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特表2022-524292第1の機械部品を第2の機械部品から分離する方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】第1の機械部品を第2の機械部品から分離する方法。
(51)【国際特許分類】
   B23P 11/00 20060101AFI20220422BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220422BHJP
   B23P 15/04 20060101ALI20220422BHJP
   B24C 1/10 20060101ALI20220422BHJP
   B23P 19/04 20060101ALI20220422BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20220422BHJP
   B32B 43/00 20060101ALI20220422BHJP
   B26F 3/06 20060101ALN20220422BHJP
【FI】
B23P11/00
F01D25/00 X ZAB
B23P15/04
B24C1/10 F
B23P19/04 K
C09J5/00
B32B43/00
B26F3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544546
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 FR2020050178
(87)【国際公開番号】W WO2020161426
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】1901069
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュドン,バンサン
(72)【発明者】
【氏名】ラムーシュ,ダミアン・ブリュノ
(72)【発明者】
【氏名】ペルラン,マチュー・パトリック・ジャン・ロジェ
【テーマコード(参考)】
3C030
3C060
4F100
4J040
【Fターム(参考)】
3C030BA01
3C060AA04
3C060AA20
3C060CA03
3C060CF18
4F100AB01
4F100AB01A
4F100AB01E
4F100AK01
4F100AK01C
4F100AK53
4F100AK53B
4F100AK53D
4F100AR00A
4F100AR00E
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100CB00
4F100CB00B
4F100CB00D
4F100DH00
4F100DH00C
4J040JA09
4J040PA17
4J040PA42
(57)【要約】
本発明は、第1の機械部品(12)を第2の機械部品(14)から分離する方法に関し、第2の機械部品(14)は、接合領域に沿って接着フィルム(16)によって第1の機械部品(12)に接合され、第1の機械部品(12)は、第1の特定の熱伝導率を有し、第2の機械部品は、第1の熱伝導率よりも高い第2の熱伝導率を有し、本方法は、第2の機械部品(14)が負の温度に冷却される少なくとも1つの冷却ステップと、接着フィルム(16)を破壊させるために第2の機械部品(14)が機械的応力を受ける少なくとも1つの応力印加ステップと、を含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機械部品(12)を第2の機械部品(14)から分離するための分離方法であって、第2の機械部品(14)は、接続領域(18)に沿って接着フィルム(16)によって第1の機械部品(12)に接合され、第1の機械部品は第1の特定の熱伝導率を有し、第2の機械部品は第1の熱伝導率よりも高い第2の熱伝導率を有し、該方法は、第2の機械部品(14)のみが負の温度に冷却される少なくとも1つの冷却ステップと、接着フィルム(16)を破壊させるために第2の機械部品(14)が機械的応力を受ける少なくとも1つの応力印加ステップと、を含むことを特徴とする、分離方法。
【請求項2】
前記冷却ステップと前記応力印加ステップとが同時に行われることを特徴とする、請求項1に記載の分離方法。
【請求項3】
前記応力印加ステップの間、前記第2の部品(14)は、前記接着フィルム(16)の表面に対して実質的に垂直な方向(D)に圧縮応力を受けることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項4】
前記圧縮応力は、振動手段または投射体投射手段によって行われることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項5】
前記振動手段が超音波ハンマリング手段であり、前記投射体投射手段がブラスト手段であることを特徴とする、請求項1に記載の分離方法。
【請求項6】
前記冷却ステップは、液体窒素を前記第2の部品(14)に投射させることによって行われることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項7】
