(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】物品にパターンを施して、その検査を行うためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20220420BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20220420BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20220420BHJP
B41M 5/26 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B23K26/00 B
G01N21/956 Z
B23K26/03
B41M5/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553102
(86)(22)【出願日】2020-03-08
(85)【翻訳文提出日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 US2020021613
(87)【国際公開番号】W WO2020185639
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521400475
【氏名又は名称】トライ-スター テクノロジーズ
【氏名又は名称原語表記】TRI-STAR TECHNOLOGIES
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ムログ,イゴール
【テーマコード(参考)】
2G051
2H111
4E168
【Fターム(参考)】
2G051AA02
2G051AA03
2G051AB11
2G051AC21
2G051BA10
2G051CB01
2H111HA14
2H111HA21
2H111HA32
4E168AA01
4E168CA06
4E168CA07
4E168CB24
4E168DA04
(57)【要約】
物品の表面にパターンを施し、そのパターンを検査する方法およびシステムの実施形態が開示されている。レーザ照射システムは、レーザ伝送要素、照射ゾーンおよび照射検査要素を有する。物品のセットは、照射ゾーン内に配置され、照射期間中、伝送要素からのレーザエネルギーが照射される。照射によって、ビームと物品表面との間に相互作用が生じ、その相互作用中に物品表面に局所的な照明が一時的に発生する。この相互作用により、物品表面には、相互作用後も持続する照射後パターンが集合的に形成される。照射ゾーンの照射検査画像は、照射期間中に、照射検査要素によってキャプチャされる。照射検査画像は、局所的な照明によって規定される照明パターンを含む。照明パターンが、比較される対応するターゲットパターンと一致しない場合、それぞれの物品が不合格とされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の表面にパターンを施し、前記パターンを検査する方法であって、
レーザ伝送要素、照射ゾーンおよび照射検査要素を有するレーザ照射システムを提供するステップであって、前記レーザ伝送要素が、レーザエネルギーの少なくとも1のビームを前記照射ゾーンに向けて伝送するように構成される、ステップと、
前記照射ゾーン内に物品のセットを配置するステップであって、各物品が物品表面を有する、ステップと、
前記レーザ伝送要素により、照射期間中に物品のセットにレーザエネルギーを照射するステップであって、照射が、ビームと物品表面との間に相互作用を引き起こし、それにより、
(a)相互作用中に、物品表面に局所的な照明を一時的に生成し、
(b)物品表面に照射後パターンを集合的に形成し、相互作用後も、前記照射後パターンが持続する、ステップと、
前記照射検査要素により、前記照射期間中に前記照射ゾーンの照射検査画像をキャプチャするステップであって、前記照射検査画像が、前記局所的な照明によって規定される照明パターンを含む、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
キャプチャするステップの後に、各照明パターンを、対応するターゲットパターンと比較して、それらが互いに一致するか否かを判定するステップと、
照明パターンが対応するターゲットパターンと一致しない場合、それぞれの物品を不合格とするステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
(a)各照明パターンが、少なくとも1つの文字を含み、
(b)比較するステップが、少なくとも99%のOCR精度を有する光学式文字認識によって実行されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記照射を連続的に受けた少なくとも1000個の前記物品について、前記光学式文字認識が少なくとも99%のOCR精度を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、
