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特表2022-524187光ファイバセンサユニット、光学測定システム、車軸計数装置の車軸計数方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-28
(54)【発明の名称】光ファイバセンサユニット、光学測定システム、車軸計数装置の車軸計数方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20220421BHJP
   E01B 35/00 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
G01D5/353 C
E01B35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021552945
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2020056493
(87)【国際公開番号】W WO2020182876
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】19162729.8
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516217907
【氏名又は名称】タレス マネジメント アンド サービシズ ドイチュランド ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Thales Management & Services Deutschland GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】リンスドール デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】クレム ライナー
(72)【発明者】
【氏名】フェラー スカーレット
(72)【発明者】
【氏名】ハイダー マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ナウモヴスキー ペータル
【テーマコード(参考)】
2D057
2F103
【Fターム(参考)】
2D057BA00
2F103BA10
2F103CA04
2F103EC09
(57)【要約】
【課題】測定信号の増幅が高められ、生データが改善された測定を行う。
【解決手段】レール(15)に作用する機械的な力を検出するための光ファイバセンサユニット(1a)であって、少なくとも第1のセンサファイバ(2、3)と、第1の細長い光ファイバ歪みセンサ(4)および第2の細長い光ファイバ歪みセンサ(5)とを備え、第1のセンサファイバ(2)が第1の歪みセンサ(4)を備え、少なくとも1つのセンサファイバ(2、3)がセンサプレートに取り付けられ、第1のファイバ歪みセンサ(4)および第2の歪みセンサ(5)が、x型またはv型の幾何学形状に配置され、第1の歪みセンサ(4)および第2の歪みセンサ(5)が、互いに60°から120°、特に90°の角度で配置されていることを特徴とする光ファイバセンサユニット(1a)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール(15)に作用する機械的な力を検出するための光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)であって、
少なくとも第1のセンサファイバ(2、3;10)と、
第1の細長い光ファイバ歪みセンサ(4)および第2の細長い光ファイバ歪みセンサ(5)であって、前記第1のセンサファイバ(2;10)が前記第1の歪みセンサ(4)を備えるものと
を含み、
前記少なくとも1つのセンサファイバ(2、3;10)はセンサプレートに取り付けられ、
前記第1のファイバ歪みセンサ(4)および前記第2の歪みセンサ(5)は、x型またはv型の幾何学形状に配置され、前記第1の歪みセンサ(4)および前記第2の歪みセンサ(5)は、互いに60°から120°、特に90°の角度で配置されている
ことを特徴とする光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)。
【請求項2】
前記歪みセンサ(4、5)はファイバブラッググレーティングであることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)。
【請求項3】
前記センサプレートは間隙を有し、前記少なくとも1つのファイバは、前記歪みセンサが前記間隙内に配置されるように、前記間隙に掛け渡されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)。
【請求項4】
前記第1の歪みセンサおよび前記第2の歪みセンサは、x型幾何学形状に配置され、前記歪みセンサらは、前記歪みセンサの前記長手方向延長部に垂直な方向に互いに距離を置いて配置されることを特徴とする請求項1乃至3のうち1項に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b)。
【請求項5】
前記センサプレートは、前記少なくとも1つのセンサファイバが取り付けられる少なくとも1つの溝を備えることを特徴とする請求項1乃至4のうち1項に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溝はエッチングされることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)。
【請求項7】
前記第1の溝および前記第2の溝は同じセンサプレートの一部であり、前記2つの溝が前記センサプレートの異なる高さレベルにあることを特徴とする請求項5又は6に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b)。
【請求項8】
前記センサファイバは、前記第1のファイバブラッググレーティングおよび前記第2のファイバブラッググレーティングの両方を備えることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の光ファイバセンサユニット(1b、1c)。
【請求項9】
前記光ファイバセンサユニットは2つのセンサファイバを備え、各ファイバブラッググレーティングは別個のセンサファイバの一部であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の光ファイバセンサユニット(1a)。
【請求項10】
前記センサプレートは、前記光ファイバセンサを前記レール上に取り付けるためのベースプレートに取り付けられ、前記ベースプレートは連続した底面を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光ファイバセンサユニット。
【請求項11】