前記第1の部品(12)が複合材料で作られたベーンであり、前記第2の部品(14)が前記ベーン(12)の前縁(20)に結合された金属補強材であり、液体窒素を投射させることによって前記金属補強材(14)を冷却するステップと、前記補強材(14)が前記接着フィルム(16)の表面に実質的に垂直な方向(D)に超音波ハンマリングによって機械的応力を受ける応力印加ステップとを含む2つの同時ステップを含むことを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の分離方法。
【請求項8】
ベーン(12)の前縁(20)の長さ(L)よりも短い長さ(l)の工具によってベーン(12)の前縁(20)のカバー領域(C)において冷却および応力印加の2つのステップを同時に実行することを可能にする工具(30)によって実施され、前記工具(30)がベーン(12)の前縁(20)の全長(L)に沿って移動されることを特徴とする、請求項1に記載の分離方法。
【請求項9】
前記液体窒素は、実質的に-200℃の温度で投射され、前記超音波ハンマリングは、10kHz~40kHzの周波数で行われることを特徴とする、請求項7または8に記載の分離方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に係る方法に組み込まれ、第1の機械部品を第2の機械部品から分離するための工具(30)であって、第2の機械部品の自由表面に沿って並進移動できるアセンブリ(32)を備え、前記アセンブリ(32)は、
-応力印加ユニット(40)であって、
発生器(50)であって、前記発生器(50)に電力に供給するための電力を正弦波電気信号に変換する発生器(50)と、
正弦波電気信号を正弦波振動波に変換する変換器(52)と、、
振動波を増幅するアンプ(54)と、、
振動波を伝達するように構成されたソノトロード(56)と、
第2の部品(14)に近接して配置され、ソノトロード(56)の振動波を受信し、それらを第2の部品(14)に機械的に伝達するように適合された少なくとも1つの伝達フィンガ(58)と、
を連続的に備える応力印加ユニットと、
-冷却ユニット(38)であって、
加圧窒素貯蔵タンク(42)と、
タンク(42)から窒素を受け取り、この窒素を所定の圧力下で供給するように構成された膨張器(44)と、
膨張器(44)によって加圧窒素が供給される、第2の部品(14)の近傍に延在する導管(46)と、
導管(46)の端部に配置され、液体窒素を第2の部品(14)の表面上に噴霧するように構成されたノズル(48)と、
を連続して備える冷却ユニット(38)と、
を備えることを特徴とする、工具(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の機械部品を第2の機械部品から分離する方法に関する。
本発明は、特に、複合材料で作られたターボ機械ベーンの前縁から金属補強材を分離する方法に適用される。
【背景技術】
【0002】
ファン搭載ダブルフローターボ機械は、主に有機マトリクス複合材料で実行されることができるベーンを搭載している。これらのベーンには、通常、ベーンに例えばベーンの前縁部に接合されるチタン合金製の金属補強材が装備されている。
【0003】
使用中、1つまたは複数のベーンの金属補強材は、例えば鳥または破片などの異物がファンによって吸い込まれるときに、様々な衝撃によって損傷を受ける可能性がある。しかし、この場合、対応するベーンは必ずしも破損しているとは限らないので、複合材料の製造のために、金属補強材のみを交換し、複合ベーンを保持することは、後者が高い経済的価値を有するので、価値のあるものとなろう。
【0004】
従って、本発明の課題は、金属補強材を複合材料製のベーンから、該ベーンを損傷することなく分離する方法の開発にある。
【0005】
先行技術から知られている様々な技術が、金属補強材をベーンから分離するためにこれまで使用されてきた。
【0006】
文献仏国特許出願公開第2970197号明細書は、接着フィルムによって第1の機械部品に接合された第2の磁性機械部品から第1の機械部品を誘導的に分離するための方法を開示している。この方法では、第2の磁性機械部品の磁気特性を利用して、第2の磁性機械部品に渦電流が誘導的に発生するように接合領域に磁界を発生させ、これにより2つの部品を加熱し、接合した接着フィルムを軟化させて機械部品を分離できるようにする。
【0007】
ベーン補強材に適用されるこの方法の欠点は、ベーンの厚さが均一でないことである。特に、補強材は、ベーンの前縁のレベルで高い厚さを有し、この前縁からベーンの内方に延在し、かつ接着フィルムによってベーンの表面に接着されている延長領域において薄くなっている。
【0008】
補強材の高い厚さ領域のレベルで補強材の十分な温度上昇に到達するために使用される磁場は、補強材の低い厚さ領域において過熱を引き起こす可能性がある。この過熱はベーンの複合材料に伝達し、それを劣化させる危険性がある。
【0009】