(a)各照射パターンが、少なくとも2つの文字を含み、
(b)比較するステップが、少なくとも99.9%のOCR精度を有する光学式文字認識によって実行されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記照射を連続的に受けた少なくとも1000個の前記物品について、前記光学式文字認識が少なくとも99.9%のOCR精度を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
(a)前記レーザ伝送要素が、複数のレーザを含み、
(b)照射するステップでは、各レーザが物品のそれぞれのサブセットを照射することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
(a)前記照射検査要素が、複数の照射カメラを含み、
(b)キャプチャするステップでは、前記照射カメラの各々が、それぞれのレーザによる照射に対応する前記照射検査画像の一部をキャプチャすることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記照射後パターンが、マーキングであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
(a)照射期間中、
(i)前記物品表面が、第1の背景輝度を有し、かつ、
(ii)前記局所的な照明が、照明輝度を有し、
(b)照射期間後、
(i)前記物品表面が、第2の背景輝度を有し、かつ、
(ii)前記マーキングが、前記第2の背景輝度とは異なるマーキング輝度を有し、
(c)照明コントラストが、前記第1の背景輝度と前記照明輝度との間の相対的な差によって規定され、
(d)マーキングコントラストが、前記第2の背景輝度と前記マーキング輝度との間の相対的な差によって規定され、
(e)前記照明コントラストが、前記マーキングコントラストよりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記照明コントラストが、前記マーキングコントラストの少なくとも4倍の大きさであることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
照射期間前に、補助検査カメラにより、前記照射ゾーンの補助検査画像をキャプチャするステップと、
前記補助検査画像を分析して、
(a)それぞれの物品を保持していない前記照射ゾーン内の物品保持ポケット、または、
(b)損傷を受けた前記照射ゾーン内の物品
を識別するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
照射期間後に、補助検査カメラにより、前記照射ゾーンの補助検査画像をキャプチャするステップと、
前記補助検査画像を分析して、損傷を受けているか、または照射後パターンのない、前記照射ゾーン内の物品を識別するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記照射後パターンが、材料ボイドであることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記物品が、消費物品であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記消費物品が、医薬物質を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、
前記消費物品が、キャンディであることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記照射後パターンが、それぞれの物品表面の湾曲部分を横切って延びていることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記照射検査要素が、
(a)少なくとも1の照射カメラと、
(b)前記照射ゾーンと前記少なくとも1の照射カメラとの間に光学的に配置された少なくとも1の光減衰器とを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記少なくとも1の光減衰器が、偏光子および拡散器からなる群のなかから選択されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
前記照射検査画像を使用して、表面の欠陥または材料の不純物について物品を分析するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
(a)前記相互作用によりプラズマが生成され、
(b)前記プラズマが、前記局所的な照明を生成することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
(a)前記照射検査要素の中には、ダイクロイックミラーが含まれておらず、または
(b)前記照射ゾーンと前記照射検査要素の何れかの部分との間には、ダイクロイックミラーが光学的に配置されていないことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法において、
