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  • 特表-繊維複合支柱 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(54)【発明の名称】繊維複合支柱
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/68 20060101AFI20220420BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20220420BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20220420BHJP
   B29C 70/42 20060101ALI20220420BHJP
【FI】
B29C70/68
B64C1/00 B
B29C70/06
B29C70/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553271
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 US2020021335
(87)【国際公開番号】W WO2020185542
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】102019001585.1
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508135080
【氏名又は名称】アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】フンク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,マーティン
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AD03
4F205AD05
4F205AD12
4F205AD16
4F205AD24
4F205AG08
4F205AH31
4F205HA19
4F205HA35
4F205HB01
4F205HB12
4F205HF05
4F205HT11
4F205HT26
(57)【要約】
本発明は、航空機または宇宙船で使用される繊維複合支柱などの支柱(101、201)に関し、これは、支柱(101、201)の円筒形の設置空間内に最大限可能な外径を有する。本発明は、例えば繊維プラスチック複合中空構造体(102、202)などの繊維複合中空構造体(102、202)に接続されたインサート(104、204)に関係しており、ここで、中空構造体(102、202)は、インサート(104、204)のアンダーカット(107、207)に係合し、繊維複合中空構造体(102、202)の外側領域も同様にアンダーカット(108、208)を有し、このアンダーカット(108、208)は、繊維プラスチック複合外装(105、205)などの繊維複合外装(105、205)で満たされ、繊維複合中空構造体(102、202)の内側領域は、少なくとも1つの小領域に、そこに接続されたコア(103、203)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)繊維複合中空構造体に接続されたインサートを備え、前記繊維複合中空構造体は、少なくともマトリクス材料と繊維で作成され、前記インサートは、少なくとも1つのアンダーカットを有し、前記繊維複合中空構造体は、このアンダーカットに係合し、
(ii)前記繊維複合中空構造体の外側領域は、同様に少なくとも1つのアンダーカットを有し、このアンダーカットは、繊維複合外装で少なくとも部分的に満たされ、
(iii)前記繊維複合中空構造体の内側領域は、少なくとも1つの小領域に、そこに接続されたコアを有する、繊維複合支柱。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合中空構造体は、繊維プラスチック複合材料を有する、繊維複合支柱。
【請求項3】
請求項1または2に記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合外装は、繊維プラスチック複合材料を有する、繊維複合支柱。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記コアは、繊維プラスチック複合材料を有する、繊維複合支柱。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合中空構造体の繊維配向は、前記支柱の中心軸に対して0°から45°の間である、繊維複合支柱。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記インサートは内ねじ山を備える、繊維複合支柱。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合外装の最外径は、前記繊維複合支柱の最外径内である、繊維複合支柱。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合中空構造体は、繊維構成物質を45容量パーセントを超えて有し、前記繊維構成物質は、顕著に連続する繊維を有する、繊維複合支柱。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の繊維複合支柱において、熱可塑性材料および/または熱硬化性材料と併せて、ガラス繊維および/またはセラミック繊維および/または炭素繊維および/または玄武岩繊維および/またはプラスチック繊維を有する繊維複合材料を有する、繊維複合支柱。
