的および/または嗅覚反応を達成するためにエアロゾル化可能な材料に含まれる1つ以上の生理学的および/または嗅覚活性成分を含んでもよい。有効成分は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、および向精神薬から選択することができる。有効成分は、天然に存在するものでも、合成的に得られるものでもよい。有効成分は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6またはB12またはCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、またはそれらの成分、誘導体、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。有効成分は、タバコまたは他の植物の成分、誘導体または抽出物を含んでもよい。実施態様によっては、活性成分は、生理学的に活性な成分であり、ニコチン、ニコチン塩(例えば、ニコチン二酒石酸塩/ニコチン酒石酸塩)、ニコチンを含まないタバコ代替物、カフェインなどの他のアルカロイド、またはそれらの混合物から選択される。
【0014】
実施態様によっては、活性成分は、嗅覚活性成分であり、「香味料」および/または「香味剤」から選択され、これらは、地域の規制が許す場合、成人の消費者のための製品に所望の味、芳香または他の体性感覚を作り出すために使用される。場合によっては、そのような成分は、香味、香味、冷却剤、加熱剤、および/または甘味剤と呼ばれることがある。それらは、天然に存在する香味材料、植物、植物の抽出物、合成的に得られた材料、またはそれらの組み合わせ(例えば、タバコ、大麻、甘草(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、カエデ、抹茶、メントール、薄荷、アニス果(アニス)、シナモン、ターメリック、インドのスパイス類、アジアのスパイス類、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、桃、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、熱帯果樹、パパイヤ、ルバーブ、グレープ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、桑、柑橘系の果物、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、カート、ナスワール、ベテル、シーシャ、パイン、蜂蜜エッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクランボの花、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イラン-イラン、セージ、フェンネル、わさび、唐辛子、生姜、コリアンダー、コーヒー、麻、メンサ属のあらゆる種からのミント油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルーイボス、亜麻、ギンコビロバ、ヘーゼル、ハイビスカス、月桂樹、マテ、オレンジの皮、バラ、緑茶または黒茶などの茶、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー(ニワトコ)、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンの皮、ミント、ビーフステーキプラント(赤シソ)、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メイス、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、ニラ、カルビ、バーベナ、タラゴン、リモネン、タイム、カンフェン)、香味増強剤、苦味受容体部位遮断薬、感覚受容体部位活性化因子または刺激物質、糖および/または糖代替物(例、スクラロース、アセルファムカリウム、アスパルタム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、またはマンニトール)、および木炭、クロロフィル、ミネラル、植物、または口臭除去剤などの他の添加剤を含んでもよい。