(a)前記照射検査要素の中には、スキャナが含まれておらず、または
(b)前記照射ゾーンと前記照射検査要素の何れかの部分との間には、スキャナが光学的に配置されていないことを特徴とする方法。
【請求項25】
物品の表面にパターンを施し、前記パターンを検査するシステムであって、
物品のセットを受け入れるように構成された照射ゾーンであって、各物品が物品表面を有する、照射ゾーンと、
レーザエネルギーの少なくとも1のビームを前記照射ゾーンに向けて伝送し、照射期間中に物品のセットにレーザエネルギーを照射するように構成されたレーザ伝送要素であって、照射が、ビームと物品表面との間に相互作用を引き起こし、それにより、
(a)相互作用中に、物品表面に局所的な照明を一時的に生成し、
(b)物品表面に照射後パターンを集合的に形成し、相互作用後も、前記照射後パターンが持続するように構成された、レーザ伝送要素と、
前記照射期間中に前記照射ゾーンの照射検査画像をキャプチャするように構成された照射検査要素であって、前記照射検査画像が、前記局所的な照明によって規定される照明パターンを含む、照射検査要素と、
前記照明パターンを対応するターゲットパターンと比較するように構成されたプロセッサ要素であって、照明パターンがそれぞれのターゲットパターンと一致しない場合に、それぞれの物品が不合格とされる、プロセッサ要素とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムにおいて、
(a)各照明パターンが、少なくとも1つの文字を含み、
(b)比較が、照射を連続的に受けた少なくとも1000個の物品について、少なくとも99%のOCR精度を有する光学式文字認識によって実行されるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項25に記載のシステムにおいて、
(a)各照明パターンが、少なくとも2つの文字を含み、
(b)比較が、照射を連続的に受けた少なくとも1000個の物品について、少なくとも99.9%のOCR精度を有する光学式文字認識によって実行されるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項25に記載のシステムにおいて、
(a)前記レーザ伝送要素が、複数のレーザを含み、
(b)各レーザが、物品のそれぞれのサブセットを照射するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムにおいて、
(a)前記照射検査要素が、複数の照射カメラを含み、
(b)前記照射カメラの各々が、それぞれのレーザによる照射に対応する照射検査画像の一部をキャプチャするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記照射後パターンが、マーキングであることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムにおいて、
(a)照射期間中、
(i)前記物品表面が、第1の背景輝度を有し、かつ、
(ii)前記局所的な照明が、照明輝度を有し、
(b)照射期間後、
(i)前記物品表面が、第2の背景輝度を有し、かつ、
(ii)前記マーキングが、前記第2の背景輝度とは異なるマーキング輝度を有し、
(c)照明コントラストが、前記第1の背景輝度と前記照明輝度との間の相対的な差によって規定され、
(d)マーキングコントラストが、前記第2の背景輝度と前記マーキング輝度との間の相対的な差によって規定され、
(e)前記照明コントラストが、前記マーキングコントラストよりも大きいことを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のシステムにおいて、
前記照明コントラストが、前記マーキングコントラストの少なくとも4倍の大きさであることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
照射期間前に、前記照射ゾーンの補助検査画像をキャプチャするための補助検査カメラをさらに備え、
前記プロセッサ要素が、前記補助検査画像を分析して、
(a)それぞれの物品を保持していない前記照射ゾーン内の物品保持ポケット、または、
(b)損傷を受けた前記照射ゾーン内の物品
を識別するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
照射期間後に、前記照射ゾーンの補助検査画像をキャプチャするための補助検査カメラをさらに備え、
前記プロセッサ要素が、前記補助検査画像を分析して、損傷を受けているか、または照射後パターンのない、前記照射ゾーン内の物品を識別するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項25に記載のシステムにおいて、