前記センサプレートは、前記レールからの長さの変化を前記ファイバブラッググレーティングに伝達して乗算する機械的増幅器を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光ファイバセンサユニット。
【請求項12】
レール(15)の剪断応力を測定するための光学測定システムであって、
長手方向延長部と前記長手方向延長部に沿って延びる中立軸(16)とを有する前記レール(15)と、
前記レール(15)に作用する前記剪断歪みに応じて光信号を検出するための請求項1乃至11のうちの1項に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)であって、前記ファイバブラッググレーティングが前記中立軸(16)に対して斜めに配向されるように、前記レール(15)に取り付けられている前記光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)と、
前記光ファイバセンサユニットの前記センサファイバ(2、3;10)に光を結合するように適合された光源(18)と、
前記光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)によって検出された信号を処理するための信号処理ユニット(20)と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記信号処理ユニット(20)は、立ち下がりエッジおよび立ち上がりエッジを有するエッジフィルタを備え、前記第1のファイバブラッググレーティング(4)は、前記立ち上がりエッジにおいてブラッグ波長を有し、前記第2のファイバブラッググレーティング(5)は、前記エッジフィルタの前記立ち下がりエッジにおいてブラッグ波長を有することを特徴とする請求項12に記載の光学測定システム。
【請求項14】
前記歪みセンサ(4、5)は、前記レール(15)の前記中立軸(16)を含む平面に対して対称に配置されることを特徴とする請求項12又は13に記載の光学測定システム。
【請求項15】
前記歪みセンサ(4、5)は、前記レールの前記中立軸(16)に垂直な平面に対して対称に配置されることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の光学測定システム。
【請求項16】
少なくとも1つの光源(18)と少なくとも1つの計数ユニット(19)とを備える車軸計数装置であって、各計数ユニット(19)は、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)であって、レール(15)に取り付けるように適合された前記少なくとも1つの光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)と、信号処理ユニット(20)とを備え、前記光源(18)は、前記光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)の前記センサファイバ(2、3、10)に光を結合するように適合されていることを特徴とする車軸計数装置。
【請求項17】
レール結合車両のための車軸計数方法であって、以下のステップ:
a)少なくとも1つのセンサファイバ(2、3;10)を介して、レール(15)に取り付けられた光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)の第1および第2の光ファイバ歪みセンサ(4、5)に光を結合するステップ、
b)前記第1および前記第2の光ファイバ歪みセンサ(4、5)によって反射された光を検出するステップであって、結果として、それぞれの場合において前記レール(15)の剪断応力信号が受信され、各光ファイバ歪みセンサ(4、5)は、ブラッグ波長λ1、λ2にあり半値全幅(FWHM)を有する反射ピーク(P1、P2)を有する反射スペクトルを有する、ステップ、
c)前記受信した2つの剪断応力信号から剪断応力の差信号を生成するステップ、
d)前記剪断応力の差信号が所定の上限値を超えるか、または所定の下限値を下回る場合、信号処理ユニット内で車輪信号を生成するステップ
を含み、
使用される前記光ファイバ歪みセンサ(4、5)は、x型またはv型の幾何学形状に配置され、前記第1の歪みセンサ(4)および前記第2の歪みセンサ(5)は、互いに60°から120°、特に90°の角度で配置され、
前記第1の光ファイバ歪みセンサ(4)および前記第2の光ファイバ歪みセンサ(5)の前記反射ピーク(P1、P2)の前記半値全幅(FWHM)は、互いに最大200%ずれていることを特徴とする車軸計数方法。
【請求項18】
使用される前記センサファイバ(10)は、前記第1および前記第2の光ファイバ歪みセンサ(4、5)の両方を備え、前記第1および前記第2の光ファイバ歪みセンサ(4、5)は、一列に配置され、異なるブラッグ波長(λ1、λ2)を有し、
前記剪断応力の差信号は、無負荷状態から負荷状態への移行中に、前記2つの光ファイバ歪みセンサ(4、5)の前記反射ピーク(P1、P2)のスペクトル重複によって光学的に生成されることを特徴とする請求項17に記載の車軸計数方法。
【請求項19】
方法ステップa)からd)は、前記線路の別のレールに取り付けられたさらなる光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)を用いて実行され、前記2つの光ファイバセンサユニットは、前記レールの方向に互いに離間していることを特徴とする請求項17又は18に記載の車軸計数方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、レールに作用する機械的な力を検出するための光ファイバセンサユニットであって、少なくとも第1のセンサファイバと、第1の細長い光ファイバ歪みセンサおよび第2の細長い光ファイバ歪みセンサとを備え、第1のセンサファイバは第1の歪みセンサを備える光ファイバセンサユニットに関する。
【0002】
準拠する光ファイバセンサユニットは、特許文献1(引用文献[01])から知られている。
【0003】
ファイバブラッググレーティングセンサは、近年、車軸カウンタの測定に使用されることが報告されている。センサ装置を通過する車輪のフランジに起因する磁気誘電率の変化を検出するために電磁センサを使用する古い従来の車軸カウンタは、電気トラクションモータからの漂遊磁場を受けやすく、また、電子機器ボックスが各センサのごく近くにあることを必要とする。光ファイバセンサは、2つ以上のファイバブラッググレーティングを使用して、列車の車輪が鉄道線上を通過するときに鉄道線が受ける剪断歪みを測定する。次いで、測定された歪みを使用して、車輪の通過、その通過速度、進行方向、および車輪への負荷を検出することができる。センサの主な用途は、センサの位置を通過する車輪の数を計数することによって線路ブロック(track block)が占有されているかどうかを判定することである。ファイバブラッググレーティングセンサを使用することにより、はるかに小型でより堅牢なセンサを線路(軌道)(track)上に配置することができ、処理装置を数キロメートル離れて配置することができる。これにより、信号システムの設置およびメンテナンスコストを大幅に削減することができる。