それらは、模倣物、合成または天然の成分またはそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、油などの液体、粉末などの固体、気体、または1種以上の抽出物(例えば、甘草、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メントール、薄荷、アニス、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、桃、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、唐辛子、生姜、アニス、コリアンダー、コーヒー、またはメンサ属のあらゆる種のミント油)、香味増強剤、苦味受容体部位遮断薬、感覚受容体部位活性化因子または刺激因子、糖および/または糖代替物(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルタム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、またはマンニトール)、および木炭、クロロフィル、ミネラル、植物、または呼吸清涼剤などの他の添加物であってもよい。それらは、模倣物、合成または天然の成分またはそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、油、液体、または粉末であってもよい。
【0015】
実施態様によっては、香味は、メントール、スペアミント、および/またはペパーミントを含む。実施態様によっては、香味は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘系の果物、および/またはレッドベリーの香味成分を含む。実施態様によっては、香味はオイゲノールを含む。実施態様によっては、香味は、タバコから抽出された香味成分を含む。実施態様によっては、香味は、芳香神経または味覚神経に加えて、またはその代わりに、通常、第5脳神経(三叉神経)の刺激によって化学的に誘発および知覚される体性感覚を達成することを目的とする感覚を含んでもよく、かつこれらは、加熱、冷却、うずき、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な熱作用剤はバニリルエチルエーテルでもよいが、これに限定されず、また適切な冷却剤はユーカリプトール、WS-3でもよいが、これらに限定されない。
【0016】
担体成分は、エアロゾルを形成することができる1つ以上の成分を含んでもよい。実施態様によっては、担体成分は、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、エチルバニリン酸、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジルフェニル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0017】
1種以上の他の機能性成分は、1種以上のpH調整剤、着色剤、防腐剤、結合剤、充填剤、安定剤、および/または抗酸化剤を含んでもよい。
【0018】
モジュール式デバイスの場合、カートリッジとコントロールユニットは、使用に際して電気的・機械的に結合される。たとえば、適切に係合する電気接点を備えたねじ山、ラッチ、または差し込み固定を使用することができる。カートリッジ内の蒸気前駆体材料を使い切った場合、あるいはユーザーが異なる蒸気前駆体材料を有する別のカートリッジに切り替えたい場合、カートリッジをコントロールユニットから取り外し、その場所に差し替えカートリッジを取り付けることができる。この種の二部品構成のモジュール構造に準拠するデバイスは、一般に二部品デバイスまたは多部品デバイスと呼ばれることがある。
【0019】
多部品デバイスを含む電子タバコが通常長尺形状を有することは比較的一般的であり、具体例を提供するために、本明細書に記載の開示の特定の実施態様は、一般にタバコ容器インサート付きの使い捨てカートリッジを採用した長尺の多部品デバイスを含むと解釈される。ただし、当然のことだが、本明細書に記載の基本原理は、異なる電子タバコ構成、例えば、単部品デバイスまたは3つ以上の部品を含むモジュール式デバイス、詰め替え可能デバイスおよび使い捨てデバイス、ならびに追加の香味部材を持たない非複合デバイス、さらには他の全体的な形状に準拠するデバイス、たとえば、通常はより箱に近い形状を持つ、いわゆる箱形(box mod)の高性能デバイスに基づくデバイスに等しく採用することができる。より一般的には、本開示の特定の実施態様は、本明細書に記載の原理に従って活性化機能を提供するように構成された電子タバコに基づいており、記載された活性化機能を提供するように構成された電子タバコの特定の構造的側面は、最重要ということはない。
【0020】
図1は、本開示の特定の実施態様による例示的な電子タバコ1の断面図である。電子タバコ1は、2つの主要な構成要素、即ち、再利用可能な部品2および交換可能/使い捨てのカートリッジ部品4からなる。この特定の例では、電子タバコ1は、刻みタバコを含むインサートハウジングを含む、取り外し可能なインサート8を含むカートリッジ部品4を備えたハイブリッドデバイスであるとする。ただし、この例がハイブリッドデバイスであるという事実は、それ自体、本明細書でさらに説明されるように、デバイス起動機能にとって直ちに重要ではない。
