(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】色素上皮由来因子(PEDF)を使用する疾患の処置のための方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/47 20060101AFI20220420BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20220420BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220420BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220420BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220420BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20220420BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220420BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220420BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20220420BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20220420BHJP
【FI】
C07K14/47
A61K38/22
A61P27/02
A61P9/00
A61P9/10
A61K31/7105
A61K48/00
A61K39/395 N
C12Q1/02
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553065
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(85)【翻訳文提出日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2020055757
(87)【国際公開番号】W WO2020178360
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521400213
【氏名又は名称】キュアビオテック・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】CUREBIOTEC GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】シュレアマイヤー,ウルリッヒ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA05
4B063QQ02
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4C086NA14
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4C086ZC03
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA23
4H045EA28
(57)【要約】
本発明は、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)であって、方法がPEDFを対象に投与することを含み、疾患が眼疾患であり、疾患の処置および/または防止が、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)であって、前記方法がPEDFを対象に投与することを含み、前記疾患が眼疾患であり、前記疾患の処置および/または防止が、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項2】
前記眼疾患が黄斑変性症であり、好ましくは、黄斑変性症が加齢黄斑変性症(AMD)、より好ましくは萎縮型加齢黄斑変性症または滲出型加齢黄斑変性症である、請求項1に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項3】
滲出型および/または萎縮型AMDにおける地図状萎縮の成長および/または形成を阻害する、請求項2に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項4】
前記眼疾患が、中心性漿液性脈絡網膜症、糖尿病網膜症、虹彩ルベオーシス、角膜新生血管、ポリープ状脈絡膜血管症、未熟児網膜症、ならびに網膜および/または脈絡膜線維症を含む群から選択される、請求項1に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項5】
前記疾患が網、膜および/または脈絡膜線維症であり、PEDFが、網膜および脈絡膜線維症の進行を阻害する、請求項4に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項6】
迷路状毛細血管形成が、好ましくは眼疾患の眼における迷路状毛細血管形成である、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項7】
脈絡毛細管板の成長を誘導することが、新たな脈絡毛細管板の成長を誘導することを含むか、または新たな脈絡毛細管板の成長を誘導することである、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項8】
脈絡毛細管板の成長を誘導することが、本来の脈絡毛細管板に取って代わることができる脈絡毛細管板を提供し、好ましくは、本来の脈絡毛細管板が患部脈絡毛細管板である、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項9】
脈絡毛細管板を密着させることが、病的脈絡毛細管板を密着させることを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項10】
細胞外マトリックス形成を阻害することが、血液血管の内腔に対するおよび/または血液血管の周辺の細胞外マトリックス形成の阻害を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項11】
脈絡毛細管板を保護することが、抗VEGF薬の損傷作用から脈絡毛細管板を保護することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項12】
脈絡毛細管板を保護することが、抗VEGF薬の中止による損傷作用から脈絡毛細管板を保護することを含む、請求項11に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項13】
血管発生を導くことが、機能的血液血管、好ましくは病的血液血管からの機能的血液血管の発生を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項14】
前記病的血液血管が病的状態の結果である、請求項13に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項15】
硝子体内または網膜下投与される、請求項1~14のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項16】
前記方法が抗VEGF療法を適用することをさらに含み、好ましくは、前記抗VEGF療法が前記対象への抗VEGF薬の投与を含み、前記抗VEGF薬が、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、およびアフリベルセプトを含む群から選択される、請求項1から15のいずれか1項に記載の使用のための色素上皮由来因子(PEDF)。
【請求項17】
色素上皮由来因子(PEDF)類似体のスクリーニングのための方法であって、
- VEGFを動物モデルに硝子体内または網膜下投与するステップと、
- 色素上皮由来因子(PEDF)類似体候補物質を前記動物モデルに投与するステップと、
- 1~72時間後に前記色素上皮由来因子(PEDF)類似体候補物質の効果を決定するステップと
を含み、
VEGFの効果が遮断される場合、血液血管の漏出が生じない場合、細胞外マトリックスの増加が生じない場合および/またはブルッフ膜の肥厚化が生じない場合、前記色素上皮由来因子(PEDF)類似体候補物質が色素上皮由来因子(PEDF)類似体である、方法。
【請求項18】
抗VEGF剤のスクリーニングのための方法であって、
- VEGFを動物モデルに硝子体内または網膜下投与するステップと、
- 抗VEGF剤候補物質を前記動物モデルに投与するステップと、
- 1~72時間後に前記抗VEGF剤候補物質の効果を決定するステップと
を含み、
VEGFの効果が遮断される場合、血液血管の漏出が生じない場合、細胞外マトリックスの増加が生じない場合および/またはブルッフ膜の肥厚化が生じない場合、前記抗VEGF剤候補物質が抗VEGF剤である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNA、色素上皮由来因子(PEDF)類似体のスクリーニングのための方法、ならびに抗VEGF剤のスクリーニングのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢黄斑変性症(AMD)は西洋諸国における法的盲の最も一般的な原因である。黄斑下網膜色素上皮の萎縮および脈絡膜新生血管(CNV)の発生は、中心視力の低下を二次的にもたらす。AMDの早期徴候は網膜色素上皮とブルッフ膜との間の沈着物(ドルーゼン)である。2つの形態(滲出型および萎縮型)のAMDが存在する。
【0003】
滲出型AMDの疾患の間、黄斑の網膜下空間への脈絡膜血管の発芽が存在する。これらの新たな血管は多くの場合、異常血管を発生させ、漏出性となり、網膜下浮腫を引き起こす。これらの浮腫は中心視野および読書能力の低下を引き起こす。
【0004】
萎縮型AMDを有する患者では、一次効果は脈絡毛細管板の消失である(Biesemeier, Taubitz et al. 2014)。その後、網膜色素上皮(RPE)および視細胞が変性して、地図状萎縮(GA)を引き起こす。萎縮型AMDに関して、脈絡毛細管板の消失を防止するために利用可能な処置は現在のところ存在しない。
【0005】
中心窩下CNVを有する患者は一般に、血管内皮増殖因子(VEGF)を減少または遮断する薬物を用いて処置されていた。2004年以来、抗VEGF療法は、滲出型AMDの標準的な処置となっており、この疾患の管理を一新した。2004~2006年の間に、3種の抗VEGF薬が、AMDの処置に関する規制当局の承認を受けた(ペガプタニブ、ラニビズマブ)、または適応外で使用された後に(ベバシズマブ)、眼科学に導入された(Browning, Kaiser et al. 2012)。これらは、活性の部位、製剤方法、結合親和性、および生物活性の点で重要な相違を呈する(Julien, Biesemeier et al. 2014)。ペガプタニブ(マクジェン)は、VEGFの主要な病的アイソフォーム(VEGF-A165)のヘパリン結合ドメインに結合することによってVEGF-A165に選択的に結合し、それを中和するオリゴヌクレオチドアプタマーである。ラニビズマブ(ルセンティス、Genentech/Novartis)は、親和性成熟ヒト化モノクローナル抗体断片(Fab)であり、ベバシズマブ(アバスチン、Genentech/Roche)は、全長ヒト化モノクローナル抗体である。両者は、VEGF-Aの全てのアイソフォームの受容体結合ドメインを遮断することによって機能する(Ferrara, Damico et al. 2006)。アフリベルセプト(VEGF Trap-Eye、Eylea、Regeneron/Bayer)は、米国食品医薬品局によって近年承認された抗VEGF剤である。これは、ヒトIgG1の断片結晶化可能(Fc)領域と融合したVEGFR1の第2の免疫グロブリン(Ig)結合ドメインおよびVEGFR2の第3のIg結合ドメインから構成される完全ヒト組換え融合タンパク質である。
【0006】
