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  • 特表-鮮度保持湿米粉の滅菌方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】鮮度保持湿米粉の滅菌方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/3454 20060101AFI20220422BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20220422BHJP
   A23L 3/00 20060101ALI20220422BHJP
   A23B 9/02 20060101ALI20220422BHJP
   A23B 9/24 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
A23L3/3454
A23L7/109 G
A23L7/109 A
A23L3/00 101C
A23B9/02
A23B9/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533199
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2020132282
(87)【国際公開番号】W WO2021164364
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】202010103521.5
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514262886
【氏名又は名称】江南大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGNAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 1800 Lihu Avenue, Bin Hu District, Wuxi, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李才明
(72)【発明者】
【氏名】尤▲いう▼嫺
(72)【発明者】
【氏名】李兆豊
(72)【発明者】
【氏名】顧正彪
(72)【発明者】
【氏名】王東坤
(72)【発明者】
【氏名】盧斌
(72)【発明者】
【氏名】班宵逢
(72)【発明者】
【氏名】洪雁
(72)【発明者】
【氏名】程力
【テーマコード(参考)】
4B021
4B046
4B169
【Fターム(参考)】
4B021LA05
4B021LP01
4B021LP10
4B021LW01
4B021MC01
4B021MK08
4B021MK30
4B021MP03
4B021MQ04
4B046LA07
4B046LB05
4B046LB20
4B046LC09
4B046LG30
4B046LP14
4B046LP57
4B046LP58
4B046LP67
4B046LP71
4B046LQ03
4B046LQ04
4B169AA01
4B169AA04
4B169AB01
4B169GA05
4B169HA18
4B169KA01
4B169KC08
4B169KD10
(57)【要約】
鮮度保持湿米粉の滅菌方法であって、製造過程は、早期インディカ米に対して、浸漬、スラリー化、及びスラリー調整をした後、全自動米粉機を用いて一回押出成形して分散させ、分散させた新鮮な湿米粉を密閉式浸漬又は噴霧により酸性電解水で滅菌し、滅菌後の新鮮な湿米粉を無菌又は清潔な環境において水切りした後、適切な包装袋に入れて、真空吸引しない又は適切に真空吸引してシールし、包装済みの米粉について低温殺菌を行い、冷却して、鮮度保持湿米粉製品を得ることである。前記方法は、効率的かつ徹底的に滅菌することができ、プロセスがシンプルであり、操作しやすく、コストが低く、そして、汚染がなく、残留がなく、新鮮な湿米粉の食感や品質を損なうことがなく、市場の将来性が期待できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性電解水滅菌と低温殺菌を組み合わせて米粉を処理し、
前記酸性電解水による滅菌処理の条件として、酸性電解水のpHが2~5、浸漬時間が2~15分である、ことを特徴とする米粉の滅菌方法。
【請求項2】
早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化、スラリー調整、押出成形、酸性電解水滅菌、包装、低温殺菌、冷却を行った後、酸性電解水を滅菌剤として、新鮮な湿米粉に対して密閉式浸漬又は噴霧処理を行い、包装後、従来の二次蒸し工程を低温殺菌に変更して二次滅菌を行う、ことを特徴とする鮮度保持湿米粉の製造方法。
【請求項3】
米の浸漬温度が20~40℃、浸漬時間が6~120時間であり、