【請求項10】
請求項6から9のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記内ねじ山は、円形ねじ山、台形ねじ山、バットレスねじ山および三角ねじ山から成る群から選択される、繊維複合支柱。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記インサートは、接着接合によって前記繊維複合中空構造体に追加で接続される、繊維複合支柱。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記インサートは、金属材料および/またはセラミック材料および/または短繊維強化プラスチックおよび/または非強化プラスチックを有する、繊維複合支柱。
【請求項13】
請求項4から12のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記コアの繊維配向は、前記繊維複合支柱の前記中心軸に対して0°から90°の間である、繊維複合支柱。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記コアは、ポリマーまたはポリマー発泡体で作成される、繊維複合支柱。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合外装は、前記繊維複合支柱の前記中心軸に対して70°から90°の間の繊維配向を有する、繊維複合支柱。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記インサートは、前記繊維複合中空構造体の内径における前記インサートの前記アンダーカットと前記繊維複合中空構造体のアンダーカットの嵌合を介するポジティブロック式の荷重導入として前記繊維複合中空構造体に接続される、繊維複合支柱。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合中空構造体、コアまたは前記繊維複合外装のいずれかは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂および/またはビニルエステル樹脂、あるいはPP、PA、ABS、PEI、PPSまたはPEEKマトリクスなどの熱可塑性物質と併せて、連続するガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、セラミック繊維および/またはプラスチック繊維を有する、繊維複合支柱。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合支柱はロッド形状である、繊維複合支柱。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の繊維複合支柱において、前記繊維複合支柱は、前記支柱の設置空間の直径のサイズの85~99%である前記支柱の長さにわたって最外径を有する、繊維複合支柱。
【請求項20】
請求項19に記載の繊維複合支柱において、前記最外径は、前記繊維複合支柱の力導入領域および中心領域の長さにわたる、繊維複合支柱。
【請求項21】
請求項20に記載の繊維複合支柱において、前記最外径は、前記繊維複合支柱の全長にわたる、繊維複合支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月8日に提出されたドイツ出願第10 2019 001585.1号の優先権の利益を主張する。上述の出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、繊維複合材料で作成された支柱、または伸長-圧縮ロッドに関する。
【背景技術】
【0003】
耐久性の高い繊維複合材料の、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維または玄武岩繊維との、および例えば熱硬化性材料または熱可塑性材料、エラストマー、炭素、グラファイトまたはセラミックなどのマトリクスとの使用は、含まれる材料にとって適切な力の伝達のためにふさわしい設計の使用を必要とする。この文脈における「含まれる材料にとって適切な」とは、材料の異方性が、繊維方向の、および繊維方向に対して斜めの異なる機械的特性に関して目的を持って利用されることを意味する。
【0004】