【0004】
特許文献2(引用文献[02])は、2つの単一ファイバブラッググレーティングを使用する光ファイバセンサを用いてレールに作用する機械的な力を測定するためのレール測定システムを開示している。ファイバブラッググレーティングの一方は、中立的なファイバ(neutral fiber)に対して+45°の角度でレールに取り付けられ、他方は、中立的なファイバに対して-45°の角度でレールに取り付けられ、それらファイバブラッググレーティングはレールの方向に互いに離間している。特許文献2([02])から知られている構成の欠点は、感度が各車軸を確実に検出するのに十分ではないため、列車に必要な安全レベル(SIL4)が保証されないことである。これは、剪断応力測定から生じる信号が閾値の評価に適していないためである。
【0005】
特許文献1([01])は、プレート上に45°で取り付けられ、互いに平行である対のFBGセンサを備える、車軸計数用の光ファイバセンサユニットを開示している。FBGセンサは、レールの方向に沿って互いに離間している。2つのファイバからの信号が減算されて、各車輪の検出パルスが得られる。この概念は、列車の先行車輪および後続車輪の通過に起因してレールが受ける曲げ、圧縮および振動が光ファイバセンサユニットの全長に亘ってコヒーレントであることを前提とし、必要とする。2つのファイバから信号を差し引くと、純粋に、車輪が通過するときの剪断歪みの変化による検出パルスが得られるはずである(以下の図1を参照)。センサテストすることによって、重要な仮定が完全に正しいわけではなく、2つのファイバが異なる望ましくない歪みを受け、それらが相殺されないため、歪んだ検出パルスおよび高いバックグラウンドノイズレベルがもたらされることが示される。特許文献1([01])から知られている光ファイバセンサユニットは、高速で異なる負荷の列車が通過するときに信頼性の低い計数を生じる。これは、特に貨物列車の車軸を計数する場合に問題となる。これは、積み込まれたワゴンと積み込まれていないワゴンとの間の重量差が大きいことに起因してレール上の負荷が大幅に変化するためである。レールに作用する外乱は、測定される信号(剪断応力)よりも桁違いに大きい。結果として、軸は正しく計数されないか、またはまったく計数されず、これはなんとしても回避されなければならない。
【0006】
非特許文献1(引用文献[03])は、4センサブリッジ構成の状況における、図Eの二重Xスタイルの配置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第3069952号明細書(引用文献[01])
【特許文献2】独国特許第102014100653号明細書(引用文献[02])
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】オメガ:曲げ、軸、せん断、ねじりの各荷重を監視するポジショニングストレインゲージ(Positioning strain Gages to monitor bending, axial, shear, and torsional loads)、 https://www.omega.com/faq/pressure/pdf/positioning.pdf(引用文献[03])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、測定信号の増幅が高められ、生データが改善された測定を可能にする光ファイバセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の光ファイバセンサユニット、請求項12に記載の光学測定システム、請求項15に記載の車軸計数装置、および請求項16に記載の車軸計数方法によって達成される。
【0011】
本発明によれば、少なくとも1つのセンサファイバはセンサプレートに取り付けられ、第1のファイバ歪みセンサおよび第2の歪みセンサは、x型またはv型の幾何学形状に配置され、第1の歪みセンサおよび第2の歪みセンサは、互いに60°から120°、特に90°の角度で配置されている。
【0012】
検出される光信号は、一般に、検出されるべき信号(目標信号)、例えば列車の通過している車輪によって発生する剪断応力、および例えばレールの曲げおよび振動または温度に起因する望ましくない外乱(干渉信号)を含む。
【0013】
本発明によれば、歪みセンサは、互いに距離を置かず、重なり合って(x型幾何学形状)または重なり合わないが互いに隣接して(v型幾何学形状)配置される。したがって、レールに取り付けられたとき、2つの歪みセンサは、レールの同じ位置またはほぼ同じ位置に作用する特定の外乱を検出する。これは特に、時間で変化し得る外乱の場合において有利である。第1の歪みセンサと第2の歪みセンサとによる測定間の時間が最小限に抑えられるためである。
【0014】
本発明の構成によって、信号の質が改善された信号の検出が可能になる。これは、低信号、大きく変化し得る信号、もしくは、同様か又はより高い振幅を有する外乱によって重畳される信号を検出するために光ファイバユニットを使用する際に特に重要であり、例えば鉄道システム内の車軸計数の場合が挙げられる。
【0015】
非常に好ましい実施形態では、歪みセンサはファイバブラッググレーティングである。各ファイバブラッググレーティングは、ファイバブラッググレーティングに作用する機械的な歪みに依存するブラッグ波長を有する。両方のファイバブラッググレーティングが1つのセンサファイバに付けられる(inscribed)(すなわち、センサファイバは、2つのFBGセグメントを備える)か、またはFBGのそれぞれが別個のセンサファイバに付けられる(すなわち、各ファイバは1つのFBGセグメントを含む)。
【0016】
本発明の光ファイバセンサユニットの好ましい実施形態によれば、センサプレートは間隙(凹部)を有し、少なくとも1つのファイバは、歪みセンサが間隙内に配置されるように、間隙に掛け渡される。センサプレートの間隙によって、FBGを自由に(すなわち、センサプレートに接触することなく)配置できるようになる。間隙に掛け渡される歪みセンサには、予め負荷がかけられている。
【0017】
非常に好ましい実施形態では、第1の歪みセンサおよび第2の歪みセンサは、x型幾何学形状に配置され、これら歪みセンサは、歪みセンサの長手方向延長部に垂直な方向に互いに距離を置いて配置される。すなわち、歪みセンサは、(歪みセンサの長手方向延長部に垂直な方向におけるFBG間の距離に起因して)互いに接触することなくx型幾何学形状に配置される。第1の歪みセンサおよび第2の歪みセンサは、スキュー線に沿って延びている。2つの歪みセンサ間の角度は、2つの歪みセンサの共通の鉛直線に沿った投影の角度である。「x型幾何学形状」とは、共通の鉛直線に沿った歪みセンサの投影が交差する(すなわち、歪みセンサがレールの長手方向延長部に対して重なる)ことを意味する。好ましくは、x型幾何学形状は、2回回転対称性、特に4回回転対称性を有し、すなわち、両方の歪みセンサの中心は共通の鉛直線上に配置されている。
【0018】