スラリー化するときに浸漬後の米を洗って水切りし、次に乾米と水との質量比が(1.0~2.0):1となるように清潔な水を加えてスラリー化する、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スラリー調整は、乾米と澱粉との質量比を(5~20):1に制御して米スラリーにコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉及び小麦澱粉のうちの1種又は複数種の澱粉を加えてスラリー調整を行うことである、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記スラリー調整は、乾米と澱粉との質量比を(5~20):1に制御して米スラリーにコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉及び小麦澱粉のうちの1種又は複数種の澱粉を加えてスラリー調整を行うことである、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
一次糊化米粉機で押出成形を行い、糊化温度を105~110℃とする、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸性電解水は、軟化処理を行った水道水に溶液濃度が0.1%未満となるように塩化ナトリウムを加え、電解後、陽極で生成した、有効塩素と活性酸素を含有する酸性水溶液であり、pHが2~5、有効塩素の含有量が10~750ppm、酸化還元電位が1100mV以上である、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性電解水は、軟化処理を行った水道水に溶液濃度が0.1%未満となるように塩化ナトリウムを加え、電解後、陽極で生成した、有効塩素と活性酸素を含有する酸性水溶液であり、pHが2~5、有効塩素の含有量が10~750ppm、酸化還元電位が1100mV以上である、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
密閉式浸漬処理は、非開放空間にて行われ、新鮮な湿米粉を酸性電解水に完全に浸し、浸漬時間を2~15分間とし、前記噴霧処理は、酸性電解水を新鮮な湿米粉の表面に均一に被覆し、有効作用時間を3分間以上とすることである、ことを特徴とする請求項2~5、8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
密閉式浸漬処理は、非開放空間にて行われ、新鮮な湿米粉を酸性電解水に完全に浸し、浸漬時間を2~15分間とし、前記噴霧処理は、酸性電解水を新鮮な湿米粉の表面に均一に被覆し、有効作用時間を3分間以上とすることである、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
密閉式浸漬処理は、非開放空間にて行われ、新鮮な湿米粉を酸性電解水に完全に浸し、浸漬時間を2~15分間とし、前記噴霧処理は、酸性電解水を新鮮な湿米粉の表面に均一に被覆し、有効作用時間を3分間以上とすることである、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記低温殺菌は、包装済みの新鮮な湿米粉を68~70℃の環境で20~30分間放置した後冷却するか、又は90~95℃の環境で10~15分間放置した後冷却することである、ことを特徴とする請求項1~5、8、10、11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記低温殺菌は、包装済みの新鮮な湿米粉を68~70℃の環境で20~30分間放置した後冷却するか、又は90~95℃の環境で10~15分間放置した後冷却することである、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記低温殺菌は、包装済みの新鮮な湿米粉を68~70℃の環境で20~30分間放置した後冷却するか、又は90~95℃の環境で10~15分間放置した後冷却することである、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記低温殺菌は、包装済みの新鮮な湿米粉を68~70℃の環境で20~30分間放置した後冷却するか、又は90~95℃の環境で10~15分間放置した後冷却することである、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化及びスラリー調整をした後、一次糊化米粉機で押出成形して分散させるステップ(1)と、
分散させた新鮮な湿米粉を浸漬又は噴霧により酸性電解水で滅菌するステップ(2)と、
(2)で得られた新鮮な湿米粉を無菌又は清潔な環境にて水切りした後、適切な包装袋に入れて、真空吸引せず又は適切に真空吸引してシールするステップ(3)と、
(3)で得られた米粉を低温殺菌し、室温に冷却して、鮮度保持湿米粉製品を得るステップ(4)とを含む、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化及びスラリー調整をした後、全自動米粉機で一次押出成形して分散させるステップ(1)と、