アフリベルセプトは、全てのVEGF-Aアイソフォーム、VEGF-B、およびPlGFに結合する(Papadopoulos, Martin et al. 2012)。サルの眼に硝子体内注射されたベバシズマブの効果は広範に記載されている(Peters, Heiduschka et al. 2007、Julien, Biesemeier et al. 2013、Schraermeyer and Julien 2013)。その効果には、脈絡毛細管板有窓構造の減少、視細胞損傷、免疫複合体の形成、および血栓性微小血管症が含まれた。ベバシズマブ処置後の血栓症に関する有力な理論的根拠はMeyerおよび共同研究者らによって提示された(Meyer, Robles-Carrillo et al. 2009)。彼らは、ベバシズマブがVEGF、すなわちヘパリンとの複合体形成および血小板FcガンマRIIa受容体の活性化を介して、血小板凝集、脱顆粒、および血栓症を誘導する可能性があることを見出した。さらに、他の結果は、補体カスケードを活性化して細胞死を引き起こす、ベバシズマブのFcドメインとヒトRPEおよびヒト臍帯血管内皮細胞膜とのFc受容体または膜結合VEGFを介した効果的な結合を実証している(Meyer and Holz 2011)。アフリベルセプトはヒトIgG1のFcドメインも含有するため、アフリベルセプトにおいて類似した問題が存在するか否かは不明確である。さらに、IgG1アイソタイプは、古典的経路を介した補体系の活性化において非常に効果的であることが公知である(Daha, Banda et al. 2011)。実際、IgG1のFc部分は、その後の古典的経路の活性化を引き起こすC1qと結合する高い能力を有する(Daha, Banda et al. 2011)。対照的に、ラニビズマブは、補体カスケードの活性化を回避するFcドメインを保有しないが、にもかかわらず、非臨床研究において溶血およびフィブリン形成も誘導する(Julien, Biesemeier et al. 2014)。
【0007】
VEGF阻害は、がん(Meyer, Robles-Carrillo et al. 2009)または新生血管性AMD(Schraermeyer and Julien 2013)に関して処置されたヒトにおいて、血小板を活性化させることができると報告された。加えて、硝子体内適用後のVEGF薬は、サルの脈絡毛細管板に血栓性微小血管症を誘導した(Peters, Heiduschka et al. 2007、Schraermeyer and Julien 2012)。抗VEGF薬はまた、脈絡毛細管板内に溶血、うっ滞、およびフィブリン形成も誘導する(Schraermeyer and Julien 2012、Schraermeyer and Julien 2013、Julien, Biesemeier et al. 2014)。アバスチンは、ヘパリン・VEGFタンパク質複合体と一緒に形成されて血栓性事象を誘導する(Julien, Biesemeier et al. 2013)。滲出型AMDに罹患している患者から外科的に切除した脈絡膜の血液血管において、抗VEGF(ベバシズマブ)処置は血栓症およびタンパク質複合体形成を誘導した(Schraermeyer, Julien et al. 2015)。
【0008】
AMD患者は年齢のために脳卒中または他の血管関連疾患に罹患するより高いリスクを有するため、これらの副作用は不都合である。したがって、ベバシズマブを用いて処置された滲出型AMDを有する個体における、滲出型AMDを有しない同じ年齢および性別の群と比較して増加した長期死亡率が報告された(Hanhart, Comaneshter et al. 2017)。特に、心筋梗塞後(Hanhart, Comaneshter et al. 2018)および脳血管事象後(Hanhart, Comaneshter et al. 2018)に、抗VEGF処置によって引き起こされる死亡率は大きく上がる。さらに、抗VEGF薬を用いる長期処置は、滲出型AMDを有する患者の網膜の末梢部分において本来の脈絡毛細管板の消失および地図状萎縮を引き起こす(Schutze, Wedl et al. 2015)。したがって、この処置は、この処置を行わなければ生じなかった可能性があるさらなる視力低下を誘導する。
【0009】
近年、漏出がすでに生じた後にのみCNVを検出する以前のフルオレセイン蛍光眼底造影検査の欠点を克服する、光干渉断層計を用いた血管造影法(OCTA)(Treister, Nesper et al. 2018)を使用する新たな可能性のため、片側滲出性CNVの僚眼における潜在性CNVの顕著な有病率、および全てのCNV病変に隣接する有意に大きな脈絡毛細管板無灌流が検出されている。Treisterら(Treister et al. 2018)は、滲出性AMDの眼における、その潜在性CNVの僚眼と比較して増加した脈絡毛細管板無灌流の傾向を同定した。このことは、潜在性CNVがこれらの患者の視力を低下させずに存在していることを明確に示す。これらの新たな所見は、新生血管が視細胞の生存に役立ち得る後期滲出型AMDを有する眼における以前の観察を支持する(Biesemeier, Julien et al. 2014)。
【0010】
滲出型AMDの処置の長い歴史に関して、常に同じ原則、すなわち新たに形成された血液血管を除去または遮断することが使用されている。これを達成するために、種々の方法、例えば、レーザー凝固、外科的処置、放射線、光線力学療法、および今日の硝子体内抗VEGF薬が使用されている。主要な方法のいずれも視野を改善することができなかった一方で、抗VEGF(ラニビズマブ)の使用は成功を収め、視力をしばらくの間改善することができるが、依然として最適な救済には到底達していない。
【発明の概要】
【0011】
本発明の根底にある課題は、加齢黄斑変性症(AMD)等の眼性疾患の処置のための手段の提供である。
【0012】
本発明の根底にあるさらなる課題は、改善した視力を長期間実現する、加齢黄斑変性症(AMD)等の眼性疾患の処置のための手段の提供である。
【0013】
本発明の根底にあるこれらおよび他の課題は、添付の独立請求項の主題によって解決される。好ましい実施形態は、添付の従属請求項から得てもよい。
【0014】
本発明の根底にある課題であり、また、第1の態様の第1の実施形態でもある第1の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)であって、方法がPEDFを対象に投与することを含み、疾患の処置および/または防止が、迷路状毛細血管(labyrinth capillary)形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または、血管発生を導くことを含む使用のための色素上皮由来因子(PEDF)によっても解決される。
【0015】
第1の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第2の実施形態では、疾患は眼疾患である。
【0016】
第1の態様の第2の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第3の実施形態では、眼疾患は黄斑変性症であり、好ましくは、黄斑変性症は加齢黄斑変性症(AMD)、より好ましくは萎縮型加齢黄斑変性症または滲出型加齢黄斑変性症である。
【0017】
第1の態様の第3の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第4の実施形態では、PEDFは滲出型AMDおよび/または萎縮型AMDにおける地図状萎縮の成長および/または形成を阻害する。
【0018】
第1の態様の第2の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第5の実施形態では、疾患は、中心性漿液性脈絡網膜症、糖尿病網膜症、虹彩ルベオーシス、角膜新生血管、ポリープ状脈絡膜血管症、未熟児網膜症、ならびに網膜および脈絡膜線維症を含む群から選択される。
【0019】
第1の態様の第5の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第6の実施形態では、PEDFは網膜および/または脈絡膜線維症の進行を阻害する。
【0020】
本発明の根底にある課題であり、また、第2の態様の第1の実施形態でもある第2の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患の処置および/または防止が、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む、mRNAによっても解決される。
【0021】
第2の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第2の態様の第2の実施形態では、疾患は眼疾患である。
【0022】
第2の態様の第2の実施形態の一実施形態でもある第2の態様の第3の実施形態では、眼疾患は黄斑変性症であり、好ましくは、黄斑変性症は加齢黄斑変性症(AMD)、より好ましくは萎縮型加齢黄斑変性症または滲出型加齢黄斑変性症である。
【0023】
第2の態様の第3の実施形態の一実施形態でもある第2の態様の第4の実施形態では、PEDFは滲出型AMDおよび/または萎縮型AMDにおける地図状萎縮の成長および/または形成を阻害する。
【0024】
第2の態様の第2の実施形態の一実施形態でもある第2の態様の第5の実施形態では、疾患は、中心性漿液性脈絡網膜症、糖尿病網膜症、虹彩ルベオーシス、角膜新生血管、ポリープ状脈絡膜血管症、未熟児網膜症、ならびに網膜および脈絡膜線維症を含む群から選択される。
【0025】
第2の態様の第5の実施形態の一実施形態でもある第2の態様の第6の実施形態では、PEDFは網膜および/または脈絡膜線維症の進行を阻害する。
【0026】
本発明の根底にある課題であり、また、第3の態様の第1の実施形態でもある第3の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患が眼疾患である、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0027】
第3の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第3の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0028】
第3の態様の第1および第2の実施形態の一実施形態でもある第3の態様の第3の実施形態では、眼疾患は黄斑変性症であり、好ましくは、黄斑変性症は加齢黄斑変性症(AMD)、より好ましくは萎縮型加齢黄斑変性症または滲出型加齢黄斑変性症である。
【0029】
第3の態様の第3の実施形態の一実施形態でもある第3の態様の第4の実施形態では、PEDFは滲出型AMDおよび/または萎縮型AMDにおける地図状萎縮の成長および/または形成を阻害する。
【0030】
第3の態様の第2の実施形態の一実施形態でもある第3の態様の第5の実施形態では、疾患は、中心性漿液性脈絡網膜症、糖尿病網膜症、虹彩ルベオーシス、角膜新生血管、ポリープ状脈絡膜血管症、未熟児網膜症、ならびに網膜および/または脈絡膜線維症を含む群から選択される。
【0031】
第3の態様の第5の実施形態の一実施形態でもある第3の態様の第6の実施形態では、PEDFは網膜および/または脈絡膜線維症の進行を阻害する。
【0032】
本発明の根底にある課題であり、また、第4の態様の第1の実施形態でもある第4の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患が黄斑変性症である、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0033】
第4の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第4の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0034】
第4の態様の第1および第2の実施形態の一実施形態でもある第4の態様の第3の実施形態では、黄斑変性症は加齢黄斑変性症(AMD)、より好ましくは萎縮型加齢黄斑変性症または滲出型加齢黄斑変性症である。
【0035】
第4の態様の第3の実施形態の一実施形態でもある第4の態様の第4の実施形態では、PEDFは滲出型AMDおよび/または萎縮型AMDにおける地図状萎縮の成長および/または形成を阻害する。
【0036】
本発明の根底にある課題であり、また、第5の態様の第1の実施形態でもある第5の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患が中心性漿液性脈絡網膜症である、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0037】
第5の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第5の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0038】
本発明の根底にある課題であり、また、第6の態様の第1の実施形態でもある第6の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患が糖尿病網膜症である、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0039】
第6の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第6の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0040】