力の伝達のために繊維複合材料で作成された接続ロッドは、とりわけ、支持するため、補強するため、または接続するためのガイダンスおよび機械的装着に役立つ。繊維複合材料で作成された接続ロッドは長年にわたって知られてきた。そのような接続ロッドは、好ましくは、但し排他的ではなく、航空宇宙産業で使用される。飛行機、回転翼航空機、飛行船、無人航空システム、ロケットおよび人工衛星などの航空機および宇宙船の接続ロッドは、圧縮力および張力の両方によって顕著に軸方向に荷重される。
【0005】
繊維強化管が使用される場合、この構造体に力を導入する基本的な問題がしばしば生じる。一般に、管の中に据えられる金属製のねじ山付き要素がこの目的のために使用される。金属要素と繊維強化管の問題をはらんだ接合のために様々な解決策がある。繊維複合材料で作成された管状体を有するこのような性質の支柱は、金属製支柱と比べて、その軽い重量によってとりわけ区別される。
【0006】
金属で作成されるのは、そのような支柱の端部における力導入要素にとって通例である。たいていの場合、アルミニウムで作成された力導入要素が使用される。通常、これらは接着手段によって、繊維複合材料で作成された管状体に一体式に接合される。金属製の力導入要素の大きな重量、低い耐食性、大きな労働を要する接着継ぎ目の品質管理、および関連する高い製造コストもまた、ここでは不利である。まれなケースでは、力導入要素はプラスチックでも作成され、この場合、その低い強度、および繊維強化管とは大きく異なるその熱膨張係数が逆効果を与える。
【0007】
具体的に航空宇宙用途では、そのような支柱はまた、ブレース、接続ロッド、または伸長-圧縮ロッドとも呼ばれ、支柱は、とりわけガイダンス、および機械的装着または支持(「支柱」または「タイロッド」)に役立ち、極端な温度変動を受け、かつ最高の品質基準を満たす必要がある。支柱はまた、タイロッドとして知られる場合もある。そのような支柱の荷重の主な方向は、支柱の長手方向である。このような性質の支柱は一般に、基本的に管状の本体を含み、その各端部には、支柱を装着するための要素(力導入要素またはインサート)が位置決めされる。
【0008】
軽量と同時に使用される材料の強度のため、再現性および品質保証のために、また耐食性のためにも、とりわけ高い要求がそのような支柱に対して出される。さらに、支柱は、機械的ストレス、熱によるストレス、および他の環境ストレスに対して極めて抵抗性である必要がある。各ケースにおいて利用可能な設置空間に応じて、円筒形の設置空間内に最大限可能な外径でそのような支柱を建造するための要件が時には存在する。
【0009】
重量およびコストの削減のために増加しつつある要件は、繊維複合材料で作成された管状体を有する支柱についての既知の建造方法の可能性の限界に近づいている。
【0010】
ポジティブロック式および/または一体式の荷重導入に関する様々な解決策の概念は、従来技術から既に知られている。
【0011】
WO 2009/003,207 A1は、張力および/またはねじり力を吸収および/または伝達するための接続に関する機構を記載している。力導入要素は、少なくとも区画内で、外装要素によって取り囲まれ、ここでは、この要素は、繊維複合材料で基本的に構成される。力導入要素の少なくとも1つの区画上に、外装要素に面するその外面に突起が設けられ、この突起は、少なくとも部分的に外装要素を貫通する。
【0012】
ここでの不利な点は、接続部を圧縮力の伝達のために最適に使用することができないことである。加えて、力導入要素の外面が要素を外装要素に密着させるのに使用される。結果として、より大きな外面が必要とされる。
【0013】
DE 10 2014 109,886 A1から、長繊維の繊維複合材料構成要素上の接続区画は、繊維複合材料構成要素をコネクタ構成要素に接続するために知られており、この接続区画は、軽量で安定した接続を生み出す目的でその内部に少なくとも1つの繊維偏向要素を有する。この設計では、長繊維は、繊維偏向要素の周りにループとして伸びる。繊維偏向要素は、力のポジティブロック式導入のために締結突起として機能する。
【0014】
ここでの不利な点は、繊維偏向要素の周りにループを形成する必要がある大きな労働を要する製造プロセスである。加えて、後処理なしで、支柱の全長にわたって円筒形の設置空間の中で最大限可能な外径を達成することは不可能である。
【0015】
特許文献DE 10 2013 008,810 B4では、力のポジティブロック式の導入のためにインサート要素を有する繊維複合管が記載される。インサート要素は、インサート要素の外側輪郭で半径方向に始まるように測定して、0mmから0.5mmの距離で輪郭の近くで繊維複合材料によって囲まれており、この場合、輪郭付近の領域内の繊維は、管の長手方向軸に対して測定して0°から±40°の間の角度で配向され、輪郭付近の領域内の繊維は、繊維方向に60GPaから600GPaの弾性係数を有し、インサート要素は、輪郭から離れて、繊維複合材料によって同様に囲まれ、輪郭から離れた領域内の繊維は、管の長手方向軸に対して測定して、±41°から±89°の角度で配向され、輪郭から離れた領域は、インサート要素の外側輪郭から半径方向に始まるように測定して、0.5mmの距離で始まり、輪郭から離れた領域内の繊維は、繊維方向に200GPaから700GPaの弾性係数を有し、この場合、輪郭付近の領域内の繊維は、輪郭から離れた領域内の繊維より低い弾性係数を有する。
【0016】