分散させた新鮮な湿米粉を密閉式浸漬により酸性電解水で滅菌するステップ(2)と、
(2)で得られた新鮮な湿米粉を無菌又は清潔な環境にて水切りした後、レトルトパウチに入れてヒートシールして包装するステップ(3)と、
(3)で得られた米粉を低温殺菌し、冷却して鮮度保持湿米粉製品を得るステップ(4)とを含み、
早期インディカ米は25℃で48時間浸漬し、スラリー化するときに乾米と水との質量比は1.35:1であり、スラリー調整には乾米とコーンスターチとの質量比は10:1であり、押出温度は108℃であり、酸性電解水のpHは3であり、浸漬時間は6分であり、低温殺菌条件は70℃で、得られた新鮮な湿米粉を20分間水浴で滅菌することである、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化及びスラリー調整をした後、全自動米粉機で一次押出成形して分散させるステップ(1)と、
分散させた新鮮な湿米粉を密閉式浸漬により酸性電解水で滅菌するステップ(2)と、
(2)で得られた新鮮な湿米粉を無菌又は清潔な環境にて水切りした後、レトルトパウチに入れてヒートシールして包装するステップ(3)と、
(3)で得られた米粉を低温殺菌し、冷却して鮮度保持湿米粉製品を得るステップ(4)とを含み、
早期インディカ米は20℃で4日間浸漬し、スラリー化するときに乾米と水との質量比は1:1であり、スラリー調整には乾米とコーンスターチとの質量比は10:1であり、押出温度は100℃であり、酸性電解水のpHは4であり、浸漬時間は8分間であり、低温殺菌条件は70℃で得られた新鮮な湿米粉を20分間水浴で滅菌することである、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項2~18のいずれか1項に記載の方法によって製造される鮮度保持湿米粉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鮮度保持湿米粉(ウェットビーフン)の滅菌方法に関し、食品加工の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
米粉は、中国の南部の伝統的な特色のある食品であり、米に対して洗浄、浸漬、粉砕又はスラリー化、蒸しによる熟成、押出成形、二次蒸し、滅菌、包装、冷却などの一連の工程を行って加工したものであり、特有の風味や豊富な栄養から非常に人気がある。現在市販されている米粉は主に乾米粉と新鮮な湿米粉との2種類がある。乾米粉に比べて、新鮮な湿米粉は含水量が通常50%以上であり、歯応えがよくつるつるした食感をしており、消費者の中でより人気がある。しかし、今までも、新鮮な湿米粉の産業的生産が成熟しておらず、従来の方法で製造される新鮮な湿米粉は通常生産した直後販売するものであり、夏には、賞味期間が24時間以下であり、このため、新鮮な湿米粉の輸送や普及が深刻に制限される。従来、新鮮な湿米粉には主に2回熟成する製造プロセスと、酸洗又は高温殺菌の滅菌プロセスとを用いる。有機酸で米粉を浸漬すると、米粉がしばしば酸っぱくなり、また残留しやすく、安全ではなく、環境に悪いなどの問題があり、一方、2回熟成した新鮮な湿米粉を高温で長期間処理すると、米粉の強度が大幅に低下し、粘着や切れが発生しやすいなどの問題を引き起こしやすい。
【0003】
従来の欠陥に対して、多くの研究は新しい滅菌プロセスの開発に取り込んで、新鮮な湿米粉の元の食感を最大限に維持しながら賞味期間を延ばそうとする。例えば、開示番号103169005Aの特許出願において、マイクロ波と紫外線照射とを組み合わせた滅菌手段で滅菌することを特徴とする鮮度保持湿米粉の製造方法が開示されている。この方法は、柔軟かつ簡便に操作でき、容易に制御でき、効果が高いものの、殺菌が不均一であり、漏れや袋の壊れ、食品の変色が発生しやすいなどの問題を抱えている。
【発明の概要】
【0004】
上記欠陥に対して、本発明は、酸性電解水(electrolyzed-oxidizing water)滅菌と低温殺菌(パスチャライゼーション)とを組み合わせて鮮度保持湿米粉を処理することにより、鮮度保持湿米粉の賞味期間を延ばす。
【0005】
本発明の第1の目的は、酸性電解水滅菌と低温殺菌とを組み合わせて米粉を処理する米粉の滅菌方法を提供することである。
【0006】
本発明の一実施形態では、酸性電解水による滅菌処理条件は、酸性電解水pH2~5、浸漬時間2~15分である。
【0007】
本発明の第2の目的は、早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化、スラリー調整、押出成形、酸性電解水滅菌、包装、低温殺菌、冷却を行った後、酸性電解水を滅菌剤として、新鮮な湿米粉に対して浸漬又は噴霧処理を行い、包装後、従来の二次蒸し工程を低温殺菌に変更して二次滅菌を行う、鮮度保持湿米粉の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の一実施形態では、前記米の浸漬温度は20~40℃であり、浸漬時間は6~120時間であり、スラリー化するときに浸漬後の米を洗浄して水切りし、次に、乾米と水との質量比が(1.0~2.0):1となるように清潔な水を加えてスラリー化する。