文献仏国特許出願公開第3056605号明細書は、溶解による分離方法を開示している。この方法によれば、チタン合金製の前縁の補強材を備えるベーンの一部は、化学的処理組成物が循環する閉回路と、リンス組成物が循環する閉回路とによって供給される化学的処理槽内に浸漬される。化学的処理組成物を循環させてチタン合金を溶解させ、次いでベーンをリンスする。
【0010】
この解決策は、比較的かさばり、かつ複雑な装置を必要とし、チタン補強材の溶解に関連して高い処理時間を呈するという欠点を有する。さらに、後者の材料は溶解しているので、リサイクルすることができない。
【0011】
文献米国特許出願公開第2014/030108号明細書は、形状記憶材料が充填された接着フィルムを具備するアセンブリを加熱し、機械的に応力を加えることによって分離する方法を記載しており、加熱は、前記材料のマルテンサイト変態温度より高い温度で行われる。この非常に特殊な接着剤は、限定的な方法でしか使用することができない。
【0012】
文献仏国特許出願公開第3025735号明細書および仏国特許出願公開第2992243号明細書には、アセンブリ全体が冷却されるようにアセンブリを冷却して機械的に応力を加えて分離する方法が記載されている。この構成では、材料間の熱伝導率の相違を利用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2970197号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第3056605号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/030108号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第3025735号明細書
【特許文献5】仏国特許出願公開第2992243号明細書
【発明の概要】
【0014】
本発明は、第1の機械部品を第2の機械部品から分離し、接着フィルムと、より高い熱伝導率を有する第2の機械部品との間の接続を破壊することを可能にする方法を提案することによって、この欠点を改善する。
【0015】
より詳細には、本発明は、一方では第2の機械部品に熱応力を加え、他方ではこの第2の部品に機械的応力を加えることによって、接着剤と第2の機械部品の材料との間の界面を破壊する方法を提案する。
【0016】
この第2の部品は、第1の部品よりも高い熱伝導率を有するので、その高い熱伝導率により熱応力を迅速に伝達するようになっており、これは、機械的応力と組み合わされて、接着フィルムを破壊することを可能にする。
【0017】
この目的のために、本発明は、第1の機械部品を第2の機械部品から分離する方法を提案するものであり、第2の機械部品は、接合領域に沿って接着剤により第1の機械部品に接合され、第1の機械部品は第1の特定の熱伝導率を有し、第2の機械部品は第1の熱伝導率よりも高い第2の熱伝導率を有し、第2の機械部品のみが負の温度に冷却される少なくとも1つの冷却ステップと、第2の機械部品が接着フィルムを破断させるために機械的応力を受ける少なくとも1つの応力印加ステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
本方法の他の特徴によれば、
-冷却ステップと応力印加ステップとが同時に行われ、
-応力印加ステップの間、第2の部品は接着フィルムの表面に略垂直な方向に圧縮応力を受け、
-圧縮応力は振動手段または投射体投射手段によって行われ、
-振動手段は超音波ハンマリング手段であり、投射体投射手段はブラスト手段であり、
-冷却ステップは第2の部品に液体窒素を投射することによって行われる。
-第1の部品は、複合材料製のベーンであり、第2の部品は、前記ベーンの前縁に接着された金属補強材であり、前記方法は、液体窒素を投射することによって前記金属補強材を冷却するステップと、前記補強材が前記接着フィルムの表面に略垂直な方向に超音波ハンマリングすることによって機械的応力を受けるステップと、を備える2つの同時ステップを備え、
-前記方法は、前記ベーンの前縁の長さよりも短い長さの工具によって、前記ベーンの前縁の被覆領域内で冷却と応力印加を同時に行うことを可能にする工具によって実施され、前記工具は、前記ベーンの前縁の全長に沿って移動され、
-液体窒素は、実質的に-200℃の温度で投射され、前記超音波ハンマリングは、10kHz~40kHzの周波数で実行される。
【0019】
また、本発明は、上述の方法による第1の機械部品を第2の機械部品から分離するための工具にも関し、この工具は、第2の機械部品の自由表面に沿って並進移動することができるアセンブリを含むことを特徴とし、アセンブリは、
-応力印加ユニットであって、
発生器であって、前記発生器に供給するための電力を正弦波電気信号に変換する発生器と、
正弦波の電気信号を正弦波の振動波に変換する変換器と、
振動波を増幅するアンプと、
振動波を伝達するように適合されたソノトロードと、
第2の部品に近接して配置され、ソノトロードの振動波を受信し、それらを第2の部品に機械的に伝達するように構成される少なくとも1つの伝達フィンガと、
を連続的に備える応力印加ユニットと、
-冷却ユニットであって、
加圧窒素貯蔵タンクと、
タンクから窒素を受け取り、この窒素を所定の圧力で供給するように構成された膨張器と、