【0021】
通常の使用では、再利用可能な部品2とカートリッジ部品4は、接合部6で取り外し可能に結合される。カートリッジ部品を使い切ったとき、またはユーザーが単に別のカートリッジ部品に切り替えたいとき、カートリッジ部品は再利用可能な部品から取り外され、交換用カートリッジ部品が再利用可能な部品に取り付けられる。接合部6は、2つの部品間の構造的、電気的かつ空気経路接続を提供し、従来技術、例えば、適切に配置された電気接点を有するねじ山、ラッチ機構、または差し込み固定、および必要に応じて2つの部品間の電気接続と空気経路を確立するための開口部に基づいて設定されてもよい。カートリッジ部品4を再利用可能部品2に機械的に取り付ける特定の方法は、本明細書に記載の原理にとって重要ではないが、具体例のために、ここでは、例えばカートリッジの一部を備えたラッチ機構を含むが、協調するラッチ係合要素(
図1には示さず)とともに再利用可能な部品内の対応する容器に受け入れられると想定する。なお、いくつかの実装形態における接合部6は、それぞれの部品間の電気的接続を支持しない場合がある。例えば、実施態様によっては、気化器は、カートリッジ部品ではなく再利用可能部分に提供されるか、または再利用可能部分からカートリッジ部品への電力の伝達は、無線(例えば、電磁誘導に基づく)でもよい。再利用可能な部品とカートリッジ部品の間の電気的接続は必要ない。
【0022】
カートリッジ部品4は、本開示の特定の実施態様によれば、広い意味での従来品でよい。
図1ではカートリッジ部品4は、プラスチック材料で形成されたカートリッジハウジング42を含む。カートリッジハウジング42は、カートリッジ部品の他の構成要素を支持し、機械的接合部6に再利用可能部品2を提供する。カートリッジハウジングは、一般に、カートリッジ部品が再利用可能部品2に結合する長手方向軸に関して円対称である。この例ではカートリッジ部品の長さは約4cm、直径は約1.5cmである。ただし、当然のことながら、実装が違えば、特定の形状、より一般的には使用される全体的な形状および材料は異なる可能性がある。
【0023】
カートリッジハウジング42内には、液体蒸気前駆体材料を含む貯液容器44がある。液体蒸気前駆体材料は従来のもので、電子液体と呼ばれることもある。この例の液体貯液容器44は、カートリッジハウジング42によって画定される外壁と、カートリッジ部品4を通る空気経路52を画定する内壁とを備えた環状形状を有する。貯液容器44は、両端部壁で閉じられ、電子液体を収容する。貯液容器44は、従来の技術に従って形成することができ、例えば、プラスチック材料を含み、カートリッジハウジング42と一体的に成形することができる。
【0024】
この例の香味部材インサート(タバコポッド)8は、コントロールユニット2に結合し、摩擦嵌合によって保持されるカートリッジ4の端部とは反対側の空気経路52の開放端に挿入される。香味要素インサート8のハウジングは、カートリッジハウジング42の端部に隣接して過剰挿入を防止する止め輪を含む。香味要素インサート8のハウジングはまた、使用中に空気経路52に沿って引き込まれた空気が香味要素インサート8を通過することを可能にするために両端に開口部を含み、したがって、ユーザー吸入用のマウスピース出口50を通ってカートリッジ4を出る前にこの例ではタバコ内の香味剤から香味を取り込む。
【0025】
カートリッジ部品は、マウスピース出口50の反対側の貯液容器44の端部に向かって配置された芯46および加熱エレメント(気化器)48をさらに備える。この例では、芯46は、カートリッジ空気経路52を横切って横方向に延在し、その端部は貯液容器44の内壁の開口部を通る電子液体の貯液容器44に延在する。芯を過度に圧縮することなく液体貯液容器からカートリッジの空気経路への漏れ(液体の移送性能に悪影響を及ぼす可能性がある)に対して合理的なシールを提供するために、芯46の寸法にほぼ一致するように貯液容器の内壁の開口部の大きさを決定する。
【0026】
芯46および加熱エレメント48の周りのカートリッジ空気経路52の領域が事実上カートリッジ部品の気化領域を画定するように、芯46および加熱エレメント48をカートリッジ空気経路52内に配置する。貯液容器44内の電子液体は、貯液容器44内に延びる芯の端部から芯46に浸透し、表面張力/毛管作用(即ち、ウィッキング)によって芯に沿って引き込まれる。この例の加熱エレメント48は、芯46の周りに巻かれた電気抵抗線を含む。この例では、加熱エレメント48は、ニッケルクロム合金(Cr20Ni80)線を含み、芯46は、ガラス繊維束を含むが、特定の気化器の構成は、本明細書に記載されている原理にとっては重要ではない。使用中、電力を加熱エレメント48に供給し、芯46によって加熱エレメント48の近くに引き込まれた量の電子液体(蒸気前駆体材料)を気化させることができる。気化された電子液体は香味部材インサート8を通り気化領域からカートリッジ空気経路に沿って引き込まれた空気内に取り込まれ、ユーザー吸入のためにマウスピース出口50から出る。