この概念の不利な点は、インサート要素の領域内の管の直径の拡大である。
【0017】
DE 10 2013 018,970 B3は、全体として非金属で実現される繊維複合管を記載しており、これは、薄い壁と、軽量のロストコアで構成され、ここでは、ロストコアの中心セグメントは、繊維複合材料で構成され、力導入要素より内径が大きく、その結果、繊維複合管は、端部において管の中心軸に向かって先細り、力導入セグメントは、繊維複合材料で作成された覆いによって力の伝達のためにポジティブロック方式で囲まれる。
【0018】
この解決策では、力導入セグメントの領域内の管体の先細りが不利である。
【0019】
公開された特許出願DE 10 2016 007,663 A1では、移行要素が備わった管状の繊維複合体が記載される。その内部には、内ねじ山が備わっており、管状の繊維複合体に面する側面は、ピンが配置される穴を有し、公差を補償する中間層が、管状の繊維複合体に面する移行要素の側面と、管状繊維複合体との間にあり、ピンの一部が、壁の厚さ全体にわたって公差を補償する中間層および管状の繊維複合体の両方を貫通し、移行要素を通して管状の繊維複合体に接続された取り付け要素は、ねじ山を利用して長さが段階式に調節可能である。
【0020】
ポジティブロック式の荷重導入を達成するためのピンの追加の使用およびそれに関連する大きな労働を要する製造プロセスがここでは不利である。
【0021】
DE 10 2017 003,024 A1は、とりわけ張力および圧縮力の伝達のために既に予め作製された繊維プラスチック複合管を記載しており、この管には管終端要素が備わっており、内側要素はその外面に凸状突起を有し、繊維プラスチック複合管は、その内面に窪みを有し、管の長手方向軸と内側要素の外側輪郭との間の角度は、度数で測定して最小の1°と最大の65°であり、その結果、少なくとも引張り荷重の下で、互いに接触している表面上の垂直力の形成と共に摩擦接続が生じる。
【0022】
この特許で提示される力の導入は、繊維複合管の追加の処理を必要とする。加えて、管は、支柱の全長にわたって円筒形の設置空間内に最大限可能な外径を持たない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、繊維プラスチック複合中空構造体などの繊維複合中空構造体に接続されたインサートを有する繊維複合支柱に関係する。特定の実施形態において、繊維複合中空構造体は、少なくともマトリクス材料と繊維で作成され、インサートは、少なくとも1つのアンダーカットを有する。繊維複合中空構造体は、このアンダーカットに係合する。別の実施形態において、繊維複合中空構造体の外側領域もまた少なくとも1つのアンダーカットを有し、このアンダーカットは、繊維プラスチック複合外装などの繊維複合外装で少なくとも部分的に満たされる。追加の実施形態では、繊維複合中空構造体の内側領域は、少なくとも1つの小領域に、そこに接続されたコアを有する。
【0024】
特定の実施形態において、繊維複合中空構造体は、繊維プラスチック複合材料を有する。他の実施形態において、繊維複合外装は、繊維プラスチック複合材料を有する。本発明のさらに他の実施形態において、コアは、繊維プラスチック複合材料を有する。
【0025】
追加として、本発明の特定の実施形態において、インサートには、内ねじ山が備わっている。別の実施形態において、内ねじ山は、円形、台形、バットレス、または三角ねじである。
【0026】
特定の実施形態において、繊維複合外装の最外径は、繊維複合支柱の最外径内である。
【0027】
いくつかの実施形態において、繊維複合中空構造体は、繊維構成物質を45容量パーセントを超えて有し、この場合、繊維構成物質は、顕著に連続する繊維を有する。
【0028】
特定の実施形態において、繊維複合支柱は、熱可塑性材料および/または熱硬化性材料と併せて、ガラス繊維および/またはセラミック繊維および/または炭素繊維および/または玄武岩繊維および/またはプラスチック繊維を有する繊維複合材料を有する。
【0029】
他の実施形態において、インサートは、接着接合によって繊維複合中空構造体に追加で接続される。
【0030】
別の実施形態において、インサートは、金属材料および/またはセラミック材料および/または短繊維強化プラスチックおよび/または非強化プラスチックを有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、繊維複合中空構造体の繊維配向は、繊維複合支柱の中心軸に対して0°から45°の間である。
【0032】
別の実施形態において、コアの繊維配向は、繊維複合支柱の中心軸に対して0°から90°の間である。
【0033】
特定の実施形態において、コアは、ポリマーおよび/またはポリマー発泡体で作成される。
【0034】
別の実施形態において、繊維複合外装は、繊維複合支柱の中心軸に対して70°から90°の間の繊維配向を有する。
【0035】
特定の実施形態において、インサートは、繊維複合中空構造体の内径におけるインサートのアンダーカットと繊維複合中空構造体のアンダーカットの嵌合を介するポジティブロック式の荷重導入として中空構造体に接続される。
【0036】