膨張器によって加圧窒素が供給される、第2の部品の近傍に延在する導管と、
導管の端部に配置され、第2の部品の表面に液体窒素を噴霧するように構成されたノズルと、
を連続して備える冷却ユニットと、
を備える。
【0020】
本発明の他の詳細、特徴および利点は、非限定的な例として、添付の図面を参照してなされる以下の説明から、より良く理解され、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ターボ機械ベーンの概略断面図である。
図2図2は、図1のベーンの概略斜視図である。
図3図3は、本発明による方法の実施中の本発明による工具の平面図である。
図4図4は、本発明による方法の実施中の本発明による工具の別の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、ターボ機械ベーンアセンブリ10を示す。公知のように、ベーンアセンブリ10は、接着フィルム16によって接合された2つの部品12および14からなり、その厚さは、図1を理解するために誇張されている。したがって、接着フィルム16は、2つの部品の間に接続領域18を画定する。
【0023】
第1の機械部品12は、特定の熱伝導率を有し、第2の部品14は、第1の部品12よりも高い熱伝導率14を有する。
【0024】
ターボ機械ベーンアセンブリ10の場合、第1の部品は、複合材料、例えば有機基複合材料製のベーン12であり、第2の部品は、ベーン12の前縁20に接合されたチタン合金製の金属補強材14である。
【0025】
図2に示すように、補強材14は、ベーン12の前縁20に沿った長さLに沿って延在している。
【0026】
従来、先行技術で知られている分離方法は、補強材14の誘導加熱によって接着フィルム16を軟化させること、または補強材14の化学的溶解操作を行うことのいずれかにある。
【0027】
図1から分かるように、補強材14の厚さは均一ではない。補強材14は、ベーン12をキャップし、前縁20のレベルで最大となり、補強材がベーン12の外側領域22および内側領域24を接合する領域26および28において最小値まで減少する厚さEを有する。
【0028】
その結果、前縁の高さで接着フィルム16を十分に軟化させるための補強材14の誘導加熱は、領域26および28の過剰な加熱を引き起こし、その結果、これらの領域の近傍でベーン12の複合材料が劣化する危険性があるという欠点を有する。したがって、この技術的解決策は不適切である。
【0029】
補強材14の化学的溶解作業は、ベーン12を損傷する危険はないが、長時間かつ高価な手段を使用するという欠点を有する。
【0030】
本発明は、補強材14が負の温度に冷却される少なくとも1つの冷却ステップと、補強材14が機械的応力を受けて接着フィルム16を破壊させる少なくとも1つの応力印加ステップと、を含む方法を提案することによって、これらの欠点を改善する。
【0031】
高い熱伝導率を有する金属補強材14の冷却によって、接着フィルム16が金属補強材14の金属と接触して冷却されることが可能になり、その延性機械的挙動を脆性機械的挙動に変化させるために、その靭性の低下を引き起こす。これは、接着フィルム16を破壊するために必要な機械的エネルギー入力を減少させることを可能にし、これは、応力印加ステップの間、補強材14が機械的応力を受けるとき、ベーン12の劣化のリスクをかなり低減させることを可能にする。
【0032】
接着フィルム16の機械的挙動の変化は、使用される接着剤に依存する。従来、ベーン12および補強材14は、エポキシ接着剤を用いて組み立てられており、このエポキシ接着剤は、非常に負の温度に達すると、接着フィルム16の高分子鎖の移動度が低下するため、脆くなる。本発明の方法の冷却ステップは、接着フィルムがより脆くなることを可能にする。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、冷却ステップと応力印加ステップは同時に行われる。この構成は、本発明を限定するものではなく、後者が接着フィルム16が延性挙動を回復するのに十分に温度が上昇しない限り、補強材14が冷却された後に応力作用を実施することができる。
【0034】
これらのステップを実行することを可能にする工具30が、図3および図4に示されている。
【0035】
工具30は、補強材14の自由表面32に沿った長さLに沿って並進移動可能なアセンブリ32を備える。アセンブリ32は、手動で動かすことができる。しかしながら、本方法の工業化の範囲内では、アセンブリ32は、移動可能なキャリッジ36上に並進移動で取り付けられる。
【0036】
アセンブリ32は、図3の矢印で示す、アセンブリ30の移動の方向に従って上流から下流に向かって、冷却ステップを行うことを意図した冷却ユニット38と、応力印加ステップを行うことを意図した応力印加ユニット40とを備えることが好ましい。
【0037】
こうして、冷却ユニット38によって冷却される補強材14の任意の領域は、アセンブリ30が移動されると、すぐに応力印加ユニット40の応力にさらされる。
【0038】