あるいは、歪みセンサは、v型幾何学形状に配置することができる。この場合、2つの歪みセンサの反応がやや遅れる。すなわち、処理されたセンサ信号は、一時的に広くなり、場合によっては最大振幅がいくらか低くなる。横方向の力は、厳密に同じでなくてもよい。すなわち、外乱の抑制は、x幾何形状と比較すると幾分効果が薄い。しかし、歪みセンサを同じ高さのレベルに配置することができるので、v型幾何学形状は製造がより容易で安価である。
【0019】
センサプレートは、少なくとも1つのセンサファイバが取り付けられる少なくとも1つの溝を備えてもよい。1つまたは2つの溝を設けることにより、ファイバをセンサプレート上に容易に位置決めおよび固定することができる。さらに、ファイバの進路は、溝によって決定され得る。少なくとも1つの溝を異なる深さに設けることにより、ファイバを互いに交差しながら距離を置いて配置することができる。このように、光ファイバセンサユニットの特別な実施形態では、溝は、異なる方向から異なるレベル(すなわち、溝は異なる深さを有する)でセンサプレート内に間隙をもたらし、これにより、ファイバセグメントが異なるレベルで互いに交差でき、それにより、互いに接触することなく互いに交差することが可能になる。
【0020】
好ましくは、深さが異なる2つの溝が設けられる。あるいは、一方のセンサ用の溝は、他方のセンサ用の溝を底面に有するセンサプレートの上面にあってもよく、これによってそれらは接触しない。底部センサ用のファイバは、プレートの上部からプレートの穴を通って底面に導くことができる。ファイバは、機械的増幅器に取り付けられ、レールから歪みセンサに変形を伝達することができる。センサプレートの一部である/センサプレートに一体化された機械的増幅器である。
【0021】
少なくとも1つの溝はエッチングされてもよい。好ましくは、溝は、エッチングプロセスを用いて生成され、ここでは、異なる溝に対して異なるエッチング深さが用いられる。ファイバをセンサプレートに取り付けるための接着プロセスを行うために、エッチングプロセスによって溝を完全に準備する。2つの異なるエッチング深さは、好ましくは二重エッチングによって達成されるが、2つの溝に対して異なる露光時間で1回だけエッチングを行うことも可能である。
【0022】
好ましくは、第1の溝および第2の溝は同じセンサプレートの一部であり、2つの溝はセンサプレートの異なる高さレベルにある。これは、ファイバを互いに交差させながら距離をとって配置することができるため、x型幾何学形状を用いる場合に特に有利である。v型幾何学形状の場合、センサは同じ深さレベルに配置することができる。この場合、異なる溝の深さは要求されない。
【0023】
特別な実施形態では、センサファイバが、第1のファイバブラッググレーティングおよび第2のファイバブラッググレーティングの両方を含む。すなわち、FBGの両方が、同じセンサファイバに付けられている。光ファイバセンサユニットに必要なセンサファイバは1つだけであり、これにより、本発明の光ファイバセンサユニットのこの実施形態は、費用効率が高く、製造が容易になる。温度が変化する場合に両方のFBGの動作範囲、したがって反射される波長が同じようにシフトされるため、この実施形態によって温度補償が容易になる。温度補償のための機械的補償手段は必要とされない。ただ1つのみセンサファイバを有する実施形態は、ブラッグ波長が異なるFBGを必要とする。
【0024】
代替的な実施形態では、光ファイバセンサユニットが2つのセンサファイバを備え、各ファイバブラッググレーティングが別個のセンサファイバの一部である。それぞれが1つのFBGを有する異なるセンサファイバを使用することにより、同じブラッグ波長のFBGを使用することができる。
【0025】
好ましくは、両方のファイバが同じセンサプレートに取り付けられる。この場合、FBGの相対的な配置が固定されるため、ファイバセンサユニットを容易に取り付けることができる。
【0026】
センサプレートは、光ファイバセンサをレールに取り付けるためのベースプレートに取り付けることができ、ベースプレートは連続した底面を有する。センサプレートは、FBGが位置する領域に間隙を有するため、センサプレート自体を連続した領域に接着することはできない。追加のベースプレートを設けることにより、広く連続的な接着領域を設けることができる。
【0027】
軽い車輪負荷の検出を可能にするために、センサプレートは、レールからの長さの変化をファイバブラッググレーティングに伝達して乗算する機械的増幅器を含むことが好ましい。対応する増幅器は、特許文献1([01])に記載されている。特許文献1([01])とは対照的に、本発明のx型幾何学形状では温度補償が必要とされない。
【0028】
本発明はまた、レールの剪断応力を測定するための光学測定システムに関し、該システムは、長手方向延長部と該長手方向延長部に沿って延びる中立軸とを有するレールと、レールに作用する剪断歪みに応じて光信号を検出するための前述の光ファイバセンサユニットであって、ファイバブラッググレーティングが中立軸に対して斜めに配向されるように、レールに取り付けられている光ファイバセンサユニットと、光ファイバセンサユニットのセンサファイバに光を結合するように適合された光源と、光ファイバセンサユニットによって検出された信号を処理するための信号処理ユニットと、を含む。
【0029】
非常に好ましい実施形態では、光ファイバセンサユニットは、歪みセンサが中立軸に対して30°から60°の角度で、好ましくは中立軸に対して45°の角度で配向されるように、レールに取り付けられる。
【0030】
光源は、光を少なくとも1つのセンサファイバに結合する。光は、第1および第2のFBGに導かれ、各FBGは、ブラッグ波長にあり、半値全幅を有する反射ピークを有する反射スペクトルを有する。2つのファイバブラッググレーティングによって反射された光は、信号処理ユニット内で検出および処理され、その結果、レールの剪断応力信号が受信される。
【0031】
列車の車輪の通過によってファイバブラッググレーティングにおいて光信号が生じ、それが波長変化となる。2つのファイバブラッググレーティングがx型またはv型の配置であることに起因して、第1の事例におけるファイバブラッググレーティングの一方によって反射される波長は、車輪の接近中に減少し、同時に、他方のファイバブラッググレーティングの反射される波長は増加する。さらに、車輪がセンサを通過している間と、センサから離れて移動している間とにおいて、両方のファイバブラッググレーティングの反射波長は逆の挙動をする。それとは対照的に、レールの横方向の外乱、例えば、列車の車軸の正弦波運動によって引き起こされるか、または温度によって引き起こされるものは、両方のファイバブラッググレーティングの波長を同じ方向に変化させる。この効果によって、波長の変化が光強度の変化に変換された後に両方の検出信号(第1のファイバブラッググレーティングによって検出された信号および第2のファイバブラッググレーティングによって検出された信号)を減算することによって、後信号処理において干渉信号を排除するか、または少なくとも実質的に低減させることが可能になる。光学フィルタは、好ましくはこの変換を行う。
【0032】
好ましくは、光ファイバセンサユニットは、レールウェブにおいてレールに取り付けられる。