【0027】
気化器(加熱エレメント)48によって電子液体が気化される速度は、使用中に加熱エレメント48に供給される電力の量(レベル)に依存する。したがって、電力を加熱エレメントに印加して、カートリッジ部品4内の電子液体から蒸気を選択的に生成することができ、さらに、蒸気発生の速度は、加熱エレメント48に供給される電力の量を、例えば、パルス幅および/または周波数変調技術で加減して変えることができる。
【0028】
再利用可能な部品2は、電子タバコ用の空気入口28を画定する開口部を備えた外方ハウジング12、電子タバコに操作電力を提供する電池26、電子タバコ、ユーザー入力ボタン14、吸入センサ(パフセンサ)16、この例では、圧力センサチェンバー18に配置された圧力センサ、および視覚的表示部24の操作を制御および監視する制御回路20を備える。
【0029】
外方ハウジング12は、例えば、プラスチックまたは金属材料から形成することができ、この例では、接合部6の2つの部分の間の滑らかな移行を提供するように、カートリッジ部品4の形状と大きさに概ね一致する円形断面を有する。この例では、再利用可能な部品の長さは約8cmであり、カートリッジ部品と再利用可能な部品を結合したときの電子タバコの全長は約12cmである。しかしながら、すでに述べたように、本開示の実施態様を実施する電子タバコの全体的な形状およびスケールは、本明細書に記載の原理にとって重要ではない。
【0030】
空気入口28は再利用可能部品2を経て空気経路30に繋がっている。再利用可能部品2とカートリッジ部品4が繋がっている場合、再利用可能部品の空気経路30は、接合部6をまたいでカートリッジ空気経路52に繋がっている。圧力センサ16を含む圧力センサチェンバー18は、再利用可能部品2の空気経路30と流体連通している(即ち、圧力センサチェンバー18は、再利用可能部品2の空気経路30から分岐している)。したがって、ユーザーがマウスピース開口部50を介して吸入すると、圧力センサ16によって検出され得る圧力センサチェンバー18内の圧力は低下し、空気は再利用可能な部品の空気に沿って空気入口28を通して引き込まれる。再利用可能部品の空気経路30は、接合部6を横切って、噴霧器48の近くの蒸気発生領域(気化器が作動中に気化した電子液体が空気流に同伴する)を通り、カートリッジ空気経路52に沿い、ユーザー吸入用のマウスピース開口部50に至る。
【0031】
この例の電池26は、再充電可能であり、従来のもの、例えば、電子タバコおよび比較的短期間に比較的大電流を供給することを必要とする他の用途で通常使用される類のものでもよい。電池26は、再利用可能な部品ハウジング12内の充電コネクタ、例えば、USBコネクタから再充電することができる。
【0032】
この例のユーザー入力ボタン14は、従来の機械式ボタンであり、例えば、電気的接触を設定するためにユーザーが押すことができるばねに取り付けられた構成要素を含む。この点で、入力ボタンは、端末デバイスに手動入力機構を提供すると見なすことができるが、ボタンが実装される特定の方法は重要ではない。例えば、異なる形態の機械式ボタンまたは触覚ボタン(例えば、静電容量式または光学的感知技術に基づく)を他の実装で使用することができる。ボタンが実装される特定の方法は、例えば、所望の美的外観を考慮して選択される。
【0033】
表示部24は、電子タバコに関連する様々な特性、例えば、現在の電力設定情報、電池の残留電力などをユーザーに視覚的に示す。表示部は、さまざまな方法で実装できる。この例では、表示部24は、従来の技術に従って所望の情報を表示するように駆動される従来のピクセル化された液晶画面を備える。他の実装形態では、表示部は、1つ以上の個別の指示器、たとえばLEDを含み、これらは、例えば、特定の色および/または点滅操作により、所望の情報を表示するように配置される。より一般的には、表示部が提供され、表示部を用いてユーザーに情報を表示する方法は、本明細書に記載の原理にとっては重要ではない。いくつかの実施態様は、視覚的表示を含まない場合があり、例えば音声信号または触覚フィードバックを用いて、電子タバコの操作特性に関連する情報をユーザーに提供するための他の手段を含む場合があり、あるいは電子タバコの操作特性に関連する情報をユーザーに提供する手段を含まない場合がある。
【0034】