いくつかの実施形態において、繊維複合中空構造体、コアまたは繊維複合外装のいずれかは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂および/またはビニルエステル樹脂、あるいはPP、PA、ABS、PEI、PPSまたはPEEKマトリクスなどの熱可塑性物質と併せて、連続するガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、セラミック繊維および/またはプラスチック繊維を有する。
【0037】
特定の実施形態において、繊維複合支柱はロッド形状である。
【0038】
別の実施形態において、繊維複合支柱は、支柱の設置空間の直径のサイズの85~99%である支柱の長さにわたって最外径を有する。特定の実施形態において、最外径は、繊維複合支柱の力導入領域および中心領域の長さにわたる。別の実施形態において、最外径は、繊維複合支柱の全長にわたる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】コア(103)を有する本発明の繊維複合支柱(101)の断面輪郭図である。この実施形態におけるコア(103)は、中空構造体の製造プロセスの間、繊維複合中空構造体(102)を支えてよい。
図2】コア(203)を有する本発明の繊維複合支柱(201)の断面輪郭図である。この実施形態におけるコア(203)は、中空構造体の製造プロセスの間、繊維複合中空構造体(202)を支えてよい。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示における用語「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」を意味する、または米国特許法における用語「備えている」および「備える」に一般的に与えられている意味を有する場合がある。用語「~で基本的に構成される」または「~で基本的に構成する」は、特許請求の範囲で使用される場合、米国特許法においてそれらが持っているとみなされる意味を有する。本発明の他の態様は、以下の開示に記載される、または以下の開示から明白である(および本発明の範囲内である)。
【0041】
繊維強化管が使用されるとき、この構造体に力を導入する基本的な問題がしばしば生じる。各ケースにおいて利用可能な設置空間に応じて、例えば円筒形の設置空間内で最大限可能な外径でそのような支柱を建造するための要件が時には存在する。したがって、支柱の最大限可能な外径は、支柱が円筒形の空間内に取り込まれることを可能にするための、例えば円筒形の設置空間によってのみ制限される。
【0042】
ここでの当該発明は、繊維複合構造体に、円筒形の設置空間内の繊維複合構造体の長さ、全長などにわたって最大限可能な外径を提供する。特定の実施形態において、円筒形の設置空間内の繊維複合構造体の最大限可能な外径は、繊維複合構造体の力導入領域またはインサートの長さにわたって、および中心領域またはコアを有する領域にわたって実現され、この手段によって従来技術の明言された不利な点を克服することができる。一例として、繊維複合支柱などの繊維複合構造体の全長にわたって最大限可能な外径を有することによって、より大きな座屈抵抗が達成される。追加として、例えば支柱およびその外径の後処理がないことによってより低い製造コストも達成される。
【0043】
特定の実施形態において、当該発明の支柱の外径は、10mmから80mmの間であり得る。この実施形態では、例えば、設置空間が70mmの直径である場合、支柱の最外径は、およそ65mmであってよい。しかしながら、このような正確な数字は、圧縮荷重中のたわみおよび/またはロッドの長さによってある程度変動する可能性があることを認識されたい。例えば設置空間が70mmの直径である場合、支柱の最外径は、67mmから63mmの間であってよい。あるいは設置空間が50mmの直径である場合もあり、支柱の最も外側直径は、例えばたわみおよび/またはロッドの長さに応じて最大限可能な外径として48mmから43mmの間であり得る。そうでないことが述べられる場合、および非制限的な例によると、当該発明の支柱の最外径は、設置空間の直径のおおよそ85~99.9%のサイズである場合もある。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の支柱の最外径は、支柱の設置空間の直径の85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%のサイズであり、85.5%から90.5%などのそれらの間の値である。特定の実施形態において、最外径は、支柱の設置空間の直径の90-99.9%、90-99%、90-98%、90-97%、90-96%、90-95%、90-94%、90-93%、90-92%、90-91%または90-90.5%のサイズであり、90-96.5% または91-99.9%などのそれらの間の値である。よって、本発明の支柱は、例えば円筒形の設置空間内に適合する能力を維持しつつ、最大限可能な外径を有する。
【0045】
