(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-28
(54)【発明の名称】高活性モノリシックネットシェイプ化バイオ炭電極を生成する方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/05 20170101AFI20220421BHJP
H01G 11/44 20130101ALI20220421BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20220421BHJP
【FI】
C01B32/05
H01G11/44
H01G11/86
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560337
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(85)【翻訳文提出日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 US2020025708
(87)【国際公開番号】W WO2020205731
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521440437
【氏名又は名称】コントロラマティクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファベッタ,ディノ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ブーン,エリック ピー.
【テーマコード(参考)】
4G146
5E078
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB05
4G146AD23
4G146BA31
4G146BB11
4G146BC01
4G146BC03
4G146CB02
4G146CB19
4G146CB32
4G146DA02
5E078BA23
5E078BA24
5E078BB02
5E078BB03
5E078BB07
(57)【要約】
ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリーを含む電気エネルギー貯蔵デバイスで、又は電気生成デバイス、例えば燃料電池で、又はガス生成デバイス、例えば水素発生装置若しくは酸素発生装置で使用するための高活性、高多孔質、高電導性のネットシェイプ化モノリシック電極を製作する方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷収集体、セパレータ及び溶媒和された又は固体電解質に接続又は接合されたネットシェイプ化モノリシックバイオ炭電極を組み合わせることを含む、ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー又は燃料電池を生成する方法。
【請求項2】
ネットシェイプ化モノリシックバイオ炭電極が、プリネットシェイプ化バイオマスウェハから高温炭化後に得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プリネットシェイプ化バイオマスウェハが、1種以上の機械的に変換された、予備活性化剤が含浸された前処理されたバイオマス材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
バイオマス材料が、製粉、ハンマー製粉、ジェット製粉、粉砕、切断又は代替的な製粉/粉砕操作によって最長寸法が20ミクロン~2ミリメートルのサイズ範囲に機械的に変換されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
予備活性化剤添加剤が、酸、塩基塩、中性塩又は有機溶媒である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
液体酸が、ギ酸、過ギ酸、酢酸、過酢酸、ホウ酸若しくは硝酸又はこれらの任意のブレンド、又は過酸化水素からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
塩基塩が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び他の金属塩又はこれらの任意のブレンドからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
溶媒が水又はメタノール、エタノール、トルエン、ジメチルホルムアミド若しくはヘキサン若しくはこれらの任意のブレンドからなる群から選択される有機溶媒である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
予備活性化剤の装填量がバイオマスの質量に対して5~91wt%である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
バイオマスウェハが、プレスシステムで以下の条件:
a.80℃~250℃の範囲の温度、及び
b.1000psi~60,000psiの範囲の圧力
に従う高温及び圧力でプリネットシェイプ化される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
焼成されたプリネットシェイプ化バイオマスウェハがプレス板モールド装置に粘着することを回避するために、プレス板システムをコーティングするように使用される離型化合物をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
離型化合物がバイオマスと適合性がある有機化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
離型化合物が、オリーブ油、キャノーラ油、コーン油、一般的な植物油、堅果油、種子油又は任意の植物の脂肪又は任意の動物の脂肪からなる群から選択され、離型化合物が、湿潤及び拡散又は散布塗布によって塗布される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
加熱プレス時間中のネットシェイプ化焼成時間が1~180分の範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
プリネットシェイプ化バイオマスウェハを最終的なネットシェイプ化モノリシックバイオ炭電極に変換するために、パージされた高温炉内で高温炭化が行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
炭化温度が、700℃~1100℃の範囲であり、炭化炉に適用される加熱力に応じて5~20℃/分の間のランプレートで達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
セラミック又は金属製の平坦な(又は所定の曲面若しくは形状の)保持器を使用して、プリネットシェイプ化バイオマスウェハを炭化中に保持及びプレスすることにより、炭化するプリネットシェイプ化バイオマスウェハを炭化の間に維持する又は最終的なネットシェイプを染み込ませる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
バイオマスウェハの1つ又は両方の面上の保持器と炭化するバイオマスウェハとの界面の間にスクリーンメッシュを挿入し、炭化炉内で脱ガスを可能にし、得られる電極の炭化された細孔内又は炭化された得られる電極の表面上でのタール、糖、多糖、オリゴマー又は他の有機残留物のあらゆる蓄積を防止する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
スクリーンメッシュ層により、活性化ガス添加物の投入物が炭化するウェハ又は炭化後モノリシック電極の表面全体に浸透することが可能になり、それによりそのような活性化ガスが電極の細孔及びチャネルにさらに入り込み、炭化炉内でバイオ炭ウェハモノリシック電極をさらに活性化する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
スクリーンメッシュが、インコネルスクリーンメッシュ、波形若しくは有孔インコネル板若しくは膜、ステンレス鋼スクリーンメッシュ、波形若しくは有孔ステンレス鋼板若しくは膜、チタンスクリーンメッシュ、波形若しくは有孔チタン板若しくは膜、他の高温耐性貴金属若しくは半貴金属又はそれらの合金、或いはセラミック材料又はセラミック開繊維織布若しくは不織布、又は多孔質芯からなる群から選択される高温耐性材料から作製される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
不活性パージガスが、高い標的炭化温度の炭化炉内で0.01~0.2ft
3/時間/バイオマスグラムの流量で導入される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
活性化ガスが炭化中又は炭化後に炭化炉中に導入されるか、又は別個の炉中に存在し、バイオ炭電極をさらに活性化する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
活性化ガスが過熱蒸気又は二酸化炭素であり、0.001~0.1ft
3/時間/バイオマスグラムの空間流量で炭化炉中に導入される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
炉から抜き出されたネットシェイプ炭化電極を液体溶媒中で超音波処理し、遊離粒子を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
液体溶媒が、蒸留水、脱イオン水若しくは電解質水溶液、又は任意の可溶性若しくはすすぎ可能な洗剤、クリーニング剤、有機溶媒若しくはクレンザーである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
電解質の濃度が、電極が活性化バイオ炭電極の多孔性及び内部表面積に基づいて電荷を保持することを可能とするのに十分であり、最大で電解質の飽和である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
超音波処理された電極が、水性又は非水性電気的用途又は吸収剤用途で使用するために脱イオン水、又は蒸留水、又は電解質溶液又は揮発性有機溶媒ですすがれ、乾燥される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
電気的用途がスーパーキャパシタ電極、シュードキャパシタ、バッテリー及び燃料電池を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
各超音波処理された電極が、少なくとも1種の有機溶媒又はイオン性液体中で少なくとも1種の非水性イオン性塩化合物と対にされる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
湿潤され、超音波処理された電極が、非水性電気的用途、例えばスーパーキャパシタ電極、シュードキャパシタ、バッテリー又は燃料電池で使用するためにすすがれ、乾燥され、それぞれが非水性イオン性液体と対にされる、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
湿潤され、超音波処理された電極が、スーパーキャパシタ電極、シュードキャパシタ及びバッテリーを含む液体ベースでない電気的用途で使用するためにすすがれ、乾燥され、電解質が、溶媒和された固体電解質輸送溶液中に沈められている間に浸漬又は真空含浸及び再加圧によって電極のチャネル及び細孔に挿入され、その後乾燥され、固体電解質装填量の所望の電極チャネル及び細孔容量利用率まで繰り返される溶媒和された固体電解質である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
含浸された電解質又は電解質前駆体が、イオン性荷電ラジカルがその上に結合されたポリマー又は伝導性ポリマーである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ポリマーが、その中に追加的に添加されたイオン性液体に対する溶媒又はコポリマーとして作用することができ、ポリマー-イオン性液体ブレンドの化学的及び物理的な相変化を生じさせ、電解質を固体状の自己組織化状態、並びに向上した電気伝導率及び電荷貯蔵のための構造組織に変換する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
バイオマス源が、ここで開示される植物種に加えて植物学的植物の選択のいずれかを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
バイオマス源が、粗い粉砕、中間粉砕及び微細粉砕を含んでもよいバイオマス粉砕サイズのブレンドを含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
最長寸法で測定されるバイオマス粒子の粉砕サイズが、1~2mm、1mm~500μm、500μm~200μm、200μm~120μm、120μm~80μm、80μm~25μm、及び25μm~20μmの粉砕サイズからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