制御回路20は、電子タバコの操作を制御して、本明細書でさらに説明する本開示の実施態様による機能を提供し、かつそのようなデバイスを制御するための確立された技術に沿った電子タバコの従来の操作機能を提供するように適切に構成・プログラムされる。制御回路(処理回路)20は、本明細書に記載の原理および電子タバコの他の従来の操作側面に従って、表示部駆動回路やユーザー入力の検出などの、電子タバコの操作の異なる側面に関連する様々なサブユニット・回路構成を論理的に含むと見なすことができる。当然だが、制御回路20の機能を、例えば、必要な機能を提供するように構成された1つ以上の適切にプログラムされたプログラム可能な1台以上のコンピュータ・特定用途向けの1台以上の集積回路・回路構成・チップ・チップセットを用いて、様々な異なる方法で提供することができる。
【0035】
したがって、蒸気供給システム1は、ユーザー入力ボタン14と、吸入センサ16とを含む。本開示の特定の実施態様によれば、制御回路20は、吸入センサ16からの信号を受信し、この信号を用いてユーザーが電子タバコを吸入したかを決定するか、入力ボタン14から信号を受信し、この信号を用いてユーザーが入力ボタンを押している(即ち、稼働中)かどうかを決定するように構成される。電子タバコの操作のこれらの態様(即ち、パフ検知およびボタンプレス検出)は、それ自体、確立された技術(例えば、従来の吸入センサおよび吸入センサ信号処理技術を使用し、従来の入力ボタンおよび入力ボタン信号処理技術を使用する)に従って実行される。
【0036】
図2を参照すると、制御回路20は、吸入センサ16および/または使用者入力ボタン14のいずれかからの信号に応答して加熱エレメント48に電力を供給するように構成される(
図2の工程202)。そのような信号が受信された場合、制御回路20は、加熱操作を実行するために加熱エレメント48に電力を供給して、蒸気供給システム内に含まれる蒸気前駆体材料からエアロゾル・蒸気を生成する。したがって、第1の加熱操作の開始時に、制御回路20は、加熱エレメント48の抵抗値R
1を測定するように構成される(工程204)。抵抗値は、加熱エレメント48が加熱される直前の加熱操作内の特定の時間に測定される。
【0037】
次に、制御回路20は、測定された抵抗値R1に基づいて基底線抵抗値R0を設定する(工程206)。基底線抵抗値R0は、冷状態すなわち、未使用の状態での加熱エレメント48の抵抗、したがって温度を反映している。
【0038】
基底線抵抗値R0を用いて、制御回路20は、基底線抵抗値R0よりも高い閾抵抗値RThres(工程208)を決定する。閾抵抗値RThresは、対応する温度が高すぎる加熱エレメント48の抵抗を示している。この閾抵抗値の値は、使用する蒸気供給システムによって異なる。しかしながら、実施態様によっては、閾抵抗値RThresは、基底線抵抗値R0の所定の倍数に基づいている。1つの特定の例は、RThres=2.2×R0である。蒸気供給システムの実施態様によっては、RThresは1100mΩから1500mΩの領域にあってもよい。
【0039】
図3を参照して、加熱エレメント48の閾抵抗値R
Thresの決定に続いて、制御回路20は、次に、加熱操作中の加熱エレメントの抵抗を監視して、監視抵抗値Rを決定する(工程302)。監視抵抗値Rごとに、制御回路20は、この抵抗値Rを閾抵抗値R
Thresと比較する(工程304)。1つ以上の監視抵抗値Rが閾抵抗値R
Thresを超える場合、それは、加熱エレメント48の故障状態を示している可能性がある(工程306)。そのような場合、その事象は、制御回路20によって起動され、これは、警報か、蒸気供給システムを「停止」または「待機」状態にすることであってもよい。
【0040】
加熱操作後、制御回路20は、加熱エレメント48への電力供給を停止し、これにより、加熱エレメントが冷却され、次後の加熱操作を始めるために使用者入力ボタン14および/または吸入センサ16からの新しい信号を待つ。
【0041】
新な信号を受信すると、制御回路20は、前の加熱操作に関して上記と同じように操作し、加熱操作中の加熱エレメントの抵抗を監視して、監視抵抗値Rを決定し、次に、この抵抗値Rを所定の閾抵抗値RThresと比較する。
【0042】
したがって、制御回路20は、加熱エレメント48の少なくとも1つの加熱操作中に加熱エレメント48の抵抗を監視して、ある期間にわたって複数の監視抵抗値Rを決定するように構成される(工程302)。例えば、制御回路は、加熱エレメント48の抵抗を5から500Hzの間、好ましくは約200Hzの速度で採取することで抵抗を監視するように構成される。制御回路20は、複数の監視抵抗値Rのそれぞれを所定の閾抵抗値RThresと比較するように構成される(工程304)。次いで、複数の監視抵抗値Rと所定の閾抵抗値RThresとの比較に基づいて、加熱エレメント48の故障状態を検出する(工程306)。
【0043】