図1に示されるように、本発明の目的は、繊維複合中空構造体(102)に接続されたインサート(104)を利用して達成され、この場合、中空の構造体(102)は、インサート(104)のアンダーカット(107)に係合し、この場合、繊維複合中空構造体(102)の外側領域も同様にアンダーカット(108)を有し、このアンダーカットは、繊維複合外装(105)で満たされる。
【0046】
図2に示されるように、本発明の目的は、繊維複合中空構造体(202)に接続されたインサート(204)を利用して達成され、この場合、中空の構造体(202)は、インサート(204)のアンダーカット(207)に係合し、この場合、繊維複合中空構造体(202)の外側領域も同様にアンダーカット(208)を有し、このアンダーカットは、繊維複合外装(205)で満たされる。
【0047】
そのような繊維複合支柱は、航空機または宇宙船で使用されてよく、この文脈において、圧縮力と張力の両方によって軸方向に顕著に荷重される。
【0048】
本発明はさらに、ロッド形状の繊維複合構造体に対するポジティブロック式の荷重導入の手段に関する。特定の実施形態において、図1に示されるようにインサート(104)は、インサート(104)のアンダーカット(107)と中空構造体(102)のアンダーカット(109)の嵌め合いを介するポジティブロック式の荷重導入として中空構造体(102)に接続される。同様に、図2では、インサート(204)は、インサート(204)のアンダーカット(207)と中空構造体(202)のアンダーカット(209)の嵌め合いを介するポジティブロック式の荷重導入として中空構造体(202)に接続される。
【0049】
本発明の実施形態において、インサートは、繊維複合中空構造体の最外径より小さい最外径を有する。一実施形態において、本発明の支柱の繊維複合中空構造体の繊維は、支柱の中心軸に対して0°から45°の角度で配向される。インサートのアンダーカットと中空構造体のアンダーカットの領域内、またはインサートおよび中空構造体の複数のアンダーカットの領域内に繊維複合外装を適用する結果として、繊維複合中空構造体の繊維は、正確に嵌まり合うように、インサートのアンダーカット、および中空構造体のアンダーカットに沿う。特定の実施形態において繊維複合外装の繊維配向は、繊維複合支柱の中心軸に対して70°から90°の間である。中心軸はまたそうでなければ、チェーンラインとして知られる場合もある。本発明の実施形態において、繊維複合外装の直径は、支柱の最外径内である。
【0050】
繊維がインサートまたは中空構造体のアンダーカットにどのように沿うかは、例えば外装および/または複合中空構造体のマトリクスによって決めることができる。特定の実施形態において、外装および/または複合中空構造体のマトリクスは、熱硬化性プラスチックまたは熱可塑性物質である。いくつかの実施形態において、外装は、繊維プラスチック複合外装であり、これは、支柱の製造プロセスの間、外装の繊維に対して高い張力を加えることによって、複合中空構造体の繊維が、正確に嵌まり合うように、インサートのアンダーカット、および中空構造体のアンダーカットに沿うようにする。
【0051】
追加として、特定の実施形態において、インサートのアンダーカットおよび中空構造体のアンダーカットは、支柱の直径の周りで実質的に連続している。別の実施形態において、インサートのアンダーカットおよび中空構造体のアンダーカットは、互いに対して平行な位置または実質的に平行な位置にある。さらに他の実施形態では、インサートのアンダーカットおよび中空構造体のアンダーカットは、正確な互いの嵌合を通して支柱のポジティブロックを達成する。別の実施形態において、インサートのアンダーカットは、中空構造体の内径において中空構造体のアンダーカットに隣接する。
【0052】
特定の実施形態において、インサートは、接着接合によって繊維複合中空構造体に追加で接続され得る。
【0053】
他の実施形態において、本発明による接続ロッドは、例えば、但し排他的ではなく、円筒形の設置空間内で最大限可能な外径を有する支柱が達成される繊維強化管状構成要素のための力導入要素に関する。インサートは、例えば、力導入要素にねじ込むための内ねじ山を有してよい。好適な力導入要素の例は、玉軸受、二叉、および標準的なロッド端部を含む。追加として、同様に使用され得る特有のねじ山の形態を含めた、全て既知のタイプの内ねじ山が内ねじ山として使用され得る。一例として、円形ねじ山、台形ねじ山、バットレスねじ山および三角ねじ山が、使用され得る既知の内部ねじ山のタイプである。
【0054】
さらに、本明細書で使用される際、用語「コア」は、これに限定するものではないがプラスチック複合材料および/または発泡材料を含めた材料から作成されたコアに関する。本発明の実施形態において、コアは製造後の支柱の一部を含み、例えばコアは、製造後の支柱から外されることはない。いくつかの実施形態において、コアは、支柱の最内径を有する。一般に、コアは、複合中空構造体などの複合体の巻かれたものが当てられる土台を供給するのに使用される。コアは、巻かれた複合中空構造体の内径を設定する。したがって、特定の実施形態において、コアは、例えば本発明の複合支柱の製造時に心棒として機能する。作成される複合中空構造体の形状に応じて、複合中空構造体は、コアから外れることができてもよく、またはできなくてもよい。当該発明の一例として、およびとりわけ複合中空構造体がコアから外れることができない実施形態では、軽量の発泡コアまたは複合コアが使用されるが、巻取作業に関して十分な支持も提供する。