電極が、ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー、燃料電池を形成するアセンブリ又は他の吸着剤用途で使用される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
モノリシック電極ネットシェイプを改変するための任意選択の後処理操作をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー又は燃料電池のアセンブリが、高導電性の炭素糊を使用してモノリシックバイオ炭電極を金属電荷集電体箔又は板に固定することを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー又は燃料電池のアセンブリが、高導電性のメタリックエポキシを使用してモノリシックバイオ炭電極を金属電荷集電体箔又は板に固定することを含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
1対又は並列の対の高多孔質且つ高導電性の炭素質モノリシックバイオ炭電極を準備すること、及び
1対又は並列の対の高多孔質且つ高導電性の炭素質モノリシックバイオ炭電極を操作し、水素ガス及び酸素ガスを生成すること
を含む、水素ガス及び酸素ガスを生成する方法。
【請求項42】
モノリシックバイオ炭電極のそれぞれが、締結具によって導電性ワイヤ、タブ又はリードに別個に接続される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
導電体に接続されたモノリシックバイオ炭電極が、モノリシックバイオ炭電極のみが沈められ、金属導電体も締結具も沈められないように水性電解質中に部分的に沈められる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
電解質溶液が、電流を伝導するのに十分な塩、酸又は塩基の水溶液である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
電圧電位がモノリシックバイオ炭電極対の伝導体にわたって印加され、それにより沈められたモノリシックバイオ炭電極自体に印加される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
電圧電位が、電源の一端及び沈められたモノリシックバイオ炭電極の1つのリード線に接合された伝導体に接続された電源によって供給され、少なくとも1つの沈められたモノリシックバイオ炭電極が電源の陽極端子に接続され、少なくとも1つの沈められたモノリシックバイオ炭電極が電源の陰極端子に接続される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
電源が、少なくとも1.7ボルト且つ最大5.5ボルトの電圧電位を提供する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
電流が、電源によって提供された印加電圧電位により、電源に接続された伝導体から沈められ、且つ接続されたモノリシックバイオ炭電極に流れる、請求項45又は請求項46に記載の方法。
【請求項49】
電極を通って、且つ液体電解質を通って流れる電流が、電解質中で水の電解を生じる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
水の電解により、高多孔質のモノリシックバイオ炭電極の多くの細孔の表面及びその中から水素ガス及び酸素ガスが発生する、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月29日に出願され、出願番号第62/826,005号が付与された「Process for Producing a Highly Activated, Monolithic Net-Shaped Biomass Electrode for Use in an Ultracapacitor, Pseudo-Capacitor, Battery or Fuel-Cell」と題する仮出願の優先権の利益を主張する。前述の仮出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、蓄電デバイス、電気生成デバイス、並びに水素ガス及び酸素ガス生成のための電極を製作する方法であって、有益な配合されたバイオマスブレンドを調合すること、バイオマスに予備活性化剤及び/又は先駆体を含浸させること、含浸されたバイオマスブレンドを鋳造又は成型してプリネットシェイプ化(プリネット成形化)されたモノリシックなバイオマスウェハ又はペレット(以下簡潔に「ウェハ」と称する)を形成すること、並びにウェハを炉で炭化し、階層的細孔及びチャネルを有するネットシェイプ化された導電性のモノリシックな炭素質バイオ炭(バイオチャー)電極を生成することを含む方法に関する。本開示はさらに、ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー及び燃料電池、並びに電解(電気分解)に基づくガス発生装置における、開示される方法に従って製作されたモノリシック電極の使用に関する。「未炭化」バイオマスの前駆体ウェハへの加工及びプリネットシェイプ化は、バインダーを利用しない。プリネットシェイプ化モノリシックウェハは、その後高温で炭化され、そこでサイズが縮小し、階層的チャネル及び細孔を含有するモノリシックなネットシェイプ化された高表面積の活性バイオ炭炭素電極を生成する。バイオマス由来の炭素質モノリシック電極の製作は、バインダーを使用しない。これらのネットシェイプ化バイオ炭モノリシック電極は、ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー又は燃料電池へのそれらの最終的なアセンブリ前にさらに成形及び活性化されてもよく、又は水素を生成する及び/若しくは酸素を生成するための電解に基づくガス発生装置において電極として使用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
世界的なエネルギー消費及び需要の増加に伴い、再生可能、持続可能且つクリーンなエネルギー源、並びに新規の多用途でスケーラブルなエネルギー貯蔵システムに対する需要が高まっている。特に蓄電に関して、高エネルギー密度のそれらの蓄電能力のためにバッテリーに焦点が置かれていた。しかし、ウルトラキャパシタ及びシュードキャパシタが、それらの高電力密度、低コスト、優れた充放電能力、長いサイクル寿命及び環境上の利点のために有望な電気化学的エネルギー貯蔵デバイスであることが示されている。燃料電池は蓄電を行わず、水素及び炭化水素燃料に見出される化学的に貯蔵されるエネルギーを電極上及び電極内で直接電気に変換するエネルギー効率的な方法を提供する。発電のための燃料電池の使用は、従来の発電所に典型的なように、発電のための後続のタービン動力用の蒸気を発生する燃焼燃料の使用とは対照的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、日常生活においてバッテリーが多くの用途で幅広く使用されている。しかし、バッテリーには持続可能なエネルギー貯蔵デバイスとしてのその広範な利用可能性を制約する多くの制限が存在する。例えば、セルラーデバイス又は自動車におけるバッテリーの広範な使用は、それぞれ土壌から採取される必要がある大量のリチウム、ニッケル、マンガン及びコバルトを必要とし、それによってこれらの天然の金属埋蔵量を枯渇させる。これらの材料は抽出後に再生可能でないため、それらの持続可能性が極めて制限される。これらの再生不能金属に対する需要が高まるにつれ、価格も上昇する。使用済みバッテリーからのこれらの特定のリチウムバッテリーに関連する材料の再利用である程度の成功が達成されたが、コスト及び再精製が多くの課題を提示する。
【0005】
本明細書で開示されるように、ウルトラキャパシタ及びシュードキャパシタは、対応するバッテリーとは対照的に再生可能資源、例えばバイオマス材料(例えば木材、例えば草、例えば他の植物学的植物(botanical plant))から作製される電極を用いて製作可能であり、そのため一般的なアルカリ又はリチウムイオン電池よりコストが低く、環境に優しい。さらに、ウルトラキャパシタ及びシュードキャパシタでは、バッテリー技術においてなされるように化学的にではなく静電的にエネルギーが貯蔵されるという事実に起因し、ウルトラキャパシタは、バッテリーに比べてはるかに速いレート(速度)で充放電する能力を有し、且つ最小限の劣化を伴うより長い寿命サイクルを有する。高速の充放電及びより高い寿命サイクル数により、ウルトラキャパシタはより良好に作用し、より長期間持続し、そのような能力を要求する他の用途で有用性を示すことが可能である。一般的なウルトラキャパシタの主な欠点は、バッテリーに比べエネルギー密度がはるかに低いことであり、典型的に、ウルトラキャパシタはリチウムイオン電池に対して20:1以下である。
【0006】
シュードキャパシタは、ウルトラキャパシタとバッテリーのハイブリダイゼーション(混成物)と簡潔に記載することができる。上述のように、ウルトラキャパシタは電気エネルギーを静電的に貯蔵する一方、バッテリーは電気エネルギーを化学的に貯蔵する。シュードキャパシタは、ウルトラキャパシタと同様の電極及びイオン輸送機構を使用できるが、移動する荷電イオンによって輸送される電気エネルギーが逆極性の電極に到達すると、このイオンは弱い化学結合又は酸化還元反応によってシュードキャパシタ電極表面の特定の部位に結合し、バッテリーの化学に基づく電荷貯蔵機構を幾分模倣する。これにより、シュードキャパシタは、標準的な設計のウルトラキャパシタで使用される単純な手法よりはるかに高いエネルギー貯蔵能力を有し、シュードキャパシタのエネルギー貯蔵密度は、対応するウルトラキャパシタより大きく増加してバッテリーのものに近くなる。欠点は、この手法は、シュードキャパシタの電力密度(シュードキャパシタが電気エネルギーを放電できるレート)を前述の高電力密度のウルトラキャパシタの性能のものよりはるかに低く低下させることである。結果として、シュードキャパシタは、よりバッテリーのように動作する。さらに、シュードキャパシタで使用される化学反応機構は、この電気エネルギー貯蔵を促進するために、金属、例えばマンガン、鉄又は他の金属及び合金を使用し、それにより再生不能な製作方法が必要であり、デバイスの寿命サイクルが低下する。
【0007】
燃料電池は、電極内、上及び中で化学反応を生じる燃料フィード(供給)材料、最も一般的には水素を変換して電気を出力する。最も一般的な燃料電池は、プロトン交換膜(PEM)燃料電池である。この種類の電池は、水素及び酸素(又は空気)を取り込み、膜及び伝導性電極上で内部で反応させて水及び電気を形成する。これらのPEM燃料電池を動作させ続けるのは複雑且つ困難である。本明細書に開示される方法は、PEM燃料電池、又は燃料電池に対する他の燃料型フィードで活用することができる、安定したバイオ炭ベースのモノリシック炭素電極の生成について記載する。
【0008】
上記で考察された電気エネルギー貯蔵とは別に、エンジン及び上述のPEM水素燃料電池のためのクリーンな燃料として使用される、高品位な水素ガスに対する必要性が存在する。本明細書で開示される方法は、PEM水素燃料電池に直接フィードできる水素ガス及び酸素ガスを直接生成するための水電解システムで使用できる、安定なバイオ炭ベースのモノリシック且つ高多孔質の電極の生成について記載する。代替的に、水の電解によって生成される得られる水素ガス及び酸素ガスは、排出の副生成物として水蒸気のみを伴うクリーンな電気の発生のために、PEM水素燃料電池で後に使用されるように貯蔵又は輸送されてもよい。さらに、水素ガス及び酸素ガスは、同様に排出の副生成物として水蒸気のみを伴う、クリーンな非CO2ベースの動力用のエンジンで燃焼されてもよい。
【0009】
本明細書の開示は、電極デバイスの広範に適用可能な性質のために、そのような電極が本明細書に開示される方法によって生成された場合、全ての種類のウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー及び燃料電池に全般的に適用可能である、又は水素を生成する及び/若しくは酸素を生成するための水電解に基づくガス発生装置における電極として使用される。簡潔にするために、開示される方法(複数可)によって生成される電極を組み込んだ最終製品の1つとして以下でウルトラキャパシタに言及するが、これはウルトラキャパシタの性能が、開示される発明によって最も顕著に向上されるためであり、各他の種類のデバイス(例えばシュードキャパシタ、バッテリー又は燃料電池)も、開示される方法(複数可)の製品(複数可)を使用する向上に好適な候補である。しかし、本明細書でさらに記載されるように(以下に示される例示的な実施例を含む)、言及される電気エネルギー貯蔵及び変換デバイスの全てが本発明の方法によって向上されるとして含まれ、例示され、特許請求される。
【0010】