【0009】
本発明の一実施形態では、乾米と澱粉との質量比を(5~20):1に制御して、米スラリーにコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉及び小麦澱粉のうちの1種又は複数種の澱粉を加えてスラリー調整を行う。
【0010】
本発明の一実施形態では、全自動米粉機で一次糊化押出成形を行い、糊化温度を105℃~110℃とする。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記酸性電解水は、軟化処理を行った水道水に低濃度の塩化ナトリウム(溶液濃度が0.1%未満)を加え、電解後、陽極で生成した、低濃度有効塩素と低濃度活性酸素を含有する酸性水溶液であり、pHが2~5、有効塩素の含有量が10~750ppm、酸化還元電位が1100mV以上である。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記浸漬処理は非開放空間にて行われ、新鮮な湿米粉を酸性電解水に完全に浸し、浸漬時間を2~15分間とし、噴霧処理は、酸性電解水を新鮮な湿米粉の表面に均一に被覆し、有効作用時間を3分間以上とする。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記低温殺菌は、包装済みの新鮮な湿米粉を68~70℃の環境にて20~30分間放置した後冷却するか、又は90~95℃の環境にて10~15分間放置した後冷却することである。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記方法は、
早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化及びスラリー調整をした後、一次糊化米粉機で押出成形して分散させるステップ(1)と、
分散させた新鮮な湿米粉を密閉式浸漬又は噴霧により酸性電解水で滅菌するステップ(2)と、
(2)で得られた新鮮な湿米粉を無菌又は清潔な環境にて水切りした後、適切な包装袋に入れ、真空吸引せず又は適切に真空吸引してシールするステップ(3)と、
(3)で得られた米粉を低温殺菌し、冷却して鮮度保持湿米粉製品を得るステップ(4)とを含む。
【0015】
本発明の第3の目的は、上記方法によって製造される鮮度保持湿米粉を提供することである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果
1.本発明では、pH2~5の酸性電解水で新鮮な湿米粉を滅菌することにより、作用時間が短く、殺菌能力が高く、効率が高く、微酸性電解水よりも、迅速かつ徹底的な殺菌が可能であり、そして、長期間の浸漬吸水により新鮮な湿米粉が強度を低下させ、切れやすくなるという問題を回避する。作用終了後、完全に分解でき、残留や汚染がなく、毒性も害もなく、低価であり、入手も製造も容易であり、残留しやすく、安全ではなく、環境に悪く、また米粉の食感を損なうという従来の酸浸滅菌プロセスの不備を回避する。
2.本発明では、密閉式浸漬又は噴霧により酸性電解水で滅菌することにより、酸性電解水そのものの環境での分解を効果的に減らし、酸性電解水の最大化利用やリサイクルを可能とし、滅菌効果を確保しつつコストを低下させる。
3.本発明では、一次熟成成形プロセスにより鮮度保持湿米粉を製造するとともに、従来の二次蒸しプロセスを温和な低温殺菌に変更し、それにより、米粉を2回以上繰り返して加熱することを回避し、米粉の靭性や強度をさらに向上させる。
4.本発明では、酸性電解水滅菌と低温殺菌とを組み合わせて処理した新鮮な湿米粉の賞味期間が15~20日間であり、酸性電解水滅菌単独と低温殺菌単独とで処理する場合の相乗効果(4~10日間)よりも優れ、酸性電解水滅菌と低温殺菌は、賞味期間を延ばす点について互いにサポートして補完する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】異なる処理で得られた新鮮な湿米粉製品の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
鮮度保持湿米粉製品の賞味期間については、以下のように目視とコロニーの総数の測定とを組み合わせた方法で評価した。製品を28℃の恒温器(インキュベータ)に放置したところ、製品には黄変、べたつきの現象がなく、目視により見えるプラークがなく、且つコロニーの総数が10CFU/g以下である期限を製品の賞味期間とする。
【0019】
実施例1
鮮度保持湿米粉の製造は以下のように行われた。
(1)早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化及びスラリー調整をした後、全自動米粉機で一次押出成形して分散させた。
(2)分散させた新鮮な湿米粉を密閉式浸漬により酸性電解水で滅菌した。
(3)(2)で得られた新鮮な湿米粉を無菌又は清潔な環境にて水切りした後、レトルトパウチに入れてヒートシールして包装した。