本発明の根底にある課題であり、また、第7の態様の第1の実施形態でもある第7の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患が虹彩ルベオーシスである、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0041】
第7の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第7の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0042】
本発明の根底にある課題であり、また、第8の態様の第1の実施形態でもある第8の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患が角膜新生血管である、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0043】
第8の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第8の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0044】
本発明の根底にある課題であり、また、第9の態様の第1の実施形態でもある第9の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患がポリープ状脈絡膜血管症である、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0045】
第9の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第9の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0046】
本発明の根底にある課題であり、また、第10の態様の第1の実施形態でもある第10の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患が未熟児網膜症である、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0047】
第10の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第10の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0048】
本発明の根底にある課題であり、また、第11の態様の第1の実施形態でもある第11の態様では、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFまたはPEDFをコードするmRNAを対象に投与することを含み、疾患が網膜および/または脈絡膜線維症である、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAによっても解決される。
【0049】
第11の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第11の態様の第2の実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0050】
第11の態様の第1および第2の実施形態の一実施形態でもある第11の態様の第3の実施形態では、PEDFおよび/またはPEDFをコードするmRNAは網膜および/または脈絡膜線維症の進行を阻害する。
【0051】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、迷路状毛細血管形成は好ましくは眼疾患の眼における迷路状毛細血管形成である。
【0052】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、脈絡毛細管板の成長を誘導することは、新たな脈絡毛細管板の成長を誘導することを含むか、または新たな脈絡毛細管板の成長を誘導することである。
【0053】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、脈絡毛細管板の成長を誘導することは、本来の脈絡毛細管板に取って代わることができる脈絡毛細管板を提供し、好ましくは、本来の脈絡毛細管板は患部脈絡毛細管板である。
【0054】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、脈絡毛細管板を密着させることは、病的脈絡毛細管板を密着させることを含む。
【0055】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、細胞外マトリックス形成を阻害することは、血液血管の内腔に対するおよび/または血液血管の周辺の細胞外マトリックス形成の阻害を含む。
【0056】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、脈絡毛細管板を保護することは、抗VEGF薬の損傷作用から脈絡毛細管板を保護することを含む。
【0057】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、脈絡毛細管板を保護することは、抗VEGF薬の中止の損傷作用から脈絡毛細管板を保護することを含む。
【0058】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、血管発生を導くことは、機能的血液血管、好ましくは病的血液血管からの機能的血液血管の発生を含む。
【0059】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、病的血液血管は病的状態、好ましくは対象の病的状態の結果であり、より好ましくは、病的状態は、対象が罹患しているかもしくは罹患するリスクがある、および/またはその処置のためにPEDFもしくはPEDFをコードするmRNAが使用されるかもしくは使用されることが意図される疾患である。
【0060】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、PEDFまたはPEDFをコードするmRNAは硝子体内または網膜下投与される。
【0061】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のありとあらゆる実施形態を含むそれらの態様の一実施形態では、方法は抗VEGF療法を適用することをさらに含み、好ましくは、抗VEGF療法は対象への抗VEGF薬の投与を含み、抗VEGF薬は、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、およびアフリベルセプトを含む群から選択される。それらの態様の一実施形態では、PEDFと抗VEGF療法との併用は、抗VEGF療法の単独での使用と比較して、対象に投与される抗VEGF療法の量の減少を可能にする。そのような対象に投与される抗VEGF療法の量の減少は典型的には、副作用、特に前記抗VEGF療法の副作用、例えば心血管副作用の軽減をもたらす。
【0062】
いかなる理論に拘束されることも望むものではないが、本発明者は、驚くべきことに、色素上皮由来因子(PEDF)が、健康かつ機能的な脈絡毛細管板の成長、ならびにそれと関連する効果、例えば、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを誘導することができ、眼疾患の処置に有益であることを見出した。これまでのところ、本発明は、血管成長を阻止することまたは血管を除去することに基づく眼疾患の処置における現時点の最新技術から逸脱している。
【0063】
PEDFによるそのような迷路状毛細血管形成の阻害を考慮すると、眼疾患の処置におけるPEDFの治療効力は、特に迷路状毛細血管形成を示す眼疾患、例えば、加齢黄斑変性症(AMD)、すなわち萎縮型AMDと滲出型AMDの両方、中心性漿液性脈絡網膜症、糖尿病網膜症、虹彩ルベオーシス、角膜新生血管、ポリープ状脈絡膜血管症、および未熟児網膜症に関して妥当である。例えば、滲出型AMDを有する患者がフルオレセインを注射される場合、多量の液体が病的血管から短時間で漏出することが観察される。この所見の最も妥当な原因は、内皮壁の間または内部に大きな間隙が存在するというものである。しかしながら、血液細胞と細胞外マトリックスとを接続する内皮における間隙であれば、血小板によって直ちに塞がれるため、この間隙は生じていない。近年、迷路様構造を血管の内腔に形成した、内皮の多くの微絨毛様突起を有する毛細血管がAMD患者から外科的に切除した脈絡膜新生血管(CNV)に見出された。そのような毛細血管の内腔は間質に対して開放された接続部を示した。これらの毛細血管は、血漿で満たされていたため、血液血管網に接続しており、したがって漏出の原因であった。この種類の毛細血管は、多くの場合CNVにおいて観察され、「迷路状毛細血管」と称された。これらの迷路状毛細血管における漏出性部位は、迷路状毛細血管の縮小した内腔のために血小板が進入することができないため、血小板によって塞ぐことができない。したがって、この血管の種類は、慢性血漿滲出を引き起こし、浮腫の起源である(Schraermeyer, Julien et al. 2015)。
【0064】
さらに、色素上皮由来因子(PEDF)は非常に強力な神経栄養および神経保護効果を有する(King and Suzuma 2000)。この因子は正常酸素圧条件下のRPEによって産生される。産生は、低酸素中は停止する。このことは新生血管を大いに促進する。加齢黄斑変性症(AMD)では、損傷したRPE細胞はPEDFをほとんど産生しない。このことは制御されない血管新生を生じる。PEDFの眼における主な効果は血管の新生を防止することであると考えられていたが(King and Suzuma 2000)、本発明においては、PEDFは、病的血管形成がVEGFによって開始された場合に、CNV血管を安定化させ、迷路状毛細血管形成を回避することができる。
【0065】
第1の態様の第1の実施形態でもある第1の態様では、本発明の根底にある課題は、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)であって、方法がPEDFを対象に投与することを含み、疾患の処置および/または防止が、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)によって解決される。
【0066】
その態様の好ましい実施形態では、PEDFはヒトPEDFタンパク質であり、より好ましい実施形態では、PEDFは配列番号1のアミノ酸配列を含む。
QNPASPPEEG SPDPDSTGAL VEEEDPFFKV PVNKLAAAVS
NFGYDLYRVR SSTSPTTNVL LSPLSVATAL SALSLGAEQR
TESIIHRALY YDLISSPDIH GTYKELLDTV TAPQKNLKSA
SRIVFEKKLR IKSSFVAPLE KSYGTRPRVL TGNPRLDLQE
INNWVQAQMK GKLARSTKEI PDEISILLLG VAHFKGQWVT
KFDSRKTSLE DFYLDEERTV RVPMMSDPKA VLRYGLDSDL
SCKIAQLPLT GSMSIIFFLP LKVTQNLTLI EESLTSEFIH
DIDRELKTVQ AVLTVPKLKL SYEGEVTKSL QEMKLQSLFD
SPDFSKITGK PIKLTQVEHR AGFEWNEDGA GTTPSPGLQP
AHLTFPLDYH LNQPFIFVLR DTDTGALLFI GKILDPRGP(配列番号1)
【0067】
その態様の好ましい実施形態では、PEDFはPEDFの、好ましくはヒトPEDFの、より好ましくは配列番号1のアミノ酸配列を含むPEDFの誘導体である。PEDFが上記効果、特に、迷路状毛細血管形成を阻害する、脈絡毛細管板の成長を誘導する、脈絡毛細管板を密着させる、細胞外マトリックス形成を阻害する、脈絡毛細管板を保護する、および血管発生を導く効果を引き起こすことができる限り、PEDFのいかなる誘導体が使用されてもよいことは当業者によって理解されるだろう。一実施形態では、PEDFは配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性または同一性を有するPEDFである。さらなる実施形態では、PEDFの誘導体は、配列番号1のアミノ酸位20においてアミノ酸残基がピロリドンカルボン酸である、配列番号1のアミノ酸位24においてアミノ酸残基がホスホセリンである、配列番号1のアミノ酸位114においてアミノ酸残基がホスホセリンである、配列番号1のアミノ酸位227においてアミノ酸残基がホスホセリンである、および/または配列番号1のアミノ酸位285においてアミノ酸残基がN結合型(GlcNAc)アスパラギンである誘導体である。
【0068】