ウルトラキャパシタ技術への関心の高まりは、主に電極材料の開発に集中しており、これは電極材料がウルトラキャパシタの性能の主な決定要因であるためである。多孔質炭素材料は、それらの高表面積及び優れた電気伝導率のために、ウルトラキャパシタの電極材料として幅広く使用されてきた。研究の多くは、費用対効果の高い生体材料を使用することによる、良好な電気伝導率を有する高多孔質の活性炭材料の開発に焦点を置いている。これらの研究グループ及び製造業者は、活性炭顆粒又は粉末又は細粉(ダスト)と接着剤バインダーとを合わせ、その後混合物を集電板、典型的に薄箔、例えばアルミナ箔、ステンレス鋼箔、チタン箔などの上に広げることによって電極を製作する。多くの活性炭電極は、炭素源前駆体、例えばタールピッチ、例えばおがくず、例えば炭素ベースのポリマー粉末、例えば石炭、例えばコークス、例えば石油コークス、例えば黒鉛質材料、例えばバイオマスなどを炭化することによって作製される。これらの前駆体材料は、炉内で高温で炭化され、活性炭粉末又は細粉を形成する。典型的に、この炭化ステップ後に炭化後活性化が続き、強酸、脱塩のための強酸又は塩基及び細孔発生のための二酸化炭素ガス又は蒸気を使用して活性炭粉末又は細粉を形成する。典型的に、これらの活性化ステップの1つ以上の後に、活性炭粉末又は細粉を接着剤バインダー(活性炭材料と比較して66重量%まで)と混合し、スラリー又はペースト状物質を形成し、非常に薄い層(一般的に200μm未満の厚さ)としてのスラリー又は微粉末活性炭素質材料を集電箔上に積層する、コーティングする、ペーストする又は印刷する。活性炭素質材料を箔集電体上に結合させるために、追加の方法、例えば電気泳動が使用される。この炭素-箔界面は、伝導性、付着及び腐食の問題を抱えることは注目に値する。
【0011】
他者によって記述された方法が有効である可能性があるが、これらの他の方法は確実に欠点を有する。例えば、接着剤バインダーの添加は、活性炭材料のチャネル及び細孔を遮蔽する可能性があり、それによって活性炭の有効性を低減させ、完成した電極中の全炭素含有量を希釈させる場合がある。さらに、この製作方法は、活性炭材料の非常に薄い層の集電体上への印刷又はコーティングに限定され、最終製品の電気伝導率が低くなり、体積利用率が低くなり、最終デバイスの包装オーバーヘッドが高くなる。活性炭材料の薄層の付着も衰える、又は劣化する可能性がある。
【0012】
本明細書に記載される開示される発明は、そうでなければ他の方法によって活性炭粒子をまとめるのに必要な接着剤バインダーを使用することなく、階層的細孔及びチャネルを有し、高い内表面積及び高い体積容量を有する、厚い高多孔質の活性炭モノリシック電極である製品をもたらす有利なネットシェイプ化プロセス利用する。したがって、開示される方法は、生成されたモノリシック電極の全体的な有効性を増加させ、組み立てられた(アセンブルされた)最終製品の包装オーバーヘッドを最小化する。さらに、開示される方法は、後に結合及び希釈を必要とする細粉状の粉末活性炭の生成、並びに所望の電気及び物理的特性の低減を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、自己結合性のプリネットシェイプ化バイオマス材料から、ネットシェイプ化された高表面積のモノリシック活性炭電極を製作する方法を開示する。本明細書で加工されるバイオマス材料の自己結合特性のために、化学的バインダーは必要とされない。より詳細には、本開示は、ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー及び燃料電池の設計及び製作に利点をもたらす、又は水素を生成する及び/若しくは酸素を生成するための水電解に基づくガス発生装置における電極として使用される、はるかに低い包装オーバーヘッドを有し、それにより集電体(箔)のそれぞれに対してより多くの電極材料が許容される、厚いネットシェイプ化活性炭電極モノリスを製作する方法に関する。これにより、電極の質量及び最終製品全体における電極の体積比が顕著に増加する。
【0014】
より詳細には、本開示は、一連のステップ、例えばバイオマス材料を選択するステップ、及び任意選択でバイオマスを前処理するステップによってバイオマス由来の電極ウェハの特性を調合する、及び調整する方法を提供する。Favetta et al.の米国特許第9,478,324号及び第10,121,563号に開示されるように、例示的な前処理は、(i)バイオマスを洗浄し、浸水させ、化学処理し、脱塩し、乾燥すること、(ii)バイオマスを所望のサイズ、質感、破砕性及び吸収性まで粉砕すること、(iii)異なる植物源及び異なる粉砕サイズ/質感/破砕性/吸収性のバイオマスをブレンドし、階層的な成分の粒子サイズ及び多孔性を達成すること、(iv)バインダーではない適合性のある固体又は液体を添加し、バイオマスの軟化及び自己結合を促進すること、及び/又は(V)湿潤されたバイオマスミックスを、任意選択で加熱又は焼成しながらプレスすることによってプリネットシェイプ化し、バイオ炭電極の前駆体である自己結合したバイオマスウェハを形成することの1つ以上を含んでもよい。
【0015】
さらに、本開示は、プリネットシェイプ化バイオマスウェハを高温炉で炭化し、任意選択でバイオマス由来の自己結合した炭化電極をさらに活性化させ、ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー及び電気燃料電池で使用される、又は水素を生成する及び/若しくは酸素を生成するための水電解に基づくガス発生装置における電極として使用される、厚い高多孔質のネットシェイプ化活性バイオ炭電極モノリスウェハを生成する方法を提供する。
【0016】
開示される方法のさらなる特色、利益及び用途は、以下に続く詳細な説明から、特に添付の図面と併せて読むと明らかになる。
【0017】
開示される方法を実施する当業者を支援するために、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】炭素質モノリシックバイオ炭電極の粉砕、ブレンド、プリネットシェイプ化、加熱プレス、炭化及び抜き出しのための、本開示による例示的な加工レジメンのフローチャートの概略図である。
【
図2】本開示によるクリーンなモールドプレス板システムの調製のより詳細な描写を提示するフローチャートの概略図である。
【
図3】本開示によるプレス、加熱及び焼成されたモールドプレス板アセンブリの解体を示すより詳細な描写を提示するフローチャートの概略図である。
【
図3A】本開示による洗浄/クリーニングステップの描写を提示するフローチャートの概略図である。
【
図4】本開示による例示的なウルトラキャパシタの概略分解図である。
【
図5】本開示によるスタック(積層)状にアセンブルされた炭素質モノリシックバイオ炭電極の概略断面図である。
【
図6】直流12ボルトの1つのウルトラキャパシタデバイスからの蓄電をもたらす、開示される方法によって製作及びアセンブルされた実際の最終デバイス(機械的手段で半分に切り出された)の写真である。
【
図7】本開示による開示される脱ガス(off-gassing)スクリーンメッシュを使用せずに炭化されたバイオ炭ウェハの、40,480xの倍率の走査型電子顕微鏡(以下SEM)画像である。
【
図8】開示される脱ガススクリーンメッシュを使用して炭化され、本開示による蓄電のための優れた活性化効果をもたらす観察可能な細孔及びチャネルを示すバイオ炭ウェハのSEM画像(260,000x)である。
【
図9】CO
2を用いて、且つ開示される脱ガススクリーンメッシュを使用して高温でガス活性化されたバイオ炭ウェハの、それぞれ166,790xの倍率及び1,000xのFIB倍率、並びに167,080xの倍率及び264,000xのFIB倍率での2枚のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、例示的な実装形態を参照して本開示を記載する。当業者に明白なように、本開示は本明細書に開示される特定の実装形態に限定されず、本明細書に提示される開示に基づく修正、変形及び/又は改良が可能である。本開示は、本明細書に示される本開示に基づき、当業者に明らかなようにそのような修正、変形及び/又は改良を明示的に包含する。
【0020】
添付の図面の考察
上述のように、
図1は炭素質モノリシックバイオ炭電極の粉砕、ブレンド、プリネットシェイプ化、加熱プレス、炭化及び抜き出しのための、本開示による例示的な加工レジメンのフローチャート(100)の概略図であり、以下の要素を含む:
50 より大きな粒径粉砕のために選択されたバイオマス
55 より大きなサイズの粉砕用に構成されたバイオマスグラインダー。
104 粉砕されたバイオマスの大きな粒子
60 より小さな粒径粉砕のために選択されたバイオマス
65 より小さなサイズの粉砕用に構成されたバイオマスグラインダー。
105 粉砕されたバイオマスの小さな粒子
110 種々の選択された粒径及びブレンドの乾燥バイオマスブレンド
120 種々のサイズのバイオマス粒子をブレンドするための混合容器
112 予備活性化剤及び/又は先駆体を含有する容器
114 容器112中の予備活性化剤及び/又は先駆体
115 必要とされるバイオマスブレンド(110)並びに予備活性化物質及び先駆体(114)の120でのブレンド
130 モールドプレス板アセンブリ上の空洞に配置されたバイオマスブレンド/予備活性化物質/先駆体を追加的に描写する、クリーンなモールドプレス板アセンブリ
140 クリーンな加熱プレスシステム
141 140のクリーンな頂部加熱プレス板
142 140のクリーンな底部加熱プレス板
144 調製されたバイオマス/先駆体ミックス(115)を(13)内に閉じ込め、それによりプリネットシェイプ化バイオマスウェハ(150)を形成することを含む、モールドプレス板アセンブリ(130)に適用される(140)の加熱モールドプレスプロセス。そのようなモールドプレス焼成プロセスは、予備活性化物質/先駆体(114)の一部を板システム(130)上並びにプレス機の加熱板(141)及び(142)上にしみ出させる漏出を引き起こし、それにより板を汚す/汚染させ、それぞれ(146)及び(147)に変換する。モールドプレスシステム145によって印加される圧力をその後抜くことにより、焼成されたプリネットシェイプ化バイオマスウェハ(150)を含有する汚れた/汚染モールドプレス板(330)の抜き出しが可能になる
145 汚れた/汚染加熱モールドプレス板システム(140)
146 145の汚れた/汚染頂部加熱プレス板
147 145の汚れた/汚染底部加熱プレス板
149 汚れた/汚染モールドプレスオーブン機(145)をクリーニングし、クリーンで使用可能な状態の(140)に戻すために使用されるクリーニングプロセス
150 モールドプレス板システムから抜き出され、(130)から取り出されたプリネットシェイプ化バイオマスウェハであって、(130)はここで汚れた/汚染モールドプレス板システム(330)として描写されており、解体及び取り出しに関するさらなる詳細は、
図3(300)及び
図3A(350)に提示される。
160 高温炭化炉システム。
162 炉システムの取り出し可能底部トレイ
164 底部トレイと、その上のプリネットシェイプ化バイオマスウェハの間の底部スクリーンメッシュ。
166 頂部の重り
168 プリネットシェイプ化バイオマスウェハの上且つ頂部の重りの下の頂部スクリーンメッシュ
170 炭化されたモノリシック炭素質バイオ炭電極。
【0021】
図2は、本開示によるクリーンなモールドプレス板システムの調製のより詳細な描写を提示するフローチャート(200)の概略図であり、以下の要素を含む:
200 - クリーンなモールドプレス板システム(130)の調製、そのアセンブリ及び調製された生体材料(115)のそれへの添加を概説するフローチャートであり、前記モールドプレス板プレートシステムは、以下でさらに記載される他の構成要素の中でも部品(パーツ)231、232、233、235、236、237からなる。
321 - モールドプレスアセンブリの底部プレート
232 - 231に接合及び締結された場合に空洞を形成するための長穴又は円筒状穴を有する中央形成モールドプレス板。
233 - モールドプレスアセンブリの頂部プレス板
235 - 231及び232をアセンブルし、接合して一体に保持する締結具。
236 - バイオマスブレンド(115)をサブアセンブリ239の空洞内にプレスする円筒状スラグプレスインサート。
237 - この時点で、以下でさらに記載される非粘着性潤滑離型剤242で湿潤されている湿潤円筒スラグインサート(236)。
239 - サブアセンブリの空洞に添加され、その後(237)を使用して空洞にプレスされるバイオマスブレンドミックス(115)を含む231、232、235のサブアセンブリであって、そのようなサブアセンブリパーツが全て離型材料242で潤滑されているサブアセンブリ。
240 - 離型潤滑剤242を含有する容器。
242 - 加熱モールドプレス140でプレスされた場合に115の粘着を防止する、サブアセンブリ239の全てのパーツを湿潤するために使用される離型潤滑剤。
【0022】
図3は、本開示によるプレス、加熱及び焼成されたモールドプレス板アセンブリの解体を示すより詳細な描写を提示するフローチャートの概略図であり、以下の要素を含む:
300 後に(140)及び(145)中でプレス及び焼成され、且つその中にプリネットシェイプ化バイオマスウェハ(150)を含有するプレス、加熱及び焼成されたモールドプレス板アセンブリ(130)である330の解体を示すフローチャートであり、先述でクリーンなパーツ231、232、233、235、236、237と称され、ここではモールドプレス板システムの汚れた/汚染構成要素として、331、332、333、335、336、337と番号を振り直されたモールドプレス板システムのパーツ及び構成要素をさらに示す。
330 - モールドプレス板システムの空洞内にプリネットシェイプ化バイオマスウェハを含有する焼成されたモールドプレスアセンブリであって、さらにモールドプレス板アセンブリの表面が汚され汚染されたようなものである、焼成されたモールドプレスアセンブリ。
333 - 330アセンブリから取り出された汚れた頂部板。
331 - モールドプレス板システムの汚れた底部プレス板であり、汚れたプレススラグ(336)の下の得られたネットシェイプ化バイオマスウェハ(150)をさらに示す。
332 - モールドプレス板システムの汚れた中央板。
335 - モールドプレス板システムの取り出された汚れた締結具。
336 - 332の空洞から取り出され、その後プリネットシェイプ化バイオマスウェハ(150)から取り外された汚れたプレススラグ
339 - カバー(333)を取り外した、モールドプレス板システムのまだアセンブルされたサブアセンブリ。
350 - 331、332、333、335、336をクリーニングし、それによりパーツ231、232、233、235、236として
図2で描写されるステップ及び手順で機能するようにそれらを回復する洗浄ステップ。
【0023】
図3Aは、本開示による洗浄/クリーニングステップの描写を提示するフローチャート(355)の概略図であり、以下の要素を含む:
355 パーツ331、332、333、335、336を洗浄/クリーニングするステップを示し、それによりそれらをクリーンなモールドプレス板構成要素231、232、233、235、236に変換して戻すステップを示すフローチャート。
【0024】
図4は、本開示による例示的なウルトラキャパシタ(400)の概略分解図であり、以下の要素を含む:
400 - 410、(440)及び(460)を含有する本開示による例示的なウルトラキャパシタの概略分解図。
410 乾燥炭素質モノリシックバイオ炭電極(170)及び非伝導性多孔質セパレータ膜がコンテナ(412)からの電解質(414)で湿潤されるプロセス
412 電解質(414)を保持するコンテナ
414 最終製品蓄電デバイス(440)を製作するために、本明細書に開示される電極の実施形態のアセンブリで使用される電解質
175 乾燥非伝導性多孔質セパレータ膜
428 電解質(414)で湿潤され、次いで(430)に印加される極性と逆の所与の電圧極性用の例示される電極として使用される電極(170)
429 (428)及び(430)を(424)に張り付け、付着させるために使用される伝導性接着糊又はエポキシ
430 電解質(414)で湿潤され、次いで(428)に印加される極性と逆の所与の電圧極性用の例示される電極として使用される電極(170)
432 電解質(414)で湿潤された膜セパレータ(175)
440 最終実施形態の蓄電デバイスにおける各構成要素の詳細なアセンブリの順序を示す、本開示による例示的なウルトラキャパシタの概略分解図
422 - 蓄電デバイスをプレスし、一体に保持するための非導電性最終圧縮板。
424 - 導電性電荷収集体
426 - 非伝導性エラストマーの封止デバイス、例えばOリングが示される。
428 - 本明細書に開示される方法によって調製される、電解質(414)をその上及び中に含む頂部ネットシェイプ化モノリシックバイオ炭電極。
430 - 本明細書に開示される方法によって調製される、電解質(414)をその上及び中に含む底部ネットシェイプ化モノリシックバイオ炭電極。
432 - (408)と(410)との間に配置され、(406)によって封止される、(410)においてその上に電解質(414)が塗布される非伝導性の多孔質膜セパレータ
440 最終実施形態の蓄電デバイスにおける各構成要素の詳細なアセンブリの順序を示す、圧縮及びアセンブルされた本開示による例示的なウルトラキャパシタの側面概略図
【0025】
図5は、本開示によるスタック状にアセンブルされた炭素質モノリシックバイオ炭電極の概略断面図であり、以下の要素を含む:
500 スタック状にアセンブルされた炭素質モノリシックバイオ炭電極(428)及び(430)の実施形態のアセンブリの図であって、それによってそのような一組の電極(428)及び(430)それぞれの中に貯蔵された電圧電位のそれぞれが最終デバイスの実施形態内で相加的になることを可能とし、任意の所望の電圧を充電する、貯蔵する及び送達する完全に密閉された(wholly contained)最終デバイス、及び本明細書の開示によって生成され、電解質の電圧動作ウィンドウによって制限されない最終デバイスを生成するアセンブリの図を示す。
【0026】
図6は、直流12ボルトの1つのウルトラキャパシタデバイスからの蓄電を良好にもたらす、開示される方法によって製作され、(500)によってアセンブルされた実際の最終デバイス(機械的手段で半分に切り出された)の写真(600)である。
【0027】
図7は、本開示による、開示される脱ガススクリーンメッシュを使用せずに炭化されたバイオ炭ウェハの40,480xの倍率のSEM画像であり、以下の通りである:
710 開示される脱ガススクリーンメッシュ(164)及び(168)を使用せずに炭化されたバイオ炭ウェハの走査型電子顕微鏡を使用した画像である。注目すべきことに、(710)の画像は、細孔及びチャネルを遮蔽するタール及びカラメル状の糖の観察可能なコーティングを示す。SEM画像は、40,480xの検体の倍率のデータを提示する。
【0028】
図8は、開示される脱ガススクリーンメッシュを使用して炭化され、本開示による蓄電のための優れた活性化効果をもたらす観察可能な細孔及びチャネルを示すバイオ炭ウェハのSEM画像(260,000x)である。
800 開示される脱ガススクリーンメッシュ(164)及び(168)を使用して炭化されたバイオ炭ウェハのSEM画像810を示す。注目すべきことに、画像810は、蓄電のための優れた活性化効果をもたらす観察可能な細孔及びチャネルを示す。SEM画像は、260,000xの検体の倍率のデータを提示する。
【0029】
図9は、CO
2を用いて、且つ開示される脱ガススクリーンメッシュを使用して高温でガス活性化されたバイオ炭ウェハの、それぞれ166,790xの倍率及び1,000xのFIB倍率、並びに167,080xの倍率及び264,000xのFIB倍率での2枚のSEM画像(900)を示す。
910 CO
2を用いて、且つ開示される脱ガススクリーンメッシュを使用して高温でガス活性化されたバイオ炭ウェハの画像である。SEMデータは、910の検体の倍率が166,790xであり、FIB倍率が1,000xであることをさらに示す。注目すべきことに、910は、蓄電のための優れた活性化効果をもたらす観察可能な階層的細孔及びチャネルを示す。
920 蒸気によって、且つ開示される脱ガススクリーンメッシュを使用して高温でガス活性化されたバイオ炭ウェハの画像である。SEMデータは、910の検体の倍率が167,080xであり、FIB倍率が264,000xであることをさらに示す。注目すべきことに、920は、蓄電のための優れた活性化効果をもたらす観察可能な階層的細孔及びチャネルを示す。
【0030】
プリネットシェイプ化バイオマスウェハの材料特性の調合及び「微調整」:
・バイオマス選択及び前処理:
バイオマス原材料のバイオマス源の植物種の選択、農学の選択、採取方法及び時機、採取されたバイオマスの加工前洗浄、浸水、化学処理、脱塩及び乾燥は全て、開示される方法による優れた電極の生成における重要な要因である。本出願人は、Favetta et al.の2つの以前発行された米国特許、すなわち米国特許第9,478,324号及び第10,121,563号を参照により本明細書に組み込み、これらはとりわけバイオマスの選択及び前処理に関する教示を提供する。'324及び'563特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
・プリネットシェイプ化ウェハの製作を容易にするためのバイオマスの粉砕:
(上記で供給、洗浄/乾燥された)バイオマス材料の粉砕を行い、炭化されると電極中の階層的な多孔質構造を生じる前駆体として使用される一定の範囲の所望の粒径、質感、破砕性及び吸収性へと加工されるバイオマス粒子を生じる。開示される方法では、消費者グレードのコーヒーグラインダーだけでなく、18,000RPMまでの様々な速度、切断ロータ、並びにふるいの種類及びサイズを備えた洗練されたRetch ZM-200実験室用グラインダーの使用を含む方法の構造(cadre)を使用して、以下の実施例及び反例セクションに詳細に記載されるバイオマス粉砕物を生成しうる。しかし、機器、例えば消費者グレードのコーヒーグラインダー、産業用製粉機、チェーンソー、チッパーシュレッダー、ヘッジトリマー、ロールミル、ボールミル、ハンマーミルなどを含む任意の有効な製粉方法が用いられてもよい。したがって、本開示は、所望の粒径、質感、破砕性及び吸収性を実現するために用いられてもよい任意の切断又は細断デバイスの使用を企図する。この一連のデバイスは、所与の粉砕ステップ又は粒径の要件に対して代替可能であってもよく(いずれか1つで十分である)、又はそのようなデバイス、例えば特定の回転ハンマーミルのブレードサイズ、若しくはスクリーンメッシュサイズに関するサイズのプロファイル、特定の歯付ロータ及び切断スクリーン若しくは切断ふるいのサイズ、若しくは他の特定の組合せは、粒子の粉砕サイズ分布(粒度分布)及びブレンド、並びにしたがって達成されることが所望される最終電極特性に基づき、非常に詳細に必要とされる場合がある。
【0032】
バイオマス粒子の粉砕サイズ及び「膨らみ」は、中間体プリネットシェイプ化バイオマスウェハの自己結合、ウェハの加工機器からの離脱及びそれに対する非粘着性に影響を及ぼし、さらにそれらを制御する重要な要因であり、且つ最終製品である炭化された電極の特性にも重要である。さらに、これらの同じ開始特性は、得られる炭化電極の炭化後の追加的な活性化ステップとの適合性及び蓄電性能、燃料電池の変換性能、又は本方法によって生成される最終的なモノリシック電極製品の水電解によって駆動されるH2/O2ガス発生装置にとって重要である。
【0033】
上記で開示されるバイオマスの粉砕方法を本発明に従って利用し、「粗い」(すなわち、粒子のほとんどがおよそ1mm×5mmである)、「中間」(すなわち、粒子のほとんどがおよそ0.1mm×2mmである)及び/又は「微細」(すなわち、粒子の全てがあらゆる寸法において0.25mm未満である)と称されてもよいバイオマスの粉砕粒径を生成してもよい。任意選択で、より制御可能な科学的粉砕方法を利用して、特定の較正された切断スクリーン又はふるいデバイスによって生じる非常に狭い範囲の分布の粒径、例えば500μm、200μm、120μm、80μm、25μm、20μmなどを生成してもよい。
【0034】
20μm未満の粒径は、本開示の例示的な実装形態で生じず、これは80μmをはるかに下回るバイオマス粉砕粒径を含む場合、プリネットシェイプ化バイオマスウェハの自己結合特性の差が識別可能でなく、炭化及び活性化並びに最終電極デバイスの電気的性能も、80μm未満の粒径の変動の影響を受けなかったためである。これらの調合ブレンドの実際の結果は、以下の実施例及び反例セクションに記載される。
【0035】
・次いで、上記で開示された種々のバイオマスの粉砕物及び供給源をブレンドし、本開示によるプリネットシェイプ化バイオマスウェハを製作するためのミックスを調製する。次に、最終的な材料特性を調整し、階層的な多孔質構造及びバイオマスの自己結合性質を生じる重要な方法として、この種々の粉砕サイズ、並びに種々のバイオマス源及び材料のブレンドを行う。バイオマス粉砕ブレンドが調製されると、湿ったおがくずに近い稠度のペーストから調理済みオートミールに近い極めて湿潤された材料まで形成するために、適合性のある液体で湿潤しなければならない。この添加される液体は、バイオマスのための接着剤又はバインダーではなく、粉砕されたバイオマスのリグニン、ヘミセルロース及びセルロースの表面並びに膨らんだ繊維状伸長部が開いた化学結合を有し、部分的に溶解するように、これらのバイオマス成分を軟化させる役割を果たす。次いで、これらの化学的に開いた結合及びフィブリルが、バイオマスが最初のオーブンプレスステップで焼成される際に、バイオマス表面及び繊維状伸長部の自己結合を生じさせる。これらの液体添加剤は、バイオマスのプリネットシェイプ化モールドプレスシステムから押し出されて漏出する、若しくはそこから蒸発するか、又は以下でさらに記載される化学反応に応じて、バイオマスの有機重合に関与し、接着剤の役割(casting)として作用するのではなく、コポリマーとして作用しうるかのいずれかである。
【0036】
〇2種以上のバイオマス原料又は粒径を特定の質量比で、例えば50%「中間」と50%微細、又は50%「中間」と25%「微細」と25%の80μmでブレンドすることが推奨される。これらの例示的なブレンドは、レシピの固有の様式の単なる例示であり(且つその制限ではない)、バイオマスのブレンドの実際の好例と悪例の比較は、以下の実施例及び反例のセクションに開示される。