(4)(3)で得られた米粉を低温殺菌し、冷却して、鮮度保持湿米粉製品を得た。
早期インディカ米は25℃で48時間浸漬し、スラリー化したときに乾米と水との質量比は1.35:1であり、スラリー調整には乾米とコーンスターチとの質量比は10:1であり、押出温度は108℃であり、酸性電解水のpHは3であり、浸漬時間は6分であり、低温殺菌条件は70℃で20分間水浴で滅菌し、得られた新鮮な湿米粉を28℃で保管した。賞味期間は15~20日間に達した。
【0020】
実施例2
鮮度保持湿米粉の製造は以下のように行われた。
(1)早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化及びスラリー調整をした後、全自動米粉機で一次押出成形して分散させた。
(2)分散させた新鮮な湿米粉を密閉式浸漬により、酸性電解水で滅菌した。
(3)(2)で得られた新鮮な湿米粉を無菌又は清潔な環境にて水切りした後、レトルトパウチに入れてヒートシールして包装した。
(4)(3)で得られた米粉を低温殺菌し、冷却して、鮮度保持湿米粉製品を得た。
早期インディカ米は20℃で4日間浸漬し、スラリー化したときに乾米と水との質量比は1:1であり、スラリー調整には乾米とコーンスターチとの質量比は10:1であり、押出温度は100℃であった。酸性電解水のpHは4であり、浸漬時間は8分間であり、低温殺菌条件は70℃で20分間水浴で滅菌し、得られた新鮮な湿米粉を25℃で保管した。賞味期間は15~20日間に達した。
【0021】
実施例3:酸性電解水滅菌条件による鮮度保持湿米粉の賞味期間(28℃)への影響
鮮度保持湿米粉の製造は以下のように行われた。
(1)早期インディカ米に対して洗浄、浸漬、スラリー化及びスラリー調整をした後、全自動米粉機で一次押出成形して分散させた。
(2)分散させた新鮮な湿米粉を密閉式浸漬により酸性電解水で滅菌した。
(3)(2)で得られた新鮮な湿米粉を無菌又は清潔な環境にて水切りした後、レトルトパウチに入れてヒートシールして包装した。
早期インディカ米は25℃で48時間浸漬し、スラリー化したときに乾米と水との質量比は1.35:1であり、スラリー調整には乾米とコーンスターチとの質量比は10:1であり、押出温度は108℃であった。酸性電解水のpHと浸漬時間を表1に示す。酸性電解水のpHが2~5、浸漬時間が2~15分である場合、得られた新鮮な湿米粉製品は、いずれも賞味期間が10日間以上に達し、酸性電解水のpHが高いほど、必要な最短浸漬時間が長くなる。pHが2未満である場合、必要な滅菌時間が短すぎ、実際の生産に不利であり、そして、酸性電解水の酸性が強すぎると、米粉に酸っぱいさが残留しやすく、pHが5よりも高い場合、必要な浸漬時間が15分を上回り、米粉が吸水して強度を低下させやすい。予備的スクリーニングをした結果、酸性電解水のpHが3である場合、必要な浸漬時間は適切であり、滅菌効果が最も顕著である。このpHで異なる浸漬時間の場合に得られた新鮮な湿米粉を28℃で10日間保管した後のコロニーの総数を表2に示し、これから、浸漬時間が4~12分に達する場合、コロニーの総数の閾値が1×10CFU/gであり、浸漬時間が6分である場合、滅菌効果が最も高い。浸漬時間が12分を上回ると滅菌効果が低下し、これは、酸性電解水中の有効成分が完全に分解した後二次汚染が生じることによると考えられる。
【0022】
比較例1
低温殺菌ステップを省略し、酸性電解水滅菌だけで滅菌処理を行ったこと以外は、残りの条件を実施例1と同様にして、実施例1の方法を参照して新鮮な湿米粉を製造し、製造した新鮮な湿米粉製品を図1に示し、賞味期間は2~4日間であった。
【0023】
比較例2
酸性電解水滅菌のステップを省略し、低温殺菌だけで滅菌処理を行ったこと以外は、残りの条件を実施例1と同様にして、実施例1の方法を参照して新鮮な湿米粉を製造し、得られた新鮮な湿米粉サンプルの賞味期間は2~6日間であった。
実施例1と比較例1、2との比較結果から、酸性電解水滅菌と低温殺菌とを組み合わせて処理した新鮮な湿米粉の賞味期間が15~20日間であり、酸性電解水滅菌単独による処理(2~4日間)と低温殺菌単独による処理(2~6日間)との相乗効果(4~10日間)よりも優れることを示し、このとこから、酸性電解水滅菌と低温殺菌は互いにサポートして補完することが明らかになる。
【0024】
比較例3
全自動米粉機で一次糊化押出成形し、糊化温度をそれぞれ102℃と115℃とした以外、実施例1の方法を参照して新鮮な湿米粉を製造した。糊化温度が102℃である場合、米粉は、押し出されたときに十分に糊化しておらず、成形しにくく、糊化温度が115℃である場合、米粉は、押し出されたときに過度に糊化し、膨化が生じた。選別したところ、糊化温度は105℃~110℃の範囲が最適である。
【0025】
本発明は好適な実施例をもって以上のように開示されたが、このような好適な実施例は本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、様々な変更や修正を行うことができ、このため、本発明の特許範囲は、特許請求の範囲により定められるものに準じる。
図1
【国際調査報告】