複数の監視抵抗値Rのそれぞれを上記の所定の閾抵抗値RThresと比較する際に(工程304)、各監視抵抗値Rを、抵抗値Rを決定した直後に所定の閾抵抗値RThresと比較するようになっており、複数の監視抵抗値Rのすべてが決定された場合にのみ、複数の監視抵抗値Rのそれぞれと所定の閾抵抗値RThresとの比較を実行するのとは対照的である。このようにして、故障状態の検出をよりタイムリーに行うことができる。
【0044】
実施態様によっては、制御回路は、一定期間中に複数の監視抵抗値Rが所定の閾抵抗値RThresを超えた場合に、加熱エレメント48の故障状態を検出するように構成される。このように、複数の監視抵抗値Rが所定の閾抵抗値RThresを超えることを要求することで、一つの不正/誤監視抵抗値Rが加熱エレメント48の故障状態を検出することを防止するのに役立ち、1つの監視抵抗値Rが所定の閾抵抗値RThresを超えることとは対照的である。
【0045】
実施態様によっては、所定の閾抵抗値RThresを超える監視抵抗値Rは、連続的な監視抵抗値Rである必要があるかも知れない。
【0046】
他の実施態様では、所定の閾抵抗値RThresを超える監視抵抗値Rは、連続する監視抵抗値Rであってはならない。例えば、所定の閾抵抗値RThresを超える監視抵抗値Rは、一定期間に記録された任意の連続または非連続値であってもよい。
【0047】
実施態様によっては、所定の閾抵抗値を超える複数の監視抵抗値は、所定の閾抵抗値を超える少なくとも2つ、または少なくとも3つ、または3つを超える監視抵抗値を含んでもよい。故障状態が検出される前に所定の閾抵抗値を超えなければならない監視抵抗値の数を増やすことにより、不正・誤監視抵抗値Rで加熱エレメント48の故障状態を検出する可能性を低減する。
【0048】
実施態様によっては、制御回路20が加熱エレメント48の抵抗を監視するように構成される期間は、加熱エレメントの加熱操作の持続時間、加熱エレメントの所定の連続した数の加熱操作の持続時間、または加熱エレメントの累積加熱操作の持続時間(連続している場合と連続していない場合がある)であってもよい。特定の一実施態様では、加熱エレメントの所定の連続する加熱操作の数は、加熱エレメントの任意の正の整数の連続する加熱操作(例えば、10回の加熱操作)である。
【0049】
実施態様によっては、制御回路20が加熱エレメント48の抵抗を監視するように構成される期間は、3秒、10秒、30秒、60秒、または120秒のうちの少なくとも1つを含む。当然だが、選択される期間は、各種の加熱エレメント48およびその周囲への制御回路の使用に応じて変化する。さらに、そのような期間は、加熱エレメントのいくつかの連続した加熱操作を網羅し得るものである。実例によっては、制御回路は、加熱操作間の加熱エレメントの抵抗を継続的に監視するように構成される。他の例では、制御回路は、加熱操作の間の加熱エレメントの抵抗の監視を一時停止し、加熱操作の開始時に加熱エレメントの抵抗の監視を再開するように構成される。したがって、期間は、連続の期間または、共に期間を形成する複数のより小さな分離された期間を含んでいてもよい。
【0050】
実施態様によっては、制御回路20が加熱エレメントの抵抗を監視するように構成される期間は、所定の数の個々の抵抗値Rを測定するのにかかる時間に対応する。例えば、一実施態様において、制御回路20が200Hzのサンプルレートでの加熱操作中の加熱エレメントの抵抗を監視するように構成されている場合、5秒間の監視の目標について、制御回路が加熱エレメントの抵抗を監視するように構成されている期間は、加熱エレメントの抵抗の1000回の測定を行うのにかかる時間に対応する。
【0051】
実施態様によっては、
図4に示すように、決定された各監視抵抗値Rが、それ自体の関連する期間を含むように、制御回路20が加熱エレメント48の抵抗を監視するように構成される期間は、移動・回転期間であってもよい。例えば、その期間が所定の秒数(例えば10秒)を含む実施態様では、所与の決定された監視抵抗値Rについて、その決定された監視抵抗値Rが故障状態を検出するように制御回路が構成され、かつ所与の決定された監視抵抗値Rが決定される前の期間内に発生する先行する決定された監視抵抗値Rは、所定の閾抵抗値R
Thresを超える。
【0052】
したがって、上記の実施態様で説明したように、制御回路20は、異常に高い1つ以上の不正・誤監視抵抗値Rが決定された結果として故障状態が検出される可能性を減らすのに役立つ様々な異なる方法で加熱エレメント48の故障状態を検出するように構成される。
【0053】
その効果のために、制御回路20の1つの特定の実施態様は、加熱エレメントの単一の加熱操作中に発生する複数の監視抵抗値を決定し、(ただ一つとは対照的に)これら複数の監視抵抗値が、加熱エレメントの加熱操作中に所定の閾抵抗値を超えた場合に加熱エレメントの故障状態を検出することを含む。