前記照射後パターンが、材料ボイドであることを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記物品が、消費物品であることを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記消費物品が、医薬物質を含むことを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記消費物品が、キャンディであることを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記照射後パターンが、それぞれの物品表面の湾曲部分を横切って延びていることを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記照射検査要素が、
(a)少なくとも1の照射カメラと、
(b)前記照射ゾーンと前記少なくとも1の照射カメラとの間に光学的に配置された少なくとも1の光減衰器とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項41】
請求項40に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1の光減衰器が、偏光子および拡散器からなる群のなかから選択されていることを特徴とするシステム。
【請求項42】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記プロセッサ要素が、前記照射検査画像を使用して、表面の欠陥または材料の不純物について物品を分析するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
(a)前記相互作用によりプラズマが生成され、
(b)前記プラズマが、前記局所的な照明を生成することを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
(a)前記照射検査要素の中には、ダイクロイックミラーが含まれておらず、または
(b)前記照射ゾーンと前記照射検査要素の何れかの部分との間には、ダイクロイックミラーが光学的に配置されていないことを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項25乃至29の何れか一項に記載のシステムにおいて、
(a)前記照射検査要素の中には、スキャナが含まれておらず、または
(b)前記照射ゾーンと前記照射検査要素の何れかの部分との間には、スキャナが光学的に配置されていないことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品にパターンを施して 施したパターンの正確さを検査することに関する。より詳細には、本開示は、レーザ照射などによりパターンを個別の消費物品または非消費物品に施して、施したパターンの存在および正確さを検査するシステムおよび方法に関するものである。
【0002】
関連出願
本出願は、2019年3月8日に出願された米国仮出願第62/816,055号の利益を主張するものであり、その内容は、あらゆる目的のために、本明細書に完全に記載されているかのように、この引用によって全体が援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
レーザ照射に対する固体表面の反応は、レーザの波長や出力、照射時間、光学特性など、多くの要因に左右される。多くの場合、それらの相互作用により生じるマーキングは、比較的コントラストが低い(50%以下)。そのため、通常の検査用カメラやソフトウェアアルゴリズムを使用して品質管理を行うことは難しい。それには、高解像度のカメラに加えて、通常、対象となるマーキングに均一な照明を提供するための特別な機器(例えば、拡散ドームライト、光学フィルタ、拡散器など)が必要となる。また、それらの機器は嵩張り、スペースの制約から実際のマーキングシステムに設置するのが困難である。
【0004】
従来のレーザでマーキングされたソフトゼラチンカプセルは、その難しさを物語っている。例えば、カプセルの曲面は、光を集束させ、明るいスポット(例えば、
図1の周囲照明142または補助照明要素148によって引き起こされる
図7の反射140を参照されたい)を生成し、それがメッセージの一部を覆い隠し、分析を困難または不可能にする。さらに、比較的広い領域(例えば、一度に6つのカプセルが配列された領域など)の照明は通常不均一であり、光学式文字認識(OCR)によって、実際には完璧なマーキングを有する一部のカプセルが不合格とされる可能性がある。通常、不合格となった医薬品カプセルは追加の認定作業なしでは使用することができないため、不合格になる度に、生産が遅くなり、大量の医薬品カプセルをマーキングするコストが増加する。さらに、コントラストの低いマーキングは、従来の視覚システムによる他の誤った不合格を引き起こす。例えば、通常のカプセルの継ぎ目が、従来の検査システムでは、逸脱したマーキングまたは不適切なマーキングと誤認される可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