上記効果、特に、迷路状毛細血管形成およびその阻害を含むその任意の変化、脈絡毛細管板の成長の誘導、脈絡毛細管板の密着化、細胞外マトリックス形成の阻害、脈絡毛細管板の保護、ならびに血管発生の導きのいずれも、それぞれ漏出血管を検出および評価するのに好適であるフルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)と組み合わせた場合に好ましい光干渉断層計(OCT-A)によって評価することができることが理解されるだろう(Spaide et al. 2015)。光干渉断層計アンギオグラフィー(OCT-A)は、網膜および脈絡膜の微小血管系を撮像するための非侵襲性技法として登場した(Spaide et al.2015)。簡潔に述べると、OCT-A技術は、移動する赤血球の表面のレーザー光反射率を使用して、眼の種々の分割された領域を通る血管を正確に描写し、したがって血管内色素の必要性を排除する。患者の網膜のOCTスキャンは、複数の個々のAスキャンで構成され、Aスキャンは収集されて、断面構造情報を提供するBスキャンとなる。OCT-A技術においては、同じ組織領域が繰り返し撮像され、スキャン間の差が分析されるため、高流量を含有する、すなわちスキャン間で著しい変化を有する範囲、およびスキャン間で類似すると考えられる、緩徐な流動を有するかまたは流動を一切有しない範囲を検出することが可能である。
【0069】
OCT-AおよびFAはそれぞれ、網膜および/または網膜下空間内に位置する浮腫の検出および評価のために使用することもできる。
【0070】
第1の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第2の実施形態では、疾患は眼または眼性疾患である。
【0071】
第1の態様の第1および第2の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第3の実施形態では、眼疾患は、黄斑変性症、好ましくは加齢黄斑変性症(AMD)、より好ましくは萎縮型加齢黄斑変性症または滲出型加齢黄斑変性症である。
【0072】
第1の態様の第1および第2の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第4の実施形態では、眼疾患は、中心性漿液性脈絡網膜症、糖尿病網膜症、虹彩ルベオーシス、角膜新生血管、ポリープ状脈絡膜血管症、および未熟児網膜症を含む群から選択される。
【0073】
第1の態様の第1、第2、第3、および第4の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第5の実施形態では、迷路状毛細血管形成は好ましくは眼疾患の眼における迷路状毛細血管形成である。
【0074】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、および第5の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第6の実施形態では、脈絡毛細管板の成長を誘導することは、新たな脈絡毛細管板の成長を誘導することを含むか、または新たな脈絡毛細管板の成長を誘導することである。
【0075】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、および第6の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第7の実施形態では、脈絡毛細管板の成長を誘導することは本来の脈絡毛細管板に取って代わることができる脈絡毛細管板を提供し、好ましくは、本来の脈絡毛細管板は患部脈絡毛細管板である。それに関連して、患部脈絡毛細管板はブルッフ膜とRPEとの間に位置し、OCT-Aにおいて見ることができることが当業者によって認められるだろう。
【0076】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、および第7の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第8の実施形態では、脈絡毛細管板を密着させることは病的脈絡毛細管板を密着させることを含む。それに関連して、ブルッフ膜とRPEとの間または網膜下空間内に位置する各新生血管性脈絡毛細管板または血管は好ましくは病理的と考えられることが認められるだろう。より好ましくは、脈絡毛細管板は、迷路状の毛細血管に発達するかまたは他の理由によって漏出性となった場合にのみ病理的と考えられる。その診断はOCT-Aおよび/またはフルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)によって実施することができる。
【0077】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第9の実施形態では、細胞外マトリックス形成を阻害することは、血液血管の内腔に対するおよび/または血液血管の周辺の細胞外マトリックス形成の阻害を含む。好ましくは、そのような血管は、内腔への内皮突起の非存在のために赤血球の流動を阻害しない。
【0078】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、および第9の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第10の実施形態では、脈絡毛細管板を保護することは、抗VEGF薬の損傷作用から脈絡毛細管板を保護することを含む。そのような抗VEGF薬は好ましくは、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、およびアフリベルセプトを含む群から選択される抗VEGF薬である。それに関連して、そのような損傷作用は血液血管の退縮ならびに地図状萎縮をもたらすRPEおよび視細胞の変性を包含し得ることが認められるだろう。地図状萎縮は、RPEの自家蛍光が消失するため、走査型レーザー検眼鏡検査(SLO)において暗い点として検出することができる。SLO画像はRPEにおけるリポフスチンの自家蛍光の結果である。
【0079】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、および第10の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第11の実施形態では、脈絡毛細管板を保護することは、抗VEGF薬の中止の損傷作用から脈絡毛細管板を保護することを含む。それに関連して、好ましくは、血液血管は漏出性となって迷路状毛細血管に変化し、内皮細胞は増殖および遊走することが理解されるだろう。
【0080】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第12の実施形態では、血管発生を導くことは、機能的血液血管、好ましくは病的血液血管からの機能的血液血管の発生を含む。それに関連して、好ましくは、病的血液血管は、適切な血流を可能としないか、漏出性であるか、または非常に多くのもしくは異型の細胞外マトリックスタンパク質を形成する血液血管である。
【0081】
第1の態様の第12の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第13の実施形態では、病的血液血管は病的状態の結果である。そのような病的状態は、低酸素、HIF1アルファの上方調節、成長因子の異型形成、およびVEGFのうちの1つまたは組合せであり得る。
【0082】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、および第13の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第14の実施形態では、PEDFは硝子体内もしくは網膜下投与されるか、またはPEDFをコードするアデノ随伴ウイルス等のベクターとして投与される。
【0083】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、および第14の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第15の実施形態では、方法は抗VEGF療法を適用することをさらに含み、好ましくは、抗VEGF療法は対象への抗VEGF薬の投与を含み、抗VEGF薬は、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、およびアフリベルセプトを含む群から選択される。それに関連して、PEDFは早期に使用されてもよい、例えば、CNVが一方の眼に検出される場合に僚眼が予防的に処置されてもよく、さらに、正常な視野の眼に関して潜在性CNVが診断される場合にCNVを安定に保つために処置が開始されてもよいということが当業者によって認められるだろう。
【0084】
第1の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、および第15の実施形態の一実施形態でもある第1の態様の第16の実施形態では、対象は、抗VEGF処置の副作用、好ましくは抗VEGF処置から生じる視力低下に苦しんでいる対象である。
【0085】
第2の態様の第1の実施形態でもある第2の態様では、本発明の根底にある課題は、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFを対象に投与することを含み、疾患の処置および/または防止が、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む、mRNAによって解決される。一実施形態では、mRNAは配列番号1のアミノ酸配列をコードするmRNAである。PEDFをコードするmRNAが本発明に従って、例えば疾患の処置および/または防止のための方法において使用される場合、mRNAは、mRNAを小胞体(ER)に導き切断されるシグナルペプチドをコードする配列を含有することが当業者によって理解される。一実施形態では、mRNAは配列番号2のアミノ酸配列をコードするmRNAである。
ATGCAGGCCCTGGTGCTACTCCTCTGCATTGGAGCCCTCCTCGGGCACAGCAGCTGCCAGAACCCTGCCAGCCCCCCGGAGGAGGGCTCCCCAGACCCCGACAGCACAGGGGCGCTGGTGGAGGAGGAGGATCCTTTCTTCAAAGTCCCCGTGAACAAGCTGGCAGCGGCTGTCTCCAACTTCGGCTATGACCTGTACCGGGTGCGATCCAGCACGAGCCCCACGACCAACGTGCTCCTGTCTCCTCTCAGTGTGGCCACGGCCCTCTCGGCCCTCTCGCTGGGAGCGGAGCAGCGAACAGAATCCATCATTCACCGGGCTCTCTACTATGACTTGATCAGCAGCCCAGACATCCATGGTACCTATAAGGAGCTCCTTGACACGGTCACCGCCCCCCAGAAGAACCTCAAGAGTGCCTCCCGGATCGTCTTTGAGAAGAAGCTGCGCATAAAATCCAGCTTTGTGGCACCTCTGGAAAAGTCATATGGGACCAGGCCCAGAGTCCTGACGGGCAACCCTCGCTTGGACCTGCAAGAGATCAACAACTGGGTGCAGGCGCAGATGAAAGGGAAGCTCGCCAGGTCCACAAAGGAAATTCCCGATGAGATCAGCATTCTCCTTCTCGGTGTGGCGCACTTCAAGGGGCAGTGGGTAACAAAGTTTGACTCCAGAAAGACTTCCCTCGAGGATTTCTACTTGGATGAAGAGAGGACCGTGAGGGTCCCCATGATGTCGGACCCTAAGGCTGTTTTACGCTATGGCTTGGATTCAGATCTCAGCTGCAAGATTGCCCAGCTGCCCTTGACCGGAAGCATGAGTATCATCTTCTTCCTGCCCCTGAAAGTGACCCAGAATTTGACCTTGATAGAGGAGAGCCTCACCTCCGAGTTCATTCATGACATAGACCGAGAACTGAAGACCGTGCAGGCGGTCCTCACTGTCCCCAAGCTGAAGCTGAGTTACGAAGGCGAAGTCACCAAGTCCCTGCAGGAGATGAAGCTGCAATCCTTGTTTGATTCACCAGACTTTAGCAAGATCACAGGCAAACCCATCAAGCTGACTCAGGTGGAACACCGGGCTGGCTTTGAGTGGAACGAGGATGGGGCGGGAACCACCCCCAGCCCAGGGCTGCAGCCTGCCCACCTCACCTTCCCGCTGGACTATCACCTTAACCAGCCTTTCATCTTCGTACTGAGGGACACAGACACAGGGGCCCTTCTCTTCATTGGCAAGATTCTGGACCCCAGGGGCCCCTAA
【0086】
配列番号2のヌクレオチド配列の最初の57個のヌクレオチドは、ヒトPEDFのシグナルペプチドをコードする。しかしながら、前記シグナルペプチドおよびそれをコードするヌクレオチド配列が、それぞれ、異なるシグナルペプチドおよびそのような異なるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列と置き換えられることは本発明の範囲内である。そのような異なるシグナルペプチドは当技術分野で公知である。