冷却ユニット38は、加圧冷却流体のタンク42と、タンク42から流体を受け取り、所定の圧力の下で送達するように構成された膨張器44とを備える。この膨張器は、加圧冷却流体が供給される導管46に接続されており、この導管は補強材14の近傍に延在している。導管46の端部は、補強材14の表面上に冷却流体を噴霧するように構成されたノズル48を備える。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、冷却ステップは、液体窒素ベースの冷却流体を補強材14上に投射することによって行われる。
【0040】
このように、ノズル48は、補強材14の表面に液体窒素ミストを噴霧するように構成されている。
【0041】
液体窒素は-200℃の温度で投射される。接着フィルム16は、補強材14を経る熱伝導によって冷却される。従って、窒素の適用時間は、金属補強材14の厚さおよび性質、並びにその破裂を引き起こす接着フィルム16の所望の温度に依存する。
【0042】
この方法の主な利点は、補強材14および接着フィルム16の熱伝導率の相違にある。
【0043】
一方では、補強材14は、熱を迅速に伝導し、接着フィルム16を迅速に冷却することを可能にする。しかしながら、接着フィルム16に使用されるポリマー材料で作られた接着剤は、あまり熱伝導性ではなく、従って、ベーン12を断熱する。一例として、1mm未満の厚さの金属補強材を処理するためには、数秒間の窒素適用で十分である。
【0044】
幾つかのタイプの機械的応力は、例えばベーンの翼弦に垂直な応力のような、応力印加ステップ中に考慮することができる。しかしながら、好ましくは、図3および図4に示すように、第2の部品、すなわち補強材14は、接着フィルム16の表面に実質的に垂直な方向Dに圧縮応力を受ける。
【0045】
この圧縮応力は、金属補強材14の表面への衝撃に対応する機械的応力である。この圧縮波は、補強材14と接着フィルム16との間の機械的インピーダンスの違いにより、補強材14と接着フィルム16との間の界面で牽引波に変換されるという利点を有する。実際、2つの材料間の界面における機械的剛性の変化が、牽引波への入射圧縮波の一部の反射を誘起することが知られている。
【0046】
一般的に言えば、圧縮応力は、振動手段によって、または投射体投射手段によって作ることができる。このような振動手段は、例えば、超音波ハンマリング手段である。投射体投射手段は、例えば、ブラスト手段である。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、振動手段は超音波ハンマリング手段である。この目的のために、応力印加ユニット40は、超音波ハンマリングを発生させることを目的とする構成要素のチェーンを含む。
【0048】
これらの構成要素は、発生器50を備え、これは、発生器に供給するための電気エネルギー源を正弦波電気信号に変換する。この信号は、正弦波電気信号を正弦波振動波に変換する変換器52に供給する。これらの振動波はアンプ54に送信され、増幅される。
【0049】
アンプ54は振動波をソノトロード56に増幅し、このソノトロードは振動波を機械的に伝達するようになっている。ソノトロード56の一端には、「圧子」とも呼ばれる少なくとも1つの伝達フィンガ58があり、これは、ソノトロード56から振動波を受け取り、これは、第2の部品の補強材14と接触して配置され、それらを補強材14に機械的に伝達するようになっている。
【0050】
構成要素のチェーンの力に応じて、図3および図4の場合のように、複数の伝達フィンガ58を有することが可能である。これらのフィンガ58は、例えば、補強材14の前縁に超音波が打ち込まれることを可能にするだけでなく、例えば、接着フィルム16が均一に分離されることを可能にするために、補強材がベーン12の余分な領域22および24を接合する領域26および28も可能にする。
【0051】
ソノトロード58の1つまたは複数の伝達フィンガ58は、上述のように、実質的に接着フィルム16の表面に垂直な方向Dに、超音波ハンマリングによって機械的応力を加える。
【0052】
超音波ハンマリングは、例えば、10kHz~40kHzの周波数で行われる。
【0053】
上述のように、また、図3および図4に例示されているように、工具30のアセンブリ32は、冷却ステップと応力印加テップの両方を同時に行うことを可能にする。これらの2つの動作は、工具30によってベーン12の前縁20のカバレッジ領域C内で行われ、より詳細には、ノズル48を通過した直後のソノトロード56のフィンガ58によって行われる。領域Cは、ベーン12の前縁14の長さLよりも小さい長さlのものである。したがって、工具40は、図3および図4に例示されているように、ベーン12の前縁14の全長Lに沿って移動される。移動中、カバー領域Cは、まずノズル48によって冷却され、次いで、直後に、伝達フィンガ58によって機械的応力が加えられる。フィンガ58がノズル48へ近接していることにより、前縁20が加熱されてその冷却効果を失うのを防止する。
【0054】
従って、ベーン補強材14のベーン12からの分離は、後者を工具30で掃引するだけで非常に簡単に行うことができる。
【0055】
本発明は、このような分離操作を単純化し、信頼性のあるものにする。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】