先行技術の特定の欠陥は、本明細書に開示されるように、消費物品または非消費物品にパターンを適用してその検査を行うシステムおよび方法の提供によって克服される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の更なる利点は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、添付の図面を参照することにより、当業者に明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、本開示に係る、物品の表面にパターンを施し、そのパターンを検査するための1つの非限定的な例示のシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の矢視2-2に沿った概略的な平面図であり、照射期間前にキャプチャされた例示的な補助検査画像を示しており、これは、それぞれの物品を保持していない照射ゾーン内の物品保持ポケット、または損傷を受けている可能性のある(例えば、形状不良の)照射ゾーン内の物品を識別するために分析され得る。
【
図3】
図3は、照射期間中の照射ゾーンを示す、
図1の矢視2-2に沿った概略的な平面図であり、レーザ伝送要素が物品にレーザエネルギーを照射している様子が示されている。
【
図4】
図4は、
図3の部分4の概略的な拡大図であり、レーザビームと物品表面との間の相互作用を引き起こすために物品にレーザエネルギーが照射されている様子を示しており、相互作用が、物品表面に局所的な照明を一時的に生成することが示されるとともに、照射後パターンの一部が、レーザビームとの先行する相互作用の結果として物品表面に持続することが示されている。
【
図5】
図5は、
図1の矢視2-2に沿った概略的な平面図であり、照射期間中に生成された局所的な照明によって規定される照明パターンを含むキャプチャされた照射検査画像を示している。
【
図6】
図6は、
図1の矢視2-2に沿った概略的な平面図であり、照射期間後にキャプチャされた照射ゾーンの補助検査画像を示しており、これは、損傷しているか、または照射後パターンのない照射ゾーン内の物品を識別するために分析され得る。
【
図7】
図7は、照射後パターンを有する例示的な物品の概略的な拡大図であり、周囲の照明からの反射が、照射後パターンと物品の背景色との間のコントラストを不明瞭にしている様子が示されている。
【
図8】
図8は、本開示に係る、物品の表面にパターンを適用して、そのパターンを検査する非限定的な例示の方法を示す概略的なフローチャートであり、破線は、個別にまたは組合せにより、本方法の特定の実施態様に任意選択的に含まれるステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、部分的に、低コントラストのレーザマーキング、マイクロマシニングなどのパターン分析(例えば、OCR、品質管理など)に使用することができる高コントラスト画像を作成するための新規なシステムおよび方法を説明するものである。
【0008】
ここで図面を参照すると、同様の符号が、複数の図面を通して、同一のまたは対応する特徴を示している。
【0009】
図1を参照すると、本開示に係る、物品の表面にパターンを施し、そのパターンを検査するためのシステムの1または複数の好ましい実施形態が、全体として符号100で示されている。このシステム100は、照射ゾーン104と、レーザ伝送要素108と、照射検査要素116とを含むことができる。システム100を伴う1または複数の関連する方法が、
図8に符号200で示されている。
【0010】
照射ゾーン104は、物品102のセット126をその中に受け入れるように構成されている。各物品は、物品表面106を有する。この受け入れを容易にするために、物品保持ポケット136のアレイを有する移送要素134が提供されるようにしてもよい。移送要素134は、コンベアベルトや移送ホイールなどのコンベアサブシステムの一部であってもよく、あるいは、照射ゾーンから手動で(例えば、手で)取り外し可能であり、かつ照射ゾーンに挿入可能なトレイであってもよい。
【0011】
レーザ伝送要素108は、照射期間中に、レーザエネルギーの少なくとも1のビーム110を照射ゾーン104に向けて伝送し、物品のセットにレーザエネルギーを照射するように構成されている。
図1、
図3および
図4に示すように、照射は、ビーム110と物品表面106との間の相互作用を引き起こすように構成され、それにより、(a)相互作用中に物品表面106に局所的な照明112を一時的に生成し、(b)物品表面106に照射後パターン114を集合的に形成する。照射後パターン114は、典型的には、相互作用の後も持続する。各レーザ伝送要素108は、関連するスキャナ144およびレンズ146を有することができる。
【0012】
図1および
図5に示すように、照射検査要素116は、それぞれの照射期間中に照射ゾーン104の照射検査画像118を捕捉するように構成することができる。照射検査画像118は、前述の局所的な照明によって規定される照明パターン120を含むことができる。
【0013】
図1および