【0087】
代替的な実施形態では、mRNAは配列番号3のヌクレオチド配列である。
GGACGCTGGATTAGAAGGCAGCAAAAAAAGATCTGTGCTGGCTGGAGCCCCCTCAGTGTGCAGGCTTAGAGGGACTAGGCTGGGTGTGGAGCTGCAGCGTATCCACAGGCCCCAGGATGCAGGCCCTGGTGCTACTCCTCTGCATTGGAGCCCTCCTCGGGCACAGCAGCTGCCAGAACCCTGCCAGCCCCCCGGAGGAGGGCTCCCCAGACCCCGACAGCACAGGGGCGCTGGTGGAGGAGGAGGATCCTTTCTTCAAAGTCCCCGTGAACAAGCTGGCAGCGGCTGTCTCCAACTTCGGCTATGACCTGTACCGGGTGCGATCCAGCATGAGCCCCACGACCAACGTGCTCCTGTCTCCTCTCAGTGTGGCCACGGCCCTCTCGGCCCTCTCGCTGGGAGCGGACGAGCGAACAGAATCCATCATTCACCGGGCTCTCTACTATGACTTGATCAGCAGCCCAGACATCCATGGTACCTATAAGGAGCTCCTTGACACGGTCACTGCCCCCCAGAAGAACCTCAAGAGTGCCTCCCGGATCGTCTTTGAGAAGAAGCTRCGCATAAAATCCAGCTTTGTGGCACCTCTGGAAAAGTCATATGGGACCAGGCCCAGAGTCCTGACGGGCAACCCTCGCTTGGACCTGCAAGAGATCAACAACTGGGTGCAGGCGCAGATGAAAGGGAAGCTCGCCAGGTCCACAAAGGAAATTCCCGATGAGATCAGCATTCTCCTTCTCGGTGTGGCGCACTTCAAGGGGCAGTGGGTAACAAAGTTTGACTCCAGAAAGACTTCCCTCGAGGATTTCTACTTGGATGAAGAGAGGACCGTGAGGGTCCCCATGATGTCGGACCCTAAGGCTGTTTTACGCTATGGCTTGGATTCAGATCTCAGCTGCAAGATTGCCCAGCTGCCCTTGACCGGAAGCATGAGTATCATCTTCTTCCTGCCCCTGAAAGTGACCCAGAATTTGACCTTGATAGAGGAGAGCCTCACCTC(配列番号3)
【0088】
第2の態様のいずれかの実施形態を含む第2の態様のさらなる実施形態では、mRNAは、好ましくは、PEDFのコード配列が得られるmRNAの5’UTRおよび/または3’UTRと異なる5’UTRおよび/または3’UTR等の構成エレメントを含む組換えまたは異種mRNAである。
【0089】
第1の態様のいずれかの実施形態を含む第1の態様の開示は、第2の態様に等しく適用される。換言すれば、第1の態様のありとあらゆる実施形態は、第2の態様のいずれかの実施形態を含む第2の態様の一実施形態でもある。
【0090】
第12の態様の第1の実施形態でもある第12の態様では、本発明の根底にある課題は、色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAのいずれかを含む医薬組成物であって、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための医薬組成物であり、方法がPEDFを対象に投与することを含み、疾患の処置および/または防止が、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む、医薬組成物によっても解決される。好ましくは、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤または希釈剤を含む。
【0091】
第1の態様および第2の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様の開示は、第12の態様のいずれかの実施形態を含む第12の態様に等しく適用される。換言すれば、第1の態様および第2の態様のありとあらゆる実施形態は、第12の態様のいずれかの実施形態を含む第12の態様の一実施形態でもある。
【0092】
第13の態様の第1の実施形態でもある第13の態様では、本発明の根底にある課題は、色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAのいずれかを含む医薬組成物であって、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のための医薬組成物であり、疾患が眼疾患である、医薬組成物によっても解決される。
【0093】
第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様の開示は、第13の態様のいずれかの実施形態を含む第13の態様に等しく適用される。換言すれば、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様のありとあらゆる実施形態は、第13の態様のいずれかの実施形態を含む第13の態様の一実施形態でもある。
【0094】
第14の態様の第1の実施形態でもある第14の態様では、本発明の根底にある課題は、疾患の処置および/または防止のための医薬の製造のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAの使用であって、疾患の処置および/または防止が、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む、使用によって解決される。
【0095】
第1の態様および第2の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様の開示は、第14の態様に等しく適用される。換言すれば、第1の態様および第2の態様のいずれかの実施形態は、第14の態様のいずれかの実施形態を含む第14の態様の一実施形態でもある。
【0096】
第15の態様の第1の実施形態でもある第15の態様では、本発明の根底にある課題は、疾患の処置および/または防止のための医薬の製造のための色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAの使用であって、疾患が眼疾患である、使用によっても解決される。
【0097】
第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様の開示は、第15の態様のいずれかの実施形態を含む第15の態様に等しく適用される。換言すれば、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様のありとあらゆる実施形態は、第15の態様のいずれかの実施形態を含む第15の態様の一実施形態でもある。
【0098】
第16の態様の第1の実施形態でもある第16の態様では、本発明の根底にある課題は、対象における疾患の処置および/または防止のための方法であって、疾患の処置および/または防止が、対象に治療有効量の色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAを投与すること、ならびに迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む、方法によって解決される。
【0099】
第1の態様および第2の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様の開示は、第16の態様のいずれかの実施形態を含む第16の態様に等しく適用される。換言すれば、第1の態様および第2の態様のいずれかの実施形態は、第16の態様のいずれかの実施形態を含む第16の態様の一実施形態でもある。
【0100】
第17の態様の第1の実施形態でもある第17の態様では、本発明の根底にある課題は、対象における疾患の処置および/または防止のための方法であって、疾患の処置および/または防止が、対象に治療有効量の色素上皮由来因子(PEDF)または色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAを投与することを含み、疾患が眼疾患である、方法によっても解決される。
【0101】
第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様の開示は、第17の態様のいずれかの実施形態を含む第17の態様に等しく適用される。換言すれば、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、および第11の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様のありとあらゆる実施形態は、第17の態様のいずれかの実施形態を含む第17の態様の一実施形態でもある。好ましい実施形態では、疾患の処置および/または防止は、迷路状毛細血管形成を阻害すること、脈絡毛細管板の成長を誘導すること、脈絡毛細管板を密着させること、細胞外マトリックス形成を阻害すること、脈絡毛細管板を保護すること、および/または血管発生を導くことを含む。
【0102】
第18の態様の第1の実施形態でもある第18の態様では、本発明の根底にある課題は、迷路状毛細血管形成を阻害するため、脈絡毛細管板の成長を誘導するため、脈絡毛細管板を密着させるため、細胞外マトリックス形成を阻害するため、脈絡毛細管板を保護するため、および/または血管発生を導くための方法における、対象への使用のための色素上皮由来因子(PEDF)であって、方法がPEDFを対象に投与することを含む、使用のための色素上皮由来因子(PEDF)によって解決される。
【0103】
第1の態様のいずれかの実施形態を含む第1の態様の開示は、第18の態様のいずれかの実施形態を含む第18の態様に等しく適用される。換言すれば、第1の態様のいずれかの実施形態は、第16の態様のいずれかの実施形態を含む第16の態様の一実施形態でもある。
【0104】
第19の態様の第1の実施形態でもある第19の態様では、本発明の根底にある課題は、迷路状毛細血管形成を阻害するため、脈絡毛細管板の成長を誘導するため、脈絡毛細管板を密着させるため、細胞外マトリックス形成を阻害するため、脈絡毛細管板を保護するため、および/または血管発生を導くための方法における、対象への使用のための色素上皮由来因子(PEDF)をコードするmRNAであって、方法がPEDFを対象に投与することを含む、mRNAによって解決される。
【0105】
第1の態様および第2の態様のいずれかの実施形態を含むそれらの態様の開示は、第19の態様に等しく適用される。換言すれば、第1および第2の態様のいずれかの実施形態は、第19の態様のいずれかの実施形態を含む第19の態様の一実施形態でもある。
【0106】
第20の態様の第1の実施形態でもある第20の態様では、本発明の根底にある課題は、色素上皮由来因子(PEDF)類似体のスクリーニングのための方法であって、
- VEGFを動物モデルに硝子体内または網膜下投与すること、
- 色素上皮由来因子(PEDF)類似体候補物質を動物モデルに投与すること、
- 1~72時間後に色素上皮由来因子(PEDF)類似体候補物質の効果を決定すること
を含み、
VEGFの効果が遮断される場合、血液血管の漏出が生じない場合、細胞外マトリックスの増加が生じない場合、および/またはブルッフ膜の肥厚化が生じない場合に、色素上皮由来因子(PEDF)類似体候補物質が色素上皮由来因子(PEDF)類似体となる、方法によって解決される。
【0107】
第21の態様の第1の実施形態でもある第21の態様では、本発明の根底にある課題は、抗VEGF剤のスクリーニングのための方法であって、
- VEGFを動物モデルに硝子体内または網膜下投与すること、
- 抗VEGF剤候補物質を動物モデルに投与すること、
- 1~72時間後に抗VEGF剤候補物質の効果を決定すること
を含み、
VEGFの効果が遮断される場合、血液血管の漏出が生じない場合、細胞外マトリックスの増加が生じない場合、および/またはブルッフ膜の肥厚化が生じない場合に、抗VEGF剤候補物質が抗VEGF剤となる、方法によって解決される。
【0108】
第20および第21の態様の第1の実施形態の一実施形態でもある第20および第21の態様の第2の実施形態では、動物モデルは動物の硝子体または網膜下空間であり、好ましくは、動物は、マウス、ラット、モルモット、ブタ、サル、および類人猿を含む群から選択される。
【0109】
第20および第21の態様の第1および第2の実施形態の一実施形態でもある第20および第21の態様の第3の実施形態では、VEGFと抗VEGF剤候補物質のPEDF類似体候補物質とは、逐次または一緒に投与され得る。
【0110】
第20および第21の態様の第1、第2、および第3の実施形態の一実施形態でもある第20および第21の態様の第4の実施形態では、血液血管、好ましくは眼の血液血管、より好ましくは脈絡毛細管板に対するVEGFの効果、そのような血液血管の漏出に対する効果、細胞外マトリックスの増加に対する効果、および/またはブルッフ膜の肥厚化に対する効果に基づく色素上皮由来因子(PEDF)類似体候補物質および抗VEGF剤候補物質それぞれの効果が決定される。