【0033】
特別な実施形態では、信号処理ユニットが、立ち下がりエッジおよび立ち上がりエッジを有するエッジフィルタを備え、第1のファイバブラッググレーティングが、立ち上がりエッジにおいてブラッグ波長を有し、第2のファイバブラッググレーティングが、エッジフィルタの立ち下がりエッジにおいてブラッグ波長を有する。これは、2つのファイバブラッググレーティングが異なるブラッグ波長を有する場合に特に有用である。ファイバブラッググレーティングの初期の波長(余分な負荷が加えられていないブラッグ波長)およびエッジフィルタは、ファイバブラッググレーティングの初期の波長がエッジフィルタの異なるエッジ上にあるように選択される。したがって、ファイバブラッググレーティングのブラッグ波長にエッジを有するエッジフィルタは、反射光の波長の変化を光強度の変化に変換する。これにより、2つのセンサからの信号をエッジフィルタ機構内で減算することが可能になり、望ましくない外乱が相殺され、レール内の剪断歪みの純粋な測定を行うことができる。
【0034】
非常に好ましい実施形態では、歪みセンサが、レールの中立軸を含む平面に対して対称に配置される。すなわち、センサは完全なx型幾何学形状を有する。x型歪みセンサの対称面は、レールの対称面に対して垂直である。これにより、確実に、両方の歪みセンサが同じレールセグメントに作用する力を受けることになり、これによって光信号からの外乱のフィルタリングが最適化される。
【0035】
x型幾何学形状が水平中立軸に対する対称性を有することにより、Xの上部から中心に向かって垂直に作用する力は信号を生成しない。これは、2つのFBGのそれぞれがまったく同じ位置にある場合(完全なx型幾何学形状)に当てはまる。
【0036】
また、歪みセンサが、レールの中立軸に垂直な平面に対して対称に配置されることが好ましい。中立軸に垂直な平面に対する幾何学的形状によって、確実に、2つの歪みセンサの、中立軸に対する角度の大きさが等しいものになる。
【0037】
本発明はまた、少なくとも1つの光源と少なくとも1つの計数ユニットとを備える車軸計数装置に関し、各計数ユニットは、レールに取り付けるように適合された上述の少なくとも1つの光ファイバセンサユニットと、信号処理ユニットとを備え、光源は、光ファイバセンサユニットのセンサファイバに光を結合するように適合されている。
【0038】
本発明はさらに、レール結合車両の車軸計数方法に関し、以下のステップ:少なくとも1つのセンサファイバを介して、レールに取り付けられた光ファイバセンサユニットの第1および第2の光ファイバ歪みセンサに光を結合するステップ;第1および第2の光ファイバ歪みセンサによって反射された光を検出するステップであって、結果として、それぞれの場合においてレールの剪断応力信号が受信され、各光ファイバ歪みセンサは、ブラッグ波長にあり半値全幅を有する反射ピークを有する反射スペクトルを有する、ステップ;受信した2つの剪断応力信号から剪断応力の差信号を生成するステップ;剪断応力の差信号が所定の上限値を超えるか、または所定の下限値を下回る場合、信号処理ユニット内で車輪信号を生成するステップを含む。本発明によれば、光ファイバ歪みセンサは、x型またはv型の幾何学形状に配置され、第1の歪みセンサおよび第2の歪みセンサは、互いに60°から120°、特に90°の角度で配置され、第1の光ファイバ歪みセンサおよび第2の光ファイバ歪みセンサの反射ピークの半値全幅は、互いに最大200%ずれている。
【0039】
特許文献1([1])から公知の方法では、第1の反射ピークの半値全幅は、第2の反射ピークの半値全幅の何倍も大きい。レールに負荷がかかると、時間の遅延が伴うが、2つのFBGの波長は同じ方向に移動し、そのため、2つのFBG信号は一時的に重なり合い、これは異なる半値全幅がもたらされることによってサポートされる。さらに、第1の反射ピークが現在の特許で提案されている幅の約4倍である場合、受光パワーは、車輪が横切ることによって(by a wheel crossing)最大1/5減少する。例えば横方向の力によって引き起こされる干渉信号は、両方のFBG信号に影響を及ぼし、加算される。したがって、信号対雑音比は非常に悪くなる。下流の評価は、方向の認識を可能にするが、干渉に影響されやすくもある。第1の反射ピークの広いパルスも波長の外乱によってシフトされるため、これは狭いパルスの約4倍の幅であるが、外乱は4倍にもなってそれに作用する!
特許文献1([1])から公知の方法とは対照的に、本発明の方法では、反射ピークが同等の半値全幅を有するFBGを使用する。本発明のX配置は、2つのFBGの波長を反対方向にシフトさせる。動作点間の距離は、車輪がそれらの上を通過するときにそれらが互いに「追い越す」ように選択することができる。同じ半値全幅の2つの歪みセンサを設けることにより、車輪が2回横切る理想的な場合において、受光される光の強度が半減される。反射ピークの半値全幅は、好ましくは、車輪の負荷が所定の範囲になるように選択される。2つのファイバ歪みセンサのブラッグ波長の差は、所定の最小感度が得られるように選択されるのが好ましい。
【0040】
各車輪は、列車の方向に応じて、正のパルスの後に負のパルスを、または代替的に負のパルスの後に正のパルスを生成する。波長変化の光強度への変換は、OEC(光チップ)内で行われ、これにより、必要とされる光信号処理が最小限(1つのフォトダイオード)に制限され、電気的評価が簡単になる。
【0041】
本発明の方法の好ましい変形例では、センサファイバが、第1および第2の光ファイバ歪みセンサの両方を備え、第1および第2の光ファイバ歪みセンサは、一列に配置され、異なるブラッグ波長を有する。剪断応力の差信号は、無負荷状態から負荷状態へ移行する間において、2つの光ファイバ歪みセンサの反射ピークのスペクトルの重複によって光学的に生成される。
【0042】
特別な変形形態では、方法ステップa)からd)は、線路の別のレールに取り付けられたさらなる光ファイバセンサユニットを用いて実行され、ここで、2つの光ファイバセンサユニットはレール方向に互いに離間している。この信号には、方向情報は含まれていない。方向情報を受信するために、線路の長手方向における第1の光ファイバセンサユニットまでの距離においてさらなる光ファイバセンサユニットが必要とされる。理想的には、これは、わずかにずらして他方のレールに取り付けられるべきである。これによって、線路の一方の側の車軸の車輪が、例えば平坦なスポットを介して、必要な力をレールに伝達しない場合に、車軸の検出率を増加させることができるためである。
【0043】
本発明のさらなる利点は、説明および図面から導き出すことができる。上記の特徴および以下に記載される特徴は、それら自体を個別に使用してもよいし、またはそれらを任意の組み合わせで使用してもよい。図示および説明された実施形態は、網羅的に列挙されたものとして理解されるべきではなく、むしろ本発明の説明のための例示的な性格を有するものとして理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1a】2つのセンサファイバを有する本発明の光ファイバセンサユニットの第1の実施形態の上面図を示し、各センサファイバはファイバブラッググレーティング(x型幾何学形状)を含む。