図5を参照すると、システム100の好ましい実施形態は、照明パターン120を、対応するターゲットパターン124と比較するように構成されたプロセッサ要素122を含むことができる。そのようなシステム100は、照明パターン120がそれぞれのターゲットパターンと一致しない場合に、それぞれの物品102が不合格と判定される(例えば、システム100から排出される)ように構成することができる。
【0014】
システム100の特定の実施形態では、照射後パターン114が、それぞれのマーキングであってもよい。マーキングは、例えば、1または複数の人間または機械で読取可能な英数字、または2次元のQRコードまたはバーコードを含むことができる。そのような実施形態では、照射期間中、物品表面106が第1の背景輝度を有し、局所的な照明112が照明輝度を有することができる。照射期間後、物品表面106は第2の背景輝度を有し、マーキング114は第2の背景輝度とは異なるマーキング輝度を有することができる。照明コントラストは、第1の背景輝度と照明輝度との間の相対的な差によって規定され、マーキングコントラストは、第2の背景輝度とマーキング輝度との間の相対的な差によって規定されるものであってもよい。照明コントラストは、マーキングコントラストの少なくとも4倍の大きさであることが好ましい。システム100のいくつかの実施形態では、照明コントラストが、マーキングコントラストよりも450%、500%、550%、あるいは600%大きくてもよい。
【0015】
照明コントラストおよびマーキングコントラストは、好ましくは、例えば、明るい背景上の暗いマーキングについては(Lb-Lm)/Lb、暗い背景上の明るいマーキングについては(Lm-Lb)/Lmとして計算される、背景輝度(Lb)とマーキング輝度(Lm)との間の相対的な差として規定することができる。これは、(Lmax-Lmin)/Lmaxと同じであり、LminとLmaxは、マーキングとその周辺における最小と最大の輝度である。
【0016】
照明コントラストはマーキングコントラストよりも実質的に大きいため、照明パターン上で実行される光学式文字認識(OCR)は、より厳密に規定された合格-不合格パラメータを持つことができる。これにより、正確にマークされた物品の不合格を増やすことなく、不正確にマークされた物品の受け入れを少なくすることができる。OCRエラーは、不正確なマーキングが識別されずに良好として受け入れられる場合や、正確なマーキングが認識されずに不良として拒絶される場合に発生する。この場合、OCRの精度は、(N-Ne)/Nとして規定することができ、ここで、NはOCRプロセスで評価されたマーキングの総数であり、NeはOCRエラーの総数である。実用的な目的のために、OCR精度の計算は、少なくとも100個または少なくとも1000個の物品の評価を含むことが望ましい。
【0017】
システム100の特定の好ましい実施形態では、各照明パターン120が少なくとも1つの文字を含むことができ、比較は、少なくとも99%のOCR精度を有するOCRプロセスによって実行されるように構成されるものであってもよい。このOCR精度は、照射を連続的に受けた少なくとも1000個の物品102に基づくものであってもよい。さらに、システム100の特定の好ましい実施形態では、各照明パターン120が少なくとも2つの文字を含むことができ、比較は、照射を連続的に受けた少なくとも1000個の物品102に対して、少なくとも99.9%のOCR精度を有するOCRプロセスによって実行されるように構成されるものであってもよい。
【0018】
図1および
図3に示すように、システム100の特定の実施形態では、レーザ伝送要素108が、複数のレーザ130を含むことができる。そのような実施形態では、それぞれの物品102のそれぞれのサブセット128を照射するように、各レーザ130を構成することができる。さらに、システム100のそのような実施形態では、照射検査要素116が、複数の照射カメラ132を含むことができる。照射カメラ132の各々は、それぞれのレーザ130による照射に対応する照射検査画像の一部分をキャプチャするように構成することができる。
【0019】
図1および
図2に示すように、システム100の特定の好ましい実施形態は、補助検査カメラ150をさらに含むことができる。補助検査カメラは、照射期間の前に、照射ゾーン104の補助検査画像152をキャプチャするように構成され得る。その場合、プロセッサ要素122は、補助検査画像152を分析して、例えば、それぞれの物品102を保持していない照射ゾーン内の任意の物品保持ポケット158や、損傷を受けている(例えば、予めプログラムされたターゲット形状と一致しない不規則な形状を有する)照射ゾーン104内の任意の物品102を識別するように構成され得る。
【0020】
図1および
図6に示すように、システム100の特定の好ましい実施形態は、照射期間の後に照射ゾーンの補助検査画像154をキャプチャするための補助検査カメラ150をさらに含むことができる。その場合、プロセッサ要素122は、補助検査画像154を分析して、損傷を受けているか、または照射後パターン114を欠いている、照射ゾーン104内の任意の物品102を識別するように構成され得る。
【0021】