【0055】
特定の実施形態において、本発明の複合中空構造体は、コアおよびインサートを巻取心棒上に配置することによって作成されてもよい。コアおよびインサートは、所望の複合中空構造体を製造するために所定の位置に配置される。その後、複合中空構造体をコアおよびインサートの頂部で巻き付けることによって巻取が行われる。したがって、複合中空構造体が製造される。この後、1つまたは複数の外装が巻き付けられる。例えばねじ山に関すると、ねじ山は、巻取プロセスの後に機械加工され得るが、それは、巻取プロセスの前にインサート内に機械加工される場合もある。
【0056】
さらに、特定の実施形態において、コアとインサートとの間の領域は、コアがインサートのスリーブ上またはスリーブ上の一部分に装着されるような場所であり得る。他の実施形態において、インサートの後方端部面、およびコアの前方端部面は、互いに隣接し、例えば向かい合う。さらに、本発明の一実施形態において、インサートおよび/またはコアに対して内側の範囲または空間は中空であり、すなわちそれは空の空間または空隙である。本発明の特定の実施形態において、インサートに対して内側の範囲または空間の一部分またはその全ては、力導入要素の導入時に満たされる。
【0057】
連続するガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、セラミック繊維および/またはプラスチック繊維を、例えば、但し排他的ではなく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂および/またはビニルエステル樹脂などのプラスチック、あるいはPP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド、またはナイロンプラスチック)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)マトリクスなどの熱可塑性物質と併せて、例えば繊維プラスチック複合中空構造体、繊維プラスチック複合コアおよび/または繊維プラスチック複合外装に使用さることができる。
【0058】
例えばアルミニウム、チタンまたは鋼などの金属材料および/またはセラミック材料および/または短繊維強化プラスチックおよび/または非強化プラスチックがインサートの材料として使用されてよい。
【0059】
本発明は、例示の実施形態に基づいて以下で詳細に説明される。
【0060】
図1は、中空構造体(102)の内径におけるアンダーカット(109)および中空構造体(102)の外径におけるアンダーカット(108)を備えた複合中空構造体(102)、例えば繊維プラスチック複合中空構造体と、例えば繊維プラスチック複合材料で作成されたコア(103)と、内ねじ山(106)およびアンダーカット(107)を備えたインサート(104)と、外装(105)、例えば繊維プラスチック複合外装とで作成された繊維複合支柱(101)の一部分の断面の輪郭図(側面図)を描いている。インサート(104)は、コア(103)が装着された縁部(111)を有し、コア(103)は、インサート(104)のスリーブ範囲または外周に装着される。コア(103)およびインサート(104)は両方とも、複合中空構造体(102)の内面に隣接する。支柱(101)の中心軸(110)も示される。コア(103)の繊維配向は、繊維複合支柱(101)の中心軸(110)に対して0°から90°であり得る。コア(103)はまた好ましくは、但し排他的ではなく、圧縮荷重および/または引張り荷重を伝達することができる。
【0061】
図2は、中空構造体(202)の内径におけるアンダーカット(209)および中空構造体(202)の外径におけるアンダーカット(208)を備えた複合中空構造体(202)、例えば繊維プラスチック複合中空構造体と、コア(203)と、内ねじ山(206)およびアンダーカット(207)を備えたインサート(204)と、外装(205)、例えば繊維プラスチック複合外装とで作成された繊維複合支柱(201)の一部分の断面の輪郭図(側面図)を描いている。コア(203)の材料としていずれのタイプのプラスチックも可能である。例えばこの実施形態におけるコア(203)は、ポリマーまたはポリマー発泡材料で作成され得る。インサート(204)は、縁部(211)を有する。コア(203)は、コア(203)およびインサート(204)が向かい合っても位置決めされるようにインサート縁部(211)に隣接する。コア(203)およびインサート(204)は両方とも、複合中空構造体(202)の内面に隣接する。支柱(201)の中心軸(210)も示される。
【0062】
上記に対する修正は、当業者に明白であるが、本発明の範囲を超えるように本発明を修正することはない。以下に続く特許請求の範囲は、そのような状況を包含するように解釈されるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】