図1b図1aの領域Bの拡大図を示す。
図1c】本発明の光ファイバセンサユニットの第1の実施形態の長手方向に沿った断面図を示す。
図1d図1aの領域Aの拡大図を示す。
図1e】本発明の光ファイバセンサユニットの第1の実施形態の斜視図を示す。
図2a】1つのセンサファイバを有する本発明の光ファイバセンサユニットの第2の実施形態の上面図を示し、該センサファイバは、ブラッグ波長が異なる2つのファイバブラッググレーティング(x型幾何学形状)を含む。
図2b図2aの領域Bの拡大図を示す。
図2c】本発明の光ファイバセンサユニットの第2の実施形態の長手方向に沿った断面図を示す。
図2d図2aの領域Aの拡大図を示す。
図2e】本発明の光ファイバセンサユニットの第2の実施形態の斜視図を示す。
図3a】v型幾何学形状を有する、本発明の光ファイバセンサの第3の実施形態を示す。
図3b図3aの領域Aの拡大図を示す。
図4】レールに取り付けられた本発明の光ファイバセンサユニットの第1の実施形態の斜視図を示す。
図5】レールに取り付けられた本発明の光ファイバセンサユニットの第2の実施形態の斜視図を示す。
図6】本発明の車軸計数方法を実行するための本発明の光ファイバセンサユニットの第2の実施形態を用いた本発明による車軸計数装置を示し、通過する車輪の様々な位置が示されている。
図7図6に示す車軸計数装置のファイバブラッググレーティングによって反射された光の強度を波長に応じて示す図であり、各図は、図6に示す異なる車輪の位置における強度を表す。
図8図6に示す車軸計数装置のフォトダイオードが検出された信号を、車輪が図6に示す各位置を通過している間の時間に応じて示す図を示す。
図9】本発明による光ファイバセンサユニットに対する通過軸の位置に応じた波長シフトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1aから図1dは、本発明の光ファイバセンサユニット1aの第1の実施形態の各種図を示す。第1の実施形態による本発明の光ファイバセンサユニット1aは、第1のセンサファイバ2および第2のセンサファイバ3を備え、第1のセンサファイバ2は、第1のファイバブラッググレーティング(fiber Bragg grating)(FBG)4および第2のFBG5を備える。センサファイバ2、3は、センサプレート6に取り付けられている。センサプレート6は、センサファイバ2、3が通る溝7、8を有する。センサプレートは、間隙9を有する。センサファイバ2、3は、FBG4、5が交差領域Bで互いに交差するように間隙9に掛け渡される。交差領域Bは、図1bにより詳細に示されている。図1cに示す断面図および図1dに示す断面Aの詳細図は、2つのセンサファイバ2、3は、互いに接触することなく互いに交差するために、異なる高さレベルで通っていることを示している。本発明の光ファイバセンサユニットの第1の実施形態の斜視図を図1eに示す。
【0046】
本発明のファイバセンサユニット1bの第2の実施形態を図2aから図2dに示す。第2の実施形態による本発明の光ファイバセンサユニット1bは、センサファイバ10を1つだけ備え、センサファイバ10は、第1のFBG4および第2のFBG5を備える。この実施形態では、これらFBGは異なるブラッグ波長λ1、λ2を有する。センサファイバ10は、センサプレート6に取り付けられている。センサファイバ10は、センサプレート6の溝11を通っている。センサプレート6は、第1の実施形態と同様に、間隙9を有している。センサファイバ10は、FBG4、5が交差領域Bで互いに交差するように、異なる方向から2回、間隙9に掛け渡される。図2cに示す断面図および図2dの断面の詳細図は、センサファイバ10は、互いに接触することなく交差領域で互いに交差するために、センサプレート6の異なる位置で異なる高さのレベルで通っていることを示している。本発明の光ファイバセンサユニットの第2の実施形態の斜視図を図2eに示す。
【0047】
両実施形態はいずれも、FBGが互いに90°の角度で配置されたクロスタイプ形状のFBGを示している。
【0048】
本発明の光ファイバセンサユニット1cの第3の実施形態が図3に示されている。第3の実施形態では、FBGはV字状に配置されている。図3は、FBGである4、5の両方が、同じセンサファイバ10に付いている実施形態を示す。けれども、FBG4、5は、異なるセンサファイバ2、3(図示せず)に付けることもできる。センサファイバ2、3は、センサプレート6に取り付けられている。センサプレート6は、センサファイバ10が通る溝11を有する。センサプレートは、間隙9a、9bを有する。センサファイバ10は、交差領域AのVからFBG4、5が広がるように、間隙9a、9bに掛け渡されている。交差領域Aは、図3bにおいて、より詳細に示されている。センサファイバ10は1つの高さレベルで通っており、それによって光ファイバセンサユニットの構成を簡単にすることができる。
【0049】
図4および図5は、レール15のレールウェブ14に取り付けられた本発明の光ファイバセンサユニット1a、1bの第1の実施形態および第2の実施形態の斜視図を示す。光ファイバセンサユニットは、FBG4、5がレール15の中立軸16に対して対称に且つ中立軸16に直交する平面に対して対称に配置されるように、レールに取り付けられる。
【0050】
本発明の光ファイバセンサユニット1a、1b、1cは、車軸計数に使用することができる。例として、図6は、本発明の光ファイバセンサユニット1bの第1の実施形態を用いた、本発明による車軸計数装置17を示す。車軸計数装置17は、光源18と、計数ユニット19とを備え、計数ユニット19は、光ファイバセンサユニット1b、光ファイバセンサユニットから来る光を処理するための信号処理ユニット20を備える。光は、光源18から光ファイバセンサユニット1bのセンサファイバ10に結合される。光源18は、信号処理ユニット20に内蔵され得る。FBG4、5で反射された光は、信号処理ユニット20のフォトダイオード21で検出される。通過する車輪22の位置a、b、c、d、e、f、gに応じて、異なる波長の光がFBGから反射される。図7は、2つのFBG4、5によって反射された光の反射ピークP1、P2を特定することができる図を示し、各図は、図6に示す位置a、b、c、d、e、f、gのうちの1つを表す。
【0051】
位置aでは、車輪22はFBG4、5に影響を与えない。FBG4、5は、それぞれの静止ブラッグ波長(rest Bragg wavelength)λ1、λ2で光を反射し、反射ピークP1、P2は、静止ブラッグ波長λ1、λ2で特定することができる。本発明のFBGのX配置により、反射光の波長は、センサに負荷がかかるとすぐに反対方向にシフトされる。位置bでは、FBGの両方が同じ波長の光を反射し、反射ピークが重なり合う。動作点間の距離(=負荷のない状態でのブラッグ波長)は、車輪が光ファイバセンサユニット上を通過するときに反射ピークP1、P2が互いを「追い越す」(位置cについての図に示すように、反射ピークP1の位置が左から右に変化する一方で、反射ピークP2の位置が右から左に変化する)ように選択され得る。車輪が反射ピークP1、P2を通過すると、再び互いに移動し(位置d)、それらの静止ブラッグ波長(位置e)に戻り、反射ピークP1の場合はより低い波長側に、反射ピークP2の場合はより高い波長側に(位置f)通過する。車輪がFBGに影響しなくなる、反射ピークはそれらの静止ブラッグ波長(位置g)に戻る。