システム100の特定の実施形態に応じて、照射後パターン114は、材料ボイド(例えば、物品表面へのエッチング)であってもよい。
【0022】
システム100の特定の実施態様に応じて、物品102は消費物品であってもよい。消費物品は、医薬物質を含むことができ、その場合、例えば、物品102が薬用の錠剤、カプセルなどである。代替的には、消費物品102がキャンディであってもよい。また、システム100の特定の実施態様では、物品102が、医療デバイス、電子機器、航空宇宙または他の産業で見られるような非消費物品であることも想定される。
【0023】
図8を参照すると、物品の表面にパターンを施し、そのパターンを検査するための方法の1または複数の好ましい実施態様が、全体として符号200で示されている。この方法200は、1または複数のステップの様々な組合せを含むことができる。例えば、ブロック202では、
図1に示すように、レーザ伝送要素108、照射ゾーン104および照射検査要素116を有するレーザ照射システム(
図1の符号100で示されるシステムなど)が提供される。レーザ伝送要素108は、レーザエネルギーの少なくとも1のビーム110を照射ゾーン104に向けて伝送するように構成され得る。
【0024】
図1、
図3および
図8を参照すると、ブロック204では、物品102のセット126が照射ゾーン104内に配置される。各物品102は物品表面106を有する。ブロック208では、照射期間中に、レーザ伝送要素108を介して物品102のセットにレーザエネルギーが照射され、照射が、ビーム110と物品表面106との間の相互作用を引き起こす。
図3および
図4に示すように、それらの相互作用は、(a)相互作用中に物品表面106に局所的な照射112を一時的に生成し、(b)物品表面106に照射後パターン114を集合的に形成することができる。照射後パターン114は、相互作用の後に(例えば、消えないマーキングまたはエッチングのように)持続するように構成され得る。
【0025】
図1および
図5に示すように、ブロック210では、照射ゾーン104の照射検査画像118が、照射検査要素116を介して照射期間中にキャプチャされる。照射検査画像118は、局所的な照明112によって(例えば、集合的に)規定された照明パターン120を含む。
【0026】
図1および
図5を参照すると、ブロック212では、各照明パターン120が、対応するターゲットパターン124と比較されて、それらが互いに一致するか否かが判定される。照明パターン120が対応するターゲットパターンと一致しない場合、それぞれの物品は(例えば、システム100からの排出によって)拒絶され得る。
【0027】
本方法200の特定の好ましい実施態様では、各照明パターン120が、少なくとも1つの文字(例えば、1または複数の言語の英数字、または英数字以外の記号、コードまたはグラフィックデザイン)を含むことができ、比較するステップ212が、少なくとも99%のOCR精度を有する光学式文字認識によって実行され得る。そのような実施態様では、光学式文字認識が、照射するステップ208を連続的に受けた少なくとも1000個の物品102について、少なくとも99%のOCR精度を有することができる。
【0028】
本方法200の特定の好ましい実施態様では、各照明パターン120が、少なくとも2つの文字を含むことができ、比較するステップ212が、少なくとも99.9%のOCR精度を有する光学式文字認識によって実行され得る。そのような実施形態では、光学式文字認識が、照射するステップ208を連続的に受けた少なくとも1000個の物品102について、少なくとも99.9%のOCR精度を有することができる。
【0029】
図1、
図3および
図8に示すように、本方法200の特定の好ましい実施態様では、レーザ伝送要素108が複数のレーザ130を含むことができ、照射ステップ208では、各レーザ130が物品102のそれぞれのサブセット128を照射することができる。さらに、照射検査要素116は、複数の照射カメラ132を含むことができ、キャプチャするステップ210では、照射カメラ132の各々が、それぞれのレーザ130による照射に対応する照射検査画像118の一部をキャプチャすることができる。
【0030】
本方法200の特定の実施態様では、照射後パターン120がマーキングであってもよい。そのような実施態様では、照射期間中、物品表面106が第1の背景輝度を有し、局所的な照明112が照明輝度を有することができる。照射期間後、物品表面106は第2の背景輝度を有し、マーキング114は、第2の背景輝度とは異なるマーキング輝度を有することができる。照明コントラストは、第1の背景輝度と照明輝度との間の相対的な差によって規定することができ、マーキングコントラストは、第2の背景輝度とマーキング輝度との間の相対的な差によって規定することができる。照明コントラストは、マーキングコントラストの少なくとも4倍の大きさであることが好ましい。本方法200のいくつかの実施態様では、照明コントラストが、マーキングコントラストの450%、500%、550%または600%であってもよい。
【0031】