【0111】
第20および第21の態様の第4の実施形態の一実施形態でもある第20および第21の態様の第5の実施形態では、効果は動物モデルに適用されるVEGFから生じる効果である。
【0112】
第20および第21の態様の第1、第2、第3、第4、および第5の実施形態の一実施形態でもある第20および第21の態様の第6の実施形態では、効果は、電子顕微鏡検査、細胞化学、および分子生物学を含む群から選択される手段によって決定される。
【0113】
第20および第21の態様の第6の実施形態の一実施形態でもある第20および第21の態様の第7の実施形態では、分子生物学から選択される手段は、逆PCR(RT-PCR)、および質量分析によるタンパク質の特性解析を含む。
【0114】
第20および第21の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、および第7の実施形態の一実施形態でもある第20および第21の態様の第8の実施形態では、VEGFはヒトVEGFである。
【0115】
第20および第21の態様のスクリーニング方法に関連して、PEDF類似体候補物質および抗VEGF剤候補物質がそれぞれ網膜下投与される場合、上記効果は早ければ投与の1時間後に観察され得ることが当業者によって理解されるだろう。第20および第21の態様のスクリーニング方法に関連して、PEDF類似体候補物質および抗VEGF剤候補物質がそれぞれ硝子体内投与される場合、上記効果は早ければ投与の12~24時間後に観察され得ることもまた当業者によって理解されるだろう。
【0116】
本明細書で好ましく使用される場合、迷路状毛細血管形成は好ましくは眼疾患の眼における迷路状毛細血管形成である。
【0117】
本明細書で好ましく使用される場合、脈絡毛細管板の成長を誘導することは、新たな脈絡毛細管板の成長を誘導することを含むか、または新たな脈絡毛細管板の成長を誘導することである。
【0118】
本明細書で好ましく使用される場合、脈絡毛細管板の成長を誘導することは本来の脈絡毛細管板に取って代わることができる脈絡毛細管板を提供し、好ましくは、本来の脈絡毛細管板は患部脈絡毛細管板である。
【0119】
本明細書で好ましく使用される場合、脈絡毛細管板を密着させることは病的脈絡毛細管板を密着させることを含む。
【0120】
本明細書で好ましく使用される場合、細胞外マトリックス形成を阻害することは、血液血管の内腔に対するおよび/または血液血管の周辺の細胞外マトリックス形成の阻害を含む。
【0121】
本明細書で好ましく使用される場合、脈絡毛細管板を保護することは、抗VEGF薬の損傷作用から脈絡毛細管板を保護することを含む。
【0122】
本明細書で好ましく使用される場合、脈絡毛細管板を保護することは、抗VEGF薬の中止の損傷作用から脈絡毛細管板を保護することを含む。
【0123】
本明細書で好ましく使用される場合、血管発生を導くことは、機能的血液血管、好ましくは病的血液血管からの機能的血液血管の発生を含む。
【0124】
本明細書で好ましく使用される場合、PEDFはヒトPEDFである。
【0125】
医薬組成物は、少なくともPEDFまたはPEDFをコードするmRNA、および好ましくは薬学的に許容される賦形剤を含むことが理解されるだろう。そのような賦形剤は、当技術分野で使用される、および/または公知のいかなる賦形剤であってもよい。より詳細には、そのような賦形剤は、本明細書に開示される医薬の製造に関連して議論される任意の賦形剤である。さらなる実施形態では、医薬組成物は薬学的にさらに活性な薬剤を含む。
【0126】
医薬および医薬組成物の調製は、本開示を考慮すれば、当業者に公知である。典型的には、そのような組成物は、液体溶液もしくは懸濁液のいずれかとしての注射剤;注射前の液体への溶解もしくは懸濁に好適な固体形態;経口投与のための錠剤もしくは他の固体;徐放性カプセル剤;または点眼剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、吸入剤等を含む、現在使用されている任意の他の形態として調製することができる。手術野における特定の領域を処置するための、外科医、医師、または医療従事者による生理食塩水系洗浄剤等の滅菌製剤の使用もまた、特に有用である場合がある。組成物はまた、マイクロデバイス、微小粒子、またはスポンジを介して送達してもよい。
【0127】
製剤化後、医薬は、投薬剤形と適合性の方法、および薬理学的に有効であるような量で投与することができる。製剤は、多様な剤形、例えば上に記載した種類の注射用溶液において容易に投与されるが、薬物放出カプセル剤等も用いることができる。
【0128】
この文脈では、投与される有効成分の分量および組成物の容量は、処置される個体または対象に依存する。投与に必要とされる活性化合物の具体的な量は、実施者の判断に依存し、各個人に特有である。
【0129】
活性化合物を分散させるために必要とされる最小容量の医薬が典型的には利用される。好適な投与計画もまた可変的であるが、初めに化合物を投与して結果をモニタリングし、次いでさらに制御された用量をさらに間隔を空けて投与することが典型的であり得る。
【0130】
医薬組成物または医薬は、滅菌され得る、ならびに/あるいはアジュバント、例えば、保存、安定化、湿潤、もしくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、および/または緩衝液を含有し得る。加えて、医薬組成物または医薬はまた、他の治療的に役立つ物質を含有してもよい。組成物は、従来の混合、造粒、またはコーティング法によって調製され、典型的には約0.1%~75%、好ましくは約1%~50%の有効成分を含有する。
【0131】
液体、特に注射用組成物は例えば、溶解すること、分散すること等によって調製することができる。活性化合物は、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等の薬学的に純粋な溶媒に溶解されるかまたはそれと混合され、それによって注射用溶液または懸濁液を形成する。加えて、注射前に液体に溶解するのに好適な固体形態が製剤化されてもよい。
【0132】
また、所望される場合、投与される医薬組成物および医薬は、それぞれ、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤または乳化剤、pH緩衝剤、ならびに例えば酢酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミン等の他の物質を含有してもよい。
【0133】
本発明の核酸分子および医薬をそれぞれ利用する投薬計画は、患者の型、種、年齢、体重、性別、および医学的状態;処置される状態の重症度;投与経路;患者の腎および肝機能;ならびに用いられる特定のアプタマーまたはその塩を含む多様な因子に従って選択される。通常の技能を有する医師または獣医師は、状態の進行を防止、軽減、または停止するのに必要とされる薬物の有効量を容易に決定および処方することができる。
【0134】
本発明は、さらなる特徴、実施形態、および利点が引き出され得る図面、実施例、および配列表によってさらに例示される。それに関連して、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【
図1】眼球除去直後に固定した未処置ラットの脈絡毛細管板を示す電子顕微鏡写真である。矢印は内皮におけるブルッフ膜に対する有窓構造を示す。表示されているバー=2μm。
【
図2】低酸素の14時間後に撮影した電子顕微鏡写真である。大幅に縮小している毛細血管内腔内に多くの糸状仮足様突起が存在した。毛細血管を取り囲む細胞外マトリックスが増強し(鏃)、細胞がブルッフ膜内に現れた(矢印)。表示されているバー=2μm。
【
図3】低酸素後に撮影した電子顕微鏡写真である。毛細血管内腔に突き出した内皮の個々の糸状仮足は10μm超の長さであった(矢印)。表示されているバー=2μm。
【
図4】低酸素後に撮影した電子顕微鏡写真である。迷路状毛細血管の内皮細胞の間または内部に多くの開放された間隙が存在した(鏃)。表示されているバー=2μm。
【
図5】硝子体内PEDF注射および低酸素後に撮影した電子顕微鏡写真である。迷路状毛細血管は発生せず、毛細血管の内腔はインビボと同様に維持された(星印)。表示されているバー=5μm。
【
図6】低酸素後に撮影した硝子体内PEDF注射を行わなかった場合の電子顕微鏡写真である。迷路状毛細血管が発生し、毛細血管の内腔が虚脱した(矢印)。表示されているバー=5μm。
【
図7】低酸素およびアバスチン処置、PEDF処置、または無処置後の超薄切片における、脈絡毛細管板、脈絡毛細管板内腔、および内皮が占める面積の定量分析を示す棒グラフである。
【
図8】準超薄切片に示されるCNVの電子顕微鏡写真である。左および右の矢印は、CNVの伸長およびRPEが依然として単層である部位を示す。視細胞核層はより薄く、外側のセグメントは不規則にCNVに面している。
【
図9】VEGFベクター注射の6週間後の眼に対する、色素の注射の約20分後の代表的なSLO蛍光眼底造影検査画像である(左、フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA);右(インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(ICG))。
【
図10】各群の、ベクター注射の6週間後(処置前)の測定と7週間後(処置1週間後)の測定との間のCNV病変領域の最大厚さの変化の平均を示す棒グラフである。平均標準偏差を示す。*=p<0.05、***=p<0.0001。
【
図11】ブルッフ膜(黒鏃)とRPEとの間に位置する新たに形成された脈絡毛細管板を示す電子顕微鏡写真である。血管は赤血球(RB)を含有する。RPEと新たな血管との間に新たなブルッフ膜(白鏃)がPEDF処置後に形成された。
【
図12】ブルッフ膜(黒鏃)とRPEとの間に位置する新たに形成された脈絡毛細管板を示す電子顕微鏡写真である。血管は赤血球(RB)を含有する。RPEと新たな血管との間に新たなブルッフ膜(白鏃)が形成された。周皮細胞(P)は、PEDF処置後、RPEに面する内皮に有窓構造(矢印)も有するこの血管に結合する。
【
図13】PEDF処置後の2個のRPE細胞間の極度に高電子密度の密着結合(鏃)を示す電子顕微鏡写真である。
【
図14】PEDF処置後の脈絡毛細管板細胞の2つの内皮間のいくつかの極度に高電子密度の顕著な結合(鏃)を示す電子顕微鏡写真である。
【
図15】細胞外マトリックスの厚層(鏃)によって取り囲まれ、本来のRPE単層由来のRPE細胞のいくつかの層によって分離されている、PEDF処置の非存在下における、新たに形成された血液血管を示す電子顕微鏡写真である。細胞外マトリックスの突出は内皮皺壁を血管内腔の方向へ変化させた(白星印)。内皮内に、ヒトCNVにおける病的血管に典型的な大きな液胞が形成される(黒星印)(Schraermeyer, Julien et al. 2015)。そのような突出または液胞は、PEDF処置後には見られなかった。表示されているバー=5μm。
【
図16】偏光顕微鏡によって撮影した画像のパネルである。下段は、ピクロシリウスレッド染色後のCNVを有する眼由来の切片を示す。上段は偏光下の同じ切片を示す。黒鏃はCNVと脈絡膜との境界を示す。白鏃は未成熟III型コラーゲンを示す。黒矢印はPEDFを用いた処置後の血液血管を取り囲むI型コラーゲンの周縁の位置を示す。星印は成熟コラーゲン(I型)からなる強膜を表す。左列は、PEDFおよびアバスチンの注射後の眼の一例を示す。中央列は、アバスチンのみを用いて処置した眼を示す。右列は、PEDFを単独で用いて処置した眼の一例を示す。
【
図17a】成長因子低減マトリゲル上でのHUVECの内皮細胞管腔形成の顕微鏡写真である。HUVECは未処置のままであった。写真は37℃での5時間のインキュベーション後に撮影した。
【
図17b】成長因子低減マトリゲル上でのHUVECの内皮細胞管腔形成の顕微鏡写真である。HUVECは250ng/mLのPEDFを単独で用いて処置された。写真は37℃での5時間のインキュベーション後に撮影した。
【
図17c】成長因子低減マトリゲル上でのHUVECの内皮細胞管腔形成の顕微鏡写真である。HUVECは500ng/mLのPEDFを単独で用いて処置された。写真は37℃での5時間のインキュベーション後に撮影した。
【
図17d】成長因子低減マトリゲル上でのHUVECの内皮細胞管腔形成の顕微鏡写真である。HUVECは250μg/mLのベバシズマブを単独で用いて処置された。写真は37℃での5時間のインキュベーション後に撮影した。
【
図17e】成長因子低減マトリゲル上でのHUVECの内皮細胞管腔形成の顕微鏡写真である。HUVECは1mg/mLのベバシズマブを単独で用いて処置された。写真は37℃での5時間のインキュベーション後に撮影した。
【