【0052】
車輪22が位置aからgを通過している間の時間に応じて車軸計数装置17のフォトダイオード21によって検出された信号を図8に示す。同じ半値幅を有する2つのFBGが提案されており、検出された光の強度は、2度(すなわち、位置bおよびdにおいて)、半分低減される。すなわち、車輪が1度通過すると2つの信号パルスが生じる。なお、これらの2つのパルスは、いずれの方向情報も含まないことに留意されたい。FBGの幅によって範囲が影響を受ける可能性があり、FBGの波長の距離によってセンサの感度が影響を受ける可能性がある。光チップを用いず、フォトダイオード21によって、信号パルスを直接評価することができる。したがって、光ファイバセンサユニット1b自体で波長変化の光強度への変換が行われ、これにより、光信号処理を最小限(1つのフォトダイオード21)に抑えることができ、電気的評価を簡単にすることができる。
【0053】
図9に示すように、通過する車輪に起因した2つのFBGによって生成される反射ピークは反対方向に移動するが、例えばレールの曲げおよび振動または温度に起因する干渉信号は、FBGの両方の場合で同じ方向に移動する。この理由は以下の通りである:車輪22は、車輪22が通過するときにレール15を圧縮して曲げるが、より重要なことには、それがレール15に局所的な剪断歪みを引き起こす。剪断歪みは、レールセグメントが直交方向に圧縮しながら一方向に伸張する結果である。通過する車輪によって引き起こされる曲げおよび振動(干渉信号を引き起こす外乱)は、レールの大部分(大きなセグメント)(large segment)に影響を及ぼし、その結果、先行のまたは後続の車輪が、測定される車輪の下のレールの歪みに影響を及ぼす(車輪の位置が光ファイバセンサユニットに対している場合は、ほぼ依存しない)。しかしながら、剪断歪みは、局所的であり、したがって光ファイバセンサユニットの上方の車輪からのみ生じるという点で異なる。
【0054】
本発明によれば、対の光ファイバ歪みセンサが、互いに直交させてレールに45°の角度で取り付けられる。図示の実施形態では、両方の光ファイバ歪みセンサは、レールの同じ長手方向位置に配置され、それによってX字形を形成する。したがって、それらは、まったく同じ垂直の歪みおよび水平の歪みを受けるが、量が等しい反対成分の剪断歪みを受ける。したがって、2つのFBGによって検出された信号間の差は、レール内の歪み(distorting strains)を含まない剪断歪みを直接測定することができる。対応する図を図面に示す。本発明によって、センサのサイズを小さくすることができ、複雑な後処理を必要とせずにレール内の所望の剪断歪みを直接測定することが可能になる。
【0055】
引用文献等一覧
[01]欧州特許第3069952号明細書
[02]独国特許第102014100653号明細書
[03]OMEGA:Positioning strain Gages to monitor bending,axial,shear,and torsional loads
https://www.omega.com/faq/pressure/pdf/positioning.pdf
【符号の説明】
【0056】
1a、1b、1c 光ファイバセンサユニット
2,3 1つFBGが付いたセンサファイバ
4,5 FBGs
6 センサプレート
7,8 センサプレートにおける、異なる高さレベルの溝
9 センサプレートの間隙
10 2つFBGが付いたセンサファイバ
11 センサプレートにおける、異なる高さレベルの溝
12,13 センサプレートにおける、同じ高さのレベルの溝
14 レールのレールウェブ
15 レール
16 レールの中立軸
17 車軸計数装置
18 光源
19 計数ユニット
20 信号処理ユニット
21 フォトダイオード
22 車輪
a-g 光ファイバセンサユニットに対する、レールに沿った車輪の位置
P1 第1のFBGで反射された光の光ピーク
P2 第2のFBGで反射された光の光ピーク
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-02-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール(15)に作用する機械的な力を検出するための光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)であって、
少なくとも第1のセンサファイバ(2、3;10)と、
第1の細長い光ファイバ歪みセンサ(4)および第2の細長い光ファイバ歪みセンサ(5)であって、前記第1のセンサファイバ(2;10)が前記第1の歪みセンサ(4)を備え、前記光ファイバ歪みセンサ(4、5)はファイバブラッググレーティングであり、両方のファイバブラッググレーティングが1つのセンサファイバ(10)に付けられるか、または前記ファイバブラッググレーティングのそれぞれが別個のセンサファイバ(2、3)に付けられる、ものと
を含み、
前記少なくとも1つのセンサファイバ(2、3;10)はセンサプレート(6)に取り付けられ、
前記第1のファイバ歪みセンサ(4)および前記第2の歪みセンサ(5)は、x型またはv型の幾何学形状に配置され、前記第1の歪みセンサ(4)および前記第2の歪みセンサ(5)は、互いに60°から120°、特に90°の角度で配置されており、
前記センサプレートは凹部(9、9a、9b)を有し、前記少なくとも1つのファイバは、前記歪みセンサが前記センサプレートに接触することなく前記凹部(9、9a、9b)内に自由に配置されるように、前記凹部(9、9a、9b)に掛け渡される
ことを特徴とする光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)。
【請求項2】
前記第1の歪みセンサ(4)および前記第2の歪みセンサ(5)は、x型幾何学形状に配置され、前記歪みセンサ(4、5)は、前記歪みセンサ(4、5)の前記長手方向延長部に垂直な方向に互いに距離を置いて配置されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b)。
【請求項3】
前記センサプレート(6)は、前記少なくとも1つのセンサファイバ(2、3;10)が取り付けられる少なくとも1つの溝(7、8;11)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溝(7、8;11)はエッチングされることを特徴とする請求項に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)。
【請求項5】