本方法200に関して、照明コントラストおよびマーキングコントラストは、好ましくは、例えば、明るい背景上の暗いマーキングについては(Lb-Lm)/Lbとして計算され、暗い背景上の明るいマーキングについては(Lm-Lb)/Lmとして計算される、背景輝度(Lb)とマーキング輝度(Lm)との間の相対的な差として規定されるものであってもよい。これは、(Lmax-Lmin)/Lmaxと同じであり、LminおよびLmaxは、マーキングおよびその周辺内の最小および最大の輝度である。
【0032】
図1、
図2および
図8に示すように、本方法200の特定の実施態様は、照射期間の前に、補助検査カメラ150によって照射ゾーン104の補助検査画像152をキャプチャするステップ206をさらに含むことができる。その後、補助検査画像152を分析して、それぞれの物品102を保持していない照射ゾーン104内の任意の物品保持ポケット136、または損傷を受けている(例えば、予めプログラムされたターゲット形状と一致しない不規則な形状を有する)照射ゾーン104内の任意の物品102を識別することができる。
【0033】
図1、
図6および
図8に示すように、本方法200の特定の実施態様は、照射期間の後に、補助検査カメラ150によって照射ゾーン104の補助検査画像154をキャプチャするステップ214をさらに含むことができる。そのような実施態様では、補助検査画像154を分析して、損傷を受けた、または照射後パターン114を欠いている、照射ゾーン104内の任意の物品102を識別することができる。
【0034】
本方法200の特定の実施態様に応じて、照射後パターン114は、材料ボイド(例えば、物品表面へのエッチング)であってもよい。
【0035】
本方法200の特定の実施態様に応じて、物品102は、消費物品であってもよい。消費物品102は、医薬物質を含むことができ、その場合、物品102は、例えば、薬用の錠剤、カプセルなどである。代替的には、消費物品102は、キャンディであってもよい。また、本方法100の特定の実施態様では、物品102が、医療デバイス、電子機器、航空宇宙または他の産業で見られるような非消費物品であることも想定される。
【0036】
システム100または方法200の特定の実施態様では、相互作用がプラズマを生成し、そのプラズマが局所的な照明112を生成する。また、
図1に示すように、システム100または方法200の特定の実施態様では、各照射後パターン114が、それぞれの物品表面106の湾曲部分156を横切って延びるものであってもよい。
【0037】
図1に示すように、システム100または方法200の特定の好ましい実施態様では、照射検査要素116が、少なくとも1の照射カメラ132と、照射ゾーン104と少なくとも1の照射カメラ132との間に光学的に配置された少なくとも1の光減衰器138とを含むことができる。少なくとも1の光減衰器138は、例えば、偏光子、拡散器またはそれらの組合せなどであってもよい。
【0038】
本方法200の特定の実施態様では、照射検査画像118を、表面欠陥または材料不純物について物品102を分析するために使用することができる。システム100または方法200の特定の実施態様では、プロセッサ要素122が、照射検査画像118を使用して、表面欠陥または材料不純物について物品102を分析するように構成され得る。
【0039】
システム100または方法200の特定の好ましい実施態様では、照射検査要素116内にダイクロイックミラーが含まれていないか、または照射ゾーン104と照射検査要素116の任意の部分との間にダイクロイックミラーが光学的に配置されていない。代替的または追加的には、システム100または方法200の特定の好ましい実施態様において、照射検査要素116内にスキャナが含まれていないか、または照射ゾーン104と照射検査要素116の任意の部分との間にスキャナが光学的に配置されていない。
【0040】
システム100または方法200の特定の好ましい実施態様では、レーザエネルギーのビーム110が、紫外線(UV)スペクトルであってよく、物品表面106が、レーザビーム110が表面106と相互作用した後に、可視マーキング114を物品表面106に持続させるのに十分な量または密度の二酸化チタンを含む基材層であってよい。
【0041】
有利なことに、実際のレーザマーキング中に検査画像をキャプチャすることにより、レーザ・表面接触点の最も近い付近から強い光が放出されるため、先行技術の欠陥の多くが克服される。システム100および方法200の多くの実施形態では、この光(例えば、プラズマからの光)が非常に明るいため、例えば偏光フィルタなどで減衰させる必要がある。より高いコントラストの画像は、任意のパターン認識ソフトウェアで遥かに容易に分析することができる。
【0042】
本発明の実施形態を例示および説明してきたが、それらの実施形態は、本発明のすべての可能な形態を例示および説明することを意図したものではない。本明細書で使用されている文言は、限定ではなく説明のための文言であり、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されよう。
【国際調査報告】