図17f】成長因子低減マトリゲル上でのHUVECの内皮細胞管腔形成の顕微鏡写真である。HUVECは2mg/mLのベバシズマブを単独で用いて処置された。写真は37℃での5時間のインキュベーション後に撮影した。
【
図17g】成長因子低減マトリゲル上でのHUVECの内皮細胞管腔形成の顕微鏡写真である。HUVECはPEDF(250ng/mL)+ベバシズマブ(250μg/mL)の組合せとして処置された。写真は37℃での5時間のインキュベーション後に撮影した。
【
図17h】成長因子低減マトリゲル上でのHUVECの内皮細胞管腔形成の顕微鏡写真である。HUVECはPEDF(250ng/mL)+ベバシズマブ(1mg/mL)の組合せとして処置された。写真は37℃での5時間のインキュベーション後に撮影した。
【実施例】
【0136】
[実施例1:眼球の低酸素への曝露]
16匹のラット由来の32の眼球を軽度低酸素に曝露した。虚血を、眼球を15mlファルコンチューブにおいて眼球除去後14時間4℃のDMEM中でインキュベートすることによってモデル化した(チューブ1つ当たり1つの眼球)。低体温は虚血発作に対する耐性時間を延長する可能性がある。チューブに7mlのDMEMおよび空気を満たした。チューブを水平に保管して、DMEMと空気との間の酸素交換を増強した。14時間後、半分の眼球を免疫細胞化学のためにパラフィンに、または電子顕微鏡検査のためにエポンに包埋した。12の眼球を眼球除去直後に包埋し、対照として役立てた。
【0137】
酸素圧を、このエクスビボ実験における眼球の硝子体に挿入した較正済み光ファイバー酸素センサー(WPI、Friedberg、Germany)によって、麻酔下の生きているラットの眼球との比較のために測定した。眼球除去直後に酸素圧はインビボ濃度の2%まで低下し、次いで漸進的に増加し、1時間後にインビボ濃度に達した。その後、インビボ酸素濃度は下がらなかった。
【0138】
[実施例2:内皮細胞の糸状仮足様突起の内周輪郭の測定]
各プラスチック包埋眼球由来の脈絡毛細管板血管の電子顕微鏡写真を、糸状仮足様突起の内周輪郭に関して分析した。また、切片にした血管領域1つ当たりの内皮細胞外周輪郭の長さを測定した。iTEM画像分析ソフトウェア(iTEMバージョン5.0;Olympus Soft Imaging Solutions、Munster、Germany)を測定のために使用した。結果を、ノンパラメトリックなマン・ホイットニー検定を使用することによって、Microsoft Excel 2011およびIBM SPSS Statistics22ソフトウェアにおいて分析した。0.05未満のp値を群間で有意に異なるとした。内皮細胞内周輪郭の長さは、血管内腔に対する微絨毛内皮細胞突起の形成を示す対照群と比較して58%増加した(p<0.001)。これらの血管はヒトCNVにおける迷路状毛細血管に厳密に対応する(Schraermeyer, Julien et al. 2015)。
【0139】
[実施例3:脈絡毛細管板に対する低酸素の効果]
低酸素への曝露が行われていない脈絡毛細管板は、ブルッフ膜の側に対して有窓構造を有する規則的な薄い内皮を含有する(
図1矢印を参照のこと)。毛細血管の内腔はいかなる細胞突起も欠如している。低酸素の14時間後、毛細血管内腔内に多くの糸状仮足様突起が存在した(
図2を参照のこと)。毛細血管を取り囲む細胞外マトリックスが増強し(鏃)、細胞がブルッフ膜内に現れた(矢印)。毛細血管内腔内の個々の糸状仮足は10μm超の長さであった(
図3矢印を参照のこと)。低酸素後、内皮細胞の間または内部に多くの開放された間隙が存在した(
図4鏃を参照のこと)。
【0140】
[実施例4:低酸素後のVEGFおよびHIF-1αの発現]
対照および虚血性眼球を標準的な手順に従ってホルマリン固定パラフィン包埋した。4μm厚切片を切り出し、脱パラフィンおよび再水和し、クエン酸緩衝液(pH=6.0)において煮沸した。TBS(pH=7.6)中での3回の洗浄ステップ後、HIF-1αおよびVEGFの免疫組織化学染色を、製造業者によって提供された説明書に従って湿潤チャンバーにおいて実施した。スライドを一次ウサギ抗HIF-1α抗体(1:100、Abcam、Denmark)と共に37℃で120分間インキュベートし、次いでDAKO REAL検出システムアルカリホスファターゼ/レッドキットウサギ/マウスを使用して処理し、次いでヘマトキシリンを用いて対比染色し、蓋をした。同じ手順を、VEGFに対する免疫反応性分析のために、一次マウス抗体(1:50、Gene Tex、USA)を使用し、TBS緩衝液(pH=9.0)において煮沸して実施した。
【0141】
対照ラットでは、HIF-1αは脈絡膜において発現しなかった。低酸素後、HIF-1αは脈絡膜において検出された。対照眼球におけるVEGFはRPE内に検出された。虚血の14時間後、VEGFの染色は網膜および脈絡膜にさらに現れた。
【0142】
[実施例5:PEDFによる迷路状毛細血管形成の阻害]
12の眼球に20μgのPEDF(BioVendor)を注射し、次いで実施例1に記載されているように低酸素に曝露した。3つの眼球に0.8μlのベバシズマブ(アバスチン)を注射した。6つの眼球も低酸素に曝露したが、いかなる注射も行わなかった。眼球の超薄切片を電子顕微鏡下にて調査した。
【0143】
処置を行わなかった場合、脈絡毛細管板は、
図1~4に示すように内皮間に間隙を有する迷路状毛細血管に変化し、虚脱して、多くの場合毛細血管内腔の完全な消失を引き起こした(
図5の矢印を参照のこと)。対照的に、脈絡毛細管板の内腔は、インビボでの固定後のように見え、良好に保存された(
図6の星印を参照のこと)。
【0144】
切片にした血管1つ当たりの内皮細胞内周輪郭と内皮細胞外周輪郭とによって囲まれる面積を、全ての眼球の電子顕微鏡写真において測定した。これらの測定から、脈絡毛細管板全体、脈絡毛細管板の内腔、および内皮が占める面積を算出した。PEDFは、血管内腔および間隙に対する内皮糸状仮足の形成を阻害しただけでなく、さらに血管内腔を、処置を行わなかった場合(
図7を参照のこと)(p<0.0000003)よりも、およびアバスチン処置(p<0.023)と比較して有意に良好に保存した。また、細胞の体積と比例する可能性が高い切片にした内皮細胞の面積は、未処置と比較して有意に大きかった(
図7右を参照のこと)(p<0.03)が、アバスチンは効果を有しなかった(p=0.75)。
【0145】
スチューデントのt検定を実施して、異なる実験群の結果を比較した。分析のためにエクセルソフトウェアを使用した。過誤率は5%であった(p<0.05 統計的に有意)。
【0146】
[実施例6:VEGF過剰発現およびPEDF処置後の機能的密着脈絡毛細管板およびブルッフ膜の形成]
新たなベクター系をこの計画のために、以前のアデノベクター研究(Julien, Kreppel et al. 2008)と同じVEGFカセットを使用して設計した。プラスミドpBLAST49-hVEGF(Invivogen、San Diego、CA)からのヒトVEGF-A165cDNAを、Sirion Biotech GmbH(Munich、Germany)によって作製された最新技術のAAV2ベクター(亜型4)骨格に挿入した。新たなAAVベクターは、アデノウイルス研究において以前に使用されていた非特異的CMVプロモーターに代わってRPE特異的RPE65プロモーターを含有するという利益を有する。これらの新たなAAVベクター(例えばAAV-VEGF)は、アデノベクターと比較して毒性が少なく、より長い発現時間を伴うより緩徐な発現速度を有し、数か月の時間枠にわたる処置のための薬物候補物質の評価に専念する長時間発現研究に好都合である(Rolling, Le Meur et al. 2006)。
【0147】
AAV.VEGF-A165ベクターのラット眼への網膜下注射
【0148】
2μlのPBSに希釈したAAV-VEGFベクターの2×109個のウイルス粒子を30匹のLong Evansラットの両眼に網膜下注射した。簡潔に述べると、3成分麻酔(フェンタニル0.005mg/kg体重、ミダゾラム2mg/kg体重、およびメデトミジン0.15mg/kg体重)の腹腔内注射を用いた麻酔後、1~2滴のMedriaticum点眼薬(Pharmacy of the University of Tubingen、Germany)を用いて瞳孔を散大させ、1滴の局所麻酔薬Novesine(OmniVision、Puchheim、Germany)を適用した。Methocel(OmniVision、Puchheim、Germany)点眼薬を使用して、眼の乾燥を回避した。注射を、手術用顕微鏡を使用して実施した。角膜縁付近の強膜を、まず25G針を用いて切開し、次いで2μlのベクター懸濁液(2μlは2×109個のウイルス粒子のAAV-VEGFを含有する;最大可能用量)を、NanoFil34G鈍針を備えた10μl NanoFilシリンジ(World Precision Instruments)を使用して網膜下(毛様体扁平部)注射した。局所抗生物質点眼薬のGentamicin-POS(登録商標)(Ursapharm、Saarbrucken、Germany)を注射後に適用した。麻酔を、解毒薬(ナロキソン0.12mg/kg体重、フルマゼニル0.2mg/kg体重、アチパメゾール0.75mg/kg体重)の皮下注射によって中和した。
【0149】
<硝子体内注射>
治療物質の硝子体内注射をVEGFベクター注射の6週間後に行った。
【0150】
硝子体内注射のために、小切開を目尻の結膜に対して行った。眼球を、1本の微細ピンセットを用いて結膜を把持し、穏やかに引っ張ることで回転させた。5μlの容量を、NanoFil34ゲージベベル針を備えた10μl NanoFilシリンジ(World Precision Instruments)を使用して孔を介して硝子体内注射した。注射後、針は、逆流を抑制するために追加の3または4秒間眼に留め、次いで引き抜いた。眼球を正常な位置に戻し、抗生物質軟膏剤を眼に塗布した。全手順を、照明を備えた手術用顕微鏡を使用して実施した。3つの群を調査した。
【0151】
1)Avastin(登録商標)(ベバシズマブ;25mg/ml;Roche)を20の眼に硝子体内注射した。
Avastin(登録商標)はPharmacy of the University Hospital of Tubingenによって購入および等分された。100mgのAvastin(登録商標)を、240mgのa,a-トレハロース2H2O、23.2mgのNa2HPO4 H2O、4.8mgのNaH2PO4、および1.6mgのポリソルベート20を含有する4ミリリットルのビヒクル溶液に希釈した。
【0152】
2)PEDFヒトHEK293組換えタンパク質(1μg/μl;BioVendor)を20の眼に硝子体内注射した。
組換えタンパク質のペレットを濾過(0.4μm)し、20mM TRIS、50mM NaCl、pH7.5中0.5mg/mLに凍結乾燥した。製品データシートに従って、ペレットを脱イオン水(Ampuwa水)に溶解して、1μg/μlの使用原液を取得した。
【0153】
3)20の眼を処置しなかった
インビボ撮像(SLO/OCT、FAおよびICG蛍光眼底造影検査)ならびに定量を(Wang, Rendahl et al. 2003)に従って実施した。網膜下AAV-VEGFは注射の5週間~20か月後にRPE増殖を引き起こし、漏出はフルオレセイン蛍光眼底造影検査によって2~12か月から観察することができる。したがって、走査型レーザー検眼鏡検査(SLO)、光干渉断層計(OCT)、フルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)、およびインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(ICG)を、ベクター注射の6週間後に実施した。眼を、動物に対する使用のために(Fischer, Huber et al. 2009、Huber, Beck et al. 2009)からのプロトコルに従って改変したSpectralis(商標)HRA+OCT(Heidelberg Engineering、Heidelberg、Germany)デバイスを使用して、VEGFベクターの注射の7週間後に再調査した。78dpt二重非球面レンズ(Volk Optical, Inc.、Mentor、OH 44060、U.S.A.)をデバイスの出口に直接取り付け、追加の特注の+3.5dptコンタクトレンズをラットの眼に直接取り付けた。ラットを麻酔し、瞳孔を散大させ、眼の乾燥を回避するため、および3.5dptレンズのより良好な接着性のためにMethocelを用いて処置した。ICG色素(250μl(VERDYE、5mg/ml、Diagnostic Green)を尾静脈に注射し、フルオレセイン色素(Alcon10%(1/10希釈)、250μl)を皮下注射した。SLO/OCTを、早期蛍光眼底造影検査撮像のために注射の約2~5分後、および後期蛍光眼底造影検査撮像のためにその約15~20分後に実施した。SLO/OCT装置はヒト眼に対する使用に関して較正されるため、xおよびy軸の寸法はラットにおける使用に関して補正されない。網膜高さ等のz軸の寸法は適切に表示される。したがって、ここで実施した蛍光眼底造影検査測定におけるCNV過蛍光面積の測定は、本来のHeidelberg較正を使用して、μm単位ではなく任意単位(au)で示される。OCTデータセットにおいて実施した厚さ測定の定量は、OCTデータセットがビームのz方向において提示される場合、μm単位で表示される。