【0037】
〇さらに、最終的なバイオマスブレンドに導入されるために、特定の粉砕粒径のバイオマス源は、ヘミセルロースに対する、セルロースに対する、他の有機化合物、例えば糖、多糖、タール、天然油化合物、イソプレン、テルペン及びセスキテルペンを含むそれらの高次ポリマー、並びに天然由来の又は添加された化学物質、鉱物、金属などに対するリグニンの量を考慮しなければならない。鉱物の含有量は、バイオマス粉砕物のブレンドの調製及びプリネットシェイプ化モールドプレス時に、又は上述の先行する洗浄及び前処理ステップでさらに除去又は添加されてもよい。さらなる関連する教示は、以前に参照により本明細書に組み込まれた'324及び'563特許に提示される。前述の考慮事項は、以下に記載されるバイオマスの天然の自己結合及び高温炭化又は高温の炭化後ステップ中の炉内でのin-situ活性化においてさらなる効果を有する。
【0038】
〇異なる粒度及びバイオマス源を有する2種以上のバイオマス材料のブレンド、並びに液体活性化物質、先駆体による追加的な湿潤及びバイオマスの自己重合性化合物により、調製されたバイオマス粉砕混合物が加熱プレス機での最初のプレス焼成ステップ中にそれ自体を強化し、バイオマス粒子を一体に自己結合させることが可能になる。バイオマスブレンドに適用される概念に関して、自己結合性先駆体薬剤によって活性化されるバイオマスのより微細な粒子状物質及び膨らんだフィブリル、例えば「微細」又は80μmの粒子は、主に天然の自己結合のための架橋として、及びバイオマス内の天然の自己バインダーとして機能し、より長い、より高いアスペクト比の中間及び粗い粉砕バイオマス材料をまとめ、それにより優れた物理的及び機械的特性を有する最終形態のネットシェイプ化ウェハを形成する。バインダーを利用する他の方法に対するこの開示されるプリネットシェイプ化バイオマスモノリシックウェハの方法の対照的な差は、本明細書で開示される方法で使用される得られる構成要素の全てがバイオマス製であり、完成時に有機的に供給され、残留する重合又は自己結合先駆体をほとんど又は全く残さず、且つそのような残留する先駆体ポリマー及び活性化物質が後続のステップでさらに除去され、炉内での高温炭化、高温活性化及び他の炭化後活性化ステップの後に最終製品である自己結合モノリシックバイオ炭電極の優れた電気的及び物理的特性を生じることである。開示される方法によって調製されるプリネットシェイプ化バイオマスウェハが、バイオ炭モノリシックウェハ電極への苛酷な炭化変換に耐容し、且つ得られるバイオ炭モノリシックウェハ電極が、以下でさらに開示される苛酷なin-situ同時炭化及び活性化、又は炭化後活性化に耐容することを可能とするのは、これらの優れた物理的及び機械的特性である。
【0039】
〇バイオマス#1(より高いアスペクト比、より大きいサイズの粒子)のバイオマス#2(より低いアスペクト比、より小さいサイズの粒子)に対する質量比は、一般的に1:10から10:1までの間である。この比は、バイオマスの乾燥基準(約10%の水分)から絶乾基準(1%未満の水分)で測定され、ここで実際のバイオマスの正味質量を補償するために水分含有量が測定されるべきであり、さらにバイオマスブレンドに添加するための活性化物質及び先駆体液体の希釈、濃度及び量を調製する際に補償されるべきである、添加される活性化物質及び先駆体液体の希釈を生じるin-situ水分含有量も測定されるべきである。バイオマスの量及び水分並びに液体の濃度及び添加量のわずかな/軽微な変化が許容可能であるが、バイオマスの自己結合の正確さ及び適正な性能を維持することが留意されるべきである。
【0040】
・第3、第4などの粒径、植物源の追加のバイオマス成分及び前処理を使用して、プリネットシェイプ化バイオマスウェハの物理的及び化学的特性、並びに結果として最終的なネットシェイプ化された、炭化された厚いモノリシックバイオ炭電極素子の物理的、化学的及び電気的特性をさらに制御及び増強してもよい。より大きなバイオマス粉砕粒子の基礎的な「足場」へのこれらの他の添加、及びより微細な、膨らんだより小さなバイオマス粉砕粒径による付着が最終製品のネットシェイプ化モノリシックバイオ炭電極の強化において役割を果たし、例えば炉炭化中、例えば炭化後の高温活性化中、例えば他の方法(例えば、「Process for Producing Highly Activated Electrode Through Electro-Activation」と題する本出願人の同時出願中のPCT特許出願(参照により本明細書に組み込まれる出願第PCT/US2020/025648号)における)による炭化後の電極活性化中の電気的又は物理的増強を促進するように働く。
【0041】
・実験及び開発において、バイオマスの乾燥質量装填量は、ウェハ当たり0.1g~10gの範囲である。しかし、この質量装填量は、この目的のために製作された実験的なダイプレス及びモールド板のサイズによってのみ制限されたものであり、製品の示量性である。さらに、これらのダイプレス構成要素及びモールドプレス板の製作を容易にするために、空洞及びプレススラグは、合致する円筒として成形され、結果として円筒の形態のプリネットシェイプ化ウェハ、及びしたがって円筒の形状のネットシェイプ化モノリシックバイオ炭電極が得られた。以前に参照により本明細書に組み込まれた'324及び'563号特許に示されるように、任意の合致する空洞穴及びプレススラグ、例えば長円形、例えば楕円形、例えば正方形、例えば長方形、例えば任意の多角形が実施形態で使用されてもよく、さらに平面又は平坦ではない場合があるが、加えて曲面、例えばサドル状、例えばカップ状であってもよい。
【0042】
・任意のサイズ及び形状が使用されてもよく、且つ本明細書の開示によって包含される。液体対バイオマスの比は、乾燥基準で0.05~10ミリリットル/バイオマスグラムの範囲であり、これは製品の、及び最終製品電極が製作され、且つ依存的であるプロセスの重要な固有の特性である。
【0043】
・湿潤されたプリネットシェイプ化バイオマスウェハの密度は、0.5グラム/cm3~4グラム/cm3の範囲であってもよい。これは、微細、中間及び粗いバイオマスブレンドの比、各バイオマス粉砕物の破砕性、膨らみ、特定のバイオマス植物源、バイオマスへの活性化物質/前駆体液体の装填量、並びにプリネットシェイプ化モノリスへの焼成前の湿潤されたバイオマスの添加量、焼成の圧力、時間及び温度に基づいて制御可能な特性である。
【0044】
・選択された農産物の投入物としての使用(例えば、アキノキリンソウ(Goldenrod)、ヨシ(Phragmites Australis)、ススキ(Miscanthus)、「オーク」属、竹、ヤシ殻、堅果の殻など)。農業投入物の選択に関する追加の情報は、以前に参照により本明細書に組み込まれた'324及び'563号特許に示される。
【0045】
・バイオマスウェハのプリネットシェイプ化は、結合剤の非存在下で行われる。天然に存在する又は簡潔な化合物、例えばプロトン酸、例えばギ酸(例えばアリの唾液に見出される)、酢酸(酢)、プロピオン酸、又は代替的に一般的な塩、例えば水酸化カリウム塩(灰汁)、水酸化ナトリウム塩、塩化カリウム(硝石)、塩化ナトリウム(海塩)、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び/若しくは重炭酸カリウムが、液体溶液中で典型的に水とともに自己結合性先駆体として使用される。バイオマスの自己結合を促進するこれらの先駆体化合物は、任意選択で湿潤され、ネットシェイプ化バイオマスウェハを作製するためのプレス形成及び低温焼成中、加熱された際に、バイオマスのセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの既存の化学結合並びに表面を軟化及び「攻撃」するために使用され、それによりバイオマスウェハが加熱モールドプレス機中そのプリネットシェイプ化形態で焼成された場合、バイオマス材料は再変形してそれ自体に再結合する。
【0046】
加熱モールドプレス加工の温度及び時間は、一般的に、最終製品電極の計画された標的特性、バイオマスブレンドの調合、原料バイオマスの水分並びに自己結合のための固体又は液体の活性化物質の装填量及び濃度に応じて、100℃~250℃で、1~3時間の継続時間の範囲である。これらの固体又は液体の活性化物質化合物は、プレス及び焼成ステップが完了した後のバイオマス粒子の結合において役割を果たさず、加熱プレスにおける焼成中のバイオマスウェハの形成の初期段階の間でバイオマスの自己結合を助長するのみである。一部の化合物、例えば水への溶解前に固体形態で見出されるもの、例えば水酸化カリウム、塩化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム及び/又は他の液体化合物の成分、例えばギ酸、過ギ酸、酢酸、過酢酸、プロピオン酸、過酸化水素溶液は、焼成プロセスの完了後に焼成されたバイオマスウェハに残存する可能性があるが、これらの液体化合物は典型的に、焼成プロセス中に蒸発するか、又はバイオマス材料中に反応して元のバイオマス材料の共役化合物を形成するか、又はバイオマスの自己結合性重合を補助する。
【0047】
・さらに、開示されるプロセスはまた、バイオマスブレンドに予備活性化剤を含浸させて活性化をさらに増強させ、別個の炉炭化後の得られた電極の表面積を増加させることに関し、そのような炭化は、最初のプリネットシェイプ化バイオマスの低温焼成の最初の焼成後の別個の高温ステップであり、そのような炭化は典型的に、以下でさらに記載されるように別個の高温炭化炉で行われる。本明細書に開示される含浸ステップは、上述の一般的な塩、例えば周期表第I族及び第II族のアルカリ金属及びアルカリ土類金属それぞれのカチオン、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムなど、及びそれらの対応するアニオン、例えば水酸化物イオン、塩化物イオン、炭酸イオン又は重炭酸イオンなどの塩の添加に関する。以前に参照により本明細書に組み込まれた'324及び'563号特許に示されるように、これらのアルカリ金属(I及びII)カチオンは、低温加熱プレス焼成ステップ後にバイオマスウェハに残存し、その後プリネットシェイプ化バイオマスウェハが別個の高温炭化炉で高温で炭化され、得られる所望のネットシェイプ化バイオ炭ウェハ電極製品を形成する際に、これらの塩は、化学的酸化及び化学的還元の機能を促進する触媒及び活性化剤として挙動し、炭素及び炭素の酸化物を消耗及び/又は触媒してCH4(メタン)、CO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)及び他の炭素のガスを形成する。以前に参照により本明細書に組み込まれた'324及び'563号特許に示されるように、炉内でのこれらのガスの生成物はバイオ炭炭素内で形成し、そのようなガスがバイオマス/バイオ炭から逃げることによってバイオマス材料が脱酸素化及び脱加水分解し、炭素質リグニン、ヘミセルロース及びセルロースが純粋な炭素又はほぼ純粋な炭素に変わる(reduce)。さらに、これにより、これらのガスが逃げる際にバイオ炭中に細孔が作製され、それによりバイオ炭が活性化し、ウルトラキャパシタ、シュードキャパシタ、バッテリー、化学的/電気的燃料電池における電極としての使用及び他の吸収剤用途、例えば液体若しくはガスの精製、液体若しくはガスの貯蔵、水素貯蔵、水精製に、又は水素を生成する及び/若しくは酸素を生成するための水電解に基づくガス発生装置などの電極として使用するのに好適になる。
【0048】
前処理-バイオマス粉砕物及びブレンドに予備活性化増強剤を含浸させる:
・バイオマスの植物細胞の内部構造に含浸させるため、並びに望ましくない成分を変換及び/又は除去するため、並びにその後の細孔及びチャネルの活性化のために、予備活性化増強剤の添加が行われてもよい。これらの薬剤の過剰な量若しくは接触時間又は過剰な濃度若しくは温度は、バイオマスに不利及び有害な作用を及ぼし、バイオマスの全体的な液化を生じ、バイオマスの固形及び繊維状構造を破壊して、本明細書に開示及び特許請求される最終的な電極モノリスの有利な物理的及び電気的特性の形成の損失を生じることに留意すべきである。これらの固体又は液体の濃度、同様にこれらの固体又は液体のバイオマスに対する質量比、バイオマスの粉砕(粒度分布)、粉砕物のブレンド及び標的バイオマスブレンドの比それ自体、並びに固体又は液体の標的バイオマスとの接触時間の時間及び温度は全て、加熱プレス機でプリネットシェイプ化するモノリシックウェハを形成する際のバイオマスブレンドの性能、並びに高温炭化炉での炭化時及びバイオ炭電極ウェハの最終活性化ステップにおけるプリネットシェイプ化モノリシックウェハの性能に影響を及ぼす。
【0049】
〇予備活性化増強剤は、酸性、塩基性又は中性の性質のものであってもよい:
・バイオマス粉砕物の水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(KCO3)、重炭酸カリウム(KHCO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(NaCO3)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)又は他の同様の一般的な塩基性若しくは中性の塩、及びそのような塩の任意のブレンドの水溶液への浸漬が行われてもよい。自己結合のためのこれらの活性化は、バイオマスのセルロース及びヘミセルロースのヒドロキシル基を優先的に攻撃する傾向があり、主に炭素環に基づくリグニンを攻撃する作用は少ししか有さない。さらに、これらの方法は、カチオン(K+、Na+、Ca++)をバイオマスに含浸させ、これにより後続の高温炉炭化ステップでのバイオ炭の細孔の作製及び活性化を助長する。本明細書に開示されるこの塩基性塩又は中性塩の添加の選択肢は、I又はIIのカチオン(K+、Na+、Ca++など)が、高温炉炭化を経る間にバイオマス/バイオ炭の炭素及び炭素結合の酸化及び還元を触媒し、それによりバイオ炭電極内にin-situで階層的チャネル及び細孔を作製することを可能にする。そのようなI又はIIのカチオンの量の繊細なバランスが観察されなければならない。I及びIIのカチオンによるそのような触媒作用及び炭素反応は、バイオ炭電極の炭素質足場骨格構造を弱め、追加の炭化後活性化ステップが物理的な崩壊を回避することをわずかにより困難にさせる可能性があるが、電気エネルギー貯蔵のための電極へのイオン輸送に有利な細孔をより多く作製する。これらの添加剤のバイオマス粒子ブレンドへの均一なブレンドを誘導して不均質な添加物の凝集塊及びポケットを回避し、且つモールドプレス前のミックスを観察して、バイオマスの望ましくないほぼペースト状の稠度への有害な分解を検出するよう注意が払われなければならない。
【0050】
・開示される濃度まで水に希釈される過酸化水素、又は酸、例えばギ酸、過ギ酸、酢酸、過酢酸、硝酸、ホウ酸若しくは他のプロトン酸若しくは非プロトン酸の水溶液をバイオマスブレンドに添加することができる。このことは、バイオマス表面の活性化によって必要とされる結合を助長する、及び/又は自己結合するバイオマスの重合に関係する。これは、モールドプレス加熱オーブンでの最後のプリネットシェイプ化の前にバイオマス粉砕物に添加されてもよい。これらのプロトン若しくは非プロトンの酸又は有機酸は、リグニン及び芳香族又は炭素環式構造と優先的に反応し、上述の塩又は塩基性溶液の添加において優勢であるセルロース反応経路に対し、リグニン経路を介して自己結合を増強する傾向がある。これらの酸はまた、セルロース及びヘミセルロースの構造をさらに崩壊させ、それによりこれらの天然のバイオマス化合物が、加熱モールドプレス機の焼成オーブンでのプリネットシェイプ化バイオマスウェハの形成と後続の高温炉炭化ステップの両方で再形成し、重合することを可能にする。本明細書に開示される有機酸の添加は、本明細書に同様に開示される塩基性又は中性の塩の添加方法と比べてより良好なバイオマス結合をもたらすため、酸の添加の選択肢は、最終的なバイオ炭電極のより耐久性のある炭素質足場構造を実現する。これにより、ひいては複数の細孔を発生する活性化ステップに耐容可能な機械的により強力な最終電極製品を達成し、この経路を介して良好に機能する電極を生成することに成功する確率がより高くなる。
【0051】
・バイオマス/化学物質ブレンドを導入する前に、炭化水素溶媒、例えばトルエン、例えばエタノール、例えばジメチルホルムアミド(DMF)もバイオマス粉砕ブレンドに添加し、バイオマス中の天然のポリマー(リグニン、ヘミセルロース、セルロース)を、これらのバイオマス化合物の画分、より詳細には微細な膨らんだフィブリルを軟化する及び/又は溶解し、それらが再形成及び自己結合することを可能とすることにより、予備活性化することができる。そのような有機溶媒は、低温モールドプレス焼成オーブン機中で蒸発するため、典型的に最終的なプリネットシェイプ化バイオマスウェハに残存せず、またオーブンプレスからプリネットシェイプ化ウェハ中になおも残存するわずかな量のそのような残留溶媒は、実際の最終的な炭化温度及び炭化作用が達成される前に、高温炭化炉での加熱の初期段階中に蒸発することによって排除される。
【0052】
〇予備活性化増強剤は、固体であっても液体であってもよい。開示される方法のこの時点まで、バイオマスの自己結合を助長する添加剤活性化物質は典型的に液体として記載され、実行可能な固体の添加が一部で言及された。加熱モールドプレスオーブンでのプリネットシェイプ化ウェハの最初の生成のためのバイオマス材料の調製時に、微粉末又は結晶性固体の形態の固体活性化物質のみをバイオマス粉砕ブレンドに添加することにより、本明細書に開示される方法に対する他の改良が実施され、良好な成功が示された。固体のみの形態の塩又は酸のこの添加は、化合物、例えば固体の水酸化カリウムなどに一般的である固体添加剤中に吸着された周囲水分のさらなる支援とともに、バイオマスの水分が15重量%より高い場合にバイオマス中の水分含有量を利用して良好に作用する。固体のイオンの解離を援助するためのさらなる水分は、バイオマス中のヒドロキシルが崩壊して水を形成する際の、固体によって引き起こされる制限されたバイオマスの崩壊によって生じる。固体をバイオマス粉砕ブレンド中に均一にブレンドし、解離された固体塩のバイオマス材料周囲及びその中への比較的緩徐な輸送のために処理に要する接触時間をより長くするために固体の良好な混合を行い、バイオマスの自己結合効果の化学的活性化を助長するよう注意が払われなければならない。
〇バイオマスの予備活性化剤に対する質量比は、一般的に1:10~10:1までの範囲である。
【0053】
・代替的に、溶融、洗浄、炭化又は燃焼によって除去できる除去可能な鋳型剤(例えば塩、ワックスなど)を使用するバイオマス粉砕ブレンドの又はプリネットシェイプ化ウェハへの処理であって、鋳型を使用してプリネットシェイプ化バイオマスウェハのバルク構造、及びその後のバイオ炭電極中に制御された多孔を導入し、鋳造する処理が実施されてもよい。
【0054】
・バイオマスを溶媒和してそこから鉱物を選択的且つ制御可能に抽出する、又はバイオマスを部分的若しくは全体的に解重合して、バイオマスの表面積を大きく増加させて、且つバイオマスの有害な要素(例えばシリカ、金属、鉄など)を除去するために、液体に沈める又は液体による湿潤の間に、バイオマスのガス/液体界面における原料の又は粉砕されたバイオマスの加圧「水熱」処理を'324及び'563号特許に開示されるように行ってもよい。
【0055】
プリネットシェイプ化 - ミックスをペレット又はウェハへとプレスする:
・バイオマスへの前処理方法を使用し、それによりネットシェイプ化ウェハの特性に影響を及ぼす又はそれを制御する方法は、'324及び'563号特許に開示される。
【0056】
・材料の構造パラメータを調整するためのプレス時間、調合、圧力及び圧縮力の最適化。
〇プリネットシェイプ化バイオマスウェハを形成する際の低温焼成オーブンでのプレス時間の範囲は、一般的に少なくとも45分、最大180分である。180分より長いウェハの焼成時間が使用された場合、試験においてほとんど利益が得られず、ウェハは乾燥し、脆く脆弱であった。
【0057】
〇加熱機械プレスの圧力は、一般的に加熱プレス中10,000~60,000lbsの範囲であり、加熱プレス中30,000lbsの力でプレスされた際に一貫した優れた結果が示された。円筒モールドプレス内のバイオマス混合物に対する実際の圧力は、この圧力の力をプレス円筒の総数の実際の面の表面積で除したものに基づくため、加熱プレスオーブン内の焼成バイオマスビスケットに対する実際の圧力は、以下の通りである:
【0058】
・実験に使用される各円筒穴及び合致する円筒状プレススラグの円形面積は、1.25平方インチである。実験に使用されるモールドプレス板システムには16個の円筒状空洞穴が組み込まれていた。したがって、20平方インチの総バイオマスプレス面積が使用された。公称30,000ポンドの加熱プレス機の力を面の表面積の20平方インチで除した場合、結果の1,500psiが、もっとも多くの実験でバイオマスミックスをプリネットシェイプ化バイオマスウェハへとプレスし、焼成する際に印加された力である。これにより、多くの種々の実施形態、形状、モールド装置あたりの円筒、したがってウェハの数は、加熱プレスに印加される総力に対して調整が必要である。さらに、穴、円筒の寸法及び数、並びにモールド板の寸法は、上記で開示された特定の実施形態に限定されない。
【0059】
・加熱焼成オーブンでプリネットシェイプ化バイオマスに適用されるプレス温度及び温度サイクルを制御し、メイラード様反応、半炭化(torrefaction)、並びにバイオマスに存在するか、又は活性化剤及び自己結合性先駆体の添加によってさらに形成される糖のカラメル化を注意深く制御することにより、プリネットシェイプ化バイオマスウェハの特性を変更することができる。これらのプロセス条件及び添加剤は、得られたプリネットシェイプ化バイオマスウェハの物理的特性及び耐久性、より詳細には、さらに開示される炉炭化ステップで炭化される際の、最終的な炭素質のネットシェイプ化モノリシックバイオ炭製品の最終的な特性を制御する。
【0060】
〇モールドプレス低温オーブン焼成ステップにおけるプリネットシェイプ化ウェハの温度範囲は、80℃~250℃の間で最良の結果を示す。プリネットシェイプ化プロセスの温度範囲は、それがウェハの自己結合性バイオマスの形成に及ぼす敏感な効果のために、非常に選択的である。温度下限を下回ると、微細なバイオマスの結合効果が活性化されない。より低い焼成温度はまた、塩溶液のための水溶媒の蒸発及び有機液体酸又は溶媒の蒸発を制限し、バイオマスウェハの硬化を妨げ、それにより取り扱う又はモールドプレスから取り出す際に機械的に破損及び崩壊する緩い粉末状又はどろどろのウェハを生じる。温度の上限を超えると、ウェハは燃焼、カラメル化及び乾燥し、細孔及び足場構造の崩れによって生じる過剰な硬化、モールドプレス板への粘着の増加、後続の炭化及び活性化ステップでのカラメル化及び不良な成果をもたらし、最終製品バイオ炭電極の活性化を顕著に阻害する。
【0061】
・低温プレスオーブンの加熱モールドプレス条件は、自己結合性先駆体及び予備活性化剤の異なる使用で変化することが予想される。プレス条件(圧力、温度及び時間)は、予備活性化剤にそのタスク、例えば自己結合、消化、酸化、還元などを実行するのに十分な量の時間、加熱及び加圧を与えるように、使用される予備活性化剤によって調整されるべきである。
【0062】
・焼成後にウェハを取り出そうとする際のウェハへの粘着及び損傷を防止するために、モールドプレスオーブン機器に有機離型剤(複数可)が塗布されてもよい。有機油が好ましい。オリーブ油、コーン油若しくはキャノーラ油又はこれらのブレンドの優先的な使用は、低温焼成オーブンから抜き出されたモールドプレス板から取り出される際のウェハの粘着及びウェハの損傷を完全には防止しないが、最小化するのに好適であることが見出された。しかし、他の油又は脂肪が全てバイオマスと適合性であるため、それらを使用することができるが、モールドプレス表面に塗布される任意のそのような油又は脂肪が低い発煙点を有し、プリネットシェイプ化バイオマスウェハが後続の高温炭化炉に配置されると素早く燃焼除去されることが推奨されることに留意されたい。これらの離型油は、ネットシェイプ化バイオマスウェハをネットシェイプ化バイオ炭電極に変換する際に不利な作用を及ぼすべきではない。高温耐性の油又は潤滑油、例えばシリコーン油は安定であり、炭素ベースではなくバイオマスと反応しない、又はバイオマスと不利に反応するだけでなく、蒸発するとしても炉炭化ステップで必要とされる初期の時点で蒸発しないため、これらを離型剤として適用することは推奨されない。これにより、ひいては電極のチャネル及び細孔内に非導電性コーティングが生じ、その最終用途での電極の性能に甚大な影響が及ぶ可能性がある。
【0063】
高温炭化
・プリネットシェイプ化バイオマスウェハを不活性ガスの存在下で炉内で高温で炭化し、ネットシェイプ化バイオ炭電極に変換する。
〇高温炭化炉の温度は、一般的に700~1100℃の間である。
〇最大温度での炭化継続時間は、一般的に30分~120分である。より短い時間は一般的に炭化に不十分であり、炭素構造の最終的な足場並びにチャネル及び細孔の発生を低減させる。より長い時間は、炭素構造の足場による有益なさらなる強度をほぼ又は全くもたらさないだけでなく、さらなるチャネル又は細孔の発生ももたらさず、さらに細孔及びチャネルの収縮という負の効果を及ぼし、電極の電気的性能に負の影響を与える。バイオマスの最初の予備活性化浸漬及び添加される自己結合性先駆体、例えばより高温範囲、例えば800℃超で過剰に活性及び触媒作用的になりうるI及びIIのカチオン塩、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウム又は他の金属の包含に基づき、温度に対するある程度の制限が使用されなければならないことが留意されるべきである。これらのイオンが炭化の間にバイオ炭中に存在すると、バイオマス/バイオ炭材料の完全なガス化が生じる場合があり、バイオ炭電極製品が見出されることが予想された高温炭化炉中に、灰のわずかな残留物のみが残る可能性がある。
【0064】