【0054】
別の特定の実施態様では、制御回路20は、設定された期間中に発生する複数の監視抵抗値を決定し、それら複数の監視抵抗値がその期間中に所定の閾抵抗値を超える場合に、加熱エレメントの故障状態を検出してもよい(例えば、5つの監視抵抗値が10分以内に、好ましくは5分以内に所定の閾抵抗値を超えた場合に障害が検出される)。
【0055】
別の特定の実施態様では、制御回路20は、加熱エレメントの所定の連続した数の加熱操作中に発生する複数の監視抵抗値を決定し、それらの複数の監視抵抗値が加熱エレメントの所定の連続した加熱操作の間に所定の閾抵抗値を超えた場合に加熱エレメントの故障状態を検出してもよい(例えば、3つの監視抵抗値がその前の10回の加熱操作において所定の閾抵抗値を超える場合に障害が検出される)。
【0056】
したがって、上記のように故障状態が検出される前に、ただ1つの監視抵抗値ではなく、複数の監視抵抗値が所定の閾抵抗値を超えることを必要とする制御回路20によって、本開示のこれらの実施態様は、異常に高い1つ以上の誤検知された抵抗値Rが決定された結果としての加熱エレメント48の故障状態の検出を軽減する蒸気供給システムを提供する。
【0057】
加熱エレメント48の抵抗を監視するために制御回路20によって使用されるシステムに関して、加熱エレメント48の抵抗を測定する過程は、従来の抵抗測定技術に従って実行される。即ち、制御回路20は、抵抗(または対応する電気的パラメータ)を測定するための確立された技術に基づく抵抗測定部品を含んでもよい。
【0058】
本開示の実施態様によれば、蒸気前駆体材料は加熱エレメント48と制御回路20を含む第2の再利用可能な部品2から取り外し可能なカートリッジ部品4内に配置されてもよい。
【0059】
上記の実施態様は、いくつかの点でいくつかの特定例の蒸気供給システムに焦点を合わせているが、当然ながら同じ原理が他の技術を使用する蒸気供給システムに適用される。即ち、特定の方法は、蒸気供給システムの機能の様々な側面が本明細書に記載の例の根底にある原理に直接は関連しない。
【0060】
例えば、上記の実施態様は、液体蒸気前駆体材料を加熱する電熱器に基づく気化器を有するデバイスに主に焦点を合わせてきたが、同じ原理を他の技術に基づく気化器、例えば、圧電バイブレーター系気化器または光加熱気化器、さらには他の蒸気前駆体材料、例えば、タバコ誘導体材料などの植物由来材料などの固体材料、またはゲル、ペーストまたは発泡体系の蒸気前駆体材料などの他の形態の蒸気前駆体材料に基づくデバイスに採用してもよい。
【0061】
さらに、すでに述べたように、電子タバコに関連する上記の手法は、
図1に示すものとは異なる全体的な構造を有する電子タバコ、例えば、同じ原理が、2つの部分からなるモジュール構造を含まず、代わりに単一の部分の装置、例えば、使い捨て(即ち、再充電不可および詰め替え不可能な)装置を含む電子タバコに実装される。さらに、モジュール式デバイスのいくつかの実装では、各部品の配置が異なる場合がある。例えば、実装形態によっては、コントロールユニットは、気化器が蒸気を発生させるのに使用される蒸気前駆体材料の供給源を提供する交換可能なカートリッジを備えた気化器も含んでもよい。さらに、上記の例では、電子タバコ1は香味インサート8を含むが、他の例の実装は、そのような追加の香味部材を含まない場合がある。
【0062】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示は、例示として、特許請求される発明が実施され得る様々な実施態様を示す。本開示の利点および特徴は、実施態様の代表的な実例のみのものであり、網羅的でも排他的でもない。それらは、特許請求された発明の理解を支持・教示するためにのみ提示されている。当然のことだが、本開示の利点、実施態様、実例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は、特許請求の範囲または請求項と同等のものの制限によって定義される開示の制限と見なされるべきではない。他の実施態様を利用することができ、特許請求の範囲から逸脱することなく修正を行うことができる。様々な実施態様は、本明細書に具体的に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段などの様々な組み合わせを適切に含む、からなる、または本質的にからなることができ、したがって、従属クレームは、クレームに明示的に記載されているもの以外の組み合わせで、独立クレームの特徴と組み合わせることができる。本開示は、現在特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含んでもよい。
【国際調査報告】