【0154】
<組織学のための眼球の処理>
電子顕微鏡検査(EM)のために、全眼球を0.1Mカコジル酸緩衝液(pH7.4)中5%グルタルアルデヒドに一晩固定した。その場合、病変領域が蛍光眼底造影検査において可視となるため、病変領域を切り出し、包埋することが可能となる。
【0155】
<統計>
スチューデントのt検定を実施して、処置動物の結果を対照群と比較した。分析のためにエクセルソフトウェアを使用した。過誤確率は5%であった(p<0.05 統計的に有意)。多重比較問題を回避するために、結果を、ホルム・ボンフェローニ法を使用して補正した。
【0156】
<AAV.VEGF-A165のラット眼への網膜下注射の6週間後の蛍光眼底造影検査によるCNVの調査>
AAV-VEGF惹起ラットCNVモデルは、インビボ撮像によって立証されるように、VEGF形質導入の6週間後に完全に成長したCNVを示した。代表的な画像を示す(
図8を参照のこと)。
【0157】
VEGFを過剰発現する60の全ての眼はFAおよびICG撮像において典型的なCNV病変様過蛍光を示し(
図9)、これはVEGF形質導入有効性が100%であったことを意味した。
【0158】
以下において、VEGFベクターを成功裏に形質導入し、CNV様病変を示す眼を「CNV眼」と称し、CNV様病変を「CNV病変」と称す。
【0159】
全ての眼を蛍光眼底造影検査によって調査した。大半のCNV病変は、FA蛍光眼底造影検査とICG蛍光眼底造影検査の両方において典型的な環形状パターンを示した。中心の低蛍光領域は、とりわけFA画像では明るい過蛍光環によって取り囲まれた(
図9左パネルを参照のこと)。このパターンは、高反射領域において明瞭な網膜下病変を示すOCT分析と良好に相関した。対照的に、ICGシグナルは、病変の低蛍光中心周辺のより大きな領域にわたって通例広がるやや斑状のパターンを示した。
【0160】
ICGは、非常に長い半減期を有する、内腔タンパク質に結合する色素である。したがって、ICGは、組織内に保持される場合、単回静脈内注射後のいくつかの時点において記録することができる。これは、例えばCNV血管から周囲組織へのタンパク質漏出に関して行われる。
【0161】
図9に示すように(右パネル、緑色チャネルを参照のこと)、FAシグナルと対照的に、ICG過蛍光は、CNV病変周辺の経時的に広がるやや斑状のパターンを示す(20分以内、さらに、その後の時点、ここでは第1の蛍光眼底造影検査期間の1週間後の、追加の色素注射を伴わないICGの再調査時)。最終的に、これは、後の時点において眼の全背景を覆う可能性があるより大きな領野の単一の過蛍光部分の形成を引き起こす。しかしながら、これらのパターンは、追加のICG色素の注射直後は劇的には変化しない。
【0162】
<PEDF処置によるCNV病変領域の厚さの減少>
各眼に関して、全CNV病変領域を有する領域(SLO蛍光眼底造影検査によって検出した)をOCTによってスクリーニングした。病変の最大厚さを有する領域を決定し、撮像した。これらの画像において最大厚さを測定した。種々の薬剤を用いた処置によって引き起こされた変化を分析するために、ベクターの網膜下注射の7週間後(処置1週間後)の分析の各眼に関する測定値と、6週間後の分析(処置前)の対応する値との差を決定した。PEDFは、細胞増殖および線維症を阻害し、したがってCNVの厚さを未処置群と比較して有意に減少させたが、血液血管はアバスチン群のように完全には虚脱しなかった。したがって、CNVはアバスチン群ではより扁平となった(
図10を参照のこと)。
【0163】
<健康な脈絡毛細管板、ブルッフ膜、および結合複合体の新たな形成に対するPEDFの効果>
PEDFタンパク質処置後の眼を電子顕微鏡検査によって調査し、PEDF処置を伴わないVEGFベクター注射後の眼を対照として使用した。PEDF処置の大半の顕著な効果は、新たに形成された脈絡毛細管板がいかなる処置も伴わない健康な脈絡毛細管板と非常に類似するというものであった。新たに形成された血管は、RPEの直下に位置し、新たなブルッフ膜を形成した(
図11を参照のこと)。内皮細胞は、健康な血管と同様に薄く、周皮細胞と結合し、有窓構造を発生し(
図12を参照のこと)、網膜下空間へは成長しなかった。
【0164】
加えて、網膜色素上皮細胞間の結合複合体(
図14)および脈絡毛細管板の内皮細胞間の結合複合体(
図15)は、VEGFベクター処置のみの眼と比較して劇的に拡大し、高電子密度であった。これらの複合体は、接着結合および密着結合からなる。密着結合は、脈絡毛細管板の内皮細胞間にも現れたが、これらの血管においては以前に報告されていない。血液網膜関門が網膜血管の密着結合および網膜色素上皮の密着結合によって構築されていることは一般に認められている。結合に対する効果は、VEGF過剰発現と組み合わせたPEDFによって媒介される。
【0165】
PEDFはまた、RPE細胞の分裂を抑制し、細胞外マトリックスを含有する血管内突出の形成を阻害した(
図2および15を参照のこと)。この現象はCNVのウサギモデルにおいても記載された(Julien, Kreppel et al. 2008)。そのような突出はPEDF処置後には見られず、PEDF処置は、新たに形成された血管において単層基底膜の形成を引き起こしたが、処置を行わなかった場合は基底膜が多層化した。また、新たに形成された血液血管の網膜下空間および網膜への伸展は、PEDF処置後には生じなかったが、PEDF注射を行わなかった場合は見られた。
【0166】
[実施例7:PEDFと抗VEGF薬との組合せの効果]
PEDFと抗VEGF薬、例えばベバシズマブ(アバスチン)との組合せは、相乗的に作用し、新たな機能的血管の調和した成長を支持しており、さらに新たに形成された脈絡毛細管板における有窓構造の形成を改善する。
【0167】
[実施例8:PEDFはCNVにおける細胞外マトリックスの形成を抑制する]
この実施例に示すように、PEDFはCNVにおける細胞外マトリックスの形成を抑制した。したがって、CNVに典型的な瘢痕は最小化され、したがって、新たに形成された血管からPREおよび視細胞への酸素および栄養の供給距離は短縮した。
【0168】
<方法>
2μlのAAV.VEGF-A165(2μlのPBSに希釈したAAV-VEGFベクターの2×109個のウイルス粒子)の網膜下注射をLong Evansラットの48の眼に実施して、CNVを誘導した。3週間後、CNV発生をインビボ検査によって確認し、100%の眼(n=48の眼)がCNVを示した。
【0169】
インビボ調査の直後、眼を、4μlのPEDFタンパク質(10μg)「第1群」(n=12の眼)もしくはアバスチン(50μg)「第2群」(n=12の眼)を用いて、または組合せ療法(PEDFタンパク質(10μg)+アバスチン(50μg))「第3群」(n=12の眼)として硝子体内処置した。未処置眼は対照「第4群」(n=12の眼)として役立てた。
【0170】
6週目に、PEDFタンパク質もしくはアバスチン、または両方のタンパク質の組合せの2回目の硝子体内処置を、3週目に関して記載したように実施した。その1週間後の7週目に、CNVにおける細胞外マトリックスの成熟に対する効果を偏光顕微鏡検査によって評価した。
【0171】
眼球のパラフィン切片を以下のプロトコルに従って染色した。
【0172】
<ピクロシリウスレッド染色プロトコル>
1.蒸留水中で脱パラフィンおよび水和する
2.ワイゲルトヘマトキシリン中で8分間染色する
3.蒸留水中で十分に濯ぐ
4.溶液Aに2分間入れる
5.蒸留水で濯ぐ
6.溶液Bに60分間入れる
7.溶液Cに2分間入れる
8.45秒間の70%エタノール
9.脱水し、透明化し、封入する
10.スライドを偏光顕微鏡(Axioplan、Zeiss)下で評価する。この方法は、異なる種類のコラーゲンを色によって識別することを可能にする。I型(赤色、橙色)、III型(黄色、緑色)。
【0173】
【0174】
脈絡膜新生血管の領域内において、コラーゲンは、PEDFおよびアバスチンの注射後、偏光顕微鏡下で緑色に見えた(
図16、左列)。また、アバスチン単独の注射後、コラーゲンは緑がかっていたが、コラーゲンの量は両方のタンパク質の注射と比較して大きく増強した(
図16、中央列)。緑色は、コラーゲンが線維組織に典型的なIII型であったことを示した。PEDF単独の注射後、コラーゲンは橙色となり、薄層として血液血管を取り囲んだ(
図16、矢印、右列)。このことは、コラーゲンが成熟しており、細胞外マトリックスおよび血管の新たな形成が停止していたことを示した。緑がかったコラーゲンは、PEDF注射後は、検体を360度回転させても見られなかった。処置を行わなかった場合、コラーゲンは、アバスチン注射後の結果(
図16、中央列)と同様に、緑がかっており、大部分のCNV領域を占めた(示していない)。
【0175】
[実施例9:VEGFの網膜下または硝子体内注射によるヒトAMDの模倣]
2μlのPBS中100ngのVEGFタンパク質(hVEGF Sigma)をLong Evansラットの眼に網膜下または硝子体内注射した。対照に関しては、PBSのみを注射した。
【0176】
眼を1および24時間後に電子顕微鏡検査および免疫細胞化学によって調査した。脈絡毛細管板は、
図2~4およびヒトCNVの以前の刊行物(Schraermeyer, Julien et al. 2015)に示すように、迷路状毛細血管に変化した。加えて、ブルッフ膜内および脈絡毛細管板周辺に細胞外マトリックスの顕著な増大が存在した。
図15に示すような血管内腔への内皮陥入を誘導した細胞外マトリックスの突出も存在した。RPEの基底膜と血管との合成は多層に増強された。加えて、RPEは高度に活性化し、単層から遊走した。脈絡毛細管板内では、血小板が活性化し、赤血球は、おそらくは補体活性化によって溶血し、うっ滞も発生させた。これらの全ての所見は驚くべきことに、注射の1~24時間後にはすでに観察され、対照群では欠如しており、AMDに罹患しているヒト眼に見られる所見を模倣した。
【0177】
[実施例10:血管形成に対するPEDF、ベバシズマブ、またはPEDFとベバシズマブとの組合せのインビトロ効果]
血管形成に対するPEDF、ベバシズマブ(アバスチン)、またはPEDFとベバシズマブ(アバスチン)との組合せのインビトロ効果を内皮細胞管腔形成アッセイにおいて決定した。内皮細胞管腔形成アッセイとは、潜在的な薬物候補物質の血管形成および抗血管形成効果を研究するための古典的なインビトロアッセイである。
【0178】
<方法:内皮細胞管腔形成アッセイ>
96ウェルプレート(Corning、USA)を、60μLの成長因子低減マトリゲル(BD Biosciences、USA)を用いてプレコーティングし、ECGM培地中のHUVEC細胞(13000個/ウェル)(Promocell、Germany)をプレートに播種した。ウェルに、PEDF単独(250ng/ml、500ng/ml)、ベバシズマブ単独(アバスチン;Genentech,Inc.、South San Francisco、CA)(250μg/mL、1mg/mL、2mg/mL)、ならびに一緒になったある濃度のPEDF(250ng/mL)+ベバシズマブ(250μg/mL)、およびPEDF(250ng/mL)+ベバシズマブ(1mg/mL)を補充して、内皮細胞管腔形成に対するこれらの分子の効果を決定した。37℃での5時間のインキュベーション後、管腔形成を、Leica DM IL LED倒立位相差顕微鏡を使用して、ウェルにおいて分析した。
【0179】
【0180】
250ng/mLの濃度のPEDFの場合、内皮管腔形成のごくわずかな阻害が存在し(
図17b)、500ng/mLでは完全な阻害が観察された(
図17c)。ベバシズマブは2mg/mLの濃度でのみ管腔形成を阻害した(
図17f)。それぞれ250ng/mL(PEDF)および250μg/mL(ベバシズマブ)の濃度でのPEDFとベバシズマブとの同時投与は、同じ濃度のPEDFまたはベバシズマブを用いて個々に処置した場合よりもはるかに強力な阻害効果を管腔形成に対して示した(
図17g)。このことは、単独で使用した場合に2mg/mLの高濃度でのみ内皮管腔形成を阻害したベバシズマブに関して特に明白であった。したがって、このように、ベバシズマブは、PEDFと組み合わせて処置した場合にはるかに低い濃度で管腔形成を阻害することにおいて効果的であった(
図17bおよび17h)。このデータは、内皮管腔形成の阻害に関する、したがって血管形成の阻害におけるPEDFおよびベバシズマブの相乗効果を示す。
【0181】
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【0182】
本明細書、特許請求の範囲、配列表、および/または図面に開示されている本発明の特徴は、別個およびその任意の組合せのいずれにおいても、その様々な形態における本発明を実現するための材料となり得る。
【配列表】
【国際調査報告】