・さらなる活性化は、好ましくは別個に気化されるが、機械的及び冶金学的な設計を考慮して、任意の安全な手段によって高温炉に液体の水として直接添加、投与、注入又は挿入されてもよい活性化ガス、例えば二酸化炭素(CO2)、例えば水蒸気(H2O)からなる蒸気を導入することにより、高温炭化炉又は別個の後続の高温炉ステップで達成されてもよい。炭化温度(800℃~950℃)に到達したら、少量のこれらの活性化ガスを炉の中に導入してもよい。これにより、CO2(g)若しくはH2O(g)又はその組合せがバイオ炭電極の炭素構造と反応し、それぞれ逆ブードワ反応(reverse Boudouard Reaction)(CO2の添加の場合)又は蒸気炭素反応(H2Oの添加の場合)を生じ、炭素原子を除去してバイオ炭モノリシック電極材料の細孔をさらに広げ、それにより内部表面積を増加させ、さらなる細孔を作製し、厚いモノリシックバイオ炭ウェハ電極の足場の3次元構造全体にわたる階層的チャネル形成をもたらす。この活性化ステップは、炭化温度で又はそれより高温で行われ、ネットシェイプの炭素構造を破壊する又は消耗してそれを炭素粉末に変える(reduce)、又はその中の全ての炭素を完全に反応させ、炭のみの残留物をもたらしうる過剰なガス化を防止するよう注意深くモニタリング及び制御されるべきである。ガス活性化は、高温炭化プロセスの複数のステップで行われてもよい。ガス活性化は、最初のバイオマス炭化の間、高温炭化炉での炭化の直後に2つの別個のステップの間にクールダウンを挟まず行われてもよく、又は別個のステップとして行われてもよく、炭化ウェハをクールダウンさせ、任意選択で添加剤若しくは洗浄ステップによって、例えば前述のバイオマス前処理ステップで開示された特定された液体、例えば水酸化カリウム、例えば水酸化ナトリウム、ギ酸、過ギ酸、酢酸、過酢酸(など)の水溶液の添加によって処理し、次いで(任意選択で湿潤された)バイオ炭ウェハを、この第2の液体ベースの活性化ステップ、又は炉内で800~950℃の間の高温でのCO2/蒸気活性化のために、上記で特定された温度に再び昇温させる。
【0065】
・送達される活性化ガスの流量及び総質量は、一般的に、場合によっては流れの条件を考慮して互いに混合される又は不活性ガスと混合されるガスの濃度、及び処理されるバイオマス/バイオ炭の総質量に基づく。最良の結果は、一般的に、ガス流量が純粋なガス基準で0.001ft3/時間/バイオマスグラム~0.10ft3/時間/バイオマスグラムの間である場合に達成される。活性化ガスが共ブレンドされる、又は任意選択で不活性ガス、例えばアルゴン、ヘリウム又はキャリアガス、例えば窒素とさらに混合される場合、流量及び圧力は、炉に流れ込むそれらのブレンドされるガスの濃度又は分圧を調整して、純粋基準で送達される実際の活性化ガスに適合するよう調整されなければならない。炉に送達される活性化ガスのこの流量及び総質量は、炉内のウェハ物質の総質量及び実行しようとする活性化の程度に対して調整されるべきである。
【0066】
・高温炭化炉でのバイオマス炭化ステップが以下の通り開示される。プリネットシェイプ化バイオマスウェハを、炉内の平坦なトレイの上に配置する。トレイは一般的に、炭化の間の炉内の激しい温度、並びに化合物及び炉に添加される処理ガスからのオフガス(排出ガス)によって引き起こされる、炭化の間に炉内で発生する腐食性雰囲気に耐容可能な金属又はセラミック材料から製作される。本明細書に開示される例示的な実施形態では、炉のトレイを製作するためにインコネル合金が使用された。炉のチャンバ壁もインコネルから製作された。
【0067】
・炭化されるプリネットシェイプ化バイオマスウェハは、トレイの上に直接配置するか、又は優先的には多孔質基材の上に配置し、例えばインコネルスクリーンメッシュをバイオマスの下及びバイオマスの上に配置し、その後インコネル又はセラミック製重りをスタックの上に配置する。この配置は2つの目的を果たす。スクリーンメッシュは、バイオマスが熱分解してモノリシックネットシェイプ化バイオ炭に変換される間、炭化するバイオマスウェハが炭化の間に起こる熱分解からのオフガスを「ガス抜き」することを可能にし、それにより底部トレイ表面及び頂部の押し下げ板表面に面するバイオマスウェハの外面に炭素質膜又は「外皮」が形成されるのを防ぐ又は最小化する。第2に、頂部の重りは、炭化するウェハ及びスクリーンメッシュ層を平坦又はネットシェイプ化されたままであるよう強制し、バイオマスウェハが全ての寸法で収縮して重量及びサイズを低減し、モノリシックネットシェイプ化バイオ炭電極へと硬化する際に、バイオ炭の望ましくない湾曲、サドリング又は反り(cupping)を最小化する又は排除する。本明細書に記載される「平坦な」底部トレイ及び「平坦な」頂部の重りは、先行する加熱オーブンプレスステップでバイオマスに誘導される非平面の形状に合致するように、又は電極の形状を高温炭化炉で直接作製若しくは誘導するために、他の実施形態で他の形状及び曲面であってもよいことに留意されたい。これらの非平面の実施形態は、'324及び'563号特許に開示され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
炉の標的温度は、外部熱源、例えば電気加熱素子、ガス焚きバーナー、液焚きバーナーなどからの熱を加えて一般的に700~1100℃の間であり、最良の結果は730℃~850℃の間で示される[例えば、'324及び'563号特許を参照されたい]。これらの加熱源は、炉の外壁に直接接触する若しくは曝露されてもよく、又はヒーターの排気又は燃焼生成物をダクトを通して搬送することによって加熱を行ってもよい。不活性ガス、例えばアルゴン、ヘリウム又は窒素を炉内部のパージに使用できるため、パージガスが炉チャンバに入る前にパージガスを加熱することによって炭化熱源を炉チャンバに直接適用してもよい。そのような加熱構成の実施形態では、炉外部に絶縁材が適用されるべきであることは明白である。最後に、炉の内部及び外部の両方の加熱の組合せが行われてもよい。
【0069】
炭化炉の最大温度は、温度上昇による周囲温度から最終的な最大炭化温度までのランプレート、例えば標的温度に向かって8~10℃/分で達成される。開示される炭化時間の測定は、炉の内部温度が標的温度に到達してから開始する。炭化時間は、一般的に炉が標的炭化温度に、且つそれより高くなってから30~120分の間の継続時間を有する。
【0070】
炭化炉の内部チャンバは、不活性ガス、例えばアルゴン、例えばヘリウム又は中性の非反応性若しくは最小限に反応性のガス、例えば窒素でパージされる。酸素及び「空気」は、250℃を超える高温でのバイオマスの酸化又は完全な破壊を回避するために、炉の内部温度が100℃を超える前に炉の内部チャンバから除去されなければならないことに留意することが重要である。この空気の除去は、典型的に炉へのパージガスの流量を調整し、炉のヒートアップの最初の5分以内に炉の内部空間の少なくとも5体積に等しい又はそれを上回る十分な全パージガス体積を炉内にもたらすことによって達成される。高いパージ流量及び必要とされる体積が達成されると、パージガス流量は、望ましい1時間当たり最低0~20炉体積まで低減されてもよい。上記で開示され、以下の実施例及び反例セクションで実証される時間及び温度のガイドラインに基づき、炉内でのバイオマス炭化が完了したら、炭化炉をクールダウンさせてもよい。
【0071】
炭化炉のクールダウンは、一般的に炉チャンバの外側(内側ではない)の周囲に流れる空気の外部ストリームを使用して達成され、任意選択で内部冷却のための継続的な又はより高い流量のパージガスの冷ストリームが炉に適用され、それにより炉及びバイオ炭ウェハが冷却され、炭化プロセスが停止する。この強制的な外部及び内部の冷却ステップは省略されてもよく、炉は、通常の周辺大気の対流、熱放射及び熱伝導によって放冷されてもよい。しかし、そのような周囲冷却は、冷却プロセスを緩徐化し、炭化されたネットシェイプ化バイオ炭電極を計画された所期の炭化時間-温度プロファイルを超えて高温で維持することにより、事実上この炉炭化ステップに炭化時間を追加することが明確に理解されるべきである。このことは、開示される強制冷却が省略される場合に生じる時間-温度クールダウンプロファイル及び無作為の延長された炭化時間の制御されない性質のために、バイオ炭電極の特性に予想外の結果をもたらす可能性がある。開示される強制冷却は、所望の炭化が完了すると、炭化プロセスをはるかに早く停止するように作用し、且つ任意のさらなる化学変換を止めるのに十分に冷却されてから炉から取り出されるバイオ炭電極ウェハの得られる特性のより大きな制御を可能にする。さらに、炉は、バイオ炭ウェハが熱い間は、大気、周囲空気又は酸素に開放されるべきではなく、これはバイオ炭の自己発火が生じる可能性があり、バイオ炭電極の炭素材料の望ましくない酸化が生じるためである。炉の外側冷却のための冷却空気は、好ましくは室温(例えば、約25℃)で一般的な圧縮機又は空気ポンプ又はファンから供給されてもよい。任意選択で、ほぼ飽和した蒸気(100℃をわずかに上回る)を使用し、炉を炭化温度から約150℃に至るまで外部からクールダウンさせてもよく、その後上述の周囲空気冷却又は空気流によって炉のクールダウンを完了させてもよい。これらの時間及び最終温度は、炭化炉の質量、炉の内部構成及び炉へのバイオ炭の装填量に依存し、一般的に約90分かかり、その後炉を単純に周囲空気に曝露することによって室温まで完全にクールダウンさせてもよく、その後冷却された炉を引き続き開けてネットシェイプ化モノリシック活性化バイオ炭電極を取り出してもよい。
【実施例】
【0072】
実験結果
[実験#1]
プリネットシェイプ化ウェハを、50%の中間粉砕と50%の80μm粉砕の乾燥質量比の独自のバイオマスミックスからウェハ当たり0.65gで調合した。蒸留水中10%KOH(wt/wt)を含有する予備活性化溶液を調製した。KOH溶液の乾燥バイオマスに対する質量比は、各1.0グラムのバイオマスに対して0.60gのKOH(水)溶液であり、合計12.0gのバイオマスが低温モールドプレスオーブンでの調製のために処理された。溶液を乾燥バイオマスに滴下添加し、十分に混合して15~30分間放置した。ウェハへのバイオマスのプリネットシェイプ化には、それぞれ厚さ5/16''の3つのステンレス鋼板からなり、中央の板が円筒状開口を有するモールド板である金属製モールド板システムを使用した。モールド板を調製するために、有機離型剤(オリーブ油)をモールドの中間及び底部の板上に散布した。下側及び中間のモールド板を直径3/8''xピッチ16、長さ3/4''の5つの六角ナットで固定し、モールドトレイを作成した。次に、バイオマス、予備活性化剤及び蒸留水からなり、予備活性化物質で湿潤された及び/又は先駆体で湿潤されたバイオマス混合物を、中間モールド板の円筒状穴の中に均一且つ均質に分配した。金属製円筒スラグの全側面をオリーブ油で湿潤した。次いで、油で湿潤された金属製円筒スラグを、バイオマスブレンドが充填された各モールドの円筒状のスロット穴の中に挿入し、それによりバイオマスを均一に圧縮した。これらの金属製円筒状スラグは、最小限の側面クリアランス(隙間)を伴ってモールドプレス板の円筒状開口の中に嵌まり、モールドプレス板の円筒状竪穴の深さ未満の高さであり、モールドプレス板の円筒状竪穴に滞留している間に、金属製スラグの下に設計された間隙空間を残すよう設計及び製作された。この間隙空間が、以下に記載のように完全にプレスされた場合にプリネットシェイプ化バイオマスウェハを形成する空間である。モールドプレス板の円筒状穴にバイオマス混合物を充填し、同じプレス板の穴の中に油で湿潤された円筒状の金属製プレススラグを挿入したら、続いてアセンブリ全体の上に頂部板を配置し、円筒状スラグを均一に押し下げ、バイオマスを圧縮してプリネットシェイプ化した。頂部板の開口は、2つの下側の板アセンブリを一体に保持していたボルトの六角ナット頭部が、モールドプレスされているアセンブリに干渉しないようにする。円筒状スラグの複数のセットは、全てがモールド板部分の中間部の円筒状穴に対して緊密な側壁クリアランスを有するようカスタマイズされ、これらの円筒状スラグは、モールドプレスの円筒状竪穴内に配置された際の円筒の下の間隙に基づき、プリネットシェイプ化バイオマスウェハの得られる異なる厚さに対して特定の高さを有する。円筒スラグの高さは、通常円筒状穴の高さ/空隙の60~90%を占め、それにより緩いブレンド状態から圧縮状態までのバイオマスの開示される圧縮比も設定する。基材、形状マスク(円筒穴)層及び頂部プレス板層を組み込んだスタック状モールド板全体を、加熱水圧プレス(Carver, Inc.)中120℃で1時間プレスし、ウェハ当たり平均厚さ0.07インチ及び平均質量0.800グラムのプリネットシェイプ化バイオマスウェハを形成した。
【0073】
プリネットシェイプ化バイオマスウェハをモールド板システムで焼成した後、ウェハを次いで炉に配置されるインコネルトレイの上に設置し、不活性ガス(N2)下で炉の60分間の温度ランプ時間にわたる750℃~850℃の間の高温炭化、及びピーク標的保持温度でのさらなる60分間の炭化を行い、ウェハをウルトラキャパシタ、バッテリー、燃料電池用の最終的なネットシェイプモノリシックバイオ炭電極及び他の吸収剤用途に変換した。炭化炉に配置する際、炉による不均一な加熱、又は先のステップでの活性化物質及び先駆体液体とのバイオマスブレンドの不良な混合からの不均一な水分プロファイルによって生じうる歪み、サドリング又は反りを回避するためにウェハをセラミック板間に保持し、それにより平坦な圧縮されたバイオマス材料は、コインと同様の形状の平坦な円筒状のバイオ炭製品になった。さらに、この基礎炭化ステップ中及び後の炭化するバイオマスの熱分解副生成物の脱ガスを可能にするために、インコネルスクリーンメッシュ層をプリネットシェイプ化バイオマスウェハとウェハの上下のセラミック板との間に挿入し、その後炭化用の炉に挿入した。これは、タール及び他の有機物のバイオマス蒸気がトレイ又は頂部の重りに対するバイオマス/バイオ炭表面の界面に集まって、且つこれらのオフガスが電極表面上で焼けて硬化し、該表面を塞ぐのを防止するように例示される。炭化するバイオマスウェハは、炭化中ガス抜きする必要がある。炭化プロセスアセンブリ中のこのスクリーンメッシュ層は、基礎炭化ステップ中又は後の追加の活性化用の添加剤雰囲気ガス(例:開示されるCO2又は蒸気)の使用による任意の追加の後続の活性化のために、炭化バイオマスウェハ電極へのガスの進入も容易にする。(この実験のためのこの後続のガス活性化ステップはこの実験例では実施されなかったが、方法のどの部分で生じるか、及びどのように適用されるかを裏付けるためにここで記述され、後続の実施例で例示される。)