前記第1の溝(7、8)および前記第2の溝は同じセンサプレート(6)の一部であり、前記2つの溝(7、8)が前記センサプレート(6)の異なる高さレベルにあることを特徴とする請求項3又は4に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b)。
【請求項6】
前記センサファイバ(10)は、前記第1のファイバブラッググレーティング(4)および前記第2のファイバブラッググレーティング(5)の両方を備えることを特徴とする請求項2乃至のいずれか1項に記載の光ファイバセンサユニット(1b、1c)。
【請求項7】
前記光ファイバセンサユニットは2つのセンサファイバ(2、3)を備え、各ファイバブラッググレーティング(4、5)は別個のセンサファイバ(2、3)の一部であることを特徴とする請求項2乃至のいずれか1項に記載の光ファイバセンサユニット(1a)。
【請求項8】
前記センサプレート(6)は、前記光ファイバセンサを前記レール上に取り付けるためのベースプレート(6)に取り付けられ、前記ベースプレートは連続した底面を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光ファイバセンサユニット。
【請求項9】
前記センサプレート(6)は、前記レールからの長さの変化を前記ファイバブラッググレーティングに伝達して乗算する機械的増幅器を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光ファイバセンサユニット。
【請求項10】
レール(15)の剪断応力を測定するための光学測定システムであって、
長手方向延長部と前記長手方向延長部に沿って延びる中立軸(16)とを有する前記レール(15)と、
前記レール(15)に作用する前記剪断歪みに応じて光信号を検出するための請求項1乃至のうちの1項に記載の光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)であって、前記ファイバブラッググレーティングが前記中立軸(16)に対して斜めに配向されるように、前記レール(15)に取り付けられている前記光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)と、
前記光ファイバセンサユニットの前記センサファイバ(2、3;10)に光を結合するように適合された光源(18)と、
前記光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)によって検出された信号を処理するための信号処理ユニット(20)と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記信号処理ユニット(20)は、立ち下がりエッジおよび立ち上がりエッジを有するエッジフィルタを備え、前記第1のファイバブラッググレーティング(4)は、前記立ち上がりエッジにおいてブラッグ波長を有し、前記第2のファイバブラッググレーティング(5)は、前記エッジフィルタの前記立ち下がりエッジにおいてブラッグ波長を有することを特徴とする請求項10に記載の光学測定システム。
【請求項12】
前記歪みセンサ(4、5)は、前記レール(15)の前記中立軸(16)を含む平面に対して対称に配置されることを特徴とする請求項10又は11に記載の光学測定システム。
【請求項13】
前記歪みセンサ(4、5)は、前記レールの前記中立軸(16)に垂直な平面に対して対称に配置されることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の光学測定システム。
【請求項14】
少なくとも1つの光源(18)と少なくとも1つの計数ユニット(19)とを備える車軸計数装置であって、各計数ユニット(19)は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)であって、レール(15)に取り付けるように適合された前記少なくとも1つの光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)と、信号処理ユニット(20)とを備え、前記光源(18)は、前記光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)の前記センサファイバ(2、3、10)に光を結合するように適合されていることを特徴とする車軸計数装置。
【請求項15】
レール結合車両のための車軸計数方法であって、以下のステップ:
a)少なくとも1つのセンサファイバ(2、3;10)を介して、レール(15)に取り付けられた光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)のファイバブラッググレーティングである第1および第2の光ファイバ歪みセンサ(4、5)に光を結合するステップ、
b)前記第1および前記第2の光ファイバ歪みセンサ(4、5)によって反射された光を検出するステップであって、結果として、それぞれの場合において前記レール(15)の剪断応力信号が受信され、各光ファイバ歪みセンサ(4、5)は、ブラッグ波長λ1、λ2にあり半値全幅(FWHM)を有する反射ピーク(P1、P2)を有する反射スペクトルを有する、ステップ、
c)前記受信した2つの剪断応力信号から剪断応力の差信号を生成するステップ、
d)前記剪断応力の差信号が所定の上限値を超えるか、または所定の下限値を下回る場合、信号処理ユニット内で車輪信号を生成するステップ
を含み、
使用される前記光ファイバ歪みセンサ(4、5)は、x型またはv型の幾何学形状に配置され、前記第1の歪みセンサ(4)および前記第2の歪みセンサ(5)は、互いに60°から120°、特に90°の角度で配置され、両方のファイバブラッググレーティングが1つのセンサファイバ(10)に付けられるか、または前記ファイバブラッググレーティングのそれぞれが別個のセンサファイバ(2、3)に付けられ、前記センサプレートはが凹部(9、9a、9b)を有し、前記少なくとも1つのファイバは、前記歪みセンサが前記センサプレートに接触することなく前記凹部(9、9a、9b)内に自由に配置されるように、前記凹部(9、9a、9b)に掛け渡され、
前記第1の光ファイバ歪みセンサ(4)および前記第2の光ファイバ歪みセンサ(5)の前記反射ピーク(P1、P2)の前記半値全幅(FWHM)は、互いに最大200%ずれていることを特徴とする車軸計数方法。
【請求項16】
使用される前記センサファイバ(10)は、前記第1および前記第2の光ファイバ歪みセンサ(4、5)の両方を備え、前記第1および前記第2の光ファイバ歪みセンサ(4、5)は、一列に配置され、異なるブラッグ波長(λ1、λ2)を有し、
前記剪断応力の差信号は、無負荷状態から負荷状態への移行中に、前記2つの光ファイバ歪みセンサ(4、5)の前記反射ピーク(P1、P2)のスペクトル重複によって光学的に生成されることを特徴とする請求項15に記載の車軸計数方法。
【請求項17】
方法ステップa)からd)は、前記線路の別のレールに取り付けられたさらなる光ファイバセンサユニット(1a;1b;1c)を用いて実行され、前記2つの光ファイバセンサユニットは、前記レールの方向に互いに離間していることを特徴とする請求項15又は16に記載の車軸計数方法。
【国際調査報告】