【0074】
炉内での炭化が完了した後、炉の外部の絶縁ヒーターと炉の金属壁外部との間に送風された炉の外部周辺の圧縮された強制空気ストリームによってクールダウンが開始した。完全なクールダウン及び炭化炉からの抜き出し後、電極を蒸留水及び電解質溶液中で超音波処理し、遊離粒子及び不純物を除去して電気化学的容量試験を行った。バッテリー試験機(Vencon Model UBA5)を使用して電極対のキャパシタンスを測定した。2つの電極及びセパレータ(CelGard 3401)を使用して、全てを厚さ0.02''のチタン箔のチタン電荷収集体の間に挟んで、6.0M KOH(水溶液)を電解質として使用して、ウルトラキャパシタ電池をアセンブルした。測定された比キャパシタンスは、1.0ボルトの動作ウィンドウで150ファラド/グラムと測定された。
【0075】
[実験2]
バイオマス源として使用される、醸造所の使用済み穀粒:
実験#2は、微細バイオマスの代わりに醸造所の使用済み穀粒バイオマスを、実験(#1)(上記)で使用された中間バイオマスと同じ質量比で利用し、ネットシェイプ化電極のための良好な成分としての可能性及びその性能を探究した。この実験に使用される麦芽用大麦(2条を使用したが、適用は2条麦芽大麦に特に限定されない)を地域の自家醸造供給店から得た。本発明者らの実験チームが、乾燥穀粒の実際の選択、秤量及び粉砕を行い、さらに使用済み穀粒バイオマス源を生じるための醸造ステップを行った。2条麦芽大麦は、自家醸造環境で典型的に使用される手動グラインダーを使用して粉砕したため、そのような手段によって必要な粒径及び膨らみが達成されうる限り、任意の方法をバイオマスの粉砕に使用できると開示する上記の記述を裏付けする。粉砕された穀粒材料を、濾過及び脱塩された清潔な沸騰水道水で3回洗浄し、醸造プロセスを再現して大麦から糖を抽出した。得られた2条大麦を「使用済み穀粒(2条)」とラベル付けした。次に、残留する糖のカラメル化又は不作為を防ぐため、使用済み穀粒を真空オーブン中60℃以下の温度で乾燥した。次いで、乾燥した使用済み穀粒を、18,000RPMのLaboratory RetchのモデルZM-200グラインダーを使用し、24歯ロータ及び80μmスクリーンふるいメッシュを使用して粉砕して、「微細#5ブレンド」バイオマスと同じバイオマス粒径を達成した。使用済み穀粒ウェハ及び電極を製作するための残りの手順は、微細バイオマスを二条大麦の微細な使用済み穀粒で置き換えたことを除き、実験1に列挙されたものと同様である。
【0076】
1対の得られたバイオ炭電極を上記の実験#1に従ってアセンブルし、1.0ボルトの動作ウィンドウで120ファラド/グラムの比キャパシタンスが測定された。
【0077】
[実験3]
異なるバイオマス源のブレンドの使用
実験2と同様に、他のバイオマス材料、例えばヤダケガヤ(Tiger Grass)、ヨシ及び竹を、供給源又は植物種の多様性という同じ理由で探求した。上記のそのような各バイオマス材料を60℃の真空オーブンで乾燥し、含水量を除去し、次いで自己結合(微細)又は足場及びバルクの寄与(中間)のその目的に固有の特定の粒径まで粉砕した。
【0078】
竹は、どの部分(茎、葉柄又は葉)が使用されるかによって非常に異なって挙動することが示された。竹の茎は、粉砕後に高度に繊維状の一体性を示し、電極の補強筋足場として十分機能したが、竹の葉の高いシリカ含有量は、竹の葉を利用される実施形態によって潜在的な候補としてさらに探求する妨げとなった。上記の実験#1及び#2と同じブレンド及び炭化のプロセスを使用し、これらの他の植物種を加工した。
【0079】
厚さ0.02''のチタン箔の間に挟まれた、竹の幹から作製された2つの電極とセパレータ(CelGard 3401)、及び電解質として使用される6.0M KOH(水溶液)を使用し、ウルトラキャパシタ電池をアセンブルした。測定された比キャパシタンスは、1.0ボルトの動作ウィンドウで82ファラド/グラムと測定された。
【0080】
厚さ0.02''のチタン箔の間に挟まれた、ヤダケガヤから作製された2つの電極とセパレータ(CelGard 3401)、及び電解質として使用される6.0M KOH(水溶液)を使用し、ウルトラキャパシタ電池をアセンブルした。測定された比キャパシタンスは、1.0ボルトの動作ウィンドウで67ファラド/グラムと測定された。
【0081】
竹の葉及び竹の葉柄で作製された電極は、炉での炭化後の脆さ及び自己結合の損失のために使用不可能であった。
【0082】
[実験4]
CO2有り対CO2無しの炭化後活性化の結果
実験#1と同様の実験#4では、高温炭化中の炉内への窒素ガスストリームを二酸化炭素ストリーム(0.3ft3/時間)で置き換えた。このパージガスの置換は、60分間の基礎高温炭化ステップの完了後のガス活性化の効果を評価するために、高温炭化段階中でのみ行われた。これは、ネットシェイプ化炭素質電極のさらなる活性化に好ましいと思われた。炭素質材料の存在下でCO2を導入すると、逆ブードワ反応を介して炭素質材料と反応してCO(一酸化炭素)を形成し、それによりモノリシックバイオ炭電極の表面及び内部の炭素質構造を「エッチング」し、より多くの細孔及びチャネルを作製することが既知であった。高温のCO2炭化処理の際、得られたウェハは好ましいより高いキャパシタンスを示した。CO2で活性化されたモノリシック電極の表面は、CO2活性化無しのものより粗いことが観察された。これは、ガスがバイオ炭の形態学に基づいてCO変換のために反応性の部位と非反応性の部位とを識別するため、CO2の侵襲的なエッチング効果の結果である。
【0083】
50%の中間粉砕バイオマス及び50%の微細な80μm粉砕バイオマスから作製されるが、低温焼成のためにプリネットシェイプ化バイオマスウェハの調製時にギ酸で湿潤された2つの電極を使用し、ウルトラキャパシタ電池をアセンブルした。これらのギ酸で処理されたウェハを代替可能なCO2活性化パージガスを用いて高温炉で炭化し、セパレータ(CelGard 3401)、厚さ0.02''のチタン箔及び電解質として使用される6.0M KOH(水溶液)とともにアセンブルした。測定された比キャパシタンスは、1.0ボルトの動作ウィンドウで208ファラド/グラムと測定された。
【0084】
炭化後のCO2の添加がないことを除き、全ての他の条件を同等にして炉で炭化された第2のバッチにより、上記のように50%の中間粉砕バイオマス及び50%の微細な80μm粉砕バイオマスから作製されるが、ギ酸で湿潤され、炭化され、且つセパレータ(CelGard 3401)、厚さ0.02''のチタン及び電解質として使用される6.0M KOH(水溶液)とともにアセンブルされる、2つの電極を使用して、ウルトラキャパシタ電池を同様にアセンブルさせた。測定された比キャパシタンスは、1.0ボルトの動作ウィンドウで92ファラド/グラムと測定された。
【0085】
[実験5]
製作されたバイオ炭電極の燃料電池での使用
実験#5は、1対の自立型モノリシックバイオ炭電極を利用して基本的な低温燃料電池を製作した。開示される方法によって生成されるこれらの最終製品電極の実施形態が直流(DC)電気を発生できることを実証するため、簡潔な生物学的燃料電池をアセンブルした。一般的な園芸用土(表土)を透明な1パイントのガラスコンテナに入れた。上記の実験#1と同じ開示される方法によって製作されたバイオ炭電極を個々のリード線にそれぞれ接合し、リード線が延びて土壌と接触しない状態で園芸用土に挿入した。一般的なゲルセパレータ(寒天又は同等のもの)を電極の間に注ぎ、土壌を2つの「チャンバ」に分けた。セパレータゲルは、電流に対して絶縁性であるが微多孔質であり、ガス及びイオンの拡散を許容する。微生物の活性化によりメタン、水素及び酸素を発生させるために数時間置くと、2つの沈められた(submerged)対象電極から延びる2つのリード線間で0.5ボルトの電位が観察された。形は簡潔であるが、実験#5は、開示される方法によって生成される電極が燃料電池内で機能するという主張を十分裏付ける。これらのモノリシックバイオ炭電極の完全な製作のための開示される方法は高温炉を利用し、且つ得られる電極は、典型的な高温PEM燃料電池及び本明細書に記載される簡潔な実験#5の範囲を超える燃料電池の他の実施形態用の電極として働く間、そのような高温に耐容できることに十分留意されたい。
【0086】
[実験#6]
水素ガスを生成する及び/又は酸素ガスを生成するための水電解に基づくガス発生装置におけるバイオ炭電極の使用。
実験#6は、開示されるネットシェイプ化モノリシックバイオ炭電極が水電解ガス発生装置で使用可能であることを実証する。この特定の実験では、電解媒体は、およそ6モーラー(Molar)の濃度になるのに十分な水酸化カリウムを溶質として含む蒸留水であった(蒸留水中約30重量%のKOH)。このため、この電解質の添加は、一般的に「アルカリ電解」として公知の方法に従う。本明細書に開示される方法によって、より詳細には上記の実験#1で利用される調合によって製作される開示される高多孔質のモノリシックバイオ炭電極を、それぞれ縁に沿って伝導性クリップ及びワイヤに締結し、その後6モーラー(Molar)のKOH電解質水溶液に沈めた。電極のモノリス体のみが電解質溶液中に沈められ且つ電解質溶液と接触し、且つ接合された導電性ワイヤ、クリップ又は締結具は電解質溶液液体と接触しないことを確実にするよう注意を払った。電源の正極端子を1つのモノリシック電極からの1つのリード線に接続し、電源の負極端子を他のモノリシック電極の他のリード線に接続した。両方の電極は同じ調合及び製作方法のものであったため、電源リードの極性は、モノリシックバイオ炭電極のいずれかに無差別に割り当てられた。電極が電解質に沈められ、全てのワイヤ及び締結具の接続が完了すると、電源を入れ、電極対の間に電圧を与えた。1.23ボルトより大きい、さらには1.7ボルトより大きい、特に5ボルトの電圧を、5ボルトの電位に設定されたDC電源に接続されたリード線を介して電極に印加した。6モーラー(Molar)のKOH電解質水溶液が高多孔質のモノリシックバイオ炭電極中に染み込む約15秒の短い時間に続き、両方の電極が、モノリシック電極の、湿潤され、沈められた面で大量のガス気泡を生成し始めた。ガス生成が開始すると、0.625平方インチの電極の各湿潤された部分の全断面積にわたって0.75アンペアの、又は平方インチ当たり1.2アンペアの電流が観察された。ガスの試料から、陰極電極で水素ガスが生成され、陽極端子で酸素ガスが生成されたことが確認された。
【0087】
[反実験例]
以下は、開示される方法の特定の詳細が意図的に遵守されず、且つ最終結果が不良であるか、又は実施形態の電極の完全な故障が生じるかのいずれかであった2つの反実験例である。
【0088】
[反実験1]
ブレンドされない二条ホップは、脆弱で壊れやすい電極を生じる
18,000RPMのRetsch ZM-200において、80μmスクリーン、24歯ロータ及び80μmふるいスクリーンを使用することによって作製された微細粉砕物としての2条のみを使用し、実験#1を反実験として繰り返した。2条大麦は、プレス中又は炭化後に同様に機能しなかった。ウェハの表面は非常に粗かったため電極として使用するのに理想的でなく、セパレータの穿孔を生じ、金属箔電荷収集体との不均一な接触、機械的脆弱性、及び超音波処理中に炭化副生成物の過剰な排出を有した。
【0089】
[反実験2]
過剰なCO2ガス活性化流、ウェハは砕けて微細バイオマスの自己結合効果が損失する
実験4と同様の実験で、より高いCO2ガス流量(0.5ft3/時間)を使用した。炭化後、炉内で見出されると予想された元のネットシェイプ化炭素ウェハは、実際には炭素細粉及び炭素粉末の小さい凝集物に変化したことが観察された。これは、過剰なガス化によって炭素質材料の構造破壊が生じたためである可能性が高い。したがって、CO2の炭素質材料の質量に対する比は、ほとんど又は全ての炭素質材料をCO(一酸化炭素)に変換させ、最終的にネットシェイプ化ウェハを使用不可能な粉末に変える過剰なガス化を防止するよう慎重に選択されるべきである。
【0090】
種々の例示的な実施形態及び実装形態を参照して本発明のシステム及び方法を記載したが、そのような例示的な実施形態/実装形態による、又はそれに対する本発明が当業者によって理解されるべきである。むしろ、開示されるシステム/方法は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく変更、修正、改良及び/又は向上されてもよい。
【国際調査報告】